JP2024084465A - 材料データ処理装置及び方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】データ取得が容易で、精度の高い推定が可能な材料データ処理装置及び方法を提供する。【解決手段】材料データ処理装置1は、プロセスデータ61、組成データ62、特性データ63、及び組織データ64のうち、組織データ64を含む2つ以上のデータを用いて機械学習を行い、各データの相関性を表す回帰モデル33を作成する回帰モデル作成処理部26と、回帰モデル33を用いて、機械学習に用いたプロセスデータ61、組成データ62、特性データ63、または組織データ64のいずれかを推定する推定処理部27と、を備え、組織データ64は、温度に対する磁化の変化量の曲線におけるピークの形状に基づく特徴量であるピーク形状特徴量を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、材料データ処理装置及び方法に関する。
近年、データマイニングなどの情報科学を利用して新材料や代替材料を効率的に探索するマテリアルズインフォマティクス(Materials Informatics)が注目されている。また、日本では、マテリアルズインテグレーション(Materials Integration)による材料開発が検討されている。マテリアルズインテグレーションとは、材料科学の成果に、理論、実験、解析、シミュレーション、データベースなどの科学技術を融合して、材料の研究開発を支援することを目指す総合的な材料技術ツールと定義されている。
特許文献1には、設計対象材料の設計条件を含む入力情報と材料特性値を含む出力情報との対応関係に機械学習により取得した学習済みモデルを利用する点が記載されている。また、非特許文献1には、材料の組成および材料の製造条件(プロセス)に基づいて、材料の組織および特性を予測し、そこからさらに材料の性能を予測する点が記載されている。
国際公開第2020/090848号
小関敏彦「材料データとマテリアルズインテグレーション」情報管理Vol.59、No.3、p.165(2016)
ところで、材料の組織に関するデータ(以下、組織データという)は、例えば、X線回折法、光学顕微鏡、走査電子顕微鏡等を用いた測定・観察・解析によって得られる。このような測定・観察・解析により得られる組織データは、測定・観察・解析する者の技能に大きく依存してデータの信頼性が大きく変動してしまい、機械学習を用いた推定における推定精度に影響を及ぼしてしまうという課題がある。
そこで、本発明は、データ取得が容易で、精度の高い推定が可能な材料データ処理装置及び方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決することを目的として、個々の試料を製造する際の製造条件の情報を含むプロセスデータ、前記個々の試料の組成の情報を含む組成データ、前記個々の試料の特性の情報を含む特性データ、及び、前記個々の試料の組織の情報を含む組織データのうち、前記組織データを含む2つ以上のデータを用いて機械学習を行い、各データの相関性を表す回帰モデルを作成する回帰モデル作成処理部と、前記回帰モデルを用いて、前記機械学習に用いた前記プロセスデータ、前記組成データ、前記特性データ、または前記組織データのいずれかを推定する推定処理部と、を備え、前記組織データは、温度に対する磁化の変化量の曲線におけるピークの形状に基づく特徴量であるピーク形状特徴量を含む、材料データ処理装置を提供する。
また、本発明は、上記課題を解決することを目的として、個々の試料を製造する際の製造条件の情報を含むプロセスデータ、前記個々の試料の組成の情報を含む組成データ、前記個々の試料の特性の情報を含む特性データ、及び、前記個々の試料の組織の情報を含む組織データのうち、前記組織データを含む2つ以上のデータを用いて機械学習を行い、各データの相関性を表す回帰モデルを作成する工程と、前記回帰モデルを用いて、前記機械学習に用いた前記プロセスデータ、前記組成データ、前記特性データ、または前記組織データのいずれかを推定する工程と、を備え、前記組織データは、温度に対する磁化の変化量の曲線におけるピークの形状に基づく特徴量であるピーク形状特徴量を含む、材料データ処理方法を提供する。
本発明によれば、データ取得が容易で、精度の高い推定が可能な材料データ処理装置及び方法を提供できる。
本発明の一実施の形態に係る材料データ処理装置の概略構成図である。 熱重量測定装置を説明する説明図である。 (a)は熱重量測定装置により得られる測定データの一例を示すグラフ図であり、(b)は(a)の測定データにおいて加熱時と冷却時の測定データに分割し横軸を温度としたグラフ図であり、(c)は、(b)に示される曲線の温度での1階微分を示すグラフである。 (a)~(e)は、ピーク形状特徴量を演算する方法の一例を説明する図である。 全体データベースの一例を示す図である。 候補値選択画面の一例を示す図である。 温度種別選択画面の一例を示す図である。 (a)は、学習用データ抽出処理、(b)は回帰モデル作成処理、(c)は推定処理を説明する説明図である。 本発明の一実施の形態に係る材料データ処理方法の制御フローを示すフロー図である。 データ取得処理のフロー図である。 特徴量抽出処理のフロー図である。 温度種別選択処理のフロー図である。 学習用データ抽出処理のフロー図である。 (a)は回帰モデル作成処理、(b)は推定処理のフロー図である。 (a)は変数設定画面の一例、(b)は評価値表示画面の一例を示す図である。
[実施の形態]
以下、本発明の実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
図1は、本実施の形態に係る材料データ処理装置1の概略構成図である。図1では、材料データ処理装置1に加えて、製造装置100、分析エリア110、及び製造装置用制御装置120もあわせて示している。
(対象製品について)
本実施の形態では、製造する製品がセラミックスである場合について説明する。さらに、本実施の形態では、製造するセラミックスが、磁性材料であるフェライト磁石である場合について説明する。フェライト磁石は、金属酸化物(酸化鉄)や金属の無機塩(炭酸ストロンチウム)などを原料(素原料)として用い、混合工程、仮焼工程、微粉砕工程、成形工程、及び焼成工程(焼結工程ともいう)を経て製造される。ただし、製造する製品はフェライト磁石や希土類磁石等の磁性材料、あるいはセラミックス材料に限定されず、例えば、電線の外皮等に用いる樹脂又はゴム等を用いた複合材料等にも、本発明は適用可能である。また、本実施の形態において、特性や組織を分析する試料は、最終的に製造される製品でなくともよく、半製品(中間製品)であってもよい。
(機械学習に用いるデータの説明)
材料データ処理装置1では、プロセスデータ61、組成データ62、特性データ63、及び組織データ64の各データを用いて機械学習を行い、当該機械学習の結果を基に所望のデータの推定を行う。以下、機械学習に用いる各データの詳細について説明する。
プロセスデータ61は、個々の試料を製造する際の製造条件の情報を含むデータである。例えば、製造装置100における温度や処理時間、モータ回転数等の設定値や実測値がプロセスデータ61に含まれる。フェライト磁石等の磁性材料を製造する場合、プロセスデータ61として、少なくとも、熱処理条件を規定するパラメータを含むとよい。
組成データ62は、個々の試料に含まれる元素の種類、および元素の組成比率の情報を含み、例えば使用される材料の配合量(配合比)等の情報を含む。
特性データ63は、個々の試料の特性の情報を含むデータである。フェライト磁石等の磁性材料を製造する場合、特性データ63として、残留磁束密度Br、保持力HcJ、飽和磁化、及び透磁率のうち少なくとも1つの情報を含むとよい。
そして、組織データ64は、個々の試料の組織の情報を含むデータである。フェライト磁石等の磁性材料を製造する場合、組織データ64として、主相の結晶構造を規定するパラメータを含むとよい。また、本実施の形態では、組織データ64は、磁化温度依存性に基づく特徴量を含んでいる。そして、組織データ64は、磁化温度依存性に基づく特徴量として、温度に対する磁化の変化量の曲線におけるピークの形状に基づく特徴量(ピーク形状特徴量という)や、当該ピークにおける温度の値であるキュリー温度T等の情報を含んでいる。さらに、本実施の形態では、組織データ64は、加熱時及び冷却時の磁化温度依存性に基づく特徴量の情報を含んでいる。これらの点の詳細については後述する。
(製造装置100及び製造装置用制御装置120)
製造装置100は、例えばフェライト磁石を製造する装置である。製造装置用制御装置120は、製造装置100への製造指示や各種設定を行うと共に、製造装置100での生産状況の監視や、生産時の各種データの収集等を行う装置であり、例えばパーソナルコンピュータにより構成されている。
製造装置用制御装置120は、製造装置100からプロセスデータ61を受信すると共に、後述する分析エリア110から特性データ63、及び、熱重量測定装置111による測定データ641を含む組織データ64を受信する。なお、製造装置100や分析エリア110と製造装置用制御装置120との間で、USBメモリ等の記憶媒体を用いてデータのやり取りを行ってもよい。また、製造装置用制御装置120が、設定情報や製造指示情報等としてプロセス情報等を自身で保有している場合には、当該保有している情報をプロセスデータ61として取得するよう構成してもよい。また、組成データ62については、製造装置100側で入力されたデータを製造装置用制御装置120で受信してもいし、製造装置用制御装置120で組成データ62の情報を入力してもよく、さらには、材料データ処理装置1にて直接組成データ62の情報を入力してもよい。製造装置用制御装置120は、受信した各データを材料データ処理装置1に送信する。各データの詳細については後述する。
また、製造装置用制御装置120は、製造指示を製造装置100に出力可能に構成されており、材料データ処理装置1でプロセスを推定する場合において、推定したプロセスデータ61(後述する推定データ35)を製造装置100のプロセスに反映させることができるよう構成されている。なお、本実施の形態では、製造装置用制御装置120を介して各種データを材料データ処理装置1に送信するようにしたが、製造装置100や分析エリア110から直接材料データ処理装置1にデータを出力するよう構成してもよい。また、製造装置用制御装置120とは別に、機械学習に用いる各データを管理するための管理装置を設け、当該管理装置から材料データ処理装置1に各データを送信するように構成してもよい。
(分析エリア110、及び組織データ64について)
分析エリア110は、製造装置100で製造した個々の試料の組織及び特性を分析するエリアである。分析エリア110では、個々の試料の組織及び特性を分析するための種々の装置を用いて、組織及び特性の分析が行われる。なお、分析エリア110の「エリア」は特定の場所を表すわけではなく、分析用の装置等をまとめた概念上の領域である。つまり、分析用の各装置は一か所にまとめて配置される必要はない。
ここで、組織データ64の詳細について説明する。組織データ64は、材料を構成する各相の割合、結晶構造、分子構造、単結晶/多結晶/アモルファスの区別、多結晶の場合における結晶粒の形状およびサイズ、結晶方位、粒界、双晶または積層欠陥、転移などの欠陥の種類および密度、粒界および粒内の溶質元素の偏析などに関する情報を含み得る。本実施の形態では、従来一般には、材料の「特性」を規定する情報(特性データ63)として扱われていた「磁気相転移」に関する情報を、組織データ64として用いる。つまり、組織データ64は、個々の材料における磁化温度依存性に基づく特徴量を含む。
「磁化温度依存性に基づく特徴量」について説明する。磁気相転移の代表例は「強磁性-常磁性転移」である。このような磁気相転移が起こる温度は、キュリー温度(T)またはキュリー点と呼ばれる。材料のキュリー温度は、材料を構成する相の結晶構造および組成などに強く依存するため、組織データ64として用いることができる。また、「磁化温度依存性に基づく特徴量」の取得は、データを採取する者の個人的な技能によってデータの質が変動することが少なく、機械的にデータを取得することが可能であるというメリットがある。このように、「磁化温度依存性に基づく特徴量」は、「強磁性-常磁性転移」によって生じる組織的特徴を示す特徴量であり、キュリー温度を用いることができる。ただし、「強磁性」は、「フェロ磁性」のみならず、「フェリ磁性」も含むものとする。また、「反強磁性-常磁性転移」によって生じる組織的特徴を示す特徴量を利用してもよい。そのような特徴量としては、ネール温度を用いることができる。つまり、磁化温度依存性に基づく特徴量の例は、磁気相転移に関する特徴量を含み、より具体的には、キュリー温度およびネール温度の少なくとも一方を用いることができる。
キュリー温度の測定は、簡便かつ高感度での測定が可能な熱重量測定装置(TG:Thermogravity)111を用いて行うとよい。図2に示すように、熱重量測定装置111は、容器に入れたサンプル(測定試料)500を保持するホルダー501を一端に有するビーム部502と、サンプル500を加熱するヒーター503を有する電気炉504と、ビーム部502の他端に接続されてサンプル500の重量変化を検出する重量測定部505とを備えている。ビーム部502は、支点として機能する支持部506によって支持されている。
熱重量測定装置111では、重量測定部505が、サンプル500を加熱した時にサンプル500で起こる熱分解などの反応に伴う重量変化を測定する。磁気相転移に関する特徴量を抽出する場合は、測定時にサンプル500の外部から磁場勾配を付与する。これにより、図2の白抜き矢印で示されるようにサンプル500に磁気的な吸引力を及ぼすことができる。その結果、サンプル500の重量には磁気吸引力が重畳され、重量測定部505が測定する「重量」の値には、サンプル500に及ぶ磁気的吸引力も含まれることになる。磁気的吸引力は、サンプル500の「磁化」の大きさに対応する。このため、サンプル500で強磁性から常磁性への相転移が生じると、サンプル500の磁化が急激に変化するため、重量測定部505によって測定される「重量」の変化として磁化の変化(つまり相転移)を検出することが可能になる。以下、重量測定部505によって測定される測定値をTG測定値wという。
図2の例において、サンプル500と重量測定部505が水平方向に配置されているが、鉛直方向に配置されていてもよい。また、熱重量測定装置111には、示差熱分析(DTA)または示差走査熱量分析(DSC)が同時に可能な機能が付加されてもよい。この場合、サンプル500と参照試料を装置にセットして測定する場合があるが、参照試料としては、アルミナなどの常磁性材料(測定温度範囲の全域で強磁性が発現しない材料)を用いることが好ましい。
サンプル500に磁場勾配を付与する磁場印加の構成は、個々の試料の測定間での再現性が確保できればどのような構成であってもよく、例えば、希土類磁石などの永久磁石を装置に設けることにより容易に実現することができる。磁場勾配の大きさは、サンプル500の量などに応じて適宜選定するとよく、例えば0.1mT/mm程度である。磁場勾配が大きな方が高い感度で相転移を検出できるため、磁場勾配は、0.5mT/mm以上であることが好ましく、1mT/mm以上であることがさらに好ましい。
サンプル500は、例えばアルミナ製の容器(パン)に入れてホルダー501にセットされる。例えばNd-Fe-B系焼結磁石のように、磁気的な異方性を有する測定材料をバルク体のままで測定すると、セットする方向によって磁気的な吸引力が変動する場合がある。このような変動を抑制するために、粉砕した粉末状のサンプル500を用いてもよい。この場合、粉砕粒度は、測定材料によって適宜選定するとよく、例えば500μm以下である。なお、易酸化性材料を測定する場合は、測定時の不活性ガスに含まれる微量の酸素に起因するサンプル500の酸化による重量増加を抑制できるよう、粉砕粒度を粗くしてもよい。測定時の雰囲気は、例えば希土類磁石のような易酸化性の材料の場合、測定中の酸化反応による重量変化や、反応による新たな強磁性相の発生を回避するため、アルゴンガスなどの不活性ガスが採用され得る。また、不活性ガス中の不純物を除去するためのゲッター材などを装置に組み込んでもよい。
熱重量測定装置111による測定では、常温から所定の温度まで徐々に加熱を行い、その後、徐々に常温まで冷却を行いつつ、試料設置部の温度TsおよびTG測定値wを測定する。熱重量測定装置111により得られる測定データ641の一例を図3(a)に示す。図3(a)では、熱重量測定装置111より得られる測定データ641を実線、温度プロファイルを破線で示している。なお、TG測定値wは、サンプル500の重量と、アルミナ製の容器(パン)の重量と、磁気的吸引力とが重畳した値である。サンプル500の熱分解などがなければ、パンおよびサンプル500の重量は温度によって変化しないため、TG測定値wの変化は、サンプル500が受ける磁力の大きさの変化、すなわちサンプル500の磁化の大きさの変化に対応している。図3(a)の測定データ641は、つまり、温度に対する磁化の大きさの変化を示す曲線に相当する。
図3(b)は、熱重量測定装置111で得た測定データ641に基づく、TG測定値wの温度依存性を示すグラフである。図3(b)のグラフにおいて、TG測定値wは、所定の温度(図示矢印A,B)で急激に変化している。このTG測定値wの急激な変化は、試料に含まれる相(強磁性相)の強磁性-常磁性転移に起因している。そして、TG測定値wの変化量(すなわち磁化の変化量)は、試料中の強磁性相の磁化および体積比率を反映している。
図3(c)は、図3(b)のグラフを温度Tsで微分した値を示すグラフである。図3(c)のグラフは、温度に対する磁化の大きさの変化を示す曲線を微分して得られた微分曲線であり、本発明の温度に対する磁化の変化量の曲線(磁化の一階温度微分曲線)に相当する。図3(c)で極小値を取る温度(図示矢印A,B)が、キュリー温度Tである。なお、キュリー温度Tを決定する方法はこれに限定されず、他の手法によってキュリー温度Tを決定してもよい。ただし、本実施の形態では、キュリー温度Tを組織データ64として機械学習に利用するため、キュリー温度Tを取得する方法は統一しておくことが好ましい。
また、図3(b),(c)より、加熱時と冷却時とでは、キュリー温度Tが異なっていることがわかる。以下、加熱時のキュリー温度Tを加熱時キュリー温度TC_Hと呼称し、冷却時のキュリー温度Tを冷却時キュリー温度TC_Cと呼称する。加熱時キュリー温度TC_Hとは、常温から所定の温度まで加熱する際に強磁性体が常磁性体に変化する転移温度である。そして、冷却時キュリー温度TC_Cとは、所定の温度まで加熱された状態から常温まで冷却する際に常磁性体から強磁性体に変化する転移温度である。
以上、熱重量装置による例を示したが、磁化温度依存性に基づく特徴量の取得は熱重量装置に限らず公知の方法でおこなうことができる。例えば、ヒーターや冷却器を備えた振動試料型磁力計(VSM:Vibrating Sample Magnetometer)やSQUID(Superconducting QUantum Interference Device)磁力計で、一定磁界を印加した状態で温度を変化させながら磁化測定をおこなってもよい。
なお、1つの測定データ641(つまり1つの試料)において、加熱時キュリー温度TC_H及び冷却時キュリー温度TC_Cは、それぞれ複数存在する場合がある。後述する機械学習では、複数の加熱時キュリー温度TC_H、複数の冷却時キュリー温度TC_Cのそれぞれを1つの変数として扱うことになる。
分析エリア110には、個々の試料の組織を分析するための装置として、熱重量測定装置111以外に、例えば、X線回折装置、光学顕微鏡等が備えられていてもよい。X線回折装置は、例えば、X線回折法(XRD:X-Ray Diffraction)により、材料中に存在する相(化合物)の種類や割合、格子定数等を求めるために用いられる。光学顕微鏡は、例えば、各相のサイズを測定するために用いられる。また、例えば、光学顕微鏡に替えて走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を用いてもよい。また、各相の組成については、例えば、SEMに付属するエネルギー分散分光装置(EDX:Energy Dispersive X-ray spectroscopy)や、電子線プローブマイクロアナライザー(EPMA:Electron Probe Micro Analyzer)などによって求めるようにしてもよい。
(ピーク形状特徴量)
本実施の形態では、組織データ64は、磁化温度依存性に基づく特徴量として、さらに、温度に対する磁化の変化量の曲線(図3(c)参照)におけるピークの形状に基づく特徴量であるピーク形状特徴量を含んでいる。ピーク形状特徴量は、ピーク面積、ピーク幅、ピーク高さの少なくとも1つを含むとよい。
ピーク面積は、組織の相比率や相の磁化の大きさを示すパラメータであり、ピーク面積が小さいと相比率や相の磁化の大きさが小さく、ピーク面積が大きいと相比率や相の磁化の大きさが大きいことを示す。また、ピーク幅は、組織の均一性を表すパラメータであり、ピーク幅が小さいと均一性が高く、ピーク幅が大きいと均一性が低いことを示す。本実施の形態では、ピーク幅として、半値幅(以下、ピーク半値幅という)を用いた。ピーク形状特徴量を組織データ64として用いることで、相比率や均一性を考慮したより精度の高い予測が可能になる。
なお、ここでいう「ピーク」とは、上述のキュリー温度(あるいはネール温度)に相当するピークであり、温度に対する磁化の変化量の曲線(図3(c)参照)における極小値に相当する。よって、キュリー温度(あるいはネール温度)に相当するピーク(極小値)ごとに、ピーク形状特徴量としてピーク面積、ピーク幅、ピーク高さが演算され、磁化温度依存性特徴量データ642として全体データベース31に登録されることになる。
図4は、ピーク形状特徴量を演算する方法の一例を説明する図である。まず、図4(a)に示すように、温度に対する磁化の変化量の曲線(以下、単に微分曲線という場合がある)において極大点、極小点を検出する。その後、図4(b)に示すように、極大点から微分曲線に接線を引き、接線と微分曲線との交点を検出する。その後、図4(c)に示すように、交点と極大点との間の区間において、(接線-微分曲線)の積分を行うことで、ピーク面積を演算することができる。また、図4(d)に示すように、極小点から温度軸に垂直な線を引き、当該線と接線との交点から極小点までの長さを演算することで、ピーク高さを求めることができる。さらに、図4(e)に示すように、ピーク高さが半分となる位置で温度軸に平行な直線を引き、当該直線と微分曲線との交点間の長さを演算することで、ピーク半値幅を求めることができる。なお、例えば、ピーク高さの75%など、任意の高さでのピーク幅を求めてもよい。
なお、ピーク形状特徴量を演算する方法は図4の方法に限定されない。例えば、ピーク関数(例えばガウス関数)とベースライン関数とを作成してフィッティングを行い、フィッティングパラメータに基づいて、ピーク面積、ピーク高さ、ピーク半値幅を演算してもよい。この方法を用いることで、例えばピーク面積があらかじめ設定された数値範囲内であるときに、当該ピークにおける温度の値をキュリー温度の候補値として抽出するなど、キュリー温度の抽出に応用することも可能である。
本実施の形態では、上述のように、加熱時キュリー温度TC_H及び冷却時キュリー温度TC_Cを、組織データ64に含んでいる。そして、これら加熱時キュリー温度TC_H及び冷却時キュリー温度TC_Cに対応するピークのピーク形状特徴量も、組織データ64に含まれている。加熱時キュリー温度TC_Hに対応するピークのピーク形状特徴量、すなわち、加熱時の温度に対する磁化の変化量の曲線に基づくピーク形状特徴量を、加熱時ピーク形状特徴量と呼称する。また、冷却時キュリー温度TC_Cに対応するピークのピーク形状特徴量、すなわち、冷却時の温度に対する磁化の変化量の曲線に基づくピーク形状特徴量を、冷却時ピーク形状特徴量と呼称する。
(材料データ処理装置1)
図1に戻り、材料データ処理装置1は、少なくとも、制御部2と、記憶部3と、図示しない通信部とを有している。制御部2は、材料データ処理装置1の全体を統括的に制御しており、記憶部3は、制御部2による後述する各種処理に必要な情報等を記憶する。材料データ処理装置1は、例えば、サーバ装置等のコンピュータであり、CPU等の演算素子、RAMやROM等のメモリ、ハードディスク等の記憶装置、LANカード等の通信デバイスである通信インターフェースを備えている。
制御部2は、設定処理部21、データ取得処理部22、特徴量抽出処理部23、温度種別選択処理部24、学習用データ抽出処理部25、回帰モデル作成処理部26、推定処理部27、及び推定データ提示処理部28を有している。各部の詳細については後述する。
記憶部3は、メモリや記憶装置の所定の記憶領域により実現されている。また、材料データ処理装置1は、表示器4と、入力装置5と、を有している。表示器4は、例えば液晶ディスプレイ等であり、入力装置5は、例えばキーボードやマウス等である。なお、表示器4をタッチパネルで構成し、表示器4が入力装置5を兼ねる構成としてもよい。また、表示器4や入力装置5は、材料データ処理装置1と別体に構成され、無線通信等により材料データ処理装置1と相互に通信可能に構成されていてもよい。この場合、表示器4または入力装置5は、タブレットやスマートフォン等の携帯端末で構成されていてもよい。
(設定処理部21)
設定処理部21は、材料データ処理装置1の各種設定を行うための設定処理を行うものである。設定処理部21では、例えば、データ取得処理部22によるデータ取得の方法やデータ取得日時の設定等、各種制御に係る情報の設定を行うことができる。また、設定処理部21では、記憶部3に記憶する各種情報の登録・更新・削除等が可能である。各種情報の入力等には、入力装置5等を用いることができる。
(データ取得処理部22)
データ取得処理部22は、製造装置用制御装置120から各データを取得するデータ取得処理(図10参照)を行うものである。データ取得処理部22は、製造装置用制御装置120からデータ更新信号を受信したとき、データ取得処理を行う。データ取得処理では、データ取得処理部22は、製造装置用制御装置120にデータ要求信号を送信し、これに応じて製造装置用制御装置120から送信された各データを受信して、全体データベース31として記憶部3に記憶する。また、データ取得処理部22は、入力装置5からの入力によって、データを取得してもよい。例えば、組成データ62を、入力装置5からの入力によって取得してもよい。
(全体データベース31)
ここで、全体データベース31について説明しておく。図5は、全体データベース31の一例を示す図である。なお、図5は全体データベース31の概念を示すものであり、実際の実験データを記載したものではない。
図5に示すように、全体データベース31は、収集したデータを一括して管理するデータベースであり、製造装置用制御装置120や入力装置5から取得した各データ、すなわち、プロセスデータ61、組成データ62、特性データ63、及び組織データ64を含んでいる。図示の例では、これらデータの他、実験番号や識別子の情報を含む識別データ60も全体データベース31に含まれている。また、組織データ64には、加熱時の磁化温度依存性に基づく特徴量(加熱時キュリー温度TC_H及び加熱時ピーク形状特徴量)、及び冷却時の磁化温度依存性に基づく特徴量(冷却時キュリー温度TC_C及び冷却時ピーク形状特徴量)のデータである磁化温度依存性特徴量データ642が含まれている。すなわち、磁化温度依存性特徴量データ642には、各キュリー温度Tに対応したピークのピーク形状特徴量として、ピーク面積、ピーク幅、及びピーク高さが含まれている。なお、全体データベース31には、必要に応じて、図示のデータ以外のデータも適宜含まれていてもよい。
(特徴量抽出処理部23)
特徴量抽出処理部23は、個々の試料の測定データ641を基に、加熱時の磁化温度依存性に基づく特徴量(加熱時キュリー温度TC_H及び加熱時ピーク形状特徴量)、及び冷却時の磁化温度依存性に基づく特徴量(冷却時キュリー温度TC_C及び冷却時ピーク形状特徴量)を抽出する特徴量抽出処理(図11参照)を行う。
特徴量抽出処理では、測定データ641(図3(a)参照)を加熱時の測定データ641aと冷却時の測定データ641bとに分割する。この際、測定データ641を時系列に整列した後に最高温度の時刻を検出し、検出した最高温度の時刻以前のデータを加熱時の測定データ641aとし、検出した最高温度の時刻より後のデータを冷却時の測定データ641bとして分割するとよい(図3(b)参照)。
その後、特徴量抽出処理部23は、加熱時の測定データ641aから加熱時の磁化温度依存性に基づく特徴量(加熱時キュリー温度TC_H及び加熱時ピーク形状特徴量)を抽出し、冷却時の測定データ641bから冷却時の磁化温度依存性に基づく特徴量(冷却時キュリー温度TC_C及び冷却時ピーク形状特徴量)を抽出する。より具体的には、加熱時及び冷却時の各測定データ641a,641bの平滑化等のノイズ軽減のためのデータ処理を行った後に、各測定データ641a,641bに対して微分を行い、微分曲線(温度に対する磁化の変化量の曲線)を得る(図3(c)参照)。
その後、得られた微分曲線からピーク抽出を行うことで、加熱時キュリー温度TC_H、及び冷却時キュリー温度TC_Cの候補値を抽出する。なお、ピーク抽出の方法としては、例えば、局所的放物線近似により相関係数を算出し、得られた相関係数曲線を基にピーク抽出を行う方法等が挙げられる。
熱重量測定装置111で測定した測定データ641にはノイズが多く含まれていることがあるため、ピーク抽出により得られた加熱時キュリー温度TC_H、及び冷却時キュリー温度TC_Cの候補値は、ノイズの影響による誤った値が含まれている場合がある。そこで、本実施の形態では、材料データ処理装置1の使用者が、手動で加熱時キュリー温度TC_H、及び冷却時キュリー温度TC_Cの値を決定する。この際、例えば、図6に示すような候補値選択画面41を表示器4に表示して、使用者の選択をサポートするように特徴量抽出処理部23を構成してもよい。
図6の例では、候補値選択画面41の上部に測定データ641や測定データ641を微分したグラフを示すグラフ表示エリア41aを有し、各グラフ中にキュリー温度T(加熱時キュリー温度TC_H、及び冷却時キュリー温度TC_C)の候補値を表示している。そして、候補値選択画面41の下部に、加熱時キュリー温度TC_H、及び冷却時キュリー温度TC_Cの候補値のリストを表示し、当該候補値から加熱時キュリー温度TC_H、及び冷却時キュリー温度TC_Cを選択するための選択エリア41bを有している。図示例では、使用者は、マウス等の入力装置5により候補値選択画面41上でカーソル40を動かし、選択欄のチェックボックスをチェックすることで、使用する加熱時キュリー温度TC_H、及び冷却時キュリー温度TC_Cを選択する。図6のような候補値選択画面41を用いることで、使用者がグラフを見ながら加熱時キュリー温度TC_H、及び冷却時キュリー温度TC_Cを選択することが可能になるため、加熱時キュリー温度TC_H、及び冷却時キュリー温度TC_Cを選択し易くなる。選択した加熱時キュリー温度TC_H、及び冷却時キュリー温度TC_Cは、磁化温度依存性特徴量データ642として全体データベース31に登録され、記憶部3に記憶される。
なお、ここでは手動でキュリー温度T(加熱時キュリー温度TC_H、及び冷却時キュリー温度TC_C)を選択したが、これに限らず、ノイズの影響を十分に抑えた測定データ641が得られる場合には、候補値の選択を省略して、完全に自動でキュリー温度T(加熱時キュリー温度TC_H、及び冷却時キュリー温度TC_C)を選択するようにしてもよい。
そして、特徴量抽出処理部23は、選択されたキュリー温度T(加熱時キュリー温度TC_H、及び冷却時キュリー温度TC_C)の各ピークについて、ピーク形状特徴量(加熱時ピーク形状特徴量、及び冷却時ピーク形状特徴量)を演算する(図4参照)。演算により得られたピーク形状特徴量(加熱時ピーク形状特徴量、及び冷却時ピーク形状特徴量)は、磁化温度依存性特徴量データ642として全体データベース31に登録され、記憶部3に記憶される。
なお、本実施の形態では、材料データ処理装置1にて、加熱時及び冷却時の磁化温度依存性に基づく特徴量の抽出を行ったが、これに限らず、例えば、分析エリア110や製造装置用制御装置120において、加熱時及び冷却時の磁化温度依存性に基づく特徴量(キュリー温度Tやピーク形状特徴量)の抽出を行ってもよい。
(温度種別選択処理部24)
温度種別選択処理部24は、機械学習に用いる組織データ64として、加熱時の磁化温度依存性に基づく特徴量(加熱時キュリー温度TC_H及び加熱時ピーク形状特徴量)、または、冷却時の磁化温度依存性に基づく特徴量(冷却時キュリー温度TC_C及び冷却時ピーク形状特徴量)の何れか一方、または両方を用いることを選択する温度種別選択処理を行う(図12参照)。
本発明者らが検討したところ、磁石の種類によっては、加熱時に酸化して組成が変わったり、高温相が出現したりするものがあり、このようなものでは加熱時の磁化温度依存性に基づく特徴量を用いることが望ましいことが分かった。なお、高温相の出現等の影響を受けないものについては、加熱時と冷却時の両方、あるいは冷却時の磁化温度依存性に基づく特徴量を用いるとよい。また、フェライト磁石を製造する場合には、冷却時の磁化温度依存性に基づく特徴量のみを用いることで最も推定精度が向上することが分かった。このように、磁石の種類等に応じて、加熱時、冷却時の一方あるいは両方の磁化温度依存性に基づく特徴量を選択して機械学習に用いることで、推定精度の向上を図ることができる。本実施の形態では、ピーク形状特徴量のどのパラメータを機械学習に用いるかについても、適宜選択できるように温度種別選択処理部24を構成した。
温度種別選択処理部24は、図7に示すような温度種別選択画面42を表示器4に表示する。温度種別選択画面42は、上部に加熱時、冷却時、及び両方を選択可能な温度種別選択エリア42aを有しており、下部に、温度種別選択エリア42aで選択した磁化温度依存性に基づく特徴量を表示する選択結果表示エリア42bを有している。使用者は、マウス等の入力装置5によりカーソル40を操作して、温度種別選択エリア42aにて温度種別を選択する。すると、温度種別選択処理部24は、選択結果表示エリア42bに選択結果を表示する。なお、選択結果表示エリア42bでチェックボックスを外すことで、例えば、加熱時キュリー温度TC_Hの一方のみを選択する、あるいは所望のピーク形状特徴量のみを選択する、といったことも可能である。画面下部のOKボタン42cをクリックすることで、選択が確定される。選択結果は、温度種別選択データ36として記憶部3に記憶される。なお、温度種別選択処理部24、表示器4、入力装置5、及び入力のためのユーザインターフェイスは、本発明の温度種別選択手段10に相当する。なお、図7の温度種別選択画面42はあくまで一例であり、適宜変更可能である。
(学習用データ抽出処理部25)
学習用データ抽出処理部25は、全体データベース31から、機械学習に用いるデータのみを学習用データ32として抽出する学習用データ抽出処理を行う(図13参照)。図8(a)に示すように、学習用データ抽出処理では、全体データベース31に含まれるデータから説明変数となる説明変数データ71と目的変数となる目的変数データ72とを抽出する。
機械学習においては、説明変数データ71と目的変数データ72との組み合わせによって推定精度が変わってくる。本実施の形態では、経験上推定精度が高くなりやすい組み合わせとして、特性データ63を目的変数データ72とし、特性データ63以外のデータ(すなわち、プロセスデータ61、組成データ62、組織データ64)を説明変数データ71とした。なお、本実施の形態では、組織データ64を説明変数データ71あるいは目的変数データ72として用いることは必須である。ただし、組織データ64以外のデータ、すなわちプロセスデータ61、組成データ62、及び特性データ63については、本実施の形態では必須のデータではなく、必要に応じて用いることができる。
また、学習用データ抽出処理部25は、全体データベース31に含まれる組織データ64のうち、温度種別選択データ36で選択されているもののみ(例えば、加熱時の磁化温度依存性に基づく特徴量(加熱時キュリー温度TC_H及び加熱時ピーク形状特徴量)のみ)を抽出して、説明変数データ71とする。抽出された学習用データ32は、記憶部3に記憶される。
なお、過学習による推定精度の低下等を避けるため、説明変数データ71や目的変数データ72として用いるパラメータの選択を変更して回帰モデル33の作成を繰り返したい場合がある。この場合、説明変数データ71や目的変数データ72として用いるパラメータの選択可能なパラメータ選択画面を表示器4に表示して、使用者が各パラメータの選択を行えるよう構成してもよい。パラメータ選択画面については後述する。
(回帰モデル作成処理部26)
図8(b)に示すように、回帰モデル作成処理部26は、抽出された学習用データ32を用いて機械学習を行い、説明変数データ71の各パラメータと目的変数データ72の各パラメータとの相関を示す回帰モデル33を作成する回帰モデル作成処理を行う(図14(a)参照)。本実施の形態では、回帰モデル作成処理部26は、プロセスデータ61、組成データ62、特性データ63、及び組織データ64のうち、組織データ64を含む2つ以上のデータを用いて機械学習を行い、各データの相関性を表す回帰モデル33を作成する。つまり、本実施の形態では、組織データ64を機械学習に用いることは必須である。
回帰モデル作成処理部26は、入力された説明変数データ71の各パラメータに対する目的変数データ72のパラメータの相関性を、機械学習により自ら学習するための学習アルゴリズム等のソフトウェアを含んでいる。学習アルゴリズムは特に限定されず、公知の学習アルゴリズムを用いることができ、例えば、3層以上の層をなすニューラルネットワークを用いた所謂ディープランニング等を用いることができる。回帰モデル作成処理部26が学習するものは、説明変数データ71と、目的変数データ72との相関性を表すモデル構造に相当する。
より具体的には、回帰モデル作成処理部26は、入力された学習用データ32を基に、説明変数データ71と目的変数データ72とを含むデータ集合に基づく学習を反復実行し、両者の相関性を自動的に解釈する。なお、学習の開始時には相関性は未知の状態であるが、学習を進めるに従って説明変数データ71に対する目的変数データ72の相関性を徐々に解釈し、その結果として得られた学習済みモデルである回帰モデル33を用いることで、説明変数データ71に対する目的変数データ72の相関性を解釈可能になる。
回帰モデル作成処理部26は、作成した回帰モデル33を記憶部3に記憶する。本実施の形態では、回帰モデル作成処理部26は、全体データベース31が更新される度に、回帰モデル33を更新する。ただし、これに限らず、例えば後述する推定処理を実行する際に、データ更新分をまとめて学習し、回帰モデル33を更新するようにしてもよい。また、説明変数データ71や目的変数データ72として用いるパラメータを変更した場合にも、改めて回帰モデル33を作成することになる。
(推定処理部27)
推定処理部27は、回帰モデル作成処理部26が作成した回帰モデル33を用いて、機械学習に用いたデータのいずれか、すなわち、プロセスデータ61、組成データ62、特性データ63、または組織データ64のいずれかを推定する推定処理を行う(図14(b)参照)。図8(c)に示すように、推定処理部27は、回帰モデル作成処理部26が作成した回帰モデル33と、推定元のデータである推定元データ34とを基に、推定データ35を求める。求めた推定データ35は、記憶部3に記憶される。例えばプロセスデータ61を推定する場合、推定データ35はプロセスデータ61となり、推定元データ34は、機械学習に用いたプロセスデータ61以外のデータとなる。推定元データ34は、例えば、入力装置5により入力される。
(推定データ提示処理部28)
推定データ提示処理部28は、推定データ35を提示する推定データ提示処理を行う。推定データ提示処理では、例えば、推定データ35を表示器4に表示する。なお、推定データ提示処理では、推定データ35以外のデータ、例えば、説明変数データ71や目的変数データ72として用いた項目等もあわせて提示するように構成されていてもよい。
(材料データ処理方法)
(メインルーチン)
図9は、本実施の形態に係る材料データ処理方法のフロー図である。なお、図9において、実線で示す矢印は、制御の流れを表しており、破線で示す矢印は、信号やデータの入出力を表している。
図9に示すように、製造装置用制御装置120は、製造装置100や分析エリア110からデータを受信したとき、材料データ処理装置1にデータ更新信号を送信する(ステップS10)。材料データ処理装置1の制御部2は、ステップS1にて、データ更新信号が入力されたかを判定する。ステップS1にてNO(N)と判定された場合、ステップS7に進む。ステップS1でYES(Y)と判定された場合、ステップS2に進み、データ取得処理を行う。
ステップS2のデータ取得処理では、図10に示すように、ステップS21にて、データ取得処理部22が、製造装置用制御装置120にデータ要求信号を送信する。データ要求信号を受信した製造装置用制御装置120は、データ取得処理部22に、製造装置100や分析エリア110から受信した各種データを送信する(ステップS12)。その後、ステップS22にて、データ取得処理部22が、各種データを受信する。なお、図示を省略しているが、データ取得処理部22は、入力装置5から入力されたデータを受信してもよい。そして、ステップS23にて、データ取得処理部22が、受信した各種データを全体データベース31に登録し記憶部3に記憶する。その後、リターンし、図9のステップS3に進む。
ステップS3の特徴量抽出処理では、図11に示すように、ステップS301にて、特徴量抽出処理部23が、全体データベース31を参照し、磁化温度依存性特徴量データ642が抽出されていない測定データ641を選択し、ステップS302にて、当該測定データ641を時系列に整列させた後(図3(a)参照)、ステップS303にて、測定データ641中の最高温度を検出する。そして、ステップS304にて、特徴量抽出処理部23が、最高温度となる時刻以前のデータを加熱時の測定データ641aとし、最高温度となる時刻より後のデータを冷却時の測定データ641bとして、測定データ641を分割する(図3(b)参照)。その後、ステップS305にて、特徴量抽出処理部23が、加熱時及び冷却時の測定データ641に対して、移動平均による平滑化処理を行った後、ステップS306にて、測定データ641を温度で微分して、温度に対する磁化の変化量の曲線(微分曲線)を作成する(図3(c)参照)。その後、ステップS307にて、特徴量抽出処理部23が、微分曲線に対して局所的放物線近似で相関係数を算出した後、ステップS308にて、算出した相関係数を基に相関係数曲線を作成し、当該相関係数曲線を基にピーク抽出を行う。
そして、ステップS309にて、特徴量抽出処理部23が、抽出したピークをキュリー温度Tの候補値として、表示器4に候補値選択画面41を表示する(図6参照)。この際、加熱時の測定データ641aから抽出した候補値が、加熱時キュリー温度TC_Hの候補値となり、冷却時の測定データ641bから抽出した候補値が、冷却時キュリー温度TC_Cの候補値として表示される。その後、ステップS310にて、候補値選択画面41での入力を受け付け、ステップ311にて、ステップS310で選択された候補値を、磁化温度依存性特徴量データ642として全体データベース31に登録する。その後、ステップS312にて、ステップS310で選択された候補値に対応する各ピークについて、ピーク形状特徴量として、ピーク面積、ピーク半値幅、ピーク高さを演算する(図4参照)。その後、ステップS313にて、ステップS312で得られたピーク面積、ピーク半値幅、ピーク高さ(すなわち、加熱時ピーク形状特徴量、及び冷却時ピーク形状特徴量)を磁化温度依存性特徴量データ642として全体データベース31に登録する。その後、ステップS314にて、全ての測定データ641で磁化温度依存性特徴量データ642を抽出したか(全体データベース31の磁化温度依存性特徴量データ642が空欄でかつ測定データ641が存在するデータが存在しないか)を判定する。ステップS314でNO(N)と判定された場合、ステップS301に戻る。ステップS314でYES(Y)と判定された場合、リターンし、図9のステップS4に進む。
ステップS4の温度種別選択処理では、図12に示すように、ステップS41にて、温度種別選択処理部24が、表示器4に温度種別選択画面42を表示する(図7参照)。その後、ステップS42にて、温度種別の選択の入力を受け付け、ステップS43にて、ステップS42での入力結果を判定する。ステップS43において、入力結果が「加熱時」である場合、ステップS44にて温度種別を「加熱時」に設定し、リターンする(図9のステップS5に進む)。ステップS43において、入力結果が「冷却時」である場合、ステップS45にて温度種別を「冷却時」に設定し、リターンする。ステップS43において、入力結果が「両方」である場合、ステップS46にて温度種別を「両方」に設定し、リターンする。
ステップS5の学習用データ抽出処理では、図13に示すように、ステップS51にて、学習用データ抽出処理部25が、説明変数及び目的変数の設定の入力を受け付ける。なお、説明変数や目的変数の設定が予め決まっている場合には、ステップS51は省略可能である。その後、ステップS52にて、温度種別を判定する。温度種別が「加熱時」である場合、ステップS53にて、加熱時キュリー温度TC_H及び加熱時ピーク形状特徴量を組織データ64として含む学習用データ32を抽出し、ステップS56に進む。温度種別が「冷却時」である場合、ステップS54にて、冷却時キュリー温度TC_C及び冷却時ピーク形状特徴量を組織データ64として含む学習用データ32を抽出し、ステップS56に進む。温度種別が「両方」である場合、ステップS55にて、加熱時キュリー温度TC_H及び冷却時キュリー温度TC_Cの両方と、対応するピーク形状特徴量(加熱時ピーク形状特徴量、及び冷却時ピーク形状特徴量)を組織データ64として含む学習用データ32を抽出し、ステップS56に進む。ステップS56では、抽出した学習用データ32を記憶部3に記憶した後、リターンし、図9のステップS6に進む。
ステップS6の回帰モデル作成処理では、図14(a)に示すように、まず、ステップS61にて、回帰モデル作成処理部26が、未学習の学習用データ32(ステップS5で抽出された説明変数データ71及び目的変数データ72)を機械学習に用いて、回帰モデル33の更新を行う。なお、ステップS61は、回帰モデル33が未作成である場合には、回帰モデル33が新たに作成される。その後、ステップS62にて、更新(あるいは作成)した回帰モデル33を記憶部3に記憶した後、リターンする。
所望のデータの推定を行う際には、入力装置5等により、推定元データ34を入力する(ステップS11)。なお、予め推定元データ34となるデータを材料データ処理装置1に入力しておき、入力装置5により推定元データ34として用いるデータを選択するよう構成してもよい。
ステップS7では、制御部2が、推定元データ34が入力されたかを判定する。ステップS7でNO(N)と判定された場合、リターンする(ステップS1に戻る)。ステップS7でYES(Y)と判定された場合、ステップS8に進む。
ステップS8では、推定処理を行う。推定処理では、図14(b)に示すように、まず、ステップS81にて、推定処理部27が、回帰モデル33を用いて、推定元データ34に対応する推定データ35を求める。その後、ステップS82にて、得られた推定データ35を記憶部3に記憶する。その後、リターンし、図9のステップS9に進む。
ステップS9では、推定データ提示処理を行う。推定データ提示処理では、例えば、推定データ提示処理部28が、ステップS8で推定した推定データ35を表示器4に表示する等して、推定データ35を提示する。その後、リターンする(ステップS1に戻る)。
(説明変数と目的変数の設定について)
図15(a)は、回帰モデル33の作成に際して表示される変数設定画面43の一例を示す図である。図15(a)に示すように、変数設定画面43では、画面左側に目的変数を選択するための目的変数選択エリア43aを有すると共に、画面右側に説明変数を選択するための説明変数選択エリア43cを有している。使用者は、まず、目的変数選択エリア43aのデータ選択エリア43bにて、目的変数としてプロセスデータ61、組成データ62、特性データ63、組織データ64の何れを用いるかを選択する。すると、目的変数選択エリア43aに選択に応じた目的変数の項目が表示される。そして、使用者は、目的変数選択エリア43aでチェックボックス43dにチェックを入れることで、目的変数を選択し、選択完了ボタン43eを押す(クリックする、タッチする)。すると、説明変数選択エリア43cに、選択した目的変数に応じて適切な説明変数が既にチェックされた状態で表示される。使用者は、説明変数選択エリア43cにおいてチェックボックス43dにチェックを追加したりチェックを外したりして、使用する説明変数を決定し、OKボタン43fを押す。すると、図7にて示したような温度種別選択画面42が表示され、変数設定画面43と温度種別選択画面42の選択結果に基づいて、上記の学習用データ抽出処理と、回帰モデル作成処理が行われ、回帰モデル33の作成が行われることになる。
上では言及しなかったが、例えば使用する説明変数が多すぎたりすると、過学習により回帰モデル33の推定精度が低下するおそれがある。そこで、本実施の形態では、学習用データ32のうち一部(例えば7割)を使用して回帰モデル33を作成し、残りの学習用データ32(例えば3割)を用いてテストを行い、その評価値を表示器4に表示するように制御部2を構成した。図15(b)は、評価値を表示する評価値表示画面44の一例を示す図である。図15(b)に示すように、評価値表示画面44では、その画面中央部に評価値を表示する評価値表示エリア44aを有し、評価値が表示されている。なお、どの評価値を用いるかは適宜変更可能である。評価値表示画面44の下部には、「これでよろしいですか?」といった確認を促すメッセージが表示されており、はいボタン44bを押すと、例えば推定元データ34を入力する画面に移行する。いいえボタン44cを押すと、図15(b)の変数設定画面43に戻り、改めて、使用する目的変数や説明変数の設定を行うことになる。使用する目的変数や説明変数の選択、評価を繰り返すことで、適切な目的変数及び説明変数の選択が可能になり、推定精度の向上が図れる。
なお、図15(a),(b)に示した各画面はあくまで一例であり、表示レイアウトや表示項目、表示形式等は適宜変更可能である。
(実施の形態の作用及び効果)
以上説明したように、本実施の形態に係る材料データ処理装置1では、組織データ64として、温度に対する磁化の変化量の曲線におけるピークの形状に基づく特徴量であるピーク形状特徴量を用いている。
従来、組織データ64は、XRDやSEM/EDXやWDX(波長分散型X線解析)、EPMA等を用いて求められることが多かった。しかし、SEM/EDXやEPMAを用いる場合、材料中で着目する相のサイズが極めて小さい場合には、入射する電子線の拡がりによって、着目する相の周囲に存在する別の相における組成の情報が重畳してしまうなどして、正確な情報を得ることが困難になる場合があり、さらに、試料前処理と観察における観察者の技能および主観(どの領域を評価するか)によってデータの質が大きく変動する場合があった。さらに、SEM/EDXやEPMAを用いる場合、得られたデータから相比率、各相の組成を求めるためには、画像処理などの煩雑な手続きが必要となるため、データ科学の利用に必要な大量のデータを得ることが難しかった。さらに、SEM/EDXやWDXでは、構成元素の比率が同等で構造が異なる相を分別できず、広範囲の視野を分析しないと統計的に有意な相比率が得られないという課題があった。また、XRDにより求める方法では、例えば磁性材料においては、同じ材料中に存在する異なる相の結晶構造の違いが特定の超格子反射の有無のみに反映される場合があり、着目する相が微量しか存在しない場合には検出困難となってしまい、また、同じ結晶構造を有するが組成の異なる複数の相が材料中に共存していた場合、これらを分離することが困難であった。例えば、XRDのリートベルト解析では、類似の解析パターンをもつ構造の相が複数含まれる場合など、解析が容易ではない場合があった。このように、従来方法では、微細な構成相によって特性が敏感に影響を受ける材料、特に磁性材料の場合、測定者の技能や主観に大きく依存することなく、相比率や均一性といった組織に関するデータを効率的かつ感度よく取得することが難しいという課題があった。
これに対して、本実施の形態では、組織データ64として、磁化温度依存性に基づく特徴量を用いている。この磁化温度依存性に基づく特徴量は、データを採取する者の個人的な技能によってデータの質が変動することが少なく、機械的にデータを取得することも可能であり、データ取得が比較的容易である。磁化温度依存性に基づく特徴量を「組織」の特徴量として利用することにより、従来のデータベースからは構築できなかったような数理モデルを構築することが可能になり、マテリアルズインフォマティクスによる材料開発を推し進めることが期待できる。
さらに、本実施の形態では、組織データ64として、温度に対する磁化の変化量の曲線におけるピークの形状に基づく特徴量であるピーク形状特徴量を用いている。これにより、従来測定が難しかった相比率や均一性による影響を考慮して、精度の高い推定が可能になる。すなわち、本実施の形態によれば、データ取得が容易で、精度の高い推定が可能な材料データ処理装置1を実現できる。
さらにまた、本実施の形態では、機械学習に用いる組織データ64として、加熱時の磁化温度依存性に基づく特徴量、または、冷却時の磁化温度依存性に基づく特徴量の何れか一方、または両方を用いることを選択可能としている。これにより、磁石の種類等に応じて、組織データ64として用いる磁化温度依存性に基づく特徴量を適切に選択することが可能になり、推定精度の向上を図ることができる。
(変形例)
上記実施の形態では言及しなかったが、加熱時と冷却時の両方の磁化温度依存性に基づく特徴量を用いる場合、ピーク形状特徴量として、加熱時と冷却時のピーク面積の差や比、ピーク幅の差や比、ピーク高さの差や比を用いることもできる。
また、上記実施の形態では、磁化温度依存性に基づく特徴量を加熱時と冷却時とで区別して用いたが、加熱時と冷却時とを区別することは必須ではない。例えば、加熱時のみの測定データ641を用いるようにし、当該データで得られた磁化温度依存性に基づく特徴量(キュリー温度T及びピーク形状特徴量)を組織データ64として用いても構わない。
(実施の形態のまとめ)
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号等は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
[1]個々の試料を製造する際の製造条件の情報を含むプロセスデータ(61)、前記個々の試料の組成の情報を含む組成データ(62)、前記個々の試料の特性の情報を含む特性データ(63)、及び、前記個々の試料の組織の情報を含む組織データ(64)のうち、前記組織データ(64)を含む2つ以上のデータを用いて機械学習を行い、各データの相関性を表す回帰モデル(33)を作成する回帰モデル作成処理部(26)と、前記回帰モデル(33)を用いて、前記機械学習に用いた前記プロセスデータ(61)、前記組成データ(62)、前記特性データ(63)、または前記組織データ(64)のいずれかを推定する推定処理部(27)と、を備え、前記組織データ(64)は、温度に対する磁化の変化量の曲線におけるピークの形状に基づく特徴量であるピーク形状特徴量を含む、材料データ処理装置(1)。
[2]前記ピーク形状特徴量は、ピーク面積、ピーク幅、及びピーク高さの少なくとも1つを含む、[1]に記載の材料データ処理装置(1)。
[3]前記組織データ(64)は、前記ピークにおける温度の値であるキュリー温度またはネール温度をさらに含む、[1]または[2]に記載の材料データ処理装置(1)。
[4]前記組織データ(64)は、加熱時の前記温度に対する磁化の変化量の曲線に基づく前記ピーク形状特徴量である加熱時ピーク形状特徴量と、冷却時の前記温度に対する磁化の変化量の曲線に基づくピーク形状特徴量である冷却時ピーク形状特徴量と、を含む、[1]乃至[3]の何れか1項に記載の材料データ処理装置(1)。
[5]前記組織データ(64)は、前記加熱時ピーク形状特徴量及び前記冷却時ピーク形状特徴量のピーク面積、ピーク幅、及びピーク高さの少なくとも1つをそれぞれ含む、[4]に記載の材料データ処理装置(1)。
[6]前記機械学習に用いる前記組織データ(64)として、前記加熱時ピーク形状特徴量、または、前記冷却時ピーク形状特徴量の何れか一方、または両方を用いることを選択する温度種別選択手段(10)を備えた、[4]または[5]に記載の材料データ処理装置(1)。
[7]前記回帰モデル作成処理部(26)は、前記特性データ(63)を目的変数データ(72)とし、前記特性データ(63)以外のデータを説明変数データ(71)として前記回帰モデル(33)を作成する、[1]乃至[6]の何れか1項に記載の材料データ処理装置(1)。
[8]前記組成データ(62)として、前記個々の試料に含まれる元素の種類、および前記元素の組成比率を含み、前記プロセスデータ(61)として、熱処理条件を規定するパラメータを含む、[1]乃至[7]の何れか1項に記載の材料データ処理装置(1)。
[9]前記特性データ(63)として、残留磁束密度、保磁力、飽和磁化、および透磁率の少なくとも一つを含む、[1]乃至[8]の何れか1項に記載の材料データ処理装置(1)。
[10]前記組織データ(64)として、主相の結晶構造を規定するパラメータを含む、[1]乃至[9]の何れか1項に記載の材料データ処理装置(1)。
[11]個々の試料を製造する際の製造条件の情報を含むプロセスデータ(61)、前記個々の試料の組成の情報を含む組成データ(62)、前記個々の試料の特性の情報を含む特性データ(63)、及び、前記個々の試料の組織の情報を含む組織データ(64)のうち、前記組織データ(64)を含む2つ以上のデータを用いて機械学習を行い、各データの相関性を表す回帰モデル(33)を作成する工程と、前記回帰モデル(33)を用いて、前記機械学習に用いた前記プロセスデータ(61)、前記組成データ(62)、前記特性データ(63)、または前記組織データ(64)のいずれかを推定する工程と、を備え、前記組織データ(64)は、温度に対する磁化の変化量の曲線におけるピークの形状に基づく特徴量であるピーク形状特徴量を含む、材料データ処理方法。
(付記)
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。
1…材料データ処理装置
2…制御部
21…設定処理部
22…データ取得処理部
23…特徴量抽出処理部
24…温度種別選択処理部
25…学習用データ抽出処理部
26…回帰モデル作成処理部
27…推定処理部
28…推定データ提示処理部
3…記憶部
31…全体データベース
32…学習用データ
33…回帰モデル
34…推定元データ
35…推定データ
36…温度種別選択データ
10…温度種別選択手段
61…プロセスデータ
62…組成データ
63…特性データ
64…組織データ
641…測定データ
642…磁化温度依存性特徴量データ
71…説明変数データ
72…目的変数データ

Claims (11)

  1. 個々の試料を製造する際の製造条件の情報を含むプロセスデータ、前記個々の試料の組成の情報を含む組成データ、前記個々の試料の特性の情報を含む特性データ、及び、前記個々の試料の組織の情報を含む組織データのうち、前記組織データを含む2つ以上のデータを用いて機械学習を行い、各データの相関性を表す回帰モデルを作成する回帰モデル作成処理部と、
    前記回帰モデルを用いて、前記機械学習に用いた前記プロセスデータ、前記組成データ、前記特性データ、または前記組織データのいずれかを推定する推定処理部と、を備え、
    前記組織データは、温度に対する磁化の変化量の曲線におけるピークの形状に基づく特徴量であるピーク形状特徴量を含む、
    材料データ処理装置。
  2. 前記ピーク形状特徴量は、ピーク面積、ピーク幅、及びピーク高さの少なくとも1つを含む、
    請求項1に記載の材料データ処理装置。
  3. 前記組織データは、前記ピークにおける温度の値であるキュリー温度またはネール温度をさらに含む、
    請求項1に記載の材料データ処理装置。
  4. 前記組織データは、加熱時の前記温度に対する磁化の変化量の曲線に基づく前記ピーク形状特徴量である加熱時ピーク形状特徴量と、冷却時の前記温度に対する磁化の変化量の曲線に基づくピーク形状特徴量である冷却時ピーク形状特徴量と、を含む、
    請求項1に記載の材料データ処理装置。
  5. 前記組織データは、前記加熱時ピーク形状特徴量及び前記冷却時ピーク形状特徴量のピーク面積、ピーク幅、及びピーク高さの少なくとも1つをそれぞれ含む、
    請求項4に記載の材料データ処理装置。
  6. 前記機械学習に用いる前記組織データとして、前記加熱時ピーク形状特徴量、または、前記冷却時ピーク形状特徴量の何れか一方、または両方を用いることを選択する温度種別選択手段を備えた、
    請求項4に記載の材料データ処理装置。
  7. 前記回帰モデル作成処理部は、前記特性データを目的変数データとし、前記特性データ以外のデータを説明変数データとして前記回帰モデルを作成する、
    請求項1に記載の材料データ処理装置。
  8. 前記組成データとして、前記個々の試料に含まれる元素の種類、および前記元素の組成比率を含み、
    前記プロセスデータとして、熱処理条件を規定するパラメータを含む、
    請求項1に記載の材料データ処理装置。
  9. 前記特性データとして、残留磁束密度、保磁力、飽和磁化、および透磁率の少なくとも一つを含む、
    請求項1に記載の材料データ処理装置。
  10. 前記組織データとして、主相の結晶構造を規定するパラメータを含む、
    請求項1に記載の材料データ処理装置。
  11. 個々の試料を製造する際の製造条件の情報を含むプロセスデータ、前記個々の試料の組成の情報を含む組成データ、前記個々の試料の特性の情報を含む特性データ、及び、前記個々の試料の組織の情報を含む組織データのうち、前記組織データを含む2つ以上のデータを用いて機械学習を行い、各データの相関性を表す回帰モデルを作成する工程と、
    前記回帰モデルを用いて、前記機械学習に用いた前記プロセスデータ、前記組成データ、前記特性データ、または前記組織データのいずれかを推定する工程と、を備え、
    前記組織データは、温度に対する磁化の変化量の曲線におけるピークの形状に基づく特徴量であるピーク形状特徴量を含む、
    材料データ処理方法。
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