JP2024084459A - 歯科インプラント及び歯科インプラントの製造方法 - Google Patents

歯科インプラント及び歯科インプラントの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 人体へ影響を及ぼすリスクが低減された歯科インプラントを提供する。【解決手段】 歯科インプラントは、外側表面、及び、内側表面に位置し、ダイヤモンド・ライク・カーボンを含む被膜を有する。【選択図】図2

Description

本発明は、歯科インプラント及び歯科インプラントの製造方法に関する。
人体へ影響を及ぼすリスクを低減させようとする歯科インプラントが知られている。
例えば、特許文献1には、口腔内に露出する領域にダイヤモンド・ライク・カーボン(Diamond Like Carbon、以下、DLCという)膜が形成された歯科インプラントが開示されている。
特開2017-209303号公報
従来の歯科インプラントは、人体へ影響を及ぼすリスクを低減させる余地があった。
本開示の一実施形態に係る歯科インプラントは、外側表面、及び、内側表面に位置し、ダイヤモンド・ライク・カーボンを含む被膜を有する。
本開示の一実施形態に係る歯科インプラントの製造方法は、外側表面及び内側表面を有する基材に、ノンドープのダイヤモンド・ライク・カーボンを含む被膜を形成し、少なくとも外側表面に位置する被膜に対し酸素プラズマ処理を行う。
本開示の一実施形態に係る歯科インプラント、及び、歯科インプラントの製造方法によれば、人体へ影響を及ぼすリスクを低減させることができる。
第1実施形態に係る歯科インプラントの全体図である。 第1実施形態に係る歯科インプラントを図1に示すA-A線で切断した断面図である。 第1実施形態に係る歯科インプラントの図2に示す領域Aにおける拡大図である。 第1実施形態に係る歯科インプラントの図2に示す領域Bにおける拡大図である。 第1実施形態に係る歯科インプラントの図2に示す領域Cにおける拡大図である。 第1実施形態に係る歯科インプラントの図2に示す領域Dにおける拡大図である。 第1実施形態に係る歯科インプラントの各構成の全体図である。 第1実施形態に係る歯科インプラントの各構成を図3に示すA-A線で切断した断面図である。 第2実施形態に係る歯科インプラントを図2に対応する線で切断した断面図である。 第2実施形態に係る歯科インプラントの図5に示す領域Aにおける拡大図である。 第2実施形態に係る歯科インプラントを図4に対応する線で切断した断面図である。
以下、図面を参照して本開示に係る実施形態を説明する。
<第1実施形態>
以下、図面を適宜用いて、第1実施形態に係る歯科インプラント1について説明する。歯科インプラント1は、例えば、歯周病等により抜け落ちた天然歯を補綴するために用いられる。歯科インプラントは、例えば、フィクスチャー(人工歯根)及びアバットメントを備えている。歯科インプラントでは、顎骨に埋め込まれた状態のフィクスチャーに取り付けられたアバットメントに対して、人工歯等の補綴部材が固定される。
歯科インプラント1の構成を、図1、図2、図2A、図2B、図2C、図2D、図3、及び図4を用いて説明する。図1は、歯科インプラント1の全体図である。図2は、歯科インプラント1の断面図である。図3は、歯科インプラント1の各構成の全体図である。図4は、歯科インプラント1の各構成の断面図である。
歯科インプラント1は、複数の部材から構成される。歯科インプラント1は、フィクスチャー11、アバットメント12、及びスクリュー13から構成される。歯科インプラント1は、単一の部材で構成されていてもよいし、複数の部材で構成されていてもよい。歯科インプラント1は、例えば、第1部材及び第2部材から構成されている。第1部材及び第2部材は、例えば、互いに嵌合可能な構成を有している。第1部材及び第2部材は、例えば、フィクスチャー11、アバットメント12、又はスクリュー13のいずれかの機能を有するように構成される。一例として、第1部材はフィクスチャー11であり、第2部材はアバットメント12である。
フィクスチャー11、アバットメント12、又はスクリュー13には、既知の構造、材料を採用することができる。フィクスチャー11、アバットメント12、又はスクリュー13の材料は、例えば、純チタン若しくはチタン合金などの金属材料、ジルコニアなどのセラミックス材料、又はPEEK(Poly Ether Ether Ketone)などの樹脂材料を主成分として用いることができる。
フィクスチャー11は、雄ねじが形成されたである雄ねじ部111と、その表面又は表面上に設けられた膜等がアバットメント12又はスクリュー13と接触するである第1接合部112と、を有する。フィクスチャー11は、患者の顎骨に、雄ねじ部111を介して埋め込まれる。これにより、歯科インプラント1及び補綴部材(不図示)を、人体に対し固定することができる。第1接合部112には、スクリュー13と嵌合可能な雌ネジが形成されている。
アバットメント12は、フィクスチャー11及び補綴部材を連結する。より具体的には、アバットメント12は、歯科インプラント1が人体に埋め込まれた際に、その表面又は表面上に設けられた膜等が歯肉と接触する歯肉貫通部121と、補綴部材と嵌合するポスト部122と、その表面又は表面上に設けられた膜等がフィクスチャー11又はスクリュー13と接触する第2接合部123と、を有する。
スクリュー13は、フィクスチャー11の第1接合部112と嵌合可能な雄ねじが形成された第3接合部131と、第3接合部131よりも補綴部材側に位置するヘッド132
と、を有する。アバットメント12は、スクリュー13の第3接合部131により、フィクスチャー11へ固定される。
歯科インプラント1は、DLCを含む被膜(以下、DLC膜という)10を有する。DLCは、主として炭化水素又は炭素の同素体から成る非晶質の硬質膜である。一般的に、DLCは、高硬度、低摩擦係数、化学的安定性、高バリア性など優れた特性を有している。本明細書中の「DLC」は、例えば、炭素及び水素以外の元素がドープされていないDLCであってもよいし、フッ素、酸素、窒素などがドープされたDLCであってもよい。以下、本明細書において、炭素及び水素以外の元素がドープされていないことを便宜上「ノンドープ」というが、不可避的な元素が含まれていてもよい。
DLC膜10は、歯科インプラント1の外側表面1Aに位置する第1被膜10A、及び、歯科インプラント1の内側表面1Bに位置する第2被膜10Bを有する。なお、本明細書において「表面」とは、各構成の一番外側を言う。より詳細には、「表面」とは、各構成のうち、外界に露出している面を指すものである。歯科インプラント1のいずれかの構成の「表面」には、外観として視認できる面のみならず、歯科インプラント1の他の構成又は補綴部材と接触している面、及び、歯科インプラント1の他の構成又は補綴部材に覆われている面が含まれるものとする。例えば、第2接合部123の表面には、フィクスチャー11又はスクリュー13と接触している面のみならず、フィクスチャー11、スクリュー13、又は補綴部材に覆われている面も含まれる。
外側表面1Aは、歯科インプラント1の表面のうち、歯科インプラント1の各構成と補綴部材が組み合わされた際に、外観として視認できる表面である。外側表面1Aは、歯科インプラント1が人体に埋め込まれた際に、顎骨又は歯肉に接触する表面を含む。外側表面1Aは、歯科インプラント1が人体に埋め込まれた際に、顎骨及び歯肉には接触せず、口腔内に露出する部分を含んでいてもよい。外側表面1Aは、フィクスチャー11の雄ねじ部111の表面を含む。外側表面1Aは、アバットメント12の歯肉貫通部121の表面を含む。
内側表面1Bは、歯科インプラント1の表面のうち、歯科インプラント1の各構成と補綴部材が組み合わされた際に、外観として視認できない表面である。言い換えると、内側表面1Bは、歯科インプラント1の表面のうち、いずれかの構成の表面と接触している、又は、いずれかの構成に覆われている表面をいう。内側表面1Bは、フィクスチャー11の第1接合部112の表面を含む。内側表面1Bは、アバットメント12のポスト部122及び第2接合部123の表面を含む。内側表面1Bは、スクリュー13の第3接合部131及びヘッド132の表面を含む。
歯科インプラント1は、その表面にDLC膜10を有しているため、各構成の金属材料等が体液に接触しにくくすることができる。さらに、歯科インプラント1は、外側表面1A及び内側表面1BにDLC膜10を有しているため、例えば、外側表面1A又は内側表面1Bのどちらか一方のみにDLC膜10を有する歯科インプラントと比較して、より歯科インプラント1の表面が被覆されている領域を広くすることができる。
DLC膜10の厚みは50~500nmであってよい。DLC膜10の表面の硬度は5~80GPaであってよい。DLC膜10の全体の水素含有量は50at%未満であってよい。本明細書において「水素含有量」とは、弾性反跳検出分析(Elastic Recoil Detection Analysis、ERDA)により測定される値である。DLC膜10の全体における、sp混成軌道の比率(sp/sp+sp)は20%以上であってよい。DLC膜10の全体におけるsp混成軌道の比率は、DLC膜10の所定の領域において、X線光電子分光(X-ray Photoelectro
n Spectroscopy、XPS)、電子エネルギー損失分光法(Electron Energy Loss Spectroscopy、EELS)、吸収端近傍X線吸収微細構造(Near-Edge X-ray Absorption fine Structure、NEXAFS)、又は硬X線光電子分光法(Hard X-ray Photoelectron Spectroscopy、HAXPES)により測定される値を用いることができる。
DLC膜10は、物理気相成長(Physical Vapor Deposition、PVD)法、化学気相成長(Chemical Vapor Deposition、CVD)法により形成されてよい。例えば、PVDは、スパッタ又は蒸着が挙げられる。フッ素、酸素、又は窒素がドープされたDLCを含むDLC膜10は、例えば、ノンドープのDLC膜10を形成した後に、フッ素、酸素、又は窒素をドープすることにより得られる。あるいは、フッ素、酸素、又は窒素がドープされたDLCを含むDLC膜10は、例えば、DLC膜10を成膜中にドープすることでも得られる。PVD法を用いる場合、フッ素、酸素、又は窒素のドープは、例えば、固体ターゲットにあらかじめ含有させるか、プロセスガスとして導入すればよい。DLC膜10へのドープは、例えば、DLC成膜後にプラズマ照射もしくはイオン注入によりされてもよい。
歯科インプラント1において、第2被膜10Bの表面における疎水性は、第1被膜10Aの表面における疎水性よりも高い。本明細書において「疎水性が高い」とは、例えば、純水に対する親和性が低いことを言う。歯科インプラント1は、本構成を有することで、外側表面1Aにおける顎骨、歯肉等との生体親和性と、内側表面1Bにおける抗菌性を両立することができる。
歯科インプラント1において、第2被膜10Bの表面における接触角は、第1被膜10Aの表面における接触角よりも大きい。本明細書において「接触角」とは、水の静的接触角であり、例えば、ISO 15989を参考にして測定することができる。特に、歯科インプラント1において、例えば、第2被膜10Bの表面における接触角は70度以上であると共に、第1被膜10Aの表面における接触角は70度未満にすることができる。歯科インプラント1は、本構成を有することで、外側表面1Aにおける顎骨、歯肉等との生体親和性と、内側表面1Bにおける抗菌性を両立することができる。
第1被膜10Aは、酸素、又は、窒素がドープされたDLCを含んでいてもよい。第1被膜10Aが、酸素がドープされたDLCを含んでいる場合、膜の表面に形成されるC=O結合(炭素―酸素結合)により、第1被膜10Aの細胞接着性の向上が期待される。第1被膜10Aが、窒素がドープされたDLCを含んでいる場合、膜の表面に形成されるーNH2基(アミノ基)により、第1被膜10Aの細胞接着性の向上が期待される。よって、歯科インプラント1は、本構成を有することで、第1被膜10Aの表面における顎骨、歯肉等との生体親和性を向上させることができる。
第1被膜10Aの表面におけるC=O結合比率は15%以上であってもよい。ここで、「C=O結合比率」は、例えば、XPSにより測定される値を用いることができる。歯科インプラント1は、本構成を有することで、第1被膜10Aの表面における顎骨、歯肉等との生体親和性を向上させることができる。
第1被膜10Aは、外側表面1Aの全体に位置している。第1被膜10Aは、外側表面1Aの一部のみに位置していてもよい。歯科インプラント1は、外側表面1Aのうち、フィクスチャー11の雄ねじ部111の表面、及び、アバットメント12の歯肉貫通部121の表面に第1被膜10Aを有する。
フィクスチャー11の雄ねじ部111の表面に位置する第1被膜10Aの厚みは、アバットメント12の歯肉貫通部121の表面に位置する第1被膜10Aの厚みよりも大きくてよい。フィクスチャー11が顎骨に埋め込まれる際に、雄ねじ部111の表面に位置する第1被膜10Aは摩耗する恐れがある。歯科インプラント1は、本構成を有していることで、歯科インプラント1が人体に埋め込まれた際における、雄ねじ部111の表面の第1被膜10Aの厚みが、歯肉貫通部121の表面の第1被膜10Aの厚みよりも、過度に小さくなる恐れを低減できる。
歯科インプラント1において、フィクスチャー11の雄ねじ部111の表面に位置する第1被膜10Aの厚みは、一様である。フィクスチャー11の雄ねじ部111の表面に位置する第1被膜10Aの厚みは、ある領域毎に異なっていてもよい。
歯科インプラント1において、フィクスチャー11の雄ねじ部111の表面に位置する第1被膜10Aの厚みと、ねじ山の根元側に位置する第1被膜10Aの厚みとが、異なっていてもよい。例えば、フィクスチャー11の雄ねじ部111の表面に位置する第1被膜10Aの厚みは、ねじ山の根元側に位置する第1被膜10Aの厚みよりも、ねじ山の頂点付近に位置する第1被膜10Aの厚みの方が、大きくてよい。
歯科インプラント1において、雄ねじ部111の表面に位置する第1被膜10Aの厚みは、ねじ山毎に異なっていてもよい。例えば、雄ねじ部111の表面に位置する第1被膜10Aの厚みは、フィクスチャー11に近づくにつれて大きくなってもよい。例えば、雄ねじ部111の表面に位置する第1被膜10Aの厚みは、フィクスチャー11に近づくにつれて小さくなってもよい。
フィクスチャー11の雄ねじ部111の表面に位置する第1被膜10Aの厚みは、ねじ山の一方の面と他方の面との間で異なっていてもよい。例えば、雄ねじ部111のフィクスチャー11側に面しているねじ山の側面における第1被膜10Aの厚みは、雄ねじ部111のフィクスチャー11側に面していないねじ山の側面における第1被膜10Aの厚みよりも、大きくてよい。
第2被膜10Bは、ノンドープ、又は、フッ素がドープされたDLCを含んでいてもよい。DLC膜10は、例えば、フッ化物含有歯磨き剤又は洗口液による腐食に伴うインプラントの各構成の表面荒れを防止し、細菌の付着量を低減させることが期待される。さらに、第2被膜10Bが、フッ素がドープされたDLCを含んでいる場合、第2被膜10Bの表面における疎水性が向上する。よって、歯科インプラント1は、本構成を有することで、第1被膜10Aの表面における抗菌性を向上させることができる。第2被膜10Bの表面のフッ素原子含有比率は10at%以上であってよい。
歯科インプラント1は、内側表面1Bの一部のみにDLC膜10を有していている。歯科インプラント1は、内側表面1Bの全体にDLC膜10を有していてもよい。歯科インプラント1は、内側表面1Bのうち、アバットメント12の第2接合部123、及び、スクリュー13のヘッド132に第2被膜10Bを有する。
歯科インプラント1は、アバットメント12(第1部材)の第2接合部123のうち、フィクスチャー11(第2部材)と対向する表面に第2被膜10Bを有する。歯科インプラント1は、アバットメント12の第2接合部123のうち、フィクスチャー11と対向する表面の全体に第2被膜10Bを有していてもよいし、フィクスチャー11と対向する表面の一部のみに第2被膜10Bを有していてもよい。歯科インプラント1は、第1部材と第2部材とが対抗する位置にDLC膜10を有することで、フィクスチャー11とアバットメント12の密着性が向上し、両者をより強固に嵌合させることができる。
歯科インプラント1は、スクリュー13のヘッド132のうち、アバットメント12と対向する表面に第2被膜10Bを有する。歯科インプラント1は、スクリュー13のヘッド132のうち、アバットメント12と対向する表面の全体に第2被膜10Bを有していてもよいし、アバットメント12と対向する表面の一部のみに第2被膜10Bを有していてもよい。歯科インプラント1は、スクリュー13のヘッド132のうち、側面のみに第2被膜10Bを有していてもよい。
歯科インプラント1は、スクリュー13のヘッド132のうち、アバットメント12と対向する表面にDLC膜10を有することで、アバットメント12とスクリュー13の密着性が向上し、両者をより強固に嵌合させることができる。また、歯科インプラント1は、上記構成を有することで、スクリュー13をアバットメント12に挿入する際の、両者の間で発生する摩擦を低減することができる。
歯科インプラント1は、アバットメント12の第2接合部123のうち、特に、外側表面1Aに隣接する領域に、第2被膜10Bを有する。言い換えると、歯科インプラント1は、アバットメント12の第2接合部123のうち、アバットメント12の歯肉貫通部121に隣接する領域に第2被膜10Bを有する。アバットメント12の第2接合部123が複数の面から構成されている場合、歯科インプラント1は、少なくとも、外側表面1Aに隣接する面に、第2被膜10Bを有する。歯科インプラント1は、第1部材と第2部材とが対向する領域のうち、外側表面1Aに隣接する領域にDLC膜10を有することで、外側表面1Aに隣接する領域における、第1部材と第2部材との密着性が向上し、歯科インプラント1の外部から歯科インプラント1の内部への唾液の侵入をより効果的に低減することができる。また、歯科インプラント1において、外側表面1Aに隣接する領域はテーパーである。外側表面1Aに隣接する領域はテーパーである場合、外側表面1Aに隣接する領域に、第2被膜10Bを有することで、術者によるフィクスチャー11及びアバットメント12の嵌合が容易になる。
歯科インプラント1は、アバットメント12のポスト部122の表面に第2被膜10Bを有していてもよい。歯科インプラント1が人体に埋め込まれている状態において、ポスト部122と補綴部材の境界は、口腔環境に露出していることが多い。よって、歯科インプラント1は、特に、ポスト部122と補綴部材の境界から、唾液が侵入する恐れが高い。歯科インプラント1は、本構成を有していることで、ポスト部122と補綴部材の密着性が向上し、ポスト部122と補綴部材の境界から唾液が侵入する恐れを低減することができる。
歯科インプラント1において、第1被膜10Aと第2被膜10Bは一体として形成されていてもよい。例えば、歯科インプラント1において、アバットメント12の歯肉貫通部121の表面の第1被膜10Aと、アバットメント12の第2接合部123の表面の第2被膜10Bは、一体として形成されていてもよい。言い換えると、歯科インプラント1は、アバットメント12の歯肉貫通部121の表面と、第2接合部123の表面との境界上に、DLC膜10を有していてもよい。
歯科インプラント1において、第1被膜10Aと第2被膜10Bは一体として形成されていなくてもよい。歯科インプラント1には、アバットメント12の歯肉貫通部121の表面と、第2接合部123の表面との境界に、DLC膜10を有していない領域が設けられていてもよい。この場合、アバットメント12の歯肉貫通部121の表面と、第2接合部123の表面との境界は、例えば、アバットメント12の材料である金属が露出していてもよい。
(歯科インプラント1の製造方法)
以下、DLC膜10を有する歯科インプラント1の製造工程の一例を説明する。以下は、アバットメント12の歯肉貫通部121に対し酸素がドープされた第1被膜10Aが形成されていると共に、第2接合部123に対しノンドープの第2被膜10Bが形成された歯科インプラント1を製造する工程の一例である。本工程は、アバットメント12に対しDLC膜10を形成する場合に限定されない。フィクスチャー11及びスクリュー13に対しDLC膜10を形成する場合も、同一又は類似の工程が採用され得る。なお、特許請求の範囲の記載における「基材」は、DLC膜10が形成される前の、歯科インプラント1の各構成を指すものである。例えば、「基材」は、DLC膜10が形成されていないフィクスチャー11、アバットメント12、又はスクリュー13であってもよい。
<第1マスキング工程>
はじめに、アバットメント12の表面のうち、DLC膜10を形成しない領域にマスキングが行われる。マスキングは、固定用の支持棒を兼ねた治具、又は、カプトンテープのような耐熱性部材により行われてよい。マスキングは、DLC膜10を形成しない領域にあらかじめ有機溶剤等を塗布し、成膜後に洗浄して除去することにより、行われてもよい。アバットメント12の表面の全体にDLC膜10を形成する場合、マスキングは行わなくてよい。
<ノンドープDLC成膜工程>
次に、アバットメント12の表面に、ノンドープのDLC膜10が形成される。ノンドープのDLC膜10は、DLC膜10を一様に形成するために、アバットメント12を回転させながら形成されてもよい。これにより、アバットメント12の内側表面1Bに、ノンドープの第2被膜10Bが形成される。
<第2マスキング工程>
次に、アバットメント12の内側表面1Bに、マスキングが行われる。アバットメント12の内側表面1Bにマスキングを行うことで、後述する酸素プラズマ処理工程により、内側表面1Bの第2被膜10Bに対し、酸素がドープされるのを防ぐことができる。
<酸素プラズマ処理工程>
最後に、DLC膜10に対し、酸素プラズマ処理が行われる。これにより、アバットメント12の外側表面1AのDLC膜10に対し酸素がドープされる。換言すると、アバットメント12の外側表面1Aに、酸素がドープされた第1被膜10Aが形成される。
アバットメント12の歯肉貫通部121に対しフッ素がドープされた第2被膜10Bが形成されていると共に、第2接合部123に対し酸素がドープされた第1被膜10Aが形成された歯科インプラント1を製造する場合、上述した工程とは異なる工程を採用することができる。以下、フッ素がドープされた第2被膜10B及び酸素がドープされた第1被膜10Aが形成される工程の一例を説明する。なお、第1マスキング工程及びノンドープDLC成膜工程は、上述した工程と同一又は類似であるため、省略する。
<酸素プラズマ処理工程>
ノンドープDLC成膜工程を行った後に、DLC膜10に対して、酸素プラズマ処理が行われる。酸素プラズマ処理により、ノンドープDLC成膜工程により形成したDLC膜10の全体に、酸素をドープすることができる。酸素プラズマ処理により、アバットメント12の外側表面1Aに位置するDLC膜10に対し、酸素をドープすることができる。
<第2マスキング工程>
次に、アバットメント12の外側表面1Aに、マスキングが行われる。アバットメント
12の外側表面1Aにマスキングを行うことで、後述するフッ素プラズマ処理工程により、外側表面1Aの第1被膜10Aに対し、フッ素がドープされるのを防ぐことができる。
<酸素プラズマ処理工程>
最後に、DLC膜10に対し、フッ素プラズマ処理が行われる。フッ素プラズマ処理により、アバットメント12の内側表面1Bに位置するDLC膜10に対し、フッ素をドープすることができる。換言すると、フッ素プラズマ処理により、アバットメント12の内側表面1Bに、フッ素がドープされた第2被膜10Bを形成することができる。
<第2実施形態>
以下、図面を適宜用いて、第2実施形態に係る歯科インプラント2について説明する。説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。既に説明された実施形態の構成と対応(類似)する構成については、既に説明された実施形態の構成と異なる符号を付した場合においても、特に断りがない点は、既に説明された実施形態の構成と同一又は類似である。
図5は、歯科インプラント2の断面図である。図5Aは、歯科インプラント2の図5に示す領域Aにおける拡大図である。図6は、歯科インプラント2の各構成の断面図である。歯科インプラント2は、歯科インプラント1と比較して、DLC膜10が形成されている位置が異なる。歯科インプラント2は、外側表面2Aのうち、アバットメント22の歯肉貫通部221に第1被膜20Aを有する。歯科インプラント2は、内側表面2Bのうち、フィクスチャー21の第1接合部212と、アバットメント22の第2接合部223に第2被膜20Bを有する。
フィクスチャー21の第1接合部212は、アバットメント22と対向する第1ジョイント部2121と、スクリュー23と対向する雌ねじ部2122と、を有する。フィクスチャー21は、第1接合部212のうち、第1ジョイント部2121に第2被膜20Bを有する。
アバットメント22の第2接合部223は、フィクスチャー21と対向する第2ジョイント部2231と、スクリュー23のヘッド232が挿入される挿入孔2232と、を有する。アバットメント22は、第2接合部223のうち、第2ジョイント部2231と、挿入孔2232の内側面に第2被膜20Bを有する。
歯科インプラント2は、各構成の互いに対向する位置にDLC膜20を有する。歯科インプラント2は、第2被膜20Bと対向する位置に位置するDLC膜20(第3被膜)を有する。例えば、歯科インプラント2において、第1ジョイント部2121と第2ジョイント部2231とは互いに対向する位置に位置している。スクリュー23が締められると、第3接合部231に形成された雄ねじにより、フィクスチャー21とアバットメント22とが固定される。結果、第1ジョイント部2121の第2被膜20Bと第2ジョイント部2231の第2被膜20Bとは、互いに密着する方向に圧力が加えられ、両者の間で凝着又は転移が起きる。よって、歯科インプラント2は、本構成を有することで、互いに対向する構成の間での密着性が向上し、より強固に嵌合させることができる。
アバットメント22は、挿入孔2232の内側面に第2被膜20Bを有する。歯科インプラント2は、本構成を有することで、フィクスチャー21とアバットメント22とを、スクリュー23で固定する時に、挿入孔2232の内側面とスクリュー23のヘッド232との間で発生する摩擦を低減でき、歯科インプラント2の各構成をより強固に固定することができる。
以上、本開示に係る発明について、諸図面、及び、実施例に基づいて説明してきた。しかし、本開示に係る発明は上述した各実施形態に限定されるものではない。すなわち、本開示に係る発明は本開示で示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示に係る発明の技術的範囲に含まれる。つまり、当業者であれば本開示に基づき種々の変形または修正を行うことが容易であることに注意されたい。また、これらの変形または修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。
例えば、歯科インプラント1は、フィクスチャー11、アバットメント12、及びスクリュー13から構成されるが、これに限らない。歯科インプラント1は、フィクスチャー11及びアバットメント12のみから構成されてもよい。この場合、アバットメントは、いわゆるオーバーデンチャー用アバットメントである。アバットメント12は、フィクスチャー11の雌ねじと嵌合可能な雄ねじを有する。アバットメント12の雄ねじには、DLC膜10が形成されていてもよい。
例えば、歯科インプラント1において、フィクスチャー11及びアバットメント12は、ボーンレベルタイプである。歯科インプラント1は、ティッシュレベルタイプでもよい。この場合、フィクスチャー11も、歯肉と接触する領域を有する。フィクスチャー11は、歯肉と接触する領域に、第1被膜10Aを有していてもよい。
例えば、フィクスチャー11及びアバットメント12において、外側表面1Aに隣接する領域は互いにテーパーであるが、これに限らない。フィクスチャー11及びアバットメント12において、外側表面1Aに隣接する領域は互いに平面でもよい。この平面にDLC膜10が形成されている場合、歯科インプラント1の内部への唾液の侵入を低減できる。
例えば、歯科インプラント1は、フィクスチャー11、アバットメント12、及びスクリュー13のそれぞれが、DLC膜10を有しているが、これに限らない。歯科インプラント1は、アバットメント12にのみDLC膜10を有していてもよい。歯科インプラント1は、同一の構成のみに、第1被膜10A及び第2被膜10Bを有することで、歯科インプラント1の製造コスト及び手間を軽減することができる。
例えば、歯科インプラント1には、DLC膜10以外の表面処理が施されていてよい。歯科インプラント1は、アバットメント12の外側表面1AにDLC膜10を有していると共に、フィクスチャー11の外側表面1AにHA(Hydroxy apatite)コーティング又は陽極酸化処理が施されていてよい。特に、フィクスチャー11は顎骨に埋め込まれる構成であるため、製造者は、DLC膜10よりも骨固定性向上に寄与することが期待できる表面処理を採用することができる。
1,2 歯科インプラント
1A,2A 外側表面
1B,2B 内側表面
10 DLC膜
10A,20A 第1被膜
10B,20B 第2被膜
11,21 フィクスチャー
111,211 雄ねじ部
112,212 第1接合部
2121 第1ジョイント部
2122 雌ねじ部
12,22 アバットメント
121,221 歯肉貫通部
122,222 ポスト部
123,223 第2接合部
2231 第2ジョイント部
2232 挿入孔
13,23 スクリュー
131,231 第3接合部
132,232 ヘッド

Claims (16)

  1. 外側表面、及び、内側表面に位置し、ダイヤモンド・ライク・カーボンを含む被膜を有する、歯科インプラント。
  2. 前記被膜は、
    前記外側表面に位置する第1被膜と、
    前記内側表面に位置する第2被膜と、を有し、
    前記第2被膜の表面における疎水性は、前記第1被膜の表面における疎水性よりも高い、請求項1に記載の歯科インプラント。
  3. 前記第2被膜の表面における接触角が、前記第1被膜の表面における接触角よりも大きい、請求項2に記載の歯科インプラント。
  4. 前記第2被膜の表面における接触角は70度以上であり、前記第1被膜の表面における接触角は70度未満である、請求項2に記載の歯科インプラント。
  5. 前記第1被膜の(表面)におけるC=O結合比率は15%以上である、請求項2に記載
    の歯科インプラント。
  6. 前記第1被膜は酸素、又は、窒素がドープされたダイヤモンド・ライク・カーボンを含む、請求項2に記載の歯科インプラント。
  7. 前記第2被膜は、ノンドープ、又は、フッ素がドープされたダイヤモンド・ライク・カーボンを含む、請求項2に記載の歯科インプラント。
  8. 前記第2被膜と対向する位置に位置する第3被膜を有し、
    前記第2被膜と前記第3被膜とが接触している、請求項2に記載の歯科インプラント。
  9. 前記歯科インプラントは、
    第1部材と、
    前記第1部材と嵌合可能な第2部材と、を有し、
    前記被膜は、前記第1部材の表面、又は、前記第2部材の表面に位置する、請求項1に記載の歯科インプラント。
  10. 前記被膜は、前記第1部材と前記第2部材が対向する位置に位置する、請求項9に記載の歯科インプラント。
  11. 前記被膜は、前記外側表面に隣接する領域に位置する、請求項10に記載の歯科インプラント。
  12. 前記第1部材はフィクスチャーであり、前記第2部材はアバットメントである、請求項9に記載の歯科インプラント。
  13. 前記歯科インプラントは、フィクスチャー、前記フィクスチャーと嵌合可能なアバットメント、前記フィクスチャー及び前記アバットメントの内部に挿入可能なスクリューを有し、
    前記被膜は、前記アバットメントの前記スクリューの挿入孔の内側面に位置する、請求項1に記載の歯科インプラント。
  14. 外側表面及び内側表面を有する基材に、ノンドープのダイヤモンド・ライク・カーボンを含む被膜を形成し、
    少なくとも前記外側表面に位置する前記被膜に対し酸素プラズマ処理を行う、歯科インプラントの製造方法。
  15. 前記被膜のうち、前記内側表面に位置する第2被膜をマスキングした後に、前記被膜のうち、前記外側表面に位置する第1被膜に対し酸素プラズマ処理を行う、請求項14に記載の歯科インプラントの製造方法。
  16. 酸素プラズマ処理は、前記外側表面及び前記内側表面に位置する前記被膜に対し行い、
    前記被膜のうち、前記外側表面に位置する第1被膜をマスキングし、
    前記被膜のうち、前記内側表面に位置する第2被膜に対しフッ素プラズマ処理を行う、請求項15に記載の歯科インプラントの製造方法。
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