JP2024081450A - 生体物質のレプリカおよび生体物質のレプリカの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】安全性を確保しながら、鋳型を持つポリマー層の安定した作製を可能にする生体物質のレプリカ、およびその製造方法を提供すること。【解決手段】生体物質の立体構造に相似な三次元構造を有し、表面が無機材料で構成されていることを特徴とする生体物質のレプリカ。また、前記無機材料は、酸化物または窒化物であることが好ましい。さらに、本体部と、前記本体部の表面を被覆し、前記無機材料で構成されている被覆膜と、を備えることが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、生体物質のレプリカおよび生体物質のレプリカの製造方法に関するものである。
食品衛生、医学的診断、環境モニタリング等の分野で、細菌等の生体物質を迅速かつ簡便に検出するセンサーの実現が期待されている。
例えば、特許文献1には、検出用電極と、検出対象の微生物の立体構造に相補的な三次元構造の鋳型を持つポリマー層と、を有する検出部、および、検出部の質量変化等を検出する水晶片を備えたセンサーが開示されている。ポリマー層が持つ鋳型は、微生物の立体構造に相補的な三次元構造を有しているため、その三次元構造を持つ微生物を選択的に捕捉する一方、その三次元構造を持たない微生物は捕捉しない。このため、鋳型での捕捉状態に基づいて、標的微生物を高感度に検出することができる。
また、特許文献1では、実際の微生物を用いてポリマー層を形成している。具体的には、微生物が取り込まれるようにポリマー層を形成する工程と、取り込まれた微生物を破壊する工程と、を有するポリマー層の形成方法が開示されている。これにより、ポリマー層には、実際の微生物の立体構造に相補的な三次元構造を持つ鋳型が形成される。
国際公開第2014/156584号明細書
特許文献1に記載のセンサーでは、鋳型を持つポリマー層の形成において、実際の微生物を用いる必要がある。ところが、微生物には、人体に有害なものもあり、取り扱いには細心の注意が必要となる。また、入手しにくい微生物の場合、多数の鋳型を安定して作製することが困難である。このため、安全性を確保しながら、鋳型を持つポリマー層を安定して作製する方法の実現が課題となっている。
本発明の適用例に係る生体物質のレプリカは、
生体物質の立体構造に相似な三次元構造を有し、表面が無機材料で構成されている。
本発明の適用例に係る生体物質のレプリカの製造方法は、
生体物質の立体構造に相補的な三次元構造を有する鋳型を持つ鋳型膜を用意する準備工程と、
前記鋳型の内面に無機材料で構成される被覆膜を形成する被覆膜形成工程と、
前記被覆膜が形成された前記鋳型に充填用材料を供給して固化させることにより、前記生体物質の立体構造に相似な三次元構造を有するレプリカを形成する充填工程と、
前記鋳型膜から前記レプリカを回収する回収工程と、
を有する。
生体物質の一例である細菌を示す概略図、および、実施形態に係る生体物質のレプリカの断面図である。 図1のA1部およびA2部の拡大図である。 図2の本体部の変形例を示す部分拡大図である。 図1のレプリカの製造方法を示すフローチャートである。 図4に示す製造方法を説明するための断面図であって、細菌を示す概略図、および、鋳型を持つ鋳型膜の断面図である。 図4に示す製造方法を説明するための断面図であって、図5のA1部およびA3部の拡大図である。 図4に示す製造方法を説明するための断面図であって、細菌の一部が取り込まれた状態の鋳型膜を示す図である。 図4に示す製造方法を説明するための断面図であって、図7のA4部の拡大図である。 図4に示す製造方法を説明するための断面図であって、鋳型を持つ鋳型膜の断面図である。 図4に示す製造方法を説明するための断面図であって、鋳型の内面に被覆膜を形成した状態を示す断面図である。 図4に示す製造方法を説明するための断面図であって、図10のA5部の拡大図である。 図4に示す製造方法を説明するための断面図であって、被覆膜の内側に本体部を形成した状態を示す断面図である。 図4に示す製造方法を説明するための断面図であって、鋳型膜を加熱して膨張させた様子を示す図である。 図4に示す製造方法を説明するための断面図であって、磁気的吸引力によりレプリカを吸引する様子を示す図である。
以下、本発明の生体物質のレプリカおよび生体物質のレプリカの製造方法を添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
1.生体物質のレプリカ
まず、実施形態に係る生体物質のレプリカについて説明する。
図1は、生体物質の一例である細菌BAを示す概略図、および、実施形態に係る生体物質のレプリカ1の断面図である。図2は、図1のA1部およびA2部の拡大図である。なお、以下の説明では、生体物質のレプリカ1を単に「レプリカ1」という。
図1に示す細菌BAは、生体物質の一例であり、表面には、図2に示すような固有の立体構造S1を有する。この立体構造S1は、例えば細菌BAが持つ固有の分子構造に由来するものであり、生体物質の種類ごとに異なる。一方、図1に示すレプリカ1は、細菌BAの立体構造S1に相似な相似的構造S2を有する。
このようなレプリカ1は、例えばバイオセンサー等に用いられるポリマー層の作製に用いられる。ポリマー層は、細菌BAの立体構造S1と相補的な三次元構造を有する鋳型を持つ高分子層であって、細菌BAを選択的に捕捉する性質を有する。このため、ポリマー層を用いて細菌BAを高感度に検出するバイオセンサー等を実現することができる。
また、レプリカ1は、ポリマー層の作製に用いられた後も、1回または複数回の再使用が可能である。したがって、レプリカ1を用いることにより、実際の細菌BAを用いてポリマー層を作製する場合に比べて、ポリマー層の効率的な作製が可能になる。
図1および図2に示す矢印Simは、細菌BAの立体構造S1とレプリカ1の相似的構造S2とが、互いに相似的であることを表す。本明細書において相似的とは、細菌BAの立体構造S1の少なくとも一部と、レプリカ1の相似的構造S2とが、互いに同一の形状であるか、または、いずれか一方を拡大もしくは縮小することで互いに同一の形状になる関係のことをいう。なお、同一の形状は、製造誤差による形状のずれを許容する。また、いずれか一方を拡大または縮小する場合も、その拡大率や縮小率は、元の大きさに対して例えば5%以下程度と小さい。したがって、レプリカ1は、細菌BAをほぼ原寸大で模造した模型であるといえる。
なお、レプリカ1が模造する部位は、細菌BAの全部であってもよいし、任意の一部であってもよい。図1に示すレプリカ1は、棒状をなす細菌BAの長手方向の一部が模造されたものである。また、生体物質は、細菌に限定されず、例えばウイルス、真菌、原虫のような細菌以外の微生物、細胞、エクソソーム等であってもよい。
細菌の具体例としては、大腸菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、枯草菌等が挙げられる。ウイルスとしては、例えば、A型肝炎ウイルス、アデノウイルス、ロタウイルス、ノロウイルス等が挙げられる。真菌としては、例えば、カンジダが挙げられる。原虫としては、例えば、クリプトスポリジウムが挙げられる。
図2に示すレプリカ1は、本体部4と、その表面を被覆する被覆膜5と、を備えるコアシェル構造になっている。したがって、相似的構造S2は、被覆膜5の一部が三次元形状に成形されている部位である。このような被覆膜5は、無機材料で構成されている。無機材料は、有機材料に比べて、機械的強度、剛性、耐摩耗性のような機械的特性、耐食性、耐熱性のような化学的特性に優れている。このため、被覆膜5が無機材料で構成されていることにより、相似的構造S2が安定して維持されるレプリカ1が得られる。
レプリカ1がとり得る最も長い軸を長軸とするとき、長軸の長さL1は、生体物質の種類に応じて異なるが、例えば細菌の場合、0.3μm以上10μm以下とされる。また、長軸に直交する軸を短軸とするとき、短軸の長さW1は、例えば細菌の場合、0.1μm以上5μm以下とされる。
1.1.本体部
本体部4は、相似的構造S2を有する被覆膜5を支持する。本体部4の構成材料は、被覆膜5の構成材料と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
前者の場合、本体部4と被覆膜5の密着性を高めることができる。これにより、機械的強度が高いレプリカ1が得られる。なお、この場合、本体部4と被覆膜5とが一体になっていて、境界の区別がつかなくなっていてもよい。その場合も、少なくとも表面が無機材料で構成されていればよい。
後者の場合、本体部4および被覆膜5に対し、材料に応じた互いに異なる特性を与えることができる。これにより、例えば、立体構造S1に対して高い再現性を有する相似的構造S2を有し、かつ、製造容易性が高いレプリカ1が得られる。
本体部4の構成材料としては、例えば、樹脂のような有機材料、金属、金属系化合物、非金属、非金属系化合物のような無機材料が挙げられる。また、有機材料と無機材料とを組み合わせた複合材料であってもよい。
金属としては、例えば、Fe、Co、Ni、Cu、Ti、Al、Mg、Ag、Au、Pt、Mo、W、Nb、Taのような金属元素の単体またはこれらを主成分とする合金等が挙げられる。金属系化合物としては、例えば、金属の酸化物、炭化物、窒化物、塩化物、硫化物、炭酸物、水酸化物等が挙げられる。
非金属としては、例えば、Si、B、C等が挙げられる。非金属系化合物としては、例えば、非金属の酸化物、炭化物、窒化物等が挙げられる。
なお、本体部4の構成材料は、上記のような無機材料から選択される2種以上を組み合わせた複合材料、または、上記の少なくとも1種と他の無機材料とを組み合わせた複合材料であってもよい。
このうち、本体部4の構成材料は、金属または金属系化合物を含むことが好ましい。これらは、機械的特性や化学的特性が特に高いため、被覆膜5を長期にわたって良好に補強することができる。なお、このような効果を得るための金属または金属系化合物の含有率は、例えば80質量%以上とされる。
本体部4の構成材料が金属または金属系化合物を含まず、樹脂である場合、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等が挙げられる。本体部4の構成材料が樹脂を含むことにより、レプリカ1の製造容易性を高めることができる。なお、このような効果を得るための樹脂の含有率は、例えば80質量%以上とされる。
また、特に熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂を用いた場合、熱可塑性樹脂を用いた場合よりも、本体部4の剛性および耐熱性を高めることができる。また、熱硬化性樹脂では熱の付与によって、光硬化性樹脂では光の照射によって、それぞれ硬化のタイミングを制御することができる。これにより、製造容易性が高いレプリカ1が得られる。さらに、光硬化性樹脂の場合は、光照射により重合するため、硬化による樹脂の体積変化が小さく、レプリカ1として元の鋳型の形状、サイズをより高い精度で保持することができる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリスチレン、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)樹脂、メタクリル樹脂、ノリル樹脂、ポリウレタン、アイオノマー樹脂、セルロース系プラスチック、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル、フッ素樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いられる。
熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂としては、例えば、ポリイミド、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミドイミド、ベンゾシクロブテン、ベンゾオキサジン、シアネート樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いられる。
図3は、図2の本体部4の変形例を示す部分拡大図である。
図3に示す本体部4は、粒子13の集合体を含んでいる。粒子13は、集合体を構成することにより、互いに固着または接着され、被覆膜5を支持する。粒子13を用いることで、材料に流動性や成形性を付与することができる。粒子状にすることで、充填させにくい材料も、本体部4の構成材料として用いることができる。
粒子13の構成材料としては、前述した有機材料、無機材料が挙げられる。また、粒子13の構成材料には、磁性材料が好ましく用いられる。磁性材料を用いることで、粒子13に磁場を印加したとき、粒子13に磁気的吸引力を発生させることができる。この磁気的吸引力を利用することで、後述するレプリカ1の製造方法を効率的に行うことができる。
磁性材料は、常磁性材料であってもよいが、強磁性材料であるのが好ましい。強磁性材料であれば、透磁率が高いため、印加された磁場に対して大きな磁気的吸引力を発生させることができる。
また、強磁性材料は、硬磁性材料であってもよいが、軟磁性材料であるのが好ましい。軟磁性材料は、透磁率が高く、かつ、保磁力が低い。このため、磁場が印加された状態では、大きな磁気的吸引力を発生させる一方、磁場の印加を停止すると、磁気的吸引力を大きく減少させることができる。これにより、磁場の印加のオン・オフを利用して、後述するレプリカ1の製造方法を特に効率よく行うことができる。軟磁性材料の保磁力は、好ましくは800A/m以下とされ、より好ましくは400A/m以下とされる。
軟磁性材料としては、例えば、Fe基合金、Ni基合金、Co基合金のような金属系軟磁性材料、いずれもFeを主成分とするスピネル型フェライト、マグネトプランバイト型フェライト、ガーネット型フェライトのような酸化物系軟磁性材料等が挙げられる。このうち、酸化物系軟磁性材料が好ましく用いられる。酸化物系軟磁性材料は、nmサイズの粒子を低コストで製造可能であるため、粒子13の構成材料として有用である。
粒子13の平均粒径は、5nm以上1μm以下であるのが好ましく、10nm以上300nm以下であるのがより好ましく、20nm以上200nm以下であるのがさらに好ましい。粒子13の平均粒径が前記範囲内であれば、粒子13の充填性を高めることができ、緻密な本体部4が得られる。なお、粒子13の平均粒径が前記下限値を下回ると、粒子13の取り扱いが難しくなり、粒子13同士の凝集が起きるおそれがある。また、磁性材料の場合は、後述の鋳型部へ誘導するのに足る保磁力が得られない場合もある。一方、粒子13の平均粒径が前記上限値を上回ると、粒子13同士の隙間が大きくなり、本体部4の緻密性が低下するおそれがある。
なお、粒子13の平均粒径は、例えば、本体部4の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して、任意に選択した10個以上の粒子13の粒径を測定したとき、その平均値として求められる。
また、粒子13を用いる場合、必要に応じて、粒子13同士を結着させる結着剤を用いるようにしてもよい。結着剤としては、例えば、前述した樹脂が用いられる。
この他、本体部4の構成材料には、任意の添加物が添加されていてもよい。
1.2.被覆膜
被覆膜5は、前述したように無機材料で構成されている。この無機材料としては、例えば、酸化物、窒化物、炭化物、硫化物、フッ化物等が挙げられる。このうち、無機材料は、酸化物または窒化物であるのが好ましい。これらは、無機材料の中でも特に機械的特性および化学的特性に優れている。このため、相似的構造S2を特に安定して維持し得る被覆膜5を得ることができる。
酸化物としては、例えば、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化ニオブ、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化イットリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ホウ素等が挙げられる。
このうち、酸化ケイ素、酸化チタンまたは酸化アルミニウムが好ましく用いられる。これらは、緻密な被覆膜5を形成可能であるとともに、機械的特性および化学的特性が特に良好である。酸化ケイ素は、組成式SiO(0<x≦2)で表される酸化物であるが、好ましくはSiOである。酸化チタンは、組成式TiO(0<x≦2)で表される酸化物であるが、好ましくはTiOである。酸化アルミニウムは、組成式AlO(0<x≦2)で表される酸化物であるが、好ましくはAlである。
窒化物としては、例えば、窒化ガリウム、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化チタン等が挙げられる。
また、被覆膜5の構成材料は、上記のような無機材料から選択される2種以上を組み合わせた複合材料、または、上記の少なくとも1種と他の無機材料とを組み合わせた複合材料であってもよい。複合材料の例としては、Al-SiO複合材料が挙げられる。
被覆膜5の平均厚さは、特に限定されないが、1nm以上500nm以下であるのが好ましく、3nm以上100nm以下であるのがより好ましく、5nm以上50nm以下であるのがさらに好ましい。被覆膜5の平均厚さが前記範囲内であれば、相似的構造S2を形成するのに十分な厚さを確保できるとともに、被覆膜5が厚すぎることに伴う弊害を抑制することができる。すなわち、被覆膜5の平均厚さが前記下限値を下回ると、様々な突出高さの相似的構造S2を十分に形成できないおそれがある。一方、被覆膜5の平均厚さが前記上限値を上回ると、被覆膜5の形成に必要以上の時間がかかるため、レプリカ1の作製効率が低下するおそれがある。
なお、被覆膜5の平均厚さは、レプリカ1の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)や走査透過型電子顕微鏡(STEM)で観察して、任意に選択した10か所以上の膜厚を測定したとき、その平均値として求められる。
2.生体物質のレプリカの製造方法
次に、実施形態に係る生体物質のレプリカの製造方法について説明する。なお、以下の説明では、前述したレプリカ1の製造方法を例にして説明する。
図4は、図1のレプリカ1の製造方法を示すフローチャートである。図5ないし図14は、図4に示す製造方法を説明するための断面図である。なお、図5ないし図14において、図1ないし図3と同様の構成については、同一の符号を付している。
図4に示すレプリカ1の製造方法は、準備工程S102、被覆膜形成工程S104、充填工程S106および回収工程S108を有する。
2.1.準備工程
準備工程S102では、細菌BAの立体構造S1に相補的な関係を有する相補的構造S3を有する鋳型2を持つ鋳型膜3を用意する。鋳型2は、鋳型膜3の上面31が凹没してなる穴であり、その内面21に相補的構造S3が設けられている。
図5は、細菌BAを示す概略図、および、鋳型2を持つ鋳型膜3の断面図である。図6は、図5のA1部およびA3部の拡大図である。
図5および図6に示す矢印Comは、細菌BAの立体構造S1と鋳型2の相補的構造S3とが、互いに相補的であることを表す。本明細書において相補的とは、細菌BAの立体構造S1の少なくとも一部と、鋳型2の相補的構造S3とが、互いに隙間なく組み合わせられる形状であるか、または、いずれか一方を拡大もしくは縮小することで互いに隙間なく組み合わせられる形状になる関係のことをいう。なお、組み合わせられる形状は、製造誤差による形状のずれ(製造誤差による隙間)を許容する。また、いずれか一方を拡大または縮小する場合も、その拡大率や縮小率は、元の大きさに対して例えば5%以下程度と小さい。したがって、鋳型2は、細菌BAがほぼ原寸大で転写された模型であるといえる。
なお、鋳型2に転写される部位は、細菌BAの全部であってもよいし、任意の一部であってもよい。図5に示す鋳型2は、棒状をなす細菌BAの長手方向の一部が転写されたものである。また、生体物質は、細菌に限定されず、例えばウイルス、真菌、原虫のような細菌以外の微生物、細胞、エクソソーム等であってもよい。
鋳型2がとり得る最も長い軸を長軸とするとき、長軸の長さL2は、生体物質の種類に応じて異なるが、例えば細菌の場合、0.3μm以上10μm以下とされる。また、長軸に直交する軸を短軸とするとき、短軸の長さW2は、例えば細菌の場合、0.1μm以上5μm以下とされる。
鋳型2を持つ鋳型膜3は、例えば、次のようにして形成される。
まず、モノマーおよび細菌BAを含む溶液を調製し、この溶液を基材上に塗布して、液状被膜を形成する。次に、液状被膜に電場を印加する。細菌BAは、一般に負電荷を帯びている。このため、電場の向きを適宜設定することにより、細菌BAを基材側に泳動させることができる。このタイミングで、基材上に塗布した溶液中のモノマーに重合反応を生じさせる。これにより、図7および図8に示すように、細菌BAの一部が取り込まれた鋳型膜3が得られる。図8は、図7のA4部の拡大図である。
次に、細菌BAを除去する。これにより、図9に示すように、鋳型2を持つ鋳型膜3が得られる。細菌BAを除去する方法としては、例えば、溶菌酵素を含む溶液に細菌BAを接触させる方法が用いられる。
モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、ピロール、アニリン、チオフェンまたはそれらの誘導体等が挙げられる。モノマーとして例えばピロールを用いた場合、鋳型膜3はポリピロール膜となる。また、この場合、重合反応としては、例えば、電解重合反応が挙げられるが、本工程での重合反応は、これに限定されない。
2.2.被覆膜形成工程
被覆膜形成工程S104では、図10に示すように、鋳型2の内面21に被覆膜5を形成する。被覆膜5は、無機材料で構成され、図11に示すように、鋳型2が有する相補的構造S3に応じて成形された状態で成膜される。これにより、被覆膜5には、相補的構造S3が転写されてなる三次元構造が得られる。この三次元構造は、細菌BAの立体構造S1と相似の関係を有する。したがって、前述した相似的構造S2を持つ被覆膜5が得られる。なお、図11は、図10のA5部の拡大図である。
被覆膜5は、液相成膜法により形成されてもよいが、好ましくは気相成膜法により形成され、より好ましくはALD(Atomic Layer Deposition)法により形成される。ALD法では、原子層レベルで原料を堆積させることができるので、緻密で膜厚が薄い被覆膜5を形成することができる。また、ALD法では、凹部や陰になる部分への原料や酸化剤等の回り込みが良好である。このため、ALD法を用いることにより、鋳型2の相補的構造S3がより忠実に転写された相似的構造S2を持つ被覆膜5が得られる。したがって、この相似的構造S2は、細菌BAの立体構造S1をより忠実に模造したものとなる。
以下、一例として、ALD法により、酸化ケイ素で構成される被覆膜5を形成する方法について説明する。まず、真空引きおよび雰囲気制御が可能なチャンバー内に図9に示す鋳型2を持つ鋳型膜3を投入する。次に、チャンバー内に、被覆膜5の原料となるプリカーサー(前駆体)を投入し、相補的構造S3を含む鋳型2の内面21に吸着させる。プリカーサーは、被覆膜5を構成する無機材料に応じて適宜選択される。無機材料が酸化ケイ素である場合、プリカーサーとしては、例えば、ジメチルアミノシラン、メチルエチルアミノシラン、ジエチルアミノシラン、トリスジメチルアミノシラン、ビスジエチルアミノシラン、ビスターシャリブチルアミノシラン等が挙げられる。次に、余剰のプリカーサーを排出した後、チャンバー内に酸化剤を導入する。酸化剤としては、例えば、オゾン、プラズマ酸素、水蒸気等が挙げられる。酸化剤は、鋳型2に吸着しているプリカーサーと反応し、被覆膜5が形成される。
また、ALD法における処理温度は、プリカーサー等の種類に応じて適宜設定されるが、30℃以上150℃以下であるのが好ましく、30℃以上100℃以下であるのがより好ましい。このような温度域は、気相成膜法の中でも比較的低温であることから、鋳型膜3の熱変性を抑えつつ、被覆膜5を形成することができる。これにより、最終的に、細菌BAの立体構造S1を特に忠実に模造した相似的構造S2を有する被覆膜5が得られる。なお、このような温度域での成膜には、例えば、常温ALD成膜装置を用いた常温ALD法が用いられる。
2.3.充填工程
充填工程S106では、鋳型2に充填用材料を供給して固化させる。これにより、図12に示す本体部4が得られる。充填用材料は、固化により、本体部4が得られる材料であれば、特に限定されない。なお、本明細書における「固化」は、流動性および成形性を有する材料が、成形後に固まって、その形状を維持することをいい、硬化も含む。
充填用材料としては、前述した本体部4の構成材料の原料が挙げられる。具体的には、固化前の樹脂を含む溶液、樹脂粉末を含む分散液、無機材料の前駆体、無機材料粉末、磁性材料粉末等が挙げられる。
充填用材料は、流動性および成形性を有する状態に調製され、鋳型2に供給される。鋳型2から充填用材料があふれた場合、必要に応じて、スキージーを用いて余剰分を除去してもよい。次に、必要に応じて熱または光を付与することにより、充填用材料を固化させる。これにより、本体部4が得られる。そして、本体部4と被覆膜5を備えるレプリカ1が得られる。
なお、充填用材料には、必要に応じて、結着剤(バインダー)、分散剤、難燃剤、紫外線吸収剤、フィラー、酸化防止剤等が添加されていてもよい。
また、鋳型2からあふれた充填用材料を除去しなかった場合、複数の個体が接続された状態で固化に至る。このような状態を本明細書では「レプリカ複合体」ともいい、実施形態に係るレプリカ1の変形例である。
レプリカ複合体は、複数の個体が接続されてなるものである。レプリカ複合体の状態にすることで、後述する回収工程S108がより平易になり、製造工程が効率的になる。個体とは、前述したレプリカ1と同様の構成を持つもの、つまり、細菌BAの立体構造S1と相似の関係を有する相似的構造S2を持つ被覆膜5を有する部位である。回収工程S108で回収された後のレプリカ複合体は、個体を分離する工程に供されてもよいし、そのまま用いられてもよい。
また、本工程では、レプリカ複合体に支持基板を貼り付ける操作を行ってもよい。これにより、レプリカ複合体の機械的特性を高めることができる。この場合、後述する回収工程S108では、支持基板ごと、レプリカ複合体を鋳型膜3から分離する操作を行うことができる。これにより、回収工程S108をより効率よく行うことができる。
2.4.回収工程
回収工程S108では、鋳型膜3からレプリカ1を回収する。この回収は、鋳型膜3からレプリカ1を分離すればよい。これにより、被覆膜5が有する相似的構造S2が良好に維持された状態でレプリカ1を回収することができる。
レプリカ1を回収する方法としては、例えば、鋳型膜3を加熱する操作、レプリカ1を鋳型膜3から引き抜く操作、鋳型膜3を除去する操作等を行う方法が挙げられる。
このうち、鋳型膜3を加熱する操作では、加熱によって鋳型膜3を膨張させる。これにより、図13に示すように、鋳型膜3とレプリカ1との間に隙間を生じさせることができる。その結果、レプリカ1を円滑に分離、回収することができる。加熱温度は、鋳型膜3を熱変性させない温度であれば、特に限定されないが、例えば40℃以上100℃以下とされる。また、レプリカ1の本体部4が無機材料である場合、鋳型膜3との熱膨張差が大きいので、より低温での加熱でも分離が可能になる。
レプリカ1を鋳型膜3から引き抜く操作は、例えばレプリカ1の本体部4が磁性材料を含む場合に有効である。この場合、レプリカ1に対して磁場を印加すると、レプリカ1に磁気的吸引力が発生する。具体的には、図14に示すように、鋳型膜3の上面31側から磁場発生源6を近づけると、レプリカ1には磁場発生源6へ向かう磁気的吸引力が発生する。これにより、レプリカ1をより簡単に回収することができる。磁場発生源6としては、例えば、永久磁石、電磁石等が挙げられる。このうち、回収後のレプリカ1を磁場発生源6から容易に分離可能であるという観点から、電磁石が好ましく用いられる。
鋳型膜3を除去する操作では、アッシング処理やウェット処理により、鋳型膜3を除去する。アッシング処理の具体例としては、プラズマアッシング、オゾンアッシング等が挙げられる。プラズマアッシングでは、プラズマ処理により、鋳型膜3を灰化して除去する。オゾンアッシングでは、オゾンと鋳型膜3とを接触させ、鋳型膜3を分解、気化させる。ウェット処理では、鋳型膜3を溶解させ除去する。
このうち、プラズマ処理を用いる方法が好ましい。プラズマ処理を用いることにより、レプリカ1への影響を最小限に抑えつつ、鋳型膜3を除去することができる。プラズマ処理には、例えば酸素プラズマが好ましく用いられる。なお、レプリカ1は、無機材料で構成された被覆膜5を備えているため、プラズマ処理に対する良好な耐性を有している。
3.レプリカの使用方法
レプリカ1は、細菌BAの立体構造S1と相似な相似的構造S2を有する。このため、レプリカ1は、実際の細菌BAに代わって、鋳型2を形成するための成形型となる。つまり、前述した、鋳型2を持つ鋳型膜3の形成方法において、細菌BAをレプリカ1に置き換えることができる。レプリカ1が電荷を帯びている場合は、細菌BAの場合と同じく電気泳動により誘導し、上記の鋳型膜3と同等のポリマー層を作製することが可能になる。一方、レプリカ1が電荷を帯びていない場合は、代わりに粒子13を起源とする磁気を利用することができる。そして、電気泳動の代わりに、磁力を用いて電磁石により誘導することで、上記の鋳型膜3と同等のポリマー層を作製することが可能になる。このようにして作製したポリマー層は、例えば生体物質の検出等を行うバイオセンサーに用いることができる。
レプリカ1を用いることで、実際の細菌BAを使うことなく、ポリマー層を作製することができる。つまり、一旦、レプリカ1を作製してしまえば、人体に有害な細菌BAを扱う必要がないので、安全性を確保することができる。また、レプリカ1は、細菌BAを代替する成形型として繰り返し使用することができる。このため、ポリマー層の効率的な作製が可能になり、低コスト化を容易に図ることができる。また、入手しにくい細菌BAであっても、需要に応じてポリマー層を安定的に作製することが可能になる。
3.前記実施形態が奏する効果
以上のように、前記実施形態に係る生体物質のレプリカ1は、細菌BA(生体物質)の立体構造S1に相似な相似的構造S2(相似な三次元構造)を有し、表面が無機材料で構成されている。
このようなレプリカ1によれば、例えばバイオセンサー等に用いるポリマー層を作製するとき、実際の細菌BAを用いることなく形成することが可能になる。また、入手しにくい細菌BAに適用されるポリマー層を作製する場合でも、レプリカ1をあらかじめ作製しておくことで、ポリマー層の安定した作製が可能になる。
また、無機材料は、酸化物または窒化物であることが好ましい。これらは、無機材料の中でも特に機械的特性および化学的特性に優れている。このため、相似的構造S2を特に安定して維持し得るレプリカ1を得ることができる。
また、レプリカ1は、本体部4と被覆膜5とを備えることが好ましい。被覆膜5は、本体部4の表面を被覆し、無機材料で構成されている。
このような構成によれば、本体部4および被覆膜5の各構成材料を選択することで、双方に適した特性を与えることができる。
また、本体部4の構成材料は、被覆膜5の構成材料と同じであってもよい。この場合、本体部4と被覆膜5の密着性を高めることができる。これにより、機械的強度が高いレプリカ1が得られる。
また、本体部4の構成材料は、被覆膜5の構成材料と異なっていてもよい。この場合、材料に応じた互いに異なる特性を与えることができる。これにより、例えば、立体構造S1に対して高い再現性を有する相似的構造S2を有し、かつ、製造容易性が高いレプリカ1が得られる。
また、本体部4の構成材料は、金属または金属系化合物を含んでいてもよい。これらは、機械的特性や化学的特性が特に高いため、被覆膜5を長期にわたって良好に補強することができる。
また、本体部4の構成材料は、樹脂を含んでいてもよい。これにより、レプリカ1の製造容易性を高めることができる。
また、本体部4は、粒子13の集合体を含んでいてもよい。粒子13を用いることで、材料に流動性や成形性を付与することができる。これにより、充填させにくい材料も、本体部4の構成材料として用いることができる。
また、粒子13は、磁性材料で構成されていてもよい。磁性材料を用いることで、粒子13に磁場を印加したとき、粒子13を含む本体部4に磁気的吸引力を発生させることができる。このため、効率的に製造可能なレプリカ1が得られる。
また、相似的構造S2(相似な三次元構造)を有する部位(個体)を複数備え、この部位同士が接続されてなる複合体であってもよい。
個体同士が接続されたレプリカ複合体となることで、個々の個体を回収するよりも回収プロセスが平易になる。このため、効率的に製造可能なレプリカが得られる。
前記実施形態に係る生体物質のレプリカ1の製造方法は、準備工程S102と、被覆膜形成工程S104と、充填工程S106と、回収工程S108と、を有する。準備工程S102では、細菌BA(生体物質)の立体構造S1に相補的な相補的構造S3(相補的な三次元構造)を有する鋳型2を持つ鋳型膜3を用意する。被覆膜形成工程S104では、鋳型2の内面21に無機材料で構成される被覆膜5を形成する。充填工程S106では、被覆膜5が形成された鋳型2に充填用材料を供給して固化させることにより、細菌BAの立体構造S1に相似な相似的構造S2(相似な三次元構造)を有するレプリカ1を形成する。回収工程S108では、鋳型膜3からレプリカ1を回収する。
このような構成によれば、細菌BA(生体物質)をほぼ原寸大で模造したレプリカ1を製造することができる。このようなレプリカ1は、例えばバイオセンサー等に用いるポリマー層を作製するとき、実際の細菌BAを用いることなく形成することが可能になる。また、入手しにくい細菌BAに適用されるポリマー層を作製する場合でも、レプリカ1をあらかじめ作製しておくことで、ポリマー層の安定した作製が可能になる。
また、生体物質のレプリカ1の製造方法は、複合体形成工程をさらに有していてもよい。複合体形成工程では、相似的構造S2(相似な三次元構造)を有する部位(個体)を複数備え、この部位同士が接続されてなる複合体を形成する。
このような構成によれば、個々の個体を回収するよりも回収工程S108がより平易になり、レプリカの製造工程が効率的になる。
また、複合体形成工程は、複合体に支持基板を貼り付ける操作を含み、回収工程S108は、支持基板で支持された複合体を鋳型膜3から回収する操作を含んでいてもよい。
このような構成によれば、回収工程S108をより効率よく行うことができる。
また、被覆膜形成工程S104は、常温ALD法により前記被覆膜を形成する操作を含むことが好ましい。これにより、鋳型膜3の熱変性を抑えつつ、被覆膜5を形成することができる。これにより、最終的に、細菌BAの立体構造S1を特に忠実に模造した相似的構造S2を有する被覆膜5が得られる。
また、回収工程S108は、鋳型膜3を加熱して膨張させる操作を含んでいてもよい。これにより、鋳型膜3とレプリカ1との間に隙間を生じさせることができる。その結果、レプリカ1を円滑に分離、回収することができる。
また、充填用材料は、磁性材料であってもよい。この場合、回収工程S108は、細菌BA(生体物質)のレプリカ1に磁場を印加する操作を含むことが好ましい。これにより、レプリカ1には磁場発生源6へ向かう磁気的吸引力が発生する。その結果、レプリカ1をより簡単に回収することができる。
また、回収工程S108は、プラズマ処理により鋳型膜3を除去する操作を含んでいてもよい。これにより、レプリカ1への影響を最小限に抑えつつ、鋳型膜3を除去することができる。
以上、本発明の生体物質のレプリカおよび生体物質のレプリカの製造方法を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本発明の生体物質のレプリカでは、前記実施形態の各部の構成が、同様の機能を有する任意の構成に置換されていてもよく、前記実施形態に他の任意の構成物が付加されていてもよい。また、本発明の生体物質のレプリカの製造方法は、前記実施形態に任意の目的の工程が追加された方法であってもよい。
1…レプリカ、2…鋳型、3…鋳型膜、4…本体部、5…被覆膜、6…磁場発生源、13…粒子、21…内面、31…上面、BA…細菌、Com…矢印、S1…立体構造、S102…準備工程、S104…被覆膜形成工程、S106…充填工程、S108…回収工程、S2…相似的構造、S3…相補的構造、Sim…矢印、L1…長さ、L2…長さ、W1…長さ、W2…長さ

Claims (17)

  1. 生体物質の立体構造に相似な三次元構造を有し、表面が無機材料で構成されていることを特徴とする生体物質のレプリカ。
  2. 前記無機材料は、酸化物または窒化物である請求項1に記載の生体物質のレプリカ。
  3. 本体部と、
    前記本体部の表面を被覆し、前記無機材料で構成されている被覆膜と、
    を備える請求項1に記載の生体物質のレプリカ。
  4. 前記本体部の構成材料は、前記被覆膜の構成材料と同じである請求項3に記載の生体物質のレプリカ。
  5. 前記本体部の構成材料は、前記被覆膜の構成材料と異なる請求項3に記載の生体物質のレプリカ。
  6. 前記本体部の構成材料は、金属または金属系化合物を含む請求項4または5に記載の生体物質のレプリカ。
  7. 前記本体部の構成材料は、樹脂を含む請求項5に記載の生体物質のレプリカ。
  8. 前記本体部は、粒子の集合体を含む請求項3ないし5のいずれか1項に記載の生体物質のレプリカ。
  9. 前記粒子は、磁性材料で構成されている請求項8に記載の生体物質のレプリカ。
  10. 前記相似な三次元構造を有する部位を複数備え、
    前記部位同士が接続されてなる複合体である請求項1または2に記載の生体物質のレプリカ。
  11. 生体物質の立体構造に相補的な三次元構造を有する鋳型を持つ鋳型膜を用意する準備工程と、
    前記鋳型の内面に無機材料で構成される被覆膜を形成する被覆膜形成工程と、
    前記被覆膜が形成された前記鋳型に充填用材料を供給して固化させることにより、前記生体物質の立体構造に相似な三次元構造を有するレプリカを形成する充填工程と、
    前記鋳型膜から前記レプリカを回収する回収工程と、
    を有することを特徴とする生体物質のレプリカの製造方法。
  12. 前記相似な三次元構造を有する部位を複数備え、前記部位同士が接続されてなる複合体を形成する複合体形成工程をさらに有する請求項11に記載の生体物質のレプリカの製造方法。
  13. 前記複合体形成工程は、前記複合体に支持基板に貼り付ける操作を含み、
    前記回収工程は、前記支持基板で支持された前記複合体を前記鋳型膜から回収する操作を含む請求項12に記載の生体物質のレプリカの製造方法。
  14. 前記被覆膜形成工程は、常温ALD法により前記被覆膜を形成する操作を含む請求項11ないし13のいずれか1項に記載の生体物質のレプリカの製造方法。
  15. 前記回収工程は、前記鋳型膜を加熱して膨張させる操作を含む請求項11ないし13のいずれか1項に記載の生体物質のレプリカの製造方法。
  16. 前記充填用材料は、磁性材料であり、
    前記回収工程は、前記生体物質の前記レプリカに磁場を印加する操作を含む請求項11ないし13のいずれか1項に記載の生体物質のレプリカの製造方法。
  17. 前記回収工程は、プラズマ処理により前記鋳型膜を除去する操作を含む請求項11ないし13のいずれか1項に記載の生体物質のレプリカの製造方法。
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