JP2024076796A - プラント管理システムおよび方法 - Google Patents

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Abstract

Figure 2024076796000001
【課題】圧力伝送器などの設備における水素透過および水素脆化に関係する異常または異常予兆などの状態を好適に検知・診断できる技術を提供する。
【解決手段】プラント管理システムは、診断装置2などのコンピュータシステムを備える。プラント1の設備は、圧力伝送器11を含む。圧力伝送器11は、測定流体の圧力をダイアフラムによって受圧し、封入液を介して圧力センサに伝達する検知器(言い換えると受圧部)を含む機器である。圧力伝送器11には、水素センサなどが設置される。コンピュータシステムは、設備についての時系列上のモニタリングとして、圧力伝送器11による圧力検知データD1と、水素センサによる水素量検知データD2と、圧力伝送器11に関する管理情報D3と、を含む稼働情報D0を、収集および蓄積し、稼働情報D0に基づいて、水素量を含む情報を可視化する画面を提供する。
【選択図】図1

Description

本開示は、プラント等の設備を管理する技術に関し、特に、圧力伝送器等の状態を診断するコンピュータシステムや情報処理等の技術に関する。
従来、化学プラント等のプラントは、各種の流体を扱うタンク、配管、および圧力伝送器等の設備を備え、所定のプラント制御・管理装置やシステムによって、それらの設備が制御・管理されている。
先行技術例として、特開2007-132904号公報(特許文献1)や特開2017-111015号公報(特許文献2)が挙げられる。
特許文献1には、「差圧・圧力伝送器をオンライン状態のままで、特別な水素透過量の測定装置を必要とせずに水素透過量を予測演算できる診断装置を実現する」旨、「プロセス流体の圧力を、プロセス隔膜を介して受圧する差圧・圧力伝送器を診断する診断装置であって、前記プロセス流体の温度及び圧力並びに前記プロセス隔膜の水素透過係数に基づき、前記プロセス隔膜の水素透過量を実時間で演算する水素透過量演算手段を備える」旨が記載されている。また、「プロセス隔膜の劣化を予測するオンライン診断手段を備える」旨が記載されている。
特許文献2には、「測定流体中の水素を計測する水素計測装置において、計測室の測定流体に接する面の一部に水素透過膜と計測室内部に水素計測部を設け、測定流体から水素透過膜を介して計測室内部に透過してきた水素の濃度を水素計測部で計測することで、測定流体に電子機器が触れることなく安全に水素を計測できように構成した」旨が記載されている。
特開2007-132904号公報 特開2017-111015号公報
圧力伝送器では、測定流体(圧力を測定する対象となる流体)中に含まれる水素が、検知器(言い換えると受圧部)のダイアフラム(言い換えると隔膜)を透過する現象、いわゆる水素透過、が発生する場合がある。そして、透過した水素が、検知器を構成する金属を脆化させる現象、いわゆる水素脆化、が発生する場合がある。水素透過および水素脆化の現象によって、検知器を含む圧力伝送器が劣化して、測定誤差が増大し、ひいては圧力伝送器が破壊などの異常に至る場合がある。
上記圧力伝送器における水素透過および水素脆化に関係する異常または異常予兆などの状態を検知・診断して対処することが求められる。特に、異常度合いが大きい異常に至る前に、異常予兆を検知して、圧力伝送器の保守・交換等の対処をすることが望ましい。また、プラントでは、圧力伝送器などの設備の保守・管理に関する工数やコストの低減が求められる。
本開示の目的は、上記圧力伝送器などの設備における水素透過および水素脆化に関係する異常または異常予兆などの状態を好適に検知・診断でき、設備の保守・管理に関する工数やコストの低減を実現できる技術を提供することである。
本開示のうち代表的な実施の形態は以下に示す構成を有する。実施の形態のプラント管理は、プラントの設備を管理するプラント管理システムであって、プロセッサおよびメモリを有するコンピュータシステムを備え、前記設備は、圧力伝送器を含み、前記圧力伝送器は、測定流体の圧力をダイアフラムによって受圧し、封入液を介して圧力センサに伝達する検知器を含む機器であり、前記圧力伝送器には、水素量を測定するための水素センサが設置され、前記コンピュータシステムは、前記設備についての時系列上のモニタリングとして、前記圧力伝送器による圧力検知データと、前記水素センサによる水素量検知データと、前記圧力伝送器に関する管理情報と、を含む稼働情報を、収集および蓄積し、前記稼働情報に基づいて、前記水素量検知データの水素量を含む情報を可視化する画面を提供する。
本開示のうち代表的な実施の形態によれば、上記圧力伝送器などの設備における水素透過および水素脆化に関係する異常または異常予兆などの状態を好適に検知・診断でき、設備の保守・管理に関する工数やコストの低減を実現できる。上記した以外の課題、構成および効果等については、発明を実施するための形態において示される。
実施の形態1のプラント管理システムを含むシステムの構成例を示す図。 実施の形態1で、プラントの設備の構成例を示す図。 実施の形態1で、圧力伝送器の機能ブロック構成例を示す図。 実施の形態1で、圧力伝送器の検知器(受圧部)における水素透過現象に関する概要を示す図。 実施の形態1で、圧力伝送器の実装例の外観イメージを示す図。 実施の形態1で、圧力伝送器の実装例における、タンクへの設置例を示す図。 実施の形態1で、圧力伝送器の実装例における、接液部の断面構造例を示す図。 実施の形態1で、圧力伝送器の実装例における、本体部の断面構造例を示す図。 実施の形態1で、圧力伝送器の他のタイプ(液面伝送器)における、検知器の断面構造例を示す図。 実施の形態1で、圧力伝送器の他のタイプ(大気圧基準の圧力伝送器)における、検知器の断面構造例を示す図。 実施の形態1で、圧力伝送器の他のタイプ(絶対圧力伝送器)における、検知器の断面構造例を示す図。 実施の形態1のプラント管理システムを構成するコンピュータシステムの構成例を示す図。 実施の形態1で、ビジネスモデルの構成を示す図。 実施の形態1のプラント管理システムの基本処理フローを示す図。 実施の形態1で、検知器の水素透過現象に関するパラメータを示す図。 実施の形態1で、診断装置での機械学習に関する説明図。 実施の形態1で、圧力伝送器からの診断用のデータ例を示す図。 実施の形態1で、他システム(管理装置)からの診断用のデータ例を示す図。 実施の形態1で、診断の方法としてLSC法に関する説明図。 実施の形態1で、診断の方法として測定流体種別ごとの学習モデルについての説明図。 実施の形態1で、診断の方法として、プラントごとの学習モデルについての説明図。 実施の形態1で、診断の方法として、類似する測定流体種別の学習モデルについての説明図。 実施の形態1で、パラメータとしてダイアフラム物性についての説明図。 実施の形態1で、パラメータとして受圧部内部温度および周囲温度についての説明図。 実施の形態1で、パラメータとして圧力伝送器設置環境についての説明図。 実施の形態1で、パラメータとして水素センサ設置環境についての説明図。 実施の形態1で、パラメータとしてゼロシフト量および補正操作回数や、測定誤差などについての説明図。 実施の形態1で、製造管理装置の交換判断部の処理フロー例を示す図。 実施の形態1で、交換提案の例を示す説明図。 実施の形態1で、第1画面例を示す図。 実施の形態1で、第2画面例を示す図。 実施の形態1で、第3画面例を示す図。
以下、図面を参照しながら本開示の実施の形態を詳細に説明する。図面において、同一部には原則として同一符号を付し、繰り返しの説明を省略する。図面において、構成要素の表現は、発明の理解を容易にするために、実際の位置、大きさ、形状、範囲等を表していない場合がある。
説明上、プログラムによる処理について説明する場合に、プログラムや機能や処理部等を主体として説明する場合があるが、それらについてのハードウェアとしての主体は、プロセッサ、あるいはそのプロセッサ等で構成されるコントローラ、装置、計算機、システム等である。計算機は、プロセッサによって、適宜にメモリや通信インタフェース等の資源を用いながら、メモリ上に読み出されたプログラムに従った処理を実行する。これにより、所定の機能や処理部等が実現される。プロセッサは、例えばCPU/MPUやGPU等の半導体デバイス等で構成される。処理は、ソフトウェアプログラム処理に限らず、専用回路でも実装可能である。専用回路は、FPGA、ASIC、CPLD等が適用可能である。
プログラムは、対象計算機に予めデータとしてインストールされていてもよいし、プログラムソースから対象計算機にデータとして配布されてもよい。プログラムソースは、通信網上のプログラム配布サーバでもよいし、非一過性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体、例えばメモリカードやディスクでもよい。プログラムは、複数のモジュールから構成されてもよい。コンピュータシステムは、複数台の装置によって構成されてもよい。コンピュータシステムは、クライアント・サーバシステム、クラウドコンピューティングシステム、IoTシステム等で構成されてもよい。各種のデータや情報は、例えばテーブルやリスト等の構造で構成されるが、これに限定されない。識別情報、識別子、ID、名前、番号等の表現は互いに置換可能である。
[課題等]
課題等について補足説明する。従来、水素透過現象に関して、水素分子が水素原子に乖離する等の要因は、様々なものが考えられるが、その要因は、プラントのプロセスや圧力伝送器のハードウェア構成に起因するものが殆どと考えられる。そのため、その乖離を含む水素透過現象自体についての根本的な解決は難しい。それに対する従来の対策としては、例えば顧客側であるプラント側での圧力伝送器の定期的な保守・交換などが一般的である。
しかしながら、圧力伝送器における水素透過・水素脆化現象が見えにくい・把握しにくいことから、保守・交換は最適化されていない。そこで、実施の形態のプラント管理システムでは、プラント側の圧力伝送器からの圧力検知データ等を稼働情報として収集・蓄積し、事業者側でモニタリングおよび異常予兆診断などを行い、圧力伝送器の好適な交換提案などの対処を実現する。
水素透過現象について、従来公知のものとして基本的なメカニズムやモデル等はわかっているが、複合要因などを含めた詳細まではわかっていない。また、水素脆化現象について、メカニズム等がまだわかっていない。それに対し、実施の形態のプラント管理システムでは、水素透過・水素脆化現象について、詳細なメカニズム等がわからなくても、圧力伝送器などから出力する実態値として圧力検知データや水素量検知データを用いて、異常予兆診断や交換提案などの対処を図る。
<実施の形態1>
図1~図32を用いて、実施の形態1のプラント管理システムおよび方法などについて説明する。実施の形態1のプラント管理システムは、図1のプラント1の圧力伝送器11の水素透過現象に関するモニタリング機能、異常予兆診断機能、および交換提案機能などを有するシステムである。実施の形態1のプラント管理方法は、実施の形態1のプラント管理システムのコンピュータによって実行される方法である。
実施の形態1のプラント管理システムは、圧力伝送器11や各種センサ12などのハードウェア構成については限定せず、コンピュータシステムおよびソフトウェアに関する特徴を有する。
圧力伝送器11の測定流体の概念は、各種のガスなどの気体や液体を含む。また、測定流体の圧力をプロセス圧力と記載する場合がある。
[圧力伝送器について]
本明細書では、対象となる公知の各種の圧力伝送器を、総称して圧力伝送器と記載する。公知の各種の圧力伝送器は、後述するが、例えば差圧伝送器、液面伝送器、絶対圧力伝送器などがある。これらの圧力伝送器は、ダイアフラム(言い換えると隔膜)を含む検知器(言い換えると受圧部)を備える点や、水素透過現象が生じ得る点で共通であり、実施の形態での特徴的な処理を同様に適用可能である。実施の形態1において対象となる圧力伝送器11(図1)の詳細な構造については限定しない。実施の形態1のプラント管理システムは、プラント1に応じて設けられた圧力伝送器11の種別やIDを把握し、その把握に応じてモニタリングや診断などを行う。
[プラント管理システム]
図1は、実施の形態1のプラント管理システムを含むシステムの構成例を示す。図1のシステムは、プラント1と、実施の形態1のプラント管理システムと、ユーザ端末9とを含み、それらは通信網9(例えばLANや広域通信網)を介して接続される。
プラント1は、圧力伝送器11、水素センサ(後述)を含む各種のセンサ12、および管理装置13を含む。圧力伝送器11は、プラント1の現場で使用され、流体の圧力を測定し、測定した圧力の信号を出力する計測器、言い換えると圧力計である。圧力伝送器11は、測定流体の圧力を測定し、圧力検知データD1として出力する。各種のセンサ12は、検知データD2を出力する。特に、水素センサは、水素量検知データD2を出力・送信する。管理装置13は、管理情報D3を出力する。診断装置2は、プラント1側からのこれらの圧力検知データD1、検知データD2、および管理情報D3を含むデータ・情報を、稼働情報D0として受信・収集し、DB(データベース)21Aに蓄積する。
実施の形態1のプラント管理システムは、診断装置2と製造管理装置3と情報表示装置4とを含み、これらは通信で接続される。診断装置2と製造管理装置3と情報表示装置4は、例えばサーバなどのコンピュータで構成される。
診断装置2は、データ収集・蓄積部21と、異常予兆検知部22と、学習部23とを有する。各部はプロセッサによる処理などで実現される。データ収集・蓄積部21は、プラント1側から稼働情報D0{D1,D2,D3}を収集し、DB21Aに格納し、データとして管理する。
異常予兆検知部22は、言い換えると診断部や分析部であり、DB21Aに蓄積された稼働情報D0(データD4)に基づいて、圧力伝送器11の異常/異常予兆の状態を診断し、診断結果情報(データD6)、言い換えると検知結果情報を生成し、DB21Aに格納する。
学習部23は、DB21Aに蓄積された稼働情報D0(データD4)および診断結果情報(データD6)に基づいて、機械学習の学習モデル23Aを構築および訓練する。異常予兆検知部22は、訓練済みの学習モデル23A(データD5)を用いて診断を行う。
製造管理装置3は、言い換えると生産計画スケジューラ装置であり、交換判断部31を有する。交換判断部31は、稼働情報D0および診断部22の診断結果情報(データD6)に基づいて、圧力伝送器11の保守・交換に関する計画(後述の交換提案など)を立案して、計画情報(データD7)を生成し、メモリ資源に記憶する。
情報表示装置4は、診断装置2および製造管理装置3と連携して、所定のユーザU1に対し、各種の情報、GUI画面50を提供する装置である。ユーザU1は、所定のサービスを受けるユーザであり、事業者側のユーザまたは顧客であるプラント1側のユーザである。情報表示装置4は、GUI画面提供部41、アラート出力部42を有する。情報表示装置4は、診断装置2からの稼働情報D0(データD4)や診断結果情報(データD6)、製造管理装置3からの計画情報(データD7)を受信・参照する。GUI画面提供部41は、それらの情報に基づいて、GUI画面データを生成し、ユーザ端末5に送信する。ユーザ端末5は、情報表示装置4から受信したGUI画面データに基づいて、自身のディスプレイにGUI画面50を表示する。ユーザU1は、GUI画面50を見て、稼働情報、診断結果情報、計画情報などを確認できる。
また、アラート出力部42は、診断結果情報が所定の異常などを表している場合に、所定のアラートを、所定の出力先へ出力する。所定の出力先は、ユーザU1のユーザ端末5でもよいし、プラント1側の管理装置13や所定の設備などでもよい。所定のアラートは、画面表示、音声出力、メール通知、ランプ発光、振動など、各種の態様が可能である。
事業者に対し顧客であるプラント1の環境には、圧力伝送器11などの設備と、設備に接続されている管理装置13がある。管理装置13は、言い換えるとプラント制御・管理システムであり、設備の情報などを管理・保持している。管理装置13は、顧客およびプラント1の管轄である。なお、図1では1つのプラント1を図示しているが、事業者に対し、サービス対象となる複数のプラント1が存在してもよい。実施の形態1のプラント管理システムは、事業者側のシステムであり、プラント1側の管理装置13からは、管理情報D3を参照・収集する。管理情報D3は、圧力伝送器11やプロセス流体などに関する管理・制御用の情報であり、例えば圧力伝送器11の種別や、プロセス流体の種別(測定流体種別と記載する)の情報を含んでいる。実施の形態1のプラント管理システムは、取得した管理情報D3を、モニタリングや診断などの一部に使用する。
なお、図1のシステムでは、診断装置2および製造管理装置3による主要な処理機能に対し、情報表示装置4による情報出力機能やユーザ・インタフェース機能を分ける形態を示したが、これに限定されず、診断装置2等に情報出力機能等が統合されていてもよい。また、図1では、GUI機能を担う情報表示装置4であるサーバに対し、ユーザ端末5がクライアント端末装置として接続される、クライアント・サーバ方式の形態を示したが、これに限定されず、診断装置2等や情報表示装置4に、ユーザ端末5の機能が統合されていてもよい。ユーザU1が情報表示装置4を操作し、情報表示装置4のディスプレイにGUI画面50を表示してもよい。ユーザU1が診断装置2等を操作し、診断装置2等のディスプレイにGUI画面50を表示してもよい。
なお、クライアント・サーバ方式での通信の例は以下である。ユーザU1は、ユーザ端末5を操作し、ユーザ端末5は要求をサーバである情報表示装置4に送信する。情報表示装置4は、要求に対し、Webページ等によるGUI画面データ(GUI画面50を構成するためのデータ)を応答する。ユーザ端末5は、応答を受信し、自身のディスプレイにWebページ等によるGUI画面50を表示する。ユーザU1は、GUI画面50の情報を見て、指示や設定を入力できる。ユーザ端末5は、指示や設定の情報を情報表示装置4に送信する。情報表示装置4は、受信した情報に基づいて、対応する機能による処理を行い、処理結果情報をユーザ端末5に送信する。ユーザ端末5は、受信した処理結果情報に基づいてGUI画面50の表示を更新する。
[圧力検知データおよび水素量検知データについて]
実施の形態1では、プラント1内の圧力伝送器11が、検知器201(図3)内の半導体圧力センサ403(図4、図8)によって検知・測定した圧力指示値を含む圧力検知データD1を出力する。診断装置2(図1)がその圧力検知データD1を収集する。また、プラント1内の圧力伝送器11には、検知器201内に水素センサ303(図3、図4)が設置され、水素センサ303によって、ダイアフラム400(図4)の内側の封入液402の空間内の水素量を測定し、測定した水素量を含む水素量検知データD2(図1)を出力する。診断装置2(図1)がその水素量検知データD2を収集する。
また、水素センサ303以外にも、プラント1の圧力伝送器11やタンク等の設備には、各種のセンサ12(例えば後述の温度センサ)が設置されていてもよく、各種のセンサ12によるセンサデータも、検知データD2の一部として出力され、診断装置2(図1)が収集する。
また、圧力伝送器11に備える処理器202(図3)、あるいは、圧力伝送器11に接続される外部機器は、半導体圧力センサ403(図4)による圧力値や、水素センサ303による水素量から、所定の演算によって所定のパラメータ値(例えば後述の機械学習用のパラメータ値)を生成し、そのパラメータ値を、出力データ(D1やD2)の一部として送信してもよい。すなわち、診断装置2で行う処理の一部を、圧力伝送器11側で行う形態としてもよい。
[プラント]
図2は、プラント1の設備の構成例を示す。本例では、あるプラント1は、設備10(一部のみを模式で図示)として、タンク21,22とそれらを接続する配管(矢印で図示)とを有する。タンク21,22等にはプロセス流体17a,17b等が蓄積される。また、タンク21等には、白枠で模式的に示すが、駆動装置・処理装置31,32,33,34,35が設けられている。そして、本例では、タンク21,22には、それぞれ、圧力伝送器11(11a,11b)が設置されている。また、タンク21,22や圧力伝送器11には、各種のセンサ12a,12b(後述の温度センサ等)が設置されている。圧力伝送器11には、センサ12の一種として水素センサ303(図3)が設置されている。
これらの設備10は、制御装置14と接続されている。制御装置14は、管理装置13と接続されている。なお、制御装置14と管理装置13とが一体でもよい。制御装置14は、設備10を制御する。例えば、制御装置14は、制御信号を駆動装置・処理装置31等に与える。また、制御装置14は、圧力伝送器11およびセンサ12から、検知データを取得してもよい。制御装置14は、検知データを管理装置13に転送してもよい。管理装置13は、圧力伝送器11およびセンサ12から、直接、検知データを取得してもよい。
管理装置13は、管理・制御用の情報を管理情報D3として保持する。管理装置13は、管理情報D3を診断装置2に送信する。管理装置13は、取得した検知データをメモリに記憶するとともに、図1の圧力検知データD1や水素量検知データD2として診断装置2へ送信してもよい。圧力伝送器11やセンサ12から、検知データを、直接、通信で診断装置2に送信してもよい。管理装置13は、診断装置2側から、圧力伝送器11やセンサ12の設定や指示等に関する情報を受信し、圧力伝送器11やセンサ12を制御してもよい。
また、本例では、管理装置13に通信で接続可能である保守装置15を有する。図示しない、プラント1側の保守作業者などの人は、保守装置15(例えば携帯型PC)を用いて、設備10の保守・交換作業を行ってもよい。その際、保守作業者は、例えば圧力伝送器11の保守・交換に関する情報を保守装置15に入力し、保守装置15は、その情報を管理装置13に登録する。
[圧力伝送器-機能ブロック]
図3は、圧力伝送器11の機能ブロック構成例を示す。この圧力伝送器11は、検知器201(言い換えると受圧部)、処理器202、通信インタフェース203、表示器204、操作器205、および図示しない電源などを有し、これらは相互に接続されている。
検知器201は、測定流体についての圧力を受圧して検知・測定する機構である。検知器201は、測定流体の圧力を受圧して検知する機構であり、接液部301、圧力検知部302、水素センサ303等を備える。検知器201は、タイプに依るが、例えば図5のような接液部301とキャピラリー管503と本体部501(圧力検知部302等を含む部分)とを備える。
接液部301は、金属によるダイアフラムおよび封入液空間を備え、測定流体に接して受圧する部分である。受圧した圧力は、封入液空間を通じて、圧力検知部302に伝達される。圧力検知部302は、封入液空間および後述の半導体圧力センサ(図8)を備える部分であり、半導体圧力センサによる圧力信号D11を出力する。水素センサ303は、封入液空間内(例えば接液部301内)に設置され、水素量信号D12を出力する。
処理器202は、例えばプロセッサ206およびメモリ207を備え、圧力信号D11および水素量信号D12などを処理し、圧力検知データD1や水素量検知データD2を生成し、メモリ207に記憶するとともに、通信インタフェース203を介して診断装置2へ送信する。圧力検知データD1は、測定流体の圧力の指示値(言い換えると測定値、出力値)に相当する。
処理器202には、表示器204や操作器205が接続されている。表示器204には、圧力検知データD1に対応した圧力指示値などが表示される。ユーザは、操作器205(例えばボタン、ダイヤル等)を操作することで、圧力伝送器11のオン/オフや、後述のゼロシフト補正が可能である。
なお、図3での処理器202や通信インタフェース203の部分が、圧力伝送器11に対する外部機器として接続される形態としてもよい。その外部機器は、検知器201からの検知信号を処理して圧力検知データD1や水素量検知データD2を生成し、無線通信などによって診断装置2へ送信する。
[圧力伝送器のタイプ]
圧力伝送器11は、後述するが、圧力を測定する方式に応じて、大気圧を基準として測定する圧力伝送器(図10)、絶対圧力を基準として測定する絶対圧力伝送器(図11)、任意の圧力を基準として差圧を測定する差圧伝送器(図8)などがある。また、圧力伝送器11は、設置箇所や用途などの違いに応じて、キャピラリー管(図5)を有するタイプや有さないタイプがある。キャピラリー管を有するタイプは、圧力伝送器11の本体部に測定流体が直接的に導入できない場合に使用される。
[検知器と水素透過現象]
図4は、圧力伝送器11の検知器201(言い換えると受圧部)における水素透過現象に関する概要を示す。図4では検知器201を模式で図示している。プラント1の設備の1つである圧力伝送器11は、測定流体であるプロセス流体(例えばタンク内のガスや液体等)に対して設置される検知器201において、図4のように、測定流体401側の空間と封入液402側の空間とを仕切るダイアフラム400を有する。検知器201は、ダイアフラム400を介して、図示の左側は、測定流体401の空間であり、右側は、封入液402の空間である。封入液402側には、圧力センサとして半導体圧力センサ403が設けられており、圧力信号D11を出力する。また、封入液402の空間内には、水素センサ303が設けられており、水素量信号D12を出力する。
ダイアフラム400は、検知器201における測定流体401側と封入液402側とを隔てる弾性の膜である。ダイアフラム400の材質は、例えばハステロイCやSUS316Lなどの金属が挙げられる。水素透過現象として、測定流体401中の水素分子は、水素原子に乖離して、金属によるダイアフラム400を透過して、封入液402側に移行する場合がある。
実施の形態1のプラント管理システムは、水素センサ303を用いて、圧力伝送器11の検知器201における水素透過状況をモニタリングする。言い換えると、実施の形態1のプラント管理システムは、水素センサ303によって、検知器201の封入液402内の水素量を直接的に測定することで、水素透過量を把握する。
圧力伝送器11の圧力指示値の変動および水素量の変動のデータと、検知器201の耐用年数前の破壊などの異常の状態とは、ダイアフラム400の水素透過および検知器201の水素脆化の現象と対応している。言い換えると、図1の稼働情報D0における圧力検知データD1や水素量検知データD2の時系列データと、検知器11の異常や異常予兆の状態とは、対応関係を有する。そこで、実施の形態1では、診断装置2は、稼働情報D0と圧力伝送器11の異常等の状態との対応関係を機械学習することで、圧力伝送器11の異常予兆検知を可能とするとともに、水素透過・水素脆化現象に関する解析を可能とする。診断装置2は、稼働情報D0を学習モデルに入力し、推定結果として、水素透過・水素脆化現象に関する圧力伝送器11の異常予兆の状態を検知する。
[水素透過・水素脆化現象について]
図4のようなダイアフラム400および封入液空間を有する検知器201における、水素透過の原理の概要は以下である。測定流体401中に有する水素分子(H)が水素原子(H)に乖離する。その水素原子がダイアフラム400の金属を透過して封入液402側に移行する。その透過した水素原子が、封入液402側で、水素分子のガスとなる。その水素分子のガスが、封入液402の空間内に蓄積し、気泡となり、封入液402中の内圧が上昇する。
このような水素透過の影響によって、検知器201の半導体圧力センサ403のゼロ点が変動し、測定誤差、動作不良、圧力伝送器11の破壊などの原因となる。また、このような水素透過により、検知器201を構成する金属であるダイアフラム400および筐体などにおける水素脆化が発生し、放置すると圧力伝送器11が破壊に至る場合がある。
上記測定流体401中の水素分子が乖離する要因は様々あり、測定流体のプロセスに起因するものが殆どと考えられる。そのため、水素分子の乖離に基づいた水素透過を、測定流体401側で対策することは難しい。よって、その水素透過について、圧力検知器11側で対策することが求められる。
[水素透過現象の要因について]
圧力伝送器11での水素透過が特に発生しやすい要因としては以下が考えられる。
要因1: 測定流体401自体が水素ガスである場合で、測定流体条件が高温かつ高圧である場合。
要因2: ダイアフラム400自体が腐食した場合。
要因3: 測定流体401を収容するタンクや配管や筐体などの物体が腐食した場合。
要因4: ダイアフラム400表面の付着物が腐食した場合。
要因5: ダイアフラム400表面の付着物に吸着水素がある場合。
また、水素透過が発生しやすい要因、言い換えると水素透過に影響しやすい要素としては、以下が考えられる。
要素1: ダイアフラム400のニッケル含有量。ニッケル含有量が多いほど、水素の透過率が高くなる。
要素2: ダイアフラム400の厚さ。理論的には、水素透過量は、ダイアフラム400の厚さに反比例する。
要素3: 温度。ダイアフラム400の周囲の温度が高いほど、水素透過率が高くなる。
要素4: 圧力。水素透過量は、圧力の二分の一乗に比例する。
要素5: プロセス流体(測定流体)のイオン濃度、溶存ガス濃度、ガス中の水分など。
[水素透過発生時の圧力伝送器の挙動について]
上記水素透過現象の発生によって、検知器201の封入液402の内部に水素ガスが多く蓄積した場合、その影響によって、検知器201の半導体圧力センサ403の検出信号に基づいた圧力の指示値(indicate value:言い換えると測定値、出力値)の誤差が大きくなってしまう。言い換えると、ダイアフラム400の水素透過量が多くなるほど、検知器201の圧力指示値は、実際の測定流体の圧力に対する誤差が大きくなってしまう。
上記水素透過現象が疑われる圧力伝送器11の挙動のケースとしては以下が挙げられる。
第1ケース: 設備の運転中に、圧力伝送器11の測定圧力値である指示値として、通常の指示値よりも高い値や低い値が出ているケース。通常よりも高い値の場合、高圧側に水素透過が発生し、通常よりも低い値の場合、低圧側に水素透過が発生していると考えられる。ただし、水素透過現象は時間軸上で微小な変化であり、一度に大量の水素透過が生じることは稀であり、運転中に水素透過に関する微小な変化に気づくことは難しい。
第2ケース: 定期改修時などにプラント設備を停止した場合に、例えば測定流体を蓄積するタンクを空にした場合に、圧力伝送器11の指示値がゼロにならないケース。従来では、指示値がゼロから微小なズレがある場合、ゼロ点調整(後述のゼロシフト補正)を実施してそのまま使用する場合が多い。例えば真空プロセス用の圧力伝送器の場合に、大気圧状態でガスが溶け込み、指示値がゼロ以外であるべきところゼロに戻ってしまう場合もある。
第3ケース: プラントの再稼働時に、昇温または減圧と並行して、圧力伝送器11の指示値が変化するケース。プラント設備の昇温または減圧により、ガスが膨張することで、圧力伝送器11の指示値が変化する。
上記例のように、圧力伝送器11での水素透過が疑われるケースがあるが、従来技術では、水素透過現象の把握や検知は難しい。
[水素透過のメカニズムについて]
水素透過のメカニズムについて、知られているものとしては、以下のプロセスを経て水素透過が起こる。
(a)水素分子が金属表面に吸着
(b)吸着水素分子が水素原子に解離
(c)水素原子が金属内に溶解
(d)水素原子が金属内を拡散
(e)水素原子が再結合して水素分子に戻る
(f)水素分子が属表面から脱離
[水素脆化のメカニズムについて]
一般に水素脆化のメカニズム等については判明していない。水素脆化現象について判明しているのは、腐食などの際に水素が吸収されることで水素脆化が起こることである。腐食など、金属表面に水素原子が多くなるような加工がされた場合には水素脆化が起こりやすいことが、統計的に確認されている。検知器などに水素脆化による脆性破壊が起きた場合、その破壊のパターンから、水素脆化によるものであることは、ある程度推測可能であるが、破壊に至る前に対処することが求められる。すなわち、圧力伝送器11の異常予兆を検知した時点で対処することが望ましい。
水素透過および水素脆化の現象は複雑であり、メカニズムの解明は難しいが、実施の形態1のプラント管理システムおよび方法では、水素量検知データD2を含む稼働情報D0を収集・蓄積し、機械学習を利用することで、水素透過および水素脆化の現象を、異常/異常予兆の検知として扱う。
実施の形態1のプラント管理システムは、水素透過・水素脆化現象に影響すると考えられる要因について、稼働情報D0の一部のパラメータとして収集し、また、稼働情報D0からの計算によって所定のパラメータとして生成する。そして、実施の形態1のプラント管理システムは、それらのパラメータを、圧力伝送器11の異常/異常予兆の状態の診断のためのパラメータ、言い換えると評価項目として用いる。
実施の形態1のプラント管理システムでは、検知器201の内部におけるダイアフラムの水素透過に関する状態について、水素センサ303を用いてモニタリングし、水素量を含む稼働情報D0を収集・蓄積し、水素量を含むパラメータを、診断(例えば機械学習)に用いる。実施の形態1のプラント管理システムは、水素量等の各種のパラメータ値と、圧力伝送器11の異常/異常予兆の状態(言い換えると水素透過現象に関する状態)との関係を機械学習し、学習モデル23Aを構築・訓練する。そして、実施の形態1のプラント管理システムは、実際の診断の際には、対象の測定流体および圧力伝送器11についての稼働情報D0を学習モデル23Aに入力し、学習モデル23Aによる推定の結果として、圧力伝送器11の異常/異常予兆の状態を検知する。
[圧力伝送器-外観]
図5は、圧力伝送器11の実装例の外観イメージを示す。図5の例では、圧力伝送器11は、タイプとして、隔膜置換器付き差圧伝送器である場合を説明する。ここでの隔膜はダイアフラムである。図5で、圧力伝送器11は、大別して、本体部501と、キャピラリー管503と、接液部301とを有する。図5の圧力伝送器11の検知器201は、本体部501と接液部301とがキャピラリー管503を介して接続されている構成である。
本体部501には、圧力検知部302(図3)などが内蔵されている。接液部301は、低圧側と高圧側との2つの接液部として、接液部301A,301Bを有する。接液部301Aにはシールダイアフラム701A等を有する。接液部301Bにはシールダイアフラム701B等を有する。それぞれの接液部301は、キャピラリー管503を通じて、本体部501の導入口に接続されている。圧力検知部302は、低圧側の接液部301Aからの受圧と、高圧側の接液部301Bからの受圧との差圧を検知する。
[圧力伝送器-設置例]
図6は、図5の圧力伝送器11の実装例における、プラント1のタンク600への設置例を示す。タンク600は、測定流体であるプロセス流体が蓄積されている。図示の例では、タンク600内において、下部602は高圧側のプロセス流体であり、上部601は低圧側のガスであり、差圧の基準となる。図6では、低圧側の接液部301Aが、タンク600の上部601の壁面に設置されており、高圧側の接液部301Bが、タンク600の下部602の壁面に設置されている。低圧側の接液部301Aは、低圧側のガスを受圧し、その圧力(第1圧力611)を、キャピラリー管503を通じて本体部501内の圧力検知部302に伝達する。高圧側の接液部301Bは、高圧側のプロセス流体を受圧し、その圧力(第2圧力612)を、キャピラリー管503を通じて本体部501内の圧力検知部302に伝達する。そして、圧力検知部302は、それらの第1圧力611と第2圧力612との差圧を、半導体圧力センサ(図8)によって圧力信号D11として検知する。
[圧力伝送器-接液部]
図7は、図5の圧力伝送器11の実装例における、接液部301の断面構造例を示す。(A)は実装の第1例を示し、(B)は実装の第2例を示す。
(A)で、接液部301は、フランジ700、シールダイアフラム701、封入液(言い換えると封入液空間)702などを有する。これらの構成要素は概略的に円板形状を有する。第1例では、封入液空間702は、円板中心軸で、フランジ700の背面側中心軸に設けられた接続部703と通じており、接続部703がキャピラリー管503と接続されている。
(B)で、同様に、接液部301は、フランジ700、シールダイアフラム701、封入液(言い換えると封入液空間)702などを有する。これらの構成要素は概略的に円板形状を有する。第2例では、封入液空間702は、円板の径方向の外周に設けられた接続部703と通じており、接続部703がキャピラリー管503と接続されている。
[圧力伝送器-本体部]
図8は、図5の圧力伝送器11の実装例における、本体部501の断面構造例を示す。この本体部501は、大別して本体受圧部801と増幅部802とを有する。増幅部802は、前述の処理器202などと接続されている。本体受圧部801は、前述の低圧側および高圧側のそれぞれの接液部301からのキャピラリー管503が、接続部を通じてそれぞれの導入口803(言い換えると圧力導入口)に接続されている。本体受圧部801は、導入口803に面する封入液空間804と、封入液空間804に面するダイアフラム805と、ダイアフラム805に面する封入液空間806と、低圧側および高圧側の封入液空間806に面するセンターダイアフラム807と、低圧側および高圧側の封入液空間806に面する半導体圧力センサ403とを有する。半導体圧力センサ403は、信号線を通じて増幅部802と接続されている。
[差圧伝送器]
圧力伝送器11の1つのタイプである差圧伝送器は、図8の例のように、低圧側および高圧側の2つの導入口803、対応する2枚のダイアフラム805、センターダイアフラム807、および半導体圧力センサ403を備えている。測定流体に対応したプロセス圧力(図6の低圧側および高圧側の各圧力)は、これらの2つの導入口803、封入液空間804を通じて、2枚のダイアフラム805に加えられる。それらのダイアフラム805が受けた圧力は、封入液空間806を介して、半導体圧力センサ403へ伝達される。それぞれの封入液は、圧力伝達媒体の役目をする液体である。
また、図5等のようにキャピラリー管503を有するタイプの場合、それぞれの受圧は、接液部301からキャピラリー管503および導入口803を介して本体部501内に伝達される。また、図8の構造例では、2枚のダイアフラム805と半導体圧力センサ403との間に、センターダイアフラム807を備える。このセンターダイアフラム807は、半導体圧力センサ403を過大なプロセス圧力から保護する役目を果たす。
低圧側・高圧側のそれぞれで、導入口803の封入液空間804からダイアフラム805を介して封入液空間806に圧力が伝達される。半導体圧力センサ403は、低圧側の封入液空間806の圧力と高圧側の封入液空間806の圧力との差圧を、圧力信号D11として検知する。圧力信号D11は、増幅部802へ伝送される。増幅部802は、圧力信号D11に対し、増幅や各補正などの処理を行い、その後、その圧力信号D11を電流信号として出力する。処理器202は、その圧力信号D11から圧力検知データD1を生成する。
[圧力伝送器-他の実装例]
圧力伝送器11の実装は、上記例に限らずに、各種のタイプがあり、以下に例を示す。図9~図11は、圧力伝送器11の他の実装例、他のタイプの概要を示す。
図9の例は、液面伝送器である。この液面伝送器は、本体部501の一方側(図示では左側)には、低圧側の接液部301が一体として実装されており、他方側(図示では右側)には、キャピラリー管503を介して高圧側の接液部301が設けられている。この圧力伝送器は、低圧側では、露出するシールダイアフラム901を備え、そのシールダイアフラム901で低圧側の圧力を受ける。低圧側は、例えば大気に接する。低圧側の圧力は、本体部501内の封入液空間902を介して、半導体圧力センサ403まで伝達される。高圧側では、例えばタンクの壁面に、接液部301が設置される。高圧側では、接液部301に備えるシールダイアフラム903で、高圧側の測定流体の圧力を受ける。高圧側の圧力は、封入液、キャピラリー管503を介して、本体部501内に伝達され、その圧力は、シールダイアフラム904、封入液空間905を介して、半導体圧力センサ403に伝達される。半導体圧力センサ403は、低圧側と高圧側との差圧を圧力信号D11として検知する。
図10の例は、大気圧を基準とする圧力伝送器である。大気圧を基準とする圧力伝送器は、図示のように、本体部501に、2枚のシールダイアフラム911,912を備え、センターダイアフラムは備えず、低圧側で大気圧を受け、高圧側でプロセス圧力を受ける。低圧側では、外部に通じたシールダイアフラム911が大気圧を受け、その大気圧の受圧は、封入液空間913を介して、半導体圧力センサ403に伝達される。高圧側では、導入口を通じて伝達されたプロセス圧力をシールダイアフラム912が受け、その受圧は、封入液空間914を介して、半導体圧力センサ403に伝達される。半導体圧力センサ403は、低圧側と高圧側との差圧を圧力信号D11として検知する。
図11の例は、絶対圧力伝送器である。この絶対圧力伝送器は、本体部501に、1枚のシールダイアフラム1101を備え、半導体圧力センサ403の内部には真空基準室1102を備える。この絶対圧力伝送器は、シールダイアフラム1101によってプロセス圧力を受け、その受圧は、封入液空間1103を介して、半導体圧力センサ403に伝達される。半導体圧力センサ403は、プロセス圧力と真空基準室1102の基準圧力との差を絶対圧力の圧力信号D11として検知する。
上述した各タイプの圧力伝送器11は、いずれもダイアフラムや封入液空間を備え、図4のような水素透過現象が生じ得るため、実施の形態1での診断などの処理を同様に適用可能である。
[コンピュータシステム]
図12は、実施の形態1のプラント管理システムを構成するコンピュータシステムの構成例を示す。例えば図1の診断装置2、製造管理装置3、および情報表示装置4は、それぞれ図12のようなコンピュータシステムで構成されてもよい。また、それらの装置が1つのコンピュータシステムとして統合されて構成されてもよい。
図12のコンピュータシステムは、コンピュータ1000と、コンピュータ1000に外部接続される入力装置1005および出力装置1006と、コンピュータ1000に対し通信網1020を介して接続されるクライアント端末装置1030(図1でのユーザ端末5に相当する)とを有する。事業者の管理者は、コンピュータシステムを管理する。所定のユーザU1は、入力装置1005および出力装置1006、またはクライアント端末装置1030を操作することで、コンピュータシステムの機能を利用する。
コンピュータ1000は、プロセッサ1001、メモリ1002、通信インタフェース装置1003、入出力インタフェース装置1004等を備え、それらはバス等を介して相互に接続されている。プロセッサ1001は、例えばCPU、ROM、RAM等で構成される。メモリ1002は、不揮発性記憶装置や補助記憶装置等で構成される。通信インタフェース装置1003は、通信網1020(図1での通信網9)等に対応した通信インタフェースを備える。入出力インタフェース装置1004には入力装置1005および出力装置1006が接続されている。
メモリ1002には、例えば、制御プログラム1011、設定情報1012、DB1013、画面データ1014などが格納される。制御プログラム1011は、診断装置2などの機能を実現するプログラムである。プロセッサ1001は、メモリ1002から読み出した制御プログラム1011に従った処理を実行することで、所定の機能を実行モジュールとして実現する。設定情報1012は、制御プログラム1011に関するシステム設定情報やユーザ設定情報である。DB1013は、例えば図1でのDB21A等のデータベースである。画面データ1014は、例えば図1での情報表示装置4によるGUI画面50を構成するWebページ等のデータである。
[ビジネスモデル]
図13は、図1の実施の形態1のプラント管理システムにおける、ビジネスモデルとしての構成を示す。実施の形態1のプラント管理システムは、以下に説明する3つのビジネスモデルをすべて実装した例である。
(第1ビジネスモデル)
実施の形態1のプラント管理システムは、第1ビジネスモデルとして、顧客側であるプラント1に対し、圧力伝送器11に関する水素透過モニタリングサービス1301(言い換えると稼働情報提供サービス)を提供する。事業者側の診断装置2は、顧客であるプラント1側に対し、圧力伝送器11の状態に関する稼働情報D0を可視化するGUI画面50を提供する。事業者側の診断装置2は、前述のように、プラント1の圧力伝送器11などから、稼働情報D0を収集し、DBに蓄積する。この稼働情報D0であるモニタリングデータの中には、前述の水素センサ303による水素量検知データD2や各種センサ12による検知データD2や管理情報D3を含む。診断装置2は、稼働情報D0のパラメータ値を可視化するGUI画面50を、所定のユーザU1に提供する。ユーザU1は、GUI画面50で、水素量検知データD2を含む稼働情報D0の内容をグラフ等の形式で見てわかりやすく確認できる(後述の図30)。
なお、図13では、所定のユーザU1として、事業者側のユーザU1aと、顧客側のユーザU1b(例えば保全課の作業者などの人)とがいる場合を示し、一方でも両方でもよい。事業者側のユーザU1aは、例えばユーザ端末5に表示されたGUI画面50で情報を確認し、顧客側のユーザU1bに情報を通知してもよい。顧客側のユーザU1bは、例えばユーザ端末5に表示されたGUI画面50で情報を確認し、確認の結果、監視・制御系である管理装置13に連携して情報管理や制御指示などを行ってもよい。また、顧客側のユーザU1bは、確認の結果、圧力伝送器11に対し、保守・交換などの作業を行ってもよい。
従来では、プラント1における圧力伝送器11の状態や挙動、特に水素透過に関係する状態や挙動が把握しにくかった。従来のビジネスモデルは、圧力伝送器11という物の販売である。プラント1側の保全部門は、圧力伝送器11等の設備を設置・管理し、稼働情報に基づいて、圧力伝送器11の保守、在庫計画、交換等を立案・実行する。顧客は、圧力伝送器11を交換する場合、事業者から圧力伝送器11を購入して交換する。
一方、第1ビジネスモデルでは、診断装置2によって、プラント1の圧力伝送器11の状態(水素量を含む)をモニタリングし、稼働情報D0としてサンプリングし、実績情報としてDB21Aに蓄積する。顧客側のユーザU1bは、GUI画面50で確認した稼働情報に基づいて、圧力伝送器11の保守・交換、在庫計画・管理を立案・実行できる。
事業者は、顧客に対し、第1ビジネスモデルのサービスを販売・提供する。例えば、事業者は、当該サービスを、データセンタ上の定額サービスなどの形態で提供し、顧客からサービス利用料の定期支払いを受け取る。事業者は、顧客から、圧力伝送器11の交換の依頼を受けた場合には、交換先の圧力伝送器を提案・販売する。
(第2ビジネスモデル)
実施の形態1のプラント管理システムは、第2ビジネスモデルとして、顧客側であるプラント1に対し、圧力伝送器11の異常/異常予兆の状態に関する診断サービス1302(言い換えると水素透過診断サービス)を提供する。第2ビジネスモデルは、第1ビジネスモデルに機能等が追加されたものである。事業者側の診断装置2は、前述のように、DBの稼働情報D0に基づいて、水素透過の影響を考慮した圧力伝送器11の状態を診断し、異常/異常予兆を検知する。診断装置2は、診断結果情報を可視化するGUI画面50を、所定のユーザU1(事業者側のユーザU1aや顧客側のユーザU1b)に提供する。
ユーザU1は、GUI画面50で、診断結果情報として異常/異常予兆などの状態(例えば異常測度など)を見て確認できる。また、ユーザU1は、アラートを受けとることができる。顧客側のユーザU1bは、診断結果情報やアラートに基づいて、異常/異常予兆が検知されている場合、圧力伝送器11の保守・交換などの対処を検討できる。また、診断結果情報に基づいて、診断装置2から、通信で、管理装置13に連携してもよい。例えば、異常の度合いが大きい場合には、即時にその旨を管理装置13に通知し、管理装置13が圧力伝送器11やタンクなどの設備の制御を即時に行ってもよい。
事業者は、例えば診断装置2をデータセンタ上にクラウドコンピューティングサービスとして構築する。事業者は、その診断装置2による診断サービス、言い換えると診断ツール、診断アプリケーションを、顧客に対し提供する。診断装置2は、プラント1から稼働情報D0を取得し、機械学習を含め、診断を行い、診断結果情報を可視化するGUI画面50をユーザU1に提供する。顧客側のユーザU1bは、GUI画面50で、稼働情報の閲覧とともに、診断ツールを利用でき、診断結果情報を閲覧できる。顧客は、稼働情報および診断結果情報に基づいて、圧力伝送器11の保守・交換、在庫計画・管理を立案・実行できる。
事業者は、顧客に対し、第2ビジネスモデルのサービスを販売・提供する。例えば、事業者は、データセンタ上の診断サービスの利用料を顧客から受け取る。利用量は、定期定額、または従量課金でもよい。事業者は、顧客から、圧力伝送器11の交換の依頼を受けた場合には、交換先の圧力伝送器を提案・販売する。
(第3ビジネスモデル)
実施の形態1のプラント管理システムは、第3ビジネスモデルとして、顧客側であるプラント1に対し、圧力伝送器11の保守・交換に関する保全サービス1303(言い換えると交換提案サービス)を提供する。第3ビジネスモデルは、第1および第2ビジネスモデルに機能等が追加されたものである。事業者側の製造管理装置3は、前述のように、DBの稼働情報D0および診断結果情報に基づいて、圧力伝送器11の状態を考慮した保守・交換の計画、生産・在庫計画を立案する。製造管理装置3は、立案した計画情報を可視化するGUI画面50を、所定のユーザU1(事業者側のユーザU1aや顧客側のユーザU1b)に提供する。ユーザU1は、GUI画面50で、計画情報として交換時期や交換候補圧力伝送器などを見て確認できる。顧客側のユーザU1bは、計画情報に基づいて、圧力伝送器11の保守・交換などの検討や決定、スケジュールに従った交換作業ができる。
事業者は、顧客に対し、第3ビジネスモデルのサービスを販売・提供する。事業者は、例えば製造管理装置3をデータセンタ上にクラウドコンピューティングサービスとして構築してもよい。事業者は、製造管理装置3による交換計画サービス、言い換えるとツール、アプリケーションを、顧客に対し提供する。例えば、事業者は、交換計画サービスの利用料を顧客から受け取る。利用量は、定期定額、または従量課金でもよい。事業者は、顧客から、圧力伝送器11の交換の依頼を受けた場合には、交換先の圧力伝送器を販売する。
事業者側のユーザU1aは、計画情報に基づいて、圧力伝送器11の製造計画を立ててもよいし、新製品の仕様を検討してもよい。事業者は、交換計画サービスで交換計画を立案した場合、顧客から交換の依頼を受ける前であっても、その交換計画に対応した圧力伝送器11の製造計画を立てて、事業者の製造部門に手配してもよい。これにより、製造計画の効率化ができる。
実施の形態1のプラント管理システムは、上記第3ビジネスモデルを実装した形態であるが、勿論、これに限定されず、第1ビジネスモデルのみを実装した形態や、第2ビジネスモデルのみを実装した形態も可能である。顧客は、第1~第3ビジネスモデルのうちからプラント1に応じて選択したビジネスモデルでのサービスを受けることができる。
[基本処理フロー]
図14は、実施の形態1のプラント管理システムの基本処理フローを示す。図12のコンピュータシステム(図1の診断装置2や製造管理装置3や情報表示装置4)は、図14のフローに従った処理を実行する。本フローは、ステップS1~S7を有する。
ステップS1で、診断装置2のデータ収集・蓄積部21は、プラント1の圧力伝送器11等から、所定のタイミングで、稼働情報D0を収集し、DB21Aに蓄積する。所定のタイミングは、常時でも定期でもよいし、収集する対象のパラメータごとに決められたタイミングでもよい。収集する管理情報D3は、プラント1のID、圧力伝送器11のIDや種別、測定流体種別などの情報を含んでもよい。
ステップS2で、診断装置2は、DB21Aに蓄積した稼働情報D0のデータD4に基づいて、情報表示装置4と連携して、モニタリングサービスにおける、稼働情報D0を可視化するGUI画面50を、ユーザU1に対し表示させる。ユーザU1は、ユーザ端末5から情報表示装置4にアクセスすることで、所望の時にそのGUI画面50を閲覧できる。
ステップS3で、診断装置2の学習部23は、DB21Aに蓄積されている稼働情報D0のデータD4を学習データとして用いて、稼働情報D0と圧力伝送器11の異常等の状態との関係を機械学習する。すなわち、学習部23は、学習データを用いて、学習モデル23Aを訓練する。具体的には、学習部23は、例えば、圧力検知データD1や水素量検知データD2の時系列の変動の状態と、圧力伝送器11の水素透過・水素脆化現象と対応した異常等の状態との関係を学習し、学習モデル23Aのパラメータを調整する。学習部23は、学習モデル23Aが十分な精度に達したかを確認し、達した場合には実際の推定への利用を可能とする。
ステップS4で、診断装置2の診断部22(異常予兆検知部)は、実際の診断を行う場合に、プラント1の圧力伝送器11等から取得した稼働情報D0を、訓練済みの学習モデル23A(データD5)に入力して、学習モデル23Aによる推定の結果として、圧力伝送器11の異常/異常予兆の状態を診断・検知する。診断部22は、診断結果情報のデータD6を生成し、DB21Aに格納する。
ステップS5で、診断装置2は、診断結果情報のデータD5に基づいて、情報表示装置4と連携して、診断サービスにおける、診断結果情報を可視化するGUI画面50を、ユーザU1に対し表示させる。ユーザU1は、ユーザ端末5から情報表示装置4にアクセスすることで、所望の時にそのGUI画面50を閲覧できる。診断装置2は、診断結果として異常/異常予兆の検知結果などを即時に通知すべき場合には、管理装置13や所定のアラート出力先へ通知する。
ステップS6で、診断装置2に連携する製造管理装置3は、交換判断部31によって、診断結果情報のデータD6に基づいて、圧力伝送器11の保守・交換の計画を立案して、計画情報のデータD7を生成し、自身のメモリ資源(またはDB21A)に格納する。立案は、圧力伝送器11の交換時期や、交換候補圧力伝送器の仕様などを含む。
ステップS7で、製造管理装置3は、計画情報のデータD7に基づいて、情報表示装置4と連携して、交換提案サービスにおける、計画情報を可視化するGUI画面50を、ユーザU1に対し表示させる。ユーザU1は、ユーザ端末5から情報表示装置4にアクセスすることで、所望の時にそのGUI画面50を閲覧できる。以上のようなフローが同様に繰り返される。
[診断機能]
次に、診断装置2による診断機能、言い換えると異常予兆検知機能の詳細に関して説明する。
[水素透過に関するパラメータおよび関係式]
図15は、水素透過現象に関するパラメータなどについての説明図である。以下では、水素透過メカニズムに関する診断・学習で用いるパラメータおよび関係式について説明する。
水素透過メカニズムに関して、Richardson則として、下記の関係が成立することが知られている。
式1: J=DK(√P1-√P2)・S/t
J:水素透過速度
D:拡散係数
K:溶解度係数
P1:プロセス圧力(測定流体側圧力)
P2:受圧部内部圧力(封入液側圧力)
S:ダイアフラムの面積
t:ダイアフラムの肉厚
プロセス圧力P1は、下記の式で計算できる。
式2: P1=(P1_i-1+P1_i)/2・Pb
Pb:測定流体の水素分圧
i:測定回数
受圧部内部圧力P2は、下記の式で計算できる。受圧部圧力P2は、圧力伝送器11の製造時から増加した水素透過量より内部圧力を算出することで得られる。
式3: P2=(P2_i-1+P2_i)/2
水素透過係数をΦとする。水素透過係数Φは、水素透過の度合いを表すパラメータ、指標である。水素透過係数Φは、上記Richardson則のパラメータを用いて、下記の式で表せる。
式4: Φ=DK=J・1/(√P1-√P2)・t/S
また、水素透過係数Φは、アレニウス型関係式を用いて、下記の式で表せる。
式5: Φ=Φ0・exp(-Ea/RT)
Φ0:前因子
Ea:活性化エネルギー(水素透過活性化エネルギー)
R:気体定数
T:受圧部内部温度
活性化エネルギーEaの単位として、1粒子あたりで考えると、ボルツマン定数Kbは、気体定数Rをアボガドロ定数Nで除したものである。このことから、水素透過係数Φは、下記の式で表せる。
式6: Φ=Φ0・exp(-Ea/KbT)
Kb:ボルツマン定数 (Kb=R/N=1.3806488×10-23
:アボガドロ定数 (N=6.02214076×1023/mol)
水素透過量をQ_iとする。J=Q_i/sにより、水素透過量Q_iは、下記の式で表せる。
式7: Q_i=Φ0・S/t・(√P1-√P2)・e(-Ea/KbT)・s
s: 時間 (s=s_i-s_i-1)
上記式のように、各パラメータ値に基づいて、水素透過量Q_i等を計算・測定できる。図1での診断装置2のデータ収集・蓄積部21、または診断部22は、DB21Aの収集・蓄積データのパラメータ値に基づいて、上記水素透過量Q_i等のパラメータ値を計算・測定する。この計算は、学習モデル23Aによる推定としてもよい。学習用のデータD4または診断結果情報のデータD6の中に、このような水素透過量Q_i等のパラメータ値も含まれる。
実施の形態1では、この水素透過量Q_i等のパラメータ値を、圧力伝送器11の検知器201の水素透過現象についての指標値として利用できる。診断装置2の診断部22は、この水素透過量Q_i等の指標値を用いて、例えば後述の機械学習の方法によって、圧力伝送器11の異常または異常予兆を評価・検知する。
診断部22は、水素透過量Q_iから、下記の式で、活性化エネルギーEa(Ea_i)を求める。
式8: Ea=-KbT・log(Q_i・t/(Φ0・S・(√P1-√P2)・s))
診断部22は、活性化エネルギーEaを評価する、言い換えると評価値を計算する。実施の形態1では、診断部22は、その活性化エネルギーEaの評価を、圧力伝送器11の異常予兆の検知のための評価項目の1つとする。
また、診断部22は、他の評価項目、パラメータとして、以下を用いてもよい。診断装置2は、過去の経験(実績情報)から、水素透過が発生する要因として考えられる各種パラメータについての情報を収集し、評価項目とする。詳細は後述する。
(1) ダイアフラム物性情報: 材質、厚さ、面積など。
(2) 圧力情報: プロセス圧力(P1)、および受圧部内部圧力(P2)。
(3) 温度情報: 受圧部内部温度(T1)、および周囲温度(T2)。
(4) 圧力伝送器設置環境: 測定流体に対する検知器201(特にダイアフラム)の設置の位置や方向など。
(5) 水素測定環境(水素センサ設置環境): 測定流体に対する検知器201内の水素センサ303の設置の位置など。
(6) ゼロシフト量および補正操作回数。
診断装置2は、DB21A等のメモリ資源に、上記各種のパラメータ値を格納する。診断装置2は、固定値であるパラメータ値については、ユーザの手動操作で設定してもよい。また、診断装置2は、上記各種のパラメータ値に基づいて、所定の計算式によって、所定のパラメータ値を計算してもよい。例えば、診断装置2は、稼働情報D0に基づいて、活性化エネルギー(Ea)を計算し、メモリ資源に格納する。
なお、従来技術例では、圧力伝送器11で検出された実態値(例えば水素量)を使用しているわけではなく、推測値を使用しており、これでは精度が高めにくく、水素透過現象による圧力伝送器11の状態を検知しにくい。それに対し、実施の形態1では、圧力伝送器11で検出された実態値、例えば水素センサ303による水素量などを使用して、水素透過量(Q_i)や活性化エネルギー(Ea)などを計算して、診断用のパラメータ値とするので、精度を高めやすく、水素透過現象による圧力伝送器11の状態を検知しやすい。
[機械学習]
図16は、実施の形態1のプラント管理システムの診断装置2が行う機械学習に関する説明図を示す。この機械学習は、図示の学習フェーズ(図14でのステップS3)と推定フェーズ(図14でのステップS4)とを有する。
学習フェーズでは、診断装置2の学習部23は、稼働情報D0および診断結果情報に基づいた学習データ23Bを用いて、学習モデル23Aを訓練して、パラメータを調整する。学習データ23Bは、前述の圧力検知データD1、水素量検知データD2等の各種センサ12の検知データD2、測定流体種別などを含む管理情報D3、を含む。また、学習データ23Bは、診断結果情報のデータD6を含む。学習用の診断結果情報は、特に、過去の異常/異常予兆の検知結果の実績情報を含む。また、学習データ23Bは、圧力伝送器11の仕様上の耐用年数前の破壊等の異常の実績情報を含んでもよい。実績情報は、ユーザが手動で入力・設定してもよい。
推定フェーズでは、診断装置2の診断部22は、入力データ23Cとして稼働情報D0を、訓練済みの学習モデル23Aに入力し、学習モデル23Aによる推定の結果である出力データ23Dとして、診断結果情報(データD6)を得る。この診断結果情報は、圧力伝送器11の異常/異常予兆の状態を表す情報であり、水素透過現象を要因とする異常/異常予兆の推定結果を含む。
[異常予兆診断用データ-圧力伝送器]
図1のデータ収集・蓄積部21は、プラント1から以下のような各種のパラメータ値を含む稼働情報D0を収集する。
図17は、診断装置2がプラント1の圧力伝送器11等から収集する異常予兆診断用のデータ1700の例を表形式で示す。このデータ1700は、圧力検知データD1を含む。このデータ1700の表は、列として、行番号(#)、データ名、説明、固定値/変動値、転送頻度、および用途を有する。「データ名」は言い換えるとパラメータである。「説明」は「データ名」のパラメータの説明である。「固定値/変動値」は、そのデータ名のパラメータの値が固定値か変動値かを示す。「転送頻度」は、そのデータ名のパラメータを収集・取得する際にプラント1側から診断装置2側へ転送する際の頻度、周期、タイミング等である。「用途」における値「用途A」は、測定誤差のずれ(ドリフト)の発生要因を解析する用途を示す。
このデータ1700は、パラメータとして、1.プロセス圧力(P1)、2.受圧部内部圧力(P2)、3.水素量または水素透過量(Q)、4.測定回数(i)、5.受圧部内部温度(T1)、6.ダイアフラム面積(S)、7.ダイアフラム肉厚(t)、8.ダイアフラム材質、9.ゼロシフト量(Z)、10.補正操作回数、11.水素測定環境、12.伝送器周囲温度(T2)、13.伝送器設置環境、等を有する。
1.のプロセス圧力(P1)は、図15での測定流体401側の圧力である。2.の受圧部内部圧力(P2)は、図15での封入液402側の圧力である。
3.の水素量または水素透過量(Q)は、図15での水素センサ303によって検知できる封入液402側の水素量、または、その水素量から計算できる、ダイアフラムを透過する水素透過量である。
4.の測定回数(i)は、圧力伝送器11によって圧力を測定した回数であり、利用開始からの時間や時点などと捉えてもよい。
5.の受圧部内部温度(T1)は、図15での温度センサによって検知できる封入液402内の温度である。12.の伝送器周囲温度(T2)は、図15での温度センサによって検知できる、検知器201の周囲の温度や、後述の照明条件などである。
6.のダイアフラム面積(S)は、図15でのダイアフラム400における圧力を受ける部分の面積である。7.のダイアフラム肉厚(t)は、図15でのダイアフラム400の水素透過方向の厚さである。8.のダイアフラム材質は、図15でのダイアフラム400の材質である。
9.のゼロシフト量(Z)は、後述の図27のようなゼロシフト補正の際に、圧力指示値をゼロ%値に補正する際の量である。10.の補正操作回数は、圧力伝送器11の利用開始からゼロシフト補正操作がされた回数である。
11.の水素測定環境は、図15での水素センサ303が設置される位置や距離などの情報である。13.の伝送器設置環境は、後述の図25のようなタンク等に対し圧力伝送器11の検知器201が設置される位置や方向の情報である。
1~5および12のパラメータ値は、所定の測定周期で収集される。6~8および11のパラメータ値は、例えば圧力伝送器11の電源投入時に1回収集すればよい。9,10および13のパラメータ値は、圧力伝送器11の調整作業がされた時に収集すればよい。
[異常予兆診断用データ-他システム]
図18は、診断装置2が他システム、例えば管理装置13から収集する異常予兆診断用のデータ1800の例を表形式で示す。このデータ1800は、1.「原料1種別」、2.「原料1投入量」、……、7.「原料n種別」、8.「原料n投入量」、……、11.「製造工程1開始」、12.「製造工程1終了」、……、17.「製造工程m開始」、18.「製造工程m終了」、等を有する。
1.の「原料1種別」は、プラント1での製造プロセスにおけるタンク等の設備に投入される原料として第1原料の種別であり、測定流体種別に相当する。2.「原料1投入量」は、その第1原料が投入される量である。同様に、原料が例えば原料1から原料nまである場合に、それぞれの測定流体種別と量がある。
11.の「製造工程1開始」は、プラント1での製造プロセスにおけるタンク等の設備を用いて行われる製造工程として製造工程1の開始の時刻であり、12.の「製造工程1終了」は、製造工程1の終了の時刻である。同様に、製造工程が例えば製造工程1から製造工程mまである場合に、それぞれの製造工程の時間情報がある。
1~12のパラメータ値は、所定の測定周期で収集される。また、これらのパラメータの「用途B」は、水素透過発生傾向解析の用途を示す。
[異常予兆診断方法(1)]
図19は、診断装置2による、機械学習を用いた異常予兆の診断の方法についての説明図を示す。実施の形態1では、この方法として、特に、局所部分空間法(LSC法)を用いる。図19は診断の方式の第1例である。本例では、異常検知や評価のための方法として、公知の局所部分空間法(LSC:Local Sub-space Classifier)を用いる。LSC法は、未知データ(言い換えると診断データ)のk-近傍データを用いてk-1次元のアフィン部分空間を作成し、その部分空間への投影距離(言い換えると最近点)に基づいて、異常かどうかを判定する方法である。
診断装置2は、稼働情報D0のパラメータ値として、前述(図15等)の水素量/水素透過量(Q)、プロセス圧力(P1)、受圧部内部圧力(P2)、受圧部内部温度(T1)、周囲温度(T2)、ダイアフラム物性(材質、面積、厚さ)、ゼロシフト量・補正操作回数、水素センサ設置環境、伝送器設置環境などを得る。診断部22は、これらのパラメータ値を、診断処理の入力とする。診断部22は、これらのパラメータ値のうち、少なくとも水素量(Q)を含む、選択された複数(ここではNとする)のパラメータ値を用いて、LSC法での多次元空間(N次元空間)を構成する。診断部22は、各種のパラメータ値から、評価値である活性化エネルギーEa(Ea_i)を算出する。本例では、LSC法のN次元に含まれるパラメータ値として、活性化エネルギーEaを含む。診断部22および学習部23は、これらのN次元のパラメータ値を用いて、学習モデル23Aを構築・更新する。学習部23は、圧力伝送器11の正常時に計測された稼働情報データを学習データとして用いる。
診断装置2は、実際の診断・推定時には、学習モデル23Aに入力された稼働情報D0のパラメータ値に対し、LSC法を用いて、圧力伝送器11の正常時に計測された稼働情報データから、類似データを探索・比較することで、異常/異常予兆の状態を判定する。
図19の(A)は、LSC法の概要として、N次元部分空間を示す。図示の軸(言い換えるとセンサ)A1~ANは、N次元のパラメータであり、本例ではN=5である。空間領域1901は、学習用の正常時稼働情報によるN次元のパラメータ値によって形成される空間領域を示す。局所部分空間1902は、空間領域1901のうちの局所領域の例である。データ値1903は、診断・評価対象データ値の例であり、診断時に入力された稼働情報D0のパラメータ値である。距離1904は、対象のデータ値1903と、局所部分空間1902との距離であり、言い換えると、評価指標値である。診断部22は、この距離1904を、圧力伝送器11の状態に関する評価指標値として用いる。言い換えると、診断部22は、この距離1904を、異常/異常予兆に関する度合いを表す異常測度として用いる。距離1904は、例えばマハラノビス距離として計算できる。
図19の(B)は、(A)のN次元部分空間に、N次元のパラメータとして、例えば、水素透過量(Q_i)、プロセス圧力(P1)、ゼロシフト量(Z)、周囲温度(T2)、および活性化エネルギー(Ea)の5つの評価項目値を適用した場合を示す。パラメータ値の組み合わせはこれに限定されずに可能である。診断部22は、各パラメータ値を正規化した値を、このN次元部分空間にプロットする。空間領域1911は、それら5つのパラメータ値により形成される領域(言い換えるとデータ集合)である。
学習部23は、学習データとして過去の稼働情報D0(圧力伝送器11の通常・正常の状態に対応する稼働情報D0)に基づいて、学習モデル23Aにより、診断対象のデータ値1913に対して比較するための部分空間領域1911を形成する。
診断部22は、実際の診断時には、診断対象のデータ値1913を、学習モデル23Aによる部分空間領域1911と比較し、データ値1913と局所領域1912との距離1914を算出する。そして、診断部22は、その距離1914を、異常/異常予兆の状態の推定に関する指標値(言い換えると異常測度)とする。または、診断部22は、その距離1914から、その指標値を計算する。
また、診断部22および学習部23は、学習モデル23Aにおいて、異常/異常予兆を判定するための閾値を自動的に作成・設定する。図19の(C)は、閾値の生成について示す。図示のように、診断部22は、部分空間領域1911のデータ値集合(時系列の各時点のデータ値を含む)から、閾値1921を作成する。図示の閾値1921は例えば過去のデータ値の最大値によって作成されている。
診断部22は、診断の際には、距離1914(異常測度)が閾値1921を超える場合に、異常/異常予兆として判定する。
図19の方式の場合、測定流体種別によらずに1つの学習モデル23Aで学習・診断するので、学習モデル23Aの構成や管理が複雑ではない利点がある。
[異常予兆診断方法(2)]
診断装置2による異常予兆診断の方式は、上記例に限定されない。実施の形態1の変形例として以下のような方式(装置、方法、プログラム等を含む総称)も可能である。
図20は、診断装置2による異常予兆の診断の方式の第2例を示す。本例では、診断装置2の学習部23は、測定流体種別ごとの学習モデル23Aを作成する。診断部22は、診断の際には、前述の稼働情報D0のうち、測定流体種別(図18での原料種別)、原料投入量、製造工程の開始・終了などの情報を参照し、測定流体種別に合わせた学習モデル23Aを適用する。診断装置2は、稼働情報D0に基づいて、プラント1の製造プロセスにおいて圧力伝送器11に対し測定流体種別が変化したことを把握し、その測定流体種別に応じて、適用する学習モデル23Aを切り替える。
また、本例では、図20の(A)のように、測定流体種別ごとの水素分圧(Pb)を予め設定しておく。水素分圧(Pb)は、測定流体に含まれている水素の分圧である。管理装置13からの原料種別などを含む管理情報D3のデータ(図18)を用いることで、測定流体である原料ごとに水素分圧(Pb)に対応したプロセス圧力(P1)および活性化エネルギー(Ea)が計算可能である。
図20の(B)のように、診断部22および学習部23は、測定流体種別(例えばk1,k2,……,kx)ごとの学習モデル23Aとして、例えばモデルM1~Mxを構築する。
測定流体種別ごとの学習モデル23Aは、それぞれ学習が異なるので、例えば図19と同様にLSC法を用いる場合に、それぞれの閾値1921(Th1~Thx)も異なる。それぞれの閾値1921(Th1~Thx)は、測定流体種別に対応した閾値となる。
この変形例では、診断装置2は、測定流体種別に応じて動的に学習モデル23Aを切り替えて診断する。この変形例では、測定流体種別ごとに水素透過の影響を診断でき、より好適なモデルおよび閾値を用いた、より高精度の診断が可能となる。
[異常予兆診断方法(3)]
図21は、他の変形例として、診断装置2による異常予兆の診断の方式の第3例を示す。本例では、診断対象の圧力伝送器11を備えるプラント1が複数存在する場合に、診断装置2の学習部23は、プラント1ごとの学習モデル23Aを設けることを基本とする。そのうえで、診断装置2の学習部23は、プラント1間で学習モデル23Aを流用する。
図21の例は、図20の構成に追加部分を有する。図21の学習モデル2001は、図20の(B)と同様に、例えばあるプラントAのための、測定流体種別ごとの学習モデル23Aである。学習モデル2002は、プラントAとは異なる別のプラントBのための、測定流体種別ごとの学習モデル23Aである。これらの学習モデル23Aは、学習データとして過去の実績情報を含むとする。
ここで、対象の複数のプラント1間において、圧力伝送器11による測定対象となる測定流体の種別が、少なくとも一部、同じである場合がある。この場合に、診断装置2は、同じ測定流体種別については、それらのプラント1間で、学習モデル23Aを流用することができる。例えば、プラントAとプラントBで、圧力伝送器11による測定対象の測定流体種別k1が同じ(同じ原料)であるとする。
実施の形態1の基本構成では、プラント1ごとに分けて学習モデル23Aを設ける。さらに、応用では、同じ測定流体種別については、プラント1間で学習モデルを流用する。例えば、先に、プラントAでは、診断サービスを導入し、稼働実績に基づいて学習モデル2001が構築・訓練済みであるとする。プラントBでは、まだ学習モデル23Aが構築されていないとする。この場合に、診断装置2は、プラントBの測定流体種別k1用の学習モデル23Aを構築・訓練する際に、既存のプラントAの測定流体種別k1用の学習モデル2001を、プラントBの測定流体種別k1用の学習モデル2002として流用する。
これにより、プラントBの測定流体種別k1用の学習モデル2002の構築および訓練は短縮化でき、プラントBに関する作業やコストを低減できる。図21の方式は、言い換えると、複数のプラント1のための学習モデル23Aに関して、測定流体種別ごとに1つに統合された学習モデル23A(プラント間共通学習モデル2003)として管理する方式に相当する。
[異常予兆診断方法(4)]
図22は、他の変形例として、診断装置2による異常予兆の診断の方式の第4例を示す。この変形例では、測定流体種別が類似する場合に、同じ学習モデルを流用する。図22の例では、1つのプラントAを考えている。プラントAにおいて、圧力伝送器11による測定対象となる測定流体の種別として、測定流体種別k1,k2,k3,……,kxがあるとする。ここで、例えば測定流体種別k1,k2,k3は、原料A,A’,A’’に対応し、流体の組成などの観点で、類似する測定流体種別であるとする。
診断装置2は、基本構成としては、プラントAのための学習モデル2101として、測定流体種別(k1~kx)ごとに、学習モデル(M1~Mx)を用意する。さらに、応用として、類似する測定流体種別(原料)については、同じ学習モデルを流用することができる。
診断装置2は、例えば、先に、測定流体種別k1の学習モデルM1が構築・訓練済みである場合に、新規の測定流体種別k2,k3に対し、学習モデルM1を流用する。これにより、測定流体種別k2,k3用の学習モデルの構築および訓練は短縮化でき、作業やコストを低減できる。図22の方式は、言い換えると、類似する複数の測定流体種別のための学習モデル23Aに関して、1つに統合された学習モデル23A(類似測定流体種別共通学習モデル2103)を管理する方式に相当する。
上記類似する測定流体種別ごとに共通の学習モデルとする方法は、さらにプラント1間でも同様に適用できる。
[パラメータ(1)-水素量]
次に、上記診断の際に用いる各パラメータの詳細について説明する。実施の形態1では、診断および学習用のパラメータとして、少なくとも水素量(Q)および前述の活性化エネルギー(Ea)を用いる。また、実施の形態1では、時系列データであるパラメータとして、圧力検知データD1に基づいたプロセス圧力(P1)と、水素センサ303による水素量検知データD2の水素量に基づいて計算された水素透過量(Q_i)を用いる。概略的には、各時点間の水素量の差分が、時点ごとの水素透過量(Q_i)と対応する。
実施の形態1のプラント管理システムおよび方法は、さらに、以下に示すパラメータを組み合わせて用いてもよい。
[パラメータ(2)-圧力]
診断用のパラメータとしてプロセス圧力(P1)および受圧部内部圧力(P2)についての説明は前述の図15等の通りである。プロセス圧力(P1)は、測定流体の圧力を表す時系列データであり、圧力伝送器11による圧力検知データD1に基づいて得られる。受圧部内部圧力(P2)は、受圧部(検知器201)の内部(すなわち封入液空間)の圧力を表す時系列データであり、前述の水素透過量計算によって得られる。これらに関連して、前述の活性化エネルギー(Ea)も計算で得られる。
[パラメータ(3)-ダイアフラム物性]
図23は、パラメータとしてダイアフラム物性値についての説明図を示す。(a)は、ある仕様(仕様1とする)の圧力伝送器11における、接液部301の断面構造例を示す。この接液部301は、ダイアフラム2301を有する。ダイアフラム2301の円板において、図示のように、材質、厚さ(t)、面積(S)などを有する。ダイアフラムの材質は、例えばSUS、金、水素吸蔵合金などが挙げられる。仕様1でのダイアフラム2301の材質はSUSである。なお、ダイアフラムが例えば複数層の複数材質から成る場合には、各層の材質をパラメータとしてもよい。
(b)は、他の仕様(仕様2とする)の圧力伝送器11における、接液部301の断面構造例を示す。この接液部301は、ダイアフラム2302、および金メッキ2312を有する。ダイアフラム2302は、封入液に面する側に、金メッキ2312が形成されている。(a)と同様に、(b)のダイアフラム2302は、各物性値を有する。また、パラメータの1つとして、金メッキ2312の物性値を扱ってもよい。
(c)は、他の仕様(仕様3とする)の圧力伝送器11における、接液部301の断面構造例を示す。この接液部301は、ダイアフラム2303、金メッキ2313、および水素吸蔵合金2323を有する。ダイアフラム2303は、封入液に面する側に、金メッキ2313が形成されている。さらに、封入液空間においてダイアフラム2303および金メッキ2313とは反対側の面に、水素吸蔵合金2323が形成されている。(a)と同様に、(c)のダイアフラム2303は、各物性値を有する。また、パラメータの1つとして、水素吸蔵合金2323の物性値を扱ってもよい。
上記例のように、ダイアフラムを含む検知器201の構造・仕様に応じて、ダイアフラム物性情報を有し、これらのパラメータを用いて学習・診断(例えば図19)が可能である。これにより、ダイアフラムを水素が透過する現象を考慮した異常予兆の検知が可能である。本システムは、これらのパラメータを用いたモデルで学習・推定を行うことで、水素透過の影響による圧力指示値の測定誤差(ドリフト)についての発生要因の解析が可能である。
[パラメータ(4)-温度]
図24は、パラメータとして受圧部内部温度(T1)および周囲温度(T2)についての説明図を示す。図24の(A)は、例えば図7の(B)や図8のような構成の圧力伝送器11の場合に、検知器201の内部に、受圧部内部温度(T1)を測定するための温度センサを設置する例を示す。例えば、接液部301の封入液空間702内に、温度センサTS1が設置される。温度センサTS1は、測定流体を受圧するダイアフラム701からの距離d1を有する。他の設置例として、封入液空間702内に、温度センサTS2が設置される。温度センサTS2は、ダイアフラム701からの距離d2を有する。
また、他の設置例として、温度センサTS3は、封入液空間702内において、キャピラリー管503に接続される出口の付近に設置されている。また、他の例として、温度センサTS4は、キャピラリー管503の途中に設置されている。また、他の例として、温度センサTS5は、本体部501の内部の封入液空間806内に設置されている。上記例に限らず、所望の位置に温度センサが設置される。また、封入液空間内に限らず、検知器201を構成する筐体などの外側に接して温度センサが設置されてもよい。
図示のように、圧力伝送器11に応じて、温度センサの位置を規定できる。1つの圧力伝送器11に複数の温度センサが設置されてもよい。温度センサの位置に応じて、検知できる温度が異なる可能性がある。例えば接液部301のダイアフラム701を透過した水素による温度影響について未知である。そのため、これらの温度センサ設置位置および受圧部内部温度(T1)等をパラメータとして用いて学習・診断(例えば図19)が可能である。これにより、水素透過現象に関する、封入液空間内温度等を考慮した診断が可能である。
また、図24の(B)は、検知器201の接液部301の外に、周囲温度(T2)を測定するための温度センサを設置する例を示す。(B)の例では、タンク600の上部に接液部301Aが配置され、下部の測定流体を受ける側に接液部301Bが配置されている。また、それぞれの接液部301は、腐食防止や遮光などの目的で、カバー2401で覆うように設置されてもよい。カバー2401の有無は選択可能である。そして、(B)の例では、それぞれの接液部301やカバー2401の外に、周囲温度(T2)を測定するための温度センサ2400が配置されている。温度センサ2400は、カバー2401の内に設けられてもよい。
図示のように、タンク600や圧力伝送器11の設置環境に応じて、太陽光などの外光などによるエネルギーが検知器201に照射される場合やその照射の度合いの違いがある。例えば、図示の例では、上部の接液部301Aは日向にあり、下部の接液部301Bは日陰にある。そのような周囲環境の違いから、それぞれの接液部301(封入液空間を含む)の温度影響も異なる。そのため、温度センサ2400によって、接液部301の周囲温度(T2)を測定し、周囲温度(T2)のパラメータを用いて学習・診断(例えば図19)が可能である。これにより、水素透過現象に関する周囲温度を考慮した診断が可能である。診断部22は、周囲温度(T2)のみならず、カバー2401の有無や照明条件などの情報をパラメータとして用いてもよい。本システムは、これらのパラメータを用いたモデルで学習・推定を行うことで、水素透過の影響による圧力指示値の測定誤差(ドリフト)についての発生要因の解析が可能である。
[パラメータ(5)-圧力伝送器設置環境]
図25は、パラメータとして圧力伝送器設置環境についての説明図を示す。図25では、図7の(B)や図8のような構成の圧力伝送器11の場合に、タンク600の壁面に対し、検知器201の接液部301を設置する際の位置および方向の例を示している。本システムは、パラメータとして、検知器201の本体部501または接液部301の設置位置や方向(例えば縦、横、右斜め等)を表す情報を用いる。なお、図示の空間座標系で、Z軸は鉛直方向、X,Y軸は水平方向である。
(a)は、接液部301を、Z軸方向に延在する壁面において、低圧側に対応する上部の第1位置に設置する例である。また、接液部301の円板の中心軸の方向を基準とした場合に、接液部301の設置方向は、X軸方向(横向き)とする場合である。また、接液部301がカバー2401によって覆われており、カバー有りの場合である。
(b)は、接液部301を、Z軸方向に延在する壁面において、高圧側の測定流体に対応する下部の第2位置に設置する例である。また、接液部301の設置方向は、X軸方向である。また、接液部301がカバー2401によって覆われておらず、カバー無しの場合である。
(c)は、接液部301を、Z軸方向に延在する壁面において、高圧側の測定流体に対応する下部における第3位置に設置する例である。また、接液部301の設置方向は、X軸およびZ軸に対し斜め方向である。また、カバー無しの場合である。
(d)は、接液部301を、X軸方向に延在するタンク600の底面の壁面において、第4位置に設置する例である。また、接液部301の設置方向は、Z軸方向(縦向き)である。また、カバー無しの場合である。
図示のように、タンク600や圧力伝送器11の設置環境に応じて、接液部301の位置や方向は様々にあり得る。これらの違いに応じて、例えば接液部301のダイアフラムおよび封入液空間における水素透過の影響が異なる可能性が考えられる。そのため、これらの圧力伝送器設置位置等の情報をパラメータとして用いて学習・診断(例えば図19)が可能である。これにより、水素透過現象に関する圧力伝送器設置位置等を考慮した診断が可能である。本システムは、これらのパラメータを用いたモデルで学習・推定を行うことで、水素透過の影響による圧力指示値の測定誤差(ドリフト)についての発生要因の解析が可能である。
[パラメータ(6)-水素センサ設置環境]
図26は、パラメータとして水素センサ設置環境についての説明図を示す。本システムは、パラメータとして、検知器201内における水素センサ303の設置位置を用いる。このパラメータは、例えば水素センサ303からダイアフラム面までの距離や、ダイアフラム面からみた水素センサ303の位置(例えば中央、側面など)を表す情報である。図26は、図24と類似の図面であるが、概念が異なる。
図26は、例えば図7の(B)や図8のような構成の圧力伝送器11の場合に、検知器201の内部に、水素量(Q)を測定するための水素センサ303を設置する例を示す。例えば、接液部301の封入液空間702内に、水素センサHS1が設置される。水素センサHS1は、測定流体を受圧するダイアフラム701からの距離e1を有し、ダイアフラム701の面、径方向に対し、中央に有する。他の設置例として、封入液空間702内に、水素センサHS2が設置される。水素センサHS2は、ダイアフラム701からの距離e2を有し、ダイアフラム701の面、径方向に対し、外周付近に有する。
また、他の設置例として、水素センサHS3は、封入液空間702内において、キャピラリー管503に接続される出口の付近に設置されており、ダイアフラム701からの距離e3を有する。また、他の例として、水素センサHS4は、キャピラリー管503の途中に設置されている。また、他の例として、水素センサHS5は、本体部501の内部の封入液空間806内に設置されている。上記例に限らず、所望の位置に水素センサ303が設置される。
図示のように、圧力伝送器11に応じて、水素センサ303の位置を規定できる。1つの圧力伝送器11に複数の水素センサ303が設置されてもよい。水素センサ303の位置に応じて、検知できる水素量(Q)が異なる可能性がある。例えば接液部301のダイアフラム701を透過した水素が、封入液空間内をどこまで移行するかについて未知である。そのため、本システムは、これらの水素センサ設置位置および水素量(Q)等をパラメータとして用いたモデルで学習・推定(例えば図19)を行う。
これにより、水素透過現象に関する水素センサ設置位置等を考慮した診断が可能であり、水素透過の影響による圧力指示値の測定誤差(ドリフト)についての発生要因の解析が可能である。上記例のように、接液部301に限らず、キャピラリー管503や本体部501内に水素センサ303を設置してもよい。その場合、接液部301からキャピラリー管503を介して本体部501に圧力が伝達される場合の、水素透過の影響の分析、封入液空間内の水素の移行に関する解析も可能である。
[パラメータ(7)-ゼロシフト量・補正操作回数]
図27は、圧力伝送器11の圧力指示値と実際の圧力値との誤差や、ゼロシフト補正などについての説明図を示す。例えば前述の図5の圧力伝送器11について図6のような設置例を考える。圧力伝送器11の指示値である圧力測定値は、水素透過の影響によって、測定流体の実際の圧力値を表していない場合があり、測定誤差を生じ得る。
図27の(A)は、圧力伝送器11の本体部501の表示器204(図3)において圧力指示値が表示されること、および、操作器205において保守作業者等のユーザがゼロシフト補正等の操作が可能であることを示している。
図27の(B)は、圧力伝送器11の検知器201において水素透過が生じていない、または水素透過の度合いが小さい正常の状態、言い換えると測定誤差が無い場合を示す。
図27の(C)は、圧力伝送器11の検知器201において水素透過が生じている、または水素透過の度合いが大きい状態、言い換えると測定誤差が有る場合を示す。
(B)の場合では、例えば圧力伝送器11をオフライン状態(プロセス圧力を受けない状態)とした場合、圧力指示値は、ゼロ%値を示す。それに対し、(C)の場合では、例えば圧力伝送器11をオフライン状態(プロセス圧力を受けない状態)とした場合、圧力指示値は、ゼロ%値からずれた値(ドリフト量)を示す。この誤差は、水素透過の影響による内圧の増加と対応している。オンライン時には、圧力指示値は、そのような誤差が反映された値となっており、指示値自体からは誤差はわからない。このような場合、ユーザは、操作器205を用いて、オフライン時の圧力指示値をゼロ%値に戻すようにゼロシフト補正操作を行うことができる。
圧力伝送器11は、圧力指示値のゼロ%値(ゼロ点)を設定する機能を有するとともに、そのゼロ点を補正するゼロシフト補正機能を備えている。圧力伝送器11の本体部501に備える表示器204や操作器205、あるいは圧力伝送器11に通信で接続される外部端末などのユーザ・インタフェースを用いることで、保守作業者などのユーザは、圧力伝送器11のゼロ点の設定ができる。ゼロ点に関して、正常状態でのゼロ点からの誤差(ドリフトとも記載)が発生した場合、ユーザは、ゼロシフト補正機能を用いて、ゼロ点を補正、言い換えると再設定する操作ができる。補正の処理は、圧力伝送器11の本体(図3の処理器202)のデジタル処理で行われる。
圧力伝送器11の本体、または本体に接続される外部機器、または管理装置13は、ゼロシフト補正操作がされた場合の日時や回数やゼロシフト量などのデータ・情報を、履歴情報としてメモリ資源に保持する。診断装置2は、圧力伝送器11等からそのような履歴情報を収集してもよい。なお、表示器204や操作器205は、本体部501に備える形態に限らず、本体部501に対し外部接続される機器(例えば保守用PC)を用いてもよい。
診断用のパラメータとしてゼロシフト量および補正操作回数についての概要は図27の通りである。ユーザによるゼロシフト補正では、検知器201内の測定流体側の任意の圧力値を、圧力伝送器11の出力の指示値のゼロ%値(ゼロ点とも呼ばれる)に設定(言い換えると再設定、補正等)する。測定流体側にとってゼロ%であるはずの時点で、圧力伝送器11の出力の指示値のゼロ点がゼロ%値から変化している場合、ゼロ点を変化(シフト)させた出力量を、ゼロシフト量と呼ぶ。言い換えると、ゼロシフト量は、ゼロシフト補正の際に、誤差がある状態でのゼロ点から誤差が無い状態でのゼロ点に補正した場合のそれらの差分である。
パラメータとしての補正操作回数は、履歴情報に基づいて、圧力伝送器11でのゼロシフト補正操作を、すなわちゼロ%出力値を設定する等の操作を、利用開始から現在までに何回行ったかといった情報である。
本システムは、これらのゼロシフト量などのパラメータを用いたモデルで学習・推定を行うことで、水素透過の影響による圧力指示値の測定誤差(ドリフト)についての発生要因の解析が可能である。
[交換計画機能]
図1の製造管理装置3による交換計画機能(言い換えるとスケジューラ機能)に関して説明する。図1の製造管理装置3は、プラント1の圧力伝送器11の保守・交換や製造の計画に関する生産計画スケジューラとしてのアプリケーション・機能を備えている。製造管理装置3は、圧力伝送器11の保守・交換計画およびそれに対応する製造計画を立案およびデータ管理する。製造管理装置3は、プラント1の製造プロセス、圧力伝送器11の特性や水素透過の状態を考慮した、好適な交換計画を、高速に立案する。これにより、顧客であるプラント1側の計画作業の負荷を低減するとともに、事業者側の圧力伝送器製品の製造を効率化し、生産効率を向上する。
製造管理装置3の交換判断部31は、診断装置2からの診断結果情報のデータD6に基づいて、圧力伝送器11の異常予兆の状態の診断結果を考慮し、圧力伝送器11の交換要否を判断し、交換候補圧力伝送器の仕様、交換時期などを立案、スケジューリングを行う。製造管理装置3は、圧力伝送器11の状態に応じて、好適な交換時期、および交換候補圧力伝送器を提案するように、交換提案情報を生成する。製造管理装置3は、交換計画機能に関して、交換提案情報を表示する簡単で使いやすいGUI画面50を提供する。
製造管理装置3の交換判断部31は、例えば、水素透過量の変動に応じた異常予兆が検知された場合に、圧力伝送器11の状態が、製品の耐用年数前の破壊などの異常に至る前における交換を可能とするように、交換時期を立案する。交換判断部31は、交換時期とともに、交換先の候補となる圧力伝送器の仕様などを立案する。そして、製造管理装置3は、生成した交換提案情報を可視化するGUI画面50を表示させる。
実施の形態1では、生成する交換提案情報は、交換時期と交換候補圧力伝送器の仕様とを含むものとするが、これに限定されず、例えば、圧力伝送器11の保守点検作業のための計画情報を生成するものとしてもよい。例えば、異常予兆に関する異常測度に応じて、保守点検作業の頻度を大小に調整することが挙げられる。
[交換計画立案]
製造管理装置3による交換計画立案の処理ロジック例を以下に示す。
(1)まず、単純な例として、以下の第1処理ロジックを適用してもよい。予め、本システムの製造管理装置3に、圧力伝送器11の交換時期については、異常予兆検知時から例えば1か月後などの所定の期間として設定しておく。例えば、ある圧力伝送器11についての異常予兆が検知された場合、製造管理装置3は、その検知の時点から1か月後を交換時期として提案する。また、製造管理装置3は、交換候補圧力伝送器の仕様としては、その検知された圧力伝送器11の仕様と同じものを提案する。
(2)つぎに、より高度な例として、以下の第2処理ロジックを適用してもよい。予め、製造管理装置3に、過去の実績情報や製品の仕様情報に基づいて、交換候補となる圧力伝送器についての交換準備期間および交換作業期間を設定しておく。交換準備期間は、例えば手配手続き期間と納入期間との和として算出できる。
製造管理装置3は、診断装置2から、ある圧力伝送器11の異常/異常予兆を検知した旨の情報を受信すると、その時点から、上記交換準備期間および交換作業期間の設定値を用いて、対象の圧力伝送器11の保守・交換計画情報(後述のガントチャート)上に、交換準備期間および交換作業期間の工程を展開する。
また、製造管理装置3は、このガントチャート上に交換計画情報として交換の工程を展開する際には、プラント1の設備の稼働や休止の状況、交換作業者の人員・スキル情報、交換元圧力伝送器の数量、交換先圧力伝送器の数量、交換先圧力伝送器の入荷・製造状況、作業優先度などの、スケジュール調整用情報を考慮して、工程を自動的に生成する。
また、製造管理装置3は、交換先圧力伝送器の入荷・製造状況や、交換作業者の確保状況などの、任意の要因に応じて、対象の圧力伝送器11の交換計画を変更することも可能である。製造管理装置3は、交換計画を変更する際には、上記スケジュール調整用情報に従い、要因に対応した条件にあった工程となるように自動調整する。
製造管理装置3は、交換作業者や管理者などのユーザU1に対し、交換提案を含む交換計画情報(言い換えると交換作業の工程が展開されたこと)を、GUI画面50、またはメールやアラームなどによって報せる。ユーザU1は、それを受けて交換計画情報を確認し、交換提案を受け入れて交換作業を行うべきか等を判断し、行う場合には交換作業のスケジュール等を把握する。交換作業者は、GUI画面50のガントチャート上に展開された工程のスケジュールに従って、圧力伝送器11の交換作業を実施する。
(3)さらに、以下の第3処理ロジックを適用してもよい。第3処理ロジックでは、コンピュータが、圧力伝送器11の寿命などを推定計算する。
図28は、製造管理装置3の交換判断部31による交換計画立案の第3処理ロジックに対応した処理フロー例を示す。本フローは、ステップS301~S305を有する。
ステップS301で、製造管理装置3は、過去の実績情報、および診断結果情報による圧力伝送器11の異常/異常予兆の度合いの情報、例えば前述(図19)の距離1904に対応した異常測度に基づいて、このまま交換などの対策をしない場合に圧力伝送器11が破壊などの異常に至るまでの時間を推定計算する。
これに限らず、製造管理装置3は、推定する他の時間として、圧力伝送器11としての性能が所定の率以下などに低下するまでの時間を推定計算してもよい。
ステップS302で、製造管理装置3は、上記推定時間に基づいて、異常に至るよりも前にその圧力伝送器11の交換が可能なように、好適な交換時期を算出する。
また、ステップS303で、製造管理装置3は、上記圧力伝送器11の異常/異常予兆の度合いの情報(例えば異常測度)、または、上記推定時間に基づいて、交換候補となる、好適または最適な仕様の圧力伝送器を1つ以上、選定する。
ステップS304で、製造管理装置3は、上記算出した交換時期と、上記選定した交換候補圧力伝送器とを含む、交換提案情報を生成する。製造管理装置3は、情報表示装置4と連携して、その交換提案情報を含むGUI画面50をユーザU1に対し表示させる。
また、製造管理装置3は、上記交換候補圧力伝送器の選定とともに、プラント1側の顧客に対し、交換および購入に必要なコストなども算定して、併せて提示してもよい。
ステップS305で、ユーザU1は、上記画面で交換提案情報を確認し、交換の提案を了承するか、変更するか等を判断し操作する。ユーザU1は、変更の場合、他の交換候補圧力伝送器から交換先を選択してもよい。
交換候補圧力伝送器の仕様は、予め決められた複数の仕様から選択するものとしてもよいが、変形例としては、以下としてもよい。すなわち、製造管理装置3は、現在時点では未製造である圧力伝送器の仕様を、新規の仕様として生成してもよい。製造管理装置3は、例えば既存の圧力伝送器11の仕様のパラメータ値(一例としてダイアフラム物性)を可変することで、新規の仕様を生成してもよい。生成された新規の仕様は、今後の新規の圧力伝送器の製造のために利用できる。新規の仕様は、プラント1側に提案することは必須ではなく、事業者側のみで開発・製造に利用するものとしてもよい。この変形例によれば、水素透過を考慮した新規の圧力伝送器の仕様を生成可能となる。
異常予兆の度合いに応じて異なる交換提案の例は以下である。製造管理装置3は、例えば、異常測度が第1レベルである場合に、交換時期を3か月後とし、仕様Aの圧力伝送器を交換候補として提案する。製造管理装置3は、例えば、異常測度が第1レベルよりも大きい第2レベルである場合に、交換時期を1か月後とし、仕様Bの圧力伝送器を交換候補として提案する。製造管理装置3は、例えば、異常測度が第2レベルよりも大きい第3レベルである場合に、交換時期を即時とし、仕様Cの圧力伝送器を交換候補として提案する。
上記のように、交換計画機能では、圧力伝送器11の状態に応じて、圧力伝送器11の耐用年数前の破壊などの異常に至る前に、適した交換時期および交換候補圧力伝送器を提案する。交換提案情報は、交換候補圧力伝送器の仕様とそれに関する予備品の情報を含む。交換提案情報は、圧力伝送器11の交換すべき部位(例えば接液部301のみでもよい)の提案を含んでもよい。
[交換提案の例]
図29は、圧力伝送器11に関する交換提案の例を示す。対象の交換元の圧力伝送器11が例えば図5~図8のような隔膜置換器付き差圧伝送器であるとする。本例では、特に、接液部301に関して交換を検討する場合を示す。交換元の圧力伝送器11の接液部301は、例えば前述の図23の(a)のような仕様1であるとする。この接液部301について、診断の結果、異常予兆が検知されたとする。製造管理装置3は、交換先となる交換候補圧力伝送器の接液部301として、例えば、図示の(a)~(c)ように、3つの仕様を提案する。3つの仕様は図23と同様である。(a)の交換候補1および仕様1は、交換元の仕様1と同じタイプ・仕様の新品である。(b)の交換候補2および仕様2は、仕様1に対し、ダイアフラムに金メッキが付加された仕様の新品である。(c)の交換候補3および仕様3は、仕様2に対し、さらに水素吸蔵合金が付加された仕様の新品である。
仕様2の場合は、金メッキ付きダイアフラムによって水素透過を抑制・防止する効果が見込める。仕様3の場合は、さらに、金メッキ付きダイアフラムを水素が透過した場合に、水素吸蔵合金によって水素を吸収し、水素のガス化を抑制・防止する効果が見込める。
製造管理装置3は、このように、交換元の圧力伝送器の状態に応じて、性能などが異なる交換候補圧力伝送器の仕様を1つ以上提案する。製造管理装置3は、交換候補ごとに、仕様および交換時期と共に、コストなどの情報も併せて提示してもよい。複数の交換候補が提示された場合、ユーザU1は、顧客であるプラント1側の都合や判断に応じて、採用する1つを選択できる。
[画面例(1)-稼働情報モニタリング情報]
図30は、第1画面例を示す。図30のGUI画面は、稼働情報モニタリング情報を表示する。診断装置2は、稼働情報D0のモニタリングに基づいた、水量量などの所定のパラメータの時系列データをグラフにし、GUIとともに本画面に表示する。本画面は、情報欄3001、圧力測定値グラフ3002、水素量グラフ3003を有する。情報欄3001には、例えば、プラント1の情報、圧力伝送器11の情報、測定流体種別の情報などが表示され、ユーザU1がそれらを選択可能である。圧力測定値グラフ3002には、圧力検知データD1に基づいた圧力測定値のグラフが表示される。また、ユーザU1は、対象期間を選択可能である。水素量グラフ3003には、水素量検知データD2に基づいた水素量のグラフが表示される。また、ユーザU1は、対象期間を選択可能である。ユーザU1は、これらのグラフを見てパラメータ値の大小や変動を確認できる。例えば、水素量が増加している場合には、水素透過の影響を考えることができる。これに限らず、本画面では、ユーザU1が選択したパラメータ値を表示可能である。
[画面例(2)-診断結果情報]
図31は、第2画面例を示す。図31のGUI画面は、診断結果情報として異常予兆検知結果情報等を表示する。診断装置2は、診断結果情報に基づいた、異常予兆グラフなどを作成し、GUIとともに本画面に表示する。本画面は、異常予兆グラフ3101、異常予兆検知リスト3102、影響センサリスト3103を有する。異常予兆グラフ3101は、診断結果に基づいた異常・異常予兆を時系列で可視化する2次元のグラフである。このグラフは、横軸が異常予兆を捉えた時間、縦軸が異常度合いを表す異常測度である。また、ユーザU1は、対象期間を選択可能である。また、このグラフは、異常測度の他に、異常/異常予兆に関する異常測度の閾値や異常検知区間を表示できる。異常検知区間は、異常測度が閾値を超えた期間である。ユーザU1は、閾値や異常検知区間の表示有無を選択できる。
異常検知リスト3102は、異常予兆を検知している時間帯(異常検知区間)と異常レベルを時間帯別に表示する。異常レベルは、異常測度をいくつかのレベルに区分したものである。この異常検知リスト3102の表では、列項目として、時間帯別の番号(#)、異常レベル、検知開始日時、検知終了日時、および、最も影響度の高いセンサ、等を有する。異常レベルは、本例では数字で示しているが、色の違いとしても規定される。「最も影響度の高いセンサ」は、当該行の時間帯に検知されている異常/異常予兆に関して、最も影響度合いが高いと推定されるセンサ(図1でのセンサ12のいずれか)を示す。
影響センサリスト3103は、モニタリング対象の全体、またはユーザU1が選択した期間における、異常/異常予兆の状態に関する、影響度合いが高いと推定される順序で、センサ(図1でのセンサ12)のランキングの情報を表示する。この影響センサリスト3103の表は、センサ名と影響度を有する。
ユーザU1は、上記異常検知リスト3102および影響センサリスト3103を見て確認することで、検知された異常予兆に対し、どのセンサ(そのセンサに対応するパラメータ)が影響しているのかを、わかりやすく把握できる。上記画面例では「センサ」の表示としたが、センサに対応付けられたパラメータ(例えば温度等)の表示としてもよい。
[画面例(3)-計画情報]
図32は、第3画面例を示す。図32のGUI画面は、計画情報に基づいた交換提案情報等を表示する。製造管理装置3は、計画果情報に基づいた、交換提案情報などを作成し、GUIとともに本画面に表示する。
図32の画面は、設備(特に圧力伝送器11)ごとのガントチャート3201、交換計画情報3202を有する。ガントチャート3201は、設備コード、設備名、およびスケジュール情報を有する。このガントチャート3201では、圧力伝送器11などの設備ごとに、稼働、保守点検、交換などの作業や状態を表す情報が表示される。ユーザU1は、このガントチャート3201上で、マウス操作等のGUI操作によって、圧力伝送器11などの設備ごとに、稼働、保守点検、交換などの時間を確認し、必要に応じて変更できる。本画面例に限らず、ガントチャート3201では、例えば、圧力伝送器11と対応付けられた製造プロセスや測定流体を表示してもよい。
交換計画情報3202は、対象(言い換えると交換元)の圧力伝送器11の情報、交換先(言い換えると交換候補)の圧力伝送器11の情報、交換時期の情報、および交換時期を含むスケジュール情報を有する。交換先の圧力伝送器11の情報は、本システムの製造管理装置3がユーザU1に対し提案する交換候補圧力伝送器の仕様などの情報が表示される。ユーザU1は、詳細ボタンの操作で詳細な仕様などを確認できる。ユーザU1は、提案された交換候補圧力伝送器から変更したい場合には、変更ボタンの操作で変更できる。交換時期の情報は、本システムの製造管理装置3がユーザU1に対し提案する交換時期の情報が表示される。ユーザU1は、提案された交換時期から変更したい場合には、変更ボタンの操作で変更できる。下部のスケジュール情報では、例えば圧力伝送器C1を圧力伝送器C1bに交換する場合のスケジュールが表示されており、交換時期が2023年1月の場合である。
製造管理装置3は、プラント1側の管理装置13(プラント制御・管理システム)とシームレスに連携してもよい。連携により、プラント1側は、製造管理装置3側からの計画情報に従った工程進捗などを容易に把握できる。また、プラント1側の都合等に応じて、計画の変更などがある場合には、ユーザU1は、本システムの製造管理装置3に対し、再計画のスケジューリングの依頼を行うことができる。これにより、製造管理装置3は、既存の計画情報を再度スケジューリングして更新し、更新された計画情報を提供する。プラント1側は、更新された計画情報に従った工程進捗などを容易に把握できる。
また、上記画面例は、プラント1側が圧力伝送器11の保守・交換の計画を把握しやすいように情報を提供する例であるが、これに限らず、プラント1側の計画と対応させて、事業者側が圧力伝送器11の製造などの計画を把握しやすいように情報を提供するものとしてもよい。
[効果等]
以上説明したように、実施の形態1のプラント管理システムおよび方法によれば、圧力伝送器11などの設備における水素透過および水素脆化に関係する異常または異常予兆などの状態を好適に検知・診断でき、設備の保守・管理に関する工数やコストの低減を実現できる。診断機能(異常予兆検知機能)によれば、圧力伝送器11の異常予兆を検知でき、設備の突発的な異常を回避し、プラント1の安定稼働に寄与できる。交換提案機能によれば、圧力伝送器11の好適な交換を提案でき、交換により突発的な異常の発生を予防できるとともに、プラント1側の管理が容易になり、人員不足への対処や、保守・交換作業のコストを低減できる。
<変形例>
実施の形態1で、対象とした圧力伝送器11は、実装上、詳しくは様々な型式があり、圧力測定に関するタイプや詳細構造が異なる。どの型式でも、図4のような検知器201の基本構成や水素透過に関する原理は共通である。そのため、実施の形態1では、診断の際には、圧力伝送器11の型式に依らずに、同じ学習モデルを適用する場合(図19)を説明した。これに限定されず、実施の形態1の変形例としては、さらに、圧力伝送器11の型式やタイプ(例えば図8~図11)の違いを考慮し、型式やタイプごとに異なる学習モデルを適用するようにしてもよい。診断装置2は、例えば管理情報D3の一部として圧力伝送器11の型式やタイプなどの情報(言い換えると圧力伝送器種別)を参照し、その型式やタイプに応じて異なる学習モデルを学習・推定に適用する。この変形例の場合には、圧力伝送器11の型式やタイプに応じて水素透過の作用に違いが生じる場合の解析も可能となる。
以上、本開示の実施の形態について具体的に説明したが、前述の実施の形態に限定されず、要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。各実施の形態は、必須構成要素を除き、構成要素の追加・削除・置換などが可能である。特に限定しない場合、各構成要素は、単数でも複数でもよい。各実施の形態や変形例を組み合わせた形態も可能である。
(付記)
一実施の形態のプラント管理システムは、以下でもよい。プラント管理システムにおけるコンピュータシステムは、稼働情報に基づいた学習データを用いて、稼働情報と圧力伝送器の異常等の状態との関係に関する機械学習を行って、学習モデルを訓練し、診断の際には、稼働情報を学習モデルに入力して、学習モデルによる推定の結果として、圧力伝送器の異常等の状態を出力する。学習データは、異常または異常予兆として、検知器の耐用年数前の破壊等の異常を生じた場合の、圧力検知データまたは水素量検知データの指示値の変動データを含む。
一実施の形態のプラント管理システムは、検知器に、ダイアフラムを水素が透過する水素透過現象についての水素量または水素透過量を測定するための水素センサが設置される。検知器の耐用年数前の破壊等の異常と指示値の変動データは、ダイアフラムを水素が透過する水素透過、および、透過した水素によって検知器を構成する金属が脆化する水素脆化の現象と対応している。
一実施の形態のプラント管理システムにおけるコンピュータシステムは、診断の際に、機械学習、例えば局所部分空間法(LSC法)を用いて、圧力伝送器の状態を診断し、機械学習、例えば局所部分空間法による、多次元空間を構成するパラメータは、少なくとも水素量または水素透過量を含む。
1…プラント、2…診断装置、3…製造管理装置、4…情報表示装置、5…ユーザ端末、11…圧力伝送器、12…センサ、13…管理装置、50…GUI画面。

Claims (14)

  1. プラントの設備を管理するプラント管理システムであって、
    プロセッサおよびメモリを有するコンピュータシステムを備え、
    前記設備は、圧力伝送器を含み、
    前記圧力伝送器は、測定流体の圧力をダイアフラムによって受圧し、封入液を介して圧力センサに伝達する検知器を含む機器であり、
    前記圧力伝送器には、水素量を測定するための水素センサが設置され、
    前記コンピュータシステムは、
    前記設備についての時系列上のモニタリングとして、前記圧力伝送器による圧力検知データと、前記水素センサによる水素量検知データと、前記圧力伝送器に関する管理情報と、を含む稼働情報を、収集および蓄積し、
    前記稼働情報に基づいて、前記水素量検知データの水素量を含む情報を可視化する画面を提供する、
    プラント管理システム。
  2. 請求項1記載のプラント管理システムにおいて、
    前記コンピュータシステムは、
    前記稼働情報に基づいて、前記圧力伝送器の異常または異常予兆を含む状態に関して診断して、前記異常または異常予兆を検知し、前記圧力伝送器の状態を含む診断結果情報を生成し、
    前記診断結果情報を可視化する画面を提供する、
    プラント管理システム。
  3. 請求項2記載のプラント管理システムにおいて、
    前記コンピュータシステムは、
    前記稼働情報および前記診断結果情報に基づいて、前記圧力伝送器の保守または交換または製造の計画を立案して、前記圧力伝送器の交換時期および交換候補圧力伝送器を含む計画情報を生成し、
    前記計画情報を可視化する画面を提供する、
    プラント管理システム。
  4. 請求項2記載のプラント管理システムにおいて、
    前記コンピュータシステムは、前記測定流体の測定流体種別を含む前記管理情報に基づいて、前記測定流体種別ごとに、前記圧力伝送器の状態を診断する、
    プラント管理システム。
  5. 請求項2記載のプラント管理システムにおいて、
    前記コンピュータシステムは、前記診断のためのパラメータの1つとして、前記ダイアフラムの材質、厚さ、または面積を含む物性情報を用いて、前記圧力伝送器の状態を診断する、
    プラント管理システム。
  6. 請求項2記載のプラント管理システムにおいて、
    前記コンピュータシステムは、前記診断のためのパラメータの1つとして、前記圧力検知データに基づいた、前記測定流体のプロセス圧力、および前記検知器の内部圧力を用いて、前記圧力伝送器の状態を診断する、
    プラント管理システム。
  7. 請求項2記載のプラント管理システムにおいて、
    前記コンピュータシステムは、前記診断のためのパラメータの1つとして、前記検知器の内部の温度、または前記検知器の外部の温度を用いて、前記圧力伝送器の状態を診断する、
    プラント管理システム。
  8. 請求項2記載のプラント管理システムにおいて、
    前記コンピュータシステムは、前記測定流体に対する前記圧力伝送器の前記検知器の設置の位置または方向の情報を用いて、前記圧力伝送器の状態を診断する、
    プラント管理システム。
  9. 請求項2記載のプラント管理システムにおいて、
    前記コンピュータシステムは、前記ダイアフラムに対する前記水素センサの設置の位置の情報を用いて、前記圧力伝送器の状態を診断する、
    プラント管理システム。
  10. 請求項2記載のプラント管理システムにおいて、
    前記コンピュータシステムは、前記診断のためのパラメータの1つとして、前記検知器のゼロシフト量を用いて、前記圧力伝送器の状態を診断する、
    プラント管理システム。
  11. 請求項2記載のプラント管理システムにおいて、
    前記コンピュータシステムは、前記診断のためのパラメータの1つとして、前記検知器のゼロシフト補正に関する補正操作回数を用いて、前記圧力伝送器の状態を診断する、
    プラント管理システム。
  12. 請求項2記載のプラント管理システムにおいて、
    前記コンピュータシステムは、前記プラントごとの前記稼働情報に基づいて、前記プラントごとに前記診断を行い、
    第1プラントの前記圧力伝送器の診断の際に、前記第1プラントからの第1稼働情報に基づいて、第1モデルを用いて診断を行い、
    第2プラントの前記圧力伝送器の診断の際に、前記第2プラントからの第2稼働情報に基づいて、前記第1モデルを流用した第2モデルを用いて診断を行う、
    プラント管理システム。
  13. 請求項2記載のプラント管理システムにおいて、
    前記コンピュータシステムは、前記プラントにおける前記測定流体として、類似する複数の測定流体種別がある場合に、
    第1測定流体種別での前記圧力伝送器の診断の際に、前記第1測定流体種別に対応した第1モデルを用いて診断を行い、
    前記第1測定流体種別に類似する第2測定流体種別での前記圧力伝送器の診断の際に、前記第1モデルを流用した第2モデルを用いて診断を行う、
    プラント管理システム。
  14. プラントの設備を管理するプラント管理方法であって、
    前記設備は、圧力伝送器を含み、
    前記圧力伝送器は、測定流体の圧力をダイアフラムによって受圧し、封入液を介して圧力センサに伝達する検知器を含む機器であり、
    前記圧力伝送器には、水素量を測定するための水素センサが設置され、
    プロセッサおよびメモリを有するコンピュータシステムによって実行されるステップとして、
    前記設備についての時系列上のモニタリングとして、前記圧力伝送器による圧力検知データと、前記水素センサによる水素量検知データと、前記圧力伝送器に関する管理情報と、を含む稼働情報を、収集および蓄積するステップと、
    前記稼働情報に基づいて、前記水素量検知データの水素量を含む情報を可視化する画面を提供するステップと、
    を有する、プラント管理方法。
JP2022188564A 2022-11-25 プラント管理システムおよび方法 Pending JP2024076796A (ja)

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