JP2024074773A - ヒゲゼンマイおよびスタッドを備える時計アセンブリ - Google Patents

ヒゲゼンマイおよびスタッドを備える時計アセンブリ Download PDF

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Abstract

【課題】 ヒゲゼンマイおよびスタッドを備える時計アセンブリを提供すること。【解決手段】 本発明は、時計ムーブメント用のヒゲゼンマイ(12)の外側最終コイル(10)の自由端(8)を取り付けるためのアセンブリ(1)に関し、この取付アセンブリ(1)は、スタッド(2)および阻止要素(14)を備え、スタッド(2)は、ヒゲゼンマイ(12)の外側最終コイル(10)の自由端(8)が噛み合う溝(6)を設けられ、阻止要素(14)も、溝(6)において噛み合い、ヒゲゼンマイ(12)の外側最終コイル(10)と接触し、取付アセンブリ(1)はさらに、ヒゲゼンマイ(12)の外側最終コイル(10)の自由端(8)が、スタッド(2)の溝(6)に固定されるように、阻止要素(14)をヒゲゼンマイ(12)の外側最終コイル(10)の自由端(8)に押し付ける締付部材(16)を備えている。【選択図】図1

Description

本発明は、時計ムーブメントのテンプ用のヒゲゼンマイに関する。本発明はさらに、そのようなヒゲゼンマイの外側最終コイルを取り付けるためのスタッドに関する。本発明はさらに、そのようなヒゲゼンマイを製造するための方法に関する。
時計分野では、テンプに関連付けられたヒゲゼンマイは、一般に、機械式計時器のために、バネ上テンプと呼ばれる調整部材を形成する。ヒゲゼンマイは、最初は、応力がかかっていないときに、同心円状に巻かれた非常に薄いバネとして見られる。取り付けられた状態では、内側第1コイルと呼ばれるヒゲゼンマイの第1端部は、テンプのスタッフに適合されたコレットに取り付けられ、外側最終コイルと呼ばれるヒゲゼンマイの第2端部は、通常、テンプコックとも呼ばれる、テンプ用のブリッジにおけるスタッドホルダによって取り付けられる部品であるスタッドに取り付けられる。
より具体的には、振動システムとも呼ばれる機械式計時器用の時間ベースは、バネ上テンプ対および脱進機を備えている。テンプは、第1ベアリングと第2ベアリングとの間で旋回され、ラジアルアームによってテンプリムに接続されたテンプスタッフで構成されている。ヒゲゼンマイは、内側第1コイルによって、たとえばコレットによってテンプのスタッフに取り付けられ、外側最終コイルによって、スタッドホルダによって支持されるスタッドなどの固定取付点に取り付けられる。
脱進機は、その非常に広く普及している実施形態では、インパルスピンを支持するテーブルローラと、ノッチが形成された安全ローラとからなる二重ローラシステムを備えている。脱進機はさらに、第1軸受と第2軸受との間で旋回されるアンクルスタッフを有するアンクルレバーを備えている。アンクルレバーは、フォークを、入口アームおよび出口アームへ接続するレバーで構成されている。フォークは、入口ホーンおよび出口ホーンで構成され、ダーツを支持する。フォークの移動は、アンクルブリッジと一体的に作ることができる、入口バンクピンおよび出口バンクピンによって制限される。入口アームおよび出口アームは、それぞれ入口アンクルおよび出口アンクルを支持する。最後に、アンクルレバーは、がんぎ車およびがんぎピニオンを備えるがんぎ車セットと協働し、がんぎ車およびがんぎピニオンによって形成されるこのアセンブリは、第1軸受と第2軸受との間で旋回される。
ヒゲゼンマイは、静止時に、渦巻状の形状をとるバネである。時計ムーブメントの平面と平行な水平平面内で巻かれたヒゲゼンマイは、テンプを、死点とも呼ばれるその平衡位置の周りで、可能な限り一定の周波数で振動させるという唯一の目的を果たす。テンプが、所与の方向に旋回することによって平衡位置を離れると、ヒゲゼンマイが収縮する。これにより、ヒゲゼンマイに復元トルクが発生し、テンプが、その平衡位置に戻る。この拍動中に、ヒゲゼンマイが伸びる。しかしながら、テンプが一定の速度、つまり運動エネルギを得ると、テンプは、ヒゲゼンマイによってテンプに加えられる復元トルクが、テンプを再び停止させ、他の方向に強制的に回転させるまで、以前とは反対方向に平衡位置を超える。
したがって、ヒゲゼンマイは、交互に伸縮し、これは、呼吸をすると言われている。しかしながら、ヒゲゼンマイが、伸縮段階中に、等時的に展開することを阻止する際に、多くの要因が関与する。特に、ヒゲゼンマイは、コイル同士を固着させ、腕時計の精度を損うか、または完全に停止さえもさせる、酸化や磁気に耐える必要がある。一方、大気圧の影響は小さい。金属は、熱により膨張し、冷間により収縮するため、長い間、温度が主な問題であった。したがって、ヒゲゼンマイは、変形しても常に元の形状に戻ることができるように、弾力性がなければならない。
ヒゲゼンマイの製造に使用される材料は、通常は、鋼である。使用される鋼は、延性があるため、腐食に耐えねばならない。過去20年間以上にわたる開発では、シリコンからヒゲゼンマイを製造することも提案されている。シリコン製ヒゲゼンマイは、特に磁気の影響を受けにくいため、従来の鋼製ヒゲゼンマイよりも、速度の精度が高くなる。しかしながら、価格が高く、壊れやすいため、組み立てがより困難である。
ヒゲゼンマイは、等時性でなければならない。テンプがどれだけ回転しても、振動するために要する時間は、常に同じでなければならない。ヒゲゼンマイは、ほんの数度収縮しても、ほとんどエネルギを蓄積せず、ゆっくりと平衡位置に戻る。ヒゲゼンマイは、平衡位置から遠く離れて移動すると、非常に急速に反対方向に動く。重要なことは、これら2つの移動が完了するまでに要する時間は、同じであるということである。根底にある考えは、ヒゲゼンマイが利用できるエネルギは、一定ではなく、腕時計が完全に巻かれていても、パワーリザーブの最後の時間であっても、ヒゲゼンマイは機能し続けねばならないということである。
ヒゲゼンマイは寸法が小さいため、組み立てが困難である。しかしながら、ヒゲゼンマイの両端の取り付け手法も、時計ムーブメントの速度の精度に大きな影響を与える。ほとんどの機械式時計ムーブメントでは、ヒゲゼンマイの両端が、ドリルで開けられた部品に挿入され、ペンチを使用して手作業で強引に組み立てられるピンによって固定される。これにより、ヒゲゼンマイがわずかに回転する可能性があり、ムーブメントの速度の精度に悪影響を及ぼす。
別の技法は、接着剤を使用してヒゲゼンマイの端部を取り付けることからなる。しかしながら、この技法には、制限もある。接着剤は、その粘性により、毛細管現象によってヒゲゼンマイに引張力を及ぼし、ヒゲゼンマイの端部を、これら端部が噛み合っているスタッドの壁に押し付けることが観察されている。結果として生じるヒゲゼンマイの変形は、ヒゲゼンマイ内に機械的応力を誘発し、その機械的応力は、一貫性のある速度の維持に悪影響を及ぼす。
これらの問題を克服するために、出願人は、たとえば、紫外線によって、重合可能な流動性接着剤の滴下によって、ヒゲゼンマイの外側最終コイルをスタッド内に接着的に結合することからなる、ヒゲゼンマイを取り付けるための方法を、すでに提案している。したがって、たとえ接着剤の滴下が、たとえば注射器タイプの接着剤ディスペンサによって付着される場合であっても、ヒゲゼンマイの最終コイルの自由端は、接着剤の滴下の重量の影響でわずかに動き、これによって、ヒゲゼンマイに、望ましくない機械的応力を誘発するが、接着剤は、硬化する前に十分な流動性を有しており、ヒゲゼンマイの最終コイルの自由端は、自発的に静止位置に戻ることができる。したがって、液体接着剤を滴下するときに、ヒゲゼンマイに誘発される機械的応力は、自然に消失し、ヒゲゼンマイの速度の一貫性は、ヒゲゼンマイ上で行われる接着結合作業による影響を受けない。
したがって、上記の解決策により、ヒゲゼンマイを、その外側最終コイルの自由端によってスタッド内に取り付けることができると同時に、その組立中に、そのようなヒゲゼンマイに通常誘発される機械的応力のすべて、または少なくとも大部分を排除することができる。これにより、ヒゲゼンマイの速度の一貫性が大幅に向上する。しかしながら、出願人は、使用中に、ヒゲゼンマイの外側最終コイルの自由端を取り付けるために使用される液体接着剤の滴下が重合するときに形成される、硬化した接着パッドが、時々スタッドから剥がれる傾向があることに気付いた。これは、もちろん、このヒゲゼンマイが設置されている時計ムーブメントを直ちに故障させる。そのような状況は、特に、接着パッドがスタッドに完全に接着することを阻止するスタッドの面状態の問題と、時間の経過による接着パッドの劣化とが原因である。さらに、周囲温度が上昇すると、ほとんどの接着剤が軟化し、その結果、ヒゲゼンマイの有効長、したがって、剛性が変化し、したがって、時計ムーブメントの速度に悪影響を及ぼす。
最後に、特に最高級の時計ムーブメントの場合、接着剤や合成製品の使用は、可能な限り避けられることに留意すべきである。
本発明の目的は、ヒゲゼンマイを取り付けるためのアセンブリを提供することによって、前述の問題および他の問題を克服することであり、ヒゲゼンマイの外側最終コイルは、接着剤やピン、さらには、多くの場合、その成功がオペレータの器用さに依存する締め付けや圧着などの手作業さえもせずに、確実に固定することができる。
この目的を達成するために、本発明は、時計ムーブメント用のヒゲゼンマイの外側最終コイルの自由端を取り付けるためのアセンブリに関し、この取付アセンブリは、スタッドおよび阻止要素を備え、スタッドには、ヒゲゼンマイがその長さに沿った点において噛み合う溝が設けられ、阻止要素も、溝において噛み合い、ヒゲゼンマイと接触し、取付アセンブリはさらに、阻止要素を、ヒゲゼンマイの外側最終コイルの自由端を押し付ける締付部材を備えており、ヒゲゼンマイの外側最終コイルの自由端は、スタッドの溝に固定される。
本発明の1つの特定の実施形態によれば、ヒゲゼンマイは、その外側最終コイルの自由端を介して、スタッドの溝において噛み合う。
本発明の別の特定の実施形態によれば、ヒゲゼンマイの外側最終コイルの自由端は、ヒゲゼンマイのこの自由端が延びている平面に対して、垂直な方向に、機械的に締め付けて阻止することによって固定される。
本発明のさらに別の特定の実施形態によれば、溝は、スタッドの外壁からその内側に向かって延びる。
本発明のさらに別の特定の実施形態によれば、阻止要素がこの溝において噛み合うと、溝内のヒゲゼンマイの外側最終コイルの自由端と噛み合うことができるのに十分な空間が残るような高さを溝が、厚さを阻止要素が有する。
本発明のさらに別の特定の実施形態によれば、ヒゲゼンマイの外側最終コイルの自由端が噛み合う空間は、阻止要素と溝の裏側との間に延びている。
本発明のさらに別の特定の実施形態によれば、ヒゲゼンマイの外側最終コイルの自由端は、この自由端に取り付けられるか、またはこの自由端と一体に作られるプレートで終端する。
本発明のさらに別の特定の実施形態によれば、締付部材が噛み合う穴がスタッドに形成され、締付部材が溝内に延びて阻止要素を押し付け、阻止要素を、ヒゲゼンマイの外側最終コイルの自由端に押し付ける。
本発明のさらに別の特定の実施形態によれば、締付部材は、ねじ付きロッドであり、穴は、ねじ切りされている。
本発明のさらに別の特定の実施形態によれば、阻止要素は、遠位端において互いに接続された2つのジョーを設けられたクランプであり、これら2つのジョーは、その間に、近位端側に開放空間を画定する。
本発明のさらに別の特定の実施形態によれば、スタッドは、溝の境界を定める壁を備えている。
本発明のさらに別の特定の実施形態によれば、クランプのジョーのうちの1つの内面は、スタッドに対してクランプの噛み合う方向に、スタッドの壁から離れて延びる面を有する。
本発明のさらに別の特定の実施形態によれば、クランプのジョーの内面に凹部が設けられ、その形状は相補的であり、壁の形状と一致し、クランプが壁を掴んで、オペレータが、ヒゲゼンマイの外側最終コイルを、スタッドに作られた溝内で噛み合わせている間、十分な保持力を有する。
本発明のさらに別の特定の実施形態によれば、ヒゲゼンマイの取付アセンブリは、分解することができる。
これらの特徴のおかげで、本発明は、特に、そのようなヒゲゼンマイの製造に使用される材料のタイプに関係なく、接着剤なしでヒゲゼンマイを取り付けることができるという事実を含む多くの利点とともに、時計ムーブメント用の、ヒゲゼンマイの外側曲線の自由端を取り付けるためのアセンブリを提供する。したがって、時計職人は、ヒゲゼンマイを作る材料を完全に自由に選択でき、さらに、ヒゲゼンマイの自由端は結合されていないので、本発明による取付アセンブリは分解可能である。さらに、ヒゲゼンマイの外側最終コイルの自由端は、締付部材によってヒゲゼンマイの外側最終コイルの自由端に押し付けられる阻止要素によって固定されているため、機械的トルクはヒゲゼンマイに伝達されず、したがって、一定の速度を維持する能力に、まったく、または実質的にまったく影響を与えることなく、ヒゲゼンマイを、時計ムーブメントが延びる平面と平行なX-Y平面内の静止位置に取り付けることができる。より具体的には、ヒゲゼンマイの外側最終コイルの自由端に、この自由端が延びる平面に対して垂直にかかる応力は、実質的に存在しないことが知られている。本発明による取付アセンブリの別の大きな利点は、ヒゲゼンマイの外側最終コイルの自由端の取り付けが、この取付作業を担当するオペレータの器用さにまったく依存しないという事実にあり、したがって、本発明による取付アセンブリを備えたバネ上テンプアセンブリの作業の再現性は非常に注目すべきである。
本発明の他の特徴および利点は、本発明による取付アセンブリの1つの実施形態の以下の詳細な説明を読めば、よりよく理解され、前記例は、添付図面を参照して、例示のみを目的として提供されており、本発明の範囲を限定することは意図されていない。
図1は、時計ムーブメント用のヒゲゼンマイの外側最終コイルの自由端が取り付けられた、本発明によるアセンブリの上面斜視図である。 図2は、図1に示される本発明による取付アセンブリの底面斜視図である。 図3は、本発明による取付アセンブリの分離状態における上面斜視図である。 図4は、本発明による取付アセンブリの分離状態における底面斜視図である。 図5は、時計ムーブメント用のヒゲゼンマイの外側最終コイルの自由端が噛み合う、本発明による取付アセンブリの上面図である。 図6は、図5に示される線VI-VIに沿った本発明による取付アセンブリの断面図である。 図7は、図5に示される線VII-VIIに沿った本発明による取付アセンブリの断面図である。 図8は、時計ムーブメント用のバネ上テンプアセンブリに取り付けられた本発明による取付アセンブリの上面図である。 図9は、本発明による取付アセンブリの簡略化された実施形態の概略図である。 図10は、図8の上面図から示される、本発明による取付アセンブリを設けられたバネ上テンプアセンブリの上面斜視図である。 図11は、図8の上面図から示される、本発明による取付アセンブリを設けられたバネ上テンプアセンブリの底面斜視図である。
本発明は、時計用ヒゲゼンマイの外側最終コイルの自由端を、機械的な押付けと阻止動作との組合せによって固定する、取付アセンブリによってスタッドに取り付けることからなる、一般的な発明思想からなされた。このように、ヒゲゼンマイの自由端は、取付部材を製造するために接着される必要はなく、ヒゲゼンマイの製造に使用される材料の選択に完全な自由度を与える。さらに、接着がないので、本発明による取付アセンブリは、いつでも分解することができる。本発明による取付アセンブリの別の主要な利点は、ヒゲゼンマイの外側最終コイルの自由端が、ヒゲゼンマイのこの自由端が延びる平面に垂直な方向に、機械的に締め付けて阻止することによって固定されるという事実にある。その結果、ヒゲゼンマイのこの自由端の取り付けにより、ヒゲゼンマイの外側最終コイルの自由端に機械的な引張トルクや、ねじりトルクは誘発されず、ヒゲゼンマイの速度の一貫性は、外側最終コイルの自由端をスタッドに取り付けても影響を受けない。ヒゲゼンマイの外側最終コイルが延びる平面に垂直な方向に、この外側最終コイルにかかる機械的応力は、ゼロであるか、まったく無視できるほどであるため、これは、よりさらに正しい。
全体が参照番号1で示される、本発明による取付アセンブリは、全体が図1および図2に示されており、特にスタッド2を備えている。単なる例示として、図面に示されるスタッド2は、全体的に円筒形状であるケーシングによって外側の境界が定められる。そのようなスタッド2は、円筒形状とは異なる形状を有することができ、たとえば平行六面体であることができるので、スタッド2の形状は、本発明の目的にとって決定的な要因ではないことが理解される。
決して排他的ではないが、好ましくは、特に図3および図4に示すように、好ましくは正方形または長方形の断面を有する溝6が、スタッド2の外壁4からスタッド2の内部に向かうように形成される。この溝6は、以下に詳細に説明するように、時計ムーブメント用のヒゲゼンマイ12の外側最終コイル10の自由端8を受け入れて、ヒゲゼンマイ12を阻止することを目的としている。
本発明による取付アセンブリ1はさらに、溝6において噛み合い、ヒゲゼンマイ12の外側最終コイル10の自由端8と接触し、その後、ヒゲゼンマイ12をこの溝6内に固定するために、この自由端8に押し付けられるように意図された阻止要素14を備えている。
この目的のために、取付アセンブリ1はさらに、ヒゲゼンマイ12の外側最終コイル10の自由端8に、阻止要素14を調節可能に押し付けるように配置された、締付部材16によって補足される。
図面に例示された本発明の実施形態(たとえば、図3参照)によれば、締付部材16は、スロットヘッド20を設けられたねじ付きロッド18のタイプからなることができる。このねじ付きロッド18は、スタッド2に作られた、ねじ穴22にねじ込まれるように意図されており、このねじ付きロッド18は、溝6内に延びて阻止要素14を押し付け、阻止要素14を、ヒゲゼンマイ12の外側最終コイル10の自由端8に押し付ける。
ねじ付きロッド18がねじ込まれる程度に応じて、阻止要素14を介して、ヒゲゼンマイ12の外側最終コイル10の自由端8に加えられ、この自由端8がスタッド2の溝6に固定されることを保証する締付力を、正確に調整できることが容易に理解される。
たとえばローレット26である摩擦面24を、スタッド2に設けることができる。特に、この摩擦面24は、作業者が、ねじ付きロッド18を、スタッド2におけるねじ穴22にねじ込む場合に、このスタッド2をよりよく掴むために使用することができる。
上述したように、締付部材16は、ねじ付きロッド18である。言うまでもなく、これは単なる例であり、締付部材16は、たとえば、スタッド2に形成された穴において、十分なグリース摩擦で噛み合い、阻止要素14を押し付けることができる、単純なピンなど、他の形態をとることもでき、阻止要素14を、ヒゲゼンマイ12の外側最終コイル10の自由端8にしっかりと押し付ける一方、たとえば、ヒゲゼンマイ12が壊れた場合など、必要に応じてこの穴から取り外すことができる。
好ましいが非限定的な実施形態では、阻止要素14は、一定の弾性を有するクランプ28によって形成されるタイプのものからなり、互いに実質的に平行に距離を置いて延びる、2つの全体的に直線的なジョー30a、30bを設けられている。これら2つのジョー30a、30bは、遠位端32a、32bで互いに接続されており、その間に、近位端36a、36b側に開放された空間34を画定している。
ジョー30a、30bの近位端36a、36b側に開放された空間34で、クランプ28は、溝6の機械加工の結果得られるスタッド2の壁38の何れかの側において噛み合う。スタッド2の壁38にクランプ28が単に重なることで、作業者が、ねじ付きロッド18を締め付けるのに十分な長さにわたって、このクランプ28を所定の位置に十分に保持するのに十分である。しかしながら、この保持力は、クランプ28のジョー30a、30bのうちの1つの内面に、クランプ28の噛み合う方向に、スタッド2の壁38から離れて延びる面40を設けることによって、わずかに高めることができる。スタッド2の壁38におけるクランプ28の保持力は、ジョー30a、30bの内面に凹部42a、42bを設けることによって、さらに改善することができ、凹部42a、42bの形状は相補的であり、この壁38の形状と一致するので、クランプ28が、スタッド2の壁38を掴み、摩擦によって、壁38を確実に保持することを可能にする。
溝6の高さは、クランプ28のジョー30a、30bの厚さよりも大きいので、クランプ28がこの溝6において噛み合うと、まだ十分な空間があり、ヒゲゼンマイ12の外側最終コイル10の自由端8が、溝6において容易に噛み合うことができることを理解することが重要である。
ヒゲゼンマイ12の外側最終コイル10の自由端8を取り付ける作業は、次のように行われる。まず、クランプ28が、スタッド2の壁38の何れかの側で、スタッド2の溝6におけるジョー30a、30bの近位端36a、36b側に開放された空間34を介して噛み合う。スタッド2の壁38におけるクランプ28の重なりは、ヒゲゼンマイ12の外側最終コイル10の自由端8をスタッド2に取り付けるのに十分な長さ、クランプ28がこの壁38に保持されることを保証するのに十分である。クランプ28が取り付けられるとき、クランプ28のジョー30a、30bと、溝6の裏側46との間に十分な空間44が残り、ヒゲゼンマイ12の外側最終コイル10の自由端8と、容易に噛み合うことができるように、このクランプ28が位置決めされることを保証するように注意が払われる。クランプ28がスタッド2の溝6に、適切に位置決めされて取り付けられると、ヒゲゼンマイ12の外側最終コイル10の自由端8は、溝6において、溝6の裏側46と、クランプ28のジョー30a、30bとの間で容易に噛み合う。ヒゲゼンマイ12の外側最終コイル10の自由端8は、多くの場合、プレート50で終端する。場合に応じて、このプレート50は、ヒゲゼンマイ12の外側最終コイル10の自由端8に、たとえば溶接によって取り付けられるか、またはこの自由端8と一体に作られる。ガイドマークは、取付アセンブリ1を旋回させることによって、言い換えれば、ヒゲゼンマイ12の外側最終コイル10の取付点を、テンプ48の軸52の周りに旋回させて、ローラ56のインパルスピン54を、脱進ライン58と揃える(図8参照)ことによって調整される。この目的のために(図10、図11参照)、スタッド2は、一般にコックと呼ばれるブリッジ64によって支持され、テンプ48のスタッフ52の周りに旋回するように取り付けられる、スタッドホルダ部分62に作られた開口60において噛み合う。同様に、溝6は、スタッド2の外側からスタッド2に作られるのではなく、スタッド2の厚さの貫通孔66として、非常に良好に作ることができる(図9参照)。たとえば、ロッド68によって形成されるタイプの阻止要素14が、この貫通孔66において噛み合う。最後に、作業者は、ねじ付きロッド18を締めて、クランプ28のジョー30a、30bを押し付け、クランプ28を、ヒゲゼンマイ12の外側最終コイル10の自由端8に押し付ける。こうして、ヒゲゼンマイ12の外側最終コイル10の自由端8を取り付けるための作業は完了し、ヒゲゼンマイ12は、スタッド2に取り外し可能に取り付けられる。
本発明は、上記で説明された実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を逸脱することなく、当業者であれば様々な簡単な代替案や修正案を考えることができることは言うまでもない。特に、溝6は、正方形または長方形ではない断面を有することができると理解される。スタッド2に設けられたローレット26などの摩擦面24は、スタッド2がスタッドホルダ部分62に打ち込まれた後に特に有用であることにも留意されたい。より具体的には、ねじ付きロッド18を、比較的容易に、ロック位置にねじ込むことができる。この作業中にスタッド2を回転させることができるのは、スタッド2のねじ穴におけるねじ付きロッド18のねじ山によって誘発される摩擦だけである。しかしながら、作業のこの段階では、スタッド2を回すのに必要なトルクを考慮すると、この摩擦は無視できる。しかしながら、ねじ付きロッド18が、ねじ穴22の内部の阻止位置に達すると、作業者によってねじ付きロッド18に伝達される締め付けトルクの大部分が、スタッド2に伝達され、これによって、スタッド2を、スタッドホルダ部分62に対して旋回させることができる。言うまでもなく、そのような旋回は避ける必要がある。そのため、スタッド2には、たとえば、スタッドホルダ部分62との接触により、このトルクに対するスタッド2の抵抗を増加させる効果を有するローレット26が設けられている。また、ヒゲゼンマイ12の幾何学的形状に応じて、このヒゲゼンマイ12は、その外側最終コイル10の自由端8の長さとは異なる長さに沿った点において、スタッド2の溝6において噛み合うことができることも理解する必要がある。また、ヒゲゼンマイ12の外側最終コイル10の自由端8は、ヒゲゼンマイ12の自由端8が延びる平面に対して垂直な方向に、機械的に締め付けて阻止することによって固定されることも理解する必要がある。ヒゲゼンマイ12がプレート50で終端する場合、このプレート50が、ヒゲゼンマイ12が存在する平面と、平行に延びているのであれば、このプレート50の締付-阻止は、ヒゲゼンマイ12の平面に対して垂直に行われる。逆に、プレート50が、ヒゲゼンマイ12が存在する平面に対して垂直に延びているのであれば、このプレート50の締付-阻止は、ヒゲゼンマイ12の平面と平行な方向に行われる。言い換えれば、ねじ付きロッド18は、スタッド2の長手方向の対称軸に対して垂直な方向に、スタッド2にねじ込まれる。また、ヒゲゼンマイ12は、一連のコイルで、自身の周囲に巻かれた非常に薄いリボンの形態をとるため、ヒゲゼンマイ12の外側最終コイル10の自由端8が延びる平面は、この巻き線が存在する平面を意味していると理解されることにも留意されたい。また、プレート50は、たとえば長方形状の面要素であり、場合に応じて、この面要素は、ヒゲゼンマイ12の平面内に、またはこの平面に垂直に、の何れかで存在することにも留意されたい。
1 取付アセンブリ
2 スタッド
4 外壁
6 溝
8 自由端
10 外側最終コイル
12 ヒゲゼンマイ
14 阻止要素
16 締付部材
18 ねじ付きロッド
20 スロットヘッド
22 ねじ穴
24 摩擦面
26 ローレット
28 クランプ
30a、30b ジョー
32a、32b 遠位端
34 空間
36a、36b 近位端
38 壁
40 面
42a、42b 凹部
44 空間
46 底部
48 テンプ
50 プレート
52 スタッフ
54 インパルスピン
56 ローラ
58 脱進ライン
60 長方形の開口
62 スタッドホルダ部分
64 バー
66 貫通孔
68 ロッド

Claims (13)

  1. 時計ムーブメント用のヒゲゼンマイ(12)の外側最終コイル(10)の自由端(8)を取り付けるための取付アセンブリ(1)であって、この取付アセンブリ(1)は、スタッド(2)および阻止要素(14)を備え、前記スタッド(2)は、前記ヒゲゼンマイ(12)がその長さに沿った点で噛み合う溝(6)を設けられ、前記阻止要素(14)も、前記溝(6)において噛み合い、前記ヒゲゼンマイ(12)と接触し、前記取付アセンブリ(1)はさらに、前記ヒゲゼンマイ(12)が、前記外側最終コイルの巻線が存在する平面に対して垂直な方向(Z)に、前記スタッド(2)の前記溝(6)に固定されるように、前記阻止要素(14)を前記ヒゲゼンマイ(12)に押し付ける締付部材(16)を備える、取付アセンブリ(1)。
  2. 前記ヒゲゼンマイ(12)は、その外側最終コイル(10)の前記自由端(8)を介して、前記スタッド(2)の前記溝(6)内において噛み合うことを特徴とする、請求項1に記載の取付アセンブリ(1)。
  3. 前記ヒゲゼンマイ(12)の前記外側最終コイル(10)の前記自由端(8)は、前記ヒゲゼンマイ(12)のこの自由端(8)が延びる平面に垂直な方向に、機械的締付および阻止によって固定されることを特徴とする、請求項2に記載の取付アセンブリ(1)。
  4. 前記溝(6)は、前記スタッド(2)の外壁(4)から、その内側に向かって延びていることを特徴とする、請求項1に記載の取付アセンブリ(1)。
  5. 前記阻止要素(14)がこの溝(6)において一旦噛み合うと、前記溝(6)内の前記ヒゲゼンマイ(12)の前記外側最終コイル(10)の前記自由端(8)と噛み合うことができるのに十分な空間が残るような高さを前記溝(6)が、厚さを前記阻止要素(14)が有することを特徴とする、請求項4に記載の取付アセンブリ(1)。
  6. 前記ヒゲゼンマイ(12)の前記外側最終コイル(10)の前記自由端(8)が噛み合う空間は、前記阻止要素(14)と、前記溝(6)の底部(46)との間に延びていることを特徴とする、請求項5に記載の取付アセンブリ(1)。
  7. 前記ヒゲゼンマイ(12)の前記外側最終コイル(10)の前記自由端(8)は、この自由端(8)に取り付けられている、またはこの自由端(8)と一体に作られている、プレート(50)で終端していることを特徴とする、請求項6に記載の取付アセンブリ(1)。
  8. 前記締付部材(16)が噛み合う穴(22)は、前記締付部材(16)が前記溝(6)内に延びて、前記阻止要素(14)を押し付け、前記阻止要素を、前記ヒゲゼンマイ(12)の前記外側最終コイル(10)の前記自由端(8)に押し付けるように前記スタッド(2)に形成されることを特徴とする、請求項1に記載の取付アセンブリ(1)。
  9. 前記締付部材(16)は、ねじ付きロッド(18)であり、前記穴(22)は、ねじ切りされていることを特徴とする、請求項8に記載の取付アセンブリ(1)。
  10. 前記阻止要素(14)は、遠位端(32a,32b)において互いに接続された2つのジョー(30a,30b)を設けられたクランプ(28)であり、これら2つのジョー(30a,30b)は、その間に、近位端(36a,36b)側に開放された空間(34)を画定することを特徴とする、請求項8に記載の取付アセンブリ(1)。
  11. 前記スタッド(2)は、前記溝(6)の境界を定める壁(38)を備えることを特徴とする、請求項10に記載の取付アセンブリ(1)。
  12. 前記クランプ(28)の前記ジョー(30a,30b)のうちの1つの内面は、前記スタッド(2)における前記クランプ(28)の噛み合う方向に、前記スタッド(2)の前記壁(38)から離れて延びる面(40)を有することを特徴とする、請求項11に記載の取付アセンブリ(1)。
  13. 前記クランプ(28)の前記ジョー(30a,30b)の内面は、凹部(42a,42b)を設けられ、前記凹部の形状は相補的であり、前記壁(38)の形状と一致し、前記クランプ(28)が、前記壁(38)を掴み、保持することを可能にすることを特徴とする、請求項11に記載の取付アセンブリ(1)。
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