JP2024074615A - 表面処理剤 - Google Patents

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昌和 高田
Masakazu Takada
晋也 半田
Shinya Handa
トルティシ,グレゴリー
Tortissier Gregory
孝史 野村
Takashi Nomura
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Abstract

【課題】摩擦耐久性に優れた表面処理層を形成できる表面処理剤の提供。【解決手段】直鎖型シリコーン、反応性部位を有するシルセスキオキサン、及びホウ素化合物を含む表面処理剤。【選択図】なし

Description

本開示は、表面処理剤に関する。
ある種のシリコーン化合物は、基材の表面処理に用いると、撥水撥油性を提供し得ることが知られている(特許文献1~3)。
特開2018-27531号公報 特開2011-99075号公報 国際公開第2015/019767号
本開示は、摩擦耐久性に優れた表面処理層を形成できる表面処理剤を提供することを目的とする。
本開示は、下記の態様を含む。
[1] 直鎖型シリコーン、反応性部位を有するシルセスキオキサン、及びホウ素化合物を含む表面処理剤。
[2] 前記直鎖型シリコーンは、直鎖型オルガノシロキサンである、請求項1に記載の表面処理剤。
[3] 前記直鎖型シリコーンは、下記式(A1):
Figure 2024074615000001
[式中:
11は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、加水分解性基、二重結合含有基、又はC1-12アルキル基であり、
nは、1~2000の整数である。]
で表されるシリコーン化合物である、請求項1又は2に記載の表面処理剤。
[4] 前記直鎖型シリコーンは、下記式(A2):
Figure 2024074615000002
[式中:
12は、それぞれ独立して、C1-12アルキル基であり、
13は、それぞれ独立して、C1-12アルキル基であり、
15は、それぞれ独立して、C1-12アルキル基であり、
19は、水素原子、水酸基、加水分解性基、又は二重結合含有基、であり、
m1は、1~2000の整数であり、
n1は、0~2000の整数である。]
で表されるシリコーン化合物である、請求項1~3のいずれか1項に記載の表面処理剤。
[5] 前記直鎖型シリコーンは、下記式(A3):
Figure 2024074615000003
[式中:
14は、それぞれ独立して、C1-12アルキル基であり、
18は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、加水分解性基、又はC1-12アルキル基であり、
18の少なくとも1つは、水素原子、水酸基、加水分解性基、又は二重結合含有基であり、
n3は、1~2000の整数である。]
で表されるシリコーン化合物である、請求項1~3のいずれか1項に記載の表面処理剤。
[6] 前記反応性部位は、SiR(式中、Rは、水素原子、水酸基、又は加水分解性基である。)で表される部分を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の表面処理剤。
[7] 前記シルセスキオキサンは、下記式(B):
(R21SiO1.5 (B)
[式中:
21は、それぞれ独立して、-O-SiR 3-r、水素原子、水酸基、又は1価の有機基であり、
は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、又は加水分解性基であり、
は、それぞれ独立して、1価の基であり、
rは、1~3の整数であり、
tは任意の整数である。]
で表される化合物である、請求項1~6のいずれか1項に記載の表面処理剤。
[8] 前記シルセスキオキサンは、かご型シルセスキオキサンである、請求項1~7のいずれか1項に記載の表面処理剤。
[9] 前記直鎖型シリコーンの含有量と、前記シルセスキオキサンの含有量との質量比は、99.9:0.1~75:25である、請求項1~8のいずれか1項に記載の表面処理剤。
[10] 前記直鎖型シリコーンの含有量と、前記シルセスキオキサンの含有量との質量比は、99:1~90:10である、請求項1~9のいずれか1項に記載の表面処理剤。
[11] 前記ホウ素化合物は、式(C):
Figure 2024074615000004
[式中:
31~R33は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、置換されていてもよいC1-8アルキル基、置換されていてもよいC1-8アルコキシ基、置換されていてもよいC6-18アリール基、置換されていてもよいC6-18アリールオキシ基である。]
で表される化合物である、請求項1~10のいずれか1項に記載の表面処理剤。
[12] R31~R33は、フッ素により置換されているC6-18アリール基である、請求項11に記載の表面処理剤。
[13] 前記ホウ素化合物の含有量は、直鎖型シリコーン及び前記シルセスキオキサンの含有量の合計に対して、10~50質量%である、請求項1~12のいずれか1項に記載の表面処理剤。
[14] 前記ホウ素化合物の含有量は、直鎖型シリコーン及び前記シルセスキオキサンの含有量の合計に対して、10~25質量%である、請求項1~13のいずれか1項に記載の表面処理剤。
[15] さらに溶媒を含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の表面処理剤。
[16] 基材と、該基材の表面に、請求項1~15のいずれか1項に記載の表面処理剤から形成された表面処理層とを含む物品。
[17] 前記表面処理層の厚みは、100nm以下である、請求項16に記載の物品。
本開示によれば、摩擦耐久性に優れた表面処理層を形成できる表面処理剤が提供される。
本開示の表面処理剤は、直鎖型シリコーン、反応性部位を有するシルセスキオキサン(以下、単に「シルセスキオキサン」ともいう。)、及びホウ素化合物を含む。
シリコーン化合物とシルセスキオキサンを含む表面処理剤は、得られる表面処理層の耐熱性の向上、指紋不視認化の効果を奏するが、摩擦耐久性は十分とは言えなかった。本開示の表面処理剤は、直鎖型シリコーン、シルセスキオキサン、及びホウ素化合物を含むことにより、高い摩擦耐久性を有する表面処理層を形成できる。
本明細書において用いられる場合、「1価の有機基」とは、炭素を含有する1価の基を意味する。1価の有機基としては、特に限定されないが、炭化水素基又はその誘導体であり得る。炭化水素基の誘導体とは、炭化水素基の末端又は分子鎖中に、1つ又はそれ以上のN、O、S、Si、アミド、スルホニル、シロキサン、カルボニル、カルボニルオキシ等を有している基を意味する。尚、単に「有機基」と示す場合、1価の有機基を意味する。また、「2価の有機基」とは、炭素を含有する2価の基を意味する。かかる2価の有機基としては、例えば、有機基からさらに1個の水素原子を脱離させた2価の基が挙げられる。3価以上の有機基も同様に、有機基から所定の数の水素原子を脱離させた基を意味する。
(直鎖型シリコーン)
上記直鎖型シリコーンとは、直鎖のシロキサン骨格を有する化合物を意味する。
上記直鎖型シリコーンは、好ましくは、直鎖型オルガノシロキサンである。
一の態様において、上記直鎖型シリコーンは、下記式(A1):
Figure 2024074615000005
[式中:
11は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、加水分解性基、二重結合含有基、又はC1-12アルキル基であり、
nは、1~2000の整数である。]
で表される。
本明細書において、加水分解性基とは、加水分解反応を受け得る基を意味し、すなわち、加水分解反応により、化合物の主骨格から脱離し得る基を意味する。加水分解性基の例としては、-OR、-OCOR、-O-N=CR 、-NR 、-NHR、ハロゲンなどが挙げられる。上記式中、Rは、それぞれ独立して、置換又は非置換のC1-4アルキル基を示し、好ましくは非置換C1-4アルキル基である。上記C1-4アルキル基は、好ましくはメチル基又はエチル基であり、より好ましくはメチル基である。上記加水分解性基は、典型的には-ORである。
本明細書において、二重結合含有基とは、炭素-炭素二重結合を含有する基を意味する。二重結合含有基は、好ましくは、分子鎖末端に二重結合を有する。二重結合含有基は、好ましくは、-R10-CH=CH(式中、R10は、単結合、又はC1-6アルキレン基である。)で表される炭化水素基である。二重結合含有基は、好ましくはビニル基またはアリル基である。
11におけるC1-12アルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよい。一の態様において、上記C1-12アルキル基は、直鎖である。別の態様において、上記C1-6アルキル基は、分枝鎖である。上記C1-12アルキル基は、好ましくはC1-6アルキル基、より好ましくはC1-4アルキル基、さらに好ましくはC1-3アルキル基、さらにより好ましくはメチル基又はエチル基、特に好ましくはメチル基である。
好ましい態様において、少なくとも1つのR11は、水素原子、水酸基、加水分解性基、又は二重結合含有基であり、好ましくは水素原子である。
nは、1~2000、好ましくは5~1000、より好ましくは10~300、さらに好ましくは20~200の整数である。
好ましい態様において、上記直鎖型シリコーンは、下記式(A2):
Figure 2024074615000006
[式中:
12は、それぞれ独立して、C1-12アルキル基であり、
13は、それぞれ独立して、C1-12アルキル基であり、
15は、それぞれ独立して、C1-12アルキル基であり、
19は、水素原子、水酸基、加水分解性基、又は二重結合含有基であり、
m1は、1~2000の整数であり、
n1は、0~2000の整数である。]
で表される。
12、R13、及びR15におけるC1-12アルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよい。一の態様において、上記C1-12アルキル基は、直鎖である。別の態様において、上記C1-12アルキル基は、分枝鎖である。上記C1-12アルキル基は、好ましくはC1-6アルキル基、より好ましくはC1-4アルキル基、さらに好ましくはC1-3アルキル基、さらにより好ましくはメチル基又はエチル基、特に好ましくはメチル基である。
19は、好ましくは水素原子である。
m1は、1~2000、好ましくは2~500、より好ましくは3~200、さらに好ましくは5~100、さらにより好ましくは5~50の整数である。
n1は、0~2000、好ましくは1~800、より好ましくは5~200、さらに好ましくは10~100の整数である。
m1とn1の合計は、好ましくは5~1000、より好ましくは10~300、さらに好ましくは20~200の整数である。
m1とn1の比(m1/n1)は、好ましくは0.01~0.50、より好ましくは0.03~0.30、好ましくは0.05~0.20である。
上記式(A2)において、好ましくは、
12及びR13は、C1-3アルキル基、好ましくはメチル基であり、
15は、それぞれ独立して、C1-4アルキル基、好ましくはメチル基であり、
19は、水素原子であり、
m1は、3~200、好ましくは5~100、より好ましくは5~50の整数であり、
n1は、1~800、好ましくは5~200、より好ましくは10~100の整数であり、
m1とn1の比(m1/n1)は、好ましくは0.01~0.50、より好ましくは0.03~0.30、好ましくは0.05~0.20である。
別の好ましい態様において、上記直鎖型シリコーンは、下記式(A3):
Figure 2024074615000007
[式中:
14は、それぞれ独立して、C1-12アルキル基であり、
18は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、加水分解性基、二重結合含有基、又はC1-12アルキル基であり、
18の少なくとも1つは、水素原子、水酸基、加水分解性基、又は二重結合含有基であり、
n3は、1~2000の整数である。]
で表される。
14におけるC1-12アルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよい。一の態様において、上記C1-12アルキル基は、直鎖である。別の態様において、上記C1-12アルキル基は、分枝鎖である。上記C1-12アルキル基は、好ましくはC1-6アルキル基、より好ましくはC1-4アルキル基、さらに好ましくはC-3アルキル基、さらにより好ましくはメチル基又はエチル基、特に好ましくはメチル基である。
18におけるC1-12アルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよい。一の態様において、上記C1-12アルキル基は、直鎖である。別の態様において、上記C1-6アルキル基は、分枝鎖である。上記C1-12アルキル基は、好ましくはC1-6アルキル基、より好ましくはC1-4アルキル基である。上記C1-12アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-ブチル基、t-ブチル基等が挙げられる。
一の態様において、一方のR18は、水素原子、水酸基、加水分解性基、又は二重結合含有基、好ましくは水素原子である。他方のR18は、C1-12アルキル基、好ましくはC1-4アルキル基である。
別の態様において、R18は、水素原子、水酸基、加水分解性基、又は二重結合含有基、好ましくは水素原子である。
n3は、1~2000、好ましくは5~1000、より好ましくは10~300、さらに好ましくは20~200の整数である。
上記式(A3)において、好ましくは、
14は、C1-3アルキル基、好ましくはメチル基であり、
一方のR18は、水素原子であり、
他方のR18は、C1-4アルキル基であり、
n3は、5~1000、好ましくは10~300、より好ましくは20~200の整数である。
上記直鎖型シリコーンの数平均分子量は、好ましくは100~50,000、より好ましくは500~30,000、さらに好ましくは1,000~10,000である。直鎖型シリコーンの数平均分子量は、GPCを用いて測定し得る。
(シルセスキオキサン)
上記反応性部位を有するシルセスキオキサンとは、上記直鎖型シリコーンと反応し得る部位を有するシルセスキオキサンを意味する。
上記反応性部位は、好ましくは、SiRで表される部分を有する
は、水素原子、水酸基、又は加水分解性基であり、好ましくは水素原子又は水酸基、より好ましくは水素原子である。
上記シルセスキオキサンは、下記式(B):
(R21SiO1.5 (B)
[式中:
21は、それぞれ独立して、-O-SiR 3-r、水素原子、水酸基、又は1価の有機基であり、
は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、又は加水分解性基であり、
は、それぞれ独立して、1価の基であり、
rは、1~3の整数であり、
tは任意の整数である。]
で表される。
式(B)中、SiR 3-rの数は、好ましくは1~40、より好ましくは2~20、さらに好ましくは4~12であり得る。
21における1価の有機基は、飽和の有機基であっても、不飽和の有機基であってもよい。上記不飽和の有機基は、二重結合含有基であっても、三重結合含有基であってもよく、好ましくは二重結合含有基である。上記1価の有機基は、好ましくは炭素数1~12の炭化水素基又はその誘導体であり得る。上記炭化水素基は、飽和炭化水素基であっても、不飽和炭化水素基であってもよい。上記不飽和炭化水素基は、二重結合含有炭化水素基であっても、三重結合含有炭化水素基であってもよく、好ましくは二重結合含有炭化水素基である。
上記炭化水素基又はその誘導体は、好ましくはC1-12アルキル基、C2-12アルケニル基、又はその誘導体であってもよい。
上記C1-12アルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよい。一の態様において、上記C1-12アルキル基は、直鎖である。別の態様において、上記C1-12アルキル基は、分枝鎖である。上記C1-12アルキル基は、好ましくはC1-4アルキル基である。上記C1-12アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-ブチル基、t-ブチル基等が挙げられる。
上記C2-12アルケニル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよい。一の態様において、上記C2-12アルケニル基は、直鎖である。別の態様において、上記C2-12アルケニル基は、分枝鎖である。上記C2-12アルケニル基は、好ましくはC2-4アルケニル基である。上記C2-12アルケニル基の具体例としては、ビニル基、アリル基等が挙げられる。
上記炭化水素基又はその誘導体は、置換基を有していてもよい。かかる置換基としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子、1個又はそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-10シクロアルキル基、C3-10不飽和シクロアルキル基、5~10員のヘテロシクリル基、5~10員の不飽和ヘテロシクリル基、C6-10アリール基及び5~10員のヘテロアリール基から選択される1個又はそれ以上の基が挙げられる。
21は、好ましくは-O-SiR 3-rである。
は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、又は加水分解性基であり、好ましくは水素原子である。
は、それぞれ独立して、1価の基である。
上記1価の基は、好ましくは炭化水素基、より好ましくはC1-6アルキル基又はフェニル基、さらに好ましくはC1-6アルキル基である。かかる炭化水素基、C1-6アルキル基、及びフェニル基は、置換されていてもよい。一の態様において、炭化水素基、C1-6アルキル基、及びフェニル基は、置換されている。別の態様において、炭化水素基、C1-6アルキル基、及びフェニル基は、置換されていない。
上記置換基としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子、1個又はそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-10シクロアルキル基、C3-10不飽和シクロアルキル基、5~10員環のヘテロシクリル基、5~10員環の不飽和ヘテロシクリル基、C6-10アリール基及び5~10員環のヘテロアリール基から選択される1個又はそれ以上の基が挙げられる。
は、好ましくはC1-6アルキル、より好ましくはメチル基又はエチル基、さらに好ましくはメチル基である。
rは、1~3の整数であり、好ましくは1である。
好ましい態様において、R21は、-O-SiHR であり、Rは、C1-6アルキル、好ましくはメチル基である。
tは、任意の整数であり、好ましくは6~40、より好ましくは6~16、さらに好ましくは6~14、さらにより好ましくは8であり得る。
シルセスキオキサンの骨格の構造としては、ランダム型であっても、かご型であっても、ラダー型であっても、ダブルデッカー型であってもよく、好ましい態様において、上記シルセスキオキサンは、かご型シルセスキオキサンである。
上記式(B)において、好ましくは、
21は、-O-SiHR であり、
は、C1-6アルキル、好ましくはメチル基であり、
tは、8である。
上記ホウ素化合物は、好ましくは、式(C):
Figure 2024074615000008
[式中:
31~R33は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、置換されていてもよいC1-8アルキル基、置換されていてもよいC1-8アルコキシ基、置換されていてもよいC6-18アリール基、置換されていてもよいC6-18アリールオキシ基である。]
で表される化合物である。
上記C1-8アルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよい。一の態様において、上記C1-8アルキル基は、直鎖である。別の態様において、上記C1-8アルキル基は、分枝鎖である。上記C1-8アルキル基は、好ましくはC1-6アルキル基、より好ましくはC1-4アルキル基である。
上記C1-8アルコキシ基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよい。一の態様において、上記C1-8アルコキシ基は、直鎖である。別の態様において、上記C1-8アルコキシ基は、分枝鎖である。上記C1-8アルコキシ基は、好ましくはC1-6アルコキシ基、より好ましくはC1-4アルコキシ基である。
上記C6-18アリール基は、単環式であっても、多環式であってもよい。C6-18アリール基は、好ましくはフェニル、ナフチル、又はアントラセニル、より好ましくはフェニルである。
上記C6-18アリールオキシ基は、単環式であっても、多環式であってもよい。C6-18アリールオキシ基は、好ましくはフェノキシ、ナフトキシ、又はアントラニロキシ、より好ましくはフェノキシである。
31~R33の上記の基は、置換基を有していてもよい。当該置換基は、好ましくは、ハロゲン原子、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子、より好ましくはフッ素原子である。
好ましい態様において、R31~R33は、少なくとも一つが電子求引性官能基により置換されていてもよいフェニルである。電子求引性官能基の例としては、ハロゲン、-CF、-NO、-CNなどが挙げられる。R31~R33は、好ましくはハロゲンにより置換されたフェニルであり、より好ましくはペンタフルオロフェニルであり得る。
上記ホウ素化合物の含有量は、本開示の表面処理剤に含まれる直鎖型シリコーン及びシルセスキオキサンの合計に対して、好ましくは10~50質量%、典型的には10~25質量%であり得る。ホウ素化合物の含有量を上記の量とすることにより、触媒としての機能の失活を抑制することができる。
(表面処理剤)
本開示の表面処理剤において、直鎖型シリコーンの含有量と、シルセスキオキサンの含有量との質量比(直鎖型シリコーン:シルセスキオキサン)は、99.9:0.1~75:25、好ましくは99:1~75:25、より好ましくは97:3~85:15、さらに好ましくは95:5~90:10、例えば95:5~92:8であり得る。直鎖型シリコーンの含有量とシルセスキオキサンの含有量との質量比を上記の範囲とすることにより、撥水性及び撥油性について、高い摩擦耐久性を有する表面処理層を形成することができる。直鎖型シリコーンの含有量とシルセスキオキサンの含有量との質量比は、GPCを用いて測定し得る。
本開示の表面処理剤は、溶媒、触媒、シリコーンオイルとして理解され得る(非反応性の)シリコーン化合物(以下、「シリコーンオイル」と言う)、アミン化合物、アルコール類、界面活性剤、重合禁止剤、増感剤等を含み得る。
一の態様において、本開示の表面処理剤は、R71OR72、R73 n86-n8、(OSiR7475m9、及びR76 Si-(OSiR7778m8-R79
[式中
71~R79は、それぞれ独立して、炭素数1~10個の一価の有機基であり、
m8は、1~6の整数であり、
m9は、3~8の整数であり、
n8は、0~6の整数である。]
で表される化合物から選択される溶媒を含み得る。
上記炭素数1~10個の一価の有機基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、さらに環状構造を含んでいてもよい。
一の態様において、上記炭素数1~10個の一価の有機基は、酸素原子、窒素原子、又はハロゲン原子を含んでいてもよい。
別の態様において、上記炭素数1~10個の一価の有機基は、ハロゲン原子を含まない。
好ましい態様において、上記炭素数1~10個の一価の有機基は、ハロゲンにより置換されていてもよい炭化水素基、好ましくはハロゲンにより置換されていない炭化水素基である。
一の態様において、上記炭化水素基は、直鎖である。
別の態様において、上記炭化水素基は、分枝鎖である。
別の態様において、上記炭化水素基は、環状構造を含む。
一の態様において、上記溶媒は、R71OR72である。
71及びR72は、それぞれ独立して、好ましくは炭素数1~8の炭化水素基、より好ましくはC1-6のアルキル基、又はC5-8のシクロアルキル基であり得る。
一の態様において、上記溶媒は、R73 n86-n8である。
6-n8は、n8価のベンゼン環である。即ち、R73 n86-n8は、n8個のR73により置換されたベンゼンである。
73は、それぞれ独立して、ハロゲン、又はハロゲンにより置換されていてもよいC1-6のアルキル基であり得る。
n8は、好ましくは1~3の整数である。
一の態様において、上記溶媒は、(OSiR7475m9である。(OSiR7475m9は、複数のOSiR7475単位が環状に結合することにより形成される環状シロキサンである。
74及びR75は、それぞれ独立して、水素原子、又はC1-6のアルキル基、好ましくはC1-6のアルキル基、より好ましくはC1-3のアルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
m9は、好ましくは3~6の整数、より好ましくは3~5の整数である。
一の態様において、上記溶媒は、R76 Si-(OSiR7778m8-R79で表される鎖状のシロキサンである。
76~R79は、それぞれ独立して、水素原子、又はC1-6のアルキル基、好ましくはC1-6のアルキル基、より好ましくはC1-3のアルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
m8は、好ましくは1~4の整数である。
一の態様において、上記溶媒としては、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、ミネラルスピリット等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、ソルベントナフサ等の芳香族炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸セロソルブ、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、酢酸カルビトール、ジエチルオキサレート、ピルビン酸エチル、エチル-2-ヒドロキシブチレート、エチルアセトアセテート、酢酸アミル、乳酸メチル、乳酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル、2-ヒドロキシイソ酪酸エチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2-ヘキサノン、シクロヘキサノン、メチルアミノケトン、2-ヘプタノン等のケトン類;エチルセルソルブ、メチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノアルキルエーテル等のグリコールエーテル類;メタノール、エタノール、iso-プロピルアルコール、n-ブタノール、イソブタノール、tert-ブタノール、sec-ブタノール、3-ペンタノール、オクチルアルコール、3-メチル-3-メトキシブタノール、tert-アミルアルコール等のアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン等の環状エーテル類;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド類;メチルセロソルブ、セロソルブ、イソプロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテルアルコール類;ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート;シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル類;ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサエチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン等のシロキサン類;1,1,2-トリクロロ-1,2,2-トリフルオロエタン、1,2-ジクロロ-1,1,2,2-テトラフルオロエタン、ジメチルスルホキシド、1,1-ジクロロ-1,2,2,3,3-ペンタフルオロプロパン(HCFC225)、ゼオローラH、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、HFE7100、HFE7200、HFE7300、CFCHOH、CFCFCHOH、(CFCHOH等のフッ素含有溶媒等が挙げられる。あるいはこれらの2種以上の混合溶媒等が挙げられる。なかでも、シロキサン類が好ましい。例えば、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサエチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサンが好ましい。
上記触媒としては、酸(例えば酢酸、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、スルホン酸、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸等)、塩基(例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、トリエチルアミン、ジエチルアミン等)、遷移金属(例えばTi、Ni、Sn、Zr、Al、B、Si、Ta、Nb、Mo、W、Cr、Hf、V等)、分子構造内に非共有電子対を有する含硫黄化合物、または含窒素化合物(例えばスルホキシド化合物、脂肪族アミン化合物、芳香族アミン化合物、リン酸アミド化合物、アミド化合物、尿素化合物)が挙げられる。
触媒は、直鎖型シリコーンとシルセスキオキサンの反応を促進し、上記表面処理剤により形成される層の形成を促進する。
上記脂肪族アミン化合物としては、例えば、ジエチルアミン、トリエチルアミン等を挙げることができる。上記芳香族アミン化合物としては、例えば、アニリン、ピリジン等を挙げることができる。
好ましい態様において、上記遷移金属は、M-R(式中、Mは、遷移金属原子であり、Rは加水分解性基である。)で表される遷移金属化合物として含まれる。遷移金属化合物を、遷移金属と加水分解性基とが結合した化合物とすることにより、より効率的に遷移金属原子を表面処理層に含ませることができ、表面処理層の摩擦耐久性および耐薬品性を向上させることができる。
上記加水分解性基とは、上記した加水分解性基と同様に、加水分解反応を受け得る基を意味し、すなわち、加水分解反応により、遷移金属原子から脱離し得る基を意味する。加水分解性基の例としては、-OR、-OCOR、-O-N=CR 、-NR 、-NHR、-NCO、又はハロゲン(これら式中、Rは、置換または非置換のC1-4アルキル基を示す)などが挙げられる。
好ましい態様において、上記加水分解性基とは、-ORであり、好ましくはメトキシまたはエトキシである。加水分解性基としてアルコキシ基を用いることにより、より効率的に遷移金属原子を表面処理層に含ませることができ、表面処理層の摩擦耐久性および耐薬品性を向上させることができる。
一の態様において、上記加水分解性基は、上記した直鎖型シリコーン又はシルセスキオキサンに含まれる加水分解性基と同じであってもよい。直鎖型シリコーン又はシルセスキオキサンと遷移金属化合物における加水分解性基を同じ基とすることにより、かかる加水分解性基が相互に交換された場合であっても、その影響を小さくすることができる。
別の態様において、上記加水分解性基は、上記した直鎖型シリコーン又はシルセスキオキサンに含まれる加水分解性基と異なっていてもよい。直鎖型シリコーン又はシルセスキオキサンと遷移金属化合物における加水分解性基を異なるものとすることにより、加水分解の反応性を制御することができる。
一の態様において、上記加水分解性基と、上記直鎖型シリコーン又はシルセスキオキサンに含まれる加水分解性基は、表面処理剤中において、相互に入れ替わっていてもよい。
好ましい態様において、上記遷移金属化合物は、Ta(OR(式中、Rは置換または非置換のC1-4アルキル基である。)であり、好ましくはTa(OCHCH、又はSi(OR1-m1m’ m1(式中、Rは置換または非置換のC1-4アルキル基であり、Rm’は、C1-4アルキル基であり、m1は、0又は1である。)、好ましくはテトラエトキシシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、又はジメチルジメトキシシランであり得る。
上記触媒の含有量は、本開示の表面処理剤に含まれる直鎖型シリコーン及びシルセスキオキサンの合計に対して、好ましくは0~10質量%、より好ましくは0~5質量%、さらに好ましくは0~1質量%であり得る。
本開示の表面処理剤は、上記触媒を上記の範囲で含有することにより、より耐久性に優れた表面処理層の形成することができる。
シリコーンオイルとしては、特に限定されるものではないが、例えば、以下の一般式(3a):
1a-(SiR3a -O)a1-SiR3a -R1a ・・・(3a)
[式中:
1aは、それぞれ独立して、炭化水素基であり、
3aは、それぞれ独立して、炭化水素基であり、
a1は、2~3000である。]
で表される化合物が挙げられる。
3aは、それぞれ独立して、炭化水素基である。かかる炭化水素基は、置換されていてもよい。
3aは、それぞれ独立して、好ましくは非置換炭化水素基、又はハロゲン原子により置換されている炭化水素基である。かかるハロゲン原子は、好ましくはフッ素原子である。
3aは、それぞれ独立して、好ましくはハロゲン原子により置換されていてもよいC1-6アルキル基又はアリール基、より好ましくはC1-6アルキル基又はアリール基である。
上記C1-6アルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖
である。C1-6アルキル基は、好ましくはC1-3アルキル基、より好ましくはメチル基である。
上記アリール基は、好ましくはフェニル基である。
一の態様において、R3aは、それぞれ独立して、C1-6アルキル基、好ましくはC1-3アルキル基、より好ましくはメチル基である。
別の態様において、R3aは、フェニル基である。
別の態様において、R3aは、メチル基又はフェニル基、好ましくはメチル基である。
1aは、それぞれ独立して、炭化水素基であり、R3aと同意義である。
1aは、それぞれ独立して、好ましくはハロゲン原子により置換されていてもよいC1-6アルキル基又はアリール基、より好ましくはC1-6アルキル基又はアリール基である。
一の態様において、R1aは、それぞれ独立して、C1-6アルキル基、好ましくはC1-3アルキル基、より好ましくはメチル基である。
別の態様において、R1aは、フェニル基である。
別の態様において、R1aは、メチル基又はフェニル基、好ましくはメチル基である。
上記a1は、2~1500である。a1は、好ましくは5以上、より好ましくは10以上、さらに好ましくは15以上、例えば30以上、又は50以上であり得る。a1は、好ましくは1000以下、より好ましくは500以下、さらに好ましくは200以下、さらにより好ましくは150以下、例えば100以下、又は80以下であり得る。
a1は、好ましくは5~1000、より好ましくは10~500、さらに好ましくは15~200、さらにより好ましくは15~150であり得る。
上記シリコーンオイルは、500~1000000、好ましくは1000~100000の平均分子量を有していてよい。シリコーンオイルの分子量は、GPCを用いて測定し得る。
上記シリコーンオイルとしては、例えば-(SiR3a -O)a1―のa1が30以下の直鎖状又は環状のシリコーンオイルを用い得ることができる。直鎖状のシリコーンオイルは、いわゆるストレートシリコーンオイル及び変性シリコーンオイルであってよい。ストレートシリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイルが挙げられる。変性シリコーンオイルとしては、ストレートシリコーンオイルを、アルキル、アラルキル、ポリエーテル、高級脂肪酸エステル、フルオロアルキル、アミノ、エポキシ、カルボキシル、アルコールなどにより変性したものが挙げられる。環状のシリコーンオイルは、例えば環状ジメチルシロキサンオイルなどが挙げられる。
上記シリコーンオイルは、上記表面処理剤に対して、例えば0~50質量%、好ましくは0.001~30質量%、より好ましくは0.1~5質量%含まれ得る。
本開示の表面処理剤中、かかるシリコーンオイルは、直鎖型シリコーンとシルセスキオキサンの合計100質量部(2種以上の場合にはこれらの合計、以下も同様)に対して、例えば0~300質量部、好ましくは0~100質量部、より好ましくは0~50質量部、更に好ましくは0~10質量部で含まれ得る。
シリコーンオイルは、表面処理層の表面滑り性を向上させるのに寄与する。
上記アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、iso-プロピルアルコール、n-ブタノール、イソブタノール、tert-ブタノール、sec-ブタノール、3-ペンタノール、オクチルアルコール、3-メチル-3-メトキシブタノール、tert-アミルアルコールが挙げられる。これらのアルコール類を表面処理剤に添加することにより、表面処理剤の安定性を向上させる。
他の成分としては、上記以外に、例えば、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン等も挙げられる。
本開示の表面処理剤は、上記した成分に加え、不純物として、例えばPt、Rh、Ru、1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン、トリフェニルホスフィン、NaCl、KCl、シランの縮合物などを微量含み得る。
一の態様において、本開示の表面処理剤は、乾燥被覆法、好ましくは真空蒸着用である。
一の態様において、本開示の表面処理剤は、湿潤被覆法、好ましくは浸漬コーティング用である。
本開示の表面処理剤は、多孔質物質、例えば多孔質のセラミック材料、金属繊維、例えばスチールウールを綿状に固めたものに含浸させて、ペレットとすることができる。当該ペレットは、例えば、真空蒸着に用いることができる。
本開示は、基材と、該基材の表面に、本開示の表面処理剤から形成された表面処理層を含む物品を提供する。
上記表面処理層の厚みは、好ましくは100nm以下、より好ましくは80nm以下である。上記表面処理層の厚みは、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上である。
本開示の物品は、基材の表面に、本開示の表面処理剤の層を形成し、この層を必要に応じて後処理し、これにより、本開示の表面処理剤から層を形成することにより製造することができる。
本開示の物品における基材は、好ましくはガラス基材である。ガラス基材は、特に限定されず、種々のガラス基材を用いることができる。
上記ガラスとしては、例えば、サファイアガラス、ソーダライムガラス、アルカリアルミノケイ酸塩ガラス、ホウ珪酸ガラス、無アルカリガラス、クリスタルガラス、石英ガラスが好ましく、化学強化したソーダライムガラス、化学強化したアルカリアルミノケイ酸塩ガラス、及び化学結合したホウ珪酸ガラスが挙げられる。なかでも、Siを含むガラス、例えばソーダライムガラス、アルカリアルミノケイ酸塩ガラス、ホウ珪酸ガラス、無アルカリガラス、クリスタルガラス、石英ガラスが好ましく、化学強化したソーダライムガラス、化学強化したアルカリアルミノケイ酸塩ガラス、及び化学結合したホウ珪酸ガラスが好ましい。
一の態様において、本開示の物品は、ガラスとシロキサン層との間に、酸化ケイ素を含む中間層を含んでいてもよい。かかる中間層を設けることにより、ガラスとシロキサン層との密着性が向上し、耐久性が向上する。
例えば、製造すべき物品が光学部材である場合、基材の表面を構成する材料は、光学部材用材料であってよい。また、製造すべき物品が光学部材である場合、基材の表面(最外層)に何らかの層(又は膜)、例えばハードコート層や反射防止層などが形成されていてもよい。反射防止層には、単層反射防止層及び多層反射防止層のいずれを使用してもよい。反射防止層に使用可能な無機物の例としては、SiO、SiO、ZrO、TiO、TiO、Ti、Ti、Al、Ta、Ta,Nb、HfO、Si、CeO、MgO、Y、SnO、MgF、WOなどが挙げられる。これらの無機物は、単独で、又はこれらの2種以上を組み合わせて(例えば混合物として)使用してもよい。多層反射防止層とする場合、その最外層にはSiO及び/又はSiOを用いることが好ましい。製造すべき物品が、タッチパネル用の光学ガラス部品である場合、透明電極、例えば酸化インジウムスズ(ITO)や酸化インジウム亜鉛などを用いた薄膜を、基材(ガラス)の表面の一部に有していてもよい。また、基材は、その具体的仕様等に応じて、絶縁層、粘着層、保護層、装飾枠層(I-CON)、霧化膜層、ハードコーティング膜層、偏光フィルム、相位差フィルム、及び液晶表示モジュールなどを有していてもよい。
上記基材の形状は、特に限定されず、例えば、板状、フィルム、その他の形態であってよい。また、シロキサン層を形成すべき基材の表面領域は、基材表面の少なくとも一部であればよく、製造すべき物品の用途及び具体的仕様等に応じて適宜決定され得る。
一の態様において、かかる基材としては、少なくともその表面部分が、水酸基を元々有する材料から成るものであってよい。基材に何らかの前処理を施すことにより、基材の表面に水酸基を導入したり、増加させたりすることができる。かかる前処理の例としては、プラズマ処理(例えばコロナ放電)や、イオンビーム照射が挙げられる。プラズマ処理は、基材表面に水酸基を導入又は増加させ得ると共に、基材表面を清浄化する(異物等を除去する)ためにも好適に利用され得る。また、かかる前処理の別の例としては、炭素-炭素不飽和結合基を有する界面吸着剤をLB法(ラングミュア-ブロジェット法)や化学吸着法等によって、基材表面に予め単分子膜の形態で形成し、その後、酸素や窒素等を含む雰囲気下にて不飽和結合を開裂する方法が挙げられる。
上記表面処理剤の層形成は、上記表面処理剤を基材の表面に対して、該表面を被覆するように適用することによって実施できる。被覆方法は、特に限定されない。例えば、湿潤被覆法及び乾燥被覆法を使用できる。
湿潤被覆法の例としては、浸漬コーティング、スピンコーティング、フローコーティング、スプレーコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、ワイプコーティング、スキージーコート法、ダイコート、インクジェット、キャスト法、ラングミュア・ブロジェット法及び類似の方法が挙げられる。
乾燥被覆法の例としては、蒸着(通常、真空蒸着)、スパッタリング、CVD及び類似の方法が挙げられる。蒸着法(通常、真空蒸着法)の具体例としては、抵抗加熱、電子ビーム、マイクロ波等を用いた高周波加熱、イオンビーム及び類似の方法が挙げられる。CVD方法の具体例としては、プラズマ-CVD、光学CVD、熱CVD及び類似の方法が挙げられる。
更に、常圧プラズマ法による被覆も可能である。
湿潤被覆法を使用する場合、表面処理剤は、溶媒で希釈されてから基材表面に適用され得る。表面処理剤の安定性及び溶媒の揮発性の観点から、次の溶媒が好ましく使用される:ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、ミネラルスピリット等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、ソルベントナフサ等の芳香族炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸セロソルブ、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、酢酸カルビトール、ジエチルオキサレート、ピルビン酸エチル、エチル-2-ヒドロキシブチレート、エチルアセトアセテート、酢酸アミル、乳酸メチル、乳酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル、2-ヒドロキシイソ酪酸エチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2-ヘキサノン、シクロヘキサノン、メチルアミノケトン、2-ヘプタノン等のケトン類;エチルセルソルブ、メチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノアルキルエーテル等のグリコールエーテル類;メタノール、エタノール、iso-プロピルアルコール、n-ブタノール、イソブタノール、tert-ブタノール、sec-ブタノール、3-ペンタノール、オクチルアルコール、3-メチル-3-メトキシブタノール、tert-アミルアルコール等のアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン等の環状エーテル類;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド類;メチルセロソルブ、セロソルブ、イソプロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテルアルコール類;ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート;ポリフルオロ芳香族炭化水素(例えば、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン);ポリフルオロ脂肪族炭化水素(例えば、C13CHCH(例えば、旭硝子株式会社製のアサヒクリン(登録商標)AC-6000)、1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタン(例えば、日本ゼオン株式会社製のゼオローラ(登録商標)H);ヒドロフルオロエーテル(HFE)(例えば、パーフルオロプロピルメチルエーテル(COCH)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標)7000)、パーフルオロブチルメチルエーテル(COCH)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標)7100)、パーフルオロブチルエチルエーテル(COC)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標)7200)、パーフルオロヘキシルメチルエーテル(CCF(OCH)C)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標)7300)などのアルキルパーフルオロアルキルエーテル(パーフルオロアルキル基及びアルキル基は直鎖又は分枝状であってよい)、あるいはCFCHOCFCHF(例えば、旭硝子株式会社製のアサヒクリン(登録商標)AE-3000))、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテルアルコール類;ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサエチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン等のシロキサン類など。これらの溶媒は、単独で、又は、2種以上の混合物として用いることができる。なかでも、シロキサン類が好ましい。例えば、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサエチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサンが特に好ましい。
乾燥被覆法を使用する場合、本開示の表面処理剤は、そのまま乾燥被覆法に付してもよく、又は、上記した溶媒で希釈してから乾燥被覆法に付してもよい。
表面処理剤の層形成は、層中で本開示の表面処理剤が、加水分解及び脱水縮合のための触媒と共に存在するように実施することが好ましい。簡便には、湿潤被覆法による場合、本開示の表面処理剤を溶媒で希釈した後、基材表面に適用する直前に、本開示の表面処理剤の希釈液に触媒を添加してよい。乾燥被覆法による場合には、触媒添加した本開示の表面処理剤をそのまま蒸着(通常、真空蒸着)処理するか、あるいは鉄や銅などの金属多孔体に、触媒添加した本開示の表面処理剤を含浸させたペレット状物質を用いて蒸着(通常、真空蒸着)処理をしてもよい。
触媒には、任意の適切な酸又は塩基、遷移金属(例えばTi、Ni、Sn、Zr、Al、B等)、分子構造内に非共有電子対を有する含硫黄化合物、または含窒素化合物(例えばスルホキシド化合物、脂肪族アミン化合物、芳香族アミン化合物、リン酸アミド化合物、アミド化合物、尿素化合物)等を使用できる。酸触媒としては、例えば、酢酸、ギ酸、トリフルオロ酢酸、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、スルホン酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸などを使用できる。また、塩基触媒としては、例えばアンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエチルアミン、ジエチルアミン等の有機アミン類などを使用できる。遷移金属、脂肪族アミン化合物、及び芳香族アミン化合物は、上記と同様のものが挙げられる。
上記した酸化ケイ素を含む中間層は、酸化ケイ素前駆体を基材の表面に適用することにより形成することができる。中間層がアルカリ金属原子を含む場合、上記中間層は、酸化ケイ素前駆体とアルカリ金属源を含む組成物を基材の表面に適用することにより形成することができる。
上記酸化ケイ素前駆体としては、ケイ酸、ケイ酸の部分縮合物、アルカリ金属ケイ酸塩、ケイ素原子に結合した加水分解性基を有するシラン化合物、該シラン化合物の部分加水分解縮合物等が挙げられる。ケイ酸やその部分縮合物は脱水縮合させて酸化ケイ素とすることができ、アルカリ金属ケイ酸塩は酸や陽イオン交換樹脂によりケイ酸やその部分縮合物とし、生成したケイ酸やその部分縮合物を脱水縮合させて酸化ケイ素とすることができる。ケイ素原子に結合した加水分解性基を有するシラン化合物における加水分解性基としては、アルコキシ基、塩素原子等が挙げられる。該シラン化合物の加水分解性基を加水分解させて水酸基とし、生成するシラノール化合物を脱水縮合させて酸化ケイ素とすることができる。ケイ素原子に結合した加水分解性基を有するシラン化合物としては、テトラアルコキシシラン、アルキルトリアルコキシシラン等のアルコキシシランやテトラクロロシラン等が挙げられる。
上記アルカリ金属源としては、アルカリ金属水酸化物、水溶性アルカリ金属塩等が挙げられる。水溶性アルカリ金属塩としては、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、アルカリ金属塩酸塩、アルカリ金属硝酸塩等が挙げられる。アルカリ金属源としては、アルカリ金属水酸化物およびアルカリ金属炭酸塩が好ましい。
尚、アルカリ金属ケイ酸塩は酸化ケイ素前駆体かつアルカリ金属源として用いることができる。アルカリ金属ケイ酸塩はケイ酸を経て酸化ケイ素とすることができるが、その際に少量のアルカリ金属が生成する酸化ケイ素中に残留し得る。従って、残留するアルカリ金属原子の量を調整して、所定量のアルカリ金属原子を含む酸化ケイ素を得ることができる。
以上、本開示の表面処理剤及び物品について詳述した。なお、本開示は、上記で例示したものに限定されない。
以下、本開示について、実施例において説明するが、本開示は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
MCR-H21(Gelest社製、SiH(CH-O-(Si(CHO)-Si(CH、分子量4500~5000)(0.90g)、オクタキス(ジメチルシリルオキシ)オクタシルセスキオキサン(0.10g)、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(0.10g)、及びヘキサメチルジシロキサン(100mL)を混合し、表面処理剤1を得た。
実施例2
MCR-H21(0.90g)、オクタキス(ジメチルシリルオキシ)オクタシルセスキオキサン(0.10g)、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(0.25g)、及びヘキサメチルジシロキサン(100mL)を混合し、表面処理剤2を得た。
実施例3
MCR-H21(0.90g)、オクタキス(ジメチルシリルオキシ)オクタシルセスキオキサン(0.10g)、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(0.50g)、及びヘキサメチルジシロキサン(100mL)を混合し、表面処理剤3を得た。
比較例1
MCR-H21(1.00g)、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(0.10g)、及びヘキサメチルジシロキサン(100mL)を混合し、表面処理剤4を得た。
比較例2
オクタキス(ジメチルシリルオキシ)オクタシルセスキオキサン(1.00g)、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(0.10g)、及びヘキサメチルジシロキサン(100mL)を混合し、表面処理剤5を得た。
<表面処理層の形成>
[スピンコート処理]
表面処理剤1~5を、50mm×50mmのガラス基板上に、10分間UV/O処理を行ってドライ洗浄を行った後、3000rpmで30秒間スピンコートした。その後、オーブンで150℃、30分の加熱処理を行うことにより、表面処理層を得た。
<評価>
[接触角の測定]
接触角の測定は、25℃環境下において、全自動接触角計DropMaster700(協和界面科学社製)を用いた。具体的には、測定対象の表面処理層を有する基材を水平に静置し、その表面にマイクロシリンジから水を滴下し、滴下1秒後の静止画をビデオマイクロスコープで撮影することにより静的接触角を測定した。静的接触角は、基材の表面処理層の異なる5点において測定し、その平均値を算出した値を用いた。
[耐摩耗性評価]
まず、初期評価として、表面処理層形成後、その表面に未だ何も触れていない状態で、水の静的接触角を測定した(摩擦回数 ゼロ回)。その後、摩擦耐久性評価として、スチールウール摩擦耐久性評価を実施した。具体的には、表面処理層を形成した基材を水平配置し、スチールウール(番手♯0000、寸法5mm×10mm×10mm)を表面処理層の露出上面に接触させ、その上に1,000gfの荷重を付与し、その後、荷重を加えた状態でスチールウールを140mm/秒の速度で往復させた。往復回数0回、50回、100回、400回で水の静的接触角(度)を測定し、接触角の測定値が40度未満となった時点で評価を中止した。
Figure 2024074615000009
上記の結果から、直鎖型シリコーン、シルセスキオキサン及びホウ素化合物を含む表面処理剤である実施例1~3は、高い摩擦耐久性を示した。一方、直鎖型シリコーン、シルセスキオキサン及びホウ素化合物のいずれかを欠く比較例1~2は、摩擦耐久性に劣っていた。
本開示の表面処理剤は、種々多様な用途に好適に利用され得る。

Claims (17)

  1. 直鎖型シリコーン、反応性部位を有するシルセスキオキサン、及びホウ素化合物を含む表面処理剤。
  2. 前記直鎖型シリコーンは、直鎖型オルガノシロキサンである、請求項1に記載の表面処理剤。
  3. 前記直鎖型シリコーンは、下記式(A1):
    Figure 2024074615000010
    [式中:
    11は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、加水分解性基、二重結合含有基、又はC1-12アルキル基であり、
    nは、1~2000の整数である。]
    で表されるシリコーン化合物である、請求項1又は2に記載の表面処理剤。
  4. 前記直鎖型シリコーンは、下記式(A2):
    Figure 2024074615000011
    [式中:
    12は、それぞれ独立して、C1-12アルキル基であり、
    13は、それぞれ独立して、C1-12アルキル基であり、
    15は、それぞれ独立して、C1-12アルキル基であり、
    19は、水素原子、水酸基、加水分解性基、又は二重結合含有基、であり、
    m1は、1~2000の整数であり、
    n1は、0~2000の整数である。]
    で表されるシリコーン化合物である、請求項1~3のいずれか1項に記載の表面処理剤。
  5. 前記直鎖型シリコーンは、下記式(A3):
    Figure 2024074615000012
    [式中:
    14は、それぞれ独立して、C1-12アルキル基であり、
    18は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、加水分解性基、又はC1-12アルキル基であり、
    18の少なくとも1つは、水素原子、水酸基、加水分解性基、又は二重結合含有基であり、
    n3は、1~2000の整数である。]
    で表されるシリコーン化合物である、請求項1~3のいずれか1項に記載の表面処理剤。
  6. 前記反応性部位は、SiR(式中、Rは、水素原子、水酸基、又は加水分解性基である。)で表される部分を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の表面処理剤。
  7. 前記シルセスキオキサンは、下記式(B):
    (R21SiO1.5 (B)
    [式中:
    21は、それぞれ独立して、-O-SiR 3-r、水素原子、水酸基、又は1価の有機基であり、
    は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、又は加水分解性基であり、
    は、それぞれ独立して、1価の基であり、
    rは、1~3の整数であり、
    tは任意の整数である。]
    で表される化合物である、請求項1~6のいずれか1項に記載の表面処理剤。
  8. 前記シルセスキオキサンは、かご型シルセスキオキサンである、請求項1~7のいずれか1項に記載の表面処理剤。
  9. 前記直鎖型シリコーンの含有量と、前記シルセスキオキサンの含有量との質量比は、99.9:0.1~75:25である、請求項1~8のいずれか1項に記載の表面処理剤。
  10. 前記直鎖型シリコーンの含有量と、前記シルセスキオキサンの含有量との質量比は、99:1~90:10である、請求項1~9のいずれか1項に記載の表面処理剤。
  11. 前記ホウ素化合物は、式(C):
    Figure 2024074615000013
    [式中:
    31~R33は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、置換されていてもよいC1-8アルキル基、置換されていてもよいC1-8アルコキシ基、置換されていてもよいC6-18アリール基、置換されていてもよいC6-18アリールオキシ基である。]
    で表される化合物である、請求項1~10のいずれか1項に記載の表面処理剤。
  12. 31~R33は、フッ素により置換されているC6-18アリール基である、請求項11に記載の表面処理剤。
  13. 前記ホウ素化合物の含有量は、直鎖型シリコーン及び前記シルセスキオキサンの含有量の合計に対して、10~50質量%である、請求項1~12のいずれか1項に記載の表面処理剤。
  14. 前記ホウ素化合物の含有量は、直鎖型シリコーン及び前記シルセスキオキサンの含有量の合計に対して、10~25質量%である、請求項1~13のいずれか1項に記載の表面処理剤。
  15. さらに溶媒を含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の表面処理剤。
  16. 基材と、該基材の表面に、請求項1~15のいずれか1項に記載の表面処理剤から形成された表面処理層とを含む物品。
  17. 前記表面処理層の厚みは、100nm以下である、請求項16に記載の物品。
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