JP2024073606A - FVIII(a)の代わりとなることができる非常に効力があるISVD化合物 - Google Patents

FVIII(a)の代わりとなることができる非常に効力があるISVD化合物 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明が解決しようとする課題は、血液凝固障害の治療について、治療負担の低減、ならびに血友病Aおよび関連する疾患などの血液凝固障害の治療における使用のためのFVIII(a)の代わりとなることができる改善された化合物を提供することである。
【解決手段】本発明は、非常に効力があり、かつ効果的な皮下投与ならびに経口投与を可能にするのに十分な長い半減期を提供する、凝固第IX因子(a)および第X因子(a)を結合することができるISVDポリペプチド誘導体に関する。
【選択図】なし

Description

本発明は、凝固第IX(a)因子および第X(a)因子に結合することができる化合物、ならびに血友病Aを含む様々な形態の血友病などの血液凝固障害の治療におけるそれらの使用に関する。
配列表の参照による組み込み
本出願は、電子形式の配列表とともに提出される。配列表の内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
血友病A(HA)およびB(HB)を有するヒトなどの血液凝固障害を有する患者では、凝固カスケードの様々な工程が、例えば、機能的な凝固因子の非存在または存在が不十分であることに起因して、機能不全となる。そのような凝固カスケードの一部の機能不全は、不十分な血液凝固および潜在的に生命を脅かす出血、または関節などの内部器官への損傷をもたらす。
一般的に血友病Aと呼ばれる凝固第VIII因子(FVIII)欠損症は、世界中の約420,000人に影響を及ぼす先天性出血障害であり、そのうち約105,000人が現在診断されている。血友病Aは、1%以下(重度)、2~5%(中等度)、および6~30%(軽度)([非特許文献1])、またはWFHの“Guidelines for the management of haemophilia”2nd edition Haemophilia;Epub 6 JUL 2012に従って、5~<40%の第FVIII因子血漿レベルによって定義される3つの重症度のグレードを有する。出血は特発的に、または外傷後に現れ得る。血友病Aを有する患者の約半数が、重度の血友病Aを有すると分類され、小児期早期から始まる重度の出血を経験し、以後の人生で、特発性出血または過剰出血の頻繁なエピソードを経験する。出血は一般的に関節および筋肉内に起こり、適切な治療を行わなければ、再発性出血は不可逆的な血友病性関節症につながり得る([非特許文献2])。
血友病Aを有する患者は、外因性FVIIIなどの凝固因子補充療法を受け得る。従来の治療は、出血エピソードの予防法または要求治療として提供される、補充療法から成る。最近まで、重度の血友病Aを有する患者に対する予防処置には、血漿由来FVIIIもしくは組み換えFVIII、またはその長時間作用型変異体のいずれかを用いた、1週間に最大3回の静脈注射が含まれた。
しかしながら、このような患者は、こうした外因性因子に対する中和抗体、いわゆる阻害物質を発生し、以前に効率的だった療法も無効にするリスクがある。阻害物質を有する血友病A患者は、部分的に先天性であり、部分的に後天性である血液凝固障害の非限定的な例である。FVIIIに対する阻害物質が発生した患者は、従来の補充療法で治療することができない。外因性凝固因子は、静脈内にのみ投与される場合があり、これは患者にとってかなりの不便であり、また不快である。
FVIII活性の低減または不在によって引き起こされる不適切なFXa形成およびトロンビン生成の低下は、血友病A患者の出血素因の根底にある理由である。
FXの酵素活性形態FXaへのタンパク質分解変換は、FIXaおよびその補因子活性型FVIII(FVIIIa)を含む固有のFX活性化複合体によって達成することができる。補因子結合は、FIXaの酵素活性を約5桁増加させ、[非特許文献3]によって概説されているように複数のメカニズムを通して生じると考えられている。特に、FVIIIaは、FXに対するタンパク質分解活性を増加させたFIXaの構造を安定化させることがわかっている([非特許文献4]、[非特許文献5])。
近年、エミシズマブ(HEMLIBRA(登録商標))(ACE910としても公知である)は、従来の補充療法の因子に対する阻害物質を伴うまたは伴わない血友病Aの皮下予防処置について承認された。エミシズマブは血友病Aの治療のためにChugai Pharmaceuticals/Roche Pharmaceuticalsによって開発されたヒト化二重特異性抗完全長FIX(a)/抗FX(a)モノクローナル抗体である。エミシズマブは、FVIII補因子機能([非特許文献6]および[特許文献1]を参照)を模倣するように設計されている。ミリリットル血漿当たり30~50μgのエミシズマブを用いた治療は、デシリットル血漿当たり、少なくとも10~15IUの同等の第VIII因子活性に相当すると推測されている([非特許文献7])。しかしながら、一部の患者は、エミシズマブに対する阻害物質(抗薬剤抗体)を発現し、この化合物による治療は無効であった。
エミシズマブに例示されるような阻害物質の生成に加えて、他の抗体特性も、患者に有効な抗体系の治療を達成するために重要である。特に、非特異的結合の高い傾向を伴う抗体が診療所の安全性の問題につながり得ることが示されている。一部の報告では、高いレベルの非特異的結合は、抗体の循環半減期を数倍低減し、患者にとって無効で面倒な投薬レジメンをもたらした([非特許文献8]、および[非特許文献9]を参照)。
[特許文献2]、[特許文献3]([特許文献4])、[特許文献5]、および[特許文献6]は、抗FIX(a)/抗FX(a)二重特異性完全長抗体、および皮下投与による血友病の治療に使用するための血液凝固促進としてのそれらの使用を開示している。1つのかかる二重特異性抗体は、Mim8と指定される([非特許文献10]および[特許文献7]を参照)。
しかしながら、血友病コミュニティ、特に血液凝固障害を有する対象者において、まだ多くの非常に重要な満たされていない医療ニーズがあり、特に、治療負担の低減、ならびに血友病Aおよび関連する疾患などの血液凝固障害の治療における使用のためのFVIII(a)の代わりとなることができる改善された化合物に対するニーズがある。
国際公開第2012/067176号 国際公開第2018/141863号 国際公開第2019/065795号 米国特許第10759870号 国際公開第2020/025672号 国際公開第2021/152066号 国際公開第2020/025672号
White et al.(2001)Thromb.Haemost.85:560 Manco-Johnson et al.(2007)N.Engl.J.Med.357:535-44 Scheiflinger et al.(2008)J Thromb Haemost,6:315-322 Kolkman JA,Mertens K(2000)Biochemistry,39:7398-7405 Zogg T,Brandstetter H (2009)Biol Chem,390:391-400 Sampei et al.(2013)PLoS One,8,e57479 Shima et al.,N Engl J Med 2016;374:2044-53 Dobson et al.,Nature,volume 6,art.no.:38644 (2016) Avery et al.,MAbs 2018,Vol.10,No.2,244-255 Ostergaard H et al.Blood.2021;138:1258-68
本発明は、非常に効力があり、かつ効果的な皮下投与ならびに経口投与を可能にするのに十分な長い半減期を提供する、凝固第IX因子(a)および第X因子(a)を結合することができる、VHポリペプチド誘導体などの血液凝固促進免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISVD)ポリペプチド誘導体を提供する。したがって、一態様では、本発明は、第IX因子(配列番号1)またはその活性化型に結合することができる第1のISVD(ISVD1)と、第X因子(配列番号2)またはその活性型に結合することができる第2のISVD(ISVD2)と、1つ以上の表面曝露残基に結合した1つ以上の延長部分(protraction moiety(ies))と、任意選択で、ISVD1およびISVD2を連結するリンカー(L1-2)と、任意選択で、1つ以上の延長部(E、extension(s))と、を含む、血液凝固促進免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISVD)ポリペプチド誘導体に関する。
一態様では、本発明は、第IX因子(配列番号1)またはその活性型に結合することができる第1のISVD(ISVD1)と、第X因子(配列番号2)またはその活性型に結合することができる第2のISVD(ISVD2)と、表面曝露残基に結合された少なくとも1つの延長部分と、任意選択で、ISVD1およびISVD2を連結するリンカー(L1-2)と、任意選択で、1つ以上の延長部(E)と、を含む血液凝固促進ISVDポリペプチド誘導体に関し、当該第1のISVDは、アミノ酸残基E224、T225、G226、V250、I251、R252、I253、P255、H257、およびN260(連続ナンバリング)のうちの少なくとも1つを含む第IX因子(配列番号1)またはその活性型上のエピトープに結合することができ、当該第2のISVDは、アミノ酸残基N173、P174、F175、L177、L178、およびD179(連続ナンバリング)のうちの少なくとも1つを含む第X因子(配列番号2)上のエピトープに結合することができる。
ISVDポリペプチド誘導体は、例えば、VHポリペプチド誘導体であり得る。
別の態様の本発明は、本明細書に開示されるISVDポリペプチド誘導体を含む医薬組成物に関する。本発明の別の態様は、皮下および経口投与を含む様々な投与経路による、様々な形態の血友病の治療、ならびに特に血友病Aの治療、インヒビターが存在する血友病Aの治療、および後天性血友病Aの治療のためのかかる化合物を含む、本明細書に開示されるISVDポリペプチド誘導体、および組成物の使用に関する。
さらなる態様では、本発明は、特定の抗FIX(a)VH断片またはその特定の抗FX(a)VH断片など、ISVDポリペプチド誘導体またはVHポリペプチド誘導体の一部である個々の構成要素(中間体)ISVDまたはVH断片に関する。
本発明のさらなる態様は、ポリペプチド誘導体の経口バイオアベイラビリティを改善するために、FIX(a)およびFX(a)を結合することができるかかるISVDポリペプチド誘導体の等電点を修飾する方法を含む、本明細書に開示される化合物の構成要素(中間体)の製造に関する。
図1a~hは、抗FX(a)/FIX(a)ISVDポリペプチド誘導体の非限定的な例を示す。E:延長部、PM:延長部分、L1-2:ISVD1およびISVD2を連結するリンカー。破線はジスルフィド結合を示す。 図2aは、延長部分リンカー(L)によってC末端延長部にコンジュゲートされた単一のC18二酸脂肪酸に基づく延長部分を含む抗FX/FIX(a)VHポリペプチド誘導体の非限定的な例を示す、ID:L1。破線はジスルフィド結合を示す。 図2bは、延長部分リンカー(L)によってC末端延長部にコンジュゲートされた単一のテトラゾールに基づく延長部分を含む抗FX/FIX(a)VHポリペプチド誘導体の非限定的な例を示す、ID:L2。破線はジスルフィド結合を示す。 図3a~fは、化合物番号20(a)、化合物番号18(b)、化合物番号15(c)、化合物番号13(d)、化合物番号14(e)、および化合物番号12(f)の化合物の詳細な比喩的説明を示しており、これらは、延長部分リンカー(L)、ID L1によってC末端延長部(E)にコンジュゲートされた2つのC16二酸脂肪酸に基づく延長部分を含む抗FX/FIX(a)VHポリペプチド誘導体の非限定的な例である。破線はジスルフィド結合を示す。延長部(E)(配列番号9)を、これらのVHポリペプチド誘導体に使用した。延長部は、2つのシステイン残基を、それぞれ4位および6位に含み、これは、延長部分(PM)の結合点としての役割を果たす。 a)VH1.20~L1-2~VH2.20~Eの配列では、ポリペプチドは、配列番号634(化合物番号20)によって表される。 b)VH1.18~L1-2~VH2.18~Eの配列では、ポリペプチドは、配列番号632(化合物番号18)によって表される。 c)VH1.15~L1-2~VH2.15~Eの配列では、ポリペプチドは、配列番号629(化合物番号15)によって表される。 d)VH1.13~L1-2~VH2.13~Eの配列では、ポリペプチドは、配列番号627(化合物番号13)によって表される。 e)VH1.14~L1-2~VH2.14~Eの配列では、ポリペプチドは、配列番号628(化合物番号14)によって表される。 f)VH1.12~L1-2~VH2.12~Eの配列では、ポリペプチドは、配列番号626(化合物番号12)によって表される。 図4は、化合物番号6、Mim8、およびエミシズマブSIAの滴定曲線(化合物濃度の結果としての活性)の例を示す。 図5aおよび5bは、それぞれ抗FIX(a)および抗FX ISVD(VH断片)配列の配列アライメントを示し、CDR配列は、太字および下線で強調表示されている。
配列の簡潔な説明
配列番号1は、ヒト凝固第IX因子のアミノ酸配列を表す。
配列番号2は、ヒト凝固第X因子のアミノ酸配列を表す。
配列番号3~13および690は、延長部(E)のアミノ酸配列を表す。
配列番号14~26および691は、L1-2およびLリンカーのアミノ酸配列を表す。
配列番号27~614は、VH断片のアミノ酸配列およびその相補性決定領域(CDR)を表す。
配列番号615~691、734、および735は、任意のL1-2リンカーおよび/または延長部を含むVHポリペプチドのアミノ酸配列を表す。
配列番号692~733は、本明細書の実施例4に開示されるペプチド断片の配列を表す。
配列番号736~739は、潜在的な延長因子(protractors)のアミノ酸配列を表す。
本発明は、非常に効力があり、かつ効果的な皮下投与ならびに経口投与を可能にするのに十分な長い半減期を提供する、FIX(a)およびFX(a)を結合することができるISVDポリペプチド誘導体を提供する。したがって、本明細書に開示されるISVDポリペプチド誘導体は、皮下および経口投与を含む様々な投与経路による、血友病Aの治療、インヒビターが存在する血友病Aの治療、および後天性血友病Aの治療など、様々な形態の血友病の治療に好適である。
特に、本発明は、凝固第VIIIa因子(FVIIIa)の補因子活性を模倣する方法で、凝固FIXaおよび活性化凝固FX(FXa)の形成につながる凝固FXを結合することができる、ISVDポリペプチド誘導体(またはVHポリペプチド誘導体)と呼ばれる、VHポリペプチドなどの二重特異性延長ISVDポリペプチドに関する。本明細書に開示されるVHポリペプチド誘導体は、非常に高いインビトロ効力を示し、それは、例えば、二重特異性抗体エミシズマブ配列同一類似体(SIA)よりも高い大きな規模である。VHポリペプチド誘導体はまた、ラット、イヌ、およびブタなどの動物モデルにおいて、導入した延長因子、例えば、脂肪酸コンジュゲーションおよびアルブミン結合ペプチド融合を介して半減期の延長も示す。非延長VHポリペプチドは、イヌおよびブタにおいて非常に急速なクリアランスを示す。さらに、VHポリペプチド誘導体は、表面曝露残基のpI低下アミノ酸置換、ならびに賦形剤であるN-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸ナトリウム(SNAC)および例えば、ニコチンアミド(NAM)を使用した製剤を介した、経口投与後の臨床的に関連するバイオアベイラビリティを可能にするように操作されている。したがって、経口投与時に、製剤化された非常に効力があるVHポリペプチド誘導体は、ラットおよびイヌ動物モデルにおいて、臨床的に関連するバイオアベイラビリティのレベルを示す。従来、10kDaを超える分子量を有する、VHポリペプチド誘導体などのISVDポリペプチド誘導体などの治療用ポリペプチドは、経口投与に好適であるとはみなされていない。しかしながら、本明細書に開示されるVHポリペプチド誘導体は、これらに限定されないが、インヒビターが存在する、または存在しない血友病Aなどの血液凝固障害の新規経口治療に好適である。
したがって、本発明は、非常に効力があり、かつ効果的な皮下投与ならびに経口投与を可能にするのに十分な長い半減期を提供する、凝固第IX因子(a)および第X因子(a)を結合することができる、VHポリペプチド誘導体などの血液凝固促進免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISVD)ポリペプチド誘導体を提供する。したがって 一態様では、本発明は、第IX因子(配列番号1)またはその活性型に結合することができる第1のISVD(ISVD1)と、第X因子(配列番号2)またはその活性型に結合することができる第2のISVD(ISVD2)と、1つ以上の表面曝露残基に結合した1つ以上の延長部分と、任意選択で、ISVD1およびISVD2を連結するリンカー(L1-2)と、任意選択で、1つ以上の延長部(E)と、を含む、血液凝固促進免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISVD)ポリペプチド誘導体に関する。図1a~fは、抗FX/FIX(a)ISVDポリペプチド誘導体の非限定的な例を示す。
一態様では、本発明は、第IX因子(配列番号1)またはその活性型に結合することができる第1のISVD(ISVD1)と、第X因子(配列番号2)またはその活性型に結合することができる第2のISVD(ISVD2)と、表面曝露残基に結合された少なくとも1つの延長部分と、任意選択で、ISVD1およびISVD2を連結するリンカー(L1-2)と、任意選択で、1つ以上の延長部(E)と、を含む血液凝固促進ISVDポリペプチド誘導体に関し、当該第1のISVDは、アミノ酸残基E224、T225、G226、V250、I251、R252、I253、P255、H257、およびN260(連続ナンバリング)のうちの少なくとも1つを含む第IX因子(配列番号1)またはその活性型上のエピトープに結合することができ、当該第2のISVDは、アミノ酸残基N173、P174、F175、L177、およびL178、およびD179(連続ナンバリング)のうちの少なくとも1つを含む第X因子(配列番号2)上のエピトープに結合することができる。
別の態様では、本発明は、血液凝固促進VHポリペプチド誘導体に関し、
第IX因子(配列番号1)またはその活性型に結合することができる第1のVH(VH1)と、
第X因子(配列番号2)に結合することができる第2のVH(VH2)と、
表面曝露残基に結合した少なくとも1つの延長部分と、
任意選択で、VH1およびVH2を連結するリンカー(L1-2)と、
任意選択で、1つ以上の延長部(E)と、を含み、
H1は、
H-2.20(配列番号171)、
H-2.18(配列番号155)、
H-2.15(配列番号131)、
H-2.13(配列番号115)、
H-2.14(配列番号123)、
H-2.12(配列番号107)、または
H-2.2(配列番号35)の配列を含み、
H2は、
H-1.20(配列番号167)、
H-1.18(配列番号151)、
H-1.15(配列番号127)、
H-1.13(配列番号111)、
H-1.14(配列番号119)、
H-1.12(配列番号103)、
H-1.3(配列番号31)、または
H-1.4(配列番号39)の配列を含む。
かかる一実施形態では、VH1は、VH-2.20の配列(配列番号171)を含み、VH2は、VH-1.20の配列(配列番号167)を含む。
別のかかる実施形態では、VH1は、VH-2.20の配列(配列番号171)を含み、VH2は、VH-1.18の配列(配列番号151)を含む。
別のかかる実施形態では、VH1は、VH-2.20の配列(配列番号171)を含み、VH2は、VH-1.15の配列(配列番号127)を含む。
別のかかる実施形態では、VH1は、VH-2.20の配列(配列番号171)を含み、VH2は、VH-1.13の配列(配列番号111)を含む。
別のかかる実施形態では、VH1は、VH-2.20の配列(配列番号171)を含み、VH2は、VH-1.12の配列(配列番号103)を含む。
別のかかる実施形態では、VH1は、VH-2.20の配列(配列番号171)を含み、VH2は、VH-1.3の配列(配列番号31)を含む。
別のかかる実施形態では、VH1は、VH-2.20の配列(配列番号171)を含み、VH2は、VH-1.4の配列(配列番号39)を含む。
かかる一実施形態では、VH1は、VH-2.20の配列(配列番号171)を含み、VH2は、VH-1.20の配列(配列番号167)を含む。
別のかかる実施形態では、VH1は、VH-2.18の配列(配列番号155)を含み、VH2は、VH-1.18の配列(配列番号151)を含む。
別のかかる実施形態では、VH1は、VH-2.20の配列(配列番号171)を含み、VH2は、VH-1.15の配列(配列番号127)を含む。
別のかかる実施形態では、VH1は、VH-2.20の配列(配列番号171)を含み、VH2は、VH-1.13の配列(配列番号111)を含む。
別のかかる実施形態では、VH1は、VH-2.20の配列(配列番号171)を含み、VH2は、VH-1.12の配列(配列番号103)を含む。
別のかかる実施形態では、VH1は、VH-2.20の配列(配列番号171)を含み、VH2は、VH-1.3の配列(配列番号31)を含む。
別のかかる実施形態では、VH1は、VH-2.20の配列(配列番号171)を含み、VH2は、VH-1.4の配列(配列番号39)を含む。
別のかかる実施形態では、VH1は、VH-2.15の配列(配列番号131)を含み、VH2は、VH-1.18の配列(配列番号151)を含む。
別のかかる実施形態では、VH1は、VH-2.20の配列(配列番号171)を含み、VH2は、VH-1.15の配列(配列番号127)を含む。
別のかかる実施形態では、VH1は、VH-2.20の配列(配列番号171)を含み、VH2は、VH-1.13の配列(配列番号111)を含む。
別のかかる実施形態では、VH1は、VH-2.20の配列(配列番号171)を含み、VH2は、VH-1.12の配列(配列番号103)を含む。
別のかかる実施形態では、VH1は、VH-2.20の配列(配列番号171)を含み、VH2は、VH-1.3の配列(配列番号31)を含む。
別のかかる実施形態では、VH1は、VH-2.20の配列(配列番号171)を含み、VH2は、VH-1.4の配列(配列番号39)を含む。
別のかかる実施形態では、VH1は、VH-2.13の配列(配列番号115)を含み、VH2は、VH-1.18の配列(配列番号151)を含む。
別のかかる実施形態では、VH1は、VH-2.20の配列(配列番号171)を含み、VH2は、VH-1.15の配列(配列番号127)を含む。
別のかかる実施形態では、VH1は、VH-2.20の配列(配列番号171)を含み、VH2は、VH-1.13の配列(配列番号111)を含む。
別のかかる実施形態では、VH1は、VH-2.20の配列(配列番号171)を含み、VH2は、VH-1.12の配列(配列番号103)を含む。
別のかかる実施形態では、VH1は、VH-2.20の配列(配列番号171)を含み、VH2は、VH-1.3の配列(配列番号31)を含む。
別のかかる実施形態では、VH1は、VH-2.20の配列(配列番号171)を含み、VH2は、VH-1.4の配列(配列番号39)を含む。
別のかかる実施形態では、VH1は、VH-2.14の配列(配列番号123)を含み、VH2は、VH-1.18の配列(配列番号151)を含む。
別のかかる実施形態では、VH1は、VH-2.20の配列(配列番号171)を含み、VH2は、VH-1.15の配列(配列番号127)を含む。
別のかかる実施形態では、VH1は、VH-2.20の配列(配列番号171)を含み、VH2は、VH-1.13の配列(配列番号111)を含む。
別のかかる実施形態では、VH1は、VH-2.20の配列(配列番号171)を含み、VH2は、VH-1.12の配列(配列番号103)を含む。
別のかかる実施形態では、VH1は、VH-2.20の配列(配列番号171)を含み、VH2は、VH-1.3の配列(配列番号31)を含む。
別のかかる実施形態では、VH1は、VH-2.20の配列(配列番号171)を含み、VH2は、VH-1.4の配列(配列番号39)を含む。
別のかかる実施形態では、VH1は、VH-2.12の配列(配列番号107)を含み、VH2は、VH-1.18の配列(配列番号151)を含む。
別のかかる実施形態では、VH1は、VH-2.20の配列(配列番号171)を含み、VH2は、VH-1.15の配列(配列番号127)を含む。
別のかかる実施形態では、VH1は、VH-2.20の配列(配列番号171)を含み、VH2は、VH-1.13の配列(配列番号111)を含む。
別のかかる実施形態では、VH1は、VH-2.20の配列(配列番号171)を含み、VH2は、VH-1.12の配列(配列番号103)を含む。
別のかかる実施形態では、VH1は、VH-2.20の配列(配列番号171)を含み、VH2は、VH-1.3の配列(配列番号31)を含む。
別のかかる実施形態では、VH1は、VH-2.20の配列(配列番号171)を含み、VH2は、VH-1.4の配列(配列番号39)を含む。
別のかかる実施形態では、VH1は、VH-2.2の配列(配列番号135)を含み、VH2は、VH-1.18の配列(配列番号151)を含む。
別のかかる実施形態では、VH1は、VH-2.20の配列(配列番号171)を含み、VH2は、VH-1.15の配列(配列番号127)を含む。
別のかかる実施形態では、VH1は、VH-2.20の配列(配列番号171)を含み、VH2は、VH-1.13の配列(配列番号111)を含む。
別のかかる実施形態では、VH1は、VH-2.20の配列(配列番号171)を含み、VH2は、VH-1.12の配列(配列番号103)を含む。
別のかかる実施形態では、VH1は、VH-2.20の配列(配列番号171)を含み、VH2は、VH-1.3の配列(配列番号31)を含む。
別のかかる実施形態では、VH1は、VH-2.20の配列(配列番号171)を含み、VH2は、VH-1.4の配列(配列番号39)を含む。
いくつかの実施形態では、延長部分は、以下の構造を含み、
*は、ISVDポリペプチド上の結合点を示した。
ISVDポリペプチド誘導体は、例えば、VHポリペプチド誘導体であり得る。
別の態様では、本発明は、本明細書に開示されるISVDポリペプチド誘導体を含む医薬組成物に関する。本発明の別の態様は、皮下および経口投与を含むがこれらに限定されない、様々な投与経路による、様々な形態の血友病の治療、ならびに特に血友病Aの治療、インヒビターが存在する血友病Aの治療、および後天性血友病Aの治療のためのかかる化合物を含む、本明細書に開示されるISVDポリペプチド誘導体、および組成物の使用に関する。
さらなる態様では、本発明は、特定の抗FIX(a)VH断片またはその特定の抗FX(a)VH断片など、ISVDポリペプチド誘導体またはVHポリペプチド誘導体の一部である個々の構成要素(中間体)ISVDまたはVH断片に関する。
本発明のさらなる態様は、ポリペプチド誘導体の経口バイオアベイラビリティを改善するために、FIX(a)およびFX(a)を結合することができるかかるISVDポリペプチド誘導体の等電点を修飾する方法を含む、本明細書に開示される化合物の構成要素(中間体)の製造に関する。
定義
本発明がより容易に理解され得るように、特定の用語が以下に定義される。
ギリシャ文字は、それらの記号または対応する名称で表されてもよく、例えば、α=アルファであり、β=ベータであり、ε=イプシロンであり、γ=ガンマであり、ω=オメガであるといった具合である。また、μのギリシャ文字は「u」で表されてもよく、例えば、μl=ul、またはμM=uMである。
化学式中のアスタリスク(*)は、結合点を示す。
「a」または「an」という用語は、「1つ以上」を意味することを意図している。工程または要素の列挙に先行する場合、「含む(comprise)」という用語、および「含む(comprises)」および「含む(comprising)」などのその変形は、さらなる工程または要素の追加が任意選択であり、除外されないことを意味することを意図している。
「約」という用語は、本明細書では、およそ、大まかに、またはその周辺を意味するために使用される。「約」という用語が数値範囲と併せて使用される場合、記載された数値を上回るおよび下回る境界を拡張することによってその範囲を修正する。概して、約という用語は、10パーセント上または下(より高いまたはより低い)で、記載値を上回るおよび下回る数値を修正することができる。
本明細書で使用される場合、「骨格」という用語は、任意のL1-2リンカーおよび延長部を含むISVDポリペプチドまたはVHポリペプチドのアミノ酸配列を指すが、延長部分を除外し、かつ骨格に融合されるのに好適な任意の延長部分を除外する疑いの回避のためである。
「結合親和性」という用語は、VH断片および抗原など、2つの分子間、例えば、ISVD間の非共有相互作用の強度の尺度である。用語は、一価の相互作用を説明するために使用される。一価の相互作用による、VHなど、2つの分子間、例えば、ISVD間の結合親和性は、平衡解離定数(K)を決定することによって定量化され得る。K は、複合体形成および解離の動態を、例えば、表面プラズモン共鳴(SPR)法または等温滴定熱量測定(ITC)法によって測定することによって決定することができる。一価の複合体の会合および解離に対応する速度定数は、それぞれ、会合速度定数k(またはkon)、および解離速度定数k(またはkoff)と呼ばれる。Kは、式K=k/kを介して、kおよびkと関連する。
上記の定義に従って、所与の抗原に対する異なるISVDの結合親和性など、異なる分子相互作用に関連する結合親和性は、個別の抗体/抗原複合体のK値の比較によって比較され得る。
解離定数の値は、周知の方法によって直接決定することができる。標的に向かうISVDなどのリガンドの結合能力を評価するための標準アッセイは、当該技術分野で公知であり、例えば、ELISA、ウエスタンブロット、RIA、およびフローサイトメトリー解析を含む。ISVDの結合動態および結合親和性も、SPRなどの当該技術分野で公知の標準アッセイによって評価することができる。
標的とのVHなどのISVDの結合が別のISVDなどのその標的の別のリガンドの存在下で標的の結合と比較される、競合結合アッセイを行うことができる。
文脈によって矛盾しない限り、Kは、本明細書に記載の表面プラズモン共鳴によって決定されることが好ましい(実施例7を参照)。
好ましくは、FIX(a)に結合することができるISVDのK値は、3μM以下、例えば15nM以下、例えば11.7nM以下である。
好ましくは、FX(a)に結合することができるISVDのK値は、3μM以下、例えば350nM以下、例えば300nM以下である。
「交差種反応性」ISVD(またはVH断片)は、例えば、全ての示される種(例えば、ヒトおよびカニクイザル)からのFIXに、同等の親和性で、特に、例えば、50の係数の範囲内、20の係数の範囲内、または10の係数の範囲内などの100の係数の範囲内のKで結合する。定義された係数XのK範囲内では、特定の列挙された種に対する最も高い親和性は、異なる列挙された種への結合に対して測定された最も低い親和性よりもX倍を超えないことを意味する。当業者であれば、親和性を測定するための任意の方法を使用して、異種間反応性ISVDが、同じ条件が全ての列挙された種に対するK測定に適用される限り、本明細書に記載される所与のK係数範囲内の全ての列挙された種由来の標的抗原に結合することを検証することができることを理解されるであろう。好ましくは、K値は、特に25℃で、SPRを使用して測定される。好ましくは、親和性は、VHなどの異種間反応性ISVDを使用して測定される。
アミノ酸は、アミン基およびカルボン酸基、ならびにしばしば側鎖と呼ばれる1つ以上の追加的な基を任意選択で含有する分子である。
「アミノ酸」という用語には、標準アミノ酸(遺伝的にコードされている)および非天然アミノ酸が含まれる。非天然アミノ酸の非限定的な例は、Aib(α-アミノイソ酪酸)、デアミノヒスチジン(別名3-(イミダゾール-4-イル)プロパン酸、略称Imp(イミダゾプロピオニル)、および標準アミノ酸のd-異性体である。光学異性体が記載されていないポリペプチド内の全てのアミノ酸残基は、本明細書では、別段の指定がない限り、l-異性体を意味すると理解されるべきである。
本明細書において「抗体」という用語は、抗原またはその一部分に結合することができる免疫グロブリン配列を含むか、またはそれに由来するタンパク質を指す。
「抗体」は、ジスルフィド結合によって連結される2つの重鎖(HC)および2つの軽鎖(LC)である少なくとも4つのポリペプチド鎖を含む完全長抗体、ならびにジスルフィド結合によって連結される2つの重鎖(HC)および1つの軽鎖(LC)である少なくとも3つのポリペプチド鎖を含む抗体を含むが、これらに限定されない。免疫グロブリンの1つのクラスは、IgGである。ヒトにおいて、IgGクラスは、それらの重鎖定常領域の配列に基づいて、4つのサブクラスIgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4へと分割されてもよい。軽鎖は、それらの配列組成物の差異に基づいて、2つのタイプ、カッパ鎖およびラムダ鎖に分けることができる。IgG分子は、2つ以上のジスルフィド結合によって連結された2つの重鎖、および各々がジスルフィド結合によって重鎖に付着した2つの軽鎖で構成されている。「抗体」という用語はまた、VH断片およびV-NAR断片などの単一ドメイン抗体を包含する。
本明細書で使用される場合、「超可変領域」という用語は、抗原結合に関与する抗体のアミノ酸残基を指す。超可変領域は、「CDR」としても公知である「相補性決定領域」を含む。
「フレームワーク」または「FR」領域は、超可変領域残基以外の可変ドメイン領域である。したがって、抗体またはISVDは、ドメインFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、およびFR4をNからC末端に含む。重鎖のCDR3は、典型的には抗原結合に最も寄与する領域である。
本明細書で使用される場合、「エピトープ」という用語は、抗体への特異的結合が可能であるタンパク質決定基を意味する。エピトープは通常、アミノ酸または糖側鎖などの分子の表面要素から成り、通常、特定の三次元構造的特性、ならびに特定の荷電特性を有する。構造エピソードおよび非構造エピトープは、後者ではないが前者への結合が、タンパク質の構造を破壊することができる変性剤の存在下で失われるという点で区別される。
例えば、ISVD、VH断片、およびその標的の間の複合体の空間座標によって定義されるX線由来結晶構造の文脈では、本明細書におけるエピトープという用語は、文脈により別段の指定がない限りまたは矛盾しない限り、FIX/FIXaまたはFX/FXa内の重原子から4Åの距離以内に重原子(すなわち、非水素原子)を有することを特徴とするISVD残基として特異的に定義される。
所与のISVD/抗原対のエピトープは、実施例に記載されるものなど、日常的な方法によって特定され得る。例えば、ISVDおよび抗原は組み合わせられてもよく、ISVD/抗原複合体は結晶化されてもよい。ISVDとその抗原との間の相互作用の特異的部位を特定するために、複合体の結晶構造が決定されて、使用されてもよい。
一実施形態では、本明細書に記載のISVDポリペプチド誘導体は、アミノ酸残基E224、T225、G226、V250、I251、R252、I253、P255、H257、およびN260(配列番号1)のうちの少なくとも1つを含むFIXまたはその活性型上のエピトープに結合することができる第1のISVD、ならびにアミノ酸残基N173、P174、F175、L177、およびL178(連続ナンバリング)のうちの少なくとも1つを含むFX(配列番号2)上のエピトープに結合することができる第2のISVDを含む。
一実施形態では、ISVDポリペプチド誘導体は、アミノ酸残基E224、T225、G226、V250、I251、R252、I253、P255、H257、およびN260(連続ナンバリング)のうちの少なくとも1つを含む、第IX因子(配列番号1)またはその活性型上のエピトープに結合することができる第1のISVD、ならびに
アミノ酸残基N173、P174、F175、L177、L178(連続ナンバリング)のうちの少なくとも1つを含むか、またはアミノ酸残基N173、P174、F175、L177、L178、およびD179のうちの少なくとも1つを含む第X因子(配列番号2)上のエピトープに結合することができる第2のISVDを含む。
凝固第IX因子(FIX)は、第VII因子、プロトロンビン、第X因子、およびプロテインCとの構造的類似性を有するビタミンK依存性凝固因子である。FIXは、単鎖酵素前駆体(配列番号1)として血漿中を循環する。循環する酵素前駆体型は、N末端γ-カルボキシグルタミン酸が豊富な(Gla)ドメイン、2つのEGFドメイン、およびC末端トリプシン様セリンプロテアーゼドメインを含む、4つの異なるドメインに分割された415個のアミノ酸から成る。FIXの活性化は、Arg145およびArg180での限られたタンパク質分解によって生じ、活性化ペプチドを放出する(配列番号1の残基146~180)。したがって、活性化FIX(FIXa)は、配列番号1の残基1~145(軽鎖)および配列番号1の残基181~415(重鎖)から構成される。
したがって、循環FIX分子は、FIX酵素前駆体、および活性型のFIXを含み、これは本明細書では一般に、配列番号1に関してFIXおよびFIXaと呼ばれる。
活性型第IX因子は、第IXa因子またはFIXaと呼ばれる。「FIX(配列番号1)および/またはその活性型形態(FIXa)」という用語は、「FIX/FIXa」または単に「FIX(a)」とも呼ばれ得る。
FIXaは、テナーゼ複合体の一部として、凝固中に適切なトロンビン形成を支持するために必要な第Xa因子のほとんどを生成することにより、止血において重要な役割を果たす、トリプシン様セリンプロテアーゼである。
FIXは、本明細書では、ヒトFIXのAla148対立遺伝子型に対応する配列番号1によって表される(Ansn et al.EMBO J.1984 3:1053-1060、McGraw et al.,Proc Natl Acad Sci USA.1985 82:2847-2851、Graham et al.Am.J.Hum.Genet.1988 42:573-580)。本発明では、FIXは、T148バリアント(Uniprot ID P00740)などのFIXの全ての天然バリアントを網羅することを意図している。
FXは、第VII因子、プロトロンビン、FIX、およびプロテインCとの構造的類似性を有するビタミンK依存性凝固因子である。FXは、配列番号2の残基1~139(軽鎖)および配列番号2の残基143~448(重鎖)を含む二本鎖酵素前駆体として血漿内を循環する。ヒトFX酵素前駆体は、N末端ガンマカルボキシグルタミン酸が豊富な(Gla)ドメイン(残基1~45)、2つのEGFドメイン、それぞれEGF1(残基46~82)とEGF2(残基85~125)、およびC末端トリプシン様セリンプロテアーゼドメイン(残基195~448)を含む4つの別個のドメインを含む。FXの活性化は、Arg194での限られたタンパク質分解によって生じ、活性化ペプチドの放出をもたらす(残基143~194)。したがって、活性化FX(FXa)は、配列番号2の残基1~139(軽鎖)および配列番号2の残基195~448(活性化重鎖)から構成される。したがって、循環第X因子分子は、FX酵素前駆体、および活性型形態のFXを含み、これは本明細書では、配列番号2に関してそれぞれFXおよびFXaと呼ばれる。本発明では、FXは、FXの全ての天然バリアントを網羅することを意図している。「FX(配列番号2)および/またはその活性型形態(FXa)」という用語は、「FX/FXa」または「FX(a)」とも呼ばれ得る。
本明細書で使用される場合、「保存的置換」という用語は、アミノ酸が、類似の生化学特性を有するアミノ酸へと置換されてもよく、例えば、塩基性アミノ酸は別の塩基性アミノ酸へと(例えば、リジンからアルギニンへと)置換されてもよく、酸性アミノ酸は別の酸性アミノ酸へと(例えば、グルタミン酸塩からアスパラギン酸塩へと)置換されてもよく、中性アミノ酸は別の中性アミノ酸へと(例えば、スレオニンからセリンへと)置換されてもよく、荷電アミノ酸は別の荷電アミノ酸へと(例えば、グルタミン酸塩からアスパラギン酸塩へと)置換されてもよく、親水性アミノ酸は別の親水性アミノ酸へと(例えば、アスパラギンからグルタミンへと)置換されてもよく、疎水性アミノ酸は別の疎水性アミノ酸へと(例えば、アラニンからバリンへと)置換されてもよく、極性アミノ酸は別の極性アミノ酸へと(例えば、セリンからスレオニンへと)置換されてもよく、芳香族アミノ酸は別の芳香族アミノ酸へと(例えば、フェニルアラニンからトリプトファンへと)置換されてもよく、脂肪族アミノ酸は別の脂肪族アミノ酸へと(例えば、ロイシンからイソロイシンへと)置換されてもよい場合を指す。
本明細書で使用される場合、「賦形剤」という用語は、活性成分の投与をさらに促進するために医薬組成物に添加される不活性物質を指す。
限定されるものではないが、賦形剤の例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖類およびデンプンのタイプ、L-アルギニン、ニコチンアミド、SNAC、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油、ならびにポリエチレングリコールが挙げられる。
本明細書で使用される場合、「延長部」(E)という用語は、ISVDポリペプチドに結合するのに好適なペプチドまたはポリペプチドを指す。
延長部は、数個のアミノ酸、1~10個のアミノ酸であってもよく、それはより長い、10~30個のアミノ酸であってもよいか、または非常に長いアミノ酸、30個を超えるアミノ酸であってもよい。延長部は、好ましくは、ISVDポリペプチド、ISVDポリペプチド誘導体、VHポリペプチド、またはVHポリペプチド誘導体のN末端(N末端延長部)もしくはC末端(C末端延長部)、またはその両方に存在する。あるいは、延長部は、1つ以上のフレームワーク領域またはリンカーL1-2など、CDR配列の外側のISVDポリペプチドのどこかに結合される。
延長部は、好ましくは、ISVDポリペプチドに組み換え融合される。他の実施形態では、延長部は、ISVDポリペプチドにコンジュゲートされる。
非限定的な例としては、GQACPC(配列番号9)から構成される6アミノ酸のC末端延長部を有する化合物番号22、GGGGCSCHHHHHH(配列番号8)から構成される13アミノ酸のC末端延長部を有する化合物番号6、およびGGGGSHHHHHH(配列番号7)から構成される11アミノ酸のC末端延長部が挙げられる。
延長部の目的は、延長部分の結合点を提供すること、および/または精製のための手段を提供することである。したがって、延長部という用語は、延長因子および延長部分を包含しない。
例えば、ポリペプチドのN末端またはC末端に組み換え融合された任意の延長因子リンカー(L)を含む延長因子は、延長部とみなされない。
本明細書で使用される場合、「融合」という用語は、元々別個のタンパク質もしくはペプチドまたはその断片をコードする2つ以上のDNA配列のインフレーム結合を指す。融合ポリペプチドDNA配列の翻訳は、元のタンパク質またはペプチドの各々から誘導された機能的特性を有し得る単一のポリペプチド配列をもたらす。融合タンパク質をコードするDNA配列は、オーバーラップPCRまたはDNAライゲーションなどの標準的な分子生物学法によって人工的に作製されてもよい。得られた融合ポリペプチドDNA配列は、細菌、酵母、真菌、昆虫細胞、または哺乳類細胞などの宿主生物における異種融合タンパク質発現を支持する適切な発現ベクターに挿入されてもよい。延長部分は、例えば、ISVDポリペプチドまたはVHポリペプチド骨格のC末端またはN末端に融合されてもよい。
本明細書で使用される場合、「宿主細胞」という用語は、本明細書に開示されるISVDを生成するように操作され得る任意の種類の細胞系を包含する。宿主細胞としては、培養細胞、例えば、CHO細胞などの哺乳類培養細胞、HEK293T細胞、BHK細胞、NSO細胞、SP2/0細胞、YO骨髄腫細胞、P3X63マウス骨髄腫細胞、PER細胞、PER.C6細胞またはハイブリドーマ細胞、酵母細胞、真菌細胞、および昆虫細胞が挙げられるが、これらに限定されない。
当該技術分野で公知の「同一性」という用語は、配列を比較することによって決定される、2つ以上のポリペプチドの配列間の関係を指す。当該技術分野では、「同一性」はまた、2つ以上のアミノ酸残基の文字列の間の一致の数によって決定されるような、ポリペプチド間の配列の関連性の程度も意味する。「同一性」は、特定の数学的モデルまたはコンピュータプログラム(すなわち、「アルゴリズム」)によって対処された隙間調整(もしあれば)を有する2つ以上の配列の小さい方の間の完全一致の割合を測定する。関連するポリペプチドの同一性は、公知の方法によって容易に計算することができる。本発明では、EMBOSS-6.6.0からのNeedleman(Needleman et al,J.Mol.Biol.1970;48:443-453)を使用し、ギャップ開始およびギャップ伸長 についてそれぞれパラメータ10および0.5を使用して(gapopen=10、gapextend=0.5)、類似性および同一性が決定された。
「免疫グロブリン単一可変ドメイン」または「ISVD」という用語は、それぞれ、VHドメインおよびVLドメインなどの抗原結合ドメインまたは断片を含むための一般用語として使用される。
したがって、ISVDは、軽鎖可変ドメイン配列(例えば、VL配列)、または重鎖可変ドメイン配列(例えば、VH配列)、例えば、従来の4鎖抗体に由来する重鎖可変ドメイン配列、または従来の4鎖抗体に由来する軽鎖可変ドメイン配列であり得る。
特定のタイプのISVDは、単一の単量体可変抗体ドメインから成る抗体断片として定義される免疫グロブリンのタイプとして元々特定されたVH断片である。VH断片は、重鎖のみの抗体の抗原結合可変領域を包含する単一ドメイン抗体であり、ラクダ類から得ることができる。VH断片は、約15kDaのサイズを有する。それらは、単一ドメインを使用してその同族抗原を結合することができる単一鎖分子を含む。VH断片の抗原結合表面は、通常、平坦または凹面である従来の抗体の表面よりも、より凸状(または突出)である。VH断片は、その配列および構造が保存されたものとして定義される4つのフレームワーク領域(またはFR)、および3つの相補性決定領域(またはCDR)から構成され、抗原結合に関与し、かつ抗原特異性を提供する、配列含量および構造立体配座の両方において高い可変性を示す。
別のタイプのISVDは、軟骨魚のIgNARから得ることができ、その単一ドメイン抗体は、「V-NAR断片」と示される。
H断片およびV-NAR断片は、定常ドメインを含まないため、典型的には部分/完全長および/または操作/天然の重鎖のみの抗体の一部であるFc領域を有さない[Dooley et al.(2006)Dev. Comp.Immunol.30:43-56、Muyldermans S.(2013)Annu Rev Biochem.82:775-97]。
ラクダVH断片ならびにそれらの産生および/または単離および/または使用のための方法の一般的な説明は、特に以下の参考資料国際公開第94/04678号および国際公開第97/49805号に見出される。軟骨魚由来の重鎖免疫グロブリンおよびその可変領域、ならびにそれらの生産および/または単離および/または使用のための方法の一般的な説明は、特に国際公開第2005/118629号に見出される。
H断片中のアミノ酸残基の総数は、典型的には110~140の範囲内である。しかしながら、VHの一部、断片、または類似体は、かかる一部、断片、または類似体が、本明細書の以下に概説されるさらなる要件を満たし、また好ましくは、本明細書に記載される目的にも好適である場合、その長さおよび/またはサイズに関して特に限定されないことに留意されるべきである。VH断片の分子量は、典型的には、12~15kDaの範囲内である。VH断片のpIは、抗体が概してそうであるように、概して塩基性であり、pI値が概して7を上回り、しばしば7.5~8.5であることを意味する。VH断片は、通常、フレームワーク領域1および3に位置付けられた保存されたシステイン対によって典型的には形成される少なくとも1つのジスルフィド架橋を包含する。かかるジスルフィド架橋は、VH断片の正しい折り畳みおよび安定性を確実にし、例えば、VHポリペプチドにおける導入された非対のシステインを標的とするような方法で側鎖修飾および/またはコンジュゲーションが行われる場合、かかるジスルフィド架橋を保持することが望ましい。
本文書では、VH断片などのISVDのCDR配列を、Kabat定義を使用して決定する(Kontermann and Dubel,2010,Eds.,Antibody Engineering,vol 2,Springer Verlag Heidelberg Berlin,Martin,Chapter 3,pp.33-51)。この方法に従って、可変ドメインのCDRは、31~35位(CDR1)、50~65位(CDR2)、および95~102位(CDR3)として定義される。しかしながら、別段の定めのない限り、ISVDポリペプチドまたはVHポリペプチドの連続ナンバリングにおけるCDRおよびフレームワーク(FR)領域を含む、本明細書に記載されるポリペプチド化合物における特定のアミノ酸残基位置を指す場合、使用される。
本明細書で使用される場合、「ISVDポリペプチド」という用語は、例えば、直接的なドメイン融合として、必要な場合に任意の適切な組成物および長さのリンカー(L1-2)によって連結されるか、または任意のリンカーを全く有さない、第1のISVD(ISVD1)および第2のISVD(ISVD2)などの2つ以上のISVDを含むポリペプチドを指す。
本明細書で使用される場合、「リンカー」という用語は、化学実体間で共有結合を形成する少なくとも1つの原子を指す。化学実体がペプチド結合を介してのみ連結される場合、リンカーは、「ペプチドリンカー」と呼ばれ得る。そうでなければ、リンカーは、「化学リンカー」と呼ばれ得る。
ISVDポリペプチドの一例は、リンカー(L1-2)を介して連結された2つのISVDである。
ISVDポリペプチドの別の例は、1つ以上の延長部をさらに含むリンカー(L1-2)を介して連結された2つのISVDである。
ISVDポリペプチドの別の例は、リンカー(L1-2)なしで、C末端および/またはN末端延長部などであるがこれらに限定されない、1つ以上の延長部をさらに含む、連結された2つのISVDである。
リンカー(L1-2)は、例えば、アミノ酸配列から構成されてもよく、反復を含まないか、または複数の反復を含む。
例えば、リンカーは、2~50個のアミノ酸、5~40個のアミノ酸、または10~30個のアミノ酸を含み得る。
リンカーの非限定的な例としては、*-GGGGS-*リンカー、*-GQAPGQ-*リンカー(配列番号20)、*-QAPGQA-*リンカー(配列番号16)、*-GI-*リンカー、*-GV-*リンカー、*-GT-*リンカー、*-GL-*リンカー、または別のアミノ酸複合リンカーが挙げられる。リンカーの2つの例は、GGGGSの2回および6回反復複合であり、それぞれ、10および30アミノ酸残基長である。
疑義を避けるために付言すると、L1-2の添字1-2は、連結されているISVDの特定の方向、すなわち、L1-2は、ISVD1をISVD2に、またはISVD2をISVD1に(N末端からC末端)連結することができることを暗示するものではない。
配列番号14~24は、L1-2リンカーの非限定的な例を表す。
いくつかの実施形態では、ISVDポリペプチドは、以下の式のうちのいずれかに概説されるように、延長部(E)を含む。
ISVD1-ISVD2、または
ISVD1-ISVD2-E、または
ISVD2-ISVD1-E、または
E-ISVD1-ISVD2、または
ISVD1-L1-2-ISVD2-E、または
ISVD2-L1-2-ISVD1-E、または
E-ISVD1-L1-2-ISVD2
延長部(E)は、例えば、以下の式(N末端からC末端)のうちのいずれかに概説されるように、ISVDポリペプチドに結合され得る。
ISVD1-ISVD2、または
ISVD1-ISVD2-E、または
ISVD2-ISVD1-E、または
E-ISVD1-ISVD2、または
ISVD1-L1-2-ISVD2-E、または
ISVD2-L1-2-ISVD1-E、または
E-ISVD1-L1-2-ISVD2
ISVDポリペプチドは、延長部分を含むことが好ましい。このような場合、ISVDポリペプチドは、ISVDポリペプチド誘導体と呼ばれる。
いくつかの実施形態では、第1のISVDは、1つ以上の延長部分に対する結合点としての役割を果たす。
いくつかの実施形態では、第2のISVDは、1つ以上の延長部分に対する結合点としての役割を果たす。
いくつかの実施形態では、L1-2リンカーは、1つ以上の延長部分に対する結合点としての役割を果たす。
疑義を避けるために付言すると、延長部分が、ISVD1-L1-2-ISVD2への延長部(E)に結合したリンカー(L)を含む場合、リンカーLは、「延長部」の一部とはみなされない。
いくつかの態様では、ISVDポリペプチドは、非ISVD、例えば、小さな化学的非ポリペプチド分子、炭水化物、脂肪酸、またはオリゴペプチドもしくはポリペプチド、またはタンパク質、例えば、抗体または好ましくは抗体断片と化学的にコンジュゲートされる。
一実施形態では、ISVDポリペプチドは、リンカーを使用することなく、IgG抗体からFcドメインに連結される。
別の実施形態では、ISVDポリペプチドは、リンカーによって、IgG抗体からFcドメインまたはその断片に連結される。
好ましい実施形態では、延長部は、ISVDポリペプチドに融合され、したがって、化学コンジュゲーションよってISVDポリペプチドに連結されない。
いくつかの実施形態では、延長部分は、ISVDポリペプチドに融合され、したがって、化学コンジュゲーションよってISVDポリペプチドに連結されない。
本明細書で使用される場合、「等電点」または「pI」という用語は、抗体などのタンパク質の全体的な正味電荷がゼロであるpH値を指す。タンパク質には多くの荷電基があり、等電点では、これら全ての電荷の合計がゼロである。等電点を上回るpHでは、タンパク質の全体的な正味電荷は陰性となるが、等電点を下回るpH値では、タンパク質の全体的な正味電荷は陽性となる。
pIは、理論上または実験的に決定された等電点のいずれかであってもよい。
当業者は、タンパク質の等電点を決定する方法を認識している。最も一般的には、タンパク質の等電点は、タンパク質のアミノ酸配列に基づいて計算される。タンパク質の等電点の決定を可能にする多数の(オンライン)ツールが入手可能であり、例えば、「ExPASy Compute pI/Mw」であり、Protein Identification and Analysis Tools on the ExPASy Server、Gasteiger E.,Hoogland C.,Gattiker A.,Duvaud S.,Wilkins M.R.,Appel R.D.,Bairoch A.、(In)John M.Walker(ed):The Proteomics Protocols Handbook,Humana Press(2005),pp.571-607を参照されたい。好ましくは、Skoog&Wichman,1986のアルゴリズム。pKaのアミノ酸残基が、pIの計算に使用される。
plはまた、実験的に決定されてもよく、電荷バリアントは、例えば、等電点電気泳動(IEF)ゲル電気泳動、キャピラリー等電点電気泳動(cIEF)ゲル電気泳動などの荷電ベース分離技法を使用して分離され得る。
一実施形態では、ISVDポリペプチド中の第1および第2のISVDは、V-NAR断片であり、かかる化合物は、「V-NARポリペプチド」と示される。
別の実施形態では、ISVDポリペプチド中の第1および第2のISVDは、VH断片であり、かかる化合物は、「VHポリペプチド」と示される。かかる一実施形態では、第1のVH断片は、FIX/FIXaを結合することができ、第2のVH断片は、FX/FXaを結合することができる。好ましい実施形態では、VHポリペプチドは、二重特異性VHポリペプチドである。
疑義を避けるために付言すると、多重特異性、三重特異性、または二重特異性という用語は、VH断片など、ISVDによって結合された抗原の数を反映するように意図されており、すなわち、アルブミンなどであるがこれに限定されない、延長部分(存在する場合)によって結合された分子を含まない。
一実施形態では、延長部分を有さないVHポリペプチドの分子量は、27~29kDaの範囲内である。
好ましい実施形態では、1つ以上の延長部分(すなわち、VHポリペプチド誘導体)、および任意選択で、1つ以上の延長部を含むVHポリペプチドの分子量は、28~33kDaの範囲内である。
当業者は、上記の実施形態が、V-NARポリペプチドに同様に適用可能であることを理解するであろう。
本明細書で使用される場合、「遊離システイン」という用語は、例えば、化学コンジュゲーションなどの反応に利用可能なポリペプチド鎖中のシステイン残基であり、したがって、天然または操作された内部ジスルフィド架橋の一部ではない。本質的に、遊離システインは、コンジュゲーションに使用され得るが、それは組み換え導入遊離システインを含む遊離システイン残基は、しばしば、宿主細胞におけるポリペプチドの組み換え発現中に、システイン、ホモシステイン、またはグルタチオンなどの小さなチオールで遮断される。これは、1つ以上の遊離システインが導入されているISVDポリペプチドの組み換え産生でも観察される。したがって、ビス(p-スルホナトフェニル)フェニルホスフィン二水和物またはトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩などの適切な還元剤を使用する還元反応を使用して、C18二酸ガンマ-Glu 2xOEG脂肪酸部分などの延長部分などであるがこれらに限定されない、目的の部分へのコンジュゲーションのための遊離システインを放出および調製することができる。
本明細書に開示されるVHポリペプチドなどのISVDポリペプチドは、二重特異性または三重特異性などを含むがこれらに限定されない、多重特異性であってもよい。
本明細書で使用される場合、「二重特異性ISVDポリペプチド」または「二重特異性VHポリペプチド」という用語は、それぞれ、2つの異なる抗原または同じ抗原上の2つの異なるエピトープに結合することができる、ISVDポリペプチドまたはVHポリペプチドを指す。
本明細書で使用される場合、「三重特異性ISVDポリペプチド」または「三重特異性VHポリペプチド」という用語は、それぞれ、3つの異なる抗原もしくは同じ抗原上の3つの異なるエピトープまたは2つの異なる抗原上に存在する3つの異なるエピトープに結合することができる、ISVDポリペプチドまたはVHポリペプチドを指す。
本明細書で使用される場合、「多重特異性ISVDポリペプチド」または「多重特異性VHポリペプチド」という用語は、それぞれ、2つ以上の異なる抗原または同じ抗原上の2つ以上の異なるエピトープに結合することができる、ISVDポリペプチドまたはVHポリペプチドを指す。多重性ISVDポリペプチドまたは多重性VHポリペプチドは、したがって、それぞれ二重特異性ISVDポリペプチドおよび三重特異性ISVDポリペプチドまたはVHポリペプチドを含む。
当業者であれば、上記がポリペプチド誘導体(すなわち、延長部分を含む)にも適用されることを理解するであろう。
本明細書で使用される場合、「経口(oral)バイオアベイラビリティ」または「経口(peroral)バイオアベイラビリティ」という用語は、当該薬剤の静脈内投与後の全身循環における投与された薬剤の量に対する、経口投与後の全身循環における投与された薬剤の量(投与された薬剤対時間曲線の血漿濃度下面積として推定される)を指す。
したがって、本明細書で使用される場合、「パラトープ」という用語は、抗原が特異的に結合する、すなわち抗原と物理的接触をする、ISVD上の区域または領域を指す。
例えば、ISVD、VH断片、およびその標的の間の複合体の空間座標によって定義されるX線由来結晶構造の文脈では、本明細書におけるパラトープという用語は、文脈により別途の指定がない限りまたは矛盾しない限り、FIX/FIXaまたはFX/FXa内の重原子から4Åの距離以内に重原子(すなわち、非水素原子)を有することを特徴とするISVD残基として特異的に定義される。
所与のISVD/抗原対のパラトープ(およびエピトープ)は、実施例に記載されるものなど、日常的な方法によって特定され得る。例えば、ISVDおよび抗原は組み合わせられてもよく、ISVD/抗原複合体は結晶化されてもよい。ISVDとその抗原との間の相互作用の特異的部位を特定するために、複合体の結晶構造が決定されて、使用されてもよい
「薬学的に許容可能な賦形剤」という用語は、概して安全、非毒性であり、かつヒトの医薬品使用に許容可能である賦形剤を含む、医薬組成物を調製するのに有用な賦形剤を意味する。かかる賦形剤は、例えば、固形、液体、または半固体であり得る。
本明細書で使用される場合、「血漿半減期」という用語は、患者に投与された物質の量の半分が、正常な生物学的プロセスによって患者の血清もしくは血漿から代謝または除去されるのに必要な時間を指す。
本明細書で使用される場合、「選択的に結合する」という用語は、VH断片などのISVD上の結合領域が、別の構成要素よりも優先して、またはそれを支持して、1つの構成要素(例えば、活性化FIX)に結合することを意味するようにとされるべきである。したがって、「選択的結合」は、他の構成要素の排他的結合または非検出可能な結合を必ずしも必要としない。例えば、抗FIX(a)VH断片などの抗FIX(a)ISVDは、非活性化FIXと比較して、活性化FIXに選択的に結合し得る。
「血液凝固促進抗体」という用語は、例えば、血液凝固のプロセスを加速することによって、および/または1つ以上の凝固因子の酵素活性を増加させることによって、血液凝固を増強する抗体を指す。
本明細書で使用される場合、「血液凝固促進活性」という用語は、例えば、血液凝固のプロセスを加速することによって、および/または1つ以上の凝固因子の酵素活性を増加させることによって、血液凝固を増強する抗体などの化合物の能力を指す。したがって、「血液凝固促進活性」という用語は、以下に列挙される活性のうちの1つ以上を包含する(ただし、これらに限定されない)。
FIXa媒介性FX活性化に基づくアミド分解(amidolytic)(発色性または蛍光性)アッセイによって測定される、第IXa因子媒介性因子X活性化の増強。アッセイは、FXa特異的ペプチド基質の切断を通してFXaを測定する。基質が産生され、吸光度によって光度測定され得る色が得られる。
活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)などの凝固アッセイによって測定される、凝固時間の短縮は、凝固の固有および共通の経路の活性を測定する。血漿は、接触活性化因子、例えば、エラグ酸またはカオリン、およびリン脂質を含むAPTT試薬でプレインキュベートされる。塩化カルシウムは、フィブリン血栓形成を促進するために添加される。可能性のある読み取りは、凝固時間または凝固波形である。
較正された自動トロンボグラフィー(CAT)などのトロンビン生成アッセイで測定される、トロンビン生成の増強。トロンボグラムは、凝固血漿中のトロンビンの濃度を記述し、したがって、止血系の機能試験である。アッセイは、経時的なトロンビンによる蛍光性基質Z G R AMCの切断によって生成される蛍光の測定に基づく。本明細書の実施例8で使用される方法も参照されたい。
ROTEM(回転トロンボエラストメトリー)などのアッセイにより、粘弾性止血法によって、例えば、せん断応力下で全血において測定される、血栓形成のグローバル粘弾性特性の増強。機器内では、ボールベアリングピンが固定カップ内で回転する。試料中のフィブリン鎖は、凝固中のカップの壁とピンとの間に形成され、鎖の強度は、ピンの動きに影響を及ぼし、それは検出される。
血小板活性化後のコラーゲンへのフォン・ヴィレブランド因子(VWF)媒介性血小板接着に基づく、血小板機能アナライザーによって測定される全血閉鎖時間(whole blood closure time)(WBCT)の短縮。高いせん断応力が生じ、これが血小板接着および血小板凝集につながる。血流の開始から終了までの時間が測定される。
本明細書に開示されるISVDポリペプチドは、好ましくは、1つ、2つ、3つ、または4つの「延長部分」(PM)を含む。より好ましくは、1つまたは2つの延長部分。
本明細書で使用される場合、「延長部分」という用語は、半減期延長特性を有し、かつ「延長因子」(P)および任意選択の「リンカー」(L)を含む部分を指す。したがって、「延長」という用語は、半減期の延長を指し、したがって、延長因子または延長部分は、本明細書に開示されるISVDポリペプチドの半減期の延長の目的に役立つ。
延長部分(PM)は、延長因子「P」および任意選択のリンカー(L)を含む。
各延長部分は、好ましくは、化合物のポリペプチド骨格内の表面曝露リジンまたはシステイン残基と結合する。結合点は、一般にR1と呼ばれる(また、R1≠R2≠R3などである、1つを超える延長部分R2、R3などの結合の場合)。
当業者は、結合に好適な他の表面曝露残基を特定することができるであろう。
延長部分は、1個の延長因子から成り得る。
延長部分は、1個のリンカー(L)および1個の延長因子(P)を含み得る。
延長部分は、1個のリンカーおよび2個以上の延長因子を含み得る。
リンカー(L)が存在する場合、延長部分は、Lを介してISVDポリペプチド骨格と結合する。リンカー(L)が不在である場合、Pは、ポリペプチド骨格と結合する。
一実施形態では、第1延長部分および第2の延長部分が存在し、当該第1の延長部分は、以下の構造を含み、
当該第2の延長部分は、以下の構造を含み、
「*」(R1)は、第1の延長部分に対するISVDポリペプチド上の結合点を表し、
「**」(R2)は、第2の延長部分に対するISVDポリペプチド上の結合点を表し、
「*」は、配列番号629の257位のCysであり、
「**」は、配列番号629の259位のCysである。
本明細書に開示されるISVDポリペプチドは、単一システイン残基またはリジン残基を含んでもよく、これに対して単一延長部分が結合/コンジュゲートされている。
本明細書に開示されるISVDポリペプチドは、2個のリジン残基および2個の延長部分を含み得る。
本明細書に開示されるISVDポリペプチドは、2個のリジン残基および2個の同一の延長部分を含み得る。
本明細書に開示されるISVDポリペプチドは、2個のリジン残基および2個の非同一の延長部分を含み得る。
本明細書に開示されるISVDポリペプチドは、3個のリジン残基および3個の延長部分を含み得る。
本明細書に開示されるISVDポリペプチドは、3個のリジン残基および3個の同一の延長部分を含み得る。
本明細書に開示されるISVDポリペプチドは、3個のリジン残基および3個の非同一の延長部分を含み得る(例えば、第1および第2の延長部分は、同一であってもよく、第3の延長部分は、当該第1および第2の部分とは異なる)。
本明細書に開示されるISVDポリペプチドは、2個のシステイン残基および2個の延長部分を含み得る。
本明細書に開示されるISVDポリペプチドは、2個のシステイン残基および2個の同一の延長部分を含み得る。
本明細書に開示されるISVDポリペプチドは、2個のシステイン残基および2個の非同一の延長部分を含み得る。
本明細書に開示されるISVDポリペプチドは、3個のシステイン残基および3個の延長部分を含み得る。
本明細書に開示されるISVDポリペプチドは、3個のシステイン残基および3個の同一の延長部分を含み得る。
本明細書に開示されるISVDポリペプチドは、3個のシステイン残基および3個の非同一の延長部分を含み得る(例えば、第1および第2の延長部分は、同一であってもよく、第3の延長部分は、当該第1および第2の部分とは異なる)。
ISVDポリペプチドが2または3個の延長部分を含む場合、延長部分は、好ましくは、類似しており、より好ましくは、実質的に同一であり、または最も好ましくは、同一である。
本明細書に開示される延長部分などの化学部分に関して、類似性および/または同一性は、当該技術分野において公知である任意の好適なコンピュータプログラムおよび/またはアルゴリズムを使用して決定され得る。
延長部分を含む化合物は、「誘導体」と呼ばれ得る。例えば、「ISVDポリペプチド誘導体」は、延長部分を含むISVDポリペプチド、「VHポリペプチド誘導体」は、延長部分を含むVHポリペプチド、および「V-NARポリペプチド誘導体」は、延長部分を含むV-NARポリペプチドであると理解される。
延長部分は、アルブミンと非共有結合することが可能であり得、それによって、血流中のISVDポリペプチド誘導体の循環を促進し、その半減期を延長することができる。したがって、一実施形態では、延長部分は、アルブミン結合部分である。
延長因子(P)は、アシル基を含み得る。アシル基は、分枝または非分枝であり得る。アシル基は、飽和または不飽和であり得る。延長因子は、脂肪アシル基を含み得る。アシル基は、分枝または非分枝であり得る。アシル基は、飽和または不飽和であり得る。
延長因子は、遠位カルボン酸基を含み得る。
延長因子は、脂肪酸基を含み得る。
延長因子は、脂肪酸基およびアミド基を含み得る。
延長因子は、遠位カルボン酸基およびアミド基を含み得る。
延長因子は、アルキル基を含み得る。
延長因子は、アリール基を含み得る。
延長因子は、テトラゾール基を含み得る。
延長因子は、スルホン酸基を含み得る。
延長因子は、フェノキシ基を含み得る。
延長因子は、安息香酸基を含み得る。
延長因子は、8~30個の炭素原子を含み得る。延長因子は、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30個の炭素原子を含み得る。
延長因子は、6~30個の連続する-CH-基を含み得る。延長因子は、少なくとも6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30個の連続する-CH-基を含む炭素鎖を含み得る。
延長因子は、12~26個の炭素原子を含み得る。「延長因子」は、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、または26個の炭素原子を含み得る。
延長因子は、10~26個の連続する-CH-基を含み得る。延長因子は、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、または26個の連続する-CH-基を含む炭素鎖を含み得る。
延長因子は、16~22個の炭素原子を含み得る。
延長因子は、14~20個の連続する-CH-基を含み得る。延長因子は、14、15、16、17、18、19、または20個の連続する-CH-基を含む炭素鎖を含み得る。
延長因子は、16~22個の連続する炭素原子および14~20個の連続する-CH-基を含み得る。
延長因子は、16個の連続する炭素原子および14個の連続する-CH-基を含み得る。
延長因子は、18個の連続する炭素原子および16個の連続する-CH-基を含み得る。
延長因子は、20個の連続する炭素原子および18個の連続する-CH-基を含み得る。
延長因子は、22個の連続する炭素原子および20個の連続する-CH-基を含み得る。
いくつかの実施形態では、延長因子は、以下:
化学式a:HOOC-(CH-CO-*(式中、nが8~30の範囲の整数である)によって定義される基を含み、これは、C(n+2)二酸、または
化学式a1:
延長因子は、オリゴペプチドを含み得る。一実施形態では、延長因子オリゴペプチドは、10~40個のアミノ酸、例えば10~30個のアミノ酸、例えば15~25個のアミノ酸、および好ましくは20個のアミノ酸である。延長因子オリゴペプチド配列組成物は、例えば、配列番号3および4の融合配列として例示される、QRLMEDICLPRWGCLWEDDF(配列番号736)であってもよい[国際公開第01/45746A2号も参照]。化合物番号71は、例えば、QRLMEDICLPRWGCLWEDDFGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号4)から構成される50アミノ酸N末端延長部分を含み、残基1~20は、延長因子(P)であり、残基21~50は、リンカー(L)である。
延長因子は、アミノ酸リンカーLを介してISVDまたはISVDポリペプチドに結合されてもよい。
一実施形態では、Lは、ISVDポリペプチド骨格中のリジン残基またはシステイン残基の側鎖に、延長因子(P)を結合し得る。
ISVDポリペプチド誘導体は、2つの延長部分を含んでもよく、その各々は、14、15、16、17、18、19、または20個の炭素原子を含む。ISVDポリペプチドは、2つの延長部分を含んでもよく、各延長因子(P)は、12、13、14、15、16、17、または18個の連続する-CH-基を含む。
ISVDポリペプチド誘導体は、2つのC14二酸、2つのC16二酸、または2つのC18二酸を含み得る。
ISVDポリペプチド誘導体は、3つの延長部分を含んでもよく、その各々は、12、13、14、15、16、17、18、19、または20個の炭素原子を含む延長因子を含む。ISVDポリペプチドは、3つの延長部分を含んでもよく、延長因子は、10、11、12、13、14、15、16、17、または18個の連続する-CH-基を含む。
疑義を避けるために付言すると、例えば、アルブミンを結合することができるとしても、本明細書に開示されるISVDポリペプチドが二重特異性、三重特異性、または多重特異性であるかを定義するという点では、延長部分はバインダーとはみなされない。
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるISVDポリペプチドは、表1に示されるもののうちのいずれか1つから選択される延長因子を含み得る。
表2では、Lは、示される延長因子(P)をISVDポリペプチド骨格と接続する任意選択のリンカーを表す。R1は、ISVDポリペプチドにおける結合部位を表す。
一実施形態では、延長因子は、ISVDポリペプチド上に直接コンジュゲートされ、すなわち、リンカーLを使用しない(すなわち、共有結合による)。
他の実施形態では、延長因子は、リンカーLを使用してISVDポリペプチド上に直接コンジュゲートされる。非限定的な例を以下に提供する。
リンカーは、存在する場合、Ado、Aeep、またはAeeep、スルホンアミド、Trx、ε-Lys、Ahx、Glu、γGlu、Gly、Ser、Ala、および/またはThrを含み得る。
リンカーは、
化学式1:*-NH-(CH-(O-(CH))-O-(CH-CO-*
または
(式中、kは1~5の範囲の整数であり、nは1~5の範囲の整数である)の化学式によって表され得る少なくとも一部分を含み得る。
k=1およびn=1の場合、リンカー要素は、Ado、または8-アミノ-3,6-ジオキサオクタノイルと指定され得、以下の化学式によって表され得る。
化学式3:*-NH-(CH-O-(CH-O-CH-CO-*
または
k=1およびn=2の場合、リンカー要素は、Aeepと指定され得、以下の化学式によって表され得る。
化学式5:*-NH-(CH-O-(CH-O-(CH-CO-*
または
k=2およびn=2の場合、リンカー要素は、Aeeepと指定され得、以下の化学式によって表され得る。
化学式7:*-NH-(CH2-O-(CHO-(CH-O-(CH-CO-*
または
任意のリンカー(L)は、以下の化学式を有する8-アミノ-3,6-ジオキサ-オクタン酸(OEG)基を含み得る。
任意選択のリンカー(L)は、スルホンアミド-C4部分を含み得る。スルホンアミド-C4基は、4-ブタノイル基と結合したスルホンアミド基であり、以下の化学式を有する。
化学式9:*-NH-S(O)-CH-CH-CH-CO-*
または
任意選択のリンカーLは、Trxを含み得る。Trxはまた、トラネキサム酸、トランス-4-(アミノメチル)シクロヘキサンカルボン酸とも呼ばれ、以下の化学式を有する。
化学式11:*-NH-CH-(C10)-CO-*
または
リンカーLは、イプシロン-リジン(ε-Lys)を含み得る。
リンカーLは、リジン(Lys)を含み得る。
リンカーLは、Ahxを含み得る。Ahxは、アミノカプロン酸、6-アミノヘキサン酸とも呼ばれ、以下によって定義される。
化学物質13:*-NH-(CH-CO-*
または
リンカーLは、
(式中、Gluジラジカルは、p回含まれ得、pは1~3の範囲の整数である)などのGluジラジカルを含み得る。
化学式15はまた、本明細書では別のリジンのイプシロンアミノ基との連結のために使用されるアミノ酸グルタミン酸のガンマカルボキシ基であることから、ガンマ-Glu、または簡潔にγGluとも呼ばれる場合がある。上記に説明するように、他のリンカー要素は、例えば、別のGlu残基、またはAdo分子であってもよい。次にGluのアミノ基は、延長部分のカルボキシ基、または存在する場合は、例えば、Ado分子のカルボキシ基と、または存在する場合は、例えば、別のGluのガンマカルボキシ基と、アミド結合を形成する。
あるいは、本明細書に開示されるISVDポリペプチド誘導体は、以下の表2に示されるもののうちのいずれか1つから選択されるリンカー(L)を含み得る。R1は、延長部分が結合されるISVDポリペプチド中の残基を表し、Pは、延長因子を表す。
本明細書の開示に基づいて、当業者は、任意選択で、いくつかの限定された日常的な実験の後に、本明細書に開示される特定のISVDポリペプチド誘導体で使用するための最適なLおよびL1-2リンカーを決定することができるであろう。例えば、リンカーは、好ましくは、ISVDポリペプチド中のVH断片などの各ISVDが、その標的に結合することを可能にするようなものである。また、本明細書の開示に基づいて、当業者は、任意選択で、いくつかの限定された日常的な実験の後に、本明細書に開示される特定のISVDポリペプチド誘導体で使用するための最適なリンカーを決定することができるであろう。
結合が生じるISVDまたはISVDポリペプチド骨格中のアミノ酸残基は、本明細書ではR1と示される。1個を超える延長部分が結合している場合、さらなる結合部位は、R2、R3などと示され得る。
延長部分は、ISVDポリペプチド骨格の第1のISVD部分のシステイン残基またはリジン残基と結合してもよい。
延長部分は、ISVDポリペプチド骨格の第2のISVD部分のシステイン残基またはリジン残基と結合してもよい。
延長部分は、ISVDポリペプチド骨格の任意選択のリンカー(L1-2)部分のシステイン残基またはリジン残基と結合してもよい。
延長部分は、ISVDポリペプチド骨格内のリジン残基と共有結合し得る。延長部分は、延長部分におけるカルボン酸基とリジン残基のイプシロンアミノ基との間に形成されるアミド結合を介して結合され得る。
延長部分は、ISVDポリペプチド骨格内のシステイン残基と共有結合し得る。延長部分は、ポリペプチドにおける延長部分とシステイン残基の硫黄原子との間に形成されるチオエーテル結合を介して結合され得る。
したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に開示される化合物は、1、2、もしくは3個のリジンまたはシステイン残基、1、2、もしくは3個の延長部分を含み得、各延長部分は、単一のリジンまたはシステイン残基の側鎖と結合する。
結合がシステイン残基を介して生じる場合、システインは、好ましくは、遊離システインである。
遊離システインは、いくつかの実施形態では、組み換えDNA技術によって導入され、1つ以上のC16二酸、C17二酸。またはC18二酸ガンマ-Glu 2xOEG脂肪酸部分を結合するためのコンジュゲーション部位として機能し得る。
好ましい実施形態では、遊離システインは、任意選択で、組み換えDNA技術によって導入され、1、2、または3つのC18二酸ガンマ-Glu 2xOEG脂肪酸部分を結合するためのコンジュゲーション部位として機能し得る。
(IUPAC名S{ベータ-AA#}-[2-[2-[[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[(4S)-4-カルボキシ-4-(17-カルボキシヘプタデカノイル-アミノ)ブタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]-エチルアミノ]-2-オキソエチル]、AA#アミノ酸結合)。
別の実施形態では、遊離システインは、任意選択で、組み換えDNA技術によって導入され、1、2、または3つのC17二酸ガンマ-Glu 2xOEG脂肪酸部分を結合するためのコンジュゲーション部位として機能し得る。
(IUPAC名S{ベータ-AA#}-[2-[2-[[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[(4S)-4-カルボキシ-4-(16-カルボキシヘキサデカノイル-アミノ)ブタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]-エチルアミノ]-2-オキソエチル]、AA#アミノ酸結合)。
最も好ましい実施形態では、遊離システインは、組み換えDNA技術によって導入され、1、2、または3つのC16二酸ガンマ-Glu 2xOEG脂肪酸部分を結合するためのコンジュゲーション部位として機能し得る。
(IUPAC名S{ベータ-AA#}-[2-[2-[[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[(4S)-4-カルボキシ-4-(15-カルボキシペンタデカノイル-アミノ)ブタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]-エチルアミノ]-2-オキソエチル]、AA#アミノ酸結合)。
本明細書で使用される場合、「標準クロマトグラフィー」という用語は、タンパク質A、陽イオン交換、陰イオン交換、疎水性相互作用、およびヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーなどの標準クロマトグラフィー方法を包含する。
本明細書で使用される場合、「表面曝露アミノ酸残基」という用語は、その側鎖が溶媒分子(概して、ほとんど水分子であり得る)と接触し得るアミノ酸残基を指す。しかしながら、側鎖は、必ずしも溶媒分子と完全に接触している必要はなく、側鎖の一部でさえも溶媒分子と接触しているとき、アミノ酸残基は、「表面上に位置するアミノ酸」として定義される。ポリペプチドの表面上に位置するアミノ酸残基はまた、ISVD表面の近くに位置するアミノ酸残基を含んでもよく、それによって、側鎖が部分的にでも溶媒分子と接触している他のアミノ酸残基からの相互電荷の影響を有してもよい。当業者であれば、例えば、市販または公開されているソフトウェアを使用して相同性モデリングまたは機械学習を行うことによって、ポリペプチドまたは抗体の相同性モデルまたは機械学習に基づく三次元分子モデルを調製することができる。あるいは、三次元分子モデル生成のためのX線結晶構造解析などの方法を使用することが可能である。表面上に曝され得るアミノ酸残基は、例えば、MOE(Chemical Computing Group)またはBioluminate(Schrodinger)などのコンピュータプログラムを使用して、抗体の三次元分子モデルからの座標を使用して決定することができる。表面曝露部位は、技術分野で公知のアルゴリズムを使用して決定されてもよい(例えば、Lee and Richards(1971)J.Mol.Biol.55:379-400、Connolly,J.Appl.Cryst.(1983)16:548-558を参照)。表面曝露可能部位は、タンパク質モデリングおよび抗体から得られた三次元構造情報の分析に好適なソフトウェアを使用して決定することができる。かかる目的で入手可能なソフトウェアには、例えば、MOE(Chemical Computing Group)またはBioluminate(Schrodinger)が含まれる。溶媒にアクセス可能な表面(Å中)面積は、プローブ半径1.4Åの水プローブを使用して計算される。さらに、パーソナルコンピュータ用のソフトウェアを使用して表面曝露領域および面積を決定する方法は、Pacios(Pacios,Comput.Chem.18(4):377-386(1994)、J.Mol.Model.1:46-53(1995))によって記載されている。上述のような情報に基づいて、溶媒と接触する抗体の表面上に位置する適切なアミノ酸残基を選択することができる。
医薬組成物
本明細書に開示されるVHポリペプチド誘導体は、医薬組成物中で調製されてもよい。いくつかの実施形態では、かかる組成物は、少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む。
本明細書で使用される場合、「賦形剤」という用語は、活性治療成分(API)以外の任意の構成要素を幅広く指す。賦形剤は、例えば、担体、ビヒクル、充填剤、結合剤、潤滑剤、滑剤、崩壊剤、流量制御剤、結晶化阻害剤、可溶化剤、安定剤、着色剤、香味剤、界面活性剤、乳化剤、送達剤、ヒドロトロープ、もしくはそれらの組み合わせとして、および/または活性医薬成分の投与および/または吸収を改善するために、様々な目的を果たし得る。
使用される各賦形剤の量は、当該技術分野において慣行である範囲内で変化してもよい。経口剤形を製剤化するために使用され得る技法および賦形剤については、Handbook of Pharmaceutical Excipients,8th edition,Sheskey et al.,Eds.,American Pharmaceuticals Association and the Pharmaceutical Press,publications department of the Royal Pharmaceutical Society of Great Britain(2017)、およびRemington:the Science and Practice of Pharmacy,22nd edition,Remington and Allen,Eds.,Pharmaceutical Press(2013)に記載されている。
好ましい実施形態では、VHポリペプチドを含む組成物は、送達剤およびハイドロトロープをさらに含む。
好ましい送達剤は、N-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸(NAC)の塩である。
いくつかの実施形態では、送達剤は、国際公開第2007/121318号に記載されるように、N-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸の塩である。いくつかの実施形態では、送達剤は、8-(サリチロイルアミノ)オクタン酸ナトリウムとしても公知である、N-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸ナトリウム(本明細書では「SNAC」と呼ばれる)である。
医薬組成物は、好ましくは、1つ以上のハイドロトロープを含む。界面活性剤のように、ハイドロトロープは、親水性部分および疎水性の両方を含み、ミセルを形成し、自己凝集することができるが、ミセル可溶化することなく溶質を可溶化する。一実施形態では、ハイドロトロープは、SNACの溶解度を高めることができる。一実施形態では、ハイドロトロープは、ニコチンアミド(NAM)である。
一実施形態では、組成物は、固形組成物である。組成物は、錠剤、小袋、またはカプセルなど、経口投与に好適な形態であってもよい。かかる一実施形態では、組成物は錠剤として製剤化される。本明細書に提供される固形組成物は、溶解促進を可能にし、それによって活性医薬成分の迅速な取り込みを可能にする。
投与および用量
本明細書に開示される化合物、例えばVHポリペプチド誘導体は、適切な医薬組成物で非経口的に、例えば静脈内、例えば筋肉内、例えば皮下に投与されてもよい。化合物は、非注射経路を介して投与されてもよく、好ましくは、経口(PO)投与されてもよい。化合物は、予防的に投与されてもよい。化合物は、(要求に応じて)治療的に投与されてもよい。
皮下投与
皮下投与によって送達される化合物の用量は、状態の重症度に応じて、1日当たり約0.01mg~1mgの化合物、好ましくは1日当たり約0.05mg~5mg、およびより好ましくは1日当たり約0.1mg~約10mg、隔日、3日毎、4日毎、5日毎、6日毎、または週1回であってもよい。また、好適な用量は、特定の化合物について、そのインビボ半減期または平均滞留時間およびその生物活性を含む、その化合物の特性に基づいて調整され得る。
一実施形態では、本発明は当該組成物の内容物を有する注射装置に関する。
経口(PO)投与
経口で送達される化合物の用量は、状態の重症度に応じて、1日毎、隔日、3日毎に、約1mg~約300mgの化合物であり得る。また、好適な用量は、特定の化合物について、そのインビボ半減期または平均滞留時間およびその生物活性を含む、その化合物の特性に基づいて調整され得る。
本明細書に開示される化合物を含有する組成物は、予防的な処置のために、および/または一部の実施形態では治療的な処置のために投与することができる。治療的な用途では、組成物は、上述のような何らかの出血障害などの疾患を患っている対象者に、疾患およびその合併症を治癒、緩和、または部分的に阻止するのに十分な量で投与される。これを達成するのに十分な量は、「治療有効量」として定義される。当業者によって理解されるように、この目的のために有効な量は、疾患または傷害の重度、ならびに対象者の体重および全身状態に依存する。
実施形態
1. 血液凝固促進免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISVD)ポリペプチド誘導体であって、
第IX因子(配列番号1)またはその活性型に結合することができる第1のISVD(ISVD1)と、
第X因子(配列番号2)またはその活性型に結合することができる第2のISVD(ISVD2)と、
少なくとも1つの延長部分と、
任意選択で、ISVD1およびISVD2を連結するリンカー(L1-2)と、
任意選択で、1つ以上の延長部(E)と、を含む、血液凝固促進ISVDポリペプチド誘導体。
2. 以下の式を有する、実施形態1に記載のISVDポリペプチド誘導体。
ISVD1-ISVD2、または
ISVD1-ISVD2-E、または
ISVD2-ISVD1-E、または
E-ISVD1-ISVD2、または
ISVD1-L1-2-ISVD2-E、または
ISVD2-L1-2-ISVD1-E、または
E-ISVD1-L1-2-ISVD2
3. 以下の式(N末端からC末端)を有する、実施形態1に記載のISVDポリペプチド誘導体。
ISVD1-ISVD2、または
ISVD2-ISVD1、または
ISVD1-ISVD2-E、または
ISVD2-ISVD1-E、または
E-ISVD1-ISVD2、または
E-ISVD2-ISVD1、または
ISVD1-L1-2-ISVD2、または
ISVD2-L1-2-ISVD1、または
ISVD1-L1-2-ISVD2-E、または
ISVD2-L1-2-ISVD1-E、または
E-ISVD1-L1-2-ISVD2、または
E-ISVD2-L1-2-ISVD1
4. 少なくとも1つの延長部分が、1つ以上の表面曝露アミノ酸残基に結合している、実施形態1~3のいずれか1つに記載のISVDポリペプチド誘導体。
5. 以下の式(N末端からC末端)を有し、
ISVD2-L1-2-ISVD1-E
式中、1つ以上の延長部分が、1つ以上の表面曝露残基に結合している、実施形態1~4のいずれか1つに記載のISVDポリペプチド誘導体。
6. 以下の式(N末端からC末端)を有し、
ISVD2-L1-2-ISVD1-E
式中、2つの延長部分が、E上の1つ以上の表面曝露残基に結合している、実施形態1~5のいずれか1つに記載のISVDポリペプチド誘導体。
7. 以下の式(N末端からC末端)を有し、
ISVD2-L1-2-ISVD1-E

Eにおける第1の表面露出残基および第2の表面露出残基にそれぞれ結合している第1の延長部分および第2の延長部分をさらに含む、実施形態1~6のいずれか1つに記載のISVDポリペプチド誘導体。
8. L1-2が、「40~60%」対「60~40%」の疎水性アミノ酸対親水性アミノ酸の比を含む、実施形態1~7のいずれか1つに記載のISVDポリペプチド誘導体。
9. 第1のISVDが、アミノ酸残基E224、T225、G226、V250、I251、R252、I253、P255、H257、およびN260(連続ナンバリング)のうちの少なくとも1つを含む、第IX因子(配列番号1)またはその活性型上のエピトープに結合することができる、実施形態1~8のいずれか1つに記載のISVDポリペプチド誘導体。
10. 第1のISVDが、アミノ酸残基E224、T225、G226、V250、I251、R252、I253、P255、H257、およびN260(連続ナンバリング)のうちの少なくとも4、5、6、7、または8個を含む、第IX因子(配列番号1)またはその活性型上のエピトープに結合することができる、実施形態1~9のいずれか1つに記載のISVDポリペプチド誘導体。
11. 第1のISVDが、アミノ酸残基E224、T225、G226、V250、I251、R252、I253、P255、H257、およびN260(連続ナンバリング)を含む、第IX因子(配列番号1)またはその活性型上のエピトープに結合することができる、実施形態1~10のいずれか1つに記載のISVDポリペプチド誘導体。
12. 第2のISVDが、アミノ酸残基N173、P174、F175、L177、L178、およびD179(連続ナンバリング)のうちの少なくとも1つを含む、第X因子(配列番号2)上のエピトープに結合することができる、実施形態1~11のいずれか1つに記載のISVDポリペプチド誘導体。
13. 第2のISVDが、アミノ酸残基N173、P174、F175、L177、およびL178(連続ナンバリング)を含む、第X因子(配列番号2)上のエピトープに結合することができる、実施形態1~12のいずれか1つに記載のISVDポリペプチド誘導体。
14. 第2のISVDが、アミノ酸残基N173、P174、F175、L177、L178、およびD179(連続ナンバリング)のうちの少なくとも1つを含む、第X因子(配列番号2)上のエピトープに結合することができる、実施形態1~13のいずれか1つに記載のISVDポリペプチド誘導体。
15. 第2のISVDが、アミノ酸残基N173、P174、F175、L177、L178、およびD179(連続ナンバリング)のうちの少なくとも3、4、5、または6個を含む、第X因子(配列番号2)上のエピトープに結合することができる、実施形態1~14のいずれか1つに記載のISVDポリペプチド誘導体。
16. 第2のISVDが、アミノ酸残基N173、P174、F175、L177、L178、およびD179(連続ナンバリング)を含む、第X因子(配列番号2)上のエピトープに結合することができる、実施形態1~15のいずれか1つに記載のISVDポリペプチド誘導体。
17. 当該第1のISVDが、アミノ酸残基E224、T225、G226、V250、I251、R252、I253、P255、H257、およびN260(連続ナンバリング)のうちの少なくとも1つを含む、第IX因子(配列番号1)またはその活性型上のエピトープに結合することができ、
当該第2のISVDが、アミノ酸残基N173、P174、F175、L177、およびL178(連続ナンバリング)のうちの少なくとも1つを含む、第X因子(配列番号2)上のエピトープに結合することができる、実施形態1~16のいずれか1つに記載のISVDポリペプチド誘導体。
18. 当該第1のISVDが、アミノ酸残基E224、T225、G226、V250、I251、R252、I253、P255、H257、およびN260(連続ナンバリング)を含む、第IX因子(配列番号1)またはその活性型上のエピトープに結合することができ、
当該第2のISVDが、アミノ酸残基N173、P174、F175、L177、L178、およびD179(連続ナンバリング)を含む、第X因子(配列番号2)上のエピトープに結合することができる、実施形態1~17のいずれか1つに記載のISVDポリペプチド誘導体。
19. 第1のISVDが、アミノ酸残基F29、N30、Y32、T54、D99、R100、S101、F102、L103、F104、Q106、A107、およびN113(配列番号35)を含むパラトープを含み、
第2のISVDが、アミノ酸残基
a)D32、A33、M34、G35、Y37、L47、V48、A49、G50、I51、M52、N57、T58、N59、Y60、T61、K97、V99、R101、およびP102(配列番号27)、または
b)A33、M34、G35、W47、V48、A49、A50、I51、S52、S57、T58、N59、Y60、A61、A97、A98、D99、G105、L107、およびY109(配列番号734)
(連続ナンバリング)を含むパラトープを含む、実施形態1~9のいずれか1つに記載のISVDポリペプチド誘導体。
20. 当該第1のISVDが、
1)
CDR1:任意選択で、1つまたは2つの置換を含むIYTMS(配列番号172)、
CDR2:任意選択で、1つ、2つ、または3つのアミノ酸置換を含むGLRWTDSSTEYADSVKG(配列番号173)、
CDR3:任意選択で、1つ、2つ、または3つのアミノ酸置換を含むDRSFLFAQALGATKNYEY(配列番号174)(Kabat定義)を含む、実施形態1~9のいずれか1つに記載のISVDポリペプチド誘導体。
21. 当該第2のISVDが、
(A)
CDR1:任意選択で、1つまたは2つの置換を含むRYAMG(配列番号168)、
CDR2:任意選択で、1つ、2つ、もしくは3つのアミノ酸置換を含むAISRRGGSTNYADSVKG(配列番号169)、
CDR3:任意選択で、1つ、2つ、もしくは3つのアミノ酸置換を含むDDSVGDGYLDY(配列番号170)、または
(B)
CDR1:任意選択で、1つもしくは2つのアミノ酸置換を含むRLAMG(配列番号128)、
CDR2:任意選択で、1つ、2つ、もしくは3つの置換を含むAISRRGGSTNYADSVKG(配列番号129)、
CDR3:任意選択で、1つ、2つ、もしくは3つのアミノ酸置換を含むDDSVGDGYLDY(配列番号130)(Kabat定義)を含む、
実施形態1~9のいずれか1つに記載のISVDポリペプチド誘導体。
22. 当該第1のISVDが、
1)
CDR1:任意選択で、1つもしくは2つのアミノ酸置換を含むIYTMS(配列番号172)、
CDR2:任意選択で、1つ、2つ、もしくは3つのアミノ酸置換を含むGLRWTDSSTEYADSVKG(配列番号173)、
CDR3:任意選択で、1つ、2つ、もしくは3つのアミノ酸置換を含むDRSFLFAQALGATKNYEY(配列番号174)を含むか、または
当該第2のISVDが、
(A)
CDR1:任意選択で、1つもしくは2つの置換を含むRYAMG(配列番号168)、
CDR2:任意選択で、1つ、2つ、もしくは3つの置換を含むAISRRGGSTNYADSVKG(配列番号169)、
CDR3:任意選択で、1つ、2つ、もしくは3つのアミノ酸置換を含むDDSVGDGYLDY(配列番号170)、または
(B)
CDR1:任意選択で、1つもしくは2つの置換を含むRLAMG(配列番号128)、
CDR2:任意選択で、1つ、2つ、もしくは3つの置換を含むAISRRGGSTNYADSVKG(配列番号129)、
CDR3:任意選択で、1つ、2つ、もしくは3つのアミノ酸置換を含むDDSVGDGYLDY(配列番号130)(Kabat定義)を含む、
実施形態1~9のいずれか1つに記載のISVDポリペプチド誘導体。
23. 当該置換が、保存的置換である、実施形態20~22のいずれか1つに記載のISVDポリペプチド誘導体。
24. 当該第1のISVDの配列が、それぞれ配列番号107、115、123、131、155、または171によって特定される配列と少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%同一である、実施形態1~23のいずれか1つに記載のISVDポリペプチド誘導体。
25. 当該第2のISVDの配列が、それぞれ配列番号103、111、119、127、151、または167によって特定される配列と少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%同一である、実施形態1~24のいずれか1つに記載のISVDポリペプチド誘導体。
26. 当該第1のISVDの配列が、それぞれ配列番号107、115、123、131、155、または171によって特定される配列と少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%同一であり、当該第2のISVDの配列が、それぞれ配列番号103、111、119、127、151、または167によって特定される配列と少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%同一である、実施形態1~25のいずれか1つに記載のISVDポリペプチド誘導体。
27. 当該第1のISVDが、以下の配列を含む、実施形態1~26のいずれか1つに記載のISVDポリペプチド誘導体。
H-2.20(配列番号171)、
H-2.18(配列番号155)、
H-2.15(配列番号131)、
H-2.13(配列番号115)、
H-2.14(配列番号123)、または
H-2.12(配列番号107)
28. 当該第2のISVDが、以下の配列を含む、実施形態1~27のいずれか1つに記載のISVDポリペプチド誘導体。
H-1.20(配列番号167)、
H-1.18(配列番号151)、
H-1.15(配列番号127)、
H-1.13(配列番号111)、
H-1.14(配列番号119)、または
H-1.12(配列番号103)
29. 当該第1のISVDが、以下の配列を含み、
H-2.20(配列番号171)、
H-2.18(配列番号155)、
H-2.15(配列番号131)、
H-2.13(配列番号115)、
H-2.14(配列番号123)、または
H-2.12(配列番号107)
当該第2のISVDが、以下の配列を含む、実施形態1~28のいずれか1つに記載のISVDポリペプチド誘導体。
H-1.20(配列番号167)、
H-1.18(配列番号151)、
H-1.15(配列番号127)、
H-1.13(配列番号111)、
H-1.14(配列番号119)、または
H-1.12(配列番号103)
30. 当該第1のISVDが、VH-2.20(配列番号171)の配列を含み、
当該第2のISVDが、VH-1.20(配列番号167)の配列を含む、実施形態29に記載のISVDポリペプチド誘導体。
31. 当該第1のISVDが、VH-2.18(配列番号155)の配列を含み、
当該第2のISVDが、VH-1.18(配列番号151)の配列を含む、実施形態29に記載のISVDポリペプチド誘導体。
32. 当該第1のISVDが、VH-2.15(配列番号131)の配列を含み、
当該第2のISVDが、VH-1.15(配列番号127)の配列を含む、実施形態29に記載のISVDポリペプチド誘導体。
33. 当該第1のISVDが、VH-2.13(配列番号115)の配列を含み、
当該第2のISVDが、VH-1.13(配列番号111)の配列を含む、実施形態29に記載のISVDポリペプチド誘導体。
34. 当該第1のISVDが、VH-2.14(配列番号123)の配列を含み、
当該第2のISVDが、VH-1.14(配列番号119)の配列を含む、実施形態29に記載のISVDポリペプチド誘導体。
35. 当該第1のISVDが、VH-2.12(配列番号107)の配列を含み、
当該第2のISVDが、VH-1.12(配列番号103)の配列を含む、実施形態29に記載のISVDポリペプチド誘導体。
36. 延長部分が、以下から成る群から選択される延長因子を含む、実施形態1~35のいずれか1つに記載のISVDポリペプチド誘導体。
a)C16二酸、C17二酸、C18二酸、C19二酸、C20二酸、C21二酸、またはC22二酸、
b)テトラゾール、
c)RLIEDICLPRWGCLWEDD(配列番号737)などのアルブミンバインダーペプチド、
d)QRFCTGHFGGLYPCNG(配列番号738)などのFcRnバインダーペプチド、および
e)FNMQQQRRFYEALHDPNLNEEQRNAKIKSIRDDN(配列番号739)などのFcバインダーペプチド
37. 延長部分が、C16二酸、C17二酸、C18二酸、C19二酸、およびC20二酸から成る群から選択される延長因子を含む、実施形態1~36のいずれか1つに記載のISVDポリペプチド誘導体。
38. 延長因子が、C16二酸延長因子である、実施形態34に記載のISVDポリペプチド誘導体。
39. 延長部分が、ISVD1、L1-2、ISVD2、またはEに延長因子を結合するリンカーLを含む、実施形態1~38のいずれか1つに記載のISVDポリペプチド誘導体。
40. Lが、以下から成る群から選択される、実施形態39に記載のISVDポリペプチド誘導体。
41. 延長部分が、ISVD2の13位、および/またはISVD1の12位、14位、15位、42位、44位、63位、および/または85位(連続番ナンバリング)のうちの1つ以上に結合されている、実施形態1~40のいずれか1つに記載のISVDポリペプチド誘導体。
42. ISVDポリペプチド誘導体が、C末端延長部を含み、延長部分が、当該C末端延長部に結合されている、実施形態1~40のいずれか1つに記載のISVDポリペプチド誘導体。
43. ISVDポリペプチド誘導体が、第1および第2の延長部分ならびにC末端延長部を含み、第1の延長部分および第2の延長部分が、C末端延長部に結合されている、実施形態1~42のいずれか1つに記載のISVDポリペプチド誘導体。
44. C末端延長部が、ISVD1に結合されている、実施形態43に記載のISVDポリペプチド誘導体。
45. C末端延長部が、ISVD2に結合されている、実施形態43に記載のISVDポリペプチド誘導体。
46. 当該延長部分が、同一である、実施形態1~45のいずれか1つに記載のISVDポリペプチド誘導体。
47. 1つ以上の延長部分が、表面曝露残基に結合している、実施形態1~46のいずれか1つに記載のISVDポリペプチド誘導体。
48. 1つ以上の延長部分が、表面曝露残基に結合しており、当該表面曝露残基が、CDR領域の残基ではない、実施形態1~47のいずれか1つに記載のISVDポリペプチド誘導体。
49. 1つ以上の延長部分が、1つ以上のシステインまたはリジン残基で結合している、実施形態1~48のいずれか1つに記載のISVDポリペプチド誘導体。
50. 当該ISVDポリペプチド誘導体が、配列番号629を含み、

当該第1の延長部分が、以下の構造を含み、
当該第2の延長部分が、以下の構造を含み、
「*」(R1)が、第1の延長部分に対するISVDポリペプチド上の結合点を表し、
「**」(R2)が、第2の延長部分に対するISVDポリペプチド上の結合点を表し、
「*」が、配列番号629の257位のCysであり、
「**」が、配列番号629の259位のCysである、実施形態43に記載のISVDポリペプチド誘導体。
51. 当該ポリペプチドの等電点が、等電点電気泳動を使用して決定された場合、6.5以下である、実施形態1~50のいずれか1つに記載のISVDポリペプチド誘導体。
52. 当該ポリペプチド誘導体が、二重特異性または三重特異性ポリペプチド誘導体などの多重特異性ポリペプチド誘導体である、実施形態1~51のいずれか1つに記載のISVDポリペプチド誘導体。
53. 当該ポリペプチド誘導体が、二重特異性ポリペプチド誘導体である、実施形態1~52のいずれか1つに記載のISVDポリペプチド誘導体。
54. 当該ポリペプチド誘導体が、12~50kDaの範囲内、例えば12~48kDa、例えば12~43kDa、例えば12~37kDa、例えば12~35kDa、例えば12~32kDa、例えば12~27kDa、例えば12~22kDa、例えば12~18kDa、例えば14~50kDa、例えば14~48kDa、例えば14~43kDa、例えば14~37kDa、例えば14~35kDa、14~32kDa、例えば14~27kDa、例えば14~22kDa、例えば14~18kDa、例えば22~50kDa、22~48kDa、例えば22~43kDa、例えば22~37kDa、例えば22~35kDa、例えば22~32kDa、例えば22~31kDa、例えば22~30kDa、例えば22~29kDa、例えば22~28kDa、例えば22~27kDa、例えば24~50kDa,24~48kDa、例えば24~43kDa、例えば24~37kDa、例えば24~35、例えば24~32kDa、例えば24~31kDa、24~30kDa、24~29kDa、24~28kDa、例えば24~27kDa、例えば36~48kDa、例えば36~43kDa、例えば36~37kDa、例えば28~36kDa、例えば29~33kDa、例えば29~30、例えば約29、例えば29、例えば約30、例えば30、例えば30~32kDa、または例えば31kDaの分子量を有する、実施形態1~53のいずれか1つに記載のISVDポリペプチド誘導体。
55. 膜標的化ISVDポリペプチド誘導体ではない、実施形態1~54のいずれか1つに記載のISVDポリペプチド誘導体。
56. 当該延長部分が、ホスファチジルセリンおよび/またはホスファチジルエタノールアミンなど、アミノリン脂質などの形質膜の構成要素を結合することができない、実施形態1~55のいずれか1つに記載のISVDポリペプチド誘導体。
57. 当該延長部分が、GPlb-lX、コラーゲンシャペロンHSP47、エフリンB1、チオールイソメラーゼタンパク質ERP5、55の造血前駆キナーゼ1-相互作用タンパク質(HIP-55)、糖タンパク質Vl、血小板糖タンパク質1b、血小板由来増殖因子受容体、血小板内皮凝集受容体I、CD31、CD36、MARKS、マルチメリン、インテグリンアルファlIb/ベータ3、骨髄細胞に発現するトリガ受容体(TREM)様転写産物-1(TLT-1)、インテグリン結合キナーゼ(ILK)、ジキシン、コラーゲン、P-セレクチン、第XIII因子、P-セレクチン糖タンパク質リガンド-1、インテグリンアルファ6ベータ1、トロンボスポンジン、フォン・ヴィレブランド因子、G6B、CD42b、シンタキシン結合タンパク質2、ホスファチジルエタノールアミン、フィブリノゲン/フィブリン、フィラミン、ストマチン、スフィンゴ脂質、CD31、CD36、CD40、CD41、CD42c、CD42、CD49b、CD61、CD62P、CD63、CD69、CD107a、CD107b、CD109、CD154、PECAM-1、および/またはERPSなどの血小板表面タンパク質を結合することができない、実施形態1~56のいずれか1つに記載のISVDポリペプチド誘導体。
58. 当該延長部分が、糖タンパク質、GPIIb/IIIa、β2GP1、TLT-1、セレクチン、凝固因子もしくは凝固因子複合体、および/またはセレクチンなどの膜関連ポリペプチドを結合することができない、実施形態1~57のいずれか1つに記載のISVDポリペプチド誘導体。
59. 血液中の平均滞留時間終末相半減期が、当該延長部分を有さないISVDポリペプチドと比較して、少なくとも12時間、少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも3、4、5、または7日間延長される、実施形態1~58のいずれか1つに記載のISVDポリペプチド誘導体。
60. 当該第1および/または第2のISVDが、VH断片である、実施形態1~59のいずれか1つに記載のISVDポリペプチド誘導体。
61. 当該第1および/または第2のISVDが、V-NAR断片である、実施形態1~59のいずれか1つに記載のISVDポリペプチド誘導体。
62. 当該ISVDポリペプチド誘導体が、VHポリペプチド誘導体である、実施形態1~60のいずれか1つに記載のISVDポリペプチド誘導体。
63. 血液凝固促進VHポリペプチド誘導体であって、
第IX因子(配列番号1)またはその活性型に結合することができる第1のVHと、
第X因子(配列番号2)に結合することができる第2のVHと、
当該第1のVHおよび当該第2のVHを連結するリンカー(L1-2)と、
C末端延長部(E)と、
1つまたは2つの延長部分と、を含み、
以下の式(N末端からC末端)を有し、
「第2のVH」-L1-2-「第1のVH」-E
I)
当該第1のVHが、
CDR1:IYTMS(配列番号172)、
CDR2:GLRWTDSSTEYADSVKG(配列番号173)、
CDR3:DRSFLFAQALGATKNYEY(配列番号174)を含み、
当該第2のVHが、
CDR1:RYAMG(配列番号168)、
CDR2:AISRRGGSTNYADSVKG(配列番号169)、
CDR3:DDSVGDGYLDY(配列番号170)を含むか、または
II)
当該第1のVHが、
CDR1:IYTMS(配列番号132)、
CDR2:GLRWTDSSTEYADSVKG(配列番号133)、
CDR3:DRSFLFAQALGATKNYEY(配列番号134)を含み、
当該第2のVHが、
CDR1:RLAMG(配列番号128)、
CDR2:AISRRGGSTNYADSVKG(配列番号129)、
CDR3:DDSVGDGYLDY(配列番号130)を含むか、または
(Kabat定義)を含む、血液凝固促進VHポリペプチド誘導体。
64.
I)
当該第1のVHが、VH-2.20(配列番号171)の配列を含み、
当該第2のVHが、VH-1.20(配列番号167)の配列を含み、
II)
当該第1のVHが、VH-2.18(配列番号155)の配列を含み、
当該第2のVHが、VH-1.18(配列番号151)の配列を含み、
III)
当該第1のVHが、VH-2.15(配列番号131)の配列を含み、
当該第2のVHが、VH-1.15(配列番号127)の配列を含み、
IV)
当該第1のVHが、VH-2.13(配列番号115)の配列を含み、
当該第2のVHが、VH-1.13(配列番号111)の配列を含み、
V)
当該第1のVHが、VH-2.14(配列番号123)の配列を含み、
当該第2のVHが、VH-1.14(配列番号119)の配列を含み、
VI)
当該第1のVHが、VH-2.12(配列番号107)の配列を含み、
当該第2のVHが、VH-1.12(配列番号103)の配列を含む、実施形態63に記載の血液凝固促進VHポリペプチド誘導体。
65. 当該VHポリペプチド誘導体が、二重特異性VHポリペプチド誘導体である、実施形態1~60および62~64のいずれか1つに記載の血液凝固促進VHポリペプチド誘導体。
66. リンカーL1-2が、アミノ酸残基GQAPGQ(配列番号20)を含む、実施形態63~65のいずれか1つに記載の血液凝固促進VHポリペプチド誘導体。
67. 延長部(E)が、アミノ酸残基GQACPC(配列番号9)を含む、実施形態63~65のいずれか1つに記載の血液凝固促進VHポリペプチド誘導体。
68. 2つの延長部分が、それぞれ4位および6位(配列番号9)でEに結合されている、実施形態63~67のいずれか1つに記載の血液凝固促進VHポリペプチド誘導体。
69. 当該2つの延長部分が、同一である、実施形態63~68のいずれか1つに記載の血液凝固促進VHポリペプチド誘導体。
70. 当該2つの延長部分が、以下の構造を含む、実施形態63~69のいずれか1つに記載の血液凝固促進VHポリペプチド誘導体。
71. 第1および第2の延長部分を含み、
前記第1の延長部分が、以下の構造を含み、
当該第2の延長部分が、以下の構造を含み、
「*」(R1)が、第1の延長部分に対するVHポリペプチド誘導体上の結合点を表し、
「**」(R2)が、第2の延長部分に対するVHポリペプチド誘導体上の結合点を表し、
「*」が、配列番号629の257位のCysであり、
「**」が、配列番号629の259位のCysである、実施形態63~70のいずれか1つに記載の血液凝固促進VHポリペプチド誘導体。
72. 実施形態1~71のいずれか1つに記載のISVDポリペプチド誘導体またはVHポリペプチド誘導体を含む、医薬組成物。
73. 実施形態1~71のいずれか1つに記載のISVDポリペプチド誘導体またはVHポリペプチド誘導体を含む、経口投与のための医薬組成物。
74. ISVDポリペプチド誘導体が、VHポリペプチド誘導体である、実施形態72または73に記載の医薬組成物。
75. ISVDポリペプチド誘導体が、V-NARポリペプチド誘導体である、実施形態72または73に記載の医薬組成物。
76. 当該組成物が、N-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸の塩を含む、実施形態72~75のいずれか1つに記載の医薬組成物。
77. 当該N-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸の塩が、N-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸ナトリウム(SNAC)である、実施形態76に記載の医薬組成物。
78. ニコチンアミド(NAM)をさらに含む、実施形態76または77に記載の医薬組成物。
79. 当該組成物が、VHポリペプチド誘導体、N-(8-[2-ヒドロキシベンゾイル]アミノ)カプリル酸ナトリウム(SNAC)、ニコチンアミド(NAM)、およびステアリン酸マグネシウムを含む、実施形態74~78のいずれか1つに記載の医薬組成物。
80. 当該組成物が、約7%w/wのHHポリペプチド誘導体、約55%w/wのN-(8-[2-ヒドロキシベンゾイル]アミノ)カプリル酸ナトリウム(SNAC)、約36%w/wのニコチンアミド(NAM)、および約0.5%w/wのステアリン酸マグネシウムを含む、実施形態74~78のいずれか1つに記載の医薬組成物。
81. 当該組成物が、液体組成物である、実施形態73~80のいずれか1つに記載の医薬組成物。
82. 当該組成物が、固形組成物である、実施形態73~80のいずれか1つに記載の医薬組成物。
83. 当該組成物が、錠剤、トローチ、またはカプセルである、実施形態82に記載の医薬組成物。
84. 治療を必要とする患者においてそれを行う方法であって、実施形態1~83のいずれか1つに記載のISVDポリペプチド誘導体、VHポリペプチド誘導体、または医薬組成物を投与することを含む、方法。
85. 患者が、インヒビターが存在する、もしくは存在しない血友病Aまたは後天性血友病Aを患う患者である、実施形態84に記載の治療方法。
86. 治療が、予防処置である、実施形態84または85に記載の治療方法。
87. ISVDポリペプチド誘導体、VHポリペプチド誘導体、または医薬組成物が、経口投与される、実施形態84~86のいずれか1つに記載の治療方法。
88. ISVDポリペプチド誘導体、VHポリペプチド誘導体、または医薬組成物が、皮下注射によって投与される、実施形態84~86のいずれか1つに記載の治療方法。
89. 医薬品において使用するための、実施形態1~83のいずれか1つに記載のISVDポリペプチド誘導体、VHポリペプチド誘導体、または医薬組成物。
90. インヒビターが存在する、もしくは存在しない血友病Aなど、または後天性血友病Aなどの血友病の治療に使用するための、実施形態1~83のいずれか1つに記載のISVDポリペプチド誘導体、VHポリペプチド誘導体、または組成物。
91. インヒビターが存在する、もしくは存在しない血友病Aの治療に使用するための、実施形態1~83のいずれか1つに記載のISVDポリペプチド誘導体、VHポリペプチド誘導体、または組成物。
92. 治療が、予防処置である、実施形態89~92のいずれか1つに記載の使用のためのISVDポリペプチド誘導体、VHポリペプチド誘導体、または組成物。
93. 当該誘導体または組成物が、経口投与される、実施形態89~92のいずれか1つに記載の使用のためのISVDポリペプチド誘導体、VHポリペプチド誘導体、または組成物。
94. 当該誘導体または組成物が、皮下注射によって投与される、実施形態89~92のいずれか1つに記載の使用のためのISVDポリペプチド誘導体、VHポリペプチド誘導体、または組成物。
95. 血液凝固促進免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISVD)ポリペプチド誘導体を産生する方法であって、
第IX因子(配列番号1)またはその活性型に結合することができる第1のISVD(ISVD1)と、
第X因子(配列番号2)またはその活性型に結合することができる第2のISVD(ISVD2)と、
1つ以上の延長部分と、
任意選択で、ISVD1およびISVD2を連結するリンカー(L1-2)と、
任意選択で、1つ以上の延長部(E)と、を含み、

a.ISVDポリペプチドまたはISVDポリペプチド誘導体のアミノ酸残基をコードする核酸を、ISVDポリペプチドまたはISVDポリペプチド誘導体の等電点が低減されるように修飾する工程と、
b.ISVDポリペプチドまたはISVDポリペプチド誘導体をコードする核酸を発現するように宿主細胞を培養する工程と、
c.宿主細胞からISVDポリペプチドまたはISVDポリペプチド誘導体を収集する工程と、
d.標準クロマトグラフィーを使用して宿主細胞培養からISVDポリペプチドまたはISVDポリペプチド誘導体を精製する工程と、
e.延長部分を、かかる部分が既に存在していない限り、ISVDポリペプチドに結合する工程と、を含む、方法。
96. 血液凝固促進免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISVD)ポリペプチドまたはISVDポリペプチド誘導体を産生するための方法であって、第IX因子(配列番号1)またはその活性型に結合することができる第1のISVD(ISVD1)と、第X因子(配列番号2)またはその活性型に結合することができる第2のISVD(ISVD2)と、延長部分と、任意選択で、ISVD1およびISVD2を連結することができるリンカー(L1-2)と、任意選択で、1つ以上の延長部(E)と、を含み、
a.ISVDポリペプチドまたはISVDポリペプチド誘導体のアミノ酸残基をコードする核酸を、ISVDポリペプチドまたはISVDポリペプチド誘導体の等電点が6.5以下であるように修飾する工程と、
b.ISVDポリペプチドまたはISVDポリペプチド誘導体をコードする核酸を発現するように宿主細胞を培養する工程と、
c.宿主細胞からISVDポリペプチドまたはISVDポリペプチド誘導体を収集する工程と、
d.標準クロマトグラフィーを使用して宿主細胞培養からISVDポリペプチドまたはISVDポリペプチド誘導体を精製する工程と、
e.延長部分を、かかる部分が既に存在していない限り、ISVDポリペプチドに結合する工程と、を含む、方法。
97. 血液凝固促進免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISVD)ポリペプチドまたはISVDポリペプチド誘導体の経口バイオアベイラビリティを増加させるための方法であって、第IX因子(配列番号1)またはその活性型に結合することができる第1のISVD(ISVD1)と、第X因子(配列番号2)またはその活性型に結合することができる第2のISVD(ISVD2)と、延長部分と、任意選択で、ISVD1およびISVD2を連結することができるリンカー(L1-2)と、任意選択で、1つ以上の延長部(E)と、を含み、
a.ISVDポリペプチドまたはISVDポリペプチド誘導体のアミノ酸残基をコードする核酸を、ISVDポリペプチドまたはISVDポリペプチド誘導体の等電点が低減されるように修飾する工程と、
b.ISVDポリペプチドまたはISVDポリペプチド誘導体をコードする核酸を発現するように宿主細胞を培養する工程と、
c.宿主細胞からISVDポリペプチドまたはISVDポリペプチド誘導体を収集する工程と、
d.標準クロマトグラフィーを使用して宿主細胞培養からISVDポリペプチドまたはISVDポリペプチド誘導体を精製する工程と、
e.延長部分を、かかる部分が既に存在していない限り、ISVDポリペプチドに結合する工程と、を含む、方法。
98. 血液凝固促進免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISVD)ポリペプチドまたはISVDポリペプチド誘導体の経口バイオアベイラビリティを増加させるための方法であって、第IX因子(配列番号1)またはその活性型に結合することができる第1のISVD(ISVD1)と、第X因子(配列番号2)またはその活性型に結合することができる第2のISVD(ISVD2)と、延長部分と、任意選択で、ISVD1およびISVD2を連結することができるリンカー(L1-2)と、任意選択で、1つ以上の延長部分(E)と、を含み、
a.ISVDポリペプチドまたはISVDポリペプチド誘導体のアミノ酸残基をコードする核酸を、ISVDポリペプチドまたはISVDポリペプチド誘導体の等電点が6.5以下であるように修飾する工程と、
b.ISVDポリペプチドまたはISVDポリペプチド誘導体をコードする核酸を発現するように宿主細胞を培養する工程と、
c.宿主細胞からISVDポリペプチドまたはISVDポリペプチド誘導体を収集する工程と、
d.標準クロマトグラフィーを使用して宿主細胞培養からISVDポリペプチドまたはISVDポリペプチド誘導体を精製する工程と、
e.延長部分を、かかる部分が既に存在していない限り、ISVDポリペプチドに結合する工程と、を含む、方法。
99. 等電点が、少なくとも0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、または4pH単位など、少なくとも0.5pH単位だけ低減される、実施形態95~98のいずれかに1つに記載の方法。
100. 工程e)が、ISVDポリペプチドまたはISVDポリペプチド誘導体の等電点の増加につながらない、実施形態95~99のいずれか1つに記載の方法。
101. 等電点が、等電点電気泳動を使用して決定される、実施形態95~100のいずれか1つに記載の方法。
102.ISVDポリペプチドまたはISVDポリペプチド誘導体が、単一の核酸によってコードされる、実施形態95~101のいずれか1つに記載の方法。
103. ISVDポリペプチドまたはISVDポリペプチド誘導体が、第1および第2のISVDのコンジュゲートであり、当該第1および第2のISVDが、別個の核酸によってコードされる、実施形態95~101のいずれか1つに記載の方法。
104. ISVDポリペプチドまたはISVDポリペプチド誘導体が、VHポリペプチドまたはVHポリペプチド誘導体である、実施形態95~103のいずれか1つに記載の方法。
105. 実施形態95~103のいずれか1つに記載の方法を使用して産生される、ISVDポリペプチドまたはISVDポリペプチド誘導体。
106. 実施形態95~103のいずれか1つに記載の方法を使用して得ることが可能である、ISVDポリペプチドまたはISVDポリペプチド誘導体。
107. 実施形態95~104のいずれか1つに記載の方法を使用して産生される、VHポリペプチドまたはVHポリペプチド誘導体。
108. FIX(配列番号1)またはその活性型(FIXa)に結合することができるVH断片であって、
a.CDR1配列が、任意選択で、1つもしくは2つのアミノ酸置換を含む配列番号172によって特定され、
CDR2配列が、任意選択で、1つ、2つ、もしくは3つのアミノ酸置換を含む配列番号173によって特定され、
CDR3配列が、任意選択で、1つ、2つ、もしくは3つのアミノ酸置換を含む配列番号174によって特定されるか、または
b.CDR1配列が、任意選択で、1つもしくは2つのアミノ酸置換を含む配列番号156によって特定され、
CDR2配列が、任意選択で、1つ、2つ、もしくは3つのアミノ酸置換を含む配列番号157によって特定され、
CDR3配列が、任意選択で、1つ、2つ、もしくは3つのアミノ酸置換を含む配列番号158によって特定されるか、または
c.CDR1配列が、任意選択で、1つもしくは2つのアミノ酸置換を含む配列番号132によって特定され、
CDR2配列が、任意選択で、1つ、2つ、もしくは3つのアミノ酸置換を含む配列番号133によって特定され、
CDR3配列が、任意選択で、1つ、2つ、もしくは3つのアミノ酸置換を含む配列番号134によって特定されるか、または
d.CDR1配列が、任意選択で、1つもしくは2つのアミノ酸置換を含む配列番号116によって特定され、
CDR2配列が、任意選択で、1つ、2つ、もしくは3つのアミノ酸置換を含む配列番号117によって特定され、
CDR3配列が、任意選択で、1つ、2つ、もしくは3つのアミノ酸置換を含む配列番号118によって特定されるか、または
e.CDR1配列が、任意選択で、1つもしくは2つのアミノ酸置換を含む配列番号124によって特定され、
CDR2配列が、任意選択で、1つ、2つ、もしくは3つのアミノ酸置換を含む配列番号125によって特定され、
CDR3配列が、任意選択で、1つ、2つ、もしくは3つのアミノ酸置換を含む配列番号126によって特定されるか、または
f.CDR1配列が、任意選択で、1つもしくは2つのアミノ酸置換を含む配列番号108によって特定され、
CDR2配列が、任意選択で、1つ、2つ、もしくは3つのアミノ酸置換を含む配列番号109によって特定され、
CDR3配列が、任意選択で、1つ、2つ、もしくは3つのアミノ酸置換を含む配列番号110によって特定される(Kabat定義)、VH断片。
109. FX(配列番号2)に結合することができるVH断片であって、
a.CDR1配列が、任意選択で、1つもしくは2つのアミノ酸置換を含む配列番号152によって特定され、
CDR2配列が、任意選択で、1つ、2つ、もしくは3つのアミノ酸置換を含む配列番号153によって特定され、
CDR3配列が、任意選択で、1つ、2つ、もしくは3つのアミノ酸置換を含む配列番号154によって特定されるか、または
b.CDR1配列が、任意選択で、1つもしくは2つのアミノ酸置換を含む配列番号128によって特定され、
CDR2配列が、任意選択で、1つ、2つ、もしくは3つのアミノ酸置換を含む配列番号129によって特定され、
CDR3配列が、任意選択で、1つ、2つ、もしくは3つのアミノ酸置換を含む配列番号130によって特定される、VH断片。
110. 当該置換が、保存的置換である、実施形態108または109に記載のVH断片。
111. 当該VH断片が、FIX(配列番号1)またはその活性型(FIXa)に結合することができ、かつFX(配列番号2)またはその活性型(FXa)に結合することができる、VHポリペプチドまたはVHポリペプチド誘導体の製造において使用するための中間体である、実施形態108~110のいずれか1つに記載のVH断片。
112. 当該VHポリペプチドが、ISVDポリペプチド誘導体の製造において使用するための中間体である、実施形態108~110のいずれか1つに記載のVHポリペプチド。
113. 活性が、国際公開第2019/096874号に記載されるような抗FX ISVD化合物のうちのいずれかと比較して、FXをFIXaによるタンパク質分解がより起こり易くするという点で改善される、実施形態109または110に記載のISVDまたはVH。
114. 血液凝固促進免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISVD)ポリペプチド誘導体であって、
第IX因子(配列番号1)またはその活性型に結合することができる第1のISVD(ISVD1)と、
第X因子(配列番号2)またはその活性型に結合することができる第2のISVD(ISVD2)と、
少なくとも1つの延長部分と、
任意選択で、ISVD1およびISVD2を連結するリンカー(L1-2)と、
任意選択で、1つ以上の延長部(E)と、を含み、
当該ISVDポリペプチドが、配列番号615~691、734、または735から成る群から選択される、血液凝固促進ISVDポリペプチド誘導体。
115. 配列番号27~614のいずれか1つ記載の配列を含む、VH断片。
116. 配列番号615~691または734~735のうちのいずれかの配列を含む、VHポリペプチド誘導体。
117. 血液凝固促進免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISVD)ポリペプチド誘導体であって、
第IX因子(配列番号1)またはその活性型に結合することができる第1のISVD(ISVD1)と、
第X因子(配列番号2)またはその活性型に結合することができる第2のISVD(ISVD2)と、
少なくとも1つの延長部分と、
任意選択で、ISVD1およびISVD2を連結するリンカー(L1-2)と、
任意選択で、1つ以上の延長部(E)と、を含む、血液凝固促進ISVDポリペプチド誘導体。
118. 以下の式(N末端からC末端)を有し、
ISVD2-L1-2-ISVD1-E
式中、1つ以上の延長部分が、1つ以上の表面曝露残基に結合している、実施形態117に記載のISVDポリペプチド誘導体。
119. 以下の式(N末端からC末端)を有し、
ISVD2-L1-2-ISVD1-E
式中、2つの延長部分が、E上の1つ以上の表面曝露残基に結合しており、
誘導体の分子量が、20~35kDaの範囲内である、実施形態118または119に記載のISVDポリペプチド誘導体。
120. 当該第1のISVDが、アミノ酸残基E224、T225、G226、V250、I251、R252、I253、P255、H257、およびN260(連続ナンバリング)を含む、第IX因子(配列番号1)またはその活性型上のエピトープに結合することができ、
第2のISVDが、アミノ酸残基N173、P174、F175、L177、およびL178(連続ナンバリング)を含む、第X因子(配列番号2)またはその活性型上のエピトープに結合することができる、実施形態117~119のいずれか1つに記載のISVDポリペプチド誘導体。
121. 当該第1のISVDが、
1)
CDR1:任意選択で、1つもしくは2つの置換を含むIYTMS(配列番号172)、
CDR2:任意選択で、1つ、2つ、もしくは3つの置換を含むGLRWTDSSTEYADSVKG(配列番号173)、
CDR3:任意選択で、1つ、2つ、もしくは3つの置換を含むDRSFLFAQALGATKNYEY(配列番号174)、または
2)
CDR1:任意選択で、1つもしくは2つの置換を含むIYTMS(配列番号156)、
CDR2:任意選択で、1つ、2つ、もしくは3つの置換を含むGLRWTDSSTEYADSVKG(配列番号157)、
CDR3:任意選択で、1つ、2つ、もしくは3つの置換を含むDRSFLFAQALGATKNYEY(配列番号158)、または
3)
CDR1:任意選択で、1つもしくは2つの置換を含むIYTMS(配列番号132)、
CDR2:任意選択で、1つ、2つ、もしくは3つの置換を含むGLRWTDSSTEYADSVKG(配列番号133)、
CDR3:任意選択で、1つ、2つ、もしくは3つの置換を含むDRSFLFAQALGATKNYEY(配列番号134)、または
4)
CDR1:任意選択で、1つもしくは2つの置換を含むIYTMS(配列番号116)、
CDR2:任意選択で、1つ、2つ、もしくは3つの置換を含むGLRWTDSSTEYADSVKG(配列番号117)、
CDR3:任意選択で、1つ、2つ、もしくは3つの置換を含むDRSFLFAQALGATKNYEY(配列番号118)、または
5)
CDR1:任意選択で、1つもしくは2つの置換を含むIYTMS(配列番号124)、
CDR2:任意選択で、1つ、2つ、もしくは3つの置換を含むGLRWTDSSTEYADSVKG(配列番号125)、
CDR3:任意選択で、1つ、2つ、もしくは3つの置換を含むDRSFLFAQALGATKNYEY(配列番号126)、または
6)
CDR1:任意選択で、1つもしくは2つの置換を含むIYTMS(配列番号108)、
CDR2:任意選択で、1つ、2つ、もしくは3つの置換を含むGLRWTDSSTEYADSVKG(配列番号109)、
CDR3:任意選択で、1つ、2つ、もしくは3つの置換を含むDRSFLFAQALGATKNYEY(配列番号110)を含み、
当該第2のISVDが、
(A)
CDR1:任意選択で、1つもしくは2つの置換を含むRYAMG(配列番号168)、
CDR2:任意選択で、1つ、2つ、もしくは3つの置換を含むAISRRGGSTNYADSVKG(配列番号169)、
CDR3:任意選択で、1つ、2つ、もしくは3つの置換を含むDDSVGDGYLDY(配列番号170)、または
(B)
CDR1:任意選択で、1つもしくは2つの置換を含むRYAMG(配列番号152)、
CDR2:任意選択で、1つ、2つ、もしくは3つの置換を含むAISRRGGSTNYADSVKG(配列番号153)、
CDR3:任意選択で、1つ、2つ、もしくは3つの置換を含むDDSVGDGYLDY(配列番号154)、または
(C)
CDR1:任意選択で、1つもしくは2つの置換を含むRLAMG(配列番号128)、
CDR2:任意選択で、1つ、2つ、もしくは3つの置換を含むAISRRGGSTNYADSVKG(配列番号129)、
CDR3:任意選択で、1つ、2つ、もしくは3つの置換を含むDDSVGDGYLDY(配列番号130)、または
(D)
CDR1:任意選択で、1つもしくは2つの置換を含むRLAMG(配列番号112)、
CDR2:任意選択で、1つ、2つ、もしくは3つの置換を含むAISRRGGSTNYADSVKG(配列番号113)、
CDR3:任意選択で、1つ、2つ、もしくは3つの置換を含むDDSVGDGYLDY(配列番号114)、または
(E)
CDR1:任意選択で、1つもしくは2つの置換を含むRLAMG(配列番号120)、
CDR2:任意選択で、1つ、2つ、もしくは3つの置換を含むAISRRGGSTNYADSVKG(配列番号121)、
CDR3:任意選択で、1つ、2つ、もしくは3つの置換を含むDDSVGDGYLDY(配列番号122)、または
(F)
CDR1:任意選択で、1つもしくは2つの置換を含むRLAMG(配列番号104)、
CDR2:任意選択で、1つ、2つ、もしくは3つの置換を含むAISRRGGSTNYADSVKG(配列番号105)、
CDR3:任意選択で、1つ、2つ、もしくは3つの置換を含むDDSVGDGYLDY(配列番号106)(Kabat定義)を含む、実施形態117~119のいずれか1つに記載のISVDポリペプチド誘導体。
122. 当該置換が、保存的置換である、実施形態121に記載のISVDポリペプチド誘導体。
123. 当該第1のISVDが、以下の配列を含み、
H-2.20(配列番号171)、
H-2.18(配列番号155)、
H-2.15(配列番号131)、
H-2.13(配列番号115)、
H-2.14(配列番号123)、または
H-2.12(配列番号107)

当該第2のISVDが、以下の配列を含む、実施形態117~122のいずれか1つに記載のISVDポリペプチド誘導体。
H-1.20(配列番号167)、
H-1.18(配列番号151)、
H-1.15(配列番号127)、
H-1.13(配列番号111)、
H-1.14(配列番号119)、または
H-1.12(配列番号103)
124. 血液凝固促進VHポリペプチド誘導体であって、
第IX因子(配列番号1)またはその活性型に結合することができる第1のVHと、
第X因子(配列番号2)またはその活性型に結合することができる第2のVHと、
当該第1のVHおよび当該第2のVHを連結するリンカー(L1-2)と、
C末端延長部(E)と、
1つまたは2つの延長部分と、を含み、
以下の式(N末端からC末端)を有し、
「第2のVH」-L1-2-「第1のVH」-E

I)
当該第1のVHが、
CDR1:IYTMS(配列番号172)、
CDR2:GLRWTDSSTEYADSVKG(配列番号173)、
CDR3:DRSFLFAQALGATKNYEY(配列番号174)を含み、
当該第2のVHが、
CDR1:RYAMG(配列番号168)、
CDR2:AISRRGGSTNYADSVKG(配列番号169)、
CDR3:DDSVGDGYLDY(配列番号170)を含むか、または
II)
当該第1のVHが、
CDR1:IYTMS(配列番号156)、
CDR2:GLRWTDSSTEYADSVKG(配列番号157)、
CDR3:DRSFLFAQALGATKNYEY(配列番号158)を含み、
当該第2のVHが、
CDR1:RYAMG(配列番号152)、
CDR2:AISRRGGSTNYADSVKG(配列番号153)、
CDR3:DDSVGDGYLDY(配列番号154)を含むか、または
III)
当該第1のVHが、
CDR1:IYTMS(配列番号132)、
CDR2:GLRWTDSSTEYADSVKG(配列番号133)、
CDR3:DRSFLFAQALGATKNYEY(配列番号134)を含み、
当該第2のVHが、
CDR1:RLAMG(配列番号128)、
CDR2:AISRRGGSTNYADSVKG(配列番号129)、
CDR3:DDSVGDGYLDY(配列番号130)を含むか、または
IV)
当該第1のVHが、
CDR1:IYTMS(配列番号116)、
CDR2:GLRWTDSSTEYADSVKG(配列番号117)、
CDR3:DRSFLFAQALGATKNYEY(配列番号118)を含み、
当該第2のVHが、
CDR1:RLAMG(配列番号112)、
CDR2:AISRRGGSTNYADSVKG(配列番号113)、
CDR3:DDSVGDGYLDY(配列番号114)を含むか、または
V)
当該第1のVHが、
CDR1:IYTMS(配列番号124)、
CDR2:GLRWTDSSTEYADSVKG(配列番号125)、
CDR3:DRSFLFAQALGATKNYEY(配列番号126)を含み、
当該第2のVHが、
CDR1:RLAMG(配列番号120)、
CDR2:AISRRGGSTNYADSVKG(配列番号121)、
CDR3:DDSVGDGYLDY(配列番号122)を含むか、または
VI)
当該第1のVHが、
CDR1:IYTMS(配列番号108)、
CDR2:GLRWTDSSTEYADSVKG(配列番号109)、
CDR3:DRSFLFAQALGATKNYEY(配列番号110)を含み、
当該第2のVHが、
CDR1:RLAMG(配列番号104)、
CDR2:AISRRGGSTNYADSVKG(配列番号105)、
CDR3:DDSVGDGYLDY(配列番号106)(Kabat定義)を含む、血液凝固促進VHポリペプチド誘導体。
125. 実施形態117~124のいずれか1つに記載のISVDポリペプチド誘導体またはVHポリペプチド誘導体を含む、医薬組成物。
126. 前記組成物が、N-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸の塩を含む、実施形態125に記載の医薬組成物。
127. 当該N-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸の塩が、N-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸ナトリウム(SNAC)である、実施形態126に記載の医薬組成物。
128. ニコチンアミド(NAM)をさらに含む、実施形態125~127のいずれか1つに記載の医薬組成物。
129. 当該組成物が、固形組成物である、実施形態125~128のいずれか1つに記載の医薬組成物。
130. インヒビターが存在する、もしくは存在しない血友病Aなど、または後天性血友病Aなどの血友病の治療に使用するための、実施形態117~129のいずれか1つに記載のISVDポリペプチド誘導体、VHポリペプチド誘導体、または組成物。
131. 当該ポリペプチド誘導体または組成物が、経口投与される、実施形態1~130のいずれか1つに記載の使用のためのISVDポリペプチド誘導体、VHポリペプチド誘導体、または組成物。
132. 血液凝固促進免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISVD)ポリペプチドまたはISVDポリペプチド誘導体の経口バイオアベイラビリティを増加させるための方法であって、第IX因子(配列番号1)またはその活性型に結合することができる第1のISVD(ISVD1)と、第X因子(配列番号2)またはその活性型に結合することができる第2のISVD(ISVD2)と、延長部分と、任意選択で、ISVD1およびISVD2を連結することができるリンカー(L1-2)と、任意選択で、1つ以上の延長部(E)と、を含み、
a.ISVDポリペプチドまたはISVDポリペプチド誘導体のアミノ酸残基をコードする核酸を、その等電点が低減されるように修飾する工程と、
b.ISVDポリペプチドまたはISVDポリペプチド誘導体をコードする核酸を発現するように宿主細胞を培養する工程と、
c.宿主細胞からISVDポリペプチドまたはISVDポリペプチド誘導体を収集する工程と、
d.標準クロマトグラフィーを使用して宿主細胞培養からISVDポリペプチドまたはISVDポリペプチド誘導体を精製する工程と、
e.延長部分を、かかる部分が既に存在していない限り、ISVDポリペプチドに結合する工程と、を含む、方法。
好ましい実施形態では、ISVDポリペプチド誘導体は、N末端からC末端方向(N末端からC末端)で抗FIX(a) VH ISVDに接続された抗FX ISVDを含む。
かかる好ましい一実施形態では、ISVDポリペプチド誘導体は、N末端からC末端方向(N末端からC末端)で抗FIX(a)VH断片に接続された抗FX VH断片を含み、例えば、図2a、2b、および3a~fを参照されたい。
好ましい実施形態では、FIX(a)に結合することができるISVDまたはVH断片は、活性化FIX(FIXa)に選択的に結合する。
好ましい実施形態では、FXに結合することができるISVDまたはVH断片は、FX酵素前駆体、すなわち、活性化されていないFXに選択的に結合する。
一実施形態では、本発明のISVDポリペプチド(誘導体)またはVHポリペプチド(誘導体)は、FXに対するFIXaの酵素活性を刺激することができる。かかる一実施形態では、当該ISVDポリペプチド(誘導体)またはVHポリペプチド(誘導体)の刺激特性は、FIX(a)を結合することができるISVDまたはVHに由来する。
図5aおよび5bは、それぞれ好ましい抗FIX(a)および抗FX ISVD(VH断片)配列の配列アライメントを示し、CDR配列は、太字および下線で強調表示されている。
本発明は、本明細書に開示されるISVDまたはVH断片の置換バリアントを包含し、それらは、本明細書に開示される個々の配列に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20個のアミノ酸置換および/または欠失および/または挿入を含み得る。いくつかの実施形態では、当該置換および/または欠失および/または挿入は、本明細書に開示されるCDR配列のうちの1つ以上にある。いくつかの実施形態では、CDR配列のうちの1つ以上を、アミノ酸置換に供する。いくつかの実施形態では、個々のCDR配列は、それぞれ0、1、2、または3個のアミノ酸置換を含み得る。例えば、配列番号559によるVH断片において、CDR1は、置換を含まない場合があり、CDR2は、3個の置換を含んでもよく、CDR3は、1個の置換を含んでもよい。「置換」バリアントは、同数のアミノ酸を有する1つ以上のアミノ酸の置換を含むことが好ましい。いくつかの実施形態では、置換は、保存的置換である。
一実施形態では、VHポリペプチド誘導体などのISVDポリペプチド誘導体は、ホスファチジルセリンおよび/またはホスファチジルエタノールアミンなど、アミノリン脂質などの形質膜の構成要素を結合することができない、少なくとも1つの延長部分を含む。
いくつかの実施形態では、延長部分は、以下の構造を含み、
「*」は、VHポリペプチドへの結合点を表す。
一実施形態では、VHポリペプチド誘導体などのISVDポリペプチド誘導体は、GPlb-lX、コラーゲンシャペロンHSP47、エフリンB1、チオールイソメラーゼタンパク質ERP5、55の造血前駆キナーゼ1-相互作用タンパク質(HIP-55)、糖タンパク質Vl、血小板糖タンパク質1b、血小板由来増殖因子受容体、血小板内皮凝集受容体I、CD31、CD36、MARKS、マルチメリン、インテグリンアルファlIb/ベータ3、骨髄細胞に発現するトリガ受容体(TREM)様転写産物-1(TLT-1)、インテグリン結合キナーゼ(ILK)、ジキシン、コラーゲン、P-セレクチン、第XIII因子、P-セレクチン糖タンパク質リガンド-1、インテグリンアルファ6ベータ1、トロンボスポンジン、フォン・ヴィレブランド因子、G6B、CD42b、シンタキシン結合タンパク質2、ホスファチジルエタノールアミン、フィブリノゲン/フィブリン、フィラミン、ストマチン、スフィンゴ脂質、CD31、CD36、CD40、CD41、CD42c、CD42、CD49b、CD61、CD62P、CD63、CD69、CD107a、CD107b、CD109、CD154、PECAM-1、および/またはERPSなどの血小板表面タンパク質を結合することができない、延長部分を含む。
一実施形態では、VHポリペプチド誘導体などのISVDポリペプチド誘導体は、糖タンパク質、GPIIb/IIIa、β2GP1、TLT-1、セレクチン、凝固因子もしくは凝固因子複合体、および/またはセレクチンなどの膜関連ポリペプチドを結合することができない、延長部分を含む。
一実施形態では、VHポリペプチド誘導体などのISVDポリペプチド誘導体は、血友病Aの治療において臨床的に関連する用量で当該抗体が使用されるとき、血友病Aを患う患者に投与された組み換えFVIIIなどのFVIIIの効果に干渉しない。
本発明のある特定の特徴が本明細書に例証および記載されているが、ここで、多くの修正、代用、変更、および均等物が当業者に想到されるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲が、本発明の真の趣旨の範囲内にあるそのような全ての修正および変更を網羅することを意図していることが理解されるべきである。
略語リスト
実施例1:一般的な方法ならびにVH断片および他の組み換えタンパク質の調製
一般分子生物学
一般的な分子生物学技法については、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(4th Edition,2014,Sambrook,Fritsch and Maniatis eds.,CSHL Press,Cold Spring Harbor,NY USA)を参照されたい。
免疫化およびライブラリ
Ethical Committee of the Ablynx Camelid Facility(LA1400575)の承認後、2頭のラマおよび2頭のアルパカを、それぞれヒトFIXおよびFX(Haemotologic Technologies、VT USA)で免疫化した。
重鎖のみの抗体断片レパートリーのクローニングおよびファージ免疫ライブラリの調製を以下のように実施した。
最終免疫原注射後、血液試料を収集した。これらの血液試料から、末梢血単核細胞(PBMC)を、製造業者(Amersham Biosciences,Piscataway,NJ,US)の指示に従ってFicoll-Hypaqueを使用して調製した。PBMCから全RNAを抽出し、RT-PCRの出発材料として使用して、本質的に国際公開第2005/044858号に説明されるように、VH断片コードDNAセグメントを増幅した。要するに、VH断片コードDNA断片を、ファージミドベクターpAX212にクローニングし、HisおよびFLAGタグで融合されたVH断片を表示するファージ粒子の生成を可能にした。その後、ファージを標準プロトコルに従って調製し、保管した。
合成ライブラリ
合成ライブラリは、免疫化から得られ、かつクローニングされた合成VH遺伝子断片をファージミドベクターpAX190にクローニングすることによって生成され、これは上述のpAX212と同一の特徴を有するが、複数のクローニング部位において差異を有した。
FXまたはFIXに結合するVH断片のライブラリスクリーニング
H断片ファージディスプレイの選択は、生成された免疫および合成ライブラリで実施した。ライブラリは、FIXおよびFXへのバインダーを得るためのクローンスクリーニングを富化する固定化ヒトFIXおよびFX(Haemotologic Technologies、VT USA)ならびにカニクイザルFIXおよびFX(Novo Nordisk自社で生成)の異なる濃度に対して、1~4個の連続した富化ラウンドを受けた。
FIXおよびFXaに対しFIXaおよびFXに選択的なVH断片を特異的に富化するために、ある特定の実験では、固定化FIXaおよびFXを用いたライブラリのインキュベーション中の競合のために過剰な可溶性FIXおよびFXaを使用した。
他の構造的に関連する凝固因子に対しFIXおよびFXに選択的なVH断片を特異的に富化するために、ある特定の実験では、固定化FIXおよびFXを用いたライブラリのインキュベーション中の競合のために過剰な可溶性FXおよびFIXをそれぞれ使用した。
選択出力からの約4500個の個別のクローンを、ヒトおよびカニクイザルFX、FXa、FIX、およびFIXaに対して、ELISAで結合するためにスクリーニングした(VH断片を発現するE.coli細胞からのペリプラズム抽出物を使用した)。ヒトFXおよびFIXa/FIXへの特異的結合を示した約1500個のクローンを特定し、その大部分はカニクイザルFXおよびFIXへの交差結合を示した。一部のクローンは、FXaに対してFXへの、およびFIXに対してFIXaへの選択的結合を示した。ELISA陽性クローンの配列解析は、FIXa/FIXまたはFX/FXaに結合するVH断片の約700個のユニーク配列を特定した。化合物をさらに最適化するために、延長因子の付加、リンカー、および延長部の組み合わせと組み合わせた、激烈なVH CDRおよびFRの変異誘発を、トロンビン生成アッセイを使用した変異スクリーニングを介して、止血効力の増強に焦点を当てて実施し、親和性が変化した化合物のスクリーニングを介して標的介在性の薬剤消失を回避し、MHC関連ペプチドプロテオミクスアッセイを使用したリスク部位のスクリーニングを介して免疫原性の低減し、表面曝露残基の置換を低下させるpIを介したインビボでの経口バイオアベイラビリティを増強する。
FXまたはFIXに結合するVH断片の発現構築物生成
ファージディスプレイ選択出力からのVH断片の配列解析を、一般的に公知の手順に従って行った(Pardon et al.(2014)Nat Protoc 9:674)。
各々が固有の制限部位を担持するフォワードFR1およびリバースFR4プライマーの特定の組み合わせを有するPCRによって得られた、VH断片含有DNA断片を、適切な制限酵素で消化し、E.coliまたはP.pastoris発現のためのHis-および/またはFLAGタグ付きフォーマットとして、VHポリペプチド発現ベクターの一致するクローニングカセット内にライゲーションした。次いで、ライゲーション混合物を、エレクトロコンピテントEscherichia coli TG1(60502、Lucigen、Middleton,WI)またはTOP10(C404052、ThermoFisher Scientific、Waltham,MA)に形質転換し、それらは次いで、適切な抗生物質選択圧(カナマイシンまたはゼオシン)下で増殖させた。耐性クローンを、プラスミドDNAのサンガー配列決定(LGC Genomics、Berlin,Germany)により検証した。
E.coliにおけるFXまたはFIXに結合するVH断片の一般的な発現
H断片を、lacプロモータを含有するプラスミド発現ベクターからのE.coli TG1、カナマイシンの耐性遺伝子、E.coli複製元、およびOmpAシグナルペプチドのコード配列によって先行されるVH断片クローニング部位において発現させた。VHポリペプチドコード配列とインフレームで、ベクターはC末端FLAGおよびHisタグをコードする。シグナルペプチドは、発現されたVH断片を細菌宿主のペリプラズム区画に導く。
目的のVH断片構築物を含有するE.coli TG-1細胞を、37℃で2時間、その後、30℃で29時間、「5052」自動誘発培地(0.5%グリセロール、0.05%グルコース、0.2%ラクトース+3mMのMgSO)を含有するバッフル付き振盪装置フラスコ中で増殖させた。一晩凍結させたE.coli発現培養物からの細胞ペレットを、次いでPBS(元の培養物の体積の1/12.5 )中に溶解し、穏やかに撹拌しながら4℃で1時間インキュベーションした。最後に、細胞をもう一度ペレット化し、ペリプラズム空間内に分泌されたタンパク質を含有する上清を保管した。
P.pastorisにおけるVH断片の一般的な発現
目的のVH断片構築物を含有するP.pastoris細胞を、BGCM培地中で2日間(30℃で、200rpm)増殖させた。3日目に、培地をBMCMに切り替え、構築物をさらに増殖させて(30℃、200rpm)、8時間後に0.5%v/vメタノールを用いて誘導した。翌日、構築物を、0.5%v/vメタノールを用いて、午前中、正午、および夕方に誘導した。5日目に、細胞を遠心分離し、上清(分泌されたVH断片を含有する)を収集した。
HEK細胞において、FXまたはFIXおよび他の組み換え型タンパク質に結合するVHおよび抗体の一般的な発現
HEK293細胞における一過性発現のための発現プラスミドを、Twist BiosciencesまたはThermo Fisher Scientificのいずれかから購入した。Twist Biosciencesからのプラスミドは、Durocher,Y.et al.,(2002)Nucleic Acid Res,30:E9に記載のpTTベクターに基づくが、一方で、ThermoFisherScientificからのプラスミドは、pcDNA34-Topoベクター(Thermo Fisher Scientific)に基づいていた。Hisタグ付きまたは非タグ付きVHポリペプチド化合物を、VHポリペプチド化合物を一過性に発現するために、HEK293懸濁細胞にトランスフェクトした。抗GLA FIX抗体および抗GLA FX抗体(Novo Nordisk社内生成)、エミシズマブ(Hoffmann-La Roche Ltd、Switzerland)配列同一類似体(SIA)、およびMim8(Novo Nordisk、Denmark)をコードする配列を担持する等価発現構築物も、以下に記載される方法を使用してHEK293で発現された。
HEK293懸濁細胞の一過性トランスフェクション(Expi293発現系、Thermo Fisher Scientific、カタログ番号A14635)は、製造業者の指示に従って本質的に行った。HEK293細胞は典型的には、1%のP/S(GIBCO、カタログ番号15140-122)を補充したExpi293発現培地((Gibco、カタログ番号A14351-01)で、3~4日毎に継代培養した。HEK293細胞を、Expifectamineを使用して2.5~3mill/mLの細胞密度で導入した。HEK293細胞の各1リットルに対して、合計1mgのプラスミドDNAを、50mLのOptimem(GIBCO、カタログ番号51985-026、希釈物A)へと希釈することによって、および2.7mLのExpifectamineを50mLのOptimem(希釈物B)へと希釈することによって、トランスフェクションを実施した。共トランスフェクション(すなわち、抗体)については、プラスミドを1:1の比率で使用した。希釈AおよびBを混合し、室温で10~20分間インキュベートした。この後、トランスフェクション混合物をHEK293細胞に加え、細胞を軌道回転(85~140rpm)を備えた加湿インキュベーター中で、37℃でインキュベートした。導入から1日後、導入された細胞に、5mlのExpiFectamine293トランスフェクション促進剤1および50mlのExpiFectamine293トランスフェクション促進剤2を補充した。細胞培養上清は、遠心分離によって導入から4~5日後に典型的に採取し、その後濾過した。
CHO細胞におけるFXおよびFIX(a)に結合するVH断片および抗体の一般的な発現
抗FIXおよび抗FX VH化合物ならびに抗体は、グルタミン合成酵素(GS)選択を使用して、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞で産生された。CHO細胞を、エレクトロポレーションを使用してGS発現プラスミドでトランスフェクトし、その後、CD-CHO培地(Thermo Fisher Scientific、カタログ番号10743029)中のMSXサプリメントとともに、グルタミン除去を使用して選択に供した。安定したCHO細胞プールは、典型的には、3週間の培養後に得られ、プールは、その後、384ウェルプレートに単一細胞クローニングを行った。384ウェルプレートで生じるCHOクローンは、典型的には、96ウェルプレートに増殖され、生産性についてスクリーニングした。予め定義された専有の細胞培養培地(Novo Nordisk A/S)を使用して、選択された産生クローンを、1-Lから15-Lスケールで、バイオリアクター中での培養のためにスケールアップした。培養中、細胞生存率は高く維持され、その後、細胞培養の採取まで段階的減少があった。ここで、細胞上清を、培養スケールに応じて、MD0HC23CL3およびMX0HC01FS1フィルター(Millipore)を使用した遠心分離および/またはデプスフィルター濾過により除去した後、クロマトグラフィーベースのタンパク質精製を進めた。
FXまたはFIXに結合するVH断片の一般的な精製および特徴付け
His6タグ付きまたは非タグ付きVH化合物を、MabSelectSure Protein-A樹脂(Cytiva)または固定化金属親和性クロマトグラフィー(IMAC)により、イミダゾール(後者の場合)または酸性溶出(前者の場合)を有するNi-Excel(Cytiva)樹脂のいずれかで精製し、続いて、脱塩工程(Sephadex G25樹脂を用いたPDカラム、Cytiva)を行い、必要な場合、PBSまたはHBS中でゲル濾過クロマトグラフィー(Superdex200カラム、Cytiva)を行った。非His6タグ付きVH化合物、ならびにそれぞれFIXおよびFXのGLAドメイン(Novo Nordisk社内生成) を標的とする抗体、ならびにエミシズマブSIA(Hoffmann-La Roche Ltd、Switzerland)を、酸性溶出を伴うProtein-A樹脂MabSelectSure(Cytiva)またはマルチモーダル樹脂(Cytiva社)によって精製し、続いて、脱塩工程(例えば、Sephadex G25樹脂を含むPDカラム、Cytiva)を行い、必要な場合、PBSまたはHBS中でゲル濾過クロマトグラフィー(Superdex200カラム、Cytiva)を行った。タンパク質の完全性を、BIOSEP(分離生体分子のためのカラム)-SEC-53000 300×7.8mmカラム(Phenomenex、カタログ番号OOH-2146-K0)、ならびに200mMのリン酸Na pH6.9、300mMのNaCl、および10 %のイソプロパノールで構成されるランニング緩衝液を用いた、Agilent LC 1100/1200システム上のサイズ排除高速液体クロマトグラフィー(SE-HPLC)法を使用して分析した。精製されたVHポリペプチドバッチの分子質量は、段階溶出のために、MQ-H2O/0.1%のギ酸で構成されたA緩衝液、およびアセトニトリル/0.1%のギ酸で構成されたB緩衝液中で0.4ml/分で実行されるMassPREP Desalt(Waters)カラムを有する6280Agilentシステム(Agilent Technologies)上のエレクトロスプレーイオン化と飛行時間型質量分析(ESI-TOF-MS)を使用して分析した。最終的なタンパク質濃度を測定するために、NanoDrop(商標)分光光度計(Thermo Scientific)を、理論的に計算された吸光係数を用いて使用した。
実施例2:VHポリペプチドシステイン残基への延長部分のコンジュゲーション
薬物動態特性を改善するためにVHポリペプチドを延長するために、VHポリペプチド化合物を、以下にさらに説明されるように、様々な骨格位置、例えば、1つ以上の脂肪酸延長部分とのコンジュゲーションに使用される1つまたは2つの導入されたCys残基を有するN末端またはC末端延長部にシステイン(Cys)置換基を含むように操作した。
延長部分をVHポリペプチド化合物に結合するために、修飾された延長部分の形態の中間体試薬を使用した。
延長部分を含む中間体試薬を、国際公開第2016/102562号に記載されるように調製し、かかる中間体試薬の非限定的な例を以下の表3に示す。
コンジュゲーション、精製、および分析
コンジュゲーションのため1つ以上の導入されたシステイン残基を有するVHポリペプチドを含有する水溶液に、キャッピングされたシステイン当たり5当量の BSPP(ビス(p-スルホナトフェニル)フェニルホスフィン二水和物ジカリウム塩)または1.1当量のTCEP(トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩)を添加した。1~2時間の撹拌の後、pHを、NaOH水溶液で8.5に調整し、それぞれのVHポリペプチド中の遊離システイン当たり、例えば、0.1MのNaHCO(水溶液)中の5当量の中間体試薬C1を添加した。混合物を暗所で1.5~16時間穏やかに撹拌した。反応混合物を、Aktaシステムを使用して、陰イオン交換(AIEX)法によって精製する前に水で希釈した。側鎖コンジュゲーションを含むVHポリペプチドを、AIEXクロマトグラフィー分離法を使用して精製した。したがって、好適なカラムに充填されたAIEX樹脂Source 30Qを、Akta Avantクロマトグラフィーシステムでセットアップした塩化ナトリウム勾配プログラムと一緒に使用した。使用した緩衝液系は、20mMのTris(pH8.5)から構成される平衡緩衝液、および20mMのTris、1MのNaCl(pH8.5)から構成される溶出緩衝液であった。反応混合物を、pH8.5に調整し、MilliQ-HOまたは平衡緩衝液を使用して、導電率4mS/cm未満に希釈した。試料をカラムに適用し、カラムを5~10カラム体積の平衡緩衝液で適用後に洗浄した。次いで、30~50カラム体積の浅い勾配を使用して分離クロマトグラフィーを行った。使用した勾配は、精製されたVHポリペプチド誘導体のpIに応じて、0%から最大50%であった。一般的に、コンジュゲートされていない親VHポリペプチドは、勾配の早期に溶出され、単一コンジュゲーションを含むVHポリペプチドは、勾配の最中に溶出され、VHポリペプチド分子当たり1つを超える側鎖コンジュゲートを意味する多重コンジュゲーションを含むVHポリペプチドは、勾配の後期に溶出された。メインピーク上の画分のプーリングをある方法で行ったため、90~99%の高い純度の、単一または二重コンジュゲート調製物を含むVHポリペプチドを得た。純度分析は、UVおよびFLD検出器を有するWaters Acquity UPLCシステムでセットアップした、HALO DiPhenylカラム1000Å、2.7μm、150×2.1mm(Scantec Nordic USDPF001316)ならびにA)水中の0.1%v/v TFAおよびB)アセトニトリル中の0.09%v/v TFAから構成されるランニング緩衝液に基づく、逆相超高速液体クロマトグラフィー(RP-UPLC)法を使用して行った。カラム温度を60℃に設定した。勾配プログラムは、以下であった:1)0.0~8.0分:20~50%B、2)8.0~8.1分:50~80%B、3)8.1~9.0分:80%B、4)9.0~9.1分:80~20%B、および5)9.1~11.0分:20%B。コンジュゲートされていない親VHポリペプチドは、4.6~4.8分の間に溶出された。単一コンジュゲーションを含むVHポリペプチド誘導体は、5.1~5.6分の間に溶出され、約5.3分でメインピークを有した。二重コンジュゲーションを有するVHポリペプチド誘導体は、オフサイトの多重コンジュゲートされたVHポリペプチドに対して、5.7~5.8以降に溶出された。コンジュゲーションを含むVHポリペプチドの完全性は、Agilent LC 1100/1200システムと、BIOSEP-SEC-3000 300×7.8mmカラム(Phenomenex、カタログ番号OOH-2146-K0)ならびに200mMのリン酸ナトリウム(pH6.9)、300mMのNaCl、および10%のイソプロパノールで構成されたランニング緩衝液で準備したSE-HPLC方法に基づいて分析した。コンジュゲーションを含むVHポリペプチドの分子質量は、段階溶出のために、MilliQ-HO/0.1%のギ酸で構成されたA緩衝液、およびアセトニトリル/0.1%のギ酸で構成されたB緩衝液中で0.4ml/分で実行されるMassPREP Desalt(Waters)カラムを有する6280Agilentシステム(Agilent Technologies)上のESI-TOF-MSを使用して分析した。キモトリプシンおよびトリプシンベースの消化物の組み合わせを使用して、配列検証のためのペプチドマッピングを行った。LC-MSシステムは、Thermo Orbitrap Fusion機器に組み合わせたwatersのAquity UPLCから成っていた。消化物のオンラインLC-MS分析を、CSH C-18カラム1.7μm、150×2.1mm、およびアセトニトリル/ギ酸勾配を使用して行った。カラム温度は60Cであった。緩衝液A:0,1%FA水および緩衝液B:0,1%FAアセトニトリル。勾配プログラムは以下であった:1)0.0~2.0分:1%B、2)2~50分:1~35%B、3)50~51分:100%B、および4)51~60分:100~1%B、120μl/分の流量。Genedata Refinerペプチドマッピングワークフローを使用してデータを分析した。一次配列の完全なカバレッジが得られた。コンジュゲーションを用いたVHポリペプチド誘導体のバッチ調製物のタンパク質濃度を測定するために、NanoDrop(商標)分光光度計(Thermo Scientific)を理論的に計算された吸光係数を用いて使用した。
図1、2、および3は、ISVD-およびVHポリペプチド誘導体の非限定的な例を、増加するレベルの詳細とともに示す。
実施例3:配列表および抗FX/抗FIX(a)VHポリペプチド
実施例4:ELISA実験に基づく抗FX VHポリペプチドのエピトープ
「化合物番号1」と示される抗FX VHポリペプチドの結合エピトープが、ヒトFX(配列番号2)の活性化ペプチド(AP)の内側に位置するかどうかを判定するために、ELISAアッセイをセットアップした。1個のアミノ酸間隔を有する活性化ペプチドの52残基にわたる41個の固有の12-merペプチド断片を、マイクロタイタープレートウェル中で固定化し、続いて、試験されるVHポリペプチドとともにインキュベーションし、 結合したリガンドの検出を、二次HRP標識化抗体の添加によって行った。
ペプチドをビオチンにC末端結合し、50μLの1μg/mLペプチド溶液を使用して、1μg/mLのストレプトアビジンで予め被覆されたマイクロタイタープレートの個別ウェル中に固定した。各ウェルを洗浄緩衝液(10mM Tris、150mM NaCl、2.5mM CaCl、0.05%Tween 20、pH8.60)で洗浄し、続いて、試験される50μLの2μg/mLのFLAGタグ付き抗FX VHポリペプチドまたはIgG抗体を添加した。1時間後、非結合VHポリペプチドを、洗浄緩衝液を使用して洗浄した。
最初にHRP標識化二次抗体(FLAGタグ付きVHポリペプチド:抗FLAG mAb M2-ペルオキシダーゼ(HRP)(Sigma Aldrich、US)を1時間結合し、次いで、100μLのTMB-1 ELISA基質(Kem-En-Tec Diagnostics、Denmark)を添加することによって、結合した抗FX活性化ペプチドリガンドを検出した。
次いで、各FXバインダーによって結合した一組のペプチド(表6)によって被覆された共通配列を特定することにより、ベースラインを上回るシグナルを生じさせる一組のペプチドから最小エピトープを推定した。エピトープの第1の残基を、第1の連続的なELISA陽性ペプチドにおける最後のアミノ酸により定義し、一方で、エピトープの最後の残基を、最後の連続的なELISA陽性ペプチドの第1の残基として定義した。
したがって、以下の表は、化合物番号1に対応する試験された初期抗FX VHポリペプチドについて、FX AP全体に及ぶ連続ペプチドからのELISAシグナルを示す。ELISAシグナルは、バックグラウンドシグナルに対して正規化されている。
灰色の領域は、配列NPFDLLDF(配列番号692)として特定された最小エピトープを決定するために使用される陽性結合シグナルをマークする。
化合物番号1に対するFX活性化ペプチドの特定されたエピトープ配列を、実施例6に概説されるように、エピトープ:パラトープ相互作用の実験を決定する高分解能構造に使用した。
実施例5:抗FIX VH断片(化合物番号2)の結晶化およびパラトープ/エピトープマッピング
本研究の目的は、化合物番号2と指定されたVH断片のパラトープ残基およびエピトープ残基を決定することであった。
結晶化
ヒトEGR-CMK阻害第IXa因子Glaドメインレス(野生型)(Cambridge ProteinWorksから購入、ロット番号hGDFIXAWTEGR_11)と1:1のモル比で混合したVHポリペプチドの結晶(化合物番号2)を、18℃でシッティングドロップ蒸気拡散技法を使用して成長させた。20mMのTris-HCl(pH7.4)、50mMのNaCl、および2.5mMのCaCl中の100nlの8.4mg/ml複合体のタンパク質溶液を、100nlの0.2Mの硫酸Li、0.1MのTris-HCl(pH8.5)、30%(w/v)のPEG 4000(沈殿剤として)と混合して、60μlの沈殿剤上でインキュベートした。結晶は2週間以内に現れた。
回折データ収集
結晶は、液体窒素でフラッシュ冷却する前に、結晶化ドロップに20%のエチレングリコールを加えた1μlの沈殿剤の添加により凍結保護した。回折データを、DectrisのPilatus2M画素検出器を使用して、Swiss Light SourceビームラインX06DA(1.0000Å波長)で100Kで収集した。データの自動インデックス、統合、およびスケーリングは、XDSパッケージからのプログラムを用いて実施された(回析データ統計を表7に要約する)。
構造の決定および精緻化
非対称単位は、マシューズ係数分析によって判定された、2つの化合物番号2:EGR-CMK阻害第IXa因子Glaドメインレス複合体を含む。構造は、探索モデルとして所定のVH:FIXa複合体の構造を使用して、プログラムスイートPhenix内に実装されたPhaserを使用する分子置換によって決定された。正しいアミノ酸配列はCOOTを使用してモデル構築され、その後構造はCOOTでのPhenix精緻化工程および手動再建工程を使用して精緻化された。精緻化統計が表7に示される。
エピトープおよびパラトープの決定
Hポリペプチド内の重原子から4.0Å以内の距離に重原子(すなわち、非水素原子)を有することによって特徴付けられるFIX(a)残基として定義される化合物番号2のエピトープは、FIX配列によるFIX(a)のプロテアーゼドメインからの以下の残基:
E224、T225、G226、V250、I251、R252、I253、P255、H257、およびN260を含む(連続ナンバリング)(配列番号1)。
FIX(a)内の重原子から4.0Å以内の距離に重原子(すなわち、非水素原子)を有することによって特徴付けられる残基として定義される化合物番号2のパラトープは、化合物番号2からの以下の残基:
F29、N30、Y32、T54、D99、R100、S101、F102、L103、F104、Q106、A107、およびN113(配列番号35)(連続番ナンバリング)を含む。
実施例6:結晶化およびパラトープ/エピトープマッピング抗FX VH断片(化合物番号1)
本研究の目的は、化合物番号1と指定されたVH断片のパラトープ残基およびエピトープ残基を決定することであった。
結晶化
実施例4で特定されたヒトFX(Schafer-N ApSから購入)の活性化ペプチド配列aa31~37に対応する、合成ペプチドN-term-NPFDLLD-C-termと1:14のモル比で混合されたVHポリペプチド(化合物番号1)の結晶を、18℃で、シッティングドロップ蒸気拡散技法を使用して成長させた。20mM Tris-HCl(pH7.4)、50mM NaCl中の150nlの4.0mg/ml複合体のタンパク質溶液を、50nlの0.2M NaCl、2M硫酸アンモニウム、0.1Mカコジル酸ナトリウム(pH6.5)(沈殿剤として)と混合し、60μlの沈殿剤でインキュベートした。結晶は1週間以内に現れた。
回折データ収集
結晶は、液体窒素でフラッシュ冷却する前に、結晶化ドロップに20%のエチレングリコールを加えた1μlの沈殿剤の添加により凍結保護した。回折データを、DectrisのPilatus2M画素検出器を使用して、Swiss Light SourceビームラインX06DA(1.0000Å波長)で100Kで収集した。データの自動インデックス、統合、およびスケーリングは、XDSパッケージからのプログラムを用いて実施された(回析データ統計を表8に要約する)。
構造の決定と精緻化
非対称単位は、1つの化合物番号1:ペプチド複合体を含む。構造は、探索モデルとしてタンパク質構造データバンクID 4B41(鎖A)で指定されたVHポリペプチド構造を使用して、プログラムスイートPhenix内に実装されたPhaserを使用する分子置換によって決定された。化合物番号1の正しいアミノ酸配列を導入し、合成ペプチドの電子密度の違いを特定し、全てCOOTを使用して手動でモデル構築した。その後、構造は、COOTにおいて、Phenix精緻化および手動再建工程を使用して精緻化された。精緻化統計が表8に示される。
エピトープおよびパラトープの決定
Hポリペプチド(化合物番号1)内の重原子から4.0Å以内の距離に重原子を有することによって特徴付けられるFX活性化ペプチド残基として定義される合成ペプチドのエピトープは、連続ナンバリングに基づく対応するFX活性化ペプチド配列(配列番号2)による、合成ペプチドN173、P174、F175、L177、およびL178からの以下の残基を含む。
合成ペプチド内の重原子から4.0Å以内の距離に重原子(すなわち、非水素原子)を有することによって特徴付けられる化合物番号1の残基として定義されるVHポリペプチドのパラトープ(化合物番号1)は、化合物番号1からの以下の残基:
D32、A33、M34、G35、Y37、L47、V48、A49、G50、I51、M52、N57、T58、N59、Y60、T61、K97、V99、R101、およびP102(配列番号27)(連続ナンバリング)を含む。
合成ペプチドと複合体化されたVHポリペプチド(化合物番号3)の相同性モデルの構築を行い、その理由は、化合物番号3を合理的な配列ベースおよび構造ベースの最適化のための親VHポリペプチド配列として使用したためである。
上記の実験からの合成ペプチドと複合体化された化合物番号1の結晶構造を、合成ペプチドと複合体化された化合物番号3の相同性モデルの出発モデルとして使用した。化合物番号1および化合物番号3のアミノ酸配列をアライメントし、2つの配列間で異なるアミノ酸残基をCOOTで変異させて、化合物番号3の出発モデルを作成した。化合物番号3を含むこのモデルは、前処理され、最適化され、SCHRODINGERからのMAESTROにおける抑制された最小化を通して実行された。
このモデルは、配列がこれらの位置で同一であったため、上記のように同じエピトープ残基およびパラトープ残基を示した。
実施例7:抗FX/抗FIX(a)VHポリペプチドのSPR解析
本研究の目的は、表面プラズモン共鳴(SPR)解析により、ヒト血漿由来FXおよびBenefix(登録商標)を有する選択された抗FX/抗FIX(a)VHポリペプチド化合物の結合定数を推定することであった。
精製された抗FX/FIX(a)VHポリペプチド化合物のヒト血漿由来FX(Haematologic Technologies Inc、USA)への結合を、SPRによってプローブした。
簡潔に述べると、上記のように組み換え的に調製された抗GLA-FXを、pH5で標準アミンカップリング化学を使用してCM4センサーチップまたはXantec HLC200M上に固定化した。10nM FX(Haematologic Technologies、USA)を、10μL/分の流量で30秒間注射した。その後、表9による1000、100、10、1、0.1、および0nMのVHポリペプチド化合物を、50μL/分の流量で200秒間注射し、FXへの結合を許容し、続いて、ランニング緩衝液(10mM HEPES、150mM NaCl、5mM CaCl、0.05%(v/v)Surfactant P20、1mg/mLのウシ血清アルブミン、Ph7.4)注射を10分間の流れで行い、FXからの解離を許容した。ランニング緩衝液はまた、抗FX VHポリペプチド化合物の希釈にも使用された。チップの再生を、ランニング緩衝液中の50mM EDTAから成る再生緩衝液、30秒間の接触時間、および30μL/分の流量を使用して達成した。結合データを25℃で収集し、製造者(Biacore AB、UppsalaまたはBruker Analyser)により供給されたBiaEvaluation 4.1を使用する1:1モデルにより分析した。
全ての場合において、結合センソグラムは、運動分析に基づくK決定を除外する運動プロファイルに結合する迅速なオンおよび迅速なオフを示した。したがって、報告されたK値を、定常状態分析に基づいて決定する。分析により、以下の表9に報告された結合定数を得た。
精製された抗FX/FIX(a)VHポリペプチド化合物のBenefix(登録商標)(Pfizer Inc、USA)への結合を、SPRによりプローブした。簡潔に述べると、上記のように組み換え的に調製された抗GLA-FIXを、pH5で標準アミンカップリング化学を使用してCM4センサーチップまたはXantec HLC200M上に固定化した。FIX(10nM)を、10μL/分の流量で1分間注射した。その後、1000、100、10、1、0.1、および0nMのVHポリペプチド化合物を、30μL/分の流量で4分間注射し、FIX(Benefix(登録商標))への結合を許容し、続いて、ランニング緩衝液(10mM HEPES、150mM NaCl、5mM CaCl、0.05%(v/v)Surfactant P20、1mg/mLのウシ血清アルブミン、Ph7.4)注射を5分間の流れで行い、FIXからの解離を許容した。ランニング緩衝液はまた、抗FIX VHポリペプチド化合物の希釈にも使用された。チップの再生を、ランニング緩衝液中の50mM EDTAから成る再生緩衝液、30秒間の接触時間、および30μL/分の流量を使用して達成した。結合データを25℃で収集し、製造者(Biacore AB、Uppsala)により供給されたBiaEvaluation 4.1を使用する1:1モデルにより分析した。
全ての場合において、結合センソグラムは、運動分析に基づくK決定を除外する運動プロファイルに結合する迅速なオンおよび迅速なオフを示した。したがって、報告されたK値を、定常状態分析に基づいて決定する。
一連の化合物の結合定常分析を表9に報告する。FIXの結合親和性は、概して、全ての化合物について低nM Kであり、一方で、ある範囲の化合物は、FXの結合について高nM Kを示した。したがって、標的媒介性薬剤配置は、FX中に不在であると予想され、一方で、FIX相互作用は予想されるが、概説される化合物の必要な定常状態血漿濃度に限定される。したがって、列挙された化合物に対して有意な止血カバレッジを得るために期待される必要な血漿濃度は、列挙された化合物に対して高い効力があることを考えると、低いnM濃度であることが予想される。
実施例8:トロンビン生成試験(TGT)アッセイにおける抗FX/抗FIX(A)VHポリペプチドの活性
抗FX/抗FIX(a)VHポリペプチド誘導体の血液凝固促進活性は、Hemker et al.(Pathophysiol Haemost Thromb,2002;32:249-253)によって記載される原理による血液凝固促進合成リン脂質膜の存在下でトロンビン生成を促進するそれらの能力に基づいて決定された。比較のために、エミシズマブ配列同一類似体(SIA)を含めた。各VHポリペプチド誘導体を、中和抗FVIIIポリクローナル抗体(以下、HA-PPPと称する)で補充された正常ヒト血小板欠乏血漿(NHP)を使用して、TGTアッセイで試験した。
ヒツジ抗ヒトFVIIIポリクローナル抗体(pAb、Haematologic Technologies Inc.、VT,USA)を補充したNHP(健康なボランティアからの)におけるTGTを、96ウェルプレート蛍光光度計(Fluoroscan Ascent FL、Thermolabsystems、Helsinki,Finland)を使用した標準的な較正された自動トロンボグラフィーによって実施した。反応混合物は、0.1μg/mlの抗FVIII pAb、4μlの試験化合物希釈液(20mM HEPES、140mM NaCl、pH7.4、2%BSAで希釈)、10μlの1pM組織因子(TF、pppLow、Thrombinoscope BV、Maastricht,The Netherlandsから)、または1~8.3U/mlヒト第XIa因子(Enzyme Research Laboratories、IN,USA)のいずれか、および10μlのFluCa基質(Thrombinoscope BV、Maastricht,The Netherlands)とプレインキュベートした36μlのNHPを含む。TGTアッセイを、トロンビンキャリブレーター(Thrombinoscope BV、Maastricht,The Netherlands)を使用してキャリブレーションし、10μlのトロンビンキャリブレーターを、0.1μg/mlの抗FVIII pAb、4μl緩衝液(20mM HEPES、140mM NaCl、pH7.4、2%BSA)とプレインキュベートした36μlのNHPと混合した。概して、TGTは、8つの濃度の試験化合物(0.1、0.3、1、3、10、30、100、および300nM、最終血漿濃度または類似のもの)または添加緩衝液(20mM HEPES、140mM NaCl、pH7.4、2%BSA)のみ(対照を表す)で行った。TGT中の正常な対照レベルは、NHP添加緩衝液(20mM HEPES、140mM NaCl、pH7.4、2%BSA)のみを使用して測定した。TGTを合計60分間進行させ、TGTパラメータのピークトロンビン高さ(nM)をThrombinoscopeソフトウェア(Thrombinoscope BV)で分析した。選択された試験VHポリペプチド誘導体、化合物番号6、ならびにコンパレータエミシズマブSIAおよびMim8の代表的な滴定曲線については、図4を参照されたい。活性レベルの差の評価は、コンパレータ、例えば、エミシズマブSIAに対するEC50の差、またはエミシズマブSIAに対する最大トロンビンピーク高さに対する所与のVHポリペプチド化合物に対する最大トロンビンピーク高さの差として実施した。後者のアプローチを、より多くのVHポリペプチド誘導体をスクリーニングするために使用した。
Hポリペプチド誘導体の活性をブーストするために、CDR変異の最適な組み合わせを最大活性効果を生成するため特定した。実施例5および6に記載されるものなどの結晶構造モデルを使用して、重要なパラトープ残基を特定し、ならびにシステインで置換されるのに適した表面曝露残基をコンジュゲーション部位として特定し、バイオアベイラビリティを増強するためにpI低下置換した。異なるリンカーおよび異なるコンジュゲーションタイプも調査した。以下の表では、これらのパラメータの各々を扱う一連のVHポリペプチド誘導体の活性プロファイルが概説され、個別に説明される。
表10では、活性ブースト変異に対して最適化された、最適化されたVHポリペプチド誘導体から得られた効力EC50値を示す。主要な構成要素の計算アルゴリズムおよびランダムフォレストアルゴリズムを、変異の組み合わせに使用して、活性をブーストした。VHポリペプチド(化合物番号24)は、ブースト変異を有さない初期誘導体であり、このVHポリペプチド誘導体およびエミシズマブSIAと比較して、それぞれ最大40倍および最大76倍の効力が、開発された最良のVHポリペプチド誘導体の中で得られた。
表11では、システインとの置換(リンカーL1を介して結合されたC18二酸脂肪酸延長部分P3とのコンジュゲーションありおよびなし)後に、VHポリペプチドの活性を保持したVHポリペプチド(CDR1-3の外側)上の最適なコンジュゲート部位のスクリーニングが行われた。
合計95の表面曝露部位を、Cys置換の導入を用いて試験した。化合物番号23/24を基準として使用した連続ナンバリング(CDRにおけるいかなるブースト変異を含まないVHポリペプチドを表す)に基づいて、最適なコンジュゲーション部位のスクリーニングを実施した。以下の残基置換を試験した:G27C、V28C、V29C、Q30C、P31C、G32C、S34C、L35C、R36C、S38C、A40C、S42C、R55C、Q56C、A57C、P58C、G59C、K60C、E61C、R62C、Y77C、A78C、D79C、V81C、K82C、G83C、R84C、F85C、T86C、S88C、D90C、N91C、S92C、K93C、T95C、Y97C、Q99C、M100C、N101C、S102C、L103C、R104C、P105C、E106C、D107C、T108C、G156C、V157C、V158C、Q159C、P160C、G161C、G162C、S163C、L164C、R165C、S167C、A169C、S171C、R184C、Q185C、A186C、P187C、G188C、K189C、E190C、R191C、Y206C、A207C、D208C、S209C、V210C、K211C、G212C、R213C、F214C、T215C、S217C、D219C、N220C、S221C、K222C、T224C、Y226C、Q228C、M229C、N230C、S231C、L232C、R233C、P234C、E235C、D236C、T237C、およびC末端延長部に導入されたCys。
これらのうち、以下の41個のVHポリペプチドは、HEK293発現系を使用して発現され、C18二酸延長部分を含む試薬C3と首尾よくコンジュゲートされ得る:Q30C,P31C、Q56C、A57C、K60C、E61C、A78C、D79C、K82C、N91C、S92C、Q99C、R104C、G156C、V158C、Q159C、P160C、G161C、G162C、S163C、A169C、S171C、Q185C、A186C、P187C、G188C、K189C、E190C、A207C、D208C、S209C、V210C、T215C、S217C、D219C、N220C、S221C、K222C、S231C、R233C、C末端延長部に導入されたCys。コンジュゲーションありおよびなしのこれら41個のVHポリペプチドを、TGTアッセイで活性について試験した。コンジュゲーションありおよびなしのVHポリペプチド(誘導体)のエミシズマブSIAの最大トロンビンピーク高さに対するVHポリペプチド誘導体の最大トロンビンピーク高さとして表される相対活性レベルは、表11に示す。したがって、以下の9個の部位を、コンジュゲーションの前後に保持された活性に基づいて、例えば、試薬としてC3を使用して、延長部分とのコンジュゲーションのための遊離Cysの導入に最適であると特定した:C末端延長部に導入されたCys(化合物番号23/24)、Q30C(化合物番号25/26)、V158C(化合物番号27/28)、P160C(化合物番号29/30)、G161C(化合物番号31/32)、G188C(化合物番号33/34)、E190C(化合物番号35/36)、S209C(化合物番号37/38)、およびS231C(化合物番号39/40)。
2つの抗FIXおよび抗FX VH断片の間に組み換え的に融合された異なるリンカーL1-2の試験を行って、組成物を最適化した(表12を参照)。VHポリペプチドのエミシズマブSIAの最大トロンビンピーク高さに対するVHポリペプチドの最大トロンビンピーク高さとして表される相対活性レベルを、表12に示す。これらのデータから、疎水性組成物のリンカーを有するVHポリペプチドは、概して最も高い相対活性を示したが、酸性または親水性組成物のリンカーを有するVHポリペプチドは、最も低い活性を示した。QAPGQA、GQAPGQ、または類似のものから構成される混合組成物のリンカーを有するVHポリペプチドは、中級の相対活性を示した。最適なリンカー組成物は、好ましくは、親水性アミノ酸および疎水性アミノ酸の両方を含有するため、QAPGQAリンカーを、例えば、等張性緩衝液および中性pHで、37℃で2週間、加速ストレス条件下で、高い安定性を示すMS分析を使用して、化学的安定性についてさらに調査した。
したがって、「40~60%」対「60~40%」の疎水性アミノ酸対親水性アミノ酸の比が好ましい。示されるVHポリペプチドは全て、CDR変異をブーストする活性の同じセットを含んでいたが、CDRの外側のpI低下変異の異なるセットを含んでいた。
実施例9:経口投与に好適な剤形のSNACおよびNAMを有する抗FX/抗FIX(A)VHポリペプチド誘導体の製剤化
賦形剤として、N-(8-[2-ヒドロキシベンゾイル]アミノ)カプリル酸ナトリウム(SNAC)およびニコチンアミド(NAM)を含む液体製剤を使用する経口研究のために調製するために、以下の手順に従った。SNACを計量して200mg/mlの濃度が得られ、NAMを計量して1Mの濃さが得られ、HEPES緩衝液を計量して5mMの最終濃度が得られた。粉末をガラスバイアルに移し、それに応じてMilliQ-HOを添加した。溶液を、SNAC、NAM、およびステアリン酸マグネシウムが溶解されるまで、マグネチックスターラーで撹拌した。pHを測定し、2M NaOHでpH8に調整した。したがって、精製およびコンジュゲートされた2~5mg/mlのVHポリペプチド誘導体のバッチは、200mg/mlのSNACおよび1M NAM最終濃度で製剤化された液体であった。
SNACおよびNAMを有する錠剤を使用した経口研究のために準備するために、以下の手順に従った。脂肪酸延長因子コンジュゲーションありまたはなしの精製されたVHポリペプチド(誘導体)のバッチを、MilliQ-HOに緩衝液交換し、0.1M NaOHまたは0.1Mギ酸のいずれかを用いて8.0にpHを調整した。MilliQ-HO中に溶解されたVHポリペプチド(誘導体)は、0.5~4mg/mlの濃度であった。VHポリペプチド(誘導体)の噴霧乾燥を、Mini Spray Dryer B290(BUCHI)を使用して、以下で実施した:ポンプ設定5~6、供給流量:2ml/分、入口温度:80~85℃、出口温度:45~50℃、ノズル:1.5mm、および吸引:100%。
錠剤を調製するために、粉末を混合して所望の組成物を得た。以下の錠剤製剤を調製した。
混合した粉末を計量し、Kilian Style One(Romaco)を使用して、パンチ設定で均質な錠剤にパンチして、回転プレスをシミュレートした。
実施例10:異なるPI変化変異を有する抗FX/抗FIX(a)VHポリペプチド誘導体を使用したラットにおける経口および静脈内薬物動態研究
本研究の目的は、経口バイオアベイラビリティなどの薬物動態パラメータに対する、抗FX/FIX(a)VHポリペプチド誘導体におけるpI変化変異の効果を調査することであった。
抗FX/FIX(a)VHポリペプチド誘導体の液体製剤を、静脈内(IV)(IV製剤:20mM Hepes、150mM NaCl、pH7.4)に投与するか、または実施例9に従って調製し、研究の少なくとも1週間前に社内で順化させ、かつ標準的な食品および水への自由なアクセスを有するグループケージで維持したスプラーグドーリーラットの並行群に経口強制飼養により投与した。経口投与のためのラットを、投与前日の午後2時頃から(合計18時間)、グリッド底ケージ内で、水への自由なアクセスとともに絶食させた。投与日に、全てのラットを処置室で30分間順化させた。
血液試料は、投与の直前に、およびその後、投与後のいくつかの異なる時点で収集した。経口(PO)投与された動物は、投与後4時間までグリッド底ケージ内で絶食を維持した。VHポリペプチド誘導体の血漿濃度は、ガンマ-Gluに基づく免疫アッセイを使用して測定され、そこで、試験分子の延長部分に対する抗VH抗体(Novo Nordisk、Denmark)および抗ガンマ-Glu(Novo Nordisk、Denmark)を使用した。ここで、96ウェルMaxiSorpプレート(Nunc、439454)を、2μg/mlの抗ガンマ-Glu抗体で被覆し、PBS、0.05%tween20、1%BSA(pH7.4)を使用して洗浄および遮断した。洗浄工程後、1%ラットEDTA血漿および最小希釈100倍でのラットEDTA血漿試料中の化合物特異的キャリブレーター(0、2.7、8.2、24.7、74、222、667、2000pM)をプレート上でインキュベートし、ここで、VHポリペプチド誘導体をガンマ-Glu延長部分を介して捕捉した。追加の洗浄工程の後、社内ビオチン化VH特異的抗体をプレートに添加し(0.5nM)、サンドイッチELISAを作り出した。最後の洗浄工程の後、検出試薬としてセイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)-ストレプトアビジンをプレートに添加した。VHポリペプチド誘導体に結合したビオチン標識化抗体の量は、発色基質(例えば、TMB(3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン)を添加した後に検出された。光学密度を、分光計(例えば、SpectraMax(登録商標)M2分光計(Molecular Devices))を使用して測定した。応答は、ペルオキシダーゼの濃度に比例し、これは再びVHポリペプチド誘導体の濃度に比例した。これらの曝露データに基づいて、Phoenix WinNonlinまたはオープンソースの統計解析ソフトウェアR(パッケージ「NonCompart」)のいずれかを使用して、ノンコンパートメント薬物動態パラメータを計算した。
CDRの外側の表面曝露残基で導入された以下のpI低下置換T28D、K43Q、K65Q、N84D、R148Q、N159D、K172Q、K194Q、およびN213D(テンプレートとして化合物番号4を使用した連続ナンバリングに基づく)を、異なる組み合わせで試験し(VHポリペプチド誘導体(化合物番号59~64および化合物番号5)につながる)、非pI調整VHポリペプチド誘導体(化合物番号4)を比較した。
結果は、以下の表13および14にVH誘導体について示し、経口バイオアベイラビリティに対するpI低下の効果を示す。
pIを約8.36から5.85まで低下させることで、バイオアベイラビリティが5~10倍増加した(表13を参照)。
半減期に対するpI低下の効果は観察されなかった(表14を参照)。
実施例11:ラットにおける静脈内薬物動態研究:異なる延長因子を有する抗FX/抗FIX(a)VHポリペプチド(誘導体)
本研究の目的は、VHポリペプチド誘導体上の半減期などの薬物動態パラメータに対する、異なる延長因子の効果を調査することであった。
実施例9に従って調製された抗FX/FIX(a)VHポリペプチド誘導体の液体製剤を、研究の少なくとも1週間前に社内で順化させ、かつ標準的な食品および水への自由なアクセスを有するグループケージで維持したスプラーグドーリーラットの並行群に静脈内(IV)投与した。経口投与のためのラットを、投与前日の午後2時頃から(合計18時間)、グリッド底ケージ内で、水への自由なアクセスとともに絶食させた。投与日に、全てのラットを処置室で30分間順化させた。血液試料は、投与の直前に、およびその後、投与後のいくつかの異なる時点で収集した。VHポリペプチド(誘導体)の血漿濃度は、Hisタグまたはガンマ-Gluに基づく免疫アッセイを使用して測定し、ここで、VHポリペプチド誘導体に対する抗VH抗体(Novo Nordisk)を、試験分子に融合されたHisタグに対する抗Hisタグ抗体(R&D systems、MAB050)、または試験分子の延長部分に対する抗ガンマ-Glu(Novo Nordisk、Denmark)と一緒に使用した。2つの免疫アッセイセットアップは、同様の感受性を有し、後者は、VHポリペプチド化合物が分子にHisタグを融合していない場合に使用した。96ウェルMaxiSorpプレート(Nunc、439454)を、Hisタグまたは抗ガンマ-Glu抗体で被覆し、PBS、0.05%tween20、1%BSA(pH7.4)を使用して洗浄および遮断した。洗浄工程後、1%ラットEDTA血漿および最小希釈100倍でのラットEDTA血漿試料中の誘導体特異的キャリブレーター(0、2.7、8.2、24.7、74、222、667、2000pM)をプレート上でインキュベートし、ここで、VHポリペプチド誘導体をそのHisタグまたはガンマ-Glu延長部分を介して捕捉した。追加の洗浄工程の後、社内ビオチン化VH特異的抗体をプレートに添加し(0.5nM)、サンドイッチELISAを作り出した。最後の洗浄工程の後、検出試薬としてセイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)-ストレプトアビジンをプレートに添加した。VHポリペプチド誘導体に結合したビオチン標識化抗体の量は、発色基質(例えば、TMB(3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン)を添加した後に検出された。光学密度読み取りを、分光計(例えば、SpectraMax(登録商標)M2分光計(Molecular Devices))を使用して測定した。応答は、ペルオキシダーゼの濃度に比例し、これは再びVHポリペプチド誘導体の濃度に比例した。これらの曝露データに基づいて、Phoenix WinNonlinまたはオープンソースの統計解析ソフトウェアR(パッケージ「NonCompart」)のいずれかを使用して、ノンコンパートメント薬物動態パラメータを計算した。
異なる延長因子タイプを有するVHポリペプチド誘導体の結果を、以下の表15に示す。結果は、平均滞留時間終末相半減期(MRTHL)に対して異なる脂肪酸およびアルブミン結合ペプチドを延長因子として使用する効果を示す。
C18、C20、およびテトラゾール脂肪酸側鎖コンジュゲーションを有するVHポリペプチド誘導体(化合物番号66、化合物番号67、および化合物番号68:3~4倍増加)について、ならびにアルブミンバインダーペプチドとVHポリペプチドとの間にC末端融合した30残基長のGlySer Lリンカーを使用する最適な効果を伴うアルブミンバインダーペプチド延長因子融合を有するVHポリペプチド誘導体(化合物番号70、化合物番号71、化合物番号72、および化合物番号73:1.9~3.6倍増加)について、非延長ポリペプチドと比較して増加された半減期が観察された。短いC12脂肪酸を有するVHポリペプチド誘導体(化合物番号65)は、最も低い半減期を示した。これは、VHポリペプチド誘導体の最適な延長を得るために、延長された半減期の循環のために、C12よりも長い脂肪酸が好ましいことを示す(例えば、C16、C18、またはC20など)。
実施例12:イヌにおける経口および静脈内薬物動態研究:SNACおよびNAMで製剤化された抗FX/抗FIX(a)VHポリペプチド(誘導体)
本研究の目的は、半減期に対する脂肪酸延長の増殖の効果と、pIの低下が経口バイオアベイラビリティの増強につながるかどうかを調査することであった。
抗FX/FIX(a)VHポリペプチド(誘導体)の適切な製剤を、静脈内に投与するか、または錠剤として調製し、それぞれビーグル犬の群に経口投与した。イヌに、一晩の絶食後に朝に投与し、単回投与後3~5時間絶食を維持させた。経口研究のサブセット§において、イヌに、経口投与の10分前に約3nmol/kgのグルカゴンの皮下投与を与えた。血液試料は、投与の直前に、およびその後、投与後のいくつかの異なる時点で収集した。VHポリペプチドの血漿濃度は、Hisタグに基づくまたはガンマ-Glu-リンカーに基づく免疫アッセイを使用して測定し、ここで、VHポリペプチドに対する抗VH抗体(Novo Nordisk、Denmark)を、試験分子に融合されたHisタグに対する抗Hisタグ抗体(R&D systems、MAB050)、または試験分子の延長部分に対する抗ガンマ-Glu(Novo Nordisk、Denmark)と一緒に使用した。2つの免疫アッセイセットアップは、同様の感受性を有し、後者は、VHポリペプチド化合物が分子にHisタグを融合していない場合に使用した。96ウェルMaxiSorpプレート(Nunc、439454)を、抗体で被覆し、PBS、0.05%tween20、1%BSA(pH7.4)を使用して洗浄および遮断した。洗浄工程後、1%イヌEDTA血漿および最小希釈100倍でのイヌEDTA血漿試料中の化合物特異的キャリブレーター(0、2.7、8.2、24.7、74、222、667、2000pM)をプレート上でインキュベートし、ここで、VHポリペプチド化合物をそのHisタグまたはガンマ-Gluリンカーモチーフを介して捕捉した。追加の洗浄工程の後、社内ビオチン化VH特異的抗体をプレートに添加し(0.5nM)、サンドイッチELISAを作り出した。最後の洗浄工程の後、検出試薬としてセイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)-ストレプトアビジンをプレートに添加した。VHポリペプチド化合物に結合したビオチン標識化抗体の量は、発色基質(例えば、TMB(3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン)を添加した後に検出された。光学密度読み取りを、分光計(例えば、SpectraMax(登録商標)M2分光計(Molecular Devices))を使用して測定した。応答は、ペルオキシダーゼの濃度に比例し、これは再びVHポリペプチド化合物の濃度に比例した。これらの曝露データに基づいて、Phoenix WinNonlinまたはオープンソースの統計解析ソフトウェアR(パッケージ「NonCompart」)のいずれかを使用して、ノンコンパートメント薬物動態パラメータを計算した。
§は、イヌに、経口投与の10分前に約3nmol/kgのグルカゴンの皮下投与を示す。
結果は、3つのC18二酸コンジュゲートVHポリペプチド誘導体について以下の表16および17に示され、
a)半減期に対する脂肪酸延長の効果、および
b)pIの低下が経口バイオアベイラビリティの増強につながることを確認する。
したがって、VHポリペプチド誘導体が非延長化合物と比較して示された脂肪酸とコンジュゲートされたときに、イヌにおいて観察された半減期は、370~710倍増加した。C末端リンカー中の2つのC16二酸脂肪酸コンジュゲーションを有する化合物(化合物番号6)は、約7.6日の半減期の最も高い増加を示した。
イヌでは、SNAC:NAM製剤は、SNAC製剤単独と比較して、経口バイオアベイラビリティを2~8倍増加させた。したがって、NAMを経口製剤に添加することは、経口バイオアベイラビリティを臨床的に関連するレベル、すなわち約0.1%以上のレベルにすることを可能にする顕著な効果を有した。
全体として、効力、平均滞留時間、および経口バイオアベイラビリティを考慮すると、本明細書に開示されるVHポリペプチド誘導体は、経口投与されたときに、インヒビターが存在する、もしくは存在しない血友病Aの治療、および後天性血友病Aの治療に有用であることが予想されるであろう。
実施例13:ブタにおける静脈内薬物動態研究:C18コンジュゲート抗FX/抗FIX(a)VHポリペプチド(誘導体)
本研究の目的は、C18二酸延長因子基を有するかまたは有さないVHポリペプチド(誘導体)の薬物動態効果を調査することであった。
抗FX/FIX(a)VHポリペプチド(誘導体)の適切な製剤を、ミニブタ(Sus scrofa domesticus)群にそれぞれ静脈内(IV)および皮下(SC)投与した。血液試料は、投与の直前に、およびその後、投与後のいくつかの異なる時点で収集した。VHポリペプチド(誘導体)の血漿濃度は、Hisタグに基づくまたはガンマ-Gluに基づく免疫アッセイを使用して測定し、ここで、VHポリペプチド(誘導体)に対する抗VH抗体(Novo Nordisk)を、試験分子に融合されたHisタグに対する抗Hisタグ抗体(R&D systems、MAB050)、または試験分子の延長部分に対する抗ガンマ-Glu(Novo Nordisk、Denmark)と一緒に使用した。2つの免疫アッセイセットアップは、同様の感受性を有し、後者は、VHポリペプチド化合物が分子にHisタグを融合していない場合に使用した。96ウェルMaxiSorpプレート(Nunc、439454)を、Hisタグまたは抗ガンマ-Glu抗体で被覆し、PBS、0.05%tween20、1%BSA(pH7.4)を使用して洗浄および遮断した。洗浄工程後、1%ブタEDTA血漿および最小希釈100倍でのブタEDTA血漿試料中の誘導体特異的キャリブレーター(0、2.7、8.2、24.7、74、222、667、2000pM)をプレート上でインキュベートし、ここで、VHポリペプチド誘導体をそのHisタグまたはガンマ-Glu延長部分を介して捕捉した。追加の洗浄工程の後、社内ビオチン化VH特異的抗体をプレートに添加し(0.5nM)、サンドイッチELISAを作り出した。最後の洗浄工程の後、検出試薬としてセイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)-ストレプトアビジンをプレートに添加した。VHポリペプチド誘導体に結合したビオチン標識化抗体の量は、発色基質(例えば、TMB(3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン)を添加した後に検出された。光学密度読み取りを、分光計(例えば、SpectraMax(登録商標)M2分光計(Molecular Devices))を使用して測定した。応答は、ペルオキシダーゼの濃度に比例し、これは再びVHポリペプチド誘導体の濃度に比例した。オープンソースの統計解析ソフトウェアR(パッケージ「NonCompart」)を使用して、ノンコンパートメント薬物動態パラメータを計算した。実施例11、12、および13で観察されたように、半減期延長について脂肪酸延長因子コンジュゲーションの半減期に対する効果を確認する脂肪酸延長因子を有するおよび有さないVHポリペプチドについて、結果を以下の表18に示す。
したがって、VHポリペプチドが非延長VH化合物と比較して脂肪酸C18二酸延長因子とコンジュゲートされたときに、ブタにおいて観察された半減期は、約15~20倍増加した。
実施例14:マウス尾静脈切断(TVT)出血モデルにおける最適化された抗FX/抗FIX(a)ポリペプチド誘導体の薬力学効果
インビボ有効性を、中等度出血のHAマウスモデルで試験した。TVTモデルでは、FVIII投与が野生型マウスで観察されたのと同じレベルに出血を低減することが以前に示されている。化合物の精巣のマウス交差種反応性の欠如を克服するために、HAマウスに、出血実験の前にヒトFIXおよびFXを補充した。出血期間の終了時に、総失血を、分光光度ヘモグロビン測定によって決定した。示されたVHポリペプチド誘導体およびFIXの血漿レベルは、それぞれ抗VH(Novo Nordisk、Denmark)および抗ガンマGlu-リンカー抗体(Novo Nordisk、Denmark)および抗FIX抗体(LS-B7226、LSBio、およびFIX-2F24、社内クローン)を使用した発光酸素チャンネリングアッセイによって定量化した。FXレベルを、市販のFX ELISA(KSP134、Nordic Biosite)によって定量化した。示されたVHポリペプチド誘導体を用いた用量応答試験から、共有プラトー値(>0)を有する3パラメータ逆対数(用量)応答方程式にデータを適合させることによって、EC50値を決定した。1%のROUT係数を有する自動外れ値除去を適用し、GraphPad Prismソフトウェア(バージョン9.0.1)を使用すること(失血)によって、平方和を加重した。
用量応答試験は、表19に示されるように、それぞれビヒクル群および野生型非血友病群と比較して、試験されたVHポリペプチド誘導体について野生型マウスで観察された失血レベルに達する、失血の有意な低減を示した。EC50有効用量範囲の推定値は、表20に掲示され、試験した3つの化合物全てについて、1kg用量当たりの低nモルで50%の効果が観察されたため、高い効力を示す。
実施例15:経口投与後の最適化された抗FX/抗FIX(a)VHポリペプチド誘導体のエクスビボ活性の決定
化合物番号6のPO投与を特徴付けるための実施例12からの野生型イヌにおける薬物動態(PK)研究に続いて、投与後30分および90分で、2つの別個の時点で発色活性を決定した。測定されたFVIII模倣発色活性を、化合物番号6の血漿曝露と比較し、PO投与後の血清中の活性VHポリペプチド誘導体の割合を決定した。
化合物番号6の発色活性を、市販のFVIII発色活性アッセイ(FVIII:C、Hyphen Biomed、France)を使用して決定し、イヌ血清試料を分析した。較正曲線については、化合物番号6を10%イヌ血清にスパイク、血清試料を、同じアッセイを使用して10倍希釈で分析した。最終活性の結果を、10倍希釈に対して10倍で補正した。化合物番号6の血漿曝露レベルを、抗VH(Novo Nordisk、Denmark)および抗ガンマGlu-リンカー抗体(Novo Nordisk、Denmark)を使用した発光酸素チャンネリング(LOCI)アッセイによって定量化した。データを表21に要約する。FVIII:C発色活性は、投与後30分および90分で、血清で測定可能であり、発色活性に基づく化合物番号6の定量化は、LOCIアッセイを使用した化合物番号6の血漿曝露測定値に基づく推定と類似している。化合物番号6の定量化におけるいかなる不一致も、アッセイ感度の差異によって引き起こされると予測される。データは、PO投与されたVHポリペプチド誘導体が、イヌにおける経口取り込み時に完全に活性であることを示し、例えば、血友病Aを患う患者を治療するための経口的に利用可能なFVIII模倣薬を作製する概念が可能であることを示す。
実施例16:抗FX VHH断片(化合物番号76)の結晶化およびパラトープ/エピトープマッピング
本研究の目的は、化合物番号76と指定されたVH断片(VHH-1.15)のパラトープ残基およびエピトープ残基を決定することであった。
結晶化
実施例4で特定されたヒトFX(Apigenexから購入)の活性化ペプチド配列aa31~37に対応する、合成ペプチドN末端-NPFDLLD-C末端と1:4のモル比で混合されたCHOを使用して生産されたVH断片(化合物番号76)の結晶を、シッティングドロップ蒸気拡散技法を使用して成長させた。20mM Tris-HCl(pH7.4)、50mM NaCl中の250nlの5.75mg/ml複合体のタンパク質溶液を、250nlの4%(v/v)Tacsimate(1.8305Mマロン酸、0.25M三塩基性クエン酸アンモニウム、0.12Mコハク酸、0.3M DL-リンゴ酸、0.4M酢酸ナトリウム三水和物、0.5Mギ酸ナトリウム、および0.16M二塩基性酒石酸アンモニウム)(pH5.0)、12%(w/v) ポリエチレングリコール3350(沈殿剤として)と混合し、80μlの沈殿剤でインキュベートした。18℃で5日間のインキュベーション後、結晶化プレートを5℃に移した。結晶は3か月以内に現れた。
回折データ収集
結晶は、液体窒素中でフラッシュ冷却する前に、20%のエチレングリコールを加えた沈殿剤中で凍結保護した。回折データを、DectrisのEiger2 16M画素検出器を使用して、Swiss Light SourceビームラインX10SA(1.0000Å波長)で100Kで収集した。データの自動インデックス、統合、およびスケーリングは、XDSパッケージからのプログラムを用いて実施された(回析データ統計を表22に要約する)。
構造の決定と精緻化
非対称単位は、2つの化合物番号76:FX AP 31-37複合体を含む。構造は、探索モデルとして関連するVHの以前に決定された結晶構造を使用して、プログラムスイートPhenix内に実装されたPhaserを使用する分子置換によって決定した(実施例6を参照)。化合物番号76の正しいアミノ酸配列を導入し、FX AP 31-37は、全てCOOTを使用して、差分電子密度マップで手動で構築されたモデルであった。Phenixでの精密化およびCOOTでの手動再建のラウンド中、スレオニン残基117上のO-グリコシル化およびチロシン残基109の硫酸化が観察され、モデル化された。精緻化統計が表22に示される。
エピトープおよびパラトープの決定
Hポリペプチド(化合物番号76)内の重原子から4.0Å以内の距離に重原子を有することによって特徴付けられるFX活性化ペプチド残基として定義される合成ペプチドのエピトープは、連続ナンバリングに基づく対応するFX活性化ペプチド配列(配列番号2)による、合成ペプチドN173、P174、F175、L177、L178、およびD179からの以下の残基を含む。
合成ペプチド内の重原子から4.0Å以内の距離に重原子(すなわち、非水素原子)を有することによって特徴付けられる化合物番号76の残基として定義されるVH断片(化合物番号76)のパラトープは、化合物番号76からの以下の残基:A33、M34、G35、W47、V48、A49、A50、I51、S52、S57、T58、N59、Y60、A61、A97、A98、D99、G105、L107、Y109(配列番号734)
(連続ナンバリング)を含む。
実施例17:抗FX VHH断片(化合物番号77)の結晶化およびパラトープ/エピトープマッピング
本研究の目的は、化合物番号77と指定されたVH断片(VH1.13)のパラトープ残基およびエピトープ残基を決定することであった。
結晶化
ヒトFX(Apigenexによって合成)の活性化ペプチド配列aa31~37に対応する、合成ペプチドN末端-NPFDLLD-C末端と1:4のモル比で混合されたCHOから生産されたVH断片(化合物番号77)の結晶を、シッティングドロップ蒸気拡散技法を使用して成長させた。20mM Tris-HCl(pH7.4)、50mM NaCl中の250nlの6.1mg/ml複合体のタンパク質溶液を、250nlの3%(v/v)Tacsimate(1.8305Mマロン酸、0.25M三塩基性クエン酸アンモニウム、0.12Mコハク酸、0.3M DL-リンゴ酸、0.4M酢酸ナトリウム三水和物、0.5Mギ酸ナトリウム、および0.16M二塩基性酒石酸アンモニウム)(pH4.0)、11%(w/v) PEG 3350(沈殿剤として)と混合し、80μlの沈殿剤でインキュベートした。結晶は、5℃で、4日間のインキュベーションで現れた。
回折データ収集
結晶は、液体窒素中でフラッシュ冷却する前に、20%のエチレングリコールを加えた沈殿剤中で凍結保護した。回折データを、DectrisのEiger2 16M画素検出器を使用して、Swiss Light SourceビームラインX10SA(1.0000Å波長)で、100Kで収集した。データの自動インデックス、統合、およびスケーリングは、XDSパッケージからのプログラムを用いて実施された(回析データ統計を表23に要約する)。
構造の決定と精緻化
非対称単位は、2つの化合物番号77:FX AP 31-37複合体を含む。構造は、探索モデルとして実施例16の化合物番号76:FX AP 31-37の結晶構造からの完全非対称単位を使用して、プログラムスイートPhenix内に実装されたPhaserを使用する分子置換によって決定した。化合物番号77の正しいアミノ酸配列を導入し、Phenixでの精緻化およびCOOTでの手動再建のラウンドを適用した。精緻化統計が表23に示される。
エピトープおよびパラトープの決定
H断片(化合物番号77)内の重原子から4.0Å以内の距離に重原子を有することによって特徴付けられるFX活性化ペプチド残基として定義される合成ペプチドのエピトープは、連続ナンバリングに基づく対応するFX活性化ペプチド配列(配列番号2)による、合成ペプチドN173、P174、F175、L177、L178、およびD179からの以下の残基を含む。
合成ペプチド内の重原子から4.0Å以内の距離に重原子(すなわち、非水素原子)を有することによって特徴付けられる化合物番号77の残基として定義されるVH断片(化合物番号77)のパラトープは、化合物番号77からの以下の残基:
A33、M34、G35、W47、V48、A49、A50、I51、S52、S57、T58、N59、Y60、A61、A97、A98、D99、G105、L107、Y109(配列番号735)
(連続ナンバリング)を含む。
実施例18:二重特異性VHポリペプチド誘導体の定常状態のFXA生成動態
本研究の目的は、血液凝固促進リン脂質膜の存在下で、FIXaによるFX活性化を促進する能力に基づいて、抗FIXa/FX二重特異性VHポリペプチド誘導体の血液凝固促進活性を決定することであった。試験した化合物を表24に列挙し、エミシズマブSIAを比較のために含めた。
各化合物の定常状態のFXa生成活性は、所与の化合物濃度でのミカエリス・メンテン動態(ミカエリス定数(K)および一次速度定数(kcat/K))のパラメータとして報告される。表24に最終アッセイ濃度が示される化合物は、アッセイ緩衝液(50mM HEPES、100mM NaCl、5mM CaCl、0.1%(w/v)PEG8000(pH7.3)+1mg/mlのBSA) 中で、0.1nMヒト血漿由来FIXa(Haematologic Technologies Inc、USA)および20μM 25:75のホスファチジルセリン:ホスファチジルコリンリン脂質ベシクル(vesicles)(Haematologic Technologies Inc、USA)とともに5分間プレインキュベーションした。次いで、500nMで開始するヒト血漿由来FX(Haematologic Technologies Inc、USA)の2倍連続希釈を添加することによって活性化を開始した。室温で7分の活性化の後、反応物(50μl)を25μlのクエンチ緩衝液(50mM HEPES、100mM NaCl、60mM EDTA、0.1%PEG8000(pH7.3)+1mg/mlのBSA)の添加によりクエンチした。25μlの2mM S-2765発色基質(Chromogenix, Sweden)を添加し、マイクロプレートリーダーで405nmにおける吸光度測定(ΔOD/分)によって発色基質変換を測定することによって、生成されるFXaの量を判定した。同様に、遊離FIXaによるFX活性化を、10nMのFIXa濃度および5~10分の反応時間で決定した。405nmで測定された吸収を対応するFXa濃度に変換するために、0~5nM(50μl)のFXa標準曲線に、25μlのクエンチ緩衝液および25μlの2mM S-2765発色基質を添加した後、405nmでの吸収を上記のように記録した。FXa濃度の関数としてのΔOD/分の線形回帰は、測定されたΔOD/分をFXa生成速度に変換するために使用され得るスロープを生成する。
FXa生成速度=(ΔOD/分)/(スロープFXa標準曲線*反応時間)
ミカエリス・メンテン定常状態動態パラメータは、FXa生成速度をFX(基質)濃度の関数として、以下の式に適合させることによって決定され、
FXa生成速度=(kcat*[FIXa]*[FX])/(K+[FX]
式中、kcatは、酵素効率(分-1)であり、[FIXa]は、総FIXa(酵素)濃度(nM)であり、[FX]、総FX(基質)濃度(nM)であり、Kは、ミカエリス定数(nM)である。表24は、試験された各化合物について決定された定常状態の動態定数ならびに試験された濃度を列挙する。
結論
試験された抗FIXa/FX二重特異性VHポリペプチド誘導体は全て、5nMの最終濃度に補充された場合、Kを、遊離FIXaの281.5nMから3.9~9.0nMに減少させ、触媒効率を0.00012分-1nM-1から0.14~0.33分-1nM-1にさらに増加させる。比較すると、300nMのエミシズマブ-SIAは、Kを53.5nMに減少させる。
低減されたK値は、VHポリペプチド誘導体の有意な効力増加をもたらす、FIX(a)/FXの改善されたアセンブリ(空間配置)を反映する。全ての化合物を、期待される薬理学的関連濃度で試験する。

Claims (24)

  1. 血液凝固促進免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISVD)ポリペプチド誘導体であって、
    第IX因子(配列番号1)またはその活性型に結合することができる第1のISVD(ISVD1)と、
    第X因子(配列番号2)またはその活性型に結合することができる第2のISVD(ISVD2)と、
    少なくとも1つの延長部分と、
    任意選択で、ISVD1およびISVD2を連結するリンカー(L1-2)と、
    任意選択で、1つ以上の延長部(E)と、を含み、
    前記第1のISVDが、アミノ酸残基E224、T225、G226、V250、I251、R252、I253、P255、H257、およびN260(連続ナンバリング)のうちの少なくとも1つを含む、第IX因子(配列番号1)またはその活性型上のエピトープに結合することができ、かつ
    前記第2のISVDが、アミノ酸残基N173、P174、F175、L177、およびL178(連続ナンバリング)のうちの少なくとも1つを含む、第X因子(配列番号2)上のエピトープに結合することができる、血液凝固促進ISVDポリペプチド誘導体。
  2. 前記第1のISVDが、アミノ酸残基E224、T225、G226、V250、I251、R252、I253、P255、H257、およびN260(連続ナンバリング)を含む、第IX因子(配列番号1)またはその活性型上のエピトープに結合することができ、
    前記第2のISVDが、アミノ酸残基N173、P174、F175、L177、およびL178(連続ナンバリング)を含む、第X因子(配列番号2)上のエピトープに結合することができる、請求項1に記載のISVDポリペプチド誘導体。
  3. 前記第2のISVDが、アミノ酸残基N173、P174、F175、L177、L178、およびD179(連続ナンバリング)を含む、第X因子(配列番号2)上のエピトープに結合することができる、請求項1に記載のISVDポリペプチド誘導体。
  4. 前記第1のISVDが、アミノ酸残基F29、N30、Y32、T54、D99、R100、S101、F102、L103、F104、Q106、A107、およびN113(配列番号35)を含むパラトープを含み、かつ
    前記第2のISVDが、アミノ酸残基
    a)D32、A33、M34、G35、Y37、L47、V48、A49、G50、I51、M52、N57、T58、N59、Y60、T61、K97、V99、R101、およびP102(配列番号27)、または
    b)A33、M34、G35、W47、V48、A49、A50、I51、S52、S57、T58、N59、Y60、A61、A97、A98、D99、G105、L107、およびY109(配列番号734)
    (連続ナンバリング)を含むパラトープを含む、請求項1に記載のISVDポリペプチド誘導体。
  5. 前記少なくとも1つの延長部分が、表面曝露アミノ酸残基に結合している、請求項1に記載のISVDポリペプチド誘導体。
  6. 前記表面曝露残基が、CDR領域における残基ではない、請求項1に記載のISVDポリペプチド誘導体。
  7. 以下の式(N末端からC末端)を有し、
    ISVD2-L1-2-ISVD1-E
    式中、2つの延長部分が、E上の1つ以上の表面曝露アミノ酸残基に結合しており、
    前記ISVDポリペプチド誘導体の分子量が、20~35kDaの範囲内である、請求項1に記載のISVDポリペプチド誘導体。
  8. 前記第1のISVDが、
    1)
    CDR1:任意選択で、1つまたは2つのアミノ酸置換を含むIYTMS(配列番号172)、
    CDR2:任意選択で、1つ、2つ、または3つのアミノ酸置換を含むGLRWTDSSTEYADSVKG(配列番号173)、
    CDR3:任意選択で、1つ、2つ、または3つのアミノ酸置換を含むDRSFLFAQALGATKNYEY(配列番号174)(Kabat定義)を含み、かつ
    前記第2のISVDが、
    (A)
    CDR1:任意選択で、1つもしくは2つのアミノ酸置換を含むRYAMG(配列番号152)、
    CDR2:任意選択で、1つ、2つ、もしくは3つのアミノ酸置換を含むAISRRGGSTNYADSVKG(配列番号153)、
    CDR3:任意選択で、1つ、2つ、もしくは3つのアミノ酸置換を含むDDSVGDGYLDY(配列番号154)(Kabat定義)、または
    (B)
    CDR1:任意選択で、1つもしくは2つのアミノ酸置換を含むRLAMG(配列番号128)、
    CDR2:任意選択で、1つ、2つ、もしくは3つのアミノ酸置換を含むAISRRGGSTNYADSVKG(配列番号129)、
    CDR3:任意選択で、1つ、2つ、もしくは3つのアミノ酸置換を含むDDSVGDGYLDY(配列番号130)(Kabat定義)、または
    (C)
    CDR1:任意選択で、1つもしくは2つのアミノ酸置換を含むRYAMG(配列番号32)、
    CDR2:任意選択で、1つ、2つ、もしくは3つのアミノ酸置換を含むAISRRGGSTNYADSVKG(配列番号33)、
    CDR3:任意選択で、1つ、2つ、もしくは3つのアミノ酸置換を含むDYSSGDGYLDY(配列番号34)(Kabat定義)、または
    (D)
    CDR1:任意選択で、1つもしくは2つのアミノ酸置換を含むRYAMG(配列番号40)、
    CDR2:任意選択で、1つ、2つ、もしくは3つのアミノ酸置換を含むAISRRGGSTNYADSVKG(配列番号41)、
    CDR3:任意選択で、1つ、2つ、もしくは3つのアミノ酸置換を含むDDSSGDGYLDY(配列番号42)(Kabat定義)を含む、請求項1に記載のISVDポリペプチド誘導体。
  9. 前記置換が、保存的置換である、請求項8に記載のISVDポリペプチド誘導体。
  10. 血液凝固促進免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISVD)ポリペプチド誘導体であって、
    第IX因子(配列番号1)またはその活性型に結合することができる第1のISVD(ISVD1)と、
    第X因子(配列番号2)またはその活性型に結合することができる第2のISVD(ISVD2)と、
    表面曝露アミノ酸残基に結合した少なくとも1つの延長部分と、
    任意選択で、ISVD1およびISVD2を連結するリンカー(L1-2)と、
    任意選択で、1つ以上の延長部(E)と、を含み、
    前記第1のISVDが、
    H-2.20(配列番号171)、
    H-2.18(配列番号155)、
    H-2.15(配列番号131)、
    H-2.13(配列番号115)、
    H-2.14(配列番号123)、
    H-2.12(配列番号107)、または
    H-2.2(配列番号35)の配列を含み、かつ、
    前記第2のISVDが、
    H-1.20(配列番号167)、
    H-1.18(配列番号151)、
    H-1.15(配列番号127)、
    H-1.13(配列番号111)、
    H-1.14(配列番号119)、
    H-1.12(配列番号103)、
    H-1.3(配列番号31)、または
    H-1.4(配列番号39)の配列を含む、血液凝固促進ISVDポリペプチド誘導体。
  11. 前記第1のISVDが、VH-2.15の配列(配列番号131)を含み、かつ前記第2のISVDが、VH-1.15の配列(配列番号127)を含む、請求項1に記載のISVDポリペプチド誘導体。
  12. 以下の式(N末端からC末端)を有し、
    ISVD2-L1-2-ISVD1-E
    式中、2つの延長部分が、E上の1つ以上の表面曝露アミノ酸残基に結合しており、
    前記ISVDポリペプチド誘導体の分子量が、20~35kDaの範囲内である、請求項10または11に記載のISVDポリペプチド誘導体。
  13. 前記ISVDポリペプチド誘導体が、配列番号629を含み、
    前記第1の延長部分が、以下の構造を含み、
    かつ前記第2の延長部分が、以下の構造を含み、
    式中、「*」が、配列番号629の257位のCysであり、
    式中、「**」が、配列番号629の259位のCysである、請求項10または11に記載のISVDポリペプチド誘導体。
  14. 前記ISVDポリペプチド誘導体が、VHポリペプチド誘導体である、請求項1または10に記載のISVDポリペプチド誘導体。
  15. 血液凝固促進VHポリペプチド誘導体であって、
    第IX因子(配列番号1)またはその活性型に結合することができる第1のVHと、
    第X因子(配列番号2)またはその活性型に結合することができる第2のVHと、
    前記第1のVHおよび前記第2のVHを連結するリンカー(L1-2)と、
    配列番号9を有するC末端延長部(E)と、を含み、
    以下の式(N末端からC末端)を有し、
    「第2のVH」-L1-2-「第1のVH」-E
    Eに結合した第1および第2の延長部分をさらに含み、
    1)
    前記第1のVHが、
    CDR1:IYTMS(配列番号172)、
    CDR2:GLRWTDSSTEYADSVKG(配列番号173)、
    CDR3:DRSFLFAQALGATKNYEY(配列番号174)(Kabat定義)を含み、かつ
    前記第2のVHが、
    CDR1:RYAMG(配列番号152)、
    CDR2:AISRRGGSTNYADSVKG(配列番号153)、
    CDR3:DDSVGDGYLDY(配列番号154)(Kabat定義)を含むか、または
    2)
    前記第1のVHが、
    CDR1:IYTMS(配列番号132)、
    CDR2:GLRWTDSSTEYADSVKG(配列番号133)、
    CDR3:DRSFLFAQALGATKNYEY(配列番号134)(Kabat定義)を含み、かつ
    前記第2のVHが、
    CDR1:RLAMG(配列番号128)、
    CDR2:AISRRGGSTNYADSVKG(配列番号129)、
    CDR3:DDSVGDGYLDY(配列番号130)(Kabat定義)を含み、
    前記第1の延長部分が、以下の構造を含み、
    かつ前記第2の延長部分が、以下の構造を含み、
    式中、「*」が、配列番号629の257位のCys(C)であり、
    式中、「**」が、配列番号629の259位のCys(C)である、血液凝固促進VHポリペプチド誘導体。
  16. 前記VHポリペプチド誘導体が、配列番号629を含む、請求項15に記載のVHポリペプチド誘導体。
  17. 前記ISVDポリペプチド誘導体またはVHポリペプチド誘導体が、二重特異性ISVDポリペプチド誘導体またはVHポリペプチド誘導体である、請求項1、10および15のいずれかに記載のISVDポリペプチド誘導体またはVHポリペプチド誘導体。
  18. 請求項1、10および15のいずれかに記載のISVDポリペプチド誘導体またはVHポリペプチド誘導体と、1つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤と、を含む、医薬組成物。
  19. 前記組成物が、N-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸の塩を含む、請求項18に記載の医薬組成物。
  20. 前記N-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸の塩が、N-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸ナトリウム(SNAC)であり、かつ
    前記組成物が、ニコチンアミド(NAM)をさらに含む、請求項19に記載の医薬組成物。
  21. インヒビターが存在する、もしくは存在しない血友病Aの治療、または後天性血友病Aの治療に使用するための、請求項18に記載の医薬組成物。
  22. 前記組成物が、経口投与される、請求項21に記載の医薬組成物。


  23. FIX(配列番号1)またはその活性型(FIXa)に結合することができ、かつFX(配列番号2)に結合することができる、VHポリペプチドまたはVHポリペプチド誘導体の製造において使用される中間体であって、
    前記中間体が、以下:
    CDR1:IYTMS(配列番号172)、
    CDR2:GLRWTDSSTEYADSVKG(配列番号173)、および
    CDR3:DRSFLFAQALGATKNYEY(配列番号174)(Kabat定義);
    CDR1:RYAMG(配列番号152)、
    CDR2:AISRRGGSTNYADSVKG(配列番号153)、および
    CDR3:DDSVGDGYLDY(配列番号154)(Kabat定義);
    CDR1:IYTMS(配列番号132)、
    CDR2:GLRWTDSSTEYADSVKG(配列番号133)、および
    CDR3:DRSFLFAQALGATKNYEY(配列番号134)(Kabat定義);ならびに
    CDR1:RLAMG(配列番号128)、
    CDR2:AISRRGGSTNYADSVKG(配列番号129)、および
    CDR3:DDSVGDGYLDY(配列番号130)(Kabat定義)から成る群から選択されるCDRを含むVH断片;
    または
    以下:
    H-1.18(配列番号151)、
    H-1.15(配列番号127)、
    H-1.13(配列番号111)、
    H-1.14(配列番号119)、
    H-1.12(配列番号103)、
    H-1.3(配列番号31)、
    H-1.4(配列番号39)、
    H-2.20(配列番号171)、
    H-2.18(配列番号155)、
    H-2.15(配列番号131)、
    H-2.13(配列番号115)、
    H-2.14(配列番号123)、
    H-2.12(配列番号107)、
    H-2.2(配列番号35)、および
    H-1.20(配列番号167)から成る群から選択されるVH断片
    である、中間体。
  24. 第IX因子(配列番号1)またはその活性型に結合することができる第1のISVD(ISVD1)と、
    第X因子(配列番号2)またはその活性型に結合することができる第2のISVD(ISVD2)と、
    延長部分と、
    任意選択で、ISVD1およびISVD2を連結することができるリンカー(L1-2)と、
    任意選択で、1つ以上の延長部(E)と、を含む血液凝固促進免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISVD)ポリペプチドまたはISVDポリペプチド誘導体の経口バイオアベイラビリティを増加させるための方法であって、
    a.前記ISVDポリペプチドまたはISVDポリペプチド誘導体のアミノ酸残基をコードする核酸を、前記ISVDポリペプチドまたはISVDポリペプチド誘導体の等電点が低減されるように修飾する工程と、
    b.前記ISVDポリペプチドまたはISVDポリペプチド誘導体をコードする前記核酸を発現するように宿主細胞を培養する工程と、
    c.前記宿主細胞培養物から前記ISVDポリペプチドまたはISVDポリペプチド誘導体を収集する工程と、
    d.標準クロマトグラフィーを使用して前記宿主細胞培養物から前記ISVDポリペプチドまたはISVDポリペプチド誘導体を精製する工程と、
    e.延長部分がまだ存在していない場合は、延長部分を前記ISVDポリペプチドに結合する工程と、を含む、方法。
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