JP2024073114A - 導電性組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】カーボン材料を含み、幅広い配合自由度を有する導電性組成物を提供する。
【解決手段】カーボン材料、高分子スルホン酸、およびバインダーを含む導電性組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、導電性組成物、および導電性塗膜に関する。
カーボン材料は、導電性と耐久性に優れた材料であり、導電性が求められるさまざまな用途への展開が期待されている。導電性を有する薄膜を形成するために、カーボン材料を含む導電性コーティング組成物が検討されている。しかし、カーボン材料はアスペクト比が大きく、配位不飽和な構造を有しているため、分子間相互作用が強く凝集しやすい性質を持つ。カーボン材料が凝集した状態では本来の導電性を発揮できない上、凝集物により均一な塗膜形成が難しく、透明性にも劣る。
ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどの分散剤を配合すると、カーボン材料の分散性を高めることができるが、コーティング組成物を構成するためにバインダー樹脂を添加すると、バインダー樹脂の種類によっては、カーボン材料の分散性が低下して凝集することにより、組成物を塗布して得られた導電性塗膜の導電性が低下する傾向あった。
非特許文献1は、カーボン材料とパーフルオロスルホン酸ポリマーとの混合物を含む導電材を開示しているが、配合の自由度が低く、バインダー等の種類によっては凝集物が発生しやすいことや、均一な塗膜を形成しにくく導電性と透明性の両立が難しいこと等、工業的に活用するには課題が残されていた。
J.Mater.Chem.,2008,18,1261-1266
本発明は、カーボン材料を含み、幅広い配合自由度を有する導電性組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、カーボン材料、高分子スルホン酸、およびバインダーを含む導電性組成物が、導電性に優れた塗膜を形成できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、カーボン材料、高分子スルホン酸、およびバインダーを含む導電性組成物に関する。
導電性組成物は、膜厚20nmにおいて全光線透過率が75~95%かつ表面抵抗率が1~1×10Ω/□である導電性塗膜を製造するためのものであることが好ましい。
高分子スルホン酸がパーフルオロスルホン酸ポリマーであることが好ましい。
前記高分子スルホン酸が、重量平均分子量1000~2000000のポリスチレンスルホン酸であることが好ましい。
前記カーボン材料が、カーボンナノチューブ、グラフェン、およびフラーレンからなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましい。
バインダーがアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、およびシリコーン系樹脂からなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましい。
バインダーが水分散性樹脂であることが好ましい。
また、本発明は、前記導電性組成物からなる導電性塗膜に関する。
本発明の導電性組成物は配合自由度が高く、種々のバインダー等を適宜選択して、導電性と透明性に優れた塗膜を形成できる。
<<導電性組成物>>
本発明の導電性組成物は、カーボン材料、高分子スルホン酸、およびバインダーを含むことを特徴とする。
<カーボン材料>
カーボン材料としては、例えば、カーボンナノチューブ、グラフェン、フラーレン、カーボンナノファイバー等が挙げられる。
カーボンナノチューブの種類は特に限定されず、アーク放電法、レーザー蒸発法、化学気相成長法(CVD法)等の各種公知技術により製造されたカーボンナノチューブを適宜選択して用いることができる。単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブおよびこれらを任意の割合で含む混合物のいずれも使用可能である。導電性に優れる点から、単層カーボンナノチューブであることが好ましい。
カーボンナノチューブの長さは、0.1~2000μmが好ましく、0.5~1000μmがより好ましく、0.5~500μmがさらに好ましい。2000μmを超えると、カーボンナノチューブの凝集、切断、破壊が生じる傾向がある。0.1μm未満では、導電経路の形成が不十分となる傾向がある。
カーボンナノチューブの直径は、0.1~50nmが好ましく、0.3~20nmがより好ましく、0.5~10nmがさらに好ましい。50nmを超えると、導電性が低下する傾向がある。0.1nm未満のカーボンナノチューブは製造することが困難である。
グラフェンは、平均粒子径が50~4000nmが好ましく、100~2000nmがより好ましい。
カーボンナノ材料の導電率は、200S/cm以上が好ましく、500S/cm以上がより好ましく、1000S/cm以上がさらに好ましい。導電率の上限は特に限定されないが、一般的に7000S/cm以下である。上記範囲内では、導電性に優れる傾向がある。
<高分子スルホン酸>
高分子スルホン酸は、主骨格の側鎖にスルホン酸を有する高分子化合物であれば特に限定されず、例えば、スルホン酸を有するフッ素系ポリマー、スルホン酸を有する炭化水素系ポリマーが挙げられる。
スルホン酸を有するフッ素系ポリマーとしては、パーフルオロスルホン酸ポリマー、部分フッ素化スルホン酸ポリマーが挙げられる。
パーフルオロスルホン酸ポリマーとしては、パーフルオロアルキル基や、パーフルオロポリエーテル基等のパーフルオロユニットと、スルホン酸基が含まれるポリマーであれば特に限定されないが、例えば、パーフルオロフッ化スルホニルビニルエーテルとテトラフルオロエチレンとの共重合体等が挙げられ、末端にスルホン酸基を有するパーフルオロエーテル側鎖を有するものが好ましく、ペンダント側鎖のないものがさらに好ましい。また、一部のフッ素が水素に置換されていてもよいし、一部に架橋可能な側鎖が導入されていてもよい。
スルホン酸を有する炭化水素系ポリマーとしては、ポリスチレンスルホン酸、スルホエチル化コーンスターチなどのスルホン化多糖類、ポリエステルスルホン酸、ポリイミドスルホン酸、ポリビニリデンフルオライドスルホン酸、ポリエーテルスルホン酸、ポリフェニレンスルフィドスルホン酸、ポリフェニレンオキシドスルホン酸、ポリエチレンナフタレートスルホン酸、ポリピロールスルホン酸、芳香族スルホン酸ポリマー、ビスフェノールフルオレン型スルホン酸が挙げられる。また、これらのスルホン酸を有する炭化水素ポリマーとしては、構造中にスルホン酸を有する炭化水素ポリマーであれば特に限定されず、例えば、ビニルスルホン酸類とビニルカルボン酸類の共重合体や、主鎖の繰り返し単位にスルホン酸基が導入されたπ共役系高分子であってもよい。
高分子スルホン酸は、単一共重合体、交互共重合体、ランダム共重合体、ブロック共重合体、マルチブロック共重合体のいずれであってもよい。また、高分子スルホン酸は、ポリピロール、ポリチオフェンなどのπ共役系高分子と複合体を形成していてもよい。
これらの中でも、パーフルオロスルホン酸ポリマー、ポリスチレンスルホン酸が好ましく、ナフィオン(NAFION(登録商標)、デュポン製)、アクイヴィオン(AQUIVION(登録商標)、Solvay Specialty Polymers製)、ポリスチレンスルホン酸がより好ましい。
高分子スルホン酸の重量平均分子量は、1000~2000000が好ましく、5000~1000000がより好ましく、10000~1000000がさらに好ましい。特に、高分子スルホン酸としてポリスチレンスルホン酸を用いる場合には、その重量平均分子量は、1000~200000が好ましく、75000~100000がより好ましい。
高分子スルホン酸において、スルホン酸基1モルあたりの高分子スルホン酸の質量(等価質量)は500~1500g/molが好ましく、650~1200g/molがより好ましく、700~1000g/molがさらに好ましい。
導電性組成物において、カーボン材料の固形分量に対する高分子スルホン酸の固形分量は、0.5~50倍が好ましく、0.5~20倍がより好ましく、0.5~10倍が好ましく、1~6倍がさらに好ましい。上記範囲内であると、透明性と導電性に優れる傾向がある。
導電性組成物において、カーボン材料と、高分子スルホン酸との合計量は、全固形分に対して3~99重量%が好ましく、5~70重量%がより好ましく、10~40重量%がさらに好ましい。
<バインダー>
バインダーは、樹脂バインダーであれば特に限定されないが、例えばアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン系樹脂等が挙げられる。バインダーは、カーボン材料との配合を容易にするため、水分散性樹脂であることが好ましい。樹脂に親水性の官能基が付与された結果分散化されたものであっても良いし、乳化剤により強制的に分散化されたものであっても良い。
アクリル系樹脂としては、例えば(メタ)アクリル系樹脂、ビニルエステル系樹脂等が挙げられる。これらのアクリル系樹脂は、例えば、カルボキシル基、酸無水物基、スルホン酸基、燐酸基などの酸基を有する重合性単量体を構成モノマーとして含む重合体であってもよく、例えば、酸基を有する重合性単量体の単独又は共重合体、酸基を有する重合性単量体と共重合性単量体との共重合体等が挙げられる。
(メタ)アクリル系樹脂の中では、(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸エステル重合体(アクリル酸-メタクリル酸メチル共重合体等)、(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸エステル-スチレン共重合体(アクリル酸-メタクリル酸メチル-スチレン共重合体等)等が好ましい。
ポリエステル系樹脂としては、2以上のカルボキシル基を分子内に有する化合物と、2以上のヒドロキシル基を有する化合物とを重縮合して得られた高分子化合物であれば特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等が挙げられる。
ポリウレタン系樹脂としては、イソシアネート基を有する化合物とヒドロキシル基を有する化合物を共重合させて得られた高分子化合物であれば特に限定されず、例えば、エステル・エーテル系ポリウレタン、エーテル系ポリウレタン、ポリエステル系ポリウレタン、カーボネート系ポリウレタン、アクリル系ポリウレタン等が挙げられる。これらのポリウレタン樹脂は、ポリ(オキシエチレン)ポリオールなどのノニオン系親水性極性基、-COOM、-SOM(Mはアルカリ金属、アンモニウム基、有機アミンを示す。)などのアニオン系親水性極性基、4級アンモニウム塩などのカチオン系親水性極性基が導入されていてもよい。
ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ-4-メチル-1-ペンテン、ポリ-1-ブテン、塩素化ポリプロピレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性塩素化ポリプロピレン等が挙げられる。これらのポリオレフィン樹脂は、ブテン-1、ペンテン-1、ヘキセン-1、ヘプテン-1、オクテン-1、シクロペンテン、シクロヘキセン、及びノルボルネンなどのα-オレフィンコモノマー、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルなどのコモノマーとの共重合体であってもよいし、カルボン酸基(-COOH)、スルホ基(-SOH)、スルフィノ基(-SOH)、ホスホノ基(-POH)、ビニルアルコール鎖、ビニルピロリドン鎖、エーテル鎖などの親水性極性基が導入されていてもよい。
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、フェノールノボラック型、テトラキス(ヒドロキシフェニル)エタン型、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン型、ビフェニル型、トリフェノールメタン型、ナフタレン型、オルソノボラック型、ジシクロペンタジエン型、アミノフェノール型、脂環式等のエポキシ樹脂、シリコーンエポキシ樹脂等が挙げられる。
シリコーン系樹脂としては、下記式(II)により表されるアルコキシシランのモノマー同士が縮合することで形成される、シロキサン結合(Si-O-Si)を1分子内に1個以上有するアルコキシシランオリゴマーが挙げられる。アルコキシシランオリゴマーの構造は特に限定されず、直鎖状であってもよく、分岐状でもよい。また、アルコキシシランオリゴマーは、式(II)により表される化合物を単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
SiR(II)
(式中、Rは、水素、水酸基、炭素数1~4のアルコキシ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基である。但し、4つのRのうち少なくとも1個は炭素数1~4のアルコキシ基又は水酸基である。)
導電性組成物におけるバインダーの含有量は、固形分で10~99重量%が好ましく、30~99重量%がより好ましく、75~90重量%がさらに好ましい。また、バインダーの含有量は、カーボン材料100重量部に対して10~10000重量部が好ましく、100~5000重量部がより好ましく、375~890重量部がさらに好ましい。この範囲内では、導電性塗膜に十分な強度と導電性を持たせることができる。
<任意成分>
導電性組成物は、カーボン材料、高分子スルホン酸、バインダーに加えて、溶媒、レベリング剤、分散剤、導電性高分子、架橋剤、触媒、水溶性酸化防止剤、消泡剤、レオロジーコントロール剤、中和剤、増粘剤等を含有していてもよい。
溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、2-プロパノール、1-プロパノール等のアルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等のエチレングリコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル類;エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のグリコールエーテルアセテート類;プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のプロピレングリコール類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル等のプロピレングリコールエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールエーテルアセテート類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル-t-ブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン(o-、m-、あるいはp-キシレン)、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素類:酢酸エチル、酢酸ブチル、アセト酢酸エチル、オルト酢酸メチル、オルトギ酸エチル等のエステル類:N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、γ-ブチロラクトン、N-メチルピロリドン等のアミド化合物;トリメチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、カテコール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、等のヒドロキシル基含有化合物;ジメチルスルホキシド等のスルホ基を有する化合物;ハロゲン類、イソホロン、プロピレンカーボネート、アセチルアセトン、アセトニトリル等の有機溶剤に加え、水とこれらの有機溶剤との混合溶媒(含水有機溶剤)、2種以上の有機溶剤の混合溶媒等が挙げられる。水と有機溶剤との混合溶媒を用いる場合、混合溶媒中の有機溶剤の配合量は1~99重量%が好ましく、20~50重量%がより好ましい。カーボン材料の分散安定性と、基材への塗布性の点からは、これらの中でも、水、アルコール類、グリコールエーテル類、水とアルコール類との混合溶媒、または、水とグリコールエーテル類との混合溶媒が好ましい。アルコール類の中ではエタノール、2-プロパノールが好ましい。また、塗布性向上のために、エチレングリコール類、プロピレングリコール類、アミド化合物等を添加することも有効である。
溶媒の含有量は、特に限定されないが、導電性組成物の固形分が3重量%以下となるように添加されることが好ましく、0.1~2重量%となるように添加されることがより好ましい。
なお、本明細書においては、導電性組成物の全ての成分を完全に溶解させるもの(即ち、「溶媒」)と、不溶成分を分散させるもの(即ち、「分散媒」)とを特に区別せずに、いずれも「溶媒」と記載する。
導電性組成物は、基材に対する親和性を高めるために、レベリング剤を含有することが好ましい。レベリング剤を添加することにより、導電性塗膜を形成する際にハジキやムラが生じることを抑制することができる。
具体的なレベリング剤としては、シリコーン系レベリング剤、フッ素系レベリング剤、ポリエーテル系レベリング剤、ポリエステル系レベリング剤、アクリル系レベリング剤が挙げられる。
シリコーン系レベリング剤としては、ポリシロキサン;アミノ基、エポキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基等の反応性基を導入した反応性ポリシロキサン;アルキル基、エステル基、アラルキル基、フェニル基、ポリエーテル基等の非反応性を導入した非反応性ポリシロキサンが挙げられる。
フッ素系レベリング剤としては、パーフルオロポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、パーフルオロポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、パーフルオロブタンスルホン酸、含フッ素基・親水性基・親油性基含有オリゴマー、パーフルオロアルキル基含有カルボン酸塩、パーフルオロアルキル基・リン酸基含有リン酸エステル等が挙げられる。
ポリエーテル系レベリング剤としては、セルロースエーテル;プルラン;ポリエチレングリコール:ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性シロキサン、ポリエーテルエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性アクリル基含有ポリジメチルシロキサン等のシリコーン変性ポリエーテル;ポリグリセリン;ポリエーテルポリオール、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ラウリルアルコールアルコキシレート等のアルキルエーテル誘導体、アルキルエーテル硫酸塩等が挙げられる。
ポリエステル系レベリング剤としては、ポリエステル変性アクリル基含有ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエステルポリオール等が挙げられる。
アクリル系レベリング剤としては、シリコーンとアクリルからなるアクリル系共重合物等が挙げられる。
レベリング剤の含有量は、特に限定されないが、導電性組成物の固形分全体に対して0.01~40重量部であることが好ましく、0.1~20重量部であることがより好ましく、1~10重量部であることがさらに好ましい。導電塗料の含有量が上記範囲内であると、基材塗布性や分散安定性、導電層とした際の膜強度が良好となる。
分散剤としては、例えば、陽イオン性分散剤、陰イオン性分散剤、両イオン性分散剤、非イオン性分散剤、高分子系分散剤等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、分散剤としては、HLB値が12以上のものが好ましく、14以上のものがより好ましい。なお、本明細書におけるHLB値は、以下の数式により算出することができる:
グリフィン法:HLB値=[(親水部分の分子量)÷(全体の分子量)]×20
陽イオン分散剤としては、例えば、ステアリルアミンアセテート等の炭素数8~22のアルキル基を有するアルキルアミン塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム等の第4級アンモニウム塩などが挙げられる。
陰イオン分散剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム等の炭素数8~18のアルキル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム等の炭素数8~18のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、デオキシコール酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の炭素数8~18のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪酸塩、β-ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩等のナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物などが挙げられる。
両イオン性分散剤としては、例えば、炭素数8~22のアルキル基を有するアルキルベタイン、炭素数8~18のアルキル基を有するアルキルアミンオキサイドなどが挙げられる。
非イオン性分散剤としては、例えば、炭素数1~20のアルキル基を有するポリオキシエチレンアルキルエーテル、エチレンオキシドとプロピレンオキシドから構成されるブロック共重合体、炭素数1~20のアルキル基を有するアルキルフェノールポリエチレングリコールエーテル、炭素数2~4のアルキレン基を有するポリカルボキシレートエーテル等のポリオキシアルキレン誘導体、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステルなどが挙げられる。
高分子系分散剤としては、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ヒドロキシセルロース、炭素数の1~8のアルキル基を有するヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体、デンプン、ゼラチン、アクリル系コポリマー、ポリカルボン酸又はその誘導体、ポリスチレンスルホン酸又はその塩などの高分子系分散剤などが挙げられる。
分散剤の添加量は、カーボン材料の1重量部に対して0.01~100重量部が好ましく、0.2~40重量部がより好ましい。
導電性高分子としては、例えば、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリフェニレンビニレン、ポリナフタレン、及びこれらの誘導体が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。中でも、チオフェン環を分子内に含むことで導電性が高い分子ができやすい点で、分子内にチオフェン環を少なくとも1つ含む導電性高分子が好ましい。導電性高分子は、ポリ陰イオン等のドーパントと複合体を形成していてもよい。導電性高分子とポリ陰イオンとの複合体としては、導電性に特に優れることから、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸との複合体であることが好ましい。導電性高分子を配合する場合、その添加量は、カーボン材料の100重量部に対して1~10000重量部が好ましく、1~100重量部がより好ましい。
架橋剤としては、特に限定されないが、例えば、メラミン系、カルボジイミド系、オキサゾリン系、エポキシ系、イソシアネート系、アクリレート系等の架橋剤が挙げられる。導電性組成物が架橋剤を含有する場合、その含有量は特に限定されないが、導電性組成物中30重量%以下であることが好ましく、20重量%以下であることがより好ましい。導電性組成物が熱硬化性のバインダー及び架橋剤を含有する場合、熱硬化性のバインダーを架橋させるための触媒としては、特に限定されず、例えば、酸触媒や塩基触媒、光重合開始剤や熱重合開始剤等が挙げられる。
導電性組成物に水溶性酸化防止剤を配合することにより、導電性塗膜の耐熱性、耐湿熱性を向上させることができる。水溶性酸化防止剤としては、還元性の水溶性酸化防止剤、非還元性の水溶性酸化防止剤等が挙げられる。導電性組成物が水溶性酸化防止剤を含有する場合、その含有量は、導電性組成物の全固形分中、1~20重量%が好ましく、5~10重量%がより好ましい。
<導電性組成物の製造方法>
導電性組成物は、カーボン材料、高分子スルホン酸、およびバインダーを含むかぎり、その製造方法は限定されず、各成分を任意の順序で混合すればよいが、高分子スルホン酸によるカーボン材料のドープを促進させるために、(i)高分子スルホン酸とカーボン材料とを混合する工程、および(ii)さらにバインダーを混合する工程を含む方法により、製造することが好ましい。
(i)高分子スルホン酸とカーボン材料とを混合する工程では、両者を混合できればその条件は特に限定されないが、高分子スルホン酸の存在下、カーボン材料を溶媒中で分散処理することが好ましい。カーボン材料と高分子スルホン酸を相互作用させることによって、高分子スルホン酸によるカーボン材料のドープを促進させ、水中にカーボン材料が良好に分散した導電塗料を得ることができる。高分子スルホン酸とカーボン材料とを混合する際の溶媒としては、導電性組成物に含まれる溶媒として前述した物質を使用することができるが、水が好ましい。
高分子スルホン酸の存在下でのカーボン材料の分散は、例えば、振動ミル、遊星ミル、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、ジェットミル、ロールミル、ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、超音波装置等を用いて行うことができる。高い導電性と透明性を発揮し得る導電性組成物を得るために、超音波ホモジナイザー又は高圧ホモジナイザーのいずれか少なくとも1つを用いることが好ましい。
カーボン材料の分散時のpH条件は0.5~6.0が好ましく、1.0~3.0がより好ましく、1.5~2.5がさらに好ましい。温度条件は0~40℃が好ましく、5~30℃がより好ましい。分散時間は0.02~2時間が好ましく、0.2~1時間がより好ましい。
分散処理する工程を行う前に、前処理として、カーボン材料を高速攪拌処理に供してもよい。高速攪拌処理は、超音波ホモジナイザー等を用いた分散処理よりも比較的強度の低い条件での分散処理であり、攪拌体の高速回転により、カーボン材料の凝集を緩める効果がある。高速攪拌処理を分散処理の前に行っておくことにより、カーボン材料の分散処理をより効率的に行うことができる。
必要に応じて、カーボン材料の分散処理後に、遠心分離処理やフィルター処理により、分散液に残存する凝集体等を除去してもよい。
(i)高分子スルホン酸とカーボン材料とを混合する工程を経た後の、高分子スルホン酸とカーボン材料の混合物においては、カーボン材料が良好に分散し、高分子スルホン酸によりカーボン材料がドープされていることが好ましい。カーボン材料の分散性と、高分子スルホン酸によるドープは、混合物に含まれる粒子の粒径、沈殿の有無、混合物の全光線透過率、混合物からなる塗膜の全光線透過率、表面抵抗率、ラマンスペクトルにより評価できる。
高分子スルホン酸とカーボン材料との混合物中の粒子の粒径は200~50000nmが好ましく、200~20000nmがより好ましく、200~1500nmがさらに好ましい。ここで、混合物の粒径は、実施例に記載の方法により測定される値である。
高分子スルホン酸とカーボン材料との混合物では、エタノールにより全固形分が0.0025重量%となるように希釈し、60分間静置した後に沈殿物が生じないことが好ましい。
高分子スルホン酸とカーボン材料との混合物は、液状態での全光線透過率が0.1~60%が好ましく、0.1~50%がより好ましい。ここで、全光線透過率は、実施例に記載の方法により測定される値である。
高分子スルホン酸とカーボン材料との混合物からなる塗膜の全光線透過率は、75~99%が好ましく、80~90%がより好ましい。ここで、塗膜の全光線透過率は、実施例に記載の方法により測定される値である。
高分子スルホン酸とカーボン材料との混合物からなる塗膜の表面抵抗率は膜厚2000nmのときに、0.1~10Ω/□が好ましく、1~5Ω/□がより好ましい。ここで、塗膜の表面抵抗率は、実施例に記載の方法により測定される値である。
ラマンスペクトルは、基材上に形成された、高分子スルホン酸とカーボン材料との混合物からなる塗膜に対して、NRS-5500(日本分光株式会社製)などのレーザーラマン分光測定装置を使用して測定できる。測定条件としては、例えば励起波長531.974nmのレーザーを用い、レーザー強度比は1%、照射時間は2秒、測定波長は100~3000cm-1の条件が挙げられる。基材の種類によっては、ラマンスペクトルに影響を及ぼす場合があるため、膜厚0.1μm以上の塗膜を用いて測定するか、または、基材と塗膜からなる積層体のラマンスペクトルから、基材単独のラマンスペクトルをバックグラウンドとして差し引くことが好ましい。塗膜の形成方法は特に限定されないが、例えば、高分子スルホン酸とカーボン材料との混合物をガラス基材上に塗布して200℃で10分間乾燥させる方法が挙げられる。高分子スルホン酸とカーボン材料との混合物からなる塗膜では、高分子スルホン酸を用いない場合と比較して、ラマンスペクトルのGバンドピークが1以上アップシフトしていることが好ましく、3以上アップシフトしていることがより好ましく5以上アップシフトしていることがさらに好ましい。
(ii)さらにバインダーを混合する工程では、工程(i)で得られた混合物に、バインダーを混合する。また、導電性組成物にレベリング剤などの任意成分を配合する場合には、工程(ii)でバインダーとともに混合することが好ましい。
<<導電性塗膜>>
本発明の導電性塗膜は、前記導電性組成物からなる。導電性塗膜は、例えば、導電性組成物を基材の少なくとも一つの面上に塗布した後、加熱処理することにより得ることができる。基材の材質としては、例えば、ガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、変性ポリエステル等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリスチレン樹脂、環状オレフィン系樹脂等のポリオレフィン類樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリサルホン(PSF)樹脂、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)樹脂、銅やアルミニウムなどの金属が挙げられる。
基材の形状は特に限定されないが、例えば導電性塗膜を含む積層体を、電子機器のタッチパネル等に用いる場合、基材はフィルム状であることが好ましい。基材フィルムの厚みは、特に限定されないが、10~10000μmであることが好ましく、25~5000μmであることがより好ましい。また、基材フィルムの全光線透過率は、60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることがさらに好ましい。
導電性塗膜は、導電性組成物を基材に直接塗布して形成してもよいし、プライマー層等の別の層を予め基材上に設けた後で、当該層の上に塗布して形成してもよい。
導電性組成物を基材の少なくとも1面に塗布する方法としては、特に限定されず公知の方法を用いることができ、例えば、ロールコート法、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、キャスティング法、ダイコート法、ブレードコート法、バーコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ドクターコート法、スリットコート法、凸版(活版)印刷法、孔版(スクリーン)印刷法、平版(オフセット)印刷法、凹版(グラビア)印刷法、スプレー印刷法、インクジェット印刷法、タンポ印刷法等を用いることができる。導電性組成物を基材の少なくとも一つの面上に塗布する前に、必要に応じて、あらかじめ基材の表面に表面処理を施してもよい。表面処理としては、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、イトロ処理、火炎処理等が挙げられる。
導電性塗膜を形成する際の加熱処理は、特に限定されず公知の方法により行えばよく、例えば、送風オーブン、赤外線オーブン、真空オーブン等を用いて行えばよい。導電性組成物が溶媒を含有する場合、溶媒は、加熱処理により除去される。加熱処理の温度条件は、60~200℃が好ましく、80~180℃がより好ましい。加熱処理の処理時間は、特に限定されないが、0.1~20分間が好ましく、1~5分間がより好ましい。
導電性塗膜の厚みは1~20000nmが好ましく、2~5000nmがより好ましく、5~1500nmがさらに好ましい。なお、導電性塗膜の膜厚は、導電性組成物の固形分と基材への塗布量から算出される。
導電性塗膜は、膜厚20nmにおいて表面抵抗率が1~1×10Ω/□であることが好ましく、500~15000Ω/□であることがより好ましく、1000~2500Ω/□であることがさらに好ましい。表面抵抗率は、実施例に記載の方法により測定される値である。
導電性塗膜の全光線透過率は、75~95%であることが好ましく、80~90%であることがより好ましい。特に、導電性組成物は、膜厚20nmにおいて全光線透過率が75~95%、かつ表面抵抗率が1~1×10Ω/□であることが好ましい。全光線透過率は、実施例に記載の方法により測定される値である。
導電性塗膜中のカーボン材料の含有量は、0.2~50mg/mが好ましく、2~5mg/mがより好ましい。導電性塗膜中のカーボン材料の含有量を以上の範囲内とすることにより、導電性塗膜に十分な導電性を付与することができ、かつ、塗膜の強度および成膜性も維持できる。
本発明の導電性塗膜は、カーボン材料を含むため耐久性が高く、かつ、導電性、透明性にも優れるため、これらの性能が求められる電池、電磁波シールド、太陽光発電、透明電極、帯電防止などの用途に好適に使用可能である。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。以下、「部」又は「%」は特記ない限り、それぞれ「重量部」又は「重量%」を意味する。
(1)使用材料
(1-1)カーボン材料
・カーボンナノチューブ分散体(ゼオンナノテクノロジー株式会社製、ZEONANO SG101)
(1-2)高分子スルホン酸
・パーフルオロスルホン酸ポリマー(シグマ―アルドリッチ製、アクイヴィオン(登録商標)D72-25BS、スルホン酸基の等価質量720g/mol)
・パーフルオロスルホン酸ポリマー(シグマ―アルドリッチ製、20%ナフィオン(登録商標)分散溶液D-2021、スルホン酸基の等価質量1100g/mol)
・ポリスチレンスルホン酸(メルク社製、ポリ(4-スチレンスルホン酸)溶液、重量平均分子量75000)
(1-3)分散剤
・非イオン性ポリマー分散剤(BASF社製、Pluronic F108)
(1-4)レベリング剤
・シリコーン系レベリング剤(ビックケミー社製、BYK―333)
・フッ素系レベリング剤(デュポン社製、CAPSTONE FS-3100)
・ポリエーテル系レベリング剤(クラリアント社製、Emulsogen LCN070)
(1-5)バインダー
・アクリル系樹脂(日本カーバイド社製、ニカゾールRX―7004E、固形分率35%)
・ポリエステル系樹脂(互応化学社製、プラスコート RZ―105、固形分率30%)
(2)カーボン材料分散液の製造(製造例1~5、比較製造例1)
表1に記載した重量比で、カーボン材料、高分子スルホン酸、分散剤、溶媒を混合し、前分散および本分散を行うことにより、カーボン材料分散液を製造した。後述する方法でカーボン材料分散液を評価した。その結果を表1に示す。
なお、前分散は、マグネチックスターラーを用いて室温で2分間分散を行った。本分散では、超音波処理はhielscher社製 HP50Hにて50W、周波数30kHzで30分間分散処理を行った。高圧ホモジナイザーによる処理はスギノマシン社製スターバーストミニを用いて80Mpaで20回分散処理を行った。
Figure 2024073114000001
比較製造例1の分散液の分散性は良好であったが、この分散液からなる塗膜は表面抵抗率が高かった。製造例1~5の分散液からなる塗膜は、比較例1より低い表面抵抗率を示した。なお、製造例1~5は、比較製造例1と比較して塗膜のラマンスペクトルにおけるGバンドピークがアップシフトしており、全ての製造例でカーボン材料のドープが生じていることが確認された。
(3)カーボン材料分散液の評価方法
(3-1)粒径
カーボン材料水分散体にレーザー光を照射し、粒子から散乱される散乱光強度をマイクロ秒単位の時間変化で測定した。検出された粒子に起因する散乱強度分布を正規分布に当てはめて、平均粒子径を算出するためのキュムラント解析法により粒子のZ平均粒子径を求めた。Z平均粒子径は、マルバーン社製、ゼータサイザーULTLAに搭載されたデータ解析ソフトにより、測定データを自動的に解析して算出した。
(3-2)分散性
カーボン材料分散液を、エタノールにより全固形分が0.0025%となるように希釈した。希釈分散液を1時間静置した後に目視観察し、沈殿物が認められないときに分散性が良好であると判断した。
(3-3)全光線透過率
カーボン材料分散液を、エタノールにより全固形分が0.0025%となるように希釈した。希釈分散液の全光線透過率をヘイズコンピュータ(スガ試験機社製、HZ-2)により測定した。分散体の全光線透過率から、液体用セルにイオン交換水を入れた際の全光線透過率を減算することにより、分散体の全光線透過率を算出した。
また、カーボン材料分散液を、エタノールにより全固形分が0.18%となるように希釈し、東レ製ポリエステル樹脂基材(ルミラーT60)に塗布乾燥して、理論膜厚5nmの塗膜を製造した。基材と塗膜からなる積層体の全光線透過率を、JIS K7136に従い、ヘイズコンピュータ(スガ試験機社製、HZ-2)を用いて測定した。積層体の全光線透過率から、基材単体の全光線透過率を減算することにより、塗膜の全光線透過率を算出した。
(3-4)表面抵抗率
(3-3)で製造した塗膜の表面抵抗率を、抵抗率計(三菱化学株式会社製、ロレスターGP(MCP-T600型))のESPプローブを用いて測定した。塗膜の表面にプローブを押し当て、印加電圧10Vにて10秒間保った際の表面抵抗率を求めた。
(3-5)導電率
(3-3)で製造した塗膜の膜厚を、触針式表面形状測定器(アルバック株式会社製、DEKTAK)により膜厚を測定した。膜厚と表面抵抗率から、下記式に基づき導電率を求めた。
導電率(S/cm)=1/{表面抵抗率(Ω/□)×膜厚(cm)}
(3-6)ラマンスペクトル
カーボン材料分散液を、ガラス基材上に塗布して200℃で10分間乾燥させることにより、理論膜厚2.5μmの塗膜を形成した。基材と塗膜からなる積層体に対して、レーザーラマン分光測定装置NRS-5500(日本分光株式会社製)を使用してラマンスペクトルを測定した。測定条件は、励起波長531.974nmのレーザーを用い、レーザー強度比は1%、照射時間は2秒、測定波長は100~3000cm-1に設定した。積層体のラマンスペクトルから、基材単独のラマンスペクトルをバックグラウンドとして差し引くことにより、塗膜単独のラマンスペクトルを得た。
(4)導電性組成物の製造(実施例1~9、比較例1)
表2に記載した重量比で、カーボン材料分散液、バインダー、レベリング剤、溶剤を混合して導電性組成物を製造した。導電性組成物を、ポリエステル樹脂製の基材フィルム(東レ株式会社製、ルミラーT60)の片面にバーコート法で塗布し、送風乾燥機を用いて120℃で5分乾燥させることにより、基材上に導電性塗膜を形成した。導電性塗膜の膜厚は、バーコータの番手を適宜選択することにより、実施例1~9については理論膜厚20nmとなるように調整し、比較例1については理論膜厚5nmとなるように調製した。
得られた導電性塗膜について、後述する評価方法により全光線透過率(Tt)、表面抵抗率(SR)を評価した。結果を表2に示す。
Figure 2024073114000002
比較例1の塗膜は、表面抵抗率が高かった。実施例1~9の塗膜は、バインダー樹脂の種類にかかわらず、比較例1より低い表面抵抗率を示した。
(5)導電性塗膜の評価方法
(5-1)全光線透過率
基材と導電性塗膜からなる積層体の全光線透過率を、JIS K7136に従い、ヘイズコンピュータ(スガ試験機社製、HZ-2)を用いて測定した。積層体の全光線透過率から、基材単体の全光線透過率を減算することにより、導電性塗膜の全光線透過率を算出した。
(5-2)表面抵抗率
導電性塗膜の表面抵抗率は、抵抗率計(三菱化学株式会社製、ロレスターGP(MCP-T600型))のESPプローブを用いて測定した。導電性塗膜の表面にプローブを押し当て、印加電圧10Vにて10秒間保った際の表面抵抗率を求めた。
本開示(1)はカーボン材料、高分子スルホン酸、およびバインダーを含む導電性組成物である。
本開示(2)は膜厚20nmにおいて全光線透過率が75~95%かつ表面抵抗率が1~1×10Ω/□である導電性塗膜を製造するための、本開示(1)に記載の導電性組成物である。
本開示(3)は高分子スルホン酸がパーフルオロスルホン酸ポリマーである、本開示(1)または(2)に記載の導電性組成物である。
本開示(4)は前記高分子スルホン酸が、重量平均分子量1000~2000000のポリスチレンスルホン酸である、本開示(1)または(2)に記載の導電性組成物である。
本開示(5)は前記カーボン材料が、カーボンナノチューブ、グラフェン、およびフラーレンからなる群より選択される少なくとも1つである、本開示(1)~(4)のいずれかに記載の導電性組成物である。
本開示(6)はバインダーがアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、およびシリコーン系樹脂からなる群より選択される少なくとも1つである、本開示(1)~(5)のいずれかに記載の導電性組成物である。
本開示(7)はバインダーが水分散性樹脂である、本開示(6)に記載の導電性組成物である。
本開示(8)は本開示(1)~(7)のいずれかに記載の導電性組成物からなる導電性塗膜である。





Claims (8)

  1. カーボン材料、高分子スルホン酸、およびバインダーを含む導電性組成物。
  2. 膜厚20nmにおいて全光線透過率が75~95%かつ表面抵抗率が1~1×10Ω/□である導電性塗膜を製造するための、請求項1に記載の導電性組成物。
  3. 高分子スルホン酸がパーフルオロスルホン酸ポリマーである、請求項1に記載の導電性組成物。
  4. 前記高分子スルホン酸が、重量平均分子量1000~2000000のポリスチレンスルホン酸である、請求項1に記載の導電性組成物。
  5. 前記カーボン材料が、カーボンナノチューブ、グラフェン、およびフラーレンからなる群より選択される少なくとも1つである、請求項1または2に記載の導電性組成物。
  6. バインダーがアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、およびシリコーン系樹脂からなる群より選択される少なくとも1つである、請求項1または2に記載の導電性組成物。
  7. バインダーが水分散性樹脂である、請求項6に記載の導電性組成物。
  8. 請求項1または2に記載の導電性組成物からなる導電性塗膜。





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