JP2024072226A - 電解用陽極 - Google Patents

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孝之 島宗
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Abstract

【課題】 クロルアルカリ電解や海水電解のような塩素発生用の陽極において、極めて低い陽極電位を有し、しかも陽極副反応である塩素中の酸素を極めて低くなるように抑えるとともに、実用電極として、長期間安定に電解できる電解用陽極を得る。【解決手段】本発明はチタン又はチタン合金を基材として、その表面に白金とパラジウムからなる金属合金の被覆とルテニウム及び/又はイリジウム及びチタン及び/又はスズからなる酸化物の被覆を交互に被覆、積層した主として塩素発生用に使用する電解用陽極である。【選択図】なし

Description

本発明は、主として、イオン交換膜法食塩電解や、海水電解などの塩素発生に使用する不溶性金属陽極であって、非常に低い塩素発生電位と非常に低い塩素中酸素濃度を有し、しかも長寿命で、長期間にわたりその特性を保持する電解用陽極である。
食塩水を電気分解して陽極室から塩素を、陰極室から苛性ソーダを得る、クロルアルカリ電解プロセスは今や陽イオン交換膜を隔膜として陽極/陰極共にこの陽イオン交換膜に密着させて、電気抵抗を最小となる条件で電解を行ういわゆるゼロギャップ・イオン交換膜法電解が主流になっている。 これによると、電極部分以外ではイオン交換膜の電気抵抗とその前後のわずかな電解液による電気抵抗が電気抵抗分であり、電解特性の良否は、使用する電極の特性に大きくかかわっている。従って、クロルアルカリ電解では、電極の性能そのものが他のプロセスにも増して極めて重要である。特に陽極では電圧を決めることになる陽極過電圧と、陽極反応である主反応としての塩素発生反応と副反応としての酸素発生反応との選択性、そこでは当然のことながら酸素発生反応を最小にすること、がより重要であることは言うまでもない。
いわゆるDSA(Dimensionally Stable Anode)と称される金属基材表面に白金族金属酸化物を含む電極物質を熱分解法によって形成する金属電極では,電極物質を比較的自由に選択できることから種々の使用できる。主として塩素発生を行うイオン交換膜法食塩電解や、海水電解などの希薄塩水電解用の主電極物質としては通常、白金,イリジウム及びルテニウムに限定され、これらの組み合わせと、添加物質/補助電極物質として、酸化チタンや、酸化スズ、或いは酸化ジルコニウムなどを加えて一つの電極としている。
実際に電極物質として、イオン交換膜法食塩電解用としては、ほぼ、ルテニウムとイリジウムに限られ、これに安定化材として、又は特性の調整用としてチタン(酸化チタン)、スズ(酸化スズ)を加えた複合酸化物として使用されることが多い。
一方これらの電極では、ルテニウム成分は塩素発生に対する過電圧を小さくすることが出来るが、電解反応の選択性、つまり副反応である、塩素中の酸素ガス発生が若干大きい。一方、イリジウム成分は電極寿命を極めて長くすること、副反応である塩素中の酸素ガスの発生を少なくするという特徴があるが、陽極電位を高めると言う特徴を有する。実際の工業用電極においてはこれらを微妙に調整して目的の電解特性となるようにして使用している。
本願発明者らの検討ではこれらに白金加えると、初期には塩素発生電位を極めて低く保持し、又塩素中の酸素濃度を極めて低く保持出来ることを見いだしている。しかしながらこの特性は、通常の電極作製条件で作製すると、電解開始後数十時間で失われてしまい、その後は白金を含まないのと同じ特性になってしまうという特徴がある。但し、ここでは、白金が消耗しているわけではないので、陽分極時の白金の特徴である白金表面に不働体化が起こったためであると考えられる。
パラジウムを酸化物或いは金属として、DSA型電極に加えると、活性な白金と同じく、又はより塩素発生過電圧を低くでき、副反応である塩素中の酸素を極めて小さく出来るという特徴があることが知られている。しかしながらパラジウム成分は電解で短時間に消耗してしまい、ほぼ実用性の無いことがわかっている。これは、酸化物型コーティングの基本特許である、特公昭48-3954号公報特許における、請求範囲1では公開公報であったパラジウムが除かれていることから、明らかである。
パラジウムの実用化については、あらかじめ、酸化パラジウム、PdO、としてその酸化物結晶をより安定化して消耗を防ぐといういくつの特許出願が知られている。但し、そのようにしても、なおかつ不安定であるためか、実用電極として使用されているケースは殆ど無いようである。このように白金とパラジウムは短期的には極めて優れた特性を有する一方、長期的に安定で実用化が可能な電極は知られていない。
特公昭45-11014公報並びに特公昭45-11015公報では白金パラジウム(Pt、Pd)合金電極を熱処理して食塩電解用陽極として使用する事が示されている。ここでは、白金に比較して優れていること、又グラフなどにより極めて低い塩素過電圧を有する事が記載されている。そこでは基材上への被覆に関する記載が無く、唯一見られるのがクラッドとの表示である。これはあらかじめ合金の塊を何らかの方法で作製してその板を基材上にクラッドしたものと思われる。これは優れた特性を示すかもしれないが、高価な白金・パラジウム合金が多量に必要であり、実用と言えるものではなかろう。いわゆるコーティングとしての可能性は全く無いと考えて良いであろう。
特公昭62-7276号公報に記載の特許ではパラジウム成分が希薄塩水電解で極めて優れた性能を示す一方、その安定化が問題であるとして、あらかじめ安定な酸化パラジウムを他の組成物前駆体液に混ぜ合わせ、それをコーティング液として熱分解法により被覆する事が示されている。又同時に熱分解で作製するとパラジウム成分は安定ではなく、すぐに消耗してしまうことが示されている。
特公昭48-3954公報 特公昭45-11014公報 特公昭45-11015公報 特公昭62-7276公報
クロルアルカリ電解や海水電解のような主反応が塩素発生用の陽極において、極めて低い陽極電位を有し、しかも陽極副反応である発生塩素中の酸素を極めて低くなるように抑えるとともに、実用電極として、長期間安定に電解できる電解用陽極を得る。
本発明は、チタン又はチタン合金を基材として、その表面に白金とパラジウムからなる金属合金の被覆とルテニウム及び/又はイリジウム及びチタン及び/又はスズからなる酸化物の被覆を交互に被覆、積層した主として塩素発生用に使用する電解用陽極である。
本願発明者らは白金とパラジウムをそれら2成分の金属合金とすることによって、つまり白金パラジウム合金とすることによって、白金で見られた様な、不働体化はなく、しかもパラジウムや酸化パラジウムの様な大きな消耗がなくなり、つまり、合金として、消耗速度が小さくなり、長期にわたって低い塩素発生電位を保持すると共に、ルテニウム酸化物及び/又はイリジウム酸化物成分と合わさって、極めて長寿命で、電位が低く、塩素ガス中の酸素を極めて低く保持した電解が可能であることを見いだして本発明に至った。
つまり、チタン基材上に白金塩とパラジウム塩を含むアルコール液やアルコールと水の混合液を塗布して、火炎により熱分解を行い白金―パラジウム合金を形成する。しかる後にルテニウム及び/又はイリジウムとチタン及び/又はスズの塩を所定組成に溶解したコーティング液を塗布し、流通空気中で熱分解を行いルテニウム及び/又はイリジウムとチタン及び/又はスズからなる複合酸化物を形成する。これらの操作を繰り返して、白金-パラジウム合金とルテニウム及び/又はイリジウムとチタン及び/又はスズ酸化物からなる複合酸化物との混合物からなる被覆層を形成する。なお、白金とパラジウムは白金とパラジウムの合金を作製することでのみ安定化し、酸化物では全く安定化しないこと、又白金とパラジウムの混合物では安定化しないことは従来からの経験でも明らかである。
白金とパラジウム合金をコーティング層として得るには白金塩とパラジウム塩を含むコーティング液をガス火炎中などの還元雰囲気で熱分解する事による。又その時にはコーティング液中にラベンダー油、丁字油、或いはテレビン油などの有機物を有機還元剤として介在させてより確実に火炎熱分解する事が望ましく、より完全な金属合金を生成させることができる。通常の空気中の熱分解法ではパラジウムは酸化物となり、白金との金属状態の合金にはならないので注意を要する。熱分解が還元条件となる様に上記の様な方法が必要である。
一方酸化物成分であるルテニウム及び/又はイリジウムとチタン及び/又はスズからなる複合酸化物は、常法による酸化物被覆を製造する条件である、これらの塩を含むコーティング液を塗布し、酸化雰囲気での熱分解により形成する事ができる。この条件によって生成する酸化物は、白金とパラジウムからなる合金を形成するための火炎熱分解雰囲気においても還元されず酸化物として安定に保持している。
なお酸化物層を形成する熱分解条件では生成した白金パラジウム合金は酸化せず金属合金として変化しないことがわかっている。
このように、合金層と酸化物槽を別々の層として積層することで形成すること、つまり本発明の様に交互に繰り返して、実質的に混合するようにすれば全く問題なく安定化すると共に目的の特性の得られることがわかった。
ここで白金とパラジウムとの合金の組成は白金がモル比で50から90%であり、残部がパラジウムである事が望ましい。合金中に10%以上パラジウムが含まれることによって、電解を継続しても白金表面に不働体膜を形成しないようになる。又白金が50%以下では基本的には耐食性の劣るパラジウムの消耗速度が大きくなることから、電極が不安定になる、或いは、短寿命になる可能性がある。
酸化物層の組成は電極が使用される用途によって選択されるが、たとえば、イオン交換膜法食塩電解では、ルテニウムとイリジウムとチタンの三成分からなる酸化物であることが望ましく、その組成範囲は、イリジウムが0~30モル%、ルテニウムが20~40モル%からなり残部がチタン(Ti)からなる事が望ましい。但しチタンは30~70モル%である事が望ましい。なおこの時の熱分解温度は流通空気中450℃~520℃が望ましい。更に、スズ成分を加えた4成分系複合酸化物とする事が出来るが、その時はチタンの一部をスズ成分と置き換える事ができると共にルテニウム成分の一部をスズ成分と置き換えることも出来る。スズ成分はそれ自身はチタンと同じような添加剤成分ではあるが、ルテニウムに隣接してスズ成分があると、それがあたかもルテニウム同様な働きをする、いわゆるシナジー効果有するとされるためである。
用途が希薄塩水電解であればルテニウムとイリジウムとスズ又はルテニウムとイリジウムとチタン及びスズからなる酸化物であることが望ましく、その組成はイリジウムが0~30モル%、ルテニウムが20~40モル%からなり、残部がチタン又はスズ又はチタンとスズからなる複合酸化物である事が望ましい。なおチタンとスズの割合は、モル比でスズ:チタン=100:0~50:50)が望ましい。これは希薄塩水電解での運転温度がイオン交換膜食塩電解の80~100℃に対して通常30℃以下と低温である事による。
上記したように電極コーティングはトータルとして、白金とパラジウム合金層と熱分解酸化物層を交互に複数回被覆して所定の厚みにする。 なお白金とパラジウムからなる合金層と酸化物層との量比は特に指定されないが白金とパラジウム合金層は金属モル%で5%からほぼ合目的な特性を示すので5~20%程度が望ましい。
これらの交互2層の被覆の繰り返しは、最初に白金とパラジウム合金層を形成しても良いし、酸化物層からはじめても良い。又コーティング層の形成は、白金とパラジウム合金コーティングと酸化物コーティングを1回ずつ交互に行っても良いが、片方のコーティングを複数、もう一方を1回というようにそれぞれの回数を変化させることも出来る。この回数の比率は相互の量比やコーティングの条件によって任意に変化させることが出来る。但し、相互の金属合金と酸化物はその存在が偏らない方が望ましいことは言うまでも無い。
この様にしてコーティング層が所定の厚みに至ったら、そのままでも陽極として使用することが可能である。
なお必要な厚みになった後に、コーティングを安定化するために、酸化物形成時の熱分解温度と同じ又はわずかに高い温度で流通空気雰囲気中で30~200分程度の後処理加熱を行う事ができる。
この様な電極は特にイオン交換膜法食塩電解に使用して、その電解電圧を低く保持するとともに副反応である酸素発生がきわめて少ないために優れた電解の効率を得ることが出来るようになった。又希薄塩水電解や海水電解に使用して高濃度の次亜塩素酸塩を得ることが出来るようになった。
本発明に於ける電極は基材がチタン又はチタン合金であり、用途によって、板状、或いはエクスパンドメタル、パンチ板などの多孔質板などの基材についてその表面をブラストと共に、エッチングなどの活性化前処理を行い、その表面に(1)白金-パラジウム合金層を火炎熱分解によって形成する。
該表面に今度は通常の流通空気中で熱分解を行って(2)酸化物のコーティング被覆層を形成する。更に(1)と (2)の操作を繰り返して目的とする厚みを有する電極コーティングを形成する。
しかる後に必要に応じて安定化のために酸化性雰囲気中で後処理加熱を行う事によって電極を完成させる。なお上記(1)と(2)の実施順序は(2)からはじめても良いし、(1)からはじめても良い。又(1)と(2)のそれぞれのトータルの回数は必ずしも同じ回数でなくても良いことは当然である。
以下実施例によって、説明するが、それに制限されないことは言うまでも無い。
板厚さ1mmのチタン板を開口率50%になるようにしたエクスパンドメタルを基材として使用し、アルミナサンドによるブラスト掛けを行った後に塩酸水溶液でエッチング処理を行った。つまり濃度20質量%の塩酸水溶液をエッチング液として、温度95℃で15分間のエッチングを行って、活性化しコーティング準備を行った。
第一のコーティング液として塩化白金酸と塩化パラジウムをそれぞれ金属としてモル比で70:30となるようにエタノールに溶解すると共に、エタノールに対して体積比15%のラベンダーオイルを添加して40℃の温度に加温しながら攪拌して均一な液を作製した。
第二のコーティング液として、塩化イリジウム、塩化ルテニウム、四塩化チタンをそれぞれ、モル比でイリジウム:ルテニウム:チタン =16:30:54を10質量%希塩酸液に溶解して作製した。液濃度はイリジウムとルテニウムの合量で液30mlについて1gとなるようにした。
チタン基材表面に刷毛にて第一のコーティング液を塗布し、40から60℃の温風でアルコール分を揮散させた後、携帯用ガスバーナーを使用してガス炎をコーティング面に当てて加熱熱分解を行った。最初黒色の煤状物が生成し、次いで白色となった。更に火炎を当て加熱することによって、表面が金属光沢の被膜が生成した。加熱時間は3分であった。この後加熱を停止し冷却した。室温になったコーティング付き基材に第二のコーティング液を塗布し、60℃で乾燥後空気を流通させ、510℃に保持したマッフル炉中で10分間熱分解を行った。
更に第一のコーティング液塗布/バーナーによる加熱熱分解、第二のコーティング液塗布/マッフル炉による熱分解の組み合わせを5回行い電極コーティングの形成を行った。
対比資料として、第一のコーティング処理を全く行なわず、第二のコーティング液の塗布、マッフル炉処理のみを繰り返した電極を作製した。塗布、熱分解は10回とした。
このようにして作製した電極について,陽極として、pH=1.8に調整した
Figure 2024072226000001
解を行った。予備電解の目的は、白金とパラジウム成分についての安定性を確認する事が主目的であり、つまり白金の不働体化可能性とパラジウム成分の減耗を計測した。なおパラジウム成分の減耗は蛍光X線法によって測定した。
予備電解を行った電極について、試験用のイオン交換膜電解槽にて、陽極電位(塩
Figure 2024072226000002
80℃であった。なお塩素中の酸素濃度はイオン交換膜の影響がないよう、イオン交換膜からから20mm離して陽極を設置した。又塩素中の酸素濃度の計測はガスクロマトグラフを使用し、酸素と窒素濃度を計測して巻き込み空気を補正した後に酸素濃度を測定することによった。
電位は陽極をイオン交換膜に密着した状態での電解で行いカレントインターラプター法によって抵抗損を除いて計測をした。
その結果、塩素中の酸素濃度は、0.3A/cm、pH=3にて0.12%であった。またその時の塩素発生電位は1.082V vs.Ag/AgClであった。
対比サンプルとして作製した白金パラジウム合金プロセスを除いた陽極では塩素発生電位は1.112V vs.Ag/AgClであり、塩素中の酸素濃度はpH=3 で0.45%であった。
実施例1と同じ電極基材を用い、同じ前処理を行い、その基材表面に白金パラジウム合金コーティングとイリジウム・ルテニウム・チタンに3成分からなる酸化物コーティングを行った。
第一のコーティング液、つまり白金・パラジウム合金のコーティング液は実施例1と同じプロセスで白金とパラジウムの組成比を変えた液を準備した。
第二のコーティング液についても実施例1と同じに準備したがその組成比をモル比でイリジウム:ルテニウム:チタン=25:25:50とした。
コーティングは実施例1と原則同じとしたが、第二の酸化物コーティングについては塗布、乾燥は同じとしたが、熱分解温度は460℃で10分間とした。
コーティングは第一、第二共に5回ずつ交互に行い、コーティング完了後に後処理として520℃で3時間空気を流通させたマッフル炉で加熱処理を行った。
この様にして作製した電極サンプルについて実施例1と同じ条件で予備電解を行い初期のコーティング減耗を確認すると共に電気化学特性を確認した。
つまり、実施例1と同じ条件で1200時間の初期加速電解試験を行った。予備電解試験後の試料について、実施例1と同じイオン交換膜電解槽で電解を行い、塩
Figure 2024072226000003
NaCl 液、80℃であり、電流密度0.3A/cmであった。
結果を表1に示した。
Figure 2024072226000004
表1において、試料No.1は対比例であり、電位から見ると合金層がパラジウム合金ではなく白金単味になっているために表面が不働体化したために電位が上上昇していることがわかる。
試料No.2から試料No.6までは実施例であり、予備電解においてもパラジウムの消耗が殆ど見られず、長期間の安定運転が期待できる。
試料No.7と8は対比例であり、合金組成中でパラジウムが多いために、少なくとも一部のパラジウムが安定化されず、その部分に早い段階から消耗が現れてしまい、安定性が不十分である可能性が見いだされた。
試料No.9は合金層がパラジウム単味であり、予想通り初期にパラジウムが大きく消耗してしまい、実用には耐えられないであろうことが予想された。
基材として厚さ1mmのJIS 1種純チタン板を用い、その表面に電極コーティングを作製した。前処理としてスチールグリットによってブラスト処理を行い粗面化を行った後に100℃、20%塩酸でエッチングを行った。 合金コーティング液として、ジニトロジアンミン白金とジニトロジアンミンパラジウムを金属モル比で白金70%、パラジウム30%の割合に混合して体積比でイソプロパノールアミン20、純水80の混合液に溶解した後にイソプロプルアルコールで希釈して作製した。此をコーティング液1とした。
酸化物用のコーティング液、コーティング液2として、塩化ルテニウムと塩化第一スズ及びn-チタンブトキシドをn-ブタノールと10質量パーセント塩酸水溶液を体積比1:1液に溶解して得た。なお、ルテニウム、スズ及びチタンの組成はモル比でルテニウム(Ru):スズ(Sn):チタン(Ti)=20:15:65 とした。
チタン基材上にこれらのコーティング液を使用して電極を作製した。先ず酸化物用コーティング液2を塗布し、120℃で5分間乾燥後、空気を流通させたマッフル炉で、460℃で10分間熱分解を行った。この操作を二回繰り返した。 その後白金パラジウム合金用コーティング液1を酸化物コーティング表面に塗布し、50℃で5分間乾燥した後、携帯用ガスバーナーの火炎で加熱熱分解を行った。ガスバーナー処理条件はほぼ実施例1と同じであった。このようにして合金被覆を行った後に、酸化物を形成するコーティングを2回行うと共に合金コーティングを1回行った。この酸化物コーティング2回合金コーティング1回の組あわせを繰り返して所定の電極を作製した。X線回折で表面の状態を確認したところ、白金パラジウム合金回折線(白金回折線と同じでわずかに回折角がずれている回折線)とルチル型酸化物の回折線が認められ、酸化物と金属合金とからなるコーティングである事を確認した。
この様にして作製した電極と対比用として合金コーティングを含まず、酸化物のみのコーティングを行った電極を作製した。これらの電極を陽極として、3%食塩水中で電解を行い生成する次亜塩素酸ナトリウムの分析を行った。なお予備
Figure 2024072226000005
2A/cm2の電流密度で1200時間行った。これらの電極を陽極として同じ大きさのチタン板を陰極とし、極間距離を10mmとして固定して15℃に保持した30g-NaCl/
Figure 2024072226000006
素酸ナトリウムが飽和して濃度変化がなくなるまで電解を行った。 これによって、本願発明の白金パラジウム合金を含む陽極では12500~13000ppmの次亜塩素酸ナトリウム濃度が得られたのに対し、酸化物層のみの場合は9500ppm であり明らかに白金パラジウム合金が有効に働いていることがわかった。
本発明の電解用電極は特にイオン交換膜法食塩電解用の陽極として、従来から電解中の電極消耗が極めて小さく、それ故電極寿命が極めて長い、従って広く使用されているイリジウム、ルテニウム、チタン酸化物陽極で従来問題であった、電解電位が高い事、又電極反応の選択性、つまり発生する反応ガス中の酸素の問題を解決し、極めて小さい電極消耗速度を保持しながら、非常に低い電解電位で、しかも極めて低い発生塩素中の酸素特性が可能となった。
更に本発明による電解電極は陽極として同じ塩素発生を主としながらも電解方法、条件が異なる海水電解や希薄塩水電解用の陽極としても極めて優れた電気分解の特性を有すると共に十分に長寿命有することが確認され、極めて優れた電極を得ることが出来た。

Claims (8)

  1. チタン又はチタン合金を基材として、その表面に白金とパラジウムからなる金属合金の被覆とルテニウム及び/又はイリジウム及びチタン及び/又はスズからなる酸化物の被覆を交互に被覆、積層した主として塩素発生用に使用する電解用陽極。
  2. 前記白金とパラジウムの合金は白金塩とパラジウム塩と更に有機還元物質を含むアルコール液を塗布し、火炎により熱分解を行って形成した金属合金である事を特徴とする請求項1の電解用陽極。
  3. 前記白金とパラジウムの合金は、その組成がモル比で白金が50から90%であり、残部がパラジウムであることを特徴とする請求項1又は2の電解用陽極。
  4. 前記酸化物はルテニウム塩及び/又はイリジウム塩とチタン塩及び/又はスズ塩を溶媒に溶解したコーティング液を塗布し、流通空気中で熱分解によって形成した複合酸化物であることを特徴とする請求項1から3のいずれかの電解用陽極。
  5. 前記合金の形成と前記酸化物の形成を交互に行う事によってコーティング層内に前記合金と前記酸化物が混合したコーティング層となっていることを特徴とする請求項1から4のいずれかの電解用陽極。
  6. 前記酸化物がイリジウムとルテニウム及びチタンからなる複合酸化物であり、イリジウムが0から30モル%、ルテニウムが20から40モル%からなり、残部がチタンである事を特徴とする請求項1,3,並びに4のいずれかに記載の電解用陽極。
  7. 前記酸化物がイリジウムとルテニウム並びにスズからなる複合酸化物であり、イリジウムが5から30モル%、ルテニウムが20から50モル%、並びに残部がスズ(Sn)からなる複合3酸化物である事を特徴とする請求項1,3,並びに4のいずれかに記載の電解用陽極。
  8. あらかじめ前処理にて表面を粗面化すると共にエッチング処理によって活性化したチタン又はチタン合金基材表面に(1)白金塩とパラジウム塩及び有機還元剤を含むアルコール溶液を塗布し、火炎によって熱分解する事によって白金とパラジウムからなる合金層を形成した後、該合金層表面に(2)ルテニウム及び/又はイリジウム金属塩とチタン及び/又はスズ塩を溶媒に溶解した塗布液を塗布し、流通空気中で加熱による熱分解を行い酸化物を形成する、並びに(1)および(2)を繰り返す事によって所定の厚みの被覆を形成する事を特徴とする電解用電極の製造方法。
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