JP2024070419A - 全固体電池の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 全固体電池の製造において、ガーネット型固体電解質を良好な特性を示す界面を通じて、他の電池部材と接合する。
【解決手段】 正負極層と固体電解質層を備える全固体電池において、固体電解質の少なくとも一種類がガーネット型構造を有する固体電解質であり、全固体電池を製造する過程において、ガーネット型構造を有する固体電解質を他の電池部材と接合する以前の段階において、水酸化リチウム水溶液に浸漬する。さらに好ましくは、水酸化リチウムへの浸漬過程以前の段階において、乾燥雰囲気下において600℃以上の温度で加熱する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、電解質に固体電解質、特にガーネット型固体電解質を使用した全固体電池の製造方法に関する。
固体電解質を使用する電池の全固体化は、固体電解質中に副反応を引き起こす反応種の拡散が起こらないために、電池を長寿命化することができるのみならず、リチウムイオン電池の全固体化は、可燃性物質である有機溶媒電解質が不燃性物質となることから、電池の安全性を大幅に向上させることができるものと期待されている。
リチウムイオン電池を全固体化する固体電解質としては、硫化物系材料の検討が精力的に続けられ、硫化物系固体電解質を採用する全固体電池は、車載用電池としての実用化を目指す性能を達成している。しかしながら、硫化物系固体電解質は大気中の水分とも反応する物質であり、湿度等を厳密に管理した特殊な環境下でしか扱うことができない。それに対して、酸化物系固体電解質は硫化物系材料に比べてはるかに安定であり、酸化物系固体電解質を採用することで全固体電池の汎用性を高めることができるものと期待されている。特に、LiLaZr12などの組成を有するガーネット型構造の固体電解質は、10-3Scm-1前後の高いイオン伝導度を示すのに加え、NASICON型LiTi(POやペロブスカイト型Li3xLa1-xTiOが耐還元性に乏しく、定電位負極と組み合わせることができないのに対して、金属リチウムに対しても安定であり、全固体電池用の電解質として好適なものと目されている。
このようにガーネット型固体電解質は、高いイオン伝導性と広い電位窓を有するものの、電極活物質などの固体電池構成材料との接合界面で大きな抵抗成分を示し、この固体電解質を採用する全固体電池は内部抵抗の高いものとなってしまうという課題を有していた。この界面抵抗は、大気中の水分や二酸化炭素によりガーネット型固体電解質表面に形成する炭酸リチウムを主成分とする表面層によるものであると考えられており、界面抵抗を低減し、内部抵抗の低い全固体電池を作製するためには、この炭酸リチウムを除去する必要があるとされている。
固体電解質表面に生成する炭酸リチウムを除去する方法としては、機械的な研磨を施すことに加え、非特許文献1に開示されるようなガーネット型固体電解質を炭素材料と接触させ、700℃で加熱する方法、非特許文献2に開示されるようなガーネット型固体電解質を塩酸に浸漬する方法が開示されている。
Yutao Liら,J.Am.Chem.Soc.,140,6448-6455(2018) Yixuan Guoら,Appl.Energy Mater.,5,2853-2861(2022)
上記の先行技術によると、ガーネット型固体電解質と電極活物質との電池材料との接合界面に大きな抵抗成分をもたらす炭酸リチウム層を除去することができるが、その効果は十分ではないという課題が残されている。
物理研磨により炭酸リチウム層を除去した場合には、電解質表面に物理研磨による残留応力や加工変質が生じ、固体電解質の結晶性の低下から、電極抵抗の増加、ひいては電極性能の低下を引き起こす。また、ガーネット型固体電解質を炭素材料と接触させ、700℃で加熱する方法においては熱処理過程が必要となるうえ、熱処理後の固体電解質表面に炭素材料が残留する懸念が残される。さらに、塩酸に浸漬することで炭酸リチウム層を除去する方法においては、ガーネット型固体電解質と塩酸の間でリチウムイオンとプロトンのイオン交換が生じ、固体電解質がプロトン化することで接合した電極が良好な特性を示さないという課題が生じる。
本発明はこれらの課題を解決し、ガーネット型固体電解質を電極材料等の電池材料と低抵抗界面を通じて接合させ、良好な電極特性を示す全固体電池を提供するとともに、ガーネット型固体電解質を使用する全固体電池において金属リチウム負極を実現することを目的とする。
正負極層と固体電解質層を備える全固体電池において、固体電解質の少なくとも一種類がガーネット型構造を有する固体電解質であり、全固体電池を製造する過程において、ガーネット型構造を有する固体電解質を他の電池部材と接合する以前の段階において、水酸化リチウム水溶液に浸漬する。
さらに、水酸化リチウムへの浸漬過程以前の段階において、乾燥雰囲気下において600℃以上の温度で加熱する。
また、前記負極層として金属リチウムを用いる。
また、ガーネット型構造を有する固体電解質として、リチウム、ランタン、ジルコニウムを含み、さらにアルミニウム、ニオブ、タンタル、ビスマスより選ばれる少なくとも一種の元素を含む酸化物を用いる。
また、前記正極層に含まれる正極活物質としては、リチウムを含有する遷移金属酸化物を用いる。
本発明は、ガーネット型固体電解質からなる固体電解質層を備える全固体電池において、水酸化リチウム水溶液に固体電解質を浸漬することで、電極活物質等の電池材料との接合界面の抵抗を低減可能であることを見出したことに基づく。
本発明によると、物理研磨により生じる表面層を生成しない化学的処理が好ましい。
炭酸リチウムを除去する際に物理研磨を採用した場合には加工変質層が生じるが、水酸化リチウム水溶液との化学的処理とすることでこのような加工変質層を生成することなく炭酸リチウム層を除去することが可能となる。
また、化学処理に塩酸などの酸を使用した際には固体電解質中のリチウムイオンと酸中のプロトンがイオン交換し、固体電解質がプロトン化するが、プロトン濃度の低い塩基性の水溶液を化学処理に使用することでこのプロトン化の問題を回避することができる。さらに、この水溶液を水酸化リチウム水溶液とすることで、化学処理における溶液中のカチオンと固体電解質中のリチウムイオンの交換反応が生じることを防ぐことも可能である。
このようなガーネット型固体電解質のプロトン化は、酸への浸漬のみならず、大気中の水分によっても生じ、その際には水酸化リチウムが反応生成物として生成され、さらにこの水酸化リチウムが大気中の二酸化炭素と反応することで前述の炭酸リチウム層を形成する。そのため、炭酸リチウム層が生成したガーネット型固体電解質は、同時にプロトン化している。そのため、良好な特性を示す固体電解質とするためには、このプロトンを取り除くとともに、失われたリチウムを補給する必要がある。炭酸リチウム層や水酸化リチウム層が生成したガーネット型固体電解質を乾燥雰囲気、例えば酸素雰囲気下で加熱すると生成した水酸化リチウムや炭酸リチウムとプロトン化した固体電解質が反応し、これらリチウム化合物中のリチウムと固体電解質のプロトンが交換するとともに、水酸化物イオンや炭酸イオンが水や二酸化炭素として脱離する。一方で、ガーネット型固体電解質は、合成や焼結の高温プロセスにおいて蒸発するリチウムを補うために、化学量論比に対してリチウム過剰で合成することが一般的である。したがって、上記加熱過程において固体電解質中のプロトンとリチウム化合物中のリチウムが交換したのちも過剰なリチウムがリチウム化合物として残存することになる。水酸化リチウム水溶液への浸漬により、炭酸リチウムなどとして残存するこのリチウム化合物を除去することができ、ガーネット型固体電解質は良好な特性を示すようになることから、水酸化リチウム水溶液への浸漬は、乾燥雰囲気下、例えば酸素雰囲気下で加熱する過程と併用することが好ましい。
また本発明の効果は、ガーネット型固体電解質を用いた全固体電池が金属リチウム負極を備えるときに特に大きい。
電池の全固体化は、電池の長寿命化や安全性の向上に加え、金属リチウム負極の実現につながるものと期待されている。金属リチウムは低い電極電位と高い理論容量密度を持ち、電池を高エネルギー化するための究極の負極材料と考えられている。金属リチウム負極の充電反応は、電解質中のリチウムイオンが還元され、金属リチウムとして負極表面に析出する反応であるが、析出した金属リチウムが樹枝状の形態で成長するため、高容量の充放電を行うと、充電時に成長した樹枝状の金属リチウムが正極と接触し、電池に蓄えられたエネルギーがこの内部短絡により熱として放出され、電池温度の上昇、ひいては熱暴走、電池の発火を引き起こすことがある。
この問題は、液体の電解質を多孔性の高分子フィルムに含侵したセパレータ層を金属リチウムが樹枝状に成長することから生じる。セパレータ層を緻密なセラミックである固体電解質層とすることでこの課題を解決することができると考えられており、金属リチウムに対しても安定であるガーネット型固体電解質を用いた研究が進められている。しかしながら、ガーネット型固体電解質の焼結体をセパレータ層として使用した際にも短絡現象を防ぐことは困難であった。
ガーネット型固体電解質と金属リチウム負極を組み合わせた場合に樹枝状成長により内部短絡が生じる主な原因は、固体電解質層中に存在する粒界や空隙が内部短絡を引き起こす貫通孔として作用することによると考えられている。それに対して本発明では、固体電解質表面に形成される炭酸リチウム層がこの内部短絡現象に密接にかかわっていることを見出した。すなわち、固体電解質表面において炭酸リチウム層が生成した部分ではイオン伝導が阻害され、充電反応時には炭酸リチウムが生成していない部分に電流集中が起こり、樹枝状成長の限界電流密度を超えることが内部短絡現象を引き起こすことを明らかにした。
本発明により炭酸リチウムを除去した表面ではこのような電流集中が起こらず、充電時に金属リチウムが樹枝状に成長しなくなるために、金属リチウム負極を採用した場合においても内部短絡の生じにくい全固体電池とすることができる。
また、本発明は電極活物質がリチウムを含有する遷移金属酸化物である際に特に有効である。リチウムイオンを伝導種とする固体電解質と組み合わせて全固体電池を構成することのできる正極活物質としては、LiCoOやLiNiO、LiMnなどのリチウムと一種類の遷移金属元素を含有する酸化物、LiNi1-xCoやLiNi1-x-yMnCoなどの二元系や三元系と呼ばれるリチウム遷移金属酸化物、一方の負極活物質としてはLiTi12などのリチウム含有遷移金属酸化物などがあげられる。一方で、全固体電池の正極活物質してはMnOやV、負極活物質としてはNbなどのリチウムを含有しない遷移金属酸化物を使用することも可能である。本発明は、例えばこれら正極活物質を採用する全固体電池において金属リチウム負極を接合する際に、正極層と固体電解質層を一体焼結した半電池を水酸化リチウム水溶液に浸漬するものであるが、正極活物質がMnOやVなどのリチウムを含有しない遷移金属酸化物の場合、水酸化リチウム水溶液に浸漬中にこれら正極活物質が溶出し、電池性能がかえって低下する。したがって本発明は、電極活物質として、水酸化リチウム水溶液に対して不溶なリチウム含有遷移金属酸化物を使用する全固体電池に対して特に有効である。
本発明における全固体電池の製造方法の概念図である。 本発明におけるガーネット型固体電解質焼結体の微小角入射X線回折パターンである。 本発明におけるガーネット型固体電解質焼結体の耐短絡特性を示した図である。 本発明におけるガーネット型固体電解質焼結体の耐短絡特性を示した図である。 本発明におけるガーネット型固体電解質焼結体上に非晶質リン酸リチウムを積層した試料の交流インピーダンス測定結果を示した図である。 図5の拡大図である。
図1は、本発明による全固体電池の製造方法の一例を概念的に示したものである。本製造法においては、ガーネット型固体電解質粉末をコールドプレス法による加圧成型体1とし、工程1においてはガーネット型固体電解質と正極活物質との混合物である正極層2をコールドプレス法により圧接したのちに一体焼結し、正極層2と固体電解質層3が積層した半電池とする。そののちに工程2において、負極層4を圧接することで全固体電池を製造する。
本発明はガーネット型構造を有する固体電解質を他の電池部材と接合する以前の段階において、水酸化リチウム水溶液に浸漬することを特徴としており、例えば図1の工程2において、負極層を圧接する直前に半電池を水酸化リチウム水溶液に浸漬する。さらに好ましくは、この工程2における水酸化リチウムへの浸漬過程以前の段階において、乾燥雰囲気下、例えば酸素雰囲気下において、600℃以上の温度で加熱する。
本発明は、ガーネット型固体電解質と接合する電池部材が金属リチウム負極であるときに極めて有効であり、図1で示した負極層4としては金属リチウムが用いられるが、本発明の効果はガーネット型固体電解質と接合する電池部材が金属リチウム負極に限られるものではない。ガーネット型固体電解質と接合する負極層にはリチウムと合金を形成する金属を使用してもよく、このような材料としてはシリコン、インジウム、鉛、銀、金、ビスマスなどを使用することが可能である。さらに本発明は、ガーネット型固体電解質と接合する電池部材が負極層に限られるものでもなく、接合する電池部材が正極層、あるいは第2の固体電解質層であっても同様の効果を発揮する。
また、本発明におけるガーネット型構造を有する固体電解質には特に制限はないが、リチウム、ランタン、ジルコニウムを含み、さらにアルミニウム、ニオブ、タンタル、ビスマスより選ばれる少なくとも一種の元素を含む酸化物が高いイオン伝導性を示し、作製された全固体電池が高い性能を示すことから特に好ましく用いられる。
また、図1ではガーネット型固体電解質よりなる固体電解質層に負極層を接合した積層構造のものを示したが、本発明は粉末状態のガーネット型固体電解質とほかの電池部材の混合体において両者を接合する、いわゆる複合体においても同様の効果を発揮する。具体的には電極活物質粉末にガーネット型固体電解質粉末を混合し、電極反応の場である両者の接合界面の面積を増大させた複合電極、ガーネット型固体電解質粉末と異種の固体電解質粉末の混合体である複合固体電解質においても、複合体中における界面のイオン伝導性を良好とする効果を有する。複合電極に用いられる活物質としては、本明細書に記載の正極活物質や負極活物質などを用いることができる。また、複合固体電解質に用いられる異種の固体電解質としては、Li3.5Ge0.50.5などの酸化物系固体電解質、Li10GeP12などの硫化物系固体電解質やLiYClなどのハロゲン化物などを使用することができる。例えば、Li3.5Ge0.50.5を用いた複合固体電解質とした場合は、この固体電解質が比較的低温でも高い焼結性を示すことから、低温焼結においてガーネット型固体電解質粒子間のイオン伝導を良好なものとすることができる。またLi10GeP12などの硫化物系固体電解質は、高い性能を有する全固体電池を作製することのできる固体電解質として知られているが、電池の破損時にはこの固体電解質が大気中の水分と反応し、有害な硫化水素を発生する。このような固体電解質をガーネット型固体電解質と複合化することにより、全固体電池に使用する硫化物系固体電解質の量を減らすことができ、電池破損時の硫化水素の発生量を低減することができる。
以下の実施例においては、ガーネット型固体電解質と金属リチウム負極、ならびにガーネット型固体電解質と異種のイオン伝導体であるリン酸リチウムのモデル的な界面を形成し、本発明の効果を調べた。
[実施例1]
本実施例においては、水酸化リチウム水溶液への浸漬による金属リチウム負極との界面抵抗低減効果を調べた。
ガーネット型固体電解質としては、Li6.5LaZr1.5Ta0.512の組成を持つ市販の固体電解質焼結体を用いた。この焼結体表面を400番の研磨紙で研磨したもの、焼結体を0.08Mの水酸化リチウム水溶液に12時間浸漬したもの、さらに表面研磨を行った後の焼結体を水酸化リチウム水溶液に浸漬したものを作製し、以下の方法で本発明の効果を調べた。
図2に微小角入射X線回折法により調べた固体電解質焼結体表面の分析結果を示す。図1に示したように未処理の焼結体からの回折パターンには炭酸リチウムに帰属される回折線が認められ、焼結体表面が炭酸リチウムで覆われていることがわかる。一方、研磨処理を行った焼結体、水酸化リチウム水溶液への浸漬処理を行った焼結体からの回折パターンにはこのような回折線は認められず、これらの処理により焼結体表面を覆っていた炭酸リチウムが除去されていることがわかる。
次にこれら固体電解質焼結体を金属リチウム電極と接合し、充放電にともなう樹枝状成長による内部短絡の有無を調べた。これらの固体電解質焼結体の両面に加熱蒸着法により金属リチウム電極を堆積し、試験セルとした。金属リチウム電極から引き出したリード線を電源に接続し、試験セルに流す電流を増加させた際に金属リチウムの樹枝状成長により内部短絡にいたる様子を観察した。
図3は、毎分0.1mAcm-2の速度で通電電流密度を増加させた際のセル電圧の変化を示した図である。400番の研磨紙で物理研磨した固体電解質焼結体では通電電流密度が1.6mAhcm-2に達した際にセル電圧の急激な低下が生じており、金属リチウムの樹枝状成長による内部短絡が発生していることがわかる。それに対して、物理研磨後に水酸化リチウム水溶液に浸漬した焼結体ではこのようなセル電圧の低下が起こらず、内部短絡が生じない固体電解質焼結体となっていることがわかる。
[実施例2]
実施例1において、水酸化リチウム水溶液に浸漬した固体電解質焼結体では、内部短絡によるセル電圧の低下が認められず、代わりに通電電流密度が1.6mAcm-2に達した際にはセル電圧の急激な上昇が観測された。このセル電圧の上昇は、酸化側の金属リチウム電極がすべて消費されたことによる。本実施例は、通電電流密度の増加速度を速めることでこの金属リチウムの消費を抑制し、さらに高電流密度での耐短絡性を調べた。また同時に、酸素雰囲気下で650℃の加熱処理を施し、乾燥雰囲気下における加熱処理の効果も調べた。
ガーネット型固体電解質焼結体を酸素雰囲気下で650℃の加熱処理を行った後に水酸化リチウム水溶液に浸漬したもの、1500番の研磨紙により物理研磨を行った後に熱処理、水酸化リチウム水溶液への浸漬を行ったもの、4000番の研磨紙により物理研磨を行った後に熱処理、水酸化リチウム水溶液への浸漬を行ったものを作製し、実施例1と同様の方法で耐短絡性を調べた。なお、4000番の研磨紙により物理研磨を行った後に熱処理、水酸化リチウム水溶液への浸漬を行ったものについては、通電電流密度の増加速度を毎分1mAcm-2とした。
図4は、本実施例における短絡試験の結果である。通電電流密度の増加速度を毎分0.1mAcm-2としたものについては、実施例1と同様に通電電流密度が1.6mAcm-2に達した付近でセル電圧の急激な上昇が認められ、酸化側の金属リチウム電極がすべて消費されるまで、内部短絡が生じていないことがわかる。一方、通電電流密度の増加速度を毎分1mAcm-2とした、4000番の研磨紙による物理研磨と熱処理、水酸化リチウム水溶液への浸漬を行ったものについては、酸化側の金属リチウム電極の消費が抑制されることからより高い通電電流密度までの測定が可能となっており、通電電流密度が6.2mAcm-2に達したあたりにおいて酸化側の金属リチウムの枯渇によるセル電圧の上昇が観測され、金属リチウムの樹枝状成長による内部短絡はやはり観測されなかった。
以上のように、本発明による固体電解質焼結体においては金属リチウムの樹枝状成長による内部短絡が生じにくく、本発明によると金属リチウム負極を採用する全固体電池を構成可能であることがわかる。
[実施例3]
実施例1ならびに2で示した金属リチウムと固体電解質の界面で生じる電気化学反応過程は金属リチウムのイオン化ならびにリチウムイオンからの金属リチウム析出反応である。それに対して、LiCoOなどの正極活物質、負極活物質でも黒鉛材料などは電子とイオンが伝導する電子-イオン混合導電体であり、電極反応は電解質中のリチウムイオンが電極活物質の結晶格子中に出入りする反応である。本実施例においては、このようなイオン伝導体との接合界面における本発明の効果を明らかにするために、リチウムイオンを伝導種とするイオン伝導体である非晶質リン酸リチウム(LiPO)とガーネット型固体電解質界面における効果を調べた。
ガーネット型固体電解質焼結体には、実施例1で用いたものと同じ市販の焼結体を用いた。この固体電解質焼結体表面を物理研磨したもの、さらに物理研磨ののちに酸素雰囲気下で650℃の熱処理を施し、さらに水酸化リチウム水溶液に浸漬したものを作製した。これらの処理を行った固体電解質焼結体、ならびにいずれも処理も行わなかった固体電解質の表面にスパッタ法によりリン酸リチウム層を室温で堆積することで、ガーネット型固体電解質焼結体上に非晶質リン酸リチウムの層を形成した。このようにして接合したガーネット型固体電解質と非晶質リン酸リチウムの界面におけるイオン伝導性は、非晶質リン酸リチウム層を形成した固体電解質焼結体の両面に、加熱蒸着法により金属リチウム層を電極として形成した試料を作製し、交流インピーダンス法により評価した。
図5ならびに6は、交流インピーダンス法により求めたナイキスト図である。未処理の固体電解質焼結体と非晶質リン酸リチウム層を積層した試料は極めて高抵抗であり、この方法では複素インピーダンスを測定することができなかった。
それに対してほかの試料については複素インピーダンスを測定することが可能で、物理研磨のみの試料から得られた複素インピーダンスには、2つの半円弧が観測された。図には、固体電解質焼結体に金属リチウム電極を形成した試料に対して同様の測定を行った結果も示しているが、固体電解質焼結体と非晶質リン酸リチウム層を積層した試料の複素インピーダンスの高周波側の実軸切片はこの非晶質リン酸リチウム層を形成していない試料が示すインピーダンスにほぼ等しく、この実軸切片は積層体試料におけるガーネット型固体電解質焼結体の抵抗であることがわかる。また、この積層体資料の複素インピーダンスにおいて高周波側に現れる半円弧の直径は、スパッタ法で形成された非晶質リン酸リチウムのイオン伝導度と非晶質リン酸リチウム層の面積と厚さから算出される抵抗値に近い値である。したがって、この高周波側の半円弧が非晶質リン酸リチウム層からの応答、低周波側に現れる大きな半円弧をガーネット型固体電解質焼結体と非晶質リン酸リチウム層の界面抵抗に帰属することができ、後者の抵抗は1300Ωcmであった。
物理研磨ののちに650℃の酸素雰囲気下で熱処理を施し、そののちに水酸化リチウムに浸漬した固体電解質焼結体を用いた試料から得られた複素インピーダンスもこの帰属にしたがって解析したところ、前者における固体電解質焼結体と非晶質リン酸リチウム層の界面の抵抗率は900Ωcm、後者の界面抵抗は130Ωcmであった。以上のように、本発明によるとガーネット型固体電解質とイオン伝導性を示す電極活物質などの電池材料を接合した際の界面抵抗を低減可能であることがわかる。
本発明の全固体電池の製造方法を用いれば、全固体電池の内部抵抗の低減、金属リチウム負極採用時の内部短絡の抑制が期待され、ガーネット型構造を有する固体電解質を利用する固体電池の分野において広く利用される。
1 加圧成型体
2 正極層
3 固体電解質層
4 負極層

Claims (5)

  1. 正負極層と固体電解質層を備える全固体電池において、固体電解質の少なくとも一種類がガーネット型構造を有する固体電解質であり、全固体電池を製造する過程において、ガーネット型構造を有する固体電解質を他の電池部材と接合する以前の段階において、水酸化リチウム水溶液に浸漬することを特徴とする全固体電池の製造方法。
  2. 請求項1記載の水酸化リチウムへの浸漬過程以前の段階において、乾燥雰囲気下において600℃以上の温度で加熱することを特徴とする請求項1記載の全固体電池の製造方法。
  3. 請求項1記載の他の電池部材が、金属リチウム負極であることを特徴とする請求項1あるいは2記載の全固体電池の製造方法。
  4. 請求項1記載のガーネット型構造を有する固体電解質が、リチウム、ランタン、ジルコニウムを含み、さらにアルミニウム、ニオブ、タンタル、ビスマスより選ばれる少なくとも一種の元素を含む酸化物であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の全固体電池の製造方法。
  5. 請求項1記載の正極層あるいは負極層に含まれる電極活物質がリチウムを含有する遷移金属酸化物であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の全固体電池の製造方法。
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