JP2024067079A - 廃棄物処理方法及び廃棄物処理プラント - Google Patents

廃棄物処理方法及び廃棄物処理プラント Download PDF

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Abstract

【課題】廃棄物由来の塩素の濃度の低減化を可能とすること。【解決手段】廃棄物処理方法は、廃棄物1を好気発酵し乾燥させて発酵乾燥物20とする発酵乾燥工程(ステップS10)と、発酵乾燥物20から選別され、廃棄物1を好気発酵する際に廃棄物1に混合する発酵補助材3として使用される発酵乾燥細粒物23を脱塩処理する脱塩工程(ステップS30)とを具備する。【選択図】図1

Description

本発明は、家庭、レストラン、料亭、ホテル、スーパーマーケット等で発生する生ごみ、紙、プラスチック等が混在した廃棄物を、例えば、固形燃料(RDF)等として再資源化するために好気性発酵乾燥処理する廃棄物処理方法及び廃棄物処理プラントに関するもので、特に、廃棄物由来の塩素の濃度を低減して、低塩素濃度の固形燃料(RDF)等の再資源化物を提供できる廃棄物処理方法及び廃棄物処理プラントに関するものである。
家庭や、レストラン、料亭、ホテル、スーパーマーケット等の飲食物提供を行なう産業や、学校や、その他の事業所から排出される、生野菜、果実、肉類等の生ごみ類、紙類、布類、小型プラスチック等を含む一般ごみ、生活ごみ等の可燃ごみ(燃やせるごみ)の多くは、自治体により指定された方法で数種類に分別収集され、焼却処分場において焼却処分されている。
しかし、近年では、環境負荷の観点から生ごみ等の有機性廃棄物を含む一般廃棄物を資源として再利用することにより少しでも焼却量を減少させる努力がなされ、焼却処理からサーマルリサイクル、ケミカルリサイクル、マテリアルリサイクル等への試みが積極的に行われている。例えば、特許文献1や特許文献2に示すように、生ごみ等の有機性廃棄物を好気的な環境下で発酵乾燥させて、有機肥料の原料や、固形燃料(Refuse Derived Fuel:RDF)の原料として再資源化する方法が知られている。
特許6567741号公報 特開2015ー020110号公報
ところが、こうした生ごみ等を含む可燃ごみである一般廃棄物を好気発酵乾燥させ、その発酵乾燥物を固形燃料化して製造する固形燃料(RDF)においては、生ごみ等の一般廃棄物由来の塩分が混入している。このため、ボイラー等の燃焼設備への腐食の影響が懸念されており、固形燃料(RDF)の燃焼設備の維持管理のためにも、更に、汎用性の高い燃料として利用するためにも、固形燃料(RDF)の塩素濃度の低減化が望まれている。
即ち、可燃の一般廃棄物から製造された固形燃料RDFは、食品ラップのような高塩素濃度含有プラスチックや生ごみ由来の塩等の無機塩化物により塩素濃度が高くなり、その利用先は、高塩素対応型の燃焼ボイラー設置者や固形燃料RPF(Refuse Paper & Plastic Fuel)のような大量の低塩素固形燃料で希釈できる大規模な製紙会社工場、セメント工場等に限定されている。
そこで、固形燃料(RDF)の塩素濃度を低減できれば、高度な排ガス処理設備を付帯していない小規模のボイラー等の燃焼設備での利用も可能となり、固形燃料(RDF)の普及、活用を広げることができ、近隣に発電装置(廃棄物発電)を備えたごみ焼却施設を持たない地域でも、固形燃料(RDF)の消費が可能となり、廃棄物プラントの普及にも繋がる。
ここで、従来、固形燃料(RDF)の塩素濃度の低減化のために、一般廃棄物を固形燃料(RDF)の製造原料として使用する際には、一般廃棄物を乾燥後に塩化ビニルを選別除去することも試みられている。しかしながら、こうした塩化ビニル除去装置は、塩化ビニル固有の近赤外線吸収スペクトルを検知して塩化ビニルを空気圧送で系外へ排出する装置であり、光学系装置であることにより、そのスペクトルは、検知対象物の色、形状、大きさや、周囲環境の様々な不純物・汚染物質(埃、塵等)や、外的要因(振動、温度)等の影響を受けやすいものである。このため、塩化ビニルの除去性能、除去精度、除去率にも限度があり、それのみでは固形燃料(RDF)の製造原料の塩素濃度を十分に低減することが困難である。
そこで、本発明は、廃棄物由来の塩素の濃度の低減化を可能とする廃棄物処理方法及び廃棄物処理プラントの提供を課題とするものである。
請求項1の発明の廃棄物処理方法は、発酵乾燥工程にて廃棄物を好気発酵し乾燥させて発酵乾燥物とし、脱塩工程にて前記発酵乾燥物から選別され、前記廃棄物を好気発酵する際に前記廃棄物に混合する発酵補助材として使用される選別発酵乾燥物を脱塩処理するものである。
上記発酵乾燥工程は、例えば、外部からの空気の導入及び外部への空気の排出を可能とし負圧に制御して臭気の漏れを防止した気密構造のハウジング内において、廃棄物を好気発酵し、その発酵熱で水分除去して乾燥させるものである。好ましくは、廃棄物に空気を供給する送風によって廃棄物の好気発酵及び乾燥の進行を促進する。また、発酵中に廃棄物に散水することで均一な好気発酵を促進する。特に、この発酵乾燥工程では、脱塩処理した発酵乾燥物の一部、即ち、発酵乾燥物から選別され、脱塩した選別発酵乾燥物を発酵補助剤として廃棄物と混合し、廃棄物を効率的に好気発酵及び乾燥させる。
上記脱塩工程は、廃棄物由来の塩類を除去するものであり、発酵乾燥物から選別され、廃棄物を好気発酵する際に廃棄物に混合する発酵補助材として使用される選別発酵乾燥物を、例えば、水洗処理する脱塩処理により、廃棄物由来の生ゴミ(食品残渣)等に含まれる塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カルシウム(CaCl2)、塩化マグネシウム(MgCl2)等の無機塩化物の塩類を水に溶解させて除去する。
なお、上記廃棄物とは、家庭や事業所で排出された生ごみや紙屑等の燃やせるごみである家庭系一般廃棄物や、事務系廃棄物や、産業廃棄物としての食品廃棄物、動食物性残渣等の有機性廃棄物を含むものである。
請求項2の発明の廃棄物処理方法の前記脱塩処理は、前記発酵補助材として使用される選別発酵乾燥物を水洗処理により廃棄物由来の塩化ナトリム等の無機塩化物の塩類を水に溶解させて脱塩するものである。
上記水洗処理は、廃棄物由来の塩化ナトリム等の無機塩化物の水溶性塩分(可溶性塩分)を溶出させる処理であればよく、例えば、発酵補助材として使用される選別発酵乾燥物に対し散水処理、水の噴霧処理、水蒸気処理することにより、または、水槽に発酵補助材を入れて攪拌やバブリング等する浸漬処理等により行われる。
請求項3の発明の廃棄物処理方法は、発酵乾燥工程にて廃棄物を好気発酵し乾燥させて発酵乾燥物とし、脱塩工程にて前記発酵乾燥物から選別され、固形燃料の原料となる選別発酵乾燥物を脱塩処理するものである。
上記発酵乾燥工程は、例えば、外部からの空気の導入及び外部への空気の排出を可能とし負圧に制御して臭気の漏れを防止した気密構造のハウジング内において、廃棄物を好気発酵し、その発酵熱で水分除去して乾燥させるものである。好ましくは、廃棄物に空気を供給する送風によって廃棄物の好気発酵及び乾燥の進行を促進する。また、好ましくは、発酵中に廃棄物に散水することで均一な好気発酵を促進する。更に、好ましくは、発酵乾燥物の一部を発酵補助剤として廃棄物と混合し、より好ましくは、脱塩処理した発酵補助材を廃棄物と混合し、廃棄物を効率的に好気発酵及び乾燥させる。
上記脱塩工程は、廃棄物由来の塩類を除去するものであり、発酵乾燥物から選別され、固形燃料原料となる選別発酵乾燥物を、例えば、水洗処理する脱塩処理により、廃棄物の生ゴミ(食品残渣)等に含まれる塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カルシウム(CaCl2)、塩化マグネシウム(MgCl2)等の無機塩化物の塩類を水に溶解させて除去してもよいし、所定温度の加熱処理により、廃棄物の食品ラップ、錠剤の包装シート等に含有している塩化ビニリデン(PVDC)、塩化ビニル(PVC)等の有機塩素化合物の塩類を熱分解させて除去してもよいし、それら両者を行っても良い。
請求項4の発明の廃棄物処理方法の前記脱塩処理は、前記固形燃料原料とする選別発酵乾燥物の水洗処理により廃棄物由来の塩化ナトリム等の無機塩化物の塩類を水に溶解させて脱塩し、また、250℃以上、300℃以下の加熱処理により塩化ビニリデン、塩化ビニル等の有機塩素化合物の塩類を熱分解して脱塩するものである。
上記水洗処理は、廃棄物由来の塩化ナトリム等の無機塩化物の水溶性塩分(可溶性塩分)を溶出させる処理であればよく、例えば、固形燃料原料となる選別発酵乾燥物に対し散水処理、水の噴霧処理、水蒸気処理することにより、または、水槽に固形燃料原料となる選別発酵乾燥物を入れて攪拌やバブリング等する浸漬処理等により行われる。
上記加熱処理は、廃棄物由来の塩化ビニリデン、塩化ビニル等の有機塩素化合物の脱塩酸を行う加熱温度での加熱処理であればよく、加熱方式までは特に問われず、電気ヒータ等による電熱式による加熱であってもよいし、バーナー加熱方式であってもよいし、過熱水蒸気式であってもよいし、高周波誘導加熱方式であってもよい。
上記散水処理及び加熱処理は、散水処理後に加熱処理を行うものであってもよいし、加熱処理後に散水処理を行うものであってもよいが、好ましくは、散水処理後に加熱処理を行うことにより、少ない消費エネルギで塩化ナトリム等の無機塩化物の塩類の低減効果を上げることができる。
請求項5の発明の廃棄物処理方法は、更に、前記250℃以上、300℃以下の加熱処理後に、300℃を超え700℃以下で加熱する熱分解工程を具備するものである。
上記熱分解工程は、前記脱塩した選別発酵乾燥物を300℃を超え、700℃以下で加熱するものであり、当該高温の加熱処理(高熱処理)により、廃棄物由来の炭化水素分を熱分解して油化及び炭化するものである。
請求項6の発明の廃棄物処理方法は、発酵乾燥工程にて、廃棄物を好気発酵し乾燥させて発酵乾燥物とし、また、脱塩工程にて前記廃棄物を発酵中に脱塩処理するものであある。
上記発酵乾燥工程は、例えば、外部からの空気の導入及び外部への空気の排出を可能とし負圧に制御して臭気の漏れを防止した気密構造のハウジング内において、廃棄物を好気発酵し、その発酵熱で水分除去して乾燥させるものである。好ましくは、廃棄物に空気を供給する送風によって廃棄物の好気発酵及び乾燥の進行を促進する。また、好ましくは、発酵乾燥物の一部を発酵補助剤として廃棄物と混合し、より好ましくは、脱塩処理した発酵補助材を廃棄物と混合し、廃棄物を効率的に好気発酵及び乾燥させる。特に、この発酵乾燥工程では、例えば、発酵中の廃棄物への散水処理により廃棄物を脱塩する脱塩工程も行われる。
上記脱塩工程は、廃棄物由来の塩類を除去するものであり、例えば、発酵中の廃棄物に対し散水処理する脱塩処理により、廃棄物中の生ゴミ(食品残渣)等に含まれる塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カルシウム(CaCl2)、塩化マグネシウム(MgCl2)等の無機塩化物の塩類を水に溶解させて除去する。
請求項7の発明の廃棄物処理方法の前記発酵乾燥工程では、前記廃棄物を発酵中に散水処理を行い、前記廃棄物の発酵初期から前記廃棄物が発酵により50℃に達するまでに前記廃棄物に散水する水の塩分濃度よりも低い塩分濃度の水を前記廃棄物が50℃を超えてから前記廃棄物に散水することにより前記脱塩処理するものであり、高温環境によって雑菌類を死滅させる過程で、高温環境より前に散水していた水よりも塩分濃度の低い水に替えて散水することにより脱塩する。
請求項8の発明の廃棄物処理プラントは、廃棄物を好気発酵し乾燥させて発酵乾燥物とする発酵乾燥処理部と、前記発酵乾燥物から選別され、前記廃棄物を好気発酵する際に前記廃棄物に混合する発酵補助材として使用される選別発酵乾燥物を脱塩する脱塩手段とを具備するものである。
上記発酵乾燥処理部は、廃棄物を好気発酵し、その発酵熱で乾燥させるものであればよく、例えば、ファン(ブロア)等によって外部からの空気の導入及び外部へ空気の排出を可能とし負圧にて制御し臭気の漏れを防止した気密構造のハウジングを備えた好気発酵乾燥装置で構成される。好ましくは、廃棄物に空気を供給する送風装置を備え、ハウジングに静置した廃棄物に送風を行い、廃棄物の好気発酵及び乾燥の進行を促進する。また、発酵中に廃棄物に散水する散水手段を備えることで廃棄物の均一な好気発酵を促進する。特に、この好気発酵乾燥では、脱塩処理した発酵乾燥物の一部、即ち、発酵乾燥物から選別され、脱塩した選別発酵乾燥物を発酵補助剤として廃棄物と混合し、廃棄物を効率的に好気発酵及び乾燥させる。
上記脱塩手段は、廃棄物由来の塩類を除去するものであり、発酵乾燥物から選別され、廃棄物を好気発酵する際に廃棄物に混合する発酵補助材として使用される選別発酵乾燥物を、例えば、水洗処理する脱塩処理により、廃棄物中の生ゴミ(食品残渣)等に含まれる塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カルシウム(CaCl2)、塩化マグネシウム(MgCl2)等の無機塩化物の塩類を水に溶解させて除去する。
請求項9の発明の廃棄物処理プラントの前記脱塩手段は、前記発酵補助材として使用される選別発酵乾燥物の水洗処理により廃棄物由来の塩化ナトリム等の無機塩化物の塩類を水に溶解させて脱塩するものである。
上記水洗処理は、廃棄物由来の塩化ナトリム等の無機塩化物の水溶性塩分(可溶性塩分)を溶出させる処理であればよく、例えば、発酵補助材として使用される選別発酵乾燥物に対し散水処理、水の噴霧処理、水蒸気処理することにより、または、水槽に発酵補助材を入れて攪拌やバブリング等する浸漬処理等により行われる。
請求項10の発明の廃棄物処理プラントは、廃棄物を好気発酵し乾燥させて発酵乾燥物とする発酵乾燥処理部と、前記発酵乾燥物から選別され、固形燃料の原料となる選別発酵乾燥物を脱塩する脱塩手段とを具備するものである。
上記発酵乾燥処理部は、廃棄物を好気発酵し、その発酵熱で乾燥させるものであればよく、例えば、ファン(ブロア)等によって外部からの空気の導入及び外部へ空気の排出を可能とし負圧に制御して臭気の漏れを防止した気密構造のハウジングを備えた好気発酵乾燥装置で構成される。好ましくは、廃棄物に空気を供給する送風装置を備え、ハウジングに静置した廃棄物に送風を行い、廃棄物の好気発酵及び乾燥の進行を促進する。また、好ましくは、発酵中に廃棄物に散水する散水手段を備えることで廃棄物の均一な好気発酵を促進する。更に、好ましくは、発酵乾燥物の一部を発酵補助剤として廃棄物と混合し、より好ましくは、脱塩処理した発酵補助材を廃棄物と混合し、廃棄物を効率的に好気発酵及び乾燥させる。
上記脱塩手段は、廃棄物由来の塩類を除去するものであり、発酵乾燥物から選別され、固形燃料原料となる選別発酵乾燥物を、例えば、水洗処理する脱塩処理により、廃棄物中の生ゴミ(食品残渣)等に含まれる塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カルシウム(CaCl2)、塩化マグネシウム(MgCl2)等の無機塩化物の塩類を水に溶解させて除去してもよいし、所定温度の加熱処理により、廃棄物中の食品ラップ、錠剤の包装シート等に含有している塩化ビニリデン(PVDC)、塩化ビニル(PVC)等の有機塩素化合物の塩類を熱分解させて除去してもよいし、それら両者を行っても良い。
請求項11の発明の廃棄物処理プラントの前記脱塩手段は、前記固形燃料原料とする選別発酵乾燥物の水洗処理により廃棄物由来の塩化ナトリム等の無機塩化物の塩類を水に溶解させて脱塩し、また、250℃以上、300℃以下の加熱処理により塩化ビニリデン、塩化ビニル等の有機塩素化合物の塩類を熱分解し脱塩するものである。
上記水洗処理は、廃棄物由来の塩化ナトリム等の無機塩化物の水溶性塩分(可溶性塩分)を溶出させる処理であればよく、例えば、固形燃料原料となる選別発酵乾燥物に対し散水処理、水の噴霧処理、水蒸気処理することにより、または、水槽に固形燃料原料となる選別発酵乾燥物を入れて攪拌やバブリング等する浸漬処理等により行われる。
上記加熱処理は、廃棄物由来の塩化ビニリデン、塩化ビニル等の有機塩素化合物の脱塩酸を行う加熱温度での加熱処理であればよく、加熱方式までは特に問われず、電気ヒータ等による電熱式による加熱であってもよいし、バーナー加熱方式であってもよいし、過熱水蒸気式であってもよいし、高周波誘導加熱方式であってもよい。
上記散水処理及び加熱処理は、散水処理後に加熱処理を行うものであってもよいし、加熱処理後に散水処理を行うものであってもよいが、好ましくは、散水処理後に加熱処理を行うことにより、少ない消費エネルギで塩化ナトリム等の無機塩化物の塩類の低減効果を上げることができる。
請求項12の発明の廃棄物処理プラントは、更に、前記250℃以上、300℃以下の加熱処理後に、300℃を超え700℃以下で加熱する熱分解手段を具備するものである。
上記熱分解手段は、前記脱塩した選別発酵物を300℃を超え700℃以下で加熱するものであり、当該高温の加熱処理(高熱処理)により、廃棄物由来の炭化水素分を熱分解して油化するものであればよく加熱方式までは特に問われず、電気ヒータ等による電熱式による加熱であってもよいし、バーナー加熱方式であってもよいし、過熱水蒸気式であってもよいし、高周波誘導加熱方式であってもよい。
請求項13の発明の廃棄物処理プラントは、廃棄物を好気発酵し乾燥させて発酵乾燥物とする発酵乾燥処理部と、前記発酵中の廃棄物を脱塩する脱塩手段とを具備するものである。
上記発酵乾燥処理部は、廃棄物を好気発酵し、その発酵熱で乾燥させるものであればよく、例えば、ファン(ブロア)等によって外部からの空気の導入及び外部へ空気の排出を可能とし負圧に制御して臭気の漏れを防止した気密構造のハウジングを備えた好気発酵乾燥装置で構成される。好ましくは、廃棄物に空気を供給する送風装置を備え、ハウジングに静置した廃棄物に送風を行い、廃棄物の好気発酵及び乾燥の進行を促進する。また、好ましくは、発酵中に廃棄物に散水する散水手段を備えることで廃棄物の均一な好気発酵を促進する。更に、好ましくは、発酵乾燥物の一部を発酵補助剤として廃棄物と混合し、より好ましくは、脱塩処理した発酵補助材を廃棄物と混合し、廃棄物を効率的に好気発酵及び乾燥させる。特に、この好気発酵乾燥では、例えば、発酵中の廃棄物への散水処理による脱塩手段により廃棄物が脱塩される。
上記脱塩手段は、廃棄物由来の塩類を除去するものであり、発酵中の廃棄物を、例えば、水洗処理する脱塩処理により、廃棄物中の生ゴミ(食品残渣)等に含まれる塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カルシウム(CaCl2)、塩化マグネシウム(MgCl2)等の無機塩化物の塩類を水に溶解させて除去する。
請求項14の発明の廃棄物処理プラントの前記脱塩手段は、前記廃棄物の発酵初期から前記廃棄物が発酵により50℃に達するまでに前記廃棄物に散水する水よりに低い塩分濃度の水を前記廃棄物が50℃を超えてから前記廃棄物に散水する散水処理するものであり、高温環境によって雑菌類を死滅させる過程で、高温環境より前に散水していた水よりも塩分濃度の低い水に替えて散水することにより脱塩する。
請求項1の発明に係る廃棄物処理方法によれば、発酵乾燥工程において廃棄物を好気発酵し乾燥させて発酵乾燥物とし、脱塩工程において前記発酵乾燥物から選別され、前記廃棄物を好気発酵する際に前記廃棄物に混合する発酵補助材として使用される選別発酵乾燥物を脱塩処理することにより、選別発酵乾燥物における廃棄物由来の塩類を除去する。特に、選別発酵乾燥物の水洗処理による脱塩処理では、食品残渣、生ごみ等に含有していた塩化ナトリム(NaCl)等の無機塩化物の塩類を除去することができる。よって、脱塩した選別発酵乾燥物を発酵補助材として廃棄物と混合して発酵乾燥させた発酵乾燥物の塩分濃度を低減することが可能である。即ち、発酵乾燥物の一部を発酵補助材として次サイクルの未処理の廃棄物に混合して廃棄物を発酵乾燥処理するものであるも、脱塩処理した発酵補助材を廃棄物に混合して廃棄物を発酵乾燥処理するものであるから、バッチ式の廃棄物の発酵乾燥処理において、発酵補助材及び廃棄物を含んだ発酵資材、延いては、それを発酵乾燥させてなる発酵乾燥物に塩分濃縮、蓄積が生じるのが防止されることなる。よって、発酵乾燥物の塩分濃度の低減化が可能であり、発酵乾燥物から選別される固形燃料原料の塩素濃度を低減できることになる。こうして、廃棄物由来の塩素の濃度を可能とする。
また、発酵乾燥物から選別した選別発酵乾燥物を未処理の廃棄物を好気発酵する際の発酵補助材として循環させて使用するものであっても、脱塩処理した発酵補助材を廃棄物に混合して好気発酵させるものであるから、発酵補助材及び未処理の廃棄物を含んだ発酵資材における塩分濃縮、蓄積が防止されることで、塩分濃度の上昇による発酵阻害が防止される。よって、廃棄物の発酵乾燥処理能力が低下することなく、長期的に安定した廃棄物の発酵乾燥処理効率が維持される。
請求項2の発明に係る廃棄物処理方法によれば、前記脱塩処理は、前記発酵補助材として使用される選別発酵乾燥物の水洗処理により行われるものであり、加熱を要しない少ない消費エネルギ量、かつ、水の少ない使用量の脱塩処理で、発酵乾燥物の塩分濃度を低減できるから、請求項1に記載の効果に加えて、低コストで廃棄物由来の塩素の濃度の低減化を可能とする。
請求項3の発明に係る廃棄物処理方法によれば、発酵乾燥工程において廃棄物を好気発酵し乾燥させて発酵乾燥物とし、脱塩工程において前記発酵乾燥物から選別され、固形燃料の原料なる選別発酵乾燥物を脱塩処理することにより、固形燃料の原料となる選別発酵乾燥物における廃棄物由来の塩類を除去する。特に、選別発酵乾燥物の水洗処理による脱塩処理では、廃棄物由来の食品残渣、生ごみ等に含有していた塩化ナトリム(NaCl)等の無機塩化物の塩類を除去することができる。また、選別発酵乾燥物の所定温度の加熱処理による脱塩処理では、廃棄物由来の食品ラップ、錠剤の包装シート等に含有していた塩化ビニリデン(PVDC)、塩化ビニル(PVC)等の有機塩素化合物の塩類を除去することができる。よって、発酵乾燥物から選別された固形燃料の原料となる選別発酵乾燥物の塩分濃度を効果的に低減できる。こうして、廃棄物由来の塩素の濃度の低減化を可能とする。
請求項4の発明に係る廃棄物処理方法によれば、前記脱塩処理は、前記固形燃料原料とされる選別発酵乾燥物の水洗処理及び250℃以上、300℃以下の加熱処理により行われるから、水洗処理により無機塩化物の塩類が除去され、また、所定温度での加熱処理により、有機塩素化合物の塩類が除去されることになる。よって、請求項3に記載の効果に加えて、固形燃料原料の塩素濃度の低減効果を高くできる。好ましくは、水洗処理を行ってから、所定温度の加熱処理を行うことにより、無機塩化物の塩類の除去効率を高くでき、固形燃料原料の塩素濃度の低減効果を向上できる。
請求項5の発明に係る廃棄物処理方法によれば、更に、前記250℃以上、300℃以下の加熱処理後に、300℃を超え700℃以下で加熱する熱分解工程によって、脱塩処理された選別発酵乾燥物中の炭化水素分が熱分解されることにより、熱分解油(生成油)を生成し、300℃を超え700℃以下で加熱された選別発酵乾燥物の残渣は固形燃料原料にもなる。よって、請求項4に記載の効果に加えて、燃料としての使途の拡大を図ることができる。
請求項6の発明に係る廃棄物処理方法によれば、発酵乾燥工程において廃棄物を好気発酵し乾燥させて発酵乾燥物とし、脱塩工程において発酵中の前記廃棄物を脱塩処理することにより、廃棄物由来の塩類を除去する。特に、発酵中の廃棄物の水洗処理による脱塩処理では、食品残渣、生ごみ等に含有していた塩化ナトリム(NaCl)等の無機塩化物の塩類を除去することができる。よって、発酵され、また、脱塩処理された廃棄物を乾燥させた発酵乾燥物は塩分濃度が低く、その発酵乾燥物から選別される固形燃料原料の塩分濃度も低いものとなる。こうして、廃棄物由来の塩素の濃度の低減化を可能とする。
請求項7の発明に係る廃棄物処理方法によれば、前記発酵乾燥工程では、前記廃棄物を発酵中に散水処理を行い、前記脱塩工程では、前記廃棄物の発酵初期から前記廃棄物が発酵により50℃に達するまでに前記廃棄物に散水する水の塩分濃度より低い塩分濃度の水を前記廃棄物が50℃を超えてから前記廃棄物に散水することにより脱塩処理する。よって、加熱を要しない少ない消費エネルギ量の脱塩処理で、発酵乾燥物の塩分濃度を低減できるから、請求項6に記載の効果に加えて、低コストで廃棄物由来の塩素の濃度の低減化を可能とする。
請求項8の発明に係る廃棄物処理プラントによれば、発酵乾燥処理部により廃棄物を好気発酵し乾燥させて発酵乾燥物とし、脱塩手段により前記発酵乾燥物から選別され、前記廃棄物を好気発酵する際に前記廃棄物に混合する発酵補助材として使用される選別発酵乾燥物を脱塩することにより、選別発酵乾燥物における廃棄物由来の塩類を除去する。特に、選別発酵乾燥物の水洗処理による脱塩処理では、食品残渣、生ごみ等に含有していた塩化ナトリム(NaCl)等の無機塩化物の塩類を除去することができる。よって、脱塩した選別発酵乾燥物を発酵補助材として廃棄物と混合して発酵乾燥させた発酵乾燥物の塩分濃度を低減することが可能である。即ち、発酵乾燥物の一部を発酵補助材として次サイクルの未処理の廃棄物に混合して廃棄物を発酵乾燥処理するものであるも、脱塩処理した発酵補助材を廃棄物に混合して廃棄物を発酵乾燥処理するものであるから、バッチ式の廃棄物の発酵乾燥処理において、発酵補助材及び廃棄物を含んだ発酵資材、延いては、それを発酵乾燥させてなる発酵乾燥物に塩分濃縮、蓄積が生じるのが防止されることなる。よって、発酵乾燥物の塩分濃度の低減化が可能であり、発酵乾燥物から選別される固形燃料原料の塩素濃度を低減できることになる。こうして、廃棄物由来の塩素の濃度を可能とする。
また、発酵乾燥物から選別した選別発酵乾燥物を未処理の廃棄物を好気発酵する際の発酵補助材として循環させて使用するものであっても、脱塩処理した発酵補助材を廃棄物に混合して好気発酵させるものであるから、発酵補助材及び未処理の廃棄物を含んだ発酵資材における塩分濃縮、蓄積が防止されることで、塩分濃度の上昇による発酵阻害が防止される。よって、廃棄物の発酵乾燥処理能力が低下することなく、長期的に安定した廃棄物の発酵乾燥処理効率が維持される。
請求項9の発明に係る廃棄物処理方法によれば、前記脱塩手段は、前記発酵補助材として使用される選別発酵乾燥物を水洗処理により行われるものであり、加熱を要しない少ない消費エネルギ量、かつ、少ない水の使用量の脱塩処理で、発酵乾燥物の塩素濃度を低減できるから、請求項8に記載の効果に加えて、低コストで廃棄物由来の塩素の濃度の低減化を可能とする。
請求項10の発明に係る廃棄物処理方法によれば、発酵乾燥処理部により廃棄物を好気発酵し乾燥させて発酵乾燥物とし、脱塩手段により前記発酵乾燥物から選別され、固形燃料原料とされる選別発酵乾燥物を脱塩することにより、固形燃料原料とされる選別発酵乾燥物における廃棄物由来の塩類を除去する。特に、選別発酵乾燥物の水洗処理による脱塩処理では、廃棄物由来の食品残渣、生ごみ等に含有していた塩化ナトリム(NaCl)等の無機塩化物の塩類を除去することができる。また、選別発酵乾燥物の所定温度の加熱処理による脱塩処理では、廃棄物由来の食品ラップ、錠剤の包装シート等に含有していた塩化ビニリデン(PVDC)、塩化ビニル(PVC)等の有機塩素化合物の塩類を除去することができる。よって、発酵乾燥物から選別された固形燃料の原料となる選別発酵乾燥物の塩分濃度を効果的に低減できる。こうして、廃棄物由来の塩素の濃度の低減化を可能とする。
請求項11の発明に係る廃棄物処理プラントによれば、前記脱塩手段は、前記固形燃料原料とされる選別発酵乾燥物の水洗処理及び250℃以上、300℃以下の加熱処理により行われるから、水洗処理により無機塩化物の塩類が除去され、また、所定温度での加熱処理により、有機塩素化合物の塩類が除去されることになる。よって、請求項10に記載の効果に加えて、固形燃料原料の塩素濃度の低減効果を高くできる。好ましくは、水洗処理を行ってから、所定温度の加熱処理を行うことにより、無機塩化物の塩類の除去効率を高くでき、固形燃料原料の塩素濃度の低減効果を向上できる。
請求項12の発明に係る廃棄物処理プラントによれば、更に、前記250℃以上、300℃以下の加熱処理後に、300℃を超え700℃以下で加熱する熱分解手段によって、脱塩処理された選別発酵乾燥物中の炭化水素分が熱分解されることにより、熱分解油(生成油)を生成し、300℃を超え700℃以下で加熱された選別発酵乾燥物の残渣は固形燃料原料にもなる。よって、請求項11に記載の効果に加えて、燃料としての使途の拡大を図ることができる。
請求項13の発明に係る廃棄物処理プラントによれば、発酵乾燥処理部により廃棄物を好気発酵し乾燥させて発酵乾燥物とし、脱塩手段により発酵中の前記廃棄物を脱塩することにより、廃棄物由来の塩類を除去する。特に、発酵中の廃棄物の水洗処理による脱塩処理では、食品残渣、生ごみ等に含有していた塩化ナトリム(NaCl)等の無機塩化物の塩類を除去することができる。よって、発酵され、また、脱塩処理された廃棄物を乾燥させた発酵乾燥物は塩分濃度が低く、その発酵乾燥物から選別される固形燃料原料の塩分濃度も低いものとなる。こうして、廃棄物由来の塩素の濃度の低減化を可能とする。
請求項14の発明の廃棄物処理プラントによれば、前記脱塩手段は、前記廃棄物の発酵初期から前記廃棄物が発酵により50℃に達するまでに前記廃棄物に散水する水の塩分濃度より低い塩分濃度の水を前記廃棄物が50℃を超えてから前記廃棄物に散水することにより脱塩する。よって、加熱を要しない少ない消費エネルギ量の脱塩処理で、発酵乾燥物の塩分濃度を低減できるから、請求項13に記載の効果に加えて、低コストで廃棄物由来の塩素の濃度の低減化を可能とする。
図1は本発明の実施の形態1の廃棄物処理方法及び廃棄物プラントにおける廃棄物処理工程のフローチャートである。 図2は本発明の実施の形態1の廃棄物処理方法及び廃棄物プラントにおける発酵乾燥物の選別処理及び脱塩処理の概念図である。 図3は本発明の実施の形態2の廃棄物処理方法及び廃棄物プラントにおける廃棄物処理工程のフローチャートである。 図4は本発明の実施の形態2の廃棄物処理方法及び廃棄物プラントにおける発酵乾燥物の選別処理及び脱塩処理の概念図である。 図5は本発明の実施の形態3の廃棄物処理方法及び廃棄物プラントにおける廃棄物処理工程のフローチャート及び脱塩処理の概念図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態において、図示の同一記号及び同一符号は、同一または相当する機能部分であるから、ここではその重複する説明を省略する。
[実施の形態1]
まず、本発明の実施の形態1の廃棄物処理方法及び廃棄物処理プラントにおける廃棄物処理の全体の概略流れを、図1及び図2を参照して説明する。本実施の形態1の廃棄物処理方法及び廃棄物処理プラントは、一般家庭等から廃棄された生ごみ、紙、布、プラスチック等の廃棄物1を廃棄物固形燃料(Refuse Derived Fuel:RDF)211等に再資源化(リサイクル)するための廃棄物再資源化(廃棄物リサイクル)に適用されるものである。
家庭内または事業所で生ごみ、紙屑、庭木の剪定屑、プラスチック等の燃やせるごみ(可燃ごみ)として排出され、塵収集車で収集、搬送されてきた家庭系または事業系一般廃棄物や、産業廃棄物として搬送されてきた食品廃棄物や動植物性残渣等の有機性廃棄物等の廃棄物1は、廃棄物処理プラントの建屋内に入ると、まず、破砕工程(ステップS1)において、廃棄物1の生ごみ、紙、プラスチック類等を収容していた塵袋が破砕機によって破られる。また、粗破砕や押し潰し等によって廃棄物1が破砕、減容化される。
破砕、減容化された廃棄物1は、続く混合工程(ステップS2)において、廃棄物1の堆積物内に通気の空隙を多く形成して嵩増しをするための嵩密度調節材2及び好気性微生物が付着した発酵補助材3と混合され、嵩密度が所定の範囲内となるように調節されて、発酵資材10を形成する。
廃棄物1に混合する嵩密度調節材2としては、廃棄物1の堆積物を嵩増しして、堆積物内に通気の空隙を形成できる所定寸法の有機材料であればよく、好ましくは、吸水性、吸湿性があり微生物を担持できる有機材料、例えば、木材チップ等の木質資材や、後述の発酵乾燥物20から選別した固形燃料原料210や、それを固形燃料化してなる固形燃料211のRDF(Refuse Derived Fuel)や、固形燃料のRPF(Refuse Paper & Plastic Fuel)等が使用できる。
木材チップ等の木質資材や固形燃料原料210は低コストであり、好気性微生物を担持しやすいことで繰り返しの再使用で廃棄物1の効率の良い好気発酵及び乾燥処理を促進できる。よって、低コストで廃棄物1の好気発酵の促進を可能とする。特に、後述するように、発酵資材10を発酵乾燥させてなる発酵乾燥物20から選別された木質資材24や固形燃料原料210は、生ゴミ等の分解物の含有量が多いことで好気性微生物の好気性発酵による発熱(発酵熱)が期待でき、発酵資材10の好気発酵、乾燥の進行の高い促進効果を期待できる。
また、発酵補助材3は、廃棄物1の好気発酵乾燥の処理効率を高めるものであり、好気発酵済みの発酵乾燥物20であれば好気性微生物が多く付着していることから好適である。特に、本実施の形態1において、発酵補助材3は、後述するように、廃棄物1を含んだ発酵資材10を発酵乾燥させてなる発酵乾燥物20から選別され、脱塩されたものが使用される。即ち、後述するように、発酵乾燥物20の粒度・重量選別によって発酵乾燥物20から固形燃料原料210等となるものとは別に分離選別された発酵乾燥細粒物23を脱塩処理したものを発酵補助材3として発酵資材10の好気発酵処理に戻して使用する。
次に、こうして廃棄物1に嵩密度調節材2及び発酵補助材3が混合されて所定の嵩密度に調節された発酵資材10は、建屋内に全体あるいは一部が格納された発酵乾燥処理部としての好気発酵乾燥装置のコンクリート製のハウジング内に積み込まれ、そこで、発酵乾燥工程(ステップS10)として所定の日数、好気発酵され、また、乾燥される。
このとき、本実施の形態1の発酵乾燥処理部としての好気発酵乾燥装置では、ハウジング内に静置した発酵資材10に散水(噴霧)を行っている。そして、本実施の形態1では、ハウジング内に排出された廃水、即ち、廃棄物1を含んだ発酵資材10から染み出た廃水、散水の余剰水等を回収し、フィルタで濾過し、その濾過した水をハウジング内の発酵資材10への散水(噴霧)に再び使用している。また、前述した廃棄物1の破砕や、嵩密度調節材2及び発酵補助材3との混合工程等を含め、廃棄物1から建屋内に排出された廃水についてもそれを回収し、フィルタで濾過し、その濾過した水をハウジング内の発酵資材10への散水(噴霧)に使用している。
即ち、本実施の形態1の廃棄物処理プラントでは、廃棄物1に含まれていた水分、また、廃棄物1を好気発酵させるハウジング内に噴霧された水も含め、ハウジング内に排出された廃水は、ハウジングの底部に形成した排水溝から回収され、また、建屋内に排出された廃水についても、建屋内の底部に形成した排水溝から回収され、貯水タンクやフィルタを介して、廃棄物1を含んだ発酵資材10への散水として利用されることで、廃水を外部に排出しない構造である。
こうして、本実施の形態の好気発酵乾燥装置においては、ハウジング内で廃棄物1から染み出した廃水及び散水の余剰水である廃水を回収し、外部に排出することなくフィルタで異物を除去したのち廃棄物1を含んだ発酵資材10に繰り返し散水として循環させて使用するものであり、ハウジング内で生じた廃水は好気性微生物を含むから、それを水滴として噴霧する水にも、好気性微生物が含まれることで、発酵資材10に対して好気性微生物を均一に分布させて好気性発酵による処理効率を高めることができる。即ち、水滴の噴霧により、水滴に含まれる好気性微生物が発酵資材1全体に浸透し均一化するため、効率のよい好気発酵処理を可能とする。
特に、ハウジング内からの廃水及びハウジング以外の建屋内から生じた廃水をも回収して散水に使用するから、発酵資材10の効率的な好気発酵処理のための好気性微生物に必要な水分を低コストでまかなうことができ、外部への排水量を少なくでき、排水のための浄化設備を小規模にまたは不要化できる。
また、本実施の形態1の好気発酵乾燥装置のハウジングでは、空気(臭気)の排出と建屋内の新鮮な空気の取り入れとの入れ替えを行うことによって酸素を補充し、更に、ハウジング内を所定の温度及び負の気圧に制御している。加えて、ハウジングの上部から室内空気をファン(ブロア)で吸気し、その空気を圧縮してハウジングの下面から噴出することでハウジング内の空気を循環させる空気循環部を形成し、ハウジング内に積み込まれた発酵資材10に対し通気を行っている。
なお、本実施の形態1では、好気発酵乾燥装置のハウジングに入力する空気量よりも、ハウジングから排出する空気量を大きく設定し、ハウジング内を負圧に維持することでハウジング室外に臭気が出る可能性を皆無としているが、ハウジングから排出した空気(臭気)は、エアプレナム室を介して生物脱臭装置で脱臭処理してから外部に排気している。
即ち、ハウジングから排出された湿気を多く含む空気(臭気)は、ハウジングからエアプレナム室に送られ、そこで、ハウジング室外の建屋内から取り入れた導入空気と混合された後、建屋の屋外に設置された脱臭設備の生物脱臭装置に送られる。
本実施の形態1の生物脱臭装置は、好気性微生物が付着した木材チップ等の担体を堆積してなるバイオフィルを備え、エアプレナム室から送られてきた混合空気をバイオフィルタに通すことによって、混合空気に含まれていた臭気成分をバイオフィルタ内の好気性微生物の好気的発酵によって分解脱臭してから、外部、即ち、屋外の大気中へと排気(放出)する。このような好気性微生物の生物的処理による消化によって脱臭を行う生物脱臭装置では、好気発酵乾燥装置から排気された悪臭ガスが、例えばCO2やH2Oのような無害な物質や、SO4 -やNO3 -のような無機イオンに分解されて放出されるが、このとき、後処理が必要な残渣を発生することもなく、また、焼却するものでもないから、CO2やNOXの排出も最小限に抑えられる。
なお、本実施の形態1の生物脱臭装置では、バイオフィルタに対し散水を行っており、散水の余剰水は回収し、再び散水として再利用している。これにより、臭気を分解、消費する木材チップ等の担体に付着した好気性微生物の活性、生育に必要な水分を均一に付加、補充できるから、安定した脱臭効率が得られる。特に、バイオフィルタを通過して回収された散水の余剰水は好気性微生物を含むから、それを水滴として噴霧する水にも、好気性微生物が含まれることで、バイオフィルタに対して好気性微生物を均一に分布させて好気性発酵による消化効率を高めることができる。即ち、循環水の水滴の噴霧により、水滴に含まれる好気性微生物がバイオフィルタ全体に浸透し均一化するため、効率の良い臭気処理が可能となる。更に、散水の余剰水を回収して再使用するから安定した脱臭効率のための好気性微生物に必要な水分を低コストでまかなうことができ、また、バイオフィルタへの散水の余剰水を外部に排出しないものであるから、排水のための浄化設備を小規模にまたは不要化できる。
こうして、本実施の形態1の廃棄物処理プラントでは、常に負圧に保たれる建屋内で廃棄物1の処理が行われ、建屋内に格納された好気発酵乾燥装置において室外よりも高い陰圧に保たれて室外から室内の空気流を遮断し臭気漏れを防止しているハウジング内で発酵資材10の好気発酵、乾燥が行われている。そして、ハウジング内の空気(臭気)は、エアプレナム室を介して屋外に設置された生物脱臭装置において槽内に充填された木質チップ等の担体からなるバイオフィルタを通ることで脱臭処理され、大気中へ排気される。したがって、悪臭の排出、制御不能な臭い漏れのないものである。
因みに、好気発酵乾燥装置(静置型)における微生物による発酵過程では、まず、初期の数日間には、廃棄物1中の易分解性の有機物質、例えば、たんぱく質、アミノ酸、糖質等をバクテリア、糸状菌等が積極的に分解し、廃棄物1、延いてはハウジング内の温度を上昇させる。易分解性の物質が消費され温度が高温になると、高温性好気性の放線菌等が有機物の分解に携わるようになり、ヘミセルロースやセルロースの分解が始まり、温度は最高60℃~80℃になる。この高温環境によって雑菌類が死滅することで処理物の衛生化が図れる。通常55℃以上、3日間、好ましくは、65℃以上、48時間以上で病原菌等が殺菌される。続いて30℃~50℃の中温域を維持し、有機物の分解を更に促進させる。その後、ハウジング室外から取り入れるハウジング内に取り入れる空気量を増やして、冷却及び乾燥を促進させる。
こうして、発酵乾燥工程(ステップS10)では、好気性微生物による廃棄物1の分解、好気発酵が進み、また、発酵熱、通気による乾燥が進む。即ち、この発酵乾燥工程(ステップS10)では、バクテリア、糸状菌等の好気性微生物によって、酸素及び廃棄物1の有機物が消費されて二酸化炭素及びエネルギ(熱)が生産され、ここで発生した熱は、廃棄物1を含んだ発酵資材10の温度を上昇させ、発酵資材10を乾燥させる。なお、通常組成(有機ごみ20%、全体水分量60%)の廃棄物1は発酵乾燥による分解、水分の除去で概ね半分量に減容する。
そして、好気発酵乾燥装置で好気発酵、乾燥を終えた発酵乾燥物20、即ち、好気性微生物により好気発酵され、その発酵熱及び通気(送風)によって乾燥された発酵乾燥物20は、本実施の形態1においては、図1及び図2に示すように、ホイールローダー等が中継し、続く選別工程(ステップS20)で、寸法(粒度)や重力(比重)等の基準で、嵩密度調節材2として使用した木質資材24が主に含まれる所定のオーバーサイズの発酵乾燥重量物21と、主に固形燃料(RDF)211の原料210となる所定のオーバーサイズの発酵乾燥軽量物22と、主に発酵補助材3として使用される所定のアンダーサイズの発酵乾燥細粒物23とに選別される。
具体的には、本実施の形態1では、最初に粒度及び重量選別機Sで所定の空気流による浮力及び所定サイズのメッシュの篩で重量(比重)及び粒度(粒子の大きさ)で発酵乾燥物20の選別を行う。なお、粒度及び重量選別機においては、例えば、トロンメルスクリーン、スタースクリーン、振動篩等のスクリーンSによる粒度選別及び風力選別(重量選別)を組合せることにより行われる。このとき粒度及び重量選別機に導入した空気流は、サイクロンCに導き、渦流で塵芥を下に落として除去し、サイクロンCの上部から塵芥を除去した空気を排出している。サイクロンCの出力側にもファンで吸引するのが効果的である。
この選別機では、発酵乾燥物20を、嵩密度調節材2として再使用される大きな木材チップ(木辺)等の木質資材24を主に含む所定のオーバーサイズ(所定の目開きの篩を通過しなかったサイズ)及び所定重量以上の発酵乾燥重量物21と、主に、紙、プラスチック、生ごみ等の分解物等が含まれる所定のオーバーサイズ(所定の目開きの篩を通過しないサイズ)で所定の重量未満の発酵乾燥軽量物22と、主に生ごみ等の分解物等が含まれる所定のアンダーサイズ(所定の目開きの篩を通過したサイズ)の発酵乾燥細粒物23とに選別する。
粒度及び重量選別機で選別された所定のオーバーサイズで所定重量以上の発酵乾燥重量物21は、嵩密度調節材2として使用される大きな木材チップ(木辺)等の木質資材24を主に含むものであり、磁気選別機Mによる磁気選別(ステップS21)等によって鉄等の金属類310が選別除去され、更に、手選別(人為選別)(ステップS22)等で、瓶、ガラス、陶器、石等の不燃物320が選別除去され、金属類310及び不燃物320が除去された残りが、次回の好気発酵させる未処理の廃棄物1に対して嵩密度調節材2として使用される木質資材24として回収され、発酵乾燥処理する廃棄物1の嵩密度調節材2として再使用される。なお、こうした磁気選別、手選別、また後述する光学選別といった選別工程で除去された鉄等の金属類310や、瓶、ガラス、陶器等の不燃物320や、後述する塩化ビニル330は、リサイクルまたは廃棄処分される。
また、粒度及び重量選別機で選別した所定のオーバーサイズで所定重量未満の発酵乾燥軽量物22は、主に紙、プラスチック、生ごみ等の分解物等を含むものであり、磁気選別機Mによる磁気選別(ステップS24)等によって鉄等の金属類310が選別除去され、更に、光学選別機Uによる近赤外線分光法等を用いた光学選別(ステップS25)等によって塩化ビニル330が選別除去され、金属類310及び塩化ビニル330が除去された残りが、固形燃料(RDF)211に使用される固形燃料原料210となる。なお、固形燃料原料210は、例えば、ベーラー(圧縮梱包機)で圧縮梱包することによって固形燃料製造工程への移送を容易にすることができる。
固形燃料原料210は、その後の固形燃料製造工程で、例えば、乾いたプラスチック、木質材、紙、布等の熱量調整材と混合され、また、粉砕機で粉砕され、更に必要に応じて鉄や石等の不燃物を除去し、成形機で成形されることによって固形燃料化され、固形燃料(RDF)211となる。なお、成形工程では、必要に応じ腐敗防止剤等の添加剤が添加される。また、このときの固形燃料製造工程、特に成形工程で生じた臭気、水蒸気等は、生物脱臭装置に送給し、そこで脱臭した後、外へ排気することもできる。
こうして成形された固形燃料(RDF)211は、輸送性、貯蔵性に優れ、燃料として扱いやすくなり、多用途(暖房、発電等)に使用できる。
更に、選別機Sで選別した所定のアンダーサイズの発酵乾燥細粒物23は、主に生ごみ等の分解物を含むものであることから廃棄物1を好気発酵させる種菌(好気性微生物)も存在し、廃棄物1の好気発酵乾燥を効率的に促進できる発酵補助材3に好適に使用されるものとして回収される。
特に、本実施の形態1において、このように選別機Sで選別した所定のアンダーサイズの発酵乾燥細粒物23は、脱塩工程(ステップS30)で脱塩処理してから、次サイクルの未処理の廃棄物1に混合させる発酵補助材3として使用される。
ここで、本発明者らは、廃棄物1を好気発酵、乾燥させてなる発酵乾燥物20中の塩分について究明したところ、生ゴミ(食品残渣)等に含まれる塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カルシウム(CaCl2)、塩化マグネシウム(MgCl2)等の無機塩化物が多く含まれており、このような無機塩化物は、主に水溶性(可溶性)の塩化物であることから、発酵乾燥物20から選別された発酵乾燥細粒物23の水洗処理を行うことで発酵乾燥細粒物23に含まれる水溶性の塩化物を水に溶解させることにより除去でき、発酵乾燥細粒物23の塩分濃度を大きく低減できることを見出した。
そして、発酵乾燥細粒物23の水洗処理を行うことで発酵乾燥細粒物23の塩分濃度を低減することにより、発酵乾燥工程(ステップS10)において発酵乾燥細粒物23を未処理の発酵資材10の発酵乾燥処理に戻して発酵補助材3として繰り返し使用する場合でも、発酵資材10が発酵乾燥されてなる発酵乾燥物20に塩分濃縮、塩分の蓄積が生じることなく、発酵乾燥物20の塩分濃度を低濃度に維持でき、また、安定した発酵乾燥効率を維持できる。これより、発酵乾燥物20から選別される固形燃料原料210においても、塩分濃度が低く抑えられることになる。よって、汎用性が高く、ボイラー等の燃焼設備を劣化させ難い固形燃料(RDF)211の供給を可能とする。
即ち、「廃棄物1の塩素濃度/(1ー減量率)」<「発酵補助材3の塩素濃度」(減量率:{発酵資材10の重量-発酵乾燥物20の重量}/発酵資材10の重量)である場合には、発酵乾燥工程(ステップS10)において発酵補助材3を加えた発酵資材10の発酵乾燥処理で発酵乾燥物20に塩分濃縮、蓄積が生じることになるから、つまり、発酵乾燥物20の一部である発酵乾燥細粒物23を発酵補助材3として発酵資材10に混合するものとして戻して(循環させて)繰り返し使用する場合に発酵補助材3の塩分濃度が廃棄物1の塩分濃度よりも高いと、発酵資材10の塩分濃度を次第に上昇させることになるから、高塩分による発酵阻害が生じ、バッチ式の廃棄物1の好気発酵処理において、安定した発酵乾燥効率が持続できなくなる恐れがある。
そこで、発酵乾燥細粒物23を水洗処理による脱塩処理してから、廃棄物1に混合させる発酵補助材3として使用することで、「廃棄物1の塩素濃度/(1ー減量率)」≧「発酵補助材3の塩素濃度」の状態の維持が可能となり、脱塩した発酵乾燥細粒物23を発酵補助材3として加えた発酵資材10の発酵乾燥処理で、発酵資材10を発酵乾燥させてなる発酵乾燥物20に塩分濃縮、蓄積が生じることなく、バッチ式の廃棄物1の好気発酵処理において、安定した発酵乾燥効率を維持できることになる。
特に、本実施の形態では、上述したように、発酵資材10に散水する水は、廃棄物1に含まれていた廃水と共に回収されてフィルタによる異物除去後に、タンクに溜め、それを散水に再使用して循環させているものであり、その塩分濃度は発酵資材10の塩分濃度と平衡状態にあるから、また、堆積する発酵資材10の内部に散水の水が浸透し難いことで、発酵資材10への散水で、発酵資材10の塩分濃度が散水に溶出し難く、無機塩化物の塩分を十分に除去することは困難である。このため、脱塩処理を行うことなく発酵乾燥細粒物23を発酵補助材3として使用すると、その発酵補助材3及び廃棄物1を含んだ発酵資材10を発酵乾燥させた発酵乾燥物20は、廃棄物1よりも塩分濃度が高いものとなり、廃棄物1よりも塩分濃度が高い発酵乾燥物20の一部を発酵補助材3として繰り返し使用する場合には、前回処理した発酵資材10よりも新規に処理する発酵資材10の方が塩分濃度が高くなることになり、発酵資材10に塩分が濃縮、蓄積し、次第に塩分濃度が上昇することなる。そして、塩分濃度が高くなると発酵阻害が生じることになる。
しかしながら、発酵乾燥細粒物23を水洗処理による脱塩処理してから、廃棄物1に混合させる発酵補助材3として使用すると、脱塩処理によって、発酵補助材3として使用する発酵乾燥細粒物23の塩分濃度が低減される。特に、廃棄物1や発酵乾燥物20よりも発酵乾燥細粒物23の方が量的にも少ないものであり、少ない水の使用量で、発酵乾燥細粒物23から無機塩化物を除去できる。こうして、廃棄物1よりも塩分濃度の低い発酵乾燥細粒物23を廃棄物1に混合して廃棄物1を発酵乾燥させることで、発酵資材10に塩類が濃縮、蓄積していく事態が防止され、発酵乾燥物20の塩分濃度を低減できることにもなる。
ここで、脱塩処理前の発酵乾燥細粒物23と脱塩処理後の発酵乾燥細粒物23(発酵補助材3)について塩素量を測定した。その測定結果を表1に示す。なお、表1において、水分量は、各試料を105℃で3時間加熱し、デシケータ中で冷却後秤量した加熱減量法により測定したものである、また、塩素量は、各試料を粉砕し、JIS Z 7302―6:1999(廃棄物固形化燃料-第6部:全塩素分試験方法10.2ボンベ式質量法)の測定方法により測定したものである。
Figure 2024067079000002
表1に示すように、試料A(通常品)では、脱塩工程(ステップS30)前の塩素濃度が0.47%と高いのに対し、脱塩工程(ステップS30)後は、塩素濃度が0.062%と大幅に低減され、また、試料B(高塩素濃度品)においても、脱塩工程(ステップS30)前の塩素濃度が1.3%と高いのに対し、脱塩工程(ステップS30)後は、塩素濃度が0.12%と大幅に低減されており、脱塩工程(ステップS30)の実施で何れの試料においても約10分の1程度に塩素量が低減された。
よって、発酵乾燥物20から選別され、固形燃料(RDF)211の製造原料となる固形燃料原料210の塩分濃度を低減できることになるから、他用途への展開が可能となる。即ち、塩分濃度が低減された固形燃料(RDF)211にあっては、発電装置(廃棄物発電)を備えたごみ焼却炉での使途に限定されず、汎用性が高くなり、近隣に発電装置(廃棄物発電)を備えたごみ焼却炉を持たない地域でも、固形燃料(RDF)の消費が可能となり廃棄物プラントの普及にも繋がる。
こうして、本実施の形態1では、発酵乾燥物20から選別された発酵乾燥細粒物23に対し水洗処理による脱塩を行い、廃棄物1に含まれていた塩化ナトリム等の無機塩化物由来の塩分(塩類)を水に溶解して除去することにより無機塩素量を低減できるから、発酵乾燥物20から選別された発酵乾燥細粒物23の塩素濃度を廃棄物1の塩素濃度よりも低減することが可能となり、バッチ式の廃棄物1の発酵乾燥処理において、脱塩された発酵乾燥細粒物23からなる発酵補助材3を廃棄物1に混合した発酵資材10を発酵乾燥させてなる発酵乾燥物20に塩分濃縮、蓄積が生じないものとなり、廃棄物処理プラントにおいて安定した発酵乾燥効率を維持できることになる。即ち、廃棄物1よりも塩素濃度が低減された発酵乾燥細粒物23を発酵補助材3として廃棄物1に混合して発酵乾燥させることで、廃棄物1の発酵乾燥を効率的に促進できるうえ、バッチ式の廃棄物1の発酵乾燥処理においても安定した発酵乾燥効率の継続を可能とする。そして、廃棄物1よりも塩素濃度が低減された発酵乾燥細粒物23を発酵補助材3として廃棄物1に混合して発酵乾燥させることで、発酵乾燥物20の塩素濃度も低減できることになるから、発酵乾燥物20から選別される固形燃料原料210の塩分濃度も低減されることになる。こうして塩素濃度が低減された固形燃料原料210によれば、その原料を使用して製造される固形燃料(RDF)211の無機塩化物由来の塩素濃度を1%未満にすることも可能であり、固形燃料であるRPF相当の塩分濃度に低減することが可能となる。よって、汎用性が高く、ボイラー等の燃焼設備を劣化させない固形燃料(RDF)211を提供できることになる。
ところで、本実施の形態1において、発酵乾燥物20から選別された発酵乾燥細粒物23に対し脱塩を行う水洗処理は、コンベア上等の所定の場所に発酵乾燥細粒物23を載せ、その上から水を散布、噴霧する散水処理により行われる。このときの散水処理に使用される水は、上述したハウジング内や建屋内で廃水(汚水)として排出され、回収された廃水とは別途でそれよりも塩分濃度が低い水である。また、本実施の形態1では、発酵乾燥細粒物23の散水で使用した水は回収し、溶解された無機塩化物を除去したのち、再び発酵乾燥細粒物23の散水として循環させて繰り返し使用している。
即ち、本実施の形態1では、発酵乾燥細粒物23に対して散水した水(余剰水)は回収され、発酵乾燥細粒物23の散水に使用され回収された水には廃棄物1由来の無機塩化物が溶解していることから、その溶解している無機塩化物を除去する。そして、無機塩化物を除去した水は、フィルタで異物を除去した後、脱塩工程(ステップS30)で発酵乾燥細粒物23の脱塩処理のために発酵乾燥細粒物23に散水する水として再使用する。即ち、発酵乾燥細粒物23に対して散水した水は無機塩化物を除去したのち、循環させて繰り返し散水に使用される。しかし、本発明を実施する場合には、無機塩化物を除去した水は、散水として再使用、循環させることなく、下水処理して放水(外部に排水)してもよい。この場合には、発酵乾燥細粒物23の脱塩のための散水に使用する水は、バイオフィルタの散水を回収して浄化した水や外部からの新鮮な水(用水)が取り込まれて、それが使用される。
発酵乾燥細粒物23の散水に使用され回収された水に溶解している無機塩化物を除去するには、例えば、半透膜を用い逆浸透膜法で無機塩化物が溶解した水を、無機塩化物の濃縮水と無機塩化物が除去された脱塩水とに分離する。無機塩化物が除去された脱塩水は、再度、発酵乾燥細粒物23の散水に使用することができる。脱塩水と分離された無機塩化物の濃縮水は、硝酸銀(水溶液)と混合することで、塩化銀(不溶性塩分)の沈殿を生じさせ、塩化銀がフィルタ等で除去される。塩化銀は、日光等の紫外線を照射することで光分解し塩素を遊離させる。塩素遊離後に残った銀は濃硝酸と反応させて硝酸銀に戻し、繰り返し無機塩化物と反応させるものとして使用される。こうして、発酵乾燥細粒物23の散水に使用され回収された水から無機塩化物を除去することが可能である。
そして、このように、発酵乾燥物20から選別し、廃棄物1を好気発酵させる際の発酵補助材3に使用する発酵乾燥細粒物23に対し、水洗処理の脱塩処理を行うものでは、加熱を要しない少ない消費エネルギ量で、かつ、少ない水の使用量で、固形燃料原料210の塩素濃度を効果的に低減できる。よって、低コストで効果的に塩分濃度を低減できる。
こうして、本実施の形態1の廃棄物処理方法及び廃棄物処理プラントは、生ごみ、プラスチック、紙、布等が混在している廃棄物1を好気発酵し発酵の熱や通気を利用して乾燥させることにより発酵乾燥物20とし、その発酵乾燥物20から固形燃料原料210を選別して、固形燃料(RDF)211へと再資源化するものである。
特に、本実施の形態1の廃棄物処理方法及び廃棄物処理プラントでは、好気発酵乾燥させる廃棄物1に対し、発酵乾燥物20の一部、即ち、発酵乾燥物20から粒度・重量選別した発酵乾燥細粒物23を発酵補助材3として混合して(戻して)、廃棄物1を好気発酵させることで好気発酵乾燥の促進を行っているところ、発酵補助材3として使用する発酵乾燥細粒物23は、発酵乾燥物20からの選別後、発酵乾燥細粒物23に含まれている無機塩化物を水洗処理により水に溶解させる脱塩処理を行うことで塩素濃度が低減されたものである。即ち、本実施の形態1においては、発酵乾燥物20から選別され、脱塩により塩素濃度を低減した発酵乾燥細粒物23を発酵補助材3として使用する。これにより、バッチ式の廃棄物1の発酵乾燥処理において、発酵補助材3と混合して廃棄物1を好気発酵させるときでも、その発酵資材10、延いては、発酵乾燥物20に塩分濃縮、蓄積が生じず、高塩分による発酵阻害が防止され、安定した廃棄物1の好気発酵処理能力を維持でき、廃棄物1及び発酵補助材3が混合された発酵資材10や、それを発酵乾燥させてなる発酵乾燥物20における塩分濃度を低く維持できるから、発酵乾燥物20から選別した固形燃料原料210の塩分濃度が低く、塩分濃度の少ない固形燃料(RDF)211の提供を可能とする。
即ち、本実施の形態1の廃棄物処理方法は、廃棄物1を好気発酵し乾燥させて発酵乾燥物20とする発酵乾燥工程(ステップS10)と、廃棄物1を好気発酵させるときの発酵補助剤3として使用される発酵乾燥細粒物23を発酵乾燥物20から選別する選別工程(ステップS20)と、発酵乾燥物20の一部である選別された発酵乾燥細粒物23を脱塩処理する脱塩工程(ステップS30)とを有し、発酵乾燥工程(ステップS10)では、発酵乾燥物20の一部である脱塩処理した発酵乾燥細粒物23を発酵補助剤3として廃棄物1と混合して廃棄物1を好気発酵させるものである。
また、本実施の形態1の廃棄物処理プラントは、廃棄物1を好気発酵し乾燥させて発酵乾燥物20を形成する、散水手段、換気手段等を備えた好気発酵乾燥装置等の発酵乾燥処理部と、廃棄物1を好気発酵させるときの発酵補助剤3として使用される発酵乾燥細粒物23を発酵乾燥物20から選別する粒度・重量選別機等の選別手段と、発酵乾燥物20の一部である選別された発酵乾燥細粒物23を脱塩処理する散水手段等の脱塩手段とを有し、廃棄物1の好気発酵乾燥処理において、発酵乾燥物20の一部である発酵乾燥細粒物23を脱塩処理してなる発酵補助剤3を廃棄物1と混合し、廃棄物1を好気発酵させるものである。
こうして、本実施の形態1の廃棄物処理方法及び廃棄物処理プラントによれば、発酵乾燥物20から選別し、脱塩処理した発酵乾燥細粒物23を発酵補助材3として廃棄物1と混合し廃棄物1を好気発酵させるものであり、発酵乾燥細粒物23の水洗処理で発酵乾燥細粒物23中の廃棄物1由来の食品残渣、生ごみ等に含有している塩化ナトリム(NaCl)等の無機塩化物の塩類が除去されることにより、発酵補助材3として使用される発酵乾燥細粒物23の塩分濃度を廃棄物1よりも低減することが可能となる。よって、発酵補助材3と混合された廃棄物1を発酵乾燥してなる発酵乾燥物20において、塩分が濃縮、蓄積され塩分濃度が次第に上昇していく事態が防止され、発酵乾燥物20の塩分濃度を低減できることになる。即ち、発酵乾燥物20の一部を発酵補助材3として未処理の廃棄物1に混合して好気発酵させるものであるも、脱塩処理した発酵補助材3を廃棄物1に混合して好気発酵させるものであるから、バッチ式の廃棄物1の好気発酵処理において、発酵補助材3及び廃棄物1を含んだ発酵資材10、延いては、それを発酵乾燥させてなる発酵乾燥物20に塩分濃縮、蓄積が生じるのが防止され、発酵乾燥物20の塩分濃度を低減できることになる。よって、廃棄物1由来の塩素の濃度の低減化を可能とする。
また、発酵乾燥物20の一部を未処理の廃棄物1の好気発酵する際の発酵補助材3として循環させて使用する場合の発酵補助材3及び未処理の廃棄物1を含んだ発酵資材10の塩分濃縮、蓄積、即ち、塩分濃度の上昇による発酵阻害が防止されることで、長期的に安定した廃棄物1の発酵乾燥処理効率を可能とする。
以上説明してきたように、上記実施の形態1の廃棄物処理方法は、廃棄物1を好気発酵し乾燥させて発酵乾燥物20とする発酵乾燥工程(ステップS10)と、廃棄物1を好気発酵する際に廃棄物1に混合する発酵補助材3として使用される、発酵乾燥物20から選別した選別発酵乾燥物である発酵乾燥細粒物23を脱塩処理する脱塩工程(ステップS30)、即ち、発酵乾燥物20から選別され、廃棄物1を好気発酵する際に廃棄物1の発酵補助材3として廃棄物1に混合される発酵乾燥細粒物23を脱塩処理する脱塩工程(ステップS30)とを具備する。
上記実施の形態1の廃棄物処理方法によれば、発酵乾燥工程(ステップS10)において廃棄物1を好気発酵し乾燥させて発酵乾燥物20とし、脱塩工程(ステップS20)において発酵乾燥物20から選別された選別発酵物である発酵乾燥細粒物23を水洗処理により脱塩処理することにより、発酵乾燥細粒物23から廃棄物1由来の食品残渣、生ごみ等に含有している塩化ナトリム(NaCl)等の無機塩化物の塩分が除去される。よって、廃棄物1を好気発酵させる際の発酵補助材3として使用する発酵乾燥細粒物23を水洗処理により脱塩処理することで、脱塩された発酵補助材3及び廃棄物1を含む発酵資材10の塩分濃度は、脱塩されていない発酵補助材3を用いた場合と比較して低減されているから、発酵乾燥物20の一部を廃棄物1の好気発酵処理サイクルに循環させて使用する場合でも、発酵乾燥物20の一部及び廃棄物1を含んだ発酵資材10を好気発酵乾燥させる処理過程で、発酵資材10に塩分濃縮、蓄積が生じることなく、発酵資材10を発酵乾燥させてなる発酵乾燥物20の塩分濃度を低減できることになる。そして、発酵乾燥物20の塩分濃度を低減できることにより、塩分濃度が低い固形燃料原料210を形成できることになる。
こうして、上記実施の形態1の廃棄物処理方法は、脱塩処理する選別発酵乾燥物は、廃棄物1を好気発酵する際に廃棄物1に混合する発酵補助材3として選別された発酵乾燥細粒物23であり、選別発酵乾燥物の脱塩処理は、廃棄物1を好気発酵する際に廃棄物1に混合される発酵補助材3として選別される発酵乾燥細粒物23の脱塩処理である。脱塩処理によって発酵補助材3として使用される発酵乾燥細粒物23を低い塩分濃度にできることで、発酵乾燥物20の一部である発酵乾燥細粒物23を発酵補助材3として廃棄物1の好気発酵処理サイクルに循環させて使用する場合でも、その発酵補助材3及び廃棄物1を含んだ発酵資材10を好気発酵乾燥させる処理過程で、発酵資材10に塩分濃縮、蓄積が生じることなく、発酵資材10を発酵乾燥させてなる発酵乾燥物20の塩分濃度を低減できることになる。
即ち、発酵乾燥物20の一部である発酵乾燥細粒物23を脱塩処理してから、未処理の廃棄物1の好気発酵する際の発酵補助材3として使用することにより、つまり、脱塩処理した発酵乾燥細粒物23を発酵補助材3として未処理の廃棄物1と混合し好気発酵させることにより、その発酵補助材3及び廃棄物1を含んだ発酵資材10を好気発酵乾燥させる処理過程において発酵資材10に塩分濃縮、蓄積が生じることなく、発酵資材10が発酵乾燥されてなる発酵乾燥物20の塩分濃度を低減できることになる。よって、発酵乾燥物20から選別される固形燃料原料210の塩分濃度も低減される。また、バッチ式の廃棄物1の好気発酵処理過程で、塩分濃縮、蓄積による発酵阻害が防止されることで、長期的に安定した廃棄物1の発酵乾燥処理効率を可能とする。
そして、上記実施の形態1の廃棄物処理方法によれば、脱塩処理は、発酵補助材3として使用される選別発酵乾燥物として、廃棄物1を好気発酵する際に廃棄物1に混合する発酵補助材3として選別された発酵乾燥細粒物23を水洗処理することにより行われるものであり、加熱を要しない少ない消費エネルギ量で、かつ、少ない水の使用量で、発酵乾燥物20、延いては、固形燃料原料210の塩素濃度を効果的に低減できる。よって、低コストで、固形燃料原料210の塩素濃度を低減化できる。
特に、発酵乾燥物20から選別され、廃棄物1を好気発酵する際に廃棄物1に混合する発酵補助材3として使用される選別発酵乾燥物としての発酵乾燥細粒物23を水洗処理する脱塩処理では、水洗処理した発酵乾燥細粒物23は発酵補助材3として、次のサイクルの未処理の廃棄物1を好気発酵させる際にその廃棄物1に混合され廃棄物1の発酵乾燥によって乾燥されるから、脱塩処理後に脱塩処理に使用した水を選別発酵乾燥物である発酵乾燥細粒物23から除去するための加熱の付帯設備を別途設ける必要もない。よって、設備コストをかけることなく、低コストで廃棄物1由来の塩分の濃度を低減でき、発酵乾燥物20から選別される固形燃料原料210の塩素濃度を低減できることになる。故に、塩素濃度が低い固形燃料(RDF)211の製造を可能とする。
また、上記実施の形態1の説明は、廃棄物1を好気発酵し乾燥させて発酵乾燥物20とする発酵乾燥処理部と、発酵乾燥物20から選別され、廃棄物1を好気発酵する際に廃棄物1に混合する発酵補助材3として使用される選別発酵乾燥物としての発酵乾燥細粒物23を脱塩処理する脱塩手段とを具備する廃棄物処理プラントの発明と捉えることもできる。
上記実施の形態1の廃棄物処理プラントによれば、発酵乾燥処理部において廃棄物1を好気発酵し乾燥させて発酵乾燥物20とし、脱塩手段によって、発酵乾燥物20から選別された選別発酵物としての発酵乾燥細粒物23を水洗処理で脱塩処理することにより、発酵乾燥細粒物23から廃棄物1由来の食品残渣、生ごみ等に含有している塩化ナトリム(NaCl)等の無機塩化物の塩分が除去される。よって、廃棄物1を好気発酵させる際の発酵補助材3として使用する発酵乾燥細粒物23を水洗処理により脱塩処理することで、脱塩された発酵補助材3及び廃棄物1を含む発酵資材10の塩分濃度は、脱塩されていない発酵補助材3を用いた場合と比較して低減されるから、発酵乾燥物20の一部を廃棄物1の好気発酵処理サイクルに循環させて使用する場合でも、発酵乾燥物20の一部及び廃棄物1を含んだ発酵資材10を好気発酵乾燥させる処理過程で、発酵資材10に塩分濃縮、蓄積が生じることなく、発酵資材10を発酵乾燥させてなる発酵乾燥物20の塩分濃度を低減できることになる。そして、発酵乾燥物20の塩分濃度を低減できることにより、塩分濃度が低い固形燃料原料210を形成できることになる。
こうして、上記実施の形態1の廃棄物プラントは、脱塩処理する選別発酵乾燥物は、廃棄物1を好気発酵する際に廃棄物1に混合される発酵補助材3として選別された発酵乾燥細粒物23であり、選別発酵乾燥物の脱塩処理は、廃棄物1を好気発酵する際に廃棄物1に混合される発酵補助材3として選別された発酵乾燥細粒物23の脱塩処理である。脱塩処理によって発酵補助材3として使用される発酵乾燥細粒物23を低い塩分濃度にできることで、発酵乾燥物20の一部である発酵乾燥細粒物23を発酵補助材3として廃棄物1の好気発酵処理サイクルに循環させて使用する場合でも、その発酵補助材3及び廃棄物1を含んだ発酵資材10を好気発酵乾燥させる処理過程で、発酵資材10に塩分濃縮、蓄積が生じることなく、発酵資材10を発酵乾燥させてなる発酵乾燥物20の塩分濃度を低減できることになる。
即ち、発酵乾燥物20の一部である発酵乾燥細粒物23を脱塩処理してから、未処理の廃棄物1の好気発酵する際の発酵補助材3として使用することにより、つまり、脱塩処理した発酵乾燥細粒物23を発酵補助材3として未処理の廃棄物1と混合し好気発酵させることにより、その発酵補助材3及び廃棄物1を含んだ発酵資材10を好気発酵乾燥させる処理過程において発酵資材10に塩分濃縮、蓄積が生じることなく、発酵資材10が発酵乾燥されてなる発酵乾燥物20の塩分濃度を低減できることになる。よって、発酵乾燥物20から選別される固形燃料原料210の塩分濃度も低減される。また、バッチ式の廃棄物1の好気発酵処理過程で、塩分濃縮、蓄積による発酵阻害が防止されることで、長期的に安定した廃棄物1の発酵乾燥処理効率を可能とする。
そして、上記実施の形態1の廃棄物処理プラントによれば、脱塩手段は、発酵補助材3として使用される選別発酵乾燥物として、廃棄物1を好気発酵する際に廃棄物1に混合する発酵補助材3として選別された発酵乾燥細粒物23を水洗処理することにより行われるものであり、加熱を要しない少ない消費エネルギ量で、かつ、少ない水の使用量で、発酵乾燥物20、延いては、固形燃料原料210の塩素濃度を効果的に低減できる。よって、低コストで、固形燃料原料210の塩素濃度を低減化できる。
また、上記実施の形態1の廃棄物処理方法及び廃棄物処理プラントによれば、固形燃料原料211となるものとして発酵乾燥物20から選別された発酵乾燥軽量物22から例えば、近赤外線分光法等を用いた光学選別手段により塩化ビニルを選別除去する塩化ビニル選別除去工程を有するものである。これより、固形燃料原料211の塩素濃度をより低減することが可能となる。
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2の廃棄物処理プラント及び廃棄物処理方法における廃棄物処理の全体の概略流れを、図3及び図4を参照して説明する。本実施の形態2の廃棄物処理は、廃棄物1を固形燃料(RDF)211や熱分解油(生成油)220等として再資源化(リサイクル)するための廃棄物再資源化(廃棄物リサイクル)に適用されるものである。
上記実施の形態1では、廃棄物1を含んだ発酵資材10を好気発酵、乾燥してなる発酵乾燥物20から選別された発酵乾燥細粒物23を未処理の廃棄物1の好気発酵の発酵補助材3として戻して再使用する際に、発酵乾燥細粒物23に散水処理を行って発酵乾燥細粒物23に含まれている無機塩化物を除去する脱塩処理をしてから、発酵補助材3として廃棄物1に混合して使用する説明とした。
即ち、上記実施の形態1では、発酵資材10を好気発酵、乾燥してなる発酵乾燥物20から粒度及び重量選別の選別工程(ステップS20)で発酵乾燥物20から選別された所定のアンダーサイズの軽量物である発酵乾燥細粒物23を発酵乾燥工程(ステップS10)に戻して未処理の廃棄物1を好気発酵させる際の発酵補助材3として使用する前に脱塩工程(ステップS30)を設けて、そこで発酵乾燥細粒物23に散水を行って発酵乾燥細粒物23に含まれている無機塩化物を除去する脱塩処理を行うことで、発酵乾燥物20の一部を発酵補助材3として廃棄物1に混合して好気発酵させる場合の、発酵資材10、延いてはそれを発酵乾燥してなる発酵乾燥物20に塩分が次第に濃縮される事態を防止し、固形燃料原料210にもなる発酵乾燥物20の塩分濃度の低減を可能としている。
これに対し、本実施の形態2では、発酵乾燥物20から選別され、主に、紙、プラスチック、生ごみ等の分解物等を含み、固形燃料(RDF)211や熱分解油(生成油)220の製造原料となる所定のオーバーサイズの軽量物である発酵乾燥軽量物22に対し脱塩処理を行うものである。
本実施の形態2では、発酵乾燥物20から選別され、固形燃料(RDF)211や熱分解油(生成油)220の製造原料となる発酵乾燥軽量物22の脱塩処理を行うことで、廃棄物1由来の塩素を低減化するものである。脱塩対象が異なる以外は、上記実施の形態1と同様であるため、ここでは重複する詳細な説明を省略し、相違する点のみを説明する。
本実施の形態2の廃棄物処理方法では、廃棄物1を好気発酵し乾燥させて発酵乾燥物20とする発酵乾燥工程(ステップS10)と、固形燃料(RDF)211や熱分解油(生成油)220の原料を発酵乾燥物20から選別する選別工程(ステップS20)と、選別された発酵乾燥軽量物22を脱塩処理する脱塩工程(ステップS30)とを有する。
また、本実施の形態2の廃棄物処理プラントは、廃棄物1を好気発酵し乾燥させて発酵乾燥物20を形成する、散水手段、換気手段等を備えた好気発酵乾燥装置等の発酵乾燥処理部と、固形燃料(RDF)211や熱分解油(生成油)220となる発酵乾燥軽量物22を発酵乾燥物20から選別する粒度・重量選別機等の選別手段と、発酵乾燥物20の一部である選別された発酵乾燥軽量物22を脱塩する散水手段及び加熱手段等の脱塩手段とを有する。
即ち、本実施の形態2においては、発酵資材10を好気発酵、乾燥してなる発酵乾燥物20から粒度及び重量選別の選別工程(ステップS20)で発酵乾燥物20から選別された固形燃料(RDF)211や熱分解油(生成油)220の製造原料となる所定のオーバーサイズの軽量物である発酵乾燥軽量物22から、磁気選別(ステップS24)で金属類310を選別除去し、また、必要に応じ、光学選別(ステップS25)で塩化ビニル330を選別除去したのち、脱塩工程(ステップ130)を設けてそこで発酵乾燥軽量物22の脱塩処理を行う。
本実施の形態2の脱塩工程(ステップ130)では、まず、金属類310や塩化ビニル330が除去された発酵乾燥軽量物22Aに散水を行うことで発酵乾燥軽量物22Aに含まれている無機塩化物を水に溶解させて脱塩する水洗処理を行う(ステップS131)。
次に、無機塩化物が除去された発酵乾燥軽量物22Aを所定の温度で加熱することで発酵乾燥軽量物22Aに含まれている塩化ビニリデン(PVDC)、塩化ビニル(PVC)、塩素化ポリ塩化ビニル、塩素化ゴム等の有機塩素化合物を熱分解して脱塩する加熱処理を行う(ステップS132)。
発酵乾燥物20から選別され金属類310や塩化ビニル330が除去された後の発酵乾燥軽量物22Aに対し脱塩を行う水洗処理は、上記実施の形態1のときと同様、例えば、コンベアの上等の所定の場所に発酵乾燥軽量物22Aを載せ、その上方から発酵乾燥軽量物22Aに対して水を散布、噴霧する散水処理により行われる。このときの散水処理に使用される水は、上述したハウジング内や建屋内で廃水(汚水)として排出され、回収された廃水とは別でそれよりも塩分濃度の低い水である。本実施の形態2においても、発酵乾燥軽量物22Aの散水で使用した水は回収し、溶解された無機塩化物を除去したのち、再び発酵乾燥軽量物22Aの散水として循環させて繰り返し使用している。
即ち、本実施の形態2においても、発酵乾燥軽量物22Aに対して散水した水(余剰水)は回収され、発酵乾燥軽量物22Aの散水に使用され回収された水には廃棄物1由来の無機塩化物が溶解していることから、その溶解している無機塩化物を除去する。そして、無機塩化物を除去した水は、フィルタで異物を除去した後、脱塩工程(ステップS130)で発酵乾燥軽量物22Aの脱塩処理のために発酵乾燥軽量物22Aに散水する水として循環させ、繰り返し使用される。しかし、本発明を実施する場合には、無機塩化物を除去した水は、散水として再使用、循環させることなく、下水処理して放水(外部に排水)してもよい。この場合には、発酵乾燥軽量物22Aの脱塩のための散水に使用する水は、バイオフィルタの散水を回収して浄化した水や外部からの新鮮な水(用水)、それが使用される。
上記実施の形態1のときと同様、発酵乾燥軽量物22Aの散水に使用され回収された水に溶解している無機塩化物を除去するには、例えば、半透膜を用い逆浸透膜法で無機塩化物が溶解した水を、無機塩化物の濃縮水と無機塩化物が除去された脱塩水とに分離する。無機塩化物が除去された脱塩水は、再度、発酵乾燥軽量物22Aの散水に使用することができる。脱塩水と分離された無機塩化物の濃縮水は、硝酸銀(水溶液)と混合することで、塩化銀(不溶性塩分)の沈殿を生じさせ、塩化銀がフィルタ等で除去される。塩化銀は、日光等の紫外線を照射することで光分解し塩素を遊離させる。塩素遊離後に残った銀は濃硝酸と反応させて硝酸銀に戻し、繰り返し無機塩化物と反応させるものとして使用される。こうして、発酵乾燥軽量物22Aの散水に使用され回収された水から無機塩化物を除去することが可能である。
こうして無機塩化物が除去された発酵乾燥軽量物22Aに対し、更に、所定の高温の加熱処理を行うことで発酵乾燥軽量物22Aに含まれている有機塩素化合物を熱分解し脱塩酸化する脱塩処理を行う。脱塩酸化する装置としては、連続式またはバッチ式の脱塩装置が使用され、水洗処理後の発酵乾燥軽量物22Aを、250℃以上、300℃以下で加熱することにより、塩化ビニリデン(PVDC)、塩化ビニル(PVC)等の有機塩素化合物中の塩素、水素が脱離して脱塩酸化され、有機塩素化合物の塩素分が除去される。
脱塩装置D1は、例えば、図4に示すように、水洗処理後の発酵乾燥軽量物22Aを250℃以上、300℃以下で電熱式やバーナー式等で加熱する脱塩加熱部と、発酵乾燥軽量物22Aの加熱で生じた蒸気を冷却する冷却コンデンサと、冷却コンデンサによる冷却で生じた液状の塩化水素(塩酸)を貯留する塩酸回収タンクと、冷却コンデンサを通過した塩化水素ガスを吸収する塩化水素トラップと、オフガス処理装置とを主に有する。
発酵乾燥軽量物22Aをホッパーに投入し、脱塩加熱部にて発酵乾燥軽量物22Aを250℃以上、300℃以下で加熱することにより、発酵乾燥軽量物22Aに含まれている塩化ビニリデン(PVDC)、塩化ビニル(PVC)等の有機塩素化合物中の塩素、水素が脱離して塩化水素ガスを生じる。塩化水素ガスは脱塩加熱部から塩化水素ガスを含む蒸気として排出され、排出された蒸気は冷却コンデンサで冷却されることにより液状の塩化水素(塩酸)となって塩酸回収タンクにて回収される。なお、冷却コンデンサを通過したガスは、塩化水素を吸収する塩化水素トラップで塩化水素ガスを除去したのち、オフガス処理装置で焼却(燃焼)等され、或いは、燃料として使用される。塩酸回収タンクで回収された塩酸は、通常、工業用薬剤として利用可能である。
そして、本実施の形態2においては、250℃以上、300℃以下の加熱によって有機塩素化合物中の塩素、水素が脱離され、即ち、脱塩酸されて塩素濃度が低減された残渣の発酵乾燥軽量物22Aが、固形燃料原料210となる。
なお、有機塩素化合物の塩素、水素が脱離した残りは、塩素原子が含まれない有機化合物や炭化物である。
こうして本実施の形態2の廃棄物処理方法及び廃棄物処理プラントでは、発酵乾燥物20から選別され金属類310や塩化ビニル330が除去された後の発酵乾燥軽量物22Aに水洗処理を行うことにより、発酵乾燥軽量物22A中の無機塩化物を除去する脱塩を行い、また、水洗処理したのちの発酵乾燥軽量物22Aを250℃以上、300℃以下で加熱することにより、発酵乾燥軽量物22A中の有機塩化物を脱塩酸化する脱塩を行うことで、発酵乾燥軽量物22Aの塩素濃度が低減され、塩分濃度が少ない固形燃料原料210となる。
特に、本実施の形態2の廃棄物処理方法及び廃棄物処理プラントによれば、固形燃料原料210とされる発酵乾燥軽量物22の廃棄物1由来の食品残渣、生ごみ等に含有している塩化ナトリム(NaCl)等の無機塩化物の塩類と、廃棄物1由来の食品ラップ等に含有している塩化ビニリデン(PVDC)、塩化ビニル(PVC)等の有機塩素化合物の塩類とを除去することができる。よって、塩分の低減効果を高めることができる。
ところで、本実施の形態2においては、先に無機塩化物の脱塩工程(ステップS131)を行い、その次に、有機塩素化合物の脱塩酸工程(ステップS132)を実施する説明としたが、本発明を実施する場合には、有機塩素化合物の脱塩酸工程を先に行い、無機塩素化合物の脱塩工程を後から行ってもよい。しかし、加熱処理による有機塩素化合物の脱塩酸工程の前に、水洗処理により無機塩化物の脱塩工程を行う方が、無機塩化物の塩分除去率が高く、無機塩化物の残留を少なくできる。これは、先に250~300℃の高温の加熱処理を行った後の発酵乾燥軽量物22Aでは無機塩化物が熱硬化した樹脂や炭化した樹脂中に閉じ込められ水に溶解し難いためである。また、有機塩素化合物の脱塩酸工程を先に行ってから、散水により無機塩素化合物の脱塩酸処理を行った発酵乾燥軽量物22Aを固形燃料原料210とする場合は、散水により添加された水を乾燥除去するための加熱乾燥の付帯設備を設ける必要があり、加熱乾燥等の余分なエネルギを消費することになる。消費エネルギの節約及びコスト削減からしても、加熱処理を行う有機塩素化合物の脱塩酸工程の前に、水洗処理による無機塩化物の脱塩工程を行う方が好ましい。
また、上記説明の実施の形態2においては、250℃以上、300℃以下の加熱によって有機塩素化合物中の塩素、水素が脱離され、即ち、脱塩酸されて塩素濃度が低減された残渣の発酵乾燥軽量物22Aを固形燃料原料210とする説明としたが、本発明を実施する場合には、250℃以上、300℃以下で加熱された残渣の発酵乾燥軽量物22Aを更に300℃を超え、700℃以下で加熱することにより、発酵乾燥軽量物22Aの炭化水素分を熱分解する油化を行って熱分解油(生成油)220を生成することも可能である。即ち、発酵乾燥軽量物22から、熱分解油(生成油)220を生成し、また、油化された残渣は改質固形燃料原料210Aとして固形燃料(RDF)として使用されるものとしてもよい。
発酵乾燥軽量物22Aの炭化水素分を熱分解する油化を行う場合には、図4に示すように、脱塩・熱分解装置D2として、上述した250℃以上、300℃以下で電熱式やバーナー式等で加熱する脱塩加熱部と、発酵乾燥軽量物22Aの250℃以上、300℃以下の加熱で生じた蒸気を冷却する冷却コンデンサと、冷却コンデンサによる冷却で生じた液状の塩化水素(塩酸)を貯留する塩酸回収タンクと、冷却コンデンサを通過した塩化水素ガスを吸収する塩化水素トラップと、オフガス処理装置を含む他、250℃以上、300℃以下で加熱する脱塩加熱部の下流に配設し脱塩された発酵乾燥軽量物22Aを300℃を超え、700℃以下で加熱する分解加熱部と、脱塩された発酵乾燥軽量物22Aの分解加熱部にて300℃を超え、700℃以下の加熱で生じたガスを冷却する冷却コンデンサと、冷却コンデンサで冷却された液状の油水分を分離する油水分離器と、油水分離器で分離した油分である熱分解油(生成油)220を回収する油タンクを有する。なお、熱分解油(生成油)220を、軽質油、中質油、重質に分離する分離装置を更に設けてもよく、熱分解油(生成油)220から分離した軽質油を機械燃料等に、中質油をボイラー燃料等に、重質油を発電等にそれぞれ使用してもよい。また、冷却コンデンサを通過したガスは、オフガス処理装置で焼却(燃焼)等され、或いは、燃料として使用される。
こうした脱塩・熱分解装置D2では、発酵乾燥軽量物22Aをホッパーに投入し、脱塩加熱部にて250℃以上、300℃以下の加熱によって有機塩素化合物中の塩素、水素が脱離され、即ち、脱塩酸されて塩素濃度が低減された残渣の発酵乾燥軽量物22Aを、更に、分解加熱部にて300℃を超え、700℃以下に加熱することで、発酵乾燥軽量物22A中の炭化水素分を熱分解(油化)する。炭化水素分の熱分解で分解加熱部から排出されたガスは冷却却コンデンサで冷却することにより油水分となり、油水分離器によって油分の生成油(熱分解油)220が分離され、油タンクで回収される。回収された生成油(熱分解油)220は機械やボイラー等の燃料、発電等に利用できる。そして、分解加熱部で300℃を超え、700℃以下に加熱処理された発酵乾燥軽量物22Aの残渣は、改質された固形燃料原料210Bとして回収されて、固形燃料化(RDF化)される。
なお、脱塩・熱分解装置D2でも、上述したように、脱塩加熱部にて発酵乾燥軽量物22Aを250℃以上、300℃以下で加熱することにより、塩化ビニリデン(PVDC)、塩化ビニル(PVC)等の有機塩素化合物中の塩素、水素が脱離して塩化水素ガスを生じる。塩化水素ガスは脱塩加熱部から塩化水素ガスを含む蒸気として排出され、排出された蒸気は冷却コンデンサで冷却されることにより液状の塩化水素(塩酸)とされて塩酸回収タンクにて回収される。冷却コンデンサを通過したガスは、塩化水素を吸収する塩化水素トラップで塩化水素ガスを除去したのち、油水分を分離したオフガスと共に、オフガス処理装置で焼却(燃焼)等され、或いは、燃料として使用される。250℃以上、300℃以下の加熱によって有機塩素化合物の塩素、水素が脱離した残りは、塩素原子が含まれない有機化合物と炭化物であり、脱塩酸化された残渣の発酵乾燥軽量物22Aは、水素分が脱離していることにより、300℃を超え、700℃以下に加熱する熱分解しても、配管の閉塞やガス化の阻害となるタールの副生も低いものである。
特に、油化によって生成された熱分解油220は、密度が約0.7~0.9と重軽油相当であり、密度が約0.3~0.4の固形燃料(RDF)211と比較して高密度で、液体であるため、固形燃料(RDF)221よりも燃焼制御が容易であることから、使途が広く、廃棄プラントの近隣での消費、需要が高く見込める。
以上説明してきたように、上記実施の形態2の廃棄物処理方法は、廃棄物1を好気発酵し乾燥させて発酵乾燥物20とする発酵乾燥工程(ステップS10)と、発酵乾燥物20から選別され固形燃料(RDF)211や熱分解油220の原料となる選別発酵乾燥物である発酵乾燥軽量物22を脱塩処理する脱塩工程(ステップS130)とを具備する。
上記実施の形態2の廃棄物処理方法によれば、発酵乾燥工程(ステップS10)において廃棄物1を好気発酵し乾燥させて発酵乾燥物20とし、脱塩工程(ステップS130)において発酵乾燥物20から選別され固形燃料(RDF)211や熱分解油220の原料となる選別発酵物としての発酵乾燥軽量物22を水洗処理及び所定温度の加熱処理による脱塩処理により、廃棄物1由来の食品残渣、生ごみ等に含有している塩化ナトリム(NaCl)等の無機塩化物の塩分及び塩化ビニリデン(PVDC)、塩化ビニル(PVC)等の有機塩素化合物の塩分を除去することができる。よって、脱塩処理した発酵乾燥軽量物22は塩分濃度が低い固形燃料原料210,210Aとなる。
こうして、上記実施の形態2の廃棄物処理方法は、脱塩処理する選別発酵乾燥物は、発酵乾燥物20から固形燃料(RDF)211や熱分解油220の原料として選別された発酵乾燥軽量物22であり、選別発酵乾燥物の脱塩処理は、固形燃料(RDF)210や熱分解油220の原料として選別された発酵乾燥軽量物22の脱塩処理である。発酵乾燥物20から固形燃料(RDF)210や熱分解油220の原料に使用されるものとして選別された発酵乾燥軽量物22の水洗処理及び所定温度の加熱処理による脱塩処理によって、固形燃料(RDF)210の製造原料となる固形燃料原料210,210Aの塩分濃度を低減できることになる。
そして、上記実施の形態2の廃棄物処理方法によれば、脱塩処理は、発酵乾燥物20から固形燃料(RDF)210や熱分解油220の原料になるものとして選別され、金属類310及び塩化ビニル330が除去された発酵乾燥軽量物22Aを水洗処理及び250℃以上、300℃以下の範囲内で加熱処理することにより行われるものであり、廃棄物1の食品残渣、生ごみ等に含有している塩化ナトリム(NaCl)等の無機塩化物の塩分及び塩化ビニリデン(PVDC)、塩化ビニル(PVC)等の有機塩素化合物の塩分を除去できるから、廃棄物1の塩分の低減効果が高くて塩分を十分に除去でき、より低い塩素濃度の固形燃料原料210,210Aを製造できる。
加えて、上記実施の形態2において、脱塩処理としての250~300℃以下の加熱処理後に、更に、300℃を超え700℃以下で加熱する熱分解工程を具備する場合には、脱塩した発酵乾燥軽量物22の炭化水素分が熱分解することで熱分解油220を生成できる。よって、ケミカルリサイクル品として使途を広げることが可能となる。特に、こうして生成された熱分解油220は、固形燃料(RDF)211と比較して高密度で液体であるため、固形燃料(RDF)211よりも燃焼制御が容易であることから、汎用性が高くて使途が広く、廃棄プラントの近隣での消費、需要が高く見込める。
また、上記実施の形態2の説明は、廃棄物1を好気発酵し乾燥させて発酵乾燥物20とする発酵乾燥処理部と、発酵乾燥物20から選別され、固形燃料(RDF)211や熱分解油220の原料となる選別発酵乾燥物としての発酵乾燥軽量物22を脱塩処理する脱塩手段とを具備する廃棄物処理プラントの発明と捉えることもできる。
上記実施の形態2の廃棄物処理プラントによれば、発酵乾燥処理部にて廃棄物1を好気発酵し乾燥させて発酵乾燥物20とし、脱塩手段によって、発酵乾燥物20から選別された固形燃料(RDF)211や熱分解油220の原料となる選別発酵物としての発酵乾燥軽量物22を水洗処理により脱塩処理することにより、廃棄物1由来の食品残渣、生ごみ等に含有している塩化ナトリム(NaCl)等の無機塩化物の塩分及び塩化ビニリデン(PVDC)、塩化ビニル(PVC)等の有機塩素化合物の塩分を除去することができる。よって、発酵乾燥物20から選別され脱塩処理した発酵乾燥軽量物22は、塩分濃度が低い固形燃料原料210,210Aとなる。
こうして、上記実施の形態2の廃棄物プラントは、脱塩処理する選別発酵乾燥物は、発酵乾燥物20から固形燃料(RDF)211や熱分解油220の原料として選別された発酵乾燥軽量物22であり、選別発酵乾燥物の脱塩処理は、固形燃料(RDF)210や熱分解油220の原料として選別された発酵乾燥軽量物22の脱塩処理である。発酵乾燥物20から固形燃料(RDF)210や熱分解油220の原料に使用されるものとして選別された発酵乾燥軽量物22の水洗処理及び所定温度の加熱処理による脱塩処理によって、固形燃料(RDF)210の製造原料となる固形燃料原料210,210Aの塩分濃度を低減できることになる。
そして、上記実施の形態2の廃棄物処理プラントによれば、脱塩処理は、発酵乾燥物20から固形燃料(RDF)210や熱分解油220の原料になるものとして選別され、金属類310及び塩化ビニル330が除去された発酵乾燥軽量物22Aを水洗処理及び250℃以上、300℃以下の範囲内で加熱処理することにより行われるものであり、廃棄物1の食品残渣、生ごみ等に含有している塩化ナトリム(NaCl)等の無機塩化物の塩分及び塩化ビニリデン(PVDC)、塩化ビニル(PVC)等の有機塩素化合物の塩分を除去できるから、廃棄物1の塩分の低減効果が高くて塩分を十分に除去でき、より低い塩素濃度の固形燃料原料210,210Aを製造できる。
加えて、上記実施の形態2において、脱塩処理としての250~300℃以下の加熱処理後に、更に、300℃を超え700℃以下で加熱する熱分解手段を具備する場合には、脱塩した発酵乾燥軽量物22の炭化水素分が熱分解することで熱分解油220を生成できる。よって、ケミカルリサイクル品として使途を広げることが可能となる。特に、こうして生成された熱分解油220は、固形燃料(RDF)211と比較して高密度で液体であるため、固形燃料(RDF)211よりも燃焼制御が容易であることから、汎用性が高くて使途が広く、廃棄プラントの近隣での消費、需要が高く見込める。
ところで、上記実施の形態2では、発酵乾燥物20から選別された固形燃料(RDF)211や熱分解油220の原料となる選別発酵物としての発酵乾燥軽量物22を水洗処理及び所定温度の加熱処理を行うことで脱塩する説明としたが、本発明を実施する場合には、水洗処理のみで無機塩化物を除去するのみであってもよいし、所定温度の加熱処理のみにより有機塩化物を除去するのみであってもよい。これら単独の処理のみでも廃棄物1由来の塩素濃度の低減化を可能とする。
また、上記実施の形態2において、実施の形態1と同様、発酵乾燥物20から選別された発酵乾燥細粒物23を脱塩処理してから発酵補助材3として使用してもよい。これにより、廃棄物1由来の塩素の濃度をより低減することが可能となる。
なお、上記実施の形態2においては、発酵乾燥物20から選別された発酵乾燥軽量物22の脱塩処理を行うため、光学選別(ステップS25)により塩化ビニル330を選別除去する工程(塩化ビニル選別工程)を省略してもよく、発酵乾燥軽量物22から、磁気選別(ステップS24)で金属類310を選別除去したのち、光学選別工程を設けることなく、脱塩工程(ステップ130)を実施してもよい。これにより、工程を少なくできる。
[実施の形態3]
次に、本発明の実施の形態3の廃棄物処理方法及び廃棄物処理プラントにおける廃棄物処理の全体の概略流れを、図5を参照して説明する。本実施の形態3の廃棄物処理も、廃棄物1を固形燃料(RDF)211等として再資源化(リサイクル)するための廃棄物再資源化(廃棄物リサイクル)に適用されるものである。
上記実施の形態1で説明したように、発酵資材10を発酵乾燥する発酵乾燥工程(ステップS10)では、発酵乾燥部としての好気発酵乾燥装置のハウジング内で発酵資材10に散水を行い、廃棄物1に含まれていた水分及び散水の余剰水は回収してフィルタで異物を除去後、再び散水に使用することにより散水の水を循環させている。
発酵資材10に対し、散水を行うことにより、その水分によって好気性微生物による発酵が活性され、また、その散水の循環を行っていることにより好気性微生物を発酵資材10の上から下に移動させることにもなるから、発酵資材10に対し好気性微生物を均一に分布させて効率のよい発酵を可能とする。
ところで、この発酵乾燥工程(ステップS10)における微生物による廃棄物1の発酵過程では、まず、初期の数日間には、廃棄物1の易分解性の有機物質、例えば、たんぱく質、アミノ酸、糖質等をバクテリア、糸状菌等が積極的に分解し、廃棄物1、延いてはハウジング内の温度を上昇させる。易分解性の物質が消費され温度が高温になると、高温性好気性の放線菌等が有機物の分解に携わるようになり、ヘミセルロースやセルロースの分解が始まり、温度は最高60℃~80℃になる。この高温環境によって雑菌類が死滅することで処理物の衛生化が図れる。通常55℃以上、3日間、好ましくは、65℃以上、48時間以上で病原菌等が殺菌される。続いて30℃~50℃の中温域を維持し、有機物の分解を更に促進させる。その後、ハウジング外から取り入れ空気量を増やして、冷却及び乾燥を促進させる。
ここで、好気発酵させている、廃棄物1を含む発酵資材10から染み出た廃水(浸出液)及び散水の余剰水を回収し、それに含まれた異物をフィルタで濾過除去したのち、再び散水として発酵資材10に散布していることにより、散水の水は循環させて繰り返し使用しているが、循環させている散水の衛生さを考慮し、高温環境によって雑菌類を死滅させる衛生化工程以降では散水量を制限している。
特に、散水に使用した水は外部に排出することなく、廃棄物プラント内において、繰り返し、新たな未処理の発酵資材10の好気発酵処理に対する散水に使用されている。
このため、散水の塩物濃度は、発酵資材10中の塩化物濃度と平衡状態にあり、安定したものとなっている。
そこで、本実施の形態3では、高温環境によって雑菌類を死滅させる過程において、それまで循環させて散水に使用していた水とは異なる塩分濃度が低い新たな水(用水)を導入し、その新規な水を散水に使用する。これにより、発酵中の廃棄物1を含んだ発酵資材10の脱塩をする。
即ち、本実施の形態3では、廃棄物1の発酵中に脱塩処理を行う脱塩工程(ステップS230)を実施する。これより、高温環境によって雑菌類を死滅させる過程前で循環させていた水の塩分濃度、主には、発酵資材10の廃棄物1から溶出した無機塩化物に由来する塩分の濃度よりも低い水が発酵資材10に散水されることで、発酵資材10から更なる無機塩化物の塩分を溶出させることができる。よって、塩分濃度が低減された発酵資材10を乾燥させた発酵乾燥物20は、その塩分濃度が低いものとなる。そして、発酵乾燥物20を低い塩分濃度にできることで、発酵乾燥物20から選別され、固形燃料210の製造原料となる固形燃料原料210の塩分濃度も低いものとなるから、それから製造される固形燃料210も塩分濃度が低いものとなる。
こうして、本実施の形態3では、廃棄物1の好気発酵中に脱塩処理を行うものである。脱塩の対象が異なる以外は、上記実施の形態1や実施の形態2と同様であるため、ここでは重複する詳細な説明を省略し、相違する点のみを説明する。
図5のフローチャートに挿入されている図で説明すると、本実施の形態3の廃棄物プラントにおいては、発酵乾燥工程(ステップS10)において、ハウジング内に堆積した廃棄物1を含む発酵資材10を好気発酵させる好気発酵初期から50℃の高温環境になるまでの間の発酵資材10への散水に使用される散水循環路W1と、50℃を超える高温環境になってから、冷却及び乾燥するまでの間の散水に使用する、外部からの水を導入する導入路Iを有し、散水循環路W1から発酵資材10への散水に供給される水よりも低い塩分濃度の水を散水として供給する散水循環路W2とを有し、塩分濃度を異にする2系統の散水循環路を設けたものである。
廃棄物1を含む発酵資材10を好気発酵させる好気発酵初期から50℃の高温環境になるまでの間では、外部からの水の補給がなく繰り返し散水に循環させて使用していることにより塩分濃度が高い水が散水循環路W1を介して発酵資材10の散水に使用される。発酵資材10を好気発酵させる好気発酵初期から50℃の高温環境になるまでの間においてハウジングの底部から回収した水は、フィルタf1で異物を除去した後、タンクT1での貯留を介し、再び、散水として循環される。そして、50℃を超える高温環境に達し雑菌類を死滅させる過程に入ってからは、散水循環路W1からの給水を停止し、散水循環路W1から供給される水の塩分濃度よりも低い塩分濃度の新規な外部の水が導入路Iから供給(補給)され、循環路W2を介して発酵資材10の散水に使用される。これにより、発酵資材10の廃棄物1中の無機塩化物がその散水に溶出、溶解して脱塩される。循環路W2において新たなに散水された水についてもそれを回収し、フィルタf2及びタンクT2を介してその後も繰り返しの散水に使用される。
なお、循環路W1で循環される水或いは循環路W2で循環される水については、無機塩化物を除去したのち、次のサイクルの未処理の発酵資材10に対する散水に使用してもよい。
散水に使用され回収された水に溶解している無機塩化物を除去するには例えば、半透膜を用い逆浸透膜法で無機塩化物が溶解した水を、無機塩化物の濃縮水と無機塩化物が除去された脱塩水とに分離する。無機塩化物が除去された脱塩水は、再度、発酵資材10の散水に使用することができる。脱塩水と分離された無機塩化物の濃縮水は、硝酸銀(水溶液)と混合することで、塩化銀(不溶性塩分)の沈殿を生じさせ、塩化銀がフィルタ等で除去される。塩化銀は、日光等の紫外線を照射することで光分解し塩素を遊離させる。塩素遊離後に残った銀は濃硝酸と反応させて硝酸銀に戻し、繰り返し無機塩化物と反応させるものとして使用される。こうして、発酵資材1の散水に使用され回収された水から無機塩化物を除去することが可能である。
特に、本実施の形態3では、発酵資材10の好気発酵の衛生化過程以降でも、散水を行うことになるから、発酵の進行を促進し、発酵資材10を安定化できる。よって、得られた固形燃料原料210や固形燃料(RDF)211が湿度や温度によって再発酵(二次発酵)が進行するのを抑制し、再発酵による悪臭やガスが生じ難いより安全で安定したものとなる。
以上説明してきたように、上記実施の形態3の廃棄物処理方法は、廃棄物1を好気発酵し乾燥させて発酵乾燥物20とする発酵乾燥工程(ステップS10)と、好気発酵中の廃棄物1を脱塩処理する脱塩工程(ステップS230)とを具備する。
したがって、上記実施の形態3の廃棄物処理方法によれば、廃棄物1を好気発酵し乾燥させて発酵乾燥物20とする発酵乾燥工程(ステップS10)において好気発酵中の廃棄物1を脱塩処理する脱塩工程(ステップS230)を行うことにより、塩分濃度が低減された発酵乾燥物20を生成できる。よって、塩分濃度が低い固形燃料原料210を提供できる。
こうして、上記実施の形態3の廃棄物処理方法は、発酵中の廃棄物1の脱塩処理であり、脱塩処理によって発酵中の廃棄物1の塩分濃度を低減できることで、それを乾燥させた発酵乾燥物20の塩分濃度も低減されることになるから、固形燃料原料210になる発酵乾燥物20の塩分濃度が低減されることにより、固形燃料211の塩分濃度を低減できることになる。
そして、上記実施の形態3の廃棄物処理方法によれば、脱塩処理は、発酵中の廃棄物1を水洗処理することにより行われるものであり、廃棄物1中の食品残渣、生ごみ等に含有している塩化ナトリム(NaCl)等の無機塩化物の塩分を除去することから、低コストで廃棄物1の塩素分を低減できる。
また、上記実施の形態3の説明は、廃棄物1を好気発酵し乾燥させて発酵乾燥物20とする発酵乾燥処理部と、好気発酵中の廃棄物1を脱塩処理する脱塩手段とを具備する廃棄物処理プラントの発明と捉えることもできる。
したがって、上記実施の形態3の廃棄物処理プラントによれば、脱塩手段により好気発酵中の廃棄物1を脱塩処理することにより、塩分濃度が低減された発酵乾燥物20を生成できる。これより、塩分濃度が低い固形燃料原料210を提供できる。即ち、発酵中の廃棄物1の脱塩処理であり、脱塩処理によって発酵中の廃棄物1の塩分濃度を低減できることで、それを乾燥させた発酵乾燥物20の塩分濃度も低減されることになるから、固形燃料原料210になる発酵乾燥物20の塩分濃度が低減されることにより、固形燃料211の塩分濃度を低減できる。
そして、上記実施の形態3の廃棄物処理プラントによれば、脱塩処理は、発酵中の廃棄物1を水洗処理することにより行われるものであり、廃棄物1中の食品残渣、生ごみ等に含有している塩化ナトリム(NaCl)等の無機塩化物の塩分を除去することから、低コストで廃棄物1の塩素分を低減できる。
なお、上記実施の形態3において、実施の形態1と同様、発酵乾燥物20から選別された発酵乾燥細粒物23を脱塩処理してから発酵補助材3として使用してもよい。また、実施の形態2と同様、発酵乾燥物20から選別された発酵乾燥軽量物22を脱塩処理して固形燃料(RDF)211や熱分解油(生成油)220の製造原料としてもよい。これにより、廃棄物1由来の塩素の濃度をより低減することが可能となる。
本発明を実施する場合には、上記実施の形態1の脱塩工程(ステップS30)、上記実施の形態2の脱塩工程(ステップS130)、上記実施の形態3の脱塩工程(ステップS130)のそれぞれの単独の実施に限定されず、何れか2つ以上を組み合わせて実施してもよい。即ち、上記実施の形態1の脱塩工程(ステップS30)に加え、上記実施の形態2の脱塩工程(ステップS130)及び/または上記実施の形態3の脱塩工程(ステップS130)を実施してもよいし、上記実施の形態2の脱塩工程(ステップS130)及び上記実施の形態3の脱塩工程(ステップS130)を実施してもよい。
上述した実施の形態1乃至実施の形態3の廃棄物処理方法及び廃棄物プラントによれば、廃棄物1の生ゴミ等由来の無機塩化物や塩素含有プラスチック由来の塩素を除去でき、塩素濃度が固形燃料(RPF)並みに低い固形燃料(RDF)を形成することが可能となる。
ところで、上記実施の形態1乃至実施の形態3の説明では、発酵乾燥物20から選別された発酵乾燥細粒物23は、発酵補助材3に使用する説明としたが、本発明を実施する場合には、発酵乾燥細粒物23の一部を堆肥原料230として使用するものとしてもよい。堆肥原料230は、別途の熟成床で、上述の好気発酵乾燥のときと同様、散水と通気を行いながら、数日から数週間寝かせて熟成させ、その後、用途や使用条件に合わせた篩分けや、必要があれば更なる熟成を経て、高品位な堆肥とすることができる。
なお、上記好気発酵では、好気性微生物の使用を前提として説明してきたが、嫌気性微生物の付着が皆無であることを意味するものではなく、好気性微生物の働く環境を作ることを意味するものである。
また、本発明を実施するに際しては、廃棄物処理プラント及び廃棄物処理方法のその他の部分の構成、成分、配合、製造方法等については、上記実施例に限定されるものではない。また、本発明の実施の形態及び実施例で挙げている数値は、その全てが臨界値を示すものではなく、ある数値は実施に好適な好適値を示すものであるから、上記数値を許容値内で若干変更してもその実施を否定するものではない。
1 廃棄物
3 発酵補助材
20 発酵乾燥物
22 発酵乾燥軽量物(選別発酵乾燥物)
23 発酵乾燥細粒物(選別発酵乾燥物)
210,210A 固形燃料原料
211 固形燃料(RDF)
220 熱分解油(生成油)

Claims (14)

  1. 廃棄物を好気発酵し乾燥させて発酵乾燥物とする発酵乾燥工程と、
    前記発酵乾燥物から選別され、前記廃棄物を好気発酵する際に前記廃棄物に混合する発酵補助材として使用される選別発酵乾燥物を脱塩処理する脱塩工程と
    を具備することを特徴とする廃棄物処理方法。
  2. 前記脱塩処理は、前記発酵補助材として使用される選別発酵乾燥物の水洗処理であることを特徴とする請求項1に記載の廃棄物処理方法。
  3. 廃棄物を好気発酵し乾燥させて発酵乾燥物とする発酵乾燥工程と、
    前記発酵乾燥物から選別され、固形燃料の原料となる選別発酵乾燥物を脱塩処理する脱塩工程と
    を具備することを特徴とする廃棄物処理方法。
  4. 前記脱塩処理は、前記固形燃料の原料となる選別発酵乾燥物の水洗処理及び250℃以上、300℃以下の加熱処理であることを特徴とする請求項3に記載の廃棄物処理方法。
  5. 更に、前記250℃以上、300℃以下の加熱処理後に、300℃を超え700℃以下で加熱する熱分解工程を具備することを特徴とする請求項4に記載の廃棄物処理方法。
  6. 廃棄物を好気発酵し乾燥させて発酵乾燥物とする発酵乾燥工程と、
    前記発酵中の廃棄物を脱塩処理する脱塩工程と、
    を具備することを特徴とする廃棄物処理方法。
  7. 前記発酵乾燥工程では、前記廃棄物を発酵中に散水処理を行い、
    前記脱塩工程では、前記廃棄物の発酵初期から前記廃棄物が発酵により50℃に達するまでに前記廃棄物に散水する水よりも低い塩分濃度の水を前記廃棄物が50℃を超えてから前記廃棄物に散水することにより前記脱塩処理することを特徴とする請求項6に記載の廃棄物処理方法。
  8. 廃棄物を好気発酵し乾燥させて発酵乾燥物とする発酵乾燥処理部と、
    前記発酵乾燥物から選別され、前記廃棄物を好気発酵する際に前記廃棄物に混合する発酵補助材として使用される選別発酵乾燥物を脱塩する脱塩手段と
    を具備することを特徴とする廃棄物処理プラント。
  9. 前記脱塩手段は、前記発酵補助材として使用される選別発酵乾燥物の水洗処理であることを特徴とする請求項8に記載の廃棄物処理プラント。
  10. 廃棄物を好気発酵し乾燥させて発酵乾燥物とする発酵乾燥処理部と、
    前記発酵乾燥物から選別され、固形燃料の原料となる選別発酵乾燥物を脱塩する脱塩手段と、
    を具備することを特徴とする廃棄物処理プラント。
  11. 前記脱塩手段は、前記固形燃料の原料となる選別発酵乾燥物の水洗処理及び250℃以上、300℃以下の加熱処理であることを特徴とする請求項10に記載の廃棄物処理プラント。
  12. 更に、前記250℃以上、300℃以下の加熱処理後に、300℃を超え700℃以下で加熱する熱分解手段を具備することを特徴とする請求項11に記載の廃棄物処理プラント。
  13. 廃棄物を好気発酵し乾燥させて発酵乾燥物とする発酵乾燥処理部と、
    前記発酵中の廃棄物を脱塩する脱塩手段と
    を具備することを特徴とする廃棄物処理プラント。
  14. 前記脱塩手段は、前記廃棄物の発酵初期から前記廃棄物が発酵により50℃に達するまでに前記廃棄物に散水する水よりに低い塩分濃度の水を前記廃棄物が50℃を超えてから前記廃棄物に散水する散水処理であることを特徴とする請求項13に記載の廃棄物処理プラント。
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