JP2024067012A - 人工筋構造体の製造装置、人工筋構造体の製造キット、人工筋アクチュエータ、ロボット、および人工筋構造体の製造方法 - Google Patents

人工筋構造体の製造装置、人工筋構造体の製造キット、人工筋アクチュエータ、ロボット、および人工筋構造体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2024067012A
JP2024067012A JP2023187139A JP2023187139A JP2024067012A JP 2024067012 A JP2024067012 A JP 2024067012A JP 2023187139 A JP2023187139 A JP 2023187139A JP 2023187139 A JP2023187139 A JP 2023187139A JP 2024067012 A JP2024067012 A JP 2024067012A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
artificial muscle
holder
members
muscle
artificial
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2023187139A
Other languages
English (en)
Inventor
昌治 竹内
雄矢 森本
新竹 任
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
University of Tokyo NUC
Original Assignee
University of Tokyo NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by University of Tokyo NUC filed Critical University of Tokyo NUC
Publication of JP2024067012A publication Critical patent/JP2024067012A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)

Abstract

【課題】従来よりも制御性が向上した人工筋構造体を製造し、従来よりも制御性が向上した人工筋アクチュエータおよびロボットを提供する。【解決手段】実施形態に係る人工筋構造体の製造装置は、筋組織を含む一つまたは複数の人工筋部材を備える人工筋構造体の製造装置であって、人工筋部材の一端部を支持可能な第1ホルダと、人工筋部材の他端部を支持可能な第2ホルダと、を備え、第1ホルダおよび第2ホルダの少なくとも一方は、第1形態と第2形態との間で変形可能であり、第1形態において、第1ホルダおよび第2ホルダは、一つまたは複数の人工筋部材を、培養のための第1配置で支持することができ、第2形態において、第1ホルダおよび第2ホルダは、一つまたは複数の人工筋部材を、一つまたは複数の人工筋部材が束ねられた第2配置で支持することができる。【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、人工筋構造体の製造装置、人工筋構造体の製造キット、人工筋アクチュエータ、ロボット、および人工筋構造体の製造方法に関する。
本願は、2022年11月2日に出願された米国特許仮出願63/381,959号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
近年、骨格筋組織が組み込まれることによって筋収縮で動作可能なバイオハイブリッドアクチュエータが提案されている(非特許文献1を参照)。
Voluntary Movement Controlled by the Surface EMG Signal for Tissue-Engineered Skeletal Muscle on a Gripping Tool, Tissue Engineering Part A, 2013, Vol. 19, No. 15-16, p. 1695-1703
しかしながら、上記のような人工筋アクチュエータは、出力を得るために多数の筋線維が融合した一本の太い骨格筋組織を駆動源とするため、その機能は1次元的な運動に限定されており、制御可能性が十分ではなかった。
本発明が解決しようとする課題は、従来よりも制御性が向上した人工筋構造体を製造し、従来よりも制御性が向上した人工筋アクチュエータを提供することである。
本発明が解決しようとする別の課題は、従来よりも出力および/または収縮力が向上した人工筋構造体を製造し、従来よりも出力および/または収縮力が向上した人工筋アクチュエータを提供することである。
本発明が解決しようとする別の課題は、従来よりも耐久性が向上した人工筋構造体を製造し、従来よりも耐久性が向上した人工筋アクチュエータを提供することである。
ただし、本発明が解決しようとする課題は上記に限定されない。本発明が解決しようとする他の課題は、当業者によって以下の説明から理解される。
本発明は、以下の態様を含み得る。
[1]筋組織を含む一つまたは複数の人工筋部材を備える人工筋構造体の製造装置であって、人工筋部材の一端部を支持可能な第1ホルダと、人工筋部材の他端部を支持可能な第2ホルダと、を備え、前記第1ホルダおよび前記第2ホルダの少なくとも一方は、第1形態と第2形態との間で変形可能であり、前記第1形態において、前記第1ホルダおよび前記第2ホルダは、前記一つまたは複数の人工筋部材を、培養のための第1配置で支持することができ、前記第2形態において、前記第1ホルダおよび前記第2ホルダは、前記一つまたは複数の人工筋部材を、前記一つまたは複数の人工筋部材が束ねられた第2配置で支持することができる、製造装置。
[2]前記第1ホルダおよび前記第2ホルダの少なくとも一方は、前記第1形態では展開されており、前記第2形態では巻き取られている、[1]に記載の製造装置。
[3]前記第1ホルダおよび前記第2ホルダにより支持された前記一つまたは複数の人工筋部材は、前記第1ホルダと前記第2ホルダとの間で第1方向に延在し、前記第2形態において、前記第1ホルダおよび前記第2ホルダの少なくとも一方は、前記第1方向に直交する平面視において、渦巻状に巻き取られている、[2]に記載の製造装置。
[4]前記第1ホルダおよび前記第2ホルダの少なくとも一方は、人工筋部材の端部を支持可能な複数の保持ユニットを備え、前記複数の保持ユニットのうち隣り合う保持ユニットは、互いに枢動可能に連結される、[1]~[3]のいずれか1つに記載の製造装置。
[5]前記第1ホルダおよび前記第2ホルダにより支持された前記一つまたは複数の人工筋部材は、前記第1ホルダと前記第2ホルダとの間で第1方向に延在し、前記第2形態では、前記第1方向に直交する平面への射影において、前記第1ホルダおよび前記第2ホルダは、前記一つまたは複数の人工筋部材を取り囲む、[1]~[4]のいずれか1つに記載の製造装置。
[6]前記一つまたは複数の人工筋部材は、細長い形状を有する複数の人工筋部材を含む、[1]~[5]のいずれか1つに記載の製造装置。
[7]前記第1配置における前記一つまたは複数の人工筋部材は、実質的に同一平面内に配置され、前記第2配置における前記一つまたは複数の人工筋部材は、前記同一平面内に配置されない、[1]~[6]のいずれか1つに記載の製造装置。
[8]前記第1ホルダは、人工筋部材の一端部を固定するアンカーを保持することができ、前記第2ホルダは、人工筋部材の他端部を固定するアンカーを保持することができる、[1]~[7]のいずれか1つに記載の製造装置。
[9]前記第1ホルダおよび前記第2ホルダは、別体の部材である、[1]~[8]のいずれか1つに記載の製造装置。
[10]筋組織を含む一つまたは複数の人工筋部材を備える人工筋構造体の製造キットであって、人工筋部材を固定可能な複数のアンカーと、前記複数のアンカーを設置可能な複数のアンカー設置部と、前記複数のアンカー設置部のうち2つのアンカー設置部の間に形成され、細胞を培養する培養空間を形成する培養部と、を備えるモールドと、[8]に記載の装置と、を備える製造キット。
[11]第1方向に延在する、筋組織を含む一つまたは複数の人工筋部材と、前記一つまたは複数の人工筋部材が束ねられた状態で、前記第1ホルダおよび前記第2ホルダによって前記一つまたは複数の人工筋部材の両端部を支持する、[1]~[9]のいずれか1つに記載の装置と、を備える、人工筋アクチュエータ。
[12]前記一つまたは複数の人工筋部材の一部または全部に対して電場を印加する電場印加部材をさらに備える、[11]に記載の人工筋アクチュエータ。
[13][11]に記載の人工筋アクチュエータと、前記人工筋アクチュエータによって直接的または間接的に駆動される可動ユニットと、を備える、ロボット。
[14]筋組織を含む一つまたは複数の人工筋部材を備える人工筋構造体の製造方法であって、前記一つまたは複数の人工筋部材の両端がホルダに保持された状態で、前記筋組織を培養する筋組織培養ステップと、前記筋組織培養ステップの後、前記ホルダを変形させることによって、前記一つまたは複数の人工筋部材を束ねる変形ステップと、を含む、方法。
[15]前記筋組織培養ステップにおいて、前記一つまたは複数の人工筋部材は、実質的に同一平面内に配置される、[14]に記載の方法。
[16]前記ホルダで保持可能な一対のアンカーの間で筋芽細胞を培養することによって、両端が前記一対のアンカーに固定された人工筋部材を形成する細胞培養ステップをさらに備える、[14]または[15]に記載の方法。
本発明によれば、従来よりも制御性が向上した人工筋構造体を製造するための装置、製造キット、および製造方法を提供するとともに、従来よりも制御性が向上した人工筋アクチュエータおよびロボットを提供することができる。ただし、本発明は、上記の効果を奏するものに限定されない。本発明の他の効果は、当業者によって以下の説明から理解される。
実施形態に係る製造キット1を示す斜視図。 実施形態に係る製造装置30の第2形態F2を示す斜視図。 実施形態に係る人工筋構造体100の製造方法を示す図。 実施形態に係る人工筋構造体100の製造方法を示す図。 実施形態に係る人工筋構造体100の製造方法を示す図。 実施形態に係る人工筋構造体100の製造方法を示す図。 実施形態に係る人工筋構造体100の製造方法を示す図。 実施形態に係る人工筋構造体100の製造方法を示す図。 実施形態に係る人工筋アクチュエータ200を示す斜視図。 実施形態に係る製造装置30の第2形態F2を示す側面図。 実施形態に係る人工筋アクチュエータ200の動作を示す模式図。 実施形態に係る人工筋アクチュエータ200の動作を示す模式図。 実施形態に係る人工筋アクチュエータ200の動作を示す模式図。 実施形態に係るロボットハンド300を示す側面図。 実施例4で製造したロボットハンドの写真。 評価例1における人工筋部材110の数に対する人工筋アクチュエータ200の収縮力の測定結果を示すグラフ。 評価例2における人工筋部材110の太さに対する単位断面積あたりの収縮力の測定結果を示すグラフ。 評価例3における人工筋部材110の培養方法に対する人工筋アクチュエータ200の収縮力の測定結果を示すグラフ。
以下、図1~図7を参照して、一実施形態に係る人工筋構造体の製造装置、人工筋構造体の製造キット、人工筋アクチュエータ、ロボット、および人工筋構造体の製造方法を説明する。なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。また、図面に示すxyz座標は、説明の便宜上定義されたものであり、発明を限定するものではない。
[人工筋構造体100の製造キット1]
まず、図1および図2を参照して、人工筋構造体100を製造するための製造キット1について説明する。
図1は、本実施形態に係る人工筋構造体100の製造キット1を示す斜視図である。図に示すように、製造キット1は、モールド10、アンカー20、人工筋構造体の製造装置30、および培養台70を備える。製造キット1の各構成要素を組み合わせることにより、筋芽細胞から出発して、筋組織を含む人工筋構造体100を製造することができる。
(モールド10)
モールド10は、筋芽細胞を培養するとともに、人工筋構造体100の構成要素である人工筋部材110を形成する。モールド10は、モールド本体12を備える。モールド本体12の上面には、複数のアンカー設置部14および複数の溝16(「培養部」の一例)が形成されている。複数のアンカー設置部14が対をなすようにモールド本体12の上面の両側に凹部として形成される。溝16の各々は、一対のアンカー設置部14を連結する。アンカー設置部14は、後述のアンカー20の装着部26を受け入れる装着穴を有し、アンカー20を収容する。溝16は、細胞の培養空間として機能する。筋芽細胞を溝16内で培養することによって形成される人工筋部材110は、その両端でアンカー設置部14に設置されたアンカー20に固定される。溝16は、人工筋部材110の外形輪郭を成形する。各溝16で人工筋部材110を培養することにより、人工筋部材110の各々が互いに離間した状態で培養されるので、細長い人工筋部材110が別々に形成される。
溝16の長さ(すなわち、一対のアンカー設置部14の間の距離)は、たとえば2mm以上150mm以下であり、好ましくは4mm以上50mm以下である。溝16の幅は、たとえば100μm以上20mm以下であり、好ましくは500μm以上10mm以下である。溝16の深さは、たとえば100μm以上20mm以下であり、好ましくは500μm以上10mm以下である。
(アンカー20)
アンカー20は、人工筋部材110の両端を固定するための部材である。アンカー20は、モールド10のアンカー設置部14に着脱可能に装着されるように構成される。アンカー20の形状は、アンカー設置部14に装着可能である限り特に限定されない。本実施形態では、アンカー20は、直方体のアンカー本体22と、アンカー本体22の一端部に設けられた組織固定部24と、アンカー本体22の他端部に設けられた装着部26と、を備える。組織固定部24は、筋組織やゲルと容易に固着するように、互いに略直交する2つの半楕円形状の湾曲フレームからなる先細形状を有する。装着部26は、アンカー本体22の他端部の下面から下方に突出する。
アンカー20が各アンカー設置部14に装着された状態で、筋芽細胞を含む溶液を溝16に投入して筋芽細胞を培養することにより、両端がアンカー20に結合した筋組織が形成される。筋組織の両端に位置する一対のアンカー20は、それぞれモールド10の一対のアンカー設置部14に固定装着されているので、筋芽細胞が組織化する過程で筋組織が長手方向に縮むのを抑制する。
(人工筋構造体100の製造装置30)
製造装置30は、モールド10で筋芽細胞を培養して得られる筋組織から人工筋構造体100を製造するための装置である。製造装置30は、筋組織を培養するための第1形態F1と、人工筋構造体100を形成するための第2形態F2との間で変形可能である。図2は、本実施形態に係る製造装置30の第2形態F2を示す斜視図である。本実施形態では、製造装置30の第1形態F1は、図1に示すような展開された形態であり、第2形態F2は、図2に示すような巻き取られた形態である。
図1に示すように、本実施形態に係る製造装置30は、一対のホルダ40、巻き取り部材50、および一対の形態維持部材60を備える。具体的には、ホルダ40が、第1形態F1と第2形態F2との間で変形可能であり、巻き取り部材50および形態維持部材60は、ホルダ40の変形を補助する部材である。ホルダ40は、アンカー20を保持することができ、アンカー20を介して人工筋部材110を保持することができる。
一対のホルダ40は、第1ホルダ40Aおよび第2ホルダ40Bを有する。本実施形態では、第1ホルダ40Aおよび第2ホルダ40Bは同じ構造を有しているので、以下、共通の特徴について説明するときは単に「ホルダ40」という。同様に、一対の形態維持部材60は、第1形態維持部材60Aおよび第2形態維持部材60Bからなる。第1形態維持部材60Aおよび第2形態維持部材60Bも同じ構造を有しているので、以下、共通の特徴について説明するときは単に「形態維持部材60」という。
第1ホルダ40Aおよび第2ホルダ40Bは、それぞれアンカー20を保持することができる。具体的には、ホルダ40は、5つの保持ユニット42を備える。保持ユニット42は、アンカー20を保持することができる。図1に示すように、5つの保持ユニット42は、直列に連結されている。隣り合う2つの保持ユニット42は、ジョイント44を介して互いに枢動可能に連結されている。ジョイント44の形態は特に限定されない。たとえば、ジョイント44は、隣り合う保持ユニット42の間に物理的な機械要素として設けられてもよく、各保持ユニット42を連結するシートを保持ユニット42の背面に設けたり、単に各保持ユニット42を接着手段で連結したりすることによって実現されてもよい。
保持ユニット42は、第1保持ユニット42A、第2保持ユニット42B、第3保持ユニット42C、第4保持ユニット42D、および第5保持ユニット42Eを備える。第1保持ユニット42A~第4保持ユニット42Dは、平板形状を有する。第5保持ユニット42Eは、フック形状をなすように連結された第1平板42E1、第2平板42E2、および第3平板42E3で構成される。図1において、第1保持ユニット42Aのy方向の長さは、第3保持ユニット42Cと略等しい。第4保持ユニット42Dのy方向の長さは、第2保持ユニット42Bより小さい。第5保持ユニット42Eのy方向の長さ(すなわち、第1平板42E1のy方向の長さ)は、第1保持ユニット42Aおよび第3保持ユニット42Cより小さい。第5保持ユニット42Eのz方向の長さ(すなわち、第2平板42E2のz方向の長さ)は、第4保持ユニット42Dより小さい。第3平板42E3のy方向の長さは、第1平板42E1より小さい。各保持ユニット42の大きさがこのような関係にあるので、ホルダ40は、巻き取られることによって、第1形態F1から図2のような第2形態F2に変形することができる。図2に示すように、第2形態F2において、保持ユニット42は、yz平面視において渦巻状に巻き取られている。
図1に示すように、第5保持ユニット42Eは、第1平板42E1、第2平板42E2、および第3平板42E3で囲まれる空間Sを形成する。ホルダ40を第1形態F1から第2形態F2に変形させる際には、巻き取り部材50を第5保持ユニット42Eが形成する空間Sに挿入して、手前側に転がすようにホルダ40を巻き取ることができる。
各保持ユニット42には、アンカー保持穴46および/または形態維持穴48が形成されている。図1に示すように、アンカー保持穴46は、保持ユニット42のx方向中央部に形成される。形態維持穴48は、保持ユニット42のx方向側部に形成される。具体的には、第1保持ユニット42Aは、y方向に並んだ3つのアンカー保持穴46およびその両側の2つの形態維持穴48を有する。第2保持ユニット42Bは、y方向に並んだ2つのアンカー保持穴46を有する。第3保持ユニット42Cは、y方向に並んだ2つのアンカー保持穴46およびその両側の2つの形態維持穴48を有する。第4保持ユニット42Dは、中央部に形成された1つのアンカー保持穴46を有する。第5保持ユニット42Eの第1平板42E1は、x方向において両側に形成された2つの形態維持穴48を有する。第5保持ユニット42Eの第3平板42E3は、x方向において両側に形成された2つの形態維持穴48を有する。ただし、アンカー保持穴46および形態維持穴48は上記例に限定されず、任意の数および配置のアンカー保持穴46および/または形態維持穴48が各保持ユニット42に形成されてよい。
アンカー保持穴46は、アンカー20の装着部26を受け入れることによって、アンカー20を保持する。形態維持穴48は、図2に示すように、形態維持部材60を受け入れることによって、ホルダ40を第2形態F2に維持する。形態維持部材60は、第1保持ユニット42A、第3保持ユニット42C、第1平板42E1、および第3平板42E3の形態維持穴48すべてを挿通する。これにより、ホルダ40の形態を簡便に維持することができる。なお、ホルダ40の形態を維持する方法は上記の形態維持部材60に限定されず、任意の方法が利用可能である。また、本実施形態では、ホルダ40だけでは第2形態F2を維持することが難しい構成であるので形態維持部材60を利用しているが、ホルダ40のみで第2形態F2を維持できるような構造および/または材質を採用してもよい。
本実施形態では、第1ホルダ40Aおよび第2ホルダ40Bは、互いに別体の部材である。図1に示すように、第1ホルダ40Aおよび第2ホルダ40Bは、同一の構造を有し得る。これにより、製造コストが低減されるとともに、2つのホルダ40A、40Bを巻き取り部材50で同時に巻き取ることが容易になる。
(培養台70)
培養台70は、ホルダ40によって保持された筋組織を培養するための部材である。培養台70は、ベース72およびストッパ74を備える。ベース72は、ホルダ40を支持する土台である。ストッパ74は、ベース72に着脱可能に装着されて、ホルダ40を位置決めする。ベース72およびストッパ74によって、ホルダ40を装着するための空間として一対のホルダ装着部76が形成される。
モールド10、アンカー20、ホルダ40、巻き取り部材50、形態維持部材60、および培養台70の材質は、細胞や組織に大きな悪影響を及ぼさない限り、特に限定されない。たとえば、これらは、生体適合性樹脂やポリジメチルシロキサン(PDMS)などの生体適合性材料からなる。
[人工筋構造体の製造方法]
次いで、図3A~図3Fを参照して、製造キット1を使用して人工筋構造体100を製造する方法について説明する。
図3A~図3Fは、本実施形態に係る人工筋構造体100の製造方法を示す図である。
一実施形態に係る人工筋構造体100の製造方法は、筋組織を含む一つまたは複数の人工筋部材110を備える人工筋構造体100の製造方法であって、一つまたは複数の人工筋部材110の両端がホルダ40に保持された状態で、筋組織を培養する筋組織培養ステップと、筋組織培養ステップの後、ホルダ40を変形させることによって、一つまたは複数の人工筋部材110を束ねる変形ステップと、を含む。
一実施形態によれば、上記方法は、ホルダ40で保持可能な一対のアンカー20の間で筋芽細胞Mを培養することによって、両端が一対のアンカー20に固定された人工筋部材110を形成する細胞培養ステップをさらに備える。
(細胞)
本実施形態では、培養対象の細胞として筋芽細胞が使用される。細胞は、既知の方法により調製することができる。例えば、細胞は、生体由来の組織を分解酵素で処理して得た細胞であってよい。細胞は、食肉やヒトもしくは非ヒト動物の生体から採取した細胞、またはこれを培養した細胞であってもよい。細胞は、ES細胞、iPS細胞などの多能性幹細胞や体性幹細胞から分化誘導した細胞であってもよい。細胞は、遺伝子改変された細胞であってもよく、遺伝子改変されていない細胞であってもよい。なお、細胞は上記例に限定されず、上記の細胞の代わりに、または上記の細胞に加えて、血管内皮細胞、運動神経細胞、腱線維芽細胞など任意の一つ以上の細胞を使用してもよい。各種の細胞は任意に組み合わされてもよい。後述の人工筋アクチュエータ200を製造するためには、筋芽細胞を含むことが好ましい。本実施形態では、筋芽細胞を培養することによって筋組織を得る。筋組織の例として、骨格筋組織、心筋組織、および平滑筋組織が挙げられる。
(細胞培養ステップ)
まず、図3Aに示すように、モールド10の上面の両側に形成されたアンカー設置部14にアンカー20を設置する。アンカー20は、装着部26をアンカー設置部14の装着穴に挿入することによって、組織固定部24がx方向内側を向くようにアンカー設置部14に装着される。
次いで、図3Bに示すように、筋芽細胞Mを含むハイドロゲル溶液Hを溝16に流し込む。ゲル溶液を固化(ゲル化)させた後、図3Cに示すように、モールド10を載置したシャーレ80に培地を入れて、筋芽細胞Mを培養する。筋芽細胞Mは、x方向に延在するハイドロゲル内で増殖し、組織化する。これにより、両端がアンカー20に固定され、溝16に沿った細長い形状を有する人工筋部材110が形成される。人工筋部材110は、筋芽細胞Mから構築された骨格筋組織およびハイドロゲルで構成される。
ハイドロゲル溶液H用のハイドロゲルとしては、たとえば、細胞外マトリックス成分を使用することができる。細胞外マトリックス成分としては、特に限定されないが、たとえば、フィブリン、コラーゲン(I型、II型、III型、V型、XI型など)、マウスEHS腫瘍抽出物(IV型コラーゲン、ラミニン、ヘパラン硫酸プロテオグリカンなどを含む)より再構成された基底膜成分(商品名:マトリゲル(登録商標))、ゼラチン、寒天、アガロース、グリコサミノグリカン、ヒアルロン酸、プロテオグリカンなどを例示することができる。
ハイドロゲル溶液Hにおける細胞の濃度は、形成される人工筋部材110がその機能を発揮するように調整され得る。人工筋部材110の機能とは、たとえば、電気刺激に応答して収縮運動をする機能であり得る。このような電気刺激に応答した収縮運動は、筋組織が発揮する機能である。すなわち、人工筋部材110が、十分に成熟した筋組織を形成している場合には、電気刺激の印加に応答して収縮運動が観察される。したがって、細胞ファイバ調製ステップにおける各種濃度は、最終的に得られる細胞ファイバが上記の収縮運動をするように調整されてよい。具体的には、ハイドロゲル溶液Hにおける細胞の濃度は、たとえば、1×10cells/mL以上1×10cells/mL以下である。ハイドロゲル溶液Hにおける細胞の濃度が1×10cells/mL未満である場合には、ゲル中の細胞間の距離が十分でなく、細胞の多核化による組織形成が十分に進行せず、収縮運動をする程度まで筋組織が成熟しない可能性がある。ハイドロゲル溶液Hにおける細胞の濃度は、細胞壊死が起こらない範囲であれば特に具体的な上限はない。
(筋組織培養ステップ)
次いで、第1形態F1の第1ホルダ40Aおよび第2ホルダ40Bを培養台70のホルダ装着部76に装着する。その後、図3Dに示すように、アンカー20の対を、その間に形成された人工筋部材110とともにモールド10から取り外し、培養台70上のホルダ40に装着する。人工筋部材110の一端のアンカー20は、第1ホルダ40Aのアンカー保持穴46に装着され、他端のアンカー20は、第2ホルダ40Bのアンカー保持穴46に装着される。第1形態F1では、ホルダ40は、培養のための第1配置で、複数の人工筋部材110を支持する。
アンカー20をホルダ40に装着した後、図3Eに示すように、製造装置30をシャーレ80(モールド10を載置したシャーレとの異同は問わない。)に入れて、筋組織をさらに培養する。このとき、ホルダ40は平面的な第1形態F1を有しているので、ホルダ40によって保持される人工筋部材110の各々は、略同一平面上に配置される。適当なタイミングで培地を分化培地に入れ替えて、筋組織を分化させる。筋組織が十分に成熟したら、筋組織の培養を完了する。ここで、第1形態F1では、隣接する人工筋部材110同士は接触してもよいが、培養中の人工筋部材110が互いに細胞レベルで融合するのを確実に抑制するためには、ホルダ40は、人工筋部材110の各々が互いに離間した配置で人工筋部材110を保持してもよい。
(変形ステップ)
上記の筋組織培養ステップにより、第1形態F1のホルダ40に保持された複数の人工筋部材110が形成される。人工筋部材110の各々は、成熟した筋組織およびゲルを含む。次いで、図3Fに示すように、ホルダ40を第1形態F1から第2形態F2に変形させる。本実施形態では、第1形態F1の第1ホルダ40Aおよび第2ホルダ40Bを巻き取ることによって、図2に示すような第2形態F2に変形させる。具体的には、図3Fに示すように、巻き取り部材50を各ホルダ40A、40Bの第5保持ユニット42Eの空間Sに挿入する。巻き取り部材50を手前に転がすことにより、第1ホルダ40Aおよび第2ホルダ40Bを並行して巻き取ることができる。なお、ホルダ40を巻き取る方法は上記例に限定されず、手で巻き取ってもよく、他の任意の方法を使用してもよい。
図4は、本実施形態に係る人工筋アクチュエータ200を示す斜視図である。上記のようにホルダ40A、40Bを第2形態F2に変形させることによって、図4に示すように、人工筋部材110の各々が第1ホルダ40Aと第2ホルダ40Bとの間で3次元的に配置されて束になった人工筋構造体100を得ることができる。ここで、「3次元的に配置される」とは、実質的に同一平面内に配置されていない3以上の人工筋部材110を含むことを意味する。人工筋構造体100は、その両端を保持する第1ホルダ40Aおよび第2ホルダ40Bとともに、人工筋アクチュエータ200を構成する。
第1形態F1では実質的に同一平面(xy平面)内に配置されていた複数の人工筋部材110が、第2形態F2では同一平面内に配置されなくなる。具体的には、第2形態F2では、ホルダ40は、複数の人工筋部材110が第1ホルダ40Aと第2ホルダ40Bとの間で束ねられた第2配置で、人工筋部材110を支持する。ここで、複数の人工筋部材110を「束ねる」とは、複数の人工筋部材110を、同一平面内に配置せず、略向きを揃えた状態で互いに近接して配置することを意味する。「近接して配置する」とは、少なくとも2つの人工筋部材110間の距離(たとえば、任意の2つの人工筋部材110間の距離のうち最小の距離)が、第2形態F2において第1形態F1よりも小さくなることを意味する。束ねられた複数の人工筋部材110は、互いに直接接触してもよく、互いに離間してもよい。また、接触している人工筋部材110と離間している人工筋部材110とが併存してもよく、人工筋部材110同士の間に別の部材が存在してもよい。
図5は、本実施形態に係る製造装置30の第2形態F2を示す側面図である。図5に示すように、第2形態F2では、人工筋部材110が延在するx方向に直交するyz平面への射影において、第1ホルダ40Aおよび第2ホルダ40Bは、複数の人工筋部材110を取り囲む。ここで「取り囲む」とは、yz平面への射影において、人工筋部材110の四方(図5の上下左右)のうち少なくとも三方以上にホルダ40が位置することを意味する。
[人工筋構造体100]
次いで、製造装置30によって製造される人工筋構造体100について説明する。
上記のとおり、人工筋構造体100は、細長い形状を有する複数の人工筋部材110の束を有する。複数の人工筋部材110は、互いに実質的に同じ第1方向(ここではx方向)に延在するとともに、3次元的に配置される。
複数の人工筋部材110は、互いに接触してもよく、離間してもよい。ただし、人工筋部材110の各々は、互いに細胞レベルで融合していない。これは、図3Cのように分化誘導前の細胞培養の段階で各人工筋部材110が互いに離間されているので、人工筋部材110同士の細胞融合が起こり得ないためである。
人工筋部材110は、細胞が培養されて形成された筋組織およびハイドロゲルを含む。ハイドロゲルについては、筋組織の収縮能力に悪影響を及ぼさない限り特に限定されないが、上記のとおり種々の細胞外マトリックス成分を使用可能である。
人工筋部材110の長さは、たとえば0.5mm以上150mm以下であり、好ましくは5mm以上50mm以下である。長さがアンカー20間の幅よりも著しく短い(たとえば0.5mm未満)と、細胞の配向性が崩れてしまい、アクチュエータとして十分な収縮が生じない可能性がある。長さが150mm超であると、外力に応じてアンカー20との接触部に加わる負荷が強くなり、切れる可能性が高くなってしまう。
人工筋部材110が細長い形状を有する場合、人工筋部材110の太さは、たとえば100μm以上20mm以下であり、好ましくは500μm以上10mm以下である。太さが100μm未満であると、十分な筋力を得ることができない可能性がある。太さが20mm超であると、各筋組織の中心部での壊死が起こりやすくなる。
[人工筋アクチュエータ200]
次いで、図4を参照して、人工筋構造体100を用いた人工筋アクチュエータ200について説明する。
図4に示すように、人工筋アクチュエータ200は、x方向に延在する、筋組織を含む複数の人工筋部材110と、複数の人工筋部材110が互いに融合せずに束ねられた状態で、第1ホルダ40Aおよび第2ホルダ40Bによって複数の人工筋部材110の両端部を支持する、上記の製造装置30と、を備える。すなわち、人工筋アクチュエータ200は、上記の人工筋構造体100と、人工筋構造体100の両端を支持する第1ホルダ40Aおよび第2ホルダ40Bを備える。
人工筋アクチュエータ200を構成する人工筋部材110の数は、特に限定されない。後述の評価例2に記載するように、人工筋部材110の数に応じて人工筋アクチュエータ200全体の収縮力が変動するので、必要な出力または収縮力に応じて、人工筋部材110の数を適宜選択することができる。
図4に示すように、人工筋アクチュエータ200は、複数の人工筋部材110の一部または全部に対して電場を印加する電場印加部材210をさらに備える。たとえば、電場印加部材210は、複数の人工筋部材110のうち一つ以上の人工筋部材110に対して選択的に電場を印加することができる。電場印加部材210は、互いに反対の極性を有する第1電極220および第2電極230を備える。第1電極220は、導電部222および絶縁部224を有する。導電部222は、絶縁部224の先端部に設けられる。同様に、第2電極230は、導電部232および絶縁部234を有する。導電部232は、絶縁部234の先端部に設けられる。電場印加部材210は、第1電極220と第2電極230との間に電場を発生させることができる。人工筋アクチュエータ200は、電場印加部材210により印加された電場によって、人工筋部材110に対して選択的に電気的刺激を与えることができる。なお、絶縁部224および絶縁部234は、たとえば人工筋アクチュエータ200を培養液中で動作させる場合において、第1電極220および第2電極230の導電部222および導電部232を培養液中で被覆するために設けられる。人工筋アクチュエータ200の用途、動作環境、使用する培養液の種類といった使用条件によっては、絶縁部224および絶縁部234が省略されてもよい。
図6A~図6Cは、本実施形態に係る人工筋アクチュエータ200の動作を示す模式図である。図6Aに示すように、第1電極220および第2電極230の両方を人工筋アクチュエータ200の左側に配置すると、人工筋構造体100を構成する複数の人工筋部材110のうち、第1電極220および第2電極230に近い左側の人工筋部材110のみが収縮する(収縮している人工筋部材110をドットで示す。以下同じ)。その結果、人工筋アクチュエータ200の第2ホルダ40Bが左に移動する(ここでは第1ホルダ40Aの位置は固定されているものとする。)。図6Bに示すように、第1電極220および第2電極230の両方を人工筋アクチュエータ200の手前(紙面前方)に配置すると、第1電極220および第2電極230に近い手前の人工筋部材110のみが収縮する。その結果、第2ホルダ40Bが手前に移動する。図6Cに示すように、第1電極220と第2電極230とを人工筋アクチュエータ200の両側に配置すると、第1電極220と第2電極230との間に挟まれたすべての人工筋部材110が収縮する。その結果、第2ホルダ40Bが第1ホルダ40Aに近づくように移動する。このようにして、人工筋アクチュエータ200に対する第1電極220および第2電極230の配置の仕方に応じて、紙面の左右方向(図6A)、紙面の前後方向(図6B)、紙面の上下方向(図6C)という3次元の運動を選択的に実現することができる。したがって、人工筋アクチュエータ200は、電場印加部材210によって所望の運動を行うアクチュエータとして機能する。
[ロボット]
次いで、図7を参照して、人工筋アクチュエータ200を利用したロボットの原理について説明する。
図7は、本実施形態に係るロボットハンド300の側面図である。
ロボットハンド300は、上記の人工筋アクチュエータ200と、人工筋アクチュエータ200によって直接的または間接的に駆動される可動ユニットと、を備える。具体的には、図7に示すように、ロボットハンド300は、人工筋アクチュエータ200、操作可能なフィンガ310(「可動ユニット」の一例)、および人工筋アクチュエータ200とフィンガ310とを接続するワイヤ320を備える。本実施形態では、フィンガ310は、互いに枢動可能なジョイントで連結された4つのパーツを有する。ワイヤ320の一端は、第1ホルダ40Aの第1形態維持部材60Aに固定されており、ワイヤ320の他端は、フィンガ310の先端に固定されている。
電場印加部材210によって人工筋構造体100に電場を印加すると、人工筋部材110がx方向に収縮することにより、第1形態維持部材60Aに固定されたワイヤ320が+x方向に引かれる。これに伴って、フィンガ310の先端がワイヤ320によって+x方向に引かれることにより、フィンガ310がジョイントのところで枢動して曲がる。このようにして、電場印加部材210によって人工筋アクチュエータ200を駆動することによって、フィンガ310を動かすことができる。なお、図7では、すべての人工筋部材110を収縮させることによってフィンガ310の曲げ動作を実現しているが、電場印加部材210の配置に応じて、フィンガ310全体を任意に動かすこともできる。
上記の動作制御は単なる例示であり、本実施形態に係る人工筋アクチュエータ200によれば、これ以外にも様々な機械要素を駆動して3次元的に運かすことができることは当業者であれば理解できる。このような人工筋アクチュエータ200の動作を適宜組み合わせることによって、人間の手を模したロボットハンド300を自在に駆動することができる。同様にして、ロボットの腕部、胴部、頭部、脚部、足部といった機械要素を自在に駆動することができる。したがって、人工筋アクチュエータ200を駆動源としたロボットを製造することができ、所望の動作をするように人工筋アクチュエータ200によって当該ロボットを制御することができる。当然ながら、人工筋アクチュエータ200を用いたロボットは、人を模したものに限定されず、動作の制御が必要な任意の形態の機械であってよい。
<効果>
本実施形態に係る人工筋アクチュエータ200によれば、複数の人工筋部材110のうち特定の人工筋部材110に電場を印加することによって、動作を3次元的に制御可能なバイオハイブリット機構を実現することができる。これにより、静音性および自己修復性に優れたバイオハイブリット機構において、従来よりも柔軟な動作制御が可能となる。また、生体筋肉と同様に、複数の人工筋部材110を束ねて使用することにより、人工筋アクチュエータ200の出力および収縮量を向上させることができる。これにより、従来よりも生体に近くダイナミックな動きを実現することができる。
本実施形態に係る人工筋アクチュエータ200は、細長い人工筋部材110が集合した人工筋構造体100を備える。このような人工筋構造体100によれば、複数の細い筋組織が融合せずに束を形成しているので、人工筋構造体100全体としての断面積を増やしつつ、一本一本の筋組織を細く形成することができる。各筋組織が細いので、筋組織における中心部壊死を抑制することができる。また、筋組織を細く形成するほど、細胞の配向性を向上させることができるので、単位断面積あたりの出力および収縮量を向上させることができる。
本実施形態に係る製造キット1は、上記のような人工筋構造体100および人工筋アクチュエータ200を製造することができる。具体的には、製造装置30が、人工筋部材110を培養するための第1形態F1と、人工筋アクチュエータ200を形成するための第2形態F2との間で変形できるので、人工筋アクチュエータ200を容易に製造することができる。すなわち、人工筋部材110の培養後、ホルダ40を第1形態F1から第2形態F2に変形させるだけで、簡便に人工筋構造体100を形成することができる。人工筋構造体100は、その両端に第2形態F2のホルダ40を取り付けた状態で、人工筋アクチュエータ200として使用することができる。
本実施形態では、人工筋部材110の培養中に、人工筋部材110の両端を一対のホルダ40に保持されたアンカー20で固定する。これにより、培養中に人工筋部材110が長手方向に縮んで組織長が短くなることを抑制することができる。これにより、人工筋部材110が収縮運動をする余地を確保することができる。
本実施形態では、ホルダ40は、互いに枢動可能に連結された複数の保持ユニット42を備える。これにより、展開された第1形態F1と折り畳まれた第2形態F2との間で変形可能なホルダ40を、簡便な構成で実現することができる。
本実施形態では、第2形態F2のホルダ40は、人工筋部材110が延在するx方向に直交するyz平面視において、渦巻状に巻き取られる。人工筋部材110に固定されたアンカー20は、それぞれホルダ40の保持ユニット42に保持されるので、ホルダ40を渦巻状に巻き取られる構成とすることによって、より多くの人工筋部材110を束ねることができる。すなわち、渦巻状に巻き取られたホルダ40の中心部に位置する第5保持ユニット42Eが、他の保持ユニット42と同様にアンカー20を保持できるので、単にホルダ40が一周巻かれた場合と比べて、ホルダ40の中央空間においても人工筋部材110を配置することができる。これにより、人工筋構造体100の密度を向上させることができる。
本実施形態では、第2形態F2のホルダ40は、人工筋部材110が延在するx方向に直交するyz平面への射影において、すべての人工筋部材110を取り囲む。これにより、アンカー20および人工筋部材110の端部がyz平面視でホルダ40の外殻より内側に配置されるので、誤操作または他の構成との衝突によって人工筋部材110が損傷したりホルダ40から外れたりすることを抑制できる。
本実施形態では、第1形態F1の40に保持された複数の人工筋部材110は、実質的に同一平面内に配置される。このような平面培養により、各筋組織と液面との間の距離が略均一になるので、各筋組織を均一な培養環境に置くことができる。これにより、各筋組織に酸素および栄養分を均一かつ十分に供給できる。
<変形例>
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されない。上記例において示した各構成要素の構造、形状、組合せなどは単なる一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
たとえば、ホルダ40の第1形態F1と第2形態F2との間の変形は、上記例に限定されず、任意の機構で実現されてよい。たとえば、ホルダ40の一部または全部が可撓性材料で形成されることにより、平面状の第1形態F1と巻き取られた形状の第2形態F2との間で変形可能であってもよい。ホルダ40は、複数の硬質部分と、硬質部分同士を連結する可撓性部分とを備えてもよい。この場合、可撓性部分を変形させることによって第1形態F1と第2形態F2との間の変形を実現可能である。その他、任意の変形機構が利用可能である。
ホルダ40は、第1形態F1から第2形態F2への変形時に、必ずしも渦巻状に巻き取られなくてもよい。たとえば、ホルダ40は、第2形態F2において、第1形態F1における一端と他端とが一致した筒状構造を有してもよい。この場合、一端と他端とは連結されてもよく、連結されなくてもよい。一例として、両端に対応する磁石を設けて、一端と他端とが磁力で連結する構造としてもよい。また、第1ホルダ40Aと第2ホルダ40Bとが第1形態F1において共通の同一平面上に配置されなくてもよい。たとえば、第1形態F1の第1ホルダ40Aと第2ホルダ40Bとが縦置きされて向かい合わせになった状態で、人工筋部材110の培養を行ってもよい。また、必ずしも第2形態F2でホルダ40を巻き取らなくてもよい。たとえば、ホルダ40は、平面状の第1形態F1を複数回折り返すことによって波状の第2形態F2に変形可能であってもよい。このような波状の第2形態F2を有するホルダ40も、複数の人工筋部材110を3次元的に配置することができる。
第1ホルダ40Aおよび第2ホルダ40Bの一方のみが変形してもよい。たとえば、第2ホルダ40Bを第2形態F2のまま維持しながら、第1ホルダ40Aのみを変形させることができる。たとえば、複数の人工筋部材110は、第1形態F1の第1ホルダ40Aと第2形態F2の第2ホルダ40Bとの間で放射状に支持された状態で培養され、第1ホルダ40Aが第2形態F2に変形されると、第1ホルダ40Aと第2ホルダ40Bとの間で束ねられて人工筋構造体100を形成することができる。
第1ホルダ40Aと第2ホルダ40Bとは、互いに連結されてもよい。たとえば、第1ホルダ40Aおよび第2ホルダ40Bは、任意の連結部材によって、互いに移動可能に連結され得る。人工筋アクチュエータ200の収縮運動が可能である限り、第1ホルダ40Aと第2ホルダ40Bとは、一体に形成されてもよい。
アンカー20は、ホルダ40の一部として構成されてもよい。この場合、たとえば、ホルダ40は、モールド10に装着可能に構成され得る。モールド10に装着された第1ホルダ40Aと第2ホルダ40Bとの間で細胞を培養した後、人工筋部材110を支持した状態のホルダ40をモールド10から取り外して、人工筋部材110をさらに培養し、第2形態F2への変形によって人工筋アクチュエータ200を製造することができる。
上記実施形態では、人工筋アクチュエータ200の駆動源として電場印加部材210の電極対220、230を使用したが、筋組織に刺激を与えて収縮運動を引き起こすものであれば任意の機構が使用可能である。たとえば、所望の人工筋部材110に直接電流を流す構成を採用してもよい。
上記実施形態では、複数の細長い人工筋部材110が人工筋構造体100を構成する例を説明したが、人工筋部材110の形態は上記例に限定されない。たとえば、1枚または複数枚のシート状の人工筋部材110が人工筋構造体100を構成してもよい。このようなシート状の人工筋部材110を用いる場合、人工筋部材110の厚さは、たとえば100μm以上20mm以下であってよく、好ましくは500μm以上10mm以下であってよい。人工筋部材110の幅は、特に限定されないが、たとえば0.5mm以上150mm以下であり、好ましくは5mm以上50mm以下である。シート状の人工筋部材110は、薄く形成されることによって、細長い人工筋部材110と同様に、筋組織における中心部壊死を抑制することができる。また、多数の筋線維が密に融合して一本の太い筋組織を構成する従来の人工筋アクチュエータと異なり、シート状の人工筋部材110は、筋線維が専ら2次元方向に広がっているので、シート上の所望の部位のみに電場を印加することによって、局所的な収縮を実現することができる。したがって、上記実施形態と同様に、シート状の人工筋部材110を用いた人工筋アクチュエータ200においても、動作を3次元的に制御可能なバイオハイブリット機構を実現することができる。ここで、人工筋構造体100が一つのシート状の人工筋部材110からなる場合に、一つの人工筋部材110を「束ねる」とは、シート状の人工筋部材110を、同一平面内に配置せず、三次元的な形状を有するように変形させることを意味する。たとえば、上記実施形態に係る製造装置30をシート状の人工筋部材110に適用すると、第1形態F1では、シート状の人工筋部材110が平面的に配置され、第2形態F2では、シート状の人工筋部材110が所定の軸(上記のx軸)を中心に巻かれて丸められる。シート状の人工筋部材110は、一周または複数周分巻かれてもよいし、所定の軸を中心とした一周の一部分のみにわたって巻かれてもよい。ただし、束ねられた人工筋部材110の三次元的な形状は、上記例に限定されず、たとえば複数回の折り返しを有する形状などでもよい。なお、この「束ねる」の定義は、人工筋部材110が一つだけである場合に限られる。すなわち、人工筋部材110がシート状であるか否かにかかわらず、二つ以上の人工筋部材110が人工筋構造体100を形成する場合における「束ねる」とは、上記実施形態で説明したとおり、複数の人工筋部材110を、同一平面内に配置せず、略向きを揃えた状態で互いに近接して配置することを意味する。
以下、実験例を示して本発明の具体例について説明する。以下の説明では、理解を容易にするために上記の実施形態で用いた参照符号を使用するが、本発明は以下の実験例に限定されない。
[実施例1:製造キットの製造]
まず、図1に示す製造キット1を製造した。モールド10および培養台70のベース72は、まず3Dプリンタ(AGILISTA-3200、キーエンス)でそれぞれの鋳型を造形し、各鋳型に流し込んだ液状PDMSを加熱固化させることにより製造した。構築した筋組織を分離しやすくするために、モールド10に対してMPCポリマーコーティングおよびBSAコーティングを行った。MPCポリマーコーティングについては、MPCポリマー(LIPIDURE-CM5206、日油株式会社)のエタノール溶液をモールド10に流し込んで30秒ほど接触させた後、加熱することにより、MPCポリマーの膜をモールド10の表面上に形成した。BSAコーティングについては、ウシ血清アルブミン(BSA、Sigma-Aldrich)のPBS溶液を滅菌した後、モールド10に流し込んで静置し、PBSで洗浄することにより、BSAの膜をモールド10の表面上に形成した。
アンカー20は、光造形機(microArch S140、BMF社)を使用して、生体適合性樹脂(BIO)で造形した。培養台70のストッパ74は、3Dプリンタ(AGILISTA-3200、キーエンス)で造形した。保持ユニット42および形態維持部材60は、3DプリンタDWS(DigitalWax 028J、シーフォース株式会社)で造形した。3Dプリンタで製造した各造形物は、洗浄して、真空蒸着装置(LABCOTER PDS2010、日本パリレン)でその表面に厚さ2μmのパリレンCを蒸着した。
次いで、ガラス板に蒸着した厚さ5μmのパリレンCを剥がすことにより、パリレンシートを得た。得られたパリレンシートを5つの保持ユニット42の裏面に貼り付けることにより、保持ユニット42を連結して、ホルダ40を製造した。
[実施例2:筋組織の構築および培養]
上記の製造キット1を用いて、継代数3回以内のヒト骨格筋芽細胞(Cell Applications,Inc)の培養を行った。まず、細胞懸濁液を、セルカウント後に1110rpmで5分間遠沈した。上澄みを除去して得られた細胞に、skeletal muscle cell growth medium-2(SkGM-2、Lonza)培地およびヒト血漿由来トロンビン(Prothrombin、Sigma-Aldrich)を混合して、A液を用意した。次いで、ウシ血漿由来フィブリノーゲン(Fibrinogen、Sigma-Aldrich)、マトリゲル基底膜マトリックス(Matrigel Matix,Corning)、SkGM-2培地を混合して、B液を用意した。A液とB液とを混合することにより、筋芽細胞を含むハイドロゲル溶液Hを得た。
図3Aに示すように、アンカー20をモールド10の各アンカー設置部14に装着した。図3Bに示すように、上記で得られた筋芽細胞のハイドロゲル溶液Hを、モールド10の溝16に流し込んだ。モールド10を載置したシャーレ80を37℃のインキュベータに30分間静置して、ゲル溶液を固めた。次いで、図3Cに示すように、300mg/mLの6-アミノカプロン酸(ACA、Sigma-Aldrich)を添加したSkGM-2培地をシャーレ80に入れて、インキュベータ内で培養した。溝16内で筋芽細胞が筋組織を構築することにより、モールド10上で、筋組織およびハイドロゲルから構成された人工筋部材110が得られた。免疫染色像の観察により、成熟した組織が得られること、および筋線維が充分に配向していることを確認した。
組織構築の日をday0として、day2で、形成された人工筋部材110をアンカー20とともにモールド10から取り外し、図3Dに示すように、培養台70に載置したホルダ40に装着した。具体的には、人工筋部材110の両端のアンカー20の装着部26を、第1ホルダ40Aおよび第2ホルダ40Bの各アンカー保持穴46に挿入し、人工筋部材110が両ホルダ40の間で保持されるようにした。ホルダ40には、8本の人工筋部材110およびその各々の両端の16個のアンカー20を装着した。その後、図3Eに示すように、人工筋部材110に含まれる筋組織をシャーレ80内で培養した。2日間に一回、培地の全量交換を行った。培養2日目以降は、使う培地を分化培地に変えた。分化培地は、DMEM low glucose(Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium-low glucose、富士フイルム)に2%のウマ血清(HS、Invitrogen)、1%のPenicillin/Streptomycin(P/S)、200mg/mLのACA,10ng/mLのインスリン様成長因子1(Recombinant Human IGF-I、PeproTech)、5μmのSB431542(Cayman Chemical)を加えたものを使用した。分化をかけてから2週間静置し、両端にアンカー20が固着された8本の人工筋部材110を得た。
[実施例3:人工筋アクチュエータの製造]
次いで、以下のようにして8本の人工筋部材110を束ねることにより、人工筋構造体100を備える人工筋アクチュエータ200を製造した。まず、巻き取り部材50として角柱状のガラス棒を用意した。培養台70のストッパ74を取り外し、各ホルダ40A、40Bの第3平板42E3の空間Sに巻き取り部材50を挿入した。図3Fに示すように、巻き取り部材50を手前に回転させることにより、第1ホルダ40Aおよび第2ホルダ40Bを巻き取り、ホルダ40を第2形態F2に変形させた。巻き取り部材50を取り外し、第1ホルダ40Aおよび第2ホルダ40Bの各形態維持穴48に、それぞれ第1形態維持部材60Aおよび第2形態維持部材60Bを挿入することにより、各ホルダ40A、40Bを第2形態F2に維持させた。これにより、第1ホルダ40Aと第2ホルダ40Bとの間に8本の人工筋部材110が束ねられた状態で保持された人工筋構造体100が形成された。このようにして、図4に示すように、第1ホルダ40A、第2ホルダ40B、およびその間の人工筋構造体100を備える人工筋アクチュエータ200が得られた。
得られた200に対して電極対220、230で電場を印加し、筋組織を選択的に収縮させることを試みた。その結果、人工筋アクチュエータ200に対する電極対220、230の配置に応じて、図6Aおよび図6Bに示すような左右方向および前後方向の回転運動と、図6Cに示すような直線運動とを選択的に実現できることを確認した。
[実施例4:人工筋アクチュエータを備えるロボットハンドの製造]
図7に示すような人工筋アクチュエータ200とフィンガ310とがワイヤ320で接続された構造を組み合わせて、5本指のロボットハンドを製造した。図8は、製造したロボットハンドの写真である。ロボットハンドの各パーツは、3Dプリンタ(AGILISTA-3200、キーエンス)で造形した。透明培地中で、人工筋アクチュエータ200の各々に個別に電気刺激を与えることによって、ロボットハンドの各フィンガを独立して動かすことができることを確認した。
[評価例1:人工筋アクチュエータの収縮力の評価]
実施例3で製造した人工筋アクチュエータ200の第1ホルダ40Aを固定し、第2ホルダ40Bに力センサを接続した。人工筋アクチュエータ200に対して電場印加部材210による電気刺激を与えたときの力センサの出力を調べることによって、電気刺激に対する人工筋アクチュエータ200の収縮力の応答を調べた。
図9は、人工筋部材110の数に対する人工筋アクチュエータ200の収縮力の測定結果を示すグラフである。ここでは、ホルダ40で支持する人工筋部材110の数を1本~8本の範囲で1本ずつ増やして人工筋アクチュエータ200の収縮力を測定し、人工筋部材110の数に対する収縮力の変化を調べた。モールド10は、溝16の幅が4mm、高さが1.5mmのものを使用した。図9の縦軸は、人工筋部材110が1本の場合の収縮力を1とした相対収縮力を示す。図9に示すように、人工筋アクチュエータ200の収縮力は、人工筋部材110の数に概ね比例して増加することが確認された。
[評価例2:人工筋部材の太さに対する収縮力の評価]
太さ1.5mm、2mm、3mm、4mm、および5mmの人工筋部材110をそれぞれ製造し、人工筋部材110の収縮力に対する太さの影響を調べた。具体的には、電極間距離2cmで配置した電極対を用いて、陽極と陰極とを交互に入れ替えながら、人工筋部材110に対してパルス電場を印加し、人工筋部材110の収縮力を力センサで測定した。図10は、人工筋部材110の太さに対する単位断面積あたりの収縮力の測定結果を示すグラフである。図10において、「20Vpp」は10Vの振幅のパルスを印加した結果を示し、「60Vpp」は30Vの振幅のパルスを印加した結果を示す。図10に示すように、人工筋部材110の単位断面積あたりの収縮力は、人工筋部材110が細くなるほど増加することが確認された。ここで、人工筋部材110の断面積は、使用したモールド10の溝16の断面積で近似した。
[評価例3:人工筋部材の培養方法に対する収縮力の評価]
図3Eのように平面状の第1形態F1で培養する代わりに、ホルダ40を第2形態F2とした状態で人工筋部材110の培養を行った点を除き、実施例2~3と同様にして、8本の人工筋部材110を備える人工筋アクチュエータ200を製造した。モールド10は、溝16の幅が1.5mm、高さが1.5mmのものを使用した。第2形態F2の培養で得られた人工筋アクチュエータ200の収縮力を、第1形態F1の培養で得られた実施例3の人工筋アクチュエータ200の収縮力と比較した。図11は、人工筋部材110の培養方法に対する人工筋アクチュエータ200の収縮力の測定結果を示すグラフである。図中の「平面培養」は、実施例3における第1形態F1での培養方法を示し、「立体培養」は、第2形態F2での培養方法を示す。図11に示すように、平面培養によって得られた人工筋アクチュエータ200の収縮力は、立体培養によって得られた人工筋アクチュエータ200よりも大きいことが確認された。
1…製造キット、10…モールド、20…アンカー、30…製造装置、40…ホルダ、40A…第1ホルダ、40B…第2ホルダ、42…保持ユニット、50…巻き取り部材、60…形態維持部材、70…培養台、80…シャーレ、100…人工筋構造体、110…人工筋部材、200…人工筋アクチュエータ、210…電場印加部材、300…ロボットハンド、310…フィンガ(可動ユニット)。

Claims (15)

  1. 筋組織を含む一つまたは複数の人工筋部材を備える人工筋構造体の製造装置であって、
    人工筋部材の一端部を支持可能な第1ホルダと、
    人工筋部材の他端部を支持可能な第2ホルダと、
    を備え、
    前記第1ホルダおよび前記第2ホルダの少なくとも一方は、第1形態と第2形態との間で変形可能であり、
    前記第1形態において、前記第1ホルダおよび前記第2ホルダは、前記一つまたは複数の人工筋部材を、培養のための第1配置で支持することができ、
    前記第2形態において、前記第1ホルダおよび前記第2ホルダは、前記一つまたは複数の人工筋部材を、前記一つまたは複数の人工筋部材が束ねられた第2配置で支持することができる、
    製造装置。
  2. 前記第1ホルダおよび前記第2ホルダの少なくとも一方は、前記第1形態では展開されており、前記第2形態では巻き取られている、
    請求項1に記載の製造装置。
  3. 前記第1ホルダおよび前記第2ホルダにより支持された前記一つまたは複数の人工筋部材は、前記第1ホルダと前記第2ホルダとの間で第1方向に延在し、
    前記第2形態において、前記第1ホルダおよび前記第2ホルダの少なくとも一方は、前記第1方向に直交する平面視において、渦巻状に巻き取られている、
    請求項2に記載の製造装置。
  4. 前記第1ホルダおよび前記第2ホルダの少なくとも一方は、人工筋部材の端部を支持可能な複数の保持ユニットを備え、
    前記複数の保持ユニットのうち隣り合う保持ユニットは、互いに枢動可能に連結される、
    請求項1~3のいずれか一項に記載の製造装置。
  5. 前記第1ホルダおよび前記第2ホルダにより支持された前記一つまたは複数の人工筋部材は、前記第1ホルダと前記第2ホルダとの間で第1方向に延在し、
    前記第2形態では、前記第1方向に直交する平面への射影において、前記第1ホルダおよび前記第2ホルダは、前記一つまたは複数の人工筋部材を取り囲む、
    請求項1~3のいずれか一項に記載の製造装置。
  6. 前記一つまたは複数の人工筋部材は、細長い形状を有する複数の人工筋部材を含む、
    請求項1~3のいずれか一項に記載の製造装置。
  7. 前記第1配置における前記一つまたは複数の人工筋部材は、実質的に同一平面内に配置され、
    前記第2配置における前記一つまたは複数の人工筋部材は、前記同一平面内に配置されない、
    請求項1~3のいずれか一項に記載の製造装置。
  8. 前記第1ホルダは、人工筋部材の一端部を固定するアンカーを保持することができ、
    前記第2ホルダは、人工筋部材の他端部を固定するアンカーを保持することができる、
    請求項1~3のいずれか一項に記載の製造装置。
  9. 筋組織を含む一つまたは複数の人工筋部材を備える人工筋構造体の製造キットであって、
    人工筋部材を固定可能な複数のアンカーと、
    前記複数のアンカーを設置可能な複数のアンカー設置部と、前記複数のアンカー設置部のうち2つのアンカー設置部の間に形成された、細胞を培養する培養空間を形成する培養部と、を備えるモールドと、
    請求項8に記載の装置と、
    を備える製造キット。
  10. 第1方向に延在する、筋組織を含む一つまたは複数の人工筋部材と、
    前記一つまたは複数の人工筋部材が束ねられた状態で、前記第1ホルダおよび前記第2ホルダによって前記一つまたは複数の人工筋部材の両端部を支持する、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置と、
    を備える、
    人工筋アクチュエータ。
  11. 前記一つまたは複数の人工筋部材の一部または全部に対して電場を印加する電場印加部材をさらに備える、
    請求項10に記載の人工筋アクチュエータ。
  12. 請求項10に記載の人工筋アクチュエータと、
    前記人工筋アクチュエータによって直接的または間接的に駆動される可動ユニットと、
    を備える、ロボット。
  13. 筋組織を含む一つまたは複数の人工筋部材を備える人工筋構造体の製造方法であって、
    前記一つまたは複数の人工筋部材の両端がホルダに保持された状態で、前記筋組織を培養する筋組織培養ステップと、
    前記筋組織培養ステップの後、前記ホルダを変形させることによって、前記一つまたは複数の人工筋部材を束ねる変形ステップと、
    を含む、方法。
  14. 前記筋組織培養ステップにおいて、前記一つまたは複数の人工筋部材は、実質的に同一平面内に配置される、
    請求項13に記載の方法。
  15. 前記ホルダで保持可能な一対のアンカーの間で筋芽細胞を培養することによって、両端が前記一対のアンカーに固定された人工筋部材を形成する細胞培養ステップをさらに備える、
    請求項13または14に記載の方法。
JP2023187139A 2022-11-02 2023-10-31 人工筋構造体の製造装置、人工筋構造体の製造キット、人工筋アクチュエータ、ロボット、および人工筋構造体の製造方法 Pending JP2024067012A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US202263381959P 2022-11-02 2022-11-02
US63/381,959 2022-11-02

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2024067012A true JP2024067012A (ja) 2024-05-16

Family

ID=91067464

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2023187139A Pending JP2024067012A (ja) 2022-11-02 2023-10-31 人工筋構造体の製造装置、人工筋構造体の製造キット、人工筋アクチュエータ、ロボット、および人工筋構造体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2024067012A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Duffy et al. Engineered skeletal muscle tissue for soft robotics: Fabrication strategies, current applications, and future challenges
Li et al. The horizon of materiobiology: a perspective on material-guided cell behaviors and tissue engineering
Boudou et al. A microfabricated platform to measure and manipulate the mechanics of engineered cardiac microtissues
Powell et al. Mechanical stimulation improves tissue-engineered human skeletal muscle
Sakar et al. Formation and optogenetic control of engineered 3D skeletal muscle bioactuators
Ahadian et al. Electrical stimulation as a biomimicry tool for regulating muscle cell behavior
Zhao et al. The role of tissue engineering and biomaterials in cardiac regenerative medicine
Mueller et al. Effects of external stimulators on engineered skeletal muscle tissue maturation
US20100196432A1 (en) Biopolymer structures
Kabumoto et al. Voluntary movement controlled by the surface EMG signal for tissue-engineered skeletal muscle on a gripping tool
CN111467575B (zh) 一种集成有诱导多能干细胞来源的心肌细胞导电微针补片及其制备方法和应用
Chan et al. Fabrication and characterization of optogenetic, multi-strip cardiac muscles
JP4758314B2 (ja) 骨格筋の培養用足場、同培養装置及び骨格筋の形成方法
US10183097B2 (en) Engineered cardiac derived compositions and methods of use
CN102433258A (zh) 一种牵张-电联合刺激三维细胞培养装置
Munarin et al. Laser-etched designs for molding hydrogel-based engineered tissues
Park et al. Static and dynamic biomaterial engineering for cell modulation
Li et al. Bioelectricity‐coupling patches for repairing impaired myocardium
Kinjo et al. Biohybrid bipedal robot powered by skeletal muscle tissue
JP2024067012A (ja) 人工筋構造体の製造装置、人工筋構造体の製造キット、人工筋アクチュエータ、ロボット、および人工筋構造体の製造方法
Morouço et al. Four-dimensional bioprinting for regenerative medicine: mechanisms to induce shape variation and potential applications
Shao et al. Remote Activation of M2 Macrophage Polarization via Magneto-Mechanical Stimulation To Promote Osteointegration
Fujita et al. Characterizing and modulating the mechanical properties of hydrogels from ventricular extracellular matrix
US20230086561A1 (en) Implantable guide element and methods of fabrication and use thereof
Dutta et al. Assembly of Rolled-Up Collagen Constructs on Porous Alumina Textiles