JP2024066211A - 多結晶SiC成形体及びその製造方法 - Google Patents

多結晶SiC成形体及びその製造方法 Download PDF

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昇平 大石
Shohei Oishi
聖 福田
Sei Fukuda
明日美 石塚
Asumi Ishizuka
柊人 池田
Shuto Ikeda
励子 屋敷田
Reiko Yashikida
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Abstract

【課題】光不透過性を有し且つドーパント含有量が少ない多結晶SiC成形体であって、層状構造に起因する内在応力の偏りを防止できる多結晶SiC成形体及びその製造方法を提供すること。【解決手段】ドナー濃度とアクセプタ濃度の合計が0.20ppm以上20.00ppm以下であり、波長390以上900nm以下における単位厚み当たりの光透過率が1.5%/mm以下であり、厚さ方向に平行な断面の走査型電子顕微鏡観察像において、各垂直位置Pの平均粒子径Dの平均値を平均値α、各垂直位置Pの平均粒子径Dの標準偏差を標準偏差β、標準偏差β/平均値αの値を変動係数X、多結晶SiC成形体の厚みを厚みt(μm)とした場合、平均値αが0.5μm以上10.0μm以下であり、単位厚み当たりの変動係数(X/t)が0.300以下であり、Si原子とC原子のモル比(Si:C)が49.90:50.10~50.50:49.50であること、を特徴とする多結晶SiC成形体。【選択図】図2

Description

本発明は、CVD法により形成された多結晶SiCの成形体及びその製造方法に関する。
多結晶SiC成形体は、耐熱性、耐蝕性及び強度等の種々の特性に優れており、様々な用途に使用されている。多結晶SiC成形体は、CVD法により基材の表面にSiC粒子を析出させ、成膜した後、基材を除去して得られる。
例えば、特許文献1には、半導体製造装置用の部材やエッチング装置、CVD装置等の部材に用いられることが知られている。
特開2014-31527号公報 特開2006-16662号公報 特開2000-109366号公報
多結晶SiC成形体には、用途に応じて、様々な特性が要求される。
例えば、特許文献1、特許文献2および特許文献3に記載されるように、多結晶SiC成形体を半導体製造装置用部材として使用する場合、装置内で生じる輻射熱を受ける際に部材の温度分布を均一にするために光不透過性が求められる。同時に、半導体素子への種々のドーパント源とならない様にドナー濃度並びにアクセプタ濃度の低減が求められ、更に素材から部材を研削加工する際に部材に反りが発生し難いことが求められる。
特許文献1には光不透過率が0から1%の多結晶SiC成形体が開示されているが、ドーパントとなり得るホウ素原子及び窒素原子を101質量ppm超1030質量ppm含むことから、ドーパント源とはならない多結晶SiC成形体と言い難い。
また、特許文献2では、厚さ15から30μmの光不透過層の上下に中間層または光透過層を備えることで光不透過の多結晶SiC成形体が開示されているが、素材から部材を研削加工する際に加工量が素材の片側に偏ってしまうと内在応力が一方向に偏在することで大きな反りが発生し、仮に加工量を素材の両側で同程度に調整したとしても、素材の層状構造に起因する内在応力の偏りによる加工後の反り発生を防止できない。
また、特許文献3では、SiとCの比率を、全重量に対するSiの重量比率で69.00-69.90重量%とCリッチとすることで、金属不純物の少ない光不透過SiCを得ている。しかし、Cリッチであるため、遊離Cが存在することでSiCの特徴である酸素に対する高い耐蝕性が遊離Cの酸化により大きく損なわれる欠点がある。こうした欠点は、半導体製造装置用の部材に用いられた際にウェハと接触する部分の粗さが酸化により増大する現象を引き起こし、ウェハに傷が発生することによる歩留まり低下を引き起こす。
従って、本発明の目的は、光不透過性を有し且つドーパント含有量が少ない多結晶SiC成形体であって、層状構造に起因する内在応力の偏りを防止でき、高い耐蝕性を有する多結晶SiC成形体及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討した結果、CVD条件を核生成速度が粒子成長速度を上回る条件にて成膜することで、ドナー濃度及びアクセプタ濃度が低く、光不透過性で、厚さ方向の組織の変動が少なく、遊離Cの発生が抑制された多結晶SiC成形体を、高速で成膜できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明(1)は、ドナー濃度とアクセプタ濃度の合計が0.20ppm以上20.00ppm以下であり、
波長390以上900nm以下における単位厚み当たりの光透過率が1.5%/mm以下であり、
厚さ方向に平行な断面の走査型電子顕微鏡観察像において、各垂直位置Pの平均粒子径Dの平均値を平均値α、各垂直位置Pの平均粒子径Dの標準偏差を標準偏差β、標準偏差β/平均値αの値を変動係数X、多結晶SiC成形体の厚みを厚みt(μm)とした場合、平均値αが0.5μm以上10.0μm以下であり、単位厚み当たりの変動係数(X/t)が0.300以下であり、
Si原子とC原子のモル比(Si:C)が、49.90:50.10~50.50:49.50であること、
を特徴とする多結晶SiC成形体を提供するものである。
また、本発明(2)は、厚さが200μm以上であることを特徴とする(1)の多結晶SiC成形体を提供するものである。
また、本発明(3)は、CVD法により黒鉛基材上に多結晶SiC膜を成膜する成膜工程を有する多結晶SiC成形体の製造方法であって、
該成膜工程において、供給ガス中の原料ガスの濃度が、1成分系の場合は14.0~25.0体積%であり、2成分系の場合はSi源ガスとC源ガスの合計の体積割合が14.0~25.0体積%であり、反応温度が1210~1400℃であり、該供給ガスの滞留時間が0.5~18.0秒であること、
を特徴とする多結晶SiC成形体の製造方法を提供するものである。
また、本発明(4)は、前記成膜工程において、多結晶SiC膜の成膜速度が60μm/時間以上であることを特徴とする(3)の多結晶SiC成形体の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、光不透過性を有し且つドーパント含有量が少ない多結晶SiC成形体であって、層状構造に起因する内在応力の偏りを防止でき、高い耐蝕性を有する多結晶SiC成形体及びその製造方法を提供することができる。
多結晶SiC成形体の一例を示す。 多結晶SiC基板の製造方法に使用される製造システムの一例の概略図を示す。 平均値αの測定方法を説明するための模式図である。
以下、適宜図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。以下の本発明の詳細な説明は実施形態の例示のひとつであり、本発明は本実施形態に何ら限定して解釈されるものではない。
本発明の多結晶SiC成形体は、ドナー濃度とアクセプタ濃度の合計が0.20ppm以上20.00ppm以下であり、
波長390以上900nm以下における単位厚み当たりの光透過率が1.5%/mm以下であり、
厚さ方向に平行な断面の走査型電子顕微鏡観察像(SEM像)において、各垂直位置Pの平均粒子径Dの平均値を平均値α、各垂直位置Pの平均粒子径Dの標準偏差を標準偏差β、標準偏差β/平均値αの値を変動係数X、多結晶SiC成形体の厚みを厚みt(μm)とした場合、平均値αが0.5μm以上10.0μm以下であり、単位厚み当たりの変動係数(X/t)が0.300以下であり、
Si原子とC原子のモル比(Si:C)が、49.90:50.10~50.50:49.50であること、
を特徴とする。なお、本発明において、「厚さ方向」とは、CVD法(化学的気相蒸着法)による多結晶SiC膜の成膜において、膜の形成方向を指す。言い換えると、「厚さ方向」とは、黒鉛基材に対して垂直方向を指す。
本発明の多結晶SiC成形体は、CVD法(化学的気相蒸着法)を用いて成膜されることにより製造されたものである。例えば、図1に示すように、多結晶SiC成形体10は、板状又は円筒状であり、容易に取り扱える程度の厚みを有している。
本発明の多結晶SiC成形体のドナー濃度とアクセプタ濃度の合計は、0.20ppm以上20.00ppm以下である。多結晶SiC成形体のドナー濃度とアクセプタ濃度の合計が上記範囲にあることにより半導体製造装置用部材に用いられた場合に半導体素子へのドーパント源になることを防止でき、歩留まり向上をもたらす。安定した半導体製造装置の歩留まりを確保する観点から、多結晶SiC成形体のドナー濃度とアクセプタ濃度の合計は、好ましくは17.00ppm以下、更に好ましくは13.00ppm以下である。実操炉において、実用的な高純度グレード原料を用いることができることから、多結晶SiC成形体のドナー濃度とアクセプタ濃度の合計は、0.20ppm以上が好ましい。なお、ドナー元素が複数ある場合、上記ドナー濃度は、複数あるドナーの合計濃度であり、また、アクセプタ元素が複数ある場合、上記アクセプタ濃度は、複数あるアクセプタの合計濃度である。
ドーパント元素としては、アクセプタ元素としてIII族元素のホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム等が挙げられる。また、ドーパント元素としては、ドナー元素としてV族元素の窒素、リン、ヒ素、アンチモン等が挙げられる。半導体製造装置用部材からの半導体素子へのドーパント源になり得る元素としてはホウ素、アルミニウム、窒素、リンが挙げられる。
本発明の多結晶SiC成形体では、ドナー濃度とアクセプタ濃度の合計が0.20ppm以上20.00ppm以下と低いが、例えば、多結晶SiC成形体を成形するCVD炉を操炉する際に炉内及び原料配管や排気配管といった系内をキャリアガス等の窒素、リン、ホウ素、アルミニウムを含有しない不活性ガスで置換を複数回行い、系内の大気依存の窒素分子を十分に除去したり、用いる原料ガスの純度をシックスナイン、原料化合物の純度をフォーナインといった高純度グレードであるものを用いたり、作業環境のほこり、ダストを低減することで、本発明の多結晶SiC成形体のドナーとアクセプタの合計濃度を達成できる。
本発明では、多結晶SiC成形体の窒素濃度、ホウ素濃度、アルミニウム濃度、リン濃度は、ダイナミックSIMS又はGD-MSを用いて測定される。
本発明の多結晶SiC成形体は、波長390以上900nm以下において、単位厚み当たりの光透過率が1.5%/mm以下である。ランベルトの法則より、透過率Tは、透過光の強度を入射光の強度で割ったもので定義され、透過率が小さいほど、透過光の強度が小さい、すなわち、光不透過性が高いことを示している。そして、透過率Tは定数kと光路長bで表すことができ、T=10-kbとなる。このことは、透過光の強度は光が通る距離に対して、指数関数的に減少することを示しており、単位厚み当たりの光透過率が1.5%の物質では、光路長が2mmの場合の光透過率は0.023%であり、光路長が200μmの場合の光透過率は43%である。波長390以上900nm以下における単位厚み当たりの光透過率が上記範囲あることにより、半導体製造装置内で生じる輻射熱を受ける部材の温度分布を均一にできる他、光センサが部材に反応することができるようになり、部材の炉内での位置決め管理が可能となる。輻射熱による部材の温度分布を均一にすることで、製品歩留まりを高めることができるが、そのためには、本発明の多結晶SiC成形体の波長390以上900nm以下における単位厚み当たりの光透過率は1.0%/mm以下が好ましく、0.7%/mm以下がより好ましい。
本発明の多結晶SiC成形体において、単位厚み当たりの光透過率は、例えばCVD成形時の供給ガス中の原料ガス濃度を調整し、反応温度を調整し、核生成速度が粒子成長速度を上回る様に調整することで達成できる。
本発明において、多結晶SiC成形体の単位厚み当たりの光透過率は分光光度計を用いて測定される。
本発明の多結晶SiC成形体の厚さ方向に平行な断面の走査型電子顕微鏡観察像(SEM像)における各垂直位置Pの平均粒子径D及びDの平均値α並びに各垂直位置PのDの標準偏差βは、以下のようにして求められる。多結晶SiC成形体を厚さ方向に平行な面で切った断面を走査型電子顕微鏡観察(SEM観察)し、得られるSEM像において、表面からの距離が同じxμm位置をPとすると、SEM像中にPの位置の線(表面に平行な線)を引き、Pの位置の線と交差するSiC粒子のうち、Pの位置の線との交差長さが大きい方から順に10個の粒子を選択し、それら10個の粒子のPの位置の線との交差長さを求め、得られる10個の交差長さを平均した値が、垂直位置Pの平均粒子径Dである。次いで、表面からの距離が同じxμmの位置をPとすると、SEM像中にPの位置の線(表面に平行な線)を引き、Pの位置の線と交差するSiC粒子のうち、Pの位置の線との交差長さが大きい方から順に10個の粒子を選択し、それら10個の粒子のPの位置の線との交差長さを求め、得られる10個の交差長さを平均した値が、垂直位置Pの平均粒子径Dである。同様にして、表面からの距離が同じxμmの垂直位置Pの平均粒子径D・・・表面からの距離が同じxμmの垂直位置Pの平均粒子径Dを求める。なお、異質層を持つ組織の場合は、異質層の中央を測定位置Pとして追加するものとする。次いで、求めた平均粒子径Dから平均粒子径Dまでを平均して(異質層を持つ組織の場合は、平均粒子径Dから平均粒子径Dまでと、測定位置Pの平均粒子径Dを平均して)、その平均値を「平均値α」として求める。また、上記のようにして得られる平均粒子径Dから平均粒子径Dまで標準偏差を算出し(異質層を持つ組織の場合は、平均粒子径Dから平均粒子径Dまでと、Pの平均粒子径Dの標準偏差を算出し)、その標準偏差を「標準偏差β」として求める。このとき、垂直位置Pの間隔は、nが10以上30以下となる様に適宜調整し、その間隔もほぼ同程度となる様選択する。
また、本発明では、上記のようにして求めた平均値α及び標準偏差βより、「標準偏差β/平均値α」の値を「変動係数X」として求める。また、測定対象の多結晶SiC成形体の厚さを「厚さt」とする。なお、平均値α、標準偏差βの単位はμmであり、また、厚さtの単位はmmである。
平均値αの測定方法について、図3を参照して、更に具体的に説明する。図3は、平均値αの測定方法を説明するための模式図である。図3は、多結晶SiC成形体の断面図(実際は断面のSEM像)であり、図3の紙面上側がCVD法により多結晶SiC膜を成膜させたときの成長面側であり、下側が基材側である。図3に示すように、先ず、多結晶SiC成形体の表面から同じ距離にある位置Px-1、P、Px+1の線を引く。なお、位置Px-1、P、Px+1の線は、いずれも、多結晶SiC成形体の厚さ方向に対して垂直である。次いで、Pと交差するSiC粒子のうち、交差長さが大きいものから順に10個選び出す。なお、SiC粒子のPと交差長さとは、図中の位置Pの線とSiC結晶とが重なっている長さを指す。次いで、選び出した10個の交差長さを平均して、垂直位置Pの平均粒子径Dとする。次いで、nの値が10以上30以下となる様に適宜調整し、Pの間隔がほぼ同間隔となる様、垂直位置を変えて、各垂直位置P・・・Px-1、P、Px+1・・・Pについて、それぞれ平均粒子径D・・・Dx-1、D、Dx+1・・・Dを求める。次いで、求めた全ての「垂直位置Pの平均粒子径D」の値を平均して、つまり、「(D+・・・Dx-1+D+Dx+1・・・+D)/測定した各垂直位置の数」を計算して、平均値αとする。なお、「垂直位置Pの平均粒子径D」の測定は、表面から基材まで、nの値が10以上30以下となる様に適宜調整し、Pの間隔がほぼ同程度となる間隔で行う。
本発明の多結晶SiC成形体は、厚さ方向に平行な断面の走査型電子顕微鏡観察像において、各垂直位置Pの平均粒子径Dの平均値αが、0.5μm以上10.0μm以下である。平均値αが10.0μm以下だと、核生成速度が粒成長を上回るため、柱状晶の発達を抑えられる結果、透光性を抑えることができる。平均値が0.5μm以上では、多結晶SiCの粒子構造が発達するため、高強度、耐蝕性、耐熱性といった多結晶SiC成形体が有する特性が発現する。
本発明の多結晶SiC成形体は、厚さ方向に平行な断面の走査型電子顕微鏡観察像において、単位厚み当たりの変動係数(X/t)は、0.300以下である。単位厚み当たりの変動係数(X/t)は、厚さ方向の平均粒子径Dの相対的なばらつきを示し、局所的に平均粒子径Dの偏りがみられる(例えば多層構造における各層の平均粒子径が異なる)場合や、単一層構造の場合でも平均粒子径の分布が広い場合は、単位厚み当たりの変動係数(X/t)が上記範囲を超える。単位厚み当たりの変動係数(X/t)が上記範囲を超えると、光透過度にばらつきが生じ、加工厚みによっては期待した光不透過性が維持できない場合があるほか、一般的に機械強度等の特性は低くなり、また、複層構造体は内在応力が大きくなる。よって、本発明の多結晶SiC成形体は、単位厚み当たりの変動係数(X/t)が上記範囲にある組織を有していることにより、内在応力の偏りが非常に少なく、素材の研削加工を行った際に反りが発生することを低減でき、加工量と反りの関係が安定し平面度が高い加工品が得やすい。また、加工された成形体の機械的強度等の特性も高いものとなる。研削加工時の反り低減され、特性が高くなる点で、単位厚み当たりの変動係数(X/t)は、0.300以下であることが好ましく、0.200以下であることがより好ましい。
本発明の多結晶SiC成形体の厚みは、特に制限されないが、好ましくは200μm以上、より好ましくは300~7000μmである。多結晶SiC成形体が、上記範囲の厚みを有することにより、半導体製造装置用部材に用いられた際に輻射熱による温度分布が均一になる光不透過性を発現し、部材として取り扱い可能な強度を有するものとなる。
本発明の多結晶SiC成形体では、平均値αが0.5μm以上10.0μm以下であり、且つ、単位厚み当たりの変動係数(X/t)が0.300以下、好ましくは0.200以下、より好ましくは0.100以下であることにより、内在応力の偏りが非常に少なくなるため、加工時の反り変動が小さく、また加工量に対する反りの変化が一定でより平面度が高い製品が得られやすい。
本発明においては、成膜時の原料ガス濃度、反応温度、滞留速度等を選択することにより、本発明の多結晶SiC成形体の平均値α及び単位厚み当たりの変動係数(X/t)を達成できる。
本発明の多結晶SiC成形体では、Si原子とC原子のモル比(多結晶SiC成形体中に存在しているSi原子とC原子のモル比、Si:C)が、49.90:50.10~50.50:49.50、好ましくは49.92:50.08~50.30:49.70、より好ましくは49.94:50.06~50.10:49.90である。Si原子とC原子のモル比の下限値であるが、Si原子とC原子のモル比が、上記下限値以上であることにより、遊離Cの存在に起因する耐蝕性の低下を抑えることができる。一方、Si原子とC原子のモル比が、上記下限値未満だと、遊離Cの存在量が多いために、遊離Cの酸化等に起因する耐蝕性の低下の問題が発生する。また、Si原子とC原子のモル比の上限値であるが、Si原子とC原子のモル比が、上記上限値以下であることにより、遊離Siの存在に起因する凝集を抑制でき、SiC結晶構造中に金属Si等の異なる結晶構造が存在しないため、多結晶SiC成形体が有する優れた特性が低下することが無い。一方、Si原子とC原子のモル比が、上記上限を超えると、遊離Siの凝集が起こり、金属Siの結晶が発生することから、金属Siの融点を超える温度での金属Si金属の溶解による耐熱性の低下、金属Siの結晶が存在することによる結晶構造の欠陥増大に伴う強度低下を引き起こす。また、本発明の多結晶SiC成形体では、Si原子とC原子のモル比(Si:C)が、49.90:50.10~50.50:49.50、好ましくは49.92:50.08~50.30:49.70、より好ましくは49.94:50.06~50.10:49.90であることにより、余剰Si又は過剰Cによる遊離Si及び遊離Cの発生が抑制され、耐熱性、耐蝕性及び強度等の種々の特性に優れた多結晶SiC成形体となる点で、より好ましい。
本発明においては、成膜時の原料ガスとして分子内にSi及びCを含有するガスを選択したり、分子内にSiを含有するSi源ガスとC源である炭化水素ガスとの混合ガスを選択した場合はそれぞれの濃度を適宜調整したりすることで、所望のSi原子とC原子のモル比(Si:C)を達成できる。
続いて、本発明の多結晶SiC成形体の製造方法について説明する。本発明の多結晶SiC成形体は、以下に説明するようなCVD法を用いた特定の製造方法を採用することによって、製造される。
本発明の多結晶SiC成形体の製造方法は、CVD法により黒鉛基材上に多結晶SiC膜を成膜する成膜工程を有する多結晶SiC成形体の製造方法であって、
該成膜工程において、供給ガス中の原料ガスの濃度が、1成分系の場合は14.0~25.0体積%であり、2成分系の場合はSi源ガスとC源ガスの合計の体積割合が14.0~25.0体積%であり、反応温度が1210~1400℃であり、該供給ガスの滞留時間が0.5~18.0秒であること、
を特徴とする。
図2は、本実施形態に係る多結晶SiC成形体10の製造方法に使用される製造システムの一例を示す概略図である。この製造システムには、CVD炉5と、混合器7とが設けられている。混合器7では、キャリアガス8と、SiCの供給源となる原料ガス9とが混合され、混合ガスが生成される。混合ガスは、混合器7からCVD炉5に供給される。CVD炉5内には、黒鉛基材13が複数配置されている。この黒鉛基材13は、それぞれ、円板形状や棒形状等適宜選択される。CVD炉5に混合ガスが供給されると、CVD法によって各黒鉛基材13上に多結晶SiC膜が成形される。多結晶SiC膜を黒鉛基材13から分離し、研削する事でこの多結晶SiC膜を多結晶SiC成形体10とする。なお、SiCの製造原料となる原料ガスは、1成分系(Si及びCを含むガス)でも、2成分系(Siを含むガスとCを含むガス)でもよい。
本発明の多結晶SiC成形体の製造方法は、成膜工程を有する。成膜工程は、CVD法により、反応炉の中に設置された黒鉛基材上に多結晶SiC膜を成膜させる工程である。そして、本発明の多結晶SiC成形体の製造方法では、成膜工程を行い、黒鉛基材上に多結晶SiC膜を形成させた後、黒鉛基材から多結晶SiC膜を、酸化燃焼や機械研削等により分離し、次いで、分離した多結晶SiC膜をダイヤモンド砥粒等により研削することにより、多結晶SiC成形体を得る。
成膜工程では、反応炉に原料ガスを含む供給ガスを供給し、反応後の排ガスを反応炉から排出しつつ、反応炉内を加熱することにより、黒鉛基材上に多結晶SiC膜を成膜させる。
成膜工程では、成膜に用いられる供給ガスは、原料ガスとキャリアガスとを含有する。キャリアガスとしては、N、B、Al、P等を含まなければ、特に限定されるものでは無いが、例えば、水素ガス、Arガス等が挙げられる。
原料ガスとしては、Si源及びC源を含むガスであれば特に限定されるものではない。原料ガスとしては、(1)分子内にSi及びCを含有するガス、(2)分子内にSiを含有するSi源ガスと、C源である炭化水素ガスと、の混合ガスが挙げられる。(1)の原料ガスを用いる場合は、1成分系であり、このような1成分系の原料ガスとしては、メチルトリクロロシラン、トリクロロフェニルシラン、ジクロロメチルシラン、ジクロロジメチルシラン、クロロトリメチルシラン等が挙げられる。また、(2)の原料ガスを用いる場合は、2成分系であり、このような2成分系の原料ガスとしては、トリクロロシラン、モノシラン等のシラン含有ガスと、炭化水素ガスとの混合物が挙げられる。これらのうち、原料ガスとしては、メチルトリクロロシランが、SiとC比が分子レベルで1:1で安定しており、膜質の均一性や、多結晶SiC成形体のSi原子とC原子のモル比の点で好ましいため、実施例ではメチルトリクロロシランを用いたが、これは一例であり、これに限定されるものではない。
成膜工程において、供給ガス中の原料ガスの濃度は、1成分系の場合は14.0~25.0体積%であり、また、2成分系の場合はSi源ガスとC源ガスの合計の体積割合が14.0~25.0体積%である。2成分系の場合は、Si源ガスとC源ガスのモル比は0.8:1.2~1.2:0.8が好ましい。供給ガス中の原料ガスの濃度が上記範囲にあることにより、余剰SiやCによる遊離Si及び遊離Cの発生を抑制し、ち密で耐蝕性に優れる多結晶SiC成形体が生成される。
成膜工程における反応温度は、1210~1400℃、好ましくは1210~1385℃である。成膜工程における反応温度が上記範囲にあることにより、核生成速度が結晶成長速度を上回り、且つ、ち密な多結晶SiC膜が生成されるので、多結晶SiC成形体の平均値α及び単位厚み当たりの変動係数(X/t)を、本発明の多結晶SiC成形体に規定のものとすることができ、また、多結晶SiC膜の成膜速度を大きくすることができる。
成膜工程における供給ガスの滞留時間は、0.5~18.0秒、好ましくは1.0~10.0秒である。成膜工程における供給ガスの滞留時間が上記範囲にあることにより、核生成速度が結晶成長速度を上回り、且つ、ち密な多結晶SiC膜が生成されるので、多結晶SiC成形体の平均値α及び単位厚み当たりの変動係数(X/t)を、本発明の多結晶SiC成形体に規定のものとすることができ、また、多結晶SiC膜の成膜速度を大きくすることができる。
本発明の多結晶SiC成形体の製造方法では、成膜工程における供給ガス中の原料ガス濃度と、反応温度と、供給ガスの滞留時間を上記範囲内で選択することにより、炉内に供給ガスを供給した際に、高温の黒鉛基材に高濃度の原料ガスを暴露することが可能となり、核生成速度が粒子成長速度を上回り、形成される粒子が超微細粒子となり、光不透過性が発現し、また、厚さ方向に組織の変動が少なく、内在応力の偏りが非常に少ない多結晶SiC膜を、速い成膜速度で形成させることができる。
成膜工程において成膜される多結晶SiC膜の膜厚は、例えば300~7000μmであり、黒鉛基材を除去する際の成形体の割れを防ぐことができることから、450μm以上が好ましく、厚くなりすぎることでの割れを防ぐためには5500μm以下が好ましい。成膜される多結晶SiC膜の直径は、半導体製造装置用部材として加工が好適にできることから、直径50mm以上が好ましく、成形体の均一性を確保できることから、直径450mm以下が好ましい。
CVD炉内に微量に残存する大気中の窒素分子が成形体に取り込まれ成形体の窒素濃度が上昇することを防ぐため、CVD炉における成膜速度は早い方が有利である。本発明の多結晶SiC成形体の製造方法では、成膜工程における成膜速度は、60μm/時間以上、好ましくは500μm/時間以上、より好ましくは1000μm/時間以上である。成膜工程における成膜速度が上記範囲にあることにより、多結晶SiC成形体の窒素濃度を低くすることができる。
また、例えば、原料ガスが気体原料である場合は、供給ガス中の原料ガス濃度は、原料ガス流量とキャリアガス流量とを制御することによって、調整することができる。また、原料ガスが液体原料由来のガスである場合には、供給ガス中の原料ガス濃度は、原料タンク内の液体原料の温度を制御し、液体原料の蒸気圧を制御することによって、調整することができる。また、原料ガスを沸点まで加熱し、得られた気化ガスの流量を制御することによって、調整することもできる。
成膜工程において、CVD法による多結晶SiC膜の成膜が終了すると、多結晶SiC膜が成膜された各黒鉛基材をCVD炉から取り出し、その後、多結晶SiC成形体のみを取り出すように加工する。
本発明の多結晶SiC成形体は、光不透過性を有する低ドーパント濃度の多結晶SiC成形体なので、また、本発明の多結晶SiC成形体の製造方法では、光不透過性を有する低ドーパント濃度の多結晶SiC成形体が得られるので、本発明の多結晶SiC成形体、及び本発明の多結晶SiC成形体の製造方法により得られる多結晶SiC成形体は、光不透過性を有する低ドーパント濃度である事が求められる半導体製造装置用部材用途に好適である。また、本発明の多結晶SiC成形体、及び本発明の多結晶SiC成形体の製造方法により得られる多結晶SiC成形体は、光不透過性を有する低ドーパント濃度である事が求められる用途であれば、他の用途であっても好適に適用される。
例えば、本発明の多結晶SiC成形体、及び本発明の多結晶SiC成形体の製造方法により得られる多結晶SiC成形体は、半導体製造時にプラズマエッチング装置用部材として、エッジリング、電極板及びヒーター等に使用される。また、本発明の多結晶SiC成形体、及び本発明の多結晶SiC成形体の製造方法により得られる多結晶SiC成形体は、半導体製造時に半導体熱処理装置用部材としてダミーウェハに使用される。
なお、本発明の多結晶SiC成形体、及び本発明の多結晶SiC成形体の製造方法により得られる多結晶SiC成形体が、エッジリング及び電極板として使用される場合、多結晶SiC基板は、例えば、1500~5000μm程度の厚みを有している。また、本発明の多結晶SiC成形体、及び本発明の多結晶SiC成形体の製造方法により得られる多結晶SiC成形体が、ダミーウェハとして使用される場合、多結晶SiC基板は、例えば300~2000μm程度の厚みを有している。
本発明を以下の実施例を用いて説明する。なお、実施例及び比較例の操炉条件、各特性及び各評価結果を併せて表1、表2、表3、表4に示した。
(実施例1)
CVD炉内に、直径160mm、厚さ5mmの黒鉛基板を設置した。CVD炉を水素で炉内置換後に、メチルトリクロロシラン(原料ガス:MTSと表記)、水素(キャリアガス)を導入し、1210℃にて90分、黒鉛基板上に多結晶SiC膜を成膜した。成膜条件を表1に示す。
成膜後、黒鉛基板をCVD炉から取り出し、外周加工及び分割加工を行った。更に、黒鉛基板を除去し、直径150mm、厚さ0.6mmの多結晶SiC成形体を得た。更に、成形体の両面をおよそ50μm以上平面研削加工し、直径150mm、厚さが表4記載の多結晶SiC成形体を得た。
(実施例2~9、比較例1~2)
成膜条件を表1に記載の条件とすること以外は、実施例1と同様に行い、多結晶SiC成形体を得た。
(比較例3~7)
CVD炉内に、直径160mm、厚さ5mmの黒鉛基板を設置した。CVD炉を水素で炉内置換後に、メチルトリクロロシラン、水素、ホウ素化合物ガスとしては、BFガス、窒素原子含有化合物ガスとしては、Nガス、アルミニウム化合物ガスとしてはトリメチルアルミニウム、を導入し、1400℃にて70時間、黒鉛基板上に多結晶SiC膜を製膜した。成膜条件を表1に示す。
成膜後、黒鉛基板をCVD炉から取り出し、外周加工及び分割加工を行った。更に、黒鉛基板を除去し、直径150mm、厚さ0.6mmの多結晶SiC成形体を得た。更に、成形体の両面をおよそ50μm以上平面研削加工し、直径150mm、厚さが表4記載の多結晶SiC成形体を得た。
(比較例8)
CVD炉内に、直径160mm、厚さ5mmの黒鉛基板を設置した。CVD炉を水素で炉内置換後に、メチルトリクロロシラン、水素を導入し、1400℃にて450分、黒鉛基板上に厚さ300μmの多結晶SiC膜を成膜した。次いで、反応管内の温度を1250℃に下げ、15分CVD反応を行って、厚さ5μmの多結晶SiC膜(異質層1)を成膜し、その後、反応管内の温度を1100℃に下げて120分CVD反応を行って、厚さ20μmの多結晶SiC膜(異質層2)を成膜した。更に、反応管内の温度を1250℃に上げて15分CVD反応を行い、厚さ5μmの多結晶SiC膜(異質層3)を成膜した後、反応管内の温度を1400℃に上げて450分CVD反応を行って、厚さ300μmの多結晶SiC膜を成膜した。成膜後、黒鉛基板をCVD炉から取り出し、外周加工及び分割加工を行った。更に、黒鉛基板盤を除去し、直径150mm、厚さ0.6mmの多結晶SiC成形体を得た。更に、成形体の両面をおよそ50μm以上平面研削加工し、直径150mm、厚さが表4記載の多結晶SiC成形体を得た。
(比較例9)
CVD炉内に、直径160mm、厚さ5mmの黒鉛基板を設置した。CVD炉を水素で炉内置換後に、四塩化ケイ素とメタン、水素、を四塩化ケイ素/メタン=1.00、四塩化ケイ素/水素=0.33となるよう導入し、1350℃にて300分、黒鉛基板上に多結晶SiC膜を製膜した。比較例9の条件を表2に示す。
成膜後、黒鉛基板をCVD炉から取り出し、外周加工及び分割加工を行った。更に、黒鉛基板を除去し、直径150mm、厚さ0.6mmの多結晶SiC成形体を得た。更に、成形体の両面をおよそ50μm以上平面研削加工し、直径150mm、厚さが表4記載の多結晶SiC成形体を得た。
(ホウ素濃度の測定)
各実施例及び比較例において得られた多結晶SiC成形体のホウ素濃度を、ダイナミックSIMSを用いて厚さ0.1から8.0μmの範囲で測定した。
(アルミニウム濃度の測定)
各実施例及び比較例において得られた多結晶SiC成形体のアルミニウム濃度を、ダイナミックSIMSを用いて厚さ0.1から8.0μmの範囲で測定した。
(窒素濃度の測定)
各実施例及び比較例において得られた多結晶SiC成形体の窒素濃度を、ダイナミックSIMSを用いて厚さ0.1から8.0μmの範囲で測定した。
(リン濃度の測定)
各実施例及び比較例において得られた多結晶SiC成形体のリン濃度を、ダイナミックSIMSを用いて厚さ0.1から8.0μmの範囲で測定した。全ての実施例、比較例において、検出下限以下であったことから、リン濃度は0ppmとした。
(ドナー濃度とアクセプタ濃度の合計)
各多結晶SiC成形体の窒素濃度、リン濃度、ホウ素濃度、アルミニウム濃度の測定結果を基に、これらの元素の合計濃度(N+P+B+Al)を算出した。結果を表3に示す。
(Si:Cモル比の測定)
各実施例及び比較例において得られた多結晶SiC成形体のSi及びC濃度を、ダイナミックSIMSを用いて厚さ0.1から8.0μmの範囲で測定し、Si:Cモル比を測定した。結果を表3に示す。
(光透過率の測定)
多結晶SiC成形体の光透過率を、日本分光株式会社製分光光度計(V-660)を用いて測定した。試料厚さは約0.2mmで、表面処理は両面鏡面研磨処理し、測定範囲は390から900nmで実施した。結果を表3に示す。
(平均値α、単位厚み当たりの変動係数(X/t))
日本電子株式会社製SEM JSM-IT200(LA)で視野が250μm×190μmとなるSEM像を観察した。得られるSEM像において、表面から50μm間隔で、各垂直位置の線(表面に平行な線)を引き、各垂直位置の線について、交差するSiC粒子のうち、交差長さが大きい方から順に10個の粒子を選択し、それら10個の粒子の線との交差長さを測定し、得られる10個の交差長さを平均して、各垂直位置の平均粒子径Dを算出した。次いで、得られた全ての各垂直位置の平均粒子径Dを平均して、平均値αを算出した。結果を表4に示す。
次いで、得られた全ての各垂直位置の平均粒子径より、それらの標準偏差を算出し、標準偏差βを求めた。次いで、「標準偏差β/平均値α」の計算により、変動係数Xを求めた。次いで、「変動係数X/厚みt」の計算により、単位厚み当たりの変動係数(X/t)を求めた。結果を表4に示す。
なお、多結晶SiC成形体が異質層を有する場合は、異質層の位置が、各垂直位置の1つとして含まれるように、垂直位置の線を引く。つまり、異質層が存在している位置の少なくとも1つ位置の平均粒子径が、平均値α及び標準偏差βの値に必ず反映させるようにする。
(酸化試験)
実施例1~9、比較例1~9の各サンプルについて、分析面を露出した状態で、カンタル炉を用いて950℃-空気雰囲気にて1時間熱処理を行った。なお、酸化前の鏡面サンプルは、面粗度Saを0.2±0.1nmに調整した。
(酸化試験後のサンプル面粗度測定)
白色干渉を利用した非接触式表面粗さ測定機を用いて、視野1.5mm角、倍率5倍の条件にて酸化後の面粗度Saを測定した。結果を表4に示す。
(結果の考察)
実施例1~9は、ドナー濃度とアクセプタ濃度の合計が小さく、光透過率が低く、単位厚み当たりの変動係数(X/t)が低く、酸化後の面粗度Saが小さい結果となった。一方で比較例3~7はドナー濃度とアクセプタ濃度の合計が大きく、比較例1~2は光透過性が高く、比較例8は単位厚み当たりの変動係数(X/t)が大きく、比較例9は酸化後の面粗度Saが大きかった。以上の結果より、比較例はドナー濃度とアクセプタ濃度の合計、光透過率、単位厚み当たりの変動係数(X/t)、酸化後の面粗度Saのいずれかが劣る一方、実施例はドナー濃度とアクセプタ濃度の合計、光透過率、単位厚み当たりの変動係数(X/t)、酸化後の面粗度Saの全てが優れる結果となった。また、実施例1~9ではいずれも、SiとCのモル比において、所定の範囲内であることから、遊離Cの発生による耐蝕性の劣化の問題は生じない。一方、比較例9では、SiCとCのモル比において、Cの存在量が著しく過剰となっているので、遊離Cの発生により耐蝕性が劣り、酸化後の面粗度が大きくなった。
Figure 2024066211000002
表中、MTSは、メチルトリクロロシランを示す。
Figure 2024066211000003
Figure 2024066211000004
なお、比較例8の成膜速度は不透過層部分の値である。
Figure 2024066211000005
5 CVD炉
7 混合器
8 キャリアガス
9 原料ガス
10 多結晶SiC成形体
13 黒鉛基材

Claims (4)

  1. ドナー濃度とアクセプタ濃度の合計が0.20ppm以上20.00ppm以下であり、
    波長390以上900nm以下における単位厚み当たりの光透過率が1.5%/mm以下であり、
    厚さ方向に平行な断面の走査型電子顕微鏡観察像において、各垂直位置Pの平均粒子径Dの平均値を平均値α、各垂直位置Pの平均粒子径Dの標準偏差を標準偏差β、標準偏差β/平均値αの値を変動係数X、多結晶SiC成形体の厚みを厚みt(μm)とした場合、平均値αが0.5μm以上10.0μm以下であり、単位厚み当たりの変動係数(X/t)が0.300以下であり、
    Si原子とC原子のモル比(Si:C)が、49.90:50.10~50.50:49.50であること、
    を特徴とする多結晶SiC成形体。
  2. 厚さが200μm以上であることを特徴とする請求項1記載の多結晶SiC成形体。
  3. CVD法により黒鉛基材上に多結晶SiC膜を成膜する成膜工程を有する多結晶SiC成形体の製造方法であって、
    該成膜工程において、供給ガス中の原料ガスの濃度が、1成分系の場合は14.0~25.0体積%であり、2成分系の場合はSi源ガスとC源ガスの合計の体積割合が14.0~25.0体積%であり、反応温度が1210~1400℃であり、該供給ガスの滞留時間が0.5~18.0秒であること、
    を特徴とする多結晶SiC成形体の製造方法。
  4. 前記成膜工程において、多結晶SiC膜の成膜速度が60μm/時間以上であることを特徴とする請求項3記載の多結晶SiC成形体の製造方法。
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