JP2024065728A - 液体組成物、液体組成物の製造方法、収容容器、電極、電気化学素子、電極の製造装置、電極の製造方法、電気化学素子の製造装置、及び電気化学素子の製造方法 - Google Patents

液体組成物、液体組成物の製造方法、収容容器、電極、電気化学素子、電極の製造装置、電極の製造方法、電気化学素子の製造装置、及び電気化学素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】活物質の優れた分散性を実現し、延いては高い固形分濃度と低い粘度を両立する液体組成物の提供。【解決手段】活物質と、有機溶剤と、水と、を含む液体組成物であって、前記有機溶剤が、下記式(1)で表され、前記水の含有量が、1ppm以上50ppm以下である液体組成物。(式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に直鎖のアルキル基、又は分岐鎖のアルキル基を表す。)JPEG2024065728000014.jpg5094前記R1が、炭素数が3以上の、直鎖のアルキル基、及び分岐鎖のアルキル基から選択され、前記R2が、メチル基又はエチル基である態様が好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、液体組成物、液体組成物の製造方法、収容容器、電極、電気化学素子、電極の製造装置、電極の製造方法、電気化学素子の製造装置、及び電気化学素子の製造方法に関する。
電気化学素子、例えばリチウムイオン二次電池は、携帯機器、ハイブリット自動車、電気自動車等へ搭載され、需要が拡大している。また、各種ウェアラブル機器や医療用パッチに搭載する薄型電池に対するニーズが高まってきており、リチウムイオン二次電池に対する要求が多様化している。
電極は、活物質層を含み、容量や起電力といった電池特性に寄与する層である電極合材層を備える。この電極合材層を形成するための電極合材層用液体組成物は、一般に、活物質、有機溶剤、バインダーを含む。このバインダーとしては重合体が使用されることが一般的である。また生産性向上の観点から電極合材層用液体組成物は、高い固形分濃度で調液される。これらの理由から、一般に、電極合材層用液体組成物は、粘度が10~10mPa・sと極めて高く、スラリー状である。そのため、従来、リチウムイオン二次電池を構成する電極の製造方法としては、ダイコーター、コンマコーター、リバースロールコーター等を用いて、電極合材層用液体組成物を塗布することにより、電極基体上に電極合材層を形成する方法が知られている。
一方、近年では、材料コスト削減、及び環境負荷低減の観点から、間欠塗工が容易であるインクジェット印刷を用いて電極合材層用液体組成物を塗布する製造方法が注目されている。しかしながら、インクジェット印刷は、一般に、低粘度な液体組成物の塗布を対象とした製造方法であり、高粘度タイプと謳われるものであっても液体組成物の粘度上限が200mPa・sと、従来のスラリー状の電極合材層用液体組成物と比べて1/10~1/100倍も低い粘度水準が要求される。
粘度の低い電極合材層用液体組成物としては、1重量%水溶液の粘度が2~20mPa・sであるバインダーの含有量が0.01~0.5重量%であり、粘度が3.1~5.8mPa・sであるインクジェット印刷用電極合材層用組成物が報告されている(例えば、特許文献1参照)。
また、固形分濃度の高い電極合材層用液体組成物としては、例えば、結着材(バインダー)が重合体Aを含み、前記重合体Aが、エチレン性不飽和酸単量体単位を1.00質量%以上10.00質量%以下の割合で含み、前記重合体Aが、濃度8質量%で前記有機溶媒と混合して混合液を得た場合の、せん断速度0.1s-1における粘度が10,000mPa・s以下である、非水系二次電池電極用バインダー組成物、及びこれを用いることによって、75重量%以上の高い固形分濃度の電極合材用スラリー組成物が提供できることが報告されている(例えば、特許文献2参照)。
本発明は、活物質の優れた分散性を実現し、延いては高い固形分濃度と低い粘度を両立する液体組成物を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明の液体組成物は、活物質と、有機溶剤と、水と、を含む液体組成物であって、前記有機溶剤が、下記式(1)で表され、前記水の含有量が、1ppm以上50ppm以下である。
(前記式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に直鎖のアルキル基、又は分岐鎖のアルキル基を表す。)
本発明によれば、活物質の優れた分散性を実現し、延いては高い固形分濃度と低い粘度を両立する液体組成物を提供することができる。
図1は、本実施形態の負極の一例を示す断面図である。 図2は、本実施形態の正極の一例を示す断面図である。 図3は、本実施形態の電極の製造方法の一例を示す模式図である。 図4は、本実施形態の電極の製造装置の一例を示す模式図である。 図5は、本実施形態の電極の製造装置の他の一例を示す模式図である。 図6は、本実施形態の電極の製造方法の一例を示す模式図である。 図7は、液体吐出装置の変形例の一例を示す模式図である。 図8は、本実施形態の電極の製造装置としてのドラム状の中間転写体を用いた印刷部の一例を示す構成図である。 図9は、本実施形態の電極の製造装置としての無端ベルト状の中間転写体を用いた印刷部の一例を示す構成図である。 図10は、本実施形態の電気化学素子に用いる電極素子の一例を示す断面図である。 図11は、本実施形態の電気化学素子の一例を示す断面図である。
(液体組成物)
本発明の液体組成物は、活物質と、有機溶剤と、水と、を含み、炭素系材料等の導電助剤を含むことが好ましく、必要に応じて更にその他の成分を含む。
前記有機溶剤が、下記式(1)で表され、前記水の含有量が、1ppm以上50ppm以下である。
(前記式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に直鎖のアルキル基、又は分岐鎖のアルキル基を表す。)
本発明の液体組成物は、本発明者らが、以下の従来技術における問題点を見出したことに基づく発明である。
すなわち、従来の特許文献1には、インクジェット印刷用電極合材層用組成物が記載されているものの、一般的な電極合材層用スラリー状液体組成物の固形分濃度が60質量%~70質量%であるのに対し、特許文献1のインクジェット印刷用電極合材層用組成物の固形分濃度は20質量%~40質量%ほどしかなく、一般的な電極合材層用スラリー状液体組成物に比べ生産性の点で劣っていた。
また、特許文献2のバインダー組成物を用いた電極合材層用スラリー組成物について、インクジェット印刷で使用できる粘度域とするためには、上記の一般的な電極合材層用スラリー状液体組成物の固形分濃度よりも低い固形分濃度まで希釈する必要があった。
また、発明者らの検討によれば、活物質の良好な分散性を得るために、分散剤の濃度を高めた電極合材層用液体組成物であっても、固形分濃度が60質量%を超えたあたりから急激な粘度上昇が生じることが確認された。さらに、分散剤の濃度を高めた電極合材層用液体組成物を用いた二次電池は、分散剤を添加していないスラリー系液体組成物を用いた二次電池と比較して、入出力特性が著しく低下することが明らかとなった。これは、活物質表面に分散剤が吸着することで、電子伝導及びイオン伝導が阻害されることに起因するものと推測される。
したがって、活物質の優れた分散性を実現し、延いては高い固形分濃度と低い粘度を両立する液体組成物を開発するためにはより一層の改善の余地があった。
本発明者らは、前記目的を解決すべく、鋭意検討した結果、本発明の液体組成物が、活物質の優れた分散性を実現し、延いては高い固形分濃度と低い粘度を両立する液体組成物を提供できることを見出し、本発明の完成に至った。
[分散性]
前記液体組成物中の活物質の分散性は、液体組成物中の活物質のメディアン径D50、及び活物質の平均一次粒子径d50の関係として、下記式で表される分散性指標値により評価することができる。
(式)
分散性指標値=液体組成物中の活物質のD50/活物質の平均一次粒子径d50
前記分散性指標値としては、2.0以下が好ましく、1.5以下がより好ましい。
前記分散性指標値が、2.0以下であると、活物質粒子の露出している表面割合が極めて大きく、分散性に優れる。そのため、活物質粒子の表面を介した電荷の移動がスムーズとなり、優れた電池特性が得られる。また、その他の成分、例えば、導電助剤を添加した際には、活物質と導電助剤の接触面積が増大し、より優れた電池特性が得られる。
前記活物質のメディアン径D50としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5μm以上50μm以下が好ましく、1μm以上30μm以下がより好ましく、3μm以上12μm以下が更に好ましい。
前記活物質のメディアン径D50が0.5μm以上であると、電極合材層の電子伝導性向上のための導電助剤の添加量を抑制することができることから、電気化学素子の容量を高めることできる。また、前記活物質のメディアン径D50が30μm以下であると、保存安定性を高めることができる。
前記活物質のメディアン径D50の測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ISO 13320:2009に準じて室温(25℃)で測定することができる。前記測定に用いる装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、レーザ回折式粒度分布測定装置(マスターサイザー3000、マルバーン・パナリティカル社製)などが挙げられる。
前記活物質の平均一次粒子径d50としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5μm以上50μm以下が好ましく、1μm以上30μm以下がより好ましく、3μm以上12μm以下が更に好ましい。
前記活物質の平均一次粒子径d50が0.5μm以上であると、電極合材層の電子伝導性向上のために多量の導電助剤を別途添加する必要がなくなり、・・・の点で優れる。また、前記活物質の平均一次粒子径d50が30μm以下であると、保存安定性を高めることができる。
前記活物質の平均一次粒子径d50の測定方法は、具体的には、走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製)を用いて活物質粒子群を観察し、体積基準で粒子径分布を作成した際のメディアン径として算出することができる。
[粘度]
前記液体組成物の粘度とは、25℃における回転数100rpmでの定常流せん断粘度を表す。
25℃における回転数100rpmでの前記粘度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、4mPa・s以上200mPa・s以下が好ましく、20mPa・s以上100mPa・s以下がより好ましく、30mPa・s以上60mPa・s以下が更に好ましい。
液体組成物の25℃における回転数100rpmでの定常流せん断粘度が、4mPa・s以上であると、活物質粒子の沈降速度が速くなりすぎず、保存安定性を高めることができる。また液体組成物の25℃における回転数100rpmでの定常流せん断粘度が、200mPa・s以上であると、インクジェット吐出性を高めることができる。
前記液体組成物の粘度の測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、JIS Z 8803に準じて測定することができる。前記測定に用いる装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、TV25型粘度計(コーンプレート型粘度計、東機産業株式会社製)などが挙げられる。
[固形分濃度]
前記液体組成物の固形分濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上が更に好ましい。50質量%以上の固形分濃度とすることで、チクソトロピー性が発現しやすくなることで分散安定性が良好となり、塗布した液体組成物を乾燥させる工程で流動が抑制され、乾燥による膜厚ムラ、及び、組成ムラが抑制される。また所要乾燥時間の短縮による生産性向上、環境負荷低減、及びそれらに伴うコスト削減効果が得られる。
前記液体組成物の「固形分濃度」とは、液体組成物の総質量に対する、有機溶媒及び水を除く含有成分の質量の質量百分率である。
前記液体組成物の固形分濃度の測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、液体組成物の組成が明らかな場合には、下記式により求める方法;液体組成物の組成が不明な場合には、JIS K5601-1-2に準じて測定する方法などが挙げられる。
(式)
固形分濃度={全固形分(質量部)/(全固形分(質量部)+有機溶媒(質量部)+水(質量部))}×100(%)
前記測定に用いる装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、加熱乾燥式固形分計(MX-50、株式会社エー・アンド・デイ製)などが挙げられる。
<有機溶剤>
本発明における有機溶剤は、液体組成物中において、活物質を分散する成分である。また、有機溶剤は、常圧条件下で沸点を有し、然るべき乾燥工程で揮発する成分であって、この点において、一般に、不揮発性、かつ、熱分解性を示す液状分散剤とは明確に区別される。
前記有機溶剤は、下記式(1)で表される。
(前記式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に直鎖のアルキル基、又は分岐鎖のアルキル基を表す。)
前記有機溶剤を用いた場合、活物質の良好な分散性が得られ、高い固形分濃度と低い粘度を両立することができる。その要因は定かではないが、有機溶剤のカルボニル酸素が活物質表面に吸着し、アルキル基が分散基として機能することで、一般的な分散剤と似た効果が得られるものと推測される。
一般的な分散剤は、1つの分散剤分子中に複数の吸着基を有するため、仮に1か所の吸着基が活物質表面から脱着したとしても、活物質表面から完全に脱離することは少ない。また、極めて長い分散基を有するため、各分散剤分子の分散基同士で強力な立体的、静電的反発が生じ、結果として分散効果を有することが知られている。
一方、本発明における有機溶剤は、活物質に対して、カルボニル酸素がメイン吸着部として機能し、エーテル酸素が補助吸着部として機能し、両端に伸びるアルキル鎖が分散部として機能すると推測される。すなわち、有機溶剤1分子あたりに吸着部は2つしか存在せず、また、分散部の長さも一般的な分散剤と比較すると極めて短いといった特徴を有する。そして、有機溶剤としての用途上、活物質周囲に極めて高い濃度で存在するため、仮に脱離したとしても、ただちに他の有機溶剤分子によって再び吸着され、結果として良好な分散効果が発現しているものと推測される。また上述した特徴から、有機溶剤の分子量は、一般の分散剤と比べて極めて小さく、すなわち、高い蒸気圧を有し、然るべき乾燥工程によって容易に除去することができる。そのため、特に最終的に活物質表面の機能、例えば、触媒活性、電子伝導性、イオン伝導性、が重要となるような電気化学素子において、活物質本来の性能を発揮することが可能となる。
前記有機溶剤は、前記式(1)で表されれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記Rが、炭素数が3以上の、直鎖のアルキル基、及び分岐鎖のアルキル基から選択され、前記Rが、メチル基又はエチル基であることが好ましい。
このとき、活物質の良好な分散安定性が得られ、同じ固形分濃度で比較した場合により低粘度、低チクソトロピーインデックス値な液体組成物を得ることができる。これは、補助吸着部として機能するエーテル酸素側のアルキル鎖が短いことによって、メイン吸着部であるカルボニル基と補助分散部であるエーテル酸素が活物質表面へ接近しやすくなるためと推察される。
前記Rとしては、前記有機溶媒が常温(25℃)で液体である点で、炭素数12以下の、直鎖のアルキル基、及び分岐鎖のアルキル基であることが好ましい。
[有機溶剤の種類]
前記有機溶媒は、エステル基を有するエステル系有機溶剤が該当し、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、酢酸ヘキシル、酢酸ヘプチル、酢酸オクチル、酢酸ノナニル、酢酸デカニル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸イソアミル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸ペンチル、プロピオン酸ヘキシル、プロピオン酸ヘプチル、プロピオン酸オクチル、プロピオン酸ノナニル、プロピオン酸デカニル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸イソブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸プロピル、酪酸ブチル、酪酸ペンチル、酪酸ヘキシル、酪酸ヘプチル、酪酸オクチル、酪酸ノナニル、酪酸デカニル、酪酸イソプロピル、酪酸イソブチル、吉草酸メチル、吉草酸エチル、吉草酸プロピル、吉草酸ブチル、吉草酸ペンチル、吉草酸ヘキシル、吉草酸ヘプチル、吉草酸オクチル、吉草酸ノナニル、吉草酸デカニル、吉草酸イソプロピル、吉草酸イソブチル、吉草酸イソアミル(吉草酸イソペンチル)、ヘキサン酸メチル、ヘキサン酸エチル、ヘキサン酸プロピル、ヘキサン酸ブチル、ヘキサン酸ペンチル、ヘキサン酸ヘキシル、ヘキサン酸ヘプチル、ヘキサン酸オクチル、ヘキサン酸ノナニル、ヘキサン酸イソプロピル、ヘキサン酸イソブチル、ヘプタン酸メチル、ヘプタン酸エチル、ヘプタン酸プロピル、ヘプタン酸ブチル、ヘプタン酸ペンチル、ヘプタン酸ヘキシル、ヘプタン酸ヘプチル、ヘプタン酸オクチル、ヘプタン酸イソプロピル、ヘプタン酸イソブチル、オクタン酸メチル、オクタン酸エチル、オクタン酸プロピル、オクタン酸ブチル、オクタン酸ペンチル、オクタン酸ヘキシル、オクタン酸ヘプチル、オクタン酸イソプロピル、オクタン酸イソブチル、ノナン酸メチル、ノナン酸エチル、ノナン酸プロピル、ノナン酸ブチル、ノナン酸ペンチル、ノナン酸ヘキシル、ノナン酸イソプロピル、ノナン酸イソブチル、デカン酸メチル、デカン酸エチル、デカン酸プロピル、デカン酸ブチル、デカン酸ペンチル、デカン酸イソプロピル、デカン酸イソブチル、ウンデカン酸メチル、ウンデカン酸エチル、ウンデカン酸プロピル、ウンデカン酸ブチル、ウンデカン酸イソプロピル、ウンデカン酸イソブチル、ドデカン酸メチル、ドデカン酸エチル、ドデカン酸プロピル、ドデカン酸イソプロピル、イソ酪酸メチル、イソ酪酸エチル、イソ酪酸プロピル、イソ酪酸ブチル、イソ酪酸ペンチル、イソ酪酸ヘキシル、イソ酪酸ヘプチル、イソ酪酸オクチル、イソ酪酸ノナニル、イソ酪酸デカニル、イソ酪酸イソプロピル、イソ酪酸イソブチル、イソ吉草酸メチル、イソ吉草酸エチル、イソ吉草酸プロピル、イソ吉草酸ブチル、イソ吉草酸ペンチル、イソ吉草酸ヘキシル、イソ吉草酸ヘプチル、イソ吉草酸オクチル、イソ吉草酸ノナニル、イソ吉草酸デカニル、イソ吉草酸イソプロピル、イソ吉草酸イソブチル、イソ吉草酸イソアミル、イソヘキサン酸メチル、イソヘキサン酸エチル、イソヘキサン酸プロピル、イソヘキサン酸ブチル、イソヘキサン酸ペンチル、イソヘキサン酸ヘキシル、イソヘキサン酸ヘプチル、イソヘキサン酸オクチル、イソヘキサン酸ノナニル、イソヘキサン酸イソプロピル、イソヘキサン酸イソブチル、酢酸t-ブチル、酢酸2エチルヘキシル、ピバル酸エチル、プロピオン酸t-ブチル、2-エチル酪酸メチル、2-エチル酪酸エチル、t-ブチル酢酸エチル、DL-2-メチル酪酸エチルなどが挙げられる。
これらの中でも、分散安定性の観点から、前記Rが、炭素数が3以上の、直鎖のアルキル基、及び分岐鎖のアルキル基から選択され、前記Rが、メチル基又はエチル基である有機溶剤が好ましい。
これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また本発明の効果を損なわない範囲でその他の有機溶剤を含有してもよい。
[活物質に対する有機溶剤の質量比]
液体組成物における活物質に対する前記有機溶剤の質量比としては、本発明の効果を損なわない限り特に制限されないが、保管安定性の観点から20質量%以上が好ましく、30質量%がより好ましく、40質量%以上が更に好ましい。また然るべき乾燥工程における速乾性の観点から70質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましい。
[有機溶剤の沸点]
前記有機溶剤は、前述したように常圧条件下で沸点を有することが好ましい。
前記有機溶剤の沸点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、保管安定性やハンドリング性の観点から、100℃以上が好ましく、120℃以上がより好ましく、150℃以上が更に好ましい。また然るべき乾燥工程における速乾性の観点から、300℃以下が好ましく、250℃以下がより好ましく、200℃以下が更に好ましい。
<水>
前記水の含有量(以下、「含水率」と称することがある)は、前記液体組成物の総量に対し、1ppm以上50ppm以下である。
なお、「ppm」は「質量ppm」を意味する。
前記含有量が1ppm以上50ppm以下である場合、前記有機溶剤中において活物質の良好な分散性が得られ、高い固形分濃度と低い粘度を両立することができる。その要因は定かではないが、1ppm以上の水が存在することで活物質表面が分散に適した表面状態へ改質されていることが推察される。一方で、含水率が50ppmを超過すると水の活物質表面への吸着によって前記有機溶剤の分散効果が阻害されてしまうと考えられる。
水の含有量は、25℃における、水分気化法を用いた電量滴定法カールフィッシャー水分測定により測定することができ、例えば、カールフィッシャー微量水分測定装置(CA-200、日東精工アナリテック株式会社製)を用いて、計測することができる。
<活物質>
前記活物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルカリ金属含有遷移金属酸化物、アルカリ含有遷移金属リン酸化合物、アルカリ含有遷移金属ハロゲン化リン酸化合物、アルカリ含有遷移金属ケイ酸化合物等の酸化物;硫化リチウム、硫黄/炭素複合正極等の硫化物;珪素(シリコン)、酸化ケイ素(SiOx)、珪素化合物、珪素含有合金等の合金系活物質などが挙げられる。これらの中でも、より優れた活物質の分散効果が得られる点で、酸化物、合金系活物質が好ましい。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
[正極活物質]
活物質としての正極活物質としては、アルカリ金属イオンを挿入又は放出することが可能であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルカリ金属含有遷移金属化合物を用いることができる。
アルカリ金属含有遷移金属化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、コバルト、マンガン、ニッケル、クロム、鉄及びバナジウムからなる群より選択される1種以上の元素とリチウムとを含む複合酸化物等のリチウム含有遷移金属化合物などが挙げられる。
リチウム含有遷移金属化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、リチウム含有コバルト酸化物(LiCoO)、マンガン酸リチウム(LiMn)、リチウム含有ニッケル酸化物(LiNiO)、Co-Ni-Mnのリチウム含有複合酸化物(Li(Co Mn Ni)O)、Ni-Mn-Alのリチウム含有複合酸化物、Ni-Co-Alのリチウム含有複合酸化物、オリビン型リン酸鉄リチウム(LiFePO)、オリビン型リン酸マンガンリチウム(LiMnPO)、LiMnO-LiNiO系固溶体、Li1+xMn2-x(0<X<2)で表されるリチウム過剰のスピネル化合物、Li[Ni0.17Li0.2Co0.07Mn0.56]O、LiNi0.5Mn1.5などの正極活物質が挙げられる。
[負極活物質]
活物質としての負極活物質としては、アルカリ金属イオンを挿入又は放出することが可能であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、チタン酸リチウム、酸化チタン、酸化シリコン、酸化スズ、珪素(シリコン)、酸化ケイ素(SiOx)、珪素化合物、珪素含有合金などの負極活物質が挙げられる。
[活物質の最大粒子径]
前記活物質の最大粒子径としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクジェットヘッドのノズル径よりも小さいことが好ましく、インクジェット吐出性をより高めることができる点で、インクジェットヘッドのノズル径よりも十分小さいことが好ましい。具体的には、液体組成物に含まれる活物質の最大粒子径と、インクジェットヘッドのノズル径との比(液体組成物に含まれる活物質の最大粒子径/インクジェットヘッドのノズル径)が、0.8以下であることが好ましく、0.6以下であることがより好ましく、0.5以下であることが更に好ましい。活物質の最大粒子径がこれらの範囲内にあると、液体組成物の吐出安定性が向上する。例えば、液滴観察装置(EV1000、株式会社リコー製)の場合、ノズル径は40μmであり、このとき、液体組成物に含まれる活物質の最大粒子径は32μm以下であることが好ましく、24μm以下であることがより好ましく、20μm以下であることが更に好ましい。
なお、最大粒子径とは、計測された前記液体組成物における活物質の粒度分布の中で分布の最大値である径である。最大粒子径は、上述した活物質の分散性評価手法と同様に、例えば、ISO 13320:2009に準じて粒度分布を用いて測定することができる。
[活物質のモード径]
前記活物質のモード径としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5μm以上10μm以下が好ましく、3μm以上10μm以下がより好ましい。活物質のモード径が0.5μm以上10μm以下であると、液体組成物を液体吐出方法により吐出する場合に、吐出不良を起こしにくい。なお、モード径とは、計測された前記液体組成物における活物質の粒度分布の中で分布の極大値である径である。モード径は、上述した活物質の分散性評価手法と同様に、例えば、ISO 13320:2009に準じて粒度分布を用いて測定することができる。
前記活物質は、その表面の少なくとも一部がイオン導電性酸化物で被覆されてなることが好ましい。この場合、本発明の効果を維持しつつ、活物質表面のイオン導電性を向上させることができる。
活物質を被覆するイオン伝導性酸化物としては、リチウムイオン伝導性酸化物が好ましく、例えば、一般式LiAO(Aは、B、C、Al、Si、P、S、Ti、Zr、Nb、Mo、Ta、Sc、V、Y、Ca、Sr、Ba、Hf、Ta、Cr又はWであり、x及びyは正の数である。)で表される酸化物を挙げることができる。
具体的には、LiBO、LiBO、LiCO、LiAlO、LiSiO、LiSiO、LiPO、LiSO、LiTiO、LiTi12、LiTi、LiZrO、LiNbO、LiTaO、LiMoO及びLiWOなどが挙げられる。これらの中でも、LiTi12、LiZrO又はLiNbOが好ましい。
また、リチウムイオン伝導性酸化物は、複合酸化物であってもよい。
複合酸化物としては、上記リチウムイオン伝導性酸化物の任意の組み合わせを採用することができ、例えば、LiSiO-LiBO、及び、LiSiO-LiPOなどが挙げられる。
活物質を被覆するイオン伝導性酸化物の平均厚みとしては、0.1nm以上が好ましく、1nm以上がより好ましい。また、イオン伝導性酸化物の平均厚みは、100nm以下が好ましく、20nm以下がより好ましく、10nm以下が更に好ましい。
イオン伝導性酸化物の平均厚みは、前記イオン伝導性酸化物が被覆する領域における平均厚みであり、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)等を用いて、任意の3点以上の厚みを測定し、その平均を算出することにより求めることができる。
イオン伝導性酸化物は、活物質の粒子表面に均一な膜厚で被覆させることが好ましいが、不均一な膜厚であっても許容される。
また、イオン伝導性酸化物は、活物質の粒子表面の少なくとも一部に被覆させればよく、イオン伝導性酸化物の被覆率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、活物質の表面に対し、50%以上が好ましく、75%以上がより好ましく、90%以上が更に好ましい。
イオン伝導性酸化物で表面被覆されてなる活物質の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の方法を適宜選択することができ、例えば、ゾルゲル法でイオン伝導性酸化物の前駆体溶液を調製し、この前駆体を活物質に適用する方法などが一般的に挙げられる。前記前駆体を活物質に適用する方法としては、例えば、活物質を前駆体溶液に浸漬させる方法、及び前駆体溶液を活物質に噴霧させる方法などが挙げられる。
ゾルゲル法で作製された活物質は、前駆体をイオン伝導性酸化物にするために焼成されることが好ましい。イオン伝導性酸化物へと変化させるための焼成温度としては、200℃以上が好ましく、300℃以上がより好ましく、350℃以上がさらに好ましい。また結晶性変化に伴うイオン伝導性低下を抑制する観点から450℃以下が好ましく、400℃以下がより好ましい。
<導電助剤>
本発明の液体組成物は、導電助剤を更に含有することが好ましい。この場合、得られる電極合材層の導電性を向上することができる。
導電助剤としては、例えば、ファーネス法、アセチレン法、ガス化法等により製造されているカーボンブラックや、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、グラフェン、黒鉛粒子等の炭素系材料を用いることができる。炭素系材料以外の導電助剤としては、例えば、アルミニウム等の金属粒子、金属繊維を用いることができる。
これらの中でも、軽量化の観点から比重の小さい炭素系材料が好ましい。
前記導電助剤の含有量としては、活物質の総量に対する導電助剤の質量比として、10質量%未満が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ましく、また、前記質量比は、1質量%以上が好ましい。活物質に対する導電助剤の質量比が1質量%以上である場合、得られる電極合材層の導電性がより向上する。活物質に対する導電助剤の質量比が10質量%未満である場合、得られる電極合材層の導電性を損なわず、かつエネルギー密度をより向上することができる。
<<炭素系材料>>
前記炭素系材料としては、カーボンブラック等の無定形炭素材料;グラファイト、グラフェン、カーボンナノチューブ、VGCF等の炭素繊維;ナノダイヤモンド等のいわゆるグラフェン構造を含有する、単独又は複合材料;を意味する。
これらの中でも、カーボンブラックは、微小粒子が凝集することで重量当たり大きなネットワーク構造を有することから、リチウムイオン電池等の電気化学素子用の導電材料として広く用いられ好ましい。
前記カーボンブラックとしては、例えば、チャネルブラック、ローラーブラック、ディスクブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、アセチレンブラックなどが挙げられる。これらの中でも、高い二次電池特性を有する点で、ファーネスブラックまたはアセチレンブラックが好ましい。ファーネスブラックの中でも、特に大きな比表面積を有するケッチェンブラックは、特に大きな比表面積を有することから、より好ましい。
前記液体組成物が、前記導電助剤として炭素系材料を含有する実施形態において、前記液体組成物が、前記炭素系材料を含有する炭素系材料分散体を含有することが好ましく、前記炭素系材料とイオン性樹脂との複合体(「炭素系材料-樹脂複合体」と称することがある)を含有することがより好ましい。
前記イオン性樹脂は、塩基性官能基又は塩基性官能基が酸性化合物により中和された基の少なくともいずれかを分子中に1つ以上有する樹脂であり、後述する分散剤における、イオン性の高分子分散剤に相当する。
前記炭素系材料-樹脂複合体は、後述する液体組成物の製造方法において説明する通り、前記炭素系粒子と前記イオン性樹脂とを前記有機溶剤中で混合及び分散して炭素系材料を分散する分散処理により、好適に調整することができる。
前記イオン性樹脂の含有量としては、分散剤であるイオン性樹脂による電池特性の低下を低減する観点から、前記炭素系材料に対し、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下が更に好ましく、10質量%以下が特に好ましい。
-表面修飾炭素系材料-
前記炭素系材料が、酸性官能基又は酸性官能基が塩基性化合物により中和された基の少なくともいずれかをその表面に有する表面修飾炭素系材料であることが好ましい。
また、前記表面修飾炭素系材料は、塩基性官能基又は塩基性官能基が酸性化合物により中和された基の少なくともいずれかを分子中に1つ以上有する前記イオン性樹脂と、複合体(炭素系材料-樹脂複合体)を形成することが好ましい。この場合、炭素系材料の分散性を維持しつつ、かつ、炭素系材料から脱離するイオン性樹脂の量を減らすことができる。そのため、活物質と混合した際に遊離したイオン性樹脂が活物質表面に吸着して活物質表面機能を損なうことを抑制することができる。
また、炭素系材料の表面修飾部とイオン性樹脂の酸-塩基性の関係が反対の場合と比べると、上記組合せの場合は、イオン性樹脂が塩基性由来の分子構造を有するため、前記式(1)を満たす有機溶剤(酸性由来である、カルボン酸エステル)との親和性が高く、仮に炭素系材料からイオン性樹脂が遊離したとしても溶媒和され、活物質表面に吸着しにくいといった利点を有する。
なお、「表面修飾」とは、基材となる炭素系材料内のグラフェン構造に対して、置換基を共有結合することで得られる構造を意味する。置換基を炭素系材料の表面に共有結合させる方法としては多数あるが、置換基をラジカル化しグラフェンエッジに共有結合させる方法が広く用いられている(国際公報第1996/018688号、特開2016-27092号公報、特開2016-27093号公報参照)。
前記酸性官能基としては、特に制限なく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スルホン酸基、スルファミド基、ホスホン酸基、カルボン酸基などが挙げられる。
前記表面修飾炭素系材料において、酸性官能基又は酸性官能基が塩基性化合物により中和された基の少なくともいずれかにおけるカウンターカチオンは、耐腐食性の観点からプロトン以外が好ましく、活物質のイオン伝導キャリアとなりうるという観点からアルカリ金属塩がより好ましく、高移動度の観点からイオン半径の小さいリチウム塩であることが更に好ましい。
<その他の成分>
その他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、固体電解質、分散剤、バインダーなどが挙げられる。
<<固体電解質>>
固体電解質としては、電子絶縁性を有し、かつ、イオン電導性を示し、前記有機溶剤と反応しない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸化物系固体電解質、硫化物系固体電解質などが挙げられる。
これらの中でも、高い可塑性を有することで、固体電解質粒子間同士、あるいは固体電解質及び活物質間の間で、良好な界面を形成することができる点で、硫化物固体電解質が好ましく、本発明の分散性と特に相性がよく、活物質同様の優れた分散効果が得られる点で結晶系のアルジロダイト型硫化物固体電解質がより好ましい。
酸化物系固体電解質としては、酸素原子(O)を含有し、かつ、周期律表第1族又は第2族に属する金属のイオン伝導性を有し、かつ、電子絶縁性を有する化合物が挙げられる。
なお、電子絶縁性を有するとは、固体電解質層を介して正極と負極を対向させた際に短絡しない状態であることを表し、イオン伝導性を示すとは固体電解質層を介して正極と負極を対向させた際に電位差を与えるとイオンのみが移動することを表す。
酸化物系固体電解質の具体的な化合物例としては、例えば、LixaLayaTiO〔xa=0.3~0.7、ya=0.3~0.7〕(LLT)、LixbLaybZrzbMbbmbnb(MbbはAl、Mg、Ca、Sr、V、Nb、Ta、Ti、Ge、In、Snの少なくとも1種以上の元素でありxbは5≦xb≦10を満たし、ybは1≦yb≦4を満たし、zbは1≦zb≦4を満たし、mbは0≦mb≦2を満たし、nbは5≦nb≦20を満たす。)、LixcycMcczcnc(MccはC、S、Al、Si、Ga、Ge、In、Snの少なくとも1種以上の元素でありxcは0≦xc≦5を満たし、ycは0≦yc≦1を満たし、zcは0≦zc≦1を満たし、ncは0≦nc≦6を満たす。)、Lixd(Al,Ga)yd(Ti,Ge)zdSiadmdnd(ただし、1≦xd≦3、0≦yd≦1、0≦zd≦2、0≦ad≦1、1≦md≦7、3≦nd≦13)、Li(3-2xe)MeexeDeeO(xeは0以上0.1以下の数を表し、Meeは2価の金属原子を表す。Deeはハロゲン原子又は2種以上のハロゲン原子の組み合わせを表す。)、LixfSiyfzf(1≦xf≦5、0<yf≦3、1≦zf≦10)、Lixgygzg(1≦xg≦3、0<yg≦2、1≦zg≦10)、LiBO-LiSO、LiO-B-P、LiO-SiO、LiBaLaTa12、LiPO(4-3/2w)(wはw<1)、LISICON(Lithium super ionic conductor)型結晶構造を有するLi3.5Zn0.25GeO、ペロブスカイト型結晶構造を有するLa0.55Li0.35TiO、NASICON(Natrium super ionic conductor)型結晶構造を有するLiTi12、Li1+xh+yh(Al,Ga)xh(Ti,Ge)2-xhSiyh3-yh12(ただし、0≦xh≦1、0≦yh≦1)、ガーネット型結晶構造を有するLiLaZr12(LLZ)などが挙げられる。
また、Li、P及びOを含むリン化合物も望ましい。例えばリン酸リチウム(LiPO4)、リン酸リチウムの酸素の一部を窒素で置換したLiPON、LiPOD1(D1は、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Nb、Mo、Ru、Ag、Ta、W、Pt、Au等から選ばれた少なくとも1種)などが挙げられる。
また、LiAON(Aは、Si、B、Ge、Al、C、Ga等から選ばれた少なくとも1種)等も好ましく用いることができる。
硫化物固体電解質としては、例えば、結晶系硫化物固体電解質とガラス系固体電解質に大別できる。
結晶系硫化物固体電解質としては、例えば、Li9.54Si1.741.4411.7Cl0.3、Li9.612、Li、Li9.81Sn0.812.1912、Li9.42Si1.022.19.962.04、Li10Ge(P1-xSb12(0≦x≦0.15)、Li10SnP12、Li10.35[M11-xM21.351.6512(M1,M2=Si,Ge,Sn,As,Sbのいずれか,0≦x≦0.15)、Li11SiPS12、Li11AlP12、Li3.45Si0.450.55、LiPSX(X=Cl,Br,I)、LiPS(X=Cl,Br,I)、Li5.5PS4.5Cl1.5、Li5.35Ca0.1PS4.5Cl1.55、Li6+xSb1-xI(M=Si,Ge,Sn,0≦x≦1)、LiI、γ-LiPS、LiMS4(M=Ge,Sn,As)、Li4-xSn1-xSbxS(0≦x≦0.15)、Li4-xGe1-xPxS(0≦x≦0.15)、Li3+5x1-x(0≦x≦0.3)などが挙げられる。
ガラス系硫化物固体電解質としては、例えば、LiS-P、LiS-P-LiI、LiS-P-P、LiS-P-LiCl、LiS-SiS、LiS-SiS-P、LiS-SiS-Al、LiS-SiS-LiMO(M=Si,P,Ge)などが挙げられる。またガラス系硫化物固体電解質の一部が結晶化した、Li11ガラスセラミクスなども用いることができる。ここで、ガラス系硫化物固体電解質の各原料の混合比は問わない。
<<分散剤>>
本発明における液体組成物は、分散剤を含まずに活物質の良好な分散性を得られるが、活物質のさらなる分散安定性の向上や、活物質以外の成分の分散性向上のために、必要に応じて分散剤を含有してもよい。
分散剤としては、特に制限はないが、分散性の観点でイオン性吸着基をもつ分散剤が好ましい。従来公知ものもあるいは市販されているものが適宜使用できる。例えば、ポリエチレン系、ポリエチレンオキシド系、ポリプロピレンオキシド系、ポリカルボン酸系、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合系、ポリエチレングリコール系、ポリカルボン酸部分アルキルエステル系、ポリエーテル系、ポリアルキレンポリアミン系等の高分子分散剤;アルキルスルホン酸系、四級アンモニウム系高級アルコールアルキレンオキサイド系、多価アルコールエステル系、アルキルポリアミン系等の低分子分散剤;ポリリン酸塩分散剤等の無機分散剤;などが挙げられる。
<<バインダー>>
本発明における液体組成物はバインダーを含んでいてもよい。バインダーは、不揮発成分同士を結合するものであれば、特に制限はなく、有機溶剤中に分散していてもよく、有機溶剤中に溶解していてもよい。
活物質に対するバインダーの質量比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.1質量%~10質量%が挙げられ、得られる電極合材層の良好な結着性と電子伝導性及びイオン伝導性の両立の観点から、1質量%以上5質量%以下が好ましく、2質量%以上3質量%以下がより好ましい。
バインダーは、任意の成分を含み得る。バインダーは、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVDF-HFP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリル樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
液体組成物をインクジェット吐出に用いる場合は、液体吐出ヘッドのノズル詰まりを抑制する観点から、バインダーは、有機溶剤中に溶解し、また、液体組成物の粘度を上昇させにくいポリアクリル樹脂が好ましく、また、液体組成物を用いて得られた合材層の優れた結着性が得られることから、ガラス転移温度80℃以下のポリアクリル樹脂(例えば、ポリブチルメタクリレート(PBMA))が好ましい。
[液体組成物の製造方法]
液体組成物は、上記各成分を前記有機溶剤中に溶解又は分散させることにより製造することができる。
具体的には、ボールミル、サンドミル、ビーズミル、顔料分散機、らい潰機、超音波分散機、ホモジナイザー、プラネタリーミキサー、フィルミックスなどの混合機を用いて上記各成分と前記有機溶剤とを混合することにより、液体組成物を調製することができる。
(液体組成物の製造方法)
前記液体組成物が、前記導電助剤として炭素系材料を含有する実施形態において、本発明の液体組成物の製造方法は、前記炭素系材料を含有する炭素系材料分散体を調製する炭素系材料分散体調整工程と、前記炭素系材料分散体に前記活物質を混合して液体組成物を得る液体組成物調整工程と、を含む。
予め炭素系材料を分散した炭素系材料分散体を調製し、次いで、活物質と混合することにより、炭素系材料の分散に際してその他の成分、例えば、前記イオン性樹脂が添加されていた場合においても、それらその他の成分が活物質表面へ吸着して活物質表面機能を損なうことを防ぐことができる。
前記炭素系材料分散体に使用される溶剤は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されないが、活物質分散体混合時の凝集防止の観点から、前記式(1)を満たす有機溶剤であることが好ましい。
前記溶剤が、前記式(1)を満たす有機溶剤である場合は、活物質粒子を直接混合してもよい。前記溶剤が、前記式(1)を満たさない有機溶剤である場合は、前記式(1)を満たす有機溶剤を本発明の効果が得られるような比率で別途混合すればよい。例えば、予め前記式(1)を満たす有機溶剤で活物質を分散させた後、前記式(1)を満たさない有機溶剤からなる前記炭素系材料分散体と混合すればよい。
<<炭素系材料分散体調整工程>>
前記炭素系材料分散体調整工程は、分散処理を少なくとも含み、精製処理を含むことが好ましい。
前記分散処理は、前記炭素系粒子と前記イオン性樹脂とを溶剤中で混合及び分散して炭素系材料を分散する処理である。これにより、炭素系材料を含有する炭素系材料分散体を調製することができる。
前記混合及び分散する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ボールミル、サンドミル、ビーズミル、顔料分散機、らい潰機、超音波分散機、ホモジナイザー、プラネタリーミキサー、フィルミックスなどの混合機を用いて炭素系材料を混合及び分散させる方法が挙げられる。
前記精製処理は、前記分散処理に続いて、前記溶剤中に溶解している前記イオン性樹脂を除去する処理である。これにより、前記炭素系粒子と前記イオン性樹脂との複合体(炭素系粒子-樹脂複合体)を形成せずに、溶剤中に遊離しているイオン性樹脂を除去することができ、続く液体組成物調整工程において、活物質表面へ吸着して活物質表面機能を損なうことをより一層防ぐことができる。
前記液体組成物の用途としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電気化学素子における電極合材層や固体電解質層等の活物質含有層を形成する材料として好適に用いることができる。
また、前記液体組成物は、インクジェット吐出用液体組成物として好適に用いることができる。
(収容容器)
本発明の収容容器は、上記した本発明の液体組成物と、容器とを含み、前記容器に液体組成物が収容された収容容器である。
前記容器の形状、構造、及び大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。容器としては、例えば、ガラス瓶、プラスチック容器、プラスチックボトル、ステンレスボトル、一斗缶、ドラム缶などが挙げられる。
(電極)
本発明の電極は、電極基体と、前記電極基体上に設けられ、活物質を含有し、前記分散剤の含有量が0質量%以上1質量%以下である電極合材層と、を有する。
前記電極合材層は、上記した本発明の液体組成物を用いて形成される。
<電極基体(集電体)>
電極基体を構成する材料としては、導電性を有し、印加される電位に対して安定であれば、特に制限はない。
電極基体に液体組成物を塗布し、必要に応じて加熱等を行うと、電極基体と電極合材を有する電極が得られる。
<電極合材層>
前記電極合材層は、活物質を含有し、更に必要に応じて有機溶媒、分散剤、その他の成分を含む。
前記活物質、有機溶媒、分散剤、及びその他の成分は、上記した本発明の液体組成物において説明した活物質、有機溶媒、分散剤、及びその他の成分とそれぞれ同様であり、それぞれ適宜選択することができる。
前記分散剤の含有量としては、前記電極合材層の総量に対し、0質量%以上5.0質量%以下であり、0質量%以上3.0質量%以下が好ましく、0質量%以上1.0質量%以下がより好ましく、0質量%がより好ましい。
前記有機溶剤は、上記した本発明の液体組成物において説明した有機溶剤と同様であり、即ち、前記式(1)で表される有機溶剤であり、前記式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に直鎖のアルキル基、又は分岐鎖のアルキル基を表す。
前記電極合材層が、有機溶媒を更に含有する場合、前記有機溶剤の含有量としては、前記電極合材層の総量に対し、1ppm~1,000ppmである限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記電極合材層における有機溶剤、及び分散剤の含有量を測定する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、以下の手順により求めることができる。
前記電極合材層を20mm角で打ち抜き、ガラス瓶中で重テトラヒドロフランに浸漬させ、溶出物を得る。得られた溶出物をシリンジフィルターでろ過してH-NMRにより定量操作を行う。H-NMRピーク面積と有機溶剤乃至分散剤の量との相関性は検量線を作成して求める。
[負極]
図1に、本実施形態の負極の一例を示す。
負極101は、負極基体111の片面に、負極合材層121が形成されている。負極100の形状としては、特に制限はなく、例えば、平板状等が挙げられる。負極基体111を構成する材料としては、例えば、ステンレススチール、ニッケル、アルミニウム、銅などが挙げられる。
なお、負極合材層121は、負極基体111の両面に形成されていてもよい。
負極は、後述する電極の製造装置を用いて製造することができる。
[正極]
図2に、本実施形態の正極の一例を示す。
正極20は、正極基体21の片面に、正極合材層22が形成されている。正極20の形状としては、特に制限はなく、例えば、平板状等が挙げられる。正極基体21を構成する材料としては、例えば、ステンレススチール、アルミニウム、チタン、タンタル等が挙げられる。
なお、正極合材層22は、正極基体21の両面に形成されていてもよい。
正極は、後述する電極の製造装置を用いて製造することができる。
(電極の製造装置、及び電極の製造方法)
本発明の電極の製造装置は、上記した本発明の収容容器と、前記収容容器に収容された上記した本発明の液体組成物を電極基体上に付与する付与手段と、を有し、更に必要に応じて、その他の手段を有する。
本発明の電極の製造方法は、上記した本発明の液体組成物を付与する付与工程を有し、更に必要に応じて、その他の工程を有する。
<付与手段、付与工程>
前記付与手段は、前記収容容器に収容された前記液体組成物を電極基体上に付与する手段である。
前記吐出工程は、前記液体組成物を電極基体上に付与する工程であり、前記付与手段により好適に実施できる。
前記付与により、電極基体上に液体組成物を付与して、液体組成物層を形成し、電極合材層を形成することができる。
液体組成物を付与する方法としては、特に制限はなく、例えば、インクジェット法やスプレーコート法、ディスペンサ法等の液体吐出方法;スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、ノズルコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法などが挙げられる。これらの中でも、インクジェット法が特に好ましい。インクジェット法を用いると、電極を非接触、自由な形状で製造できる。その結果、電極の生産過程における型抜きによる活物質の損失が少ない等の効果がある。
<その他の手段、その他の工程>
前記電極の製造装置におけるその他の手段としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、加熱手段などが挙げられる。
前記電極の製造方法におけるその他の工程としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、加熱工程などが挙げられる。
<<加熱手段、加熱工程>>
前記加熱手段は、前記吐出手段により吐出された液体組成物を加熱する手段である。
前記加熱工程は、前記吐出工程で吐出された液体組成物を加熱する工程である。
前記加熱により、前記液体組成物層を乾燥させることができる。
以下では特に、インクジェット法による電極の製造方法について説明する。
本実施形態における電極の製造装置は、上記した本発明の収容容器と、インクジェットヘッド(「液体吐出ヘッド」と称することもある。)を用いて前記収容容器に収容された前記液体組成物を吐出する吐出手段と、を含み、必要に応じて、更にその他の手段を含む。
本実施形態における電極の製造方法は、インクジェットヘッドを用いて上記した本発明の液体組成物を吐出する吐出工程を含み、必要に応じて、更にその他の工程を含む。
前記液体組成物により形成される活物質含有層は、使用する活物質の種類に応じて、様々な層とすることができ、例えば、電極合材層などが挙げられる。
<吐出手段、吐出工程>
前記吐出手段は、前記付与手段の一態様であり、インクジェットヘッドを用いて前記収容容器に収容された前記液体組成物を吐出して前記液体組成物を電極基体上に付与する手段である。
前記吐出工程は、前記付与工程の一態様であり、インクジェットヘッドを用いて前記液体組成物を吐出して前記液体組成物を電極基体上に付与する工程である。
前記吐出により、対象物上に液体組成物を付与して、液体組成物層を形成することができる。
前記対象物(以下、「吐出対象物」と称することがある。)としては、活物質含有層を形成する対象であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電極基体(「集電体」と称することもある。)、電極基体上に設けた電極合材層などが挙げられる。
[基材に液体組成物を直接的に付与することで電極合材層、乃至電極を形成する実施形態]
図3は、本実施形態に係る電極の製造方法の一例を示す模式図である。
液体組成物12Aは、液体吐出装置300のタンク307に貯蔵されており、タンク307からチューブ308を経由して液体吐出ヘッド306に供給される。なお、液体吐出装置の個数は、1個に限定されず、2個以上であってもよい。
電極を製造する際には、ステージ310上に、電極基体11を設置した後、液体吐出ヘッド306から、液体組成物12Aの液滴を電極基体11に吐出する。このとき、ステージ310が移動してもよく、液体吐出ヘッド306が移動してもよい。吐出された液体組成物12Aは電極合材層12となる。
また、液体吐出装置300は、液体組成物12Aが液体吐出ヘッド306から吐出されていない際に、乾燥を防ぐため、ノズルをキャップする機構が設けられていてもよい。
図4は、本実施形態の電極の製造方法を実現するための電極の製造装置の一例を示す模式図である。
図4の電極の製造装置は、上記した液体組成物を用いて電極合材層を製造する装置である。電極の製造装置は、吐出対象物を有する印刷基材4上に、液体組成物を付与して液体組成物層を形成する工程を含む吐出工程部10と、液体組成物層を加熱して電極合材層を得る加熱工程を含む加熱工程部30を備える。電極の製造装置は、印刷基材4を搬送する搬送部5を備え、搬送部5は、吐出工程部10、加熱工程部30の順に印刷基材4をあらかじめ設定された速度で搬送する。
吐出工程部10は、印刷基材4上に液体組成物を付与する付与工程を実現する付与手段であるインクジェット印刷法に応じた任意の印刷装置1aと、液体組成物を収容する収容容器1bと、収容容器1bに貯留された液体組成物を印刷装置1aに供給する供給チューブ1cを備える。
吐出工程部10は、印刷基材4上に液体組成物を付与する付与工程を実現する付与手段であるインクジェット印刷法に応じた任意の印刷装置1aと、液体組成物を収容する収容容器1bと、収容容器1bに貯留された液体組成物を印刷装置1aに供給する供給チューブ1cを備える。
収容容器1bは液体組成物7を収容し、吐出工程部10は、印刷装置1aから液体組成物7を吐出して、印刷基材4上に液体組成物7を付与して液体組成物層を薄膜状に形成する。なお、収容容器1bは、電極の製造装置と一体化した構成であってもよいが、電極の製造装置から取り外し可能な構成であってもよい。また、電極の製造装置と一体化した収容容器や電極の製造装置から取り外し可能な収容容器に添加するために用いられる容器であってもよい。
収容容器1bや供給チューブ1cは、液体組成物7を安定して貯蔵及び供給できるものであれば任意に選択可能である。
加熱工程部30は、図4に示すように、加熱装置3aを有し、液体組成物層に残存する溶媒を、加熱装置3aにより加熱して乾燥させて除去する溶媒除去工程を含む。これにより電極合材層を形成することができる。加熱工程部30は、溶媒除去工程を減圧下で実施してもよい。
前記加熱装置3aとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、基板加熱、IRヒーター、温風ヒーターなどが挙げられ、これらを組み合わせてもよい。
また、加熱温度や時間に関しては、液体組成物7に含まれる溶媒の沸点や形成膜厚に応じて適宜選択可能である。
図5は、本実施形態の電極の製造方法を実現するための電極の製造装置(液体吐出装置)の他の一例を示す模式図である。
液体吐出装置300’は、ポンプ3101と、バルブ311、312を制御することにより、液体組成物が液体吐出ヘッド306、タンク307、チューブ308を循環することが可能である。
また、液体吐出装置300’は、外部タンク313が設けられており、タンク307内の液体組成物が減少した際に、ポンプ3101と、バルブ311、312、314を制御することにより、外部タンク313からタンク307に液体組成物を供給することも可能である。
前記電極の製造装置を用いると、吐出対象物の狙ったところに液体組成物を吐出することができる。
前記電極合材層は、例えば、電気化学素子の構成の一部として、好適に用いることができる。前記電気化学素子における電極合材層以外の構成としては、特に制限はなく、公知のものを適宜選択することができ、例えば、正極、負極、セパレータ、電解質層などが挙げられる。
本実施形態の電極の製造方法の一例を図6に示す。
電極100の製造方法は、液体吐出装置300’を用いて、電極基体11上に、液体組成物12Aを、順次吐出する工程を含む。
まず、細長状の電極基体11を準備する。そして、電極基体11を筒状の芯に巻き付け、電極合材層12を形成する側が、図中、上側になるように、送り出しローラ304と巻き取りローラ305にセットする。ここで、送り出しローラ304と巻き取りローラ305は、反時計回りに回転し、電極基体11は、図中、右から左の方向に搬送される。そして、送り出しローラ304と巻き取りローラ305の間の電極基体11の上方に設置されている液体吐出ヘッド306から、図1と同様にして、液体組成物12Aの液滴を、順次搬送される電極基体11上に吐出する。
なお、液体吐出ヘッド306は、電極基体11の搬送方向に対して、略平行な方向又は略垂直な方向に、複数個設置されていてもよい。次に、液体組成物12Aの液滴が吐出された電極基体11は、送り出しローラ304と巻き取りローラ305によって、加熱機構309に搬送される。その結果、電極合材層12が形成され、電極100が得られる。その後、電極100は、打ち抜き加工等により、所望の大きさに切断される。
加熱機構309は、電極基体11の上下の何れか一方に設置されてもよいし、複数個設置されていてもよい。
加熱機構309としては、液体組成物12Aに直接接触しなければ、特に制限はなく、例えば、抵抗加熱ヒーター、赤外線ヒーター、ファンヒーター等が挙げられる。なお、加熱機構309は、複数個設置されていてもよい。また、重合のための紫外線による硬化装置が設置されていてもよい。
また、電極基体11に吐出された液体組成物12Aは加熱されることが好ましく、加熱する際には、ステージにより加熱してもよいし、ステージ以外の加熱機構により加熱してもよい。加熱機構は、電極基体11の上下の何れか一方に設置されてもよいし、複数個設置されていてもよい。
加熱温度は、特に制限はない。加熱により液体組成物12Aが乾燥して電極合材層が形成される。
また、図7のように、タンク307は、タンク307A、307Bに接続されたタンク313A、313Bからインクを供給してもよく、液体吐出ヘッド306は、複数のヘッド306A、306Bを有してもよい。
[基材に液体組成物を間接的に付与することで電極合材層、乃至電極を形成する実施形態]
図8~9は、本実施形態の電極の製造装置としての、付与手段としてインクジェット方式、及び転写方式を採用した印刷部の一例を示す構成図であり、図8は、ドラム状の中間転写体を用いた印刷部、図9は、無端ベルト状の中間転写体を用いた印刷部を示す構成図である。
図8に示した印刷部400´は、中間転写体4001を介して基材に液体組成物層乃至電極合材層を転写することで基材上に電極合材層を形成する、インクジェットプリンタである。
印刷部400´は、インクジェット部420、転写ドラム4000、前処理ユニット4002、吸収ユニット4003、加熱ユニット4004および清掃ユニット4005を備える。
インクジェット部420は、複数のヘッド101を保持したヘッドモジュール422を備える。ヘッド101は、転写ドラムに4000に支持された中間転写体4001に液体組成物を吐出し、中間転写体4001上に液体組成物層を形成する。各ヘッド101は、ラインヘッドであり、使用可能な最大サイズの基材の記録領域の幅をカバーする範囲にノズルが配列されている。ヘッド101は、その下面に、ノズルが形成されたノズル面を有しており、ノズル面は、微小間隙を介して中間転写体4001の表面と対向している。本実施形態の場合、中間転写体4001は円軌道上を循環移動する構成であるため、複数のヘッド101は、放射状に配置される。
転写ドラム4000は、圧胴621と対向し、転写ニップ部を形成する。前処理ユニット4002は、ヘッド101による液体組成物の吐出前に、例えば、中間転写体4001上に、液体組成物の粘度を高めるための反応液を付与する。吸収ユニット4003は、転写前に、中間転写体4001上の液体組成物層から液体成分を吸収する。加熱ユニット4004は、転写前に、中間転写体4001上のインク層を加熱する。液体組成物層を加熱することで、乾燥させて、電極合材層を形成する。また、有機溶媒が除去され、基材への転写性が向上する。清掃ユニット4005は、転写後に中間転写体4001上を清掃し、中間転写体4001上に残留したインクやごみ等の異物を除去する。
圧胴621の外周面は、中間転写体4001に圧接しており、圧胴621と中間転写体4001との転写ニップ部を基材が通過するときに、中間転写体4001上の液体組成物層乃至電極合材層が基材に転写される。なお、圧胴621は、その外周面に基材の先端部を保持するグリップ機構を少なくとも1つ備えた構成としてもよい。
図9に示した印刷部400´´は、中間転写ベルト4006を介して基材に液体組成物層乃至電極合材層を転写することで基材上に電極合材層を形成する、インクジェットプリンタである。
印刷部400´´は、インクジェット部420に設けた複数のヘッド101から液体組成物の液滴を吐出して、中間転写ベルト4006の外周表面上に液体組成物層を形成する。中間転写ベルト4006に形成された液体組成物層は、加熱ユニット4007によって加熱され、乾燥することで電極合材層を形成し、中間転写ベルト4006上で膜化する。
中間転写ベルト4006が転写ローラ622と対向する転写ニップ部において、中間転写ベルト4006上の膜化した電極合材層は基材に転写される。転写後の中間転写ベルト4006の表面は、清掃ローラ4008によって清掃される。
中間転写ベルト4006は、駆動ローラ4009a、対向ローラ4009b、複数(本例では4つ)の形状維持ローラ4009c,4009d,4009e,4009f、および複数(本例では4つ)の支持ローラ4009gに架け渡され、図中矢印方向に移動する。ヘッド101に対向して設けられる支持ローラ4009gは、ヘッド101からインク滴が吐出される際の中間転写ベルト4006の引張状態を維持する。
(電気化学素子)
本発明の電気化学素子は、上記した本発明の電極を有し、更に必要に応じてその他の部材を有する。
前記電極は、上記した本発明の電極において説明した事項から適宜選択することができる。
前記電極は、正極であってもよく、負極であってもよい。
前記電気化学素子は、一般的に、正極と、負極と、電解質と、前記正極と前記負極との間に配置された電解質を保持するセパレータと、外装と、を有することができる。
なお、固体電解質又はゲル電解質を用いる場合は、セパレータは不要である。
前記電気化学素子の製造方法としては、電極を本発明のものとする以外は、公知の方法を適宜選択することができる。
<電解質>
電解質としては、電解質水溶液又は非水電解質を使用することができる。
[電解質水溶液]
電解質水溶液とは、電解質塩が水に溶解している水溶液である。
電解質塩としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、酒石酸亜鉛、過塩化亜鉛などが挙げられる。
[非水電解質]
非水電解質としては、非水電解液又は固体電解質、ゲル電解質を使用することができる。
-非水電解液-
非水電解液とは、電解質塩が非水溶媒に溶解している電解液である。
--非水溶媒--
非水溶媒としては、特に制限はなく、例えば、非プロトン性有機溶媒を用いることが好ましい。非プロトン性有機溶媒としては、鎖状カーボネート、環状カーボネート等のカーボネート系有機溶媒を用いることができる。これらの中でも、電解質塩の溶解力が高い点から、鎖状カーボネートが好ましい。また、非プロトン性有機溶媒は、粘度が低いことが好ましい。
鎖状カーボネートとしては、例えば、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルエチルカーボネート(EMC)などが挙げられる。
非水溶媒中の鎖状カーボネートの含有量は、50質量%以上であることが好ましい。非水溶媒中の鎖状カーボネートの含有量が50質量%以上であると、鎖状カーボネート以外の非水溶媒で誘電率が高い環状物質(例えば、環状カーボネート、環状エステル)であっても、環状物質の含有量が少なくなる。このため、2M以上の高濃度の非水電解液を作製しても、非水電解液の粘度が低くなり、非水電解液の電極へのしみ込みやイオン拡散が良好となる。
環状カーボネートとしては、例えば、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)などが挙げられる。
なお、カーボネート系有機溶媒以外の非水溶媒としては、例えば、環状エステル、鎖状エステル等のエステル系有機溶媒;環状エーテル、鎖状エーテル等のエーテル系有機溶媒;などを用いることができる。
環状エステルとしては、例えば、γ-ブチロラクトン(γBL)、2-メチル-γ-ブチロラクトン、アセチル-γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトンなどが挙げられる。
鎖状エステルとしては、例えば、プロピオン酸アルキルエステル、マロン酸ジアルキルエステル、酢酸アルキルエステル(例えば、酢酸メチル(MA)、酢酸エチル)、ギ酸アキルエステル(例えば、ギ酸メチル(MF)、ギ酸エチル)などが挙げられる。
環状エーテルとしては、例えば、テトラヒドロフラン、アルキルテトラヒドロフラン、アルコキシテトラヒドロフラン、ジアルコキシテトラヒドロフラン、1,3-ジオキソラン、アルキル-1,3-ジオキソラン、1,4-ジオキソランなどが挙げられる。
鎖状エーテルとしては、例えば、1,2-ジメトシキエタン(DME)、ジエチルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル、テトラエチレングリコールジアルキルエーテルなどが挙げられる。
--電解質塩--
電解質塩としては、イオン伝導度が高く、非水溶媒に溶解することが可能であれば、特に制限はない。
電解質塩は、ハロゲン原子を含むことが好ましい。電解質塩を構成するカチオンとしては、例えば、リチウムイオンなどが挙げられる。電解質塩を構成するアニオンとしては、例えば、BF 、PF 、AsF 、CFSO 、(CFSO、(CSOなどが挙げられる。
リチウム塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)、ホウフッ化リチウム(LiBF)、六フッ化ヒ素リチウム(LiAsF)、トリフルオロメタスルホン酸リチウム(LiCFSO)、リチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(LiN(CSO)、リチウムビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド(LiN(CSO)などが挙げられる。これらの中でも、イオン伝導度の点から、LiPFが好ましく、安定性の点から、LiBFが好ましい。
なお、電解質塩は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
非水電解液中の電解質塩の濃度は、目的に応じて適宜選択することができるが、非水系電気化学素子がスイング型である場合、1mol/L~2mol/Lであることが好ましく、非水系電気化学素子がリザーブ型である場合、2mol/L~4mol/Lであることが好ましい。
-固体電解質-
固体電解質としては、前述した材料を用いることができる。
-ゲル電解質-
ゲル電解質としては、イオン電導性を示すものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ゲル電解質の網目構造を構成するポリマーとしてはポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル、フッ化ビニリデンと六フッ化プロピレンのコポリマー、ポリエチレンカーボネートなどが挙げられる。
また、保持される溶媒分子としてはイオン液体が挙げられる。
イオン液体としては、例えば、1-メチル-1-プロピルピロリジニウムビス(フルオロスルホニルイミド)、1ブチル-1-メチルピロリジニウムビス(フルオロスルホニルイミド)、1-メチル-1-プロピルピペリジニウムビス(フルオロスルホニルイミド)、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニルイミド)、1-メチル-3-プロピルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニルイミド)、N,N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウムビス(フルオロスルホニル)イミドなどが挙げられる。
また、テトラグライム、プロピレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネートなどの液体とリチウム塩を混合したものでもよい。
リチウム塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが例えば、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)、ホウフッ化リチウム(LiB)、六フッ化ヒ素リチウム(LiAsF)、トリフルオロメタスルホン酸リチウム(LiCFSO)、リチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(LiN(CFSO)、リチウムビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド(LiN(CSO)などが挙げられる。
上記に挙げたもの以外でも、当該発明の趣旨を逸脱するものでなければ、問題なく使うことができる。また、ゲル電解質は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのゲル電解質を構成するために液体に溶解又は分散させる電解質材料としては、上記ポリマー化合物とイオン液体又はリチウム塩が溶解された溶液を用いてもよい。またゲル電解質の前駆体となる材料である例えば両末端がアクリレート基であるポリエチレンオキサイドやポリプロピレンオキサイドなどとイオン液体又はリチウム塩が溶解された溶液を組合せて用いてもよい。
<セパレータ>
セパレータは、負極と正極の短絡を防ぐために、必要に応じて、負極と正極の間に設けられている。
セパレータとしては、例えば、クラフト紙、ビニロン混抄紙、合成パルプ混抄紙等の紙;セロハン、ポリエチレングラフト膜、ポリプロピレンメルトブロー不織布等のポリオレフィン不織布;ポリアミド不織布、ガラス繊維不織布、マイクロポア膜;などが挙げられる。
セパレータの大きさは、電気化学素子に使用することが可能であれば、特に制限はない。セパレータは、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。
なお、電解質として、電解質水溶液又は非水電解液を用いる際はセパレータが必要であるが、固体電解質又はゲル電解質を使用する場合はセパレータに置き換える。
<外装>
外装は、電極と、電解質と、セパレータまたは固体電解質またはゲル電解質とを封止することができれば特に制限はない。
(電気化学素子の製造装置、及び電気化学素子の製造方法)
本発明の電気化学素子の製造装置は、上記した本発明の電極の製造装置により電極を製造する電極製造手段と、前記電極を用いて電気化学素子を製造する素子化手段と、を有し、更に必要に応じて、その他の手段を有する。
本発明の電気化学素子の製造方法は、上記した本発明の電極の製造装置により電極を製造する電極製造工程と、前記電極を用いて電気化学素子を製造する素子化工程と、を含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
<電極製造手段、電極製造工程>
前記電極製造手段は、上記した本発明の収容容器と、前記収容容器に収容された上記した本発明の液体組成物を電極基体上に付与する付与手段と、を有し、更に必要に応じて、その他の手段を有する。
前記電極製造工程は、上記した本発明の液体組成物を付与する付与工程を有し、更に必要に応じて、その他の工程を有する。
前記収容容器、付与手段、及び付与工程としては、上記した本発明の収容容器、電極の製造装置、及び電極の製造方法において説明した事項を適宜選択することができる。
<素子化部、及び素子化工程>
前記素子化部は、前記電極を用いて電気化学素子を製造する手段である。
前記素子化工程は、前記電極を用いて電気化学素子を製造する工程である。
電極を用いて電気化学素子を製造する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜公知の電気化学素子の製造方法を選択することができ、例えば、対向電極の設置、巻回又は積層、容器への収容の少なくともいずれかを行い電気化学素子とする方法が挙げられる。
なお、素子化工程としては、素子化の全行程を備える必要はなく、素子化の一部の工程、例えば、電極素子を形成する工程、を含むものであってもよい。
-電極素子-
電極素子は、電極と、セパレータと、を含む。
図10に、本実施形態に関する電気化学素子に用いる電極素子の一例を示す。
電極素子40は、負極15と正極25が、セパレータ30Bを介して、積層されている。ここで、正極25は、負極15の両側に積層されている。また、負極基体11には、引き出し線41が接続されており、正極基体21には、引き出し線42が接続されている。
固体電気化学素子である場合は、セパレータ30Bを固体電解質またはゲル電解質に置き換えればよい。
負極15は、負極基体11Bの両面に、負極合材層12Bが形成されている。
正極25は、正極基体21の両面に、正極合材層22が形成されている。
なお、電極素子40の負極15と正極25の積層数は、特に制限は無い。また、電極素子40の負極15の個数と正極25の個数は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
[電気化学素子]
図11に、本実施形態に関する電気化学素子の一例を示す。
電気化学素子1が液系の電気化学素子である場合は、電極素子40に、電解質水溶液又は非水電解質を注入することにより、電解質層51が形成されており、外装52により封止されている。電気化学素子1において、引き出し線41及び42は、外装52の外部に引き出されている。
また電気化学素子1が固体電気化学素子である場合は、セパレータ30Bを固体電解質またはゲル電解質に置き換えればよい。
電気化学素子1の形状としては、特に制限はなく、例えば、ラミネートタイプ、シート電極及びセパレータをスパイラル状にしたシリンダタイプ、ペレット電極及びセパレータを組み合わせたインサイドアウト構造のシリンダタイプ、ペレット電極及びセパレータを積層したコインタイプなどが挙げられる。
[電気化学素子の用途]
電気化学素子は、二次電池として好適に用いることができる。
電気化学素子の用途としては、特に制限はなく、例えば、ノートパソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドホンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、モーター、照明器具、玩具、ゲーム機器、時計、ストロボ、カメラ、車両などが挙げられる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に制限されるものではない。
以下の実施例及び比較例においては、液体組成物の含水率、有機溶剤の脱水処理と含水率調整、液体組成物の固形分濃度、液体組成物中の活物質のメディアン径D50、液体組成物中の活物質の分散性、液体組成物中の活物質の分散安定性、液体組成物の粘度、吐出性、及び二次電池のレート特性は、以下の方法により算出、測定、又は評価した。
[液体組成物の含水率]
カールフィッシャー微量水分測定装置(CA-200、日東精工アナリテック株式会社製)を用いて、得られた液体組成物中の含水率を室温(25℃)で計測した。
[有機溶剤の脱水処理と含水率調整]
有機溶剤にモレキュラーシーブを20体積%の比率で混合し72時間以上保管することで脱水処理を実施した。この有機溶剤の含水率を上述した方法により測定し、その後、所望の含水率となるよう加水を行った。
[液体組成物の固形分濃度]
液体組成物の固形分濃度は、以下のように算出した。
固形分濃度={全固形分(質量部)/(全固形分(質量部)+有機溶媒(質量部)+水(質量部))}×100(%)
[活物質のメディアン径D50
レーザ回折式粒度分布測定装置(マスターサイザー3000、マルバーン・パナリティカル社製)を用いて、得られた液体組成物における活物質の粒度分布を、ISO 13320:2009に準じて室温(25℃)で計測した。計測された前記液体組成物における活物質の粒度分布の中で累積頻度50%となるメディアン径をD50とした。
[液体組成物中の活物質の分散性]
液体組成物中の活物質の分散性は、以下の基準で評価した。
評価基準「a」~「b」が合格レベルである。本基準は、目視では判断できないレベルの高度な分散性について規定したものである。合格レベルに達している場合、活物質粒子の露出している表面割合が極めて大きく、高分散性を有することを意味している。そのため、活物質粒子の表面を介した電荷の移動がスムーズとなり、優れた電池特性が得られる。また、その他の成分、例えば、導電助剤を添加した際には、活物質と導電助剤の接触面積が増大し、より優れた電池特性が得られる。
-評価基準-
下記式により分散性指標値を算出し、下記基準にて評価した。
分散性指標値=液体組成物中の活物質のD50/活物質の平均一次粒子径d50
a : 分散性指標値≦1.5
b : 1.5<分散性指標値≦2.0
c : 2.0<分散性指標値
活物質の平均一次粒子径d50は、走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製)を用いて活物質粒子群を観察し、体積基準で粒子径分布を作成した際のメディアン径として算出した。
[液体組成物中の活物質の分散安定性(チクソトロピーインデックス)]
分散安定性は、チクソトロピーインデックスから以下の基準で評価した。
評価基準「a」~「c」が実用レベルであるが、「a」~「b」が合格レベルである。合格レベルに達している場合、低シェア力環境下においても活物質粒子同士の凝集が抑制され、優れた分散安定性が得られていることを意味する。そのため、液体組成物をより高い固形分濃度にすることができ、かつ、静置保管した場合の再分散性に優れる。また、基材へ液体組成物を間欠塗工する際の応答性に優れる。さらには、基材へ液体組成物を塗工してから乾燥させるまでの過程において活物質凝集が抑制されるため、その他の成分として例えば導電助剤を添加した際には、活物質と導電助剤の接触面積が増大し、より優れた電池特性が得られる。
-評価基準-
下記式によりチクソトロピーインデックスを算出し、下記基準にて評価した。
チクソトロピーインデックス(TI)=10rpm時における粘度/100rpm時における粘度
a : TI<1.5
b : 1.5≦TI<2.0
c : 2.0≦TI<3.0
d : 3.0≦TI
[液体組成物の粘度]
TV25型粘度計(コーンプレート型粘度計、東機産業株式会社製)を用いて、得られた液体組成物の100rpm及び10rpmにおける粘度を、室温(25℃)で計測した。
[液体組成物の吐出性]
液体吐出装置(EV2500、株式会社リコー製)を用いて、ホットプレート上に固定されたアルミニウム箔に、液体組成物を吐出した。吐出性は、以下の基準で評価した。評価基準「a」が合格レベルである。
a : 吐出可能
b : 吐出不可
[二次電池のレート特性(固体電解質を含有しない場合)]
前記吐出性の評価を行ったもののうち、吐出性評価が○であったものについては、次いで、ホットプレートを120℃で加熱して液体組成物を乾燥させ、正極を得た。この正極を用いて、下記の手法にて二次電池のレート特性を測定した。
二次電池のレート特性は、充放電測定装置TOSCAT3001(東洋システム株式会社製)を用いて計測した。作製した正極を直径16mmの丸型に打ち抜き加工した後、コイン缶中に、正極、厚さ100μmのガラスセパレータ(ADVANTEC株式会社製)、電解液(1.5mol/L LiPF/(エチレンカーボネート(EC):ジメチルカーボネート(DMC):エチルメチルカーボネート(EMC)(1:1:1v/v%))(キシダ化学株式会社製))、対極としての厚さ200μmのリチウム(本城金属株式会社製)を入れ、電気化学素子を得た。
この電気化学素子を、室温(25℃)において、正極活物質の理論容量から算出される単位重量当りの容量の20%の電流値で4.2Vまで定電流充電した後、3.0Vまで定電流放電して初期充放電を実施した。次いで、当該充放電を1回実施した。このときの放電容量を放電容量C0とする。
さらに、この電気化学素子を、室温(25℃)において、正極活物質の理論容量から算出される単位重量当りの容量の200%の電流値で同様に充放電を1回実施した。このときの放電容量を放電容量C1とする。
-評価基準-
容量維持率を次のように定義し、以下の基準で評価した。評価基準「a」~「d」が合格レベルである。
容量維持率ΔC(%)=放電容量C1/放電容量C0×100
a : 90≦容量維持率ΔC
b : 80≦容量維持率ΔC<90
c : 70≦容量維持率ΔC<80
d : 60≦容量維持率ΔC<70
e : 容量維持率ΔC<70
[二次電池のレート特性(固体電解質を含有する場合)]
前記吐出性の評価を行ったもののうち、吐出性評価が○であったものについては、次いで、ホットプレートを80℃で加熱して液体組成物を乾燥させ、正極を得た。この正極を用いて、下記の手法にて二次電池のレート特性を測定した。
二次電池のレート特性は、充放電測定装置TOSCAT3001(東洋システム株式会社製)を用いて計測した。作製した正極を直径10mmの丸型に打ち抜き加工した後、コイン缶中に、正極、厚さ100μmの固体電解質、対極としての厚さ200μmのインジウム(本城金属株式会社製)及び厚さ200μmのリチウム(本城金属株式会社製)を入れ、電気化学素子を得た。なお、固体電解質は、公知文献1「J. Power Sources. 2018, 396, 33-40」に従い合成したアルジロダイト型硫化物固体電解質LiPSCl(LPSC)を用いた。
この電気化学素子を、室温(25℃)において、正極活物質の理論容量から算出される単位重量当りの容量の20%の電流値で3.7Vまで定電流充電した後、2.4Vまで定電流放電して初期充放電を実施した。次いで、当該充放電を1回実施した。このときの放電容量を放電容量C0とする。
さらに、この電気化学素子を、室温(25℃)において、正極活物質の理論容量から算出される単位重量当りの容量の200%の電流値で同様に充放電を1回実施した。このときの放電容量を放電容量C1とする。
-評価基準-
容量維持率を次のように定義し、以下の基準で評価した。評価基準「a」~「d」が合格レベルである。
容量維持率ΔC(%)=放電容量C1/放電容量C0×100
a : 90≦容量維持率ΔC
b : 80≦容量維持率ΔC<90
c : 70≦容量維持率ΔC<80
d : 60≦容量維持率ΔC<70
e : 容量維持率ΔC<70
(実施例1)
[活物質へのイオン伝導性酸化物の表面被覆]
活物質としてニッケル系正極活物質(ニッケルコバルトマンガン酸リチウム、以下、「NCM1」と称することがある。平均一次粒子径3.5μm、株式会社豊島製作所製)を用いた。NCM1粒子を表面被覆するイオン伝導性酸化物としてはLiNbOを用いた。LiNbO層は、公知文献2「J.Mater.Chem.A. 2021, 9, 4117-4125」を参考にリチウムとニオブを含有するアルコキシド溶液をNCM1粉末粒子表面で加水分解することにより形成した。まず、無水エタノール(関東化学株式会社製)中に金属リチウム(本城金属株式会社製)を溶解させ、リチウムエトキシドのエタノール溶液を調製した。さらに、この溶液にニオビウムペンタエトキサイド(Nb(OC)(株式会社高純度化学研究所製)を加え、リチウムとニオブを含有するアルコキシド溶液とした。転動流動装置(MP-01、株式会社パウレック製)を用いてNCM1粉末を流動層とし、先のアルコキシド溶液を噴霧することでNCM1粉末粒子表面をアルコキシドで被覆した前駆体粉末を得た。この粉末をドライ空気雰囲気下350℃で加熱することによりNCM1表面にLiNbO層を形成した(以下、「LNO/NCM1」と称することがある)。
[液体組成物の調製]
固形分濃度が60質量%となるような質量比で、活物質として上記で得たLiNbO/NCM1と、有機溶剤として上述した方法により水分調整したヘキサン酸メチル(東京化成工業株式会社製)とを混合した後、超音波ホモジナイザー(Ultrasonic Generator、日本精機株式会社製)で3分間超音波照射することで、実施例1の液体組成物を得た。
液体組成物の含水率、粘度、及び液体組成物中の活物質のメディアン径D50は上述した手法により測定し、液体組成物中の活物質の分散性及び分散安定性は上述した方法により評価した。配合及び結果を表1-1及び表1-2に示す。
(実施例2~3、及び比較例1~3)
ヘキサン酸メチルの含水率を変更することにより液体組成物の含水率を変更した以外は、実施例1と同様にして液体組成物を調製し、実施例1と同様にして評価した。配合及び結果を表1-1及び表1-2に示す。
(実施例4~30、及び比較例4~11)
有機溶剤として表1-1及び表2-1に示すものを用いた以外は、実施例1と同様にして液体組成物を調製し、実施例1と同様にして評価した。配合及び結果を表1-1及び表1-2、並びに表2-1及び表2-2に示す。
(実施例31)
活物質としてイオン伝導性酸化物で被覆していないNCM1を用いた以外は、実施例1と同様にして液体組成物を調製し、実施例1と同様にして評価した。
なお、NCM1は80℃で12時間、真空乾燥させたものを用いた。配合及び結果を表2-1及び表2-2に示す。
(実施例32)
活物質としてニッケル系正極活物質(ニッケルコバルトマンガン酸リチウム、以下、「NCM2」と称することがある。平均一次粒子径8.5μm、株式会社豊島製作所製)を用いた以外は、実施例31と同様にして液体組成物を調製し、実施例1と同様にして評価した。配合及び結果を表2-1及び表2-2に示す。
(実施例33)
活物質としてニッケル系正極活物質(ニッケルコバルトアルミニウム酸リチウム、以下、「NCA」と称することがある。平均一次粒子径3.5μm、JFEミネラル株式会社製)を用いた以外は、実施例31と同様にして液体組成物を調製し、実施例1と同様にして評価した。配合及び結果を表2-1及び表2-2に示す。
(実施例34)
イオン伝導性酸化物としてLiTi12を用いた以外は、実施例1と同様にして液体組成物を調製し、実施例1と同様にして評価した。
なお、LiTi12被覆層の形成は、実施例1で用いたにニオビウムペンタエトキサイド代えてチタニウムテトライソプロポキシド(Ti(i-OC)を用いた以外は実施例1と同様に行った。配合及び結果を表2-1及び表2-2に示す。
(実施例35)
イオン伝導性酸化物としてLiTaOを用いた以外は、実施例1と同様にして液体組成物を調製し、実施例1と同様にして評価した。
なお、LiTaO被覆層の形成は、実施例1で用いたにニオビウムペンタエトキサイド代えてタンタルペンタエトキサイド(Ta(OC)を用いた以外は、実施例1と同様に行った。配合及び結果を表2-1及び表2-2に示す。
(実施例36~38)
活物質として実施例1と同様の操作で得たLiNbO/NCM1と、導電助剤として80℃で12時間真空乾燥させたアセチレンブラック(以下、「AB」と称することがある。商品名:デンカブラック、デンカ株式会社製)と、導電助剤を分散させるための分散剤として常温で12時間真空乾燥させたSolsperseTM 13940(以下、「S13940」と称することがある。日本ルーブリゾール工業株式会社製)と、結着材として80℃で12時間真空乾燥させたポリブチルメタクリレート(以下、「PBMA」と称することがある。シグマアルドリッチ社製)と、有機溶剤として上述した方法により含水率を調節したヘキサン酸メチル(東京化成工業株式会社製)を、表3-1に示す固形分濃度及び組成比になるように混合した後、超音波ホモジナイザー(Ultrasonic Generator、日本精機株式会社製)で3分間超音波照射することで、液体組成物を得た。
液体組成物の含水率、粘度、及び液体組成物中の活物質のメディアン径D50は、実施例1と同様にして、上述した手法により測定し、液体組成物中の活物質の分散性及び分散安定性は上述した方法により評価した。
また、上述した操作により吐出性を評価した。その結果、吐出性の評価が「a」だったため、次いで、ホットプレート上に固定されたアルミニウム箔に、液体組成物を吐出し、ホットプレートを120℃で加熱して液体組成物を乾燥させ、目付量20mg/cmの正極を作製した。得られた正極を用いて、上述した手法にて二次電池のレート特性を測定した。配合及び結果を表3-1及び表3-2に示す。
(比較例12)
表3-1に示す組成、固形分濃度にした以外は、実施例38と同様にして液体組成物の調製、及び各種評価を実施した。
なお、吐出性の評価が「b」だったため、バーコート法で、液体組成物をアルミニウム箔上に成膜し、ホットプレートを120℃に加熱して液体組成物を乾燥させ、目付量20mg/cmの正極を作製した。得られた正極を用いて、上述した手法にて二次電池のレート特性を測定した。配合及び結果を表3-1及び表3-2に示す。
(実施例39)
[炭素系材料分散体の調製]
導電助剤として80℃で12時間真空乾燥させたABと、導電助剤を分散させるための分散剤として常温で12時間真空乾燥させたS13940と、有機溶剤として上述した方法により含水率を調節したヘキサン酸メチル(東京化成工業株式会社製)を、導電助剤が8質量%、及び分散剤が1.6質量%となるように混合した後、超音波ホモジナイザー(Ultrasonic Generator、日本精機株式会社製)で3分間超音波照射することで、まず先に、炭素系材料ABが分散された炭素系材料分散体を得た。
[液体組成物の調製]
得られた炭素系材料分散体と、活物質として実施例1と同様の操作で得たLiNbO/NCM1と、結着材として80℃で12時間真空乾燥させたPBMAと、有機溶剤として上述した方法により含水率を調節したヘキサン酸メチル(東京化成工業株式会社製)を、表3-1に示す固形分濃度及び組成比になるように混合した後、超音波ホモジナイザー(Ultrasonic Generator、日本精機株式会社製)で3分間超音波照射することで、液体組成物を得、実施例1と同様にして評価した。
また、上述した操作により吐出性を評価した。その結果、吐出性の評価が「a」だったため、次いで、ホットプレート上に固定されたアルミニウム箔に、液体組成物を吐出し、ホットプレートを120℃で加熱して液体組成物を乾燥させ、目付量20mg/cmの正極を作製した。得られた正極を用いて、上述した手法にて二次電池のレート特性を測定した。配合及び結果を表3-1及び表3-2に示す。
(実施例40)
[炭素系材料分散体の調製]
導電助剤として80℃で12時間真空乾燥させたABと、導電助剤を分散させるための分散剤として常温で12時間真空乾燥させたS13940と、有機溶剤として上述した方法により含水率を調節したヘキサン酸メチル(東京化成工業株式会社製)を、導電助剤が8質量%、及び分散剤が1.6質量%となるように混合した後、超音波ホモジナイザー(Ultrasonic Generator、日本精機株式会社製)で3分間超音波照射することで、まず、炭素系材料ABが分散された分散体を得た。
次いで、遠心分離し、上澄み液を除去した残留物をヘキサン酸メチルで再分散する工程を4回繰り返すことで、遊離している分散剤を除去した炭素系材料分散体を得た。
得られた炭素系材料分散体を用いたこと以外は、以降は実施例39と同様にして液体組成物の調製、及び各種評価を実施した。配合及び結果を表3-1及び表3-2に示す。
(実施例41)
[表面修飾炭素系材料(AB-COOH)の製造方法]
18質量部のABを162質量部のイオン交換水に投入し、メカニカルスタラー(2P-03、プライミクス株式会社製)を用いて、10rpmで1時間の攪拌を行った。次いで、12質量部の4-アミノフタル酸(東京化成工業株式会社製)を投入し、さらに5質量部の亜硝酸リチウム(三津和化学薬品株式会社製)を投入し、30分間攪拌した後、12N塩酸によりpHを2.5に調整した。この状態で、室温で24時間攪拌後、水酸化リチウム水溶液によりpHを9.5となるように調整した。次いで、10,000Gでの遠心処理、及びデキャンターイオン交換水による分散処理を4回行うことで、Li化した表面修飾ABが得られた。得られた分散液を塩酸で処理しpHを5に調整、10,000Gでの遠心処理、及びデキャンターイオン交換水による分散処理を3回行った後、再度、遠心処理、及び分散処理を行い、上澄みを除去しケークを得た。得られたケークを80℃で真空乾燥を48時間行い、ABの表面がカルボキシ基で修飾された表面修飾炭素系材料を粉体として得た。
得られた表面修飾炭素系材料を用いたこと以外は、実施例39と同様にして液体組成物の調製、及び各種評価を実施した。配合及び結果を表3-1及び表3-2に示す。
(実施例42)
導電助剤として実施例42で合成した表面修飾炭素系材料(AB-COOH)を用いたこと以外は、実施例40と同様にして、遊離分散剤を除去した炭素系材料分散体の調製、液体組成物の調製、及び各種評価を実施した。配合及び結果を表3-1及び表3-2に示す。
(実施例43)
[表面修飾炭素系材料(AB-COOLi)の製造方法]
18質量部のABを162質量部のイオン交換水に投入し、メカニカルスタラー(2P-03、プライミクス株式会社製)を用いて、10rpmで1時間の攪拌を行った。次いで、12質量部の4-アミノフタル酸(東京化成工業株式会社製)を投入し、さらに5質量部の亜硝酸リチウム(三津和化学薬品株式会社製)を投入し、30分間攪拌した後、12N塩酸によりpHを2.5に調整した。この状態で、室温で24時間攪拌後、水酸化リチウム水溶液によりpHを9.5となるように調整した。次いで、10,000Gでの遠心処理、及びデキャンターイオン交換水による分散処理を4回行うことで、Li化した表面修飾ABが得られた。得られた分散液を10,000Gでの遠心処理、及びデキャンターイオン交換水による分散処理を行い、上澄みを除去しケークを得た。得られたケークを80℃で真空乾燥を48時間行い、ABの表面が-COOLi基で修飾された表面修飾炭素系材料を粉体として得た。
得られた表面修飾炭素系材料(AB-COOLi)を用いたこと以外は、実施例39と同様にして液体組成物の調製、及び各種評価を実施した。配合及び結果を表3-1及び表3-2に示す。
(実施例44)
導電助剤として実施例43で合成した表面修飾炭素系材料(AB-COOLi)を用いたこと以外は、実施例40と同様にして、遊離分散剤を除去した炭素系材料分散体の調製、液体組成物の調製、及び各種評価を実施した。配合及び結果を表3-1及び表3-2に示す。
(実施例45~46)
活物質として実施例1と同様の操作で得たLiNbO/NCM1と、導電助剤として80℃で12時間真空乾燥させたABと、導電助剤を分散させるための分散剤として常温で12時間真空乾燥させたS13940と、結着材として80℃で12時間真空乾燥させたPBMAと、有機溶剤として上述した方法により含水率を調節したヘキサン酸メチル(東京化成工業株式会社製)と、上述した方法により合成した固体電解質LPSC(D50<2.0μm)を、表3-1に示す固形分濃度及び組成比になるように混合し、液体組成物を調製し、実施例36と同様にして評価した。
また、上述した操作により吐出性を評価した。その結果、吐出性の評価が「a」だったため、次いで、ホットプレート上に固定されたアルミニウム箔に、液体組成物を吐出し、ホットプレートを120℃で加熱して液体組成物を乾燥させ、目付量20mg/cmの正極を作製した。得られた正極を用いて、上述した手法にて二次電池のレート特性を測定した。配合及び結果を表3-1及び表3-2に示す。
(実施例47)
液体組成物の調液時に、上述した方法により合成した固体電解質LPSC(D50<2.0μm)を混合したこと以外は、実施例43と同様にして炭素系材料分散体の調製、液体組成物の調製、及び各種評価を実施した。配合及び結果を表3-1及び表3-2に示す。
(実施例48)
液体組成物の調液時に、上述した方法により合成した固体電解質LPSC(D50<2.0μm)を混合したこと以外は、実施例44と同様にして遊離分散剤を除去した炭素系材料分散体の調製、液体組成物の調製、及び各種評価を実施した。配合及び結果を表3-1及び表3-2に示す。
(比較例13~14)
有機溶剤としてアニソールを用いたこと以外は、実施例45と同様にして液体組成物の調製、及び各種評価を実施した。
なお、吐出性の評価が「b」だったため、バーコート法で、液体組成物をアルミニウム箔上に成膜し、ホットプレートを120℃に加熱して液体組成物を乾燥させ、目付量20mg/cmの正極を作製した。得られた正極を用いて、上述した手法にて二次電池のレート特性を測定した。配合及び結果を表3-1及び表3-2に示す。
(比較例14~15)
表3-1に示す通り、分散剤の含有量を変更したこと以外は、比較例13と同様にして液体組成物の調製、及び各種評価を実施した。
比較例14では、吐出性の評価が「b」だったため、バーコート法で、液体組成物をアルミニウム箔上に成膜し、ホットプレートを120℃に加熱して液体組成物を乾燥させ、目付量20mg/cmの正極を作製した。得られた正極を用いて、上述した手法にて二次電池のレート特性を測定した。配合及び結果を表3-1及び表3-2に示す。
比較例15では、吐出性の評価が「a」だったため、次いで、ホットプレート上に固定されたアルミニウム箔に、液体組成物を吐出し、ホットプレートを120℃で加熱して液体組成物を乾燥させ、目付量20mg/cmの正極を作製した。得られた正極を用いて、上述した手法にて二次電池のレート特性を測定した。配合及び結果を表3-1及び表3-2に示す。
Figure 2024065728000004
Figure 2024065728000005
Figure 2024065728000006
Figure 2024065728000007
Figure 2024065728000008
Figure 2024065728000009
表1-1及び表1-2に示す通り、活物質と有機溶剤と水を少なくとも含み、前記有機溶剤が前記式(1)に該当するヘキサン酸メチルであり、かつ、前記水の含有量が1ppm以上50ppm以下である液体組成物では、活物質の良好な分散性が得られていることがわかる(実施例1~3)。
一方で、含水率が1ppm未満、又は50ppm超である液体組成物では、活物質の良好な分散性が得られていないことがわかる(比較例1~3)。
また、含水率が1ppm以上50ppm以下の範囲内にある限り、前記式(1)を満たす有機溶剤群であれば、活物質の良好な分散性が得られることがわかる(実施例4~30)。
一方で、含水率が1ppm未満、又は50ppm超である液体組成物では、前記式(1)を満たす有機溶剤群を用いた場合であっても、活物質の良好な分散性は得られなかった(比較例4~8)。さらに、前記式(1)を満たす有機溶剤と似た構造を持つが異なる有機溶剤、すなわち、炭酸基やエーテル基にアルキル基が結合している有機溶剤では、活物質の良好な分散性は得られていないことがわかる(比較例9~11)。
また、表2-1及び表2-2に示す通り、有機溶剤として前記式(1)を満たす有機溶剤群を用いて、かつ、含水率が1ppm以上50ppm以下の範囲内にある場合、活物質として種々の材料を用いた場合でも、同様な活物質の良好な分散性が得られていることがわかる(実施例31~33)。
さらに、活物質を被覆するイオン伝導性酸化物として種々の材料を用いた場合でも、同様な活物質の良好な分散性が得られていることがわかる(実施例34~35)。
さらに、表1に示す通り、前記式(1)において、Rが、炭素数が3以上の、直鎖のアルキル基、及び分岐鎖のアルキル基から選択され、かつ、Rが、メチル基又はエチル基である場合、特異的にチクソトロピーインデックス値が小さくなり、活物質の良好な分散安定性が得られることから、高分散性に加えて分散安定性にも優れることがわかる。
また、活物質としてLiNbO/NCM1と、有機溶剤として良好な分散性及び分散安定性を示したヘキサン酸メチルと、その他の成分として、導電助剤、導電助剤を分散させるための分散剤、及び、バインダーとを含む液体組成物は、活物質の良好な分散性及び分散安定性と、それに伴う液体組成物の良好な吐出性が得られ、かつ、二次電池の優れた容量維持率を有することがわかる(実施例36)。
また、分散剤の含有量を実施例36に示す含有量(導電助剤を分散させる最低限量)よりも多くした場合も、実施例36と同様の活物質の良好な分散性及び分散安定性は維持されるが、恐らく過剰量の分散剤に起因し、二次電池の容量維持率は低下傾向にあることがわかる(実施例37)。
また、実施例38に示す通り、液体組成物の固形分濃度を70質量%まで高めた場合も、実施例36と同様の活物質の良好な分散性及び分散安定性は維持されることがわかる(実施例38)。
一方で、有機溶剤としてアニソールを用いた場合には、同様な良好な分散性が得られず、それに伴う増粘と吐出不良が生じていることがわかる(比較例12)。
これらの比較から、前記式(1)を満たす有機溶剤を用いた実施例38では、導電助剤を分散させるための分散剤の含有量を低減でき、活物質の分散性、及び液体組成物の低粘度の点でも優れることがわかる。
また、活物質の混合前に、予め導電助剤、分散剤(イオン性樹脂)、及びヘキサン酸メチルを混合して炭素系材料分散体を得た場合(実施例39)は、同時に混合した場合(実施例36)と比較して優れた容量維持率が得られていることがわかる。
さらに、導電助剤、分散剤(イオン性樹脂)、及びヘキサン酸メチルを予め混合して得た炭素系材料分散体に対して、遊離した分散剤を除去する工程を更に実施した場合、除去する工程を実施しなかった場合と比較してより優れた容量維持率が得られていることがわかる(実施例40、42、44、48)。
また、導電助剤として、酸性官能基としてカルボキシル基を表面修飾した炭素系材料を用いた場合(実施例41)、表面修飾をしていない炭素系材料を用いた場合(実施例39)と比較して優れた容量維持率が得られていることがわかる。
さらに、導電助剤として、表面修飾したカルボキシル基のカウンターイオンをLi塩にした炭素系材料を用いた場合、より優れた容量維持率が得られていることがわかる(実施例43)。
また、固体電解質としてLPSCを添加した系においても、分散剤の含有量を低減でき、活物質の良好な分散性及び分散安定性と、それに伴う良好な吐出性が得られ、かつ優れた容量維持率を有することがわかる(実施例45)。
また、分散剤の含有量を実施例45に示す含有量(導電助剤を分散させる最低限量)よりも多くした場合も、実施例45と同様の活物質の良好な分散性及び分散安定性は維持されるが、恐らく過剰量の分散剤に起因し、二次電池の容量維持率は低下傾向にあることがわかる(実施例46)。
また、活物質の混合前に、予め炭素系材料分散体を調液した場合(実施例47)、及び遊離した分散剤を除去する工程を更に実施した場合(実施例48)には、固体電解質未添加系と同様に優れた容量維持率が得られていることがわかる。
一方で、有機溶剤としてアニソールを用いた場合には、同様な良好な分散性が得られず、それに伴う増粘と吐出不良が生じていることがわかる(比較例13)。
アニソールを用いたとき、分散剤の含有量を比較例12に示す含有量(導電助剤を分散させる最低限量)よりも多くした場合には、分散性の改善とそれに伴う低粘度化、及び吐出性良化の傾向がみられる。しかしながら、その一方で、合格レベルの分散性を得るためには多量の分散剤が必要となり、おそらくは活物質粒子表面に分散剤が吸着して界面抵抗成分となったことに起因し、二次電池の容量維持率はもはや合格レベルに達しないことがわかる(比較例14~15)。
比較例13~15と実施例45の比較から、前記式(1)を満たす有機溶剤を用いた実施例45では、導電助剤を分散させるための分散剤の含有量を低減でき、活物質の分散性、及び液体組成物の低粘度の点でも優れることがわかる。
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 活物質と、有機溶剤と、水と、を含む液体組成物であって、
前記有機溶剤が、下記式(1)で表され、
前記水の含有量が、1ppm以上50ppm以下であることを特徴とする液体組成物である。
(前記式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に直鎖のアルキル基、又は分岐鎖のアルキル基を表す。)
<2> 前記Rが、炭素数が3以上の、直鎖のアルキル基、及び分岐鎖のアルキル基から選択され、
前記Rが、メチル基又はエチル基である前記<1>に記載の液体組成物である。
<3> 前記活物質が、イオン導電性酸化物で被覆されてなる前記<1>から<2>のいずれかに記載の液体組成物である。
<4> 炭素系材料を更に含有し、
前記炭素系材料の含有量が、前記活物質の総量に対して、10質量%未満である前記<1>から<3>のいずれかに記載の液体組成物である。
<5> 前記炭素系材料とイオン性樹脂との複合体を含有し、
前記イオン性樹脂が、塩基性官能基又は塩基性官能基が酸性化合物により中和された基の少なくともいずれかを分子中に1つ以上有する樹脂である前記<4>に記載の液体組成物である。
<6> 前記炭素系材料が、酸性官能基又は酸性官能基が塩基性化合物により中和された基の少なくともいずれかをその表面に有する表面修飾炭素系材料である前記<4>から<5>のいずれかに記載の液体組成物である。
<7> 前記酸性官能基又は酸性官能基が塩基性化合物により中和された基の少なくともいずれかにおけるカウンターカチオンが、アルカリ金属塩である前記<6>に記載の液体組成物である。
<8> 前記イオン性樹脂の含有量が、前記炭素系材料に対して20質量%以下である前記<5>から<7>のいずれかに記載の液体組成物である。
<9> 前記<5>に記載の液体組成物の製造方法であって、
前記炭素系材料を含有する炭素系材料分散体を調製する炭素系材料分散体調整工程と、
前記炭素系材料分散体に前記活物質を混合して液体組成物を得る液体組成物調整工程と、
を含むことを特徴とする液体組成物の製造方法である。
<10> 前記炭素系材料分散体調整工程が、前記炭素系粒子と前記イオン性樹脂とを溶剤中で混合及び分散して炭素系材料を分散する分散処理を含む前記<9>に記載の液体組成物の製造方法である。
<11> 前記炭素系材料分散体調整工程が、前記分散処理に続いて、前記溶剤中に溶解している前記イオン性樹脂を除去する精製処理を更に含む前記<10>に記載の液体組成物の製造方法である。
<12> 前記<1>から<8>のいずれかに記載の液体組成物が収容されたことを特徴とする収容容器である。
<13> 前記<12>に記載の収容容器と、
前記収容容器に収容された前記液体組成物を電極基体上に付与する付与手段と、
を有することを特徴とする電極の製造装置である。
<14> 前記<1>から<8>のいずれかに記載の液体組成物を電極基体上に付与する付与工程を含むことを特徴とする電極の製造方法である。
<15> 前記<13>に記載の電極の製造装置により電極を製造する電極製造手段と、
前記電極を用いて電気化学素子を製造する素子化手段と、
を有することを特徴とする電気化学素子の製造装置である。
<16> 前記<14>に記載の電極の製造方法により電極を製造する電極製造工程と、
前記電極を用いて電気化学素子を製造する素子化工程と、
を含むことを特徴とする電気化学素子の製造方法である。
<17> 電極基体と、
前記電極基体上に設けられ、活物質を含有し、分散剤の含有量が0質量%以上1質量%以下である電極合材層と、
を有することを特徴とする電極である。
<18> 前記電極合材層が、有機溶媒を更に含有し、
前記有機溶媒が、下記式(1)で表される前記<17>に記載の電極である。
(前記式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に直鎖のアルキル基、又は分岐鎖のアルキル基を表す。)
<19> 前記<17>から<18>のいずれかに記載の電極を有することを特徴とする電気化学素子である。
前記<1>から<8>のいずれかに記載の液体組成物、前記<9>から<11>のいずれかに記載の液体組成物の製造方法、前記<12>に記載の収容容器、前記<13>に記載の電極の製造装置、前記<14>に記載の電極の製造方法、前記<15>に記載の電気化学素子の製造装置、前記<16>に記載の電気化学素子の製造方法、前記<17>から<18>のいずれかに記載の電極、及び前記<19>に記載の電気化学素子は、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
1 電気化学素子
1a 印刷装置
1b 収容容器
1c 供給チューブ
3a 加熱装置
4 印刷基材
5 搬送部
7 液体組成物
10 吐出工程部
11 電極基体
11B 負極基体
12 電極合材層
12A 液体組成物
12B 負極合材層
15 負極
20 正極
21 正極基体
22 正極合材層
25 正極
30 加熱工程部
30B セパレータ
40 電極素子
41 引き出し線
42 引き出し線
51 電解質層
52 外装
100 電極
101 負極
111 負極基体
121 負極合材層
300 液体吐出装置
300’ 液体吐出装置
304 送り出しローラ
305 巻き取りローラ
306 液体吐出ヘッド
307 タンク
308 チューブ
309 加熱機構
310 ステージ
311 バルブ
312 バルブ
313 外部タンク
314 バルブ
3101 ポンプ
特開2009-152180号公報 国際公開第2019/044452号

Claims (19)

  1. 活物質と、有機溶剤と、水と、を含む液体組成物であって、
    前記有機溶剤が、下記式(1)で表され、
    前記水の含有量が、1ppm以上50ppm以下であることを特徴とする液体組成物。
    (前記式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に直鎖のアルキル基、又は分岐鎖のアルキル基を表す。)
  2. 前記Rが、炭素数が3以上の、直鎖のアルキル基、及び分岐鎖のアルキル基から選択され、
    前記Rが、メチル基又はエチル基である請求項1に記載の液体組成物。
  3. 前記活物質が、イオン導電性酸化物で被覆されてなる請求項1に記載の液体組成物。
  4. 炭素系材料を更に含有し、
    前記炭素系材料の含有量が、前記活物質の総量に対して、10質量%未満である請求項1に記載の液体組成物。
  5. 前記炭素系材料とイオン性樹脂との複合体を含有し、
    前記イオン性樹脂が、塩基性官能基又は塩基性官能基が酸性化合物により中和された基の少なくともいずれかを分子中に1つ以上有する樹脂である請求項4に記載の液体組成物。
  6. 前記炭素系材料が、酸性官能基又は酸性官能基が塩基性化合物により中和された基の少なくともいずれかをその表面に有する表面修飾炭素系材料である請求項4に記載の液体組成物。
  7. 前記酸性官能基又は酸性官能基が塩基性化合物により中和された基の少なくともいずれかにおけるカウンターカチオンが、アルカリ金属塩である請求項6に記載の液体組成物。
  8. 前記イオン性樹脂の含有量が、前記炭素系材料に対して20質量%以下である請求項5に記載の液体組成物。
  9. 請求項5に記載の液体組成物の製造方法であって、
    前記炭素系材料を含有する炭素系材料分散体を調製する炭素系材料分散体調整工程と、
    前記炭素系材料分散体に前記活物質を混合して液体組成物を得る液体組成物調整工程と、
    を含むことを特徴とする液体組成物の製造方法。
  10. 前記炭素系材料分散体調整工程が、前記炭素系粒子と前記イオン性樹脂とを溶剤中で混合及び分散して炭素系材料を分散する分散処理を含む請求項9に記載の液体組成物の製造方法。
  11. 前記炭素系材料分散体調整工程が、前記分散処理に続いて、前記溶剤中に溶解している前記イオン性樹脂を除去する精製処理を更に含む請求項10に記載の液体組成物の製造方法。
  12. 請求項1に記載の液体組成物が収容されたことを特徴とする収容容器。
  13. 請求項12に記載の収容容器と、
    前記収容容器に収容された前記液体組成物を電極基体上に付与する付与手段と、
    を有することを特徴とする電極の製造装置。
  14. 請求項1に記載の液体組成物を電極基体上に付与する付与工程を含むことを特徴とする電極の製造方法。
  15. 請求項13に記載の電極の製造装置により電極を製造する電極製造手段と、
    前記電極を用いて電気化学素子を製造する素子化手段と、
    を有することを特徴とする電気化学素子の製造装置。
  16. 請求項14に記載の電極の製造方法により電極を製造する電極製造工程と、
    前記電極を用いて電気化学素子を製造する素子化工程と、
    を含むことを特徴とする電気化学素子の製造方法。
  17. 電極基体と、
    前記電極基体上に設けられ、活物質を含有し、分散剤の含有量が0質量%以上1質量%以下である電極合材層と、
    を有することを特徴とする電極。
  18. 前記電極合材層が、有機溶媒を更に含有し、
    前記有機溶媒が、下記式(1)で表される請求項17に記載の電極。
    (前記式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に直鎖のアルキル基、又は分岐鎖のアルキル基を表す。)
  19. 請求項17に記載の電極を有することを特徴とする電気化学素子。

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