JP2024065379A - 透明電子デバイス及び合わせガラス - Google Patents

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Abstract

【課題】帯電を抑制しつつ、クロストークの発生も抑制できる透明電子デバイス。【解決手段】透明基板と、透明基板上において画素ごとに配置され、500000μm2以下の面積を有する半導体素子と、半導体素子に接続され、第1の方向に延設された幅300μm以下の配線と、透明基板上に配置された半導体素子と配線とを覆う透明絶縁層とを備え、視認側から背面側を視認可能な透明電子デバイスである。透明絶縁層上には、透明性を有し、配線と電気的に絶縁されると共に接地された導電層が形成されており、画素は、第1の方向にM個、第1の方向と垂直な第2の方向にN個、配列されており、透明絶縁層の比誘電率をε、透明絶縁層の厚さをd[μm]、一画素における配線の第1の方向の抵抗値に対する導電層の第1の方向の抵抗値の比をRRとした場合、RR/N/ε×d≧15を満たす。【選択図】図2

Description

本発明は、透明電子デバイス及び合わせガラスに関する。
特許文献1に開示されているように、発明者らは、透明基板上に形成された微細な発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)素子を画素に用いた透明表示デバイスを開発してきた。このような透明表示デバイスは、当該透明表示デバイスを介して背面側を視認可能であるため、例えば車両や建築物の窓あるいはパーティション等の透明部材に設けられる。関連技術として、透明基板上にマイクロセンサが設けられた透明センシングデバイスが知られている。
本明細書では、透明表示デバイスや透明センシングデバイス等のように、透明基板上に微細な半導体素子(LED素子やセンサ素子)が形成され、背面側を視認可能な電子デバイスを「透明電子デバイス」と呼ぶ。
ところで、特許文献2には、配線上に導電性を有する接着層150を形成し、帯電(すなわち静電放電)を抑制した表示デバイスが開示されている。
国際公開第2019/146634号 国際公開第2019/230261号
発明者らは、特許文献2に開示された接着層150すなわち帯電抑制用の導電層に関し、以下の問題点を見出した。
特許文献2(例えば図4)では、導電性を有する接着層150が配線と接触しているため、配線間にクロストークが発生してしまう。
また、特許文献2には、接着層150が絶縁性を有し、接着層150上に帯電抑制用の導電膜を設けてもよい旨記載されているが、そのような場合でもクロストークが発生し得る。
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであって、帯電を抑制しつつ、クロストークの発生も抑制できる透明電子デバイスを提供する。
本発明は、[1]の構成を有する透明電子デバイスを提供する。
[1]
透明基板と、
前記透明基板上において画素ごとに配置され、500000μm以下の面積を有する半導体素子と、
前記半導体素子に接続され、第1の方向に延設された幅300μm以下の配線と、
前記透明基板上に配置された前記半導体素子と前記配線とを覆う透明絶縁層とを備え、視認側から背面側を視認可能な透明電子デバイスであって、
前記透明絶縁層上には、透明性を有し、前記配線と電気的に絶縁されると共に接地された導電層が形成されており、
前記画素は、前記第1の方向にM個、前記第1の方向と垂直な第2の方向にN個、配列されており、
前記透明絶縁層の比誘電率をε、
前記透明絶縁層の厚さをd[μm]、
一画素における前記配線の前記第1の方向の抵抗値に対する前記導電層の前記第1の方向の抵抗値の比をRRとした場合、
RR/N/ε×d≧15を満たす、
透明電子デバイス。
[2]RR/N≧10である、[1]に記載の透明電子デバイス。
[3]RR/N<10であり、前記導電層とアースとの間に抵抗素子が設けられている、[1]に記載の透明電子デバイス。
[4]前記抵抗素子の抵抗値は、前記導電層の全体の抵抗値の10倍以上である、[3]に記載の透明電子デバイス。
[5]一画素における前記透明絶縁層による前記配線と前記導電層との間の抵抗値が、0.4MΩ以上である、[1]~[4]のいずれか一項に記載の透明電子デバイス。
[6]前記半導体素子は、10000μm以下の面積を有する発光ダイオード素子であり、当該透明電子デバイスが、透明表示デバイスである、[1]~[5]のいずれか一項に記載の透明電子デバイス。
本発明は、[7]の構成を有する合わせガラスを提供する。
[7]
一対のガラス板と、
前記一対のガラス板との間に設けられた透明電子デバイスと、を備えた合わせガラスであって、
前記透明電子デバイスは、
透明基板と、
前記透明基板上において画素ごとに配置され、500000μm以下の面積を有する半導体素子と、
前記半導体素子に接続され、第1の方向に延設された幅300μm以下の配線と、
前記透明基板上に配置された前記半導体素子と前記配線とを覆う透明絶縁層とを備え、視認側から背面側を視認可能であり、
前記透明絶縁層上には、透明性を有し、前記配線と電気的に絶縁されると共に接地された導電層が形成されており、
前記画素は、前記第1の方向にM個、前記第1の方向と垂直な第2の方向にN個、配列されており、
前記透明絶縁層の比誘電率をε、
前記透明絶縁層の厚さをd[μm]、
一画素における前記配線の前記第1の方向の抵抗値に対する前記導電層の前記第1の方向の抵抗値の比をRRとした場合、
RR/N/ε×d≧15を満たす、
合わせガラス。
[8]RR/N≧10である、[7]に記載の合わせガラス。
[9]RR/N<10であり、前記導電層とアースとの間に抵抗素子が設けられている、[7]に記載の合わせガラス。
[10]前記抵抗素子の抵抗値は、前記導電層の全体の抵抗値の10倍以上である、[9]に記載の合わせガラス。
[11]一画素における前記透明絶縁層による前記配線と前記導電層との間の抵抗値が、0.4MΩ以上である、[7]~[10]のいずれか一項に記載の合わせガラス。
[12]前記半導体素子は、10000μm以下の面積を有する発光ダイオード素子であり、当該透明電子デバイスが、透明表示デバイスである、[7]~[11]のいずれか一項に記載の合わせガラス。
[13]前記一対のガラス板は、周縁に設けられた不透明な遮蔽部を備え、前記透明電子デバイスは、透明領域の周囲に設けられた不透明領域を備え、前記透明電子デバイスの前記不透明領域の少なくとも一部が、前記一対のガラス板の前記遮蔽部に設けられている、[7]~[12]のいずれか一項に記載の合わせガラス。
[14]自動車のウインドウガラスに用いられる、[7]~[13]のいずれか一項に記載の合わせガラス。
本発明によれば、帯電を抑制しつつ、クロストークの発生も抑制できる透明電子デバイスを提供できる。
第1の実施形態に係る透明表示デバイスの一例を示す模式的な部分平面図である。 図1におけるII-II切断線による断面図である。 第1の実施形態に係る透明表示デバイスの製造方法の一例を示す断面図である。 第1の実施形態に係る透明表示デバイスの製造方法の一例を示す断面図である。 第1の実施形態に係る透明表示デバイスの製造方法の一例を示す断面図である。 第1の実施形態に係る透明表示デバイスの製造方法の一例を示す断面図である。 第1の実施形態に係る透明表示デバイスの製造方法の一例を示す断面図である。 第1の実施形態に係る透明表示デバイスの製造方法の一例を示す断面図である。 第1の実施形態に係る透明表示デバイスの製造方法の一例を示す断面図である。 第1の実施形態に係る透明表示デバイスの製造方法の一例を示す断面図である。 第1の実施形態に係る透明表示デバイスの製造方法の一例を示す断面図である。 第2の実施形態に係る合わせガラスの一例を示す模式的な平面図である。 第2の実施形態に係る合わせガラスの一例を示す模式的な断面図である。 第2の実施形態に係る合わせガラスの他の一例を示す模式的な断面図である。 第3の実施形態に係る透明センシングデバイスの一例を示す模式的な部分平面図である。 センサ70の模式断面図である。 シミュレーションにおいて、配線に伝送させた入力信号の波形を示すグラフである。 シミュレーション1に係る例2、例3、例6、例7、例8における配線を伝送後の信号波形を示すグラフである。 シミュレーション1に係る例8、例9、例10、例11における配線を伝送後の信号波形を示すグラフである。 シミュレーション2に係る例12、例13、例14における配線を伝送後の信号波形を示すグラフである。 シミュレーション3に係る例15、例16、例17及びシミュレーション1に係る例8における配線を伝送後の信号波形を示すグラフである。
以下、本発明を適用した具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。但し、本発明が以下の実施形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
本明細書において「透明電子デバイス」とは、透明基材上に半導体素子が形成され、当該電子デバイスの背面側に位置する人物や背景等の視覚情報を、所望の使用環境下で視認可能な電子デバイスを指す。
本明細書において「透明表示デバイス」とは、表示デバイスの背面側に位置する人物や背景等の視覚情報を、所望の使用環境下で視認可能な表示デバイスを指す。なお、視認可能とは、少なくとも表示デバイスが非表示状態、すなわち通電されていない状態で判定される。「透明表示デバイス」は、「透明電子デバイス」の一形態である。
同様に、本明細書において「透明センシングデバイス」とは、センシングデバイスの背面側に位置する人物や背景等の視覚情報を、所望の使用環境下で視認可能なセンシングデバイスを指す。「センシングデバイス」とは、センサを利用して、各種情報を取得可能なデバイスを指す。「透明センシングデバイス」は、「透明電子デバイス」の一形態である。
本明細書において、「透明」とは、ヘイズ値が20以下にて可視光が透過する領域の面積が、表示領域全体又はセンシング領域全体に対し、30%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上であることを指す。また、透過率1%以上かつヘイズ値が20以下であることを指していてもよい。透過率が1%以上であれば、室内から日中の屋外を見た際に、室内と同程度以上の明るさで屋外を見られ、充分な視認性を確保できる。
また、透過率が40%以上であれば、透明表示デバイスの前面側と背面側との明るさが同程度であっても、透明表示デバイスの背面側を実質的に問題なく視認できる。また、ヘイズ値が10以下であれば、背景のコントラストを充分に確保できる。
「透明」とは、色が付与されているか否かは問わず、つまり無色透明であってもよく、有色透明であってもよい。
なお、透過率は、ISO9050に準拠する方法により測定された値(%)を指す。ヘイズ値は、ISO14782に準拠する方法により測定された値を指す。
(第1の実施形態)
<透明表示デバイスの構成>
まず、図1及び図2を参照して、第1の実施形態に係る透明表示デバイスの構成について説明する。図1は、第1の実施形態に係る透明表示デバイスの一例を示す模式的な部分平面図である。図2は、図1におけるII-II切断線による断面図である。
なお、当然のことながら、図1及び図2に示した右手系xyz直交座標は、構成要素の位置関係を説明するための便宜的なものである。通常、z軸正向きが鉛直上向き、xy平面が水平面である。
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る透明表示デバイスは、透明基板10、発光部20、IC(Integrated Circuit)チップ30、配線40、保護層50、導電層60を備えている。透明表示デバイスにおける表示領域101は、複数の画素から構成され、画像が表示される領域である。なお、画像は文字を含む。図1に示すように、表示領域101は、行方向(x軸方向)及び列方向(y軸方向)に並んだ複数の画素から構成されている。図1には、表示領域101の一部が示されており、行方向及び列方向に2画素ずつ計4画素が示されている。ここで、1つの画素PIXが一点鎖線によって囲んで示されている。また、図1では、図2に示した透明基板10、保護層50、及び導電層60が省略されている。さらに、図1は平面図だが、理解を容易にするため、発光部20及びICチップ30がドット表示されている。
<発光部20、ICチップ30、及び配線40の平面配置>
まず、図1を参照して、発光部20、ICチップ30、及び配線40の平面配置について説明する。
図1に示すように、一点鎖線によって囲まれた画素PIXが、行方向(x軸方向)に画素ピッチPxでM(Mは自然数)個、列方向(y軸方向)に画素ピッチPyでN(Nは自然数)個、マトリクス状にM×N個配置されている。ここで、図1に示すように、各画素PIXは、発光部20及びICチップ30を備えている。すなわち、発光部20及びICチップ30は、行方向(x軸方向)に画素ピッチPxでM個、列方向(y軸方向)に画素ピッチPyでN個、マトリクス状にM×N個配置されている。
図1に示すように、各画素PIXにおける発光部20は、少なくとも1つの発光ダイオード素子(以下、LED素子)を含む。すなわち、本実施形態による透明表示デバイスは、各画素PIXにLED素子を用いる表示デバイスであり、LEDディスプレイ等と呼ばれる。
図1の例では、各発光部20が、赤色系のLED素子21、緑色系のLED素子22、及び青色系のLED素子23を含んでいる。LED素子21~23は、1つの画素を構成する副画素(サブピクセル)に対応する。このように、各発光部20が、光の三原色である赤、緑、青を発光するLED素子21~23を有するため、本実施形態に係る透明表示デバイスは、フルカラー画像を表示できる。
なお、各発光部20は同系色のLED素子を2つ以上含んでいてもよい。これにより、画像のダイナミクスレンジを拡大できる。
LED素子21~23は、いわゆるマイクロLED素子であり、例えば10000μm以下の面積を有する半導体チップすなわち半導体素子である。具体的には、透明基板10上におけるLED素子21の幅(x軸方向の長さ)及び長さ(y軸方向の長さ)はそれぞれ、例えば100μm以下、好ましくは50μm以下、より好ましくは20μm以下である。LED素子22、23についても同様である。LED素子の幅及び長さの下限は、製造上の諸条件等から例えば3μm以上である。
なお、図1におけるLED素子21~23の寸法すなわち幅及び長さは同一であるが、互いに異なっていてもよい。
また、透明基板10上においてLED素子21~23のそれぞれが占める面積は、好ましくは3000μm以下、より好ましくは500μm以下である。なお、1つのLED素子が占める面積の下限は、製造上の諸条件等から例えば10μm以上である。ここで、本明細書において、LED素子の面積や配線等の構成部材の面積は、図1におけるxy平面視においてLED素子や配線等の構成部材が占める面積を指す。
なお、図1に示したLED素子21~23の形状は、矩形状(正方形を含む)であるが、特に限定されない。
ここで、LED素子21~23は、例えば、光を視認側に効率よく取り出すためのミラー構造を有している。そのため、LED素子21~23の透過率は、例えば10%以下程度と低い。しかしながら、本実施形態に係る透明表示デバイスでは、上述の通り、面積10000μm以下の微小サイズのLED素子21~23を用いている。そのため、例えば数10cm~2m程度の近距離から、透明表示デバイスを観察するような場合でも、LED素子21~23はほとんど視認できない。また、表示領域101において透過率が低い領域が狭く、背面側の視認性に優れている。その上、配線40等の配置の自由度も大きい。
なお、「表示領域101において透過率が低い領域」とは、例えば、透過率が20%以下の領域である。以下同様である。
また、微小サイズのLED素子21~23を用いているため、透明表示デバイスを湾曲させても、LED素子が損傷し難い。そのため、本実施形態に係る透明表示デバイスは、自動車用のウインドウガラスのような湾曲した透明板に装着したり、湾曲した2枚の透明板の間に封入したりして使用できる。ここで、透明基板10として可撓性を有する材料を用いれば、本実施形態に係る透明表示デバイスを湾曲させられる。
LED素子21~23は、特に限定されないが、例えば無機材料である。赤色系のLED素子21は、例えばAlGaAs、GaAsP、GaP等である。緑色系のLED素子22は、例えばInGaN、GaN、AlGaN、GaP、AlGaInP、ZnSe等である。青色系のLED素子23は、例えばInGaN、GaN、AlGaN、ZnSe等である。
LED素子21~23の発光効率すなわちエネルギー変換効率は、例えば1%以上、好ましくは5%以上、より好ましくは15%以上である。LED素子21~23の発光効率が1%以上であると、上述のように微小サイズのLED素子21~23でも充分な輝度が得られ、表示デバイスとして日中にも利用できる。また、LED素子の発光効率が15%以上であると、発熱が抑制され、樹脂接着層を用いた合わせガラス内部への封入が容易になる。
画素ピッチPx、Pyはそれぞれ、例えば100~3000μm、好ましくは180~1000μm、より好ましくは250~400μmである。画素ピッチPx、Pyを上記範囲とすれば、充分な表示能を確保しつつ、高い透明性を実現できる。また、透明表示デバイスの背面側からの光によって生じ得る回折現象を抑制できる。
また、本実施形態に係る透明表示デバイスの表示領域101における画素密度は、例えば10ppi以上、好ましくは30ppi以上、より好ましくは60ppi以上である。
また、1画素PIXの面積はPx×Pyである。1画素の面積は、例えば1×10μm~9×10μm、好ましくは3×10~1×10μm、より好ましくは6×10~2×10μmである。1画素の面積を1×10μm~9×10μmとすれば、適切な表示能を確保しつつ、表示デバイスの透明性を向上させられる。1画素の面積は、表示領域101のサイズ、用途、視認距離等によって適宜選択すればよい。
1画素の面積に対してLED素子21~23が占める面積の割合は、例えば30%以下、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは1%以下である。1画素の面積に対してLED素子21~23が占める面積の割合を30%以下であれば、透明性及び背面側の視認性が向上する。
図1では、各画素において、3つのLED素子21~23が、この順にx軸正方向に一列に並べて配置されているが、これに限定されない。例えば、3つのLED素子21~23の配置順を変更してもよい。また、3つのLED素子21~23を、y軸方向に並べてもよい。あるいは、3つのLED素子21~23を三角形の頂点に配置してもよい。
また、図1に示すように、各発光部20が複数のLED素子21~23を備えている場合、発光部20におけるLED素子21~23同士の間隔は、例えば100μm以下、好ましくは10μm以下である。また、LED素子21~23同士は、互いに接するように配置されていてもよい。これにより、第1電源分岐線41aを共通化し易くなり、開口率を向上させられる。
なお、図1の例では、各発光部20における複数のLED素子の配置順、配置方向等は互いに同じだが、異なっていてもよい。また、各発光部20が波長の異なる光を発する3つのLED素子を含む場合、一部の発光部20では、LED素子をx軸方向又はy軸方向に並べて配置し、他の発光部20では、各色のLED素子を三角形の頂点に配置してもよい。
図1の例では、ICチップ30は、画素PIXごとに配置され、発光部20を駆動する。具体的には、ICチップ30は、LED素子21~23のそれぞれに駆動線45を介して接続されており、LED素子21~23を個別に駆動できる。ICチップ30は、例えば、アナログ領域と論理領域とを備えたハイブリッドICである。アナログ領域は、例えば、電流制御回路及び変圧回路等を含んでいる。
なお、ICチップ30を複数の画素ごとに配置し、各ICチップ30が接続された複数の画素を駆動してもよい。例えば、ICチップ30を4画素ごとに1個配置すれば、ICチップ30の個数を図1の例の1/4に削減し、ICチップ30が占める面積を削減できる。また、ICチップ30は必須ではなく、パッシブマトリクス駆動のように、ICチップ30を利用しない駆動方式や、ICチップ30に代わりTFT(Thin Film Transistor)を用いて駆動してもよい。
ICチップ30の面積は、例えば100000μm以下、好ましくは10000μm以下、より好ましくは5000μm以下である。ICチップ30の透過率は20%以下程度と低いが、上記のサイズのICチップ30を用いれば、表示領域101において透過率が低い領域が狭くなり、背面側の視認性が向上する。
ICチップ30に代わりTFTを用いる場合、TFTの面積は、例えば1000000μm以下、好ましくは30000μm以下である。
ICチップ30の容量は、信号の周波数や信号の電圧、ノイズの耐性等を考慮して適切に選択される。特に限定されないが、本実施形態では、ICチップ30の容量が1pF以下の応答特性を想定している。ICチップ30の容量は、200fF以下が好ましく、50fF以下がさらに好ましい。他方、ICチップ30の容量は、ESDやノイズ耐性を考慮して、1fF以上が好ましい。
なお、ICチップ30が画素PIXごとに配置されていない場合、画素ごとに分配されたICチップ30の容量及び面積が、各画素におけるICチップの容量及び面積として定義される。また、ICチップ30が複数の種類がある場合、各画素に含まれる複数のICチップ30の合成容量及び面積が、各画素におけるICチップの容量及び面積として定義される。
図1に示すように、配線40は、電源線41、グランド線42、行データ線43、列データ線44、及び駆動線45を複数ずつ備えている。
図1の例では、行データ線43は、x軸方向(第1の方向)に延設された配線(第1の配線)である。他方、電源線41、グランド線42、及び列データ線44はy軸方向(第2の方向)に延設された配線(第2の配線)である。y軸方向を第1の方向、x軸方向を第2の方向とし、y軸方向に延設された配線を第1の配線、x軸方向に延設された配線を第2の配線としてもよい。
また、各画素PIXにおいて、電源線41及び列データ線44は、発光部20及びICチップ30よりもx軸負方向側に設けられており、グランド線42は、発光部20及びICチップ30よりもx軸正方向側に設けられている。ここで、電源線41は、列データ線44よりもx軸負方向側に設けられている。また、各画素PIXにおいて、行データ線43は、発光部20及びICチップ30よりもy軸負方向側に設けられている。
さらに、詳細には後述するが、図1に示すように、電源線41は、第1電源分岐線41a及び第2電源分岐線41bを備えている。グランド線42は、グランド分岐線42aを備えている。行データ線43は、行データ分岐線43aを備えている。列データ線44は、列データ分岐線44aを備えている。これら各分岐線は、配線40に含まれる。
図1に示すように、y軸方向に延設された各電源線41は、y軸方向に並設された各画素PIXの発光部20及びICチップ30に接続されている。より詳細には、各画素PIXにおいて、電源線41よりもx軸正方向側において、LED素子21~23がこの順にx軸正方向に並設されている。そのため、電源線41からx軸正方向に分岐した第1電源分岐線41aが、LED素子21~23のy軸正方向側端部に接続されている。
また、各画素PIXにおいて、ICチップ30は、LED素子21~23のy軸負方向側に配置されている。そのため、LED素子21と列データ線44との間において、第1電源分岐線41aからy軸負方向に分岐した第2電源分岐線41bが、直線状に延設され、ICチップ30のy軸正方向側端部のx軸負方向側に接続されている。
図1に示すように、y軸方向に延設された各グランド線42は、y軸方向に並設された各画素PIXのICチップ30に接続されている。具体的には、グランド線42からx軸負方向に分岐したグランド分岐線42aが、直線状に延設され、ICチップ30のx軸正方向側端部に接続されている。
ここで、グランド線42は、グランド分岐線42a、ICチップ30、及び駆動線45を介して、LED素子21~23に接続されている。
図1に示すように、x軸方向に延設された各行データ線43は、x軸方向(行方向)に並設された各画素PIXのICチップ30に接続されている。具体的には、行データ線43からy軸正方向に分岐した行データ分岐線43aが、直線状に延設され、ICチップ30のy軸負方向側端部に接続されている。
ここで、行データ線43は、行データ分岐線43a、ICチップ30、及び駆動線45を介して、LED素子21~23に接続されている。
図1に示すように、y軸方向に延設された各列データ線44は、y軸方向(列方向)に並設された各画素PIXのICチップ30に接続されている。具体的には、列データ線44からx軸正方向に分岐した列データ分岐線44aが、直線状に延設され、ICチップ30のx軸負方向側端部に接続されている。
ここで、列データ線44は、列データ分岐線44a、ICチップ30、及び駆動線45を介して、LED素子21~23に接続されている。
駆動線45は、各画素PIXにおいて、LED素子21~23とICチップ30とを接続している。具体的には、各画素PIXにおいて、3本の駆動線45がy軸方向に延設され、それぞれがLED素子21~23のy軸負方向側端部とICチップ30のy軸正方向側端部とを接続している。
なお、図1に示した電源線41、グランド線42、行データ線43、列データ線44、及びそれらの分岐線、並びに駆動線45の配置はあくまでも一例であり、適宜変更可能である。例えば、電源線41及びグランド線42の少なくとも一方が、y軸方向でなくx軸方向に延設されていてもよい。また、電源線41と列データ線44とを入れ換えた構成でもよい。
また、図1に示した構成全体を、上下反転させた構成あるいは左右反転させた構成等でもよい。
配線40は、例えばクロム(Cr)、チタン(Ti)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、金(Au)等の金属、もしくは、それらの化合物、もしくは、積層物である。このうち、コスト的な観点から、低抵抗率である銅又はアルミニウムを主成分とする金属であることが好ましい。
図1に示した表示領域101における配線40の幅は、いずれも例えば1~300μm、好ましくは100μm以下、より好ましくは3~20μmである。配線40の幅が100μm以下であるため、例えば数10cm~2m程度の近距離から、透明表示デバイスを観察するような場合でも、配線40はほとんど視認できず、背面側の視認性に優れている。他方、後述する厚さの範囲の場合、配線40の幅を1μm以上であれば、配線40の抵抗の過度な上昇を抑制し、電圧降下や信号強度の低下を抑制できる。また、配線40による熱伝導の低下も抑制できる。
ここで、図1に示すように、配線40が主にx軸方向及びy軸方向に延びている場合、透明表示デバイスの外部から照射された光によってx軸方向及びy軸方向に延びた十字回折像が発生し、透明表示デバイスの背面側の視認性が低下する場合がある。各配線の幅を狭くして、この回折を抑制し、背面側の視認性をさらに向上させられる。回折を抑制する観点から、配線40の幅を50μm以下、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下としてもよい。
配線40の電気抵抗率は、例えば1.0×10-6Ωm以下、好ましくは2.0×10-8Ωm以下である。また、配線40の熱伝導率は、例えば150~5,500W/(m・K)、好ましくは350~450W/(m・K)である。
図1に示した表示領域101における隣接する配線40同士の間隔は、例えば3~100μm、好ましくは5~30μmである。配線40が密になっている領域があると、背面側の視認を妨げる場合がある。隣接する配線40同士の間隔を3μm以上とすれば、そのような視認の妨げを抑制できる。他方、隣接する配線40同士の間隔を100μm以下とすれば、充分な表示能を確保できる。
1画素の面積に対して配線40が占める面積の割合は、例えば30%以下、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは3%以下である。配線40の透過率は、例えば20%以下、あるいは10%以下と低い。しかしながら、1画素において配線40が占める面積の割合を30%以下とすれば、表示領域101において透過率の低い領域が狭くなり、背面側の視認性が向上する。
さらに、1画素の面積に対して発光部20、ICチップ30、及び配線40が占める面積の合計は、例えば30%以下、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下である。
<透明表示デバイスの断面構成>
次に、図2を参照して、本実施形態に係る透明表示デバイスの断面構成について説明する。
透明基板10は、絶縁性を有する透明な基板である。図2の例では、透明基板10は、主基板11及び接着剤層12である2層構造を有している。
主基板11は、詳細には後述するように、例えば透明樹脂である。
接着剤層12は、例えばエポキシ系、アクリル系、オレフィン系、ポリイミド系、ノボラック系等の透明樹脂接着剤である。
なお、主基板11は、厚さが例えば200μm以下、好ましくは100μm以下等の薄いガラス板でもよい。また、接着剤層12は、必須ではない。
主基板11を構成する透明樹脂として、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、シクロオレフィンポリマー(COP)、シクロオレフィンコポリマー(COC)等のオレフィン系樹脂、セルロース、アセチルセルロース、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系樹脂、ポリイミド(PI)等のイミド系樹脂、ポリアミド(PA)等のアミド系樹脂、ポリアミドイミド(PAI)等のアミドイミド系樹脂、ポリカーボネート(PC)等のカーボネート系樹脂、ポリエーテルスルホン(PES)等のスルホン系樹脂、ポリパラキシレン等のパラキシレンケイ系樹脂、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)等のビニル系樹脂、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等のアクリル系樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)等のウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂等を例示できる。
上記の主基板11に用いられる材料のうち、耐熱性向上の観点からはポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)が好ましい。また、複屈折率が低く、透明基板を通して見た像の歪みや滲みを低減できる点では、シクロオレフィンポリマー(COP)、シクロオレフィンコポリマー(COC)、ポリビニルブチラール(PVB)等が好ましい。
上記材料を単一で用いても、2種以上の材料を混合して用いてもよい。さらに、異なる材料の平板を積層させて主基板11を構成してもよい。
透明基板10全体の厚さは、例えば1~1000μm、好ましくは5~200μmである。透明基板10の可視光の内部透過率は、例えば50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上である。
また、透明基板10は可撓性を有していてもよい。これにより、例えば透明表示デバイスを湾曲した透明板に装着したり、湾曲した2枚の透明板の間に挟んで使用したりできる。また、100℃以上に加熱した際に収縮する材料であってもよい。
図2に示すように、LED素子21~23及びICチップ30は、透明基板10すなわち接着剤層12上に設けられており、透明基板10上に配置された配線40と接続されている。図2の例では、配線40は、主基板11上に形成された第1メタル層M1、接着剤層12上に形成された第2メタル層M2から構成されている。
配線40の厚さすなわち第1メタル層M1の厚さと第2メタル層M2の厚さとの合計は、例えば0.1~10μm、好ましくは0.5~5μmである。第1メタル層M1の厚さは、例えば0.5μm程度、第2メタル層M2の厚さは、例えば3μm程度である。
詳細には、図2に示すように、y軸方向に延設されたグランド線42は、電流量が多いため、第1メタル層M1及び第2メタル層M2を含む2層構造を有している。すなわち、グランド線42が設けられた部位では、接着剤層12が除去され、第1メタル層M1上に第2メタル層M2が形成されている。図2には示されていないが、図1に示した電源線41、行データ線43、及び列データ線44も、同様に、第1メタル層M1及び第2メタル層M2を含む2層構造を有している。
ここで、図1に示すように、y軸方向に延設された電源線41、グランド線42、及び列データ線44と、x軸方向に延設された行データ線43とは、交差している。図2には図示されていないが、この交差部では、行データ線43は第1メタル層M1のみから構成され、電源線41、グランド線42、及び列データ線44は第2メタル層M2のみから構成されている。そして、この交差部では、第1メタル層M1と第2メタル層M2との間に接着剤層12が設けられ、第1メタル層M1と第2メタル層M2とが絶縁されている。
同様に、図1に示した列データ線44と第1電源分岐線41aとの交差部では、第1電源分岐線41aが第1メタル層M1のみから構成され、列データ線44が第2メタル層M2のみから構成されている。
また、図2の例では、グランド分岐線42a、駆動線45、及び第1電源分岐線41aは第2メタル層M2のみから構成され、LED素子21~23及びICチップ30の端部を覆うように形成されている。図2には示されていないが、第2電源分岐線41b、行データ分岐線43a、及び列データ分岐線44aも、同様に、第2メタル層M2のみから構成されている。
なお、第1電源分岐線41aは、上述の通り、列データ線44との交差部では第1メタル層M1のみから構成され、それ以外の部位では第2メタル層M2のみから構成されている。また、透明基板10上に形成された配線40上に、銅、銀、金製等の金属パッドを配置し、その上にLED素子21~23及びICチップ30の少なくとも一方を配置してもよい。
保護層50は、発光部20、ICチップ30、及び配線40を覆って保護するように、透明基板10上の略全面に形成された透明樹脂である。すなわち、保護層50は、透明絶縁層である。
保護層50の厚さは、静電気を効果的に逃がすためには、例えば1000μm以下が好ましく、200μm以下がさらに好ましい。また、列データ線44に伝える信号の周波数が小さければ、信号劣化が起き難いが、保護層50の厚さが0.1μm未満では、信号劣化が顕著となる。そのため、保護層50の厚さは、0.1μm以上が好ましく、1.0μm以上がさらに好ましい。
保護層50の引張弾性率は、例えば10GPa以下である。引張弾性率が低い方が、温度や湿度等の環境変化に応じて発生する樹脂の膨張、収縮時の応力を低減でき、配線40の劣化等を抑制できる。
保護層50の可視光の内部透過率は、例えば50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上である。
保護層50を構成する透明樹脂として、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)等のビニル系樹脂、シクロオレフィンポリマー(COP)、シクロオレフィンコポリマー(COC)等のオレフィン系樹脂、熱可塑性ポリウレタン(TPU)等のウレタン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等の各種アクリル系樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)等、もしくは、それらの共重合体の熱可塑性樹脂を例示できる。
なお、保護層50は、透明性を有する限りにおいて、SiO、SiON、SiN、SiAlOx等の無機物でもよく、透明樹脂と無機物との複合層でもよい。
図2に示すように、導電層60は、保護層50上に形成されており、保護層50によって配線40と電気的に絶縁されている。導電層60は、導電層60は、電気的に接地されており、帯電(すなわち静電放電)を抑制する。導電層60は、透明性を有し、例えば、保護層50の略全面に形成されている。
導電層60を構成する材料は、例えば、全体を100質量部として、0.1~90質量部の導電性フィラーを含有する透明樹脂である。導電性フィラーの含有量は、好ましくは5~50質量部である。もしくは、全体を100質量部として、0.01~30質量部のイオン性化合物を含有する樹脂でもよい。イオン性化合物の含有量は、好ましくは0.1~10質量部である。あるいは、樹脂自体が、導電性ポリマー及び親水性ポリマーの少なくともいずれか一方であってもよい。
このような透明樹脂から構成された導電層60の厚さは、例えば100nm~10000nmであり、好ましくは500nm~5000nmである。
導電層60を構成する樹脂は、例えば主基板11、接着剤層12、あるいは保護層50と同様の透明樹脂である。
導電層60に含まれる導電性フィラーとして、銅、アルミニウム、銀、金、ニッケル(Ni)等の粉末、繊維、箔片等の金属系フィラー、カーボンブラック、カーボンナノチューブ等の炭素系フィラー、酸化錫(SnO)、酸化インジウム(In)、酸化亜鉛(ZnO)の粉末等の金属酸化物系フィラーを例示できる。さらに、導電性フィラーは、半導体や高分子錯体の粉末等でもよい。
導電層60に含まれるイオン性化合物は、例えば、イオン導電剤、界面活性剤等である。具体的には、イオン性化合物として、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、第1~3級アミノ基等のカチオン性官能基を有するカチオン性導電剤、スルホン酸塩基、硫酸エステル塩基、リン酸エステル塩基、ホスホン酸塩基等のアニオン性官能基を有するアニオン系導電剤、アミノ酸系、アミノ硫酸エステル系等の両性導電剤、ポリオール系、ポリグリセリン系、ポリエチレングリコール系等のノニオン性官能基を有する有機系帯電防止化合物を例示できる。
導電層60を構成する導電性ポリマーとして、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン等のπ共役系導電性ポリマーを例示できる。
導電層60を構成する親水性ポリマーとして、特定のポリエーテルエステルアミドとカルボキシル基を含有する変性ビニル共重合体、末端がカルボキシル基のポリメチルメタクリレートをグリシジルメタクリレートで末端のカルボキシル基をメタクリロイル基に変換した高分子単量体とアミノアルキルアクリル酸エステル又はアクリルアミドとの櫛型共重合体及びその4級化カチオン変性体、エチレン構造単位、アクリレート構造単位、及びアクリルアミド構造単位よりなるアクリルアミド系共重合体及びこれを添加したポリオレフィン樹脂組成物を例示できる。
なお、導電層60は、酸化錫(SnO)、酸化インジウム(In)、酸化亜鉛(ZnO)の金属酸化物系のいわゆる透明導電膜でもよい。このような導電層60の厚さは、例えば5nm~200nmであり、好ましくは10~100nmである。
また、導電層60は、銀、アルミニウム等を主成分とした薄膜や、銀、アルミニウム、銅、カーボン等の導電性材料の微細なワイヤーやカーボンナノチューブ等を塗布等により薄膜状に形成したものでもよい。このような導電層60の厚さは、例えば10~100nmである。
さらに、導電層60は、例えば微細な網目状にパターニングされた金属膜でもよい。このようなこのような導電層60の厚さは、例えば10nm~2000nmであり、好ましくは50nm~1000nmである。
図1に示すように、画素PIXは、x軸方向(第1の方向)にM個、y軸方向(第2の方向)にN個、配列されている。
ここで、1画素PIXにおけるx軸方向に延びた配線(図1の例では行データ線43)のx軸方向の抵抗値Raに対する導電層60のx軸方向の抵抗値Rbの比をRR(=Rb/Ra)とする。
1画素PIXにおけるx軸方向に延びた配線のx軸方向の抵抗値Ra及び導電層60のx軸方向の抵抗値Rbは、例えば四端子法によって測定できる。例えば、1画素PIXにおけるx軸方向に延びた配線のx軸方向の抵抗値Raは、図1に示した1画素PIXにおける行データ線43の両端にプローブ当接させ、測定する。他方、図1に示した1画素PIXにおける導電層60のx軸方向の両端にプローブ当接させると、画素PIXがy軸方向にN個配列された導電層60のx軸方向の抵抗値Rb/Nが、測定される。すなわち、1画素PIXにおける導電層60のx軸方向の抵抗値Rbは、その測定値のN倍となる。
さらに、透明絶縁層である保護層50の比誘電率をε、保護層50の厚さをd[μm]とすると、第1の実施形態に係る透明表示デバイスでは、RR/N/ε×d≧15[μm]を満たす。導電層60によって、帯電を抑制しつつ、クロストークの発生も抑制できる。
RR/N/ε×d≧40[μm]が好ましく、RR/N/ε×d≧400[μm]がさらに好ましい。配線40を伝送する数百kHz~数MHz帯域の信号の劣化を抑制できる。ここで、信号の周波数は、例えば100kHz以上であれば、効果的に信号劣化を抑制できる。信号の周波数は、250kHz以上が好ましく、500kHz以上がより好ましい。また、伝送させる信号は、例えば矩形波であるが、サイン波、三角波等でもよい。
なお、数10kHzの低周波数帯域の信号を利用する場合であれば、RR/N/ε×d[μm]<15[μm]であっても、信号劣化を抑制し得る。
ここで、例えばRR/N≧10であり、RR/N≧100が好ましく、RR/N≧1000がさらに好ましい。RR/Nが大きい程、配線40を伝送する信号の劣化を効果的に抑制できる。例えば、使用中の劣化や含水等により保護層50の比誘電率が向上しても、信号劣化を抑制できる。
他方、RR/N<10とする必要がある場合、図2に示す導電層60とアースとの間に別途抵抗素子を設けてもよい。これにより、帯電防止機能を向上させるために、導電層60の抵抗値を低下させても、信号劣化を抑制できる。
抵抗素子の抵抗値Rcは、導電層60全体の抵抗値Rbt(=Rb/N×M)の10倍以上が好ましく、100倍以上がさらに好ましい。導電層60全体の抵抗値Rbtと抵抗素子の抵抗値Rcとの合計が大きい程、導電層60へのリーク電流を抑制でき、異なる配線40間の信号のクロストークを抑制できる。
また、1画素PIXにおける保護層50による配線40と導電層60との間の抵抗値は、例えば0.4MΩ以上であり、4MΩ以上が好ましい。これにより、導電層60へのリーク電流を抑制でき、異なる配線40間の信号のクロストークを抑制できる。
なお、x方向の画素数Mは、特に限定されないが、例えば250以上であれば、効果的に信号劣化を抑制できる。画素数Mは、500以上が好ましく、1000以上がより好ましい。また、y方向の画素数Nは、例えば100~100000程度である。
<透明表示デバイスの製造方法>
次に、図2~図11を参照して、第1の実施形態に係る透明表示デバイスの製造方法の一例について説明する。図3~図11は、第1の実施形態に係る透明表示デバイスの製造方法の一例を示す断面図である。図3~図11は、図2に対応した断面図である。
まず、図3に示すように、主基板11の一方の主面上の略全面に第1メタル層M1を成膜した後、第1メタル層M1をフォトリソグラフィによってパターニングし、下層配線を形成する。具体的には、図1に示した電源線41、グランド線42、行データ線43、及び列データ線44等が形成される位置に、第1メタル層M1によって下層配線を形成する。
なお、電源線41、グランド線42、及び列データ線44における行データ線43との交差部には下層配線を形成しない。
次に、図4に示すように、第1メタル層M1が形成された主基板11の主面の略全面に接着剤層12を成膜した後、タック性を有する接着剤層12上に(すなわち透明基板10上に)、LED素子21~23及びICチップ30を実装する。
ここで、LED素子21~23は、例えば液相成長法、HVPE(Hydride Vapor Phase Epitaxy)法、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法等を用いて、ウェハ上に結晶を成長させた後、パターニングによって得られる。ウェハ上にパターニングされたLED素子21~23を、例えばマイクロトランスファープリンティング技術を用いて、透明基板10上に転写する。また、ICチップ30についてもLED素子21~23と同様に、例えばSiウェハ上にパターニングされたICチップ30を、マイクロトランスファープリンティング技術を用いて、透明基板10上に転写する。
次に、図5に示すように、主基板11及び接着剤層12を含む透明基板10上の略全面にフォトレジストFR1を成膜した後、第1メタル層M1上のフォトレジストFR1をパターニングによって除去する。ここで、図1に示した行データ線43における電源線41、グランド線42、及び列データ線44との交差部のフォトレジストFR1は除去されない。
次に、図6に示すように、フォトレジストFR1が除去された部位の接着剤層12をドライエッチングによって除去し、第1メタル層M1すなわち下層配線を露出させる。
次に、図7に示すように、透明基板10上のフォトレジストFR1を全て除去する。その後、透明基板10上の略全面に図示しないめっき用シード層を形成する。
次に、図8に示すように、透明基板10上の略全面にフォトレジストFR2を成膜した後、上層配線を形成する部位のフォトレジストFR2をパターニングによって除去し、シード層を露出させる。
次に、図9に示すように、フォトレジストFR2が除去された部位すなわちシード層上に、めっきによって第2メタル層M2を形成する。これによって、第2メタル層M2によって上層配線が形成される。
次に、図10に示すように、フォトレジストFR2を除去する。さらに、フォトレジストFR2の除去によって露出したシード層を、エッチングによって除去する。
次に、図11に示すように、第2メタル層M2上に保護層50を形成する。
最後に、図2に示すように、保護層50上の略全面に帯電抑制用の導電層60を形成し、透明表示デバイスが得られる。
(第2の実施形態)
<透明表示デバイスを備える合わせガラスの構成>
次に、図12、図13を参照して、第2の実施形態に係る合わせガラスの構成について説明する。図12は、第2の実施形態に係る合わせガラスの一例を示す模式的な平面図である。図13は、第2の実施形態に係る合わせガラスの一例を示す模式的な断面図である。
図12、図13に示された合わせガラス200は、自動車のウインドウガラスのうちフロントガラスに用いられるが、特に限定されない。例えば、本実施形態に係る合わせガラスは、電車、船舶、航空機等を含む移動体すなわち車両全般の窓ガラスに使用できる。窓ガラスは、フロントガラス以外に、例えば、リアガラス、サイドガラス、ルーフガラス等を含む。
まず、図12を参照して、合わせガラス200の平面構成について説明する。
図12に示すように、合わせガラス200の周縁全体に例えば黒色で不透明な遮蔽部201が設けられている。遮蔽部201は、日光を遮蔽し、合わせガラス200を自動車に組み付けるための接着剤を紫外線から保護する。また、遮蔽部201によって、当該接着剤が外部から視認できなくなる。
図12に示すように、透明表示デバイス100は、図1に示した表示領域101に加え、表示領域の周囲に設けられた非表示領域102を備えている。ここで、表示領域101は、第1の実施形態において説明した通り、多数の画素から構成され、画像が表示される領域であるため、詳細な説明を省略する。
なお、図12は平面図だが、理解を容易にするため、非表示領域102及び遮蔽部201がドット表示されている。
非表示領域102は、画素を備えておらず、画像が表示されない領域である。非表示領域102には、図1に示した電源線41、グランド線42、行データ線43、及び列データ線44に接続された太幅の配線が密集して設けられている。非表示領域102における配線の幅は、例えば100~10000μm、好ましくは100~5000μmである。配線同士の間隔は、例えば3~5000μm、好ましくは50~1500μmである。
そのため、表示領域101が透明領域であるのに対し、非表示領域102は不透明領域であって、車内から視認できてしまう。ここで、非表示領域102が視認できると、合わせガラス200の意匠性が低下する。そこで、第2の実施形態に係る合わせガラス200では、透明表示デバイス100の非表示領域102の少なくとも一部が、遮蔽部201に設けられている。遮蔽部201に設けられた非表示領域102は、遮蔽部201に隠れ、視認できない。そのため、非表示領域102の全体を視認できる場合よりも、合わせガラス200の意匠性が向上する。
次に、図13を参照して、合わせガラス200の断面構成について説明する。図13は、透明表示デバイス100の表示領域101における断面図である。
図13に示すように、第2の実施形態に係る合わせガラス200は、中間膜を介して一対のガラス板220a、220bを貼り合わせたものである。そして、合わせガラス200は、この一対のガラス板220a、220bの間に、中間膜210a、210bを介して第1の実施形態に係る透明表示デバイス100を備えている。中間膜210a、210bは、例えばポリビニルブチラール(PVB)から構成されている。
ここで、図14は、第2の実施形態に係る合わせガラスの他の一例を示す模式的な断面図である。図14に示した合わせガラス200では、透明表示デバイス100における保護層50が、例えばポリビニルブチラール(PVB)から構成され、中間膜としての機能も有している。そのため、図14に示した合わせガラス200では、図13において導電層60上に形成された中間膜210aを省略できる。このように、保護層50が、中間膜210aを兼ねていてもよい。
(第3の実施形態)
<透明センシングデバイスの構成>
次に、図15を参照して、第3の実施形態に係る透明センシングデバイスの構成について説明する。図15は、第3の実施形態に係る透明センシングデバイスの一例を示す模式的な部分平面図である。
図15に示すように、本実施形態に係る透明センシングデバイスは、図1に示した第1の実施形態に係る透明表示デバイスの構成において、各画素PIXに発光部20及びICチップ30に代えて半導体素子としてセンサ70を備えた構成である。すなわち、図15に示した透明センシングデバイスは、発光部20を備えず、表示機能を有しない。透明センシングデバイスは、透明電子デバイスの一態様である。なお、透明センシングデバイスにおけるセンシング領域は、透明表示デバイス100における表示領域101に相当させてもよい。
センサ70は特に限定されないが、図15に示した透明センシングデバイスでは、CMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)イメージセンサである。図15に示した透明センシングデバイスは、一点鎖線によって囲まれた画素PIXが、行方向(x軸方向)にM個、列方向(y軸方向)にN個、すなわちマトリクス状にM×N個、配置された撮像領域301を備え、撮像機能を有する。図15には、撮像領域301の一部が示されており、行方向及び列方向に2画素ずつ計4画素が示されている。ここで、1つの画素PIXが一点鎖線によって囲んで示されている。また、図15では、図1と同様に、透明基板10、保護層50、及び導電層60が省略されている。また、図15は平面図だが、理解を容易にするため、センサ70をドット表示する。
図15に示した例では、センサ70は各画素PIXに1つずつ設けられており、x軸方向に延びた電源線41及びグランド線42の間に配置され、両者に接続されている。また、センサ70からx軸方向に延びたデータ出力線46を介して、センサ70による検出データが出力される。他方、センサ70までx軸方向に延びた制御信号線47を介して、制御信号がセンサ70に入力され、センサ70が制御される。制御信号は例えば、同期信号やリセット信号等である。
なお、電源線41が、図示しない電池に接続されていてもよい。
図15の例では、電源線41、グランド線42、データ出力線46、及び制御信号線47は、x軸方向(第1の方向)に延設された配線(第1の配線)である。図15の例では、y軸方向(第2の方向)に延設された配線(第2の配線)は、形成されていない。
ここで、図16は、センサ70の模式断面図である。図16に示したセンサ70は、裏面照射型CMOSイメージセンサである。なお、イメージセンサとしてのセンサ70も特に限定されず、表面照射型CMOSイメージセンサやCCD(Charge-Coupled Device)イメージセンサでもよい。
図16に示すように、各センサ70は、配線層、半導体基板、カラーフィルタCF1~CF3、マイクロレンズML1~ML3を備えている。ここで、配線層の内部には内部配線IWが形成されている。また、半導体基板の内部にはフォトダイオードPD1~PD3が形成されている。
配線層上に半導体基板(例えばシリコン基板)が形成されている。配線層の内部に形成された内部配線IWは、配線40(電源線41、グランド線42、データ出力線46、及び制御信号線47)とフォトダイオードPD1~PD3とを接続している。フォトダイオードPD1~PD3に光が照射されると、フォトダイオードPD1~PD3から電流が出力される。フォトダイオードPD1~PD3から出力された電流は、それぞれ図示しないアンプ回路によって増幅され、内部配線IW及びデータ出力線46を介して出力される。
カラーフィルタCF1~CF3は、半導体基板の内部に形成されたフォトダイオードPD1~PD3上にそれぞれ形成されている。カラーフィルタCF1~CF3は、例えばそれぞれ赤色フィルタ、緑色フィルタ、青色フィルタである。
マイクロレンズML1~ML3は、カラーフィルタCF1~CF3上にそれぞれ載置されている。凸レンズであるマイクロレンズML1~ML3によって集光された光が、それぞれカラーフィルタCF1~CF3を介して、フォトダイオードPD1~PD3に入射する。
本実施形態に係るセンサ70は、透明基板10上における占有面積が500000μm以下の微小サイズを有するマイクロセンサである。換言すると、本明細書において、マイクロセンサとは、平面視での面積が500000μm以下の微小サイズを有するセンサである。センサ70の占有面積は、例えば、好ましくは25000μm以下、より好ましくは2500μm以下である。なお、センサ70が占有面積の下限は、製造上の諸条件等から例えば10μm以上である。
なお、図15に示したセンサ70の形状は、矩形状であるが、特に限定されない。
本実施形態に係る透明センシングデバイスは、第2の実施形態に係る合わせガラスにも適用できる。本実施形態に係る透明センシングデバイスが車両(例えば自動車)の窓ガラスのうちフロントガラスに搭載されている場合、センサ70によって、例えば、車内及び車外の少なくともいずれかの画像を取得できる。すなわち、本実施形態に係る透明センシングデバイスは、ドライブレコーダとしての機能を有する。
なお、第3の実施形態に係る透明センシングデバイスにおけるセンサ70は、単数でもよい。また、第3の実施形態に係る透明センシングデバイスにおけるセンサ70も、イメージセンサに限らず、第3の実施形態において例示した照度センサ、赤外線センサ等でもよい。さらに、センサ70は、レーダセンサ、Lidarセンサ等でもよい。これらのセンサ70を用いた透明センシングデバイスが搭載された車両用窓ガラスによって、例えば車内や車外をモニタリングできる。
すなわち、第3の実施形態に係るセンサ70は、透明基板10上における占有面積が250000μm以下の微小サイズを有するマイクロセンサであれば、特に限定されない。例えば、センサ70は、温度センサ、紫外線センサ、電波センサ、圧力センサ、音センサ、速度/加速度センサ等でもよい。
その他の構成は第1の実施形態に係る透明表示デバイスと同様である。
<シミュレーション1>
以下に、本発明に係るシミュレーションの条件及び結果を示すが、本発明は、以下のシミュレーション結果に限定して解釈されるものではない。
以下に示す表1には、シミュレーション1に係る例1~11の条件及び結果がまとめて示されている。表1に示す例1、2、9は比較例、例3~8、10、11は本発明の実施例である。
シミュレーション1では、図1に示すように、画素PIXは、x軸方向(第1の方向)にM個、y軸方向(第2の方向)にN個、配列した。ここで、M=2000、N=1200とした。そして、x軸方向に延びた配線(図1の例では行データ線43)に入力信号を印加し、M(=2000)画素分伝送後のクロストークによる信号劣化を評価した。
表1に示すように、本シミュレーションでは、RR/N及びRR/N/ε×dを変化させた。ここで、RRは、1画素PIXにおけるx軸方向に延びた配線のx軸方向の抵抗値Raに対する導電層60のx軸方向の抵抗値Rbの比Rb/Ra、Nはy軸方向の画素数である。さらに、εは保護層50の比誘電率、dは保護層50の厚さ[μm]である。
Figure 2024065379000002
<例1>
x軸方向に延びた配線は、幅30μm、厚さ0.5μmの銅配線とした。1画素PIXにおけるx軸方向に延びた配線の長さは、図1の画素ピッチPxに等しく、360μmとした。1画素PIXにおけるx軸方向に延びた配線のx軸方向の抵抗値Raは、実測値に基づいて、22Ωとした。
なお、y軸方向に延びた配線(図1の例では電源線41、グランド線42、及び列データ線44)は、1画素PIXにおける配線のx軸方向の抵抗値に、ほとんど寄与しないため無視できる。また、画素ピッチPyは、360μmとした。
配線に接続された半導体素子(図1の例では発光部20及びICチップ30)の容量を10fFとした。
配線と導電層60との間に設けられた保護層50については、比誘電率ε=2.3、厚さd=10μm、すなわち1/ε×d≒4μmとした。さらに、1画素PIXにおける保護層50による配線と導電層60との間の抵抗値を400MΩとした。
ここで、図17は、シミュレーションにおいて、配線に伝送させた入力信号の波形を示すグラフである。図17に示すように、入力信号は、信号強度5、周期2μs(周波数500kHz)、デューティ比0.5の矩形波である。この入力信号をM(=2000)画素分、配線に伝送させた後の信号強度を調査した。信号強度が2.5を超える場合、読取可と判断した。
表1に示すように、例1では、RR/N=1として、シミュレーションを行った。なお、例1では、RR/N/ε×d≒4である。
<例2>
RRを2倍し、RR/N=2とした以外は、例1と同様の条件でシミュレーションを行った。なお、例2では、RR/N/ε×d≒9である。
<例3>
RRを4倍し、RR/N=4とした以外は、例1と同様の条件でシミュレーションを行った。なお、例3では、RR/N/ε×d≒17である。
<例4>
RRを6倍し、RR/N=6とした以外は、例1と同様の条件でシミュレーションを行った。なお、例4では、RR/N/ε×d≒26である。
<例5>
RRを8倍し、RR/N=8とした以外は、例1と同様の条件でシミュレーションを行った。なお、例5では、RR/N/ε×d≒35である。
<例6>
RRを10倍し、RR/N=10とした以外は、例1と同様の条件でシミュレーションを行った。なお、例6では、RR/N/ε×d≒44である。
<例7>
RRを100倍し、RR/N=100とした以外は、例1と同様の条件でシミュレーションを行った。なお、例7では、RR/N/ε×d≒435である。
<例8>
RRを1000倍し、RR/N=1000とした以外は、例1と同様の条件でシミュレーションを行った。なお、例8では、RR/N/ε×d≒4350である。
<例9>
1/ε×d≒0.0043とした以外は、例8と同様の条件でシミュレーションを行った。なお、例9では、RR/N/ε×d≒4であり、例1と等しい。
<例10>
1/ε×d≒0.043とした以外は、例8と同様の条件でシミュレーションを行った。なお、例10では、RR/N/ε×d≒44であり、例6と等しい。
<例11>
1/ε×d≒0.43とした以外は、例8と同様の条件でシミュレーションを行った。なお、例10では、RR/N/ε×d≒435であり、例7と等しい。
<結果>
図18は、シミュレーション1に係る例2、例3、例6、例7、例8における配線を伝送後の信号波形を示すグラフである。
なお、図18に示すグラフにおいて、例2はE2、例3はE3、例6はE6、例7はE7、例8はE8と記載されており、後述する図19~図21に示すグラフにおいても同様である。
図18に示すように、例2、例3、例6、例7、例8の順に、信号強度が大きくなる。すなわち、表1に示すRR/N及びRR/N/ε×dが大きい程、信号強度も大きくなる。
図18に示すように、例2では、時刻1μsにおいて、信号強度が2.5を下回り、信号読取は不可である。図18には示されていないが、例1は例2よりも信号強度が低く、信号読取は不可である。
図18に示すように、例3、例6では、時刻1μsにおいて、信号強度が2.5を超え、信号読取は可である。図18には示されていないが、例4、例5についても同様である。例3、例4、例5、例6の順に、信号強度が大きくなる。
他方、図18に示すように、例3、例6では、時間経過と共に信号強度が変化(増加)しており、この点は好ましくない。
図18に示すように、例7、例8では、時刻1μsにおいて、信号強度が4を超え、信号読取は良好である。また、図18に示すように、例7、例8では、時間が経過しても信号強度がほとんど変化せず、好ましい。
次に、図19は、シミュレーション1に係る例8、例9、例10、例11における配線を伝送後の信号波形を示すグラフである。
図19に示すように、例9、例10、例11、例8の順に、信号強度が大きくなっている。すなわち、表1に示すRR/N/ε×dが大きい程、信号強度も大きくなる。なお、表1に示すように、例8、例9、例10、例11では、RR/Nは、いずれも1000である。
図19に示すように、例9では、時刻1μsにおいて、信号強度が2.5を下回り、信号読取は不可である。
図19に示すように、例10では、時刻1μsにおいて、信号強度が2.5を超え、信号読取は可である。他方、図19に示すように、例10では、時間経過と共に信号強度が変化(増加)しており、この点は好ましくない。
図19に示すように、例11、例8では、時刻1μsにおいて、信号強度が4を超え、信号読取は良好である。また、図19に示すように、例11、例8では、時間が経過しても信号強度がほとんど変化せず、好ましい。
<シミュレーション2>
次に、図2に示す導電層60とアースとの間に別途抵抗素子を設けた場合についてのシミュレーション2を行った。導電層60全体の抵抗値Rbt(=Rb/N×M)に対する抵抗素子の抵抗値Rcの比Rc/Rbtを変化させた。
<例12>
図2に示す導電層60とアースとの間に別途抵抗素子を設け、導電層60全体の抵抗値Rbtに対する抵抗素子の抵抗値Rcの比Rc/Rbt=1とした以外は、例1と同様の条件でシミュレーションを行った。
すなわち、例12では、例1と同様に、RR/N=1、RR/N/ε×d≒4である。ここで、RR/N=Rb/Ra/N=(Rb/N)/Ra=1であるため、Rb/N=Ra=22Ωである。また、x軸方向の画素数M=2000である。そのため、導電層60全体の抵抗値Rbt=Rb/N×M=22Ω×2000=44kΩである。
上述の通り、例12では、Rc/Rbt=1としたため、抵抗素子の抵抗値Rc=Rbt=44kΩである。
<例13>
導電層60全体の抵抗値Rbtに対する抵抗素子の抵抗値Rcの比Rc/Rbt=10とした以外は、例12と同様の条件でシミュレーションを行った。すなわち、例13では、抵抗素子の抵抗値Rc=10Rbt=440kΩである。
<例14>
導電層60全体の抵抗値Rbtに対する抵抗素子の抵抗値Rcの比Rc/Rbt=100とした以外は、例12と同様の条件でシミュレーションを行った。すなわち、例14では、抵抗素子の抵抗値Rc=100Rbt=4400kΩである。
<結果>
図20は、シミュレーション2に係る例12、例13、例14における配線を伝送後の信号波形を示すグラフである。
図20に示すように、例12、例13、例14の順に、信号強度が大きくなっている。すなわち、導電層60全体の抵抗値Rbtに対する抵抗素子の抵抗値Rcの比Rc/Rbtが大きい程、信号強度も大きくなる。
図20に示すように、例12では、時刻1μsにおいて、信号強度が2.5を下回り、信号読取は不可である。
図20に示すように、例13では、時刻1μsにおいて、信号強度が2.5を超え、信号読取は可である。他方、図20に示すように、例13では、時間経過と共に信号強度が変化(増加)しており、この点は好ましくない。
図20に示すように、例14では、時刻1μsにおいて、信号強度が4を超え、信号読取は良好である。また、図20に示すように、例14では、時間が経過しても信号強度がほとんど変化せず、好ましい。
シミュレーション2の結果から、RR/N<10の場合でも、導電層60とアースとの間に別途抵抗素子を設け、その抵抗値Rcを適切に設定すれば、クロストークによる信号劣化を抑制できることが分かった。
シミュレーション2の結果から、抵抗素子の抵抗値Rcは、導電層60全体の抵抗値Rbtの10倍以上が好ましく、100倍以上がさらに好ましい。
<シミュレーション3>
次に、1画素PIXにおける保護層50による配線と導電層60との間の抵抗値を変化させるシミュレーション3を行った。
<例15>
1画素PIXにおける保護層50による配線と導電層60との間の抵抗値を400MΩから4MΩに変更した以外は、例8と同様の条件でシミュレーションを行った。すなわち、RR/N=1000、RR/N/ε×d≒4350である。
<例16>
1画素PIXにおける保護層50による配線と導電層60との間の抵抗値を400MΩから0.4MΩに変更した以外は、例8と同様の条件でシミュレーションを行った。
<例17>
1画素PIXにおける保護層50による配線と導電層60との間の抵抗値を400MΩから0.04MΩに変更した以外は、例8と同様の条件でシミュレーションを行った。
<結果>
図21は、シミュレーション3に係る例15、例16、例17及びシミュレーション1に係る例8における配線を伝送後の信号波形を示すグラフである。
図21に示すように、例17、例16、例15の順に、信号強度が大きくなっている。すなわち、1画素PIXにおける保護層50による配線と導電層60との間の抵抗値が大きい程、信号強度も大きくなる。なお、図21において、例8の波形と例15の波形とは一致しており、1画素PIXにおける保護層50による配線と導電層60との間の抵抗値が400MΩの場合(例8)と4MΩの場合(例15)とでは、差がない。
図21に示すように、例8及び例15では、時刻1μsにおいて、信号強度が4を超え、信号読取は良好である。
図21に示すように、例16では、時刻1μsにおいて、信号強度が2.5を超え、信号読取は可である。
図21に示すように、例17では、時刻1μsにおいて、信号強度が2.5を下回り、信号読取は不可である。
シミュレーション3の結果から、絶縁層である保護層50の抵抗値が小さ過ぎると、クロストークにより信号劣化が発生することが分かった。
シミュレーション3の結果から、1画素PIXにおける保護層50による配線40と導電層60との間の抵抗値は、例えば0.4MΩ以上が好ましく、4MΩ以上がより好ましい。
なお、本発明は上記実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更できる。
10 透明基板
11 主基板
12 接着剤層
20 発光部
21~23 LED素子
30 ICチップ
40 配線
41 電源線
42 グランド線
42a グランド分岐線
43 行データ線
43a 行データ分岐線
44 列データ線
44a 列データ分岐線
45 駆動線
46 データ出力線
47 制御信号線
50 保護層
60 導電層
70 センサ
100 透明表示デバイス
101 表示領域
102 非表示領域
200 合わせガラス
201 遮蔽部
210a、210b 中間膜
220a、220b ガラス板
301 撮像領域
CF1~CF3 カラーフィルタ
FR1、FR2 フォトレジスト
IW 内部配線
ML1~ML3 マイクロレンズ
PD1~PD3 フォトダイオード
PIX 画素

Claims (14)

  1. 透明基板と、
    前記透明基板上において画素ごとに配置され、500000μm以下の面積を有する半導体素子と、
    前記半導体素子に接続され、第1の方向に延設された幅300μm以下の配線と、
    前記透明基板上に配置された前記半導体素子と前記配線とを覆う透明絶縁層とを備え、視認側から背面側を視認可能な透明電子デバイスであって、
    前記透明絶縁層上には、透明性を有し、前記配線と電気的に絶縁されると共に接地された導電層が形成されており、
    前記画素は、前記第1の方向にM個、前記第1の方向と垂直な第2の方向にN個、配列されており、
    前記透明絶縁層の比誘電率をε、
    前記透明絶縁層の厚さをd[μm]、
    一画素における前記配線の前記第1の方向の抵抗値に対する前記導電層の前記第1の方向の抵抗値の比をRRとした場合、
    RR/N/ε×d≧15を満たす、
    透明電子デバイス。
  2. RR/N≧10である、
    請求項1に記載の透明電子デバイス。
  3. RR/N<10であり、
    前記導電層とアースとの間に抵抗素子が設けられている、
    請求項1に記載の透明電子デバイス。
  4. 前記抵抗素子の抵抗値は、前記導電層の全体の抵抗値の10倍以上である、
    請求項3に記載の透明電子デバイス。
  5. 一画素における前記透明絶縁層による前記配線と前記導電層との間の抵抗値が、0.4MΩ以上である、
    請求項1~4のいずれか一項に記載の透明電子デバイス。
  6. 前記半導体素子は、10000μm以下の面積を有する発光ダイオード素子であり、
    当該透明電子デバイスが、透明表示デバイスである、
    請求項1~4のいずれか一項に記載の透明電子デバイス。
  7. 一対のガラス板と、
    前記一対のガラス板との間に設けられた透明電子デバイスと、を備えた合わせガラスであって、
    前記透明電子デバイスは、
    透明基板と、
    前記透明基板上において画素ごとに配置され、500000μm以下の面積を有する半導体素子と、
    前記半導体素子に接続され、第1の方向に延設された幅300μm以下の配線と、
    前記透明基板上に配置された前記半導体素子と前記配線とを覆う透明絶縁層とを備え、視認側から背面側を視認可能であり、
    前記透明絶縁層上には、透明性を有し、前記配線と電気的に絶縁されると共に接地された導電層が形成されており、
    前記画素は、前記第1の方向にM個、前記第1の方向と垂直な第2の方向にN個、配列されており、
    前記透明絶縁層の比誘電率をε、
    前記透明絶縁層の厚さをd[μm]、
    一画素における前記配線の前記第1の方向の抵抗値に対する前記導電層の前記第1の方向の抵抗値の比をRRとした場合、
    RR/N/ε×d≧15を満たす、
    合わせガラス。
  8. RR/N≧10である、
    請求項7に記載の合わせガラス。
  9. RR/N<10であり、
    前記導電層とアースとの間に抵抗素子が設けられている、
    請求項7に記載の合わせガラス。
  10. 前記抵抗素子の抵抗値は、前記導電層の全体の抵抗値の10倍以上である、
    請求項9に記載の合わせガラス。
  11. 一画素における前記透明絶縁層による前記配線と前記導電層との間の抵抗値が、0.4MΩ以上である、
    請求項7~10のいずれか一項に記載の合わせガラス。
  12. 前記半導体素子は、10000μm以下の面積を有する発光ダイオード素子であり、
    当該透明電子デバイスが、透明表示デバイスである、
    請求項7~10のいずれか一項に記載の合わせガラス。
  13. 前記一対のガラス板は、周縁に設けられた不透明な遮蔽部を備え、
    前記透明電子デバイスは、透明領域の周囲に設けられた不透明領域を備え、
    前記透明電子デバイスの前記不透明領域の少なくとも一部が、前記一対のガラス板の前記遮蔽部に設けられている、
    請求項7~10のいずれか一項に記載の合わせガラス。
  14. 自動車のウインドウガラスに用いられる、
    請求項7~10のいずれか一項に記載の合わせガラス。
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