JP2024065343A - 電気光学装置、液晶装置、及び診断システム - Google Patents

電気光学装置、液晶装置、及び診断システム Download PDF

Info

Publication number
JP2024065343A
JP2024065343A JP2022174166A JP2022174166A JP2024065343A JP 2024065343 A JP2024065343 A JP 2024065343A JP 2022174166 A JP2022174166 A JP 2022174166A JP 2022174166 A JP2022174166 A JP 2022174166A JP 2024065343 A JP2024065343 A JP 2024065343A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid crystal
electrode
period
potential
panel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022174166A
Other languages
English (en)
Inventor
紳介 藤川
Shinsuke Fujikawa
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP2022174166A priority Critical patent/JP2024065343A/ja
Publication of JP2024065343A publication Critical patent/JP2024065343A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Liquid Crystal (AREA)

Abstract

【課題】電気光学装置を常に電源オン状態に保ち続ける必要なく、パネルの液晶層への水分の侵入を推定する。【解決手段】電気光学装置は、光路の上に配置される第1パネルと、光路の外に配置され、第1電極と、第2電極と、第1電極と第2電極との間に配置される液晶層と、を備える第2パネルと、第1電極と第2電極との夫々に電位を供給すると共に、第1電極の電位を測定する測定回路と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、電気光学装置、液晶装置、及び診断システムに関する。
特許文献1には、液晶パネルの液晶層への水分侵入による性能劣化を防止するために、加熱間隔設定時間の間隔で、液晶パネルの液晶層中の水分を除去する水分除去動作を行う液晶表示装置が開示されている。水分除去動作は、液晶パネルの液晶材料の相転移温度よりも高くならない水分除去時温度で、液晶パネルを加熱設定時間だけ加熱することである。また、特許文献1には、液晶表示装置が、液晶パネルの液晶層中の水分量を直接測定し、所定以上の水分量を検出したときに水分除去動作を開始することも記載されている。
特開2010-156916号公報
特許文献1には、液晶パネルの液晶層中の水分量を直接測定する手段が具体的に開示されていない。また、特許文献1の技術では、液晶表示装置が水分除去動作を開始するために加熱間隔設定時間を計測する必要があるため、液晶表示装置を常に電源オン状態に保ち続ける必要がある。
本発明の一つの態様の電気光学装置は、光路の上に配置される第1パネルと、前記光路の外に配置され、第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に配置される液晶層と、を備える第2パネルと、前記第1電極と前記第2電極との夫々に電位を供給すると共に、前記第1電極の電位を測定する測定回路と、を備える。
本発明の一つの態様の液晶装置は、第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に配置される液晶層と、を備えるパネルと、前記第1電極と前記第2電極との夫々に電位を供給すると共に、前記第1電極の電位を測定する測定回路と、前記パネルを加熱する加熱装置と、を備える。
本発明の一つの態様の診断システムは、光路の上に配置される第1パネルと、前記光路の外に配置され、第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に配置される液晶層と、を備える第2パネルと、を備える電気光学装置と、前記第1電極と前記第2電極との夫々に電位を供給すると共に、前記第1電極の電位を測定する測定回路を備える診断装置と、を備える。
第1実施形態における液晶装置を備えるプロジェクターの概略的な構成を示す図である。 第1実施形態における第1液晶パネルの概略的な構成を示す平面図である。 第1実施形態における第2液晶パネルの概略的な構成を示す平面図である。 第2液晶パネルにおける第2素子基板と第2対向基板とを、図2Bに示されるA-A’線に沿う断面で視た図である。 測定回路の具体例を示す図である。 液晶層の物性測定方法を示す概略的なフローチャートである。 第1実施形態における検出電極及び共通電極のそれぞれの電位の時間的な変化を示す図である。 第1実施形態における検出電極と共通電極との電位差の時間的な変化を示す図である。 逆掃引期間の効果を示す図である。 液晶層の電気特性図である。 液晶層の規格化透過率と電圧との関係を示す図である。 充電期間の効果を示す図である。 水分侵入と水分排出とを検証した結果を示す第1図である。 水分侵入と水分排出とを検証した結果を示す第2図である。 水分侵入と水分排出とを検証した結果を示す第3図である。 水分侵入と水分排出とを検証した結果を示す第4図である。 第2実施形態における検出電極電位の時間的な変化を示す図である。 第3実施形態における第2液晶パネルの概略的な構成を示す平面図である。 第4実施形態における第1液晶パネルの概略的な構成を示す平面図である。 第4実施形態における第2液晶パネルの概略的な構成を示す平面図である。 第5実施形態における第2液晶パネルの概略的な構成を示す平面図である。 第6実施形態における第2液晶パネルの概略的な構成を示す平面図である。 第2液晶パネルにおける第2素子基板と第2対向基板とを、図20に示されるB-B’線に沿う断面で視た図である。 第7実施形態におけるプロジェクターの概略的な構成を示す図である。 診断システムの概略的な構成を示す図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。ここで、以下の各図においては、各部材を認識可能な程度の大きさにするため、各部材の尺度を実際とは異ならせている場合がある。また、以下の各図において、必要に応じて、相互に直交する座標軸としてxyz軸またはXYZ軸を付し、各図において、軸に沿った各矢印が指す方向を+方向とし、+方向と反対の方向を-方向とする。
なお、+X方向を右又は右側、-X方向を左又は左側ということがある。+Z方向を上方、-Z方向を下方ということもあり、+Z方向から見ることを平面視あるいは平面的という。さらに、以下の説明において、例えば基板に対して、「基板上に」との記載は、基板の上に接して配置される場合、基板の上に他の構造物を介して配置される場合、または基板の上に一部が接して配置され、一部が他の構造物を介して配置される場合のいずれかを表すものとする。
1.第1実施形態
1.1.電気光学装置の構成の概要
図1は、電気光学装置の一形態であるプロジェクター1の概略的な構成を示す図である。図1に示すように、プロジェクター1は、光源10と、2つのダイクロイックミラー11及び14と、3つの反射ミラー12、17及び19と、5つのリレーレンズ13、15、16、18及び20と、ダイクロイックプリズム21と、投射光学系22と、3つの第1液晶パネル100R、100G及び100Bと、第2液晶パネル200と、を備える。
また、プロジェクター1は、中央制御回路30と、光源制御回路31と、3つの第1温度検出回路32、34及び36と、3つの第1加熱制御回路33、35及び37と、第2温度検出回路38と、第2加熱制御回路39と、電圧印加回路40と、電圧検出回路41と、をさらに備える。
光源10は、白色光L0をダイクロイックミラー11に出射する。例えば、光源10は、水銀ランプである。光源10から出射される白色光L0の光量は、後述の光源制御回路31によって制御される。
ダイクロイックミラー11は、白色光L0を第1色光L1と第2色光L2とに分離する。例えば、第1色光L1は、赤色の光であり、第2色光L2は、緑色と青色との混合色の光である。ダイクロイックミラー11は、第1色光L1を反射ミラー12に出射し、第2色光L2をダイクロイックミラー14に出射する。
ダイクロイックミラー14は、第2色光L2を第3色光L3と第4色光L4とに分離する。例えば、第3色光L3は、緑色の光であり、第4色光L4は、青色の光である。ダイクロイックミラー14は、第3色光L3をリレーレンズ15に出射し、第4色光L4をリレーレンズ16に出射する。
ダイクロイックミラー11から出射される第1色光L1は、反射ミラー12及びリレーレンズ13を経由して第1液晶パネル100Rに入射する。ダイクロイックミラー14から出射される第3色光L3は、リレーレンズ15を経由して第1液晶パネル100Gに入射する。ダイクロイックミラー14から出射される第4色光L4は、リレーレンズ16、反射ミラー17、リレーレンズ18、反射ミラー19、及びリレーレンズ20を経由して第1液晶パネル100Bに入射する。
第1液晶パネル100R、100G及び100Bは、それぞれ、画像表示用の液晶パネルである。第1液晶パネル100Rは、第1色光L1の光路上に配置される。第1液晶パネル100Gは、第3色光L3の光路上に配置される。第1液晶パネル100Bは、第4色光L4の光路上に配置される。以下では、第1液晶パネル100R、100G及び100Bのそれぞれを区別する必要がない場合には、これら3つの第1液晶パネル100R、100G及び100Bを第1液晶パネル100と総称することがある。

例えば、本実施形態における第1液晶パネル100は、画素Pごとに画素スイッチング素子としてのTFT(Thin Film Transistor)を備えたアクティブ駆動型の液晶パネルである。また、例えば、第1液晶パネル100は、VA(Vertical Alignment)型の液晶パネルである。第1液晶パネル100は、プロジェクター1において光変調装置として機能する。第1液晶パネル100Rは、赤色の第1色光L1を変調する。第1液晶パネル100Gは、緑色の第3色光L3を変調する。第1液晶パネル100Bは、青色の第4色光L4を変調する。
ダイクロイックプリズム21は、第1液晶パネル100Rによって変調された第1色光L1と、第1液晶パネル100Gによって変調された第3色光L3と、第1液晶パネル100Bによって変調された第4色光L4とを混合することにより、カラー画像を表す画像光L5を生成する。ダイクロイックプリズム21は、画像光L5を投射光学系22に出射する。投射光学系22は、画像光L5を投射スクリーンSCに拡大投射する。投射スクリーンSCに画像光L5が投射されることにより、投射スクリーンSCにカラー画像が表示される。
プロジェクター1の筐体内において、ダイクロイックミラー11及び14と、反射ミラー12、17及び19と、リレーレンズ13、15、16、18及び20と、ダイクロイックプリズム21と、投射光学系22と、第1液晶パネル100R、100G及び100Bとは、例えば、樹脂製のケース310の内部に収容される。ケース310は、光源10から出射される白色光L0以外の光が第1液晶パネル100に侵入しないように構成される。
ケース310は、例えば、樹脂製の擁壁320を有する。擁壁320はxy平面に対して、垂直に立つ壁のように構成される。また、擁壁320はxy平面にも構成される。擁壁320の壁面のうち、ケース310の外側の壁面に第2液晶パネル200が配置される。つまり、第2液晶パネル200は、プロジェクター1内の光路外に配置される。プロジェクター1内の光路は、白色光L0、第1色光L1、第2色光L2、第3色光L3、第4色光L4、及び画像光L5のそれぞれの光路を含む。つまり、本実施形態において、光路とは、光源10から出射され、第1液晶パネル100を介して投射光学系22に入射する画像光L5の光路である。第2液晶パネル200は、プロジェクター1内の上記光路の外にあるので、投射スクリーンSCに投影されたカラー画像からその存在を知ることはできない。逆の表現をすると、第2液晶パネル200は、プロジェクター1内のいずれかの光路上にあると、投射スクリーンSCに投影されたカラー画像に、例えば、光線を遮る影となってその存在を知ることができる。詳細は後述するが、第2液晶パネル200は、第1液晶パネル100内の水分量を推定するために用いられる液晶パネルである。第1液晶パネル100は、プロジェクター1内の上記光路の上にあるので、光入射による劣化と水分侵入による液晶層の劣化が生じ、これらを分離して検知することは困難である。一方、第2液晶パネル200は、プロジェクター1内の上記光路の外にあるので、光入射による液晶層の劣化はなく、水分侵入による液晶層の劣化を検知できる。ここで、第1液晶パネル100と第2液晶パネル200とで、シール材による水分侵入抑止力の関係を適切に設定すれば、第2液晶パネル200によって第1液晶パネル100内の水分量を推定することができる。
図2Aは、第1液晶パネル100の概略的な構成を示す平面図である。図2Aに示すように、第1液晶パネル100は、第1素子基板110と、第1対向基板120と、第1ホルダー130と、第1ヒーター線H1と、第1温度センサーTH1と、を備える。
本実施形態における第1液晶パネル100は、第1ホルダー130、第1ヒーター線H1、及び第1温度センサーTH1を備える点で、一般的な画像表示用の液晶パネルと異なる。言い換えれば、第1素子基板110及び第1対向基板120の構成は、一般的な画像表示用の液晶パネルが備える素子基板及び対向基板の構成と同じである。従って、以下では、第1素子基板110及び第1対向基板120の構成については、簡単に説明する。
第1素子基板110と第1対向基板120とは、第1シール材112を介して互いに接着される。第1シール材112は、第1対向基板120の外縁に沿って枠状に設けられている。第1シール材112は、光硬化樹脂や熱硬化性樹脂等からなる接着剤であり、第1素子基板110と第1対向基板120との間のギャップを所定値とするためのグラスファイバー、あるいはガラスビーズ等のギャップ材を含む。
第1素子基板110と第1対向基板120とで挟まれ、且つ第1シール材112で囲まれた領域に、不図示の液晶層が配置される。この液晶層は、液晶を滴下する液晶滴下法によって形成される。すなわち、第1液晶パネル100には、液晶を封入するための液晶封入口が存在しない。液晶層は、例えば、負の誘電異方性を有する液晶から構成される。第1対向基板120の四隅に対応して、第1素子基板110と第1対向基板120との間の電気的な導通を取るための、第1基板間導通部115が配置される。
第1素子基板110の表面領域のうち、第1シール材112で囲まれた領域には、第1表示領域E1が設けられる。第1表示領域E1には、複数の画素Pがマトリクス状に配置される。第1表示領域E1と第1シール材112との間の領域には、走査線駆動回路113及びデータ線駆動回路114などの周辺回路が配置される。また、第1シール材112の外側の第1素子基板110の第1対向基板120から図面下側、-Y方向に張り出した部分には、複数の第1接続端子116が配置される。複数の第1接続端子116は、走査線駆動回路113及びデータ線駆動回路114と電気的に接続される。
図示は省略するが、第1素子基板110は、画素Pごとに設けられた光透過性を有する画素電極と、画素電極に対応して配置されたTFTと、画素電極を覆って配置された配向膜と、を備える。また、図示は省略するが、第1対向基板120は、見切り部と、共通電極と、共通電極を覆って配置された配向膜と、を備える。見切り部は、平面視で第1表示領域E1を囲むように形成された遮光膜である。共通電極は、第1基板間導通部115を介して、第1接続端子116と電気的に接続される。
画素電極及び共通電極は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)などの透明導電材料によって形成される。第1素子基板110及び第1対向基板120は、それぞれ透光性を有する基板であり、例えば、ガラス基板、または、石英基板が用いられる。第1素子基板110の配向膜、および第1対向基板120の配向膜は、酸化シリコンなどの無機材料で形成される。
第1ホルダー130は、第1素子基板110及び第1対向基板120を保持する、板状の部品である。第1素子基板110と第1対向基板120とが第1シール材112を介して接着された状態で、第1対向基板120が第1ホルダー130と向かい合う形で篏合して第1ホルダー130に接着される。第1ホルダー130の四隅に対応して、第1ホルダー130をプロジェクター1内の所定位置にネジで固定するための第1固定穴132が設けられている。
第1ヒーター線H1は、例えば抵抗線であり、第1液晶パネル100を加熱する。第1ヒーター線H1は、第1ホルダー130の外周に沿って、第1素子基板110を囲むように配置される。第1ヒーター線H1は、第1加熱装置に相当する。第1加熱装置は、上記の構成に限らない。例えば、第1素子基板110、第1対向基板120、あるいは、図示省略した防塵ガラス、のいずれかにITO膜からなる抵抗体を形成し、上記抵抗体に通電して加熱する形態で構成してもよい。
第1ホルダー130には、2つの第1ヒーター端子141及び142が配置される。第1ヒーター線H1の一端は、第1ヒーター端子141と電気的に接続され、第1ヒーター線H1の他端は、第1ヒーター端子142と電気的に接続される。第1ヒーター端子141は、第1電力供給線143と電気的に接続される。第1ヒーター端子142は、第1電力供給線144と電気的に接続される。第1電力供給線143及び144を介して、第1ヒーター線H1に電力が供給されることにより、ヒーター線H1が発熱して第1ホルダー130が加熱されるので、結果として第1液晶パネル100は加熱される。
後述するように、第1液晶パネル100が第1液晶パネル100Rの場合、第1電力供給線143及び144は、第1加熱制御回路33と電気的に接続される。第1液晶パネル100が第1液晶パネル100Gの場合、第1電力供給線143及び144は、第1加熱制御回路35と電気的に接続される。第1液晶パネル100が第1液晶パネル100Bの場合、第1電力供給線143及び144は、第1加熱制御回路37と電気的に接続される。
第1温度センサーTH1は、例えば、サーミスタであり、第1液晶パネル100の温度を検出する。第1温度センサーTH1は、第1ホルダー130の所定位置に配置される。第1温度センサーTH1の位置は特に限定されないが、第1温度センサーTH1は、可能な限り、第1素子基板110に近い位置に配置されることが好ましい。第1温度センサーTH1は、第1素子基板110の内部に配置されていてもよい。
後述するように、第1液晶パネル100が第1液晶パネル100Rの場合、第1温度センサーTH1は、第1温度検出回路32と電気的に接続される。第1液晶パネル100が第1液晶パネル100Gの場合、第1温度センサーTH1は、第1温度検出回路34と電気的に接続される。第1液晶パネル100が第1液晶パネル100Bの場合、第1温度センサーTH1は、第1温度検出回路36と電気的に接続される。
複数の第1接続端子116は、第1フレキシブル配線基板160を介して、不図示のパネル制御回路と電気的に接続される。パネル制御回路は、第1液晶パネル100の通常駆動を行う回路である。言い換えれば、パネル制御回路は、第1液晶パネル100を光変調装置として動作させる回路である。パネル制御回路は、第1接続端子116を介して、走査線駆動回路113及びデータ線駆動回路114に、タイミング信号、画像信号、及び制御信号などを出力する。
走査線駆動回路113及びデータ線駆動回路114がパネル制御回路によって制御されることにより、各画素PのTFTをオン状態に切り替える走査信号が各走査線に供給されるとともに、各画素Pの画素電極に印加される電位が各データ線に供給される。その結果、各画素Pの光透過率は、画素電極と共通電極との電位差によって決定される値となる。このように、各画素Pの光透過率がパネル制御回路によって制御されることにより、第1液晶パネル100が光変調装置として動作して映像を表示している状態を第1液晶パネル100の通常駆動時と呼ぶこととする。また、各画素Pでは、映像を表示している通常駆動時には交流駆動が実施され、第1表示領域Eに含まれる画素Pの透過率の状態の更新が終わる1フレーム周期毎に各画素Pの液晶層に対する印可電圧の極性が反転する。
図2Bは、第2液晶パネル200の概略的な構成を示す平面図である。図2Bに示すように、第2液晶パネル200は、第2素子基板210と、第2対向基板220と、第2ホルダー230と、第2ヒーター線H2と、第2温度センサーTH2と、を備える。第2液晶パネル200は、第1液晶パネル100を簡易化した構成を有する。
第2素子基板210と第2対向基板220とは、第2シール材212を介して互いに接着される。第2素子基板210の外形サイズは、第1素子基板110の外形サイズと同じである。第2対向基板220の外形サイズは、第1対向基板120の外形サイズと同じである。すなわち、第2ホルダー230を除く第2液晶パネル200の外形サイズは、第1ホルダー130を除く第1液晶パネル100の外形サイズと同じである。
第2素子基板210の厚さは、第1素子基板110の厚さと同じである。第2対向基板220の厚さは、第1対向基板120の厚さと同じである。すなわち、第2ホルダー230を除く第2液晶パネル200の厚さは、第1ホルダー130を除く第1液晶パネル100の厚さと同じである。
上記のように、第1液晶パネル100は、第1シール材112を備える。第2液晶パネル200は、第1シール材112と同じ外形を有し、且つ第1シール材112の幅W1と同じ幅W2を有する第2シール材212を備える。このように、第2液晶パネル200のシール幅W2は、第1液晶パネル100のシール幅W1と同じである。シール幅W1及びW2には、それぞれ製造バラツキが発生する。そのため、例えば、X方向に沿った2辺の中央部、及びY方向に沿った2辺の中央部におけるシール幅W1及びW2のそれぞれの平均値が、10%程度の差異であれば、シール幅W1とシール幅W2とが同じであるとみなされる。第2液晶パネル200における第2シール材212の配置は、第1液晶パネル100における第1シール材112の配置と同じである。
第2素子基板210と第2対向基板220とで挟まれ、且つ第2シール材212で囲まれた領域に、後述の液晶層250が配置される。この液晶層250は、液晶滴下法によって形成される。すなわち、第1液晶パネル100と同様に、第2液晶パネル200にも、液晶を封入するための液晶封入口が存在しない。液晶層250は、第1液晶パネル100と同じ液晶から構成される。第2対向基板220の四隅に対応して、第2素子基板210と第2対向基板220との間の電気的な導通を取るための、第2基板間導通部214が配置される。
第2素子基板210の表面領域のうち、第2シール材212で囲まれた領域には、第1表示領域E1に対応する矩形領域E2が設けられる。第1表示領域E1と異なり、この矩形領域E2には、TFT及び画素電極を含む画素Pは配置されない。また、矩形領域E2と第2シール材212との間の領域には、走査線駆動回路113及びデータ線駆動回路114などの周辺回路は配置されない。このように、第1液晶パネル100と第2液晶パネル200とのうち、第1液晶パネル100が複数の画素電極を備える。言い換えれば、第2液晶パネル200は、画素電極を備えていない。
第2液晶パネル200は、上記の周辺回路の代わりに、矩形領域E2と第2シール材212との間の領域に配置された検出電極213を備える。検出電極213は、矩形領域E2と第2シール材212との間の領域において、矩形領域E2を囲む枠状に配置される。検出電極213は、ベタ膜パターンで形成されてもよいし、第1液晶パネル100における画素Pが備える画素電極と同様のパターンを複数連結させることにより形成されてもよい。第2シール材212の各隅に湾曲部が設けられる場合には、検出電極213の各隅にも湾曲部を設けることが好ましい。或いは、検出電極213の各隅は、隅切り状に形成されてもよい。
例えば、検出電極213は、第1液晶パネル100の画素電極と同様に、ITOなどの透明導電材料によって形成される。検出電極213がITO膜で形成される場合、検出電極213の電位応答を改善するために、ITO膜の下層に配置されたアルミニウムを主体とする下層配線層を補助配線として付加してもよい。この場合、検出電極213は、複数のコンタクトホールを介して、下層配線層と電気的に接続される。
第2液晶パネル200において、第2シール材212と検出電極213との間の距離D1、D2及びD3は、同一である。上記のように、第2液晶パネル200のシール幅W2には製造バラツキが発生するため、Y方向に沿った辺における複数個所で測定した距離D1、X方向に沿った辺における複数個所で測定した距離D2及び矩形領域E2の隅部における複数個所で測定した距離D3の各平均値が、10%程度の差異であれば、距離D1、D2及びD3が同一であるとみなされる。
第2シール材212の外側の第2素子基板210の第2対向基板220から図面下側、-Y方向に張り出した部分には、複数の第2接続端子として、少なくとも第1電極接続端子215と、第2電極接続端子216とが配置される。上記のように、第1液晶パネル100は、複数の第1接続端子116を備えている。第2液晶パネル200は、第1接続端子116の数よりも少ない複数の第2接続端子として、少なくとも第1電極接続端子215と、第2電極接続端子216とを備える。
第1電極接続端子215は、検出電極213と電気的に接続される。第2電極接続端子216は、第2基板間導通部214を介して、後述の共通電極222と電気的に接続される。第1電極接続端子215及び第2電極接続端子216は、第2フレキシブル配線基板260を介して、後述の電圧印加回路40及び電圧検出回路41と電気的に接続される。
図3は、第2素子基板210と第2対向基板220とを、図2Bに示されるA-A’線に沿う断面で視た図である。図3に示すように、第2素子基板210と第2対向基板220とは、第2シール材212を介して互いに対向するように配置され、第1素子基板210と第2対向基板220との間に液晶層250が配置される。
第2素子基板210の上面には、上記の検出電極213が配置される。第2対向基板220の下面には、共通電極222が配置される。また、図3では図示を省略するが、第2素子基板210は、検出電極213を覆うように配置された配向膜を有し、第2対向基板220は、共通電極222を覆うように配置された配向膜を有する。第2素子基板210の配向膜は、第1素子基板110の配向膜と同じ材料で形成され、第2対向基板220の配向膜は、第1対向基板120の配向膜と同じ材料で形成される。なお、検出電極213を構成する電極層が第2対向基板220外へ引き出される態様を図示したが、これに限定されず、検出電極213より下層に形成された配線層を用いる態様としてもよい。なお、矩形領域E2に、第1液晶パネル100を模してダミーの走査線とダミーのデータ線を配置すると、第2液晶パネル200を効率よく加熱できる。この場合、ダミーの走査線とダミーのデータ線は上記の同一の配線層で構成してよい。
上記の第2液晶パネル200の構成から理解されるように、矩形領域E2と第2シール材212との間の領域において、液晶層250は、検出電極213と共通電極222との間に配置される。本実施形態において、検出電極213は、第1電極に相当し、共通電極222は、第2電極に相当する。
以下、図2Bに戻って説明を続ける。
第2ホルダー230は、第2素子基板210及び第2対向基板220を保持する、板状の部品である。第2素子基板210と第2対向基板220とが第2シール材212を介して接着された状態で、第2対向基板220が第2ホルダー230と向かい合う形で篏合して第2ホルダー230に接着される。第2ホルダー230の四隅に対応して、第2ホルダー230を擁壁320にネジで固定するための第2固定穴232が設けられている。
第2ヒーター線H2は、例えば抵抗線であり、第2液晶パネル200を加熱する。第2ヒーター線H2は、第2ホルダー230の外周に沿って、第2素子基板210を囲むように配置される。第2ヒーター線H2は、第2加熱装置に相当する。
第2ホルダー230には、2つの第2ヒーター端子241及び242が配置される。第2ヒーター線H2の一端は、第2ヒーター端子241と電気的に接続され、第2ヒーター線H2の他端は、第2ヒーター端子242と電気的に接続される。第2ヒーター端子241は、第2電力供給線243と電気的に接続される。第2ヒーター端子242は、第2電力供給線244と電気的に接続される。第2電力供給線243及び244を介して、第2ヒーター線H2に電力が供給されることにより、第2液晶パネル200は加熱される。後述するように、第2電力供給線243及び244は、第2加熱制御回路39と電気的に接続される。
第2温度センサーTH2は、例えばサーミスタであり、第2液晶パネル200の温度を検出する。第2温度センサーTH2は、第2ホルダー230の所定位置に配置される。第2温度センサーTH2の位置は特に限定されないが、第2温度センサーTH2は、可能な限り、第2素子基板210に近い位置に配置されることが好ましい。後述するように、第2温度センサーTH2は、第2温度検出回路38と電気的に接続される。第2温度センサーTH2は、第2素子基板210の内部に配置されていてもよい。
以下、図1に戻って説明を続ける。
中央制御回路30は、プロジェクター1の全体動作を統括的に制御する。例えば、中央制御回路30は、光源10から所定の光量を有する白色光L0が出射されるように、光源制御回路31に命令を出力する。光源制御回路31は、中央制御回路30からの命令に従って、光源10から所定の光量を有する白色光L0が出射されるように、光源10に電力を供給する。
例えば、中央制御回路30は、映像信号に基づく画像を表す画像光L5が投射されるように、不図示のパネル制御回路に命令を出力する。パネル制御回路は、中央制御回路30からの命令に従って、映像信号に基づく画像を表す画像光L5が投射されるように、第1液晶パネル100R、100G及び100Bの通常駆動を行う。これにより、投射スクリーンSCに画像光L5が投射され、映像信号に基づく画像が投射スクリーンSCに表示される。
第1液晶パネル100Rの第1電力供給線143及び144は、第1加熱制御回路33と電気的に接続される。第1液晶パネル100Rの第1温度センサーTH1は、第1温度検出回路32と電気的に接続される。第1温度検出回路32は、第1液晶パネル100Rの第1温度センサーTH1から出力されるアナログ信号、すなわち第1液晶パネル100Rの温度を示すアナログ信号を増幅する増幅回路と、増幅されたアナログ信号をデジタル値に変換するA/Dコンバーターと、を含む。アナログ信号は、例えば、第1温度センサーTH1であるサーミスタの抵抗値を電圧に変換した信号である。
中央制御回路30は、第1温度検出回路32から出力されるデジタル値を、第1液晶パネル100Rの温度データとして取得し、第1液晶パネル100Rが適正な温度で所定の時間だけ加熱されるように、第1加熱制御回路33に命令を出力する。第1加熱制御回路33は、中央制御回路30からの命令に従って、第1液晶パネル100Rが適正な温度で所定の時間だけ加熱されるように、第1液晶パネル100Rの第1ヒーター線H1に電力を供給する。
第1液晶パネル100Gの第1電力供給線143及び144は、第1加熱制御回路35と電気的に接続される。第1液晶パネル100Gの第1温度センサーTH1は、第1温度検出回路34と電気的に接続される。第1温度検出回路34は、第1液晶パネル100Gの第1温度センサーTH1から出力されるアナログ信号、すなわち第1液晶パネル100Gの温度を示すアナログ信号を増幅する増幅回路と、増幅されたアナログ信号をデジタル値に変換するA/Dコンバーターと、を含む。
中央制御回路30は、第1温度検出回路34から出力されるデジタル値を、第1液晶パネル100Gの温度データとして取得し、第1液晶パネル100Gが適正な温度で所定の時間だけ加熱されるように、第1加熱制御回路35に命令を出力する。第1加熱制御回路35は、中央制御回路30からの命令に従って、第1液晶パネル100Gが適正な温度で所定の時間だけ加熱されるように、第1液晶パネル100Gの第1ヒーター線H1に電力を供給する。
第1液晶パネル100Bの第1電力供給線143及び144は、第1加熱制御回路37と電気的に接続される。第1液晶パネル100Bの第1温度センサーTH1は、第1温度検出回路36と電気的に接続される。第1温度検出回路36は、第1液晶パネル100Bの第1温度センサーTH1から出力されるアナログ信号、すなわち第1液晶パネル100Bの温度を示すアナログ信号を増幅する増幅回路と、増幅されたアナログ信号をデジタル値に変換するA/Dコンバーターと、を含む。
中央制御回路30は、第1温度検出回路36から出力されるデジタル値を、第1液晶パネル100Bの温度データとして取得し、第1液晶パネル100Bが適正な温度で所定の時間だけ加熱されるように、第1加熱制御回路37に命令を出力する。第1加熱制御回路37は、中央制御回路30からの命令に従って、第1液晶パネル100Bが適正な温度で所定の時間だけ加熱されるように、第1液晶パネル100Bの第1ヒーター線H1に電力を供給する。
第2液晶パネル200の第2電力供給線243及び244は、第2加熱制御回路39と電気的に接続される。第2液晶パネル200の第2温度センサーTH2は、第2温度検出回路38と電気的に接続される。第2温度検出回路38は、第2液晶パネル200の第2温度センサーTH2から出力されるアナログ信号、すなわち第2液晶パネル200の温度を示すアナログ信号を増幅する増幅回路と、増幅されたアナログ信号をデジタル値に変換するA/Dコンバーターと、を含む。
中央制御回路30は、第2温度検出回路38から出力されるデジタル値を、第2液晶パネル200の温度データとして取得し、第2液晶パネル200が適正な温度で所定の時間だけ加熱されるように、第2加熱制御回路39に命令を出力する。第2加熱制御回路39は、中央制御回路30からの命令に従って、第2液晶パネル200が適正な温度で所定の時間だけ加熱されるように、第2液晶パネル200の第2ヒーター線H2に電力を供給する。
第2液晶パネル200の第1電極接続端子215は、第1電極線61を介して、電圧印加回路40と電気的に接続される。つまり、電圧印加回路40は、第1電極線61を介して、第2液晶パネル200の検出電極213と電気的に接続される。第2液晶パネル200の第2電極接続端子216は、第2電極線62を介して、電圧印加回路40と電気的に接続される。つまり、電圧印加回路40は、第2電極線62を介して、第2液晶パネル200の共通電極222と電気的に接続される。電圧検出回路41は、第1電極線61上の第1ノードN1と電気的に接続される。
電圧印加回路40は、中央制御回路30からの命令に従って、検出電極213と共通電極222との夫々に電位を供給する。電圧検出回路41は、第1ノードN1の電位を、検出電極213の電位である検出電極電位Vdとして測定し、検出電極電位Vdの測定値を中央制御回路30に出力する。このように、電圧印加回路40及び電圧検出回路41は、検出電極213と共通電極222との夫々に電位を供給すると共に、検出電極213の電位である検出電極電位Vdを測定する測定回路70を構成する。
また、中央制御回路30と、第1温度検出回路32、34及び36と、第1加熱制御回路33、35及び37と、第2温度検出回路38と、第2加熱制御回路39とは、第1温度センサーTH1の出力と、第2温度センサーTH2の出力と、測定回路70によって得られる検出電極電位Vdの測定値とに基づいて、第1ヒーター線H1及び第2ヒーター線H2を制御する温度制御回路を構成する。なお、図4では説明の簡易化のため、第1温度検出回路32、34及び36のうち第1温度検出回路32のみを代表して図示する。第1加熱制御回路33、35及び37のうち第1加熱制御回路33のみを代表して図示する。
以下、図4を参照しながら、測定回路70の構成について具体的に説明する。
図4は、測定回路70の具体例を示す図である。図4に示すように、測定回路70は、測定電位生成回路50と、増幅回路51と、A/Dコンバーター52と、第1スイッチSW1と、第2スイッチSW2と、第3スイッチSW3と、第4スイッチSW4と、第1コンデンサーC1と、第2コンデンサーC2と、第1電極線61と、第2電極線62と、グランド電位線63と、第1ノードN1と、を備える。
第1電極線61は、第2液晶パネル200の第1電極接続端子215と電気的に接続される。つまり、第1電極線61は、第1電極接続端子215を介して、第2液晶パネル200の検出電極213と電気的に接続される。第2電極線62は、第2液晶パネル200の第2電極接続端子216と電気的に接続される。つまり、第2電極線62は、第2電極接続端子216を介して、第2液晶パネル200の共通電極222と電気的に接続される。
グランド電位線63は、グランド電位が印加される配線である。グランド電位線63は、プロジェクター1内のデジタル回路系のグランドと1点で電気的に接続される。このように構成することで、後述する測定時において、デジタル回路系がもたらす測定ノイズを抑制する効果を奏す。グランド電位線63は、第2コンデンサーC2を介して、第2電極線62と電気的に接続される。つまり、第2コンデンサーC2は、第2電極線62とグランド電位線63との間に電気的に接続される。例えば、第2コンデンサーC2は、0.1μF以上の容量値を有する。
第1ノードN1は、第1電極線61を介して、検出電極213と電気的に接続される。第1ノードN1は、第1スイッチSW1を介して、グランド電位線63と電気的に接続される。第1ノードN1は、第2スイッチSW2を介して、測定電位生成回路50の出力端子と電気的に接続される。第1ノードN1は、第1コンデンサーC1を介して、グランド電位線63と電気的に接続される。つまり、第1コンデンサーC1は、第1ノードN1とグランド電位線63との間に電気的に接続される。例えば、第1コンデンサーC1は、1nFから10nF程度の容量値を有する。
第2電極線62は、第3スイッチSW3を介して、グランド電位線63と電気的に接続される。第2電極線62は、第4スイッチSW4を介して、測定電位生成回路50の出力端子と電気的に接続される。
第1スイッチSW1の状態は、中央制御回路30から出力される第1制御信号S1によって制御される。例えば、第1制御信号S1として、5Vの振幅を有する論理信号が中央制御回路30から出力され、論理「H」のとき、第1スイッチSW1はオン状態になる。
第2スイッチSW2の状態は、中央制御回路30から出力される第2制御信号S2によって制御される。例えば、第2制御信号S2として、5Vの振幅を有する論理信号が中央制御回路30から出力され、論理「H」のとき、第2スイッチSW2はオン状態になる。
第3スイッチSW3の状態は、中央制御回路30から出力される第3制御信号S3によって制御される。例えば、第3制御信号S3として、5Vの振幅を有する論理信号が中央制御回路30から出力され、論理「H」のとき、第3スイッチSW3はオン状態になる。
第4スイッチSW4の状態は、中央制御回路30から出力される第4制御信号S4によって制御される。例えば、第4制御信号S4として、5Vの振幅を有する論理信号が中央制御回路30から出力され、論理「H」のとき、第4スイッチSW4はオン状態になる。
測定電位生成回路50は、中央制御回路30から出力される参照電圧Vsrefに対応する測定電位Vsを出力する。例えば、測定電位生成回路50は、参照電圧Vsrefと同じ極性及び絶対値を有する測定電位Vsを出力する。すなわち、測定電位生成回路50から出力される測定電位Vsは、中央制御回路30によって可変制御される。このような測定電位生成回路50は、例えば、参照電圧Vsrefが入力されるボルテージフォロワーによって実現できる。
第1スイッチSW1から第4スイッチSW4と、測定電位生成回路50とによって、図1に示される電圧印加回路40が構成される。
増幅回路51は、検出電極213と電気的に接続された第1ノードN1の電位を増幅する。以下の説明では、第1ノードN1の電位を第1ノード電位と呼称する場合がある。増幅回路51は、増幅された第1ノード電位をA/Dコンバーター52に出力する。A/Dコンバーター52は、増幅回路51によって増幅された第1ノード電位をデジタル値に変換する。A/Dコンバーター52は、第1ノード電位のデジタル値を、検出電極電位Vdの測定値として、中央制御回路30に出力する。
例えば、増幅回路51は、オペアンプを用いた非反転増幅回路である。増幅回路51のグランド端子は、第1コンデンサーC1、及び第2コンデンサーC2が電気的に接続されたグランド電位線63と電気的に接続される。このように、増幅回路51のグランド端子をグランド電位線63と電気的に接続することにより、検出電極電位Vdの測定値に、測定回路70を構成するデジタル回路系の動作に伴うノイズ成分が重畳することを抑制できる。上記の増幅回路51の構成から理解されるように、A/Dコンバーター52から得られる検出電極電位Vdの測定値は、第1ノード電位、すなわち検出電極213の電位と、グランド電位との電位差に応じた値である。
増幅回路51及びA/Dコンバーター52によって、図1に示される電圧検出回路41が構成される。
中央制御回路30は、第2液晶パネル200の液晶層250への水分侵入による劣化状況の測定時において、測定回路70に含まれる各回路を制御する。具体的には、中央制御回路30は、参照電圧Vsrefを測定電位生成回路50に出力する。中央制御回路30は、第1制御信号S1から第4制御信号S4を、第1スイッチSW1から第4スイッチSW4にそれぞれ出力する。このように、本実施形態における中央制御回路30は、参照電圧Vsrefを測定電位生成回路50に出力し、第1スイッチSW1から第4スイッチSW4を制御する。
図4に示すように、プロジェクター1は、測定値記憶回路53と、表示情報生成回路54と、をさらに備える。中央制御回路30は、A/Dコンバーター52から出力される検出電極電位Vdの測定値を、測定値記憶回路53に記憶させる。測定値記憶回路53は、中央制御回路30による制御に従って、検出電極電位Vdの測定値を記憶する。中央制御回路30は、判定回路30aを含む。判定回路30aは、測定値記憶回路53に記憶された測定値に基づいて、第2液晶パネル200の液晶層250への水分侵入による劣化状況を判定する。表示情報生成回路54は、測定値および判定結果に基づいて、液晶層250への水分侵入による劣化状況を示す表示用情報を生成する。
なお、測定回路70を構成する各回路は、各回路が実現する機能の一部ないし全部を、例えば、中央制御回路30の制御プログラムで実現する構成としてもよい。また、測定回路70は、1つのIC(Integrated Circuit)であっても、複数のICに分割されていてもよい。
上記で説明した構成要素のうち、少なくとも、第2液晶パネル200と、測定回路70と、第2ヒーター線H2とによって、本実施形態における液晶装置が構成される。この液晶装置において、第2液晶パネル200は、検出電極213と、共通電極222と、検出電極213と共通電極222とによって配置された液晶層250と、を備える液晶パネルに相当する。液晶装置において、測定回路70は、検出電極213と共通電極222との夫々に電位を供給すると共に、検出電極213の電位である検出電極電位Vdを測定する測定回路に相当する。液晶装置において、第2ヒーター線H2は、液晶パネルとしての第2液晶パネル200を加熱する加熱装置に対応する。
1.2.第2液晶パネル200の液晶層250の物性測定方法の概要
以下、第2液晶パネル200の液晶層250に侵入した水分量を推定するための、液晶層250の物性測定方法の詳細を説明する。図5は、第2液晶パネル200の液晶層250の物性測定方法を示す概略的なフローチャートである。以下では、図5を参照しながら、液晶層250の物性測定方法について説明する。
図5に示すように、ステップS10では、所定のイベントが発生すると、測定モードに移行し、第2液晶パネル200の液晶層250の物性測定を開始する。ここで、所定のイベントには、プロジェクター1の電源オンおよび電源オフ、プロジェクター1における保全メニュー選択からの測定指示などがある。中央制御回路30は、これらの測定モード移行イベントの発生を検知すると、液晶層250の物性測定を開始する。
なお、ステップS10は、測定モード移行イベントの概念を示している。実際には、例えば、保全メニュー選択からの指示は割り込み処理的なものであり、プロジェクター1は電源が投入されている。また、測定モード移行イベントは、例示した「保全メニュー選択」、「電源オン」および「電源オフ」の全てを強制するものでもない。
中央制御回路30は、測定モード移行イベントの発生を検知すると、まず、後述の測定処理の実行回数を示すカウント値Kを「0」にリセットする(ステップS11)。続いて、中央制御回路30は、カウント値Kに「1」を加算する(ステップS12)。続いて、中央制御回路30は、カウント値Kが奇数か否かを判定する(ステップS13)。
中央制御回路30は、カウント値Kが奇数である場合(ステップS13:Yes)、第1測定処理を実行する(ステップS14)。一方、中央制御回路30は、カウント値Kが偶数である場合(ステップS13:No)、第2測定処理を実行する(ステップS15)。第1測定処理及び第2測定処理の具体的な内容については後述する。
中央制御回路30は、第1測定処理または第2測定処理を実行した後に、カウント値Kが上限値Kmaxと等しいか否かを判定する(ステップS16)。中央制御回路30は、カウント値Kが上限値Kmaxと等しくない場合(ステップS16:No)、ステップS12に戻る。一方、中央制御回路30は、カウント値Kが上限値Kmaxと等しい場合(ステップS16:Yes)、後述のステップS17に移行する。
上記のステップS11からステップS16までの処理の説明から理解されるように、中央制御回路30は、カウント値Kが上限値Kmaxと等しくなるまで、第1測定処理と第2測定処理とを交互に実行する。例えば、上限値Kmaxが「10」である場合、第1測定処理と第2測定処理とが、それぞれ5回ずつ実行される。以下では、図6及び図7を参照しながら、第1測定処理及び第2測定処理について詳細に説明する。なお、上限値Kmaxは予め、中央制御回路30の制御プログラムに設定されているものである。あるいは、図示を省略した入力手段によって数値を設定できるようにしてもよい。入力手段は、例えば、中央制御回路30が備える入力キーや、液晶装置を用いた投射型表示装置に対して有線もしくは無線接続されたPCなどである。上限値Kmaxが2以上に設定されていれば、第1測定処理もしくは第2測定処理の複数回の測定結果について平均値を計算して、再現性の良いデータを得ることができる。後述する詳細な測定例では、上限値Kmax=20であり、10回の第1測定処理の平均値を計算している。
図6は、第1測定処理及び第2測定処理の実行時における検出電極213及び共通電極222のそれぞれの電位の時間的な変化を示す図である。図6において、横軸は時間であり、縦軸は電圧である。図6では、説明の便宜上、各電極の電位表示は実際とは異ならしめている。例えば、縦軸の1.2Vの値は5Vのおよそ半値の部分に描かれている。図6において、検出電極213の電位である検出電極電位Vdは一部を除いて実線によって示され、共通電極222の電位である共通電極電位Vcは点線によって示される。
図7は、第1測定処理及び第2測定処理の実行時における検出電極213と共通電極222との電位差の時間的な変化を示す図である。図7において、横軸は時間であり、縦軸は共通電極222を基準とした際の検出電極213の電圧である。換言すれば、検出電極213における液晶層250の印可電圧である。図7では、共通電極電位Vcに対して、検出電極電位Vdが大きいときの電位差の極性を正極性としている。
図6及び図7において、時刻t1から時刻t5までの期間T10において第1測定処理が実行される。以下の説明では、第1測定処理が実行される期間T10を第1測定期間T10と呼称する場合がある。第1測定期間T10は、第1逆掃引期間T1と、第1緩和期間T2と、第1充電期間T3と、第1放電期間T4とを含む。第1逆掃引期間T1は、時刻t1から時刻t2までの期間である。第1緩和期間T2は、時刻t2から時刻t3までの期間である。第1充電期間T3は、時刻t3から時刻t4までの期間である。第1放電期間T4は、時刻t4から時刻t5までの期間である。
第1逆掃引期間T1において、測定回路70は、検出電極213と共通電極222との電位差が第1電位差Vp1となるように、検出電極213と共通電極222との夫々に電位を供給する。
具体的には、第1逆掃引期間T1において、中央制御回路30は、例えば+5Vの参照電圧Vsrefを測定電位生成回路50に出力する。これにより、測定電位生成回路50から+5Vの測定電位Vsが出力される。また、第1逆掃引期間T1において、中央制御回路30は、第2スイッチSW2及び第3スイッチSW3をオン状態に制御するとともに、第1スイッチSW1及び第4スイッチSW4をオフ状態に制御する。
第1逆掃引期間T1において、中央制御回路30が、上記のように第1スイッチSW1から第4スイッチSW4を制御することにより、測定電位生成回路50の出力端子が検出電極213と電気的に接続され、グランド電位線63が共通電極222と電気的に接続される。これにより、第1逆掃引期間T1において、検出電極213に+5Vの測定電位Vsが供給され、共通電極222にグランド電位、すなわち0Vが供給される。その結果、図6に示すように、第1逆掃引期間T1において、検出電極電位Vdは+5Vとなり、共通電極電位Vcは0Vとなる。また、図7に示すように、第1逆掃引期間T1において、検出電極213と共通電極222との電位差は、第1電位差Vp1、すなわち+5Vとなる。
このように、第1逆掃引期間T1において、測定回路70は、検出電極213と共通電極222との電位差が+5Vの第1電位差Vp1となるように、検出電極213に+5Vの測定電位Vsを供給すると共に、共通電極222にグランド電位を供給する。本実施形態において、第1逆掃引期間T1は、第1期間に対応する。
第1逆掃引期間T1と第1充電期間T3との間の第1緩和期間T2において、測定回路70は、検出電極213と共通電極222との電位差が、第1電位差Vp1と同じ極性を有し、且つ第1電位差Vp1の絶対値より小さい絶対値を有する第3電位差Vp3となるように、検出電極213と共通電極222との夫々に電位を供給する。
具体的には、第1緩和期間T2において、中央制御回路30は、例えば+1.2Vの参照電圧Vsrefを測定電位生成回路50に出力する。これにより、測定電位生成回路50から+1.2Vの測定電位Vsが出力される。また、第1緩和期間T2において、中央制御回路30は、第2スイッチSW2及び第3スイッチSW3をオン状態に制御するとともに、第1スイッチSW1及び第4スイッチSW4をオフ状態に制御する。
第1緩和期間T2において、中央制御回路30が、上記のように第1スイッチSW1から第4スイッチSW4を制御することにより、測定電位生成回路50の出力端子が検出電極213と電気的に接続され、グランド電位線63が共通電極222と電気的に接続される。これにより、第1緩和期間T2において、検出電極213に+1.2Vの測定電位Vsが供給され、共通電極222にグランド電位が供給される。その結果、図6に示すように、第1緩和期間T2において、検出電極電位Vdは+1.2Vとなり、共通電極電位Vcは0Vとなる。また、図7に示すように、第1緩和期間T2において、検出電極213と共通電極222との電位差は、第3電位差Vp3、すなわち+1.2Vとなる。
このように、第1緩和期間T2において、測定回路70は、検出電極213と共通電極222との電位差が、第1電位差Vp1と同じ極性を有し、且つ第1電位差Vp1の絶対値より小さい絶対値を有する第3電位差Vp3(+1.2V)となるように、検出電極213に+1.2Vの測定電位Vsを供給すると共に、共通電極222にグランド電位を供給する。本実施形態において、第1緩和期間T2は、第4期間に対応する。
第1逆掃引期間T1後であって、且つ第1緩和期間T2後の第1充電期間T3において、測定回路70は、検出電極213と共通電極222との電位差が、第1電位差Vp1と異なる極性を有する第2電位差Vp2となるように、検出電極213と共通電極222との夫々に電位を供給する。
具体的には、第1充電期間T3において、中央制御回路30は、例えば+1.2Vの参照電圧Vsrefを測定電位生成回路50に出力する。これにより、測定電位生成回路50から+1.2Vの測定電位Vsが出力される。また、第1充電期間T3において、中央制御回路30は、第1スイッチSW1及び第4スイッチSW4をオン状態に制御するとともに、第2スイッチSW2及び第3スイッチSW3をオフ状態に制御する。
第1充電期間T3において、中央制御回路30が、上記のように第1スイッチSW1から第4スイッチSW4を制御することにより、測定電位生成回路50の出力端子が共通電極222と電気的に接続され、グランド電位線63が検出電極213と電気的に接続される。これにより、第1充電期間T3において、検出電極213にグランド電位が供給され、共通電極222に+1.2Vの測定電位Vsが供給される。その結果、図6に示すように、第1充電期間T3において、検出電極電位Vdは+0Vとなり、共通電極電位Vcは+1.2Vとなる。また、図7に示すように、第1充電期間T3において、検出電極213と共通電極222との電位差は、第2電位差Vp2、すなわち-1.2Vとなる。
このように、第1充電期間T3において、測定回路70は、検出電極213と共通電極222との電位差が、第1電位差Vp1と異なる極性を有する第2電位差Vp2(-1.2V)となるように、共通電極222に+1.2Vの測定電位Vsを供給すると共に、検出電極213にグランド電位を供給する。本実施形態において、第1充電期間T3は、第2期間に対応する。
第1充電期間T3後の第1放電期間T4において、測定回路70は、検出電極213への電位の供給を停止すると共に共通電極222に第1充電期間T3と同じ電位を供給し、少なくとも1回、例えば、第1放電期間T4の終了時に検出電極電位Vdを測定する。
具体的には、第1放電期間T4において、中央制御回路30は、例えば+1.2Vの参照電圧Vsrefを測定電位生成回路50に出力する。これにより、測定電位生成回路50から+1.2Vの測定電位Vsが出力される。また、第1放電期間T4において、中央制御回路30は、第4スイッチSW4をオン状態に制御するとともに、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、及び第3スイッチSW3をオフ状態に制御する。
第1放電期間T4において、中央制御回路30が、上記のように第1スイッチSW1から第4スイッチSW4を制御することにより、測定電位生成回路50の出力端子が共通電極222と電気的に接続され、グランド電位線63が検出電極213と電気的に切断される。これにより、第1放電期間T4において、共通電極222には+1.2Vの測定電位Vsが供給され続けるが、検出電極213への電位供給が停止するため、液晶層250は、第1充電期間T3に充電された電荷を放電する。その結果、図6に示すように、第1放電期間T4において、検出電極電位Vdは、グランド電位である0Vから共通電極222に与えられた電位(+1.2)Vに向かって緩やかに変化し、時刻t5において電位Vd1に到達する。
本願発明者による研究の結果、第1放電期間T4の終了時における検出電極電位Vd1の値は、液晶層250に含まれる可動性イオンの量に依存し、可動性イオンの量は、液晶層250の水分量に依存することが判明した。従って、後述するように、第1放電期間T4の終了時の検出電極電位Vd1を測定することにより、第2液晶パネル200内の液晶層250への水分の侵入を推定でき、水分の侵入に起因する液晶層250の劣化状況を判定することができる。
なお、図7に示すように、第1放電期間T4の終了時の検出電極電位Vd1は、共通電極222を基準とする電位差V3に対応する。
中央制御回路30は、例えば、第1放電期間T4が終了する時刻t5における検出電極電位Vd1を測定する。具体的には、検出電極電位Vd1は増幅回路51によって増幅され、増幅回路51の出力がA/Dコンバーター52に入力される。中央制御回路30は、時刻t5にA/Dコンバーター52から出力されるデジタル値を、検出電極電位Vd1の測定値として取得する。中央制御回路30は、時刻t5に得られた検出電極電位Vd1の測定値を測定値記憶回路53に記憶させる。
このように、第1放電期間T4において、測定回路70は、検出電極213への電位の供給を停止すると共に、共通電極222に第1充電期間T3と同じ+1.2Vの測定電位Vsを供給し、少なくとも1回、例えば、第1放電期間T4の終了する時刻t5に検出電極電位Vd1を測定する。本実施形態において、第1放電期間T4は、第3期間に対応する。
以上が第1測定処理の説明である。
第1逆掃引期間T1の長さ、第1電位差Vp1は任意に設定可能である。可動性イオンの初期配置を効率よく行うためには、第1逆掃引期間T1を長く、第1電位差Vp1を大きく設定するほうがよい。しかし、第1逆掃引期間T1を長くしすぎると測定時間が長くなる問題がある。また、第1電位差Vp1を大きくしすぎると測定回路70の構成を肥大化させる問題がある。さらには液晶層250に想定外の劣化を引き起こす懸念がある。そのため、典型的には、第1逆掃引期間T1は第1液晶パネル100の1フレーム期間よりも長く、例えば、数100ms程度以下に設定する。第1電位差Vp1は液晶材料の標準的な印可電圧である5V程度に収めるとよい。そうすれば測定回路70を容易に構成できる。ただし、第1電位差Vp1が液晶層250の液晶分子を動かす、すなわち誘電異方性が見えるような電圧を超えると問題がある。これらのより詳細な説明は後述する。
第1充電期間T3の長さ、第1充電期間T3における第2電位差Vp2の絶対値は任意に設定可能である。第1充電期間T3中の可動性イオンの移動を抑制するためには、第1充電期間T3を短く、第2電位差Vp2を小さく設定するほうがよい。しかし、第1充電期間T3を短くするためには、共通電極222等の高速な電位応答が必要であり、測定回路70に高性能が求められる。また、第2電位差Vp2の絶対値を小さくしすぎると、第1放電期間T4において、可動性イオンの移動に時間が必要になるので測定時間が長くなる問題がある。そのため、典型的には、第1充電期間T3は第1液晶パネル100の1フレーム期間よりも短く、数m秒程度にするとよい。例えば、5m秒である。また、第2電位差Vp2の絶対値は、0Vより大きく、且つ液晶層250の閾値電圧Vthより小さいことが好ましい。例えば、1.2Vである。そうすれば第1放電期間T4において、液晶層250の誘電異方性の影響を抑制した測定ができる。なお、液晶層250の閾値電圧Vthは、液晶層250の透過率または明るさが、その最大階調比で約10%となるような駆動電圧であり、より好ましくは、液晶分子が動きはじめる直前の電圧、または、液晶分子の配向状態が変化しだす直前の電圧である。本実施形態では、ノーマリーブラック型の第1液晶パネル100及び第2液晶パネル200としているために上記のような液晶層250の閾値電圧Vthを定義した。ノーマリーホワイト型の第1液晶パネル100及び第2液晶パネル200とする場合には、例えば、液晶層250の閾値電圧Vthは、液晶層250の透過率または明るさが、その最大階調比で約90%となる駆動電圧のように定義できる。これらのより詳細な説明は後述する。
さらに、上記の説明では、第1緩和期間T2における第3電位差Vp3の絶対値が、第2電位差Vp2の絶対値と同じ1.2Vである場合を例示したが、このように第3電位差Vp3の絶対値は、0Vより大きく、且つ液晶層250の閾値電圧Vthより小さいことが好ましい。第3電位差Vp3の絶対値を上記のように設定する理由は後述する。なお、必ずしも、第3電位差Vp3の絶対値が、第2電位差Vp2の絶対値と同じである必要はない。
続いて、第2測定処理について説明する。第2測定処理では、液晶層250の印可電圧について、第2測定処理とは極性が反転するように検出電極213と共通電極222の各電位を制御する。
図6及び図7において、時刻t5から時刻t9までの期間T20において第2測定処理が実行される。以下の説明では、第2測定処理が実行される期間T20を第2測定期間T20と呼称する場合がある。第2測定期間T20は、第2逆掃引期間T5と、第2緩和期間T6と、第2充電期間T7と、第2放電期間T8とを含む。第2逆掃引期間T5は、時刻t5から時刻t6までの期間である。第2緩和期間T6は、時刻t6から時刻t7までの期間である。第2充電期間T7は、時刻t7から時刻t8までの期間である。第2放電期間T8は、時刻t8から時刻t9までの期間である。
第1放電期間T4後の第2逆掃引期間T5において、測定回路70は、検出電極213と共通電極222との電位差が、第1電位差Vp1と異なる極性を有し、且つ第1電位差Vp1の絶対値と同じ絶対値を有する第4電位差Vp4となるように、検出電極213と共通電極222との夫々に電位を供給する。
具体的には、第2逆掃引期間T5において、中央制御回路30は、例えば+5Vの参照電圧Vsrefを測定電位生成回路50に出力する。これにより、測定電位生成回路50から+5Vの測定電位Vsが出力される。また、第2逆掃引期間T2において、中央制御回路30は、第1スイッチSW1及び第4スイッチSW4をオン状態に制御するとともに、第2スイッチSW2及び第3スイッチSW3をオフ状態に制御する。
第2逆掃引期間T5において、中央制御回路30が、上記のように第1スイッチSW1から第4スイッチSW4を制御することにより、測定電位生成回路50の出力端子が共通電極222と電気的に接続され、グランド電位線63が検出電極213と電気的に接続される。これにより、第2逆掃引期間T5において、共通電極222に+5Vの測定電位Vsが供給され、検出電極213にグランド電位が供給される。その結果、図6に示すように、第2逆掃引期間T5において、検出電極電位Vdは0Vとなり、共通電極電位Vcは+5Vとなる。また、図7に示すように、第2逆掃引期間T5において、検出電極213と共通電極222との電位差は、第4電位差Vp4、すなわち-5Vとなる。
このように、第2逆掃引期間T5において、測定回路70は、検出電極213と共通電極222との電位差が、第1電位差Vp1と異なる極性を有し、且つ第1電位差Vp1の絶対値と同じ絶対値を有する第4電位差Vp4(-5V)となるように、共通電極222に+5Vの測定電位Vsを供給すると共に、検出電極213にグランド電位を供給する。本実施形態において、第2逆掃引期間T5は、第5期間に対応する。
第2逆掃引期間T5と第2充電期間T7との間の第2緩和期間T6において、測定回路70は、検出電極213と共通電極222との電位差が、第4電位差Vp4と同じ極性を有し、且つ第4電位差Vp4の絶対値より小さい絶対値を有する第6電位差Vp6となるように、検出電極213と共通電極222との夫々に電位を供給する。
具体的には、第2緩和期間T6において、中央制御回路30は、例えば+1.2Vの参照電圧Vsrefを測定電位生成回路50に出力する。これにより、測定電位生成回路50から+1.2Vの測定電位Vsが出力される。また、第2緩和期間T6において、中央制御回路30は、第1スイッチSW1及び第4スイッチSW4をオン状態に制御するとともに、第2スイッチSW2及び第3スイッチSW3をオフ状態に制御する。
第2緩和期間T6において、中央制御回路30が、上記のように第1スイッチSW1から第4スイッチSW4を制御することにより、測定電位生成回路50の出力端子が共通電極222と電気的に接続され、グランド電位線63が検出電極213と電気的に接続される。これにより、第2緩和期間T6において、共通電極222に+1.2Vの測定電位Vsが供給され、検出電極213にグランド電位が供給される。その結果、図6に示すように、第2緩和期間T6において、検出電極電位Vdは0Vとなり、共通電極電位Vcは+1.2Vとなる。また、図7に示すように、第2緩和期間T6において、検出電極213と共通電極222との電位差は、第6電位差Vp6、すなわち-1.2Vとなる。
このように、第2緩和期間T6において、測定回路70は、検出電極213と共通電極222との電位差が、第4電位差Vp4と同じ極性を有し、且つ第4電位差Vp4の絶対値より小さい絶対値を有する第6電位差Vp6(-1.2V)となるように、共通電極222に+1.2Vの測定電位Vsを供給すると共に、検出電極213にグランド電位を供給する。本実施形態において、第2緩和期間T6は、第8期間に対応する。
第2逆掃引期間T5後であって、且つ第2緩和期間T6後の第2充電期間T7において、測定回路70は、検出電極213と共通電極222との電位差が、第4電位差Vp4と異なる極性を有する第5電位差Vp5となるように、検出電極213と共通電極222との夫々に電位を供給する。
具体的には、第2充電期間T7において、中央制御回路30は、例えば+1.2Vの参照電圧Vsrefを測定電位生成回路50に出力する。これにより、測定電位生成回路50から+1.2Vの測定電位Vsが出力される。また、第2充電期間T7において、中央制御回路30は、第2スイッチSW2及び第3スイッチSW3をオン状態に制御するとともに、第1スイッチSW1及び第4スイッチSW4をオフ状態に制御する。
第2充電期間T7において、中央制御回路30が、上記のように第1スイッチSW1から第4スイッチSW4を制御することにより、測定電位生成回路50の出力端子が検出電極213と電気的に接続され、グランド電位線63が共通電極222と電気的に接続される。これにより、第2充電期間T7において、共通電極222にグランド電位が供給され、検出電極213に+1.2Vの測定電位Vsが供給される。その結果、図6に示すように、第2充電期間T7において、検出電極電位Vdは+1.2Vとなり、共通電極電位Vcは0Vとなる。また、図7に示すように、第2充電期間T7において、検出電極213と共通電極222との電位差は、第5電位差Vp5、すなわち+1.2Vとなる。
このように、第2充電期間T7において、測定回路70は、検出電極213と共通電極222との電位差が、第4電位差Vp4と異なる極性を有する第5電位差Vp5(+1.2V)となるように、検出電極213に+1.2Vの測定電位Vsを供給すると共に、共通電極222にグランド電位を供給する。本実施形態において、第2充電期間T7は、第6期間に対応する。
第2充電期間T7後の第2放電期間T8において、測定回路70は、検出電極213への電位の供給を停止すると共に共通電極222に第2充電期間T7と同じ電位を供給し、少なくとも1回、例えば、第2放電期間T8の終了時に検出電極電位Vdを測定する。
具体的には、第2放電期間T8において、中央制御回路30は、例えば+1.2Vの参照電圧Vsrefを測定電位生成回路50に出力する。これにより、測定電位生成回路50から+1.2Vの測定電位Vsが出力される。また、第2放電期間T8において、中央制御回路30は、第3スイッチSW3をオン状態に制御するとともに、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、及び第4スイッチSW4をオフ状態に制御する。
第2放電期間T8において、中央制御回路30が、上記のように第1スイッチSW1から第4スイッチSW4を制御することにより、測定電位生成回路50の出力端子が検出電極213と電気的に切断され、グランド電位線63が共通電極222と電気的に接続される。これにより、第2放電期間T8において、共通電極222にはグランド電位が供給され続けるが、検出電極213への電位供給が停止するため、液晶層250は、第2充電期間T7に充電された電荷を放電する。その結果、図6に示すように、第2放電期間T8において、検出電極電位Vdは、+1.2Vから共通電極222に与えられた電位(0V)に向かって緩やかに変化する。
第1放電期間T4の終了時の検出電極電位Vd1と同様に、第2放電期間T8の終了時における検出電極電位Vd2の値は、液晶層250に含まれる可動性イオンの量、すなわち液晶層250の水分量に依存する。従って、後述するように、第2放電期間T8の終了時の検出電極電位Vd2を測定することにより、第2液晶パネル200への水分の侵入を推定でき、水分の侵入に起因する液晶層250の劣化状況を判定することができる。
なお、図7に示すように、第2放電期間T8の終了時の検出電極電位Vd2は、共通電極222を基準とする電位差V4に対応する。
中央制御回路30は、例えば、第2放電期間T8が終了する時刻t9における検出電極電位Vd2を測定する。具体的には、検出電極電位Vd1は増幅回路51によって増幅され、増幅回路51の出力がA/Dコンバーター52に入力される。中央制御回路30は、時刻t9にA/Dコンバーター52から出力されるデジタル値を、検出電極電位Vd2の測定値として取得する。中央制御回路30は、時刻t9に得られた検出電極電位Vd2の測定値を測定値記憶回路53に記憶させる。
このように、第2放電期間T8において、測定回路70は、検出電極213への電位の供給を停止すると共に、共通電極222に第2充電期間T7と同じグランド電位を供給し、少なくとも1回、例えば、第2放電期間T8の終了時刻t9に検出電極電位Vd2を測定する。本実施形態において、第2放電期間T8は、第7期間に対応する。なお、説明では第1測定処理と第2測定処理の夫々において検出電極電位Vd(Vd1、Vd2)を測定するとしたが、少なくとも一方で測定が実施されていればよい。
以上が第2測定処理の説明である。
第2逆掃引期間T5の長さ、第2逆掃引期間T5における第4電位差Vp4は任意に設定可能である。ただし、第2逆掃引期間T5の長さに関する制約条件は、第1逆掃引期間T1の長さに関する制約条件と同じである。また、第4電位差Vp4に関する制約条件は、第1電位差Vp1に関する制約条件と同じである。さらに測定動作において、液晶層250に対する不要な直流電圧を印可しないようにするために、第1逆掃引期間T1の長さと、第2逆掃引期間T5の長さは同じに設定するとよい。同様の理由で、第1電位差Vp1の絶対値と、第4電位差Vp4は同じに設定するとよい。
第2充電期間T7の長さ、第5電位差Vp5の絶対値は任意に設定可能である。ただし、第2充電期間T7の長さに関する制約条件は、第1充電期間T3の長さに関する制約条件と同じである。また、第5電位差Vp5の絶対値に関する制約条件は、第2電位差Vp2の絶対値に関する制約条件と同じである。さらに測定動作において、液晶層250に対する不要な直流電圧を印可しないようにするために、第1充電期間T3の長さと、第2充電期間T7の長さは同じに設定するとよい。同様の理由で、第2電位差Vp2の絶対値と第5電位差Vp5の絶対値は同じに設定するとよい。
さらに、上記の説明では、第2緩和期間T6における第6電位差Vp6の絶対値が、第5電位差Vp5の絶対値と同じ1.2Vである場合を例示したが、このように第6電位差Vp6の絶対値は、0Vより大きく、且つ液晶層250の閾値電圧Vthより小さいことが好ましい。第6電位差Vp6の絶対値を上記のように設定する理由は後述する。なお、必ずしも、第6電位差Vp6の絶対値が、第5電位差Vp5の絶対値と同じである必要はない。
図7から理解されるように、上記のような第1測定処理と第2測定処理とが交互に繰り返されることにより、液晶層250は交流駆動される。これにより、液晶層250の物性測定時において、液晶層250に直流電圧が印加されることに起因して液晶層250が劣化することを抑制できる。
以下、図5に戻って説明を続ける。
既に述べたように、中央制御回路30は、カウント値Kが上限値Kmaxと等しくなるまで、第1測定処理と第2測定処理とを交互に実行する。そして、中央制御回路30は、カウント値Kが上限値Kmaxと等しい場合(ステップS16:Yes)、後述のステップS17に移行する。全ての測定処理が終了したら、例えば、中央制御回路30は、第1スイッチSW1及び第3スイッチSW3をオン状態に制御し、第2スイッチSW2及び第4スイッチSW4をオフ状態に制御する。この結果、グランド電位が検出電極213と共通電極222に印可される。
ステップS17では、表示情報生成回路54は、測定値記憶回路53に記憶された検出電極電位Vd1及びVd2の測定値に基づいて、液晶層250への水分侵入による劣化状況を示す表示用データを作成する。そして、第1液晶パネル100の通常駆動時に、中央制御回路30は、表示情報生成回路54が生成した表示用データに基づく画像を表す画像光L5が投射されるように、パネル制御回路に命令を出力する。パネル制御回路は、中央制御回路30からの命令に従って、表示用データに基づく画像を表す画像光L5が投射されるように、第1液晶パネル100R、100G及び100Bの通常駆動を行う。これにより、投射スクリーンSCに画像光L5が投射され、液晶層250への水分侵入による劣化状況を示す画像が投射スクリーンSCに表示される。また、液晶層250への水分侵入による劣化状況を音声装置及び警告灯などの報知手段によって報知してもよい。
なお、液晶層250への水分侵入による劣化状況の表示は、検出電極電位Vd1及びVd2の測定値が、予め設定された閾値に達した時など、使用者への通知が必要な時にのみ行うようにしてもよい。また、プロジェクター1に搭載されたタッチパネルなどの表示装置に、液晶層250への水分侵入による劣化状況を表示させる構成を採用してもよい。
ステップS18では、中央制御回路30は、測定結果に関するデータを、不図示の通信回路を介して外部装置へ送信する。外部装置とは、例えば、プロジェクター1に関する情報を管理するインターネットサーバーなどである。なお、ステップS18は、プロジェクター1の仕様によっては、省略することができる。
液晶層250の劣化状況の測定結果は、プロジェクター1の保全メニューからも表示させることができる。保全メニューは、例えば、プロジェクター1における設定メニューの一部として実装される。ステップS10では、中央制御回路30は、測定結果の表示指示を受信すると、ステップS17に進み、測定結果を表す画像光L5が投射されるように、パネル制御回路に命令を出力する。
1.3.第1逆掃引期間T1及び第2逆掃引期間T5の作用効果
液晶層250に侵入した水分は、可動性イオンとして振る舞う。上記のように、本実施形態では、第1測定期間T10の先頭に第1逆掃引期間T1が挿入され、第2測定期間T20の先頭に第2逆掃引期間T5が挿入される。これにより、第1測定期間T10の開始直後と、第2測定期間T20の開始直後とのそれぞれにおいて、液晶層250に含まれる可動性イオンを、共通電極222及び検出電極213のいずれか一方に効果的に初期配置できる。このように可動性イオンの初期配置が整えられることにより、測定再現性を得られやすくなる。可動性イオンによる内部電場の影響も測定値に反映されるので、可動性イオンの増加が測定値の変化として現れやすくなる。
第1逆掃引期間T1及び第2逆掃引期間T5は、それぞれ、第1液晶パネル100の1フレーム期間よりも長いことが好ましい。例えば、第1逆掃引期間T1及び第2逆掃引期間T5は、それぞれ、20m秒以上である。これにより、液晶層250に含まれる可動性イオンを効果的に初期配置できる。可動性イオンの初期配置を制御できない状態で測定値を得た場合、十分な測定再現性を得られないことがある。
図8は、第1逆掃引期間T1及び第2逆掃引期間T5の効果を示す図である。この図は湿度管理されていない環境に放置した第2液晶パネル200に相当するTEG(Test Elementary Group)について検証した実験結果である。湿度管理されていないため液晶層250には水分が侵入している。図8は、第1逆掃引期間T1が20m秒のケースと、第1逆掃引期間T1が100m秒のケースと、第1逆掃引期間T1が500m秒のケースとのそれぞれについて、第1放電期間T4における検出電極電位Vdを測定した結果を示す。より詳細には、上記3つのケースのそれぞれについて、第1放電期間T4における検出電極電位Vdを11倍に増幅して測定した結果である。
図8において、横軸は、第1放電期間T4の放電開始からの時刻を示し、縦軸は、第1放電期間T4における検出電極電位Vdの測定値を示す。第1放電期間T4は200m秒である。また、図8において、縦軸は、検出電極電位Vdの測定値を、A/Dコンバーター52から出力されるデジタル値で表している。この測定ではA/Dコンバーター52として、10ビット仕様のA/Dコンバーターを使用し、測定値1023は約2.5Vに相当する。
図8に示されるように、第1逆掃引期間T1が長いほど、第1放電期間T4の終了時の測定値が大きくなる。この理由は、第1測定期間T10の先頭に第1逆掃引期間T1を挿入することにより、移動度の小さい可動性イオンが、共通電極222及び検出電極213のいずれか一方に効果的に初期配置された結果と考えられる。このような結果は、第1逆掃引期間T1及び第2逆掃引期間T5を長くすることにより、第2液晶パネル200の水分の侵入に起因する液晶層250の劣化の進行を感度良く追跡できることを示唆する。
図9は、液晶層250の電気特性図を示す。横軸は液晶層250への印可電圧であり、縦軸は電流である。この電気特性は、例えば、液晶層250に対して0.1Hzの±5Vの三角波電圧を印可した際の電流を測定して得ることができる。この手法は一般的にはサイクリックボルタンメトリー(cyclic voltammetry)と呼ばれる測定方法である。図9において矢印Aで示されるように、典型的には、可動性イオンによる電流は、液晶層250の充電電流に対して増分電流として出現し、比較的小さい電圧においてピーク電流を示す。このピーク電流は、液晶層250の劣化の進行に伴って、例えば破線Aで示されるような大きなピークとなって現れる。また、水分が液晶層250の内部に侵入した場合にもピーク電流に反映される。上記のような方法では、専用の精密測定機器を用いれば、可動性イオンの存在を定量的に評価できるが、プロジェクター1にこのような機能を実装することはコスト的に現実的ではない。しかるに本願の構成によれば、比較的簡便な回路構成で、水分侵入に起因する液晶層250の劣化状態を定量化できる。
第1逆掃引期間T1及び第2逆掃引期間T5において液晶層250に印加される電圧は、第1液晶パネル100の通常駆動時の最大印可電圧以上であることが好ましい。言い換えれば、第1逆掃引期間T1における第1電位差Vp1の絶対値と、第2逆掃引期間T5における第4電位差Vp4の絶対値とは、それぞれ、第1液晶パネル100の通常駆動時の最大印可電圧以上であることが好ましい。第1逆掃引期間T1及び第2逆掃引期間T5において液晶層250に印加される電圧は、液晶層250の閾値電圧Vth以上の電圧であってもよい。
図10は、液晶層250の規格化透過率と印加電圧との関係を示す図である。液晶層250のギャップ及び液晶材料によって透過率の特性は異なるが、例えば、第2液晶パネル200がノーマリーブラック型のVA(Vertical Alignment)液晶パネルであり、液晶層250のギャップが約2.6μmである場合、図10に示すように、4V弱の電圧が印加されたときに、液晶層250の透過率は最大となる。また規格化透過率が約10%となる閾値電圧Vthは約2.1Vである。この閾値電圧Vthと第1緩和期間T2及び第2緩和期間T6の関係について以下で説明する。
1.4.第1緩和期間T2及び第2緩和期間T6の効果
上記のように、本実施形態では、第1測定期間T10において第1逆掃引期間T1と第1充電期間T3との間に第1緩和期間T2が挿入され、第2測定期間T20において第2逆掃引期間T5と第2充電期間T7との間に第2緩和期間T6が挿入される。これにより、液晶層250の誘電異方性の影響を回避し、かつ検出電極213と共通電極222のいずれか一方に集積した可動性イオンを動かさずに測定できる。
上記のように、例えば、液晶層250の閾値電圧Vthは、2.1V程度である。つまり、第1緩和期間T2及び第2緩和期間T6において液晶層250に印加される電圧が、閾値電圧Vthより小さければ、液晶層250の誘電異方性の影響を抑制して測定できる。言い換えれば、第1緩和期間T2における第3電位差Vp3の絶対値と、第2緩和期間T6における第6電位差Vp6の絶対値とが、それぞれ、0Vより大きく、且つ閾値電圧Vthより小さければ、液晶層250の誘電異方性の影響を抑制して測定できる。
上記のように、本実施形態では、第1逆掃引期間T1から第1緩和期間T2に移行するときに、液晶層250の印加電圧は、極性が変わることなく、+5Vから+1.2Vへ切り替えられる。また、第2逆掃引期間T5から第2緩和期間T6に移行するときに、液晶層250の印加電圧は、極性が変わることなく、-5Vから-1.2Vへ切り替えられる。そのため、第1緩和期間T2及び第2緩和期間T6の長さは、液晶層250の応答時間を考慮して設定される。液晶層250の応答時間を考慮すると、第1緩和期間T2及び第2緩和期間T6は、1フレーム期間よりも長く設定されることが好ましい。例えば、第1緩和期間T2及び第2緩和期間T6は、20m秒、或いは50m秒等である。応答の早い液晶材料であれば、20m秒よりも短い値としてもよい。
1.5.第1充電期間T3及び第2充電期間T7の効果
基本的に、第1充電期間T3及び第2充電期間T7は、短いほうがよい。この理由は、第1充電期間T3及び第2充電期間T7を短くすると、移動度の大きい可動性イオンの作用を測定値の変化として捕えやすくなるからである。例えば、第1充電期間T3及び第2充電期間T7は、第1液晶パネル100の通常駆動時の1フレーム期間より短いことが好ましい。
図11は、第1充電期間T3及び第2充電期間T7の効果を示す図である。図11は、第1充電期間T3が1m秒のケースと、第1充電期間T3が5m秒のケースとのそれぞれについて、第1放電期間T4における検出電極電位Vdを測定した結果を示す。より詳細には、上記2つのケースのそれぞれについて、第1放電期間T4における検出電極電位Vdを11倍に増幅して測定した結果である。この実験は図8に示した実験に用いたサンプルを使用した。
図11において、横軸は、第1放電期間T4の放電開始からの時刻を示し、縦軸は、第1放電期間T4における検出電極電位Vdの測定値を示す。第1放電期間T4は200m秒である。また、図11において、縦軸は、検出電極電位Vdの測定値を、A/Dコンバーター52から出力されるデジタル値で表している。この測定ではA/Dコンバーター52として、10ビット仕様のA/Dコンバーターを使用し、測定値1023は約2.5Vに相当する。
図11に示されるように、第1充電期間T3が短いほど、第1放電期間T4の終了時の測定値が大きくなる。この理由は、第1充電期間T3が短縮されることで、第1充電期間T3中の可動性イオンの移動が抑制され、移動度の大きい可動性イオンの作用を効率的に反映した結果と考えられる。
1.6.室内放置による水分侵入と加熱による水分排出との検証
図12から図15は、それぞれ、室内放置による水分侵入と加熱による水分排出とを検証した結果を示す図である。この検証では、図8及び図11の実験に用いたTEGと同一構成のサンプルを4個使用した。以下、サンプル1、サンプル2、サンプル3、及びサンプル4と呼称する。
サンプル1からサンプル4を室内に放置し、室内放置時間がTEG作製後まもない第1ケースと、湿度管理の無い状況で室内放置時間が約3週間に達した第2ケースと、室内放置終了後に80℃の恒温槽で72時間加熱した第3ケースとのそれぞれについて、第1放電期間T4における検出電極電位Vdを測定した。図12は、サンプル1の測定結果を示す。図13は、サンプル2の測定結果を示す。図14は、サンプル3の測定結果を示す。図15は、サンプル4の測定結果を示す。
図12から図15において、横軸は、第1放電期間T4の放電開始からの時刻を示し、縦軸は、第1放電期間T4における検出電極電位Vdの測定値を示す。一例として、第1放電期間T4は200m秒である。また、図12から図15において、縦軸は、検出電極電位Vdの測定値を、A/Dコンバーター52から出力されるデジタル値で表している測定では図8及び図11に示した実験と同様に、A/Dコンバーター52として、10ビット仕様のA/Dコンバーターを使用した。
図12から図15に示されるように、第2ケースにおける放電曲線は、第1ケースにおける放電曲線と異なることがわかる。特に、第1ケースにおいて第1放電期間T4の終了時に得られる検出電極電位Vdの測定値と比較すると、第2ケースにおいて第1放電期間T4の終了時に得られる検出電極電位Vdの測定値は、上昇することがわかる。これは、サンプル1からサンプル4を、湿度管理の無い状況で約3週間、室内に放置した結果、サンプル1からサンプル4に水分が侵入し、液晶層250に含まれる可動性イオンが増加したことが原因と考えられる。このことは以下の加熱実験の結果と整合する。
図12から図15に示されるように、室内放置終了後に80℃の恒温槽で72時間加熱した第3ケースにおける放電曲線は、第1ケースにおける放電曲線と非常に近いことがわかる。特に、第3ケースにおいて第1放電期間T4の終了時に得られる検出電極電位Vdの測定値は、第1ケースにおいて第1放電期間T4の終了時に得られる検出電極電位Vdの測定値と非常に近い値になることがわかる。これは、室内放置終了後に80℃の恒温槽で72時間加熱した結果、サンプル1からサンプル4に含まれる水分が排出され、液晶層250に含まれる可動性イオンが減少したことが原因と考えられる。4個のサンプルで同様の結果となったため、再現性もあると考えることが妥当である。
先に説明したように、第1液晶パネル100は、第1シール材112を備え、第2液晶パネル200は、第1シール材112と同じ外形を有し、且つ第1シール材112の幅Wと同じ幅W2を有する第2シール材212を備える。また、第1液晶パネル100と第2液晶パネル200は、同一のプロジェクター1に装着されているため、それぞれの長期保管時における湿度環境の履歴は近しいものである。従って、第1シール材112と第2シール材212に関して、ぞれぞれの液晶層への水分侵入阻止能力と、加熱によるそれぞれの液晶層からの水分排出能力は同等とみなせる。つまり、第2液晶パネル200において、検出電極電位Vd1と検出電極電位Vd2との少なくとも一方を測定することにより、第2液晶パネル200内の液晶層250の水分量を推定できるので、同等の水分侵入阻止能力と、加熱による水分排出能力を有する第1液晶パネル100内の液晶層の水分量を推定できる。
そこで、本実施形態では、例えば、中央制御回路30は、測定モード移行イベントが発生するたびに、上記の第1測定処理及び第2測定処理を複数回実行した後、判定回路30aによって、検出電極電位Vd1及びVd2の少なくとも一方の測定値が閾値Vd_thに達しているか否かを判定する。
判定回路30aによって、測定値が閾値Vd_thに達していると判定された場合、中央制御回路30は、第1温度検出回路32、34及び36から得られる温度データに基づいて、第1液晶パネル100R、100G及び100Bの温度を監視しながら、第1液晶パネル100R、100G及び100Bが適正な温度で所定の時間だけ加熱されるように、第1加熱制御回路33、35及び37に命令を出力する。
同時に、中央制御回路30は、第2温度検出回路38から得られる温度データに基づいて、第2液晶パネル200の温度を監視しながら、第2液晶パネル200が適正な温度で所定の時間だけ加熱されるように、第2加熱制御回路39に命令を出力する。その結果、第1液晶パネル100R、100G及び100Bと、第2液晶パネル200とのそれぞれが、適正な温度で所定の時間だけ加熱されるため、第1液晶パネル100R、100G及び100Bと、第2液晶パネル200とのそれぞれの液晶層から水分が排出される。
加熱終了後、中央制御回路30は、再度、第1測定処理及び第2測定処理を複数回実行した後、判定回路30aによって、検出電極電位Vd1及びVd2の少なくとも一方の測定値が閾値Vd_thに達しているか否かを判定する。そして、判定回路30aによって、測定値が閾値Vd_thに達していないと判定された場合、すなわち、第1液晶パネル100R、100G及び100Bと、第2液晶パネル200とのそれぞれの液晶層から水分が排出されたと推定される場合、中央制御回路30は、通常駆動モードに移行する。
一方、加熱終了後においても、判定回路30aによって、測定値が閾値Vd_thに達していると判定された場合、中央制御回路30は、測定値が閾値Vd_thに達していないと判定されるまで、上記の加熱処理と、第1測定処理及び第2測定処理とを繰り返し実行する。これにより、最終的には、第1液晶パネル100R、100G及び100Bと、第2液晶パネル200とのそれぞれから水分が排出される。その結果、第1液晶パネル100R、100G及び100Bの液晶層中の水分に起因する劣化状況が改善され、プロジェクター1の通常駆動時に投射スクリーンSCに表示される画像の表示品質を向上させることができる。
(第1実施形態の効果)
以上説明したように、第1実施形態のプロジェクター1は、プロジェクター1の光路上に配置される第1液晶パネル100と、光路の外に配置され、検出電極213と、共通電極222と、検出電極213と共通電極222との間に配置される液晶層250と、を備える第2液晶パネル200と、検出電極213と共通電極222との夫々に電位を供給すると共に、検出電極213の電位である検出電極電位Vdを測定する測定回路70と、を備える。
例えば、測定回路70によって液晶層250を充放電させた後に得られる検出電極電位Vdの測定値は、液晶層250に含まれる可動性イオンの量に依存し、可動性イオンの量は、液晶層250の水分量に依存する。そのため、測定回路70によって第2液晶パネル200の検出電極電位Vdを測定することにより、第2液晶パネル200の水分量を推定できる。同じプロジェクター1に搭載された第1液晶パネル100の水分量は、第2液晶パネル200の水分量とほぼ同じであると考えられる。そのため、第2液晶パネル200の液晶層250の水分量を推定することにより、第1液晶パネル100の液晶省の水分量を推定できる。また、第2液晶パネルと第1液晶パネルの置かれた湿度履歴によるそれぞれの液晶層へ侵入した水分が、プロジェクター1が非通電時であっても維持される。
従って、上記実施形態によれば、プロジェクター1を常に電源オン状態に保ち続ける必要なく、例えば、長期保管後の第2液晶パネル200の液晶層250の水分検出によって、第1液晶パネル100の液晶層の水分量を推定することができる。
なお、液晶層250に含まれる可動性イオンの量は、光の入射によっても変化するが、上記のように、第2液晶パネル200は、プロジェクター1の光路外に配置されているため、第2液晶パネル200に光は入射しない。従って、検出電極電位Vdの測定によって、第2液晶パネル200への水分侵入に起因する可動性イオンの振る舞いのみを捉えることができるため、水分量の推定精度が向上する。さらには、加熱処理による第1液晶パネル100の液晶層からの水分の排出程度を推定できるため、効果的な加熱温度や加熱時間とすることができる。
第1実施形態のプロジェクター1において、測定回路70は、第1逆掃引期間T1において、検出電極213と共通電極222との電位差が第1電位差Vp1となるように、検出電極213と共通電極222との夫々に電位を供給し、第1逆掃引期間T1後の第1充電期間T3において、電位差が、第1電位差Vp1と異なる極性を有する第2電位差Vp2となるように、検出電極213と共通電極222との夫々に電位を供給し、第1充電期間T3後の第1放電期間T4において、検出電極213への電位の供給を停止すると共に共通電極222に第1充電期間T3と同じ電位を供給し、少なくとも第1放電期間T4の終了時に検出電極電位Vdを測定する。
上記のように、本実施形態では、第1充電期間T3及び第1放電期間T4の前に、第1逆掃引期間T1が挿入される。これにより、第1逆掃引期間T1において、液晶層250に含まれる可動性イオンを、共通電極222及び検出電極213のいずれか一方に効果的に初期配置できる。例えば、陽イオンは、共通電極222及び検出電極213のうち負極性の電位が供給される電極に初期配置され、陰イオンは、共通電極222及び検出電極213のうち正極性の電位が供給される電極に初期配置される。このように第1充電期間T3が始まる前に、可動性イオンの初期配置が整えられることにより、第1放電期間T4に得られる検出電極電位Vdの測定値に関して測定再現性を得ることができる。また、可動性イオンによる内部電場の影響も測定値に反映されるので、可動性イオンの増加が測定値の変化として現れやすくなる。その結果、第2液晶パネルの液晶層250への水分侵入を感度よく検知できる。
第1実施形態のプロジェクター1において、第1逆掃引期間T1は、第1液晶パネル100の1フレーム期間より長く、第1電位差Vp1の絶対値は、通常駆動時における第1液晶パネル100の液晶層の最大印加電圧以上である。
このように、第1逆掃引期間T1を1フレーム期間より長く設定することにより、移動度の小さい可動性イオンを、共通電極222及び検出電極213のいずれか一方に効果的に初期配置させることができる。従って、上記実施形態によれば、より高い測定再現性を持って、第2液晶パネルの液晶層250への水分侵入を感度よく検知できる。
第1実施形態のプロジェクター1において、第1充電期間T3は、第1液晶パネル100の1フレーム期間より短く、第2電位差Vp2の絶対値は、0Vより大きく、且つ液晶層250の閾値電圧Vthより小さい。
このように、第1充電期間T3を1フレーム期間より短く設定することにより、移動度の大きい可動性イオンの作用を測定値の変化として捕えやすくなる。
また、第2電位差Vp2の絶対値、すなわち第1充電期間T3に液晶層250に印加される電圧を、0Vより大きく、且つ液晶層250の閾値電圧Vthより小さく設定することにより、液晶層250の誘電異方性の影響を抑制しながら、第1放電期間T4における検出電極電位Vdを測定できる。
従って、上記実施形態によれば、より高い測定再現性を持って、第2液晶パネルの液晶層250への水分侵入を感度よく検知できる。
第1実施形態のプロジェクター1において、測定回路70は、第1逆掃引期間T1と第1充電期間T3との間の第1緩和期間T2において、電位差が、第1電位差Vp1と同じ極性を有し、且つ第1電位差Vp1の絶対値より小さい絶対値を有する第3電位差Vp3となるように、検出電極213と共通電極222との夫々に電位を供給する。
このように、第1逆掃引期間T1と第1充電期間T3との間に第1緩和期間T2が挿入されることにより、第1逆掃引期間T1に初期配置された可動性イオンを移動させることなく、第1逆掃引期間T1から第1充電期間T3へ移行させることができる。
従って、上記実施形態によれば、より高い測定再現性を持って、第2液晶パネルの液晶層250への水分侵入を感度よく検知できる。
第1実施形態のプロジェクター1において、第3電位差Vp1の絶対値は、0Vより大きく、且つ液晶層250の閾値電圧Vthより小さい。
このように、第3電位差Vp3の絶対値、すなわち第1緩和期間T2に液晶層250に印加される電圧を、0Vより大きく、且つ液晶層250の閾値電圧Vthより小さく設定することにより、液晶層250の誘電異方性の影響を抑制する効果が高まる。
従って、上記実施形態によれば、より高い測定再現性を持って、第2液晶パネルの液晶層250への水分侵入を感度よく検知できる。
第1実施形態のプロジェクター1において、測定回路70は、第1放電期間T4後の第2逆掃引期間T5において、電位差が、第1電位差Vp1と異なる極性を有し、且つ第1電位差Vp1の絶対値と同じ絶対値を有する第4電位差Vp4となるように、検出電極213と共通電極222との夫々に電位を供給し、第2逆掃引期間T5後の第2充電期間T7において、電位差が、第4電位差Vp4と異なる極性を有する第5電位差Vp5となるように、検出電極213と共通電極222との夫々に電位を供給し、第2充電期間T7後の第2放電期間T8において、検出電極213への電位の供給を停止すると共に共通電極222に第2充電期間T7と同じ電位を供給し、少なくとも1回、検出電極電位Vdを測定する。
上記のように、本実施形態では、第2充電期間T7及び第2放電期間T8の前に、第2逆掃引期間T5が挿入される。これにより、第2逆掃引期間T5において、液晶層250に含まれる可動性イオンを、共通電極222及び検出電極213のいずれか一方に効果的に初期配置できる。このように第2充電期間T7が始まる前に、可動性イオンの初期配置が整えられることにより、第2放電期間T8に得られる検出電極電位Vdの測定値に関して測定再現性を得ることができる。また、可動性イオンによる内部電場の影響も測定値に反映されるので、可動性イオンの増加が測定値の変化として現れやすくなる。
さらに、上記実施形態によれば、液晶層250が交流駆動されるため、検出電極電位Vdの測定時において、液晶層250に直流電圧が印加されることに起因して液晶層250が劣化することを抑制できる。
第1実施形態のプロジェクター1において、第2逆掃引期間T5は、第1液晶パネル100の1フレーム期間より長い。また、第4電位差Vp4の絶対値は、液晶層250の閾値電圧以上であり、通常駆動時における第1液晶パネル100の液晶層の最大印加電圧以上としてもよい。
このように、第2逆掃引期間T5を1フレーム期間より長く設定することにより、可動性イオンを、共通電極222及び検出電極213のいずれか一方に効果的に初期配置させることができる。
また、第4電位差Vp4の絶対値、すなわち第2逆掃引期間T5に液晶層250に印加される電圧を、液晶層250の閾値電圧以上とすることにより、可動性イオンを共通電極222及び検出電極213のいずれか一方に初期配置させることができる。
従って、上記実施形態によれば、より高い測定再現性を持って、第2液晶パネルの液晶層250への水分侵入を感度よく検知できる。
第1実施形態のプロジェクター1において、第2充電期間T7は、第1液晶パネル100の1フレーム期間より短く、第5電位差Vp5の絶対値は、0Vより大きく、且つ液晶層250の閾値電圧Vthより小さい。
このように、第2充電期間T7を1フレーム期間より短く設定することにより、移動度の大きい可動性イオンの作用を測定値の変化として捕えやすくなる。
また、第5電位差Vp5の絶対値、すなわち第2充電期間T7に液晶層250に印加される電圧を、0Vより大きく、且つ液晶層250の閾値電圧Vthより小さく設定することにより、液晶層250の誘電異方性の影響を抑制しながら、第2放電期間T8における検出電極電位Vdを測定できる。
従って、上記実施形態によれば、より高い測定再現性を持って、第2液晶パネルの液晶層250への水分侵入を感度よく検知できる。
第1実施形態のプロジェクター1において、測定回路70は、第2逆掃引期間T5と第2充電期間T7との間の第2緩和期間T6において、電位差が、第4電位差Vp4と同じ極性を有し、且つ第4電位差Vp4の絶対値より小さい絶対値を有する第6電位差Vp6となるように、検出電極213と共通電極222との夫々に電位を供給する。
このように、第2逆掃引期間T5と第2充電期間T7との間に第2緩和期間T6が挿入されることにより、第2逆掃引期間T5に初期配置された可動性イオンを移動させることなく、第2逆掃引期間T5から第2充電期間T7へ移行させることができる。
従って、上記実施形態によれば、より高い測定再現性を持って、第2液晶パネルの液晶層250への水分侵入を感度よく検知できる。
第1実施形態のプロジェクター1において、第6電位差Vp6の絶対値は、0Vより大きく、且つ液晶層250の閾値電圧Vthより小さい。
このように、第6電位差Vp6の絶対値、すなわち第2緩和期間T6に液晶層250に印加される電圧を、0Vより大きく、且つ液晶層250の閾値電圧Vthより小さく設定することにより、液晶層250の誘電異方性の影響を抑制する効果が高まる。
従って、上記実施形態によれば、より高い測定再現性を持って、第2液晶パネルの液晶層250への水分侵入を感度よく検知できる。
第1実施形態のプロジェクター1は、第1液晶パネル100の温度を検出する第1温度センサーTH1と、第1液晶パネル100を加熱する第1ヒーター線H1と、第2液晶パネル200の温度を検出する第2温度センサーTH2と、第2液晶パネル200を加熱する第2ヒーター線H2と、第1温度センサーTH1の出力と、第2温度センサーTH2の出力と、測定回路70によって得られる検出電極電位Vdの測定値とに基づいて、第1ヒーター線H1及び第2ヒーター線H2を制御する温度制御回路と、を備える。例えば、上記実施形態における温度制御回路は、中央制御回路30と、第1温度検出回路32、34及び36と、第1加熱制御回路33、35及び37と、第2温度検出回路38と、第2加熱制御回路39と、を含む。
上記実施形態によれば、例えば、検出電極電位Vdの測定値が閾値に到達した場合、すなわち、液晶層250の水分量が所定値に到達したと推定される場合などに、第1液晶パネル100及び第2液晶パネル200を適切に加熱することにより、第1液晶パネル100及び第2液晶パネル200から水分を排出させることができる。加熱終了後に、再度、検出電極電位Vdを測定することにより、第2液晶パネル200から水分が排出されたか確認できる。
第1実施形態のプロジェクター1において、第1液晶パネル100は、第1シール材112を備え、第2液晶パネル200は、第1シール材112と同じ外形を有し、且つ第1シール材112の幅W1と同じ幅W2を有する第2シール材212を備える。
上記の構成によれば、第1液晶パネル100のシール性能と、第2液晶パネル200のシール性能とを、ほぼ同じにすることができる。そのため、第2液晶パネル200の水分量の推定結果を、第1液晶パネル100の水分量の推定結果として、より有効的に使用することができる。
第1実施形態のプロジェクター1において、第1液晶パネル100と第2液晶パネル200とのうち、第1液晶パネル100が複数の画素電極を備える。
このように、第1液晶パネル100と第2液晶パネル200とのうち、第1液晶パネル100が複数の画素電極を備える。言い換えれば、第2液晶パネル200は、画素電極を備えていない。このような構成を採用することにより、第1液晶パネル100と比較して、第2液晶パネル200の構成を簡略化できるため、第2液晶パネル200の製造コストを低減することができる。
第1実施形態のプロジェクター1において、第1液晶パネル100は、複数の第1接続端子116を備え、第2液晶パネル200は、第1接続端子116の数よりも少ない複数の第2接続端子として、少なくとも第1電極接続端子215と、第2電極接続端子216とを備える。
このような構成を採用することにより、第1液晶パネル100と比較して、第2液晶パネル200の構成を簡略化できるため、第2液晶パネル200の製造コストを低減することができる。
第1実施形態のプロジェクター1が備える液晶装置は、検出電極213と、共通電極222と、検出電極213と共通電極222とによって配置された液晶層250と、を備える第2液晶パネル200と、検出電極213と共通電極222との夫々に電位を供給すると共に、検出電極213の電位である検出電極電位Vdを測定する測定回路70と、第2液晶パネル200を加熱する第2ヒーター線H2と、を備える。
このような液晶装置を、第1液晶パネル100に相当する液晶パネルを備える他の電気光学装置に搭載することにより、これらの電気光学装置に、液晶パネルの水分量を推定する機能を容易に実装することができる。
2.第2実施形態
以下、本発明の第2実施形態について説明する。以下に例示する各形態において、第1実施形態と共通の構成については、第1実施形態で使用した符号と同じ符号を付し、詳細な説明を適宜省略する。
第2実施形態では、液晶層250の物性測定方法が第1実施形態と異なり、プロジェクター1の構成は第1実施形態と同様である。そのため、以下では、第2実施形態における液晶層250の物性測定方法について説明する。
2.1.第2実施形態における液晶層250の物性測定方法の概要
第2実施形態における液晶層250の物性測定方法では、図5のフローチャートにおけるステップS14の処理が「第3測定処理を実行する」に変わり、図5のフローチャートにおけるステップS15の処理が「第4測定処理を実行する」に変わる。すなわち、第2実施形態における液晶層250の物性測定方法において、中央制御回路30は、カウント値Kが上限値Kmaxと等しくなるまで、第3測定処理と第4測定処理とを交互に実行する。以下では、図16を参照しながら、第3測定処理及び第4測定処理について詳細に説明する。
図16は、第3測定処理及び第4測定処理の実行時における検出電極電位Vdの時間的な変化を示す図である。図16において、横軸は時間であり、縦軸は電圧である。図16において、時刻t10から時刻t13までの期間T30において第3測定処理が実行される。以下の説明では、第3測定処理が実行される期間T30を第3測定期間T30と呼称する場合がある。
第3測定期間T30は、第3充電期間T9と、第3放電期間T10と、第1リセット期間T11とを含む。第3充電期間T9は、時刻t10から時刻t11までの期間である。第3放電期間T10は、時刻t11から時刻t12までの期間である。第1リセット期間T11は、時刻t12から時刻t13までの期間である。
第3充電期間T9において、測定回路70は、検出電極213と共通電極222との電位差が第7電位差となるように、検出電極213と共通電極222との夫々に電位を供給する。
具体的には、第3充電期間T9において、中央制御回路30は、例えば+1.2Vの参照電圧Vsrefを測定電位生成回路50に出力する。これにより、測定電位生成回路50から+1.2Vの測定電位Vsが出力される。また、第3充電期間T9において、中央制御回路30は、第2スイッチSW2及び第3スイッチSW3をオン状態に制御するとともに、第1スイッチSW1及び第4スイッチSW4をオフ状態に制御する。
第3充電期間T9において、中央制御回路30が、上記のように第1スイッチSW1から第4スイッチSW4を制御することにより、測定電位生成回路50の出力端子が検出電極213と電気的に接続され、グランド電位線63が共通電極222と電気的に接続される。これにより、第1充電期間T9において、検出電極213に+1.2Vの測定電位Vsが供給され、共通電極222にグランド電位、すなわち0Vが供給される。その結果、図16に示すように、第3充電期間T9において、検出電極電位Vdは+1.2Vとなり、共通電極電位Vcは0Vとなる。また、第3充電期間T9において、検出電極213と共通電極222との電位差は、第7電位差、すなわち+1.2Vとなる。
このように、第3充電期間T9において、測定回路70は、検出電極213と共通電極222との電位差が+1.2Vの第7電位差となるように、検出電極213に+1.2Vの測定電位Vsを供給すると共に、共通電極222にグランド電位を供給する。本実施形態において、第3充電期間T9は、第9期間に対応する。
第3充電期間T9後の第3放電期間T10において、測定回路70は、検出電極213への電位の供給を停止すると共に共通電極222に第3充電期間T9と同じ電位を供給し、例えば、第3放電期間T10の終了時に検出電極電位Vdを測定する。
第3放電期間T10は、第1液晶パネル100の1フレーム期間よりも長い。例えば、第3放電期間T10は、150ms、或いは200msである。または、第3放電期間T10を、例えば、1フレーム期間のN倍(Nは2以上の整数)に相当する期間に設定してもよい。
具体的には、第3放電期間T10において、中央制御回路30は、例えば+1.2Vの参照電圧Vsrefを測定電位生成回路50に出力する。これにより、測定電位生成回路50から+1.2Vの測定電位Vsが出力される。また、第3放電期間T10において、中央制御回路30は、第3スイッチSW3をオン状態に制御するとともに、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、及び第4スイッチSW4をオフ状態に制御する。
第3放電期間T10において、中央制御回路30が、上記のように第1スイッチSW1から第4スイッチSW4を制御することにより、グランド電位線63が共通電極222と電気的に接続され、測定電位生成回路50の出力端子が検出電極213と電気的に切断される。これにより、第3放電期間T10において、共通電極222にはグランド電位が供給され続けるが、検出電極213への電位供給が停止するため、液晶層250は、第3充電期間T9に充電された電荷を放電する。その結果、図16に示すように、第3放電期間T10において、検出電極電位Vdは、+1.2Vからグランド電位に向かって緩やかに変化する。
第3放電期間T9の終了時における検出電極電位Vd3の値は、液晶層250に含まれる可動性イオンの量、すなわち液晶層250の水分量に依存する。従って、第1実施形態と同様に、第3放電期間T9の終了時の検出電極電位Vd3を測定することにより、第2液晶パネル200の液晶層250の水分量を推定できる。
中央制御回路30は、例えば、第3放電期間T10が終了する時刻t12における検出電極電位Vd3を測定する。具体的には、中央制御回路30は、時刻t12にA/Dコンバーター52から出力されるデジタル値を、検出電極電位Vd3の測定値として取得する。中央制御回路30は、時刻t12に得られた検出電極電位Vd3の測定値を測定値記憶回路53に記憶させる。
このように、第3放電期間T10において、測定回路70は、検出電極213への電位の供給を停止すると共に、共通電極222に第3充電期間T9と同じグランド電位を供給し、例えば、第3放電期間T10が終了する時刻t12における検出電極電位Vd3を測定する。本実施形態において、第3放電期間T10は、第10期間に対応する。
第3放電期間T10後の第1リセット期間T11において、測定回路70は、検出電極213と共通電極222との夫々にグランド電位を供給する。
具体的には、第1リセット期間T11において、中央制御回路30は、第1スイッチSW1及び第3スイッチSW3をオン状態に制御するとともに、第2スイッチSW2及び第4スイッチSW4をオフ状態に制御する。
第1リセット期間T11において、中央制御回路30が、上記のように第1スイッチSW1から第4スイッチSW4を制御することにより、検出電極213及び共通電極222のそれぞれは、グランド電位線63と電気的に接続される。これにより、第1リセット期間T11において、検出電極213と共通電極222との夫々にグランド電位が供給される。その結果、図16に示すように、第1リセット期間T11において、検出電極電位Vdは0Vとなり、共通電極電位Vcも0Vとなる。
このように、第1リセット期間T11において、測定回路70は、検出電極213と共通電極222との夫々にグランド電位を供給する。これにより、液晶層250に残留する電荷がグランド電位線63に放電され、検出電極213と共通電極222との間の電位差は0Vにリセットされる。
以上が第3測定処理の説明である。
上記のように、第3放電期間T10は、第1液晶パネル100の1フレーム期間よりも長い。また、上記の説明では、第3充電期間T9における第7電位差が+1.2Vである場合を例示したが、このように、第7電位差の絶対値は、0Vより大きく、且つ液晶層250の閾値電圧Vthより小さいことが好ましい。
上記のように、第3放電期間T10を、第1液晶パネル100の1フレーム期間よりも長く設定することにより、検出電極213と共通電極222との間における可動性イオンの移動時間が確保される。その結果、液晶層250の可動性イオン量に応じた放電曲線の変化が効率的に発生し、第3放電期間T10の終了時に得られる検出電極電位Vd3の測定値によって、液晶層250への水分侵入を検知できる。
第3充電期間T9における第7電位差の絶対値を、0Vより大きく、且つ液晶層250の閾値電圧Vthより小さく設定することにより、液晶層250の誘電異方性の影響を抑制した測定ができる。
続いて、第4測定処理について説明する。
図16において、時刻t13から時刻t16までの期間T40において第4測定処理が実行される。以下の説明では、第4測定処理が実行される期間T40を第4測定期間T40と呼称する場合がある。
第4測定期間T40は、第4充電期間T12と、第4放電期間T13と、第2リセット期間T14とを含む。第4充電期間T12は、時刻t13から時刻t14までの期間である。第4放電期間T13は、時刻t14から時刻t15までの期間である。第2リセット期間T14は、時刻t15から時刻t16までの期間である。
第4充電期間T12において、測定回路70は、検出電極213と共通電極222との電位差が、第7電位差と異なる極性を有し、且つ第7電位差の絶対値と同じ絶対値を有する第8電位差となるように、検出電極213と共通電極222との夫々に電位を供給する。
具体的には、第4充電期間T12において、中央制御回路30は、例えば、+1.2Vの参照電圧Vsrefを測定電位生成回路50に出力する。これにより、測定電位生成回路50から+1.2Vの測定電位Vsが出力される。また、第4充電期間T12において、中央制御回路30は、第1スイッチSW1及び第4スイッチSW4をオン状態に制御するとともに、第2スイッチSW2及び第3スイッチSW3をオフ状態に制御する。
第4充電期間T12において、中央制御回路30が、上記のように第1スイッチSW1から第4スイッチSW4を制御することにより、測定電位生成回路50の出力端子が共通電極222と電気的に接続され、グランド電位線63が検出電極213と電気的に接続される。これにより、第4充電期間T12において、共通電極222に+1.2Vの測定電位Vsが供給され、検出電極213にグランド電位、すなわち0Vが供給される。その結果、図16に示すように、第4充電期間T12において、検出電極電位Vdは0Vとなり、共通電極電位Vcは+1.2Vとなる。また、第4充電期間T12において、検出電極213と共通電極222との電位差は、第8電位差、すなわち-1.2Vとなる。
このように、第4充電期間T12において、測定回路70は、検出電極213と共通電極222との電位差が-1.2Vの第8電位差となるように、共通電極222に+1.2Vの測定電位Vsを供給すると共に、検出電極213にグランド電位を供給する。
第4充電期間T12後の第4放電期間T13において、測定回路70は、検出電極213への電位の供給を停止すると共に共通電極222に第4充電期間T12と同じ電位を供給し、第4放電期間T13の終了時に検出電極電位Vdを測定する。
第4放電期間T13は、第1液晶パネル100の1フレーム期間よりも長い。例えば、第4放電期間T13は、150ms、或いは200msである。または、第4放電期間T13を、例えば、1フレーム期間のN倍(Nは2以上の整数)に相当する期間に設定してもよい。
具体的には、第4放電期間T13において、中央制御回路30は、例えば、+1.2Vの参照電圧Vsrefを測定電位生成回路50に出力する。これにより、測定電位生成回路50から+1.2Vの測定電位Vsが出力される。また、第4放電期間T13において、中央制御回路30は、第4スイッチSW4をオン状態に制御するとともに、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、及び第3スイッチSW3をオフ状態に制御する。
第4放電期間T13において、中央制御回路30が、上記のように第1スイッチSW1から第4スイッチSW4を制御することにより、グランド電位線63が検出電極213と電気的に切断され、測定電位生成回路50の出力端子が共通電極222と電気的に接続される。これにより、第4放電期間T13において、共通電極222には+1.2の測定電位Vsが供給され続けるが、検出電極213への電位供給が停止するため、液晶層250は、第4充電期間T12に充電された電荷を放電する。その結果、図16に示すように、第4放電期間T13において、検出電極電位Vdは、0VからVs=+1.2Vに向かって緩やかに変化する。
第4放電期間T13の終了時における検出電極電位Vd4の値は、液晶層250に含まれる可動性イオンの量、すなわち液晶層250の水分量に依存する。従って、第1実施形態と同様に、第4放電期間T13の終了時の検出電極電位Vd4を測定することにより、第2液晶パネル200の液晶層250の水分量を推定できる。
中央制御回路30は、例えば、第4放電期間T13が終了する時刻t15における検出電極電位Vd4を測定する。具体的には、中央制御回路30は、時刻t15にA/Dコンバーター52から出力されるデジタル値を、検出電極電位Vd4の測定値として取得する。中央制御回路30は、時刻t15に得られた検出電極電位Vd4の測定値を測定値記憶回路53に記憶させる。
このように、第4放電期間T13において、測定回路70は、検出電極213への電位の供給を停止すると共に、共通電極222に第4充電期間T12と同じ+1.2Vを供給し、例えば、第4放電期間T13が終了する時刻t15における検出電極電位Vd4を測定する。
第4放電期間T13後の第2リセット期間T14において、測定回路70は、検出電極213と共通電極222との夫々にグランド電位を供給する。
具体的には、第2リセット期間T14において、中央制御回路30は、第1スイッチSW1及び第3スイッチSW3をオン状態に制御するとともに、第2スイッチSW2及び第4スイッチSW4をオフ状態に制御する。
第2リセット期間T14おいて、中央制御回路30が、上記のように第1スイッチSW1から第4スイッチSW4を制御することにより、検出電極213及び共通電極222のそれぞれは、グランド電位線63と電気的に接続される。これにより、第2リセット期間T14において、検出電極213と共通電極222との夫々にグランド電位が供給される。その結果、図16に示すように、第2リセット期間T14において、検出電極電位Vdは0Vとなり、共通電極電位Vcも0Vとなる。
このように、第2リセット期間T14において、測定回路70は、検出電極213と共通電極222との夫々にグランド電位を供給する。これにより、液晶層250に残留する電荷がグランド電位線63に放電され、検出電極213と共通電極222との間の電位差は0Vにリセットされる。
以上が第4測定処理の説明である。
上記のように、第4放電期間T13は、第1液晶パネル100の1フレーム期間よりも長い。また、上記の説明では、第4充電期間T12における第8電位差が-1.2V、即ち第8電位差の絶対値が1.2Vである場合を例示したが、このように、第8電位差の絶対値は、0Vより大きく、且つ液晶層250の閾値電圧Vthより小さいことが好ましい。
上記のように、第4放電期間T13を、第1液晶パネル100の1フレーム期間よりも長く設定することにより、検出電極213と共通電極222との間における可動性イオンの移動時間が確保される。その結果、液晶層250の可動性イオン量に応じた放電曲線の変化が効率的に発生し、第4放電期間T13の終了時に得られる検出電極電位Vd4の測定値によって、水分の侵入に伴う可動性イオン量の変化を正確に捉えることができる。
第4充電期間T12における第8電位差の絶対値を、0Vより大きく、且つ液晶層250の閾値電圧Vthより小さく設定することにより、第4放電期間T13の開始前に可動性イオンが移動することを抑制できる。さらに、これにより、検出電極電位Vd4の測定値は、液晶分子が動くことによる影響、すなわち、液晶層250の誘電率が変化することによって、液晶容量が変化することの影響を受けないため、検出電極電位Vd4の測定値によって、液晶層250への水分侵入を検知できる。
(第2実施形態の効果)
以上説明したように、第2実施形態において、測定回路70は、第3充電期間T9において、検出電極213と共通電極222との電位差が第7電位差となるように、検出電極213と共通電極222との夫々に電位を供給し、第3充電期間T9後の第3放電期間T10において、検出電極213への電位の供給を停止すると共に共通電極222に第3充電期間T9と同じ電位を供給し、例えば、第3放電期間T10の終了時に検出電極電位Vdを測定する。第3放電期間T10は、第1液晶パネル100の1フレーム期間よりも長い。
上記のように、第3放電期間T10を、第1液晶パネル100の1フレーム期間よりも長く設定することにより、検出電極213と共通電極222との間における可動性イオンの移動時間が確保される。その結果、液晶層250の可動性イオン量に応じた放電曲線の変化が効率的に発生し、第3放電期間T10の終了時に得られる検出電極電位Vd3の測定値によって、液晶層250への水分侵入を検知できる。
第2実施形態において、第7電位差の絶対値は、0Vより大きく、且つ液晶層250の閾値電圧より小さい。
このように、第3充電期間T9における第7電位差の絶対値を、0Vより大きく、且つ液晶層250の閾値電圧Vthより小さく設定することにより、液晶層250の誘電異方性の影響を抑制した測定ができる。
3.第3実施形態
以下、本発明の第3実施形態について説明する。
図17は、第3実施形態における第2液晶パネル200の概略的な構成を示す平面図である。第3実施形態における第1液晶パネル100の構成は、第1実施形態における第1液晶パネル100と同じである。
第1実施形態では、第2液晶パネル200が、第1シール材112と同じ外形を有し、且つ第1シール材112の幅W1と同じ幅W2を有する第2シール材212を備える形態について説明した。これに対して、図17に示すように、第2液晶パネル200は、第1シール材112と同じ外形を有し、且つ第1シール材112の幅W1より大きな幅W3を有する第2シール材212を備えてもよい。すなわち、第3実施形態において、第2液晶パネル200のシール幅W3は、第1液晶パネル100のシール幅W1より大きい。
(第3実施形態の効果)
以上のように、第3実施形態において、第2液晶パネル200は、第1シール材112と同じ外形を有し、且つ第1シール材112の幅W1以上の幅W3を有する第2シール材212を備える。例えば、第3実施形態では、第2シール材212の幅W3は、第1シール材112の幅W1より大きい。
第1液晶パネル100の第1シール材112及び、第2液晶パネル200の第2シール材212は水分侵入抑止力を有する。水分侵入抑止力はシール幅が大きいほど高い。ここで第1シール材112の幅W1<第2シール材212の幅W3とすれば、第2液晶パネル200の液晶層250への水分侵入程度は、第1液晶パネル100より小さくなると考えられる。従って、第2液晶パネル200の液晶層250への水分の侵入が検知された場合、第1液晶パネル100の液晶層への水分侵入は確実と判断できる。
また、第1液晶パネル100の第1シール材112及び、第2液晶パネル200の第2シール材212は水分排出止力を有する。水分排出力はシール幅が小さいほど高い。ここで第1シール材112の幅W1<第2シール材212の幅W3とすれば、第2液晶パネル200の水分排出程度は、第1液晶パネルより小さくなると考えられる。また、第1液晶パネル100と第2液晶パネル200は同一外形を成すので、加熱処理の際に同程度の温度履歴を施せば、それぞれの液晶層には同程度の加熱処理がされることが期待できる。そして、第2液晶パネル200の液晶層250からの水分の排出が検知された場合、第1液晶パネル100の液晶層からの水分排出は確実と判断できる。
逆に、第1シール材112の幅W1>第2シール材212の幅W3とする構成も可能である。水分侵入抑止力はシール幅が大きいほど高い。ここで第1シール材112の幅W1>第2シール材212の幅W3とすれば、第2液晶パネル200の液晶層250への水分侵入程度は、第1液晶パネル100より大きくなると考えられる。
つまり、第2液晶パネル200の液晶層250への水分侵入は、第1液晶パネル100の液晶層250への水分侵入よりも早期に発生する。従って、第1液晶パネル100の液晶層250への水分侵入を早期に検知することができる。
4.第4実施形態
以下、本発明の第4実施形態について説明する。
図18Aは、第4実施形態における第1液晶パネル100Aの概略的な構成を示す平面図である。図18Bは、第4実施形態における第2液晶パネル200Aの概略的な構成を示す平面図である。
第1実施形態では、第1液晶パネル100及び第2液晶パネル200に液晶封入口が存在しない形態について説明した。これに対して、図18Aに示すように、第4実施形態における第1液晶パネル100Aは、第1液晶パネル100Aにおいて第1位置に配置される第1液晶封入口117を備える。例えば、第1位置は、第1素子基板110の4辺のうち、第1接続端子116の反対側に位置する辺の中央部である。第1液晶パネル100Aは、第1液晶封入口117を封止する第1封止材118を備える。
また、図18Bに示すように、第4実施形態における第2液晶パネル200Aは、第2液晶パネル200Aにおいて第1位置に対応する第2位置に配置される第2液晶封入口217を備える。例えば、第2位置は、第2素子基板210の4辺のうち、第1電極接続端子215及び第2電極接続端子216を含む第2接続端子の反対側に位置する辺の中央部である。第2液晶パネル200Aは、第2液晶封入口217を封止する第2封止材218を備える。
なお、第1実施形態と同様に、第4実施形態における第2液晶パネル200Aは、第1シール材112と同じ外形を有し、且つ第1シール材112の幅W1と同じ幅W2を有する第2シール材212を備える。これに対して、第3実施形態と同様に、第2液晶パネル200Aは、第1シール材112と同じ外形を有し、且つ第1シール材112の幅W1より大きな幅W3を有する第2シール材212を備えてもよい。
(第4実施形態の効果)
以上のように、第4実施形態において、第1液晶パネル100Aは、第1液晶パネル100Aにおいて第1位置に配置される第1液晶封入口117を備え、第2液晶パネル200Aは、第2液晶パネル200Aにおいて第1位置に対応する第2位置に配置される第2液晶封入口217を備える。
上記の構成によれば、第1液晶パネル100Aと第2液晶パネル200Aとで、夫々の液晶層への水分の侵入に対する脆弱性がほぼ同等になる。従って、第2液晶パネル200Aの液晶層250の水分量の推定結果を、第1液晶パネル100A液晶層水分量の推定結果として使用することができる。
5.第5実施形態
以下、本発明の第5実施形態について説明する。
図19は、第5実施形態における第2液晶パネル200Bの概略的な構成を示す平面図である。第5実施形態における第1液晶パネル100の構成は、第1実施形態における第1液晶パネル100と同じである。
図19に示すように、第5実施形態における第2液晶パネル200Bは、検出電極213が配置される第2素子基板210と、共通電極222が配置される第2対向基板220と、第2素子基板210及び第2対向基板220の少なくとも一方に配置され、液晶層250を覆う遮光膜270と、を備える。第2素子基板210は、第1基板に相当し、第2対向基板220は、第2基板に相当する。
第2液晶パネル200Bにおいて、液晶層250は、第2シール材212で囲まれた領域に配置されている。そのため、遮光膜270は、第2シール材212で囲まれた領域を覆うように形成される。遮光膜270は、例えば、アルミニウム、タングステンシリサイド、及びクロムなどの材料で形成される。遮光膜270は、検出電極213と、第1電極接続端子215とを電気的に接続する配線として使用することができる。
なお、第1実施形態と同様に、第5実施形態における第2液晶パネル200Bは、第1シール材112と同じ外形を有し、且つ第1シール材112の幅W1と同じ幅W2を有する第2シール材212を備える。これに対して、第3実施形態と同様に、第2液晶パネル200Bは、第1シール材112と同じ外形を有し、且つ第1シール材112の幅W1より大きな幅W3を有する第2シール材212を備えてもよい。
(第5実施形態の効果)
以上のように、第5実施形態において、第2液晶パネル200Bは、検出電極213が配置される第2素子基板210と、共通電極222が配置される第2対向基板220と、第2素子基板210及び第2対向基板220の少なくとも一方に配置され、液晶層250を覆う遮光膜270と、を備える。
既に述べたように、液晶層250に含まれる可動性イオンの量は、光の入射によっても変化するが、上記のように、第2素子基板210及び第2対向基板220の少なくとも一方に遮光膜270が配置されることにより、液晶層250への光の入射を確実に阻止するから、光入射による可動性イオンの増加を素子する。従って、検出電極電位Vdの測定によって、第2液晶パネル200Bの液晶層250への水分侵入に起因する可動性イオンの振る舞いのみを捉えることができるため、水分量の推定精度が向上する。
また、第2液晶パネル200Bの遮光性が向上するため、プロジェクター1内における第2液晶パネル200Bの配置自由度が高まる。
6.第6実施形態
以下、本発明の第6実施形態について説明する。
図20は、第6実施形態における第2液晶パネル200Cの概略的な構成を示す平面図である。第6実施形態における第1液晶パネル100の構成は、第1実施形態における第1液晶パネル100と同じである。
図20に示すように、第2液晶パネル200Cは、第2素子基板210Cと、第2対向基板220Cと、第2ホルダー230Cと、第2ヒーター線H2と、第2温度センサーTH2と、を備える。第2液晶パネル200Cは、第1液晶パネル100を簡易化した構成を有する。
第2素子基板210Cと第2対向基板220Cとは、第2シール材212Cを介して互いに接着される。第2素子基板210Cの外形サイズは、第1素子基板110の外形サイズより小さい。つまり、第2素子基板210CのX方向、Y方向の少なくともひとつの外形サイズは第1素子基板110の外形サイズより小さい。第2対向基板220Cの外形サイズは、第1対向基板120の外形サイズより小さい。つまり、第2対向基板220CのX方向、Y方向の少なくともひとつの外形サイズは第1対向基板120の外形サイズより小さい。すなわち、第2ホルダー230Cを除く第2液晶パネル200Cの外形サイズは、第1ホルダー130を除く第1液晶パネル100の外形サイズより小さい。
第2素子基板210Cの厚さは、第1素子基板110の厚さより小さい。あるいは、第2対向基板220Cの厚さは、第1対向基板120の厚さより小さい。すなわち、第2ホルダー230Cを除く第2液晶パネル200Cの厚さは、第1ホルダー130を除く第1液晶パネル100の厚さより小さい。
第2液晶パネル200Cは、第1シール材112の幅W1と同じ幅W2を有する第2シール材212Cを備える。このように、第2液晶パネル200Cのシール幅W2は、第1液晶パネル100のシール幅W1と同じである。なお、第3実施形態と同様に、第2液晶パネル200Cは、第1シール材112の幅W1より大きな幅W3を有する第2シール材212Cを備えてもよい。
第2素子基板210Cと第2対向基板220Cとで挟まれ、且つ第2シール材212Cで囲まれた領域に、後述の液晶層250Cが配置される。この液晶層250Cは、液晶滴下法によって形成される。すなわち、第1液晶パネル100と同様に、第2液晶パネル200Cにも、液晶を封入するための液晶封入口が存在しない。液晶層250Cは、第1液晶パネル100と同じ液晶から構成される。第2対向基板220Cの四隅に対応して、第2素子基板210Cと第2対向基板220Cとの間の電気的な導通を取るための、第2基板間導通部214Cが配置される。
第2素子基板210Cの表面領域のうち、第2シール材212Cで囲まれた領域には、検出電極213Cが配置される。例えば、検出電極213Cは、ベタ膜パターンである。言い換えれば、検出電極213Cは、第2シール材212Cで囲まれた領域の全部又は一部を連続的に覆う電極パターンである。検出電極213Cは、第1液晶パネル100の画素電極と同様に、ITOなどの透明導電材料によって形成される。検出電極213CがITO膜で形成される場合、検出電極213Cの電位応答を改善するために、ITO膜の下層に配置されたアルミニウムを主体とする下層配線層を補助配線として付加してもよい。この場合、検出電極213Cは、複数のコンタクトホールを介して、下層配線層と電気的に接続される。
第2シール材212Cの外側の第2素子基板210Cの第2対向基板220Cから図面下側、-Y方向に張り出した部分には、複数の第2接続端子として、少なくとも第1電極接続端子215Cと、第2電極接続端子216Cとが配置される。第1電極接続端子215Cは、検出電極213Cと電気的に接続される。第2電極接続端子216Cは、第2基板間導通部214Cを介して、後述の共通電極222Cと電気的に接続される。第1電極接続端子215C及び第2電極接続端子216Cは、第2フレキシブル配線基板260Cを介して、電圧印加回路40及び電圧検出回路41と電気的に接続される。
図21は、第2素子基板210Cと第2対向基板220Cとを、図20に示されるB-B’線に沿う断面で視た図である。図21に示すように、第2素子基板210Cと第2対向基板220Cとは、第2シール材212Cを介して互いに対向するように配置され、第1素子基板210Cと第2対向基板220Cとの間に液晶層250Cが配置される。
第2素子基板210Cの上面には、上記の検出電極213Cが配置される。第2対向基板220Cの下面には、共通電極222Cが配置される。また、図21では図示を省略するが、第2素子基板210Cは、検出電極213Cを覆うように配置された配向膜を有し、第2対向基板220Cは、共通電極222Cを覆うように配置された配向膜を有する。第2素子基板210Cの配向膜は、第1素子基板110の配向膜と同じ材料で形成され、第2対向基板220Cの配向膜は、第1対向基板120の配向膜と同じ材料で形成される。
また、図21に示すように、第2液晶パネル200Cは、第2液晶パネル200Cの表面及び裏面の少なくとも一方に貼り付けられる遮光フィルム218C及び223Cを備える。具体的には、第2液晶パネル200Cの表面、すなわち、第2対向基板220Cの上面に、遮光フィルム223Cが貼り付けられる。また、第2液晶パネル200Cの裏面、すなわち、第2素子基板210Cの下面に、遮光フィルム218Cが貼り付けられる。遮光フィルム218C及び223Cは、少なくとも液晶層250Cを覆う。
以下、図20に戻って説明を続ける。
第2ホルダー230Cは、第2素子基板210C及び第2対向基板220Cを保持する、板状の部品である。第2素子基板210Cと第2対向基板220Cとが第2シール材212Cを介して接着された状態で、第2ホルダー230Cに接着される。第2ホルダー230Cの四隅に対応して、第2ホルダー230Cを擁壁320にネジ等で固定するための第2固定穴232Cが設けられている。第2ホルダー230Cの外形サイズは、第1ホルダー130の外形サイズより小さい。
第2ホルダー230Cに配置される第2ヒーター線H2及び第2温度センサーTH2は、第1実施形態における第2ヒーター線H2及び第2温度センサーTH2と同じであるので、これらの説明は省略する。第2ホルダー230Cには、2つの第2ヒーター端子241C及び242Cが配置される。第2ヒーター線H2の一端は、第2ヒーター端子241Cと電気的に接続され、第2ヒーター線H2の他端は、第2ヒーター端子242Cと電気的に接続される。第2ヒーター端子241Cは、第2電力供給線243Cと電気的に接続される。第2ヒーター端子242Cは、第2電力供給線244Cと電気的に接続される。第2電力供給線243C及び244Cを介して、第2ヒーター線H2に電力が供給されることにより、第2液晶パネル200Cは加熱される。第2電力供給線243C及び244Cは、第2加熱制御回路39と電気的に接続される。
(第6実施形態の効果)
以上のように、第6実施形態において、第2液晶パネル200Cの外形サイズは、第1液晶パネル100の外形サイズより小さい。そして第1液晶パネル100の加熱時の温度センサーTH1温度の温度と液晶層の温度については予め相関関係を取得する。同様に、第2液晶パネル200Cの加熱時の温度センサーTH2温度の温度と液晶層250Cの温度については予め相関関係を取得する。そして加熱時には第1液晶パネル100の液晶層と第2液晶パネルの液晶層250Cが同程度の温度となるように制御する。このように構成すれば、水分侵入抑止力と水分排出力を同等にできる。
このように、水分侵入抑止力及び水分排出力について、第1液晶パネル100と第2液晶パネル200Cとの相関関係が予め判っていれば、第1液晶パネル100よりも小型の第2液晶パネル200Cを使用してもよい。これにより、第2液晶パネル200Cの製造コストを低減できる。
小型の第2液晶パネル200Cを使用すると、第2液晶パネル200Cの加熱が容易になるため、プロジェクター1の消費電力を抑えることができる。
小型の第2液晶パネル200Cを使用すると、プロジェクター1内での第2液晶パネル200Cの取り付けが容易になるとともに、第2液晶パネル200Cの組み立て工程を簡略化できる。第2液晶パネル200Cの交換も容易となるため、プロジェクター1のメンテナンス性が向上する。
第6実施形態において、第2素子基板210Cの厚さは、第1素子基板110の厚さより小さい。あるいは、第2対向基板220Cの厚さは第1対向基板120の厚さより小さい。このように構成すると、加熱時において、第2液晶パネル200Cを昇温しやすくなる。従って、プロジェクター1の消費電力をより抑えることができる。
第6実施形態において、検出電極213Cは、ベタ膜パターンである。言い換えれば、検出電極213Cは、第2シール材212Cで囲まれた領域の全部又は一部を連続的に覆う電極パターンである。
このように構成すると、コンパクトな面積で、可動性イオンを検出できるので小型の第2液晶パネル200Cに適したものとなる。
第6実施形態において、第2液晶パネル200Cは、第2液晶パネル200Cの表面及び裏面の少なくとも一方に貼り付けられる遮光フィルム218C及び223Cを備える。
このように、第2液晶パネル200Cに遮光膜を形成するのではなく、第2液晶パネル200Cに遮光フィルム218C及び223Cを貼り付ける構成とすることにより、第2液晶パネル200Cの製造工程を簡略化できる。遮光フィルム218C及び223Cとして、アルミニウムなどの高遮光性フィルムを用いてもよいし、或いは、光を減光させる性質と耐熱性とを有する樹脂フィルムを用いてもよい。
7.第7実施形態
以下、本発明の第7実施形態について説明する。
図22は、第7実施形態におけるプロジェクター1Aの概略的な構成を示す図である。図22に示すように、第7実施形態におけるプロジェクター1Aは、プロジェクター1Aの光路の外に配置され、第2液晶パネル200が挿入されるポケット321を備える。
具体的には、例えば、ポケット321は、擁壁320の壁面のうち、ケース310の外側の壁面に配置される。第2液晶パネル200がポケット321に挿入されることにより、第2液晶パネル200は、プロジェクター1A内の光路外に配置される。ポケット321は、第2液晶パネル200を保持し、適時押さえバネ等を併用して第2液晶パネル200をぐらつかないようにしてもよい。
(第7実施形態の効果)
上記のように、第7実施形態におけるプロジェクター1Aは、プロジェクター1Aの光路の外に配置され、第2液晶パネル200が挿入されるポケット321を備える。
これにより、プロジェクター1A内での第2液晶パネル200の取り付けが容易になるとともに、第2液晶パネル200の交換も容易となるため、プロジェクター1Aのメンテナンス性が向上する。
8.診断システム
以下、本発明の診断システムの一実施形態について説明する。
図23は、本実施形態における診断システムの概略的な構成を示す図である。図23に示すように、本実施形態における診断システムは、プロジェクター1Bと、診断装置2と、を備える。
プロジェクター1Bは、第7実施形態におけるプロジェクター1Aから、第2温度検出回路38と、第2加熱制御回路39と、電圧印加回路40と、電圧検出回路41とが削除された構成を備える。すなわち、プロジェクター1Bは、測定回路70を備えていない。従って、プロジェクター1Bの中央制御回路30Bは、測定回路70に含まれる第1スイッチSW1から第4スイッチSW4を制御する機能と、測定回路70に含まれるA/Dコンバーター52から出力されるデジタル値を検出電極電位Vdの測定値として取得する機能とを備えていない。
診断装置2は、プロジェクター1Bから独立した装置である。診断装置2は、コネクター400を介して、プロジェクター1Bと電気的に接続される。診断装置2は、測定制御回路80と、第2温度検出回路81と、第2加熱制御回路82と、電圧印加回路83と、電圧検出回路84と、測定値記憶回路85と、表示パネル86と、を備える。
第2液晶パネル200の第2電力供給線243及び244は、コネクター400を介して、第2加熱制御回路82と電気的に接続される。第2液晶パネル200の第2温度センサーTH2は、コネクター400を介して、第2温度検出回路81と電気的に接続される。第2温度検出回路81は、第2液晶パネル200の第2温度センサーTH2から出力されるアナログ信号、すなわち第2液晶パネル200の温度を示すアナログ信号を増幅する増幅回路と、増幅されたアナログ信号をデジタル値に変換するA/Dコンバーターと、を含む。
測定制御回路80は、第2温度検出回路81から出力されるデジタル値を、第2液晶パネル200の温度データとして取得し、第2液晶パネル200が適正な温度で所定の時間だけ加熱されるように、第2加熱制御回路82に命令を出力する。第2加熱制御回路82は、測定制御回路80からの命令に従って、第2液晶パネル200が適正な温度で所定の時間だけ加熱されるように、第2液晶パネル200の第2ヒーター線H2に電力を供給する。
第2液晶パネル200の第1電極接続端子215は、第1電極線61及びコネクター400を介して、電圧印加回路83と電気的に接続される。つまり、電圧印加回路83は、第1電極線61を介して、第2液晶パネル200の検出電極213と電気的に接続される。第2液晶パネル200の第2電極接続端子216は、第2電極線62及びコネクター400を介して、電圧印加回路83と電気的に接続される。つまり、電圧印加回路83は、第2電極線62を介して、第2液晶パネル200の共通電極222と電気的に接続される。電圧検出回路84は、診断装置2内において第1電極線61と電気的に接続される。
電圧印加回路83は、測定制御回路80からの命令に従って、検出電極213と共通電極222との夫々に電位を供給する。電圧検出回路84は、検出電極213の電位を検出電極電位Vdとして測定し、検出電極電位Vdの測定値を測定制御回路80に出力する。このように、電圧印加回路83及び電圧検出回路84は、検出電極213と共通電極222との夫々に電位を供給すると共に、検出電極213の電位である検出電極電位Vdを測定する測定回路を構成する。つまり、本実施形態の診断システムでは、診断装置2が測定回路を備える。診断装置2が備える測定回路は、図4に示される測定回路70と同様の回路構成を備える。
測定制御回路80は、第2液晶パネル200の液晶層250への水分侵入による劣化状況の測定時において、電圧印加回路83に含まれる第1スイッチSW1から第4スイッチSW4と、測定電位生成回路50とを制御する。具体的には、測定制御回路80は、参照電圧Vsrefを測定電位生成回路50に出力する。測定制御回路80は、第1制御信号S1から第4制御信号S4を、第1スイッチSW1から第4スイッチSW4にそれぞれ出力する。
測定制御回路80は、電圧検出回路84に含まれるA/Dコンバーター52から出力される検出電極電位Vdの測定値を、測定値記憶回路85に記憶させる。測定値記憶回路85は、測定制御回路80による制御に従って、検出電極電位Vdの測定値を記憶する。測定制御回路80は、判定回路80aを含む。判定回路80aは、測定値記憶回路85に記憶された測定値に基づいて、第2液晶パネル200の液晶層250への水分侵入による劣化状況を判定する。表示パネル86は、測定制御回路80による制御に従って、測定値および判定結果などを示す画像を表示する。
例えば、測定制御回路80は、ユーザーによって測定開始を指示する操作を受け付けたことを検知すると、上記の第1測定処理及び第2測定処理を複数回実行することにより、第1放電期間T4の終了時における検出電極電位Vd1の測定値と、第2放電期間T8の終了時における検出電極電位Vd2の測定値とを取得する。測定制御回路80は、判定回路80aによって、検出電極電位Vd1及びVd2の少なくとも一方の測定値が閾値Vd_thに達しているか否かを判定する。
判定回路80aによって、測定値が閾値Vd_thに達していると判定された場合、測定制御回路80は、無線通信または有線通信によって、判定結果をプロジェクター1Bの中央制御回路30Bに送信する。中央制御回路30Bは、測定値が閾値Vd_thに達しているという判定結果を受信すると、第1温度検出回路32、34及び36から得られる温度データに基づいて、第1液晶パネル100R、100G及び100Bの温度を監視しながら、第1液晶パネル100R、100G及び100Bが適正な温度で所定の時間だけ加熱されるように、第1加熱制御回路33、35及び37に命令を出力する。
同時に、測定制御回路80は、第2温度検出回路81から得られる温度データに基づいて、第2液晶パネル200の温度を監視しながら、第2液晶パネル200が適正な温度で所定の時間だけ加熱されるように、第2加熱制御回路82に命令を出力する。その結果、第1液晶パネル100R、100G及び100Bと、第2液晶パネル200とのそれぞれが、適正な温度で所定の時間だけ加熱されるため、第1液晶パネル100R、100G及び100Bと、第2液晶パネル200とのそれぞれの液晶層から水分が排出される。
加熱終了後、測定制御回路80は、再度、第1測定処理及び第2測定処理を複数回実行した後、判定回路80aによって、検出電極電位Vd1及びVd2の少なくとも一方の測定値が閾値Vd_thに達しているか否かを判定する。そして、判定回路80aによって、測定値が閾値Vd_thに達していないと判定された場合、すなわち、第1液晶パネル100R、100G及び100Bと、第2液晶パネル200とのそれぞれの液晶層から水分が排出されたと推定される場合、測定制御回路80は、水分の排出が完了したことをユーザーに知らせる画像を表示パネル86に表示させる。
一方、加熱終了後においても、判定回路80aによって、測定値が閾値Vd_thに達していると判定された場合、測定制御回路80は、測定値が閾値Vd_thに達していないと判定されるまで、上記の判定結果の送信と、加熱処理と、第1測定処理及び第2測定処理とを繰り返し実行する。これにより、最終的には、第1液晶パネル100R、100G及び100Bと、第2液晶パネル200とのそれぞれの液晶層から水分が排出される。その結果、第1液晶パネル100R、100G及び100Bの劣化状況が改善され、プロジェクター1Bの通常駆動時に投射スクリーンSCに表示される画像の表示品質を向上させることができる。
(本実施形態における診断システムの効果)
以上のように、本実施形態における診断システムは、光路の上に配置される第1液晶パネル100と、光路の外に配置され、検出電極213と、共通電極222と、検出電極213と共通電極222との間に配置される液晶層250と、を備える第2液晶パネル200と、を備えるプロジェクター1Bと、検出電極213と共通電極222との夫々に電位を供給すると共に、検出電極213の電位である検出電極電位Vdを測定する測定回路を備える診断装置2と、を備える。診断装置2が備える測定回路は、電圧印加回路83及び電圧検出回路84によって構成される。
上記の診断システムによれば、第2液晶パネル200は、プロジェクター1B側の回路との電気的な接続部を有していないので、プロジェクター1Bに第2液晶パネル200を実装することが容易となる。従って、第2液晶パネル200の交換も容易となるため、プロジェクター1Bのメンテナンス性が向上する。
上記の診断システムによれば、診断装置2が第2液晶パネル200の検出電極電位Vdを測定しているときに、プロジェクター1Bの内部回路をスリープ状態にすることができるため、プロジェクター1Bの内部回路から発生するノイズが、検出電極電位Vdの測定値に重畳することを抑制できる。なお、測定制御回路80から中央制御回路30Bに判定結果が送信されたときに、中央制御回路30Bが、プロジェクター1Bの内部回路をスリープ状態から復帰させる動作を行ってもよい。
上記の診断システムによれば、第2液晶パネル200に関連する回路が診断装置2に実装されるため、プロジェクター1Bの製造コストを低減できる。なお、第2温度検出回路38及び第2加熱制御回路39を、プロジェクター1Bに残してもよい。この場合、診断装置2から第2温度検出回路81及び第2加熱制御回路82が削除される。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本開示の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
上記実施形態では、第1加熱装置及び第2加熱装置としてヒーター線を用いる形態を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1液晶パネル100及び第2液晶パネル200のそれぞれに、アルミニウムまたはITOなどで形成された抵抗線を配置し、この抵抗線を第1加熱装置及び第2加熱装置として用いてもよい。
例えば、第1液晶パネル100の加熱時において、第1液晶パネル100を非駆動状態とし、光源10の出射光量を抑えることにより、第1液晶パネル100の加熱を補助してもよい。または、第1液晶パネル100の加熱時において、プロジェクター1内に搭載された冷却ファンの回転数を抑えることにより、第1液晶パネル100の加熱を補助してもよい。なお、第1液晶パネルは点灯時には温度が上昇する。従って液晶層への水分侵入量に関しては、第1液晶パネルと第2液晶パネルとは短期的には様相は異なり得る。従って、第2液晶パネルについては、第1液晶パネルの温度履歴と近しくなるように加温制御してもよい。ただし、例えば、長期保管等を想定した場合には、液晶層への水分侵入量に関しては第1液晶パネルと第2液晶パネルは近しいものと期待される。従って、各実施例に記述した構成で、第1液晶パネルの液晶層への水分侵入を判定することができる。
本実施形態では、電気光学装置としてプロジェクターを例示したが、本発明の電気光学装置はこれに限定されない。例えば、液晶パネルから出る光を使ってレジン液を硬化させる3Dプリンター、HUD(Head-Up Display)、HMD(Head Mounted Display)、パーソナルコンピューター、デジタルカメラ、液晶テレビなどの電気光学装置に本発明が適用されてもよい。
上記実施形態では、第1液晶パネル100及び第2液晶パネル200として、透過型の液晶パネルを例示したが、第1液晶パネル100及び第2液晶パネル200として、反射型の液晶パネルまたはLCOS(Liquid crystal on silicon)型の液晶パネルを用いてもよい。
〔本開示のまとめ〕
以下、本開示のまとめを付記する。
(付記1)光路の上に配置される第1パネルと、前記光路の外に配置され、第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に配置される液晶層と、を備える第2パネルと、前記第1電極と前記第2電極との夫々に電位を供給すると共に、前記第1電極の電位を測定する測定回路と、を備える、電気光学装置。
例えば、測定回路によって液晶層を充放電させた後に得られる第1電極の電位の測定値は、液晶層中に含まれる可動性イオンの量に依存し、可動性イオンの量は、液晶層中の水分量に依存する。そのため、測定回路によって第2パネルの第1電極の電位を測定することにより、第2パネルの液晶層中の水分量を推定できる。同じ電気光学装置に搭載された第1パネルの液晶層中の水分量は、第2パネルの液晶層中の水分量とほぼ同じであると考えられる。そのため、第2パネルの液晶層中の水分量を推定することにより、第1パネルの液晶層中の水分量を推定できる。また、第2液晶パネルと第1液晶パネルの置かれた湿度履歴によるそれぞれの液晶層への水分侵入は、プロジェクター1が非通電時であっても維持される。
従って、上記構成によれば、電気光学装置を常に電源オン状態に保ち続ける必要なく、第2パネルの液晶層中の水分量とともに、第1パネルの液晶層中の水分量を推定することができる。
なお、液晶層中に含まれる可動性イオンの量は、光の入射によっても変化するが、上記のように、第2パネルは、電気光学装置の光路の外に配置されているため、第2パネルに光は入射しない。従って、第1電極の電位の測定によって、第2パネルへの液晶層への水分侵入に起因する可動性イオンの振る舞いのみを捉えることができるため、侵入水分量の推定精度が向上する。
(付記2)前記測定回路は、第1期間において、前記第1電極と前記第2電極との電位差が第1電位差となるように、前記第1電極と前記第2電極との夫々に電位を供給し、前記第1期間後の第2期間において、前記電位差が、前記第1電位差と異なる極性を有する第2電位差となるように、前記第1電極と前記第2電極との夫々に電位を供給し、前記第2期間後の第3期間において、前記第1電極への電位の供給を停止すると共に前記第2電極に前記第2期間と同じ電位を供給し、少なくとも1回前記第3期間に前記第1電極の電位を測定する、付記1に記載の電気光学装置。
上記のように、第2期間及び第3期間の前に、第1期間が挿入される。これにより、第1期間において、液晶層に含まれる可動性イオンを、第1電極及び第2電極のいずれか一方に効果的に初期配置できる。このように第2期間が始まる前に、可動性イオンの初期配置が整えられることにより、第3期間に得られる第1電極の電位の測定値に関して測定再現性を得ることができる。また、可動性イオンによる内部電場の影響も測定値に反映されるので、可動性イオンの増加が測定値の変化として現れやすくなる。その結果、第2液晶パネルの液晶層250への水分侵入を感度よく検知できる。
(付記3)前記第1期間は、前記第1パネルの1フレーム期間より長く、前記第1電位差の絶対値は、前記液晶層の閾値電圧より大きい、付記2に記載の電気光学装置。
このように、第1期間を第1パネルの1フレーム期間より長く設定することにより、移動度の小さい可動性イオンを、第1電極及び第2電極のいずれか一方に効果的に初期配置させることができる。
また、第1電位差の絶対値、すなわち第1期間に液晶層に印加される電圧を、液晶層の閾値電圧以上に設定することにより、可動性イオンを第1電極及び第2電極のいずれか一方に初期配置させることができる。
従って、付記3に記載の電気光学装置によれば、より高い測定再現性を持って、第2液晶パネルの液晶層への水分侵入を感度よく検知できる。
(付記4)前記第2期間は、前記第1パネルの1フレーム期間より短く、前記第2電位差の絶対値は、0Vより大きく、且つ前記液晶層の閾値電圧より小さい、付記2または3に記載の電気光学装置。
このように、第2期間を第1パネルの1フレーム期間より短く設定することにより、移動度の大きい可動性イオンの作用を測定値の変化として捕えやすくなる。
また、第2電位差の絶対値、すなわち第2期間に液晶層に印加される電圧を、0Vより大きく、且つ液晶層の閾値電圧より小さく設定することにより、液晶層の誘電異方性の影響を抑制しながら、第3期間における第1電極の電位を測定できる。
従って、付記4に記載の電気光学装置によれば、より高い測定再現性を持って、第2液晶パネルの液晶層への水分侵入を感度よく検知できる。
(付記5)前記測定回路は、前記第1期間と前記第2期間との間の第4期間において、前記電位差が、前記第1電位差と同じ極性を有し、且つ前記第1電位差の絶対値より小さい絶対値を有する第3電位差となるように、前記第1電極と前記第2電極との夫々に電位を供給する、付記2から4のいずれか一つに記載の電気光学装置。
このように、第1期間と第2期間との間に第4期間が挿入されることにより、第1期間に初期配置された可動性イオンを移動させることなく、第1期間から第2期間へ移行させることができる。
従って、付記5に記載の電気光学装置によれば、より高い測定再現性を持って、第2液晶パネルの液晶層への水分侵入を感度よく検知できる。
(付記6)前記第3電位差の絶対値は、0Vより大きく、且つ前記液晶層の閾値電圧より小さい、付記5に記載の電気光学装置。
このように、第3電位差の絶対値、すなわち第4期間に液晶層に印加される電圧を、0Vより大きく、且つ液晶層の閾値電圧より小さく設定することにより、液晶層の誘電異方性の影響を抑制する効果が高まる。
従って、付記6に記載の電気光学装置によれば、より高い測定再現性を持って、第2液晶パネルの液晶層への水分侵入を感度よく検知できる。
(付記7)前記測定回路は、前記第3期間後の第5期間において、前記電位差が、前記第1電位差と異なる極性を有し、且つ前記第1電位差の絶対値と同じ絶対値を有する第4電位差となるように、前記第1電極と前記第2電極との夫々に電位を供給し、前記第5期間後の第6期間において、前記電位差が、前記第4電位差と異なる極性を有する第5電位差となるように、前記第1電極と前記第2電極との夫々に電位を供給し、前記第6期間後の第7期間において、前記第1電極への電位の供給を停止すると共に前記第2電極に前記第6期間と同じ電位を供給し、少なくとも1回前記第7期間に前記第1電極の電位を測定する、付記2から6のいずれか一つに記載の電気光学装置。
上記のように、第6期間及び第7期間の前に、第5期間が挿入される。これにより、第5期間において、液晶層に含まれる可動性イオンを、第1電極及び第2電極のいずれか一方に効果的に初期配置できる。このように第6期間が始まる前に、可動性イオンの初期配置が整えられることにより、第7期間に得られる第1電極の電位の測定値に関して測定再現性を得ることができる。また、可動性イオンによる内部電場の影響も測定値に反映されるので、可動性イオンの増加が測定値の変化として現れやすくなる。その結果、第2液晶パネルの液晶層への水分侵入を感度よく検知できる。
さらに、付記7に記載の電気光学装置によれば、液晶層が交流駆動されるため、第1電極の電位の測定時において、液晶層に直流電圧が印加されることに起因して液晶層が劣化することを抑制できる。
(付記8)光源と、投射光学系と、をさらに備え、前記光路は、前記光源から出射され、前記第1パネルを介して前記投射光学系に入射する画像光の光路である、付記1から7のいずれか一つに記載の電気光学装置。
(付記9)前記第1パネルの温度を検出する第1温度センサーと、前記第1パネルを加熱する第1加熱装置と、前記第2パネルの温度を検出する第2温度センサーと、前記第2パネルを加熱する第2加熱装置と、前記第1温度センサーの出力と、前記第2温度センサーの出力と、前記測定回路によって得られる前記第1電極の電位の測定値とに基づいて、前記第1加熱装置及び前記第2加熱装置を制御する温度制御回路と、を備える、付記1から8のいずれか一つに記載の電気光学装置。
上記構成によれば、例えば、第1電極の電位の測定値が閾値に到達した場合、すなわち、液晶層の水分量が所定値に到達したと推定される場合などに、第1パネル及び第2パネルを適切に加熱することにより、第1パネル及び第2パネルの液晶層から水分を排出させることができる。加熱終了後に、再度、第1電極の電位を測定することにより、第2パネルの液晶層から水分が排出されたかを確認できる。第2パネルの液晶層から水分が排出されたことを確認できれば、第1パネルの液晶層からも水分が排出されたと推定できる。
(付記10)前記第1パネルは、第1シール材を備え、前記第2パネルは、前記第1シール材と同じ外形を有し、且つ前記第1シール材の幅以上の幅を有する第2シール材を備える、付記1から9のいずれか一項に記載の電気光学装置。
上記の構成によれば、第2パネルのシール性能を、第1パネルのシール性能と同等以上にすることができる。そのため、第2パネルの液晶層の水分量の推定結果を、第1パネルの液晶層の水分量の推定結果として、より有効的に使用することができる。
(付記11)前記第1パネルは、前記第1パネルにおいて第1位置に配置される第1液晶封入口を備え、前記第2パネルは、前記第2パネルにおいて前記第1位置に対応する第2位置に配置される第2液晶封入口を備える、付記1から10のいずれか一項に記載の電気光学装置。
上記の構成によれば、第1パネルと第2パネルとで、夫々の液晶層への水分の侵入に対する脆弱性がほぼ同等になる。従って、第2パネルの液晶層の水分量の推定結果を、第1パネルの液晶層の水分量の推定結果として、より有効的に使用することができる。
(付記12)前記第2パネルは、前記第1電極が配置される第1基板と、前記第2電極が配置される第2基板と、前記第1基板及び前記第2基板の少なくとも一方に配置され、前記液晶層を覆う遮光膜と、を備える、付記1から11のいずれか一項に記載の電気光学装置。
既に述べたように、液晶層に含まれる可動性イオンの量は、光の入射によっても変化するが、上記のように、第2素子基板及び第2対向基板の少なくとも一方に遮光膜が配置されることにより、液晶層に光は入射しない。従って、第1電極の電位の測定によって、第2パネルへの液晶層への水分侵入に起因する可動性イオンの振る舞いのみを捉えることができるため、液晶層の水分量の推定精度が向上する。
また、第2パネルの遮光性が向上するため、電気光学装置内における第2パネルの配置自由度が高まる。
(付記13)前記第2パネルの外形サイズは、前記第1パネルの外形サイズより小さい、付記1から12のいずれか一項に記載の電気光学装置。
このように、水分侵入抑止力及び水分排出力について、第1パネルと第2パネルとの相関関係が予め判っていれば、第1パネルよりも小型の第2パネルを使用してもよい。これにより、第2パネルの製造コストを低減できる。
小型の第2パネルを使用すると、第2パネルの加熱が容易になるため、電気光学装置の消費電力を抑えることができる。
小型の第2パネルを使用すると、電気光学装置内での第2パネルの取り付けが容易になるとともに、第2パネルの組み立て工程を簡略化できる。第2パネルの交換も容易となるため、電気光学装置のメンテナンス性が向上する。
(付記14)前記第2パネルの厚さは、前記第1パネルの厚さより小さい、付記13に記載の電気光学装置。
このように、第2パネルの厚さが、第1パネルの厚さより小さい場合、第2パネルの熱伝導率が高まる。その結果、第2パネルの加熱がより容易になるため、電気光学装置の消費電力をより抑えることができる。
(付記15)前記第2パネルは、前記第2パネルの表面及び裏面の少なくとも一方に貼り付けられる遮光フィルムを備える、付記13または14に記載の電気光学装置。
このように、第2パネルに遮光膜を成膜するのではなく、第2パネルに遮光フィルムを貼り付ける構成とすることにより、第2パネルの製造工程を簡略化できる。第2パネルは、電気光学装置の光路の外に配置されるため、高強度の光は第2パネルに入射しない。そのため、遮光フィルムとして、アルミニウムなどの高遮光性フィルムを用いてもよいし、或いは、光を減光させる性質と耐熱性とを有する樹脂フィルムを用いてもよい。
(付記16)前記光路の外部に配置され、前記第2パネルが挿入されるポケットを備える、付記1から15のいずれか一つに記載の電気光学装置。
これにより、電気光学装置内での第2パネルの取り付けが容易になるとともに、第2パネルの交換も容易となるため、電気光学装置のメンテナンス性が向上する。
(付記17)前記第1パネルと前記第2パネルとのうち、前記第1パネルが複数の画素電極を備える、付記1から16のいずれか一つに記載の電気光学装置。
このように、第1パネルと第2パネルとのうち、第1パネルが複数の画素電極を備える。言い換えれば、第2パネルは、画素電極を備えていない。このような構成を採用することにより、第1パネルと比較して、第2パネルの構成を簡略化できるため、第2パネルの製造コストを低減することができる。
(付記18)前記第1パネルは、複数の第1接続端子を備え、前記第2パネルは、前記第1接続端子の数よりも少ない複数の第2接続端子を備える、付記1から19のいずれか一つに記載の電気光学装置。
このような構成を採用することにより、第1パネルと比較して、第2パネルの構成を簡略化できるため、第2パネルの製造コストを低減することができる。
(付記19)第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に配置される液晶層と、を備えるパネルと、前記第1電極と前記第2電極との夫々に電位を供給すると共に、前記第1電極の電位を測定する測定回路と、前記パネルを加熱する加熱装置と、を備える、液晶装置。
上記の構成を有する液晶装置を、第1パネルに相当する液晶パネルを備える他のプロジェクターなどの電気光学装置に搭載することにより、これらの電気光学装置に、液晶パネルの液晶層中の水分量を推定する機能を容易に実装することができる。
(付記20)光路の上に配置される第1パネルと、前記光路の外に配置され、第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に配置される液晶層と、を備える第2パネルと、を備える電気光学装置と、前記第1電極と前記第2電極との夫々に電位を供給すると共に、前記第1電極の電位を測定する測定回路を備える診断装置と、を備える、診断システム。
上記の診断システムによれば、第2パネルは、電気光学装置側の回路との電気的な接続部を有していないので、電気光学装置に第2パネルを実装することが容易となる。従って、第2パネルの交換も容易となるため、電気光学装置のメンテナンス性が向上する。
上記の診断システムによれば、診断装置が第2パネルの第1電極の電位を測定しているときに、電気光学装置の内部回路をスリープ状態にすることができるため、電気光学装置の内部回路から発生するノイズが、第1電極の電位の測定値に重畳することを抑制できる。
上記の診断システムによれば、第2パネルに関連する測定回路が診断装置に実装されるため、電気光学装置の製造コストを低減できる。
1、1A、1B…プロジェクター(電気光学装置)、2…診断装置、100、100R、100G、100B、100A…第1液晶パネル、200、200A、200B、200C…第2液晶パネル、213…検出電極(第1電極)、222…共通電極(第2電極)、250…液晶層、70…測定回路、112…第1シール材、212…第2シール材、117…第1液晶封入口、217…第2液晶封入口、270…遮光膜、218C、223C…遮光フィルム、321…ポケット、H1…第1ヒーター線(第1加熱装置)、H2…第2ヒーター線(第2加熱装置)、TH1…第1温度センサー、TH2…第2温度センサー

Claims (20)

  1. 光路の上に配置される第1パネルと、
    前記光路の外に配置され、第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に配置される液晶層と、を備える第2パネルと、
    前記第1電極と前記第2電極との夫々に電位を供給すると共に、前記第1電極の電位を測定する測定回路と、
    を備える、電気光学装置。
  2. 前記測定回路は、
    第1期間において、前記第1電極と前記第2電極との電位差が第1電位差となるように、前記第1電極と前記第2電極との夫々に電位を供給し、
    前記第1期間後の第2期間において、前記電位差が、前記第1電位差と異なる極性を有する第2電位差となるように、前記第1電極と前記第2電極との夫々に電位を供給し、
    前記第2期間後の第3期間において、前記第1電極への電位の供給を停止すると共に前記第2電極に前記第2期間と同じ電位を供給し、少なくとも1回前記第3期間に前記第1電極の電位を測定する、
    請求項1に記載の電気光学装置。
  3. 前記第1期間は、前記第1パネルの1フレーム期間より長く、
    前記第1電位差の絶対値は、前記液晶層の閾値電圧以上である、
    請求項2に記載の電気光学装置。
  4. 前記第2期間は、前記第1パネルの1フレーム期間より短く、
    前記第2電位差の絶対値は、0Vより大きく、且つ前記液晶層の閾値電圧より小さい、
    請求項2に記載の電気光学装置。
  5. 前記測定回路は、前記第1期間と前記第2期間との間の第4期間において、前記電位差が、前記第1電位差と同じ極性を有し、且つ前記第1電位差の絶対値より小さい絶対値を有する第3電位差となるように、前記第1電極と前記第2電極との夫々に電位を供給する、
    請求項2に記載の電気光学装置。
  6. 前記第3電位差の絶対値は、0Vより大きく、且つ前記液晶層の閾値電圧より小さい、
    請求項5に記載の電気光学装置。
  7. 前記測定回路は、
    前記第3期間後の第5期間において、前記電位差が、前記第1電位差と異なる極性を有し、且つ前記第1電位差の絶対値と同じ絶対値を有する第4電位差となるように、前記第1電極と前記第2電極との夫々に電位を供給し、
    前記第5期間後の第6期間において、前記電位差が、前記第4電位差と異なる極性を有する第5電位差となるように、前記第1電極と前記第2電極との夫々に電位を供給し、
    前記第6期間後の第7期間において、前記第1電極への電位の供給を停止すると共に前記第2電極に前記第6期間と同じ電位を供給し、少なくとも1回前記第7期間に前記第1電極の電位を測定する、
    請求項2に記載の電気光学装置。
  8. 光源と、
    投射光学系と、をさらに備え、
    前記光路は、前記光源から出射され、前記第1パネルを介して前記投射光学系に入射する画像光の光路である、請求項1から7のいずれか一項に記載の電気光学装置。
  9. 前記第1パネルの温度を検出する第1温度センサーと、
    前記第1パネルを加熱する第1加熱装置と、
    前記第2パネルの温度を検出する第2温度センサーと、
    前記第2パネルを加熱する第2加熱装置と、
    前記第1温度センサーの出力と、前記第2温度センサーの出力と、前記測定回路によって得られる前記第1電極の電位の測定値とに基づいて、前記第1加熱装置及び前記第2加熱装置を制御する温度制御回路と、
    を備える、
    請求項1から7のいずれか一項に記載の電気光学装置。
  10. 前記第1パネルは、第1シール材を備え、
    前記第2パネルは、前記第1シール材と同じ外形を有し、且つ前記第1シール材の幅以上の幅を有する第2シール材を備える、
    請求項1から7のいずれか一項に記載の電気光学装置。
  11. 前記第1パネルは、前記第1パネルにおいて第1位置に配置される第1液晶封入口を備え、
    前記第2パネルは、前記第2パネルにおいて前記第1位置に対応する第2位置に配置される第2液晶封入口を備える、
    請求項1から7のいずれか一項に記載の電気光学装置。
  12. 前記第2パネルは、
    前記第1電極が配置される第1基板と、
    前記第2電極が配置される第2基板と、
    前記第1基板及び前記第2基板の少なくとも一方に配置され、前記液晶層を覆う遮光膜と、
    を備える、
    請求項1から7のいずれか一項に記載の電気光学装置。
  13. 前記第2パネルの外形サイズは、前記第1パネルの外形サイズより小さい、
    請求項1から7のいずれか一項に記載の電気光学装置。
  14. 前記第2パネルの厚さは、前記第1パネルの厚さより小さい、
    請求項13に記載の電気光学装置。
  15. 前記第2パネルは、前記第2パネルの表面及び裏面の少なくとも一方に貼り付けられる遮光フィルムを備える、
    請求項13に記載の電気光学装置。
  16. 前記光路の外部に配置され、前記第2パネルが挿入されるポケットを備える、
    請求項1から7のいずれか一項に記載の電気光学装置。
  17. 前記第1パネルと前記第2パネルとのうち、前記第1パネルが複数の画素電極を備える、
    請求項1から7のいずれか一項に記載の電気光学装置。
  18. 前記第1パネルは、複数の第1接続端子を備え、
    前記第2パネルは、前記第1接続端子の数よりも少ない複数の第2接続端子を備える、
    請求項1から7のいずれか一項に記載の電気光学装置。
  19. 第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に配置される液晶層と、を備えるパネルと、
    前記第1電極と前記第2電極との夫々に電位を供給すると共に、前記第1電極の電位を測定する測定回路と、
    前記パネルを加熱する加熱装置と、
    を備える、液晶装置。
  20. 光路の上に配置される第1パネルと、
    前記光路の外に配置され、第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に配置される液晶層と、を備える第2パネルと、
    を備える電気光学装置と、
    前記第1電極と前記第2電極との夫々に電位を供給すると共に、前記第1電極の電位を測定する測定回路を備える診断装置と、
    を備える、診断システム。
JP2022174166A 2022-10-31 2022-10-31 電気光学装置、液晶装置、及び診断システム Pending JP2024065343A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022174166A JP2024065343A (ja) 2022-10-31 2022-10-31 電気光学装置、液晶装置、及び診断システム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022174166A JP2024065343A (ja) 2022-10-31 2022-10-31 電気光学装置、液晶装置、及び診断システム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2024065343A true JP2024065343A (ja) 2024-05-15

Family

ID=91064545

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022174166A Pending JP2024065343A (ja) 2022-10-31 2022-10-31 電気光学装置、液晶装置、及び診断システム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2024065343A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8692943B2 (en) Electronic device having a liquid crystal shutter
US8310635B2 (en) Electro-optic device, electronic instrument, and projection display
JP4211856B2 (ja) 電気光学装置および電子機器
KR20100118077A (ko) 전기 광학 장치 및 전자 기기
JP2010223690A (ja) フレキシブル基板、並びに電気光学装置及び電子機器
KR101197689B1 (ko) 액정 전기광학장치
JP6642618B2 (ja) 電気光学装置、投射型表示装置
JP3695224B2 (ja) 電気光学装置、電子機器および電気光学パネルの駆動方法
JP2024065343A (ja) 電気光学装置、液晶装置、及び診断システム
US20240142811A1 (en) Liquid crystal device, electronic device, and diagnostic system
JP5736784B2 (ja) 温度検出装置、電気光学装置および電子機器
JP6322933B2 (ja) 電気光学装置、電子機器、及び電気光学装置の制御方法
US20230099587A1 (en) Liquid crystal device, electronic apparatus, and physical property measurement method for liquid crystal layer
JP2003248209A (ja) 液晶装置および投射型表示装置
US11378830B2 (en) Method of driving display device, and display device
JP2011064756A (ja) 表示パネル用加熱器および表示装置
JP2012058300A (ja) 投射型表示装置
JP2012141360A (ja) 電気光学装置および電子機器
JP2023039607A (ja) 電気光学装置および電子機器
JP2005308823A (ja) 電荷除去回路、電気光学装置および電子機器
JP2023019434A (ja) 液晶装置、および電子機器
JP2010266497A (ja) 液晶パネルおよびプロジェクター
US8325172B2 (en) Driver circuit, method for driving, electro-optical device and electronic apparatus
JP2015200688A (ja) 電気光学装置、及び電子機器
JP2018087947A (ja) 液晶装置、電子機器