JP2024064849A - 量子もつれ光源およびその制御方法、並びに量子通信システム - Google Patents

量子もつれ光源およびその制御方法、並びに量子通信システム Download PDF

Info

Publication number
JP2024064849A
JP2024064849A JP2022173767A JP2022173767A JP2024064849A JP 2024064849 A JP2024064849 A JP 2024064849A JP 2022173767 A JP2022173767 A JP 2022173767A JP 2022173767 A JP2022173767 A JP 2022173767A JP 2024064849 A JP2024064849 A JP 2024064849A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
quantum
resonator
entangled photon
mirror
photon pairs
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022173767A
Other languages
English (en)
Inventor
智之 堀切
大輔 吉田
和哉 新関
智暉 都野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Yokohama National University NUC
Original Assignee
Yokohama National University NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Yokohama National University NUC filed Critical Yokohama National University NUC
Priority to JP2022173767A priority Critical patent/JP2024064849A/ja
Publication of JP2024064849A publication Critical patent/JP2024064849A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Optical Modulation, Optical Deflection, Nonlinear Optics, Optical Demodulation, Optical Logic Elements (AREA)
  • Optical Communication System (AREA)

Abstract

【課題】量子もつれ光源が生成するもつれ光子の最適化を実現する。【解決手段】量子通信システムに用いられる量子もつれ光源(21)は、励起レーザ部(22)と、励起レーザ部(22)が出力する光を用いて、もつれ光子対を生成する共振器(31)と、を備え、共振器(31)は、もつれ光子対を周回させるための複数の反射ミラーを備え、複数の反射ミラーのうち、もつれ光子対の一部が透過して共振器(31)から出射される反射ミラーである出射ミラー(42)は、反射率が変更可能となっている。【選択図】図2

Description

本発明は、量子通信システムに用いられる量子もつれ光源およびその制御方法、並びに量子通信システムに関する。
量子もつれを用いた量子通信システムでは、量子もつれ光源が生成したもつれ光子が、量子メモリにて好適に吸収されるために、狭いスペクトル線幅を有するもつれ光子を生成することが重要となっている。
特許文献1に記載の長距離量子通信用量子もつれ光源では、共振器は、もつれ光子を所定の平均周回数以上周回させ、周回させたもつれ光子を出射させている。これにより、スペクトル線幅が所定値以下であるもつれ光子を生成することができる。
特開2019-035892号公報
しかしながら、周回数が多くなるにつれて、上記共振器におけるもつれ光子の消滅数が増え、その結果、上記共振器から出射されるもつれ光子の数も低下することになる。
本発明の一態様は、量子もつれ光源が生成するもつれ光子の最適化を実現することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る量子もつれ光源は、量子通信システムに用いられる量子もつれ光源であって、励起レーザ部と、該励起レーザ部が出力する光を用いて、もつれ光子対を生成する共振器と、を備え、前記共振器は、前記もつれ光子対を周回させるための複数の反射ミラーを備え、該複数の反射ミラーのうち、前記もつれ光子対の一部が透過して前記共振器から出射される反射ミラーである出射ミラーは、反射率が変更可能となっている。
ところで、出射ミラーの反射率が高いと、もつれ光子対のスペクトル線幅の分布が狭いが、共振器から出射されるもつれ光子対の数が少ない。一方、前記出射ミラーの反射率を低いと、前記共振器から出射されるもつれ光子対の数が多いが、前記もつれ光子対のスペクトル線幅の分布が広い。
これに対し、上記の構成によると、前記出射ミラーは、反射率が変更可能となっている。これにより、もつれ光子対のスペクトル線幅の分布と、共振器から出射されるもつれ光子対の数とを最適化することができる。
本態様に係る量子もつれ光源は、反射率が異なる複数の出射ミラーのそれぞれを着脱することが可能な着脱機構をさらに備えてもよい。この場合、前記共振器にもうける出射ミラーの反射率を手作業で変更することができる。
本態様に係る量子もつれ光源は、前記出射ミラーの反射率を変更する変更デバイスと、前記共振器に入射または出射する光を検出する検出器と、該検出器の検出結果に基づいて、前記出射ミラーの反射率を変更するように前記変更デバイスを制御する制御デバイスと、をさらに備えてもよい。この場合、前記最適化を自動で行うことができる。
なお、前記変更デバイスは、前記出射ミラーの位置を変更することにより前記出射ミラーの反射率を変更してもよい。また、前記変更デバイスは、前記出射ミラーの屈折率を変更することにより前記出射ミラーの反射率を変更してもよい。
ところで、種々の量子もつれ光源に対して前記最適化の実験を行ったところ、最適化状態における出射ミラーの反射率は、0.70~0.93であった。従って、本態様に係る量子もつれ光源では、前記出射ミラーの反射率は、0.70~0.93であればよい。前記反射率の範囲が制限されるので、反射率が異なる複数の出射ミラーの個数を減らしたり、前記出射ミラーの位置の範囲を狭くしたり、出射ミラーの屈折率の範囲を狭くしたりすることができる。その結果、出射ミラーの反射率を変更するための構成について、減らしたり小型化したりすることができる。
本発明の別の態様に係る量子通信システムは、上記構成の複数の量子もつれ光源と、該複数の量子もつれ光源の間に設けられ、もつれ光子対の何れかまたはその量子状態を保持する保持デバイスを備える1または複数の中継器と、を備える。本態様においても、上記態様の量子もつれ光源と同様の効果を奏する。
本態様の量子通信システムでは、前記量子もつれ光源の共振器は、前記出射ミラーから出射されたもつれ光子対の何れかまたはその量子状態を、前記保持デバイスが保持できるように調整する光子調整素子をさらに備えてもよい。この場合、前記もつれ光子の何れかまたはその量子状態を前記保持デバイスが保持する可能性が向上する。
本発明の別の態様に係る方法は、量子通信システムに用いられる量子もつれ光源であって、励起レーザ部が出力する光を用いて共振器がもつれ光子対を生成する量子もつれ光源の制御方法であって、前記共振器に入射または出射する光を検出する検出ステップと、前記共振器において、前記もつれ光子対を周回させるための複数の反射ミラーのうち、前記もつれ光子対の一部が透過して前記共振器から出射される反射ミラーである出射ミラーの反射率を、前記検出ステップの検出結果に基づいて制御する制御ステップと、を含む。
上記の方法によると、前記出射ミラーの反射率を変更することにより、もつれ光子対のスペクトル線幅の分布と、共振器から出射されるもつれ光子対の数との最適化を自動的に行うことができる。
本発明のさらに別の態様に係る方法は、励起レーザ部が出力する光を用いてもつれ光子対を生成する共振器において、前記もつれ光子対の一部が透過して前記共振器から出射される反射ミラーである出射ミラーの反射率を特定する方法であって、前記出射ミラーの反射率と、前記共振器を前記もつれ光子対が半周する間に前記もつれ光子対が消失する割合と、前記共振器を前記もつれ光子が1周したときの距離とに基づく、もつれ生成レートを算出するステップと、前記出射ミラーの反射率をスキャンして、前記もつれ生成レートが最大となるときの前記反射率を特定するステップと、を含む。
上記の方法によると、前記最適化の指標となるもつれ生成レート利用することにより、最適な反射率を容易に特定することができる。
本発明の一態様によれば、量子もつれ光源が生成するもつれ光子の最適化を実現できる。
本発明の一実施形態に係る量子通信システムの概略構成を示すブロック図である。 上記量子通信システムのエンドノードにおける量子もつれ光源の概略構成を示すブロック図である。 或る量子もつれ光源に関して、上記量子もつれ光源における出射ミラーの反射率ともつれ生成レートとの関係を示すグラフである。 上記量子もつれ光源における共振器の一例を示す概要図である。 上記量子通信システムにおける中継ノードの概略構成を示すブロック図である。
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、図1~図5を参照して説明する。
(量子通信システム)
図1は、本実施形態に係る量子通信システムの概略構成を示すブロック図である。本実施形態の量子通信システム1では、量子中継のプロトコル(方式)として、遠距離の物質どうしの間に量子もつれを形成するプロトコルの一種であるDLCZ(Duan-Lukin-Cirac-Zoller)プロトコルが利用されている。
図1に示すように、量子通信システム1は、送信ノード11aおよび受信ノード11bと、送信ノード11aおよび受信ノード11bの間に設けられる量子中継部12と、を含む。送信ノード11aおよび受信ノード11bのそれぞれと量子中継部12とは、光ファイバFを介して量子通信可能に接続されている。なお、送信ノード11aおよび受信ノード11bを総称する場合、「エンドノード11」と記載する。
量子中継部12には、複数のベル測定ノード13(測定ノード)と複数の中継ノード14とが交互に設けられている。ベル測定ノード13と中継ノード14とは、光ファイバFを介して量子通信可能に接続されている。
具体的には、送信ノード11aは、光ファイバFを介して初段のベル測定ノード13に量子通信可能に接続され、初段のベル測定ノード13は、光ファイバFを介して初段の中継ノード14に、量子通信可能に接続される。初段の中継ノード14は、光ファイバFを介して第2段のベル測定ノード13に、量子通信可能に接続され、第2段のベル測定ノード13は、光ファイバFを介して第2段の中継ノード14に、量子通信可能に接続される。以下、これを繰り返し、第k段(kは3以上の整数である。)の中継ノード14は、光ファイバFを介して第(k+1)段のベル測定ノード13に、量子通信可能に接続され、第(k+1)段のベル測定ノード13は、光ファイバFを介して受信ノード11bに、量子通信可能に接続される。
送信ノード11aは、もつれ光子対を生成し、該もつれ光子対の一方を検出し、他方を、初段のベル測定ノード13に送信する。初段の中継ノード14は、第1もつれ光子対を生成し、該第1もつれ光子対の一方を記憶し、他方を、初段のベル測定ノード13に送信する。
初段のベル測定ノード13は、送信ノード11aから受信したもつれ光子対の他方と、初段の中継ノード14から受信した第1もつれ光子対の他方とに対し、ベル測定を行う。これにより、送信ノード11aにおけるもつれ光子対の他方と、初段の中継ノード14における第1もつれ光子対の他方との間に、量子もつれと呼ばれる量子相関を形成することができる。
また、送信ノード11aにおけるもつれ光子対と、初段の中継ノード14における第1もつれ光子対とのそれぞれは、量子もつれ状態である。従って、送信ノード11aにおけるもつれ光子対の一方と、初段の中継ノード14における第1もつれ光子対の一方との間に、量子もつれを形成することができる。
次に、初段の中継ノード14は、第2もつれ光子対をさらに生成し、該第2もつれ光子対の一方を記憶し、他方を、第2段のベル測定ノード13に送信する。また、初段の中継ノード14は、記憶された第1もつれ光子対の一方と、記憶された第2もつれ光子対の一方とに対しベル測定を行う。これにより、初段の中継ノード14は、第1もつれ光子対の一方と、第2もつれ光子対の一方との間に、量子もつれを形成することができる。
次に、第2段の中継ノード14は、第1もつれ光子対を生成し、該第1もつれ光子対の一方を記憶し、他方を、第2段のベル測定ノード13に送信する。第2段のベル測定ノード13は、初段の中継ノード14から受信した第2もつれ光子対の他方と、第2段の中継ノード14から受信した第1もつれ光子対の他方とに対し、ベル測定を行う。これにより、初段の中継ノード14における第2もつれ光子対の他方と、第2段の中継ノード14における第1もつれ光子対の他方との間に、量子もつれを形成することができる。
また、初段の中継ノード14における第2もつれ光子対と、第2段の中継ノード14における第1もつれ光子対とのそれぞれは、量子もつれ状態である。従って、初段の中継ノード14における第2もつれ光子対の一方と、第2段の中継ノード14における第1もつれ光子対の一方との間に、量子もつれを形成することができる。
次に、第2段の中継ノード14は、第2もつれ光子対をさらに生成し、該第2もつれ光子対の一方を記憶し、他方を、第3段のベル測定ノード13に送信する。また、第2段の中継ノード14は、記憶された第1もつれ光子対の一方と、記憶された第2もつれ光子対の一方とに対しベル測定を行う。これにより、第2段の中継ノード14は、第1もつれ光子対の一方と、第2もつれ光子対の一方との間に、量子もつれを形成することができる。
以下、これを繰り返すと、第k段(kは3以上の整数である。)の中継ノード14は、第2もつれ光子対の他方を第(k+1)段のベル測定ノード13に送信する。また、受信ノード11bは、もつれ光子対を生成し、該もつれ光子対の一方を検出し、他方を、第(k+1)段(kは3以上の整数である。)のベル測定ノード13に送信する。
第(k+1)段のベル測定ノード13は、第k段の中継ノード14における第2もつれ光子対の他方と、受信ノード11bにおけるもつれ光子対の他方とに対し、ベル測定を行う。これにより、第k段の中継ノード14における第2もつれ光子対の他方と、受信ノード11bにおけるもつれ光子対の他方との間に、量子もつれを形成することができる。
また、第k段の中継ノード14における第2もつれ光子対と、受信ノード11bにおけるもつれ光子対とのそれぞれは、量子もつれ状態である。従って、第k段の中継ノード14における第2もつれ光子対の一方と、受信ノード11bにおける第1もつれ光子対の一方との間に、量子もつれを形成することができる。
以上より、送信ノード11aにおけるもつれ光子対の一方と、受信ノード11bにおけるもつれ光子対の一方との間に、量子もつれを形成することができる。その結果、送信ノード11aと受信ノード11bとの間で量子通信を行うことができる。
(エンドノード)
エンドノード11は、もつれ光子対を生成して出力する量子もつれ光源と、上記もつれ光子対の一方を検出する単一光子検出器とを含む。
図2は、エンドノード11における量子もつれ光源の概略構成を示すブロック図である。図2に示すように、量子もつれ光源21は、励起レーザ部22および共振部23を含む。
励起レーザ部22は、外部共振器型の半導体レーザ等の光源励起レーザ(励起レーザ)を含む。励起レーザ部22は、上記光源励起レーザを用いて光を生成し共振部23に入射する。
共振部23は、励起レーザ部22からの可視波長(例えば0.4μm)の光を、例えば1.5μmの波長を有し、所定のスペクトル線幅以下であるもつれ光子対に変換して出射する共振器31を含む。ここで所定のスペクトル線幅とは、例えば数MHzである。図2に示すように、共振部23は、共振器31、共振器安定化レーザ32、および光子調整素子33を含む。
共振器31は、入射ミラー41(反射ミラー)、出射ミラー42(反射ミラー)、非線形光学結晶43、および補助結晶44を含む。励起レーザ部22からの可視波長の光は、入射ミラー41および出射ミラー42を透過して、光子調整素子33に入射する。
非線形光学結晶43は、入射ミラー41および出射ミラー42の間に設けられ、上記光の一部からもつれ光子対を生成する。もつれ光子対の波長は、励起レーザ部22からの光の波長をパラメトリックに配分した波長であり、例えば0.6μmと1.5μmとである。非線形光学結晶43は、一例として、PPLN(Periodically Poled LiNbO、周期的分極反転ニオブ酸リチウム)である。非線形光学結晶43は、パラメトリック下方変換(Parametric Down Conversion、PDC)により、もつれ光子対を生成する。上記もつれ光子対は、入射ミラー41および出射ミラー42の間を周回した後、出射ミラー42を透過する。
補助結晶44は、非線形光学結晶43を透過する毎に複屈折により付与される位相差を補償するために用いられている。或いは、補助結晶44は、非線形光学結晶43と同種の結晶であり、同じ偏光の光子を発生させる位相整合条件において量子もつれを効率的に生成するために用いられている。
共振器安定化レーザ32は、共振器31を安定化させるために、もつれ光子対の波長と同じ波長のパルス光を共振器31に入射する。共振器安定化レーザ32は、2つのレーザ、光位相変調器などを含む。なお、共振器安定化レーザ32は、波長変換素子を含んでもよい。
光子調整素子33は、共振器31からのもつれ光子対の何れかを遠方まで送出するための処理、或いは、上記もつれ光子対の何れかと量子メモリとの結合を調整するための処理を行う。光子調整素子33にて調整されたもつれ光子対は、量子もつれ光源21の外部に出力される。これにより、上記もつれ光子対の何れかを量子メモリが記憶する可能性が向上する。
具体的には、光子調整素子33は、光ファイバ、波長板、2個の光子スプリッタ、光チョッパ、非球面レンズ、バンドパスフィルタなどを含む。上記波長板は、もつれ光子対の何れかを、上記量子メモリが吸収可能な偏光方向に変換する。上記2個の光子スプリッタは、1光子を分離して合波する。これにより、1光子を重ね合わせ状態とすることができる。なお、光子スプリッタは1個であってもよい。
上記光チョッパは、共振器安定化レーザ32から出射ミラー42を介して共振器31内を周回し、出射ミラー42を介して光子調整素子33に入射されたパルス光を除去する。これにより、パルス光の出力がオフである期間にもつれ光子対が上記光チョッパを通過することができる。上記バンドパスフィルタは、上記量子メモリが吸収可能な周波数帯域の光を通過させる。これにより、励起レーザ部22からの光を除去することができる。
ところで、出射ミラー42の反射率が高いと、もつれ光子対のスペクトル線幅の分布が狭いが、共振器31から出射されるもつれ光子対の数が少なく、量子もつれ光源21がもつれ光子対を出射できる距離が短い。一方、出射ミラー42の反射率を低いと、共振器31から出射されるもつれ光子対の数が多いが、もつれ光子対のスペクトル線幅の分布が広く、もつれ光子対の何れかが上記量子メモリに吸収される可能性が低い。
そこで、本実施形態では、出射ミラー42は、反射率が変更可能となっている。これにより、もつれ光子対のスペクトル線幅の分布と、共振器31から出射されるもつれ光子対の数とを最適化することができる。
図3は、或る量子もつれ光源21に関して、出射ミラー42の反射率ともつれ生成レートとの関係を示すグラフである。ここで、もつれ生成レートVは、もつれ光子対が生成される割合を示しており、次式(1)~(6)で表される。ここで、変数Rは、出射ミラー42の反射率を示し、変数Gは、もつれ光子対が共振器31を半周する間にもつれ光子対が消失する割合(損失割合)を示し、変数Lは、光が共振器31を1周進んだときの長さを示す。
V=Cavityenhance(R)×Escape(R)×Linewidthmatching(R) ・・・(1)
Cavityenhance(R)∝Finesse(R)=π/2/arcsin(sqrt((1-G)/4/G)) ・・・(2)
Escape(R)=(1-R)/(2-R-G) ・・・(3)
Linewidthmatching(R)=∫[-QMlinewidth/2, QMlinewidth/2] Lorentz(R) dx/∫[-∞, ∞] Lorentz(R) dx ・・・(4)
Lorentz(R)=(1/(x+(FWHM/2))) ・・・(5)
FWHM = 299792458/L/Finesse(R) ・・・(6)。
従って、変数R、変数G、変数Lに基づいてもつれ生成レートVを算出し、出射ミラー42の反射率(変数R)をスキャンすることにより、もつれ生成レートVが最大となるときの上記反射率を特定できる。最適化の指標となるもつれ生成レートV利用することにより、最適な上記反射率を容易に特定することができる。
図3を参照すると、出射ミラー42の反射率が約0.93である場合に、もつれ生成レートVが最大であり、最適であることが示される。種々の共振器31に対し、出射ミラー42の反射率ともつれ生成レートVとの関係を調べたところ、もつれ生成レートVが最大となる上記反射率は、約0.70~約0.93の範囲に収まった。
次に、出射ミラー42の反射率を変更するための構成について説明する。図2を再び参照すると、共振部23は、反射率変更素子34(変更デバイス)、光検出器35・36(検出器)、および電気制御回路37(制御デバイス)を含む。
反射率変更素子34は、出射ミラー42の反射率を変更するための素子である。例えば、反射率変更素子34は、出射ミラー42の位置を変更することにより上記反射率を変更する、ピエゾ素子のような圧電素子でもよい。また、反射率変更素子34は、出射ミラー42の屈折率を変化させることにより上記反射率を変更する電気光学変調器であってもよい。
また、上述のように、上記反射率の範囲が約0.70~約0.93に制限されるので、出射ミラー42の位置の範囲を狭くしたり、出射ミラー42の屈折率の範囲を狭くしたりすることができる。その結果、出射ミラーの反射率を変更するための構成について、小型化することができる。
光検出器35は、励起レーザ部22から共振器31に入射する光の強さを検出する。また、光検出器36は、共振器31を出射した光の強さを検出する。光検出器35・36は、検出信号を電気制御回路37に送信する。なお、光検出器35・36は、図2に示すように両方設けてもよいし、何れか一方を設けてもよい。
電気制御回路37は、光検出器35・36からの検出信号に基づいて、反射率変更素子34を制御する。すなわち、光検出器35が、共振器31に入射する光を検出し(検出ステップ)、光検出器36が、共振器31から出射する光を検出し(検出ステップ)、これらの検出結果に基づいて、電気制御回路37が反射率変更素子34に指示して、出射ミラー42の反射率を制御する(制御ステップ)ことになる。これにより、もつれ光子対のスペクトル線幅の分布と、共振器31から出射されるもつれ光子対の数との最適化を自動で行うことができる。
(共振器の種類)
図4は、共振器31の一例を示す概要図である。図4において、上段には線状の共振器31aが示され、中段には三角形状の共振器31bが示され、下段にはボウ-タイ(bow-tie)型の共振器31cが示されている。図4の中段および下段に示すように、共振器31は、入射ミラー41および出射ミラー42の間の光学的距離を増加させるため、少なくとも1つの反射ミラー45を含んでもよい。また、図4の中段に示すように、共振器31は、複数の補助結晶44を含んでもよい。
また、上記式(1)~上記式(6)を参照すると、もつれ生成レートVは、出射ミラー42の反射率と、共振器31における光の損失割合および1周の長さとに依存するが、共振器31の形状には依存しない。従って、本実施形態の量子もつれ光源21は、任意の形状の共振器31に適用することができる。
(中継ノード)
図5は、中継ノード14の概略構成を示すブロック図である。図5に示すように、中継ノード14は、第1量子もつれ光源51、第1量子メモリ52(保持デバイス)、第2量子もつれ光源53、第2量子メモリ54(保持デバイス)、メモリ制御レーザ55と、ベル測定器56とを含む。
第1量子もつれ光源51は、通信波長帯の波長(例えば1.5μm)を有する第1もつれ光子対を生成する。第1もつれ光子対の一方は、第1量子メモリ52に記憶され、他方は、前段のベル測定ノード13に光ファイバFを介して送信される。第2量子もつれ光源53は、通信波長帯の波長(例えば1.5μm)を有する第2もつれ光子対を生成する。第2もつれ光子対の一方は、第2量子メモリ54に記憶され、他方は、後段のベル測定ノード13に光ファイバFを介して送信される。
メモリ制御レーザ55は、第1量子メモリ52における光子の書込みおよび読出しを制御すると共に、第2量子メモリ54における光子の書込みおよび読出しを制御する。ベル測定器56は、第1量子メモリ52に記憶された第1もつれ光子対の一方と、第2量子メモリ54に記憶された第2もつれ光子対の一方とに対し、ベル測定を行う。
中継ノード14の第1量子もつれ光源51は、エンドノード11の量子もつれ光源21と同様に、共振器における出射ミラーの反射率が変更可能であり、かつ、上記反射率変更素子、上記光検出器、および上記電気制御回路を含むことが望ましい。これにより、エンドノード11の量子もつれ光源21と同様の効果を奏する。なお、中継ノード14の第2量子もつれ光源53も同様である。
なお、第1量子もつれ光源51が出射する第1もつれ光子対の波長と、第1量子メモリ52が吸収できる光子の波長とが異なる場合がある。この場合、中継ノード14は、第1もつれ光子対の波長を、第1量子メモリ52が吸収できる光子の波長に変換する第1波長変換器を含めばよい。同様に、第2量子もつれ光源53が出射する第2もつれ光子対の波長と、第2量子メモリ54が吸収できる光子の波長とが異なる場合がある。この場合、中継ノード14は、第2もつれ光子対の波長を、第2量子メモリ54が吸収できる光子の波長に変換する第2波長変換器を含めばよい。さらに、中継ノード14は、第1波長変換器および第2波長変換器を動作させるための波長変換励起レーザを含めばよい。
(付記事項)
本実施形態では、共振器31の出射ミラー42の反射率を変更するために、反射率変更素子34、光検出器35・36、および電気制御回路37が共振部23に設けられているが、これに限定されるものではない。例えば、反射率が異なる複数の出射ミラーを準備し、該複数の出射ミラーのそれぞれを着脱することが可能な着脱機構を共振器31がさらに含んでもよい。この場合、共振器31にもうける出射ミラーの反射率を手作業で変更することができる。また、上述のように、上記反射率の範囲が0.70~0.93に制限されるので、準備すべき複数の出射ミラーの個数を減らすことができる。その結果、出射ミラー42の反射率を変更するための部品点数を減らすことができる。
また、本実施形態では、もつれ光子対の何れかを記憶する量子メモリを用いているが、これに限定されるものではない。例えば、もつれ光子対の何れかの量子状態を保持できる保持デバイスを量子メモリの代わりに設けてもよい。上記保持デバイスの例としては、光ファイバ、光共振器、シリコン光集積回路、光導波路などが挙げられる。
また、本実施形態では、量子中継のプロトコルとして、DLCZプロトコルが利用されているが、これに限定されるものではない。例えば、中間一致(meet-in-the-middle:MM)プロトコルを利用してもよいし、送信受信(Sender-Receiver:SR)プロトコルを利用してもよいし、中間光源(mid-point-source:MS)プロトコルを利用してもよい。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
1 量子通信システム
11 エンドノード
11a 送信ノード
11b 受信ノード
12 量子中継部
13 ベル測定ノード
14 中継ノード
21 量子もつれ光源
22 励起レーザ部
23 共振部
31 共振器
32 共振器安定化レーザ
33 光子調整素子
34 反射率変更素子(変更デバイス)
35、36 光検出器(検出器)
37 電気制御回路(制御デバイス)
41 入射ミラー
42 出射ミラー
43 非線形光学結晶
44 補助結晶
45 反射ミラー
51 第1量子もつれ光源
52 第1量子メモリ(保持デバイス)
53 第2量子もつれ光源
54 第2量子メモリ(保持デバイス)
55 メモリ制御レーザ
56 ベル測定器

Claims (10)

  1. 量子通信システムに用いられる量子もつれ光源であって、
    励起レーザ部と、
    該励起レーザ部が出力する光を用いて、もつれ光子対を生成する共振器と、を備え、
    前記共振器は、前記もつれ光子対を周回させるための複数の反射ミラーを備え、
    該複数の反射ミラーのうち、前記もつれ光子対の一部が透過して前記共振器から出射される反射ミラーである出射ミラーは、反射率が変更可能となっている、量子もつれ光源。
  2. 反射率が異なる複数の出射ミラーのそれぞれを着脱することが可能な着脱機構をさらに備える、請求項1に記載の量子もつれ光源。
  3. 前記出射ミラーの反射率を変更する変更デバイスと、
    前記共振器に入射または出射する光を検出する検出器と、
    該検出器の検出結果に基づいて、前記出射ミラーの反射率を変更するように前記変更デバイスを制御する制御デバイスと、をさらに備える、請求項1に記載の量子もつれ光源。
  4. 前記変更デバイスは、前記出射ミラーの位置を変更することにより前記出射ミラーの反射率を変更する、請求項3に記載の量子もつれ光源。
  5. 前記変更デバイスは、前記出射ミラーの屈折率を変更することにより前記出射ミラーの反射率を変更する、請求項3に記載の量子もつれ光源。
  6. 前記出射ミラーの反射率は、0.7~0.93である、請求項1に記載の量子もつれ光源。
  7. 請求項1から6の何れか1項に記載した複数の量子もつれ光源と、
    該複数の量子もつれ光源の間に設けられ、もつれ光子対の何れかまたはその量子状態を保持する保持デバイスを備える1または複数の中継ノードと、を備える量子通信システム。
  8. 前記量子もつれ光源の共振器は、前記出射ミラーから出射されたもつれ光子対の何れかまたはその量子状態を、前記保持デバイスが保持できるように調整する光子調整素子をさらに備える、請求項7に記載の量子通信システム。
  9. 量子通信システムに用いられる量子もつれ光源であって、励起レーザ部が出力する光を用いて共振器がもつれ光子対を生成する量子もつれ光源の制御方法であって、
    前記共振器に入射または出射する光を検出する検出ステップと、
    前記共振器において、前記もつれ光子対を周回させるための複数の反射ミラーのうち、前記もつれ光子対の一部が透過して前記共振器から出射される反射ミラーである出射ミラーの反射率を、前記検出ステップの検出結果に基づいて制御する制御ステップと、を含む、量子もつれ光源の制御方法。
  10. 励起レーザ部が出力する光を用いてもつれ光子対を生成する共振器において、前記もつれ光子対の一部が透過して前記共振器から出射される反射ミラーである出射ミラーの反射率を特定する方法であって、
    前記出射ミラーの反射率と、前記共振器を前記もつれ光子対が半周する間に前記もつれ光子対が消失する割合と、前記共振器を前記もつれ光子対が1周したときの距離とに基づく、もつれ生成レートを算出するステップと、
    前記出射ミラーの反射率をスキャンして、前記もつれ生成レートが最大となるときの前記反射率を特定するステップと、を含む方法。
JP2022173767A 2022-10-28 2022-10-28 量子もつれ光源およびその制御方法、並びに量子通信システム Pending JP2024064849A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022173767A JP2024064849A (ja) 2022-10-28 2022-10-28 量子もつれ光源およびその制御方法、並びに量子通信システム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022173767A JP2024064849A (ja) 2022-10-28 2022-10-28 量子もつれ光源およびその制御方法、並びに量子通信システム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2024064849A true JP2024064849A (ja) 2024-05-14

Family

ID=91034357

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022173767A Pending JP2024064849A (ja) 2022-10-28 2022-10-28 量子もつれ光源およびその制御方法、並びに量子通信システム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2024064849A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5883503B2 (ja) 非線形光共振器に基づいた単一の光トーン、rf発振信号およびトリプル発振器デバイス内の光コムの生成
US9036971B2 (en) Laser based frequency standards and their applications
US5946129A (en) Wavelength conversion apparatus with improved efficiency, easy adjustability, and polarization insensitivity
JP5663499B2 (ja) デュアルパルスレーザシステムによる光走査及び撮像システム
US8676063B2 (en) Quantum correlated photon pair generating device and method
JP2014520289A (ja) ウィスパリングギャラリーモード光共振器における非線形光混合を介した光電子フィードバックおよび光再生に基づいたパラメトリック再生発振器
US10707647B2 (en) Stable linewidth narrowing of a coherent comb laser
JPH081503B2 (ja) 波長分割多重光学通信システム
US20080231861A1 (en) Polarization Maintaining Optical Delay Circuit
JP2024064849A (ja) 量子もつれ光源およびその制御方法、並びに量子通信システム
Ma et al. Detection and spectral measurement of single photons in communication bands using up-conversion technology
JP2004110020A (ja) 波長変換器
KR100281642B1 (ko) 유도 브릴루앙 산란과 어븀 다 파장 생성기
JPS6242244B2 (ja)
US20240069261A1 (en) Suppression of excitation field for quantum light emitters using optical interferometers
JPH0555680A (ja) パルス光源
Slattery et al. SPDC correlated photon source filtered for narrowed bandwidth using volume Bragg grating
CN115832869A (zh) 一种集成外腔激光器及使用方法
WO2022165134A1 (en) Systems and methods for performing quantum telecommunications using a bichromatic entanglement source
CA3012924A1 (en) Stable linewidth narrowing of a coherent comb laser
CA3012938A1 (en) Stable linewidth narrowing of a coherent comb laser