JP2024063996A - マウスガード - Google Patents

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【課題】従来技術のマウスガードの、下顎が前方に出がちとなる問題を解決し、スポーツ・運動時の身体パフォーマンスの低下を改善することができるマウスガードを提供する。【解決手段】スポーツ・運動時に歯列を被覆するよう装着して用いる弾性素材から形成した上顎用または下顎用のマウスガードであって、上顎または下顎の一対の犬歯のみの両方、または、いずれか一方の犬歯のみの歯冠の先端部の厚みを残余の部分の厚みよりも大きくした増厚先端部を有し、前記増厚先端部は、少なくとも上顎または下顎の犬歯の歯冠の、咬合時に対応する下顎または上顎の犬歯と当接する部分の厚みを残余の部分の厚みよりも1mm乃至3mm大きくしたことを特徴とする。【選択図】 図5

Description

本発明は、スポーツ・運動時に歯列を被覆するように装着して用いる上顎用または下顎用のマウスガードに関する。より詳細には、スポーツ・運動時における歯の折損や口内・口唇の裂傷を防ぐことを目的とした従来のマウスガードとは異なり、その装着により、使用者に無意識に下顎を後方に引く(移動させる)体性反射を惹起させることで、下気道の開放による運動時の呼吸を改善し、体幹を安定させ、筋出力も増加させるといった、運動パフォーマンスの向上の効果を奏するマウスガードに関する。
マウスガードは、ラグビーやボクシング等の格闘技など受傷率の高いコンタクトスポーツにおいて、直接の外力からの歯の保護、口唇・舌・頬の裂傷の防止、衝撃からの顎関節の保護や脳震盪の防止、さらに、相手方の受傷防止のために広く使用されている。ボクシング用の場合は上下の顎にマウスガードを装着するが、それ以外のスポーツでは上顎用マウスガードのみを装着するのが一般的である。マウスガードは、EVA(エチレン酢酸ビニル共重合樹脂)やポリオレフィン、ポリウレタン等の弾性樹脂素材を一体成形したものが多く、顎は下顎のみが動くため、動かない上顎歯列に装着する上顎用マウスガードが一般的である。また、マウスガードには汎用形状のものと、使用者の歯列を象りした歯列模型から樹脂を一体成形するカスタムメイドマウスガード(CMG)があるが、近年、後者の製造技術の開発の進展により、特にスポーツ選手等ではCMGが普及してきている。
汎用型マウスガードの例https://www.shockdoctor.jp/product/item-superfit-02/ CMGの例https://www.ryms.jp/flowchart/flowchart.html
図2に示すように、下顎と頭蓋骨が接続する顎関節は、頭蓋骨側の下顎窩と下顎骨上端の下顎頭(丸い突起)から成り、下顎窩と下顎頭の間には関節円板(図示せず)というクッションがあり、動きをスムーズにすること、圧力を吸収する役割をしている。口を開いていくと、まず下顎頭が回転し、次第に下顎窩に沿って前方へ滑り出す。つまり、顎関節は下顎の開閉の回転軸となると同時に、下顎を前後方向に動かす役割を有している。
マウスガードの装着時は、その厚み分だけ下顎が開いた状態が基本となる。その状態で歯を噛みしめることで下顎がやや前方に出る形となるため、気道が狭くなり、呼吸が圧迫されるという問題があった。また、下顎が前方に出た状態では頸椎から脊椎に掛けての脊柱が望ましいS字カーブを取りにくく体幹が安定しない。そのため、身体バランスが崩れ、筋出力も十分に発揮できず、身体パフォーマンスが低下するという問題があった。
本願発明は、従来技術のマウスガードの、かかる下顎が前方に出がちとなる問題を解決し、スポーツ・運動時の身体パフォーマンスの低下を改善することができる上顎用または下顎用のマウスガードを提供することを課題とするものである。
上記の課題を解決するために、請求項1に記載したマウスガードは、スポーツ・運動時に歯列を被覆するよう装着して用いる弾性素材から形成した上顎用または下顎用のマウスガードであって、上顎または下顎の一対の犬歯のみの両方、または、いずれか一方の犬歯のみの歯冠の先端部の厚みを残余の部分の厚みよりも大きくした増厚先端部を設けたことを特徴とする。
歯科医療においては、上下の歯列の適正な噛み合わせ(咬合)は、一般的に上顎・下顎の第一大臼歯の前後方向の位置関係(「アングル(大臼歯関係)」といわれている。)を見ることで診断されるが、上下の犬歯の位置関係もまた重要であることが知られている。
上下の犬歯が適正に噛み合っている状態(1級咬合)では、図3に示すように上顎の犬歯(3上)の軸が下顎の犬歯(3下)の軸のやや後方、下顎の第一小臼歯(4下)との間の谷に位置し、上下の歯の山と谷が緊密に噛み合う状態となる。この状態は、下顎を左右に動かした時、上下の犬歯が自然にぶつかって擦れ合うことで奥歯や前歯に過剰な噛み合わせの力がかかるのを防ぐとともに顎関節が守られるのであり、歯科医療の分野では「犬歯誘導」と呼ばれている。
前述のとおり、従来のマウスガードの装着時には、そのままでは咬合時に下顎がやや前方に出る形となるが、ここで上顎用ならば上顎の犬歯(3上)、下顎用ならば下顎の犬歯(3下)の高さが増厚先端部の存在によって若干高くなっていれば、咬合時には犬歯以外の歯が接触するに先立って上下の犬歯同士が接触し、前述の犬歯誘導により下顎の犬歯(3下)が上顎の犬歯(3上)と側切歯(2上)との間の谷の裏側に誘導され、その後他の上下の歯も隣接する山と谷が自然に噛み合う1級咬合に導かれる。この作用は、上顎用・下顎用のいずれのマウスガードに増厚先端部を設けた場合も同様である。なお、当然であるが、かかる犬歯に増厚先端部を有するマウスガードを装着して咬合した場合、上下の犬歯が接触した時点において犬歯以外の歯同士はまだ接触しておらず、1級咬合の完成後に犬歯以外の上下の歯列も接触する形となる。
また、使用者が本願発明に係るマウスガードを装着して口を閉じた際には、増厚先端部の存在を異物として感じ、無意識のうちに下顎を後方に引く体性反射を生じる。体性反射は、動物にみられる反射の中でも、外部からの刺激によって筋肉(骨格筋)の収縮が引き起こされる反射をいい、膝蓋腱反射に代表されるように無意識に身体が動く作用である。咬合時にはマウスガードの犬歯の増厚先端部が対応する顎の犬歯に真っ先に接触して下顎の犬歯を押し下げる形となり、この刺激が下顎の感覚を司る三叉神経の三本目の枝である下顎神経への刺激となる。下顎神経は顎を動かすいわゆる咀嚼筋のうち、下顎を後方に引いて移動させる側頭筋の支配神経であるため、下顎神経への刺激が体性反射を惹起して側頭筋を収縮させ、使用者に無意識のうちに下顎を引かせることになる。すなわち、本願発明における増厚先端部は、上述した犬歯誘導に加えて、かかる体性反射も惹起させる効果を生じるのである。
なお、咬合時には上顎の犬歯にも押し上げる形の力が働き、同じく三叉神経の二本目の枝である上顎神経への刺激が与えられるが、上顎神経は頬部の皮膚感覚、鼻腔後部や口蓋の感覚、上顎歯槽、歯、歯肉の感覚を支配する神経であり、側頭筋とは直接には関連しない。そのため、結果的に、側頭筋を収縮させて下顎を後方に引かせる体性反射は、上顎用マウスガード・下顎用マウスガードのいずれを装着した場合も主に下顎犬歯への押圧により惹起される。
かかる機序を実現するために、本願発明に係るマウスガードは、上顎用・下顎用のいずれの場合も、犬歯の歯冠の先端部を覆う部分の厚みを残余の部分の厚みよりも大きくした増厚先端部となるよう形成したものである。これにより、マウスガードを装着した状態でも下顎が前方に出なくなり、気道が開放されて呼吸が容易となって体幹も安定するため、身体バランスの維持や筋出力の発揮が容易となり、運動時の身体パフォーマンスが向上する。
ここで留意されるべきは、従来の一般的なカスタムメイドのマウスガードでは、上顎用であれ下顎用であれ、歯の欠損を補填する場合等を除き、装着する歯列の現状の形状に忠実に対応した形状に形成するのが常識であり、非装着での咬合時との比較で異物となるような増厚先端部を設けることは、咬合を不適正化する要因となる非常識な構成であるとして、想定されてこなかったことである。
しかし、マウスガードはその目的から弾力性を有する素材から成形されている以上、咬合時にも下顎の多少の前後運動を許容する。そして、マウスガードの使用者は頻繁かつ瞬間的に歯を強く噛みしめたり顎を弛緩させたりすることを繰り返すため、マウスガード使用中はしばしば下顎が前方に出がちとなり、前述した身体運動のパフォーマンス発揮の阻害を生じている場合が多い。本願発明者は、従来はほとんど知られていなかったかかるマウスガードの弊害に着目し、歯を噛みしめる都度下顎が前方に出ることを防ぐ効果を有するマウスガードの構造を試行錯誤した結果、本願発明に係る犬歯のみの増厚先端部という構成を採用したものである。なお、従来技術と同様に本願発明に係るマウスガードは弾性素材から構成されているため、犬歯誘導により下顎を1級咬合に導いた後も、さらに歯を強く噛みしめることで増厚先端部は圧縮されるため、上下の顎の咬合は最終的に適正となり、顎関節への負担等の悪影響は生じない。
なお、以上説明した増厚先端部の奏する効果は、上顎用マウスガード、下顎用マウスガードのいずれに適用した場合も同様であるため、いずれに適用してもよい。ボクシング用を除き、通常は上下いずれか一方の顎にのみマウスガードを装着するので、装着する側の顎用のマウスガードに増厚先端部を設ければ、上述の効果が期待できる。
さらに、増厚先端部は犬歯の両方だけでなく、左右いずれかのみに設けることもできる。手に利き手があるように、脚にも利き脚があり、身体各所にも同様の性向があることが知られている。上顎用または下顎用のマウスガードの犬歯のいずれか一方側のみ増厚先端部を設けた場合でも、使用者がマウスガードを咬み締めると、両方の犬歯に増厚先端部を設けた場合と同様に無意識に下顎を引かせる効果が生じるだけでなく、さらに、下顎神経に惹起される前記の体性反射は左側が先行してより大きくなり、左側側頭筋のみならず脊髄を介して左半身の屈筋群の支配神経に連鎖する。(上腕では上腕筋・上腕二頭筋を支配する筋皮神経・橈骨神経、胸部では大胸筋を支配する胸筋神経、腰部では大腰筋・腸骨筋を支配する腰神経、脚部では大腿四頭筋を支配する大腿神経や腓腹筋を支配する脛骨神経などである。)これらの筋肉は正に歯をくいしばって瞬発的に大きな筋出力を発揮させる筋肉であり、使用者はスポーツ・運動の種類と利き手・利き脚などの関係に応じて必要な側の犬歯に増厚先端部を有するマウスガードを装着することで、身体の左右任意の側の屈筋群に対して、より大きな体性反射による筋出力の向上を図ることが期待できるのである。
次に、請求項2に係る発明は、請求項1に記載した下顎用マウスガードであって、前記増厚先端部は、少なくとも上顎または下顎の犬歯の歯冠の、咬合時に対応する下顎または上顎の犬歯と当接する部分の厚みを残余の部分の厚みよりも1mm乃至3mm大きくしたことを特徴とする。
前述の犬歯誘導も体性反射も、犬歯先端の僅かな突出により十分な作用を生じるため、増厚先端部の増厚量はごく小さいもので良く、使用者の本来の犬歯の大きさや角度に応じて適宜設定可能である。発明者の試作品での試行によれば、増厚量は1mm乃至3mmが好適であり、多くの場合、犬歯の歯冠の先端部の厚みを他の歯の歯冠先端部の厚みより少なくとも1mm大きく設定すれば、使用者が咬合時に下顎を無意識に後方に引かせる効果が確認できた。
次に、請求項3に係る発明は、請求項2に記載したマウスガードであって、前記マウスガードは、シート圧接法により可塑性合成樹脂の一層のシートから一体成形されてなり、前記増厚先端部は、犬歯の歯冠の先端部に当接する面に前記シートよりも硬度の大きな弾性素材からなる1mm乃至3mmの厚みの増厚層を設けたことにより増厚されていることを特徴とする。また、請求項4に係る発明は、同じく請求項2に記載したマウスガードであって、シート圧接法により可塑性合成樹脂の複数層のシートから一体成形されてなり、前記増厚先端部は、前記シートのいずれかの層間に前記シートよりも硬度の大きな弾性素材からなる1mm乃至3mmの厚みの増厚層を設けたことにより増厚されていることを特徴とするものである。
なお、増厚層の素材を樹脂シートよりも硬度の大きな弾性素材としたのは、増厚により他の歯よりも突出量が大きくなる犬歯部分が反対側の顎の歯列との咬合時に容易に変形して適切に犬歯誘導されなくなることを防ぐために、増厚先端部の「芯」としての役割を果たさせるためである。
ところで、スポーツ・運動用のマウスガードの製造方法としては、主にロストワックス法とシート圧接法が普及している。いずれの製造方法も、まず、歯科用トレー上のアルジネート印象材を咬合させて使用者の顎印象(歯列形状)を採り、石膏を注入して歯列模型を製作する。ロストワックス法は歯科技工分野で長年主流の製造方法であり、マウスガードでも高精度な製造ができる。一方、シート圧接法は歯列模型にEVAシートをバキューム装置で密着圧接させて一体成形し、硬化処理する比較的簡略な製造方法であるが、近年は特にシート圧接法の技術が向上している。本願発明に係る下顎用マウスガードはいずれの製造方法でも製造可能であるが、増厚先端部を設け易いシート圧接法が好適である。
シート圧接法によるマウスガードの製造は、上下顎の石膏歯列模型を整形して咬合器に装着し、咬合状態を確認・必要に応じて微修正した上で、一般的には(イ)製作する側の顎の歯列模型をバキューム装置に設置し、(ロ)上方からEVA等の樹脂シートを当接させ、バキューム吸気によりシートを歯列模型に圧接させて成形し、(ハ)咬合器により上顎歯列模型を咬み合わせて咬合状態を確認し、(ニ)余分なシート部分を切除して整形し、(ホ)熱処理して硬度を調製し完成、といった工程で行われる。また、厚みの大きな樹脂シート1枚で行う一層成形、材質の異なる複数枚の樹脂シートを順次重ねて成形する多層成形も行われている。
請求項3に係るマウスガードは、上記(イ)の工程の後、歯列模型の犬歯の歯冠先端の所定部分にのみ予め1mm乃至3mm厚の樹脂を被せて増厚層を設け、その後、所定の厚さの樹脂シート1枚を用いて(ロ)以降の工程を進めることで製造できる。一方、請求項4に係るマウスガードは、所定の厚さよりも薄い1枚目の樹脂シートにより一旦(ロ)までの工程を進めた後、犬歯の歯冠先端の所定部分にのみ増厚層を設け、その後、やはり所定の厚さよりも薄い2枚目の樹脂シートにより(ロ)以降の工程を進めることで二層構造の製品を製造できる。また、複数枚で所定の厚さとなる樹脂シートを用いて(ロ)の工程を繰り返すことで多層構造の製品を製造することもでき、その際、増厚層は任意の層間に設けることができる。
以上述べたように、本願発明に係るマウスガードは使用者に対して以下のような効果を奏する。(1)マウスガード装着時に、歯を噛みしめる都度、下顎が前方に出ることを防ぐことで、気道が開放されて呼吸が容易となって体幹も安定するため、身体バランスの維持や筋出力の発揮が容易となり、運動時の身体パフォーマンスが向上する。(2)左右いずれかの犬歯のみに増厚先端部を有するマウスガードを使用することにより、身体の左右任意の側の屈筋群に対し、より大きな体性反射による筋出力の向上を図ることができる。
以下、本発明の実施形態について図を用いて説明する。前述のとおり本願発明に係るマウスガードは、上顎用・下顎用のいずれも発明としての構成は共通であり、いずれでも発明の効果を奏する。図4は本願発明に係る下顎用マウスガードMの外観斜視図である。該下顎用マウスガードMは、使用者ごとに作成した上下両顎の歯列模型を基にシート圧接法によりカスタムメイドされたCMGである。
図5は上顎用マウスガードMを、図6は下顎用マウスガードMを、それぞれ装着した使用者の歯列を前方から見た図である。マウスガードMは歯列の全歯及び歯茎の上部に密着しており、両方の犬歯3上または3下の歯冠先端部の尖った部分は残余の部分よりも厚みを1mm乃至3mm増した増厚先端部Tを設けている。
図7は上顎用マウスガードMを装着した使用者が口を閉じて歯を咬合させた状態を右側から見た模式図であり、図8は図7中の一点鎖線円部分の拡大図である。咬合により下顎犬歯3下が上顎犬歯3上を覆う増厚先端部Tに接触し、さらに歯を咬み締めることにより下顎犬歯3下が上顎犬歯3上と側切歯2上との間の谷の裏側に誘導され(犬歯誘導)るとともに、増厚先端部により下顎犬歯3下が下方に押される異物感を刺激として体性反射が惹起され、使用者は無意識のうちに下顎を後方に引くことにより、他の上下の歯も隣接する山と谷が自然に噛み合う1級咬合となる。
(第一実施形態)
図9は第一の実施形態に係る上顎用マウスガードMを装着した状態の上顎犬歯3上の断面図である。上顎用マウスガードMは上顎犬歯3上の歯冠先端部のみを残余の部分の厚みnよりも1mm乃至3mm厚くして増厚先端部Tとしている。
(第二実施形態)
図9は第二の実施形態に係る上顎用マウスガードM2を装着した状態の上顎犬歯3上の側断面図である。本実施形態の上顎用マウスガードM2は上顎犬歯3上の歯冠先端部のみを覆う増厚層t1を設けて二層構造とすることにより歯冠先端部の厚みを増して増圧先端部Tを構成している。
(第三実施形態)
図10は第三の実施形態に係る上顎用マウスガードM3を装着した状態の上顎犬歯3上の側断面図である。本実施形態の上顎用マウスガードM3は第一の層m1と第二の層m2の間の上顎犬歯3上の歯冠先端部のみを覆う増厚層t2を挟み込んだ三層構造とすることにより歯冠先端部の厚みを増して増厚先端部Tを構成している。
以上、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明したが、本発明は、必ずしも上述した構成にのみ限定されるものではなく、本発明の目的を達成し、効果を有する範囲内において、適宜変更実施することが可能なものであり、本発明の技術的思想の範囲内に属する限り、それらは本発明の技術的範囲に属する。
本発明に係るマウスガードは、スポーツ・運動時に歯や口腔内を保護するだけでなく、歯をくいしばった際の下顎の位置を適正化することにより身体バランスや筋出力の向上を図り、積極的に身体運動のパフォーマンスを高められる。また、スポーツ・運動の性質と利き腕・利き脚といった使用者の身体特性との関係に応じて、左右いずれかの下顎犬歯のみに増厚先端部を設けたマウスガードを選択的に使用することにより、更なる身体運動のパフォーマンス向上が図れる。これにより、従来はマウスガードを使用することがなかったスポーツ・運動においてもマウスガードを普及させることが期待できる。
一般的な下顎歯列図 人体頭部の断面模式図 上下の犬歯が適正に噛み合っている状態(1級咬合)を示す模式図 下顎用マウスガードの外観斜視図 上顎用マウスガード装着時の歯列を前方から見た図 下顎用マウスガード装着時の歯列を前方から見た図 上顎用マウスガードを装着して歯を咬合させた状態を右側から見た模式図 図7中の一点鎖線円部分の拡大図 上顎用マウスガードM1装着時の上顎犬歯の側断面図 上顎用マウスガードM2装着時の上顎犬歯の側断面図 上顎用マウスガードM3装着時の上顎犬歯の側断面図
M マウスガード
m1 マウスガードの第1層(第三実施形態)
m2 マウスガードの第2層(第三実施形態)
T 増厚先端部
t1 増厚層(第二実施形態)
t2 増厚層(第三実施形態)

Claims (4)

  1. スポーツ・運動時に歯列を被覆するよう装着して用いる弾性素材から形成した上顎用または下顎用のマウスガードであって、上顎または下顎の一対の犬歯のみの両方、または、いずれか一方の犬歯のみの歯冠の先端部の厚みを残余の部分の厚みよりも大きくした増厚先端部を設けたことを特徴とする、マウスガード。
  2. 前記増厚先端部は、少なくとも上顎または下顎の犬歯の歯冠の、咬合時に対応する下顎または上顎の犬歯と当接する部分の厚みを残余の部分の厚みよりも1mm乃至3mm大きくしたことを特徴とする、請求項1に記載のマウスガード。
  3. 前記マウスガードは、シート圧接法により可塑性合成樹脂の一層のシートから一体成形されてなり、前記増厚先端部は、犬歯の歯冠の先端部に当接する面に前記シートよりも硬度の大きな弾性素材からなる1mm乃至3mmの厚みの増厚層を設けたことにより増厚されていることを特徴とする、請求項2に記載のマウスガード。
  4. 前記マウスガードは、シート圧接法により可塑性合成樹脂の複数層のシートから一体成形されてなり、前記増厚先端部は、前記シートのいずれかの層間に前記シートよりも硬度の大きな弾性素材からなる1mm乃至3mmの厚みの増厚層を設けたことにより増厚されていることを特徴とする、請求項2に記載のマウスガード。
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