JP2024063404A - 導電性メッシュの設計方法、及び電磁シールド基材の製造方法 - Google Patents

導電性メッシュの設計方法、及び電磁シールド基材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】試作を繰り返し行うことなく、印刷処理に起因するバラツキを考慮して、目標値を満足する仕様を選定する。【解決手段】目標値を設定し、透明基材に印刷される導電線により形成される導電性メッシュの形成条件である仮メッシュ条件を設定する。仮メッシュ条件を解析対象とする所定の解析シミュレーションにおいて目標値を満足するメッシュ条件が存在すると判定した場合、判定対象の仮メッシュ条件に基づいて暫定仕様メッシュ条件を選定する。暫定仕様メッシュ条件にしたがって透明基材に導電線を印刷して作製された試作品を実測し、実測した結果に基づいて、試作品のメッシュ条件を算出して実測メッシュ条件とする。実測メッシュ条件を解析対象とする所定の解析シミュレーションにおいて目標値を満足するメッシュ条件が存在すると判定した場合、判定対象の実測メッシュ条件と、暫定仕様メッシュ条件とに基づいて最終仕様メッシュ条件を選定する。【選択図】図3

Description

本開示は、導電性メッシュの設計方法、及び電磁シールド基材の製造方法に関する。
電子機器が、外部から到来する電磁波によって誤作動するといった問題や、電子機器から生じる電磁波が、外部に漏れ出て他の電子機器を誤作動させてしまうといった問題がある。これらの問題を解決するため、電磁波をシールドする技術の提案が行われている(例えば、特許文献1参照)。
このような電磁波をシールドする技術として、例えば、ガラスなどの透明基材にインクジェット方式で導電性インクをメッシュ形状に吹き付けて導電線を印刷することにより電磁シールド基材を作製する技術がある。
特開2001-196756号広報
電磁シールドの性能を示す指標として、シールド効果(Shield Effective(以下、SEともいう))が知られている。上記したメッシュ形状の導電線を含む電磁シールド基材の場合、SEは、メッシュの開口寸法、導電線の厚み、導電線に用いる材料の導電率によって変化する。
例えば、メッシュの開口寸法が、電磁波の波長の1/2以上の長さを有する場合、当該電磁波は、シールドされずに全て透過してしまう。そのため、メッシュの開口寸法をシールド対象の電磁波の波長の1/2の長さよりも短くすれば、電磁波が透過する量を減少させることができるのでSEが増加することになる。その一方で、電磁シールド基材を、例えば、窓ガラスとして利用する場合、窓としての機能を果たすような十分な光を透過させる必要があるので、メッシュの開口寸法を過度に小さくすることはできない。したがって、電磁シールド基材を、窓ガラスなどの用途で使用する場合には、シールド対象の周波数の電磁波に対して所望のSEを達成しつつ、所望の光の透過率を達成するようなメッシュの開口寸法にする必要がある。
表皮効果のために、電磁波の周波数にしたがって導電線に生じる表皮深さは変化し、導電線の厚みが、表皮深さよりも小さい場合、SEは減少する。シールド対象の電磁波の周波数が決まっている場合、導電線の厚みを、当該周波数に応じた表皮深さ程度にするのが理想的であるが、表皮深さは、導電線の導電率によっても変化する。したがって、シールド対象の周波数の電磁波に対して所望のSEを達成しつつ、導電線の厚みを理想的な厚さにするためには、導電線の材料、及び導電線の厚みの組み合わせを適切な組み合わせにする必要がある。
上記のような事情から、シールド対象の電磁波の周波数、所望のSE、所望の光の透過率といった目標値を満足する電磁シールド基材を量産する場合、これらの目標値を満足するような製造条件を予め設計用の仕様として選定しておく必要がある。
しかしながら、透明基材に印刷される導電線の断面形状は、矩形ではなく、裾が広がった山なり形状になる。また、透明基材に吹き付けられる導電性インクの状態は、透明基材の箇所によってムラが生じて一様にはならない。このような印刷処理に起因するバラツキのために、実際の導電線の間隔、幅、厚み、導電率は、仕様通りにはならない。そのため、目標値に基づいて解析的に仕様を算出することは難しく、電磁シールド基材の試作品を繰り返し作製し、作製した電磁シールド基材に、実際の電磁波を照射して目標値を満足するような仕様を選定するということが一般的に行われる。
本開示は、上記課題を解決すべくなされたものであって、試作を繰り返し行うことなく、印刷処理に起因するバラツキを考慮して、目標値を満足する仕様を選定することを可能にする導電性メッシュの設計方法、及び電磁シールド基材の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本開示に係る導電性メッシュの設計方法は、シールド対象の電磁波の周波数の上限値を示す上限周波数と、シールド効果の目標を示す目標シールド効果値と、光の透過率の目標を示す目標透過率とを目標値として設定する目標値設定ステップと、透明基材に印刷される導電線により形成される導電性メッシュの形成条件を示すメッシュ条件であって、予め定められる製造可能範囲内で前記目標値を満足するメッシュ条件である仮メッシュ条件を設定する仮メッシュ条件設定ステップと、前記仮メッシュ条件を解析対象とする所定の解析シミュレーションにおいて前記目標値を満足するメッシュ条件が存在するか否かを判定する第1の解析判定ステップと、前記第1の解析判定ステップにおいて前記目標値を満足するメッシュ条件が存在すると判定された場合、判定対象の前記仮メッシュ条件に基づいて暫定仕様メッシュ条件を選定する暫定仕様メッシュ条件選定ステップと、前記暫定仕様メッシュ条件にしたがって前記透明基材に前記導電線を印刷して作製された試作品を実測し、実測した結果に基づいて、前記試作品のメッシュ条件を算出して実測メッシュ条件とする実測メッシュ条件算出ステップと、前記実測メッシュ条件を解析対象とする前記所定の解析シミュレーションにおいて前記目標値を満足するメッシュ条件が存在するか否かを判定する第2の解析判定ステップと、前記第2の解析判定ステップにおいて前記目標値を満足するメッシュ条件が存在すると判定された場合、前記暫定仕様メッシュ条件に応じた最終仕様メッシュ条件を選定する最終仕様メッシュ条件選定ステップと、を有する。
本開示に係る電磁シールド基材の製造方法は、上記に記載の導電性メッシュの設計方法によって選定された前記最終仕様メッシュ条件にしたがって前記透明基材に前記導電線を印刷して電磁シールド基材を製造する。
本開示の導電性メッシュの設計方法、及び電磁シールド基材の製造方法によれば、試作を繰り返し行うことなく、印刷処理に起因するバラツキを考慮して、目標値を満足する仕様を選定することができる。
本開示の第1の実施形態に係る電磁シールド基材の構成例を示す図である。 本開示の第1の実施形態に係る電磁シールド基材の垂直断面図を示す図である。 本開示の第1の実施形態に係る導電性メッシュの設計手順の流れを示す図である。 本開示の第1の実施形態に係るSE値の変化の特性と、開口率の変化の特性と、目標SE値と、目標透過率との関係の一例を示す図(その1)である。 本開示の第1の実施形態に係る第1の解析判定処理において採用する導電線の断面形状のモデルを示す図である。 本開示の第1の実施形態に係るSE値の変化の特性と、開口率の変化の特性と、目標SE値と、目標透過率との関係の一例を示す図(その2)である。 本開示の第1の実施形態に係る第2の解析判定処理において採用する導電線の断面形状のモデルを示す図である。 本開示の第2の実施形態に係る導電性メッシュの設計手順の流れを示す図である。 本開示の第3の実施形態に係る電磁シールド基材の垂直断面図を示す図である。 本開示の第3の実施形態の変形例に係る電磁シールド基材の垂直断面図を示す図である。
以下、本開示の実施形態に係る導電性メッシュの設計方法、及び電磁シールド基材の製造方法について、図1~図10を参照して説明する。図1は、本開示の第1の実施形態に係る電磁シールド基材1の構成例を示す図である。図2は、本開示の第1の実施形態に係る電磁シールド基材1の垂直断面図を示す図である。図3は、本開示の第1の実施形態に係る導電性メッシュの設計手順の流れを示す図である。図4は、本開示の第1の実施形態に係るSE値の変化の特性61と、開口率の変化の特性51と、目標SE値と、目標透過率との関係の一例を示す図である。図5は、本開示の第1の実施形態に係る第1の解析判定処理において採用する導電線20の断面形状のモデルを示す図である。図6は、本開示の第1の実施形態に係るSE値の変化の特性62と、開口率の変化の特性51と、目標SE値と、目標透過率との関係の一例を示す図である。図7は、本開示の第1の実施形態に係る第2の解析判定処理において採用する導電線20の断面形状のモデルを示す図である。図8は、本開示の第2の実施形態に係る導電性メッシュの設計手順の流れを示す図である。図9は、本開示の第3の実施形態に係る電磁シールド基材1aの垂直断面図を示す図である。図10は、本開示の第3の実施形態の変形例に係る電磁シールド基材1bの垂直断面図を示す図である。なお、各図において同一または対応する構成には同一の符号を用いて説明を適宜省略する。
<第1の実施形態>
(電磁シールド基材の構成例)
図1は、第1の実施形態に係る電磁シールド基材1の構成の一例を示す図である。電磁シールド基材1は、例えば、車両、船舶、航空機、建物などの窓ガラスなどに利用される。電磁シールド基材1は、透明基材10と、導電線20v-1,20v-2,20v-3,20h-1,20h-2,20h-3とを含む。以下、導電線20v-1,20v-2,20v-3,20h-1,20h-2,20h-3の中の任意の1つを示す場合、導電線20という。透明基材10は、例えば、ガラス、ポリカーボネートなどの光を透過する透明の基材である。透明基材10は、硬い基材であってもよいし、フィルムやシートのような柔軟性のある軟らかい基材であってもよい。
導電線20v-1,20v-2,20v-3,20h-1,20h-2,20h-3の各々は、例えば、インクジェット方式などの印刷方式によって、透明基材10に導電性インクが吹き付けられることにより、透明基材10に印刷される。導電性インクは、例えば、銀(Ag)、銅(Cu)、金(Au)、アルミニウム(Al)などの金属材料と、エポキシ樹脂などの結合特性を含む材料とを含んだ導電体である。導電性インクに含まれる金属材料の種類は、1種類であってもよいし、複数種類であってもよい。ただし、導電線20v-1,20v-2,20v-3,20h-1,20h-2,20h-3の各々の印刷に用いられる導電性インクの成分は同一である。したがって、導電線20v-1,20v-2,20v-3,20h-1,20h-2,20h-3の導電率は、印刷に用いられる導電性インクに含まれる金属材料の種類に応じた導電率であって同一の導電率になる。
縦方向の導電線20v-1,20v-2,20v-3と、横方向の導電線20h-1,20h-2,20h-3とは、垂直に交差するように印刷される。当該印刷は、縦方向の導電線20v-1,20v-2,20v-3において隣接する導電線20の間隔、及び横方向の導電線20h-1,20h-2,20h-3において隣接する導電線20の間隔の長さが全て同一になるように行われる。また、当該印刷は、導電線20v-1,20v-2,20v-3,20h-1,20h-2,20h-3の幅が、全て同一になるように行われる。これにより、透明基材10上に、導電線20v-1,20v-2,20v-3,20h-1,20h-2,20h-3によって導電性のあるメッシュ(以下、導電性メッシュという)が形成される。導電性メッシュにおいて、上下左右の4方向が、導電線20v-1,20v-2,20v-3,20h-1,20h-2,20h-3のいずれかによって囲まれる透明基材10のメッシュ領域11-1,11-2,11-3,11-4の形状は、同一面積の正方形の形状になる。
導電線20v-1,20v-2,20v-3,20h-1,20h-2,20h-3の内部に示す破線は、導電線20v-1,20v-2,20v-3,20h-1,20h-2,20h-3の各々の中央を示す線である。符号31で示す導電線20v-1と導電線20v-2の各々の中央の線の間の長さは、メッシュサイズであり、以下、メッシュサイズ31という。上記したように、メッシュ領域11-1,11-2,11-3,11-4の形状が同一であることから、メッシュサイズ31は、導電性メッシュの任意の1区画のメッシュサイズを代表する値になる。
符号32で示す長さは、導電線20v-1の幅であり、以下、線幅32という。上記したように、導電線20v-1,20v-2,20v-3,20h-1,20h-2,20h-3の幅は、同一であることから、線幅32は、導電性メッシュを形成する任意の導電線20の幅を代表する値になる。なお、メッシュサイズ31から線幅32を減算した、符号41で示す導電性メッシュの1区画の開口部の長さを、導電性メッシュの最大開口サイズとして定義し、以下、最大開口サイズ41という。
図2は、図1に示す電磁シールド基材1の符号43で示す一点鎖線上の垂直断面図である。符号33で示す長さは、導電線20v-1,20v-2,20v-3の高さ、すなわち、厚みであり、以下、線厚33という。導電線20v-1,20v-2,20v-3,20h-1,20h-2,20h-3は、高さが全て同一になるように印刷される。そのため、線厚33は、導電性メッシュを形成する任意の導電線20の厚みを代表する値になる。
したがって、電磁シールド基材1に形成される導電性メッシュの形成条件を、メッシュサイズ31、線幅32、線厚33、及び導電率という4つのパラメータで表すことができる。この4つのパラメータによって表される導電性メッシュの形成条件を、以下、メッシュ条件という。なお、図1では、縦方向と横方向の各々に、3本ずつの導電線20が印刷される例を示しているが、縦方向と横方向の各々に、2本以上の導電線20が印刷されていれば、導電線20の本数は、どのような本数であってもよい。
(第1の実施形態の導電性メッシュの設計手順)
上記した電磁シールド基材1に形成される導電性メッシュのメッシュ条件を示すメッシュサイズ31、線幅32、線厚33、導電率の各々の理想的な状態は、導電性メッシュのあらゆる箇所において、均一値になる状態である。これに対して、透明基材10の上に導電線20を実際に印刷する際、印刷処理に起因するバラツキが生じる。このバラツキのために、導電線20の位置、幅、厚み、及び導電率にバラツキが生じる。
導電線20の断面形状は、理想的には、矩形形状であるが、導電線20は、導電性インクが吹き付けられて形成されるため、実際には、図2に示すように裾が広がった山なり形状になる。また、導電線20の幅や厚みにバラツキが存在するため、全ての導電線20が同一の山なり形状にはならない。また、実際の導電線20の導電率は、透明基材10に吹き付けられる導電性インクの状態が一様でないことから、透明基材10の箇所によっては、導電性インクに含まれる金属材料の規格上の導電率に一致しない場合がある。
図3に示す導電性メッシュの設計手順は、上記のような、印刷処理に起因するバラツキを考慮して電磁シールド基材1を製造する際に用いる設計用の仕様を選定する手順である。
電磁シールド基材1を製造する際、電磁シールド基材1がシールドする電磁波の周波数の上限値(以下、上限周波数という)と、電磁シールド基材1のSE値と、電磁シールド基材1を透過する光の透過率とを目標値として予め定める必要がある。ここで、上限周波数の単位は、「Hz」であり、SE値の単位は、「dB」であり、透過率の単位は、「%」である。また、目標値となるSE値を、以下、目標SE値といい、目標値となる透過率については、以下、目標透過率という。
設計者は、例えば、以下のようにして、上限周波数、目標SE値、目標透過率の3つの目標値を設定する(S1:目標値設定ステップ)。外部から到来する電磁波をシールドすることを目的とする場合、シールド効果に関する規格などにしたがって、設計者が目標SE値を設定する。これに対して、例えば、ある装置が生成する電磁波が外部に漏れないことを目的とする場合、設計者は、当該装置の信号強度と、電磁シールド基材1を介して外部に出る際の信号強度とを勘案して目標SE値を設定する。
SE値は、メッシュサイズ31を小さくすればするほど、大きな値になるが、メッシュサイズ31の大きさには、印刷装置の性能に応じた製造可能範囲が存在する。そのため、設計者は、メッシュサイズ31の製造可能範囲を考慮しつつ、設定した目標SE値を満足するような上限周波数を設定する。なお、外部から到来する電磁波の特定の周波数をシールドしたいとか、ある装置が生成する電磁波の特定の周波数をシールドしたいといった事情が存在する場合、設計者は、設定した目標SE値を考慮することなく、シールドしたい周波数を上限周波数として設定するようにしてもよい。
目標透過率については、例えば、窓ガラスとして、電磁シールド基材1を利用するといった目的がある場合、設計者は、電磁シールド基材1が窓としての機能を果たすような目標透過率を設定する。
設計者は、導電線20の印刷のために用いる印刷装置の性能に応じた製造可能範囲で、S1の手順において設定した3つの目標値を満足するメッシュ条件の4つのパラメータを、以下のようにして仮設定する(S2:仮メッシュ条件設定ステップ)。ここで、目標値を満足するとは、少なくとも目標値以上の値になることを意味する。メッシュサイズ31、線幅32、及び線厚33のいずれか1つを変数とし、残りの3つを固定値とした場合の導電性メッシュの開口率の変化の特性は、解析的な計算によって算出することが可能である。例えば、線幅32と線厚33を固定値としてメッシュサイズ31を変化させた場合の開口率の変化の特性を解析的な計算によって算出すると、図4に示す符号51で示す破線のグラフ(以下、グラフ51という)のようになる。なお、図4において、横軸は、メッシュサイズ31を示しており、縦軸は、グラフ51の場合、開口率を示している。
メッシュサイズ31、線幅32、線厚33、及び導電率のいずれか1つを変数とし、残りの3つを固定値とした場合のSE値の変化の特性を、経験式を用いた解析的な計算によって算出することが可能である。例えば、電磁波の周波数を上限周波数とし、線幅32、線厚33、及び導電率を固定値とした場合に、メッシュサイズ31を変化させた際のSE値の変化の特性を解析的な計算によって算出すると、図4に示す符号61で示す実線のグラフ(以下、グラフ61という)のようになる。グラフ61の場合、図4の縦軸は、SE値を示すことになる。
メッシュサイズ31、線幅32、及び線厚33には、印刷装置の性能に応じた製造可能範囲が存在する。そのため、設計者は、例えば、仮設定後に微調整が可能なように、線幅32と線厚33の各々については、各々の製造可能範囲の最大値、最小値の中央である中央値を仮設定する。設計者は、導電率として、例えば、仮設定後に導電率の変更が可能な中程度の導電率の金属材料の導電率などを仮設定する。
設計者は、仮設定した線幅32、線厚33、及び導電率に固定した状態で、メッシュサイズ31を変数とするグラフ51,61を算出する。なお、グラフ61を算出する際の電磁波の周波数は、上限周波数である。ここで、導電性メッシュの透過率は、導電性メッシュの開口率に一致することから、設計者は、グラフ51において、目標透過率以上となるメッシュサイズ31の範囲を特定する。図4の場合、目標透過率以上となるメッシュサイズ31の範囲は、グラフ51と、目標透過率を示す一点鎖線55との交点56におけるメッシュサイズ31の大きさを最小値とする範囲になる。設計者は、グラフ61において、目標SE値以上となるメッシュサイズ31の範囲を特定する。図4の場合、目標SE値以上となるメッシュサイズ31の範囲は、グラフ61と、目標SE値を示す一点鎖線65との交点66におけるメッシュサイズ31の大きさを最大値とする範囲になる。
したがって、目標透過率と目標SE値の両方を満足するメッシュサイズ31の範囲は、交点56を通る垂線71と、交点66を通る垂線72との間の範囲、すなわち、符号80で示される範囲になる。設計者は、例えば、符号80で示される範囲であって、かつメッシュサイズ31の製造可能範囲に含まれるいずれか1つの値をメッシュサイズ31として仮設定する。符号80で示される範囲の全てが、メッシュサイズ31の製造可能範囲に含まれている場合、設計者は、例えば、符号80で示される範囲の中央値をメッシュサイズ31として仮設定する。
なお、上記の手順では、線幅32と、線厚33と、導電率とを仮設定した後、メッシュサイズ31に対応する開口率の変化の特性と、SE値の変化の特性とを算出して、メッシュサイズ31を仮設定するようにしている。これに対して、例えば、設計者は、上記したように、S1の手順において、目標SE値を満足するような上限周波数を設定した際、当該設定において考慮したメッシュサイズ31を仮設定するようにしてもよい。この場合、設計者は、メッシュサイズ31と、線厚33と、導電率とを仮設定した値に固定した状態で、線幅32に対応する開口率の変化の特性と、SE値の変化の特性とを算出して、線幅32を仮設定するようにしてもよい。また、設計者は、メッシュサイズ31と、線幅32と、導電率とを先に仮設定して、線厚33に対応する開口率の変化の特性と、SE値の変化の特性とを算出して、線厚33を仮設定するようにしてもよい。以下、S2の手順において仮設定したメッシュ条件を仮メッシュ条件という。
ところで、S2の手順において算出するSE値の変化の特性は、経験式を用いた解析的な計算によって算出する特性である。この経験式で得られるSE値の変化の特性の精度は、単位面積当たりの導電率相当の精度であり、導電性メッシュの断面形状まで考慮した精度にはならず、10dB程度の誤差を含む精度である。そのため、設計者は、導電性メッシュの断面形状が考慮されている、仮メッシュ条件よりも精度の高いメッシュ条件が得られるように、第1の解析判定処理を行う(S3:第1の解析判定ステップ)。
S3の手順において、設計者は、例えば、電磁界解析シミュレーションを実行可能なコンピュータに、S1の手順で設定した目標値と、S2の手順で設定した仮メッシュ条件とを入力情報として与えて電磁界解析シミュレーションを行う(S3-1)。ここで、電磁界解析シミュレーションとは、導電性メッシュ有り・なしでの電磁波の透過量によりシールド効果を評価するシミュレーションである。
図2に示すように、導電線20の断面形状は、実際には、裾が広がった山なり形状であるが、電磁界解析シミュレーションでは、図5に示すように、導電線20の断面形状を、幅が線幅32であり、高さが線厚33である矩形形状としてモデル化した処理が行われる。電磁界解析シミュレーションでは、例えば、以下のようなシミュレーションが行われる。仮メッシュ条件の4つのパラメータからいずれか1つのパラメータを選択する。選択した1つのパラメータ以外の3つのパラメータを仮メッシュ条件の値に固定し、電磁波の周波数を上限周波数にした状態で、選択した1つのパラメータの値を所定の範囲内で増減させるシミュレーションが行われる。このシミュレーションを、4つのパラメータの各々に対して行う。
その結果、メッシュサイズ31、線幅32、線厚33、及び導電率の各々に対応するSE値の変化の特性であって、電磁波の周波数を上限周波数とした場合のSE値の変化の特性が得られることになる。電磁界解析シミュレーションにより得られるSE値の変化の特性の精度は、導電線20の断面形状が考慮されているため、S2の手順で経験式を用いた解析的な計算によって算出するSE値の変化の特性の精度よりも高くなる。
S2の手順において説明したように、メッシュサイズ31、線幅32、及び線厚33のいずれか1つを変数とし、残りの3つを仮メッシュ条件の値に固定した場合の開口率の変化の特性は、解析的な計算によって予め算出することが可能である。そのため、設計者は、メッシュサイズ31、線幅32、及び線厚33の各々に対応する開口率の変化の特性を、解析的な計算により算出する。
設計者は、解析的な計算によって算出したメッシュサイズ31、線幅32、及び線厚33の各々に対応する開口率の変化の特性と、S3-1の手順において得られたメッシュサイズ31、線幅32、線厚33、及び導電率の各々に対応するSE値の変化の特性と、目標透過率と、目標SE値とに基づいて、目標値を満足するメッシュ条件が存在するか否かを判定する(S3-2)。
メッシュサイズ31に対応するSE値の変化の特性、及び開口率の変化の特性と、目標SE値と、目標透過率とが、例えば、図4に示すような関係になっているとする。この場合、図4の符号80で示す範囲に相当する目標SE値と目標透過率の両方を満足するメッシュサイズ31の範囲が存在する。そのため、当該範囲と、メッシュサイズ31の製造可能範囲とが重複している場合、設計者は、メッシュサイズ31については、目標値を満足すると判定する。一方、当該範囲と、メッシュサイズ31の製造可能範囲とが重複していない場合、設計者は、メッシュサイズ31については、目標値を満足しないと判定する。
これに対して、メッシュサイズ31に対応するSE値の変化の特性が、例えば、図6に示すグラフ62のような特性であり、メッシュサイズ31に対応する開口率の変化の特性が、グラフ51のような特性であるとする。この場合、目標SE値以上となるメッシュサイズ31の範囲は、グラフ62と、目標SE値を示す一点鎖線65との交点67におけるメッシュサイズ31の大きさを最大値とする範囲になる。言い換えると、交点67を通る垂線73の左側の範囲が、目標SE値以上となるメッシュサイズ31の範囲になる。目標透過率以上となるメッシュサイズ31の範囲は、図4の場合と同様に、交点56を通る垂線71の右側の範囲である。したがって、図4の場合とは異なり、図6の場合、目標透過率を満足し、かつ目標SE値を満足するメッシュサイズ31の範囲は存在しないことになる。そのため、図6の場合、設計者は、メッシュサイズ31については、目標値を満足しないと判定する。
設計者は、メッシュサイズ31の場合と同様に、線幅32と線厚33の各々についても、各々に対応するSE値の変化の特性、及び開口率の変化の特性と、目標SE値と、目標透過率とに基づいて、目標値を満足するか否かを判定する。
導電率については、開口率の変化の特性が存在しない。そのため、設計者は、導電率に対応するSE値の変化の特性と、目標SE値とに基づいて、導電率に対応する目標SE値以上となる範囲を特定する。設計者は、特定した範囲と、導電率の製造可能範囲とに重複する範囲が存在すれば、目標値を満足すると判定し、重複する範囲が存在しなければ、目標値を満足しないと判定する。ここで、導電率の製造可能範囲とは、利用可能な導電性インクに含まれる金属材料の導電率によって定められる範囲である。
設計者は、メッシュサイズ31、線幅32、線厚33、及び導電率の全てにおいて、目標値を満足している場合、目標値を満足するメッシュ条件が存在すると判定する(S3-2、Yes)。一方、設計者は、メッシュサイズ31、線幅32、線厚33、及び導電率のいずれかにおいて、目標値を満足していない場合、目標値を満足するメッシュ条件が存在しないと判定する(S3-2、No)。S3-2の手順において「No」の判定をした場合、設計者は、仮メッシュ条件を再設定して(S4:第1のメッシュ条件再設定ステップ)、再びS3-1の手順を行う。
S3-2の手順において「Yes」の判定をした場合、設計者は、目標値を満足するメッシュ条件の範囲から暫定的な仕様となる暫定仕様メッシュ条件を選定する(S5)。設計者は、例えば、目標SE値と目標透過率の両方を満足するメッシュサイズ31の範囲と、メッシュサイズ31の製造可能範囲とが重複する範囲の中央値を暫定仕様のメッシュサイズ31として選定する。設計者は、メッシュサイズ31と同様の手順で、暫定仕様の線幅32と線厚33の各々を選定する。設計者は、目標SE値を満足する導電率の範囲と、導電率の製造可能範囲とが重複する範囲の中央付近の導電率であって、利用可能な導電性インクの導電率を暫定仕様の導電率として選定する。
設計者は、選定した暫定仕様メッシュ条件のメッシュサイズ31、線幅32、及び線厚33を印刷装置に設定する。設計者は、当該印刷装置によって、暫定仕様メッシュ条件の導電率に一致する導電率を有する導電性インクを透明基材10に吹き付けることにより、透明基材10に導電線20を印刷して試作品を作製する(S6)。
設計者は、試作品を実測して、試作品における実際のメッシュ条件を算出する。設計者は、試作品の導電性メッシュの複数の区画のなかの幾つかの区画における開口サイズを実測する。なお、区画の形状は、印刷処理に起因するバラツキのために正方形の形状になっていない場合があることを考慮して、1区画の幾つかの箇所の縦方向と横方向において開口サイズを実測する。設計者は、1区画の幾つかの箇所において実測した開口サイズの中の最大値を当該区画の最大開口サイズとする。設計者は、試作品の導電性メッシュの複数の区画のなかの幾つかの区画における最大開口サイズの平均値を算出し、算出した平均値を、試作品を代表する最大開口サイズ41とする。
上記したように、導電線20の断面の形状は、図7に示すような裾が広がった山なり形状になっている。そのため、設計者は、複数の実測箇所を予め定め、以下のようにして試作品を代表するメッシュサイズ31と、線幅32と、線厚33とを算出する。なお、インクジェット方式の場合、縦方向の導電線20の断面形状と、横方向の導電線20の断面形状とには違いが生じるため、予め定める複数の実測箇所には、縦方向の導電線20の箇所と、横方向の導電線20の箇所と、縦方向と横方向の導電線20が交差する箇所とを含めるようにする。
設計者は、試作品の導電線20の複数の実測箇所における導電線20の断面形状を示すデータを取得する。設計者は、例えば、断面スキャナなどによって、複数の実測箇所の導電線20にレーザを照射することにより、導電線20の断面形状を示すデータを取得する。図1において符号42で示す縦方向と横方向の導電線20が交差する箇所については、例えば、符号42の一点鎖線で示すように対角から対角にスキャンして、導電線20の断面形状を示すデータを取得する。
設計者は、複数の実測箇所の各々において得られた導電線20の断面形状を示すデータから、図7に示すように、導電線20の高さ36が半分になる位置における導電線20の幅、すなわち、半値幅38を算出する。なお、図1の符号42で示す導電線20が交差する箇所については、導電線20の断面形状を示すデータから算出する半値幅の長さは、縦方向と横方向の導電線20が交差する領域の対角線上の長さになる。そのため、算出した半値幅を21/2で除算した値を半値幅38とする。
設計者は、複数の実測箇所の各々において算出した半値幅38の平均値を算出し、算出した平均値を線幅32とする。設計者は、線幅32に、最大開口サイズ41を加算した加算値をメッシュサイズ31とする。設計者は、複数の実測箇所の各々において得られた導電線20の断面形状を示すデータから導電線20の高さ36の半分の高さ、すなわち半値高さ37を算出する。設計者は、算出した複数の半値高さ37の平均値を算出し、算出した平均値を線厚33とする。
設計者は、試作品の複数の実測箇所におけるシート抵抗を実測する。設計者は、S5の手順で選定した暫定仕様メッシュ条件に基づいて解析的な計算により試作品のシート抵抗を算出する。導電率とシート抵抗とは、比例関係にあるため、設計者は、複数の実測箇所において実測したシート抵抗の平均値と、算出したシート抵抗との比率を算出する。設計者は、算出した比率と、暫定仕様メッシュ条件の導電率とに基づいて、試作品を代表する導電率を算出する。これにより、試作品の実際のメッシュ条件(以下、実測メッシュ条件という)が得られることになる(S7:実測メッシュ条件算出ステップ)。
設計者は、実測メッシュ条件が、目標値を満足しているか否かを判定するため、第2の解析判定処理を行う(S8:第2の解析判定ステップ)。第2の解析判定処理は、実測メッシュ条件に対してS3の手順の第1の解析判定処理と同一の処理が行われる。そのため、S8-1,S8-2の手順として、それぞれ、S3-1,S3-2の手順において、仮メッシュ条件を、実測メッシュ条件に読み替えた手順が行われる。
設計者は、S8-2の手順において、実測メッシュ条件に含まれるメッシュサイズ31、線幅32、線厚33、及び導電率のいずれかにおいて、目標値を満足していない場合、目標値を満足するメッシュ条件が存在しないと判定する(S8-2、No)。この場合、設計者は、実測メッシュ条件を再設定して(S9:第2のメッシュ条件再設定ステップ)、再びS8-1の手順を行う。
設計者は、S8-2の手順において、設計者は、実測メッシュ条件に含まれるメッシュサイズ31、線幅32、線厚33、及び導電率の全てにおいて、目標値を満足している場合、目標値を満足するメッシュ条件が存在すると判定する(S8-2、Yes)。ここで、S9の実測メッシュ条件の再設定の手順が一度も行われていない、言い換えると、S7の手順で算出した実測メッシュ条件と、S8-2の手順の判定対象の実測メッシュ条件とが同一であるとする。この場合、設計者は、S5の手順において選定した暫定仕様メッシュ条件を、最終的な仕様用のメッシュ条件(以下、最終仕様メッシュ条件という)として選定する。
これに対して、S9の手順が行われている場合、言い換えると、S7の手順で算出した実測メッシュ条件と、S8-2の手順の判定対象の実測メッシュ条件とが異なっている場合、設計者は、以下のようにして最終仕様メッシュ条件を選定する。設計者は、最後に再設定した実測メッシュ条件と、S7の手順において算出した実測メッシュ条件との相違の比率を算出する。より詳細には、2つの実測メッシュ条件に含まれるメッシュサイズ31、線幅32、線厚33、及び導電率の各々の相違の比率を算出する。S7の手順において算出した実測メッシュ条件は、S5の手順において選定した暫定仕様メッシュ条件にしたがって試作した試作品のメッシュ条件である。そのため、設計者は、S5の手順において選定した暫定仕様メッシュ条件の4つのパラメータの各々に、各々に対応する相違の比率を適用して、暫定仕様メッシュ条件の4つのパラメータの値が、最後に再設定した実測メッシュ条件の4つのパラメータの値に対応する値になるように補正する。設計者は、補正した暫定仕様メッシュ条件を最終仕様メッシュ条件として選定する(S10:最終仕様メッシュ条件選定ステップ)。
(第1の実施形態の利点)
上記の第1の実施形態の導電性メッシュの設計手順では、電磁シールド基材1の目標値を設定した上で、製造可能範囲と、解析的な計算の計算結果とにしたがって仮メッシュ条件を設定する。仮メッシュ条件を解析対象として電磁界解析シミュレーションを行うことにより、解析的な計算よりも精度の高いSE値の変化の特性を得ることができるので、仮メッシュ条件よりも精度の高い暫定的な仕様用のメッシュ条件を選定することができる。選定した暫定仕様メッシュ条件にしたがって試作品を作製し、作製した試作品のメッシュ条件を試作品の実測結果に基づいて算出することにより、暫定仕様メッシュ条件に対応する実際のメッシュ条件である実測メッシュ条件を得ることができる。暫定仕様メッシュ条件と、実測メッシュ条件との相違は、印刷処理に起因するバラツキを示すことになる。実測メッシュ条件を解析対象として電磁界解析シミュレーションを行い、電磁界解析シミュレーションの結果に基づいて目標値を満足するように実測メッシュ条件を補正し、更に、当該補正に対応する補正を暫定仕様メッシュ条件に適用する。これにより、印刷処理に起因するバラツキが考慮されている最終仕様メッシュ条件を選定することができる。最終仕様メッシュ条件にしたがって製造することにより、上限周波数の電磁波に対して目標SE値を満足するシールド性能を有すると共に、目標透過率を満足する光学的な性能を有する電磁シールド基材1を得ることが可能になる。
このように、第1の実施形態の導電性メッシュの設計手順では、試作を繰り返し行くことなく、一度の試作だけで、試作品に対して実際の電磁波を照射することなく、印刷処理に起因するバラツキを考慮して、目標値を満足するメッシュ条件の仕様を選定することが可能になる。そのため、例えば、印刷処理に起因するバラツキがワーストの状態であっても、少なくとも目標値を満足する電磁シールド基材1を製造することが可能になる。
導電性インクの印刷によって形成される導電線20の実際の形状は、裾が広がった山なり形状である。これに対して、上記の第1の実施形態では、S7の手順において、試作品の実測値に基づいて実測メッシュ条件を算出する際に、導電線20の半値幅38の平均値を線幅32とし、導電線20の半値高さ37の平均値を線厚33としている。更に、図3のS8-1の手順の電磁界解析シミュレーションでは、導電線20の断面形状を、本来の複雑な形状ではなく、高さが線厚33であり、幅が線幅32である矩形形状とするモデル化を行っている。このようなモデル化を行うことにより、第1の実施形態では、導電線20の断面形状を表すパラメータの数を少なくして電磁界解析シミュレーション処理の負荷を軽減しつつ、最終仕様メッシュ条件の選定において許容される良好な精度のSE値の変化の特性を得ることを可能としている。
上記の第1の実施形態では、S7の手順において、試作品の複数の実測箇所においてシート抵抗を実測し、実測したシート抵抗の平均値から試作品の導電線20の導電率を算出している。そして、算出した導電率を、試作品を代表する導電率としてS8の手順において用いるようにしている。そのため、S8-1の手順において得られるSE値の変化の特性は、実測したシート抵抗に基づく導電率が反映された特性になる。その結果、S10の手順において、線厚33と、導電率との組み合わせが、表皮深さを考慮した適切な組み合わせになっている最終仕様メッシュ条件が得られることになる。
<第2の実施形態>
例えば、目標値として設定する上限周波数を、1GHzとした場合、波長は、約30cmになる。上記したように、導電性メッシュの最大開口サイズ41が、電磁波の波長の1/2の長さ以上になると、当該電磁波は、全て透過する。そのため、1GHzの電磁波をシールドする場合、1区画の最大開口サイズ41を、15cmよりも小さくすることになる。これに対して、可視光線の波長は、ナノメートルのオーダであることから、1GHz程度の電磁波をシールドすることを目的として作製された電磁シールド基材の場合、可視光線は、理論的には、全て透過することになる。ただし、実際には、印刷の状態によって、導電線20に滲みや歪みが生じるため、可視光線が透過する際に、乱反射が生じて散乱したり、真っすぐに透過せずに曲がって透過したりする場合がある。そのため、第1の実施形態によって得られた最終仕様メッシュ条件にしたがって作製した電磁シールド基材1を目視したり、カメラの撮像素子の前に電磁シールド基材1を配置したりして視認性を確かめたりすると、所望の視認性能を満足していないこともあり得る。
(第2の実施形態の導電性メッシュの設計手順)
第1の実施形態では、光学的な観点で考慮する要素として、解析的な計算によって算出したメッシュサイズ31、線幅32、及び線厚33の各々に対応する開口率の変化の特性と、目標透過率とを用いていた。これに対して、第2の実施形態では、透過率に加えて、ヘイズ率を目標値として設定し、更に、光学的解析シミュレーションを採用することで、所望の視認性能を達成するような電磁シールド基材1を製造するための最終仕様メッシュ条件を選定する。
図8は、第2の実施形態に係る電磁シールド基材1を製造する際に用いる設計用の仕様を選定する手順である。なお、第2の実施形態における電磁シールド基材1の構成は、図1に示す第1の実施形態の電磁シールド基材1と同一の構成である。
設計者は、第1の実施形態と同様に、目標値として、上限周波数と、目標透過率と、目標SE値を設定する。第2の実施形態では、設計者は、目標値として、更に、所望のヘイズ率を設定する。以下、目標値となるヘイズ率を目標ヘイズ率という(Sa1:目標値設定ステップ)。ここで、ヘイズ率とは、光の散乱の程度を表す指標であり、単位は「%」である。ヘイズ率が大きい状態とは、例えば、透明基材10の内部における光の散乱が多い状態であり、透明性が低下して透明基材10が曇っている状態になる。すなわち、第2の実施形態では、透明基材10に導電線20が印刷された電磁シールド基材1の視認性能が所望の視認性能になっているか否かを、目標透過率と、目標ヘイズ率とによって判定することになる。
設計者は、第1の実施形態のS2の手順と同一の手順によって仮メッシュ条件を設定する(Sa2:仮メッシュ条件設定ステップ)。設計者は、第2の実施形態における第1の解析判定処理を行う(Sa3:第1の解析判定ステップ)。第2の実施形態における第1の解析判定処理のSa3-1の手順では、第1の実施形態の第1の解析判定処理と同一の仮メッシュ条件を解析対象とする電磁界解析シミュレーションの処理が行われる。Sa3-1の手順では、更に、仮メッシュ条件を解析対象とする光学解析シミュレーションの処理が行われる。
設計者は、例えば、光学解析シミュレーションを実行可能なコンピュータに、Sa1の手順で設定した目標値と、Sa2の手順で設定した仮メッシュ条件とを入力情報として与えて光学解析シミュレーションを行う(Sa3-1)。ここで、光学解析シミュレーションとは、例えば、レイトレーシングなどの手法を用いるシミュレーションである。
図2に示すように、導電線20の断面形状は、実際には、裾が広がった山なり形状であるが、Sa3-1の手順における光学解析シミュレーションでは、図5に示すように、導電線20の断面形状を、幅が線幅32であり、高さが線厚33である矩形形状としてモデル化した処理が行われる。光学解析シミュレーションでは、例えば、以下のようなシミュレーションが行われる。仮メッシュ条件の4つのパラメータから導電率を除くいずれか1つのパラメータを選択する。選択した1つのパラメータ以外の3つのパラメータを仮メッシュ条件の値に固定した状態で、選択した1つのパラメータの値を所定の範囲内で増減させるシミュレーションが行われる。光学解析シミュレーションの結果、メッシュサイズ31、線幅32、及び線厚33の各々に対応する開口率の変化の特性と、ヘイズ率の変化の特性とが得られることになる。
設計者は、Sa3-1の手順によって得られたメッシュサイズ31、線幅32、及び線厚33の各々に対応する開口率の変化の特性、及びヘイズ率の変化の特性と、Sa3-1の手順によって得られたメッシュサイズ31、線幅32、線厚33、及び導電率の各々に対応するSE値の変化の特性と、目標透過率と、目標ヘイズ率と、目標SE値とに基づいて、目標値を満足するメッシュ条件が存在するか否かを、第1の実施形態のS3-2と同様の手順によって判定する(Sa3-2)。
例えば、メッシュサイズ31の場合、メッシュサイズ31に対応する開口率の変化の特性、ヘイズ率の変化の特性、及びSE値の変化の特性の各々を、図4や図6に示すようなグラフで示す。3つの特性を示すグラフにおいて、開口率の変化の特性と、目標透過率とによって特定される目標透過率を満足するメッシュサイズ31の範囲と、ヘイズ率の変化の特性と、目標ヘイズ率とによって特定される目標ヘイズ率を満足するメッシュサイズ31の範囲と、SE値の変化の特性と、目標SE値とによって特定される目標SE値を満足するメッシュサイズ31の範囲とを特定する。
3つの範囲に、メッシュサイズ31の製造可能範囲を加えた、4つの範囲において重複する範囲が存在すれば、設計者は、メッシュサイズ31については、目標値を満足すると判定する。一方、設計者は、4つの範囲において重複する範囲が存在しなければ、メッシュサイズ31については、目標値を満足すると判定する。設計者は、メッシュサイズ31の場合と同様に、線幅32と線厚33の各々についても、目標値を満足するか否かを判定する。なお、導電率については、開口率の変化の特性と、ヘイズ率の変化の特性とが存在しないため、第1の実施形態のS3-2と同一の手順によって、目標値を満足するか否かを判定する。
設計者は、メッシュサイズ31、線幅32、線厚33、及び導電率の全てにおいて、目標値を満足している場合、目標値を満足するメッシュ条件が存在すると判定する(Sa3-2、Yes)。一方、設計者は、メッシュサイズ31、線幅32、線厚33、及び導電率のいずれかにおいて、目標値を満足していない場合、目標値を満足するメッシュ条件が存在しないと判定する(Sa3-2、No)。Sa3-2の手順において「No」の判定をした場合、設計者は、仮メッシュ条件を再設定して(Sa4:第1のメッシュ条件再設定ステップ)、再びSa3-1の手順を行う。
Sa3-2の手順において「Yes」の判定をした場合、設計者は、目標値を満足するメッシュ条件の範囲から暫定的な仕様となる暫定仕様メッシュ条件を選定する(Sa5)。設計者は、例えば、目標SE値、目標透過率、及び目標ヘイズ率の全てを満足するメッシュサイズ31の範囲と、メッシュサイズ31の製造可能範囲とが重複する範囲の中央値を暫定仕様のメッシュサイズ31として選定する。設計者は、メッシュサイズ31と同様の手順で、暫定仕様の線幅32と線厚33の各々を選定する。設計者は、目標SE値を満足する導電率の範囲と、導電率の製造可能範囲とが重複する範囲の中央付近の導電率であって、利用可能な導電性インクの導電率を暫定仕様の導電率として選定する。
第1の実施形態のS6と同一の手順により、設計者は、暫定仕様メッシュ条件にしたがって試作品を作製する(Sa6)。設計者は、第1の実施形態のS7の手順と同一の手順によって、試作品の最大開口サイズ41と、導電率とを算出する。設計者は、第1の実施形態のS7の手順と同様に、試作品の複数の実測箇所の各々の箇所において、導電線20の高さ36を実測すると共に、半値高さ37と、半値幅38とを算出し、更に、導電線20の幅39を実測する。なお、図1の符号42で示す導電線20が交差する箇所については、実測する幅の長さは、縦方向と横方向の導電線20が交差する領域の対角線上の長さになる。そのため、実測した幅を21/2で除算した値を幅39とする。
設計者は、以下のようにして、電磁界解析シミュレーション用の実測メッシュ条件である第1の実測メッシュ条件と、光学解析シミュレーション用の実測メッシュ条件である第2の実測メッシュ条件とを算出する。設計者は、第1の実測メッシュ条件として、線厚33を、導電線20の半値高さ37の平均値とし、線幅32を、導電線20の半値幅38の平均値とし、メッシュサイズ31を、最大開口サイズ41に線幅32を加えた値とし、導電率を、算出した導電率とする。すなわち、第1の実測メッシュ条件は、第1の実施形態のS7の手順において算出する実測メッシュ条件と、同一の手順によって算出される。
設計者は、第2の実測メッシュ条件として、線厚33を、導電線20の高さ36の平均値とし、線幅32を、導電線20の幅39の平均値とし、メッシュサイズ31を、最大開口サイズ41に、線幅32を加えた値とし、導電率を、算出した導電率とする(Sa7-1:実測メッシュ条件算出ステップ)。
設計者は、試作品に対して可視光線を照射し、試作品を透過する可視光線をセンサなどによって受光して、試作品の透過率と、試作品のヘイズ率とを実測する(Sa7-2:透過率実測ステップ・ヘイズ率実測ステップ)。
設計者は、実測メッシュ条件が、目標値を満足しているか否かを判定するため、第2の解析判定処理を行う(Sa8:第2の解析判定ステップ)。第2の実施形態の第2の解析判定処理のSa8-1の手順として、Sa3-1の手順において、仮メッシュ条件を、第1の実測メッシュ条件に読み替えた電磁界解析シミュレーションと、仮メッシュ条件を、第2の実測メッシュ条件に読み替えた光学解析シミュレーションとが行われる。
言い換えると、Sa8-1の手順において、電磁界解析シミュレーションについては、第1の実施形態のS8-1の手順と同一の処理が行われる。すなわち、導電線20の断面形状を、導電線20の半値高さ37の平均値と、導電線20の半値幅38の平均値とによって特定される矩形形状としてモデル化した電磁界解析シミュレーションの処理が行われる。これに対して、Sa8-1の手順の光学解析シミュレーションについては、導電線20の断面形状を、導電線20の幅39の平均値と、導電線20の高さ36の平均値とによって特定される矩形形状としてモデル化した処理が行われる。
このように、電磁界解析シミュレーションと、光学解析シミュレーションとにおいて、導電線20の断面形状のモデルを異なるモデルにするのは、以下のような理由である。電磁界解析シミュレーションでは、1GHz程度の電磁波を対象としたシミュレーションであるのに対して、光学解析シミュレーションでは、可視光線を対象としたシミュレーションであり、対象とする電磁波の波長が大きく異なる。可視光線の波長は、ナノメートルのオーダであるため、導電線20の断面形状の微小な変化によって、透過や散乱などの現象の程度が大きく変化する。そのため、光学解析シミュレーションでは、精度の高い結果を得るためには、実際の導電線20の高さや幅を解析対象にする必要がある。
Sa8-1の手順における電磁界解析シミュレーションによって、メッシュサイズ31、線幅32、線厚33、及び導電率の各々に対応するSE値の変化の特性が得られることになる。また、Sa8-1の手順における光学解析シミュレーションによって、メッシュサイズ31、線幅32、及び線厚33の各々に対応する開口率の変化の特性、及びヘイズ率の変化の特性が得られる(Sa8-1)。
設計者は、Sa8-1の手順において得られたメッシュサイズ31に対応する開口率の変化の特性を、第2の実測メッシュ条件のメッシュサイズ31の位置において、Sa7-2の手順において実測した試作品の透過率になるように補正する。この補正は、例えば、Sa8-1の手順において得られたメッシュサイズ31に対応する開口率の変化の特性を近似する関数に係数を乗算して行う。設計者は、同様に、線幅32、及び線厚33の各々に対応する開口率の変化の特性を、第2の実測メッシュ条件と、実測した試作品の透過率とに基づいて補正する。
設計者は、Sa8-1の手順において得られたメッシュサイズ31に対応するヘイズ率の変化の特性を、第2の実測メッシュ条件のメッシュサイズ31の位置において、Sa7-2の手順において実測した試作品のヘイズ率になるように補正する。この補正は、例えば、Sa8-1の手順において得られたメッシュサイズ31に対応するヘイズ率の変化の特性を近似する関数に係数を乗算して行う。設計者は、同様に、線幅32、及び線厚33の各々に対応するヘイズ率の変化の特性を、第2の実測メッシュ条件と、実測した試作品のヘイズ率とに基づいて補正する(Sa8-2)。
設計者は、Sa8-2の手順によって補正したメッシュサイズ31、線幅32、及び線厚33の各々に対応する開口率の変化の特性、及びヘイズ率の変化の特性と、Sa3-1の手順によって得られたメッシュサイズ31、線幅32、線厚33、及び導電率の各々に対応するSE値の変化の特性と、目標透過率と、目標ヘイズ率と、目標SE値とに基づいて、目標値を満足するメッシュ条件が存在するか否かを、Sa3-2と同様の手順によって判定する(Sa8-3)。
設計者は、メッシュサイズ31、線幅32、線厚33、及び導電率の全てにおいて、目標値を満足している場合、目標値を満足するメッシュ条件が存在すると判定する(Sa8-3、Yes)。一方、設計者は、メッシュサイズ31、線幅32、線厚33、及び導電率のいずれかにおいて、目標値を満足していない場合、目標値を満足するメッシュ条件が存在しないと判定する(Sa8-3、No)。Sa8-3の手順において「No」の判定をした場合、設計者は、第1の実測メッシュ条件と、第2の実測メッシュ条件とを再設定する(Sa9:第2のメッシュ条件再設定ステップ)。設計者は、Sa9の手順の後、再びSa8-1の手順を行う。
Sa9の手順にける、第1の実測メッシュ条件の再設定と、第2の実測メッシュ条件の再設定とは、各々を独立して再設定するのではなく、メッシュサイズ31、線幅32、及び線厚33については、同一の比率で再設定するものとする。例えば、メッシュサイズ31を再設定する場合、第1の実測メッシュ条件のメッシュサイズ31の再設定前後の比率と、第2の実測メッシュ条件のメッシュサイズ31の再設定前後の比率とが一致するように再設定するものとする。なお、導電率については、第1の実測メッシュ条件と、第2の実測メッシュ条件の導電率とが同一値になるように再設定する。
Sa8-3の手順において「Yes」の判定をした場合、設計者は、第1の実施形態のS10の手順と同様の手順で、最終仕様メッシュ条件を選定する(Sa10:最終仕様メッシュ条件選定ステップ)。なお、第1の実施形態のS10の手順では、S9の手順を経ている場合、S9の手順において最後に再設定した実測メッシュ条件と、S7の手順において算出した実測メッシュ条件とに基づいて、S5の手順において選定した暫定仕様メッシュ条件を補正して最終仕様メッシュ条件を選定するようにしている。第2の実施形態でも第1の実施形態と同様に、Sa9の手順を経ている場合、Sa5の手順において選定した暫定仕様メッシュ条件を補正するが、補正の指標となる実測メッシュ条件として、第1の実測メッシュ条件と、第2の実測メッシュ条件の2つが存在する。そのため、第2の実施形態のSa10の手順では、第1の実測メッシュ条件、及び第2の実測メッシュ条件のいずれか一方を用いてSa5の手順で選定した暫定仕様メッシュ条件を補正して最終仕様メッシュ条件を選定する。
(第2の実施形態の利点)
第2の実施形態の導電性メッシュの設計手順では、第1の実施形態の導電性メッシュの設計手順において得られる利点に加えて、以下のような利点が得られることになる。すなわち、第2の実施形態の導電性メッシュの設計手順では、電磁界解析シミュレーションに加えて、光学解析シミュレーションを行うようにしている。そのため、第1の実施形態では、解析的な計算によって算出していた開口率の変化の特性を、光学解析シミュレーションによって得ることができるので、より精度の高い開口率の変化の特性が得られることになる。第2の実施形態では、更に、目標値としてヘイズ率を設定しており、光学解析シミュレーションによってヘイズ率の変化の特性を得るようにしている。そのため、上限周波数と、目標SE値と、目標透過率とを満足し、かつ目標ヘイズ率を満足するような最終仕様メッシュ条件を得ることが可能になる。この最終仕様メッシュ条件にしたがって製造することにより、所望のシールド性能を有すると共に、所望の視認性能を有する電磁シールド基材1を製造することが可能になる。
<第3の実施形態>
第1の実施形態の電磁シールド基材1において、線厚33の厚さを大きくすると、SE値を増加させることができる。導電性インクを吹き付けることによって導電線20を印刷する手法において、線厚33の厚さを大きくするためには、導電性インクの重ね塗りを行う必要がある。ただし、導電性インクを重ね塗りすると、導電線20の裾の部分が広がって線幅32が大きくなったり、重ね塗りが均一でない箇所で導電線20に滲みが生じたりする。そのため、重ね塗りの手法によって、線厚33を大きくしようとすると、導電線20の幅を、仕様通りにすることが難しくなる。そのため、重ね塗りの手法によって、仮に、目標SE値を満足する電磁シールド基材1を作製することができたとしても、目標透過率を満足することができる電磁シールド基材1にならない場合もあり得る。
そのため、第3の実施形態では、図9に示すように、透明基材10を、複数のサブ透明基材10-1,10-2,10-3,…を積層することによって形成する。複数のサブ透明基材10-1,10-2,10-3,…の各々には、同一のメッシュ条件で、かつ同一の位置に導電線20を印刷する。これにより、図9に示すように、縦方向において、サブ透明基材10-1には、導電線20v-1-1,20v-1-2,20v-1-3が印刷される。サブ透明基材10-2,10-3,…にも同様に、縦方向に導電線20が印刷される。図9には示していないが、横方向に対しても縦方向と同様に、サブ透明基材10-1,10-2,10-3,…の各々に導電線20が印刷される。これにより、サブ透明基材10-1,10-2,10-3,…の各々の同一の位置に、同一のメッシュサイズ31、同一の線幅32、同一の線厚33、及び同一の導電率の導電性メッシュが形成されることになる。
導電性メッシュが形成されたサブ透明基材10-1,10-2,10-3,…の各々を同一間隔で積層する。すなわち、図9に示すように、隣接するサブ透明基材10-1,10-2,10-3,…の間隔である符号90-1で示す長さと、符号90-2で示す長さとが同一になるようにサブ透明基材10-1,10-2,10-3,…を積層する。積層により導電性メッシュの見かけ上の厚みが大きくなり、厚みの大きさにしたがったSE値の電磁シールド基材1aを得ることができる。この場合において、サブ透明基材10-1,10-2,10-3,…の各々の線厚33の大きさは、1つの透明基材1で同一のSE値を得ることができる線厚33の大きさよりも小さくすることができる。線厚33の大きさを小さくすることができるということは、サブ透明基材10-1,10-2,10-3,…の各々における導電性インクの重ね塗りの回数を少なくすることができるということになる。そのため、サブ透明基材10-1,10-2,10-3,…の各々における線幅32の大きさを、仕様通りにするのが容易になる。
なお、図9では、具体例として、3つ以上のサブ透明基材10-1,10-2,10-3,…を積層する例を示しているが、2層以上であれば、どのような積層数であってもよい。また、第1の実施形態と同様に、縦方向と横方向の各々に、2本以上の導電線20が印刷されていれば、導電線20の本数は、どのような本数であってもよい。
第3の実施形態の場合における導電性メッシュの設計手順は、以下に示す手順以外の手順については、第1の実施形態の導電性メッシュの設計手順と同一の手順が行われる。図3のS2の手順において、仮メッシュ条件の設定を行う場合、メッシュサイズ31、線幅32、線厚33、導電率に加えて、積層数と、積層間隔とを仮メッシュ条件として設定する。S3-1の手順では、仮メッシュ条件に示されている積層数と、積層間隔とを考慮した電磁界解析シミュレーションが行われ、積層数と、積層間隔の各々に対応するSE値の変化の特性も得られることになる。そのため、S3-2の手順では、メッシュサイズ31、線幅32、線厚33、積層数、及び積層間隔の各々に対応するSE値の変化の特性と、目標SE値と、目標透過率とに基づく判定が行われる。
S6の手順では、1層分の試作品を作製する。S7の手順では、作製した1層分の試作品に基づいて実測メッシュ条件を算出する。なお、実測メッシュ条件に含まれる積層数と、積層間隔として、暫定仕様メッシュ条件の積層数と、積層間隔とが適用される。S8-1の手順では、実測メッシュ条件に示されている積層数と、積層間隔とを考慮した電磁界解析シミュレーションが行われ、積層数と、積層間隔の各々に対応するSE値の変化の特性も得られることになる。そのため、S8-2の手順では、メッシュサイズ31、線幅32、線厚33、積層数、及び積層間隔の各々に対応するSE値の変化の特性と、目標SE値と、目標透過率とに基づく判定が行われる。S4及びS9の再設定の手順では、積層数と、積層間隔とのいずれか一方、または、両方を変更する再設定が行われる場合もある。
(第3の実施形態の利点)
第3の実施形態の導電性メッシュの設計手順では、第1の実施形態の導電性メッシュの設計手順において得られる利点に加えて、以下のような利点が得られることになる。例えば、第1の実施形態の導電性メッシュの設計手順と、第3の実施形態の導電性メッシュの設計手順とにおいて、目標SE値を同一の値にした場合、目標SE値が小さい間は、両方の設計手順において得られる電磁シールド基材1,1aは、共に、上限周波数と、目標SE値と、目標透過率とを満足することができる。
目標SE値が大きくなり、目標透過率の制約のためにメッシュサイズ31と線幅32とを大きくできず、目標SE値を満足させるために線厚33を大きくせざるを得なくなったとする。この場合、第1の実施形態の電磁シールド基材1では、線厚33を大きくすると、導電性インクの重ね塗りの回数が多くなり、実際の導電線20の幅が、最終仕様メッシュ条件に応じた線幅32よりも太くなってしまう。そのため、第1の実施形態では、目標SE値が大きくなるにしたがって、目標透過率を満足する電磁シールド基材1を製造することが困難になっていく。これに対して、第3の実施形態の電磁シールド基材1aでは、目標SE値が大きくなっても、個々のサブ透明基材10-1,10-2,10-3,…における線厚33は、第1の実施形態の場合に比べて小さくなる。そのため、第1の実施形態の場合と比較すると、第3の実施形態では、実際の導電線20の幅を、最終仕様メッシュ条件に応じた線幅32に維持することができる。したがって、第3の実施形態では、目標SE値が大きくなっても、目標透過率を満足させることができる電磁シールド基材1aを、第1の実施形態の場合に比べて容易に製造することが可能になる。
(電磁シールド基材の製造手順)
第1及び第2の実施形態の場合、導電性メッシュの設計手順によって得られた最終仕様メッシュ条件のメッシュサイズ31、線幅32、及び線厚33を印刷装置に設定する。当該印刷装置を用いて、最終仕様メッシュ条件の導電率に一致する導電率の導電性インクを透明基材10に吹き付けて導電線20を印刷する。これにより、全ての目標値を満足する電磁シールド基材1を製造することができる。
第3の実施形態の電磁シールド基材1aを製造する場合、導電性メッシュの設計手順によって得られた最終仕様メッシュ条件のメッシュサイズ31、線幅32、及び線厚33を印刷装置に設定する。最終仕様メッシュ条件の積層数に一致する数のサブ透明基材10-1,10-2,10-3,…を準備し、サブ透明基材10-1,10-2,10-3,…の各々に、当該印刷装置を用いて、最終仕様メッシュ条件の導電率に一致する導電率の導電性インクを吹き付けて導電線20を印刷する。導電線20が印刷されたサブ透明基材10-1,10-2,10-3,…の各々を、導電線20の位置が一致し、かつ最終仕様メッシュ条件の積層間隔になるように積層する。これにより、全ての目標値を満足する電磁シールド基材1aを製造することができる。
(その他の構成例)
第2の実施形態の導電線メッシュの設計手順の変形例として、ヘイズ率に関する手順を行わないようにしてもよい。具体的には、Sa1の手順において、目標ヘイズ率を設定せず、Sa3-1,Sa8-1の光学解析シミュレーションにおいて、ヘイズ率の変化の特性を求めず、Sa7-2の手順において、ヘイズ率の実測をしないようにしてもよい。言い換えると、当該変形例の場合、第1の実施形態において、解析的な計算により算出する開口率の変化の特性の替わりに、光学解析シミュレーションにおいて得られる開口率の変化の特性を適用するという手順が行われることになる。
第3の実施形態の導電性メッシュの設計手順として、第2の実施形態の導電性メッシュの設計手順、及び第2の実施形態の導電性メッシュの設計手順の変形例を適用するようにしてもよい。
第3の実施形態において、積層数が2層の場合、2つのサブ透明基材10-1,10-2を用いるのではなく、図10に示すように、同一のメッシュ条件で、1つの透明基材10の上面と下面の対向する位置に、導電線20v-1-1,20v-1-2,20v-1-3と、導電線20v-2-1,20v-2-2,20v-2-3とを印刷するようにしてもよい。なお、図10は、縦方向の例を示しているが、横方向に対しても縦方向と同様に、導電線20が印刷される。この場合、積層間隔は、透明基材10の厚さになる。これにより、2層に積層する場合、図9に示す手法よりも少ない透明基材10の数で、図9に示す手法と同様の効果が得られる電磁シールド基材1bを作製することができる。
図10の場合における導電性メッシュの設計手順は、以下に示す手順以外の手順については、第3の実施形態の導電性メッシュの設計手順と同一の手順が行われる。導電性メッシュの設計手順を通じて、メッシュ条件の積層数は、「2」に固定され、積層間隔は、透明基材10の厚さの長さに固定され、S4とS9の再設定の手順において変更されることはない。S3-1,S8-1の手順では、透明基材10の上面と下面に、透明基材10の厚みの長さ離れた状態で導電線20が存在するという前提で電磁界解析シミュレーションが行われることになる。S6の手順では、上面のみに導電線20を印刷した試作品を作製する。なお、図10の場合における導電性メッシュの設計手順に対して、第2の実施形態の導電性メッシュの設計手順、及び第2の実施形態の導電性メッシュの設計手順の変形例を適用するようにしてもよい。
第3の実施形態の図10の電磁シールド基材1bを製造する場合、導電性メッシュの設計手順によって得られた最終仕様メッシュ条件のメッシュサイズ31、線幅32、及び線厚33を印刷装置に設定する。透明基材10の上面と下面に、当該印刷装置を用いて、最終仕様メッシュ条件の導電率に一致する導電率の導電性インクを吹き付けて導電線20を印刷する。これにより、全ての目標値を満足する電磁シールド基材1bを製造することができる。
第1から第3の実施形態では、導電性メッシュの1区画の形状を正方形としているが、正六角形のハニカム形状などの正多角形や円形としてもよい。
第1の実施形態のS8-1の実測メッシュ条件を解析対象とする電磁界解析シミュレーションによって得られるメッシュサイズ31、線幅32、線厚33、及び導電率の各々に対応するSE値の変化の特性に対して、以下のような補正を行うようにしてもよい。例えば、S8-1の手順を行う前に、試作品に対して目標値の上限周波数に一致する電磁波を実際に照射して、試作品のSE値を実測する。設計者は、S8-1の手順において得られたメッシュサイズ31に対応するSE値の変化の特性を、実測メッシュ条件のメッシュサイズ31の位置において、実測したSE値になるように補正する。この補正は、例えば、S8-1の手順において得られたメッシュサイズ31に対応するSE値の変化の特性を近似する関数に係数を乗算して行う。設計者は、同様に、線幅32、線厚33、及び導電率の各々に対応するSE値の変化の特性を、実測メッシュ条件と、実測した試作品のSE値とに基づいて補正する。このような補正を行うことにより、S8-1の手順において得られるメッシュサイズ31、線幅32、線厚33、及び導電率の各々に対応するSE値の変化の特性の精度を高くすることができる。同様の補正を、第2の実施形態のSa8-1の第1の実測メッシュ条件を解析対象とする電磁界解析シミュレーションによって得られるメッシュサイズ31、線幅32、線厚33、及び導電率の各々に対応するSE値の変化の特性に対して行うようにしてもよい。
以上、本開示の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
<付記>
各実施形態に記載の導電性メッシュの設計方法は、例えば以下のように把握される。
(1)第1の態様に係る導電性メッシュの設計方法は、シールド対象の電磁波の周波数の上限値を示す上限周波数と、シールド効果の目標を示す目標シールド効果値と、光の透過率の目標を示す目標透過率とを目標値として設定する目標値設定ステップと、透明基材に印刷される導電線により形成される導電性メッシュの形成条件を示すメッシュ条件であって、予め定められる製造可能範囲内で前記目標値を満足するメッシュ条件である仮メッシュ条件を設定する仮メッシュ条件設定ステップと、前記仮メッシュ条件を解析対象とする所定の解析シミュレーションにおいて前記目標値を満足するメッシュ条件が存在するか否かを判定する第1の解析判定ステップと、前記第1の解析判定ステップにおいて前記目標値を満足するメッシュ条件が存在すると判定された場合、判定対象の前記仮メッシュ条件に基づいて暫定仕様メッシュ条件を選定する暫定仕様メッシュ条件選定ステップと、前記暫定仕様メッシュ条件にしたがって前記透明基材に前記導電線を印刷して作製された試作品を実測し、実測した結果に基づいて、前記試作品のメッシュ条件を算出して実測メッシュ条件とする実測メッシュ条件算出ステップと、前記実測メッシュ条件を解析対象とする前記所定の解析シミュレーションにおいて前記目標値を満足するメッシュ条件が存在するか否かを判定する第2の解析判定ステップと、前記第2の解析判定ステップにおいて前記目標値を満足するメッシュ条件が存在すると判定された場合、前記暫定仕様メッシュ条件に応じた最終仕様メッシュ条件を選定する最終仕様メッシュ条件選定ステップと、を有する。
(2)第2の態様に係る導電性メッシュの設計方法は、(1)の導電性メッシュの設計方法であって、前記メッシュ条件は、前記導電性メッシュの1区画のサイズを示すメッシュサイズと、前記導電線の線幅と、前記導電線の線厚と、前記導電線の導電率という4つのパラメータによって示される。
(3)第3の態様に係る導電性メッシュの設計方法は、(2)の導電性メッシュの設計方法であって、前記実測メッシュ条件算出ステップは、前記実測メッシュ条件として、実測した前記試作品の導電線の厚みの半分の長さを前記線厚とし、前記試作品の導電線の厚みが半分になる場合の導電線の幅を前記線幅とし、実測した前記導電性メッシュの開口部の長さと、前記線幅とに基づいて前記メッシュサイズを算出し、実測した前記試作品のシート抵抗に基づいて前記導電率を算出する。
(4)第4の態様に係る導電性メッシュの設計方法は、(3)の導電性メッシュの設計方法であって、前記所定の解析シミュレーションは、電磁界解析シミュレーションであり、前記第1の解析判定ステップ、及び前記第2の解析判定ステップの各々は、前記導電線の断面形状を、各々の解析対象となるメッシュ条件の前記線幅及び前記線厚によって特定される矩形形状としてモデル化した前記電磁界解析シミュレーションを行って、前記メッシュ条件のパラメータの各々に対するシールド効果の変化の特性であって前記上限周波数に対応する特性を算出し、算出した前記シールド効果の変化の特性と、予め算出する前記メッシュサイズ、前記線幅、及び前記線厚の各々に対する開口率の変化の特性と、前記目標シールド効果値と、前記目標透過率とに基づいて、前記目標値を満足するメッシュ条件が存在するか否かを判定する。
(5)第5の態様に係る導電性メッシュの設計方法は、(3)の導電性メッシュの設計方法であって、前記実測メッシュ条件算出ステップは、前記実測メッシュ条件として、(3)に記載の前記実測メッシュ条件である第1の実測メッシュ条件と、第2の実測メッシュ条件とを算出し、前記第2の実測メッシュ条件として、実測した前記試作品の導電線の厚みを前記線厚とし、前記試作品の導電線の幅を前記線幅とし、当該線幅と、実測した前記導電性メッシュの開口部の長さとに基づいて前記メッシュサイズを算出し、前記第1の実測メッシュ条件の前記導電率を導電率とする。
(6)第6の態様に係る導電性メッシュの設計方法は、(5)の導電性メッシュの設計方法であって、前記所定の解析シミュレーションは、電磁界解析シミュレーション、及び光学解析シミュレーションであり、前記第1の解析判定ステップは、前記導電線の断面形状を、前記仮メッシュ条件の前記線幅及び前記線厚によって特定される矩形形状としてモデル化した前記電磁界解析シミュレーションを行って、前記メッシュ条件のパラメータの各々に対するシールド効果の変化の特性であって前記上限周波数に対応する特性を算出し、前記導電線の断面形状を、前記仮メッシュ条件の前記線幅及び前記線厚によって特定される矩形形状としてモデル化した前記光学解析シミュレーションを行って、前記メッシュサイズ、前記線幅、及び前記線厚の各々に対応する開口率の変化の特性を算出し、算出した前記シールド効果の変化の特性、及び前記開口率の変化の特性と、前記目標シールド効果値と、前記目標透過率とに基づいて、前記目標値を満足するメッシュ条件が存在するか否かを判定し、前記第2の解析判定ステップは、前記導電線の断面形状を、前記第1の実測メッシュ条件の前記線幅及び前記線厚によって特定される矩形形状としてモデル化した前記電磁界解析シミュレーションを行って、前記メッシュ条件のパラメータの各々に対するシールド効果の変化の特性であって前記上限周波数に対応する特性を算出し、前記導電線の断面形状を、前記第2の実測メッシュ条件の前記線幅及び前記線厚によって特定される矩形形状としてモデル化した前記光学解析シミュレーションを行って、前記メッシュサイズ、前記線幅、及び前記線厚の各々に対応する開口率の変化の特性を算出し、算出した前記シールド効果の変化の特性、及び前記開口率の変化の特性と、前記目標シールド効果値と、前記目標透過率とに基づいて、前記目標値を満足するメッシュ条件が存在するか否かを判定する。
(7)第7の態様に係る導電性メッシュの設計方法は、(6)の導電性メッシュの設計方法であって、前記試作品の透過率を実測する透過率実測ステップを有し、前記第2の解析判定ステップは、算出した前記メッシュサイズ、前記線幅、及び前記線厚の各々に対応する開口率の変化の特性を、実測した前記試作品の透過率にしたがって補正し、補正した前記開口率の変化の特性を、前記目標値を満足するメッシュ条件が存在するか否かの判定に用いる。
(8)第8の態様に係る導電性メッシュの設計方法は、(6)または(7)の導電性メッシュの設計方法であって、前記目標値設定ステップは、更に、ヘイズ率の目標を示す目標ヘイズ率を目標値として設定し、前記第1の解析判定ステップ、及び前記第2の解析判定ステップの各々は、前記導電線の断面形状を、各々の解析対象となるメッシュ条件の前記線幅及び前記線厚によって特定される矩形形状としてモデル化した前記光学解析シミュレーションを行って、前記メッシュサイズ、前記線幅、及び前記線厚の各々に対応するヘイズ率の変化の特性を算出し、算出した前記シールド効果の変化の特性、前記開口率の変化の特性、及び前記ヘイズ率の変化の特性と、前記目標シールド効果値と、前記目標透過率と、前記目標ヘイズ率とに基づいて、前記目標値を満足するメッシュ条件が存在するか否かを判定する。
(9)第9の態様に係る導電性メッシュの設計方法は、(8)の導電性メッシュの設計方法であって、前記試作品のヘイズ率を実測するヘイズ率実測ステップを有し、前記第2の解析判定ステップは、算出した前記メッシュサイズ、前記線幅、及び前記線厚の各々に対応するヘイズ率の変化の特性を、実測した前記試作品のヘイズ率にしたがって補正し、補正した前記ヘイズ率の変化の特性を、前記目標値を満足するメッシュ条件が存在するか否かの判定に用いる。
(10)第10の態様に係る導電性メッシュの設計方法は、(1)~(9)の導電性メッシュの設計方法であって、前記第1の解析判定ステップにおいて前記目標値を満足するメッシュ条件が存在しないと判定された場合、前記仮メッシュ条件を再設定する第1のメッシュ条件再設定ステップを有し、前記第1の解析判定ステップは、前記第1のメッシュ条件再設定ステップにおいて再設定された前記仮メッシュ条件を解析対象とする前記所定の解析シミュレーションを行う。
(11)第11の態様に係る導電性メッシュの設計方法は、(1)~(10)の導電性メッシュの設計方法であって、前記第2の解析判定ステップにおいて前記目標値を満足するメッシュ条件が存在しないと判定された場合、前記実測メッシュ条件を再設定する第2のメッシュ条件再設定ステップを有し、前記第2の解析判定ステップは、前記第2のメッシュ条件再設定ステップにおいて再設定された前記実測メッシュ条件を解析対象とする前記所定の解析シミュレーションを行い、前記最終仕様メッシュ条件選定ステップは、前記第2の解析判定ステップにおいて前記目標値を満足するメッシュ条件が存在すると判定された場合に、前記第2の解析判定ステップの解析対象の前記実測メッシュ条件が再設定されていないとき、前記暫定仕様メッシュ条件を前記最終仕様メッシュ条件として選定し、前記第2の解析判定ステップの解析対象の前記実測メッシュ条件が再設定されているとき、再設定された前記実測メッシュ条件と、前記暫定仕様メッシュ条件とに基づいて、前記最終仕様メッシュ条件を選定する。
(12)第12の態様に係る導電性メッシュの設計方法は、(1)~(11)の導電性メッシュの設計方法であって、前記透明基材は、複数のサブ透明基材の各々の対向位置に前記導電線が印刷された前記サブ透明基材が積層されて形成され、前記メッシュ条件は、前記導電性メッシュの1区画のサイズを示すメッシュサイズと、前記導電線の線幅と、前記導電線の線厚と、前記導電線の導電率と、積層数と、積層間隔という6つのパラメータによって示され、前記所定の解析シミュレーションは、前記積層数と、前記積層間隔とを考慮したシミュレーションを行う。
(13)第13の態様に係る導電性メッシュの設計方法は、(1)~(12)の導電性メッシュの設計方法であって、前記導電線は、前記透明基材の上面に印刷されると共に、前記上面の印刷位置に対向する下面の位置に印刷され、前記所定の解析シミュレーションは、前記透明基材の上面に前記導電線が印刷されると共に、前記上面の印刷位置に対向する下面の位置に前記導電線が印刷されていることを考慮したシミュレーションを行う。
1 電磁シールド基材
10 透明基材
11-1,11-2,11-3,11-4 メッシュ領域
20v-1,20v-2,20v-3,20h-1,20h-2,20h-3 導電線
31 メッシュサイズ
32 線幅
33 線厚
41 最大開口サイズ

Claims (14)

  1. シールド対象の電磁波の周波数の上限値を示す上限周波数と、シールド効果の目標を示す目標シールド効果値と、光の透過率の目標を示す目標透過率とを目標値として設定する目標値設定ステップと、
    透明基材に印刷される導電線により形成される導電性メッシュの形成条件を示すメッシュ条件であって、予め定められる製造可能範囲内で前記目標値を満足するメッシュ条件である仮メッシュ条件を設定する仮メッシュ条件設定ステップと、
    前記仮メッシュ条件を解析対象とする所定の解析シミュレーションにおいて前記目標値を満足するメッシュ条件が存在するか否かを判定する第1の解析判定ステップと、
    前記第1の解析判定ステップにおいて前記目標値を満足するメッシュ条件が存在すると判定された場合、判定対象の前記仮メッシュ条件に基づいて暫定仕様メッシュ条件を選定する暫定仕様メッシュ条件選定ステップと、
    前記暫定仕様メッシュ条件にしたがって前記透明基材に前記導電線を印刷して作製された試作品を実測し、実測した結果に基づいて、前記試作品のメッシュ条件を算出して実測メッシュ条件とする実測メッシュ条件算出ステップと、
    前記実測メッシュ条件を解析対象とする前記所定の解析シミュレーションにおいて前記目標値を満足するメッシュ条件が存在するか否かを判定する第2の解析判定ステップと、
    前記第2の解析判定ステップにおいて前記目標値を満足するメッシュ条件が存在すると判定された場合、前記暫定仕様メッシュ条件に応じた最終仕様メッシュ条件を選定する最終仕様メッシュ条件選定ステップと、
    を有する導電性メッシュの設計方法。
  2. 前記メッシュ条件は、前記導電性メッシュの1区画のサイズを示すメッシュサイズと、前記導電線の線幅と、前記導電線の線厚と、前記導電線の導電率という4つのパラメータによって示される、
    請求項1に記載の導電性メッシュの設計方法。
  3. 前記実測メッシュ条件算出ステップは、前記実測メッシュ条件として、実測した前記試作品の導電線の厚みの半分の長さを前記線厚とし、前記試作品の導電線の厚みが半分になる場合の導電線の幅を前記線幅とし、実測した前記導電性メッシュの開口部の長さと、前記線幅とに基づいて前記メッシュサイズを算出し、実測した前記試作品のシート抵抗に基づいて前記導電率を算出する、
    請求項2に記載の導電性メッシュの設計方法。
  4. 前記所定の解析シミュレーションは、電磁界解析シミュレーションであり、
    前記第1の解析判定ステップ、及び前記第2の解析判定ステップの各々は、
    前記導電線の断面形状を、各々の解析対象となるメッシュ条件の前記線幅及び前記線厚によって特定される矩形形状としてモデル化した前記電磁界解析シミュレーションを行って、前記メッシュ条件のパラメータの各々に対するシールド効果の変化の特性であって前記上限周波数に対応する特性を算出し、算出した前記シールド効果の変化の特性と、予め算出する前記メッシュサイズ、前記線幅、及び前記線厚の各々に対する開口率の変化の特性と、前記目標シールド効果値と、前記目標透過率とに基づいて、前記目標値を満足するメッシュ条件が存在するか否かを判定する、
    請求項3に記載の導電性メッシュの設計方法。
  5. 前記実測メッシュ条件算出ステップは、前記実測メッシュ条件である第1の実測メッシュ条件と、第2の実測メッシュ条件とを算出し、前記第2の実測メッシュ条件として、実測した前記試作品の導電線の厚みを前記線厚とし、前記試作品の導電線の幅を前記線幅とし、当該線幅と、実測した前記導電性メッシュの開口部の長さとに基づいて前記メッシュサイズを算出し、前記第1の実測メッシュ条件の前記導電率を導電率とする、
    請求項3に記載の導電性メッシュの設計方法。
  6. 前記所定の解析シミュレーションは、電磁界解析シミュレーション、及び光学解析シミュレーションであり、
    前記第1の解析判定ステップは、
    前記導電線の断面形状を、前記仮メッシュ条件の前記線幅及び前記線厚によって特定される矩形形状としてモデル化した前記電磁界解析シミュレーションを行って、前記メッシュ条件のパラメータの各々に対するシールド効果の変化の特性であって前記上限周波数に対応する特性を算出し、前記導電線の断面形状を、前記仮メッシュ条件の前記線幅及び前記線厚によって特定される矩形形状としてモデル化した前記光学解析シミュレーションを行って、前記メッシュサイズ、前記線幅、及び前記線厚の各々に対応する開口率の変化の特性を算出し、算出した前記シールド効果の変化の特性、及び前記開口率の変化の特性と、前記目標シールド効果値と、前記目標透過率とに基づいて、前記目標値を満足するメッシュ条件が存在するか否かを判定し、
    前記第2の解析判定ステップは、
    前記導電線の断面形状を、前記第1の実測メッシュ条件の前記線幅及び前記線厚によって特定される矩形形状としてモデル化した前記電磁界解析シミュレーションを行って、前記メッシュ条件のパラメータの各々に対するシールド効果の変化の特性であって前記上限周波数に対応する特性を算出し、前記導電線の断面形状を、前記第2の実測メッシュ条件の前記線幅及び前記線厚によって特定される矩形形状としてモデル化した前記光学解析シミュレーションを行って、前記メッシュサイズ、前記線幅、及び前記線厚の各々に対応する開口率の変化の特性を算出し、算出した前記シールド効果の変化の特性、及び前記開口率の変化の特性と、前記目標シールド効果値と、前記目標透過率とに基づいて、前記目標値を満足するメッシュ条件が存在するか否かを判定する、
    請求項5に記載の導電性メッシュの設計方法。
  7. 前記試作品の透過率を実測する透過率実測ステップを有し、
    前記第2の解析判定ステップは、
    算出した前記メッシュサイズ、前記線幅、及び前記線厚の各々に対応する開口率の変化の特性を、実測した前記試作品の透過率にしたがって補正し、補正した前記開口率の変化の特性を、前記目標値を満足するメッシュ条件が存在するか否かの判定に用いる、
    請求項6に記載の導電性メッシュの設計方法。
  8. 前記目標値設定ステップは、更に、ヘイズ率の目標を示す目標ヘイズ率を目標値として設定し、
    前記第1の解析判定ステップ、及び前記第2の解析判定ステップの各々は、
    前記導電線の断面形状を、各々の解析対象となるメッシュ条件の前記線幅及び前記線厚によって特定される矩形形状としてモデル化した前記光学解析シミュレーションを行って、前記メッシュサイズ、前記線幅、及び前記線厚の各々に対応するヘイズ率の変化の特性を算出し、算出した前記シールド効果の変化の特性、前記開口率の変化の特性、及び前記ヘイズ率の変化の特性と、前記目標シールド効果値と、前記目標透過率と、前記目標ヘイズ率とに基づいて、前記目標値を満足するメッシュ条件が存在するか否かを判定する、
    請求項6に記載の導電性メッシュの設計方法。
  9. 前記試作品のヘイズ率を実測するヘイズ率実測ステップを有し、
    前記第2の解析判定ステップは、
    算出した前記メッシュサイズ、前記線幅、及び前記線厚の各々に対応するヘイズ率の変化の特性を、実測した前記試作品のヘイズ率にしたがって補正し、補正した前記ヘイズ率の変化の特性を、前記目標値を満足するメッシュ条件が存在するか否かの判定に用いる、
    請求項8に記載の導電性メッシュの設計方法。
  10. 前記第1の解析判定ステップにおいて前記目標値を満足するメッシュ条件が存在しないと判定された場合、前記仮メッシュ条件を再設定する第1のメッシュ条件再設定ステップを有し、
    前記第1の解析判定ステップは、前記第1のメッシュ条件再設定ステップにおいて再設定された前記仮メッシュ条件を解析対象とする前記所定の解析シミュレーションを行う、
    請求項1に記載の導電性メッシュの設計方法。
  11. 前記第2の解析判定ステップにおいて前記目標値を満足するメッシュ条件が存在しないと判定された場合、前記実測メッシュ条件を再設定する第2のメッシュ条件再設定ステップを有し、
    前記第2の解析判定ステップは、前記第2のメッシュ条件再設定ステップにおいて再設定された前記実測メッシュ条件を解析対象とする前記所定の解析シミュレーションを行い、
    前記最終仕様メッシュ条件選定ステップは、前記第2の解析判定ステップにおいて前記目標値を満足するメッシュ条件が存在すると判定された場合に、前記第2の解析判定ステップの解析対象の前記実測メッシュ条件が再設定されていないとき、前記暫定仕様メッシュ条件を前記最終仕様メッシュ条件として選定し、前記第2の解析判定ステップの解析対象の前記実測メッシュ条件が再設定されているとき、再設定された前記実測メッシュ条件と、前記暫定仕様メッシュ条件とに基づいて、前記最終仕様メッシュ条件を選定する、
    請求項1に記載の導電性メッシュの設計方法。
  12. 前記透明基材は、複数のサブ透明基材の各々の対向位置に前記導電線が印刷された前記サブ透明基材が積層されて形成され、
    前記メッシュ条件は、前記導電性メッシュの1区画のサイズを示すメッシュサイズと、前記導電線の線幅と、前記導電線の線厚と、前記導電線の導電率と、積層数と、積層間隔という6つのパラメータによって示され、
    前記所定の解析シミュレーションは、前記積層数と、前記積層間隔とを考慮したシミュレーションを行う、
    請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の導電性メッシュの設計方法。
  13. 前記導電線は、前記透明基材の上面に印刷されると共に、前記上面の印刷位置に対向する下面の位置に印刷され、
    前記所定の解析シミュレーションは、前記透明基材の上面に前記導電線が印刷されると共に、前記上面の印刷位置に対向する下面の位置に前記導電線が印刷されていることを考慮したシミュレーションを行う、
    請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の導電性メッシュの設計方法。
  14. 請求項1に記載の導電性メッシュの設計方法によって選定された前記最終仕様メッシュ条件にしたがって前記透明基材に前記導電線を印刷して電磁シールド基材を製造する電磁シールド基材の製造方法。
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