JP2024063401A - 研磨パッドの製造方法 - Google Patents

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Teppei Tateno
光紀 糸山
Mitsunori Itoyama
仁志 関谷
Hitoshi Sekiya
大和 ▲高▼見沢
Yamato TAKAMIZAWA
竜馬 森明
Ryoma Moriaki
恵介 越智
Keisuke Ochi
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Abstract

【課題】 被研磨物のスクラッチの発生を抑制した研磨パッドの製造方法を提供する。
【解決手段】
終点検出窓を備える研磨層を有する研磨パッドを製造する方法であって、前記終点検出窓の材料を硬化させる硬化工程と、硬化した前記終点検出窓を加熱する加熱工程と、加熱した後の終点検出窓を冷却する冷却工程と、冷却した状態の終点検出窓を再度加熱する再加熱工程と、再加熱工程直後の温まった状態の終点検出窓を型に配置する工程と、未膨張の中空微小球体を含む研磨層を構成する材料を混合する工程と、混合した研磨層の材料を前記型に充填して、硬化させることにより、終点検出窓を備える研磨層用の硬化物を得る工程と、前記硬化物を切断し、研磨層を得る工程と、を含む研磨パッドの製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は研磨パッドに関する。詳細には、本発明は、光学材料、半導体ウエハ、半導体デバイス、ハードディスク用基板等の研磨に好適に用いることができる研磨パッドの製造方法に関する。
光学材料、半導体ウエハ、半導体デバイス、ハードディスク用基板の表面を平坦化するための研磨法として、化学機械研磨(chemical mechanical polishing,CMP)が一般的に用いられている。
CMPについて、図1を用いて説明する。図1のように、CMPを実施する研磨装置1には、研磨パッド3が備えられ、当該研磨パッド3は、保持定盤16に保持された被研磨物8に当接し、研磨を行う層である研磨層4と研磨層4を支持するクッション層6を含む。研磨パッド3は、被研磨物8が押圧された状態で回転駆動され、被研磨物8を研磨する。その際、研磨パッド3と被研磨物8との間には、スラリー9が供給される。スラリー9は、水と各種化学成分や硬質の微細な砥粒の混合物(分散液)であり、その中の化学成分や砥粒が流されながら、被研磨物8との相対運動により、研磨効果を増大させるものである。スラリー9は溝又は孔を介して研磨面に供給され、排出される。
CMPでは、被研磨物8の所望の位置まで研磨されたかについて、光学的手法により確認することができる。例えば、図1で示す研磨装置1は、終点を確認するための光学式センサ14等を備える。具体的には、研磨パッド3の一部に透光性を有する終点検出窓5、さらに、研磨定盤10の下に光源13及び光学式センサ14が設けられている。
光学的手法により終点検出を行う原理について図2を用いて説明する。光源13により照射された光2は、被研磨物8である基板11上に形成された薄膜(例えば絶縁膜)12に入射したとき、一部の光2aは薄膜12の表面に反射し、一方、別の光2bは薄膜12を通過して被研磨物8の表面で反射する。反射光2a及び2bは終点検出窓5を通して、光学式センサ14に検出され、薄膜12の厚さに応じて反射光の位相差及び強度の強弱が生じ、その位相差及び反射強度変化が検知されることにより、薄膜12の研磨状況を確認することができる。
このような光学式終点検出を利用した化学機械研磨に用いる研磨パッドとしては、例えば、特許文献1が挙げられる。特許文献1には、窓用部材の溝内にスラリーが溜まるのを抑えて、研磨レートの検出精度を上げることができる研磨パッドを提供することを目的として、パッド本体と該パッド本体の一部に一体に形成された透明な窓用部材とを有する研磨パッドにおいて、窓用部材の表面をパッド本体の表面から凹んだ状態とすることが開示されている。
特開2002-001647号公報
ところで、上記のような窓を有する研磨パッドの製造方法の一つとして、窓用部材を型枠に固定した状態で、研磨層となる樹脂組成物を充填し硬化させた後、得られた硬化物をスライスし、終点検出窓を備えた研磨層を製造する方法が挙げられる。
検出窓は、窓用の型に材料を充填して硬化させて脱型した後、熱処理(キュアリング)し、熱処理が終わると窓用部材が室温になるまで放置する(放冷する)することで得られる。
一方、検出窓以外の研磨層は、イソシアネート成分(ウレタンプレポリマー)、ポリオール成分(鎖伸長剤、硬化剤)、ポリアミン成分(硬化剤)の他に、研磨層に気泡を形成する中空微小球体(バルーン)から構成される。中空微小球体は、未膨張タイプと既膨張タイプがあり、径の小さい気泡を形成する場合は未膨張タイプを用いることがある。未膨張タイプは、特定の温度になると中空微小球体の内部にある炭化水素が気化して膨張するため、膨張の程度は樹脂組成物の温度を調整して制御している。
しかしながら、放冷された窓用部材を型枠に固定し、研磨層の樹脂組成物を充填して硬化させると、窓用部材周辺の樹脂組成物の温度が急激に低下するため、終点検出窓周辺部分の研磨層にある中空微小球体が膨張しにくくなる。そのため、終点検出窓周辺部分の研磨層とそれ以外の研磨層とで気泡の径が不均一になり、被研磨物のスクラッチ(傷)発生の要因となるおそれがある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、スクラッチ発生を抑制した研磨パッドの製造方法を提供することを目的とする。
具体的には、本発明の製造方法は、型枠に固定する前に窓用部材を温めることを特徴の一つとしている。窓用部材を温めておくことで、研磨層を構成する樹脂組成物との温度差が小さくなる。それにより、研磨層の樹脂組成物を充填する際に樹脂組成物の温度低下が小さくなり、中空微小球体の膨張の程度が均一になり、これにより、スクラッチの発生を抑制することを見出した。
すなわち、本発明は以下を包含する。
[1] 終点検出窓を備える研磨層を有する研磨パッドを製造する方法であって、
前記終点検出窓の材料を硬化させる硬化工程と、
硬化した前記終点検出窓を加熱する加熱工程と、
加熱した後の終点検出窓を冷却する冷却工程と、
冷却した状態の終点検出窓を再度加熱する再加熱工程と、
再加熱工程直後の温まった状態の終点検出窓を型に配置する工程と、
未膨張の中空微小球体を含む研磨層を構成する材料を混合する工程と、
混合した研磨層の材料を前記型に充填して、硬化させることにより、終点検出窓を備える研磨層用の硬化物を得る工程と、
前記硬化物を切断し、研磨層を得る工程と、を含む研磨パッドの製造方法。
[2] 前記研磨層の材料を前記型に充填する際の研磨層の材料の温度と、終点検出窓の温度の差が0℃以上30℃以下である、[1]に記載の製造方法。
[3] 研磨層の材料を前記型に充填する際の研磨層の材料の温度と、前記型の温度の差が0℃以上40℃以下である、[1]に記載の製造方法。
[4] 中空微小球体の膨張開始温度が85℃以上150℃以下である、[1]に記載の製造方法。
[5] 前記冷却工程は、10℃以上50℃以下の温度で12時間以上168時間以下維持される、[1]に記載の製造方法。
本発明の製造方法で得られた研磨パッドは、独立した気泡(開孔)の大きさが均一である研磨層を有するため、スクラッチ発生が抑制される。
図1は、研磨装置1の斜視図である。 図2は、入射光及び反射光の経路を示す概略図である。 図3は、本発明の研磨パッド3の斜視図である。 図4は、本発明の研磨パッド3の断面図(A-A’断面図)である。 図5は、終点検出窓5の製造方法の一態様を示した図である。 図6は、研磨層4を形成する一態様を示した図である。 図7は、研磨層4とクッション層6と貼り合わせた断面図(図7(a))、及び終点検出窓5に対応するクッション層6の一部を取り除き、穴18を形成した断面図である。
以下、発明を実施するための形態について説明するが、本発明は、発明を実施するための形態に限定されるものではない。
<<研磨パッド>>
研磨パッド3の構造について図3を用いて説明する。研磨装置1に備えられる研磨パッド3は、図3のように、少なくとも一つの終点検出窓5(図3では、2つの終点検出窓5を備える)を有する研磨層4と、終点検出窓5に通じる穴を有するクッション層6とを含む。研磨パッド3は、終点検出窓5を有するため、光源13、光学式センサ14を用いて被研磨物8の研磨状況の確認を光学的に実施できる。
研磨パッド3の形状は円盤状が好ましいが、特に限定されるものではなく、また、大きさ(径)も、研磨パッド3を備える研磨装置1のサイズ等に応じて適宜決定することができ、例えば、直径10cm~2m程度とすることができる。
なお、本発明の研磨パッド3は、研磨層4がクッション層6に接着層7を介して接着されていることが好ましいが、研磨層4のみから構成されていてもよい。
研磨パッド3は、クッション層6に配設された両面テープ等によって研磨装置の研磨定盤10に貼付される。研磨パッド3は、研磨装置によって被研磨物8を押圧した状態で回転駆動され、被研磨物を研磨する。
<研磨層>
研磨パッド3は、被研磨物を研磨するための層である研磨層4を備える。研磨層4を構成する材料は、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、及びポリウレタンポリウレア樹脂を好適に用いることができる。
研磨層4の大きさ(径)は、研磨パッド3と同様であり、直径10cm~2m程度とすることができ、研磨層4の厚みは、0.8~5mm程度とすることができる。
研磨層4は、研磨装置1の研磨定盤10と共に回転され、その上にスラリー9を流しながら、スラリーの中に含まれる化学成分や砥粒を、被研磨物8と一緒に相対運動させることにより、被研磨物8を研磨する。研磨層4の表面に同心円状、格子状、放射状などの溝加工が施されることにより、スラリー9の保持や排出を調整することができ、研磨特性を変えることが可能である。
<終点検出窓>
研磨層4は、少なくとも一つの終点検出窓5を有する。終点検出窓5は、光学的手段により、研磨の終点を確認するためのものであるため透光性を有する。したがって、終点検出窓5は、透光性が高い方が好ましい。
終点検出窓5の数は、通常は1つ又はそれ以上あればよい。終点検出窓5の直径は、1cm~15cm程度が好ましく、厚みは研磨層4と同様で、通常0.8~5mm程度である。
また、図4に示すように(図3のA-A’断面図)、研磨層4の表面4aと、終点検出窓5の表面5aは高さが同じようになるように、調整する。それにより、スクラッチの研磨欠陥が生じにくくなる。
終点検出窓5の詳細については、<<終点検出窓の製造方法>>の項で説明する。
終点検出窓5は、研磨層4の上面及び下面を通貫している円柱状の形状を有することが一般的であるが、研磨層4の上面及び下面を通貫していれば特に限定されるものではなく、四角柱型、三角柱型等適宜選択できる。
<クッション層>
クッション層6は、樹脂を含浸させた含浸不織布、合成樹脂等の可撓性を有する材料、気泡構造を有する発泡体等から構成されるため、研磨層4の被研磨物8への当接をより均一にすることができる。本発明において、研磨パット3は、研磨層4のみから構成されてもよいが、クッション層6に接着させることが好ましい。
また、クッション層6においては、光検知を行うための光を通過させることができるように、終点検出窓5の設置位置に対応する部分に、終点検出窓5と同じ数の穴を形成することが必要である。
<接着層>
接着層7は、クッション層6と研磨層4を接着させるための層であり、通常、両面テープ又は接着剤から構成される。両面テープ又は接着剤は、当技術分野において公知のものを使用することができる。
<研磨装置>
本発明の研磨パッド3を備えた研磨装置1は、すでに説明したように、光学的手段により研磨状態を確認できる。例えば図1に示すように、研磨装置1を有する研磨定盤10は、光源13、光学式センサ14を備える。光源13から出された光が、研磨定盤10の下から上へ向けて通過し、さらにクッション層6の穴、さらには、研磨パッド3の終点検出窓5を通過して、被研磨物8に到着し、被研磨物8に反射して戻ってきた光を光学式センサ14が感知する。このように光源13と光学式センサ14は、研磨定盤10と一緒に回転することにより、研磨しながら、研磨状況を確認できる。
<<終点検出窓の製造方法>>
本発明の終点検出窓の製造方法について説明する。
<終点検出窓の材料>
終点検出窓5の材料としては、透光性を有する材料であれば、特に限定されるものではないが、終点検出窓5は、研磨層4と同様の働き、すなわち、被研磨物8を研磨する働きも要求される場合もあるため、主成分は研磨層4と同様の成分が好ましい。すなわち、終点検出窓5の材料の主成分はポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、及びポリウレタンポリウレア樹脂が好ましく、ポリウレタン樹脂がより好ましい。具体的な主成分の材料としては、例えば、ポリイソシアネート化合物と硬化剤とを反応させて得られる材料や、ウレタン結合含有ポリイソシアネート化合物と硬化剤とを反応させて得られる材料を挙げることができる。
<透過率>
終点検出窓5は、光を通過させるため、使用頻度が高い300~800nmにおける透過率が高いことが好ましい。例えば、660nmの光の透過率が、好ましくは、50%以上、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上、より一層好ましくは80%以上である。透過率が高ければ、エラーが生じにくく、高い精度で測定することができる。透過率の測定は、分光光度計(日立製作所製、U-3210 Spectro Photometer)を用いて測定することができ、このときの試料厚さは10mmである。
以下、終点検出窓5の材料の製造方法については、ポリイソシアネート化合物と硬化剤を用いた終点検出窓を例にして説明する。
ポリイソシアネート化合物と硬化剤とを用いた終点検出窓5の製造方法としては、例えば、少なくともポリイソシアネート化合物、硬化剤を準備する材料準備工程;少なくとも、前記ポリイソシアネート化合物、硬化剤を混合して成形体成形用の混合液を得る混合工程;前記成形体成形用混合液から終点検出窓5を成形する硬化工程、を含む製造方法が挙げられる。
以下、材料準備工程、混合工程、成形工程に分けて、それぞれ説明する。
<材料準備工程>
本発明の終点検出窓5の製造のために、ポリウレタン樹脂成形体(硬化樹脂)の原料として、ポリイソシアネート化合物、硬化剤を準備する。また、必要に応じて添加剤を用意する。
以下、各成分について説明する。
(ポリイソシアネート化合物)
本明細書において、ポリイソシアネート化合物とは、分子内に2つ以上のイソシアネート基を有する化合物を意味する。
ポリイソシアネート化合物としては、分子内に2つ以上のイソシアネート基を有していれば特に制限されるものではない。例えば、分子内に2つのイソシアネート基を有するジイソシアネート化合物としては、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート(2,6-TDI)、2,4-トリレンジイソシアネート(2,4-TDI)、ナフタレン-1,4-ジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネー卜(MDI)、4,4’-メチレン-ビス(シクロヘキシルイソシアネート)(水添MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ビフェニルジイソシアネート、3,3’-ジメチルジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、キシリレン-1、4-ジイソシアネート、4,4’-ジフェニルプロパンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、プロピレン-1,2-ジイソシアネート、ブチレン-1,2-ジイソシアネート、シクロヘキシレン-1,2-ジイソシアネート、シクロヘキシレン-1,4-ジイソシアネート、p-フェニレンジイソチオシアネート、キシリレン-1,4-ジイソチオシアネート、エチリジンジイソチオシアネート等を挙げることができる。これらのポリイソシアネート化合物は、単独で用いてもよく、複数のポリイソシアネート化合物を組み合わせて用いてもよい。
ポリイソシアネート化合物としては、脂肪族のポリイソシアネート化合物又は脂環式のポリイソシアネート化合物が好ましく、また、4,4’-メチレン-ビス(シクロヘキシルイソシアネート)(水添MDI)やイソホロンジイソシアネート(IPDI)も好ましい。
(ウレタン結合含有ポリイソシアネート化合物)
ポリイソシアネート化合物として、ウレタン結合含有ポリイソシアネート化合物(ウレタンプレポリマー)を用いることができる。ウレタン結合含有ポリイソシアネート化合物は、市販されているものを用いてもよく、また、上記ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物とを、通常用いられる条件で反応させることにより得られる化合物を用いてもよい。なお、ウレタン結合含有ポリイソシアネート化合物とは、ウレタン結合とイソシアネート基を分子内に含むものである。
また、本発明の効果を損なわない範囲内で、微量の他の成分がウレタン結合含有ポリイソシアネート化合物とともに含まれている混合物をウレタン結合含有ポリイソシアネート化合物として使用してもよい。
ウレタン結合含有ポリイソシアネート化合物としては、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させて合成したものを用いてもよい。前記反応に特に制限はなく、ポリウレタン樹脂の製造において公知の方法及び条件を用いて付加重合反応すればよい。例えば、40℃に加温したポリオール化合物に、窒素雰囲気にて撹拌しながら50℃に加温したポリイソシアネート化合物を添加し、30分後に80℃まで昇温させ更に80℃にて60分間反応させるといった方法で製造することができる。
(ウレタン結合含有ポリイソシアネート化合物の原料としてのポリオール化合物)
本明細書において、ポリオール化合物とは、分子内に2つ以上の水酸基(OH)を有する化合物を意味する。
ウレタン結合含有ポリイソシアネート化合物の合成に用いられるポリオール化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール(DEG)、ブチレングリコール等のジオール化合物、トリオール化合物等;ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール(又はポリテトラメチレンエーテルグリコール)(PTMG)等のポリエーテルポリオール化合物を挙げることができる。これらの中でも、PTMGが好ましい。PTMGの数平均分子量(Mn)は、500~2000であることが好ましく、600~1300であることがより好ましく、650~1000であることがさらにより好ましい。数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography:GPC)により測定することができる。なお、ポリウレタン樹脂からポリオール化合物の数平均分子量を測定する場合は、アミン分解等の常法により各成分を分解した後、GPCによって推定することもできる。
上記ポリオール化合物は単独で用いてもよく、複数のポリオール化合物を組み合わせて用いてもよい。
(添加剤)
上記したように、終点検出窓5の材料として、添加剤を用いてもよい。例えば、スズ含有触媒、アミン触媒等の触媒を用いることができる。
(硬化剤)
本発明の終点検出窓5の製造方法では、混合工程において硬化剤(鎖伸長剤ともいう)をポリイソシアネート化合物などと混合させる。硬化剤を加えることにより、その後の成形体成形工程において、ポリイソシアネート化合物の末端が硬化剤と結合してポリマー鎖を形成し、硬化する。
硬化剤としては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジアミン、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン(MOCA)、4-メチル-2,6-ビス(メチルチオ)-1,3-ベンゼンジアミン、2-メチル-4,6-ビス(メチルチオ)-1,3-ベンゼンジアミン、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス[3-(イソプロピルアミノ)-4-ヒドロキシフェニル]プロパン、2,2-ビス[3-(1-メチルプロピルアミノ)-4-ヒドロキシフェニル]プロパン、2,2-ビス[3-(1-メチルペンチルアミノ)-4-ヒドロキシフェニル]プロパン、2,2-ビス(3,5-ジアミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,6-ジアミノ-4-メチルフェノール、トリメチルエチレンビス-4-アミノベンゾネート、及びポリテトラメチレンオキサイド-di-p-アミノベンゾネート等の多価アミン化合物;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,2-ブタンジオール、3-メチル-1,2-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、2,3-ジメチルトリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、3-メチル-4,3-ペンタンジオール、3-メチル-4,5-ペンタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、1,4-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリメチロールメタン、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコール等の多価アルコール化合物が挙げられる。また、多価アミン化合物が水酸基を有していてもよく、このようなアミン系化合物として、例えば、2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2-ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシプロピルエチレンジアミン等を挙げることができる。これらの硬化剤は、単独で用いてもよく、複数の硬化剤を組み合わせて用いてもよい。
<混合工程>
混合工程では、前記準備工程で得られた、ポリイソシアネート化合物と硬化剤を混合機内に供給して攪拌・混合する。
混合工程では、少なくとも、ポリイソシアネート化合物と硬化剤を、混合機内に供給して攪拌・混合する。混合順序に特に制限はないが、ポリイソシアネート化合物と、硬化剤、必要に応じて添加剤等の他の成分を混合した混合液とを用意し、両方を混合器内に供給して混合撹拌することが好ましい。このようにして、成形体成形用の混合液が調製される。混合工程は、上記各成分の流動性を確保できる温度に加温した状態で行われる。
<成形工程>
成形体成形工程では、前記混合工程で調製された成形体成形用混合液を50~150℃に予熱した終点検出窓5の型(離型剤を塗布している)に流し込み硬化させる。硬化は、好ましくは、60℃以上、150℃以下の温度で30分以上、2時間以下実施する。
終点検出窓5に使用する部材は、図5のように、円柱形状の終点検出窓5の下に終点検出窓土台5Bを備える一体物となるように成形することが好ましい。終点検出窓土台5Bを備えることで、終点検出窓に使用する部材を型から抜き出しやすくなる点で作業しやすい。終点検出窓土台5Bの形状は特に限定されるものではなく、円柱形状を直立できるような形状であれば好ましい。具体的には、直方体や立方体等が挙げられる。
硬化した土台付終点検出窓を、成形型から取り出し、加熱(ポストキュア)する(図5(b)参照)。ポストキュアは特に限定されないが、図5(b)で示すように、加熱炉20内で行うことができ、硬化よりも高い温度で実施することが好ましく、例えば、100℃以上、150℃以下の温度で4時間以上、8時間以下実施する。
ポストキュア後、終点検出窓に使用する部材を冷却する。冷却する工程では、10~50℃で12~168時間で実施することが好ましい。例えば、室温(25℃)で24時間冷却する。10~50℃の温度で長時間比較的低温(ポストキュアよりも低い温度)で保持することにより、終点検出窓5の重合反応がゆっくりと進んでいき、収縮による斑を防止することができる。その後、終点検出窓土台5Bを切り取り(図5(c)、終点検出窓5に付着している離型剤をアセトンなどの溶媒で流す。
次に、終点検出窓土台5Bを切り離した終点検出窓5を再加熱する(図5(d))。終点検出窓5を室温のまま研磨層4の製造に用いると、研磨層4において終点検出窓5周辺が比較的低温になり、未膨張の中空微小球体の膨張程度がその他の部分と異なり、大きさの異なる中空微小球体をもたらし、研磨時にスクラッチの原因となってしまうという課題があるが、再加熱して、製造に用いることにより、大きさのバラツキの少ない中空微小球体を形成することができる。
再加熱する際の条件は、終点検出窓に使用する部材が研磨層の材料に近い温度になればよく、好ましくは80℃以上、150℃以下の温度で30分時間以上~2時間以下保持する。研磨層の材料の温度と、終点検出窓に使用する部材の温度との差が0℃以上30℃以下であると、終点検出窓周辺の研磨層材料の温度が低下しにくくなり、終点検出窓周辺における研磨層の中空微小球体の膨張不良を抑制することができる。
なお、本発明の特徴として、終点検出窓に使用する部材を、ポストキュアと、再加熱の間は室温まで冷却する。
一般的に、終点検出窓5を加熱すると、膨張する。膨張した状態の終点検出窓5を配置して、研磨層4の材料を注型すると、研磨層4の収縮に伴い終点検出窓5が収縮して、終点検出窓5の寸法にバラつきや研磨層4における終点検出窓5の位置のずれが生じやすくなる。一方、ポストキュア後に、ポストキュアよりも低い温度で、比較的長い時間冷却した場合は、終点検出窓5は一旦収縮するが、再加熱しても膨張しにくいので、寸法が安定し、研磨層4における終点検出窓5の位置のずれも起こりにくくなる。
<透過率について>
終点検出窓5に気泡が含まれていると、光源13からの光が気泡で反射してしまい、光の透過率が低下し、終点検出の精度に影響を及ぼすことが考えられる。したがって、終点検出窓5に気泡が含まれないようにするために、例えば、材料を準備する段階で十分に減圧脱泡を行うことが挙げられる。
<<研磨層の製造方法>>
本発明の研磨層4の製造方法について説明する。研磨層4の材料としては、研磨に用いることができる材料であれば、特に限定されるものではなく、従来の材料を使用することができる。例えば、ウレタン結合含有ポリイソシアネート化合物と硬化剤とを反応させて得られるポリウレタン樹脂材料を使用することができる。
研磨層4は、気泡を有するポリウレタン樹脂材料が好ましい。また、ポリウレタン樹脂材料の気泡は、その態様によって、複数の気泡が独立して存在する独立気泡と、複数の気泡が連通孔でつながっている連続気泡に分類される。このなかでも、本発明に用いられるポリウレタン樹脂材料は独立気泡を有することが好ましく、ポリウレタン樹脂と、該ポリウレタン樹脂中に分散した中空微小球体とを含むポリウレタン樹脂材料であることがより好ましい。
独立気泡を有するポリウレタン樹脂材料は、外殻を有し、内部が中空状である中空微小球体を用いることにより成形することができる。中空微小球体は、既に膨張しているもの(既膨張)でも、未膨張のものでもよいが、未膨張のものを使用する場合は、硬化における温度で膨張することができる。
本発明の製造方法であれば、未膨張の中空微小球体を使用する場合であっても、気泡のサイズを均一にすることができる。
中空微小球体は、市販のものを使用してもよく、常法により合成することにより得られたものを使用してもよい。中空微小球体の外殻の材質としては、特に制限されないが、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、ポリヒドロキシエーテルアクリライト、マレイン酸共重合体、ポリエチレンオキシド、ポリウレタン、ポリ(メタ)アクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル及び有機シリコーン系樹脂、並びにそれらの樹脂を構成する単量体を2種以上組み合わせた共重合体が挙げられる。また、市販品の中空微小球体としては、以下に限定されないが、例えば、エクスパンセルシリーズ(アクゾ・ノーベル社製商品名)、マツモトマイクロスフェア(松本油脂(株)社製商品名)などが挙げられる。
ポリウレタン樹脂材料における中空微小球体の形状は特に限定されず、例えば、球状及び略球状であってもよい。中空微小球体の平均粒径は、特に制限されないが、好ましくは5~200μmであり、より好ましくは5~80μmであり、さらに好ましくは5~50μmであり、特に好ましくは5~35μmである。なお、平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(例えばスペクトリス(株)製、マスターサイザ-2000)により測定することができる。
中空微小球体の膨張開始温度は、85℃以上150℃以下であることが好ましく、より好ましくは90℃以上140℃以下が好ましい。中空微小球体の膨張開始温度が上記範囲内にあると、研磨層の材料の温度との差が小さく、中空微小球体の膨張具合を均一に制御することができる。
中空微小球体は、ウレタンプレポリマー100質量部に対して、好ましくは0.1~10質量部、より好ましくは1~5質量部、さらにより好ましくは1~4質量部となるように添加する。
なお、あくまでも一例であるが、終点検出窓周辺領域と終点検出窓周辺以外の領域での開孔率の差が15以下であることが好ましく、10以下であればさらに好ましい。
ここで、研磨層の研磨面における終点検出窓周辺領域とは、終点検出窓の縁から10mm離れた範囲を指す。また、研磨層の研磨面における終点検出窓周辺以外の領域とは、終点検出窓の縁から10mmより外側の範囲を指す。
また、上記の成分以外に、本発明の効果を損なわない範囲において、従来使用されている発泡剤を、中空微小球体と併用してもよい。
ウレタン結合含有ポリイソシアネート化合物と硬化剤とを用いた研磨層4の製造方法としては、従来から行われている方法で得ることができる。例えば、少なくとも材料を準備する準備工程;少なくとも、材料の混合液を得る混合工程;前記混合液からポリウレタン樹脂成形体を成形する成形体成形工程;及び前記ポリウレタン樹脂成形体から、被研磨物を研磨加工するための研磨表面を有する研磨層を形成する研磨層形成工程、を含む製造方法が挙げられる。これらの工程は中空微小球体の添加により気泡を形成させる点を除いて、実質的に、終点検出窓の製造方法と同じであるため、詳細の説明を割愛する。
<終点検出窓を備えた研磨層の製造方法>
本発明の研磨パッド3が有する研磨層4は、少なくとも一つの終点検出窓5を備える。この終点検出窓5を備えた研磨層4の製造方法について、説明する。
再加熱直後の円柱状の終点検出窓5を研磨層4の型17に配置する(図6(a))。研磨層4の型17の形状は特に限定されるものではないが、図6に示すように、箱形状の型枠である。型の大きさは、研磨パッドの大きさによって変更することができるが、一例としては、型枠の長さ及び幅は150mm程度で、高さは、100mm程度あるものを使用する。
この型17は研磨層4の材料を流し入れる前に予熱しておき、型17と研磨層4の材料との温度差を小さくする。型17と研磨層4の材料との温度差が0℃以上40℃以下であることが好ましい。型17と研磨層4の材料との温度差が小さいことにより、中空微小球体の膨張不良を抑制し、研磨層に含まれる気泡を均一にすることができる。
終点検出窓5を配置した型17に、研磨層材料4A1を流し入れて、硬化させる。これにより、終点検出窓5が埋まった直方体状の研磨層部材4A2を得ることができる。すなわち、研磨層4の材料となるウレタンプレポリマーと硬化剤と中空微小球体を混合機内に供給して攪拌・混合し、円柱状の終点検出窓5を備えた状態で、その周りに研磨層材料4A1の材料を硬化させ、円柱状の終点検出窓5備えた状態で、直方体状の研磨層部材4A2を成形する。
得られた直方体状の研磨層部材4A2を、研磨層4及び終点検出窓5の厚さ方向に垂直な方向に切断(例えば、厚さは0.5mm~5.0mm程度)し、これにクッション層6を貼り合わせる(図7(a))。
このとき、クッション層6は、窓を塞いだ状態になっているため、終点検出窓5の部分に終点検出窓を塞がないように穴18をあける(図7(b))。
最後に、研磨パッド3として使用できるように、円形に切断する。
このようにして得られた研磨層4と、クッション層6との貼り合わせは、両面テープによって貼り合わせることができるが、両面テープに特に制限はなく、当技術分野において公知の両面テープの中から任意に選択して使用することが出来る。図7では、両面テープ等の接着部材の表示(接着層の表示)を省略している。
さらに、本発明の研磨パッド3は、必要に応じて、研磨層4及び終点検出窓5の表面及び/又は裏面を研削処理してもよく、溝加工やエンボス加工を表面に施してもよい。研削処理の方法に特に制限はなく、公知の方法により研削することができる。具体的には、研磨層4に対して所要の切削工具による切削加工が挙げられる。溝加工の形状に特に制限はなく、例えば、格子型、同心円型、放射型などの形状が挙げられる。
本発明の研磨パッド3を使用するときは、研磨パッド3を研磨層4の研磨面が被研磨物と向き合うようにして研磨機1の研磨定盤10に取り付ける。そして、スラリーを供給しつつ、研磨定盤を回転させて、被研磨物の加工表面を研磨する。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
各実施例及び比較例において、特段の指定のない限り、「部」とは「質量部」を意味するものとする。
また、NCO当量とは、“(ポリイソシアネート化合物の質量(部)+ポリオール化合物の質量(部))/[(ポリイソシアネート化合物1分子当たりの官能基数×ポリイソシアネート化合物の質量(部)/ポリイソシアネート化合物の分子量)-(ポリオール化合物1分子当たりの官能基数×ポリオール化合物の質量(部)/ポリオール化合物の分子量)]”で求められるNCO基1個当たりのプレポリマー(PP)の分子量を示す数値である。
<実施例1>
(終点検出窓の製造)
数平均分子量1000のポリ(オキシテトラメチレン)グリコール(PTMG)、グリセリン、4,4’-メチレン-ビス(シクロヘキシルイソシアネート)(水添MDI)の各原料を80℃で予め保温した。次に、数平均分子量1000のポリ(オキシテトラメチレン)グリコール(PTMG)90.6部と、グリセリン16.7部と、4,4’-メチレン-ビス(シクロヘキシルイソシアネート)(水添MDI)100部と、を室温条件下、4分間真空攪拌脱泡を行うことにより混合することで反応混合物を得た。その後、反応混合物を予熱した型枠(離型剤付)へ注入した後、型締めをし、120℃で30分間加熱した後、硬化した反応混合物を型枠から取り出した。
これを、120℃、6時間でポストキュアした後、25℃で24時間冷却した。その後、土台を切り離し、アセトンで離型剤を洗い流した。
次に、終点検出窓を次の研磨層製造工程で用いる前に120℃、1時間加熱し、その状態で次の工程で使用する直前まで維持した。
(研磨層の製造)
一方、2,4-トリレンジイソシアネート(2,4-TDI)、数平均分子量650ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール(PTMG)及びジエチレングリコール(DEG)を反応させてなるNCO当量460のイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー100部に、殻部分がアクリロニトリル-塩化ビニリデン共重合体からなり、殻内にイソブタンガスが内包された中空微小球体(平均粒径:8.5μm、膨張開始温度:100℃)の未膨張の中空微小球体2.8部を添加混合し、第1液タンクに仕込み、60℃で保温した。次に、第1液とは別途に、硬化剤としてMOCA25.5部を第2液タンク内で120℃で保温した。第1液タンク、第2液タンクの夫々の液体を、注入口を2つ具備した混合機に夫々の注入口から注入した。混合機に注入された混合液の温度は90℃だった。このとき、予め120℃に温めておいた前記終点検出窓の部材を型枠内に設置してある。注入した2液を混合攪拌しながら80℃予熱した型枠へ注入した後、型締めをし、30分間、80℃で加熱し一次硬化させた。一次硬化させた成形物を脱型後、オーブンにて120℃で4時間二次硬化し、ウレタン樹脂成形物を得た。得られたウレタン樹脂成形物を25℃まで放冷した後に、再度オーブンにて120℃で5時間加熱してから1.3mmの厚みにスライスした。
<比較例1>
終点検出窓の部材をポストキュア後、冷却せず、研磨層を製造する型枠内に設置した。混合した研磨層の材料を注入して、型締めをし、30分間、加熱し一次硬化させた。一次硬化させた成形物を脱型後、オーブンにて120℃で4時間二次硬化し、ウレタン樹脂成形物を得た。得られたウレタン樹脂成形物を1.3mmの厚みにスライスした。それ以外は実施例1と同じ方法で終点検出窓及び研磨層を製造した。
<比較例2>
終点検出窓の部材をポストキュアして冷却した後、研磨層を製造する際に温めずに型枠内に設置した。それ以外は実施例1と同じ方法で終点検出窓及び研磨層を製造した。
(寸法安定性評価)
研磨層における終点検出窓の位置を観察し評価した。具体的には、光学式の終点検出に用いる光源から発せられる光の位置と終点検出窓の位置を対比し、終点検出窓が光を透過する位置にあるものを○と表記し、終点検出窓が光を透過できない位置にあるものを×と表記し、評価結果を表1に記載した。
比較例1は、ポストキュア後に冷却せず、膨張した状態の終点検出窓の部材を用いてウレタン樹脂成形物を得たため、ウレタン樹脂成形物をスライスした後、研磨層と終点検出窓を放冷した際に終点検出窓が収縮しており、光源から発せられる光の位置から終点検出窓の位置がずれていた。
実施例1及び比較例2は、ポストキュア後に冷却して収縮した状態の終点検出窓の部材を用いてウレタン樹脂成形物を得たため、ウレタン樹脂成形物を放冷しても終点検出窓の収縮が抑制されており、光源から発せられる光の位置と終点検出窓の位置が一致していた。
(気泡の均一性評価)
研磨層の研磨面において、終点検出窓周辺領域と終点検出窓周辺以外の領域のそれぞれから任意に3箇所(それぞれ縦0.5mm×横0.7mmの長方形)を選び出し、レーザーマイクロスコープ(VX-X1000:KEYENCE社製)を使用して400倍に拡大して画像を撮影した。各領域について得られた画像を画像処理ソフト(WinROOF2018 Ver.4.0.2:三谷商事社製)により二値化処理した後、二値化処理後の画像における開孔を確認し、各々の開孔の面積から円相当径(開孔径)を算出した。なお、開孔径のカットオフ値(下限)を5μmとし、ノイズ成分を除外した。
上記の各画像の面積当たりの開孔している部分の総面積の割合(%)を算出した。具体的には、開孔している部分の総面積/画像の面積×100により算出し、得られた3箇所の開孔率をさらに平均することにより、最終的な開孔率を算出した。
ここで、研磨層の研磨面における終点検出窓周辺領域とは、終点検出窓の縁から10mmまでの範囲を指す。また、研磨層の研磨面における終点検出窓周辺以外の領域とは、終点検出窓の縁から10mmより外側の範囲を指す。
終点検出窓周辺領域における開孔率と終点検出窓周辺以外の開孔率を比較し評価した。開孔率の差が15%以下を○と表記し、15%より大きいものを×と表記し、評価結果を表1に記載した。
実施例1、比較例1、及び比較例2の終点検出窓を備えた研磨層の裏面にウレタンを含侵させた不織布をクッション層として貼り合わせて研磨パッドを作製した。得られた研磨パッドを用いて下記の研磨条件による研磨試験を行い、ディフェクト性能を評価した。
(研磨条件)
使用研磨機:F-REX300X(荏原製作所社製)
Disk:A188(3M社製)
研磨剤温度:20℃
研磨定盤回転数:85rpm
研磨ヘッド回転数:86rpm
研磨圧力:3.5psi
研磨スラリー(金属膜):CSL-9044C(CSL-9044C原液:純水=重量比1:9の混合液を使用) (フジミコーポレーション社製)
研磨スラリー流量:200ml/min
研磨時間:60秒
被研磨物(金属膜):Cu膜基板
パッドブレーク:35N 10分
コンディショニング:Ex-situ、35N、4スキャン
(ディフェクト性能評価)
研磨処理枚数が16枚目、26枚目、51枚目の基板を、表面検査装置(KLAテンコール社製、Surfscan SP2XP)の高感度測定モードを用いて、大きさが155nm以上の表面欠陥を検出した。検出された表面欠陥についてレビューSEMを用いた撮影したSEM画像の解析を行い、スクラッチの個数を計測した。実務上、要求されると考えられる10個以下のスクラッチ数を○と表記し、10個を超えるスクラッチ数を×と表記し、評価結果を表1に記載した。
本発明は、研磨パッドの製造、販売に寄与するので、産業上の利用可能性を有する。
符号の説明
1 研磨装置
2 入射光
2a,2b 反射光
3 研磨パッド
4、41、42 研磨層
4a 研磨層の表面
5、51、52 終点検出窓
5a 終点検出窓の表面
6 クッション層
7 接着層
8 被研磨物
9 スラリー
10 研磨定盤
11 基板
12 薄膜
13 光源
14 光学式センサ
16 保持定盤
17 研磨層型
18 クッション層の穴
20 加熱炉

Claims (5)

  1. 終点検出窓を備える研磨層を有する研磨パッドを製造する方法であって、
    前記終点検出窓の材料を硬化させる硬化工程と、
    硬化した前記終点検出窓を加熱する加熱工程と、
    加熱した後の終点検出窓を冷却する冷却工程と、
    冷却した状態の終点検出窓を再度加熱する再加熱工程と、
    再加熱工程直後の温まった状態の終点検出窓を型に配置する工程と、
    未膨張の中空微小球体を含む研磨層を構成する材料を混合する工程と、
    混合した研磨層の材料を前記型に充填して、硬化させることにより、終点検出窓を備える研磨層用の硬化物を得る工程と、
    前記硬化物を切断し、研磨層を得る工程と、を含む研磨パッドの製造方法。
  2. 前記研磨層の材料を前記型に充填する際の研磨層の材料の温度と、終点検出窓の温度の差が0℃以上30℃以下である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 研磨層の材料を前記型に充填する際の研磨層の材料の温度と、前記型の温度の差が0℃以上40℃以下である、請求項1に記載の製造方法。
  4. 中空微小球体の膨張開始温度が85℃以上150℃以下である、請求項1に記載の製造方法。
  5. 前記冷却工程は、10℃以上50℃以下の温度で12時間以上168時間以下維持される、請求項1に記載の製造方法。
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