JP2024061664A - 有機金属錯体、発光デバイス - Google Patents

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裕允 木戸
Hiromitsu Kido
哲史 瀬尾
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Abstract

【課題】有用性または信頼性に優れた新規な有機金属錯体、および発光デバイスの提供。【解決手段】一般式(G1)で表される有機金属錯体を提供する。ただし、R1、R2、およびR4乃至R22は、それぞれ独立に、水素(重水素を含む)、炭素数1乃至10のアルキル基、または置換もしくは無置換の炭素数6乃至18のアリール基を表し、かつR2またはR4の少なくとも一は、炭素数1乃至10のアルキル基を表し、R18乃至R22のいずれか一以上は、炭素数3乃至10のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6乃至18のアリール基を表す。JPEG2024061664000078.jpg54167【選択図】なし

Description

本発明の一態様は、有機金属錯体、有機化合物、発光デバイス、受光デバイス、受発光デバイス、発光装置、受発光装置、表示装置、電子機器、照明装置および電子デバイスに関する。なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する発明の一態様の技術分野は、物、方法、または、製造方法に関するものである。または、本発明の一態様は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション・オブ・マター)に関するものである。そのため、より具体的に本明細書で開示する本発明の一態様の技術分野としては、半導体装置、表示装置、液晶表示装置、発光装置、照明装置、蓄電装置、記憶装置、撮像装置、それらの駆動方法、または、それらの製造方法、を一例として挙げることができる。
有機化合物を用いたエレクトロルミネッセンス(EL:Electroluminescence)を利用する発光デバイス、受光デバイス、および受発光デバイスに代表される有機ELデバイス(有機EL素子)の実用化が進んでいる。
例えば、発光デバイスの基本的な構成は、一対の電極間に発光材料を含む有機化合物層(EL層)を挟んだものである。このデバイスに電圧を印加して、キャリアを注入し、当該キャリアの再結合エネルギーを利用することにより、発光材料からの発光を得ることができる。
また、受光デバイスの基本的な構成は、一対の電極間に光電変換材料を含む有機化合物層(活性層)を挟んだものである。このデバイスが光エネルギーを吸収し、キャリアを生成することで、光電変換材料からの電子を得ることができる。
例えば、表示領域に設けられた画素が、発光素子(発光デバイス)と光電変換素子(受光デバイス)を備える機能パネルが知られている(特許文献1)。
このように有機ELデバイスを用いたディスプレイまたは照明装置はさまざまな電子機器に適用好適であるが、より良好な効率、寿命を有する有機ELデバイスを求めて研究開発が進められている。
有機ELデバイスの特性は、目覚ましく向上してきたが、効率または耐久性をはじめ、あらゆる特性に対する高度な要求に対応するには未だ不十分である。特に、有機ELデバイス特有の問題である、焼き付きなどの問題を解決する為には、劣化による効率の低下は小さければ小さいほど都合が良い。
劣化に関しては、発光中心物質およびその周辺の材料により大きく左右されるため、良好な特性を有する有機金属錯体などを含む有機化合物材料の開発が盛んにおこなわれている。
WO2020/152556号
本発明の一態様は、新規の有機金属錯体を提供することを課題とする。また、本発明の一態様は、励起状態が安定な有機金属錯体を提供することを課題とする。また、本発明の一態様は、発光材料として用いることのできる有機金属錯体を提供することを課題とする。また、本発明の一態様は、合成の容易な有機金属錯体を提供することを課題とする。また、本発明の一態様は、駆動寿命の長い発光デバイスを提供することを課題とする。また、本発明の一態様は、駆動時の電圧変化が小さい発光デバイスを提供することを課題とする。また、本発明の一態様は、新規の発光デバイスを提供することを課題とする。また、本発明の一態様は、発光デバイスの製造コストを低減することを課題とする。また、本発明の一態様は、消費電力の小さい発光装置、電子機器、または照明装置を提供することを課題とする。
また、本発明の一態様は、部分構造を選択的に重水素化した有機金属錯体を提供することを課題とする。また、本発明の一態様は、合成経路の煩雑さ、合成の高温高圧化等を軽減することのできる分子設計を行うこと、またそのように分子設計された有機金属錯体を合成することを課題とする。
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課題は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
本発明の一態様は、下記一般式(G1)で表される有機金属錯体である。
上記一般式(G1)中、R、R、およびR乃至R22は、それぞれ独立に、水素(重水素を含む)、炭素数1乃至10のアルキル基、または置換もしくは無置換の炭素数6乃至18のアリール基を表し、かつRまたはRの少なくとも一は、炭素数1乃至10のアルキル基を表し、R18乃至R22のいずれか一以上は、置換もしくは無置換の炭素数3乃至10のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6乃至18のアリール基を表す。
または、上記一般式(G1)中、R、R、およびR乃至R22は、それぞれ独立に、水素(重水素を含む)、炭素数1乃至10のアルキル基、または置換もしくは無置換の炭素数6乃至18のアリール基を表し、かつRまたはRの少なくとも一は、重水素を有する炭素数1乃至10のアルキル基を表し、R18乃至R22のいずれか一以上は、炭素数3乃至10のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6乃至18のアリール基を表す。
または、上記一般式(G1)中、R、R、およびR乃至R22は、それぞれ独立に、水素(重水素を含む)、炭素数1乃至10のアルキル基、または置換もしくは無置換の炭素数6乃至18のアリール基を表し、かつRは、炭素数1乃至10のアルキル基を表し、R18乃至R22のいずれか一以上は、炭素数3乃至10のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6乃至18のアリール基を表す。
または、上記一般式(G1)中、R、R、およびR乃至R22は、それぞれ独立に、水素(重水素を含む)、炭素数1乃至10のアルキル基、または置換もしくは無置換の炭素数6乃至18のアリール基を表し、かつRは、重水素を有する炭素数1乃至10のアルキル基を表し、R18乃至R22のいずれか一以上は、炭素数3乃至10のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6乃至18のアリール基を表す。
または、上記一般式(G1)中、R、R、R乃至R18、R20、およびR22は、それぞれ独立に、水素(重水素を含む)、炭素数1乃至10のアルキル基、または置換もしくは無置換の炭素数6乃至18のアリール基を表し、かつRまたはRの少なくとも一は、炭素数1乃至10のアルキル基を表し、R19およびR21は、それぞれ独立に炭素数3乃至10のアルキル基を表す。
または、上記一般式(G1)中、R、R、およびR乃至R18、R20、およびR22は、それぞれ独立に、水素(重水素を含む)、炭素数1乃至10のアルキル基、または置換もしくは無置換の炭素数6乃至18のアリール基を表し、かつRまたはRの少なくとも一は、重水素を有する炭素数1乃至10のアルキル基を表し、R19およびR21は、それぞれ独立に炭素数3乃至10のアルキル基を表す。
または、上記一般式(G1)中、R、R、およびR乃至R22は、それぞれ独立に、水素(重水素を含む)、炭素数1乃至10のアルキル基、または置換もしくは無置換の炭素数6乃至18のアリール基を表し、かつRまたはRの少なくとも一は、炭素数1乃至10のアルキル基を表し、R18乃至R22のいずれか一以上は、下記一般式(R-1)を表す。
なお、上記一般式(R-1)中、R31乃至R35は、それぞれ独立に、水素(重水素を含む)、炭素数1乃至10のアルキル基、または置換もしくは無置換の炭素数6乃至18のアリール基を表す。
または、上記一般式(G1)中、R、R、R乃至R17およびR19乃至R21は、それぞれ独立に、水素(重水素を含む)、炭素数1乃至10のアルキル基、または置換もしくは無置換の炭素数6乃至18のアリール基を表し、かつRまたはRの少なくとも一は、炭素数1乃至10のアルキル基を表し、R18およびR22のいずれか一は、上記一般式(R-1)を表す。なお、一般式(R-1)中、R31乃至R35は、それぞれ独立に、水素(重水素を含む)、炭素数1乃至10のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6乃至18のアリール基を表す。
または、上記一般式(G1)中、R、R、R乃至R11、R13乃至R17およびR19乃至R21は、それぞれ独立に、水素(重水素を含む)、炭素数1乃至10のアルキル基、または置換もしくは無置換の炭素数6乃至18のアリール基を表し、かつRまたはRの少なくとも一は、炭素数1乃至10のアルキル基を表し、R12は炭素数1乃至10のアルキル基を表し、R18およびR22のいずれか一は、上記一般式(R-1)を表す。なお、一般式(R-1)中、R31乃至R35は、それぞれ独立に、水素(重水素を含む)、炭素数1乃至10のアルキル基、または置換もしくは無置換の炭素数6乃至18のアリール基を表す。
本発明の一態様は、下記構造式(100)、構造式(115)、構造式(119)、構造式(120)、または構造式(121)で表される有機金属錯体である。
本発明の一態様は、上記有機金属錯体を用いた発光デバイスである。また、上記有機金属錯体を用いた発光デバイスと、および、受光デバイスと、を有する発光装置である。
また、本発明の一態様は、上記構成の発光デバイスと、トランジスタ、または、基板と、を有する発光装置である。
また、本発明の一態様は、上記構成の発光装置と、検知部、入力部、または、通信部と、を有する電子機器である。
また、本発明の一態様は、上記構成の発光装置と、筐体と、を有する照明装置である。
本発明の一態様により、新規の有機金属錯体を提供することができる。また、本発明の一態様により、励起状態が安定な有機金属錯体を提供することができる。また、本発明の一態様により、発光材料として用いることのできる有機金属錯体を提供することができる。また、本発明の一態様により、合成の容易な有機金属錯体を提供することができる。また、本発明の一態様により、新規の発光デバイスを提供することができる。また、本発明の一態様により、駆動寿命の長い発光デバイスを提供することができる。また、本発明の一態様により、駆動時の電圧変化が小さい発光デバイスを提供することができる。また、本発明の一態様により、発光デバイスの製造コストを低減することができる。また、本発明の一態様により、消費電力の小さい発光装置、電子機器、または照明装置を提供することができる。
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
図1(A)および図1(B)は、実施の形態に係る発光デバイスの構成を説明する図である。 図2(A)乃至図2(E)は、実施の形態に係る発光デバイスの構成を説明する図である。 図3(A)および図3(B)は、発光装置の上面図および断面図である。 図4(A)乃至図4(D)は、発光デバイスについて表す図である。 図5(A)乃至図5(E)は、発光装置の作製方法の一例を示す断面図である。 図6(A)乃至図6(E)は、発光装置の作製方法の一例を示す断面図である。 図7(A)乃至図7(C)は、発光装置の作製方法の一例を示す断面図である。 図8(A)乃至図8(C)は、発光装置の作製方法の一例を示す断面図である。 図9(A)乃至図9(C)は、発光装置の作製方法の一例を示す断面図である。 図10(A)乃至図10(C)は、発光装置の作製方法の一例を示す断面図である。 図11(A)乃至図11(C)は、発光装置の作製方法の一例を示す断面図である。 図12(A)乃至図12(G)は、画素の構成例を示す上面図である。 図13(A)乃至図13(I)は、画素の構成例を示す上面図である。 図14(A)、及び図14(B)は、表示モジュールの構成例を示す斜視図である。 図15(A)、及び図15(B)は、発光装置の構成例を示す断面図である。 図16は、発光装置の構成例を示す斜視図である。 図17(A)は、発光装置の構成例を示す断面図である。図17(B)、及び図17(C)は、トランジスタの構成例を示す断面図である。 図18は、発光装置の構成例を示す断面図である。 図19(A)乃至図19(D)は、発光装置の構成例を示す断面図である。 図20(A)乃至図20(D)は、電子機器の一例を示す図である。 図21(A)乃至図21(F)は、電子機器の一例を示す図である。 図22(A)乃至図22(G)は、電子機器の一例を示す図である。 図23は実施例で作製した有機金属錯体のH NMRスペクトルである。 図24は実施例で作製した有機金属錯体の吸収スペクトルと発光スペクトルを説明する図である。 図25は実施例で作製した有機金属錯体の熱重量測定-示差熱分析を説明する図である。 図26は実施例に係るデバイスの構成を説明する図である。 図27は実施例にかかるデバイスの輝度-電流密度特性を説明する図である。 図28は実施例にかかるデバイスの輝度-電圧特性を説明する図である。 図29は実施例にかかるデバイスの電流効率-電流密度特性を説明する図である。 図30は実施例にかかるデバイスの電流密度-電圧特性を説明する図である。 図31は実施例にかかるデバイスの電力効率-電流密度特性を説明する図である。 図32は実施例にかかるデバイスの外部量子効率-電流密度特性を説明する図である。 図33は実施例にかかるデバイスの発光スペクトルを説明する図である。 図34は、実施例にかかる試料の駆動時間に対する輝度変化を表す図である。 図35は実施例で作製した有機金属錯体のH NMRスペクトルである。 図36は実施例で作製した有機金属錯体の吸収スペクトルと発光スペクトルを説明する図である。 図37は実施例で作製した有機金属錯体の吸収スペクトルと発光スペクトルを説明する図である。 図38は実施例にかかるデバイスの輝度-電流密度特性を説明する図である。 図39は実施例にかかるデバイスの輝度-電圧特性を説明する図である。 図40は実施例にかかるデバイスの電流効率-電流密度特性を説明する図である。 図41は実施例にかかるデバイスの電流密度-電圧特性を説明する図である。 図42は実施例にかかるデバイスのBI-電流密度特性を説明する図である。 図43は実施例にかかるデバイスの外部量子効率-電流密度特性を説明する図である。 図44は実施例にかかるデバイスの発光スペクトルを説明する図である。 図45は実施例にかかるデバイスの輝度-電流密度特性を説明する図である。 図46は実施例にかかるデバイスの輝度-電圧特性を説明する図である。 図47は実施例にかかるデバイスの電流効率-輝度特性を説明する図である。 図48は実施例にかかるデバイスの電流密度-電圧特性を説明する図である。 図49は実施例にかかるデバイスのBI-電流密度特性を説明する図である。 図50は実施例にかかるデバイスの発光スペクトルを説明する図である。 図51は実施例に係るデバイスの構成を説明する図である。 図52は実施例にかかるデバイスの輝度-電流密度特性を説明する図である。 図53は実施例にかかるデバイスの輝度-電圧特性を説明する図である。 図54は実施例にかかるデバイスの電流効率-電流密度特性を説明する図である。 図55は実施例にかかるデバイスの電流密度-電圧特性を説明する図である。 図56は実施例にかかるデバイスのBI-電流密度特性を説明する図である。 図57は実施例にかかるデバイスの発光スペクトルを説明する図である。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様である有機金属錯体、および当該有機金属錯体を用いた発光デバイスについて説明する。
<発光デバイスの構成例>
まず、本発明の一態様の発光デバイスの構成について、図1(A)及び(B)を用いて、以下説明する。
図1(A)は、本発明の一態様の発光デバイス10の断面模式図である。
発光デバイス10は、一対の電極(第1の電極101及び第2の電極102)を有し、該一対の電極間に設けられた有機化合物層103を有する。有機化合物層103は、少なくとも発光層113を有する。
また、図1(A)に示す有機化合物層103は、発光層113の他に、正孔注入層111、正孔輸送層112、電子輸送層114、及び電子注入層115等の機能層を有する。
なお、本実施の形態においては、一対の電極のうち、第1の電極101を陽極として、第2の電極102を陰極として説明するが、発光デバイス10の構成としては、その限りではない。つまり、第1の電極101を陰極とし、第2の電極102を陽極とし、当該電極間の各層の積層を、逆の順番にしてもよい。すなわち、陽極側から、正孔注入層111と、正孔輸送層112と、発光層113と、電子輸送層114と、電子注入層115と、が積層する順番とすればよい。
なお、有機化合物層103の構成は、図1(A)に示す構成に限定されず、正孔注入層111、正孔輸送層112、電子輸送層114、及び電子注入層115の中から選ばれた少なくとも一つを有する構成とすればよい。あるいは、有機化合物層103は、正孔または電子の注入障壁を低減する、正孔または電子の輸送性を向上する、正孔または電子の輸送性を阻害する、または電極による消光現象を抑制する、ことができる等の機能を有する機能層を有する構成としてもよい。なお、機能層はそれぞれ単層であっても、複数の層が積層された構成であってもよい。
図1(B)は、図1(A)に示す発光層113の一例を示す断面模式図である。図1(B)に示す発光層113は、ホスト材料118(有機化合物118_1および有機化合物118_2)と、ゲスト材料119と、を有する。
また、ゲスト材料119としては、発光性の有機金属錯体を用いればよく、該発光性の有機金属錯体としては、燐光を発することができる物質(以下、燐光性化合物ともいう)であると好適である。以下の説明においては、ゲスト材料119として、有機金属錯体を用いる構成について説明する。
本発明では、ゲスト材料119として、中心金属に白金(Pt)を有する有機金属錯体を用いる。なお、本発明に用いる有機金属錯体は、ピリジン環を有し、当該ピリジン環はアルキル基を有する。また、当該ピリジン環の4位にはフェニル基を有する。
ピリジン環を有する有機金属錯体において、三重項励起状態におけるスピン密度の高い炭素原子に、アルキル基が導入され、励起状態における化合物の安定性を向上することができる。また、当該アルキル基は、重水素化されていることが好ましい。LUMOの分布が集中する炭素原子に、重水素化されたアルキル基が導入され、電子をLUMOに受け取った状態、すなわち還元状態における化合物の安定性を向上することができる。
また、LUMOの分布が集中する炭素原子に隣接する炭素原子に、フェニル基が導入され、LUMOの分布を広げることができる。また、LUMOを安定化し、還元状態における化合物の安定性を向上することができる。
さらに、当該フェニル基に対する立体障害効果を、アルキル基は発現することができる。特に、当該アルキル基が重水素化されている場合、安定性を向上することができる。また、当該フェニル基の回転を抑制し、化合物の熱物性、例えば昇華性を向上することができる。また、化合物の振動を抑制し、励起状態からの熱失活を抑制することができる。また、高い発光効率を実現できる。また、配位子または配位子の置換基の選択により、発光スペクトルの形状を調節することができる。また、化合物の熱物性、例えば昇華性を向上することができる。その結果、有用性または信頼性に優れた新規な有機金属錯体を提供することができる。
また、有機金属錯体が有するピリジン環は、アルキル基を備える。これにより、炭素-重水素結合を利用して、炭素-水素結合の結合解離エネルギーより、化合物の結合解離エネルギーを大きくすることができる。また、分子構造を安定にすることができる。また、励起状態における化合物構造内の結合解離を抑制することができる。また、炭素-重水素結合の解離による化合物の劣化、または変質を抑制することができる。なお、当該アルキル基が有する水素が重水素化されている場合、上述の効果をより高めることができる。
従って、例えば、本発明の有機金属錯体は、発光デバイスの発光層に好適に用いることができる。また、例えば、本発明の有機金属錯体は、発光デバイスの発光層に接する層に好適に用いることができる。当該有機金属錯体を発光デバイスに用いることで、信頼性を向上させることができる。
<有機金属錯体の例>
本発明の一態様は、下記一般式で表される中心金属に白金(Pt)を有する有機金属錯体である。白金(Pt)を有する有機金属錯体は、発光デバイスの材料として非常に好適に用いることができる物質である。
本発明の一態様は、一般式(G1)で表される有機金属錯体である。
ただし、上記一般式(G1)において、R、R、およびR乃至R22は、それぞれ独立に、水素(重水素を含む)、炭素数1乃至10のアルキル基、または置換もしくは無置換の炭素数6乃至18のアリール基を表し、かつRまたはRの少なくとも一は、炭素数1乃至10のアルキル基を表し、R18乃至R22のいずれか一以上は、炭素数3乃至10のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6乃至18のアリール基を表す。
なお、RまたはRに置換する炭素数1乃至10のアルキル基において、当該アルキル基に配する水素は、一部または全部が重水素とするとよい。フェニル基に隣接する炭素原子に、重水素を有するアルキル基を導入することで、LUMOの分布を広げることができる。
特に、上記一般式(G1)において、Rは、重水素を有する炭素数1乃至10のアルキル基を表すことが好ましい。Rが重水素を有することで、炭素-重水素結合の結合解離が起きにくくなる。LUMOの分布が集中する炭素原子に、重水素化されたアルキル基が導入され、電子をLUMOに受け取った状態、すなわち還元状態における化合物の安定性を向上することができる。
また、上記一般式(G1)において、R19およびR21は、炭素数3乃至10のアルキル基を表すことが好ましい。これにより、当該フェニル基の回転を抑制し、化合物の熱物性、例えば昇華性を向上することができる。また、分子の熱失活を抑制し、分子間相互作用を起こしにくくするため、量子収率および素子の発光効率を向上することができる。
また、R18乃至R22のいずれか一以上は、下記一般式(R-1)を表すことができる。
ただし、上記一般式(R-1)において、R31乃至R35は、それぞれ独立に、水素(重水素を含む)、炭素数1乃至10のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6乃至18のアリール基を表す。
なお、R18乃至R22のいずれかに、上記一般式(R-1)を有するとよい。特に、R18およびR22は、上記一般式(R-1)で表すことが好ましい。また、R12は炭素数1乃至10のアルキル基を表すことが好ましい。
なお、上記一般式(G1)において、R、R、R乃至R22、およびR31乃至R35で表されるアルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、3-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、2-エチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基等を挙げることができる。
また、R、R、R乃至R22、およびR31乃至R35で表されるアリール基は、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、フェナントレニル基、アントリル基、テトラセン-イル基、ベンズアントラセニル基、トリフェニレニル基、ピレン-イル基、スピロビ[9H-フルオレン]-イル基等を挙げることができる。
また、R、R、R乃至R22、およびR31乃至R35のいずれかが置換基を有する場合、当該置換基は、炭素数1乃至4のアルキル基、炭素数3乃至6のシクロアルキル基、または炭素数6乃至13のアリール基とする。
<具体例>
次に、上記一般式(G1)で表される構成を有する、本発明の一態様である有機金属錯体の具体的な例を以下に示す。
上記構造式(100)乃至(121)で表される有機金属錯体は、上記一般式(G1)で表される有機金属錯体の一例であるが、本発明の一態様の有機金属錯体は、これに限られない。
<有機金属錯体の合成方法>
以下では、一般式(G1)で表される有機金属錯体の合成方法について説明する。該有機金属錯体の合成方法としては、種々の反応を適用することができる。例えば、以下のような簡便な合成スキームにより一般式(G1)で表される有機金属錯体を合成できる。
<<合成法1>>
まず、一般式(G1)で表される有機金属錯体の出発原料である(A1)で表されるピリジルカルバゾール誘導体は、下記合成スキーム(s1-1)より合成できる。フェニルベンゾイミダゾールがエーテル架橋したピリジルカルバゾール誘導体(A’1)と超原子価ヨウ素試薬(A’2)を反応させることで、ピリジルカルバゾール誘導体(A1)を得ることができる。
なお、上記合成スキーム(s1-1)において、R、R、およびR乃至R22は、それぞれ独立に、水素(重水素を含む)、炭素数1乃至10のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6乃至18のアリール基を表し、かつRまたはRの少なくとも一は、重水素を有する炭素数1乃至10のアルキル基を表し、R18乃至R22のいずれか一以上は、置換もしくは無置換の炭素数3乃至10のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6乃至18のアリール基を表す。
次に、一般式(G1)で表される有機金属錯体は、合成スキーム(s1-2)に示すように、上記合成スキーム(s1-1)で得られたピリジルカルバゾール誘導体(A1)とハロゲンを含む白金化合物(ジクロロ(1,5-シクロオクタジエン)白金(II)等)を反応させることにより得られる。
なお、上記合成スキーム(s1-2)において、R、R、およびR乃至R22は、それぞれ独立に、水素(重水素を含む)、炭素数1乃至10のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6乃至18のアリール基を表し、かつRまたはRの少なくとも一は、重水素を有する炭素数1乃至10のアルキル基を表し、R18乃至R22のいずれか一以上は、炭素数3乃至10のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6乃至18のアリール基を表す。
<<合成法2>>
また、例えば、以下のような簡便な合成スキームにより一般式(G1)で表される有機金属錯体を合成できる。
まず、一般式(G1)で表される有機金属錯体の出発原料である(B1)で表されるピリジルカルバゾール誘導体は、下記合成スキーム(s2-1)より合成できる。ジアミン化合物がエーテル架橋したピリジルカルバゾール誘導体(B’1)とオルトぎ酸トリエチルを反応させることで環化し、(B’2)で表される化合物とした後、ヘキサフルオロりん酸アンモニウムにてイオン交換することにより、ピリジルカルバゾール誘導体(B1)を得ることができる。
なお、上記合成スキーム(s2-1)において、R、R、およびR乃至R22は、それぞれ独立に、水素(重水素を含む)、炭素数1乃至10のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6乃至18のアリール基を表し、かつRまたはRの少なくとも一は、重水素を有する炭素数1乃至10のアルキル基を表し、R18乃至R22のいずれか一以上は、炭素数3乃至10のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6乃至18のアリール基を表す。
次に、一般式(G1)で表される有機金属錯体は、合成スキーム(s2-2)に示すように、上記合成スキーム(s2-1)で得られたピリジルカルバゾール誘導体(B1)とハロゲンを含む白金化合物(ジクロロ(1,5-シクロオクタジエン)白金(II)等)を反応させることにより得られる。
なお、上記合成スキーム(s2-2)において、R、R、およびR乃至R22は、それぞれ独立に、水素(重水素を含む)、炭素数1乃至10のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6乃至18のアリール基を表し、かつRまたはRの少なくとも一は、重水素を有する炭素数1乃至10のアルキル基を表し、R18乃至R22のいずれか一以上は、炭素数3乃至10のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6乃至18のアリール基を表す。
上述の化合物(A’1)、(A’2)(B’1)および(B’2)は、様々な種類の合成が可能であるため、一般式(G1)で表される有機金属錯体は数多くの種類を合成することができる。したがって、本発明の一態様の有機金属錯体は、バリエーションが豊富であるという特徴がある。
以上、本発明の一態様の化合物である有機金属錯体の合成方法の一例について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、他のどのような合成方法によって合成されても良い。
なお、本実施の形態に示す化合物は、他の実施の形態に示した構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1で示した有機金属錯体を用いた発光デバイスの構成について、図2(A)乃至図2(E)を用いて説明する。
<発光デバイスの基本的な構造>
発光デバイスの基本的な構造について説明する。図2(A)には、一対の電極間に発光層を含む有機化合物層を有する構造(シングル構造)の発光デバイスを示す。具体的には、第1の電極101と第2の電極102との間に有機化合物層103が挟まれた構造を有する。
また、図2(B)には、一対の電極間に複数(図2(B)では、2層)の有機化合物層(103a、103b)を有し、有機化合物層の間に電荷発生層106を有する積層構造(タンデム構造)の発光デバイスを示す。タンデム構造の発光デバイスは、電流量を変えることなく高効率な発光装置を実現することができる。
電荷発生層106は、第1の電極101と第2の電極102の間に電位差を生じさせたときに、一方の有機化合物層(103aまたは103b)に電子を注入し、他方の有機化合物層(103bまたは103a)に正孔を注入する機能を有する。従って、図2(B)において、第1の電極101に、第2の電極102よりも電位が高くなるように電圧を印加すると、電荷発生層106から有機化合物層103aに電子が注入され、有機化合物層103bに正孔が注入されることとなる。
なお、電荷発生層106は、光の取り出し効率の点から、可視光に対して透光性を有する(具体的には、電荷発生層106に対する可視光の透過率が、40%以上)ことが好ましい。また、電荷発生層106は、第1の電極101および第2の電極102よりも低い導電率であっても機能する。
また、図2(C)には、本発明の一態様である発光デバイスの有機化合物層103の積層構造を示す。但し、この場合、第1の電極101は陽極として、第2の電極102は陰極として機能するものとする。有機化合物層103は、第1の電極101上に、正孔(ホール)注入層111、正孔(ホール)輸送層112、発光層113、電子輸送層114、電子注入層115が順次積層された構造を有する。なお、発光層113は、発光色の異なる発光層を複数積層した構成であっても良い。例えば、赤色を呈する発光物質を含む発光層と、緑色を呈する発光物質を含む発光層と、青色を呈する発光物質を含む発光層とが積層、またはキャリア輸送性材料を有する層を介して積層された構造であっても良い。または、黄色を呈する発光物質を含む発光層と、青色を呈する発光物質を含む発光層との組み合わせであっても良い。ただし、発光層113の積層構造は上記に限定されない。例えば、発光層113は、発光色の同じ発光層を複数積層した構成であっても良い。例えば、青色を呈する発光物質を含む第1の発光層と、青色を呈する発光物質を含む第2の発光層とが積層、またはキャリア輸送性材料を有する層を介して積層された構造であっても良い。発光色の同じ発光層を複数積層した構成の場合、単層の構成よりも信頼性を高めることができる場合がある。また、図2(B)に示すタンデム構造のように複数の有機化合物層を有する場合であっても、各有機化合物層が、陽極側から上記のように順次積層される構造とする。また、第1の電極101が陰極で、第2の電極102が陽極の場合は、有機化合物層103の積層順は逆になる。具体的には、陰極である第1の電極101上の111が、電子注入層、112が電子輸送層、113が発光層、114が正孔(ホール)輸送層、115が正孔(ホール)注入層、という構成を有する。
有機化合物層(103、103a、103b)に含まれる発光層113は、それぞれ発光物質、および複数の物質を適宜組み合わせて有しており、所望の発光色を呈する蛍光発光、または燐光発光が得られる構成とすることができる。また、発光層113を発光色の異なる積層構造としてもよい。なお、この場合、積層された各発光層に用いる発光物質およびその他の物質は、それぞれ異なる材料を用いればよい。また、図2(B)に示す複数の有機化合物層(103a、103b)から、それぞれ異なる発光色が得られる構成としても良い。この場合も各発光層に用いる発光物質およびその他の物質を異なる材料とすればよい。
また、本発明の一態様である発光デバイスにおいて、例えば、図2(C)に示す第1の電極101を反射電極とし、第2の電極102を半透過・半反射電極とし、微小光共振器(マイクロキャビティ)構造とすることにより、有機化合物層103に含まれる発光層113から得られる発光を両電極間で共振させ、第2の電極102から射出される発光を強めることができる。従って、高精細化を実現することが容易である。また、特定波長の正面方向の発光強度を強めることが可能となるため、低消費電力化を図ることができる。
なお、発光デバイスの第1の電極101が、反射性を有する導電性材料と透光性を有する導電性材料(透明導電膜)との積層構造からなる反射電極である場合、透明導電膜の膜厚を制御することにより光学調整を行うことができる。具体的には、発光層113から得られる光の波長λに対して、第1の電極101と、第2の電極102との電極間の光学距離(膜厚と屈折率の積)がmλ/2(ただし、mは1以上の整数)またはその近傍となるように調整することが好ましい。
また、発光層113から得られる所望の光(波長:λ)を増幅させるために、第1の電極101から発光層113の所望の光が得られる領域(発光領域)までの光学距離と、第2の電極102から発光層113の所望の光が得られる領域(発光領域)までの光学距離と、をそれぞれ(2m’+1)λ/4(ただし、m’は1以上の整数)またはその近傍となるように調節するのが好ましい。なお、ここでいう発光領域とは、発光層113における正孔(ホール)と電子との再結合領域を示す。
このような光学調整を行うことにより、発光層113から得られる特定の単色光のスペクトルを狭線化させ、色純度の良い発光を得ることができる。
但し、上記の場合、第1の電極101と第2の電極102との光学距離は、厳密には第1の電極101における反射領域から第2の電極102における反射領域までの総厚ということができる。しかし、第1の電極101および第2の電極102における反射領域を厳密に決定することは困難であるため、第1の電極101と第2の電極102の任意の位置を反射領域と仮定することで充分に上述の効果を得ることができるものとする。また、第1の電極101と、所望の光が得られる発光層との光学距離は、厳密には第1の電極101における反射領域と、所望の光が得られる発光層における発光領域との光学距離であるということができる。しかし、第1の電極101における反射領域、および所望の光が得られる発光層における発光領域を厳密に決定することは困難であるため、第1の電極101の任意の位置を反射領域、所望の光が得られる発光層の任意の位置を発光領域と仮定することで充分に上述の効果を得ることができるものとする。
図2(D)に示す発光デバイスは、タンデム構造を有する発光デバイスである。タンデム構造とすることで、高輝度発光が可能な発光デバイスとすることができる。また、タンデム構造は、シングル構造と比べて、同じ輝度を得るために必要な電流を低減できるため、信頼性を高めることができる。また、消費電力を低減することができる。
図2(E)に示す発光デバイスは、図2(B)に示したタンデム構造の発光デバイスの一例であり、図に示すように、3つの有機化合物層(103a、103b、103c)が電荷発生層(106a、106b)を挟んで積層される構造を有する。なお、3つの有機化合物層(103a、103b、103c)は、それぞれに発光層(113a、113b、113c)を有しており、各発光層の発光色は、自由に組み合わせることができる。例えば、発光層113aを青色、発光層113bを赤色、緑色、または黄色のいずれか、発光層113cを青色とすることができるが、発光層113aを赤色、発光層113bを青色、緑色、または黄色のいずれか、発光層113cを赤色とすることもできる。
なお、上述した本発明の一態様である発光デバイスにおいて、第1の電極101と第2の電極102の少なくとも一方は、透光性を有する電極(透明電極、半透過・半反射電極など)とする。透光性を有する電極が透明電極の場合、透明電極の可視光の透過率は、40%以上とする。また、半透過・半反射電極の場合、半透過・半反射電極の可視光の反射率は、20%以上80%以下、好ましくは40%以上70%以下とする。また、これらの電極は、抵抗率が1×10-2Ωcm以下とするのが好ましい。
また、上述した本発明の一態様である発光デバイスにおいて、第1の電極101と第2の電極102の一方が、反射性を有する電極(反射電極)である場合、反射性を有する電極の可視光の反射率は、40%以上100%以下、好ましくは70%以上100%以下とする。また、この電極は、抵抗率が1×10-2Ωcm以下とするのが好ましい。
<発光デバイスの具体的な構造>
次に、本発明の一態様である発光デバイスの具体的な構造について説明する。また、ここでは、タンデム構造を有する図2(D)を用いて説明する。なお、図2(A)および図2(C)に示すシングル構造の発光デバイスについても有機化合物層の構成については同様とする。また、図2(D)に示す発光デバイスがマイクロキャビティ構造を有する場合は、第1の電極101を反射電極として形成し、第2の電極102を半透過・半反射電極として形成する。従って、所望の電極材料を単数または複数用い、単層または積層して形成することができる。なお、第2の電極102は、有機化合物層103bを形成した後、適宜材料を選択して形成する。
<発光デバイスの材料>
≪発光層≫
発光層(113、113a、113b)は、発光物質を含む層である。なお、発光層(113、113a、113b)に用いることができる発光物質としては、青色、紫色、青紫色、緑色、黄緑色、黄色、橙色、赤色などの発光色を呈する物質を適宜用いることができる。また、発光層を複数有する場合には、各発光層に異なる発光物質を用いることにより異なる発光色を呈する構成(例えば、補色の関係にある発光色を組み合わせて得られる白色発光)とすることができる。さらに、一つの発光層が異なる発光物質を有する積層構造としてもよい。
また、発光層(113、113a、113b)は、発光物質(ゲスト材料)に加えて、1種または複数種の有機化合物(ホスト材料等)を有していても良い。
具体的に、発光層113として、実施の形態1の図1(B)を用いて説明した構造を用いることができる。発光層113中では、ホスト材料118が重量比で最も多く存在し、ゲスト材料119(燐光性化合物)は、ホスト材料118中に分散される。発光層113のホスト材料118(有機化合物118_1及び有機化合物118_2)のT1準位は、発光層113のゲスト材料(ゲスト材料119)のT1準位よりも高いことが好ましい。
有機化合物118_1としては、正孔よりも電子の輸送性の高い材料を用いることができ、1×10-6cm/Vs以上の電子移動度を有する材料であることが好ましい。電子を受け取りやすい材料(電子輸送性を有する材料)としては、含窒素複素芳香族化合物のようなπ電子不足型複素芳香環骨格を有する化合物、及び亜鉛、またはアルミニウム系金属錯体などを用いることができる。π電子不足型複素芳香環骨格を有する化合物の例としては、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、キノキサリン誘導体、ジベンゾキノキサリン誘導体、フェナントロリン誘導体、ピリジン誘導体、ビピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体などの化合物が挙げられる。亜鉛またはアルミニウム系金属錯体の例としては、キノリン配位子、ベンゾキノリン配位子、オキサゾール配位子、あるいはチアゾール配位子を有する金属錯体が挙げられる。
具体的には、例えば、トリス(8-キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Alq)、トリス(4-メチル-8-キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Almq)、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(II)(略称:BeBq)、ビス(2-メチル-8-キノリノラト)(4-フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(略称:BAlq)、ビス(8-キノリノラト)亜鉛(II)(略称:Znq)など、キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等が挙げられる。また、この他ビス[2-(2-ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnPBO)、ビス[2-(2-ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnBTZ)などのオキサゾール系、またはチアゾール系配位子を有する金属錯体なども用いることができる。さらに、金属錯体以外にも、2-(4-ビフェニリル)-5-(4-tert-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3-ビス[5-(p-tert-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]ベンゼン(略称:OXD-7)、9-[4-(5-フェニル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール(略称:CO11)、3-(4-ビフェニリル)-4-フェニル-5-(4-tert-ブチルフェニル)-1,2,4-トリアゾール(略称:TAZ)、9-[4-(4,5-ジフェニル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル]-9H-カルバゾール(略称:CzTAZ1)、2,2’,2’’-(1,3,5-ベンゼントリイル)トリス(1-フェニル-1H-ベンゾイミダゾール)(略称:TPBI)、2-[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]-1-フェニル-1H-ベンゾイミダゾール(略称:mDBTBIm-II)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)などの複素環化合物、2-[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTPDBq-II)、2-[3’-(ジベンゾチオフェン-4-イル)ビフェニル-3-イル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq-II)、2-[3’-(9H-カルバゾール-9-イル)ビフェニル-3-イル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mCzBPDBq)、2-[4-(3,6-ジフェニル-9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2CzPDBq-III)、7-[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:7mDBTPDBq-II)、及び、6-[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:6mDBTPDBq-II)、2-[3-(3,9’-ビ-9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mCzCzPDBq)、4,6-ビス[3-(フェナントレン-9-イル)フェニル]ピリミジン(略称:4,6mPnP2Pm)、4,6-ビス[3-(4-ジベンゾチエニル)フェニル]ピリミジン(略称:4,6mDBTP2Pm-II)、4,6-ビス[3-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]ピリミジン(略称:4,6mCzP2Pm)などのジアジン骨格を有する複素環化合物、2-{4-[3-(N-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-9H-カルバゾール-9-イル]フェニル}-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(略称:PCCzPTzn)などのトリアジン骨格を有する複素環化合物、3,5-ビス[3-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]ピリジン(略称:35DCzPPy)、1,3,5-トリ[3-(3-ピリジル)フェニル]ベンゼン(略称:TmPyPB)などのピリジン骨格を有する複素環化合物、4,4’-ビス(5-メチルベンゾオキサゾール-2-イル)スチルベン(略称:BzOs)などの複素芳香族化合物も用いることができる。上述した複素環化合物の中でも、トリアジン骨格、ジアジン(ピリミジン、ピラジン、ピリダジン)骨格、またはピリジン骨格を有する複素環化合物は、安定で信頼性が良好であり好ましい。また、当該骨格を有する複素環化合物は、電子輸送性が高く、駆動電圧低減にも寄与する。また、ポリ(2,5-ピリジンジイル)(略称:PPy)、ポリ[(9,9-ジヘキシルフルオレン-2,7-ジイル)-co-(ピリジン-3,5-ジイル)](略称:PF-Py)、ポリ[(9,9-ジオクチルフルオレン-2,7-ジイル)-co-(2,2’-ビピリジン-6,6’-ジイル)](略称:PF-BPy)のような高分子化合物を用いることもできる。ここに述べた物質は、主に1×10-6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質である。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、上記以外の物質を用いても構わない。
有機化合物118_2としては、有機化合物118_1と励起錯体を形成できる組み合わせが好ましい。具体的には、π電子過剰型複素芳香環骨格、または芳香族アミン骨格のようなドナー性の高い骨格を有することが好ましい。π電子過剰型複素芳香環骨格を有する化合物としては、ジベンゾチオフェン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、カルバゾール誘導体などの複素芳香族化合物が挙げられる。この場合、有機化合物118_1と有機化合物118_2とで形成される励起錯体の発光ピークが、ゲスト材料119(燐光性化合物)の三重項MLCT(Metal to Ligand Charge Transfer)遷移の吸収帯、より具体的には、最も長波長に位置する吸収帯と重なるように、有機化合物118_1、有機化合物118_2、およびゲスト材料119(燐光性化合物)を選択することが好ましい。これにより、発光効率が飛躍的に向上した発光デバイスとすることができる。ただし、燐光性化合物に替えて熱活性化遅延蛍光材料を用いる場合においては、最も長波長に位置する吸収帯は一重項の吸収帯であることが好ましい。
また、有機化合物118_2としては、以下の正孔輸送性材料を用いることができる。
正孔輸送性材料としては、電子よりも正孔の輸送性の高い材料を用いることができ、1×10-6cm/Vs以上の正孔移動度を有する材料であることが好ましい。具体的には、芳香族アミン、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、スチルベン誘導体などを用いることができる。また、該正孔輸送性材料は高分子化合物であっても良い。
これら正孔輸送性の高い材料として、具体的には、芳香族アミン化合物としては、N,N’-ジ(p-トリル)-N,N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミン(略称:DTDPPA)、4,4’-ビス[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、N,N’-ビス[4-ビス(3-メチルフェニル)アミノフェニル]-N,N’-ジフェニル-4,4’-ジアミノビフェニル(略称:DNTPD)、1,3,5-トリス[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)等を挙げることができる。
また、カルバゾール誘導体としては、具体的には、3-[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzDPA1)、3,6-ビス[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzDPA2)、3,6-ビス[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-(1-ナフチル)アミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzTPN2)、3-[N-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)-N-フェニルアミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6-ビス[N-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)-N-フェニルアミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3-[N-(1-ナフチル)-N-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)アミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)等を挙げることができる。
また、カルバゾール誘導体としては、他に、4,4’-ジ(N-カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,3,5-トリス[4-(N-カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)、9-[4-(10-フェニル-9-アントラセニル)フェニル]-9H-カルバゾール(略称:CzPA)、1,4-ビス[4-(N-カルバゾリル)フェニル]-2,3,5,6-テトラフェニルベンゼン等を用いることができる。
また、芳香族炭化水素としては、例えば、2-tert-ブチル-9,10-ジ(2-ナフチル)アントラセン(略称:t-BuDNA)、2-tert-ブチル-9,10-ジ(1-ナフチル)アントラセン、9,10-ビス(3,5-ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、2-tert-ブチル-9,10-ビス(4-フェニルフェニル)アントラセン(略称:t-BuDBA)、9,10-ジ(2-ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、9,10-ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、2-tert-ブチルアントラセン(略称:t-BuAnth)、9,10-ビス(4-メチル-1-ナフチル)アントラセン(略称:DMNA)、2-tert-ブチル-9,10-ビス[2-(1-ナフチル)フェニル]アントラセン、9,10-ビス[2-(1-ナフチル)フェニル]アントラセン、2,3,6,7-テトラメチル-9,10-ジ(1-ナフチル)アントラセン、2,3,6,7-テトラメチル-9,10-ジ(2-ナフチル)アントラセン、9,9’-ビアントリル、10,10’-ジフェニル-9,9’-ビアントリル、10,10’-ビス(2-フェニルフェニル)-9,9’-ビアントリル、10,10’-ビス[(2,3,4,5,6-ペンタフェニル)フェニル]-9,9’-ビアントリル、アントラセン、テトラセン、ルブレン、ペリレン、2,5,8,11-テトラ(tert-ブチル)ペリレン等が挙げられる。また、この他、ペンタセン、コロネン等も用いることができる。このように、1×10-6cm/Vs以上の正孔移動度を有し、炭素数14以上炭素数42以下である芳香族炭化水素を用いることがより好ましい。
なお、芳香族炭化水素は、ビニル骨格を有していてもよい。ビニル骨格を有している芳香族炭化水素としては、例えば、4,4’-ビス(2,2-ジフェニルビニル)ビフェニル(略称:DPVBi)、9,10-ビス[4-(2,2-ジフェニルビニル)フェニル]アントラセン(略称:DPVPA)等が挙げられる。
また、ポリ(N-ビニルカルバゾール)(略称:PVK)、ポリ(4-ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N-(4-{N’-[4-(4-ジフェニルアミノ)フェニル]フェニル-N’-フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](略称:PTPDMA)、またはポリ[N,N’-ビス(4-ブチルフェニル)-N,N’-ビス(フェニル)ベンジジン](略称:Poly-TPD)等の高分子化合物を用いることもできる。
さらに、正孔輸送性の高い材料としては、例えば、4,4’-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPBまたはα-NPD)、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-4,4’-ジアミノビフェニル(略称:TPD)、4,4’,4’’-トリス(カルバゾール-9-イル)トリフェニルアミン(略称:TCTA)、4,4’,4’’-トリス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:1’-TNATA)、4,4’,4’’-トリス(N,N-ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’-トリス[N-(3-メチルフェニル)-N-フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:m-MTDATA)、N,N′-ビス(9,9′-スピロビ[9H-フルオレン]-2-イル)-N,N′-ジフェニル-4,4′-ジアミノビフェニル(略称:BSPB)、4-フェニル-4’-(9-フェニルフルオレン-9-イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)、4-フェニル-3’-(9-フェニルフルオレン-9-イル)トリフェニルアミン(略称:mBPAFLP)、N-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)-N-{9,9-ジメチル-2-[N’-フェニル-N’-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)アミノ]-9H-フルオレン-7-イル}フェニルアミン(略称:DFLADFL)、N-(9,9-ジメチル-2-ジフェニルアミノ-9H-フルオレン-7-イル)ジフェニルアミン(略称:DPNF)、N-(9,9-スピロビ[9H-フルオレン]-2-イル)-N,N’N’-トリフェニル-1,4-フェニレンジアミン(略称:DPASF)、4-フェニル-4’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCBA1BP)、4,4’-ジフェニル-4’’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCBBi1BP)、4-(1-ナフチル)-4’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCBANB)、4,4’-ジ(1-ナフチル)-4’’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCBNBB)、4-フェニルジフェニル-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)アミン(略称:PCA1BP)、N,N’-ビス(9-フェニルカルバゾール-3-イル)-N,N’-ジフェニルベンゼン-1,3-ジアミン(略称:PCA2B)、N,N’,N’’-トリフェニル-N,N’,N’’-トリス(9-フェニルカルバゾール-3-イル)ベンゼン-1,3,5-トリアミン(略称:PCA3B)、N-(9,9-ジフェニル-9H-フルオレン-2-イル)-N,9-ジフェニル-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:PCAFLP(2))、N-(9,9-ジフェニル-9H-フルオレン-2-イル)-N,9-ジフェニル-9H-カルバゾール-2-アミン(略称:PCAFLP(2)-02)、N-(4-ビフェニル)-N-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)-9-フェニル-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:PCBiF)、N-(ビフェニル-4-イル)-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-アミン(略称:PCBBiF)、9,9-ジメチル-N-フェニル-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]フルオレン-2-アミン(略称:PCBAF)、N-フェニル-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-9,9′-スピロビ[9H-フルオレン]-2-アミン(略称:PCBASF)、N-(9,9-スピロビ[9H-フルオレン]-2-イル)-N,9-ジフェニルカルバゾール-3-アミン(略称:PCASF)、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス(4-ジフェニルアミノフェニル)スピロビ[9H-フルオレン]-2,7-ジアミン(略称:DPA2SF)、N-[4-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]-N-(4-フェニル)フェニルアニリン(略称:YGA1BP)、N,N’-ビス[4-(カルバゾール-9-イル)フェニル]-N,N’-ジフェニル-9,9-ジメチルフルオレン-2,7-ジアミン(略称:YGA2F)などの芳香族アミン化合物等を用いることができる。また、3-[4-(1-ナフチル)フェニル]-9-フェニル-9H-カルバゾール(略称:PCPN)、9-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]フェナントレン(略称:PCPPn)、3,3’-ビス(9-フェニル-9H-カルバゾール)(略称:PCCP)、1,3-ビス(N-カルバゾリル)ベンゼン(略称:mCP)、3,6-ビス(3,5-ジフェニルフェニル)-9-フェニルカルバゾール(略称:CzTP)、3,6-ジ(9H-カルバゾール-9-イル)-9-フェニル-9H-カルバゾール(略称:PhCzGI)、2,8-ジ(9H-カルバゾール-9-イル)ジベンゾチオフェン(略称:Cz2DBT)、4-{3-[3-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル]フェニル}ジベンゾフラン(略称:mmDBFFLBi-II)、4,4’,4’’-(ベンゼン-1,3,5-トリイル)トリ(ジベンゾフラン)(略称:DBF3P-II)、4,4’,4’’-(ベンゼン-1,3,5-トリイル)トリ(ジベンゾチオフェン)(略称:DBT3P-II)、2,8-ジフェニル-4-[4-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル]ジベンゾチオフェン(略称:DBTFLP-III)、4-[4-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル]-6-フェニルジベンゾチオフェン(略称:DBTFLP-IV)、4-[3-(トリフェニレン-2-イル)フェニル]ジベンゾチオフェン(略称:mDBTPTp-II)等のアミン化合物、カルバゾール化合物、チオフェン化合物、フラン化合物、フルオレン化合物、トリフェニレン化合物、フェナントレン化合物等を用いることができる。上述した化合物の中でも、ピロール骨格、フラン骨格、チオフェン骨格、芳香族アミン骨格を有する化合物は、安定で信頼性が良好であり好ましい。また、当該骨格を有する化合物は、正孔輸送性が高く、駆動電圧低減にも寄与する。
また、発光層にはさらに蛍光発光を呈する物質(蛍光発光物質)を用いることができる。この場合、発光層において燐光発光物質の励起エネルギーが蛍光発光物質に移動することで発光に至る。蛍光発光物質は、一重項励起状態から一重項基底状態への遷移が許容であるため励起寿命(発光寿命)が燐光発光物質より短い。そのため、発光層に蛍光発光物質をさらに用いることで、安定で信頼性の良好な発光デバイスを作製することができる。
蛍光発光物質としては、例えば、ピレン誘導体、アントラセン誘導体、トリフェニレン誘導体、フルオレン誘導体、カルバゾール誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾキノキサリン誘導体、キノキサリン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、フェナントレン誘導体、ナフタレン誘導体などが挙げられる。一重項励起エネルギー準位および三重項励起エネルギー準位が、燐光発光物質の三重項励起エネルギー準位より低い蛍光発光物質を用いることができる。
具体例としては、5,6-ビス[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-2,2’-ビピリジン(略称:PAP2BPy)、5,6-ビス[4’-(10-フェニル-9-アントリル)ビフェニル-4-イル]-2,2’-ビピリジン(略称:PAPP2BPy)、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス[4-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル]ピレン-1,6-ジアミン(略称:1,6FLPAPrn)、N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-N,N’-ビス[3-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル]ピレン-1,6-ジアミン(略称:1,6mMemFLPAPrn)、N,N’-ビス[4-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]-N,N’-ジフェニルスチルベン-4,4’-ジアミン(略称:YGA2S)、4-(9H-カルバゾール-9-イル)-4’-(10-フェニル-9-アントリル)トリフェニルアミン(略称:YGAPA)、4-(9H-カルバゾール-9-イル)-4’-(9,10-ジフェニル-2-アントリル)トリフェニルアミン(略称:2YGAPPA)、N,9-ジフェニル-N-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:PCAPA)、ペリレン、2,5,8,11-テトラ-tert-ブチルペリレン(略称:TBP)、4-(10-フェニル-9-アントリル)-4’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCBAPA)、N,N’’-(2-tert-ブチルアントラセン-9,10-ジイルジ-4,1-フェニレン)ビス(N,N’,N’-トリフェニル-1,4-フェニレンジアミン)(略称:DPABPA)、N,N,N’,N’,N’’,N’’,N’’’,N’’’-オクタフェニルジベンゾ[g,p]クリセン-2,7,10,15-テトラアミン(略称:DBC1)、クマリン30、N,N’-ジフェニル-N,N’-(1,6-ピレン-ジイル)ビス[(6-フェニルベンゾ[b]ナフト[1,2-d]フラン)-8-アミン](略称:1,6BnfAPrn-03)、3,10-ビス[N-(9-フェニル-9H-カルバゾール-2-イル)-N-フェニルアミノ]ナフト[2,3-b;6,7-b’]ビスベンゾフラン(略称:3,10PCA2Nbf(IV)-02)、3,10-ビス[N-(ジベンゾフラン-3-イル)-N-フェニルアミノ]ナフト[2,3-b;6,7-b’]ビスベンゾフラン(略称:3,10FrA2Nbf(IV)-02)などが挙げられる。
また、5,9-ジフェニル-5,9-ジアザ-13b-ボラナフト[3,2,1-de]アントラセン(略称:DABNA1)、9-[(1,1’-ジフェニル)-3-イル]-N,N,5,11-テトラフェニル-5,9-ジヒドロ-5,9-ジアザ-13b-ボラナフト[3,2,1-de]アントラセン-3-アミン(略称:DABNA2)、2,12-ジ(tert-ブチル)-5,9-ジ(4-tert-ブチルフェニル)-N,N-ジフェニル-5H,9H-[1,4]ベンズアザボリノ[2,3,4-kl]フェナザボリン-7-アミン(略称:DPhA-tBu4DABNA)、2,12-ジ(tert-ブチル)-N,N,5,9-テトラ(4-tert-ブチルフェニル)-5H,9H-[1,4]ベンズアザボリノ[2,3,4-kl]フェナザボリン-7-アミン(略称:tBuDPhA-tBu4DABNA)、2,12-ジ(tert-ブチル)-5,9-ジ(4-tert-ブチルフェニル)-7-メチル-5H,9H-[1,4]ベンズアザボリノ[2,3,4-kl]フェナザボリン(略称:Me-tBu4DABNA)、N7,N7,N13,N13,5,9,11,15-オクタフェニル-5H,9H,11H,15H-[1,4]ベンズアザボリノ[2,3,4-kl][1,4]ベンズアザボリノ[4’,3’,2’:4,5][1,4]ベンズアザボリノ[3,2-b]フェナザボリン-7,13-ジアミン(略称:ν-DABNA)、2-(4-tert-ブチルフェニル)ベンズ[5,6]インドロ[3,2,1-jk]ベンゾ[b]カルバゾール(略称:tBuPBibc)などの窒素とホウ素を含む縮合複素芳香族化合物、特にジアザ-ボラナフト-アントラセン骨格を有する化合物が発光スペクトルの幅が狭く、色純度の良好な青色発光を得られるため好適に用いることができる。
また、これらの他、9,10,11-トリス[3,6-ビス(1,1-ジメチルエチル)-9H-カルバゾール-9-イル]-2,5,15,18-テトラキス(1,1-ジメチルエチル)インドロ[3,2,1-de]インドロ[3’,2’,1’:8,1][1,4]ベンズアザボリノ[2,3,4-kl]フェナザボリン(略称:BBCz-G)、9,11-ビス[3,6-ビス(1,1-ジメチルエチル)-9H-カルバゾール-9-イル]-2,5,15,18-テトラキス(1,1-ジメチルエチル)インドロ[3,2,1-de]インドロ[3’,2’,1’:8,1][1,4]ベンズアザボリノ[2,3,4-kl]フェナザボリン(略称:BBCz-Y)などを好適に用いる事ができる。
また、発光層に含まれる発光材料としては、熱活性化遅延蛍光(Thermally activated delayed fluorescence:TADF)材料を用いることができる。熱活性化遅延蛍光材料としては、π電子過剰型複素芳香環及びπ電子不足型複素芳香環を有する複素環化合物を用いることができる。具体例としては、2-(ビフェニル-4-イル)-4,6-ビス(12-フェニルインドロ[2,3-a]カルバゾール-11-イル)-1,3,5-トリアジン(略称:PIC-TRZ)、2-{4-[3-(N-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-9H-カルバゾール-9-イル]フェニル}-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(略称:PCCzPTzn)、2-[4-(10H-フェノキサジン-10-イル)フェニル]-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(略称:PXZ-TRZ)、3-[4-(5-フェニル-5,10-ジヒドロフェナジン-10-イル)フェニル]-4,5-ジフェニル-1,2,4-トリアゾール(略称:PPZ-3TPT)、3-(9,9-ジメチル-9H-アクリジン-10-イル)-9H-キサンテン-9-オン(略称:ACRXTN)、ビス[4-(9,9-ジメチル-9,10-ジヒドロアクリジン)フェニル]スルホン(略称:DMAC-DPS)、10-フェニル-10H,10’H-スピロ[アクリジン-9,9’-アントラセン]-10’-オン(略称:ACRSA)等が挙げられる。該複素環化合物は、π電子過剰型複素芳香環及びπ電子不足型複素芳香環を有するため、電子輸送性及び正孔輸送性が高く、好ましい。中でも、π電子不足型複素芳香環を有する骨格のうち、ジアジン骨格(ピリミジン骨格、ピラジン骨格、ピリダジン骨格)、またはトリアジン骨格は、安定で信頼性が良好なため、好ましい。また、π電子過剰型複素芳香環を有する骨格の中でも、アクリジン骨格、フェノキサジン骨格、チオフェン骨格、フラン骨格、及びピロール骨格は、安定で信頼性が良好なため、当該骨格の中から選ばれるいずれか一つまたは複数を有することが、好ましい。なお、ピロール骨格としては、インドール骨格、カルバゾール骨格、及び3-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-9H-カルバゾール骨格、が特に好ましい。なお、π電子過剰型複素芳香環とπ電子不足型複素芳香環とが直接結合した物質は、π電子過剰型複素芳香環のドナー性とπ電子不足型複素芳香環のアクセプタ性が共に強く、一重項励起エネルギー準位と三重項励起エネルギー準位の差が小さくなるため、特に好ましい。また、上述のジアザ-ボラナフト-アントラセン骨格を有する化合物は熱活性化遅延蛍光材料としての機能も有し、色純度の良好な青色発光を得られるため好適である。
また、燐光発光物質に換えて、熱活性化遅延蛍光材料を用いても良い。熱活性化遅延蛍光材料は、三重項励起エネルギー準位と一重項励起エネルギー準位との差が小さく、逆項間交差によって三重項励起状態から一重項励起状態へエネルギーを変換する機能を有する材料である。そのため、三重項励起状態をわずかな熱エネルギーによって一重項励起状態にアップコンバート(逆項間交差)が可能で、一重項励起状態からの発光(蛍光)を効率よく呈することができる。また、熱活性化遅延蛍光が効率良く得られる条件としては、三重項励起エネルギー準位と一重項励起エネルギー準位のエネルギー差が好ましくは0eVより大きく0.2eV以下、さらに好ましくは0eVより大きく0.1eV以下であることが挙げられる。
ゲスト材料119(燐光性化合物)としては、イリジウム、ロジウム、または白金系の有機金属錯体、あるいは金属錯体が挙げられ、中でも金属錯体としては、白金錯体が好ましい。また、含窒素ヘテロ環カルベンを有する白金錯体なども挙げられる。また、有機イリジウム錯体、例えばイリジウム系オルトメタル錯体を用いてもよい。オルトメタル化する配位子としては4H-トリアゾール配位子、1H-トリアゾール配位子、イミダゾール配位子、ピリジン配位子、ピリミジン配位子、ピラジン配位子、あるいはイソキノリン配位子などが挙げられる。
また、ゲスト材料119(燐光性化合物)としては、有機化合物118_1のLUMO準位より高いLUMO準位を有し、有機化合物118_2のHOMO準位より低いHOMO準位を有するよう、有機化合物118_1、有機化合物118_2、およびゲスト材料119(燐光性化合物)を選択することが好ましい。これにより、発光効率が高く、低い電圧で駆動する発光デバイスとすることができる。
また、ゲスト材料119(燐光性化合物)としては、有機化合物118_1のLUMO準位より高いLUMO準位を有し、有機化合物118_2のHOMO準位より高いHOMO準位を有するよう、有機化合物118_1、有機化合物118_2、およびゲスト材料119(燐光性化合物)を選択することが好ましい。これにより、発光効率が高く、低い電圧で駆動する発光デバイスとすることができる。
また、有機化合物118_1のLUMO準位と、ゲスト材料119(燐光性化合物)のHOMO準位と、のエネルギー差が、ゲスト材料119(燐光性化合物)の吸収スペクトルにおける吸収端のうち最も長波長に位置する吸収端から算出されるエネルギー以上であるよう、有機化合物118_1、およびゲスト材料119(燐光性化合物)を選択することが好ましい。これにより、発光効率が高く、低い電圧で駆動する発光デバイスとすることができる。
なお、吸収スペクトルにおける最も長波長に位置する吸収端は、薄膜状態またはマトリクス材料中に対象の物質をドーピングした薄膜における対象物質の吸収スペクトルを測定し、直接遷移を仮定したTaucプロットから求めることができる。あるいは、溶液の吸収スペクトルを測定し、吸収スペクトルの最も長波長に観測されるピークもしくはショルダーピークの長波長側の半値において接線を引き、その接線と横軸(波長)あるいはベースラインとの交点から吸収端を算出してもよい。溶液の溶媒としては、特に制限はないが、トルエンおよびクロロホルムなど、比較的極性の小さい溶媒が好ましい。
なお、本明細書中で用いる、HOMO準位およびLUMO準位の値は、電気化学測定によって求めることができる。電気化学測定の代表例としては、サイクリックボルタンメトリ(CV)測定、微分パルスボルタンメトリー(DPV)測定等が挙げられる。
サイクリックボルタンメトリ(CV)測定において、HOMO準位およびLUMO準位の値(E)は、参照電極に対する作用電極の電位を変化させることで得られる酸化ピーク電位(Epa)、および還元ピーク電位(Epc)を元に、算出することができる。測定において、正方向の電位走査からHOMO準位を求め、負方向の電位走査からLUMO準位を求める。また、測定におけるスキャン速度は、0.1V/sとする。
具体的なHOMO準位およびLUMO準位の算出手順を説明する。材料のサイクリックボルタモグラムより得られる、酸化ピーク電位(Epa)、および還元ピーク電位(Epc)から、標準酸化還元電位(E)(=(Epa+Epc)/2)を求め、参照電極の真空準位に対するポテンシャルエネルギー(E)から減算することにより、HOMO準位およびLUMO準位の値(E)(=E-E)をそれぞれ求めることができる。
なお、上記は可逆な酸化還元波が得られる場合を示すが、不可逆な酸化還元波が得られる場合は、HOMO準位の算出には、酸化ピーク電位(Epa)から一定の値(0.1eV)を減算した値を還元ピーク電位(Epc)と仮定し、標準酸化還元電位(E)を小数点以下1桁まで求める。また、LUMO準位の算出には、還元ピーク電位(Epc)に一定の値(0.1eV)を加算した値を酸化ピーク電位(Epa)と仮定し、標準酸化還元電位(E)を小数点以下1桁まで求める。
青色または緑色の波長領域に発光ピークを有する物質としては、例えば、トリス{2-[5-(2-メチルフェニル)-4-(2,6-ジメチルフェニル)-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル-κN2]フェニル-κC}イリジウム(III)(略称:Ir(mpptz-dmp))、トリス(5-メチル-3,4-ジフェニル-4H-1,2,4-トリアゾラト)イリジウム(III)(略称:Ir(Mptz))、トリス[4-(3-ビフェニル)-5-イソプロピル-3-フェニル-4H-1,2,4-トリアゾラト]イリジウム(III)(略称:Ir(iPrptz-3b))、トリス[3-(5-ビフェニル)-5-イソプロピル-4-フェニル-4H-1,2,4-トリアゾラト]イリジウム(III)(略称:Ir(iPr5btz))、のような4H-トリアゾール骨格を有する有機金属イリジウム錯体、トリス[3-メチル-1-(2-メチルフェニル)-5-フェニル-1H-1,2,4-トリアゾラト]イリジウム(III)(略称:Ir(Mptz1-mp))、トリス(1-メチル-5-フェニル-3-プロピル-1H-1,2,4-トリアゾラト)イリジウム(III)(略称:Ir(Prptz1-Me))のような1H-トリアゾール骨格を有する有機金属イリジウム錯体、fac-トリス[1-(2,6-ジイソプロピルフェニル)-2-フェニル-1H-イミダゾール]イリジウム(III)(略称:Ir(iPrpim))、トリス[3-(2,6-ジメチルフェニル)-7-メチルイミダゾ[1,2-f]フェナントリジナト]イリジウム(III)(略称:Ir(dmpimpt-Me))のようなイミダゾール骨格を有する有機金属イリジウム錯体、ビス[2-(4’,6’-ジフルオロフェニル)ピリジナト-N,C2’]イリジウム(III)テトラキス(1-ピラゾリル)ボラート(略称:FIr6)、ビス[2-(4’,6’-ジフルオロフェニル)ピリジナト-N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:FIrpic)、ビス{2-[3’,5’-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ピリジナト-N,C2’}イリジウム(III)ピコリナート(略称:Ir(CFppy)(pic))、ビス[2-(4’,6’-ジフルオロフェニル)ピリジナト-N,C2’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:FIr(acac))のような電子吸引基を有するフェニルピリジン誘導体を配位子とする有機金属イリジウム錯体が挙げられる。上述した中でも、4H-トリアゾール骨格、1H-トリアゾール骨格およびイミダゾール骨格のような含窒素五員複素環骨格を有する有機金属イリジウム錯体は、高い三重項励起エネルギーを有し、信頼性、または発光効率に優れるため、特に好ましい。
また、緑色または黄色の波長領域に発光ピークを有する物質としては、例えば、トリス(4-メチル-6-フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(mppm))、トリス(4-t-ブチル-6-フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(tBuppm))、(アセチルアセトナト)ビス(6-メチル-4-フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(mppm)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス(6-tert-ブチル-4-フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(tBuppm)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス[4-(2-ノルボルニル)-6-フェニルピリミジナト]イリジウム(III)(略称:Ir(nbppm)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス[5-メチル-6-(2-メチルフェニル)-4-フェニルピリミジナト]イリジウム(III)(略称:Ir(mpmppm)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス{4,6-ジメチル-2-[6-(2,6-ジメチルフェニル)-4-ピリミジニル-κN3]フェニル-κC}イリジウム(III)(略称:Ir(dmppm-dmp)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス(4,6-ジフェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(dppm)(acac))のようなピリミジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体、(アセチルアセトナト)ビス(3,5-ジメチル-2-フェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(mppr-Me)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス(5-イソプロピル-3-メチル-2-フェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(mppr-iPr)(acac))のようなピラジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体、トリス(2-フェニルピリジナト-N,C2’)イリジウム(III)(略称:Ir(ppy))、ビス(2-フェニルピリジナト-N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(ppy)(acac))、ビス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(bzq)(acac))、トリス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)(略称:Ir(bzq))、トリス(2-フェニルキノリナト-N,C2’)イリジウム(III)(略称:Ir(pq))、ビス(2-フェニルキノリナト-N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(pq)(acac))のようなピリジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体、ビス(2,4-ジフェニル-1,3-オキサゾラト-N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(dpo)(acac))、ビス{2-[4’-(パーフルオロフェニル)フェニル]ピリジナト-N,C2’}イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(p-PF-ph)(acac))、ビス(2-フェニルベンゾチアゾラト-N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(bt)(acac))などの有機金属イリジウム錯体の他、トリス(アセチルアセトナト)(モノフェナントロリン)テルビウム(III)(略称:Tb(acac)(Phen))のような希土類金属錯体が挙げられる。上述した中でも、ピリミジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体は、信頼性、または発光効率に際だって優れるため、特に好ましい。
また、黄色または赤色の波長領域に発光ピークを有する物質としては、例えば、(ジイソブチリルメタナト)ビス[4,6-ビス(3-メチルフェニル)ピリミジナト]イリジウム(III)(略称:Ir(5mdppm)(dibm))、ビス[4,6-ビス(3-メチルフェニル)ピリミジナト](ジピバロイルメタナト)イリジウム(III)(略称:Ir(5mdppm)(dpm))、ビス[4,6-ジ(ナフタレン-1-イル)ピリミジナト](ジピバロイルメタナト)イリジウム(III)(略称:Ir(d1npm)(dpm))のようなピリミジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体、(アセチルアセトナト)ビス(2,3,5-トリフェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(tppr)(acac))、ビス(2,3,5-トリフェニルピラジナト)(ジピバロイルメタナト)イリジウム(III)(略称:Ir(tppr)(dpm))、(アセチルアセトナト)ビス[2,3-ビス(4-フルオロフェニル)キノキサリナト]イリジウム(III)(略称:Ir(Fdpq)(acac))のようなピラジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体、トリス(1-フェニルイソキノリナト-N,C2’)イリジウム(III)(略称:Ir(piq))、ビス(1-フェニルイソキノリナト-N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(piq)(acac))のようなピリジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体の他、2,3,7,8,12,13,17,18-オクタエチル-21H,23H-ポルフィリン白金(II)(略称:PtOEP)のような白金錯体、トリス(1,3-ジフェニル-1,3-プロパンジオナト)(モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:Eu(DBM)(Phen))、トリス[1-(2-テノイル)-3,3,3-トリフルオロアセトナト](モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:Eu(TTA)(Phen))のような希土類金属錯体が挙げられる。上述した中でも、ピリミジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体は、信頼性、または発光効率に際だって優れるため、特に好ましい。また、ピラジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体は、色度の良い赤色発光が得られる。
発光層113に含まれる発光材料としては、三重項励起エネルギーを発光に変換できる材料であればよい。該三重項励起エネルギーを発光に変換できる材料としては、燐光性化合物の他に、熱活性化遅延蛍光(Thermally activated delayed fluorescence:TADF)材料が挙げられる。したがって、燐光性化合物と記載した部分に関しては、熱活性化遅延蛍光材料と読み替えても構わない。なお、熱活性化遅延蛍光材料とは、三重項励起エネルギー準位と一重項励起エネルギー準位との差が小さく、逆項間交差によって三重項励起状態から一重項励起状態へエネルギーを変換する機能を有する材料である。そのため、三重項励起状態をわずかな熱エネルギーによって一重項励起状態にアップコンバート(逆項間交差)が可能で、一重項励起状態からの発光(蛍光)を効率よく呈することができる。また、熱活性化遅延蛍光が効率良く得られる条件としては、三重項励起エネルギー準位と一重項励起エネルギー準位のエネルギー差が好ましくは0eVより大きく0.2eV以下、さらに好ましくは0eVより大きく0.1eV以下であることが挙げられる。
熱活性化遅延蛍光材料が、一種類の材料から構成される場合、例えば以下の材料を用いることができる。
まず、フラーレンなどの誘導体、プロフラビン等のアクリジン誘導体、エオシン等が挙げられる。また、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、スズ(Sn)、白金(Pt)、インジウム(In)、もしくはパラジウム(Pd)等を含む金属含有ポルフィリンが挙げられる。該金属含有ポルフィリンとしては、例えば、プロトポルフィリン-フッ化スズ錯体(SnF(Proto IX))、メソポルフィリン-フッ化スズ錯体(SnF(Meso IX))、ヘマトポルフィリン-フッ化スズ錯体(SnF(Hemato IX))、コプロポルフィリンテトラメチルエステル-フッ化スズ錯体(SnF(Copro III-4Me))、オクタエチルポルフィリン-フッ化スズ錯体(SnF(OEP))、エチオポルフィリン-フッ化スズ錯体(SnF(Etio I))、オクタエチルポルフィリン-塩化白金錯体(PtCl(OEP))等が挙げられる。
また、一種の材料から構成される熱活性化遅延蛍光材料としては、π電子過剰型複素芳香環及びπ電子不足型複素芳香環を有する複素環化合物も用いることができる。具体的には、2-(ビフェニル-4-イル)-4,6-ビス(12-フェニルインドロ[2,3-a]カルバゾール-11-イル)-1,3,5-トリアジン(略称:PIC-TRZ)、2-{4-[3-(N-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-9H-カルバゾール-9-イル]フェニル}-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(略称:PCCzPTzn)、2-[4-(10H-フェノキサジン-10-イル)フェニル]-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(略称:PXZ-TRZ)、3-[4-(5-フェニル-5,10-ジヒドロフェナジン-10-イル)フェニル]-4,5-ジフェニル-1,2,4-トリアゾール(略称:PPZ-3TPT)、3-(9,9-ジメチル-9H-アクリジン-10-イル)-9H-キサンテン-9-オン(略称:ACRXTN)、ビス[4-(9,9-ジメチル-9,10-ジヒドロアクリジン)フェニル]スルホン(略称:DMAC-DPS)、10-フェニル-10H,10’H-スピロ[アクリジン-9,9’-アントラセン]-10’-オン(略称:ACRSA)等が挙げられる。該複素環化合物は、π電子過剰型複素芳香環及びπ電子不足型複素芳香環を有するため、電子輸送性及び正孔輸送性が高く、好ましい。中でも、π電子不足型複素芳香環を有する骨格のうち、ジアジン骨格(ピリミジン骨格、ピラジン骨格、ピリダジン骨格)、またはトリアジン骨格は、安定で信頼性が良好なため、好ましい。また、π電子過剰型複素芳香環を有する骨格の中でも、アクリジン骨格、フェノキサジン骨格、チオフェン骨格、フラン骨格、及びピロール骨格は、安定で信頼性が良好なため、当該骨格の中から選ばれるいずれか一つまたは複数を有することが、好ましい。なお、ピロール骨格としては、インドール骨格、カルバゾール骨格、及び3-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-9H-カルバゾール骨格、が特に好ましい。なお、π電子過剰型複素芳香環とπ電子不足型複素芳香環とが直接結合した物質は、π電子過剰型複素芳香環のドナー性とπ電子不足型複素芳香環のアクセプター性が共に強く、一重項励起エネルギー準位と三重項励起エネルギー準位の差が小さくなるため、特に好ましい。
なお、発光層113は2層以上の複数層でもって構成することもできる。例えば、第1の発光層と第2の発光層を正孔輸送層側から順に積層して発光層113とする場合、第1の発光層のホスト材料として正孔輸送性を有する物質を用い、第2の発光層のホスト材料として電子輸送性を有する物質を用いる構成などがある。また、第1の発光層と第2の発光層とが有する発光材料は、同じ材料であっても異なる材料であってもよく、同じ色の発光を呈する機能を有する材料であっても、異なる色の発光を呈する機能を有する材料であってもよい。2層の発光層に、互いに異なる色の発光を呈する機能を有する発光材料をそれぞれ用いることで、複数の発光を同時に得ることができる。特に、2層の発光層が呈する発光により、白色になるよう、各発光層に用いる発光材料を選択すると好ましい。
また、発光層113において、ホスト材料118およびゲスト材料119以外の材料を有していても良い。
なお、発光層113は、蒸着法(真空蒸着法を含む)、インクジェット法、塗布法、グラビア印刷等の方法で形成することができる。また、上述した材料の他、量子ドットなどの無機化合物または高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)を有してもよい。
≪正孔注入層≫
正孔注入層(111、111a、111b)は、陽極である第1の電極101および電荷発生層(106、106a、106b)から有機化合物層(103、103a、103b)に正孔(ホール)を注入する層であり、有機アクセプタ材料および正孔注入性の高い材料を含む層である。
正孔注入層(111、111a、111b)は、一対の電極の一方(第1の電極101または第2の電極102)からのホール注入障壁を低減することでホール注入を促進する機能を有し、例えば遷移金属酸化物、フタロシアニン誘導体、あるいは芳香族アミンなどによって形成される。遷移金属酸化物としては、モリブデン酸化物、バナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物などが挙げられる。フタロシアニン誘導体としては、フタロシアニン、または金属フタロシアニンなどが挙げられる。芳香族アミンとしてはベンジジン誘導体、またはフェニレンジアミン誘導体などが挙げられる。ポリチオフェン、またはポリアニリンなどの高分子化合物を用いることもでき、例えば自己ドープされたポリチオフェンであるポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸などがその代表例である。
正孔注入層(111、111a、111b)として、正孔輸送性材料と、これに対して電子受容性を示す材料の複合材料を有する層を用いることもできる。あるいは、電子受容性を示す材料を含む層と正孔輸送性材料を含む層の積層を用いても良い。これらの材料間では定常状態、あるいは電界存在下において電荷の授受が可能である。電子受容性を示す材料としては、キノジメタン誘導体、クロラニル誘導体、またはヘキサアザトリフェニレン誘導体などの有機アクセプタを挙げることができる。具体的には、7,7,8,8-テトラシアノ-2,3,5,6-テトラフルオロキノジメタン(略称:F-TCNQ)、クロラニル、2,3,6,7,10,11-ヘキサシアノ-1,4,5,8,9,12-ヘキサアザトリフェニレン(略称:HAT-CN)等の電子吸引基(ハロゲン基、またはシアノ基)を有する化合物である。また、遷移金属酸化物、例えば第4族から第8族金属の酸化物を用いることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムなどである。中でも酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
正孔輸送性材料としては、電子よりも正孔の輸送性の高い材料を用いることができ、1×10-6cm/Vs以上の正孔移動度を有する材料であることが好ましい。具体的には、発光層113に用いることができる正孔輸送性材料として挙げた芳香族アミン、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、スチルベン誘導体などを用いることができる。また、該正孔輸送性材料は高分子化合物であっても良い。
≪正孔輸送層≫
正孔輸送層(112、112a、112b)は正孔輸送性材料を含む層であり、正孔注入層(111、111a、111b)の材料として例示した正孔輸送性材料を使用することができる。正孔輸送層(112、112a、112b)は正孔注入層(111、111a、111b)に注入された正孔を発光層(113、113a、113b)へ輸送する機能を有するため、正孔注入層(111、111a、111b)のHOMO準位と同じ、あるいは近いHOMO準位を有することが好ましい。
また、上記正孔輸送性材料は1×10-6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質であることが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外の物質を用いてもよい。なお、正孔輸送性の高い物質を含む層は、単層だけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層してもよい。
≪電子輸送層≫
電子輸送層(114、114a、114b)は、電子注入層(115、115a、115b)を経て一対の電極の他方(第1の電極101または第2の電極102)から注入された電子を発光層113へ輸送する機能を有する。電子輸送性材料としては、正孔よりも電子の輸送性の高い材料を用いることができ、1×10-6cm/Vs以上の電子移動度を有する材料であることが好ましい。電子を受け取りやすい化合物(電子輸送性を有する材料)としては、含窒素複素芳香族化合物のようなπ電子不足型複素芳香環骨格を有する化合物、または金属錯体などを用いることができる。具体的には、発光層113に用いることができる電子輸送性材料として挙げたキノリン配位子、ベンゾキノリン配位子、オキサゾール配位子、あるいはチアゾール配位子を有する金属錯体が挙げられる。また、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、キノキサリン誘導体、ジベンゾキノキサリン誘導体、フェナントロリン誘導体、ピリジン誘導体、ビピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体などが挙げられる。また、上記電子輸送性材料は1×10-6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質であることが好ましい。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、上記以外の物質を電子輸送層として用いても構わない。また、電子輸送層(114、114a、114b)は、単層だけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層してもよい。
また、電子輸送層(114、114a、114b)と発光層(113、113a、113b)との間に電子キャリアの移動を制御する層を設けても良い。これは上述したような電子輸送性の高い材料に、電子トラップ性の高い物質を少量添加した層であって、電子キャリアの移動を抑制することによって、キャリアバランスを調節することが可能となる。このような構成は、発光層を電子が突き抜けてしまうことにより発生する問題(例えば素子寿命の低下)の抑制に大きな効果を発揮する。
≪電子注入層≫
電子注入層(115、115a、115b)は第2の電極102からの電子注入障壁を低減することで電子注入を促進する機能を有し、例えば第1族金属、第2族金属、あるいはこれらの酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩などを用いることができる。また、先に示す電子輸送性材料と、これに対して電子供与性を示す材料の複合材料を用いることもできる。電子供与性を示す材料としては、第1族金属、第2族金属、あるいはこれらの酸化物などを挙げることができる。具体的には、フッ化リチウム(LiF)、フッ化ナトリウム(NaF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF)、リチウム酸化物(LiO)等のようなアルカリ金属、アルカリ土類金属、またはそれらの化合物を用いることができる。また、フッ化エルビウム(ErF)のような希土類金属化合物を用いることができる。また、電子注入層115にエレクトライドを用いてもよい。該エレクトライドとしては、例えば、カルシウムとアルミニウムの混合酸化物に電子を高濃度添加した物質等が挙げられる。また、電子注入層(115、115a、115b)に、電子輸送層(114、114a、114b)で用いることが出来る物質を用いても良い。
また、電子注入層(115、115a、115b)に、有機化合物と電子供与体(ドナー)とを混合してなる複合材料を用いてもよい。このような複合材料は、電子供与体によって有機化合物に電子が発生するため、電子注入性および電子輸送性に優れている。この場合、有機化合物としては、発生した電子の輸送に優れた材料であることが好ましく、具体的には、例えば上述した電子輸送層114を構成する物質(金属錯体、または複素芳香族化合物等)を用いることができる。電子供与体としては、有機化合物に対し電子供与性を示す物質であればよい。具体的には、アルカリ金属、アルカリ土類金属、または希土類金属が好ましく、リチウム、ナトリウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、エルビウム、イッテルビウム等が挙げられる。また、アルカリ金属酸化物、またはアルカリ土類金属酸化物が好ましく、リチウム酸化物、カルシウム酸化物、バリウム酸化物等が挙げられる。また、酸化マグネシウムのようなルイス塩基を用いることもできる。また、テトラチアフルバレン(略称:TTF)等の有機化合物を用いることもできる。
なお、上述した、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、及び電子注入層は、それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)、インクジェット法、塗布法、グラビア印刷等の方法で形成することができる。また、上述した、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、及び電子注入層には、上述した材料の他、量子ドットなどの無機化合物、または高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)を用いてもよい。
なお、量子ドットとしては、コロイド状量子ドット、合金型量子ドット、コア・シェル型量子ドット、コア型量子ドット、などを用いてもよい。また、2族と16族、13族と15族、13族と17族、11族と17族、または14族と15族の元素グループを含む量子ドットを用いてもよい。または、カドミウム(Cd)、セレン(Se)、亜鉛(Zn)、硫黄(S)、リン(P)、インジウム(In)、テルル(Te)、鉛(Pb)、ガリウム(Ga)、ヒ素(As)、アルミニウム(Al)、等の元素を有する量子ドットを用いてもよい。
≪一対の電極≫
第1の電極101及び第2の電極102は、発光デバイスの陽極または陰極としての機能を有する。第1の電極101及び第2の電極102は、金属、合金、導電性化合物、およびこれらの混合物、または積層体などを用いて形成することができる。
第1の電極101または第2の電極102の一方は、光を反射する機能を有する導電性材料により形成されると好ましい。該導電性材料としては、アルミニウム(Al)またはAlを含む合金等が挙げられる。Alを含む合金としては、AlとL(Lは、チタン(Ti)、ネオジム(Nd)、ニッケル(Ni)、及びランタン(La)の一つまたは複数を表す)とを含む合金等が挙げられ、例えばAlとTi、またはAlとNiとLaを含む合金等である。アルミニウムは、抵抗値が低く、光の反射率が高い。また、アルミニウムは、地殻における存在量が多く、安価であるため、アルミニウムを用いることによる発光デバイスの作製コストを低減することができる。また、銀(Ag)、またはAgとN(Nは、イットリウム(Y)、Nd、マグネシウム(Mg)、イッテルビウム(Yb)、Al、Ti、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、タングステン(W)、マンガン(Mn)、スズ(Sn)、鉄(Fe)、Ni、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、または金(Au)の一つまたは複数を表す)とを含む合金等を用いても良い。銀を含む合金としては、例えば、銀とパラジウムと銅を含む合金、銀と銅を含む合金、銀とマグネシウムを含む合金、銀とニッケルを含む合金、銀と金を含む合金、銀とイッテルビウムを含む合金等が挙げられる。その他、タングステン、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、銅、チタンなどの遷移金属を用いることができる。
また、発光層から得られる発光は、第1の電極101及び第2の電極102の一方または双方を通して取り出される。したがって、第1の電極101及び第2の電極102の少なくとも一方は、光を透過する機能を有する導電性材料により形成されると好ましい。該導電性材料としては、可視光の透過率が40%以上100%以下、好ましくは60%以上100%以下であり、かつその抵抗率が1×10-2Ω・cm以下の導電性材料が挙げられる。
また、第1の電極101及び第2の電極102は、光を透過する機能と、光を反射する機能と、を有する導電性材料により形成されても良い。該導電性材料としては、可視光の反射率が20%以上80%以下、好ましくは40%以上70%以下であり、かつその抵抗率が1×10-2Ω・cm以下の導電性材料が挙げられる。例えば、導電性を有する金属、合金、導電性化合物などを1種又は複数種用いて形成することができる。具体的には、例えば、インジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide、以下ITO)、珪素または酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(略称:ITSO)、酸化インジウム-酸化亜鉛(Indium Zinc Oxide)、チタンを含有した酸化インジウム-錫酸化物、インジウム-チタン酸化物、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウムなどの金属酸化物を用いることができる。また、光を透過する程度(好ましくは、1nm以上30nm以下の厚さ)の金属薄膜を用いることができる。金属としては、例えば、Ag、またはAgとAl、AgとMg、AgとAu、AgとYbなどの合金等を用いることができる。
なお、本明細書等において、光を透過する機能を有する材料は、可視光を透過する機能を有し、且つ導電性を有する材料であればよく、例えば上記のようなITOに代表される酸化物導電体に加えて、酸化物半導体、または有機物を含む有機導電体を含む。有機物を含む有機導電体としては、例えば、有機化合物と電子供与体(ドナー)とを混合してなる複合材料、有機化合物と電子受容体(アクセプター)とを混合してなる複合材料等が挙げられる。また、グラフェンなどの無機炭素系材料を用いても良い。また、当該材料の抵抗率としては、好ましくは1×10Ω・cm以下、さらに好ましくは1×10Ω・cm以下である。
また、上記の材料の複数を積層することによって第1の電極101及び第2の電極102の一方または双方を形成してもよい。
また、光取り出し効率を向上させるため、光を透過する機能を有する電極と接して、該電極より屈折率の高い材料を形成してもよい。このような材料としては、可視光を透過する機能を有する材料であればよく、導電性を有する材料であっても有さない材料であってもよい。例えば、上記のような酸化物導電体に加えて、酸化物半導体、有機物が挙げられる。有機物としては、例えば、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、または電子注入層に例示した材料が挙げられる。また、無機炭素系材料、または光が透過する程度の金属薄膜も用いることができ、数nm乃至数十nmの層を複数積層させてもよい。
第1の電極101または第2の電極102が陰極としての機能を有する場合には、仕事関数が小さい(3.8eV以下)材料を有することが好ましい。例えば、元素周期表の第1族又は第2族に属する元素(リチウム、ナトリウム、セシウム等のアルカリ金属、カルシウム、ストロンチウム等のアルカリ土類金属、マグネシウム等)、これら元素を含む合金(例えば、AgとMg、AlとLi)、ユーロピウム(Eu)、Yb等の希土類金属、これら希土類金属を含む合金、アルミニウム、銀を含む合金等を用いることができる。
また、第1の電極101または第2の電極102を陽極として用いる場合、仕事関数の大きい(4.0eV以上)材料を用いることが好ましい。
また、第1の電極101及び第2の電極102は、光を反射する機能を有する導電性材料と、光を透過する機能を有する導電性材料との積層としてもよい。その場合、第1の電極101及び第2の電極102は、各発光層からの所望の波長の光を共振させ、その波長の光を強めることができるように、光学距離を調整する機能を有することができるため好ましい。
第1の電極101及び第2の電極102の成膜方法は、スパッタリング法、蒸着法、印刷法、塗布法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法、CVD法、パルスレーザ堆積法、ALD(Atomic Layer Deposition)法等を適宜用いることができる。
≪電荷発生層≫
電荷発生層106は、第1の電極(陽極)101と第2の電極(陰極)102との間に電圧を印加したときに、有機化合物層103aに電子を注入し、有機化合物層103bに正孔を注入する機能を有する。なお、電荷発生層106は、正孔輸送性材料に電子受容体(アクセプタ)が添加された構成(P型層ともいう)であっても、電子輸送性材料に電子供与体(ドナー)が添加された構成(電子注入バッファ層ともいう)であってもよい。また、これらの両方の構成が積層されていても良い。さらに、P型層と電子注入バッファ層との間に電子リレー層が設けられていても良い。なお、上述した材料を用いて電荷発生層106を形成することにより、有機化合物層が積層された場合における駆動電圧の上昇を抑制することができる。
電荷発生層106において、有機化合物である正孔輸送性材料に、電子受容体が添加された構成(P型層)とする場合、正孔輸送性材料としては、本実施の形態で示した材料を用いることができる。また、電子受容体としては、7,7,8,8-テトラシアノ-2,3,5,6-テトラフルオロキノジメタン(略称:F-TCNQ)、クロラニル等を挙げることができる。また元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムなどが挙げられる。なお、上述したアクセプタ材料を用いても良い。また、P型層を構成する材料を混合してなる混合膜として用いても、それぞれの材料を含む単膜を積層しても良い。
また、電荷発生層106において、電子輸送性材料に電子供与体が添加された構成(電子注入バッファ層)とする場合、電子輸送性材料としては、本実施の形態で示した材料を用いることができる。また、電子供与体としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属または希土類金属または元素周期表における第2族、第13族に属する金属およびその酸化物、炭酸塩を用いることができる。具体的には、リチウム(Li)、セシウム(Cs)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、イッテルビウム(Yb)、インジウム(In)、酸化リチウム(LiO)、炭酸セシウムなどを用いることが好ましい。また、テトラチアナフタセンのような有機化合物を電子供与体として用いてもよい。
電荷発生層106において、P型層と電子注入バッファ層との間に電子リレー層を設ける場合、電子リレー層は少なくとも電子輸送性を有する物質を含み、電子注入バッファ層とP型層との相互作用を防いで電子をスムーズに受け渡す機能を有する。電子リレー層に含まれる電子輸送性を有する物質のLUMO準位は、P型層におけるアクセプタ性物質のLUMO準位と、電荷発生層106に接する電子輸送層に含まれる電子輸送性を有する物質のLUMO準位との間であることが好ましい。電子リレー層に用いられる電子輸送性を有する物質におけるLUMO準位の具体的なエネルギー準位は-5.0eV以上、好ましくは-5.0eV以上-3.0eV以下とするとよい。なお、電子リレー層に用いられる電子輸送性を有する物質としてはフタロシアニン系の材料又は金属-酸素結合と芳香族配位子を有する金属錯体を用いることが好ましい。
なお、図2(D)では、有機化合物層103が2層積層された構成を示したが、異なる有機化合物層の間に電荷発生層を設けることにより3層以上の有機化合物層の積層構造としてもよい。
≪キャップ層≫
なお、図2(A)乃至図2(E)では図示しないが、発光デバイスの第2の電極102上にキャップ層を設けてもよい。キャップ層には、例えば、屈折率の高い材料を用いることができる。キャップ層を第2の電極102上に設けることによって、第2の電極102から射出される光の取り出し効率を向上させることができる。
キャップ層に用いることのできる材料の具体例として、5,5’-ジフェニル-2,2’-ジ-5H-[1]ベンゾチエノ[3,2-c]カルバゾール(略称:BisBTc)、4,4’,4’’-(ベンゼン-1,3,5-トリイル)トリ(ジベンゾチオフェン)(略称:DBT3P-II)等が挙げられる。また、実施の形態1で説明した有機化合物を用いることができる。
≪基板≫
また、本発明の一態様に係る発光デバイスは、ガラス、プラスチックなどからなる基板上に作製すればよい。基板上に作製する順番としては、第1の電極101側から順に積層しても、第2の電極102側から順に積層しても良い。
なお、本発明の一態様に係る発光デバイスを形成できる基板としては、例えばガラス、石英、又はプラスチックなどを用いることができる。また可撓性基板を用いてもよい。可撓性基板とは、曲げることができる(フレキシブル)基板のことであり、例えば、ポリカーボネート、ポリアリレート、からなるプラスチック基板等が挙げられる。また、フィルム、無機蒸着フィルムなどを用いることもできる。なお、発光デバイス、及び光学素子の作製工程において支持体として機能するものであれば、これら以外のものでもよい。あるいは、発光デバイス、及び光学素子を保護する機能を有するものであればよい。
例えば、本明細書等においては、様々な基板を用いて発光デバイスを形成することが出来る。基板の種類は、特に限定されることはない。その基板の一例としては、半導体基板(例えば単結晶基板又はシリコン基板)、SOI基板、ガラス基板、石英基板、プラスチック基板、金属基板、ステンレス・スチル基板、ステンレス・スチル・ホイルを有する基板、タングステン基板、タングステン・ホイルを有する基板、可撓性基板、貼り合わせフィルム、繊維状の材料を含むセルロースナノファイバ(CNF)、紙、又は基材フィルムなどがある。ガラス基板の一例としては、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、又はソーダライムガラスなどがある。可撓性基板、貼り合わせフィルム、基材フィルムなどの一例としては、以下が挙げられる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)に代表されるプラスチックがある。または、一例としては、アクリル樹脂などがある。または、一例としては、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリフッ化ビニル、又はポリ塩化ビニルなどがある。または、一例としては、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、アラミド樹脂、またはエポキシ樹脂などの樹脂、無機蒸着フィルム、又は紙類などがある。
また、基板として、可撓性基板を用い、可撓性基板上に直接、発光デバイスを形成してもよい。または、基板と発光デバイスとの間に剥離層を設けてもよい。剥離層は、その上に発光デバイスを一部あるいは全部完成させた後、基板より分離し、他の基板に転載するために用いることができる。その際、耐熱性の劣る基板、または可撓性の基板にも発光デバイスを転載できる。なお、上述の剥離層には、例えば、タングステン膜と酸化シリコン膜との無機膜の積層構造の構成、および基板上にポリイミド等の樹脂膜が形成された構成等を用いることができる。
つまり、ある基板を用いて発光デバイスを形成し、その後、別の基板に発光デバイスを転置し、別の基板上に発光デバイスを配置してもよい。発光デバイスが転置される基板の一例としては、上述した基板に加え、セロファン基板、石材基板、木材基板、布基板(天然繊維(絹、綿、麻)、合成繊維(ナイロン、ポリウレタン、ポリエステル)若しくは再生繊維(アセテート、キュプラ、レーヨン、再生ポリエステル)などを含む)、皮革基板、又はゴム基板などがある。これらの基板を用いることにより、壊れにくい発光デバイス、耐熱性の高い発光デバイス、軽量化された発光デバイス、または薄型化された発光デバイスとすることができる。
また、上述した基板上に、例えば電界効果トランジスタ(FET)を形成し、FETと電気的に接続された電極上に発光デバイスを作製してもよい。これにより、FETによって発光デバイスの駆動を制御するアクティブマトリクス型の表示装置を作製できる。
なお、本実施の形態において、本発明の一態様について述べた。または、他の実施の形態において、本発明の一態様について述べる。ただし、本発明の一態様は、これらに限定されない。つまり、本実施の形態および他の実施の形態では、様々な発明の態様が記載されているため、本発明の一態様は、特定の態様に限定されない。例えば、本発明の一態様として、発光デバイスに適用した場合の例を示したが、本発明の一態様は、これに限定されない。例えば、場合によっては、または、状況に応じて、本発明の一態様は、発光デバイスに適用しなくてもよい。または、例えば、本発明の一態様では、第1の有機化合物と、第2の有機化合物と、三重項励起エネルギーを発光に変換することができる機能を有するゲスト材料と、を有し、第1の有機化合物のLUMO準位は、第2の有機化合物のLUMO準位より低く、第1の有機化合物のHOMO準位は、第2の有機化合物のHOMO準位より低い場合の例を示したが、本発明の一態様は、これに限定されない。場合によっては、または、状況に応じて、本発明の一態様では、例えば、第1の有機化合物のLUMO準位は、第2の有機化合物のLUMO準位より低くなくてもよい。あるいは、第1の有機化合物のHOMO準位は、第2の有機化合物のHOMO準位より低くなくてもよい。または、例えば、本発明の一態様では、第1の有機化合物と第2の有機化合物とが、励起錯体を形成する場合の例を示したが、本発明の一態様は、これに限定されない。場合によっては、または、状況に応じて、本発明の一態様では、例えば、第1の有機化合物と第2の有機化合物とが、励起錯体を形成しなくてもよい。または、例えば、本発明の一態様では、ゲスト材料のLUMO準位は、第1の有機化合物のLUMO準位より高く、ゲスト材料のHOMO準位は、第2の有機化合物のHOMO準位より低い場合の例を示したが、本発明の一態様は、これに限定されない。場合によっては、または、状況に応じて、本発明の一態様では、例えば、ゲスト材料のLUMO準位は、第1の有機化合物のLUMO準位より高くなくても良い。あるいは、ゲスト材料のHOMO準位は、第2の有機化合物のHOMO準位より低くなくてもよい。
以上、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態3)
図3(A)および図3(B)に例示するように、先の実施の形態で説明した発光デバイスは、絶縁層175上に複数形成することで、発光装置を構成する。本実施の形態では、本発明の一態様の発光装置について詳しく説明する。
発光装置1000は、複数の画素178がマトリクス状に配列された画素部177を有する。画素178は、副画素110R、副画素110G、及び副画素110Bを有する。
本明細書等において、例えば副画素110R、副画素110G、及び副画素110Bに共通する事項は、副画素110と呼称して説明する場合がある。また、アルファベットで区別する構成要素について、該当する構造に共通する事項は、アルファベットを省略した符号を用いて説明する場合がある。
副画素110Rは赤色の光を呈し、副画素110Gは緑色の光を呈し、副画素110Bは青色の光を呈する。これにより、画素部177に画像を表示することができる。なお、本実施の形態では、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色の副画素を例に挙げて説明するが、本発明は当該構成に限らない。つまり、その他の色の副画素の組み合わせを用いてもよい。例えば、副画素は3つに限られず、4つ以上としてもよい。4つの副画素としては、例えば、R、G、B、白色(W)の4色の副画素、R、G、B、黄色(Y)の4色の副画素、及び、R、G、B、赤外光(IR)の4つの副画素、等が挙げられる。
本明細書等において、行方向をX方向、列方向をY方向という場合がある。X方向とY方向は交差し、例えば垂直に交差する。
図3(A)では、異なる色の副画素がX方向に並べて配置されており、同じ色の副画素が、Y方向に並べて配置されている例を示す。なお、異なる色の副画素がY方向に並べて配置され、同じ色の副画素が、X方向に並べて配置されていてもよい。
画素部177の外側には、接続部140および領域141を設けてもよい。例えば、領域141は画素部177と接続部140の間に設けるとよい。領域141には、有機化合物層103を設ける。また、接続部140には、導電層151Cを設ける。
図3(A)では、領域141、及び接続部140が画素部177の右側に位置する例を示すが、領域141、及び接続部140の位置は特に限定されない。また、領域141、及び接続部140は、単数であっても複数であってもよい。
図3(B)は、図3(A)における一点鎖線A1-A2間の断面図の例である。図3(B)に示すように、発光装置1000は、絶縁層171と、絶縁層171上の導電層172と、絶縁層171上、及び導電層172上の絶縁層173と、絶縁層173上の絶縁層174と、絶縁層174上の絶縁層175と、を有する。絶縁層171は、基板(図示せず)上に設けるとよい。絶縁層175、絶縁層174、及び絶縁層173には、導電層172に達する開口が設けられ、当該開口を埋め込むようにプラグ176を設ける。
画素部177において、絶縁層175及びプラグ176上に、発光デバイス130が設けられる。また、発光デバイス130を覆うように、保護層131が設けられている。保護層131上には、樹脂層122によって基板120が貼り合わされている。また、隣り合う発光デバイス130の間には、無機絶縁層125と、無機絶縁層125上の絶縁層127と、を設けてもよい。
図3(B)では、無機絶縁層125及び絶縁層127の断面が複数示されているが、発光装置1000を上面から見た場合、無機絶縁層125及び絶縁層127は、それぞれ1つに繋がっていることが好ましい。つまり、無機絶縁層125及び絶縁層127は、第1の電極上に開口部を有する絶縁層とするとよい。
図3(B)では、発光デバイス130として、発光デバイス130R、発光デバイス130G、及び発光デバイス130Bを示している。発光デバイス130R、発光デバイス130G、及び発光デバイス130Bは、互いに異なる色の光を発するものとする。例えば、発光デバイス130Rは赤色の光を発することができ、発光デバイス130Gは緑色の光を発することができ、発光デバイス130Bは青色の光を発することができる。また、発光デバイス130R、発光デバイス130G、又は発光デバイス130Bは、他の可視光又は赤外光を発してもよい。
なお、有機化合物層103は、少なくとも発光層を有し、その他の機能層(正孔注入層、正孔輸送層、正孔ブロック層、電子ブロック層、電子輸送層、及び電子注入層等)を有することができる。また、有機化合物層103と共通層104とを合わせて、発光デバイスが備える機能層(正孔注入層、正孔輸送層、正孔ブロック層、発光層、電子ブロック層、電子輸送層、及び電子注入層等)を形成しても良い。
本発明の一態様の発光装置は、例えば発光デバイスが形成されている基板とは反対方向に光を射出する上面射出型(トップエミッション型)とすることができる。なお、本発明の一態様の発光装置は、下面射出型(ボトムエミッション型)であってもよい。
発光デバイス130Rは、実施の形態2に示したような構成を有する。導電層151Rと導電層152Rとからなる第1の電極(画素電極)と、第1の電極上の有機化合物層103Rと、有機化合物層103R上の共通層104と、共通層104上の第2の電極(共通電極)102と、を有する。
なお、共通層104は、必ずしも設けなくてもよい。共通層104を設けることで、後工程による有機化合物層103Rへのダメージを低減できる。また、共通層104が設けられている場合、共通層104は、電子注入層としての機能を有していてもよい。共通層104が電子注入層として機能する場合、有機化合物層103Rと共通層104との積層構造は、実施の形態1における有機化合物層103に相当する。
ここで、発光デバイス130は、実施の形態2に示したような構成を有する。導電層151と導電層152とからなる第1の電極(画素電極)と、第1の電極上の有機化合物層103と、有機化合物層103上の共通層104と、共通層104上の第2の電極(共通電極)102と、を有する。
発光デバイスが有する画素電極と共通電極のうち、一方は陽極として機能し、他方は陰極として機能する。以下では、特に断りが無い場合は、画素電極が陽極として機能し、共通電極が陰極として機能するものとして説明する。
有機化合物層103R、有機化合物層103G、及び有機化合物層103Bは、各々または、発光色毎に、島状に独立している。有機化合物層103を発光デバイス130毎に島状に設けることで、高精細な発光装置においても隣接する発光デバイス130間のリーク電流を抑制できる。これにより、クロストークを防ぐことができ、コントラストの極めて高い発光装置を実現できる。特に、低輝度における電流効率の高い発光装置を実現できる。
有機化合物層103は、発光デバイス130の第1の電極(画素電極)の上面及び側面を覆うように設けてもよい。これにより、有機化合物層103の端部が画素電極の端部よりも内側に位置する構成に比べて、発光装置1000の開口率を高めることが容易となる。また、発光デバイス130の画素電極の側面を有機化合物層103で覆うことで、画素電極と第2の電極102とが接することを抑制できるため、発光デバイス130のショートを抑制できる。また、有機化合物層103の発光領域(すなわち、画素電極と重なる領域)と、有機化合物層103の端部との距離を大きくできる。さらに、有機化合物層103の端部は、加工によりダメージを受けている可能性があるため、有機化合物層103の端部から離れた領域を発光領域として用いることで、発光デバイス130の信頼性を高められる。
また、本発明の一態様の発光装置では、発光デバイスの第1の電極(画素電極)を、積層構成としてもよい。例えば、図3(B)に示す例では、発光デバイス130の第1の電極を、導電層151と、導電層152と、の積層構成としている。
例えば、発光装置1000がトップエミッション型である場合、発光デバイス130の画素電極は、導電層151は可視光に対する反射率が高い層とし、導電層152は可視光の透過性を有し、かつ仕事関数が大きい層とすることが好ましい。画素電極の可視光に対する反射率が高いほど、有機化合物層103が発する光の取り出し効率を高くすることができる。また、画素電極が陽極として機能する場合、画素電極の仕事関数が大きいほど、有機化合物層103への正孔の注入が容易となる。従って、発光デバイス130の画素電極を、可視光に対する反射率が高い導電層151と、仕事関数が大きい導電層152と、の積層構成とすることにより、発光デバイス130を、光取り出し効率が高く、且つ駆動電圧の低い発光デバイスとすることができる。
具体的には、導電層151の可視光に対する反射率は、例えば40%以上100%以下とすることが好ましく、70%以上100%以下とすることがより好ましい。また、導電層152は、可視光の透過性を有する電極とする場合、可視光に対する透過率を例えば40%以上とすることが好ましい。
また、積層構造を有する画素電極の形成後に成膜した膜を、ウェットエッチング法などにより除去する際にエッチングに用いる薬液が構造体に含浸する場合がある。含浸した薬液が画素電極に接触すると、画素電極を構成する複数の層間においてガルバニック腐食などが発生し、画素電極が変質することがある。
そこで、導電層151の上面及び側面を覆うように、導電層152を形成することが好ましい。導電層152で導電層151を覆うことで、含浸した薬液が導電層151に接触することなく、画素電極へのガルバニック腐食の発生を抑制できる。従って、発光装置1000は、歩留まりが高い方法で作製できるため、低価格の発光装置とすることができる。また、発光装置1000に不良が発生することを抑制できるため、発光装置1000は信頼性が高い発光装置とすることができる。
導電層151として、例えば金属材料を用いることができる。具体的には、例えばアルミニウム(Al)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、スズ(Sn)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、パラジウム(Pd)、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、イットリウム(Y)、ネオジム(Nd)等の金属、及びこれらを適宜組み合わせて含む合金を用いることもできる。
導電層152として、インジウム、錫、亜鉛、ガリウム、チタン、アルミニウム、及びシリコンの中から選ばれるいずれか一又は複数を有する酸化物を用いることができる。例えば、酸化インジウム、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを含む酸化亜鉛、酸化チタン、ガリウムを含むインジウム亜鉛酸化物、アルミニウムを含むインジウム亜鉛酸化物、シリコンを含むインジウム錫酸化物、及びシリコンを含むインジウム亜鉛酸化物等のいずれか一又は複数を含む導電性酸化物を用いることが好ましい。特に、シリコンを含むインジウム錫酸化物は仕事関数が大きい、例えば仕事関数が4.0eV以上であるため、導電層152として好適に用いることができる。
また、導電層151、および導電層152は、異なる材料を有する複数の層の積層構成であってもよい。この場合、導電層151が、導電性酸化物等の導電層152に用いることができる材料を用いた層を有してもよく、また、導電層152が、金属材料等の導電層151に用いることができる材料を用いた層を有してもよい。例えば、導電層151が2層以上の積層構成である場合は、導電層152と接する層は、導電層152の導電層151と接する層に用いる材料と同じ材料を含む層とすることができる。
なお、導電層151の端部は、テーパ形状を有することが好ましい。具体的には、導電層151の端部は、テーパ角90°未満のテーパ形状を有することが好ましい。この場合、導電層151の側面に沿って設けられる導電層152もテーパ形状を有する。導電層152の端部をテーパ形状とすることで、導電層152の側面に沿って設けられる有機化合物層103の被覆性を高めることができる。
また、導電層151、または導電層152が積層構造を有する場合、少なくとも1つの側面がテーパ形状を有していることが好ましい。また、各導電層を構成する積層構造において、層毎に異なるテーパ形状であってもよい。
図4(A)においては、導電層151が異なる材料を含む複数の層の積層構造である場合の図を示している。図4(A)に示すように、導電層151は、導電層151_1と、導電層151_1上の導電層151_2と、導電層151_2上の導電層151_3と、を有する構成である。つまり、図4(A)に示す導電層151は、3層積層構成である。このように、導電層151が複数の層の積層構成である場合は、導電層151を構成する層のうち少なくとも1つの層の可視光に対する反射率を、導電層152の可視光に対する反射率より高くすればよい。
図4(A)に示す例では、導電層151_2が、導電層151_1と導電層151_3により挟まれる構成である。導電層151_1、及び導電層151_3には、導電層151_2より変質しにくい材料を用いることが好ましい。例えば、導電層151_1には、絶縁層175と接することによるマイグレーションの発生が、導電層151_2より起こりにくい材料を用いることができる。また、導電層151_3には、導電層151_2より酸化しにくく、さらに酸化物の電気抵抗率が、導電層151_2に用いる材料の酸化物より低い材料を用いることができる。
以上より、導電層151_2を、導電層151_1と導電層151_3で挟む構成とすることで、導電層151_2の材料選択の幅を広げることができる。これにより、例えば導電層151_2を、導電層151_1及び導電層151_3のうち少なくとも一方より、可視光に対する反射率が高い層とすることができる。例えば、導電層151_2としてアルミニウムを用いることができる。なお、導電層151_2には、アルミニウムを含む合金を用いてもよい。また、導電層151_1として、可視光に対する反射率がアルミニウムと比較すると低いが、絶縁層175と接してもアルミニウムよりマイグレーションが発生しにくい材料であるチタンを用いることができる。さらに、導電層151_3として、可視光に対する反射率がアルミニウムと比較すると低いが、アルミニウムより酸化しにくく、また酸化物の電気抵抗率が酸化アルミニウムの電気抵抗率より低い材料であるチタンを用いることができる。
また、導電層151_3として、銀、又は銀を含む合金を用いてもよい。銀は、可視光に対する反射率がチタンより高いという特性を有する。さらに、銀は、アルミニウムより酸化しにくく、また酸化銀の電気抵抗率は酸化アルミニウムの電気抵抗率より低いという特性を有する。以上により、導電層151_3として銀、又は銀を含む合金を用いると、導電層151の可視光に対する反射率を好適に高くしつつ、導電層151_2の酸化による画素電極の電気抵抗の上昇を抑制できる。ここで、銀を含む合金として、例えば銀とパラジウムと銅の合金(Ag-Pd-Cu、APCとも記す)を適用できる。なお、導電層151_3として銀、又は銀を含む合金を用い、導電層151_2としてアルミニウムを用いると、導電層151_3の可視光に対する反射率を、導電層151_2の可視光に対する反射率より高くすることができる。ここで、導電層151_2として銀、又は銀を含む合金を用いてもよい。また、導電層151_1に銀、又は銀を含む合金を用いてもよい。
一方、チタンを用いた膜は、銀を用いた膜よりエッチングによる加工性に優れる。よって、導電層151_3としてチタンを用いることにより、導電層151_3を容易に形成できる。なお、アルミニウムを用いた膜も、銀を用いた膜よりエッチングによる加工性に優れる。
以上のように、導電層151を複数の層の積層構造とすることにより、発光装置の特性を向上させることができる。例えば、発光装置1000を、光取り出し効率が高く、且つ信頼性が高い発光装置とすることができる。
ここで、発光デバイス130にマイクロキャビティ構造が適用されている場合は、導電層151_3として、可視光に対する反射率が高い材料である銀、又は銀を含む合金を用いると、発光装置1000の光取り出し効率を好適に高めることができる。
また、導電層151の材料選択、または加工方法により、図4(A)に示すように、導電層151_2の側面が、導電層151_1、及び導電層151_3の側面より内側に位置し、突出部を形成する場合がある。これにより、導電層152の導電層151に対する被覆性が低下し、導電層152の段切れが発生する恐れがある。
そこで、図4(A)のように絶縁層156を設けることが好ましい。図4(A)では、導電層151_2の側面と重なる領域を有するように、導電層151_1上に絶縁層156が設けられる例を示している。これにより、突出部に起因した導電層152の段切れまたは薄膜化の発生を抑制できるため、接続不良または駆動電圧の上昇を抑制することができる。
なお、図4(A)においては、導電層151_2の側面が絶縁層156に全て覆われる構造を図示したが、導電層151_2の側面の一部が絶縁層156に覆われなくてもよい。以降に示す構成の画素電極においても、同様に導電層151_2の側面の一部が絶縁層156に覆われなくてもよい。
また、図4(A)に示すように、絶縁層156は、湾曲面を有することが好ましい。これにより、例えば絶縁層156の側面が垂直(Z方向に平行)である場合より、絶縁層156を覆う導電層152における段切れの発生を抑制できる。また、絶縁層156が、側面にテーパ形状、具体的にはテーパ角が90°未満のテーパ形状を有する場合であっても、例えば絶縁層156の側面が垂直である場合より、絶縁層156を覆う導電層152における段切れの発生を抑制できる。以上より、発光装置1000を、歩留まりが高い方法で作製できる。また、不良の発生を抑制し、発光装置1000は信頼性が高い発光装置とすることができる。
なお、本発明の一態様はこれに限らない。例えば、図4(B)乃至図4(D)に、第1の電極101のその他の構成を示す。
図4(B)は、図4(A)の第1の電極101において、絶縁層156が導電層151_2の側面だけでなく、導電層151_1、導電層151_2および導電層151_3の側面を覆っている構成である。
図4(C)は図4(A)の第1の電極101において、絶縁層156が設けられていない構成である。
図4(D)は図4(A)の第1の電極101において、導電層151が積層構造を有しておらず、導電層152が積層構造を有している構成である。
導電層152_1は、導電層152_2に対する密着性が、例えば絶縁層175より高い層とする。導電層152_1として、例えばインジウム、スズ、亜鉛、ガリウム、チタン、アルミニウム、及びシリコンの中から選ばれるいずれか一又は複数を有する酸化物を用いることができる。例えば、酸化インジウム、インジウムスズ酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを含む酸化亜鉛、酸化チタン、インジウムチタン酸化物、チタン酸亜鉛、アルミニウム亜鉛酸化物、ガリウムを含むインジウム亜鉛酸化物、アルミニウムを含むインジウム亜鉛酸化物、シリコンを含むインジウムスズ酸化物、及びシリコンを含むインジウム亜鉛酸化物等のいずれか一又は複数を含む導電性酸化物を用いることが好ましい。以上により、導電層152_2の膜剥がれを抑制することができる。また、導電層152_2を絶縁層175と接しない構成とすることができる。
導電層152_2は、可視光に対する反射率(例えば400nm以上750nm未満の範囲内の所定の波長の光に対する反射率)が、導電層151、導電層152_1、及び導電層152_3より高い層とする。導電層152_2の可視光に対する反射率は、例えば70%以上100%以下とすることができ、好ましくは80%以上100%以下であり、より好ましくは90%以上100%以下である。また、導電層152_2として、例えば銀、又は銀を含む合金を用いることができる。銀を含む合金として、例えば銀、パラジウム、及び銅の合金(APC)が挙げられる。以上により、発光装置1000を、光取り出し効率が高い発光装置とすることができる。なお、導電層152_2として、銀以外の金属を用いてもよい。
導電層152_3は、導電層151及び導電層152を陽極として機能させる場合、仕事関数が大きい層とすることが好ましい。導電層152_3は、例えば、導電層152_2より仕事関数が大きい層とする。導電層152_3として、例えば導電層152_1に用いることができる材料と同様の材料を用いることができる。例えば、導電層152_1と導電層152_3に同一種の材料を用いる構成とすることができる。
なお、導電層151及び導電層152を陰極として機能させる場合、導電層152_3は、仕事関数が小さい層とすることが好ましい。導電層152_3は、例えば、導電層152_2より仕事関数が小さい層とする。
また、導電層152_3は、可視光に対する透過率(例えば400nm以上750nm未満の範囲内の所定の波長の光に対する透過率)が高い層とすることが好ましい。例えば、導電層152_3の可視光に対する透過率は、導電層151、及び導電層152_2の可視光に対する透過率より高いことが好ましい。例えば、導電層152_3の可視光に対する透過率は、60%以上100%以下とすることができ、好ましくは70%以上100%以下であり、より好ましくは80%以上100%以下である。以上により、有機化合物層103が発する光のうち、導電層152_3に吸収される光を少なくすることができる。また、前述のように、導電層152_3下の導電層152_2は、可視光に対する反射率が高い層とすることができる。よって、発光装置1000を、光取り出し効率が高い発光装置とすることができる。
続いて図3に示す構成を有する発光装置1000の作製方法例を図5乃至図11を用いて説明する。
[作製方法例]
発光装置を構成する薄膜(絶縁膜、半導体膜、及び、導電膜等)は、スパッタリング法、化学気相堆積(CVD:Chemical Vapor Deposition)法、真空蒸着法、パルスレーザー堆積(PLD:Pulsed Laser Deposition)法、又はALD法等を用いて形成できる。CVD法としては、プラズマ化学気相堆積(PECVD:Plasma Enhanced CVD)法、及び、熱CVD法等がある。また、熱CVD法のひとつに、有機金属化学気相堆積(MOCVD:Metal Organic CVD)法がある。
また、発光装置を構成する薄膜(絶縁膜、半導体膜、及び、導電膜等)は、スピンコート、ディップ、スプレー塗布、インクジェット、ディスペンス、スクリーン印刷、オフセット印刷、ドクターナイフ法、スリットコート、ロールコート、カーテンコート、又はナイフコート等の湿式の成膜方法により形成できる。
特に、発光デバイスの作製には、蒸着法等の真空プロセス、及び、スピンコート法、インクジェット法等の溶液プロセスを用いることができる。蒸着法としては、スパッタ法、イオンプレーティング法、イオンビーム蒸着法、分子線蒸着法、真空蒸着法等の物理蒸着法(PVD法)、及び、化学蒸着法(CVD法)等が挙げられる。特に有機化合物層に含まれる機能層(正孔注入層、正孔輸送層、正孔ブロック層、発光層、電子ブロック層、電子輸送層、及び電子注入層等)については、蒸着法(真空蒸着法等)、塗布法(ディップコート法、ダイコート法、バーコート法、スピンコート法、スプレーコート法等)、印刷法(インクジェット法、スクリーン(孔版印刷)法、オフセット(平版印刷)法、フレキソ(凸版印刷)法、グラビア法、又は、マイクロコンタクト法等)等の方法により形成できる。
また、発光装置を構成する薄膜を加工する際には、例えばフォトリソグラフィ法を用いて加工できる。又は、ナノインプリント法、サンドブラスト法、リフトオフ法等により薄膜を加工してもよい。また、メタルマスク等の遮蔽マスクを用いた成膜方法により、島状の薄膜を直接形成してもよい。
フォトリソグラフィ法としては、代表的には以下の2つの方法がある。1つは、加工したい薄膜上にレジストマスクを形成して、例えばエッチングにより当該薄膜を加工し、レジストマスクを除去する方法である。もう1つは、感光性を有する薄膜を成膜した後に、露光、現像を行って、当該薄膜を所望の形状に加工する方法である。
薄膜のエッチングには、ドライエッチング法、ウェットエッチング法、又はサンドブラスト法等を用いることができる。
まず、図5(A)に示すように、基板(図示せず)上に絶縁層171を形成する。続いて、絶縁層171上に導電層172、及び導電層179を形成し、導電層172、及び導電層179を覆うように絶縁層171上に絶縁層173を形成する。続いて、絶縁層173上に絶縁層174を形成し、絶縁層174上に絶縁層175を形成する。
基板としては、少なくとも後の熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有する基板を用いることができる。基板として、絶縁性基板を用いる場合には、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、セラミック基板、又は有機樹脂基板等を用いることができる。また、シリコン又は炭化シリコン等を材料とした単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、シリコンゲルマニウム等の化合物半導体基板、SOI基板等の半導体基板を用いることができる。
続いて、図5(A)に示すように、絶縁層175、絶縁層174、及び絶縁層173に、導電層172に達する開口を形成する。続いて、当該開口を埋め込むように、プラグ176を形成する。
続いて、図5(A)に示すように、プラグ176上、及び絶縁層175上に、後に導電層151R、導電層151G、導電層151B、及び導電層151Cとなる導電膜151fを形成する。導電膜151fの形成には、例えば、スパッタリング法又は真空蒸着法を用いることができる。また、導電膜151fとして、例えば金属材料を用いることができる。
続いて、図5(A)に示すように、例えば導電膜151f上にレジストマスク191を形成する。レジストマスク191は、感光性材料(フォトレジスト)を塗布し、露光及び現像を行うことで形成できる。
続いて、図5(B)に示すように、例えばレジストマスク191と重ならない領域の導電膜151fを、例えばエッチング法、具体的には例えばドライエッチング法を用いて除去する。なお、導電膜151fが、例えばインジウム錫酸化物等の導電性酸化物を用いた層を含む場合は、当該層はウェットエッチング法を用いて除去してもよい。これにより、導電層151が形成される。なお、例えば導電膜151fの一部をドライエッチング法により除去する場合、絶縁層175の導電層151と重ならない領域に凹部(ザグリともいう)が形成される場合がある。
続いて、図5(C)に示すように、レジストマスク191を除去する。レジストマスク191は、例えば、酸素プラズマを用いたアッシングにより除去できる。又は、酸素ガスと、CF、C、SF、CHF、Cl、HO、BCl、又はHe等の第18族元素と、を用いてもよい。又は、ウェットエッチングにより、レジストマスク191を除去してもよい。
続いて、図5(D)に示すように、導電層151R上、導電層151G上、導電層151B上、導電層151C上、及び絶縁層175上に、後に絶縁層156R、絶縁層156G、絶縁層156B、及び絶縁層156Cとなる絶縁膜156fを形成する。絶縁膜156fの形成には、例えばCVD法、ALD法、スパッタリング法、又は真空蒸着法を用いることができる。
絶縁膜156fには、無機材料を用いることができる。絶縁膜156fには、例えば、酸化絶縁膜、窒化絶縁膜、酸化窒化絶縁膜、又は窒化酸化絶縁膜等の無機絶縁膜を用いることができる。例えば、絶縁膜156fとして、シリコンを含む酸化絶縁膜、窒化絶縁膜、酸化窒化絶縁膜、又は窒化酸化絶縁膜等を用いることができる。例えば、絶縁膜156fとして、酸化窒化シリコンを用いることができる。
続いて、図5(E)に示すように、絶縁膜156fを加工することにより、絶縁層156R、絶縁層156G、絶縁層156B、及び絶縁層156Cを形成する。例えば、絶縁膜156fの上面に対し、略均一にエッチングを施すことにより、絶縁層156を形成できる。このように均一にエッチングして平坦化することをエッチバック処理ともいう。なお、絶縁層156を、フォトリソグラフィ法を用いて形成してもよい。
続いて、図6(A)に示すように、導電層151R上、導電層151G上、導電層151B上、導電層151C上、絶縁層156R上、絶縁層156G上、絶縁層156B上、絶縁層156C上、及び絶縁層175上に、後に導電層152R、導電層152G、導電層152B、及び導電層152Cとなる導電膜152fを形成する。具体的には、例えば導電層151R、導電層151G、導電層151B、導電層151C、絶縁層156R、絶縁層156G、絶縁層156B、及び絶縁層156Cを覆うように、導電膜152fを形成する。
導電膜152fの形成には、例えば、スパッタリング法又は真空蒸着法を用いることができる。また、導電膜152fの形成には、ALD法を用いることができる。また、導電膜152fとして、例えば導電性酸化物を用いることができる。又は、導電膜152fとして、金属材料を用いる膜と、当該膜上の導電性酸化物を用いる膜と、の積層構成を適用できる。例えば、導電膜152fとして、チタン、銀、又は銀を含む合金を用いる膜と、当該膜上の導電性酸化物を用いる膜と、の積層構成を適用できる。
続いて、図6(B)に示すように、例えばフォトリソグラフィ法を用いて導電膜152fを加工し、導電層152R、導電層152G、導電層152B、及び導電層152Cを形成する。具体的には、例えばレジストマスクの形成後、エッチング法により導電膜152fの一部を除去する。導電膜152fは、例えばウェットエッチング法により除去できる。なお、導電膜152fを、ドライエッチング法により除去してもよい。以上により、導電層151と、導電層152と、を有する画素電極が形成される。
続いて、導電層152の疎水化処理を行うことが好ましい。疎水化処理では、処理対象となる表面を親水性から疎水性にすること、又は、処理対象となる表面の疎水性を高めることができる。導電層152の疎水化処理を行うことで、導電層152と、後の工程で形成される有機化合物層103と、の密着性を高め、膜剥がれを抑制できる。なお、疎水化処理は行わなくてもよい。
続いて、図6(C)に示すように、後に有機化合物層103Bとなる有機化合物膜103Bfを、導電層152B上、導電層152G上、導電層152R上、及び絶縁層175上に形成する。
なお、本発明において、有機化合物膜103Bfは、少なくとも1以上の発光層を有する複数の有機化合物層を有する。具体的には、実施の形態2で説明した発光デバイスの構造を参照することができる。また、少なくとも1以上の発光層を有する複数の有機化合物層が中間層を介して積層された構造を有してもよい。
図6(C)に示すように、導電層152C上には、有機化合物膜103Bfを形成していない。例えば、成膜エリアを規定するためのマスク(ファインメタルマスクと区別して、エリアマスク、又はラフメタルマスク等ともいう)を用いることで、有機化合物膜103Bfを所望の領域にのみ成膜できる。エリアマスクを用いた成膜工程と、レジストマスクを用いた加工工程と、を採用することで、比較的簡単なプロセスにて発光デバイスを作製できる。
有機化合物膜103Bfは、例えば、蒸着法、具体的には真空蒸着法により形成できる。また、有機化合物膜103Bfは、転写法、印刷法、インクジェット法、又は塗布法等の方法で形成してもよい。
続いて、図6(D)に示すように、有機化合物膜103Bf上に、後に犠牲層158Bとなる犠牲膜158Bfと、後にマスク層159Bとなるマスク膜159Bfと、を順に形成する。
犠牲膜158Bf及びマスク膜159Bfの形成には、例えば、スパッタリング法、ALD法(熱ALD法、PEALD法)、CVD法、真空蒸着法を用いることができる。また、前述の湿式の成膜方法を用いて形成してもよい。
また、犠牲膜158Bf及びマスク膜159Bfは、有機化合物膜103Bfの耐熱温度よりも低い温度で形成する。犠牲膜158Bf及びマスク膜159Bfを形成する際の基板温度としては、それぞれ、代表的には、200℃以下、好ましくは150℃以下、より好ましくは120℃以下、より好ましくは100℃以下、さらに好ましくは80℃以下である。
なお、本実施の形態では、犠牲膜158Bfとマスク膜159Bfの2層構造でマスク膜を形成する例を示すが、マスク膜は単層構造であってもよく、3層以上の積層構造であってもよい。
有機化合物膜103Bf上に犠牲膜を設けることで、発光装置の作製工程中に有機化合物膜103Bfが受けるダメージを低減し、発光デバイスの信頼性を高めることができる。
犠牲膜158Bfには、有機化合物膜103Bfの加工条件に対する耐性の高い膜、具体的には、有機化合物膜103Bfとのエッチングの選択比が大きい膜を用いる。マスク膜159Bfには、犠牲膜158Bfとのエッチングの選択比が大きい膜を用いる。
犠牲膜158Bf及びマスク膜159Bfには、ウェットエッチング法により除去できる膜を用いることが好ましい。ウェットエッチング法を用いることで、ドライエッチング法を用いる場合に比べて、犠牲膜158Bf及びマスク膜159Bfの加工時に、有機化合物膜103Bfに加わるダメージを低減できる。
ウェットエッチング法を用いる場合、特に酸性の薬液を用いることが好ましい。酸性の薬液としては、リン酸、フッ化水素酸、硝酸、酢酸、シュウ酸、および硫酸などのいずれか一を含む薬液、または、2種以上の酸の混合薬液(混酸ともいう)を用いるとよい。
犠牲膜158Bf及びマスク膜159Bfとしては、それぞれ、例えば、金属膜、合金膜、金属酸化物膜、半導体膜、有機絶縁膜、及び、無機絶縁膜等のうち一種又は複数種を用いることができる。
また、犠牲膜158Bfおよびマスク膜159Bfに、紫外線に対して遮光性を有する材料を含む膜を用いることで、例えば露光工程で有機化合物層に紫外線が照射されることを抑制できる。有機化合物層が紫外線によってダメージを受けることを抑制することで、発光デバイスの信頼性を高めることができる。
なお、紫外線に対して遮光性を有する材料を含む膜は、後述する無機絶縁膜125fの材料として用いても、同様の効果を奏する。
犠牲膜158Bf及びマスク膜159Bfには、それぞれ、例えば、金、銀、白金、マグネシウム、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、パラジウム、チタン、アルミニウム、イットリウム、ジルコニウム、及びタンタル等の金属材料、又は該金属材料を含む合金材料を用いることができる。特に、アルミニウム又は銀等の低融点材料を用いることが好ましい。
また、犠牲膜158Bf及びマスク膜159Bfには、それぞれ、In-Ga-Zn酸化物、酸化インジウム、In-Zn酸化物、In-Sn酸化物、インジウムチタン酸化物(In-Ti酸化物)、インジウムスズ亜鉛酸化物(In-Sn-Zn酸化物)、インジウムチタン亜鉛酸化物(In-Ti-Zn酸化物)、インジウムガリウムスズ亜鉛酸化物(In-Ga-Sn-Zn酸化物)、シリコンを含むインジウムスズ酸化物等の金属酸化物を用いることができる。
なお、上記ガリウムに代えて元素M(Mは、アルミニウム、シリコン、ホウ素、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、又はマグネシウムから選ばれた一種又は複数種)を用いてもよい。
また、犠牲膜158Bf及びマスク膜159Bfとして、例えば、シリコン又はゲルマニウム等の半導体材料を用いることは、半導体の製造プロセスとの親和性が高いため好ましい。又、上記半導体材料の酸化物又は窒化物を用いることができる。又は、炭素等の非金属材料、又はその化合物を用いることができる。又は、チタン、タンタル、タングステン、クロム、アルミニウム等の金属、又はこれらの一以上を含む合金が挙げられる。又は、酸化チタンもしくは酸化クロム等の上記金属を含む酸化物、又は窒化チタン、窒化クロム、もしくは窒化タンタル等の窒化物を用いることができる。
また、犠牲膜158Bf及びマスク膜159Bfとしては、それぞれ、各種無機絶縁膜を用いることができる。特に、酸化絶縁膜は、窒化絶縁膜に比べて有機化合物膜103Bfとの密着性が高く好ましい。例えば、犠牲膜158Bf及びマスク膜159Bfには、それぞれ、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化シリコン等の無機絶縁材料を用いることができる。犠牲膜158Bf及びマスク膜159Bfとして、例えば、ALD法を用いて、酸化アルミニウム膜を形成できる。ALD法を用いることで、下地(特に有機化合物層)へのダメージを低減できるため好ましい。
また、犠牲膜158Bf及びマスク膜159Bfの一方又は双方に、有機材料を用いてもよい。例えば、有機材料として、少なくとも有機化合物膜103Bfの最上部に位置する膜に対して、化学的に安定な溶媒に溶解しうる材料を用いてもよい。特に、水又はアルコールに溶解する材料を好適に用いることができる。このような材料の成膜の際には、水又はアルコール等の溶媒に溶解させた状態で、湿式の成膜方法で塗布した後に、溶媒を蒸発させるための加熱処理を行うことが好ましい。このとき、減圧雰囲気下での加熱処理を行うことで、低温且つ短時間で溶媒を除去できるため、有機化合物膜103Bfへの熱的なダメージを低減でき、好ましい。
犠牲膜158Bf及びマスク膜159Bfには、それぞれ、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラル、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリグリセリン、プルラン、水溶性のセルロース、アルコール可溶性のポリアミド樹脂、又は、パーフルオロポリマー等のフッ素樹脂等の有機樹脂を用いてもよい。
例えば、犠牲膜158Bfとして、蒸着法又は上記湿式の成膜方法のいずれかを用いて形成した有機膜(例えば、PVA膜)を用い、マスク膜159Bfとして、スパッタリング法を用いて形成した無機膜(例えば、窒化シリコン膜)を用いることができる。
続いて、図6(D)に示すように、マスク膜159Bf上にレジストマスク190Bを形成する。レジストマスク190Bは、感光性材料(フォトレジスト)を塗布し、露光及び現像を行うことで形成できる。
レジストマスク190Bは、ポジ型のレジスト材料及びネガ型のレジスト材料のどちらを用いて作製してもよい。
レジストマスク190Bは、導電層152Bと重なる位置に設ける。レジストマスク190Bは、導電層152Cと重なる位置にも設けることが好ましい。これにより、導電層152Cが発光装置の作製工程中にダメージを受けることを抑制できる。なお、導電層152C上にレジストマスク190Bを設けなくてもよい。また、レジストマスク190Bは、図6(C)のB1-B2間の断面図に示すように、有機化合物膜103Bfの端部から導電層152Cの端部(有機化合物膜103Bf側の端部)までを覆うように設けることが好ましい。
続いて、図6(E)に示すように、レジストマスク190Bを用いて、マスク膜159Bfの一部を除去し、マスク層159Bを形成する。マスク層159Bは、導電層152B上と、導電層152C上と、に残存する。その後、レジストマスク190Bを除去する。続いて、マスク層159Bをマスク(ハードマスクともいう)に用いて、犠牲膜158Bfの一部を除去し、犠牲層158Bを形成する。
犠牲膜158Bf及びマスク膜159Bfは、それぞれ、ウェットエッチング法又はドライエッチング法により加工できる。犠牲膜158Bf及びマスク膜159Bfの加工は、ウェットエッチングにより行うことが好ましい。
ウェットエッチング法を用いることで、ドライエッチング法を用いる場合に比べて、犠牲膜158Bf及びマスク膜159Bfの加工時に、有機化合物膜103Bfに加わるダメージを低減できる。ウェットエッチング法を用いる場合、例えば、現像液、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(TMAH)、希フッ酸、シュウ酸、リン酸、酢酸、硝酸、又はこれらの混合液体を用いた薬液等を用いることが好ましい。
マスク膜159Bfの加工においては、有機化合物膜103Bfが露出しないため、犠牲膜158Bfの加工よりも、加工方法の選択の幅は広い。具体的には、マスク膜159Bfの加工の際に、エッチングガスに酸素を含むガスを用いた場合でも、有機化合物膜103Bfの劣化をより抑制できる。
ウェットエッチング法を用いる場合、特に酸性の薬液を用いることが好ましい。酸性の薬液としては、リン酸、フッ化水素酸、硝酸、酢酸、シュウ酸、および硫酸などのいずれか一を含む薬液、または、2種以上の酸の混合薬液(混酸ともいう)を用いるとよい。
また、犠牲膜158Bfの加工においてドライエッチング法を用いる場合は、エッチングガスに酸素を含むガスを用いないことで、有機化合物膜103Bfの劣化を抑制できる。ドライエッチング法を用いる場合、例えば、CF、C、SF、CHF、Cl、HO、BCl、又はHe等の第18族元素を含むガスをエッチングガスに用いることが好ましい。
レジストマスク190Bは、レジストマスク191と同様の方法で除去できる。このとき、犠牲膜158Bfが最表面に位置し、有機化合物膜103Bfは露出していないため、レジストマスク190Bの除去工程において、有機化合物膜103Bfにダメージが入ることを抑制できる。また、レジストマスク190Bの除去方法の選択の幅を広げることができる。
続いて、図6(E)に示すように、有機化合物膜103Bfを加工して、有機化合物層103Bを形成する。例えば、マスク層159B及び犠牲層158Bをハードマスクに用いて、有機化合物膜103Bfの一部を除去し、有機化合物層103Bを形成する。
これにより、図6(E)に示すように、導電層152B上に、有機化合物層103B、犠牲層158B、及び、マスク層159Bの積層構造が残存する。また、導電層152G及び導電層152Rは露出する。
有機化合物膜103Bfの加工は、ドライエッチング又は、ウェットエッチングを用いることができる。例えば、ドライエッチング法により加工する場合は、酸素を含むエッチングガスを用いることができる。エッチングガスが酸素を含むことで、エッチングの速度を速めることができる。したがって、エッチング速度を十分な速さに維持しつつ、低パワーの条件でエッチングを行うことができる。このため、有機化合物膜103Bfに与えるダメージを抑制できる。さらに、エッチング時に生じる反応生成物の付着等の不具合を抑制できる。
また、酸素を含まないエッチングガスを用いてもよい。例えば、酸素を含まないエッチングガスを用いることで、有機化合物膜103Bfの劣化を抑制できる。
以上のように、本発明の一態様では、マスク膜159Bf上にレジストマスク190Bを形成し、レジストマスク190Bを用いて、マスク膜159Bfの一部を除去することにより、マスク層159Bを形成する。その後、マスク層159Bをハードマスクに用いて、有機化合物膜103Bfの一部を除去することにより、有機化合物層103Bを形成する。よって、フォトリソグラフィ法を用いて有機化合物膜103Bfを加工することにより、有機化合物層103Bが形成されるということができる。なお、レジストマスク190Bを用いて、有機化合物膜103Bfの一部を除去してもよい。その後、レジストマスク190Bを除去してもよい。
ここで、導電層152Gの疎水化処理を必要に応じて行ってもよい。有機化合物膜103Bfの加工時に、例えば導電層152Gの表面状態が親水性に変化する場合がある。例えば導電層152Gの疎水化処理を行うことで、例えば導電層152Gと後の工程で形成される層(ここでは有機化合物層103G)との密着性を高め、膜剥がれを抑制できる。
続いて、図7(A)に示すように、後に有機化合物層103Gとなる有機化合物膜103Gfを、導電層152G上、導電層152R上、マスク層159B上、及び絶縁層175上に形成する。
有機化合物膜103Gfは、有機化合物膜103Bfの形成に用いることができる方法と同様の方法で形成できる。また、有機化合物膜103Gfは、有機化合物膜103Bfと同様の構成とすることができる。
続いて、図7(B)に示すように、有機化合物膜103Gf上、及びマスク層159B上に、後に犠牲層158Gとなる犠牲膜158Gfと、後にマスク層159Gとなるマスク膜159Gfと、を順に形成する。その後、レジストマスク190Gを形成する。犠牲膜158Gf及びマスク膜159Gfの材料及び形成方法は、犠牲膜158Bf及びマスク膜159Bfに適用できる条件と同様である。レジストマスク190Gの材料及び形成方法は、レジストマスク190Bに適用できる条件と同様である。
レジストマスク190Gは、導電層152Gと重なる位置に設ける。
続いて、図7(C)に示すように、レジストマスク190Gを用いて、マスク膜159Gfの一部を除去し、マスク層159Gを形成する。マスク層159Gは、導電層152G上に残存する。その後、レジストマスク190Gを除去する。続いて、マスク層159Gをマスクに用いて、犠牲膜158Gfの一部を除去し、犠牲層158Gを形成する。続いて、有機化合物膜103Gfを加工して、有機化合物層103Gを形成する。例えば、マスク層159G及び犠牲層158Gをハードマスクに用いて、有機化合物膜103Gfの一部を除去し、有機化合物層103Gを形成する。
これにより、図7(C)に示すように、導電層152G上に、有機化合物層103G、犠牲層158G、及び、マスク層159Gの積層構造が残存する。また、マスク層159B及び導電層152Rは露出する。
また、例えば導電層152Rの疎水化処理を行ってもよい。
続いて、図8(A)に示すように、後に有機化合物層103Rとなる有機化合物膜103Rfを、導電層152R上、マスク層159G上、マスク層159B上、及び絶縁層175上に形成する。
有機化合物膜103Rfは、有機化合物膜103Gfの形成に用いることができる方法と同様の方法で形成できる。また、有機化合物膜103Rfは、有機化合物膜103Gfと同様の構成とすることができる。
続いて、図8(B)および図8(C)に示すように、レジストマスク190Rを用いて、犠牲膜158Rfから犠牲層158R、マスク膜159Rfからマスク層159R、または有機化合物膜103Rfから有機化合物層103Rを形成する。犠牲層158R、マスク層159R、有機化合物層103Rの形成方法は、有機化合物層103Gの記載を参酌することができる。
なお、有機化合物層103B、有機化合物層103G、有機化合物層103Rの側面は、それぞれ、被形成面に対して垂直又は概略垂直であることが好ましい。例えば、被形成面と、これらの側面との成す角度を、60度以上90度以下とすることが好ましい。
上記のように、フォトリソグラフィ法を用いて形成した有機化合物層103B、有機化合物層103G、及び有機化合物層103Rのうち隣接する2つの間の距離は、8μm以下、5μm以下、3μm以下、2μm以下、又は、1μm以下にまで狭めることができる。ここで、当該距離とは、例えば、有機化合物層103B、有機化合物層103G、及び有機化合物層103Rのうち、隣接する2つの対向する端部の間の距離で規定できる。このように、島状の有機化合物層の間の距離を狭めることで、高い精細度と、大きな開口率を有する発光装置を提供できる。また、隣り合う発光デバイス間における第1の電極同士の距離も、狭めることができ、例えば10μm以下、8μm以下、5μm以下、3μm以下、2μm以下とすることができる。なお、隣り合う発光デバイス間における第1の電極同士の距離は2μm以上5μm以下であることが好ましい。
次に、図9(A)に示すように、マスク層159B、マスク層159G、及びマスク層159Rを除去する。
なお、本実施の形態では、マスク層159B、マスク層159G、及びマスク層159Rを除去する場合を例に挙げて説明するが、マスク層159B、マスク層159G、及びマスク層159Rは除去しなくてもよい。例えば、マスク層159B、マスク層159G、及びマスク層159Rが、前述の、紫外線に対して遮光性を有する材料を含む場合は、除去せずに次の工程に進むことで、有機化合物層を光照射(照明光を含む)から保護することができる。
マスク層の除去工程には、マスク膜の加工工程と同様の方法を用いることができる。特に、ウェットエッチング法を用いることで、ドライエッチング法を用いる場合に比べて、マスク層を除去する際に、有機化合物層103B、有機化合物層103G、及び有機化合物層103Rに加わるダメージを低減できる。
また、マスク層を、水又はアルコール等の溶媒に溶解させることで除去してもよい。アルコールとしては、エチルアルコール、メチルアルコール、イソプロピルアルコール(IPA)、又はグリセリン等が挙げられる。
マスク層を除去した後に、有機化合物層103B、有機化合物層103G、及び有機化合物層103Rに含まれる水、並びに有機化合物層103B、有機化合物層103G、及び有機化合物層103R表面に吸着する水を除去するため、乾燥処理を行ってもよい。例えば、不活性雰囲気又は減圧雰囲気下における加熱処理を行うことができる。加熱処理は、基板温度として50℃以上200℃以下、好ましくは60℃以上150℃以下、より好ましくは70℃以上120℃以下の温度で行うことができる。減圧雰囲気とすることで、より低温で乾燥が可能であるため好ましい。
続いて、図9(B)に示すように、有機化合物層103B、有機化合物層103G、有機化合物層103R、犠牲層158B、犠牲層158G、及び犠牲層158Rを覆うように、後に無機絶縁層125となる無機絶縁膜125fを形成する。
後述するように、無機絶縁膜125fの上面に接して、後に絶縁層127となる絶縁膜が形成される。このため、無機絶縁膜125fの上面は、絶縁層127となる絶縁膜に用いる材料(例えば、アクリル樹脂を含む感光性の樹脂組成物)に対して親和性が高いことが好ましい。当該親和性を向上させるため、無機絶縁膜125fの上面に表面処理を行ってもよい。具体的には、無機絶縁膜125fの表面を疎水化すること(又は疎水性を高めること)が好ましい。例えば、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)等のシリル化剤を用いて処理を行うことが好ましい。このように無機絶縁膜125fの上面を疎水化することにより、絶縁膜127fを密着性良く形成できる。
続いて、図9(C)に示すように、無機絶縁膜125f上に、後に絶縁層127となる絶縁膜127fを形成する。
無機絶縁膜125f及び絶縁膜127fは、有機化合物層103B、有機化合物層103G、及び有機化合物層103Rへのダメージが少ない形成方法で成膜することが好ましい。特に、無機絶縁膜125fは、有機化合物層103B、有機化合物層103G、及び有機化合物層103Rの側面に接して形成されるため、絶縁膜127fよりも、有機化合物層103B、有機化合物層103G、及び有機化合物層103Rへのダメージが少ない形成方法で成膜することが好ましい。
また、無機絶縁膜125f及び絶縁膜127fは、それぞれ、有機化合物層103B、有機化合物層103G、及び有機化合物層103Rの耐熱温度よりも低い温度で形成する。また、無機絶縁膜125fは成膜する際の基板温度を高くすることで、膜厚が薄くても、不純物濃度が低く、水及び酸素の少なくとも一方に対するバリア性の高い膜とすることができる。
無機絶縁膜125f及び絶縁膜127fを形成する際の基板温度としては、それぞれ、60℃以上、80℃以上、100℃以上、又は、120℃以上、かつ、200℃以下、180℃以下、160℃以下、150℃以下、又は140℃以下であることが好ましい。
無機絶縁膜125fとしては、上記の基板温度の範囲で、3nm以上、5nm以上、又は、10nm以上、かつ、200nm以下、150nm以下、100nm以下、又は、50nm以下の厚さの絶縁膜を形成することが好ましい。
無機絶縁膜125fは、例えば、ALD法を用いて形成することが好ましい。ALD法を用いることで、成膜ダメージを小さくすることができ、また、被覆性の高い膜を成膜可能なため好ましい。無機絶縁膜125fとしては、例えば、ALD法を用いて、酸化アルミニウム膜を形成することが好ましい。
そのほか、無機絶縁膜125fは、ALD法よりも成膜速度が速いスパッタリング法、CVD法、又は、PECVD法を用いて形成してもよい。これにより、信頼性の高い発光装置を生産性高く作製できる。
絶縁膜127fは、前述の湿式の成膜方法を用いて形成することが好ましい。絶縁膜127fは、例えば、スピンコートにより、感光性材料を用いて形成することが好ましく、より具体的には、アクリル樹脂を含む感光性の樹脂組成物を用いて形成することが好ましい。
絶縁膜127fは、例えば、重合体、酸発生剤、及び溶媒を有する樹脂組成物を用いて形成することが好ましい。重合体は、1種又は複数種の単量体を用いて形成され、1種又は複数種の構造単位(構成単位ともいう)が規則的又は不規則に繰り返された構造を有する。酸発生剤としては、光の照射により酸を発生する化合物、及び、加熱により酸を発生する化合物の一方又は双方を用いることができる。樹脂組成物は、さらに、感光剤、増感剤、触媒、接着助剤、界面活性剤、酸化防止剤のうち一つ又は複数を有していてもよい。
また、絶縁膜127fの形成後に加熱処理(プリベークともいう)を行うことが好ましい。当該加熱処理は、有機化合物層103B、有機化合物層103G、及び、有機化合物層103Rの耐熱温度よりも低い温度で行う。加熱処理の際の基板温度としては、50℃以上200℃以下が好ましく、60℃以上150℃以下がより好ましく、70℃以上120℃以下がさらに好ましい。これにより、絶縁膜127f中に含まれる溶媒を除去できる。
続いて、露光を行って、絶縁膜127fの一部に、可視光線又は紫外線を感光させる。ここで、絶縁膜127fにアクリル樹脂を含むポジ型の感光性の樹脂組成物を用いる場合、後の工程で絶縁層127を形成しない領域に可視光線又は紫外線を照射する。絶縁層127は、導電層152B、導電層152G、及び導電層152Rのいずれか2つに挟まれる領域、及び、導電層152Cの周囲に形成される。このため、導電層152B上、導電層152G上、導電層152R上、及び、導電層152C上に、可視光線又は紫外線を照射する。なお、絶縁膜127fにネガ型の感光性材料を用いる場合、絶縁層127が形成される領域に可視光線又は紫外線を照射する。
絶縁膜127fへの露光領域によって、後に形成する絶縁層127の幅を制御できる。本実施の形態では、絶縁層127が導電層151の上面と重なる部分を有するように加工する。
ここで、犠牲層158(犠牲層158B、犠牲層158G、及び犠牲層158R)、及び無機絶縁膜125fの一方又は双方として、酸素に対するバリア絶縁層(例えば、酸化アルミニウム膜等)を設けることで、有機化合物層103B、有機化合物層103G、及び有機化合物層103Rに酸素が拡散することを低減できる。有機化合物層は、光(可視光線又は紫外線)が照射されると、当該有機化合物層に含まれる有機化合物が励起状態となり、雰囲気中に含まれる酸素との反応が促進される場合がある。より具体的には、酸素を有する雰囲気下において、光(可視光線又は紫外線)が有機化合物層に照射されると当該有機化合物層が有する有機化合物に酸素が結合する可能性がある。犠牲層158及び無機絶縁膜125fを島状の有機化合物層上に設けることによって、当該有機化合物層に含まれる有機化合物に雰囲気中の酸素が結合することを低減できる。
続いて、図10(A)に示すように、現像を行って、絶縁膜127fの露光させた領域を除去し、絶縁層127aを形成する。絶縁層127aは、導電層152B、導電層152G、及び導電層152Rのいずれか2つに挟まれる領域と、導電層152Cを囲う領域に形成される。ここで、絶縁膜127fにアクリル樹脂を用いる場合、現像液として、アルカリ性の溶液を用いることができ、例えば、TMAHを用いることができる。
続いて、図10(B)に示すように、絶縁層127aをマスクとして、エッチング処理を行って、無機絶縁膜125fの一部を除去し、犠牲層158B、犠牲層158G、及び犠牲層158Rの一部の膜厚を薄くする。これにより、絶縁層127aの下に、無機絶縁層125が形成される。なお、以下では、絶縁層127aをマスクに用いた無機絶縁膜125fを加工するエッチング処理を、第1のエッチング処理ということがある。
つまり、第1のエッチング処理では、犠牲層158B、犠牲層158G、及び犠牲層158Rを完全に除去せず、膜厚が薄くなった状態でエッチング処理を停止する。このように、有機化合物層103B、有機化合物層103G、及び有機化合物層103R上に、対応する犠牲層158B、犠牲層158G、及び犠牲層158Rを残存させておくことで、後の工程の処理で、有機化合物層103B、有機化合物層103G、及び有機化合物層103Rが損傷することを防ぐことができる。
第1のエッチング処理は、ドライエッチング又はウェットエッチングによって行うことができる。なお、無機絶縁膜125fを、犠牲層158B、犠牲層158G、及び犠牲層158Rと同様の材料を用いて成膜していた場合、無機絶縁膜125fの加工、および露出した犠牲層158の薄膜化を第1のエッチング処理により一括で行うことができるため、好ましい。
側面がテーパ形状である絶縁層127aをマスクとしてエッチングを行うことで、無機絶縁層125の側面、及び犠牲層158B、犠牲層158G、及び犠牲層158Rの側面上端部を比較的容易にテーパ形状にすることができる。
例えば、第1のエッチング処理をドライエッチングで行う場合、塩素系のガスを用いることができる。塩素系ガスとしては、Cl、BCl、SiCl、及びCCl等を、単独又は2以上のガスを混合して用いることができる。また、上記塩素系ガスに、酸素ガス、水素ガス、ヘリウムガス、及びアルゴンガス等を、単独又は2以上のガスを混合して、適宜添加できる。ドライエッチングを用いることにより、犠牲層158B、犠牲層158G、及び犠牲層158Rの膜厚が薄い領域を、良好な面内均一性で形成できる。
また、例えば、第1のエッチング処理をウェットエッチングで行うことができる。ウェットエッチング法を用いることで、ドライエッチング法を用いる場合に比べて、有機化合物層103B、有機化合物層103G、及び有機化合物層103Rに加わるダメージを低減できる。
ウェットエッチングは、酸性の薬液を用いることが好ましい。酸性の薬液としては、リン酸、フッ化水素酸、硝酸、酢酸、シュウ酸、および硫酸などのいずれか一を含む薬液、または、2種以上の酸の混合薬液(混酸ともいう)を用いるとよい。
また、アルカリ溶液を用いて行うことができる。例えば、酸化アルミニウム膜のウェットエッチングには、アルカリ溶液であるTMAHを用いることができる。この場合、パドル方式でウェットエッチングを行うことができる。
続いて、加熱処理(ポストベークともいう)を行う。加熱処理を行うことで、絶縁層127aを、側面にテーパ形状を有する絶縁層127に変形させることができる(図10(C))。当該加熱処理は、有機化合物層の耐熱温度よりも低い温度で行う。加熱処理は、基板温度として50℃以上200℃以下、好ましくは60℃以上150℃以下、より好ましくは70℃以上130℃以下の温度で行うことができる。加熱雰囲気は、大気雰囲気であってもよく、不活性雰囲気であってもよい。また、加熱雰囲気は、大気圧雰囲気であってもよく、減圧雰囲気であってもよい。本工程の加熱処理は、絶縁膜127fの形成後の加熱処理(プリベーク)よりも、基板温度を高くすることが好ましい。
加熱処理により、絶縁層127と無機絶縁層125との密着性を向上させ、絶縁層127の耐食性も向上させることができる。また、絶縁層127aが変形することにより、無機絶縁層125の端部を絶縁層127で覆う形状にすることができる。
第1のエッチング処理にて、犠牲層158B、犠牲層158G、及び犠牲層158Rを完全に除去せず、膜厚が薄くなった状態の犠牲層158B、犠牲層158G、及び犠牲層158Rを残存させておくことで、当該加熱処理において、有機化合物層103B、有機化合物層103G、及び有機化合物層103Rがダメージを受けて劣化することを防ぐことができる。したがって、発光デバイスの信頼性を高めることができる。
続いて、図11(A)に示すように、絶縁層127をマスクとして、エッチング処理を行って、犠牲層158B、犠牲層158G、及び犠牲層158Rの一部を除去する。なお、この際に、無機絶縁層125の一部も除去される場合がある。当該エッチング処理により、犠牲層158B、犠牲層158G、及び犠牲層158Rに開口が形成され、当該開口から有機化合物層103B、有機化合物層103G、有機化合物層103R、及び導電層152Cの上面が露出する。なお、以下では、絶縁層127をマスクに用い、有機化合物層103B、有機化合物層103G、及び有機化合物層103Rを露出するエッチング処理を、第2のエッチング処理ということがある。
第2のエッチング処理はウェットエッチングで行う。ウェットエッチング法を用いることで、ドライエッチング法を用いる場合に比べて、有機化合物層103B、有機化合物層103G、及び有機化合物層103Rに加わるダメージを低減できる。ウェットエッチングは、第1のエッチング処理と同様に酸性の薬液、またはアルカリ溶液を用いて行うことができる。
また、有機化合物層103B、有機化合物層103G、及び有機化合物層103Rの一部を露出した後、さらに加熱処理を行ってもよい。当該加熱処理により、有機化合物層に含まれる水、及び有機化合物層表面に吸着する水等を除去できる。また、当該加熱処理により、絶縁層127の形状が変化することがある。具体的には、絶縁層127が、無機絶縁層125の端部、犠牲層158B、犠牲層158G、及び犠牲層158Rの端部、及び、有機化合物層103B、有機化合物層103G、及び有機化合物層103Rの上面のうち、少なくとも一つを覆うように広がることがある。
なお、図11(A)では、犠牲層158Gの端部の一部(具体的には、第1のエッチング処理により形成されたテーパ形状の部分)を絶縁層127が覆い、第2のエッチング処理により形成されたテーパ形状の部分は露出している例を示す(図4(A)参照)。
また、絶縁層127は、犠牲層158Gの端部全体を覆っていてもよい。例えば、絶縁層127の端部が垂れて、犠牲層158Gの端部を覆う場合がある。また、例えば、絶縁層127の端部が、有機化合物層103B、有機化合物層103G、及び有機化合物層103Rの少なくとも一つの上面に接する場合がある。
続いて、図11(B)に示すように、有機化合物層103B上、有機化合物層103G上、有機化合物層103R上、導電層152C上、及び絶縁層127上に共通電極155を形成する。共通電極155は、スパッタリング法、又は真空蒸着法等の方法で形成できる。又は、蒸着法で形成した膜と、スパッタリング法で形成した膜を積層させて、共通電極155を形成してもよい。
続いて、図11(C)に示すように、共通電極155上に保護層131を形成する。保護層131は、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法、又はALD法等の方法で形成できる。
続いて、樹脂層122を用いて、保護層131上に、基板120を貼り合わせることで、発光装置を作製できる。前述のように、本発明の一態様の発光装置の作製方法では、導電層151の側面と重なる領域を有するように絶縁層156を設け、且つ導電層151及び絶縁層156を覆うように導電層152を形成する。これにより、発光装置の歩留まりを高め、また不良の発生を抑制できる。
以上のように、本発明の一態様の発光装置の作製方法では、島状の有機化合物層103B、島状の有機化合物層103G、及び島状の有機化合物層103Rは、ファインメタルマスクを用いて形成されるのではなく、膜を一面に成膜した後に加工することで形成されるため、島状の層を均一の厚さで形成できる。そして、高精細な発光装置又は高開口率の発光装置を実現できる。また、精細度又は開口率が高く、副画素間の距離が極めて短くても、隣接する副画素において、有機化合物層103B、有機化合物層103G、及び、有機化合物層103Rが互いに接することを抑制できる。したがって、副画素間にリーク電流が発生することを抑制できる。これにより、クロストークを防ぐことができ、コントラストの極めて高い発光装置を実現できる。また、フォトリソグラフィ法を用いて作製されたタンデム型の発光デバイスを有する発光装置であっても、良好な特性の発光装置を提供することができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光装置について図12(A)乃至図12(G)、及び図13(A)乃至図13(I)を用いて説明する。
[画素のレイアウト]
本実施の形態では、主に、図3とは異なる画素レイアウトについて説明する。副画素の配列に特に限定はなく、様々な方法を適用できる。副画素の配列としては、例えば、ストライプ配列、Sストライプ配列、マトリクス配列、デルタ配列、ベイヤー配列、及びペンタイル配列が挙げられる。
本実施の形態で図に示す副画素の上面形状は、発光領域の上面形状に相当する。
なお、副画素の上面形状としては、例えば、三角形、四角形(長方形、正方形を含む)、五角形等の多角形、これら多角形の角が丸い形状、楕円形、又は円形等が挙げられる。
また、副画素を構成する回路レイアウトは、図に示す副画素の範囲に限定されず、その外側に配置されていてもよい。
図12(A)に示す画素178には、Sストライプ配列が適用されている。図12(A)に示す画素178は、副画素110R、副画素110G、及び副画素110Bの、3つの副画素から構成される。
図12(B)に示す画素178は、角が丸い略台形の上面形状を有する副画素110Rと、角が丸い略三角形の上面形状を有する副画素110Gと、角が丸い略四角形又は略六角形の上面形状を有する副画素110Bと、を有する。また、副画素110Rは、副画素110Gよりも発光面積が広い。このように、各副画素の形状及びサイズはそれぞれ独立に決定できる。例えば、信頼性の高い発光デバイスを有する副画素ほど、サイズを小さくすることができる。
図12(C)に示す画素124a、及び画素124bには、ペンタイル配列が適用されている。図12(C)では、副画素110R及び副画素110Gを有する画素124aと、副画素110G及び副画素110Bを有する画素124bと、が交互に配置されている例を示す。
図12(D)乃至図12(F)に示す画素124a、及び画素124bは、デルタ配列が適用されている。画素124aは上の行(1行目)に、2つの副画素(副画素110R、及び副画素110G)を有し、下の行(2行目)に、1つの副画素(副画素110B)を有する。画素124bは上の行(1行目)に、1つの副画素(副画素110B)を有し、下の行(2行目)に、2つの副画素(副画素110R、及び副画素110G)を有する。
図12(D)は、各副画素が、角が丸い略四角形の上面形状を有する例であり、図12(E)は、各副画素が、円形の上面形状を有する例であり、図12(F)は、各副画素が、角が丸い略六角形の上面形状を有する例である。
図12(F)では、各副画素が、最密に配列した六角形の領域の内側に配置されている。各副画素は、その1つの副画素に着目したとき、6つの副画素に囲まれるように、配置されている。また、同じ色の光を呈する副画素が隣り合わないように設けられている。例えば、副画素110Rに着目したとき、これを囲むように3つの副画素110Gと3つの副画素110Bが、交互に配置されるように、それぞれの副画素が設けられている。
図12(G)は、各色の副画素がジグザグに配置されている例である。具体的には、上面視において、列方向に並ぶ2つの副画素(例えば、副画素110Rと副画素110G、又は、副画素110Gと副画素110B)の上辺の位置がずれている。
図12(A)乃至図12(G)に示す各画素において、例えば、副画素110Rを赤色の光を呈する副画素Rとし、副画素110Gを緑色の光を呈する副画素Gとし、副画素110Bを青色の光を呈する副画素Bとすることが好ましい。なお、副画素の構成はこれに限定されず、副画素が呈する色とその並び順は適宜決定できる。例えば、副画素110Gを赤色の光を呈する副画素Rとし、副画素110Rを緑色の光を呈する副画素Gとしてもよい。
フォトリソグラフィ法では、加工するパターンが微細になるほど、光の回折の影響を無視できなくなるため、露光によりフォトマスクのパターンを転写する際に忠実性が損なわれ、レジストマスクを所望の形状に加工することが困難になる。そのため、フォトマスクのパターンが矩形であっても、角が丸まったパターンが形成されやすい。したがって、副画素の上面形状が、多角形の角が丸い形状、楕円形、又は円形等になることがある。
さらに、本発明の一態様の発光装置の作製方法では、レジストマスクを用いて有機化合物層を島状に加工する。有機化合物層上に形成したレジスト膜は、有機化合物層の耐熱温度よりも低い温度で硬化する必要がある。そのため、有機化合物層の材料の耐熱温度及びレジスト材料の硬化温度によっては、レジスト膜の硬化が不十分になる場合がある。硬化が不十分なレジスト膜は、加工時に所望の形状から離れた形状をとることがある。その結果、有機化合物層の上面形状が、多角形の角が丸い形状、楕円形、又は円形等になることがある。例えば、上面形状が正方形のレジストマスクを形成しようとした場合に、円形の上面形状のレジストマスクが形成され、有機化合物層の上面形状が円形になることがある。
なお、有機化合物層の上面形状を所望の形状とするために、設計パターンと、転写パターンとが、一致するように、あらかじめマスクパターンを補正する技術(OPC(Optical Proximity Correction:光近接効果補正)技術)を用いてもよい。具体的には、OPC技術では、例えばマスクパターン上の図形コーナー部に補正用のパターンを追加する。
図13(A)乃至図13(I)に示すように、画素は副画素を4種類有する構成とすることができる。
図13(A)乃至図13(C)に示す画素178は、ストライプ配列が適用されている。
図13(A)は、各副画素が、長方形の上面形状を有する例であり、図13(B)は、各副画素が、2つの半円と長方形をつなげた上面形状を有する例であり、図13(C)は、各副画素が、楕円形の上面形状を有する例である。
図13(D)乃至図13(F)に示す画素178は、マトリクス配列が適用されている。
図13(D)は、各副画素が、正方形の上面形状を有する例であり、図13(E)は、各副画素が、角が丸い略正方形の上面形状を有する例であり、図13(F)は、各副画素が、円形の上面形状を有する例である。
図13(G)及び図13(H)では、1つの画素178が、2行3列で構成されている例を示す。
図13(G)に示す画素178は、上の行(1行目)に、3つの副画素(副画素110R、副画素110G、及び副画素110B)を有し、下の行(2行目)に、1つの副画素(副画素110W)を有する。言い換えると、画素178は、左の列(1列目)に、副画素110Rを有し、中央の列(2列目)に副画素110Gを有し、右の列(3列目)に副画素110Bを有し、さらに、この3列にわたって、副画素110Wを有する。
図13(H)に示す画素178は、上の行(1行目)に、3つの副画素(副画素110R、副画素110G、及び副画素110B)を有し、下の行(2行目)に、3つの副画素110Wを有する。言い換えると、画素178は、左の列(1列目)に、副画素110R及び副画素110Wを有し、中央の列(2列目)に副画素110G及び副画素110Wを有し、右の列(3列目)に副画素110B及び副画素110Wを有する。図13(H)に示すように、上の行と下の行との副画素の配置を揃える構成とすることで、例えば製造プロセスで生じうるゴミを効率よく除去することが可能となる。したがって、表示品位の高い発光装置を提供できる。
図13(G)及び図13(H)に示す画素178では、副画素110R、副画素110G、及び副画素110Bのレイアウトがストライプ配列となるため、表示品位を高めることができる。
図13(I)では、1つの画素178が、3行2列で構成されている例を示す。
図13(I)に示す画素178は、上の行(1行目)に、副画素110Rを有し、中央の行(2行目)に、副画素110Gを有し、1行目から2行目にわたって副画素110Bを有し、下の行(3行目)に、1つの副画素(副画素110W)を有する。言い換えると、画素178は、左の列(1列目)に、副画素110R、及び副画素110Gを有し、右の列(2列目)に副画素110Bを有し、さらに、この2列にわたって、副画素110Wを有する。
図13(I)に示す画素178では、副画素110R、副画素110G、及び副画素110BのレイアウトがいわゆるSストライプ配列となるため、表示品位を高めることができる。
図13(A)乃至図13(I)に示す画素178は、副画素110R、副画素110G、副画素110B、及び副画素110Wの、4つの副画素から構成される。例えば、副画素110Rを赤色の光を呈する副画素とし、副画素110Gを緑色の光を呈する副画素とし、副画素110Bを青色の光を呈する副画素とし、副画素110Wを白色の光を呈する副画素とすることができる。なお、副画素110R、副画素110G、副画素110B、及び副画素110Wのうち少なくとも1つを、シアンの光を呈する副画素、マゼンタの光を呈する副画素、黄色の光を呈する副画素、又は近赤外光を呈する副画素としてもよい。
以上のように、本発明の一態様の発光装置は、発光デバイスを有する副画素からなる構成の画素について、様々なレイアウトを適用できる。
本実施の形態は、他の実施の形態、又は実施例と適宜組み合わせることができる。また、本明細書において、1つの実施の形態の中に、複数の構成例が示される場合は、構成例を適宜組み合わせることが可能である。
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光装置について説明する。
本実施の形態の発光装置は、高精細な発光装置とすることができる。したがって、本実施の形態の発光装置は、例えば、腕時計型、及び、ブレスレット型等の情報端末機(ウェアラブル機器)の表示部、並びに、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)等のVR向け機器、及び、メガネ型のAR向け機器等の頭部に装着可能なウェアラブル機器の表示部に用いることができる。
また、本実施の形態の発光装置は、高解像度な発光装置又は大型な発光装置とすることができる。したがって、本実施の形態の発光装置は、例えば、テレビジョン装置、デスクトップ型もしくはノート型のパーソナルコンピュータ、コンピュータ用等のモニタ、デジタルサイネージ、及び、パチンコ機等の大型ゲーム機等の比較的大きな画面を備える電子機器の他、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、及び、音響再生装置の表示部に用いることができる。
[表示モジュール]
図14(A)に、表示モジュール280の斜視図を示す。表示モジュール280は、発光装置100Aと、FPC290と、を有する。なお、表示モジュール280が有する発光装置は発光装置100Aに限られず、後述する発光装置100Bおよび発光装置100Cのいずれかであってもよい。
表示モジュール280は、基板291及び基板292を有する。表示モジュール280は、表示部281を有する。表示部281は、表示モジュール280における画像を表示する領域であり、後述する画素部284に設けられる各画素からの光を視認できる領域である。
図14(B)に、基板291側の構成を模式的に示した斜視図を示している。基板291上には、回路部282と、回路部282上の画素回路部283と、画素回路部283上の画素部284と、が積層されている。また、基板291上の画素部284と重ならない部分に、FPC290と接続するための端子部285が設けられている。端子部285と回路部282とは、複数の配線により構成される配線部286により電気的に接続されている。
画素部284は、周期的に配列した複数の画素284aを有する。図14(B)の右側に、1つの画素284aの拡大図を示している。画素284aには、先の実施の形態で説明した各種構成を適用できる。図14(B)では、画素284aが図3に示す画素178と同様の構成を有する場合を例に示す。
画素回路部283は、周期的に配列した複数の画素回路283aを有する。
1つの画素回路283aは、1つの画素284aが有する複数の素子の駆動を制御する回路である。1つの画素回路283aは、1つの発光デバイスの発光を制御する回路が3つ設けられる構成とすることができる。例えば、画素回路283aは、1つの発光デバイスにつき、1つの選択トランジスタと、1つの電流制御用トランジスタ(駆動トランジスタ)と、容量と、を少なくとも有する構成とすることができる。このとき、選択トランジスタのゲートにはゲート信号が、ソース又はドレインにはビデオ信号が、それぞれ入力される。これにより、アクティブマトリクス型の発光装置が実現されている。
回路部282は、画素回路部283の各画素回路283aを駆動する回路を有する。例えば、ゲート線駆動回路、及び、ソース線駆動回路の一方又は双方を有することが好ましい。このほか、演算回路、メモリ回路、及び電源回路等の少なくとも一つを有していてもよい。
FPC290は、外部から回路部282にビデオ信号又は電源電位等を供給するための配線として機能する。また、FPC290上にICが実装されていてもよい。
表示モジュール280は、画素部284の下側に画素回路部283及び回路部282の一方又は双方が積層された構成とすることができるため、表示部281の開口率(有効表示面積比)を極めて高くすることができる。例えば表示部281の開口率は、40%以上100%未満、好ましくは50%以上95%以下、より好ましくは60%以上95%以下とすることができる。また、画素284aを極めて高密度に配置することが可能で、表示部281の精細度を極めて高くすることができる。例えば、表示部281には、2000ppi以上、好ましくは3000ppi以上、より好ましくは5000ppi以上、さらに好ましくは6000ppi以上であって、20000ppi以下、又は30000ppi以下の精細度で、画素284aが配置されることが好ましい。
このような表示モジュール280は、極めて高精細であることから、HMD等のVR向け機器又はメガネ型のAR向け機器に好適に用いることができる。例えば、レンズを通して表示モジュール280の表示部を視認する構成の場合であっても、表示モジュール280は極めて高精細な表示部281を有するためにレンズで表示部を拡大しても画素が視認されず、没入感の高い表示を行うことができる。また、表示モジュール280はこれに限られず、比較的小型の表示部を有する電子機器に好適に用いることができる。例えば腕時計等の装着型の電子機器の表示部に好適に用いることができる。
[発光装置100A]
図15(A)に示す発光装置100Aは、基板301、発光デバイス130R、発光デバイス130G、発光デバイス130B、容量240、及び、トランジスタ310を有する。
基板301は、図14(A)及び図14(B)における基板291に相当する。トランジスタ310は、基板301にチャネル形成領域を有するトランジスタである。基板301としては、例えば単結晶シリコン基板等の半導体基板を用いることができる。トランジスタ310は、基板301の一部、導電層311、低抵抗領域312、絶縁層313、及び、絶縁層314を有する。導電層311は、ゲート電極として機能する。絶縁層313は、基板301と導電層311の間に位置し、ゲート絶縁層として機能する。低抵抗領域312は、基板301に不純物がドープされた領域であり、ソース又はドレインとして機能する。絶縁層314は、導電層311の側面を覆って設けられる。
また、基板301に埋め込まれるように、隣接する2つのトランジスタ310の間に素子分離層315が設けられている。
また、トランジスタ310を覆って絶縁層261が設けられ、絶縁層261上に容量240が設けられている。
容量240は、導電層241と、導電層245と、これらの間に位置する絶縁層243を有する。導電層241は、容量240の一方の電極として機能し、導電層245は、容量240の他方の電極として機能し、絶縁層243は、容量240の誘電体として機能する。
導電層241は絶縁層261上に設けられ、絶縁層254に埋め込まれている。導電層241は、絶縁層261に埋め込まれたプラグ271によってトランジスタ310のソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。絶縁層243は導電層241を覆って設けられる。導電層245は、絶縁層243を介して導電層241と重なる領域に設けられている。
容量240を覆って、絶縁層255が設けられ、絶縁層255上に絶縁層174が設けられ、絶縁層174上に絶縁層175が設けられている。絶縁層175上に発光デバイス130R、発光デバイス130G、及び、発光デバイス130Bが設けられている。図15(A)では、発光デバイス130R、発光デバイス130G、及び、発光デバイス130Bが図1(A)に示す積層構造を有する例を示す。隣り合う発光デバイスの間の領域には、絶縁物が設けられる。例えば図15(A)では、当該領域に無機絶縁層125と、無機絶縁層125上の絶縁層127と、が設けられている。
発光デバイス130Rが有する導電層151Rの側面と重なる領域を有するように絶縁層156Rが設けられ、発光デバイス130Gが有する導電層151Gの側面と重なる領域を有するように絶縁層156Gが設けられ、発光デバイス130Bが有する導電層151Bの側面と重なる領域を有するように絶縁層156Bが設けられる。また、導電層151R及び絶縁層156Rを覆うように導電層152Rが設けられ、導電層151G及び絶縁層156Gを覆うように導電層152Gが設けられ、導電層151B及び絶縁層156Bを覆うように導電層152Bが設けられる。さらに、発光デバイス130Rが有する有機化合物層103R上には、犠牲層158Rが位置し、発光デバイス130Gが有する有機化合物層103G上には、犠牲層158Gが位置し、発光デバイス130Bが有する有機化合物層103B上には、犠牲層158Bが位置する。
導電層151R、導電層151G、及び導電層151Bは、絶縁層243、絶縁層255、絶縁層174、及び絶縁層175に埋め込まれたプラグ256、絶縁層254に埋め込まれた導電層241、及び、絶縁層261に埋め込まれたプラグ271によってトランジスタ310のソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。絶縁層175の上面の高さと、プラグ256の上面の高さは、一致又は概略一致している。プラグには各種導電材料を用いることができる。
また、発光デバイス130R、発光デバイス130G、及び、発光デバイス130B上には保護層131が設けられている。保護層131上には、樹脂層122によって基板120が貼り合わされている。発光デバイス130から基板120までの構成要素についての詳細は、実施の形態3を参照できる。基板120は、図14(A)における基板292に相当する。
図15(B)は、図15(A)に示す発光装置100Aの変形例である。図15(B)に示す発光装置は、着色層132R、着色層132G、及び着色層132Bを有し、発光デバイス130が着色層132R、着色層132G、及び着色層132Bのうち一つと重なる領域を有する。図15(B)に示す発光装置において、発光デバイス130は、例えば白色光を発することができる。また、例えば着色層132Rは赤色の光を透過し、着色層132Gは緑色の光を透過し、着色層132Bは青色の光を透過できる。
[発光装置100B]
図16に、発光装置100Bの斜視図を示し、図17(A)に、発光装置100Bの断面図を示す。
発光装置100Bは、基板352と基板351とが貼り合わされた構成を有する。図16では、基板352を破線で明示している。
発光装置100Bは、画素部177、接続部140、回路356、及び配線355等を有する。図16では発光装置100BにIC(集積回路)354及びFPC353が実装されている例を示している。このため、図16に示す構成は、発光装置100Bと、ICと、FPCと、を有する表示モジュールということもできる。ここで、発光装置の基板に、FPC等のコネクタが取り付けられたもの、又は当該基板にICが実装されたものを、表示モジュールと呼ぶ。
接続部140は、画素部177の外側に設けられる。接続部140は、画素部177の一辺又は複数の辺に沿って設けることができる。接続部140は、単数であっても複数であってもよい。図16では、画素部177の四辺を囲むように接続部140が設けられている例を示す。接続部140では、発光デバイスの共通電極と、導電層とが電気的に接続されており、共通電極に電位を供給できる。
回路356としては、例えば走査線駆動回路を用いることができる。
配線355は、画素部177及び回路356に信号及び電力を供給する機能を有する。当該信号及び電力は、FPC353を介して外部から、又はIC354から配線355に入力される。
図16では、COG(Chip On Glass)方式又はCOF(Chip on Film)方式等により、基板351にIC354が設けられている例を示す。IC354は、例えば走査線駆動回路又は信号線駆動回路等を有するICを適用できる。なお、発光装置100B及び表示モジュールは、ICを設けない構成としてもよい。また、ICを、例えばCOF方式により、FPCに実装してもよい。
図17(A)に、発光装置100Bの、FPC353を含む領域の一部、回路356の一部、画素部177の一部、接続部140の一部、及び、端部を含む領域の一部をそれぞれ切断したときの断面の一例を示す。
図17(A)に示す発光装置100Bは、基板351と基板352の間に、トランジスタ201、トランジスタ205、赤色の光を発する発光デバイス130R、緑色の光を発する発光デバイス130G、及び、青色の光を発する発光デバイス130B等を有する。
発光デバイス130R、発光デバイス130G、及び発光デバイス130Bは、画素電極の構成が異なる点以外は、それぞれ、図1(A)に示す積層構造を有する。発光デバイスの詳細は先の実施の形態を参照できる。
発光デバイス130Rは、導電層224Rと、導電層224R上の導電層151Rと、導電層151R上の導電層152Rと、を有する。発光デバイス130Gは、導電層224Gと、導電層224G上の導電層151Gと、導電層151G上の導電層152Gと、を有する。発光デバイス130Bは、導電層224Bと、導電層224B上の導電層151Bと、導電層151B上の導電層152Bと、を有する。ここで、導電層224R、導電層151R、及び導電層152Rの全てをまとめて、発光デバイス130Rの画素電極と呼ぶこともでき、導電層224Rを除いた導電層151R及び導電層152Rを、発光デバイス130Rの画素電極と呼ぶこともできる。同様に、導電層224G、導電層151G、及び導電層152Gの全てをまとめて、発光デバイス130Gの画素電極と呼ぶこともでき、導電層224Gを除いた導電層151G及び導電層152Gを、発光デバイス130Gの画素電極と呼ぶこともできる。また、導電層224B、導電層151B、及び導電層152Bの全てをまとめて、発光デバイス130Bの画素電極と呼ぶこともでき、導電層224Bを除いた導電層151B及び導電層152Bを、発光デバイス130Bの画素電極と呼ぶこともできる。
導電層224Rは、絶縁層214に設けられた開口を介して、トランジスタ205が有する導電層222bと接続されている。導電層224Rの端部よりも外側に導電層151Rの端部が位置している。導電層151Rの側面と接する領域を有するように絶縁層156Rが設けられ、導電層151R及び絶縁層156Rを覆うように導電層152Rが設けられる。
発光デバイス130Gにおける導電層224G、導電層151G、導電層152G、絶縁層156G、及び発光デバイス130Bにおける導電層224B、導電層151B、導電層152B、絶縁層156Bについては、発光デバイス130Rにおける導電層224R、導電層151R、導電層152R、絶縁層156Rと同様であるため詳細な説明は省略する。
導電層224R、導電層224G、及び導電層224Bには、絶縁層214に設けられた開口を覆うように凹部が形成される。当該凹部には、層128が埋め込まれている。
層128は、導電層224R、導電層224G、及び導電層224Bの凹部を平坦化する機能を有する。導電層224R、導電層224G、及び導電層224B及び層128上には、導電層224R、導電層224G、及び導電層224Bと電気的に接続される導電層151R、導電層151G、及び導電層151Bが設けられている。したがって、導電層224R、導電層224G、及び導電層224Bの凹部と重なる領域も発光領域として使用でき、画素の開口率を高めることができる。
層128は、絶縁層であってもよく、導電層であってもよい。層128には、各種無機絶縁材料、有機絶縁材料、及び導電材料を適宜用いることができる。特に、層128は、絶縁材料を用いて形成されることが好ましく、有機絶縁材料を用いて形成されることが特に好ましい。層128には、例えば前述の絶縁層127に用いることができる有機絶縁材料を適用できる。
発光デバイス130R、発光デバイス130G、及び発光デバイス130B上には保護層131が設けられている。保護層131と基板352は接着層142を介して接着されている。基板352には、遮光層157が設けられている。発光デバイス130の封止には、固体封止構造又は中空封止構造等が適用できる。図17(A)では、基板352と基板351との間の空間が、接着層142で充填されており、固体封止構造が適用されている。又は、当該空間を不活性ガス(窒素又はアルゴン等)で充填し、中空封止構造を適用してもよい。このとき、接着層142は、発光デバイスと重ならないように設けられていてもよい。また、当該空間を、枠状に設けられた接着層142とは異なる樹脂で充填してもよい。
図17(A)では、接続部140が、導電層224R、導電層224G、及び導電層224Bと同一の導電膜を加工して得られた導電層224Cと、導電層151R、導電層151G、及び導電層151Bと同一の導電膜を加工して得られた導電層151Cと、導電層152R、導電層152G、及び導電層152Bと同一の導電膜を加工して得られた導電層152Cと、を有する例を示している。また、図17(A)では、導電層151Cの側面と重なる領域を有するように絶縁層156Cが設けられる例を示している。
発光装置100Bは、トップエミッション型である。発光デバイスが発する光は、基板352側に射出される。基板352には、可視光に対する透過性が高い材料を用いることが好ましい。画素電極は可視光を反射する材料を含み、対向電極(共通電極155)は可視光を透過する材料を含む。
トランジスタ201及びトランジスタ205は、いずれも基板351上に形成されている。これらのトランジスタは、同一の材料及び同一の工程により作製できる。
基板351上には、絶縁層211、絶縁層213、絶縁層215、及び絶縁層214がこの順で設けられている。絶縁層211は、その一部が各トランジスタのゲート絶縁層として機能する。絶縁層213は、その一部が各トランジスタのゲート絶縁層として機能する。絶縁層215は、トランジスタを覆って設けられる。絶縁層214は、トランジスタを覆って設けられ、平坦化層としての機能を有する。なお、ゲート絶縁層の数及びトランジスタを覆う絶縁層の数は限定されず、それぞれ単層であっても2層以上であってもよい。
トランジスタを覆う絶縁層の少なくとも一層に、水及び水素等の不純物が拡散しにくい材料を用いることが好ましい。これにより、絶縁層をバリア層として機能させることができる。このような構成とすることで、トランジスタに外部から不純物が拡散することを効果的に抑制でき、発光装置の信頼性を高めることができる。
絶縁層211、絶縁層213、及び絶縁層215としては、それぞれ、無機絶縁膜を用いることが好ましい。無機絶縁膜としては、例えば、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、又は窒化アルミニウム膜等を用いることができる。また、酸化ハフニウム膜、酸化イットリウム膜、酸化ジルコニウム膜、酸化ガリウム膜、酸化タンタル膜、酸化マグネシウム膜、酸化ランタン膜、酸化セリウム膜、及び酸化ネオジム膜等を用いてもよい。また、上述の絶縁膜を2以上積層して用いてもよい。
平坦化層として機能する絶縁層214には、有機絶縁層が好適である。有機絶縁層に用いることができる材料としては、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂、シロキサン樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、フェノール樹脂、及びこれら樹脂の前駆体等が挙げられる。また、絶縁層214を、有機絶縁層と、無機絶縁層との積層構造にしてもよい。絶縁層214の最表層は、エッチング保護層としての機能を有することが好ましい。これにより、導電層224R、導電層151R、又は導電層152R等の加工時に、絶縁層214に凹部が形成されることを抑制できる。又は、絶縁層214には、導電層224R、導電層151R、又は導電層152R等の加工時に、凹部が設けられてもよい。
トランジスタ201及びトランジスタ205は、ゲートとして機能する導電層221、ゲート絶縁層として機能する絶縁層211、ソース及びドレインとして機能する導電層222a及び導電層222b、半導体層231、ゲート絶縁層として機能する絶縁層213、並びに、ゲートとして機能する導電層223を有する。ここでは、同一の導電膜を加工して得られる複数の層に、同じハッチングパターンを付している。絶縁層211は、導電層221と半導体層231との間に位置する。絶縁層213は、導電層223と半導体層231との間に位置する。
本実施の形態の発光装置が有するトランジスタの構造は特に限定されない。例えば、プレーナ型のトランジスタ、スタガ型のトランジスタ、又は逆スタガ型のトランジスタ等を用いることができる。また、トップゲート型又はボトムゲート型のいずれのトランジスタ構造としてもよい。又は、チャネルが形成される半導体層の上下にゲートが設けられていてもよい。
トランジスタ201及びトランジスタ205には、チャネルが形成される半導体層を2つのゲートで挟持する構成が適用されている。2つのゲートを接続し、これらに同一の信号を供給することによりトランジスタを駆動してもよい。又は、2つのゲートのうち、一方に閾値電圧を制御するための電位を与え、他方に駆動のための電位を与えることで、トランジスタの閾値電圧を制御してもよい。
トランジスタに用いる半導体材料の結晶性についても特に限定されず、非晶質半導体、結晶性を有する半導体(微結晶半導体、多結晶半導体、単結晶半導体、又は一部に結晶領域を有する半導体)のいずれを用いてもよい。結晶性を有する半導体を用いると、トランジスタ特性の劣化を抑制できるため好ましい。
トランジスタの半導体層は、金属酸化物を有することが好ましい。つまり、本実施の形態の発光装置は、金属酸化物をチャネル形成領域に用いたトランジスタ(以下、OSトランジスタ)を用いることが好ましい。
結晶性を有する酸化物半導体としては、CAAC(c-axis-aligned crystalline)-OS、又はnc(nanocrystalline)-OS等が挙げられる。
又は、シリコンをチャネル形成領域に用いたトランジスタ(Siトランジスタ)を用いてもよい。シリコンとしては、単結晶シリコン、多結晶シリコン、又は非晶質シリコン等が挙げられる。特に、半導体層に低温ポリシリコン(LTPS(Low Temperature Poly Silicon))を有するトランジスタ(以下、LTPSトランジスタともいう)を用いることができる。LTPSトランジスタは、電界効果移動度が高く、周波数特性が良好である。
LTPSトランジスタ等のSiトランジスタを適用することで、高周波数で駆動する必要のある回路(例えばソースドライバ回路)を表示部と同一基板上に作り込むことができる。これにより、発光装置に実装される外部回路を簡略化でき、部品コスト及び実装コストを削減できる。
OSトランジスタは、非晶質シリコンを用いたトランジスタと比較して電界効果移動度が極めて高い。また、OSトランジスタは、オフ状態におけるソース-ドレイン間のリーク電流(以下、オフ電流ともいう)が著しく小さく、当該トランジスタと直列に接続された容量に蓄積した電荷を長期間に亘って保持することが可能である。また、OSトランジスタを適用することで、発光装置の消費電力を低減できる。
また、画素回路に含まれる発光デバイスの発光輝度を高くする場合、発光デバイスに流す電流量を大きくする必要がある。このためには、画素回路に含まれている駆動トランジスタのソース-ドレイン間電圧を高くする必要がある。OSトランジスタは、Siトランジスタと比較して、ソース-ドレイン間において耐圧が高いため、OSトランジスタのソース-ドレイン間には高い電圧を印加できる。したがって、画素回路に含まれる駆動トランジスタをOSトランジスタとすることで、発光デバイスに流れる電流量を大きくし、発光デバイスの発光輝度を高くすることができる。
また、トランジスタが飽和領域で動作するときに流れる電流の飽和特性において、OSトランジスタは、ソース-ドレイン間電圧が徐々に高くなった場合においても、Siトランジスタよりも安定した電流(飽和電流)を流すことができる。このため、OSトランジスタを駆動トランジスタとして用いることで、例えば、発光デバイスの電流-電圧特性にばらつきが生じた場合においても、発光デバイスに安定した電流を流すことができる。つまり、OSトランジスタは、飽和領域で動作する場合において、ソース-ドレイン間電圧を高くしても、ソース-ドレイン間電流がほぼ変化しないため、発光デバイスの発光輝度を安定させることができる。
上記のとおり、画素回路に含まれる駆動トランジスタにOSトランジスタを用いることで、「黒浮きの抑制」、「発光輝度の上昇」、「多階調化」、及び「発光デバイスのばらつきの抑制」等を図ることができる。
半導体層は、例えば、インジウムと、M(Mは、ガリウム、アルミニウム、シリコン、ホウ素、イットリウム、スズ、銅、バナジウム、ベリリウム、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、及びマグネシウムから選ばれた一種又は複数種)と、亜鉛と、を有することが好ましい。特に、Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、及びスズから選ばれた一種又は複数種であることが好ましい。
特に、半導体層として、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、及び亜鉛(Zn)を含む酸化物(IGZOとも記す)を用いることが好ましい。又は、インジウム、スズ、及び亜鉛を含む酸化物を用いることが好ましい。又は、インジウム、ガリウム、スズ、及び亜鉛を含む酸化物を用いることが好ましい。又は、インジウム(In)、アルミニウム(Al)、及び亜鉛(Zn)を含む酸化物(IAZOとも記す)を用いることが好ましい。又は、インジウム(In)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、及び亜鉛(Zn)を含む酸化物(IAGZOとも記す)を用いることが好ましい。
半導体層がIn-M-Zn酸化物の場合、当該In-M-Zn酸化物におけるInの原子数比はMの原子数比以上であることが好ましい。このようなIn-M-Zn酸化物の金属元素の原子数比として、In:M:Zn=1:1:1又はその近傍の組成、In:M:Zn=1:1:1.2又はその近傍の組成、In:M:Zn=2:1:3又はその近傍の組成、In:M:Zn=3:1:2又はその近傍の組成、In:M:Zn=4:2:3又はその近傍の組成、In:M:Zn=4:2:4.1又はその近傍の組成、In:M:Zn=5:1:3又はその近傍の組成、In:M:Zn=5:1:6又はその近傍の組成、In:M:Zn=5:1:7又はその近傍の組成、In:M:Zn=5:1:8又はその近傍の組成、In:M:Zn=6:1:6又はその近傍の組成、In:M:Zn=5:2:5又はその近傍の組成、等が挙げられる。なお、近傍の組成とは、所望の原子数比の±30%の範囲を含む。
例えば、原子数比がIn:Ga:Zn=4:2:3又はその近傍の組成と記載する場合、Inの原子数比を4としたとき、Gaの原子数比が1以上3以下であり、Znの原子数比が2以上4以下である場合を含む。また、原子数比がIn:Ga:Zn=5:1:6又はその近傍の組成と記載する場合、Inの原子数比を5としたときに、Gaの原子数比が0.1より大きく2以下であり、Znの原子数比が5以上7以下である場合を含む。また、原子数比がIn:Ga:Zn=1:1:1又はその近傍の組成と記載する場合、Inの原子数比を1としたときに、Gaの原子数比が0.1より大きく2以下であり、Znの原子数比が0.1より大きく2以下である場合を含む。
回路356が有するトランジスタと、画素部177が有するトランジスタは、同じ構造であってもよく、異なる構造であってもよい。回路356が有する複数のトランジスタの構造は、全て同じであってもよく、2種類以上あってもよい。同様に、画素部177が有する複数のトランジスタの構造は、全て同じであってもよく、2種類以上あってもよい。
画素部177が有するトランジスタの全てをOSトランジスタとしてもよく、画素部177が有するトランジスタの全てをSiトランジスタとしてもよく、画素部177が有するトランジスタの一部をOSトランジスタとし、残りをSiトランジスタとしてもよい。
例えば、画素部177にLTPSトランジスタとOSトランジスタとの双方を用いることで、消費電力が低く、駆動能力の高い発光装置を実現できる。また、LTPSトランジスタと、OSトランジスタとを、組み合わせる構成をLTPOと呼称する場合がある。なお、例えば配線の導通、非導通を制御するためのスイッチとして機能するトランジスタにOSトランジスタを適用し、電流を制御するトランジスタにLTPSトランジスタを適用することが好ましい。
例えば、画素部177が有するトランジスタの一は、発光デバイスに流れる電流を制御するためのトランジスタとして機能し、駆動トランジスタと呼ぶことができる。駆動トランジスタのソース及びドレインの一方は、発光デバイスの画素電極と電気的に接続される。当該駆動トランジスタには、LTPSトランジスタを用いることが好ましい。これにより、画素回路において発光デバイスに流れる電流を大きくできる。
一方、画素部177が有するトランジスタの他の一は、画素の選択、非選択を制御するためのスイッチとして機能し、選択トランジスタとも呼ぶことができる。選択トランジスタのゲートはゲート線と電気的に接続され、ソース及びドレインの一方は、ソース線(信号線)と電気的に接続される。選択トランジスタには、OSトランジスタを適用することが好ましい。これにより、フレーム周波数を著しく小さく(例えば1fps以下)しても、画素の階調を維持できるため、静止画を表示する際にドライバを停止することで、消費電力を低減できる。
このように本発明の一態様の発光装置は、高い開口率と、高い精細度と、高い表示品位と、低い消費電力と、を兼ね備えることができる。
なお、本発明の一態様の発光装置は、OSトランジスタを有し、且つMML(メタルマスクレス)構造の発光デバイスを有する構成である。当該構成とすることで、トランジスタに流れうるリーク電流、及び隣接する発光デバイス間に流れうるリーク電流(横方向リーク電流、横リーク電流、又はラテラルリーク電流と呼称する場合がある)を、極めて低くすることができる。また、上記構成とすることで、発光装置に画像を表示した場合に、観察者が画像のきれ、画像のするどさ、高い彩度、及び高いコントラスト比のいずれか一又は複数を観測できる。なお、トランジスタに流れうるリーク電流、及び発光デバイス間の横リーク電流が極めて低い構成とすることで、黒表示時に生じうる光漏れ(いわゆる黒浮き)等が限りなく少ない表示とすることができる。
特に、MML構造の発光デバイスの中でも、先に示した発光層を作り分ける、または発光層を塗り分ける構造であるSBS(Side By Side)構造を適用することで、発光デバイスの間に設けられる層(例えば、発光デバイスの間で共通して用いる有機層、共通層ともいう)が分断された構成となるため、サイドリークをなくす、又はサイドリークを極めて少なくすることができる。
図17(B)及び図17(C)に、トランジスタの他の構成例を示す。
トランジスタ209及びトランジスタ210は、ゲートとして機能する導電層221、ゲート絶縁層として機能する絶縁層211、チャネル形成領域231i及び一対の低抵抗領域231nを有する半導体層231、一対の低抵抗領域231nの一方と接続する導電層222a、一対の低抵抗領域231nの他方と接続する導電層222b、ゲート絶縁層として機能する絶縁層225、ゲートとして機能する導電層223、並びに、導電層223を覆う絶縁層215を有する。絶縁層211は、導電層221とチャネル形成領域231iとの間に位置する。絶縁層225は、少なくとも導電層223とチャネル形成領域231iとの間に位置する。さらに、トランジスタを覆う絶縁層218を設けてもよい。
図17(B)に示すトランジスタ209では、絶縁層225が半導体層231の上面及び側面を覆う例を示す。導電層222a及び導電層222bは、それぞれ、絶縁層225及び絶縁層215に設けられた開口を介して低抵抗領域231nと接続される。導電層222a及び導電層222bのうち、一方はソースとして機能し、他方はドレインとして機能する。
一方、図17(C)に示すトランジスタ210では、絶縁層225は、半導体層231のチャネル形成領域231iと重なり、低抵抗領域231nとは重ならない。例えば、導電層223をマスクとして絶縁層225を加工することで、図17(C)に示す構造を作製できる。図17(C)では、絶縁層225及び導電層223を覆って絶縁層215が設けられ、絶縁層215の開口を介して、導電層222a及び導電層222bがそれぞれ低抵抗領域231nと接続されている。
基板351の、基板352が重ならない領域には、接続部204が設けられている。接続部204では、配線355が導電層166及び接続層242を介してFPC353と電気的に接続されている。導電層166は、導電層224R、導電層224G、及び導電層224Bと同一の導電膜を加工して得られた導電膜と、導電層151R、導電層151G、及び導電層151Bと同一の導電膜を加工して得られた導電膜と、導電層152R、導電層152G、及び導電層152Bと同一の導電膜を加工して得られた導電膜と、の積層構造である例を示す。接続部204の上面では、導電層166が露出している。これにより、接続部204とFPC353とを接続層242を介して電気的に接続できる。
基板352の基板351側の面には、遮光層157を設けることが好ましい。遮光層157は、隣り合う発光デバイスの間、接続部140、及び、回路356等に設けることができる。また、基板352の外側には各種光学部材を配置できる。
基板351及び基板352としては、それぞれ、基板120に用いることができる材料を適用できる。
接着層142としては、樹脂層122に用いることができる材料を適用できる。
接続層242としては、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)、又は異方性導電ペースト(ACP:Anisotropic Conductive Paste)等を用いることができる。
[発光装置100H]
図18に示す発光装置100Hは、ボトムエミッション型の発光装置である点で、図17(A)に示す発光装置100Bと主に相違する。
発光デバイスが発する光は、基板351側に射出される。基板351には、可視光に対する透過性が高い材料を用いることが好ましい。一方、基板352に用いる材料の透光性は問わない。
基板351とトランジスタ201との間、基板351とトランジスタ205との間には、遮光層157を形成することが好ましい。図18では、基板351上に遮光層157が設けられ、遮光層157上に絶縁層153が設けられ、絶縁層153上にトランジスタ201、205などが設けられている例を示す。
発光デバイス130Rは、導電層112Rと、導電層112R上の導電層126Rと、導電層126R上の導電層129Rと、を有する。
発光デバイス130Bは、導電層112Bと、導電層112B上の導電層126Bと、導電層126B上の導電層129Bと、を有する。
導電層112R、112B、126R、126B、129R、129Bには、それぞれ、可視光に対する透過性が高い材料を用いる。共通電極155には可視光を反射する材料を用いることが好ましい。
なお、図18では、発光デバイス130Gを図示していないが、発光デバイス130Gも設けられている。
また、図18などでは、層128の上面が平坦部を有する例を示すが、層128の形状は、特に限定されない。
[発光装置100C]
図19(A)に示す発光装置100Cは、図17(A)に示す発光装置100Bの変形例であり、着色層132R、着色層132G、及び着色層132Bを有する点で、発光装置100Bと主に相違する。
発光装置100Cにおいて、発光デバイス130は、着色層132R、着色層132G、及び着色層132Bのうち一つと重なる領域を有する。着色層132R、着色層132G、及び着色層132Bは、基板352の基板351側の面に設けることができる。着色層132Rの端部、着色層132Gの端部、及び着色層132Bの端部は、遮光層157と重ねることができる。
発光装置100Cにおいて、発光デバイス130は、例えば白色光を発することができる。また、例えば着色層132Rは赤色の光を透過し、着色層132Gは緑色の光を透過し、着色層132Bは青色の光を透過できる。なお、発光装置100Cは、保護層131と接着層142の間に着色層132R、着色層132G、及び着色層132Bを設ける構成としてもよい。
図17(A)及び図19(A)等では、層128の上面が平坦部を有する例を示すが、層128の形状は、特に限定されない。図19(B)乃至図19(D)に、層128の変形例を示す。
図19(B)及び図19(D)に示すように、層128の上面は、断面視において、中央及びその近傍が窪んだ形状、つまり、凹曲面を有する形状を有する構成とすることができる。また、共通電極155と接するように共通層154を設けてもよい。
また、図19(C)に示すように、層128の上面は、断面視において、中央及びその近傍が膨らんだ形状、つまり、凸曲面を有する形状を有する構成とすることができる。
また、層128の上面は、凸曲面及び凹曲面の一方又は双方を有していてもよい。また、層128の上面が有する凸曲面及び凹曲面の数はそれぞれ限定されず、一つ又は複数とすることができる。
また、層128の上面の高さと、導電層224Rの上面の高さと、は、一致又は概略一致していてもよく、互いに異なっていてもよい。例えば、層128の上面の高さは、導電層224Rの上面の高さより低くてもよく、高くてもよい。
また、図19(B)は、導電層224Rに形成された凹部の内部に層128が収まっている例ともいえる。一方、図19(D)のように、導電層224Rに形成された凹部の外側に層128が存在する、つまり、当該凹部よりも層128の上面の幅が広がって形成されていてもよい。
本実施の形態は、他の実施の形態、又は実施例と適宜組み合わせることができる。また、本明細書において、1つの実施の形態の中に、複数の構成例が示される場合は、構成例を適宜組み合わせることが可能である。
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明の一態様の電子機器について説明する。
本実施の形態の電子機器は、表示部に本発明の一態様の発光装置を有する。本発明の一態様の発光装置は信頼性が高く、また高精細化及び高解像度化が容易である。したがって、様々な電子機器の表示部に用いることができる。
電子機器としては、例えば、テレビジョン装置、デスクトップ型もしくはノート型のパーソナルコンピュータ、コンピュータ用等のモニタ、デジタルサイネージ、パチンコ機等の大型ゲーム機等の比較的大きな画面を備える電子機器の他、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、等が挙げられる。
特に、本発明の一態様の発光装置は、精細度を高めることが可能なため、比較的小さな表示部を有する電子機器に好適に用いることができる。このような電子機器としては、例えば、腕時計型及びブレスレット型の情報端末機(ウェアラブル機器)、並びに、ヘッドマウントディスプレイ等のVR向け機器、メガネ型のAR向け機器、及び、MR向け機器等、頭部に装着可能なウェアラブル機器等が挙げられる。
本発明の一態様の発光装置は、HD(画素数1280×720)、FHD(画素数1920×1080)、WQHD(画素数2560×1440)、WQXGA(画素数2560×1600)、4K(画素数3840×2160)、8K(画素数7680×4320)といった極めて高い解像度を有していることが好ましい。特に4K、8K、又はそれ以上の解像度とすることが好ましい。また、本発明の一態様の発光装置における画素密度(精細度)は、100ppi以上が好ましく、300ppi以上が好ましく、500ppi以上がより好ましく、1000ppi以上がより好ましく、2000ppi以上がより好ましく、3000ppi以上がより好ましく、5000ppi以上がより好ましく、7000ppi以上がさらに好ましい。このように高い解像度及び高い精細度の一方又は双方を有する発光装置を用いることで、携帯型又は家庭用途等のパーソナルユースの電子機器において、臨場感及び奥行き感等をより高めることが可能となる。また、本発明の一態様の発光装置の画面比率(アスペクト比)については、特に限定はない。例えば、発光装置は、1:1(正方形)、4:3、16:9、及び16:10等様々な画面比率に対応できる。
本実施の形態の電子機器は、センサ(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むもの)を有していてもよい。
本実施の形態の電子機器は、様々な機能を有することができる。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像等)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付又は時刻等を表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)を実行する機能、無線通信機能、記録媒体に記録されているプログラム又はデータを読み出す機能等を有することができる。
図20(A)乃至図20(D)を用いて、頭部に装着可能なウェアラブル機器の一例を説明する。これらウェアラブル機器は、ARのコンテンツを表示する機能、VRのコンテンツを表示する機能、SRのコンテンツを表示する機能、MRのコンテンツを表示する機能のうち少なくとも一つを有する。電子機器が、AR、VR、SR、及びMR等の少なくとも一つのコンテンツを表示する機能を有することで、使用者の没入感を高めることが可能となる。
図20(A)に示す電子機器700A、及び、図20(B)に示す電子機器700Bは、それぞれ、一対の表示パネル751と、一対の筐体721と、通信部(図示しない)と、一対の装着部723と、制御部(図示しない)と、撮像部(図示しない)と、一対の光学部材753と、フレーム757と、一対の鼻パッド758と、を有する。
表示パネル751には、本発明の一態様の発光装置を適用できる。したがって信頼性が高い電子機器とすることができる。
電子機器700A、及び、電子機器700Bは、それぞれ、光学部材753の表示領域756に、表示パネル751で表示した画像を投影できる。光学部材753は透光性を有するため、使用者は光学部材753を通して視認される透過像に重ねて、表示領域に表示された画像を見ることができる。したがって、電子機器700A、及び、電子機器700Bは、それぞれ、AR表示が可能な電子機器である。
電子機器700A、及び、電子機器700Bには、撮像部として、前方を撮像することのできるカメラが設けられていてもよい。また、電子機器700A、及び、電子機器700Bは、それぞれ、ジャイロセンサ等の加速度センサを備えることで、使用者の頭部の向きを検知して、その向きに応じた画像を表示領域756に表示することもできる。
通信部は無線通信機を有し、当該無線通信機により例えば映像信号を供給できる。なお、無線通信機に代えて、又は無線通信機に加えて、映像信号及び電源電位が供給されるケーブルを接続可能なコネクタを備えていてもよい。
また、電子機器700A、及び、電子機器700Bには、バッテリが設けられており、無線及び有線の一方又は双方によって充電できる。
筐体721には、タッチセンサモジュールが設けられていてもよい。タッチセンサモジュールは、筐体721の外側の面がタッチされることを検出する機能を有する。タッチセンサモジュールにより、使用者のタップ操作又はスライド操作等を検出し、様々な処理を実行できる。例えば、タップ操作によって動画の一時停止又は再開等の処理を実行することが可能となり、スライド操作により、早送り又は早戻しの処理を実行すること等が可能となる。また、2つの筐体721のそれぞれにタッチセンサモジュールを設けることで、操作の幅を広げることができる。
タッチセンサモジュールとしては、様々なタッチセンサを適用できる。例えば、静電容量方式、抵抗膜方式、赤外線方式、電磁誘導方式、表面弾性波方式、又は光学方式等、種々の方式を採用できる。特に、静電容量方式又は光学方式のセンサを、タッチセンサモジュールに適用することが好ましい。
光学方式のタッチセンサを用いる場合には、受光素子として、光電変換デバイス(光電変換素子ともいう)を用いることができる。光電変換デバイスの活性層には、無機半導体及び有機半導体の一方又は双方を用いることができる。
図20(C)に示す電子機器800A、及び、図20(D)に示す電子機器800Bは、それぞれ、一対の表示部820と、筐体821と、通信部822と、一対の装着部823と、制御部824と、一対の撮像部825と、一対のレンズ832と、を有する。
表示部820には、本発明の一態様の発光装置を適用できる。したがって信頼性が高い電子機器とすることができる。
表示部820は、筐体821の内部の、レンズ832を通して視認できる位置に設けられる。また、一対の表示部820に異なる画像を表示させることで、視差を用いた3次元表示を行うこともできる。
電子機器800A、及び、電子機器800Bは、それぞれ、VR向けの電子機器ということができる。電子機器800A又は電子機器800Bを装着した使用者は、レンズ832を通して、表示部820に表示される画像を視認できる。
電子機器800A、及び、電子機器800Bは、それぞれ、レンズ832及び表示部820が、使用者の目の位置に応じて最適な位置となるように、これらの左右の位置を調整可能な機構を有していることが好ましい。また、レンズ832と表示部820との距離を変えることで、ピントを調整する機構を有していることが好ましい。
装着部823により、使用者は電子機器800A又は電子機器800Bを頭部に装着できる。なお、例えば図20(C)においては、メガネのつる(ジョイント、又はテンプル等ともいう)のような形状として例示しているがこれに限定されない。装着部823は、使用者が装着できればよく、例えば、ヘルメット型又はバンド型の形状としてもよい。
撮像部825は、外部の情報を取得する機能を有する。撮像部825が取得したデータは、表示部820に出力できる。撮像部825には、イメージセンサを用いることができる。また、望遠、及び広角等の複数の画角に対応可能なように複数のカメラを設けてもよい。
なお、ここでは撮像部825を有する例を示したが、対象物の距離を測定することのできる測距センサ(以下、検知部ともよぶ)を設ければよい。すなわち、撮像部825は、検知部の一態様である。検知部としては、例えばイメージセンサ、又は、ライダー(LIDAR:Light Detection and Ranging)等の距離画像センサを用いることができる。カメラによって得られた画像と、距離画像センサによって得られた画像とを用いることにより、より多くの情報を取得し、より高精度なジェスチャー操作を可能とすることができる。
電子機器800Aは、骨伝導イヤフォンとして機能する振動機構を有していてもよい。例えば、表示部820、筐体821、及び装着部823のいずれか一又は複数に、当該振動機構を有する構成を適用できる。これにより、別途、ヘッドフォン、イヤフォン、又はスピーカ等の音響機器を必要とせず、電子機器800Aを装着しただけで映像と音声を楽しむことができる。
電子機器800A、及び、電子機器800Bは、それぞれ、入力端子を有していてもよい。入力端子には映像出力機器等からの映像信号、及び、電子機器内に設けられるバッテリを充電するための電力等を供給するケーブルを接続できる。
本発明の一態様の電子機器は、イヤフォン750と無線通信を行う機能を有していてもよい。イヤフォン750は、通信部(図示しない)を有し、無線通信機能を有する。イヤフォン750は、無線通信機能により、電子機器から情報(例えば音声データ)を受信できる。例えば、図20(A)に示す電子機器700Aは、無線通信機能によって、イヤフォン750に情報を送信する機能を有する。また、例えば、図20(C)に示す電子機器800Aは、無線通信機能によって、イヤフォン750に情報を送信する機能を有する。
また、電子機器がイヤフォン部を有していてもよい。図20(B)に示す電子機器700Bは、イヤフォン部727を有する。例えば、イヤフォン部727と制御部とは、互いに有線接続されている構成とすることができる。イヤフォン部727と制御部とをつなぐ配線の一部は、筐体721又は装着部723の内部に配置されていてもよい。
同様に、図20(D)に示す電子機器800Bは、イヤフォン部827を有する。例えば、イヤフォン部827と制御部824とは、互いに有線接続されている構成とすることができる。イヤフォン部827と制御部824とをつなぐ配線の一部は、筐体821又は装着部823の内部に配置されていてもよい。また、イヤフォン部827と装着部823とがマグネットを有していてもよい。これにより、イヤフォン部827を装着部823に磁力によって固定でき、収納が容易となり好ましい。
なお、電子機器は、イヤフォン又はヘッドフォン等を接続できる音声出力端子を有していてもよい。また、電子機器は、音声入力端子及び音声入力機構の一方又は双方を有していてもよい。音声入力機構としては、例えば、マイク等の集音装置を用いることができる。電子機器が音声入力機構を有することで、電子機器に、いわゆるヘッドセットとしての機能を付与してもよい。
このように、本発明の一態様の電子機器としては、メガネ型(電子機器700A、及び、電子機器700B等)と、ゴーグル型(電子機器800A、及び、電子機器800B等)と、のどちらも好適である。
また、本発明の一態様の電子機器は、有線又は無線によって、イヤフォンに情報を送信できる。
図21(A)に示す電子機器6500は、スマートフォンとして用いることのできる携帯情報端末機である。
電子機器6500は、筐体6501、表示部6502、電源ボタン6503、ボタン6504、スピーカ6505、マイク6506、カメラ6507、及び光源6508等を有する。表示部6502はタッチパネル機能を備える。
表示部6502に、本発明の一態様の発光装置を適用できる。したがって信頼性が高い電子機器とすることができる。
図21(B)は、筐体6501のマイク6506側の端部を含む断面概略図である。
筐体6501の表示面側には透光性を有する保護部材6510が設けられ、筐体6501と保護部材6510に囲まれた空間内に、表示パネル6511、光学部材6512、タッチセンサパネル6513、プリント基板6517、及びバッテリ6518等が配置されている。
保護部材6510には、表示パネル6511、光学部材6512、及びタッチセンサパネル6513が接着層(図示しない)により固定されている。
表示部6502よりも外側の領域において、表示パネル6511の一部が折り返されており、当該折り返された部分にFPC6515が接続されている。FPC6515には、IC6516が実装されている。FPC6515は、プリント基板6517に設けられた端子に接続されている。
表示パネル6511には本発明の一態様の発光装置を適用できる。このため、極めて軽量な電子機器を実現できる。また、表示パネル6511が極めて薄いため、電子機器の厚さを抑えつつ、大容量のバッテリ6518を搭載することもできる。また、表示パネル6511の一部を折り返して、画素部の裏側にFPC6515との接続部を配置することにより、狭額縁の電子機器を実現できる。
図21(C)にテレビジョン装置の一例を示す。テレビジョン装置7100は、筐体7171に表示部7000が組み込まれている。ここでは、スタンド7173により筐体7171を支持した構成を示している。
表示部7000に、本発明の一態様の発光装置を適用できる。したがって信頼性が高い電子機器とすることができる。
図21(C)に示すテレビジョン装置7100の操作は、筐体7171が備える操作スイッチ、及び、別体のリモコン操作機7151により行うことができる。又は、表示部7000にタッチセンサを備えていてもよく、指等で表示部7000に触れることでテレビジョン装置7100を操作してもよい。リモコン操作機7151は、当該リモコン操作機7151から出力する情報を表示する表示部を有していてもよい。リモコン操作機7151が備える操作キー又はタッチパネルにより、チャンネル及び音量の操作を行うことができ、表示部7000に表示される映像を操作できる。
なお、テレビジョン装置7100は、受信機及びモデム等を備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができる。また、モデムを介して有線又は無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)又は双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者同士等)の情報通信を行うことも可能である。
図21(D)に、ノート型パーソナルコンピュータの一例を示す。ノート型パーソナルコンピュータ7200は、筐体7211、キーボード7212、ポインティングデバイス7213、及び外部接続ポート7214等を有する。筐体7211に、表示部7000が組み込まれている。
表示部7000に、本発明の一態様の発光装置を適用できる。したがって信頼性が高い電子機器とすることができる。
図21(E)及び図21(F)に、デジタルサイネージの一例を示す。
図21(E)に示すデジタルサイネージ7300は、筐体7301、表示部7000、及びスピーカ7303等を有する。さらに、LEDランプ、操作キー(電源スイッチ、又は操作スイッチを含む)、接続端子、各種センサ、マイクロフォン等を有することができる。
図21(F)は円柱状の柱7401に取り付けられたデジタルサイネージ7400である。デジタルサイネージ7400は、柱7401の曲面に沿って設けられた表示部7000を有する。
図21(E)及び図21(F)において、表示部7000に、本発明の一態様の発光装置を適用できる。したがって信頼性が高い電子機器とすることができる。
表示部7000が広いほど、一度に提供できる情報量を増やすことができる。また、表示部7000が広いほど、人の目につきやすく、例えば、広告の宣伝効果を高めることができる。
表示部7000にタッチパネルを適用することで、表示部7000に画像又は動画を表示するだけでなく、使用者が直感的に操作でき、好ましい。また、路線情報もしくは交通情報等の情報を提供するための用途に用いる場合には、直感的な操作によりユーザビリティを高めることができる。
また、図21(E)及び図21(F)に示すように、デジタルサイネージ7300又はデジタルサイネージ7400は、使用者が所持するスマートフォン等の情報端末機7311又は情報端末機7411と無線通信により連携可能であることが好ましい。例えば、表示部7000に表示される広告の情報を、情報端末機7311又は情報端末機7411の画面に表示させることができる。また、情報端末機7311又は情報端末機7411を操作することで、表示部7000の表示を切り替えることができる。
また、デジタルサイネージ7300又はデジタルサイネージ7400に、情報端末機7311又は情報端末機7411の画面を操作手段(コントローラ)としたゲームを実行させることもできる。これにより、不特定多数の使用者が同時にゲームに参加し、楽しむことができる。
図22(A)乃至図22(G)に示す電子機器は、筐体9000、表示部9001、スピーカ9003、操作キー9005(電源スイッチ、又は操作スイッチを含む)、接続端子9006、センサ9007(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン9008、等を有する。
図22(A)乃至図22(G)に示す電子機器は、様々な機能を有する。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像等)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付又は時刻等を表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、無線通信機能、記録媒体に記録されているプログラム又はデータを読み出して処理する機能、等を有することができる。なお、電子機器の機能はこれらに限られず、様々な機能を有することができる。電子機器は、複数の表示部を有していてもよい。また、電子機器にカメラ等を設け、静止画又は動画を撮影し、記録媒体(外部又はカメラに内蔵)に保存する機能、撮影した画像を表示部に表示する機能、等を有していてもよい。
図22(A)乃至図22(G)に示す電子機器の詳細について、以下説明を行う。
図22(A)は、携帯情報端末9171を示す斜視図である。携帯情報端末9171は、例えばスマートフォンとして用いることができる。なお、携帯情報端末9171は、スピーカ9003、接続端子9006、又はセンサ9007等を設けてもよい。また、携帯情報端末9171は、文字及び画像情報をその複数の面に表示できる。図22(A)では3つのアイコン9050を表示した例を示している。また、破線の矩形で示す情報9051を表示部9001の他の面に表示することもできる。情報9051の一例としては、電子メール、SNS、電話等の着信の通知、電子メール又はSNS等の題名、送信者名、日時、時刻、バッテリの残量、電波強度等がある。又は、情報9051が表示されている位置にはアイコン9050等を表示してもよい。
図22(B)は、携帯情報端末9172を示す斜視図である。携帯情報端末9172は、表示部9001の3面以上に情報を表示する機能を有する。ここでは、情報9052、情報9053、情報9054がそれぞれ異なる面に表示されている例を示す。例えば使用者は、洋服の胸ポケットに携帯情報端末9172を収納した状態で、携帯情報端末9172の上方から観察できる位置に表示された情報9053を確認することもできる。使用者は、携帯情報端末9172をポケットから取り出すことなく表示を確認し、例えば電話を受けるか否かを判断できる。
図22(C)は、タブレット端末9173を示す斜視図である。タブレット端末9173は、一例として、移動電話、電子メール、文章閲覧及び作成、音楽再生、インターネット通信、コンピュータゲーム等の種々のアプリケーションの実行が可能である。タブレット端末9173は、筐体9000の正面に表示部9001、カメラ9002、マイクロフォン9008、スピーカ9003を有し、筐体9000の左側面には操作用のボタンとしての操作キー9005、底面には接続端子9006を有する。
図22(D)は、腕時計型の携帯情報端末9200を示す斜視図である。携帯情報端末9200は、例えばスマートウォッチ(登録商標)として用いることができる。また、表示部9001はその表示面が湾曲して設けられ、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる。また、携帯情報端末9200は、例えば無線通信可能なヘッドセットと相互通信することによって、ハンズフリーで通話することもできる。また、携帯情報端末9200は、接続端子9006により、他の情報端末と相互にデータ伝送を行うこと、及び、充電を行うこともできる。なお、充電動作は無線給電により行ってもよい。
図22(E)乃至図22(G)は、折り畳み可能な携帯情報端末9201を示す斜視図である。また、図22(E)は携帯情報端末9201を展開した状態、図22(G)は折り畳んだ状態、図22(F)は図22(E)と図22(G)の一方から他方に変化する途中の状態の斜視図である。携帯情報端末9201は、折り畳んだ状態では可搬性に優れ、展開した状態では継ぎ目のない広い表示領域により表示の一覧性に優れる。携帯情報端末9201が有する表示部9001は、ヒンジ9055によって連結された3つの筐体9000に支持されている。例えば、表示部9001は、曲率半径0.1mm以上150mm以下で曲げることができる。
本実施の形態は、他の実施の形態、又は実施例と適宜組み合わせることができる。また、本明細書において、1つの実施の形態の中に、複数の構成例が示される場合は、構成例を適宜組み合わせることが可能である。
((合成例1))
本実施例では、本発明の一態様の有機金属錯体の物性および合成方法について説明する。具体的には、実施の形態1において構造式(100)で示す、(2-{3-[3-(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)ベンゾイミダゾール-1-イル-2-イリデン-κC2]フェノキシ-κC2}-9-[5-(メチル-d3)-4-フェニル-2-ピリジニル-κN]カルバゾール-2,1-ジイル-κC)白金(II)(略称:Pt(mmtBubOcz5m4ppy-d3))の合成方法について説明する。なお、Pt(mmtBubOcz5m4ppy-d3)の構造を以下に示す。
<ステップ1:4-フェニル-2-フルオロ-5-ピコリンの合成>
1L三口フラスコに4-ヨード-2-フルオロ-5-ピコリン25g(110mmol)、フェニルボロン酸20g(110mmol)、炭酸カリウム(略称:KCO)44g(317mmol)、1,4-ジオキサン420mL、水110mLを加えた。この混合物を減圧下において脱気し、フラスコ内を窒素置換したのち、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(略称:Pd(PPh)6.5g(5.6mmol)を加えた。この混合物を85℃の加熱条件下、15時間攪拌した。反応後、反応混合物を減圧濃縮し、ジクロロメタンによる抽出を行った。その後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって単離精製した。展開溶媒としてヘキサン:ジクロロメタン=6:4の混合溶媒を用いた。得られたフラクションを減圧濃縮し、目的物の黄色オイルを16g、収率83%で得た。4-フェニル-2-フルオロ-5-ピコリンの合成スキームを下記(a-1)に示す。
<ステップ2:9-(5-メチル-4-フェニルピリジン-2-イル)-2-ブロモカルバゾールの合成>
500mL三口フラスコに4-フェニル-2-フルオロ-5-ピコリン15g(80mmol)、2-ブロモカルバゾール16g(66mmol)、炭酸セシウム43g(133mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド(略称:DMF)150mLを加えた。この混合物を減圧下において脱気し、フラスコ内を窒素置換したのち、120℃の加熱条件下、24時間攪拌した。反応後、トルエンを用いて吸引ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって単離精製した。展開溶媒としてヘキサン:トルエン=5:1の混合溶媒を用いた。得られたフラクションを減圧濃縮し、目的物の黄色オイルを11g、収率40%で得た。9-(5-メチル-4-フェニルピリジン-2-イル)-2-ブロモカルバゾールの合成スキームを下記(a-2)に示す。
<ステップ3:9-[5-(メチル-d3)-4-フェニルピリジン-2-イル]-2-ブロモカルバゾールの合成>
100mL三口フラスコに9-(5-メチル-4-フェニルピリジン-2-イル)-2-ブロモカルバゾール7.0g(17mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド97mg(10mmol)を加え、その後にジメチルスルホキシド-d6(略称:DMSO-d)を24mL(340mmol)加えた。この混合物を減圧下において脱気し、フラスコ内を窒素置換し、室温で2時間30分攪拌した。反応後、得られた反応混合物をトルエンによる抽出を行った。その後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって単離精製した。展開溶媒としてヘキサン:トルエン=9:1の混合溶媒を用い、徐々にトルエンの比率を増やしていき、最終的にはヘキサン:トルエン=1:1の混合溶媒を展開溶媒として用いた。得られたフラクションを減圧濃縮し、黄色オイルを5.8g、収率82%で得た。9-[5-(メチル-d3)-4-フェニルピリジン-2-イル]-2-ブロモカルバゾールの合成スキームを下記(a-3)に示す。
<ステップ4:9-[5-(メチル-d3)-4-フェニルピリジン-2-イル]-2-ヒドロキシカルバゾールの合成>
200mLナスフラスコに、9-[5-(メチル-d3)-4-フェニルピリジン-2-イル]-2-ブロモカルバゾール5.8g(14mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド2.8g(29mmol)、ジメチルスルホキシド(略称:DMSO)56mL、水14mLを加えた。この混合物を減圧下において脱気し、フラスコ内を窒素置換したのち、塩化銅(I)69mg(0.69mmol)およびN1,N2-ビス(4-ヒドロキシ-2,6-ジメチルフェニル)オキサラミド0.23g(0.69mmol)を加えた。この混合物を110℃の加熱条件下、3時間攪拌した。反応後、反応溶液を2L三角フラスコに移し、水1.5Lを加えた。析出した固体を吸引ろ過によって回収し、黄白色固体を得た。得られた化合物をトルエンにて再結晶することにより、目的物の黄白色固体を3.8g、収率77%で得た。9-[5-(メチル-d3)-4-フェニルピリジン-2-イル]-2-ヒドロキシカルバゾールの合成スキームを下記(a-4)に示す。
<ステップ5:2-[3-(ベンゾイミダゾール-1-イル)フェノキシ]-9-[5-(メチル-d3)-4-フェニルピリジン-2-イル]カルバゾールの合成>
200mL三口フラスコに9-[5-(メチル-d3)-4-フェニルピリジン-2-イル]-2-ヒドロキシカルバゾール3.8g(11mmol)、1-(3-ブロモフェニル)ベンゾイミダゾール4.4g(16mmol)、リン酸三カリウム4.6g(22mmol)、ジメチルスルホキシド(略称:DMSO)110mLを加えた。この混合物を減圧下において脱気し、フラスコ内を窒素置換したのち、ヨウ化銅210mg(1.1mmol)およびピコリン酸130mg(1.1mmol)を加えた。この混合物を160℃の加熱条件下、6時間攪拌した。反応後、反応混合物を酢酸エチルによる抽出を行った。その後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製した。展開溶媒としてトルエン:酢酸エチル=10:1の混合溶媒を用いた。得られたフラクションを減圧濃縮した。その後、クロロホルムを展開溶媒とする高速液体クロマトグラフィーにより単離精製し、目的物の褐色固体5.1g、収率87%で得た。2-[3-(ベンゾイミダゾール-1-イル)フェノキシ]-9-[5-(メチル-d3)-4-フェニルピリジン-2-イル]カルバゾールの合成スキームを下記(a-5)に示す。
<ステップ6:1-(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)-3-[3-({9-[5-(メチル-d3)-4-フェニルピリジン-2-イル]カルバゾール-2-イル}オキシ)フェニル]ベンゾイミダゾリウム-1,1,1-トリフルオロメタンスルホン酸の合成>
200mL三口フラスコに2-[3-(ベンゾイミダゾール-1-イル)フェノキシ]-9-[5-(メチル-d3)-4-フェニルピリジン-2-イル]カルバゾール5.1g(9.3mmol)、(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)(メシチル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホン酸8.2g(14mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド(略称:DMF)47mLを加えた。この混合物を減圧下において脱気し、フラスコ内を窒素置換したのち、酢酸銅(II)254mg(1.4mmol)を加えた。この混合物を100℃で8時間攪拌した。反応後、溶媒を留去し、得られた残渣を、ジクロロメタン:アセトン=9:1を展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的物の褐色オイル3.4g、収率41%で得た。1-(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)-3-[3-({9-[5-(メチル-d3)-4-フェニルピリジン-2-イル]カルバゾール-2-イル}オキシ)フェニル]ベンゾイミダゾリウム-1,1,1-トリフルオロメタンスルホン酸の合成スキームを下記(a-6)に示す。
<ステップ7:Pt(mmtBubOcz5m4ppy-d3)の合成>
200mL三口フラスコに1-(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)-3-[3-({9-[5-(メチル-d3)-4-フェニルピリジン-2-イル]カルバゾール-2-イル}オキシ)フェニル]ベンゾイミダゾリウム-1,1,1-トリフルオロメタンスルホン酸3.4g(3.8mmol)、酢酸ナトリウム950mg(12mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド150mLを加えた。この混合物を減圧下において脱気し、フラスコ内を窒素置換したのち、ジクロロ(1,5-シクロオクタジエン)白金(II)(略称:Pt(COD)Cl)1.4g(3.8mmol)を加えた。この混合物を160℃で4時間加熱することで反応させた。反応溶液をジクロロメタンによる抽出を行った。その後、ヘキサン:トルエン=1:9を展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、トルエン:エタノールの混合溶媒を用いた再結晶によって、目的物の黄色固体400mg、収率11%で得た。構造式(100)で表されるPt(mmtBubOcz5m4ppy-d3)の合成スキームを下記(a-7)に示す。
得られた黄色固体400mgをトレインサブリメーション法によって、アルゴン流量5mL/min、圧力3.0Pa、加熱温度290℃の条件下で、18時間加熱し、昇華精製を行った。その結果、黄色固体を250g、回収率63%で得た。
<有機金属錯体の特性>
上記ステップ7で得られた淡黄色固体の核磁気共鳴分光法(H-NMR)による分析結果を下記に示す。また、H-NMRチャートを図23に示す。この結果から、本合成例において、上述の構造式(100)で表される本発明の一態様である有機金属錯体Pt(mmtBubOcz5m4ppy-d3)が得られたことを確認した。
H NMR(CDCl,300MHz):δ=8.89(s,1H),8.28(d,1H),8.07-8.04(m,1H),7.86-7.78(m,5H),7.72(d,1H),7.56-7.50(m,3H),7.45-7.31(m,8H),7.18-7.12(m,3H),1.49(brs,9H),1.16(brs,9H).
<発光スペクトルおよび吸収スペクトル測定>
次に、Pt(mmtBubOcz5m4ppy-d3)のジクロロメタン溶液の紫外可視吸収スペクトル(以下、単に「吸収スペクトル」という)及び発光スペクトルを測定した。吸収スペクトルの測定には、紫外可視分光光度計((株)日本分光製 V770型)を用いた。また、発光スペクトルの測定には、分光蛍光光度計((株)日本分光製 FP-8600)を用いた。得られたジクロロメタン溶液の吸収スペクトルおよび発光スペクトルの測定結果を図24に示す。横軸は波長、縦軸は吸収強度および発光強度を表す。
図24の結果より、Pt(mmtBubOcz5m4ppy-d3)のジクロロメタン溶液では、422nm、371nm、314nm、259nm付近に吸収ピークが見られ、494nm、467nm付近に発光ピークが見られた。
<熱重量測定結果>
Pt(mmtBubOcz5m4ppy-d3)の熱重量測定-示差熱分析(Thermogravimetry-Differential Thermal Analysis:TG-DTA)を行った。その結果を図25に示す。なお、測定には高真空差動型示差熱天秤(ブルカー・エイエックスエス株式会社製、TG-DTA2410SA)を用いた。
なお、測定は2条件下で行った。第1の条件は、昇温速度10℃/min、窒素気流下(流速200mL/min)、圧力条件は大気圧と同等とした。一方、第2の条件は、昇温速度10℃/min、窒素気流下(流速2.5mL/min)、圧力条件は10Paとした。
図25より、熱重量測定-示差熱分析においてPt(mmtBubOcz5m4ppy-d3)は、大気圧下において、熱重量測定から求めた重量が測定開始時の-5%となる温度(分解温度)が473℃であることがわかった。一方、測定装置を10Paに制御した場合において、熱重量測定から求めた重量が測定開始時の-5%となる温度(昇華温度)が305℃であることがわかった。従って、昇華温度と分解温度との差が168℃であった。
つまり、Pt(mmtBubOcz5m4ppy-d3)は、高い耐熱性を有する物質であることが示された。また、昇華温度と分解温度の差が100℃以上であるため、発光デバイスに用いる場合、生産工程において、安定した蒸着工程が可能となる。従って、Pt(mmtBubOcz5m4ppy-d3)を用いることで、歩留まり良く、生産性が高い発光デバイスを提供することができる。
本実施例では、本発明の一態様である、フェニル基および重水素を含むアルキル基を有する有機金属錯体、(2-{3-[3-(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)ベンゾイミダゾール-1-イル-2-イリデン-κC2]フェノキシ-κC2}-9-[5-(メチル-d3)-4-フェニル-2-ピリジニル-κN]カルバゾール-2,1-ジイル-κC)白金(II)(略称:Pt(mmtBubOcz5m4ppy-d3))(100)を用いた発光デバイス2Aと、比較用の有機金属錯体、PtON-TBBIを用いた比較用の発光デバイス2Bを作製した。
発光デバイス2A、および比較用の発光デバイス2Bに用いた有機化合物の構造式を以下に示す。
なお、各発光デバイスは、図26に示すように、ガラス基板900上に形成された第1の電極901上に、正孔注入層911、正孔輸送層912、発光層913、電子輸送層914および電子注入層915が順次積層され、電子注入層915上に第2の電極902が積層された構造を有する。
<発光デバイス2Aの作製方法>
ガラス基板900上に透明電極として、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)をスパッタリング法により70nmの膜厚で成膜して第1の電極901を形成した。なお、電極面積は4mm(2mm×2mm)とした。
次に、基板上に発光デバイスを形成するための前処理として、基板表面を水で洗浄し、200℃で1時間焼成した。その後、1×10-4Pa程度まで内部が減圧された真空蒸着装置に基板を導入し、真空蒸着装置内の加熱室において、170℃で30分間の真空焼成を行った。その後、自然冷却させた。
次に、第1の電極901が形成された面が下方となるように、第1の電極901が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定し、第1の電極901上に、N,N-ビス(4-ビフェニル)-6-フェニルベンゾ[b]ナフト[1,2-d]フラン-8-アミン(略称:BBABnf)と、分子量672でフッ素を含む電子アクセプタ材料(OCHD-003)と、をBBABnf:OCHD-003=1:0.1(重量比)となるように10nm共蒸着し、正孔注入層911を形成した。
次に、正孔注入層911上に、BBABnfを膜厚30nmとなるように蒸着し、続いて、9-[3-(トリフェニルシリル)フェニル]-3,9’-ビ-9H-カルバゾール(略称:PSiCzCz)を膜厚5nmとなるように蒸着して、正孔輸送層912を形成した。
次に、正孔輸送層912上に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、9,9’-{6-[3-(トリフェニルシリル)フェニル]-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル}ビス(9H-カルバゾール)(略称:SiTrzCz2)と、PSiCzCzと、Pt(mmtBubOcz5m4ppy-d3)と、をSiTrzCz2:PSiCzCz:Pt(mmtBubOcz5m4ppy-d3)=0.435:0.435:0.13(重量比)で、膜厚35nmになるよう共蒸着し、発光層913を形成した。なお、SiTrzCz2とPSiCzCzは励起錯体を形成する組み合わせである。
次に、発光層913上に、2-フェニル-4,6-ビス[3-(トリフェニルシリル)フェニル]-1,3,5-トリアジン(略称:mSiTrz)を膜厚5nmになるよう蒸着し、続いて、mSiTrzと8-キノリノラト-リチウム(略称:Liq)とを1:1(重量比)で膜厚20nmになるよう共蒸着して、電子輸送層914を形成した。
次に、電子輸送層914上に、フッ化リチウム(LiF)を膜厚1nmとなるように蒸着して、電子注入層915を形成した。
次に、電子注入層915上に、アルミニウム(Al)を膜厚200nmになるよう蒸着し、第2の電極902を形成した。
<比較用の発光デバイス2Bの作製方法>
続いて、比較用の発光デバイス2Bの作製方法を説明する。
発光デバイス2Bは、発光層913の構成が発光デバイス2Aと異なる。つまり、発光デバイス2Bは、抵抗加熱を用いた蒸着法により、SiTrzCz2と、PSiCzCzと、PtON-TBBIと、をSiTrzCz2:PSiCzCz:PtON-TBBI=0.435:0.435:0.13(重量比)で、膜厚35nmになるよう共蒸着し、発光層913を形成した。
なお、他の構成は発光デバイス2Aと同様にして作製した。
上記発光デバイス2A、および発光デバイス2Bの素子構造を以下の表にまとめる。なお、表中のXはPt(mmtBubOcz5m4ppy-d3)またはPtON-TBBIを表す。
<発光デバイス特性>
上記発光デバイスを、窒素雰囲気のグローブボックス内において、発光デバイスが大気に曝されないようにガラス基板により封止する作業(シール材を素子の周囲に塗布し、封止時にUV処理、80℃にて1時間熱処理)を行った後、発光デバイスの特性について測定を行った。
発光デバイスの輝度-電流密度特性を図27に、輝度-電圧特性を図28に、電流効率-電流密度特性を図29に、電流密度-電圧特性を図30に、電力効率-電流密度特性を図31に、外部量子効率-電流密度特性を図32に、発光スペクトルを図33に示す。
また、発光デバイスの電流密度10mA/cmにおける主要な特性を下表に示す。なお、輝度、CIE色度、発光スペクトルの測定には分光放射計(トプコン社製、SR-UL1R)を用いた。また、外部量子効率は、分光放射計を用いて測定した輝度と発光スペクトルを用い、配光特性がランバーシアン型であると仮定し算出した。
図27乃至図33より、発光デバイス2Aは、高効率で駆動する発光デバイスであることが分かった。従って、発光デバイス2Aは、フェニル基、および重水素を含むアルキル基を有する白金(Pt)の有機金属錯体を発光デバイスに用いることで、高効率の発光デバイスを提供することができることが確認できた。
ここで、Pt(mmtBubOcz5m4ppy-d3)のHOMO準位及びLUMO準位をサイクリックボルタンメトリ(CV)測定で算出した。測定には電気化学アナライザー(ビー・エー・エス(株)製、型番:ALSモデル600Aまたは600C)を用いた。測定におけるPt(mmtBubOcz5m4ppy-d3)溶液は、溶媒として脱水ジメチルホルムアミド(DMF)を用いた。測定では、参照電極に対する作用電極の電位を適切な範囲で変化させて各々酸化ピーク電位、及び還元ピーク電位を得た。また、作用電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、PTE白金電極)を、補助電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、VC-3用Ptカウンター電極(5cm))を、参照電極としてはAg/Ag+電極(ビー・エー・エス(株)製、RE7非水溶媒系参照電極)をそれぞれ用いた。また、参照電極のレドックスポテンシャルが-4.94eVであることが見積もられているため、この数値と得られたピーク電位から、化合物のHOMO準位及びLUMO準位を算出した。その結果、Pt(mmtBubOcz5m4ppy-d3)のHOMO準位は-5.5eVであり、LUMO準位は-2.58eVであった。このことから、Pt(mmtBubOcz5m4ppy-d3)は深いHOMO準位を有することが分かった。
また、SiTrzCz2のLUMO準位、及びPSiCzCzのHOMO準位をサイクリックボルタンメトリ(CV)測定で算出した。その結果、SiTrzCz2のLUMO準位は-2.98eVであり、PSiCzCzのHOMO準位は-5.7eVであった。また、Pt(mmtBubOcz5m4ppy-d3)のHOMO準位と、ホストであるSiTrzCz2のLUMO準位と、の差は2.52eVであった。
以上より、発光デバイス2Aは、白金(Pt)の有機金属錯体とホストとのエキサイプレックス形成が抑制される、良好な特性を示す発光デバイスであることが分かった。
<信頼性試験結果>
発光デバイス2A、および発光デバイス2Bについて、信頼性試験を行った。図34では、発光開始した時点での輝度を100%として、定電流密度(10mA/cm)で駆動させた場合の輝度(%)の経時変化を示す。
また、図34より、本発明の一態様を用いて作製した各発光デバイスにおける測定輝度が初期輝度の90%に低下するまでの経過時間であるLT90(h)は、発光デバイス2Aは51時間、発光デバイス2Bは44時間であった。従って、発光デバイス2Aは、発光デバイス2Bよりも、信頼性が高い発光デバイスであることが分かった。
従って、本発明の一態様を用いることで、信頼性が高い発光デバイスを作製することが可能であることが分かった。
((合成例2))
本合成例では、下記構造式(115)で表される本発明の有機金属錯体、(2-{3-[3-(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)ベンゾイミダゾール-1-イル-2-イリデン-κC2]フェノキシ-κC2}-9-[3,5-ジ(メチル-d3)-4-フェニル-2-ピリジニル-κN]カルバゾール-2,1-ジイル-κC)白金(II)(略称:Pt(mmtBubOcz35dm4ppy-d6))の合成例を具体的に例示する。
<ステップ1:2-フルオロ-3,5-ジメチル-4-フェニルピリジンの合成>
まず、2-フルオロ-4-ヨード-3,5-ジメチルピリジン4.9g、フェニルボロン酸2.7g、炭酸カリウム8.3g、1,4-ジオキサン80mL、水20mLを、還流管を付けた三口フラスコに入れ、内部を窒素置換した。フラスコ内を減圧下で撹拌することで脱気した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(略称:Pd(PPh)1.4gを加え、85℃で23時間撹拌することで反応させた。
所定時間経過後、トルエンによる抽出を行った。得られた残渣を、トルエンを展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的物を得た(淡黄色固体、収量3.6g、収率90%)。ステップ1の合成スキームを下記(c-1)に示す。
<ステップ2:2-ブロモ-9-(3,5-ジメチル-4-フェニルピリジン-2-イル)カルバゾールの合成>
次に、上記ステップ1で得た2-フルオロ-3,5-ジメチル-4-フェニルピリジン3.6g、2-ブロモカルバゾール4.6g、炭酸セシウム12g、N-メチル-2-ピロリドン(略称:NMP)40mLを、還流管を付けた三口フラスコに入れ、内部を窒素置換した。その後、120℃で18時間半撹拌することで反応させた。
所定時間経過後、トルエンによる抽出を行った。得られた残渣を、ヘキサン:トルエン=1:5を展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的物を得た(無色オイル、収量6.9g、収率90%)。ステップ2の合成スキームを下記(c-2)に示す。
<ステップ3:2-ブロモ-9-[3,5-ジ(メチル-d3)-4-フェニルピリジン-2-イル]カルバゾールの合成>
次に、上記ステップ2で得た2-ブロモ-9-(3,5-ジメチル-4-フェニルピリジン-2-イル)カルバゾール6.9g、ジメチルスルホキシド-d6(略称:DMSO-d6)23mL、ナトリウムtert-ブトキシド0.93gを、ナスフラスコに入れ、内部を窒素置換した。その後、室温で16時間撹拌することで反応させた。
所定時間経過後、トルエンによる抽出を行った。得られた残渣を、ヘキサン:トルエン=1:5を展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的物を得た(白色固体、収量5.8g、収率83%)。ステップ3の合成スキームを下記(c-3)に示す。
<ステップ4:2-ヒドロキシ-9-[3,5-ジ(メチル-d3)-4-フェニルピリジン-2-イル]カルバゾールの合成>
次に、上記ステップ3で得た2-ブロモ-9-[3,5-ジ(メチル-d3)-4-フェニルピリジン-2-イル]カルバゾール5.8g、ナトリウムtert-ブトキシド2.7g、ジメチルスルホキシド54mL、水13mLを、還流管を付けた三口フラスコに入れ、内部を窒素置換した。フラスコ内を減圧下で撹拌することで脱気した後、塩化銅(I)(略称:CuCl)0.066g、N1,N2-ビス(4-ヒドロキシ-2,6-ジメチルフェニル)オキサラミド0.22gを加え、110℃で2時間撹拌することで反応させた。
所定時間経過後、酢酸エチルによる抽出を行った。得られた残渣を、トルエンにて再結晶することにより精製し、目的物を得た(薄橙色固体、収量4.0g、収率80%)。ステップ4の合成スキームを下記(c-4)に示す。
<ステップ5:2-[3-(ベンゾイミダゾール-1-イル)フェノキシ]-9-[3,5-ジ(メチル-d3)-4-フェニルピリジン-2-イル]カルバゾールの合成>
次に、上記ステップ4で得た2-ヒドロキシ-9-[3,5-ジ(メチル-d3)-4-フェニルピリジン-2-イル]カルバゾール1.9g、1-(3-ブロモフェニル)ベンゾイミダゾール1.5g、リン酸三カリウム2.2g、ジメチルスルホキシド51mLを、還流管を付けた三口フラスコに入れ、内部を窒素置換した。フラスコ内を減圧下で撹拌することで脱気した後、ヨウ化銅(I)(略称:CuI)0.098g、ピコリン酸0.063gを加え、160℃で6時間半撹拌することで反応させた。
所定時間経過後、酢酸エチルによる抽出を行った。得られた残渣を、トルエン:酢酸エチル=10:1を展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的物を得た(褐色固体、収量2.7g、収率94%)。ステップ5の合成スキームを下記(c-5)に示す。
<ステップ6:1-(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)-3-[3-({9-[3,5-ジ(メチル-d3)-4-フェニルピリジン-2-イル]カルバゾール-2-イル}オキシ)フェニル]ベンゾイミダゾリウム-1,1,1-トリフルオロメタンスルホン酸の合成>
次に、上記ステップ5で得た2-[3-(ベンゾイミダゾール-1-イル)フェノキシ]-9-[3,5-ジ(メチル-d3)-4-フェニルピリジン-2-イル]カルバゾール2.7g、(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)(メシチル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホン酸5.7g、N,N-ジメチルホルムアミド(略称:DMF)25mLを、還流管を付けた三口フラスコに入れ、内部を窒素置換した。フラスコ内を減圧下で撹拌することで脱気した後、酢酸銅(II)(略称:Cu(OAc))0.13gを加え、100℃で6時間撹拌することで反応させた。
所定時間経過後、溶媒を留去し、得られた残渣を、ジクロロメタン:アセトン=9:1を展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的物を得た(赤茶色固体、収量0.84g、収率19%)。ステップ6の合成スキームを下記(c-6)に示す。
<ステップ7:(2-{3-[3-(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)ベンゾイミダゾール-1-イル-2-イリデン-κC2]フェノキシ-κC2}-9-[3,5-ジ(メチル-d3)-4-フェニル-2-ピリジニル-κN]カルバゾール-2,1-ジイル-κC)白金(II)(略称:Pt(mmtBubOcz35dm4ppy-d6))の合成>
次に、上記ステップ6で得た1-(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)-3-[3-({9-[3,5-ジ(メチル-d3)-4-フェニルピリジン-2-イル]カルバゾール-2-イル}オキシ)フェニル]ベンゾイミダゾリウム-1,1,1-トリフルオロメタンスルホン酸0.84g、ジクロロ(1,5-シクロオクタジエン)白金(II)0.42g、酢酸ナトリウム0.23g、N,N-ジメチルホルムアミド42mLを、還流管を付けた三口フラスコに入れ、内部を窒素置換した。その後、160℃で3時間撹拌することで反応させた。
所定時間経過後、溶媒を留去し、ジクロロメタンによる抽出を行った。得られた残渣を、トルエンを展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した後、トルエンにて再結晶することにより精製し、目的物を得た(黄色固体、収量0.19g、収率22%)。
得られた黄色固体0.12gを、トレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華精製条件は、圧力2.5Pa、305℃で固体を加熱した。昇華精製後、目的物の黄色固体を収量0.060g、収率50%で得た。ステップ7の合成スキームを下記(c-7)に示す。
<有機金属錯体の特性>
なお、上記ステップ7で得られた黄色固体の核磁気共鳴分光法(H-NMR)による分析結果を下記に示す。また、H-NMRチャートを図35に示す。このことから、本合成例において、上述の構造式(115)で表される本発明の一態様である有機金属錯体、Pt(mmtBubOcz35dm4ppy-d6)が得られたことがわかった。
H-NMR.δ(CDCl):1.08(brs,9H),1.42(brs,9H),6.93-6.94(m,1H),7.10(d,2H),7.19(d,1H),7.29-7.42(m,7H),7.48-7.53(m,3H),7.58(d,1H),7.71(d,1H),7.77(brs,1H),7.87(d,2H),8.03(d,1H),8.27(d,1H),8.79(s,1H).
<発光スペクトルおよび吸収スペクトル測定>
次に、Pt(mmtBubOcz35dm4ppy-d6)のジクロロメタン溶液の紫外可視吸収スペクトル(以下、単に「吸収スペクトル」という)及び発光スペクトルを測定した。吸収スペクトルの測定には、紫外可視分光光度計((株)日本分光製 V550型)を用いた。また、発光スペクトルの測定には、分光蛍光光度計((株)日本分光製 FP-8600)を用いた。得られたジクロロメタン溶液の吸収スペクトルおよび発光スペクトルの測定結果を図36に示す。横軸は波長、縦軸は吸収強度および発光強度を表す。
図36の結果より、Pt(mmtBubOcz35dm4ppy-d6)のジクロロメタン溶液では、420nmおよび450nm付近に吸収ピークが見られ、461nm付近に発光ピークが見られた。
((合成例3))
本実施例では、本発明の一態様の有機化合物の物性および合成方法について説明する。具体的には、実施の形態1において構造式(119)で示す、(2-{5-tert-ブチル-3-[3-(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)ベンゾイミダゾール-1-イル-2-イリデン-κC2]フェノキシ-κC2}-9-[3,5-ジ(メチル-d3)-4-フェニル-2-ピリジニル-κN]カルバゾール-2,1-ジイル-κC)白金(II)(略称:Pt(tBu-mmtBubOcz35dm4ppy-d6))の合成方法について説明する。なお、Pt(tBu-mmtBubOcz35dm4ppy-d6)の構造を以下に示す。
<ステップ1:1-(5-tert-ブチル-3-ブロモフェニル)ベンゾイミダゾールの合成>
1,3-ジブロモ-5-tert-ブチルベンゼン5.9g、ベンゾイミダゾール2.0g、炭酸セシウム11g、N,N-ジメチルホルムアミド40mLを、還流管を付けた三口フラスコに入れ、内部を窒素置換した。フラスコ内を減圧下で撹拌することで脱気した後、ヨウ化銅(I)(略称:CuI)0.80g、1,10-フェナントロリン0.91gを加え、130℃で22時間撹拌することで反応させた。室温まで放冷した後、反応溶液を減圧濃縮した。反応溶液を酢酸エチルを用いて抽出し、有機層を硫酸マグネシウムを用いて乾燥した後、減圧ろ過してろ液を得た。得られたろ液を減圧濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって単離精製した。展開溶媒としてトルエン:酢酸エチル=88:12の混合溶媒を用いた。得られたフラクションを減圧濃縮し、淡黄色オイルを2.4g(7.2mmol)、収率43%で得た。1-(5-tert-ブチル-3-ブロモフェニル)ベンゾイミダゾールの合成スキームを下記(d-1)に示す。
<ステップ2:2-[5-tert-ブチル-3-(ベンゾイミダゾール-1-イル)フェノキシ]-9-[3,5-ジ(メチル-d3)-4-フェニルピリジン-2-イル]カルバゾールの合成>
次に、上記ステップ1で得た1-(5-tert-ブチル-3-ブロモフェニル)ベンゾイミダゾール1.3g、2-ヒドロキシ-9-[3,5-ジ(メチル-d3)-4-フェニルピリジン-2-イル]カルバゾール1.8g、リン酸三カリウム1.7g、ジメチルスルホキシド40mLを、還流管を付けた三口フラスコに入れ、内部を窒素置換した。フラスコ内を減圧下で撹拌することで脱気した後、ヨウ化銅(I)(略称:CuI)0.075g、ピコリン酸0.049gを加え、160℃で7時間撹拌することで反応させた。室温まで放冷した後、反応溶液を減圧濃縮した。反応溶液を酢酸エチルを用いて抽出し、有機層を硫酸マグネシウムを用いて乾燥した後、減圧ろ過してろ液を得た。得られたろ液を減圧濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって単離精製した。展開溶媒としてトルエン:酢酸エチル=92:8の混合溶媒を用い、徐々に酢酸エチルの比率を増やしていき、最終的にはトルエン:酢酸エチル=9:1の混合溶媒を展開溶媒として用いた。得られたフラクションを減圧濃縮し、褐色固体を1.5g(2.4mmol)、収率63%で得た。2-[5-tert-ブチル-3-(ベンゾイミダゾール-1-イル)フェノキシ]-9-[3,5-ジ(メチル-d3)-4-フェニルピリジン-2-イル]カルバゾールの合成スキームを下記(d-2)に示す。
<ステップ3:1-(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)-3-[5-tert-ブチル-3-({9-[3,5-ジ(メチル-d3)-4-フェニルピリジン-2-イル]カルバゾール-2-イル}オキシ)フェニル]ベンゾイミダゾリウム-1,1,1-トリフルオロメタンスルホン酸の合成>
次に、上記ステップ2で得た2-[5-tert-ブチル-3-(ベンゾイミダゾール-1-イル)フェノキシ]-9-[3,5-ジ(メチル-d3)-4-フェニルピリジン-2-イル]カルバゾール0.80g、(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)(メシチル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホン酸1.8g、N,N-ジメチルホルムアミド(略称:DMF)7.0mLを、還流管を付けた三口フラスコに入れ、内部を窒素置換した。フラスコ内を減圧下で撹拌することで脱気した後、酢酸銅(II)(略称:Cu(OAc))0.04gを加え、100℃で7時間撹拌することで反応させた。所定時間経過後、溶媒を留去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって単離精製した。展開溶媒としてジクロロメタン:アセトン=99:1の混合溶媒を用い、徐々にアセトンの比率を増やしていき、最終的にはジクロロメタン:アセトン=91:9の混合溶媒を展開溶媒として用いた。得られたフラクションを減圧濃縮し、褐色オイルを0.40g(0.42mmol)、収率33%で得た。1-(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)-3-[5-tert-ブチル-3-({9-[3,5-ジ(メチル-d3)-4-フェニルピリジン-2-イル]カルバゾール-2-イル}オキシ)フェニル]ベンゾイミダゾリウム-1,1,1-トリフルオロメタンスルホン酸の合成スキームを下記(d-3)に示す。
<ステップ4:Pt(tBu-mmtBubOcz35dm4ppy-d6)の合成>
次に、上記ステップ3で得た1-(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)-3-[5-tert-ブチル-3-({9-[3,5-ジ(メチル-d3)-4-フェニルピリジン-2-イル]カルバゾール-2-イル}オキシ)フェニル]ベンゾイミダゾリウム-1,1,1-トリフルオロメタンスルホン酸0.40g、ジクロロ(1,5-シクロオクタジエン)白金(II)0.09g、酢酸ナトリウム0.05g、N,N-ジメチルホルムアミド10mLを、還流管を付けた三口フラスコに入れ、内部を窒素置換した。その後、160℃で30分撹拌することで反応させた。所定時間経過後、溶媒を留去し、ジクロロメタンによる抽出を行った。得られた残渣を、トルエン:ヘキサン=9:1の混合溶媒を展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した後、トルエンとエタノールの混合溶媒にて再結晶することにより精製し、目的物を得た(黄色固体、収量0.03g、収率16%)。Pt(tBu-mmtBubOcz35dm4ppy-d6)の合成スキームを下記(d-4)に示す。
<有機化合物の特性>
Pt(tBu-mmtBubOcz35dm4ppy-d6)を液体クロマトグラフ質量分析(LC/MS分析:Liquid Chromatography Mass Spectrometry)によって質量(MS)分析した。LC/MS分析は、LC(液体クロマトグラフィー)分離をウォーターズ社製Acquity UPLCにより、MS分析(質量分析)をウォーターズ社製Xevo G2 Tof MSにより行った。また、MS分析による測定結果を以下に示す。このことから、本合成例において、上述の構造式(119)で表される本発明の一態様である有機金属錯体、Pt(tBu-mmtBubOcz35dm4ppy-d6)が得られたことがわかった。
得られた化合物のESI-MS測定結果を以下に示す。
ESI-MS[M+]=1000.43(Exact Mass=1000.44).
<発光スペクトルおよび吸収スペクトル測定>
次に、Pt(tBu-mmtBubOcz35dm4ppy-d6)のジクロロメタン溶液の紫外可視吸収スペクトル(以下、単に「吸収スペクトル」という)及び発光スペクトルを測定した。吸収スペクトルの測定には、紫外可視分光光度計((株)日本分光製 V770型)を用いた。また、発光スペクトルの測定には、分光蛍光光度計((株)日本分光製 FP-8600)を用いた。得られたジクロロメタン溶液の吸収スペクトルおよび発光スペクトルの測定結果を図37に示す。横軸は波長、縦軸は吸収強度および発光強度を表す。
図37の結果より、Pt(tBu-mmtBubOcz35dm4ppy-d6)のジクロロメタン溶液では、424nm、373nm、319nm付近に吸収ピークが見られ、492nm、465nm付近に発光ピークが見られた。
本実施例では、本発明の一態様である構造式(100)で示す(2-{3-[3-(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)ベンゾイミダゾール-1-イル-2-イリデン-κC2]フェノキシ-κC2}-9-[5-(メチル-d3)-4-フェニル-2-ピリジニル-κN]カルバゾール-2,1-ジイル-κC)白金(II)(略称:Pt(mmtBubOcz5m4ppy-d3))を用いた発光デバイス5Aと、下記構造式(115)で示す(2-{3-[3-(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)ベンゾイミダゾール-1-イル-2-イリデン-κC2]フェノキシ-κC2}-9-[3,5-ジ(メチル-d3)-4-フェニル-2-ピリジニル-κN]カルバゾール-2,1-ジイル-κC)白金(II)(略称:Pt(mmtBubOcz35dm4ppy-d6))を用いた発光デバイス5Bと、構造式(119)で示す(2-{5-tert-ブチル-3-[3-(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)ベンゾイミダゾール-1-イル-2-イリデン-κC2]フェノキシ-κC2}-9-[3,5-ジ(メチル-d3)-4-フェニル-2-ピリジニル-κN]カルバゾール-2,1-ジイル-κC)白金(II)(略称:Pt(tBu-mmtBubOcz35dm4ppy-d6))を用いた発光デバイス5Cと、比較用の有機金属錯体であるPtON-TBBIを用いた比較用の発光デバイス5Dを作製した。
発光デバイス5A乃至発光デバイス5C、および比較用の発光デバイス5Dにそれぞれ用いた有機金属錯体の構造式を以下に示す。
また、発光デバイス5A乃至発光デバイス5C、および比較用の発光デバイス5Dに共通して用いた有機化合物の構造式を以下に示す。
なお、各発光デバイスは、図26に示すように、ガラス基板900上に形成された第1の電極901上に、正孔注入層911、正孔輸送層912、発光層913、電子輸送層914および電子注入層915が順次積層され、電子注入層915上に第2の電極902が積層された構造を有する。
<発光デバイス5Aの作製方法>
ガラス基板900上に透明電極として、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)をスパッタリング法により70nmの膜厚で成膜して第1の電極901を形成した。なお、電極面積は4mm(2mm×2mm)とした。
次に、基板上に発光デバイスを形成するための前処理として、基板表面を水で洗浄し、200℃で1時間焼成した。その後、1×10-4Pa程度まで内部が減圧された真空蒸着装置に基板を導入し、真空蒸着装置内の加熱室において、170℃で30分間の真空焼成を行った。その後、自然冷却させた。
次に、第1の電極901が形成された面が下方となるように、第1の電極901が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定し、第1の電極901上に、N-(ビフェニル-4-イル)-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-アミン(略称:PCBBiF)と、分子量672でフッ素を含む電子アクセプタ材料(OCHD-003)と、をPCBBiF:OCHD-003=1:0.03(重量比)となるように10nm共蒸着し、正孔注入層911を形成した。
次に、正孔注入層911上に、PCBBiFを膜厚30nmとなるように蒸着し、続いて、9-[3-(トリフェニルシリル)フェニル]-3,9’-ビ-9H-カルバゾール(略称:PSiCzCz)を膜厚5nmとなるように蒸着して、正孔輸送層912を形成した。
次に、正孔輸送層912上に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、9,9’-{6-[3-(トリフェニルシリル)フェニル]-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル}ビス(9H-カルバゾール)(略称:SiTrzCz2)と、PSiCzCzと、Pt(mmtBubOcz5m4ppy-d3)と、をSiTrzCz2:PSiCzCz:Pt(mmtBubOcz5m4ppy-d3)=0.45:0.45:0.10(重量比)で、膜厚35nmになるよう共蒸着し、発光層913を形成した。なお、SiTrzCz2とPSiCzCzは励起錯体を形成する組み合わせである。
次に、発光層913上に、2-フェニル-4,6-ビス[3-(トリフェニルシリル)フェニル]-1,3,5-トリアジン(略称:mSiTrz)を膜厚5nmになるよう蒸着し、続いて、2,2’-(1,3-フェニレン)ビス(9-フェニル-1,10-フェナントロリン)(略称:mPPhen2P)を膜厚20nmになるよう蒸着して、電子輸送層914を形成した。
次に、電子輸送層914上に、フッ化リチウム(LiF)を膜厚1nmとなるように蒸着して、電子注入層915を形成した。
次に、電子注入層915上に、アルミニウム(Al)を膜厚200nmになるよう蒸着し、第2の電極902を形成した。
<発光デバイス5Bの作製方法>
続いて、発光デバイス5Bの作製方法を説明する。
発光デバイス5Bは、発光層913の構成が発光デバイス5Aと異なる。つまり、発光デバイス5Bは、抵抗加熱を用いた蒸着法により、SiTrzCz2と、PSiCzCzと、Pt(mmtBubOcz35dm4ppy-d6)と、をSiTrzCz2:PSiCzCz:Pt(mmtBubOcz35dm4ppy-d6)=0.45:0.45:0.10(重量比)で、膜厚35nmになるよう共蒸着し、発光層913を形成した。
なお、他の構成は発光デバイス5Aと同様にして作製した。
<発光デバイス5Cの作製方法>
続いて、発光デバイス5Cの作製方法を説明する。
発光デバイス5Cは、発光層913の構成が発光デバイス5Aと異なる。つまり、発光デバイス5Cは、抵抗加熱を用いた蒸着法により、SiTrzCz2と、PSiCzCzと、Pt(tBu-mmtBubOcz35dm4ppy-d6)と、をSiTrzCz2:PSiCzCz:Pt(tBu-mmtBubOcz35dm4ppy-d6)=0.45:0.45:0.10(重量比)で、膜厚35nmになるよう共蒸着し、発光層913を形成した。
なお、他の構成は発光デバイス5Aと同様にして作製した。
<比較用の発光デバイス5Dの作製方法>
続いて、比較用の発光デバイス5Dの作製方法を説明する。
発光デバイス5Dは、発光層913の構成が発光デバイス5Aと異なる。つまり、発光デバイス5Dは、抵抗加熱を用いた蒸着法により、SiTrzCz2と、PSiCzCzと、PtON-TBBIと、をSiTrzCz2:PSiCzCz:PtON-TBBI=0.45:0.45:0.10(重量比)で、膜厚35nmになるよう共蒸着し、発光層913を形成した。
なお、他の構成は発光デバイス5Aと同様にして作製した。
上記発光デバイス5A乃至発光デバイス5C、および比較用の発光デバイス5Dの素子構造を以下の表にまとめる。なお、表中のXは、各発光層に用いる金属錯体、Pt(mmtBubOcz5m4ppy-d3)、Pt(mmtBubOcz35dm4ppy-d6)、Pt(tBu-mmtBubOcz35dm4ppy-d6)、またはPtON-TBBIを表す。
<発光デバイス特性>
上記発光デバイスを、窒素雰囲気のグローブボックス内において、発光デバイスが大気に曝されないようにガラス基板により封止する作業(シール材を素子の周囲に塗布し、封止時にUV処理、80℃にて1時間熱処理)を行った後、発光デバイスの特性について測定を行った。
発光デバイスの輝度-電流密度特性を図38に、輝度-電圧特性を図39に、電流効率-電流密度特性を図40に、電流密度-電圧特性を図41に、BI(ブルーインデックス)-電流密度特性を図42に、外部量子効率-電流密度特性を図43に、電界発光スペクトルを図44に示す。
なお、ブルーインデックス(BI)(cd/A/y)とは、電流効率(cd/A)を、さらにCIE(x,y)色度のy値で割った値であり、青色発光の発光特性を表す指標の一つである。青色発光は、色度y値が小さいほど色純度の高い発光となる傾向にある。色度y値が小さく色純度の高い青色発光は、広い範囲の青色を表現することが可能であり、色純度の高い青色発光を用いることで、ディスプレイにおいて白色を表現するために必要な青色の輝度が低下することから、ディスプレイの消費電力を低減する効果が得られる。そのため、青色純度の指標の一つとなる色度y値を考慮した電流効率であるBIが青色発光の効率を表す手段として好適に用いられ、BIが高い発光デバイスほどディスプレイに用いられる青色発光デバイスとしての効率が良好であるということができる。
また、発光デバイスの電流密度10mA/cmにおける主要な特性を下表に示す。なお、輝度、CIE色度、電界発光スペクトルの測定には分光放射計(トプコン社製、SR-UL1R)を用いた。また、外部量子効率は、分光放射計を用いて測定した輝度と発光スペクトルを用い、配光特性がランバーシアン型であると仮定し算出した。
図38乃至図43より、本発明の一態様の発光デバイス5A乃至発光デバイス5Cは、高効率であり、特に外部量子効率が高い発光デバイスであることが分かった。また、図44より、発光デバイス5B、および発光デバイス5Cは、色純度が良好な青色を呈することが分かった。特に、Pt(mmtBubOcz35dm4ppy-d6)を用いた発光デバイス5Bは、BIが高く、高効率な青色を呈する発光デバイスであることが分かった。
従って、本発明の一態様である白金(Pt)の有機金属錯体を発光デバイスに用いることで、高効率、および色純度が良好な青色を呈する発光デバイスを提供することができることが確認できた。
本実施例では、本発明の一態様である構造式(100)で示す(2-{3-[3-(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)ベンゾイミダゾール-1-イル-2-イリデン-κC2]フェノキシ-κC2}-9-[5-(メチル-d3)-4-フェニル-2-ピリジニル-κN]カルバゾール-2,1-ジイル-κC)白金(II)(略称:Pt(mmtBubOcz5m4ppy-d3))を用いた発光デバイス6Aおよび発光デバイス6B、を作製した。
また、発光デバイス6Bは、発光層に蛍光発光を呈する物質(蛍光発光物質)であるN7,N7,N13,N13,5,9,11,15-オクタフェニル-5H,9H,11H,15H-[1,4]ベンズアザボリノ[2,3,4-kl][1,4]ベンズアザボリノ[4’,3’,2’:4,5][1,4]ベンズアザボリノ[3,2-b]フェナザボリン-7,13-ジアミン(略称:ν-DABNA)を用いた。
発光デバイス6Bの発光層に用いた蛍光発光を呈する物質(蛍光発光物質)の構造式を以下に示す。
また、発光デバイス6Aおよび発光デバイス6Bに共通して用いた有機化合物の構造式を以下に示す。
なお、各デバイスは、図26に示すように、ガラス基板900上に形成された第1の電極901上に、正孔注入層911、正孔輸送層912、発光層913、電子輸送層914および電子注入層915が順次積層され、電子注入層915上に第2の電極902が積層され、第2の電極902上にキャップ層(図示しない)が積層された構造を有する。
<発光デバイス6Aの作製方法>
ガラス基板900上に、銀(Ag)をスパッタリング法により成膜した後、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(略称:ITSO)をスパッタリング法により成膜し、第1の電極901を形成した。なお、Agの膜厚は100nm、ITSOの膜厚は10nmとし、電極面積は4mm(2mm×2mm)とした。
次に、基板上に発光デバイスを形成するための前処理として、基板表面を水で洗浄し、200℃で1時間焼成した。その後、1×10-4Pa程度まで内部が減圧された真空蒸着装置に基板を導入し、真空蒸着装置内の加熱室において、170℃で30分間の真空焼成を行った。その後、自然冷却させた。
次に、第1の電極901が形成された面が下方となるように、第1の電極901が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定し、第1の電極901上に、N-(ビフェニル-4-イル)-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-アミン(略称:PCBBiF)と、分子量672でフッ素を含む電子アクセプタ材料(OCHD-003)と、をPCBBiF:OCHD-003=1:0.03(重量比)となるように10nm共蒸着し、正孔注入層911を形成した。
次に、正孔注入層911上に、PCBBiFを膜厚125nmとなるように蒸着し、続いて、9-[3-(トリフェニルシリル)フェニル]-3,9’-ビ-9H-カルバゾール(略称:PSiCzCz)を膜厚5nmとなるように蒸着して、正孔輸送層912を形成した。
次に、正孔輸送層912上に、下表に示す条件6aに従い、抵抗加熱を用いた蒸着法により、9,9’-{6-[3-(トリフェニルシリル)フェニル]-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル}ビス(9H-カルバゾール)(略称:SiTrzCz2)と、PSiCzCzと、Pt(mmtBubOcz5m4ppy-d3)と、をSiTrzCz2:PSiCzCz:Pt(mmtBubOcz5m4ppy-d3)=0.45:0.45:0.10(重量比)で、膜厚35nmになるよう共蒸着し、発光層913を形成した。なお、SiTrzCz2とPSiCzCzは励起錯体を形成する組み合わせである。
次に、発光層913上に、2-フェニル-4,6-ビス[3-(トリフェニルシリル)フェニル]-1,3,5-トリアジン(略称:mSiTrz)を膜厚5nmになるよう蒸着し、続いて、2,2’-(1,3-フェニレン)ビス(9-フェニル-1,10-フェナントロリン)(略称:mPPhen2P)を膜厚20nmになるよう蒸着して、電子輸送層914を形成した。
次に、電子輸送層914上に、フッ化リチウム(LiF)を膜厚1nmとなるように蒸着して、電子注入層915を形成した。
次に、電子注入層915上に、銀(Ag)とマグネシウム(Mg)とを体積比1:0.1、膜厚15nmとなるように共蒸着し、第2の電極902を形成した。なお、第2の電極902は光を反射する機能と光を透過する機能とを有する半透過・半反射電極である。次に、第2の電極902上にキャップ層として、4,4’,4’’-(ベンゼン-1,3,5-トリイル)トリ(ジベンゾチオフェン)(略称:DBT3P-II)を70nmの厚さで蒸着した。
<発光デバイス6Bの作製方法>
続いて、発光デバイス6Bの作製方法を説明する。発光デバイス6Bは、正孔輸送層912の膜厚と、発光層913の構成が発光デバイス6Aと異なる。
つまり、発光デバイス6Bの正孔輸送層912は、PCBBiFを膜厚120nmとなるように蒸着し、続いて、PSiCzCzを膜厚5nmとなるように蒸着した。
また、発光デバイス6Bの発光層913は、下表に示す条件6bに従い、抵抗加熱を用いた蒸着法により、SiTrzCz2と、PSiCzCzと、Pt(mmtBubOcz5m4ppy-d3)と、ν-DABNAと、をSiTrzCz2:PSiCzCz:Pt(mmtBubOcz5m4ppy-d3):ν-DABNA=0.45:0.45:0.10:0.01(重量比)で、膜厚35nmになるよう共蒸着した。
なお、他の構成は発光デバイス6Aと同様にして作製した。
上記発光デバイス6Aおよび発光デバイス6Bの素子構造を以下の表にまとめる。
<発光デバイス特性>
上記発光デバイス6Aおよびデバイス6Bを、窒素雰囲気のグローブボックス内において、発光デバイスが大気に曝されないようにガラス基板により封止する作業(シール材を素子の周囲に塗布し、封止時にUV処理、80℃にて1時間熱処理)を行った後、発光デバイスの特性について測定を行った。
発光デバイスの輝度-電流密度特性を図45に、輝度-電圧特性を図46に、電流効率-輝度特性を図47に、電流密度-電圧特性を図48に、BI(ブルーインデックス)-電流密度特性を図49に、電界発光スペクトルを図50に示す。
また、発光デバイスの電流密度10mA/cmにおける主要な特性を下表に示す。なお、輝度、CIE色度、電界発光スペクトルの測定には分光放射計(トプコン社製、SR-UL1R)を用いた。
図45乃至図49より、白金(Pt)の有機金属錯体を用いた発光層に、蛍光発光物質を添加することで、発光効率の指標であるBI値が向上することが分かった。また、図50より、蛍光発光物質を加えることで、発光スペクトルが狭線化され、色純度が良好な青色を呈することが分かった。すなわち、本発明の一態様の有機金属錯体を蛍光発光物質と共に発光層に用いることで、色純度が良好かつ高効率で発光する青色発光デバイスを作製できることが分かった。
これは、発光層に本発明の有機金属錯体である燐光発光物質に加えて、蛍光発光物質であるν-DABNAを用いたことで、燐光発光物質の励起エネルギーが蛍光発光物質に移動することで発光に至る。また、蛍光発光物質は、一重項励起状態から一重項基底状態への遷移が許容であるため励起寿命(発光寿命)が燐光発光物質より短い。従って、発光層に燐光発光物質および蛍光発光物質を用いた発光デバイス6Bは、良好な発光デバイスとすることができる。
従って、本発明の一態様である白金(Pt)の有機金属錯体を発光デバイスに用いることで、高効率、および色純度が良好な青色を呈する発光デバイスを提供することができることが確認できた。
本実施例では、本発明の一態様である構造式(115)で示す(2-{3-[3-(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)ベンゾイミダゾール-1-イル-2-イリデン-κC2]フェノキシ-κC2}-9-[3,5-ジ(メチル-d3)-4-フェニル-2-ピリジニル-κN]カルバゾール-2,1-ジイル-κC)白金(II)(略称:Pt(mmtBubOcz35dm4ppy-d6))を用いた発光デバイス7Aおよび発光デバイス7B、を作製した。
また、発光デバイス7Bは、発光層に蛍光発光を呈する物質(蛍光発光物質)であるN7,N7,N13,N13,5,9,11,15-オクタフェニル-5H,9H,11H,15H-[1,4]ベンズアザボリノ[2,3,4-kl][1,4]ベンズアザボリノ[4’,3’,2’:4,5][1,4]ベンズアザボリノ[3,2-b]フェナザボリン-7,13-ジアミン(略称:ν-DABNA)を用いた。
発光デバイス7Bの発光層に用いた蛍光発光を呈する物質(蛍光発光物質)の構造式を以下に示す。
発光デバイス7Aおよび発光デバイス7Bに用いた有機化合物の構造式を以下に示す。
なお、発光デバイス7Aおよび発光デバイス7Bは、図51に示すように、ガラス基板600上に形成された第1の電極601上に、第1のEL層603、中間層605、第2のEL層604、第2の電極602が積層されたタンデム構造を有する。
第1のEL層603は、正孔注入層610、第1の正孔輸送層611、第1の発光層612、及び第1の電子輸送層613、が順次積層された構造を有する。中間層605は、電子注入バッファ領域614と、電子リレー領域および電荷発生領域を含む層615を有する。また、第2のEL層604は、第2の正孔輸送層616、第2の発光層617、および第2の電子輸送層618、および電子注入層619が順次積層された構造を有する。
<発光デバイス7Aの作製方法>
はじめに、ガラス基板600上に、反射電極として、銀(Ag)をスパッタリング法により、100nmの膜厚で成膜した後、透明電極として酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)をスパッタリング法により、10nmの膜厚で成膜して第1の電極601を形成した。なお、その電極面積は4mm(2mm×2mm)とした。なお、当該透明電極と上記反射電極と合わせて第1の電極601とみなすことができる。
次に、第1のEL層603を設けた。まず、基板上に発光デバイス7Aを形成するための前処理として、基板表面を水で洗浄し、200℃で1時間焼成した。その後、1×10-4Pa程度まで内部が減圧された真空蒸着装置に基板を導入し、真空蒸着装置内の加熱室において、170℃で30分間の真空焼成を行った。その後、30分程度自然冷却させた。
次に、第1の電極601が形成された面が下方となるように、第1の電極601が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定し、第1の電極601上に、抵抗加熱を用いた蒸着法によりN-(ビフェニル-4-イル)-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-アミン(略称:PCBBiF)と、分子量672でフッ素を含む電子アクセプタ材料(OCHD-003)と、をPCBBiF:OCHD-003=1:0.03(重量比)となるように10nm共蒸着し、正孔注入層610を形成した。
次に、正孔注入層610上に、PCBBiFを膜厚25nmとなるように蒸着し、続いて、9-[3-(トリフェニルシリル)フェニル]-3,9’-ビ-9H-カルバゾール(略称:PSiCzCz)を膜厚5nmとなるように蒸着して、第1の正孔輸送層611を形成した。
次に、第1の正孔輸送層611上に第1の発光層612を形成した。抵抗加熱を用いた蒸着法により、下表に示す条件7aに従い、9,9’-{6-[3-(トリフェニルシリル)フェニル]-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル}ビス(9H-カルバゾール)(略称:SiTrzCz2)と、PSiCzCzと、Pt(mmtBubOcz35dm4ppy-d6)と、をSiTrzCz2:PSiCzCz:Pt(mmtBubOcz35dm4ppy-d6)=0.45:0.45:0.10(重量比)で、膜厚35nmになるよう共蒸着し、第1の発光層612を形成した。なお、SiTrzCz2とPSiCzCzは励起錯体を形成する組み合わせである。
次に、第1の発光層612上に、2-フェニル-4,6-ビス[3-(トリフェニルシリル)フェニル]-1,3,5-トリアジン(略称:mSiTrz)を膜厚10nmになるよう蒸着し、第1の電子輸送層613を形成した。
次に、中間層605を設けた。まず、第1の電子輸送層613上に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、2,2’-(1,3-フェニレン)ビス(9-フェニル-1,10-フェナントロリン)(略称:mPPhen2P)と、酸化リチウム(略称:LiO)と、をmPPhen2P:LiO=1:0.02(重量比)となるように、且つ膜厚5nmになるよう共蒸着して、電子注入バッファ領域614となる層を形成した。
続いて、電子リレー領域として、銅フタロシアニン(略称:CuPc)を2nmの膜厚となるように成膜した。次に、電荷発生領域として、抵抗加熱を用いた蒸着法によりN-(ビフェニル-4-イル)-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-アミン(略称:PCBBiF)と、分子量672でフッ素を含む電子アクセプタ材料(OCHD-003)と、をPCBBiF:OCHD-003=1:0.15(重量比)となるように10nm共蒸着し、電荷発生領域を含む層615を形成した。
次に、第2のEL層604を設けた。まず、PCBBiFを膜厚35nmとなるように蒸着し、続いて、9-[3-(トリフェニルシリル)フェニル]-3,9’-ビ-9H-カルバゾール(略称:PSiCzCz)を膜厚5nmとなるように蒸着して、第2の正孔輸送層616を形成した。
次に、第1の正孔輸送層616上に、第1の発光層612と同様に第2の発光層617を形成した。抵抗加熱を用いた蒸着法により、下表に示す条件7aに従い、SiTrzCz2と、PSiCzCzと、Pt(mmtBubOcz35dm4ppy-d6)と、をSiTrzCz2:PSiCzCz:Pt(mmtBubOcz35dm4ppy-d6)=0.45:0.45:0.10(重量比)で、膜厚35nmになるよう共蒸着し、第2の発光層617を形成した。
次に、第2の発光層617上に、mSiTrzを膜厚5nmになるよう蒸着し、続いて、mPPhen2Pを膜厚20nmになるよう蒸着し、第2の電子輸送層618を形成した。
次に、第2の電子輸送層618上に、フッ化リチウム(LiF)とイッテルビウム(Yb)を、LiF:Yb=2:1(体積比)で膜厚1.5nmとなるように共蒸着して、電子注入層619を形成した。
次に、電子注入層619上に、Agと、Mgと、をAg:Mg=1:0.1(体積比)となるように、15nm共蒸着し、第2の電極602を形成した。なお、第2の電極602は光を反射する機能と光を透過する機能とを有する半透過・半反射電極である。
その後、キャップ層として、4,4’,4’’-(ベンゼン-1,3,5-トリイル)トリ(ジベンゾチオフェン)(略称:DBT3P-II)を70nmの厚さで蒸着した。
以上の工程により、発光デバイス7Aを作製した。
<発光デバイス7Bの作製方法>
続いて、発光デバイス7Bの作製方法を説明する。発光デバイス7Bは、第1の発光層612および第2の発光層617の構成が発光デバイス7Aと異なる。
また、発光デバイス7Bの第1の発光層612および第2の発光層617は、下表に示す条件7bに従い、抵抗加熱を用いた蒸着法により、SiTrzCz2と、PSiCzCzと、Pt(mmtBubOcz35dm4ppy-d6)と、ν-DABNAと、をSiTrzCz2:PSiCzCz:Pt(mmtBubOcz35dm4ppy-d6):ν-DABNA=0.45:0.45:0.10:0.01(重量比)で、膜厚35nmになるよう共蒸着した。
なお、他の構成は発光デバイス7Aと同様にして作製した。
上記発光デバイス7Aおよび発光デバイス7Bの素子構造を以下の表にまとめる。
<発光デバイスの特性>
上記発光デバイス7Aおよび発光デバイス7Bを、窒素雰囲気のグローブボックス内において、各発光デバイスが大気に曝されないようにガラス基板により封止する作業(シール材を素子の周囲に塗布し、封止時にUV処理、80℃にて1時間熱処理)を行った後、発光デバイス7Aおよび発光デバイス7Bの発光特性について測定を行った。
発光デバイスの輝度-電流密度特性を図52に、輝度-電圧特性を図53に、電流効率-電流密度特性を図54に、電流密度-電圧特性を図55に、BI(ブルーインデックス)-電流密度特性を図56に、電界発光スペクトルを図57に示す。
また、発光デバイスの電流密度10mA/cmにおける主要な特性を下表に示す。なお、輝度、CIE色度、電界発光スペクトルの測定には分光放射計(トプコン社製、SR-UL1R)を用いた。
図52乃至図56および上記表より、白金(Pt)の有機金属錯体を用いた発光層に、蛍光発光物質を添加することで、発光効率の指標であるBI値が向上することが分かった。また、図57より、蛍光発光物質を加えることで、発光スペクトルが狭線化され、色純度が良好な青色を呈することが分かった。すなわち、本発明の一態様の有機金属錯体を蛍光発光物質と共に発光層に用いることで、色純度が良好かつ高効率で発光する青色発光デバイスを作製できることが分かった。
これは、発光層に本発明の有機金属錯体である燐光発光物質に加えて、蛍光発光物質であるν-DABNAを用いたことで、燐光発光物質の励起エネルギーが蛍光発光物質に移動することで発光に至る。また、蛍光発光物質は、一重項励起状態から一重項基底状態への遷移が許容であるため励起寿命(発光寿命)が燐光発光物質より短い。従って、発光層に燐光発光物質および蛍光発光物質を用いた発光デバイス7Bは、良好な発光デバイスとすることができる。
以上のことから、本発明の一態様を用いることで、高い効率かつ良好な色純度で発光を示す発光デバイスを提供できることが分かった。
((合成例4))
本実施例では、本発明の一態様の有機化合物の物性および合成方法について説明する。具体的には、実施の形態1において構造式(120)で表される本発明の有機金属錯体、[2-(3-{3-[2,6-ジ(フェニル-d5)フェニル]ベンゾイミダゾール-1-イル-2-イリデン-κC2}フェノキシ-κC2)-9-[3,5-ジ(メチル-d3)-4-フェニル-2-ピリジニル-κN]カルバゾール-2,1-ジイル-κC1]白金(II)(略称:Pt(mTPbOcz35dm4ppy-d16))の合成例を例示する。
<ステップ1:2,6-ジ(フェニル-d5)アニリンの合成>
500mL三口ナスフラスコに15g(61mmol)の2,6-ジブロモアニリン、17g(138mmol)のフェニル-d5-ボロン酸、33g(313mmol)の炭酸ナトリウム、トルエン156mL、エタノール31mL、純水63mLを加え、フラスコ内を減圧脱気した後、窒素置換した。このフラスコに0.72g(0.63mmol)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を加えた。この混合物を110℃の加熱条件下、8時間攪拌した。
所定時間経過後、得られた反応溶液に酢酸エチルと水を加えて抽出して有機層を得た。得られた有機層を硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、ろ過して固体を取り除き、ろ液を得た。得られたろ液を濃縮し、白色固体を得た。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって単離精製した。展開溶媒には、最初はヘキサン:トルエン=4:1の混合溶媒を用い、徐々にトルエンの比率を上げ、最後にはトルエンのみを展開溶媒として使用した。得られたフラクションを濃縮し、目的物である白色固体を13g(51mmol)、収率84%で得た。2,6-ジ(フェニル-d5)アニリンの合成スキームを下記(e-1)に示す。
<ステップ2:N-(ニトロベンゼン-2-イル)-N-[2,6-ジ(フェニル-d5)フェニル]アミンの合成>
500mL三口フラスコに13g(51mmol)の2,6-ジ(フェニル-d5)アニリン、13g(51mmol)の1-ヨード-2-ニトロベンゼン、33g(102mmol)の炭酸セシウム、トルエン255mLを加え、フラスコ内を減圧脱気し、窒素置換した。この混合物に0.84g(2.0mmol)のSPhos、0.47g(0.51mmol)のトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)を加え、130℃で11時間、加熱攪拌した。
所定時間経過後、得られた反応溶液に酢酸エチルと水を加えて抽出した。得られた有機層に硫酸マグネシウムを加えて乾燥し、ろ過してろ液を得た。得られたろ液を濃縮してオイル状液体を得た。得られた液体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって単離精製した。展開溶媒として、ヘキサン:トルエン=4:1の混合溶媒を用い、徐々にトルエンの比率を増やしていき、最終的にはトルエンのみを展開溶媒として用いた。得られたフラクションを濃縮し、固体を得た。トルエンとヘキサンの混合溶媒で再結晶による精製を行い、目的物である橙色固体を13g(34mmol)、収率67%で得た。N-(ニトロベンゼン-2-イル)-N-[2,6-ジ(フェニル-d5)フェニル]アミンの合成スキームを下記(e-2)に示す。
<ステップ3:N-(アニリン-2-イル)-N-[2,6-ジ(フェニル-d5)フェニル]アミンの合成>
1L三口フラスコに、13g(34mmol)のN-(ニトロベンゼン-2-イル)-N-[2,6-ジ(フェニル-d5)フェニル]アミン、エタノール482mL、水6mLを加え、攪拌した。この溶液に32g(169mmol)の塩化スズ(II)を加え、窒素気流下、80℃で15時間加熱還流した。
所定時間経過後、室温下で2Mの水酸化ナトリウム水溶液236mLを反応溶液に加え、2時間攪拌した。所定時間経過後、反応溶液を吸引ろ過し、残渣をクロロホルムで洗浄し、ろ液を得た。得られたろ液をクロロホルムと水で抽出し、得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過してろ液を得た。得られたろ液を減圧濃縮し、黄色固体を得た。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって単離精製した。展開溶媒として、ヘキサン:酢酸エチル=10:1の混合溶媒を用い、徐々に酢酸エチルの比率を増やしていき、最終的には酢酸エチルのみを展開溶媒として用いた。得られたフラクションを濃縮し、目的物である黄色固体を13g(34mmol)、収率100%で得た。N-(アニリン-2-イル)-N-[2,6-ジ(フェニル-d5)フェニル]アミンの合成スキームを下記(e-3)に示す。
<ステップ4:2-(3-ブロモフェノキシ)-9-[3,5-ジ(メチル-d3)-4-フェニルピリジン-2-イル]カルバゾールの合成>
200mL三口フラスコに4.6g(12mmol)の2-ヒドロキシ-9-[3,5-ジ(メチル-d3)-4-フェニルピリジン-2-イル]カルバゾール、8.8g(37mmol)の1,3-ジブロモベンゼン、5.3g(25mmol)のりん酸三カリウム、ジメチルスルホキシド120mLを加えた。このフラスコ内を減圧脱気した後、窒素置換し、236mg(1.2mmol)ヨウ化銅、153mg(1.2mmol)ピコリン酸を加えた。この混合物を160℃の加熱条件下、12時間攪拌した。
所定時間経過後、室温まで放冷し、反応溶液に酢酸エチルと水を加えて抽出し、有機層を得た。得られた有機層に硫酸マグネシウムを加えて乾燥し、ろ過してろ液を得た。得られたろ液を減圧濃縮した。得られた混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって単離精製した。ヘキサン:トルエン=1:3の混合溶媒を用い、徐々にトルエンの比率を増やしていき、最終的にはトルエンのみを展開溶媒として用いた。得られたフラクションを減圧濃縮し、目的物である淡黄色オイルを5.4g(10mmol)、収率82%で得た。2-(3-ブロモフェノキシ)-9-[3,5-ジ(メチル-d3)-4-フェニルピリジン-2-イル]カルバゾールの合成スキームを下記(e-4)に示す。
<ステップ5:2-(3-{2-[2,6-ジ(フェニル-d5)フェニル]フェニル}アミノフェノキシ)-9-[3,5-ジ(メチル-d3)-4-フェニルピリジン-2-イル]カルバゾールの合成>
200mL三口フラスコに3.2g(9.3mmol)のN-(アニリン-2-イル)-N-[2,6-ジ(フェニル-d5)フェニル]アミン、5.4g(10mmol)の2-(3-ブロモフェノキシ)-9-[3,5-ジ(メチル-d3)-4-フェニルピリジン-2-イル]カルバゾール、1.8g(19mmol)のナトリウムtert-ブトキシド、およびトルエン90mLを加えた。
このフラスコ内を減圧脱気した後、窒素置換し、424mg(0.47mmol)のトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、381mg(0.93mmol)のSPhosを加えた。この混合物を110℃で4時間加熱攪拌した。反応終了後、反応溶液を室温まで冷まし、酢酸エチルと水を加えて抽出し、有機層を得た。得られた有機層を食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過することでろ液を得た。得られたろ液を減圧濃縮し、固体を得た。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって単離精製した。展開溶媒としてトルエンを用いた。得られたフラクションを濃縮し、目的物である緑色固体を7.2g(9.1mmol)、収率98%で得た。2-(3-{2-[2,6-ジ(フェニル-d5)フェニル]フェニル}アミノフェノキシ)-9-[3,5-ジ(メチル-d3)-4-フェニルピリジン-2-イル]カルバゾールの合成スキームを下記(e-5)に示す。
<ステップ6:1-[2,6-ジ(フェニル-d5)フェニル]-3-[3-({9-[3,5-ジ(メチル-d3)-4-フェニルピリジン-2-イル]カルバゾール-2-イル}オキシ)フェニル]ベンゾイミダゾリウム塩酸の合成>
300mL三口フラスコに7.2g(9.1mmol)の2-(3-{2-[2,6-ジ(フェニル-d5)フェニル]フェニル}アミノフェノキシ)-9-[3,5-ジ(メチル-d3)-4-フェニルピリジン-2-イル]カルバゾール、オルトギ酸トリエチル182mL、および35%塩酸1mLを加え、80℃で2時間、加熱攪拌した。
所定時間経過後、室温まで放冷し、減圧濃縮して溶媒を留去し、固体を得た。トルエン:ヘキサンの混合溶媒を用いた再沈殿を行い、目的物である淡黄色固体を6.9g(8.3mmol)、収率91%で得た。1-[2,6-ジ(フェニル-d5)フェニル]-3-[3-({9-[3,5-ジ(メチル-d3)-4-フェニルピリジン-2-イル]カルバゾール-2-イル}オキシ)フェニル]ベンゾイミダゾリウム塩酸の合成スキームを下記(e-6)に示す。
<ステップ7:1-[2,6-ジ(フェニル-d5)フェニル]-3-[3-({9-[3,5-ジ(メチル-d3)-4-フェニルピリジン-2-イル]カルバゾール-2-イル}オキシ)フェニル]ベンゾイミダゾリウムヘキサフルオロりん酸の合成>
200mL三口フラスコに6.9g(8.3mmol)の1-[2,6-ジ(フェニル-d5)フェニル]-3-[3-({9-[3,5-ジ(メチル-d3)-4-フェニルピリジン-2-イル]カルバゾール-2-イル}オキシ)フェニル]ベンゾイミダゾリウム塩酸、5.4g(33mmol)のヘキサフルオロリン酸アンモニウムを加え、メタノール:水=2:1の混合溶媒80mLに懸濁させた。この混合物を室温で18時間攪拌した。
所定時間経過後、減圧濃縮し、メタノールを留去した。析出した固体を吸引ろ過によって回収し、水で洗浄したのち、真空乾燥することで、目的物である淡黄色固体を6.7g(7.1mmol)、収率85%で得た。1-[2,6-ジ(フェニル-d5)フェニル]-3-[3-({9-[3,5-ジ(メチル-d3)-4-フェニルピリジン-2-イル]カルバゾール-2-イル}オキシ)フェニル]ベンゾイミダゾリウムヘキサフルオロりん酸の合成スキームを下記(e-7)に示す。
<ステップ8:Pt(mTPbOcz35dm4ppy-d16)の合成>
還流管を付けた500mL三口フラスコに6.7g(7.0mmol)の1-[2,6-ジ(フェニル-d5)フェニル]-3-[3-({9-[3,5-ジ(メチル-d3)-4-フェニルピリジン-2-イル]カルバゾール-2-イル}オキシ)フェニル]ベンゾイミダゾリウムヘキサフルオロりん酸、2.9g(7.7mmol)のジクロロ(1,5-シクロオクタジエン)白金(II)、1.7g(21mmol)の酢酸ナトリウム、N,N-ジメチルホルムアミド280mLを入れ、内部を窒素置換した。その後、160℃で、1時間撹拌することで反応させた。
所定時間経過後、溶媒を留去し、ジクロロメタンによる抽出を行った。得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって単離精製した。展開溶媒としてヘキサン:ジクロロメタン=1:1の混合溶媒を用いた。得られたフラクションを濃縮した後、トルエン:ヘキサンの混合溶媒を用いた再沈殿によって精製し、目的物である黄色固体を440mg(0.44mmol)、収率6%で得た。構造式(120)で表されるPt(mTPbOcz35dm4ppy-d16)の合成スキームを下記(e-8)に示す。
得られた黄色固体333mgをトレインサブリメーション法によって、アルゴン流量5mL/min、圧力3.1Pa、加熱温度315℃の条件下で、18時間加熱し、昇華精製を行った。その結果、黄色固体を186mg、回収率56%で得た。
<有機金属錯体の特性>
上記ステップ8で得られた黄色固体の核磁気共鳴分光法(H-NMR)による分析結果を下記に示す。この結果から、本合成例において、上述の構造式(120)で表される本発明の一態様である有機金属錯体Pt(mTPbOcz35dm4ppy-d16)が得られたことを確認した。
H NMR(CDCl,300MHz):δ=9.06(s,1H),8.10(d,1H),7.99(d,1H),7.79(d,1H),7.66(dd,1H),7.58-7.35(m,9H),7.28-7.24(m,4H),7.07(t,1H),6.99-6.92(m,3H).
((合成例5))
本実施例では、本発明の一態様の有機化合物の物性および合成方法について説明する。具体的には、実施の形態1において構造式(121)で表される本発明の有機金属錯体、(2-{4-メチル-3-[3-(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)ベンゾイミダゾール-1-イル-2-イリデン-κC2]フェノキシ-κC2}-9-[3,5-ジ(メチル-d3)-4-フェニル-2-ピリジニル-κN]カルバゾール-2,1-ジイル-κC)白金(II)(略称:Pt(Me-mmtBubOcz35dm4ppy-d6))の合成例を例示する。
<ステップ1:1-(5-ブロモ-2-メチルフェニル)ベンゾイミダゾールの合成>
300mL三口フラスコに2.1g(18mmol)のベンゾイミダゾール、4.1g(22mmol)の5-ブロモ-2-フルオロトルエン、29g(90mmol)の炭酸セシウム、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)180mLを加え、フラスコ内を窒素置換した。この混合物を160℃で6時間加熱攪拌した。
所定時間経過後、酢酸エチルによる抽出を行った。得られた残渣を、ヘキサン:酢酸エチル=2:3を展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的物を得た(白色固体、収量4.0g、収率80%)。1-(5-ブロモ-2-メチルフェニル)ベンゾイミダゾールの合成スキームを下記(f-1)に示す。
<ステップ2:2-[3-(ベンゾイミダゾール-1-イル)-4-メチルフェノキシ]-9-[3,5-ジ(メチル-d3)-4-フェニルピリジン-2-イル]カルバゾールの合成>
200mL三口フラスコに3.9g(11mmol)の2-ヒドロキシ-9-[3,5-ジ(メチル-d3)-4-フェニルピリジン-2-イル]カルバゾール、3.3g(12mmol)の1-(5-ブロモ-2-メチルフェニル)ベンゾイミダゾール、4.5g(21mmol)のリン酸三カリウム、ジメチルスルホキシド110mLを加え、フラスコ内を減圧脱気し、窒素置換した。この混合物に0.41g(2.1mmol)のヨウ化銅(I)、0.26g(2.1mmol)ピコリン酸を加え、160℃で2時間加熱攪拌した。
所定時間経過後、酢酸エチルによる抽出を行った。得られた残渣を、トルエン:酢酸エチル=10:1の混合溶媒を展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的物を得た(褐色固体、収量5.0g、収率83%)。2-[3-(ベンゾイミダゾール-1-イル)-4-メチルフェノキシ]-9-[3,5-ジ(メチル-d3)-4-フェニルピリジン-2-イル]カルバゾールの合成スキームを下記(f-2)に示す。
<ステップ3:1-(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)-3-[6-メチル-3-({9-[3,5-ジ(メチル-d3)-4-フェニルピリジン-2-イル]カルバゾール-2-イル}オキシ)フェニル]ベンゾイミダゾリウム-1,1,1-トリフルオロメタンスルホン酸の合成>
300mL三口フラスコに5.0g(8.7mmol)の2-[3-(ベンゾイミダゾール-1-イル)-4-メチルフェノキシ]-9-[3,5-ジ(メチル-d3)-4-フェニルピリジン-2-イル]カルバゾール、10g(17mmol)の(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)(メシチル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホン酸、N,N-ジメチルホルムアミド140mLを加え、フラスコ内を減圧脱気し、窒素置換した。この混合物に0.24g(1.3mmol)の酢酸銅(II)を加え、100℃で2時間半加熱攪拌した。
所定時間経過後、溶媒を留去し、得られた残渣を、ジクロロメタン:アセトン=9:1を展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的物を得た(褐色固体、収量8.4g、収率100%)。1-(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)-3-[6-メチル-3-({9-[3,5-ジ(メチル-d3)-4-フェニルピリジン-2-イル]カルバゾール-2-イル}オキシ)フェニル]ベンゾイミダゾリウム-1,1,1-トリフルオロメタンスルホン酸の合成スキームを下記(f-3)に示す。
<ステップ4:Pt(Me-mmtBubOcz35dm4ppy-d6)の合成>
還流管を付けた1L三口フラスコに8.4g(9.1mmol)の1-(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)-3-[6-メチル-3-({9-[3,5-ジ(メチル-d3)-4-フェニルピリジン-2-イル]カルバゾール-2-イル}オキシ)フェニル]ベンゾイミダゾリウム-1,1,1-トリフルオロメタンスルホン酸、4.1g(11mmol)のジクロロ(1,5-シクロオクタジエン)白金(II)、2.3g(27mmol)の酢酸ナトリウム、N,N-ジメチルホルムアミド420mLを入れ、内部を窒素置換した。その後、160℃で、1時間半撹拌することで反応させた。
所定時間経過後、溶媒を留去し、ジクロロメタンによる抽出を行った。得られた残渣を、トルエンを展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的物である黄色固体を10mg(0.010mmol)、収率0.1%で得た。構造式(121)で表されるPt(Me-mmtBubOcz35dm4ppy-d6)の合成スキームを下記(f-4)に示す。
<有機金属錯体の特性>
上記ステップ4で得られた黄色固体の核磁気共鳴分光法(H-NMR)による分析結果を下記に示す。この結果から、本合成例において、上述の構造式(121)で表される本発明の一態様である有機金属錯体Pt(Me-mmtBubOcz35dm4ppy-d6)が得られたことを確認した。
H NMR(CDCl,300MHz):δ=8.87(s,1H),8.03(d,1H),7.87(d,1H),7.81(s,1H),7.77(d,1H),7.71(s,1H),7.49-7.53(m,2H),7.28-7.41(m,8H),7.20(d,1H),7.18(d,1H),7.12(d,1H),7.07(d,1H),6.94(d,1H),2.75(s,3H),1.42(s,9H),1.05(s,9H).
10 発光デバイス
100A 発光装置
100B 発光装置
100C 発光装置
100H 発光装置
101 第1の電極
102 第2の電極
103a 有機化合物層
103B 有機化合物層
103b 有機化合物層
103Bf 有機化合物膜
103G 有機化合物層
103Gf 有機化合物膜
103R 有機化合物層
103Rf 有機化合物膜
103 有機化合物層
104 共通層
106a 電荷発生層
106b 電荷発生層
106 電荷発生層
110B 副画素
110G 副画素
110R 副画素
110W 副画素
110 副画素
111 正孔注入層
112B 導電層
112R 導電層
112 正孔輸送層
113a 発光層
113b 発光層
113c 発光層
113 発光層
114 電子輸送層
115 電子注入層
118_1 有機化合物
118_2 有機化合物
118 ホスト材料
119 ゲスト材料
120 基板
122 樹脂層
124a 画素
124b 画素
125f 無機絶縁膜
125 無機絶縁層
126B 導電層
126R 導電層
127a 絶縁層
127f 絶縁膜
127 絶縁層
128 層
129B 導電層
129R 導電層
130B 発光デバイス
130G 発光デバイス
130R 発光デバイス
130 発光デバイス
131 保護層
132B 着色層
132G 着色層
132R 着色層
140 接続部
141 領域
142 接着層
151_1 導電層
151_2 導電層
151_3 導電層
151B 導電層
151C 導電層
151f 導電膜
151G 導電層
151R 導電層
151 導電層
152_1 導電層
152_2 導電層
152_3 導電層
152B 導電層
152C 導電層
152f 導電膜
152G 導電層
152R 導電層
152 導電層
153 絶縁層
154 共通層
155 共通電極
156B 絶縁層
156C 絶縁層
156f 絶縁膜
156G 絶縁層
156R 絶縁層
156 絶縁層
157 遮光層
158B 犠牲層
158Bf 犠牲膜
158G 犠牲層
158Gf 犠牲膜
158R 犠牲層
158Rf 犠牲膜
158 犠牲層
159B マスク層
159Bf マスク膜
159G マスク層
159Gf マスク膜
159R マスク層
159Rf マスク膜
166 導電層
171 絶縁層
172 導電層
173 絶縁層
174 絶縁層
175 絶縁層
176 プラグ
177 画素部
178 画素
179 導電層
190R レジストマスク
190B レジストマスク
190G レジストマスク
191 レジストマスク
201 トランジスタ
204 接続部
205 トランジスタ
209 トランジスタ
210 トランジスタ
211 絶縁層
213 絶縁層
214 絶縁層
215 絶縁層
218 絶縁層
221 導電層
222a 導電層
222b 導電層
223 導電層
224B 導電層
224C 導電層
224G 導電層
224R 導電層
225 絶縁層
231i チャネル形成領域
231n 低抵抗領域
231 半導体層
240 容量
241 導電層
242 接続層
243 絶縁層
245 導電層
254 絶縁層
255 絶縁層
256 プラグ
261 絶縁層
271 プラグ
280 表示モジュール
281 表示部
282 回路部
283a 画素回路
283 画素回路部
284a 画素
284 画素部
285 端子部
286 配線部
290 FPC
291 基板
292 基板
301 基板
310 トランジスタ
311 導電層
312 低抵抗領域
313 絶縁層
314 絶縁層
315 素子分離層
351 基板
352 基板
353 FPC
354 IC
355 配線
356 回路
700A 電子機器
700B 電子機器
721 筐体
723 装着部
727 イヤフォン部
750 イヤフォン
751 表示パネル
753 光学部材
756 表示領域
757 フレーム
758 鼻パッド
800A 電子機器
800B 電子機器
820 表示部
821 筐体
822 通信部
823 装着部
824 制御部
825 撮像部
827 イヤフォン部
832 レンズ
900 ガラス基板
901 第1の電極
902 第2の電極
911 正孔注入層
912 正孔輸送層
913 発光層
914 電子輸送層
915 電子注入層
1000 発光装置
6500 電子機器
6501 筐体
6502 表示部
6503 電源ボタン
6504 ボタン
6505 スピーカ
6506 マイク
6507 カメラ
6508 光源
6510 保護部材
6511 表示パネル
6512 光学部材
6513 タッチセンサパネル
6515 FPC
6516 IC
6517 プリント基板
6518 バッテリ
7000 表示部
7100 テレビジョン装置
7151 リモコン操作機
7171 筐体
7173 スタンド
7200 ノート型パーソナルコンピュータ
7211 筐体
7212 キーボード
7213 ポインティングデバイス
7214 外部接続ポート
7300 デジタルサイネージ
7301 筐体
7303 スピーカ
7311 情報端末機
7400 デジタルサイネージ
7401 柱
7411 情報端末機
9000 筐体
9001 表示部
9002 カメラ
9003 スピーカ
9005 操作キー
9006 接続端子
9007 センサ
9008 マイクロフォン
9050 アイコン
9051 情報
9052 情報
9053 情報
9054 情報
9055 ヒンジ
9171 携帯情報端末
9172 携帯情報端末
9173 タブレット端末
9200 携帯情報端末
9201 携帯情報端末

Claims (11)

  1. 一般式(G1)で表される有機金属錯体。

    (式中、R、R、およびR乃至R22は、それぞれ独立に、水素(重水素を含む)、炭素数1乃至10のアルキル基、または置換もしくは無置換の炭素数6乃至18のアリール基を表し、かつRまたはRの少なくとも一は、炭素数1乃至10のアルキル基を表し、R18乃至R22のいずれか一以上は、炭素数3乃至10のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6乃至18のアリール基を表す。)
  2. 一般式(G1)で表される有機金属錯体。

    (式中、R、R、およびR乃至R22は、それぞれ独立に、水素(重水素を含む)、炭素数1乃至10のアルキル基、または置換もしくは無置換の炭素数6乃至18のアリール基を表し、かつRまたはRの少なくとも一は、重水素を有する炭素数1乃至10のアルキル基を表し、R18乃至R22のいずれか一以上は、炭素数3乃至10のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6乃至18のアリール基を表す。)
  3. 一般式(G1)で表される有機金属錯体。

    (式中、R、R、およびR乃至R22は、それぞれ独立に、水素(重水素を含む)、炭素数1乃至10のアルキル基、または置換もしくは無置換の炭素数6乃至18のアリール基を表し、かつRは、炭素数1乃至10のアルキル基を表し、R18乃至R22のいずれか一以上は、炭素数3乃至10のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6乃至18のアリール基を表す。)
  4. 一般式(G1)で表される有機金属錯体。

    (式中、R、R、およびR乃至R22は、それぞれ独立に、水素(重水素を含む)、炭素数1乃至10のアルキル基、または置換もしくは無置換の炭素数6乃至18のアリール基を表し、かつRは、重水素を有する炭素数1乃至10のアルキル基を表し、R18乃至R22のいずれか一以上は、炭素数3乃至10のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6乃至18のアリール基を表す。)
  5. 一般式(G1)で表される有機金属錯体。

    (式中、R、R、R乃至R18、R20、およびR22は、それぞれ独立に、水素(重水素を含む)、炭素数1乃至10のアルキル基、または置換もしくは無置換の炭素数6乃至18のアリール基を表し、かつRまたはRの少なくとも一は、炭素数1乃至10のアルキル基を表し、R19およびR21は、それぞれ独立に炭素数3乃至10のアルキル基を表す。)
  6. 一般式(G1)で表される有機金属錯体。

    (式中、R、R、R乃至R18、R20、およびR22は、それぞれ独立に、水素(重水素を含む)、炭素数1乃至10のアルキル基、または置換もしくは無置換の炭素数6乃至18のアリール基を表し、かつRまたはRの少なくとも一は、重水素を有する炭素数1乃至10のアルキル基を表し、R19およびR21は、それぞれ独立に炭素数3乃至10のアルキル基を表す。)
  7. 一般式(G1)で表される有機金属錯体。

    (式中、R、R、およびR乃至R22は、それぞれ独立に、水素(重水素を含む)、炭素数1乃至10のアルキル基、または置換もしくは無置換の炭素数6乃至18のアリール基を表し、かつRまたはRの少なくとも一は、炭素数1乃至10のアルキル基を表し、R18乃至R22のいずれか一以上は、下記一般式(R-1)を表す。)

    (式中、R31乃至R35は、それぞれ独立に、水素(重水素を含む)、炭素数1乃至10のアルキル基、または置換もしくは無置換の炭素数6乃至18のアリール基を表す。)
  8. 一般式(G1)で表される有機金属錯体。

    (式中、R、R、R乃至R17およびR19乃至R21は、それぞれ独立に、水素(重水素を含む)、炭素数1乃至10のアルキル基、または置換もしくは無置換の炭素数6乃至18のアリール基を表し、かつRまたはRの少なくとも一は、置換もしくは無置換の炭素数1乃至10のアルキル基を表し、R18およびR22のいずれか一は、下記一般式(R-1)を表す。)

    (式中、R31乃至R35は、それぞれ独立に、水素(重水素を含む)、炭素数1乃至10のアルキル基、または置換もしくは無置換の炭素数6乃至18のアリール基を表す。)
  9. 一般式(G1)で表される有機金属錯体。

    (式中、R、R、R乃至R11、R13乃至R17およびR19乃至R21は、それぞれ独立に、水素(重水素を含む)、炭素数1乃至10のアルキル基、または置換もしくは無置換の炭素数6乃至18のアリール基を表し、かつRまたはRの少なくとも一は、炭素数1乃至10のアルキル基を表し、R12は炭素数1乃至10のアルキル基を表し、R18およびR22のいずれか一は、下記一般式(R-1)を表す。)

    (式中、R31乃至R35は、それぞれ独立に、水素(重水素を含む)、炭素数1乃至10のアルキル基、または置換もしくは無置換の炭素数6乃至18のアリール基を表す。)
  10. 構造式(100)、構造式(115)、構造式(119)、構造式(120)、または構造式(121)で表される有機金属錯体。
  11. 請求項1乃至請求項10のいずれかの有機金属錯体を含む発光層を有する発光デバイス。
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WO2020152556A1 (ja) 2019-01-25 2020-07-30 株式会社半導体エネルギー研究所 機能パネル、表示装置、入出力装置、情報処理装置、情報処理装置の駆動方法

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