JP2024061535A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

Figure 2024061535000001
【課題】エンボス紙にトナー像を転写する際の転写電圧をより適切に設定することを可能とする。
【解決手段】画像形成装置1は、像担持体44bと、転写手段45bと、転写手段45bに転写電圧を印加する印加部76と、記録材Sの表面の凹凸に関する情報を検知する検知部90と、制御部30と、を有し、制御部30は、略同一の坪量の記録材Sのうち、(i)トナー像が転写される表面の凹凸に関する情報が第1の所定条件を満たす記録材Sである場合は、転写電圧を第1の転写電圧に設定し、(ii)トナー像が転写される表面の凹凸に関する情報が第2の所定条件を満たす記録材Sである場合は、転写電圧を第2の転写電圧に設定し、(iii)トナー像が転写される表面の凹凸に関する情報が第3の所定条件を満たす記録材Sである場合は、転写電圧を第3の転写電圧に設定する構成とする。
【選択図】図7

Description

本発明は、電子写真方式や静電記録方式を用いた複写機、プリンタ、ファクシミリ装置、あるいはこれらのうち複数の機能を備えた複合機などの画像形成装置に関するものである。
従来、電子写真方式などを用いた画像形成装置では、記録材の種類に応じて画像形成時の動作条件(転写電圧、定着温調など)を適切に設定して高品質の画像を出力できるようにしている。
また、近年、電子写真方式などを用いた画像形成装置で使用される記録材の種類が増加しており、中でもエンボス紙の需要が高まっている。なお、エンボス紙とは、紙の表面に浮き出しや型押しなどの方法を用いて凹凸による模様をつけた紙(ファンシーペーパー)である。これに限定されるものではないが、エンボス紙は、一般に、紙を抄く段階又は抄いた後に、凹凸による模様が表面に形成された金属ロールを押しつけて作製される。エンボス紙としては、様々な紙に様々なパターンの凹凸による模様が施された多くの種類のものが市場で入手可能である。
特許文献1では、エンボス紙に関する記載はないが、LED光源とCMOSエリアセンサとを用いた記録用紙種センサにより記録材の種類を判別する構成が提案されている。特許文献1の構成では、記録用紙種センサによって検知した、記録材の表面からの反射光に基づく記録材の表面の凹凸の高さなどにより、普通紙やラフ紙などの記録材の種類を判別している。
特開2007-240720号公報
しかしながら、本発明者の検討によって、例えば記録材の表面の凹凸の高さを検知するだけでは、様々な表面形状のものがあるエンボス紙にトナー像を転写する際の転写電圧を適切に設定することが難しいことがあることが分かった。
したがって、本発明の目的は、エンボス紙にトナー像を転写する際の転写電圧をより適切に設定することを可能とすることである。
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、トナー像を担持する像担持体と、転写部で前記像担持体から記録材にトナー像を転写させる転写手段と、前記転写手段に前記像担持体から記録材にトナー像を転写するための転写電圧を印加する印加部と、前記転写部に供給される記録材のトナー像が転写される表面の凹凸に関する情報を検知する検知部と、前記印加部を制御可能な制御部と、を有し、前記制御部は、略同一の坪量の記録材のうち、(i)トナー像が転写される表面の凹凸に関する情報が第1の所定条件を満たす記録材である場合は、前記転写電圧を第1の転写電圧に設定し、(ii)トナー像が転写される表面の凹凸に関する情報が第2の所定条件を満たす記録材である場合は、前記転写電圧を第2の転写電圧に設定し、(iii)トナー像が転写される表面の凹凸に関する情報が第3の所定条件を満たす記録材である場合は、前記転写電圧を第3の転写電圧に設定することを特徴とする画像形成装置である。
本発明によると、エンボス紙にトナー像を転写する際の転写電圧をより適切に設定することが可能となる。
画像形成装置の概略断面図である。 画像形成装置の制御構成を示す概略ブロック図である。 転写電圧制御の手順の概略を示すフローチャート図である。 表面性検知部の模式的な断面図及び斜視図である。 レザック66に関する坪量と紙厚及び溝の深さとの関係を示すグラフ図である。 レザック66及びマーメイドに関する坪量と紙厚に対する溝の深さの割合との関係を示すグラフ図である。 実施例1の制御の手順の概略を示すフローチャート図である スキューネスが表す形状の確率密度のイメージ図である。 クロコGAの表面の写真図である。 クルトシスが表す形状の確率密度のイメージ図である。 エスプリVエンボスモメンの表面の写真図である。 マーメイドの表面の写真図である。 実施例2の制御の一例の手順の概略を示すフローチャート図である。 実施例2の制御の他の例の手順の概略を示すフローチャート図である。 実施例3の制御の一例の手順の概略を示すフローチャート図である。 実施例3の制御の他の例の手順の概略を示すフローチャート図である。
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
[実施例1]
1.画像形成装置の全体的な構成及び動作
まず、本実施例の画像形成装置の全体的な構成及び動作について説明する。図1は、本実施例の画像形成装置1の概略断面図である。本実施例の画像形成装置1は、電子写真方式を用いてフルカラー画像をシート状の記録材Sに形成することが可能な、中間転写方式を採用したタンデム型のフルカラープリンタである。
画像形成装置1は、画像形成部40と、記録材Sの給送部2と、記録材Sの排出部3と、制御部30と、操作部70(図2)と、を有する。また、画像形成装置1の内部には、機内温度を検知可能な温度センサ71(図2)と、機内湿度を検知可能な湿度センサ72(図2)と、が設けられている。画像形成装置1は、画像形成装置1に設けられるか又は画像形成装置1に接続された原稿読取装置(図示せず)により取得された画像情報(画像信号)に基づいて、記録材Sに画像を形成することができる。また、画像形成装置1は、画像形成装置1に接続されたパーソナルコンピュータなどのホスト機器、デジタルカメラ、スマートフォンなどの外部機器(図示せず)からの画像情報(画像信号)に基づいて、記録材Sに画像を形成することができる。記録材(転写材、記録媒体、シート)Sは、トナーで画像が形成されるものであり、具体例として、普通紙、厚紙、グロスコート紙、マットコート紙、エンボス紙、合成紙、樹脂フィルム、オーバーヘッドプロジェクタ用シートなどがある。なお、記録材Sを「紙」ということがあるが(「紙」、「エンボス紙」、「厚紙」など)、その場合でも記録材Sは紙以外の材料あるいは紙以外の材料を含む材料で形成されたものを含む。
画像形成部40は、給送部2から給送された記録材Sに、画像情報に基づいて画像を形成する。画像形成部40は、画像形成ユニット50Y、50M、50C、50Kと、トナーボトル41Y、41M、41C、41Kと、露光装置42Y、42M、42C、42Kと、中間転写ユニット44と、二次転写装置45と、定着装置46と、を有する。画像形成ユニット50Y、50M、50C、50Kは、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像を形成する。なお、各色用に設けられた同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、いずれかの色用の要素であることを示す符号の末尾のY、M、C、Kを省略して総括的に説明することがある。また、画像形成装置1は、4つの画像形成ユニット50のうち1つ又はいくつかの画像形成ユニット50を用いて、例えばブラック単色などの単色画像又はマルチカラー画像を形成することも可能である。
画像形成ユニット50は、トナー像を担持する第1の像担持体としての回転可能なドラム状(円筒形)の感光体(電子写真感光体)である感光ドラム51を有する。また、画像形成ユニット50は、帯電手段としてのローラ状の帯電部材である帯電ローラ52を有する。また、画像形成ユニット50は、現像手段としての現像装置20を有する。また、画像形成ユニット50は、除電手段としての前露光装置54を有する。また、画像形成ユニット50は、感光体クリーニング手段としてのドラムクリーニング装置55を有する。画像形成ユニット50は、一体的に画像形成装置1の装置本体1aに対して着脱可能なカートリッジ(プロセスカートリッジ)を構成していてよい。また、例えば、感光ドラム51、帯電ローラ52及びドラムクリーニング装置55が一体的に装置本体1aに対して着脱可能なカートリッジとされ、現像装置20が実質的に単独で装置本体1aに対して着脱可能なカートリッジとされていてもよい。また、感光ドラム51、帯電ローラ52及びドラムクリーニング装置55のうち少なくとも1つが実質的に単独で装置本体1aに対して着脱可能なカートリッジとされていてもよい。
本実施例では、感光ドラム51は、外径30mmの負帯電性の有機感光体(OPC)である。この感光ドラム51は、基体としてのアルミニウム製のシリンダの表面に、下引き層と、光電荷発生層と、電荷輸送層と、の3層がこの順番で塗布されて積層された表面層を有する。感光ドラム51は、駆動手段を構成する駆動源としての駆動モータ(図示せず)により、図中矢印R1方向(反時計回り方向)に、所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動される。
本実施例では、帯電ローラ52は、芯金と、芯金の周囲に形成された弾性層としてのゴム層と、を有するゴムローラである。帯電ローラ52は、感光ドラム51の表面に接触して配置され、感光ドラム51の回転に伴って従動回転する。回転する感光ドラム51の表面は、帯電ローラ52によって所定の極性(本実施例では負極性)の所定の電位に均一に帯電処理される。帯電ローラ52には、帯電電圧印加手段(帯電電圧印加部)としての帯電電源73(図2)が接続されている。帯電処理時に、帯電電源73は、帯電ローラ52に、直流電圧である所定の帯電電圧(帯電バイアス)を印加する。
本実施例では、露光手段としての露光装置42は、レーザスキャナ(レーザ露光光学系)で構成されている。帯電処理された感光ドラム51の表面は、露光装置42によって走査露光され、感光ドラム51上に静電潜像(静電像)が形成される。各色用の露光装置42は、制御部30から出力される対応する分解色の画像情報に従ってレーザ光を発光し、各色用の感光ドラム51の表面に照射する。
感光ドラム51上に形成された静電潜像は、現像装置20によってトナーが供給されて現像(可視化)され、感光ドラム51上にトナー像(トナー画像、現像剤像)が形成される。本実施例では、現像装置20は、現像剤としてトナー(非磁性トナー粒子)とキャリア(磁性キャリア粒子)とを含む二成分現像剤を用いる二成分現像装置である。現像装置20の現像容器(現像装置本体)21内には、二成分現像剤が収容されており、消費されたトナーに見合う量のトナーがトナーボトル41から補給される。現像装置20は、現像部材(現像剤担持体)としての現像スリーブ24を有する。現像スリーブ24は、例えば、アルミニウムや非磁性ステンレスなどの非磁性材料で構成される。本実施例では、現像スリーブ24は、アルミニウム製である。現像スリーブ24の内側には、磁界発生手段としてのローラ状の磁界発生部材であるマグネットローラ(図示せず)が、現像容器21に対して回転しないように固定して配置されている。現像スリーブ24は、トナー及びキャリアを含む二成分現像剤を担持して、感光ドラム51に対向する現像領域に搬送する。そして、現像領域において、現像スリーブ24上の二成分現像剤から感光ドラム51上の静電潜像の画像部にトナーが移動して付着する。現像スリーブ24には、現像電圧印加手段(現像電圧印加部)としての現像電源74(図2)が接続されている。現像時に、現像電源74は、現像スリーブ24に、直流電圧である所定の現像電圧(現像バイアス)を印加する。本実施例では、一様に帯電処理された後に露光されることで電位の絶対値が低下した感光ドラム51上の露光部(イメージ部)に、感光ドラム51の帯電極性と同極性(本実施例では負極性)に帯電したトナーが付着する(反転現像方式)。本実施例では、現像時のトナーの主要な帯電極性であるトナーの正規の帯電極性は負極性である。
4つの感光ドラム51Y、51M、51C、51Kに対向するように、中間転写ユニット44が設けられている。中間転写ユニット44は、トナー像を担持する第2の像担持体としての回転可能な無端状のベルトで構成された中間転写体である中間転写ベルト44bを有する。中間転写ベルト44bは、複数の張架ローラとしての駆動ローラ44a、テンションローラ44d及び二次転写内ローラ45aに巻き掛けられて張架されている。中間転写ベルト44bは、駆動手段を構成する駆動源としての駆動モータ(図示せず)により駆動ローラ44aが回転駆動されることで駆動力が伝達される。これにより、中間転写ベルト44bは、図中矢印R2方向(時計回り方向)に、感光ドラム51の周速度に対応する周速度で回転(周回移動)する。テンションローラ44dは、中間転写ベルト44bの張力を一定に制御する。テンションローラ44dは、付勢手段としての付勢部材である押圧ばねの付勢力によって、中間転写ベルト44bを内周面側から外周面側に向けて押し出すような力が加えられている。この力によって、中間転写ベルト44bには、その搬送方向に2~5kg程度の張力が掛けられている。二次転写内ローラ45aは、後述する二次転写外ローラ45bと共に、二次転写装置45を構成する。
中間転写ベルト44bの内周面側には、各感光ドラム51Y、51M、51C、51Kに対応して、一次転写手段としてのローラ状の一次転写部材である一次転写ローラ47Y、47M、47C、47Kがそれぞれ配置されている。本実施例では、一次転写ローラ47は、感光ドラム51との間に中間転写ベルト44bを挟んで、感光ドラム51に対向して配置されている。一次転写ローラ47は、感光ドラム51に向けて押圧され、中間転写ベルト44bを介して感光ドラム51に当接して、感光ドラム51と中間転写ベルト44bとの当接部である一次転写部(一次転写ニップ部)N1を形成する。一次転写ローラ47には、一次転写電圧印加手段(一次転写電圧印加部)としての一次転写電源75(図2)が接続されている。一次転写電源75には、その出力電圧を検知する電圧検知手段(電圧検知部)としての電圧検知センサ75a(図2)と、その出力電流を検知する電流検知手段(電流検知部)としての電流検知センサ75b(図2)と、が接続されている。なお、本実施例では、一次転写電源75Y、75M、75C、75Kは、各一次転写ローラ47Y、47M、47C、47Kのそれぞれに対して独立して設けられている。そして、本実施例では、各一次転写ローラ47Y、47M、47C、47Kに印加する一次転写電圧は、個別に制御することが可能である。本実施例では、一次転写ローラ47の外径は、15~20mmである。本実施例では、一次転写ローラ47は、芯金と、芯金の周囲に形成されたイオン導電系発泡ゴム(NBRゴム)の弾性層と、を有する。また、本実施例では、一次転写ローラ47の電気抵抗値は、1×10~1×10Ω(N/N(23℃、50%RH)測定、2kV印加)である。
本実施例では、中間転写ベルト44bは、基層と、弾性層と、表層と、が内周面側(裏面側)から外周面側(表面側)へとこの順番で積層された3層構造を有する無端状のベルトである。本実施例では、基層を構成する材料としては、ポリイミドやポリカーボネートなどの樹脂、又は各種ゴムなどに、帯電防止剤としてカーボンブラックなどを適当量含有させた材料が用いられている。また、本実施例では、基層の厚さは、0.05~0.15mmである。本実施例では、弾性層を構成する弾性材料としては、ウレタンゴムやシリコーンゴムなどの各種ゴムなどにイオン導電剤を適当量含有させた材料が用いられている。また、本実施例では、弾性層の厚さは、0.1~0.500mmである。また、本実施例では、表層を構成する材料には、フッ素樹脂などの樹脂が含有され、中間転写ベルト44bの表面へのトナーの付着力が小さくされて、後述する二次転写部N2でトナーが記録材Sへ転写しやすくされている。本実施例では、表層の厚さは、0.002~0.020mmである。本実施例では、表層の基材を構成する材料としては、例えば、ポリウレタン、ポリエステル、エポキシ樹脂などの1種類の樹脂材料か、例えば弾性材ゴム、エラストマー、ブチルゴムなどの弾性材料のうち2種類以上の材料が用いられている。そして、この基材に対して、表面エネルギを小さくし潤滑性を高める材料として、例えばフッ素樹脂などの粉体や粒子が、1種類又は2種類以上、あるいは粒径を異ならせて分散されることにより、表層が形成されている。本実施例では、中間転写ベルト44bの体積抵抗率は、5×10~1×1014Ω・cm(23℃、50%RH)である。本実施例では、中間転ベルト44bの硬度は、MD1硬度で60~85°(23℃、50%RH)である。また、本実施例では、中間転写ベルト44bの静止摩擦係数は、0.15~0.6(23℃、50%RH、HEIDON社製type94i)である。
感光ドラム51上に形成されたトナー像は、一次転写部N1において、回転している中間転写ベルト44b上に転写(一次転写)される。一次転写時に、一次転写電源75は、一次転写ローラ47に、トナーの正規の帯電極性とは逆極性(本実施例では正極性)の直流電圧である一次転写電圧(一次転写バイアス)を印加する。本実施例では、一次転写ローラ47bには、定電圧制御された一次転写電圧が印加される。例えば、フルカラー画像の形成時には、各感光ドラム51Y、51M、51C、51K上に形成されたY、M、C、Kの各色のトナー像が、中間転写ベルト44b上に順次重ね合わせるようにして多重転写される。
中間転写ベルト44bの外周面側には、二次転写手段としてのローラ状の二次転写部材である二次転写外ローラ45bが配置されている。二次転写装置45は、対向部材(対向電極)として機能する二次転写内ローラ45aと、二次転写部材である二次転写外ローラ45bと、を有して構成される。二次転写外ローラ45bは、中間転写ベルト44bを介して二次転写内ローラ45aに対向して配置されている。二次転写外ローラ45bは、二次転写内ローラ45aに向けて押圧され、中間転写ベルト44bを介して二次転写内ローラ45aに当接して、中間転写ベルト44bと二次転写外ローラ45bとの当接部である二次転写部(二次転写ニップ部)N2を形成する。二次転写外ローラ45bには、二次転写電圧印加手段(二次転写電圧印加部)としての二次転写電源76(図2)が接続されている。二次転写電源76には、その出力電圧を検知する電圧検知手段(電圧検知部)としての電圧検知センサ76a(図2)と、その出力電流を検知する電流検知手段(電流検知部)としての電流検知センサ76b(図2)と、が接続されている。
中間転写ベルト44b上に形成されたトナー像は、二次転写部N2において、中間転写ベルト44bと二次転写外ローラ45bとに挟持されて搬送されている記録材S上に転写(二次転写)される。二次転写時に、二次転写電源76は、二次転写外ローラ45bに、トナーの正規の帯電極性とは逆極性(本実施例では正極性)の直流電圧である二次転写電圧(二次転写バイアス)を印加する。二次転写内ローラ45aの芯金は、接地電位に接続されている。本実施例では、二次転写部N2に記録材Sが供給された際に、二次転写外ローラ45bに定電圧制御された二次転写電圧が印加される。本実施例では、例えば1~7kVの二次転写電圧が二次転写外ローラ45bに印加され、40~120μAの二次転写電流が二次転写部N2に流されることで、中間転写ベルト44b上のトナー像が記録材S上に二次転写される。なお、二次転写内ローラ45aにトナーの正規の帯電極性と同極性の二次転写電圧を印加し、二次転写外ローラ45bを接地電位に接続する構成としてもよい。本実施例では、二次転写外ローラ45bの外径は、20~25mmである。本実施例では、二次転写外ローラ45bは、芯金と、芯金の周囲に形成されたイオン導電系発泡ゴム(NBRゴム)の弾性層と、を有する。また、本実施例では、二次転写外ローラ45bの電気抵抗値は、1×10~1×10Ω(N/N(23℃、50%RH)測定、2kV印加)である。
記録材Sは、中間転写ベルト44bに対するトナー像の形成動作と並行して、給送部2から二次転写部N2に向けて搬送される。記録材Sは、給送部2の記録材収容部としてのカセット23に収容されている。カセット23に収容された記録材Sは、給送部2の給送部材としての給送ローラ25などによって1枚ずつ分離されてカセット23から送り出される。この記録材Sは、搬送部材としての搬送ローラ26などによって、記録材Sの搬送経路に配置された搬送部材としてのレジストローラ(レジストローラ対)80まで搬送される。そして、この記録材Sは、レジストローラ80によって、中間転写ベルト44b上のトナー像とタイミングが合わされて、二次転写部N2へと搬送される。
トナー像が転写された記録材Sは、定着手段としての定着装置46へと搬送される。定着装置46は、加熱手段を備えた定着ローラ46aと、定着ローラ46aに圧接する加圧ローラ46bと、を有する。定着装置46は、定着ローラ46aと加圧ローラ46bとの間の定着ニップ部で記録材Sを挟持して搬送することにより、記録材S上のトナー像を加熱及び加圧して記録材S上に定着(溶融、固着)させる。なお、定着ローラ46aの温度は、定着温度センサ77(図2)により検知される。
トナー像が定着された記録材Sは、排出部3の排出ローラ27などによって排出経路を通して搬送されて、排出部3の排出口から画像形成装置1の装置本体1aの外部に設けられた排出トレイ88上に排出(出力)されて積載される。なお、画像形成装置1は、定着装置46を通過した後の記録材Sの搬送方向の先端と後端とを入れ替えると共に記録材Sを裏返し、反転搬送路を通して再度二次転写部N2へと供給する、両面画像形成機構を有していてよい。この両面画像形成機構が作動することにより、1枚の記録材Sの両面に自動的に画像を形成して出力することができる(両面画像形成、自動両面印刷)。
一次転写後の感光ドラム51の表面は、前露光装置54によって除電される。また、一次転写後に感光ドラム51上に残留したトナー(一次転写残トナー)は、ドラムクリーニング装置55によって感光ドラム51上から除去されて回収される。本実施例では、ドラムクリーニング装置55は、カウンタブレード方式であり、感光ドラム51に対して所定の押圧力で当接されたクリーニング部材としてのクリーニングブレードを有する。ドラムクリーニング装置55は、クリーニングブレードによって、回転する感光ドラム51上から一次転写残トナーを掻き取ってクリーニング容器(図示せず)に収容する。更に、二次転写後に中間転写ベルト44b上に残留したトナー(二次転写残トナー)などの付着物は、中間転写体クリーニング手段としてのベルトクリーニング装置10によって中間転写ベルト44b上から除去されて回収される。
本実施例では、ベルトクリーニング装置10は、中間転写ベルト44b上の二次転写残トナーなどの付着物を静電的に除去する静電クリーニング装置である。本実施例では、ベルトクリーニング装置10は、中間転写ベルト44bに当接して配置された、クリーニング部材としての導電性を有する回転可能なブラシローラで構成された第1、第2のクリーニングブラシ11a、11bを有する。また、ベルトクリーニング装置10は、第1、第2のクリーニングブラシ11a、11bにそれぞれ接触して配置された、回転可能な導電性を有する第1、第2の回収ローラ12a、12bを有する。また、ベルトクリーニング装置10は、第1、第2の回収ローラ12a、12bにそれぞれ当接して配置された、第1、第2の回収ブレード13a、13bを有する。また、中間転写ベルト44bを介して第1、第2のクリーニングブラシ11a、11bにそれぞれ当接するように、第1、第2のクリーニング対向ローラ14a、14bが設けられている。第1、第2のクリーニングブラシ11a、11bは、中間転写ベルト44bの回転方向において二次転写部N2よりも下流側かつ一次転写部N1(最上流の一次転写部N1Y)よりも上流側で中間転写ベルト44bの外周面に当接するように配置されている。第1、第2の回収ローラ12a、12bには、それぞれ第1、第2の清掃電源61e、62e(図2)が接続されている。中間転写ベルト44bの清掃時に、第1、第2のクリーニングブラシ11a、11bには、それぞれ第1、第2の回収ローラ12a、12bを介して所定の清掃電圧(清掃バイアス)が印加される。第1、第2のクリーニング対向ローラ14a、14bは、それぞれ接地電位に接続されている。中間転写ベルト44bの表面から第1、第2のクリーニングブラシ11a、11bに回収されたトナーなどは、それぞれ第1、第2の回収ローラ12a、12bに転移する。その後、このトナーなどは、第1、第2の回収ブレード13a、13bによって第1、第2の回収ローラ12a、12bから掻き取られてクリーニング容器(図示せず)に収容される。例えば、第1のクリーニングブラシ11aには、トナーの正規の帯電極性と同極性の直流電圧である清掃電圧が印加され、第2のクリーニングブラシ11bには、トナーの正規の帯電極性とは逆極性の直流電圧である清掃電圧が印加される。これにより、第1のクリーニングブラシ11aによって、トナーの正規の帯電極性とは逆極性に帯電したトナーなどが中間転写ベルト44bの表面から除去される。また、第2のクリーニングブラシ11bによって、トナーの正規の帯電極性と同極性に帯電したトナーなどが中間転写ベルト44bの表面から除去される。なお、本実施例では、第1、第2の清掃電源61e、62eには、それぞれ第1、第2の電圧検知センサ61f、62fが接続されている。そして、第1、第2の清掃電源61e、62eは、第1、第2の電圧検知センサ61f、62fにより検知される電圧が略一定となるように定電圧制御された清掃電圧を、それぞれ第1、第2の回収ローラ12a、12bに印加する。
2.制御構成
図2は、本実施例の画像形成装置1の制御構成を示す概略ブロック図である。画像形成装置1には、制御手段としての制御部30が設けられている。制御部30は、コンピュータにより構成され、例えば、演算処理手段としてのCPU31と、記憶手段としてのROM32、RAM33及び不揮発性メモリ35と、制御部30の外部のデバイスとの間での信号の入出力を行う入出力回路(I/F)34と、を有する。ROM32は、画像形成装置1の各部を制御するプログラムなどを記憶する。RAM33は、制御に関するデータなどを一時的に記憶する。不揮発性メモリ35は、各種の設定情報や使用履歴情報を記憶して保持するなどのために用いられる。
CPU31は、画像形成装置1の制御全体を司るマイクロプロセッサであり、システムコントローラの主体である。CPU31は、入出力回路34を介して、給送部2、画像形成部40、排出部3、操作部70などの画像形成装置1の各部に接続され、各部と信号をやり取りすると共に各部の動作を制御する。ROM32には、記録材Sに画像を形成するための画像形成制御シーケンスなどが記憶されている。制御部30には、帯電電源73、現像電源74、一次転写電源75、二次転写電源76が接続され、それぞれ制御部30からの信号により制御される。すなわち、制御部30は、二次転写電源76などの各種電源を制御可能である。また、制御部30には、温度センサ71、湿度センサ72、一次転写電源75の電圧検知センサ75a及び電流検知センサ75b、二次転写電源76の電圧検知センサ76a及び電流検知センサ76b、定着温度センサ77が接続されている。温度センサ71、湿度センサ72は、画像形成装置1の内部又は外部の少なくとも一方の温度又は湿度の少なくとも一方である画像形成装置1の設置環境(ここでは、単に「設置環境」ともいう。)を検知する環境検知手段の一例である。本実施例では、温度センサ71は画像形成装置1の内部の温度を検知し、湿度センサ72は画像形成装置1の内部の湿度を検知する。また、制御部30には、第1、第2の清掃電源61e、62e、第1、第2の電圧検知センサ61f、62fが接続されている。更に、制御部30には、後述するメディアセンサ7が接続されている。各センサによる検知結果を示す信号(情報)は、制御部30に入力される。
操作部70は、入力手段としての操作ボタンなどで構成された入力部(図示せず)と、表示手段としての液晶パネルなどで構成された表示部70aと、を有する。なお、操作部70は、入力部の機能と表示部の機能とを備えたタッチパネルなどを有して構成されていてよい。ユーザーやサービス担当者などの操作者は、操作部70を操作することで、制御部30にジョブ信号を入力し、画像形成装置1に印刷ジョブを実行させることが可能である。制御部30は、操作部70からの信号を受けて、画像形成装置1の各種デバイスを動作させる。また、操作者は、画像形成装置1に接続されたパーソナルコンピュータなどの外部機器(図示せず)における操作により、制御部30にジョブ信号を入力し、画像形成装置1に印刷ジョブを実行させることも可能である。なお、ジョブ信号(印刷ジョブの情報)は、印刷ジョブの開始信号、画像信号、画像形成に用いられる記録材Sに関する情報などの動作設定の指令信号などを含む。
本実施例では、制御部30は、画像形成前準備プロセス部31aと、ATVC制御プロセス部31bと、画像形成プロセス部31cと、を有している。また、制御部30は、一次転写電圧記憶部/演算部31dと、清掃電圧記憶部/演算部31eと、二次転写電圧記憶部/演算部31fと、画像形成カウンタ記憶部/演算部31gと、タイマ記憶部/演算部31hと、記録材判断処理部31iと、を有している。なお、これらの各プロセス部、記憶部/演算部、及び処理部は、CPU31やRAM33の一部として設けられていてもよい。
制御部30は、複数の一次転写部N1に一次転写電圧を印加して複数色で画像形成する複数色モードと、複数の一次転写部N1のうちの1つの一次転写部N1のみに一次転写電圧を印加して単色で画像形成する単色モードと、を切り換えて実行可能である。本実施例では、制御部30は、4つの一次転写部N1Y、N1M、N1C、N1Kに一次転写電圧を印加してフルカラー(複数色)で画像形成するフルカラーモード(複数色モード)を実行可能である。また、本実施例では、制御部30は、ブラックの一次転写部N1Kのみに一次転写電圧を印加してブラック(単色)で画像形成する白黒モード(単色モード)を実行可能である。
ここで、画像形成装置1は、一の開始指示により開始される単数又は複数の記録材Sに画像を形成して出力する一連の動作である印刷ジョブを実行する。印刷ジョブは、一般に、画像形成工程、前回転工程、複数の記録材Sに画像を形成する場合の紙間工程、及び後回転工程を有する。画像形成工程は、実際に記録材Sに形成して出力する画像の静電像の形成、トナー像の形成、トナー像の一次転写、二次転写を行う期間であり、画像形成時(画像形成期間)とはこの期間のことをいう。より詳細には、これら静電像の形成、トナー像の形成、トナー像の一次転写、二次転写の各工程を行う位置で、画像形成時のタイミングは異なる。前回転工程は、開始指示が入力されてから実際に画像を形成し始めるまでの、画像形成工程の前の準備動作を行う期間である。紙間工程(記録材間工程、画像間工程)は、複数の記録材Sに対する画像形成を連続して行う際(連続画像形成)の記録材Sと記録材Sとの間に対応する期間である。後回転工程は、画像形成工程の後の整理動作(準備動作)を行う期間である。非画像形成時(非画像形成期間)とは、画像形成時以外の期間であって、上記前回転工程、紙間工程、後回転工程、更には画像形成装置1の電源投入時又はスリープ状態からの復帰時の準備動作である前多回転工程などが含まれる。
また、記録材Sの種類とは、普通紙、厚紙、薄紙、光沢紙、コート紙、エンボス紙などの一般的特徴に基づく属性(いわゆる、紙種カテゴリー)、メーカー、銘柄、品番、坪量、厚さなど、記録材Sを区別可能な任意の情報を包含するものである。本実施例では、ジョブ信号に含まれる記録材Sに関する情報は、画像形成に用いられる記録材Sのサイズ(幅、長さ)、画像形成に用いられる記録材Sの厚さと関連する情報(紙種カテゴリー、坪量など)などを含む。
3.転写電圧制御の概要
次に、本実施例における転写電圧制御の概要について説明する。図3は、本実施例における転写電圧制御の手順の概略を示すフローチャート図である。なお、便宜上、電圧や電位の大小(高低)は、特に別に言及しない場合、絶対値で比較した場合の大小(高低)をいうものとする。
まず、本実施例における一次転写電圧の制御について説明する。一般に、一次転写電圧の制御には、定電圧制御及び定電流制御があるが、本実施例では、定電圧制御を用いている。なお、定電圧制御とは、印加対象に印加される電圧が目標電圧で略一定となるように電源の出力を調整する制御である。また、定電流制御とは、供給対象に供給される電流が目標電流で略一定となるように電源の出力を調整する制御である。
画像形成装置1の設置環境に応じて、色ごとに設定された、一次転写電流の目標値であるターゲット一次転写電流の情報が、テーブルデータなどとして一次転写電圧記憶部/演算部31dに予め記憶されている。本実施例では、ターゲット一次転写電流は、いずれの色も55μAに設定されている。一次転写部N1では、一次転写ローラ47から中間転写ベルト44bの厚さ方向(一次転写ローラ47から感光ドラム51に向かう方向)に電流が流れる。そのため、一次転写ローラ47、中間転写ベルト44bの電気抵抗の変化があると、所望の電流が流れない可能性がある。画像形成装置1は、この電気抵抗の変化による影響を補正するため、画像形成装置1の電源投入時や、画像形成を開始する前の前回転工程において、一次転写部N1のATVC(Active Transfer Voltage Control)制御を実行する。つまり、一次転写部N1のATVC制御は、記録材Sに転写するトナー像が一次転写部N1に無い時に実行される。
図3に示すように、CPU31は、画像形成装置1の電源がオンされると(S1)、定着温度センサ77による定着温度の検知結果を取得する。そして、CPU31は、定着温度が所定のTL以上、かつ、所定のTU以下であるか否かを判断する(すなわち、定着温調条件が満たされているか否かを判断する)(S2)。本実施例では、例えば、TL=160℃、TU=180℃に設定されている。ただし、この定着温度の閾値TL、TUは、上記値に限定されるものではない。CPU31は、S2で定着温度がTL以上、かつ、TU以下ではない(「No」)と判断した場合は、画像形成前準備プロセス部31aに実行信号を入力し、画像形成装置1に画像形成前準備(定着装置46の加熱など)を行わせる(S3)。CPU31は、S2で定着温度がTL以上、かつ、TU以下である(「Yes」)と判断した場合は、ATVC制御プロセス部31bに実行信号を入力し、前回転工程時に画像形成装置1に一次転写部N1のATVC制御(設定モード)を実行する(S4)。
ATVC制御プロセス部31bは、CPU31により実行信号が入力されると、各感光ドラム51を画像形成プロセスと同様に帯電処理し、各一次転写電源75により各一次転写ローラ47にそれぞれ複数水準の電圧を印加するように制御する。また、ATVC制御プロセス部31bは、その際に一次転写部N1(一次転写ローラ47、一次転写電源75)に流れる電流を電流検知センサ75bにより検知するように制御する。ATVC制御プロセス部31bは、印加した電圧と検知した電流との関係に基づいて、ターゲット一次転写電流が得られる一次転写電圧を決定する。一次転写部N1のATVC制御では、まず、一次転写ローラ47に所定の電圧、例えば、2000Vが印加されて、その際に流れる電流が検知される。その電流がターゲット一次転写電流よりも小さい場合には、次に、一次転写ローラ47に2000Vよりも高い所定の電圧、例えば、3000Vが印加されて、その際に流れる電流が検知される。そして、2000Vを印加した際の電流の検知結果と3000Vを印加した際の電流の検知結果とが直線近似されて、ターゲット一次転写電流(本実施例では55μA)が得られる一次転写電圧の値が求められる。画像形成時(一次転写時)には、このようにして得られた一次転写電圧が一次転写ローラ47に印加される。なお、一次転写部N1のATVC制御において印加する電圧は、2つの水準に限定されるものではなく、3つ以上の水準の電圧を印加してもよい。本実施例では、ATVC制御プロセス部31bは、各画像形成ユニット50Y、50M、50C、50Kにおいて、それぞれ一次転写部N1のATVC制御を行う。そして、ATVC制御プロセス部31bにより設定された各画像形成ユニット50Y、50M、50C、50Kの一次転写電圧の電圧値の情報は、一次転写電圧記憶部/演算部31dにより取得されて記憶される。すなわち、一次転写部N1のATVC制御では、制御部30は、各画像形成ユニット50の一次転写電源75が一次転写部N1にターゲット一次転写電流を流すように一次転写ローラ47に印加する一次転写電圧を設定する。なお、本実施例では、一次転写電圧記憶部/演算部31dは、各一次転写電圧を、ATVC制御プロセス部31bから取得するが、これに限定されるものではなく、電圧検知センサ75aによる検知結果から取得するようにしてもよい。
次に、CPU31は、ジョブ信号が入力されたか否かを判断する(S5)。CPU31は、S5でジョブ信号が無い(「No」)と判断した場合は、画像形成装置1を、ジョブ信号を待つスタンバイ状態とする(S6)。CPU31は、S5でジョブ信号が入力された(「Yes」)と判断した場合は、前回のATVC制御を実行してからの経過時間が所定の経過時間Δtよりも小さいか否かを判断する(S7)。なお、この経過時間は、タイマ記憶部/演算部31hにより計測されて記憶されている。本実施例では、Δt=30分に設定されている。ただし、この経過時間の閾値Δtは上記値に限定されるものではない。CPU31は、S7で前回のATVC制御を実行してからの経過時間が所定の経過時間Δtよりも小さくない(「No」)と判断した場合は、上記同様にして一次転写部N1のATVC制御を実行する(S8)。CPU31は、S7で前回のATVC制御を実行してからの経過時間が所定の経過時間Δtより小さい(「Yes」)と判断した場合、あるいはS8でATVC制御を実行した後は、画像形成プロセス部31cに実行信号を入力し、画像形成を開始する(S9)。
CPU31は、画像形成を開始すると、1枚の記録材Sに画像を形成するごとに、当該印刷ジョブにおける画像形成枚数が所定のP枚以上になったか否かを判断する(S10)。なお、画像形成枚数は、画像形成カウンタ記憶部/演算部31gにより計数されて記憶されている。本実施例では、P=28×N+1(N=1、2、3、・・・)に設定されている。CPU31は、S10で画像形成枚数がP枚以上ではない(「No」)と判断した場合は、画像形成を続行する。CPU31は、S10で画像形成枚数がP枚以上である(「Yes」)と判断した場合は、紙間工程で一次転写電圧の補正(紙間電圧補正)を実行する(S11)。すなわち、本実施例では、28枚の記録材Sに画像を形成するごとに、紙間工程で一次転写電流を検知する。そして、後続の記録材Sに対する画像形成時(一次転写時)に、それまでの一次転写電圧に、検知した一次転写電流とターゲット一次転写電流とのずれ分を補正するための補正電圧ΔVを加減して、一次転写電圧の補正を行う。ただし、画像形成枚数の閾値Pは、上記値に限定されるものではない。
なお、本実施例では、ターゲット一次転写電流は、全設置環境、全色で55μAに設定されている。ただし、これに限定されるものではなく、ターゲット一次転写電流は、画像形成装置1の設置環境によって変更してもよいし、色ごとに変更してもよい。また、本実施例では、一次転写電圧は0.5~7.0kVの範囲で設定される。
次に、本実施例における二次転写電圧の制御について説明する。二次転写電圧の制御は、一次転写電圧の制御と概略同様である。一般に、二次転写電圧の制御は、定電圧制御及び定電流制御があるが、本実施例では、定電圧制御を用いている。
画像形成装置1の設置環境に応じて設定された、二次転写電流の目標値であるターゲット二次転写電流の情報がテーブルデータなどとして二次転写電圧記憶部/演算部31fに予め記憶されている。二次転写部N2では、二次転写外ローラ45bから中間転写ベルト44b及び二次転写内ローラ45aに向かう方向に電流が流れる。そのため、画像形成装置1は、二次転写内ローラ45aと二次転写外ローラ45bとの間の電気抵抗の変化による影響を補正するため、画像形成装置1の電源投入時や、画像形成を開始する前の前回転工程において、二次転写部N2のATVC制御を実行する。本実施例では、二次転写部N2のATVC制御を行うタイミングは、図3を参照して説明した一次転写部N1のATVC制御を実行するタイミングに合わせており、一次転写部N1のATVC制御の後に二次転写部N2のATVC制御を行う。つまり、二次転写部N2のATVC制御は、記録材Sに転写するトナー像及び記録材Sが二次転写部N1に無い時に実行される。
ATVC制御プロセス部31bは、CPU31により実行信号が入力されると、一次転写部N1のATVC制御と同様に、二次転写外ローラ45bに複数水準の電圧を印加するように制御する。また、ATVC制御プロセス部31bは、その際に二次転写部N2(二次転写外ローラ45b、二次転写電源76)に流れる電流を電流検知センサ76bにより検知するように制御する。ATVC制御プロセス部31bは、印加した電圧と検知した電流との関係に基づいて、ターゲット二次転写電流が得られる基底電圧(転写部分担電圧)Vbを決定する。一例として、ATVC制御プロセス部31bは、90μAのターゲット二次転写電流が得られる基底電圧Vbを決定する。ATVC制御プロセス部31bにより設定された基底電圧Vbの電圧値の情報は、二次転写電圧記憶部/演算部31fにより取得されて記憶される。二次転写は、二次転写部N2において中間転写ベルト44bと二次転写外ローラ45bとの間に記録材Sを挟んで行う。そのため、画像形成時(二次転写時)には、二次転写部N2のATVC制御を行った時よりも、記録材Sの分だけ二次転写部N2のインピーダンスが高くなる。これにより、画像形成時(二次転写時)には、基底電圧Vbでは、所望の二次転写電流を流すことができない。そのため、二次転写電圧記憶部/演算部31fは、画像形成に用いられる記録材Sによる二次転写部N2のインピーダンスの上昇を考慮して、所望の二次転写電流を流すために必要な記録材分担電圧Vpを、二次転写部N2のATVC制御で得られた基底電圧Vbに加えて、画像形成時(二次転写時)の二次転写電圧Vtrを求める。そして、二次転写電圧記憶部/演算部31f(あるいは画像形成プロセス部31c)は、画像形成時(二次転写時)に、この二次転写電圧Vtrを二次転写外ローラ45bに印加するように制御する。すなわち、画像形成時(二次転写時)には、このようにして得られた二次転写電圧(設定電圧)Vtr=Vb+Vpが二次転写外ローラ45bに印加される。記録材分担電圧Vpは、記録材Sの厚さと関連する情報(紙種カテゴリー、坪量など)、画像形成装置1の設置環境に応じた値が設定されて、テーブルデータなどとして二次転写電圧記憶部/演算部31fに予め記憶されている。二次転写電圧記憶部/演算部31fは、ジョブ信号に含まれる記録材Sの厚さと関連する情報(紙種カテゴリー、坪量など)、温度センサ71及び湿度センサ72による温度及び湿度の検知結果に基づく設置環境に関する情報(例えば絶対湿度)に応じて、適切な記録材分担電圧Vpを選択して用いる。ユーザーなどの操作者は、画像形成装置1の操作部70(あるいは外部機器)において画像形成に用いる記録材Sの種類を選択することができる。これによって、二次転写電圧記憶部/演算部31fは、画像形成に用いられる記録材Sの種類に応じた記録材分担電圧Vpを選択することができる。エンボス紙に対する二次転写電圧Vtrの制御については、後述して更に詳しく説明する。
なお、本実施例では、二次転写電圧についても、一次転写電圧と同様に紙間電圧補正が行われる。また、スタンバイ状態の画像形成装置1にジョブ信号が入力された場合には、概略、図3のS5以降の処理が実行される。
4.メディアセンサ
次に、本実施例における記録材情報検知手段としてのメディアセンサ(記録材判別装置)7について説明する。
図1に示すように、本実施例では、メディアセンサ7は、給送部2から二次転写部N2への記録材Sの搬送経路において、レジストローラ80よりも上流側に配置されている。なお、メディアセンサ7は、記録材Sの搬送経路において、二次転写部N2よりも上流側に配置されていればよい。
本実施例では、メディアセンサ7は、表面性検知部90、坪量検知部91、及び厚さ検知部94の3つの検知部(測定器)を有している。この3つの検知部による検知結果(測定結果)を示す信号(情報)は、制御部30に入力される。制御部30は、メディアセンサ7から入力された信号に基づいて、記録材判断処理部31iにおいて計算処理を行って、詳しくは後述するように記録材Sの特性値を判別する。
(表面性検知部)
まず、記録材Sの表面性(表面形状)を検知するための表面性検知手段としての表面性検知部90について説明する。図4(a)は、本実施例における表面性検知部90の概略構成を示す模式的な横断面図である。また、図4(b)は、本実施例における表面性検知部90の概略構成を示す模式的な斜視図である。
表面性検知部90は、記録材Sの表面の凹凸に関する情報を光学的に検知する。本実施例では、表面性検知部90は、発光部(発光素子、光源)としてのLED81を有する。LED81は、CPU31の指示により記録材Sの表面(表面性検知部90の検知位置を通過した直後に二次転写部N2において中間転写ベルト44bに接触する側の面)に光を照射する。LED81は、記録材Sの表面に対して約10度の角度で光を照射し、記録材Sの表面性に応じた明暗を発生させる。また、表面性検知部90は、結像光学系(結像素子)としての結像レンズ82を有する。結像レンズ82は、LED81が記録材Sに照射した光の反射成分を結像する。また、表面性検知部90は、受光部(受光素子、光電変換素子)としてのCMOSラインセンサ83を有する。CMOSラインセンサ83は、結像レンズ82により結像された光を撮像する。CMOSラインセンサ83により記録材Sの表面に発生した明暗(影)が撮像される。CMOSラインセンサ83が、撮像した明暗(画像)に応じて出力する信号は、制御部30に入力される。
なお、表面性検知部90には更に、LED81やCMOSラインセンサ83などを支持する基部85、内面基準板86a、86b、保護部材87などが設けられている。内面基準板86a、86bは、LED81の光が照射可能な領域の端に位置して設けられている。内面基準板86a、86bは、CMOSラインセンサ83により撮像される明暗の基準を提供する。また、保護部材47は、結像レンズ82及びLED81を保護する。
結像レンズ82及びCMOSラインセンサ83は、それぞれ長手方向が記録材Sの搬送方向と略直交する幅方向に沿うように配置されている。これにより、CMOSラインセンサ83は、LED81から照射された光によって、記録材Sの表面から反射する反射光と、内面基準板86a、86bから反射する反射光を同時に撮像可能である。本実施例では、CMOSラインセンサ83は、記録材Sの幅方向における読み取り長さが5mm、読み取り解像度が600dpiである。本実施例では、記録材Sは、幅方向における中央が記録材Sの搬送経路の同方向における略中央と一致するようにして搬送される(中央基準)。CMOSラインセンサ83は、例えば、記録材Sの幅方向における中央に設けられている。また、CMOSラインセンサ83は、例えば、記録材Sの幅方向における中央、同方向における一方の端部側、及び同方向における他方の端部側にそれぞれ設けられるなど、複数設けられていてもよい。この場合、画像形成に用いられる記録材Sのサイズに応じて、複数のCMOSラインセンサ83のうちの少なくとも1つのCMOSラインセンサ83が用いられたり、複数のCMOSラインセンサ83が用いられたりしてよい。複数のCMOSラインセンサ83が用いられる場合は、それぞれのCMOSラインセンサ83による検知結果の平均値などを後述する処理に用いるようにすることができる。
なお、表面性検知部90による記録材Sの表面の溝(凹部)の深さの検知結果の校正は、既知の溝の深さと、内面基準板86a、86bからの反射光の強度(明るさ)を基準とした反射光の強度(明るさ)と、を関係付けることで行うことができる。ただし、溝の深さに関する情報は、溝の深さ自体に限定されるものではなく、溝の深さと相関する値(センサの出力電圧値など)であってもよい。
また、表面性検知部90により表面性が検知される記録材Sの表面は、表面性検知部90の検知位置を通過した直後に二次転写部N2において中間転写ベルト44bに接触する側の面である。したがって、例えば両面画像形成を行う場合に、記録材Sの第1面と第2面とで表面性検知部90による検知結果が異なり、後述する処理の結果が異なることがある。
(坪量検知部)
次に、記録材Sの坪量を検知するための坪量検知手段としての坪量検知部91について説明する。
図1に示すように、坪量検知部91は、記録材Sの搬送経路を挟むように送信部92と受信部93とを有する。坪量検知部91は、CPU31の指示により記録材Sが送信部92と受信部93との間を通過する際に、送信部92から超音波を照射し受信部93で超音波を受信する。送信部92と受信部93とは同様の構成であり、機械的変位と電気信号との相互変換素子である圧電素子(ピエゾ素子ともいう)及び電極端子を有している。送信部92では、電極端子に所定周波数のパルス電圧を入力することによって圧電素子が発振して超音波が発生され、その超音波が空気中を伝搬される。超音波が記録材Sまで到達すると、超音波によって記録材Sが振動し、記録材Sにより超音波が吸収されて、記録材Sを透過した超音波が受信部93へと伝搬される。受信部93の圧電素子は、受信した超音波の振幅に応じた電圧を出力する。この受信部93から出力された電圧により記録材Sの坪量が検知される。受信部93が、受信した超音波に応じて出力する信号は、制御部30に入力される。
なお、坪量検知部91による坪量の検知結果の校正は、坪量が既知の様々な紙の坪量と、受信部93から出力される電圧と、を関係付けることによって行うことができる。ただし、坪量に関する情報は、坪量自体に限定されるものではなく、坪量さと相関する値(センサの出力電圧値など)であってもよい。
また、本実施例では、送信部92及び受信部93は、32kHzの周波数特性を有する超音波を送受信する。超音波の周波数は予め設定されるものであり、送信部92及び受信部93の構成、検知精度などに応じて適切な範囲の周波数を選択すればよい。
(厚さ検知部)
次に、記録材Sの厚さを検知するための厚さ検知手段としての厚さ検知部94について説明する。
図1に示すように、メディアセンサ7は、エンコーダーを用いた厚さ検知部94を有する。本実施例では、厚さ検知部94は、記録材Sが軸間を通過した際の、記録材Sに接触する可動部としてのレバーの変位量に基づいて記録材Sの厚さを検知する、コーデンシ(株)製の紙厚センサを有して構成される。厚さ検知部94のエンコーダーが、記録材Sの厚さに応じて出力する信号は、制御部30に入力される。
なお、厚さ検知部94による記録材Sの厚さの検知結果の校正は、厚さが既知の様々な記録材Sの厚さと、エンコーダーから出力される電圧と、を関係付けることによって行うことができる。ただし、記録材Sの厚さに関する情報は、厚さ自体に限定されるものではなく、厚さと相関する値(センサの出力電圧値など)であってもよい。
(その他)
なお、記録材Sの種類(紙種)の判別方法は、上記本実施例の方法に限定されるものではない。次に挙げる方法などの、その他の方法を使用することもできる。例えば、定着ニップ部を記録材Sが通過している際の定着装置46の消費電力に基づいて記録材Sの坪量を検知する方法を使用することができる。また、前述の定着ローラ46aの代わりに、定着スリーブと、この定着スリーブの内周面側に設けられたヒータと、を有する定着装置が用いられる場合がある。この場合には、例えば、定着ニップ部を記録材Sが通過している際の定着スリーブの温度とヒータの温度との温度差に基づいて記録材Sの坪量を検知する方法を使用することができる。
5.エンボス紙の判別
上述のような構成の画像形成装置1を用いて、様々な種類と坪量のエンボス紙に画像形成を行い、転写効率や画像性、記録材Sの表面の凹凸の高さ(溝の深さ)と記録材Sの厚さ(ここでは、「紙厚」ともいう。)との関係を調べた。エンボス紙の種類としては、特種東海製紙(株)製の「レザック66」(商品名)、特種東海製紙(株)製の「マーメイド」(商品名)、ダイオーペーパープロダクツ(株)製の「クロコGA」(商品名)などが典型例として挙げられる。ここで、エンボス紙の種類とは、表面に施された凹凸による模様のパターンが異なるエンボス紙を区別可能な任意の情報を包含するものである。典型的には、エンボス紙の種類は、上記レザック66、マーメイド、クロコGAといった銘柄で区別されるものである。
エンボス紙は、溝(凹部)の部分における転写性が低下する傾向があるため、普通紙と比較して、高い記録材分担電圧Vpが必要である。記録材分担電圧Vpを上げていくと、溝の部分のベタの転写性は良くなる傾向があるが、上げすぎるとハーフトーンの転写効率が下がってしまったり、異常放電による画像不良が発生してしまったりする可能性がある。また、転写効率が低下すると、ベルトクリーニング装置10に到達する二次転写残トナーの量が増加して、クリーニング不良につながる可能性がある。そのため、ベタの転写性を十分に良くするように記録材分担電圧Vpを十分に大きくしつつ、必要以上に記録材分担電圧Vpを大きくしないようにすることが望まれる。つまり、エンボス紙にトナー像を転写する際の二次転写電圧を設定する場合、記録材分担電圧Vpを適切に設定することが望まれる。
そして、本発明者の検討により、エンボス紙の種類によって最適な記録材分担電圧Vpが異なることがわかった。例えば、設置環境が23℃、50%の場合、レザック66の坪量116gsm(gsmはg/mを意味する。)に対する最適な記録材分担電圧Vpは776Vであった。また、設置環境が23℃、50%の場合、マーメイドの坪量116gsmに対する最適な記録材分担電圧Vpは688Vであった。
このようなエンボス紙の種類による最適な記録材分担電圧Vpの違いの原因として、紙厚と溝の深さとの関係を調べた。なお、紙厚は、前述の厚さ検知部94により検知される値であり、後述する検知領域における記録材Sの厚さの平均値を表す。ただし、厚さの最大値などの他の代表値を用いてもよい。また、溝の深さは、前述の表面性検知部90により検知される値であり、後述する検知領域における深さの平均値を表す。ただし、深さの最大値など他の代表値を用いてもよい。
図5は、レザック66に関する、坪量(gsm)と、紙厚(μm)及び溝の深さ(μm)と、の関係を示すグラフ図である。図5から、紙厚に対する溝の深さの割合(比率)は、坪量によってはあまり変わらないことがわかる。
また、図6は、レザック66及びマーメイドに関する、坪量(gsm)と、紙厚に対する溝の深さの割合(%)と、の関係を示すグラフ図である。図6から、レザック66は、紙厚に対する溝の深さの割合が約50%であることがわかる。これに対して、図6から、マーメイドは、紙厚に対する溝の深さの割合が約20%であることがわかる。なお、比較的表面性の粗いラフ紙でも、紙厚に対する溝の深さの割合は一般に10%以下である。
このように、略同一の坪量のレザック66とマーメイドとにおいて、最適な記録材分担電圧Vpはレザック66の方がマーメイドよりも大きいことと、紙厚に対する溝の深さの割合はレザック66の方がマーメイドよりも大きいこととが対応している。このことから、記録材Sの全体の厚さが記録材Sのインピーダンスを決めるのに対して、溝の深さが転写のし難さを決めるため、紙厚に対する溝の深さの割合によって、二次転写電圧の最適値が変わるものと考えることができる。
そこで、本実施例では、記録材判断処理部31iは、厚さ検知部94による紙厚の検知結果と、表面性検知部90による溝の深さの検知結果と、を取得する。また、記録材判断処理部31iは、取得された紙厚の検知結果と溝の深さの検知結果とに基づいて、紙厚に対する溝の深さの割合(%)を計算する。そして、記録材判断処理部31iは、紙厚に対する溝の深さの割合が15%以上、35%未満の場合は、その記録材Sを「エンボス紙1」(複数のエンボス紙の区分のうちの1つ)に分類して、記録材分担電圧Vpは比較的小さな値(例えば688V)に設定する。また、記録材判断処理部31iは、紙厚に対する溝の深さの割合が35%以上の場合は、その記録材Sを「エンボス紙2」(複数のエンボス紙の区分のうちの1つ)に分類して、記録材分担電圧Vpは比較的大きな値(例えば776V)に設定する。
ここで、本実施例では、ユーザーなどの操作者が画像形成装置1の操作部70(あるいは外部機器)において、画像形成に用いる記録材Sの種類を選択することができる。例えば、紙種カテゴリーとして「エンボス紙」を選択できるようにした場合であって、操作者により「エンボス紙」が選択された場合には、次のようにすることができる。つまり、記録材判断処理部31iは、取得された紙厚に対する溝の深さの割合が15%以上、35%未満の場合は「エンボス紙1」、取得された紙厚に対する溝の深さの割合が35%以上の場合は「エンボス紙2」と判断することができる。また、例えば、紙種カテゴリーとして複数のエンボス紙(「エンボス紙1」、「エンボス紙2」など)を選択できるようにした場合であって、操作者によりいずれかのエンボス紙が選択された場合には、次のようにすることができる。つまり、記録材判断処理部31iは、紙厚に対する溝の深さの割合に基づいて、操作者によって選択されたエンボス紙の種類と、取得された紙厚に対する溝の深さの割合に基づくエンボス紙の種類と、が合致するか否かを判断することができる。そして、記録材判断処理部31iは、合致しない場合には、取得された紙厚に対する溝の深さの割合が15%以上、35%未満の場合は「エンボス紙1」、取得された紙厚に対する溝の深さの割合が35%以上の場合は「エンボス紙2」と、エンボス紙の種類の設定を修正することができる。
また、紙種カテゴリーとしてエンボス紙の設定が設けられていない場合、あるいは操作者による記録材Sの種類の選択を省略できるモードが設けられている場合には、次のようにすることができる。つまり、取得された紙厚に対する溝の深さの割合が15%以上、35%未満の場合は「エンボス紙1」、取得された紙厚に対する溝の深さの割合が35%以上の場合は「エンボス紙2」と判断することができる。操作者により記録材Sの種類の選択(変更)が行われない場合にはデフォルトの設定(普通紙など)とすることとされている場合も同様である。
更に、上記いずれの場合も、記録材判断処理部31iは、紙厚に対する溝の深さの割合が15%未満の場合は、エンボス紙ではないと判断することができる。記録材Sがエンボス紙ではない場合の記録材分担電圧Vpは、典型的には、設置環境、記録材Sの坪量が略同一であれば、エンボス紙(あるいは複数のエンボス紙の区分のうちの1つ)に対する記録材分担電圧Vpよりも小さい。つまり、記録材判断処理部31iは、取得された紙厚に対する溝の深さの割合に基づいて、記録材Sがエンボス紙であるか否かを判断することができる。
なお、設置環境又は記録材Sの坪量が異なる場合には、紙厚に対する溝の深さの割合が略同一であっても、最適な記録材分担電圧Vpは変わり得る。上述の「エンボス紙1」での記録材分担電圧Vp=688V、「エンボス紙2」での記録材分担電圧Vp=776Vは、設置環境が23℃、50%、坪量が116gsmの場合の一例である。「エンボス紙1」、「エンボス紙2」に対する記録材分担電圧Vpは、設置環境(例えば絶対湿度)ごとに記録材Sの厚さと関連する情報(紙種カテゴリー、坪量など)に応じた値が設定されて、テーブルデータなどとして二次転写電圧記憶部/演算部31fに予め記憶されている。二次転写電圧記憶部/演算部31fは、ジョブ信号に含まれる記録材Sの厚さと関連する情報(紙種カテゴリー、坪量など)、温度センサ71及び湿度センサ72による温度及び湿度の検知結果に基づく設置環境に関する情報(例えば絶対湿度)に応じて、「エンボス紙1」又は「エンボス紙2」に対する適切な記録材分担電圧Vpを選択して用いる。典型的には、紙厚に対する溝の深さの割合が略同一である場合、坪量が略同一であれば、設置環境の雰囲気の含水分量(絶対湿度)が小さいほど、記録材分担電圧Vpを大きく設定する。また、典型的には、紙厚に対する溝の深さの割合が略同一である場合、設置環境の雰囲気の含水分量(絶対湿度)が略同一であれば、坪量が大きいほど記録材分担電圧Vpを大きく設定する。
ここで、坪量が略同一であるとは、坪量が完全に一致している場合の他、例えば画像形成装置1において使用可能な記録材Sの坪量として設定されている区分の範囲で近似した値である場合も含む。例えば、106~128gsm、129~150gsm、151~163gsm、164~180gsm、181~220gsm、221~256gsmといった坪量の区分が設定されている場合、各区分の範囲内で近似する坪量は略同一であるとみなせる。したがって、坪量が略同一とは、例えば、互いに±25%程度の範囲内のずれがある場合も含むものである。
本実施例では、記録材判断処理部31iにより記録材Sに関する情報を取得するタイミングは、次のように設定されている。つまり、記録材Sの搬送方向において先端から後端側に5cmまでの範囲(検知領域)のプロファイルの検知結果に基づいて、記録材Sの種類の判別が行われる。
ここで、メディアセンサ7の検知位置から二次転写部N2までの距離が十分に長い場合には、次のようにすることができる。つまり、記録材判断処理部31iは、二次転写部N2に搬送される記録材Sごとにメディアセンサ7による検知結果に基づいて記録材Sに関する情報を取得して、記録材判断処理部31iは、その記録材Sにトナー像を転写する際の二次転写電圧の設定に記録材Sの種類の判別結果を反映することができる。例えば、複数の記録材Sに連続して画像を形成する印刷ジョブの実行中に、常に(記録材Sごとに)記録材Sに関する情報の検知を行うことで、リアルタイムに検知及びフィードバックを行うことができ、より適切に二次転写電圧を設定することができる。
一方、メディアセンサ7の検知位置から二次転写部N2までの距離が短い場合には、次のようにすることができる。つまり、記録材判断処理部31iは、複数の記録材Sに連続して画像を形成する印刷ジョブにおいて、一の記録材Sに関してメディアセンサ7による検知結果に基づいて記録材Sに関する情報を取得する。そして、記録材判断処理部31iは、該一の記録材Sよりも後に二次転写部N2に搬送される記録材Sにトナー像を転写する際の二次転写電圧の設定に記録材Sの種類の判別結果を反映することができる。例えば、複数の記録材Sに連続して画像を形成する印刷ジョブにおいて、1枚目の記録材Sに関する情報がメディアセンサ7による検知結果に基づいて取得される。そして、当該印刷ジョブの2枚目の記録材Sにトナー像を転写する二次転写電圧の設定から、記録材Sの種類の判別結果がフィードバックされる。記録材判断処理部31iは、当該印刷ジョブにおいて同じカセット23から記録材Sが供給される場合には、同じ種類の記録材Sが連続して供給されるものと推定することができる。あるいは、記録材判断処理部31iは、操作者が画像形成装置1の操作部70(あるいは外部機器)において、当該印刷ジョブにおいて画像形成に用いる記録材Sの種類を選択している場合には、当該印刷ジョブにおいてその種類の記録材Sが連続して供給されるものと判断することができる。
メディアセンサ7の検知位置から二次転写部N2までの距離が短い場合に1枚目の記録材Sにトナー像を転写する際の二次転写電圧の設定からメディアセンサ7による検知結果を用いる方法として、次のような方法が挙げられる。例えば、画像形成装置1が、予め記録材Sに関する情報を検知するテストモードを実行可能な構成とする。この場合、ユーザーなどの操作者が、画像形成に用いたい記録材S(典型的には1枚)を用いて当該テストモードを実行する。これにより、記録材判断処理部31iは、メディアセンサ7による検知結果に基づいて記録材Sに関する情報を取得することができる。そして、記録材判断処理部31iは、記録材Sの種類の判別結果(「エンボス紙1」、「エンボス紙2」、エンボス紙以外の種類など)と、当該記録材Sを指定する情報(操作者が入力した任意の名称など)と、を関係づけて、不揮発性メモリ35に記憶させる。このように、一度記録材Sの特性を測定して登録することによって、次にその記録材Sを画像形成に用いる場合には、操作者が画像形成装置1の操作部70(あるいは外部機器)においてその記録材Sの種類を選択することによって、1枚目の記録材Sにトナー像を転写する際の二次転写電圧から、より適切に記録材分担電圧Vpを設定することができる。このテストモードは、メディアセンサ7の検知位置から二次転写部N2までの距離が十分に長い構成の画像形成装置1においても設けることができる。
6.制御手順
図7は、本実施例におけるメディアセンサ7による検知結果に応じた二次転写電圧の制御の一例の手順の概略を示すフローチャート図である。ここでは、メディアセンサ7の検知位置から二次転写部N2までの距離は十分に長く、記録材判断処理部31iは二次転写部N2に搬送される記録材Sごとにメディアセンサ7による検知結果に基づいて記録材Sに関する情報を取得できるものとする。また、ここでは、ユーザーなどの操作者が画像形成装置1の操作部70(あるいは外部機器)において画像形成に用いる記録材Sに関する情報を入力(複数の選択肢から選択することを含む。)するものとする。特に、ここでは、紙種カテゴリーとしてエンボス紙の設定が設けられておらず、操作者が記録材Sの厚さと関連する情報、例えば、紙種カテゴリーとしての「厚紙」(複数の厚紙の区分のうちの1つであってよい。)あるいは坪量を入力して、印刷ジョブを開始する場合を例とする。
CPU31は、ジョブ信号が入力されると(S101)、ジョブ信号に含まれる記録材Sの厚さと関連する情報(ここでは、紙種カテゴリーとしての「厚紙」あるいは坪量)を取得する(S102)。また、CPU31は、温度センサ71及び湿度センサ72による温度及び湿度の検知結果に基づく設置環境に関する情報(例えば絶対湿度)を取得する(S103)。次に、記録材判断処理部31iは、記録材Sの前述の検知領域がメディアセンサ7の検知位置を通過する際に、厚さ検知部94による紙厚の検知結果と、表面性検知部90による溝の深さの検知結果と、を取得する(S104)。次に、記録材判断処理部31iは、取得された紙厚の検知結果と溝の深さの検知結果とに基づいて、紙厚に対する溝の深さの割合(%)を計算する(S105)。
次に、記録材判断処理部31iは、算出された紙厚に対する溝の深さの割合が15%以上、35%未満であるか否かを判断する(S106)。記録材判断処理部31iは、S106で紙厚に対する溝の深さの割合が15%以上、35%未満である(「Yes」)と判断した場合は、記録材Sの種類を「エンボス紙1」に設定する(S107)。また、記録材判断処理部31iは、S106で紙厚に対する溝の深さの割合が15%以上、35%未満ではない(「No」)と判断した場合は、紙厚に対する溝の深さの割合が35%以上であるか否かを判断する(S108)。記録材判断処理部31iは、S108で紙厚に対する溝の深さの割合が35%以上である(「Yes」)と判断した場合は、記録材Sの種類を「エンボス紙2」に設定する(S109)。また、記録材判断処理部31iは、S108で紙厚に対する溝の深さの割合が35%以上ではない(「No」)、すなわち、15%未満であると判断した場合は、記録材Sの種類をエンボス紙以外に設定する(S110)。
次に、二次転写電圧記憶部/演算部31fは、S102で取得された記録材Sの厚さと関連する情報、S103で取得された設置環境に関する情報、及びS107、S109又はS110で記録材判断処理部31iにより設定された記録材Sの種類に基づいて、記録材分担電圧Vpを設定する(S111)。前述のように、二次転写電圧記憶部/演算部31fは、テーブルデータなどとして予め記憶されている情報に基づいて、ジョブ信号に含まれる記録材Sの厚さと関連する情報(紙種カテゴリー、坪量など)、温度センサ71及び湿度センサ72による温度及び湿度の検知結果に基づく設置環境に関する情報(例えば絶対湿度)に応じて、適切な記録材分担電圧Vpを選択する。ここでは、操作者が記録材Sの厚さと関連する情報として紙種カテゴリーとしての「厚紙」あるいは坪量を設定して印刷ジョブを開始する場合を例としている。そのため、S107で「エンボス紙1」、S108で「エンボス紙2」と設定された場合は、二次転写電圧記憶部/演算部31fは、操作者による記録材Sの種類の設定を修正して、エンボス紙である修正後の記録材Sの種類に対応する記録材分担電圧Vpを設定する。また、S109でエンボス紙以外と設定された場合は、二次転写電圧記憶部/演算部31fは、操作者による記録材Sの種類の設定を維持して、「厚紙」あるいはその坪量に対応する記録材分担電圧Vpを設定する。
次に、二次転写電圧記憶部/演算部31f(あるいは画像形成プロセス部31c)は、前述の二次転写部N2のATVC制御により取得された基底電圧Vbと、S111で取得された記録材分担電圧Vpとに基づいて、二次転写電圧Vtr(=Vb+Vp)を設定する。そして、二次転写電圧記憶部/演算部31f(あるいは画像形成プロセス部31c)は、この二次転写電圧Vtrを用いて二次転写を行うように制御する(S112)。また、CPU31は、印刷ジョブの全ての画像の二次転写が終了するまで、S104以降の処理を繰り返すように制御する(S113)。
なお、本実施例では、記録材分担電圧Vpをジョブ信号に含まれる記録材Sの厚さと関連する情報(紙種カテゴリー、坪量など)に基づいて選択する例について説明したが、これに限定されるものではない。ジョブ信号に含まれる記録材Sの厚さと関連する情報(紙種カテゴリー、坪量など)に代えて、厚さ検知部94による紙厚の検知結果、あるいは坪量検知部91による坪量の検知結果を用いるようにしてもよい。つまり、紙厚、坪量、エンボス紙か否か、エンボス紙の種類を全てメディアセンサ7による検知結果により自動で設定するようにしてもよい。
また、本実施例では、記録材Sの特性値としての紙厚に対する溝の深さの割合(比率)を、厚さ検知部94による紙厚の検知結果と、表面性検知部90による溝の深さの検知結果と、を用いて求めたが、これに限定されるものではない。紙の厚さと坪量とは、一般に紙の密度が1前後であって大きく変化しないために、相関がある。そのため、坪量検知部91による坪量の検知結果と表面性検知部90による溝の深さの検知結果との相関に基づいてエンボス紙を分類してもよい。つまり、記録材Sの特性値としての坪量に対する溝の深さの割合(比率)に基づいて、エンボス紙を分類してもよい。この場合も、エンボス紙の分類に応じて適切な記録材分担電圧Vpに変更することで、良好な結果が得られる。
このように、本実施例では、画像形成装置1は、トナー像を担持する像担持体44bと、転写部N2で像担持体44bから記録材Sにトナー像を転写させる転写手段45bと、転写手段45bに像担持体44bから記録材Sにトナー像を転写するための転写電圧を印加する印加部76と、転写部N2に供給される記録材Sのトナー像が転写される表面の凹凸に関する情報を検知する検知部90と、印加部76を制御可能な制御部30と、を有し、制御部30は、略同一の坪量の記録材Sのうち、(i)トナー像が転写される表面の凹凸に関する情報が第1の所定条件を満たす記録材Sである場合は、転写電圧を第1の転写電圧に設定し、(ii)トナー像が転写される表面の凹凸に関する情報が第2の所定条件を満たす記録材Sである場合は、転写電圧を第2の転写電圧に設定し、(iii)トナー像が転写される表面の凹凸に関する情報が第3の所定条件を満たす記録材Sである場合は、転写電圧を第3の転写電圧に設定する。本実施例では、上記表面の凹凸に関する情報は、記録材Sの凹部の深さに関する情報である。また、本実施例では、上記第1の所定条件を満たす記録材Sの凹部の深さは、上記第2の所定条件を満たす記録材Sの凹部の深さよりも小さく、上記第2の所定条件を満たす記録材Sの凹部の深さは、上記第3の所定条件を満たす記録材Sの凹部の深さよりも小さく、上記第1の転写電圧の絶対値は、上記第2の転写電圧の絶対値よりも小さく、上記第2の転写電圧の絶対値は、上記第3の転写電圧の絶対値よりも小さい。典型的には、上記第1の所定条件を満たす記録材Sは、普通紙であり、上記第2の所定条件を満たす記録材Sは、第1のエンボス紙であり、上記第3の所定条件を満たす記録材Sは、第2のエンボス紙である。また、本実施例では、検知部90は、光を発する発光部81と、記録材Sにより反射された発光部81からの光を検知する受光部83と、を有する。また、画像形成装置1は、転写部N2に供給される記録材Sの厚さ又は坪量に関する情報を検知する別の検知部を有していてよい。一例として、この別の検知部91は、超音波を発する送信部92と、記録材Sを透過した送信部92からの超音波を検知する受信部93と、を有する。また、他の例として、この別の検知部94は、記録材Sに接触して移動する可動部の変位量を検知するエンコーダーを有する。
以上説明したように、本実施例では、記録材Sの特性値としての紙厚(あるいは坪量)に対する溝の深さの割合に基づいて記録材分担電圧Vpを変更する。これにより、エンボス紙にトナー像を転写する際の二次転写電圧をより適切に設定して良好な転写性を得ることができ、高品質な成果物を出力することができる。
[実施例2]
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例1の画像形成装置と同じである。したがって、本実施例の画像形成装置において、実施例1の画像形成装置におけるものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、実施例1と同一の符号を付して詳しい説明は省略する。
表面性検知部90は、前述のように、記録材Sの搬送方向と略直交する幅方向に、600dpiの間隔で5mm幅のイメージセンサが並んで配置されており、記録材Sの表面の形状(凹凸)を検知することができる。また、表面性検知部90は、記録材Sの搬送方向においても、サンプリング周波数を調整することによって、600dpiで記録材Sの表面の形状(凹凸)を検知することができる。このように、表面性検知部90は、記録材Sの搬送方向と、これに略直交する方向のそれぞれについて、記録材Sの表面形状を細かく検知することができる。
そして、様々なエンボス紙について、表面性検知部90による検知結果を検討したところ、エンボス紙の溝の部分における転写性については、溝の形状によって転写性が異なることがわかった。例えば、溝の形状が深くて斜面の傾きが急な場合、転写性が低下する傾向があるため、より大きな記録材分担電圧Vpが必要である。
このような記録材Sの表面形状のパラメータの1つとして、線粗さ(JIS B 0601)に規定されるスキューネス(Rsk)がある。スキューネス(Rsk)は、下記(式1)で表される。つまり、スキューネス(Rsk)は、二乗平均平方根高さ(Rq)の三乗によって無次元化した基準長さ(l)におけるZ(x)(粗さ曲線の高さ)の三乗平均を表したものである。スキューネス(Rsk)は、歪度(わいど)を意味し、平均線を中心としたときの山部と谷部の対称性を表す。なお、二乗平均平方根高さ(Rq)は、基準長さにおける二乗平均平方根を表したものであり、表面粗さの標準偏差を意味する。
Figure 2024061535000002
Rsk=0であることは、平均線に対して対称(正規分布)であることを表す。また、Rsk>0であることは、平均線に対して下側に偏っていることを表す。また、Rsk<0であることは、平均線に対して上側に偏っていることを表す。
図8は、スキューネス(Rsk)が表す表面形状の確率密度のイメージ図である。図9は、クロコGAの表面の写真である。クロコGAは、表面に部分的に深い溝形状のエンボス模様が形成されており、Rsk<0になる典型的なエンボス紙である。
Rsk<0の場合、溝の谷の斜面が急な形状となり、転写性が低下する傾向があるため、記録材分担電圧Vpはより大きな値が必要になる。一方、Rsk≧0の場合、溝の谷の斜面が緩やかな形状となり、転写性が比較的良くなる傾向があるため、記録材分担電圧Vpは比較的小さい値でよい。
そこで、次のように記録材分担電圧Vpを設定することができる。つまり、記録材判断処理部31iは、表面性検知部90による記録材Sの表面形状(粗さ曲線)の検知結果を取得する。また、記録材判断処理部31iは、取得された記録材Sの表面形状(粗さ曲線)の検知結果に基づいて、スキューネス(Rsk)を計算する。そして、記録材判断処理部31iは、Rsk<0(すなわちRskが0未満)の場合は、その記録材Sを「エンボス紙2」に分類して、記録材分担Vpは比較的大きな値(例えば776V)に設定する。また、記録材判断処理部31iは、Rsk≧0(すなわちRskが0以上)の場合は、その記録材Sを「エンボス紙1」に分類して、記録材分担電圧Vpは比較的小さな値(例えば688V)に設定する。これにより、記録材Sの表面形状に応じて良好な転写性を得ることができる。
また、記録材Sの表面形状の別のパラメータの1つとして、線粗さ(JIS B 0601)に規定されるクルトシス(Rku)がある。クルトシス(Rku)は、下記(式2)で表される。つまり、クルトシス(Rku)は、二乗平均平方根高さ(Rq)の四乗によって無次元化した基準長さ(l)におけるZ(x)(粗さ曲線の高さ)の四乗平均を表したものである。クルトシス(Rku)は、表面の鋭さの尺度である尖度(せんど)を意味し、高さ分布のとがり(鋭さ)を表す。なお、上述のように、二乗平均平方根高さ(Rq)は、基準長さにおける二乗平均平方根を表したものであり、表面粗さの標準偏差を意味する。
Figure 2024061535000003
Rku=3であることは、正規分布であることを表す。また、Rku>3であることは、高さ分布が尖っていることを表す。また、Rku<3であることは、表面の凹凸の高さ分布がつぶれているような形状であることを示す。
図10は、クルトシス(Rku)が表す表面形状の確率密度のイメージ図である。図11は、平和紙業(株)製の「エスプリVエンボスモメン」(商品名)の表面の写真である。エスプリVエンボスモメンは、表面に部分的に鋭い山の形状のエンボス模様が形成されており、Rku>3になる典型的なエンボス紙である。また、図12は、マーメイドの表面の写真である。マーメイドは、Rku<3になる典型的なエンボス紙である。
Rku≧3の場合、溝の谷の斜面が急な形状となり、転写性が低下する傾向があるため、記録材分担電圧Vpはより大きな値が必要になる。一方、Rku<3の場合、溝の谷の斜面が緩やかな形状となり、転写性が比較的良くなる傾向があるため、記録材分担電圧Vpは比較的小さい値でよい。
そこで、次のように記録材分担電圧Vpを設定することができる。つまり、記録材判断処理部31iは、表面性検知部90による記録材Sの表面形状(粗さ曲線)の検知結果を取得する。また、記録材判断処理部31iは、取得された記録材Sの表面形状(粗さ曲線)の検知結果に基づいて、クルトシス(Rku)を計算する。そして、記録材判断処理部31iは、Rku≧3(すなわちRkuが3以上)の場合は、その記録材Sを「エンボス紙2」に分類して、記録材分担電圧Vpは比較的大きな値(例えば776V)に設定する。また、記録材判断処理部31iは、Rku<3(すなわちRkuが3未満)の場合は、その記録材Sを「エンボス紙1」に分類して、記録材分担電圧Vpは比較的小さな値(例えば688V)に設定する。これにより、記録材Sの表面形状に応じて良好な転写性を得ることができる。
本実施例では、例えば、操作者により紙種カテゴリーとして「エンボス紙」が選択された場合に、取得された上述の表面形状のパラメータ(スキューネス(Rsk)又はクルトシス(Rku))に応じて、「エンボス紙1」、「エンボス紙2」のいずれに該当するかを判断することができる。また、例えば、操作者により紙種カテゴリーとして複数のエンボス紙(「エンボス紙1」、「エンボス紙2」など)のうちいずれかのエンボス紙が選択された場合に、操作者によって選択されたエンボス紙の種類と、取得された上述のパラメータ(スキューネス(Rsk)又はクルトシス(Rku))に基づくエンボス紙の種類と、が合致するか否かを判断することができる。そして、合致しない場合には、エンボス紙の種類の設定を修正することができる。
また、紙種カテゴリーとしてエンボス紙の設定が設けられていない場合、あるいは操作者による記録材Sの種類の選択を省略できるモードが設けられている場合には、次のようにすることができる。つまり、例えば、後述する実施例3で説明する方法などにより記録材Sがエンボス紙か否かを判断し、エンボス紙である場合に上述の表面形状のパラメータ(スキューネス(Rsk)又はクルトシス(Rku))に基づいてエンボス紙を分類することができる。操作者により記録材Sの種類の選択(変更)が行われない場合にはデフォルトの設定(普通紙など)とすることとされている場合も同様である。
また、本実施例では、記録材判断処理部31iにより記録材Sに関する情報を取得するタイミングは、実施例1と同様である。つまり、本実施例では、記録材Sの搬送方向において先端から後端側に5cmまでの範囲(検知領域)の記録材Sの表面形状が検知される。
図13、図14は、それぞれ本実施例におけるメディアセンサ7による検知結果に応じた二次転写電圧の制御の一例の手順の概略を示すフローチャート図である。図13、図14に示す手順は、例えば、後述する実施例3で説明する記録材Sがエンボス紙か否かを判断する処理と組み合わせて用いることができる。あるいは、図13、図14に示す手順は、ユーザーなどの操作者が画像形成装置1の操作部70(あるいは外部機器)において、紙種カテゴリーとして「エンボス紙」を選択して印刷ジョブを開始した場合における、実施例1で説明した図7に示す手順のS103~S110の処理の代わりに用いることができる。ここでは、上述の表面形状のパラメータ(スキューネス(Rsk)又はクルトシス(Rku))に基づいてエンボス紙の種類を判別する手順に注目して説明する。
図13を参照して、記録材判断処理部31iは、記録材Sの前述の検知領域がメディアセンサ7の検知位置を通過する際に、表面性検知部90による記録材Sの表面形状(粗さ曲線)の検知結果を取得する(S201)。次に、記録材判断処理部31iは、取得された記録材Sの表面形状(粗さ曲線)の検知結果に基づいて、スキューネス(Rsk)を計算する(S202)。次に、記録材判断処理部31iは、算出されたスキューネス(Rsk)がRsk≧0を満たすか否かを判断する(S203)。記録材判断処理部31iは、S203でRsk≧0を満たす(「Yes」)と判断した場合は、記録材Sの種類を「エンボス紙1」に設定する(S204)。また、記録材判断処理部31iは、S203でRsk≧0を満たさない(「No」)と判断した場合、すなわち、Rsk<0を満たすと判断した場合は、記録材Sの種類を「エンボス紙2」に設定する(S205)。次に、二次転写電圧記憶部/演算部31fは、実施例1と同様に、ジョブ信号に基づく記録材Sの厚さと関連する情報、温度センサ71及び湿度センサ72による検知結果に基づく設置環境に関する情報、及びS204又はS205で記録材判断処理部31iにより設定された記録材Sの種類に基づいて、記録材分担電圧Vpを設定する(S206)。
また、図14を参照して、記録材判断処理部31iは、記録材Sの前述の検知領域がメディアセンサ7の検知位置を通過する際に、表面性検知部90による記録材Sの表面形状(粗さ曲線)の検知結果を取得する(S301)。次に、記録材判断処理部31iは、取得された記録材Sの表面形状(粗さ曲線)の検知結果に基づいて、クルトシス(Rku)を計算する(S302)。次に、記録材判断処理部31iは、算出されたクルトシス(Rku)がRku<3を満たすか否かを判断する(S303)。記録材判断処理部31iは、S303でRku<3を満たす(「Yes」)と判断した場合は、記録材Sの種類を「エンボス紙1」に設定する(S304)。また、記録材判断処理部31iは、S303でRku<3を満たさない(「No」)と判断した場合、すなわち、Rku≧3を満たすと判断した場合は、記録材Sの種類を「エンボス紙2」に設定する(S305)。次に、二次転写電圧記憶部/演算部31fは、実施例1と同様に、ジョブ信号に基づく記録材Sの厚さと関連する情報、温度センサ71及び湿度センサ72による検知結果に基づく設置環境に関する情報、及びS304又はS305で記録材判断処理部31iにより設定された記録材Sの種類に基づいて、記録材分担電圧Vpを設定する(S306)。
なお、上述のスキューネス(Rsk)、クルトシス(Rku)のそれぞれに基づいてエンボス紙の種類を判別する処理は、組み合わせて用いてもよい。例えば、スキューネス(Rsk)又はクルトシス(Rku)の少なくとも一方によりエンボス紙と判別された場合にエンボス紙に対応する二次転写電圧に設定することなどが挙げられる。また、本実施例における表面形状のパラメータ(スキューネス(Rsk)又はクルトシス(Rku))に基づいてエンボス紙の種類を判別する方法は、実施例1のエンボス紙の種類を判別する方法と組み合わせて用いてもよい。例えば、実施例1の方法によりエンボス紙を判別したうえで、スキューネス(Rsk)又はクルトシス(Rku)の少なくとも一方に基づき、上述の転写性の傾向に応じて更に細かく二次転写電圧を設定することなどが挙げられる。
本実施例では、線粗さ(JIS B 0601)に規定されたパラメータを用いたが、これに限定されるものではない。本実施例に準じて、溝の形状を表す(谷の傾斜の緩急に関する)パラメータを用いてエンボス紙を分類することで、より適切な二次転写電圧を設定することができる。
また、本実施例では、600dpiのCMOSラインセンサ83を用いたが、100dpi程度であっても分解能は0.25mmになり、記録材Sの表面形状を十分な精度で検知できる場合がある。
また、本実施例では、記録材Sの搬送方向と、これに略直交する方向で記録材Sの表面形状の検知を行ったが、これに限定されるものではなく、1方向だけ検知して、記録材Sの表面形状でエンボス紙を分類してもよい。
このように、本実施例では、制御部30は、記録材Sの表面の凹凸に関する情報に基づいて上記凹凸の形状に関する所定のパラメータを取得し、該パラメータの値に応じて転写電圧を設定する。一例として、上記パラメータは、スキューネス(Rsk)(JIS B 0601)である。この場合、制御部30は、略同一の坪量の記録材Sのうち、Rsk≧0を満たす記録材Sである場合の転写電圧の絶対値よりも、Rsk<0を満たす記録材Sである場合の転写電圧の絶対値の方が大きくなるように、転写電圧を設定する。また、他の例として、上記パラメータは、クルトシス(Rku)(JIS B 0601)である。この場合、制御部30は、略同一の坪量の記録材Sのうち、Rku<3を満たす記録材Sである場合の転写電圧の絶対値よりも、Rku≧3を満たす記録材Sである場合の転写電圧の絶対値の方が大きくなるように、転写電圧を設定する。
以上説明したように、本実施例では、記録材Sの特性値としてのエンボス紙の表面の凹凸の形状(溝の形状)に基づいて記録材分担電圧Vpを変更する。これにより、エンボス紙にトナー像を転写する際の二次転写電圧をより適切に設定して良好な転写性を得ることができ、高品質な成果物を出力することができる。
[実施例3]
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例1の画像形成装置と同じである。したがって、本実施例の画像形成装置において、実施例1の画像形成装置におけるものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、実施例1と同一の符号を付して詳しい説明は省略する。
エンボス紙は、一般にローラ形状の型押機などを使用して製造するため、溝の形状に周期性があることが多い。この周期性については、表面性検知部90によって検知された表面形状(粗さ曲線)の波形を高速フーリエ変換して周期性の有無を確認することができる。
そこで、本実施例では、記録材判断処理部31iは、表面性検知部90による記録材Sの表面形状の波形の検知結果を取得する。また、記録材判断処理部31iは、取得された記録材Sの表面形状の波形の検知結果に高速フーリエ変換を施す。ここで、エンボス紙は、人の目で見たときに認識できるように凹凸による模様が形成されたものである。そのため、エンボス紙は、一般に、0.5mm以上、典型的には1mm以上の周期の凹凸による模様が形成されている。また、エンボス紙であるか否かを判断するためには、一般に、30mm以下、典型的には10mm以下の周期の凹凸による模様が形成されているか否かを判断すればよい。高速フーリエ変換による周波数解析における周波数分解能は、解析する信号のサンプリング間隔とサンプリング点数により決定される。したがって、記録材判断処理部31iは、表面性検知部90による記録材Sの表面形状の検知結果に高速フーリエ変換を施す際には、上記0.5mm以上、30mm以下、典型的には1mm以上、10mm以下の周期の凹凸による模様の有無を確認できるように解析条件を設定する。また、記録材判断処理部31iは、高速フーリエ変換された記録材Sの表面形状の波形における周期性の有無を判断する。このとき、記録材判断処理部31iは、高速フーリエ変換後の信号値(出力)における、上記0.5mm以上、30mm以下、典型的には1mm以上、10mm以下の周期に対応する周波数に信号値(出力)があるか否かを判断する。その信号値がある場合には、記録材Sの凹凸の形状に周期性があると判断することができ、その信号値が無い場合には、記録材Sの凹凸の形状に周期性が無いと判断することができる。そして、記録材判断処理部31iは、周期性がある場合には、その記録材Sをエンボス紙であると判断し、周期性が無い場合には、その記録材Sはエンボス紙ではないと判断する。
本実施例による記録材Sがエンボス紙であるか否かを判断する処理は、例えば実施例1や実施例2で説明したエンボス紙を分類する処理と組み合わせて用いることができる。また、本実施例による記録材Sがエンボス紙であるか否かを判断する処理は、例えば略同一の坪量の記録材Sにおいてエンボス紙であるか否かにより記録材分担電圧Vpを変更する場合に、記録材Sがエンボス紙であるか否かを判断するために用いることができる。
また、本実施例では、記録材判断処理部31iにより記録材Sに関する情報を取得するタイミングは、実施例1と同様である。つまり、本実施例では、記録材Sの搬送方向において先端から後端側に5cmまでの範囲(検知領域)の記録材Sの表面形状が検知される。
図15は、本実施例におけるメディアセンサ7による検知結果に応じた二次転写電圧の制御の一例の手順の概略を示すフローチャート図である。ここでは、記録材Sがエンボス紙であるか否かを判断する手順に注目して説明する。
記録材判断処理部31iは、記録材Sの前述の検知領域がメディアセンサ7の検知位置を通過する際に、表面性検知部90による記録材Sの表面形状の波形の検知結果を取得する(S401)。次に、記録材判断処理部31iは、取得された記録材Sの表面形状の波形の検知結果に高速フーリエ変換を施す(S402)。次に、記録材判断処理部31iは、高速フーリエ変換された記録材Sの表面形状の波形における周期性の有無を判断する(S403)。記録材判断処理部31iは、S403で周期性がある(「Yes」)と判断した場合は、記録材Sの種類をエンボス紙に設定する(S404)。また、記録材判断処理部31iは、S403で周期性が無い(「No」)と判断した場合は、記録材Sの種類をエンボス紙以外に設定する(S405)。次に、二次転写電圧記憶部/演算部31fは、実施例1と同様に、ジョブ信号に基づく記録材Sの厚さと関連する情報、温度センサ71及び湿度センサ72による検知結果に基づく設置環境に関する情報、及びS404又はS405で記録材判断処理部31iにより設定された記録材Sの種類に基づいて、記録材分担電圧Vpを設定する(S406)。
ここで、実施例1で説明したように、紙厚に対する溝の深さの割合に基づいて、記録材Sがエンボス紙であるか否かを判断することができる。例えば、記録材判断処理部31iは、取得された紙厚に対する溝の深さの割合が所定の閾値としての15%以上である場合にはエンボス紙、15%未満である場合にはエンボス紙ではないと判断することができる。なお、紙厚に対する溝の深さの割合が所定の閾値としての10%以上である場合にエンボス紙ではないと判断するなど、エンボス紙であることを判別するための閾値と、エンボス紙ではないことを判別するための閾値と、を異ならせてもよい。図16は、この場合のメディアセンサ7による検知結果に応じた二次転写電圧の制御の一例の手順の概略を示すフローチャート図である。ここでは、記録材Sがエンボス紙であるか否かを判断する手順に注目して説明する。
記録材判断処理部31iは、記録材Sの前述の検知領域がメディアセンサ7の検知位置を通過する際に、厚さ検知部94による紙厚の検知結果と、表面性検知部90による溝の深さの検知結果と、を取得する(S501)。次に、記録材判断処理部31iは、取得された紙厚の検知結果と溝の深さの検知結果とに基づいて、紙厚に対する溝の深さの割合(%)を計算する(S502)。次に、記録材判断処理部31iは、算出された紙厚に対する溝の深さの割合が15%以上か否かを判断する(S503)。記録材判断処理部31iは、S503で紙厚に対する溝の深さが15%以上である(「Yes」)と判断した場合は、記録材Sの種類をエンボス紙に設定する(S504)。また、記録材判断処理部31iは、S503で紙厚に対する溝の深さが15%以上ではない(「No」)と判断した場合、すなわち、15%未満であると判断した場合は、記録材Sの種類をエンボス紙以外に設定する(S505)。次に、二次転写電圧記憶部/演算部31fは、実施例1と同様に、ジョブ信号に基づく記録材Sの厚さと関連する情報、温度センサ71及び湿度センサ72による検知結果に基づく設置環境に関する情報、及びS504又はS505で記録材判断処理部31iにより設定された記録材Sの種類に基づいて、記録材分担電圧Vpを設定する(S506)。
このように、本実施例によれば、ユーザーがエンボス紙であることを認識していなかったり、エンボス紙を指定していなかったりしても、画像形成装置1は記録材Sがエンボス紙であると判断して、記録材分担電圧Vpをより適切に設定することができる。
このように、本実施例では、記録材Sの表面の凹凸に関する情報は、上記凹凸の波形を周波数解析した情報である。本実施例では、制御部30は、上記凹凸の波形の周波数解析を行って上記凹凸の形状の周期性の有無を求め、上記凹凸の形状の周期性の有無に基づいて転写電圧を設定する。制御部30は、上記凹凸の波形の高速フーリエ変換を行い、0.5mm以上、30mm以下の周期に対応する周波数に信号値がある場合に、上記凹凸の形状に周期性があるものとすることができる。
以上説明したように、本実施例では、記録材Sの特性値としての記録材Sの表面の凹凸の形状の周期性の有無、あるいは紙厚に対する溝の深さの割合に基づいて、記録材分担電圧Vpを変更する。これにより、エンボス紙にトナー像を転写する際の二次転写電圧をより適切に設定して良好な転写性を得ることができ、高品質な成果物を出力することができる。
[その他]
以上、本発明を具体的な実施例に即して説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではない。
画像形成装置は、タンデム型の画像形成装置に限定されるものではなく、例えば1つの感光体に順次複数の色のトナー像を形成し、各トナー像を中間転写体上に重ねて一次転写した後に記録材に二次転写する構成などの他の方式の画像形成装置であってもよい。また、画像形成装置は、フルカラー画像形成装置であることに限定されるものではなく、モノクロやモノカラーの画像形成装置であってもよい。例えば、単色の画像を形成する1つの画像形成部を有するモノクロ画像形成装置では、感光体から記録材にトナー像を転写する転写部に関して本発明を適用することができる。また、画像形成装置は、プリンタ、各種印刷機、複写機、FAX、複合機など、種々の用途で実施することができる。
1 画像形成装置
7 メディアセンサ
30 制御部
44b 中間転写ベルト(第2の像担持体)
45b 二次転写外ローラ(転写手段)
51 感光ドラム(第1の像担持体)
76 二次転写電源(印加部)
90 表面性検知部(第1の検知部)
91 坪量検知部(第2の検知部)
94 厚さ検知部(第2の検知部)
S 記録材

Claims (15)

  1. トナー像を担持する像担持体と、
    転写部で前記像担持体から記録材にトナー像を転写させる転写手段と、
    前記転写手段に前記像担持体から記録材にトナー像を転写するための転写電圧を印加する印加部と、
    前記転写部に供給される記録材のトナー像が転写される表面の凹凸に関する情報を検知する検知部と、
    前記印加部を制御可能な制御部と、
    を有し、
    前記制御部は、略同一の坪量の記録材のうち、(i)トナー像が転写される表面の凹凸に関する情報が第1の所定条件を満たす記録材である場合は、前記転写電圧を第1の転写電圧に設定し、(ii)トナー像が転写される表面の凹凸に関する情報が第2の所定条件を満たす記録材である場合は、前記転写電圧を第2の転写電圧に設定し、(iii)トナー像が転写される表面の凹凸に関する情報が第3の所定条件を満たす記録材である場合は、前記転写電圧を第3の転写電圧に設定することを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記表面の凹凸に関する情報は、記録材の凹部の深さに関する情報であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記第1の所定条件を満たす記録材の凹部の深さは、前記第2の所定条件を満たす記録材の凹部の深さよりも小さく、
    前記第2の所定条件を満たす記録材の凹部の深さは、前記第3の所定条件を満たす記録材の凹部の深さよりも小さく、
    前記第1の転写電圧の絶対値は、前記第2の転写電圧の絶対値よりも小さく、前記第2の転写電圧の絶対値は、前記第3の転写電圧の絶対値よりも小さいことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
  4. 前記第1の所定条件を満たす記録材は、普通紙であり、前記第2の所定条件を満たす記録材は、第1のエンボス紙であり、前記第3の所定条件を満たす記録材は、第2のエンボス紙であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  5. 前記制御部は、前記表面の凹凸に関する情報に基づいて前記凹凸の形状に関する所定のパラメータを取得し、該パラメータの値に応じて前記転写電圧を設定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  6. 前記パラメータは、スキューネス(Rsk)(JIS B 0601)であることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
  7. 前記制御部は、略同一の坪量の記録材のうち、Rsk≧0を満たす記録材である場合の前記転写電圧の絶対値よりも、Rsk<0を満たす記録材である場合の前記転写電圧の絶対値の方が大きくなるように、前記転写電圧を設定することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
  8. 前記パラメータは、クルトシス(Rku)(JIS B 0601)であることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
  9. 前記制御部は、略同一の坪量の記録材のうち、Rku<3を満たす記録材である場合の前記転写電圧の絶対値よりも、Rku≧3を満たす記録材である場合の前記転写電圧の絶対値の方が大きくなるように、前記転写電圧を設定することを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
  10. 前記表面の凹凸に関する情報は、前記凹凸の波形を周波数解析した情報であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  11. 前記制御部は、前記凹凸の波形の周波数解析を行って前記凹凸の形状の周期性の有無を求め、前記凹凸の形状の周期性の有無に基づいて前記転写電圧を設定することを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
  12. 前記制御部は、前記凹凸の波形の高速フーリエ変換を行い、0.5mm以上、30mm以下の周期に対応する周波数に信号値がある場合に、前記凹凸の形状に周期性があるものとすることを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
  13. 前記検知部は、光を発する発光部と、記録材により反射された前記発光部からの光を検知する受光部と、を有することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  14. 前記転写部に供給される記録材の厚さ又は坪量に関する情報を検知する別の検知部を有し、前記別の検知部は、超音波を発する送信部と、記録材を透過した前記送信部からの超音波を検知する受信部と、を有することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  15. 前記転写部に供給される記録材の厚さ又は坪量に関する情報を検知する別の検知部を有し、前記別の検知部は、記録材に接触して移動する可動部の変位量を検知するエンコーダーを有することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の画像形成装置。
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