JP2024060162A - 船舶推進システムおよび船舶 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数の推進機を従来とは異なる転舵状態にして船舶の挙動を適切に制御できる船舶推進システムおよび船舶を提供する。【解決手段】船舶推進システム100は、船体に転舵可能に取り付けられる2機の隣接した電動船外機EMと、メインコントローラ101とを含む。電動船外機は、推進力を発生するための駆動源である電動モータ61と、転舵アクチュエータ74とを含む。メインコントローラは、2機の電動船外機の一方が発生する水流によってそれらの他方の転舵負荷トルクが増大する所定の負荷トルク増大条件の成否を判定する。メインコントローラは、所定の負荷トルク増大条件が成立するとき、2機の電動船外機の推進力を制限する推進力制限制御を実行する。推進力制限制御は、水流の影響を受ける電動船外機が目標転舵角まで転舵完了するまで、2機の電動船外機の推進力を目標推進力よりも小さい値に制御する推進力低減制御であってもよい。【選択図】図4

Description

この発明は、船舶推進システムおよびそれを備える船舶に関する。
特許文献1は、船体の後部に2機の船外機を取り付け、それらをジョイスティックの操作に応じて制御できる船舶を開示している。ジョイスティックの操作に応じて、前進、後進、右平行移動、左平行移動、右定点旋回および左定点旋回の船舶挙動を得ることができる。すなわち、それらの船舶挙動が得られるように、2機の船外機の操舵状態およびシフト位置が制御される。前進および後進のときには、2機の船外機はほぼ平行の操舵状態とされ、同じシフト位置(前進または後進)とされる。右平行移動および左平行移動のときには、2機の船外機の中心線が船体の移動中心に指向する「ハ」の字状(逆V字状)の操舵状態、すなわちトーイン(toe-in)状態とされ、それらの2機の船外機のシフト位置は一方が前進、他方が後進とされる。右定点旋回および左定点旋回のときには、2機の船外機は平行の操舵状態とされ、それらの2機の船外機のシフト位置は一方が前進、他方が後進とされる。
特開2014-76761号公報
本発明者は、複数の推進機を特許文献1とは異なる転舵状態に制御して船舶の挙動を制御する研究を行っている。
この発明の一実施形態は、複数の推進機を従来とは異なる転舵状態にして船舶の挙動を適切に制御できる船舶推進システムおよび船舶を提供する。
また、この発明の一実施形態は、複数の推進機を従来とは異なる転舵状態にして船舶の挙動を制御するときに生じる課題を解決できる船舶推進システムおよび船舶を提供する。
この発明の一実施形態は、船体に転舵可能(左右に回動可能)に取り付けられる第1推進機と、前記第1推進機に隣接して前記船体に転舵可能に取り付けられる第2推進機と、前記第1推進機を転舵させる第1転舵装置と、前記第2推進機を転舵させる第2転舵装置と、前記第1推進機、前記第2推進機、前記第1転舵装置および前記第2転舵装置を制御するコントローラとを含む、船舶推進システムを提供する。前記コントローラは、前記第1推進機が発生する水流によって前記第2推進機の転舵負荷トルクが増大する所定の負荷トルク増大条件の成否を判定し、前記所定の負荷トルク増大条件が成立するとき、前記第1推進機および前記第2推進機の推進力を制限する推進力制限制御を実行する。
この構成によれば、隣接する2つの推進機の一方(第1推進機)が発生する水流によってそれらの他方(第2推進機)の転舵負荷トルクが増大する場合には、それらの2つの推進機(第1推進機および第2推進機)の推進力が制限される。それにより、いずれかの推進機が発生する水流の影響を実質的に受けることなく、2つの推進機をそれぞれ適切な転舵角まで転舵することができるので、船体に対して適切な方向の推進力を与えることができる。それにより、複数の推進機を従来とは異なる転舵状態にして船舶の挙動を制御する場合であっても、船舶の挙動を適切に制御できる。すなわち、転舵負荷トルクが過大になることを回避しながら、複数の推進機を適切な転舵角まで転舵できる。
この発明の一実施形態では、前記推進力制限制御は、前記第2推進機が目標転舵角まで転舵完了するまで、前記第1推進機および前記第2推進機の推進力を目標推進力よりも小さい値に制御する推進力低減制御を含む。
この構成によれば、隣接する2つの推進機の一つ(第1推進機)が発生する水流の影響を受ける他方の推進機(第2推進機)が目標転舵角まで転舵完了するまで、2つの推進機の推進力が目標推進力よりも小さい値に制限される。これにより、転舵負荷トルクが過大な状態となることなく、2つの推進機を確実に目標転舵角まで転舵させることができる。
この発明の一実施形態では、前記推進力制限制御は、前記第2推進機が目標転舵角まで転舵完了するまで、前記第1推進機および前記第2推進機の推進力発生を禁止する推進力発生禁止制御を含む。
この構成によれば、隣接する2つの推進機の一つ(第1推進機)が発生する水流の影響を受ける他方の推進機(第2推進機)が目標転舵角まで転舵完了するまで、2つの推進機は推進力を発生しない。これにより、転舵負荷トルクが過大な状態となることなく、2つの推進機を確実に目標転舵角まで転舵させることができる。
この発明の一実施形態では、前記所定の負荷トルク増大条件は、前記第1推進機が発生する水流が前記第2推進機に向かう第1目標転舵角が前記第1推進機に対して設定され、前記第2推進機を前記水流に抗する方向に転舵すべき第2目標転舵角が前記第2推進機に対して設定される転舵角条件を含む。
この構成によれば、隣接する2つの推進機(第1推進機および第2推進機)の転舵角の関係により、転舵負荷トルクが過大になるおそれがあるときに、推進力制限制御が実行される。それにより、2つの推進機を確実にそれらの目標転舵角まで転舵できる。
この発明の一実施形態では、前記所定の負荷トルク増大条件は、前記第1推進機および前記第2推進機の後端を互いに接近させる方向に前記第1推進機および前記第2推進機を転舵させるための第1目標転舵角および第2目標転舵角が前記第1推進機および前記第2推進機に対してそれぞれ設定される転舵角条件を含む。
この構成によれば、隣接する2つの推進機(第1推進機および第2推進機)の転舵角の関係により、転舵負荷トルクが過大になるおそれがあるときに、推進力制限制御が実行される。それにより、2つの推進機を確実にそれらの目標転舵角まで転舵できる。
この発明の一実施形態では、前記コントローラは、前記第1推進機および前記第2推進機の互いの後端を前記第1推進機および前記第2推進機の互いの前端よりも接近させた状態で、前記第1推進機が前進方向に推進力を発生し、前記第2推進機が後進方向に推進力を発生させる回頭モードを含む複数の制御モードを有する。前記所定の負荷トルク増大条件は、前記制御モードが前記回頭モードであることを含む。
この構成によれば、コントローラは、回頭モードにおいて、隣接する2つの推進機を逆「ハ」の字状(V字状)とする転舵状態(いわゆるトーアウト(toe-out)状態)として、2つの推進機の一方(第1推進機)を前進運転しその他方(第2推進機)を後進運転する。それにより、船体に対してモーメントを与えることができ、2つの推進機を従来技術とは異なる転舵状態として、船体を回頭(たとえば、その場で回頭)させることができる。この場合、前進運転される推進機(第1推進機)の水流が後進運転される推進機(第2推進機)の転舵に対して抵抗を与える恐れがある。そこで、回頭モードのときに、推進力制限制御を行うことによって、2つの推進機をそれらの目標転舵角まで転舵することができるので、船体を適切に回頭させることができる。
この発明の一実施形態では、前記第2転舵装置は、電動モータを駆動源として含む。この構成によれば、2つの推進機の一方(第1推進機)からの水流を受ける他方の推進器(第2推進機)を転舵させる転舵装置(第2転舵装置)の駆動源が電動モータを含む。電動モータを駆動源とする転舵装置(第2転舵装置)は、転舵負荷トルクが大きい場合に、目標転舵角まで対応する推進機(第2推進機)を転舵させることができないおそれがある。たとえば、過大な転舵負荷トルクのために電動モータが動作停止すると、駆動電流が過大となることを回避するために、フェールセーフ制御が実行される。そこで、転舵負荷トルクが過大となる条件では、推進力制限制御を行うことにより、電動モータが過負荷状態となることを回避しながら、推進機の転舵角を適切に制御できる。
この発明の一実施形態では、前記所定の負荷トルク増大条件は、前記第1推進機および前記第2推進機のそれぞれの転舵角が、前記第1推進機からの水流を受ける関係となる転舵角条件を含む。
この構成によれば、2つの推進機の一方(第1推進機)からの水流をそれらの他方の推進器(第2推進機)が受けることにより、転舵負荷トルクが過大となる可能性がある。このような場合に、推進力制限制御を行うことによって、転舵負荷トルクが過大となる状況を回避しながら、推進機を目標転舵角まで転舵できる。
この発明の一実施形態では、前記第2推進機は、舵板を備え、前記所定の負荷トルク増大条件は、前記第1推進機および前記第2推進機のそれぞれの転舵角が、前記舵板が前記第1推進機からの水流を受ける関係となる転舵角条件を含む。
この構成によれば、2つの推進機の一方(第1推進機)からの水流をそれらの他方の推進器(第2推進機)の舵板が受けることにより、転舵負荷トルクが過大となる可能性がある。このような場合に、推進力制限制御を行うことによって、転舵負荷トルクが過大となる状況を回避しながら、推進機を目標転舵角まで転舵できる。
この発明の一実施形態では、前記第1推進機および前記第2推進機の少なくとも一方は、駆動源としての電動モータを含む電動推進機である。
電動推進機は、エンジン推進機に比較して大きな転舵角範囲(たとえば±70度以上の範囲)での転舵が可能な設計をとりやすい。そのため、少なくとも一方が電動推進機である2つの推進機を隣接して配置する場合に、電動推進機が発生する水流が他方の推進機の転舵を阻害する状況が生じやすい。このような状況で、推進力制限制御を実行することにより、2つの推進機をそれぞれの目標転舵角まで適切に転舵することができる。
この発明の他の実施形態は、船体に転舵可能(左右に回動可能)に取り付けられる少なくとも2つの推進機と、前記少なくとも2つの推進機をそれぞれ転舵させる少なくとも2つの転舵装置と、前記少なくとも2つの推進機および前記少なくとも2つの転舵装置を制御し、前記少なくとも2つの推進機の互いの後端を前記少なくとも2つの推進機の互いの前端よりも接近させた状態で、前記少なくとも2つの推進機のうちの一つが前進方向に推進力を発生し、前記少なくとも2つの推進機のうちの別の一つが後進方向に推進力を発生させる回頭モードを含む複数の制御モードを有する、コントローラと、を含む、船舶推進システムを提供する。
この構成によれば、隣接する2つの推進機を逆「ハ」の字状(V字状)とする転舵状態(いわゆるトーアウト状態)として、2つの推進機の一方(第1推進機)を前進運転しその他方(第2推進機)を後進運転する。それにより、船体に対してモーメントを与えることができ、2つの推進機を従来技術とは異なる転舵状態として、船体を回頭(たとえば、その場で回頭)させることができる。
この発明の他の実施形態は、船体に転舵可能(左右に回動可能)に取り付けられる少なくとも2つの推進機と、前記少なくとも2つの推進機をそれぞれ転舵させる少なくとも2つの転舵装置と、前記少なくとも2つの推進機および前記少なくとも2つの転舵装置を制御し、前記少なくとも2つの推進機が、前記船体の旋回中心まわりの同一旋回方向のモーメントを前記船体に与えるように、前記旋回中心まわりの円周上の接線方向に推進力を発生する回頭モードを含む複数の制御モードを有する、コントローラと、を含む、船舶推進システムを提供する。
この構成によれば、回頭モードにおいて、複数の推進機は、船体の旋回中心まわりの円周上の接線方向に推進力を発生し、それによって、同一旋回方向のモーメントを船体に与える。それにより、複数の推進機を従来技術とは異なる転舵状態として、船体を回頭(たとえば、その場で回頭)させることができる。
この発明の一実施形態は、船体と、前記船体に装備される、前述の船舶推進システムと、を含む、船舶を提供する。
この発明によれば、複数の推進機を従来とは異なる転舵状態にして船舶の挙動を適切に制御できる船舶推進システムおよび船舶を提供できる。
図1は、この発明の一実施形態に係る船舶推進システムが搭載された船舶の構成例を説明するための平面図である。 図2は、電動船外機の構成例を説明するための側面図である。 図3は、船舶の後方から見た電動船外機の背面図である。 図4は、船舶推進システムの構成例を説明するためのブロック図である。 図5は、ジョイスティックユニットの構成例を説明するための斜視図である。 図6Aは、第1ジョイスティックモード(デュアルモード)を説明するための図であり、ジョイスティックの操作とそれに対応する船体の挙動(並進モード)とを示す。 図6Bは、第1ジョイスティックモード(デュアルモード)を説明するための図であり、ジョイスティックの操作とそれに対応する船体の挙動(回頭モード)とを示す。 図7Aは、第2ジョイスティックモード(シングルモード)を説明するための図であり、ジョイスティックの操作とそれに対応する船体の挙動とを示す。 図7Bは、第2ジョイスティックモード(シングルモード)を説明するための図であり、ジョイスティックの操作とそれに対応する船体の挙動(回頭モード)とを示す。 図8は、転舵アクチュエータの構成を説明するためのブロック図である。 図9は、デュアルモード中の回頭モードでの転舵状態(図6B参照)をより詳細に説明するための図解的な平面図である。 図10は、回頭モードでの2機の電動船外機の位置関係を示す斜視図である。 図11は、回頭モード開始時の動作の一例(比較例)を示す。 図12は、図11の動作例における右電動船外機の転舵角の変化および転舵モータの駆動電流の変化を示す。 図13は、回頭モード開始時の動作の他の例(実施例)を示す。 図14は、図13の動作例における右電動船外機の転舵角の変化および転舵モータの駆動電流の変化を示す。 図15は、回頭モード開始時のメインコントローラの処理例を説明するためのフローチャートである。 図16は、3機の電動船外機が船体に取り付けられた船舶の構成例を示す平面図である。
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る船舶推進システム100が搭載された船舶1の構成例を説明するための平面図である。
船舶1は、船体2と、船体2に取り付けられた複数の電動船外機EMとを含む。この実施形態では、2機の電動船外機EMが船体2に取り付けられている。電動船外機EMは、推進機の一例であり、より詳しくは、電動モータを動力源とする電動推進機の一例である。
この実施形態では、2機の電動船外機EMは、いずれも船尾3に取り付けられている。より具体的には、2機の電動船外機EMは、船体2の左右方向に並んで船尾3に配置され、互いに隣接している。すなわち、それらの間には他の推進機は配置されていない。2機の電動船外機EMを区別するときには、相対的に右側に配置されている電動船外機EMを右電動船外機EMsといい、相対的に左側に配置されている電動船外機EMを左電動船外機EMpという。この例では、右電動船外機EMsは、船体2の前後方向に延びる中心線2aに対して右側に配置されており、左電動船外機EMpは、中心線2aに対して左側に配置されている。より具体的には、右電動船外機EMsおよび左電動船外機EMpは、中心線2aに対して左右対称に配置されている。
船体2の内部には、乗船者のための居住空間4が確保されている。この居住空間4内に操船席5が設けられている。操船席5には、ステアリングホイール6、リモコンレバー7、ジョイスティック8、ゲージ9(表示パネル)などが備えられている。ステアリングホイール6は、船舶1の針路を変更するために使用者によって操作される操作子である。リモコンレバー7は、電動船外機EMの推進力の大きさ(出力)およびその方向(前進または後進)を変更するために使用者によって操作される操作子であり、アクセル操作子に相当する。ジョイスティック8は、ステアリングホイール6およびリモコンレバー7の代わりに、操船のために使用者によって操作される操作子である。
図2は、電動船外機EMの構成例を説明するための側面図であり、図3は船舶1の後方から見た電動船外機EMの背面図である。
電動船外機EMは、船体2への取り付けのためのブラケット51と、推進機本体50とを含む。推進機本体50は、ブラケット51に支持されている。推進機本体50は、ブラケット51に支持されるベース55と、ベース55から下方に延びるアッパハウジング56と、アッパハウジング56の下方に配置された筒状(ダクト状)のロアハウジング57と、ロアハウジング57内に配置された駆動ユニット58とを含む。推進機本体50は、さらに、ベース55を下方から覆うカバー66と、ベース55を上方から覆うカウル67とを備えている。カバー66およびカウル67によって区画される空間には、チルトユニット69および転舵ユニット72が収容されている。この空間には、さらに、チルトユニット69が作動するときに音を発生するブザー75が収容されていてもよい。
駆動ユニット58は、プロペラ60と、プロペラ60を回転させる電動モータ61とを含む。電動モータ61は、プロペラ60が径方向内側に固定された筒状のロータ62と、ロータ62を径方向外方から取り囲む筒状のステータ64とを含む。ステータ64はロアハウジング57に固定されており、ロータ62は、ロアハウジング57に対して回転可能に支持されている。ロータ62は、周方向に沿って配置された複数の永久磁石63を有している。ステータ64は、周方向に沿って配置された複数のコイル65を有している。この複数のコイル65に通電することによって、ロータ62を回転でき、それに応じてプロペラ60を回転させて、推進力を発生させることができる。
チルトユニット69は、チルトアクチュエータとしてのチルトシリンダ70を含む。チルトシリンダ70は、電動ポンプによって作動油を流動させる電動ポンプ型油圧シリンダであってもよい。チルトシリンダ70の一端は、ブラケット51の下支持部52に結合されており、チルトシリンダ70の他端は、シリンダ連結ブラケット71を介してベース55に結合されている。ブラケット51の上支持部53にチルト軸68が支持されており、ベース55は、チルト軸68を介して、ブラケット51に対してチルト軸68まわりに回転可能に結合されている。チルト軸68は、船体2の左右方向に延びており、したがって、ベース55は、上下に回転可能である。それにより、推進機本体50は、チルト軸68まわりに回転して、上下動することができる。
推進機本体50をチルト軸68まわりに回転して上昇させることをチルトアップといい、推進機本体50をチルト軸68まわりに回転して下降させることをチルトダウンという。チルトシリンダ70を駆動して伸縮させることにより、チルトアップおよびチルトダウンを行える。チルトアップによって、プロペラ60を上昇させて水面よりも上に配置して、推進機本体50をチルトアップ状態とすることができる。また、チルトダウンによって、プロペラ60を下降させて水中に配置して、推進機本体50をチルトダウン状態とすることができる。このように、チルトユニット69は、プロペラ60を上げ下げする昇降装置の一例である。
推進機本体50のチルトアップ状態およびチルトダウン状態を検出するために、推進機本体50のブラケット51に対する角度、すなわち、チルト角を検出するチルト角センサ76が備えられている。チルト角センサ76は、チルトシリンダ70の作動ロッドの位置を検出する位置センサであってもよい。
転舵ユニット72は、ロアハウジング57およびアッパハウジング56に結合されたステアリング軸73と、転舵アクチュエータ74とを含む。転舵アクチュエータ74は、ステアリング軸73をその軸線まわりに回転させるための駆動力を発生する。したがって、転舵アクチュエータ74を駆動することにより、ロアハウジング57およびアッパハウジング56をステアリング軸73まわりに回転させ、駆動ユニット58が発生する推進力の方向を左右に変更することができる。アッパハウジング56は、転舵中立位置において船体2の前後方向に延びる板状を成しており、転舵ユニット72によって転舵される舵板としての機能を有している。転舵ユニット72は、転舵装置の一例である。この例では、転舵ユニット72は、推進機本体50と一体化されて電動船外機EMに組み込まれているが、転舵装置は電動船外機に必ずしも組み込まれている必要はない。
図4は、船舶1に備えられる船舶推進システム100の構成例を説明するためのブロック図である。船舶推進システム100は、2機の電動船外機EM(EMs,EMp)を含む。
船舶推進システム100は、メインコントローラ101を備えている。メインコントローラ101は、船体2内に構築された船内ネットワーク102(CAN:コントロールエリアネットワーク)に接続されている。船内ネットワーク102には、2機の電動船外機EM(EMs,EMp)にそれぞれ対応したリモコンECU90(90s,90p)、ジョイスティックユニット18、GPS(Global Positioning System)受信機110、方位センサ111などが接続されている。リモコンECU90には、船外機制御ネットワーク105を介して、電動船外機EMのモータコントローラ80およびステアリングコントローラ81が接続されている。メインコントローラ101は、船内ネットワーク102に接続された様々なユニットと信号を授受し、それにより、電動船外機EMを制御し、かつその他のユニットを制御する。メインコントローラ101は、複数の制御モードを有し、各制御モードに応じて予め定められた態様で各ユニットを制御する。
船外機制御ネットワーク105には、ステアリングホイールユニット16が接続されている。ステアリングホイールユニット16は、ステアリングホイール6の操作角を表す操作角信号を船外機制御ネットワーク105に出力する。その操作角信号は、リモコンECU90およびステアリングコントローラ81によって受信される。ステアリングコントローラ81は、ステアリングホイールユニット16が生成する操作角信号またはリモコンECU90が生成する転舵角指令に応答し、いずれかに応じて転舵アクチュエータ74を制御し、それによって、電動船外機EMの転舵角を制御する。
リモコンレバー7の操作位置を表す操作位置信号を生成するリモコンユニット17は、船内ネットワーク102に接続されている。右電動船外機EMsおよび左電動船外機EMpにそれぞれ対応するように、右リモコンレバー7sおよび左リモコンレバー7pが備えられている。リモコンユニット17は、リモコンレバー7の操作位置を表す操作位置信号を船内ネットワーク102に出力する。その操作位置信号は、リモコンECU90によって受信される。モータコントローラ80は、リモコンECU90が生成する推進力指令に応答して電動モータ61を制御し、それによって、電動船外機EMが発生する推進力を制御する。
ジョイスティックユニット18は、ジョイスティック8の操作位置を表す操作位置信号を生成し、かつジョイスティックユニット18に備えられた操作ボタン180の操作信号を生成する。
リモコンECU90は、船外機制御ネットワーク105を介して、モータコントローラ80に対し、推進力指令を送出することができる。推進力指令は、前進運転、後進運転または停止を指令するためのシフト指令と、出力(具体的にはモータ回転速度)を指令するための出力指令とを含む。また、リモコンECU90は、船外機制御ネットワーク105を介して、ステアリングコントローラ81に対して、転舵角指令を送出することができる。
リモコンECU90は、メインコントローラ101の制御モードに応じて異なる制御動作を実行する。たとえば、ステアリングホイール6およびリモコンレバー7による操船のための制御モードでは、リモコンECU90は、モータコントローラ80に対して、リモコンユニット17が生成する操作位置信号に従う推進力指令を与える。また、リモコンECU90は、ステアリングコントローラ81に対して、ステアリングホイールユニット16が生成する操作角信号に従うように指令する。一方、ステアリングホイール6およびリモコンレバー7の操作によらない操船のための制御モードでは、リモコンECU90は、メインコントローラ101の指令に従う。すなわち、リモコンECU90は、メインコントローラ101が生成する推進力指令(シフト指令および出力指令)ならびに転舵角指令に従って、推進力指令(シフト指令および出力指令)をモータコントローラ80に送出し、かつ転舵角指令をステアリングコントローラ81に送出する。たとえば、ジョイスティック8による操船のための制御モードでは、メインコントローラ101は、ジョイスティックユニット18が生成する信号に応じて、推進力指令(シフト指令および出力指令)ならびに転舵角指令を生成する。それらに従って、電動船外機EMの推進力の大きさおよび方向(前進または後進)ならびに転舵角が制御される。
電動船外機EMのモータコントローラ80およびステアリングコントローラ81は、リモコンECU90からの推進力指令および転舵角指令に応答して電動船外機EMを作動させるように構成されている。前述のとおり、推進力指令は、シフト指令および出力指令を含む。シフト指令は、プロペラ60を停止、前進回転または後進回転させることを指令する回転方向指令である。出力指令は、発生すべき推進力の大きさの指令、具体的には回転速度の指令である。転舵角指令は、転舵角の指令である。モータコントローラ80は、シフト指令(回転方向指令)および出力指令に応じて電動モータ61を制御する。また、ステアリングコントローラ81は、転舵角指令に応じて転舵アクチュエータ74を制御する。
GPS受信機110は、地球を周回する人工衛星からの電波を受信して船舶1の位置を特定し、船舶1の位置を表す位置データと、船舶1の移動速度を表す速度データとを出力する。これらのデータは、メインコントローラ101によって取得され、船舶1の位置および/または方位の表示や制御のために用いられる。
方位センサ111は、船舶1の方位を検出して、方位データを生成する。その方位データはメインコントローラ101によって利用される。
メインコントローラ101には、コントロールパネルネットワーク106を介して、ゲージ9が接続されている。ゲージ9は、操船のための各種情報を表示するための表示装置である。ゲージ9は、コントロールパネルネットワーク106を介してリモコンECU90、モータコントローラ80およびステアリングコントローラ81と接続されている。それにより、ゲージ9は、電動船外機EMの運転状態、船舶1の位置および/または方位などの情報を表示することができる。ゲージ9には、タッチパネルやボタン等の入力装置10が備えられていてもよい。使用者が入力装置10を操作することにより、操作信号がコントロールパネルネットワーク106に送出され、様々な設定や指令が行えるようになっていてもよい。
電動船外機EMへの電源を投入/遮断するためのパワースイッチユニット120がリモコンECU90に接続されている。パワースイッチユニット120は、右電動船外機EMsおよび左電動船外機EMpの電源を個別に投入/遮断するための複数(この実施形態では2個)のパワースイッチ121を含む。
パワースイッチ121のオン操作によって、リモコンECU90は、電動船外機EMへの電源供給のための制御を実行する。具体的には、バッテリ130(たとえば48V)と電動船外機EMとの間に介装された電源リレー(図示せず)をオンする。バッテリ130は、複数(この実施形態では2個)の電動船外機EMにそれぞれ対応して設けられることが好ましい。パワースイッチ121のオフ操作によって、リモコンECU90は、電源リレーをオフして、電動船外機EMへの電源を遮断する。リモコンECU90は、電動船外機EMに電源が投入されているかどうかを表す電動船外機状態情報を、船内ネットワーク102を介してメインコントローラ101に与える。
船内ネットワーク102には、さらにアプリケーションスイッチパネル150が接続されている。アプリケーションスイッチパネル150は、予め定義した機能の実行を指令するための複数のファンクションスイッチ151を含む。たとえば、ファンクションスイッチ151は、自動操船を指令するためのスイッチを含んでいてもよい。より具体的には、船舶1の方位を維持する自動操舵、船舶1の針路を維持する自動操舵、指定した複数の地点を順に通過させる自動操舵、所定の航走パターン(ジグザグパターン、スパイラルパターンなど)のための自動操舵などのためのスイッチが設けられていてもよい。また、電動船外機EMをチルトアップまたはチルトダウンさせるための機能がいずれかのファンクションスイッチ151に割り当てられてもよい。
メインコントローラ101は、複数の制御モードで電動船外機EMの制御を実行する。メインコントローラ101の制御モードは、操作系の観点からは、通常モード、ジョイスティックモードおよび保持モードに分類できる。
通常モードは、ステアリングホイールユニット16が生成する操作角信号に応じて転舵制御を行い、かつリモコンレバー7の操作信号(操作位置信号)に応じて推進力制御を行う制御モードである。この実施形態では、通常モードは、メインコントローラ101のデフォルト制御モードである。転舵制御とは、具体的には、ステアリングホイールユニット16が生成する操作角信号またはリモコンECU90が生成する転舵角指令に応じて、ステアリングコントローラ81が転舵アクチュエータ74を駆動させる制御動作をいう。これにより、電動船外機EMの駆動ユニット58およびアッパハウジング56が左右に転舵して、船体2に対する推進力の方向が左右に変化する。推進力制御とは、具体的には、リモコンECU90がモータコントローラ80に与える推進力指令(シフト指令および出力指令)に応じて、モータコントローラ80が電動モータ61を駆動させる制御動作をいう。これにより、電動モータ61が前進回転、後進回転または停止の状態に制御され、かつ回転速度が変化する。
ジョイスティックモードは、ジョイスティックユニット18のジョイスティック8の操作信号に応じて転舵制御および推進力制御を行う制御モードである。保持モードは、ジョイスティックユニット18に備えられる保持モード設定ボタン182,183,184(図5参照)の操作によって設定でき、船体2の位置および/または方位を保持するための転舵制御および推進力制御を行う自動操船モードである。
図5は、ジョイスティックユニット18の構成例を説明するための斜視図である。ジョイスティックユニット18は、前後左右(すなわち、360度の全方位)に傾倒させることができ、かつ軸まわりに回す(ツイストする)ことができるジョイスティック8を備えている。ジョイスティックユニット18は、この例では、さらに、複数の操作ボタン180を備えている。複数の操作ボタン180は、ジョイスティックボタン181および保持モード設定ボタン182~184を含む。
ジョイスティックボタン181は、ジョイスティック8を用いる制御モード(操船モード)、すなわち、ジョイスティックモードを選択するときに操船者によって操作される操作子である。
保持モード設定ボタン182,183,184は、位置/方位保持系の制御モード(保持モードの例)を設定するために使用者によって操作される操作ボタンである。より具体的には、保持モード設定ボタン182は、船舶1の位置および船首方位(または船尾方位)を保持する定点保持モード(Stay Point)を設定するために操作される。保持モード設定ボタン183は、船舶1の位置を保持し船首方位(または船尾方位)は保持しない位置保持モード(Fish Point)を設定するために操作される。保持モード設定ボタン184は、船首方位(または船尾方位)を保持し位置の保持は行わない方位保持モード(Drift Point)を設定するために操作される。
ジョイスティックモードでは、メインコントローラ101がリモコンECU90に転舵角指令および推進力指令を与え、リモコンECU90がそれらをモータコントローラ80およびステアリングコントローラ81に与える。それにより、電動船外機EMに対する転舵制御および推進力制御が行われる。電動船外機EMに対する転舵制御は、この場合、メインコントローラ101がリモコンECU90を介して電動船外機EMのステアリングコントローラ81に与える転舵角指令に応じて、ステアリングコントローラ81が転舵ユニット72を駆動させる制御動作をいう。これにより、電動船外機EMの駆動ユニット58およびアッパハウジング56が左右に回動して、船体2に対する推進力の方向が左右に変化する。電動船外機EMに対する推進力制御は、この場合、メインコントローラ101がリモコンECU90を介して電動船外機EMのモータコントローラ80に与える推進力指令(シフト指令および出力指令)に応じて、モータコントローラ80が電動モータ61の回転方向および回転速度を制御する動作をいう。これにより、プロペラ60の回転方向が前進方向または後進方向に設定され、かつプロペラ60の回転速度が変化する。
図6A、図6B、図7Aおよび図7Bは、2種類のジョイスティックモードを説明するための図であり、ジョイスティック8の操作とそれに対応する船体2の挙動とを示す。より具体的には、図6Aおよび図6Bは、2機の電動船外機EMの両方の推進力を利用する第1ジョイスティックモードの動作例を示す。図7Aおよび図7Bは、2機の電動船外機EMのうちのいずれか一方のみの推進力を利用する第2ジョイスティックモードの動作例を示す。
メインコントローラ101は、電動船外機状態情報に基づいて、2機の電動船外機EMの両方に電源が投入されているデュアルモードか、それともそれらのうちの1機のみに電源が投入されているシングルモードかを認識している。メインコントローラ101は、デュアルモード中にジョイスティックボタン181によってジョイスティックモードが指令されると、第1ジョイスティックモードに従って制御処理を実行する。また、メインコントローラ101は、シングルモード中に、ジョイスティックボタン181によってジョイスティックモードが指令されると、第2ジョイスティックモードに従って制御処理を実行する。
図6Aおよび図6Bに示す第1ジョイスティックモードにおいては、メインコントローラ101は、ジョイスティック8の傾倒方向を進行方向指令と解釈し、ジョイスティック8の傾倒量を当該方向への推進力の大きさの指令と解釈する。また、メインコントローラ101は、ジョイスティック8の軸周りの回動方向(中立位置を基準とした回動方向)を回頭方向指令と解釈し、回動量(中立位置を基準とした回動量)を回頭速度指令と解釈する。そして、メインコントローラ101は、それらの指令を実現するための転舵角指令および推進力指令をリモコンECU90を介して電動船外機EMのステアリングコントローラ81およびモータコントローラ80に供給する。それにより、電動船外機EMは、指令された転舵角へと駆動ユニット58およびアッパハウジング56を転舵させ、かつ指令された推進力を発生するように電動モータ61の回転方向および回転速度を制御する。
第1ジョイスティックモードにおいては、ジョイスティック8を回動させることなく傾倒させる操作を行うと、船体2は、回頭することなく、すなわち、方位を保持した状態で、ジョイスティック8の傾倒方向へと移動する。つまり、船体2が並進移動する船体挙動となる。この並進移動の例が、図6Aに表されている。典型的には、2機の電動船外機EMの推進力作用線(推進力の方向に沿って引いた直線)を船体2内で交差させる転舵状態とされる。すなわち、2機の電動船外機EMは、平面視で「ハ」の字状(逆V字状)の転舵状態(いわゆるトーイン状態)とされる。その転舵状態で、一方の電動船外機EMが前進運転され、他方の電動船外機EMが後進運転される。それにより、2機の電動船外機EMが発生する推進力の合力方向へと船体2が並進する。たとえば、2機の電動船外機EMの一方を前進運転し、かつ他方を後進運転する状態で、それらの推進力の大きさを等しくすると、船体2を真横に並進移動させることができる。第1ジョイスティックモードにおいて2機の電動船外機EMを上記のように制御して船体2を並進移動させるときのメインコントローラ101の制御モードを「並進モード」という。
第1ジョイスティックモードにおいて、ジョイスティック8を傾倒させ、かつ回動する操作を行うと、船体2がジョイスティック8の傾倒方向に移動しながら、ジョイスティック8の回動方向に回頭する船体挙動が得られる。このとき、2機の電動船外機EMは、「ハ」の字状(逆V字状)の転舵状態を保ちながら、それらの転舵角および/または出力が変更されることにより、船体2に対してモーメントが与えられる。したがって、このときの制御モードは、並進モードである。
一方、第1ジョイスティックモードにおいて、ジョイスティック8を傾倒させることなく回動させる操作(ねじり操作)を行うと、船体2は位置をほとんど変えることなくジョイスティック8の回動方向へと回頭する。すなわち、船体2がその場回頭を行う船体挙動となる。その場回頭の例が図6Bに表されている。その場回頭は、この例では、2機の電動船外機EMの推進力作用線(推進力の方向に沿って引いた直線)を船体2の後方で交差させる転舵状態とされる。すなわち、2機の電動船外機EMは、平面視で逆「ハ」の字状(V字状)の転舵状態(いわゆるトーアウト状態)とされる。その転舵状態で、一方の電動船外機EMが前進運転され、他方の電動船外機EMが後進運転される。それにより、2機の電動船外機EMがそれぞれ発生する推進力は、いずれも、船体2に対して、その旋回中心まわりのモーメントを与える。それにより、船体2がその場で回頭する船体挙動が得られる。第1ジョイスティックモードにおいて2機の電動船外機EMを上記のように制御して船体2を回頭させるときのメインコントローラ101の制御モードを「回頭モード」という。
図7Aおよび図7Bに示す第2ジョイスティックモードにおいては、1機の電動船外機EMの推進力のみを用いるので、図7Aに示すように、2機の推進機の推進力の合成を利用する並進移動(図6A参照)は不可能である。すなわち、第2ジョイスティックモードは、第1ジョイスティックモードにおいて提供される所定の船体挙動、具体的には並進移動を無効にする制御モードである。その場回頭に関しては、図7Bに示すように、1機のみの電動船外機EMの推進力によっても船体2に対して旋回中心まわりのモーメントを与えることができるので、利用可能とされてもよい。
第2ジョイスティックモードにおいては、メインコントローラ101は、ジョイスティック8の前後方向への傾倒を推進力指令(シフト指令および出力指令)と解釈する。ジョイスティック8の左右方向への傾倒は無視される。つまり、ジョイスティック8の傾倒操作が行われたとき、ジョイスティック8の傾倒方向の前後方向成分のみが有効な入力となり、その前後方向成分が推進力指令と解釈される。より具体的には、前後方向成分が前方に傾倒されたときの値であれば前進シフト指令と解釈され、前後方向成分が後方に傾倒されたときの値であれば後進シフト指令と解釈される。そして、前後方向成分の大きさが推進力の大きさに関する指令(出力指令)であると解釈される。このように解釈された推進力指令がメインコントローラ101からリモコンECU90を介してモータコントローラ80に入力される。一方、第2ジョイスティックモードにおいて、メインコントローラ101は、ジョイスティック8の軸周りの回動を転舵角指令と解釈する。すなわち、メインコントローラ101は、ジョイスティック8の軸周りの回動方向および回動量に応じた転舵角指令をリモコンECU90を介してステアリングコントローラ81に入力する。ジョイスティック8が傾倒操作されることなく回動操作のみが入力されたときには、メインコントローラ101は、回頭モード(図7B参照)の転舵状態に制御してもよい。
モータコントローラ80は、推進力指令に従って電動モータ61を駆動し、ステアリングコントローラ81は、転舵角指令に従って転舵アクチュエータ74を駆動する。
図8は、転舵アクチュエータ74の構成を説明するためのブロック図である。転舵アクチュエータ74は、転舵用の電動モータである転舵モータ30を含む。ステアリングコントローラ81に電流を供給して、転舵モータ30を駆動する。転舵モータ30が発生するトルクは、減速ギヤ32およびウォームギヤ&ホイール33を含む減速機構34を介して、出力軸としてのステアリング軸73に伝達される。したがって、転舵モータ30を駆動することによって、ステアリング軸73を回転させることができ、それによって、電動船外機EMの転舵が達成される。ステアリング軸73の回転角は、実舵角(実際の転舵角)として、転舵角センサ35によって検出され、その出力信号はステアリングコントローラ81に入力される。
ステアリングコントローラ81には、バッテリ130からの電力が電源回路38を介して供給されている。ステアリングコントローラ81には、上位のコントローラから転舵角指令が与えられる。上位のコントローラとは、通常モードではステアリングホイールユニット16であり、ジョイスティックモードおよび保持モードではリモコンECU90である。ステアリングコントローラ81は、転舵角センサ35によって検出される実舵角を転舵角指令の値(転舵角指令値)に一致させるように、転舵モータ30へ供給する駆動電流をフィードバック制御する。ステアリングコントローラ81は、また、転舵角センサ35によって検出される実舵角の情報を上位のコントローラに与える。
図9は、デュアルモード中の回頭モードでの転舵状態(図6B参照)をより詳細に説明するための図解的な平面図である。メインコントローラ101は、回頭モードにおいて、2機の電動船外機EMの互いの後端をそれらの互いの前端よりも接近させた転舵状態に制御する。すなわち、平面視において、2機の電動船外機EMは、逆「ハ」の字状(V字状)の転舵状態(いわゆるトーアウト状態)となる。このとき、2機の電動船外機EMは、船体2の旋回中心20まわりの円周21上の接線方向にほぼ沿って推進力を発生することになる。そして、回頭モードにおいて、メインコントローラ101は、2機の電動船外機EMの一方を前進運転し、それらの他方を後進運転するように、推進力指令を発生する。それにより、2機の電動船外機EMは、旋回中心20まわりの同一旋回方向22(図9の例では時計まわり方向)のモーメントを船体2に与えるように、旋回中心20まわりの円周21上の接線方向にほぼ沿って推進力を発生する。図9に示す例では、右電動船外機EMsが後進運転され、かつ左電動船外機EMpが前進運転されており、それによって、2機の電動船外機EMは、いずれも旋回中心20を中心とする時計まわり方向のモーメントを船体2に与える。
回頭モードにおける電動船外機EMの目標転舵角を、以下では、「回頭モード舵角」という。右電動船外機EMsおよび左電動船外機EMpの回頭モード舵角を区別するときには、それぞれ、「右回頭モード舵角」および「左回頭モード舵角」という。転舵角は、電動船外機EMが転舵中立位置にあり、その推進力の方向が船体2の前後方向に平行であるときを基準としてもよい。転舵中立位置での転舵角を0度と定義すると、右回頭モード舵角および左回頭モード舵角は、符号が異なり、絶対値がほぼ等しい値である。
電動船外機EMは、エンジンを駆動源とするエンジン船外機に比較して、大きな転舵角範囲を確保する設計が比較的容易である。具体的には、電動船外機EMは、±70度以上(たとえば、±90度)の転舵角範囲を有することができ、±180度の転舵角範囲を有する設計とすることもできる。
図10は、回頭モードでの2機の電動船外機EMの位置関係を示す斜視図である。左電動船外機EMpが前進運転されることにより、プロペラ60は、前方から後方へ向けて水を吐き出し、それに応じて、左電動船外機EMpの後方に水流25が生成される。回頭モードのときの逆「ハ」の字状(V字状)の転舵状態(いわゆるトーアウト状態)においては、水流25の少なくとも一部は、右電動船外機EMsにぶつかり、右電動船外機EMsに対して、反時計回り方向のモーメントを与える。とくに、右電動船外機EMsの舵板としてのアッパハウジング56に水流がぶつかるときには、そのモーメントは比較的大きくなる。よって、右電動船外機EMsの転舵アクチュエータ74が受ける転舵負荷トルクが、水流25の影響で大きくなる。
図11は、回頭モード開始時の動作の一例(比較例)を示す。この例において、回頭モードを開始する直前の初期状態では、2機の電動船外機EMが転舵中立位置にあり、それらの推進力の方向が船体2の前後方向に平行である。回頭モードを開始するときに、逆「ハ」の字状(V字状)の転舵状態(トーアウト状態)とするための転舵制御と、2機の電動船外機EMの一方を前進運転し他方を後進運転する推進力制御とを同時に開始する。図示の例では、左電動船外機EMpは前進運転されて前進推進力を発生し、したがって、その後方に水流25が生成される。また、右電動船外機EMsは後進運転されて後進推進力を発生し、その前方に水流26が生成される。その状態で2機の電動船外機EMがそれぞれの回頭モード舵角に向けて転舵されると、それらの互いの後端が接近していき、左電動船外機EMpが後方に生成する水流25が右電動船外機EMs、とくにその舵板(アッパハウジング56)にぶつかる状態となる。それにより、右電動船外機EMsの転舵負荷トルクが増加する。右電動船外機EMsは、水流25に抗する方向に転舵しなければ、右回頭モード舵角に到達しないので、転舵負荷トルクが過大となるおそれがある。
図12(a)は図11の動作例における右電動船外機EMsの転舵角の変化を示し、図12(b)は同動作例における右電動船外機EMsの転舵モータ30の駆動電流の変化を示す。時刻t0に回頭モードが開始されると、転舵角指令値が回頭モード舵角に向けて変化し、時刻t1に回頭モード舵角に達する。ステアリングコントローラ81(図8参照)が行うフィードバック制御によって、実舵角は転舵角指令値に追従して変化する。しかし、転舵が進むにつれて左電動船外機EMpが発生する水流25の影響により、転舵負荷トルクが増大するので、回頭モード舵角に達するよりも前の時刻t2において、転舵モータ30の出力トルクと転舵負荷トルクとが拮抗して、実舵角が変化しなくなる。一方、ステアリングコントローラ81は、転舵角指令値と実舵角との差を解消するために、転舵モータ30に供給する駆動電流を増大させる。それにより、時刻t3には、転舵モータ30の駆動電流が定格電流を越える。ステアリングコントローラ81は、この状態を検知して、時刻t4にフェールセーフ処理を実行し、たとえば、転舵モータ30への電流供給を停止する。
図13は、回頭モード開始時の動作の他の例(実施例)を示す。この例においても、回頭モードを開始する直前の初期状態では、2機の電動船外機EMが転舵中立位置にあり、それらの推進力の方向が船体2の前後方向に平行である。回頭モードを開始するときに、メインコントローラ101は、逆「ハ」の字状(V字状)の転舵状態(トーアウト状態)とするための転舵制御を実行し、併せて、推進力の発生を制限する推進力制限制御を実行する。推進力制限制御は、具体的には、電動船外機EMの実舵角が回頭モード舵角に達するまで、推進力を目標推進力よりも小さい値にする推進力低減制御である。より具体的には、電動船外機EMの実舵角が回頭モード舵角に達するまで、推進力を零に制御して推進力の発生を禁止する推進力発生禁止制御であってもよい。
メインコントローラ101は、電動船外機EMの実舵角が回頭モード舵角に達すると、2機の電動船外機EMの一方を前進運転し他方を後進運転する推進力制御を開始する。図示の例では、左電動船外機EMpは前進運転されて前進推進力を発生し、したがって、その後方に水流25が生成される。また、右電動船外機EMsは後進運転されて後進推進力を発生し、その前方に水流26が生成される。
図14(a)は図13の動作例における右電動船外機EMsの転舵角の変化を示し、図14(b)は同動作例における右電動船外機EMsの転舵モータ30の駆動電流の変化を示す。時刻t10に回頭モードが開始されると、転舵角指令値が回頭モード舵角に向けて変化し、時刻t11に回頭モード舵角に達する。ステアリングコントローラ81(図8参照)が行うフィードバック制御によって、実舵角は転舵角指令値に追従して変化する。実舵角が回頭モード舵角に達するまで、左電動船外機EMpは水流を発生しないか、発生してもその水流は微弱であるので、転舵負荷トルクが実質的に増大することがない。したがって、時刻t12に実舵角は回頭モード舵角に到達する。一方、ステアリングコントローラ81は、転舵角指令値と実舵角との差を解消するように、転舵モータ30に駆動電流を制御する。図12の場合とは異なり、時刻t12には実舵角が回頭モード舵角に達するので、駆動電流が増加し続けて定格電流を越えることはなく、転舵モータ30への駆動電流の供給が停止される。
その後は、左電動船外機EMpが推進力の発生を開始し、したがって、その水流25が右電動船外機EMs(とくに舵板としてのアッパハウジング56)に当たることによって、転舵負荷トルクが生じる。しかし、既に実舵角が回頭モード舵角に達しているので、転舵モータ30は駆動されず、ウォームギヤ&ホイール33のフリクションによって実舵角が回頭モード舵角に維持される。
図15は、回頭モード開始時のメインコントローラ101の処理例を説明するためのフローチャートである。ジョイスティック8に対して中立位置でねじり操作がされると、メインコントローラ101は、回頭モードを開始する。メインコントローラ101は、デュアルモード中の回頭モード(図6Bおよび図9参照)かどうかを判断する(ステップS1)。デュアルモードの回頭モードであれば(ステップS1:YES)、メインコントローラ101は、2機の電動船外機EMを逆「ハ」の字状(V字状)の転舵状態とするための転舵制御を実行し(ステップS2)、かつ2機の電動船外機EMの推進力の発生を制限(たとえば禁止)する推進力制限制御(推進力低減制御または推進力発生禁止制御)を実行する(ステップS3)。メインコントローラ101は、ステアリングコントローラ81から2機の電動船外機EMの実舵角の情報を得て、それらが回頭モード舵角に達するまで推進力制限制御(推進力低減制御または推進力発生禁止制御)を継続する(ステップS4:NO)。2機の電動船外機EMの実舵角が回頭モード舵角に達すると(ステップS4:YES)、メインコントローラ101は、ジョイスティック8のねじり操作の方向およびその操作量に応じて、2機の電動船外機EMの一方を前進運転し他方を後進運転する推進力制御を開始する(ステップS5)。
デュアルモード中の回頭モードでなければ(ステップS1:NO)、すなわち、シングルモード中の回頭モードのときには、メインコントローラ101は、電源投入されている電動船外機EMをジョイスティック8のねじり操作の方向に対応した転舵角に制御するための転舵制御を実行する(ステップS6)。メインコントローラ101は、電動船外機EMからジョイスティック8のねじり操作量に応じた目標推進力を発生させる推進力制御(ステップS7)を同時に開始してもよい。また、メインコントローラ101は、電動船外機EMがその場回頭に適した所定の転舵角に達した後に、推進力制御(ステップS7)を開始してもよい。
デュアルモード中の回頭モードは、2機の電動船外機EMの一方(第1推進機)が発生する水流によって、それらの他方(第2推進機)の転舵負荷トルクが増大する所定の負荷トルク増大条件の一例である。また、デュアルモード中の回頭モードでは、2機の電動船外機EMの一方(第1推進機)が発生する水流がそれらの他方(第2推進機)に向かうように、当該一方の電動推進機(第1推進機)の回頭モード舵角(第1目標転舵角)が設定される。そして、当該他方の電動船外機EM(第2推進機)には、前記水流に抗する方向に転舵すべき回頭モード舵角(第2目標転舵角)が設定される。したがって、デュアルモード中の回頭モードは、所定の負荷トルク増大条件が充足される転舵角条件の一例である。この転舵角条件は、2機の電動船外機EM(第1推進機および第2推進機)をそれらの後端を互いに接近させる方向に転舵させるための回頭モード舵角(第1目標転舵角および第2目標転舵角)が、当該2機の電動船外機EMに対してそれぞれ設定される条件である。また、上記転舵角条件は、一方の電動船外機EM(第1推進機)からの水流を他方の電動船外機EM(第2推進機)(とくに舵板(アッパハウジング56))が受ける関係となる条件でもある。
以上、この発明の一実施形態について説明してきたが、以下に例示するとおり、この発明はさらに他の形態で実施することができる。
前述の実施形態では、2機の電動船外機EMが船尾に並べて配置される例を示したが、図16に示すように、3機以上の電動船外機EMが船体2に取り付けられてもよい。図16には、3機の電動船外機EMが船体2に取り付けられ、3機の電動船外機EMが推進力を発生するトリプルモード中の回頭モードでの転舵状態を示す。右電動船外機EMsおよび左電動船外機EMpは、逆「ハ」の字状(V字状)の転舵状態とされている。中央電動船外機EMcの推進力の方向は、船体2の左右方向にほぼ沿っている。3機の電動船外機EMは、船体2の旋回中心20まわりの同一旋回方向22(図16では時計まわり方向)のモーメントを船体2に与えるように、旋回中心20まわりの円周21上の接線方向に推進力を発生するように、回頭モード舵角および運転状態が制御される。それにより、3機の電動船外機EMは、船体2に対して効率的にモーメントを与えることができるので、船体2をスムーズに回頭させることができる。回頭モードを開始する際に、各電動船外機EMの転舵負荷トルクは、隣接する電動船外機EMが発生する水流の影響を受けて増大するおそれがある。そこで、回頭モード舵角への転舵が完了した後に、所定の目標推進力を発生するように推進力制御を行うことで、回頭モードを円滑に利用した操船を行える。
前述の実施形態では、メインコントローラ101の制御モードが回頭モードとなる場合に負荷トルク増大条件(転舵角条件)を充足する例について説明したが、これは一例である。回頭モード以外であっても、隣接する2つの推進機の一方が生成する水流によってその他方の転舵負荷トルクが過大になる負荷トルク増大条件(転舵角条件)が成立する場合には、この発明を適用することにより、2つの推進機を適切な目標転舵角まで転舵できる。
前述の実施形態では、推進機として電動船外機を例示したが、エンジンを駆動源とするエンジン船外機を推進機として用いてもよい。また、エンジン船外機および電動船外機の組み合わせのように、原動機の種類の異なる推進機が用いられてもよい。
また、前述の実施形態では、船外機の形態の推進機について説明したが、推進機の形態は、船内機、船内外機(スターンドライブ)、ウォータジェット等の他の形態であってもよい。
また、推進機の取り付け位置は、船尾3に限らず、たとえば、トローリングモータ等の推進機を船首等の船体の他の位置に取り付けてもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
1:船舶、2:船体、2a:中心線、3:船尾、8:ジョイスティック、18:ジョイスティックユニット、20:旋回中心、21:円周、22:旋回方向、25:水流、26:水流、30:転舵モータ、35:転舵角センサ、56:アッパハウジング、58:駆動ユニット、60:プロペラ、61:電動モータ、72:転舵ユニット、73:ステアリング軸、74:転舵アクチュエータ、80:モータコントローラ、81:ステアリングコントローラ、100:船舶推進システム、101:メインコントローラ、181:ジョイスティックボタン、EM:電動船外機

Claims (12)

  1. 船体に転舵可能に取り付けられる第1推進機と、
    前記第1推進機に隣接して前記船体に転舵可能に取り付けられる第2推進機と、
    前記第1推進機を転舵させる第1転舵装置と、
    前記第2推進機を転舵させる第2転舵装置と、
    前記第1推進機、前記第2推進機、前記第1転舵装置および前記第2転舵装置を制御し、前記第1推進機が発生する水流によって前記第2推進機の転舵負荷トルクが増大する所定の負荷トルク増大条件の成否を判定し、前記所定の負荷トルク増大条件が成立するとき、前記第1推進機および前記第2推進機の推進力を制限する推進力制限制御を実行するコントローラと、を含む、船舶推進システム。
  2. 前記推進力制限制御は、前記第2推進機が目標転舵角まで転舵完了するまで、前記第1推進機および前記第2推進機の推進力を目標推進力よりも小さい値に制御する推進力低減制御を含む、請求項1に記載の船舶推進システム。
  3. 前記推進力制限制御は、前記第2推進機が目標転舵角まで転舵完了するまで、前記第1推進機および前記第2推進機の推進力発生を禁止する推進力発生禁止制御を含む、請求項1に記載の船舶推進システム。
  4. 前記所定の負荷トルク増大条件は、前記第1推進機が発生する水流が前記第2推進機に向かう第1目標転舵角が前記第1推進機に対して設定され、前記第2推進機を前記水流に抗する方向に転舵すべき第2目標転舵角が前記第2推進機に対して設定される転舵角条件を含む、請求項1に記載の船舶推進システム。
  5. 前記所定の負荷トルク増大条件は、前記第1推進機および前記第2推進機の後端を互いに接近させる方向に前記第1推進機および前記第2推進機を転舵させるための第1目標転舵角および第2目標転舵角が前記第1推進機および前記第2推進機に対してそれぞれ設定される転舵角条件を含む、請求項1に記載の船舶推進システム。
  6. 前記コントローラは、前記第1推進機および前記第2推進機の互いの後端を前記第1推進機および前記第2推進機の互いの前端よりも接近させた状態で、前記第1推進機が前進方向に推進力を発生し、前記第2推進機が後進方向に推進力を発生させる回頭モードを含む複数の制御モードを有し、
    前記所定の負荷トルク増大条件は、前記制御モードが前記回頭モードであることを含む、請求項1に記載の船舶推進システム。
  7. 前記第2転舵装置は、電動モータを駆動源として含む、請求項1に記載の船舶推進システム。
  8. 前記所定の負荷トルク増大条件は、前記第1推進機および前記第2推進機のそれぞれの転舵角が、前記第1推進機からの水流を受ける関係となる転舵角条件を含む、請求項1に記載の船舶推進システム。
  9. 前記第1推進機および前記第2推進機の少なくとも一方は、駆動源としての電動モータを含む電動推進機である、請求項1に記載の船舶推進システム。
  10. 船体に転舵可能に取り付けられる少なくとも2つの推進機と、
    前記少なくとも2つの推進機をそれぞれ転舵させる少なくとも2つの転舵装置と、
    前記少なくとも2つの推進機および前記少なくとも2つの転舵装置を制御し、前記少なくとも2つの推進機の互いの後端を前記少なくとも2つの推進機の互いの前端よりも接近させた状態で、前記少なくとも2つの推進機のうちの一つが前進方向に推進力を発生し、前記少なくとも2つの推進機のうちの別の一つが後進方向に推進力を発生させる回頭モードを含む複数の制御モードを有する、コントローラと、を含む、船舶推進システム。
  11. 船体に転舵可能に取り付けられる少なくとも2つの推進機と、
    前記少なくとも2つの推進機をそれぞれ転舵させる少なくとも2つの転舵装置と、
    前記少なくとも2つの推進機および前記少なくとも2つの転舵装置を制御し、前記少なくとも2つの推進機が、前記船体の旋回中心まわりの同一旋回方向のモーメントを前記船体に与えるように、前記旋回中心まわりの円周上の接線方向に推進力を発生する回頭モードを含む複数の制御モードを有する、コントローラと、を含む、船舶推進システム。
  12. 船体と、
    前記船体に装備される、請求項1~11のいずれか一項に記載の船舶推進システムと、を含む、船舶。
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