JP2024059779A - 難治性非結核性マイコバクテリア感染症の治療のためのgm-csf - Google Patents

難治性非結核性マイコバクテリア感染症の治療のためのgm-csf Download PDF

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Abstract

【課題】治療、例えば、抗生物質治療に難治性である肺NTM感染症に罹患している対象を治療する方法を提供する。【解決手段】それを必要とする対象における抗生物質治療などの治療に難治性の肺NTM感染症を治療する方法であって、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)の肺投与を介して前記対象に投与することを含む方法、および前記方法で使用するための顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)を提供する。【選択図】なし

Description

技術分野
本発明は、治療、例えば、抗生物質治療に難治性の肺NTM感染症に罹患している対象を治療する方法に関する。
背景
非結核性マイコバクテリア(NTM)による肺疾患は、米国及びほとんどの西側諸国で急増している問題である。NTMは、咳、息切れ及び体重減少を含む様々な症状をもたらす進行性の肺の破壊を引き起こす。
NTMは、我々の環境中の土壌及び水の中に遍在している。理由は完全には明らかにされていないが、サンプリングデータから、NTMの量が特に水源で増加していることが示唆されている。最初は、進行性ヒト免疫不全ウイルス(HIV)疾患の状況で全身感染として有名になったが、現在、NTMは、明らかに免疫応答性の人々において、慢性肺疾患、及び特に、気管支拡張症の主要な原因であると認識されている。1990年代以来、NTMによる肺疾患と診断された患者の数が劇的に増加している。同じ期間に、NTMはまた、嚢胞性線維症の患者において重大な問題となった。米国での経験を反映して、NTMを報告すべき疾患としているオーストラリアのクイーンズランド州において、発症率は、1995年~2005年に45%増加した。この増加は、1)改善された診断技術、2)NTMを引き起こす疾患の医師の認識の増加、3)高齢化(理由は、これが特に高齢者グループにおいて生じる疾患であるから)、及び4)おそらくより大きな環境暴露による疾患の有病率の実際の増加、に起因していた。
米国におけるNTM疾患の有病率の現在の推定値は、10万人あたり3~7例と変化し、実質的に異なる領域間で変化する。疾患頻度は顕著に年齢と共に増加するので、65歳以上のグループにおける有病率は10万人あたり約50であると報告されている。同様の有病率がほとんどの西側諸国で報告されている。これらの有病率は、かなりの過小評価であると思われる。米国において疾患が認識されるようになり、クイーンズランド州のNTM疾患の強制報告と一致して、一般集団におけるNTM疾患の有病率は、2010年には10万人あたり15.1であった。
NTM感染症の治療は困難であり、典型的には、最低18ヶ月間、少なくとも3種類の抗生物質を必要とする。この治療計画は忍容性が低く、患者のうちの最大1/4が治療に耐えることができず、吐き気、嘔吐、下痢、末梢神経障害、視力及び聴力の喪失、肝不全、腎不全及び骨髄抑制を含む副作用が多数ある。治療に耐えられるヒトにおいて、報告された最高の成功率は70~80%であるので、治療法の全体的な成功率は約50%程度である。抗生物質治療で明らかに成功した人々でさえ、約50%が3年以内に疾患を再発するか、又は再活性化している。治療の新しい方法が必要とされている。
本明細書では、それを必要とする対象において、抗生物質治療に難治性である肺NTM感染症を治療する方法であって、有効量の顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、又はその機能的ホモログを肺投与により対象に投与することを含む方法が提供される。
本明細書に開示されるような抗生物質治療に難治性である肺NTM感染症を治療する方法で使用するための、吸入用GM-CSFの用量単位を含むパーツのキット及び使用説明書も提供される。
非結核菌が侵入し、抗酸染色によって可視化したマクロファージ。
詳細な説明
本発明は、特許請求の範囲で定義されるとおりである。
定義
難治性:本発明の文脈において、NTMの疾患又は感染症に適用される場合の難治性という用語は、治療、例えば、抗生物質による治療に難治性であるNTM疾患又は感染症を指す。これは、治療されるべきNTMに固有の耐性に起因し得るか、又は治療に不耐性である患者の結果であり得る。言い換えれば、難治性NTM疾患又は感染症は、治療に耐性であるNTM疾患又は感染症を指す。
非結核性マイコバクテリア
マイコバクテリアは、診断及び治療の目的のために、3つの主なグループに分類することができる小さな棒状桿菌のファミリーである:
-結核を引き起こし得る結核菌群:結核菌(M.tuberculosis)、マイコバクテリウム・ボビス(M.bovis)、マイコバクテリウム・アフリカナム(M.africanum)、マイコバクテリウム・ミクロティ(M.microti)及びマイコバクテリウム・カネッティ(M.canetti);
-ハンセン病(Hansen’s disease)又はハンセン病(leprosy)を引き起こすマイコバクテリウム・レプラエ(M.leprae)及びマイコバクテリウム・レプロマトーシス(M.lepromatosis);
-非結核性マイコバクテリア(NTM)は、結核、リンパ節炎、皮膚病、又は播種性疾患に似た肺疾患を引き起こし得る全ての他のマイコバクテリアである。
環境マイコバクテリア、非定型マイコバクテリア及び結核以外のマイコバクテリア(MOTT)としても知られている非結核性マイコバクテリア(NTM)は、結核又はハンセン病を引き起こさないマイコバクテリアである。NTMは、結核に似た肺疾患を引き起こす。抗酸菌症という用語は、これらの病気のいずれかを指し、通常は結核を除外することを意味する。
本明細書には、気管内投与、気管支内投与又は気管支肺胞投与による有効量のGM-CSF又はその機能的ホモログの投与が、非結核性マイコバクテリア(NTM)による感染症に罹患している対象、特に、抗生物質治療などの治療に難治性であるNTMによって引き起こされる感染症の対象の症状を軽減し、かつ/又は治療するのに特に有用であることが開示されている。
通常、NTMは、ラニオン(Runyon)分類を用いて、以下の4つのグループのうちの1つに選別される:
i.光への暴露中又は暴露後に色素を発する光発色菌。例には、マイコバクテリウム・カンサシ(M.kansasii)、マイコバクテリウム・シミアエ(M.simiae)及びマイコバクテリウム・マリヌム(M.marinum)が含まれる。
ii.暗闇で色素を発するようになる暗発色菌(Scotochromogens)。例には、マイコバクテリウム・スクロフラセウム(M.scrofulaceum)及びマイコバクテリウム・ツルガイ(M.szulgai)が含まれる。
iii.マイコバクテリウム・アビウム・コンプレックス(MAC)と呼ばれる流行性の日和見病原体のグループを含む非光発色菌。他の例は、マイコバクテリウム・ウルセランス(M.ulcerans)、マイコバクテリウム・ゼノピ(M.xenopi)、マイコバクテリウム・マルモエンス(M.malmoense)、マイコバクテリウム・テラ(M.terrae)、マイコバクテリウム・ヘモフィルム(M.haemophilum)及びマイコバクテリウム・ゲナベンス(M.genavense)である。
iv.迅速生産者には、4種類の十分に認識されている、病原性で、急速に成長する非光発色性種が含まれる:マイコバクテリウム・ケロネー(M.chelonae)、マイコバクテリウム・アブセサス(M.abscessus)、マイコバクテリウム・フォルツイツム(M.fortuitum)及びマイコバクテリウム・ペレグリヌム(M.peregrinum)。マイコバクテリウム・スメグマチス(M.smegmatis)及びマイコバクテリウム・フラベセンス(M.flavescens)などの他の例は、めったに疾患を引き起こさない。
160種超のNTMがヒトの疾患を引き起こすが、米国で最も一般的なのは、マイコバクテリウム・アビウム(M.avium)及びマイコバクテリウム・イントラセルラーレ(M.intracellulare)であり、いくつかの地域では、マイコバクテリウム・カンサシである。他のNTMよりもはるかに侵攻性の感染症であり、患者の転帰が不良で、静脈内療法及び経口療法を必要とするので、マイコバクテリウム・アブセサスも米国で問題となっている。NTMは、結核ほど伝染性ではないが、ヒトからヒトへ伝染性であり、マイコバクテリウム・アブセサスの場合には、これが獲得の主要経路であり得る。
本開示の文脈において、NTMは、上記の4つのグループのいずれかに属し得る。そのため、抗生物質治療などの治療に難治性であるNTMは、光発色菌、暗発色菌、非光発色菌又は迅速生産者であり得る。
一実施形態において、NTMは、マイコバクテリウム・カンサシ、マイコバクテリウム・シミアエ又はマイコバクテリウム・マリヌムなどの光発色菌である。別の実施形態において、NTMは、マイコバクテリウム・スクロフラセウム又はマイコバクテリウム・ツルガイなどの暗発色菌である。別の実施形態において、NTMは、マイコバクテリウム・アビウム・コンプレックス(MAC)、マイコバクテリウム・ウルセランス、マイコバクテリウム・ゼノピ、マイコバクテリウム・マルモエンス、マイコバクテリウム・テラ、マイコバクテリウム・ヘモフィルム又はマイコバクテリウム・ゲナベンスなどの非光発色菌である。別の実施形態において、NTMは、マイコバクテリウム・ケロネー、マイコバクテリウム・アブセサス、マイコバクテリウム・フォルツイツム、マイコバクテリウム・ペレグリヌム、マイコバクテリウム・スメグマチス又はマイコバクテリウム・フラベセンスなどの迅速生産者である。好ましい実施形態において、NTMは、マイコバクテリウム・アブセサス、MAC、マイコバクテリウム・フォルツイツム及びマイコバクテリウム・カンサシからなる群から選択される。さらに好ましい実施形態において、NTMは、マイコバクテリウム・アブセサス又はMACである。
治療を必要とする対象
本明細書に開示する方法は、抗生物質治療などの治療に難治性であるNTM感染症を治療するのに特に有用である。治療に効果がなく、感染を吸収することができない場合、又は感染症を有する対象が治療に耐えることができない場合に、NTM感染症は治療に対して難治性である。例えば、抗生物質治療に効果がなく、感染を吸収することができない場合、又は感染症を有する対象が抗生物質治療に耐えることができない場合に、NTM感染症は抗生物質治療に対して難治性である。
いくつかの実施形態において、治療を必要とする対象は、NTMと診断されており、当技術分野で知られているような抗生物質治療などの治療を既に受けている。
当業者は、NTM感染症を診断する方法を知っている。NTM感染症は、症状が漠然としており、感染した対象に必ずしも認識されないので、時には遅れて診断される。典型的な症状は、体重減少及び疲労である。
NTM疾患の疑いのある患者の最小評価には、典型的には、
(1)胸部X線写真又は、キャビテーションの非存在下での、胸の高解像度コンピュータ断層撮影(HRCT)スキャン;
(2)抗酸菌(AFB)分析のための3種以上の喀痰検体;
(3)結核などの他の障害の除外
が含まれる。
これらの基準は、MAC、マイコバクテリウム・アブセサス及びマイコバクテリウム・カンサシに一番よく適合するが、理論に縛られることなく、それらはまた、他のNTM疾患の診断に有用であると考えられている。
診断は、典型的には、例えば、複数の喀痰の培養及びNTMの存在の決定によって、又は気管支肺胞洗浄NTM培養若しくは肺生検によって、又はそれらの組み合わせにより、対象の肺におけるマイコバクテリア負荷を決定することによって行われる。NTM培養物、例えば、喀痰培養物又は気管支肺胞洗浄流体培養物を、NTM特異的な染色を用いて染色することができる。代替的に又は追加的に、定量的PCRを行って、培養物中のNTMの存在を検出してもよい。
NTM感染の存在が疑われる場合、他のツールを使用してもよい。それらの1つは、Quittnerら、2015に記載されているような、生活の質についてのアンケートの気管支拡張症(QOL-B)である。QOL-Bは、自己投与し、患者が報告する結果判定法であり、日常生活の中で非CF気管支拡張症患者の機能を評価するために開発されてきたが、多くの場合、気管支拡張症を伴うNTM感染症を評価するためにも使用することができる。QOL-Bには、8つのスケール(呼吸器症状、物理的、役割、感情的及び社会的機能、活力、健康認識及び治療負荷)での37項目が含まれる。QOL-Bアンケートは、治療の期間にわたって潜在的な改善を測定することによって、治療の有効性を評価するのに特に有用であり得る。
有用な診断方法の総説は、NTMを培養する方法も記載しているGriffithら、2007に提供されている。
NTM感染症と診断された対象に施される治療、例えば、抗生物質治療の性質は、NTMの性質に依存し得る。Griffithら、2007は、様々なNTM感染症を治療するための既存の方法の概要を提供している。
MAC感染症に罹患している対象は、典型的には、マクロライド治療、特に、クラリスロマイシン、及びアジスロマイシンなどのアザライド、及びエタンブトールを投与され得る。これらは、リファマイシン及び必要に応じて、注射用アミノグリコシドなどのコンパニオン薬物と組み合わされ得る。投薬量は、疾患の重症度に応じて変化し得る。
マイコバクテリウム・アブセサス感染症に罹患している対象は、典型的には、抑制療法、例えば、定期的な非経口抗生物質療法又は経口マクロライド療法を伴い得る。エタンブトール、リファンピシン、アジスロマイシン、クロファジミン、リネゾリド、アミカシン、セフォキシチン、ピラジナミド及びイソニアジドは、一般的に、このような感染症を治療するために使用される抗生物質である。ルマカフトール(lumicaftor)/イバカフトールなどの非抗生物質も使用され得る。
マイコバクテリウム・カンサシ感染症に罹患している対象には、典型的には、リファンピシン、イソニアジド、エタンブトール、エチオナミド、ストレプトマイシン又はクラリスロマイシン又はそれらの組み合わせが投与され得る。
そのため、抗生物質治療などの治療に対して難治性であるNTM感染症に罹患している対象は、上述した治療を含むがこれらに限定されない、当技術分野で公知の治療のいずれかを既に受けていてよい。いくつかの実施形態において、抗生物質治療などの治療に難治性の感染症は、少なくとも3ヶ月、例えば、少なくとも4ヶ月、例えば、少なくとも5ヶ月、例えば、少なくとも6ヶ月以上、例えば、1年以上、例えば、18ヶ月以上の間存在していた。本明細書に記載の方法を含む、当技術分野で公知の診断方法又は評価方法のいずれかによって、抗生物質治療などの治療の期間にわたって改善が全く観察されない場合に、該感染症は難治性である。
対象がGM-CSFの肺投与を受け始めると、元の治療、特に、抗生物質治療は、いくつかの実施形態において中止されてよい。他の実施形態において、治療、特に、抗生物質治療は中止されない。
本明細書で上述した方法を含む、当技術分野で公知の診断方法のいずれかを用いて、例えば、吸入によるGM-CSFの肺投与を始めた後に、経時的に改善も評価され得る。
治療、特に、抗生物質治療を受けたときに、何人かの患者は副作用を受けやすい可能性がある。本発明の方法を用いて、そのような患者を治療することもできる。これらの患者は治療に耐用性を示すことができないので、彼らが罹患している感染症も難治性であるとみなすことができる。
一般的な副作用は、本明細書に記載されている。エタンブトールを投与されている患者は、視神経炎を発症する可能性があり、すなわち、赤及び緑を区別する能力を失うか、又は部分的に失い、視力を失う可能性がある。そのような場合には、ただちに薬物投与を中止し、視神経炎の発症を監視することが推奨される。
リファンピシン及びリファブチンを投与される患者は、分泌物及び尿がオレンジ色に変色すること、並びにソフトコンタクトレンズに染みがつく経験をする可能性がある。他の副作用には、胃腸障害(悪心、嘔吐)、過敏症(発熱、発疹)、肝炎(hepatis)、多数の薬剤の肝代謝の増加(例えば、経口避妊薬、ケトコナゾール、キニジン、プレドニゾン、経口血糖降下剤、ジギタリス、メタドン、ワルファリン、クラリスロマイシン及びプロテアーゼ阻害剤)、インフルエンザ様症候群、血小板減少症及び/又は腎不全が含まれる。
アジスロマイシン及びクラリスロマイシンを投与される患者は、胃腸障害(悪心、嘔吐、下痢)、聴力の低下、又は肝炎の発症を経験する可能性がある。
クラリスロマイシンの投与は、リファブチン及びいくつかのプロテアーゼ阻害剤を含むいくつかの薬剤の肝代謝の阻害が後に続く可能性がある。
多数の副作用も、Griffithら、2007の表6に詳述されるように、一般的に、NTMの療法又は予防のために使用される他の薬物によって引き起こされ得る。前記副作用のいずれかを経験する患者は、あまりに不快になった場合に、治療の中止を好む可能性がある。そのため、そのような患者には、本明細書に開示されるGM-CSFの吸入も関連する。
GM-CSF
コロニー刺激因子は、造血前駆細胞の増殖を刺激し、成熟したエフェクター細胞の機能的活性を増強する糖タンパク質である。
ヒト成熟GM-CSF(配列番号1)は、いくつかの潜在的グリコシル化部位を有する127個のアミノ酸の単量体タンパク質である。それは、144個のアミノ酸を有するプレタンパク質前駆体から生成される。グリコシル化の様々な程度により、分子量範囲は14kDa~35kDaになる。非グリコシル化及びグリコシル化GM-CSFは、インビトロで同様の活性を示す。GM-CSFには2つの既知の配列変異体がある。一実施形態において、本明細書で使用されるGM-CSFは、N末端開始メチオニンを有する成熟GM-CSFである。
Figure 2024059779000001
GM-CSFは、その受容体に結合することによって、その生物学的活性を発揮する。GM-CSFの三量体受容体複合体が形成されると、複雑なシグナル伝達カスケードが活性化される。
その造血増殖及び分化刺激活性とは別に、GM-CSFは、特に、炎症性サイトカインとして機能する。マクロファージ、例えば、肺胞マクロファージタイプI&II及び単球並びに好中球及び好酸球は、GM-CSFにより活性化されるようになり、他のサイトカイン及びケモカイン、マトリックス分解プロテアーゼの放出、HLA発現の増加及び細胞接着分子又はCCケモカインの受容体の発現増加をもたらし、ひいては、炎症組織への炎症細胞の走化性の増加につながる。
過去数十年にわたり、いくつかの研究が、肺胞マクロファージの個体発生、維持、及び機能、並びに肺胞サーファクタントの恒常性、肺胞の安定性、肺機能、及び肺の宿主防御に関するGM-CSFの薬理学の理解に著しく貢献した。例えば、肺のGM-CSFは、肺胞マクロファージの最終分化、並びに複数の受容体の発現、非特異的で受容体媒介性のエンドサイトーシス及び食作用、病原体刺激炎症性サイトカイン応答、感染中の肺の好中球動員、細菌、ウイルス、マイコバクテリア、及び他の病原体のクリアランス、サーファクタントのクリアランスを含む多数の機能の獲得に必要とされる。肺GM-CSFはまた、肺胞マクロファージの表現型の決定及び(相互フィードバックループを介する)肺胞マクロファージ集団の大きさの決定に必要な内因性肺胞因子の1つである。aPAPの患者に吸入用のrhGM-CSFを投与すると、サーファクタントのクリアランス能力を含む治療上の作用機序だけでなく、宿主防御機能に関連する肺胞マクロファージの機能が改善することが報告されている。加えて、GM-CSFの効果は、GM-CSFが肺胞蛋白症を低減し、肺における先天性免疫系の応答を改善することが示されている動物モデルにおける吸入試験で評価されている。
組換えヒトGM-CSFのいくつかの形態が存在する:モルグラモスチムは、大腸菌で生成されるrhGM-CSFである。サルグラモスチムは、出芽酵母で発現しているrhGM-CSFを指し、レグラモスチムは、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)由来のrhGM-CSFを指す。それらは、真核生物系で生成されるので、サルグラモスチム及びレグラモスチムはグリコシル化されているが、モルグラモスチムはグリコシル化されていない。モルグラモスチムの効果とサルグラモスチムの効果の間に、有意差はこれまでに確認されていない。そのため、本明細書に開示される治療方法は、GM-CSFの上記形態、すなわち、サルグラモスチム、モルグラモスチム及びレグラモスチムのいずれかの肺投与に基づき得る。一実施形態において、GM-CSFはモルグラモスチムである。
機能的相同体
本明細書に開示される治療方法は、いくつかの実施形態において、GM-CSFの機能的相同体の投与を含む。
GM-CSFの機能的相同体は、配列番号1と少なくとも80%の配列同一性を有するポリペプチドであり、顆粒球、マクロファージ、好酸球及び赤血球を含む様々な系統からの造血前駆細胞の増殖並びに分化の刺激などの1以上のGM-CSFの機能を有する。
GM-CSFは、肺胞マクロファージ(AM)の複数の機能を調節する。AMのGM-CSF刺激は、有害な経口摂取抗原に選択的に反応する肺胞マクロファージ、すなわち、細菌食作用中の炎症の刺激を増強すると文書化され、有害でない経口摂取抗原は、すなわち、アポトーシス細胞の食作用時に抗炎症反応を一般に和らげる。他のAM機能も、GM-CSF刺激、その後の増殖、分化、蓄積及び活性化によって増強される。これらのGM-CSF効果はまた、細胞接着、走化性の改善、Fc受容体発現、補体及び抗体媒介性食作用、酸化的代謝、細菌、真菌、原生動物、及びウイルスの細胞内死滅、サイトカインシグナル伝達、並びに抗原提示を包含する。さらに、GM-CSFは、AM細胞接着の欠陥、トール様受容体のような病原体関連分子パターン受容体並びにTLR膜貫通シグナル伝達、サーファクタントタンパク質及び脂質の取り込み及び分解を増強する(Trapnell BC及びWhitsett JA.2002)。
GM-CSFはまた、AMの認識受容体、いわゆる、トール様受容体(TLR)と相互作用する。GM-CSFは、TLRと相互作用して宿主防御に関与し、原因微生物のクリアランスが増強されるため、肺炎における肺宿主防御に重要である(Chenら、2007)。肺は生来それ自体でGM-CSFを生成するが、それは、感染症への応答不良と共に、アポトーシスに続発する宿主防御の障害が原因の、例えば、人工呼吸器関連肺炎(VAP)に見られるような高いO暴露と関連して、肺炎及び高酸素症で低減される。高酸素傷害は、GM-CSFと肺胞マクロファージの活性化によって相殺され(Altemeierら、2007及びBaleeiroら、2006)、その後、TLRシグナル伝達経路の発現により緑膿菌が排除される(Baleeiroら、2006)ように思われる。
最後に、GM-CSFは、未成熟樹状細胞(DC)へのAMのインビトロ変換をもたらし、これは、さらに、指定された受容体又は標的への成熟DCのホーミングを活性化することに関して、特定の薬剤で成熟させることができる(Zobywalskiら、2007)。
好ましくは、例えば、配列アラインメントによって評価される、異なる近縁種のGM-CSF間の進化的保存を用いて、個々の残基における進化圧の程度を指摘することができる。好ましくは、GM-CSF配列は、GM-CSF機能が保存される種間、例えば、限定されないが、げっ歯類、サル及び類人猿を含む哺乳動物間で比較される。高い選択圧下の残基は、種間で変化する残基よりも、簡単に置換することができない必須アミノ酸を表す可能性が高い。ヒトGM-CSF配列の合理的な数の修飾又は変化は、本発明によるGM-CSF分子の活性に干渉しないことが上記から明らかである。そのようなGM-CSF分子は、本明細書ではヒトGM-CSFの機能的等価物と呼ばれ、以下の本明細書に記載する天然のヒトGM-CSFの変異体及び断片などであり得る。
本明細書中で使用される表現「変異体」は、好適にはヒトGM-CSFである塩基性タンパク質に相同であるポリペプチド又はタンパク質を指すが、配列内の1以上のアミノ酸が他のアミノ酸によって置換されているという点で、それらが由来する塩基配列と異なる。アミノ酸置換は、アミノ酸が広く同様の特性を有する異なるアミノ酸で置換される「保存的」とみなすことができる。非保存的置換は、アミノ酸が異なる種類のアミノ酸で置換されるものである。大まかに言えば、ポリペプチドの生物学的活性を変えることなく、非保存的置換はほとんど起こり得ない。
当業者は、1個のアミノ酸が、共通の1以上の化学的及び/又は物理的特徴を有する別のアミノ酸に置換される「保存的」アミノ酸置換を実行及び評価する方法を知っている。保存的アミノ酸置換は、タンパク質の機能に影響を与える可能性が低い。アミノ酸は、共通の特徴に従ってグループ化され得る。保存的アミノ酸置換は、所定のグループのアミノ酸内の1個のアミノ酸を、同一グループ内の別のアミノ酸と置換することであり、その際、所定のグループ内のアミノ酸は、類似の又は実質的に類似の特徴を示す。本明細書で適用される用語「保存的アミノ酸置換」の意味の中で、1個のアミノ酸は、
i)極性側鎖(ASP、Glu、Lys、Arg、His、Asn、Gln、Ser、Thr、Tyr、及びCys)
ii)非極性側鎖(Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Phe、Trp、Pro、及びMet)
iii)脂肪族側鎖(Gly、Ala、Val、Leu、Ile)
iv)環状側鎖(Phe、Tyr、Trp、His、Pro)
v)芳香族側鎖(Phe、Tyr、Trp)
vi)酸性側鎖(Asp、Glu)
vii)塩基性側鎖(Lys、Arg、His)
viii)アミド側鎖(Asn、Gln)
ix)ヒドロキシ側鎖(Ser、Thr)
x)硫黄含有側鎖(Cys、Met)、並びに
xi)モノアミノ-ジカルボン酸又はモノアミノ-モノカルボン酸-モノアミドカルボン酸であるアミノ酸(Asp、Glu、Asn、Gln)
を有することによって特徴付けられるアミノ酸のグループ内の別のアミノ酸と置換され得る。
本発明の範囲内の機能的相同体は、配列番号1によって特定されるヒトGM-CSFと少なくとも50%の配列同一性、好ましくは少なくとも60%、70%の配列同一性を示すポリペプチドであり、好ましくは、機能的相同体は、配列番号1と少なくとも75%の配列同一性、例えば、少なくとも80%の配列同一性、例えば、少なくとも85%の配列同一性、例えば、少なくとも90%の配列同一性、例えば、少なくとも91%の配列同一性など、例えば、少なくとも91%配列同一性、例えば、少なくとも92%配列同一性、例えば、少なくとも93%の配列同一性、例えば、少なくとも94%の配列同一性、例えば、少なくとも95%の配列同一性、例えば、少なくとも96%の配列同一性、例えば、少なくとも97%の配列同一性、例えば、少なくとも98%の配列同一性、例えば、99%の配列同一性を有する。
配列同一性は、いくつかの周知のアルゴリズムを使用し、いくつかの異なるギャップペナルティーを適用して計算することができる。限定されないが、FASTA、BLAST、又はGETSEQなどの任意の配列アラインメントアルゴリズムは、相同体を検索し、配列同一性を計算するために使用され得る。さらに、必要に応じて、限定されないが、PAM、BLOSSUM又はPSSMマトリックスなどの任意の一般的に知られている置換マトリックスが、探索アルゴリズムと共に適用され得る。例えば、PSSM(位置特異的スコアリングマトリックス)は、PSI-BLASTプログラムを介して適用され得る。さらに、配列アラインメントは、ギャップオープニング及び伸長に対するペナルティーの範囲を使用して実行され得る。例えば、BLASTアルゴリズムは、範囲5~12のギャップオープニングペナルティー、及び範囲1~2のギャップ伸長ペナルティーを用いて使用され得る。
したがって、本発明に係るその変異体又は断片は、その配列若しくは断片の同一の変異体の中で、又はその配列若しくは断片の異なる変異体間で、互いに独立して導入される複数の置換などの少なくとも1つの置換を含み得る。
その同一の変異体又は断片が、本明細書の上記で定義した保存的アミノ酸の2以上のグループからの2以上の保存的アミノ酸置換を含み得ることは、上記の概要から明らかである。
20個の標準アミノ酸及び2つの特別なアミノ酸のセレノシステイン及びピロリジンを除いて、インビボでタンパク質中に組み込まれていない膨大な数の「非標準アミノ酸」がある。非標準アミノ酸の例には、硫黄含有タウリン及び神経伝達物質GABA及びドーパミンが含まれる。他の例は、ランチオニン、2-アミノイソ酪酸、及びデヒドロアラニンである。さらなる非標準アミノ酸は、オルニチン及びシトルリンである。
非標準アミノ酸は、通常、標準アミノ酸への修飾によって形成される。例えば、タウリンは、システインの脱カルボキシル化によって形成することができる一方で、ドーパミンは、チロシンから合成され、ヒドロキシプロリンは、プロリン(コラーゲンに共通)の翻訳後修飾によって作製される。
本明細書に記載の標準アミノ酸残基と非標準アミノ酸残基の両方は、「D」又は「L」異性体形態であり得る。
本発明に係る機能的等価物は、非標準アミノ酸を含む任意のアミノ酸を含み得ることが企図される。好ましい実施形態において、機能的等価物は標準アミノ酸のみを含む。
標準アミノ酸及び/又は非標準アミノ酸は、ペプチド結合、又は非ペプチド結合によって連結され得る。用語ペプチドはまた、当技術分野で知られているように、化学反応又は酵素触媒反応によって導入される翻訳後修飾を包含する。所望であれば、そのような翻訳後修飾は、区画化前に導入することができる。本明細書で指定されるアミノ酸は、優先的に、L-立体異性体である。アミノ酸類似体は、20個の天然に存在するアミノ酸の代わりに使用することができる。フルオロフェニルアラニン、ノルロイシン、アゼチジン-2-カルボン酸、S-アミノエチルシステイン、及び4-メチルトリプトファンなどを含むいくつかのそのような類似体が知られている。
機能的等価物は、さらに、ユビキチン化、標識(例えば、放射性核種、様々な酵素など)、ペグ化(ポリエチレングリコールでの誘導体化)など、又は通常、ヒトタンパク質中に存在しないオルニチンなどのアミノ酸(アミノ酸)の挿入(又は化学合成による置換)による化学修飾を含み得る。
本明細書に記載のペプチジル化合物に加えて、立体的に類似の化合物は、ペプチド構造の重要な部分を模倣するように製剤化され得、そのような化合物も、本発明のペプチドと同様に使用され得る。これは、当業者に公知のモデリング及び化学的設計の技術によって達成され得る。例えば、エステル化及び他のアルキル化は、テトラペプチド構造を模倣するように、例えば、ジアルギニンペプチド骨格のアミノ末端を修飾するために用いられ得る。全てのそのような立体的に類似の構築物は、本発明の範囲内に入ることが理解される。
N末端アルキル化及びC末端エステル化を有するペプチドも、本発明に包含される。機能的同等物はまた、グリコシル化され、二量体又は無関係の化学部分を含む同じ分子で形成される共有結合コンジュゲート又は凝集コンジュゲートを含む。そのような機能的等価物は、当技術分野で公知の手段によって、N末端及びC末端のいずれか一方又は両方を含む断片に見出される基への官能基の連結によって調製される。
用語「その断片」は、所与のアミノ酸配列の任意の部分を指し得る。断片は、共に結合した、全長タンパク質内からの2以上の部分を含み得る。適切な断片は、欠失又は付加の変異体であり得る。少なくとも1個のアミノ酸の付加は、好ましくは2~250個のアミノ酸、例えば、10~20個のアミノ酸、例えば、20~30個のアミノ酸、例えば、40~50個のアミノ酸の付加であり得る。断片は、タンパク質又はこれらの組み合わせからの小領域を含み得る。
適切な断片は、欠失又は付加の変異体であり得る。少なくとも1個のアミノ酸の付加又は欠失は、好ましくは2~250個のアミノ酸、例えば、10~20個のアミノ酸、例えば、20~30個のアミノ酸、例えば、40~50個のアミノ酸の付加又は欠失であり得る。欠失及び/又は付加は、互いに独立して、配列内及び/若しくは配列の末端での欠失並びに/又は付加であり得る。
欠失変異体は、適切に、少なくとも20又は40個の連続アミノ酸、及びより好ましくは、少なくとも80又は100個の連続アミノ酸長を含む。したがって、そのような断片は、少なくとも20個の連続アミノ酸、例えば、少なくとも30個の連続アミノ酸、例えば、少なくとも40個の連続アミノ酸、例えば、少なくとも50個の連続アミノ酸、例えば、少なくとも60個の連続アミノ酸を含む配列番号1によって特定されるような配列のより短い配列であり得、前記欠失変異体は、好ましくは、配列番号1と少なくとも75%の配列同一性、例えば、少なくとも80%の配列同一性、例えば、少なくとも85%の配列同一性、例えば、少なくとも90%の配列同一性、例えば、少なくとも91%の配列同一性など、例えば、少なくとも91%の配列同一性、例えば、少なくとも92%の配列同一性、例えば、少なくとも93%の配列同一性、例えば、少なくとも94%の配列同一性、例えば、少なくとも95%の配列同一性、例えば、少なくとも96%の配列同一性、例えば、少なくとも97%の配列同一性、例えば、少なくとも98%の配列同一性、例えば、99%の配列同一性を有する。
GM-CSFの機能的相同体は、最大でも500、より好ましくは最大でも400、さらにより好ましくは最大でも300、さらにより好ましくは最大でも200、例えば、最大でも175、例えば、最大でも160、例えば、最大でも150個のアミノ酸、例えば、最大でも144個のアミノ酸を含むことが好ましい。
用語「その断片」は、所与のアミノ酸配列の任意の部分を指し得る。断片は、共に結合した、全長タンパク質内からの2以上の部分を含み得る。部分は、適切には、基本配列からの少なくとも5個、及び好ましくは少なくとも10個の連続アミノ酸を含む。それらは、タンパク質からの小領域又はこれらの組み合わせを含み得る。
ヒトGM-CSFには、2つの既知の変異体;変異体中のT115I置換及び変異体2中のI117T置換(配列番号2における番号付け)がある。したがって、本発明の一実施形態において、GM-CSFの機能的相同体は、配列番号1又はスプライス変異体のいずれかに高い配列同一性を有する配列を含む。
GM-CSFの類似体は、例えば、Deeleyらの米国特許第5,229,496号、同第5,393,870号、及び同第5,391,485号に記載されている。そのような類似体はまた、本発明内に含まれる機能的同等物である。
組換え生成
本発明は、しかしながら、それを必要とする対象における治療、例えば、抗生物質治療に難治性の肺NTM感染症を治療するために調製された顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、又はそれらの機能的相同体の肺への投与に関する。GM-CSFは、例えば、ヒト若しくは動物の血清から、又は原核細胞、酵母細胞、昆虫細胞、哺乳動物細胞若しくは無細胞系などの細胞における発現からの単離などの様々な方法で生成することができる。
本発明の一実施形態において、GM-CSFは、宿主細胞により組換え生成される。
そのため、本発明の一態様において、GM-CSFは、宿主細胞における発現を指示することができる第2の核酸と作動可能に結合されるGM-CSFをコードする第1の核酸配列を含む前記宿主細胞により生成される。第2の核酸配列は、そのため、前記細胞中の目的のタンパク質の発現を指示するプロモーターを含むか、又はそれからなり得る。当業者は、所与の宿主細胞での使用に有用な第2の核酸配列を同定することが容易にできる。
一般に、組換えGM-CSFを生成するプロセスは、
-宿主細胞を提供する工程
-該宿主細胞内で目的の前記タンパク質の発現を指示することができる第2の核酸に作動可能に連結されたGM-CSFをコードする第1の核酸を含む遺伝子発現構築物を調製する工程
-該構築物で該宿主細胞を形質転換する工程
-該宿主細胞を培養し、それによって、GM-CSFの発現を得る工程
を含む。
このように生成された組換えGM-CSFは、本明細書の以下に記載のタンパク質単離のための方法のいずれかなどの、任意の従来の方法によって単離され得る。当業者は、GM-CSFを精製するための適切なタンパク質の単離工程を特定することができる。
本発明の一実施形態において、組換え生成されたGM-CSFは、宿主細胞によって分泌される。GM-CSFが分泌されると、目的の組換えタンパク質の生成プロセスは、以下の工程:
-宿主細胞を提供する工程、
-前記宿主細胞内で目的の前記タンパク質の発現を指示できる第2の核酸に作動可能に連結されたGM-CSFをコードする第1の核酸を含む遺伝子発現構築物を調製する工程、
-該構築物で前記宿主細胞を形質転換する工程、
-該宿主細胞を培養し、それによってGM-CSFの発現及び培地中へのGM-CSFの分泌を得る工程、
それによって、GM-CSFを含む培地を得る工程、
を含み得る。
GM-CSF及び核酸を含む組成物は、そのため、本発明のこの実施形態において、培地又は培地から調製される組成物であり得る。
本発明の別の実施形態において、前記組成物は、動物、その部分若しくは細胞から調製された抽出物又はそのような抽出物の単離された画分である。
本発明の実施形態において、GM-CSFは、宿主細胞においてインビトロで組換え生成され、細胞溶解物、細胞抽出物から、又は組織培養上清から単離される。より好ましい実施形態において、GM-CSFは、GM-CSFを発現するように改変された宿主細胞によって生成される。本発明のさらにより好ましい実施形態において、前記宿主細胞は形質転換され、GM-CSFを生成及び分泌する。
投与
気管内投与、気管支内投与又は気管支肺胞投与の方法には、GM-CSFが溶解している生理学的に許容される組成物を流体として使用する噴霧、洗浄、吸入、フラッシング又は点滴が含まれるが、これらに限定されない。本明細書で使用する用語「気管内投与、気管支内投与又は肺胞内投与」には、追加の安定剤又は他の賦形剤の有無にかかわらず、GM-CSFの溶液の点滴によるか、粉末状のGM-CSFを適用することによるか、又はエアロゾル化若しくは噴霧溶液若しくは懸濁液若しくは吸入粉末若しくはゲルとしてのGM-CSFの吸入により気道の要部にGM-CSFが到達できるようにすることによって、GM-CSFがそれぞれ気管内、気管支又は肺胞に適用されるような投与の全ての形態が含まれる。
気管支内投与/肺胞投与の方法には、GM-CSFが溶解している生理学的に許容される組成物を洗浄流体として用いるか、又は賦形剤の有無に関わらず、実際に、乾燥形態のGM-CSFを含有する吸入粉末の使用を含む気管支内投与の任意の他の有効な形態によるか、又は気管支鏡検査中に溶液若しくは懸濁液若しくは粉末形態でのGM-CSFの直接適用による、当業者に周知の方法に従う気管支肺胞洗浄(BAL)が含まれるが、これに限定されない。気管内投与のための方法には、溶解したGM-CSFの類似の溶液又はGM-CSF懸濁液、又は溶解したGM-CSFを含有する噴霧液滴の吸入又はこの目的のために適切な任意の噴霧装置の使用によって得られるGM-CSF懸濁液を用いるブラインド気管洗浄が含まれるが、これに限定されない。
別の実施形態において、気管内投与、気管支内投与又は肺胞内投与は、生成物の吸入を含まないが、気管又は下気道へのGM-CSFの溶液若しくはGM-CSFを含有する粉末若しくはゲルの点滴又は適用を含む。
投与の他の好ましい方法は、以下の装置:
1.圧縮された空気/酸素混合物を用いる加圧ネブライザー
2.超音波ネブライザー
3.電子マイクロポンプネブライザー(例えば、Aeroneb Professional Nebulizer)
4.定量用量吸入器(MDI)
5.乾燥粉末吸入システム(DPI)
6.電子振動メッシュ噴霧器
を用いることを含み得る。
エアロゾルは、人工呼吸器(装置1、2、3、及び6)中に挿管される患者に、a)フェイスマスクを介するか、又はb)気管内チューブを介して送達され得る。装置4、5及び6も、患者が噴霧装置又はネブライザーを自己活性化することができるという条件で、支援なしに該患者が使用することができる。用語「吸入器」は、本明細書では、上記の装置のいずれか、及び吸入を介する送達を可能にする任意の装置を指し得る。
GM-CSF及び/又はGM-CSFの機能的相同体若しくは変異体を含む溶液の好ましい濃度は、溶液1mlあたり有効成分0.1μg~10000μgの範囲である。適切な濃度は、多くの場合、溶液1mlあたり0.1μg~5000μgの範囲、例えば、溶液1mlあたり約0.1μg~3000μgの範囲、及び特に、溶液1mlあたり約0.1μg~1000μgの範囲、例えば、溶液1mlあたり約0.1μg~250μgの範囲である。好ましくは、GM-CSFは、溶液1mlあたり100~500μgの範囲、例えば、溶液1mlあたり150~400μgの範囲、例えば、溶液1mlあたり200~300μgの範囲、例えば、溶液1mlあたり約250μgでGM-CSFの溶液を送達する電子振動メッシュ噴霧器により送達される。
医薬組成物
本発明での使用のための医薬組成物又は製剤は、医薬として許容される担体、好ましくは、水性の担体若しくは希釈剤と組み合わせて、好ましくは、それらに溶解されるか、又はペグ化調製物として、又は吸入によるエアロゾルとして投与されるリポソーム若しくはナノ粒子調製物として、又は気管支肺胞洗浄液として、若しくはブラインド気管内洗液若しくは洗浄液として気管支鏡を介して投与される洗浄液体として下気道に運ばれるGM-CSF又はその機能的相同体を含む。0.9%生理食塩水、緩衝食塩水、及び生理学的に適合性のある緩衝液などを含むが、これらに限定されない様々な水性担体が使用され得る。該組成物は、当業者に周知の従来の技術によって滅菌され得る。得られる水溶液は、使用のために包装されるか、又は無菌状態下で濾過され、凍結乾燥することができ、該凍結乾燥調製物は、投与前に滅菌水溶液に溶解される。
一実施形態において、凍結乾燥GM-CSF調製物は、例えば、単回用量単位で予め包装され得る。さらにより好ましい実施形態において、単回用量単位は患者に合わせて調整される。
該組成物は、限定されないが、pH調整剤及び緩衝剤及び/又は、例えば、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウムなどの張度調整剤を含む医薬として許容される補助物質又はアジュバントを含有し得る。
GM-CSFの適切な噴霧器溶液、例えば、モルグラモスチムは、マンニトール、ポリエチレングリコール4000、Recombumin(登録商標)Prime、リン酸二ナトリウム(無水)、クエン酸(一水和物)及び水などの1種以上の賦形剤を含有し得る。そのような溶液において、特定の生物学的活性は、1つの薬物物質バッチ、2つの薬物物質バッチ、3つの薬物物質バッチ、4つの薬物物質バッチ、5つの薬物物質バッチ、6つの薬物物質バッチ、7つの薬物物質バッチ、8つの薬物物質バッチ、9つの薬物物質バッチ、10の薬物物質バッチ又はそれ以上などのいくつかの薬物物質バッチ間で約13×10IU/mgであり得る。いくつかの実施形態において、特定の生物活性は、1×10IU/mg~50×10IU/mg、例えば、5×10IU/mg~40×10IU/mg、例えば、7.5×10IU/mg~30×10IU/mg、例えば、8×10IU/mg~25×10IU/mg、例えば、9×10IU/mg~20×10IU/mg、例えば、10×10IU/mg~18×10IU/mg、例えば、11×10IU/mg~16×10IU/mg、例えば、12×10IU/mg~14×10IU/mg、例えば、13×10IU/mgである。
該製剤は、ミクロスフェア、リポソーム、マイクロカプセル、又はナノ粒子などを含む医薬として許容される担体及び賦形剤を含有し得る。従来のリポソームは、典型的には、リン脂質(中性又は負に帯電)及び/又はコレステロールで構成されている。該リポソームは、水性区画を囲む脂質二重層に基づく小胞構造である。それらは、サイズ、脂質組成、表面電荷及び数及びリン脂質二重層の流動性などのそれらの物理化学的性質を変えることができる。リポソーム形成のために最も頻繁に使用される脂質は、1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DLPC)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DMPC)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPPC)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DMPE)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DPPE)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスフェート(モノナトリウム塩)(DMPA)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスフェート(モノナトリウム塩)(DPPA)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスフェート(モノナトリウム塩)(DOPA)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-[ホスホ-rac-(1-グリセロール)](ナトリウム塩)(DMPG)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-[ホスホ-rac-(1-グリセロール)](ナトリウム塩)(DPPG)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-[ホスホ-rac-(1-グリセロール)](ナトリウム塩)(DOPG)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-[ホスホ-L-セリン](ナトリウム塩)(DMPS)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-[ホスホ-L-セリン)(ナトリウム塩)(DPPS)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-[ホスホ-L-セリン](ナトリウム塩)(DOPS)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-(グルタリル)(ナトリウム塩)及び1,1',2,2'-テトラミリストイルカルジオリピン(アンモニウム塩)である。他の脂質又はリポソームの重合調整剤と組み合わせたDPPCで構成される製剤は、例えば、コレステロール及び/又はホスファチジルコリンとの組み合わせが好ましい。
長期循環リポソームは、血管壁の透過性が増加した身体部位で浸出する能力によって特徴付けられる。長期循環リポソームを生成する最も一般的な方法は、リポソームの外表面に親水性ポリマーポリエチレングリコール(PEG)を共有結合させることである。好ましい脂質のいくつかは、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-2000](アンモニウム塩)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノール-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-5000](アンモニウム塩)、1,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(塩化物塩)(DOTAP)である。
リポソームに適用できる可能性のある脂質は、Avanti、Polar Lipids社、Alabaster、ALによって供給される。さらに、リポソーム懸濁液は、貯蔵時にフリーラジカル及び脂質過酸化損傷から脂質を保護する脂質保護剤を含み得る。α-トコフェロールなどの親油性フリーラジカルクエンチャー及びフェリオキシアニンなどの水溶性鉄特異的キレート剤が好ましい。
例えば、それらの全てが参照により本明細書に組み込まれる、Szokaら(1980)、米国特許第4,235,871号、同第4,501,728号及び同第4,837,028号に記載されるような様々な方法がリポソームの調製に利用可能である。別の方法は、不均一なサイズのマルチラメラ小胞を生成する。この方法では、小胞形成脂質を適切な有機溶媒又は溶媒系に溶解し、真空又は不活性ガス下で乾燥させると、薄い脂質膜が形成する。所望であれば、該膜を、第3級ブタノールなどの適切な溶媒に再溶解し、次いで、凍結乾燥させると、より容易に水和する粉末様形態であるより均一な脂質混合物が形成され得る。この膜を標的化薬物及び標的成分の水溶液で覆い、典型的には、攪拌しながら15~60分かけて水和させる。得られる多層膜小胞のサイズ分布は、より激しい撹拌条件下で脂質を水和させることによって、又はデオキシコール酸などの可溶化洗剤を添加することによってより小さいサイズにシフトさせることができる。
ミセルは、水溶液中のサーファクタント(疎水性部分及び1以上のイオン性又はそうでなければ強い親水性基を含有する分子)によって形成される。
当業者に周知の共通のサーファクタントは、本発明のミセルに使用することができる。適切なサーファクタントには、ラウリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、オクタオキシエチレングリコールモノドデシルエーテル、オクトキノール(octoxynol)9及びPLURONIC F-127(Wyandotte Chemicals社)が含まれる。好ましいサーファクタントは、TWEEN-80、PLURONIC F-68、及びn-オクチル-ベータ-D-グルコピラノシドなどのIV注射に適合する非イオン性ポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレン界面活性剤である。加えて、リポソームの生成における使用について記載されるものなどのリン脂質も、ミセル形成に使用され得る。
場合によって、その標的への活性物質の送達を促進する化合物を含むことは有利である。
用量
GM-CSFの「有効量」とは、肺投与を介して投与された場合に、難治性NTMの治療を可能にする、対象の気道及び/又は肺実質における濃度を達成する用量を意味する。改善は、1週間後、2週間後、3週間、1ヶ月後、2ヶ月後、3ヶ月後、6ヶ月後、1年後、又は18ヶ月後又はそれ以上後に、すでに観察され得る。
調製物は、投薬製剤と適合性のある様式で、かつ治療上有効であるそのような量で投与される。投与すべき量は、例えば、対象の体重及び年齢、治療すべき疾患及び疾患のステージを含めて、治療すべき対象に依存する。適切な投薬量範囲は、通常、投与あたり数百μgのオーダーの有効成分の範囲、好ましい範囲は、投与あたり約100~1000μgである。GM-CSFを含むGM-CSFの有効量を提供することが期待される用量は、多くの場合、肺投与を介して投与される100~1000μg、例えば、100~900μg、例えば、100~800μg、例えば、125~700μg、例えば、150~600μg、例えば、200~400μg、例えば、250~350μgの範囲、例えば、250μg又は300μgである。一実施形態において、肺投与は、吸入によるものである。投与は、1日に1回又は2回行うことができ、好ましくは、投与は1日に1回行われる。投与は、1日に1回又は2回、毎週行うことができるか、又は投与は、1日1回又は2回、隔週で行うことができる。
化合物の単量体形態を使用するのに適切な投薬量は、多くの場合、1日あたり100~1000μg、例えば、100~900μg、例えば、200~800μg、例えば、300~700μg、例えば、400~600μgの範囲、例えば、500μgであり、配列番号1と同一の配列を有する単量体形態に基づく場合、機能的相同体及び断片については、該用量は、相同体又は断片の分子量に対する単量体形態の分子量に基づいて計算される。
GM-CSFは、100~500μg、例えば、125~450μg、例えば、150~400μg、例えば、175~375μg、例えば、200~350μg、例えば、225~325μg、例えば、250~325μg、例えば、275~325μg、例えば、250μg又は300μgの投薬量で投与され得る。
投与の期間は、典型的には、1日~約18ヶ月、例えば、1週間~約16ヶ月、例えば、2週間~約14ヶ月、例えば、1ヶ月~約12ヶ月、例えば、6週間~約10ヶ月、例えば、2ヶ月~約8ヶ月、例えば、3ヶ月~約6ヶ月の範囲、例えば、3、4、5又は6ヶ月である。これらの期間のいずれかは、上記で定義される投薬量のいずれかと共に使用することができる。場合によって、18ヶ月以上の投与を継続することが有利であり得る。
適切な投与頻度は、1日1回、1日おき、2日おき、週に3回、週に2回又は週に1回である。これらの頻度のいずれかは、上記で定義される投薬量のいずれかと共に使用することができる。
いくつかの実施形態において、GM-CSFは、対象がNTM感染の兆候を示さなくなるまで投与される。そのため、GM-CSFは、以下のうちの1以上:
-NTMについて陰性である喀痰培養物;
-陰性NTM染色;
-培養物中のNTMの不在を示す定量的PCR;
-NTMについて陰性である気管支肺胞洗浄液の培養物;
-NTMの不在を示す肺生検、
が対象由来の試料中で観察された後に中止してもよい。
医療包装
本発明において使用される化合物は、単一又は複数の用量のいずれかで、単独又は医薬として許容される担体若しくは賦形剤と組み合わせて投与され得る。該製剤は、好都合には、当業者に公知の方法により単位剤形で提示され得る。
本発明による化合物は、キットで提供されることが好ましい。そのようなキットは、典型的には、投与のための剤形で活性化合物を含有する。剤形は、対象に投与された場合に所望の効果を得ることができるように、十分な量の活性化合物を含有する。
そのため、該医療包装は、関連する投薬計画に対応する投薬量単位の量を含むことが好ましい。したがって、一実施形態において、該医療包装は、上記で定義される化合物又はその医薬として許容される塩及び医薬として許容される担体、ビヒクル及び/若しくは賦形剤を含む医薬組成物を含み、前記包装は、1~7の投薬量単位を含み、それによって、1日以上のための投薬単位、又は7~28の投薬単位、又はその倍数を有し、それによって、投与の1週間又は投与の数週間のための投薬単位を有する。
投薬単位は、上記で定義したとおりであり得る。該医療包装は、気管内投与、気管支内投与又は肺胞内投与用の任意の適切な形態であり得る。好ましい実施形態において、該包装は、バイアル、アンプル、チューブ、ブリスターパック、カートリッジ又はカプセルの形態である。
該医療包装が2以上の投薬単位を含む場合に、該医療包装は、1つの投薬単位のみに各投与を調整する機構が設けられていることが好ましい。
好ましくは、キットは、望ましい効果を達成するための剤形の使用、及び特定の期間にわたって摂取される剤形の量を示す説明書を含有する。したがって、一実施形態において、該医療包装は、該医薬組成物を投与するための説明書を含む。
いくつかの実施形態において、凍結乾燥GM-CSF調製物は、例えば、単回用量単位で予め包装されてもよい。さらにより好ましい実施形態において、単回用量単位は、該患者に合わせて調整される。
いくつかの実施形態において、GM-CSFの投薬単位は、電気振動メッシュ噴霧器などの噴霧器を用いる使用に適するガラスバイアル中の溶液として提供される。いくつかのガラスバイアルは、容器の中に集められていてよい。ガラスバイアル中に含有される溶液の例示的な適切な体積は、1.2mLである。
実施例
実施例1-研究A:現在の治療法に難治性の患者における抗生物質療法に加えた吸入用GM-CSF
選択基準:
6ヶ月の標準的な(3種類の薬物)抗生物質療法にもかかわらず、喀痰中でNTMの培養が続いており、抗生物質療法を継続するであろう患者
症例1:マイコバクテリウム・イントラセルラーレ及びマイコバクテリウム・アブセサスを含む複数の感染症が合併した6年間の気管支拡張症の病歴を有する65歳の女性。彼女の疾患は、胸部X線での肺疾患の症状、空洞及び結節性所見及びHRCTスキャンでの多焦点気管支拡張症を特徴とする。研究包含の15ヶ月前に、彼女は、マイコバクテリウム・イントラセルラーレを有すると診断され、抗生物質のエタンブトール及びリファンピシンによる治療を受け、10ヶ月後に、アジスロマイシンを加えた。研究に含める時点で、彼女は、継続中の3つの組み合わせの抗マイコバクテリア治療に加えて、300μgの吸入用GM-CSF(モルグラモスチム)での毎日の治療を開始した。
スクリーニングで、彼女の喀痰スメアは抗酸菌(AFB)に対して1+陽性であり、培養物はマイコバクテリウム・イントラセルラーレの増殖を示した。ベースラインでは、喀痰スメアは時折AFBを示したが、分離株は培養で増殖することができなかった。
治療の4、8、12及び16及び20週間後に、喀痰スメアは陰性であった。4、8、12週間後に、NTMの増殖はなかった。16及び20週からの培養は進行中である。
治療の12週間後に、該患者は、疲労について、10cm視覚的アナログ尺度(VAS)で5から1までの改善を報告し、これは16週目まで持続した。
実施例2-研究B:抗生物質療法に耐性を示す難治性NTM疾患を有する患者における単剤療法としての吸入用GM-CSF
選択基準:
過去3年間で、少なくとも6ヶ月の標準的な(3種類の薬物)抗生物質療法にもかかわらず、喀痰中でNTMの培養が続いており、患者又は患者の臨床医が抗生物質療法を再開することを望まない患者
症例2:10歳の女子は、永続的にマイコバクテリウム・アブセサスが定着している3.5年の病歴を有していた。該対象は、嚢胞性線維症の原因であることが知られているCTFR(嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子)遺伝子内のΔF508変異についてホモ接合性であった。
結節浸潤及び臨床的低下により、2年間の抗生物質治療(静脈用アミカシン、セフォキシチン及び経口リネゾリド)が促された。セフォキシチンは、セフォキシチン脱感作の試みにもかかわらず、発疹が原因で、1ヶ月後に中止した。アミカシンが原因の中毒性難聴が4ヶ月後に認められた。その後、静脈用アミカシンをエアロゾル化アミカシンと交換した。リネゾリド(iv)及びアミカシン(吸入)療法にもかかわらず、肺機能及び体重が減少し、気管支肺胞洗浄(BAL)検体は、多くの生物に陽性のスメア及びマイコバクテリウム・アブセサスの大量増殖に戻ってしまった。該生物は、アミカシン及びセフォキシチンに対して中程度の感度を示し、リネゾリドに対しては感受性であった。
エアロゾル化GM-CSF(サルグラモスチム、Genenzyme、Cambridge、MA、2cmの生理食塩水で希釈した250μgを1日2回)を加え、噴霧器を介して隔週で投与した。臨床的な改善、並びに広範な静脈瘤(varicoid)の領域内の放射線不透過性及び嚢胞性気管支拡張症の減少があった。臨床的な改善及び安定性が認められた。GM-CSFを継続し、抗生物質を3ヶ月後に中止した。3ヶ月間、抗生物質を休んだ後、エアロゾル化GM-CSFとリネゾリド(iv)及びアミカシン(吸入)を再び組み合わせることを決定した。併用療法の4ヶ月後に、抗酸菌(AFB)スメアと培養物の両方は陰性になった。該患者は、吸入用GM-CSF療法のみとなった。
Figure 2024059779000002
表1.GM-CSF:顆粒球マクロファージコロニー刺激因子。FVC:努力肺活容量。FEV:1秒での努力呼気容量。BAL:気管支肺胞洗浄。AFB:抗酸菌。
症例3:嚢胞性線維症関連糖尿病の25歳のΔF508ホモ接合体の男性は、永続的なマイコバクテリウム・アブセサスの13年の病歴を有していた。ルマカフトール(lumicaftor)/イバカフトールの継続的な使用にもかかわらず、新しい放射線結節性浸潤、体重減少及び肺機能の低下が認められた。AFBスメアは多くの生物を示した。
1日2回、隔週(1週間オン/1週間オフ)のエアロゾル化GM-CSF250μgの投与を、抗生物質療法なしに開始した。毒性が観察されることなく、臨床的改善が認められた。GM-CSFの6ヶ月後に、喀痰スメアは陰性になり、培養負荷は1プレートあたり1コロニーに減少した。その後、培養負荷は陰性になった。
Figure 2024059779000003
表2.GM-CSF:顆粒球マクロファージコロニー刺激因子。FVC:努力肺活容量。FEV:1秒での努力呼気容量。BAL:気管支肺胞洗浄。AFB:抗酸菌。
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以下の付記を開示する。
(付記1)それを必要とする対象における抗生物質治療などの治療に難治性の肺NTM感染症を治療する方法であって、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)の肺投与を介して対象に投与することを含む方法で使用するための顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)。
(付記2)GM-CSFが、100~1000μg、例えば、100~900μg、例えば、100~800μg、例えば、125~700μg、例えば、150~600μg、例えば、200~400μg、例えば、250~350μg、例えば、250μg又は300μgの投薬量で投与される、付記1に記載の使用のためのGM-CSF。
(付記3)GM-CSFが、1日1回、1日おき、2日おき、週に3回、週に2回又は週に1回投与される、付記1~2のいずれかに記載の使用のためのGM-CSF。
(付記4)NTMが、マイコバクテリウム・カンサシ、マイコバクテリウム・シミアエ若しくはマイコバクテリウム・マリヌムなどの光発色菌;マイコバクテリウム・スクロフラセウム又はマイコバクテリウム・ツルガイなどの暗発色菌;マイコバクテリウム・アビウム・コンプレックス(MAC)、マイコバクテリウム・ウルセランス、マイコバクテリウム・ゼノピ、マイコバクテリウム・マルモエンス、マイコバクテリウム・テラ、マイコバクテリウム・ヘモフィルム若しくはマイコバクテリウム・ゲナベンスなどの非光発色菌;又はマイコバクテリウム・ケロネー、マイコバクテリウム・アブセサス、マイコバクテリウム・フォルツイツム、マイコバクテリウム・ペレグリヌム、マイコバクテリウム・スメグマチス若しくはマイコバクテリウム・フラベセンスなどの迅速生産者である、付記1~3のいずれか一項に記載の使用のためのGM-CSF。
(付記5)NTMが、MAC、マイコバクテリウム・アブセサス、マイコバクテリウム・フォルツイツム及びマイコバクテリウム・カンサシからなる群から選択される、付記1~4のいずれか一項に記載の使用のためのGM-CSF。
(付記6)GM-CSFが、気管内投与、気管支内投与、又は肺胞内投与により投与される、付記1~5のいずれか一項に記載の使用のためのGM-CSF。
(付記7)対象が、GM-CSFの噴霧溶液又は懸濁液を投与される、付記1~6のいずれか一項に記載の使用のためのGM-CSF。
(付記8)対象が、GM-CSFの噴霧エアロゾル形態又は吸入用粉末形態を投与される、付記1~7のいずれか一項に記載の使用のためのGM-CSF。
(付記9)対象がヒトである、付記1~8のいずれか一項に記載の使用のためのGM-CSF。
(付記10)対象が、以前に、少なくとも1種のNTM感染症に罹患していた、付記1~9のいずれか一項に記載の使用のためのGM-CSF。
(付記11)肺NTM感染症が、必要に応じて、リファマイシン又は注射用アミノグリコシドと組み合わせた1種の抗生物質での治療に難治性である、付記1~10のいずれか一項に記載の使用のためのGM-CSF。
(付記12)抗生物質が、マクロライド及びアザライド、例えば、アジスロマイシン、リファンピン、イソニアジド、エタンブトール、エチオナミド、ストレプトマイシン又はクラリスロマイシン、又はそれらの組み合わせから選択される、付記11に記載の使用のためのGM-CSF。
(付記13)抗生物質が、エタンブトール、リファンピシン、アジスロマイシン、クロファジミン、リネゾリド、アミカシン、セフォキシチン、ピラジナミド及びイソニアジドから選択される、付記1~12のいずれか一項に記載の使用のためのGM-CSF。
(付記14)対象が、複数の喀痰NTM培養、必要に応じて、後に続くNTM染色及び定量PCR、又は気管支肺胞洗浄NTM培養によって、又は肺生検によって測定されるとおりに診断された、付記1~13のいずれか一項に記載の使用のためのGM-CSF。
(付記15)肺NTM感染症が、少なくとも1ヶ月間、抗生物質治療などの治療を受け、対象が、例えば、少なくとも2ヶ月、例えば、少なくとも3ヶ月、例えば、少なくとも4ヶ月、例えば、少なくとも5ヶ月、例えば、少なくとも6ヶ月の間、まだその喀痰中にNTMを有する、付記1~14のいずれか一項に記載の使用のためのGM-CSF。
(付記16)抗生物質治療などの治療が、GM-CSF療法と共に継続される、付記1~15のいずれか一項に記載の使用のためのGM-CSF。
(付記17)喀痰NTM培養及び/又はNTM染色及び/又は定量的PCR及び/又は気管支肺胞洗浄NTM培養及び/又は肺生検により、対象がもはやNTM感染症に罹患していないことが示されるまで、GM-CSFが対象に投与される、付記1~16のいずれか一項に記載の使用のためのGM-CSF。
(付記18)それを必要とする対象における抗生物質治療などの治療に難治性の肺NTM感染症の治療方法であって、有効量の顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)の肺投与を介して対象に投与することを含む、方法。
(付記19)GM-CSFが付記1~17のいずれか一項に記載のとおりに投与される、付記18に記載の治療方法。
(付記20)NTMが付記1~17のいずれか一項に記載のとおりである、付記18~19のいずれか一項に記載の治療方法。
(付記21)その有効量のGM-CSFが、気管内投与、気管支内投与、又は肺胞内投与により投与される、付記18~20のいずれか一項に記載の治療方法。
(付記22)対象が、GM-CSFの噴霧溶液又は懸濁液を投与される、付記18~21のいずれか一項に記載の治療方法。
(付記23)対象が、GM-CSFの噴霧エアロゾル形態又は吸入粉末形態を投与される、付記18~22のいずれか一項に記載の治療方法。
(付記24)対象がヒトである、付記18~23のいずれか一項に記載の治療方法。
(付記25)対象が、以前に、少なくとも1種のNTM感染症に罹患していた、付記18~24のいずれか一項に記載の治療方法。
(付記26)肺NTM感染症が、必要に応じて、リファマイシン又は注射用アミノグリコシドと組み合わせた1種の抗生物質での治療に難治性である、付記18~25のいずれか一項に記載の治療方法。
(付記27)抗生物質が、マクロライド及びアザライド、例えば、アジスロマイシン、リファンピン、イソニアジド、エタンブトール、エチオナミド、ストレプトマイシン又はクラリスロマイシン、又はそれらの組み合わせから選択される、付記18~26のいずれか一項に記載の治療方法。
(付記28)記抗生物質が、エタンブトール、リファンピシン、アジスロマイシン、クロファジミン、リネゾリド、アミカシン、セフォキシチン、ピラジナミド及びイソニアジドから選択される、付記18~27のいずれか一項に記載の治療方法。
(付記29)対象が、複数の喀痰NTM培養、必要に応じて、後に続くNTM染色及び定量PCR、又は気管支肺胞洗浄NTM培養によって、肺生検によって測定されるとおりに診断された、付記18~28のいずれか一項に記載の治療方法。
(付記30)肺NTM感染症が、少なくとも1ヶ月間、抗生物質治療などの治療を受け、対象が、例えば、少なくとも2ヶ月、例えば、少なくとも3ヶ月、例えば、少なくとも4ヶ月、例えば、少なくとも5ヶ月、例えば、少なくとも6ヶ月の間、まだその喀痰中にNTMを有する、付記18~29のいずれか一項に記載の治療方法。
(付記31)抗生物質治療などの治療が、GM-CSF療法と共に継続される、付記18~30のいずれか一項に記載の治療方法。

Claims (31)

  1. それを必要とする対象における抗生物質治療などの治療に難治性の肺NTM感染症を治療する方法であって、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)の肺投与を介して前記対象に投与することを含む方法で使用するための顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)。
  2. GM-CSFが、100~1000μg、例えば、100~900μg、例えば、100~800μg、例えば、125~700μg、例えば、150~600μg、例えば、200~400μg、例えば、250~350μg、例えば、250μg又は300μgの投薬量で投与される、請求項1に記載の使用のためのGM-CSF。
  3. GM-CSFが、1日1回、1日おき、2日おき、週に3回、週に2回又は週に1回投与される、請求項1~2のいずれかに記載の使用のためのGM-CSF。
  4. 前記NTMが、マイコバクテリウム・カンサシ、マイコバクテリウム・シミアエ若しくはマイコバクテリウム・マリヌムなどの光発色菌;マイコバクテリウム・スクロフラセウム又はマイコバクテリウム・ツルガイなどの暗発色菌;マイコバクテリウム・アビウム・コンプレックス(MAC)、マイコバクテリウム・ウルセランス、マイコバクテリウム・ゼノピ、マイコバクテリウム・マルモエンス、マイコバクテリウム・テラ、マイコバクテリウム・ヘモフィルム若しくはマイコバクテリウム・ゲナベンスなどの非光発色菌;又はマイコバクテリウム・ケロネー、マイコバクテリウム・アブセサス、マイコバクテリウム・フォルツイツム、マイコバクテリウム・ペレグリヌム、マイコバクテリウム・スメグマチス若しくはマイコバクテリウム・フラベセンスなどの迅速生産者である、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用のためのGM-CSF。
  5. 前記NTMが、MAC、マイコバクテリウム・アブセサス、マイコバクテリウム・フォルツイツム及びマイコバクテリウム・カンサシからなる群から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用のためのGM-CSF。
  6. GM-CSFが、気管内投与、気管支内投与、又は肺胞内投与により投与される、請求項1~5のいずれか一項に記載の使用のためのGM-CSF。
  7. 前記対象が、GM-CSFの噴霧溶液又は懸濁液を投与される、請求項1~6のいずれか一項に記載の使用のためのGM-CSF。
  8. 前記対象が、GM-CSFの噴霧エアロゾル形態又は吸入用粉末形態を投与される、請求項1~7のいずれか一項に記載の使用のためのGM-CSF。
  9. 前記対象がヒトである、請求項1~8のいずれか一項に記載の使用のためのGM-CSF。
  10. 前記対象が、以前に、少なくとも1種のNTM感染症に罹患していた、請求項1~9のいずれか一項に記載の使用のためのGM-CSF。
  11. 前記肺NTM感染症が、必要に応じて、リファマイシン又は注射用アミノグリコシドと組み合わせた1種の抗生物質での治療に難治性である、請求項1~10のいずれか一項に記載の使用のためのGM-CSF。
  12. 前記抗生物質が、マクロライド及びアザライド、例えば、アジスロマイシン、リファンピン、イソニアジド、エタンブトール、エチオナミド、ストレプトマイシン又はクラリスロマイシン、又はそれらの組み合わせから選択される、請求項11に記載の使用のためのGM-CSF。
  13. 前記抗生物質が、エタンブトール、リファンピシン、アジスロマイシン、クロファジミン、リネゾリド、アミカシン、セフォキシチン、ピラジナミド及びイソニアジドから選択される、請求項1~12のいずれか一項に記載の使用のためのGM-CSF。
  14. 前記対象が、複数の喀痰NTM培養、必要に応じて、後に続くNTM染色及び定量PCR、又は気管支肺胞洗浄NTM培養によって、又は肺生検によって測定されるとおりに診断された、請求項1~13のいずれか一項に記載の使用のためのGM-CSF。
  15. 前記肺NTM感染症が、少なくとも1ヶ月間、抗生物質治療などの治療を受け、前記対象が、例えば、少なくとも2ヶ月、例えば、少なくとも3ヶ月、例えば、少なくとも4ヶ月、例えば、少なくとも5ヶ月、例えば、少なくとも6ヶ月の間、まだその喀痰中にNTMを有する、請求項1~14のいずれか一項に記載の使用のためのGM-CSF。
  16. 抗生物質治療などの前記治療が、前記GM-CSF療法と共に継続される、請求項1~15のいずれか一項に記載の使用のためのGM-CSF。
  17. 喀痰NTM培養及び/又はNTM染色及び/又は定量的PCR及び/又は気管支肺胞洗浄NTM培養及び/又は肺生検により、前記対象がもはやNTM感染症に罹患していないことが示されるまで、GM-CSFが前記対象に投与される、請求項1~16のいずれか一項に記載の使用のためのGM-CSF。
  18. それを必要とする対象における抗生物質治療などの治療に難治性の肺NTM感染症の治療方法であって、有効量の顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)の肺投与を介して前記対象に投与することを含む、方法。
  19. GM-CSFが請求項1~17のいずれか一項に記載のとおりに投与される、請求項18に記載の治療方法。
  20. 前記NTMが請求項1~17のいずれか一項に記載のとおりである、請求項18~19のいずれか一項に記載の治療方法。
  21. その有効量のGM-CSFが、気管内投与、気管支内投与、又は肺胞内投与により投与される、請求項18~20のいずれか一項に記載の治療方法。
  22. 前記対象が、GM-CSFの噴霧溶液又は懸濁液を投与される、請求項18~21のいずれか一項に記載の治療方法。
  23. 前記対象が、GM-CSFの噴霧エアロゾル形態又は吸入粉末形態を投与される、請求項18~22のいずれか一項に記載の治療方法。
  24. 前記対象がヒトである、請求項18~23のいずれか一項に記載の治療方法。
  25. 前記対象が、以前に、少なくとも1種のNTM感染症に罹患していた、請求項18~24のいずれか一項に記載の治療方法。
  26. 前記肺NTM感染症が、必要に応じて、リファマイシン又は注射用アミノグリコシドと組み合わせた1種の抗生物質での治療に難治性である、請求項18~25のいずれか一項に記載の治療方法。
  27. 前記抗生物質が、マクロライド及びアザライド、例えば、アジスロマイシン、リファンピン、イソニアジド、エタンブトール、エチオナミド、ストレプトマイシン又はクラリスロマイシン、又はそれらの組み合わせから選択される、請求項18~26のいずれか一項に記載の治療方法。
  28. 前記抗生物質が、エタンブトール、リファンピシン、アジスロマイシン、クロファジミン、リネゾリド、アミカシン、セフォキシチン、ピラジナミド及びイソニアジドから選択される、請求項18~27のいずれか一項に記載の治療方法。
  29. 前記対象が、複数の喀痰NTM培養、必要に応じて、後に続くNTM染色及び定量PCR、又は気管支肺胞洗浄NTM培養によって、肺生検によって測定されるとおりに診断された、請求項18~28のいずれか一項に記載の治療方法。
  30. 前記肺NTM感染症が、少なくとも1ヶ月間、抗生物質治療などの治療を受け、前記対象が、例えば、少なくとも2ヶ月、例えば、少なくとも3ヶ月、例えば、少なくとも4ヶ月、例えば、少なくとも5ヶ月、例えば、少なくとも6ヶ月の間、まだその喀痰中にNTMを有する、請求項18~29のいずれか一項に記載の治療方法。
  31. 抗生物質治療などの前記治療が、GM-CSF療法と共に継続される、請求項18~30のいずれか一項に記載の治療方法。
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