JP2024058057A - 光学積層体および物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】反射率が大きく劣化することを抑制するとともに耐擦傷性が向上した光学積層体を提供する。【解決手段】この光学積層体は、透明基材と、密着層と、第一の高屈折率層と、第一の低屈折率層と、第二の高屈折率層と、第二の低屈折率層と、をこの順に備える光学積層体であって、前記第二の低屈折率層の透明基材とは反対側の表面に、Siの酸窒化物からなる酸窒化物層をさらに備える。【選択図】図1

Description

本発明は、光学積層体および物品に関する。
フラットパネルディスプレイ等に於いて、表面の反射防止用に反射防止フィルムとして光学積層体が設けられる。反射防止フィルムにあっては、透明な基材に、金属酸化物や金属窒化物などの材料からなる高屈折率層と、高屈折率層より低屈折率の材料からなる低屈折率層が交互に積層された多層膜を備えたものが知られている(例えば、特許文献1)。
特許文献1に開示された反射防止フィルムは、高屈折率層の材料として酸化ニオブ、低屈折率層の材料として酸化ケイ素を使用する。特許文献1に開示された反射防止フィルムに含まれる多層膜の視認側の最表面には、低屈折率層が位置している。現状、製造及び販売されている反射防止フィルムは、このような酸化ニオブ及び酸化ケイ素の交互積層構造を有するものが主流である。
ところで、フラットパネルディスプレイの用途として、スマートフォン、各種操作機器のタッチパネルが挙げられ、指やタッチペン等に拠る入力が行われることがある。このような入力が繰り返されることで、フラットパネルディスプレイ表面に傷が発生しやすい。そのため、傷を防止するために、耐擦傷性を向上することが求められている。耐擦傷性を向上する手段として、反射防止フィルム中の多層膜内に、窒化ケイ素で構成された高強度の膜を形成することが提案されている(例えば、特許文献2,特許文献3,特許文献4)。
特許文献2、特許文献3、特許文献4には、高屈折材料として高度の高い窒化ケイ素を用い、反射防止フィルムの多層膜を酸化ケイ素及び窒化ケイ素の交互積層構造にすることが開示されている。特許文献2,特許文献3では、窒化ケイ素としてSiを用いることに言及されており、特許文献4には、窒化ケイ素の具体的な材料としてSiが開示されている。
特開平11-171596号公報 特開2018-180006号公報 特開2017-145191号公報 特開2004-271480号公報
特許文献1に開示された反射防止フィルムでは、耐擦傷性が不十分である。一方、特許文献2,特許文献3,特許文献4に開示された反射防止フィルムでは、耐擦傷性が向上する一方、高屈折率材料を窒化ケイ素に置き換えることにより、光学特性が変化する。そのため、反射防止フィルムの光学設計を大きく変更する必要がある。また、特許文献2,特許文献3,特許文献4のように窒化ケイ素を設けると、反射率が大きく劣化してしまう。
本発明は、上記事情に鑑みてなされた発明であり、反射率が大きく劣化することを抑制するとともに耐擦傷性が向上した光学積層体および当該光学積層体を備える物品を提供することを目的とする。
本発明者は、透明基材と反対側の最表面からの距離が150nm程度より深い位置における硬度の増大は、耐擦傷性にあまり影響を及ぼさず、ケイ素の酸窒化物からなる層を該最表面に近い位置に形成することで、耐擦傷性を向上でき、且つ光学設計を大きく変える必要がないことを見出した。すなわち、本発明は、上記課題を解決するために、以下の手段を提供する。
(1)本発明の一態様に係る光学積層体は、透明基材と、密着層と、第一の高屈折率層と、第一の低屈折率層と、第二の高屈折率層と、第二の低屈折率層と、をこの順に備える光学積層体であって、前記第二の低屈折率層の透明基材とは反対側の表面に、ケイ素の酸窒化物からなる酸窒化物層をさらに備える。
(2)上記(1)の光学積層体において、前記第二の低屈折率層の厚みが20nm以上95nm以下であり、前記酸窒化物層の厚みが5nm以上50nm以下であってもよい。
(3)上記(1)又は(2)の光学積層体は、前記酸窒化物層に於ける酸素の含有量が50atm%以上67atm%以下であり、窒素の含有量が0.5atm%以上12atm%以下であってもよい。また前記酸窒化物層に於ける酸素の含有量が60atm%以上67atm%以下であり、窒素の含有量が0.5atm%以上3.0atm%以下であってもよい。
(4)上記(1)~(3)のいずれかの光学積層体において、前記酸窒化物層は、波長550nmの光の屈折率が、1.48を超えて、1.70以下であってもよい。
(5)上記(1)~(4)のいずれかの光学積層体は、前記透明基材と前記密着層との間にさらにハードコート層を備えていてもよい。
(6)上記(1)~(5)のいずれかの光学積層体は、前記酸窒化物層の前記第二の低屈折率層とは反対側の面に、防汚層をさらに備えていてもよい。
(7)上記(6)の光学積層体において、前記防汚層は、蒸着膜であってもよい。
(8)本発明の一態様に係る物品は、上記(1)~(7)のいずれかの光学積層体を備える。
本発明によれば、反射率が大きく劣化することを抑制するとともに耐擦傷性が向上した光学積層体および当該光学積層体を備える物品を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る光学積層体の一例を示す断面図である。 図1の光学積層体の変形例の断面図である。 製造例1~製造例3ならびに比較例1および比較例2の酸窒化物層の押し込み硬さの最大値、最小値及び平均値を示すグラフである。
以下、本実施形態について、図を適宜参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材質、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その効果を奏する範囲で適宜変更して実施することが可能である。各図において、同様の構成は、同様の符号を付し、説明を省略する。
[光学積層体]
図1は、本発明の一実施形態に係る光学積層体の断面図である。
図1に示される光学機能積層体100は、透明基材11、第一の高屈折率層14a、第一の低屈折率層15a、第二の高屈折率層14b、第二の低屈折率層15bをこの順に備える光学積層体であって、第二の低屈折率層15bの透明基材11とは反対側の表面に、ケイ素の酸窒化物からなる酸窒化物層16をさらに備える。
本実施形態では、第一の高屈折率層14a及び第二の高屈折率層14bを含む高屈折率層、第一の低屈折率層15a及び第二の低屈折率層15bを含む低屈折率層、並びに酸窒化物層16で構成された多層膜を光学機能多層膜20と呼称する。本実施形態において、第一の高屈折率層14a及び第二の高屈折率層14bを区別しない場合、総称して高屈折率層14という。同様に、第一の低屈折率層15a及び第二の低屈折率層15bを区別しない場合、総称して低屈折率層15という。本実施形態において、高屈折率層14のうち、透明基材11から最も離間した層を第二の高屈折率層14bと呼称し、低屈折率層15のうち、透明基材中心から最も離間した層を第二の低屈折率層15bと呼称する。
図2は、図1の光学積層体の変形例の断面図である。
図2に示される光学積層体101は、透明基材11、ハードコート層12、密着層13、第一の高屈折率層14a、第一の低屈折率層15a、第二の高屈折率層14b、第二の低屈折率層15b、酸窒化物層16および防汚層17が、この順に積層されてなるものである。
透明基材11は、可視光域の光を透過可能な透明材料から形成されていればよく、例えば、樹脂フィルムが好適に用いられる。樹脂フィルムの材料としては特に限定されることはないが、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアラミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリシクロオレフィン(COC、COP)などを用いることができる。
透明基材11の厚さは、特に限定されることはないが、樹脂フィルムの場合、製造時の取り扱いの容易さと部材の薄型化を考慮し、20μm以上200μm以下とすることが望ましい。また、透明基材11は、使用波長域の光の透過率が80%以上であることが好ましい。透明基材11の光の透過率は、より好ましくは88%以上であり、特に好ましくは90%以上である。
また、光学機能多層膜20の耐擦過性を向上させる観点から、透明基材11の少なくとも一方の表面には、例えば、被膜を設けてもよい。被膜の材料としては、樹脂、無機物、またはこれらの混合物を用いることができる。また、被膜として、樹脂製被膜を用いる場合は、光学機能多層膜20の曇り度とフィルム走行性を向上させる目的で、樹脂製被膜の内部に有機もしくは無機の粒子を分散させてもよい。樹脂製被膜は、例えば、溶液塗布法により成膜してもよい。また、樹脂製被膜は、透明基材11の密着層13側の表面に設けることにより、透明基材11と光学機能多層膜20との密着性向上に補助的な効果を与える。
樹脂製の被膜として、耐擦傷性の観点から、ハードコート層12として設けられるものが挙げられる。ハードコート層12に用いられるバインダー樹脂としては、透明性のものが好ましく、例えば、紫外線、電子線により硬化する樹脂である電離放射線硬化型樹脂、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などを用いることができる。
ハードコート層12のバインダー樹脂に用いる電離放射線硬化型樹脂としては、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N-ビニルピロリドン等を挙げることができる。
また、2以上の不飽和結合を有する電離放射線硬化型樹脂である化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、ポリエステルトリ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールジ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、アダマンチルジ(メタ)アクリレート、イソボロニルジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の多官能化合物等を挙げることができる。なかでも、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)及びペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)が好適に用いられる。なお、「(メタ)アクリレート」は、メタクリレート及びアクリレートを指すものである。また、電離放射線硬化型樹脂として、上述した化合物をPO(プロピレンオキサイド)、EO(エチレンオキサイド)、CL(カプロラクトン)等で変性したものも使用できる。
ハードコート層12のバインダー樹脂に用いる熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース誘導体、シリコーン系樹脂及びゴム又はエラストマー等を挙げることができる。上記熱可塑性樹脂は、非結晶性で、かつ有機溶媒(特に複数のポリマー、硬化性化合物を溶解可能な共通溶媒)に可溶であることが好ましい。特に、透明性および耐候性という観点から、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体(セルロースエステル類等)等が好ましい。
ハードコート層12のバインダー樹脂に用いる熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン-尿素共縮合樹脂、ケイ素樹脂、ポリシロキサン樹脂(かご状、ラダー状などのいわゆるシルセスキオキサン等を含む)等を挙げることができる。
ハードコート層12は、有機樹脂と無機材料を含んでいても良く、有機無機ハイブリッド材料でもよい。一例としては、ゾルゲル法で形成されたものが挙げられる。無機材料としては、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニアが挙げられる。有機材料としては、例えば、アクリル樹脂が挙げられる。
ハードコート層12に含まれるフィラーは、防眩性、後述する光学機能多層膜との密着性、アンチブロッキング性の観点から、光学機能多層膜20の用途に応じて種々のものを選択できる。具体的には例えば、シリカ(Siの酸化物)粒子、アルミナ(酸化アルミニウム)粒子、有機微粒子など公知のものを用いることができる。
ハードコート層12は、例えば、バインダー樹脂と、フィラーとしてのシリカ粒子および/またはアルミナ粒子とを含むものであってもよい。ハードコート層12中に、フィラーとしてシリカ粒子および/またはアルミナ粒子が分散されていることで、ハードコート層12の表面に微細な凹凸を形成できる。これらシリカ粒子および/またはアルミナ粒子は、ハードコート層12の光学機能多層膜20側の表面に露出していてもよい。この場合、ハードコート層12のバインダー樹脂と、光学機能多層膜20の下部に有する密着層13とが接合される。このため、ハードコート層12と光学機能多層膜20との密着性も向上し、ハードコート層12の硬度が高くなるとともに、光学機能多層膜20の耐擦傷性向上に補助的な役割を与える。
ハードコート層12のフィラーとしてのシリカ粒子および/またはアルミナ粒子の平均粒子径は、例えば、800nm以下、好ましくは780nm以下、さらに好ましくは100nm以下である。
光学機能多層膜20の防眩性を向上させる観点から、ハードコート層12に含まれるフィラーとして、有機微粒子を用いることができる。有機微粒子としては、例えば、アクリル樹脂などが挙げられる。有機微粒子の粒子径は、10μm以下であることが好ましく、7μm以下であることがより好ましく、5μm以下であることがさらに好ましく、3μm以下であることが特に好ましい。
ハードコート層12に含有されるフィラーとして、ハードコート層12に強靭性を付与するために、光学特性を損なわない範囲で、各種補強材を用いることができる。補強材としては、例えば、セルロースナノファイバーが挙げられる。
ハードコート層12の厚みは、特に限定されないが、例えば、0.5μm以上であることが好ましく、より好ましくは1μm以上である。ハードコート層12の厚みは、100μm以下であることが好ましい。ハードコート層12の厚みが0.5μm以上であると、十分な硬度が得られるため、製造上のひっかき傷が発生し難くなる。また、ハードコート層12の厚みが100μm以下であると、光学機能多層膜20の薄膜化、軽量化が可能となる。また、ハードコート層12の厚みが100μm以下であると、製造途中の光学機能多層膜20が曲がった際に発生するハードコート層12のマイクロクラックが生じにくく、生産性が良好となる。
ハードコート層12は、単一の層であってもよく、複数の層が積層されたものであってもよい。また、ハードコート層12には、例えば、紫外線吸収性能、帯電防止性能、屈折率調整機能、硬度調整機能など公知の機能が更に付与されていてもよい。
また、ハードコート層12に付与される機能は、単一のハードコート層12中に付与されていてもよいし、複数の層に分割して付与されていてもよい。
透明基材11は、樹脂フィルムに限定されない。透明基材11は、例えば、ガラスであってもよい。ガラスは、平板であってもよいし、例えば、レンズなどのような凹凸面を有する形状であってもよい。
密着層13は、透明基材11またはハードコート層12と光学多層機能膜20との密着性を向上させるために形成する層である。密着層13は、例えば、第一の高屈折率層14aの透明基材11に近い側の面に接する。密着層13は、例えば、酸素欠損状態の金属酸化物もしくは金属からなるものであることが好ましい。酸素欠損状態の金属酸化物とは、化学量論組成よりも酸素数が不足した状態の金属酸化物をいう。酸素欠損状態の金属酸化物としては、例えば、SiOx、AlOx、TiOx、ZrOx、CeOx、MgOx、ZnOx、TaOx、SbOx、SnOx、MnOxなどが挙げられる。また、金属としては、Si、Al、Ti、Zr、Ce、Mg、Zn、Ta、Sb、Sn、Mn、Inなどが挙げられる。密着層は、例えば、SiOxにおけるxが、0を超え2.0未満であるものであってもよい。
密着層13の厚みは、透明性を維持し、良好な光学特性を得る観点から、例えば、0.1nm超え20nm以下であることが好ましく、1nm以上10nm以下であることが特に好ましい。
光学機能多層膜20は、反射防止機能を発現させる多層膜である。図1,図2に示す光学機能多層膜20は、透明基材11側から順に高屈折率層14と低屈折率層15とが交互に積層され、透明基材から最も離間した低屈折率層15の透明基材11と反対側の表面に酸窒化物層16が形成された合計5層からなる多層膜である。高屈折率層14と低屈折率層15の層数は、特に限定されるものではなく、高屈折率層14および低屈折率層15の層数は、任意の層数とすることができる。
図1,2に示す光学積層体100,101では、光学機能多層膜20が、低屈折率層15と高屈折率層14とが交互に積層された積層体を備えるものであるため、表層側から入射した光、例えば、外光は、光学機能多層膜20の内部でその一部が反射し、表面において互いに位相を打ち消すように干渉することで反射が実質的に抑制される。したがって、外部から入射した光が、一方向に反射されることを防止する反射防止機能が得られる。
低屈折率層15は、入手の容易さとコストの点からSiの酸化物を含むことが好ましく、SiO(Siの二酸化物)等を主成分とした層であることが好ましく、SiOで構成されていることが好ましい。SiO単層膜は、無色透明である。本実施形態において、低屈折率層15の主成分とは、低屈折率層15中に50質量%以上含まれる成分であることを意味する。
低屈折率層15が、Siの酸化物を主成分とした層である場合、50質量%未満の別の元素を含んでも良い。Siの酸化物とは別の元素の含有量は、好ましくは10%以下である。別の元素としては、例えば、耐久性向上の目的でNa、硬度向上の目的でZr、Al、またN、耐アルカリ性向上の目的で、Zr、Alを含有できる。
低屈折率層15の屈折率は、好ましくは1.20~1.60であり、より好ましくは1.40~1.50である。低屈折率層15に用いられる誘電体としては、フッ化マグネシウム(MgF、屈折率1.38)などが挙げられる。
高屈折率層14の屈折率は、好ましくは2.00~2.60であり、より好ましくは2.10~2.45である。高屈折率層14に用いられる誘電体としては、五酸化ニオブ(Nb、屈折率2.33)、酸化チタン(TiO、屈折率2.33~2.55)、酸化タングステン(WO、屈折率2.2)、酸化セリウム(CeO、屈折率2.2)、五酸化タンタル(Ta、屈折率2.16)、酸化亜鉛(ZnO、屈折率2.1)、酸化インジウムスズ(ITO、屈折率2.06)、酸化ジルコニウム(ZrO、屈折率2.2)などが挙げられる。
高屈折率層14に導電特性を付与したい場合、例えば、ITO、酸化インジウム酸化亜鉛(IZO)を選択できる。
光学機能多層膜20は、高屈折率層14として五酸化ニオブ(Nb、屈折率2.33)からなるものを用い、低屈折率層15としてSiOからなるもの用いることが好ましい。
低屈折率層15の膜厚は、1nm以上200nm以下の範囲であればよく、反射防止機能を必要とする波長域に応じて適宜選択される。
高屈折率層14の膜厚は、例えば、1nm以上200nm以下であればよく、反射防止機能を必要とする波長域に応じて適宜選択される。
高屈折率層14および低屈折率層15の膜厚は、それぞれ光学機能多層膜20の設計に応じて適宜選択できる。
例えば、密着層13側から順に、5~50nmの高屈折率層14、10~80nmの低屈折率層15、20~200nmの高屈折率層14、30nm~140nmの低屈折率層15とすることができる。
光学機能多層膜20に含まれる高屈折率層14及び低屈折率層15のうち、透明基材11から最も離間した位置には、低屈折率層15が形成されている。上記の通り、当該低屈折率層15は、第二の低屈折率層15bと呼称される。
第二の低屈折率層15bの厚みは、前述の通り、例えば、30nm以上140nm以下であり、40nm以上95nm以下であることが好ましい。第二の低屈折率層15bの透明基材11とは反対側の表面には、酸窒化物層16が形成されている。
酸窒化物層16は、ケイ素、酸素及び窒素で構成されており、例えば、一般式Si・・・(1)で表されるケイ素の酸窒化物からなる。
酸窒化物層16における酸素含有量は、例えば、10atm%以上であり、50atm%以上67atm%以下であってもよく、55atm%以上67atm%未満であることが好ましく、60atm%以上65atm%以下であることがより好ましい。酸窒化物層16における酸素含有量が上記範囲内であることで、低屈折率層15を構成する二酸化ケイ素との屈折率の差を小さくすることができ、低屈折率層15の一部を酸窒化物層で置き換えたとしても反射防止フィルムの光学設計に及ぼす影響を小さくできる。
酸窒化物層16における窒素含有量は、例えば、0.25atm%以上13.0atm%以下であり、0.50atm%以上12.0atm%以下であることが好ましく、0.50atm%以上5.0atm%以下であることがより好ましく、3.0atm%以下であることがさらに好ましい。酸窒化物層16は、低屈折率層15の屈折率に近い屈折率を有することが光学特性の観点から好ましいため、酸素含有量が窒素含有量よりも多いことが好ましい。また、酸窒化物層16におけるケイ素含有量は、例えば、33.0atm%以上36.0atm%以下である。また、残部として酸窒化物層16に不純物が含まれていてもよい。
酸窒化物層16の波長550nmの光の屈折率は、例えば、1.48を超え1.70以下であり、1.50以上1.60以下であることが好ましく、1.51以上1.57以下であることがより好ましく、1.53以上1.55以下であることがさらに好ましい。このように、低屈折率層15を構成する二酸化ケイ素の反射率に近い構成を有することで、反射防止フィルムの光学特性の劣化を抑制できる。
酸窒化物層16の厚みは、例えば、2nm以上140nm以下であり、5nm以上50nm以下であることが好ましい。また、酸窒化物層16及び第二の低屈折率層15bの合計厚みは、例えば、30nm以上200nm以下であり、50nm以上150nm以下であることが好ましい。
防汚層17は、光学機能多層膜20の最外面に形成され、光学機能多層膜20の汚損を防止する。また、防汚層17は、タッチパネル等に適用される際に、耐摩耗性によって光学機能多層膜20の損耗を抑制する。
防汚層17は、例えば、パーフルオロポリエーテル基を有するアルコキシシラン化合物の被覆層であればよい。パーフルオロポリエーテル基を有するアルコキシシラン化合物を用いて、光学機能多層膜20の表面を被覆することにより、光学機能多層膜20の表面の水接触角が、例えば110度以上の撥水性を示すようになり、防汚性を向上させることができる。
本実施形態に係る光学積層体100,101は、高い耐擦傷性を示す。本実施形態に係る光学積層体100,101は、例えば、JIS L0849に準拠してスチールウールを用いた摩擦試験機を用い、スチールウールを2000回水平往復運動させた摩擦後とスチールウールを3000回水平往復運動させた摩擦後の水に対する接触角差が0°以上5°以下となり、3°以下となることが好ましい。また、同様の試験に於いて、試験前とスチールウールを2000回水平往復運動させた摩擦後の水に対する接触差は、25°以下となり、20°以下となることが好ましく、試験前とスチールウールを3000回水平往復運動させた摩擦後の水に対する接触差は、25°以下となり、20°以下となることが好ましい。
本実施形態に係る光学積層体100,101は、高い耐アルカリ性を示す。本実施形態に係る光学積層体100,101は、耐アルカリ性試験の前後における下記式(2)で表されるΔE値が、例えば0.9以下であり、0.8以下であることが好ましい。
Figure 2024058057000002
・・・(2)
(式(2)中、L0、a0、b0は、耐アルカリ性試験前の値であり、L1、a1、b1は、耐アルカリ性試験後の値である。)
本実施形態に係る光学積層体は、例えば、視感反射率Yが0.58未満であり、0.55以下であることが好ましく、0.30以下であることがより好ましい。本実施形態に係る光学積層体は、上記構成を備えることで視感反射率が0.58未満となり、優れた硬度とともに優れた光学特性を得られる。
[物品]
本発明の一実施形態に係る物品は、例えば液晶表示パネルや有機EL表示パネルなど、画像表示部の表示面に上述した光学積層体100,101を設けたものである。これにより、例えば、スマートフォンや操作機器のタッチパネル表示部に対して、高い耐摩耗性を付与することができ、耐久性に優れた画像表示装置を実現できる。
また、物品としては画像表示装置に限定されず、例えば本実施形態の光学積層体が表面に設けられた窓ガラスやゴーグル、太陽電池の受光面、スマートフォンの画面やパーソナルコンピューターのディスプレイ。情報入力端末、タブレット端末、電光表示板、ガラステーブル表面、遊技機、航空機や電車などの運行支援装置、ナビゲーションシステム、計器盤、光学センサーの表面など光学積層体100,101が適用可能なものであれば、どのようなものでもよい。
[光学積層体の製造方法]
次に、上記実施形態に係る光学積層体の製造方法について説明する。
本実施形態に係る光学積層体の製造方法は、複数の高屈折率層と、複数の低屈折率層と、該複数の低屈折率層のうち、透明基材11から最も離間する低屈折率層と接する酸窒化物層と、を備える光学積層体の製造方法である。本実施形態に係る光学積層体の製造方法は、シリコンターゲットを用いて不活性ガスと酸素と窒素の混合ガス下にてスパッタリングを行なう、酸窒化物層形成工程を有する。
以下、ロール状に巻き付けられた透明基材を用いて光学積層体を製造してロール状に巻き取る、いわゆるロールtoロール方式のものを例に挙げて、本実施形態に係る光学積層体の製造方法を説明する。
先ず、ロール状に巻き付けられた透明基材を巻き出す。そして、図2~図6に示されるような、ハードコート層を有する光学積層体を形成する場合、公知の方法により透明基材上にハードコート層となる材料を含むスラリーを塗布し、ハードコート層となる材料に対応する公知の方法により硬化させる。このことにより、ハードコート層を形成する(ハードコート層形成工程)。その後、表面にハードコート層の形成された透明基材を、公知の方法によりロール状に巻き取る。
次に、ハードコート層上に密着層を形成する密着層形成工程を行う。
次に、密着層上に光学機能多層膜を形成する。光学機能多層膜を形成する工程は、高屈折率層を形成する高屈折率層形成工程、低屈折率層を形成する低屈折率層形成工程、及び酸窒化物層を形成する、酸窒化物層形成工程を有する。高屈折率層形成工程、低屈折率層形成工程、及び酸窒化物層形成工程は、所望の光学機能多層膜の配列に対応した順序で行う。ここで、上記実施形態に係る光学積層体は、酸窒化物層が透明基材から最も離間した低屈折率層の透明基材と反対側の面に接する構成であるため、酸窒化物層形成工程を低屈折率層形成工程の直後に行う。
次に、光学機能多層膜上に防汚層を形成する、防汚層形成工程を行う。
本実施形態に係る光学積層体の製造方法において、密着層形成工程、高屈折率層形成工程、低屈折率層形成工程、酸窒化物層形成工程は、蒸着やスパッタリング等のドライプロセスによって成膜を行う。例えば、スパッタリング装置を用いて、それぞれの層を構成する材料を含むターゲットに電圧を印加した、所定の反応性ガス及びプラズマを生成するアルゴンガスを所定の流量で供給することにより、それぞれの層を形成することができる。また、各層を形成する工程において、スパッタリングを行う雰囲気を変更して行うことができる。例えば、各層を形成する工程において、各ガスの流量を変更して行うことができる。
例えば、酸窒化物層形成工程では、シリコンターゲットを用いて、アルゴンガス、酸素ガスおよび窒素ガスの混合ガス雰囲気による反応性スパッタリングを行う。酸窒化物層形成工程における圧力は、例えば、0.5Pa以下であり、0.4Pa以下であることが好ましく、0.3Pa以下であることがより好ましい。スパッタリング時の圧力が0.4Pa以下の減圧下の条件であると、成膜分子の平均自由工程が長くなり、成膜分子のエネルギーが高いまま積層されるため、緻密で良好な膜質となるとともに、酸窒化物層における窒素含有量が所望の割合となるように調整できる。
また、酸窒化物層形成工程における窒素ガスの流量は、例えば、アルゴンガス及び酸素ガスの流量よりも多い量に調整し、アルゴンガスの流量及び酸素ガスの流量の合計よりも多いことが好ましく、上記合計の倍以上にすることがより好ましい。
酸窒化物層形成工程における窒素ガス、アルゴンガスおよび酸素ガスの混合ガス中の酸素ガスの流量割合は、例えば、5%以上60%以下であり、10%以上50%以下であることが好ましい。同様に、上記混合ガス中の窒素ガスの流量割合は、例えば、20%以上80%以下であり、30%以上70%以下であることが好ましい。残部は、アルゴンガスである。
上記工程を経ることにより、上記実施形態に係る光学積層体が製造される。
本実施形態に係る光学積層体によれば、透明基材11、第一の高屈折率層14aと、第一の低屈折率層15a、第二の高屈折率層14bおよび第二の低屈折率層15bをこの順に備え、第二の低屈折率層15bの透明基材11とは反対側の表面に、ケイ素の酸窒化物からなる酸窒化物層16をさらに備えており、当該酸窒化物層16が、上記第二の低屈折率層15bと屈折率が近く、硬度が高いため、反射率が大きく劣化することを抑制するとともに耐擦傷性を向上することができる。
以下、本発明の効果を検証するために行った、実施例及び製造例について説明する。本発明は、以下の実施例及び製造例のみに限定されるものではない。
[製造例1]
先ず、透明基材として厚さ100μmのPETフィルムを用意した。次いで、スパッタリング装置を用いてこの透明基材上に、厚み200nmの酸窒化物層を形成した。
酸窒化物層を形成する工程で用いたスパッタリング装置は、排気系がターボ分子ポンプとロータリーポンプで構成され、5×10-4Pa以下にまで排気することが可能である。真空槽(成膜チャンバー)内には直径2インチのターゲット材料を設置することが可能なカソードが配置されている。カソード間にはシャッター機構が設置されており、タイマーにて開閉時間を制御することができる。そのため予め成膜速度が既知であれば、シャッターの開時間を制御することより薄膜の厚みを精密に制御することができる。製造例1では、ターゲットとしてシリコンターゲットを用いた。
真空槽にはガス供給配管がつながっており、アルゴンガス、酸素ガス、窒素ガスなどの反応ガス、キャリアガスを供給することができる。各ガスは、ガスボンベと真空槽の間に設置したマスフローメータによって流量を精密に制御することができる。ターボ分子ポンプと真空槽の間にはコンダクタンスバルブが設置されており、排気速度を調整することで任意の成膜圧力に調整することが可能である。基板は、ターゲットに対向するステージに設置することができる。ステージは、薄膜の厚みを均一にするように自転することができ、300℃まで加熱することができる。さらに、ステージとターゲットとの間の距離も調整可能である。
酸窒化物層を形成する際の条件は、以下の条件にした。
圧力:0.3Pa、酸素ガスの流量:100sccm、窒素ガスの流量:80sccm、アルゴンガスの流量:70sccm
[製造例2]
酸窒化物を形成する際のガス流量に関する条件を以下の条件に変更して酸窒化物層中の窒素含有量を製造例1よりも高めたことを除き、製造例1と同様にして試料を作製した。
酸素ガスの流量:85sccm、窒素ガスの流量:240sccm、アルゴンガスの流量:70sccm
[製造例3]
酸窒化物を形成する際のガス流量に関する条件を以下の条件に変更して酸窒化物層中の窒素含有量を製造例2よりも高めたことを除き、製造例1と同様にして試料を作製した。
酸素ガスの流量:60sccm、窒素ガスの流量:240sccm、アルゴンガスの流量:70sccm
[比較例1]
製造例1と同様の透明基材を用意し、窒素ガスを用いずにスパッタリングすることによりこの透明基材上にSiOで構成された厚み200nmの層を形成した。
酸素ガスの流量:180sccm、アルゴンガスの流量:70sccm
[比較例2]
製造例1と同様の透明基材を用意し、酸素ガスを用いずにスパッタリングすることによりこの透明基材上にSiで構成された厚み200nmの層を形成した。
窒素ガスの流量:250sccm、アルゴンガスの流量:70sccm
(1-1)組成
製造例1~製造例3、並びに、比較例1及び比較例2の試料に対して、走査型X線光電子分光分析装置(アルバック・ファイ株式会社製、PHI5000VersaProbeIII)を用いたナロー分析により、透明基材上に形成された層の組成を解析した。X線電子分光法の条件は、以下で行った。
X線源:monoAl、X線銃:200μmΦ50W15kV、Dwell:20ms、積算回数:10回、パスエネルギー:280eV
(1-2)硬度
製造例1~製造例3、並びに、比較例1及び比較例2の試料に対して、超微小押し込み硬さ試験機(株式会社エリオニクス、ENT-NEXUS)を用いた測定により、透明基材上に形成された層の硬度を測定した。硬度の測定は、製造例1~製造例3、並びに、比較例1及び比較例2のそれぞれに対して20つの試料を用意して行った。また、硬度は、荷重0.05mNで測定した。
(1-3)光学特性
製造例1~製造例3、並びに、比較例1及び比較例2の試料の基材を裏面反射のないように黒色のTACで構成された基材に変更し、光学特性を評価した。光学特性の評価は、具体的には、分光光度計(株式会社日立ハイテクサイエンス製、UH4150)を用いて、分光反射率(測定波長370nm~790nm、入射角5°)を測定した。測定した分光反射率と、CIE標準イルミナントD65の相対分光分布を用いて、JIS Z8701で規定されているXYZ表色系における、反射による物体色の視感反射率Y(三刺激値Y)を算出した。また、エリプソメーターを使用することにより、波長550nmの光の屈折率を測定した。
製造例1~製造例3、並びに、比較例1及び比較例2の試料の組成、硬度、光学特性に関する結果を表1、図3に纏める。図3は、製造例1~製造例3ならびに比較例1および比較例2の酸窒化物層の押し込み硬さの最大値、最小値及び平均値を示すグラフである。
Figure 2024058057000003
先ず、組成に関し、窒素ガスを酸素ガス及びアルゴンガスとともに流入し、低圧環境下でスパッタリングを行った製造例1~製造例3では、透明基材上に酸素を主成分として含む、ケイ素の酸窒化物で構成された酸窒化物層が形成されていることが確認された一方、窒素ガス及び酸素ガスのいずれかを流入しなかった比較例1及び比較例2では、当該層が形成されていないことが確認された。また、上記酸窒化物層を備える製造例1~製造例3では、比較例2と比べ、二酸化ケイ素の屈折率(波長550nmにおいて1.46~1.48)に近い屈折率を有することが確認された。さらに、上記酸窒化物層を備える製造例1~製造例3では、窒素元素を備えない比較例1と比べ、高い硬度を有することが確認された。また、視感反射率Yに関し、製造例1~製造例3では、0.6以下の値を示すことが確認されており、0.7である比較例2と比べて小さく、比較例1により近い値を示していた。そのため、本発明によれば、光学特性が大きく劣化することを抑制できると考えられる。
[実施例1]
先ず、ハードコート層を有する透明基材として厚み5μmのアクリル系樹脂とフィラーを含有する樹脂製被膜を有する、80μm厚みのTACフィルムを用意した。次いで、当該透明基材に対して、製造例1と同様な構成を有し、6つのカソードが設けられ、各カソードに各金属ターゲットを配置可能なスパッタリング装置を用いて密着層形成工程、光学機能多層膜を形成する工程及び防汚層を形成する工程を行う。このようにして、密着層(SiO)、第一の高屈折率層(Nb)、第一の低屈折率層(SiO)、第二の高屈折率層(Nb)、第二の低屈折率層(SiO)、酸窒化物層(SiO)及び防汚層(フッ素系有機化合物)を形成した。表2に、実施例1及び比較例3の試料の各層の主成分及び厚みに関する構成を纏める。表2において、ハードコート層の記載を省略している。
密着層形成工程において、アルゴンガス雰囲気下で、厚み1~3nmの密着層を形成した。
次いで、光学機能多層膜を形成する工程において、厚み11nmの第一の高屈折率層、厚み34nmの第一の低屈折率層、厚み103nmの第二の高屈折率、厚み54nmの第二の低屈折率層、厚み26nmの酸窒化物層を形成した。
酸窒化物層を形成する際は、薄膜形成装置の真空槽内全体を0.30Paに真空排気し、シリコンターゲットが設置されたカソード部にアルゴンガス70sccm、酸素ガス85scm、窒素ガス240sccmの流量となるように増すフローコントローラーにて調整しながら導入し、シリコンターゲットに電力を印加して放電させ、スパッタリングによる成膜を行った。
防汚層を形成する工程では、フッ素系有機化合物として、パーフルオロポリエーテル基を有するアルコキシシラン化合物(KY-1901、信越化学工業株式会社製)、からなる厚み5nmの防汚層を蒸着により形成した。
実施例1において酸窒化物層を形成する際の条件は、製造例2において酸窒化物層を形成する際の条件と同様であり、実施例1における酸窒化物層の組成は、製造例2における酸窒化物層の組成と同様であると考えられる。
[比較例3]
光学機能多層膜を形成する工程において、第二の低屈折率層の厚みが82nmとなるように成膜条件を調整したこと及び酸窒化物を形成しなかったことを除き、実施例1と同様の方法で光学積層体を作製した。比較例3において第二の低屈折率層を形成する際の条件は、比較例1において透明基材上に層を形成する際の条件と同様であり、比較例1における酸窒化物層の組成と同様であると考えられる。
Figure 2024058057000004
(2-1)耐擦傷性試験
JIS L0849に準拠した摩擦試験機I形を用いて、実施例1、比較例3の光学積層体(試験片)の表面に沿って、摩擦体を水平往復運動させ、試験片を得た。
摩擦体としてスチールウール(ボンスター株式会社製 #0000番)を用いた。試験設定は、荷重1kg/cm、ストローク75mm、速度60rpmとした。摩擦体の水平往復回数は、2000回のものと3000回のものを用意した。
全自動接触角計DM-700(協和界面化学株式会社製)を用い、以下の条件で楕円フィッティング法によって測定した。蒸留水をガラスシリンジに入れて、その先端にステンレス製の針を取り付けて、実施例3、比較例3の光学積層体(試験片)に純水を滴下した。
純水の滴下量:2.0μL
測定温度:25℃
純水を滴下して4秒経過後の接触角を、試験片表面の任意の6か所で測定し、その平均値を純水接触角とした。
摩擦後の試験片の接触角を測定し、摩擦前と2000回水平往復運動させた摩擦後の試験片及び3000回水平往復運動させた摩擦後の試験片の接触角差を求めることで、純水接触角を算出した。試験は摩擦後30分以内に実施した。
(2-2)耐アルカリ性試験
実施例1、比較例3の光学積層体(試験片)の光学特性を測定した(処理前サンプル)。
次に、濃度0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液(試薬)を調整した。
そして、実施例1~4、比較例1~2の光学積層体(試験片)に、内径38mmの円筒状部材を密着させ、その中に試薬を滴下し、ガラス板で上面開口に蓋をした。そして、液温55℃に保って4時間静置後、各試験片を蒸留水で洗浄し、処理後サンプルを得た。
上述した処理前サンプルおよび処理後サンプルの裏面を透明テープで黒色アクリル板に貼着し、裏面反射を無くした。そして、光学特性を測定した。
光学測定には、積分球分光測色計(SP-64:X-rite株式会社製)を使用した。設定は、D65光源、10°とし、処理前サンプルおよび処理後サンプルのSCI(Specular Component Include、正反射光を考慮に入れた反射色の測定方法)による下記式(2)で示されるL(CIE1976に準拠)値の変化量であるΔE値を算出した。なお、上記式(2)中におけるL0、a0、b0として、処理前サンプルの値を代入し、L1、a1、b1として、水酸化ナトリウム水溶液に接触させた後の処理後サンプルの値を代入した。
Figure 2024058057000005
実施例1及び比較例3の耐擦傷性試験及び耐アルカリ性試験の測定結果、摺動試験前の純水接触角、並びに耐アルカリ性試験前の色度及び明度を表3に纏める。実施例1の光学積層体では、比較例1の光学積層体と比べ、耐擦傷性試験の純水接触角が大きく、耐擦傷性を向上できていることが確認された。また、耐アルカリ性試験において、上記式(2)で表される色相変化に関する指標ΔE値が小さく、耐アルカリ性も向上していることが確認された。
Figure 2024058057000006
表3に示す結果によれば、実施例1では、比較例3と比べ耐擦傷性試験での接触角差が小さく、高い擦傷性を有することが確認された。また、実施例1では、耐アルカリ性試験でのΔE値が著しく抑制されており、光学機能多層膜の最表面に酸窒化物層を形成することにより、アルカリ成分の侵入が防止されたことにより、高い耐アルカリ性を奏すると考えられる。
11:透明基材、12:ハードコート層、13:密着層、14:高屈折率層、14a:第一の高屈折率層、14b:第二の高屈折率層、15:低屈折率層、15a:第一の低屈折率層、15b:第二の低屈折率層、16:酸窒化物層、17:防汚層、20:光学機能多層膜、100,101:光学積層体

Claims (9)

  1. 透明基材と、密着層と、第一の高屈折率層と、第一の低屈折率層と、第二の高屈折率層と、第二の低屈折率層と、をこの順に備える光学積層体であって、
    前記第二の低屈折率層の透明基材とは反対側の表面に、ケイ素の酸窒化物からなる酸窒化物層をさらに備える、光学積層体。
  2. 前記第二の低屈折率層の厚みが20nm以上95nm以下であり、前記酸窒化物層の厚みが5nm以上50nm以下である、請求項1に記載の光学積層体。
  3. 前記酸窒化物層に於ける酸素の含有量が50atm%以上67atm%以下であり、窒素の含有量が0.5atm%以上12atm%以下である、請求項1に記載の光学積層体。
  4. 前記酸窒化物層に於ける酸素の含有量が60atm%以上67atm%以下であり、窒素の含有量が0.5atm%以上3.0atm%以下である、請求項1に記載の光学積層体。
  5. 前記酸窒化物層は、波長550nmの光の屈折率が、1.48を超え、1.70以下である、請求項1に記載の光学積層体。
  6. 前記透明基材と前記密着層との間にハードコート層をさらに備える、請求項1に記載の光学積層体。
  7. 前記酸窒化物層の前記第二の低屈折率層とは反対側の面に、防汚層をさらに備える、請求項1に記載の光学積層体。
  8. 前記防汚層は、蒸着膜である、請求項7に記載の光学積層体。
  9. 請求項1~8のいずれか一項に記載の光学積層体を備える、物品。
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