JP2024057647A - タッピング検査システム及びタッピング検査方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】作業者が手作業で行うタッピング検査において作業者ごとのスキル依存性を低減することである。【解決手段】タッピング検査システムは、検査箇所を叩くための手持ち式のハンマと、前記ハンマで叩くべき目標位置を前記検査箇所に重畳表示させる表示装置と、前記ハンマで前記検査箇所を叩いた場合に生じる発生音を収集するデバイスと、前記検査箇所を前記ハンマで叩いた位置を検出する位置検出装置と、前記デバイスで収集された前記発生音を前記位置検出装置で検出された前記位置と関連付けて検査記録として保存する記憶装置とを有するものである。【選択図】 図1

Description

本発明の実施形態は、タッピング検査システム及びタッピング検査方法に関する。
ハンマで検査箇所を叩き、発生する打撃音に基づいて検査対象の良否を判定する検査法としてタッピング検査が知られている(例えば特許文献1、特許文献2及び特許文献3参照)。航空機の整備検査においても、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP:Glass Fiber Reinforced Plastics)や炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics)等の繊維強化プラスチック(FRP:Fiber Reinforced Plastics)で構成される部品やヘリコプタの部品が、タッピング検査の対象となっている。
航空機は大型であり、かつ移動することから航空機のタッピング検査は検査員や整備士等の作業者が検査箇所付近まで移動することによって行われる。例えば、固定翼機の主翼のように検査箇所が高所である場合には、作業者が高所作業車に乗って検査箇所付近まで移動する。そして、作業者がハンマを握り、航空機部品の検査箇所をハンマで叩くことによって行われる。すなわち、検査箇所にハンマで衝撃を与えると衝撃音が生じるため、作業者は衝撃音に基づいて損傷の有無等を検査することができる。
特開2015-179050号公報 国際公開第2019/230687号 特開2020-003240号公報
作業者の手作業によって行われる従来のタッピング検査は、作業者のスキルに頼るところが大きい。具体的には、内部構造に応じたハンマの適切な打撃位置やハンマによる衝撃荷重の強さの判断はもちろん、打撃音に基づく検査結果の判断を適切に行うためには作業者のスキルを要する。つまり、作業者によるタッピング検査は、検査条件の決定も検査結果の取得も作業者のスキルに依存する。
そこで、本発明は、作業者が手作業で行うタッピング検査において作業者ごとのスキル依存性を低減することを目的とする。
本発明の実施形態に係るタッピング検査システムは、検査箇所を叩くための手持ち式のハンマと、前記ハンマで叩くべき目標位置を前記検査箇所に重畳表示させる表示装置と、前記ハンマで前記検査箇所を叩いた場合に生じる発生音を収集するデバイスと、前記検査箇所を前記ハンマで叩いた位置を検出する位置検出装置と、前記デバイスで収集された前記発生音を前記位置検出装置で検出された前記位置と関連付けて検査記録として保存する記憶装置とを有するものである。
また、本発明の実施形態に係るタッピング検査方法は、上述したタッピング検査システムを用いて航空機のタッピング検査を行うものである。
本発明の実施形態に係るタッピング検査システムの概略構成図。 図1に示すハンマの詳細構成例を示す図。 図1に示すデータ処理装置及びヘッドマウントディスプレイ(HMD:Head Mounted Display)の機能ブロック図。 図1に示すタッピング検査システムでタッピング検査を行う検査対象の候補となる固定翼航空機の一例を示す斜視図。 図4に例示される固定翼航空機の主翼が有する典型的な構造例を示す主翼の位置A-A付近における部分横断面図。 図5に示す主翼の位置Bにおける部分拡大図。 図5に示す主翼を作業者が矢視方向Cから見た場合に主翼に重畳表示させるガイド情報の例を示す図。 図1に示すタッピング検査システムで検査対象のタッピング検査を行う際における流れの一例を示すフローチャート。 タッピングの目標位置を含むガイド情報の検査対象への重畳表示を行った後、実際のタッピング位置の評価を行う場合におけるより詳細な作業と処理の流れの一例を示すフローチャート。 タッピング検査記録データに基づいて検査対象の診断を行う際のより詳細な作業と処理の流れの一例を示すフローチャート。
本発明の実施形態に係るタッピング検査システム及びタッピング検査方法について添付図面を参照して説明する。
(タッピング検査システムの構成及び機能)
図1は本発明の実施形態に係るタッピング検査システムの概略構成図である。
タッピング検査システム1は、検査員や整備士等の作業者が手作業で検査対象Oのタッピング検査を行うためのシステムである。このため、タッピング検査システム1は、検査対象Oの検査箇所を叩くための手持ち式のハンマ2を有する。加えて、タッピング検査システム1は、ハンマ2との間において無線でデータを送受するデータ処理装置3と、データ処理装置3との間において無線でデータを送受する拡張現実(AR:Augmented Reality)又は複合現実(MR:Mixed Reality)用のヘッドマウントディスプレイ(HMD)4を有する。HMD4は、ゴーグルと呼ばれる場合もある。
タッピング検査の検査対象Oが航空機の主翼や胴体である場合には図1に例示されるように作業者が高所作業車に搭乗してタッピング検査が行われる場合もある。このため、データ処理装置3とハンマ2及びHMD4との間において有線接続によって通信を行うようにしても良いが、図1に例示されるように無線通信を行うことが実用性の向上に繋がる。
図2は図1に示すハンマ2の詳細構成例を示す図である。
ハンマ2には、作業者が手で握るためのグリップ5に加えて、マイクロフォン6A等の音波を検出するためのデバイス6、センサ群7、メモリ8及び通信装置9が取付けられる。また、必要に応じてハンマ2にはリストバンド10を付属させることもできる。図2に示す例では、ハンマ2に付属するリストバンド10にメモリ8及び通信装置9が設けられ、マイクロフォン6A等のデバイス6、センサ群7、メモリ8及び通信装置9が着脱可能な通信ケーブル11Aを含む信号線11で互いに接続されている。もちろん、メモリ8及び通信装置9の少なくとも一方をハンマ2に直接設けても良い。
マイクロフォン6Aは、ハンマ2で検査箇所を叩いた場合に生じる発生音を収集するデバイス6である。このため、図2に示すように発生音を収集し易いハンマ2の先端付近かつ衝撃がある程度小さくなる部分に配置することができる。尚、発生音は、音声ではない音であることから、単純な振動波形として収集することもできる。従って、マイクロフォン6Aに代えて、或いはマイクロフォン6Aに加えて、超音波センサ6Bや圧電素子等の振動センサを、発生音を収集するためのデバイス6として使用しても良い。
図2に例示されるようにハンマ2に超音波センサ6Bを設けると、ハンマ2で検査箇所を叩いた場合に生じる超音波を検出することが可能となる。このため、作業者が聞くことが可能な20Hzから20kHzの周波数帯域において雑音が大きい場合であっても、20kHz以上の超音波の周波数帯域において雑音が小さければ、検査箇所の状態を表す特性を有する超音波振動を検出することができる。
その結果、超音波振動の強度(振幅)は、作業者が聞くことが可能な周波数における音波の強度に比べて小さいものの、超音波振動の検出感度を十分に確保すれば、騒音が大きい環境下であってもタッピング検査を行うことが可能となる。実用的な運用例として、図2に例示されるようにハンマ2にマイクロフォン6Aと超音波センサ6Bの双方を設ければ、騒音が小さい静かな環境下では振幅が大きい衝撃音をマイクロフォン6Aで収集する一方、騒音が大きい環境下では超音波振動を超音波センサ6Bで収集することが可能となる。
センサ群7は、ハンマ2で検査箇所を叩いた際の衝撃荷重及び打撃位置等の打撃条件を検出するためのセンサである。ハンマ2による打撃位置を検出することによって、検査箇所を特定することができる。また、ハンマ2で検査箇所を叩いた際の衝撃荷重も記録しておけば、発生音に加えて衝撃荷重の違いによる影響を考慮することによってタッピング検査の精度を向上させることができる。
ハンマ2で検査箇所を叩いた際の衝撃荷重は、ハンマヘッド2Aの歪量変化として歪センサ7Aで測定することができる。このため、歪センサ7Aは、ハンマ2で検査箇所を叩いた場合に歪量が変化し易いハンマヘッド2Aに設けることが適切である。歪センサ7Aとしては、典型的な歪ゲージの他、FBG(Fiber Bragg Grating)センサや位相シフト(PS:Phase-Shifted)FBGセンサ等の光ファイバセンサを用いても良い。
一方、検査箇所をハンマ2で叩いた際の打撃位置は、ハンマヘッド2Aの先端における位置を検出するように構成された位置検出装置7Bで検出することができる。このため、位置検出装置7Bもハンマヘッド2Aに設けることができる。代表的な位置検出装置7Bとしては、慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)が挙げられる。IMUは、直行3軸方向における並進運動と回転運動を検出することによって対象物の位置を検出する装置である。並進運動は加速度センサで、回転運動は角速度(ジャイロ)センサで、それぞれ検出される。従って、IMUは3軸方向の加速度センサと3軸方向の角速度センサを組合わせて構成される複合センサとも言える。
マイクロフォン6A等のデバイス6で収集したタッピング音と、センサ群7で測定した打撃条件を表すパラメータの各値は、信号線11を介してデジタルデータとしてメモリ8に出力及び記録することができる。通常、ハンマ2で衝撃を与えるべき位置は複数あり、同じ検査箇所のタッピング検査は定期的に行われることから、タッピング検査で収集した発生音は、打撃位置のみならず衝撃を与えた日時と関連付けて記録することが適切である。
そこで、メモリ8は、クロック内蔵の記憶装置で構成することができる。これにより、メモリ8には、作業者が使用したハンマ2から収集された情報を、時刻と関連付けて時系列データとして記録することができる。具体的には、マイクロフォン6A等のデバイス6で収集された発生音、歪センサ7Aで測定された衝撃荷重、位置検出装置7Bで検出された打撃位置を日時と関連付けて検査記録データとしてメモリ8に保存することができる。
通信装置9は、データ処理装置3との間において無線通信を行うためのアンテナと、無線通信に必要な回路基板で構成される。このため、メモリ8に保存した検査記録データは、メモリ8と信号線11で接続された通信装置9からデータ処理装置3に転送することができる。
図3は図1に示すデータ処理装置3及びHMD4の機能ブロック図である。
データ処理装置3は、入力装置20、表示装置21、演算装置22及び記憶装置23に加えてハンマ2側の通信装置9との間における無線通信用の通信装置24を備えたコンピュータ25等の電子回路にデータ処理プログラムを読込ませて構築することができる。
データ処理装置3は、タッピング検査の検査記録データを保管する検査記録サーバとしての機能に加えて、ハンマ2で叩くべき目標位置をHMD4に表示させるガイド機能を有している。また、データ処理装置3には、タッピング検査の検査記録データに基づいて、損傷の有無の判定など検査記録データの分析を行う機能や分析の結果を検査結果データとして保存する検査結果記録サーバとしての機能を設けることができる。
具体例として、データ処理プログラムによってコンピュータ25からなるデータ処理装置3を、設計図面情報データベース26、打撃位置ガイド部27、検査記録取得部28、検査記録データベース29、基準情報データベース30、診断・検査結果取得部31及び診断・検査結果データベース32として機能させることができる。
一方、典型的なHMD4は、表示装置4Aに加えて、通信装置4B及び位置検出装置4Cを備えている。位置検出装置4Cは、HMD4の位置及び視野を検出する装置であり、IMU又は光学カメラ等を用いて構成される。もちろん、GPS(Global Positioning System)信号等の電波信号を利用してHMD4の位置及び視野を検出するタイプのHMD4を用いても良い。また、HMD4がMR機能を有する場合には、表示装置4Aへの表示対象となる情報を操作したり、アノテーションを記録したりできるようにマイクロフォン等の入力装置4DもHMD4に備えらえる。
データ処理装置3の設計図面情報データベース26には、タッピング検査の対象となる検査対象Oの部位又は部品の設計図面にハンマ2で叩くべき目標位置を関連付けた情報が保存される。検査対象Oの設計図面は2次元(2D:two-dimensional)の図面として表示させるための情報であるが、検査対象Oの空間位置と3次元(3D:three-dimensional)的に関連付けられる。
また、設計図面情報データベース26には、検査対象Oの設計図面に付帯する情報として、作業者が参照する作業手順書に記載されている情報を保存することもできる。尚、ハンマ2で叩くべき検査対象Oの目標位置は、作業者が参照する作業手順書に記載されている情報の一部に相当する。
打撃位置ガイド部27は、設計図面情報データベース26に保存された検査対象Oの設計図面とハンマ2で叩くべき目標位置に基づいて、ハンマ2で叩くべき目標位置が検査対象Oに重畳表示されるように、ハンマ2で叩くべき目標位置をHMD4に表示させる機能を有する。HMD4には、ハンマ2で叩くべき目標位置のみならず、設計図面も表示させることができる。
尚、設計図面情報データベース26に、検査対象Oの各部における2D設計図面、検査対象Oの3D-CG(Computer Graphics)モデルや3D-CAD(computer-aided design)データ等の3D設計情報及びタッピングの目標位置を別々に保存しておき、打撃位置ガイド部27が空間的な位置合わせを行って関連付けるようにしても良い。
図4は図1に示すタッピング検査システム1でタッピング検査を行う検査対象Oの候補となる固定翼航空機の一例を示す斜視図、図5は図4に例示される固定翼航空機の主翼が有する典型的な構造例を示す主翼の位置A-A付近における部分横断面図、図6は図5に示す主翼の位置Bにおける部分拡大図である。
例えば、図4に例示されるような固定翼航空機40の主翼41をタッピング検査の対象とすることができる。典型的な固定翼航空機40の主翼41は燃料タンクを兼ねており、中空のボックス構造となっている。
具体的には、図5に示すようにUPPERパネル(上面外板)42とLOWERパネル(下面外板)43がフロントスパー(前桁)44とリアスパー(後桁)45で連結され、これらの間に形成される空間が航空燃料を充填するためのスペースとして利用される。また、UPPERパネル42とLOWERパネル43は、ストリンガ(縦通材)、リブ(小骨)及びフレーム(助材)等の補強材で補強される。
図5に示す例では、横断面がハット型である複数のハット型ストリンガを連結した構造を有するコルゲート(波形)ストリンガ46でUPPERパネル42とLOWERパネル43が補強されており、コルゲートストリンガ46の各ハット部分の内部には、発泡材47が充填されている。UPPERパネル42やLOWERパネル43等のパネルやコルゲートストリンガ46等の補強材はアルミニウム等の金属の他、CFRP等のFRPで構成される場合がある。
また、典型的な主翼41のパネルには、燃料タンクにアクセスするためのアクセスホール48が設けられ、アクセスホール48のカバー周辺ではパネルの強度を確保するために図6に示すように板厚を増加させたパッドアップ部49が形成される場合が多い。
このように複雑な構造を有する主翼41を外部からハンマ2で叩くと、材質と構造に応じたタッピング音が生じる。また、損傷や亀裂等の欠陥が生じると、タッピング音が変化する。このため、異常なタッピング音を捉えることによって、主翼41に欠陥が生じているか否かを検査することができる。
但し、主翼41の外部から複雑な主翼41の内部構造を視認することはできない。すなわち、タッピング検査の作業者は、主翼41の外部しか見ることができない。このため、作業者は、内部構造を視認せずに作業手順書で指示された所定の位置をハンマ2で叩くことになる。
そこで、作業者が身に着けるHMD4の表示装置4Aに、実際の検査対象Oの検査箇所に合わせてハンマ2で叩くべき目標位置を表示させることができる。そうすると、ハンマ2で叩くべき目標位置をARとして検査箇所に重畳表示させることができる。つまり、HMD4を、ハンマ2で叩くべき目標位置を検査箇所に重畳表示させる表示装置として機能させることができる。
これにより、作業者の熟練度を要することなく、適切な位置をハンマ2で叩くことが容易となる。すなわち、作業者は、検査対象Oの現実の目印からの距離等を把握せずにHMD4を通じてマーキングされた目標位置をハンマ2で叩くことができる。
検査対象Oには、上述したようにハンマ2で叩くべき目標位置のみならず、検査対象Oの設計図面も重畳表示させることができる。その場合、検査対象Oの設計図面には、作業者が目視できる外観を表す輪郭線に限らず、作業者が目視できない内部の構造を表す輪郭線も表示することが適切である。これは、ハンマ2で叩く目標位置の板厚や内部に配置される構造物の有無によってタッピング検査によって生じる発生音が変化するためである。
図7は図5に示す主翼41を作業者が矢視方向Cから見た場合に主翼41に重畳表示させるガイド情報の例を示す図である。
図5に示す主翼41のLOWERパネル43を作業者が矢視方向Cから見る場合、作業者は主翼41の下方からLOWERパネル43を見上げることになる。すなわち、作業者からは主翼41内部のコルゲートストリンガ46は見えないが、コルゲートストリンガ46の各ハット部分の長さ方向が、上を見上げた作業者の目線にとっての上下方向となる。
そこで、図7に例示されるように、コルゲートストリンガ46のハット部分の輪郭線を含む検査対象Oの設計図面を、コルゲートストリンガ46のハット部分の長さ方向が作業者の目線に対して上下方向となるようにHMD4の表示装置4Aに表示させることができる。つまり、作業者の目線に合わせて検査対象Oの設計図面をHMD4の表示装置4Aに表示させることができる。
より具体的には、実際のコルゲートストリンガ46の輪郭と設計図面のコルゲートストリンガ46の輪郭線が重なるようにコルゲートストリンガ46のハット部分の輪郭線を含む検査対象Oの設計図面を表示装置4Aに表示させることができる。これにより、作業者は、実際には視認できないコルゲートストリンガ46のハット部分の位置を把握することができる。
また、図7に例示されるようにタッピング検査の対象となる、ハンマ2で叩くべき目標位置がHMD4の表示装置4Aに表示される。すなわち、実際の検査対象Oのタッピング位置と一致するように、HMD4の表示装置4Aにハンマ2で叩く目標位置が所望の図形と色でマーキング表示される。これにより、作業者は現実には検査対象Oに存在しないARによるマーキングを目標位置としてハンマ2で叩くことが可能となる。
特に、コルゲートストリンガ46の各ハット部分とLOWERパネル43との接合部分は、タッピング検査の対象となることが多い。このため、ハンマ2で叩くべき目標位置は、図7に例示されるようにコルゲートストリンガ46の各ハット部分の輪郭線に沿って配列されることになる。
これに対して、作業者は、実際には視認できないコルゲートストリンガ46のハット部分との相対位置を把握しながらLOWERパネル43の目標位置をハンマ2で叩くことが可能となる。その結果、ハンマ2で叩いた際に生じるタッピング音が、コルゲートストリンガ46の位置及び構造に応じた適切な音となっているかどうかを作業者が容易に把握することができる。これはコルゲートストリンガ46に限らず、様々な横断面形状を有するストリンガ、スパー、リブ、フレーム等の補助部材やアクセスホール48の周辺におけるパッドアップ部49についても同様である。
尚、検査対象Oの図面情報として、図7に例示されるように、寸法線の他、固定翼航空機40の機体座標系等における検査対象Oの座標、固定翼航空機40の識別情報、タッピング検査の対象となる部品の識別情報及び作業手順書に記載される情報を表示させるようにしても良い。これにより、作業者のミスを一層確実に抑止することができる。
図7に例示されるように、タッピング検査の目標位置と、検査箇所における内部の視認できない部分の輪郭を含む図面を検査箇所に重畳表示させるためには、HMD4の表示装置4Aに表示させるコルゲートストリンガ46やLOWERパネル43等の検査対象Oの2D設計図面及び各タッピング位置を、固定翼航空機40の機体全体、構造要素或いは部品の空間位置と3次元的に関連付けて設計図面情報データベース26に保存する他、固定翼航空機40の位置の同定、HMD4の位置及び向きの同定並びに固定翼航空機40とHMD4との間における相対的な位置合わせを打撃位置ガイド部27において行うことが必要となる。
簡易に固定翼航空機40の位置を同定する方法としては、図4に例示されるようにタッピング検査の対象となる固定翼航空機40を所定の停止位置Pに配置する方法が挙げられる。その場合には、入力装置20の操作によって固定翼航空機40の停止位置Pを打撃位置ガイド部27に通知することができる。
もちろん、固定翼航空機40を任意の位置に配置し、光学カメラで固定翼航空機40を撮影したり、固定翼航空機40に搭載されるIMU又はGPS受信機を利用したりして、固定翼航空機40の位置を同定するようにしても良い。その場合には、同定した固定翼航空機40の位置を無線等のネットワークを介して打撃位置ガイド部27に通知するようにしても良い。
一方、HMD4の位置及び向きは、AR用のHMD4であれば通常備わっているHMD4の位置検出装置4Cで検出することができる。検出したHMD4の位置及び向きは、HMD4の通信装置4B及びデータ処理装置3の通信装置24を介してリアルタイムに無線で打撃位置ガイド部27に転送することができる。
固定翼航空機40の位置の同定と、HMD4の位置及び向きの同定が完了すると固定翼航空機40とHMD4との間における相対的な位置合わせを行うことができる。この位置合わせが完了すると、設計図面情報データベース26に保存されているタッピング位置と2D図面が現実の検査対象Oに重畳表示されるようにHMD4の位置及び向きに応じてHMD4の表示装置4Aに表示させることが可能となる。
検査対象Oに重畳表示された目標位置を作業者がハンマ2で叩くと、発生音、衝撃荷重及び打撃位置が互いに関連付けられて時刻とともにタッピング検査の検査記録データとしてハンマ2に付属するメモリ8に保存されるが、この検査記録データはデータ処理装置3に転送して保存することができる。
検査記録取得部28は、ハンマ2に付属するメモリ8に保存されたタッピング検査の検査記録データを取得して検査記録データベース29に保存する機能を有する。タッピング検査の検査記録データには、整備士や検査員等の作業者の識別情報を付加しても良い。また、検査対象Oの設計図面に検査記録データを重畳表示又はリンク表示できるように、検査対象Oの設計図面も検査記録データに含めることができる。このため検査記録データベース29には、固定翼航空機40の機体や部品等の検査対象Oの識別情報と関連付けられたタッピング検査の検査記録データが蓄積される。
検査記録データに含める検査対象Oの設計図面は、設計図面情報データベース26から取得することができる。或いは打撃位置ガイド部27から検査記録取得部28に検査対象Oの設計図面を与えるようにしても良い。また、タッピング検査の検査記録データに様々な情報を付帯させる機能は、ハンマ2に設けても良い。すなわち、ハンマ2にディスプレイや入力装置等のユーザインターフェースを設け、データ処理装置3の端末としても良い。
基準情報データベース30には、検査対象Oが良品である場合におけるタッピング音を表す情報が基準情報として保存される。良品のタッピング音は、例えば検査対象O又は部品の製造後間もない時期に取得しておき、音波の波形データ自体又は周波数解析結果など音波の波形データの特徴を表す所望の信号処理後の情報として保存することができる。良品のタッピング音は、タッピング位置ごとに異なる場合があるため、タッピング位置ごとに良品のタッピング音を表す情報が基準情報として保存される。
また、図2に例示されるように、ハンマ2に超音波センサ6Bを取付けて超音波振動を収集する場合には、音波の波形データを表す基準情報を、超音波の波形データを表す情報としても良い。
診断・検査結果取得部31は、検査記録データベース29に保存されたタッピング検査の検査記録データに基づいて検査対象Oの診断を行い、損傷や亀裂等の欠陥の有無を判定する機能と、欠陥の有無の判定結果を検査結果データとして診断・検査結果データベース32に保存する機能を有する。また、診断・検査結果取得部31には、タッピング検査の検査結果に基づく様々なレポートの作成機能を設けることもできる。
基準情報データベース30に基準情報が保存されている場合には、検査記録データベース29に保存されたタッピング検査の検査記録データに含まれるタッピング音の波形と、基準情報を比較することによって欠陥の有無を判定することができる。すなわち、タッピング位置に欠陥が存在するとタッピング音が異常な音となり、音波の波形が変化する。これに対して、基準情報として音波の基準波形が保存されている場合には、基準波形は欠陥が存在しない場合における波形であるため、基準波形と、検査記録データに含まれる波形との間における2乗誤差や相互相関値等の乖離量を表す指標値が許容範囲を超えた場合には、対応するタッピング位置付近に欠陥があると判定することができる。また、基準波形と、検査記録として取得された波形との間における周波数の差や比が許容範囲を超えたかどうかを判定するようにしても良い。
他に、信号処理後におけるタッピング音の波形を基準情報と比較するようにしても良い。その場合には、基準情報も信号処理後における良品のタッピング音の波形とすることが現実的である。信号処理の具体例としては、LPF(Low Pass Filter)やHPF(High Pass Filter)等を用いたフィルタ処理、移動平均化処理等の平滑化処理、フーリエ変換やウェーブレット変換等の周波数解析処理並びに包絡線検波処理が挙げられる。
基準情報データベース30に基準情報が保存されていない場合であっても、欠陥が無ければ実質的に同じ特性を有するタッピング音が生じる複数のタッピング位置をハンマ2で叩く場合には、複数のタッピング位置から取得された検査記録データに含まれる波形同士の比較によって、欠陥の有無を判定することができる。すなわち、検査記録データとして取得された複数の音波の波形同士を比較し、許容範囲を超えて他の波形から変化した波形を有する音波が生じたタッピング位置を、付近に欠陥が生じた位置と判定することができる。もちろん、この場合においても所望の信号処理後の波形同士を比較しても良い。
特に図7に例示されるコルゲートストリンガ46の各ハット部分のように、類似の構造を有する複数の航空機部品が規則的に配置される場合がある。そのような場合には、上述したように検査記録データに含まれる波形同士の比較が可能であるのみならず、基準情報データベース30に保存するべき基準情報を、代表するタッピング位置についての基準情報に限定することができる。換言すれば、代表するタッピング位置についての基準情報を他のタッピング位置についての基準情報として用いることが可能となる。
欠陥の有無の判定には、タッピング音の波形に加えて、作業員が実際にハンマ2で叩いた打撃位置や衝撃荷重も用いることができる。すなわち、タッピング音とともにハンマ2から収集した、検査記録データに含まれる情報を、検査対象Oの診断に用いることができる。これにより、タッピング検査の診断精度を向上することができる。
具体的には、実際の打撃位置と目標位置とを比較することによって、実際の打撃位置の誤差を求めることができる。同様に衝撃荷重についても、作業手順書等に記載されている理想的な衝撃荷重と、実際に測定された衝撃荷重を比較することによって、作業者が負荷した衝撃荷重の誤差を求めることができる。このため、打撃位置及び衝撃荷重の少なくとも一方の誤差が許容範囲を超えている場合には、タッピング音の波形が許容範囲を超えて変化している場合であっても、再検査を要する等の判定とすることができる。つまり、タッピング検査の不適切な検査条件を原因とする欠陥の誤検出を回避することができる。
また、打撃位置や衝撃荷重等の条件を徐々に変化させながら、ハンマ2で欠陥が存在しないことが確認されている検査対象Oの同一の検査箇所を複数回叩いてタッピング音の波形を収集すれば、打撃位置や衝撃荷重等の条件ごとのタッピング音の波形変化を捉えることができる。このため、打撃位置や衝撃荷重等の条件ごとに基準情報を取得したり、打撃位置や衝撃荷重等の条件に応じて検査記録データに含まれるタッピング音の波形を較正したりすることが可能となる。その結果、検査精度の向上を図ることができる。
検査対象Oの各タッピング位置における欠陥の有無の判定結果が得られると、検査対象Oの検査結果データとして診断・検査結果データベース32に保存することができる。検査結果データは、検査記録データに欠陥の有無の判定結果を付加したデータとすることができる。また、検査結果データには、打撃位置や衝撃荷重等のタッピング検査の条件が適切であったか否か、つまりタッピング検査自体の適否を含めることもできる。
このため、診断・検査結果データベース32には、固定翼航空機40の機体や部品等の検査対象Oの識別情報と関連付けられた、各検査箇所における欠陥の有無を表すタッピング検査の検査結果データが蓄積される。
診断・検査結果データベース32にタッピング検査の検査結果が十分に蓄積された場合には、人工知能(AI:Artificial Intelligence)に機械学習させて検査記録データに基づく検査対象Oの診断を行うようにしても良い。すなわち、入力データを、タッピング音を含む検査記録データとする一方、出力データを、欠陥の有無を含む検査結果データとする深層ニューラルネットワーク(DNN:Deep Neural Network)で検査対象Oの検査結果データを求める機能を診断・検査結果取得部31に設けることができる。この場合、検査記録データベース29に保存された検査記録データと、診断・検査結果データベース32に保存された検査結果データの組合せを教師データとしてDNNを機械学習させることができる。
また、図4に例示される固定翼航空機40を対象とするタッピング検査の検査結果は、主として耐空性検査のエビデンスとして活用される。このため、耐空性検査用のレポートを作成する機能を診断・検査結果取得部31に設けることもできる。
(タッピング検査方法)
次にタッピング検査システム1を用いた固定翼航空機40等の検査対象Oのタッピング検査方法について説明する。
図8は図1に示すタッピング検査システム1で検査対象Oのタッピング検査を行う際における流れの一例を示すフローチャートである。
まずステップS1において、HMD4を利用して、検査対象Oの検査箇所にハンマ2で叩くべき目標位置がガイド情報として重畳表示される。具体例として、図5に例示されるような固定翼航空機40のLOWERパネル43に、ハンマ2で叩くべき目標位置がHMD4を通じて重畳表示される。固定翼航空機40のLOWERパネル43等の検査対象Oの検査箇所には、図7に例示されるようにハンマ2で叩くべき目標位置に加えて検査対象Oの内部構造を表す輪郭線が描かれた設計図面も重畳表示することができる。
このため、ステップS2において、作業者による目標位置へのタッピングが行われる。すなわち、目標位置がハンマ2で叩かれる。次に、ステップS3において、タッピング音とともに実際にハンマ2で叩いた打撃位置及び衝撃荷重等のタッピング条件が収集及び記録される。
具体的には、図2に例示されるようにハンマ2に取付けたマイクロフォン6A及び超音波センサ6Bの少なくとも一方からなるデバイス6でタッピング音が収集される。また、ハンマヘッド2Aに埋め込まれた歪センサ7Aで衝撃荷重が、ハンマヘッド2Aに埋め込まれたIMU等の位置検出装置7Bで打撃位置が、それぞれ検出される。タッピング音、衝撃荷重及び打撃位置は、日時と関連付けられて検査記録データとしてメモリ8に保存される。
そして、ステップS1からステップS3までの、タッピングの目標位置を含むガイド情報の重畳表示、目標位置へのタッピング及び検査記録データのメモリ8への保存は、ステップS4において、全ての検査箇所における検査記録データが取得及び保存されたと判定されるまで繰返される。ステップS4において、全ての検査箇所における検査記録データが取得及び保存されたと判定されると、ステップS5において、検査記録データがデータ処理装置3に転送され、検査記録データベース29に保存される。或いは、ステップS4の判定を省略して検査記録データをデータ処理装置3に随時転送するようにしても良い。
具体的には、ハンマ2に付属するメモリ8に記録された検査記録データが、通信装置9を介して図3に例示されるような構成を有するデータ処理装置3に無線で転送される。そうすると、データ処理装置3の検査記録取得部28が通信装置9を介して検査記録データを取得し、検査記録データベース29に保存する。検査記録データベース29に検査記録データが保存されると、診断・検査結果取得部31において検査記録データの分析を行うことが可能となる。
図9はタッピングの目標位置を含むガイド情報の検査対象Oへの重畳表示を行った後、実際のタッピング位置の評価を行う場合におけるより詳細な作業と処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図8のステップS1におけるタッピングの目標位置を含むガイド情報の検査対象Oへの重畳表示は、図9のステップS20からステップS26までの作業と処理によって行うことができる。
具体的には、ステップS20において、固定翼航空機40等の検査対象Oが、図4に例示されるように所定の停止位置Pとして定められた基準位置に設置される。これにより、検査対象Oの位置が確定する。検査対象Oの停止位置Pは入力装置20の操作等によって予め打撃位置ガイド部27に通知しておくことができる。このため、打撃位置ガイド部27において検査対象Oの位置を同定することができる。
一方、ステップS21において、図1に例示されるようにHMD4を装着した作業者が基準位置に立って基準位置を見れば、HMD4の初期位置と、初期の向きが確定する。このため、その後のHMD4の位置と視野は、ステップS22において、位置検出装置4Cで同定することができる。HMD4の位置検出装置4Cで同定されたHMD4の位置と視野は、通信装置4Bから無線でデータ処理装置3に転送される。これにより、打撃位置ガイド部27においてHMD4の位置と視野を同定することができる。
次にステップS23において、打撃位置ガイド部27は検査対象Oの位置と、HMD4の位置及び視野を統合する。これにより、検査対象OとHMD4との間における相対的な位置関係が特定される。すなわち、共通の座標空間における座標や領域として検査対象Oの位置と、HMD4の位置及び視野を表すことが可能となる。
一方、ステップS24において、打撃位置ガイド部27は設計図面情報データベース26から取得した検査対象Oの2D図面情報を含む3D設計情報と、タッピングの目標位置を定めた作業手順書情報を統合することによって、2D図面上にタッピングの目標位置を重ね合わせたガイド情報を作成することができる。尚、ガイド情報は、上述したように予め統合した状態で設計図面情報データベース26に保存しても良い。
次にステップS25において、打撃位置ガイド部27は、検査対象Oの位置、HMD4の位置及び視野と、2D図面上にタッピングの目標位置を重ね合わせたガイド情報の空間的なマッチングを行う。これにより、現実空間とデジタル空間の結合が完了し、ARが可能となる。
次にステップS26において、打撃位置ガイド部27は、HMD4の最新の視野に合わせてリアルタイムにガイド情報を無線によりHMD4の表示装置4Aに出力する。これにより、タッピングの目標位置と検査対象Oの2D図面が、HMD4を装着した作業者にとっては現実の検査対象Oと重なって見える。
そうすると、図8のステップS2でも説明した通り、図9のステップS27において、HMD4を装着した作業者は目標位置に向けてタッピングを行うことができる。そうすると、ステップS28において、ハンマヘッド2Aに埋め込まれたIMU等の位置検出装置7Bで実際のタッピング位置が検出される。検出されたタッピング位置は図8のステップS3でも説明した通り、検査記録データの一部としてデータ処理装置3に転送され、検査記録データベース29に保存される。
検査記録データベース29に実際のタッピング位置が保存されると、ステップS29において、診断・検査結果取得部31により、ハンマヘッド2Aの位置検出装置7Bで検出された実際のタッピング位置と、タッピングの目標位置の比較を行うことができる。その結果、ステップS30において、タッピング位置の評価を行うことができる。すなわち、実際のタッピング位置が目標位置から許容範囲を超えて逸脱している場合には、タッピング位置が不適であると判定することができる。
尚、タッピングによって検査対象Oに与えた衝撃荷重についても、同様に、診断・検査結果取得部31において適切な目標荷重と比較することによって適否を判定することができる。タッピング位置及び衝撃荷重がいずれも適切であれば、図8のステップS6に示す、検査記録データに基づく検査対象Oの診断を、診断・検査結果取得部31において行うことができる。
図10はタッピング検査記録データに基づいて検査対象Oの診断を行う際のより詳細な作業と処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図8のステップS6に示す検査対象Oの診断は、例えば図10のステップS40からステップS45までの処理によって行うことができる。具体的には、ステップS40において新たな検査記録データが取得され、検査記録データベース29に保存されると、診断・検査結果取得部31は、検査記録データベース29から最も日時が新しい検査記録データを読込むようになる。これは、ステップS41に示すように検査記録データのデータクリーニングを行っていることに相当する。
次にステップS42において、診断・検査結果取得部31は、最新の検査記録データの分析を行う。具体的には、検査記録データに含まれるタッピング音の波形又は波形の特徴を表すデータと、基準情報データベース30に保存された基準情報との比較や、複数のタッピング位置から取得された検査記録データ間における比較による特異点検出によって、異常なタッピング音の有無が判定される。或いは、機械学習させたDNNで異常なタッピング音の有無の判定結果を出力情報として取得することもできる。
異常なタッピング音が検出されなかった場合には、ステップS43の判定において、診断・検査結果取得部31が、検査対象Oには欠陥が無いと判定する。この場合、ステップS44において、診断・検査結果取得部31は、合格であるという内容の検査結果データを作成し、診断・検査結果データベース32に保存する。
一方、異常なタッピング音が検出された場合には、ステップS43の判定において、診断・検査結果取得部31が、検査対象Oには欠陥が有ると判定する。この場合、ステップS45において、診断・検査結果取得部31は、異常なタッピング音が検出されたタッピング位置を含む、不合格であるという内容の検査結果データを作成し、診断・検査結果データベース32に保存する。
このため、診断・検査結果データベース32には、整備士や検査員等の作業者の識別情報、検査日時、検査対象O、部品及び部位を特定するための情報、タッピング音、打撃位置、衝撃荷重、タッピング検査の合否判定結果並びに衝撃荷重や打撃位置等のタッピング条件の適否を記録することが可能な検査結果データが保存される。
尚、検査結果が不合格となった場合には、ステップS46において、異常なタッピング音が検出されたタッピング位置付近における検査対象Oの補修を行うことができる。そして、補修後の検査対象Oに対してタッピング検査を再開し、補修が適切に行われたことを確認することができる。
(効果)
以上のようなタッピング検査システム1及びタッピング検査方法は、手持ち式のハンマ2からタッピング音を含むデータを収集できるようにする一方、ハンマ2で叩くべき目標位置をHMD4で検査対象Oの検査箇所に重畳表示させるようにしたものである。
このため、タッピング検査システム1及びタッピング検査方法によれば、ハンマ2で叩くべき目標位置を作業者が容易に把握することができる。加えて、検査対象Oの設計図面を検査箇所に重畳表示させることにより、ハンマ2で叩くべき目標位置と、検査対象Oの内部構造との位置関係を把握しながらタッピング検査を行うことができる。すなわち、検査対象Oが複雑な内部構造を有する場合であっても、作業者に適切な位置をハンマ2で叩くよう促すことができる。
一方、タッピング音に加えて、実際の打撃位置及び衝撃荷重を記録することにより、検査精度の向上を図ることができる。特に、検査箇所に重畳表示させるために使用した図面情報と関連付けて検査記録データ及び検査結果データを保管できるため、耐空性検査用のレポート等の作成が容易となる。加えて、蓄積した検査記録データ及び検査結果データを航空機部品の設計変更や新たな航空機部品の設計に役立てることができる。
(他の実施形態)
以上、特定の実施形態について記載したが、記載された実施形態は一例に過ぎず、発明の範囲を限定するものではない。ここに記載された新規な方法及び装置は、様々な他の様式で具現化することができる。また、ここに記載された方法及び装置の様式において、発明の要旨から逸脱しない範囲で、種々の省略、置換及び変更を行うことができる。添付された請求の範囲及びその均等物は、発明の範囲及び要旨に包含されているものとして、そのような種々の様式及び変形例を含んでいる。
例えば、上述した実施形態ではHMD4を用いてハンマ2で叩くべき目標位置を含むガイド情報を検査対象Oの検査箇所に重畳表示させる例を説明したが、可動式のレーザポインタやプロジェクタで検査対象Oの検査箇所にガイド情報を投影するようにしても良い。その場合には、太陽光を遮るハンガー内に固定翼航空機40等の検査対象Oを配置してタッピング検査を行うことが現実的である。この場合には、作業者とともに自由に位置及び向きが変化するHMD4に比べて、レーザポインタやプロジェクタの位置の同定が容易であるため、ガイド情報と検査対象Oとの位置合わせが容易となる。
また、上述した実施形態ではハンマ2の位置を、ハンマヘッド2Aに内蔵した位置検出装置7Bで同定する例を説明したが、光学カメラや赤外線センサ等の複数のセンサを用いてハンマ2の位置を同定するようにしても良い。その場合には、ハンマ2で叩くべき目標位置及びハンマヘッド2Aが視野内となるように複数のセンサを適切な位置に配置することが必要となる。センサでハンマ2の位置を同定する場合には、マーカをハンマ2に取付けることが効果的である。
1…タッピング検査システム、2…ハンマ、2A…ハンマヘッド、3…データ処理装置、4…ヘッドマウントディスプレイ(HMD)、4A…表示装置、4B…通信装置、4C…位置検出装置、4D…入力装置、5…グリップ、6…デバイス、6A…マイクロフォン、6B…超音波センサ、7…センサ群、7A…歪センサ、7B…位置検出装置、8…メモリ、9…通信装置、10…リストバンド、11…信号線、11A…通信ケーブル、20…入力装置、21…表示装置、22…演算装置、23…記憶装置、24…通信装置、25…コンピュータ、26…設計図面情報データベース、27…打撃位置ガイド部、28…検査記録取得部、29…検査記録データベース、30…基準情報データベース、31…診断・検査結果取得部、32…診断・検査結果データベース、40…固定翼航空機、41…主翼、42…UPPERパネル(上面外板)、43…LOWERパネル(下面外板)、44…フロントスパー(前桁)、45…リアスパー(後桁)、46…コルゲートストリンガ、47…発泡材、48…アクセスホール、49…パッドアップ部、O…検査対象、P…所定の停止位置。

Claims (5)

  1. 検査箇所を叩くための手持ち式のハンマと、
    前記ハンマで叩くべき目標位置を前記検査箇所に重畳表示させる表示装置と、
    前記ハンマで前記検査箇所を叩いた場合に生じる発生音を収集するデバイスと、
    前記検査箇所を前記ハンマで叩いた位置を検出する位置検出装置と、
    前記デバイスで収集された前記発生音を前記位置検出装置で検出された前記位置と関連付けて検査記録として保存する記憶装置と、
    を有するタッピング検査システム。
  2. 前記ハンマで前記検査箇所を叩いた際の衝撃荷重を測定する歪センサを更に有し、
    前記デバイスで収集された前記発生音に更に前記歪センサで測定された前記衝撃荷重を関連付けて前記検査記録として前記記憶装置に保存するようにした請求項1記載のタッピング検査システム。
  3. 前記記憶装置に前記検査記録として関連付けて保存された前記発生音、前記衝撃荷重及び前記位置に基づいて前記検査箇所の検査結果を取得するデータ処理装置を更に有する請求項2記載のタッピング検査システム。
  4. 前記表示装置として拡張現実用のヘッドマウントディスプレイを備え、
    前記検査箇所における内部の視認できない部分の輪郭を含む図面を更に前記検査箇所に重畳表示させるようにした請求項1記載のタッピング検査システム。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載のタッピング検査システムを用いて航空機のタッピング検査を行うタッピング検査方法。
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