JP2024056926A - 第Xa因子阻害剤に対する解毒剤 - Google Patents

第Xa因子阻害剤に対する解毒剤 Download PDF

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Abstract

【課題】第Xa因子阻害剤に対する解毒剤の提供。【解決手段】本開示は、第Xa因子を標的とする抗凝固剤に対する解毒剤に関する。解毒剤は、第Xa因子阻害剤に結合し、それによってそれらを実質的に中和するが、プロトロンビナーゼ複合体に集合しない第Xa因子タンパク質誘導体である。一実施形態では、本明細書に記載の誘導体は、固有の凝固活性を欠いているか、または低下している。本開示は、第Xa因子(fXa)タンパク質の誘導体(配列番号13、「r-解毒剤」とも呼ばれる)に対する改変を提供する。【選択図】図1

Description

関連出願の相互参照
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年6月19日に出願された米国仮出願連続番号62/686,968の35 U.S.C. § 119(e)の下での利益を主張する。
分野
本開示は、固有の凝固促進活性が低下または欠如しているが、fXa阻害剤に結合及び/または中和することができ、それによりfXaを標的とする抗凝固剤に対する解毒剤として作用する第Xa因子(fXa)誘導体の使用に関する。
抗凝固剤は、例えば、凝固障害を有する患者、動けない期間を余儀なくされている患者、または医学的手術を受けている患者等、血栓を形成する傾向のある患者の望ましくない血栓症の治療または予防における市場のニーズを満たす。しかしながら、抗凝固療法の主な制限の1つは、治療に伴う出血のリスクと、過剰摂取の場合や緊急の外科的処置が必要な場合に抗凝固活性を迅速に逆転させる能力の制限である。したがって、全ての形態の抗凝固療法に対する特異的かつ効果的な解毒剤が非常に望ましい。安全性を考慮すると、新しい抗凝固薬の開発において抗凝固剤と解毒剤のペアを持つことも有利である。
したがって、望ましくない血栓症を引き起こさず、fXa阻害剤の過剰摂取の場合または出血を予防もしくは停止するために正常な止血を回復することが必要な場合にfXa阻害剤の抗凝固活性を実質的に中和するのに有効である改善された解毒剤が必要である。
本明細書において言及される全ての刊行物、特許、特許出願は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
本開示は、第Xa因子(fXa)タンパク質の誘導体(配列番号13、「r-解毒剤」とも呼ばれる)に対する改変を提供する。野生型fXaタンパク質と比較して、r-解毒剤はGlaドメインと活性部位に改変を有し、fXa阻害剤に結合するfXaの能力を保持するが、プロトロンビナーゼ複合体へと集合しない。したがって、r-解毒剤はfXa阻害剤の解毒剤として機能し得る。解毒剤を安定化し、その結合効率及び/またはfXa阻害剤への特異性を改善するために、r-解毒剤へのさらなる改変が企図されている。
本開示の一実施形態は、配列番号13に対して少なくとも80%(または少なくとも85%、90%、もしくは95%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む単離された二本鎖ポリペプチドを提供する。このアミノ酸配列は、一態様では、(a)第Xa因子阻害剤に結合することができ、(b)プロトロンビナーゼ複合体へと集合しない。さらに、アミノ酸配列は、配列番号13と比較して、以下から選択される少なくとも1つの変異を含む。(i)DもしくはN残基での置換、(ii)セリンプロテアーゼ特異性ポケット内の残基での置換、または(iii)A290、H147、もしくはD193での置換(A290での置換はA290Sではない)、もしくはそれらの組み合わせ。
一実施形態では、変異は、1つまたは複数のDまたはN残基での置換である。一態様では、置換された残基は、翻訳後の脱アミド化またはイソアスパラギン酸の形成をなし得ない。一態様では、置換は、D12、D29、N59、N71、N86、D114、N163、もしくはN259、またはそれらの組み合わせにある。そのような置換の非限定的な例には、D12E、D29E、N59Q、N71Q、N71S、N71A、N86Q、N86S、D114E、D114S、N163S、N163Q、N259Q、N259S、及びN259A、ならびにそれらの組み合わせが含まれる。
いくつかの態様では、置換はN86もしくはD114、またはそれらの組み合わせにある。そのような置換の非限定的な例には、N86Q、N86S、D114E、及びD114S、ならびにそれらの組み合わせが含まれる。
一実施形態では、変異は、セリンプロテアーゼ特異性ポケットの残基での置換である置換である。いくつかの態様では、置換は、配列番号13と比較して、第Xa因子阻害剤への結合親和性を増加させる。いくつかの態様では、置換は、ポリペプチドが組織因子経路阻害剤(TFPI)に結合するのを防ぐ。
いくつかの態様では、置換は、V232、V253、D284、A285、V308、G311、A315、G321、もしくはY323、またはそれらの組み合わせにある。いくつかの態様では、置換は、V232、D284、V308、もしくはG311、またはそれらの組み合わせにある。いくつかの態様では、置換は、V232I、D284M、D284Q、D284S、V308S、G311H、G311K、G311N、G311Q、及びG311S、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される。
いくつかの態様では、置換は、D284M;D284M及びG311S;D284M、V232I、及びV308S;D284M、G311S、V232I、及びV308S;D284Q;D284Q及びG311S;D284Q、V232I、及びV308S;D284Q、G311S、V232I、及びV308S;D284S及びG311Q;D284S、G311Q、V232I、及びV308S;G311K;G311Q;G311N;G311S;G311H;G311K、V232I、及びV308S;G311Q、V232I、及びV308S;G311N、V232I、及びV308S;G311S、V232I、及びV308S;G311H、V232I、及びV308S;ならびにそれらの組み合わせ等の置換の単一のものまたは群のから選択される。
一実施形態では、変異は、A290、H147、またはD193での置換を含み、A290での置換はA290Sではない。一態様では、置換は、A290N、A290Q、A290K、H147S、H147T、H147N、H147Q、及びD193N、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される。
いくつかの態様では、置換は、A290N;A290Q;A290K;H147S;H147T;H147N;H147Q;H147S及びD193N;H147T及びD193N;H147N及びD193N;またはそれらの組み合わせ等の置換の単一のものまたは群のから選択される。
一実施形態では、解毒剤ポリペプチドは、配列番号13のN末端の疎水性残基の数を減らすための変異を含む。
さらに提供されるのは、一実施形態では、第Xa因子阻害剤による抗凝固療法を受けている対象の出血を予防または低減する方法であって、本開示の有効量のポリペプチドを対象に投与することを含む、方法である。さらに提供されるのは、第Xa因子阻害剤による抗凝固療法を受けている対象において外因的に投与された第Xa因子阻害剤に選択的に結合して阻害する方法であって、本開示の有効量のポリペプチドを対象に投与することを含む、方法である。
本方法の一態様では、第Xa因子阻害剤は、フォンダパリヌクス、イドラパリヌクス、ビオチン化イドラパリヌクス、エノキサパリン、ダルテパリン、NAP-5、rNAPc2、DX-9065a、YM-60828、YM-150、アピキサバン、リバーロキサバン、PD-348292、オタミキサバン、エドキサバン、LY517717、GSK913893、ラザキサバン、低分子量ヘパリン、ベトリキサバン、またはそれらの薬学的に許容される塩、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。第Xa因子阻害剤は、ベトリキサバン、リバーロキサバン、アピキサバン、低分子量ヘパリン、及びそれらの組み合わせからも選択される。
いくつかの態様では、ポリペプチドは手術前に投与される。いくつかの態様では、対象はヒトである。
特定の実施形態では、例えば、以下が提供される:
(項目1)
配列番号13と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む単離された二本鎖ポリペプチドであって、前記アミノ酸配列が、(a)第Xa因子阻害剤に結合することができ、(b)プロトロンビナーゼ複合体に集合せず、前記アミノ酸配列が、配列番号13と比較して、以下からなる群から選択される、少なくとも1つの変異をさらに含む、前記ポリペプチド:
(i)DまたはN残基における置換、
(ii)セリンプロテアーゼ特異性ポケットの残基での置換、
(iii)A290、H147、またはD193での置換を含み、A290での置換はA290Sではない、
ならびにそれらの組み合わせ。
(項目2)
前記少なくとも1つの変異が、(i)DまたはN残基における置換を含む、項目1に記載のポリペプチド。
(項目3)
前記置換された残基が、翻訳後の脱アミド化またはイソアスパラギン酸の形成をなし得ない、項目2に記載のポリペプチド。
(項目4)
前記置換が、D12、D29、N59、N71、N86、D114、N163、もしくはN259、またはそれらの組み合わせにある、項目2または3に記載のポリペプチド。(項目5)
前記置換が、D12E、D29E、N59Q、N71Q、N71S、N71A、N86Q、N86S、D114E、D114S、N163S、N163Q、N259Q、N259S、及びN259A、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される、項目4に記載のポリペプチド。
(項目6)
前記置換が、N86もしくはD114、またはそれらの組み合わせにある、項目4に記載のポリペプチド。
(項目7)
前記置換が、N86Q、N86S、D114E、及びD114S、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される、項目6に記載のポリペプチド。
(項目8)
前記少なくとも1つの変異が、(ii)セリンプロテアーゼ特異性ポケットの残基での置換を含む、項目1に記載のポリペプチド。
(項目9)
前記置換が、配列番号13と比較して、第Xa因子阻害剤への結合親和性を増加させる、項目8に記載のポリペプチド。
(項目10)
前記置換が、前記ポリペプチドが組織因子経路阻害剤(TFPI)に結合するのを防ぐ、項目8に記載のポリペプチド。
(項目11)
前記置換が、V232、V253、D284、A285、V308、G311、A315、G321、もしくはY323、またはそれらの組み合わせにある、項目8に記載のポリペプチド。
(項目12)
前記置換が、V232、D284、V308、もしくはG311、またはそれらの組み合わせにある、項目8に記載のポリペプチド。
(項目13)
前記置換が、V232I、D284M、D284Q、D284S、V308S、G311H、G311K、G311N、G311Q、及びG311S、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される、項目11に記載のポリペプチド。
(項目14)
前記置換が以下からなる群から選択される、項目11に記載のポリペプチド:
xxi)D284M;
xxii)D284M及びG311S;
xxiii)D284M、V232I、及びV308S;
xxiv)D284M、G311S、V232I、及びV308S;
xxv)D284Q;
xxvi)D284Q及びG311S;
xxvii)D284Q、V232I、及びV308S;
xxviii)D284Q、G311S、V232I、及びV308S;
xxix)D284S及びG311Q;
xxx)D284S、G311Q、V232I、及びV308S;
xxxi)G311K;
xxxii)G311Q;
xxxiii)G311N;
xxxiv)G311S;
xxxv)G311H;
xxxvi)G311K、V232I、及びV308S;
xxxvii)G311Q、V232I、及びV308S;
xxxviii)G311N、V232I、及びV308S;
xxxix)G311S、V232I、及びV308S;
xl)G311H、V232I、及びV308S;
ならびにそれらの組み合わせ。
(項目15)
前記少なくとも1つの変異が、(iii)A290、H147、またはD193での置換を含み、A290での置換はA290Sではない、項目1に記載のポリペプチド。
(項目16)
前記置換が、A290N、A290Q、A290K、H147S、H147T、H147N、H147Q、及びD193N、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される、項目15に記載のポリペプチド。
(項目17)
前記置換が、以下からなる群から選択される、項目15に記載のポリペプチド:
xi)A290N;
xii)A290Q;
xiii)A290K;
xiv)H147S;
xv)H147T;
xvi)H147N;
xvii)H147Q;
xviii)H147S及びD193N;
xix)H147T及びD193N;
xx)H147N及びD193N;
またはそれらの組み合わせ。
(項目18)
配列番号13のN末端の疎水性残基の数を減らすための変異を含む、項目1に記載のポリペプチド。
(項目19)
第Xa因子阻害剤による抗凝固療法を受けている対象の出血を予防または低減する方法であって、先行項目のいずれかに記載のポリペプチドの有効量を前記対象に投与することを含む、前記方法。
(項目20)
第Xa因子阻害剤による抗凝固療法を受けている対象において外因的に投与された第Xa因子阻害剤に選択的に結合して阻害する方法であって、項目1~18のいずれか1項に記載のポリペプチドの有効量を前記対象に投与することを含む、前記方法。
(項目21)
前記第Xa因子阻害剤が、フォンダパリヌクス、イドラパリヌクス、ビオチン化イドラパリヌクス、エノキサパリン、ダルテパリン、NAP-5、rNAPc2、DX-9065a、YM-60828、YM-150、アピキサバン、リバーロキサバン、PD-348292、オタミキサバン、エドキサバン、LY517717、GSK913893、ラザキサバン、低分子量ヘパリン、ベトリキサバン、またはそれらの薬学的に許容される塩、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、項目19または20に記載の方法。
(項目22)
前記第Xa因子阻害剤が、ベトリキサバン、リバーロキサバン、アピキサバン、低分子量ヘパリン、及びそれらの組み合わせから選択される、項目21に記載の方法。
(項目23)
前記ポリペプチドが手術前に投与される、項目19~22のいずれか1項に記載の方法。
(項目24)
前記対象がヒトである、項目19~23のいずれか1項に記載の方法。
(項目25)
項目1~18のいずれか1項に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
(項目26)
項目25に記載のポリヌクレオチドを含む、単離された原核生物または真核生物の宿主細胞。
Leytus et al, Biochem., 1986,w 25, 5098-5102.で報告され、表1に示す、ヒト第X因子(配列番号1)のドメイン構造を模式的に示す配列番号1は、先行技術で知られており、表2に示す、ヒトfXのヌクレオチド配列(配列番号2)によってコードされるヒトfXのアミノ酸配列である。例えば、翻訳されたアミノ酸配列はLeytus et al, Biochem., 1986, 25, 5098-5102において報告され、<www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/viewer.fcgi?db=nuccore&id=89142731>におけるGenBankの「NM_000504」に見出すことができる。この配列のアミノ酸番号付けはfX配列に基づく。ヒトfX前駆体(配列番号1)は、プレプロリーダー配列(配列番号1のアミノ酸1~40)、続いて、fX軽鎖(LC)に対応する配列(配列番号1のアミノ酸41~179)、fXの分泌中に除去されるRKRトリプレット(配列番号1のアミノ酸180~182)、及び活性化ペプチド(AP)(配列番号1のアミノ酸183~234)を含むfX重鎖(配列番号1のアミノ酸183~488)、ならびに触媒ドメイン(配列番号1のアミノ酸235~488)を含む。 (配列番号3)は、成熟ヒト第X因子のアミノ酸配列を示す。この図のアミノ酸番号付けは、fX軽鎖のN末端から始まる成熟fX配列に基づく。第X因子は、ジスルフィド結合によって連結された二本鎖分子として血漿中を循環する。軽鎖(LC)は、139アミノ酸(配列番号1のアミノ酸41~179)の残基を有し、短い芳香族スタック(AS)(配列番号3のアミノ酸40~45)を含むγ-カルボキシグルタミン酸(Gla)に富んだドメイン(配列番号3のアミノ酸1~45)、続いて、2つの上皮増殖因子(EGF)様ドメイン(EGF1:配列番号3のアミノ酸46~84、EGF2:アミノ酸85~128)を含む。重鎖(HC)は、306アミノ酸を有し、52アミノ酸の活性化ペプチド(AP:配列番号3のアミノ酸143~194)、続いて、触媒ドメイン(配列番号3のアミノ酸195~448)を含む。キモトリプシンの番号付けにおけるH57-D102-S195に相当する触媒三残基は、fX配列においてHis236、Asp282、及びSer379に位置し、下線を付す(配列番号3のアミノ酸236、282及び379)。 図2に示す成熟ヒト第X因子のドメイン構造を示す模式図である。この図中のアミノ酸番号付けは成熟fX配列に基づく。Gla-ドメイン含有断片(配列番号3のアミノ酸1~44)を除去するためのキモトリプシン消化の切断部位及び活性化ペプチドを除去するためのfX活性化を強調する。fXaのキモトリプシン消化により、1~44のアミノ酸残基(配列番号4)を欠くGla-ドメインのないfXaがもたらされる。 CHO細胞におけるfXa三重変異体(配列番号12)の発現のためのDNAコンストラクトのマップを示す。プラスミドDNAを直線化し、CHO dhfr(-)細胞にトランスフェクトした。テトラヒドロ葉酸(HT)欠損培地にメトトレキサート(MTX)を加えて使用して細胞を選択した。安定したクローンは、ELISAによって高タンパク質発現についてスクリーニングされた。fXa三重変異体は無血清培地で生成され、イオン交換カラムとアフィニティーカラムの組み合わせによって精製された。マップ内の番号付けは、ヒトfX配列番号1をコードするポリヌクレオチド配列に基づく。
I.定義
範囲を含む、pH、温度、時間、濃度、分子量等の全ての数値指定は、0.1刻みで変化する(+)または(-)の近似値である。全ての数値指定の前に「約」という用語が付いていることを常に明示的に述べているわけではないが、理解されるべきである。本明細書に記載の試薬は単なる例示であり、その均等物が当該技術分野で知られていることも常に明示的に述べているわけではないが、理解されるべきである。
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されるとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかに他を示していない限り、複数の言及対象を含む。例えば、「薬学的に許容される担体」という用語は、それらの混合物を含む、複数の薬学的に許容される担体を含む。
本明細書で使用されるとき、「含むこと」という用語は、その組成物と方法に、示されている要素が含まれているが、他の要素が排除されないことを意味することが意図されている。組成物及び方法を定義するために使用されるとき、「本質的に~からなる」とは、意図された使用のための組み合わせにとって任意の本質的に重要な要素の他を除外することを意味するものとする。したがって、本明細書で定義される要素から本質的になる組成物は、単離及び精製の方法からの微量汚染物質、ならびにリン酸緩衝生理食塩水、保存剤等の薬学的に許容される担体を除外しない。「~からなる」とは、他の成分の微量の要素及び本開示の組成物を投与するための実質的な方法ステップよりも多くを除外することを意味するものとする。これらの各移行句用語によって定められている実施形態は、本開示の範囲内である。
「タンパク質」及び「ポリペプチド」という用語は、互換的に使用され、それらの最も広い意味で、2つ以上のサブユニットのアミノ酸、アミノ酸類似体、またはペプチド模倣物の化合物を指す。サブユニットはペプチド結合によって連結されていてもよい。別の実施形態では、サブユニットは、他の結合、例えば、エステル、エーテル等によって連結されていてもよい。タンパク質またはペプチドには少なくとも2つのアミノ酸が含まれている必要があり、タンパク質またはペプチドの配列を構成できるアミノ酸の最大数に制限はあない。本明細書で使用されるとき、「アミノ酸」という用語は、グリシン及びDとLの両方の光学異性体、アミノ酸類似体及びペプチド模倣物を含む、天然及び/または非天然または合成アミノ酸のいずれかを指す。天然に存在するアミノ酸の1文字と3文字の略語を以下に列挙する。3つ以上のアミノ酸のペプチドは、ペプチド鎖が短い場合、一般にオリゴペプチドと呼ばれる。ペプチド鎖が長い場合、そのペプチドは一般にポリペプチドまたはタンパク質と呼ばれる。
Figure 2024056926000002
「第Xa因子」または「fXa」または「fXaタンパク質」は、不活性な第X因子(fX)から産生される血液凝固経路のセリンプロテアーゼを指す。第Xa因子は、内因性Xアーゼとして知られる複合体の第IXa因子とその補因子である第VIIIa因子、または外因性Xアーゼとして知られる複合体の第VIIa因子とその補因子である組織因子のいずれかによって活性化される。fXaは、第Va因子と膜結合型プロトロンビナーゼ複合体を形成し、プロトロンビンからトロンビンへの変換を触媒するプロトロンビナーゼ複合体の活性成分である。トロンビンは、フィブリノーゲンからフィブリンへの変換を触媒する酵素であり、最終的に血栓の形成をもたらす。したがって、fXaの生物学的活性は、本明細書では「凝固促進活性」と呼ばれることがある。
ヒト第X因子(「fX」)をコードするヌクレオチド配列は、(<www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/viewer.fcgi?db=nuccore&id=89142731>)におけるGenBankの「NM_000504」に見出すことができ、図1b及び配列番号2に示される。fXの対応するアミノ酸配列及びドメイン構造は、Leytus et al, Biochemistry, 1986,
25:5098-5102に記載されている。成熟fXのドメイン構造はまた、Venkateswarlu, D. et al, Biophysical Journal, 2002, 82:1190-1206に記載されている。重鎖の最初の52残基(配列番号3のアミノ酸143~194)の触媒的切断の際に、fXは、fXa(配列番号6)へと活性化される。FXaは軽鎖(配列番号8)及び重鎖(配列番号9)を含む。軽鎖の最初の45アミノ酸残基(配列番号6の1~45残基)は、11個の翻訳後修飾されたγ-カルボキシグルタミン酸残基(Gla)が含まれているため、Glaドメインと呼ばれる。それはまた、短い(6アミノ酸残基)の芳香族スタック配列(配列番号6の40~45残基)を含む。キモトリプシン消化により、1~44残基が選択的に除去され、Gla-ドメインのないfXa(配列番号4)が得られる。fXaのセリンプロテアーゼ触媒ドメインはC末端重鎖に位置している。fXaの重鎖は、トロンビン、トリプシン、活性化プロテインC等の他のセリンプロテアーゼと高い相同性がある。
成熟第X因子のドメイン構造は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるVenkateswarlu D. et al, Biophysical J., 2002, 82, 1190-1206に見出すことができる。この図のアミノ酸番号付けは、図3と同じである。軽鎖を活性化ペプチドに接続するArg140-Lys141-Arg142のトリペプチド(図1に示すRKRトリプレット)は、トリペプチドを欠く形態が循環血漿で優勢であるため、示されていない。個々のドメインはボックスで示される。これには、図2のアミノ酸1~45(配列番号3)が含まれる。機能的に重要な触媒残基は丸で囲まれており、「γ」はGla(γ-カルボキシグルタミン酸)残基を表す。
「天然fXa」または「野生型fXa」は、血漿中に天然に存在するか、または元の未修飾の形態で単離され、プロトロンビンを活性化し、したがって血餅の形成を促進する生物学的活性を処理するfXaを指す。この用語には、組織試料から単離された天然に存在するポリペプチド、及び組換えにより産生されたfXaが含まれる。「活性fXa」は、プロトロンビンを活性化する生物学的活性を有するfXaを指す。「活性fXa」は、凝固促進活性を保持する天然fXaまたは改変fXaであり得る。
「fXa誘導体」または「改変fXa」または「第Xa因子タンパク質の誘導体」は、それらが直接的または間接的に第Xa因子阻害剤に結合し、プロトロンビナーゼ複合体に集合しないように改変されたfXaタンパク質を指す。構造的に、誘導体は、凝固促進活性をもたらさないか、低下した凝固促進活性もたらすかのいずれかに改変されている。「凝固促進活性」は、本明細書では、血液凝固または血餅形成を引き起こす薬剤の能力を指す。低下した凝固促進活性は、凝固促進活性が、野生型fXaと比較して少なくとも約50%、または約90%以上、または約95%以上低下したことを意味する。例えば、組換えfX-S395Aは、fXa活性アッセイ等のin vitroアッセイで測定しされるとき、本質的に凝固促進活性を有さない。
誘導体は、改変された活性部位、改変されたGlaドメイン、及びN末端を有する。追加の改変も企図されている。そのような改変は、以下の方法のうちの1つまたは複数でなされ得る:配列からの1つもしくは複数のアミノ酸の欠失、1つもしくは複数のアミノ酸残基の1つもしくは複数の異なるアミノ酸残基による置換、及び/または、1つもしくは複数のアミノ酸側鎖もしくはその「C」もしくは「N」末端の操作。
「活性部位」という用語は、化学反応が起こる酵素または抗体の部分を指す。「改変された活性部位」は、化学反応性または特異性の増加または減少を活性部位に提供するために構造的に改変された活性部位である。活性部位の例には、235~488アミノ酸残基を含むヒト第X因子の触媒ドメイン(図1)、及び195~448アミノ酸残基を含むヒト第Xa因子の触媒ドメイン(図2及び3)が含まれるが、これらに限定されない。改変された活性部位の例には、位置Ser379におけるアミノ酸置換を含む、配列番号11、12、13、または15の195~448アミノ酸残基を含むヒト第Xa因子の触媒ドメインが含まれるが、これらに限定されない。
上述のように、本開示の誘導体は、改変されたGlaドメインを有しているか、またはGlaドメイン全体を除去していてもよい。本開示の方法において解毒剤として適切なfXa誘導体の例は、本明細書に詳述されるような、GlaドメインのないfXa(配列番号4または5)、Gla欠損fXa(本明細書に記載の改変を含む配列番号7)、触媒部位に改変を含むfXa(配列番号10または11)、fV/fVa相互作用またはfVIII/fVIIIa相互作用に重要であることが知られている部位に改変を有するfXa(位置Arg306、Glu310、Arg347、Lys351、Lys414、またはArg424において少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、配列番号4、5、7、10、または11)である。本開示によって企図されるfXa誘導体のさらなる例を以下に提供する。
「Gla-ドメインのないfXa」または「des-Gla fXa」は、Glaドメインを有さず、Glaドメインの除去に加えて他の改変(複数可)を有するfXa誘導体を包含するfXaを指す。本開示におけるGlaドメインのないfXaの例には、配列番号3の1~39アミノ酸残基を欠くfXa誘導体;以下でより詳細に説明されるCHO細胞で発現されるfXa変異体(配列番号12、表12)に対応する、配列番号3の6~39アミノ酸残基を欠くfXa誘導体(配列番号16);ヒトfXaのキモトリプシン消化後のdes-GlafXaに対応する、配列番号3の1~44アミノ酸残基を欠くfXa誘導体(配列番号4、図3);及び、Padmanabhan et al, Journal Mol. Biol., 1993, 232:947-966に記載される、配列番号3の1~45Glaドメイン残基全体を欠くfXa誘導体(配列番号5)が含まれる。他の例には、des-Gla anhydro fXa(配列番号10、表10)及びdes-Gla fXa-S379A(配列番号11、表11)が含まれる。
いくつかの実施形態では、des-Gla fXaは、配列番号3のアミノ酸残基40~448、またはその均等物を少なくとも含む。いくつかの実施形態では、des-Gla fXaは、配列番号3のアミノ酸残基45~488(配列番号4)、または、配列番号3の46~488(配列番号5)、またはそれらの均等物を少なくとも含む。
いくつかの実施形態では、des-Gla fXaは、配列番号3のアミノ酸残基40~139、及び配列番号3の195~448、またはそれらの均等物を少なくとも含む。いくつかの実施形態では、des-Gla fXaは、配列番号3のアミノ酸残基45~139、及び配列番号3の195~448、またはそれらの均等物を少なくとも含む。別の実施形態では、des-Gla fXaは、配列番号3のアミノ酸残基46~139、及び配列番号3の195~448、またはそれらの均等物を少なくとも含む。
「Gla欠損fXa」とは、Glaドメインの遊離側鎖γ-カルボキシル基の数が減少したfXaを指す。GlaドメインのないfXaと同様に、Gla欠損fXaも他の改変を保有することができる。Gla欠損fXaには、非カルボキシル化、低カルボキシル化、及び脱炭酸化されたfXaが含まれる。「非カルボキシル化fXa」または「脱炭酸fXa」は、Glaドメインのγ-カルボキシグルタミン酸残基のγ-カルボキシ基を有さないfXa誘導体、例えば、そのGlaドメインの全てのγ-カルボキシグルタミン酸が異なるアミノ酸で置き換えられたfXa、またはその側鎖γ-カルボキシルの全てがアミノ化、エステル化等の手段によって除去もしくはマスクされたfXaを指す。組換え発現タンパク質の場合、非カルボキシル化fXaはカルボキシル化されていないfXaとも呼ばれる。「低カルボキシル化fXa」は、野生型fXaと比較してGlaドメインのγ-カルボキシ基の数が少ないfXa誘導体、例えば、そのGlaドメインの全てではないが1つまたは複数のγ-カルボキシグルタミン酸が1つまたは複数の異なるアミノ酸で置き換えられたfXa、あるいはその側鎖の全てではないが少なくとも1つのγ-カルボキシルが、アミノ化及びエステル化等の手段によって除去またはマスクされているfXaを指す。
ヒトのGlaドメインのない第Xa因子のドメイン構造は、参照によりその全てが本明細書に組み込まれる、Padmanabhan et al., J. Mol.、Biol., 1993, 232, 947-966に見出すことができる。アミノ酸の番号付けは、キモトリプシンとのトポロジー的同等性に基づき、例えば、ヒトの成熟fXの番号付けを使用した場合、Ser195は図2のSer379に対応する。挿入は文字で示され、削除は2つの連続した番号付けで示される。重鎖の番号付けと区別するために、軽鎖の番号付けに300が追加されている。β363は、β-ヒドロキシアスパラギン酸である。スラッシュは、結晶性材料で観察されたタンパク質分解による切断を示す。成熟fX(配列番号3)に基づく1~45アミノ酸残基を欠くGlaドメインのないfXaの配列は、配列番号5に示される。
一実施形態では、fXa誘導体は、fXaの軽鎖を欠いていてもよいが、それでも重鎖に存在するセリンプロテアーゼ触媒ドメインを含んでいる。さらに、他のセリンプロテアーゼ触媒ドメインを有するキメラを使用して、重鎖の置換を行うことができる。
「pd-解毒剤」または「血漿由来解毒剤」は、des-Gla anhydro fXa誘導体を指し、配列番号10のアミノ酸残基を有する。
「r-解毒剤」または「組換え解毒剤」は、以下により詳細に記載されるCHO細胞において発現されるfXa変異体(配列番号13、表13a~b)に対応する、配列番号3の6~39アミノ酸残基を欠くfXa誘導体を指す。r-解毒剤は、軽鎖と重鎖を含む2本鎖ポリペプチドである。
「抗凝固剤」または「抗凝固剤」は、血栓形成を阻害する薬剤である。抗凝固剤の例には、トロンビンの特異的阻害剤、第IXa因子、第Xa因子、第XIa因子、第XIIa因子または第VIIa因子、ヘパリン及び誘導体、ビタミンK拮抗薬、ならびに抗組織因子抗体が含まれるが、これらに限定されない。トロンビンの特異的阻害剤の例には、ヒルジン、ビバリルジン(アンギオマツクス(登録商標))、アルガトロバン及びレピルジン(レフルダン(登録商標))が含まれる。ヘパリン及び誘導体の例には、未分画ヘパリン(UFH)、低分子量ヘパリン(LMWH)、例えば、エノキサパリン(ロベノックス(登録商標))、ダルテパリン(フラグミン(登録商標))、及びダナパロイド(オルガラン(登録登録))、ならびに合成五糖、例えば、フォンダパリヌクス(Arixtra(登録商標))が含まれる。ビタミンK拮抗薬の例には、ワルファリン(クマジン(登録商標))、フェノクマロール、アセノクマロール(シントロム(登録商標))、クロリンジオン、ジクマロール、ジフェナジオン、ビスクマ酢酸エチル、フェンプロクモン、フェニンジオン、及びチオクロマロールが含まれる。一実施形態では、抗凝固剤は第Xa因子の阻害剤である。一実施形態では、抗凝固剤はベトリキサバンである。
「抗凝固療法」とは、望ましくない血栓または血栓症を予防するために患者に投与される治療レジームを指す。抗凝固療法は、患者の望ましくない血餅または血栓症を治療または予防するのに適した用量及びスケジュールで、2つ以上の抗凝固剤または他の薬剤の1つまたは組み合わせを投与することを含む。
「第Xa因子阻害剤」または「第Xa因子の阻害剤」という用語は、in vitro及び/またはin vivoでのプロトロンビンからトロンビンへの変換を触媒する凝固第Xa因子の活性を直接的または間接的に阻害できる化合物を指す。
「直接的な第Xa因子阻害剤」はfXaに直接結合し、非限定的な例には、NAP-5、rNAPc2、組織因子経路阻害剤、DX-DX-9065a(例えば、Herbert, J.M., et al, J Pharmacol Exp Ther.1996 276(3):1030-8に記載される)、YM-60828(例えば、Taniuchi, Y., et al,Thromb Haemost.1998 79(3):543-8に記載される)、YM-150(例えば、Eriksson, B.I.
et. al, Blood 2005;106(11), Abstract 1865に記載される)、アピキサバン、リバーロキサバン、TAK-442、PD-348292(例えば、Pipeline Insight: Antithrombotics - Reaching the Untreated Prophylaxis Market, 2007に記載される)、オタミキサバン、エドキサバン(例えば、Hylek EM, Curr Opin Invest Drugs 2007 8(9):778-783に記載される)、LY517717(例えば、Agnelli, G., et al, J. Thromb. Haemost. 2007 5(4):746-53に記載される)、GSK913893、ラザキサバン、ベトリキサバン、またはそれらの薬学的に許容される塩、及びそれらの組み合わせが含まれる。特定の態様において、直接的な第Xa因子阻害剤はリバーロキサバンである。いくつかの態様では、直接的なfXa阻リバーロキサバンの化学化合物である。
fXa活性の「間接的な第Xa因子阻害剤」による阻害は、1つまたは複数の他の因子によって媒介される。間接的な第Xa因子阻害剤の非限定的な例には、フォンダパリヌクス、イドラパリヌクス、ビオチン化イドラパリヌクス、エノキサパリン、フラグミン、チンザパリン、低分子量ヘパリン(「LMWH」)、及びそれらの組み合わせが含まれる。特定の局面において、間接的な第Xa因子阻害剤はエノキサパリンである。
一実施形態では、第Xa因子阻害剤は、ベトリキサバン、リバーロキサバン、LMWH、DX-9065a、YM-60828、YM-150、PD-348292、オタミキサバン、エドキサバン、LY517717、GSK913893、ラザキサバン、アピキサバン、及びそれらの組み合わせから選択される。
「ベトリキサバン」という用語は、化合物「[2-({4-[(ジメチルアミノ)イミノメチル]フェニル}カルボニルアミノ)-5-メトキシフェニル]-N-(5-クロロ(2-ピリジル))カルボキサミド」またはその薬学的に許容される塩を指す。「[2-({4-[(ジメチルアミノ)イミノメチル]フェニル}カルボニルアミノ)-5-メトキシフェニル]-N-(5-クロロ(2-ピリジル))カルボキサミド」は以下の構造を有する化合物:

またはその互変異性体もしくはその薬学的に許容される塩を指す。
ベトリキサバンは、2006年11月7日に出願された米国特許第6,376,515号及び同第6,835,739号ならびに米国特許出願公開第2007/0112039号に記載されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。ベトリキサバンは第Xa因子の特異的阻害剤であることが知られている。
本明細書で使用されるとき、「解毒剤」または「第Xa因子阻害剤に対する解毒剤」という用語は、利用可能なfXa阻害剤との結合する活性fXaと競合することによってfXa阻害剤の凝固阻害活性を実質的に中和または逆転させることができるfXaの誘導体等の分子を指す。本開示の解毒剤の例は、des-Gla fXaまたはGla欠損fXa等のリン脂質膜結合が低下したfXa誘導体、及び活性部位改変fXa誘導体等の触媒活性が低下したfXa誘導体、及びfV/Va、またはfVIII/fVIIIaとの相互作用が低下した誘導体である。膜結合が減少し、触媒活性が減少した本開示の解毒剤の例には、anhydro-fXaのキモトリプシン消化によるdes-Gla anhydro-fXa(実施例1に記載)、変異導入によるdes-GlafXa-S379A(キモトリプシン番号付けのS195A)(実施例6に記載)が含まれるが、これらに限定されない。解毒剤は、全体を通して説明されているように、追加の変異を含む。例えば、本開示の解毒剤は、fXa誘導体が第Xa因子阻害剤に結合することができ、プロトロンビナーゼ複合体に集合せず、翻訳後の脱アミド化またはイソアスパラギン酸形成を防止しすること、第Xa因子の小分子阻害剤への結合親和性を増加させること、TFPI結合の防止、N末端の疎水性残基の数の減少、またはそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの変異を有する。さらに、本開示の解毒剤は、例えば、翻訳後の脱アミド化またはイソアスパラギン酸の形成を防ぐための変異を有する。本開示の解毒剤の別の例は、翻訳後のメチオニン酸化を防ぐための変異を有する。
本開示の解毒剤の他の例には、fXa触媒ドメインと十分な構造的類似性を有し、したがって直接的なfXa阻害剤に結合することができるセリンプロテアーゼ触媒ドメインを含むタンパク質またはポリペプチドが含まれる。例には、fXa阻害剤GSK913893に結合するトロンビン(Young R., et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 2007, 17(10): 2927-2930)、fXa阻害剤アピキサバンに結合する血漿カリクレイン(Luettgen J., et al., Blood, 2006, 108(11) abstract 4130)、及び、fXa阻害剤C921-78にナノモル以下の親和性(Kd=500pM)で結合するトリプシン(またはその細菌ホモログであるサブチリシン)(Betz A,
et al, Biochem., 1999, 38(44):14582-14591)が含まれるが、これらに限定されない。
一実施形態では、本開示の誘導体は、直接的または間接的に、第Xa因子阻害剤に結合する。本明細書で使用されるとき、「結合すること」、「結合する」、「認識」、または「認識する」という用語は、例えば、ハイブリダイゼーションアッセイを使用して検出され得る分子間の相互作用を含むことを意味する。この用語は、分子間の「結合」相互作用を含むことも意味する。相互作用は、例えば、自然での、タンパク質-タンパク質、タンパク質-核酸、タンパク質-小分子、または小分子-核酸であってよい。結合は「直接的」または「間接的」であってよい。「直接的」な結合は、分子間の直接的な物理的接触を含む。分子間の「間接的」な結合は、1つまたは複数の中間分子と同時に直接物理的に接触する分子を含む。例えば、本開示の誘導体は、低分子量ヘパリン及び第Xa因子の他の間接的な阻害剤に間接的に結合し、実質的に中和することが企図されている。この結合は、相互作用する分子を含む「複合体」の形成をもたらし得る。「複合体」とは、共有結合または非共有結合、相互作用、または力によって一緒に保持されている2つ以上の分子の結合を指す。
fXaの阻害剤の活性を「中和する」、「逆転する」、もしくは「打ち消す」、または同様の語句は、fXa阻害剤の第Xa因子阻害機能または抗凝固機能を阻害または遮断することを指す。そのような語句は、機能の部分的な阻害または遮断、ならびにin vitro及び/またはin vivoでのfXa阻害剤活性のほとんどまたは全ての阻害または遮断を指す。
特定の実施形態では、第Xa因子阻害剤は実質的に中和され、これは、第Xa因子を直接的または間接的に阻害するその能力が、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%低下することを意味する。
「リン脂質膜結合」という用語は、Ca2+イオンの存在下で、血小板等の、負に帯電したリン脂質膜または他の細胞膜に結合する活性fXaの能力を指す。この結合は、fXaのGlaドメインのγ-カルボキシグルタミン酸残基によって媒介される。
「低下した相互作用」という用語は、通常は野生型fXaと結合または複合体を形成するイオンまたは他の補因子と結合または複合体を形成するfXa誘導体の低下した能力を指す。そのような相互作用の例には、Ca2+イオン及びリン脂質膜とのfXaの結合、fV/fVa、またはfVIII/f/VIIIaとの相互作用等が含まれるが、これらに限定されない。fXa誘導体とイオンまたは他の補因子との相互作用が野生型fXaの50%に減少することが好ましい。より好ましくは、相互作用は、野生型fXaの相互作用の10%、1%、及び0.1%に減少する。これは、「プロトロンビナーゼ複合体に集合する」誘導体の能力を指す。
「fXa阻害剤結合活性」とは、fXaの阻害剤に結合する分子の能力を指す。本開示の解毒剤は、直接的であろうと間接的であろうと、fXa阻害剤結合活性を有する。
「循環半減期」または「血漿半減期」という用語は、血漿中を循環する解毒剤の血漿濃度が、単回投与後にその初期濃度の半分に減少するのに必要な時間を指す。
「コンジュゲート部分」という用語は、fXa誘導体の残基と共有結合を形成することによってfXa誘導体に付加することができる部分を指す。この部分は、fXa誘導体の残基に直接結合することができ、またはリンカーと共有結合を形成することができ、これは転じて、fXa誘導体の残基と共有結合を形成する。
本明細書で使用されるとき、「抗体」は、抗体全体及び任意の抗原結合フラグメントまたはその一本鎖を含む。したがって、用語「抗体」は免疫グロブリン分子の少なくとも一部を含む任意のタンパク質またはペプチド含有分子を含む。そのような例には、重鎖もしくは軽鎖またはそのリガンド結合部分の相補性決定領域(CDR)、重鎖もしくは軽鎖可変領域、重鎖もしくは軽鎖定常領域、フレームワーク(FR)領域、またはその任意の部分、または結合タンパク質の少なくとも一部が含まれるがこれらに限定されない。
抗体は、ポリクローナルまたはモノクローナルであり得、任意の適切な生物学的供給源、例えば、マウス、ラット、ヒツジ及びイヌから単離され得る。
「組成物」は、活性剤と、不活性(例えば、検出可能な薬剤または標識)または活性、例えばアジュバント等の別の化合物または組成物との組み合わせを意味することを意図している。
本明細書で使用されるとき、「医薬組成物」という用語は、活性剤と、その組成物をin vitro、in vivo、またはex vivoでの診断的または治療的使用に適するようにする不活性または活性な担体との組み合わせを指す。
「有効量」は、所望の生物学的及び/または治療的結果を誘導するのに十分な誘導体の量を指す。その結果は疾患の兆候、症状、もしくは原因の軽減、または生物系の任意の他の所望の変化であり得る。本開示において、結果は、典型的には、以下のうちの1つまたは複数を含む:患者に投与されたfXa阻害剤の中和、fXa阻害剤の抗凝固活性の逆転、血漿からのfXa阻害剤の除去、止血の回復、及び出血の減少または停止。有効量は、使用される特定の解毒剤、対象が投与された特定のfXa阻害剤、fXa阻害剤の投与レジメン、解毒剤の投与のタイミング、治療される対象及び病状、対象の体重及び年齢、病状の重症度、投与方法等によって異なり、これらは全て、当業者によって容易に決定することができる。
本明細書で使用されるとき、「治療すること」、「治療」等の用語は、所望の薬理学的及び/または生理学的効果を得ることを意味するために本明細書で使用される。効果は、障害またはその徴候もしくは症状を完全にまたは部分的に予防することに関して予防的であり得、及び/または障害及び/または障害に起因する有害作用の部分的もしくは完全な治癒に関して治療的であり得る。
「治療」には、哺乳類の障害の治療も含まれ、次のものが含まれる:(a)障害の素因となる可能性があるが、まだそれを有すると診断されていない可能性がある対象において障害が発生するのを防ぐ、例えば、抗凝固剤の過剰摂取を伴う患者の出血を防ぐ;(b)障害を抑制する、すなわち、その発症を阻止する、例えば、出血を抑制する;または(c)障害を軽減または改善する、例えば出血を減らす。
本明細書で使用されるとき、「治療する」は、病状に関連する症状の全身的改善及び/または症状の発症の遅延をさらに含む。「治療」の臨床的及び無症状の証拠は、病状、個人、及び治療によって異なる。
「投与」は、一つの用量で実現可能であり、その用量は治療過程を通じて連続的または断続的である。投与の最も効果的な手段及び投薬量を決定する方法は、当業者に周知であり、治療に使用される組成物、治療目的、治療される標的細胞、及び治療される対象に合わせて変化することになる。単回または複数回投与は、担当医師により選択された用量レベル及びパターンに合わせて行うことができる。適切な投与製剤及び薬剤を投与する方法は当該技術分野で知られている。診断または治療の「対象」は、細胞またはヒトを含む哺乳動物である。診断または治療の対象となる非ヒト動物には、例えば、ラット、マウス等のネズミ科、イヌ等のイヌ科、ウサギ等のウサギ科、家畜、スポーツ動物、及びペットが含まれる。
本開示の薬剤及び組成物は、医薬品の製造において、及び医薬組成物中の有効成分等の従来の手順に従った投与によるヒト及び他の動物の治療のために使用することができる。
本開示の薬剤は、任意の適切な経路、特に非経口(皮下、筋肉内、静脈内、及び皮内を含む)投与によって治療のために投与することができる。好ましい経路は、レシピエントの状態及び年齢、ならびに治療される疾患によって異なることも理解されよう。
方法、すなわち、第Xa因子阻害剤の阻害または逆転が、多くのin vitroアッセイ、例えば抗fXa活性アッセイ、トロンビン生成アッセイ、ならびに臨床凝固アッセイ、例えば、aPTT、PT、及びACTによって達成されるかどうかを判定することができる。
DNAまたはRNA等の核酸に関連して本明細書において使用されるとき、用語「単離された」は、巨大分子の天然の供給源に存在しているそれぞれ他のDNAまたはRNAから分離された分子を指す。「単離された核酸」という用語は、断片として天然には存在せず、そして天然の状態では見出されないであろう核酸断片を含むことを意味する。「単離された」という用語はまた、他の細胞タンパク質から単離され、精製されたポリペプチドと組換えポリペプチドの両方を包含することを意味するポリペプチド及びタンパク質を指すために本明細書で使用される。他の実施形態では、「単離された」という用語は、細胞、組織、ポリヌクレオチド、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、またはそれらの断片(複数可)であり、通常は自然界で関連している、細胞及びその他の構成要素から分離されていることを意味する。例えば、単離された細胞は、異なる表現型または遺伝子型の組織または細胞から分離された細胞である。当業者には明らかであるように、天然に存在しないポリヌクレオチド、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体またはそれらの断片(複数可)は、それをその天然に存在する対応物と区別するために「単離」を必要としない。
本明細書で使用されるとき、参照タンパク質、ポリペプチド、または核酸を指すときの「それらの均等物」という用語は、所望の機能性を維持しながら、最小限の相同性を有するものを意図する。本明細書で言及される任意の改変タンパク質はまた、その均等物を含むことが企図される。例えば、相同性は、少なくとも75%の相同性、代替的に少なくとも80%、代替的に少なくとも85%、代替的に少なくとも90%、代替的に少なくとも95%、代替的に98%パーセントの相同性であり得、参照ポリペプチドまたはタンパク質と実質的に均等の生物学的活性を示し得る。ポリヌクレオチドもしくはポリヌクレオチド領域(またはポリペプチドもしくはポリペプチド領域)は、別の配列に対する「配列同一性」のある特定のパーセンテージ(例えば、80%、85%、90%、または95%)を有し、整列されるとき、その塩基(またはアミノ酸)のパーセンテージは、2つの配列を比較において同一であることを意味する。fXa(または関連するセリンプロテアーゼ)の重鎖のみが使用される場合、全体的な相同性は、例えば、65%または50%等の75%未満である可能性があるが、所望の機能性は残ることに留意されたい。この整列及び相同性または配列同一性のパーセントは、当該技術分野において公知のソフトウェアプログラム、例えばCurrent Protocols in Molecular Biology (F.M.Ausubel et al., eds., 1987) Supplement 30, section 7.7.18, Table 7.7.1に記載されているものを使用して決定できる。好ましくは、デフォルトパラメーターが整列のために使用される。好ましい整列プログラムは、デフォルトパラメーターを用いるBLASTである。特に、好ましいプログラムはBLASTN及びBLASTPであり、以下のデフォルトパラメーターを使用する:遺伝子コード=標準;フィルター=なし;鎖=両方;カットオフ=60;予測=10;マトリックス=BLOSUM62;記載=50配列;ソート=ハイスコアによる;データベース=非冗長性、GenBank+EMBL+DDBJ+PDB+GenBank CDS翻訳+SwissProtein+SPupdate+PIR。これらのプログラムの詳細は、次のインターネットアドレスで見つけることができる:www.ncbi.nlm.nih.gov/cgi-bin/BLAST。
用語「ポリヌクレオチド」及び「オリゴヌクレオチド」は、互換的に使用され、デオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチドまたはそれらの類似体のいずれかの、任意の長さのヌクレオチドのポリマー形態を指す。ポリヌクレオチドは、任意の三次元構造をとり得、公知であれ未知であれ任意の機能をなし得る。以下はポリヌクレオチドの非限定的な例である:遺伝子または遺伝子断片(例えば、プローブ、プライマー、EST、またはSAGEタグ)、エクソン、イントロン、メッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA、リボソームRNA、リボザイム、cDNA、組換えポリヌクレオチド、分岐鎖ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離DNA、任意の配列の単離RNA、核酸プローブ及びプライマー。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチド及びヌクレオチド類似体のような、修飾されたヌクレオチドを含み得る。存在する場合、ヌクレオチド構造に対する修飾は、ポリヌクレオチドの会合の前または後に付与することができる。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド構成要素によって中断され得る。ポリヌクレオチドは、標識構成要素とのコンジュゲーション等によって、重合後にさらに修飾することができる。この用語はまた、二本鎖分子と一本鎖分子の両方を指す。他に特定または要求されない限り、ポリヌクレオチドである本開示の任意の実施形態は、二本鎖形態及び二本鎖形態を構成することが知られているかまたは予測される2つの相補的一本鎖形態の各々を包含する。
ポリヌクレオチドは、次の4つのヌクレオチド塩基の特定の配列からなる:アデニン(A);シトシン(C);グアニン(G);チミン(T);ポリヌクレオチドがRNAであるときにはチミンの代わりにウラシル(U)。したがって、用語「ポリヌクレオチド配列」は、ポリヌクレオチド分子のアルファベット表記である。このアルファベット表示は、中央処理ユニットを有するコンピュータ内のデータベースに入力することができ、機能的ゲノム学及び相同性検索等のバイオインフォマティクス用途に使用することができる。
「相同性」または「同一性」または「類似性」は、2つのペプチド間または2つの核酸分子間の配列の類似性を指す。相同性は、比較の目的で整列させることができる各配列中の位置を比較することによって決定することができる。比較された配列中の位置が同一の塩基またはアミノ酸によって占められているとき、分子はその位置で相同である。配列間の相同性の程度は、配列によって共有される一致の位置または相同の位置の数の関数である。「無関係」または「非相同」の配列は、本開示の配列の1つと、40%未満の同一性、または代替的に25%未満の同一性を共有する。
ポリヌクレオチドもしくはポリヌクレオチド領域(またはポリペプチドもしくはポリペプチド領域)は、別の配列に対する「配列同一性」のある特定の割合(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)を有し、整列されるとき、その塩基(またはアミノ酸)の割合は、2つの配列を比較において同一であることを意味する。この整列及び相同性または配列同一性のパーセントは、当該技術分野において公知のソフトウェアプログラム、例えばAusubel et al. eds.(2007)Current Protocols in Molecular Biologyに記載されているものを用いて決定することができる。好ましくは、デフォルトパラメーターが整列のために使用される。1つの整列プログラムは、デフォルトパラメーターを用いるBLASTである。特に、プログラムはBLASTN及びBLASTPであり、以下のデフォルトパラメーターを使用する:遺伝子コード=標準;フィルター=なし;鎖=両方;カットオフ=60;予測=10;マトリックス=BLOSUM62;記載=50配列;ソート=ハイスコアによる;データベース=非冗長性、GenBank+EMBL+DDBJ+PDB+GenBank CDS翻訳+SwissProtein+SPupdate+PIR。これらのプログラムの詳細は、次のインターネットアドレスで見つけることができる:www.ncbi.nlm.nih.gov/blast/Blast.cgi、2007年11月26日に最後にアクセスされた。生物学的に均等なポリヌクレオチドは、特定の相同性パーセントを有し、そして同一または類似の生物活性を有するポリペプチドをコードするものである。
「核酸のホモログ」という用語は、核酸またはその相補体のヌクレオチド配列との、ある特定の相同性の程度を有するヌクレオチド配列を有する核酸を指す。二本鎖核酸の相同体は、その相補体とまたはその相補体とある程度の相同性を有するヌクレオチド配列を有する核酸を含むことを意図している。一態様において、核酸の相同体は核酸またはその相補体とハイブリダイズすることができる。
「遺伝子」は、転写及び翻訳された後に特定のポリペプチドまたはタンパク質をコードすることができる少なくとも1つのオープンリーディングフレーム(ORF)を含むポリヌクレオチドを指す。本明細書に記載のポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列のいずれかを使用して、それらが関連する遺伝子のより大きな断片または全長のコード配列を同定することができる。より大きな断片配列を単離する方法は、当業者に知られている。
「発現する」という用語は、遺伝子産物の産生を指す。
本明細書で使用されるとき、「発現」は、ポリヌクレオチドがmRNAに転写されるプロセス、及び/または転写されたmRNAがその後ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質に翻訳されるプロセスを指す。ポリヌクレオチドがゲノムDNAに由来する場合、発現は真核細胞におけるmRNAのスプライシングを含み得る。
「コードする」という用語は、ポリヌクレオチドに適用されるとき、その天然の状態で、または当業者に周知の方法によって操作されるときに、ポリペプチド及び/またはその断片のmRNAを産生するように転写及び/または翻訳することができる場合に、ポリペプチドを「コードする」と言われるポリヌクレオチドを指す。アンチセンス鎖は、核酸の相補体であり、それからコード配列を推定することができる。
「ペプチドコンジュゲート」は、1つまたは複数のポリペプチドと別の化学的または生物学的化合物との共有結合または非共有結合による会合を指す。非限定的な例では、ポリペプチドと化合物との「コンジュゲーション」は、その意図された目的のためのポリペプチドの改善された安定性または効力をもたらす。一実施形態では、ペプチドは担体に結合しており、担体はリポソーム、ミセル、または薬学的に許容されるポリマーである。
「薬学的に許容されるポリマー」という語句は、本明細書に記載の1つまたは複数のポリペプチドにコンジュゲートすることができる化合物の群を指す。ポリマーのポリペプチドへのコンジュゲーションは、in vivo及びin vitroでポリペプチドの半減期を延長することができると考えられる。非限定的な例には、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、糖、ポリオール、及びそれらの混合物が含まれる。
II.解毒剤
r-解毒剤に対するさらなる改変を含む第Xa因子解毒剤
例えば、参照により本開示に組み込まれる、米国特許第8,153,590号に開示されるr-解毒剤へのさらなる改変が企図され、r-解毒剤の、安定性、結合効率、及び/または結合特異性をさらに改善することができる。r-解毒剤と同様に、改変解毒剤も軽鎖と重鎖を含む2鎖にすることができるが、重鎖のみを有する単鎖にすることもできる。解毒剤が二本鎖ポリペプチドである場合、軽鎖は、例えば、(配列番号1の)残基172と342の間の鎖間ジスルフィド結合を介して重鎖に連結することができる。
A. 脱アミド化、イソアスパラギン酸の形成、または酸化の防止または低減
r-解毒剤のAsn及びAsp側鎖は、翻訳後に脱アミド化またはイソアスパラギン酸形成を受ける可能性があり、その機能に影響を与えたり、製造プロセスを複雑にしたりする可能性がある。同様に、Met側鎖は翻訳後に酸化を受ける可能性がある。したがって、脱アミド化、イソアスパラギン酸の形成、または酸化を回避するためのこれらの残基の選択的置換は、そのような潜在的な問題を改善するのに役立ち得る。
次の場所のAsn及びAsp残基は、翻訳後の脱アミド化またはイソアスパラギン酸形成の潜在的な標的である:D12、D29、N59、N71、N86、D114、N163、及びN259((全て、表13bに示される配列番号13の軽鎖及び重鎖の配列の連続するアミノ酸番号に従った番号付け)。D12とD29はEGF様ドメイン1にあり、N59、N71、N86はEGF様ドメイン2にあり、D114、N163、N259は重鎖にある。
これらの残基の中で、N86及びD114は、翻訳後の脱アミド化またはイソアスパラギン酸形成の影響を最も受けやすいことが発見されており、D12、D29、及びN59も標的となる可能性がある。
これらのAsnまたはAspは、脱アミド化またはイソアスパラギン酸の形成を防止または低減するために、改変、誘導体化、または置換することができる。例えば、それらは、E、Q、S、またはAで置換することができる。より具体的には、置換の非限定的な例には、D12E、D29E、N59Q、N71Q、N71S、N71A、N86Q、N86S、D114E、D114S、N163S、N163Q、N259Q、N259S、及びN259Aが含まれる。
いくつかの態様では、1つまたは複数のMet残基は、A、S、T、N、Q、D、E、H、K、またはR等であるがこれらに限定されない異なる残基で置換されている。
B. 「特異性ポケット」に対する改変
fXa等のセリンプロテアーゼは、ペプチド/タンパク質基質からのアミノ酸を収容する触媒セリン残基の近くに構造的に異なる部位(しばしば「特異性ポケット」またはS1サブサイトと呼ばれる)を有する。各セリンプロテアーゼは、ポケットのエンベロープを形成し、特定の基質アミノ酸側鎖(例えば、トリプシンの場合はArg、Lys、キモトリプシンの場合はPhe)のみを収容できる固有の構造を提供する固有のアミノ酸セットを有している。
特異性ポケット内の1つまたは複数の残基の改変は、r-解毒剤の結合親和性または特異性を改善するのを助けることができると考えられる。このような改変は、解毒剤の他の機能への影響を回避または最小化するように選択できる。
例えば、セリンプロテアーゼの結晶構造は、特異性ポケットに隣接して水チャネルのシステムがあることを示す。これらのチャネルは、基板側鎖がポケットに挿入されたときにポケット内の水分子が出ていくのを可能にする。結晶構造はまた、水分子が互いに、及びプロテアーゼの構造的完全性を維持するプロテアーゼ骨格/側鎖とともに、水素結合のシステムを形成することを示す。これらの水チャネルは特異性ポケット及び実際にプロテアーゼ構造の不可欠な部分であるため、ポケット内の残基の改変は水チャネルの完全性を維持する必要があると考えられる。
一態様では、改変には、配列番号13(r-解毒剤)と比較して、V232、V253、D284、A285、V308、G311、A315、G321、またはY323における、1つまたは複数の置換を含めることができる。特に、部位V232、D284、V308、及びG311が効果的であると考えられる。非限定的に、置換は、V232I、D284M、D284Q、D284S、V308S、G311H、G311K、G311N、G311Q、及びG311Sであってよい。
いくつかの態様では、モデリングは、置換の特定の組み合わせが結合親和性の改善に効果的であり得ることを示す。そのような置換の組み合わせの非限定的な例には、以下が含まれる、
i)D284M;
ii)D284M及びG311S;
iii)D284M、V232I、及びV308S;
iv)D284M、G311S、V232I、及びV308S;
v)D284Q;
vi)D284Q及びG311S;
vii)D284Q、V232I、及びV308S;
viii)D284Q、G311S、V232I、及びV308S;
ix)D284S及びG311Q;
x)D284S、G311Q、V232I、及びV308S;
xi)G311K;
xii)G311Q;
xiii)G311N;
xiv)G311S;
xv)G311H;
xvi)G311K、V232I、及びV308S;
xvii)G311Q、V232I、及びV308S;
xviii)G311N、V232I、及びV308S;
xix)G311S、V232I、及びV308S;
xx)G311H、V232I、及びV308S。
提供されるように、これらの置換及び置換の組み合わせは、解毒剤のfXa阻害剤に対する結合親和性を増加させることができると考えられる。
第Xa因子阻害剤は、一態様では、NAP-5、rNAPc2、組織因子経路阻害剤、DX-9065a、YM-60828、YM-150、アピキサバン、リバーロキサバン、TAK-442、PD-348292、オタミキサバン、エドキサバン、LY517717、GSK913893、ラザキサバン、ベトリキサバンまたはそれらの薬学的に許容される塩、及びそれらの組み合わせ等の直接的な第Xa因子阻害剤(例えば、小分子阻害剤)である。特定の態様において、直接的な第Xa因子阻害剤はリバーロキサバンである。
第Xa因子阻害剤は、一態様では、フォンダパリヌクス、イドラパリヌクス、ビオチン化イドラパリヌクス、エノキサパリン、フラグミン、チンザパリン、低分子量ヘパリン及びそれらの組み合わせ等であるがこれらに限定されない間接的な第Xa因子阻害剤である。特定の局面において、間接的な第Xa因子阻害剤はエノキサパリンである。
いくつかの態様では、改変は、解毒剤が組織因子経路阻害剤(TFPI)に結合するのを防ぐことができると考えられている。
特異性ポケット以外のサブサイトのアミノ酸も変更できると考えられる。そのようなアミノ酸には、例えば、(配列番号13と比較して)T189、Y190、F267、またはI268、またはそれらの組み合わせが含まれる。置換の非限定的な例には、T189W、Y190W、F267W、I268W、またはそれらの組み合わせが含まれる。そのような置換は、タンパク質と小分子阻害剤との疎水性相互作用を増加させると考えられている。
別の態様では、置換は、fXa活性部位を取り囲む以下のループ、T186~Y190、R237~R243、S265~I268、またはG311~G313のアミノ酸で行うことができる。
C. 触媒三残基の改変
本開示の解毒剤は、触媒作用を有さないか、または低下した触媒能力を有する。例えば、活性部位におけるr-解毒剤はSer195Ala(プロテアーゼ番号付けによると、これは配列番号13の290位にある)の置換を有する。この位置でのさらなる改変(Serに戻らない)、及び触媒三残基の他の2つの残基(キモトリプシン番号付けによるHis57及びAsp102、または配列番号13に示すH147及びD193)での改変は、タンパク質の触媒能力を回復することなく、fXa阻害剤(直接的または間接的)に対する解毒剤の親和性をさらに向上させることができると考えられている。
A290の置換の例には、とりわけAsn、Gln、及びLysを含めることができる。Asnは、H147及びリバーロキサバン>C=Oと水素結合を形成することができる。GlnとLysは、小分子との疎水性相互作用を追加することができる。
H147の置換の例には、とりわけSer、Thr、Asn、及びGlnが含まれる。H147での変更は、A290の変更に追加されてもよいが、D193は埋め込まれており、H147と直接相互作用するため、H147での変更はD193への影響も考慮に入れることができる。H147がSer、Thr、またはAsnに変更された場合、D193は維持されるかAsnに変更されてもよい。
したがって、一態様では、本開示の解毒剤は、(配列番号13の)A290、H147、またはD193のうちの1つまたは複数での1つまたは複数の置換を含む。
いくつかの態様では、置換は、A290N、A290Q、A290K、H147S、H147T、H147N、H147Q、またはD193Nにあり得る。いくつかの態様では、置換、または置換の組み合わせには、以下のものが含まれる、
i)A290N;
ii)A290Q;
iii)A290K;
iv)H147S;
v)H147T;
vi)H147N;
vii)H147Q;
viii)H147S及びD193N;
ix)H147T及びD193N;
x)H147N及びD193N;
またはそれらの組み合わせ。
D. N末端またはEGFドメインでの改変
一実施形態では、本開示の解毒剤は、r-解毒剤(配列番号13)と比較して、N末端の疎水性残基の数を減らすための1つまたは複数の変異を含むことができる。この態様では、ポリペプチドの変異が(配列番号13の)A1とK11の間のアミノ酸残基にある。さらなる態様では、変異はA1とY10の間のアミノ酸残基にある別の態様では、変異は、A1とY10の間のアミノ酸残基の欠失及びK11のGへの置換である。さらに別の態様では、変異は、A1とY10の間のアミノ酸残基の欠失及びK11からAへの置換である。
さらなる実施形態において、解毒剤は、配列番号13と配列番号16の組み合わせであり、配列番号16は、少なくとも1つのアミノ酸変異、置換、または改変を有し、配列番号13のL5とF6の間に挿入される。
一態様では、本開示の解毒剤は、翻訳後のメチオニン酸化を防ぐために、r-解毒剤と比較して、変異を含む。翻訳後のメチオニン酸化を防ぐための変異には、M273I、M273L、またはM273Vが含まれ得る。
一態様では、解毒剤のN末端は、次のアミノ酸配列DGD、KDGD、GDGD、ADGDのいずれかで始まるように変更できる。そのような改変は、例えば、解毒剤のN末端の疎水性残基の数を減らすであろう。代替的に、EGF様ドメインの一方または両方を欠失して、コンストラクトがEGF様ドメイン2:重鎖のみ、または重鎖プロテアーゼドメインのみを含むようにすることができる。別の実施形態では、セリンプロテアーゼドメインのみが使用され、例えば、重鎖の残基の変更が必要とされるであろう。(配列番号13と比較した)置換C221SまたはC221Aは、この実施形態では、必要であり、他の残基での変更は、C221に追加され、任意の組み合わせであり得る。
fXa軽鎖でのさらなる短縮、例えば、EGF1ドメイン、EGF1プラスEGF2ドメイン、またはそれらの断片の追加の欠失、及び重鎖のみを有する不活性なfXaは、本開示の有用な解毒剤となり得ると考えられる。
E. 改変の組み合わせ
異なるタイプの改変の組み合わせもまた企図される。一態様では、解毒剤には、(i)D12、D29、N59、N71、N86、D114、N163、及びN259での1つまたは複数のAsn及びAsp残基の置換、ならびに(ii)特異性ポケットの残基、例えば、V232、V253、D284、A285、V308、G311、A315、G321、またはY323での1つまたは複数の置換が含まれる。一態様では、AsnまたはAspは、N86もしくはD114、またはD12、D29、もしくはN59から選択される。一態様では、特異性ポケット内の残基は、V232、D284、V308、及びG311から選択される。
別の態様では、解毒剤には、(i)D12、D29、N59、N71、N86、D114、N163、及びN259での1つまたは複数のAsn及びAsp残基の置換、ならびに(iii)触媒三残基(例えば、A290、H147、またはD193)での1つまたは複数の残基での置換が含まれる。一態様では、AsnまたはAspは、N86もしくはD114、またはD12、D29、もしくはN59から選択される。一態様では、触媒三残基での残基はA290である。
一態様では、解毒剤は、(i)D12、D29、N59、N71、N86、D114、N163、及びN259での1つもしくは複数のAsn及びAsp残基の置換、(ii)特異性ポケットでの残基、例えば、V232、V253、D284、A285、V308、G311、A315、G321、もしくはY323での1つもしくは複数の置換、または(iii)触媒三残基(例えば、A290、H147、もしくはD193)の1つもしくは複数の残基での置換、及び(iv)上述のようなN末端またはEGFドメインでの改変のうちの1つまたは複数を含む。
組み合わせはまた、上述の改変のうちの1つまたは複数、及びその内容が参照により本明細書に組み込まれるWO/2010/117729に開示されるもの等の1つまたは複数の既知の改変を含み得る。一態様では、追加の改変は、重鎖のN末端にある活性化ペプチドの全部または一部を欠失することである。一実施形態では、これには、活性化ペプチドまたは配列番号3またはその均等物の143~194のアミノ酸残基の全部または部分の欠失を含む。
別の実施形態では、追加の改変は、βペプチドの切断を防止するアミノ酸改変であり、ここで、βペプチドは、重鎖の一部または全体を指す。この改変には、アミノ酸の欠失、置換、または挿入が含まれ得る。このような改変には、Arg429またはSer436(キモトリプシン番号付け)の1つまたは複数の置換が含まれる。さらに別の実施形態では、追加の改変は、βペプチドの欠失である。βペプチドの欠失は、少なくとも配列番号3またはその均等物の430~448のアミノ酸残基の欠失を含む。
一実施形態では、追加の改変には、補因子fV/fVaとのfXa相互作用に重要であることが知られているfXa残基での変異が含まれる。このような残基には、非限定的に、Arg306、Glu310、Arg347、Lys351、またはLys414(配列番号3及び7、これらのアミノ酸は、キモトリプシン番号付けにおけるArg125、Glu129、Arg165、Lys169、Lys230に対応する)が含まれる。さらに、配列番号3及び7のArg424(キモトリプシン番号付けのArg240)等、fVIII/fVIIIa相互作用に重要であることが知られているfXa残基での変異を、fXa阻害剤解毒剤としても使用できる。
fXaの活性部位残基またはセリンプロテアーゼ相互作用に重要であることが知られている残基の他の改変、例えば、配列番号3及び7中のGlu216、Glu218、及びArg332(それぞれキモトリプシン番号付けのGlu37、Glu39、及びArg150)の他のアミノ酸残基での置換もまた含むことができる。
さらなる追加の実施形態では、追加の改変は、潜在的な分解を排除するためのFXa重鎖の自己消化ループでの変異であり得る。FXaは、ファミリーの他のセリンプロテアーゼと同様に、様々なプロテアーゼによる切断を受けやすい露出した表面ループ(自己消化ループ)を有する。配列番号1の366~376のアミノ酸を含むこのループは、いくつかの正に帯電した残基(Arg366、Lys370、Arg372、Arg376)を含み、Arg372が切断の潜在的な認識部位である。これらの帯電した残基は、Gln(Q)またはAla(A)に変異させて、切断の可能性を防ぐことができる。一態様では、変異はArg366Q/Aである。別の態様では、変異はLys370Q/Aである。さらに別の態様では、変異はArg372Q/Aである。さらに別の態様では、変異はArg376Q/Aである。いくつかの実施形態では、fXa誘導体にはそのような変異を1つまたは複数有する。
III. 解毒剤を調製する方法
本開示のポリペプチドは、適切な宿主細胞において本開示のポリペプチド配列をコードするポリヌクレオチドを発現させることによって調製することができる。これは、当業者に知られている組換えDNA技術の方法によって達成することができる。本開示のタンパク質及びポリペプチドはまた、Perkin Elmer/Applied Biosystems, Inc., Foster City, CA, USAによって製造されたものである、モデル430Aまたは431A等の市販の自動ペプチドシンセサイザーを使用する化学合成によって得ることができる。合成されたタンパク質またはポリペプチドは沈殿させ、例えば高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によってさらに精製することができる。したがって、本開示はまた、タンパク質の配列ならびにアミノ酸及び酵素等の試薬を提供し、アミノ酸を適切な配向及び直線状配列で一緒に連結することによって、本開示のタンパク質を化学的に合成するためのプロセスを提供する。
変更された特性を提供するために任意のペプチドに改変を加えることができることは当業者に知られている。本開示のポリペプチドは、非天然アミノ酸を含むように改変することができる。したがって、ペプチドは、ペプチドに特別な特性を伝えるために、D-アミノ酸、D-及びL-アミノ酸の組み合わせ、ならびに様々な「デザイナー」アミノ酸(例えば、β-メチルアミノ酸、C-α-メチルアミノ酸、及びN-α-メチルアミノ酸等)を含むことができる。さらに、特定のカップリングステップで特定のアミノ酸を割り当てることにより、α-ヘリックス、βターン、βシート、α-ターン、及び環状ペプチドを含むペプチドを生成することができる。一般に、αヘリックス二次構造またはランダム二次構造が好ましいと考えられている。
さらなる実施形態において、有用な化学的及び構造的特性を与えるポリペプチドのサブユニットが選択されるであろう。例えば、D-アミノ酸を含むペプチドは、in vivoでL-アミノ酸特異的プロテアーゼに耐性があり得る。D-アミノ酸を有する改変化合物は、逆の順序で整列されたアミノ酸を用いて合成されて、本開示のペプチドをレトロ-インベルソペプチドとして生成し得る。さらに、本開示は、より明確な構造特性を有するペプチドの調製、ならびにペプチド模倣物、及びエステル結合等のペプチド模倣結合を使用して、新規の特性を有するペプチドを調製することを想定している。別の実施形態では、還元ペプチド結合、すなわち、R-CHNH-Rを組み込んだペプチドを生成することができ、ここで、R及びRはアミノ酸残基または配列である。還元ペプチド結合は、ジペプチドサブユニットとして導入され得る。そのような分子は、ペプチド結合の加水分解、例えばプロテアーゼ活性に耐性があるであろう。このような分子は、代謝分解またはプロテアーゼ活性への耐性によるin vivoでの半減期の延長等、独自の機能と活性をリガンドに提供する。さらに、特定のシステムでは、拘束されたペプチドが増強された機能的活性を示すことはよく知られており(Hruby (1982) Life
Sciences 31:189-199 and Hruby et al.(1990) Biochem J.268:249-262);本開示は、他の全ての位置にランダム配列を組み込む拘束されたペプチドを生成する方法を提供する。
以下の非古典的アミノ酸は、特定の構造的モチーフを導入するために、本開示のペプチドに組み込まれ得る:1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボキシレート(Kazrnierski et al. (1991) J.Am. Chem. Soc. 113:2275-2283);(2S,3S)-メチル-フェニルアラニン、(2S,3R)-メチル-フェニルアラニン、(2R,3S)-メチル-フェニルアラニン及び(2R,3R)-メチル-フェニルアラニン(Kazmierski and Hruby (1991) Tetrahedron Lett.32(41):5769-5772);2-アミノテトラヒドロナフタレン-2-カルボン酸(Landis (1989) Ph.D.Thesis, University of Arizona);ヒドロキシ-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボキシレート(Miyake et al. (1989) J.Takeda Res. Labs. 43:53-76)、ヒスチジンイソキノリンカルボン酸(Zechel et al. (1991) Int. J.Pep. Protein Res. 38(2):131-138);ならびにHIC(ヒスチジン環状尿素)(Dharanipragada et al. (1993) Int. J.Pep. Protein Res. 42(1):68-77)及び(Dharanipragada et al. (1992) Acta. Crystallogr. C. 48:1239-1241)。
以下のアミノ酸類似体及びペプチド模倣物をペプチドに組み込んで、特定の二次構造を誘導または支持することができる:LL-Acp(LL-3-アミノ-2-プロペニドン-6-カルボン酸)、βターン誘導ジペプチド類似体(Kemp et al. (1985) J.Org. Chem. 50:5834-5838);β-シート含有類似体(Kemp et al. (1988) Tetrahedron Lett. 29:5081-5082);β-ターン含有類似体(Kemp et al. (1988) Tetrahedron Lett. 29:5057-5060);α-ヘリックス含有類似体(Kemp et al. (1988) Tetrahedron Lett. 29:4935-4938);α-ターン含有類似体(Kemp et al. (1989) J.Org. Chem. 54:109:115);以下の参照文献によって提供される類似体: Nagai and Sato (1985) Tetrahedron Lett. 26:647-650;and DiMaio et al. (1989) J.Chem. Soc. Perkin Trans. p.
1687;Gly-Alaターン類似体(Kahn et al. (1989) Tetrahedron Lett. 30:2317);アミド結合アイソスター(Clones et al. (1988) Tetrahedron Lett. 29:3853-3856);テトラゾール(Zabrocki et al. (1988)
J.Am. Chem. Soc.110:5875-5880);DTC(Samanen et al. (1990) Int. J.Protein Pep. Res.35:501:509);ならびにOlson et al. (1990) J.Am. Chem. Sci. 112:323-333 and Garvey et
al. (1990) J.Org. Chem.56:436で教示される類似体。ベータターン及びベータバルジの立体配座的に制限された模倣物、及びそれらを含むペプチドは、1995年8月8日にカーンに発行された米国特許第5,440,013号に記載されている。
ペプチドの生物学的機能を変化させない1つまたは複数の機能的に均等なアミノ酸で1つまたは複数のアミノ酸を置換することによって、任意のペプチドに改変を加えることができることは当業者に知られている。一態様では、アミノ酸は、疎水性、サイズ、または電荷を含むがこれらに限定されない、同様の固有の特性を有するアミノ酸によって置換される。置換されるべき適切なアミノ酸及びどのアミノ酸に置換するかを決定するために使用される方法は、当業者に知られている。非限定的な例には、Dahoff et al. (1978) In Atlas of Protein Sequence and Structure Vol. 5 suppl. 2 (ed. M.O. Dayhoff), pp. 345-352. National Biomedical
Research Foundation, Washington DCによって記載されているような経験的置換モデル;Dayhoff行列を含むPAM行列(Dahoff et al.(1978)、前出、またはJones et al. (1992) Comput. Appl. Biosci. 8:275-282、及びGonnet et al.(1992) Science 256:1443-1145によって記載されているようなJTT行列;Adach and Hasegawa (1996) J. Mol. Evol. 42:459-468によって記載されている経験的モデル;Henikoff and Henikoff (1992) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915-10919によって記載されているブロック置換行列(BLOSUM);Nei (1987) Molecular Evolutionary Genetics. Columbia University Press, New York.によって記載されているポアソンモデル;ならびにMuller et al. (2002) Mol. Biol. Evol. 19:8-13によって記載されている最尤(ML)法が含まれる。
IV. 第Xa因子解毒剤の使用方法
本開示は、抗凝固療法を受けている対象における出血を予防または低減する治療方法に関する。本開示の解毒剤は、傷害に対して有害な血行力学的副作用または増殖性血管反応の悪化を引き起こすことなく、fXa阻害剤の従来の抗凝固特性を安全かつ特異的に中和することができる選択的または緊急の状況で使用される短期間の薬物となり得ると考えられる。
本開示の一態様は、本開示の有効量の解毒剤を対象に投与することによって第Xa因子阻害剤による抗凝固療法を受けている対象の出血を予防または低減する方法に関する。
別の態様では、本明細書で提供される方法は、本開示の有効量の解毒剤を対象に投与することを含む、第Xa因子阻害剤による抗凝固療法を受けている対象において外因的に投与された第Xa因子阻害剤に選択的に結合して阻害する。対象は、細胞またはヒト等の哺乳動物であり得る。
この治療に適した患者は、以前に抗凝固療法を受けており、例えば、第Xa因子の阻害剤等の1つまたは複数の抗凝固剤が投与されている。
第Xa因子阻害剤は、一態様では、NAP-5、rNAPc2、組織因子経路阻害剤、DX-9065a、YM-60828、YM-150、アピキサバン、リバーロキサバン、TAK-442、PD-348292、オタミキサバン、エドキサバン、LY517717、GSK913893、ラザキサバン、ベトリキサバンまたはそれらの薬学的に許容される塩、及びそれらの組み合わせ等の直接的な第Xa因子阻害剤(例えば、小分子阻害剤)である。特定の態様において、直接的な第Xa因子阻害剤はリバーロキサバンである。
第Xa因子阻害剤は、一態様では、フォンダパリヌクス、イドラパリヌクス、ビオチン化イドラパリヌクス、エノキサパリン、フラグミン、チンザパリン、低分子量ヘパリン及びそれらの組み合わせ等であるがこれらに限定されない間接的な第Xa因子阻害剤である。特定の局面において、間接的な第Xa因子阻害剤はエノキサパリンである。
同様に、本開示によって提供されるのは、本開示の1つまたは複数の解毒剤及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物である。組成物は、それを必要とする対象に、所望の利益、出血の減少または停止を提供する量で投与される。組成物は、第Xa因子解毒剤の活性を補完または増強する任意の適切な薬剤または治療と共投与することができる。そのような例は、解毒剤の血漿半減期を延長することができる第2の薬剤である。適切な第2の薬剤の例には、fXa重鎖のエキソサイトを認識する抗fXa抗体またはα-2-マクログロブリン結合fXa解毒剤が含まれるが、これらに限定されない。fXa解毒剤と第2の薬剤(エキソサイト抗体またはα-2-マクログロブリン)の間の複合体の形成は、高分子相互作用を遮断するが、活性部位依存性阻害剤結合の能力を保持する。共投与に適した抗fXa抗体の例には、Yang Y.H., et al, J. Immunol.2006, 1;177(11):8219-25、Wilkens, M and
Krishnaswamy, S., J. Bio. Chem., 2002, 277 (11), 9366-9374、及びChurch WR, et al, Blood, 1988, 72(6), 1911-1921に記載されているものが含まれるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、解毒剤は、対象が出血のリスクにさらされる可能性がある、fXa阻害剤の過剰投与後、または手術の前に投与される。
本明細書に記載の方法のいずれにおいても、必ずしも明示的に述べられていなくても、本開示の解毒剤の有効量が対象に投与されることを理解されたい。この量は、治療する医師によって経験的に決定することができ、対象の年齢、性別、体重、及び健康状態によって変動する。治療する医師が考慮すべき追加の因子には、投与された可能性のある第Xa因子阻害剤の同一性及び/または量、解毒剤が対象に投与される方法またはモード、解毒剤の製剤、及び患者の治療の評価項目が含まれるが、これらに限定されない。これらの変数を念頭に置いて、当業者は、治療対象に治療有効量を投与する。対象の抗凝固剤を中和する、または実質的に中和するのに十分な本明細書に記載の解毒剤の治療有効量は、対象の体重1キログラムあたり約0.01ミリグラムの解毒剤から解毒剤の対象の体重1キログラムあたり1グラムの解毒剤までを含み得ることが企図される。さらに、解毒剤は、約10ナノモル濃度~約100マイクロモル濃度、または約10ナノモル濃度~約5マイクロモル濃度、または約100ナノモル濃度~約2.5マイクロモル濃度の範囲の濃度で対象に提供され得ることが企図される。
本明細書に開示される改変のいくつかは、解毒剤の中和能力を高めることができる。したがって、有効量は、対象の体重1キログラムあたり約0.001ミリグラムの解毒剤から、解毒剤の対象の体重1キログラムあたり0.5グラムの解毒剤まで、より低くすることができる。
特定の態様では、約1、2、3、4、5、6、7、または8ミリグラム(mg)から約0.5、1、または1.5グラム(g)までを含む単位用量製剤が提供される。本発明によって企図される他の量には、約50mg~約1g;約100mg~約0.8g;及び約200mg~約500mgが含まれる。
別の実施形態では、単位用量製剤は、少なくとも約30分間、第Xa因子阻害剤の循環濃度に対するポリペプチドの循環濃度の少なくとも約0.5:1倍のモル比である中和量で投与される。他の実施形態では、モル比は、約0.1:1、または約0.2:1または約1:1である。
投与された場合の製剤は、第Xa因子阻害剤を少なくとも約20%、または少なくとも約50%、または少なくとも約75%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%中和する。
組成物は、解毒剤が対象の第Xa因子阻害剤を直接的または間接的に選択的に認識して結合するのに有効な量で投与することができる。それらはまた、対象において外因的に投与された第Xa因子阻害剤を実質的に阻害または実質的に中和する量で投与することができる。
いくつかの実施形態では、解毒剤は、上述の解毒剤のいずれかである。いくつかの実施形態では、解毒剤は、解毒剤の循環半減期を延長することができる部分とコンジュゲートしている。いくつかの実施形態では、部分は、ポリエチレングリコール、アシル基、リポソーム、担体タンパク質、人工リン脂質膜、及びナノ粒子からなる群から選択される。例えば、本明細書に記載のfXa解毒剤の非活性部位のリジンまたはシステイン残基は、ポリエチレングリコール分子に付着するように化学的に修飾され得る。Werle, M.
& Bernkop-Schnurch, A. Strategies to Improve Plasma Half Life Time of Peptide and Protein Drugs, Amino Acids 2006, 30(4):351-367に記載されている他の方法は、本開示の解毒剤の結晶半減期を延長するために使用できる。
本開示の他の実施形態では、本開示の解毒剤の半減期は、解毒剤をFc担体ドメインに結合することによって改善される。一実施形態では、解毒剤は、免疫グロブリンペプチド部分またはIgG1断片等のFc断片に結合する。一実施形態では、fXa解毒剤と免疫グロブリンペプチド部分を含むキメラタンパク質が企図される。さらに別の実施形態では、fXa解毒剤と免疫グロブリンペプチドは、ヒトIgG重鎖及びカッパ軽鎖定常領域とのジスルフィド結合等の化学反応によって結合される。
一実施形態では、治療有効量の解毒剤は、高い治療指数を示す。毒性と治療効果と間の用量比は、治療指数であり、それはLD50とED50との間の比率として表され得る。LD50は集団の50%に致命的な用量であり、ED50は集団の50%で治療的に有効な用量である。LD50及びED50は、動物細胞培養または実験動物における標準的な製薬手順によって決定される。本開示の解毒剤は、対象の血漿中に存在するfXa阻害剤の効果を中和するために必要な場合に、1回または数回投与することができる。好ましくは、本開示の解毒剤は、単回投与で投与される場合に十分である。
本開示の解毒剤の典型的な投与量は、実際の臨床状況及び血漿中の阻害剤濃度に依存すると考えられる。抗fXa活性アッセイ及びトロンビン生成等のin vitroアッセイ、aPTT、PT、及びACT等の臨床凝固アッセイでは、治療有効量の解毒剤が10%以上のex vivo凝固活性の補正をもたらすと予想される。in vitroアッセイは、解毒剤/阻害剤の比率が1.0を超えると、逆転効果を示すはずであることを示す。解毒剤の最大血漿中濃度は、マイクロモル濃度範囲、おそらく10マイクロモル濃度以下であると予想される。
臨床状態では、解毒剤の有効性を判断する際の基準の1つは、解毒剤が実際の出血の測定値にいくらかの変化をもたらすことである。臨床試験では、主要な出血のカテゴリーには、致命的な出血、重要な臓器への出血(頭蓋内、眼内、腹腔内、脊髄、心膜)、再手術または新しい治療手順を必要とするいずれかの出血(例えば、手術した膝の吸引、血胸のための開胸チューブ挿入、内視鏡的電気凝固等)、または明白な出血に関連している場合は2.0以上の出血指数が含まれる。出血指数は、輸血された濃厚赤血球または全血の単位数に出血エピソード前のヘモグロビン値を加えて、出血が安定した後のヘモグロビン値を引いたものとして定義される(グラム/デシリットル単位)。
臨床状況での解毒剤の有効性に関する別の基準は、臨床的に重要な非主要な出血を減らすことである。このカテゴリーの出血には、持続性または再発性でかなりの量の鼻血または介入なしでは止まらない鼻血;持続性または再発性でかなりの量の鼻血、または介入なしでは止まらない鼻血;治療手順(フォーリーカテーテルの新規挿入や膀胱鏡検査等)を必要とするレベルまで上昇しない直腸または尿路の出血、注射部位または他の場所での自発的または些細な外傷で発生する実質的な血腫;かなりの失血;計画外の輸血を必要とする出血を含む重大ではないが通常よりも多い出血が含まれ、臨床的注意が必要である。本明細書で使用されるとき、「実質的な失血」は、外科的処置に通常関連する量よりも多い失血の量を指す。かなりの失血は腫脹につながるが、それはドレナージを必要としないため、保守的に管理される。
一実施形態では、本開示の解毒剤は、血漿中に存在するfXa阻害剤を実質的に中和するのに十分な血漿循環半減期を有する。活性化されたfXaは、ATIII、TFPI、及びその他の血漿阻害剤によって効果的に阻害されるため、ヒトでの循環半減期は本質的にない(Fuchs, H.E. and Pizzo, S.V., J. Clin.Invest., 1983, 72:2041-2049)。不活性なfXaは、ヒトでの循環半減期が2~3時間であることが示されている。ヒヒモデルでは、DEGR([5-(ジメチルアミノ)1-ナフタレンスルホニル]-グルタミルグリシルラルギニルクロロメチルケトン)によって活性部位で遮断されたfXaの半減期は、同位体または酵素結合免疫吸着アッセイによって決定されるとき、それぞれ、約10時間または2時間であった(Taylor, F.B. et al, Blood, 1991, 78(2):364-368)。
解毒剤の半減期を24~48時間に延長することが望ましい場合がある。以下の部分のうちの1つまたは複数のコンジュゲーションまたは付加は、解毒剤の血漿半減期を増加させることと考えられている:
a)ポリエチレングリコール;
b)アシル基;
c)リポソーム及び封入剤;
d)担体タンパク質;
e)人工リン脂質膜;
f)免疫グロブリン;ならびに
g)ナノ粒子。
コンジュゲーションが解毒剤の阻害剤結合部位(複数可)をマスクしない限り、コンジュゲーション部位は特別な鎖または残基に限定されなくてもよい。本明細書に記載の解毒剤は、上述の化合物のいずれか1つまたは1つを超えて組み合わせて投与することができる。
一般に、投与された抗体は、循環血液凝固タンパク質よりもはるかに長い半減期を有する。Glaドメイン欠損fXaとfXaのエキソサイトに結合する抗体とからなる複合体を、循環半減期が延長した解毒剤として使用することができる。fXaとエキソサイトを標的とする抗体との間の複合体の形成は、Glaドメイン欠損fXaと高分子基質及び阻害剤、例えばプロトロンビン及びアンチトロンビンIII等との相互作用を減少させ得るが、一方で活性部位のクレフトを乱さずに残して、直接的な阻害剤に向けられた活性部位に結合する解毒剤として複合体が作用し得る。α-2-マクログロブリン-fXa複合体の形成は、fXaの直接的な阻害剤の解毒剤としても有用であり得る。
fXa阻害剤の抗凝固活性及びその凝固促進活性の逆転における解毒剤の有効性は、当業者によるin vitroアッセイ及び動物モデルによって決定され得る。in vitroアッセイの例は、抗fXa活性アッセイ、トロンビン生成、aPTT、PT、及びACT等の臨床凝固アッセイである。本開示の解毒剤は、ex vivo凝固活性の10%以上の補正をもたらし得ると考えられる。例えば、マウス等のげっ歯類、イヌ、及びサル等の霊長類における出血時間及び/または失血のいくつかのin vivo動物モデルを使用して、効力を測定することができる。
V.ポリヌクレオチド、宿主細胞、及び組成物
本開示はまた、本開示の任意のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、及びそれらの相補体を提供する。相補性は、中程度または高いストリンジェンシーの条件下で従来のハイブリダイゼーションを使用して決定することができる。本明細書で使用されるとき、ポリヌクレオチドという用語は、DNA及びRNA、ならびに修飾ヌクレオチドを意図する。例えば、本開示はまた、アンチセンスポリヌクレオチド鎖、例えば、これらの配列またはそれらの相補体に対するアンチセンスRNAを提供する。
本発明のポリペプチド及びポリペプチド複合体と実質的に相同で生物学的に均等のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドも提供される。実質的に相同で生物学的に均等であるとは、少なくとも65%、または代替的に少なくとも70%、または代替的に少なくとも75%、または代替的に少なくとも80%、または代替的に少なくとも85%、または代替的に少なくとも90%、または代替的に少なくとも95%、または代替的に少なくとも97%の、上述で定義された相同性等の様々な程度の相同性を有し、第Xa因子阻害剤に結合する生物学的活性を有し、本明細書に記載されるようにプロトロンビナーゼ複合体に集合しないポリペプチドをコードするものを意図する。実質的に相同なポリペプチド及びポリヌクレオチドに対する実施形態が、本開示の各態様、例えば、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、及び抗体を対象としていることを常に明示的に述べているわけではないが、理解されるべきである。
本開示のポリヌクレオチドは、従来の組換え技法を使用して複製することができる。代替的に、ポリヌクレオチドは、PCR技術を使用して複製することができる。PCRは米国特許第4,683,195号;同第4,800,159号;同第4,754,065号;及び同第4,683,202号の課題であり、PCR: The Polymerase Chain Reaction (Mullis et al. eds, Birkhauser Press, Boston (1994))、及び、それらの中の参照文献に記載されている。さらに、当業者は、本明細書で提供される配列及び市販のDNAシンセサイザーを使用して、DNAを複製することができる。したがって、本開示はまた、ポリヌクレオチドの直線状配列、適切なプライマー分子、酵素等の化学物質、及びそれらの複製のための指示を提供し、ヌクレオチドを適切な配向で化学的に複製または連結してポリヌクレオチド得ることによって、本開示のポリヌクレオチドを得るためのプロセスを提供する。別の実施形態では、これらのポリヌクレオチドはさらに単離される。さらに、当業者は、ポリヌクレオチドを、宿主細胞におけるそれらの発現のための制御配列に作動可能に連結することができる。ポリヌクレオチド及び制御配列は、複製及び増幅のために宿主細胞(原核生物または真核生物)に挿入される。そのように増幅されたDNAは、当業者に周知の方法によって細胞から単離することができる。この方法によってポリヌクレオチドを取得するためのプロセスは、そのようにして得られたポリヌクレオチドと同様に、本明細書でさらに提供される。
RNAは、最初にDNAポリヌクレオチドを適切な原核生物または真核生物の宿主細胞に挿入することによって得ることができる。DNAは、任意の適切な方法、例えば、適切な遺伝子送達ビヒクル(例えば、リポソーム、プラスミド、またはベクター)の使用によって、またはエレクトロポレーションによって挿入することができる。細胞が複製し、DNAがRNAに転写されるとき、次いで、RNAは、例えば、Sambrook and
Russell(2001)、前出に記載されているように、当業者に周知の方法を使用して単離することができる。例えば、mRNAは、Sambrook and Russell(2001)、前出に記載されている手順に従って、様々な溶解酵素または化学溶液を使用して単離するか、製造元から提供された付随する取扱説明書に従って核酸結合樹脂によって抽出することができる。
本開示はまた、本開示のタンパク質またはポリペプチドと特異的に複合体を形成することができる抗体を提供し、これは、本開示の治療方法において有用である。「抗体」という用語は、ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体、抗体断片、ならびにそれらの誘導体(上述)を含む。抗体には、マウス、ラット、ウサギ、またはヒトの抗体が含まれるが、これらに限定されない。抗体は、細胞培養、ファージ、またはウシ、ウサギ、ヤギ、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ヒツジ、イヌ、ネコ、サル、チンパンジー、類人猿等を含むがこれらに限定されない様々な動物で産生され得る。抗体はまた、治療用ポリペプチドを同定及び精製するために有用である。
本開示のポリペプチドまたはポリヌクレオチドのうちの1つまたは複数を含む宿主細胞も提供される。一態様では、ポリペプチドは発現され、細胞表面に(細胞外に)存在する。開示されたポリペプチドを含む適切な細胞には、細菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞、動物細胞、哺乳動物細胞、マウス細胞、ラット細胞、ヒツジ細胞、類人猿細胞、及びヒト細胞が含まれるがこれらに限定されない原核生物及び真核生物細胞が含まれる。細菌細胞の例には、Escherichia coli、Salmonella enterica、及びStreptococcus gordoniiが含まれる。細胞は、アメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(ATCC, Rockville Maryland, USA)等の商業的ベンダーから購入するか、または当該技術分野で知られている方法を使用して分離株から培養することができる。適切な真核細胞の例には、293T HEK細胞、ならびにハムスター細胞株CHO、BHK-21、NIH3T3、NS0、C127と指定されたマウス細胞株、類人猿細胞株COS、Vero、及びヒト細胞株HeLa、PER.C6(Crucellから市販)U-937、及びHep G2が含まれるが、これらに限定されない。昆虫細胞の非限定的な例には、Spodoptera frugiperdaが含まれる。発現に有用な酵母の例には、サッカロミセス属、シゾサッカロミセス属、ハンゼヌラ属、カンジダ属、トルロプシス属、ヤロウイア属、またはピキア属が含まれるが、これらに限定されない。例えば、米国特許第4,812,405号、同第4,818,700号、同第4,929,555号、同第5,736,383号、同第5,955,349号、同第5,888,768号、及び同第6,258,559号を参照されたい。
本開示はさらに、本開示の解毒剤及び薬学的に許容される担体を含む組成物を提供する。
一実施形態では、第Xa因子阻害剤による抗凝固療法を受けている対象における出血を予防または低減するための、本開示の解毒剤及び薬学的に許容される担体を含む組成物が本明細書で提供される。
別の実施形態では、第Xa因子阻害剤による抗凝固療法を受けている対象において外因的に投与された第Xa因子阻害剤に選択的に結合して阻害する組成物が提供される。組成物は、有効量で対象に投与され、本開示の解毒剤及び薬学的に許容される担体を含む。
さらなる実施形態では、組成物は、手術の前に対象に投与される。
「薬学的に許容される担体」は、本開示の組成物において使用され得る任意の希釈剤、賦形剤、または担体を指す。これらの組成物に使用され得る薬学的に許容される担体には、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミン等の血清タンパク質、リン酸塩または炭酸塩等の緩衝物質、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、プロタミン硫酸塩等の、飽和植物脂肪酸、水、塩、または電解質の部分グリセリド混合物、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイドシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸塩、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、ポリエチレングリコール、及び羊毛脂が含まれる。適切な薬学的担体は、この分野の標準的な参照テキストであるRemington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Companyに記載されている。それらは、好ましくは、意図された投与形態、すなわち、経口錠剤、カプセル、エリキシル、シロップ等に関して選択され、従来的な薬務と一致している。
本開示の医薬組成物は、とりわけ、従来の造粒、混合、溶解、カプセル化、凍結乾燥、または乳化プロセス等の当該技術分野において周知の方法によって製造され得る。組成物は、顆粒剤、沈殿物、または微粒子、凍結乾燥された、回転乾燥された、もしくは噴霧された粉末を含む粉末、無定形粉末、アモルファス粉末、注射剤、乳濁液、エリキシル剤、懸濁液または溶液を含む様々な形態に産生できる。製剤は、任意選択で、安定剤、pH調整剤、界面活性剤、可溶化剤、バイオアベイラビリティ調整剤、及びこれらの組み合わせを含み得る。
薬学的製剤は、油、水、アルコール、及びそれらの組み合わせ等の滅菌液体を使用した液体懸濁液または溶液として調製され得る。薬学的に好適な界面活性剤、懸濁化剤、または乳化剤が、経口または非経口投与のために添加され得る。懸濁液は、ピーナツ油、ゴマ油、綿実油、トウモロコシ油、及びオリーブ油等の油を含み得る。懸濁液製剤はまた、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、脂肪酸グリセリド、及びアセチル化脂肪酸グリセリド等、脂肪酸のエステルを含み得る。懸濁液製剤は、エタノール、イソプロピルアルコール、ヘキサデシルアルコール、グリセロール、及びプロピレングリコール等のアルコールを含み得る。ポリ(エチレングリコール)等のエーテル、鉱油及びワセリン等の石油系炭化水素、ならびに水はまた、懸濁液製剤に使用され得る。
本開示の組成物は、哺乳動物、好ましくはヒトへの医薬投与のために製剤化される。本開示のそのような医薬組成物は、様々な方法で、好ましくは非経口的に投与することができる。
緊急事態において患者の血漿中に存在するfXa阻害剤の抗凝固活性を迅速に逆転させるために、本開示の解毒剤は、非経口投与を介して体循環に投与することができるか、または投与してもよいと考えられる。本明細書で使用されるとき、「非経口」という用語は、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑液内、胸骨内、髄腔内、肝内、病巣内、及び頭蓋内注射または注入技法を含む。しかしながら、中和されているfXa阻害剤の血漿半減期が長い場合、fXa阻害剤に結合して、fXa阻害剤が生体から除去される前に活性fXaを解放するために持続注入または持続放出製剤が必要になることがある。
本発明の組成物の滅菌の注射可能な形態は、水性または油性の懸濁液であってもよい。これらの懸濁液は、好適な分散または湿潤剤及び懸濁化剤を使用して、当該技術分野で既知の技法に従って製剤化され得る。滅菌注射用製剤は、例えば、1,3-ブタンジオール中の溶液等の非毒性の非経口として許容される希釈剤または溶媒中の滅菌注射用溶液または懸濁液であってもよい。使用され得る許容されるビヒクル及び溶媒は、水、リンガー液及び生理食塩液である。加えて、滅菌の不揮発性油が、溶媒または懸濁媒体として慣習的に使用される。この目的のために、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含む任意の無刺激性不揮発性油が使用され得る。オレイン酸及びそのグリセリド誘導体等の脂肪酸は、注射可能物の調製に有用であり、同様に、オリーブ油またはひまし油等の天然の薬学的に許容される油は、特にそれらのポリオキシエチル化バージョンにおいて、有用である。これらの油溶液または懸濁液はまた、乳剤または懸濁液を含む、薬学的に許容される剤形の製剤化で一般的に使用される、カルボキシメチルセルロースまたは同様の分散剤等、長鎖アルコール希釈剤または分散剤を含み得る。薬学的に許容される固体、液体、または他の剤形の製造で一般的に使用される、他の一般的に使用される界面活性剤、例えば、Tween、Span、及び他の乳化剤、またはバイオアベイラビリティ強化剤もまた、製剤化の目的で使用され得る。組成物は、注射、例えば、ボーラス注射または持続注入による非経口投与用に製剤化することができる。注射用の単位剤形は、アンプルまたは多用量容器中にあってもよい。
上述の剤形に加えて、薬学的に許容される賦形剤及び担体ならびに剤形は、一般に当業者に知られており、本開示に含まれる。任意の特定の患者に対する特定の投薬量及び治療レジメンは、用いられる特定の解毒剤の活性、患者の年齢、体重、全体的な健康状態、性別及び食事、腎臓及び肝臓の機能、ならびに投与時間、排泄速度、薬物の組み合わせ、治療する医師または獣医師の判断、ならびに治療される特定の疾病の重症度を含む様々な因子に依存することもまた、理解されるべきである。
XI.キット
本開示はキットまたはパッケージをさらに提供する。いくつかの実施形態では、本開示のキットは以下を含む:(a)血栓症の治療のための定期投与用のfXa阻害剤を含む第1の容器、及び(b)(a)でfXa阻害剤の過剰摂取がある場合、または、出血を止めたり予防したりするために正常な止血を回復する必要がある場合に使用される本開示の解毒剤を含む第2の容器。他の実施形態では、キットは、(a)と(b)のこれらの2つの薬剤をいつ使用すべきかを説明するラベルをさらに含む。
第1及び第2の容器は、ボトル、ジャー、バイアル、フラスコ、注射器、チューブ、バッグ、または医薬品の製造、保管、または流通に使用される他の任意の容器であり得る。添付文書は、キットの医薬組成物に関連する情報を記載するラベル、タグ、マーカー等であり得る。記載されている情報は通常、米国食品医薬品局等、医薬組成物が販売される地域を管理する規制機関によって決定される。好ましくは、添付文書は、医薬組成物が承認された適応症を具体的に記載している。添付文書は、人物がその中またはその上に含まれる情報を読むことができる任意の材料でできていてもよい。好ましくは、添付文書は、紙、接着剤で裏打ちされた紙の段ボール、ホイル、またはプラスチック等の印刷可能な材料であり、その上に所望の情報が印刷または塗布されている。
本開示は、in vitro試験のための診断キットまたはパッケージをさらに提供する。一実施形態では、本開示のキットは、本開示の解毒剤を含む容器を含む。解毒剤は全血または血漿に添加されてfXa阻害剤を中和し、凝固アッセイ等のin vitro試験との阻害剤の干渉を取り除く。いくつかの実施形態では、本開示のキットは以下を含む:(a)阻害剤の定期的な診断試験のためのfXa阻害剤を含む第1の容器、及び(b)効果を決定するかまたは解毒剤の使用を導くための本開示の解毒剤を含む第2の容器。
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本開示は、本発明の純粋に例示的であることを意図する以下の実施例を参照することによってさらに理解される。本発明は、例示の目的のために意図されるにすぎない、本明細書に記載される具体的な実施形態によって、範囲を限定されるものではない。機能的に均等な方法はどれでも、本開示の範囲内に含まれる。本明細書説明されるものに加えて、本発明の様々な改変が、上述の説明及び添付の図面から当業者に明らかになるであろう。そのような改変は、添付の特許請求の範囲の範囲内に入ることが意図される。
特に明記されていない限り、全ての温度は摂氏である。また、これらの実施例や他の場所では、略語は次の意味を有する。
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実施例1 乏血小板血漿(PPP)または多血小板血漿(PRP)でのトロンビン生成アッセイ
この実施例では、0.32%クエン酸塩に採取された健康なドナーの血液から、乏血小板血漿または多血小板血漿の試料が調製された。PRP及びPPPは、抗凝固処理された血液を、室温で、それぞれ約100倍の重力または1000倍の重力で20分間回転させることによって調製された。75~100マイクロリットル(uL)の血漿を、CaCl及びZ-Gly-Gly-Arg-アミノメチルクマリン(Z-GGR-AMC、トロンビン蛍光発生基質)と混合した。組織因子(Innovin,Dade Behring)を追加して、トロンビンの生成を開始した。典型的な実験では、反応混合物は15ミリモル濃度(mM)のCa2+、100マイクロモル濃度(μM)のZ-GGR-AMC、及び0.1ナノモル濃度(nM)の組織因子(TF)(Innovin)を含んだ。トロンビン形成は、相対蛍光単位(RFU)を測定する蛍光プレートリーダー(Molecular Devices)によって37℃で継続的にモニターした。阻害剤及び解毒剤が存在する場合、トロンビン生成を開始する前に、血漿とともに室温で20分間プレインキュベートした。
実施例2 凝固延長アッセイ
2つの凝固アッセイ形式を使用して、凝固延長に対する第Xa因子阻害剤と解毒剤の効果を試験した。第1の形式では、96ウェルプレートを使用して複数の試料を同時に測定した。第2のアッセイ形式では、aPTTを従来の凝固装置(MLA Electra 800自動凝固タイマー)で測定した。
96ウェルプレート形式法では、ヒトの乏血小板血漿または多血小板血漿を、実施例2の手順と同様に調製した。75~100μLの血漿をCaClで再石灰化し、37℃で3分間インキュベートし、組織因子(Innovin, Dade Behring)またはaPTT試薬(Actin FS, Dade Behring)を添加して血餅形成を開始した。OD405の変化は、プレートリーダー(Molecular Devices)によって継続的にモニターした。凝固時間は、吸光度(OD405nm)の変化の最大値の半分に達した時間(秒)として定義された。第Xa因子阻害剤と解毒剤が存在する場合は、反応を開始する前に、血漿と室温で20分間プレインキュベートした。
活性fXaの凝固活性を試験したとき、75~100uLのfX欠損血漿(George King Bio-Medical, Inc.)をCaClで再石灰化し、37℃で3分間インキュベートし、キモトリプシン消化後のfXa生成物を血漿に添加して血餅形成を開始した。OD405の変化は、前述のようにプレートリーダーによって継続的にモニターした。
実施例3 CHO細胞における組換え解毒剤の発現
この実施例では、解毒剤変異体はCHO細胞で直接発現させることができ、機能性タンパク質は以下に記載するように培養上清から精製される。組換え解毒剤の機能的活性は、in vitro及び動物モデルで試験できる。
本明細書に記載の解毒剤をコードするDNA配列は、配列決定され、発現ベクターに挿入され得る。次いで、ベクターを直線化し、CHO dhfr(-)細胞にトランスフェクトすることができる。テトラヒドロ葉酸(HT)欠損培地にメトトレキサート(MTX)を加えて使用して細胞を選択する。安定したクローンは、fX ELISAキット(Enzyme Research Laboratories,カタログ番号FX-EIA)を使用して高タンパク質発現についてスクリーニングされる。解毒剤は無血清培地で発現し、培養上清が回収され、精製のために処理される。
培養上清中の標的タンパク質は、イオン交換クロマトグラフィーによって単離され得、その後、シングルステップアフィニティークロマトグラフィー(マトリックスに結合した抗fXa抗体等)または疎水性及びサイズ排除マトリックス等のいくつかのクロマトグラフィーステップの組み合わせによって精製される。アフィニティー精製には、ベンザミジン-セファロースまたは大豆トリプシン阻害剤-アガロース(STI-アガロース)等、fXa活性部位のクレフトに選択的に結合するクロマトグラフィー材料が含まれ得る。
実施例4 解毒剤によるfXaの阻害の逆転
ベトリキサバンによるfXa活性の阻害及びその阻害効果の逆転を測定するために、精製された活性fXa、異なる濃度のベトリキサバン、及び本開示の異なる解毒剤を、20mMのTris、150mMのNaCl、5mMのCa2+、及び0.1%のウシ血清アルブミン(BSA)へと添加できる。室温で20分間インキュベートした後、100μMのSpectrozyme-fXa(第Xa因子発色基質、American Diagnostica)を混合物に添加し、基質切断速度をプレートリーダーによって405ナノメートル(nm)で5分間継続的にモニターする。発色活性は、いずれの阻害剤も存在しない活性fXaに対して正規化される。阻害剤及び解毒剤濃度の関数としての生成物形成の初速度を非線形回帰によって分析して、解毒剤に対するベトリキサバンの親和性を推定する。
発色基質S2288(200μM)に対するトロンビン活性に対する解毒剤の効果は、特異的な小分子IIa阻害剤であるアルガトロバンを含んでも含まずとも、以前と同様に測定される。
実施例5 in vivoマウスモデル
解毒剤の投与を伴ってまたは伴わず、オスのC57Bl/6マウスにおけるベトリキサバンの薬物動態学的及び薬力学的(PK-PD)プロファイルを試験する。ベトリキサバンの単回経口投与は、対照群では0、15、25、及び75mg/kgで投与される。解毒剤処理群には15mg/kgが使用される。解毒剤(300ug/200μL)またはビヒクル(通常の生理食塩水、200μL)の単回静脈内(IV)注射は、1.5時間の時点の5分前に投与される。
ベトリキサバンの経口投与後1.5、2.0、及び4.0時間で、マウスをケタミンカクテル(SC)で麻酔し、心臓穿刺により失血させる。血液試料(0.5mL)を、50μLのクエン酸三ナトリウムで採取する。全血INRは、製造者の取扱説明書に従って、Hemochron Jr.カートリッジ(International Technidyne Corporation)を使用して測定する。マウスの乏血小板血漿は、ベトリキサバン及び解毒剤の(ELISA)血漿濃度測定のために遠心分離によって調製される。
解毒剤実験では、対照群のマウスに0、15、25、及び75mg/kgのベトリキサバンを経口投与する。解毒剤(300μg/200μL)処理群には15mg/kgが使用される。ベトリキサバンの経口投与の1.5時間後(解毒剤注射の5分後)に試料を採取する。
本発明を上述の実施形態に関連して説明してきたが、前述の説明及び実施例は例示を意図しており、本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。本発明の範囲内の他の態様、利点及び改変は、本発明が関係する当業者には明らかであろう。

Claims (1)

  1. 明細書に記載の発明。
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