JP2024056648A - コールドヘッド装着構造、支持構造、およびクライオスタット - Google Patents

コールドヘッド装着構造、支持構造、およびクライオスタット Download PDF

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Abstract

Figure 2024056648000001
【課題】極低温装置の初期冷却時間を短縮する。
【解決手段】極低温冷凍機10のコールドヘッド14を真空容器に装着するためのコールドヘッド装着構造30が提供される。コールドヘッド14は、第1冷却温度に冷却される第1冷却ステージ20と、第1冷却温度よりも低い第2冷却温度に冷却される第2冷却ステージ24とを備える。コールドヘッド装着構造30は、第1冷却ステージ20に対応して設けられた第1伝熱ステージ36と、第2冷却ステージ24に対応して設けられた第2伝熱ステージ40と、第2伝熱ステージ40の温度が第1冷却温度と第2冷却温度の間の切替温度を上回るとき第2伝熱ステージ40を第1伝熱ステージ36に熱的に結合し、第2伝熱ステージ40の温度が切替温度を下回るとき第2伝熱ステージ40を第1伝熱ステージ36から熱的に切り離すように構成された熱スイッチ80とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、極低温冷凍機のコールドヘッドを真空容器に装着するためのコールドヘッド装着構造、および、真空容器内の被冷却物を真空容器に支持する支持構造に関する。また、本発明は、クライオスタットに関する。
従来、極低温冷凍機のコールドヘッドをスリーブを介してクライオスタットなどの極低温真空容器に装着することが知られている。極低温真空容器内には例えば超伝導コイルなどの被冷却物が収容され、この被冷却物はスリーブに熱的に結合されている。コールドヘッドとスリーブを接触させることにより、極低温冷凍機は、スリーブを介して被冷却物を冷却することができる。
極低温冷凍機を長期的に運転するなかで、極低温冷凍機のメンテナンスが定期的に必要とされうる。作業者は、スリーブからコールドヘッドをいくらか引き上げ、コールドヘッドとスリーブの接触を解除して極低温冷凍機にメンテナンスを施すことができる。極低温冷凍機は例えば室温などメンテナンス作業に都合のよい温度に昇温され、作業完了後に再冷却される。コールドヘッドの接触解除により、被冷却物は低温に保つことができる。したがって、極低温冷凍機とともに被冷却物を室温に昇温して極低温冷凍機にメンテナンスを施す場合に比べて被冷却物の再冷却時間を短縮することができ、メンテナンスの所要時間を短くすることができる。
特開2013-160393号公報
ところで、極低温冷凍機を用いて超伝導コイルなどの被冷却物を冷却する上述のような極低温装置においては、その起動に際して被冷却物を室温から目標冷却温度に冷却する初期冷却が行われる。被冷却物の利用は初期冷却の完了後に可能となる。したがって、初期冷却の所要時間はなるべく短いことが望まれる。
本発明のある態様の例示的な目的のひとつは、極低温装置の初期冷却時間を短縮することにある。
本発明のある態様によると、極低温冷凍機のコールドヘッドを真空容器に装着するためのコールドヘッド装着構造が提供される。コールドヘッドは、第1冷却温度に冷却される第1冷却ステージと、第1冷却温度よりも低い第2冷却温度に冷却される第2冷却ステージとを備える。コールドヘッド装着構造は、第1冷却ステージに対応して設けられた第1伝熱ステージと、第2冷却ステージに対応して設けられた第2伝熱ステージと、第2伝熱ステージの温度が第1冷却温度と第2冷却温度の間の切替温度を上回るとき第2伝熱ステージを第1伝熱ステージに熱的に結合し、第2伝熱ステージの温度が切替温度を下回るとき第2伝熱ステージを第1伝熱ステージから熱的に切り離すように構成された熱スイッチと、を備える。
本発明のある態様によると、真空容器内に配置され、真空容器に装着された極低温冷凍機のコールドヘッドによって冷却される被冷却物を真空容器に支持する支持構造が提供される。コールドヘッドは、第1冷却温度に冷却される第1冷却ステージと、第1冷却温度よりも低い第2冷却温度に冷却される第2冷却ステージとを備える。支持構造は、真空容器に取り付けられた支持体と、支持体に設置され、第1冷却ステージによって冷却される第1伝熱ステージと、支持体に設置され、第2冷却ステージによって冷却される第2伝熱ステージと、支持体に組み込まれた熱スイッチと、を備える。熱スイッチは、第2伝熱ステージの温度が第1冷却温度と第2冷却温度の間の切替温度を上回るとき第2伝熱ステージを第1伝熱ステージに熱的に結合し、第2伝熱ステージの温度が切替温度を下回るとき第2伝熱ステージを第1伝熱ステージから熱的に切り離すように構成されている。
本発明のある態様によると、クライオスタットが提供される。クライオスタットは、極低温冷凍機のコールドヘッドが装着される真空容器であって、その内部空間には、コールドヘッドの第1冷却ステージによって第1冷却温度に冷却される第1物体と、コールドヘッドの第2冷却ステージによって第1冷却温度よりも低い第2冷却温度に冷却される第2物体とが収容される真空容器を備える。また、クライオスタットは、真空容器の内部空間において第1物体と第2物体との間に設置された熱スイッチであって、第2物体の温度が第1冷却温度と前第2冷却温度の間の切替温度を上回るとき第2物体を第1物体に熱的に結合し、第2物体の温度が切替温度を下回るとき第2物体を第1物体から熱的に切り離すように構成された熱スイッチを備える。真空容器は、切替温度を沸点とするガスを内部空間に導入することを可能にするポートを備える。熱スイッチは、第1物体と熱的に結合され、内部空間に露出された第1熱交換部と、第2物体と熱的に結合され、内部空間に露出された第2熱交換部とを備え、第1熱交換部と第2熱交換部が、ガスを介した熱交換のためのガスギャップを挟んで対向配置されている。
本発明によれば、極低温装置の初期冷却時間を短縮することができる。
実施の形態に係るコールドヘッド装着構造を説明するための概略図である。 実施の形態に係るコールドヘッド装着構造を説明するための概略図である。 実施の形態に係る熱スイッチの例示的な構成を示す概略断面図である。 実施の形態に係るコールドヘッド装着構造の他の一例を説明するための概略図である。 他の実施の形態に係る極低温装置を模式的に示す図である。 他の実施の形態に係る極低温装置を模式的に示す図である。 他の実施の形態に係るコールドヘッド装着構造を模式的に示す斜視図である。 図8(a)は、他の実施の形態に係る第1伝熱ステージを模式的に示す平面図であり、図8(b)は、他の実施の形態に係る第2伝熱ステージを模式的に示す平面図である。 他の実施の形態に係る熱スイッチの例示的な構成を示す概略断面図である。 更なる実施の形態に係る極低温装置の一部を示す概略図である。 更なる実施の形態に係る極低温装置の一部を示す概略図である。
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。説明および図面において同一または同等の構成要素、部材、処理には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。図示される各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。実施の形態は例示であり、本発明の範囲を何ら限定するものではない。実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
図1および図2は、実施の形態に係るコールドヘッド装着構造を説明するための概略図である。図1には、極低温冷凍機10と例えば超伝導コイルなどの被冷却物90との熱的な結合が解除された状態が示され、図2には、両者が熱的に結合された状態が示されている。
極低温冷凍機10は、この実施の形態においては、二段式のギフォード・マクマホン(Gifford-McMahon;GM)冷凍機である。極低温冷凍機10は、圧縮機12と、二段式のコールドヘッド14とを備える。
圧縮機12は、極低温冷凍機10の冷媒ガスをコールドヘッド14から回収し、回収した冷媒ガスを昇圧して、再び冷媒ガスをコールドヘッド14に供給するよう構成されている。コールドヘッド14は、膨張機とも称され、供給された冷媒ガスを内部の膨張室で断熱膨張させることにより寒冷を発生させることができる。圧縮機12とコールドヘッド14との間の冷媒ガスの循環がコールドヘッド14での冷媒ガスの適切な圧力変動と容積変動の組み合わせをもって行われることにより、極低温冷凍機10の冷凍サイクル(例えばGMサイクル)が構成され、それによりコールドヘッド14の各冷却ステージが所望の極低温に冷却される。冷媒ガスは、作動ガスとも称され、通例はヘリウムガスであるが、適切な他のガスが用いられてもよい。
コールドヘッド14は、コールドヘッドフランジ16、第1シリンダ18、第1冷却ステージ20、第2シリンダ22、および第2冷却ステージ24を備え、これらはコールドヘッド14の中心軸に沿って同軸に配置されている。第1シリンダ18は、コールドヘッドフランジ16を第1冷却ステージ20と連結し、第2シリンダ22は、第1冷却ステージ20を第2冷却ステージ24と連結する。第1冷却ステージ20および第2冷却ステージ24は、例えば銅(例えば純銅)などの高熱伝導金属、またはその他の熱伝導材料で形成されている。第1シリンダ18および第2シリンダ22は、例えばステンレスなどの金属で形成されている。冷却ステージを形成する熱伝導材料の熱伝導率は、シリンダを形成する材料の熱伝導率より高い。
なおコールドヘッドフランジ16には、コールドヘッド14の駆動部17が取り付けられている。駆動部17は、第1シリンダ18および第2シリンダ22のそれぞれに収容された一段ディスプレーサおよび二段ディスプレーサを軸方向に往復させるモータを備える。また、駆動部17には、このモータによってディスプレーサと同期して駆動される圧力切替バルブも収納されている。圧力切替バルブは、コールドヘッド14への高圧冷媒ガスの受け入れと低圧冷媒ガスの送出を周期的に切り替えるよう構成されている。圧縮機12、コールドヘッドフランジ16、および駆動部17は、周囲環境27に配置されている。
極低温冷凍機10の動作中、第1冷却ステージ20は第1冷却温度に冷却され、第2冷却ステージ24は第1冷却温度よりも低い第2冷却温度に冷却される。第1冷却温度は、例えば30K~80K(通例は30K~50K、例えば40K)にあり、第2冷却温度は、例えば3K~20K(通例は3K~4K)にある。
コールドヘッド装着構造30は、真空容器26、例えばクライオスタットなどの極低温真空容器に極低温冷凍機10のコールドヘッド14を装着するための器具である。コールドヘッド装着構造30は、コールドヘッド収容スリーブ、または単にスリーブとも称される。コールドヘッド装着構造30は、周囲環境27から隔離された気密領域28をコールドヘッド14とコールドヘッド装着構造30との間に形成するよう真空容器26に設置される。周囲環境27は例えば室温の大気圧環境である。気密領域28は、真空に排気されてもよいし、あるいは、ヘリウムガスのような極低温で液化しない不活性ガスで充填されてもよい。また、コールドヘッド装着構造30は、真空容器26と組み合わされて真空容器26内に真空領域29を区画するように真空容器26に設置される。
コールドヘッド装着構造30は、極低温冷凍機10とともに、極低温冷凍機10の製造業者により顧客に提供されてもよい。被冷却物90を冷却する冷却装置が、極低温冷凍機10およびコールドヘッド装着構造30から構成される、とも言える。
コールドヘッド装着構造30も、コールドヘッド14に対応して二段式に構成される。コールドヘッド装着構造30は、スリーブフランジ32、第1スリーブ34、第1伝熱ステージ36、伝熱ステージ連結部38、および第2伝熱ステージ40を備え、これらはコールドヘッド14の中心軸に沿って同軸に配置されている。伝熱ステージ連結部38は、同軸配置された一組の第2スリーブ42と、熱スイッチ80とを備え、第1伝熱ステージ36と第2伝熱ステージ40を固定的に連結する。熱スイッチ80の例示的な構成は図3を参照して後述する。
スリーブフランジ32は、一例として、真空容器26の天板に形成された開口部に固定され、コールドヘッド装着構造30はこの開口部から真空容器26内に延びている。また、スリーブフランジ32には、コールドヘッドフランジ16が例えばボルト等の締結部材33で取り付けられる。コールドヘッドフランジ16とスリーブフランジ32が締結されるとき、第1冷却ステージ20と第2冷却ステージ24がそれぞれ第1伝熱ステージ36と第2伝熱ステージ40に押し付けられることになる。スリーブフランジ32は、コールドヘッド14を受け入れる開口部を締結部材33よりも径方向に内側に有し、この開口部の内周面にはコールドヘッドフランジ16が接触している。
締結部材33によるコールドヘッドフランジ16とスリーブフランジ32の締結が解除されているとき、コールドヘッドフランジ16は、スリーブフランジ32に対して軸方向に摺動可能であり、それにより、コールドヘッド14は、コールドヘッド装着構造30に対し軸方向(図1および図2における上下方向)に移動可能である。可動範囲は例えば数cm以内、例えば2~3cm程度である。作業者は、手動により、または油圧ジャッキなどの補助器具を使用して、または動力源を有する昇降装置がコールドヘッド14に接続されている場合にはこれを作動させて、この可動範囲においてコールドヘッド14を軸方向に昇降させることができる。
したがって、コールドヘッド装着構造30の第1伝熱ステージ36は、極低温冷凍機10のコールドヘッド14の移動によりコールドヘッド14の第1冷却ステージ20と接触し又は接触解除される。同様に、コールドヘッド装着構造30の第2伝熱ステージ40は、コールドヘッド14の移動により第2冷却ステージ24と接触し又は接触解除される。
コールドヘッドフランジ16とスリーブフランジ32との間には例えばOリングなどのシール部材44が挟み込まれている。シール部材44は、スリーブフランジ32の開口部内周面に形成された周溝に配置されている。シール部材44が設けられているので、コールドヘッド14がコールドヘッド装着構造30に対し上述の可動範囲内で軸方向に移動されても気密領域28は周囲環境27から隔離されている。
第1スリーブ34は、スリーブフランジ32を第1伝熱ステージ36と連結し、第2スリーブ42は、第1伝熱ステージ36を第2伝熱ステージ40と連結する。第1スリーブ34および第2スリーブ42はそれぞれ、第1シリンダ18および第2シリンダ22を囲むように配置されている。第1伝熱ステージ36の中心部には、第1スリーブ34の内部空間を伝熱ステージ連結部38の内部空間(後述の内スリーブ42bよりも径方向内側の空間)に接続する開口部が設けられている。コールドヘッド14の第2シリンダ22および第2冷却ステージ24はこの開口部から伝熱ステージ連結部38の内部空間へと挿入される。
第1伝熱ステージ36および第2伝熱ステージ40は、例えば銅(例えば純銅)などの高熱伝導金属、またはその他の熱伝導材料で形成されている。第1スリーブ34および第2スリーブ42は、例えばステンレスなどの金属で形成されている。伝熱ステージを形成する熱伝導材料の熱伝導率は、スリーブ体を形成する材料の熱伝導率より高い。
真空領域29に露出される第1伝熱ステージ36の外面には、輻射シールド92が熱的に結合されている。輻射シールド92は、被冷却物90を熱的に保護するために、被冷却物90を囲むように配置されている。図1及び図2には輻射シールド92の一部のみが示される。輻射シールド92は、第1伝熱ステージ36に直接取り付けられてもよいし、あるいは、剛性または可撓性の伝熱部材を介して接続されてもよい。第1伝熱ステージ36には、輻射シールド92とともに、またはこれに代えて、別の被冷却物が熱的に結合されてもよい。また、真空領域29に露出される第2伝熱ステージ40の外面には被冷却物90が熱的に結合されている。被冷却物90は、第2伝熱ステージ40に直接取り付けられてもよいし、あるいは、剛性または可撓性の伝熱部材を介して接続されてもよい。
図3は、図1および図2に示される熱スイッチ80の例示的な構成を示す概略断面図である。図3には、熱スイッチ80の中心軸を含む縦断面が示されている。
熱スイッチ80は、第1伝熱ステージ36と熱的に結合された第1熱交換部81と、第2伝熱ステージ40と熱的に結合された第2熱交換部82とを備える。第1熱交換部81と第2熱交換部82は、熱スイッチ80の作動ガスを介した熱交換のためのガスギャップ83を挟んで対向配置されている。
一例として、第1熱交換部81と第2熱交換部82は、上述の第2スリーブ42と同軸に配置された円筒状の形状を有する。第1熱交換部81の一端は第1伝熱ステージ36に固定され、第1熱交換部81の他端は第2伝熱ステージ40から軸方向に隙間をあけて配置されている。第2熱交換部82の一端は第2伝熱ステージ40に固定され、第2熱交換部82の他端は第1伝熱ステージ36から軸方向に隙間をあけて配置されている。第1熱交換部81と第2熱交換部82は、異なる径を有し、互いに接触していない。この例では、第1熱交換部81が第2熱交換部82よりも大径であり、第2熱交換部82が第1熱交換部81の内側に挿入されている。なお、図示の例とは逆に、第2熱交換部82が第1熱交換部81よりも大径であり、第1熱交換部81が第2熱交換部82の内側に挿入されてもよい。
熱スイッチ80は上述のように、伝熱ステージ連結部38に組み込まれている。伝熱ステージ連結部38は、熱スイッチ80の作動ガスを収容する気密空間46を形成する。一組の第2スリーブ42は、第1伝熱ステージ36と第2伝熱ステージ40を剛に連結する外スリーブ42aおよび内スリーブ42bからなる。したがって、気密空間46は、径方向には外スリーブ42aと内スリーブ42bとの間に、軸方向には第1伝熱ステージ36と第2伝熱ステージ40との間に形成されている。これら第2スリーブ42と2つの伝熱ステージとは、例えばろう付けなど適宜の接合方法により固定されてもよい。第1熱交換部81と第2熱交換部82はともに、気密空間46に露出されている。第1熱交換部81と第2熱交換部82を隔てるガスギャップ83は、気密空間46の一部である。
熱スイッチ80は、第2伝熱ステージ40の温度が熱スイッチ80の切替温度を上回るとき第2伝熱ステージ40を第1伝熱ステージ36に熱的に結合し、第2伝熱ステージ40の温度がこの切替温度を下回るとき第2伝熱ステージ40を第1伝熱ステージ36から熱的に切り離すように構成されている。
熱スイッチ80は、切替温度よりも第1熱交換部81および第2熱交換部82の温度が高いとき、ガスギャップ83の作動ガスを介したこれら熱交換部間の熱伝達により高温側と低温側とを熱接続することができる。これが熱スイッチ80のオン状態である。熱スイッチ80の切替温度は、封入された作動ガスの沸点に相当する。ガスギャップ83は、良好な熱伝達のために、ごく狭い隙間である。ガスギャップ83の大きさ(第1熱交換部81と第2熱交換部82の最短距離)は、例えば5mm以内、または2mm以内であってもよい。
また、熱スイッチ80は、第1熱交換部81および第2熱交換部82の少なくとも一方(ふつうは第2熱交換部82)の温度が切替温度よりも低いとき、高温側と低温側の熱接続を解除する。ガスギャップ83の作動ガスが少なくとも第2熱交換部82の表面に凝縮し、ガスギャップ83が真空となり、第1熱交換部81と第2熱交換部82がガスギャップ83を介して真空断熱されるからである。これが熱スイッチ80のオフ状態である。
第1熱交換部81および第2熱交換部82は、上述の他の伝熱部材と同様に、例えば銅などの金属材料またはその他の高い熱伝導率をもつ材料で形成される。なお、第1熱交換部81と第2熱交換部82は通例同じ材料で形成されるが、異なる材料で形成されてもよい。
第2スリーブ42は、第1熱交換部81および第2熱交換部82に比べて熱伝導率の低い材料、例えば断熱材料で形成される。ここで、断熱材料は、第1熱交換部81(または第2熱交換部82)を形成する高熱伝導材料の熱伝導率の例えば1/10以下の熱伝導率を持つ材料であってもよい。第2スリーブ42は、例えば、ステンレス鋼、または、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)またはその他のプラスチック材料で形成されてもよい。これにより、熱スイッチ80がオフのとき第2スリーブ42を通じた第1熱交換部81から第2熱交換部82への熱侵入を防止しまたは最小限に抑えることができる。
熱スイッチ80に封入される作動ガスは、熱スイッチ80の切替温度が極低温冷凍機10の第1冷却温度よりも低くなりかつ第2冷却温度よりも高くなるように選択される。上述のように、熱スイッチ80の切替温度は、封入された作動ガスの沸点に相当する。よって、熱スイッチ80に封入される作動ガスは、例えば、ネオン(約27.1K)であってもよい。あるいは、作動ガスは、水素(約20.4K)、またはヘリウム(約4.2K)であってもよい。ここで、ガス種に括弧書きで付記したのは各ガス種の大気圧での沸点である。例えば、熱スイッチ80に作動ガスとしてネオンを大気圧で封入した場合には、熱スイッチ80の切替温度を約27.1Kとすることができる。作動ガスは、大気圧よりも高い圧力(例えば5気圧以内、または10気圧以内)で熱スイッチ80に封入されてもよい。作動ガスの封入圧を調整することにより、熱スイッチ80の切替温度が調整されてもよい。
なお、作動ガスは、混合ガス、例えば、ネオン、水素、およびヘリウムのうち少なくとも1つを含む混合ガスであってもよい。この混合ガスは、例えば、窒素、アルゴン、または空気などの希釈ガスを含んでもよい。混合ガスの組成を調整することにより、熱スイッチ80の切替温度が調整されてもよい。
任意選択として、熱スイッチ80は、第2伝熱ステージ40と熱的に結合され、気密空間46からガスを吸着可能なゲッター材84を備えてもよい。ゲッター材84は、極低温下(すなわち熱スイッチ80の切替温度以下の温度、例えば第2冷却温度)で熱スイッチ80の作動ガスの吸着能力を有する例えば活性炭、またはその他の多孔質材料、またはその他の吸着材料であってもよい。ゲッター材84は、第2熱交換部82によって冷却されることができるように、第2熱交換部82の表面に適宜の方法で設置されている。
理想的には、熱スイッチ80がその切替温度よりも低い温度に冷却されるとき、上述のように作動ガスは熱スイッチ80内で凝縮し、ガスギャップ83が真空となり、熱スイッチ80はオフとなる。しかしながら、実際には、いくらかの作動ガスがガスギャップ83に残留しうる。このような残留ガスは第1熱交換部81と第2熱交換部82との間の熱伝達を生じさせうる。好ましくないことに、オフであるべき熱スイッチ80を通じた第1熱交換部81から第2熱交換部82への熱侵入が無視できなくなる可能性がある。
これに対して、熱スイッチ80内にゲッター材84を設けることにより、残留ガスを吸着し、ガスギャップ83の真空度をいっそう高めることができる。したがって、熱スイッチ80のオフ状態における熱接続の切断をより確実に実現することができる。
ゲッター材84は、第2伝熱ステージ40上でガスギャップ83に面して配置されている。これにより、ゲッター材84は、ガスギャップ83に存在しうる残留ガスにさらされることになり、残留ガスを効率的に吸着することができる。また、ゲッター材84を第2伝熱ステージ40で直接冷やすことで、ゲッター材84の温度をすばやく下げることができる。これにより、熱スイッチ80を速やかにオフに切り替えることができ、応答性に優れる熱スイッチ80を提供することができる。
図示の例では、ゲッター材84は、第2伝熱ステージ40上で第1熱交換部81の先端に近接する位置に設けられている。これに代えて、またはこれとともに、ゲッター材84は、第2伝熱ステージ40または第2熱交換部82上で他の配置も可能である。例えば、ゲッター材84は、第2熱交換部82の表面(例えば、第1熱交換部81と対向する表面、または第2スリーブ42と対向する表面)に設置されてもよい。
また、任意選択として、熱スイッチ80は、伝熱ステージ連結部38に接続され、気密空間46にガスを給排するガス給排バルブ85をさらに備えてもよい。ガス給排バルブ85は、ガス配管86を通じて伝熱ステージ連結部38に接続されてもよい。この例では、ガス配管86は、第2スリーブ42(例えば外スリーブ42a)に接続されてもよい。ガス給排バルブ85は、図1および図2に示される真空容器26の外に配置されてもよい。
このようにすれば、ガス給排バルブ85を利用して、熱スイッチ80のオンオフを極低温冷凍機10の動作(つまり伝熱ステージの温度)から独立して能動的に切り替えることができる。例えば、熱スイッチ80の作動ガス源をガス給排バルブ85に接続し、ガス給排バルブ85を通じて気密空間46に作動ガスを供給することで、ガスギャップ83を作動ガスで満たし、熱スイッチ80をオンにすることができる。また、真空ポンプをガス給排バルブ85に接続し、ガス給排バルブ85を通じて気密空間46を真空排気することで、ガスギャップ83の残留ガスを除去し、熱スイッチ80をオフにすることができる。
なお、上述した熱スイッチ80の構成は例示にすぎず、熱スイッチ80は、さまざまな他の構成をとりうる。例えば、熱スイッチ80は、第1伝熱ステージ36に熱的に結合され、第2伝熱ステージ40に向かって延在する1つ又は複数の高温側伝熱フィンと、第2伝熱ステージ40に熱的に結合され、第1伝熱ステージ36に向かって延在する1つ又は複数の低温側伝熱フィンとを備え、高温側伝熱フィンと低温側伝熱フィンが複数のガスギャップを形成するように互い違いに配置されてもよい。
以上の構成を有する極低温冷凍機10およびコールドヘッド装着構造30の動作を説明する。
図2に示されるように、コールドヘッド14とコールドヘッド装着構造30が熱接触している状態においては、コールドヘッド14が可動範囲の下端に位置する。このとき、第1冷却ステージ20が第1伝熱ステージ36に物理的に接触し、それにより、第1冷却ステージ20は、第1伝熱ステージ36を介して輻射シールド92と熱接触する。それとともに、第2冷却ステージ24が第2伝熱ステージ40に物理的に接触し、それにより、第2冷却ステージ24は、第2伝熱ステージ40を介して被冷却物90と熱接触する。こうして、極低温冷凍機10は、輻射シールド92を第1冷却温度に、被冷却物90を第2冷却温度に冷却することができる。被冷却物90が超伝導コイルである場合、図示されない電源から超伝導コイルに通電することにより、超伝導コイルは、強力な磁場を発生することができる。
極低温冷凍機10のメンテナンスが許容されるタイミングが到来すると、極低温冷凍機10の冷却運転が停止される。作業者が締結部材33を操作することによって、コールドヘッドフランジ16とスリーブフランジ32との締結が解除される。そして、コールドヘッド14がコールドヘッド装着構造30からいくらか引き上げられる。コールドヘッド14は可動範囲の例えば上端に位置する。コールドヘッドフランジ16とスリーブフランジ32の間にはシール部材44が設けられているので、周囲環境27からの気密領域28の隔離は保持される。
このとき、図1に示されるように、第1冷却ステージ20が第1伝熱ステージ36から物理的に離れ、第2冷却ステージ24が第2伝熱ステージ40から物理的に離れる。気密領域28での真空断熱により、コールドヘッド14は、被冷却物90および輻射シールド92を冷却しない。コールドヘッド14が被冷却物90および輻射シールド92よりも高い温度例えば室温に昇温されたとしても、コールドヘッド14から被冷却物90および輻射シールド92への熱的な影響は限定的であるか、無視しうる。被冷却物90および輻射シールド92を極低温に維持しつつ、コールドヘッド14を昇温することができる。
極低温冷凍機10のメンテナンスが行われる。コールドヘッド14の駆動部17およびディスプレーサがコールドヘッド14から取り外される。コールドヘッド14の外側構造、すなわち、コールドヘッドフランジ16、第1シリンダ18、第1冷却ステージ20、第2シリンダ22、および第2冷却ステージ24は、そのままコールドヘッド装着構造30に装着されている。そして、メンテナンスが施された(または新品の)駆動部17およびディスプレーサがコールドヘッド14に取り付けられる。そして、極低温冷凍機10の冷却運転が再開される。
作業者はコールドヘッド14をコールドヘッド装着構造30に再び押し込む。第1冷却ステージ20と第2冷却ステージ24がそれぞれ、第1伝熱ステージ36と第2伝熱ステージ40に接触して押し付けられる。第1冷却ステージ20は第1伝熱ステージ36と物理的かつ熱的に接触し、第2冷却ステージ24は第2伝熱ステージ40と物理的かつ熱的に接触する。そして、締結部材33によってコールドヘッドフランジ16とスリーブフランジ32が締結される。こうして、図2に示される状態に戻る。
したがって、実施の形態に係る極低温冷凍機10およびコールドヘッド装着構造30によれば、コールドヘッド14の移動によりコールドヘッド装着構造30との熱接触が解除され、被冷却物90および輻射シールド92を低温に保ちつつコールドヘッド14を昇温しメンテナンスをすることができる。被冷却物90および輻射シールド92をコールドヘッド14とともに室温に昇温して極低温冷凍機10にメンテナンスを施す場合に比べて被冷却物90および輻射シールド92の再冷却時間を短縮することができ、メンテナンスの所要時間を短くすることができる。
この実施の形態では、上述のように、コールドヘッド装着構造30の第1伝熱ステージ36と第2伝熱ステージ40とが熱スイッチ80で接続される。これは、極低温装置(すなわち、極低温冷凍機10および被冷却物90)の初期冷却に有利である。初期冷却では、極低温装置の全体、つまり極低温冷凍機10および被冷却物90の両方が、周囲温度(例えば室温)から目標の極低温まで冷却される。したがって、初期冷却の当初、熱スイッチ80はオンとなり、第1伝熱ステージ36と第2伝熱ステージ40が熱接続される。図1に示されるようにコールドヘッド14がコールドヘッド装着構造30に装着されているとき、コールドヘッド14の第1冷却ステージ20が熱スイッチ80を介して第2冷却ステージ24と熱接続されることになる。一般的に、極低温冷凍機10の第1冷却ステージ20での冷凍能力は第2冷却ステージ24での冷凍能力よりも大きいため、第1冷却ステージ20の冷凍能力を第2冷却ステージ24による被冷却物90の冷却の補助に利用することができる。これにより、初期冷却の所要時間を短縮することができる。
その後冷却が進み、熱スイッチ80の切替温度よりも低い温度に被冷却物90が冷却されると、熱スイッチ80はオフに切り替わり、第1伝熱ステージ36と第2伝熱ステージ40の熱接続は切れる。第1伝熱ステージ36および輻射シールド92は第1冷却ステージ20によって第1冷却温度に維持される一方、第2伝熱ステージ40および被冷却物90は第2冷却ステージ24によってさらに冷却され、最終的には第2冷却温度へと冷却される。
比較例として、被冷却物90と輻射シールド92とを直接つなぐように別の熱スイッチを設置する案も考えられる。この場合、被冷却物90と輻射シールド92の冷却温度の違いに起因する熱応力を低減するために、柔軟な伝熱部材(典型的には例えば銅の編線)を介して熱スイッチと被冷却物90(または輻射シールド92)とを接続することが、実用上必要となりうる。柔軟な伝熱部材は一般に、剛性の伝熱部材に比べて熱抵抗が大きい。被冷却物90と輻射シールド92との間で柔軟な伝熱部材と熱スイッチが直列に接続されることで、この伝熱経路の熱抵抗が比較的大きくなり、初期冷却における伝熱損失の増加を招きうる。これは初期冷却の時間短縮効果を減らしうる。加えて、熱スイッチをオフとすべき極低温装置の通常運転において、熱スイッチを構成する気密容器と柔軟伝熱部材は輻射シールド92から被冷却物90への伝熱経路となり、追加の熱侵入をもたらしうる。
これに対して、実施の形態によると、熱スイッチ80は、スリーブ型のコールドヘッド装着構造30に組み込まれている。そのため、熱スイッチ80を設置するために、柔軟な伝熱部材を追加で設ける必要はなく、追加的な伝熱損失も生じないという利点がある。また、熱スイッチ80の気密容器を構成する第2スリーブ42は、既存の(つまり熱スイッチ80を持たない)コールドヘッド装着構造において2つの伝熱ステージを接続するスリーブと概ね同じ断面積を持つように設計することが可能である。そのため、第2スリーブ42は、追加の熱侵入をもたらさないか、十分に小さくすることができる。
熱スイッチ80は、気密構造を形成するために、スリーブ型のコールドヘッド装着構造30と第2スリーブ42を共用している。そのため、比較例のように熱スイッチを別個に設ける場合に比べて、熱スイッチ80は、比較的安価に製作できると期待される。
図4は、実施の形態に係るコールドヘッド装着構造の他の一例を説明するための概略図である。この例においても、上述の実施の形態と同様に、コールドヘッド装着構造30は、コールドヘッド装着構造30に装着されたコールドヘッド14とコールドヘッド装着構造30との間に気密領域28を形成するように構成されている。
また、熱スイッチ80は、第1伝熱ステージ36と熱的に結合された第1熱交換部81と、第2伝熱ステージ40と熱的に結合された第2熱交換部82とを備える。第1熱交換部81と第2熱交換部82は、熱スイッチ80の作動ガスを介した熱交換のためのガスギャップ83を挟んで対向配置されている。熱スイッチ80は、第2伝熱ステージ40の温度が熱スイッチ80の切替温度を上回るとき、ガスギャップ83の作動ガスを介したこれら2つの熱交換部間の熱伝達により第2伝熱ステージ40を第1伝熱ステージ36に熱的に結合する。すなわち、熱スイッチ80は、オン状態となる。一方、熱スイッチ80は、第2伝熱ステージ40の温度がこの切替温度を下回るとき第2伝熱ステージ40を第1伝熱ステージ36から熱的に切り離す。ガスギャップ83の作動ガスが少なくとも第2熱交換部82の表面に凝縮し、ガスギャップ83が真空となり、第1熱交換部81と第2熱交換部82がガスギャップ83を介して真空断熱され、熱スイッチ80は、オフ状態となる。
ただし、図4の例では、図2の例とは異なり、内スリーブ42bが設けられていない。コールドヘッド装着構造30の第1伝熱ステージ36と第2伝熱ステージ40は、外スリーブ42aのみによって連結されている。したがって、熱スイッチ80の第1熱交換部81と第2熱交換部82はともに、コールドヘッド14とコールドヘッド装着構造30との間の気密領域28に露出されている。
コールドヘッド装着構造30は、ガスを気密領域28に導入することを可能にするポート48を備えてもよい。一例として、ポート48は、コールドヘッド装着構造30のスリーブフランジ32に設けられていてもよい。
このポート48にガス源が接続されたとき、ガス源からポート48を通じて気密領域28にガスが導入されてもよい。このようにして、熱スイッチ80の作動ガス、すなわち、例えばヘリウムガスなど、上述の切替温度を沸点とするガスが、気密領域28に、さらには熱スイッチ80のガスギャップ83に導入されてもよい。
ポート48は、ガスの供給ポートとして機能するだけでなく、ガスの排気ポートとして機能してもよい。ポート48に真空ポンプが接続されたとき、気密領域28からポート48を通じてガスが真空排気されてもよい。ポート48は、例えば、図3を参照して上述した、ガス給排バルブ85であってもよい。このようにして、熱スイッチ80の作動ガスがガスギャップ83から除去されてもよい。
したがって、ポート48を利用して、熱スイッチ80のオンオフを極低温冷凍機10の動作(つまり伝熱ステージの温度)から独立して能動的に切り替えることができる。例えば、ポート48を通じて気密領域28に作動ガスを供給することで、ガスギャップ83を作動ガスで満たし、熱スイッチ80をオンにすることができる。また、ポート48を通じて気密領域28を真空排気することで、ガスギャップ83からガスを除去し、熱スイッチ80をオフにすることができる。
図4に示されるように、第1伝熱ステージ36には、少なくとも1つの貫通穴50が形成されていてもよい。貫通穴50は、気密領域28におけるポート48から熱スイッチ80へのガス流路の一部であってもよい。
貫通穴50は、第1熱交換部81と第2熱交換部82との隙間、すなわちガスギャップ83の直上で、第1伝熱ステージ36に形成されていてもよい。熱スイッチ80を確実にオフにするためには、第1熱交換部81と第2熱交換部82とが互いに接触せず径方向に離間している必要がある。コールドヘッド装着構造30の製造工程において、作業者は、貫通穴50を利用してそれを検証することができる。具体的には、作業者は、貫通穴50を上方から(つまりスリーブフランジ32側から)のぞき込む。それにより、作業者は、ガスギャップ83が設計通りに存在することを確認することができる。なお、全周にわたりガスギャップ83が存在することを確認するために、貫通穴50は、第1伝熱ステージ36上で周方向に複数箇所(例えば90度おきに4箇所)に設けられてもよい。
図4に示される実施の形態においても、図1から図3を参照して説明した実施の形態と同様に、熱スイッチ80を利用して、極低温装置100の初期冷却時間を短縮することができる。また、図4の実施の形態では内スリーブ42bが設けられていないので、図1から図3の実施の形態に比べて、極低温装置100の初期冷却後の通常運転における第1伝熱ステージ36から第2伝熱ステージ40へと伝わる入熱を低減することができる。
図5および図6は、他の実施の形態に係る極低温装置を模式的に示す図である。図7は、他の実施の形態に係るコールドヘッド装着構造を模式的に示す斜視図である。図5および図7には、極低温装置内の被冷却物が極低温装置に設けられた極低温冷凍機のコールドヘッドと熱的に結合された状態が示され、図6には、コールドヘッドと被冷却物の熱的な結合が解除された状態が示されている。後述するように、コールドヘッド装着構造に対するコールドヘッドの移動により、コールドヘッドと被冷却物を熱接触させ、または熱接触を解除することができる。
極低温装置100は、被冷却物の一例としての超伝導コイル102を室温から極低温に冷却するとともに、超伝導コイル102の使用中、超伝導コイル102を極低温に維持するように構成される。超伝導コイル102は、例えば単結晶引き上げ装置、NMRシステム、MRIシステム、サイクロトロンなどの加速器、核融合システムなどの高エネルギー物理システム、またはその他の高磁場利用機器(図示せず)の磁場源として高磁場利用機器に搭載され、その機器に必要とされる高磁場を発生させることができる。超伝導コイル102は、超伝導転移温度以下の極低温に冷却された状態で超伝導コイル102に通電することにより強力な磁場を発生するように構成される。
極低温装置100は、極低温冷凍機106と、真空容器130と、輻射熱シールド140と、コールドヘッド装着構造150とを備える。詳細は後述するが、極低温冷凍機106がコールドヘッド装着構造150を介して真空容器130に装着される。コールドヘッド装着構造150は極低温冷凍機106とともに、被冷却物を冷却する冷却装置を構成するとも言える。コールドヘッド装着構造150は、極低温冷凍機106(及び/または真空容器130)とともに、極低温冷凍機106の製造業者により顧客に提供されてもよい。
極低温冷凍機106は、この実施の形態においては、二段式のギフォード・マクマホン(Gifford-McMahon;GM)冷凍機である。極低温冷凍機106は、圧縮機108と、二段式のコールドヘッド110とを備える。圧縮機108は、真空容器130の外側となる周囲環境104に配置されている。周囲環境104は例えば室温の大気圧環境である。
圧縮機108は、極低温冷凍機106の冷媒ガスをコールドヘッド110から回収し、回収した冷媒ガスを昇圧して、再び冷媒ガスをコールドヘッド110に供給するよう構成されている。コールドヘッド110は、膨張機とも称され、供給された冷媒ガスを内部の膨張室で断熱膨張させることにより寒冷を発生させることができる。圧縮機108とコールドヘッド110との間の冷媒ガスの循環がコールドヘッド110での冷媒ガスの適切な圧力変動と容積変動の組み合わせをもって行われることにより、極低温冷凍機106の冷凍サイクル(例えばGMサイクル)が構成され、それによりコールドヘッド110の各冷却ステージが所望の極低温に冷却される。コールドヘッド110と圧縮機108は、フレキシブル管などの冷媒ガス配管により接続される。冷媒ガスは、作動ガスとも称され、通例はヘリウムガスであるが、適切な他のガスが用いられてもよい。
コールドヘッド110は、冷却ステージ122、具体的には、第1冷却ステージ122aと第2冷却ステージ122bを備える。極低温冷凍機106が動作することによって、第1冷却ステージ122aは、第1冷却温度、例えば30K~80Kに冷却され、第2冷却ステージ122bは、第1冷却温度よりも低い第2冷却温度、例えば3K~20Kに冷却される。第2冷却温度は、超伝導コイル102の超伝導転移温度より低い温度である。
また、コールドヘッド110は、第1シリンダ124aと、第2シリンダ124bと、駆動部126と、取付フランジ128とを備える。第1シリンダ124aは、取付フランジ128を第1冷却ステージ122aに接続し、第2シリンダ124bは、第1冷却ステージ122aを第2冷却ステージ122bに接続する。駆動部126は、第1シリンダ124aとは反対側で取付フランジ128に取り付けられている。
コールドヘッド110が真空容器130に装着されるとき、コールドヘッド110は真空容器130のコールドヘッド挿入口131に挿入され、取付フランジ128が真空容器130の外側でコールドヘッド挿入口131に取り付けられる。こうして、コールドヘッド110は、第1シリンダ124a、第1冷却ステージ122a、第2シリンダ124b、第2冷却ステージ122bが真空容器130内の真空領域132に配置されるとともに、駆動部126が周囲環境104に配置されるようにして、真空容器130に設置される。
図示される例では、コールドヘッド挿入口131は、真空容器130の天板に形成され、コールドヘッド110は、その中心軸を鉛直方向に平行とするようにして、駆動部126を上方にかつ冷却ステージ122を下方に向けて、真空容器130に設置される。ただし、コールドヘッド110の設置の向きはこのような縦向きに限定されず、横向きや斜めなど他の向きで設置されてもよい。コールドヘッド挿入口131は、真空容器130の側面や底面など任意の面に形成されてもよい。
典型的に、第1シリンダ124aと第2シリンダ124bは、円筒形状を有する部材であり、第2シリンダ124bが第1シリンダ124aよりも小径である。第1冷却ステージ122aと第2冷却ステージ122bはそれぞれ、第1シリンダ124aと第2シリンダ124bの先端に固着された円柱状の部材である。第1シリンダ124a、第1冷却ステージ122a、第2シリンダ124b、第2冷却ステージ122bは、コールドヘッド110の中心軸に沿って同軸に配置されている。
第1冷却ステージ122aおよび第2冷却ステージ122bは、例えば銅(例えば純銅)などの高熱伝導金属、またはその他の熱伝導材料で形成されている。第1シリンダ124aと第2シリンダ124bは、例えばステンレスなどの金属で形成されている。冷却ステージ122を形成する熱伝導材料の熱伝導率は、シリンダを形成する材料の熱伝導率より高い。
極低温冷凍機106がギフォード・マクマホン冷凍機である場合、第1シリンダ124aと第2シリンダ124bにはそれぞれ、蓄冷材を内蔵した第1ディスプレーサと第2ディスプレーサが収容されている。第1ディスプレーサと第2ディスプレーサは互いに連結され、それぞれ第1シリンダ124aと第2シリンダ124bに沿って往復動可能である。
駆動部126は、モータと、モータの出力する回転運動を第1ディスプレーサと第2ディスプレーサの軸方向往復動に変換するようにモータをこれらディスプレーサに連結する連結機構とを備える。また、駆動部126には、このモータによってディスプレーサと同期して駆動される圧力切替バルブも収納されている。圧力切替バルブは、コールドヘッド110への高圧冷媒ガスの受け入れと低圧冷媒ガスの送出を周期的に切り替えるよう構成されている。
なお、図5では例として、1台の極低温冷凍機106を示しているが、極低温装置100は、複数台の極低温冷凍機106を備えてもよい。極低温冷凍機106ごとにコールドヘッド装着構造150が設けられてもよい。
真空容器130は、真空領域132を周囲環境104から隔てるように構成される。真空領域132は、真空容器130の内部に定められる。真空容器130は、例えばクライオスタットであってもよい。超伝導コイル102、極低温冷凍機106の冷却ステージ122、輻射熱シールド140は、真空領域132に配置され、周囲環境104から真空断熱される。断熱性能を高めるために、真空領域132を周囲環境104から隔てる真空容器130の壁部材の表面に沿って、または壁部材の内部に、断熱材料が設けられていてもよい。
輻射熱シールド140は、コールドヘッド装着構造150を介して第1冷却ステージ122aと熱的に結合され第1冷却温度に冷却される。輻射熱シールド140は、例えば銅などの金属材料またはその他の高い熱伝導率をもつ材料で形成される。輻射熱シールド140は、第2冷却温度に冷却される超伝導コイル102、極低温冷凍機106の第2冷却ステージ122b、およびその他の低温部を囲むように配置され、外部からの輻射熱からこれら低温部を熱的に保護することができる。
コールドヘッド装着構造150は、コールドヘッド110を真空容器130に装着するための器具であり、真空容器130のコールドヘッド挿入口131に設けられている。コールドヘッド装着構造150にコールドヘッド110が装着されたとき、コールドヘッド110によってコールドヘッド挿入口131が塞がれ、真空領域132が周囲環境104から隔絶される。また、コールドヘッド装着構造150は、コールドヘッド110がその中心軸の方向に真空容器130に対して移動可能となるようにコールドヘッド110を支持する。コールドヘッド装着構造150は、真空容器130に対するコールドヘッド110の移動により、コールドヘッド110を真空容器130内の被冷却物(例えば超伝導コイル102)と熱的に結合し、またはこの熱的結合を解除する熱スイッチとして真空容器130に設置されている。
コールドヘッド装着構造150は、伝熱ステージ152と、気密接続部154と、非気密性の支持構造156とを備える。
コールドヘッド装着構造150も、コールドヘッド110に対応して二段式に構成される。よって、伝熱ステージ152には、第1伝熱ステージ152aと第2伝熱ステージ152bが含まれる。第1伝熱ステージ152aと第2伝熱ステージ152bはともに、真空容器130内の真空領域132に配置される。第1伝熱ステージ152a、第2伝熱ステージ152bはそれぞれ、真空容器130に対するコールドヘッドの移動により、第1冷却ステージ122a、第2冷却ステージ122bと接触または離間する。これら伝熱ステージ152は、冷却ステージ122と同様に、例えば銅(例えば純銅)などの高熱伝導金属、またはその他の熱伝導材料で形成されている。
第1伝熱ステージ152aは、輻射熱シールド140と第1柔軟伝熱部材158aを介して接続される。柔軟伝熱部材は、可撓性をもつように例えば細線の束または箔の積層として形成されてもよく、銅などの高熱伝導材料で形成されてもよい。したがって、第1冷却ステージ122aが第1伝熱ステージ152aと接触するとき、第1冷却ステージ122aは、第1伝熱ステージ152aと第1柔軟伝熱部材158aを介して、輻射熱シールド140と熱的に結合される。第1冷却ステージ122aが第1伝熱ステージ152aから離間するとき、第1冷却ステージ122aと輻射熱シールド140の熱的結合は解除される。
第2伝熱ステージ152bは、伝熱部材142と第2柔軟伝熱部材158bを介して接続される。超伝導コイル102は、伝熱部材142上に設置され、または伝熱部材142と接続されている。伝熱部材142は、可撓性または剛性をもつ伝熱部材であってもよく、例えば銅などの金属材料またはその他の高い熱伝導率をもつ材料で形成される。なお、伝熱部材142は必須ではなく、第2伝熱ステージ152bは、超伝導コイル102と第2柔軟伝熱部材158bを介して接続されてもよい。
第2冷却ステージ122bが第2伝熱ステージ152bと接触するとき、第2冷却ステージ122bは、第2伝熱ステージ152b、第2柔軟伝熱部材158b、伝熱部材142を介して、超伝導コイル102と熱的に結合される。これにより、第2冷却ステージ122bは、超伝導コイル102を第2冷却温度に冷却することができる。第2冷却ステージ122bが第2伝熱ステージ152bから離間するとき、第2冷却ステージ122bと超伝導コイル102の熱的結合は解除される。
気密接続部154は、周囲環境104から真空領域132を隔絶するとともに真空容器130に対するコールドヘッド110の移動を許容するようにコールドヘッド110を真空容器130に接続する。この実施の形態では、気密接続部154は、コールドヘッド110の移動方向(すなわち中心軸の方向)に伸縮可能な気密隔壁160を備え、この気密隔壁160は例えばベローズである。この伸縮可能な気密隔壁160は、コールドヘッド110の取付フランジ128を真空容器130のコールドヘッド挿入口131に接続する。気密隔壁160の外側は周囲環境104であり、内側にはコールドヘッド110の第1シリンダ124aが挿通されており、真空領域132となっている。気密隔壁160は、コールドヘッド110がコールドヘッド挿入口131に挿し込まれる方向に移動するとき(図5では下方に移動するとき)縮み、反対にコールドヘッド110がコールドヘッド挿入口131から引き抜かれる方向に移動するとき(図6に示されるように上方に移動するとき)伸びる。
また、気密接続部154は、ガイド部162を備える。ガイド部162は、真空容器130の外側で気密隔壁160の周囲に配置され、真空容器130に固定されている。一例として、ガイド部162は、図7に示されるように、ガイドプレート162aと、支持部162bとを備える。ガイドプレート162aは、気密隔壁160を囲むように配置されたリング状のプレートであり、取付フランジ128と概ね同径であってもよい。支持部162bはガイドプレート162aの下側に設けられ、支持部162bを介してガイドプレート162aは真空容器130に取り付けられている。支持部162bはガイドプレート162aに沿って周方向に複数箇所(例えば4箇所)に設けられてもよく、そのうち3つの支持部162bが図7に示されている。
コールドヘッド110がコールドヘッド装着構造150に装着されるとき、コールドヘッド110の取付フランジ128がガイドプレート162aの上面に接触し、例えばボルトなどの締結部材を用いてガイドプレート162aと締結される。締結は解除することができ、そのとき取付フランジ128はガイド部162に沿って移動可能となる。ガイドプレート162aの上面にはガイドピン162c(図7参照)が立設しており、取付フランジ128にはこのガイドピン162cに対応するガイド穴が形成されている。ガイドピン162cは、コールドヘッド110の軸方向の移動の際、当該方向に取付フランジ128をガイドする。
コールドヘッド110を真空容器130に対して移動させるために、後述するように、コールドヘッド装着構造150は、コールドヘッド110を真空容器130に対して昇降させる昇降機構164を備える。取付フランジ128には操作プレート129(図7参照)が設けられ、昇降機構164はこの操作プレート129をコールドヘッド110の軸方向に昇降させるように構成されてもよい。昇降機構164による操作を容易にするために、操作プレート129は取付フランジ128から径方向外側に向けて延びている。図7では一例として、2つの操作プレート129が取付フランジ128の両側に取り付けられている。操作プレート129は、取付フランジ128と一体であってもよい。昇降機構164は、例えば油圧ジャッキなど、適宜の動力源を有するタイプであってもよいし、人力でコールドヘッド110を昇降させるものであってもよい。昇降機構164は、常設されてもよいし、必要なとき一時的に設置されてもよい。
非気密性の支持構造156は、真空容器130内の真空領域132に配置される。支持構造156は、伝熱ステージ152を真空容器130に支持し、コールドヘッド110の冷却ステージ122が真空領域132にさらされるようにコールドヘッド110の周囲に配置される。
より具体的には、支持構造156は、真空容器130のコールドヘッド挿入口131から伝熱ステージ152へと延びる複数(例えば4本)の支持棒166を備える。複数の支持棒166は、コールドヘッド110の周囲に、例えば周方向に等間隔に配置されている。複数の支持棒166の各々は、コールドヘッド110の中心軸と平行に、第1伝熱ステージ152aと第2伝熱ステージ152bを貫通して延びている。図7に示されるように、コールドヘッド110の周囲には少数の支持棒166が設けられるにすぎず、コールドヘッド110は、真空容器130内の真空領域132に開放されている。よって、コールドヘッド110の周囲の空間は常時、真空領域132と同じ圧力となる。真空領域132が真空に保たれている限り、コールドヘッド110の周囲の空間も真空となる。
これは、従来のコールドヘッド装着構造とは異なる。典型的に、従来のコールドヘッド装着構造には、コールドヘッド挿入口131から真空容器130内に延びその中にコールドヘッドを収容する気密スリーブが設けられ、このスリーブによってコールドヘッド周囲の空間が真空領域132から隔絶される。従来のコールドヘッド装着構造ではコールドヘッドは真空領域132にさらされない。真空領域132から隔絶されたコールドヘッド周囲の空間は、ヘリウムガスのような極低温で液化しない不活性ガスで充填されることがある。または、コールドヘッド周囲の空間は真空排気されることもある。しかし、いずれにせよ、コールドヘッド周囲の空間は真空領域132から隔絶されているから、真空領域132と異なる圧力(たいてい、真空領域132よりも高い圧力)となる。
複数の支持棒166のうち少なくとも1つの支持棒166は、中空である。すべての支持棒166が中空であってもよい。支持棒166が中実のロッドである場合に比べて、支持棒166の断面積が小さくなり、周囲環境104から支持棒166を通じた真空容器130内の低温部への侵入熱を低減することができる。一例として、支持棒166は、円形の断面を有するが、長方形または六角形など多角形や、L字状など、他の任意の形状の断面を有してもよい。なお支持棒166は中実のロッドであってもよい。
支持棒166は、たとえば繊維強化プラスチック(FRP)などの断熱材料で形成される。あるいは、支持棒166は、たとえばステンレス鋼など、極低温装置100において伝熱経路を形成する高熱伝導材料よりも熱伝導率が小さい材料で形成されてもよい。
すべての支持棒166が同じ形状および寸法を有することは必須ではない。ある支持棒166が他の支持棒166と異なる断面をもつことにより、コールドヘッド110がコールドヘッド装着構造150に押し付けられたとき発生しうる偏荷重の影響が緩和されてもよい。
支持構造156は、複数の支持棒166に装着された第1スプリング部168aおよび第2スプリング部168bを備える。各支持棒166が第1スプリング部168aと第2スプリング部168bを有する。第1スプリング部168aは、第1伝熱ステージ152aの下側で支持棒166に装着されている。第2スプリング部168bは、第2伝熱ステージ152bの下側で支持棒166に装着されている。スプリング部は、例えば、コイル状のスプリングまたはその他のスプリングを備えてもよい。
複数の支持棒166は、第1スプリング部168aを介して第1伝熱ステージ152aを弾性的に支持するとともに、コールドヘッド110の移動方向における第1伝熱ステージ152aの移動をガイドする。また、複数の支持棒166は、第2スプリング部168bを介して第2伝熱ステージ152bを弾性的に支持するとともに、コールドヘッド110の移動方向における第2伝熱ステージ152bの移動をガイドする。
また、支持構造156は、第1ストッパー170aと第2ストッパー170bを備える。第1ストッパー170aは、真空容器130のコールドヘッド挿入口131に近づく方向の第1伝熱ステージ152aの移動に関してその移動量を規制する。第1ストッパー170aは、第1伝熱ステージ152aに対して第1スプリング部168aとは反対側で支持棒166に設けられている。第1ストッパー170aは、支持棒166からその径方向に突出した凸部またはフランジ状の部位であり、第1伝熱ステージ152aが支持棒166に沿って移動するとき第1ストッパー170aに当たることにより第1伝熱ステージ152aの移動が規制される。同様に、第2ストッパー170bは、真空容器130のコールドヘッド挿入口131に近づく方向の第2伝熱ステージ152bの移動に関してその移動量を規制する。第2ストッパー170bは、第2伝熱ステージ152bに対して第2スプリング部168bとは反対側で支持棒166に設けられている。第2ストッパー170bは、支持棒166からその径方向に突出した凸部またはフランジ状の部位であり、第2伝熱ステージ152bが支持棒166に沿って移動するとき第2ストッパー170bに当たることにより第2伝熱ステージ152bの移動が規制される。
なお、第1スプリング部168a、第2スプリング部168bはそれぞれ、第1伝熱ステージ152a、第2伝熱ステージ152bの上側で支持棒166に装着されてもよい。この場合、第1スプリング部168a、第2スプリング部168bがそれぞれ、真空容器130のコールドヘッド挿入口131に近づく方向の第1伝熱ステージ152a、第2伝熱ステージ152bの移動を規制する第1ストッパー170a、第2ストッパー170bとして機能してもよい。
なお、真空容器130内に配置される機器、例えば超伝導コイル102、輻射熱シールド140などの被冷却物が、支持構造156と構造的に連結され、支持構造156によって支持されてもよい。このようにすれば、真空容器130から真空容器130内の被冷却物への伝熱経路を支持構造156に限定することができ、被冷却物への侵入熱を低減することができる。あるいは、真空容器130内の被冷却物は、図示しない支持部材により真空容器130の壁に連結され、真空容器130に支持されてもよい。
図8(a)は、他の実施の形態に係る第1伝熱ステージ152aを模式的に示す平面図であり、図8(b)は、他の実施の形態に係る第2伝熱ステージ152bを模式的に示す平面図である。図8(a)および図8(b)はそれぞれ、第1伝熱ステージ152aと第2伝熱ステージ152bをコールドヘッド挿入口131側から見た上面図を示す。
図8(a)に示されるように、第1伝熱ステージ152aは、中心開口171と、第1接触面172と、複数の第1ガイド穴173とを有する。中心開口171は、コールドヘッド110のための貫通穴であり、コールドヘッド110がコールドヘッド装着構造150に装着されるとき、コールドヘッド110の第2シリンダ124bが中心開口171に挿し通される。第1接触面172は、中心開口171を囲む第1伝熱ステージ152aの部位であり、第1冷却ステージ122aと対向する第1伝熱ステージ152aの上面にある。第1冷却ステージ122aが第1接触面172と接触することにより、第1冷却ステージ122aと第1伝熱ステージ152aが熱的に結合される。複数の第1ガイド穴173は、複数の支持棒166のための貫通穴であり、各第1ガイド穴173に対応する支持棒166が挿入され、それにより、第1伝熱ステージ152aが支持棒166に沿ってガイドされることができる。第1ガイド穴173は、中心開口171および第1接触面172よりも径方向外側で、支持棒166と同様に周方向に等間隔に設けられている。図示されるように、第1伝熱ステージ152aは、例えば円板形状を有するが、他の任意の形状を有してもよい。
図8(b)に示されるように、第2伝熱ステージ152bは、その中心部に第2接触面174を有し、第2接触面174の径方向外側に複数の第2ガイド穴175を有する。第2接触面174は、第2冷却ステージ122bと対向する第2伝熱ステージ152bの上面にあり、第2冷却ステージ122bが第2接触面174と接触することにより、第2冷却ステージ122bと第2伝熱ステージ152bが熱的に結合される。複数の第2ガイド穴175は、複数の支持棒166のための貫通穴であり、各第2ガイド穴175に対応する支持棒166が挿入され、それにより、第2伝熱ステージ152bが支持棒166に沿ってガイドされることができる。第2伝熱ステージ152bは、例えば円板形状を有するが、他の任意の形状を有してもよい。
次に、図5および図6を参照して、真空容器130に対するコールドヘッド110の移動によってコールドヘッド110と真空容器130内の被冷却物との熱的な結合とその解除の切替動作を説明する。
図6に示されるように、コールドヘッド110とコールドヘッド装着構造150の熱接触が解除された状態においては、コールドヘッド110が可動範囲の末端例えば上端に位置する。このとき、コールドヘッド110の取付フランジ128は、コールドヘッド装着構造150のガイド部162から離れている。気密接続部154の気密隔壁160は伸長されており、気密接続部154によって真空領域132は周囲環境104から隔絶されている。
また、第1冷却ステージ122aが第1伝熱ステージ152aから物理的に離れ、第2冷却ステージ122bが第2伝熱ステージ152bから物理的に離れているので、極低温冷凍機106から真空容器130内の被冷却物(例えば輻射熱シールド140および超伝導コイル102)への伝熱経路は遮断される。
第1伝熱ステージ152aと第2伝熱ステージ152bは初期位置にある。例えば、第1伝熱ステージ152aと第2伝熱ステージ152bはそれぞれ、第1ストッパー170aと第2ストッパー170bにそれぞれ接触していてもよい。このとき、第1スプリング部168aと第2スプリング部168bは、未圧縮の中立状態にあり、または第1伝熱ステージ152aと第2伝熱ステージ152bをそれぞれいくらかの予荷重で第1ストッパー170aと第2ストッパー170bに押し当ててもよい。あるいは、第1伝熱ステージ152aと第2伝熱ステージ152bはそれぞれ、第1ストッパー170aと第2ストッパー170bからいくらか離れていてもよく、第1スプリング部168aと第2スプリング部168bは中立状態にあってもよい。
コールドヘッド110と真空容器130内の被冷却物を熱的に結合するために、上述の昇降機構164を作動させ、それによりコールドヘッド110がコールドヘッド装着構造150へと押し込まれる。このとき、コールドヘッド110の取付フランジ128は、コールドヘッド装着構造150のガイド部162へと接近し、気密接続部154の気密隔壁160は縮む。気密接続部154によって真空領域132は依然として周囲環境104から隔絶されている。
コールドヘッド装着構造150に対するコールドヘッド110の移動により、第1冷却ステージ122aと第2冷却ステージ122bがそれぞれ、第1伝熱ステージ152aと第2伝熱ステージ152bに接近し、やがて物理的に接触する。コールドヘッド110がさらに押し込まれると、第1冷却ステージ122aは第1伝熱ステージ152aを移動させ、第1伝熱ステージ152aは第1スプリング部168aを圧縮しながら支持棒166に沿って移動する。同様に、第2冷却ステージ122bは第2伝熱ステージ152bを移動させ、第2伝熱ステージ152bは第2スプリング部168bを圧縮しながら支持棒166に沿って移動する。このとき第1伝熱ステージ152aの輻射熱シールド140に対する移動は第1柔軟伝熱部材158aによって許容され、第2伝熱ステージ152bの超伝導コイル102に対する移動は第2柔軟伝熱部材158bによって許容される。
図5に示されるように、コールドヘッド110の取付フランジ128がコールドヘッド装着構造150のガイド部162に接触すると(すなわち上述のように、取付フランジ128がガイドピン162cに沿って移動しガイドプレート162aに接触すると)、コールドヘッド110の移動は止まる。例えばボルトなどの締結部材を用いて取付フランジ128がガイドプレート162aと締結され、コールドヘッド110がコールドヘッド装着構造150に固定される。その後、加圧装置164aによる操作プレート129および取付フランジ128への押付荷重は解除される。
このようにして、コールドヘッド110が可動範囲の反対側の末端例えば下端まで移動され、コールドヘッド110とコールドヘッド装着構造150が熱的に結合される。第1冷却ステージ122aは第1伝熱ステージ152aを介して輻射熱シールド140と熱的に結合され、輻射熱シールド140はコールドヘッド110によって第1冷却温度に冷却される。第2冷却ステージ122bは第2伝熱ステージ152bを介して超伝導コイル102と熱的に結合され、超伝導コイル102はコールドヘッド110によって第2冷却温度に冷却される。
圧縮された第1スプリング部168aは第1冷却ステージ122aと第1伝熱ステージ152aとの間に所定の接触面圧を生じさせ、これにより第1冷却ステージ122aと第1伝熱ステージ152aの間に良好な熱接触が実現される。また、圧縮された第2スプリング部168bは第2冷却ステージ122bと第2伝熱ステージ152bとの間に所定の接触面圧を生じさせ、これにより第2冷却ステージ122bと第2伝熱ステージ152bの間に良好な熱接触が実現される。このように伝熱ステージごとにスプリング部を設けることで、スプリング部ごとに異なる弾性的特性を与えることができ、それにより伝熱ステージごとに個別に接触面圧を調整することができる。
また、スプリング部を用いて冷却ステージ122と伝熱ステージ152を押し付け合うことにより、冷却ステージ122と伝熱ステージ152が極低温冷却によって熱収縮したとしても接触状態を容易に保つことができるという利点もある。コールドヘッド110の個体差によってコールドヘッド110とコールドヘッド装着構造150の中心軸が互いにわずかにずれている場合にも、スプリング部を用いて冷却ステージ122と伝熱ステージ152を押し付け合うことにより、冷却ステージ122と伝熱ステージ152の接触状態を容易に保つことができる。
コールドヘッド110と被冷却物の熱的結合を解除する場合には、まず、コールドヘッド110とコールドヘッド装着構造150の締結が解除される。そして、上述の昇降機構164によってコールドヘッド110がコールドヘッド装着構造150から持ち上げられる。コールドヘッド110の取付フランジ128がコールドヘッド装着構造150のガイド部162から離れ、気密接続部154の気密隔壁160が伸長される。
コールドヘッド装着構造150に対するコールドヘッド110の移動により、第1冷却ステージ122aが第1伝熱ステージ152aから持ち上げられ、第2冷却ステージ122bが第2伝熱ステージ152bから持ち上げられる。第1伝熱ステージ152aと第2伝熱ステージ152bはそれぞれ第1スプリング部168aと第2スプリング部168bによって第1冷却ステージ122aと第2冷却ステージ122bに押し付けられている。そのため、第1冷却ステージ122aと第2冷却ステージ122bの移動量が小さいとき、第1冷却ステージ122aと第1伝熱ステージ152aの接触、および第2冷却ステージ122bと第2伝熱ステージ152bの接触が保持されるかもしれない。
そこで、確実に接触を解除するために、第1冷却ステージ122aと第2冷却ステージ122bがそれぞれ第1ストッパー170aと第2ストッパー170bよりも上方まで移動されるように、コールドヘッド110は持ち上げられる。このようにすれば、第1ストッパー170aと第2ストッパー170bが第1伝熱ステージ152aと第2伝熱ステージ152bの上方移動を規制することができ、第1冷却ステージ122aと第2冷却ステージ122bをそれぞれ第1伝熱ステージ152aと第2伝熱ステージ152bから確実に離間させることができる。
このようにして、図6に示されるように、第1冷却ステージ122aが第1伝熱ステージ152aから物理的に離れ、第2冷却ステージ122bが第2伝熱ステージ152bから物理的に離れる。コールドヘッド110と真空容器130内の被冷却物との熱的な結合は解除され、極低温冷凍機106から真空容器130内の被冷却物への伝熱経路は遮断される。コールドヘッド110が輻射熱シールド140および超伝導コイル102よりも高い温度例えば室温に昇温されたとしても、真空領域132が真空に保たれている限り、コールドヘッド110から輻射熱シールド140および超伝導コイル102への熱的な影響は限定的であるか、無視しうる。よって、輻射熱シールド140および超伝導コイル102はコールドヘッド110と異なる温度(例えば極低温)に維持することができる。
コールドヘッド110と被冷却物との熱的な結合を解除している間に、極低温冷凍機106のメンテナンスを行うことができる。極低温冷凍機106を被冷却物から熱的に切り離すことによって、被冷却物を極低温に保持した状態で(あるいは温度上昇を最小限に抑えながら)、極低温冷凍機106の冷却運転を停止して室温へと昇温し、極低温冷凍機106のメンテナンスをすることができる。メンテナンスが終了したら、極低温冷凍機106の冷却運転が再開される。コールドヘッド110が十分に冷却されたときコールドヘッド110と被冷却物を再び結合し、極低温装置100の運転を再開することができる。被冷却物をコールドヘッド110とともに室温に昇温して極低温冷凍機106にメンテナンスを施す場合に比べて被冷却物の再冷却時間を短縮することができ、メンテナンスの所要時間を短くすることができる。
上述のように、従来のコールドヘッド装着構造、すなわちメンテナンススリーブは、真空容器の気密性を保つように構成され、真空容器の壁から内部へと延びており、このスリーブの内側にコールドヘッドが取り外し可能に装着される。極低温冷却中、コールドヘッドをスリーブに良好に熱接触させるためにコールドヘッドがメンテナンススリーブに強い力で押し付けられるので、メンテナンススリーブはこれに耐えるよう頑丈でなければならない。また、メンテナンススリーブによってコールドヘッド周囲の空間が真空容器内の真空領域から隔絶されるから、メンテナンススリーブには気密性を保持する構造が求められる。これらの要件を満たすために、メンテナンススリーブは、比較的複雑な構造をとり、また製造コストも高くなりがちである。
これに対して、実施の形態によると、スリーブレス、つまりスリーブを持たないコールドヘッド装着構造150を提供することができる。コールドヘッド装着構造150は、非気密性の支持構造156を有し、コールドヘッド110は真空容器130内の真空領域132にさらされる。支持構造156は、気密スリーブを要しない。コールドヘッド装着構造150は、比較的簡素な構造で実現でき、製造コストも抑えられる。
メンテナンススリーブのように気密スリーブの場合、万一発生した過剰なスリーブ内圧を解放するための安全弁を設置することが実用上望まれる。しかし、実施の形態によると、コールドヘッド装着構造150は気密スリーブを要しないから、こうした安全弁も不要である。また、メンテナンススリーブの場合、真空容器内の機器への配線のために真空容器に設けられるフィードスルー部とメンテナンススリーブ内のコールドヘッドへの配線のためのフィードスルー部を別々に設ける必要がある。しかし、実施の形態によると、これら配線をまとめることもできる。これらの要因も、製造コストの低減に役立つ。
図9は、他の実施の形態に係る熱スイッチ180の例示的な構成を示す概略断面図である。図5から図7に示されるコールドヘッド装着構造150においては、第1伝熱ステージ152aと第2伝熱ステージ152bを相対変位可能に連結する伝熱ステージ連結部としての支持棒166に、熱スイッチ180が組み込まれてもよい。図9には、支持棒166の中心軸を含む縦断面が示されている。支持棒166は、上述のように中空であり、熱スイッチ180の作動ガスを封入する気密空間を内部に形成する。
熱スイッチ180は、第1伝熱ステージ152aと熱的に結合された第1熱交換部181と、第2伝熱ステージ152bと熱的に結合された第2熱交換部182とを備える。第1熱交換部181と第2熱交換部182は、熱スイッチ180の作動ガスを介した熱交換のためのガスギャップ183を挟んで対向配置されている。第1熱交換部181と第2熱交換部182は、互いに接触していない。
一例として、第1熱交換部181は、第1端部181aと、支持棒166の軸方向に同軸に第1端部181aから延在する円筒状の筒部181bとを備える。第1端部181aは、支持棒166の中間部に固定され、第1冷却ステージ122aと熱的に結合される。第1端部181aは、第1伝熱ステージ152aの第1ガイド穴173内に配置されてもよく、第1端部181aの外周面が第1ガイド穴173の内周面と摺動可能に接触してもよい。あるいは、第1端部181aは、柔軟な伝熱部材など適宜の伝熱経路により第1伝熱ステージ152aと熱的に結合されてもよい。筒部181bは、第1端部181aと一体形成されてもよく、または第1端部181aとは別体として用意されて第1端部181aに接合されてもよい。
第2熱交換部182は、第2端部182aと、支持棒166の軸方向に同軸に第2端部182aから延在する円柱状の柱部182bとを備える。第2端部182aは、支持棒166の先端部を気密に塞ぐようにして支持棒166に固定されている。第2端部182aは、第2伝熱ステージ152bの第2ガイド穴175内に配置されてもよく、第2端部182aの外周面が第2ガイド穴175の内周面と摺動可能に接触してもよい。あるいは、第2端部182aは、柔軟な伝熱部材など適宜の伝熱経路により第2伝熱ステージ152bと熱的に結合されてもよい。柱部182bは、第2端部182aと一体形成されてもよく、または第2端部182aとは別体として用意されて第2端部182aに接合されてもよい。
第1熱交換部181は、その内側に第2熱交換部182を受け入れるように構成されている。第2熱交換部182の柱部182bは、第1熱交換部181の筒部181b内の空洞に挿入されている。第1熱交換部181の第1端部181aは、第2熱交換部182の柱部182bと対向し、第1熱交換部181の筒部181bは、第2熱交換部182の柱部182bを囲んでいる。第1熱交換部181の筒部181bと第2熱交換部182の柱部182bとは、ガスギャップ183により隔てられ、物理的に接触していない。なお、図示の例とは逆に、第2熱交換部182がその内側に第1熱交換部181を受け入れるように構成されてもよい(すなわち、第1熱交換部181が柱部を備え、第2熱交換部182がその柱部を受け入れる筒部を備えてもよい)。
熱スイッチ180は、上述の熱スイッチ80と同様に、第2伝熱ステージ152bの温度が熱スイッチ180の切替温度を上回るとき第2伝熱ステージ152bを第1伝熱ステージ152aに熱的に結合し、第2伝熱ステージ152bの温度がこの切替温度を下回るとき第2伝熱ステージ152bを第1伝熱ステージ152aから熱的に切り離すように構成されている。
熱スイッチ180に封入される作動ガスは、熱スイッチ180の切替温度が極低温冷凍機10の第1冷却温度よりも低くなりかつ第2冷却温度よりも高くなるように選択される。上述のように、熱スイッチ180の切替温度は、封入された作動ガスの沸点に相当する。よって、熱スイッチ180に封入される作動ガスは、例えば、ネオンであってもよい。あるいは、作動ガスは、水素、またはヘリウムであってもよい。作動ガスは、混合ガス、例えば、ネオン、水素、およびヘリウムのうち少なくとも1つを含む混合ガスであってもよい。この混合ガスは、例えば、窒素、アルゴン、または空気などの希釈ガスを含んでもよい。
任意選択として、熱スイッチ180は、第2伝熱ステージ152bと熱的に結合され、熱スイッチ180内の気密空間からガスを吸着可能なゲッター材184を備えてもよい。ゲッター材184は、極低温下(すなわち熱スイッチ180の切替温度以下の温度、例えば第2冷却温度)で熱スイッチ180の作動ガスの吸着能力を有する例えば活性炭、またはその他の多孔質材料、またはその他の吸着材料であってもよい。ゲッター材184は、第2熱交換部182によって冷却されることができるように、第2熱交換部182の表面に適宜の方法で設置されている。例えば、ゲッター材184は、第2熱交換部182の柱部182bに設置されてもよい。熱スイッチ180内にゲッター材184を設けることにより、残留ガスを吸着し、ガスギャップ183の真空度をいっそう高めることができる。したがって、熱スイッチ180のオフ状態における熱接続の切断をより確実に実現することができる。
また、任意選択として、熱スイッチ180は、伝熱ステージ連結部としての支持棒166に接続され、熱スイッチ180の気密空間にガスを給排するガス給排バルブ185をさらに備えてもよい。ガス給排バルブ185は、支持棒166内のガス流路186を通じて熱スイッチ180に接続されてもよい。このガス流路186は、支持棒166内で断熱材187に囲まれていてもよい。ガス給排バルブ185は、真空容器130の外に配置されてもよい。また、他の支持棒166へのガスの給排のために、支持棒166どうしを接続する導管188が設けられてもよい。
このようにすれば、ガス給排バルブ185を利用して、熱スイッチ180のオンオフを極低温冷凍機106の動作(つまり伝熱ステージの温度)から独立して能動的に切り替えることができる。例えば、熱スイッチ180の作動ガス源をガス給排バルブ185に接続し、ガス給排バルブ185を通じて熱スイッチ180内に作動ガスを供給することで、ガスギャップ183を作動ガスで満たし、熱スイッチ180をオンにすることができる。また、真空ポンプをガス給排バルブ185に接続し、ガス給排バルブ185を通じて熱スイッチ180を真空排気することで、ガスギャップ183の残留ガスを除去し、熱スイッチ180をオフにすることができる。
この実施の形態においても、極低温装置100の初期冷却の際に、オン状態の熱スイッチ180を介してコールドヘッド110の第1冷却ステージ122aの冷凍能力を第2冷却ステージ122bによる超伝導コイル102の冷却の補助に利用することができる。これにより、初期冷却の所要時間を短縮することができる。また、初期冷却の完了に伴って熱スイッチ180はオフに切り替わるため、第1冷却ステージ122aによって第1伝熱ステージ152aおよび輻射熱シールド140を第1冷却温度に維持するとともに、第2冷却ステージ122bによって第2伝熱ステージ152bおよび超伝導コイル102を第2冷却温度へと冷却することができる。
また、この実施の形態では、熱スイッチ180が支持棒166に組み込まれている。熱スイッチ180の有無にかかわらず、真空容器130から超伝導コイル102への支持棒166を通じた侵入熱は変わらない。よって、熱スイッチ180を追加したことによる侵入熱の増加が生じない点で有利である。
図10は、更なる実施の形態に係る極低温装置100の一部を示す概略図である。極低温装置100の真空容器130には、上述の実施の形態と同様に、コールドヘッド110が設置されてもよく、コールドヘッド110は例えば図1および図2に示されるコールドヘッド装着構造30を介して真空容器130に装着されてもよい。コールドヘッド110は、輻射熱シールド140を冷却するための第1冷却ステージ122aと、超伝導コイル102を冷却するための第2冷却ステージ122bとを備える。なお、説明の簡略化のために、図10においてコールドヘッド装着構造150、30の図示は省略している。
上述の熱スイッチ180は、真空容器130内に配置され、被冷却物を真空容器130に支持する支持構造200に適用されてもよい。支持構造200は、縦方向支持体202を備え、熱スイッチ180は、縦方向支持体202に組み込まれてもよい。
縦方向支持体202は、真空容器130に固定され、鉛直方向に沿って輻射熱シールド140を貫通して延在し、超伝導コイル102などの被冷却物に突き当てられている。縦方向支持体202は、例えば超伝導コイル102の自重など被冷却物に鉛直方向下向きに働く力を支持することができる。縦方向支持体202などの支持体は、たとえば繊維強化プラスチック(FRP)などの断熱材料で形成される。あるいは、支持体は、たとえばステンレス鋼など、極低温装置100において伝熱経路を形成する高熱伝導材料よりも熱伝導率が小さい材料で形成されてもよい。
第1伝熱ステージ204と第2伝熱ステージ206が縦方向支持体202に設置されてもよい。第1伝熱ステージ204は、輻射熱シールド140に固定され(または適宜の伝熱部材を介して輻射熱シールド140に接続され)、輻射熱シールド140を介してコールドヘッド110の第1冷却ステージ122aと熱的に結合される。第2伝熱ステージ206は、超伝導コイル102に固定され(または適宜の伝熱部材を介して超伝導コイル102に接続され)、超伝導コイル102を介してコールドヘッド110の第2冷却ステージ122bと熱的に結合される。従って、第1伝熱ステージ204は、第1冷却ステージ122aによって第1冷却温度に冷却され、第2伝熱ステージ206は、第2冷却ステージ122bによって第2冷却温度に冷却される。
熱スイッチ180は、第2伝熱ステージ206の温度が熱スイッチ180の切替温度を上回るとき第2伝熱ステージ206を第1伝熱ステージ204に熱的に結合し、第2伝熱ステージ206の温度が切替温度を下回るとき第2伝熱ステージ206を第1伝熱ステージ204から熱的に切り離すように構成されている。
一例として、熱スイッチ180は、第1伝熱ステージ204と熱的に結合された第1熱交換部181と、第2伝熱ステージ206と熱的に結合された第2熱交換部182とを備える。第1熱交換部181は柱部であり、第2熱交換部182は柱部を受け入れる筒部であってもよい。第1熱交換部181と第2熱交換部182は、熱スイッチ180の作動ガスを介した熱交換のためのガスギャップ183を挟んで対向配置されている。第1熱交換部181と第2熱交換部182は、互いに接触していない。
上述のように、熱スイッチ180に封入される作動ガスは、熱スイッチ180の切替温度が極低温冷凍機10の第1冷却温度よりも低くなりかつ第2冷却温度よりも高くなるように選択される。任意選択として、熱スイッチ180は、第2伝熱ステージ206と熱的に結合され、熱スイッチ180内の気密空間からガスを吸着可能なゲッター材を備えてもよい。
また、支持構造200は、横方向支持体210を備えてもよい。横方向支持体210は、真空容器130に固定され、水平方向に沿って輻射熱シールド140を貫通して延在し、被冷却物に突き当てられている。横方向支持体210は、例えば超伝導コイル102に働く電磁力など、被冷却物に水平方向に働く力を支持することができる。同様にして、熱スイッチ180は、横方向支持体210に組み込まれてもよい。
この実施の形態においても、極低温装置100の初期冷却の際に、オン状態の熱スイッチ180を介してコールドヘッド110の第1冷却ステージ122aの冷凍能力を第2冷却ステージ122bによる超伝導コイル102の冷却の補助に利用することができる。これにより、初期冷却の所要時間を短縮することができる。また、初期冷却の完了に伴って熱スイッチ180はオフに切り替わるため、第1冷却ステージ122aによって第1伝熱ステージ204および輻射熱シールド140を第1冷却温度に維持するとともに、第2冷却ステージ122bによって第2伝熱ステージ206および超伝導コイル102を第2冷却温度へと冷却することができる。
また、この実施の形態では、熱スイッチ180が支持構造200に組み込まれている。熱スイッチ180の有無にかかわらず、真空容器130から超伝導コイル102への支持構造200を通じた侵入熱は変わらない。よって、熱スイッチ180を追加したことによる侵入熱の増加が生じない点で有利である。
なお、支持構造200(例えば縦方向支持体202、または横方向支持体210)が円筒状の形状を有する場合には、図3を参照して説明した熱スイッチ80が組み込まれてもよい。
図11は、更なる実施の形態に係る極低温装置100の一部を示す概略図である。極低温装置100は、熱スイッチ80付きのクライオスタットを備える。このクライオスタットは、コールドヘッド110が装着される真空容器130と、真空容器130の内部空間(すなわち真空領域29)に配置された熱スイッチ80とを備える。
上述の実施の形態と同様に、コールドヘッド110は、例えば図1および図2に示されるコールドヘッド装着構造30を介して、または図5および図6に示されるコールドヘッド装着構造150を介して、真空容器130に装着されてもよい。コールドヘッド110は、真空領域29に配置された第1物体、例えば輻射熱シールド140を冷却するための第1冷却ステージ122aと、真空領域29に配置された第2物体、例えば超伝導コイル102を冷却するための第2冷却ステージ122bとを備える。なお、説明の簡略化のために、図11においてコールドヘッド装着構造30、150の図示は省略している。
熱スイッチ80は、第1物体例えば輻射熱シールド140と熱的に結合され、真空領域29に露出された第1熱交換部81と、第2物体例えば超伝導コイル102と熱的に結合され、真空領域29に露出された第2熱交換部82とを備える。第1熱交換部81と第2熱交換部82は、熱スイッチ80の作動ガスを介した熱交換のためのガスギャップ83を挟んで対向配置されている。熱スイッチ80は、第2物体の温度が熱スイッチ80の切替温度を上回るとき、ガスギャップ83の作動ガスを介したこれら2つの熱交換部間の熱伝達により第2物体を第1物体に熱的に結合する。すなわち、熱スイッチ80は、オン状態となる。一方、熱スイッチ80は、第2物体の温度がこの切替温度を下回るとき第2物体を第1物体から熱的に切り離す。ガスギャップ83の作動ガスが少なくとも第2熱交換部82の表面に凝縮し、ガスギャップ83が真空となり、第1熱交換部81と第2熱交換部82がガスギャップ83を介して真空断熱され、熱スイッチ80は、オフ状態となる。
真空容器130は、ガスを真空領域29に導入することを可能にするポート48を備えてもよい。一例として、ポート48は、周囲環境27から真空領域29を隔離する真空容器130の壁に設けられていてもよい。
このポート48にガス源が接続されたとき、ガス源からポート48を通じて真空領域29にガスが導入されてもよい。このようにして、熱スイッチ80の作動ガス、すなわち、例えばヘリウムガスなど、上述の切替温度を沸点とするガスが、真空領域29に、さらには熱スイッチ80のガスギャップ83に導入されてもよい。
ポート48は、ガスの供給ポートとして機能するだけでなく、ガスの排気ポートとして機能してもよい。ポート48に真空ポンプが接続されたとき、真空領域29からポート48を通じてガスが真空排気されてもよい。ポート48は、例えば、図3を参照して上述した、ガス給排バルブ85であってもよい。このようにして、熱スイッチ80の作動ガスがガスギャップ83から除去されてもよい。
したがって、ポート48を利用して、熱スイッチ80のオンオフを極低温冷凍機10の動作から独立して能動的に切り替えることもできる。例えば、ポート48を通じて真空領域29に作動ガスを供給することで、ガスギャップ83を作動ガスで満たし、熱スイッチ80をオンにすることができる。また、ポート48を通じて真空領域29を真空排気することで、ガスギャップ83からガスを除去し、熱スイッチ80をオフにすることができる。
図11の例では、図10の例とは異なり、熱スイッチ80は、真空領域29において支持構造200の外側に設置されている。例えば、熱スイッチ80は、縦方向支持体202の近傍に配置されている。熱スイッチ80の第1熱交換部81は、縦方向支持体202の第1物体側(例えば輻射熱シールド140側)の端部に固定されている。第2熱交換部82は、縦方向支持体202の第2物体側(例えば超伝導コイル102側)の端部に固定されている。支持構造200は、第1物体(または第2物体)に比べて熱変形の小さい材料で形成されている。よって、熱スイッチ80の第1熱交換部81と第2熱交換部82を支持構造200に固定することは、第1熱交換部81と第2熱交換部82の物理的接触を避け、熱スイッチ80のガスギャップ83を規定の寸法に保持することに役立つ。
第2熱交換部82と対向する第1熱交換部81の表面は、平面であってもよい。同様に、第1熱交換部81と対向する第2熱交換部82の表面は、平面であってもよい。
熱スイッチ80のオン状態におけるガスギャップ83を通じた良好な熱交換を可能にするうえで、第1熱交換部81と第2熱交換部82の対向表面どうしの隙間、すなわちガスギャップ83の大きさは、例えば、0.5mm以上1mm以下であってもよい。また、同様の観点から、第1熱交換部81と第2熱交換部82の対向表面の面積は、0.01m以上0.1m以下であってもよい。
なお、熱スイッチ80は、真空領域29において任意の場所に設置されてもよい。例えば、熱スイッチ80は、支持構造200の横方向支持体210の近傍に配置され、第1熱交換部81が横方向支持体210の第1物体側の端部に固定され、第2熱交換部82が横方向支持体210の第2物体側の端部に固定されてもよい。あるいは、熱スイッチ80は、真空領域29において支持構造200から離れた場所に配置され、第1熱交換部81が第1物体に固定され、第2熱交換部82が第2物体に固定されてもよい。
図11に示される実施の形態においても、図10を参照して説明した実施の形態と同様に、熱スイッチ80を利用して、極低温装置100の初期冷却時間を短縮することができる。また、図11の実施の形態では熱スイッチ80の第1熱交換部81と第2熱交換部82に平面状の部材を用いることができるので、図10の実施の形態のように円筒状の部材を用いる場合に比べて、熱スイッチ80を安価に製作することが可能になる。
以上、本発明を実施例にもとづいて説明した。本発明は上記実施形態に限定されず、種々の設計変更が可能であり、様々な変形例が可能であること、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは、当業者に理解されるところである。ある実施の形態に関連して説明した種々の特徴は、他の実施の形態にも適用可能である。組合せによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態それぞれの効果をあわせもつ。
上述の実施の形態では、極低温冷凍機がGM冷凍機である場合を例として説明しているが、これは必須ではない。ある実施の形態では、極低温冷凍機(10、106)は、パルス管冷凍機、スターリング冷凍機、またはそのほかのタイプの極低温冷凍機であってもよい。
実施の形態にもとづき、具体的な語句を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用の一側面を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。
10 極低温冷凍機、 14 コールドヘッド、 20 第1冷却ステージ、 24 第2冷却ステージ、 26 真空容器、 29 真空領域、 30 コールドヘッド装着構造、 36 第1伝熱ステージ、 38 伝熱ステージ連結部、 40 第2伝熱ステージ、 42a 外スリーブ、 42b 内スリーブ、 46 気密空間、 80 熱スイッチ、 81 第1熱交換部、 82 第2熱交換部、 83 ガスギャップ、 84 ゲッター材、 90 被冷却物、 106 極低温冷凍機、 110 コールドヘッド、 122 冷却ステージ、 122a 第1冷却ステージ、 122b 第2冷却ステージ、 130 真空容器、 132 真空領域、 150 コールドヘッド装着構造、 152 伝熱ステージ、 152a 第1伝熱ステージ、 152b 第2伝熱ステージ、 156 支持構造、 166 支持棒、 180 熱スイッチ、 181 第1熱交換部、 182 第2熱交換部、 183 ガスギャップ、 184 ゲッター材、 200 支持構造、 204 第1伝熱ステージ、 206 第2伝熱ステージ。

Claims (10)

  1. 極低温冷凍機のコールドヘッドを真空容器に装着するためのコールドヘッド装着構造であって、前記コールドヘッドは、第1冷却温度に冷却される第1冷却ステージと、前記第1冷却温度よりも低い第2冷却温度に冷却される第2冷却ステージとを備えており、前記コールドヘッド装着構造は、
    前記第1冷却ステージに対応して設けられた第1伝熱ステージと、
    前記第2冷却ステージに対応して設けられた第2伝熱ステージと、
    前記第2伝熱ステージの温度が前記第1冷却温度と前記第2冷却温度の間の切替温度を上回るとき前記第2伝熱ステージを前記第1伝熱ステージに熱的に結合し、前記第2伝熱ステージの温度が前記切替温度を下回るとき前記第2伝熱ステージを前記第1伝熱ステージから熱的に切り離すように構成された熱スイッチと、を備えることを特徴とするコールドヘッド装着構造。
  2. 前記切替温度を沸点とするガスを収容する気密空間を形成し、前記第1伝熱ステージと前記第2伝熱ステージを連結する伝熱ステージ連結部をさらに備え、
    前記熱スイッチは、
    前記第1伝熱ステージと熱的に結合され、前記気密空間に露出された第1熱交換部と、
    前記第2伝熱ステージと熱的に結合され、前記気密空間に露出された第2熱交換部とを備え、
    前記第1熱交換部と前記第2熱交換部が、前記ガスを介した熱交換のためのガスギャップを挟んで対向配置されていることを特徴とする請求項1に記載のコールドヘッド装着構造。
  3. 前記伝熱ステージ連結部は、前記気密空間を内部に形成する中空の支持棒を備えることを特徴とする請求項2に記載のコールドヘッド装着構造。
  4. 前記支持棒は、前記コールドヘッドの前記第1冷却ステージおよび前記第2冷却ステージが前記真空容器内の真空領域にさらされるように前記コールドヘッドの周囲に配置されることを特徴とする請求項3に記載のコールドヘッド装着構造。
  5. 前記伝熱ステージ連結部は、前記第1伝熱ステージと前記第2伝熱ステージを剛に連結する外スリーブおよび内スリーブを備え、前記気密空間が前記外スリーブと前記内スリーブとの間に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のコールドヘッド装着構造。
  6. 前記伝熱ステージ連結部に接続され、前記気密空間に前記ガスを給排するバルブをさらに備えることを特徴とする請求項2に記載のコールドヘッド装着構造。
  7. 前記熱スイッチは、前記第2伝熱ステージと熱的に結合され、前記気密空間から前記ガスを吸着可能なゲッター材を備えることを特徴とする請求項2から6のいずれかに記載のコールドヘッド装着構造。
  8. 前記コールドヘッド装着構造は、前記コールドヘッド装着構造に装着された前記コールドヘッドと前記コールドヘッド装着構造との間に気密領域を形成するように構成され、
    前記コールドヘッド装着構造は、前記切替温度を沸点とするガスを前記気密領域に導入することを可能にするポートをさらに備え、
    前記熱スイッチは、
    前記第1伝熱ステージと熱的に結合され、前記気密領域に露出された第1熱交換部と、
    前記第2伝熱ステージと熱的に結合され、前記気密領域に露出された第2熱交換部とを備え、
    前記第1熱交換部と前記第2熱交換部が、前記ガスを介した熱交換のためのガスギャップを挟んで対向配置されていることを特徴とする請求項1に記載のコールドヘッド装着構造。
  9. 真空容器内に配置され、前記真空容器に装着された極低温冷凍機のコールドヘッドによって冷却される被冷却物を前記真空容器に支持する支持構造であって、前記コールドヘッドは、第1冷却温度に冷却される第1冷却ステージと、前記第1冷却温度よりも低い第2冷却温度に冷却される第2冷却ステージとを備えており、前記支持構造は、
    前記真空容器に取り付けられた支持体と、
    前記支持体に設置され、前記第1冷却ステージによって冷却される第1伝熱ステージと、
    前記支持体に設置され、前記第2冷却ステージによって冷却される第2伝熱ステージと、
    前記支持体に組み込まれた熱スイッチであって、前記第2伝熱ステージの温度が前記第1冷却温度と前記第2冷却温度の間の切替温度を上回るとき前記第2伝熱ステージを前記第1伝熱ステージに熱的に結合し、前記第2伝熱ステージの温度が前記切替温度を下回るとき前記第2伝熱ステージを前記第1伝熱ステージから熱的に切り離すように構成された熱スイッチと、を備えることを特徴とする支持構造。
  10. 極低温冷凍機のコールドヘッドが装着される真空容器であって、その内部空間には、前記コールドヘッドの第1冷却ステージによって第1冷却温度に冷却される第1物体と、前記コールドヘッドの第2冷却ステージによって前記第1冷却温度よりも低い第2冷却温度に冷却される第2物体とが収容される真空容器と、
    前記真空容器の前記内部空間において前記第1物体と前記第2物体との間に設置された熱スイッチであって、前記第2物体の温度が前記第1冷却温度と前記第2冷却温度の間の切替温度を上回るとき前記第2物体を前記第1物体に熱的に結合し、前記第2物体の温度が前記切替温度を下回るとき前記第2物体を前記第1物体から熱的に切り離すように構成された熱スイッチと、を備え、
    前記真空容器は、前記切替温度を沸点とするガスを前記内部空間に導入することを可能にするポートを備え、
    前記熱スイッチは、
    前記第1物体と熱的に結合され、前記内部空間に露出された第1熱交換部と、
    前記第2物体と熱的に結合され、前記内部空間に露出された第2熱交換部とを備え、
    前記第1熱交換部と前記第2熱交換部が、前記ガスを介した熱交換のためのガスギャップを挟んで対向配置されていることを特徴とするクライオスタット。
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