JP2024056373A - インダクタ - Google Patents

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康夫 下村
武士 小林
健一 原田
大昌 石田
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Abstract

【課題】コイル導体と外部電極との接続の安定性を向上させ得る構成を実現する。【解決手段】本発明の一態様は、金属磁性粉と樹脂とを含有し、巻回部と、前記巻回部から引き出された引出部と、前記引出部につながり、外部電極に接続される外部電極接続部を有するコイル導体が埋設された素体と、前記素体の表面を覆う素体コートと、前記素体の表面に形成され、前記外部電極接続部に接続される外部電極と、を備え、前記外部電極接続部は、前記素体の表面において、前記素体コートに覆われる領域と、前記外部電極に接続する領域と、を有する、インダクタである。【選択図】図13

Description

本発明は、インダクタに関する。
特許文献1は、樹脂材料および金属粉のコンポジット材料からなる素体にコイル導体を埋設し、絶縁膜でコーティングしたインダクタを開示する。このインダクタは、レーザ照射によって絶縁膜を除去した部分に対し、コイル導体のうち素体から露出した端部に接続される外部電極を、めっきによって形成する。
国際公開第2017/135058号
上記のようなインダクタにおいては、めっきによる外部電極を形成する以前に、素体から露出したコイル導体の端部が素体から剥がれることがあった。このため、コイル導体の端部と外部電極との接続の安定性に改善の余地があった。
本発明の一態様は、金属磁性粉と樹脂とを含有し、巻回部と、前記巻回部から引き出された引出部と、前記引出部につながり、外部電極に接続される外部電極接続部を有するコイル導体が埋設された素体と、前記素体の表面を覆う素体コートと、前記素体の表面に形成され、前記外部電極接続部に接続される外部電極と、を備え、前記外部電極接続部は、前記素体の表面において、前記素体コートに覆われる領域と、前記外部電極に接続する領域と、を有する、インダクタである。
本発明によれば、素体コートによって外部電極接続部が素体の表面から剥がれることを抑制できるため、コイル導体と外部電極との接続の安定性を向上させることができる。
本発明の実施形態に係るインダクタを上面の側から視た斜視図である。 インダクタを底面の側から視た斜視図である。 インダクタの内部構成を示す透視斜視図である。 インダクタの製造工程の概要図である。 インダクタの内部構成を示す平面図である。 図5のVI―VI線断面図である。 導線を構成する導体の導体断面図である。 コイル導体の巻回部を通常の巻き方で巻回したインダクタにおける巻回部の構成を示す図である。 本実施形態に係るインダクタの巻回部の構成を示す図である。 素体に埋設されたコイル導体の構成を示す図である。 図5のXI-XI線断面図である。 図11に対応する通常の導体が使用される場合の断面図である。 端面14の側から視たインダクタ1の側面図である。 図13のXIV-XIV断面における断面を模式的に示す図である。 図13のXIV-XIV断面図である。 図13のXVI-XVI断面図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
[インダクタ全体構成]
図1は本実施形態に係るインダクタ1を上面12の側から視た斜視図であり、図2はインダクタ1を底面10の側から視た斜視図である。
本実施形態のインダクタ1は、表面実装型の電子部品として構成されており、略六面体形状の一態様である略直方体形状の素体2と、当該素体2の表面に設けられた一対の外部電極4とを備えている。
以下、素体2において、実装時に図示しない実装基板に向けられる第1の主面を底面10と定義し、底面10に対向する第2の主面を上面12と言い、底面10に直交する一対の第3の主面を端面14と言い、これら底面10、及び一対の端面14に直交する一対の第4の主面を側面16と言う。
図1に示すように、底面10から上面12までの距離を素体2の厚みTと定義し、一対の側面16の間の距離を素体2の幅Wと定義し、一対の端面14の間の距離を素体2の長さLと定義する。また、厚みTの方向を厚み方向DTと定義し、幅Wの方向を幅方向DWと定義し、長さ距離の方向を長さ方向DLと定義する。
完成品としてのインダクタ1の公称サイズは、例えば、長さL寸法が1.4mm、幅W寸法が1.2mm、厚みT寸法が0.8mmである。
以下、DL方向およびDT方向に沿った面(DW方向に直交する面)をLT面、DT方向およびDW方向に沿った面(DL方向に直交する面)をTW面、DL方向およびDW方向に沿った面(DT方向に直交する面)をLW面というものとする。また、インダクタ1の、LT面、TW面、およびLW面に沿った断面を、それぞれ、LT断面、TW断面、及びLW断面というものとする。
図3は、インダクタ1の内部構成を示す透視斜視図である。
素体2は、コイル導体20と、当該コイル導体20が埋設された略六面体形状のコア30と、を備え、かかるコイル導体20をコア30に封入したモールドインダクタして構成されている。
コア30は、磁性粒子と樹脂を混合した混合粉を、コイル導体20を内包した状態で加圧及び加熱することで略六面体形状に圧縮成型された成型体である。
また、本実施形態の磁性粒子は、軟磁性体で形成されており、平均粒径が比較的大きな大粒子の第1磁性粒子と、平均粒径が比較的小さな小粒子の第2磁性粒子との2種類の粒度の粒子を含んでいる。これにより、圧縮成型時において、大粒子の第1磁性粒子の間に、小粒子である第2磁性粒子が樹脂とともに入り込むことでコア30における磁性粒子の充填率を大きくし、また透磁率も高めることができる。
本実施形態において、第1磁性粒子の金属粒子の平均粒径は、20μm以上28μm以下であり、第2磁性粒子の金属粒子の平均粒径は、1μm以上6μm以下である。なお、第1磁性粒子の平均粒径は20μm以上22μm以下が好ましく、第2磁性粒子の平均粒径は1.5μm以上1.8μm以下が好ましい。また、磁性粒子が第1磁性粒子および第2磁性粒子と異なる平均粒径の粒子を含むことで、3種類以上の粒度の粒子を含んでもよい。
第1磁性粒子及び第2磁性粒子はいずれも、金属粒子と、金属粒子の表面を覆う酸化膜と、酸化膜の表面を覆う絶縁膜とを有した粒子である。金属粒子が酸化膜及び絶縁膜で覆われることで、絶縁抵抗と耐電圧とが高められる。
本実施形態の第1磁性粒子では、金属粒子には、Fe-Si-Bアモルファス合金粉が用いられている。第1磁性粒子の酸化膜は、SiO層とFeSiOの2層で構成されており、酸化膜全体の厚みは20nm以上155nm以下である。また、第1磁性粒子の絶縁膜は、厚み10nm以上100nm以下のリン酸塩ガラスで形成されている。
また、本実施形態の第2磁性粒子では、金属粒子には、カルボニル鉄粉が用いられている。第2磁性粒子の酸化膜は、金属粒子であるカルボニル鉄粉を表面酸化して形成される酸化鉄である。また、第2磁性粒子の絶縁膜は、シリカを成分とするゾルゲル反応生成物である。これにより、第2磁性粒子の表面の滑り性を高めて、後述する素体2の素体成型・硬化工程の際に第1磁性粒子の間への第2磁性粒子の入り込みを容易にすることができる。その結果、コア30における磁性材料の密度をより増大させて、コア30の比透磁率を更に増大させることができる。
なお、第1磁性粒子において、金属粒子には、Fe-Si-Cr合金粉、Fe-Ni-Al合金粉、Fe-Cr-Al合金粉、Fe-Si-Al合金粉、Fe-Ni合金粉、Fe-Ni-Mo合金粉を用いてもよい。
また、第1磁性粒子において、絶縁膜には、リン酸、リン酸亜鉛、リン酸マンガン、ガラス、または樹脂を用いてもよい。
本実施形態の混合粉が含む樹脂の材料は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とゴム変性エポキシ樹脂とを含む。これにより、素体2の強度と靭性の双方が向上したインダクタ1を製造することができる。
本実施形態では、混合粉に含まれる磁性粉は、その混合粉に含まれる磁性粒子の総重量を基準として第1磁性粒子が70wt%以上85wt%以下、第2磁性粒子が15wt%以上30wt%以下である。また、混合粉に含まれる樹脂は、磁性粉と樹脂の総重量を基準として、2.0wt%以上3.5wt%以下である。なお、第1磁性粒子は、70wt%以上80wt%以下が好ましく、第2磁性粒子は、20wt%以上30wt%以下が好ましい。また、樹脂は、2.7wt%以上30wt%以下が好ましい。
コイル導体20は、図3に示すように、巻軸Kの周りに導線がその両端が外周に位置し、かつ内周で互いに繋がるように渦巻き状に巻軸Kに沿って上下2段に巻回された巻回部22と、当該巻回部22から引き出された一対の引出部23と、引出部23のそれぞれにつながり、後述の外部電極に接続するための導線部分である一対の外部電極接続部24と、を備える。巻回部22は、巻軸Kに沿って重なった2つの巻回領域22a、22bを含む。巻回領域22aと22bとは、それらの内周の一部において互いの導線がつながっている。
巻回部22は、例えば、巻軸Kの方向から視た平面視が略矩形である。コイル導体20は、巻軸Kが素体2の厚み方向DTに沿うように、且つ、巻軸Kの方向から視た平面視において、平面視が略矩形の巻回部22の各辺が、それぞれ、平面視が略矩形である素体2の各辺に沿うように(例えば、平行となるように)、素体2内に埋設されている。
コイル導体20を構成する導線は、導体と、導体の表面に形成された被覆層とで構成される。導線は、断面が矩形の平角線であり、導体は、銅を材質とする断面が矩形の帯状導体である。導体の厚みは、60μm以上100μm以下、幅は、160μm以上200μm以下である。被覆層は、帯状導線の表面上に形成された絶縁層と、絶縁層の表面に形成された、巻回部22において重なりあう帯状導線同士を接着するための融着層と、で構成される。絶縁層は、例えば、ポリイミドアミド樹脂から成り、厚みは3μmである。また、融着層は、例えば、ポリアミド樹脂から成り、厚みは、1μm以上25μm以下である。
引出部23は、巻回部22から引き出され、一対の端面14のそれぞれまで引き出され露出する外部電極接続部24を介して外部電極4に電気的に接続されている。
一対の外部電極4は、素体2の端面14のそれぞれから底面10に亘って延びるL字状部材で構成された、いわゆるL字電極である。外部電極4はそれぞれ、端面14においてコイル導体20の外部電極接続部24と接続され、また底面10に延出した部分4A(図2)がはんだなどの適宜の実装手段によって回路基板の配線に電気的に接続される。
また、外部電極4の範囲を除く素体2の表面には、素体保護層(図示せず)が形成されている。素体保護層は、例えば、ノボラック樹脂にフェノキシ樹脂を添加した樹脂であり、フィラーとしてナノシリカを含む。素体保護層は、素体2の表面上に、10μm以上30μm以下の厚みで形成されている。なお、素体保護層の厚みは、10μm以上20μm以下が望ましく、15μm以下がより好ましい。
かかる構成のインダクタ1は、磁性粒子に軟磁性材料を用いることにより、直流重畳特性を改善できるので、大電流が流れる電気回路の電子部品、DC-DCコンバータ回路や電源回路のチョークコイルとして用いられ、また、パソコン、DVDプレーヤー、デジカメ、TV、携帯電話、スマートフォン、カーエレクトロニクス、医療用・産業用機械などの電子機器の電子部品に用いられる。ただし、インダクタ1の用途はこれに限られず、例えば、同調回路、フィルタ回路や整流平滑回路などにも用いることもできる。
[インダクタ製造工程概要]
図4は、インダクタ1の製造工程の概要図である。
同図に示すように、インダクタ1の製造工程は、コイル導体形成工程、予備成型体形成工程、素体成型・硬化工程、素体研削工程、及び、外部電極形成工程を含んでいる。
コイル導体形成工程は、導線からコイル導体20を形成する工程である。当該工程において、コイル導体20は、「アルファ巻」と称される巻き方で導線を巻回することにより、上述した巻回部22、引出部23及び、外部電極接続部24を有した形状に形成される。アルファ巻とは、導体として機能する導線の巻始めと巻終わりの引出部23が外周に位置するように渦巻き状に2段に巻回された状態を言う。コイル導体20のターン数は、特に限定されるものではない。
予備成型体形成工程は、タブレットと称される予備成型体を形成する工程である。
予備成型体は、素体2の材料である上記混合粉を加圧することで、取り扱いが容易な固形状に成型したものであり、本実施形態では、コイル導体20が入り込む溝を有した適宜形状(例えばE型など)の第1タブレットと、この第1タブレットの溝を覆う適宜形状(例えばI型や板状など)の第2タブレットとの2種類のタブレットが形成される。
素体成型・硬化工程は、第1タブレット、コイル導体、及び第2タブレットを成型金型にセットし、熱を加えながら、第1タブレットと第2タブレットの重なり方向に加圧し、これらを硬化させることとで、第1タブレット、コイル導体、及び第2タブレットを一体化する。これにより、コイル導体20をコア30に内包した素体2が成型される。
素体研削工程では、素体成型・硬化工程で得た成型体の側面に砥粒を作用させることで、幅Wが所定幅になるまで側面を削り落とす(すなわち研削する)。この工程により、成型体の幅Wを所定幅までダウンサイジングした素体2が得られる。このダウンサイジングにより、素体2内のコイル導体20と素体2の側面との距離(サイドギャップとも言う)が縮まるため、コイル導体20の巻回部22の径方向におけるコイルの占有率が高められる。また、圧縮成型で得た成型体を所定サイズに研削加工して素体2を得るため、圧縮成型だけで素体2を所定サイズに制御する場合に比べ、素体2の寸法ばらつきを低減することができる。素体研削工程では、素体2の側面の研削によって生じた角を面取りするための研磨(例えばバレル研磨)を行ってもよい。
外部電極形成工程は、外部電極4を素体2に形成する工程であり、素体保護層形成工程と、表面処理工程と、めっき層形成工程と、を含んでいる。
素体保護層形成工程は、素体2の全表面を絶縁性の樹脂でコーティングする工程である。
表面処理工程は、コア30の表面の電極予定箇所にレーザ光を照射することで電極予定箇所の表面を改質する工程である。ここで、電極予定箇所とは、コア30の表面のうち外部電極4を形成すべき範囲をいい、外部電極接続部24が露出されている部分を含む。具体的には、レーザ光を照射することにより、電極予定箇所の範囲において、素体2の表面の素体保護層およびコイル導体20の外部電極接続部24の被覆層を除去すると共に、コア30の表面の樹脂を除去し、且つ、コア30から露出している磁性粒子の表面の絶縁膜を除去する。これにより、コア30の表面のうち電極予定箇所の部分は、コア30の他の表面部分に比べて、コア30の表面の単位面積あたりの磁性粒子の金属の露出面積が大きくなる。なお、レーザ光の照射後に、電極予定箇所の表面を清浄するための洗浄処理(例えばエッチング処理)を行っても良い。
めっき層形成工程では、コア30の表面に銅をバレルめっきすることにより、レーザ光が照射された電極予定箇所に銅めっき層を形成する。これに加えて、めっき層は、銅めっき層の上に、さらにNiめっき層およびSnめっき層を設けて形成されるものとしてもよい。
以下、本実施形態におけるインダクタ1の詳細について、更に説明する。
[A.コイル導体]
図5は、インダクタ1の内部構成を示す平面図である。図6は、図5のVI―VI線断面図である。図6は、インダクタ1のTW断面を示す。
まず、インダクタ1に用いられるコイル導体20について説明する。上述したように、コイル導体20は、導線が巻回された巻回部22と、一対の引出部23と、一対の外部電極接続部24とを備える。
巻回部22の左端は、上下2段に巻回された巻回部22の下の段から引き出され、左側の引出部23を介して左側の外部電極接続部24につながる。左側の外部電極接続部24は、左側の引出部23の先端の折り曲げ部48において幅方向DWに折り曲げられて幅方向DWに直線状に延びている。巻回部22の右端は、上下2段に巻回された巻回部22の上の段から引き出され、右側の引出部23を介して右側の外部電極接続部24につながる。右側の外部電極接続部24は、右側の引出部23の先端の折り曲げ部48において幅方向DWに折り曲げられて幅方向DWに直線状に延びている。換言すれば、左右の引出部23は、それぞれ、長さ方向DL外側に進むに連れて幅方向DW一側に傾斜する延在方向dcに延在する。また、左右の外部電極接続部24は、それぞれ、幅方向DW他側から幅方向DW一側に延びる延在方向dpに延在する。なお、図5では、引出部23の長さ方向DL外側に進むに連れて幅方向DW一側に傾斜する部分が直線状になっているが、少なくとも一部が曲線状に形成されても良い。また、図5では、外部電極接続部24は幅方向DW他側から幅方向DW一側に延びる部分が直線状になっているが、少なくとも一部が曲線状に形成されても良い。
図6に示すように、コイル導体20を構成する導線42は、線材である導体43と導体43を覆う被覆層(図6、図7では被覆層は不図示。)と、を有する。コイル導体20は、導線42がアルファ巻きされて構成される。コイル導体20は、磁性粒子及び樹脂を含むコア30に埋設される。
[A-1.導線]
図7は、導線42を構成する導体43の導体断面図である。図7では、導体43の延在方向に直交する断面を示す。
導体43は、延在方向に直交する導体断面における形状が、4つの角が直角の矩形形状に形成される。ここで、本明細書において、「直角」、「矩形」、「同じ」は、それぞれ、厳密に「直角」、「矩形」、「同じ」なものを意味するとは限らず、実質的に「直角」、「矩形」、「同じ」であれば良い。すなわち、本明細書においては、「直角」、「矩形」、「同じ」は、それぞれ、実質的に「直角」、「矩形」、「同じ」であれば、「略直角」、「略矩形」、「略同じ」なものを含んだ意味で使用する場合がある。
導体43は、巻軸K側の導体内周面43aと、巻軸Kから離間した側の導体外周面43bと、導体内周面43aの両端および導体外周面43bの両端をそれぞれ接続する一対の導体側面43c、43dと、を有する。この導体43の表面に被覆層が形成されることにより導線42が構成される。
導体43の厚み方向DTにおける導体側面43c、43d間の最大長さを線幅Laとする。また、導体43の厚み方向DTに直交する方向における導体内周面43aと導体外周面43bとの間の最大長さを線厚Lbとする。
詳細には、導体内周面43aと導体側面43cとの成す角度は直角である。また、導体内周面43aと導体側面43dとの成す角度は直角である。さらに、導体外周面43bと導体側面43cとの成す角度は直角である。また、導体外周面43bと導体側面43dとの成す角度は直角である。本実施形態では、直角である基準は、直角の角部が、それぞれ直角を構成する導体内周面43a又は導体外周面43bと導体側面43c、43dが交差する部分に曲率半径Rで4.5μm以下の丸みが形成された角である。この導体の4つの角が直角であることの確認方法は、導体の断面において、4つの角部をデジタル顕微鏡で観察し、デジタル顕微鏡の計測機能を用いてそれぞれの角部の曲率半径を測定することで確認することができる。
ここで、導体断面において、導体43に外接するように仮想的な外接矩形S1を設定する。外接矩形S1は、外接矩形S1の面積に対して導体43の占有する面積の面積比が最大となるように設定する。この導体断面は、導線42のままであれば導線42の長さ方向DLに直交する方向に垂直に切断した切断面であり、この切断面において、被覆層と導体41の境界線を観察して上記外接矩形S1を設定する。すなわち、この切断面において、外接矩形S1を導体43の厚み方向DTにおける導体側面43c、43d間の線幅La及び導体43の厚み方向DTに直交する方向における導体内周面43aと導体外周面43bとの間の線厚Lbが入る様にすることにより、外接矩形S1を設定する。また、製品のインダクタ1で判断する場合には、素体2を上面から見て巻回部22の巻軸Kを通る素体2の幅方向DWに延在する仮想線で垂直に切断した切断面(図6で示す切断面)で巻回部22の1巻きあたりの導体断面を観察して上記外接矩形S1を設定する。本実施形態では、巻回部22の1巻あたりの外接矩形S1に対する導体43の平均面積比は95%以上である。1巻あたりとは、1巻における平均値を意味するものであり、上記素体断面における1巻における2か所の導体断面における面積比の平均値を意味する。よって、例えば、図6では、巻位置P1、P2の面積比の平均値をとってもよい。また、例えば、図6では、巻位置P3、P4の面積比の平均値をとってもよい。
ここで、図7に破線で示すように、通常の導体81では、断面が円形の導体を押しつぶして形成しているため、導体内周面81aや導体外周面81bは平面状に形成される一方で、導体側面81c、81dは湾曲面状であり、その曲率が大きい。このため、通常の導体81では、外接矩形S1に対する面積比が小さくなり易い。これに対して、本実施形態の導体43は、鋳造により形成することにより、意識的に4つの角が直角の矩形形状になる様に形成しているため、通常の導体81に比べて導体側面43c、43dの湾曲形状の曲率が小さく、直線的に形成され、より外接矩形S1に近似した矩形形状である。
図6に示すように、本実施形態では、厚み方向DTにおいて、コイル導体20は、素体2の上面12から巻回部22の上面41aまでの長さである上面厚みT11と、巻回部22の底面41bから素体2の底面10までの長さである底面厚みT12と、が同じ厚みになるようにコア30の内部に埋設される。
本実施形態では、導体43が矩形形状であるため、同じ直流抵抗値(すなわち、導体断面の面積が同じ)で比較した場合には、導体43の角部の面積の分、通常の導体81よりも線幅Laを小さくできる。そのため、コイル導体20の厚み方向DTの高さ(厚み)を小さくしながら直流抵抗値を確保できるため、素体2のサイズ感が同程度の場合には、上面厚みT11や、底面厚みT12を大きくし易く、上面厚みT11と底面厚みT12の合計値T11+T12を大きくできる。
本実施形態では、巻軸Kに沿った方向である厚み方向DTにおいて、巻回部22の上面41aから底面41bまでの長さである巻回部厚みT10が、上面厚みT11と底面厚みT12との合計値T11+T12と同じである。同じに代えて、巻回部厚みT10を合計値T11+T12以下でもよい。具体的には、素体2の高さに対する巻回部厚みT10の比率が55%以下である。
これにより、巻回部厚みT10に対して、上面厚みT11と底面厚みT12との合計値T11+T12を大きくし易いため、製造上、巻回部22の位置が上下方向にずれても巻回部22と素体2の上下面間の距離を保つことができ、インダクタ1の直流重畳定格電流のばらつきを抑制することができる。ここで、直流重畳定格電流とは、インダクタに電流が流れると、磁性体の磁気飽和が発生してインダクタンスが低下するが、このインダクタンスが電流を重畳していない初期特性に対して、使用可能とされる下限の電流値を規定したものである。
なお、本実施形態では、コイル導体20は、上面厚みT11と底面厚みT12とが同じとなるように、コア30の内部に埋設される。しかしながら、上面厚みT11が、底面厚みT12に比べて大きくなるように、コイル導体20がコア30の内部に埋設されてもよい。また、底面厚みT12が、上面厚みT11に比べて大きくなるように、コイル導体20がコア30の内部に埋設されてもよい。上面厚みT11又は底面厚みT12のいずれか一方が大きい場合には、厚みの小さい方の厚みが上面厚みT11と底面厚みT12との合計値T11+T12の1/6より小さくならない様に形成される。
[A-2.コイル導体]
[A-2-1.巻回部の構成]
上述したように、インダクタ1のサイズは、長さL寸法が1.4mm、幅W寸法が1.2mm、厚みT寸法が0.8mmと、非常に小さい。このため、素体2においてコア30内に埋設される巻回部22の形状は、インダクタ1において実現し得るインダクタンスの値に大きな影響を与え得る。
図8は、コイル導体の巻回部を通常の巻き方で巻回したインダクタ83におけるコイル導体84の巻回部85の構成について説明するための図である。図8(a)および(b)は、図1と同様の構成を有する、コイル導体の巻回部を通常の巻き方で巻回したインダクタ83の、巻回部85を構成する2つの巻回領域85aおよび85bを、それぞれ、図1における-DT方向(上面12を見下ろす方向)に相当する方向から視た図である。また、図8(c)は、図1の幅Wの中心に沿ったLT断面に相当するインダクタ83の断面を、図1のDW方向に相当する方向から視た図である。
巻回領域85a及び85bから成る巻回部85と、巻回部85から引き出された引出部と、引出部につながり、外部電極に接続するための導線部分である外部電極接続部88を備えるコイル導体84は、コイル導体84が埋設された磁性粒子を含むコア86と共に素体87を構成している。図8(a)において巻回部85を構成する巻回領域85aの導線は、巻軸の周りを周回し、巻回領域85aの最外周から引出部を介して図示右側へ引き出されて図示右側の外部電極接続部88につながり、図8(b)において巻回領域85bの導線は、巻軸の周りを周回し、巻回領域85bの最外周から引出部を介して図示左側へ引き出されて図示左側の外部電極接続部88につながっている。また、図8(a)に示す巻回領域85aの導線と、図8(b)に示す巻回領域85bの導線とは、巻回部85の内周の位置P80において互いにつながっている。
巻回部85の巻回数の総数は小数点以下を四捨五入した整数が奇数、例えば5であり、巻軸に沿って重なって巻回部85を構成する巻回領域85aおよび85bは、それぞれ約2.5回ずつの同じ巻回数で構成されている。このため、2つの巻回領域85a、85bは、素体87の上面から見た導線が周回している部分のうち、巻軸Kpの方向(図8(a)および(b)において紙面法線方向)に沿った断面において、2つの巻回領域85a、85bに含まれる導線の断面の数が、巻軸Kpの方向に沿って隣接する部分で、一方の巻回領域85aと他方の巻回領域85bで互いに異なる2つの範囲R81およびR82を有する。
図8(c)は、図8(a)および(b)における素体87の幅方向の中心線CL80に沿った素体87の断面図であり、範囲R81およびR82の断面を含む。図8(c)に示すように、コイル導体の巻回部を通常の巻き方で巻回したインダクタ83では、巻回領域85aおよび巻回領域85bは、それらの内周が同じ位置P82およびP83にある。そして、巻回領域85aおよび巻回領域85bのそれぞれの内周の2ターンは上下に重なって同じ位置にある一方、最外周に位置する0.5ターン分は、それぞれ、図示左右の外周位置に配される。このため、巻回部85の外周は、図示左右において、それぞれ、巻回領域85aと巻回領域85bとの間に段差S80を生じている。段差S80の深さは、巻軸Kpに直交する方向に測った導線の厚みT80と同等であり得る。
素体87を構成するコア86のうち、この段差S80の部分は、デッドスペースであり、インダクタ83として実現し得るインダクタンスの上限値を制限し得る。
このため、本実施形態のインダクタ1では、図8に示す範囲R81およびR82に相当する部分において、導線の断面の数が少ない一方の巻回領域の内周が、導線の断面の数が多い他の巻回領域の内周に対して、外周側へずれて構成される。
図9は、インダクタ1の一実施例におけるコイル導体20の巻回部22の構成を説明するための図であり上述したコイル導体の巻回部を通常の巻き方で巻回したインダクタ83の構成を示す図8に相当する図である。上述において図3を参照して説明したように、コイル導体20は、巻軸Kの周りに導線が巻回された巻回部22と、巻回部22から引き出された一対の引出部23と、引出部23のそれぞれにつながる、外部電極に接続するための導線部分である一対の外部電極接続部24とを含む。また、巻回部22は、巻軸Kに沿って重なった2つの巻回領域22aおよび22bを含む。
また、コイル導体20を構成する導線は、導体と、導体の表面を覆う被覆層と、を有する。そして、上記導体は、当該導体の延在方向に直交する断面が矩形であり、当該矩形の4つの頂点は直角である。
図9(a)および(b)は、巻回部22を構成する2つの巻回領域22aおよび22bを、それぞれ、図1における-DT方向(上面12を見下ろす方向)から視た図である。また、図9(c)は、素体2の幅W(図1参照)の中心線CL20に沿ったLT断面に相当するインダクタ1の断面を、DW方向から視た図である。
図9(a)において巻回領域22aの導線は、図示右側へ引き出され、引出部23を介して図示右側の外部電極接続部24につながり、図9(b)において巻回領域22bの導線は、図示左側へ引き出され、引出部23を介して図示左側の外部電極接続部24につながっている。また、図9(a)に示す巻回領域22aの導線と、図9(b)に示す巻回領域22bの導線とは、巻回部22の内周の位置P20において互いにつながっている。
図9に示す巻回部22の巻回数の総数は小数点以下を四捨五入した整数が奇数、例えば5である。ただし、この巻回数の総数は、図8に示すコイル導体の巻回部を通常の巻き方で巻回したインダクタ83との違いを説明するための一例であって、巻回部22の巻回数の総数は、インダクタ1に求められるインダクタンス値に応じて、任意の奇数に設定され得る。
巻回部22を構成する巻回領域22aおよび22bは、それぞれ約2.5回ずつの同じ巻回数で構成されている。このため、2つの巻回領域22a、22bは、素体2の上面12から見た導線が周回している部分のうち、巻軸Kの方向(図9(a)および(b)において紙面法線方向)に沿った断面において、巻軸Kの方向に沿って隣接する2つの巻回領域22a、22bに含まれる導線の断面の数が、巻軸Kの方向に沿って隣接する部分で、一方の巻回領域22aと他方の巻回領域22bで互いに異なる2つの範囲R20およびR21を有する。
インダクタ1では、巻回部22は、巻軸Kの方向から視た平面視が略矩形であり、範囲R20およびR21は、上記略矩形の対向する2辺にある。
図9(c)は、図9(a)および(b)における素体2の幅方向の中心線CL20に沿った素体2の断面を示す図であり、範囲R20およびR21の断面を含む。
図9(c)に示すように、一方の巻回領域22aは、一方の範囲R20において他の巻回領域22bより少ない数の導線を含み、他方の範囲R21において他の巻回領域22bより多い数の導線を含む。同様に、一方の巻回領域22bは、一方の範囲R21において他の巻回領域22aより少ない数の導線を含み、他方の範囲R20において他の巻回領域22aより多い数の導線を含む。
そして、本実施形態では、範囲R20およびR21が、巻回領域22aと巻回領域22bを互いにつないでいる巻回部22の内周の位置P20近傍に位置しない様に、例えば、図9(a)および(b)に示す様に素体2の端面14と平行な巻回部22の対向する2辺に配置され、特に、図9(c)に示すように、範囲R20およびR21において、巻軸Kの方向に沿った断面における導線の断面の数が少ない一方の巻回領域の内周が、上記巻軸Kの方向に沿った断面における導線の断面の数が多い他方の巻回領域の内周に対して、巻回部22の外周側へずれている。
具体的には、範囲R20では、上記巻軸Kの方向に沿った断面における導線の断面の数が少ない巻回領域22bの内周が、上記巻軸Kの方向に沿った断面における導線の断面の数が多い巻回領域22aの内周に対して、巻回部22の外周側へ距離D21ずれている。また、範囲R21では、上記巻軸Kの方向に沿った断面における導線の断面の数が少ない巻回領域22aの内周が、上記巻軸Kの方向に沿った断面における導線の断面の数が多い巻回領域22bの内周に対して、巻回部22の外周側へ距離D20ずれている。
図9(c)の例では、距離D20およびD21は、共に、巻軸Kに直交する方向に測った導線の厚みT20と同じである。これにより、範囲R20およびR21のそれぞれにおいて、巻回領域22aの外周と巻回領域22bの外周との間に段差を生じないように構成されている。すなわち、範囲R20およびR21のそれぞれにおいて、2つの巻回領域22aおよび巻回領域22bの外周は、一方の巻回領域の巻軸Kからの距離と他方の巻回領域の巻軸Kからの距離の差が上記導線の厚みの1/2以内になるように形成され、図9(c)では、巻軸Kからの距離が互いにほぼ同じとなっている。
上記構成により、インダクタ1の巻回部22では、図8(c)に示すコイル導体の巻回部を通常の巻き方で巻回したインダクタ83において形成されていた巻回部85の外周における段差S80を生じない。すなわち、インダクタ1では、図8(c)に示すような段差S80を生じないので、インダクタ1として実現し得るインダクタンスの上限値を、コイル導体の巻回部を通常の巻き方で巻回したインダクタ83に対して向上することができる。また、図9に示すインダクタ1では、巻回領域22aと22bのそれぞれにおいて、磁束密度が大きい巻軸を大きく形成することができる。
なお、2つの巻回領域22a、22bは、必ずしも範囲R20およびR21のそれぞれの巻回方向(巻軸Kを中心とする周方向)の全体において、一方の巻回領域の内周が他方の巻回領域の内周に対してずれている必要はない。すなわち、2つの巻回領域22a、22bは、範囲R20およびR21のそれぞれの巻回方向の少なくとも一部において、巻軸Kに沿った断面における導線の断面の数が少ない一方の巻回領域の内周が、上記巻軸Kの方向に沿った断面における導線の断面の数が多い他方の巻回領域の内周に対して、巻回部22の外周側へずれていればよい。
また、範囲R20およびR21における一方の巻回領域の内周に対する他方の巻回領域の内周のずれ量、すなわち、図9(c)における距離D20およびD21は、巻軸Kに直交する方向に測った導線の厚みT20の1/2以上であればよい。この場合にも、巻回部22の外周部における巻回領域22aと22bとの段差の大きさを、図8(c)に示すコイル導体の巻回部を通常の巻き方で巻回したインダクタ83における段差S80よりも小さくして、インダクタ1として実現し得るインダクタンスの上限値を、コイル導体の巻回部を通常の巻き方で巻回したインダクタ83に対して向上することができる。
[A-2-2.引出部と外部電極接続部の構成]
背景技術に関して上述したように、図1に示すインダクタ1のような、軟磁性体で形成された磁性粒子を含むコア及びコアに埋め込まれたコイル導体を含む素体を備えるインダクタにおいては、コイル導体全体の形状や素体内部におけるコイル導体の姿勢等に起因して、素体端面における引出部の位置や露出面積にばらつきが生じ得る。そして、このような素体端面における引出部の位置や露出面積のばらつきは、引出部と外部電極との電気的な接続状態にばらつきを生じさせ、引出部と外部電極との接続部における直流抵抗値にばらつきを生じさせ得る。
このため、本実施形態のインダクタ1では、素体2の上面12の法線方向から視た平面視において、コイル導体20の形状、特に、巻回部22から引き出される引出部23と外部電極接続部24とが成す角度が、所定の条件を満たすように構成される。また、インダクタ1では、素体2の上面12の法線方向から視た平面視において、素体2の内部におけるコイル導体20の姿勢、特に、外部電極4が形成される素体2の端面14の法線方向と、外部電極接続部24の延在方向と、が成す角度が、所定の条件を満たすように構成する。
図10は、インダクタ1の一実施例における素体2に埋設されたコイル導体20を、素体2の上面12の上方から-DT方向に沿って視た図である。図10に示すインダクタ1では、特に、インダクタ1の図示左側部分について示すように、引出部23と外部電極接続部24との境界は、導線が折れ曲がった折り曲げ部48であり、折り曲げ部48を起点として延在する外部電極接続部24の延在方向dpと、折り曲げ部48を通り素体2の内部に向かう端面14の法線方向dnと、が成す第1角度θ1が90度より大きい角度となっている。この第1角度θ1が90度より小さくなると外部電極接続部24の根本から先端まで外部電極接続部24全体が素体2の端面14から素体内部に向かって離れ、端面14から露出する外部電極接続部24の露出面積が小さくなる。また、第1角度θ1が90度であると、端面14から露出する外部電極接続部24の露出面積を大きくできるものの折り曲げ部48が素体2の内部方向に位置ずれした場合、外部電極接続部24が素体2に埋没してしまう可能性がある。それに対し、第1角度θ1が90度より大きくなると、外部電極接続部24の先端側が素体2の端面14から突出する方向に延在し、外部電極接続部24の先端が、前述の素体成型・硬化工程における成型金型の内壁に接触することにより素体2の端面14と平行に近い状態で延在するため、端面14から露出する外部電極接続部24の露出面積を大きくできる。なお、インダクタ1の図示右側部分の引出部23および外部電極接続部24も、上記と同様に構成されて、第1角度θ1が定義され得る。
これにより、インダクタ1では、端面14から露出する外部電極接続部24の露出面積のばらつきを低減して、外部電極接続部24と外部電極4との接続部における直流抵抗のばらつきを低減することができる。ここで、インダクタ1の図示左右の両方において第1角度θ1が90度より大きい角度となっている場合には、図示左右の端面14のそれぞれにおいて、それぞれの端面14から露出する外部電極接続部24の露出面積のばらつきを低減して、外部電極接続部24と外部電極4との接続部における直流抵抗のばらつきを低減することができる。
また、図10に示すインダクタ1では、さらに、折り曲げ部48を起点とする引出部23の延在方向dcと、折り曲げ部48から延在する外部電極接続部24の延在方向dpと、が成す第2角度θ2は、150度以上180度未満である。これにより、端面14から露出する外部電極接続部24の露出面積のばらつきを更に低減することができる。
外部電極接続部24の上記露出面積のばらつきを低減する観点からは、上記第1角度θ1は、上記のとおり90度より大きいことに加えて、100度以下の範囲であることが好ましい。
ここで、図10において、コイル導体20は、巻軸Kが上面12の法線方向(紙面法線方向)に沿うように、素体2に埋設されている。また、上面12の法線方向から視た平面視(すなわち、図10が示す平面視)における巻回部22の外形は、側面16と直交する方向(例えば、DW方向)の最大長さである第1長さWcが、端面14と直交する方向(例えば、DL方向)に測った最大長さである第2長さLc以上である。第2長さLcに対する第1長さWcの比は、1以上1.5以下の範囲あってもよい。
巻回部22と素体2の関係は、巻回部22が、第1長さWcが第2長さLcより長く、かつ、素体2が、一対の端面14間の距離Ldが、一対の側面16間の距離Wbより長い。ここで、距離Ldは、インダクタ1の長さLから外部電極4の厚みを除いた長さに等しく、距離Wbは、インダクタ1の幅Wとほぼ等しい。
外部電極接続部24の上記露出面積のばらつきを低減する観点からは、更に、折り曲げ部48は、端面14の中心を通り側面16と平行なラインL25を中心として、一対の側面16と直交する方向(例えば、DW方向)の幅が、当該一対の側面16間の距離Wbの1/2である範囲R25内にあることが好ましい。
外部電極接続部24の長さは、端面14の、一対の側面16間の距離Wbの30%以上50%以下の長さであることが好ましい。
素体2は、例えば、一対の側面16間の距離Wbが1.2mm以上1.4mm以下であり、一対の端面14間の距離Ldが1.4mm以上1.6mm以下である。ここで、上述したインダクタ1の公称サイズである、長さL寸法1.4mm、幅W寸法1.2mm、厚みT寸法0.8mmに対し、インダクタ1の実際のサイズは、数%程度の誤差を含み得る。また、インダクタ1の上記サイズは、外部電極4を含むインダクタ1全体のサイズであり、素体2のサイズは、一般的にはインダクタ1のサイズよりも小さく、側面16間の距離Wbと端面14間の距離Ldとの比も、インダクタ1全体の外形における幅Wと長さLとの比率とは異なるものとなり得ることに留意されたい。
[B.外部電極]
次に、外部電極とコイル導体20の外部電極接続部24との接続構成、および素体表面における外部電極の構成について説明する。
[B-1.外部電極と外部電極接続部との接続構成]
図11は、図5のXI-XI線断面図である。図11では、外部電極接続部24と外部電極4との接続部分における外部電極接続部24の延在方向dpに直交する断面を示す。
素体2の表面には、一対の外部電極4が設けられる。外部電極4は、外部電極接続部24の被覆層45が除去されて露出した導体43に接続される。外部電極4は、めっきによるめっき導体50を有する。本実施形態のめっき導体50は、導体43と同一の金属成分のめっき層としての銅めっき層51を有する。銅めっき層51は導体43の表面をめっきするめっき層である。銅めっき層51と導体43とが接続される。
銅めっき層51上には、Niめっき層52が形成される。Niめっき層52上には、Snめっき層53が形成される。本実施形態のめっき導体50は、銅めっき層51、Niめっき層52、および、Snめっき層53を有する。めっき導体50は、外部電極接続部24の導体外周面43bと、外部電極接続部24の導線42の被覆層45が除去されて露出した導体側面43c、43dと、に形成される。この導体側面43c、43dの露出量は、図11に示す様に、それぞれの導体側面43c、43dで異なる。すなわち、図11では、導体側面43cと導体側面43dとでは、被覆層45の外部電極4側の端の位置が、左右方向に異なっており、導体側面43dの方が導体側面43cよりも露出量が大きくなっている。
図12は、図11に対応する通常の導体81が使用される場合の断面図である。
通常の導体81では、4つの角が直角の矩形形状ではないために、導体外周面81bの線幅Laの方向の長さが、導体81の線幅Laよりも短くなり、導体外周面81bの線幅Laの方向の両側の導体側面81c、81dは、曲率の大きい曲面となり易い。
ここで、インダクタを製造する際において、通常の導体81の導線80では、コイル導体20を素体2に埋設する際に、導体外周面81bと導体側面81c、81dがつながる曲面上の素体2の厚み(換言すれば、素体2の外表面から上記曲面上までの長さ方向DLにおける長さ)は、導体外周面81b上の素体2の厚み(換言すれば、素体2の外表面から導体外周面81bまでの長さ方向DLにおける長さ)よりも大きくなる。このため、表面処理工程で素体2に埋設された導線80の導体外周面81b側の被覆層45を剥離する時に、素体2の厚みが異なるために、導体外周面81b側の被覆層45のみが剥離され易く、導体外周面81bと導体側面81c、81dがつながる曲面上の被覆層45や磁性粒子が残り易い。このため、導体外周面81b上にめっきを成長させると、導線80とめっき導体50との接続部分にくびれ形状81eが形成され易い。すなわち、通常の導体81では、このくびれ形状81eが生じるように導体外周面81bとめっき導体50とが接続されるため、線幅Laに比べて導体81とめっき導体50との接続面積が狭くなり易い。よって、外部電極4の直流抵抗が大きくなったり、外部電極4とコイル導体20の導体81との接続信頼性が低下したりするという課題があった。
これに対して、本実施形態の導体43は略矩形形状であるため、コイル導体20を素体2に埋設する際、導体外周面43bと導体側面43c、43dの角部上の素体2の厚みが、導体外周面43b上の素体2の厚みより大きくなり難い。よって、表面処理工程で素体2に埋設された導線42の導体外周面43b側の被覆層45を剥離する時に、導体外周面43bの被覆層45だけでなく、導体側面43c、43dの導体外周面43b側の被覆層45も剥離することができる。
なお、図11で導体側面43cと導体側面43dとで被覆層45の端の位置が左右方向に異なっているのは、表面処理工程のレーザ照射の方向による。つまり、図11ではレーザ光を下から上(導線42に対して導体側面43dから導体側面43cに向かう方向)に移動させながら樹脂層をレーザ光で除去する。このため、導体側面43dでは、レーザ光が接近するように移動するため被覆層45が除去され易いのに対して、導体側面43cでは、レーザ光が離間するように移動するため被覆層45が除去され難い。よって、導体側面43dの被覆層45の端の位置が、導体側面43cの被膜層の端の位置よりも素体2内側まで削られる。
この時、導体外周面43b上にめっきを成長させると、導体外周面43b上だけではなく被覆層45から露出した導体側面43c、43dの導体外周面43bに隣接する位置にもめっきが形成され易く、導体側面43c、43dから厚み方向DT外側に突出するめっき導体50が形成される。よって、導体43の導体外周面側とめっき導体50で形成される形状が素体2外表面に向かって広がる形状とすることができるため、導体側面43c、43d部分にくびれ形状が発生するのを防止して、導体外周面43bとめっき導体50との接続面積が線幅Laと同様の大きさとすることができる。具体的には、導体外周面43bに形成されためっき導体50の外接線50aと、導体側面43c、43dに形成されためっき導体50の外接線50bとが成す角度θ3、θ4のうち、導体43側の角度θ3が90度以下であるように、導体側面43c、43dにめっき導体50が形成される。
以下のように換言することもできる。すなわち、図11に示す断面において、導体43の導体内周面43aと導体側面43c、43dと導体外周面43bに形成された銅めっき層51の表面に内接するように仮想的な内接矩形S2を設定する。この内接矩形S2は、以下の4つの条件を満たすように導体43側に設定される仮想的な矩形である。第1に、内接矩形S2は、めっき導体50の銅めっき層51に内接するように導体外周面43b側の辺S2bが設定される。第2に、内接矩形S2は、導体内周面43a側の辺S2a(辺S2bに対向する辺S2a)が導体43に内接する(辺S2aの端、すなわち、角で接する場合も含む)ように設定される。第3に、内接矩形S2は、第1の条件および第2の条件を満たした上で、内接矩形S2の面積に対して導体43と銅めっき層51の占有する面積の面積比が最大となるように設定される。
本実施形態において、このように設定された内接矩形S2内では、導体内周面43a側の角S2e、S2fが直角の矩形形状の導体43によって占められ易く、銅めっき層51側の角S2g、S2hが導体外周面43b上の銅めっき層51によって占められている。この時、内接矩形S2に対する導体43と銅めっき層51の面積比、すなわち、導体43の金属である銅の面積比は99%以上であった。
したがって、本実施形態の導体43では、導体断面の4つの角が直角の矩形形状であるため、導体外周面43bの大きさ以上の銅めっき層51でコイル導体20と接続し易くでき、導体43とめっき導体50とが幅広く接続される。よって、外部電極4の直流抵抗を小さくすることができると共に、外部電極4とコイル導体20との接続信頼性を向上させることができる。
なお、図12に示すように、通常の導体81に対して、上記のように内接矩形S2を設定すると、内接矩形S2内には、くびれ形状81eが進入する。
[B-2.素体表面における外部電極の構成]
次に、素体表面における外部電極4の構成を説明する。
[B-2-1.電極予定箇所および外部電極接続部の構成]
図13は、インダクタ1を素体2の端面14の側から視た側面図である。上述したように、外部電極4は、電極予定箇所R30を覆うようにめっき形成される。電極予定箇所R30は、素体保護層形成工程において素体の表面にコーティングされた絶縁性の樹脂である素体コート70が、表面処理工程において剥がされることにより形成される。電極予定箇所R30は、素体2の端面14および底面10において、それぞれ矩形に形成される。
図13に示すように、電極予定箇所R30は、外部電極接続部24のうち、素体2の端面14から露出した部分に重なる領域に形成される。外部電極接続部24は、素体2の端面14において、電極予定箇所R30と、電極予定箇所R30の外側の領域であるコーティング箇所R31と、に跨って、素体2の幅方向DWに沿って露出する。素体2の端面14から露出した外部電極接続部24のうち、コーティング箇所R31に位置する被覆部分64bは、電極予定箇所R30に位置する剥離部分64aよりも、外部電極接続部24の先端64c側に位置する。すなわち、外部電極接続部24の先端64cは、コーティング箇所R31に位置する。また、剥離部分64aの面積は、コイル導体20を構成する導線の断面積よりも大きく設定される。
上述したように、表面保護層形成工程は、素体形成・硬化工程および素体研削工程の後に実行される。すなわち、表面保護層形成工程後に端面14から露出した外部電極接続部24の表面全体は、絶縁性の樹脂によってコーティングされた状態となる。また、表面処理工程において、このコーティングの一部が剥がされることにより、電極予定箇所R30が形成される。
このとき、素体2の端面14から露出した外部電極接続部24において、剥離部分64aに施されたコーティングのみが剥がされ、剥離部分64aは、めっき層形成工程において外部電極4と接続される。上述のように、剥離部分64aの面積は、コイル導体20を構成する導線の断面積よりも大きく設定されるため、剥離部分64aと外部電極4との接続部分において、抵抗が大きくなりにくい。
一方、表面処理工程後においても、コーティング箇所R31には素体コート70が残留する。そのため、被覆部分64bは素体コート70によって覆われた状態であり、外部電極接続部24の先端64cは少なくとも素体コート70によって覆われる。被覆部分64bおよび先端64cが素体コート70によって覆われることにより、端面14から露出した外部電極接続部24は、先端64c側において、素体コート70によって端面14に対して固定される。このため、外部電極4の形成時まで外部電極接続部24が端面14から剥がれにくく、外部電極4と外部電極接続部24との接続が安定し易い。
図13に示すように、コーティング箇所R31は第1の厚み領域70aと、第2の厚み領域70bとを有する。被覆部分64bは、第1の厚み領域70aおよび第2の厚み領域70bの両方によって覆われる。
また、素体2の端面14から露出した外部電極接続部24は、剥離部分64aにおいて、導線の被覆層がコーティングを除去する際に除去され、露出した導体がめっき層形成工程において外部電極4と接続され、被覆部分64bにおいては導線の被覆層がそのまま残った状態で素体コート70(すなわち、第1の厚み領域70aおよび第2の厚み領域70bの両方)によって覆われ、導体と素体コート70との間に導線の被覆層がある。さらに、外部電極接続部24のうち、外部電極に接続される領域の面積は、コイル導体20を構成する導線の断面積以上の面積を有している。
[B-2-2.外部電極と素体コートの構成]
図13に示すように、片方の端面14の側からインダクタ1を見た場合、外部電極4は端面14の底面10側に偏って配置されており、外部電極4は素体コート70に取り囲まれている。
第1の厚み領域70aは、電極予定箇所R30とコーティング箇所R31との境界領域に形成される。第2の厚み領域70bは、電極予定箇所R30から視て第1の厚み領域70aよりも電極予定箇所R30から遠ざかる側に位置する。第1の厚み領域70aは、素体2の端面14および底面10に形成された電極予定箇所R30を、端面14および底面10において取り囲む位置に設けられる。
図14は、図13のXIV-XIV断面を模式的に示す図である。なお、XIV-XIV断面は、素体2の端面14の側からの側面視において、電極予定箇所R30とコーティング箇所R31との境界に対して垂直に交わる断面である。すなわち、XIV-XIV断面は、端面14から見て、外部電極4と素体コート70との境界に直交する直線に沿って素体2を長さ方向DLに切断した切断面である。また、XIV-XIV断面において、DT方向は、電極予定箇所R30から遠ざかる方向である。
第1の厚み領域70aは、表面処理工程において、電極予定箇所R30に照射されるレーザ光の照射量よりも照射量が小さくなる様に、照射時間や照射出力を調整してレーザ光を照射することにより、素体コート70の一部が除去されて形成される。そのため、第1の厚み領域70aの厚みは、素体コート70の平均厚みT30よりも小さい。
平均厚みT30は、素体2の全体を覆う素体コート70のうち、電極予定箇所R30から十分に離れた位置における、素体コート70の厚みの平均値である。平均厚みT30は、例えば、素体2を上面から視てコイルの巻軸Kを通る素体2の長さ方向DLに沿って延在する仮想線で垂直に切断した切断面において、上面のうち巻軸Kを中心とした中央部の任意の3点において測定した素体コート70の厚みの測定値の平均値として求められる。
第2の厚み領域70bは、表面保護層形成工程において形成された素体コート70のうち、表面処理工程においてレーザ光を受けなかった部分である。第2の厚み領域70bの厚みは、平均厚みT30と略同等の厚みであり、第1の厚み領域70aの厚みよりも大きい。
図14に示すように、XIV-XIV断面において、第1の厚み領域70aには、平坦部75と、段差部71と、が設けられる。平坦部75は、第1の厚み領域70aのうち、素体コート70の厚みが平均的に略一定となる部分である。段差部71は、第1の厚み領域70aのうち、電極予定箇所R30から遠ざかる方向に向けて急激に厚みが大きくなる部分である。段差部71は、厚みの異なる平坦部75と第2の厚み領域70bとを接続しており、段差部71が形成されることにより、平坦部75と第2の厚み領域70bとを形成し易くなる。段差部71は、平坦部75に対して、例えば、およそ17度傾いて形成される。
図14に示すように、第1の厚み領域70a上には、外部電極4の一部である周縁65が形成される。外部電極4の周縁65のうち、最も電極予定箇所R30から遠ざかる方向に位置する先端65aは、第1の厚み領域70aの平坦部75上にある。このため、外部電極4の周縁65は、段差部71および第2の厚み領域70b上には形成されない。換言すれば、外部電極4の周縁65の先端65aは、段差部71および第2の厚み領域70bよりも電極予定箇所R30側に位置する。また、電極予定箇所R30から離れる方向において、外部電極4の周縁65の長さは、第1の厚み領域70aの平坦部75の長さよりも短い。換言すれば、XIV-XIV断面において、電極予定箇所R30から離れる方向における平坦部75の長さは、外部電極4のうち素体コート70上に形成された部分(周縁65)の長さよりも長い。このため、外部電極4の周縁65の全体が第1の厚み領域70aの平坦部75上に形成され易くなる。
外部電極4は、銅めっき層(第1のめっき層)51と、Niめっき層(第2のめっき層)52と、Snめっき層(第3のめっき層)53と、を有する。銅めっき層51は、めっき層形成工程において最初にめっき形成される部分である。銅めっき層51は、コーティング箇所R31上にも僅かに形成される。ただし、素体コート70が絶縁性であるため、コーティング箇所R31上の外部電極4の銅めっき層51、すなわち、外部電極4の周縁65の銅めっき層51の厚みは、電極予定箇所R30に素体2を構成するコア30に接触して形成される銅めっき層51の厚みよりも小さい。
Niめっき層52は、銅めっき層51の次にめっき形成され、銅めっき層51の上に形成される層である。Snめっき層53は、Niめっき層52の次にめっき形成され、Niめっき層52上に形成される層である。外部電極4の周縁65のNiめっき層52およびSnめっき層53は、それぞれ導体である銅めっき層51およびNiめっき層52上に形成される。そのため、外部電極4の周縁65におけるNiめっき層52およびSnめっき層53の厚みは、電極予定箇所R30に位置するNiめっき層52およびSnめっき層53の厚みと略同等である。
外部電極4の周縁65の銅めっき層51は他の部分の銅めっき層51よりも薄いため、周縁65は、外部電極4の平均厚みT33よりも小さい厚みに形成される。
外部電極4の平均厚みT33は、平均厚みT30よりも大きく、外部電極4は、素体コート70よりも、端面14および底面10から外側に突出する。換言すれば、XIV-XIV断面において、外部電極4のうち素体2の表面に形成された部分(電極予定箇所R30に形成された部分)の厚みは、第2の厚み領域70bの厚みよりも大きい。これにより、実装時に外部電極4が基板などに接続し易くなる。外部電極4の平均厚みT33は、例えば、素体2を上面から視てコイルの巻軸Kを通る素体2の長さ方向DLに沿って延在する仮想線で垂直に切断した切断面において、外部電極4のうち、周縁65、および、剥離部分64aとの接続部分を含まない、任意の3点以上における厚みの平均値として求められる。
上述したように、平均厚みT33よりも薄い外部電極4の周縁65は、第2の厚み領域70bの厚み以下の厚みを有する第1の厚み領域70a上に形成される。そのため、第1の厚み領域70a上の外部電極4の周縁65は、外部電極4において、素体2から離れた方向に突出しにくい。すなわち、外部電極4の周縁65は、電極予定箇所R30に形成された外部電極4よりも、素体2の端面14および底面10の外側に突出しにくい。また、外部電極4の先端65aの厚みは、第1の厚み領域70aと第2の厚み領域70bとの厚みの差よりも小さく、外部電極4の先端65aは、第2の厚み領域70bの表面よりも素体2およびコア30側に位置する。このため、先端65aは、素体2から離れる方向に突出しにくい。
さらに、上述したように、第1の厚み領域70aは、電極予定箇所R30を取り囲む位置に配置されるため、第1の厚み領域70aは、外部電極4を取り囲む。このため、外部電極4の周囲において、周縁65は素体2およびコア30から離れる方向に突出しにくくなる。
図15は、図13のXIV-XIV断面図である。図15に示すように、実際には、第1の厚み領域70aの厚みと形状は、素体コート70にレーザ光を照射するレーザ加工の精度よってばらつく。以下では、図15を参照しながら、各要素の具体的な定義について説明する。
第1の厚み領域70aは、XIV-XIV断面において、素体コート70のうち最も電極予定箇所R30に近い部分から、素体コート70の厚みがXIV-XIV断面における最大の厚みT32に達するまでの素体コート70であると定義される。
第2の厚み領域70bは、XIV-XIV断面において、素体コート70の厚みがXIV-XIV断面における最大の厚みT32となる部分である。より厳密には、第2の厚み領域70bは、XIV-XIV断面において、素体コート70の厚みがXIV-XIV断面における最大の厚みT32となる部分を起点として、電極予定箇所R30から遠ざかる方向側にある素体コート70であると定義される。
図16は、図13のXVI-XVI断面図である。XVI-XVI断面は、端面14から見て、外部電極4と素体コート70との境界と直交する直線に沿って素体2を長さ方向DLに切断した切断面である。XVI-XVI断面において、DT方向は、電極予定箇所R30から遠ざかる方向である。図16に示すように、XVI-XVI断面において、電極予定箇所R30とコーティング箇所R31との境界領域には、素体コート70のうち、電極予定箇所R30から離れた方向に向けて平均的に厚みが大きくなる傾斜部73が形成される。換言すれば、傾斜部73は、XVI-XVI断面において、第2の厚み領域70bに向かって素体コート70の厚みが平均的に大きくなる部分である。傾斜部73は、電極予定箇所R30から離れる方向において、電極予定箇所R30とコーティング箇所R31との境界から、素体コート70の厚みがXVI-XVI断面における最大の厚みT32となる位置までに渡り形成される。そのため、傾斜部73は、XVI-XVI断面における第1の厚み領域70aの全体に形成される。また、XVI-XVI断面において、第1の厚み領域70aには、平坦部75は形成されていない。
また、XVI-XVI断面において、第1の厚み領域70aには、厚みが急激に変化する段差部71が形成されていない。すなわち、第1の厚み領域70aと第2の厚み領域70bとの厚みの差は、素体コート70の厚みが急激に変化する段差部71ではなく、傾斜部73によって形成される。XVI-XVI断面において、第1の厚み領域70aは、素体コート70のうち、最も電極予定箇所R30に近い部分から、素体コート70の厚みがXVI-XVI断面における最大の厚みT32となる部分までの素体コート70である。また、XVI-XVI断面において、第2の厚み領域70bは、素体コート70の厚みがXVI-XVI断面における最大の厚みT32となる部分から、電極予定箇所R30から遠ざかる方向側にある素体コート70である。傾斜部73が形成されることにより、段差部71が形成されない場合においても、第1の厚み領域70aと第2の厚み領域70bとを形成し易くできる。
このように、素体コート70において、第1の厚み領域70aと第2の厚み領域70bとには、段差部71によって厚みの差が生じていてもよく、傾斜部73によって厚みの差が生じていてもよい。本実施形態のように、1つのインダクタ1の素体コート70において、切断面ごとに、段差部71が形成される部分と、傾斜部73が形成される部分が混在していてもよい。また、1つのインダクタ1の素体コート70には、段差部71又は傾斜部73のどちらか一方のみが形成される構成としてもよい。
ここまで、[B-2-2.外部電極と素体コートの構成]において、図13に示した一方の端面14をもとにした説明は、素体2の反対側にある他方の端面14についても当てはまる。
また、[B-2-2.外部電極と素体コートの構成]において、ここまで図13から図16を用いて端面14について説明してきた。ところで、インダクタ1は、素体2を底面10側から見た場合にも、一方の端面14側に位置する外部電極4と、他方の端面14側に位置する外部電極4と、これら2つの外部電極4を取り囲む素体コート70を有している(図2参照)。このため、上記の図13から図16を用いた端面14についての説明が底面10についても同様に当てはまる。すなわち、底面10から見て任意の片方の外部電極4と素体コート70との境界に直交する直線に沿って素体2の厚み方向DTに切断した切断面についても、図14から図16の切断面を用いた上記の説明が当てはまる。
[他の実施形態]
上述した[B-2-1.電極予定箇所および外部電極接続部の構成]に示す実施形態では、素体コート70は、第1の厚み領域70aと第2の厚み領域70bとを有すると説明したが、これは一例である。素体コート70は、第1の厚み領域70aおよび第2の厚み領域70bを、それぞれ有さなくてもよい。
上述した[B-2-2.外部電極と素体コートの構成]に示す実施形態では、外部電極4の周縁65の先端65aは、第1の厚み領域70aの平坦部75上に位置すると説明したが、これは一例である。例えば、周縁65の先端65aは、段差部71上に位置する構成としてもよい。
上述した[B-2-2.外部電極と素体コートの構成]に示す実施形態では、XIV-XIV断面において、外部電極4のうち素体2の表面に形成された部分の厚みは、第2の厚み領域70bの厚みよりも大きいと説明したが、これは一例である。すなわち、端面14から見て外部電極4と素体コート70との境界と直交する直線に沿って素体2を長さ方向DLに切断した切断面において、外部電極4のうち素体2の表面に形成された部分の厚みは、第2の厚み領域70bの厚みよりも小さい構成としてもよい。
上述した全ての実施形態および変形例は、本発明の一態様を例示したものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において任意に変形及び応用が可能である。
また、上述した実施形態における水平、直交、及び垂直等の方向や各種の数値、形状、材料は、特段の断りがない限り、それら方向や数値、形状、材料と同じ作用効果を奏する範囲(いわゆる均等の範囲)を含む。
[上記実施形態によりサポートされる構成]
上述した実施形態は、以下の構成をサポートする。
(構成1)金属磁性粉と樹脂とを含有し、巻回部と、前記巻回部から引き出された引出部と、前記引出部につながり、外部電極に接続される外部電極接続部を有するコイル導体が埋設された素体と、前記素体の表面を覆う素体コートと、前記素体の表面に形成され、前記外部電極接続部に接続される外部電極と、を備え、前記外部電極接続部は、前記素体の表面において、前記素体コートに覆われる領域と、前記外部電極に接続する領域と、を有する、インダクタ。
構成1のインダクタによれば、素体の表面に露出した外部電極接続部を素体コートによって素体に対して固定できる。このため、外部電極接続部が素体から剥がれにくくなり、コイル導体と外部電極との接続の安定性が向上する。
(構成2)前記外部電極接続部の先端は、前記素体コートに覆われる、構成1に記載のインダクタ。
構成2のインダクタによれば、素体コートによって外部電極接続部の先端が素体から剥がれることを抑制できる。
(構成3)前記素体コートは、前記外部電極接続部を覆う部分において、第1の厚み領域と、前記第1の厚み領域よりも厚みが大きい第2の厚み領域と、を有する、構成1または2に記載のインダクタ。
構成3のインダクタによれば、素体コートによって外部電極接続部を素体に固定しつつ、外部電極のうち素体コート上に形成される部分が突出しにくくなる。そのため、素体の外形を大きくしやすい。これにより、コイル導体と外部電極との接続の安定性の向上と、インダクタの特性の向上とを両立しやすい。
(構成4)前記外部電極接続部において、前記外部電極に接続される領域の面積は、前記コイル導体を構成する導線の断面積以上の面積を有する、構成1ないし3のいずれかに記載のインダクタ。
構成4のインダクタによれば、コイル導体と外部電極とは、導線の断面積以上の面積で接続され易い。このため、コイル導体と外部電極の接続部分の抵抗が導線の抵抗よりも大きくなりにくく、インダクタの抵抗を低減できる。
(構成5)前記外部電極接続部の前記素体コートに覆われる領域は、前記コイル導体を構成する導線の導体と前記素体コートの間に前記導線の被覆層がある、構成1ないし4のいずれかに記載のインダクタ。
構成5のインダクタによれば、素体コートに覆われる領域の外部電極接続部において、導線の導体と素体コートとの間に被覆層があることにより、衝撃などで外部電極接続部を覆う素体コートが剥がれた場合であっても、被覆層によって導線の導体を保護できる。
1…インダクタ、2…素体、4…外部電極、10…底面、12…上面、14…端面、16…側面、20…コイル導体、22…巻回部、22a、22b…巻回領域、23…引出部、24…外部電極接続部、30…コア、41a…上面、41b…底面、42…導線、43…導体、43a…導体内周面、43b…導体外周面、43c…導体側面、43d…導体側面、45…被覆層、48…折り曲げ部、50…めっき導体、51…銅めっき層(めっき層)、52…Niめっき層、53…錫めっき層、64a…剥離部分、64b…被覆部分、64c…先端、65…周縁、65a…先端、70…素体コート、70a…第1の厚み領域、70b…第2の厚み領域、71…段差部、73…傾斜部、75…平坦部、DT…厚み方向、K…巻軸、R…曲率半径、R20、R21…範囲、R30…電極予定箇所、R31…コーティング箇所、S1…外接矩形、S2…内接矩形、T10…巻回部厚み、T11…上面厚み(長さ)、T12…底面厚み(長さ)、T11+T12…合計値。

Claims (5)

  1. 金属磁性粉と樹脂とを含有し、巻回部と、前記巻回部から引き出された引出部と、前記引出部につながり、外部電極に接続される外部電極接続部を有するコイル導体が埋設された素体と、
    前記素体の表面を覆う素体コートと、
    前記素体の表面に形成され、前記外部電極接続部に接続される外部電極と、
    を備え、
    前記外部電極接続部は、前記素体の表面において、前記素体コートに覆われる領域と、前記外部電極に接続する領域と、を有する、
    インダクタ。
  2. 前記外部電極接続部の先端は、前記素体コートに覆われる、
    請求項1に記載のインダクタ。
  3. 前記素体コートは、前記外部電極接続部を覆う部分において、第1の厚み領域と、前記第1の厚み領域よりも厚みが大きい第2の厚み領域と、を有する、
    請求項1に記載のインダクタ。
  4. 前記外部電極接続部において、前記外部電極に接続される領域の面積は、前記コイル導体を構成する導線の断面積以上の面積を有する、
    請求項1に記載のインダクタ。
  5. 前記外部電極接続部の前記素体コートに覆われる領域は、前記コイル導体を構成する導線の導体と前記素体コートの間に前記導線の被覆層がある、
    請求項1ないし4のいずれかに記載のインダクタ。
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