JP2024053973A - 建築用3dプリンタシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】鉄筋が入っても使用可能な建築用3Dプリンタシステムを得る。【解決手段】材料を噴出する噴出装置を3次元に移動させながら鉄筋構造物を生成する建築用3Dプリンタシステムである。そして、建物の3次元CADデータを生成するCAD部と、鉄筋を挟むような型枠を積層するNCデータを生成するCAM部とを備え、前記型枠の間に材料を充填し鉄筋構造物を生成する。【選択図】図1
Description
本発明は、建築用3Dプリンタシステムに関する。
近年、3Dプリンタが実用化されており、小さな製品だけではなく、建築構造物の構築に応用する技術が種々提案されている。
例えば、特許文献1に記載された技術では、3Dプリンタで形成した構造に、後から鉄筋を挿入する作業が必要であるため、効率が悪いことを解消するための技術が開示されている。
すなわち、第1組成の第1モルタルを、孔部を区画しながら積層させることにより、外形を形成し、前記孔部に、第1組成とは異なる第2組成の第2モルタルを注入する。これによって、引張強度を有する構造物を、効率的に形成することができるとしている。
しかしながら、特許文献1は、モルタルによって形成される構造物と言っても、この構造物は外壁等であり、住宅のような大型の鉄筋が入る構造物に適用させたものではない。
また、住宅というのは、複雑な建物のものを要望するクライアントもいる。しかしながら特許文献1は、簡単な構造物用であるので、鉄筋が入った複雑な形状のものを作成するのに適してはいない。
本発明は、鉄筋が入る大型や複雑な構造の住宅を容易に低コストで形成することができる建築用3Dプリンタシステムを得ることを目的とする。
本発明は以上の問題に鑑みてなされたもので、請求項1に係る発明は、材料を噴出する噴出装置を3次元に移動させながら鉄筋構造物を生成する建築用3Dプリンタシステムであって、建物の3次元CADデータを生成するCAD部と、鉄筋を挟むような型枠を積層するNCデータを生成するCAM部とを備え、前記型枠の間に材料を充填し鉄筋構造物を生成することを特徴とする。
請求項2に係る発明は、前記建築用3Dプリンタシステムは3D駆動立体枠装置を備え、当該3D駆動立体枠装置は、複数本の起立した土台柱と、複数本の起立した土台柱の上端に設けられた多角枠体と、X軸方向に延伸したX軸ガイドレール上を移動するX軸キャリッジと、Y軸方向に延伸したY軸ガイドレール上を移動するY軸キャリッジと、Z軸方向に延伸したZ軸ガイドレール上を移動するZ軸キャリッジとを備え、前記噴出装置を3次元空間内に移動及び位置決め自在なことを特徴とする。
請求項3に係る発明は、前記CAD部は3次元CADデータから鉄筋データを抽出する鉄筋データ抽出部を備え、前記CAM部は、前記NCデータを鉄筋が入る部分のNCデータと、鉄筋が入らない部分のNCデータに分類することを特徴とする。
請求項4に係る発明は、前記建築用3DプリンタシステムはNC制御部を備え、当該NC制御部は、前記噴出装置の移動速度、及び前記噴出装置から噴出する材料の量を制御することを特徴とする。
請求項5に係る発明は、前記材料は所定量の原材料と所定量のセメント45とをミキサーでミキシングしたモルタルであることを特徴とする。
請求項6に係る発明は、前記材料は外形が1mm~30mmまでの骨材を含むことを特徴とする。
請求項7に係る発明は、前記噴出装置から噴出する材料は幅が40mm~150mmであることを特徴とする。
請求項8に係る発明は、前記型枠は厚さが50mm~100mmであることを特徴とする。
以上のように本発明によれば、鉄筋が入る大型や複雑な構造の住宅を容易に低コストで得ることができる。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。本例でX軸方向という場合は3D駆動立体枠装置100を正面からみての左右方向をいう。Z軸方向という場合も正面からみて上下方向とする。Y軸方向も正面からみて前後方向であり、必要に応じて座標で示してある。また、本例では既に公知である技術は説明を省略する。
以下に本実施の形態の建築用3Dプリンタシステム10について説明する。
図1は本実施の形態の建築用3Dプリンタシステム10の概略構成図である。
本実施の形態の建築用3Dプリンタシステム10は、事務所又は会社のCAD部20と、現場側のCAM部50と、3D駆動立体枠装置100等で構成されたシステムである。CAD部20と、CAM部50とを総称して本実施の形態ではCAD/CAM部15と称する。
CAD/CAM部15はコンピュータよりなるものであって、CPU(Central ProcessingUnit)と、CPU上で動作する制御プログラム等を格納したROM(Read- only Memory)と、各種データを一時的に格納するためのRAM(Random access memory)(何れも不図示)を備えて構成されている。
鉄筋建築構造物160を構築するための、所定の原材料30と所定量のセメント45とをミキサー40でミキシングしたモルタルを生成してこれをタンク150に蓄積する。このモルタルは外形が1mm~30mmまでの骨材を含んでもよい。
3D駆動立体枠装置100側には、NC制御装置170が設けられている。このNC制御装置170は、CAM部50からのNCデータに基づく噴出装置120に対する制御データを生成して、3D駆動立体枠装置100のX軸、Y軸及びZ軸を駆動するサーボモータを制御するように構成されている。さらに、噴出装置120の移動速度、及び噴出装置120から噴出する材料(モルタル等)の量を制御する。NC制御装置170は、コンピュータよりなるものであって、CPUと、CPU上で動作する制御プログラム等を格納したROMと、各種データを一時的に格納するためのRAM(何れも不図示)を備えて構成されているものである。
前述の3D駆動立体枠装置100は、図1に示すように、鉄筋建築構造物160を構築するエリアに構築されている。例えば、組み立て式であってよい。これにより、搬送が簡単になり建築物の製作コストも削減される。
以上のように、本システムの概要は、鉄筋建築構造物160を構築するエリアに構築され、材料(モルタル等)の噴出装置120を3次元的に移動させながら鉄筋構造物160を構築するレール付きの3D駆動立体枠装置100と、鉄筋構造物160の設計図を生成すると共に、この設計図に基づくNCデータを3D駆動立体枠装置100に送信するCAD/CAM部15とを備えた建築用3Dプリンタシステム10である。なお、3D駆動立体枠装置100はレールの上に設置されるので一旦設置してからでも、微調整でき、正確な建築構造物を製作することが可能となる。
CAD/CAM部15は、設計図を記憶した記憶部と、設計図にコーナ部分が存在するかどうかを判定し、コーナ部分が存在しない場合は、その箇所の材料(モルタル等)の噴出装置120がレール上を直線的に搬送させるNCデータを順次、3D駆動立体枠装置100に送信し、コーナ部分が存在する場合は、材料(モルタル等)の噴出装置120がそのコーナの曲線Rでレールを搬送させるNCデータを3D駆動立体枠装置100に送信する。NCデータを受信した3D駆動立体枠装置100は材料(モルタル等)を所定場所に積層しながら建築構造物を製作する。
図2を参照する。この3D駆動立体枠装置100は、土台柱(100a、100b、100c、100d)の上に四角枠体105を設け、地面には基礎が設けられている。各々の土台柱は基礎のレール上を移動できるように構成されている。
建築用3Dプリンタシステム10は3D駆動立体枠装置100を備え、当該3D駆動立体枠装置100は、複数本の起立した土台柱と、複数本の起立した土台柱の上端に設けられた多角枠体と、X軸方向に延伸したX軸ガイドレール上を移動するX軸キャリッジと、Y軸方向に延伸したY軸ガイドレール上を移動するY軸キャリッジと、Z軸方向に延伸したZ軸ガイドレール上を移動するZ軸キャリッジとを備え、噴出装置120を3次元空間内に移動及び位置決め自在である。
詳しく説明する。3D駆動立体枠装置100は、4本の土台柱(100a、100b、100c、100d)を備える。土台柱(100a、100b、100c、100d)は方形の隅に垂直に配置される。この土台柱(100a、100b、100c、100d)の上端には四角(方形)枠体105が設置されている。
また、土台柱100aと土台柱100cの間にはY軸ガイドレール100eが備えられている。土台柱100bと土台柱100dの間にはY軸ガイドレール100fが備えられている。このガイドレール100eとガイドレール100fはZ軸キャレッジとして機能する。すなわち、Y軸ガイドレール100eとY軸ガイドレール100fはZ軸方向に移動及び停止可能に構成されている。
Y軸ガイドレール100eと、Y軸ガイドレール100fの間にはX軸ガイドレール100gが備えられている。
4本の土台柱(100a、100b、100c、100d)には溝型のZ軸ガイドレールが形成されている(不図示)。この溝型にガイドされて、Y軸ガイドレール100eとY軸ガイドレール100fはZ方向に移動及び停止可能に構成されている。
X軸キャリッジ100jはX軸ガイドレール100gに沿ってX軸方向に移動及び停止が可能である。Y軸キャリッジ100hは、Y軸ガイドレールに沿ってY軸方向に移動及び停止が可能である。さらに、Z軸キャレッジ100i(このY軸ガイドレール100eとY軸ガイドレール100f)は土台柱(100a、100b、100c、100d)に形成された溝型のガイドレールに沿ってZ軸方向に移動及び停止可能に構成されている。
X軸キャリッジ100jには、材料(モルタル等)の噴出装置120が備えられている。この、噴出装置120は移動しながら材料(モルタル等)を噴出し、積層して建築構造物を作製する。
材料(モルタル等)の噴出装置120は、タンク150に連結されたパイプ140に連結されている。タンク150には、材料排出装置(不図示)が備えられて、排出力を自在に調整できるように構成されている。
鉄筋構造物160を構築するための、所定の原材料30と所定量のセメント45とをミキサー40でミキシングしたモルタルを生成してこれをタンク150に蓄積しておく。このコンクリートには外形が1mm~30mmまでの骨材を含んでもよい。
図3を参照する。CAD/CAM部15は、CAD部20と、3次元CADデータメモリ21と、鉄筋データ抽出部22と、鉄筋データメモリ23と、建築図面データメモリ24を備えている。
さらに、CAD/CAM部15は、CAM部50と、NCデータメモリ51とを備えている。ここで、CAD部20と、CAM部50とは、設計側と現場側の離れた位置に配置され回線で接続されているが、同一のコンピュータ内にCAD機能とCAM機能を持たせてもよい。
CAD部20は、家屋等の鉄筋構造物の3次元CADデータを生成する。この3次元CADデータには鉄筋データも含まれている。すなわち、設計図面には、例えば、壁のデータだけではなく、この壁に鉄筋が入る場合には壁のデータと鉄筋データとが合体したデータとして保存されている。
3次元CADデータメモリ21には、設計された鉄筋建築構造物の3次元CADデータが保存される。ここでの、3次元CADデータは中身が定義されたソリッドモデルとして記憶されている。
鉄筋データ抽出部22は、3次元CADデータを3次元CADデータメモリ21から読込み、構造物に鉄筋が入る範囲を特定する。これにより、どの範囲に型枠を形成するのか、どの範囲は型枠が不要なのかを識別することが可能となる。
鉄筋が入る範囲を鉄筋データとして鉄筋データメモリ23に記憶する。また、鉄筋が入らない範囲を建築図面データとして、建築図面データメモリ24に記憶する。
CAM部50は、鉄筋データメモリ23及び建築図面データメモリ24から、鉄筋データと建築図面データを読み込みNCデータを生成しNCデータメモリ51に記憶する。NCデータは鉄筋が入る部分のNCデータと、鉄筋が入らない部分のNCデータに分類されている。
NC制御装置170は、NCデータメモリ51より、NCデータを読み込み、3D駆動立体枠装置100を制御して、建築構造物を作製する。
図4を参照する。建築用3Dプリンタ10の動作を示すフローチャート等を用いて説明する。ここでは、実際の鉄筋建築構造物を作製する部分を中心に説明する。
初めに、ステップS01では、CAM部50がNCデータを生成しNCデータメモリ51に記憶する。ここでNCデータは鉄筋有り用と鉄筋無し用に分類されている。
ステップS03では、NC制御装置170が、NCデータメモリ51よりNCデータを読み込む。ここでは、1ステップ(1処理単位)毎に読み込みこむものとする。
ステップS05では、NC制御装置170が、NCデータメモリ51より読み込んだNCデータを分類する。NCデータは鉄筋が入る部分のNCデータと、鉄筋が入らない部分のNCデータに分かれている。
図5を参照する。建築物のZ軸方向から見た図面である。鉄筋構造物Sが建築構造物の周りに複数存在し、それ以外の内部の複数の構造物は鉄筋が入らない部分である。
ステップS07では、NC制御装置170が、鉄筋有りのNCデータか、鉄筋無しのNCデータかを判断する。鉄筋有りのNCデータの場合に処理はステップS09に進む。鉄筋無しのNCデータの場合に処理はステップS13に進む。
ステップS09では、NCデータより鉄筋情報の読込みを行う。ここで、鉄筋情報とは、鉄筋が入る範囲を含み、この範囲に型枠が形成されるようになる。
ステップS11では、鉄筋を挟むように両側に型枠を形成する。そして、処理をステップS15に進める。
図6に示すように、鉄筋Sを挟んで、型枠W1と型枠W2とが土台Bの上に形成される。ここで、図6はY軸方向から断面を見たものであり、図面の垂直方向に壁が延伸しているものである。
ステップS13では、通常の構造物(壁等)を形成する。すなわち、鉄筋が入らない型枠がない場合で直接壁が形成される場合である。
図10に示すように建築物のなかで鉄筋が無い部分の壁Wが形成される。
ステップS15では、最後のNCデータか否かを判断する。最後のNCデータと判断した場合に処理は終了する。最後のNCデータではないと判断した場合に処理はステップS03に戻る。
なお、上述では、NCデータを鉄筋有りと鉄筋無しに識別可能にして、鉄筋が入る部分を型枠W1、W2を形成するようにしたが、CAD部20で鉄筋有りのときに型枠W1、W2を形成するようにCADデータを予め変換しておいてもよい。
以上により、図5に示す建築構造物の基礎が完成する。
図7を参照する。上述で構築された、鉄筋Sを挟むように形成された型枠W1と型枠W2の間に、モルタルKをホース17から流し込む。
図8に示すように、モルタルKが型枠W1と型枠W2の同じ高さまでになったら完成である。
図9に示すように、噴出装置120から噴出する材料は幅WDが40mm~150mmであってもよい。そして、これに対応して、型枠W1、W2は厚さWDが50mm~100mmであってもよい。
図11に示すように、建築物Hが完成する。
本発明の建築用3Dプリンタシステム10は、鉄筋が必要な、大型で複雑な建築物に適用できる。
10 建築用3Dプリンタシステム
15 CAD/CAM部
20 CAD部
30 原材料
40 ミキサー
50 CAM部
100 3D駆動立体枠装置
120 噴出装置
150 タンク
160 鉄筋建築構造物
170 NC制御装置
15 CAD/CAM部
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40 ミキサー
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100 3D駆動立体枠装置
120 噴出装置
150 タンク
160 鉄筋建築構造物
170 NC制御装置
Claims (8)
- 材料を噴出する噴出装置を3次元に移動させながら鉄筋構造物を生成する建築用3Dプリンタシステムであって、
建物の3次元CADデータを生成するCAD部と、
鉄筋を挟むような型枠を積層するNCデータを生成するCAM部とを備え、
前記型枠の間に材料を充填し鉄筋構造物を生成することを特徴とする建築用3Dプリンタシステム。 - 前記建築用3Dプリンタシステムは3D駆動立体枠装置を備え、
当該3D駆動立体枠装置は、
複数本の起立した土台柱と、
複数本の起立した土台柱の上端に設けられた多角枠体と、
X軸方向に延伸したX軸ガイドレール上を移動するX軸キャリッジと、
Y軸方向に延伸したY軸ガイドレール上を移動するY軸キャリッジと、
Z軸方向に延伸したZ軸ガイドレール上を移動するZ軸キャリッジとを備え、前記噴出装置を3次元空間内に移動及び位置決め自在なことを特徴とする請求項1記載の建築用3Dプリンタシステム。 - 前記CAD部は3次元CADデータから鉄筋データを抽出する鉄筋データ抽出部を備え、
前記CAM部は、前記NCデータを鉄筋が入る部分のNCデータと、鉄筋が入らない部分のNCデータに分類することを特徴とする請求項2記載の建築用3Dプリンタシステム。 - 前記建築用3DプリンタシステムはNC制御部を備え、
当該NC制御部は、前記噴出装置の移動速度、及び前記噴出装置から噴出する材料の量を制御することを特徴とする請求項3記載の建築用3Dプリンタシステム。 - 前記材料は所定量の原材料と所定量のセメント45とをミキサーでミキシングしたモルタルであることを特徴とする請求項4記載の建築用3Dプリンタシステム。
- 前記材料は外形が1mm~30mmまでの骨材を含むことを特徴とする請求項1記載の建築用3Dプリンタシステム。
- 前記噴出装置から噴出する材料は幅が40mm~150mmであることを特徴とする請求項1記載の建築用3Dプリンタシステム。
- 前記型枠は厚さが50mm~100mmであることを特徴とする請求項1記載の建築用3Dプリンタシステム。
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