JP2024052632A - ブタンテトラカルボン酸のテトライソペンチルエステル、その製造及び可塑剤としてのその使用 - Google Patents

ブタンテトラカルボン酸のテトライソペンチルエステル、その製造及び可塑剤としてのその使用 Download PDF

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Abstract

【課題】プラスチック又はポリマーの加工性を改善するための可塑剤又は可塑剤組成物として重要なフタル酸エステル類の代替物を提供する。【解決手段】イソ-ペンチル基の6~12モル%が2-メチルブチル基であり、前記イソ-ペンチル基の88~94モル%がn-ペンチル基であり、かつ、前記イソ-ペンチル基の0~4モル%が3-メチルブチル基である、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸のテトライソペンチルエステルの混合物とする。【選択図】なし

Description

本発明は、ブタンテトラカルボン酸のテトライソペンチルエステル、その作製、及びポリマー用の可塑剤又は可塑剤組成物の部分としてのその使用に関する。また、ブタンテトラカルボン酸のテトライソペンチルエステルを含む可塑剤組成物及びブタンテトラカルボン酸のテトライソペンチルエステルを含むプラスチック組成物も開示される。
プラスチック又はポリマーの加工性を改善するために、及び/又は用途に関連した特性を適合させるために、多くの分野で可塑剤又は可塑剤組成物が添加される。フタル酸エステル類の化合物、特にフタル酸ジエチルヘキシル(DEHP)、フタル酸ジイソノニル(DINP)及びフタル酸ジイソデシル(DIDP)は、その有利な特性から、現在でもプラスチックやポリマー、特にPVCや塩化ビニルを含むコポリマーにとって最も重要な可塑剤の一つである。このクラスの物質の毒性学的影響の可能性が議論されており、フタル酸エステル系可塑剤の代替品が長年にわたり求められてきた。
代替可塑剤としては、ブタンテトラカルボン酸のアルキルエステル等、様々な化合物が議論されており、これらは例えば特許文献1から当業者には公知である。そこに開示されているブタンテトラカルボン酸のアルキルエステルは、ベータ位で分岐したアルキル基の最大比率が40%である。
米国特許出願公開第2011/0257317号明細書
ブタンテトラカルボン酸のテトライソペンチルエステルに関しては、驚くべきことに、全異性体ペンチル基に基づいて2-メチルブチル基の特定のモル比で改善された特性が生じることが見出された。したがって、本発明により解決された課題は、特性が改善されたブタンテトラカルボン酸のテトライソペンチルエステルを提供することであった。
本願の課題は、請求項1に記載の1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸のテトライソペンチルエステルの混合物によって解決される。好ましい実施形態は、従属請求項において特定される。
本発明の文脈では、用語「イソ-ペンチル」、「イソ-ペンチル基」等が用いられる。これは、本発明によるエステルが様々なペンチル異性体、特に2-メチルブチル及び/又は3-メチルブチル及び/又はn-ペンチルを含むことを強調する。したがって、用語「イソ-ペンチル」、「イソ-ペンチル基」等は、用語「ペンチル」と同義であると理解されるべきであり、単一の特定のC5-アルキル基を示すものではない。
したがって、本発明は、イソ-ペンチル基の6~12モル%が2-メチルブチル基であり、前記イソ-ペンチル基の88~94モル%がn-ペンチル基であり、かつ、前記イソ-ペンチル基の0~4モル%が3-メチルブチル基である、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸のテトライソペンチルエステルの混合物に関する。いずれの場合も百分率は、混合物中のイソ-ペンチル基の合計である。本発明の好ましい実施形態は、イソ-ペンチル基の6~10モル%が2-メチルブチル基であり、前記イソ-ペンチル基の90~94モル%がn-ペンチル基であり、かつ、前記イソ-ペンチル基の0~2モル%が3-メチルブチル基である、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸のテトライソペンチルエステルの混合物を提供する。本発明の特に好ましい実施形態は、イソ-ペンチル基の7~9モル%が2-メチルブチル基であり、前記イソ-ペンチル基の91~93モル%がn-ペンチル基であり、かつ、前記イソ-ペンチル基の0~2モル%が3-メチルブチル基である、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸のテトライソペンチルエステルの混合物を提供する。
イソ-ペンチル基の6~12モル%が2-メチルブチル基である本発明の混合物は、n-ペンチル基のみを含有する混合物と実質的に同様に良好であることが明らかである。しかしながら、本願の利点は、ブテンのヒドロホルミル化及びその後の水素化された排出物をエステル混合物の製造のために用いることができることである。純粋なn-ペンチルエステルを得るためには、この生成物を、複雑で費用のかかる蒸留に付してn-ペンタノールを獲得した後に、純粋なn-ペンタノールを用いてエステルを製造しなければならないのである。
本発明によれば、混合物中に3-メチルブチル残基ができるだけ少ないことが好ましい。したがって、好ましくは、混合物中のイソ-ペンチル基の1モル%未満が3-メチルブチル基であり、特に好ましくは、混合物中のイソ-ペンチル基の0.5モル%未満が3-メチルブチル基である。
本発明による1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸のテトライソペンチルエステルの混合物は、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸を適当なイソペンタノール混合物でエステル化することによって製造することができる。これに関連して、イソペンタノール混合物は、少なくとも2-メチルブタノール及びn-ペンタノール及び/又は3-メチルブタノールを含有することを意味すると理解されるべきである。当然のことながら、エステル化の間、形成されるエステル中に必要量の2-メチルブチル基を得るために、混合物に十分な2-メチルブタノールを含まれることが保証されるべきである。適当なイソペンタノール混合物の選択は、形成されたエステルの反応及び分析によって行うことは周知である。
エステル化は、好ましくは触媒の存在下で行われる。原則として、エステル化に適した公知の触媒系をこの目的に用いることができる。本発明による1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸のテトライソペンチルエステルを製造するためのエステル化に適した触媒としては、チタネート触媒、例えばチタン酸テトラ-n-ブチル、ジルコン酸塩テトラ-n-ブチル又はスルホン酸塩テトラ-n-ブチルである。
本発明によるエステルを製造するためのエステル化は、好ましくは120℃~250℃、より好ましくは140℃~230℃、特に好ましくは160℃~215℃の温度で行われる。エステル化中の圧力は、沸点を上昇させ、したがってエステル化温度も上昇させ、副生成物の生成を高めるため、好ましくは高すぎるべきではない。したがって、エステル化中の圧力は、絶対圧で3バール以下、特に好ましくは0.5バール以上である。
エステル化の間、酸基とアルコールとの反応によって水が生成される。この水は、反応水ともいう。本発明の好ましい実施形態では、形成された反応水の少なくとも部分は反応の進行中に分離される。これにより、特に、反応の平衡を正しい方向にシフトさせることができる。
エステル化反応の進行は、パラメータを監視することによってモニターすることができる。例えば、酸価又は水の量を監視することができる。ガスクロマトグラフィーによるモニタリングも可能で、反応物及び/又は生成物の比率を測定することができる。ここで、例えばNIR分光法などのオンライン分析技術を用いることもできる。
反応が十分な程度まで進行したら、反応を停止させることができる。これは例えば、水酸化ナトリウム水溶液等の塩基を加えて行うことができる。触媒は通常、この過程で破壊される。このことは当業者には周知である。その後、反応溶液を公知の方法、例えば熱分離の手段を用いて精製することができる。
本発明による1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸のテトライソペンチルエステルの混合物は、ポリマーの可塑剤として用いる場合に有利な特性を呈する。したがって、本発明のさらなる目的は、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸のテトライソペンチルエステルの混合物、特に1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸のテトラ-3-メチルブチルエステルを、ポリマー用可塑剤として用いることである。適当なポリマーを以下に記載するが、好ましくは、PVC又は塩化ビニル含有コポリマーである。
本発明の目的はまた、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸のテトライソペンチルエステルの混合物に加えてさらなる可塑剤を含有する可塑剤組成物である。意図された用途に応じて、可塑化組成物は、得られる可塑化組成物の特性を特異的に調整するために、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸のテトライソペンチルエステルの本発明の混合物とは特に異なる1つ以上のさらなる可塑剤を含有してよい。しかしながら、特に好ましい実施形態では、可塑剤組成物は、5質量%未満、より好ましくは0.5質量%未満、特に好ましくは0.1質量%未満のフタル酸エステル、すなわちオルトフタル酸のエステルを含む。
本発明の可塑剤組成物中のさらなる可塑剤は、アジピン酸塩、安息香酸塩、例えばモノ安息香酸塩又はグリコールジ安息香酸塩、塩素化炭化水素(いわゆる塩素化パラフィン)、クエン酸塩、シクロヘキサンジカルボン酸塩、エポキシ化脂肪酸エステル、エポキシ化植物油、エポキシ化アシル化グリセリド、フランジカルボン酸塩、リン酸塩、コハク酸塩、スルホンアミド、スルホン酸塩、テレフタル酸塩、トリメリット酸塩、及びアジピン酸、コハク酸又はセバシン酸に基づくオリゴマー又はポリマーエステルからなる群から選択することができる。本発明の好ましい実施形態では、可塑剤組成物は、アルキル安息香酸エステル、フェノールのアルキルスルホン酸エステル、アジピン酸ジアルキル、グリセロールエステル、ポリオールのC4~C6酸、クエン酸トリアルキルエステル、アセチル化クエン酸トリアルキルエステル、グリコールジベンゾエート、トリメリット酸のトリアルキルエステル、テレフタル酸ジアルキル、フタル酸ジアルキル、イソフタル酸ジアルキル、フランジカルボン酸のエステル、ジアンヒドロヘキシトールのジアルカノイルエステル(例えばイソソルビド)、エポキシ化脂肪酸アルキルエステル、ポリマー可塑剤、例えばポリアジピン酸塩、及び1,2-、1,3-又は1,4-シクロヘキサンジカルボン酸のジアルキルエステルからなる群から選択されるさらなる可塑剤を含む。
さらに好ましい実施形態では、可塑剤組成物中に含まれるさらなる可塑剤は、C8~C13アルキル安息香酸エステル、C4~C10アジピン酸ジアルキル、ペンタエリスリトールテトラバレレート、C4~C9アルキル基があるアセチル化クエン酸トリアルキルエステル、C4~C10トリメリト酸トリアルキル、C4~C9テレフタル酸ジアルキル、C4~C13フタル酸ジアルキル、特にC9~C13フタル酸ジアルキル及び1,2-、1,3-又は1,4-シクロヘキサンジカルボン酸のC4~C10ジアルキルエステルからなる群から選択される。
したがって、本発明のさらなる目的は、本発明の1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸のテトライソペンチルエステルの混合物又は可塑化組成物及び1つ以上のポリマーを含むプラスチック組成物の提供である。
適当なポリマーは、好ましくは、PVC;炭素原子数1~10の分枝又は非分枝アルコール、アクリロニトリル又は環状オレフィンのアルコキシ基があるエチレン、プロピレン、ブタジエン、酢酸ビニル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート又はメタクリレートに基づくホモ又はコポリマー;ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリアクリレート、特にポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアルキルメタクリレート(PAMA)、ポリ尿素、シリル化ポリマー、フッ素ポリマー、特にポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルアセタール、特にポリビニルブチラール(PVB)、ポリスチレンポリマー、特にポリスチレン(PS)、発泡性ポリスチレン(EPS)、アクリロニトリル-スチレン-アクリレート(ASA)、スチレン-アクリロニトリル(SAN)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)スチレン-無水マレイン酸コポリマー(SMA)、スチレン-メタクリル酸コポリマー、ポリオレフィン、特にポリエチレン(PE)又はポリプロピレン(PP)、熱可塑性ポリオレフィン(TPO)、ポリエチレン-酢酸ビニル(EVA)、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリアミド(PA)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリウレタン(PU)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリスルフィド(PSu)、バイオポリマー、特にポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシブチラール(PHB)、ポリヒドロキシ吉草酸(PHV)、ポリエステル、デンプン、セルロース及びセルロース誘導体、特にニトロセルロース(NC)、エチルセルロース(EC)、セルロースアセテート(CA)、セルロースアセテート/ブチレート(CAB)、ゴム及びシリコーンからなる群から選択される。
好ましい実施形態では、可塑剤組成物中の少なくとも1種のポリマー又は好ましくは2種以上のポリマーの少なくとも90質量%は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアルキルメタクリレート(PAMA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリウレタン、ポリスルフィド、ポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシブチラール(PHB)、ニトロセルロース、及び塩化ビニルと酢酸ビニル又はブチルアクリレートとのコポリマーからなる群から選択される。PVCが特に好ましい。
プラスチック組成物中の本発明の1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸のテトライソペンチルエステルの混合物又は可塑剤組成物の量は、ポリマー100質量部当たり、好ましくは5~150質量部、好ましくは10~120質量部、特に好ましくは15~110質量部、著しく特に好ましくは20~100質量部である。しかしながら、ポリマー100質量部当たり20質量部未満の本発明の1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸のテトライソペンチルエステルを含む1種以上のポリマーを含有する組成物であってもよい。
本発明の文脈において好ましい本発明の1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸のテトライソペンチルエステルの混合物を含む可塑剤の特定の組成物/混合物は以下のとおりである。
本発明の目的は、好ましくは、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸及びテレフタル酸ジエチルヘキシル(DEHT又はDOTP)のテトライソペンチルエステルと、少なくとも1種のポリマー、好ましくはPVCとの混合物を含むプラスチック組成物の提供である。
本発明のさらに好ましい目的は、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸のテトライソペンチルエステルの混合物及び1,2-又は1,4-シクロヘキサンジカルボン酸エステル、特に対応するジイソノニル又はジ-2-エチルヘキシルエステルと、少なくとも1種のポリマー、好ましくはPVCとの混合物を含むプラスチック組成物の提供である。
さらに、好ましくは、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸のテトライソペンチルエステルと、アルキル基が、炭素原子が4個以上、好ましくは5、8、9又は10個である、トリメリット酸のトリアルキルエステルと、少なくとも1種のポリマー、好ましくはPVCとの混合物を含むプラスチック組成物の提供である。好ましくは、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸のテトライソペンチルエステルと、アルキル基が、炭素原子が4個以上、好ましくは5、8、9又は10個である、1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸のトリアルキルエステルと、少なくとも1種のポリマー、好ましくはPVCとの混合物を含むプラスチック組成物の提供である。
本発明のさらに好ましい目的は、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸のテトライソペンチルエステルと、テレフタル酸ジブチル、テレフタル酸ジ(イソ)ペンチル、安息香酸イソデシル、安息香酸イソノニル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリブチル、ジプロピレングリコールジベンゾエート、ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される急速ゲル化可塑剤との混合物と、少なくとも1種のポリマー、好ましくはPVCと、を含有するプラスチック組成物の提供である。
本発明のプラスチック組成物は、好ましくは、接着剤、シーリング組成物、コーティング組成物、ワニス、塗料、プラスチゾル、ドライブレンド、発泡体、合成皮革、床材、特にそのトップコート又はフォーム層、屋根膜、下地保護材、布被覆、ケーブル、電線絶縁、ホース、押出成形品、フィルム、自動車内装物、壁紙、インク、玩具、コンタクトフィルム、食品包装又は医療品、チューブ又は血液バッグにおける成分である。
したがって、本発明のさらなる目的は、本発明のプラスチック組成物を、接着剤、シーリング組成物、コーティング組成物、ワニス、塗料、プラスチゾル、発泡体、合成皮革、床材、特にそのトップコート又はフォーム層、屋根膜、下地保護材、布被覆、ケーブル、電線絶縁、ホース、押出成形品、フィルム、自動車内装材、壁紙、インク、玩具、コンタクトフィルム、食品包装又は医療品、チューブ又は血液バッグにおいて用いることである。
用語「イソ-ペンチル」、「イソ-ペンチル基」等は、用語「ペンチル」と同義であると理解されるべきであり、単一の特定のC5-アルキル基をいうものではないことは、上記の通りである。したがって、本発明の個々の発明の主題は、以下のように記載することもできる。
1.ペンチル基の6~12モル%が2-メチルブチル基であり、88~94モル%がn-ペンチル基であり、かつ、0~4モル%が3-メチルブチル基である、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸のテトライソペンチルエステルの混合物。
2.ペンチル基の6~10モル%が2-メチルブチル基であり、90~94モル%がn-ペンチル基であり、かつ、0~2モル%が3-メチルブチル基である、主題1に記載の混合物。
3.ペンチル基の7~9モル%が2-メチルブチル基であり、91~93モル%がn-ペンチル基であり、かつ、0~2モル%が3-メチルブチル基である、主題1に記載の混合物。
4.ペンチル基の1モル%以下が3-メチルブチル基である、主題1~3のいずれか一項に記載の混合物。
5.ペンチル基の0.5モル%以下が3-メチルブチル基である、主題4に記載の混合物。
6.主題1~5のいずれか一項に記載の1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸のテトライソペンチルエステルの混合物を作製するためのプロセスであって、作製は、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸をペンタノール混合物でエステル化するか、又は1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸のテトラメチルエステルをペンタノール混合物でエステル交換することのいずれかによって行われる、プロセス。
7.エステル化中に形成される反応水を反応中に分離する、主題6に記載のプロセス。
8.エステル化が120℃~250℃の範囲の温度で行われる、主題6又は7に記載のプロセス。
9.主題1~5のいずれか一項に記載の1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸のテトライソペンチルエステルの混合物の、ポリマー、特にPVC又はビニルクロリド含有コポリマーの可塑剤としての使用。
10.主題1~5のいずれか一項に記載の混合物における1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸のテトライソペンチルエステル及び少なくとも1つのさらなる可塑化化合物の混合物を含む可塑剤組成物。
11.さらなる可塑化化合物が、アジピン酸塩、安息香酸塩、例えばモノ安息香酸塩又はグリコールジ安息香酸塩、塩素化炭化水素(いわゆる塩素化パラフィン)、クエン酸塩、シクロヘキサンジカルボン酸塩、エポキシ化脂肪酸エステル、エポキシ化植物油、エポキシ化アシル化グリセリド、フランジカルボン酸塩、リン酸塩、コハク酸塩、スルホンアミド、スルホン酸塩、テレフタル酸塩、トリメリット酸塩、及びアジピン酸、コハク酸又はセバシン酸に基づくオリゴマー又はポリマーエステルからなる群から選択される、主題10に記載の可塑剤組成物。
12.5質量%未満、より好ましくは0.5質量%未満、特に好ましくは0.1質量%未満のフタル酸エステルを含有する、主題10又は11に記載の可塑剤組成物。
13.主題1~5のいずれか一項に記載の1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸のテトライソペンチルエステルの混合物又は請求項10~12のいずれか一項に記載の可塑化組成物と、1つ以上のポリマーと、を含有するプラスチック組成物。
14.1つ以上のポリマーが、PVC;炭素原子数1~10の分枝又は非分枝アルコール、アクリロニトリル又は環状オレフィンのアルコキシ基があるエチレン、プロピレン、ブタジエン、酢酸ビニル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート又はメタクリレートに基づくホモ又はコポリマー;ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアルキルメタクリレート(PAMA)、ポリ尿素、シリル化ポリマー、フッ素ポリマー、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリスチレンポリマー、ポリスチレン(PS)、発泡性ポリスチレン(EPS)、アクリロニトリル-スチレン-アクリレート(ASA)、スチレン-アクリロニトリル(SAN)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、スチレン-無水マレイン酸コポリマー(SMA)、スチレン-メタクリル酸コポリマー、ポリオレフィン、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、熱可塑性ポリオレフィン(TPO)、ポリエチレン-酢酸ビニル(EVA)、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリアミド(PA)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリウレタン(PU)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリスルフィド(PSu)、バイオポリマー、ポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシブチラール(PHB)、ポリヒドロキシ吉草酸(PHV)、ポリエステル、デンプン、セルロース、セルロース誘導体、ニトロセルロース(NC)、エチルセルロース(EC)、セルロースアセテート(CA)、セルロースアセテート/ブチレート(CAB)、ゴム及びシリコーンからなる群から選択される、主題13に記載のプラスチック組成物。
15.主題13又は14に記載のプラスチック組成物の、接着剤、シーリング組成物、コーティング組成物、ワニス、塗料、プラスチゾル、発泡体、合成皮革、床材、トップコート、屋根膜、下地保護材、布被覆、ケーブル、電線絶縁、ホース、押出成形品、フィルム、自動車内装材、壁紙、インク、玩具、コンタクトフィルム、食品包装又は医療品、チューブ又は血液バッグにおける、使用。
本発明実施例を参照して本発明を説明する。実施例は説明のためのものであり、限定するものとして理解されるべきではない。
1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸のテトライソペンチルエステルの混合物の合成
装置に、5モルの1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸(Alfa Aesar、純度:>98%)及び対応する量のアルコール2-メチルブタノール、n-ペンタノール及び3-メチルブタノール(2-メチルブタノール:シグマアルドリッチ社、純度≧99%;3-メチルブタノール:ハネウェル社、純度≧98.5%;n-ペンタノール:ハネウェル社、純度≧99%)を充填した。3.4gのテトラ-n-ブチルチタネート(0.01mol、シグマアルドリッチ社、純度:>97%)を触媒としてそれに加え、反応を開始した。窒素スパージしながら反応を行った。反応物を200℃の反応温度までゆっくりと加熱した。反応温度に達した後、アルコールをさらに計量供給した。添加の際には、反応温度が200℃を下回らないように注意した。
エステル化の過程で、360mlの水が生成した(20モルの反応水)。反応中に形成された水を、水トラップを介して連続的に除去した。反応水が360mlに達した後、反応試料を用いて酸価(AN)を測定した。反応の進行を、試料1g当たりKOH<0.5mgのANに達するまで、ANを介して一定間隔で監視した。その後、混合物を冷却し、水酸化ナトリウム水溶液を加えて触媒を破壊した。
エステル化からの反応生成物を、攪拌機付きフラスコに移した。装置を窒素で洗浄した(6l/h)。真空下(約1~5mbar)で反応生成物をゆっくり加熱し、温度を160℃まで上昇させた。過剰のアルコールを完全に蒸留した後、生成物を80℃まで冷却し、濾過した。濾液をNMR分析に供して、生成物中のエステル基の組成を決定した。
NMR分析
テトライソ-ペンチル1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸エステルの組成、すなわち、全てのブチル基の全体に対する異なる異性体ブチル基の比率は各々、例えば、H NMR及び13C NMR分光分析によって決定することができる。より高い精度のため、組成の決定は、重水素クロロホルム(CDCl3)中のテトライソ-ペンチル1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸エステル混合物の溶液に対するH-NMR分光分析を用いて行った。H-NMRスペクトルを記録するために、約20mgの物質を約0.6mlのCDCl3(各々約1質量%のTMSを含有する)に溶解し、直径5mmのNMR管に充填した。用いたCDCl3は、水の存在による測定値の劣化を防ぐため、まず分子ふるい上で乾燥させた。
NMR分光分析は、原則として、いかなる市販の装置で行ってよい。今回のNMR分析では、Bruker社のAvance 500装置を用いた。1H-NMRスペクトルは、Bruker Cooling Unit(BCU 05)を備えた5mm Prodigy Cryoサンプルヘッド(CPPBO)を用いて、温度300K、d1=5秒の遅延、32スキャン、約12μsのパルス長(30°励磁パルス)及び10000Hzの掃引幅で記録した。共鳴シグナルを、内部標準としてのテトラメチルシラン(TMS=0ppm)の化学シフトに対して記録した。同じ操作パラメータを用いた他の市販のNMR装置でも、同等の結果が得られた。
以下の図1は、説明した測定法を理解しやすくするためのものである。ここで関連するのは、n-ペンチル基(C14及びC10)、2-メチルブチル基(C23、C24及びC20)及び3-メチルブチル基(C33及びC30)の各場合、メチル基及び酸素原子に隣接するメチレン基の炭素原子の割り当て番号である。
異なるペンチル基中の炭素原子の番号付け
Figure 2024052632000001
(式中、Rは各々、n-ペンタノール、2-メチルブタノール又は3-メチルブタノールである)。
テトライソ-ペンチル1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸エステルの混合物の得られたH-NMRスペクトルには、異性体ペンチル置換基(C14、C23、C24、C33)のメチル基の水素原子のシグナルによって形成される0.8~1.0ppmの範囲の共鳴シグナルがある。3.60~4.40ppmの化学シフトの範囲のシグナルは、本質的に、アルコール基(C10、C20、C30)中の酸素に隣接するメチレン基の水素原子に帰属され得る。ここで、C20上のプロトンは、隣接する第3級炭素原子に起因して高磁場シフトを受けて、4.03ppm~3.84ppmとの間に現れるが、C10及びC30におけるプロトンは、4.20ppm~4.03ppmのより低いシフトでシグナルを与え、互いに重複している。
定量化は、各共鳴シグナル下の面積、すなわちベースラインからシグナルで囲まれた面積を比較決定することで行った。市販のNMRソフトウェアには、シグナル面積を積分するプログラム機能がある。本NMR分光法研究では、ソフトウェアTopSpin(登録商標)、バージョン3.6を用いて積分を行った。
本発明による混合物中の異性体ペンチル基の平均分岐度を決定するには、まず、0.68~1.11ppmの範囲のシグナルの積分値(I(CH))を3.60~4.40ppmの範囲のシグナルの積分値(I(OCH))で割る。このようにして、メチレン基に存在する水素原子の数と、酸素に隣接するメチレン基に存在する水素原子の数との比である強度比が得られる。メチル基当たり3個の水素原子及び酸素に隣接する各メチレン基中に2個の水素原子が存在するので、ペンチル基中の酸素に隣接するメチレン基の数に対するメチル基の数の比を得るためには、強度をそれぞれ3及び2で除しなければならない。酸素に隣接するメチル基とメチレン基が各々1つずつしかない直鎖n-ペンチル基には分岐がなく、したがって分岐度は0でなければならないので、比から1を差し引かなければならない。
したがって、平均分岐度DBは、次式によって計算することができる。
DB=2/3*I(CH)/I(OCH)-1

(式中、DBは平均分岐度であり、I(CH)はメチル水素原子に割り当てられた面積積分であり、I(OCH)は酸素に隣接するメチレン水素原子の面積積分である。)
生成物は、各々分岐度が1である2-メチルブチル基及び3-メチルブチル基、ならびに分岐度が0であるn-ペンチル基を含んでよく、いかなるテトライソペンチルエステルの最大平均分岐度も常に1である。したがって、平均分岐度と値1との偏差から、一分子中のn-ペンチル基(xpentyl)のモル比を決定することができる。
Pentyl=1-DB
2-メチルブチルラジカルの量は、3.60~4.40ppmの範囲でベースライン分離したシグナルを積分しても計算できない。
C20上のプロトンのシグナル(C20;3.95~4.28ppmの間の多重線)は、シグナル群の間の谷カットの最小値において、C10及びC30上のプロトンのシグナル(C10及びC30;4.29~4.55ppmの間の多重線)から分離される。
2-メチルブチル基のモル比(x2-メチルブチル)は、式(I)によって計算することができる。
2-メチルブチル=I(OC19)/I(OCH
-OC20プロトンのシグナルの強度(I(OC20))を全てのOCHプロトンの強度(I(OCH))に関連付けることによって計算される。
したがって、3-メチルブチルラジカル(x3-メチルブチル)のモル比は、2つの前のモル質量分率と1との間の差から計算される。
3-メチルブチル=1-x2-メチルブチル-xpentyl
前述の方法により、試料中のそれぞれの残基の比率を決定することができた(表1参照)。
表1:NMR分析によるエステル混合物の組成
Figure 2024052632000002
*本発明
表1のエステル混合物を、適用関連特性に関して調査した。
1)プラスチゾルの製造
例えばトップコートフィルムの製造に用いられるようなPVCプラスチゾルを製造した。プラスチゾル配合物中の量は、各々質量部(phr)で報告される。配合を表2に記載する。
表2:プラスチゾル配合物
Figure 2024052632000003
最初に液体成分、次いで粉末状成分をPEビーカー中に秤量した。混合物を、スパチュラを用いて手動で攪拌し、未湿潤の粉末が残らないようにした。その後、混合ビーカーを溶解撹拌機のクランプ装置に固定した。撹拌機のスイッチを入れた後、回転数をゆっくりと約2000rpm(1分当たりの回転数)に上げた。その間、プラスチゾルを注意深く脱気した。このために、圧力は20mbar以下に設定した。プラスチゾルが約30℃の温度に達したらすぐに、回転数を約350rpmに下げた。その後、プラスチゾルをその回転数及び20mbar以下の圧力で9分間脱気した。これにより、プラスチゾルの均質化中に早期の部分ゲル化は確実に起こらなかった。
1.1) プラスチゾル粘度の測定
実施例1)で製造されたプラスチゾルの粘度を、Physica MCR 101レオメーター(Anton Paar Germany GmbH製)と付属のソフトウェアを用いて、回転モード及びCC27測定システムを用いて測定した。測定は、プラスチゾルを製造後、25℃で24時間平衡化した後に行った。
測定中、以下の点を管理した:
100s-1で60秒間の予備剪断を行ったが、その間測定は行わなかった。
200s-1から0.1s-1への下向剪断速度勾配をつけた。30の測定点を記録し、測定点各々の持続時間は10秒であった。
測定は室温で行った。測定は各々10s-1のせん断速度で得られた粘度であった。各々記載された可塑剤で製造されたプラスチゾルの粘度測定の結果を表3に記載する。
表3:粘度測定結果
Figure 2024052632000004
本発明の混合物(試料1)の粘度は、試料8(1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸の純粋なテトラ-n-ペンチルエステル)の粘度に匹敵することが明らかである。
1.2) ゲル化特性
実施例1)のプラスチゾルのゲル化特性を、剪断応力制御下で操作する平行板分析システム(PP25)を備えた振動モードのPhysica MCR 101装置(Anton Paar製)を用いて試験した。できるかぎり最良の熱分布を達成するために、さらなる温度制御フードをシステムに接続した。以下の測定パラメータを確立した。
モード:温度勾配(線形温度ランプ)
開始温度:25℃
最終温度:180℃
加熱/冷却速度:5K/分
振動周波数:4~0.1Hzランプ(対数)
サイクル周波数ω:10s-1
測定点数:63点
測定点持続時間:0.5分
自動ギャップ調整
一定測定点持続時間
ギャップ幅0.5mm
分析手順:
測定するプラスチゾルを数滴、気泡が入らないようにスパチュラで下部測定システムプレートに滴下した。分析システムの組み立て時に、プラスチゾルの一部を、ともに移動させた後、測定システムから確実に均等に膨らむように注意した(いずれの方向でも約6mm以下)。その後、温度制御フードを試料上に配置し、測定を開始した。プラスチゾルのいわゆる複素粘度を温度の関数として測定した。ゲル化プロセスの開始は、複素粘度の急激な上昇によって認識することができた。この粘度上昇の開始が早ければ早いほど、系のゲル化能力は高い。得られた測定曲線から、各プラスチゾルについて、1000Pa*sの複素粘度が測定される温度を内挿法で求めた。結果を表4に示す。
表4::ゲル化速度測定結果
Figure 2024052632000005
本発明の混合物(試料1)のゲル化速度は、試料8(1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸の純粋なテトラ-n-ペンチルエステル)のゲル化速度と同程度に低く、したがって他の比較例よりも明らかに有意に低い。
2)フィルム製造
実施例1)で製造されたプラスチゾルを、各々厚さ1mmのフィルムに加工した。この目的のために、まず、高光沢剥離紙(イタリア、サッピ社製)を30×44cmのサイズにカットし、マティスオーブン用のLTSVコーティング設備のクランプフレームに挿入した。その後、クランピングフレームをガイドフレーム上に配置し、マティスオーブン(モデルLTF)を200℃に調整し、当該温度に達した後にフレームを予熱した。その後、コーティングバーをクランプ手段に挿入し、ゲル化完了後の膜厚が1mm(+/-0.05mm)になるように、予備実験にてコーティングバーギャップを調整した。コーティングバー(速度3m/分)を用いて、クランプした剥離紙上にプラスチゾルを広げた。その後、コーティングバーを除去し、クランピングフレームをオーブン内に移動させた。ゲル化(200℃で2分間)後、フレームをオーブンから戻し、冷却後、フィルムを紙から除去した。
2.1)フィルム中の可塑剤の揮発性
実施例2)で製造したPVCフィルムから、試料当たり3つの円をパンチで打ち抜いた(円;直径:5cm)。試料をデシケータ内で16時間平衡化した。
試料円を化学天秤で秤量し、ワイヤバスケットに入れて、ワイヤバスケットをブルドッグクリップで閉じた。
130mlの活性炭をブリキ缶(1l高型)に導入した。次いで、試料がある第1のワイヤバスケットを活性炭の中央に置き、さらに130mlの活性炭を試料円に加えた。合計、ブリキ缶に520mlの活性炭を層ごとに充填し、3つのワイヤバスケットに試料を充填した。最終段階として、さらに上層に130mlの活性炭を充填した。
穴のあいたブリキ缶の蓋を、圧力をかけずにブリキ缶にかぶせた。充填されたブリキ缶を、120℃に加熱された加熱キャビネット内に、キャビネット内のベンチレータが閉じられず、缶が互いに接触しないように配置した。空気交換および換気フラップをそれぞれ10%に設定した。120℃で72時間後、試料を再びキャビネットから取り出し、冷却し、次いで個々の試料をバスケットから取り出し、デシケータ中でさらに16時間コンディショニングした後、化学天秤で再秤量した。得られた質量差は、可塑剤の損失によるものである。3つの質量差から平均値を算出し、可塑剤の損失をパーセンテージで計算した。結果を表5に示す。
表5:揮発性測定の結果
Figure 2024052632000006

本発明の混合物(試料1)の粘度が明らかに全ての試料の中で最も低い。試料8(1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸の純粋なテトラ-n-ペンチルエステル)のみが、比較的低い揮発性を示す。
2.2) DSCによるガラス転移温度
測定には、実施例2)に従って製造されたPVCフィルムから小さな円(ファイ4.5mm)を打ち抜いた。以下の設定を用いて、Mettler Toledo DSC 1を用いて窒素下でアルミニウムるつぼ(穿孔るつぼ蓋)中でこの試料を分析した。
乾燥窒素ガス:約45ml(STP)/分(=標準ml/分)
窒素ガス(パージガス):約180ml(STP)/分
冷却:液体窒素(補助リザーバ1.5バール)
方法:
[1]25.0~120.0℃、25.0K/分
[2]120.0℃、5.00分等温
[3]120.0~-50.0℃、25.0K/分
[4]-50.0~-120.0℃、10.0K/分
[5]-120.0℃、3.00分等温
[6]-120~50.0℃、10.0 K/分
同期スイッチオン

様々な温度勾配により、試料の熱履歴が排除されるため、結果の再現性がより高まる。ガラス転移については、ランプ[6]からの一次導関数のピーク最大値を評価した。得られた熱流を測定温度の関数としてプロットした。結果を表6に示す。
表6:ガラス転移測定の結果
Figure 2024052632000007
本発明の混合物(試料1)のピーク最大値は、明らかに試料8(1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸の純粋なテトラ-n-ペンチルエステル)のピーク最大値と同程度に低い。

Claims (15)

  1. イソ-ペンチル基の6~12モル%が2-メチルブチル基であり、前記イソ-ペンチル基の88~94モル%がn-ペンチル基であり、かつ、前記イソ-ペンチル基の0~4モル%が3-メチルブチル基である、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸のテトライソペンチルエステルの混合物。
  2. イソ-ペンチル基の6~10モル%が2-メチルブチル基であり、前記イソ-ペンチル基の90~94モル%がn-ペンチル基であり、かつ、前記イソ-ペンチル基の0~2モル%が3-メチルブチル基である、請求項1に記載の混合物。
  3. イソ-ペンチル基の7~9モル%が2-メチルブチル基であり、前記イソ-ペンチル基の91~93モル%がn-ペンチル基であり、かつ、前記イソ-ペンチル基の0~2モル%が3-メチルブチル基である、請求項1に記載の混合物。
  4. イソ-ペンチル基の1モル%以下が3-メチルブチル基である、請求項1~3のいずれか一項に記載の混合物。
  5. イソ-ペンチル基の0.5モル%以下が3-メチルブチル基である、請求項4に記載の混合物。
  6. 請求項1~5のいずれか一項に記載の1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸のテトライソペンチルエステルの混合物を作製するためのプロセスであって、作製は、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸をイソペンタノール混合物でエステル化するか、又は1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸のテトラメチルエステルをイソペンタノール混合物でエステル交換することのいずれかによって行われる、プロセス。
  7. エステル化中に形成される反応水を反応中に分離する、請求項6に記載のプロセス。
  8. エステル化が120℃~250℃の範囲の温度で行われる、請求項6又は7に記載のプロセス。
  9. 請求項1~5のいずれか一項に記載の1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸のテトライソペンチルエステルの混合物の、ポリマー、又はPVC若しくはビニルクロリド含有コポリマーの可塑剤としての使用。
  10. 請求項1~5のいずれか一項に記載の混合物における1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸のテトライソペンチルエステル及び少なくとも1つのさらなる可塑化化合物の混合物を含む可塑剤組成物。
  11. さらなる可塑化化合物が、アジピン酸塩、安息香酸塩、例えばモノ安息香酸塩又はグリコールジ安息香酸塩、塩素化炭化水素(いわゆる塩素化パラフィン)、クエン酸塩、シクロヘキサンジカルボン酸塩、エポキシ化脂肪酸エステル、エポキシ化植物油、エポキシ化アシル化グリセリド、フランジカルボン酸塩、リン酸塩、コハク酸塩、スルホンアミド、スルホン酸塩、テレフタル酸塩、トリメリット酸塩、及びアジピン酸、コハク酸又はセバシン酸に基づくオリゴマー又はポリマーエステルからなる群から選択される、請求項10に記載の可塑剤組成物。
  12. 5質量%未満、0.5質量%未満、又は0.1質量%未満のフタル酸エステルを含有する、請求項10又は11に記載の可塑剤組成物。
  13. 請求項1~5のいずれか一項に記載の1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸のテトライソペンチルエステルの混合物又は請求項10~12のいずれか一項に記載の可塑化組成物と、1つ以上のポリマーと、を含有するプラスチック組成物。
  14. 1つ以上のポリマーが、PVC;炭素原子数1~10の分枝又は非分枝アルコール、アクリロニトリル又は環状オレフィンのアルコキシ基があるエチレン、プロピレン、ブタジエン、酢酸ビニル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート又はメタクリレートに基づくホモ又はコポリマー;ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアルキルメタクリレート(PAMA)、ポリ尿素、シリル化ポリマー、フッ素ポリマー、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリスチレンポリマー、ポリスチレン(PS)、発泡性ポリスチレン(EPS)、アクリロニトリル-スチレン-アクリレート(ASA)、スチレン-アクリロニトリル(SAN)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、スチレン-無水マレイン酸コポリマー(SMA)、スチレン-メタクリル酸コポリマー、ポリオレフィン、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、熱可塑性ポリオレフィン(TPO)、ポリエチレン-酢酸ビニル(EVA)、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリアミド(PA)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリウレタン(PU)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリスルフィド(PSu)、バイオポリマー、ポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシブチラール(PHB)、ポリヒドロキシ吉草酸(PHV)、ポリエステル、デンプン、セルロース、セルロース誘導体、ニトロセルロース(NC)、エチルセルロース(EC)、セルロースアセテート(CA)、セルロースアセテート/ブチレート(CAB)、ゴム及びシリコーンからなる群から選択される、請求項13に記載のプラスチック組成物。
  15. 請求項13又は14に記載のプラスチック組成物の、接着剤、シーリング組成物、コーティング組成物、ワニス、塗料、プラスチゾル、発泡体、合成皮革、床材、トップコート、屋根膜、下地保護材、布被覆、ケーブル、電線絶縁、ホース、押出成形品、フィルム、自動車内装材、壁紙、インク、玩具、コンタクトフィルム、食品包装又は医療品、チューブ又は血液バッグにおける、使用。
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