JP2024052426A - 車両用自動変速機の制御装置 - Google Patents

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【課題】ロックアップクラッチの指令圧をトルクコンバータの内圧を加味したより適切な値に設定することができ、ロックアップクラッチのスリップ制御をより高精度に行うことを可能とする。【解決手段】変速機構(2a)の入力軸(10)から車両の車輪軸又は変速ギヤへの動力の伝達が行われない状態(いわゆるオフギヤ状態)のときに、ロックアップクラッチ(40)に供給する作動油の指令圧を上昇させて、トルクコンバータ(3)のスリップ率が所定以上となったら、その際のロックアップクラッチ(40)に供給する作動油の指令圧に基づいて、トルクコンバータ(3)の内圧を学習するトルクコンバータ内圧学習制御を行う。【選択図】図6

Description

本発明は、車両に搭載される車両用自動変速機の制御装置に関し、詳細には、ロックアップクラッチ付きのトルクコンバータを有する車両用自動変速機の制御装置に関する。
例えば、車両の動力伝達装置には、エンジンなどの駆動源から入力軸に入力される回転を変速して出力軸へと伝達する自動変速機が設けられている。このような自動変速機は、例えば、遊星ギヤ機構とクラッチやブレーキなどの係合機構とを備えており、係合機構によって動力伝達経路を切り替えることによって各変速段を確立するようにしている。
また、車両用の自動変速機では、例えば、特許文献1,2に示すように、トルクコンバータ内にエンジンの出力軸と自動変速機の入力軸とを機械的に連結可能なロックアップクラッチを設けている。そして、一定の条件下でロックアップクラッチを締結することにより、エンジン回転数を低く抑えて燃費の改善を図ることが行われている。
通常、ロックアップクラッチは、自動変速機で設定される変速段が所定の変速段のときに係合される。しかしながら、ロックアップクラッチが完全係合されると上記入力軸と出力軸との間で伝達されるショックやトルク変動を吸収できない。そのため、運転状態に応じてロックアップクラッチを完全係合させずに滑らせるスリップ制御が行われている。このようなスリップ制御では、例えば、変速段に対応してロックアップクラッチのスリップ率の運転状態に応じた目標スリップ率を記憶しておき、実スリップ率が目標スリップ率となるようにロックアップクラッチの締結容量を制御(フィードバック制御)する。
トルクコンバータの内部を流通する作動油の油圧(内圧)は、ロックアップクラッチを引き離す方向の力として作用するため、ロックアップクラッチの締結のために付与される指令圧とトルクコンバータの内圧との差圧がロックアップクラッチの係合に必要な油圧(締結容量)となる。ところが、トルクコンバータの内圧は、トルクコンバータ内を流通する作動油の出口よりも下流側の圧力損失(圧損)によって変化する。特に、車両の使用期間が経過してトルクコンバータの下流側に配置されたオイルフィルターに微小な異物(コンタミネーション)が堆積すると、この圧損が大きくなる傾向がある。そうすると、トルクコンバータの内圧が次第に上昇するため、それによってロックアップクラッチの締結容量が低下する、という問題がある。
また、上記のようなトルクコンバータの内圧の経年変化によって、ロックアップクラッチの締結のために付与される指令圧に対して、ロックアップクラッチの実際の締結容量に差(ズレ)が生じることで、ロックアップクラッチの制御性が低下するおそれがある。また、ロックアップクラッチの締結容量が低下することで、ロックアップクラッチのタイト制御(完全締結制御)を行う際の最大油圧が不足し、十分なタイト制御を行うことができない懸念もある。
これに対して、従来の制御では、フィードバック制御によりロックアップクラッチの締結容量の差を補正していた。また、トルクコンバータの内圧の上昇に伴うロックアップクラッチの締結容量の低下を見越して、経年に応じてロックアップクラッチの指令圧の最大値を増加させる制御も行われている。しかしながら、ロックアップクラッチやその関連部品の許容負荷を超えないように安全な指令圧しか設定できないため、実際に付与できる指令圧が低い値となってしまうという問題があった。
特に、近年、地球環境上の悪影響を軽減するために自動車の排気ガス規制が一段と進んでいる。そのため、ロックアップクラッチのスリップ制御をより高精度に行うことを可能とすることで、エミッションの効果的な低減を図り、地球環境上の悪影響の防止を図ることが必要である。
特開2012-62998号公報 特開平01-098759号公報
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、その目的は、ロックアップクラッチの指令圧をトルクコンバータの内圧を加味したより適切な値に設定することができ、ロックアップクラッチのスリップ制御をより高精度に行うことを可能とすることで、エミッションの効果的な低減を図ることができ、地球環境上の悪影響の防止に寄与できる車両用自動変速機の制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明は、車両に搭載したエンジン(1)からの回転が出力される第一回転軸(7)と、有段式の変速機構(2a)を有する自動変速機(2)へ回転が入力される第二回転軸(10)との間に設けたロックアップクラッチ(40)付きのトルクコンバータ(3)と、作動油を調圧して変速機構(2a)及びトルクコンバータ(3)に供給する油圧制御装置(6)と、油圧制御装置(6)の供給油圧を制御することで、変速機構(2a)による変速段の設定及びロックアップクラッチ(40)の締結状態を制御する制御手段(4)と、を備える車両用自動変速機の制御装置であって、ロックアップクラッチ(40)は、当該ロックアップクラッチ(40)に供給される作動油の油圧(P2)とトルクコンバータ(3)の内圧(P1)との差圧に応じた係合油圧が付与される構成であり、制御手段(4)は、第二回転軸(10)から車両の車輪軸または変速ギヤへの動力の伝達が行われない状態(いわゆるオフギヤ状態)のときに、ロックアップクラッチ(40)に供給する作動油の指令圧を上昇させて、前記第一回転軸(7)と前記第二回転軸(10)との回転数差又は回転数比(すなわち、トルクコンバータ(3)のスリップ率又はスリップ量)が所定以上(例えば、ロックアップクラッチが締結状態となる実質的な差回転が0の状態や回転比が略100%の状態)となることなどで、スリップ率又はスリップ量の値が所定の締結状態を越える値になったと判断したら、その際のロックアップクラッチ(40)に供給する作動油の指令圧に基づいて、トルクコンバータ(3)の内圧を学習するトルクコンバータ内圧学習制御を行うことを特徴とする。またこの場合、制御手段(4)は、トルクコンバータ内圧学習制御において、回転数差又は回転数比(スリップ率)の値が所定以上となるか、又は回転数差又は回転数比(スリップ率)の変化率が所定以上となったら、その際のロックアップクラッチ(40)に供給する作動油の指令圧に基づいて、トルクコンバータ(3)の内圧を学習するようにしてよい。なおここでいう、ロックアップクラッチ(40)に供給される作動油の油圧とは、ロックアップピストン(39)に対するフロントカバー(35)側の油圧であり、トルクコンバータ(3)の内圧とは、ロックアップピストン(39)に対するトルクコンバータ(3)のポンプ翼車(31)及びタービン翼車(32)側の油圧であってよい。
本発明にかかる車両用自動変速機の制御装置によれば、第二回転軸から車両の車輪軸または変速ギヤへの動力の伝達が行われない状態(いわゆるオフギヤ状態)の油圧が安定した領域において、ロックアップクラッチに供給する作動油の指令圧を上昇させて、トルクコンバータのスリップ率の値又はその変化からトルクコンバータの内圧を学習するようにした。これにより、現状のトルクコンバータの内圧を把握することができるので、把握した内圧を用いて、ロックアップクラッチに供給する作動油の指令圧やその最大値を適切に補正することができるようになる。したがって、トルクコンバータやロックアップクラッチの現状により即した油圧制御を行うことが可能となる。
また、この制御装置では、制御手段(4)は、トルクコンバータ内圧学習制御で学習したトルクコンバータ(3)の内圧に基づいて、トルクコンバータ(3)への入力トルクに応じてロックアップクラッチ(40)に供給する作動油の指令圧を補正するようにしてもよい。
この構成によれば、トルクコンバータ内圧学習制御で学習したトルクコンバータの内圧に基づいて、ロックアップクラッチに供給する作動油の指令圧を補正することができるので、ロックアップクラッチに供給する作動油の指令値を現在のトルクコンバータの内圧に基づいた適切な値とすることが可能となる。すなわち、従来の制御では、現在のトルクコンバータの内圧を把握せずにロックアップクラッチに供給する作動油の指令圧を決めていたため、トルクコンバータの内圧の上昇によってロックアップクラッチに必要な係合圧が不足するおそれがあったところ、本発明の制御によれば、現在のトルクコンバータの内圧に応じてロックアップクラッチに供給する作動油の指令圧がより適切に補正されることで、ロックアップクラッチに必要な係合圧をより適切に供給することが可能となる。
また、この制御装置では、制御手段(4)は、トルクコンバータ内圧学習制御で学習したトルクコンバータ(3)の内圧に基づいて、ロックアップクラッチ(40)に供給する作動油の指令圧の最大値を補正するようにしてもよい。
この構成によれば、トルクコンバータ内圧学習制御で学習したトルクコンバータの内圧に基づいて、ロックアップクラッチに供給する作動油の指令圧の最大値を補正することができるので、ロックアップクラッチに供給する作動油の指令圧の最大値を現在のトルクコンバータの内圧に基づいた適切な値とすることが可能となる。すなわち、従来の制御では、現在のトルクコンバータの内圧を把握することなくロックアップクラッチに供給する作動油の指令圧の最大値を決めていたため、トルクコンバータの内圧の上昇によってロックアップクラッチに必要な最大の係合圧が不足するおそれがあったところ、本発明の制御によれば、現在のトルクコンバータの内圧に応じてロックアップクラッチに供給する作動油の指令圧の最大値がより適切に補正されることで、ロックアップクラッチに必要な最大の係合圧をより適切に供給することが可能となる。
また、この制御装置では、制御手段(4)は、車両の走行レンジが駐車レンジ又はニュートラルレンジの場合にトルクコンバータ内圧学習制御を行うことが望ましい。
この構成によれば、車両の走行レンジが駐車レンジ又はニュートラルレンジの場合にトルクコンバータ内圧学習制御を行うことで、車両の走行レンジが駐車レンジ又はニュートラルレンジ以外のレンジの状態でトルクコンバータ内圧学習制御が行われることを回避して、トルクコンバータ内圧学習制御の実施によるエンジンストールを防止することができる。
また、この制御装置では、制御手段は、トルクコンバータ内圧学習制御において、第二回転軸(10)から車両の車輪軸または変速ギヤへの動力の伝達が行われない状態(オフギヤ状態)になってから所定時間が経過した後、又は、車両の走行レンジが駐車レンジ又はニュートラルレンジになってから所定時間が経過した後に、ロックアップクラッチ(40)に供給する作動油の指令圧を上昇させることが望ましい。
この構成によれば、トルクコンバータ内圧学習制御において、第二回転軸から変速ギヤへの動力の伝達が行われない状態(オフギヤ状態)になってから所定時間が経過した後、又は、車両の走行レンジが駐車レンジ又はニュートラルレンジになってから所定時間が経過した後に、ロックアップクラッチに供給する作動油の指令圧を上昇させることで、トルクコンバータのスリップ率が安定した状態でトルクコンバータ内圧学習制御を実施することができるため、トルクコンバータ内圧学習制御における誤学習を防止できる。
また、この制御装置では、制御手段(4)は、作動油の油温が所定温度以下の低温時には、トルクコンバータ内圧学習制御を実施しないことが望ましい。
作動油の油温が所定温度以下の低温時には、作動油の粘性が高くなることで、油温が高い場合と比較してトルクコンバータのスリップ率が高くなる傾向がある。そのため、そのような状況では、トルクコンバータの内圧を適切に学習することができないおそれある。したがって、作動油の油温が所定温度以下の低温時には、トルクコンバータ内圧学習制御を実施しないことが望ましい。
また、この制御装置では、制御手段(4)は、トルクコンバータ内圧学習制御の実施中に、第二回転軸(10)から車両の車輪軸または変速ギヤへの動力の伝達を行う旨の指示(インギヤ指示)を受けた場合、トルクコンバータ内圧学習制御を中止することが望ましい。
この構成によれば、トルクコンバータ内圧学習制御の実施中に、第二回転軸から車両の車輪軸または変速ギヤへの動力の伝達を行う旨の指示(インギヤ指示)を受けた場合には、トルクコンバータ内圧学習制御を中止することで、ロックアップクラッチの締結制御を伴うトルクコンバータ内圧学習制御の実施によるエンジンストールをより確実に防止することができる。
また、この制御装置では、制御手段(4)は、第二回転軸(10)から車両の車輪軸または変速ギヤへの動力の伝達を行う旨の指示(インギヤ指示)を受けて、トルクコンバータ内圧学習制御を中止した場合、その後、ロックアップクラッチ(40)の非係合状態を判断した場合、又はタイマーによる所定時間経過後に、第二回転軸(10)から変速ギヤへの動力の伝達を開始することが望ましい。
この構成によれば、第二回転軸から車両の車輪軸または変速ギヤへの動力の伝達を行う旨の指示(インギヤ指示)を受けて、トルクコンバータ内圧学習制御を中止した場合には、その後、ロックアップクラッチの非係合状態を判断した場合、又はタイマーによる所定時間経過後に、第二入力軸から変速ギヤへの動力の伝達を開始することで、トルクコンバータ内圧学習制御の実施によるエンジンストールを防止することができる。
また、この制御装置では、制御手段(4)は、車両の累積の使用時間が所定時間に達したら、それ以降は、トルクコンバータ内圧学習制御を行わないようにすることが望ましい。
トルクコンバータの内圧の上昇は、車両の使用時間(使用期間)が経過してトルクコンバータの下流側に配置されたオイルフィルターなどに微小な異物(コンタミネーション)が堆積することで起こるところ、車両の累積の使用時間が所定時間に達するまではオイルフィルターなどへのコンタミネーションの堆積量の増加が顕著であるが、それ以降は、堆積量の増加が鈍化する傾向がある。そのため、車両の累積の使用時間が所定時間に達したら、それ以降は、トルクコンバータの内圧にあまり大きな変化は生じないようになると考えられる。したがって、車両の累積の使用時間が所定時間に達したら、それ以降は、トルクコンバータ内圧学習制御を行わないようにすることが望ましい。
本発明によれば、ロックアップクラッチの指令圧をトルクコンバータの内圧を加味したより適切な値に設定することができ、ロックアップクラッチ(トルクコンバータ)のスリップ制御をより高精度に行うことを可能とすることで、エミッションの効果的な低減を図ることができ、地球環境上の悪影響の防止に寄与できる。
本発明の一実施形態にかかる車両用自動変速機の制御装置を備える車両の駆動系の概略図である。 トルクコンバータ及び変速機構の制御を行うための油圧制御装置(油圧回路)を示す図である。 変速機構の基本構成を示すスケルトン図である。 変速機構における係合機構の係合表を示す図である。 変速機構の共線図(速度線図)である。 トルクコンバータ内圧学習制御における各値の変化を示すタイミングチャートである。 トルクコンバータの入力トルクとロックアップクラッチの指示油圧との関係を示すグラフである。 トルクコンバータの内圧とロックアップクラッチの締結圧との関係を示すグラフである。 トルクコンバータ内圧学習制御及びトルクコンバータの締結指令圧の補正を行う手順を説明するためのフローチャートである。 車両の累積の使用時間とトルクコンバータ内を流通する作動油の油圧に生じる圧力損失の増加量又は増加率との関係を示すグラフである。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかる自動変速機の制御装置を備える車両の駆動系の概略図である。また、図2は、後述するトルクコンバータ3及び油圧制御装置(油圧回路)6を示す図である。図1に示すように、本実施形態の車両は、エンジン1と、流体式のトルクコンバータ3を介してエンジン1と連結される自動変速機2とを備える。自動変速機2は、複数段(本実施形態では、前進10速段・後進1速段)の有段式の変速機構2aを備えている。また、この車両は、エンジン1を制御するFI-ECU4と、トルクコンバータ3を含む自動変速機2を制御するAT-ECU(制御手段)5と、トルクコンバータ3の回転駆動や後述するロックアップクラッチ40の締結制御、および自動変速機2の変速機構2aが備える複数の摩擦係合要素の締結(係合)・解放を制御するための油圧制御装置6とを備えている。
エンジン1の回転出力は、クランクシャフト(エンジン1の出力軸:本発明の第一回転軸)7に出力される。クランクシャフト7の回転は、トルクコンバータ3を介して自動変速機2の入力軸(本発明の第二回転軸)10に伝達される。
クランクシャフト7の近傍には、クランクシャフト7の回転数Neを検出するクランクシャフト回転数センサ201が設けられる。変速機2の入力軸10の近傍には、入力軸10の回転数(自動変速機2の入力軸回転数)Niを検出する入力軸回転数センサ202が設けられる。出力軸11の近傍には、出力軸11の回転数(自動変速機2の出力軸回転数)Noを検出する出力軸回転数センサ203が設けられる。各回転数センサ201~203により検出された回転数データは、AT-ECU5に出力される。また、車速Nvを検出するための車速センサ204が設けられる。車速センサ204により検出された車速データは、AT-ECU5に出力される。さらに、エンジン1のスロットル開度THを検出するスロットル開度センサ206が設けられる。スロットル開度センサ206により検出されたスロットル開度データは、FI-ECU4に出力される。なお、図示は省略するが、エンジン1に供給される空気の温度(吸気温度)を検出する吸気温度センサや空気流量を検出する流量センサ等も設けられている。
アクセルペダル8の近傍には、アクセルペダル8の開度(アクセルペダル開度)APを検出するアクセルペダル開度センサ207が設けられる。アクセルペダル開度センサ207により検出されたアクセルペダル開度データは、FI-ECU4に出力される。また、油圧制御装置6内の図示しないオイルタンクの近傍には、自動変速機2(油圧制御装置6)の作動油(ATF)の油温TAを検出する油温センサ208が設けられる。油温センサ208により検出されたATFの温度(油温)データは、AT-ECU5に出力される。
また、本実施形態の車両は、運転者によりレバーやスイッチなどの操作子を介して操作されるシフト装置60を備える。シフト装置60におけるシフトポジションには、図1に示すように、例えば、P(パーキング)、R(後進走行)、N(ニュートラル)、D(自動変速モード(ノーマルモード)での前進走行)、S(スポーツモードでの前進走行)などがある。シフト装置60の近傍には、シフトポジションセンサ205が設けられる。シフトポジションセンサ205は、運転者によって操作されるシフト装置60のポジションを検出する。
FI-ECU4は、上記の各センサ202~208から入力された検出データやAT-ECU5から入力される各種データに基づいて、エンジン1の出力、すなわちエンジン1の回転数Neを制御する。
入力軸10の回転トルクは、後述する図3に示す変速機構が備えるクラッチおよび歯車列等を介して出力軸11に伝達される。また、出力軸11の回転トルクは、図1では図示しない歯車列およびディファレンシャル機構を介して車両の駆動輪に伝達される。
トルクコンバータ3は、流体(作動油)を介してトルクの伝達を行うものである。トルクコンバータ3は、図1及び図2に示すように、フロントカバー35と、フロントカバー35と一体に形成されたポンプ翼車(ポンプインペラ)31と、フロントカバー35とポンプ翼車31との間でポンプ翼車31に対向配置されたタービン翼車(タービンランナ)32と、ポンプ翼車31とタービン翼車32との間に介設され、かつ一方向クラッチ33を介してステータ軸(固定軸)36上に回転自在に支持されたステータ翼車34とを有する。図1に示すように、クランクシャフト7は、フロントカバー35を介してトルクコンバータ3のポンプ翼車31に接続され、タービン翼車32は入力軸(自動変速機2の入力軸)10に接続される。
タービン翼車32とフロントカバー35との間には、ロックアップクラッチ40が設けられている。ロックアップクラッチ40は、油圧制御装置6の制御によって、ロックアップピストン39がフロントカバー35側の第2油室38の油圧で押圧されることにより係合(締結)し、当該押圧が解除されることにより係合が解除されるロックアップ制御を行う。フロントカバー35およびポンプ翼車31により形成される容器内には、作動油(ATF:Automatic Transmission Fluid)が封入されている。なお、ロックアップクラッチ40では、ロックアップピストン39に対するポンプ翼車31及びタービン翼車32側に第1室37が画成されており、ロックアップピストン39に対するフロントカバー35側に第2油室38が画成されている。
油圧制御装置(油圧回路)6は、オイルタンク(図示せず)の作動油を供給するオイルポンプOP、オイルポンプOPからの供給圧をライン圧に調圧するレギュレータバルブ21、レギュレータバルブ21で調圧された作動油を更に調圧してトルクコンバータ3に供給するトルコン調圧バルブ22、トルコン調圧バルブ22で調圧された作動油の第1油室37及び第2油室38への供給制御を行うLCシフトバルブ23、LCシフトバルブ23に信号圧を供給するためのシフトソレノイド(LCシフトSOL)26,第2油室38に供給される作動油の油圧を制御するLCコントロールバルブ24、LCコントロールバルブ24に信号圧を供給するためのリニアソレノイド(LCリニアSOL)25などを備える。
AT-ECU5は、各センサ202~208から入力された検出データやFI-ECU4から入力された各種データに基づいて、油圧制御装置6を制御する。したがって、油圧制御装置6は、自動変速機2の変速機構2aが有する図示しない複数の摩擦係合要素(クラッチ)それぞれにライン圧PL(作動油圧)の作動油を供給する。これにより、複数の摩擦係合要素の締結・解放(係合作動)を選択的に行わせて、複数の変速段のいずれかの変速段に設定することができる。
また、油圧制御装置6は、トルクコンバータ3のポンプ翼車31に作動油圧の作動油を供給することにより、クランクシャフト7の回転駆動を入力軸10にどの程度伝達させるかを示すスリップ率を制御するとともに、ロックアップクラッチ40の油室37,38に作動油圧の作動油を供給することにより、車両の巡航走行時など所定の条件下、ロックアップクラッチ40を係合(締結)させるように制御する。
すなわち、ロックアップクラッチ40では、第1油室37と第2油室38の差圧によってロックアップ容量(ロックアップクラッチ40の締結力)が生じる。すなわち、オイルポンプOPから吐出された作動油の吐出圧(ライン圧)は、トルコン調圧バルブ22で調圧され、この調圧された作動油が図2の内圧P1で示すように、トルクコンバータ3の内部を経由してロックアップクラッチ40の第1油室37に流れ込む。一方、トルコン調圧バルブ22で調圧された作動油は、LCコントロールバルブ24で必要圧に調圧され、図2のピストン圧P2に示すように、LCシフトバルブ23を介してロックアップクラッチ40の第2油室38に流れ込む。
LCシフトバルブ23は、第2油室38への油圧をオンオフ制御することで、ロックアップクラッチ40のオンオフ(締結/解除)を切り替える。一方、LCコントロールバルブ24には、パイロット圧としてのリニアソレノイド圧P3がかかるようになっている。このリニアソレノイド圧P3でLCコントロールバルブ24の調圧ポイントを変えることで、第2油室38の圧力がコントロールされる。これにより、ロックアップクラッチ40の締結力が調節されてスリップ制御が行われる。
また、油圧制御装置6は、変速機構2aの入力軸10や出力軸11及び変速ギヤやクラッチ及びブレーキなどを潤滑するための潤滑油を変速機構2aに供給する。
次に、変速機構の構成を図3に基づいて以下に説明する。図3は、変速機構の基本構成を示すスケルトン図である。図示の変速機構2aは、ケーシング12内に回転可能に支持された入力軸10と、入力軸10と同軸回りに回転可能に配置された出力部材(出力軸)11とを備えている。ここで、出力部材11は、ケーシング12に支持された支持部材12aによって回転可能に支持されている。
出力部材11の回転は、出力部材11と噛合するアイドルギヤ121と、アイドルギヤ121を軸支するアイドル軸123と、アイドル軸123に軸支されるファイナルドライブギヤ125と、ファイナルドライブギヤ125に噛合するファイナルドリブンギヤ127を備えるデファレンシャルギヤ(図示せず)とを介して車両の駆動輪に伝達される。
また、本実施形態の変速機構2aは、パーキングロック機構140を備えている。アイドル軸123には、パーキングロック機構140のパーキングギヤ142が一体回転するように固定されている。パーキングギヤ142の近傍には、支軸144aに枢支されたパーキングポール144が配置されている。パーキングポール144のパーキングギヤ142側の端部には、係合爪146が設けられている。この係合爪146がパーキングギヤ142と係合することにより、アイドル軸123を介して駆動輪が回転不能となる状態(パーキングロック状態)となる。パーキングポール144は、係合爪146がパーキングギヤ142から離脱する方向に離脱スプリング148で付勢されている。
パーキングポール144の他方端には、カム150が進退自在に配置されている。カム150が前進することにより、パーキングポール144は離脱スプリング148の付勢力に抗して揺動し、係合爪146がパーキングギヤ142に係合される。カム150が後退することにより、パーキングポール144は離脱スプリング148の付勢力で元の位置に戻り、係合爪146とパーキングギヤ142との係合が解除される。
カム150には、リンク152を介してパーキングピストン154が接続されている。パーキングピストン154は油圧によって自身の軸方向へ移動自在に構成されている。そして、パーキングピストン154が軸方向へ移動することにより、リンク152を介してカム150が進退動作を行うように構成されている。
変速機構2aは、ケーシング12内に、4つの遊星ギヤ機構PG1,PG2,PG3,PG4と、回転要素同士の係合・非係合を切り替えるための係合機構である3つのクラッチC1,C2,C3と、回転要素と固定要素との係合・非係合を切り替えるための係合機構である3つのブレーキB1,B2,B3、および1つの機械式係合機構F1を備えている。ここで、本実施の形態においては、4つの遊星ギヤ機構PG1~PG4は、何れもシングルピニオン型を採用するものであって、これらの遊星ギヤ機構PG1~PG4によって入力軸10の回転が変速されて出力部材11へと伝達される。すなわち、係合機構を構成するクラッチC1~C3とブレーキB1~B3および機械式係合機構F1は、遊星ギヤ機構PG1~PG4における駆動力の伝達経路を切り替えて複数の変速段(本実施の形態では、前進10段、後進1段)を確立する。
4つの遊星ギヤ機構PG1~PG4は、サンギヤS1~S4と、リングギヤR1~R4と、サンギヤS1~S4とリングギヤR1~R4に噛合するピニオンギヤ(遊星ギヤ)を回転可能に支持するキャリアCr1~Cr4を複数(計12個)の回転要素としてそれぞれ備えており、これらは入力軸10と同軸上に配設されている。
係合機構を構成する各3つのクラッチC1~C3とブレーキB1~B3を係合状態(締結状態)または係合解除状態(開放状態)に切り替え、機械式係合機構F1の状態を切り替えることによって、入力軸10から出力部材11への動力伝達経路が切り替えられて複数の変速段が確立される。なお、本実施の形態では、クラッチC1~C3とブレーキB1~B3には、何れも油圧式摩擦係合機構が用いられており、この油圧式摩擦係合機構としては、乾式または湿式の単板或いは多板クラッチ或いは単板或いは多板ブレーキが用いられている。
また、機械式係合機構F1は、所定の回転要素(本実施の形態では、互いに連結されているキャリアCr1とCr2)とケーシング12との間に設けられている。この機械式係合機構F1は、所定の回転要素(キャリアCr1とCr2)の一方向の回転のみを規制し逆方向の回転を許容する「一方向回転許容状態」(ワンウェイクラッチ(OWC)状態)と、その双方向の回転を規制する「回転阻止状態」(ツーウェイクラッチ(TWC)状態)とに切り替え可能である。
ここで、上記「一方向回転許容状態」とは、いわゆるワンウェイクラッチ(OWC)と同じ機能となる状態であり、回転方向の一方では駆動伝達し、他方向では空転させる状態である。本実施の形態では、機械式係合機構F1は、ブレーキとして機能するため、以下、この機械式係合機構F1を「ブレーキF1」と称する。このブレーキF1が「一方向回転許容状態」にある場合には、所定の回転要素(キャリアCr1とCr2)の一方向の回転のみが許容される状態となる。
また、上記「回転阻止状態」とは、回転方向の双方向で駆動伝達が行われる状態であって、本実施の形態では、ブレーキF1は、ブレーキとして機能し、このブレーキF1が「回転阻止状態」にある場合には、所定の回転要素(キャリアCr1とCr2)は、双方向の回転が阻止されるロック状態にある。
ブレーキF1としては、例えば、公知のツーウェイクラッチ(TWC)を採用することができる。ここで、公知のツーウェイクラッチとしては、油圧アクチュエータや電磁アクチュエータの駆動制御によって、「一方向回転許容状態」、「双方向回転阻止状態」または「双方向回転許容状態」の何れかに切り替えることが可能なものがある。また、「一方向回転許容状態」をさらに「正方向の回転許容状態」と「逆方向の回転許容状態」とに切り替え可能なものもある。本実施の形態では、「一方向回転許容状態」と「双方向回転阻止状態」とに切り替えられればよく、「一方向回転許容状態」は、片側の回転方向の許容状態のみを利用することができれば足りる。しかし、「双方向回転許容状態」等の他の状態を選択することができるツーウェイクラッチを用いてもよい。
<各構成要素間の連結関係>
ここで、変速機構2aにおける各構成要素間の連結関係を図3に基づいて説明する。
遊星ギヤ機構PG3のサンギヤS3は、入力軸10に連結され、キャリアCr3は、遊星ギヤ機構PG1のリングギヤR1と遊星ギヤ機構PG4のキャリアCr4に連結されている。また、遊星ギヤ機構PG2のキャリアCr2は、遊星ギヤ機構PG1のキャリアCr1に連結され、リングギヤR2は、出力部材11に連結されている。したがって、遊星ギヤ機構PG2は、後述するアイドル軸123などを介して車両の駆動輪側に駆動力を出力する機能を果たす。
クラッチC1は、係合状態において入力軸10と遊星ギヤ機構PG1のキャリアCr1と遊星ギヤ機構PG2のキャリアCr2とを連結し、開放状態においてこれらのキャリアCr1とCr2との連結を解除する。また、クラッチC2は、係合状態において遊星ギヤ機構PG3のリングギヤR3と遊星ギヤ機構PG4のサンギヤS4とを連結し、開放状態においてこれらのリングギヤR3とサンギヤS4との連結を解除する。そして、クラッチC3は、係合状態において入力軸10と遊星ギヤ機構PG4のリングギヤR4とを連結し、開放状態においてこれらの入力軸10とリングギヤR4との連結を解除する。
ブレーキB1は、係合状態においてケーシング12と遊星ギヤ機構PG1のサンギヤS1とを連結し、開放状態においてケーシング12とサンギヤS1との連結を解除する。また、ブレーキB2は、係合状態においてケーシング12と遊星ギヤ機構PG4のサンギヤS4とを連結し、開放状態においてこれらのケーシング12とサンギヤS4との連結を解除する。そして、ブレーキB3は、係合状態においてケーシング12と遊星ギヤ機構PG4のリングギヤR4とを連結し、開放状態においてこれらのケーシング12とリングギヤR4との連結を解除する。
ブレーキF1は、前述のように、これが「一方向回転許容状態」にある場合には、遊星ギヤ機構PG2のキャリアCr2(とこれに連結されたキャリアCr1)の一方向の回転のみを規制し、これが「双方向回転阻止状態」にある場合には、遊星ギヤ機構PG2のキャリアCr2(とこれに連結されたキャリアCr1)をケーシング12に固定した状態とする。
<変速機構の作動>
ここで、本実施の形態に係る変速機構2aの作動を図4及び図5に基づいて以下に説明する。
図4は変速機構2aの各係合機構C1~C3、B1~B3およびF1の係合表、図5は変速機構2aの共線図(速度線図)である。
本実施の形態に係る変速機構2aにおいては、前進10段(1st~10th)、後進1段(RVS)の変速段の確立が可能である。なお、図4における「P/N」は、非走行状態のレンジを示しており、「P」はパーキングレンジを示し、「N」はニュートラルレンジを示している。
図4に示す作動表において、「○」は係合状態であることを示し、無印は解放状態であることを示している。なお、変速段に必須ではないが、隣接する前後の変速段への移行をスムーズに行うために、作動表には、係合状態(「○」で表示)としている係合機構が含まれている。例えば、1速段(1st)の場合、ブレーキB2の係合は必須ではないが、後進段(RVS)や2速段(2nd)へ移行する場合に、係合状態を切り替える係合機構の数を少なくする目的で係合状態としている。同様に、5速段(5th)の場合、クラッチC3の係合は必須ではないが、4速段(4th)や6速段(6th)へ移行する場合に、係合状態を切り替える係合機構の数を少なくする目的で係合状態としている。
ブレーキF1については、「○」は双方向回転阻止状態であることを示し、「△」は一方向回転許容状態であることを示している。1速段(1st)の場合、ブレーキF1は、双方向回転阻止状態と一方向回転許容状態の何れの状態であってもよいが、双方向回転阻止状態である場合には、エンジンブレーキが有効化され、一方向回転許容状態である場合には、エンジンブレーキが効かなくなる。1速段(1st)の場合にブレーキF1を何れの状態とするかのアルゴリズムは適宜設計することができるが、例えば、1速段(1st)に移行する前の状態を継続するものとしてもよい。具体的には、後進段(RVS)から1速段(1st)に移行する場合、1速段(1st)は双方向回転阻止状態のままとする。但し、車速が所定速度よりも高くなった場合などにおいて一方向回転許容状態に切り替えてもよい。同様に、他の前進段(2nd~10th)から1速段(1st)に移行する場合、1速段(1st)は一方向回転許容状態のままとする。
非走行レンジ(P/N)においても、ブレーキF1の状態は、双方向回転阻止状態と一方向回転許容状態の何れの状態であってもよい。したがって、1速段(1st)と同様に、非走行レンジ(P/N)に移行する前の状態を継続してもよい。
2速段(2nd)~10速段(10th)において、ブレーキF1は、一方向回転許容状態とされるが、変速機構2aの構造上から空転状態となる。このため、図2に示す作動表においては、ブレーキF1の状態を「(△)」と表示している。仮に、ブレーキF1が、双方向回転許容状態を選択可能なものである場合、2速段(2nd)~10速段(10th)においてブレーキF1を双方向回転許容状態とすることも可能である。
なお、本実施の形態においては、2速段(2nd)~10速段(10th)においては何れもブレーキF1の状態として、一方向回転許容状態が選択される構成としているが、変速機構2aの構成によっては、双方向回転阻止状態が選択される構成も採用することができる。
図5に示す速度線図(共線図)は、入力軸10への入力に対する各要素の各変速段における回転速度比を示している。図5の縦軸は、速度比を示しており、速度比「1」が入力軸10と同速度であることを示し、速度比「0」は、停止状態であることを示している。そして、横軸は、遊星ギヤ機構PG1~PG4の回転要素間のギヤレシオを示しており、図中の「λ」は、キャリアCrとサンギヤSとのギヤレシオを示している。なお、図5には、出力軸11に対応する要素については図示を省略している。
<トルクコンバータ内圧学習制御>
本実施形態の車両では、AT-ECU5は、変速機構2aの入力軸(第二回転軸)10から車両の車輪軸または変速ギヤへの動力の伝達が行われない状態(オフギヤ状態)のときに、ロックアップクラッチ40に供給する作動油の指令圧を上昇させて、クランクシャフト(第一回転軸)7の回転数と変速機構2aの入力軸10(第二回転軸)の回転数との回転数差又は回転数比(すなわち、トルクコンバータ3(又はロックアップクラッチ40)のスリップ率又はスリップ量)が所定以上(例えば、ロックアップクラッチ40が係合状態となる差回転0や回転比100%)となることなどで、スリップ率又はスリップ量の値が所定の締結状態を越える値になったと判断したら、その際のロックアップクラッチ40に供給する作動油の指令圧に基づいて、トルクコンバータ3の内圧を学習するトルクコンバータ内圧学習制御を行う。なお、ここでいうトルクコンバータ3の内圧とは、トルクコンバータ3の内部を流通する作動油の圧力のことであり、具体的には、ロックアップクラッチ40におけるロックアップピストン39に対するポンプ翼車31及びタービン翼車32側である第1室37の油圧を指す。
以下、上記のトルクコンバータ内圧学習制御について詳細に説明する。図6は、トルクコンバータ内圧学習制御における各値の変化を示すタイミングチャートである。同図のグラフでは、車両の走行レンジ(シフトレンジ)、トルクコンバータスリップ率安定判定タイマーTS、トルクコンバータ3のスリップ率、ロックアップクラッチ40のオンオフを切り替えるためのLCシフトバルブ23を作動させるLCシフトソレノイド26に付与する電流値IA、ロックアップクラッチ40のスリップ率を制御するためのLCコントロールバルブ24を作動させるLCリニアソレノイド25に付与する電流値IB、ロックアップクラッチ40の油圧P(指令圧及び実圧)、ロックアップクラッチ圧解放判定タイマーTLそれぞれの経時変化を示している。ここでいうトルクコンバータ3のスリップ率は、エンジン1の回転数(NE)であるクランクシャフト(第一回転軸)7の回転数とトランスミッション側入力回転数(NM)である入力軸(第二回転軸)10の回転数との回転数比(NM/NE)であるが、これに限らず、逆の回転数比(NE/NM)を用いて判断しても良いし、さらには、回転数差(差回転)であるスリップ量を用いて判断しても良い。
ここではまず、時刻t1に車両の走行レンジ(シフトレンジ)が走行状態のDレンジから非走行状態(停車状態)のPレンジに切り替えられる。これにより、同時刻にトルクコンバータスリップ率安定判定タイマーTSが計時(カウントダウン)を開始すると共に、トルクコンバータ3のスリップ率が上昇を開始して、アイドル回転により次第にポンプ翼車31のトルクとタービン翼車32のトルクが釣り合う回転比に近似する[0]。その後、時刻t2にトルクコンバータスリップ率安定判定タイマーTSがカウントアップすることで、LCシフトソレノイド26に付与する電流値IAが実質的0から所定電流値となり、ロックアップクラッチ40がオンする。
時刻t2にロックアップクラッチ40がオンすると、同時にLCリニアソレノイド25に付与する電流値IBが上昇を開始することで、ロックアップクラッチ40の締結量が増加してゆく。LCリニアソレノイド25に付与する電流値IBは、(油圧の追従性が十分な速度で)経過時間tに比例するように上昇させることができる。その後、時刻t3にスリップ率が所定の閾値を超えるか、又はスリップ率の変化量(増加量)が所定の閾値を超えることでロックアップクラッチ40が締結状態になったと判断する。この判断をもって、LCリニアソレノイド25に付与する電流値IBの上昇を停止させ、以降は、電流値IBをその値(最大値)に保持する。そして、この際のLCリニアソレノイド25に付与する電流値IBの値(最大値)に対応する油圧(ロックアップクラッチ40への指令圧)の値を学習する。この学習した油圧の値が、現在のトルクコンバータ3の内圧が加味されたロックアップクラッチ40が締結状態となる指令圧の値(以下、これを「タッチポイント油圧」ということがある。)となる。その後、LC圧解放判定タイマーTLがカウントダウンを開始する時刻t4にLCシフトソレノイド26の電流をオフすることでロックアップクラッチ40をオフし、LCリニアソレノイド25に付与する電流値IBを低下させる。その後、時刻t5にLC圧解放判定タイマーTLがカウントアップすることで、トルクコンバータ内圧学習制御が終了し、シフトレンジがPレンジからDレンジに切り替え可能となる。
また、本実施形態では、AT-ECU5は、上記のトルクコンバータ内圧学習制御で学習したトルクコンバータ3の内圧に基づいて、トルクコンバータ3への入力トルクに応じてロックアップクラッチ40に供給する作動油の指令圧を補正する制御を行う。また、AT-ECU5は、トルクコンバータ内圧学習制御で学習したトルクコンバータ3の内圧に基づいて、ロックアップクラッチ40に供給する作動油の指令圧の最大値を補正する制御を行う。
図7は、トルクコンバータ3への入力トルクに応じてロックアップクラッチ40に供給する作動油の指令圧を補正する制御について説明するための図であり、トルクコンバータ3の入力トルクTに対するロックアップクラッチ40への締結指令圧PIの関係を示すグラフである。締結指令圧はロックアップクラッチ40を締結状態とする指令圧を算出するための入力トルクTに基づく作動油圧である。なお、ロックアップクラッチ40を締結状態とする際に締結指令圧を作動油の温度等や車両状態、例えばエンジン回転数に応じてさらに補正した油圧としてもよい。ロックアップクラッチ40への締結指令圧(ベース圧)PIは、トルクコンバータ3の入力トルクTに対して略比例関係にあり、トルクコンバータ3の入力トルクTが高くなるほどロックアップクラッチ40への締結指令圧PIは上昇するように設定されている。そしてここでは、ロックアップクラッチ40への締結指令圧PIを上記のトルクコンバータ内圧学習制御で学習したタッチポイント油圧に応じて設定することで、ロックアップクラッチ40への締結指令圧PIの補正を行う。タッチポイント油圧はオフギヤ状態のアイドル停止中に学習する油圧であり、オフギヤ状態のアイドル停止中の入力トルクは比較的小さく、ロックアップクラッチ40の締結に必要なクラッチの影響をほとんど排除できるため、トルクコンバータ40の内圧変化をより正確に学習することができる。同図のグラフに示す例では、タッチポイント油圧に応じてロックアップクラッチ40への締結指令圧PIを一律に高くする補正を行っている。これにより、各入力トルクの値に対するロックアップクラッチ40への締結指令圧PIが高くなるので、実際にロックアップクラッチ40に付与される締結圧(ロックアップクラッチ40への指令圧とトルクコンバータ3の内圧との差圧)も高くなる。したがって、トルクコンバータ3の内圧の上昇に伴うロックアップクラッチ40の締結圧の低下を補うことができる。
またここでは、ロックアップクラッチ40への指令圧の最大値PImaxを上記のトルクコンバータ内圧学習制御で学習したタッチポイント油圧に応じて設定することで、ロックアップクラッチ40への指令圧の最大値PImaxの補正を行う。同図のグラフに示す例では、タッチポイント油圧に応じてロックアップクラッチ40への指令圧の最大値を高くする補正を行っている。これにより、現在のトルクコンバータ3の内圧の上昇に伴うロックアップクラッチ40の締結圧の低下を加味して、実質的な耐久性に問題の無いレベルまでロックアップクラッチ40への指令圧の最大値PImaxを高めることが可能となるので、ロックアップクラッチ40の制御性を向上させることができる。
図8は、トルクコンバータ3の内圧とロックアップクラッチ40の締結圧との関係を示すグラフであり、LC圧は指令圧に基づいて出力される実圧であって、横軸は車両の使用期間(累積の使用時間)であり、縦軸は油圧(トルクコンバータ3の内圧又はロックアップクラッチ40の締結圧)である。同図のグラフに示すように、ロックアップクラッチ40への指令圧の最大値(最大油圧)は、許容負荷(差圧=ロックアップクラッチ40への指令圧-トルクコンバータ3の内圧)によって設定する。トルクコンバータ3の内圧が上がった分はロックアップクラッチ40への指令圧の最大値を上げても差圧は変わらないので、その分、ロックアップクラッチ40への指令圧の最大値を上げることが可能である。
図9は、上記のトルクコンバータ内圧学習制御及びトルクコンバータの締結指令圧の補正を行う手順を説明するためのフローチャートである。このフローチャートを用いて、以下、トルクコンバータ内圧学習制御及びトルクコンバータ3の締結指令圧の補正の手順を説明する。ここではまず、車両の走行レンジがPレンジ又はNレンジ(いわゆる変速機構2aのオフギヤ状態)であるか否かを判断する(ステップST1)。その結果、Pレンジ又はNレンジ(オフギヤ状態)で無ければ(NO)、トルクコンバータ内圧学習制御を実施せず処理を終了し、Pレンジ又はNレンジ(オフギヤ状態)であれば(YES)、続けて、車両が停車中か否かを判断する(ステップST2)。ここでの車両が停車中か否かは、例えば、車速センサ204で検出した車速Vが実質的に0(V≒0)であるか否かで判断する。その結果、車両が停車中で無ければ(NO)、トルクコンバータ内圧学習制御を実施せず処理を終了し、車両が停車中であれば(YES)、続けて、作動油の油温及びエンジン1の冷却水の水温が所定温度以下の低油温又は低水温では無いか否かを判断する(ST3)。その結果、作動油の油温及び冷却水の水温が低油温又は低水温であれば(NO)、トルクコンバータ内圧学習制御を実施せず処理を終了し、作動油の油温及び冷却水の水温が低油温又は低水温で無ければ(YES)、続けて、トルクコンバータスリップ率安定判定タイマーがカウントアップ(TS=0)か否かを判断する(ST4)。その結果、トルクコンバータスリップ率安定判定タイマーがカウントアップ(TS=0)していなければ(NO)、トルクコンバータ内圧学習制御を実施せず処理を終了し、トルクコンバータスリップ率安定判定タイマーがカウントアップ(Ts=0)していれば(YES)、続けて、LCシフトバルブ23の電流値IAを上げてロックアップクラッチ40をオンし、かつ、LCコントロールバルブ24の電流値IBを漸増させてロックアップクラッチ40の締結率を増加させる(ステップST5)。その後、Dレンジ(インギヤ)の指示が無いか否かを判断し(ステップST6)、Dレンジ(インギヤ)の指示が有れば(NO)、LCシフトバルブ23とLCコントロールバルブ24をいずれもオフし(ステップST7)、ロックアップクラッチ圧解放判定タイマーTLが経過後(TL=0)か否かを判断する(ステップST8)。その結果、ロックアップクラッチ圧解放判定タイマーTLの経過前(TL≠0)であれば(NO)、ロックアップクラッチ圧解放判定タイマーTLが経過するまでDレンジ(インギヤ)への切り替えを待ち(ステップST9)、ロックアップクラッチ圧解放判定タイマーTLの経過後(TL=0)であれば(YES)、Dレンジ(インギヤ)への切り替えを実施する(ステップST10)。一方、先のステップST6でDレンジ(インギヤ)の指示が無ければ(YES)、トルクコンバータ3のスリップ率またはスリップ量の変化(変化率又は変化量)に基づいてタッチポイント油圧の検知を行う(ステップST11)。その後、LCコントロールバルブ24によるロックアップクラッチ40の締結指令圧としてタッチポイント油圧の値を保持し(ステップST12)、検知したタッチポイント油圧と締結指令圧(補正前)の油圧との差分を学習する(ステップST13)。その後、LCシフトソレノイド26とLCリニアソレノイド25をいずれもオフする(ステップST14)。そして、タッチポイント油圧に基づいてロックアップクラッチ40への締結指令圧の補正、及びロックアップクラッチ40への指令圧の最大値PImaxの補正を行う(ステップST15)。
以上説明したように、本実施形態の車両用自動変速機の制御装置では、変速機構2aの入力軸(第二回転軸)10から車両の車輪軸または変速ギヤへの動力の伝達が行われない状態(いわゆるオフギヤ状態)のときに、ロックアップクラッチ40に供給する作動油の指令圧を上昇させて、クランクシャフト(第一回転軸)7の回転数と変速機構2aの入力軸10(第二回転軸)の回転数との回転数比またはその変化率(すなわち、トルクコンバータ33のスリップ率の値が所定以上となるか又はスリップ率の変化率)が所定以上(例えば、ロックアップクラッチ40が完全係合状態となる実質的な差回転が0の状態や回転比が略100%の状態)となったら、その際のロックアップクラッチ40に供給する作動油の指令圧に基づいて、トルクコンバータ3の内圧を学習するトルクコンバータ内圧学習制御を行う。実施形態においてDレンジ(インギヤ)判定はステップST6で行ったが、任意の箇所で設定可能である。学習中にDレンジが設定された場合には学習を中止することも可能である
本実施形態の車両用自動変速機の制御装置によれば、変速機構2aの入力軸10から車両の車輪軸または変速ギヤへの動力の伝達が行われない状態(いわゆるオフギヤ状態)の油圧が安定した領域において、ロックアップクラッチ40に供給する作動油の指令圧を上昇させて、トルクコンバータ3のスリップ率の値又はその変化からトルクコンバータ3の内圧を学習するようにしている。これにより、現状のトルクコンバータ40の内圧を把握することができるので、把握した内圧を用いて、ロックアップクラッチ40に供給する作動油の指令圧やその最大値を適切に補正できるようになる。したがって、トルクコンバータ3やロックアップクラッチ40の現状により即した油圧制御を行うことが可能となる。
また、本実施形態では、トルクコンバータ内圧学習制御で学習したトルクコンバータ3の内圧に基づいて、トルクコンバータ3への入力トルクに応じてロックアップクラッチ40に供給する作動油の指令圧を補正するようにしている。
この構成によれば、トルクコンバータ内圧学習制御で学習したトルクコンバータ3の内圧に基づいて、ロックアップクラッチ40に供給する作動油の指令圧を補正することができるので、ロックアップクラッチ40に供給する作動油の指令値を現在のトルクコンバータ3の内圧に基づいた適切な値とすることが可能となる。すなわち、従来の制御では、現在のトルクコンバータ3の内圧を把握せずにロックアップクラッチ40に供給する作動油の指令圧を決めていたため、トルクコンバータ3の内圧の上昇によってロックアップクラッチ40に必要な係合圧が不足するおそれがあったところ、本実施形態の制御によれば、現在のトルクコンバータ3の内圧に応じてロックアップクラッチ40に供給する作動油の指令圧がより適切に補正されることで、ロックアップクラッチ40に必要な係合圧をより適切に供給することが可能となる。
また、本実施形態では、トルクコンバータ内圧学習制御で学習したトルクコンバータ3の内圧に基づいて、ロックアップクラッチ40に供給する作動油の指令圧の最大値を補正するようにしている。
この構成によれば、トルクコンバータ内圧学習制御で学習したトルクコンバータ3の内圧に基づいて、ロックアップクラッチ40に供給する作動油の指令圧の最大値を補正することができるので、ロックアップクラッチ40に供給する作動油の指令圧の最大値を現在のトルクコンバータ3の内圧に基づいた適切な値とすることが可能となる。すなわち、従来の制御では、現在のトルクコンバータ3の内圧を把握することなくロックアップクラッチ40に供給する作動油の指令圧の最大値を決めていたため、トルクコンバータ3の内圧の上昇によってロックアップクラッチ40に必要な最大の係合圧が不足するおそれがあったところ、本実施形態の制御によれば、現在のトルクコンバータ3の内圧に応じてロックアップクラッチ40に供給する作動油の指令圧の最大値がより適切に補正されることで、ロックアップクラッチ40に必要な最大の係合圧をより適切に供給することが可能となる。
また、本実施形態では、車両の走行レンジがPレンジ(駐車レンジ)又はNレンジ(ニュートラルレンジ)の場合にトルクコンバータ内圧学習制御を行う。
この構成によれば、車両の走行レンジがPレンジ又はNレンジの場合にトルクコンバータ内圧学習制御を行うことで、車両の走行レンジがPレンジ又はNレンジ以外のレンジの状態でトルクコンバータ内圧学習制御が行われることを回避して、トルクコンバータ内圧学習制御の実施によるエンジンストールを防止することができる。なお、図4の係合表に示すように、Pレンジ又はNレンジでは、変速機構2aのクラッチC1~C3がすべて非締結となっているため、入力軸10から車両の車輪軸または変速ギヤへの動力の伝達が行われない状態(オフギヤ状態)となる。
また、本実施形態では、トルクコンバータ内圧学習制御において、変速機構2aの入力軸10から車両の車輪軸または変速ギヤへの動力の伝達が行われない状態(オフギヤ状態)になってから所定時間が経過した後、又は、車両の走行レンジがPレンジ又はNレンジになってから所定時間が経過した後に、ロックアップクラッチ40に供給する作動油の指令圧を上昇させる。
この構成によれば、トルクコンバータ内圧学習制御において、変速機構2aの入力軸10から車両の車輪軸または変速ギヤへの動力の伝達が行われない状態(オフギヤ状態)になってから所定時間が経過した後、又は、車両の走行レンジがPレンジ又はNレンジになってから所定時間が経過した後に、ロックアップクラッチ40に供給する作動油の指令圧を上昇させることで、トルクコンバータのスリップ率が安定した状態でトルクコンバータ内圧学習制御を実施することができるため、当該制御における誤学習を防止できる。
また、本実施形態では、作動油の油温が所定温度以下の低温時には、トルクコンバータ内圧学習制御を実施しないようにしている。
作動油の油温が所定温度以下の低温時には、作動油の粘性が高くなることで、油温が高い場合と比較してトルクコンバータ3のスリップ率が高くなる傾向がある。そのため、そのような状況では、トルクコンバータ3の内圧を適切に学習することができないおそれある。したがって、作動油の油温が所定温度以下の低温時には、トルクコンバータ内圧学習制御を実施しないようにすることが望ましい。なお、これ以外にも、エンジン1の水温(冷却水の水温)が所定温度以下の低温時にトルクコンバータ内圧学習制御を実施しないようにしてもよい。
また、本実施形態では、トルクコンバータ内圧学習制御の実施中に、変速機構2aの入力軸10から車両の車輪軸または変速ギヤへの動力の伝達を行う旨の指示(インギヤ指示)を受けた場合、トルクコンバータ内圧学習制御を中止するようにしている。具体的には、Dレンジの指示があった場合にトルクコンバータ内圧学習制御を中止している。
この構成によれば、トルクコンバータ内圧学習制御の実施中に、変速機構2aの入力軸10から車両の車輪軸または変速ギヤへの動力の伝達を行う旨の指示(インギヤ指示)を受けた場合には、トルクコンバータ内圧学習制御を中止することで、ロックアップクラッチの締結制御を伴うトルクコンバータ内圧学習制御の実施によるエンジンストールをより確実に防止することができる。
また、本実施形態では、変速機構2aの入力軸10から車両の車輪軸または変速ギヤへの動力の伝達を行う旨の指示(インギヤ指示)を受けて、トルクコンバータ内圧学習制御を中止した場合、その後、ロックアップクラッチ40の非係合状態(LC解除:非係合状態となる差回転や回転比)を判断した場合、又はタイマーによる所定時間経過後に、変速機構2aの入力軸10から車両の車輪軸または変速ギヤへの動力の伝達を開始するようにしている。
この構成によれば、変速機構2aの入力軸10から車両の車輪軸または変速ギヤへの動力の伝達を行う旨の指示(インギヤ指示)を受けて、トルクコンバータ内圧学習制御を中止した場合には、その後、ロックアップクラッチ40の非係合状態(LC解除:非係合状態となる差回転や回転比)を判断した場合、又はタイマーによる所定時間経過後に、変速機構2aの入力軸10から車両の車輪軸または変速ギヤへの動力の伝達を開始することで、トルクコンバータ内圧学習制御の実施によるエンジンストールを防止することができる。
また、本実施形態では、車両の累積の使用時間が所定時間に達したら、それ以降は、トルクコンバータ内圧学習制御を行わないようにすることが望ましい。
このことについて以下詳細に説明する。図11は、車両の累積の使用時間(使用期間)とトルクコンバータ内を流通する作動油の油圧に生じる圧力損失の増加量又は増加率との関係を示すグラフで、横軸は、車両の累積の使用時間(使用期間)、縦軸は、トルクコンバータ内を流通する作動油の油圧に生じる圧力損失の増加量又は増加率である。トルクコンバータ3の内圧の上昇は、車両の使用時間(使用期間)が経過してトルクコンバータ3の下流側に配置されたオイルフィルターに微小な異物(コンタミネーション)が堆積することで起こるところ、同図のグラフに示すように、車両の累積の使用時間が所定時間に達するまではオイルフィルターへのコンタミネーションによる圧力損失の増加量又は増加率の変化が顕著であるが、それ以降は、圧力損失の増加量又は増加率の変化が鈍化する傾向がある。
そのため、車両の累積の使用時間が所定時間taに達したら、それ以降は、トルクコンバータ3の内圧にあまり大きな変化は生じないようになると考えられる。したがって、車両の累積の使用時間が所定時間taに達したら、それ以降は、トルクコンバータ内圧学習制御を行わないようにすることが望ましい。
なお、本発明は、以上説明した実施の形態に適用が限定されるものではなく、特許請求の範囲及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内で種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、車両の駆動源としてエンジンのみを備えた車両を例に説明したが、これ以外にも、本発明の制御装置は、車両の駆動源としてエンジンとモータ(電動モータ)とを備えるハイブリッド車両にも適用が可能である。その場合、一例として、図示及び詳細な説明は省略するが、図1のスケルトン図において、エンジン1とトルクコンバータ3の間(エンジン1の出力軸であるクランクシャフト7上)に駆動源としての電動モータを配置することが可能である。また本実施形態ではクランクシャフト(第一回転軸)7の回転数と変速機構2aの入力軸10(第二回転軸)の回転数との回転数を用いて説明したがクランクシャフトの回転数はクランクシャフトに限らず、たとえばクランクシャフトと直結するまたは同じ回転数となる軸の回転数を用いてもよい
1 エンジン(EG)
2 自動変速機
2a 変速機構
3 トルクコンバータ(TC)
4 FI-ECU
5 AT-ECU(制御手段)
6 油圧制御装置
7 クランクシャフト(エンジンの出力軸:第一回転軸)
8 アクセルペダル
10 (変速機構の)入力軸(第二回転軸)
11 出力軸(出力部材)
12 ケーシング(変速機ケース)
12a 支持部材
21 レギュレータバルブ
22 トルコン調圧バルブ
23 LCシフトバルブ
24 LCコントロールバルブ
25 リニアソレノイド
26 シフトソレノイド
31 ポンプ翼車
32 タービン翼車
33 一方向クラッチ
34 ステータ翼車
35 フロントカバー
37,38 油室
40 ロックアップクラッチ(LC)
60 シフト装置
121 アイドルギヤ
123 アイドル軸
125 ファイナルドライブギヤ
127 ファイナルドリブンギヤ
140 パーキングロック機構
142 パーキングギヤ
144 パーキングポール
144a 支軸
146 係合爪
148 離脱スプリング
150 カム
152 リンク
154 パーキングピストン
201 クランクシャフト回転数センサ
202 入力軸回転数センサ
203 出力軸回転数センサ
204 車速センサ
205 シフトポジションセンサ
206 スロットル開度センサ
207 アクセルペダル開度センサ
208 油温センサ
B1,B2,B3 ブレーキ
C1,C2,C3 クラッチ
Cr1,Cr2,Cr3,Cr4 キャリア
F1 ブレーキ(機械式係合機構)
PG1,PG2,PG3,PG4 遊星ギヤ機構
R1-R4 リングギヤ
S1-S4 サンギヤ
OP オイルポンプ
P1 内圧
P2 ピストン圧
P3 リニアソレノイド圧
PL ライン圧
TA 油温
TH スロットル開度

Claims (12)

  1. 車両に搭載したエンジンからの回転が出力される第一回転軸と、有段式の変速機構を有する自動変速機へ回転が入力される第二回転軸との間に設けられたロックアップクラッチ付きのトルクコンバータと、
    作動油を調圧して前記変速機構及び前記トルクコンバータに供給する油圧制御装置と、
    前記油圧制御装置の供給油圧を制御することで、前記変速機構による変速段の設定及び前記ロックアップクラッチの締結状態を制御する制御手段と、を備える車両用自動変速機の制御装置であって、
    前記ロックアップクラッチは、当該ロックアップクラッチに供給される作動油の油圧と前記トルクコンバータの内圧との差圧に応じた係合油圧が付与される構成であり、
    前記制御手段は、
    前記第二回転軸から車両の車輪軸または変速ギヤへの動力の伝達が行われない状態のときに、前記ロックアップクラッチに供給する作動油の指令圧を上昇させて、前記第一回転軸と前記第二回転軸との回転数差又は回転数比が所定の締結状態を越える値になったと判断したら、その際の前記ロックアップクラッチに供給する作動油の指令圧に基づいて、前記トルクコンバータの内圧を学習するトルクコンバータ内圧学習制御を行う
    ことを特徴とする車両用自動変速機の制御装置。
  2. 車両に搭載したエンジンからの回転が出力される第一回転軸と、有段式の変速機構を有する自動変速機へ回転が入力される第二回転軸との間に設けられたロックアップクラッチ付きのトルクコンバータと、
    作動油を調圧して前記変速機構及び前記トルクコンバータに供給する油圧制御装置と、
    前記油圧制御装置の供給油圧を制御することで、前記変速機構による変速段の設定及び前記ロックアップクラッチの締結状態を制御する制御手段と、を備える車両用自動変速機の制御装置であって、
    前記ロックアップクラッチは、当該ロックアップクラッチに供給される作動油の油圧と前記トルクコンバータの内圧との差圧に応じた係合油圧が付与される構成であり、
    前記制御手段は、
    前記第二回転軸から車両の車輪軸または変速ギヤへの動力の伝達が行われない状態のときに、前記ロックアップクラッチに供給する作動油の指令圧を上昇させて、前記第一回転軸と前記第二回転軸との回転数差又は回転数比の変化率が所定以上となったら、その際の前記ロックアップクラッチに供給する作動油の指令圧に基づいて、前記トルクコンバータの内圧を学習するトルクコンバータ内圧学習制御を行う
    ことを特徴とする車両用自動変速機の制御装置。
  3. 前記制御手段は、前記トルクコンバータ内圧学習制御において、前記回転数差又は回転数比の値が締結状態と判定される所定値以上となったら、その際の前記ロックアップクラッチに供給する作動油の指令圧に基づいて、前記トルクコンバータの内圧を学習する
    ことを特徴とする請求項1に記載の車両用自動変速機の制御装置。
  4. 前記制御手段は、前記トルクコンバータ内圧学習制御で学習した前記トルクコンバータの内圧に基づいて、前記トルクコンバータへの入力トルクに応じて前記ロックアップクラッチに供給する作動油の指令圧を補正する
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車両用自動変速機の制御装置。
  5. 前記制御手段は、前記トルクコンバータ内圧学習制御で学習した前記トルクコンバータの内圧に基づいて、前記ロックアップクラッチに供給する作動油の指令圧の最大値を補正する
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車両用自動変速機の制御装置。
  6. 前記制御手段は、
    車両の走行レンジが駐車レンジ又はニュートラルレンジの場合に前記トルクコンバータ内圧学習制御を行う
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車両用自動変速機の制御装置。
  7. 前記制御手段は、前記トルクコンバータ内圧学習制御において、
    前記第二回転軸から車両の車輪軸または変速ギヤへの動力の伝達が行われない状態になってから所定時間が経過した後、又は、車両の走行レンジが駐車レンジ又はニュートラルレンジになってから所定時間が経過した後に、前記ロックアップクラッチに供給する作動油の指令圧を上昇させる
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車両用自動変速機の制御装置。
  8. 前記制御手段は、作動油の油温が所定温度以下の低温時には、前記トルクコンバータ内圧学習制御を実施しない
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車両用自動変速機の制御装置。
  9. 前記制御手段は、前記トルクコンバータ内圧学習制御の実施中に、前記第二回転軸から車両の車輪軸または変速ギヤへの動力の伝達を行う旨の指示を受けた場合、前記トルクコンバータ内圧学習制御を中止する
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車両用自動変速機の制御装置。
  10. 前記制御手段は、前記第二回転軸から車両の車輪軸または変速ギヤへの動力の伝達を行う旨の指示を受けて、前記トルクコンバータ内圧学習制御を中止した場合、その後、前記ロックアップクラッチの非係合状態を判断した場合、又はタイマーによる所定時間経過後に、前記第二回転軸から車両の車輪軸または変速ギヤへの動力の伝達を開始する
    ことを特徴とする請求項8に記載の車両用自動変速機の制御装置。
  11. 前記制御手段は、
    前記車両の累積の使用時間が所定時間に達したら、それ以降は、前記トルクコンバータ内圧学習制御を行わない
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車両用自動変速機の制御装置。
  12. 前記ロックラップクラッチは、前記ロックアップクラッチに供給される油圧で押圧されて締結するロックアップピストンを備え、
    前記ロックアップクラッチに供給される作動油の油圧は、前記ロックアップピストンに対する前記フロントカバー側の油圧であり、
    前記トルクコンバータの内圧は、前記ロックアップピストンに対する前記トルクコンバータのポンプ翼車及びタービン翼車側の油圧である
    ことを特徴とする請求項1に記載の車両用自動変速機の制御装置。
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