JP2024048716A - 積層体の製造方法 - Google Patents

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JP2024048716A JP2022154785A JP2022154785A JP2024048716A JP 2024048716 A JP2024048716 A JP 2024048716A JP 2022154785 A JP2022154785 A JP 2022154785A JP 2022154785 A JP2022154785 A JP 2022154785A JP 2024048716 A JP2024048716 A JP 2024048716A
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Abstract

【課題】射出発泡成形体の特徴である軽量性および剛性を有するとともに、クッション性、触感および外観にも優れた成形体の製造方法を提供すること。【解決手段】可動型と固定型から成る金型を用意し、可動型に表皮層となる表皮材を装着する工程(1)、金型を特定の開いた状態にしてキャビティを形成する工程(2)、キャビティに熱可塑性樹脂組成物を射出する工程(3)、金型を型締め完了状態にて2~20秒保持する工程(4)、可動型を型開き方向に移動させることで、熱可塑性樹脂組成物の厚さを210~600%に拡大して発泡体を形成する工程(5)、冷却する工程(6)、可動型を型閉じ方向に移動させ、表皮材が貼合された発泡体を特定の厚さに圧縮して保持する工程(7)、再び可動型を型開き方向に移動させ、表皮材が貼合された発泡体を圧縮状態から解放する工程(8)を含む、基材と表皮層を有する積層体の製造方法。【選択図】図2

Description

本発明は、熱可塑性樹脂組成物を原料とした射出発泡成形体からなる基材と、前記基材の表面に貼合された表皮層とを含む積層体の製造方法に関する。
熱可塑性樹脂からなる射出発泡成形体は、比重が小さく、成形性やリサイクル性に優れていることから、日用雑貨、台所用品、包装用フィルム、家電製品、機械部品、電気部品、自動車部品など、種々の分野で利用されている。自動車部品では、自動車の安全性や居住性、快適性の向上、さらにIT機器の増加に伴い、車載重量は増加する傾向があることから、プロピレン系重合体を含むプロピレン系樹脂組成物の使用比率が伸びてきている。特に、プロピレン系樹脂組成物からなる発泡成形体は軽量かつ成形外観に優れていることから、自動車部品に好適に使用されている。
プロピレン系重合体などの熱可塑性樹脂からなる射出発泡成形体の製造方法の一つとして、キャビティ容積が可変である金型を用い、発泡剤を含む溶融熱可塑樹脂を充填する際にはキャビティ容積を小さくしておき、充填後にキャビティ容積を拡大することで積極的に気泡発生を促進させる成形方法(コアバック法)が知られている。
また、コアバック法において、充填後にキャビティ容積を拡大することで積極的に気泡発生を促進させた後、発泡体が固化しないうちに、発泡した成形体を圧縮する成形方法も提案されており(例えば、特許文献1~3参照)、これらの発泡体は基本的に表層がソリッドスキン層で内部に発泡層を持つ3層構造を有する。
特開平8-318542号公報 特開2009-196284号公報 特開2009-208299号公報
射出発泡成形体は、発泡剤を含有した樹脂を金型のキャビティに充填して表面を固化させた後に内部を発泡させるため、表層にソリッドスキン層と呼ばれる未発泡のソリッド樹脂層と、内部に発泡した層とを有する3層構造体であり、一般に発泡構造体と呼ばれる剛性と軽量化を併せ持った成形体である。しかし、表層がソリッド状であり、発泡層も発泡倍率が低いため成形体の表面は硬く、加えて成形時に発生するスワールマークと呼ばれる外観不良が発生するという問題があり、さらに成形体表面は触るとプラスチッキー感があり、高級感に乏しい成形体になるという問題もある。
そこで本発明の目的は、射出発泡成形体の特徴である軽量性および剛性を有するとともに、クッション性、触感および外観にも優れた成形体の製造方法を提供することにある。
本発明の態様の例を以下に示す。
[1] 射出発泡成形体からなる基材と、前記基材の表面に貼合された表皮層とを含む積層体の製造方法であって、
可動型と固定型から成る金型を用意し、前記可動型に前記表皮層となる表皮材を装着する工程(1)、
前記工程(1)の後、前記金型を予め規定された型締力以下の状態で、かつ、前記表皮材の厚さに加えて10mm以下分開いた状態にしてキャビティを形成する工程(2)、
前記工程(2)の後、前記キャビティに、熱可塑性樹脂(D)および発泡剤(H)を含む熱可塑性樹脂組成物を射出する工程(3)、
前記工程(3)の後、前記金型を型締め完了状態にて2~20秒間保持する工程(4)、
前記工程(4)の後、前記可動型を型開き方向に移動させることで、前記熱可塑性樹脂組成物の厚さを210~600%に拡大して発泡体を形成する工程(5)、
前記工程(5)の後、その状態で5秒以上冷却する工程(6)、
前記工程(6)の後、前記可動型を型閉じ方向に移動させ、前記表皮材が貼合された発泡体を、前記(5)で広げた厚さの4~90%の厚さに圧縮して0.1秒以上保持する工程(7)、および
前記工程(7)の後、再び前記可動型を型開き方向に移動させ、前記表皮材が貼合された発泡体を圧縮状態から解放する工程(8)
を含み、かつ、
前記表皮材の厚さをt、
前記工程(5)における拡大後の熱可塑性樹脂組成物の厚さをV1、
前記工程(7)における圧縮後の発泡体の厚さをV2、
前記工程(8)における解放後の基材の厚さをV3
とした場合に、(V1+t)>(V3+t)>(V2+t)の関係を満たす、積層体の製造方法。
[2] 前記熱可塑性樹脂(D)が、プロピレン系重合体(E)である、項[1]に記載の積層体の製造方法。
[3] 前記熱可塑性樹脂組成物が、エチレン・α-オレフィン共重合体(F)を含む、項[1]または[2]に記載の積層体の製造方法。
[4] 前記熱可塑性樹脂組成物が、充填剤(G)を含む、項[1]~[3]のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。
[5] 前記熱可塑性樹脂組成物に含まれる発泡剤(H)の含有量が、前記熱可塑性樹脂組成物100質量部に対して、1~8質量部である、項[1]~[4]のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。
[6] 前記発泡剤(H)が、二酸化炭素系発泡剤および窒素系発泡剤からなる群より選ばれる少なくとも1種である、項[1]~[5]のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。
[7] 前記表皮層が、熱可塑性樹脂もしくは熱可塑性エラストマーのシートまたはフィルム、織布、不織布、編み物、起毛布、紙、金属箔、およびネット状物からなる群より選ばれる少なくとも1種からなる、項[1]~[6]のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。
[8] 前記基材が、その板厚方向断面において、表面側からソリッドスキン層(A1)/発泡層(B1)/発泡層(C)/発泡層(B2)/ソリッドスキン層(A2)(裏面)の5層からなり、
前記ソリッドスキン層(A1)および(A2)が、気泡状の発泡構造が観測されない層であり、
前記発泡層(B1)および(B2)が、下記条件(b-i)~(b-iii)を満たす層であり、
前記発泡層(C)が、断面の板厚方向の湾曲したセル壁を有する、項[1]~[7]に記載の積層体の製造方法:
(b-i)セル内部が気体で満たされ、周りをセル壁で囲まれた発泡セル構造を有する;
(b-ii)平面方向のセルの平均径が75μm以上400μm以下である;
(b-iii)板厚方向断面のセルの平均径が平面方向のセルの平均径に対して、1以上6以下の長さを持つセルからなる。
本発明によれば、射出発泡成形体の特徴である軽量性および剛性を有するとともに、クッション性、触感および外観にも優れた成形体(積層体)を製造することができる。すなわち、本発明によれば、指で押した時に柔らかさを感じる、押し柔らかさ、反発力のあるクッション感、また触ったときの良好な手触り感を持ちながら、スワールマークの無い良好な外観を有する成形体(積層体)の製造方法を提供することができる。
本発明の積層体の断面画像および断面画像の模式図である。 本発明の積層体の製造方法における金型の動作を示す模式図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
[積層体の製造方法]
本発明に係る積層体の製造方法(以下、単に「本発明の製造方法」という場合がある。)は、射出発泡成形体からなる基材と、前記射出発泡成形体の表面に貼合された表皮層とを含む積層体の製造方法であって、
可動型と固定型から成る金型を用意し、前記可動型に前記表皮層となる表皮材を装着する工程(1)、
前記工程(1)の後、前記金型を予め規定された型締力以下の状態で、かつ、前記表皮材の厚さに加えて10mm以下分開いた状態にしてキャビティを形成する工程(2)、
前記工程(2)の後、前記キャビティに、熱可塑性樹脂(D)および発泡剤(H)を含む熱可塑性樹脂組成物を射出する工程(3)、
前記工程(3)の後、前記金型を型締め完了状態にて2~20秒間保持する工程(4)、
前記工程(4)の後、前記可動型を型開き方向に移動させることで、前記熱可塑性樹脂組成物の厚さを210~600%に拡大して発泡体を形成する工程(5)、
前記工程(5)の後、その状態で5秒以上冷却する工程(6)、
前記工程(6)の後、前記可動型を型閉じ方向に移動させ、前記表皮材が貼合された発泡体を、前記(5)で広げた厚さの4~90%の厚さに圧縮して0.1秒以上保持する工程(7)、および
前記工程(7)の後、再び前記可動型を型開き方向に移動させ、前記表皮材が貼合された発泡体を圧縮状態から解放する工程(8)
を含み、かつ、
前記表皮材の厚さをt、
前記工程(5)における拡大後の熱可塑性樹脂組成物の厚さをV1、
前記工程(7)における圧縮後の発泡体の厚さをV2、
前記工程(8)における解放後の基材の厚さをV3
とした場合に、(V1+t)>(V3+t)>(V2+t)の関係を満たす。
以下、本発明の製造方法を各工程に分けて詳述する。
≪工程(1)および(2)≫
工程(1)および(2)では、可動型と固定型から成る金型を用意し、前記可動型に前記表皮層となる表皮材を装着し(工程(1))、その後、前記金型を予め規定された型締力以下の状態で、かつ、前記表皮材の厚さに加えて10mm以下分開いた状態にしてキャビティを形成する(工程(2))。なお、本明細書では、キャビティの厚みは、可動型の端面と固定型の端面との距離とする。すなわち、前記表皮材の厚みをtとし、工程(2)における前記表皮材の端面(固定型側)と固定型の端面との距離をVi(10mm以下)とした場合、工程(2)におけるキャビティの厚みは、Vi+tとなる。
上記の条件でキャビティを形成することにより、溶融混練した熱可塑性樹脂組成物を充填した際に、表皮材が受ける熱ダメージを抑制することができる。
≪工程(3):射出工程≫
工程(3)では、工程(2)の後、前記キャビティに、熱可塑性樹脂(D)および発泡剤(H)を含む熱可塑性樹脂組成物を射出する。
金型温度は、熱可塑性樹脂組成物を構成する主成分である熱可塑性樹脂(D)の[結晶化温度(Tc)(熱可塑性樹脂(D)が非晶性の場合はガラス転移温度(Tg)-50℃)]~[(TcまたはTg)-90℃]とし、この金型の固定型と可動型の間に形成されているキャビティに、溶融混練により可塑化された熱可塑性樹脂組成物を射出する。
溶融した発泡剤(H)を含む熱可塑性樹脂組成物は、射出成型装置のシリンダーからノズルやランナ、ゲート等を通り金型内のキャビティに射出・充填される。成形に使用されるキャビティは板状でもよいが、これに限定されるものではなく、目的とする射出発泡成形体の形状に基づく所望の形状を有していれば良く、表面にシボを付けてもよい。
なお、このキャビティの型締め時の表皮層の厚みを除いた初期厚みは、好ましくは0.7~5mmであり、より好ましくは1~3mmである。
このときの射出速度は特に限定されないが、キャビティに発泡剤(H)を含む熱可塑性樹脂組成物を充填する射出時間としては、通常0.3~10秒であり、好ましくは0.4~5秒、より好ましくは0.5~3秒である。なお、一般的な射出発泡では射出充填後の保圧は掛けないことが一般的であり、キャビティ内の発泡剤(H)を含む熱可塑性樹脂組成物は冷却され樹脂圧力が低下することで内部に発泡核の生成も期待される。
≪工程(4)および(5):発泡工程≫
工程(4)および(5)では、前記工程(3)の後、前記金型を型締め完了状態にて2~20秒間保持し(工程(4))、その後、前記可動型を型開き方向に移動(コアバック)させることで、前記熱可塑性樹脂組成物の厚さを210~600%に拡大して発泡体を形成する(工程(5))。
充填された熱可塑性樹脂組成物は、型締めを完了した状態で2~20秒間保持されることで表層より温度が低下していく(この時の熱可塑性樹脂組成物の厚さをV0とする。)。その後に熱可塑性樹脂組成物の厚さを210~600%に拡大して熱可塑性樹脂組成物内部で発泡剤が発泡セルを作ることで発泡が行われる(この時の熱可塑性樹脂組成物の厚さをV1とする。)。このときコアバックを行う時間(コアバック開始から終了までの時間)は、好ましくは0.1~3秒であり、より好ましくは0.1~1.5秒、さらに好ましくは0.1~1.0秒である。
コアバックによる熱可塑性樹脂組成物の拡大に関しては、熱可塑性樹脂組成物の厚さが210%未満では発泡セル壁が厚く、圧縮時に発泡層内のセル壁の良好な変形領域を作ることができず、逆に600%を超えた場合ではセル壁の壁面がコアバックにより壊れて、発泡層中心近傍に割れを生じたり、セル壁が繊維状になったりするために、曲げ等の外力が加わったときの剛性を維持することができない。
≪工程(6):冷却工程≫
工程(6)では、前記工程(5)の後、その状態で5秒以上冷却する。キャビティ内の発泡体を5秒以上冷却することで、セル壁が固まり、この後の圧縮工程でセル壁が接着しない状態とすることができる。
得られる成形体(積層体)の板厚にもよるが、本成形ではコアバック後に5秒以上経過すると、成形体内部の樹脂温度は結晶化温度以下に冷却していると考えられる。
≪工程(7):圧縮工程)≫
工程(7)では、前記工程(6)の後、前記可動型を型閉じ方向に移動させ、前記表皮材が貼合された発泡体を、前記工程(5)で広げた厚さの4~90%の厚さに圧縮して0.1秒以上保持する。
発泡後のセル壁が固化した状態で、可動型を閉じる方向に移動させ、発泡体の厚さを拡大した厚さ(V1-V0)の4~90%に圧縮(縮小)させる(圧縮後の発泡体の厚さをV2とする。)。
圧縮する時間(圧縮開始から圧縮終了までの時間)は、0.1秒以上であれば特に限定はされないが、好ましくは0.1~30秒間、より好ましくは0.5~10秒間である。
この圧縮工程は、成形体を成形機から取り出した後に行うこともできるが、成形機内で成形体の冷却時間終了前に行うことで、成形機を使用した圧縮が可能であり圧縮の精度も良好で、また取出し後に余分な工程を行う必要が無いので効率的である。
≪工程(8)≫
工程(8)は、前記工程(7)の後、再び前記可動型を型開き方向に移動させ、前記表皮材が貼合された発泡体を圧縮状態から解放する工程である。これにより、圧縮された発泡層の厚みが復元され、剛性が高く、クッション性に優れた発泡成形体(基材)が得られる(復元後の基材の厚さをV3とする。)。復元量(V3-V2)としては、圧縮量(V1-V2)の25%以上が好ましく、50%以上がより好ましい。
≪射出成形条件の簡易予測と調整≫
本発明の製造方法では、各工程間の移行タイミングや設定等、非常に多くの条件を設定する必要が有る。発泡可能な温度範囲や圧縮時の温度範囲は樹脂の粘度や発泡剤の添加量等で変化するが、データを事前に準備しておき、簡易的にキャビティ内への熱可塑性樹脂組成物の充填後の温度変化を、CAE等を用いて事前に予測することで、成形体の板厚変更等の設定変更を行っても条件設定を素早く行うことも可能となる。
図2に、本発明の製造方法における金型の動作を示す。図の左側から、工程(2)で形成されたキャビティの厚さ(Vi+t)を示し、次に、工程(3)で熱可塑性樹脂組成物を射出した後、型締めを完了した状態の熱可塑性樹脂組成物の厚さ(V0)およびキャビティ厚さ(V0+t)を示し、次に、工程(5)で拡大された熱可塑性樹脂組成物の厚さ(V1)およびキャビティ厚さ(V1+t)を示し、次に、冷却工程を経て、工程(7)で圧縮された発泡成形体(基材)の厚さ(V2)およびキャビティ厚さ(V2+t)を示し、最後に、工程(8)で圧縮状態が解放された発泡成形体(基材)の厚さ(V3)および得られた積層体の厚さ(V3+t)を示している。
<射出発泡成形体(基材)>
前記発泡成形体(基材)は、図1に示すように、その板厚方向断面において、表面(表皮層(S)側からソリッドスキン層(A1)/発泡層(B1)/発泡層(C)/発泡層(B2)/ソリッドスキン層(A2)(裏面)の5層からなり、
前記ソリッドスキン層(A1)および(A2)が、気泡状の発泡構造が観測されない層であり、前記発泡層(B1)および(B2)が下記条件(b-i)~(b-iii)を満たす層であり、前記発泡層(C)が、断面の板厚方向の湾曲したセル壁を有することが好ましい。
(b-i)セル内部が気体で満たされ、周りをセル壁で囲まれた発泡セル構造を有する。
(b-ii)平面方向のセルの平均径が75μm以上400μm以下である。
(b-iii)板厚方向断面のセルの平均径が平面方向のセルの平均径に対して、1以上6以下の長さを持つセルからなる。
前記発泡層(C)は、前記のとおり、発泡層(C)の断面の板厚方向のセル壁が湾曲している層である。この湾曲したセル壁が表層のソリッドスキン層(A1)に圧縮するような力を加えると発泡層(C)が変形して圧縮されることによる圧縮変形領域となる結果、成形体にクッション感が発現する。
なお、発泡層(C)は、積層体を製造する過程で、発泡して形成された発泡セルのセル壁の少なくとも一部が座屈して折れ曲がることで、個々の発泡セルの一部が連なり、連続したセル壁を形成し、連続した板厚方向のセル壁が、発泡層(B1)と(B2)の間で左右に蛇行する構造をとることにより形成された層である。
上記発泡層(C)の湾曲とは、図1(C)に示されるように、発泡層(C)のセル壁から形成される、発泡層(B1)と(B2)の間で左右に蛇行する構造である。
上記発泡層(B1)および(B2)の発泡セルの平面方向平均径、およびセルの板厚方向平均径(平面方向平均径と垂直の方向)の測定方法は以下のとおりである。
発泡セルを破壊しないように射出発泡成形体断面を鋭利な刃物で切断し、その断面写真をデジタルマイクロスコープVHX-6000((株)キーエンス社製)を用いて撮影する。断面画像は100倍以上に拡大した画像を撮影し、その断面画像から板厚方向にほぼ均等の配置となるように、5個以上の発泡セルを定め、デジタルマイクロスコープの測定機能を用いて、その発泡セルの板厚方向のセル径と平面方向のセル径を計測し、それぞれの平均径を発泡セルの径(mm)とする。このとき、板厚方向に5個以上のセルが確認できない場合は測定場所を移動して合計で5個以上としても良い。
前記発泡層(B1)および(B2)を形成する発泡セルは、セル壁で囲まれた発泡のセル構造を有していれば独立気泡状態でも良いが、セル壁に微小な穴の開いた連泡構造を有していても問題無い。
本発明の製造方法により得られる積層体は、前記発泡層(B1)および(B2)が上記のようなセル形状を有することで、成形体内部がハニカム形状に近い状態となるため変形が抑制され、表層の表皮層(S)およびソリッドスキン層(A1)、(A2)と共に成形体の剛性を維持することができる。
前記セル圧縮変形領域は、発泡層(C)の全ての領域が変形する必要は無く、圧縮に伴い、湾曲したセル壁が圧縮されていく。この発泡層(C)は基本的に発泡層のほぼ中心近傍の表皮層(S)寄りに存在することが多い。
前記発泡成形体(基材)の表面は、充填時とその後の圧縮により、金型との接触圧力が高くなることで、急速に冷却されるため、ソリッド状態で固化が進む。
このソリッドスキン層(A2)は、好ましくは260~900μm、より好ましくは260~750μmの厚さがあるが、表皮層(S)を貼合したソリッドスキン層(A1)は、ソリッドスキン層(A2)の10~95%の厚みとなることが好ましい。ソリッドスキン層(A1)および(A2)の厚さが上記下限値未満であると、積層体のクッション性は良好になるが、曲げ等での剛性が悪化し、また外観も悪化するおそれがある。一方、上記上限値を超えると積層体の剛性は高くなるがクッション性が失われるおそれがある。
前記発泡成形体の表層および裏面のソリッドスキン層の厚みの測定方法は以下の方法による。
前記発泡成形体のセルの板厚方向平均径および板厚方向平均径を測定するときに使用した断面画像を使用して、ソリッドスキン層(A1)または(A2)と発泡層(B1)または(B2)の境界部分を左右の2点を結んでできる線に対して垂線を引き、ソリッド層の表面との距離をμm単位で測定し、ソリッドスキン層(A1)または(A2)の厚みとした。なお、発泡成形体の表層にシボ等(リブ等の面から明らかに飛び出している部分は除く)が有り厚さが場所によりズレを生じるときはシボの頂点と谷部の中間位置をそのソリッド層の端部として、同様にμm単位で測定を行う。
発泡層(C)がない成形体は、発泡セルが成形時のコアバック方向に引き伸ばされた構造であり、厚さ方向に力を加えた時でも成形体の変形が抑制されるためにクッション感がほとんど感じられない成形体となる。
前記発泡成形体(基材)は、厚さが好ましくは2.5~10.0mm、より好ましくは2.5~7.0mmの範囲であり、発泡倍率が好ましくは2.1~6倍、より好ましくは2.2~5.0倍の範囲にある。
前記発泡成形体の厚さの測定は、デジタルノギスCD-S15C〔(株)ミツトヨ製〕を使用し、発泡成形体の無い状態でノギスの外側用ジョウを閉め込んで表示が0であることを事前に確認した後に、発泡成形体を地面に対して垂直もしくは手前方向に向けてノギスの外側用ジョウのやや奥寄りで挟み込むようにゆっくりと閉めて、成形品に傾きの無いようにして測定を行う。このときサムローラを使用して成形体に余分な力が掛からないようできるだけ均一な力で挟み込むように注意してmm単位で測定を行う。なお、積層体の厚さの測定も同様である。
前記発泡成形体の発泡倍率は、発泡剤を添加してコアバックをすることにより発泡させた発泡成形体の測定したい部位の発泡した基材板厚と、発泡剤を添加せずコアバックをしない未発泡成形体における、前記発泡成形体と同じ部位のソリッド基材板厚との比(発泡倍率=発泡成形体の測定部位の発泡基材板厚/未発泡成形体の同じ測定部位のソリッド基材板厚比)で表す。そのため平面でない成形体の発泡倍率は測定部位により違いが発生するがコアバック方向に直角な面を成す成形体が最も発泡倍率の高い場所であり、本発明の発泡倍率はこのコアバック方向に直角な面を成す成形体での値を適用する。
<熱可塑性樹脂組成物>
前記射出発泡成形体は、熱可塑性樹脂(D)および発泡剤(H)を含む熱可塑性樹脂組成物から形成される。
≪熱可塑性樹脂(D)≫
前記熱可塑性樹脂(D)は、射出発泡成形体を製造し得る熱可塑樹脂であれば、特に限定されず、具体的には、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテンおよび1-オクテン等のα-オレフィンの単独重合体若しくは共重合体である高圧法低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン(所謂LLDPE)、高密度ポリエチレン(所謂HDPE)、ポリプロピレン(プロピレン単独重合体)、プロピレンランダム共重合体、プロピレンブロック共重合体、ポリ1-ブテン、ポリ4-メチル-1-ペンテン、エチレン・プロピレンランダム共重合体、エチレン・1-ブテンランダム共重合体、プロピレン・1-ブテンランダム共重合体等のポリオレフィン、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリアミド(ナイロン-6、ナイロン-66、ポリメタキシレンアジパミド等)、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸エステル-一酸化炭素共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリスチレン、アイオノマー、あるいはこれらの混合物等を例示することができる。これらのうちでは、高圧法低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン(所謂LLDPE)、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン及びプロピレンランダム共重合体、プロピレンブロック共重合体等のプロピレン系重合体(E)、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド等がより好ましく、プロピレン系重合体(E)がさらに好ましい。これら熱可塑性樹脂(D)は、単独でも二種以上であってもよい。
≪プロピレン系重合体(E)≫
前記プロピレン系重合体(E)は、プロピレンに由来する構成単位の含有量が50モル%以上である重合体のことをいい、プロピレン系樹脂中のプロピレンに由来する構成単位の含有量は、90モル%以上であることが好ましい。
前記プロピレン系重合体(E)は、プロピレン単独重合体であってもよく、プロピレンとプロピレン以外のコモノマーとの共重合体であってもよい。また、前記プロピレン系重合体(E)は、1種でもよく、2種以上でもよい。
前記プロピレン系重合体(E)の構造は特に制限されず、例えば、プロピレン由来の構成単位部分は、アイソタクチック構造でも、シンジオタクチック構造でも、アタクチック構造でもよいが、アイソタクチック構造であることが好ましい。また、前記共重合体の場合、ランダム型〔ランダムPPとも呼称〕、ブロック型〔ブロックPP:bPPとも呼称〕、グラフト型のいずれであってもよい。
前記コモノマーとしては、プロピレンと共重合可能な他のモノマーであればよく、炭素数2または4~10のα-オレフィンが好ましい。具体的には、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセンなどが挙げられ、これらの中でも、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテンが好ましい。コモノマーは、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
前記共重合体中のコモノマー由来の構成単位の含有量は、柔軟性等の点から、好ましくは10モル%以下である。
これらプロピレン系重合体(E)の中でも、プロピレンを単独で重合させてなるプロピレン単独重合体セグメントと、プロピレンとエチレンを共重合させてなるプロピレン・エチレン共重合体セグメントを含むプロピレン・エチレン系ブロック共重合体(E1)が得られる射出発泡成形体の剛性、耐衝撃性などの物理的性質のバランスがよいので、好ましい。
前記プロピレン系重合体(E)は、バイオマス由来のモノマー(エチレン、α-オレフィン)を含んでいてもよい。重合体を構成するモノマーがバイオマス由来モノマーのみであってもよいし、バイオマス由来モノマーは化石燃料由来のモノマーを含んでもよい。
バイオマス由来のモノマーは、菌類、酵母、藻類および細菌類を含む、植物由来または動物由来などの、あらゆる再生可能な天然原料およびその残渣を原料としてなるモノマーで、炭素として14C同位体を10-12程度の割合で含有し、ASTM D 6866に準拠して測定したバイオマス炭素濃度(pMC)が100(pMC)程度である。
バイオマス由来のモノマーは、従来から知られている方法により得られる。前記プロピレン系共重合体(E)がバイオマス由来モノマーを含むことは、環境負荷低減(主に温室効果ガス削減)の観点から好ましい。重合用触媒、重合プロセス重合温度、などの重合体製造条件が同等であれば、原料モノマーがバイオマス由来モノマーを含んでいても、14C同位体を10-12~10-14程度の割合で含む以外の分子構造は、化石燃料由来モノマーからなるプロピレン単独重合体、もしくはエチレン・α-オレフィン共重合体と同等である。従って、性能も変わらないとされる。
前記プロピレン系共重合体(E)は、ケミカルリサイクル由来モノマー(エチレン、α-オレフィン)を含んでいてもよい。重合体を構成するモノマーがケミカルリサイクル由来モノマーのみでもよいし、ケミカルリサイクル由来のモノマーと化石燃料由来のモノマーおよび/またはバイオマス由来モノマーを含んでもよい。ケミカルリサイクル由来のモノマーは、従来から知られている方法により得られる。
前記プロピレン系重合体(E)がケミカルリサイクル由来のモノマーを含むことは、環境負荷低減(主に廃棄物削減)の観点から好ましい。原料モノマーがケミカルリサイクル由来モノマーを含んでいても、ケミカルリサイクル由来モノマーは廃プラスチックなどの重合体を解重合、熱分解等でプロピレンやエチレンなどのモノマー単位にまで戻したモノマー、ならびに該モノマーを原料にして製造したモノマーであるので、重合用触媒、重合プロセス、重合温度などの重合体製造条件が同等であれば、分子構造は化石燃料由来モノマーからなるプロピレンやエチレン・α-オレフィン共重合体と同等である。従って、性能も変わらないとされる。
前記プロピレン系重合体(E)は、従来公知の方法で合成してもよく、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えばサンアロマー(株)のポリプロピレン、(株)プライムポリマーのプライムポリプロ、日本ポリプロピレン(株)のノバテック、SCG Plastics社のSCG PP等が挙げられる。
前記プロピレン系重合体(E)のMFR(ASTM D 1238の測定方法に準拠、230℃、2.16g荷重)は、好ましくは20~200g/10分であり、より好ましくは30~150g/10分である。
前記プロピレン系重合体(E)のMFRが前記範囲にあると、射出成形性に優れる。
前記プロピレン系重合体(E)の結晶化温度(Tc)は、コモノマーの含有量、分子量、アイソタクティシティ等の因子によって異なってくるが、単独重合体やブロック共重合体で約100~130℃、ランダム共重合体で約80~110℃である。なお、プロピレン系重合体にフィラーや核剤等が配合されると先に示した結晶化温度が5~15℃高目になる。また、正確な結晶化温度を使用するためには、結晶化温度の測定を行い、その値を金型温度の決定に使用することが望ましい。
ここで、結晶化温度は、示差走査型熱量計(DSC)を用いてサンプルを一旦融解させ、その後10(℃/分)の速度で冷却し、その降温冷却過程でサンプルが結晶化を起こす温度として測定される値である。
≪エチレン・α-オレフィン共重合体(F)≫
前記熱可塑性樹脂組成物は、エチレン・α-オレフィン共重合体(F)をさらに含んでいてもよい。
前記エチレン・α-オレフィン共重合体(F)は、エチレン及び炭素数3~20のα-オレフィンを少なくとも共重合させることで得ることができる。炭素数3~20のα-オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン等が挙げられる。これらの中で、柔軟性付与の観点から、炭素数3~12のα-オレフィンが好ましく、プロピレン、1-ブテン、1-オクテンがより好ましく、1-オクテンがさらに好ましい。
前記エチレン・α-オレフィン共重合体(F)は、通常、エチレンから導かれる単位が70~99モル%、好ましくは80~97モル%の範囲、および炭素数3~20のα-オレフィンから導かれる単位が1~30モル%、好ましくは3~20モル%の範囲〔但し、エチレンから導かれる単位と炭素数3~20のα-オレフィンから導かれる単位との合計量を100モル%とする。〕にある。
前記エチレン・α-オレフィン共重合体(F)には、必要に応じて、不飽和結合を有する単量体を共重合させることができる。不飽和結合を有する単量体としては、例えば、ブタジエン、イソプレン等の共役ジオレフィン、1、4-ヘキサジエン等の非共役ジオレフィン;ジシクロペンタジエン、ノルボルネン誘導体等の環状ジエン化合物;及びアセチレン類が好ましい。これらの中でも、柔軟性の観点から、エチリデンノルボルネン(ENB)、ジシクロペンタジエン(DCP)がより好ましい。
前記エチレン・α-オレフィン共重合体(F)は、通常、MFR(ASTM D1238 温度190℃、2.16kg荷重)が、3~70g/10分、好ましくは10~50g/10分の範囲にある。
前記エチレン・α-オレフィン共重合体(F)は、通常、密度が850~920kg/m3の範囲にある。
前記エチレン・α-オレフィン共重合体(F)は、たとえば、チーグラー・ナッタ触媒、バナジウム系触媒やメタロセン触媒など公知の重合用触媒を用いて製造することができる。重合方法としても特に限定されず、溶液重合、懸濁重合、バルク重合法などの液相重合法、気相重合法、その他公知の重合方法で行うことができる。また、これらの共重合体は、本発明の効果を奏する限り限定されず、市販品としても入手可能である。市販品としては、たとえば、The Dow Chemical Company製エンゲージ(登録商標)、エクソンモービル社製のVistalon(登録商標)、住友化学(株)社製のエスプレン(登録商標)、三井化学(株)社製の三井EPT(登録商標)、タフマー(登録商標)などが挙げられる。
≪充填剤(G)≫
前記プロピレン系樹脂組成物は、無機充填剤、有機充填剤などの充填剤(G)を含んでいてもよい。これら充填剤は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
〈無機充填剤〉
前記無機充填剤としては、種々公知の無機充填剤を使用し得る。具体的には、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化カルシウム、シリカなどの酸化物、硫酸バリウムなどの硫酸塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウムなどの炭酸塩、タルク、クレー、マイカなどのケイ酸塩などが挙げられるが、これらに限定されない。
〈有機充填剤〉
前記有機充填剤としては、種々公知の有機充填剤を使用し得る。具体的には、ポリメトキシシラン系化合物、ポリスチレン、スチレン・アクリル、スチレン・メタクリル系およびメタクリル系化合物、ポリウレタン系化合物、ポリエステル系化合物、フッ化物系化合物、フェノール系化合物などが挙げられるが、これらに限定されない。
≪発泡剤(H)≫
前記熱可塑性樹脂組成物に含まれる発泡剤(H)は、種類は特に制限されない。溶剤型発泡剤であっても、分解型発泡剤であってもよく、また窒素、二酸化炭素、アルゴン、空気等の気体状発泡剤、熱膨張タイプのマイクロカプセル状発泡剤であってもよい。また、発泡剤としては、気体状発泡剤や超臨界発泡剤、蒸発等化学的変化を伴わない物理発泡剤や化学変化により気体を発生する化学発泡剤のいずれも使用できる。
気体状発泡剤は、窒素や二酸化炭素を、そのままシリンダー内に注入しスクリュで溶融樹脂と混錬・溶解させて使用してもよく、超臨界状態でシリンダー内に注入して混錬・融解して用いてもよい。
溶剤型発泡剤は、射出成形機のホッパーあるいはシリンダー部分から注入して溶融原料樹脂に吸収ないし溶解させ、その後射出成形金型中で蒸発して発泡剤として機能する物質である。具体例としては、プロパン、ブタン、ネオペンタン、ヘプタン、イソヘキサン、ヘキサン、イソヘプタン、ヘプタン等の低沸点脂肪族炭化水素や、フロンガスで代表される低沸点のフッ素含有炭化水素が挙げられる。
熱膨張タイプのマイクロカプセルは、この溶剤型発泡剤を、アクリロニトリルやメタアクリロニトリル、塩化ビニリデン等のマイクロカプセルに閉じ込めたものであり、カプセル内部で気化させることでカプセルを膨張させ発泡させるものである。
また、水のように蒸発する発泡剤をタルクやシリカ、でんぷんや紙繊維等の微小な吸水性を持つ物質に含侵させ溶融原料樹脂と混錬・分散させて気化により発泡させるような発泡剤も使用可能である。
分解型発泡剤は、原料樹脂組成物に予め配合されてから射出成形機へと供給され、射出成形機のシリンダー温度条件下で発泡剤が分解して炭酸ガス、窒素ガス等の気体を発生する化合物である。それは、無機系の発泡剤であってもよいし有機系の発泡剤であってもよく、また気体の発生を促すクエン酸のような有機酸やクエン酸ナトリウムのような有機酸金属塩等を発泡助剤として併用添加してもよい。
分解型発泡剤には、無機発泡剤と有機系発泡剤がある。無機発泡剤の具体例としては、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウムが挙げられる。有機発泡剤の具体例としては、N,N'-ジニトロソテレフタルアミド、N,N'-ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のN-ニトロソ化合物:アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾシクロヘキシルニトリル、アゾジアミノベンゼン、バリウムアゾジカルボキシレート等のアゾ化合物;ベンゼンスルフォニルヒドラジド、トルエンスルフォニルヒドラジド、p,p'-オキシビス(ベンゼンスルフェニルヒドラジド)、ジフェニルスルフォン-3,3'-ジスルフォニルヒドラジド等のスルフォニルヒドラジド化合物;カルシウムアジド、4,4'-ジフェニルジスルフォニルアジド、p-トルエンスルフォニルアジド等のアジド化合物が挙げられる。
前記発泡剤(H)は1種単独で使用してもよく、2種以上混合して使用してもよい。前記発泡剤(H)の(マスターバッチ形式の場合は実成分の)添加量は、発泡成形体の要求物性、発泡剤からの発生ガス量、発泡倍率等を考慮して選択されるが、熱可塑性樹脂組成物100質量部に対して、好ましくは1~8質量部である。
前記発泡剤(H)は、前記熱可塑性樹脂(D)に予め配合してもよいし、射出成形する際に混合してもよく、シリンダーの途中から注入してもよい。また、発泡剤や発泡助剤等を予め熱可塑性樹脂(D)もしくはその他の熱可塑性樹脂に配合してマスターバッチを作っておき、それを射出成形する際に熱可塑性樹脂(D)に混合してもよい。
前記発泡剤(H)は、射出成形後に金型内で熱可塑性樹脂組成物を発泡させるが、発泡ガスは成形時に溶融樹脂内部から排出されるか、成形後の成形体から時間と共に外気と置換されて抜けていく。
<表皮層>
前記表皮層を構成する材料としては、特には限定されないが、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリプロピレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、ナイロン、ポリエステル、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂もしくは熱可塑性エラストマーのシートまたはフィルムや、各種樹脂もしくは天然素材の織布、不織布、編み物または起毛布や、紙、金属箔、およびネット状物などが挙げられる。
前記表皮層の表面は、目的に応じて、シボなどのレザー調、幾何学模様等凹凸模様、印刷や染色等で加飾されていてもよい。また、前記熱可塑性樹脂もしくは熱可塑性エラストマーのシート自体を発泡させてもよい。
前記表皮層は、上述した表皮材を2種以上組み合わせた積層材により構成されていてもよい。このような積層材としては、例えば、エラストマーシ-トと織布、不織布、編み物などとの積層材、さらにはこれらの裏側に発泡ポリエチレンシート、発泡ポリプロピレンシート、発泡ポリウレタンシート等の発泡シートを貼り合わせた積層材などが挙げられる。これら積層シートを用いることにより、裏打ち層による表皮のダメージを低減したり、アンカー効果で樹脂と表皮の接着性を改善したり、表皮自体にクッション感を加える等、種々の効果を有する表皮層とすることができる。
さらに、表皮材と熱可塑性樹脂との接着性や外観を向上させるために予備加熱を行ってもよく、表皮材貼合領域の形状に応じて真空成型などで予備賦形を行なったシートを用いてもよい。
本発明の製造方法で得られる積層体は、上述したように成形体の基材自体にクッション感が付与されていることから、発泡層のない比較的安価な表皮材を用いても、押し柔らかさが付与されるとともに、外観や手触り感に優れた成形体を得ることができる。また、表皮材に発泡層が含まれると、成形時に表皮発泡層の断熱によりヒケ、ソリ、膨れや、熱ダメージによる変形等の成形不良が発生しやすくなるという問題がある。そのため、本発明の積層体は、表皮層に発泡層を含まない態様であることが好ましい。
[積層体の用途]
本発明の製造方法で得られる積層体は、軽量性および剛性を備えながらも、指で押した時に柔らかさを感じるクッション性を有するとともに、外観や手触りに優れているので、自動車の内装部品、電器製品、建材等の各種用途に好適に用いることができる。特に軽量性、剛性、クッション性、外観のバランスに優れるとともに、断熱性にも優れるため、自動車の内装部品に特に好適に用いることができ、自動車のドアトリム、部分的にクッション性を付与したい部品等に好適に用いることができる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
実施例および比較例で用いたプロピレン系樹脂組成物に含まれる重合体として、以下のものを使用した。
(1)プロピレン系重合体(E)
(1-1)プロピレン・エチレン系ブロック共重合体(E1-1)
プロピレン系重合体(E)として、プロピレン・エチレン系ブロック共重合体(MFR(230℃、2.16kg荷重)=85g/10分、密度=900kg/m3、n-デカン可溶部=11質量%、n-デカン可溶部の極限粘度[η]=8dl/g、)(E1-1)〔表1では(PP-1)と表記〕を用いた。
(1-2)プロピレン・エチレン系ブロック共重合体(E1-2)
プロピレン系重合体(E)として、プライムポリプロ商品名NA600(MFR(230℃、2.16kg荷重)=63g/10分、密度=970kg/m3)のプロピレン・エチレン系ブロック共重合体(E1-2)〔表1では(PP-2)と表記〕を用いた。PP-2は、充填剤(G)として、タルクを11質量%含有している。
(2)エチレン・α-オレフィン共重合体(F)
エチレン・α-オレフィン共重合体(F)として、エチレン・1-オクテン共重合体(The Dow Chemical Company製、商品名EG8407、MFR(190℃、2.16kg荷重)=30g/10分、密度=870kg/m3)〔F-1〕を用いた。
実施例および比較例において、プロピレン系樹脂組成物、重合体、および射出発泡成形体などの物性の測定は以下の方法で行った。
[メルトフローレート(MFR)]
発泡剤を含有しない状態で、ASTM D-1238に基づき190℃又は230℃、2.16kg荷重の条件で測定した。
[プロピレン・エチレン系ブロック共重合体(E1)中のn-デカン不溶部(a1)およびn-デカン可溶部(a2)の含有量]
ガラス製の測定容器に、プロピレン・エチレン系ブロック共重合体約3g(10-4gの単位まで測定した。また、この質量を、下記の式においてb(g)と表した。)、n-デカン500mL、およびn-デカンに可溶な耐熱安定剤を少量投入し、窒素雰囲気下、スターラーで攪拌しながら2時間で150℃に昇温してプロピレン・エチレン系ブロック共重合体をn-デカンに溶解させた。次いで、150℃で2時間保持した後、8時間かけて23℃まで徐冷した。得られたプロピレン・エチレン系ブロック共重合体の析出物を含む液を、磐田ガラス社製25G-4規格のグラスフィルターで減圧ろ過した。ろ液の100mLを採取し、これを減圧乾燥して上記成分(a2)の一部を得た。この質量を10-4gの単位まで測定した(この質量を、下記の式においてa(g)と表した)。次いで、プロピレン・エチレン系ブロック共重合体(E1)中の成分(a1)および(a2)の含有量を以下の式により求めた。
成分(a2)の含有量[質量%]=100×5a/b
成分(a1)の含有量[質量%]=100-成分(a2)の含有量
[極限粘度([η]:dl/g)]
デカリン溶媒を用いて、135℃で測定した。
[密度]
ISO 1183(JIS K7112)に準じて測定した。
(3)表皮材
表皮材として、以下のものを使用した。
(3-1)表皮-1
ポリプロピレンを原料とした透明フィルム(厚さが40μm)
(3-2)表皮-2
表皮-1の裏面に数μmの白色印刷層が積層されたフィルム
(3-3)表皮-3
厚さ0.5mmのオレフィン系エラストマーシート(表面はレザー調のシボ付き、裏面はポリプロピレン不織布を裏打ちしたシート)
(3-4)表皮-4
厚さ1.0mmのオレフィン系エラストマーシート(表面はレザー調のシボ付き)
[ソリッドスキン層の厚さの測定]
射出発泡成形体のソリッドスキン層の厚さは以下の方法で測定した。
まず、セルを破壊しないように成形体断面を鋭利な刃物で切断し、その断面写真をデジタルマイクロスコープVHX-6000((株)キーエンス社製)を用いて撮影した。断面画像は100倍以上に拡大した画像を撮影し、その断面画像からデジタルマイクロスコープの測定機能を用いて、ソリッドスキン層と発泡層の境界部分を画像の左右2点取りそれを結んでできる線に対して垂線を引き、ソリッド層の表部との距離をμm単位で測定し、ソリッドスキン層の厚みとした。なお、表層にシボ等(リブ等の面から明らかに飛び出している部分は除く)が有り厚さが場所によりズレを生じるときはシボの頂点と谷部の中間位置をそのソリッド層の端部として、同様に測定を行う。得られたソリッド状のスキン層(発泡層を挟んだ発泡セルの無い表面と裏面のソリッドスキン層)の厚みをμm単位で計測し、その平均をソリッドスキン層厚(μm)とした。
[発泡セル層(B1)および(B2)の発泡セル径の測定]
射出発泡成形体のソリッドスキン層に接した発泡セル層(B1)および(B2)に分布している発泡セルの板厚方向セル径と平面方向(板厚と直角の方向)のセル径は以下の方法で測定した。
ソリッドスキン層の厚さ測定で使用した断面画像からデジタルマイクロスコープの測定機能を用いて、板厚方向にほぼ均等の配置となるように、5個以上の発泡セルを定め、その発泡セルの板厚方向のセル径と平面方向のセル径を計測し、それぞれの平均径を発泡セルの径(μm)とした。
[発泡層(C)の蛇行角の測定]
射出発泡成形体の発泡セル層(B1)と(B2)に挟まれた発泡層(C)のセル壁の湾曲の大きさを調べる蛇行角度は以下の方法で測定した。
ソリッドスキン層の厚さ測定で使用した断面画像からデジタルマイクロスコープの測定機能を用いて、成形体表面に対する垂線を引き、発泡層(C)の上下1/2の領域からセル壁の蛇行部左右の傾きを各1点ピックアップして垂線からの傾きを測定し、測定傾きを平均して蛇行角とした。蛇行角が小さいと発泡層(C)の変形が起こり難くなるため、蛇行角は10°以上を基準として評価を行った。
[成形体の厚さ]
得られた成形体の厚さ(板厚)は、デジタルノギスCD-S15C((株)ミツトヨ製)を使用し、成形体の無い状態でノギスの外側用ジョウを締め込んで表示が0であることを事前に確認した後に、成形体を地面に対して垂直もしくは手前方向に向けてノギスの外側用ジョウのやや奥寄りで挟み込むようにゆっくりと締めて、成形体に傾きの無いようにして測定を行った。このときサムローラを使用して成形体に余分な力が掛からないようできるだけゆっくりと均一な力で挟み込むように注意してmm単位で測定を行った。
[発泡倍率]
基材の発泡倍率は、発泡剤を添加してコアバックをすることにより発泡させた発泡成形体の測定したい部位の発泡した基材板厚と、発泡剤を添加せずコアバックをしない未発泡成形体における、前記発泡成形体と同じ部位のソリッド基材板厚との比(発泡倍率=発泡成形体の測定部位の発泡基材板厚/未発泡成形体の同じ測定部位のソリッド基材板厚比)から求めた。
[剛性(曲げ弾性勾配)]
成形体(積層体)を50mm×150mmのサイズで切り出し、試験機としてオートグラフ((株)島津製作所製、AG-1kNX plus)を用いて、支持間隔100mmの中心位置に曲げ速度50mm/minの速度で荷重を加え曲げ試験(三点曲げ)を行ったときに、たわみ量が0~10mmの間において得られる「荷重-たわみ曲線」において、JIS K7221-2記載の方法で引かれた線の傾き(=荷重/たわみ)を、曲げ弾性勾配(N/cm)とし、これを剛性評価に使用した。
なお、剛性評価に使用した曲げ弾性勾配は、曲げ弾性率1000MPaである板厚2.3mmの成形体を用いて上記同条件の測定で得られた曲げ弾性勾配27N/cm以上を剛性感有りとして評価をした。
[押し柔らかさ(押し弾性勾配)]
試験機としてオートグラフ((株)島津製作所製、AG-100kNX)を用いて、成形体(積層体)から切り出した評価用サンプル(40mm×40mm以上)の平面に、直径4mmで先端が平坦な円形圧子を速度1mm/minで押付けて荷重を加えた試験を行った時に、成形体厚さの減少量が0~10%の間において得られる「力-変形量曲線」において、JIS K7220記載の方法で引かれた線の傾き(=力/変形量)を押し弾性勾配(N/mm)とし、これを押し柔らかさの指標として使用した。
なお、押し柔らかさ比較に使用した押し弾性勾配は、ミラストマー7030BS(三井化学(株)製)からなる板厚1.8mmの成形体を用いて上記同条件の測定で得られた押し弾性勾配以下(押し弾性勾配135N/mm以下)を押し柔らかさ有りとして評価をした。
[クッション性]
成形体を指で押した時に、押し柔らかさを感じるかどうかで以下の評価を実施した。
○:指で表面を押したとき、クッション感がある。
×:指で表面を押したとき、クッション感がない。
[触感・外観]
触感は、成形体表面を指で触って、貼合した表皮と同様な触感が付加されたものを触感良好として〇とした。例えば、熱により元来の表皮には無いザラツキやベトツキが生じたものや、織布や不織布で溶融樹脂が染み出す等、元の表皮の触感が損なわれたりしたものは触感が悪化しているとして、×と判断した。ただし、シボがついている表皮は成形に伴いシボの深さが基本的に多少浅くなるが、これに関しては評価の対象外とした。
一方、外観は貼合した表皮に変形、膨れや穴あき等の形状的不良、変色や色抜け等の色彩的不良が発生したものは外観が悪化しているため×と判断し、外観の悪化が無く表面が均一なものを外観良好とし〇と判断した。
[判定]
上記の剛性、押し柔らかさ、クッション性および触感・外観の評価項目において、すべて○であったものを、総合判定として、○とした。
<実施例1>
上記PP-1を76質量部、および上記F-1を24質量部(合計100質量部)混合して、押出機を用いて通常ペレット状に加工して得たプロピレン系樹脂組成物100質量部に対して、CO2系発泡剤マスターバッチ(永和化成工業(株)製、商品名EE515)を5質量部、およびN2系発泡剤マスターバッチ(永和化成工業(株)製、商品名EE206)を1.5質量部になる量で、また着色剤として黒マスターバッチ(東京インキ株式会社製 着色剤マスターバッチ 品番:PPCM 909Y-28)を3質量部添加して混合した後、射出成形機のホッパーに投入して溶融混練を行った。なお、使用した発泡剤は低密度ポリエチレンに発泡剤を練り込んでマスターバッチ化したものであるため、実際の発泡剤成分としては2.8質量部相当になる。実施例1で用いたプロピレン系樹脂組成物の組成を表1に示す。射出成形機((株)日本製鋼所製、装置名J350ADS)は、可動型に表皮-1を装着し、以下の条件でコアバック射出発泡成形を行い、射出発泡成形体の表面に表皮層が積層された板状の成形体(積層体)を得た。
キャビティサイズ:縦400mm、横200mm、充填樹脂厚1.8mm
ゲート:キャビティ中央1点ダイレクトゲート
表皮:表皮-1
射出温度:205℃
金型表面温度:50℃
型締め力:2500kN
射出時金型キャビティクリアランス(L0):1.8mm
射出率:309cc/s
成形機コアバック時間設定:0.1s(コアバック開始から終了までの時間)
射出完了からコアバック開始の時間(コアバックの遅延時間):5.8s
コアバック量:5mm
圧縮開始時間:コアバック完了後45s
コアバック状態からの圧縮量:1mm
上記により、表面に表皮-1が貼合された成形体(積層体)が得られ、その板厚は6.0mmであった。得られた成形体の物性を上記方法で測定して評価した。得られた成形体において、表皮層を除いた基材(発泡成形体)部分は5層構造を有し、発泡セル層(B1)および(B2)の発泡セルの状態、発泡層(C)の蛇行状況、曲げ弾性勾配、押し弾性勾配、触感・外観およびクッション性は良好であった。結果を表1に示す。
<実施例2>
射出開始前の金型を完全には型締めせず、可動型と固定型をタッチ状態(型開量0mm、型締め力ほぼ0kN)とし、射出完了後に昇圧時間設定0.5sで2500kNに型締めを行ったこと以外は実施例1と同様にして成形を行った。得られた成形体(積層体)の板厚は5.9mmであった。得られた成形体の物性を上記方法で測定して評価した。得られた成形体において、表皮層を除いた基材(発泡成形体)部分は5層構造を有し、発泡セル層(B1)および(B2)の発泡セルの状態、発泡層(C)の蛇行状況、曲げ弾性勾配、押し弾性勾配、触感・外観およびクッション性は良好であった。結果を表1に示す。
<実施例3>
コアバック状態からの圧縮量を、3mmとした以外は実施例2と同様にして成形を行った。得られた成形体(積層体)の板厚は5.1mmであった。得られた成形体の物性を上記方法で測定して評価した。得られた成形体において、表皮層を除いた基材(発泡成形体)部分は5層構造を有し、発泡セル層(B1)および(B2)の発泡セルの状態、発泡層(C)の蛇行状況、曲げ弾性勾配、押し弾性勾配、触感・外観およびクッション性は良好であった。結果を表1に示す。
<実施例4>
実施例1で用いたプロピレン系樹脂組成物に替えて、上記PP-2(タルク含有プロピレン系樹脂組成物)を用い、圧縮量を3.0mmmとし、コアバックの遅延時間を5.3sに設定した以外は実施例1と同様に成形を行った。得られた成形体(積層体)の板厚は5.3mmであった。得られた成形体の物性を上記方法で測定して評価した。得られた成形体において、表皮層を除いた基材(発泡成形体)部分は5層構造を有し、発泡セル層(B1)および(B2)の発泡セルの状態、発泡層(C)の蛇行状況、曲げ弾性勾配、押し弾性勾配、触感・外観およびクッション性は良好であった。結果を表1に示す。
<実施例5>
射出開始前の金型を完全には型締めせず、可動型と固定型をタッチ状態(型開量0mm、締め力ほぼ0kN)とし、射出完了後に昇圧時間設定0.5sで2500kNに型締めを行った以外は実施例4と同様にして成形を行った。得られた成形体(積層体)の板厚は5.2mmであった。得られた成形体の物性を上記方法で測定して評価した。得られた成形体において、表皮層を除いた基材(発泡成形体)部分は5層構造を有し、発泡セル層(B1)および(B2)の発泡セルの状態、発泡層(C)の蛇行状況、曲げ弾性勾配、押し弾性勾配、触感・外観およびクッション性は良好であった。結果を表1に示す。
<実施例6>
表皮-1の代わりに表皮-2(印刷層付ポリプロピレンフィルム)を用い、射出時の型開量(可動型と固定型の開き量)を5mmとした以外は、実施例5と同様にして成形を行った。得られた成形体(積層体)の板厚は4.7mmであった。得られた成形体の物性を上記方法で測定して評価した。得られた成形体において、表皮層を除いた基材(発泡成形体)部分は5層構造を有し、発泡セル層(B1)および(B2)の発泡セルの状態、発泡層(C)の蛇行状況、曲げ弾性勾配、押し弾性勾配、触感・外観およびクッション性は良好であった。結果を表1に示す。
<実施例7>
表皮-1の代わりに表皮-3(0.5mmのオレフィン系エラストマーシートの表面にレザー調のシボをつけ、裏面にポリプロピレン不織布を裏打ちしたシート)を用い、コアバックの遅延時間を6.5sにし、圧縮量を1mmに設定し、金型のキャビティクリアランス(L0)を2.3mmとした以外は、実施例5と同様にして成形を行った。得られた成形体(積層体)の板厚は6.5mmであった。得られた成形体の物性を上記方法で測定して評価した。得られた成形体において、表皮層を除いた基材(発泡成形体)部分は5層構造を有し、発泡セル層(B1)および(B2)の発泡セルの状態、発泡層(C)の蛇行状況、曲げ弾性勾配、押し弾性勾配、触感・外観およびクッション性は良好であった。結果を表1に示す。
<実施例8>
充填樹脂厚を2.0mmとし、射出時金型キャビティクリアランス(L0)を2.5mmとし、コアバック状態からの圧縮量:3mmとした以外は、実施例7と同様にして成形を行った。得られた成形体(積層体)の板厚は5.9mmであった。得られた成形体の物性を上記方法で測定して評価した。得られた成形体において、表皮層を除いた基材(発泡成形体)部分は5層構造を有し、発泡セル層(B1)および(B2)の発泡セルの状態、発泡層(C)の蛇行状況、曲げ弾性勾配、押し弾性勾配、触感・外観およびクッション性は良好であった。結果を表1に示す。
<実施例9>
表皮-3の代わりに表皮-4(1.0mmのオレフィン系エラストマーシートの表面にレザー調のシボをつけたシート)を用い、コアバックの遅延時間を6.8sに設定し、金型のキャビティクリアランス(L0)を3.0mmとした以外は実施例8と同様にして成形を行った。得られた成形体(積層体)の板厚は6.4mmであった。得られた成形体の物性を上記方法で測定して評価した。得られた成形体において、表皮層を除いた基材(発泡成形体)部分は5層構造を有し、発泡セル層(B1)および(B2)の発泡セルの状態、発泡層(C)の蛇行状況、曲げ弾性勾配、押し弾性勾配、触感・外観およびクッション性は良好であった。結果を表1に示す。
<比較例1>
表皮を装填せず射出した後に昇圧時間設定0.5sで2500kNに型締めを行ない、その後にコアバックや圧縮を行わずに成形体を取り出した以外は実施例5と同じ条件で成形を行った。得られた成形体は発泡をしておらず、板厚が1.8mmのソリッド状の成形体であった。得られた成形体の物性を上記方法で測定して評価した。得られた成形体は、ソリッド状態であり、曲げ弾性勾配が低く、押し弾性勾配も高く、クッション感が不足しており、また外観もスワールマークが目立っており悪かった。結果を表1に示す。
<比較例2>
射出後のコアバック遅延を1.2sとし、0.1sで0.7mmまでコアバックさせ、その後4.0mmまで、6.0s掛けてコアバックさせ、圧縮せずに成形体を取り出した以外は実施例4と同じ条件で成形を行った。得られた成形体(積層体)の板厚は5.2mmであった。得られた成形体の物性を上記方法で測定して評価した。得られた成形体において、表皮層を除いた基材部分の断面は表層にソリッド層を持ち、その内部に発泡セルを持った発泡層を有し、その内側の中心層は発泡セルを持った発泡層を繋ぐように繊維状の柱が板厚方向に引き延ばされた層となっている5層構造を有していた。成形体の外観は、ある程度は良好な領域を成していたが、部分的に膨れを生じた領域も存在していた。膨れの無い部分で測定した押し弾性勾配は良好でクッション感も良かったが、曲げ弾性勾配が低く剛性が不足していた。結果を表1に示す。
<比較例3>
充填樹脂厚を2.0mmとし、射出した後に昇圧時間設定0.5sで2500kNに型締めを行ない、その後にコアバックや圧縮を行わずに成形体を取り出した以外は実施例5と同じ条件で成形を行った。得られた成形体の物性を上記方法で測定して評価した。得られた成形体は、発泡しておらず、板厚が2.0mmであり、曲げ弾性勾配が低く、押し弾性勾配が高く、クッション感が不足していた。結果を表1に示す。
<比較例4>
コアバック量を2mmとし、コアバック状態からの圧縮量を0mmとした以外は実施例5と同じ条件で成形を行った。得られた成形体の物性を上記方法で測定して評価した。得られた成形体は、板厚が3.7mmであり、基材層を除いた基材部分は、発泡層(C)が存在しない3層構造を有し、曲げ弾性勾配は上記剛性判定基準を満足したが、押し弾性勾配が高く、クッション感が不足していた。結果を表1に示す。
<比較例5>
射出時の型開量を12mmとし、コアバック遅延時間を5.3sとした以外は実施例3と同じ条件で成形を行った。得られた成形体の物性を上記方法で測定して評価した。得られた成形体は、板厚が4.0mmの発泡体で、表皮層を除いた基材部分は5層構造を有しており、曲げ弾性勾配は上記剛性判定基準を満足したが、押し弾性勾配が高く、クッション感が不足していた。また、成形品には部分的に発泡不良が確認された。結果を表1に示す。
<比較例6>
コアバック状態からの圧縮量を0mmとした以外は実施例5と同じ条件で成形を行った。得られた成形体の物性を上記方法で測定して評価した。得られた成形体の板厚は6.4mmであった。得られた成形体において、表皮を除いた基材部分は、発泡層(C)が存在しない3層構造を有しており、発泡状態は良好で、曲げ弾性勾配は良好であったが、押し弾性勾配が高く、クッション感が不足していた。結果を表1に示す。
<比較例7>
充填樹脂厚を2.0mmとし、コアバック遅延時間を6.0sとし、圧縮を行わなかった以外は実施例5と同じ条件で成形を行った。得られた成形体の物性を上記方法で測定して評価した。得られた成形体の板厚は6.6mmであった。得られた成形体において、基材層を除いた基材部分は、発泡層(C)が存在しない3層構造を有し、発泡状態は良好で、曲げ弾性勾配は満足したが、押し弾性勾配が高く、クッション感が不足していた。結果を表1に示す。
<比較例8>
コアバックも圧縮もしなかったこと以外は実施例8と同じ条件で成形を行った。得られた成形体の物性を上記方法で測定した。得られた成形体は、発泡しておらず、板厚は2.5mmであり、曲げ弾性勾配は上記剛性判定基準を満足していたが、押し弾性勾配が高く、クッション感が不足していた。結果を表1に示す。
<比較例9>
コアバック遅延時間を6.5s、コアバック量を1.6mmとし、コアバック状態からの圧縮量を0mmとした以外は実施例8と同じ条件で成形を行った。得られた成形体の物性を上記方法で測定して評価した。得られた成形体は、板厚が4.0mmの発泡体で、表皮層を除いた基材部分は3層構造を有しており、曲げ弾性勾配は良好であったが、押し弾性勾配が高く、クッション感が不足していた。結果を表1に示す。
S:表皮層
A1、A2:ソリッドスキン層
B1、B2:発泡セル層
C:発泡セルを持たない発泡層

Claims (8)

  1. 射出発泡成形体からなる基材と、前記基材の表面に貼合された表皮層とを含む積層体の製造方法であって、
    可動型と固定型から成る金型を用意し、前記可動型に前記表皮層となる表皮材を装着する工程(1)、
    前記工程(1)の後、前記金型を予め規定された型締力以下の状態で、かつ、前記表皮材の厚さに加えて10mm以下分開いた状態にしてキャビティを形成する工程(2)、
    前記工程(2)の後、前記キャビティに、熱可塑性樹脂(D)および発泡剤(H)を含む熱可塑性樹脂組成物を射出する工程(3)、
    前記工程(3)の後、前記金型を型締め完了状態にて2~20秒間保持する工程(4)、
    前記工程(4)の後、前記可動型を型開き方向に移動させることで、前記熱可塑性樹脂組成物の厚さを210~600%に拡大して発泡体を形成する工程(5)、
    前記工程(5)の後、その状態で5秒以上冷却する工程(6)、
    前記工程(6)の後、前記可動型を型閉じ方向に移動させ、前記表皮材が貼合された発泡体を、前記(5)で広げた厚さの4~90%の厚さに圧縮して0.1秒以上保持する工程(7)、および
    前記工程(7)の後、再び前記可動型を型開き方向に移動させ、前記表皮材が貼合された発泡体を圧縮状態から解放する工程(8)
    を含み、かつ、
    前記表皮材の厚さをt、
    前記工程(5)における拡大後の熱可塑性樹脂組成物の厚さをV1、
    前記工程(7)における圧縮後の発泡体の厚さをV2、
    前記工程(8)における解放後の基材の厚さをV3
    とした場合に、(V1+t)>(V3+t)>(V2+t)の関係を満たす、積層体の製造方法。
  2. 前記熱可塑性樹脂(D)が、プロピレン系重合体(E)である、請求項1に記載の積層体の製造方法。
  3. 前記熱可塑性樹脂組成物が、エチレン・α-オレフィン共重合体(F)を含む、請求項1または2に記載の積層体の製造方法。
  4. 前記熱可塑性樹脂組成物が、充填剤(G)を含む、請求項1または2に記載の積層体の製造方法。
  5. 前記熱可塑性樹脂組成物に含まれる発泡剤(H)の含有量が、前記熱可塑性樹脂組成物100質量部に対して、1~8質量部である、請求項1または2に記載の積層体の製造方法。
  6. 前記発泡剤(H)が、二酸化炭素系発泡剤および窒素系発泡剤からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1または2に記載の積層体の製造方法。
  7. 前記表皮層が、熱可塑性樹脂もしくは熱可塑性エラストマーのシートまたはフィルム、織布、不織布、編み物、起毛布、紙、金属箔、およびネット状物からなる群より選ばれる少なくとも1種からなる、請求項1または2に記載の積層体の製造方法。
  8. 前記基材が、その板厚方向断面において、表面側からソリッドスキン層(A1)/発泡層(B1)/発泡層(C)/発泡層(B2)/ソリッドスキン層(A2)(裏面)の5層からなり、
    前記ソリッドスキン層(A1)および(A2)が、気泡状の発泡構造が観測されない層であり、
    前記発泡層(B1)および(B2)が、下記条件(b-i)~(b-iii)を満たす層であり、
    前記発泡層(C)が、断面の板厚方向の湾曲したセル壁を有する、請求項1または2に記載の積層体の製造方法:
    (b-i)セル内部が気体で満たされ、周りをセル壁で囲まれた発泡セル構造を有する;
    (b-ii)平面方向のセルの平均径が75μm以上400μm以下である;
    (b-iii)板厚方向断面のセルの平均径が平面方向のセルの平均径に対して、1以上6以下の長さを持つセルからなる。
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