JP2024048270A - 電気化学セル用ガス拡散シート、電極、膜電極接合体、電気化学セル、及び電気化学セル用ガス拡散シートの製造方法 - Google Patents

電気化学セル用ガス拡散シート、電極、膜電極接合体、電気化学セル、及び電気化学セル用ガス拡散シートの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電気化学セルのガス拡散層に適した新たなガス拡散シートを提供する。【解決手段】電気化学セル用ガス拡散シート10は、中空繊維11を備える。中空繊維11は、主成分として疎水性材料を含む。拡散シート10は、下記測定方法により測定した拡散シート10の吸水高さHが、0mmよりも大きい。[吸水高さの測定方法]拡散シート10から、大きさ200mm×25mmの試験片Sを採取する。次に、水Wを入れた水槽Tの水面上に、試験片Sの長手方向の一端部S1を固定した後、試験片Sの他端部S2の20mmが水Wに浸漬するように調整し、そのまま10分間放置する。放置後、試験片Sについて、水Wが上昇した高さを測定し、測定値を吸水高さHとする。【選択図】図1

Description

本発明は、電気化学セル用ガス拡散シート、電極、膜電極接合体、電気化学セル、及び電気化学セル用ガス拡散シートの製造方法に関する。
電気化学セルは、電気化学反応によって、例えば、電気エネルギー又は化合物を取り出す変換装置である。電気化学反応プロセスにおいてガスを使用する電気化学セルとして、例えば、燃料電池及びCO2電解セルが知られている。
燃料電池、特に固体高分子形燃料電池(以下、単に「燃料電池」と記載する)では、水素含有ガスなどの燃料ガスと酸素含有ガスなどの酸化剤ガスとの電気化学反応によって、電気エネルギーが生成される。燃料電池は、固体高分子型電解質膜を挟持するように配置された一対の電極(アノード電極及びカソード電極)を備える。アノード電極及びカソード電極のそれぞれは、触媒層及びガス拡散層から構成されている。ガス拡散層は、反応ガス(燃料ガス、酸化剤ガス)を触媒層へ送るとともに、電気化学反応によって生じた余剰な水を外部へ排出する。
CO2電解セルでは、二酸化炭素ガスと水との電気化学反応によって、化合物が生成される。CO2電解セルは、固体高分子型電解質膜を挟持するように配置された一対の電極(アノード電極及びカソード電極)を備える。アノード電極及びカソード電極のそれぞれは、触媒層及びガス拡散層から構成されている。ガス拡散層は、二酸化炭素ガスを触媒層へ送るとともに、電気化学反応によって生じた余剰な水及び酸素ガスを外部へ排出する。
従来、ガス拡散層として、炭素繊維からなる多孔質基材(カーボンペーパー)を用いる技術が知られている。最近では、ガス拡散層の排水性を向上させるために、カーボンペーパーの表面に、カーボンペーパーよりも小さな孔径を有するマイクロポーラス層(Micro Porous Layer:MPL)を形成する技術も提案されている(例えば、特許文献1)。
国際公開第2015/125750号
本発明は、電気化学セルのガス拡散層に適した新たなガス拡散シートを提供することを目的とする。
本発明は、
電気化学セル用ガス拡散シートであって、
中空繊維を備え、
前記中空繊維は、主成分として疎水性材料を含み、
下記測定方法により測定した前記ガス拡散シートの吸水高さが、0mmよりも大きい、
ガス拡散シートを提供する。
[吸水高さの測定方法]
前記ガス拡散シートから、大きさ200mm×25mmの試験片を採取する。次に、水を入れた水槽の水面上に、前記試験片の長手方向の一端部を固定した後、前記試験片の他端部の20mmが水に浸漬するように調整し、そのまま10分間放置する。放置後、前記試験片について、水が上昇した高さを測定し、測定値を前記吸水高さとする。
別の側面において、本発明は、
触媒層とガス拡散層とを備え、
前記ガス拡散層として、上記本発明のガス拡散シートを用いた、電極を提供する。
別の側面において、本発明は、
電解質膜と、上記本発明の電極と、を備えた、膜電極接合体を提供する。
別の側面において、本発明は、
上記本発明の膜電極接合体を備えた、電気化学セルを提供する。
さらに別の側面において、本発明は、
電気化学セル用ガス拡散シートの製造方法であって、
主成分として疎水性材料を含む中空繊維に親水化処理を施すことを含む、
製造方法を提供する。
本発明によれば、電気化学セルのガス拡散層に適した新たなガス拡散シートを提供できる。
本実施形態のガス拡散シートの一例を模式的に示す拡大断面図である。 ガス拡散シートの吸水高さの測定方法を説明する図である。 ガス拡散シートが備える中空繊維の一例を示す概略斜視図である。 本実施形態の電気化学セルの一例を示す概略断面図である。 電気化学セルにおける反応ガス及び電子の動きを説明する図である。 電気化学セルのカソード電極における反応ガス及び電子の動きを説明する図である。
本発明の第1態様にかかるガス拡散シートは、
電気化学セル用ガス拡散シートであって、
中空繊維を備え、
前記中空繊維は、主成分として疎水性材料を含み、
下記測定方法により測定した前記ガス拡散シートの吸水高さが、0mmよりも大きい。
[吸水高さの測定方法]
前記ガス拡散シートから、大きさ200mm×25mmの試験片を採取する。次に、水を入れた水槽の水面上に、前記試験片の長手方向の一端部を固定した後、前記試験片の他端部の20mmが水に浸漬するように調整し、そのまま10分間放置する。放置後、前記試験片について、水が上昇した高さを測定し、測定値を前記吸水高さとする。
本発明の第2態様において、例えば、第1態様にかかるガス拡散シートでは、前記吸水高さが、20mmよりも大きい。
本発明の第3態様において、例えば、第1又は第2態様にかかるガス拡散シートでは、前記ガス拡散シートの表面に水を滴下して測定した水接触角が、90°よりも大きい。
本発明の第4態様において、例えば、第1~第3態様のいずれか1つにかかるガス拡散シートでは、前記疎水性材料は、疎水性樹脂又は炭素材料である。
本発明の第5態様において、例えば、第1~第4態様のいずれか1つにかかるガス拡散シートでは、前記中空繊維は、親水化処理が施された内表面を有する。
本発明の第6態様において、例えば、第5態様にかかるガス拡散シートでは、前記中空繊維は、第1疎水性材料を含む本体部と、前記本体部の外表面を被覆し、第2疎水性材料を含む被覆層と、を有する。
本発明の第7態様において、例えば、第6態様にかかるガス拡散シートでは、前記第2疎水性材料は、フッ素樹脂を含む。
本発明の第8態様にかかる電極は、
触媒層とガス拡散層とを備え、
前記ガス拡散層が、第1~第7態様のいずれか1つにかかるガス拡散シートである。
本発明の第9態様にかかる膜電極接合体は、
電解質膜と、第8態様にかかる電極と、を備える。
本発明の第10態様にかかる電気化学セルは、
第9態様にかかる膜電極接合体を備える。
本発明の第11態様にかかる製造方法は、
電気化学セル用ガス拡散シートの製造方法であって、
主成分として疎水性材料を含む中空繊維に親水化処理を施すことを含む。
本発明の第12態様において、例えば、第11態様にかかる製造方法は、前記親水化処理の前又は後に、前記中空繊維の外表面に疎水性材料を塗布することをさらに含む。
以下、本発明の詳細を説明するが、以下の説明は、本発明を特定の実施形態に制限する趣旨ではない。
<ガス拡散シートの実施形態>
図1は、本実施形態のガス拡散シート10の一例を模式的に示す拡大断面図である。ガス拡散シート10は、例えば、後述する電気化学セル100のガス拡散層として用いられる。ガス拡散シート10は、主成分として疎水性材料を含む中空繊維11を備える。
図1に示すように、ガス拡散シート10は、複数の中空繊維11を絡み合わせた構造又は織り込んだ構造を有している。ガス拡散シート10は、中空繊維11を含む織布又は不織布であってもよい。中空繊維11は、軸方向に延びる中空部12を有している。一方、ガス拡散シート10において、中空繊維11間には、隙間13が形成されている。言い換えると、中空部12は、中空繊維11の内表面によって画定される空間である。隙間13は、中空繊維11の外表面によって画定される空間である。
本実施形態のガス拡散シート10を電気化学セルのガス拡散層として用いた場合、中空部12は、毛管現象によって、余剰な水の排出経路として機能する。隙間13は、反応ガスGの供給経路として機能する。すなわち、ガス拡散シート10を電気化学セルのガス拡散層として用いた場合、ガス拡散層の排水性及びガス拡散性が確保される。
また、ガス拡散シート10は、主成分として疎水性材料を含む中空繊維11を備えるので、主成分として親水性材料を含む中空繊維を備えたガス拡散シートに比べて、含水したときの強度の低下が抑制されている。
ガス拡散シート10の吸水高さHは、0mmよりも大きい。図2は、ガス拡散シート10の吸水高さHの測定方法を説明する図である。吸水高さHは、図2を参照した下記測定方法により測定される。
[吸水高さHの測定方法]
ガス拡散シート10から、大きさ200mm×25mmの試験片Sを採取する。次に、水Wを入れた水槽Tの水面上に、試験片Sの長手方向の一端部S1を固定した後、試験片Sの他端部S2の20mmが水Wに浸漬するように調整し、そのまま10分間放置する。放置後、試験片Sについて、水Wが上昇した高さを測定し、測定値を吸水高さHとする。なお、測定は室温下で行い、使用する水Wは、20℃の蒸留水とする。
上記測定方法において、試験片Sの長手方向は、図1に示したガス拡散シート10の厚み方向X10に一致していることが好ましい。
上述したように、電気化学セルのガス拡散層として用いられるガス拡散シートには、ガス拡散性に加えて、排水性が求められる。しかし、特許文献1に示されるようなカーボンペーパーの表面に形成されたマイクロポーラス層は、ガス拡散層の排水性は向上させるが、ガス拡散性は低下させる傾向がある。すなわち、従来のガス拡散シートでは、ガス拡散層の排水性とガス拡散性とを両立させることは困難であった。
本実施形態のガス拡散シート10は、中空繊維11が主成分として疎水性材料を含むので、中空繊維11の外表面によって画定される隙間13のガス拡散性が向上している。さらに、本実施形態のガス拡散シート10は、毛管現象による吸水高さHが0mmよりも大きいので、中空繊維11の内表面によって画定される中空部12の排水性が向上している。このように、本実施形態のガス拡散シート10を電気化学セルのガス拡散層として用いた場合、ガス拡散層の排水性及びガス拡散性をともに向上させることができる。
電気化学セルのガス拡散層の排水性は、電気化学セルの発電量に影響すると考えられる。例えば、発電中、生成水によって反応ガスの供給が阻害されると、電気化学セルの発電量は低下する。本実施形態のガス拡散シート10は、毛管現象による吸水高さHが0mmよりも大きく、排水性が向上しているので、電気化学セルのガス拡散層として用いた場合、電気化学セルの発電量の低下を抑制できることが予想される。
ガス拡散シート10の吸水高さHは、10mmよりも大きくてもよく、20mmよりも大きくてもよい。このような構成を有するガス拡散シート10を電気化学セルのガス拡散層として用いた場合、ガス拡散層の排水性をより向上させることができる。吸水高さHは、25mmよりも大きくてもよく、30mmよりも大きくてもよく、さらには50mmよりも大きくてもよい。
上記測定方法は、JIS L 1907:2010に記載のバイレック法に準拠したものである。バイレック法は、毛管現象による水の上昇高さによって試験片の吸水性を評価する方法である。バイレック法の理論は、ルーカス-ウォッシュバーン(Lucas-Washburn)式から導出される下記の式(1)によって表されることが知られている。式(1)は、半径rの毛管内を密度ρの液体が毛管上昇した場合の上昇高さhを、重力加速度g、液体の表面張力γ、及び接触角θを用いて表したものである。接触角θは、毛管の内表面に対する液体の接触角を表している。
Figure 2024048270000002
式(1)により算出したガス拡散シート10の水接触角θ1は、90°よりも小さくてもよい。すなわち、ガス拡散シート10において、中空繊維11の内表面の水接触角θ1は、90°よりも小さくてもよい。水接触角θ1は、85°よりも小さくてもよく、80°よりも小さくてもよい。
ガス拡散シート10の表面に水を滴下して測定した水接触角θ2は、90°よりも大きくてもよい。水接触角θ2は、以下の方法により測定することができる。室温下で、ガス拡散シート10の表面に蒸留水4μlを滴下する。10秒後、該蒸留水の液滴とガス拡散シート10の表面との接触角を、接触角測定装置(例えば、協和界面科学社製、DropMaster DM-71)により測定し、測定値を水接触角θ2とする。
上記測定方法は、JIS R 3257:1999に記載の静滴法に準拠したものである。静滴法は、試験片の表面上に静置した水滴の接触角によって試験片のぬれ性を評価する方法である。静滴法の理論から、上記測定方法により測定したガス拡散シート10の水接触角θ2は、ガス拡散シート10の表面を構成する中空繊維11の外表面の接触角とみなしうる。したがって、水接触角θ2が90°よりも大きいガス拡散シート10では、中空繊維11の外表面によって画定される隙間13のガス拡散性がより向上しているといえる。
ガス拡散シート10の水接触角θ2は、95°よりも大きくてもよく、100°よりも大きくてもよく、105°よりも大きくてもよい。
上述したように、中空繊維11は、主成分として疎水性材料を含む。疎水性材料は、室温下で測定された、当該疎水性材料で構成された平板と水との接触角(水接触角)が90°よりも大きい材料であってもよい。「主成分」は、重量比で最も多く含まれる成分を意味する。
疎水性材料は、疎水性樹脂又は炭素材料であってもよい。疎水性材料は、疎水性樹脂であってもよい。
疎水性樹脂は、フッ素樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、及びゴム系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種であってもよい。フッ素樹脂として、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレン-ポリテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)などが挙げられる。ポリオレフィン樹脂として、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などが挙げられる。中空繊維11は、好ましくは、疎水性樹脂としてポリプロピレンを含む。
炭素材料は、炭素繊維、炭素粒子、カーボンナノチューブ、グラフェンからなる群より選択される少なくとも1種であってもよい。
図3は、ガス拡散シート10が備える中空繊維11の一例を示す概略斜視図である。中空繊維11は、第1疎水性材料を含む本体部15を有する。
ガス拡散シート10は、第1疎水性材料を含む本体部15を有する中空繊維11を備えるので、親水性材料を含む本体部を輸する中空繊維を備えたガス拡散シートに比べて、含水したときの強度の低下が抑制されている。
中空繊維11は、親水化処理が施された内表面12sを有していてもよい。すなわち、中空繊維11の中空部12に、親水化処理が施されていてもよい。このような構成を有する中空繊維11を備えたガス拡散シート10では、中空繊維11の中空部12の濡れ性が向上しているので、中空部12の毛管現象が水を吸い上げる方向に働く。これにより、中空部12の排水性が向上しうる。
図3に示すように、中空繊維11は、本体部15の外表面15sを被覆し、第2疎水性材料を含む被覆層16をさらに有していてもよい。すなわち、第2疎水性材料を含む被覆層16によって、中空繊維11の外表面11sが構成されていてもよい。このような構成を有する中空繊維11を備えたガス拡散シート10では、隙間13のガス拡散性がさらに向上しうる。
中空繊維11に主成分として含まれる「疎水性材料」とは、第1疎水性材料及び第2疎水性材料を含む概念である。第1疎水性材料及び第2疎水性材料として、上記疎水性材料について説明した材料を用いることができる。第1疎水性材料と第2疎水性材料とは、異なっていてもよく、同一であってもよい。
第1疎水性材料は、ポリプロピレンを含んでいてもよい。中空繊維11の本体部15は、好ましくは、第1疎水性材料としてポリプロピレンを含む。
第2疎水性材料は、フッ素樹脂を含んでいてもよい。例えば、中空繊維11の被覆層16は、主成分としてフッ素樹脂を含んでいてもよい。フッ素樹脂は、典型的には、PTFEである。中空繊維11の被覆層16は、好ましくは、第2疎水性材料としてPTFEを含む。
ガス拡散シート10が備える中空繊維11の外径R1は、例えば、5~400μmである。なお、中空繊維11が被覆層16を有する場合、外径R1は、被覆層16の外径に相当する。外径R1が上記範囲にあることにより、ガス拡散シート10において、良好なガス拡散性を実現できる。
ガス拡散シート10が備える中空繊維11の内径R2は、例えば、2~300μmである。なお、内径R2は、中空繊維11の中空部12の直径と同義である。上記式(1)からも理解されるように、毛管現象による上昇高さhは、毛管の半径rが小さいほど向上する。内径R2が上記範囲にあることにより、ガス拡散シート10において、良好な排水性を実現できる。
ガス拡散シート10の厚みは、用いられる電気化学セルの構成に応じて、適宜設定することができる。
<電気化学セルの実施形態>
次に、本実施形態の電気化学セルについて説明する。図4は、本実施形態の電気化学セル100の一例を示す概略断面図である。電気化学セル100は、例えば、燃料電池に用いられる。
図4に示す電気化学セル100は、固体高分子型電解質膜1(以下、単に「電解質膜」と記載する)と、電解質膜1を挟持するように配置された一対の電極2とを備える。一対の電極2のそれぞれをアノード電極2a及びカソード電極2cと呼ぶ。電極2(アノード電極2a及びカソード電極2c)は、電子伝導性を有する触媒層3及びガス拡散層4を備える。各部材は、当該部材の主面に垂直な方向に圧力が印加された状態で接合されている。本明細書において、「主面」とは、各部材を構成する複数の面のうち、最も大きい面積を有する面を意味する。電解質膜1及び電極2(アノード電極2a及びカソード電極2c)は、膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)を構成している。言い換えると、MEAは、電解質膜1及び電極2を備える。
電気化学セル100は、一対の電極2を挟持するように配置された一対のセパレータ5(アノードセパレータ5a及びカソードセパレータ5c)をさらに備える。各セパレータ5には、ガス拡散層4側の主面に溝5gが形成されている。溝5gが、反応ガス(燃料ガス、酸化剤ガス)の供給経路として機能する。ガス拡散層4側の主面に複数の溝5gが形成されていてもよい。セパレータ5は、電子伝導性を有し、集電体としても機能する。
図5は、電気化学セル100における反応ガス及び電子の動きを説明する図である。図5では、燃料ガスとして水素含有ガス、酸化剤ガスとして酸素含有ガスを用いた場合の例を示している。図5に示すように、溝5gを通ってアノード電極2aに供給された水素含有ガスは、アノードガス拡散層4aを経て、アノード触媒層3aの触媒作用によってプロトン化し、水素イオンが発生する。このとき、同時に、アノード触媒層3aでは電子が発生する。水素イオンは、電解質膜1を通過してカソード電極2cへ移動する。電子は、外部回路6を通ってカソード電極2cへ移動する。一方、溝5gを通ってカソード電極2cに供給された酸素含有ガスは、カソード拡散層4cを経て、カソード触媒層3cで水素イオン及び電子と反応し、その結果、水が生成される。生成された水によって、電解質膜1に適度な湿潤が付与される。余剰な水は、カソードガス拡散層4cを透過して外部へと排出される。
[ガス拡散層]
電気化学セル100において、ガス拡散層4は、上述したガス拡散シート10である。そのため、ガス拡散層4では、排水性及びガス拡散性がともに向上している。
図6は、電気化学セル100のカソード電極2cにおける反応ガス及び電子の動きを説明する図である。図6は、図5において破線の丸で囲った部分VIに対応している。上述したように、カソード電極2cに供給された酸素含有ガスは、カソード拡散層4cを経て、カソード触媒層3cへ移動する。アノード触媒層3aで発生した水素イオン及び電子は、カソード触媒層3cへ移動し、酸素含有ガスと反応し、水が生成される。余剰な水は、カソードガス拡散層4cを透過して外部へと排出される。
電気化学セル100では、少なくともアノードガス拡散層4aとして、上述したガス拡散シート10が用いられている。アノードガス拡散層4aは、上述したように、反応ガスを透過させるとともに、カソード触媒層3cで生成された水を透過させる役割を有する。少なくともアノードガス拡散層4aとしてガス拡散シート10が用いられていることにより、アノードガス拡散層4aにおける排水性及びガス拡散性を向上させることができる。
電気化学セル100では、カソード拡散層4cとして、ガス拡散シート10が用いられていてもよい。すなわち、アノードガス拡散層4a及びカソード拡散層4cの両方に、ガス拡散シート10が用いられていてもよい。
アノード電極2aの厚み及びカソード拡散層4cの厚みは、特に限定されない。アノード電極2aの厚みとカソード電極2cの厚みとは、異なっていてもよく、同一であってもよい。
アノードガス拡散層4aの厚み及びカソード拡散層4cの厚みは、特に限定されない。アノードガス拡散層4aの厚みとカソード拡散層4cの厚みとは、異なっていてもよく、同一であってもよい。
アノード電極2aの厚みに対するアノードガス拡散層4aの厚みの比は、特に限定されない。
[電解質膜]
電解質膜1は、アニオン交換型高分子電解質膜(アニオン交換膜)、又は、カチオン交換型高分子電解質膜(カチオン交換膜)から構成されている。電解質膜1は、カチオン交換膜から構成されていてもよい。
カチオン交換膜として、例えば、スルホン酸基などのカチオン交換能を有する官能基を有する固体高分子膜が挙げられる。
電解質膜1の厚みは、特に限定されない。
[触媒層]
触媒層3は、触媒により形成されていてもよく、触媒を担持した触媒担体により形成されていてもよい。触媒として、例えば、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、又はこれらの合金が挙げられる。触媒担体として、例えば、カーボン、活性炭、フラーレン、カーボンナノホーン、カーボンナノチューブなどが挙げられる。
電解質膜1がアニオン交換膜から構成されている場合、触媒層3として、アニオン交換型の燃料電池に使用する公知のMEAが備える触媒層を用いることができる。この場合、触媒は、カチオン交換型の燃料電池とは異なり、必ずしも白金のような貴金属である必要はなく、例えば、ニッケル、コバルト、鉄、銀などの卑金属を使用可能である。ただし、含まれる具体的な触媒及び触媒層の構成などは、MEAのアノード側(アノード触媒層)とカソード側(カソード触媒層)とで異なっていても同一であってもよい。
アノード触媒層3aの厚み及びカソード触媒層3cの厚みは、特に限定されない。アノード触媒層3aの厚みとカソード触媒層3cの厚みとは、異なっていてもよく、同一であってもよい。
なお、上記では、本実施形態の電気化学セルについて、燃料電池に用いられうる電気化学セル100を例に用いて説明したが、本実施形態の電気化学セルは、触媒層及びガス拡散層を有する電極と電解質膜とを備えた電気化学セルである限り、電気化学セル100の構成に制限されない。例えば、本実施形態の電気化学セルは、触媒層及びガス拡散層を有するカソード電極、触媒層及びガス拡散層を有するアノード電極、及び電解質膜を備えたCO2電解セルであってもよい。例えば、本実施形態の電気化学セルは、触媒層及びガス拡散層を有するカソード電極、アノード電極、電解質膜、及びアノード電極側に配置された液体流路を備えたCO2電解セルであってもよい。
<電気化学セル用ガス拡散シートの製造方法の実施形態>
次に、上記実施形態で説明した電気化学セルに用いられるガス拡散シート10の製造方法の一例について説明する。当該製造方法は、主成分として疎水性材料を含む中空繊維11に親水化処理を施すこと(ステップS1)を含む。
ステップS1によって、中空繊維11の親水性を向上させることができる。したがって、ステップS1によれば、排水性がより向上したガス拡散シート10を製造できる。
ステップS1における親水化処理は、フッ素ガス及び酸素原子含有ガスを用いて実施されてもよい。酸素原子含有ガスとして、例えば、酸素ガス、二酸化硫黄ガスなどが挙げられる。フッ素ガスは中空繊維11の中空部12内に導入されやすい。そのため、フッ素ガスを用いることによって、中空繊維11の内表面12sにまで親水処理を施すことができる。中空繊維11に対するフッ素ガス及び酸素原子含有ガスの導入は、例えば、中空繊維11を収容した容器内にフッ素ガス及び酸素原子含有ガスを充填することにより行ってもよい。
ステップS1でフッ素ガス及び酸素ガスを用いた場合、下記スキーム(I)に示される反応を経て、中空繊維11に親水性官能基が導入されうる。なお、スキーム(I)は、中空繊維11が、ポリプロピレンなどの炭素と水素とからなるポリマーである場合の例である。具体的には、中空繊維11に対してフッ素ガス及び酸素ガスを導入することによって、CH部分がCOFに変換し、加水分解によってさらにCOOHに変換する。このようにして、中空繊維11にカルボキシル基が導入される。なお、加水分解は、大気中の水分によっても進行するが、フッ素ガス及び酸素ガスを導入した後の中空繊維11を水に浸漬させることにより行ってもよい。フッ素ガス及び酸素ガスを導入した後の中空繊維11を水に浸漬することで、加水分解の進行が促進する。
Figure 2024048270000003
ステップS1でフッ素ガス及び二酸化硫黄ガスを用いた場合、下記スキーム(II)に示される反応を経て、中空繊維11に親水性官能基が導入されてもよい。なお、スキーム(II)は、スキーム(I)と同様に、中空繊維11が、ポリプロピレンなどの炭素と水素とからなるポリマーである場合の例である。具体的には、中空繊維11に対してフッ素ガス及び二酸化硫黄ガスを導入することによって、中空繊維11にスルホン酸基が導入される。
Figure 2024048270000004
ステップS1における親水化処理は、原子層堆積(ALD:atomic layer deposition)法によって実施されてもよい。ALD法は、特に、中空繊維11の全体、すなわち、外表面15s及び内表面12sを被覆する被覆層を形成することに適している。
ALD法では、中空繊維11を収容した容器内に、原料ガス(無機材料の前駆体ガス)と酸化ガスとを交互に導入する。これにより、中空繊維11の外表面15s及び内表面12sで原料ガスが酸化され、無機材料が堆積する。無機材料が堆積することによって、無機層が形成される。原料ガスは、無機層の組成に応じて適宜選択することができる。例えば、無機層がAl23を含む場合、原料ガスとして、気体の有機アルミニウム化合物を用いることができる。有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリメチルアルミニウム及びトリイソブチルアルミニウムが挙げられる。無機層がSiO2を含む場合、原料ガスとして、気体の有機ケイ素化合物を用いることができる。有機ケイ素化合物としては、例えば、ビスジエチルアミノシランが挙げられる。酸化ガスとしては、例えば、水蒸気が挙げられる。中空繊維11を収容した容器内には、原料ガス及び酸化ガス以外に、窒素ガスなどの不活性ガスが導入されてもよい。ALD法によって、中空繊維11にヒドロキシル基が導入されうる。
ALD法では、中空繊維11が加熱されていてもよい。この場合、中空繊維11の温度は、例えば、30℃~300℃である。
ALD法は、詳細には、中空繊維11を収容した容器内に原料ガスを導入すること(ステップi)と、容器内から原料ガスを排出すること(ステップii)と、容器内に酸化ガスを導入すること(ステップiii)と、容器内から酸化ガスを排出すること(ステップiv)と、を含む。ステップii及びivでは、容器内からガスを排出してから、不活性ガスを容器内に導入してもよい。ALD法では、ステップi~ivのサイクルが、例えば1~1000回繰り返される。ステップi~ivのサイクル数によって無機層の厚さを調節することができる。
ステップS1における親水化処理は、中空繊維11を親水化改質剤(表面改質剤)に浸漬することによって実施してもよい。
ステップS1は、中空繊維11の本体部15に親水化処理を施すことを含む。上述したように、本体部15は、第1疎水性材料を含む。中空繊維11の本体部15に親水化処理を施すことによって、中空繊維11の本体部15の親水性を向上させることができる。
当該製造方法は、ステップS1の前に、中空繊維11の外表面15sに疎水性材料を塗布すること(ステップS2-1)をさらに含んでいてもよい。また、当該製造方法は、ステップS1の後に、中空繊維11の外表面15sに疎水性材料を塗布すること(ステップS2-2)をさらに含んでいてもよい。ステップS2-1及びステップS2-2で用いられる疎水性材料は、上述した第2疎水性材料に相当する。
ステップS2-1又はステップS2-2によって、中空繊維11の外表面15sに、第2疎水性材料を含む被覆層16を形成することができる。したがって、ステップS2によれば、ガス拡散性がより向上したガス拡散シート10を製造できる。
ガス拡散シート10は、ステップS2-1の後にステップS1を実施すること(製造プロセス1)によって、製造することができる。また、ガス拡散シート10は、ステップS1の後にステップS2-2を実施すること(製造プロセス2)によって、製造することができる。
以下、製造プロセス1及び2について、さらに詳説する。
(製造プロセス1)
製造プロセス1では、ステップS2-1の後にステップS1を実施する。ステップS2-1では、中空繊維11の本体部15の外表面15sに、第2疎水性材料を塗布する。これにより、中空繊維11の外表面15sに、第2疎水性材料を含む被覆層16が形成される。塗布方法としては、例えば、スプレー塗布、浸漬塗布などが挙げられる。第2疎水性材料は、例えば、フッ素樹脂であり、典型的には、PTFEである。上述したように、中空繊維11の本体部15は、第1疎水性材料を含むため、そもそも疎水性を有する。ステップS2-1の実施によって、中空繊維11の外表面15sの疎水性がさらに向上するので、ガス拡散シート10における隙間13のガス拡散性がより向上する。
次いで、ステップS1を実施する。ステップS1では、中空繊維11に親水化処理を施す。ステップS1における親水化処理は、フッ素ガス及び酸素原子含有ガスを用いて実施されてもよい。フッ素ガス及び酸素原子含有ガスを用いることによって、中空繊維11の内表面12sにまで親水化処理を施すことができる。ここで、PTFEはCH部分を有さない。そのため、フッ素ガス及び酸素原子含有ガスの導入によっても、PTFEにカルボキシル基などの親水性官能基が導入されることはない。したがって、ステップS2-1の第2疎水性材料としてPTFEを用いた場合には、その後のステップS1でフッ素ガス及び酸素原子含有ガスを用いることによって、中空繊維11の内表面12sだけに親水化処理を施すことができる。
製造プロセス1によれば、親水化処理が施された内表面12sと疎水化処理が施された外表面15sとを有する中空繊維11を作製することができる。
(製造プロセス2)
製造プロセス2では、ステップS1の後にステップS2-2を実施する。ステップS1では、中空繊維11に親水化処理を施す。ステップS1における親水化処理は、フッ素ガス及び酸素原子含有ガスを用いて実施されてもよい。フッ素ガス及び酸素原子含有ガスを用いることによって、中空繊維11の外表面15s及び内表面12sに親水化処理を施すことができる。
次いで、ステップS2-2を実施する。ステップS2-2では、中空繊維11の本体部15の外表面15sに、第2疎水性材料を塗布する。これにより、中空繊維11の外表面15sに、第2疎水性材料を含む被覆層16が形成される。ステップS2-2は、塗布により実施されるため、中空繊維11の内表面12sに第2疎水性材料を含む被覆層16が形成されることはない。塗布方法としては、例えば、スプレー塗布、浸漬塗布などが挙げられる。第2疎水性材料は、例えば、フッ素樹脂であり、典型的には、PTFEである。
製造プロセス2によれば、親水化処理が施された内表面12sと疎水化処理が施された外表面15sとを有する中空繊維11を作製することができる。
当該製造方法は、中空繊維11をシート状に加工すること(ステップS3)をさらに含んでいてもよい。ステップS3において、中空繊維11を絡み合わせること又は織り込むことによって、シート状のガス拡散シート10を得ることができる。
ステップS3は、複数の中空繊維11が、所定の方向に配向するように配置することを含んでいてもよい。
ステップS3は、当該製造方法の最初に実施されてもよく、最後に実施されてもよい。すなわち、シート状に加工された中空繊維11に対して、製造プロセス1又は2を実施してもよく、製造プロセス1又は2が実施された後の中空繊維11をシート状に加工してもよい。
以下に、実施例、比較例、及び参考例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[実施例1]
基材として、内径が200μm、外径が300μmのポリプロピレン製の中空繊維を用いた。シート状に加工された当該中空繊維に対して、前処理としてステップS2-1を行い、その後、親水化処理としてステップS1を実施した(製造プロセス1)。ステップS2-1では、中空繊維の外表面にPTFEをスプレー塗布することによって、中空繊維に疎水化処理を施した。ステップS1では、中空繊維にフッ素ガス及び酸素ガスを導入することによって、中空繊維の内表面のみに親水化処理を施した。このようにして、実施例1のガス拡散シートを得た。
[実施例2]
基材として、実施例1と同じ中空繊維を用いた。シート状に加工された当該中空繊維に対して、親水化処理としてステップS1を行い、その後、後処理としてステップS2-2を実施した(製造プロセス2)。ステップS1では、中空繊維にフッ素ガス及び酸素ガスを導入することによって、中空繊維の外表面及び内表面に親水化処理を施した。ステップS2-2では、中空繊維の外表面にPTFEをスプレー塗布することによって、中空繊維の外表面のみに疎水化処理を施した。このようにして、実施例2のガス拡散シートを得た。
[実施例3]
ステップS1における親水化処理の酸素ガスに対するフッ素ガスの濃度比率が異なる以外は、実施例2と同じ方法により、実施例3のガス拡散シートを得た。
[比較例1]
基材として、実施例1と同じ中空繊維を用いた。当該中空繊維をシート状に加工することによって、比較例1のガス拡散シートを得た。
[比較例2]
基材として、実施例1と同じ中空繊維を用いた。シート状に加工された当該中空繊維に対して、ステップS2-1のみを実施した。すなわち、中空繊維の外表面にPTFEをスプレー塗布することによって、中空繊維の外表面のみに疎水化処理を施した。このようにして、比較例2のガス拡散シートを得た。
[参考例1]
直径が15μmのポリアクリロニトリル繊維を抄紙した後、窒素ガス雰囲気で焼成することによって、カーボンペーパーを作製した。このカーボンペーパーを参考例1のガス拡散シートとした。
実施例1~3、比較例1~2、及び参考例1の各ガス拡散シートについて、上述した方法により吸水高さH、水接触角θ2を測定するとともに、水接触角θ1を算出した。結果を表1に示す。
Figure 2024048270000005
実施例1~3のガス拡散シートでは、吸水高さHが0mmよりも大きく、さらには、20mmよりも大きく、吸水高さHを用いて算出された水接触角θ1は、90°より小さく、さらには、80°よりも小さかった。また、実施例1~3のガス拡散シートでは、水接触角θ2が90°よりも大きく、さらには、100°よりも大きかった。これらの結果から、実施例1~3のガス拡散シートを電気化学セルのガス拡散層として用いた場合、ガス拡散層の排水性及びガス拡散性をともに向上させることができることが推測される。これに対して、比較例1~2及び参考例1のガス拡散シートでは、水接触角θ2は100°よりも大きいものの、吸水高さHが0mmであった。比較例1~2及び参考例1のガス拡散シートを電気化学セルのガス拡散層として用いた場合、排水性の面で劣ることが推測される。
本実施形態の電気化学セル用ガス拡散シートは、電気化学セルにおいて、ガスを透過させ、かつ、液体(水)を透過させるためのガス拡散層に適している。
1 電解質膜
2 電極
2a アノード電極
2c カソード電極
3 触媒層
3a アノード触媒層
3c カソード触媒層
4 ガス拡散層
4a アノードガス拡散層
4c カソードガス拡散層
5 セパレータ
5a アノードセパレータ
5c カソードセパレータ
5g 溝
6 外部回路
100 電気化学セル
11 中空繊維
11s 中空繊維の外表面
12 中空部
12s 内表面
13 隙間
15 本体部
15s 本体部の外表面
16 被覆層
10 ガス拡散シート

Claims (12)

  1. 電気化学セル用ガス拡散シートであって、
    中空繊維を備え、
    前記中空繊維は、主成分として疎水性材料を含み、
    下記測定方法により測定した前記ガス拡散シートの吸水高さが、0mmよりも大きい、
    ガス拡散シート。
    [吸水高さの測定方法]
    前記ガス拡散シートから、大きさ200mm×25mmの試験片を採取する。次に、水を入れた水槽の水面上に、前記試験片の長手方向の一端部を固定した後、前記試験片の他端部の20mmが水に浸漬するように調整し、そのまま10分間放置する。放置後、前記試験片について、水が上昇した高さを測定し、測定値を前記吸水高さとする。
  2. 前記吸水高さが、20mmよりも大きい、請求項1に記載のガス拡散シート。
  3. 前記ガス拡散シートの表面に水を滴下して測定した水接触角が、90°よりも大きい、請求項1に記載のガス拡散シート。
  4. 前記疎水性材料は、疎水性樹脂又は炭素材料である、請求項1に記載のガス拡散シート。
  5. 前記中空繊維は、親水化処理が施された内表面を有する、請求項1に記載のガス拡散シート。
  6. 前記中空繊維は、第1疎水性材料を含む本体部と、前記本体部の外表面を被覆し、第2疎水性材料を含む被覆層と、を有する、請求項5に記載のガス拡散シート。
  7. 前記第2疎水性材料は、フッ素樹脂を含む、請求項6に記載のガス拡散シート。
  8. 触媒層とガス拡散層とを備え、
    前記ガス拡散層が、請求項1~7のいずれか1項に記載のガス拡散シートである、電極。
  9. 電解質膜と、請求項8に記載の電極と、を備えた、膜電極接合体。
  10. 請求項9に記載の膜電極接合体を備えた、電気化学セル。
  11. 電気化学セル用ガス拡散シートの製造方法であって、
    主成分として疎水性材料を含む中空繊維に親水化処理を施すことを含む、
    製造方法。
  12. 前記親水化処理の前又は後に、前記中空繊維の外表面に疎水性材料を塗布することをさらに含む、請求項11に記載の製造方法。
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