JP2024045915A - ソーラーパネルによる発電効率を高める方法、農業又は光発電用資材、それからなる防草資材及び農業用マルチ資材、並びにその資材を用いた農作物の栽培方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】野立て太陽光発電ソーラーシェアリング農法等における太陽光発電効率を高めることができるとともに、防草シートとして用いれば光劣化が抑制され、マルチ資材として用いれば高い反射性により農作物の育成を助けることのできる、農業又は光発電用資材を提供すること。【解決手段】基材2の表面に礫(つぶて)状の反射体31が層状に配置されてなる農業又は光発電用資材1を用いる。本発明の資材は、基材2の表面に設けられた複数の礫状反射体31が、その上方より照射された光を反射させ、その上方に存在する物体に反射光を照射する。この反射光が両面発電型ソーラーパネルの裏面や農作物に照射され、ソーラーパネルによる発電量の増大や、農作物の成長促進をもたらす。【選択図】図1
Description
特許法第30条第2項適用申請有り 試験を行った日:令和4年9月9日から特許出願の時点(同9月22日)で継続中、試験を行った場所:岩手県胆沢郡金ケ崎町西根大前22番
本発明は、ソーラーパネルによる発電効率を高める方法、農業又は光発電用資材、それからなる防草資材及び農業用マルチ資材、並びにその資材を用いた農作物の栽培方法に関するものである。
近年、再生可能エネルギーの利用促進が社会的に大きな注目を集めている。そのような背景のもと、太陽電池セルの集合体であるソーラーパネルを利用した太陽光発電が広く行われるようになっていることは周知の通りである。こうした太陽光発電は、住宅や商業施設の屋根にソーラーパネルを設置して行う比較的小規模なものをはじめ、いわゆるメガソーラーと呼ばれるような、遊休地等を利用して多数のソーラーパネルを設置して行う大規模なものまで幅広く行われている。
このような太陽光発電の一つの態様として、農地の上にやぐら状の架台を設け、その架台にソーラーパネルを設置することで、農地での営農を継続しながら太陽光発電を行う方法、いわゆるソーラーシェアリング農法が提唱されている。このソーラーシェアリング農法においては、営農を継続しながら太陽光発電を行うことが可能であるため、太陽光発電のために耕作地を放棄する必要はなく、農業生産とクリーンなエネルギー資源との両方を同時に獲得することが可能である。このようなソーラーシェアリング農法の方法の具体例が、例えば特許文献1、2等に挙げられている。
ところで、農作物の育成において、農作物の根本付近の地面をビニールフィルム等のマルチ資材で覆うマルチ栽培が広く行われている。こうしたマルチ資材は、主として地温保持、土壌水分保持等の観点から用いられるものだが、他にも農作物への太陽光の照射量を増加させることを目的として反射性のマルチ資材を用いたマルチ栽培も行われている(このような資材の例として、例えば特許文献3を参照)。
また、例えば果樹等の栽培のように樹上にて作物が育成される農地においては、作物の実らない地面での雑草の繁茂を抑制するために、地面に防草シートを設けることも多い。しかしながら、地面に設けられた防草シートは、長年にわたって太陽光の照射を受けることで光劣化を生じて交換が必要となる。このようなことから、より光劣化を生じにくい防草シートが求められている。
本発明は、以上の状況に鑑みてなされたものであり、野立て太陽光発電ソーラーシェアリング農法等における太陽光発電効率を高めることができるとともに、防草シートとして用いれば光劣化が抑制され、マルチ資材として用いれば高い反射性により農作物の育成を助けることのできる、農業又は光発電用資材を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、基材の表面に礫(つぶて)状の反射体が層状に配置されてなる資材を用いることにより、上記の課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は、以下のようなものを提供する。
(1)本発明は、基材の表面に礫(つぶて)状反射体が層状に配置されてなる農業又は光発電用資材である。
(2)また本発明は、上記基材が透水性を備えたシートである(1)項記載の農業又は光発電用資材である。
(3)また本発明は、上記礫状光反射体がガラス破砕物である(1)項又は(2)項記載の農業又は光発電用資材である。
(4)また本発明は、上記礫状反射体の層の厚さが40mm以上である(1)項~(3)項のいずれか1項記載の農業又は光発電用資材である。
(5)本発明は、上記(1)項~(4)項のいずれか1項記載の資材からなる防草資材でもある。
(6)本発明は、上記(1)項~(4)項のいずれか1項記載の資材からなる農業用マルチ資材でもある。
(7)本発明は、作物を栽培する農地の上方にソーラーパネルを設置し、農作物の栽培と太陽光発電とを両立させるソーラーシェアリング農法において、上記ソーラーパネルとして両面発電タイプのパネルを用い、かつ上記(1)項~(4)項のいずれか1項記載の資材を上記農地の少なくとも一部に設置することにより、上記資材により反射した太陽光を上記ソーラーパネルの裏面に照射させてこのソーラーパネルによる発電効率を高めることを特徴とする方法でもある。
(8)本発明は、栽培する作物の下方に(1)項~(4)項のいずれか1項記載の資材を設置し、この資材により反射した太陽光を上記作物へ照射させることで当該作物の成長を促進させることを特徴とする農作物の栽培方法でもある。
本発明によれば、野立て太陽光発電ソーラーシェアリング農法等における太陽光発電効率を高めることができるとともに、防草シートとして用いれば光劣化が抑制され、マルチ資材として用いれば高い反射性により農作物の育成を助けることのできる、農業又は光発電用資材が提供される。
以下、本発明の農業又は光発電用資材の一実施形態、防草資材の一実施形態、農業用マルチ資材の一実施形態、ソーラーシェアリング農法におけるソーラーパネルによる発電効率を高めることを特徴とする方法の一実施態様、及び農作物の栽培方法の一実施態様についてそれぞれ説明する。なお、本発明は、以下の実施形態及び実施態様に何ら限定されるものでなく、本発明の範囲内において適宜変更を加えて実施することができる。
まずは、本発明の農業又は光発電用資材(以下、「本発明の資材」、「資材」等と適宜省略する。)の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の農業又は光発電用資材の一実施形態を示す平面図である。図2は、本発明の農業又は光発電用資材の一実施形態における、図1のa-a’線についての側面断面図である。
本発明の資材1は、基材2の表面に礫(つぶて)状反射体31が層状に配置されてなる農業又は光発電用資材である。本発明の資材は、基材2の表面に設けられた複数の礫状反射体31が、その上方より照射された光を反射させ、その上方に存在する物体に反射光を照射する。このとき、反射光の照射される物体が両面発電型のソーラーパネルであれば、そのソーラーパネルによる発電量を向上させることができ、また、反射光の照射される物体が農作物であれば、その農作物の光合成量を増加させその生長を促進させることができる。また、礫状反射体31が層状となって形成された光反射層3が十分な厚さを備える場合には、照射された光が光反射層3の下層に至るまでの間に減衰し、基材2が太陽光の照射により光劣化するのを抑制したり、本発明の資材1の敷かれた地面から雑草が生長するのを抑制したりすることができる。
本実施形態における資材1は、底面を構成する基材2と、基材2の外周に沿って一定の高さを備えた枠体4とを備え、基材2が構成する底面と枠体4が構成する側面とからなる箱形の空間に礫状反射体31が収容される。この箱形の空間は高さを有し、この空間に十分な量の礫状反射体31が収容されることで、収容された礫状反射体31が光反射層3を形成する。この光反射層3が、資材1の上方から照射された光を反射することは既に述べた通りである。このような箱形の空間に礫状反射体31を収容するように構成すると、礫状反射体を基材に直接接着して光反射層を形成させた場合と違って、基材2の透水性が妨げられない。なお、本実施形態における光としては、太陽光を好ましく挙げられる。
基材2は、シート状であり透水性を備える。このような基材2として市販の防草シートが好ましく用いられるが、特に限定されない。市販の防草シートは、織布や不織布で構成されており透水性を備えるので、本発明の基材2として好ましく採用される。
枠体4は、基材2の周囲に沿って設けられ、基材2に接着されてこれと一体化される。枠体4は、高さを備え、基材2と一体化されることでその内側に箱形の空間を形成する。枠体4の高さは任意に決定されるが、40mm以上を好ましく挙げることができる。本発明者らの検討により、光反射層3の高さが40mm以上であれば光反射層3の上方から入射した光が光反射層3の底部に至るまでに十分に減衰し、ゆえに基材2の光劣化が抑制されることが判明している。枠体4の高さが40mm以上であることにより、その内側に形成される光反射層3の高さを40mm以上とすることができ、上記のように基材2の光劣化を抑制できるので好ましい。枠体4の材質は、ある程度の耐候性があるものであればどのような物であってもよいが、一例として木材やステンレス等を好ましく挙げることができる。なお、光反射層3の高さの上限は特に存在しないが、取り回しの容易さ等の観点から、200mm程度が好ましく挙げられ、100mm程度がより好ましく挙げられ、60mm程度がさらに好ましく挙げられる。
礫状反射体31は、礫(つぶて)のような形状をした光反射性の物体である。礫状反射体31の大きさとしては、その径が3mm~20mm程度であることを好ましく挙げることができるが、特に限定されない。光反射性の物体とは、光照射を受けた際にその光を反射することのできる物体であり、その材質としては、ステンレス等の金属、ガラス、透明プラスチック等を挙げることができ、これらの中でもガラスを好ましく挙げることができる。このようなガラスとしては、瓶や各種のガラス製品を破砕したものや、廃棄されるソーラーパネルのガラス部分を破砕したもの等が挙げられる。なお、破砕されて礫状となったガラスは、ガラスカレット(透明なガラスからなり、角の無い安全な礫状粒子)として市販されているものもあり、そのようなものを入手して礫状反射体31として用いてもよい。
本発明の資材1は、農業又は光発電用資材として用いられる。これら用途のいずれも、本発明の資材1が備えた反射性に着目したものになる。
本発明の資材1の農業用資材としての用途としては、防草資材や農業用マルチ資材が好ましく挙げられる。まずは、防草資材について説明する。上記のように、資材1を構成する基材2は、防草シートであることを好ましく挙げることができる。この場合、基材2自体も防草のための機能を備えはする。しかし、防草シートである基材2がその表面に十分な厚さの光反射層3を備えることにより、資材1の上方から照射された光が光反射層3により十分に反射され基材2に至るまでの間に減衰し、ゆえに基材2の光劣化を抑制できるほか、基材2を単独で防草シートとして用いた場合と異なって風により飛ばされたり移動したりすることを抑制できる。また、防草シートとは異なり透明な物質を基材2として用いた場合であっても、十分な厚さの光反射層3の存在により、資材1の上方から照射された光が資材1の下方まで十分に届かず、やはり資材1は、防草資材としての機能を発現することになる。なお、本発明の資材からなる防草資材も本発明の一つである。
本発明の資材1が農業用マルチ資材として利用される場合、これまで一般に用いられてきた農業用マルチ資材と同様に、農作物の下方地面に設置されて地温保持や土壌水分保持等の目的で用いられる他、資材1からの反射光が農作物へ照射されることによる農作物の成長促進も期待できる。また、これまで一般に用いられてきた農業用マルチ資材が、耐久性等の観点から一度限りの使用で廃棄されていたのに対して、本発明の資材1は、上記のように光に対する耐久性を備えるので、何年も設置したままの使用や繰り返し使用を行うことができる。なお、本発明の資材からなる農業用マルチ資材も本発明の一つである。
本発明の資材1の農業用資材としてのさらなる用途としては、果樹に対する使用を挙げることができる。本発明の資材1を果樹栽培農地の地面に設置することにより、資材1からの反射光が果樹の葉の裏面側に照射され、果実の生育促進や糖度の向上等の効果が期待できるばかりでなく、資材1の設置された箇所における雑草の生育を抑制できる。これまでにも果樹栽培農地の地面に防草シートを設置して雑草の生育抑制が図られてはいたものの、こうした防草シートは耐候性の問題で劣化を生じがちであった。一方、本発明の資材1は、既に述べたように光反射層3の存在により基材2の光劣化が抑制されるため、高い耐候性を示す。
本発明の資材1の光発電用資材としての用途としては、両面発電型のソーラーパネルの下方地面にこれを設置することで、ソーラーパネルに当たらずに地面に到達した太陽光をソーラーパネルの裏面に向けて反射させ、この反射光により発電量を増加させることを挙げられる。このような用途の好ましい態様として、野立て太陽光発電ソーラーシェアリング農法を挙げることができる。ソーラーシェアリング農法にて本発明の資材1を適用する場合、農地である地面に資材1を設置することで地面に照射された太陽光をソーラーパネル方向へ反射させ、両面発電型のソーラーパネルによる発電量を増加させることができる。このような用途では本発明の資材1が農地に設置されることになるので、その資材1には上記のような農業用資材としての効果も期待できることになる。
次に、ソーラーシェアリング農法におけるソーラーパネルによる発電効率を高めることを特徴とする方法について説明する。この方法は、作物を栽培する農地の上方にソーラーパネルを設置し、農作物の栽培と太陽光発電とを両立させるソーラーシェアリング農法において、上記ソーラーパネルとして両面発電タイプのパネルを用い、かつ本発明の資材1を農地の少なくとも一部に設置することにより、資材1により反射した太陽光をソーラーパネルの裏面に照射させてこのソーラーパネルによる発電効率を高めることを特徴とする。これについては既に説明した通りなので、ここでの説明を省略する。
次に、本発明の農作物の栽培方法について説明する。この栽培方法は、栽培する作物の下方に本発明の資材1を設置し、資材1により反射した太陽光を上記作物へ照射させることで当該作物の成長を促進させることを特徴とする。これについても既に説明した通りなので、ここでの説明を省略する。
以上、本発明の農業又は光発電用資材の一実施形態、防草資材の一実施形態、農業用マルチ資材の一実施形態、ソーラーシェアリング農法におけるソーラーパネルによる発電効率を高めることを特徴とする方法の一実施態様、及び農作物の栽培方法の一実施態様についてそれぞれ説明したが、本発明はこれら実施形態や実施態様に限定されるものではない。
例えば、上記実施形態では、底面を構成する基材2と基材2の外周に沿って一定の高さを備えた枠体4とからなる箱形の空間に礫状反射体31が収容されて資材1が構成されたが、本発明の資材は、上記のような箱形の空間が形成されずに、基材2の表面に礫状反射体31が層状となるように直接接着されて構成されてもよい。
1 農業又は光発電用資材
2 基材
3 光反射層
31 礫状反射体
4 枠体
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Claims (8)
- 基材の表面に礫(つぶて)状反射体が層状に配置されてなる農業又は光発電用資材。
- 前記基材が、透水性を備えたシートである請求項1記載の農業又は光発電用資材。
- 前記礫状光反射体が、ガラス破砕物である請求項1又は2記載の農業又は光発電用資材。
- 前記礫状反射体の層の厚さが40mm以上である請求項1又は2記載の農業又は光発電用資材。
- 請求項1又は2記載の資材からなる防草資材。
- 請求項1又は2記載の資材からなる農業用マルチ資材。
- 作物を栽培する農地の上方にソーラーパネルを設置し、農作物の栽培と太陽光発電とを両立させるソーラーシェアリング農法において、前記ソーラーパネルとして両面発電タイプのパネルを用い、かつ請求項1又は2記載の資材を前記農地の少なくとも一部に設置することにより、前記資材により反射した太陽光を前記ソーラーパネルの裏面に照射させてこのソーラーパネルによる発電効率を高めることを特徴とする方法。
- 栽培する作物の下方に請求項1又は2記載の資材を設置し、この資材により反射した太陽光を前記作物へ照射させることで当該作物の成長を促進させることを特徴とする農作物の栽培方法。
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