JP2024045802A - 接合構造体とその解体方法 - Google Patents

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秀明 松岡
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広行 森
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Abstract

【課題】高い接合強度と低い解体強度を高次元で両立できる接合構造体を提供する。【解決手段】本発明は、第1部材(1)の第1被接合面(12)と第2部材(2)の第2被接合面(22)とを接着させる接着層(5)と、第1被接合面と第2被接合面を圧接させると共に脱着できる締結具(4)とを備える接合構造体である。この接着層は、湿潤雰囲気下で接着力を低下させる接着剤からなる。接着剤は、例えば、エポキシ樹脂を含むエポキシ系接着剤である。接合構造体は、湿潤雰囲気を生成する媒体(加熱水蒸気等)を接着層の少なくとも一部へ導く誘導路(3)を備えるとよい。このような接合構造体は、例えば、高密閉性と易解体性が求められる二次電池等のバッテリケースに好適である。【選択図】図1B

Description

本発明は、密閉性と解体性に優れる接合構造体等に関する。
容体や筐体等は、複数の部材を連結(結合、接合等)して構成されることが多い。分解や解体が予定されているときは、着脱自在な固定具(例えばボルト・ナット等の締結具)により、複数の部材が結合される。逆に、分解や解体が通常なされないときは、接着、カシメ等により複数の部材が接合される。また、接合部における密閉性(液密性、気密性等)が求められるときは、接合される部材の合せ面間(被接合面間)に、シール材、パッキン、ガスケット等が介装される。このような接合構造体に関連する記載が、例えば、下記の特許文献にある。
特開2020-1451
特許文献1には、接合される部材の開口周縁にシール部材(図5中の”11c”参照)を設けて、バッテリーモジュールを収容する内部空間の密閉性(気密性、水密性等)を確保したケースに関する記載がある。
シール部材は、基本的に接着力が乏しいため、ケースを構成する部材間の接合力は、所定間隔で配設されたボルトの締付力に依る。このようなケースに突発的な荷重が作用すると、締結されたボルト間に隙間が生じて、シール部材による密閉性が損なわれ得る。
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、安定した接合性と共に解体性をも確保できる接合構造体等を提供することを目的とする。
本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究した結果、接合する部材の被接合面間を、締結具で圧接する共に特定の接着剤で接着することを着想して具現化した。この成果を発展させることにより、以降に述べる本発明を完成させるに至った。
《接合構造体》
本発明は、第1部材の第1被接合面と第2部材の第2被接合面とを接着させる接着層と、該第1被接合面と該第2被接合面を圧接させると共に脱着できる締結具と、を備える接合構造体であって、該接着層は、湿潤雰囲気下で接着力を低下させる接着剤からなる接合構造体である。
本発明の接合構造体(単に「接合体」ともいう。)によれば、各部材の被接合面同士が接合された部分(「接合部」という。)における接着性(密着性、密閉性等)と解体性(分離性)が高次元で両立され得る。具体的にいうと、次の通りである。
本発明に係る被接合面同士は、締結具による圧接と接着剤により、強固に接合された状態となる。このため、例えば、接合部付近に大きな荷重が作用したり、接合体に歪みや変形等が生じるような場合でも、被接合面同士は容易に分離せず、それらの接合性(密着性、密閉性、気密性または水密性等)が安定的に維持され得る。
一方、被接合面間の接合は、脱着できる締結具と湿潤雰囲気下で接着力が低下する接着剤とによりなされている。このため、締結具を脱着すると共に接着層を湿潤雰囲気に曝せば、被接合面間の接合力を大幅に低減できる。これにより本発明の接合体は、易解体性(比較的容易に解体できる特性)も優れる。
このように背反する接合性と易解体性を高次元で両立し得る接合体は、例えば、密閉性と共に取出性やリサイクル性等が求められる容器や筐体等に好適である。
《接合構造体の解体方法》
本発明は、上述した接合構造体の解体方法としても把握される。例えば、本発明は、接着層の少なくとも一部を湿潤雰囲気に曝す曝露工程と、曝露工程後に第1被接合面と第2被接合面の接合部へ荷重を加えて第1部材と第2部材を分離する剥離工程と、を備える接合構造体の解体方法でもよい。
また、湿潤雰囲気を生成する媒体を接着層の少なくとも一部へ導く誘導路がある場合なら、本発明は、例えば、誘導路へ媒体を供給する供給工程と、供給工程後に第1被接合面と第2被接合面の接合部へ荷重を加えて第1部材と第2部材を分離する剥離工程と、を備える接合構造体の解体方法でもよい。媒体は、例えば、加熱された液体や蒸気である。媒体の供給工程は、媒体を加圧しつつ供給する圧送工程でもよい。なお、遅くとも剥離工程前に、締結具を取り外す脱着工程がなされていると、接合体を容易に解体できる。勿論、脱着工程は、曝露工程や供給工程の前になされてもよい。また、剥離工程時に加える荷重の方向は、接着層に沿った方向(せん断負荷モード)でも、接着層に交差する方向(引張負荷モード)でもよい。低荷重で剥離できるモード(例えば、引張負荷モード)でなされるとよい。
《その他》
特に断らない限り本明細書でいう「x~y」は下限値xおよび上限値yを含む。本明細書に記載した種々の数値または数値範囲に含まれる任意の数値を新たな下限値または上限値として「a~b」のような範囲を新設し得る。また、特に断らない限り、本明細書でいう「x~yMPa」はxMPa~yMPaを意味する。他の単位系(mm等)についても同様である。
接合構造体の一例であるバッテリケースを模式的に示す斜視図である。 その接合部付近の一例を示す要部断面図である。 強度試験に供した接合構造体の正面図である。 その強度試験の概要を示す説明図である。 接合方法が異なる接合体の変形強度を比較した棒グラフである。 接合方法が異なる接合体の解体強度を比較した棒グラフである。 エポキシ系接着剤で接着した接合部の解体強度に、荷重の負荷モード(破壊モード)と接着層を曝す雰囲気とが及ぼす影響を示す散布図である。
上述した本発明の構成要素に、本明細書中から任意に選択した一つまたは二つ以上の構成要素を付加し得る。本明細書で説明する内容は、物(接合構造体)のみならず、方法(解体方法、製造方等)にも適宜該当し得る。いずれの実施形態が最良であるか否かは、対象、仕様等により異なる。
《接合部材/接合部》
接合される部材(「接合部材」という。)は、少なくとも2つあればよく、3以上でもよい。締結具による圧接と接着剤による接着とがなされる接合部が、少なくとも一領域(箇所)あればよい。接合体が密閉容体(収納ケース等)等の場合なら、例えば、全ての被接合面が、締結具による圧接と接着剤による接着とで接合されてもよい。
接合部材(第1部材、第2部材等)の材質や形態は問わず、それらは接合構造体(適宜「構造体」という。)の仕様に応じて選択、調整される。その材質は、例えば、金属、樹脂等であり、接合される各部材の材質は同種でも異種でもよい。金属として、例えば、Fe基材、Al基材、Mg基材、Ti基材等がある。なお、基材には、純金属、合金、それを母材とする複合材等が含まれる。
接合部材の少なくとも一方は、他部材と兼用されてもよい。部材の形態は問わず、接合体は容体(容器等)には限らない。
《締結具》
締結具は、脱着が可能であれば、その形態を問わない。通常、ボルト・ナット等のねじが用いられる。雌ねじまたは雄ねじの一方は、部材に固定されていてもよい。例えば、被接合面の裏面にナットが溶接、かしめ等により固定されていてもよいし、被接合面にボルト(スタッドボルト)が螺設されていてもよい。
《接着剤》
接着剤は、接着層を湿潤雰囲気に曝したときに、その接着力が低下するものであればよい。接着剤は、通常使用時に必要とされる接着力と、解体時に曝される湿潤雰囲気下における接着力の低下具合とを考慮して選択されるとよい。
接着剤として、例えば、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、シリコーン系接着剤、アクリル系接着剤等がある。なお、~系接着剤には、主剤および/または硬化剤を構成する樹脂のみからなる接着剤の他、それらの樹脂(マトリックス)として粒状または繊維状の充填材(フィラ)が分散した複合材からなる接着剤が含まれる。
このような接着剤の代表例として、工業的に多用されるエポキシ系接着剤がある。エポキシ系接着剤の主成分であるエポキシ樹脂は、熱硬化性樹脂であり、高分子内にあるエポキシ基の架橋により硬化が進行する。プレポリマーと硬化剤の種類や組成により、所望の特性が発揮される。
湿潤雰囲気下における接着層の接着力の低下割合は、例えば、湿潤雰囲気への曝露前の接着力(接合力)に対して、例えば、50%以下になるとよい。吸湿や加熱等により接着剤中の架橋構造が変化して、接着剤自体の強度(硬さ、弾性率)が低下し得る。例えばエポキシ系接着剤なら、接着剤自体の強度低下を超えて、接合界面における水素結合の消失によっても接着力が低下し得る。
《湿潤雰囲気/媒体》
湿潤雰囲気は、接着層を吸湿劣化させ得る雰囲気であればよい。湿潤雰囲気は、水や油等の媒体が、液相、気相(蒸気)またはそれらの混合相となって構成される。このような湿潤雰囲気に接着層の少なくとも一部が曝されると、媒体が接着層や接合界面へ浸入して、接着層の劣化(変質)、特に接合界面の破壊等が生じ得る。このような作用は、加熱および/または加圧された媒体を接着層へ曝すことにより促進(加速)され得る。
湿潤雰囲気として、例えば、加熱水蒸気の雰囲気がある。その温度は、例えば、60~100℃、70~90℃である。その相対湿度は、例えば65~100%、75~90%である。温度および相対湿度が高いほど、接着層の劣化や破壊が急速に生じる。
湿潤雰囲気の加圧は、例えば、0.1~10MPa、0.5~5MPa、1~3MPaでなされる。加圧した湿潤雰囲気に接着層を曝すと、上述した作用に加えて、被接合面の間隔を拡大する方向(剥離方向)へ力を及ぼすことも可能となる。
他の媒体として、絶縁含水溶媒(アルコール類と水の混合物(例えばエチレングリコール)等)などを用いてもよい。
解体時、接着層付近のみを局部的に湿潤雰囲気へ曝してもよいし、接合体全体を湿潤雰囲気中に曝してもよい。前者なら、例えば、各接合体毎に解体作業を行える。後者なら、例えば、バッチ処理等により、多くの接合体を効率的に解体できる。
《接合部》
被接合面は、締結具と接着剤により接合される。締結具は、通常、離間した複数の締結箇所に設けられる。接着層は、例えば、複数の締結箇所の隣接間に少なくとも設けられるとよい。勿論、締結具を囲繞する領域に接着層を設けてもよい。さらに被接合面の全面域に接着層を設けてもよい。
接着層の厚さは、通常、締結具による被接合面間の圧接により自ずと定まる。被接合面側に溝、窪み、テクスチャー等を設けたり、被接合面の表面粗さを大きくして、接着層の厚さ、接着層と被接合面の接合界面形態等を調整してもよい。
《用途》
本発明の接合体は、種々の技術分野における様々な製品に利用され得る。その一例として、リチウムイオンバッテリ等の二次電池を収容するバッテリケースがある。本発明に係るケースは、接合部における接合(接着)強度が大きいため、突発的な負荷等により変形(圧壊等)しても、収容内部が外部(外界)に対して安定的に遮蔽され得る。このため、内包物の漏出(二次電池からの液漏れ等)や内包物への水分の浸入等が抑止される。
《形態例》
(1)接合体の一形態例であるバッテリケースC(単に「ケースC」という。)を図1A、図1B(両者を併せて「図1」という。)に示した。図1Aは、ケースCにバッテリBが内包される様子を模式的に示し斜視図である。図1Bは、ケースCの外周縁域における接合構造を示す要部断面図である。本明細書では、説明の便宜上、図中に矢印で示す方向を、上下方向、左右方向または前後方向とする。また、既述した部材には、同符号を付して、その詳細な説明を省略する。
(2)ケースC(接合体)は、容体1(第1部材)と、蓋体2(第2部材)と、ナット41およびボルト42(両者を併せて「締結具4」という。)と、接着層5と、シール61およびシール62(両者を併せて「シール6」という。)とを備える。
容体1は、有底で上方が開口した略直方体状の本体11と、その開口の外周縁に形成された平坦環状のフランジ12(第1被接合部)とを有する。フランジ12には、複数のねじ穴14が略均等に配設されている。ねじ穴14の下面側(被接合面の裏面側)にはナット41がスポット溶接等により固定されている。本体11とフランジ12は、例えば、金属板の深絞りにより一体成形される。
蓋体2は、略平板状の本体21と、その外周縁に形成された平坦環状のフランジ22(第2被接合部)と、フランジ22の内周縁に沿って下面側に開溝した環状の樋23と、樋23の内周縁に沿って下方に延在する環状の遮壁26とを有する。
フランジ22には、フランジ12のねじ穴14に対応して、複数のねじ穴24が略均等に設けられている。フランジ12の内周縁側には、樋23に対向する環路部123が設けられている。遮壁26の外周側面は本体11の内周側面に沿って嵌入される。本体21、フランジ22および樋23は、例えば、金属板を成形して得られる。遮壁26は、本体21の下面側(樋23の内周縁側)に、略方形環状のリングを溶接等して形成される。
(3)ケースCの組付け(接合)は次のようになされる。先ず、容体1にバッテリBを収容する。フランジ12の上面外周域に接着剤を均一的に塗布する。接着剤には、例えば、湿潤雰囲気に曝されたときに、水分浸入や吸水により界面剥離等を生じ易いエポキシ系接着剤が用いられる。
蓋体2の遮壁26の外周面に、シール62を形成するコーキング剤(シーリング材)を予め薄く塗布しておく。蓋体2のフランジ22の下面を、接着剤が塗布されたフランジ12の上面に被せる。このとき、本体11の内周側へ嵌入される遮壁26がガイドとなり、容体1のねじ穴14と蓋体2のねじ穴24が重なる。
ねじ穴24から入れたボルト42を、ナット41に螺合させる。ボルト42を所定のトルクで締め付けると、フランジ12の上面(第1被接合面)とフランジ22の下面(第2被接合面)は圧接されて、両面間に所望の面圧が作用する。このとき、両面間に介在する接着剤が、所望厚さの接合層5となる。接着層5の外周囲(フランジ12、22の外周縁付近)にも、シール61を形成するコーキング剤(シーリング材)を塗布しておく。これにより、接着層5の外周縁も外界と遮蔽され、通常使用時における接着層5の劣化や接着界面への水分浸入等も抑止される。
こうして容体1と蓋体2は、締結具4と接着層5の両方により強固に接合されて、バッテリBを収容したケースCが完成する。容体1と蓋体2の接合により、樋23と環路部123とにより環状の誘導路3も形成される。
(4)バッテリBをケースCから取り出す場合、先ず締結具4を緩めて取り外す(脱着工程)。次に、誘導路3に設けておいた導入口から加熱水蒸気を導入する(供給工程/圧送工程)。これにより、接着層5の内周縁51が誘導路3内の高温多湿な雰囲気(湿潤雰囲気)に曝される(曝露工程)。この状態を暫く継続すると、接着層5の吸湿劣化、または接着層5とフランジ12、22との接合界面への水分浸透が生じる。これにより接着層5による接着力が急減する。この状態で、フランジ12の上面(第1被接合面)とフランジ22の下面(第2被接合面)との接合部へ軽く荷重を加えると、容体1と蓋体2を容易に分離できるようになる(剥離工程)。
このように、通常時(ケースCが想定される使用環境下にあるとき)は、締結具4と接着層5の両方により、容体1と蓋体2は強固に接合された状態のまま維持される。一方、ケースCの解体時は、接着層5の少なくとも一部を湿潤雰囲気に曝せば、接着層5の接着力が急減して、締結具4の取り外し後に容体1と蓋体2を容易に分離できる。ちなみに、このように分離された容体1と蓋体2は、変形や歪みが少なく、再利用または再生も可能となり得る。
なお、通常時は勿論、解体時に誘導路3へ加熱した水や水蒸気を導入した場合でも、シール62によりケースC内への水分の浸入が抑止される。
試作した接合体(試料)の接合強度と解体強度を評価した。このような具体例を示しつつ、本発明をさらに詳しく説明する。
[第1実施例]
《試料の製作》
(1)試験に供する試料として、図2Aに示す接合体を製作した。接合体は、容体1と蓋体2からなり、容体1のフランジ12と蓋体2のフランジ22が接合されてなる。なお、図1に関して既述した部材や部位等については、同符号を付して詳細な説明は省略した。
容体1は、アルミニウム合金板(JIS A5052/厚さ2mm)をプレス成形して製作した。蓋体2には、切断しためっき鋼板(電気亜鉛めっきを実施したSS400/厚さ1.6mm)をそのまま用いた。それらの接合方法は、次のように、試料毎に変更した。
(2)試料1は、締結具(ボルト・ナット/M6mm)とエポキシ系接着剤(アイシン化工株式会社製構造用接着剤フェルコ8000)とを用いて接合した。締付けトルクは5.2Nmとした(以下同様)。接着層5の厚さは約100μmであった。なお、ナットは、フランジ12の下面に予め溶接しておいた(以下同様)。接着剤は0.5時間かけて十分に硬化させた(以下同様)。
試料C1は、上記の締結具のみで接合した。
試料C2は、上記のエポキシ系接着剤のみで接合した。接着層5の厚さは約100μmであった。
試料C3は、接着剤に替えて、シリコーン系シーリング材(サンスター技研株式会社製ペンギンシール2550HM)のみで接合した。シール層の厚さは約300μmであった。シーリング材は144時間かけて十分に硬化させた(以下同様)。
試料C4は、上記の締結具と上記のシリコーン系シーリング材とを用いて接合した。シール層の厚さは約100μmであった。
《試験》
(1)変形強度(接合強度)
図2Bに示すように、接合体を長手方向の中央で切断した試験片Tを強度試験に供した。具体的にいうと、切断面を下方にして試験片TをベースG上に立てる。その試験片Tの上方にある接合部(フランジ12とフランジ22の間)に、鋼製の治具(図2B参照)を当てて、速度:1mm/分で押し込んだ。接合部に隙間が観察されたときの荷重(変形強度)を図3にまとめて示した。なお、このような試験方法は、車両の側突時に接合体(バッテリケース等)へ印加される荷重を模擬的に想定している。
図3から明らかなように、締結具と接着剤を組み合わせて接合した試料1が、最も大きな変形強度を示した。具体的にいうと、試料1は、22kN程度の大きな荷重が加わっても、座屈変形するだけで、接合部に隙間を生じなかった。
(2)解体強度(剥離強度)
締結具を外した試験片T(試料1、試料C4)を高温多湿(70℃×95%RH)な雰囲気下に144時間曝した。その後、各試験片Tに対して上述した強度試験を同様に行なった。接合部に隙間が観察されたときの荷重を図4にまとめて示した。
図4から明らかなように、接着剤を用いた試料1では、そもそも接着力が乏しいシーリング材を用いた試料C1に対しても、解体強度が約1/2以下(未満)にまで大幅に低下した。また試料1は、試験片Tの座屈変形前に隙間を生じて剥離した。
《評価》
図3から明らかなように、締結具と接着剤を用いた接合体は、通常の使用環境下(例えば室温大気圧中)で、大きな変形強度(接合強度)を発揮した。このような接合体では、大きな変形が生じる状況でも、接合部に隙間が生じ難く、密閉性が安定的に維持され得る。
一方、図4から明らかなように、接着剤を用いた接合体は、湿潤雰囲気に曝すことにより、その解体強度(接合強度)が急減することもわかった。これは、接着剤の吸水により、接合界面の水素結合等が変化したためと考えられる。逆に、シーリング材は吸水せず、接合状態が殆ど変化しなかったためと考えられる。
[第2実施例]
接合体へ加える荷重の負荷モードと接合体の湿潤雰囲気中への曝露時間とが、接合体の解体に必要な荷重(解体強度)に及ぼす影響を評価した。具体的には次の通りである。
《試料の製作》
図5Aに示すように、せん断負荷モードと引張負荷モード(剥離負荷モード)を行なう接合体を製作した。各接合体は、上述したフランジを模した金属板(アルミニウム合金板12と鋼板22)とを、上述したエポキシ系接着剤で接着してなる。各金属板の端部を、負荷モードに応じた把持形状とした以外は、いずれの接合部も同仕様(接着層の厚さ:100μm、接着層の領域:30mm×20mm)とした。
《試験》
先ず、各試料の接合体を、室温大気雰囲気(25℃×50%RH/□、○)または高温多湿雰囲気(70℃×95%RH/■、●)に、所定時間保持した。その後、各負荷モード毎に、図5に示す方向へ荷重Fを加えた。接着されていた金属板同士が剥離するときの荷重をそれぞれ測定した。それらの結果を図5にまとめて示した。
《評価》
(1)雰囲気
図5から明らかなように、室温大気中では、接合力(解体強度)の時間経過による影響は観られなかった。つまり、通常の使用環境であれば、エポキシ系接着剤は高い接合力(接着力)を安定して発揮した。
一方、接合体を高温多湿雰囲気に曝すと、その接合力(接着力)は時間経過に応じて大きく低下した。例えば、湿潤雰囲気中に5~360分間、10~120分間さらには15~60分間曝された接合体は、剥離に必要な荷重(解体強度)が、通常使用時の1/2~1/10程度にまで低下して、容易に解体できた。
(2)負荷モード
図5から明らかなように、接着層に平行な方向へ荷重(F)を加えるせん断負荷モードよりも、接着層に垂直な方向へ荷重(F)を加える引張負荷モードの方が、解体時に必要な負荷は小さくなった。特に、湿潤雰囲気に曝した接合体を引張負荷モードで解体すれば、短時間および低負荷で効率的に解体できること(易解体性)が確認された。
以上から、本発明の接合体によれば、高い接合強度と低い解体強度を高次元で両立できることが確認された。
1 容体(第1部材)
12 フランジ(第1被接合部)
2 蓋体(第2部材)
22 フランジ(第2被接合部)
3 誘導路
4 締結具
5 接着層
6 シール
C バッテリケース(接合構造体)
B バッテリ

Claims (11)

  1. 第1部材の第1被接合面と第2部材の第2被接合面とを接着させる接着層と、
    該第1被接合面と該第2被接合面を圧接させると共に脱着できる締結具と、
    を備える接合構造体であって、
    該接着層は、湿潤雰囲気下で接着力を低下させる接着剤からなる接合構造体。
  2. 前記接着剤は、エポキシ樹脂を含むエポキシ系接着剤である請求項1に記載の接合構造体。
  3. 前記締結具は、離間した複数の締結箇所に設けられ、
    前記接着層は、該締結箇所の隣接間に少なくとも設けられる請求項1に記載の接合構造体。
  4. 前記湿潤雰囲気を生成する媒体を、前記接着層の少なくとも一部へ導く誘導路を備える請求項1に記載の接合構造体。
  5. 前記誘導路は、前記第1部材と前記第2部材の接合により形成される内包空間に対して遮蔽されている請求項4に記載の接合構造体。
  6. 二次電池を収納するバッテリケースである請求項1~5のいずれかに記載の接合構造体。
  7. 請求項1に記載した接合構造体の解体方法であって、
    前記接着層の少なくとも一部を湿潤雰囲気に曝す曝露工程と、
    該曝露工程後に前記第1被接合面と前記第2被接合面の接合部へ荷重を加えて前記第1部材と前記第2部材を分離する剥離工程と、
    を備える接合構造体の解体方法。
  8. 請求項4に記載した接合構造体の解体方法であって、
    前記誘導路へ前記媒体を供給する供給工程と、
    該供給工程後に前記第1被接合面と前記第2被接合面の接合部へ荷重を加えて前記第1部材と前記第2部材を分離する剥離工程と、
    を備える接合構造体の解体方法。
  9. 前記媒体は、加熱された液体または蒸気である請求項8に記載の接合構造体の解体方法。
  10. 遅くとも前記剥離工程前に、前記締結具を取り外す脱着工程がなされる請求項7または8に記載の接合構造体の解体方法。
  11. 前記剥離工程は、前記接着層に交差する方向へ荷重を加えてなされる請求項7~9のいずれかに記載の接合構造体の解体方法。
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