JP2024044937A - 熱可塑性樹脂組成物、通信機器部材、並びにマイクロ波及び/又はミリ波用通信機器 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物、通信機器部材、並びにマイクロ波及び/又はミリ波用通信機器 Download PDF

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Abstract

【課題】表面硬度、耐熱性、初期色調、耐衝撃性、及び低誘電特性に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供する。【解決手段】ポリカーボネート樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物である。該ポリカーボネート樹脂が、2,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン誘導体由来の構造単位(a)と、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン誘導体由来の構造単位及び/又は1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン誘導体由来の構造単位(b)を含むポリカーボネート共重合体を含み、該ポリカーボネート樹脂の0.7gを塩化メチレン100mLに溶解した溶液の比粘度(20℃)が0.308~0.455、該ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が17,300~26,400である。【選択図】なし

Description

本発明は、表面硬度、耐熱性、初期色調、耐衝撃性、及び低誘電特性に優れた熱可塑性樹脂組成物に関する。本発明はまた、この熱可塑性樹脂組成物を用いて得られる通信機器部材と、この通信機器部材を用いたマイクロ波及び/又はミリ波用通信機器に関する。
ポリカーボネート樹脂は、機械的強度、電気特性、透明性などに優れ、エンジニアリン
グプラスチックとして、電気・電子機器分野、自動車分野等様々な分野において幅広く利用されている。
近年、これらの用途分野においては、成形加工品の薄肉化、小型化、軽量化が進展し、成形素材のさらなる性能向上が要求されている。しかしながら、ビスフェノールAを原料とする従来のポリカーボネート樹脂は、これらの要求特性に対して表面硬度が不十分である。
特許文献1には、従来のビスフェノールAとは異なる、特定の置換基を有するビスフェノールを原料として用いて製造された、表面硬度に優れたポリカーボネート重合体が開示されている。
しかし、特許文献1のポリカーボネート重合体では、ビスフェノールAを原料とする従来のポリカーボネート樹脂と比較して、耐熱性が不十分であった。
一方で、電気・電子機器分野や自動車分野において、マイクロ波やミリ波のような高周波数帯の電波が使用されるようになり、これに伴って、低い比誘電率、及び低い誘電正接を兼ね備えた材料が要求されている。
特に電気・電子分野においては、低い比誘電率、及び低い誘電正接に加え、高い耐熱性や、良好な色調、ヤケが少ないことが求められている。
また、近年の情報通信量の増加に伴い、ノートパソコン、タブレット端末、スマートフォン、又はルータ装置等の情報通信機器の通信速度の高速化が強く求められている。高速で通信を行うにはより高周波数帯域の電波を使用することが好適であり、最近ではマイクロ波帯に分類される3GHzを超える電波が使用されている。次世代の、第5世代移動通信システム(5G)では、マイクロ波帯域において、より高周波数である、28GHz帯での市場の立ち上がりが有望視されている。さらに次世代の通信ではミリ波帯域の電波が使用されることも想定される。
これに伴い、マイクロ波及び/又はミリ波帯域の使用が想定される情報通信機器の部材についても、高性能化への要求が高まっている。このような高周波数帯域の電波は、より低周波数帯域の電波よりも伝送損失が大きく、物質の透過性が悪いという特徴がある。よって、マイクロ波及び/又はミリ波通信に利用される機器部材は、これまでよりも更に電波透過性のよいものであることが望まれる。
伝送損失は、誘電体の比誘電率(ε)の平方根、及び誘電体の誘電正接(tanδ)に比例する。よって筐体の電波透過性を上げるためには、筐体に使われる材料の比誘電率ε、及び誘電正接tanδを小さいものにする必要がある。
また、マイクロ波及び/又はミリ波のような高周波数帯域の電波を送受信する情報通信機器は熱を発生しやすい特徴がある。このことから、このような分野で使用される材料には、低い比誘電率及び低い誘電正接を有するだけでなく、適度な耐熱性を有すことが望ましく、これらの条件を満たす材料が強く求められている。
さらに、マイクロ波及び/又はミリ波帯域の使用が想定される情報通信機器の部材、または、マイクロ波及び/又はミリ波用アンテナを内蔵する通信機器には、外観が良好であることが強く要求されている。すなわち、色調が良好であることや、成形時にヤケが少ないことが求められている。
しかしながら、従来の材料ではこのような要求を同時に満たすことができなかった。
即ち、特許文献2には、複屈折率が低減され、光学特性と転写性に関してバランスの取れた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が開示されているが、色調や誘電特性については何ら言及されていない。また、マイクロ波及び/又はミリ波用通信機器部材や、この通信機器部材を用いた通信機器について何ら記載はない。
特許文献3には、特定の置換基を有するビスフェノールを原料としたポリカーボネート樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物を使用することで、誘電正接が下がりミリ波透過性が向上したミリ波レーダー用カバーが提案されているが、これらの熱可塑性樹脂組成物は、マイクロ波及び/又はミリ波用通信機器部材、及び、この通信機器部材を用いた通信機器として使用するには耐熱性が不十分であった。
特許文献4には、特定の2種類の繰り返し単位を有するポリカーボネート樹脂を含むことで、マイクロ波及び/又はミリ波帯域の電波透過性が優れると共に、耐熱性及び難燃性にも優れた熱可塑性樹脂組成物及びその成形品、並びにマイクロ波及び/又はミリ波用アンテナを内蔵する通信機器用筐体が提案されているが、成形時に発生するヤケが多く、また、色調についても不十分であった。
特開昭64-69625号公報 特開2003-128906号公報 特開2019-197048号公報 国際公開第2021/039970号
本発明は、表面硬度、耐熱性、初期色調、耐衝撃性、及び低誘電特性に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明はまた、このような熱可塑性樹脂組成物を用いて得られる、耐熱性が高く、色調が良好であり、ヤケが少なく、且つ低誘電特性を有する、マイクロ波及び/又はミリ波用通信機器部材、及び、この通信機器部材を用いたマイクロ波及び/又はミリ波用通信機器を提供することを課題とする。
本発明者は、特定の2種類の構造単位を有するポリカーボネート樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物であって、該ポリカーボネート樹脂が所定の比粘度及び粘度平均分子量を有すると共に、該ポリカーボネート樹脂を加水分解して得られる加水分解物中に特定のジヒドロキシ化合物が一定量含まれる熱可塑性樹脂組成物が、表面硬度、耐熱性、初期色調及び耐衝撃性に優れると共に、低誘電特性にも優れることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の要旨は、以下の[1]~[15]に存する。
[1] ポリカーボネート樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物であって、
該ポリカーボネート樹脂が、下記式(11)で表される構造単位(a)と、下記式(12A)及び/又は下記式(12B)で表される構造単位(b)を含み、
該ポリカーボネート樹脂の0.7gを塩化メチレン100mLに溶解した溶液について20℃で測定された比粘度が0.308~0.455であり、
該ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が17,300~26,400であり、
該ポリカーボネート樹脂を加水分解して得られる加水分解物が、下記式(13)、(14)、(15A)、及び(15B)で表されるジヒドロキシ化合物を含み、該加水分解物における下記式(14)で表されるジヒドロキシ化合物の含有割合が、下記式(13)で表されるジヒドロキシ化合物の含有量に対して100ppm~1,300ppmである熱可塑性樹脂組成物。
Figure 2024044937000001
(式(11)中、Qは単結合、酸素原子、硫黄原子、及び二価の有機基から選ばれる少なくとも1種を表す。
式(12A)中、R11は互いに独立して炭素数1~4のアルキル基を表し、nは0~3の整数である。
式(12B)中、Wはメチル基、又はフェニル基である。
式(13)中、Qは式(11)中のQと同義である。
式(14)中、Qは式(11)中のQと同義であり、R12は水素原子又はメチル基を示す。
式(15A)中、R11は式(12A)中のR11と同義である。
式(15B)中、Wは式(12B)中のWと同義である。)
[2] 前記式(11)中、Qが下記式(16)で表される、[1]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
Figure 2024044937000002
(式(16)中、R13、R14はそれぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1~15のアルキル基を表す。*は、式(11)中のベンゼン環への結合手である。)
[3] 前記式(16)中、R13及びR14がメチル基である、[2]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[4] 前記構造単位(b)が前記式(12A)で表される構造単位を含む、[1]~[3]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
[5] 前記構造単位(a)と構造単位(b)が共重合体として含まれている、[4]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[6] 前記構造単位(b)が前記式(12B)で表される構造単位を含む、[1]~[3]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
[7] 前記構造単位(a)と構造単位(b)がブレンド物として含まれている、[6]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[8] 前記式(12A)中、R11がメチル基である、[1]~[7]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
[9] 前記式(12A)中、nが3である、[1]~[8]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
[10] 前記構造単位(b)が、下記式(17)で表される、[1]~[9]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
Figure 2024044937000003
[11] 前記ポリカーボネート樹脂中に含まれる前記構造単位(b)が、前記構造単位(a)と前記構造単位(b)の含有割合の和に対して20モル%以上である、[1]~[10]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
[12] 前記ポリカーボネート樹脂に含まれる前記構造単位(a)及び前記構造単位(b)の含有割合の和が、該ポリカーボネート樹脂の全カーボネート構造単位中、80モル%以上である、[1]~[11]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
[13] 前記ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度が、125℃以上である、[1]~[12]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
[14] [1]~[13]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を用いて得られる通信機器部材。
[15] [14]に記載の通信機器部材を用いて得られるマイクロ波及び/又はミリ波用通信機器。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、これを用いて得られる成形品の表面硬度、耐熱性、初期色調及び耐衝撃性に共に優れるため、自動車、電気・電子機器、その他の工業分野における部品製造用材料として幅広く利用することができる。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、優れた低誘電特性を有することから、本発明の熱可塑性樹脂組成物よりなる通信機器部材、および、この通信機器部材を用いた通信機器は、マイクロ波及び/又はミリ波帯域の電波透過性が優れると共に、耐熱性が高く、色調が良好であり、成形時に発生するヤケが少ないため、マイクロ波及び/又はミリ波用アンテナを内蔵する通信機器、例えば、ノートパソコン、タブレット端末、スマートフォン、又はルータ装置等の筐体、またはその装置として幅広く利用することができる。
以下、本発明について実施形態及び例示物等を示して詳細に説明する。本発明は以下
に示す実施形態及び例示物等に限定して解釈されるものではない。
本明細書において、「~」とは、特に断りのない限り、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
[概要]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物であって、
該ポリカーボネート樹脂(以下、「本発明のポリカーボネート樹脂」と称す場合がある。)が、下記式(11)で表される構造単位(a)と、下記式(12A)及び/又は下記式(12B)で表される構造単位(b)を含み、
該ポリカーボネート樹脂の0.7gを塩化メチレン100mLに溶解した溶液について20℃で測定された比粘度(以下、単に「比粘度」と称す場合がある。)が0.308~0.455であり、
該ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が17,300~26,400であり、
該ポリカーボネート樹脂を加水分解して得られる加水分解物(以下、「本発明の加水分解物」と称す場合がある。)が、下記式(13)、(14)、(15A)、及び(15B)で表されるジヒドロキシ化合物を含み、該加水分解物における下記式(14)で表されるジヒドロキシ化合物の含有割合が、下記式(13)で表されるジヒドロキシ化合物の含有量に対して100ppm~1,300ppmであることを特徴とする。
Figure 2024044937000004
(式(11)中、Qは単結合、酸素原子、硫黄原子、及び二価の有機基から選ばれる少なくとも1種を表す。
式(12A)中、R11は互いに独立して炭素数1~4のアルキル基を表し、nは0~3の整数である。
式(12B)中、Wはメチル基、又はフェニル基である。
式(13)中、Qは式(11)中のQと同義である。
式(14)中、Qは式(11)中のQと同義であり、R12は水素原子又はメチル基を示す。
式(15A)中、R11は式(12A)中のR11と同義である。
式(15B)中、Wは式(12B)中のWと同義である。)
以下において、上記式(13)で表されるジヒドロキシ化合物を「ジヒドロキシ化合物(13)」と称し、上記式(14)で表されるジヒドロキシ化合物を「ジヒドロキシ化合物(14)」と称し、上記式(15A)で表されるジヒドロキシ化合物を「ジヒドロキシ化合物(15A)」と称し、上記式(15B)で表されるジヒドロキシ化合物を「(15B)」と称し、これらをまとめて「ジヒドロキシ化合物(13)~(15)」と称す場合がある。
また、本発明の加水分解物中のジヒドロキシ化合物(13)に対するジヒドロキシ化合物(14)の含有割合を「加水分解物中の(14)/(13)割合」と称す場合がある。
以下、本発明のポリカーボネート樹脂、本発明の加水分解物とジヒドロキシ化合物(13)~(15)、及び、本発明の熱可塑性樹脂組成物を構成する各成分等につき、詳細に説明する。
[ポリカーボネート樹脂]
本発明のポリカーボネート樹脂は、下記式(11)で表される構造単位(a)と、下記式(12A)及び/又は下記式(12B)で表される構造単位(b)を有することを特徴とする。ただし、構造単位(b)は構造単位(a)とは異なるものである。
下記式(11)で表される構造単位(a)と、下記式(12A)及び/又は下記式(12B)で表される構造単位(b)は共重合体として含まれていてもよく、それぞれの樹脂のブレンド物であってもよい。即ち、本発明のポリカーボネート樹脂は、構造単位(a)と構造単位(b)を含むポリカーボネート共重合体であってもよく、構造単位(a)を含むポリカーボネート樹脂と構造単位(b)を含むポリカーボネート樹脂のブレンド物であってもよい。
下記式(11)で表される構造単位(a)と、下記式(12A)及び/又は下記式(12B)で表される構造単位(b)を有するポリカーボネート樹脂を含有し、所定の比粘度、粘度平均分子量及び加水分解物中の(14)/(13)割合を満たす熱可塑性樹脂組成物を使用することで、本発明の熱可塑性樹脂組成物の鉛筆硬度、耐熱性、初期色調、耐衝撃性及び低誘電特性を優れたものにすることができる。
Figure 2024044937000005
(式(11)中、Qは単結合、酸素原子、硫黄原子、及び二価の有機基から選ばれる少なくとも1種を表す。式(12A)中、R11は互いに独立して炭素数1~4のアルキル基を表し、nは0~3の整数である。式(12B)中、Wはメチル基、又はフェニル基である。
本発明のポリカーボネート樹脂は、構造単位(a)と構造単位(b)を有するポリカーボネート樹脂であることにより良好な鉛筆硬度、耐熱性、低誘電特性を実現することができる。
本発明のポリカーボネート樹脂は、必要に応じて、構造単位(a)及び構造単位(b)と、後述するその他の構造単位(c)からなる共重合ポリカーボネート樹脂としてもよい。
<構造単位(a)>
本発明のポリカーボネート樹脂の構造単位(a)を表す、前記式(11)中、Qは単結合、酸素原子、硫黄原子、及び二価の有機基から選ばれる少なくとも1種を表す。
Qの二価の有機基としては、従来公知のものであれば特に制限はなく適宜選択し用いることができるが、具体例としては、下記式(16a)~(16h)で表される有機基が挙げられる。
Figure 2024044937000006
式(16a)中、R15及びR16は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~24の一価の炭化水素基、又は炭素数1~24のアルコキシ基を表すが、中でも炭素数1~24の一価炭化水素基であることが好ましい。
上記炭素数1~24の一価炭化水素基としては、炭素数1~24のアルキル基、炭素数2~24のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数6~24のアリール基、炭素数7~24のアリールアルキル基等が挙げられる。
炭素数1~24のアルキル基としては、直鎖状、分岐状のアルキル基、一部環状構造を有するアルキル基などが挙げられるが、なかでも直鎖状のアルキル基であることが好ましい。このような炭素数1~24のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-へプチル基、n-オクチル基等が挙げられる。
炭素数2~24のアルケニル基としては、直鎖状、分岐状のアルケニル基、一部環状構造を有するアルケニル基などが挙げられるが、中でも直鎖状のアルケニル基であることが好ましい。このような炭素数2~24のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、n-プロぺニル基、n-ブテニル基、n-ペンテニル基、n-ヘキセニル基、n-へプテニル基、n-オクテニル基等が挙げられる。
炭素数6~24のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基などのアルキル基等の置換基を有していてもよいアリール基が挙げられる。
炭素数7~24のアリールアルキル基等としては、ベンジル基などが挙げられる。
炭素数1~24のアルコキシ基としては、直鎖状、分岐状、一部環状構造を有するアルコキシ基などが挙げられるが、なかでも直鎖状のアルコキシ基が好ましい。具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などが挙げられる。
式(16b)中、Aは酸素原子またはNRを表す。ここで、Rは上述のR15及びR16と同定義である。
式(16c)中、Aは、炭素数3~18の二価炭化水素基を表し、例えば、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシニレン基などのアルキレン基が挙げられ、それぞれさらに置換基を有していてもよい。置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、フェニル基などが挙げられる。さらに一部架橋構造を有していてもよい。
式(16h)中、Aは、炭素数1~7のアルキレン基を表す。このようなアルキレン基は、直鎖であっても分岐鎖であってもよく、環状構造を有していてもよく、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等が挙げられる。また、tは1~500の整数を表すが、中でも5~300であることが好ましく、10~100であることがより好ましい。
これらの中でQはより好ましくは、単結合、又は下記式(16)で表される基、例えば、メチレン基、エチリデン基、イソプロピリデン基であり、耐熱性向上、ヤケ発生抑制の観点から、最も好ましくはイソプロピリデン基(即ち、下記式(16)において、R13、R14がメチル基)である。
Figure 2024044937000007
(式(16)中、R13、R14はそれぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1~15のアルキル基を表す。*は、式(11)中のベンゼン環への結合手である。)
<構造単位(b)>
本発明のポリカーボネート樹脂の構造単位(b)は、前記式(12A)及び/又は前記式(12B)で表される。
前記式(12A)中、R11は互いに独立して炭素数1~4のアルキル基を表し、nは0~3の整数である。
前記式(12A)中、R11の炭素数1~4のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等が挙げられる。
これらの中でR11は好ましくは、メチル基である。
前記式(12A)中、nは0~3の整数である。nは0~3の整数であれば特に制限されないが、好ましくは、nが0又は3であり、特に好ましくはnが3である。
前記式(12B)中、Wはメチル基、又はフェニル基である。
これらの中でWは好ましくは、メチル基である。
構造単位(b)は、前記式(12A)で表される構造単位のみからなるものであってもよく、前記式(12B)で表される構造単位のみからなるものであってもよく、前記構造単位(12A)で表される構造単位と前記構造単位(12B)で表される構造単位の双方を含むものであってもよい。
構造単位(b)の好ましい具体例としては、色調向上の観点から下記式(17)、(18A)、下記式(18B)で表される構造単位が挙げられる。
Figure 2024044937000008
構造単位(b)の最も好ましい具体例は、耐熱性、及び成形時の外観不良(ヤケ)発生を抑制する観点から、前記式(17)で表される構造単位である。
本発明のポリカーボネート樹脂に含まれる構造単位(a)と構造単位(b)は、それぞれが共重合体であっても、それぞれの樹脂のブレンド物であってもよいが、構造単位(b)が前記式(12A)で表される構造単位である場合には共重合体であることが好ましく、構造単位(b)が前記式(12B)で表される構造単位である場合にはブレンド物であることが好ましい。
<その他の構造単位(c)>
本発明のポリカーボネート樹脂は、本発明の目的を損なわない範囲において、構造単位(a)及び構造単位(b)以外の、その他の構造単位(c)の1種又は2種以上を共重合体として含んでいても良い。その他の構造単位(c)としては、例えば、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、4,4’-ジヒドロキシビフェニル(ビフェノール)、6,6’-ジヒドロキシ-3,3,3’,3’-テトラメチル-1,1’-スピロビインダン(SBI)等の芳香族ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位が挙げられるが、中でも、ビスフェノールA、ビフェノールに由来する繰り返し単位が好ましい。
<構造単位(a)、(b)の含有割合>
本発明のポリカーボネート樹脂は、構造単位(a)と構造単位(b)を有するポリカーボネート樹脂であればよく、本発明のポリカーボネート樹脂中の、構造単位(a)と構造単位(b)の含有割合は特に制限されないが、本発明のポリカーボネート樹脂に含まれる構造単位(a)及び構造単位(b)の含有割合の和が、該ポリカーボネート樹脂の全カーボネート構造単位中、30モル%以上であることが好ましく、50モル%以上であることがより好ましく、70モル%以上であることがさらに好ましく、80モル%以上であることが特に好ましく、90モル%以上であることが最も好ましい。
また、構造単位(a)と構造単位(b)の比率は特に制限されないが、耐熱性向上の観点から、構造単位(b)が、構造単位(a)と構造単位(b)の含有割合の和に対して5モル%以上であること好ましく、10モル%以上であることがより好ましく、15モル%以上であることがさらに好ましく、20モル%以上であることが特に好ましい。一方、成形性向上、誘電特性向上、表面硬度向上の観点から、構造単位(b)が、構造単位(a)と構造単位(b)の含有割合の和に対して80モル%以下であることが好ましく、60モル%以下であることより好ましく、50モル%以下であることがさらに好ましく、40モル%以下であることが特に好ましい。
<ポリカーボネート樹脂の分子量>
本発明のポリカーボネート樹脂の分子量は、特に制限はないが、溶液粘度から換算した粘度平均分子量(Mv)で、好ましくは10,000~35,000である。粘度平均分子量を上記範囲内とすることで、本発明の特徴を効果的に引き出すことができる。ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が上記下限以上であれば、本発明の熱可塑性樹脂組成物の鉛筆硬度、耐衝撃性が良好となるため好ましい。また、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が上記上限以下であれば、本発明の熱可塑性樹脂組成物の流動性が良好なものとなり好ましい。このような観点により、本発明のポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、より好ましくは12,000以上、さらに好ましくは13,000以上、特に好ましくは、14,000以上である。また、より好ましくは30,000以下、さらに好ましくは28,000以下、特に好ましくは26,000以下である。
本発明のポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、溶媒として塩化メチレンを使用し、ウベローデ粘度計を用いて温度20℃での固有粘度(極限粘度)[η](単位dL/g)を求め、Schnellの粘度式、即ち、η=1.23×10-14Mv0.813から算出される値を意味する。また固有粘度(極限粘度)[η]とは、各溶液濃度[C](g/dL)での比粘度[ηsp]を測定し、下記式により算出した値である。
Figure 2024044937000009
<ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度>
本発明のポリカーボネート樹脂のガラス転移温度であるTgは特に制限はないが、125℃以上であることが好ましい。Tgが125℃以上であれば、高い耐熱性を得ることができる。一方、Tgは230℃以下であることが好ましい。Tgが230℃以下であれば流動性が良好となり、高い成形加工性を得ることができる。
なお、ポリカーボネート樹脂のTgは、示差操作熱量計を用いて、ポリカーボネート樹脂の試料約10mgを20℃/minの昇温速度で加熱して熱量を測定し、ISO 3146に準拠して、低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大となるような点で引いた接線との交点の温度である、補外ガラス転移開始温度を求め、該補外ガラス転移開始温度をガラス転移温度(Tg)とする。
<ポリカーボネート樹脂の製造方法>
本発明のポリカーボネート樹脂は、従来から知られている重合法により製造することができ、その重合法は、特に限定されるものではない。重合法の例を挙げると、界面重合法、溶融エステル交換法、ピリジン法、環状カーボネート化合物の開環重合法、プレポリマーの固相エステル交換法等を挙げることができる。以下、これらの方法のうち特に好適なものについて具体的に説明する。
(界面重合法)
界面重合法では、反応に不活性な有機溶媒及びアルカリ水溶液の存在下で、通常pHを9以上に保ち、原料のジヒドロキシ化合物とカーボネート形成性化合物とを反応させた後、重合触媒の存在下で界面重合を行うことによってポリカーボネート樹脂を得る。尚、反応系には、必要に応じて分子量調整剤(末端停止剤)を存在させるようにしてもよく、原料ジヒドロキシ化合物の酸化防止のために酸化防止剤を存在させるようにしてもよい。
反応に不活性な有機溶媒としては、特に限定されないが、例えば、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素化炭化水素等;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;等が挙げられる。尚、有機溶媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
アルカリ水溶液に含有されるアルカリ化合物としては、特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属化合物やアルカリ土類金属化合物が挙げられる。中でも水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが好ましい。尚、アルカリ化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
アルカリ水溶液中のアルカリ化合物の濃度に制限は無いが、通常、アルカリ水溶液のpHを10~12にコントロールするために、アルカリ化合物濃度は5~10質量%で使用される。また、例えばホスゲンを吹き込むに際しては、水相のpHが10~12、好ましくは10~11になる様にコントロールするために、原料ジヒドロキシ化合物とアルカリ化合物とのモル比を、通常1:1.9以上、中でも1:2.0以上、また、通常1:3.2以下、中でも1:2.5以下とすることが好ましい。
原料ジヒドロキシ化合物としては、カーボネート形成性化合物との反応で構造単位(a)と構造単位(b)とを生成し得るジヒドロキシ化合物を少なくとも用いる。
カーボネート形成性化合物としては、カルボニルハライドが好適に用いられ、中でもホスゲンを用いることが好ましく、ホスゲンを用いた場合の方法は特にホスゲン法と呼ばれる。
重合触媒としては、特に限定されないが、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリヘキシルアミン等の脂肪族三級アミン;N,N’-ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N’-ジエチルシクロヘキシルアミン等の脂環式三級アミン;N,N’-ジメチルアニリン、N,N’-ジエチルアニリン等の芳香族三級アミン;トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩等;ピリジン;グアニン;グアニジンの塩;等が挙げられる。尚、重合触媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
分子量調整剤としては、特に限定されないが、例えば、一価のフェノール性水酸基を有する芳香族フェノール;メタノール、ブタノール等の脂肪族アルコール;メルカプタン;フタル酸イミド等が挙げられるが、中でも芳香族フェノールが好ましい。このような芳香族フェノールとしては、具体的には、フェノール、o-n-ブチルフェノール、m-n-ブチルフェノール、p-n-ブチルフェノール、o-イソブチルフェノール、m-イソブチルフェノール、p-イソブチルフェノール、o-t-ブチルフェノール、m-t-ブチルフェノール、p-t-ブチルフェノール、o-n-ペンチルフェノール、m-n-ペンチルフェノール、p-n-ペンチルフェノール、o-n-ヘキシルフェノール、m-n-ヘキシルフェノール、p-n-ヘキシルフェノール、p-t-オクチルフェノール、o-シクロヘキシルフェノール、m-シクロヘキシルフェノール、p-シクロヘキシルフェノール、o-フェニルフェノール、m-フェニルフェノール、p-フェニルフェノール、o-n-ノニルフェノール、m-n-ノニルフェノール、p-n-ノニルフェノール、o-クミルフェノール、m-クミルフェノール、p-クミルフェノール、o-ナフチルフェノール、m-ナフチルフェノール、p-ナフチルフェノール、2,5-ジ-t-ブチルフェノール、2,4-ジ-t-ブチルフェノール、3,5-ジ-t-ブチルフェノール、2,5-ジクミルフェノール、3,5-ジクミルフェノール、p-クレゾール、ブロモフェノール、トリブロモフェノール、平均炭素数12~35の直鎖状又は分岐状のアルキル基をオルト位、メタ位又はパラ位に有するモノアルキルフェノール、9-(4-ヒドロキシフェニル)-9-(4-メトキシフェニル)フルオレン、9-(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-9-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、4-(1-アダマンチル)フェノール等が挙げられる。これらの中では、p-t-ブチルフェノール、p-フェニルフェノール及びp-クミルフェノールが好ましく用いられる。尚、分子量調整剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
分子量調整剤の使用量は、特に限定されないが、例えば、原料のジヒドロキシ化合物100モルに対して、通常0.5モル以上、好ましくは1モル以上であり、また、通常50モル以下、好ましくは30モル以下である。
酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が挙げられる。その具体例としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’-ヘキサン-1,6-ジイルビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナミド]、2,4-ジメチル-6-(1-メチルペンタデシル)フェノール、ジエチル[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ホスフォエート、3,3’,3”,5,5’,5”-ヘキサ-tert-ブチル-a,a’,a”-(メシチレン-2,4,6-トリイル)トリ-p-クレゾール、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-m-トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン,2,6-ジ-tert-ブチル-4-(4,6-ビス(オクチルチオ)-1,3,5-トリアジン-2-イルアミノ)フェノール、2-[1-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ペンチルフェニル)エチル]-4,6-ジ-tert-ペンチルフェニルアクリレート等が挙げられる。
中でも、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートが好ましい。このようなフェノール系酸化防止剤の市販品としては、BASF社製「イルガノックス1010」、「イルガノックス1076」、ADEKA社製「アデカスタブAO-50」、「アデカスタブAO-60」等が挙げられる。
尚、酸化防止剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
酸化防止剤の使用量は、特に限定されないが、原料ジヒドロキシ化合物100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上、さらに好ましくは0.1質量部以上である。酸化防止剤の使用量を上記下限以上とすることで、酸化防止剤としての効果が十分なものとなる。また、酸化防止剤の使用量は、原料ジヒドロキシ化合物100質量部に対して、好ましくは1質量部以下、より好ましくは0.5質量部以下である。酸化防止剤の使用量を上記上限以下とすることで射出成形時のガス発生を抑制することができる。
反応の際に、反応基質(反応原料)、反応溶媒(有機溶媒)、触媒、添加剤等を混合する順序は、所望のポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であり、適切な順序を任意に設定すればよい。例えば、カーボネート形成性化合物としてホスゲンを用いた場合には、分子量調整剤は原料ジヒドロキシ化合物とホスゲンとの反応(ホスゲン化)の時から重合反応開始時までの間であれば任意の時期に混合できる。
尚、反応温度は特に限定されないが、好ましくは0~40℃である。反応時間は、特に限定されないが、好ましくは数分(例えば、10分)~数時間(例えば、6時間)である。
(溶融エステル交換法)
溶融エステル交換法では、例えば、カーボネートエステルと原料ジヒドロキシ化合物とのエステル交換反応を行う。
原料ジヒドロキシ化合物は、界面重合法におけるものと同様である。
カーボネートエステルとしては、例えば、下記式(19)で表される化合物であればよく、アリールカーボネート類、ジアルキルカーボネート類やジヒドロキシ化合物のビスカーボネート体、ジヒドロキシ化合物のモノカーボネート体、環状カーボネート等のジヒドロキシ化合物のカーボネート体等が挙げられる。
Figure 2024044937000010
上記式(19)中、R17及びR18は、それぞれ独立に炭素数1~30のアルキル基、アリール基、又はアリールアルキル基を示す。以下、R17及びR18が、アルキル基、アリールアルキル基のとき、ジアルキルカーボネートと称し、アリール基のとき、ジアリールカーボネートと称すことがある。中でもジヒドロキシ化合物との反応性の観点よりR17及びR18は、共にアリール基であることが好ましく、下記式(20)で表されるジアリールカーボネートであることがより好ましい。
Figure 2024044937000011
上記式(20)中、R19及びR20は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~20のアルコキシカルボニル基、炭素数4~20のシクロアルキル基、又は炭素数6~20のアリール基であり、p及びqはそれぞれ独立に0~5の整数を表す。
このようなカーボネートエステルとしては、具体的にはジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ-t-ブチルカーボネート等のジアルキルカーボネート、ジフェニルカーボネート(以下、「DPC」と略記する場合がある。)、ビス(4-メチルフェニル)カーボネート、ビス(4-クロロフェニル)カーボネート、ビス(4-フルオロフェニル)カーボネート、ビス(2-クロロフェニル)カーボネート、ビス(2,4-ジフルオロフェニル)カーボネート、ビス(4-ニトロフェニル)カーボネート、ビス(2-ニトロフェニル)カーボネート、ビス(メチルサリチルフェニル)カーボネート、ジトリルカーボネート等の(置換基を有していてもよい)ジアリールカーボネートが挙げられるが、中でもジフェニルカーボネートが好ましい。尚、これらのカーボネートエステルは、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
また、前記のカーボネートエステルは、好ましくはその50モル%以下、さらに好ましくは30モル%以下の量を、ジカルボン酸又はジカルボン酸エステルで置換してもよい。代表的なジカルボン酸又はジカルボン酸エステルとしては、テレフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸ジフェニル、イソフタル酸ジフェニル等が挙げられる。このようなジカルボン酸又はジカルボン酸エステルで置換した場合には、ポリエステルカーボネートが得られる。
原料ジヒドロキシ化合物とカーボネートエステルとの比率は所望のポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であるが、これらカーボネートエステルは、ジヒドロキシ化合物と重合させる際に、原料ジヒドロキシ化合物に対して過剰に用いることが好ましい。すなわち、カーボネートエステルは、ジヒドロキシ化合物に対して、1.01倍量(モル比)以上であることが好ましく、1.02倍量以上であることがより好ましい。モル比を上記下限以上とすることで、得られるポリカーボネート樹脂の熱安定性が良好なものとなる。また、カーボネートエステルは、ジヒドロキシ化合物に対して、1.30倍量(モル比)以下であることが好ましく、1.20倍量以下であることがより好ましい。モル比を上記上限以下とすることで、反応性が向上し、所望の分子量を有するポリカーボネート樹脂の生産性が良好なものとなることや、ポリカーボネート樹脂中の残存カーボネートエステル量が少なくなることにより、成形加工時や成形品としたとき、臭気発生を抑制することができる等、好適である。
溶融エステル交換法によりポリカーボネート樹脂を製造する際には、通常、エステル交換触媒が使用される。エステル交換触媒は、特に限定されず、従来から公知のものを使用できる。例えばアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物を用いることが好ましい。また、補助的に、例えば塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物等の塩基性化合物を併用してもよい。尚、エステル交換触媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
溶融エステル交換法において、反応温度は、特に限定されないが、通常100~320℃である。また、反応時の圧力は、特に限定されないが、通常2mmHg以下の減圧条件である。具体的操作としては、前記の条件で、副生成物を除去しながら、溶融重縮合反応を行えばよい。
ここで、本発明のポリカーボネート樹脂は、アルカリ触媒存在下では、顕著に熱履歴や酸化の影響を受け、色相の悪化に繋がる。そのため、反応温度は320℃以下とし、また、過度の減圧により、機器からの酸素の漏れ込みを防ぐため、0.05mmHg程度までを下限とした減圧条件を選択することが好ましい。
反応形式は、バッチ式、連続式の何れの方法でも行うことができる。バッチ式で行う場合、反応基質、反応溶媒、触媒、添加剤等を混合する順序は、所望のポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であり、適切な順序を任意に設定すればよい。
溶融エステル交換法においては、必要に応じて、触媒失活剤を用いてもよい。触媒失活剤としてはエステル交換触媒を中和する化合物を任意に用いることができる。その例を挙げると、イオウ含有酸性化合物及びその誘導体、リン含有酸性化合物及びその誘導体等が挙げられる。尚、触媒失活剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
触媒失活剤の使用量は、特に限定されないが、前記のエステル交換触媒に対して、通常0.5当量以上、好ましくは1当量以上、より好ましくは3当量以上であり、また、通常50当量以下、好ましくは10当量以下、より好ましくは8当量以下である。また、触媒失活剤の使用量は、ポリカーボネート樹脂に対して、通常1ppm以上、100ppm以下で、好ましくは50ppm以下である。
<その他のポリカーボネート樹脂>
本発明のポリカーボネート樹脂は、本発明の特徴を損なわない範囲で、その他のポリカーボネート樹脂をブレンド物として1種、または2種以上含んでいても良い。
本発明のポリカーボネート樹脂に含まれうる、その他のポリカーボネート樹脂としては、下記式(21)で表される構造単位を有するポリカーボネート樹脂が挙げられる。
Figure 2024044937000012
(上記式(21)中、R21~R24はそれぞれ独立に、水素原子、又はメチル基を表す。Zは単結合、酸素原子、硫黄原子、又は、下記式(22a)~(22h)で表される二価の有機基から選ばれる少なくとも1種を表す。)
Figure 2024044937000013
式(22a)中、R25及びR26は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~24の一価炭化水素基、又は炭素数1~24のアルコキシ基を表すが、中でも炭素数1~24の一価炭化水素基であることが好ましい。
上記炭素数1~24の一価炭化水素基としては、炭素数1~24のアルキル基、炭素数2~24のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数6~24のアリール基、炭素数7~24のアリールアルキル基等が挙げられる。
炭素数1~24のアルキル基としては、直鎖状、分岐状のアルキル基、一部環状構造を有するアルキル基などが挙げられるが、なかでも直鎖状のアルキル基であることが好ましい。このような炭素数1~24のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-へプチル基、n-オクチル基等が挙げられる。
炭素数2~24のアルケニル基としては、直鎖状、分岐状のアルケニル基、一部環状構造を有するアルケニル基などが挙げられるが、中でも直鎖状のアルケニル基であることが好ましい。このような炭素数2~24のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、n-プロぺニル基、n-ブテニル基、n-ペンテニル基、n-ヘキセニル基、n-へプテニル基、n-オクテニル基等が挙げられる。
炭素数6~24のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基などのアルキル基等の置換基を有していてもよいアリール基が挙げられる。
炭素数7~24のアリールアルキル基等としては、ベンジル基などが挙げられる。
炭素数1~24のアルコキシ基としては、直鎖状、分岐状、一部環状構造を有するアルコキシ基などが挙げられるが、なかでも直鎖状のアルコキシ基が好ましい。具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などが挙げられる。
式(22b)中、Aは酸素原子またはNRを表す。ここで、Rは上述のR25及びR26と同定義である。
式(22c)中、Aは、炭素数3~18の二価炭化水素基を表し、例えば、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシニレン基などのアルキレン基が挙げられ、それぞれさらに置換基を有していてもよい。置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、フェニル基などが挙げられる。さらに一部架橋構造を有していてもよい。
式(22h)中、Aは、炭素数1~7のアルキレン基を表す。このようなアルキレン基は、直鎖であっても分岐鎖であってもよく、環状構造を有していてもよく、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等が挙げられる。また、lは1~500の整数を表すが、中でも5~300であることが好ましく、10~100であることがより好ましい。
これらの中でZはより好ましくは、単結合、イソプロピリデン基、または式(22c)であり、式(22c)中、Aが炭素数5の二価炭化水素基であり、置換基としてメチル基を有することが好ましい。Zは、最も好ましくはイソプロピリデン基である。
<加水分解物中の(14)/(13)割合>
本発明のポリカーボネート樹脂を加水分解して得られる本発明の加水分解物は、下記式(13)~(15)で表されるジヒドロキシ化合物を含み、該加水分解物におけるジヒドロキシ化合物(14)の含有割合がジヒドロキシ化合物(13)の含有量に対して100ppm~1,300ppmであるものである。加水分解物中の(14)/(13)割合がこの範囲であることで、本発明のポリカーボネート樹脂の耐衝撃性、鉛筆硬度、及び初期色調を良好なものとすることができる。
Figure 2024044937000014
(式(13)中、Qは前記式(11)中のQと同義である。
式(14)中、Qは前記式(11)中のQと同義であり、R12は水素原子又はメチル基を示す。
式(15A)中、R11は前記式(12A)中のR11と同義である。
式(15B)中、Wは前記式(12B)中のWと同義である。)
本発明のポリカーボネート樹脂の加水分解物中の(14)/(13)割合は、耐衝撃性向上の観点から100ppm以上であり、より好ましくは150ppm以上である。
一方、初期色調向上の観点から、本発明のポリカーボネート樹脂の加水分解物中の(14)/(13)割合は、1300ppm以下であり、特に1200ppm以下であることが好ましい。
加水分解物中の(14)/(13)割合を上記好適範囲とするには、例えば、本発明のポリカーボネート樹脂の原料となる、ジヒドロキシ化合物(13)である2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン(以下、「BPC」と称する場合がある。)の純度を適宜調整し、さらにポリカーボネート樹脂製造時の触媒量や、圧力、温度や、縮重合反応終了時の設定条件等を適宜調整することによって達成できる。
<加水分解物中のジヒドロキシ化合物(13)~(15)の分析手法>
本発明の加水分解物中のジヒドロキシ化合物(13)~(15)の含有量は、以下のようにして分析することができる。
ポリカーボネート樹脂0.5gを塩化メチレン5mLに溶解した後、メタノール45mLおよび25質量%水酸化ナトリウム水溶液5mLを加え、70℃で30分間攪拌して加水分解する(塩化メチレン溶液)。その後、この塩化メチレン溶液に6規定の塩酸を加え、溶液のpHを2程度とし、純水にて100mLとなるように調整する。
次に、調整した塩化メチレン溶液20μLを液体クロマトグラフィーに注入し、ジヒドロキシ化合物(13)とジヒドロキシ化合物(14)とジヒドロキシ化合物(15A)とジヒドロキシ化合物(15B)の含有量をそれぞれ測定し(単位:ppm)、各々のジヒドロキシ化合物の含有量とする。
液体クロマトグラフィーおよび測定条件は以下の通りである。
液体クロマトグラフィー:株式会社島津製作所製LC-10AD
カラム:YMC PACK ODS-AM M-307-3
4.6mmID×75mmL
検出器:UV280nm
溶離液:(A)0.05%トリフルオロ酢酸水溶液 (B)メタノール
グラジェント条件:0分(B=40%)、25分(B-95%)
流量:1.0mL/分
カラム温度:40℃
注入量:20μL
ジヒドロキシ化合物(14)の含有割合は、ジヒドロキシ化合物(13)であるBPCにより作成した検量線に基づき、各々のピーク面積より算出する。
なお、カラムの劣化状況や製造時期によっても多少の誤差は存在するが、本条件において、ジヒドロキシ化合物(13)、例えば、BPCは12.2分付近に検出され、ジヒドロキシ化合物(14)は15.0分付近に、ジヒドロキシ化合物(15A)例えば、BP-TMCは17.6分付近にピークが検出される。
前述の通り、本発明の加水分解物中のジヒドロキシ化合物(14)の含有量は、本発明のポリカーボネート樹脂の原料となるジヒドロキシ化合物(13)であるBPCの純度を適切に調整し、さらにポリカーボネート樹脂の製造条件を調整することにより達成する。
<加水分解物中のジヒドロキシ化合物(14)の同定>
本発明の加水分解物中のジヒドロキシ化合物(14)の構造の同定は、上記分析手法によって分析中、特定構造由来のピークを検出した時点で分析液を分取し、分取したサンプルのH-NMR、13C-NMR、二次元NMR法、質量分析法(MS)、赤外線吸収スペクトル法(IRスペクトル)により実施した。
また、特定した構造が相違ないことは、IRスペクトルにおいてカルボン酸に由来するシグナルが観測されることや、LC-MS分析によって確認できる。
<ポリカーボネート樹脂の比粘度>
本発明のポリカーボネート樹脂の0.7gを塩化メチレン100mLに溶解した溶液について、20℃で測定した比粘度は0.308~0.455である。
本発明のポリカーボネート樹脂の比粘度が上記下限以上であれば、本発明のポリカーボネート樹脂は耐衝撃性、耐熱性が良好なものとなり好ましい。また、粘度平均分子量が上記上限以下であれば、本発明のポリカーボネート樹脂の初期色調、流動性が良好なものとなり好ましい。
これらの観点から、本発明のポリカーボネート樹脂の比粘度は、好ましくは0.309以上、より好ましくは0.311以上、さらに好ましくは0.313以上であり、また、好ましくは0.452以下、より好ましくは0.450以下、さらに好ましくは0.449以下である。
<ポリカーボネート樹脂の初期色調>
本発明のポリカーボネート樹脂は、初期色調に優れる。本発明のポリカーボネート樹脂の初期色調は、ポリカーボネート樹脂のペレットのYI値(イエローインデックス値)で通常20以下であり、15以下であることが好ましく、より好ましくは14以下であり、特に好ましくは13以下であり、最も好ましくは10以下である。
ポリカーボネート樹脂の初期色調は、ポリカーボネート樹脂の加水分解物中の(14)/(13)割合を適切な値とすることで、低下させることができる。
なお、ポリカーボネート樹脂の初期色調はASTM D1925に準拠して、ペレットの反射光におけるYI値(イエローインデックス値)を測定して評価できる。具体的には、装置はコニカミノルタ社製分光測色計CM-5を用い、測定条件は測定径30mm、SCEを選択する。シャーレ測定用校正ガラスCM-A212を測定部にはめ込み、その上からゼロ校正ボックスCM-A124をかぶせてゼロ校正を行い、続いて内蔵の白色校正板を用いて白色校正を行う。
白色校正板CM-A210を用いて測定を行い、L*が99.40±0.05、a*が0.03±0.01、b*が-0.43±0.01、YIが-0.58±0.01となることを確認する。ペレットの測定は、内径30mm、高さ50mmの円柱ガラス容器にペレットを40mm程度の深さまで詰めて測定を行う。ガラス容器からペレットを取り出してから再度測定を行う操作を2回繰り返し、計3回の測定値の平均値を用いる。YI値が小さいほど樹脂の黄色味が少なく、色調に優れることを意味する。
<ポリカーボネート樹脂の鉛筆硬度>
本発明のポリカーボネート樹脂は、ISO 15184に準拠した方法で測定される鉛筆硬度が、好ましくはHB以上であるような高硬度特性を有するものであり、この鉛筆硬度はより好ましくはH以上である。
なお、ポリカーボネート樹脂の鉛筆硬度は、厚み3mm、縦25mm、横25mmのポリカーボネート樹脂の試験片に対して鉛筆硬度試験機を用いて、荷重750gで測定される。該試験片は射出成形機を用いて射出成形を行うことにより得ることができる。
<ポリカーボネート樹脂の耐衝撃性>
本発明のポリカーボネート樹脂の耐衝撃性については、後掲の実施例の項に記載されるIzodノッチ無し衝撃試験において、試験片5本中のブレイク本数が1本以下であることが好ましく、すべてブレイクしないことがより好ましい。
<ポリカーボネート樹脂のプレート外観>
本発明のポリカーボネート樹脂の成形時に発生するヤケの頻度は、上記射出成形品のイエローインデックス(YI)値評価の際に、射出成形したプレート30枚の外観を目視で観察し、黒色異物(ヤケ)が発生している枚数を数えることにより評価することができる。
本発明のポリカーボネート樹脂を射出成形したプレート30枚中、黒色異物(ヤケ)が発生する枚数は、15枚以下であることが好ましく、10枚以下であることがより好ましく、5枚以下であることがさらに好ましく、3枚以下であることが特に好ましい。
<ポリカーボネート樹脂の比誘電率(ε)、誘電正接(tanδ)>
本発明のポリカーボネート樹脂は、特に制限はないが、温度23℃、周波数10GHzで測定した比誘電率(ε)が2.45以下、誘電正接(tanδ)が3.00×10-13以下あることが好ましい。比誘電率、及び誘電正接がこの範囲であることにより、高周波数帯域の電波の透過性が良好なものになる。
なお、ポリカーボネート樹脂の比誘電率(ε)、及び誘電正接(tanδ)は、ポリカーボネート樹脂を熱プレス成形して得た厚みが40~150μm厚のフィルムから長さ70mm、幅2mmの短冊状のフィルムを切り出し、室温23℃、湿度50%の条件で48時間調湿した後、空洞共振器を用いて周波数10GHzにて測定することができる。
[熱可塑性樹脂組成物]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上述した本発明のポリカーボネート樹脂を含むことを特徴とする。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、所望の諸物性を著しく損なわない限り、必要に応じて、上述した本発明のポリカーボネート樹脂以外にその他の成分を含有していてもよい。その他の成分の例を挙げると、本発明のポリカーボネート樹脂以外の樹脂、各種樹脂添加剤などが挙げられる。なお、その他の成分は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
<その他の樹脂>
本発明のポリカーボネート樹脂以外の樹脂としては、例えば、
ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET樹脂)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT樹脂)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT樹脂)等の熱可塑性ポリエステル樹脂;
ポリスチレン樹脂(PS樹脂)、高衝撃ポリスチレン樹脂(HIPS)、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル-スチレン-アクリルゴム共重合体(ASA樹脂)、アクリロニトリル-エチレンプロピレン系ゴム-スチレン共重合体(AES樹脂)等のスチレン系樹脂;
ポリエチレン樹脂(PE樹脂)、ポリプロピレン樹脂(PP樹脂)、環状シクロオレフィン樹脂(COP樹脂)等のポリオレフィン樹脂;
ポリアミド樹脂(PA樹脂);ポリイミド樹脂(PI樹脂);ポリエーテルイミド樹脂(PEI樹脂);ポリウレタン樹脂(PU樹脂);ポリフェニレンエーテル樹脂(PPE樹脂);ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS樹脂);ポリスルホン樹脂(PSU樹脂);ポリメタクリレート樹脂(PMMA樹脂);液晶ポリマー(LCP)
等が挙げられる。
尚、その他の樹脂は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていてもよい。
<種樹脂添加剤>
本発明の熱可塑性樹脂組成物が含んでいてもよい樹脂添加剤としては、例えば、熱安定剤、酸化防止剤、離型剤、耐光剤(HALS)、難燃剤、帯電防止剤、防曇剤、滑剤、アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤、染料、顔料等が挙げられる。尚、樹脂添加剤は1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていてもよい。
<ポリカーボネート樹脂の含有割合>
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、上述の本発明のポリカーボネート樹脂以外の樹脂や樹脂添加剤の1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
なお、本発明の熱可塑性樹脂組成物が本発明のポリカーボネート樹脂以外の樹脂や樹脂添加剤を含む場合、本発明のポリカーボネート樹脂を含むことによる本発明の効果をより有効に得る上で、本発明の熱可塑性樹脂組成物に含まれる全樹脂成分中の本発明のポリカーボネート樹脂の割合が30質量%以上となるようにすることが好ましく、より好ましくは40質量%以上であり、さらに好ましくは50質量%以上であり、特に好ましくは60質量%以上であり、最も好ましくは70質量%以上である。
<熱可塑性樹脂組成物の初期色調>
本発明の熱可塑性樹脂組成物樹脂は、初期色調に優れる。本発明の熱可塑性樹脂組成物の初期色調は、熱可塑性樹脂組成物のペレットのYI値(イエローインデックス値)で30以下であることが好ましく、より好ましくは25以下であり、特に好ましくは20以下である。
[通信機器部材]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、マイクロ波及び/又はミリ波帯域の電波透過性が優れると共に、色調が良好であり、ヤケが少なく耐熱性に優れることから、これらの特性が厳しく求められるマイクロ波及び/又はミリ波用通信機器部材として有用である。
このようなマイクロ波及び/又はミリ波用通信機器部材の形状、模様、色彩、寸法などに制限はなく、そのマイクロ波及び/又はミリ波用通信機器部材の用途に応じて適宜選択することができる。
この用途としては例えば、ノートパソコン、タブレット端末、スマートフォン、又はルータ装置等のマイクロ波及び/又はミリ波用アンテナを内蔵する通信機器用筐体;ブレーキ自動制御装置、車間距離制御装置、歩行者事故低減ステアリング装置、誤発信抑制制御装置、ペダル踏み間違い時加速抑制装置、接近車両注意喚起装置、車線維持支援装置、被追突防止警報装置、駐車支援装置、車両周辺障害物注意喚起装置などに用いられる車載用ミリ波レーダー用モジュール、ホーム監視/踏切障害物検知装置、電車内コンテンツ伝送装置、路面電車/鉄道衝突防止装置、滑走路内異物検知装置などに用いられる鉄道・航空用ミリ波レーダー用モジュール;交差点監視装置、エレベータ監視装置などの交通インフラ向けミリ波レーダー用モジュール;各種セキュリティ装置向けミリ波レーダー用モジュール;子供、高齢者見守りシステムなどの医療・介護用ミリ波レーダー用モジュール;各種情報コンテンツ伝送用ミリ波レーダーモジュール;基地局用基板、ルーター用基板、サーバー用基板、CPU基板などのアンテナ基板材料;モノポールアンテナ、ダイポールアンテナ、パッチアンテナ、ホイップアンテナ、ループアンテナ、スロットアンテナなどの各種アンテナ部材が挙げられる。
本発明において、マイクロ波とは周波数が3.0~30GHzの電波であり、ミリ波とは周波数が30~300GHzの電波のことである。よってマイクロ波及び/又はミリ波とは、3.0~300GHzの電波のことである。すなわち、マイクロ波及び/又はミリ波用アンテナを内蔵する通信機器とは、周波数が3.0~300GHzの電波を送受信するアンテナを内蔵する通信機器のことである。該通信機器の具体例としては周波数が3.0~300GHzの電波を送受信するノートパソコン、タブレット端末、スマートフォン、又はルータ装置等が挙げられる。
本発明のマイクロ波及び/又はミリ波用通信機器部材の、マイクロ波及び/又はミリ波用アンテナが送受信する周波数は、3.0~300GHzであれば特に制限はないが、3.2~250GHzの周波数帯の電波に対してより好適であり、3.4~200GHzの周波数帯の電波に対してさらに好適である。
特に、本発明のマイクロ波及び/又はミリ波用通信機器部材は、5G(第5世代移動通信システム)で利用される、3.5~30GHzの周波数帯の電波に対して、好適に使用できる。
マイクロ波及び/又はミリ波帯域の電波は、電波透過性が悪い傾向がある。このような観点から、マイクロ波及び/又はミリ波帯域の電波を送受信するアンテナを内蔵する通信機器用筐体は、電波透過性が高いことが要求される。
また、マイクロ波及び/又はミリ波帯域の電波を送受信する通信機器は、熱を発する傾向がみられることから、マイクロ波及び/又はミリ波帯域の電波を送受信するアンテナを内蔵する通信機器用筐体には高い耐熱性が求められる。
本発明のマイクロ波及び/又はミリ波用通信機器部材に使用される本発明の熱可塑性樹脂組成物に含まれる本発明のポリカーボネート樹脂は、誘電特性に優れ、耐熱性、色調が良好、ヤケが少ないという特徴を兼ね備えている。よって、このような本発明のポリカーボネート樹脂を含む本発明の熱可塑性樹脂組成物はこれらの特徴を反映して、マイクロ波及び/又はミリ波帯域の電波透過性が優れると共に、耐熱性が高く、外観が良好であることから、これらの特性が厳しく求められるマイクロ波及び/又はミリ波帯域の電波を送受信する通信機器部材に使用して好適である。
マイクロ波及び/又はミリ波用通信機器部材の具体例としては、ノートパソコン、タブレット端末、スマートフォン、又はルータ装置等のマイクロ波及び/又はミリ波用アンテナを内蔵する通信機器用筐体や、基地局用基板、ルーター用基板、サーバー用基板、CPU基板などのアンテナ基板材料が挙げられ、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、これらの用途として特に好適である。
<通信機器部材の製造方法>
本発明の熱可塑性樹脂組成物を本発明の通信機器部材に加工する手法としては、特に制限はないが、例えば、射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、異形押出法、トランスファー成形法、中空成形法、ガスアシスト中空成形法、ブロー成形法、押出ブロー成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、回転成形法、多層成形法、2色成形法、インサート成形法、サンドイッチ成形法、発泡成形法、加圧成形法、シート成形法、熱成形法、積層成形法、プレス成形法等が挙げられる。これらのうち、特に射出成形法又は押出成形法が好適に用いられる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形する際の成形温度は、特に制限はないが、200℃以上が好ましく、250℃以上がさらに好ましく、280℃以上が最も好ましい。成形温度を上記下限以上とすることで、流動性が向上し成形性が向上する。また、本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形する際の成形温度は、350℃以下が好ましく、320℃以下が特に好ましい。成形温度を上記上限以下とすることで、通信機器部材の外観を良好なものにすることができる。
成形を行うにあたり、本発明の熱可塑性樹脂組成物に顔料、染料離型剤、熱安定剤等を本発明の目的を損なわない範囲において適宜添加することができる。
以下、実施例に基づき本発明をさらに具体的に説明する。本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下の実施例及び比較例で得られたポリカーボネート樹脂の物性は、下記の方法により評価した。
[1]粘度平均分子量(Mv)
ポリカーボネート樹脂を塩化メチレンに溶解し(濃度7.0g/L)、ウベローデ粘度管(森友理化工業社製)を用いて、20℃における固有粘度(極限粘度)[η](単位dL/g)を求め、Schnellの粘度式(下記式)から粘度平均分子量(Mv)を算出した。
η=1.23×10-4Mv0.83
[2]比粘度
ポリカーボネート樹脂0.7gを塩化メチレン100mLに溶解させて調製した溶液について、ウベローデ粘度管(森友理化工業社製)を用いて20℃にて、比粘度を測定した。
[3]ガラス転移温度(Tg)
示差操作熱量計(SII製DSC6220)を用いて、ポリカーボネート樹脂の試料約10mgを20℃/minの昇温速度で加熱して熱量を測定し、ISO 3146に準拠して、低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大となるような点で引いた接線との交点の温度である、補外ガラス転移開始温度を求めた。該補外ガラス転移開始温度をガラス転移温度(Tg)とした。
[4]表面硬度(鉛筆硬度)
小型射出成形機(株式会社新興セルビックC,Mobile)を用いて、表1,2に記載のシリンダー温度及び金型温度の条件下にて、厚み3mm、縦25mm、横25mmのポリカーボネート樹脂のプレートを成形し、試験片を得た。該試験片について、ISO 15184に準拠し、鉛筆硬度試験機(東洋精機株式会社製)を用いて、荷重750gで鉛筆硬度を測定した。
[5]ペレットの初期色調
ポリカーボネート樹脂の初期色調はASTM D1925に準拠して、ペレットの反射光におけるYI値(イエローインデックス値)を測定して評価した。具体的には、装置はコニカミノルタ社製分光測色計CM-5を用い、測定条件は測定径30mm、SCEを選択する。シャーレ測定用校正ガラスCM-A212を測定部にはめ込み、その上からゼロ校正ボックスCM-A124をかぶせてゼロ校正を行い、続いて内蔵の白色校正板を用いて白色校正を行った。
白色校正板CM-A210を用いて測定を行い、L*が99.40±0.05、a*が0.03±0.01、b*が-0.43±0.01、YIが-0.58±0.01となることを確認する。ペレットの測定は、内径30mm、高さ50mmの円柱ガラス容器にペレットを40mm程度の深さまで詰めて測定を行った。ガラス容器からペレットを取り出してから再度測定を行う操作を2回繰り返し、計3回の測定値の平均値を用いた。
[6]耐衝撃性
小型射出成形機(株式会社新興セルビックC,Mobile)を用いて、厚み3.2mm、縦53.5mm、横12.7mmのポリカーボネート樹脂のプレートを成形し、試験片を得た。JIS K-7110に準拠し、該試験片に対して60kgハンマーを用いてノッチ無しのIzod衝撃試験を5本の試験片に対して行い、5本中のブレイク本数を調べた。
[7]加水分解物中の(14)/(13)割合
サンプル0.5gを塩化メチレン5mLに溶解した後、メタノール45mLおよび25質量%水酸化ナトリウム水溶液5mLを加え、70℃で30分間攪拌して加水分解した(塩化メチレン溶液)。その後、この塩化メチレン溶液に6規定の塩酸を加え、溶液のpHを2程度とし、純水にて100mLとなるように調整した。
次に、調整した塩化メチレン溶液20μLを下記条件の液体クロマトグラフィーに注入し、ジヒドロキシ化合物(13)~(15)の含有量を測定した。これを元に、ジヒドロキシ化合物(13)の含有量に対する、ジヒドロキシ化合物(14)の含有量の割合をppmで算出した。
液体クロマトグラフィーおよび測定条件は以下の通りである。
液体クロマトグラフィー:株式会社島津製作所製LC-10AD
カラム:YMC PACK ODS-AM M-307-3
4.6mmID×75mmL
検出器:UV280nm
溶離液:(A)0.05%トリフルオロ酢酸水溶液 (B)メタノール
グラジェント条件:0分(B=40%)、25分(B-95%)
流量:1.0mL/分
カラム温度:40℃
ジヒドロキシ化合物(14)の含有量は、ジヒドロキシ化合物(13)である2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン(BPC)により作成した検量線に基づき、各々のピーク面積より算出した。
本条件において、ジヒドロキシ化合物(13)であるBPCは12.2分付近に検出され、ジヒドロキシ化合物(14)は15.0分付近に、ジヒドロキシ化合物(15A)である4,4’-(3,3,5-トリメチルシクロヘキシリデン)ビスフェノールは17.6分付近にピークが検出された。
[8]プレート色調
ポリカーボネート樹脂のペレットを90℃で5時間以上、真空乾燥した。乾燥したポリカーボネート樹脂のペレットを射出成形機(日本製鋼所社製J75EII型)に供給し、最終シリンダーの温度を300℃、成形サイクル約30秒の条件でプレート型の射出成形片(幅60mm×長さ60mm×厚さ3mm)を成形する操作を繰り返した。10ショット目~40ショット目で得られた射出成形片の厚み方向での透過光におけるイエローインデックス(YI)値を、コニカミノルタ社製分光測色計CM-5を用い、ASTM D1925に準拠して測定を行った。前述の射出成形で得られたプレートを測定室に置き、透過光のYI値を測定した。YI値が小さい程、黄色味がなく品質が優れることを示す。なお、成形直後はプレートの色調が不安定のため、成形後1日以上経過した後に色調測定を行った。また、比較に用いるプレートは同一条件下で保管し、同時に測定した数値を用いた。
[9]プレート外観不良品数
上記[8]で射出成形したプレート30枚の外観を目視で観察し、黒色異物(ヤケ)が発生している枚数を数えた。
[10]誘電特性:比誘電率(ε)・誘電正接(tanδ)
80℃で5時間真空乾燥をしたポリカーボネート樹脂を熱プレス成形機によりフィルム状に成形し、厚みが40~150μmのフィルムを作製した。なお、熱プレス成形機の成形条件は、温度150~250℃、圧力10~15MPaの範囲で適宜調整した。このフィルムから長さ70mm、幅2mmの短冊状のフィルムを切り出し、室温23℃、湿度50%の条件下で48時間調湿した後、空洞共振器(株式会社関東応用電子開発製 CP-531)及び、シリーズ・ネットワークアナライザー(キーサイト・テクノロジー社製 E8361A PNA)を用いて、周波数10GHzにて比誘電率(ε)と誘電正接(tanδ×10-3)を測定した。
〔製造例1~15:ポリカーボネート樹脂の製造例〕
ポリカーボネート樹脂である、PC(A1)~PC(A10)、PC(B1)、PC(B2)、PC(C1)~PC(C3)の製造例を示す。
[製造例1]
反応器攪拌機、反応器加熱装置、反応器圧力調整装置を付帯した内容量150mlのガラス製反応器に、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン(BPC)(本州化学社製)89.59g(約0.350mol)、4,4’-(3,3,5-トリメチルシクロヘキシリデン)ビスフェノール(BP-TMC)(本州化学社製)27.12g(0.087mol)と、ジフェニルカーボネート(DPC)96.39g(約0.450mol)、及び触媒として炭酸セシウム0.4質量%水溶液を、炭酸セシウムが全ジヒドロキシ化合物1mol当たり1.5μmolとなるように添加して原料混合物を調製した。
次に、ガラス製反応器内を約50Pa(0.38Torr)に減圧し、続いて、窒素で大気圧に復圧する操作を3回繰り返し、反応器の内部を窒素置換した。窒素置換後、反応器外部温度を220℃にし、反応器の内温を徐々に昇温させ、混合物を溶解させた。その後、100rpmで撹拌機を回転させた。そして、反応器の内部で行われるジヒドロキシ化合物とDPCのオリゴマー化反応により副生するフェノールを留去しながら、40分間かけて反応器内の圧力を絶対圧で101.3kPa(760Torr)から13.3kPa(100Torr)まで減圧した。
続いて、反応器内の圧力を13.3kPaに保持し、フェノールをさらに留去させながら、80分間、エステル交換反応を行った。その後、反応器外部温度を250℃に昇温、40分間かけて反応器内圧力を絶対圧で13.3kPa(100Torr)から399Pa(3Torr)まで減圧し、留出するフェノールを系外に除去した。さらに、反応器外部温度を285℃に昇温、反応器内の絶対圧を30Pa(約0.2Torr)まで減圧し、重縮合反応を行った。反応器の攪拌機が予め定めた所定の攪拌動力となったときに、重縮合反応を終了した。
次いで、反応器内を、窒素により絶対圧で101.3kPaに復圧の上、ゲージ圧で0.2MPaまで昇圧し、反応器の槽底からポリカーボネート樹脂をストランド状に抜き出し、ストランド状のポリカーボネート樹脂を得た後、回転式カッターを使用してペレット化した。
このようにして得られたポリカーボネート樹脂PC(A1)に対して、上記の手順で各評価を実施した。結果を表1Aに示す。
[製造例2]
BPC(本州化学社製)89.59部(約0.350mol)と、BP-TMC(本州化学社製)27.12部(約0.087mol)と、DPC98.73部(約0.461mol)、及び触媒として炭酸セシウム0.4質量%水溶液を、炭酸セシウムが全ジヒドロキシ化合物1mol当たり1.5μmolとなるように添加して原料混合物を調製した以外は、製造例1に記載の手法で実施した。
このようにして得られたポリカーボネート樹脂PC(A2)に対して、上記の手順で各評価を実施した。結果を表1Aに示す。
[製造例3]
反応終了時の攪拌動力を、製造例1よりも高めに設定した以外は、製造例1に記載の手法で実施した。
このようにして得られたポリカーボネート樹脂PC(A3)に対して、上記の手順で各評価を実施した。結果を表1Aに示す。
[製造例4]
反応終了時の攪拌動力を、製造例1、3よりも高めに設定した以外は、製造例1に記載の手法で実施した。
このようにして得られたポリカーボネート樹脂PC(A4)に対して、上記の手順で各評価を実施した。結果を表1Aに示す。
[製造例5]
BPC(本州化学社製)89.59部(約0.350mol)と、BP-TMC(本州化学社製)27.12部(約0.087mol)と、DPC95.92部(約0.448mol)、及び触媒として炭酸セシウム0.4質量%水溶液を、炭酸セシウムが全ジヒドロキシ化合物1mol当たり6.0μmolとなるように添加して原料混合物を調製した以外は、製造例1に記載の手法で実施した。
このようにして得られたポリカーボネート樹脂PC(A5)に対して、上記の手順で各評価を実施した。結果を表1Aに示す。
[製造例6]
BPC(本州化学社製)89.59部(約0.350mol)と、BP-TMC(本州化学社製)27.12部(約0.087mol)と、DPC95.92部(約0.448mol)、及び触媒として炭酸セシウム0.4質量%水溶液を、炭酸セシウムが全ジヒドロキシ化合物1mol当たり10.0μmolとなるように添加して原料混合物を調製した以外は、製造例1に記載の手法で実施した。
このようにして得られたポリカーボネート樹脂PC(A6)に対して、上記の手順で各評価を実施した。結果を表1Aに示す。
[製造例7]
BPC(本州化学社製)64.57部(約0.252mol)と、BP-TMC(本州化学社製)52.14部(約0.168mol)と、DPC94.62部(約0.442mol)、及び触媒として炭酸セシウム0.4質量%水溶液を、炭酸セシウムが全ジヒドロキシ化合物1mol当たり2.0μmolとなるように添加して原料混合物を調製した以外は、製造例1に記載の手法で実施した。
このようにして得られたポリカーボネート樹脂PC(A7)に対して、上記の手順で各評価を実施した。結果を表1Aに示す。
[製造例8]
BPC(本州化学社製)64.57部(約0.252mol)と、BP-TMC(本州化学社製)52.14部(約0.168mol)と、DPC92.64部(約0.432mol)、及び触媒として炭酸セシウム0.4質量%水溶液を、炭酸セシウムが全ジヒドロキシ化合物1mol当たり1.5μmolとなるように添加して原料混合物を調製した以外は、製造例1に記載の手法で実施した。
このようにして得られたポリカーボネート樹脂PC(A8)に対して、上記の手順で各評価を実施した。結果を表1Aに示す。
[製造例9]
BPC(本州化学社製)58.36部(約0.228mol)と、BP-TMC(本州化学社製)58.36部(約0.188mol)と、DPC93.93部(約0.438mol)、及び触媒として炭酸セシウム0.4質量%水溶液を、炭酸セシウムが全ジヒドロキシ化合物1mol当たり1.5μmolとなるように添加して原料混合物を調製した以外は、製造例1に記載の手法で実施した。
このようにして得られたポリカーボネート樹脂PC(A9)に対して、上記の手順で各評価を実施した。結果を表1Bに示す。
[製造例10]
BPC(本州化学社製)52.78部(約0.206mol)と、BP-TMC(本州化学社製)63.93部(約0.206mol)と、DPC91.31部(約0.426mol)、及び触媒として炭酸セシウム0.4質量%水溶液を、炭酸セシウムが全ジヒドロキシ化合物1mol当たり2.0μmolとなるように添加して原料混合物を調製した以外は、製造例1に記載の手法で実施した。
このようにして得られたポリカーボネート樹脂PC(A10)に対して、上記の手順で各評価を実施した。結果を表1Bに示す。
[製造例11]
BPC(本州化学社製)54.72部(約0.214mol)と、4,4’-(1-フェニルエチリデン)ジフェノール(以下BP-APと略記することがある)(本州化学社製)61.99部(約0.214mol)と、DPC93.75部(約0.438mol)、及び触媒として炭酸セシウム0.4質量%水溶液を、炭酸セシウムが全ジヒドロキシ化合物1mol当たり1.5μmolとなるように添加して原料混合物を調製した以外は、製造例1に記載の手法で実施した。
このようにして得られたポリカーボネート樹脂PC(A11)に対して、上記の手順で各評価を実施した。結果を表1Bに示す。
[製造例12]
BPC(本州化学社製)100.00部(約0.390mol)と、DPC86.91部(約0.406mol)、及び触媒として炭酸セシウム0.4質量%水溶液を、炭酸セシウムが全ジヒドロキシ化合物1mol当たり1.5μmolとなるように添加して原料混合物を調製した以外は、製造例1に記載の手法で実施した。
このようにして得られたポリカーボネート樹脂PC(B1)に対して、上記の手順で各評価を実施した。結果を表1Bに示す。
[製造例13]
BPC(本州化学社製)100.00部(約0.390mol)と、DPC86.08部(約0.402mol)、及び触媒として炭酸セシウム0.4質量%水溶液を、炭酸セシウムが全ジヒドロキシ化合物1mol当たり1.5μmolとなるように添加して原料混合物を調製した以外は、製造例1に記載の手法で実施した。
このようにして得られたポリカーボネート樹脂PC(B2)に対して、上記の手順で各評価を実施した。結果を表1Bに示す。
[製造例14]
BP-AP(本州化学社製)116.71部(約0.402mol)と、DPC89.12部(約0.416mol)、及び触媒として炭酸セシウム0.4質量%水溶液を、炭酸セシウムが全ジヒドロキシ化合物1mol当たり0.5μmolとなるように添加して原料混合物を調製した以外は、製造例1に記載の手法で実施した。
このようにして得られたポリカーボネート樹脂PC(B3)に対して、上記の手順で各評価を実施した。結果を表1Bに示す。
[製造例15]
BPC(本州化学社製)89.59部(約0.350mol)と、BP-TMC(本州化学社製)27.12部(約0.087mol)と、DPC98.26部(約0.459mol)、及び触媒として炭酸セシウム0.4質量%水溶液を、炭酸セシウムが全ジヒドロキシ化合物1mol当たり1.5μmolとなるように添加して原料混合物を調製した以外は、製造例1に記載の手法で実施した。
このようにして得られたポリカーボネート樹脂PC(C1)に対して、上記の手順で各評価を実施した。結果を表1Bに示す。
[製造例16]
BPC(本州化学社製)89.59部(約0.350mol)と、BP-TMC(本州化学社製)27.12部(約0.087mol)と、DPC95.74部(約0.447mol)、及び触媒として炭酸セシウム0.4質量%水溶液を、炭酸セシウムが全ジヒドロキシ化合物1mol当たり8.0μmolとなるように添加して原料混合物を調製した以外は、製造例1に記載の手法で実施した。
このようにして得られたポリカーボネート樹脂PC(C2)に対して、上記の手順で各評価を実施した。結果を表1Bに示す。
[製造例17]
BPC(本州化学社製)64.57部(約0.252mol)と、BP-TMC(本州化学社製)52.14部(約0.168mol)と、DPC94.89部(約0.443mol)、及び触媒として炭酸セシウム0.4質量%水溶液を、炭酸セシウムが全ジヒドロキシ化合物1mol当たり1.5μmolとなるように添加して原料混合物を調製した以外は、製造例1に記載の手法で実施した。
このようにして得られたポリカーボネート樹脂PC(C3)に対して、上記の手順で各評価を実施した。結果を表1Bに示す。
[製造例18]
4,4-メチレンビス(2,6-ジメチルフェノール)(TmBPF)(東京化成工業社製)46.69g(約0.182mol)と、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン(BPC)(本州化学社製)70.02g(約0.273mol)、DPC 99.97g(約0.467mol)、及び触媒として炭酸セシウム0.4質量%水溶液を、炭酸セシウムが全ジヒドロキシ化合物1mol当たり5μmolとなるように添加して原料混合物を調製した以外は、製造例1に記載の手法で実施して、ポリカーボネート樹脂PC(C4)を得た。
Figure 2024044937000015
〔製造例19,20,21:熱可塑性樹脂組成物の製造例〕
熱可塑性樹脂組成物である、PC(A12)、PC(A13)、PC(A14)の製造例を示す。
上記表1A,1B、下記表2に記した各成分を、下記表3に記した割合(質量比)で配合し、タンブラーにて20分混合した後、1ベントを備えた日本製鋼所社製φ30mm二軸押出機(TEX30α)に供給し、スクリュー回転数160rpm、吐出量15kg/時間、バレル温度260℃の条件で混練し、ストランド状に押出された溶融樹脂を水槽にて急冷し、ペレタイザーを用いてペレット化し、熱可塑性樹脂組成物PC(A12)、PC(A13)、PC(A14)のペレットを得た。
Figure 2024044937000016
Figure 2024044937000017
〔実施例1~14、比較例1~4〕
上述の方法によって得られた、PC(A1)~PC(A14)、PC(B2)、PC(C1)~PC(C3)について、ガラス転移温度、表面硬度、ペレットの初期色調及び耐衝撃性の評価を行った結果を、粘度平均分子量、比粘度及び加水分解物中の(14)/(13)割合の測定結果と共に、下記表4A,4Bに示す。
Figure 2024044937000018
表4A,4Bより、構造単位(a)と構造単位(b)を含み、本発明で規定される比粘度、粘度平均分子量及び加水分解物中の(14)/(13)割合を満たす本発明のポリカーボネート樹脂は、ガラス転移温度が高く、耐熱性に優れ、また、表面硬度が高く、初期色調及び耐衝撃性にも優れることが分かる。
これに対して、構造単位(b)を含まずまた加水分解物中の(14)/(13)割合が本発明の範囲を外れる比較例1では、ガラス転移温度が低く耐熱性に劣り、耐衝撃性も悪い。
本発明のポリカーボネート樹脂を含んでいても、比粘度が本発明の規定範囲外の比較例2では、耐衝撃性が著しく劣る。
比粘度及び加水分解物中の(14)/(13)割合が本発明の規定範囲外の比較例3では初期色調が著しく劣る。
比粘度及び粘度平均分子量が本発明の規定範囲外の比較例4では、耐衝撃性が劣る。
〔実施例15、比較例5,6〕
上述の方法によって得られたPC(A3)、PC(B2)、PC(C4)について、ガラス転移温度、プレート色調、プレート外観、及び誘電特性の評価を行った結果を下記表5に示す。
Figure 2024044937000019
表5より、構造単位(a)と構造単位(b)とを含み、本発明で規定される比粘度、粘度平均分子量及び加水分解物中の(14)/(13)割合を満たす実施例15のポリカーボネート樹脂は、比較例5のポリカーボネート樹脂と比較して、ガラス転移温度が高いため耐熱性が高く、また誘電特性が優れていることが分かる。また、実施例15の本発明のポリカーボネート樹脂は、比較例6のポリカーボネート樹脂と比較して、プレート色調、プレート外観が非常に優れていることが分かる。
以上より、本発明のポリカーボネート樹脂である実施例15のポリカーボネート樹脂は、比較例5、6のポリカーボネート樹脂に比べて、誘電特性、耐熱性、色調に優れており、また成形時の外観異常が少ないことが分かり、マイクロ波及び/又はミリ波用通信機器部材としての用途に適していることが分かる。

Claims (15)

  1. ポリカーボネート樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物であって、
    該ポリカーボネート樹脂が、下記式(11)で表される構造単位(a)と、下記式(12A)及び/又は下記式(12B)で表される構造単位(b)を含み、
    該ポリカーボネート樹脂の0.7gを塩化メチレン100mLに溶解した溶液について20℃で測定された比粘度が0.308~0.455であり、
    該ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が17,300~26,400であり、
    該ポリカーボネート樹脂を加水分解して得られる加水分解物が、下記式(13)、(14)、(15A)、及び(15B)で表されるジヒドロキシ化合物を含み、該加水分解物における下記式(14)で表されるジヒドロキシ化合物の含有割合が、下記式(13)で表されるジヒドロキシ化合物の含有量に対して100ppm~1,300ppmである熱可塑性樹脂組成物。
    Figure 2024044937000020
    (式(11)中、Qは単結合、酸素原子、硫黄原子、及び二価の有機基から選ばれる少なくとも1種を表す。
    式(12A)中、R11は互いに独立して炭素数1~4のアルキル基を表し、nは0~3の整数である。
    式(12B)中、Wはメチル基、又はフェニル基である。
    式(13)中、Qは式(11)中のQと同義である。
    式(14)中、Qは式(11)中のQと同義であり、R12は水素原子又はメチル基を示す。
    式(15A)中、R11は式(12A)中のR11と同義である。
    式(15B)中、Wは式(12B)中のWと同義である。)
  2. 前記式(11)中、Qが下記式(16)で表される、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
    Figure 2024044937000021
    (式(16)中、R13、R14はそれぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1~15のアルキル基を表す。*は、式(11)中のベンゼン環への結合手である。)
  3. 前記式(16)中、R13及びR14がメチル基である、請求項2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 前記構造単位(b)が前記式(12A)で表される構造単位を含む、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 前記構造単位(a)と構造単位(b)が共重合体として含まれている、請求項4に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 前記構造単位(b)が前記式(12B)で表される構造単位を含む、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  7. 前記構造単位(a)と構造単位(b)がブレンド物として含まれている、請求項6に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  8. 前記式(12A)中、R11がメチル基である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  9. 前記式(12A)中、nが3である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  10. 前記構造単位(b)が、下記式(17)で表される、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
    Figure 2024044937000022
  11. 前記ポリカーボネート樹脂中に含まれる前記構造単位(b)が、前記構造単位(a)と前記構造単位(b)の含有割合の和に対して20モル%以上である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  12. 前記ポリカーボネート樹脂に含まれる前記構造単位(a)及び前記構造単位(b)の含有割合の和が、該ポリカーボネート樹脂の全カーボネート構造単位中、80モル%以上である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  13. 前記ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度が、125℃以上である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  14. 請求項1~13のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物を用いて得られる通信機器部材。
  15. 請求項14に記載の通信機器部材を用いて得られるマイクロ波及び/又はミリ波用通信機器。
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