JP2024044815A - 基板処理方法及び基板処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】凹部を形成するシリコン膜について、エッチング後の表面のラフネスを抑えると共に、当該凹部の形状を制御すること。【解決手段】側壁がシリコン膜により形成され、奥壁がゲルマニウム含有膜により形成される凹部が形成された基板に、ハロゲン含有ガス及び塩基性ガスを含む処理ガスを供給して、前記シリコン膜の表面を変質させて、反応生成物を生成させる第1工程と、前記反応生成物を除去して前記凹部の幅を広げる第2工程と、前記第1工程と前記第2工程とからなるサイクルを複数回行う工程と、先に行う前記サイクルの前記第1工程を第1処理条件で行い、後に行う前記サイクルの前記第1工程を、前記第1処理条件とは異なる第2の処理条件で行う工程と、を実施する。【選択図】図2

Description

本開示は、基板処理方法及び基板処理装置に関する。
半導体装置を製造するにあたり、基板である半導体ウエハ(以下、ウエハと記載する)の表面に形成されたSi膜及びSiGe膜のうちのSi膜を選択的にエッチングする場合が有る。例えば特許文献1ではFガス及びNHガスをエッチングガスとして用い、エッチングガスに対するNHガスの比率を所定の値に設定することで、上記の選択的なエッチングを行うことが記載されている。
特許第6426489号公報
本開示は凹部を形成するシリコン膜について、エッチング後の表面のラフネスを抑えると共に、当該凹部の形状を制御することができる技術を提供する。
本開示の基板処理方法は、側壁がシリコン膜により形成され、奥壁がゲルマニウム含有膜により形成される凹部が形成された基板に、ハロゲン含有ガス及び塩基性ガスを含む処理ガスを供給して、前記シリコン膜の表面を変質させて、反応生成物を生成させる第1工程と、
前記反応生成物を除去して前記凹部の幅を広げる第2工程と、
前記第1工程と前記第2工程とからなるサイクルを複数回行う工程と、
先に行う前記サイクルの前記第1工程を第1処理条件で行い、後に行う前記サイクルの前記第1工程を、前記第1処理条件とは異なる第2の処理条件で行う工程と、
を含む。
本開示は凹部を形成するシリコン膜について、エッチング後の表面のラフネスを抑えると共に、当該凹部の形状を制御することができる。
本開示の一実施形態である処理がなされるウエハの縦断側面図である。 エッチング前後における前記凹部の変化を示す説明図である。 エッチング後の前記ウエハの縦断側面図である 前記凹部を形成するSi膜の変化の様子を示す説明図である。 前記凹部を形成するSi膜の変化の様子を示す説明図である。 前記凹部を形成するSi膜の変化の様子を示す説明図である。 エッチング中の前記凹部の変化の様子を示す説明図である。 前記凹部が矩形形状となる様子を示す説明図である。 前記凹部がラウンド形状となる様子を示す説明図である。 本実施形態の処理を示すフロー図である。 前記処理を行うための基板処理装置の一実施形態を示す平面図である。 前記基板処理装置に設けられる処理モジュールの一例を示す縦断側面図である。 評価試験の結果を示すグラフ図である。 評価試験の結果を示すグラフ図である。 評価試験の結果を示すグラフ図である。
本開示の基板処理方法の一実施形態について説明する。図1は、基板であるウエハWの表面についての縦断側面図であり、本実施形態に係るエッチング処理を行う前の状態を示している。当該ウエハWには下層膜11が形成されている。そして下層膜11上には、SiGe(シリコンゲルマニウム)膜12と、Si(シリコン)膜13と、が交互に繰り返し積層されている。そのように繰り返し構造となることで、SiGe膜12、Si膜13の各々については、ウエハWの厚さ方向において多段に形成されている。このウエハWの厚さ方向を縦方向として説明する。Si膜13は、例えばエピタキシャル成長させることにより形成されている。
上記の繰り返しの構造の最上段のSi膜13上には、マスク膜14が積層されており、当該Si膜13の上方からのエッチングを防ぐ。そしてマスク膜14から下層膜11の上部側に亘って、縦方向に伸びる凹部が形成されている。この凹部は、図1の紙面の表裏方向に伸びる溝15である。溝15はマスク膜14の上面に開口している。溝15の側壁は、マスク膜14、Si膜13及び下層膜11の表層部の各々により構成されており、各SiGe膜12については、溝15の側壁から離れて位置する。それにより、縦断面視において、溝15の左壁には左側へ向けた窪みが互いに間隔を空けて多段に形成されており、且つ溝15の右壁には右側へ向けた窪みが互いに間隔を空けて多段に形成されている。これらの左側、右側へ夫々向けた窪みを凹部16とする。従って、凹部16としてはウエハWの厚さ方向に他段位形成されると共に、この厚さ方向に対して交差する方向に各々開口するように形成されている。
溝15及び凹部16は、左右対称の構造体をなすように形成され、各凹部16の縦幅は、同一ないしは概ね同一である。これ以降は、Si膜13における上方側の凹部16、下方側の凹部16、上方側と下方側との間の凹部16を夫々、トップの凹部16、ボトムの凹部16、ミドルの凹部16として記載する場合が有る。なお、上記したように、SiGe膜12及びSi膜13がなす積層体の高さ(=下層膜11の上面からマスク膜14の下端までの高さ)は例えば4μmである。
図2は凹部16の一つを拡大して示している。左側が上記の図1に対応するエッチング前の状態であり、右側は後述するエッチングを行った後の状態である。既述した膜構造であるため、凹部16に関しては、側壁がSi膜13、奥壁(底壁)がSiGe膜12により構成されている。以降は説明の便宜上、このように各凹部16を形成する壁について、上壁21、下壁22、横壁23として記載する場合が有る。上壁21及び下壁22はSi膜13により構成され、任意の一の凹部16の上壁21は、当該一の凹部16の1つ上の凹部16の下壁22である。横壁23は、エッチング前はSiGe膜12により構成されている。エッチング前の凹部16について、上壁21及び下壁22は、横壁23に対して垂直ないしは概ね垂直であり、縦断面視で上壁21及び下壁22の各々と横壁23とは角部を形成しており、当該角は90°ないしは概ね90°である。
ウエハWにガスが供給されると、そのガスは溝15内に導入され、さらには各段の凹部16内に供給されることになる。この実施形態では、そのようにウエハWの表面から各凹部16内に処理ガスを導入することで、上壁21の下面側及び下壁22の上面側をエッチングする。即ち凹部16の側壁を形成しているSi膜13の厚さを小さくし、当該凹部16の縦方向の拡幅を行う。この拡幅により、エッチング後の凹部16の横壁23は、SiGe膜12及びSi膜13により構成されることになる。なお図2は、エッチング後の凹部16の形状が、後述する矩形形状となると共に上壁21の下面及び下壁22の上面のラフネスが抑えられた、望ましい状態を示す模式図となっている。
上記のエッチング処理について具体的に述べると、ハロゲン含有ガスであるF(フッ素)ガスと、塩基性ガスであるNHガスとを処理ガスとしてウエハWに供給し、上壁21及び下壁22を構成するSi膜13の表面を変質させて反応生成物を生成させる。このように処理ガスによってSi膜13を変質させる工程を、処理ガス供給工程とする。続いてウエハWを加熱することで、この反応生成物を昇華させて凹部16を拡幅させる加熱工程を行う。この昇華させる反応生成物は、後述のAFS等の各種の生成物である。第1工程である処理ガス供給工程と、第2工程である加熱工程と、からなるサイクルを繰り返して行うことで、凹部16の縦幅を所望の大きさとする。なお、処理ガス供給工程及び加熱工程の各々については、所定の圧力の真空雰囲気が形成された処理容器内に、ウエハWを収納した状態で行われる。
上記の処理ガスは、Si膜13及びSiGe膜12のうち、主としてSi膜13に作用する。そのため、Si膜13のエッチングはSiGe膜12に対して選択的に行われる。上記の反応生成物はアンモニアフルオロシリケート〔AFS:((NH)SiF〕である。なお、以下の説明では特に記載無い限り、処理ガスの供給時間とは上記の1サイクルにおける処理ガスの供給時間であり、ハロゲン含有ガスであるFガス、塩基性ガスであるNHガスの両方が共にウエハWに供給される時間である。
エッチング後の凹部16に関して、以下に述べる第1~第3要請に応えたものとなることが望まれている。第1要請としては、Si膜13である上壁21の下面、下壁22の上面について、ラフネス(表面の荒れ)が比較的小さくなることである。第2要請について述べる。エッチング後もエッチング前と同様に、凹部16の奥側で上壁21及び下壁22の各々と横壁23とにより、90°ないしは概ね90°の角が形成された状態となり、そのような角が形成されることで、凹部16の開口側と奥側との間での縦幅の均一性が高いとする。以下では説明の便宜上、そのような角が形成され、縦幅の均一性が高い凹部16の形状を、矩形形状として記載する。一方で、そのような角が形成されず、縦断面視で凹部16が横倒しのU字状になっており、開口側に比べて奥側の縦幅が小さい凹部の形状をラウンド形状とする。第2要請は、凹部16の形状を矩形形状寄りとする(矩形性を高くする)ことである。
第3要請としては、各高さの凹部16について縦幅のばらつきが抑えられることである。これは即ち、トップ、ミドル、ボトムの各凹部16間で、エッチング量のばらつきが抑えられることである。図3は、図1のウエハWが以上の第1~第3要請に応えるようにエッチングされた状態を示す模式図であり、先述の図2のエッチング後の凹部16は、図3に示すウエハWの凹部16の一つを示したものである。
第1要請のSi膜13のラフネスに関して詳しく説明する。Si膜13と、処理ガスであるFガス及びNHガスとは下記の式1で示すように反応し、生成物(SiF)を生じる。このSiFは式2で示すように反応して、AFSが生成する。エッチング後のSi膜13におけるラフネスは処理条件によって変化するが、処理ガス供給工程中におけるAFSの生成量が関与すると考えられる。
Si+F+NH→SiF+NH・・・式1
SiF+H+F+2NH→(NH)SiF・・・式2
以下、図4~図6を参照することで、AFSの生成量の違いによって生じると考えられるラフネスの違いについて説明する。図4~図6では、処理ガス供給時と、エッチング終了後との間における凹部の下壁22の上面の変化を模式的に示すが、上壁21の下面も下壁22の上面と同様に変化する。図4、図5、図6の順で、処理ガス供給工程中におけるAFSの生成量が多い。
図4ではAFSの生成量が比較的少量であることで、処理ガス供給工程中においてAFS層31が、下壁22の上面に点在して形成された状態を示している。当該上面において、AFS層31に被覆された部位は処理ガスとの接触が抑制されることで、その処理ガスとの反応による変質が起こり難くなる。即ち、下壁22の上面において、AFS層31が形成された部位と、AFS層31が形成されていない部位と、で処理ガスに対する反応性が異なる。その反応性の違いに起因して、エッチング後においては下壁22の表面には凹凸が形成されている。上記したようにAFS層31が点在して形成されたことから、下壁22の上面の表面粗さは小さい。即ち、上記の凹凸における凹部の幅及び凸部の幅に関しては、比較的小さい。
図5は、処理ガス供給工程中にAFS層31が下壁22の上面全体を覆う薄層として形成されることで、当該上面の各部で同程度に処理ガスとの反応が抑制される。その結果として下壁22の上面全体が均一性高くエッチングされることで、エッチング後の当該表面が平坦ないしは概ね平坦となる。
図6は、処理ガス供給工程中にAFSが比較的多く生成することによって、AFS層31が下壁22の上面全体を覆うと共に、当該上面の各部でAFS層31の厚さがばらついた状態を示している。即ち、AFS層31に関しては、表面粗さが大きい。AFS層31の厚さが大きいほど、処理ガスが下壁22に接触し難くなることから、エッチング後の下壁22についても表面粗さが大きくなる。即ち、凹凸について、凹部の幅、凸部の幅が比較的大きいものとなる。
図4に示したように表面粗さが比較的小さい状態をマイクロラフネスとし、図6に示したように表面粗さが比較的大きい状態をラージラフネスとする。以上のように、AFSの生成量が適正な範囲から小さい方へシフトするとマイクロラフネスによるSi膜13の表面の荒れが大きくなり、大きい方へシフトするとラージラフネスによるSi膜13の表面の荒れが大きくなる。そして上記の式1、2より、AFSの生成量については、ウエハWに供給される処理ガスであるFガスとNHガスとの流量比に影響され、Fガスの流量に対するNHガスの流量が比較的大きいと、AFSの生成量が多くなる。また、AFSの生成量としては、処理ガスの供給時間が長いほど多くなる。ところで処理ガス中のFガスの流量に対するNHガスの流量(NHガスの流量/Fガスの流量)について、以下ではNHガスの流量比と記載する場合が有る。従って、NHガスの流量比が大きいとは、Fガスの流量に対してNHガスの流量が大きい(=処理ガス中でのFガスの割合に対するNHガスの割合が大きい)ことを意味する。
次に、第2要請のエッチング後の凹部16の形状について説明する。処理条件に応じて、エッチング後の凹部16の形状が、矩形形状とラウンド形状との間で変化するが、これら矩形形状、ラウンド形状が形成されるまでに起こると推定される過程を以下に説明する。先ず図7~図8を参照して、矩形形状となる過程についての推定を説明する。処理ガスであるFガス41及びNHガス42が凹部16内に進入し(図7上段)、Si膜13である上壁21の下面及び下壁22の上面に対して既述の式1で示したように反応して、SiFが生じる。このSiFについて、一部はガスとして凹部16内に放出される一方、他の一部は既述の式2で示すように反応することでAFS層31を形成する。
ガス41及びNHガス42は上壁21及び下壁22の他に、横壁23にも作用し、この横壁23を構成するSiGe膜12の表層が変質すると共にわずかにエッチングされ、GeF(四フッ化ゲルマニウム)ガス43が放出される。そのように横壁23がエッチングされることで、Si膜13のうちの一部の部位が、凹部16の奥で新たに当該凹部16内に露出することで、凹部16の上壁21及び下壁22を形成することになる(図7下段)。当該部位を、新露出部位44とする。
新露出部位44については処理ガス供給の途中で凹部16に露出することになるので、Si膜13のうちで、エッチング前から上壁21、下壁22を形成していた部位に比べて、Fガス41及びNHガス42に曝される時間が短い。そのため、これらFガス41及びNHガス42との反応量は比較的小さい。また、凹部16の奥側寄りほど、Fガス41及びNHガス42は進入しにくい。以上のことから、新露出部位44を含めた上壁21及び下壁22については凹部16の奥側ほど、Fガス41及びNHガス42に対する反応量が小さく、しかし、GeFガス43はSi膜13に対して反応性を有しており、SiGe膜12から生じることで凹部16の奥側のSi膜13と比較的大きく反応する。そのため、凹部16の開口から奥側に至るまで均一性高くSi膜13が反応する(図8上段)。従って、加熱工程による処理ガス供給工程で生じた各反応生成物の除去後は、凹部16は矩形形状となる(図8下段)。なお、SiGe膜12に生じる反応生成物であるAFG層は45、GeFガス43とSi膜13との反応生成物については46として図中に示している。これらのAFG層45、反応生成物46もAFS層45と共に除去される。AFG層45については後述する。
次にラウンド形状となる過程の推定について説明する。図7の下段に示した状態からSiGe膜12の表層と処理ガスとの反応が進行すると、当該表層は次第にAFG〔(NH)GeF〕層45へと変化する。このAFG層45への変化が進行するにつれて、GeFガス44の放出量が減少する。従って、上壁21及び下壁22については、凹部16の奥側へ向うほどGeFガス44及び/またはFガス41及びNHガス42に対する反応量が小さくなる(図9上段)。従って、加熱工程による反応生成物の除去後は、凹部16はラウンド形状となる(図9下段)。以上のことから、処理ガスの供給時間が長いほど、あるいはNHガスの流量比が大きいほど、AFG層45の形成が進行しやすい(=GeFガス44の放出が低減しやすい)のでラウンド形状となりやすい。
続いて、第3要請に関するトップ、ミドル、ボトム間でのエッチング量のばらつきの説明を行う。溝15の奥側ほど処理ガス進入しにくいので、処理ガスの供給時間が比較的短い場合は、凹部16の上壁21及び下壁22については、トップ>ミドル>ボトムの順で処理ガスに接触しやすく、当該処理ガスと反応しやすい。従って、この順でエッチング量が大きくなる。
しかし後述の評価試験で示すように、処理ガスの供給時間が長くなるにつれて、ボトム側ほどエッチング量が大きくなる(即ちエッチング量について、トップ<ミドル<ボトムとなる)傾向が有ることが確認されている。これは処理ガスの供給時間が長いことで、トップ側(溝15の開口側)ほど形成されるAFS層31が厚くなり、上壁21及び下壁22の処理ガスに対する反応が妨げられることが一因であると考えられる。またNHガスの流量が大きいほど、トップ側におけるAFS層31の厚さが上昇しやすく、ボトム側ほどエッチング量が大きくなる傾向が有る。
以上のように、NHガスの流量比が比較的小さい、及び/または処理ガスの供給時間が比較的短い処理条件とすることで、エッチング後の凹部16としては、マイクロラフネスが形成される傾向、矩形形状となる傾向、トップ側のエッチング量が大きくなる傾向が有る。逆にNHガスの流量比が比較的大きい、及び/または処理ガスの供給時間が比較的長い処理条件とすることで、エッチング後の凹部16としては、ラージラフネスが形成される傾向、ラウンド形状となる傾向、ボトム側のエッチング量が大きくなる傾向が有る。NHガスの流量比及び処理ガスの供給時間について、ラフネスを許容範囲内に収めるために適正な範囲、矩形形状とするために適正な範囲、トップ-ボトム間のエッチング量を揃えるために適正な範囲としては、一致するとは限らない。それ故に、処理ガス供給工程と加熱工程とからなるサイクルを繰り返して行うにあたり、各サイクルの処理ガス供給工程を同様の処理条件とすると、上記の第1~第3要請のすべてに対して十分に応えることが困難であった。
そこで本実施形態では、前段サイクルで行う処理ガス供給工程と、後段サイクルで行う処理ガス供給工程とで、処理条件が異なるようにする。図10では、その本実施形態における処理フローを示している。サイクルを合計Z回実施するように設定するとして、第1処理条件での処理ガス供給工程を実施した後、加熱工程を行う。これをX回繰り返す前段サイクルを行う(ステップS1)。その後、第2処理条件での処理ガス供給工程を実施した後、加熱工程を行う。これをY回(Z回-X回)繰り返す後段サイクルを行う(ステップS2)。
以上のように処理条件を変更することで、単一の処理条件で処理する場合に比べて、ラフネス、凹部の形状、トップ-ミドル-ボトム間でのエッチング量について、特定の傾向が強く表れることを防ぎ、第1~第3要請に応えられるようにする。ただし、後に評価試験として示すが、エッチング後の凹部16の形状及びラフネスとしては、後段サイクルよりも前段サイクルで行う処理条件が比較的大きく影響することが確認されている。つまり、前段サイクルの処理ガス供給工程を、矩形形状及びマイクロラフネスが形成される条件とした場合には、エッチング後の凹部16は、矩形形状及びマイクロラフネスが形成された状態となる傾向が有る。逆に、前段サイクルの処理ガス供給工程を、ラウンド形状及びラージラフネスが形成される条件とした場合には、エッチング後の凹部16は、ラウンド形状及びラージラフネスが形成された状態となる傾向が有る。
ラフネスに関しては、僅かに形成されたとしても許容範囲内に収まればよい。そのため、矩形形状とする目的から、前段サイクルにおける第1処理条件としては、矩形形状及びマイクロラフネスが形成される傾向の処理条件とし、後段サイクルにおける第2処理条件としては、第1処理条件に比べてラウンド形状及びラージラフネスが形成される傾向の処理条件とするようにしてもよい。従って具体的には、NHガスの流量比について第1処理条件では第2処理条件よりも小さくするか、あるいは処理ガスの供給時間について第1処理条件では第2処理条件よりも短くする。また、その矩形形状となる傾向を大きくするために、そのように前段サイクルの第1処理条件、後段サイクルの第2処理条件を設定した上で、例えば前段サイクルを行う回数(X回)≧後段サイクルを行う回数(Y回)とすることが好ましい。
また、第2要請(矩形性を高くする要請)に比べて第1要請(ラフネスを抑える要請)に対応する必要性が大きい場合が有る。その場合、上記したようにエッチング後の凹部16には、前段サイクルにおける第1処理条件の影響が比較的大きく残ることから、当該第1処理条件としてはラフネスが比較的抑えられる条件を選択する。そして、後段サイクルにおける第2処理条件としては、トップ-ミドル-ボトム間のエッチング量が補正されると共に矩形性が高まるように凹部16の形状が修正される条件を選択すればよい。具体的には、NHガスの流量比について第1処理条件では第2処理条件よりも大きくするか、あるいは処理ガスの供給時間について第1処理条件では第2処理条件よりも大きくする。このようにラフネスについて高い抑制効果を得ようとする場合も、その効果を大きくする目的から、例えば前段サイクルを行う回数(X回)≧後段サイクルを行う回数(Y回)とすることが好ましい。
なお本実施形態では矩形性が高くなるように、NHガスの流量比については第1処理条件の方が第2処理条件よりも大きく、且つ処理ガスの供給時間については第1処理条件の方が第2処理条件よりも短く設定され、前段サイクルを行う回数(X回)>後段サイクルを行う回数に設定されているものとする。
さらに具体的な処理条件の例を述べると、後の評価試験の結果を踏まえて、NHガスの流量比(NHガスの流量/Fガスの流量)については例えば、第1処理条件、第2処理条件の各々で0.01~0.014の範囲内とする。従って、第1処理条件及び第2処理条件のうちの少なくともいずれかのNHガスの流量比は0.014より小さい。また、処理ガスの供給時間については第1処理条件、第2処理条件の各々で、例えば10秒~15秒の範囲内とする。なお、本明細書において処理ガスの供給時間とは処理ガスを構成するハロゲン含有ガス(本実施形態におけるFガス)及び塩基性ガス(本実施形態におけるNHガス)が、同時にウエハWに供給される時間(即ち、ウエハWを格納する処理容器内に供給される時間)である。
図10のフロー図で説明した処理を行う装置の一実施形態である、基板処理装置5について図11の平面図を参照して説明する。基板処理装置5は、ウエハWを搬入出するための搬入出部51と、搬入出部51に隣接して設けられた2つのロードロック室61と、2つのロードロック室61に各々隣接して設けられた2つの熱処理モジュール60と、2つの熱処理モジュール60に各々隣接して設けられた2つの処理モジュール7と、を備えている。処理モジュール7は第1処理部に相当し、熱処理モジュール60は第2処理部に相当する。
搬入出部51は、第1の基板搬送機構52が設けられると共に常圧雰囲気とされる常圧搬送室53と、当該常圧搬送室53の側部に設けられた、ウエハWを収納するキャリア54が載置されるキャリア用載置台55と、を備えている。図中56は常圧搬送室53に隣接するアライナであり、ウエハWを回転させて偏心量を光学的に求め、第1の基板搬送機構52に対するウエハWの位置合わせを行うために設けられる。第1の基板搬送機構52は、キャリア用載置台55上のキャリア54とアライナ56とロードロック室61との間でウエハWを搬送する。
各ロードロック室61内には、例えば多関節アーム構造を有する第2の基板搬送機構62が設けられており、当該第2の基板搬送機構62は、ウエハWをロードロック室61と熱処理モジュール60と処理モジュール7との間で搬送する。熱処理モジュール60を構成する処理容器内及び処理モジュール7を構成する処理容器内は、真空雰囲気とされており、ロードロック室61内は、これらの真空雰囲気の処理容器内と常圧搬送室53との間でウエハWの受け渡しを行えるように、常圧雰囲気と真空雰囲気とが切り替えられる。
図中63は開閉自在なゲートバルブであり、常圧搬送室53とロードロック室61との間、ロードロック室61と熱処理モジュール60との間、熱処理モジュール60と処理モジュール7との間に各々設けられている。熱処理モジュール60については、上記の処理容器、当該処理容器内を排気して真空雰囲気を形成するための排気機構及び処理容器内に設けられると共に載置されたウエハWを加熱可能なステージなどを含み、既述の加熱工程を実行できるように構成されている。
処理モジュール7について、図12の縦断側面図を参照して説明する。この処理モジュール7は、既述の処理ガス供給工程を実行する。図中71は処理モジュール7を構成する処理容器である。図中72は、処理容器71の側壁に開口するウエハWの搬送口であり、上記のゲートバルブ63により開閉される。処理容器71内にはウエハWを載置するステージ81が設けられており、当該ステージ81には図示しない昇降ピンが設けられる。その昇降ピンを介して上記の第2の基板搬送機構62とステージ81とのウエハWの受け渡しが行われる。
ステージ81には温度調整部82が埋設されており、ステージ81に載置されたウエハWが既述した温度とされる。この温度調整部82は、例えば水などの温度調整用の流体が流通する循環路の一部をなす流路として構成されており、当該流体との熱交換によりウエハWの温度が調整される。ただし温度調整部82としては、そのような流体の流路であることに限られず、例えば抵抗加熱を行うためのヒーターにより構成されていてもよい。
また、処理容器71内には排気管83の一端が開口しており、当該排気管83の他端は圧力変更機構であるバルブ84を介して、例えば真空ポンプにより構成される排気機構85に接続されている。バルブ84の開度が調整されることによって、処理容器71内の圧力が後述する範囲の圧力とされて処理が行われる。
処理容器71内の上部側には、ステージ81に対向するように、処理ガス供給機構であるガスシャワーヘッド86が設けられている。ガスシャワーヘッド86には、ガス供給路91~94の下流側が接続されており、ガス供給路91~94の上流側は流量調整部95を各々介して、ガス供給源96~99に接続されている。各流量調整部95は、バルブ及びマスフローコントローラを備えている。ガス供給源96~99から供給されるガスについては、当該流量調整部95に含まれるバルブの開閉によって、下流側へ給断される。
ガス供給源96、97、98、99からは、Fガス、NHガス、Ar(アルゴン)ガス、N(窒素)ガスが夫々供給される。従ってガスシャワーヘッド86からは、処理容器71内に、これらのHFガス、NHガス、Arガス、Nガスを各々供給することができる。Arガス及びNガスはキャリアガスとして、Fガス及びNHガスと共に処理容器71内に供給される。
ところで、図11に示すように基板処理装置5はコンピュータである制御部50を備えており、この制御部50は、プログラム、メモリ、CPUを備えている。プログラムには、既述したウエハWの処理及びウエハWの搬送が行われるように命令(各ステップ)が組み込まれており、このプログラムは、記憶媒体、例えばコンパクトディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、DVD等に格納され、制御部50にインストールされる。制御部50は当該プログラムにより基板処理装置5の各部に制御信号を出力し、各部の動作を制御する。具体的には、処理モジュール7の動作、熱処理モジュール60の動作、第1の基板搬送機構52、第2の基板搬送機構62の動作、アライナ56の動作が制御信号により制御される。上記の処理モジュール7の動作としては、例えばステージ81に供給される流体の温度、ガスシャワーヘッド86からの各ガスの給断、バルブ84による排気流量の調整などの各動作が含まれる。
基板処理装置5におけるウエハWの搬送経路を説明する。図1で説明したように各膜が形成されたウエハWを格納したキャリア54がキャリア用載置台55に載置される。そしてこのウエハWは、常圧搬送室53→アライナ56→常圧搬送室53→ロードロック室61の順に搬送され、熱処理モジュール60を介して処理モジュール7に搬送される。そして、既述のように処理ガス供給工程が行われ、凹部16を形成する上壁21及び下壁22の表層が変質し、AFS層31となる。続いて、ウエハWは熱処理モジュール60に搬送されて、当該AFS層31及び他の反応生成物の昇華が行われる。その後、ウエハWは処理モジュール7と、熱処理モジュール60との間を往復するように搬送されることで、処理ガス供給工程と加熱工程とからなるサイクルが繰り返される。
上記のサイクルのうち、1回目からX回目のサイクルでは、図10で述べたように第1処理条件で処理ガス供給工程が行われる。そして、X+1回目以降のサイクルは、NHガスの流量比について大きく且つ処理ガスの供給時間について長く変更された第2処理条件で、処理ガス供給工程が行われる。その第2処理条件でのサイクルがY回繰り返され、合計Z回(X+Y回)のサイクルが終了して、図3で示したように各凹部16が所望の縦幅となると、ウエハWは熱処理モジュール60からロードロック室61→常圧搬送室53の順で搬送されて、キャリア54に戻される。
上記のサイクルにおける処理ガス供給工程について説明を補足する。当該処理ガス工程は処理モジュール7の処理容器71内が排気されて、例えば100mTorr(13.3Pa)~10Torr(1333Pa)とされると共に、ウエハWの温度が例えば-20℃~60℃となるように調整された状態で、Fガスの処理容器71内への供給、NHガスの処理容器71内への供給が並行して行われる(ステップT1)。なお、このステップT1におけるFガス及びNHガスを供給する時間、Fガス及びNHガスについての流量比が、これまでに説明してきた処理ガスの供給時間、NHガスの流量比である。そして、このFガス及びNHガスの供給停止後は、処理容器71内の排気と共に、処理容器71内にNガスが供給されることで、当該処理容器71内に残留するFガス及びNHガスのパージが行われる(ステップT2)。このパージ後に、ウエハWが処理容器71から搬出される。また、上記のサイクルにおける加熱工程についても説明を補足すると、この加熱工程ではステップT1、T2におけるウエハWの温度よりも高い温度、例えば80℃~300℃にウエハWが加熱されることで、上記の反応生成物の昇華が行われる。
以上に述べた本実施形態によれば、前段サイクルと後段サイクルとについて、処理ガス供給工程における処理条件が互いに異なるように設定することで、第1~第3要請に対応することができる。即ちエッチング後の凹部16について、上壁21及び下壁22を形成するSi膜13のラフネスを抑え、凹部16を矩形形状とし、トップ-ミドル-ボトム間での凹部16の縦幅のばらつきを抑制することができる。従って、エッチング処理後のウエハWから製造される半導体製品の歩留りを高くすることができる。
前段サイクルを行う回数であるX回、後段サイクルを行う回数であるY回を、各々複数回であるように述べてきたが、これらX回及び/またはY回は1回であってもよい。従って前段サイクル及び後段サイクルとしては、繰り返し行われなくてもよい。また、これまでに述べた例では、処理ガス供給工程におけるNHガスの流量比あるいは処理ガスの供給時間の変更を1回のみ行うことで、前段サイクルと、それに続く後段サイクルという2段階の処理としている。このように2段階の処理とすることには限られず、当該処理条件の変更を2回以上行い、3段階以上の処理としてもよい。
なお2段階の処理を行うにあたり、矩形形状とするためにNHガスの流量比について前段サイクルでは後段サイクルよりも大きくするか、あるいは処理ガスの供給時間について前段サイクルでは後段サイクルよりも短くするという関係にすることが好ましいと述べた。また、サイクル数について前段サイクル数≧後段サイクル数とすることが好ましいと述べた。3段階以上の処理を行う場合には例えば、1段階目の処理条件と、2段階目以降の任意の段階の処理条件と、がそのような関係となるようにし、また、サイクル数について例えば1段階目のサイクル数≧任意の段のサイクル数とすればよい。
なお、本実施形態では最初のサイクルの開始から最後のサイクルの終了まで、ウエハWの周囲の雰囲気は真空雰囲気に保たれるが、例えば各段階のサイクルが異なる装置で行われるようにし、ウエハWについては大気雰囲気を通過させることで装置間を移動させるようにしてもよい。ただし、スループットの低下を防止する観点から、上記の基板処理装置5を用いる場合のように、最初のサイクルから最後のサイクルに至るまでウエハWの周囲は真空雰囲気とされて処理が行われるようにすることが好ましい。
ところで任意のサイクルにおいて処理ガス供給工程を行った後、加熱工程を行う前に、第2フッ素含有ガスの供給を行うことで、Si膜13におけるエッチング終了後のラフネスのさらなる抑制を図るようにしてもよい。この第2フッ素含有ガス(即ちハロゲン含有ガス)は例えばHF(フッ化水素)ガスであり、従って、処理ガスを構成する第1フッ素含有ガスであるFガスとは種類が異なるガスである。HFガスのウエハWへの供給は、処理モジュール7にて行われる。
このHFガスの供給を行う場合の処理モジュール7での処理手順について説明すると、上記した処理ガスの供給(ステップT1)、処理容器71内のパージ(ステップT2)が順に行われた後、処理容器71内にHFガスが供給される(ステップT3)。そしてHFガスの供給停止後は、ステップT4としてステップT2と同様に、処理容器71内におけるNガスの供給と排気とが行われる状態となり、残留するHFガスがパージされる。然る後、ウエハWが処理モジュール7から搬出される。なお、このようにラフネス抑制ガスであるHFガスの供給を行う場合は、ステップT1~T4が第1工程であり、ハロゲン含有ガス(Fガス)及び塩基性ガス(NHガス)を共に供給するステップT1が第1供給工程に相当し、これらのガスの一方のみを供給する工程であるステップT3は第2供給工程に相当する。
上記のHFガスの供給により、ステップT1で形成されたAFS層31に含まれるNHと当該HFガスとが反応して反応生成物を生じ、その反応生成物がAFS層31に被覆されたSi膜13の表層を僅かにエッチングすることで、ラフネスが抑制されると考えられる。
上記のステップT1~T4を行う処理モジュール7については、例えば既述した各ガス供給源96~99の他に、HFガスの供給源が設けられ、当該HFガス供給源とガスシャワーヘッド86とが流路を介して接続された構成とされる。そして、当該HFガスの流路には他のガスの流路と同様に流量調整部95が介設され、所望の流量でガスシャワーヘッド86を介して処理容器71内にHFガスが供給される。なお、このHFガスを処理容器71内へ供給する際にも、例えばArガス及びNガスが、キャリアガスとして処理容器71内に供給される。
また、ラフネス抑制用のガスとしてHFガスをウエハWに供給する代わりに、NHガスをウエハWに供給してもよい。そのようにNHガスを供給する場合には、このNHガスと、ステップT1で形成されたAFS層31に含まれるフッ素成分とが反応して反応生成物を生じ、その反応生成物がAFS層31に被覆されたSi膜13の表層を僅かにエッチングすることでラフネスが抑制されると考えられる。
なお、ラフネス抑制用のガスとしてNHガスを用いる場合は、例えば処理ガスとしてFガス及びNHガスを共に供給し、Fガスの供給を停止した後も引き続きNHガスをウエハWに供給することで、ステップT2のNガスによるパージを省略してもよい。また、以上のラフネス抑制用の各ガスの供給は任意のサイクルで行えばよい。例えば各段におけるサイクルのうちの最後のサイクルで行ってもよいし、毎回のサイクルで行ってもよい。
反応生成物を除去するにあたり、ウエハWの温度を処理ガス供給工程の実行時の温度よりも上昇させると述べたが、そのように除去することに限られない。例えば処理モジュール7にて上記のステップT1、T2を行った後、排気管73に介設されたバルブ74の開度を大きくして、処理容器71内の圧力を低下させることで反応生成物の昇華温度を下げることで行ってもよい。従って、一つのサイクルを異なる処理容器内で行うことには限られない。
処理ガスであるFガス、NHガスについては、既述したように供給終了のタイミング、供給開始のタイミングが互いにずれていてもよい。また、処理ガスに含まれるフッ素含有ガスとしてはFガスを用いることに限られず、例えばIFガス、IFガス、ClFガス、SFガスを用いてもよい。なお、フッ素を含有するとは、フッ素を不純物として含有するという意味では無く、構成成分として含有する意味である。後述のGeを含有することについても同様に、不純物としてではなく構成成分として含有する意味である。
また、凹部16としては横倒しとなっていることに限られず、縦方向に向けて開口しており、そのような凹部16の側壁をなすSi膜をエッチングする場合にも本技術を適用することができる。その場合は、既述した第1~第3要請のうち、第1及び第2要請(ラフネス及び矩形形状の要請)に適合するように凹部16をエッチングすることができる。
SiGe膜12の代わりにGe膜が凹部16の横壁23を形成する構成であっても、フッ素含有ガスを用いてGeFを産生して、凹部16の奥側をエッチングすることができると考えられる。従って、凹部16の横壁23としてはSiGe膜12により構成することには限られず、Ge膜を含有する膜により構成されていればよい。
今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の特許請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更、組み合わせがなされてもよい。
〔評価試験〕
以下、本技術に関して行われた評価試験1~5について説明する。各試験では図1で説明した膜構造を有する基板に対して、実施形態で述べた装置を用いて処理ガス供給工程と、加熱工程とからなるサイクルを実施し、処理の前後で取得されたSEM画像から、各部の寸法を計測している。評価試験1~4については、図10で説明した前段サイクルと後段サイクルとの間での処理条件の変更を行っておらず、単一の処理条件で処理を行っている。なお、評価試験1~5では、処理ガス供給工程において、Fガスを供給する期間と、NHガスを供給する期間とは一致している。つまり、これらのガスの処理容器71への供給開始のタイミングは同じであり、これらのガスの処理容器71への供給終了のタイミングも同じである
各評価試験において計測を行った寸法とは、以下の3つである。1つは溝15における横幅であり、以下、この横幅を溝幅寸法とする。他の1つは凹部16の開口から若干の所定距離だけ凹部16の奥寄りに離れた位置における当該凹部16の縦幅であり、以下、この縦幅を開口側寸法とする。さらに他の1つは、凹部16の横壁23から若干の所定距離だけ凹部16の開口寄りに離れた位置における当該凹部16の縦幅であり、以下、この縦幅を奥側寸法とする。
多段に形成された凹部16のうち、評価試験においては所定の段の複数個の凹部16をトップの凹部16とする。そのトップの凹部16の溝幅寸法、開口側寸法、奥側寸法の各々について(エッチング後の寸法-エッチング前の寸法)/2を算出する。この算出は、トップの複数個の凹部16の夫々について行う。そして溝幅寸法から得た算出値、開口側寸法から得た算出値、奥側寸法から得た算出値の各々について、凹部16間での平均値を算出し、得られた平均値をトップの凹部16における溝幅エッチング量、開口側エッチング量、奥側エッチング量とする。なお、トップの各凹部16の溝幅寸法は、横方向に対向する凹部16の上壁21間から取得する。
同様に所定の段の複数個の凹部16を夫々ミドルの凹部16、ボトムの凹部16とし、ミドルの凹部16、ボトムの凹部16の夫々についても溝幅エッチング量、開口側エッチング量、奥側エッチング量を算出する。このように算出した各エッチング量については、所定の基準量で除算することによって、後に示す図13~図15中では規格化した値を記載する。規格化した値が大きいほど実際のエッチング量も大きい。なお、各評価試験で得られた試験規格化する前の各エッチング量(即ち、実測値)は、20nm以下の値である。
ところで評価試験3~5については、試験結果として、エッチング後の凹部16の形状及び凹部16のラフネスの状態について記載した表を示している。各表中では、明確な矩形形状となったもの、明確なラウンド形状が示されたものを「矩形」、「ラウンド」として夫々表しており、それ以外の形状のものを「中間」として表している。従って、明確な矩形形状ではないが、矩形性が比較的高くて実用上は問題が無いレベルであるものも表中で「中間」として示しているので、「矩形」とされる結果の処理条件のみが実用可能な処理条件ではない。なお表中では、マイクロラフネス及びラージラフネスのいずれも確認されず、平滑性が高かったものを「平滑」として示している。
・評価試験1
評価試験1-1~1-3では、処理ガス供給工程と加熱工程とのサイクルを繰り返すことで、基板に対してエッチングを行った。評価試験1-1~1-3間で、サイクル数と、処理ガス供給工程実行時の処理容器71内の圧力との組み合わせを変更している。評価試験1-1では、処理容器71内の圧力が200Pa(1.5Torr)であり、サイクル数が9である。評価試験1-2では、処理容器71内の圧力が666.6Pa(5Torr)であり、サイクル数が9である。評価試験1-3では、処理容器71内の圧力が666.6Pa(5Torr)であり、サイクル数が3である。処理ガス供給中のウエハWの温度、処理ガスの供給時間、NHガスの流量比などの各処理条件は、実施形態で説明した範囲の値に設定した。
この評価試験1の結果としては、トップ、ミドル、ボトムの各凹部16から取得された値についての平均値を示す。評価試験1-1では、溝幅エッチング量が1.26、開口側エッチング量が1.62、奥側エッチング量が1.66であった。評価試験1-2ではエッチングが大きく進行したことで上壁21及び下壁22が消失しており、各エッチング量について計測不能であった。評価試験1-3では、上壁21及び下壁22の消失が防止されており、溝幅エッチング量が1.78、開口側エッチング量が1.9、奥側エッチング量が1.9であった。
以上の評価試験1の結果から、処理ガス供給時の処理容器71内の圧力について、比較的高くすることでエッチング速度を高くすることができるため好ましく、サイクル数を適切に設定することで、過度なエッチングを防止することができることが分かる。そして、当該処理容器71内の圧力としては、1.5Torr(200Pa)よりも大きくすることが好ましく、さらには5Torr(666.6Pa)以上とすることがより好ましいことが分かる。
・評価試験2
評価試験2-1~2-5では、処理ガス供給工程と加熱工程のサイクルを繰り返すことなく、これらの工程を1回ずつ行うことで、各基板を処理した。評価試験2-1~2-5間で、処理ガスの供給時間を互いに異なる値に設定しており、評価試験2-1、2-2、2-3、2-4、2-5で、夫々5秒、10秒、15秒、25秒、35秒とした。また、NHガスの流量比、処理ガス供給中のウエハWの温度、処理容器71内の圧力などの各処理条件は、実施形態で説明した範囲の値とした。
下記の図13~図15のグラフは、評価試験2における各エッチング量をまとめたものである。各グラフはエッチング量と、処理ガスの供給時間との関係を示しており、縦軸にエッチング量を、横軸に当該供給時間を夫々示している。図13が溝幅エッチング、図14が開口側エッチング量を示し、図15が奥側エッチング量を夫々示す。
図13のグラフから明らかなように、溝15の横方向のエッチング量に関してはトップ、ミドル、ボトムの各々について、処理ガスの供給時間とエッチング量との関連性が低い。そして図14及び図15のグラフから明らかなように、凹部16の開口側のエッチング量及び凹部16の奥側のエッチング量については、エッチング時間が比較的長いと、トップ側のエッチング量が比較的小さい。これは実施形態で説明したようにトップ側において多くのAFSが生成したためであると考えられる。なお、図14及び図15のグラフにより、実施形態で説明したようにエッチング時間が短い場合にはトップの方がエッチング量について大きく、エッチング時間が長い場合にはボトムの方がエッチング量について大きいことが示されている。図14、図15のグラフより、トップ、ミドル、ボトムの各々で処理ガスの供給時間が10秒~15秒の範囲においては、グラフの傾きが概ね同じであり、トップ、ミドル、ボトムのエッチング量の差が抑制されている。従って、この評価試験2からは、1サイクルでの処理ガスの供給時間については、10秒~15秒にすることが好ましいことが示された。
・評価試験3
評価試験3-1~3-6では、NHガスの流量比と、処理ガスの供給時間との組み合わせについて基板毎に異なるようにして、当該各基板に処理を行った。サイクル数は3サイクルとした。処理ガスの供給時間について、評価試験3-1~3-3では10秒に設定し、評価試験3-1~3-3では15秒に設定した。NHガスの流量比については、評価試験3-1、3-4では0.01に、評価試験3-2、3-5では0.014に、評価試験3-3、3-6では0.02に夫々設定した。その他の処理条件は、評価試験2の処理条件と同じである。下記の表1は、評価試験3にて得られた結果をまとめたものである。なお、この評価試験3でも評価試験2と同様に各部のエッチング量を取得している。
Figure 2024044815000002
エッチング後の凹部16の上壁21及び下壁22のラフネスについて見ると、評価試験3-1のミドル、ボトムの各凹部16でマイクロラフネスが確認された。そして、評価試験3-3のトップの凹部16、評価試験3-6のトップ、ミドル、ボトムの各凹部16ではラージラフネスが確認された。また、エッチング後の凹部16の形状について見ると、評価試験3-1、3-4のトップ、ミドル、ボトムの各凹部16及び評価試験3-2のボトムの凹部16に関しては、矩形形状となっていた。
従ってこの評価試験3からは、NHガスの流量比が比較的小さく、且つエッチング時間が比較的短い場合にはマイクロラフネスが形成されることが確認された。また、NHガスの流量比が比較的大きい場合には、ラージラフネスが形成されることが確認された。実施形態で述べたようにAFSの生成量が異なることにより、このようにラフネスの状態が異なる結果となったと考えられる。また、この評価試験3からは、NHガスの流量比が比較的小さいと矩形形状となる傾向が有ることが確認された。そして、矩形形状とするためには当該流量比を0.014よりも小さくすることが好ましく、0.01以下とすることがより好ましいことが分かる。
ただし、NHガスの流量比を0.01に設定して矩形形状となった評価試験3-1、3-4、3-5については、トップ-ボトム間でのエッチング量のばらつきが比較的大きかった。従って、この評価試験3-1~3-6の各結果は、第1~第3要請の一つまたは複数に十分に応えられていないものとなっていた。
・評価試験4
評価試験4-1~4-5では、NHガスの流量比と、処理ガスの供給時間と、サイクル数との組み合わせについて基板毎に異なるようにして、当該各基板に処理を行った。処理ガスの供給時間について、評価試験4-1、4-2、4-3、4-4、4-5で夫々、10秒、15秒、15秒、12.5秒、10秒に設定した。処理ガス中のNHガスの流量比については評価試験4-1、4-2、4-4では0.01に、評価試験4-3、4-5では0.014に夫々設定した。サイクル数については評価試験4-1~4-4では3、評価試験4-5では4に夫々設定した。その他の処理条件は、評価試験2、3の処理条件と同じである。下記の表2は評価試験4の結果をまとめたものである。なお、この評価試験4及び次に説明する評価試験5でも評価試験3と同様に、各部のエッチング量を取得している。
Figure 2024044815000003
エッチング後の凹部16の上壁21、下壁22のラフネスについて見ると、評価試験4-1、4-4のミドル、ボトムの各凹部16及び評価試験4-5のボトムの凹部16にて、マイクロラフネスが確認された。他の凹部16については、ラフネスは望ましい範囲内に抑えられていた。サイクル数及びNHガスの流量比が同じである評価試験4-1、4-2、4-4間での比較により、実施形態で述べたように処理ガスの供給時間が短いと、マイクロラフネスが形成されやすいことが分かる。
エッチング後の凹部16の形状について見ると、評価試験4-1、4-2のトップ、ミドル、ボトムの各凹部16及び、評価試験4-4、4-5のミドル、ボトムの各凹部16が矩形形状となっており、他の凹部16についてはラウンド形状であった。評価試験4-1、4-2、4-4間での比較により、実施形態で述べたように処理ガスの供給時間が比較的小さい場合には、矩形形状となる傾向が有ることが分かる。また、NHガスの流量比を0.01に設定した評価試験4-1、4-2、4-4ではトップ、ミドル、ボトムのうちの2つないしは3つが矩形形状になっていることから、矩形形状とするためには0.01以下とすることが好ましいことが分かる。
開口側エッチング量及び奥側エッチング量を見ると、評価試験4-2、4-4、4-5については、トップのエッチング量が、ミドル、ボトムのエッチング量よりも大きかった。つまり、トップ、ミドル、ボトム間で比較的大きなエッチング量のばらつきが有った。また、評価試験4-3ではトップのエッチング量が、ミドル、ボトムのエッチング量に比べて小さかった。以上の結果となったことで、評価試験4の各基板の凹部16についても、第1~第3要請の一つまたは複数に十分に応えられていないものとなっていた。
ところで評価試験4の結果についてさらに検証すると、NHガスの流量比が0.01である場合には、凹部16は矩形形状となる傾向が有ると共に、トップのエッチング量が大きくなる傾向が有る。また、NHガスの流量比が0.014である場合には、凹部16はラウンド形状となる傾向が有ることが示されると共に、当該流量比が0.01の場合に比べてトップのエッチング量が大きくなる傾向が緩和されている。さらに、当該NHガスの流量比が0.01であるとき、0.014であるときの各々において、ラフネスに関して望ましい範囲内に抑えられている場合が有る。ただし、そのラフネスに関して、処理ガス中のNHガスの流量比を0.01、0.014としたときには、処理ガスの供給時間が10秒では望ましい結果が得られなかった。
以上の評価試験4の結果と、処理ガスの供給時間としては10秒~15秒が望ましいという評価試験2の結果とを考慮し、処理ガス中のNHガスの流量比については0.01より大きく、0.014より小さい範囲にし、処理ガスの供給時間については10秒よりも大きく15秒以下の範囲に設定することが考えられる。つまり、このような各パラメータの範囲の中で評価試験4にて設定された処理条件よりも、第1~第3要請に対してより適合可能な許容範囲を探り、その許容範囲内の値を用いて処理を行うことが考えられる。しかしNHガスの流量比について、0.01~0.014という比較的狭い範囲の中のさらに狭い範囲が許容範囲とされる。それ故に、例えばエッチング対象の膜構造が若干変化した場合などに、当該流量比を変更させて対処することが難しく、実用性の低さが懸念される。従って実施形態で述べた、処理条件を変更することによる複数段階での処理が有効である。
・評価試験5
評価試験5-1~5-5では、実施形態で説明したように処理条件を変更することで、2段階の処理(=前段サイクル及び後段サイクル)を行った。前段サイクルの処理条件、後段サイクルの処理条件の組み合わせについて、基板毎に変更して処理を行った。なお、NHガスの流量比、処理ガスの供給時間、サイクル数以外の処理条件は、評価試験4の処理条件と同じである。
評価試験5-1、5-2、5-4での前段サイクル及び評価試験5-3、5-5での後段サイクルにおけるNHガスの流量比及び処理ガスの供給時間については、評価試験4において矩形形状が得られた処理条件と同じ処理条件に設定した。そして、評価試験5-1、5-2、5-4での後段サイクル及び評価試験5-3、5-5での前段サイクルにおけるNHガスの流量比及び処理ガスの供給時間については、評価試験4においてラフネスが望ましい範囲内に抑えられた処理条件と同じ処理条件に設定した。下記の表3は、評価試験5の処理条件及び結果をまとめたものである。
なお、NHガスの流量比及び処理ガスの供給時間の他にサイクル数の違いを考慮して、矩形形状を形成する傾向については、評価試験5-1の前段>評価試験5-2の前段及び5-3の後段>評価試験5-4の前段>評価試験5-5の後段となっている。そしてラフネスを抑制する傾向については、評価試験5-2の後段、5-3の前段及び5-5の前段>評価試験5-1の後段及び5-4の後段となっている。
Figure 2024044815000004
評価試験5-1~5-5の結果について、トップ-ボトム間のエッチング量の差について検証する。この検証の概要を述べると、評価試験4から得られたトップ-ボトム間での凹部16のエッチング量の差について、サイクル数に応じた補正を行う。それによって評価試験5での前段サイクルのみを行った場合のトップ-ボトム間での見込みのエッチング量の差と、評価試験5での後段サイクルのみを行った場合のトップ-ボトム間での見込みのエッチング量の差と、を各々算出する。この見込みのエッチング量の差同士を合計することでトップ-ボトム間の予想エッチング量の差とする。この予想エッチング量の差、及び予想エッチング量の差を得る過程で取得した見込みのエッチング量の差を、評価試験5から得られた実際のトップ-ボトム間のエッチング量の差と比較する。
以下、具体的に説明すると、評価試験5-1では、トップの開口側エッチング量、奥側エッチング量を夫々A1X1、A2X2とし、これらの平均値をA3X3とする。ボトムの開口側エッチング量、奥側エッチング量を夫々B1Y1、B2Y2とし、これらの平均値をB3Y3とする。A3X3-B3Y3として算出される値を評価試験5-1におけるトップ-ボトム間のエッチング量の差とする。なお、このように算出されるトップ-ボトム間のエッチング量の差は+の値であった。従って、評価試験5-1においてトップ-ボトム間ではトップの方のエッチング量が大きかった。
サイクル数を除いて、評価試験5-1の前段サイクル、後段サイクルと同じ条件で評価試験4-1、4-3が夫々行われている。評価試験4-1について、(トップの開口側エッチング量とトップの奥側エッチング量との平均値)-(ボトムの開口側エッチング量と、奥側エッチング量との平均値)=C1A1を取得した。評価試験4-1でのサイクル数は3であるが、評価試験5-1の前段サイクル数は4であるため4/3を乗じることで補正し、得られた値を見込みのエッチング量の差C2A2(=C1A1×4/3)とする。なお、このC2A2の値は+の値であった。即ち、トップ-ボトム間ではトップの方のエッチング量が大きい。
そして後段サイクルと同じ条件の評価試験4-3についても同様に、見込みのエッチング量の差を算出した。具体的に評価試験4-3について、(トップの開口側エッチング量とトップの奥側エッチング量との平均値)-(ボトムの開口側エッチング量とボトムの奥側エッチング量との平均値)=C1A′1を算出した。評価試験4-3でのサイクル数は3であるが、評価試験5-1の後段サイクル数は1であるため1/3を乗じることで補正し、この値を見込みのエッチング量の差C2A′2(=C′A′1×1/3)とする。このC′A′2は-の値であった。即ち、トップ-ボトム間ではボトムの方のエッチング量が大きい。
見込みのエッチング量の合計C2A2+C2A′2と、評価試験5-1のA3X3-B3Y3とを比較すると、略同じ値となっていた。また、C2A2は、このA3X3-B3Y3よりも大きい。以上の計算結果は、実施形態で述べた2段階の処理を行うにあたり、1段階目の処理終了時にはトップ側とボトム側との間でエッチング量に比較的大きな偏りが生じたとしても、2段階目の処理として、トップ側、ボトム側のうち1段階目の処理とは逆側が大きくなる処理を行うことで、その偏りが相殺されることを示す。
また、上記したように評価試験4-1では各凹部16について矩形形状であり、ミドル及びボトムの凹部16にはマイクロラフネスが形成されている。評価試験4-3では各凹部16について中間形状であり、各凹部16のラフネスとしては望ましい範囲内に収まっていた。それに対して、評価試験5-1の試験結果としては、ミドル、ボトムの凹部16は矩形形状であり、トップ、ミドル、ボトムの各凹部16にマイクロラフネスが確認された。従って、凹部16の形状及びラフネスについて、前段サイクルの処理条件の影響が比較的大きく現れる結果となった。
評価試験5-2~5-5についても評価試験5-1と同様に上記の計算による検証を行うと、前段サイクル、後段サイクルの実施により、トップ側とボトム側との間でのエッチング量の偏りが相殺されていることが推定される結果となった。なお、検証にあたり、評価試験5-2、5-3では評価試験5-1と同じく評価試験4-1、4-3の処理条件が用いられているが、評価試験5-4、5-5では評価試験4-2の処理条件が用いられているので、その評価試験4-2のデータを用いて検証を行った。
また、評価試験5-2の前段サイクル、後段サイクルについては評価試験5-1と同じく、サイクル数を除いては評価試験4-1、4-3と夫々同じ処理条件である。そして表3に示すように評価試験5-2では、ボトムの凹部16は矩形形状であり、ミドル、ボトムの各凹部16にマイクロラフネスが確認されている。そのため、この評価試験5-2でも評価試験5-1と同様、凹部16の形状及びラフネスについて、前段サイクルの処理条件の影響が比較的大きく現れる結果となった。
評価試験5-3に関して、前段サイクル、後段サイクルはサイクル数を除いて夫々、評価試験4-3、評価試験4-1と同じである。そして表3に示すように評価試験5-3では、トップ、ミドル、ボトムの各凹部16について中間形状となる一方で、ラフネスが許容範囲に抑えられていた。そして、評価試験4-3では各凹部16について中間形状であり、且つ各凹部16のラフネスとしては許容範囲に収まる一方で、評価試験4-1では各凹部16について矩形形状であり、且つミドル及びボトムの凹部16にはマイクロラフネスが形成されている。従って、この評価試験5-3でも、凹部16の形状及びラフネスについて、前段サイクルの処理条件の影響が比較的大きく現れる結果となった。
評価試験5-4に関しては前段サイクル、後段サイクルがサイクル数を除いて夫々、評価試験4-2、評価試験4-3と同じである。表3に示すように評価試験5-4において、ボトムの凹部16は矩形形状であり、ボトムの凹部16にマイクロラフネスが確認されている。一方で、評価試験4-2では各凹部16について矩形形状であり、ボトムの凹部16にはマイクロラフネスが形成されている。そして、評価試験4-3では各凹部16について中間形状であり、各凹部16のラフネスとしては望ましい範囲内に収まっている。従って、この評価試験5-4でも凹部16の形状及びラフネスについて、前段サイクルの処理条件の影響が比較的大きく現れる結果となった。
評価試験5-5に関しては前段サイクル、後段サイクルがサイクル数を除いて夫々、評価試験4-3、評価試験4-2と同じである。また、上記したように評価試験5-5において、トップ、ミドル、ボトムの各凹部16について、ラフネスは許容範囲に抑えられると共に中間形状となっていた。一方で、評価試験4-3では各凹部16について中間形状であり、各凹部16のラフネスとしては望ましい範囲内に収まっている。そして、評価試験4-2では各凹部16について矩形形状であり、ボトムの凹部16にはマイクロラフネスが形成されている。従って、この評価試験5-5でも、凹部16の形状及びラフネスについて、前段サイクルの処理条件の影響が比較的大きく現れる結果となった。ところで、この評価試験5-5は、トップ、ミドル、ボトムのラフネスが抑制されると共に、トップ-ボトム間のエッチング量の差がX3-Y3が評価試験5の中で最も小さかった。そして、各凹部16の形状としては評価試験5-1の凹部16の形状よりも若干ラウンド形状寄りであるが、評価試験4-3の各凹部16の形状と比較すると矩形性が高く、実用可能なものであった。従って、評価試験5-1~5-5の中では、評価試験5-5が最も好ましい結果となった。
以上のように評価試験5からは、前段サイクル、後段サイクルでのトップ側とボトム側との間でのエッチング量の偏りは相殺される結果、トップ側からボトム側に至るまでのエッチング量を均一性高くすることができることが確認された。また、前段サイクルで行う処理条件が、エッチング後の凹部16の形状、ラフネスに大きく影響を与えることが確認された。そして、これまでに述べたように評価試験5-3、5-5ではトップ、ミドル、ボトムの各々でラフネスが抑えられている。従って、そのようにラフネスを抑えるために、実施形態で述べたようにNHガスの流量比について、前段サイクルの第1処理条件の方が後段サイクルの第2処理条件よりも大きくなるようにすることが好ましいことが示された。評価試験5-3、5-5間で比較すると、トップ、ボトム間でのエッチング量の差が異なっており、評価試験5-5の方がエッチング量の差が小さい。評価試験5-3、5-5間では第2処理条件における処理ガスの供給時間が異なることから、第1処理条件と第2処理条件との間での処理ガスの供給時間を調整することで各凹部16のラフネスを抑えつつ、トップ、ミドル、ボトム間でのエッチング量のバランスを制御できることが分かる。
なお凹部16の矩形性についても述べると、評価試験5-1、5-2、5-4の結果から、当該矩形性を高めるにはNHガスの流量比について、第1処理条件の方が第2処理条件よりも小さくなるようにすることが好ましいことが示された。そして、評価試験5-1が最も矩形性が高かったことから、より高い矩形性を得るためには、処理ガスの供給時間について第1処理条件の方が第2処理条件よりも短くなるようにすることが好ましいことが示された。
W ウエハ
12 SiGe膜
13 Si膜
41 Fガス
42 NHガス

Claims (15)

  1. 側壁がシリコン膜により形成され、奥壁がゲルマニウム含有膜により形成される凹部が形成された基板に、ハロゲン含有ガス及び塩基性ガスを含む処理ガスを供給して、前記シリコン膜の表面を変質させて、反応生成物を生成させる第1工程と、
    前記反応生成物を除去して前記凹部の幅を広げる第2工程と、
    前記第1工程と前記第2工程とからなるサイクルを複数回行う工程と、
    先に行う前記サイクルの前記第1工程を第1処理条件で行い、後に行う前記サイクルの前記第1工程を、前記第1処理条件とは異なる第2処理条件で行う工程と、
    を含む基板処理方法。
  2. 前記第1処理条件と前記第2処理条件とは、前記処理ガス中における前記ハロゲン含有ガスに対する前記塩基性ガスの割合、または前記処理ガスの供給時間のうちの少なくとも一方が異なる請求項1記載の基板処理方法。
  3. 前記第1処理条件の方が前記第2処理条件よりも前記ハロゲン含有ガスに対する前記塩基性ガスの割合が小さいか、あるいは前記第1処理条件の方が前記第2処理条件よりも前記処理ガスの供給時間が短い請求項2記載の基板処理方法。
  4. 前記第1処理条件の方が前記第2処理条件よりも前記ハロゲン含有ガスに対する前記塩基性ガスの割合が大きいか、あるいは前記第1処理条件の方が前記第2処理条件よりも前記処理ガスの供給時間が長い請求項2記載の基板処理方法。
  5. 前記凹部は、前記基板の厚さ方向に複数段に形成されており、
    当該複数の凹部は前記厚さ方向と交差する方向に各々開口している請求項3または4記載の基板処理方法。
  6. 前記ハロゲン含有ガスは第1フッ素含有ガスであり、前記塩基性ガスはアンモニアガスである請求項2記載の基板処理方法。
  7. 前記第1フッ素含有ガスはフッ素ガスである請求項4記載の基板処理方法。
  8. 前記ゲルマニウム含有膜は、シリコンゲルマニウム膜である請求項1記載の基板処理方法。
  9. 前記第1処理条件及び前記第2処理条件のうちの一方において、前記ハロゲン含有ガスに対する前記塩基性ガスの割合は、0.014より小さい請求項2記載の基板処理方法。
  10. 前記第1処理条件及び前記第2処理条件において、前記処理ガスの供給時間は10秒~15秒である請求項2記載の基板処理方法。
  11. 前記第1工程は、前記基板を格納する処理容器内の圧力を200Paより大きい状態で前記処理容器内に前記処理ガスを供給する工程を含む請求項10記載の基板処理方法。
  12. 前記第1工程は、
    前記ハロゲン含有ガスの前記基板への供給と、前記塩基性ガスの前記基板への供給とを並行して行う第1供給工程と、
    前記第1供給工程の後に、前記ハロゲン含有ガス及び前記塩基性ガスのいずれか一方のみを前記基板に供給する第2供給工程と、
    を含む請求項1記載の基板処理方法。
  13. 前記ハロゲン含有ガスは、
    前記第1供給工程において前記基板に供給される第1フッ素含有ガスと、
    前記第2供給工程において前記基板に供給される第2フッ素含有ガスと、からなり、
    前記第1フッ素含有ガスと、前記第2フッ素含有ガスとは、互いに種類が異なる請求項12記載の基板処理方法。
  14. 前記第1のフッ素含有ガスはフッ素ガスであり、
    前記第2のフッ素含有ガスはフッ化水素ガスである請求項13記載の基板処理方法。
  15. 側壁がシリコン膜により形成され、奥壁がゲルマニウム含有膜により形成される凹部が形成された基板における前記シリコン膜の表面を変質させて、反応生成物を生成させるために、ハロゲン含有ガス及び塩基性ガスを含む処理ガスを供給する第1処理部と、
    前記反応生成物を除去して前記凹部の幅を広げる第2処理部と、
    前記第1処理部による処理と前記第2処理部による処理のからなるサイクルが複数回行われ、先に行う前記サイクルの前記第1処理部による処理を第1処理条件で行い、後に行う前記サイクルの前記第1処理部による処理を、前記第1処理条件とは異なる第2処理条件で行うように制御信号を出力する制御部と、
    を含む基板処理装置。
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