JP2024043696A - 新規炭疽病抵抗性遺伝子を有するブラシカ・ラパ植物 - Google Patents

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Abstract

【課題】アブラナ科の炭疽病に抵抗性を有するブラシカ・ラパ植物、及び当該ブラシカ・ラパ植物を製造する方法等の提供。【解決手段】炭疽病抵抗性An1遺伝子を有しているブラシカ・ラパ植物である、炭疽病抵抗性ブラシカ・ラパ植物、及び、An1遺伝子を有するアブラナ科植物と任意のアブラナ科植物とを交雑する第1交雑工程と、前記第1交雑工程により得られたF1個体に対して、自殖、戻し交雑、又は前記第1交雑工程において用いた親系統とは異なるアブラナ科植物との種間交雑又は種内交雑を行い、分離集団を得る第2交雑工程と、前記分離集団から、An1遺伝子を有するアブラナ科植物を選抜する選抜工程とを有する、炭疽病抵抗性アブラナ科植物の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、アブラナ科炭疽病に抵抗性を示す遺伝子を有するブラシカ・ラパ植物、及びその製造方法に関する。
ブラシカ・ラパ(Brassica rapa)植物は、アブラナ科アブラナ属に属し、地中海地方が起源とされており、ハクサイ、コマツナ、チンゲンサイ、カブ、及びミズナなど、形態や形質が大きく異なる亜種に分化し、それぞれ別個の作物として発展してきた。
植物品種には、一般的に、固定種と雑種第一代(以下、「F1」と記す)品種があり、主要作物においてはF1品種が普及している。F1品種は、雑種強勢(ヘテロシス)により生育が旺盛である。これにより、F1品種は、生育が速く、収量性が高まるなど大きな利点があり、さらに、病害虫への耐性や、耐寒・耐暑性などの環境適応性の向上も期待できる。また、F1品種は、ヘテロ性でありながら同一の遺伝子型であるため、表現型は極めて高い均一性を示す。このため、生産物の市場性が高まる。さらにF1品種の両親に顕性遺伝子に支配されている有用形質を集積できるため、迅速な育種が可能となる。以上のような優位性があることから、F1品種は、主要作物において栽培品種の主流を占めるようになった。食用とされているブラシカ・ラパ植物においても、これまでに数多くのF1品種が育成されてきた。
一方で、アブラナ科植物に被害を与える病害の一つにColletotrichum higginsianumによって引き起こされる炭疽病がある(日本植物病名目録、Common Names of Plant Diseases等)。ブラシカ・ラパ植物でもコマツナやハクサイ等で炭疽病発生の報告があり、公的機関では重要病害と認識し、農薬による防除試験などが行われている。比較的高温(20~30℃)下では、短時間の降雨でも一定時間葉面が濡れていると発生が激しくなると考えられており、近年の温暖化、局所的な強雨や、連続降雨の影響により、高温期の作型を中心に被害が増加している。
病原菌は、被害残渣中に残る他、アブラナ科以外の雑草も伝染源となる可能性が示唆されている。また、薬剤による防除には、多大な労力やコストを要する。このため、効率的で効果的な防除法として、抵抗性育種素材の開発、及び抵抗性品種の開発が望まれている。しかしながら、ブラシカ・ラパ植物において効果的な炭疽病抵抗性品種は、未だ作出されていない。
ブラシカ・ラパ植物における炭疽病抵抗性因子の報告はなされているものの(非特許文献1)、遺伝様式が不明で量的因子によると推察される中程度の抵抗性であることに加えて、抵抗性遺伝子が座上する染色体や、抵抗性遺伝子本体を明確に特定されていない。また、量的因子によると推察される中程度の抵抗性遺伝子は、形態・形質的特徴が品目間で大きく異なるブラシカ・ラパ植物では、戻し交雑親側からみると不要な形質を多々有しているため、育種素材として非常に扱いづらい。このため、抵抗性品種の育成は依然として困難であり、育種的利用価値の高い単因子顕性の抵抗性育種素材の開発、及び抵抗性品種の開発が望まれていた。
高原浩之、「アブラナ科野菜類が有する新規炭疽病抵抗性遺伝子の同定と病害抵抗性育種」の2020年度実施状況報告書、科学研究費助成事業データベース、2021年12月27日、[on line]<https://kaken.nii.ac.jp/report/KAKENHI-PROJECT-20K06055/20K060552020hokoku/>
本発明は、アブラナ科の炭疽病に抵抗性を有するブラシカ・ラパ植物、及び当該ブラシカ・ラパ植物を製造する方法等を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく研究した結果、ブラシカ・ラパの第1染色体上に、アブラナ科の炭疽病に対して抵抗性を示す単因子顕性の炭疽病抵抗性遺伝子が存在することを見出した。また当該遺伝子と連鎖したDNAマーカーを開発し、これを使用することにより、当該炭疽病抵抗性遺伝子に起因する炭疽病抵抗性を有する様々なブラシカ・ラパ植物を育成することに成功し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記の通りである。
[1] 炭疽病抵抗性An1遺伝子を有しているブラシカ・ラパ植物である、炭疽病抵抗性ブラシカ・ラパ植物。
[2] 前記An1遺伝子が、ブラシカ・ラパ植物の第1染色体上のA01-27700810からA01-28843876までの範囲内に存在している遺伝子である、前記[1]の炭疽病抵抗性ブラシカ・ラパ植物。
[3] 第1染色体の少なくとも一方のアレルに、前記An1遺伝子を有している、前記[1]又は[2]の炭疽病抵抗性ブラシカ・ラパ植物。
[4] 前記An1遺伝子が、ホモ接合性又はヘテロ接合性である、前記[1]~[3]のいずれかの炭疽病抵抗性ブラシカ・ラパ植物。
[5] 第1染色体の少なくとも一方のアレルにおいて、
A01-28780787で特定されるSNPがシトシンである、
A01-28780823で特定されるSNPがチミンである、又は
A01-28780856で特定されるSNPがアデニンである、前記[1]~[4]のいずれかの炭疽病抵抗性ブラシカ・ラパ植物。
[6] 受託番号FERM BP-22455(An1-R1系統)で特定される植物由来の炭疽病抵抗性を有する、前記[1]~[5]のいずれかの炭疽病抵抗性ブラシカ・ラパ植物。
[7] 受託番号FERM BP-22455(An1-R1系統)で特定される炭疽病抵抗性ブラシカ・ラパ植物、前記炭疽病抵抗性ブラシカ・ラパ植物を親系統として得られた雑種植物、又はそれらの後代である、炭疽病抵抗性ブラシカ・ラパ植物。
[8] 被験アブラナ科植物の第1染色体のA01-27700810からA01-28843876までの範囲内のSNPの遺伝子型を調べ、少なくとも一方のアレルにおいて、
A01-28780787で特定されるSNPがシトシンである、
A01-28780823で特定されるSNPがチミンである、又は
A01-28780856で特定されるSNPがアデニンである
場合に、当該被験アブラナ科植物が炭疽病抵抗性である可能性が高いと予測する、アブラナ科植物の炭疽病抵抗性の予測方法。
[9] 被験アブラナ科植物の第1染色体のA01-27700810からA01-28843876までの範囲内のSNPの遺伝子型を調べ、少なくとも一方のアレルにおいて、
A01-28780787で特定されるSNPがシトシンである、
A01-28780823で特定されるSNPがチミンである、又は
A01-28780856で特定されるSNPがアデニンである
場合に、当該被験アブラナ科植物を、炭疽病抵抗性アブラナ科植物として選抜する、炭疽病抵抗性アブラナ科植物のスクリーニング方法。
[10] An1遺伝子を有するアブラナ科植物と任意のアブラナ科植物とを交雑する第1交雑工程と、
前記第1交雑工程により得られたF1個体に対して、自殖、戻し交雑、又は前記第1交雑工程において用いた親系統とは異なるアブラナ科植物との種間交雑又は種内交雑を行い、分離集団を得る第2交雑工程と、
前記分離集団から、An1遺伝子を有するアブラナ科植物を選抜する選抜工程と、
を有する、炭疽病抵抗性アブラナ科植物の製造方法。
[11] 前記An1遺伝子を有するアブラナ科植物が、前記[1]~[7]のいずれかの炭疽病抵抗性ブラシカ・ラパ植物である、前記[10]の炭疽病抵抗性アブラナ科植物の製造方法。
[12] 前記[1]~[7]のいずれかの炭疽病抵抗性ブラシカ・ラパ植物の植物体の一部。
[13] 前記[1]~[7]のいずれかの炭疽病抵抗性ブラシカ・ラパ植物の葉。
[14] 前記[1]~[7]のいずれかの炭疽病抵抗性ブラシカ・ラパ植物の種子。
[15] ブラシカ・ラパ植物のA01-28780787で特定されるSNP、A01-28780823で特定されるSNP、A01-28780856で特定されるSNP、及びこれらのSNPと遺伝的に強く連鎖しているSNPからなる群より選択される1種以上からなる、An1遺伝子を有するアブラナ科植物を選抜するためのDNAマーカー。
[16] A01-28780787で特定されるSNPの遺伝子型を識別するためのプライマーセット、
A01-28780823で特定されるSNPの遺伝子型を識別するためのプライマーセット、及び
A01-28780856で特定されるSNPの遺伝子型を識別するためのプライマーセットからなる群より選択される1種以上のプライマーセットを含み、
An1遺伝子を有するアブラナ科植物を選抜するために用いられる、キット。
本発明により、炭疽病に対して抵抗性を示すブラシカ・ラパ植物が提供される。
また、本発明に係るブラシカ・ラパ植物を親系統として利用することにより、炭疽病に対して抵抗性を示す新規ブラシカ・ラパ系統を容易に育成することもできる。
本発明及び本願明細書において、「ブラシカ・ラパ植物」とは、アブラナ科ブラシカ属に属する植物であり、ハクサイ(Brassica rapa var. glabra)、コマツナ(Brassica rapa var. perviridis)、チンゲンサイ(Brassica rapa var. chinensis)、カブ(Brassica rapa var. rapa)、ミズナ(Brassica rapa var. nipposinica)、アブラナ(Brassica rapa var. nippo-oleifera)、及びノザワナ(Brassica rapa var. hakabura)等が包含される。ブラシカ・ラパ植物には、野生種と栽培種のいずれも含まれる。なお、本発明及び本願明細書において、「栽培種」とは、栽培に供される系統の植物であって、固定種のみならず、F1品種も含む。
本発明及び本願明細書において、「炭疽病」とは、Colletotrichum higginsianumを病原菌とするアブラナ科の炭疽病(アブラナ科植物に発生する病害)である。したがって、本発明及び本願明細書において、「炭疽病抵抗性」とは、アブラナ科植物、特にブラシカ・ラパ植物の炭疽病抵抗性を意味する。
本発明及び本願明細書において、ブラシカ・ラパ植物の「AX-Y」(X及びYは整数)は、当該ブラシカ・ラパ植物のゲノムのうち、「Brassica Database(https://db.cngb.org/brassica/#/)において公開されているリファレンスゲノム(Brapa_sequence_v3.0.fasta)における染色体番号X(第X染色体ともいう)のY番目の塩基に相当する塩基」を意味する。なお、とあるブラシカ・ラパ植物における「Brassica Databaseのリファレンスゲノム上の第X染色体のY番目の塩基に相当する塩基」とは、当該ブラシカ・ラパ植物のゲノムDNAの塩基配列とBrassica Databaseのリファレンスゲノムの塩基配列を、最もホモロジー(配列同一性)が高くなるようにアラインメントすることにより決定することができる。
本発明及び本願明細書においては、「染色体」には、染色体全体のみならず、その一部も含まれる。すなわち、「染色体の一部」も、単に「染色体」ということがある。
「X遺伝子座」は、「染色体中のX遺伝子が占める部位」である。このため、本発明及び本願明細書においては、「X遺伝子座を有するブラシカ・ラパ植物」とは、染色体中にX遺伝子が占める部位を有するブラシカ・ラパ植物であり、「X遺伝子を有するブラシカ・ラパ植物」と同意である。
本発明及び本願明細書においては、「製造方法」は、「作出方法」、「育成方法」、又は「生産方法」とも言い換えることができる。すなわち、ここでいう「製造」と「作出」、「育成」、「生産」との用語は同等の意味で使用される。
本発明及び本願明細書において、「植物体の一部」とは、当該植物体の細胞又は組織を含むものであり、具体的には、葉、種子、花、茎、根、果実等が挙げられる。その他、当該植物体の細胞から得られるプロトプラストも含まれる。
本発明及び本願明細書において、「ブラシカ・ラパ植物の後代」とは、当該ブラシカ・ラパ植物の種内交雑により得られる子孫に加えて、当該ブラシカ・ラパ植物を親系統として得られる個体とその子孫、当該ブラシカ・ラパ植物の細胞とその他の植物細胞との細胞融合による体細胞雑種植物とその子孫、当該ブラシカ・ラパ植物を台木又は穂木とした接ぎ木により得られた個体とその子孫が含まれる。「子孫」には、種内交雑により得られる個体と種間交雑により得られる個体の両方が含まれる。また、「(植物を)親系統として得られる個体」とは、当該植物を親系統とした種内交雑、種間交雑、又は細胞融合若しくは接ぎ木により得られる個体を意味する。
本発明及び本願明細書において、「親系統」とは、交雑品種を作出するために育成された系統である。通常は表現型が相違する2種類以上の親系統を交雑し、交雑品種を作出する。
<炭疽病抵抗性ブラシカ・ラパ植物>
本発明に係る炭疽病抵抗性ブラシカ・ラパ植物は、炭疽病抵抗性遺伝子であるAn1遺伝子に由来するColletotrichum higginsianumによるアブラナ科の炭疽病に抵抗性を示すブラシカ・ラパ植物である。An1遺伝子は、ブラシカ・ラパ植物の第1染色体のA01-27700810からA01-28843876までの範囲内に存在している遺伝子である。
本発明に係る炭疽病抵抗性ブラシカ・ラパ植物は、炭疽病に対して、発病や、感染後の病徴の進行に対して抵抗性を有するブラシカ・ラパ植物を意味する。炭疽病抵抗性か否かは、例えば、炭疽病菌の接種試験を行い、これによる抵抗性を有するか否かで判断することができる。
本発明に係る炭疽病抵抗性ブラシカ・ラパ植物としては、例えば、An1-R1系統(受託番号FERM BP-22455)が挙げられる。当該系統は、An1遺伝子に由来する炭疽病抵抗性を有する。また、当該系統で特定される植物由来の炭疽病抵抗性を有するブラシカ・ラパ植物も、本発明に係る炭疽病抵抗性ブラシカ・ラパ植物に含まれる。
An1-R1系統で特定される植物由来の炭疽病抵抗性を有するブラシカ・ラパ植物としては、An1-R1系統に加えて、An1-R1系統を親系統として得られた雑種植物や、それらの後代であって、An1遺伝子に由来する炭疽病抵抗性を有するブラシカ・ラパ植物が挙げられる。
本発明に係る炭疽病抵抗性ブラシカ・ラパ植物には、An1-R1系統で代表されるAn1遺伝子を有する炭疽病抵抗性ブラシカ・ラパ植物、又はその後代であって、An1遺伝子を有する炭疽病抵抗性ブラシカ・ラパ植物が含まれる。
An1遺伝子は、単独でアブラナ科の炭疽病への耐性を付与することのできる顕性の遺伝子である。このため、本発明に係る炭疽病抵抗性ブラシカ・ラパ植物は、An1遺伝子がホモ接合性である、すなわちAn1遺伝子をホモ接合で有するブラシカ・ラパ植物であってもよく、An1遺伝子をヘテロ接合で有するブラシカ・ラパ植物であってもよい。
また、この単因子かつ顕性の遺伝子である点から、An1遺伝子は、従来になく非常に優れた炭疽病抵抗性遺伝子であり、非常に有効な育種素材である。An1遺伝子を導入することにより、ブラシカ・ラパ植物の品目・系統に関わらず、新規炭疽病抵抗性ブラシカ・ラパ植物を容易に育成できる。また、An1遺伝子は、ブラシカ・ラパ植物のみならず、ブラシカ・ラパ植物の近縁種、例えばブラシカ・ラパ植物以外のブラシカ属植物や、ブラシカ属植物以外のアブラナ科植物に対しても、アブラナ科の炭疽病への耐性を付与できる。このため、An1遺伝子を有する炭疽病抵抗性ブラシカ・ラパ植物に由来するAn1遺伝子を、ブラシカ・ラパ植物の近縁種、例えばブラシカ・ラパ植物以外のアブラナ科植物に対して導入することによって、新規炭疽病抵抗性アブラナ科植物が育成できる。
ブラシカ・ラパ植物以外のブラシカ属植物としては、例えば、キャベツ(Brassica oleracea var. capitata)、メキャベツ(Brassica oleracea var. gemmifera)、ケール(Brassica oleracea var. acephala)、ブロッコリー(Brassica oleracea var. italica)、カリフラワー(Brassica oleracea var. botrytis)、ハボタン(Brassica oleracea var. acephala f. tricolor)、カラシナ(Brassica juncea var. cernua Jorb. et Hem.)、タカナ(Brassica juncea var. integrifolia)、ザーサイ(Brassica juncea var. tumida)等が挙げられる。アブラナ科植物としては、ブラシカ属植物に加えて、ダイコン(Raphanus sativus longipinnatus)、ハツカダイコン(Raphanus sativus var. sativus)、ルッコラ(Eruca vesicaria ssp. sativa)、クレソン(Nasturtium officinale R.Br.)、ワサビ(Eutrema japonicum (Miq.) Kiudz.)等が挙げられる。
An1遺伝子の導入は、An1遺伝子を有する炭疽病抵抗性ブラシカ・ラパ植物を親系統として用いる交雑育種法や、ゲノム編集法等の遺伝子改変法などにより行うことができる。
本発明に係る炭疽病抵抗性ブラシカ・ラパ植物は、任意のブラシカ・ラパ植物のゲノムDNAに、An1遺伝子を導入することにより作出することができる。ゲノムDNAへのAn1遺伝子の導入は、例えば、An1遺伝子を有するブラシカ・ラパ植物に由来するAn1遺伝子を含む染色体断片を導入することにより行うことができる。An1遺伝子座を含む染色体断片が導入される染色体中の部位は、特に限定されるものではなく、染色体外であってもよい。例えば、本発明に係る炭疽病抵抗性ブラシカ・ラパ植物には、An1遺伝子座を含む染色体断片によって、第1染色体中の当該断片に相当する領域が置換されているブラシカ・ラパ植物や、転座等によりAn1遺伝子座を含む染色体断片が、ブラシカ・ラパの第1染色体中のAn1遺伝子座に相当する領域以外に導入されたブラシカ・ラパ植物が含まれる。
An1遺伝子座を含む染色体断片としては、An1遺伝子を有する炭疽病抵抗性ブラシカ・ラパ植物の第1染色体のうち、A01-27700810からA01-28843876までの全領域を含む断片であってもよく、A01-27700810からA01-28843876までの領域のうちのAn1遺伝子座を含む部分の断片であってもよい。An1遺伝子座を含む部分の染色体断片としては、ブラシカ・ラパ植物の第1染色体のうち、A01-28780787からA01-28780856までの領域を少なくとも含む染色体断片であり、A01-28215161からA01-28802380までの領域を含む断片であることが好ましく、A01-27700810からA01-28843876までの領域を含む断片であることがより好ましい。
An1遺伝子座を含む染色体断片の存在は、DNAマーカーを利用して調べることができる。具体的には、ブラシカ・ラパ植物の第1染色体中の、A01-27700810からA01-28843876までの領域やその近傍のDNAマーカー、及びこれらのDNAマーカーと強く連鎖するDNAマーカーからなる群より選択される1種以上のDNAマーカーを利用して、これらの領域が、An1遺伝子座を有している炭疽病抵抗性ブラシカ・ラパ植物に由来する染色体断片か、An1遺伝子座を有しておらず炭疽病抵抗性を有さないブラシカ・ラパ植物に由来する染色体断片かを識別することができる。
本発明及び本願明細書において、染色体上における「近傍」は、炭疽病抵抗性遺伝子An1と連鎖したSNPマーカー、及び前記SNPマーカーと連鎖した他のSNPマーカーが、遺伝的に連鎖する位置にあることを指す。当該遺伝的に連鎖する位置は、特に限定されるものではなく、炭疽病抵抗性を有する個体の選抜、あるいはスクリーニングの用に足ればよい。具体的には、染色体上の地図距離が、10cM、より好ましくは9~1cM、さらに好ましくは1cM以下である。
本発明及び本願明細書において、DNAマーカーとは、異なる系統由来の染色体断片同士を識別し得る染色体上のDNA配列の差異を検出し得るものである。DNAマーカーとしては、例えば、SNP(Single Nucleotide Polymorphism、一塩基多型)マーカーやSSR(Simple Sequence Repeats、単純反復配列)マーカー、RFLP(Restriction Fragment Length Polymorphism、制限酵素断片長多型)マーカー等が挙げられる。
An1遺伝子を有する個体の選抜に用いるDNAマーカーとしては、例えば、A01-18136615からA01-29329889までの領域やその近傍のSNPが挙げられる。具体的には、A01-18136615、A01-27700810、A01-27727440、A01-28078142、A01-28215161、A01-28224399、A01-28650016、A01-28780787、A01-28780823、A01-28780856、A01-28798644、A01-28802380、A01-28843876、A01-29329889が挙げられる。これらのSNPについて、An1遺伝子を有しており炭疽病抵抗性を示すブラシカ・ラパ植物の遺伝子型と、Brassica databaseにおいて公開されているリファレンスゲノムの遺伝子型を表1に示す。表1中、Gはグアニン、Cはシトシン、Aはアデニン、Tはチミンを意味する。これらのうち、特に、A01-28780787、A01-28780823、及びA01-28780856からなる群より選択される1種以上をDNAマーカーとして用いることにより、An1遺伝子を有する個体を効果的に選抜することができる。
Figure 2024043696000001
例えば、An1遺伝子を有する炭疽病抵抗性ブラシカ・ラパ植物の第1染色体のA01-28780787からA01-28780856までの領域、好ましくはA01-27700810からA01-28843876までの領域を含む染色体断片が、ホモ接合又はヘテロ接合で導入されたブラシカ・ラパ植物は、第1染色体の少なくとも一方のアレルにおいて、A01-28780787で特定されるSNPがシトシンであり、A01-28780823で特定されるSNPがチミンであり、A01-28780856で特定されるSNPがアデニンである。
表1に示すSNPは、An1遺伝子座又はその近傍にある。すなわち、本発明における炭疽病抵抗性ブラシカ・ラパ植物には、表1に示すSNPのいずれか1つ以上がAn1遺伝子型であるブラシカ・ラパ植物が含まれる。
DNAマーカーの検出は、PCR法、リアルタイムPCR法、PFLP法、AMP法、SNPsジェノタイピングチップ法等のように、当該技術分野においてよく知られている方法によって実施することができる。例えば、各植物個体から抽出したDNAを鋳型とし、特定のSNPやSSRと特異的にハイブリダイズし得るプライマーとポリメラーゼを用いた核酸増幅反応を行い、電気泳動法等を用いて増幅産物の有無を検出し、各多型を識別することができる。また、各植物個体から抽出したDNAを制限酵素処理した後、電気泳動法等を用いてDNA断片のパターンを検出し、各多型を識別することができる。なお、特定のSNPやSSRと特異的にハイブリダイズし得るプライマーは、ブラシカ・ラパ植物のゲノムDNAの塩基配列や、検出対象のSNPやSSRの塩基配列に応じて、汎用されているプライマー設計ツール等を用いて常法により設計し、当該技術分野においてよく知られている方法により合成することができる。その他、例えば、A01-28780787からA01-28780856までの範囲のゲノムの全塩基配列や、A01-27700810からA01-28843876までの範囲のゲノムの全塩基配列を、次世代シークエンサー等を用いて解析することによっても、表1に示すSNPの遺伝子型を調べることができる。
例えば、本発明に係る炭疽病抵抗性ブラシカ・ラパ植物には、An1遺伝子を有するブラシカ・ラパ植物と、任意のブラシカ属植物との種間雑種植物であって、An1遺伝子に由来する炭疽病抵抗性を有する植物も含まれる。なお、「種間雑種植物」には、ブラシカ・ラパ植物に属する種における異種間での交雑によって生じる植物に加えて、ブラシカ・ラパ植物の異種間での細胞融合による体細胞雑種植物や、ブラシカ・ラパ植物の異種間での接ぎ木により得られる接ぎ木雑種植物も含まれる。また、「An1遺伝子を有するブラシカ・ラパ植物と、任意のブラシカ属植物との種間雑種植物」には、当該種間雑種植物に加えて、当該種間雑種植物の後代も含む。
An1遺伝子を有する炭疽病抵抗性ブラシカ・ラパ植物に由来するAn1遺伝子を、任意のブラシカ・ラパ植物に導入することによって、炭疽病抵抗性ブラシカ・ラパ植物の新規系統を作出することができる。特に、An1遺伝子による炭疽病抵抗性は、単因子で顕性的な発現を示すため、An1遺伝子を有する炭疽病抵抗性ブラシカ・ラパ植物を親系統として種間交雑又は種内交雑することにより、An1遺伝子に由来する炭疽病抵抗性を備えるブラシカ・ラパ植物の新規系統の育成が可能となる。
本発明に係る炭疽病抵抗性ブラシカ・ラパ植物は、An1遺伝子を有するブラシカ・ラパ植物と、任意のブラシカ属植物との種間交雑又は種内交雑により得られるF1個体の後代であってもよい。例えば、An1遺伝子を有するブラシカ・ラパ植物と栽培種ブラシカ・ラパ植物を交雑してF1種子を得、得られたF1種子から生育させた植物個体に、栽培種ブラシカ・ラパ植物個体を戻し交雑、又は自殖して種子を得る。次いで、得られた種子から生育させた植物個体からAn1遺伝子を有する個体を選抜する。選抜された植物個体に対して、自殖又は栽培種ブラシカ・ラパ植物との交雑と、交雑により得られた後代からのAn1遺伝子を有する個体の選抜とを繰り返すことにより、炭疽病抵抗性ブラシカ・ラパ植物の固定種を得ることができる。自殖、栽培種ブラシカ・ラパ植物との交雑、栽培、及び種子の採種は、ブラシカ・ラパ植物の栽培の常法により行うことができる。
本発明に係る炭疽病抵抗性ブラシカ・ラパ植物は、炭疽病抵抗性以外の形質、特に農作物としての形質は、栽培種ブラシカ・ラパ植物と同じ又は近似しているものが好ましい。農作物としての形質とは、食味、葉の形状、収量、栽培の容易さ等が挙げられる。なお、「栽培種としての形質」とは、農作物としての形質が、農作物として適している形質であることを意味する。
本発明に係る炭疽病抵抗性ブラシカ・ラパ植物は、植物体の全部及び一部のいずれであってもよい。すなわち、本発明に係る炭疽病抵抗性ブラシカ・ラパ植物は、An1遺伝子を有するブラシカ・ラパ植物の植物体の全体、当該ブラシカ・ラパ植物の地上部、及び当該ブラシカ・ラパ植物の組織のいずれも包含する。また、本発明に係る炭疽病抵抗性ブラシカ・ラパ植物は、An1遺伝子を有するブラシカ・ラパ植物の一組織から得られる細胞も包含する。組織としては、胚、分裂組織細胞、カルス、花粉、葉、葯、茎、葉柄、根、根端、果実、種子、花、子葉、及び胚軸を挙げることができる。
<炭疽病抵抗性アブラナ科植物のスクリーニング方法>
本発明に係る炭疽病抵抗性アブラナ科植物のスクリーニング方法は、被験アブラナ科植物がAn1遺伝子を有するか否かを調べ、An1遺伝子を有すると判断された場合に、当該被験アブラナ科植物を炭疽病抵抗性アブラナ科植物として選抜する。本発明に係る炭疽病抵抗性アブラナ科植物のスクリーニング方法では、被験アブラナ科植物がAn1遺伝子を有するか否かを、第1染色体のAn1遺伝子座又はその近傍のDNAマーカーや、これらのDNAマーカーと強く連鎖するDNAマーカーの遺伝子型に基づいて判断する。第1染色体の少なくとも一方のアレルにおいて、An1遺伝子座又はその近傍のDNAマーカーやこれらのDNAマーカーと強く連鎖するDNAマーカーの遺伝子型が、An1遺伝子型(An1-R1系統のような、An1遺伝子を有する炭疽病抵抗性ブラシカ・ラパ植物と同じ遺伝子型)の場合には、当該被験アブラナ科植物を炭疽病抵抗性アブラナ科植物として選抜する。
An1遺伝子の有無を判断するためのDNAマーカーとしては、例えば、表1に記載のSNPが挙げられる。中でも、ブラシカ・ラパ植物の、A01-28780787で特定されるSNP、A01-28780823で特定されるSNP、A01-28780856で特定されるSNP、及びこれらのSNPと遺伝的に強く連鎖しているSNPからなる群より選択される1種以上が、An1遺伝子の有無を判断するためのDNAマーカーとして好適である。例えば、少なくとも一方のアレルにおいて、A01-28780787で特定されるSNPがシトシンである、A01-28780823で特定されるSNPがチミンである場合、又は、A01-28780856で特定されるSNPがアデニンである場合に、当該被験アブラナ科植物を、炭疽病抵抗性アブラナ科植物として選抜する。当該被験アブラナ科植物としては、ブラシカ属植物が好ましく、ブラシカ・ラパ植物がより好ましい。
An1遺伝子の有無を判断するためのDNAマーカーの遺伝子型を識別するためのプライマーセットを、予めキット化しておくことにより、当該キットを用いることにより、より簡便にAn1遺伝子の有無を判断して、炭疽病抵抗性アブラナ科植物の選抜を行うことができる。例えば、A01-28780787で特定されるSNPの遺伝子型を識別するためのプライマーセット、A01-28780823で特定されるSNPの遺伝子型を識別するためのプライマーセット、及びA01-28780856で特定されるSNPの遺伝子型を識別するためのプライマーセットからなる群より選択される1種以上のプライマーセットをキット化したものが、An1遺伝子を有するアブラナ科植物を選抜するために用いられる。これらのプライマーセットをまとめたキットは、被験アブラナ科植物のAn1遺伝子の有無を判断するためのSNP遺伝子型識別に有用である。なお、これらのSNPの遺伝子型を識別するためのプライマーは、公知のゲノム配列情報に基づいて汎用されているプライマー設計ツール等を用いて常法により設計し、当該技術分野においてよく知られている方法により合成することができる。
<アブラナ科植物の炭疽病抵抗性の予測方法>
本発明に係るアブラナ科植物の炭疽病抵抗性の予測方法は、被験アブラナ科植物がAn1遺伝子を有するか否かを調べ、An1遺伝子を有すると判断された場合に、当該被験アブラナ科植物が炭疽病抵抗性である可能性が高いと予測する。本発明に係るアブラナ科植物の炭疽病抵抗性の予測方法では、被験アブラナ科植物がAn1遺伝子を有するか否かを、第1染色体のAn1遺伝子座又はその近傍のDNAマーカーや、これらのDNAマーカーと強く連鎖するDNAマーカーの遺伝子型に基づいて判断する。第1染色体の少なくとも一方のアレルにおいて、An1遺伝子座又はその近傍のDNAマーカーやこれらのDNAマーカーと強く連鎖するDNAマーカーの遺伝子型がAn1遺伝子型の場合には、当該被験アブラナ科植物はAn1遺伝子を有すると判断し、当該被験アブラナ科植物は炭疽病抵抗性であると予測する。一方で、第1染色体の両アレルにおいて、An1遺伝子座又はその近傍のDNAマーカーやこれらのDNAマーカーと強く連鎖するDNAマーカーの遺伝子型が、An1遺伝子型とは異なる場合には、当該被験アブラナ科植物はAn1遺伝子を有していないと判断し、当該被験アブラナ科植物は炭疽病抵抗性ではないと予測する。
An1遺伝子の有無を判断するためのDNAマーカーとしては、表1に記載のSNPが挙げられる。中でも、ブラシカ・ラパ植物のA01-28780787で特定されるSNP、A01-28780823で特定されるSNP、A01-28780856で特定されるSNP、及びこれらのSNPと遺伝的に強く連鎖しているSNPからなる群より選択される1種以上が、炭疽病抵抗性を予測するためのDNAマーカーとして好適である。例えば、少なくとも一方のアレルにおいて、A01-28780787で特定されるSNPがシトシンである場合、A01-28780823で特定されるSNPがチミンである場合、又は、A01-28780856で特定されるSNPがアデニンである場合に、当該被験アブラナ科植物はAn1遺伝子を有しており、炭疽病抵抗性である可能性が高いと予測する。An1遺伝子の有無を判断するためのDNAマーカーの遺伝子型を識別するためのプライマーセット及びこれのキットは、前記と同様のものを用いることができる。
本発明に係るアブラナ科植物の炭疽病抵抗性の予測方法を用いることにより、炭疽病接種試験を実施しなくても、炭疽病抵抗性を検出することができ、より簡便に、炭疽病抵抗性の植物個体を選抜することが可能になる。
<炭疽病抵抗性アブラナ科植物の製造方法>
An1遺伝子を有するアブラナ科植物を材料として交雑を行うことによって、An1遺伝子を有していないアブラナ科植物に、An1遺伝子に由来する炭疽病抵抗性を導入して新規の炭疽病抵抗性アブラナ科植物を製造することができる。単因子顕性の炭疽病抵抗性遺伝子であるAn1遺伝子は、任意の系統へ導入することが容易であり、アブラナ科植物の品種育成を加速させることができる。
すなわち、本発明に係る炭疽病抵抗性アブラナ科植物の製造方法は、An1遺伝子を有するアブラナ科植物を親系統として用いた交雑育種を利用する方法である。具体的には、An1遺伝子を有するアブラナ科植物と任意のアブラナ科植物とを交雑する第1交雑工程と、前記第1交雑工程により得られたF1個体に対して、自殖、戻し交雑、又は前記第1交雑工程において用いた親系統とは異なるアブラナ科植物との種間交雑又は種内交雑を行い、分離集団を得る第2交雑工程と、前記分離集団から、An1遺伝子を有するアブラナ科植物を選抜する選抜工程と、を有する。自殖、戻し交雑、種間交雑、種内交雑、アブラナ科植物の栽培、及び採種は、アブラナ科植物の栽培の常法により行うことができる。
第1交雑工程において親系統として用いるAn1遺伝子を有するアブラナ科植物としては、An1遺伝子を有するアブラナ科植物であれば特に限定されるものではなく、例えば、前記の本発明に係る炭疽病抵抗性ブラシカ・ラパ植物を用いることもできる。本発明においては、親系統として用いるAn1遺伝子を有するアブラナ科植物としては、An1遺伝子を有しつつ、栽培種としての形質を兼ね合わせている炭疽病抵抗性アブラナ科植物であることが好ましい。このような炭疽病抵抗性アブラナ科植物としては、An1-R1系統、An1-R1系統を親系統として得られた雑種植物、及び、それらの後代であって、An1遺伝子に由来する炭疽病抵抗性を有するブラシカ・ラパ植物が挙げられる。
第1交雑工程において親系統として用いる任意のアブラナ科植物や、第2交雑工程において種間交雑又は種内交雑の親系統として用いる任意のアブラナ科植物としては、親系統として用いるAn1遺伝子を有するアブラナ科植物と交雑可能であり、かつ炭疽病抵抗性を付与させたいと所望するアブラナ科植物であればよく、特に限定されるものではない。当該任意のアブラナ科植物としては、親系統として用いるAn1遺伝子を有するアブラナ科植物と同種のアブラナ科植物であってもよく、異種のアブラナ科植物であってもよい。
本発明において親系統として用いる任意のアブラナ科植物としては、栽培種アブラナ科植物を用いることが好ましい。例えば、An1遺伝子を有しつつ、栽培種としての形質を兼ね合わせている炭疽病抵抗性アブラナ科植物と、An1遺伝子を有していない栽培種アブラナ科植物とを親系統として、両者を交雑させ、得られたF1個体に対して、自殖、戻し交雑、又は第1交雑工程において用いた親系統とは異なる栽培種アブラナ科植物との種間交雑又は種内交雑を行うことにより、An1遺伝子に由来する炭疽病抵抗性を備え、かつ栽培種としても好適な形質を備えた新規アブラナ科系統を、比較的容易に作出することができる。
選抜工程における、分離集団からのAn1遺伝子を有するアブラナ科植物の選抜は、アブラナ科植物の第1染色体中のAn1遺伝子座及びその近傍のDNAマーカーを利用して、行うことができる。使用するDNAマーカーや具体的な方法は、前記の本発明に係るスクリーニング方法と同様にして行うことができる。
選抜工程におけるAn1遺伝子を有する個体の選抜は、例えば、被験植物個体の葉に対して炭疽病菌を接種し、炭疽病に対する抵抗性を有する個体を選抜することによっても実施することができる。炭疽病接種試験は常法により実施することができる。
前記第2交雑工程における戻し交雑及び前記選抜工程を繰り返すことにより、戻し交雑親として用いたアブラナ科植物が有している所望の特性を維持しつつ、炭疽病抵抗性を付与することができる。前記第2交雑工程及び前記選抜工程の繰り返しの回数に、特に限定はないが、通常は5~7回である。
前記戻し交雑は、ゲノムワイドなDNAマーカーを用いて、効率的に行うことができる。例えば、戻し交雑第一世代(BC1F1)は分離世代であるために、各個体のゲノム置換率は異なる。このため、分離集団の規模を拡大すれば、個体によっては90%以上のゲノム領域が戻し交雑親と同じ遺伝子型を有する個体を得ることも可能である。このような個体を選抜することにより、少ない戻し交雑回数で、An1遺伝子座以外のゲノム領域を、戻し交雑親と同じ遺伝子型に戻すことが可能である。さらに、An1遺伝子座近傍のマーカーを用いることによって、An1遺伝子に連鎖する非目的形質を切り離した個体を選抜することも可能である。形態的特徴の異なる亜種へAn1遺伝子を導入する際には、特に有用である。
具体的な方法としては、例えば、戻し交雑親のゲノム配列情報を有している場合には、その情報に基づくDNAマーカーを作製して、各遺伝子座のジェノタイピングすることにより実施することができる。また、戻し交雑親のゲノム配列情報が無い場合であっても、RAPD(Random Amplified Polymorphic DNA)法、SRAP(sequence-related amplified polymorphism)法、AFLP(Amplified Fragment length polymorphism)法などのランダムPCR法を利用することにより、戻し交雑を効率的に行うことができる。その他にも、ゲノム中に散在する多数のSNPsを網羅的に解析できるよう設計されたSNPsジェノタイピング(affymetrix社製品やIllumina社製品等)を用いてもよい。
その後、選抜された後代個体から採種された種子の自殖を繰り返すことにより、より形質が安定し、発芽率、収穫量、採種量等が、農作物として安定して栽培可能な程度の炭疽病抵抗性アブラナ科植物が得られる。自殖の繰り返し回数は、1回以上であれば特に限定されるものではなく、2~3回であってもよく、3回以上であってもよい。
このようにして育成された炭疽病抵抗性アブラナ科系統は、直接的な品種としての利用のみならず、炭疽病抵抗性アブラナ科F1採種体系における親系統としても利用することができる。F1採種体系における親系統として用いる場合、一方の親系統として用いてもよく、両親系統として用いてもよい。したがって、本発明の別の態様によれば、本発明に係る炭疽病抵抗性アブラナ科植物の製造方法により得られた炭疽病抵抗性アブラナ科植物系統を、両親系統又は一方の親系統として用いる、炭疽病抵抗性アブラナ科植物F1系統の作出方法、及び炭疽病抵抗性アブラナ科植物F1種子の採種方法も提供される。
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<炭疽病接種試験>
ブラシカ・ラパ植物に対する炭疽病菌の接種試験は、下記の方法で行った。
接種には、炭疽病が発生した青果栽培圃場から採取した分離菌株を用いた。
接種個体の本葉について、以下の指標に基づき発病程度を調査し、炭疽病抵抗性を評価した。
炭疽病発病程度の評価
抵抗性:病徴が無い。又は、えそ斑点や極わずかに病斑が形成されている。
罹病性:軽微から多くの病斑が形成されている。又は、枯死している。
[実施例1]
自社保有のブラシカ・ラパ系統について、炭疽病接種試験を行い、炭疽病抵抗性系統のスクリーニングを実施した。
自社保有のブラシカ・ラパ系統について、炭疽病接種試験を行って炭疽病抵抗性系統のスクリーニングを実施したところ、2系統が炭疽病抵抗性であることを見出した。それぞれ、An1-R1系統とAn1-R2系統と名付けた。An1-R1系統、An1-R2系統、及び罹病性系統(コマツナ5系統、ハクサイ3系統、カブ2系統、ミズナ1系統、対照系統)の接種試験結果を表2に示す。
Figure 2024043696000002
罹病性系統は、ブラシカ・ラパ植物の品目・系統に関わらず、全てが罹病性であり、使用した分離菌株が、ブラシカ・ラパ植物に対して、その品目・系統にかかわらず広く炭疽病を発病させることが確認された。An1-R1系統とAn1-R2系統は、全ての個体が抵抗性であった。
次いで、An1-R1系統とAn1-R2系統の有する炭疽病抵抗性の遺伝解析のために、コマツナ罹病性系統-1~5、ハクサイ罹病性系統-1~3、カブ罹病性系統1~2、及びミズナ罹病性系系統-1について、An1-R1系統と交雑させてF1種子を得た。得られたF1種子を栽培し、炭疽病接種試験を行った。接種試験結果を表3に示す。
Figure 2024043696000003
表3に示すように、An1-R1系統との交雑により得られたF1個体は、抵抗性であり、非常にわずかな病徴しか観察されなかった。このように、罹病性親系統の品目・系統に関わらず、いずれのF1個体も炭疽病抵抗性を示したことから、An1-R1系統が有している炭疽病抵抗性は顕性であることが明らかとなった。
また、An1-R1系統に対して、前記の炭疽病接種試験で用いた炭疽病菌株以外の5種類の菌株を用いて、同様に炭疽病接種試験を行った。その結果、5種類の炭疽病菌株全てが、対照とした罹病性対照系統の個体(n=6)は全て罹病性であったのに対して、An1-R1系統では全ての個体(n=6)が炭疽病抵抗性を示した。これらの結果から、An1-R1系統が示す炭疽病抵抗性は、病原菌である炭疽病菌株の種類に関わらず、広く炭疽病抵抗性を示すことが確認された。
[実施例2]
実施例1で選抜された炭疽病抵抗性系統であるAn1-R1系統及びAn1-R2系統について、罹病性系統とのF2分離集団に対する遺伝解析を行い、An1-R1系統及びAn1-R2系統が有する炭疽病抵抗性遺伝子を同定した。
具体的には、An1-R1系統とコマツナ罹病性系統-1との交雑により得たF1を自殖して得られたF2分離集団(pop1)、An1-R1系統とハクサイ罹病性系統-1との交雑により得たF1を自殖して得られたF2分離集団(pop2)、及びAn1-R2系統とコマツナ罹病性系統-1との交雑により得たF1を自殖して得られたF2分離集団(pop3)に対して、炭疽病接種試験を行った。接種試験結果を表4~6に示す。
Figure 2024043696000004
Figure 2024043696000005
Figure 2024043696000006
表4~6に示すように、F2世代は、3つの分離集団全てにおいて、抵抗性(R)個体と罹病性(S)個体に分離しており、またその割合はおおよそR個体:S個体=2:1~3:1であった。この分離結果から、An1-R1系統及びAn1-R2系統が有する炭疽病抵抗性遺伝子は、単因子顕性として作用することがわかった。当該炭疽病抵抗性遺伝子を、An1遺伝子と名付けた。
F2分離集団のうちのF2 pop1に対して、R個体とS個体を用いた連鎖解析を行い、ゲノム中から遺伝子型と表現型が一致する領域を探索した。この結果、第1染色体(染色体A01)の3’末端に、表現型と強く連鎖する領域を発見した。当該領域にAn1遺伝子が存在していると予測された。ゲノム解析の結果、このAn1遺伝子座上予測領域に、NBS-LRRモチーフを保有する遺伝子が見つかった。NBS-LRRモチーフは、植物における耐病性に関与するタンパク質の多くが有しているモチーフであり、また、当該NBS-LRRモチーフやその周辺には、R系統とS系統間で多くの多型が存在していた。これらより、染色体A01の3’末端領域にあり、NBS-LRRモチーフを有しており、かつR系統とS系統間で多くの多型が存在していたBraA01g043300.3C遺伝子が、An1遺伝子であると予測された。
BraA01g043300.3C遺伝子上の多型が多く見られた領域に、炭疽病抵抗性と非常に連鎖するDNAマーカーを設計した。設計したDNAマーカーを表7に示す。An1-R1系統及びAn1-R2系統は、いずれも、表7に記載の3個のSNPは、An1遺伝子型をホモ接合で有していた。
Figure 2024043696000007
次いで、各F2分離集団に対して、A01-28780823で特定されるSNPをDNAマーカーとして、表現型と遺伝子型を解析した。A01-28780823の遺伝子型は、PCR-RFLP法により同定した。解析結果を表8~10に示す。表中、「遺伝子型R/R」は、A01-28780823がAn1遺伝子型(T)のホモ接合性であることを意味し、「遺伝子型H」は、A01-28780823がAn1遺伝子型(T)とリファレンス型(C)のヘテロ接合性であることを意味し、「遺伝子型S/S」は、A01-28780823がリファレンス型(C)のホモ接合性であることを意味する。
Figure 2024043696000008
Figure 2024043696000009
Figure 2024043696000010
表8~10に示すように、いずれのF2分離集団でも、A01-28780823で特定されるSNPの遺伝子型がAn1遺伝子型であるアレルを1つでも有している個体は、全て炭疽病抵抗性を示し、当該SNPの遺伝子型がリファレンス型のホモ接合性個体は、全て炭疽病罹病性であった。これらの結果から、A01-28780823で特定されるSNPの遺伝子型と炭疽病抵抗性とは、非常に強く連鎖しており、A01-28780823を含むBraA01g043300.3C遺伝子が、有力な炭疽病抵抗性候補遺伝子(An1遺伝子)であることが確認された。また、このAn1遺伝子の導入により、コマツナとハクサイのいずれの罹病性系統に対しても炭疽病抵抗性が付与できたことから、An1遺伝子は、ブラシカ・ラパ植物の品目・系統にかかわらず、炭疽病抵抗性を付与させることができる遺伝子であることが分かった。
出願人は、An1-R1系統について、その種子を、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許生物寄託センター(千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 120号室)に寄託した。An1-R1系統の寄託者が付した識別のための表示:SSC-GCC-22-001、受託番号がFERM BP-22455(寄託日:令和4年7月19日)である。
FERM BP-22455

Claims (16)

  1. 炭疽病抵抗性An1遺伝子を有しているブラシカ・ラパ植物である、炭疽病抵抗性ブラシカ・ラパ植物。
  2. 前記An1遺伝子が、ブラシカ・ラパ植物の第1染色体上のA01-27700810からA01-28843876までの範囲内に存在している遺伝子である、請求項1に記載の炭疽病抵抗性ブラシカ・ラパ植物。
  3. 第1染色体の少なくとも一方のアレルに、前記An1遺伝子を有している、請求項1に記載の炭疽病抵抗性ブラシカ・ラパ植物。
  4. 前記An1遺伝子が、ホモ接合性又はヘテロ接合性である、請求項1に記載の炭疽病抵抗性ブラシカ・ラパ植物。
  5. 第1染色体の少なくとも一方のアレルにおいて、
    A01-28780787で特定されるSNPがシトシンである、
    A01-28780823で特定されるSNPがチミンである、又は
    A01-28780856で特定されるSNPがアデニンである、請求項1に記載の炭疽病抵抗性ブラシカ・ラパ植物。
  6. 受託番号FERM BP-22455(An1-R1系統)で特定される植物由来の炭疽病抵抗性を有する、請求項1に記載の炭疽病抵抗性ブラシカ・ラパ植物。
  7. 受託番号FERM BP-22455(An1-R1系統)で特定される炭疽病抵抗性ブラシカ・ラパ植物、前記炭疽病抵抗性ブラシカ・ラパ植物を親系統として得られた雑種植物、又はそれらの後代である、炭疽病抵抗性ブラシカ・ラパ植物。
  8. 被験アブラナ科植物の第1染色体のA01-27700810からA01-28843876までの範囲内のSNPの遺伝子型を調べ、少なくとも一方のアレルにおいて、
    A01-28780787で特定されるSNPがシトシンである、
    A01-28780823で特定されるSNPがチミンである、又は
    A01-28780856で特定されるSNPがアデニンである
    場合に、当該被験アブラナ科植物が炭疽病抵抗性である可能性が高いと予測する、アブラナ科植物の炭疽病抵抗性の予測方法。
  9. 被験アブラナ科植物の第1染色体のA01-27700810からA01-28843876までの範囲内のSNPの遺伝子型を調べ、少なくとも一方のアレルにおいて、
    A01-28780787で特定されるSNPがシトシンである、
    A01-28780823で特定されるSNPがチミンである、又は
    A01-28780856で特定されるSNPがアデニンである
    場合に、当該被験アブラナ科植物を、炭疽病抵抗性アブラナ科植物として選抜する、炭疽病抵抗性アブラナ科植物のスクリーニング方法。
  10. An1遺伝子を有するアブラナ科植物と任意のアブラナ科植物とを交雑する第1交雑工程と、
    前記第1交雑工程により得られたF1個体に対して、自殖、戻し交雑、又は前記第1交雑工程において用いた親系統とは異なるアブラナ科植物との種間交雑又は種内交雑を行い、分離集団を得る第2交雑工程と、
    前記分離集団から、An1遺伝子を有するアブラナ科植物を選抜する選抜工程と、
    を有する、炭疽病抵抗性アブラナ科植物の製造方法。
  11. 前記An1遺伝子を有するアブラナ科植物が、請求項1~7のいずれか一項に記載の炭疽病抵抗性ブラシカ・ラパ植物である、請求項10に記載の炭疽病抵抗性アブラナ科植物の製造方法。
  12. 請求項1~7のいずれか一項に記載の炭疽病抵抗性ブラシカ・ラパ植物の植物体の一部。
  13. 請求項1~7のいずれか一項に記載の炭疽病抵抗性ブラシカ・ラパ植物の葉。
  14. 請求項1~7のいずれか一項に記載の炭疽病抵抗性ブラシカ・ラパ植物の種子。
  15. ブラシカ・ラパ植物のA01-28780787で特定されるSNP、A01-28780823で特定されるSNP、A01-28780856で特定されるSNP、及びこれらのSNPと遺伝的に強く連鎖しているSNPからなる群より選択される1種以上からなる、An1遺伝子を有するアブラナ科植物を選抜するためのDNAマーカー。
  16. A01-28780787で特定されるSNPの遺伝子型を識別するためのプライマーセット、
    A01-28780823で特定されるSNPの遺伝子型を識別するためのプライマーセット、及び
    A01-28780856で特定されるSNPの遺伝子型を識別するためのプライマーセットからなる群より選択される1種以上のプライマーセットを含み、
    An1遺伝子を有するアブラナ科植物を選抜するために用いられる、キット。
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