JP2024042689A - オレフィン重合用触媒およびオレフィン重合体の製造方法 - Google Patents

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Shunsuke Ashikaga
恭行 原田
Yasuyuki Harada
浩志 寺尾
Hiroshi Terao
憲司 道上
Kenji Michigami
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  • Transition And Organic Metals Composition Catalysts For Addition Polymerization (AREA)

Abstract

【課題】オレフィン重合用触媒における助触媒として有用であり、主触媒である遷移金属錯体の活性化性能に優れた、オレフィン重合用触媒等を提供すること。【解決手段】下記一般式(A)で表される第13族元素含有化合物(A)と遷移金属錯体(B)とを含むオレフィン重合用触媒。[α]γ+{β}γ-…(A)〔式中、γは1~5の整数である。[α]γ+は、式[(R1)3NH]+、[(R2)3C]+、または[(R3)3N-R4-N(R3)3]γ+で表されるカチオンである(式中、複数個のR1~R4は炭素数1~30の炭化水素基等である。)。{β}γ-は1つ以上のアニオンを表し、前記アニオンの少なくとも1つは式[MQ4]-で表されるアニオンである(式中、Mは第13族元素の原子であり、4つのQは独立してアリール基であり、4つのQのうち少なくとも1つが、塩素、臭素、及びヨウ素から選ばれるハロゲン原子を置換基として1つ以上有する。)。〕【選択図】なし

Description

本発明は、オレフィン重合用触媒における助触媒として有用な第13族元素含有化合物を用いたオレフィン重合用触媒、および当該オレフィン重合用触媒を用いたオレフィン重合体の製造方法に関する。
オレフィンの重合においては、主触媒である遷移金属錯体を活性化させるための助触媒として、ボレート化合物が広く用いられている。これらのボレート化合物は、カチオンとアニオンのイオン対から成るイオン性化合物であり、カチオンのルイス酸点もしくはブレンステッド酸点が遷移金属錯体の活性化に寄与している。
カチオンとしては、窒素原子上に1つの水素原子と、アルキル(脂肪族)基およびアリール(芳香族)基から選ばれる3つの置換基を有する第三級アンモニウムイオン、炭素原子上にアルキル基およびアリール基から選ばれる3つの置換基を有する第三級カルボニウムカチオン、これらカチオンを有する多価カチオンが広く用いられている。例えば、オレフィン重合活性の面で優れることから、窒素原子上の置換基としてアリール基を持つ第三級アンモニウムイオンのボレート化合物、脂肪族炭化水素溶媒との親和性が優れる窒素原子上にアリール基を置換基として持たない第三級トリアルキルアンモニウムイオンのボレート化合物、複数個の窒素原子同士が炭化水素基により架橋された複数個の第三級アンモニウムイオンを有する多価カチオンのボレート化合物等に関する技術が数多く報告されている(例えば、特許文献1~5)。
国際公開第1991/009882号 国際公開第2019/210026号 国際公開第2019/210030号 国際公開第1997/035893号 特開2022-069397号公報
しかしながら、従来のボレート化合物は、オレフィン重合活性の観点ではさらなる改善の余地があった。
このような従来技術に鑑み、本発明は、オレフィン重合用触媒における助触媒として有用であり、主触媒である遷移金属錯体の活性化性能にも優れた、第13族元素含有化合物を用いたオレフィン重合用触媒、および当該オレフィン重合用触媒を用いたオレフィン重合体の製造方法を提供することを目的としている。
本発明は、たとえば以下の[1]~[6]に関する。
[1]
下記一般式(A)で表される第13族元素含有化合物(A)と遷移金属錯体(B)とを含む、オレフィン重合用触媒。
[α]γ+{β}γ- …(A)
〔一般式(A)中、γは1~5の整数である。
[α]γ+は、下記一般式(α-1)、(α-2)または(α-3)で表されるカチオンである。
[(R13NH]+ …(α-1)
[(R23C]+ …(α-2)
[(R33N-R4-N(R33γ+ …(α-3)
(一般式(α-1)、(α-2)および(α-3)中、複数個のR1、R2、およびR3は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、スルファニル基、炭素数1~30の炭化水素基、ヘテロ原子含有炭化水素基、または、前記炭化水素基もしくはヘテロ原子含有炭化水素基の炭素原子の一部または全部を、ケイ素原子またはゲルマニウム原子に換えた基であり、互いに結合して環を形成してもよい。R4は、炭素数1~30の炭化水素基、またはヘテロ原子含有炭化水素基であり、R4と1個または複数個のR3とは、互いに結合して環を形成してもよい。)
{β}γ-は1つまたは2つ以上のアニオン(β)を表し、前記アニオン(β)の合計の価数はγ価である。前記アニオン(β)は、下記一般式(β-1)で表されるアニオン(β-1)もしくは、前記(β-1)以外のアニオン(β-2)である。
[MQ4- …(β-1)
(一般式(β-1)中、Mは、第13族元素の原子である。
4つのQは、独立して、アリール基であり、4つのQのうち少なくとも1つが、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子から選ばれるハロゲン原子を置換基として1つ以上有するアリール基(Q-0)である。)
前記アニオン(β)の少なくとも1つは前記アニオン(β-1)である。前記アニオン(β)は、複数個存在する場合、互いに同一であっても異なっていてもよい。〕
[2]
前記一般式(A)において、前記アリール基(Q-0)のうち少なくとも1つが、下記一般式(Q-1)で表されるアリール基である[1]に記載のオレフィン重合用触媒。
Figure 2024042689000001
〔一般式(Q-1)中、*は、前記Mへの結合を示し、複数個のXaは、独立して、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子から選ばれるハロゲン原子であり、複数個のXaのうち少なくとも1つが、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子から選ばれるハロゲン原子である。〕
[3]
前記一般式(Q-1)において、前記Mとの結合に対してメタ位に位置する2つのXaのうち少なくとも1つが、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子から選ばれるハロゲン原子である、[2]に記載のオレフィン重合用触媒。
[4]
前記一般式(Q-1)で表されるアリール基が、下記一般式(Q-1a)または(Q-1b)で表されるアリール基である、[3]に記載のオレフィン重合用触媒。
Figure 2024042689000002
〔一般式(Q-1a)および(Q-1b)中、*は、前記Mへの結合を示し、複数個のXmは、独立して、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子から選ばれるハロゲン原子である。〕
[5]
前記一般式(A)において、Mがホウ素原子である、[1]~[4]のいずれかに記載のオレフィン重合用触媒。
[6]
[1]~[5]のいずれかに記載のオレフィン重合用触媒の存在下にオレフィンを重合させる、オレフィン重合体の製造方法。
本発明によれば、オレフィン重合用触媒における助触媒として有用であり、主触媒である遷移金属錯体の活性化性能にも優れた、第13族元素含有化合物を用いたオレフィン重合用触媒、および当該オレフィン重合用触媒を用いたオレフィン重合体の製造方法が提供される。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
[オレフィン重合用触媒]
本発明のオレフィン重合用触媒は、第13族元素含有化合物(A)および遷移金属錯体(B)を含んでいる。
<第13族元素含有化合物(A)>
本発明のオレフィン重合用触媒に用いられる第13族元素含有化合物(A)(以下、単に「化合物(A)」とも記載する。)は、下記一般式(A)で表されることを特徴としている。
[α]γ+{β}γ- …(A)
〔一般式(A)中、
[α]γ+は、所定のカチオンである。
{β}γ-は、所定のアニオンである。〕
<γ>
一般式(A)において、γは1~5の整数であり、好ましくは1~3の整数であり、より好ましくは1~2の整数である。
<[α]γ+
一般式(A)において、[α]γ+は、下記一般式(α-1)、(α-2)または(α-3)で表されるカチオンである。
[(R13NH]+ …(α-1)
[(R23C]+ …(α-2)
[(R33N-R4-N(R33γ+ …(α-3)
《R1、R2、R3
一般式(α-1)、(α-2)および(α-3)において、複数個のR1、R2、およびR3は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、スルファニル基、炭素数1~30の炭化水素基、ヘテロ原子含有炭化水素基、または前記炭化水素基もしくはヘテロ原子含有炭化水素基の炭素原子の一部または全部を、ケイ素原子またはゲルマニウム原子に置換した基である。複数個のR1同士、R2同士、およびR3同士は、互いに同一であっても異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。
(ハロゲン原子)
前記ハロゲン原子の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
(炭化水素基)
前記炭化水素基の例としては、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基が挙げられる。脂環式炭化水素基は脂肪族炭化水素部を含んでいてもよく、芳香族炭化水素基は脂肪族炭化水素部および/または脂環式炭化水素部を含んでいてもよい。
前記炭化水素基は、不飽和結合を有していてもよく、有していなくてもよい。前記脂肪族炭化水素基は、直鎖状であっても、分岐を有していてもよい。
前記炭化水素基の具体例としては、
メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-オクタデシル基、n-イコシル基、iso-プロピル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、iso-ブチル基、ペンタン-2-イル基、2-メチルブチル基、iso-ペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基(1,1-ジメチルプロピル基)、シアミル基、ペンタン-3-イル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、iso-ヘキシル基、1,1-ジメチルブチル基(2-メチルペンタン-2-イル基)、3-メチルペンタン-2-イル基、4-メチルペンタン-2-イル基、2,2-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、テキシル基、3-メチルペンタン-3-イル基、3,3-ジメチルブタ-2-イル基、ヘキサン-3-イル基、2-メチルペンタン-3-イル基、ヘプタン-4-イル基、2,4-ジメチルペンタン-2-イル基、3-エチルペンタン-3-イル基、4,4-ジメチルペンチル基、4-メチルヘプタン-4-イル基、4-プロピルヘプタン-4-イル基、2,3,3-トリメチルブタン-2-イル基、2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル基(tert-オクチル基)などの炭素原子数が1~30の直鎖状または分岐状のアルキル基;
ビニル基、アリル基、プロペニル基、iso-プロペニル基、アレニル基、ブタ-3-エン-1-イル基、クロチル基、ブタ-3-エン-2-イル基、メタリル基、ブタ-1,3-ジエニル基、ペンタ-4-エン-1-イル基、ペンタ-3-エン-1-イル基、ペンタ-2-エン-1-イル基、iso-ペンテニル基、2-メチルブタ-3-エン-1-イル基、ペンタ-4-エン-2-イル基、プレニル基、2-メチル-ブタ-2-エン-1-イル基、ペンタ-3-エン-2-イル基、2-メチル-ブタ-3-エン-2-イル基、ペンタ-1-エン-3-イル基、ペンタ-2,4-ジエン-1-イル基、ペンタ-1,3-ジエン-1-イル基、ペンタ-1,4-ジエン-3-イル基、iso-プレニル基(2-メチル-ブタ-1,3-ジエン-1-イル基)、ペンタ-2,4-ジエン-2-イル基、ヘキサ-5-エン-1-イル基、ヘキサ-4-エン-1-イル基、ヘキサ-3-エン-1-イル基、ヘキサ-2-エン-1-イル基、4-メチル-ペンタ-4-エン-1-イル基、3-メチル-ペンタ-4-エン-1-イル基、2-メチル-ペンタ-4-エン-1-イル基、ヘキサ-5-エン-2-イル基、4-メチル-ペンタ-3-エン-1-イル基、3-メチル-ペンタ-3-エン-1-イル基、2,3-ジメチル-ブタ-2-エン-1-イル基、2-メチルペンタ-4-エン-2-イル基、3-エチルペンタ-1-エン-3-イル基、ヘキサ-3,5-ジエン-1-イル基、ヘキサ-2,4-ジエン-1-イル基、4-メチルペンタ-1,3-ジエン-1-イル基、2,3-ジメチル-ブタ-1,3-ジエン-1-イル基、ヘキサ-1,3,5-トリエン-1-イル基、2-(シクロペンタジエニル)プロパン-2-イル基、2-(シクロペンタジエニル)エチル基などの炭素原子数が2~30の直鎖状または分岐状のアルケニル基もしくは不飽和二重結合含有基;
エチニル基、プロパ-2-イン-1-イル基、プロパルギル基、ブタ-1-イン-1-イル基、ブタ-2-イン-1-イル基、ブタ-3-イン-1-イル基、ペンタ-1-イン-1-イル基、ペンタ-2-イン-1-イル基、ペンタ-3-イン-1-イル基、ペンタ-4-イン-1-イル基、3-メチル-ブタ-1-イン-1-イル基、ペンタ-3-イン-2-イル基、2-メチル-ブタ-3-イン-1-イル基、ペンタ-4-イン-2-イル基、ヘキサ-1-イン-1-イル基、3,3-ジメチル-ブタ-1-イン-1-イル基、2-メチル-ペンタ-3-イン-2-イル基、2,2-ジメチル-ブタ-3-イン-1-イル基、ヘキサ-4-イン-1-イル基、ヘキサ-5-イン-1-イル基などの炭素原子数が2~30の直鎖状または分岐状のアルキニル基もしくは不飽和三重結合含有基;
ベンジル基、2-メチルベンジル基、4-メチルベンジル基、2,4,6-トリメチルベンジル基、3,5-ジメチルベンジル基、クミニル基、2,4,6-トリ-iso-プロピルベンジル基、4-tert-ブチルベンジル基、3,5-ジ-tert-ブチルベンジル基、1-フェニルエチル基、ベンズヒドリル基、クミル基(2-フェニルプロパン-2-イル基)、2-(4-メチルフェニル)プロパン-2-イル基、2-(3,5-ジメチルフェニル)プロパン-2-イル基、2-(4-tert-ブチルフェニル)プロパン-2-イル基、2-(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)プロパン-2-イル基、3-フェニルペンタン-3-イル基、4-フェニルヘプタ-1,6-ジエン-4-イル基、1,2,3-トリフェニルプロパン-2-イル基、1,1-ジフェニルエチル基、1,1-ジフェニルプロピル基、1,1-ジフェニル-ブタ-3-エン-1-イル基、1,1,2-トリフェニルエチル基、トリチル基(トリフェニルメチル基)、トリ-(4-メチルフェニル)メチル基、2-フェニルエチル基、スチリル基(2-フェニルビニル基)、2-(2-メチルフェニル)エチル基、2-(4-メチルフェニル)エチル基、2-(2,4,6-トリメチルフェニル)エチル基、2-(3,5-ジメチルフェニル)エチル基、2-(2,4,6-トリ-iso-プロピルフェニル)エチル基、2-(4-tert-ブチルフェニル)エチル基、2-(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)エチル基、2-メチル-1-フェニルプロパン-2-イル基、3-フェニルプロピル基、シンナミル基(3-フェニルアリル基)、ネオフィル基(2-メチル-2-フェニルプロピル基)、3-メチル-3-フェニルブチル基、2-メチル-4-フェニルブタン-2-イル基、シクロペンタジエニルジフェニルメチル基、2-(1-インデニル)プロパン-2-イル基、(1-インデニル)ジフェニルメチル基、2-(1-インデニル)エチル基、2-(テトラヒドロ-1-インダセニル)プロパン-2-イル基、(テトラヒドロ-1-インダセニル)ジフェニルメチル基、2-(テトラヒドロ-1-インダセニル)エチル基、2-(1-ベンゾインデニル)プロパン-2-イル基、(1-ベンゾインデニル)ジフェニルメチル基、2-(1-ベンゾインデニル)エチル基、2-(9-フルオレニル)プロパン-2-イル基、(9-フルオレニル)ジフェニルメチル基、2-(9-フルオレニル)エチル基、2-(1-アズレニル)プロパン-2-イル基、(1-アズレニル)ジフェニルメチル基、2-(1-アズレニル)エチル基などの炭素原子数が7~30の芳香族含有直鎖状または分岐状アルキル基および不飽和二重結合含有基;
シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、ジメチルシクロペンタジエニル基、n-ブチルシクロペンタジエニル基、n-ブチル-メチルシクロペンタジエニル基、テトラメチルシクロペンタジエニル基、1-メチルシクロペンチル基、1-アリルシクロペンチル基、1-ベンジルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、シクロヘキサジエニル基、1-メチルシクロヘキシル基、1-アリルシクロヘキシル基、1-ベンジルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロヘプテニル基、シクロヘプタトリエニル基、1-メチルシクロヘプチル基、1-アリルシクロヘプチル基、1-ベンジルシクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロオクテニル基、シクロオクタジエニル基、シクロオクタトリエニル基、1-メチルシクロオクチル基、1-アリルシクロオクチル基、1-ベンジルシクロオクチル基、4-シクロヘキシル-tert-ブチル基、ノルボルニル基、ノルボルネニル基、ノルボルナジエニル基、2-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル基、7-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-7-イル基、ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル基、ビシクロ[2.2.2]オクタン-2-イル基、1-アダマンチル基、2-アダマンチル基、1-(2-メチルアダマンチル)、1-(3-メチルアダマンチル)、1-(4-メチルアダマンチル)、1-(2-フェニルアダマンチル)、1-(3-フェニルアダマンチル)、1-(4-フェニルアダマンチル)、1-(3,5-ジメチルアダマンチル)、1-(3,5,7-トリメチルアダマンチル)、1-(3,5,7-トリフェニルアダマンチル)、ペンタレニル基、インデニル基、フルオレニル基、インダセニル基、テトラヒドロインダセニル基、ベンゾインデニル基、アズレニル基などの炭素原子数が3~30の環状飽和および不飽和炭化水素基;
フェニル基、トリル基(o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基)、4-n-ブチルフェニル基、4-n-ペンチルフェニル基、4-n-ヘキシルフェニル基、4-n-ヘプチルフェニル基、4-n-オクチルフェニル基、4-n-ノニルフェニル基、4-n―デシルフェニル基、4-n-ウンデシルフェニル基、4-n-ドデシルフェニル基、4-n-オクタデシルフェニル基、4-iso-プロピルフェニル基、4-sec-ブチルフェニル基、4-tert-ブチルフェニル基、4-iso-ブチルフェニル基、4-iso-ペンチルフェニル基、4-ネオペンチルフェニル基、4-tert-ペンチルフェニル基、4-(ペンタン-3-イル)フェニル基、4-iso-ヘキシルフェニル基、4-(1,1-ジメチルブチル)フェニル基、4-(3,3-ジメチルブチル)フェニル基、4-テキシルフェニル基、4-(3-メチルペンタン-3-イル)フェニル基、4-(ヘプタン-4-イル)フェニル基、4-(2,4-ジメチルペンタン-2-イル)フェニル基、4-(3-エチルペンタン-3-イル)フェニル基、4-(4,4-ジメチルペンチル)フェニル基、4-(4-メチルヘプタン-4-イル)フェニル基、4-(4-プロピルヘプタン-4-イル)フェニル基、4-(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)フェニル基、4-アダマンチルフェニル基、3-n-ブチルフェニル基、3-n-ペンチルフェニル基、3-n-ヘキシルフェニル基、3-n-ヘプチルフェニル基、3-n-オクチルフェニル基、3-n-ノニルフェニル基、3-n―デシルフェニル基、3-n-ウンデシルフェニル基、3-n-ドデシルフェニル基、3-n-オクタデシルフェニル基、3-iso-プロピルフェニル基、3-sec-ブチルフェニル基、3-tert-ブチルフェニル基、3-iso-ブチルフェニル基、3-iso-ペンチルフェニル基、3-ネオペンチルフェニル基、3-tert-ペンチルフェニル基、3-(ペンタン-3-イル)フェニル基、3-iso-ヘキシルフェニル基、3-(1,1-ジメチルブチル)フェニル基、3-(3,3-ジメチルブチル)フェニル基、3-テキシルフェニル基、3-(3-メチルペンタン-3-イル)フェニル基、3-(ヘプタン-4-イル)フェニル基、3-(2,4-ジメチルペンタン-2-イル)フェニル基、3-(3-エチルペンタン-3-イル)フェニル基、3-(4,4-ジメチルペンチル)フェニル基、3-(4-メチルヘプタン-4-イル)フェニル基、3-(4-プロピルヘプタン-4-イル)フェニル基、3-(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)フェニル基、3-アダマンチルフェニル基、2-n-ブチルフェニル基、2-n-ペンチルフェニル基、2-n-ヘキシルフェニル基、2-n-ヘプチルフェニル基、2-n-オクチルフェニル基、2-n-ノニルフェニル基、2-n―デシルフェニル基、2-n-ウンデシルフェニル基、2-n-ドデシルフェニル基、2-n-オクタデシルフェニル基、2-iso-プロピルフェニル基、2-sec-ブチルフェニル基、2-tert-ブチルフェニル基、2-iso-ブチルフェニル基、2-iso-ペンチルフェニル基、2-ネオペンチルフェニル基、2-tert-ペンチルフェニル基、2-(ペンタン-3-イル)フェニル基、2-iso-ヘキシルフェニル基、2-(1,1-ジメチルブチル)フェニル基、2-(3,3-ジメチルブチル)フェニル基、2-テキシルフェニル基、2-(3-メチルペンタン-3-イル)フェニル基、2-(ヘプタン-4-イル)フェニル基、2-(2,4-ジメチルペンタン-2-イル)フェニル基、2-(3-エチルペンタン-3-イル)フェニル基、2-(4,4-ジメチルペンチル)フェニル基、2-(4-メチルヘプタン-4-イル)フェニル基、2-(4-プロピルヘプタン-4-イル)フェニル基、2-(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)フェニル基、2-アダマンチルフェニル基、キシリル基(2,3-ジメチルフェニル基、2,4-ジメチルフェニル基、2,5-ジメチルフェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、3,4-ジメチルフェニル基、3,5-ジメチルフェニル基)、3,5-ジ-tert-ブチルフェニル基、3,5-ジ-n-オクチルフェニル基、3,5-ジ-n-ドデシルフェニル基、3,5-ジ-n-オクタデシルフェニル基、3,5-ジ(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)フェニル基、3,5-ジアダマンチルフェニル基、メシチル基、クメニル基、ジュリル基、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル基、2,4,6-トリ-iso-プロピルフェニル基、アリルフェニル基、(ブタ-3-エン-1-イル)フェニル基、(ブタ-2-エン-1-イル)フェニル基、メタリルフェニル基、プレニルフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、terフェニル基、ビナフチル基、アセナフタレニル基、フェナントリル基、アントラセニル基、ピレニル基、フェロセニル基などの炭素原子数が6~30の芳香族置換基などが挙げられる。
前記炭素原子数が1~30の直鎖状または分岐状のアルキル基の中でも、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-オクタデシル基、iso-プロピル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、iso-ブチル基、iso-ペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、ペンタン-3-イル基、iso-ヘキシル基、1,1-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、テキシル基、3-メチルペンタン-3-イル基、ヘプタン-4-イル基、2,4-ジメチルペンタン-2-イル基、3-エチルペンタン-3-イル基、4,4-ジメチルペンチル基、4-メチルヘプタン-4-イル基、4-プロピルヘプタン-4-イル基、2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル基などが好ましく、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ドデシル基、n-オクタデシル基、iso-プロピル基、tert-ブチル基、ネオペンチル基、2,4-ジメチルペンタン-2-イル基、2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル基、tert-オクチル基などの炭素数1~20の炭化水素基がより好ましい。炭化水素基の炭素数が少なくなると、化合物(A)は、触媒成分として炭化水素媒体中で使用する際に、炭化水素媒体との親和性が低くなり、触媒の固定化および活性化性能が向上する傾向にある。
前記炭素原子数が2~30の直鎖状または分岐状のアルケニル基もしくは不飽和二重結合含有基の中でも、ビニル基、アリル基、ブタ-3-エン-1-イル基、クロチル基、メタリル基、ペンタ-4-エン-1-イル基、プレニル基、ペンタ-1,4-ジエン-3-イル基、ヘキサ-5-エン-1-イル基、2-メチルペンタ-4-エン-2-イル基、2-(シクロペンタジエニル)プロパン-2-イル基、2-(シクロペンタジエニル)エチル基などが好ましく、ビニル基、アリル基、ブタ-3-エン-1-イル基、ペンタ-4-エン-1-イル基、プレニル基、ヘキサ-5-エン-1-イル基がより好ましい。
前記炭素原子数が2~30の直鎖状または分岐状のアルキニル基もしくは不飽和三重結合含有基の中でも、エチニル基、プロパ-2-イン-1-イル基、プロパルギル基、ブタ-2-イン-1-イル基、ブタ-3-イン-1-イル基、ペンタ-3-イン-1-イル基、ペンタ-4-イン-1-イル基、3-メチル-ブタ-1-イン-1-イル基、3,3-ジメチル-ブタ-1-イン-1-イル基、ヘキサ-4-イン-1-イル基、ヘキサ-5-イン-1-イル基などが好ましく、プロパ-2-イン-1-イル基、プロパルギル基、ブタ-2-イン-1-イル基、ブタ-3-イン-1-イル基がより好ましい。
前記炭素原子数が7~30の芳香族含有直鎖状または分岐状のアルキル基および不飽和二重結合含有基の中でも、ベンジル基、2-メチルベンジル基、4-メチルベンジル基、2,4,6-トリメチルベンジル基、3,5-ジメチルベンジル基、クミニル基、2,4,6-トリ-iso-プロピルベンジル基、4-tert-ブチルベンジル基、3,5-ジ-tert-ブチルベンジル基、ベンズヒドリル基、クミル基、1,1-ジフェニルエチル基、トリチル基、2-フェニルエチル基、2-(4-メチルフェニル)エチル基、2-(2,4,6-トリメチルフェニル)エチル基、2-(3,5-ジメチルフェニル)エチル基、2-(2,4,6-トリ-iso-プロピルフェニル)エチル基、2-(4-tert-ブチルフェニル)エチル基、2-(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)エチル基、スチリル基、2-メチル-1-フェニルプロパン-2-イル基、3-フェニルプロピル基、シンナミル基、ネオフィル基、シクロペンタジエニルジフェニルメチル基、2-(1-インデニル)プロパン-2-イル基、(1-インデニル)ジフェニルメチル基、2-(1-インデニル)エチル基、2-(9-フルオレニル)プロパン-2-イル基、(9-フルオレニル)ジフェニルメチル基、2-(9-フルオレニル)エチル基などが好ましく、ベンジル基、ベンズヒドリル基、クミル基、1,1-ジフェニルエチル基、トリチル基、2-フェニルエチル基、3-フェニルプロピル基、シンナミル基がより好ましい。
前記炭素原子数が3~30の環状飽和および不飽和炭化水素基の中でも、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、1-メチルシクロペンチル基、1-アリルシクロペンチル基、1-ベンジルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、1-メチルシクロヘキシル基、1-アリルシクロヘキシル基、1-ベンジルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロヘプテニル基、シクロヘプタトリエニル基、1-メチルシクロヘプチル基、1-アリルシクロヘプチル基、1-ベンジルシクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロオクテニル基、シクロオクタジエニル基、4-シクロヘキシル-tert-ブチル基、ノルボルニル基、2-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル基、ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル基、1-アダマンチル基、2-アダマンチル基、ペンタレニル基、インデニル基、フルオレニル基などが好ましく、シクロペンチル基、シクロペンテニル基、1-メチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、1-メチルシクロヘキシル基、1-アダマンチル基がより好ましい。
前記炭素原子数が6~30の芳香族置換基の中でも、フェニル基、トリル基、4-n-ヘキシルフェニル基、4-n-ヘプチルフェニル基、4-n-オクチルフェニル基、4-n―デシルフェニル基、4-n-ドデシルフェニル基、4-n-オクタデシルフェニル基4-tert-ブチルフェニル基、4-(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)フェニル基、4-アダマンチルフェニル基、3-n-ヘキシルフェニル基、3-n-ヘプチルフェニル基、3-n-オクチルフェニル基、3-n―デシルフェニル基、3-n-ドデシルフェニル基、3-n-オクタデシルフェニル基、3-tert-ブチルフェニル基、3-(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)フェニル基、3-アダマンチルフェニル基、キシリル基、3,5-ジ-tert-ブチルフェニル基、3,5-ジ-n-オクチルフェニル基、3,5-ジ-n-ドデシルフェニル基、3,5-ジ-n-オクタデシルフェニル基、3,5-ジ(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)フェニル基、3,5-ジアダマンチルフェニル基、メシチル基、クメニル基、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル基、2,4,6-トリ-iso-プロピルフェニル基、アリルフェニル基、プレニルフェニル基、4-アダマンチルフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、テルフェニル基、ビナフチル基、フェナントリル基、アントラセニル基、フェロセニル基などが好ましく、フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル基、2,4,6-トリ-iso-プロピルフェニル基、4-tert-ブチルフェニル基、3,5-ジ-tert-ブチルフェニル基、4-(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)フェニル基、アリルフェニル基、4-アダマンチルフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基がより好ましい。
(ヘテロ原子含有炭化水素基)
前記ヘテロ原子含有炭化水素基の一つの例としては、前記炭化水素基中の水素原子の一部または全部を、ハロゲン原子またはヘテロ原子含有基に置き換えたものが挙げられる。
前記ヘテロ原子含有基の例としては、酸素含有基、窒素含有基、硫黄含有基、リン含有基が挙げられる。
前記ハロゲン原子に置き換えたものとしては、例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリブロモメチル基、トリヨードメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタクロロエチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基、ノナクロロブチル基、4,4,4-トリフルオロブチル基、ドデカフルオロヘキシル基、6,6,6-トリフルオロヘキシル基、クロロフェニル基、フルオロフェニル基、ブロモフェニル基、ヨードフェニル基、ジフルオロフェニル基、トリフルオロフェニル基、テトラフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、ペンタクロロフェニル基、ペンタブロモフェニル基、ペンタヨードフェニル基、ビス(トリメチルシリル)トリフルオロフェニル基、ビス(トリイソプロピルシリル)トリフルオロフェニル基、ビス(tert-ブチルジメチルシリル)トリフルオロフェニル基、ジ-tert-ブチル-フルオロフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ジ-tert-ブチル-フルオロフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ビストリフルオロメチルフェニル基、ビス(トリフルオロメチル)フルオロフェニル基、ビス(トリフルオロメチル)トリフルオロフェニル基、ペンタフルオロベンジル基、トリフルオロメトキシフェニル基、ビストリフルオロメトキシフェニル基、トリフルオロメチルチオフェニル基、ビストリフルオロメチルチオフェニル基、フルオロビフェニル基、ジフルオロビフェニル基、トリフルオロビフェニル基、テトラフルオロビフェニル基、ペンタフルオロビフェニル基、パーフルオロビフェニル-2-イル基、パーフルオロビフェニル-3-イル基、ジ-tert-ブチル-フルオロビフェニル基、トリフルオロメチルビフェニル基、ビストリフルオロメチルビフェニル基、トリフルオロメトキシビフェニル基、ビストリフルオロメトキシビフェニル基、トリフルオロメチルジメチルシリル基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、フルオロフェノキシ基、ジフルオロフェノキシ基、トリフルオロフェノキシ基、ペンタフルオロフェノキシ基、ジ-tert-ブチル-フルオロフェノキシ基、トリフルオロメチルフェノキシ基、ビストリフルオロメチルフェノキシ基、トリフルオロメトキシフェノキシ基、ビストリフルオロメトキシフェノキシ基、ジフルオロメチレンジオキシフェニル基、ビストリフルオロメチルフェニルイミノメチル基、トリフルオロメチルチオ基、α-パーフルオロナフチル基、β-パーフルオロナフチル基が挙げられる。
前記ハロゲン原子に置き換えたものの中でも、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、4,4,4-トリフルオロブチル基、フルオロフェニル基、ジフルオロフェニル基、トリフルオロフェニル基、テトラフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ビストリフルオロメチルフェニル基、トリフルオロメトキシフェニル基、ペンタフルオロビフェニル基、トリフルオロメチルビフェニル基、ビストリフルオロメチルビフェニル基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロフェノキシ基、ビストリフルオロメチルフェノキシ基、ビストリフルオロメチルフェノキシ基、ジフルオロメチレンジオキシフェニル基、トリフルオロメチルチオ基が好ましく、トリフルオロメチル基、フルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ビストリフルオロメチルフェニル基、ペンタフルオロビフェニル基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロフェノキシ基がより好ましい。
前記酸素含有基としては、例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシドデシル基、2-ヒドロキシオクタデシル基、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、iso-プロポキシ基、アリルオキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、iso-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、メタリルオキシ基、プレニルオキシ基、オクチルオキシ基、tert-オクチルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、ベンジルオキシ基、メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、フェノキシ基、ナフトキシ基、トルイルオキシ基、iso-プロピルフェノキシ基、アリルフェノキシ基、tert-ブチルフェノキシ基、メトキシフェノキシ基、iso-プロポキシフェノキシ基、アリルオキシフェノキシ基、ビフェニルオキシ基、ビナフチルオキシ基、メトキシメチル基、アリルオキシメチル基、ベンジルオキシメチル基、フェノキシメチル基、メトキシエチル基、アリルオキシエチル基、ベンジルオキシエチル基、フェノキシエチル基、メトキシプロピル基、アリルオキシプロピル基、ベンジルオキシプロピル基、フェノキシプロピル基、メトキシビニル基、アリルオキシビニル基、ベンジルオキシビニル基、フェノキシビニル基、メトキシアリル基、アリルオキシアリル基、ベンジルオキシアリル基、フェノキシアリル基、ジメトキシメチル基、ジ-iso-プロポキシメチル基、ジオキソラニル基、テトラメチルジオキソラニル基、ジオキサニル基、メトキシフェニル基、iso-プロポキシフェニル基、アリルオキシフェニル基、フェノキシフェニル基、メチレンジオキシフェニル基、3,5-ジメチル-4-メトキシフェニル基、3,5-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェニル基、フリル基、メチルフリル基、テトラヒドロフリル基、ピラニル基、テトラヒドロピラニル基、フロフリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基が挙げられる。
前記酸素含有基の中でも、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシドデシル基、2-ヒドロキシオクタデシル基、メトキシ基、エトキシ基、iso-プロポキシ基、アリルオキシ基、n-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、プレニルオキシ基、オクチルオキシ基、tert-オクチルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、ベンジルオキシ基、フェノキシ基、ナフトキシ基、トルイルオキシ基、iso-プロピルフェノキシ基、アリルフェノキシ基、tert-ブチルフェノキシ基、メトキシフェノキシ基、ビフェニルオキシ基、ビナフチルオキシ基、アリルオキシメチル基、ベンジルオキシメチル基、フェノキシメチル基、メトキシエチル基、メトキシメトキシ基、2-メトキシエトキシ基、2-エトキシエトキシ基、2-(2-エトキシエトキシ)エトキシ基、メトキシアリル基、ベンジルオキシアリル基、フェノキシアリル基、ジメトキシメチル基、ジオキソラニル基、テトラメチルジオキソラニル基、ジオキサニル基、ジメチルジオキサニル基、メトキシフェニル基、iso-プロポキシフェニル基、アリルオキシフェニル基、フェノキシフェニル基、メチレンジオキシフェニル基、3,5-ジメチル-4-メトキシフェニル基、3,5-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェニル基、フリル基、メチルフリル基、テトラヒドロピラニル基、フロフリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基等などが好ましく、ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシドデシル基、2-ヒドロキシオクタデシル基、メトキシ基、iso-プロポキシ基、tert-ブトキシ基、アリルオキシ基、フェノキシ基、ジメトキシメチル基、ジオキソラニル基、メトキシフェニル基、iso-プロポキシフェニル基、アリルオキシフェニル基、フェノキシフェニル基、3,5-ジメチル-4-メトキシフェニル基、3,5-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェニル基、フリル基、メチルフリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基がより好ましい。
前記窒素含有基としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、アリルアミノ基、ジアリルアミノ基、N,N-ジヘキシルアミノ基、N,N-ジデシルアミノ基、N,N-ジドデシルアミノ基、N,N-ジオクタデシルアミノ基、ベンジルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、モリホリル基、アゼピニル基、ジメチルアミノメチル基、ジベンジルアミノメチル基、ピロリジニルメチル基、ジメチルアミノエチル基、ベンジルアミノメチル基、ベンジルアミノエチル基、ピロリジニルエチル基、ジメチルアミノビニル基、ベンジルアミノビニル基、ピロリジニルビニル基、ジメチルアミノプロピル基、ベンジルアミノプロピル基、ピロリジニルプロピル基、ジメチルアミノアリル基、ベンジルアミノアリル基、ピロリジニルアリル基、アミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、3,5-ジメチル-4-ジメチルアミノフェニル基、3,5-ジ-iso-プロピル-4-ジメチルアミノフェニル基、ジュロリジニル基、テトラメチルジュロリジニル基、ピロリジニルフェニル基、ピロリルフェニル基、ピリジルフェニル基、キノリルフェニル基、イソキノリルフェニル基、インドリニルフェニル基、インドリルフェニル基、カルバゾリルフェニル基、ジ-tert-ブチルカルバゾリルフェニル基、ピロリル基、メチルピロリル基、フェニルピロリル基、ピリジル基、キノリル基、テトラヒドロキノリル基、iso-キノリル基、テトラヒドロ-iso-キノリル基、インドリル基、インドリニル基、カルバゾリル基、ジ-tert-ブチルカルバゾリル基、イミダゾリル基、ジメチルイミダゾリジニル基、ベンゾイミダソリル基、オキサゾリル基、オキサゾリジニル基、ベンゾオキサゾリル基が挙げられる。
前記窒素含有基の中でも、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、アリルアミノ基、ベンジルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、モルホリル基、ジメチルアミノメチル基、ベンジルアミノメチル基、ピロリジニルメチル基、ジメチルアミノエチル基、ピロリジニルエチル基、ジメチルアミノプロピル基、ピロリジニルプロピル基、ジメチルアミノアリル基、ピロリジニルアリル基、アミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、3,5-ジメチル-4-ジメチルアミノフェニル基、3,5-ジ-iso-プロピル-4-ジメチルアミノフェニル基、ジュロリジニル基、テトラメチルジュロリジニル基、ピロリジニルフェニル基、ピロリルフェニル基、カルバゾリルフェニル基、ジ-tert-ブチルカルバゾリルフェニル基、ピロリル基、ピリジル基、キノリル基、テトラヒドロキノリル基、iso-キノリル基、テトラヒドロ-iso-キノリル基、インドリル基、インドリニル基、カルバゾリル基、ジ-tert-ブチルカルバゾリル基、イミダゾリル基、ジメチルイミダゾリジニル基、ベンゾイミダソリル基、オキサゾリル基、オキサゾリジニル基、ベンゾオキサゾリル基などが好ましく、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ピロリジニル基、ジメチルアミノフェニル基、3,5-ジメチル-4-ジメチルアミノフェニル基、3,5-ジ-iso-プロピル-4-ジメチルアミノフェニル基、ジュロリジニル基、テトラメチルジュロリジニル基、ピロリジニルフェニル基、ピロリル基、ピリジル基、カルバゾリル基、イミダゾリル基がより好ましい。
前記硫黄含有基としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、ベンジルチオ基、フェニルチオ基、ナフチルチオ基、メチルチオメチル基、ベンジルチオメチル基、フェニルチオメチル基、ナフチルチオメチル基、メチルチオエチル基、ベンジルチオエチル基、フェニルチオエチル基、ナフチルチオエチル基、メチルチオビニル基、ベンジルチオビニル基、フェニルチオビニル基、ナフチルチオビニル基、メチルチオプロピル基、ベンジルチオプロピル基、フェニルチオプロピル基、ナフチルチオプロピル基、メチルチオアリル基、ベンジルチオアリル基、フェニルチオアリル基、ナフチルチオアリル基、メルカプトフェニル基、メチルチオフェニル基、チエニルフェニル基、メチルチエニルフェニル基、ベンゾチエニルフェニル基、ジベンゾチエニルフェニル基、ベンゾジチエニルフェニル基、チエニル基、テトラヒドロチエニル基、メチルチエニル基、チエノフリル基、チエノチエニル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、チエノベンゾフリル基、ベンゾジチエニル基、ジチオラニル基、ジチアニル基、オキサチオラニル基、オキサチアニル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、チアゾリジニル基が挙げられる。
前記硫黄含有基の中でも、チエニル基、メチルチエニル基、チエノフリル基、チエノチエニル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、チエノベンゾフリル基、ベンゾジチエニル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基が好ましい。
前記リン含有基としては、例えば、ジメチルホスフィノ基、ジエチルホスフィノ基、ジ-n-プロピルホスフィノ基、ジイソプロピルホスフィノ基、ジシクロペンチルホスフィノ基、ジシクロへキシルホスフィノ基、ジ(メチルシクロへキシル)ホスフィノ基、ジ-n-ブチルホスフィノ基、ジ-sec-ブチルホスフィノ基、ジ-tert-ブチルホスフィノ基、エチルデシルホスフィノ基、ジウンデシルホスフィノ基、ジドデシルホスフィノ基、メチルドデシルホスフィノ基、ジオクタデシルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、ジ(o-トリル)ホスフィノ基、ジ(m-トリル)ホスフィノ基、ジ(p-トリル)ホスフィノ基、ジ(ペンタフルオロフェニル)ホスフィノ基、ジ(トリフルオロメチル)ホスフィノ基などが挙げられる。
前記リン含有基の中でも、ジオクタデシルホスフィノ基、ジ(ペンタフルオロフェニル)ホスフィノ基が好ましい。
前記ヘテロ原子含有炭化水素基の他の例としては、前記炭化水素基においてメチレン基の一部を-CO-、-CH(OH)-、-NR-、-PR-、-P(O)(R)-(Rは、水素原子または炭化水素基(炭素数は例えば1~10である。)である。)、-O-、-S-、または-SO2-で表される構造に置き換えた基、前記炭化水素基においてメチン基の一部を窒素原子、リン原子、または≡SiHで表される構造に置き換えた基(ただし、一般式(α-1)、(α-2)および(α-3)で表されるカチオンが有する炭素数が30以下となる範囲で選択される。)が挙げられる。
前記ヘテロ原子含有炭化水素基の他の例としては、さらに、ヘテロ原子を有するポリマーから2つの水素原子を除去した残基が挙げられ、このようなポリマーの例としては、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンイミン、ポリアミドなどが挙げられる。
前記ヘテロ原子含有炭化水素基に含まれるヘテロ原子(好ましくは、窒素原子)の一部または全部には、プロトンが配位結合していてもよい。
(前記炭化水素基およびヘテロ原子含有炭化水素基の炭素原子の一部または全部を、ケイ素原子およびゲルマニウム原子に換えた基)
上記置換基としては、例えば、シリル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ-iso-プロピルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、tert-ブチルジフェニルシリル基、トリフェニルシリル基、トリス(トリメチルシリル)シリル基、シクロペンタジエニルジメチルシリル基、ジ-n-ブチル(シクロペンタジエニル)シリル基、シクロペンタジエニルジフェニルシリル基、インデニルジメチルシリル基、ジ-n-ブチル(インデニル)シリル基、インデニルジフェニルシリル基、フルオレニルジメチルシリル基、ジ-n-ブチル(フルオレニル)シリル基、フルオレニルジフェニルシリル基、4-トリメチルシリルフェニル基、4-トリエチルシリルフェニル基、4-トリ-iso-プロピルシリルフェニル基、4-tert-ブチルジフェニルシリルフェニル基、4-トリフェニルシリルフェニル基、4-トリス(トリメチルシリル)シリルフェニル基、3,5-ビス(トリメチルシリル)フェニル基、トリメチルゲルミル基、トリエチルゲルミル基、tert-ブチルジメチルゲルミル基、4-トリメチルゲルミルフェニル基、4-トリエチルゲルミルフェニル基、4-トリ-iso-プロピルゲルミルフェニル基、3,5-ビス(トリメチルゲルミル)フェニル基が挙げられる。
前記置換基の中でも、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ-iso-プロピルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、トリフルオロシリル基がより好ましい。
《R4
一般式(α-3)において、R4は、炭素数1~30の炭化水素基、またはヘテロ原子含有炭化水素基である。R4と1個または複数個のR3とは、互いに結合して環を形成してもよい。
(炭化水素基)
前記炭化水素基の例としては、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基が挙げられる。脂環式炭化水素基は脂肪族炭化水素部を含んでいてもよく、芳香族炭化水素基は脂肪族炭化水素部および/または脂環式炭化水素部を含んでいてもよい。
前記炭化水素基は、不飽和結合を有していてもよく、有していなくてもよい。前記脂肪族炭化水素基は、直鎖状であっても、分岐を有していてもよい。
飽和脂肪族炭化水素基の例としては、メチレン基;およびエチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、2-メチルプロピレン基、ペンタメチレン基、2-メチルブチレン基、2-エチルプロピレン基、ヘキサメチレン基、2-エチルブチレン基、ヘプタメチレン基、2-エチルペンチレン基、2-メチルへキシレン基、オクタメチレン基、2-エチルへキシレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、テトラデカメチレン基、ヘキサデカメチレン基、オクタデカメチレン基、2-エチルオクタデセン基、イコセン基等のアルキレン基が挙げられる。
アルキレン基の炭素数は2~30、より好ましくは2~20、さらに好ましくは2~6である。
不飽和脂肪族炭化水素基の例としては、上述したアルキレン基において炭素-炭素単結合の一部または全部を二重結合に置き換えたもの、たとえば、-CH=CH-、-CH2CH=CH-、-CH2CH2CH=CH-、-CH2CH=CHCH2-、-CH2C(CH3)=CH-、-CH2-C(=CH2)-CH2-、-CH(CH2CH3)-CH2CH2CH=CH-、-CH2CH2CH=CH-CH=CH-、-CH2CH=CH-CH(CH3)-CH=CH-CH2-で表される基が挙げられる。
脂環式炭化水素基は、単環であっても多環であってもよく、その例としては、シクロプロピレン基、シクロブタン-1,2-ジイル基、シクロブタン-1,3-ジイル基、シクロペンタン-1,2-ジイル基、シクロペンタン‐1,3-ジイル基、シクロヘキサン-1,2-ジイル基、シクロヘキサン-1,3-ジイル基、シクロヘキサン-1,4-ジイル基、3-シクロヘキセン-1,2-ジイル基、2,5-シクロヘキサジエン-1,4-ジイル基、シクロヘプタン-1,4-ジイル基、シクロオクタン-1,4-ジイル基、スピロ[3,4]オクタン-2,7-ジイル基、スピロ[4,5]デカ-1,6-ジエン-3,9-ジイル基が挙げられ、さらに脂肪族炭化水素部を有する基の例として下式で表される基が挙げられる。
Figure 2024042689000003
脂環式炭化水素基の炭素数は3~30、より好ましくは3~20、さらに好ましくは3~6である。
芳香族炭化水素基は、単環であっても多環であってもよく、その例としては、o-フェニレン基、p-フェニレン基、m-フェニレン基、1,5-ナフチレン基、2,6-ナフチレン基、2,7-ナフチレン基、ビフェニル-4,4’ジイル基、1,5-アントリレン基、2,6-アントリレン基、o-テルフェニル-4,4”-ジイル基、p-テルフェニル-4,4”-ジイル基、m-テルフェニル-4,4”-ジイル基、2,7-フェナントリレン基、1,6-ピレニレン基が挙げられ、さらに脂肪族炭化水素部を有する基の例として下式で表される基が挙げられる。
Figure 2024042689000004
芳香族炭化水素基の炭素数は6~30、より好ましくは6~20、さらに好ましくは6である。
(ヘテロ原子含有炭化水素基)
前記ヘテロ原子含有炭化水素基の一つの例としては、前記炭化水素基中の水素原子の一部または全部を、ハロゲン原子またはヘテロ原子含有基に置き換えたものが挙げられる。
前記ヘテロ原子含有基の例としては、ケイ素含有基、酸素含有基、窒素含有基、硫黄含有基が挙げられ、好ましくは窒素含有基である。
前記ハロゲン原子またはヘテロ原子含有基に置き換えたものとしては、上述したR1~R3におけるヘテロ原子含有炭化水素基の具体例と同様のものが挙げられる。
前記ヘテロ原子含有炭化水素基の他の例としては、前記炭化水素基においてメチレン基の一部を-CO-、-CH(OH)-、-NR-、-PR-、-P(O)(R)-(Rは、水素原子または炭化水素基(炭素数は例えば1~10である。)である。)、-O-、-S-、または-SO2-で表される構造に置き換えた基、および前記炭化水素基においてメチン基の一部を窒素原子、リン原子、または≡SiHで表される構造に置き換えた基(ただし、一般式(α-3)で表されるカチオンの有する炭素数が30以下となる範囲で選択される。)が挙げられる。
前記ヘテロ原子含有炭化水素基に含まれるヘテロ原子(好ましくは、窒素原子)の一部または全部には、[α]γ+の価数γが前記範囲となる範囲でプロトンが配位結合していてもよい。
《[α]γ+の例示》
[α]γ+の具体例としては、下記式で表されるカチオンが挙げられる。
Figure 2024042689000005
<{β}γ-
一般式(A)において、{β}γ-は前記[α]γ+の対となるアニオンを表し、{β}γ-は1つまたは2つ以上のアニオン(β)を表し、前記アニオン(β)の合計の価数はγ価である。前記アニオン(β)は、下記一般式(β-1)で表されるアニオン(β-1)もしくは、前記(β-1)以外のアニオン(β-2)である。
[MQ4- …(β-1)
前記アニオン(β)の少なくとも1つは前記アニオン(β-1)である。前記アニオン(β)が複数個存在する場合には、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
〔アニオン(β-1)〕
《M》
Mは第13族元素の原子を表す。第13族元素の原子の例としては、ホウ素原子(B)、アルミニウム原子(Al)、ガリウム原子(Ga)、インジウム原子(In)、およびタリウム原子(Tl)が挙げられ、好ましくはホウ素原子およびアルミニウム原子であり、より好ましくはホウ素原子である。
《Q》
4つのQは、独立して、アリール基であり、4つのQのうち少なくとも1つが、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子から選ばれるハロゲン原子を置換基として1つ以上有するアリール基(Q-0)である。好ましくは、4つのQがいずれも、独立して、前記アリール基(Q-0)である。製造または入手容易性等の観点から、4つのQはいずれも、同一の前記アリール基(Q-0)であることがより好ましい。
(アリール基)
前記アリール基の例としては、前記炭素原子数6~30の芳香族炭化水素基、および前記芳香族炭化水素基中の水素原子の一部または全部を、ハロゲン原子またはヘテロ原子含有基に置き換えたものと同様のものが挙げられ、好ましくは炭素原子数6~20、より好ましくは6~14、さらに好ましくは6~10のアリール基である。
前記塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子から選ばれるハロゲン原子を置換基として1つ以上有するアリール基(Q-0)の例としては、前述した「前記芳香族炭化水素基中の水素原子の一部または全部をハロゲン原子またはヘテロ原子含有基に置き換えたもの」のうち、少なくとも1つの水素原子をハロゲン原子に置き換えたものであり、かつ、置き換えたハロゲン原子の少なくとも1つが、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子から選ばれるハロゲン原子であるものが挙げられる。
前記アリール基(Q-0)の具体例としては、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、ヨードフェニル基、ジクロロフェニル基、ジブロモフェニル基、ジヨードフェニル基、トリクロロフェニル基、トリブロモフェニル基、トリヨードフェニル基、テトラクロロフェニル基、テトラブロモフェニル基、テトラヨードフェニル基、ペンタクロロフェニル基、ペンタブロモフェニル基、ペンタヨードフェニル基、クロロテトラフルオロフェニル基、ブロモテトラフルオロフェニル基、ヨードテトラフルオロフェニル基、ジクロロトリフルオロフェニル基、ジブロモトリフルオロフェニル基、ジヨードトリフルオロフェニル基、クロロナフチル基、ブロモナフチル基、ヨードナフチル基、α-パークロロナフチル基、β-パークロロナフチル基、3,5-ビス(クロロテトラフルオロフェニル)-2,4,6-トリフルオロフェニル基、3,5-ビス(ブロモテトラフルオロフェニル)-2,4,6-トリフルオロフェニル基、3,5-ビス(ヨードテトラフルオロフェニル)-2,4,6-トリフルオロフェニル基、3,5-ビス(ペンタクロロフェニル)-2,4,6-トリフルオロフェニル基、4-(クロロテトラフルオロフェニル)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル基、4-(ブロモテトラフルオロフェニル)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル基、4-(ヨードテトラフルオロフェニル)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル基が挙げられる。
化合物(A)は、前記アリール基(Q-0)のうち少なくとも1つが、下記一般式(Q-1)で表されるアリール基(Q-1)であることが好ましく、前記アリール基(Q-0)がいずれも独立して前記アリール基(Q-1)であることがより好ましく、前記アリール基(Q-0)がいずれも同一の前記アリール基(Q-1)であることがさらに好ましい。
Figure 2024042689000006
前記一般式(Q-1)中、*は、[MQ4-中の第13族元素の原子Mへの結合を示す。
一般式(Q-1)において、複数個のXaは、独立して、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子から選ばれるハロゲン原子であり、かつ複数個のXaのうち少なくとも1つが、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子から選ばれるハロゲン原子である。また、一般式(Q-1)において、前記Mとの結合に対してメタ位(3または5位)に位置する2つのXaのうち少なくとも1つが、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子から選ばれるハロゲン原子であることが好ましい。
前記アリール基(Q-1)の具体例としては、クロロテトラフルオロフェニル基、ブロモテトラフルオロフェニル基、ヨードテトラフルオロフェニル基、ジクロロトリフルオロフェニル基、ジブロモトリフルオロフェニル基、ジヨードトリフルオロフェニル基、トリクロロジフルオロフェニル基、トリブロモジフルオロフェニル基、トリヨードジフルオロフェニル基、テトラクロロフルオロフェニル基、テトラブロモフルオロフェニル基、テトラヨードフルオロフェニル基、ペンタクロロフェニル基、ペンタブロモフェニル基、ペンタヨードフェニル基、クロロブロモトリフルオロフェニル基、クロロヨードトリフルオロフェニル基、ブロモヨードトリフルオロフェニル基、クロロブロモヨードジフルオロフェニル基が挙げられる。
前記一般式(Q-1)で表されるアリール基として、好ましくは下記一般式(Q-1a)または(Q-1b)で表されるアリール基である。
Figure 2024042689000007
前記一般式(Q-1a)および(Q-1b)中、*は、[MQ4-中の第13族元素の原子Mへの結合を示し、複数個のXmは、独立して、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子から選ばれるハロゲン原子である。
前記一般式(Q-1a)または(Q-1b)で表されるアリール基の具体例としては、3-クロロテトラフルオロフェニル基、3-ブロモテトラフルオロフェニル基、3-ヨードテトラフルオロフェニル基、3,5-ジクロロ-2,4,6-トリフルオロ基、3,5-ジブロモ-2,4,6-トリフルオロ基、3,5-ジヨード-2,4,6-トリフルオロ基、3-クロロ-5-ブロモ-2,4,6-トリフルオロフェニル基、3-クロロ-5-ヨード-2,4,6-トリフルオロフェニル基、3-ブロモ-5-ヨード-2,4,6-トリフルオロフェニル基が挙げられる。
前記一般式(Q-1)で表されるアリール基として、より好ましくは、前記一般式(Q-1a)および(Q-1b)において、Xmが塩素原子である。
《アニオン(β-1)の例示》
アニオン(β-1)の具体例としては、テトラキス(3-クロロテトラフルオロフェニル)ボレートイオン、テトラキス(3-ブロモテトラフルオロフェニル)ボレートイオン、テトラキス(3-ヨードテトラフルオロフェニル)ボレートイオン、テトラキス(3,5-ジクロロ-2,4,6-トリフルオロフェニル)ボレートイオン、テトラキス(3,5-ジブロモ-2,4,6-トリフルオロフェニル)ボレートイオン、テトラキス(3,5-ジヨード-2,4,6-トリフルオロフェニル)ボレートイオン、トリス(ペンタフルオロフェニル)(ペンタクロロフェニル)ボレートイオン、トリス(3,5-ジクロロ-2,4,6-トリフルオロフェニル)(ペンタフルオロフェニル)ボレートイオン、トリス(3,5-ジクロロ-2,4,6-トリフルオロフェニル)(α―パーフルオロナフチル)ボレートイオン、ビス(3,5-ジブロモ-2,4,6-トリフルオロフェニル)ビス(ペンタフルオロフェニル)ボレートイオン、トリス(3,5-ジクロロ-2,4,6-トリフルオロフェニル)(3,5-ビス(ペンタフルオロフェニル)ボレートイオン、ビス(3,5-ジブロモ-2,4,6-トリフルオロフェニル)ビス(ペンタフルオロフェニル)ボレートイオン、トリス(3,5-ジクロロ-2,4,6-トリフルオロフェニル)(4-トリメチルシリルフェニル)ボレートイオン、トリス(3,5-ジクロロ-2,4,6-トリフルオロフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレートイオン、トリス(3,5-ジクロロ-2,4,6-トリフルオロフェニル)(4-(4'-ヒドロキシフェニル)フェニル)ボレートイオン、トリス(3,5-ジクロロ-2,4,6-トリフルオロフェニル)(6-ヒドロキシ-2-ナフチル)ボレートイオン、トリス(3,5-ジクロロ-2,4,6-トリフルオロ)(4-ヒドロキシフェニルフェニル)ボレートイオン、およびこれらのアニオン中のホウ素原子を上述した他の第13族元素の原子に換えたものが挙げられる。
これらの中では、テトラキス(3,5-ジクロロ-2,4,6-トリフルオロフェニル)ボレートイオンが好ましい。
〔アニオン(β-1)以外の以外のアニオン(β-2)〕
アニオン(β-2)としては、アニオン(β-1)以外のアニオン、すなわちテトラキスペンタフルオロフェニルボレートイオン、テトラキス(α―パーフルオロナフチルボレート)ボレートイオン、テトラキス(β―パーフルオロナフチルボレート)ボレートイオン、カルボン酸イオン、安息香酸イオン、アミド、硫酸エステルイオン、スルホン酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、リン酸エステルイオン、ホスホン酸イオン、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオンなどが挙げられ、テトラキスペンタフルオロフェニルボレートイオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、塩化物イオンが好ましい。
<第13族元素含有化合物(A)の具体例>
化合物(A)の具体例としては、下記式(A-1)~(A-6)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2024042689000008
Figure 2024042689000009
前記式(A-5)で表される化合物は、2つのアニオン(β)(1つのアニオン(β-1)と1つのアニオン(β-2)(塩化物イオン))を有し、その合計の価数は2である。前記式(A-6)で表される化合物は、3つのアニオン(β)(1つのアニオン(β-1)と2つのアニオン(β-2)(テトラキスペンタフルオロフェニルボレートイオンとヘキサフルオロリン酸イオン)を有し、その合計の価数は3である。
<第13族元素含有化合物(A)の製造方法>
化合物(A)の製造方法の例としては、米国特許出願公開第2019/0330392号明細書、米国特許第5493056号明細書、および欧州特許0426637号に記載の方法などを利用した方法が挙げられる。具体的には、化合物(A)は、主に以下のような方法で製造することができる。
前記カチオン[α]γ+を包含する化合物([α]γ+を包含する塩酸塩、[α]γ+を包含する塩化物等)と、前記アニオン{β}γ-を包含する塩(リチウムボレート塩、ナトリウムアルミネート塩等)とを溶媒(シクロヘキサン、ジクロロメタン、メチルシクロヘキサン等)中で混合することで、目的の第13族元素含有化合物(化合物(A))と副生成物のアルカリ金属塩化物を合成でき、後者を濾過により除去することで化合物(A)を単離可能である。
前記カチオン[α]γ+を包含する化合物は、従来公知の方法で合成・単離してもよく、市販品を使用してもよい。例えば、上記一般式(α-1)で表されるカチオンの場合、[(R13NH]+から1個のプロトンを除去した構造を有するアミンを溶媒(ジクロロメタン、ジエチルエーテル、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、トルエン等)に溶解させ、1当量以上の塩化水素を添加することで塩酸塩を合成する。得られた塩酸塩は、濾過により単離する。
<遷移金属錯体(B)>
遷移金属錯体(B)としては、特に制限はなく、たとえば従来公知のオレフィン重合用触媒に用いられる遷移金属錯体が挙げられる。
前記遷移金属錯体(B)の例としては、下記一般式(B1)で表される化合物(非架橋型メタロセン化合物)、一般式(B2)で表される化合物(架橋型メタロセン化合物)、および一般式(B3)で表される化合物(ハーフメタロセン化合物)から選ばれる少なくとも1種のメタロセン化合物が挙げられる。
Figure 2024042689000010
一般式(B1)~(B3)中、Mは周期表第4族または第5族の原子を示す。Mの具体例としては、チタン原子、ジルコニウム原子、ハフニウム原子、バナジウム原子、ニオブ原子、タンタル原子が挙げられ、好ましくはチタン原子、ジルコニウム原子、ハフニウム原子が挙げられる。
一般式(B1)~(B3)中、Qはハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基(すなわち、前記炭化水素基が有する少なくとも一つの水素原子がハロゲン原子で置換された基)、中性の共役もしくは非共役ジエン、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子を示す。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
炭化水素基としては、例えば、炭素原子数1~30、好ましくは1~20、さらに好ましくは1~10の直鎖状または分岐状の脂肪族炭化水素基;炭素原子数3~30、好ましくは3~20、さらに好ましくは3~10の脂環族炭化水素基;炭素原子数6~30、好ましくは6~20、さらに好ましくは6~10の芳香族炭化水素基が挙げられる。
脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、ネオペンチル基、1,1-ジメチルプロピル基、1,1-ジエチルプロピル基、1-エチル-1-メチルプロピル基、1,1,2,2-テトラメチルプロピル基、1,1-ジメチルブチル基、1,1,3-トリメチルブチル基などの炭素原子数1~30、好ましくは1~20、さらに好ましくは1~10の直鎖状または分岐状のアルキル基;ビニル基、アリル基、イソプロペニル基などの炭素原子数2~30、好ましくは2~20、さらに好ましくは2~10の直鎖状または分岐状のアルケニル基;エチニル基、プロパルギル基などの炭素原子数2~30、好ましくは2~20、さらに好ましくは2~10の直鎖状または分岐状のアルキニル基が挙げられる。
脂環族炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1-メチル-1-シクロヘキシル基、アダマンチル基などの炭素原子数3~30、好ましくは3~20、さらに好ましくは3~10の環状飽和炭化水素基;シクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基などの炭素原子数5~30の環状不飽和炭化水素基が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基などの炭素原子数6~30、好ましくは6~20、さらに好ましくは6~10の非置換アリール基;トリル基、ジメチルフェニル基、イソプロピルフェニル基、t-ブチルフェニル基、ジ-t-ブチルフェニル基などのアルキル基置換アリール基などのアリール基が挙げられる。
炭化水素基は、少なくとも一つの水素原子が他の炭化水素基で置換されていてもよい。少なくとも一つの水素原子が他の炭化水素基で置換された炭化水素基としては、例えば、ベンジル基、クミル基などのアリール基置換アルキル基、シクロヘキシルメチル基などの環状飽和炭化水素基置換アルキル基が挙げられる。
ハロゲン化炭化水素基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロフェニル基、クロロフェニル基などの炭素原子数1~30、好ましくは1~20、さらに好ましくは1~10のハロゲン化炭化水素基が挙げられる。
中性の共役または非共役ジエンとしては、例えば、炭素原子数4~20の中性の共役または非共役ジエンが挙げられる。具体的には、s-シス-またはs-トランス-η4-1,3-ブタジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-1,4-ジフェニル-1,3-ブタジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-3-メチル-1,3-ペンタジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-1,4-ジベンジル-1,3-ブタジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-2,4-ヘキサジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-1,3-ペンタジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-1,4-ジトリル-1,3-ブタジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-1,4-ビス(トリメチルシリル)-1,3-ブタジエンが挙げられる。
アニオン配位子としては、例えば、メトキシ、tert-ブトキシなどのアルコキシ基;フェノキシなどのアリーロキシ基;アセテート、ベンゾエートなどのカルボキシレート基;メシレート、トシレートなどのスルホネート基;トリ(tert-ブチル)ホスフィンイミド、トリアダマンチルホスフィンイミドなどのホスフィンイミド基が挙げられる。
孤立電子対で配位可能な中性配位子としては、例えば、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィンなどの有機リン化合物;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、1,2-ジメトキシエタンなどのエーテル類が挙げられる。
一般式(B1)~(B3)中、jは1~4の整数、好ましくは2~4の整数、さらに好ましくは2または3を示す。jが2以上の整数の場合は複数あるQはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
一般式(B1)および(B2)中、Cp1およびCp2は、互いに同一でも異なっていてもよく、Mと共にサンドイッチ構造を形成することができるシクロペンタジエニル基または置換シクロペンタジエニル基を示す。置換シクロペンタジエニル基とは、シクロペンタジエニル基が有する少なくとも1つの水素原子が置換基で置換された基である。
置換シクロペンタジエニル基における置換基としては、例えば、炭化水素基(好ましくは炭素原子数1~20の炭化水素基、以下「炭化水素基(f1)」として参照することがある。)またはケイ素含有基(好ましくは炭素原子数1~20のケイ素含有基、以下「ケイ素含有基(f2)」として参照することがある。)が挙げられる。その他、置換シクロペンタジエニル基における置換基としては、ハロゲン化炭化水素基、酸素含有基、窒素含有基などのヘテロ原子含有基(ケイ素含有基(f2)を除く)を挙げることもできる。
炭化水素基(f1)としては、好ましくは炭素原子数1~20の炭化水素基であり、例えば、直鎖状または分岐状の炭化水素基(例:アルキル基、アルケニル基、アルキニル基)、環状飽和炭化水素基(例:シクロアルキル基)、環状不飽和炭化水素基(例:アリール基)が挙げられる。炭化水素基(f1)としては、前記例示の基のうち互いに隣接する炭素原子に結合した任意の二つの水素原子が同時に置換されて脂環または芳香環を形成している基も含む。
炭化水素基(f1)としては、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デカニル基、アリル(allyl)基などの直鎖状の脂肪族炭化水素基;イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、アミル基、3-メチルペンチル基、ネオペンチル基、1,1-ジエチルプロピル基、1,1-ジメチルブチル基、1-メチル-1-プロピルブチル基、1,1-プロピルブチル基、1,1-ジメチル-2-メチルプロピル基、1-メチル-1-イソプロピル-2-メチルプロピル基などの分岐状の脂肪族炭化水素基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基などの環状飽和炭化水素基;フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基などの環状不飽和炭化水素基およびこれらの各アルキル置換体;ベンジル基、クミル基などの、飽和炭化水素基が有する少なくとも1つの水素原子がアリール基で置換された基が挙げられる。
ケイ素含有基(f2)としては、好ましくは炭素原子数1~20のケイ素含有基であり、例えば、シクロペンタジエニル基の環炭素にケイ素原子が直接共有結合している基が挙げられ、具体的には、アルキルシリル基(例:トリメチルシリル基)、アリールシリル基(例:トリフェニルシリル基)が挙げられる。
ヘテロ原子含有基(ケイ素含有基(f2)を除く)としては、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、N-メチルアミノ基、トリフルオロメチル基、トリブロモメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基が挙げられる。
炭化水素基(f1)の中でも、炭素原子数1~20の直鎖状または分岐状の脂肪族炭化水素基、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、ネオペンチル基などが好適な例として挙げられる。
置換シクロペンタジエニル基としては、インデニル基、フルオレニル基、アズレニル基、およびこれらが有する一つ以上の水素原子が上記炭化水素基で置換された基(互いに隣接する炭素原子に結合した任意の二つの水素原子が同時に置換されて脂環または芳香環を形成している基も含む。)も包含し、インデニル基、フルオレニル基、アズレニル基の場合はシクロペンタジエニル基に縮合する不飽和環の二重結合の一部または全部が水添されていてもよい。
一般式(B2)中、Yは炭素原子数1~30の2価の炭化水素基、炭素原子数1~20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-Ge-、-Sn-、-NRa-、-P(Ra)-、-P(O)(Ra)-、-BRa-または-AlRa-を示す。ただし、Raは炭素原子数1~20の炭化水素基、炭素原子数1~20のハロゲン化炭化水素基、水素原子、ハロゲン原子または窒素原子に炭素原子数1~20の炭化水素基が1個または2個結合した窒素化合物残基(-NRHまたは-NR2;Rは炭素原子数1~20の炭化水素基)である。
一般式(B2)で表されるメタロセン化合物としては、さらに国際公開第01/27124号パンフレットに開示されているような、下記一般式(B2a)で表される架橋型メタロセン化合物(以下「架橋型メタロセン化合物(B2a)」ともいう。)が挙げられる。
Figure 2024042689000011
架橋型メタロセン化合物(B2a)は、構造上、次の特徴[m1]~[m3]を備える。[m1]二つの配位子のうち、一つは置換基を有していてもよいシクロペンタジエニル基であり、他の一つは置換基を有していてもよいフルオレニル基である。[m2]二つの配位子が、炭素原子またはケイ素原子からなる共有結合架橋部(以下「架橋部」ともいう。)によって結合されている。[m3]メタロセン化合物を構成する遷移金属(M)が周期表第4族の原子、具体的には、チタン原子、ジルコニウム原子またはハフニウム原子である。
以下、架橋型メタロセン化合物(B2a)が有する、シクロペンタジエニル基、フルオレニル基、架橋部およびその他特徴について、順次説明する。
(シクロペンタジエニル基)
一般式(B2a)中、R1、R2、R3およびR4はそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基またはケイ素含有基以外のヘテロ原子含有基を示し、水素原子、炭化水素基またはケイ素含有基が好ましく、隣接する二つの基同士は互いに結合して環を形成していてもよい。
例えば、R1、R2、R3およびR4は全て水素原子であるか、またはR1、R2、R3およびR4のいずれか一つ以上が炭化水素基(好ましくは炭素原子数1~20の炭化水素基)またはケイ素含有基(好ましくは炭素原子数1~20のケイ素含有基)である。その他、ハロゲン化炭化水素基、酸素含有基、窒素含有基などのヘテロ原子含有基を挙げることもできる。
1、R2、R3およびR4のうちの二つ以上が水素原子以外の置換基である場合は、前記置換基は互いに同一でも異なっていてもよく;R1、R2、R3およびR4のうちの隣接する二つの基同士は互いに結合して脂環または芳香環を形成していてもよい。
1~R4における炭化水素基の例示および好ましい基としては、上記置換シクロペンタジエニル基の箇所にて定義した炭化水素基(f1)が挙げられる。R1~R4におけるケイ素含有基の例示および好ましい基としては、上記置換シクロペンタジエニル基の箇所にて定義したケイ素含有基(f2)が挙げられる。R1~R4におけるヘテロ原子含有基としては、上記置換シクロペンタジエニル基の箇所にて例示した基が挙げられる。
(フルオレニル基)
一般式(B2a)中、R5、R8、R9およびR12はそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基またはケイ素含有基以外のヘテロ原子含有基を示し、水素原子、炭化水素基またはケイ素含有基が好ましい。R6およびR11は水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基およびケイ素含有基以外のヘテロ原子含有基から選ばれる同一の原子または同一の基であり、水素原子、炭化水素基およびケイ素含有基が好ましく;R7およびR10は水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基およびケイ素含有基以外のヘテロ原子含有基から選ばれる同一の原子または同一の基であり、水素原子、炭化水素基およびケイ素含有基が好ましく;R6およびR7は互いに結合して環を形成していてもよく、R10およびR11は互いに結合して環を形成していてもよい。
重合活性の視点からみるとR6およびR11がいずれも水素原子ではないか、R7およびR10がいずれも水素原子ではないことが好ましく、R6、R7、R10およびR11がいずれも水素原子ではないことがさらに好ましい。また、R6およびR11が炭化水素基およびケイ素含有基から選ばれる同一の基であるか、R7およびR10が炭化水素基およびケイ素含有基から選ばれる同一の基であることが特に好ましい。さらに、R6およびR7が互いに結合して脂環または芳香環を形成し、R10およびR11が互いに結合して脂環または芳香環を形成していることがもっとも好ましい。
5~R12における炭化水素基の例示および好ましい基としては、上記置換シクロペンタジエニル基の箇所にて定義した炭化水素基(f1)が挙げられる。R5~R12におけるケイ素含有基の例示および好ましい基としては、上記置換シクロペンタジエニル基の箇所にて定義したケイ素含有基(f2)が挙げられる。R5~R12におけるヘテロ原子含有基としては、上記置換シクロペンタジエニル基の箇所にて例示した基が挙げられる。
6およびR7(R10およびR11)が互いに結合して脂環または芳香環を形成した場合の置換フルオレニル基としては、後述する一般式[I]~[V]で表される化合物に由来する構造の基が好適な例として挙げられる。
(架橋部)
一般式(B2a)中、R13およびR14はそれぞれ独立にアルキル基またはアリール基を示し、Yは炭素原子またはケイ素原子を示す。架橋部の架橋原子Yに、互いに同一でも異なっていてもよいアルキル基またはアリール基[R13およびR14]が結合していることである。さらに、R13およびR14が互いに結合して環構造を形成してもよい。
アルキル基としては上記置換シクロペンタジエニル基の箇所にて定義した炭化水素基(f1)が挙げられる。R13およびR14が互いに結合した環構造としてはY1が炭素原子の場合、シクロヘキシル基やシクロペンチル基等が挙げられる。アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基およびこれらが有する芳香族水素(sp2型水素)の一つ以上が置換基で置換された基が挙げられる。置換基としては、上記置換シクロペンタジエニル基の箇所にて定義した炭化水素基(f1)およびケイ素含有基(f2)や、ハロゲン原子およびハロゲン化炭化水素基が挙げられる。
アリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ビフェニル基などの炭素原子数6~14、好ましくは6~10の非置換アリール基;トリル基、ジメチルフェニル基、イソプロピルフェニル基、n-ブチルフェニル基、t-ブチルフェニル基などのアルキル基置換アリール基;シクロヘキシルフェニル基などのシクロアルキル基置換アリール基;クロロフェニル基、ブロモフェニル基、ジクロロフェニル基、ジブロモフェニル基などのハロゲン化アリール基;(トリフルオロメチル)フェニル基、ビス(トリフルオロメチル)フェニル基などのハロゲン化アルキル基置換アリール基;p-メトキシフェニル基などの酸素含有基置換アリール基が挙げられる。置換基の位置は、メタ位および/またはパラ位が好ましい。これらの中でも、置換基がメタ位および/またはパラ位に位置する置換フェニル基がさらに好ましい。
〔架橋型メタロセン化合物のその他の特徴〕
一般式(B2a)中、Qはハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、炭素原子数4~20の中性の共役もしくは非共役ジエン、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子を示し、jは1~4の整数を示し、jが2以上の整数の場合は複数あるQはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
Qにおけるハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、炭素原子数4~20の中性の共役もしくは非共役ジエン、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子としては、前記一般式(B1)~(B3)中におけるQで挙げた原子または基と同様の原子または基を挙げることができる。
以下に架橋型メタロセン化合物(B2a)の具体例を示すが、特にこれによって本発明の範囲が限定されるものではない。なお、例示化合物中、オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニルとは式[I]で示される構造の化合物に由来する基を指し、オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニルとは式[II]で示される構造の化合物に由来する基を指し、ジベンゾフルオレニルとは式[III]で示される構造の化合物に由来する基を指し、1,1',3,6,8,8'-ヘキサメチル-2,7-ジヒドロジシクロペンタフルオレニルとは式[IV]で示される構造の化合物に由来する基を指し、1,3,3',6,6',8-ヘキサメチル-2,7-ジヒドロジシクロペンタフルオレニルとは式[V]で示される構造の化合物に由来する基を指し、テトラメチルドデカヒドロジベンゾフルオレニルとは式[VI]で示される構造の化合物に由来する基を指す。
Figure 2024042689000012
一般式(B1)または(B2)(例えば、(B2a))で表されるメタロセン化合物の具体例としては、国際公開第2013/161833号の[0078]~[0079]に挙げられた化合物、国際公開第2014/123212号の[0259]~[0262]に挙げられた化合物が挙げられる。
前記架橋型メタロセン化合物(B2)の好ましい例として、下記一般式(B2b)で表される化合物(B2b)も挙げられる。
Figure 2024042689000013
(R1からR16
一般式(B2b)中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15およびR16はそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、ヘテロ原子含有炭化水素基またはケイ素含有基であり、R1からR16までの置換基のうち、任意の2つの置換基は互いに結合して環を形成していてもよい。
1~R16における炭化水素基、ヘテロ原子含有炭化水素基およびケイ素含有基としては、上述した一般式(B2a)におけるR1~R14として例示した炭化水素基、ヘテロ原子含有炭化水素基およびケイ素含有基が挙げられる。
1~R16までの置換基のうち、隣接した2つの置換基(例:R1とR2、R2とR3、R4とR6、R4とR7、R5とR6、R5とR7、R6とR8、R7とR8、R9とR10、R10とR11、R11とR12、R13とR14、R14とR15、R15とR16)が互いに結合して環を形成していてもよく、R4およびR5が互いに結合して環を形成していてもよく、R6およびR7が互いに結合して環を形成していてもよく、R1およびR8が互いに結合して環を形成していてもよく、R3およびR4が互いに結合して環を形成していてもよく、R3およびR5が互いに結合して環を形成していてもよい。前記環形成は、分子中に2箇所以上存在してもよい。
本明細書において、2つの置換基が互いに結合して形成された環(付加的な環)としては、例えば、脂環、芳香環、ヘテロ環が挙げられる。具体的には、シクロヘキサン環;ベンゼン環;水素化ベンゼン環;シクロペンテン環;フラン環、チオフェン環等のヘテロ環およびこれに対応する水素化ヘテロ環が挙げられ、好ましくはシクロヘキサン環;ベンゼン環および水素化ベンゼン環である。また、このような環構造は、環上にアルキル基等の置換基をさらに有していてもよい。
1およびR3は、水素原子であることが好ましい。
2は、炭化水素基、ヘテロ原子含有炭化水素基またはケイ素含有基であることが好ましく、炭化水素基であることがさらに好ましく、炭素数1~20の炭化水素基であることがより好ましく、アリール基ではないことがさらに好ましく、直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基または環状飽和炭化水素基であることがとりわけ好ましく、遊離原子価を有する炭素(シクロペンタジエニル環に結合する炭素)が3級炭素である置換基であることが特に好ましい。
2としては、具体的には、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、tert-ペンチル基、tert-アミル基、1-メチルシクロヘキシル基、1-アダマンチル基が例示でき、より好ましくはtert-ブチル基、tert-ペンチル基、1-メチルシクロヘキシル基、1-アダマンチル基等の遊離原子価を有する炭素が3級炭素である置換基であり、特に好ましくは1-アダマンチル基、tert-ブチル基である。
4は、前記遷移金属錯体(B)を下記一般式(B2b')で表した場合に、水素原子であることが好ましい形態の一つである。
Figure 2024042689000014
この場合、前記遷移金属錯体(B)は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、一般式(B2b')で表される遷移金属錯体の全ての鏡像異性体、例えば下記一般式(B2b")で表される遷移金属錯体を包含する。
Figure 2024042689000015
一般式(B2b')および(B2b")の表記において、MQj部分が紙面手前に、架橋部が紙面奥側に存在するものとする。すなわち、これらの遷移金属錯体では、シクロペンタジエン環のα位(架橋部位が置換した炭素原子を基準とする)に、中心金属側に向いた水素原子(R4)が存在する。
一方、上述した一般式(B2b)においては、MQj部分および架橋部が紙面手前に存在するのか、紙面奥側に存在するかは特定されていない。すなわち一般式(B2b)で表される化合物(B2b)は、特定の構造の遷移金属錯体とその鏡像異性体とを包含している。
4、R5、R6およびR7から選ばれる少なくとも1つは、炭化水素基、ヘテロ原子含有炭化水素基またはケイ素含有基であることが好ましく、R4およびR5が水素原子または炭化水素基であることがより好ましく、R5が直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基等のアルキル基、シクロアルキル基またはシクロアルケニル基であることがさらに好ましく、炭素数1~10のアルキル基であることがとりわけ好ましい。また、合成上の観点からはR4およびR5が共にアルキル基であることも好ましい形態の一つであり、炭素数1~10のアルキル基が特に好ましい。また同様に合成上の観点からは、R6およびR7は水素原子であることも好ましい。R5およびR7が互いに結合して環を形成していることがより好ましく、当該環がシクロヘキサン環等の6員環であることが特に好ましい。
8は、炭化水素基であることが好ましく、メチル基等のアルキル基であることが特に好ましい。
一般式(B2b)において、フルオレン環部分は公知のフルオレン誘導体から得られる構造であれば特に制限されない。R9、R12、R13およびR16は、好ましくは水素原子である。
10、R11、R14およびR15は、好ましくは水素原子、炭化水素基、酸素原子含有炭化水素基または窒素原子含有炭化水素基であり、より好ましくは炭化水素基であり、さらに好ましくは炭素数1~20の炭化水素基であり、たとえば、2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル基、3,6-ジ-tert-ブチルフルオレニル基、2,7-ジフェニル-3,6-ジ-tert-ブチルフルオレニル基が挙げられ、特に好ましくは2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル基である。
10とR11が互いに結合して環を形成し、かつR14とR15が互いに結合して環を形成していてもよい。このような置換フルオレニル基としては、例えば、ベンゾフルオレニル基、ジベンゾフルオレニル基、オクタヒドロジベンゾフルオレニル基、1,1,4,4,7,7,10,10-オクタメチル-1,2,3,4,7,8,9,10-オクタヒドロ-12H-ジベンゾ[b,h]フルオレニル基(前記式[I]で示されるオクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル基)、1,1,3,3,6,6,8,8-オクタメチル-2,3,6,7,8,10-ヘキサヒドロ-1H-ジシクロペンタ[b,h]フルオレニル基、1',1',3',6',8',8'-ヘキサメチル-1'H,8'H-ジシクロペンタ[b,h]フルオレニル基、4,4,7,7-テトラメチル-1,2,3,4,7,8,9,10-ドデカヒドロ-12H-ジベンゾ[b,h]フルオレニル基(前記式[VI]で示されるテトラメチルドデカヒドロジベンゾフルオレニル基)が挙げられ、特に好ましくは1,1,4,4,7,7,10,10-オクタメチル-1,2,3,4,7,8,9,10-オクタヒドロ-12H-ジベンゾ[b,h]フルオレニル基(前記式[I]で示されるオクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル基)、4,4,7,7-テトラメチル-1,2,3,4,7,8,9,10-ドデカヒドロ-12H-ジベンゾ[b,h]フルオレニル基(前記式[VI]で示されるテトラメチルドデカヒドロジベンゾフルオレニル基)が挙げられる。
(M、Q、j)
一般式(B2b)において、Mは、第4族遷移金属であり、好ましくはTi、ZrまたはHfであり、より好ましくはZrまたはHfであり、特に好ましくはZrである。
Qはハロゲン原子、炭化水素基、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子である。
Qにおけるハロゲン原子、炭化水素基、アニオン配位子および孤立電子対で配位可能な中性配位子としては、上述した一般式(B2a)におけるハロゲン原子、炭化水素基、アニオン配位子および孤立電子対で配位可能な中性配位子として例示したものが挙げられる。
jは1~4の整数であり、好ましくは2である。jが2以上の整数であるとき、Qは同一または異なる組合せで選んでもよい。
前記化合物(B2b)の具体例としては、国際公開第2006/68308号の第11~15頁に列挙された化合物、国際公開第2014/50816号の[0075]-[0086]に列挙された化合物、特開2008/045008号公報の[0072]-[0084]に列挙された化合物が挙げられる。
一般式(B1)~(B3)で表されるメタロセン化合物としては、より具体的には、下記一般式(B1-1)、(B2-1)~(B2-3)、(B3-1)で表されるメタロセン化合物がより好ましい。
Figure 2024042689000016
前記遷移金属錯体(B)としては、特開平11-315109号公報、特開2000-239312号公報、国際公開第2001/55231号、Chemical Review誌2011年111巻2363-2449項に記載されているような下記一般式(B4)で表される化合物(B4)も挙げられる。
Figure 2024042689000017
一般式(B4)中、Mは周期律表第4~10族の遷移金属原子を示し、
mは、1~6の整数を示し、
19~R24は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、
また、mが2以上の場合にはR19~R24で示される基のうち2個の基が連結されていてもよく、
nは、Mの価数を満たす数であり、
Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。
具体的には、ビス{N-(5-アダマンチル-3-メチルサリチリデン)-2-メチルシクロヘキシルアミナト}ジルコニウム(IV)ジクロリド、ビス{N-(3-tert-ブチルサリチリデン)-2,3,4,5,6-ペンタフルオロアニリナト}チタニウム(IV)ジクロリドなどが例示できる。
前記遷移金属錯体(B)としては、国際公開第2009/5003号、特開2011-178682号公報、特開2011-195584号公報に記載されているような下記一般式(B5)で表される化合物(B5)も挙げられる。
Figure 2024042689000018
一般式(B5)中、R25~R30は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうち2個以上が互いに連結していてもよい。また、R25はZと連結していてもよい。
Mは、周期律表第3~10族から選ばれる遷移金属原子を示す。
nはMの原子価を示す。
Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、Xで示される原子や基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される基は互いに結合して環を形成してもよい。
Yは、酸素原子、窒素原子、リン原子または硫黄原子を示す。
Zは、置換基を有していてもよい炭化水素基またはヘテロ環式化合物残基を示し、YとNとを結ぶ最短結合数は4~6である。
YとZとを結ぶ結合は二重結合もしくは三重結合であってもよく、YとR25とを結ぶ結合は二重結合もしくは三重結合であってもよい。また式中、点線表示は配位結合を示す。
一般式(B5)で表される化合物(B5)としては、トリクロロ{6-[(2'-メトキシ-κO1-ビフェニル-2-イル)イミノ-κN1-メチル]-4-メチル-2-(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン-1-イル)フェノラト}チタン(IV)が挙げられる。
前記遷移金属錯体(B)としては、例えば、米国特許第5272236号明細書等に記載されている下記一般式(B6)で表される化合物(B6)も挙げられる。
11n …(B6)
一般式(B6)中、M1は、周期表第4族またはランタニド系列の金属であり、
1は、非局在化π結合基の誘導体であり、金属M1活性サイトに拘束幾何形状を付与しており、
Xは、それぞれ独立に水素、ハロゲン、または炭素数1~20の炭化水素基、シリル基もしくはゲルミル基である。
nは1~2の整数であり、Mの価数およびXの種類に応じて、化合物(B6)全体として電気的に中性になるように選択される。
前記化合物(B6)の中でも、下記一般式(B6a)で示される化合物が好ましい。
Figure 2024042689000019
一般式(B6a)中、M1はチタン、ジルコニウムまたはハフニウムであり、Xは、上記と同様である。CpはM1にπ結合しており、かつ置換基Zを有する置換シクロペンタジエニル基である。Zは酸素、イオウ、ホウ素または周期表第14族の元素(たとえばケイ素、ゲルマニウムまたは錫)であり、Yは窒素、リン、酸素またはイオウを含む配位子であり、ZとYとで縮合環を形成してもよい。
一般式(B6a)で示される化合物の具体例としては、[ジメチル(t-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)シラン]チタンジクロリド等の、特表2017-511396の[0062]に記載された化合物、ならびにこれらの化合物において、チタンを、ジルコニウム、またはハフニウムに置き換えた化合物、およびこれらの化合物において上記式(B6a)中の2つのXを1つの共役または非共役ジエン(たとえば、s-シス-またはs-トランス-η4-1,3-ペンタジエン)に置き換えた化合物が挙げられる。
遷移金属錯体(B)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<化合物(C)>
本発明のオレフィン重合用触媒は、好ましくは以下の化合物(C)を含む。
化合物(C)(以下「成分(C)」と記載することもある。)は、
(C-1)有機金属化合物(以下「成分(C-1)」ともいう。)、好ましくは下記一般式(C-1a)で表される有機アルミニウム化合物(C-1a)、下記一般式(C-1b)で表される第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物(C-1b)、または下記一般式(C-1c)で表される第2族または第12族金属のジアルキル化合物(C-1c)、
a mAl(ORb)npq … (C-1a)
〔一般式(C-1a)中、RaおよびRbは、炭素原子数が1~15の炭化水素基を示し、互いに同一でも異なっていてもよく、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=3である。〕
aAlRa 4 … (C-1b)
〔一般式(C-1b)中、MaはLi、NaまたはKを示し、Raは炭素原子数が1~15(好ましくは1~4)の炭化水素基を示す。〕
a rbb st … (C-1c)
〔一般式(C-1c)中、RaおよびRbは、炭素原子数が1~15の炭化水素基を示し、互いに同一でも異なっていてもよく、Mbは、Mg、ZnおよびCdから選ばれ、Xはハロゲン原子を示し、rは0<r≦2、sは0≦s≦1、tは0≦t≦1であり、かつr+s+t=2である。〕、および
(C-2)有機アルミニウムオキシ化合物(以下「成分(C-2)」ともいう。)からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である。
《有機金属化合物(C-1)》
有機アルミニウム化合物(C-1a)としては、
トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ-n-ブチルアルミニウム、トリ-n-ヘキシルアルミニウム、トリ-n-オクチルアルミニウムなどのトリ-n-アルキルアルミニウム、
トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリsec-ブチルアルミニウム、トリ-t-ブチルアルミニウム、トリ-2-メチルブチルアルミニウム、トリ-3-メチルヘキシルアルミニウム、トリ-2-エチルヘキシルアルミニウムなどのトリ分岐状アルキルアルミニウム、
トリシクロヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウムなどのトリシクロアルキルアルミニウム、
トリフェニルアルミニウム、トリ(4-メチルフェニル)アルミニウムなどのトリアリールアルミニウム、
ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソプロピルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのジアルキルアルミニウムハイドライド、
一般式(i-C49)xAly(C510)z(式中、x、y、zは正の数であり、z≦2xである。)で表されるイソプレニルアルミニウムなどのアルケニルアルミニウム、
イソブチルアルミニウムメトキシド、イソブチルアルミニウムエトキシドなどのアルキルアルミニウムアルコキシド、
ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド、
エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシドなどのアルキルアルミニウムセスキアルコキシド、
一般式Ra 2.5Al(ORb)0.5などで表される平均組成を有する部分的にアルコキシ化されたアルキルアルミニウム、
ジエチルアルミニウムフェノキシド、ジエチルアルミニウム(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノキシド)などのアルキルアルミニウムアリーロキシド、
ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウムクロリドなどのジアルキルアルミニウムハライド、
エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド、
エチルアルミニウムジクロリドなどのアルキルアルミニウムジハライドなどの部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム、
エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリドなどのアルキルアルミニウムジヒドリドおよびその他の部分的に水素化されたアルキルアルミニウム、
エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミドなどの部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウムなどを例示することができる。また、上記一般式Ra mAl(ORb)npqで表される化合物に類似する化合物も使用することができ、例えば窒素原子を介して2以上のアルミニウム化合物が結合した有機アルミニウム化合物を挙げることができる。このような化合物として具体的には、(C25)2AlN(C25)Al(C25)2などを挙げることができる。
第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物(C-1b)としては、例えば、LiAl(C25)4、LiAl(C715)4が挙げられる。
第2族または第12族金属のジアルキル化合物(C-1c)としては、例えば、ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジn-ブチルマグネシウム、エチルn-ブチルマグネシウム、ジフェニルマグネシウム、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジn-ブチル亜鉛、ジフェニル亜鉛が挙げられる。
これらの中では、前記有機アルミニウム化合物(C-1a)が好ましい。
有機金属化合物(C-1)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
《有機アルミニウムオキシ化合物(C-2)》
有機アルミニウムオキシ化合物(C-2)としては、例えば、従来公知のアルミノキサンであってもよく、特開平2-78687号公報に例示されているようなベンゼンに対して不溶性または難溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。従来公知のアルミノキサンは、例えば、下記(1)~(4)の方法によって製造することができ、通常、炭化水素溶媒の溶液として得られる。
(1)吸着水を含有する化合物または結晶水を含有する塩類、例えば、塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩化第1セリウム水和物等の炭化水素媒体懸濁液に、トリアルキルアルミニウム等の有機アルミニウム化合物を添加して、吸着水または結晶水と有機アルミニウム化合物とを反応させる方法。
(2)ベンゼン、トルエン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の媒体中で、トリアルキルアルミニウム等の有機アルミニウム化合物に、直接水、氷または水蒸気を作用させる方法。
(3)デカン、ベンゼン、トルエン等の媒体中で、トリアルキルアルミニウム等の有機アルミニウム化合物に、ジメチルスズオキシド、ジブチルスズオキシド等の有機スズ酸化物を反応させる方法。
(4)トリアルキルアルミニウム等の有機アルミニウムと、3級アルコール、ケトン、およびカルボン酸等の炭素-酸素結合を持つ有機化合物とを反応させて生成する化合物を、熱分解反応等の非加水分解的転化をする方法。
なお、上記アルミノキサンは、少量の有機金属成分を含有してもよい。また、回収された上記アルミノキサンの溶液から溶媒または未反応有機アルミニウム化合物を蒸留して除去した後、溶媒に再溶解またはアルミノキサンの貧溶媒に懸濁させてもよい。
アルミノキサンを調製する際に用いられる有機アルミニウム化合物としては、具体的には、有機アルミニウム化合物(C-1a)として例示したものと同一の有機アルミニウム化合物が挙げられる。これらの中でも、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、トリメチルアルミニウムが特に好ましい。
その他、有機アルミニウムオキシ化合物(C-2)としては、例えば、修飾メチルアルミノキサンが挙げられる。修飾メチルアルミノキサンとは、トリメチルアルミニウムとトリメチルアルミニウム以外のアルキルアルミニウムとを用いて調製されるアルミノキサンである。このような化合物は、一般にMMAOと呼ばれている。MMAOは、米国特許第4960878号明細書および米国特許第5041584号明細書で挙げられている方法で調製することができる。また、東ソー・ファインケム株式会社等からもトリメチルアルミニウムとトリイソブチルアルミニウムとを用いて調製された、Rがイソブチル基であるアルミノキサンが、MMAOやTMAOといった名称で商業生産されている。
このようなMMAOは、各種溶媒への溶解性および保存安定性を改良したアルミノキサンであり、具体的には上記のようなベンゼンに対して不溶性または難溶性のものとは違い、脂肪族炭化水素や脂環族炭化水素に溶解するという特徴を持つ。
さらに、有機アルミニウムオキシ化合物(C-2)としては、例えば、ホウ素原子を含む有機アルミニウムオキシ化合物や、国際公開第2005/066191号、国際公開第2007/131010号に例示されているようなハロゲンを含むアルミノキサン、国際公開第2003/082879号に例示されているようなイオン性アルミノキサンを挙げることもできる。
有機アルミニウムオキシ化合物(C-2)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<有機化合物成分(D)>
本発明のオレフィン重合用触媒は、さらに有機化合物成分(D)を含んでいてもよい。
有機化合物成分(D)は、必要に応じて、重合性能および生成ポリマーの物性を向上させる目的で使用される。有機化合物成分(D)としては、例えば、アルコール類、フェノール性化合物、カルボン酸、リン化合物、アミド、ポリエーテルおよびスルホン酸塩等が挙げられる。
[オレフィン重合用触媒/オレフィン重合体の製造方法]
本発明のオレフィン重合用触媒の製造方法としては、以下(1)~(3)のような方法が例示される。以下では、化合物(A)、遷移金属錯体(B)、必要に応じて、化合物(C)、および有機化合物成分(D)を、それぞれ「成分(A)」、「成分(B)」、「成分(C)」、および「成分(D)」と記載する。(1)成分(A)および成分(B)を任意の順序で重合器に添加する方法。(2)成分(A)、成分(B)および成分(C)を任意の順序で重合器に添加する方法。(3)成分(A)、成分(B)、成分(C)および成分(D)を任意の順序で重合器に添加する方法。
本発明のオレフィン重合体の製造方法は、上述のオレフィン重合用触媒の存在下でオレフィン(エチレン、炭素数3~20のα-オレフィンなど)を重合する工程[P]を有することを特徴としている。ここで「重合」とは、単独重合および共重合の総称である。また「オレフィン重合用触媒の存在下でオレフィンを重合する」とは、上記(1)~(3)の各方法のように任意の方法でオレフィン重合用触媒の各成分を重合器に添加して前記オレフィンを重合する態様を包含する。
本発明のオレフィン重合体の製造方法では、重合は、溶液重合、懸濁重合等の液相重合法または気相重合法のいずれにおいても実施できる。液相重合法において用いられる不活性炭化水素媒体としては、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素が挙げられる。不活性炭化水素媒体は1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、重合に供給されうる液化オレフィン自身を溶媒として用いる、いわゆるバルク重合法を用いることもできる。
化合物(A)によって、化合物(A)の代わりにオレフィン重合における助触媒として従来使用されている化合物を使用した場合よりも高い割合で、遷移金属錯体(B)を化合物(A)に固定できる。そのため、本発明のオレフィン重合体の製造方法によれば、従来の第13族元素含有化合物(例えば、ボレート化合物)を使用した場合には困難であった、懸濁重合法、気相重合法においても、高い活性でオレフィン重合体を製造することができる。
オレフィン重合用触媒を用いてオレフィンの重合を行うに際して、オレフィン重合用触媒を構成し得る各成分の使用量は以下のとおりである。また、オレフィン重合用触媒において、各成分の含有量を以下のとおりに調節することができる。
化合物(A)(成分(A))は、成分(A)と成分(B)中の全遷移金属原子(M)とのモル比〔(A)/(M)〕が通常1~100、好ましくは1~20となるような量で用いることができる。モル比が前記範囲にあると、成分(B)と接触するサイトを2つ以上有する成分(A)の割合が低く、成分(A)は、オレフィン重合用触媒を炭化水素媒体中で使用する際に炭化水素媒体との親和性が低いため、触媒の固定化および活性化性能に優れる。
成分(B)は、反応容積1リットル当り、通常1×10-10~1×10-2モル、好ましくは1×10-8~1×10-3モルとなるような量で用いられる。
成分(C-1)を用いる場合は、成分(C-1)と成分(B)中の全遷移金属原子(M)とのモル比〔(C-1)/(M)〕が通常1~50,000、好ましくは10~20,000、特に好ましくは50~10,000となるような量で用いることができる。
成分(C-2)を用いる場合は、成分(C-2)中のアルミニウム原子と成分(B)中の全遷移金属原子(M)とのモル比〔Al/(M)〕が通常10~5,000、好ましくは20~2,000となるような量で用いることができる。
本発明のオレフィン重合体の製造方法において、重合温度は、通常-50~+200℃、好ましくは0~200℃、より好ましくは40~150℃であり、重合圧力は、通常常圧~10MPaゲージ圧、好ましくは常圧~5MPaゲージ圧である。重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる二段以上に分けて行うこともできる。得られるオレフィン重合体の分子量は、重合系に水素等を存在させるか、重合温度を変化させるか、または成分(C)の使用量により調節することができる。
特に水素は、触媒の重合活性を向上させる効果や、重合体の分子量を増加または低下させる効果が得られることがあり、好ましい添加物であるといえる。系内に水素を添加する場合、その量はオレフィン1モルあたり0.00001~100NL程度が適当である。系内の水素濃度は、水素の供給量を調整する以外にも、水素を生成または消費する反応を系内で行う方法や、膜を利用して水素を分離する方法、水素を含む一部のガスを系外に放出することによっても調整することができる。
本発明のオレフィン重合体の製造方法で得られたオレフィン重合体(たとえば、エチレン/α-オレフィン/非共役ポリエン共重合体)に対しては、オレフィン重合体を上記方法で合成した後に、必要に応じて公知の触媒失活処理工程、触媒残渣除去工程、乾燥工程等の後処理工程を行ってよい。
本発明のオレフィン重合体の製造方法の一つの態様において、重合反応に供給されるオレフィンとしては、エチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィンが挙げられる。
この態様においては、エチレンを単独重合してもよく、エチレンと炭素数3~20のα-オレフィンとを共重合してもよく、炭素数3~20のα-オレフィンを単独重合または共重合してもよい。
前記α-オレフィンとしては、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン、ビニルシクロヘキサンなどの炭素数3から20の直鎖状または分岐状のα-オレフィンを例示することができる。α-オレフィンとしては、炭素数3~10のα-オレフィン、例えば炭素数3から10の直鎖状または分岐状のα-オレフィンが好ましく、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセンおよび1-オクテンがより好ましく、プロピレンがさらに好ましい。これらのα-オレフィンは1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
また、エチレンないし炭素数3~20のα-オレフィンと共に非共役ポリエンを共重合してもよい。
化合物(A)を遷移金属錯体(B)と接触させると、主触媒である遷移金属錯体(B)を活性化させ、アミン部が重合活性種に配位することで、遷移金属錯体(B)を化合物(A)に固定化することができる、と考えられる。
遷移金属錯体と第13族元素含有化合物との接触により得られるオレフィン重合用触媒の存在下でオレフィンを重合するオレフィン重合体の製造において、第13族元素含有化合物として化合物(A)を用いると、従来の第13族元素含有化合物(例えば、後述する第13族元素含有化合物(A'-1))と比べ、アニオン部分の置換基のサイズが大きい。特に、メタ位にサイズが大きい置換基を導入すると、遷移金属錯体のカチオンと前記アニオン(β-1)からなるイオン対のイオン間距離を長くする効果が働き、それに対応してイオン間相互作用が弱くなることで、触媒性能が向上すると考えられる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<測定方法>
[第13族元素含有化合物(A)の同定]
第13族元素含有化合物の構造は、270MHz 1H-NMR(日本電子株式会社製GSH-270)、160MHz 11B-NMR(日本電子株式会社製ECA-500)等を用いて測定し、常法に従って各種シグナルをアサインし決定した。
[重合体の重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)]
オレフィン重合体の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求めた。Waters社製「Alliance GPC 2000」ゲル浸透クロマトグラフ(高温サイズ排除クロマトグラフ)により得られる分子量分布曲線から計算したものであり、操作条件は下記の通りである。
(操作条件)
測定装置:ゲル浸透クロマトグラフ allianceGPC2000型(Waters社製)
解析ソフト:クロマトグラフィデータシステム Empower(商標、Waters社製)
カラム:TSKgel GMH6-HT×2 + TSKgel GMH6-HT×2(内径7.5mm×長さ30cm,東ソー株式会社製)
移動相:o-ジクロロベンゼン(富士フイルム和光純薬株式会社製 特級)
検出器:示差屈折計(装置内蔵)
カラム温度:140℃
流速:1.0mL/分
注入量:400μL
サンプリング時間間隔:1秒
試料濃度:0.15%(w/v)
分子量較正:単分散ポリスチレン(東ソー株式会社製)/分子量495から分子量2060万
<第13族元素含有化合物の合成>
[製造例1]
(アニオン前駆体(化合物(a-1))の合成)
製造例1および2では、トリフェニルメチルクロリドは富士フイルム和光純薬株式会社より、1-ブロモ-3,5-ジクロロ-2,4,6-トリフルオロベンゼンはMatrix Scientific社より、1.6M n-ブチルリチウム/ヘキサン溶液は関東化学株式会社より、1.0M三臭化ホウ素/ヘプタン溶液はAldrich社より購入したものをそのまま使用した。
充分に乾燥、窒素置換した200mLの反応器に、1-ブロモ-3,5-ジクロロ-2,4,6-トリフルオロベンゼン2.0g、ジエチルエーテル30mLを加え攪拌した。次いで-78℃に冷却し、1.6M n-ブチルリチウム/ヘキサン溶液4.5mL(1.0当量)をゆっくり滴下し、1時間撹拌した。1.0M三臭化ホウ素/ヘプタン溶液2.1mL(0.25当量)をゆっくり滴下し、室温までゆっくり昇温ながら終夜攪拌した。その後、ジエチルエーテルを減圧除去し、ジクロロメタン10mLに溶解後、得られた懸濁液中の不溶物をガラスフィルター上のセライトを通すことで除去し、溶媒を留去した。残渣をヘキサンで洗浄した後、濾過し、減圧乾燥することにより、下記式(a-1)で示される化合物(a-1)を600mg(収率41%)得た。
11B-NMR(CDCl3)δ -16.79ppm
Figure 2024042689000020
[製造例2]
(第13族元素含有化合物(A-1)の合成)
充分に乾燥、窒素置換した50mLの反応器に、製造例1で得られた化合物(a-1)を240mg、ジクロロメタン20mLを加え攪拌した。その後、氷浴で冷却し、トリフェニルメチルクロリド120mg(1.5当量)をジクロロメタン10mLに溶解させた溶液を滴下し、室温までゆっくり昇温ながら終夜撹拌した。その後、得られた懸濁液中の不溶物をガラスフィルター上のセライトを通すことで除去し、溶媒を留去した。残渣をジクロロメタン/ヘキサン(1:1)混合溶媒、およびヘキサンで順に洗浄し、減圧乾燥することにより、下記式(A-1)で示される第13族元素含有化合物(A-1)を150mg(収率50%)得た。
1H-NMR(tol-d8)δ 7.62(6H),7.82(6H),8.22(3H)ppm
Figure 2024042689000021
[製造例3]
(カチオン前駆体(化合物(a-2))の合成)
製造例3では、N,N-ジメチルアニリン、塩化水素(約1mol/Lジエチルエーテル溶液)は東京化成工業株式会社より購入したものをそのまま使用した。
充分に乾燥、窒素置換した50mLの反応器に、N,N-ジメチルアニリン3.4g、ジエチルエーテル10mLを加え攪拌した。その後、氷浴下で1M塩化水素/ジエチルエーテル溶液25mLを滴下したのち、室温に戻し1時間撹拌を続けた。得られた懸濁液中の不溶物を濾過により回収し、減圧乾燥することにより、下記式(a-2)で示される化合物(a-2)を2.6g(収率99%)得た。
1H-NMR(CDCl3)δ 3.17(6H),7.47-7.49(3H),7.76-7.79(2H),14.51(NH)ppm
Figure 2024042689000022
[製造例4]
(第13族元素含有化合物(A-2)の合成)
充分に乾燥、窒素置換した50mLの反応器に、製造例1で得られた化合物(a-1)を180mg、ジクロロメタン10mLを加え攪拌した。製造例3で得られた前記化合物(a-2)35mg(1.0当量)をジクロロメタン10mLに溶解させた溶液を滴下し、室温で終夜撹拌した。その後、得られた懸濁液中の不溶物をガラスフィルター上のセライトを通すことで除去し、溶媒を留去した。残渣を水、およびヘキサンで順に洗浄し、減圧乾燥することにより、下記式(A-2)で示される第13族元素含有化合物(A-2)を150mg(収率71%)得た。
1H-NMR(tol-d8)δ 2.22(6H),6.51(2H),6.75(1H),7.01(2H)ppm
Figure 2024042689000023
[製造例5]
(第13族元素含有化合物(A-5)の合成)
製造例5および6では、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン二塩酸塩は、富士フイルム和光純薬株式会社より購入したものをそのまま使用した。
充分に乾燥、窒素置換した50mLの反応器に、製造例1で得られた化合物(a-1)220mg、ジクロロメタン5mLを加え攪拌した。その後、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン二塩酸塩50mg(1.0当量)をジクロロメタン10mLに溶解させた溶液を滴下し、室温で24時間撹拌を続けた。得られた懸濁液中の不溶物をガラスフィルター上のセライトを通すことで除去し、溶媒を留去した。残渣を水、ヘキサン、ジクロロメタンでそれぞれ洗浄し、不溶物を濾過により回収し、減圧乾燥することにより、下記式(A-5)で示される第13族元素含有化合物を160mg(収率63%)得た。
1H NMR(CD3OD)δ 3.31(12H,s)ppm
Figure 2024042689000024
[製造例6]
(第13族元素含有化合物(A'-5)の合成)
製造例6では、リチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラートエチルエーテルコンプレックスは、東京化成工業株式会社より購入したものをそのまま使用した。
充分に乾燥、窒素置換した200mLの反応器に、リチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラートエチルエーテルコンプレックス2.7g、ジクロロメタン80mLを加え攪拌した。その後、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン二塩酸塩0.5gをジクロロメタン20mLに溶解させた溶液を滴下し、室温で24時間撹拌を続けた。得られた懸濁液中の不溶物をガラスフィルター上のセライトを通すことで除去し、溶媒を留去した。残渣を水、ヘキサン、ジクロロメタンでそれぞれ洗浄し、不溶物を濾過により回収し、減圧乾燥することにより、下記式(A'-5)で示される第13族元素含有化合物1.9g(収率85%)を得た。
1H NMR(CD3OD)δ 3.34(12H,s)ppm
Figure 2024042689000025
<第13族元素含有化合物を用いた重合用触媒の製造および常圧エチレン重合評価>
比較例にて使用する第13族元素含有化合物(A'-1)、(A'-2)、(A'-5)は、下記の通りである。
・第13族元素含有化合物(A'-1)
下記式(A'-1)で示される、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートは、東京化成工業株式会社より購入したものをそのまま使用した。
Figure 2024042689000026
・第13族元素含有化合物(A'-2)
下記式(A'-2)で示される、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートは、東京化成工業株式会社より購入したものをそのまま使用した。
Figure 2024042689000027
・第13族元素含有化合物(A'-5)
製造例6で得られた前記式(A'-5)で示される化合物を使用した。
遷移金属錯体(B)として、従来公知の方法で製造した下記式(B1-1)、(B2-1)~(B2-3)、(B3-1)で表される遷移金属錯体(B1-1)、(B2-1)~(B2-3)、(B3-1)を使用した。
Figure 2024042689000028
[実施例1]
充分に窒素置換した内容積500mLのガラス製反応器に、トルエン250mLを添加した後、エチレンを100L/hrで供給し反応器内をエチレンで飽和させた。その後、トリイソブチルアルミニウム0.20mmol、前記遷移金属錯体(B2-1)0.500μmol、および製造例2で得られた第13族元素含有化合物(A-1)を前記遷移金属錯体(B2-1)に対して4当量(2.000μmol)加え重合を開始した。エチレンを100L/hrで連続的に供給し、常圧下、50℃で5分間重合を行った後、少量のメタノールを添加することにより重合を停止した。重合終了後、反応物を少量の塩酸を含む1Lのメタノール溶媒中に加えてオレフィン重合体を析出させた。ろ過を行い80℃で10時間減圧乾燥することで、オレフィン重合体2.04gを得た。得られたオレフィン重合体のMwは228,000であった。
[比較例1]
第13族元素含有化合物(A-1)の代わりに、第13族元素含有化合物(A'-1)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で重合を行い、オレフィン重合体1.48gを得た。得られたオレフィン重合体のMwは106,000であった。
[実施例2]
第13族元素含有化合物(A-1)の代わりに、製造例4で得られた第13族元素含有化合物(A-2)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で重合を行い、オレフィン重合体1.56gを得た。得られたオレフィン重合体のMwは214,000であった。
[比較例2]
第13族元素含有化合物(A-1)の代わりに、第13族元素含有化合物(A'-2)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で重合を行い、オレフィン重合体1.04gを得た。得られたオレフィン重合体のMwは93,100であった。
[実施例3]
遷移金属錯体(B2-1)の代わりに、遷移金属錯体(B1-1)0.050μmolを用い、第13族元素含有化合物(A-1)0.200μmol(前記遷移金属錯体(B1-1)に対して4当量)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で重合を行い、オレフィン重合体0.87gを得た。得られたオレフィン重合体のMwは1,170,000であった。
[比較例3]
第13族元素含有化合物(A-1)の代わりに、第13族元素含有化合物(A'-1)を用いたこと以外は、実施例3と同様の方法で重合を行い、オレフィン重合体0.43gを得た。得られたオレフィン重合体のMwは1,270,000であった。
[実施例4]
遷移金属錯体(B2-1)の代わりに、遷移金属錯体(B3-1)2.000μmolを用い、第13族元素含有化合物(A-1)8.000μmol(前記遷移金属錯体(B3-1)に対して4当量)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で重合を行い、オレフィン重合体0.011gを得た。
[比較例4]
第13族元素含有化合物(A-1)の代わりに、第13族元素含有化合物(A'-1)を用いたこと以外は、実施例4と同様の方法で重合を行い、オレフィン重合体0.002gを得た。
[実施例5]
第13族元素含有化合物(A-1)の代わりに、製造例5で得られた第13族元素含有化合物(A-5)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で重合を行い、オレフィン重合体1.58gを得た。得られたオレフィン重合体のMwは166,000であった。
[比較例5]
第13族元素含有化合物(A-1)の代わりに、製造例6で得られた第13族元素含有化合物(A'-5)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で重合を行い、オレフィン重合体1.34gを得た。得られたオレフィン重合体のMwは103,000であった。
[実施例6]
遷移金属錯体(B2-1)の代わりに、遷移金属錯体(B1-1)0.050μmolを用い、第13族元素含有化合物(A-1)の代わりに、製造例4で得られた第13族元素含有化合物(A-2)0.200μmol(前記遷移金属錯体(B1-1)に対して4当量)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で重合を行い、オレフィン重合体0.85gを得た。得られたオレフィン重合体のMwは1,290,000であった。
[比較例6]
遷移金属錯体(B2-1)の代わりに、遷移金属錯体(B1-1)0.050μmolを用い、第13族元素含有化合物(A-1)の代わりに、第13族元素含有化合物(A'-2)0.200μmol(前記遷移金属錯体(B1-1)に対して4当量)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で重合を行い、オレフィン重合体0.59gを得た。得られたオレフィン重合体のMwは1,450,000であった。
[実施例7]
遷移金属錯体(B2-1)の代わりに、遷移金属錯体(B1-1)0.050μmolを用い、第13族元素含有化合物(A-1)の代わりに、製造例5で得られた第13族元素含有化合物(A-5)0.200μmol(前記遷移金属錯体(B1-1)に対して4当量)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で重合を行い、オレフィン重合体1.16gを得た。得られたオレフィン重合体のMwは1,450,000であった。
[比較例7]
遷移金属錯体(B2-1)の代わりに、遷移金属錯体(B1-1)0.050μmolを用い、第13族元素含有化合物(A-1)の代わりに、製造例6で得られた第13族元素含有化合物(A'-5)0.200μmol(前記遷移金属錯体(B1-1)に対して4当量)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で重合を行い、オレフィン重合体0.46gを得た。得られたオレフィン重合体のMwは1,510,000であった。
[実施例8]
遷移金属錯体(B2-1)の代わりに、遷移金属錯体(B2-2)0.015μmolを用い、第13族元素含有化合物(A-1)の代わりに、製造例5で得られた第13族元素含有化合物(A-5)0.060μmol(前記遷移金属錯体(B2-2)に対して4当量)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で重合を行い、オレフィン重合体0.49gを得た。
[比較例8]
遷移金属錯体(B2-1)の代わりに、遷移金属錯体(B2-2)0.050μmolを用い、第13族元素含有化合物(A-1)の代わりに、製造例6で得られた第13族元素含有化合物(A'-5)0.200μmol(前記遷移金属錯体(B2-2)に対して4当量)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で重合を行い、オレフィン重合体0.04gを得た。
実施例1~8、比較例1~8の評価結果等を表1に示す。なお、表1中の「重合活性」は、単位時間(hr)当たりの、遷移金属錯体(B)中の全遷移金属原子(M)1mmol当たりのオレフィン重合体の収量(kg)を示す。
Figure 2024042689000029
Figure 2024042689000030
<第13族元素含有化合物を用いたエチレン/1-オクテン加圧溶液重合>
[実施例9]
充分に窒素置換した内容積1リットルのSUS製オートクレーブに、窒素雰囲気下、ヘプタン470mL、1-オクテン30mL、トリイソブチルアルミニウム0.30mmolを添加した後、エチレンを流通させ反応器内をエチレンで飽和させた。次に、撹拌しながらエチレンにて80℃、0.8MPaGに昇温昇圧し、上記遷移金属化合物(B2-3)を0.050μmol、続いて製造例1で得られた第13族元素含有化合物(A-1)0.50μmolを挿入し、10分間重合を行い、少量のメタノールを添加することにより重合を停止した。重合終了後、反応物を少量の塩酸を含む1リットルのメタノール/アセトン=(1/3)混合溶媒中に加えてポリマーを析出させた。同溶媒で洗浄後、80℃で10時間真空乾燥し、オレフィン重合体4.23gを得た。得られた重合体の1-オクテン含有率は17.8mоl%であった。
[比較例9]
第13族元素含有化合物(A-3)の代わりに、第13族元素含有化合物(A’-1)を用いたこと以外は、実施例9と同様の方法で重合を行い、オレフィン重合体3.64gを得た。得られた重合体の1-オクテン含有率は17.7mоl%であった。
実施例9、比較例9の評価結果等を表2に示す。なお、表2中の「重合活性」は、単位時間(hr)当たりの、遷移金属錯体(B)中の全遷移金属原子(M=Hf)1mmol当たりのオレフィン重合体の収量(kg)を示す。
Figure 2024042689000031
表1および2の結果から、第13族元素含有化合物(A)を助触媒とする本発明のオレフィン重合用触媒を用いた実施例では、同じカチオン種を有する一般的によく用いられているボレート助触媒、および同じ遷移金属錯体(B)を用いた比較例に比べ、より多くのオレフィン重合体が得られたことから、第13族元素含有化合物(A)を助触媒とした本発明のオレフィン重合用触媒は、高い重合活性を示すことが分かる。

Claims (6)

  1. 下記一般式(A)で表される第13族元素含有化合物(A)と遷移金属錯体(B)とを含む、オレフィン重合用触媒。
    [α]γ+{β}γ- …(A)
    〔一般式(A)中、γは1~5の整数である。
    [α]γ+は、下記一般式(α-1)、(α-2)または(α-3)で表されるカチオンである。
    [(R13NH]+ …(α-1)
    [(R23C]+ …(α-2)
    [(R33N-R4-N(R33γ+ …(α-3)
    (一般式(α-1)、(α-2)および(α-3)中、複数個のR1、R2、およびR3は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、スルファニル基、炭素数1~30の炭化水素基、ヘテロ原子含有炭化水素基、または、前記炭化水素基もしくはヘテロ原子含有炭化水素基の炭素原子の一部または全部を、ケイ素原子またはゲルマニウム原子に換えた基であり、互いに結合して環を形成してもよい。R4は、炭素数1~30の炭化水素基、またはヘテロ原子含有炭化水素基であり、R4と1個または複数個のR3とは、互いに結合して環を形成してもよい。)
    {β}γ-は1つまたは2つ以上のアニオン(β)を表し、前記アニオン(β)の合計の価数はγ価である。前記アニオン(β)は、下記一般式(β-1)で表されるアニオン(β-1)もしくは、前記(β-1)以外のアニオン(β-2)である。
    [MQ4- …(β-1)
    (一般式(β-1)中、Mは、第13族元素の原子である。
    4つのQは、独立して、アリール基であり、4つのQのうち少なくとも1つが、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子から選ばれるハロゲン原子を置換基として1つ以上有するアリール基(Q-0)である。)
    前記アニオン(β)の少なくとも1つは前記アニオン(β-1)である。前記アニオン(β)は、複数個存在する場合、互いに同一であっても異なっていてもよい。〕
  2. 前記一般式(A)において、前記アリール基(Q-0)のうち少なくとも1つが、下記一般式(Q-1)で表されるアリール基である請求項1に記載のオレフィン重合用触媒。
    Figure 2024042689000032
    〔一般式(Q-1)中、*は、前記Mへの結合を示し、複数個のXaは、独立して、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子から選ばれるハロゲン原子であり、複数個のXaのうち少なくとも1つが、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子から選ばれるハロゲン原子である。〕
  3. 前記一般式(Q-1)において、前記Mとの結合に対してメタ位に位置する2つのXaのうち少なくとも1つが、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子から選ばれるハロゲン原子である、請求項2に記載のオレフィン重合用触媒。
  4. 前記一般式(Q-1)で表されるアリール基が、下記一般式(Q-1a)または(Q-1b)で表されるアリール基である、請求項3に記載のオレフィン重合用触媒。
    Figure 2024042689000033
    〔一般式(Q-1a)および(Q-1b)中、*は、前記Mへの結合を示し、複数個のXmは、独立して、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子から選ばれるハロゲン原子である。〕
  5. 前記一般式(A)において、Mがホウ素原子である、請求項1に記載のオレフィン重合用触媒。
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載のオレフィン重合用触媒の存在下にオレフィンを重合させる、オレフィン重合体の製造方法。
JP2023149615A 2022-09-15 2023-09-14 オレフィン重合用触媒およびオレフィン重合体の製造方法 Pending JP2024042689A (ja)

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