JP2024042649A - 画像処理装置、画像処理方法およびプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】色補正テーブルを再生成する際に、ガマット圧縮前後で等色相に感じられない圧縮がなされる場合がある。【解決手段】第1の色域で定義される画像データを取得し、色変換情報を用いて、第1の色域とは異なる第2の色域で定義される画像データに変換する変換処理を実行し、第1の色変換情報を用いた変換処理によって画像データに含まれる2つの第1の色値の組が互いに異なる色として知覚されない色差を有する第2の色値の組に変換される場合、第2の色変換情報を用いた変換処理によって第1の色値の組が互いに異なる色として知覚される色差を有する第3の色値の組に変換されるように、第2の色変換情報を生成する。ここで、第3の色値の組における彩度差は、第2の色値の組における彩度差よりも大きい。【選択図】図3
Description
本発明は、カラーマッピングを実行可能な画像処理装置、画像処理方法およびプログラムに関する。
所定の色空間で記述されたデジタル原稿を受け取り、その色空間中の各色についてプリンタで再現可能な色域へのマッピングを行い、出力を行う画像処理装置が知られている。特許文献1には、入力したカラー画像信号に対する、色空間圧縮の有無および圧縮方向の決定について記載されている。ところで、色を定量的に扱う座標空間の1つとして、CIE―L*a*b*空間が知られている。CIE―L*a*b*空間は均等色空間として取り扱われている。均等色空間とは、当該色空間内の2点(すなわち2色)間の距離がその2色の知覚される色差に対応するような色空間を指す。
一方で特許文献2では、CIE―L*a*b*空間が実際には知覚均等色空間ではないことを示唆している。具体的には、色空間は視覚認知面において少なくとも色相について非均等性を有している。この現象はマッカダムの楕円という呼称で広く知られている。このことは、色域によっては、彩度によらず一定の色相角の色であったとしても、異なる色相として認知されうることを示している。実際にマンセル色票におけるB(青)からPB(青紫)の領域をCIE―L*a*b*空間にプロットすると、同一の色相角の直線状に分布しないことが知られている。
特許文献1においては、入力したカラー画像信号に対して彩度方向に一意の色空間圧縮が行われる。このとき色空間圧縮前の広い空間における任意の2点間距離は、色空間圧縮後の狭い空間内において圧縮後の2点間距離に対応付けられる。一般には色空間圧縮後の任意の2点間距離は、色空間圧縮前の対応する2点間距離よりも狭くなる。以下ではこの現象を「色縮退」と記す。「色縮退」は、色空間圧縮前と後の空間の広さの差が大きいほど、換言すれば圧縮率が高いほど顕著に表れる。なお色空間圧縮は、例えば画像データを記録装置により記録する際などに、元の画像の色を記録剤により再現可能な色の範囲に収めるために生じる。すなわち出力対象の画像データの色の範囲と、出力物の色再現範囲との間で色空間圧縮が生じ得る。
次に、彩度方向に一意に色空間圧縮した場合を考える。この時CIE―L*a*b*空間は均等色空間であるにも関わらず、同じ色相面内で色空間圧縮しても色空間圧縮前後で同じ色相に見えないことがある。
以上のことから、色空間圧縮を実施し色縮退が発生した場合の課題を述べる。即ち色空間圧縮前に異なる色として知覚されていた2色が、色空間圧縮を施すことによって、色空間圧縮前とは異なると知覚され得る色相面上に、識別できないほど近接した色として表現されてしまう場合があることが課題である。
本発明は上記従来例に鑑みて成されたもので、色空間圧縮或いは色空間圧縮を伴う色変換により生じる知覚される色の変化を抑制することを目的とする。より具体的には、色空間圧縮により生じる色縮退の度合いを小さくし、色相の変化を補正することで、色空間圧縮或いは色空間圧縮を伴う色変換により生じる知覚される色の変化を抑制することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は以下の構成を有することを特徴とする。すなわち本発明の一側面によれば、第1の色域で定義される画像データを取得する取得手段と、
色変換情報を用いて、前記第1の色域とは異なる第2の色域で定義される画像データに変換する変換処理を実行する変換手段と、
第1の色変換情報を用いた前記変換処理によって前記画像データに含まれる2つの第1の色値の組が互いに異なる色として知覚されない色差を有する第2の色値の組に変換される場合、第2の色変換情報を用いた変換処理によって前記第1の色値の組が互いに異なる色として知覚される色差を有する第3の色値の組に変換されるように、前記第2の色変換情報を生成する生成手段と、
を有し、
前記第3の色値の組における彩度差は、前記第2の色値の組における彩度差よりも大きいことを特徴とする画像処理装置が提供される。
色変換情報を用いて、前記第1の色域とは異なる第2の色域で定義される画像データに変換する変換処理を実行する変換手段と、
第1の色変換情報を用いた前記変換処理によって前記画像データに含まれる2つの第1の色値の組が互いに異なる色として知覚されない色差を有する第2の色値の組に変換される場合、第2の色変換情報を用いた変換処理によって前記第1の色値の組が互いに異なる色として知覚される色差を有する第3の色値の組に変換されるように、前記第2の色変換情報を生成する生成手段と、
を有し、
前記第3の色値の組における彩度差は、前記第2の色値の組における彩度差よりも大きいことを特徴とする画像処理装置が提供される。
本発明によれば、色空間圧縮或いは色空間圧縮を伴う色変換により生じる知覚される色の変化を抑制することができる。
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
(第一の実施形態)
本実施形態は、適応的ガマットマッピングによる色の移動方向が彩度方向の場合に、通常ガマットマッピングが行われるL*a*b*色空間では色が変わってしまうため、それに代えてJCh色空間内で行う、というものである。本明細書で使用する用語について、あらかじめ以下のように定義する。
(色再現域)
色再現域とは、任意の色空間における再現可能な色の範囲のことを指す。色再現範囲、色域、ガマットとも称する。色の再現とは、画像データにより数値で表された色を、例えば表示や印刷により知覚可能な色として表現することを指す。
本実施形態は、適応的ガマットマッピングによる色の移動方向が彩度方向の場合に、通常ガマットマッピングが行われるL*a*b*色空間では色が変わってしまうため、それに代えてJCh色空間内で行う、というものである。本明細書で使用する用語について、あらかじめ以下のように定義する。
(色再現域)
色再現域とは、任意の色空間における再現可能な色の範囲のことを指す。色再現範囲、色域、ガマットとも称する。色の再現とは、画像データにより数値で表された色を、例えば表示や印刷により知覚可能な色として表現することを指す。
また、この色再現域の広さを表す指標として、色域体積がある。色域体積は任意の色空間での体積のことである。色空間が三次元であれば色域体積は三次元の体積である。色再現域を構成する色度点が離散的であることがある。例えば、特定の色再現域をCIE-L*a*b*上の729点をもって代表させ、その間の点については四面体補間や、立方体補間などの公知の補間演算を用いて求めることがある。このような場合には、対応する色域体積は補間演算方法に対応して、色再現域を構成する四面体や立方体などのCIE-L*a*b*上の体積を求めて累積したものを使用することができる。或いはすべての代表点を含む最小の多面体の体積であってもよい。
本明細書における色再現域や色域も特定の色空間にしばられるものではないが、本明細書では、CIE-L*a*b*空間での色再現域を例として説明している。また、同様に本明細書中での色再現域の数値は四面体補間を前提としてCIE-L*a*b*空間で累積計算した場合の体積を示している。
(ガマットマッピング)
本明細書においてはガマットマッピングを、マッピング、マッピング処理あるいは色情報変換とも記載する。ガマットマッピングとは、色に関する(或いは色を表現する)任意の集合間の対応付けである。例えばデジタル画像の色再現空間がsRGBだとする。この画像を構成する各信号値を、CIE-L*a*b*色空間に対応付けるとする。この場合、sRGB色空間をCIE-L*a*b*色空間にマッピングすると表現する。その実現手段の1つにルックアップテーブルがある。ルックアップテーブルとは、入力値をインデックスとして入力値の写像先(すなわち入力値に対応づけられた値)を定義した表のことである。例えば入力色空間が三次元の色空間の場合には一般的に、入力値としては、各色成分がとり得る値の数(例えば256通り)またはそれ未満の数の3乗個通りの値を用意する。
本明細書においてはガマットマッピングを、マッピング、マッピング処理あるいは色情報変換とも記載する。ガマットマッピングとは、色に関する(或いは色を表現する)任意の集合間の対応付けである。例えばデジタル画像の色再現空間がsRGBだとする。この画像を構成する各信号値を、CIE-L*a*b*色空間に対応付けるとする。この場合、sRGB色空間をCIE-L*a*b*色空間にマッピングすると表現する。その実現手段の1つにルックアップテーブルがある。ルックアップテーブルとは、入力値をインデックスとして入力値の写像先(すなわち入力値に対応づけられた値)を定義した表のことである。例えば入力色空間が三次元の色空間の場合には一般的に、入力値としては、各色成分がとり得る値の数(例えば256通り)またはそれ未満の数の3乗個通りの値を用意する。
ルックアップテーブルは、各々の入力値に対し、それぞれの写像先を定義する。このような入力値を「格子点」と呼ぶ。格子点以外の入力は、先述の補間による演算で写像先を決定する。このようなルックアップテーブルを、プロファイルとも称する。具体的には、ICCプロファイルのPerceptual、Saturation、Colorimetricが一般的である。マッピング手段はルックアップテーブルに限らない。例えばなんらかの変換式を用いても良いし、行列を用いて演算しても良い。さらに、対応付けられる色空間は限定されない。例えば三次元の色空間としてCIE-XYZ色空間と、四次元の色空間としてプリンタのCMYK色空間とを対応付けても良い。入力色空間がCMYK色空間であり、出力がsRGB色空間であっても良い。本実施形態では、ガマットマッピング用のルックアップテーブルのことをガマットマッピングテーブルまたは色変換情報と呼ぶ。本明細書では、写像と変換を同義で用いる。
(原稿データ)
原稿データとは、処理対象の入力デジタルデータ全体のことである。1ページから複数ページで構成されている。それぞれのページは画像データとして保持しても良いし、描画コマンドとして表現されても良い。描画コマンドで表現されている場合、レンダリングを行い、画像データに変換してから処理を行っても良い。描画コマンドにはパラメータとしてオブジェクトの色を指定する色情報が含まれている。画像データは、複数の画素が2次元に並んで構成されている。画素は、色空間内の色を表す情報を保持している。色を表す情報としては、採用されている色空間の種類に応じて、RGB値、CMYK値、K値、CIE-L*a*b*値、HSV値、HLS値などがある。
原稿データとは、処理対象の入力デジタルデータ全体のことである。1ページから複数ページで構成されている。それぞれのページは画像データとして保持しても良いし、描画コマンドとして表現されても良い。描画コマンドで表現されている場合、レンダリングを行い、画像データに変換してから処理を行っても良い。描画コマンドにはパラメータとしてオブジェクトの色を指定する色情報が含まれている。画像データは、複数の画素が2次元に並んで構成されている。画素は、色空間内の色を表す情報を保持している。色を表す情報としては、採用されている色空間の種類に応じて、RGB値、CMYK値、K値、CIE-L*a*b*値、HSV値、HLS値などがある。
(色補正)
原稿データの色情報を、その原稿データを出力した場合に、その出力から知覚される色を、原稿データ本来の色に合わせて補正する処理である。出力は表示または印刷が主であるが本実施形態では記録装置による媒体への記録である。色補正の前後の色空間すなわち表色系は変わることはない。ルックアップテーブルを用いて色補正を行う場合、そのテーブルを色補正テーブルと呼ぶ。
原稿データの色情報を、その原稿データを出力した場合に、その出力から知覚される色を、原稿データ本来の色に合わせて補正する処理である。出力は表示または印刷が主であるが本実施形態では記録装置による媒体への記録である。色補正の前後の色空間すなわち表色系は変わることはない。ルックアップテーブルを用いて色補正を行う場合、そのテーブルを色補正テーブルと呼ぶ。
(色分解)
特定の色空間で表された色を他の色空間に変換する色情報変換のうち、変換後の色空間が出力装置の出力色の色空間であるような色情報変換を色分解と呼ぶ。本実施形態では、記録装置の入力データの色空間をインク色の濃度を成分とする色空間へと変換する色分解が行われる。ルックアップテーブルを用いて色分解を行う場合、そのテーブルを色分解テーブルと呼ぶ。
特定の色空間で表された色を他の色空間に変換する色情報変換のうち、変換後の色空間が出力装置の出力色の色空間であるような色情報変換を色分解と呼ぶ。本実施形態では、記録装置の入力データの色空間をインク色の濃度を成分とする色空間へと変換する色分解が行われる。ルックアップテーブルを用いて色分解を行う場合、そのテーブルを色分解テーブルと呼ぶ。
<画像処理装置の構成>
図1は、本実施形態における画像処理装置の構成を示すブロック図である。画像処理装置101として、パーソナルコンピュータ(PC)やタブレット、サーバや記録装置が用いられる。中央処理ユニット(CPU)102は、ハードディスクドライブ(HDD)や読み出し専用メモリ(ROM)などの記憶媒体104に記憶されているプログラムをワークエリアとしてのランダムアクセスメモリ(RAM)103に読み出して実行する。なおCPUのことをプロセッサーと呼ぶこともある。例えば、CPU102は、不図示のヒューマンインターフェイスデバイス(HID)インターフェイス(I/F)を介してユーザよりコマンドを取得する。そして、CPU102は、取得したコマンドや、記憶媒体104に記憶されているプログラムに従って、各種画像処理を実行する。
図1は、本実施形態における画像処理装置の構成を示すブロック図である。画像処理装置101として、パーソナルコンピュータ(PC)やタブレット、サーバや記録装置が用いられる。中央処理ユニット(CPU)102は、ハードディスクドライブ(HDD)や読み出し専用メモリ(ROM)などの記憶媒体104に記憶されているプログラムをワークエリアとしてのランダムアクセスメモリ(RAM)103に読み出して実行する。なおCPUのことをプロセッサーと呼ぶこともある。例えば、CPU102は、不図示のヒューマンインターフェイスデバイス(HID)インターフェイス(I/F)を介してユーザよりコマンドを取得する。そして、CPU102は、取得したコマンドや、記憶媒体104に記憶されているプログラムに従って、各種画像処理を実行する。
また、CPU102は、データ転送I/F106を介して取得した原稿データに対し、記憶媒体104に記憶されているプログラムに従って所定の処理を行う。そして、その結果や様々な情報をディスプレイ120に表示し、データ転送I/F106を介して記録装置108等の外部装置に送信する。画像処理アクセラレータ105は、CPU102よりも高速に画像処理を実行可能なハードウェアである。画像処理アクセラレータ105は、CPU102が画像処理に必要なパラメータとデータをRAM103の所定のアドレスに書き込むことにより起動される。画像処理アクセラレータ105は、上記のパラメータとデータを読み込んだ後、そのデータに対し画像処理を実行する。但し、画像処理アクセラレータ105は必須な要素ではなく、同等の処理をCPU102で実行するようにしても良い。画像処理アクセラレータは、具体的には、画像処理ユニット(GPU)や専用に設計された電子回路である。上記のパラメータは記憶媒体104に記憶されても良いし、データ転送I/F106を介して外部から取得しても良い。
<記録装置の構成>
記録装置108では、CPU111は、記憶装置113に記憶されているプログラムをワークエリアとしてのRAM112に読み出して実行することにより記録装置108を統括的に制御する。画像処理アクセラレータ109は、CPU111よりも高速に画像処理を実行可能なハードウェアである。画像処理アクセラレータ109は、CPU111が画像処理に必要なパラメータとデータをRAM112の所定のアドレスに書き込むことにより起動される。画像処理アクセラレータ109は、上記のパラメータとデータを読み込んだ後、そのデータに対し画像処理を実行する。但し、画像処理アクセラレータ109は必須な要素ではなく、同等の処理をCPU111で実行するようにしても良い。上記のパラメータは記憶装置113に記憶されても良いし、フラッシュメモリやHDDなどのストレージ(不図示)に記憶されても良い。
記録装置108では、CPU111は、記憶装置113に記憶されているプログラムをワークエリアとしてのRAM112に読み出して実行することにより記録装置108を統括的に制御する。画像処理アクセラレータ109は、CPU111よりも高速に画像処理を実行可能なハードウェアである。画像処理アクセラレータ109は、CPU111が画像処理に必要なパラメータとデータをRAM112の所定のアドレスに書き込むことにより起動される。画像処理アクセラレータ109は、上記のパラメータとデータを読み込んだ後、そのデータに対し画像処理を実行する。但し、画像処理アクセラレータ109は必須な要素ではなく、同等の処理をCPU111で実行するようにしても良い。上記のパラメータは記憶装置113に記憶されても良いし、フラッシュメモリやHDDなどのストレージ(不図示)に記憶されても良い。
ここで、CPU111または画像処理アクセラレータ109が行う画像処理について説明する。画像処理は、例えば、画像処理装置101等から取得した記録データに基づいて、記録ヘッド115による各走査でのインクのドット形成位置を示すデータを生成する処理である。或いは、各走査での各記録位置におけるドット形成の有無を示すデータを生成する処理もいうこともできる。CPU111または画像処理アクセラレータ109が行う画像処理には、取得した記録データの色変換処理と量子化処理とが含まれる。
色変換処理は、記録データを、記録装置108で扱うインクデータに変換する処理である。例えば、取得した記録データには、画像を示す画像データが含まれる。画像データがモニタの表現色であるsRGB等の色空間座標で画像を示すデータである場合、そのsRGBの色座標(R、G、B)で画像を示すデータは、記録装置108で扱うインクデータ(CMYK)に変換される。色変換方法は、マトリクス演算処理や三次元ルックアップテーブル(LUT)、四次元LUTを用いた処理等によって実現される。ルックアップテーブルを用いて色変換を行う場合、そのルックアップテーブルを色分解テーブルとも呼ぶ。
本実施形態の記録装置108は、一例として、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のインクを用いる。そのため、RGB信号の画像データは、K、C、M、Yの各色信号(色成分とも呼ぶ)からなる画像データに変換される。各色信号は例えば8ビットで表現される。各色の色信号は各インクの付与量に対応する。また、インク色の数としてはC、M、Y、Kの4色を例に挙げたが、画質向上の為に、濃度の薄いライトシアン(Lc)やライトマゼンタ(Lm)やグレー(Gy)のインクなど、他のインク色が用いられても良い。その場合、それらに応じた色信号が生成される。
色変換処理の後、インクデータに対して量子化処理を行う。量子化処理は、インクデータの階調のレベル数を下げる処理である。本実施形態では、各画素についてインクデータの値と比較するための閾値を配列したディザマトリックスを用いて量子化を行う。単純ディザ法では、各画素値は、対応する閾値と比較した大小関係に応じて二値のうちいずれかの値に変換される。量子化処理を経て、最終的には、各ドット形成位置にドットを形成するかしないかを示す二値データが生成される。量子化としては単純ディザ法のほか誤差拡散法など他の方法を用いてもよい。
画像処理が行われた後、記録ヘッドコントローラ114によって、記録ヘッド115へ二値データが転送される。同時に、CPU111は、記録ヘッドコントローラ114を介して、記録ヘッド115を動作させるキャリッジモータを動作させ、さらに、記録媒体を搬送する搬送モータを動作させるよう記録制御を行う。記録ヘッド115は記録媒体上を走査し、同時に、記録ヘッド115によってインク滴が記録媒体上に吐出されることにより、画像が形成される。
画像処理装置101と記録装置108との間は、通信回線107を介して接続されている。本実施形態では、通信回線107の一例としてローカル・エリア・ネットワークを用いるが、USBハブ、無線のアクセスポイントを用いた無線通信ネットワーク、Wifiダイレクト通信機能を用いた接続等であっても良い。
以下、記録ヘッド115が、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色のカラー-インクの記録ノズル列を有するものとして説明する。
<記録ヘッド>
図2は、本実施形態における記録ヘッド115を説明するための図である。本実施形態では、1ノズル列分の単位領域を1回の走査で画像形成し、それを複数回(例えばN回)走査することで1ページの画像が記録される。記録ヘッド115は、キャリッジ116と、ノズル列115k、115c、115m、115yと、光学センサ118とを有する。5つのノズル列115k、115c、115m、115yと光学センサ118とを搭載したキャリッジ116は、ベルト117を介して伝達されるキャリッジモータの駆動力によって、図中X方向(主走査方向)に沿って往復移動可能である。キャリッジ116が、記録媒体に対し相対的にX方向に移動するとともに、ノズル列の各ノズルからインク滴が記録デ-タに基づいて重力方向(図中-z方向)に吐出される。これにより、プラテン119上に載置された記録媒体に主走査1/N回分の画像が記録される。1回分の主走査が完了すると、記録媒体は主走査1/N回分の幅に対応する距離だけ、主走査方向と交差する搬送方向に沿って(図中-y方向)搬送される。これらの動作により、N回の複数走査で1ノズル列分の幅の画像が記録される。このような主走査と搬送動作とを交互に繰り返すことにより、記録媒体に徐々に画像が形成される。こうすることにより所定領域に対する画像記録を完成させるように制御することができる。
図2は、本実施形態における記録ヘッド115を説明するための図である。本実施形態では、1ノズル列分の単位領域を1回の走査で画像形成し、それを複数回(例えばN回)走査することで1ページの画像が記録される。記録ヘッド115は、キャリッジ116と、ノズル列115k、115c、115m、115yと、光学センサ118とを有する。5つのノズル列115k、115c、115m、115yと光学センサ118とを搭載したキャリッジ116は、ベルト117を介して伝達されるキャリッジモータの駆動力によって、図中X方向(主走査方向)に沿って往復移動可能である。キャリッジ116が、記録媒体に対し相対的にX方向に移動するとともに、ノズル列の各ノズルからインク滴が記録デ-タに基づいて重力方向(図中-z方向)に吐出される。これにより、プラテン119上に載置された記録媒体に主走査1/N回分の画像が記録される。1回分の主走査が完了すると、記録媒体は主走査1/N回分の幅に対応する距離だけ、主走査方向と交差する搬送方向に沿って(図中-y方向)搬送される。これらの動作により、N回の複数走査で1ノズル列分の幅の画像が記録される。このような主走査と搬送動作とを交互に繰り返すことにより、記録媒体に徐々に画像が形成される。こうすることにより所定領域に対する画像記録を完成させるように制御することができる。
<全体フロー>
図3は、本実施形態における画像処理装置101による画像処理の全体フローを示すフロー図である。本実施形態では、図3の処理により、色縮退する色の組み合わせに対して、所定の色空間における色間の距離を大きくすることができる。結果、色縮退の度合を低減することできる。図3の処理は、例えば、CPU102が記憶媒体104に記憶されているプログラムをRAM103に読み出して実行することにより実現される。また、図3の処理は、画像処理アクセラレータ105により実行されても良い。
図3は、本実施形態における画像処理装置101による画像処理の全体フローを示すフロー図である。本実施形態では、図3の処理により、色縮退する色の組み合わせに対して、所定の色空間における色間の距離を大きくすることができる。結果、色縮退の度合を低減することできる。図3の処理は、例えば、CPU102が記憶媒体104に記憶されているプログラムをRAM103に読み出して実行することにより実現される。また、図3の処理は、画像処理アクセラレータ105により実行されても良い。
ステップS301においてCPU102は、記憶媒体104に保存されている原稿データを取得する。また、データ転送I/F106を介して取得した原稿データを入力しても良い。入力された原稿データから色情報を取得する色情報取得を行う。原稿データは、それが画像データであっても描画コマンドであっても、所定の色空間で表現された色を表す値を含んでいる。色情報取得では、色を表す値を取得する。色を表す値には、例えば、sRGBデータ、Adobe RGBデータ、CIE-L*a*b*データ、CIE-LUVデータ、XYZ表色系データ、xyY表色系データ、HSVデータ、HLSデータである。
ステップS302においてCPU102は、予め記憶媒体104に記憶された色変換情報を用いて、画像データに対して色情報変換すなわちガマットマッピングを行う。本実施形態における色変換情報は、ガマットマッピング用のルックアップテーブルである。ここで、ステップS302で用いる色変換情報について述べる。CIE-L*a*b*空間が、色相に関して必ずしも知覚均等色空間ではないことは述べた。本実施形態では、CIEカラーアピアランスモデル(CIECAM)空間としてのJCh色空間を用いる。JCh色空間について述べる。JCh色空間は、国際照明学会(以下CIEと称す)の専門委員会8-01、すなわちカラーアピアランスモデルに関わる専門委員会が、2002年に勧告した2002年カラーアピアランスモデル(以下CAM02と称す)内で定義した色空間モデルである。定義式については、CIE(国際照明委員会)の技術委員会8-01が2002年に定めた規格に則る。
図11はJCh色空間の模式図である。J軸1101は、色空間上の無彩色な位置で明るさを司る軸である。彩度1102は、無彩色軸であるJ軸からの距離である。これは明度Jに依らず、軸からの距離で定まる。図ではCで表現している。色相1103はある基準軸からの方位角である。色相1103の算出基準となるa軸、b軸は、前記CAM02内で定義されるa軸とb軸である。ステップS302のガマットマッピングでは、原稿データに含まれていた色を、RGB色空間からJCh色空間に変換する。
原稿データの色がRGBの3次元の色空間で表される場合、ガマットマッピングテーブルは、3次元のルックアップテーブルとなっている。入力sRGBを、以下では「in」と添え字をつけて区別する。また、出力のJChには、「out」と添え字をつけて区別する。このような3次元のルックアップテーブルによって、入力画素値(Rin,Gin,Bin)の組み合わせに対して、出力画素値(Jout,Cout,hout)の組み合わせを算出することができる。入力値であるRin、Gin、Binがそれぞれ256階調を持つ場合、256×256×256の合計16,777,216組の出力値を持つテーブルTable1[256][256][256][3]を用いることが好ましい。ステップS302では、予め用意されているガマットマッピングテーブルTable1を用いて色情報変換を行う。具体的には、ステップS301において入力された画像データのRGB画素値で構成される画像の各画素に対して、下記の処理をする事で実現出来る。
Jout = Table1[Rin][Gin][Bin][0]・・・(式1)
Cout = Table1[Rin][Gin][Bin][1]・・・(式2)
hout = Table1[Rin][Gin][Bin][2]・・・(式3)。
Cout = Table1[Rin][Gin][Bin][1]・・・(式2)
hout = Table1[Rin][Gin][Bin][2]・・・(式3)。
また、ルックアップテーブルのグリッド数を256グリッドから例えば16グリッドに減らし、複数のグリッドのテーブル値を補間して出力値を決定する等、テーブルサイズを小さくする公知の工夫を用いても良い。ガマットマッピング後のJCh色空間で表された画像データは、RAM103または記憶媒体104に記録される。このようにしてステップS302では、原稿データに含まれている色のRGB値と、それぞれの色に対応するJCh値とを関連付けることができる。
次にステップS303においてCPU102は、S301で入力された画像データと、S302で行ったガマットマッピング後の画像データとガマットマッピングテーブルを用いて、色縮退を補正した、補正済ガマットマッピングテーブルを作成する。補正済ガマットマッピングテーブルの形式はステップS302で用いたガマットマッピングテーブルの形式と同様である。すなわち補正済ガマットマッピングテーブルは、本例においては、原稿データで用いられている色について、RGB色空間をJCh色空間へとマッピングするためのテーブルである。補正済ガマットマッピングテーブルの作成方法については後述する。
ステップS304においてCPU102は、ステップS303で作成された色縮退補正済みの色補正テーブルを用いて、ステップS301で入力された原稿データを色補正する。こうすることによって、色縮退補正が行われた補正済画像データを生成する。生成された補正済画像データは、RAM103または記憶媒体104に記憶される。
ステップS305においてCPU102は、ステップS304で記録された補正済画像データをデータ転送I/F106を介して画像処理装置より出力する。
なおステップS304で行われるガマットマッピングはsRGB色空間内における色補正としているが、sRGB色空間から記録装置の色再現色域へのマッピングであっても良い。たとえば記録装置への入力がL*a*b*データであれば、sRGBからL*a*b*へマッピングであってよい。またKCMY等のインク色空間へのマッピングであってもよい。この場合、いずれにしても記録装置の色再現色域内へのガマットマッピングによる彩度と色差の低下を抑制することができる。
<色変換情報の生成方法>
本実施形態で用いる色変換情報の生成方法については図4を参照して述べる。図4は、ステップS303における補正済ガマットマッピングテーブルの生成処理を説明する概念図である。
本実施形態で用いる色変換情報の生成方法については図4を参照して述べる。図4は、ステップS303における補正済ガマットマッピングテーブルの生成処理を説明する概念図である。
入力401は、原稿データの色を表す色空間の格子点の情報である。これは図3のステップS301の入力に相当する。本実施形態では、原稿データがsRGBで記述されているものを例示する。処理402は、入力401をJCh色空間へと変換する。これは図3のステップS302の工程に相当する。この際、入力401に含まれた色情報と変換後のJChの色情報とは互いに関連付けられてRAM103または記憶媒体104に記録される。
一方入力403は、色分解測色値である。色分解とは、定義において記載した通り色信号、例えば原稿データの色信号を記録装置で使用されるインクの色信号に分解する処理のことである。本実施形態では、例えばRGBからKYMCへ変換する色分解テーブルを用いて色分解が実施される。即ち、色分解処理は、入力色空間の格子点に対するインクの色信号の組み合わせを定めたテーブルを用いて行われる。色分解されることによって、原稿データを構成する信号をインク信号に置き換えることができる。原稿データを入力全域からなる格子点データにしておけば、印刷物は当該プリンタの色再現域全域を表現することができる。色分解テーブルは予め定められ、画像処理装置101が保持しているものであってよい。色分解測色値403は、その色分解テーブルを用いてRGBの入力画像データをKYMCへと変換し、それを印刷し、それをL*a*b*色空間で測色した値である。たとえば入力のRGBの格子点ごとのパッチを印刷してそれを測色したテーブルを予め用意しておけば、そのうちから原稿データに含まれたRGB値に対応する部分を抽出しして色分解測色値403として用いることができる。すなわち色分解測色値とは、例えば入力RGB値と測色されたL*a*b*値とを対応付けたテーブルであってよい。
処理404は、この入力403である色分解測色値をJCh値に変換する。これによって例えば入力RGB値と測色されたJCh値とを対応付けたテーブルが得られる。
処理405では、処理402で得られた入力格子点データと処理404で得られた色分解測色値を、RGBを媒介として対応付け、色変換情報406を得る。すなわち、本例では、入力原稿データのJCh値を、印刷して測色したJCh値に対応付けたJCh内色変換情報が得られる。このJCh内色変換情報を用いて後で図6を参照して説明するように、色縮退補正テーブルが生成される。
処理405における対応付けの方法は色差最小法や一点収束法など、どのような対応付けでも良い。JChのようなCIECAM02で示された色空間内での対応付けがなされれば、色相に対する影響が軽微になる。色縮退補正テーブルが生成されるとそれをステップS302で用いたガマットマッピングテーブルに反映して、補正済ガマットマッピングテーブルが得られる。
<色縮退補正テーブルの作成>
図5は、ステップS303の色縮退補正テーブルの作成処理を説明するための図である。図5の処理は、例えば、CPU102が記憶媒体104に記憶されているプログラムをRAM103に読み出して実行することにより実現される。また、図5の処理は、画像処理アクセラレータ105により実行されても良い。図5の処理は例えば原稿データ全体を対象として行うものとするが、ページなど、分割した範囲を単位としておこなってもよい。
図5は、ステップS303の色縮退補正テーブルの作成処理を説明するための図である。図5の処理は、例えば、CPU102が記憶媒体104に記憶されているプログラムをRAM103に読み出して実行することにより実現される。また、図5の処理は、画像処理アクセラレータ105により実行されても良い。図5の処理は例えば原稿データ全体を対象として行うものとするが、ページなど、分割した範囲を単位としておこなってもよい。
ステップS501においてCPU102は、ステップS301で入力された原稿データが有する色(ユニークな色と呼ぶ)を検出する。検出結果をRAM103または記憶媒体104にユニーク色リストとして記憶する。ユニーク色リストはステップS501の開始時に初期化する。検出処理を原稿データが含む色ごとに繰り返し、画像データに含まれる全ての色について、各色が、それまでに検出されたユニークな色と異なる色であるかどうかを判断する。ユニークな色であると判断した場合には、ユニーク色リストにユニークな色として記憶する。
原稿データが画像データの場合、ステップS501では、まず、画像データに含まれる特定の画素を対象画素として、対象画素の色値が既にユニーク色リストに加えられた色値であるかどうかを、リスト内の色と比較することによって判断する。対象画素の色値がまだ含まれていない場合、ユニーク色リストへ色情報を新たに追加する。その後、対象画素を例えばラスタ順で移動させる。こうすることによって、画像データに含まれるユニーク色リストを生成することができる。
上記では、入力画像データがsRGBであった場合、それぞれ256階調を持つため、256×256×256の合計16,777,216色からユニークな色が検出される。この場合、色数が膨大になり、処理速度が低下する。そのため、離散的にユニークな色を検出しても良い。例えば、256階調を16階調に減色してからユニークな色を検出しても良い。減色する場合、最も近いグリッドの色に減色すればよい。以上のように、16x16x16の合計4096色からユニークな色を検出することができ、処理速度が向上する。
なお上記の手順は図3のステップS301で行ってよく、そのためステップS301で取得した色情報を用いることで、ステップS501を省略することもできる。またJCh内色変換情報は原稿データに含まれたRGB値について作成されていることから、原稿データで用いられている色を取得しなくともよい。
次にステップS502で、CPU102は、ガマットマッピングにより色縮退しており、かつ色縮退の補正が必要であるような色を、図4の処理405で作成したJCh内色変換情報を参照して特定する。図6は、画像データに含まれるユニークな色の組み合わせの中から該当する色の組み合わせを検出する方法を例示する模式図である。この処理はステップS501(またはステップS301)で検出されたユニークな色リストに基づき、CPU102を用いてステップS502で実施する。画像データに含まれるユニーク色の組み合わせの中で、色縮退しており、かつ色縮退の補正が必要であるような色の組み合わせを検出する。検出された色の値は記憶される。
図6の色域601は入力画像データの色域である。色域602はステップS302におけるガマットマッピング後の色域である。入力画像データ内に含まれる色603と色604がある。色605は、色603に対するガマットマッピングにより得られた色である。色606は、色604に対するガマットマッピングにより得られた色である。色605と色606との色差608が、色603と色604との色差607に比べ小さい場合に色縮退していると判断される。また色差608が知覚できない色差である場合に、補正の必要があると判断される。色差が知覚できないということは、彩度差も知覚できないことを意味する。補正の必要がある色縮退が生じている色の組が検出されたなら、その色の組を保存しておく。判断処理をユニーク色リストの2色の組み合わせ数分繰り返す。なおこの計算量を小さくするために、第1の方法として、入力色空間の格子点を疎にすること、第2の方法として、色の組み合わせの範囲を限定することがあげられる。第2の方法については図6の説明に関連して後述する。尚、本図において、色情報はJCh色空間における色情報であるが、ここで用いられる色空間は、空間距離を定義可能な他の色空間であっても良い。
本実施形態では、例としてJCh色空間におけるユークリッド距離を色差として用いる。色空間における座標値間の距離は、色の差を示す。この距離が短いならば、座標値が近接し、色が近似していることになる。その結果その2色は識別し難いことになる。JCh色空間は円筒座標である。そのため色情報はそれぞれ高さとしてのJ、中心軸からの距離としてのC、方位角としてのhからなる。色603は、J603、C603、h603で表される。色604は、J604、C604、h604で表される。色605は、J605、C605、h605を成分として表される。色606は、J606、C606、h606で表される。JCh色空間では、色の差ΔE607と色の差ΔE608の算出式は、下記のとおりである。
式4,式5は例示であるが、式中の成分ごとの差を着目している2色の成分ごとの差とすることで、JCh色空間の任意の2色間の距離すなわち色差を求めることができる。
色の差ΔE608が色の差ΔE607に比べて小さく、かつ、色差ΔE608に色の差を識別できるだけの大きさが無かった場合、色縮退しており、かつ補正の必要があると判断する。逆に色605と色606との色差ΔE608が、人の視覚特性に基づいて異なる色だと識別できる程度の色の差があれば、色の差を補正する必要が無いと判断できる。色の差を識別できるか否かの判断基準となる色の差608と色の差607の差は、期待される識別の程度に応じて閾値を設定して良い。
なお画像データに含まれる色すべてについて2色間の縮退および補正の必要性を判定しなくともよい。たとえば入力色における色差ΔE607が、観察者が知覚できない大きさであるような2色については縮退が生じても補正対象としなくともよい。また、ガマットマッピング後であっても色の差を知覚できることが明らかに予想される2色についても、色縮退があったとしても補正対象としなくてもよい。この予想は、例えばガマットマッピングテーブルを用いた変換を予め行っておき、その結果に基づいて、変換後の色差を知覚できる色差を定めておくことで実現してよい。たとえば原稿データに含まれた或る入力色を第1の着目色とする。また第2の着目色として、第1の着目色からの距離が、色差を知覚可能か否かを示す第1の基準値よりも大きく、かつ、ガマットマッピングした場合に、第1の着目色との色差が、知覚可能か否かを示す第2の基準値以下の色を選ぶ。そして第1の着目色と第2の着目色の組について、色縮退の有無および補正する必要性の有無を判断すればよい。ここで均等色空間においては、同一と知覚される色の範囲は色空間のどの領域でも(すなわちどの色でも)概ね等しいはずである。そのため、上述した第1の基準値と第2の基準値それぞれは、入力色空間のどの領域であっても同じ値であってよく、予め決めておいてよい。なお画像データに含まれる色すべてについて2色間の縮退および補正の必要性を判定してもよい。
ステップS503においてCPU102は、ステップS502において色縮退しており、かつ補正が必要な色の組み合わせがあるかどうかを判断する。色縮退しており、かつ補正が必要な色の組み合わせがない場合、ステップS504へ移り、色縮退補正が不要な画像であると判断して、処理を終了する。ステップS504では特に何もしなくてよい。一方、色縮退している色の組み合わせが少なくとも1つある場合、ステップS505へ移り、補正を行う。
色縮退補正は色の変化をもたらすことになる。そのため、色縮退していない色の組み合わせについても色縮退補正により色変化してしまい、不要な色変化となる。そのためユニーク色の組み合わせの総数と色縮退している色の組み合わせ数から色縮退補正の必要性を判断しても良い。具体的には、色縮退しており、かつ補正が必要と判断された色の組み合わせ数が、ユニーク色の組み合わせの総数の過半数の場合に色縮退補正を必要であると判断しても良い。こうすることにより、色縮退補正による色変化の弊害を抑制することができる。
次に、ステップS505で実行される色縮退補正について説明する。ステップS505においては、CPU102が、入力画像データとガマットマッピング後の画像データとガマットマッピングテーブルに基づいて色縮退補正を行う。対象とするのは、ステップS502において補正の必要があると判定された色の組のうち、少なくとも一方の色である。
前述のように、図6において、色603と色604の色の組み合わせは、ガマットマッピングの結果、色縮退していることを表している。そこで、変換後の色605と色606を所定の色空間上の色間距離を引き離すことによって、色縮退を補正することができる。具体的には、ガマットマッピング後の2色が、人の視覚特性に基づいて異なる色だと識別できる色間距離以上に、色間距離を大きくする補正処理を行う。本実施形態の色縮退を補正する処理は、色成分のうち最も変化量が大きいのが彩度であるような処理である。色縮退の補正処理は、色縮退の補正対象とする色の組み合わせ数分を繰り返す。色の組み合わせ数分の色縮退補正の結果は、補正前の色情報と補正後の色情報を関連付けてテーブルで保持する。
次に具体的な色縮退の補正処理について説明する。色の差ΔE608から色の差ΔEを広げる色差補正量609を求める。視覚特性上、色の差ΔE607と色の差ΔE608の差分が色差補正量609である。ここでは色606と色605の色の差ΔE608が知覚できない大きさであることを仮定している。そこで、色605を、彩度の差として知覚可能な量としての色差補正量609だけ補正する。補正した結果が色610である。補正処理後において、色605の彩度と色606の彩度の差が彩度差612であり、色606の彩度と色610の彩度の差が彩度差611である。色の差ΔE608が知覚できない大きさであることから、彩度差611も知覚できない大きさである。そして、彩度差612は彩度差611よりも大きく、かつ、色606と色610の色の差は知覚できる大きさである。
この色差補正量609は、設定によりに可変である。ここで定めた色差補正量609に基づき、新たなマッピング先であるJCh空間内の座標値として、色610が定まるのである。この時、CIECAM色空間内で色相の変化が、彩度の変化よりも小さくなるように色610を定めると、より効果的である。そのために例えば色606からJCh色空間におけるJ軸に向かって色補正すればよい。J軸に向かって補正するとは、h成分(色相)の値を変えることなく、J成分(輝度)及び/又はC成分(彩度)を調整することである。あるいはC成分(彩度)のみを調整してもよい。こうすることで色相を変えることなく補正することができる。この場合、色の差ΔE607と色の差ΔE608の差分が色差補正量609となるとは限らない。補正対象の色を色606とした場合、色605を補正した色610と色606との距離が、彩度差を知覚可能な距離の基準値を超えるよう、色605の彩度成分Cを補正すればよい。ただしこの際、計算誤差などによって輝度成分Jも変わってしまうこともある。この場合には、この座標系における色の三成分であるJ,C,hのうちCが最大の変化になるように補正することよって、企図した効果を得ることができる。この距離は、式4または式5と同じ要領で求めることができる。
なお補正対象の特定は2色間の色差を基準とするので、2つの色のいずれか一方または両方を補正対象としてよい。たとえば彩度成分のみをJ軸に向けて補正する場合、より彩度の低い方の色を変更する方が、調整する値の絶対値は小さくなる。そこで、より彩度の低い方の色を補正対象として決定し、それに対する補正量を決定してよい。またより彩度の低い方の色の彩度を下げ、より彩度の高い方の色の彩度を上げることで、それぞれの色の補正値を小さくすることができる。ただしこれは彩度を上げても色再現範囲を超えない場合に限られる。ここで、彩度成分だけを補正する場合について述べる。彩度を補正するとは、明度と色相を計算誤差の範囲で許容した上で、彩度だけを補正するという意味である。円筒座標系でこの操作を実施するということは、Jとhに変化を与えず、動径成分であるCだけを補正するということである。例えば色605の彩度だけを、色606との彩度差が大きくなる方向に補正することを例にとる。この場合、J成分及びh成分は可能な限り変えず、色606との彩度差を知覚できる程度まで、色605よりも低彩度な色を探すことを彩度補正とする。これは、色605の持つ座標値J,C,hから、Jとhを変えずに、色605よりもCが小さい色を探すことである。
なお図6はひとつの色相面内の色について例を示したが、相異なる色相面に含まれる色についても上記と同様の要領で色縮退を検出し、補正することができる。その場合には、補正対象の色の一方または両方について、補正前の2色それぞれの色相をできるだけ変更せず、彩度差を大きくするように彩度成分を変更する補正を行えばよい。この補正により、入力装置の色再現域では知覚可能な色差があった2色が、出力装置の色再現域でも色相の変更なしで知覚可能な色差を有する2色に変換される。
さらにまた、本発明は入力装置の色再現域と、出力装置の色再現域が著しく異なる場合に有効である。特に、出力色再現域が入力色再現域の50%程度以下の場合に効果的である。
ステップS506においてCPU102は、ステップS505の色縮退補正の結果を用いてJCh内色変換情報を変更する。すなわち決定された補正対象の色と補正値とを用いてJCh内色変換情報を更新し、補正済JCh内色変換情報を作成する。具体的には、補正対象として特定した色をインデックスとして特定される色値を補正後の値に書き換えればよい。変更前のJCh内色変換情報は、入力色である色603を出力色である色605へ変換するテーブルである。ステップS505の結果より、入力色である色603の出力色が色610へ変換する補正済JCh内色変換情報に変更する。この補正済JCh内色変換情報の入力となるJCh値を、処理402で変換対象としたRGB値に置き換えれば、それが補正後ガマットマッピングテーブルとなる。
以上のように、補正済ガマットマッピングテーブルを作成することができる。ガマットマッピングテーブルの変更は、補正対象の色の組み合わせ数分を繰り返す。
ステップS507においてCPU102は、ステップS506の結果えられた補正後ガマットマッピングテーブルの値をRGB色空間の色値に変換する。これによりRGBからRGBへと変換するテーブル(色補正テーブル)が得られる。ここで最終的に得られる色補正テーブルが、入力色空間がsRGBの画像データをプリンタのデバイス色空間、たとえばRGB色空間に変換するテーブルとなる。
以上のように、上述した処理を行うことにより、色縮退補正後のガマットマッピングテーブルを入力画像に適用することで、入力画像が有するユニークな色の組み合わせに対して、色縮退する色の組み合わせに対して、色間の距離を大きくすることができる。結果、色縮退する色の組み合わせに対して、色縮退を軽減ことができる。これは入力画像データがsRGBデータであった場合、ガマットマッピングテーブルが入力画像データに16,777,216色が有することを前提として作成されているからである。この前提のもとに作られたガマットマッピングテーブルは、入力画像データに有さない色に対してまで、色縮退や彩度を考慮して作成されている。本実施形態では、入力画像データに有する色を検出することにより、入力画像データに適応的にガマットマッピングテーブルを補正することできる。そして、入力画像データが有する色のみに限定したガマットマッピングテーブルを作成することができる。この結果、入力画像データに対して好適な適応的ガマットマッピングを行うことができるため、色縮退を低減することができる。
本実施形態では、入力画像データが1ページであった場合の処理を述べた。入力画像データが複数ページであっても良い。入力画像データが複数ページであった場合、図3の処理フローを全ページに渡って行っても良い。さらに、図3の処理をページ毎に行っても良い。以上のように、入力画像データが複数ページであった場合でもガマットマッピングによる色縮退の度合いを低減することできる。
本実施形態では、色縮退補正後のガマットマッピングテーブルを入力画像に適用したが、ガマットマッピング後の画像データに対して、色縮退補正を行う補正テーブルを作成しても良い。その場合、ステップS505にける色縮退補正結果に基づいて、補正前の色情報から補正後の色情報へ変換する補正テーブルを生成しても良い。生成されたガマットマッピング後補正テーブルは、図4における色605から色610へ変換するテーブルである。ステップS305において、ガマットマッピング後の画像データに対して生成された補正テーブルを適用する。以上のように、ガマットマッピング後の画像データを補正することで、ガマットマッピングによる色縮退の度合いを低減することできる。
本実施形態において、本処理を実行するかどうかをユーザに入力させても良い。その場合、画像処理装置または記録装置に搭載してあるディスプレイに、図7のようなユーザインターフェイス(UI)画面を表示して、ユーザに入力させる。図7のUIには、色補正選択欄702と適応的ガマットマッピング選択欄703とを含む。図7においては、選択欄701においてユーザは色補正の種類をトグルボタンによって選択することができる。さらに選択欄702において、本処理である適応的ガマットマッピングを実行するかどうかのONとOFFをトグルボタンによって選択することができる。これらの選択結果はパラメータとして記憶媒体に記憶され、色補正を行う前に参照される。例えば色補正選択欄701で設定した色補正パラメータは図5の処理の直前に参照されてその値に応じて処理の分岐が決定される。例えば、「なし」が選択されている場合には、ステップS504に分岐する。一方「ドライバー補正」が選択されている場合には、ステップS501へと分岐する。
また例えば適応的ガマットマッピング選択欄703で設定した適応的ガマットマッピングパラメータは図5のステップS505の直後に参照されてその値に応じて処理の分岐が決定される。例えば、「ON」が選択されている場合にはステップS506に分岐する。一方「OFF」が選択されている場合にはステップS507へと分岐する。
こうすることにより、ユーザの指示に従って適応的ガマットマッピングを実行するかどうかを切り換えることができる。結果、ユーザが色縮退の度合いを低減させたいときに、適応的ガマットマッピングを実行することができる。
また上記実施形態では、色縮退の補正を行うためにJCh内色変換情報なるテーブルを作成した。しかし、原稿データの含む色のJChの値と、印刷された画像から測定されたJChの値とを対応付けていれば、特にJCh内色変換情報なるテーブルを作成しなくともよい。
以上説明した第一の実施形態によれば、デジタル原稿を狭い色再現域にマッピングする際に、異なる色相と知覚され得る領域内において色縮退した色があった場合、等色相と知覚される色相で色縮退が起こる色同士の色間距離を大きくする。それにより、色再現域を狭める色空間圧縮を行っても、違和感なく色の識別が可能な画像を得ることができ、その画像を用いて高品質の印刷物を提供することができる。
(第二の実施形態)
ここまで述べてきた第一の実施形態は、色相に依らない汎用的な手段であった。以下ではより効果的な適用方法について述べる。図8は、sRGBと一般的なプリンタの色再現域の、CIEL*a*b*空間におけるb*L*平面での断面図を示す模式図である。b*軸は正の方向で黄色を、負の方向で青色を示す。減法混色系であるプリンタにおいて、黄色はインクの一次色である。一般にイエローインクは明るいインクであることが多い。そのため、インクを受容できる最大まで打ち込んでも、L*があまり変化しない。一方で青色は、シアンとマゼンタの2次色である。シアンとマゼンタは濃いインクであることが多い。そのため青色は、そのプリンタの最大濃度点である黒と明度差が付きづらいことがある。プリンタの色再現域は、インク特性によって明度差が付きづらい箇所(或いは領域)があるのである。そこで、処理対象となる色の色相が、当該処理に対して十分な明度差があるかどうかを判定することによって、効果的に適用することができる。
ここまで述べてきた第一の実施形態は、色相に依らない汎用的な手段であった。以下ではより効果的な適用方法について述べる。図8は、sRGBと一般的なプリンタの色再現域の、CIEL*a*b*空間におけるb*L*平面での断面図を示す模式図である。b*軸は正の方向で黄色を、負の方向で青色を示す。減法混色系であるプリンタにおいて、黄色はインクの一次色である。一般にイエローインクは明るいインクであることが多い。そのため、インクを受容できる最大まで打ち込んでも、L*があまり変化しない。一方で青色は、シアンとマゼンタの2次色である。シアンとマゼンタは濃いインクであることが多い。そのため青色は、そのプリンタの最大濃度点である黒と明度差が付きづらいことがある。プリンタの色再現域は、インク特性によって明度差が付きづらい箇所(或いは領域)があるのである。そこで、処理対象となる色の色相が、当該処理に対して十分な明度差があるかどうかを判定することによって、効果的に適用することができる。
図9は、色相ごとの明度差を判定した後に適応的ガマットマッピングをする場合の動作を示すフローチャートである。なお図9の中の信号は、実施形態1で用いたJCh空間の値だとする。ステップS901でまず、処理対象となる色を決定する。ステップS902では、当該色の色相の値を見ればよい。ステップS903では、当該色相と同じ色相であり、且つプリンタの最大彩度点を決定する。具体的な方法を示す。
図10は、注目している色とプリンタの色再現域を、JCh空間における彩度平面への射影を示す模式図である。基点1001はJ軸である。J軸は図の面に直交している。基線1002は、色相hとしての方位角の基線である。色再現域1003は、プリンタの色再現域である。色再現域1003よりもJ軸側の領域がプリンタの色再現域を示す。注目色1004は、処理対象となる色であり、ステップS901で決定した色である。最大色1005は、注目色1004のh(色相)を保ったまま色再現域1003の最大の点まで延伸した色である。見つけ方は、JChで示された色再現域1003の最大彩度点を繋げた環の中から、hの値が最も近いものをみつければ良い。次に、こうして選んだ最大色1005のJ値(輝度)に注目する。最大色1005のJ値と白(最大輝度値)、及び黒(最小輝度値)の差の絶対値を取る。J値と白との差をΔWとする。またJ値と黒との差をΔKとする。
ステップS904ではΔWまたはΔKのいずれかが、所定の閾値以下であるか判定する。ΔWまたはΔKのいずれかが、所定の閾値以下だった場合、ステップS905に進む。ここで所定の閾値とは、例えばJ値を8ビット表現した場合に25以下程度だと好ましい。S905は、実施形態1の図5で説明した処理である。
ただしここでは、ステップS901で決定した対象色を、図5の処理対象とする色のうちの一方の色とし、他方の色として他の色を選択して図5の処理を実行する。すなわち、本実施形態では実施形態1で処理対象としていた色のうち、黒または白との輝度の差が所定の基準値以下の色を対象として補正の必要性を決定し、必要であれば補正して補正後のガマットマッピングテーブルを再構成する。一方で、ステップS904でΔWおよびΔKの両方が所定の閾値より大きかった場合には、ステップS906に進む。この場合には彩度差をつけずに別の色と認知できる別のアルゴリズムを適用しても良い。
本実施形態によれば、補正がより効果的な色を対象としてガマットマッピングテーブルを補正する。そのため、実施形態1に比べて、補正による効果を損な得ることなく処理量を減少させることができる。
[その他の実施形態]
なおお上述した実施形態の記録装置は、キャリッジに搭載した記録ヘッドを記録媒体上で走査し、併せて記録媒体を搬送しながら画像を形成するシリアル方式のインクジェット記録装置である。本実施形態ではこれに代えて、記録媒体の幅に相当する固定的なラインヘッドを有し、記録媒体を搬送しつつ画像を形成するライン方式の記録装置を用いてもよい。また、インクジェット記録装置に代えて、電子写真方式の記録装置や、その他の方式の記録装置を用いてもよい。
なおお上述した実施形態の記録装置は、キャリッジに搭載した記録ヘッドを記録媒体上で走査し、併せて記録媒体を搬送しながら画像を形成するシリアル方式のインクジェット記録装置である。本実施形態ではこれに代えて、記録媒体の幅に相当する固定的なラインヘッドを有し、記録媒体を搬送しつつ画像を形成するライン方式の記録装置を用いてもよい。また、インクジェット記録装置に代えて、電子写真方式の記録装置や、その他の方式の記録装置を用いてもよい。
また本実施形態の記録装置では記録媒体としてページごとのシート(カットシート)を用いるが、ロールシートに画像形成し、その後シートを切断する構成を有してもよい。
また、S303における色の補正は、原稿データの色値と、その色値に対応する測色値との彩度の差が、補正前よりも補正後の方が大きくなる色値となるよう行ってよい。
また、S303における色の補正は、補正前と補正後の色値の色相成分の差が、彩度成分の差よりも小さくなるように行ってよい。
また、S303における色の補正は、補正前と補正後の色値の色相成分の差が、彩度成分の差よりも小さくなるように行ってよい。
また、S303における色の補正は、前記測色値から補正後の均等色空間における色値へと変換するための変換情報を補正するものであってもよい。
また、S303における色の補正は、原稿データの色空間たとえばRGB色空間から記録装置の色空間、たとえばRGB色空間へと変換するための変換情報に反映されてよい。さらにこの変換情報により変換される記録装置の色空間における色域体積は、原稿データの色空間における色域体積の半分以下であってよい。
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
●実施形態のまとめ
上記実施形態をまとめると以下のとおりである。
[項目1]
第1の色域で定義される画像データを取得する取得手段と、
色変換情報を用いて、前記第1の色域とは異なる第2の色域で定義される画像データに変換する変換処理を実行する変換手段と、
第1の色変換情報を用いた前記変換処理によって前記画像データに含まれる2つの第1の色値の組が互いに異なる色として知覚されない色差を有する第2の色値の組に変換される場合、第2の色変換情報を用いた変換処理によって前記第1の色値の組が互いに異なる色として知覚される色差を有する第3の色値の組に変換されるように、前記第2の色変換情報を生成する生成手段と、
を有し、
前記第3の色値の組における彩度差は、前記第2の色値の組における彩度差よりも大きいことを特徴とする画像処理装置。
[項目2]
項目1に記載の画像処理装置であって、
前記画像データに含まれる色値を含む第1の色情報を均等色空間に変換した情報と、前記画像データに基づいて画像形成装置により画像が形成された記録媒体を測色した測色値を含む第2の色情報を前記均等色空間に変換した情報と、対応付ける対応付け手段をさらに備える
ことを特徴とする画像処理装置。
[項目3]
項目2に記載の画像処理装置であって、
前記生成手段は、前記対応付け手段により対応付けられた情報に基づき、互いに異なる色として知覚されない色差を有する色値の組を検出する
ことを特徴とする画像処理装置。
[項目4]
項目3に記載の画像処理装置であって、
前記生成手段は、検出された色値の組を前記第2の色値の組として、そのそれぞれに対して前記第3の色値の組を取得することにより、第3の色変換情報を生成する
ことを特徴とする画像処理装置。
[項目5]
項目1乃至4のいずれか一項に記載の画像処理装置であって、
前記生成手段は、前記第2の色値の組の片方または両方を補正対象の色とし、当該補正対象の色について等色相面内で彩度差が大きくなるように補正した色を前記第3の色値の組とする
ことを特徴とする画像処理装置。
[項目6]
項目1乃至5のいずれか一項に記載の画像処理装置であって、
前記第2の色値の組のうち一方を補正対象の色とし、当該補正対象の色の彩度成分を、他方の色の彩度成分との差が大きくなるように変更することにより決定される
ことを特徴とする画像処理装置。
[項目7]
項目3または4に記載の画像処理装置であって、
前記生成手段は、検出された色値の組のうち、前記均等色空間において、最小輝度値または最大輝度値の色値からの距離が所定の基準値以下の色値を補正の対象とする
ことを特徴とする画像処理装置。
[項目8]
項目2乃至4のいずれか一項に記載の画像処理装置であって、
前記生成手段は、前記均等色空間において、互いの距離が所定の基準値以下の色値を互いに異なる色として知覚されない色値の組とし、互いの距離が前記基準値より大きい色値を互いに異なる色として知覚される色値の組とする
ことを特徴とする画像処理装置。
[項目9]
項目2乃至4のいずれか一項に記載の画像処理装置であって、
前記生成手段は、前記第1の色情報に対応する前記均等色空間の色値の組のうち、互いの距離が基準値より大きい色を補正の対象とする
ことを特徴とする画像処理装置。
[項目10]
項目2乃至4のいずれか一項に記載の画像処理装置であって、
前記生成手段では、前記第2の色情報に対応する前記均等色空間の色値の組のうち、互いの距離が第2の基準値以下の色を補正の対象とする
ことを特徴とする画像処理装置。
[項目11]
項目2乃至4のいずれか一項に記載の画像処理装置であって、
前記均等色空間はCIEカラーアピアランスモデル(CIECAM)の色空間である
ことを特徴とする画像処理装置。
[項目12]
項目2乃至4のいずれか一項に記載の画像処理装置であって、
項目11に記載の画像処理装置であって、
前記均等色空間はCIE-JCh色空間である
ことを特徴とする画像処理装置。
[項目13]
項目1乃至12のいずれか一項に記載の画像処理装置であって、
前記変換手段は、前記第1の色変換情報を用いて前記画像データを変換する変換処理を実行し、
前記生成手段は、前記第1の色変換情報を用いた前記変換処理の結果に基づいて前記第2の色変換情報を生成し、
前記変換手段は、生成された前記第2の色変換情報を用いて前記画像データを変換する変換処理を実行する
ことを特徴とする画像処理装置。
上記実施形態をまとめると以下のとおりである。
[項目1]
第1の色域で定義される画像データを取得する取得手段と、
色変換情報を用いて、前記第1の色域とは異なる第2の色域で定義される画像データに変換する変換処理を実行する変換手段と、
第1の色変換情報を用いた前記変換処理によって前記画像データに含まれる2つの第1の色値の組が互いに異なる色として知覚されない色差を有する第2の色値の組に変換される場合、第2の色変換情報を用いた変換処理によって前記第1の色値の組が互いに異なる色として知覚される色差を有する第3の色値の組に変換されるように、前記第2の色変換情報を生成する生成手段と、
を有し、
前記第3の色値の組における彩度差は、前記第2の色値の組における彩度差よりも大きいことを特徴とする画像処理装置。
[項目2]
項目1に記載の画像処理装置であって、
前記画像データに含まれる色値を含む第1の色情報を均等色空間に変換した情報と、前記画像データに基づいて画像形成装置により画像が形成された記録媒体を測色した測色値を含む第2の色情報を前記均等色空間に変換した情報と、対応付ける対応付け手段をさらに備える
ことを特徴とする画像処理装置。
[項目3]
項目2に記載の画像処理装置であって、
前記生成手段は、前記対応付け手段により対応付けられた情報に基づき、互いに異なる色として知覚されない色差を有する色値の組を検出する
ことを特徴とする画像処理装置。
[項目4]
項目3に記載の画像処理装置であって、
前記生成手段は、検出された色値の組を前記第2の色値の組として、そのそれぞれに対して前記第3の色値の組を取得することにより、第3の色変換情報を生成する
ことを特徴とする画像処理装置。
[項目5]
項目1乃至4のいずれか一項に記載の画像処理装置であって、
前記生成手段は、前記第2の色値の組の片方または両方を補正対象の色とし、当該補正対象の色について等色相面内で彩度差が大きくなるように補正した色を前記第3の色値の組とする
ことを特徴とする画像処理装置。
[項目6]
項目1乃至5のいずれか一項に記載の画像処理装置であって、
前記第2の色値の組のうち一方を補正対象の色とし、当該補正対象の色の彩度成分を、他方の色の彩度成分との差が大きくなるように変更することにより決定される
ことを特徴とする画像処理装置。
[項目7]
項目3または4に記載の画像処理装置であって、
前記生成手段は、検出された色値の組のうち、前記均等色空間において、最小輝度値または最大輝度値の色値からの距離が所定の基準値以下の色値を補正の対象とする
ことを特徴とする画像処理装置。
[項目8]
項目2乃至4のいずれか一項に記載の画像処理装置であって、
前記生成手段は、前記均等色空間において、互いの距離が所定の基準値以下の色値を互いに異なる色として知覚されない色値の組とし、互いの距離が前記基準値より大きい色値を互いに異なる色として知覚される色値の組とする
ことを特徴とする画像処理装置。
[項目9]
項目2乃至4のいずれか一項に記載の画像処理装置であって、
前記生成手段は、前記第1の色情報に対応する前記均等色空間の色値の組のうち、互いの距離が基準値より大きい色を補正の対象とする
ことを特徴とする画像処理装置。
[項目10]
項目2乃至4のいずれか一項に記載の画像処理装置であって、
前記生成手段では、前記第2の色情報に対応する前記均等色空間の色値の組のうち、互いの距離が第2の基準値以下の色を補正の対象とする
ことを特徴とする画像処理装置。
[項目11]
項目2乃至4のいずれか一項に記載の画像処理装置であって、
前記均等色空間はCIEカラーアピアランスモデル(CIECAM)の色空間である
ことを特徴とする画像処理装置。
[項目12]
項目2乃至4のいずれか一項に記載の画像処理装置であって、
項目11に記載の画像処理装置であって、
前記均等色空間はCIE-JCh色空間である
ことを特徴とする画像処理装置。
[項目13]
項目1乃至12のいずれか一項に記載の画像処理装置であって、
前記変換手段は、前記第1の色変換情報を用いて前記画像データを変換する変換処理を実行し、
前記生成手段は、前記第1の色変換情報を用いた前記変換処理の結果に基づいて前記第2の色変換情報を生成し、
前記変換手段は、生成された前記第2の色変換情報を用いて前記画像データを変換する変換処理を実行する
ことを特徴とする画像処理装置。
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
101:画像処理装置、108:記録装置、
603、604:入力色、605、606:ガマットマッピング後の出力色、607、608:色差、609:補正量、610:色縮退補正後の出力色
603、604:入力色、605、606:ガマットマッピング後の出力色、607、608:色差、609:補正量、610:色縮退補正後の出力色
Claims (15)
- 第1の色域で定義される画像データを取得する取得手段と、
色変換情報を用いて、前記第1の色域とは異なる第2の色域で定義される画像データに変換する変換処理を実行する変換手段と、
第1の色変換情報を用いた前記変換処理によって前記画像データに含まれる2つの第1の色値の組が互いに異なる色として知覚されない色差を有する第2の色値の組に変換される場合、第2の色変換情報を用いた変換処理によって前記第1の色値の組が互いに異なる色として知覚される色差を有する第3の色値の組に変換されるように、前記第2の色変換情報を生成する生成手段と、
を有し、
前記第3の色値の組における彩度差は、前記第2の色値の組における彩度差よりも大きいことを特徴とする画像処理装置。 - 請求項1に記載の画像処理装置であって、
前記画像データに含まれる色値を含む第1の色情報を均等色空間に変換した情報と、前記画像データに基づいて画像形成装置により画像が形成された記録媒体を測色した測色値を含む第2の色情報を前記均等色空間に変換した情報と、対応付ける対応付け手段をさらに備える
ことを特徴とする画像処理装置。 - 請求項2に記載の画像処理装置であって、
前記生成手段は、前記対応付け手段により対応付けられた情報に基づき、互いに異なる色として知覚されない色差を有する色値の組を検出する
ことを特徴とする画像処理装置。 - 請求項3に記載の画像処理装置であって、
前記生成手段は、検出された色値の組を前記第2の色値の組として、そのそれぞれに対して前記第3の色値の組を取得することにより、第3の色変換情報を生成する
ことを特徴とする画像処理装置。 - 請求項1に記載の画像処理装置であって、
前記生成手段は、前記第2の色値の組の片方または両方を補正対象の色とし、当該補正対象の色について等色相面内で彩度差が大きくなるように補正した色を前記第3の色値の組とする
ことを特徴とする画像処理装置。 - 請求項1に記載の画像処理装置であって、
前記第2の色値の組のうち一方を補正対象の色とし、当該補正対象の色の彩度成分を、他方の色の彩度成分との差が大きくなるように変更することにより決定する
ことを特徴とする画像処理装置。 - 請求項3に記載の画像処理装置であって、
前記生成手段は、検出された色値の組のうち、前記均等色空間において、最小輝度値または最大輝度値の色値からの距離が所定の基準値以下の色値を補正の対象とする
ことを特徴とする画像処理装置。 - 請求項2に記載の画像処理装置であって、
前記生成手段は、前記均等色空間において、互いの距離が所定の基準値以下の色値を互いに異なる色として知覚されない色値の組とし、互いの距離が前記基準値より大きい色値を互いに異なる色として知覚される色値の組とする
ことを特徴とする画像処理装置。 - 請求項2に記載の画像処理装置であって、
前記生成手段は、前記第1の色情報に対応する前記均等色空間の色値の組のうち、互いの距離が基準値より大きい色を補正の対象とする
ことを特徴とする画像処理装置。 - 請求項2に記載の画像処理装置であって、
前記生成手段では、前記第2の色情報に対応する前記均等色空間の色値の組のうち、互いの距離が第2の基準値以下の色を補正の対象とする
ことを特徴とする画像処理装置。 - 請求項2に記載の画像処理装置であって、
前記均等色空間はCIEカラーアピアランスモデル(CIECAM)の色空間である
ことを特徴とする画像処理装置。 - 請求項11に記載の画像処理装置であって、
前記均等色空間はCIE-JCh色空間である
ことを特徴とする画像処理装置。 - 請求項1に記載の画像処理装置であって、
前記変換手段は、前記第1の色変換情報を用いて前記画像データを変換する変換処理を実行し、
前記生成手段は、前記第1の色変換情報を用いた前記変換処理の結果に基づいて前記第2の色変換情報を生成し、
前記変換手段は、生成された前記第2の色変換情報を用いて前記画像データを変換する変換処理を実行する
ことを特徴とする画像処理装置。 - 請求項1乃至13のいずれか一項に記載の画像処理装置としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
- 取得手段と変換手段と生成手段とを有する画像処理装置により実行される画像処理方法であって、
第1の色域で定義される画像データを取得し、
色変換情報を用いて、前記第1の色域とは異なる第2の色域で定義される画像データに変換する変換処理を実行し、
第1の色変換情報を用いた前記変換処理によって前記画像データに含まれる2つの第1の色値の組が互いに異なる色として知覚されない色差を有する第2の色値の組に変換される場合、第2の色変換情報を用いた変換処理によって前記第1の色値の組が互いに異なる色として知覚される色差を有する第3の色値の組に変換されるように、前記第2の色変換情報を生成し、
前記第3の色値の組における彩度差は、前記第2の色値の組における彩度差よりも大きいことを特徴とする画像処理方法。
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