JP2024041649A - 複合吸収体及び高分子吸収剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】血液の吸収の際に、十分な吸収性能を安定的に発揮できると共に、血液が漏れることを抑制することが可能な複合吸収体を提供する。【解決手段】複合吸収体(1)は、血液を吸収するための医療用の複合吸収体である。複合吸収体は、親水性の連続骨格及び連続空孔を備えた高分子吸収剤(2)、高吸水性ポリマー(3)及びパルプ繊維(4)のうちの少なくとも高分子吸収剤を含む。高分子吸収剤において、細孔径が0.003~100μmの範囲である、細孔径と細孔容積との関係を示す細孔分布において、細孔容積の割合が最大となる最大容積細孔径が1~95μmの範囲にあり、細孔径が7μm以下の細孔による細孔容積の割合は、全細孔における細孔容積の46%未満である。【選択図】図1

Description

本発明は、複合吸収体及び高分子吸収剤に関する。
手術や処置における体液や水分の吸収などに用いられる吸収体として、パルプ繊維と高吸水性ポリマーとを含むものが知られている。例えば、特許文献1に、少なくともセルロース繊維と吸水ポリマーとを構成材料とする手術用シーツであって、該セルロース繊維の坪量が150~350g/mであり、該吸水ポリマーの坪量が30~50g/mである手術用シーツが開示されている。吸収体(手術用シーツ)が高吸水性ポリマー(吸水ポリマー)を含むことで、吸収体における体液の吸収量を増加させることができ、あるいは、吸収量を維持しつつ、吸収体を薄くすることができる。
ただし、高吸水性ポリマーでは、血液の吸収過程において、血液中の赤血球が表面に付着するため、血液の吸収に時間が掛かる上に、血液の吸収倍率が、尿の吸収倍率と比較して、低下する可能性がある。そうなると、吸収体が、その吸収性能を安定的に発揮できないおそれがある。
そのような事態に対応する手段として、特許文献2に、ポリマー発泡体材料が開示されている。そのポリマー発砲体材料は、血液及び血液に基づく流体を吸収し得るものであり、互いに連通する開胞の、親水性であり、柔軟な、非イオン性ポリマー発泡体構造を有し、所定の毛管比表面積、圧縮歪みへの耐性、自由吸収量、及び塩を有することを特徴とする。
特開2005-328895号公報 特許第3432828号公報
特許文献2によれば、そのポリマー発泡体材料は、3次元ネットワーク骨格構造を有する多孔質吸収体であり、その細孔内に血液を吸収する。したがって、血液の吸収過程において、血液中の赤血球が表面に付着して血液を吸収し難くなることを抑制できる。それにより、血液の吸収の吸収速度を向上させることができる。そこで、上記の吸収体において、例えば、高吸水性ポリマーの一部又は全部をポリマー発泡体材料に置き換えることが考え得る。
しかし、そのポリマー発泡体材料は、血液の吸収の前後で体積が変化しない構造体であるため、細孔の容積以上には血液を吸収することができない。それゆえ、十分な吸収量を得難いなど十分な吸収性能を得られないおそれがある。また、排泄される血液の量が多量の場合には、そのポリマー発泡体材料が血液を吸収し切れない事態が生じ得る。そうなると、ポリマー発泡体材料を含む吸収体から血液が漏れてしまうおそれがある。
本発明の目的は、血液の吸収の際に、十分な吸収性能を安定的に発揮できると共に、血液が漏れることを抑制することが可能な複合吸収体及びそれに用いられる高分子吸収剤を提供することにある。
本発明の一態様は、血液を吸収するための医療用の複合吸収体であって、親水性の連続骨格及び連続空孔を備えた高分子吸収剤、高吸水性ポリマー及びパルプ繊維のうちの少なくとも前記高分子吸収剤を含み、前記高分子吸収剤において、細孔径が0.003~100μmの範囲である、細孔径と細孔容積との関係を示す細孔分布において、細孔容積の割合が最大となる最大容積細孔径が1~95μmの範囲にあり、細孔径が7μm以下の細孔による細孔容積の割合は、全細孔における細孔容積の46%未満である、複合吸収体である。
本発明の他態様は、親水性の連続骨格及び連続空孔を備え、細孔径が0.003~100μmの範囲である、細孔径と細孔容積との関係を示す細孔分布において、細孔容積の割合が最大となる最大容積細孔径が1~95μmの範囲にあり、細孔径が7μm以下の細孔による細孔容積の割合は、全細孔における細孔容積の46%未満である、高分子吸収剤である。
本発明によれば、血液の吸収の際に、十分な吸収性能を安定的に発揮できると共に、血液が漏れることを抑制することが可能な複合吸収体及びそれに用いられる高分子吸収剤を提供することができる。
実施形態に係る複合吸収体1の構成例を示す模式図である。 実施形態に係る高分子吸収剤の一例である吸収剤Aの製造過程について説明する図である。 吸収剤Aの拡大倍率50倍のSEM写真である。 吸収剤Aの拡大倍率100倍のSEM写真である。 吸収剤Aの拡大倍率500倍のSEM写真である。 吸収剤Aの拡大倍率1500倍のSEM写真である。 保血倍率と吸血時間との関係を示すグラフである。
本実施形態は、以下の態様に関する。
[態様1]
血液を吸収するための医療用の複合吸収体であって、親水性の連続骨格及び連続空孔を備えた高分子吸収剤、高吸水性ポリマー及びパルプ繊維のうちの少なくとも前記高分子吸収剤を含み、前記高分子吸収剤において、細孔径が0.003~100μmの範囲である、細孔径と細孔容積との関係を示す細孔分布において、細孔容積の割合が最大となる最大容積細孔径が1~95μmの範囲にあり、細孔径が7μm以下の細孔による細孔容積の割合は、全細孔における細孔容積の46%未満である、複合吸収体。
本複合吸収体は、高分子吸収剤、高吸水性ポリマー及びパルプ繊維のうちの少なくとも高分子吸収剤を含んでいる。すなわち、吸収体における高吸水性ポリマー及びパルプ繊維の少なくとも一部が高分子吸収剤に置き換えられている。ここで、高分子吸収剤では、血液中の赤血球の寸法である7~8μmより小さい細孔径の細孔が少ない(46%未満)ため、血液は、赤血球が表面に付着することなく高分子吸収剤の細孔内に入ることができる。また、細孔が連続しているため、血液は、高分子吸収剤における奥の方の細孔まで入り込むことができる。それにより、高分子吸収剤は、速やかに血液を吸収でき、かつ、高分子吸収剤の保血能力を安定的に発揮して多量に血液を吸収することができる。よって、本複合吸収体は、そのような高分子吸収剤を含むため、血液の吸収の際に、十分な吸収性能を、赤血球に阻害されずに安定的に発揮できると共に、血液が漏れることを抑制することが可能となる。
[態様2]
前記高分子吸収剤における保血倍率は、1分値が6.5g/g以上である、態様1に記載の複合吸収体。
本複合吸収体では、高分子吸収剤の保血倍率の1分値が非常に高いため(6.5g/g以上)、高分子吸収剤は素早く、かつ、多量に、血液を吸収することができる。すなわち、高分子吸収剤は、速やかに血液を吸収でき、かつ、高分子吸収剤の保血能力を安定的に発揮して多量に血液を吸収することができる。よって、本複合吸収体は、血液の吸収の際に、十分な吸収性能を安定的に発揮できると共に、血液が漏れることを抑制することが可能となる。
[態様3]
前記高分子吸収剤において、前記細孔分布における細孔径が53μm以上の細孔による細孔容積の割合は、全細孔における細孔容積の29%未満である、態様1又は2に記載の複合吸収体。
本複合吸収体では、高分子吸収剤において、細孔径の大きな(53μm以上)細孔が少ない(29%未満)。そのため、血液中の赤血球に対して細孔径が大き過ぎて、一度細孔内に入った赤血球が、細孔を通過して再び細孔の外に放出されるという事態を生じ難くすることができる。したがって、高分子吸収剤は、その保血能力をより安定的に発揮して多量に血液を吸収することができる。よって、本複合吸収体は、血液の吸収の際に、十分な吸収性能を安定的に発揮できると共に、血液が漏れることを抑制することが可能となる。
[態様4]
前記高分子吸収剤において、前記細孔分布における細孔径が4μm以下の細孔による細孔容積の割合は、全細孔における細孔容積の40%未満である、態様1乃至3のいずれか一項に記載の複合吸収体。
本複合吸収体では、高分子吸収剤において、血液中の赤血球が毛細血管に入るために変形し得る寸法である4μmより小さい細孔径の細孔が少ない(40%未満)。そのため、血液は、赤血球が表面により付着することなく高分子吸収剤の内部に入ることができる。それにより、高分子吸収剤は、速やかに血液を吸収でき、かつ、高分子吸収剤の保血能力を安定的に発揮して多量に血液を吸収することができる。よって、本複合吸収体は、血液の吸収の際に、十分な吸収性能を安定的に発揮できると共に、血液が漏れることを抑制することが可能となる。
[態様5]
前記高分子吸収剤において、細孔径が1μm以上の細孔による細孔容積の割合は、全細孔における細孔容積の90%以上である、態様1乃至4のいずれか一項に記載の複合吸収体。
本複合吸収体では、高分子吸収剤において、血液中の血漿成分(水分)が入り難くなる寸法である1μmより小さい細孔径の細孔が少ない(10%未満)。そのため、血液は、赤血球が表面により付着することなく高分子吸収剤の内部に入ることができる。それにより、高分子吸収剤は、速やかに血液を吸収でき、かつ、高分子吸収剤の保血能力を安定的に発揮して多量に血液を吸収することができる。よって、本複合吸収体は、血液の吸収の際に、十分な吸収性能を安定的に発揮できると共に、血液が漏れることを抑制することが可能となる。
[態様6]
前記高分子吸収剤の前記連続骨格が親水基を有する、態様1乃至5のいずれか一項に記載の複合吸収体。
本複合吸収体では、高分子吸収剤が血液を吸収すると、親水基が電離して互いに反発することにより、骨格及び骨格間の細孔が膨張し、血液の吸収前よりも細孔容積が大きくなる。そのため、高分子吸収剤は、血液をより速やかに吸収でき、かつ、血液をより多量に吸収することができる。よって、本複合吸収体は、血液の吸収の際に、十分な吸収性能を安定的に発揮できると共に、血液が漏れることを抑制することが可能となる。
[態様7]
前記親水基は、血液を吸収して負に帯電する性質を有する、態様1乃至6のいずれか一項に記載の複合吸収体。
本複合吸収体では、高分子吸収剤が血液を吸収したとき、負電荷をもつ赤血球と、血液を吸収して負に帯電する高分子吸収剤とが互いに近づくと、負電荷同士が互いに反発し合う。それゆえ、赤血球を、細孔内で凝集し難くすることができ、高分子吸収剤内に浸透し易くすることができる。それにより、高分子吸収剤は、血液をより速やかに吸収でき、かつ、血液をより多量に吸収することができる。よって、本複合吸収体は、血液の吸収の際に、十分な吸収性能を安定的に発揮できると共に、血液が漏れることを抑制することが可能となる。
[態様8]
前記パルプ繊維を含む、態様1乃至7のいずれか一項に記載の複合吸収体。
本複合吸収体では、血液がパルプ繊維に極めて速やかに吸収され、パルプ繊維に吸収された血液が速やかに高分子吸収剤に受け渡される。それゆえ、パルプ繊維が再び血液を吸収できるようになるので、それらの吸収速度の低下を抑制できる。そして、複合吸収体が高吸水性ポリマーを更に含む場合には、高分子吸収剤に受け渡された血液がその後に高吸水性ポリマーに受け渡される。それゆえ、パルプ繊維や高分子吸収剤が再び血液を吸収できるようになるので、それらの吸収速度の低下を更に抑制できる。また、パルプ繊維を混合することで、複合吸収体の柔らかさを保ちつつ、その吸収容量を上げることができる。それにより、複合吸収体を用いた製品の使用感を損なわずに、その吸収容量を増加させることができる。よって、本複合吸収体は、血液の吸収の際に、十分な吸収性能を安定的に発揮できると共に、血液が漏れることを抑制することが可能となる。
[態様9]
前記高分子吸収剤はモノリス状の吸収剤である、態様1乃至8のいずれか一項に記載の複合吸収体。
本複合吸収体は、高分子吸収剤はモノリス状の吸収剤であるため、高分子吸収剤に排出された血液をより確実に吸収することができ、それにより、血液が漏れることを抑制できる。
[態様10]
前記高分子吸収剤は、(メタ)アクリル酸エステルと、一分子中に2個以上のビニル基を含有する化合物の架橋重合体の加水分解物であり、且つ、少なくとも1個以上の-COONa基を含有する、態様1乃至9のいずれか一項に記載の複合吸収体。
本複合吸収体は、高分子吸収剤が上記特定の構成を備えていることで、血液を吸収する時に、親水性の連続骨格が伸長しやすく、連続空孔も広がりやすいため、より多くの血液をより素早く連続空孔に取り込むことができる。それにより、高分子吸収剤に排出された血液をより確実に吸収することができ、血液が漏れることを抑制できる。
[態様11]
親水性の連続骨格及び連続空孔を備え、細孔径が0.003~100μmの範囲である、細孔径と細孔容積との関係を示す細孔分布において、細孔容積の割合が最大となる最大容積細孔径が1~95μmの範囲にあり、細孔径が7μm以下の細孔による細孔容積の割合は、全細孔における細孔容積の46%未満である、高分子吸収剤。
本高分子吸収剤では、血液中の赤血球の寸法である7~8μmより小さい細孔径の細孔が少ない(46%未満)ため、血液は、赤血球が表面に付着することなく高分子吸収剤の細孔内に入ることができる。また、細孔が連続しているため、血液は、高分子吸収剤における奥の方の細孔まで入り込むことができる。それにより、本高分子吸収剤は、速やかに血液を吸収でき、かつ、高分子吸収剤の保血能力を安定的に発揮して多量に血液を吸収することができる。よって、本高分子吸収剤は、血液の吸収の際に、十分な吸収性能を、赤血球に阻害されずに安定的に発揮できると共に、血液が漏れることを抑制することが可能となる。
以下、本発明の複合吸収体及びそれに用いられる高分子吸収剤の実施形態について、説明する。
なお、本明細書においては、特に断りのない限り、「水平面上に置いた対象物(例えば、複合吸収体)を、垂直方向の上方側から対象物の厚み方向に見ること」を、単に「平面視」という。また、「長手方向」は、「平面視における縦長の対象物の長さの長い方向」を指す。「幅方向」は、「平面視における縦長の対象物の長さの短い方向」を指す。「厚み方向」は、「水平面上に置いた対象物に対して垂直方向」を指す。これらの長手方向、幅方向及び厚み方向は、それぞれ互いに直交する関係にある。
[複合吸収体]
図1は、実施形態に係る複合吸収体1の構成例を示す模式図である。複合吸収体1は、平面視にて略矩形状の外形形状を有しており、厚さ方向において、複合吸収体1の一方側の表面を形成する第1の保持シート5と、複合吸収体1の他方側の表面を形成する第2の保持シート6と、これらのシートの間に位置し、これらのシートのいずれかを透過してきた液体を吸収し得る吸収性部材とを備えている。複合吸収体1は、吸収性部材として、親水性の連続骨格及び連続空孔を備えた高分子吸収剤2、高吸水性ポリマー3及びパルプ繊維4のうちの少なくとも高分子吸収剤2を含んでいる。本実施形態では、複合吸収体1は、吸収性部材として、高分子吸収剤2の他に、高吸水性ポリマー3及びパルプ繊維4を含んでいる。なお、高分子吸収剤2と高吸水性ポリマー3とパルプ繊維4との関係は特に制限されない。例えば、図1のように高分子吸収剤2と高吸水性ポリマー3とが周囲からパルプ繊維4で覆われ(挟まれ)てもよいし、高分子吸収剤2と高吸水性ポリマー3とパルプ繊維4とが混合されて配置されてもよい。
高分子吸収剤2は、水分を吸収する際に、水分を連続骨格に取り込んだ後に連続空孔に取り込むという特有の吸水挙動を示す。したがって、高分子吸収剤2が液体を吸収する際に、親水性の連続骨格が液体を浸透圧によって瞬時に取り込んで膨張することで、連続空孔の容積を拡大し、更にその拡大した連続空孔内に液体を取り込むことができる。そのため、高分子吸収剤2は、多量の液体を瞬時に吸収することができる。本実施形態では、更に、吸収した液体を保水能力の高い高吸水性ポリマー3へ受け渡して、高吸水性ポリマー3内で着実に保持できる。
複合吸収体1は、吸収性部材として、親水性の連続骨格及び連続空孔を備えた高分子吸収剤2を含んでおり、更に、高吸水性ポリマー3及びパルプ繊維4の少なくとも一方を含んでもよい。そして、その高分子吸収剤2において、細孔径が0.003~100μmの範囲である、細孔径と細孔容積との関係を示す細孔分布において、細孔容積の割合が最大となる最大容積細孔径が1~95μmの範囲にあり、細孔径が7μm以下の細孔による細孔容積の割合は、(細孔径が0.003~100μmの範囲である)全細孔における細孔容積の46%未満である。ただし、本明細書では、細孔径とは、細孔の直径をいうものとする。
このように、本複合吸収体1は、高分子吸収剤2、高吸水性ポリマー3及びパルプ繊維4のうちの少なくとも高分子吸収剤2を含んでいる。すなわち、吸収体における高吸水性ポリマー3及びパルプ繊維4の少なくとも一部が高分子吸収剤2に置き換えられている。ここで、高分子吸収剤では、血液中の赤血球の寸法である7~8μmより小さい細孔径の細孔が少ない(46%未満)ため、血液は、赤血球が表面に付着することが抑制されつつ、高分子吸収剤2の細孔内に入ることができる。また、細孔が連続しているため、血液は、高分子吸収剤2における奥の方の細孔まで入り込むことができる。それにより、高分子吸収剤2は、赤血球に阻害されずに、速やかに血液を吸収でき、かつ、高分子吸収剤2の保血能力を安定的に発揮して多量に血液を吸収することができる。すなわち、速やかに血液を吸収でき、パルプ繊維の代わりになり得る他、多量の血液を吸収でき、高吸水性ポリマーの代わりにもなり得る。よって、本複合吸収体1は、そのような高分子吸収剤2を含むため、血液の吸収の際に、赤血球に阻害されずに、十分な吸収性能を安定的に発揮できると共に、血液が漏れることを抑制することが可能となる。なお、細孔容積の割合が最大となる最大容積細孔径が95μmを超えるような細孔分布を有する高分子吸収剤の場合、全体として細孔径が大き過ぎる細孔が多くなり、一度細孔内に入った血液が、細孔を通過して再び細孔の外に放出され易くなる。
したがって、このような複合吸収体1を備えた吸収シートのような製品もまた、血液の吸収の際に、十分な吸収性能を安定的に発揮できると共に、血液が漏れることを抑制することが可能となる。
なお、本発明においては、複合吸収体1の構成は、高分子吸収剤2を含んでいれば、上述の実施形態の態様に限定されない。複合吸収体1は、例えば、第1の保持シート5及び/又は第2の保持シート6と、吸収性部材(少なくとも高分子吸収剤2を含む)との間に位置する親水性繊維シート(図示されず)を有してもよい。あるいは、複合吸収体1は、保持シート以外の保持手段(例えば、液体が内部に到達可能な容器:図示されず)で吸収性部材を一体的に保持していてもよい。
本発明において、複合吸収体1の外形形状や各種寸法、坪量等は、本発明の効果を阻害しない限り特に制限されず、各種用途や使用態様等に応じた任意の外形形状(例えば、円形状、長円形状、多角形状、砂時計形状、デザイン形状など)や各種寸法、坪量等を採用することができる。
以下、本発明の複合吸収体の各種構成部材について、図1に示す実施形態の複合吸収体1を用いて更に説明する。
(保持シート)
図1に示す複合吸収体1において、当該複合吸収体1の一方側の表面を形成する第1の保持シート5は、平面視にて複合吸収体1の外形形状と同様の略矩形状の外形形状を有している。第1の保持シート5は、複合吸収体1に供給された液体を透過させて、内側の吸収性部材に吸収・保持させることができる、液透過性のシート状部材によって形成されている。ただし、第1の保持シート5の一部が液不透過性のシート状部材によって形成されていてもよい。
第1の保持シート5は、内側に配置される吸収性部材に比べて(すなわち、高分子吸収剤2等の吸収性材料の配置領域に比べて)、全体的にやや大きいサイズを有しており、周縁部において、複合吸収体1の厚さ方向の他方側に位置する第2の保持シート6と、任意の接着剤または熱融着手段、縫製等によって接合されている。
一方、複合吸収体1の他方側の表面を形成する第2の保持シート6は、平面視にて複合吸収体1の外形形状と同様の略矩形状の外形形状を有している。第2の保持シート6は、内側の吸収性部材に吸収・保持されなかった液体や吸収性部材から滲出した液体が複合吸収体1の外部へ漏出するのを抑制又は防止する、液不透過性のシート状部材によって形成されている。なお、要求される機能によっては、例えば、第2保持シート6側からも液体の吸収が要求される場合には、第2の保持シート6の一部又は全部が液透過性のシート状部材によって形成されていてもよい。
なお、保持シートとして液透過性のシート状部材を用いる場合、その液透過性のシート状部材は、本発明の効果を阻害しない限り特に制限されず、各種用途や使用態様等に応じた任意の液透過性のシート状部材を採用することができる。そのような液透過性のシート状部材の例としては、親水性を有するエアスルー不織布、スパンボンド不織布、ポイントボンド不織布等の不織布や織布、編布、多孔の樹脂フィルムなどが挙げられる。
さらに、液透過性のシート状部材として親水性の不織布や織布、編布等(以下、これらを総称して「繊維シート」と称する。)を用いる場合、これらの繊維シートは、単層構造を有していても、2層以上の多層構造を有していてもよい。かかる繊維シートの構成繊維の種類も特に制限されず、例えばセルロース系繊維や親水化処理を施した熱可塑性樹脂繊維などの親水性繊維が挙げられる。これらの繊維は単独で用いても、二種類以上の繊維を併用してもよい。
繊維シートの構成繊維に用い得るセルロース系繊維としては、例えば、天然セルロース繊維(例えば、コットン等の植物繊維など)や再生セルロース繊維、精製セルロース繊維、半合成セルロース繊維などが挙げられる。また、繊維シートの構成繊維に用い得る熱可塑性樹脂繊維としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂、6-ナイロン等のポリアミド系樹脂などの公知の熱可塑性樹脂からなる繊維が挙げられる。これらの樹脂は単独で用いても、二種類以上の樹脂を併用してもよい。
また、保持シートとして液不透過性のシート状部材を用いる場合、その液不透過性のシート状部材は、本発明の効果を阻害しない限り特に制限されず、各種用途や使用態様等に応じた任意の液不透過性のシート状部材を採用することができる。そのような液不透過性のシート状部材の例としては、任意の疎水性の熱可塑性樹脂繊維(例えば、PE、PP等のポリオレフィン系繊維、PET等のポリエステル系繊維、芯鞘型等の各種複合繊維など)によって形成された疎水性不織布;PEやPP等の疎水性の熱可塑性樹脂によって形成された有孔又は無孔の樹脂フィルム;該樹脂フィルムに不織布を貼り合わせた積層体;SMS不織布等の積層不織布などが挙げられる。
本発明において、保持シートの外形形状や各種寸法、坪量等は、本発明の効果を阻害しない限り特に制限されず、各種用途や使用態様等に応じた任意の外形形状(例えば、円形状、長円形状、多角形状、砂時計形状、デザイン形状など)や各種寸法、坪量等を採用することができる。
(吸収性部材)
図1に示す複合吸収体1において、吸収性部材は、第1の保持シート5と第2の保持シート6との間に位置する高分子吸収剤2によって、第1の保持シート5などを透過してきた液体を吸収・保持し得るように構成されている。吸収性部材は、更に高吸水性ポリマー3及び/又はパルプ繊維4を含む場合には、更に高吸水性ポリマー3及び/又はパルプ繊維4によって、第1の保持シート5などを透過してきた液体を吸収・保持し得るように構成されている。
複合吸収体1において、吸収性部材の高分子吸収剤2の一部又は全部は、上述の第1の保持シート5及び第2の保持シート6の少なくとも一方と、ホットメルト型接着剤等の任意の接着剤によって接合されている。吸収性部材は、更に高吸水性ポリマー3及び/又はパルプ繊維4を含む場合には、更に高吸水性ポリマー3及び/又はパルプ繊維4の一部又は全部は、上述の第1の保持シート5及び第2の保持シート6の少なくとも一方と、ホットメルト型接着剤等の任意の接着剤によって接合されている。ただし、本発明において、高分子吸収剤2、高吸水性ポリマー3及びパルプ繊維4の一部又は全部は、保持シートと接合されなくてもよい。
複合吸収体1(吸収性部材)は、上述のとおり親水性の連続骨格及び連続空孔を備えた特有の吸水挙動を示す高分子吸収剤2を含み、本実施形態ではパルプ繊維4及び高吸水性ポリマー3を更に含んでいる。高分子吸収剤2が粒子の場合、その大きさ(乾燥時)としては、粒径の平均値が例えば数百μmが挙げられる(200~500μm)。高分子吸収剤2はシート状であってもよい。高分子吸収剤2の詳細については後述される。高吸水性ポリマー3は、SAP(Super Absorbent Polymer)と称されるものであり、その種類としては特に制限はなく、当技術分野において公知の材料を用いることができる。例えば、高吸水性ポリマー3としては、ポリアクリル酸塩系、ポリスルホン酸塩系、無水マレイン酸塩系の吸水性ポリマーが挙げられる。高吸水性ポリマー3が粒子の場合、その大きさ(乾燥時)としては、粒径の平均値が例えば数百μmが挙げられる(200~500μm)。高吸水性ポリマー3はシート状であってもよい。パルプ繊維4の種類としては、特に制限はなく、当技術分野において公知の材料を用いることができる。例えば、パルプ繊維4としては、セルロース系繊維が挙げられる。セルロース系繊維としては、例えば木材パルプ、架橋パルプ、非木材パルプ、再生セルロース、半合成セルロース等が挙げられる。パルプ繊維4の大きさとしては、繊維の長径の平均値が例えば数十μmが挙げられ(20~40μm)、繊維長の平均値が例えば数mmが挙げられる(2~5mm)。複合吸収体1は液透過性シートで形成されたラップに内包されていてもよい。
高分子吸収剤2、高吸水性ポリマー3及びパルプ繊維4の少なくとも高分子吸収剤2である吸収性材料は、平面視で、製造誤差を除いて、複合吸収体1の全体に概ね均一に配置されている。ただし、本発明は、その例に限定されるものではなく、吸収性材料の少なくとも一つが概ね均一ではなく意図的に所定の分布を有するような他の配置を有してもよい。例えば、複合吸収体1が、高分子吸収剤2、高吸水性ポリマー3及びパルプ繊維4を含む場合、複合吸収体1の長手方向、幅方向及び厚み方向の少なくとも一つにおいて、パルプ繊維4が相対的に外側に多く配置され、高分子吸収剤2や高吸水性ポリマー3が相対的に内側に多く配置されてもよい。それにより、複合吸収体1が吸収すべき液体を、パルプ繊維4で素早く吸収でき、内側の高分子吸収剤2や高吸水性ポリマー3に受け渡して、保持することができる。高分子吸収剤2は、パルプ繊維4が吸収した液体を高吸水性ポリマー3に確実に受け渡すために、高吸水性ポリマー3に接していることが好ましい。
高分子吸収剤2の坪量、高吸水性ポリマー3の坪量及びパルプ繊維4の坪量は、複合吸収体1に求められる吸収性能に応じて適宜選択可能である。本実施形態の場合、例えば、高分子吸収剤2の坪量としては、1~100g/m2が挙げられ、高吸水性ポリマー3の坪量としては、50~500g/m2が挙げられ、パルプ繊維の坪量としては、50~500g/m2が挙げられる。
本発明において、複合吸収体1の外形形状や各種寸法、坪量等は、本発明の効果を阻害しない限り特に制限されず、所望の吸水性や柔軟性、強度等に応じた任意の外形形状や各種寸法、坪量等を採用することができる。
(親水性繊維シート)
本発明においては、複合吸収体1は、第1の保持シート5と吸収性部材(高分子吸収剤2、高吸水性ポリマー3及びパルプ繊維4の内の少なくとも高分子吸収剤2)との間に、親水性繊維シートを有していてもよい。
本発明において、複合吸収体1に用い得る親水性繊維シートは、本発明の効果を阻害しない限り特に制限されず、各種用途や使用態様等に応じた任意の親水性繊維シートを採用することができる。そのような親水性繊維シートの例としては、親水性を有する不織布や織布、編布などが挙げられる。なお、親水性繊維シートは、単層構造を有していても、2層以上の多層構造を有していてもよい。
かかる親水性繊維シートの構成繊維の種類も特に制限されず、例えばセルロース系繊維や親水化処理を施した熱可塑性樹脂繊維などの親水性繊維が挙げられる。これらの繊維は単独で用いても、二種類以上の繊維を併用してもよい。親水性繊維シートの構成繊維に用い得るセルロース系繊維としては、例えば、天然セルロース繊維(例えば、コットン等の植物繊維など)や再生セルロース繊維、精製セルロース繊維、半合成セルロース繊維などが挙げられる。また、親水性繊維シートの構成繊維に用い得る熱可塑性樹脂繊維としては、例えば、PE、PP等のオレフィン系樹脂、PET等のポリエステル系樹脂、6-ナイロン等のポリアミド系樹脂などの公知の熱可塑性樹脂からなる繊維が挙げられる。これらの樹脂は単独で用いても、二種類以上の樹脂を併用してもよい。
本発明において、親水性繊維シートの外形形状や各種寸法、坪量等は、本発明の効果を阻害しない限り特に制限されず、各種用途や使用態様等に応じた任意の外形形状や各種寸法、坪量等を採用することができる。
以下、本発明の複合吸収体1に用いられる高分子吸収剤2について、更に説明する。
[高分子吸収剤]
高分子吸収剤は、親水性の連続骨格及び連続空孔を備え、水分を吸収する際、水分連続骨格に取り込んだ後に連続空孔に取り込むという吸水挙動を示し、細孔径が0.003~100μmの範囲である、細孔径と細孔容積との関係を示す細孔分布において、細孔容積の割合が最大となる最大容積細孔径が1~95μmの範囲にあり、細孔径が7μm以下の細孔による細孔容積の割合は、(細孔径が0.003~100μmの範囲である)全細孔における細孔容積の46%未満となるものであれば特に限定されない。そのような高分子吸収剤としては、例えば、少なくとも(メタ)アクリル酸エステルを含む2個以上のモノマーの架橋重合体の加水分解物であり、官能基に少なくとも1個以上の親水基を有する高分子化合物が挙げられる。より具体的には、(メタ)アクリル酸エステルと、一分子中に2個以上のビニル基を含有する化合物の架橋重合体の加水分解物であり、少なくとも親水基である-COONa基を有する高分子化合物が挙げられる。このような高分子吸収剤は、一分子中に少なくとも1個以上の-COONa基を有する有機多孔質体であり、さらに、親水基である-COOH基を有していてもよい。多孔質体の骨格中には、-COONa基が略均一に分布している。
高分子吸収剤が上述のような構造を有するものであると、後述されるように、血液等の液体を吸収する時に親水性の連続骨格が伸長し易くなり(すなわち、膨張し易くなり)、連続空孔も広がり易くなる。そのため、より多くの液体をより素早く連続空孔に取り込むことができ、吸収性材料として優れた吸収性能を発揮することができる。また、血液中の赤血球の寸法である7~8μmより小さい細孔径の細孔が少ない(46%未満)ため、血液は、赤血球が表面に付着することが抑制され、高分子吸収剤の保血能力を安定的に発揮して多量に血液を吸収することができる。また、高分子吸収剤が細孔容積の割合が最大となる最大容積細孔径が1~95μmの範囲にあるような細孔分布を有するので、細孔径が全体として適当な大きさになり、一度細孔内に入った血液を適切に保持し易くなる。
なお、本明細書において(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルをいう。
高分子吸収剤は、例えば、(メタ)アクリル酸エステルとジビニルベンゼンとの架橋重合体の加水分解物によって形成される。そのような高分子吸収剤では、少なくとも-COONa基(親水基)を有する有機ポリマーによって親水性の連続骨格が形成され、骨格間に吸収対象液(例えば、血液等の液体)の吸収場となる連通孔(連続空孔)が形成されている。なお、加水分解処理は、架橋重合体の-COOR基(すなわち、カルボン酸エステル基)を-COONa基又は-COOH基にするものであるため(図2を参照)、高分子吸収剤は-COOR基を有していてもよい。
親水性の連続骨格を形成する有機ポリマー中の親水基である-COOH基及び-COONa基の存在は、赤外分光光度法及び弱酸性イオン交換基の定量法で分析することで確認できる。
ここで、図2は、高分子吸収剤の一例である吸収剤Aの製造過程について説明する図である。この図2において、上図は重合の構成原料を示し、中図は(メタ)アクリル酸エステルとジビニルベンゼンとの架橋重合体であるモノリスAを示し、下図は中図のモノリスAに加水分解及び乾燥処理をして得られる吸収剤Aを示している。
以下、高分子吸収剤について、高分子吸収剤の一例である、(メタ)アクリル酸エステルとジビニルベンゼンとの架橋重合体の加水分解物によって形成される吸収剤Aを用いて説明する。
なお、高分子吸収剤は、このような吸収剤Aに限定されるものではない。高分子吸収剤は、例えば、(メタ)アクリル酸エステルと一分子中に2個以上のビニル基を有する化合物との架橋重合体の加水分解物であってもよい。あるいは、高分子吸収剤は、例えば、少なくとも(メタ)アクリル酸エステルを含む2種類以上のモノマーの架橋重合体の加水分解物であってもよい。ただし、高分子吸収剤がモノリス状の吸収剤であると、液体を素早く吸収することができる上、当該高分子吸収剤に一時的に保持した液体をより着実に高吸水性ポリマーへ受け渡すことができるという利点がある。
なお、以下の説明において、「モノリスA」とは、加水分解処理がなされる前の(メタ)アクリル酸エステルとジビニルベンゼンとの架橋重合体からなる有機多孔質体であり、「モノリス状有機多孔質体」と称することがある。また、「吸収剤A」は、加水分解処理及び乾燥処理がなされた後の(メタ)アクリル酸エステルとジビニルベンゼンとの架橋重合体(モノリスA)の加水分解物である。なお、以下の説明において、吸収剤Aは乾燥状態のものをいう。
まず、吸収剤Aの構造について説明する。
吸収剤Aは、上述のとおり親水性の連続骨格と連続空孔を有している。親水性の連続骨格を有する有機ポリマーである吸収剤Aは、図2に示すように、重合モノマーである(メタ)アクリル酸エステルと、架橋モノマーであるジビニルベンゼンとを架橋重合し、得られた架橋重合体(モノリスA)を更に加水分解することにより得られる。
親水性の連続骨格を形成する有機ポリマーは、構成単位として、エチレン基の重合残基(以下、「構成単位X」と称する。)と、ジビニルベンゼンの架橋重合残基(以下、「構成単位Y」と称する。)と、を有する。更に、親水性の連続骨格を形成する有機ポリマー中のエチレン基の重合残基(構成単位X)は、カルボン酸エステル基の加水分解により生成する親水基である-COONa基、又は-COOH基と-COONa基の両方の基を有する。なお、重合モノマーが(メタ)アクリル酸エステルである場合、エチレン基の重合残基(構成単位X)は、-COONa基、-COOH基及びエステル基を有する。
吸収剤Aにおいて、親水性の連続骨格を形成する有機ポリマー中の、ジビニルベンゼンの架橋重合残基(構成単位Y)の割合は、全構成単位に対し、例えば0.1~30モル%であり、好ましくは0.1~20モル%である。例えば、メタクリル酸ブチルを重合モノマーとし、ジビニルベンゼンを架橋モノマーとした吸収剤Aにおいては、親水性の連続骨格を形成する有機ポリマー中の、ジビニルベンゼンの架橋重合残基(構成単位Y)の割合は、全構成単位に対し、例えば約3%であり、好ましくは0.1~10モル%であり、より好ましくは0.3~8モル%である。なお、親水性の連続骨格を形成する有機ポリマー中のジビニルベンゼンの架橋重合残基の割合が0.1モル%以上であると、吸収剤Aの強度が低下しにくくなり、また、このジビニルベンゼンの架橋重合残基の割合が30モル%以下であると、吸収対象液の吸収量が低下しにくくなる。
また、吸収剤Aにおいて、親水性の連続骨格を形成する有機ポリマーは、構成単位X及び構成単位Yのみからなるものであってもよいし、或いは、構成単位X及び構成単位Yに加えて、構成単位X及び構成単位Y以外の構成単位、すなわち(メタ)アクリル酸エステル及びジビニルベンゼン以外のモノマーの重合残基を有していてもよい。
構成単位X及び構成単位Y以外の構成単位として、例えばスチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルクロライド、(メタ)アクリル酸グリシジル、イソブテン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のモノマーの重合残基が挙げられる。
なお、親水性の連続骨格を形成する有機ポリマー中の、構成単位X及び構成単位Y以外の構成単位の割合は、全構成単位に対し、例えば0~50モル%であり、好ましくは0~30モル%である。
また、吸収剤Aは、親水性の連続骨格の厚みが0.1~100μmであることが好ましい。吸収剤Aの親水性の連続骨格の厚みが0.1μm以上であると、多孔質体における吸収対象液(液体)を取り込むための空間(空孔)が吸収時に潰れにくくなり、吸収量が低下しにくくなる。一方、親水性の連続骨格の厚みが100μm以下であると、優れた吸収速度が得られやすくなる。
なお、吸収剤Aの親水性の連続骨格の細孔構造は、連続気泡構造であるため、連続骨格の厚みの測定は、電子顕微鏡測定用の試験片に現れる骨格断面を厚みの評価箇所とする。連続骨格は、加水分解後の脱水・乾燥処理で取り除かれる水(水滴)同士の間隔で形成されるため、多角形の形状であることが多い。そのため、連続骨格の厚みは、多角形断面に外接する円の直径(μm)の平均値とする。また、稀に多角形の中に小さな穴が開いている場合もあるが、その場合は、小さな穴を囲んでいる多角形の断面の外接円を測定する。
さらに、吸収剤Aは、連続空孔の平均直径が1~1000μmであることが好ましい。吸収剤Aの連続空孔の平均直径が1μm以上であると、多孔質体の吸収対象液(液体)を取り込むための空間(空孔)が吸収時に潰れ難くなり、吸収速度が低下し難くなる。一方、連続空孔の平均直径が1000μm以下であると、優れた吸収速度が得られ易くなる。
なお、吸収剤Aの連続空孔の平均直径(μm)は、水銀圧入法によって測定することができ、かかる水銀圧入法によって得られた細孔分布曲線の最大値を採用する。連続空孔の平均直径の測定用試料については、吸収剤Aのイオン形によらず、50℃の温度に設定した減圧乾燥器で18時間以上乾燥させたものを試料として用いる。なお、最終到達圧力は0Torrとする。
図3は、吸収剤Aの拡大倍率50倍のSEM写真であり、図4は、吸収剤Aの拡大倍率100倍のSEM写真であり、図5は、吸収剤Aの拡大倍率500倍のSEM写真であり、図6は、吸収剤Aの拡大倍率1500倍のSEM写真である。これら図3~図6に示す吸収剤Aは、メタクリル酸ブチルを重合モノマーとし、ジビニルベンゼンを架橋モノマーとする吸収剤の一例であり、それぞれ2mm角の立方体の構造を有している。
図3~図6に示す吸収剤Aは、多数の気泡状のマクロポアを有しており、さらに、これら気泡状のマクロポア同士が重なる部分を有している。吸収剤Aは、このマクロポア同士が重なる部分が共通の開口(メソポア)となる連続気泡構造を有している、すなわち、連続気泡構造体(連続マクロポア構造体)となっている。
このマクロポア同士が重なる部分は、乾燥状態の平均直径が1~1000μm、好ましくは10~200μm、特に好ましくは20~100μmである共通の開口(メソポア)となっており、その大部分がオープンポア構造となっている。メソポアの乾燥状態の平均直径が1μm以上であると、吸収対象液の吸収速度がより良好なものとなる。一方、メソポアの乾燥状態の平均直径が1000μm以下であると、吸収剤Aが脆化しにくくなる。
なお、このようなマクロポア同士の重なりは、1個のマクロポアで1~12個程度、多くのものは3~10個程度である。
また、吸収剤Aがこのような連続気泡構造を有することにより、マクロポア群やメソポア群を均一に形成することができるとともに、特開平8-252579号公報などに記載されているような粒子凝集型多孔質体に比べて、細孔容積や比表面積を格段に大きくすることができるという利点がある。
吸収剤Aの細孔(空孔)の全細孔容積は0.5~50mL/gが好ましく、2~30mL/gがより好ましい。吸収剤Aの全細孔容積が0.5mL/g以上であることで、吸収剤Aに十分な細孔容積を確保でき、したがって、十分な吸水量を確保できる。また、多孔質体の吸収対象液(液体)を取り込むための空間(空孔)を吸収時に潰れ難くでき、吸水量及び吸水速度を低下し難くできる。一方、吸収剤Aの全細孔容積が50mL/g以下のとき、吸収剤Aの強度を低下し難くできる。
なお、全細孔容積は、水銀圧入法で測定することができる。全細孔容積の測定用試料は、吸収剤Aのイオン形によらず、50℃の温度に設定した減圧乾燥器で18時間以上乾燥させたものを用いる。最終到達圧力は0Torrとする。その水銀圧入法により、累積(積算)細孔容積分布(細孔径(又は細孔半径)と累積細孔容積との関係)やlog微分細孔容積分布(細孔径(又は細孔半径)とlog微分細孔容積との関係)などが得られる。それに基づいて、細孔径(又は細孔半径)が所定の範囲である細孔分布、その細孔分布における細孔径(又は細孔半径)が所定値以下/以上の細孔による細孔容積の割合(全細孔の細孔容積に対する割合)(%)、などを算出できる。その他に、全細孔容積(mL/g)、平均細孔半径(μm)、最大細孔半径(μm)、所定の細孔径(又は細孔半径)以上(/以下)の細孔の細孔容積(mL/g)及び割合(%)などを算出できる。
以下、吸収剤Aと、液体が接触した場合の様子について説明するが、吸収剤Aを含む複合吸収体1と液体が接触した場合についても同様である。また、吸収された液体の質量は、液体量に略比例するため、以下の説明においては、液体の質量を単に「液体量」と称することがある。
まず、図3~図6に示す吸収剤Aが備える連続空孔は、複数の細孔(空孔)が互いに連通している空孔であり、外観からも空孔が多数設けられていることを肉眼で視認することができる。液体がこのような多数の空孔を備えた吸収剤Aに接触すると、まず親水性の連続骨格が一部の液体を浸透圧によって瞬時に取り込んで伸長する(すなわち、膨張する)。この連続骨格の伸長は、ほぼ全方位にわたって生じる。このようにして一定量の液体を吸収して大きくなった吸収剤Aは、毛細管現象によって、更に所定量の液体を拡大した連続空孔内に吸収することができるようになる。このように吸収剤Aは、水分(液体)を吸収する際に、水分を親水性の連続骨格に取り込んだ後に連続空孔に取り込んで吸収するという特有の吸水挙動を示す。
ここで、吸収剤Aの親水性の連続骨格内に吸収された液体は連続骨格から放出されにくい(すなわち、離水しにくい)。一方、連続空孔内に吸収された液体は離水しやすい。そのため、複合吸収体内においては、この連続空孔内に吸収された液体が離水して、保水能力の高い高吸水性ポリマーへ受け渡され、高吸水性ポリマー内で着実に保持されることとなる。なお、吸収剤Aの連続骨格内に吸収された液体量と、連続空孔内に吸収された液体量は、吸収剤Aが吸収した全液体量のうち、遠心処理(150G/90秒間)で吸収剤Aから離水した液体量(離水量)が連続空孔内に吸収された液体量となり、その他の液体量(遠心処理にて吸収剤Aから離水しなかった液体量)が連続骨格内に吸収された液体量となる。
また、吸収剤Aに吸収された液体は、親水性の連続骨格内に吸収される液体よりも、空孔内に留まる液体の方が多くなっている。吸収剤Aによる液体の吸収の大部分は、毛細管現象によって空孔内に液体を留めることによって行われるため、空孔の空隙の体積(全細孔容積)の割合である空隙率(吸収剤Aの体積に対する空孔の空隙の体積)が大きいほど、より多くの液体を吸収できる。なお、この空隙率は85%以上であることが好ましい。
例えば、上述の図3~図6に示す吸収剤Aの空隙率を求めると、以下のようになる。まず、水銀圧入法によって得られた吸収剤Aの比表面積は400m2/gであり、細孔容積は15.5mL/gである。この細孔容積15.5mL/gは、1gの吸収剤Aの中にある細孔の容積が15.5mLであることを意味する。吸収剤Aの比重を仮に1g/mLと仮定すると、1gの吸収剤Aの中で細孔が占める体積、すなわち細孔容積は15.5mLとなり、1gの吸収剤Aの体積は1mLとなる。そうすると、1gの吸収剤Aの全容積(体積)は、15.5+1(mL)となり、そのうちの細孔容積の比率が空隙率となるため、吸収剤Aの空隙率は、15.5/(15.5+1)×100≒94%となる。
このような親水性の連続骨格及び連続空孔を備えた吸収剤A、すなわち高分子吸収剤は、例えば粒子状やシート状等の形態で、上述のような液体を吸収するための複合吸収体1に適用される。そして、この高分子吸収剤は、上述のとおり、(直接に又はパルプ繊維を介して)水分を吸収する際に、水分を親水性の連続骨格に取り込んだ後に連続空孔に取り込むという特有の吸水挙動を示す。それゆえ、この高分子吸収剤は、周囲の(パルプ繊維中の)多量の液体を瞬時に吸収することができ、さらにその吸収した液体(主に連続空孔に吸収された液体)を保水能力の高い高吸水性ポリマーへ受け渡して、高吸水性ポリマー内で着実に保持することができる。したがって、このような高分子吸収剤を適用した複合吸収体は、吸収体として高い吸収性能を発揮することができる。加えて、吸収剤A、すなわち高分子吸収剤では、血液中の赤血球の寸法である7~8μmより小さい細孔径の細孔が少ない(46%未満)ため、血液は、赤血球が表面に付着することが抑制され、高分子吸収剤の保血能力を安定的に発揮して多量に血液を吸収することができる。
本実施形態において、高分子吸収剤における保血倍率は、1分(60秒)値が6.5g/g以上であることが好ましい。このように、複合吸収体1では、高分子吸収剤の保血倍率の1分値が非常に高いため(6.5g/g以上)、高分子吸収剤は素早く、かつ、多量に、血液を吸収することができる。すなわち、高分子吸収剤は、速やかに血液を吸収でき、かつ、高分子吸収剤の保血能力を安定的に発揮して多量に血液を吸収することができる。よって、本複合吸収体は、血液の吸収の際に、十分な吸収性能を安定的に発揮できると共に、血液が漏れることを抑制することが可能となる。
吸収剤Aを含む高分子吸収剤における保血倍率は、1分(60秒)値が7.0g/g以上であることがより好ましく、8.0g/g以上であることが更に好ましい。それにより、高分子吸収剤はより素早く、かつ、多量に、血液を吸収することができる。
ただし、保血倍率は、以下の方法で測定される。
<保血倍率の測定方法>
(1)直径45mmのアルミホイルカップ内に内径26mm×高さ40mのプラスチック円筒を置き、試料0.1gを入れる。
(2)脱繊維馬血2mlをピペットマンでプラスチック円筒内に入れ、試料に所定時間吸血させる。
(3)NBC工業製500μmナイロンメッシュを試料の上に載置し、ADVANTEC社製10×10cmNo.2ろ紙20gをナイロンメッシュ上に載置し、荷重930gをろ紙上に載置する。
(4)3分経過後に荷重を除いて、ろ紙の質量M(g)を測定する。そして、以下の式により、所定時間(例示:1分)での、試料の単位質量(g)当たりの吸血量(g)である保血倍率を算出する。
保血倍率=2-(M-20)/0.1(g/g)
なお、本測定方法は、温度25℃、湿度60%の条件下で行う。
本実施形態では、高分子吸収剤において、前記細孔分布における細孔径が53μm以上の細孔による細孔容積の割合は、全細孔における細孔容積の29%未満であることが好ましい。このように、本複合吸収体1では、高分子吸収剤において、細孔径の大きな(53μm以上)細孔が少ない(29%未満)。そのため、血液中の赤血球に対して細孔径が大き過ぎて、一度細孔内に入った赤血球が、細孔を通過して再び細孔の外に放出されるという事態を生じ難くすることができる。したがって、高分子吸収剤は、その保血能力をより安定的に発揮して多量に血液を吸収することができる。よって、本複合吸収体は、血液の吸収の際に、十分な吸収性能を安定的に発揮できると共に、血液が漏れることを抑制することが可能となる。
本実施形態では、高分子吸収剤において、細孔分布における細孔径が4μm以下の細孔による細孔容積の割合は、全細孔における細孔容積の40%未満であることが好ましい。このように、複合吸収体1では、高分子吸収剤において、血液中の赤血球が毛細血管に入るために変形し得る寸法である4μmより小さい細孔径の細孔が少ない(40%未満)。そのため、血液は、赤血球が表面に付着することがより抑制されつつ、高分子吸収剤の内部に入ることができる。それにより、高分子吸収剤は、速やかに血液を吸収でき、かつ、高分子吸収剤の保血能力を安定的に発揮して多量に血液を吸収することができる。よって、本複合吸収体は、血液の吸収の際に、十分な吸収性能を安定的に発揮できると共に、血液が漏れることを抑制することが可能となる。
本実施形態では、高分子吸収剤において、細孔径が1μm以上の細孔による細孔容積の割合は、全細孔における細孔容積の90%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましい。このように、複合吸収体4では、高分子吸収剤において、血液中の血漿成分(水分)が入り難くなる寸法である1μmより小さい細孔径の細孔が少ない(10%未満)。そのため、血液は、血漿成分が表面に付着することがより抑制されつつ、高分子吸収剤の内部に入ることができる。それにより、高分子吸収剤は、速やかに血液を吸収でき、かつ、高分子吸収剤の保血能力を安定的に発揮して多量に血液を吸収することができる。よって、本複合吸収体は、血液の吸収の際に、十分な吸収性能を安定的に発揮できると共に、血液が漏れることを抑制することが可能となる。
本実施形態において、高分子吸収剤の連続骨格が親水基を有することが好ましい。親水基としては、例えば、-COONa基又は-COOH基が挙げられる。このように、本複合吸収体1では、高分子吸収剤が血液を吸収すると、親水基が電離して互いに反発することにより、骨格及び骨格間の細孔が膨張し、血液の吸収前よりも細孔容積が大きくなる。そのため、高分子吸収剤は、血液をより速やかに吸収でき、かつ、血液をより多量に吸収することができる。よって、本複合吸収体は、血液の吸収の際に、十分な吸収性能を安定的に発揮できると共に、血液が漏れることを抑制することが可能となる。
本実施形態において、上記の親水基は、血液を吸収して負に帯電する性質を有することが好ましい。このように、複合吸収体1では、高分子吸収剤が血液を吸収したとき、負電荷をもつ赤血球と、血液を吸収して負に帯電する高分子吸収剤とが互いに近づくと、負電荷同士が互いに反発し合う。それゆえ、赤血球を、細孔内で凝集し難くすることができ、高分子吸収剤内に浸透し易くすることができる。それにより、高分子吸収剤は、血液をより速やかに吸収でき、かつ、血液をより多量に吸収することができる。よって、本複合吸収体は、血液の吸収の際に、十分な吸収性能を安定的に発揮できると共に、血液が漏れることを抑制することが可能となる。
本実施形態において、複合吸収体1は、パルプ繊維を含むことが好ましい。このような複合吸収体1では、血液がパルプ繊維に極めて速やかに吸収され、パルプ繊維に吸収された血液が速やかに高分子吸収剤に受け渡される。それゆえ、吸収速度の速いパルプ繊維が再び血液を吸収できるようになるので、複合吸収体1全体としての吸収速度の低下を抑制できる。また、パルプ繊維を混合することで、複合吸収体1に柔軟性を高めつつ、その吸収容量を上げることができる。それにより、複合吸収体を用いた液体吸収用の製品の使い易さを高めつつ、その吸収容量を増加させることができる。よって、本複合吸収体は、血液の吸収の際に、十分な吸収性能を安定的に発揮できると共に、血液が漏れることを抑制することが可能となる。
本実施形態において、高分子吸収剤はモノリス状の吸収剤であることが好ましい。このように、本複合吸収体1は、高分子吸収剤はモノリス状の吸収剤であるため、高分子吸収剤に排出された血液を、より確実に吸収することができ、それにより、血液が漏れることを抑制できる。
本実施形態において、高分子吸収剤は、(メタ)アクリル酸エステルと、一分子中に2個以上のビニル基を含有する化合物の架橋重合体の加水分解物であり、且つ、少なくとも1個以上の-COONa基を含有することが好ましい。本複合吸収体1において、高分子吸収剤が上記特定の構成を備えていることで、血液を吸収する時に、親水性の連続骨格が伸長しやすく、連続空孔も広がりやすいため、より多くの血液をより素早く連続空孔に取り込むことができる。それにより、高分子吸収剤に排出された血液をより確実に吸収することができ、血液が漏れることを抑制できる。
本高分子吸収剤は、親水性の連続骨格及び連続空孔を備え、細孔径が0.003~100μmの範囲である、細孔径と細孔容積との関係を示す細孔分布において、細孔容積の割合が最大となる最大容積細孔径が1~95μmの範囲にあり、細孔径が7μm以下の細孔による細孔容積の割合は、全細孔における細孔容積の46%未満である。このように、本高分子吸収剤では、血液中の赤血球の寸法である7~8μmより小さい細孔径の細孔が少ない(46%未満)ため、血液は、赤血球が表面に付着することなく高分子吸収剤の細孔内に入ることができる。また、細孔が連続しているため、血液は、高分子吸収剤における奥の方の細孔まで入り込むことができる。それにより、本高分子吸収剤は、速やかに血液を吸収でき、かつ、高分子吸収剤の保血能力を安定的に発揮して多量に血液を吸収することができる。よって、本高分子吸収剤は、血液の吸収の際に、十分な吸収性能を、赤血球に阻害されずに安定的に発揮できると共に、血液が漏れることを抑制することが可能となる。
以下、このような高分子吸収剤の製造方法を、上述の吸収剤Aを例に詳細に説明する。
[高分子吸収剤の製造方法]
上述の吸収剤Aは、図2に示すように、架橋重合工程と加水分解工程を経ることにより得ることができる。以下、これらの各工程について説明する。
(架橋重合工程)
まず、架橋重合用の油溶性モノマーと、架橋性モノマーと、界面活性剤と、水と、必要に応じて重合開始剤とを混合し、油中水滴型エマルションを得る。この油中水滴型エマルションは、油相が連続相となって、その中に水滴が分散したエマルションである。
そして、上述の吸収剤Aにおいては、図2の上図に示すように、油溶性モノマーとして、(メタ)アクリル酸エステルであるメタクリル酸ブチルを用い、架橋性モノマーとして、ジビニルベンゼンを用い、界面活性剤としてソルビタンモノオレエートを用い、さらに重合開始剤としてイソブチロニトリルを用いて架橋重合させ、モノリスAを得る。
具体的には、吸収剤Aにおいては、図2の上図に示すように、まず、油溶性モノマーとしてのメタクリル酸t-ブチル9.2gと、架橋性モノマーとしてのジビニルベンゼン0.28gと、界面活性剤としてのソルビタンモノオレエート(以下、「SMO」と略す。)1.0gと、重合開始剤としての2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)0.4gとを混合し、均一に溶解させる。
次に、メタクリル酸t-ブチル/ジビニルベンゼン/SMO/2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)の混合物を180gの純水に添加し、遊星式撹拌装置である真空撹拌脱泡ミキサー(イーエムイー社製)を用いて減圧下で撹拌し、油中水滴型エマルションを得る。
さらに、このエマルションを速やかに反応容器に移して密封し、静置下で60℃、24時間の条件で重合させる。重合終了後に内容物を取り出し、メタノールで抽出した後、減圧乾燥して、連続マクロポア構造を有するモノリスAを得る。なお、モノリスAの内部構造をSEMにより観察した結果、モノリスAは、連続気泡構造を有しており、連続骨格の厚みは5.4μmであった。また、水銀圧入法により測定した連続空孔の平均直径は36.2μm、全細孔容積は15.5mL/gであった。
なお、全モノマーに対するジビニルベンゼンの含有量は、0.3~10モル%であることが好ましく、0.3~5モル%であることがより好ましい。また、メタアクリル酸ブチルとジビニルベンゼンの合計に対するジビニルベンゼンの割合が0.1~10モル%であることが好ましく、0.3~8モル%であることがより好ましい。なお、上述の吸収剤Aにおいては、メタアクリル酸ブチルとジビニルベンゼンの合計に対するメタアクリル酸ブチルの割合が97.0モル%であり、ジビニルベンゼンの割合が3.0モル%である。
界面活性剤の添加量は、油溶性モノマーの種類及び所望のエマルション粒子(マクロポア)の大きさに応じて設定することができ、油溶性モノマーと界面活性剤の合計量に対して約2~70%の範囲とすることが好ましい。
なお、モノリスAの気泡形状やサイズなどを制御するために、メタノール、ステアリルアルコール等のアルコール;ステアリン酸等のカルボン酸;オクタン、ドデカン、トルエン等の炭化水素;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテルなどを重合系内に共存させてもよい。
また、油中水滴型エマルションを形成させる際の混合方法は特に制限されず、例えば各成分を一括して一度に混合する方法、油溶性モノマー、界面活性剤及び油溶性重合開始剤である油溶性成分と、水や水溶性重合開始剤である水溶性成分とを別々に均一溶解させた後、それぞれの成分を混合する方法などの任意の混合方法を採用することができる。
さらに、エマルションを形成させるための混合装置も特に制限されず、所望のエマルション粒径に応じて、通常のミキサーやホモジナイザー、高圧ホモジナイザー等の任意の装置を採用することができ、さらには、被処理物を混合容器に入れ、該混合容器を傾斜させた状態で公転軸の周りに公転させながら自転させることにより被処理物を攪拌混合する、いわゆる遊星式攪拌装置なども用いることができる。
また、混合条件についても特に制限されず、所望のエマルション粒径に応じて、攪拌回転数や攪拌時間等を任意に設定することができる。なお、上記の遊星式攪拌装置では、W/Oエマルション中の水滴を均一に生成させることができ、その平均径を幅広い範囲で任意に設定することができる。
油中水滴型エマルションの重合条件は、モノマーや開始剤の種類等に応じて様々な条件を採用することができる。例えば、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルや過酸化ベンゾイル、過硫酸カリウム等を用いる場合は、不活性雰囲気下の密封容器内において、30~100℃の温度で1~48時間加熱重合すればよく、重合開始剤として過酸化水素-塩化第一鉄、過硫酸ナトリウム-酸性亜硫酸ナトリウム等を用いる場合は、不活性雰囲気下の密封容器内において、0~30℃の温度で1~48時間重合すればよい。
なお、重合終了後は、内容物を取り出して、イソプロパノール等の溶剤でソックスレー抽出を行うことにより未反応モノマーと残留界面活性剤を除去し、図2の中図に示すモノリスAを得ることができる。
(加水分解工程)
続いて、モノリスA(架橋重合体)を加水分解して、吸収剤Aを得る工程(加水分解工程)について説明する。
まず、モノリスAを、臭化亜鉛を加えたジクロロエタンに浸漬させ40℃で24時間撹拌し、メタノール、4%塩酸、4%水酸化ナトリウム水溶液及び水にこの順で接触させ加水分解を行った後、乾燥させてブロック状の吸収剤Aを得る。更に、このブロック状の吸収剤Aを所定の大きさに粉砕して粒子状の吸収剤Aを得る。なお、この吸収剤Aの形態は粒子状に限定されず、例えば、乾燥させる際に又は乾燥後にシート状に成形してもよい。
また、モノリスAの加水分解の方法は特に制限されず、種々の方法を採用することができる。例えば、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒、テトラヒドロフランやイソプロピルエーテル等のエーテル系溶媒、ジメチルホルムアミドやジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒、メタノールやエタノール等のアルコール系溶媒、酢酸やプロピオン酸等のカルボン酸系溶媒または水を溶媒として、水酸化ナトリウム等の強塩基と接触させる方法、或いは、塩酸等のハロゲン化水素酸、硫酸、硝酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸等のブレンステッド酸または臭化亜鉛、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、塩化チタン(IV)、塩化セリウム/ヨウ化ナトリウム、ヨウ化マグネシウム等のルイス酸と接触させる方法などが挙げられる。
また、吸収剤Aの親水性の連続骨格を形成する有機ポリマーの重合原料のうち、(メタ)アクリル酸エステルとしては、特に制限されないが、(メタ)アクリル酸のC1~C10(すなわち、炭素数1~10)のアルキルエステルが好ましく、(メタ)アクリル酸のC4(すなわち、炭素数4)のアルキルエステルが特に好ましい。
なお、(メタ)アクリル酸のC4のアルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸t-ブチルエステル、(メタ)アクリル酸n-ブチルエステル、(メタ)アクリル酸iso-ブチルエステルが挙げられる。
また、架橋重合に用いるモノマーは、(メタ)アクリル酸エステル及びジビニルベンゼンのみでもよいし、(メタ)アクリル酸エステル及びジビニルベンゼンに加えて、(メタ)アクリル酸エステル及びジビニルベンゼン以外の他のモノマーを含有していてもよい。
後者の場合、他のモノマーとしては、特に限定されないが、例えばスチレン、α―メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルクロライド、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2エチルヘキシル、イソブテン、ブタジエン、イソブレン、クロロプレン、塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
なお、架橋重合に用いる全モノマー中の、(メタ)アクリル酸エステル及びジビニルベンゼン以外の他のモノマーの割合は、0~80モル%が好ましく、0~50モル%がより好ましい。
また、界面活性剤は、上述のソルビタンモノオレエートに限定されず、架橋重合用モノマーと水とを混合した際に、油中水滴型(W/O)エマルションを形成し得るものであればよい。そのような界面活性剤としては、例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレン基ノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン基ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン基ソルビタンモノオレエート等の非イオン界面活性剤、オレイン酸カリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム等の陰イオン界面活性剤、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド等の陽イオン界面活性剤、ラウリルジメチルベタイン等の両性界面活性剤が挙げられる。これらの界面活性剤は一種類を単独で用いても、二種類以上を併用してもよい。
また、重合開始剤は、熱及び光照射によりラジカルを発生する化合物が好適に用いられる。さらに、重合開始剤は、水溶性でも油溶性でもよく、例えば、アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライド、過酸化ベンゾイル、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素-塩化第一鉄、過硫酸ナトリウム-酸性亜硫酸ナトリウム、テトラメチルチウラムジスルフィドなどが挙げられる。ただし、場合によっては、重合開始剤を添加しなくても加熱のみや光照射のみで重合が進行する系もあるため、そのような系では重合開始剤の添加は不要である。
高分子吸収剤において、所望の吸収性能や細孔分布を得ようとする(変更しようとする)場合、主に、架橋重合工程における界面活性剤の添加量(例示:界面活性剤/モノマー比)や混合条件(例示:攪拌回転数、攪拌時間)によって細孔径や細孔分布、延いては吸収性能の調整が可能である。
[高分子吸収剤を含む複合吸収体の製造方法]
複合吸収体は、特に制限されるものではなく、公知の方法を用いて製造され得るが、例えば、材料供給器と回転ドラムとを備える積繊装置を用いて製造される。回転ドラムは、吸引手段を内側面に有し、回転ドラムの外周表面に配置され、回転ドラムとともに回転可能に配設された積繊支持体を含んでいる。積繊支持体は、高分子吸収剤とパルプ繊維と高吸水性ポリマーとを堆積させる堆積用凹み部を有している。材料供給器は、坪量(配合比)を調整された高分子吸収剤とパルプ繊維と高吸水性ポリマーとを混合状態で積繊支持体に供給する。製造方法では、材料供給器により混合状態で供給された高分子吸収剤、パルプ繊維及び高吸水性ポリマーを吸引手段により積繊支持体の堆積用凹み部に堆積させて積繊体を成形する。そして、その積繊体を、積繊支持体から、表面に接着剤を塗布されたシート部材に受け渡し、そのシート部材で積繊体を包み込むことにより複合吸収体を製造する。上記の製造方法は、複合吸収体が、パルプ繊維及び高吸水性ポリマーの少なくとも一方を含まない場合にも同様に用いることができる。なお、上記方法でパルプ繊維と高吸水性ポリマーの積繊体を作成し、シート部材に包み込む前の段階で積繊体上に別途高分子吸収剤を散布してから包み込んでもよい。また、複合吸収体が高分子吸収剤のみを含む場合、シート部材の一方の面に接着剤を塗布し、その接着剤の上に高分子吸収剤を配置し、その上に、接着剤が塗布された別のシート部材を、接着剤が塗布した面を高分子吸収剤側に向けて積層して複合吸収体を製造してもよい。
以下、実施例を示して本発明を説明するが、本発明はこの実施例に限定されない。
(A)試料
上記の製造方法で製造された高分子吸収剤を実施例1~3とし、Infinity粒子体を比較例1とし、高吸水性ポリマーを比較例2とした。ただし、実施例1~3の試料は、製造方法における油中水滴型エマルションを形成させるときの、界面活性剤/モノマー比(wt%)及び攪拌時間(分)を変化させたものである。比較例1のInfinity粒子体は、特許文献2に記載の粒子であり、P&G社製の吸収剤であり、高分子吸収剤と似た構造(発泡構造)を有するものの、高分子吸収剤と異なり、吸水して膨潤する機能を有さない。比較例2の高吸水性ポリマーは住友精化株式会社製のUG840である。そして、実施例1~3及び比較例1の試料は、いずれも、細孔径が0.003~100μmの範囲である、細孔径と細孔容積との関係を示す細孔分布において、細孔容積の割合が最大となる最大容積細孔径が1~95μmの範囲にあるものを用いた。
(B)評価
上記の試料の全部又は一部について、以下の項目について評価を行った。項目は、細孔径(又は細孔半径)が所定の範囲である細孔分布において、細孔径(又は細孔半径)が所定値以下/以上の細孔による細孔容積の割合(全細孔の細孔容積に対する割合)(%)、及び、保血倍率(g/g)、である。
(C)結果
(1)細孔径が7μm以下の細孔による細孔容積の割合
細孔径が0.003~100μmの範囲である細孔分布において、全細孔における細孔容積に対する、細孔径が7μm以下の細孔による細孔容積の割合について、水銀圧入法で測定された細孔容積分布に基づいて算出した。その結果、実施例1,2,3では、それぞれ11%、36%、45%であった。比較例1では、47%であった。したがって、高分子吸収剤において、細孔径が0.03~100μmの範囲である細孔分布における細孔径が7μm以下の細孔による細孔容積の割合は、全細孔における細孔容積の46%未満であることが確認された。
(2)細孔径が53μm以上の細孔による細孔容積の割合
細孔径が0.003~100μmの範囲である細孔分布において、全細孔における細孔容積に対する、細孔径が53μm以上の細孔による細孔容積の割合について、水銀圧入法で測定された細孔容積分布に基づいて算出した。その結果、実施例1,2,3では、それぞれ14%、6%、3%であった。比較例1では、3%であった。したがって、高分子吸収剤において、細孔径が0.003~100μmの範囲である細孔分布における細孔径が53μm以上の細孔による細孔容積の割合は、全細孔における細孔容積の29%未満であることが確認された。
(3)細孔径が4μm以下の細孔による細孔容積の割合
細孔径が0.003~100μmの範囲である細孔分布において、全細孔における細孔容積に対する、細孔径が4μm以下の細孔による細孔容積の割合について、水銀圧入法で測定された細孔容積分布に基づいて算出した。その結果、実施例1,2,3では、それぞれ4%、10%、31%であった。比較例1では、40%であった。したがって、高分子吸収剤において、細孔径が0.003~100μmの範囲である細孔分布における細孔径が4μm以下の細孔による細孔容積の割合は、全細孔における細孔容積の40%未満であることが確認された。
(4)細孔径が1μm以上の細孔による細孔容積の割合
細孔径が0.003~100μmの範囲である細孔分布において、全細孔における細孔容積に対する、細孔径が1μm以上の細孔による細孔容積の割合について、水銀圧入法で測定された細孔容積分布に基づいて算出した。その結果、実施例1,2,3では、それぞれ99.7%、99.9%、99.6%であった。比較例1では、65%であった。したがって、高分子吸収剤において、細孔径が0.003~100μmの範囲である細孔分布における細孔径が1μm以上の細孔による細孔容積の割合は、全細孔における細孔容積の90%以上であることが確認された。
(5)保血倍率
保血倍率(1分)(g/g)は、上記の保血倍率の測定方法で測定された。その結果を表1に示し、代表的なグラフを図7に示す。ただし、図7は保血倍率(g/g)と吸血時間(分)との関係を示すグラフである。縦軸は各吸収体の保血倍率(g/g)を示し、横軸は各吸収体での吸血時間(分)を示す。太い実線及び丸が実施例1であり、細い実線及び三角が比較例1であり、破線及び菱形が比較例2である。高分子吸収剤(実施例1)は、Infinity粒子体(比較例1)及び高吸水性ポリマー(比較例2)と比較して、初期段階で血液を速やかに急激に多量に吸収していることが確認された。なお、図示されていないが、パルプ繊維も比較例2と概ね同じ傾向であった。そして、保血倍率(1分)は、実施例1,2,3では、それぞれ7.4g/g、8.1g/g、10.4g/gであった。比較例1、2では、それぞれ5.5g/gであった。したがって、高分子吸収剤における保血倍率は、1分値が6.5g/g以上であることが確認された。
以上の結果を、表1に示す。
Figure 2024041649000002
なお、本発明の複合吸収体は、特に限定されないが、例えば、結露防止シートや簡易土壌等の土木・建築資材、医薬品等の基材、漏出液体の吸収用資材などの様々な分野の複合吸収体に適用することができる。したがって、複合吸収体の吸収対象となる液体も特に限定されず、例えば、水や水溶液(例えば、海水など)、酸(例えば、塩酸など)、塩基(例えば、水酸化ナトリウムなど)、有機溶媒(例えば、メタノール、エタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、テトラヒドロフラン(THF)、1,4-ジオキサン等のエーテル類、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)など)が挙げられる。なお、これらの液体は、2種類以上の液体の混合物であってもよい。
本発明は、上述の実施形態等に制限されることなく、本発明の目的、趣旨を逸脱しない範囲内において、適宜組み合わせや代替、変更等が可能である。
1 複合吸収体
2 高分子吸収剤
3 高吸水性ポリマー
4 パルプ繊維

Claims (11)

  1. 血液を吸収するための医療用の複合吸収体であって、
    親水性の連続骨格及び連続空孔を備えた高分子吸収剤、高吸水性ポリマー及びパルプ繊維のうちの少なくとも前記高分子吸収剤を含み、
    前記高分子吸収剤において、細孔径が0.003~100μmの範囲である、細孔径と細孔容積との関係を示す細孔分布において、細孔容積の割合が最大となる最大容積細孔径が1~95μmの範囲にあり、細孔径が7μm以下の細孔による細孔容積の割合は、全細孔における細孔容積の46%未満である、
    複合吸収体。
  2. 前記高分子吸収剤における保血倍率は、1分値が6.5g/g以上である、
    請求項1に記載の複合吸収体。
  3. 前記高分子吸収剤において、前記細孔分布における細孔径が53μm以上の細孔による細孔容積の割合は、全細孔における細孔容積の29%未満である、
    請求項1又は2に記載の複合吸収体。
  4. 前記高分子吸収剤において、前記細孔分布における細孔径が4μm以下の細孔による細孔容積の割合は、全細孔における細孔容積の40%未満である、
    請求項1又は2に記載の複合吸収体。
  5. 前記高分子吸収剤において、細孔径が1μm以上の細孔による細孔容積の割合は、全細孔における細孔容積の90%以上である、
    請求項1又は2に記載の複合吸収体。
  6. 前記高分子吸収剤の前記連続骨格が親水基を有する、
    請求項1又は2に記載の複合吸収体。
  7. 前記親水基は、血液を吸収して負に帯電する性質を有する、
    請求項1又は2に記載の複合吸収体。
  8. 前記パルプ繊維を含む、
    請求項1又は2に記載の複合吸収体。
  9. 前記高分子吸収剤はモノリス状の吸収剤である、
    請求項1又は2に記載の複合吸収体。
  10. 前記高分子吸収剤は、(メタ)アクリル酸エステルと、一分子中に2個以上のビニル基を含有する化合物の架橋重合体の加水分解物であり、且つ、少なくとも1個以上の-COONa基を含有する、
    請求項1又は2に記載の複合吸収体。
  11. 親水性の連続骨格及び連続空孔を備え、
    細孔径が0.003~100μmの範囲である、細孔径と細孔容積との関係を示す細孔分布において、細孔容積の割合が最大となる最大容積細孔径が1~95μmの範囲にあり、細孔径が7μm以下の細孔による細孔容積の割合は、全細孔における細孔容積の46%未満である、
    高分子吸収剤。
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