JP2024040108A - パラメータ同定方法、制御装置、診断装置 - Google Patents

パラメータ同定方法、制御装置、診断装置 Download PDF

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Abstract

【課題】鉄道車両のドアの移動方向の水平面に対する傾斜角度を考慮してドアの開閉動作の制御やその開閉動作に関する異常の診断等を行うことが可能な技術を提供する。【解決手段】本開示の一実施形態に係るパラメータ同定方法は、情報処理装置70が、鉄道車両のドア40を開閉駆動する電動機30が無負荷状態でドア40の開動作及び閉動作のそれぞれに相当する動作を一定の速度により実施したときの推力のデータを取得するステップS102と、情報処理装置70が、電動機30が有負荷状態でドア40を駆動し、ドア40の開動作及び閉動作のそれぞれを一定の速度で実施させたときの推力のデータを取得するステップS104と、情報処理装置70が、ステップS102,S104で取得されるデータに基づき、ドア40の開閉動作に関する力学モデルにおけるドア40の移動方向の水平面に対する傾斜角度のパラメータsinθを同定するステップS108と、を含む。【選択図】図3

Description

本開示は、パラメータ同定方法等に関する。
例えば、鉄道車両のドアの制御やその動作に関する異常の診断に関する技術が知られている(特許文献1参照)。
特開2010-52469号公報
ところで、例えば、鉄道車両のドアの移動方向が開方向に下がるように水平面に対して若干傾斜する形でドアが鉄道車両に設置される場合がある。また、例えば、鉄道車両のドアは、製造時の品質不良や経年劣化等によって、鉄道車両のドアの移動方向が水平面に対して傾斜してしまう場合があり得る。そのため、鉄道車両のドアの移動方向の水平面に対する傾斜状態を考慮して、ドアの開閉動作の制御やその開閉動作に関する異常の診断が実施されることが望ましい。
そこで、上記課題に鑑み、鉄道車両のドアの移動方向の水平面に対する傾斜角度を考慮してドアの開閉動作の制御やその開閉動作に関する異常の診断等を行うことが可能な技術を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本開示の一実施形態では、
情報処理装置が、ドアを開閉駆動する駆動装置が無負荷状態で前記ドアの開動作及び閉動作のそれぞれに相当する動作を一定の速度により実施したときの推力のデータを取得する第1の取得ステップと、
前記情報処理装置が、前記駆動装置が有負荷状態で前記ドアを駆動し、前記ドアの開動作及び閉動作のそれぞれを前記一定の速度で実施させたときの推力のデータを取得する第2の取得ステップと、
前記情報処理装置が、前記第1の取得ステップ及び前記第2の取得ステップで取得されるデータに基づき、前記ドアの開閉動作に関する力学モデルにおける前記ドアの移動方向の水平面に対する傾斜角度のパラメータを同定する第1の同定ステップと、を含む、
パラメータ同定方法が提供される。
また、本開示の他の実施形態では、
鉄道車両のドアの開動作時と閉動作時とで互いに異なる力学モデルを用いて、前記ドアの開閉動作を制御する、
制御装置が提供される。
また、本開示の更に他の実施形態では、
鉄道車両のドアの開動作時と閉動作時とで互いに異なる力学モデルを用いて、前記ドアの開閉動作に関する異常の診断を行う、
診断装置が提供される。
また、本開示の更に他の実施形態では、
鉄道車両のドアの開閉動作に関する物理量のデータを取得する取得部と、
前記取得部により取得されるデータに基づき、前記ドアの開閉動作の異常に関する診断を行う診断部と、を備え、
前記診断部は、前記ドアの開動作時と閉動作時とで、互いに異なる診断基準に基づき、前記ドアの開閉動作の異常に関する診断を行う、
診断装置が提供される。
また、本開示の更に他の実施形態では、
鉄道車両のドアの開閉動作に関する物理量のデータを取得する取得部と、
前記取得部により前記ドアの開動作時に取得されるデータと、前記取得部により前記ドアの閉動作時に取得されるデータとの比較に基づき、前記ドアの移動方向の水平面に対する傾斜状態に関する異常の診断を行う、
診断装置が提供される。
上述の実施形態によれば、鉄道車両のドアの移動方向の水平面に対する傾斜角度を考慮してドアの開閉動作の制御やその開閉動作に関する異常の診断等を行うことができる。
パラメータ同定システムの構成の一例を示す図である。 ドアの開閉方向の水平面に対する傾斜角度(移動勾配)を説明する図である。 摩擦力のパラメータ及び移動勾配のパラメータの同定手順の一例を示すフローチャートである。 速度に依存する抵抗力(粘性抵抗力)のパラメータの同定手順の一例を示すフローチャートである。 摩擦力のパラメータ及び移動勾配のパラメータの同定手順の他の例を示すフローチャートである。 ドア制御システムの構成の一例を示す図である。 異常診断システムの構成の一例を示す図である。 ドアの開閉動作に関する異常診断方法の第1例を説明する図である。 ドアの開閉動作に関する異常診断の処理の第1例を示すフローチャートである。 ドアの開閉動作に関する異常診断方法の第2例を説明する図である。 ドアの開閉動作に関する異常診断方法の第2例を示すフローチャートである。
以下、図面を参照して実施形態について説明する。
[パラメータ同定システム]
図1、図2を参照して、本実施形態に係るパラメータ同定システム1について説明する。
図1は、パラメータ同定システム1の構成の一例を示す図である。図2は、ドア40の開閉方向DMの水平面HPに対する傾斜角度(移動勾配)θを説明する図である。
図1に示すように、パラメータ同定システム1は、直流電源10と、インバータ20と、電動機30と、ドア40と、電流センサ50と、エンコーダ60と、情報処理装置70とを含む。
パラメータ同定システム1は、直流電源10、インバータ20、及び電動機30を用いて、ドア40を駆動し、ドア40の開閉動作時のデータを取得する。そして、パラメータ同定システム1は、情報処理装置70において、取得したデータに基づき、ドア40の開閉動作の負荷状態に関する力学モデル(以下、「負荷モデル」)のパラメータの同定を行う。
直流電源10は、インバータ20に電力を供給する。
インバータ20は、直流電源10から供給される直流電力を、所定の振幅及び周波数の三相交流電力に変換し、電動機30に出力する。これにより、インバータ20は、電動機30を駆動することができる。
電動機30は、インバータ20から供給される三相交流電力によって稼働し、ドア40を駆動する。これにより、電動機30は、ドア40に開閉動作を行わせることができる。電動機30は、例えば、リニアモータである。また、電動機30は、回転電機であってもよい。
パラメータ同定システム1では、実際に鉄道車両に搭載済みの直流電源10、インバータ20、及び電動機30が用いられてもよいし、鉄道車両への搭載品と同じ直流電源10、インバータ20、及び電動機30がパラメータの同定用に用いられてもよい。
ドア40は、例えば、スライド式の合わせドアであり、鉄道車両の側面の乗降用の開口部を開閉可能に構成される。ドア40は、駆動機構42と、ドアパネル44とを含む。
駆動機構42は、電動機30の動力によって、ドアパネル44を開閉方向に移動させる。
ドアパネル44は、例えば、2枚1組で構成され、それぞれが対向する方向に移動する形で開閉動作を行う。ドアパネル44は、駆動機構42の作用によって、鉄道車両の側面の開口部を閉塞した状態と、戸袋に収納され開口部を開放した状態との間でスライド移動する。
パラメータ同定システム1では、実際に鉄道車両に搭載済みのドア40が用いられてもよいし、鉄道車両に搭載された状態を実験室等で模擬したドア40が用いられてもよい。
電流センサ50は、電動機30の電流を測定し、測定信号を出力する。例えば、図1に示すように、電流センサ50は、インバータ20と電動機30との間の電力線の電流を測定する。電流センサ50は、電流センサ52,54を含む。
電流センサ52,54は、電動機30の3相、即ち、U相、V相、及びW相のうちの2相分の電流を測定する。例えば、図1に示すように、電流センサ52は、電動機30のU相の電流を測定し、電流センサ54は、電動機30のW相の電流を測定する。電流センサ52,54の出力(測定信号iudet,iwdet)は、一対一の通信線やローカルネットワーク(LAN:Local Area Network)等を通じて、情報処理装置70に取り込まれる。これにより、情報処理装置70は、電動機30のU相及びW相の電流を検出することができると共に、U相及びW相の電流の検出値から残りの1相(V相)の電流の検出値を推定(算出)することができる。また、電流センサ50は、電流センサ52,54に加えて、U相、V相、及びW相のうちの残りの1相の電流を測定する電流センサを含んでもよい。つまり、電流センサ50は、電動機30の全ての相の電流を直接測定し、情報処理装置70は、電流センサ50により測定される電動機30の全ての相の電流の測定値を用いてもよい。
エンコーダ60は、電動機30の回転子の回転位置、或いは、可動子の移動方向の位置を測定する。エンコーダ60の出力(測定信号PS)は、一対一の通信線やローカルネットワーク等を通じて、情報処理装置70に取り込まれる。これにより、情報処理装置70は、電動機30の回転子の回転位置、或いは、可動子の移動方向の位置を把握することができ、その結果、電動機30により駆動されるドア40(ドアパネル44)の開閉方向の位置を把握することができる。
情報処理装置70は、インバータ20を制御することにより、ドア40の開閉動作を制御すると共に、負荷モデルのパラメータの同定を行う。
情報処理装置70は、例えば、端末装置である。端末装置は、例えば、デスクトップ型のPC(Personal Computer)等の定置型の端末装置であってもよいし、例えば、スマートフォン、タブレット端末、ラップトップ型のPC等の可搬型の端末装置(携帯端末)であってもよい。また、情報処理装置70は、サーバ装置であってもよい。また、情報処理装置70は、鉄道車両でドア40を制御するための制御装置であってもよい。
情報処理装置70は、任意のハードウェア或いは任意のハードウェア及びソフトウェアの組み合わせ等により任意に実現される。例えば、情報処理装置70は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ装置、補助記憶装置、インタフェース装置、入力装置、及び出力装置を含むコンピュータを中心に構成される。メモリ装置は、例えば、SRAM(Static Random Access Memory)やDRAM(Dynamic Random Access Memory)等である。補助記憶装置は、例えば、HDD(Hard Disc Drive)やSSD(Solid State Disc)やEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)やフラッシュメモリ等である。インタフェース装置は、外部の記録媒体と接続するための外部インタフェースや情報処理装置の外部と通信を行う通信インタフェースを含む。これにより、情報処理装置70は、処理に利用するプログラムや各種データを外部の記録媒体からインストールしたり、外部装置からダウンロードしインストールしたりすることができる。出力装置は、表示装置や音出力装置を含む。表示装置は、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electroluminescence)ディスプレイ等である。音出力装置は、例えば、スピーカである。
情報処理装置70は、機能部として、電流検出部701と、位置検出部702と、速度検出部703と、推力算出部704と、制御部705と、パラメータ同定部706とを含む。
電流検出部701は、電流センサ50(電流センサ52,54)の測定信号iudet,iwdetに基づき、電動機30のU相、V相、及びW相の電流の検出値を取得する。
位置検出部702は、エンコーダ60の測定信号PSに基づき、ドア40の開閉方向の位置の検出値を取得する。
速度検出部703は、エンコーダ60の測定信号PSに基づき、ドア40の開閉方向の速度の検出値を取得する。
推力算出部704は、電流検出部701により取得される電動機30の電流の検出値に基づき、電動機30が発生させているドア40の推力を算出する。
制御部705は、パラメータ同定部706からの指令に応じて、インバータ20を制御することにより、インバータ20を用いて、ドア40の開閉動作を制御する。例えば、制御部705は、位置検出部702、速度検出部703、及び推力算出部704の出力に基づき、ドア40の開閉動作を制御する。
パラメータ同定部706は、負荷モデルのパラメータの同定を行う。負荷モデルの詳細、及び負荷モデルのパラメータの同定方法の詳細は後述する。
[パラメータの同定方法の第1例]
次に、パラメータの同定方法の第1例について説明する。
<概要>
まず、本例に係るパラメータの同定方法の概要について説明する。
パラメータの同定対象の負荷モデルは、ドア40の開動作時の推力Flop及びドア40の閉動作時の推力Flclに関する力学モデルであり、以下の式(1),(2)で表される。
Figure 2024040108000002
尚、Fmop,Fmclは、それぞれ、ドア40の開動作時及び閉動作時に固定的に作用する抵抗力(以下、「固定抵抗力」)に相当するパラメータである。gは、既知の重力加速度である。また、Mlは、ドア40の質量(重量)、即ち、駆動機構42とドアパネル44との合計の質量(重量)である。質量Mlには、駆動機構42及びドアパネル44の質量の実測値が適用されてよい。μlは、ドア40の開閉動作時の動摩擦力に関するパラメータ(動摩擦係数)である。θは、ドア40の開閉方向(移動方向)DMの水平面HPに対する傾斜角度(以下、便宜的に「移動勾配」)である(図2参照)。Dop,Dclは、それぞれ、ドア40の開動作時及び閉動作時におけるドア40の速度に依存する抵抗力(以下、「粘性抵抗力」)に関するパラメータである。vは、ドア40(ドアパネル44)の速度である。aは、ドア40(ドアパネル44)の加速度である。
ここで、ドア40が一定速度で開閉動作を行う場合、加速度aは0であり、式(1),(2)の右辺の加速度aに依存する第4項は0(ゼロ)になる。また、ドア40が非常に低い速度(例えば、0.01m/s)で開閉動作を行う場合、速度に依存する抵抗力(粘性抵抗)、即ち、式(1),(2)の右辺の第3項を無視することができる。そのため、ドア40が低速且つ一定の速度で開閉動作を行う場合、式(1),(2)は、それぞれ、以下の式(3),(4)で表される。
Figure 2024040108000003
尚、ドア40が低速であるとは、ドア40の速度vが式(1),(2)のそれぞれの右辺の第3項が第1項及び第2稿に対して無視できる程度に小さい状態を意味する。
また、ドア40のうちのドアパネル44を除く部分、即ち、駆動機構42のみがドア40の開動作及び閉動作のそれぞれに相当する動作を行う場合の推力Frhop,Frhclは、以下の式(5),(6)で表される。以下、電動機30が駆動機構42のみを駆動する場合を「無負荷状態」と称し、電動機30が駆動機構42及びドアパネル44のドア40全体を駆動する状態を「有負荷状態」と称する場合がある。
Figure 2024040108000004
尚、式(5),(6)では、ドアパネル44の有無に依らず、固定抵抗力に関するパラメータFmop,Fmcl、及び動摩擦力に関するパラメータ(動摩擦係数)μlが変化しない旨の前提が適用されている。また、Mrhは、ドア40のうちの駆動機構42のみの重量(質量)である。
そのため、式(3)~(6)から以下の式(7)~(9)を導出することができる。
Figure 2024040108000005
よって、パラメータ同定部706は、制御部705に指令を出力し、電動機30を制御することで、有負荷状態及び無負荷状態ごとに、低速且つ一定速度でドア40の開動作及び閉動作させ、推力Flop,Flcl,Frhop,Frhclを記録する。これにより、パラメータ同定部706は、記録された推力Flop,Flcl,Frhop,Frhclに基づき、式(7)~(9)から移動勾配に関するパラメータsinθを同定することができる。
尚、移動勾配に関するパラメータcosθは、移動勾配に関するパラメータsinθから求めることができる。また、移動勾配に関するパラメータsinθに代えて、移動勾配に関するパラメータとして、移動勾配θが導出されてもよい。
また、式(3)~(6)から以下の式(10)~(12)を導出することができる。
Figure 2024040108000006
よって、パラメータ同定部706は、上記で記録された推力Flop,Flcl,Frhop,Frhclに基づき、式(10)~(12)から動摩擦力に関するパラメータ(動摩擦係数)μlを同定することができる。
また、パラメータ同定部706は、記録済みの推力Flop,Flclと、同定済みのパラメータsinθ,μlとに基づき、式(3),(4)から固定抵抗力に相当するパラメータFmop,Fmclを同定することができる。
また、同定済みのパラメータsinθ,μl,Fmop,Fmclが式(1),(2)に代入されることで、式(1),(2)は、それぞれ、粘性抵抗力に関するパラメータDop,Dclの一次関数となる。
よって、パラメータ同定部706は、制御部705に指令を出力し、電動機30を制御させることで、有負荷状態で互いに異なる複数の速度でドア40に定速の開動作を実施させ、複数の速度ごとの推力Flopを記録する。例えば、パラメータ同定部706は、0.05m/s、0.1m/s、0.2m/s、0.03m/s、及び0.4m/sの5つの互いに異なる速度でドア40に一定速度の開動作を実施させる。これにより、パラメータ同定部706は、推力Flopと速度vとの複数の組み合わせによる線形回帰直線の勾配を求めることで、粘性抵抗力に関するパラメータDopを同定することができる。
同様に、パラメータ同定部706は、制御部705に指令を出力し、電動機30を制御させることで、有負荷状態で互いに異なる複数の速度でドア40に定速の閉動作を実施させ、複数の速度ごとの推力Flclを記録する。例えば、パラメータ同定部706は、-0.05m/s、-0.1m/s、-0.2m/s、-0.03m/s、及び-0.4m/sの5つの互いに異なる速度でドア40に一定速度の閉動作を実施させる。これにより、パラメータ同定部706は、推力Flclと速度vとの複数の組み合わせによる線形回帰直線の勾配を求めることで、粘性抵抗力に関するパラメータDclを同定することができる。
このように、本例では、ドア40の移動勾配を考慮した、ドア40の開動作時及び閉動作時の互いに異なる負荷モデルについて、情報処理装置70は、移動勾配に関するパラメータsinθを含む全ての観測不可能なパラメータを同定することができる。これにより、例えば、0(ゼロ)より大きい移動勾配が予め設定されているドア40と同種のドアの制御を行う制御装置は、本例の負荷モデルを採用することで、開動作時及び閉動作時のそれぞれでドアの負荷状態を適切に推定することができる。そのため、制御装置は、予め設定されている、ドアの0(ゼロ)より大きい移動勾配を考慮してドアの開閉動作の制御を行うことができる。また、例えば、0(ゼロ)より大きい移動勾配が予め設定されているドア40と同種のドアに関する異常診断を行う診断装置は、本例の負荷モデルを採用することで、開動作時及び閉動作時のそれぞれでドアの負荷状態を適切に推定することができる。そのため、診断装置は、例えば、ドアの推定される負荷状態と実際の負荷状態とを比較することにより、より適切にドアの開閉動作に関する異常を診断することができる。
<パラメータの同定手順>
続いて、図3、図4を参照して、本例に係るパラメータの同定方法の具体例として、パラメータの同定手順について説明する。
≪動摩擦力に関するパラメータ及び移動勾配に関するパラメータ≫
図3は、動摩擦力に関するパラメータμl及び移動勾配のパラメータsinθの同定手順の一例を示すフローチャートである。
図3に示すように、ドアパネル44が駆動機構42から取り外された状態で、パラメータ同定部706は、制御部705に指令を出力し電動機30を制御することにより、低速且つ一定速度のドア40の開動作及び閉動作を実施させる。そして、パラメータ同定部706は、ドア40の開動作時及び閉動作時のそれぞれについて、推力算出部704により算出される推力Frhop,Frhclを情報処理装置70の補助記憶装置等に記録する(ステップS102)。
ステップS102の完了後、ドアパネル44が駆動機構42に取り付けられた状態で、パラメータ同定部706は、制御部705に指令を出力し電動機30を制御することで、低速且つ一定速度のドア40の開動作及び閉動作を実施させる。そして、パラメータ同定部706は、ドア40の開動作時及び閉動作時のそれぞれについて、推力算出部704により算出される推力Flop,Flclを情報処理装置70の補助記憶装置等に記録する(ステップS104)。
ステップS104の完了後、パラメータ同定部706は、記録済みの推力Frhop,Frhcl,Flop,Flclの算出値に基づき、上記の式(10)~(12)から動摩擦力に関するパラメータμlを演算する(ステップS106)。
ステップS106の完了後、パラメータ同定部706は、記録済みの推力Frhop,Frhcl,Flop,Flclの算出値に基づき、上記の式(7)~(9)から移動勾配に関するパラメータsinθを演算する(ステップS108)。
ステップS108の完了後、パラメータ同定部706は、記録済の推力Flop,Flclの算出値と、同定済みのパラメータμl,sinθとに基づき、式(3),(4)から固定抵抗力に関するパラメータFmop,Fmclを演算する(ステップS110)。
ステップS110の処理が完了すると、本フローチャートの処理は終了する。
このように、本例では、情報処理装置70は、パラメータμl,sinθ,Fmop,Fmclを同定することができる。
≪粘性抵抗力に関するパラメータ≫
図4は、速度に依存する抵抗力(粘性抵抗力)のパラメータDop,Dclの同定手順の一例を示すフローチャートである。
図4に示すように、ドアパネル44が駆動機構に取り付けられた状態で、パラメータ同定部706は、制御部705に指令を出力し電動機30を制御することで、互いに異なる複数の速度によって一定速度でドア40の開動作を実施させる。そして、パラメータ同定部706は、互いに異なる複数の速度ごとに、ドア40の開動作時の推力算出部704により算出される推力Flopを情報処理装置70の補助記憶装置等に記録する(ステップS202)。
ステップS202の完了後、パラメータ同定部706は、互いに異なる複数の速度vと、これらのそれぞれに対応する記録済みの推力Flopとの組み合わせに基づき、単回帰分析を行い、粘性抵抗力に関するパラメータDopを演算する(ステップS204)。
ステップS204の完了後、パラメータ同定部706は、ドアパネル44が駆動機構に取り付けられた状態で、パラメータ同定部706は、制御部705に指令を出力し電動機30を制御することで、互いに異なる複数の速度によって一定速度でドア40の閉動作を実施させる。そして、パラメータ同定部706は、互いに異なる複数の速度ごとに、ドア40の閉動作時の推力算出部704により算出される推力Flclを情報処理装置70の補助記憶装置等に記録する(ステップS206)。
ステップS206の完了後、パラメータ同定部706は、互いに異なる複数の速度vと、これらのそれぞれに対応する記録済みの推力Flclとの組み合わせに基づき、単回帰分析を行い、粘性抵抗力に関するパラメータDclを演算する(ステップS208)。
このように、本例では、情報処理装置70は、パラメータDop,Dclを同定することができる。
[パラメータの同定方法の第2例]
次に、パラメータの同定方法の第2例について説明する。
<概要>
まず、本例に係るパラメータの同定方法の概要について説明する。
本例では、パラメータ同定システム1は、上述の第1例における同定済みのパラメータのうち、鉄道車両の運行に応じて経年変化するパラメータについて、再度の同定(以下、「再同定」)を行う。例えば、情報処理装置70は、営業運転中のドア40の開閉動作や営業運転前後の点検時の開閉動作時の測定データに基づき、経年変化するパラメータの再同定を行う。
上述の第1例の同定の対象のパラメータのうち、鉄道車両の運行に応じて経年変化するパラメータは、例えば、上述のドア40の移動勾配に関するパラメータsinθと動摩擦力に関するパラメータ(動摩擦係数)μlである。一方、上述の第1例の同定の対象のパラメータのうち、経年変化しないパラメータは、例えば、固定抵抗力に関するパラメータFmop、Fmclや速度に依存する抵抗力(粘性抵抗力)に関するパラメータDop,Dclである。
パラメータの再同定を行う際のパラメータの同定対象の負荷モデルは、上述の第1例の式(1)、(2)と同様である。以下、本例では、パラメータの再同定を行う際のドア40の開動作時及び閉動作時の推力を、それぞれ、Fl′op,Fl′clで表し、上述の第1例の同定の場合の推力Flop,Flclと区別する。
式(1)、(2)に基づき、経年変化するパラメータとしての移動勾配に関するパラメータsinθ及び動摩擦力に関するパラメータ(動摩擦係数)μlは、以下の式(13),(14)で表される。
Figure 2024040108000007
ここで、ドア40が一定速度で開閉動作を行う場合、加速度aは0であり、式(13),(14)の右辺の加速度aに依存する項は0(ゼロ)になる。また、ドア40が非常に低い速度(例えば、0.01m/s)で開閉動作を行う場合、速度に依存する抵抗力(粘性抵抗)、即ち、式(13),(14)の右辺の速度vに依存する項を無視することができる。そのため、ドア40が低速且つ一定の速度で開閉動作を行う場合、式(13),(14)は、それぞれ、以下の式(15),(16)で表される。
Figure 2024040108000008
よって、パラメータ同定部706は、推力Fl'op,Fl'clと、経年変化しないパラメータを用いて、式(13),(14)或いは式(15),(16)に基づき、経年変化するパラメータ(移動勾配に関するパラメータsinθ及び動摩擦力に関するパラメータμl)の再同定を行うことができる。
<パラメータの同定手順>
続いて、図5を参照して、本例に係るパラメータの同定方法の具体例として、パラメータの同定手順について説明する。
図5は、動摩擦力に関するパラメータμl及び移動勾配に関するパラメータsinθの同定手順の他の例を示すフローチャートである。
例えば、本フローチャートは、鉄道車両の営業運転の前後の点検時に行われる。
パラメータ同定部706は、固定のパラメータを情報処理装置70の補助記憶装置等から読み出す(ステップS302)。固定のパラメータには、上述の経年変化しないパラメータ(固定抵抗力に関するパラメータFmop、Fmcl、及び速度に依存する抵抗力(粘性抵抗力)に関するパラメータDop,Dcl)の他、重力加速度gやドア40の質量(重量)Ml、速度v、及び加速度a等が含まれる。
ステップS302の完了後、ドアパネル44が駆動機構42に取り付けられた状態で、パラメータ同定部706は、制御部705に指令を出力し電動機30を制御することで、ドア40の開動作及び閉動作を実施させる。そして、パラメータ同定部706は、ドア40の開動作時及び閉動作時のそれぞれについて、推力算出部704により算出される推力Fl'op,Fl'clを情報処理装置70の補助記憶装置等に記録する(ステップS304)。
ステップS304の完了後、パラメータ同定部706は、式(13)或いは式(15)を用いて、移動勾配に関するパラメータsinθを演算し、情報処理装置70の補助記憶装置等に記録する。(ステップS306)。
ステップS306の完了後、パラメータ同定部706は、式(14)或いは式(16)を用いて、動摩擦力に関するパラメータμlを演算し、情報処理装置70の補助記憶装置等に記録する(ステップS308)。
ステップS308の処理が完了すると、本フローチャートの処理は終了する。
このように、本例では、情報処理装置70は、同定済みの移動勾配に関するパラメータsinθ及び動摩擦力に関するパラメータμlについて、再同定を行うことができる。これにより、情報処理装置70は、例えば、一度パラメータを同定済みのドア40について、無負荷状態(ドアパネルなし)の推力を記録する工程(図3のステップS102)を省略することができる。つまり、ドア40に関するパラメータの同定において、一度取り付けたドアパネルを再度取り外す工程を省略することができる。そのため、情報処理装置70は、より容易にドア40の負荷モデルにおけるパラメータを同定することができる。また、情報処理装置70は、鉄道車両の営業運転に応じた経年変化を考慮して、ドア40の負荷モデルにおけるパラメータを同定することができる。そのため、情報処理装置70は、後述のドアに関する制御やドアに関する異常診断のより適切な実施を支援することができる。
[ドア制御システム]
次に、図6を参照して、本実施形態に係るドア制御システム100について説明する。
図6は、ドア制御システム100の構成の一例を示す図である。
ドア制御システム100は、車両制御装置110と、ドア制御装置120と、インバータ装置130と、電動機140と、ドア150と、電流センサ160と、エンコーダ170とを含む。
ドア制御システム100は、鉄道車両に搭載され、鉄道車両の乗客の乗降用のドア150の開閉動作の制御を行う。
車両制御装置110は、鉄道車両の運行に関する制御を行う。車両制御装置110は、例えば、複数の鉄道車両が連結される列車の場合、先頭の車両の運転室と最後尾の車両の車掌室とに一つずつ設けられる。また、車両制御装置110は、例えば、1台の鉄道車両のみの一両編成である場合、鉄道車両の進行方向の両端に位置する運転室及び車掌室に一つずつ設けられる。
車両制御装置110は、その機能が任意のハードウェア、或いは、ハードウェア及びソフトウェアの組み合わせ等により任意に実現されてよい。例えば、車両制御装置110は、CPU、メモリ装置、補助記憶装置、及びインタフェース装置等を含むコンピュータを中心に構成される。以下、ドア制御装置120についても同様であってよい。
車両制御装置110は、例えば、車掌等による図示しないドア150の開閉用のスイッチに対する操作に応じて、ドア150の戸開(開動作)を指令する戸開指令、或いは、ドア150の戸閉(閉動作)を指令する戸閉指令をドア制御装置120に出力する。
ドア制御装置120は、車両制御装置110から受信される戸開指令及び戸閉指令に応じて、全閉状態のドア150を戸開(開動作)させる制御(以下、「戸開制御」)、及び全開状態のドア150を戸閉(閉動作)させる制御(以下、「戸閉制御」)を行う。
ドア制御装置120は、機能部として、シーケンス制御部1201と、速度パターン発生部1202と、速度調節部1203と、推力調節部1204と、インバータ制御部1205と、電流・推力変換部1206と、速度検出部1207と、位置検出部1208と、推力補償部1209とを含む。これらの機能は、例えば、補助記憶装置にインストールされるプログラムをメモリ装置にロードし、CPUで実行することにより実現される。
インバータ装置130、電動機140、ドア150、電流センサ160、及びエンコーダ170は、上述のパラメータ同定システム1(図1)のインバータ20、電動機30、ドア40、電流センサ50、及びエンコーダ60と同様の構成を有してよい。また、ドア150に含まれる駆動機構152及びドアパネル154は、上述のパラメータ同定システム1(図1)の駆動機構42及びドアパネル44と同様の構成を有してよい。また、電流センサ160に含まれる電流センサ162,164は、上述のパラメータ同定システム1(図1)の電流センサ52,54と同様の構成を有してよい。そのため、インバータ装置130、電動機140、ドア150(駆動機構152及びドアパネル154)、電流センサ160(電流センサ162,164)、及びエンコーダ170の説明を省略する。
シーケンス制御部1201は、車両制御装置110から入力される指令(戸開指令或いは戸閉指令)COM1、及び位置検出部1208から入力されるドアパネル位置情報pdetに応じて、ドア150の戸開動作或いは戸閉動作に関するシーケンス制御を行う。ドアパネル位置情報pdetは、位置検出部1208により検出される、ドアパネル154の位置を表す情報である。
例えば、シーケンス制御部1201は、車両制御装置110から入力される戸開指令COM1に応じて、ドア150の戸開動作に関するシーケンス制御を開始する。そして、シーケンス制御部1201は、ドアパネル位置情報pdetに基づき、ドア150の戸開動作の進行状態を把握しつつ、予め規定されるシーケンスに沿った内容のドア制御指令COM2を出力し、ドア150が全開位置に到達するまでドア150の戸開動作を制御する。
また、例えば、シーケンス制御部1201は、ドア150の戸開動作に関するシーケンス制御の開始時に、電動機140から出力されるドア150に対する推力の制限値(以下、「推力制限値」)flimitを速度調節部1203に出力する。推力制限値flimitは、例えば、電動機140の最大出力や定格出力等に基づき予め規定される所定値f1に設定される(flimit=f1)。
速度パターン発生部1202は、シーケンス制御部1201から入力されるドア制御指令COM2、及び位置検出部1208から入力されるドアパネル位置情報pdetに基づき、速度指令値vcomを出力する。速度パターン発生部1202は、例えば、ドアパネル位置情報pdetに基づき、ドアパネル154の位置を把握しつつ、マップや変換式等に基づき、ドアパネル154の位置に対応する速度指令値vcomを出力する。
速度調節部1203は、速度指令値vcomに基づき、電動機140の速度制御を行う制御器(コントローラ)である。具体的には、速度調節部1203は、速度指令値vcomと、速度検出部1207から入力される、ドア150(ドアパネル154)の速度検出値vdetとの間の偏差が小さくなるように、速度フィードバック制御演算を行い、推力指令値fcomを出力する。速度調節部1203には、例えば、PID(Proportional Integral Differential)制御器等、任意のフィードバック制御用の制御器が適用されてよい。以下、推力調節部1204についても同様であってよい。
推力調節部1204は、推力指令値fcomに基づき、電動機140の推力制御を行う制御器(コントローラ)である。具体的には、推力調節部1204は、推力指令値fcomと、推力検出値fdet及び推力補償値fcpの和との間の差分(偏差)が小さくなるように、推力フィードバック制御演算を行い、インバータ制御部1205に対する操作量eを出力する。推力検出値fdetは、電流・推力変換部1206により算出される、電動機140からドア150に付加される推力の検出値である。推力補償値fcpは、推力補償部1209により算出される、ドア150の移動勾配θによって生じる推力に相当する。
インバータ制御部1205は、推力調節部1204から入力される操作量eに基づき、インバータ装置130を制御する。具体的には、インバータ制御部1205は、操作量eに基づき、インバータ装置130を駆動するための駆動信号DSをインバータ装置130に出力する。駆動信号DSは、例えば、PWM(Pulse Width Modulation)信号である。
電流・推力変換部1206は、電流センサ162,164から入力される測定信号iudet,iwdetに基づき、所定の変換式やマップ等を用いて、電動機140の推力検出値fdetに変換する。
速度検出部1207は、エンコーダ170から入力される測定信号PSに基づき、ドア150の位置情報を微分することにより、ドア150の速度を検出し、速度検出値vdetを出力する。
位置検出部1208は、エンコーダ170から入力される測定信号PSに基づき、ドア150(ドアパネル)の位置を検出し、ドアパネル位置情報pdetを出力する。
推力補償部1209は、ドア150の開閉動作時の負荷状態に関する力学モデル(負荷モデル)に基づき、速度検出値vdetから傾きによって発生する推力に相当する推力fθを推定する。この際、推力補償部1209は、例えば、上述の式(1),(2)のように、ドア150の開動作時と閉動作時とで互いに異なる負荷モデルを用いてよい。これにより、例えば、移動勾配θが0(ゼロ)より大きい状態でドア150(具体的には、ドアパネル154)が設置されている場合に、推力調節部1204は、ドア150の開動作時及び閉動作時のそれぞれに合わせて適切なドア150の負荷状態を推定することができる。その結果、推力調節部1204は、速度指令値vcomを実現するためのより適切な推力指令値fcomを出力することができる。
適用される負荷モデルは、例えば、上述のパラメータ同定システム1で移動勾配のパラメータsinθを含む各種パラメータが同定済みの負荷モデル(上述の式(1),(2)参照)である。また、適用される負荷モデルは、実質的に移動勾配が考慮された、開動作時及び閉動作時のそれぞれに対応する負荷モデルであってもよい。実質的に移動勾配が考慮された負荷モデルとは、例えば、0(ゼロ)より大きい移動勾配が予め設定されたドア150に関する実験やコンピュータシミュレーションから導出される経験式や近似式で表される力学モデルである。
適用される負荷モデルのパラメータは、例えば、上述のパラメータの同定方法の第1例によって、鉄道車両の出荷時に同定済みのパラメータである。また、適用される負荷モデルのパラメータのうちの経年変化するパラメータは、上述のパラメータの同定方法の第2例によって再同定されていてもよい。
具体的には、移動勾配θによる推力は、ドア150の開動作時及び閉動作時のうちの一方では、正の推力として作用し、他方では負の推力として作用する。そのため、例えば、上述の式(1),(2)の負荷モデルに基づき、推力補償値fcpは、以下の式(17),(18)により表される。
Figure 2024040108000009
推力補償部1209は、ドア150の開動作及び閉動作の何れか一方を表す情報(以下、「開閉情報」)に基づき、ドア150の開動作時及び閉動作時の別による推力補償値fcpの切り換えを行う。
例えば、ドア150の開閉情報は、ドア150の実際の移動状況を表す情報である。具体的には、ドア150の開閉情報は、速度検出値vdetであってよい。この際、ドア150(具体的には、ドアパネル154)の開方向の速度を正、及び閉方向の速度を負として、推力補償値fcpは、以下の式(19)で表される。
Figure 2024040108000010
また、ドア150の開閉情報は、ドアパネル位置情報pdetから得られるドア150の移動方向に関する情報であってもよい。また、ドア150の開閉情報は、車両制御装置110から入力される指令COM1やドア制御指令COM2といったシーケンス情報であってもよいし、速度指令値vcomや推力指令値fcom等の制御情報でもよいし、電動機140の相順に関する情報であってもよい。
このように、本例では、ドア制御装置120は、ドア150の開動作時と閉動作時とで互いに異なる負荷モデルを用いて、ドア150の開閉動作を制御する。これにより、例えば、ドア150に0(ゼロ)より大きい移動勾配が予め設定されている場合に、ドア制御装置120は、開動作時と閉動作時とで互いに異なるドア150の負荷状態を適切に推定することができる。その結果、ドア制御装置120は、より適切にドア150の開閉動作を制御することができる。
[異常診断システム]
次に、図7を参照して、本実施形態に係る異常診断システム200について説明する。
異常診断システム200の一例を示す図である。
異常診断システム200は、車両制御装置210と、ドア制御装置220と、インバータ装置230と、電動機240と、ドア250と、電流センサ260と、エンコーダ270と、異常診断装置280とを含む。
異常診断システム200は、ドア250の開閉動作に関する異常診断を行う。
ドア250の開閉動作に関する異常には、例えば、ドア250の開閉動作に関する機械的な異常や電気的な異常が含まれる。また、ドア250の開閉動作に関する異常には、ドア250の開閉動作時に生じる、ドア250への乗降客や乗降客の所持品の挟み込みによる異常が含まれてもよい。また、異常診断には、例えば、異常の有無の診断や異常の程度(度合い)の診断が含まれる。
車両制御装置210は、上述のドア制御システム100の車両制御装置110と同様の構成を有してよい。同様に、ドア制御装置220は、上述のドア制御システム100のドア制御装置120と同様の構成を有してよい。同様に、インバータ装置230は、上述のドア制御システム100のインバータ装置130と同様の構成を有してよい。同様に、電動機240は、上述のドア制御システム100の電動機240と同様の構成を有してよい。同様に、ドア250並びにドア250に含まれる駆動機構252及びドアパネル254は、上述のドア制御システム100のドア250、並びに、駆動機構152及びドアパネル154と同様の構成を有してよい。同様に、電流センサ260及び電流センサ260に含まれる電流センサ262,264は、上述のドア制御システム100の電流センサ160及び電流センサ162,164と同様の構成を有してよい。同様に、エンコーダ270は、上述のドア制御システム100のエンコーダ170と同様の構成を有してよい。そのため、車両制御装置210、ドア制御装置220、インバータ装置230、電動機240、ドア250、電流センサ260、及びエンコーダ270の説明を省略する。
異常診断装置280は、電流センサ260(電流センサ262,264)及びエンコーダ270の測定信号に基づき、ドア250の開閉動作に関する異常診断を行う。
異常診断装置280は、車両制御装置210、ドア制御装置220、インバータ装置230、電動機240、ドア250、電流センサ260、及びエンコーダ270と同様に鉄道車両に搭載されてもよいし、鉄道車両の外部に設けられてもよい。後者の場合、異常診断装置280は、例えば、鉄道車両の運行を管理する管理センタ等に配置され、鉄道車両と通信可能に接続される。
異常診断装置280は、その機能が任意のハードウェア、或いは、ハードウェア及びソフトウェアの組み合わせ等により任意に実現されてよい。例えば、異常診断装置280は、CPU、メモリ装置、補助記憶装置、及びインタフェース装置等を含むコンピュータを中心に構成される。
異常診断装置280は、機能部として、特徴量取得部2801と、診断部2802と、通知部2803とを含む。これらの機能は、例えば、補助記憶装置にインストールされるプログラムをメモリ装置にロードしCPU上で実行することにより実現される。また、異常診断装置280は、記憶部2802Aを含む。記憶部2802Aの機能は、例えば、補助記憶装置等に設定される記憶領域により実現される。
特徴量取得部2801は、電流センサ260(電流センサ262,264)やエンコーダ270の測定信号等に基づき、ドア250の開閉動作に関する異常を表す特徴量を取得(算出)する。
記憶部2802Aには、診断部2802による異常診断処理で使用される各種データが格納される。
診断部2802は、特徴量取得部2801により取得される特徴量や記憶部2802Aの各種データに基づき、ドア250の開閉動作時において、ドア250の開閉動作に関する異常診断を行う。
ドア250の開閉動作に関する異常には、例えば、ドア250やドア250を駆動する電動機240等の機械的な異常やドア250を駆動するためのインバータ装置230及び電動機240等の電気的な異常が含まれる。また、ドア250の機械的な異常には、例えば、ドア250の開閉方向の水平面に対する傾斜状態に関する異常、即ち、ドア250の移動勾配が設計値から逸脱している異常が含まれる。
例えば、診断部2802は、ドア250の開閉動作時の負荷状態に関する力学モデル(負荷モデル)に基づき、ドア250の開閉動作に関する異常診断を行う。具体的には、診断部2802は、ドア250の開閉動作時において、負荷モデルから算出(推定)される推力と、実際のドア250に負荷されている推力との比較によって、ドア250の開閉動作に関する異常の有無やその程度を診断してよい。例えば、ドア250やドア250を駆動する電動機240等に異常が生じると、正常時を想定した負荷モデルから算出される推力の推定値と、推力の実際値との間に解離が生じるからである。実際のドア250に負荷されている推力は、電流センサ160(電流センサ162,164)の測定信号iudet,iwdetに基づき、特徴量取得部2801により算出される。
この際、診断部2802は、ドア250の開動作時と閉動作時とで互いに異なる負荷モデルを用いて、ドア250の開閉方向の水平面に対する傾斜状態に関する異常診断を行ってよい。これにより、特徴量取得部2801は、ドア250の移動勾配の予め設定される設計値が0(ゼロ)より大きい場合に、ドア250の開動作時及び閉動作時のそれぞれで、より正確な推力の推定値を算出することができる。そのため、診断部2802は、ドア250の開動作時及び閉動作時のそれぞれで、ドア250の開閉動作に関する異常診断をより精度良く行うことができる。
適用される負荷モデルは、例えば、上述のパラメータ同定システム1で移動勾配のパラメータsinθを含む各種パラメータが同定済みの負荷モデル(上述の式(1),(2)参照)である。また、適用される負荷モデルは、実質的に移動勾配が考慮された、開動作時及び閉動作時のそれぞれに対応する負荷モデルであってもよい。実質的に移動勾配が考慮された負荷モデルとは、例えば、0(ゼロ)より大きい移動勾配が予め設定されたドア250に関する開動作時及び閉動作時のそれぞれの実験やコンピュータシミュレーションから導出される経験式や近似式で表される力学モデルである。
また、診断部2802は、ドア250の開閉動作に関する物理量のデータに基づき、ドア250の開閉動作に関する異常診断を行ってもよい。ドア250の開閉動作に関する物理量に関するデータは、特徴量取得部2801により取得(算出)される。ドア250の開閉動作に関する物理量は、例えば、電動機240の電流、電圧、速度、電動機240からドア250に付加される推力等である。特徴量取得部2801は、電流センサ260の測定信号iudet,iwdetに基づき、電動機240の電流や電圧やドア250に付加される推力を算出することができる。また、特徴量取得部2801は、エンコーダ270の測定信号PSに基づき、電動機240の速度を算出することができる。
具体的には、診断部2802は、ドア250の開閉動作に関する物理量が正常時に想定される診断基準の条件から逸脱している場合に、ドア250の開閉動作に関する異常があると判定してよい。また、診断部2802は、ドア250の開閉動作に関する物理量の、正常時に想定される診断基準の条件からの逸脱度合いに応じて、ドア250の開閉動作に関する異常度合いを診断してもよい。診断基準の条件のデータは、記憶部2802Aに予め格納されている。例えば、診断部2802は、ドア250の開閉動作時において、電動機240の電流、電圧、或いは、電動機240からドア150に付加される推力が所定の閾値を超えている場合に、ドア250の開閉動作に関する異常があると判定する。また、診断部2802は、ドア250の開閉動作時において、電動機240の電流、電圧、或いは、電動機240からドア150に付加される推力が所定の閾値を超えた程度に応じて、ドア250の開閉動作に関する異常の度合いを診断してもよい。
この際、診断部2802は、ドア250の開動作時と閉動作時とで互いに異なる診断基準の条件を用いて、ドア250の開閉動作に関する異常診断を行ってよい。例えば、ドア250の移動勾配の予め設定される設計値が0(ゼロ)より大きい場合、ドア250の開動作時と閉動作時とで必要とされる推力にそもそも差異があり、異常に関する診断基準の条件も異なりうるからである。
例えば、開動作時及び閉動作時のそれぞれの診断基準の条件は、上述のパラメータ同定システム1により同定された、移動勾配のパラメータsinθに基づき設定されてよい。また、開動作時及び閉動作時のそれぞれの診断基準の条件は、実質的に移動勾配が考慮された診断基準の条件であってもよい。実質的に移動勾配が考慮された診断基準の条件とは、例えば、0(ゼロ)より大きい移動勾配が予め設定されたドア250に関する開動作時及び閉動作時のそれぞれの実験やコンピュータシミュレーションから導出される経験式や近似式に基づき設定される診断基準の条件である。
また、診断部2802は、ドア250の開閉動作に関する物理量について、ドア250の開動作時のデータと閉動作時のデータとの比較に基づき、ドア250の開閉方向の水平面に対する傾斜状態の異常に関する診断を行ってもよい。ドア250の移動勾配が初期不良や経年劣化等によって想定の正常値から解離して大きくなっている場合、同一の動作条件下におけるドア250の開動作時に必要な推力と閉動作時に必要な推力との差異が相対的に大きくなるからである。ドア250の開閉動作に関する物理量は、例えば、電動機240の電流、電圧、速度、電動機240からドア250に付加される推力等である。
通知部2803は、診断部2802の診断結果を車両制御装置210に通知する。具体的には、通知部2803は、所定の通信回線を通じて、車両制御装置210に送信する。これにより、車両制御装置210は、ドア250の開閉動作に関する異常を表示装置やインジケータを通じて、鉄道車両の乗務員や点検員に認識させることができる。
このように、本例では、異常診断装置280は、ドア250の開閉方向の水平面に対する傾斜状態を考慮して、ドア250の開閉動作に関する異常を診断することができる。
[ドアの開閉動作に関する異常診断の具体例]
次に、ドア250の開閉動作に関する異常診断の具体例について説明する。
以下の具体例では、異常診断装置280は、上述のパラメータの同定方法の第2例により再同定(図5参照)が行われることで得られるドア250の移動勾配θの測定値に基づき、ドア250の開閉動作に関する異常診断を行う。
<第1例>
まず、図8、図9を参照して、ドア250の開閉動作に関する異常診断方法の第1例について説明する。
≪概要≫
図8は、ドア250の開閉動作に関する異常診断方法の第1例を説明する図である。
本例では、診断部2802は、移動勾配θの測定値が所定の正常範囲を逸脱したか否かに基づき、ドア250の開閉方向の水平面に対する傾斜状態に関する異常(具体的には、ドアレールの変形に関する異常)の有無を診断する。移動勾配θの測定値は、例えば、特徴量取得部2801によって、上述の図5のステップS302、ステップS304、及びステップS306と同様の手順によって取得される。つまり、特徴量取得部2801は、ドア250の開動作時及び閉動作時のそれぞれの推力を測定し、負荷モデルにおける固定パラメータと、ドア250の開動作時及び閉動作時のそれぞれの推力の測定値とに基づき、移動勾配θの測定値を取得する。
以下、本例では、ドア250の移動勾配θが0(ゼロ)の状態が正常状態(設計状態)である前提で説明を行う。
図8に示すように、本例では、移動勾配θの測定値の絶対値(|θ|)の正常範囲の上限に相当する閾値θthが設定される。そして、診断部2802は、移動勾配θの測定値の絶対値が閾値θthに対して相対的に大きくなると、ドアレールの変形の異常ありと診断する。移動勾配θの測定値の絶対値が閾値θthに対して相対的に大きいとは、移動勾配θの測定値の絶対値が閾値θth以上であることであってもよいし、移動勾配θの測定値の絶対値が閾値θthより大きいことであってもよい。
例えば、診断タイミングt1,t2の間でドアレールに何等かの外的負荷(具体的には、衝撃が作用しドアレールに変化が生じ、診断タイミングt2において、移動勾配θ(測定値)の絶対値が閾値θthを超えてしまっている。そのため、診断部2802は、ドアレールの変形の異常ありの診断を行うことができる。
≪異常診断の手順≫
図9は、ドア250の開閉動作に関する異常診断の処理の第1例を示すフローチャートである。
本フローチャートは、例えば、ドア250の開閉動作に関する異常診断の実施のタイミングが到来すると自動的に実行される。ドア250の開閉動作に関する異常診断の実施のタイミングは、例えば、鉄道車両の運行開始前の運行前の点検のタイミングである。また、本フローチャートは、例えば、ドア250の開閉動作に関する異常診断の開始のための所定の操作がユーザから受け付けられた場合に実行されてもよい。以下、後述の図11のフローチャートについても同様であってよい。
図9に示すように、ステップS402にて、異常診断装置280は、鉄道車両が停車中であるか否かを判定する。鉄道車両が停車中である場合、ステップS404に進み、停車中でない場合、今回のフローチャートの処理を終了する。
ステップS404にて、異常診断装置280は、ドア250の開閉動作に関する異常診断を行うための所定の制御モード(点検モード)に設定されているか否かを判定する。異常診断装置280は、点検モードに設定されている場合、ステップS406に進み、点検モードに設定されていない場合、今回のフローチャートの処理を終了する。
ステップS406にて、特徴量取得部2801は、移動勾配θの測定処理を行い、移動勾配θの測定値を取得する。
ステップS406の処理が完了すると、異常診断装置280は、ステップ408に進む。
ステップS408にて、診断部2802は、移動勾配θ(測定値)の絶対値が閾値θthより大きいか否かを判定する。診断部2802は、移動勾配θ(測定値)の絶対値が閾値θthより大きい場合、ステップS410に進み、それ以外の場合、ステップS412に進む。
ステップS410にて、診断部2802は、ドアレールの変形に関する異常ありと診断し、ドアレールの変形に関する異常のステータス(レール変形異常ステータス)を異常であることを表す"セット"の状態にする。具体的には、診断部2802は、レール変形異常ステータスが正常であることを表す"クリア"の状態にある場合、レール変形異常ステータスを"クリア"から"セット"に変更し、レール変形異常ステータスが"セット"の状態にある場合、この状態を維持する。以下、後述の図11のステップS518についても同様である。これにより、通知部2803は、レール変形異常ステータスの状態("セット")を車両制御装置210に通知することができる。そして、車両制御装置210は、レール変形異常ステータスが"セット"の状態にあることを以て、ドアレールが異常状態であることをユーザに通知することができる。
一方、ステップS412にて、診断部2802は、ドアレールの変形に関する異常なしと診断し、ドアレールの変形に関する異常のステータス(レール変形異常ステータス)を"クリア"の状態にする。具体的には、診断部2802は、レール変形異常ステータスが"セット"の状態にある場合、レール変形異常ステータスを"セット"から"クリア"に変更し、レール変形異常ステータスが"クリア"の状態にある場合、この状態を維持する。以下、後述の図11のステップS522についても同様である。これにより、通知部2803は、レール変形異常ステータスの状態("クリア")を車両制御装置210に通知することができる。そして、車両制御装置210は、レール変形異常ステータスが"クリア"の状態にあることを以て、ドアレールが正常状態であること、或いは、メンテナンス等によりドアレールの異常状態を解消できたことをユーザに通知することができる。
ステップS410或いはステップS412の処理が完了すると、異常診断装置280は、今回のフローチャートの処理を終了する。
このように、本例では、異常診断装置280は、移動勾配θの測定値に基づき、移動勾配θの正常範囲の上限値に相当する閾値θthを用いて、ドアレールの変形に関する異常の有無を診断することができる。
<第2例>
続いて、図10、図11を参照して、ドア250の開閉動作に関する異常診断方法の第2例について説明する。
≪概要≫
図10は、ドア250の開閉動作に関する異常診断方法の第2例を説明する図である。
本例では、診断部2802は、移動勾配θの最新の測定値が、過去の測定値群からある程度乖離していると判断する場合に、ドアレールの変形に関する異常があると診断する。
例えば、図10に示すように、診断部2802は、MT法(Mahalanobis-Taguchi System)を適用し、移動勾配θの過去の測定値群に基づく単位空間をドアレールが正常な状態を表す判断基準として利用する。そして、診断部2802は、マハラノビス距離によって、移動勾配θの最新の測定値が過去の測定値群からどの程度離れているかを定量的に判断する。
具体的には、診断部2802は、移動勾配θの最新の測定値と単位空間との間のマハラノビス距離MDが所定の閾値MDthに対して相対的に大きい場合に、ドアレールの変形に関する異常があると診断する。マハラノビス距離MDが閾値MDthに対して相対的に大きい場合とは、マハラノビス距離MDが閾値MDth以上の場合であってもよいし、マハラノビス距離MDが閾値MDthより大きい場合であってもよい。
≪異常診断の手順≫
図11は、ドア250の開閉動作に関する異常診断の処理の第2例を示すフローチャートである。
図11に示すように、ステップS502,S504は、図9のステップS402,S404の処理と同じであるため、説明を省略する。
ステップS504にて、異常診断装置280は、点検モードに設定されている場合、ステップS506に進み、点検モードに設定されていない場合、今回のフローチャートの処理を終了する。
ステップS506にて、異常診断装置280は、直近の所定期間分の移動勾配θの測定値の履歴を補助記憶装置等の所定の記憶領域から読み出す。所定期間は、例えば、30日間である。
ステップS506の処理が完了すると、異常診断装置280は、ステップS508に進む。
ステップS508にて、異常診断装置280は、直近の所定期間分の移動勾配θの測定値の履歴があるか否かを判定する。例えば、移動勾配θの測定開始から所定期間が経過しておらず、所定期間分の移動勾配θの測定値の履歴が存在しない場合があるからである。異常診断装置280は、直近の所定期間分の移動勾配θの測定値の履歴が存在する場合、ステップS510に進み、存在しない場合、今回のフローチャートの処理を終了する。
ステップS510にて、特徴量取得部2801は、ステップS506で取得された、直近の所定期間分の移動勾配θの測定値の履歴に基づき、動的な単位空間を生成する。"動的"とは、本フローチャートの処理が実施されるたびに変化することを意味する。
ステップS510の処理が完了すると、異常診断装置280は、ステップS512に進む。
ステップS512にて、特徴量取得部2801は、移動勾配θの測定処理を行い、移動勾配θの測定値を取得する。
ステップS512の処理が完了すると、異常診断装置280は、ステップS514に進む。
ステップS514にて、特徴量取得部2801は、ステップS512で取得した移動勾配θの最新の測定値と、ステップS510で生成した単位空間とに基づき、マハラノビス距離MDを演算する。
ステップS514の処理が完了すると、異常診断装置280は、ステップS516に進む。
ステップS516にて、診断部2802は、ステップS516で演算されたマハラノビス距離MDが閾値MDthより大きいか否かを判定する。診断部2802は、マハラノビス距離MDが閾値MDthより大きい場合、ステップS518に進み、それ以外の場合、ステップS520に進む。
ステップS518にて、診断部2802は、ドアレールの変形に関する異常ありと診断し、ドアレールの変形に関する異常のステータス(レール変形異常ステータス)を"セット"の状態にする。これにより、通知部2803は、レール変形異常ステータスの状態("セット")を車両制御装置210に通知することができる。そして、車両制御装置210は、レール変形異常ステータスが"セット"の状態にあることを以て、ドアレールが異常状態であることをユーザに通知することができる。
一方、ステップS520にて、異常診断装置280は、ステップS512で取得された、移動勾配θの最新の測定値を補助記憶装置等の所定の記憶領域に保存する。
これにより、次回の本フローチャートの処理(具体的には、ステップS510)にて、異常診断装置280は、今回のフローチャートで取得された、移動勾配θの最新の測定値を含む過去の測定値の履歴を利用して動的な単位空間を生成することができる。
ステップS520の処理が完了すると、異常診断装置280は、ステップS522に進む。
ステップS522にて、診断部2802は、ドアレールの変形に関する異常なしと診断し、ドアレールの変形に関する異常のステータス(レール変形異常ステータス)を"クリア"の状態にする。これにより、通知部2803は、レール変形異常ステータスの状態("クリア")を車両制御装置210に通知することができる。そして、車両制御装置210は、レール変形異常ステータスが"クリア"の状態にあることを以て、ドアレールが正常状態であること、或いは、メンテナンス等によりドアレールの異常状態を解消できたことをユーザに通知することができる。
ステップS518或いはステップS522の処理が完了すると、異常診断装置280は、今回のフローチャートの処理を終了する。
このように、本例では、異常診断装置2890は、移動勾配θの最新の測定値と、移動勾配θの過去の測定値の履歴から生成される単位空間とのマハラノビス距離MDを用いて、ドアレールの変形に関する異常の有無を診断することができる。
[他の実施形態]
次に、他の実施形態について説明する。
上述の実施形態には、適宜、変形や変更が加えられてもよい。
例えば、上述の実施形態では、パラメータ同定システム1(情報処理装置70)の制御部705の機能は、情報処理装置70の外部に移管されてもよい。例えば、制御部705の機能は、ドア40が搭載された鉄道車両に内蔵されるドア40の制御装置に移管されてもよい。
また、上述の実施形態では、異常診断装置280の機能は、複数の異常診断装置(コンピュータ)により分散して実現されてもよいし、ドア制御装置220に統合されてもよい。
[作用]
次に、本実施形態に係るパラメータ同定方法、制御装置、及び診断装置の作用について説明する。
本実施形態では、パラメータ同定方法は、第1の取得ステップと、第2の取得ステップと、第1の同定ステップと、を含む。第1の取得ステップは、例えば、上述のステップS102である。第2の取得ステップは、例えば、上述のステップS104である。第1の同定ステップは、例えば、上述のステップS108である。具体的には、第1の取得ステップでは、情報処理装置が、鉄道車両のドアを開閉駆動する駆動装置が無負荷状態でドアの開動作及び閉動作のそれぞれに相当する動作を一定の速度により実施したときの推力のデータを取得する。情報処理装置は、例えば、上述の情報処理装置70である。ドアは、例えば、上述のドア40である。駆動装置は、例えば、上述の電動機30である。また、第2の取得ステップでは、情報処理装置が、駆動装置が有負荷状態でドアを駆動し、ドアの開動作及び閉動作のそれぞれを一定の速度で実施させたときの推力のデータを取得する。そして、第1の同定ステップでは、情報処理装置が、第1の取得ステップ及び第2の取得ステップで取得されるデータに基づき、ドアの開閉動作に関する力学モデルにおけるドアの移動方向(開閉方向)の水平面に対する傾斜角度のパラメータを同定する。ドアの移動方向の水平面に対する傾斜角度のパラメータは、例えば、上述のパラメータsinθである。
これにより、情報処理装置は、ドアの移動方向の水平面に対する傾斜角度が考慮された力学モデルを準備することができる。そのため、情報処理装置は、この力学モデルを用いることで、鉄道車両のドアの移動方向の水平面に対する傾斜角度を考慮してドアの開閉動作の制御やその開閉動作に関する異常の診断等を行うことができる。
また、本実施形態では、情報処理装置は、第2の同定ステップを含んでもよい。第2の同定ステップは、例えば、上述のステップS106である。具体的には、情報処理装置が、第1の取得ステップ及び第2の取得ステップで取得されるデータに基づき、力学モデルにおける摩擦力のパラメータを同定する。摩擦力のパラメータは、例えば、上述のパラメータμlである。
これにより、情報処理装置は、ドアの開閉動作に関する力学モデルにおける摩擦力のパラメータを同定することができる。
また、本実施形態では、パラメータ同定方法は、第3の取得ステップと、第4の取得ステップと、第3の同定ステップと、第4の同定ステップと、を含んでもよい。第3の取得ステップは、例えば、上述のステップS202である。第4の取得ステップは、例えば、上述のステップS206である。第3の同定ステップは、例えば、上述のステップS204である。第4の同定ステップは、例えば、上述のステップS208である。具体的には、第3の取得ステップでは、情報処理装置が、駆動装置が有負荷状態でドアを定速で駆動し、ドアの開動作を互いに異なる複数の速度で実施させたとき推力のデータを取得する。また、第4の取得ステップでは、情報処理装置が、駆動装置が有負荷状態でドアを定速で駆動し、ドアの閉動作を互いに異なる複数の速度で実施させたときの推力のデータを取得する。また、第3の同定ステップでは、情報処理装置が、第3の取得ステップで取得されるデータに基づき、ドアの開動作時の力学モデルにおけるドアの速度に依存する抵抗力のパラメータを同定する。そして、第4の同定ステップでは、情報処理装置が、第4の取得ステップで取得されるデータに基づき、ドアの閉動作時の力学モデルにおける速度に依存する抵抗力のパラメータを同定する。
これにより、情報処理装置は、ドアの開閉動作に関する力学モデルにおけるドアの速度に依存する抵抗力のパラメータを同定することができる。
また、パラメータ同定方法は、第5の取得ステップと、第5の同定ステップと、を含んでもよい。また、パラメータ同定方法は、更に、第6の同定ステップを含んでもよい。第5の取得ステップは、例えば、上述のステップS304である。第5の同定ステップは、例えば、上述のステップS306である。第6の同定ステップは、例えば、上述のステップS308である。具体的には、第5の取得ステップでは、情報処理装置が、実装済みのドアの使用開始後に、駆動装置が有負荷状態でドアを駆動し、ドアの開動作及び閉動作のそれぞれを実施させたときの推力のデータを取得する。そして、第5の同定ステップでは、情報処理装置が、第5の取得ステップで取得されるデータに基づき、力学モデルにおけるドアの移動方向の水平面に対する傾斜角度のパラメータの再同定を行う。また、第6の同定ステップでは、情報処理装置が、第5の取得ステップで取得されるデータに基づき、力学モデルにおける摩擦力のパラメータの再同定を行う。
これにより、情報処理装置は、実装済みのドアの使用開始後の経年変化に応じて、力学モデルにおけるドアの移動方向の水平面に対する傾斜角度のパラメータや摩擦力のパラメータを再同定することができる。
また、本実施形態では、制御装置は、鉄道車両のドアの開動作時と閉動作時とで互いに異なる力学モデルを用いて、ドアの開閉動作を制御する。制御装置は、例えば、上述のドア制御装置120である。ドアは、例えば、上述のドア150である。
これにより、ドアの開動作時に使用される力学モデル、及びドアの閉動作時に使用される力学モデルのそれぞれに対して、開動作時と閉動作時とでドアの動作に異なる作用をもたらす、ドアの移動方向に対する傾斜角度の影響を含めることができる。そのため、制御装置は、鉄道車両のドアの移動方向の水平面に対する傾斜角度を考慮してドアの開閉動作の制御を行うことができる。
また、本実施形態では、制御装置において、ドアの開動作時及び閉動作時のそれぞれの力学モデルは、ドアの移動方向の水平面に対する傾斜角度に基づき規定されていてもよい。
これにより、制御装置は、鉄道車両のドアの移動方向の水平面に対する傾斜角度を考慮してドアの開閉動作の制御を行うことができる。
また、本実施形態では、制御装置は、上述の力学モデルに基づき、ドアを駆動する駆動装置に対する推力の指令値を生成し、ドアの開閉動作を制御してもよい。推力の指令値は、例えば、上述の推力指令値fcomである。
これにより、制御装置は、上述の力学モデルを用いて推力の指令値を生成する形で、ドアの開閉動作を制御することができる。
また、本実施形態では、制御装置は、力学モデルに基づき、ドアを駆動する駆動装置によるドアの推力に加えて、ドアの移動方向の水平面に対する傾斜角度により生じるドアの推力を補償し、ドアの開閉動作を制御してもよい。
これにより、制御装置は、ドアの移動方向の水平面に対する傾斜角度の影響を考慮してドアの開閉動作の制御を行うことができる。
また、本実施形態では、制御装置は、ドアの速度の検出値、ドアの開指令及び閉指令の出力状況、ドアの動作シーケンスに関する制御指令、ドアの速度指令値、ドアの推力指令値、ドアの位置に関する情報、又は駆動装置の電流の相順に関する情報に基づき、ドアが開動作を行っているか閉動作を行っているかを判定してもよい。ドアの速度の検出値は、例えば、上述の速度検出値vdetである。ドアの開指令及び閉指令は、例えば、上述の指令COM1である。ドアの動作シーケンスに関する制御指令は、例えば、上述のドア制御指令COM2である。ドアの速度指令値は、例えば、上述の速度指令値vcomである。ドアの推力指令値は、例えば、上述の推力指令値fcomである。また、ドアの位置に関する情報は、例えば、上述のドアパネル位置情報pdetである。
これにより、制御装置は、ドアが開動作を行っているのか閉動作を行っているのかにあわせて、力学モデルを選択することができる。
また、本実施形態では、診断装置は、鉄道車両のドアの開動作時と閉動作時とで互いに異なる力学モデルを用いて、ドアの開閉動作に関する異常の診断を行う。診断装置は、例えば、上述の異常診断装置280である。ドアは、例えば、上述のドア250である。
これにより、診断装置は、ドアの開動作時に使用される力学モデル、及びドアの閉動作時に使用される力学モデルのそれぞれに対して、開動作時と閉動作時とでドアの動作に異なる作用をもたらす、ドアの移動方向に対する傾斜角度の影響を含めることができる。そのため、診断装置は、鉄道車両のドアの移動方向の水平面に対する傾斜角度を考慮してドアの開閉動作の異常に関する診断を行うことができる。
また、本実施形態では、診断装置において、ドアの開動作時及び閉動作時のそれぞれの力学モデルは、ドアの移動方向の水平面に対する傾斜角度に基づき規定されていてもよい。
これにより、診断装置は、鉄道車両のドアの移動方向の水平面に対する傾斜角度を考慮してドアの開閉動作の異常に関する診断を行うことができる。
また、本実施形態では、診断装置は、上述の力学モデルに基づき算出される、ドアの開閉動作時における駆動装置の推力の推定値と、実際の推力の検出値との比較に基づき、ドアの開閉動作に関する異常の診断を行ってもよい。
これにより、診断装置は、上述の力学モデルを用いて推力の推定値を算出し、それを実際の検出値と比較する形で、ドアの開閉動作に関する異常の診断を行うことができる。
診断装置は、ドアの開動作時及び閉動作時のそれぞれでの、ドアを駆動する駆動装置によるドアの推力の検出値と、力学モデルとに基づき、ドアの移動方向の水平面に対する傾斜角度を演算し、ドアの移動方向の水平面に対する傾斜角度の演算値に基づき、ドアの開閉動作に関する異常の診断を行ってもよい。
これにより、診断装置は、ドアの移動方向の水平面に対する傾斜角度の経年変化を考慮して、ドアの開閉動作に関する異常の診断を行うことができる。
診断装置は、ドアの移動方向の水平面に対する傾斜角度の演算値が所定の正常範囲から逸脱している場合、ドアの開閉動作に関する異常があると診断してもよい。
これにより、診断装置は、ドアの移動方向の水平面に対する傾斜角度の経年変化を考慮して、ドアの開閉動作に関する異常の診断を行うことができる。
診断装置は、ドアの移動方向の水平面に対する傾斜角度の過去の演算値の履歴に基づき、単位空間を生成し、単位空間とドアの移動方向の水平面に対する傾斜角度の最新の演算値とに基づき、マハラノビス距離を演算し、マハラノビス距離が所定基準に対して相対的に大きい場合に、ドアの開閉動作に関する異常があると診断してもよい。
これにより、診断装置は、ドアの移動方向の水平面に対する傾斜角度の経年変化を考慮して、ドアの開閉動作に関する異常の診断を行うことができる。
また、本実施形態では、診断装置は、第1の取得部と、第1の診断部と、を備えてもよい。第1の取得部は、例えば、上述の特徴量取得部2801である。第1の診断部は、例えば、上述の診断部2802である。具体的には、第1の取得部は、鉄道車両のドアの開閉動作に関する物理量のデータを取得する。ドアは、例えば、上述のドア250である。そして、第1の診断部は、第1の取得部により取得されるデータに基づき、ドアの開閉動作の異常に関する診断を行う。より具体的には、第1の診断部は、ドアの開動作時と閉動作時とで、互いに異なる診断基準に基づき、ドアの開閉動作の異常に関する診断を行う。
これにより、ドアの開動作時に使用される診断基準、及びドアの閉動作時に使用される診断基準のそれぞれに対して、開動作時と閉動作時とでドアの動作に異なる作用をもたらす、ドアの移動方向に対する傾斜角度の影響を含めることができる。そのため、診断装置は、鉄道車両のドアの移動方向の水平面に対する傾斜角度を考慮してドアの開閉動作の異常に関する診断を行うことができる。
また、本実施形態では、ドアの開動作時及び閉動作時のそれぞれの診断基準は、ドアの移動方向の水平面に対する傾斜角度に基づき規定されてもよい。
これにより、診断装置は、鉄道車両のドアの移動方向の水平面に対する傾斜角度を考慮してドアの開閉動作の異常に関する診断を行うことができる。
また、本実施形態では、診断装置は、第2の取得部と、第2の診断部とを備えてもよい。第2の取得部は、例えば、上述の特徴量取得部2801である。第2の診断部は、例えば、上述の診断部2802である。具体的には、第2の診断部は、鉄道車両のドアの開閉動作に関する物理量のデータを取得する。ドアは、例えば、上述のドア250である。そして、第2の診断部は、第2の取得部によりドアの開動作時に取得されるデータと、第2の取得部によりドアの閉動作時に取得されるデータとの比較に基づき、ドアの移動方向の水平面に対する傾斜状態に関する異常の診断を行う。
これにより、診断装置は、例えば、ドアの開動作時に取得される物理量のデータと、ドアの閉動作時に取得される物理量のデータとに差異が生じている場合に、ドアの移動方向に対する傾斜角度が相対的に大きい異常状態であると診断することができる。そのため、診断装置は、鉄道車両のドアの移動方向の水平面に対する傾斜角度を考慮してドアの開閉動作に関する異常の診断を行うことができる。
また、本実施形態では、上述の物理量は、ドアを駆動する駆動装置の推力であってもよい。
これにより、診断装置は、例えば、ドアの開動作時に取得される推力のデータと、ドアの閉動作時に取得される推力のデータとに差異が生じている場合に、ドアの移動方向に対する傾斜角度が相対的に大きい異常状態であると診断することができる。
以上、実施形態について詳述したが、本開示はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
1 パラメータ同定システム
10 直流電源
20 インバータ
30 電動機
40 ドア
42 駆動機構
44 ドアパネル
50 電流センサ
52 電流センサ
54 電流センサ
60 エンコーダ
70 情報処理装置
100 ドア制御システム
110 車両制御装置
120 ドア制御装置
130 インバータ装置
140 電動機
150 ドア
152 駆動機構
154 ドアパネル
160 電流センサ
162 電流センサ
164 電流センサ
170 エンコーダ
200 異常診断システム
210 車両制御装置
220 ドア制御装置
230 インバータ装置
240 電動機
250 ドア
252 駆動機構
254 ドアパネル
260 電流センサ
262 電流センサ
264 電流センサ
270 エンコーダ
280 異常診断装置
701 電流検出部
702 位置検出部
703 速度検出部
704 推力算出部
705 制御部
706 パラメータ同定部
1201 シーケンス制御部
1202 速度パターン発生部
1203 速度調節部
1204 推力調節部
1205 インバータ制御部
1206 電流・推力変換部
1207 速度検出部
1208 位置検出部
2801 特徴量取得部
2802 診断部
2802A 記憶部
2803 通知部
COM1 指令
COM2 ドア制御指令
cl パラメータ
op パラメータ
fcom 推力指令値
mcl パラメータ
mop パラメータ
pdet ドアパネル位置情報
S102 ステップ
S104 ステップ
S106 ステップ
S108 ステップ
S110 ステップ
S202 ステップ
S204 ステップ
S206 ステップ
S208 ステップ
sinθ パラメータ
vcom 速度指令値
vdet 速度検出値
θ 移動勾配
μl パラメータ

Claims (20)

  1. 情報処理装置が、ドアを開閉駆動する駆動装置が無負荷状態で前記ドアの開動作及び閉動作のそれぞれに相当する動作を一定の速度により実施したときの推力のデータを取得する第1の取得ステップと、
    前記情報処理装置が、前記駆動装置が有負荷状態で前記ドアを駆動し、前記ドアの開動作及び閉動作のそれぞれを前記一定の速度で実施させたときの推力のデータを取得する第2の取得ステップと、
    前記情報処理装置が、前記第1の取得ステップ及び前記第2の取得ステップで取得されるデータに基づき、前記ドアの開閉動作に関する力学モデルにおける前記ドアの移動方向の水平面に対する傾斜角度のパラメータを同定する第1の同定ステップと、を含む、
    パラメータ同定方法。
  2. 前記情報処理装置が、前記第1の取得ステップ及び前記第2の取得ステップで取得されるデータに基づき、前記力学モデルにおける摩擦力のパラメータを同定する第2の同定ステップを含む、
    請求項1に記載のパラメータ同定方法。
  3. 前記情報処理装置が、前記駆動装置が有負荷状態で前記ドアを定速で駆動し、前記ドアの開動作を互いに異なる複数の速度で実施させたとき推力のデータを取得する第3の取得ステップと、
    前記情報処理装置が、前記駆動装置が有負荷状態で前記ドアを定速で駆動し、前記ドアの閉動作を互いに異なる複数の速度で実施させたときの推力のデータを取得する第4の取得ステップと、
    前記情報処理装置が、前記第3の取得ステップで取得されるデータに基づき、前記ドアの開動作時の前記力学モデルにおける前記ドアの速度に依存する抵抗力のパラメータを同定する第3の同定ステップと、
    前記情報処理装置が、前記第4の取得ステップで取得されるデータに基づき、前記ドアの閉動作時の前記力学モデルにおける速度に依存する抵抗力のパラメータを同定する第4の同定ステップと、を含む、
    請求項1又は2に記載のパラメータ同定方法。
  4. 前記情報処理装置が、実装済みの前記ドアの使用開始後に、前記駆動装置が有負荷状態で前記ドアを駆動し、前記ドアの開動作及び閉動作のそれぞれを実施させたときの推力のデータを取得する第5の取得ステップと、
    前記情報処理装置が、前記第5の取得ステップで取得されるデータに基づき、前記力学モデルにおける前記ドアの移動方向の水平面に対する傾斜角度のパラメータの再同定を行う第5の同定ステップと、を含む、
    請求項1に記載のパラメータ同定方法。
  5. 前記情報処理装置が、前記ドアの使用開始後に、前記駆動装置が有負荷状態で前記ドアを駆動し、前記ドアの開動作及び閉動作のそれぞれを実施させたときの推力のデータを取得する第5の取得ステップと、
    前記情報処理装置が、前記第5の取得ステップで取得されるデータに基づき、前記力学モデルにおける前記ドアの移動方向の水平面に対する傾斜角度のパラメータの再同定を行う第5の同定ステップと、
    前記情報処理装置が、前記第5の取得ステップで取得されるデータに基づき、前記力学モデルにおける摩擦力のパラメータの再同定を行う第6の同定ステップと、を含む、
    請求項2に記載のパラメータ同定方法。
  6. 鉄道車両のドアの開動作時と閉動作時とで互いに異なる力学モデルを用いて、前記ドアの開閉動作を制御する、
    制御装置。
  7. 前記ドアの開動作時及び閉動作時のそれぞれの前記力学モデルは、前記ドアの移動方向の水平面に対する傾斜角度に基づき規定されている、
    請求項6に記載の制御装置。
  8. 前記力学モデルに基づき、前記ドアを駆動する駆動装置に対する推力の指令値を生成し、前記ドアの開閉動作を制御する、
    請求項6又は7に記載の制御装置。
  9. 前記力学モデルに基づき、前記ドアを駆動する駆動装置による前記ドアの推力に加えて、前記ドアの移動方向の水平面に対する傾斜角度により生じる前記ドアの推力を補償し、前記ドアの開閉動作を制御する、
    請求項6又は7に記載の制御装置。
  10. 前記ドアの速度の検出値、前記ドアの開指令及び閉指令の出力状況、前記ドアの動作シーケンスに関する制御指令、前記ドアの速度指令値、前記ドアの推力指令値、前記ドアの位置に関する情報、又は前記ドアを駆動する駆動装置の電流の相順に基づき、前記ドアが開動作を行っているか閉動作を行っているかを判定する、
    請求項6又は7に記載の制御装置。
  11. 鉄道車両のドアの開動作時と閉動作時とで互いに異なる力学モデルを用いて、前記ドアの開閉動作に関する異常の診断を行う、
    診断装置。
  12. 前記ドアの開動作時及び閉動作時のそれぞれの前記力学モデルは、前記ドアの移動方向の水平面に対する傾斜角度に基づき規定されている、
    請求項11に記載の診断装置。
  13. 前記力学モデルに基づき算出される、前記ドアの開閉動作時における駆動装置の推力の推定値と、実際の前記推力の検出値との比較に基づき、前記ドアの開閉動作に関する異常の診断を行う、
    請求項11又は12に記載の診断装置。
  14. 前記ドアの開動作時及び閉動作時のそれぞれでの、前記ドアを駆動する駆動装置による前記ドアの推力の検出値と、前記力学モデルとに基づき、前記ドアの移動方向の水平面に対する傾斜角度を演算し、前記ドアの移動方向の水平面に対する傾斜角度の演算値に基づき、前記ドアの開閉動作に関する異常の診断を行う、
    請求項12に記載の診断装置。
  15. 前記ドアの移動方向の水平面に対する傾斜角度の演算値が所定の正常範囲から逸脱している場合、前記ドアの開閉動作に関する異常があると診断する、
    請求項14に記載の診断装置。
  16. 前記ドアの移動方向の水平面に対する傾斜角度の過去の演算値の履歴に基づき、単位空間を生成し、前記単位空間と前記ドアの移動方向の水平面に対する傾斜角度の最新の演算値とに基づき、マハラノビス距離を演算し、前記マハラノビス距離が所定基準に対して相対的に大きい場合に、前記ドアの開閉動作に関する異常があると診断する、
    請求項14に記載の診断装置。
  17. 鉄道車両のドアの開閉動作に関する物理量のデータを取得する第1の取得部と、
    前記第1の取得部により取得されるデータに基づき、前記ドアの開閉動作に関する異常の診断を行う第1の診断部と、を備え、
    前記第1の診断部は、前記ドアの開動作時と閉動作時とで、互いに異なる診断基準に基づき、前記ドアの開閉動作に関する異常の診断を行う、
    診断装置。
  18. 前記ドアの開動作時及び閉動作時のそれぞれの前記診断基準は、前記ドアの移動方向の水平面に対する傾斜角度に基づき規定される、
    請求項17に記載の診断装置。
  19. 鉄道車両のドアの開閉動作に関する物理量のデータを取得する第2の取得部と、
    前記第2の取得部により前記ドアの開動作時に取得されるデータと、前記第2の取得部により前記ドアの閉動作時に取得されるデータとの比較に基づき、前記ドアの移動方向の水平面に対する傾斜状態に関する異常の診断を行う第2の診断部と、を備える、
    診断装置。
  20. 前記物理量は、前記ドアを駆動する駆動装置の推力である、
    請求項19に記載の診断装置。
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