JP2024039373A - 膜電極接合体及びそれを用いた電解セル - Google Patents

膜電極接合体及びそれを用いた電解セル Download PDF

Info

Publication number
JP2024039373A
JP2024039373A JP2022143882A JP2022143882A JP2024039373A JP 2024039373 A JP2024039373 A JP 2024039373A JP 2022143882 A JP2022143882 A JP 2022143882A JP 2022143882 A JP2022143882 A JP 2022143882A JP 2024039373 A JP2024039373 A JP 2024039373A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ion
membrane
exchange layer
electrode assembly
membrane electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022143882A
Other languages
English (en)
Inventor
若奈 正本
Wakana Masamoto
裕子 岸見
Yuko Kishimi
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Maxell Ltd
Original Assignee
Maxell Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Maxell Ltd filed Critical Maxell Ltd
Priority to JP2022143882A priority Critical patent/JP2024039373A/ja
Publication of JP2024039373A publication Critical patent/JP2024039373A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Electrodes For Compound Or Non-Metal Manufacture (AREA)
  • Electrolytic Production Of Non-Metals, Compounds, Apparatuses Therefor (AREA)
  • Fuel Cell (AREA)

Abstract

【課題】正極と負極との間の抵抗を低減させた膜電極接合体及びそれを用いた電力効率の高い電解セルを提供する。【解決手段】本願の膜電極接合体は、正極と、負極と、前記正極と前記負極との間に配置された隔膜とを備え、前記隔膜が、水に対する接触角が90°未満である表面を有するイオン透過性基材と、前記イオン透過性基材の前記表面に形成されたイオン交換層とを含み、前記イオン交換層が、前記正極と接触し、前記隔膜の総厚さが、10~50μmであり、前記イオン交換層の厚さが、3~20μmである。【選択図】図3

Description

本願は、膜抵抗が低い膜電極接合体及びそれを用いた電解セルに関する。
近年、石油や石炭といった化石燃料の使用により、大気中の二酸化炭素の濃度は急激に上昇している。このため、二酸化炭素の排出がない再生可能エネルギーへの期待が高まっている。再生可能エネルギーとしては、太陽電池や風力発電等が挙げられるが、これらは発電量が天候や自然条件に依存しているため、電力の安定供給が難しい。
このような状況において、再生可能エネルギーで発生させた電力を用いて二酸化炭素(CO2)を電気化学的に還元し、一酸化炭素(CO)、メタン(CH4)、エチレン(C24)等の炭素化合物に変換して貯蔵し、電力供給が逼迫した際に、その炭素化合物を発電用燃料として用いる技術が検討されている。
上記技術で用いる二酸化炭素の電解セルについては種々提案されており、例えば、イオン交換膜をカソード(正極)とアノード(負極)との間に配置させた構造の二酸化炭素電解セルが検討されている。しかし、この構成の電解セルにおいて、イオン交換膜として、デュポン社製の“ナフィオン”(登録商標)と呼ばれるポリパーフルオロカーボンスルホン酸系電解質膜(以下、ナフィオン膜ともいう。)を用いると、ナフィオン膜が電解液により膨潤し、ナフィオン膜の表面に凹凸が形成され、電極とナフィオン膜との間に空間が生じ、電極間の抵抗が増加するという問題があった。
特開2019-157252号公報 特開2020-045509号公報 特開2021-063267号公報 特開2021-063292号公報
本願が解決しようとする課題は、正極と負極との間の抵抗を低減させた膜電極接合体及びそれを用いた電力効率の高い電解セルを提供することにある。
本願の膜電極接合体は、正極と、負極と、前記正極と前記負極との間に配置された隔膜とを含み、前記隔膜が、水に対する接触角が90°未満である表面を有するイオン透過性基材と、前記イオン透過性基材の前記表面に形成されたイオン交換層とを含み、前記イオン交換層が、前記正極と接触し、前記隔膜の総厚さが、10~50μmであり、前記イオン交換層の厚さが、3~20μmであることを特徴とする。
また、本願の電解セルは、前記本願の膜電極接合体を含むことを特徴とする。
本願によれば、正極と負極との間の抵抗を低減させた膜電極接合体及びそれを用いた電力効率の高い電解セルを提供できる。
図1は、従来のナフィオン膜(高分子電解質膜)を隔膜として用いた電解セルの模式図である。 図2は、ナフィオン膜を隔膜として用いた電解セルの要部模式断面図である。 図3は、実施形態の電解セルの要部模式断面図である。 図4は、実施形態の電解セルの一例を示す模式断面図である。
(膜電極接合体)
本願の膜電極接合体の実施形態について説明する。本実施形態の膜電極接合体は、正極と、負極と、前記正極と前記負極との間に配置された隔膜とを含み、前記隔膜が、水に対する接触角が90°未満である表面を有するイオン透過性基材と、前記イオン透過性基材の前記表面に形成されたイオン交換層とを含み、前記イオン交換層が、前記正極と接触し、前記隔膜の総厚さが、10~50μmであり、前記イオン交換層の厚さが、3~20μmである。
本実施形態の膜電極接合体は、前記正極と前記負極との間に配置された隔膜が前記構成を有することにより、電極間の抵抗を低減させることができる。
本実施形態の膜電極接合体は、正極で酸素や二酸化炭素などの反応ガスを還元し、負極でメタノールや水などの反応液を酸化する燃料電池や電解セルなどに適用することができる。
以下、図面を用いて二酸化炭素を電解する電解セルの概要について説明する。その後、本実施形態の膜電極接合体において、電極間の抵抗を低減させることができる理由について、二酸化炭素の電解セルを具体例として説明する。
<電解セルの概要>
図1は、従来のナフィオン膜(高分子電解質膜)を隔膜として用いた電解セルの模式図である。図1において、従来の膜電極接合体10は、ナフィオン膜11と、ナフィオン膜11の一方の主面に配置された負極12と、ナフィオン膜11の他方の主面に配置された正極13とを備えている。負極12の外側は、電解質を含む水溶液(電解液)14に接している。また、正極13の外側は、二酸化炭素を含む反応ガス15に接している。
図1において、負極12と正極13との間に電流を供給すると、負極12では、2H2O→4H++O2+4e-の水(H2O)の酸化反応が起こり、プロトンH+及び電子e-が生じる。このプロトンH+がナフィオン膜11を介して正極13に移動する。一方、正極13では、負極12からのプロトンH+及び電子e-により、下記の二酸化炭素(CO2)の還元反応が起こり、一酸化炭素(CO)、メタン(CH4)、エチレン(C24)等の炭素化合物16が生じる。
2CO2+4H++4e-→2CO+2H2
CO+6H++6e-→CH4+H2
2CO+8H++8e-→C24+2H2
<電極間の抵抗を低減させることができる理由>
図1の状態でナフィオン膜11の厚さは、通常50μm以上であり、その電極間の抵抗値は1MΩ以上となり、負極12や正極13の抵抗値と比べてかなり高くなる。その理由は、先ず、ナフィオン膜11自体の膜厚が厚いため、隔膜自体の抵抗値が高くなるからである。また、図2に示すように、ナフィオン膜11は負極12からの電解液14により膨潤し、その表面に凹凸を形成し、負極12や正極13と、ナフィオン膜11との間に空間が生じ、電極間の抵抗値が更に増加するからである。
これに対し、本実施形態の膜電極接合体では、図3に示すように、負極12と正極13との間に配置された隔膜17が、水に対する接触角が90°未満である表面を有するイオン透過性基材17aと、イオン透過性基材17aの前記表面に形成されたイオン交換層17bとを備え、イオン交換層17bが正極13と接触している。イオン交換層17bの支持体となるイオン透過性基材17aの表面が水に対して一定以上の濡れ性を有することにより、イオン交換層17bを形成するための組成物(水を媒体とする組成物)で前記基材の表面が濡れやすくなるため、イオン透過性基材17aの表面に薄く均一なイオン交換層17bを形成することができる。具体的には、イオン交換層17bの厚さが3~20μmと薄くなるため、例えば、イオン交換層17bとしてナフィオン膜を使用しても、ナフィオン膜自体の抵抗値を小さくできる。また、イオン交換層17bが薄く形成されることにより、支持体となるイオン透過性基材17aの厚みが薄くてもイオン交換層17bを支持することができる。このため、イオン透過性基材17aを含めた隔膜17の総厚さも10~50μmと薄くすることができるので、隔膜17におけるイオンの移動パスの距離を短くし、電解液の透過性を高めることができる。さらに、イオン交換層17bが薄いため、たとえ膨潤しても体積変化が小さく、表面での凹凸形成が抑制されるので、イオン交換層17b(ナフィオン膜)と正極13との間に空間が生じにくくなる。なお、イオン透過性基材17aの抵抗値はナフィオン膜の抵抗値に比べてかなり小さいため問題とならない。
以上より、本実施形態の膜電極接合体では、電極間の抵抗を低減させることができると考えられる。
以下、本実施形態の膜電極接合体の各構成部材について説明する。
<イオン交換層>
イオン交換層としては、カチオン交換層を用いることができる。前記カチオン交換層は、ポリパーフルオロカーボンスルホン酸、ポリスチレン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン等のプロトン伝導性有機材料を含むことが好ましい。これらの有機材料は、架橋構造にすることや、部分フッ素化することにより材料安定性を高めることができるからである。特に、プロトン伝導性有機材料としては、湿潤状態で良好なプロトン伝導性を示すポリパーフルオロカーボンスルホン酸が好ましい。
イオン交換層としては、アニオン交換層を用いることもできる。アニオン交換層は、例えば、アニオン(OH-)の選択的透過性のあるハイドロタルサイト等で形成できる。また、アニオン交換層としては、ポリマーをマトリクスとし、かつそのマトリクス中に金属化合物の粒子を分散させた膜を用いることもできる。
<イオン透過性基材>
イオン透過性基材としては、水に対する接触角が90°未満である表面を有し、電解液の透過性が高く、前記イオン交換層を保持できるものであれば特に限定されない。イオン透過性基材は、例えば、電池用セパレータやメンブレンに用いられる多孔質絶縁材料を例示することができ、表面の水に対する接触角が90°未満である場合には、そのまま用いることができる。一方、表面の水に対する接触角が90°以上である場合、すなわち表面が疎水性である場合には、紫外線(UV)照射、電子線照射、プラズマ照射、オゾン酸化、コロナ放電、高圧放電、親水基のグラフト重合、発煙硫酸やクロルスルホン酸などによるスルホン化処理等の親水化処理を施し、水に対する接触角を90°未満とした状態で用いる。なお、表面の水に対する接触角が90°未満である多孔質絶縁材料の場合にも、親水化処理を施すことにより、より親水性を高めた状態でイオン交換層の支持体として用いてもよい。
イオン透過性基材の表面の水に対する接触角が小さくなるほどイオン透過性基材の親水性が高く、イオン交換層を形成するための組成物の濡れ性がよく、また電解液の透過性が大きいことを意味する。
前記イオン透過性基材の表面の水に対する接触角は、JIS R3257(1999)の「基板ガラス表面のぬれ性試験方法」の「6.静滴法」に準じ、接触角測定装置を用いて測定することができる。本願では、FIBRO System AB 社製の「携帯式接触角計PG-X+」を用い、平らにセットしたイオン透過性基材の上に装置の測定ヘッドを置き、基材の表面にイオン交換水を1μL滴下し、着滴から1秒経過後に接触角を測定した。
電池用セパレータに用いられる多孔質絶縁材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンからなる微多孔性フィルム等が挙げられる。また、メンブレンに用いられる多孔質絶縁材料としては、例えば、ポリエーテルスルホン、酢酸セルロース、ナイロン等が挙げられる。
多孔質絶縁材料の空隙率は、電解液の透過性を高めるために、40%以上であることが好ましく、その細孔径は40nm以上であることが好ましい。また、多孔質絶縁材料の空隙率は、イオン交換層の保持性を高めるために、90%以下であることが好ましく、その細孔径は200nm以下であることが好ましい。
<隔膜>
隔膜は、イオン透過性基材と、イオン透過性基材の表面に形成されたイオン交換層とを備えており、そのイオン交換層は正極と接触している必要がある。これにより、負極側の電解液などの反応液がイオン透過性基材を通してイオン交換層に達し、そのイオン交換層を介して正極とのイオン交換が容易となる。イオン交換層は、イオン透過性基材の正極側に配置される必要があるが、更に、イオン透過性基材の負極側に配置されていてもよい。ただし、イオン透過性基材の正極側にのみイオン交換層を配置する方が、電解液の透過性が高くなり隔膜の抵抗値を下げやすくなると考えられる。
また、イオン交換層は、イオン透過性基材の表面に配置されていればよく、イオン交換層の全体がイオン透過性基材の外面に配置されていてもよく、イオン交換層の一部又は全部がイオン透過性基材の表面から内部に含侵して配置されていてもよい。すなわち、イオン交換層の全体がイオン透過性基材の空孔内に配置され、イオン交換層の端部がイオン透過性基材の表面に露出しているのであってもよい。イオン交換層の一部又は全部がイオン透過性基材に含侵している場合、イオン交換層の厚さはその含侵部の厚さを含めたイオン交換層の全体の厚さを意味する。このため、イオン交換層の厚さは、イオン交換層を形成した隔膜の断面を電子顕微鏡観察することで求めることができる。
<正極及び負極>
本実施形態の膜電極接合体に用いる正極及び負極については、後述する電解セルの説明の中で詳細に説明する。
(電解セル)
次に、本願の膜電極接合体を用いた電解セルの実施形態を図面に基づき説明する。本願の膜電極接合体を燃料電池に適用する場合も、同様の構成とすることができる。図4は、本実施形態の二酸化炭素の電解セルの一例を示す模式断面図である。図4において、電解セル30は、膜電極接合体31を備え、膜電極接合体31は、正極21、負極22及び隔膜23から構成されている。
<正極>
正極21は、反応ガス(二酸化炭素)を還元して還元生成物(炭素化合物)を生成する還元電極として機能し、ガス拡散層21aと、触媒層21bとを備えている。ガス拡散層21aは、多孔性の電子伝導性材料等で構成することができ、例えば、撥水処理を施した多孔質炭素シート等を用いることができる。
触媒層21bは、触媒材料と、バインダとから形成できる。正極触媒層に用いる触媒材料としては、例えば、銅(Cu)、錫(Sn)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、パラジウム(Pd)、金(Au)、銀(Ag)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、白金(Pt)、セリウム(Ce)、イリジウム(Ir)、ビスマス(Bi)等の金属微粒子が使用できるが、二酸化炭素の電解セルの場合には、特にCu微粒子が好ましい。正極触媒材料にCu微粒子を用いると、二酸化炭素をメタン、エチレン等の炭化水素系の炭素化合物まで還元できるからである。
正極触媒材料に用いる金属微粒子の粒子径は、触媒活性を高めるために、1~500nmであることが好ましい。また、正極触媒材料は、後述する負極触媒材料と同様に、導電性材料の表面に担持して用いることもできる。
上記バインダとしては、ポリパーフルオロカーボンスルホン酸、ポリスチレン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン等のプロトン伝導性有機材料を用いることができるが、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアクリル酸、ポリイミド等を用いることもできる。
正極触媒層におけるバインダの含有量は、正極触媒材料100質量部に対して、2~100質量部とすればよい。
触媒層21bは、上記触媒材料と、上記バインダと、溶媒とを含む触媒塗料を作製し、この触媒塗料をガス拡散層21aに塗布した後、溶媒を乾燥除去することにより形成することができる。
<負極>
負極22は、反応液(水)を酸化して酸化生成物(酸素)を生成する酸化電極として機能し、ガス拡散層22aと、触媒層22bとを備えているが、負極22は、触媒層22bのみで構成されていてもよい。ガス拡散層22aは、多孔性の電子伝導性材料等で構成することができ、例えば、撥水処理を施した多孔質炭素シート等を用いることができる。
触媒層22bは、触媒材料と、導電性材料と、バインダとから形成できる。負極触媒層に用いる触媒材料としては、例えば、白金(Pt)、パラジウム(Pd)等の金属微粒子が使用できる。
上記導電性材料としては特に限定されないが、電子伝導性、電気化学的安定性等を考慮すると、カーボンブラック、活性炭、カーボンナノホーン、カーボンナノチューブ等の高表面積の炭素材料粉末が好ましい。
負極触媒材料に用いる金属微粒子の粒子径は、触媒活性を高めるために、1~50nmであることが好ましい。また、負極触媒材料は、上記導電性材料粉末の表面に担持されていることが好ましい。負極触媒材料の電子伝導性が向上するからである。負極触媒材料を担持した導電性材料における負極触媒材料の含有量は特に限定されないが、例えば、導電性材料100質量部に対して、10~500質量部とすることができる。
上記バインダとしては、正極触媒層で用いたバインダと同じものが使用できる。また、負極触媒層におけるバインダの含有量は、負極触媒材料100質量部に対して、2~100質量部とすればよい。
上記負極触媒層は、上記触媒材料が上記導電性材料に担持された担持体と、上記バインダと、溶媒とを含む触媒塗料を作製し、この触媒塗料を負極ガス拡散層に塗布するか、又は、負極ガス拡散層を設けない場合には、この触媒塗料を隔膜23に直接塗布するなどして、その後、溶媒を除去することにより形成することができる。
<隔膜>
隔膜23は、前述の本願の膜電極接合体で説明した隔膜を使用するため、その詳細な説明は省略するが、隔膜23は、イオン透過性基材23aとイオン交換層23bとから構成され、イオン交換層23bが正極21の触媒層21bと接合している。
<他の構成部材>
電解セル30は、正極21のガス拡散層21a及び負極22のガス拡散層22aの外側に、それぞれ集電板24、25を備えている。正極21側の集電板24には、反応ガス(二酸化炭素を含むガス)を取り込むための孔24aが設けられており、更にリード体24bが接続されている。また、集電板24の外側には、反応ガス流路26が設けられている。
また、負極22側の集電板25には、反応液となる電解液を取り込むための孔25aが設けられており、更にリード体25bが接続されている。また、集電板25の外側には、電解液容器27が設けられ、電解液28が充填されている。
上記電解液としては、電解質を含む水溶液が用いられ、電解質としては、例えば、水酸化物イオン(OH-)、水素イオン(H+)、カリウムイオン(K+)、ナトリウムイオン(Na+)、塩化物イオン(Cl-)、臭化物イオン(Br-)、ヨウ化物イオン(I-)、硝酸イオン(NO3 -)、硫酸イオン(SO4 2-)、リン酸イオン(PO4 2-)、炭酸水素イオン(HCO3 -)、炭酸イオン(CO3 2-)等が挙げられる。
集電板24、25としては、例えば、白金、金等の貴金属や、ステンレス鋼等の耐食性金属、又は炭素材料等で構成することができる。また、それらの材料に耐食性向上のために、表面にメッキや塗装が施されていてもよい。
膜電極接合体31は集電板24、25により挟まれ、シール材29で封止されることにより電解セル30が構成される。
以下、実施例により本願を説明するが、本願は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<正極の作製>
正極触媒材料として、粒径25nmの銅粉を準備し、その銅粉:1質量部に、バインダとして5質量%のナフィオン分散溶液:1.7質量部と、溶媒として2-プロパノール:3.4質量部とを加えて混合し、正極触媒塗料を作製した。また、正極ガス拡散層として厚さ220μmのカーボン不織布を準備した。次に、作製した正極触媒塗料をカーボン不織布の片面に塗布して乾燥し、触媒層とガス拡散層とが積層された正極を作製した。正極触媒層における銅粉の塗布量は1.6mg/cm2であった。
<負極の作製>
負極触媒材料として、白金担持カーボン(Pt/C)を準備し、その白金担持カーボン:1質量部に、バインダとして5質量%のナフィオン分散溶液:12質量部と、溶媒として水:1質量部とを加えて混合し、負極触媒塗料を作製した。次に、作製した負極触媒塗料をカプトンシート上に塗布して乾燥し、カプトンシート上に触媒層のみからなる負極を作製した。負極触媒層における白金の塗布量は0.9mg/cm2であった。
<隔膜の作製>
厚さ18μmのポリエチレン製の微多孔フィルム(表面の水に対する接触角:97.9°)をスルホン化処理して、表面の水に対する接触角が84.6°のイオン透過性基材を得た。次に、デュポン社製の“Nafion”(登録商標)溶液を微多孔フィルムの片面に塗布して乾燥し、カチオン交換層(プロトン伝導性層)をイオン透過性基材の片側表面に形成した隔膜を作製した。作製した隔膜の総厚さは、21μmであった。
<膜電極接合体の作製>
作製した隔膜のカチオン交換層側に、先に作製した正極の触媒層側を接合し、その隔膜のイオン透過性基材側に、カプトンシートから剥離した負極(負極触媒層)を接合し、実施例1の膜電極接合体を作製した。
(実施例2)
ポリエチレン製の微多孔フィルムに代えて、厚さ50μmのセルロース製メンブレン(表面の水に対する接触角:71.7°)をスルホン化処理することなくそのままイオン透過性基材として用い、負極触媒層における白金の塗布量を1.7mg/cm2に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例2の膜電極接合体を作製した。作製した隔膜の総厚さは、50μmであった。この場合、カチオン交換層は、全てメンブレンの表面から内部に含侵して配置されていると考えられる。
(比較例1)
隔膜として厚さ50μmのデュポン社製の“Nafion”(登録商標)膜を用い、正極触媒層における銅粉の塗布量を1.3mg/cm2、負極触媒層における白金の塗布量を1.5mg/cm2に変更した以外は、実施例1と同様にして比較例1の膜電極接合体を作製した。
(比較例2)
実施例1と同じポリエチレン製の微多孔フィルムをスルホン化処理することなくそのままイオン透過性基材として用いた以外は、実施例1と同様にして比較例2の膜電極接合体を作製した。
<電極間抵抗の測定>
作製した各膜電極接合体を図4に示す電解セルに組み込み、電極間抵抗を、直流抵抗テスターを用いて測定した。その結果を表1に示す。
表1から、実施例1~2の電極間抵抗は、隔膜にナフィオン膜のみを用いた比較例1の電極間抵抗に比べて、大幅に低下していることが分かる。これは、実施例1~2の隔膜では、カチオン交換層の厚さを20μm以下と薄くし、カチオン交換層を正極に接触させているため、カチオン交換層が電解液で膨潤しても、正極と隔膜との間に隙間が生じることがなく、電極間抵抗が低下したものと考えられる。一方、比較例1の隔膜では、厚さ50μmのナフィオン膜のみを隔膜として用いているため、隔膜が電解液で膨潤し、図2に示すように、正極と隔膜との間に隙間が生じ、電極間抵抗が上昇したものと考えられる。また、比較例2の隔膜では、イオン透過性基材の表面の撥水性が高すぎて均一なカチオン交換層が形成できず、正極と隔膜との間に隙間が生じたほか、電解液の透過性が低下したため、電極間抵抗が上昇したものと考えられる。
以上のように本願の膜電極接合体は、電極間抵抗を低く抑えることができるので、これを用いることにより、電力効率の高い電解セルを提供できる。
10 従来の膜電極接合体
11 ナフィオン膜
12 負極
13 正極
14 電解液
15 反応ガス
16 炭素化合物
17 隔膜
17a イオン透過性基材
17b イオン交換層
21 正極
21a ガス拡散層
21b 触媒層
22 負極
22a ガス拡散層
22b 触媒層
23 隔膜
23a イオン透過性基材
23b イオン交換層
24、25 集電板
24a、25a 孔
24b、25b リード体
26 反応ガス流路
27 電解液容器
28 電解液
29 シール材
30 電解セル
31 膜電極接合体

Claims (11)

  1. 正極と、負極と、前記正極と前記負極との間に配置された隔膜とを含む膜電極接合体であって、
    前記隔膜が、水に対する接触角が90°未満である表面を有するイオン透過性基材と、前記イオン透過性基材の前記表面に形成されたイオン交換層とを含み、
    前記イオン交換層が、前記正極と接触し、
    前記隔膜の総厚さが、10~50μmであり、
    前記イオン交換層の厚さが、3~20μmであることを特徴とする膜電極接合体。
  2. 前記イオン交換層が、カチオン交換層である請求項1に記載の膜電極接合体。
  3. 前記カチオン交換層が、プロトン伝導性有機材料を含む請求項2に記載の膜電極接合体。
  4. 前記プロトン伝導性有機材料が、ポリパーフルオロカーボンスルホン酸である請求項3に記載の膜電極接合体。
  5. 前記イオン透過性基材が、多孔質絶縁材料からなる請求項1に記載の膜電極接合体。
  6. 前記多孔質絶縁材料が、ポリオレフィンの微多孔性フィルムである請求項5に記載の膜電極接合体。
  7. 前記多孔質絶縁材料の空隙率が、40%以上である請求項5に記載の膜電極接合体。
  8. 前記多孔質絶縁材料の細孔径が、40nm以上である請求項5に記載の膜電極接合体。
  9. 前記イオン透過性基材は、親水化処理が施されている請求項1に記載の膜電極接合体。
  10. 請求項1~9のいずれかに記載の膜電極接合体を含むことを特徴とする電解セル。
  11. 前記膜電極接合体の正極が、Cu微粒子を含有する触媒層を備えた請求項10に記載の電解セル。
JP2022143882A 2022-09-09 2022-09-09 膜電極接合体及びそれを用いた電解セル Pending JP2024039373A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022143882A JP2024039373A (ja) 2022-09-09 2022-09-09 膜電極接合体及びそれを用いた電解セル

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022143882A JP2024039373A (ja) 2022-09-09 2022-09-09 膜電極接合体及びそれを用いた電解セル

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2024039373A true JP2024039373A (ja) 2024-03-22

Family

ID=90326196

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022143882A Pending JP2024039373A (ja) 2022-09-09 2022-09-09 膜電極接合体及びそれを用いた電解セル

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2024039373A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Vincent et al. Development of efficient membrane electrode assembly for low cost hydrogen production by anion exchange membrane electrolysis
JP5207407B2 (ja) 空気極
KR100786869B1 (ko) 연료 전지용 캐소드 촉매, 이를 포함하는 연료 전지용막-전극 어셈블리 및 연료 전지 시스템
US20200270756A1 (en) Electrode catalyst layer for carbon dioxide electrolysis cell, electrolysis cell and carbon dioxide electrolysis apparatus comprising the same
EP2991142B1 (en) Catalyst, electrode catalyst layer using said catalyst, membrane electrode assembly, and fuel cell
CN113493917B (zh) 二氧化碳电解池用电极催化剂层、及具备其的电解池和二氧化碳电解用电解装置
JP2005087989A (ja) 触媒材料及びその作製方法とそれを用いた燃料電池
JP7413304B2 (ja) 二酸化炭素電解装置
US20160079606A1 (en) Catalyst, and electrode catalyst layer, membrane electrode assembly and fuel cell using the catalyst
ES2968670T3 (es) Conjunto de electrodos de membrana y método de fabricación del mismo
JP2018154898A (ja) 電気化学反応装置
WO2022181261A1 (ja) 電極触媒及びその製造方法並びに燃料電池
JP2023042896A (ja) 二酸化炭素電解装置
JP2021093348A (ja) カソード触媒層、並びに、膜電極接合体及び燃料電池
US12012663B2 (en) Carbon dioxide electrolysis device
JP4945887B2 (ja) セルモジュール及び固体高分子電解質型燃料電池
JP2024039373A (ja) 膜電極接合体及びそれを用いた電解セル
JP6672622B2 (ja) 燃料電池用電極触媒層およびその製造方法、ならびに当該触媒層を用いる膜電極接合体、燃料電池および車両
EP4435149A2 (en) Carbon dioxide electrolytic device and method of electrolyzing carbon dioxide
EP4074418A1 (en) Electrode catalyst for fuel cell, electrode catalyst layer for fuel cell, membrane/electrode assembly, and fuel cell
JP2024131154A (ja) 二酸化炭素還元電解槽、並びに、当該二酸化炭素還元槽を用いる、一酸化炭素の製造方法及びエチレンの製造方法
JP2024131149A (ja) カソード、当該カソードを用いる二酸化炭素還元電解槽、並びに、当該二酸化炭素還元槽を用いる、一酸化炭素の製造方法及びエチレンの製造方法
JP2024047984A (ja) ガス拡散層及びその製造方法、ガス拡散電極、膜電極接合体並びにそれを用いた電解セル
JP2024131219A (ja) カソード、当該カソードを用いる二酸化炭素還元電解槽、並びに、当該二酸化炭素還元槽を用いる、一酸化炭素の製造方法及びエチレンの製造方法
JP2024137606A (ja) 二酸化炭素電解装置及び二酸化炭素電解方法