JP2024037149A - ラサギリン含有製剤の崩壊性の改善方法 - Google Patents

ラサギリン含有製剤の崩壊性の改善方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、薬効成分としてラサギリンまたはその塩を含有する製剤の崩壊性を改善する方法、崩壊性が改善されたラサギリン含有製剤、及び崩壊性が改善されたラサギリン含有製剤の製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】本発明に係る薬効成分としてラサギリンまたはその塩を含有する製剤の崩壊性を改善する方法は、ラサギリンまたはその塩に加えて、フマル酸ステアリルナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムから選択される1以上の滑沢剤を配合することを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、薬効成分としてラサギリンまたはその塩を含有する製剤の崩壊性を改善する方法、崩壊性が改善されたラサギリン含有製剤、及び崩壊性が改善されたラサギリン含有製剤の製造方法に関するものである。
ラサギリン(化学名:N-[(1R)-インダン-1-イル]プロピン-3-アミン)は、非可逆的かつ選択的なモノアミンオキシダーゼ(MAO)-B阻害作用を示し、線条体における細胞外ドパミン濃度を増加させることにより、ドパミン作動性運動機能障害を改善するパーキンソン病治療薬である(非特許文献1)。
ところが、高濃度の末梢性MAOが胃の中で認められ、末梢性MAOの阻害により高血圧発症のリスクが高まるため、特許文献1には、ラサギリン塩基、クエン酸および/またはリンゴ酸、並びに賦形剤を含む素錠をコーティングして、ラサギリンの放出を遅らせた剤形が開示されている。
特開2015-91813号公報
「アジレクト(登録商標)錠1mg アジレクト(登録商標)錠0.5mg」添付文書
上述したように、ラサギリンを含む製剤は開発されている。
しかし、パーキンソン病患者には、体の震え、動作の緩慢化、筋肉がこわばり手足が動かし難くなる、転倒し易くなるといった症状が見られるため、体内で製剤からラサギリンを速やかに放出させて作用させることも重要である。
そこで本発明は、薬効成分としてラサギリンまたはその塩を含有する製剤の崩壊性を改善する方法、崩壊性が改善されたラサギリン含有製剤、及び崩壊性が改善されたラサギリン含有製剤の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、ラサギリンまたはその塩に加えて特定の滑沢剤を配合することにより製剤の崩壊性が改善されることを見出して、本発明を完成した。
以下、本発明を示す。
[1] 薬効成分としてラサギリンまたはその塩を含有する製剤の崩壊性を改善する方法であって、
ラサギリンまたはその塩に加えて、フマル酸ステアリルナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムから選択される1以上の滑沢剤を配合することを特徴とする方法。
[2] 更にカルボン酸を配合する前記[1]に記載の方法。
[3] 前記カルボン酸が、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、コハク酸および酒石酸から選択される1以上のカルボン酸である前記[2]に記載の方法。
[4] 薬効成分であるラサギリンまたはその塩、並びにフマル酸ステアリルナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムから選択される1以上の滑沢剤を含有することを特徴とするラサギリン含有製剤。
[5] 0.5質量%以上、2質量%以下の前記滑沢剤を含有する前記[4]に記載のラサギリン含有製剤。
[6] 更にカルボン酸を含有する前記[4]に記載のラサギリン含有製剤。
[7] 0.5質量%以上、5質量%以下の前記カルボン酸を含有する前記[6]に記載のラサギリン含有製剤。
[8] 前記カルボン酸が、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、コハク酸および酒石酸から選択される1以上のカルボン酸である前記[6]に記載のラサギリン含有製剤。
[9] 前記ラサギリンまたはその塩を含む薬効成分顆粒、迅速崩壊性顆粒、及び前記滑沢剤を含有する前記[4]に記載のラサギリン含有製剤。
[10] 薬効成分としてラサギリンまたはその塩を含有する製剤を製造するための方法であって、
前記ラサギリンまたはその塩を含む粉末または造粒物に、フマル酸ステアリルナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムから選択される1以上の滑沢剤を添加して混合物を得る工程、及び、
前記混合物を圧縮成形する工程を含むことを特徴とする方法。
本発明に係るラサギリン含有製剤は、崩壊性に優れているため、経口投与後、体内で速やかに崩壊して薬効成分であるラサギリンまたはその塩を放出し、作用を示す。よって本発明に係るラサギリン含有製剤は、薬効成分としてラサギリンまたはその塩を含有する製剤の一つの形態として、産業上非常に優れている。
図1は、滑沢剤としてフマル酸ステアリルナトリウムを含む本発明に係る錠剤と、ステアリン酸を含む錠剤との崩壊時間を比較するグラフである。 図2は、滑沢剤としてフマル酸ステアリルナトリウムを含む本発明に係る錠剤と、ステアリン酸を含む錠剤からの、薬効成分であるラサギリンメシル酸塩の溶出挙動を比較するグラフである。 図3は、滑沢剤としてフマル酸ステアリルナトリウムを含む本発明に係る錠剤と、ステアリン酸を含む錠剤を70℃で9日間保存した後のラサギリン総類縁物質量を示すグラフである。 図4は、滑沢剤としてフマル酸ステアリルナトリウムを含む本発明に係る素錠とコーティング錠を70℃で9日間保存した後のラサギリン総類縁物質量を示すグラフである。
本発明に係る薬効成分としてラサギリンまたはその塩を含有する製剤の崩壊性を改善する方法、及び、本発明に係る薬効成分としてラサギリンまたはその塩を含有する製剤の製造方法は、ラサギリンまたはその塩に加えて、フマル酸ステアリルナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムから選択される1以上の滑沢剤を配合する工程を含む。
本発明に係る医薬組成物は、薬効成分としてラサギリンまたはその塩を含有する。ラサギリンの化学名はN-[(1R)-インダン-1-イル]プロピン-3-アミンであり、ラサギリンは以下の化学構造を有し、非可逆的かつ選択的なモノアミンオキシダーゼ(MAO)-B阻害作用を示し、線条体における細胞外ドパミン濃度を増加させることにより、ドパミン作動性運動機能障害を改善するパーキンソン病治療薬である。
Figure 2024037149000001
原薬としてのラサギリンまたはその塩は、フリー体であってもよいし、ラサギリン塩であってもよい。ラサギリン塩としては、医薬上許容される塩が好ましい。ラサギリンの医薬上許容される塩としては、例えば、メタンスルホン酸塩(メシル酸塩)、トルエンスルホン酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、グリコール酸塩、ステアリン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、パモ酸塩、マレイン酸塩、ヒドロキシマレイン酸塩、フェニル酢酸塩、グルタミン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、スルファニル酸塩、2-アセトキシ安息香酸塩、フマル酸塩、エタンジスルホン酸塩、シュウ酸塩、イセチオン酸塩などの有機酸塩;塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、スルファミン酸塩、リン酸塩、硝酸塩などの無機酸塩などが挙げられる。
原薬であるラサギリンまたはその塩の大きさは特に制限されないが、光や熱に対する安定性などを考慮して、適宜調整すればよい。例えば、体積基準の累積50%粒子径(D50)を0.5μm以上、200μm以下とすることができ、1μm以上、100μm以下が好ましい。また、体積基準の累積90%粒子径(D90)は、1μm以上、500μm以下とすることができ、2μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましく、また、400μm以下が好ましく、200μm以下がより好ましく、100μm以下がより更に好ましい。体積基準の累積10%粒子径(D10)は、0.1μm以上、100μm以下とすることができ、0.5μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましく、また、50μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましい。なお、本開示において体積基準の累積10%粒子径(D10)、累積50%粒子径(D50)、及び体積基準の累積90%粒子径(D90)は、レーザー回折式粒度分布測定装置により体積基準で測定するものとする。
原薬であるラサギリンまたはその塩の比表面積は特に制限されないが、光や熱に対する安定性などを考慮して、適宜調整すればよい。例えば、ブルナウアー・エメット・テラー(BET)比表面積(SSA)分析に供される場合に、本発明ラサギリンメシル酸塩の比表面積は、0.1m2/g以上、4.0m2/g以下が好ましい。0.5m2/g以上、3.0m2/g以下がより好ましく、1.0m2/g以上、2.0m2/g以下がより更に好ましい。
原薬であるラサギリンまたはその塩は、結晶でも非結晶(アモルファス体)でもよい。ラサギリンまたはその塩の結晶形態に限定はないが、例えば、粉末X線回折測定でのピークが、2θ=9.3°±0.2°、13.7°±0.2°、16.4°±0.2°、16.8°±0.2°および18.3°±0.2°の範囲に含まれる結晶形などが挙げられる 。
本発明に係る医薬組成物におけるラサギリンまたはその塩の量や割合は、ラサギリンまたはその塩がその作用効果を発揮可能な範囲で適宜調整すればよい。例えば、1錠など1製剤あたりのラサギリンの量としては、0.1mg以上、100mg以下とすることができ、0.2mg以上が好ましく、0.5mg以上がより好ましく、また、50mg以下が好ましく、20mg以下がより好ましく、10mg以下または5mg以下がより更に好ましい。また、1製剤あたりのラサギリンの割合は、0.05質量%以上、10質量%以下とすることができ、0.1質量%以上が好ましく、0.4質量%以上がより好ましく、また、5質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1質量%以下がより更に好ましい。例えば、1錠あたりのラサギリンの量を0.5±0.025mgまたは1±0.05mgとすることができる。
本発明に係るラサギリン含有製剤は、医薬製剤に配合される一般的な添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、流動化剤、界面活性剤、甘味料、香料などが挙げられる。
賦形剤は、製剤の成形性や服用し易さの向上のために薬効成分を希釈したり製剤を増量したりするために配合される添加剤である。賦形剤としては、例えば、マンニトール、乳糖、結晶セルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デキストリン、白糖などが挙げられる。賦形剤の量は適宜調整すればよいが、例えば、製剤全体に対して20質量%以上、90質量%以下とすることができ、30質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましく、50質量%以上がより更に好ましく、また、85質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましい。
崩壊剤は、水分を取り込んで錠剤の崩壊を促進させ、薬効成分が放出され易くするために配合される成分である。崩壊剤としては、特に制限されないが、例えば、デンプン、部分アルファー化デンプン、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース(カルボキシメチルセルロース)、カルボキシメチルセルロースカルシウム、軽質無水ケイ酸、クロスポビドン(架橋ポリビニルピロリドン)等が挙げられる。崩壊剤の量は、製剤が服用後に良好に崩壊して薬効成分を放出できる範囲で適宜調整すればよい。例えば、製剤全体に対して1質量%以上、30質量%以下とすることができ、5質量%以上、20質量%以下が好ましい。
結合剤は、各成分を結合し、顆粒や錠剤の強度を増すために加えられる成分である。結合剤としては、特に制限されないが、例えば、ヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、エチルセルロース等を用いることができる。製剤における結合剤の量や割合は、所望の製剤強度や顆粒強度などに応じて適宜調整すればよい。例えば、製剤全体に対して0.1質量%以上、10質量%以下とすることができる。当該割合としては、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、2質量%以上がより更に好ましく、また、5質量%以下が好ましい。
滑沢剤は、各成分の表面に付着してその流動性を高めたり、各成分の装置への付着を抑制したりするために加えられる成分である。滑沢剤としては、特に制限されないが、本発明では、少なくとも、フマル酸ステアリルナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムから選択される1以上の滑沢剤を使用する。本発明では、当該滑沢剤により、製剤の崩壊性を高めて改善し、有効成分であるラサギリンまたはその塩を有効に放出させる。本発明に係るラサギリン含有製剤は、滑沢剤としてフマル酸ステアリルナトリウムおよび/またはステアリン酸マグネシウムを含有すれば、他の滑沢剤を含んでいてもよい。フマル酸ステアリルナトリウムおよび/またはステアリン酸マグネシウム以外の滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、タルク、水素添加植物油、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等を挙げることができる。滑沢剤の量や割合は、例えば各成分の混合や打錠が良好に行える範囲で適宜調整すればよい。例えば、製剤全体に対して0.05質量%以上、5質量%以下とすることができる。当該割合としては、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、また、4質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましい。特に、製剤全体に対するフマル酸ステアリルナトリウムおよび/またはステアリン酸マグネシウムの含有量としては、製剤の崩壊性改善作用が得られれば特に制限されないが、例えば、0.5質量%以上、2質量%以下が好ましい。
流動化剤は、各成分の流動性を高めて各成分の均一な混合を促進する成分であり、軽質無水ケイ酸などが挙げられる。流動化剤の量や割合は、例えば各成分の混合や打錠が良好に行える範囲で適宜調整すればよく、例えば製剤全体に対して0.05質量%以上、5質量%以下とすることができる。当該割合としては、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、また、4質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましい。
界面活性剤は、製剤化において、乳化、濡れ性の向上、分散性の向上、可溶化などのために添加する成分であり、例えば、重量平均分子量300~6000のポリエチレングリコールなどのマクロゴール類;プルロニック(登録商標)、ポロクサマーなどのポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール;ポリソルベート80などのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(ポリソルベート類);ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などのポリオキシエチレン硬化油;モノステアリン酸グリセリンなどのグリセリン脂肪酸エステル;モノステアリン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタンなどのソルビタン脂肪酸エステル;ショ糖ラウリン酸エステルなどのショ糖脂肪酸エステル;ラウリル硫酸ナトリウムなどの脂肪酸金属塩などが挙げられる。
甘味料や香料は、各成分、特に薬効成分であるラサギリンまたはその塩の作用効果が阻害されない範囲で、それぞれの作用効果が発揮される範囲で微量配合すればよい。
本発明に係るラサギリン含有製剤は、更にカルボン酸を含むことが好ましい。本発明に係るラサギリン含有製剤は、崩壊性の改善のためにフマル酸ステアリルナトリウムおよび/またはステアリン酸マグネシウムを含むが、これら滑沢剤のために有効成分であるラサギリンまたはその塩が分解するなど、安定性が低下するおそれがあり得る。そこで、フマル酸ステアリルナトリウムおよび/またはステアリン酸マグネシウムに加えてカルボン酸を製剤に配合することにより、ラサギリンまたはその塩の安定性をより一層高めることが可能になる。
前記カルボン酸としては、カルボキシ基を有する有機酸であれば特に制限されないが、例えば、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、フマル酸、コハク酸などを挙げることができ、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸などのヒドロキシ酸が好ましく、リンゴ酸および/またはクエン酸がより好ましく、リンゴ酸がより更に好ましい。
各添加剤は、ラサギリンまたはその塩と反応して不純物を生じさせ得る有機溶媒、過剰な水分および窒素酸化物などの反応性不純物を添加剤から除去する目的で、ラサギリンまたはその塩と混合する前に、加温処理してもよい。加温処理としては、前記目的を達成できる方法を適宜選択できるが、例えば、使用する添加剤を流動層乾燥機で60℃以上、80℃以下で40分間以上、80分間以下加温することができる。
本発明に係るラサギリン含有製剤の1製剤単位、例えば1錠を20mLの水に分散させたときのpHは、安定性や溶出性の観点から適宜調整できるが、例えば2以上、6以下の範囲が好ましい。
製剤全体に対するカルボン酸の含有量としては、ラサギリンまたはその塩の安定性改善作用が得られれば特に制限されないが、例えば、0.5質量%以上、5質量%以下が好ましい。
本発明に係るラサギリン含有製剤の剤形は特に制限されないが、例えば錠剤が挙げられる。錠剤としては、薬効成分であるラサギリンまたはその塩と、滑沢剤などの他の成分を混合して打錠することにより製造される一般的な錠剤の他、薬効成分顆粒、迅速崩壊性顆粒、及び滑沢剤を含有する圧縮成形体である口腔内崩壊錠が挙げられる。
本発明に係る口腔内崩壊錠に含まれる薬効成分顆粒は、薬効成分であるラサギリンまたはその塩の他、賦形剤、崩壊剤、結合剤、界面活性剤などを含んでもよい。薬効成分顆粒の大きさは、適宜調整すればよい。例えば体積基準の累積50%粒子径(D50)を30μm以上、300μm以下とすることができ、50μm以上、200μm以下が好ましい。なお、ラサギリンまたはその塩の安定性をより一層高めるためのカルボン酸は、薬効成分顆粒に配合することが好ましい。
本発明に係る口腔内崩壊錠に含まれる迅速崩壊性顆粒は、口腔内で水分を吸収して本発明に係る口腔内崩壊錠の崩壊を迅速に促進し、薬効成分であるラサギリンまたはその塩の放出を速めるための顆粒である。迅速崩壊性顆粒は、少なくとも賦形剤と崩壊剤を含む。
本発明に係る口腔内崩壊錠は、滑沢剤としてフマル酸ステアリルナトリウムおよび/またはステアリン酸マグネシウムを含み、その他、賦形剤、流動化剤、甘味料、香料などを含んでもよい。
本発明に係るラサギリン含有製剤の水分量は特に制限されないが、例えば、3質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましい。当該水分含量の下限は特に制限されず、0質量%でもよいが、当該水分含量は例えば0.2質量%以上とすることができる。当該水分含量は、例えばカールフィッシャー法により測定することができる。
本発明に係るラサギリン含有製剤が、口腔内崩壊錠などの錠剤である場合、その硬度は特に制限されないが、例えば、当該硬度としては25N以上、200N以下が好ましく、30N以上、150N以下がより好ましい。当該硬度は、例えば、打錠圧により調整することができる。打錠圧は、例えば、5kN以上、12kN以下の範囲に調整することができる。
本発明に係るラサギリン含有製剤が口腔内崩壊錠である場合、その崩壊時間は特に制限されないが、例えば、90秒以下であることが好ましく、60秒以下であることがより好ましい。
本錠剤の形状は特に制限されず、円形、楕円形、球形、棒状型、ドーナツ型など、適宜選択することができる。本錠剤が円形錠の場合、直径は、特に限定されないが、例えば4mm以上、12mm以下であり、好ましくは6mm以上10mm以下である。また、本錠剤の厚さは、特に限定されないが、例えば3mm以上、12mm以下であり、好まくは4mm以上、10mm以下である。本錠剤が楕円形錠の場合、そのサイズは特に限定されないが、例えば、長径は10mm以上、15mm以下、短径は4mm以上、8mm以下、厚さは3mm以上、10mm以下である。
本錠剤は、必要に応じて、更にコーティングされていてもよく、公知のコーティング方法を用いることができる。例えば、パンコーティング法、流動層コーティング法などを用いることができる。コーティング剤は、コーティングの用途に応じて、薬学的に許容されるものから適宜選択することができる。コーティング剤としては、例えば、ヒプロメロース、エチルセルロース、タルク、酸化チタン、珪酸、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールジエチルアミノアセテート、ポリビニルアルコールアセテートフタレート、セルロースアセテートフタレート、ヒプロメロースフタレート、メタクリル酸共重合体、メタクリル酸メチルとメタクリル酸ブチルまたはメタクリル酸ジメチルアミノエチルの共重合体などが挙げられる。コーティング剤は、一種でもよいし、二種以上を組み合わせてもよい。また、本錠剤は、必要に応じて、PTP(Press Through Pack)包装、ビン充填、アルミ包装などにより包装されていてもよい。
遮光による光安定性を目的としたコーティングの場合、更に遮光剤をコーティング中に含ませてもよい。遮光剤としては、例えば、酸化チタン、タルク、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、黒酸化鉄などが挙げられる。遮光剤の添加量は適宜調節できるが、例えば、ラサギリンまたはその塩の含有量を100重量%とした場合、2重量%以上、80重量%以下の割合で遮光剤を配合することが好ましく、コーティング錠全体を100重量%とした場合、1重量%以上、30重量%以下の割合で遮光剤を配合することが好ましく、錠剤全体を100重量%とした場合、0.01重量%以上、1重量%以下の割合で遮光剤を配合することが好ましい。
PTP包装の素材としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリスチレン又はポリカーボネート等の樹脂や、アルミニウム等の金属が挙げられる。これらの素材は、一種類で用いても、複数種類を組み合わせて用いてもよい。組み合わせの例としては、例えば、ポリ塩化ビニルとポリ塩化ビニリデンとを積層することや、ポリ塩化ビニルとポリクロロトリフルオロエチレンとを積層すること等が挙げられる。上記の樹脂を公知の方法でポケット状に成形した樹脂シートに錠剤を入れ、アルミニウム箔を用いて蓋をすることで、包装することができる。
光安定性の向上のために、特定の波長の光を吸収し光の内部透過を遮断できる素材を用いたPTP包装を使用してもよい。遮断する波長は適宜選択できるが、素材の光線透過率の90%吸収波長としては、例えば、390nm、480nm、550nm、560nm、600nmが挙げられる。また、素材の色としては、例えば、クリア(透明色)、パーシモン、オレンジ、レッド、イエローが挙げられ、特に紫外線を遮断できる色のうちイエローが好ましい。
本錠剤が収容されたPTP包装は、更にアルミピローや特定の波長の光を遮断できる素材を用いた包装袋によって包装されていてもよく、更に乾燥剤、脱酸素剤が収容されていてもよい。乾燥剤としては、例えば、塩化カルシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、シリカゲル又はゼオライト等が挙げられる。いずれの乾燥剤を使用するかは製剤の安定性に応じて適宜選択できるが、包装した製剤中の水分量をより低く抑える目的でゼオライトが好適に使用される。脱酸素剤の例としては、鉄粉など鉄系の脱酸素剤;アスコルビン酸、イソアスコルビン酸、ヒドロキノン、カテコールなど有機系の脱酸素剤が挙げられる。乾燥剤および/または脱酸素剤は、1種類のみを用いてもよいし、複数種類を組合せて用いてもよい。また、乾燥剤と脱酸素剤を組合せて用いてもよい。乾燥剤および脱酸素剤を組合せた製品の例としては、三菱瓦斯化学社製のファーマキープ(登録商標)が挙げられる。
本発明に係るラサギリン含有製剤は、その剤形に応じて一般的な方法により製造することができる。例えばラサギリンまたはその塩に少なくともフマル酸ステアリルナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムから選択される1以上の滑沢剤を添加して混合物を得、当該混合物を圧縮成形などにより打錠すればよい。ラサギリンまたはその塩は、必要に応じてその他の成分と混合してもよいし、更に造粒してもよい。造粒とは、粉末原料を、結合剤などを用いて原料より大きな粒状に加工する操作をいう。また、前記混合物には、必要に応じて、ラサギリンまたはその塩および前記滑沢剤以外の成分を添加してもよい。
口腔内崩壊錠などの錠剤の場合、錠剤の大きさは適宜調整すればよい。例えば錠剤の形状は経口で服用し易い円盤形やレンズ形などとし、その直径を4mm以上、10mm以下、厚さを2mm以上、5mm以下、1錠あたりの重さを50mg以上、300mg以下程度とすることができる。
本発明に係るラサギリン含有製剤の投与量は、患者の症状、重篤度、年齢などに応じて適宜調整すればよいが、例えば、ラサギリンの投与量に換算して、1日あたり0.1mg以上、10mg以下を1回以上、2回以下投与すればよい。
本発明に係るラサギリン含有製剤は、薬効成分であるラサギリンまたはその塩に加えて、滑沢剤としてフマル酸ステアリルナトリウムおよび/またはステアリン酸マグネシウムを含むことにより、崩壊性に優れ、投与後においてラサギリンまたはその塩を迅速に放出することが可能である。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実施例1
ラサギリンメシル酸塩をジェットミルで粉砕した。粉砕後のラサギリンメシル酸塩粉末のD10は2.78μm、D50は4.73μm、D90は8.20μmであった。表1に示す組成で、ラサギリンメシル酸塩粉末、D-マンニトール(「Parteck M100」Merck社製)、軽質無水ケイ酸(「アドソリダー-101」富士シリシア化学社製)、トウモロコシデンプン(「コーンスターチ(W)」日本食品化工社製)、及び部分アルファー化デンプン(「PCS[PC-10]」旭化成社製)を袋に入れて混合した。更に、タルク(「タルカンハヤシ」林化成社製)とフマル酸ステアリルナトリウム(日生化学社製)を添加し、混合することにより打錠末を得た。得られた打錠末を、ロータリー式打錠機を使って打錠することにより、ラサギリンメシル酸塩錠を得た。
実施例2
表1に示す組成で、粉砕したラサギリンメシル酸塩粉末などに加えて無水クエン酸(「くえん酸」富士フイルム和光純薬社製)を添加した以外は実施例1と同様にして、ラサギリンメシル酸塩錠を得た。
実施例3
表1に示す組成で、無水クエン酸の代わりにDL-リンゴ酸(「リンゴ酸フソウM」扶桑化学工業社製)を添加した以外は実施例2と同様にして、ラサギリンメシル酸塩錠を得た。
比較例1
表1に示す組成で、フマル酸ステアリルナトリウムの代わりにステアリン酸(「Kolliwax S Fine」BASFジャパン社製)を添加した以外は実施例1と同様にして、ラサギリンメシル酸塩錠を得た。
比較例2
表1に示す組成で、フマル酸ステアリルナトリウムの代わりにステアリン酸(「Kolliwax S Fine」BASFジャパン社製)を添加した以外は実施例2と同様にして、ラサギリンメシル酸塩錠を得た。
比較例3
表1に示す組成で、フマル酸ステアリルナトリウムの代わりにステアリン酸(「Kolliwax S Fine」BASFジャパン社製)を添加した以外は実施例3と同様にして、ラサギリンメシル酸塩錠を得た。
Figure 2024037149000002
試験例1: 錠剤の崩壊性試験
日本薬局方に準拠して、実施例1~3および比較例1~3のラサギリンメシル酸塩錠の崩壊性を試験した。
具体的には、各錠剤をポリエチレン製の瓶に入れ、70℃で9日間保管した。崩壊試験機のガラス容器に37±2℃の水を入れ、底部が網状のバスケットに、製造直後(Initial)、又は70℃で9日間保管した後の各錠剤を入れ、容器を水中で上下運動させ、錠剤が崩れきるまでの時間を測定した。結果を図1に示す。
図1に示される結果の通り、滑沢剤としてステアリン酸を含む錠剤(比較例1~3)は崩壊に時間がかかり、有効成分であるラサギリンメシル酸塩の溶出が阻害されるおそれがある。
それに対して、滑沢剤としてステアリン酸の代わりにフマル酸ステアリルナトリウムを含む錠剤(実施例1~3)の崩壊性は優れていることが明らかとなった。
試験例2: 錠剤の薬剤溶出性試験
実施例2,3または比較例1~3の錠剤をポリエチレン製の瓶に入れ、70℃で9日間保管した。37±0.5℃に加温した水(900mL)中に各錠剤を1個ずつ入れ、パドルを50rpmで回転させ、5,10,15,30,及び45分後に10mLを採取し、孔径0.45μmのメンブランフィルターで濾過した。初めの濾液5mLを除き、次の濾液を試料溶液とした。
別途、ラサギリンメシル酸塩約34mgを精密に量り、メタノールを加えて総量を200mLに正確に調整した。この液2mLを正確に量り、水を加えて総量を200mLに正確に調整し標準溶液とした。
試料溶液と標準溶液100μLずつを、以下の条件の液体クロマトグラフィーで分析し、ラサギリンを定量した。なお、移動相に用いたリン酸緩衝液は、無水リン酸二水素ナトリウム(3g)を水(1000mL)に溶解し、リン酸を加えてpHを2.5に調整したものである。結果を図2に示す。
分析装置: 「高速液体クロマトグラフ」島津製作所社製,Waters社製
検出器: 「紫外吸光光度計」島津製作所社製,Waters社製
カラム: L-column3 C18,4.6mm×100mm,3μm
検出波長: 210nm
流速: 1.0mL/min
サンプルクーラー温度: 25℃
カラム温度: 40℃付近の一定温度
移動相: リン酸緩衝液(pH2.5)/アセトニトリル=85/15混液
図2に示される結果の通り、滑沢剤としてステアリン酸を含み、且つ無水クエン酸およびDL-リンゴ酸を含まない錠剤(比較例1)、無水クエン酸を含む錠剤(比較例2)、及びDL-リンゴ酸を含む錠剤(比較例3)の薬剤溶出性は比較的劣っていた。
それに対して、滑沢剤としてステアリン酸の代わりにフマル酸ステアリルナトリウムを含む錠剤(実施例2,3)の薬剤溶出性は非常に優れており、実験開始から5分後の時点でほぼ全てのラサギリンメシル酸塩を溶出することができた。
試験例3: 純度試験
実施例1~3または比較例1~3の錠剤をポリエチレン製の瓶に入れ、70℃で9日間保管した。製造直後(Initial)、又は70℃で9日間保管した後の各錠剤5個を移動相A(10mL)に加えて2~3分静置した後、手で軽く振り混ぜて錠剤を崩壊させた。錠剤の崩壊を確認した後、メタノール(10mL)を加えて10分間振とうし、続いて超音波処理した。次いで、25℃、3000rpmで10分間遠心分離し、上澄み液を孔径0.45μmのメンブランフィルターで濾過した。初めの濾液5mLを除き、次の濾液を試料溶液とした。
試料溶液(15μL)を、以下の条件の液体クロマトグラフィーにより分析した。試料溶液を注入してから55分後の各ピーク面積を自動積分法により測定し、面積百分率法によりラサギリン類縁体の合計量を求めた。但し、ラサギリンに対する相対保持時間約0.5および相対保持時間約2.0のピーク面積は、自動積分法で求めた面積にそれぞれ感度係数0.5および0.3を乗じた値とした。
分析装置: 「高速液体クロマトグラフ」島津製作所社製,Waters社製
検出器: 「紫外吸光光度計」島津製作所社製,Waters社製
カラム: Inertsil ODS-3 4.6mm×150mm,3μm
検出波長: 210nm
流速: 0.8mL/min
サンプルクーラー温度: 25℃
カラム温度: 30℃付近の一定温度
移動相A: リン酸二水素カリウム(1.36g)を水(1000mL)に溶解し、リン酸を加えてpH3.0に調整した液
移動相B: アセトニトリル
移動相は、移動相Aと移動相Bの混合比を表2に示す通り変更して、濃度勾配制御した。
Figure 2024037149000003
図3に示される結果の通り、滑沢剤としてフマル酸ステアリルナトリウムを含む錠剤中のラサギリンメシル酸塩の安定性は劣っていたが(実施例1)、クエン酸の配合により総類縁物質量を低減することができ(実施例2)、DL-リンゴ酸の配合によりラサギリンメシル酸塩をより一層安定化できることが明らかとなった(実施例3)。
実施例4
表3に示す組成で、結晶セルロース粒を転動流動層造粒乾燥機に投入し、ラサギリンメシル酸塩、ヒプロメロース(「TC-5E」信越化学工業社製)、及びDL-リンゴ酸(「リンゴ酸フソウM」扶桑化学工業社製)を水に溶解した溶液にタルク(「MICRO ACE P-3」日本タルク社製)を分散した分散液を噴霧し、コーティング及び乾燥して、薬物層顆粒を得た。次に、薬物層顆粒を転動流動層造粒乾燥機に投入し、ヒプロメロース(「TC-5E」信越化学工業社製)を水に溶解した溶解液にタルク(「MICRO ACE P-3」日本タルク社製)を分散した分散液を噴霧し、コーティング及び乾燥して、遮蔽層顆粒を得た。次に、遮蔽層顆粒を転動流動層造粒乾燥機に投入し、ヒドロキシプロピルセルロース(「HPC-L」日本曹達社製)をエタノールに溶解した溶解液に炭酸水素ナトリウム(「重炭酸ナトリウム」旭硝子社製)及びタルク(「MICRO ACE P-3」日本タルク社製)を分散した分散液を噴霧し、コーティング及び乾燥して、炭酸塩層顆粒を得た。次に、炭酸塩層顆粒を転動流動層造粒乾燥機に投入し、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE(「オイドラギットE100」Evonik社製)を含水エタノールに溶解した溶解液にタルク(「MICRO ACE P-3」日本タルク社製)及びメタケイ酸アルミン酸マグネシウム(「ノイシリンUFL2」富士化学工業社製)を分散した分散液を噴霧し、コーティング及び乾燥し、軽質無水ケイ酸(「アドソリダー-101」富士シリシア化学社製)を加えて混合することにより、薬効成分顆粒として溶出制御層顆粒を得た。
別に、表3に示す組成で、D-マンニトール、エチルセルロース、及び軽質無水ケイ酸を流動層造粒乾燥機に投入し、トウモロコシデンプン、及びクロスポビドンを含む分散液を噴霧し、造粒および乾燥して、迅速崩壊性顆粒を得た。
表3に示す組成で、前記溶出制御層顆粒、前記迅速崩壊性顆粒、アスパルテーム、エチルセルロース、及びペパーミントミクロンを袋に入れて混合し、続いて、フマル酸ステアリルナトリウムを加えて混合し、打錠末を得た。得られた打錠末を、ロータリー式打錠機を使って打錠することにより、ラサギリンメシル酸塩口腔内崩壊錠を得た。
実施例5
表3に示す組成の通り、溶出制御層顆粒の製造時に、アミノアルキルメタクリレートコポリマーEを増量し、また、溶出制御層顆粒と迅速崩壊性顆粒の成分量を変更した以外は実施例4と同様にして、口腔内崩壊錠を得た。
Figure 2024037149000004
実施例6
ラサギリンメシル酸塩を乳鉢で粉砕した。粉砕後のラサギリンメシル酸塩粉末のD10は2.5μm、D50は13μm、D90は35μmで、比表面積は1.1m2/gであった。表4に示す組成で、粉砕したラサギリンメシル酸塩1.560g、D-マンニトール(「PEARLITOL 100SD」ROQUETTE社製)78.54g、D-マンニトール(「PEARLITOL 50C」ROQUETTE社製)24.00g、トウモロコシデンプン(「コーンスターチ(W)」日本食品化工社製)26.00g、軽質無水ケイ酸(「アドソリダー-101」富士シリシア化学社製)0.8000g、及びDL-リンゴ酸(「リンゴ酸フソウM」扶桑化学工業社製)2.100gを混合した後、更にフマル酸ステアリルナトリウム(日生化学社製)2.000gを添加して混合し、ロータリー式打錠機を使って打錠することにより、ラサギリンとして1mgを含有する質量135mgの錠剤(素錠)を得た。別途、ヒプロメロース(「TC-5R」信越化学工業社製)2.100gを精製水に溶解させて、溶解液Iを得た。溶解液Iとは別に、酸化チタン(「酸化チタンFG」フロイント産業社製)0.9000gを精製水に分散させて、分散液Iを得た。溶解液I及び分散液Iを混和して、フィルムコーティング液を得た。得られた素錠をコーティングパン機に入れ、フィルムコーティング液でコーティングした後乾燥して、ラサギリンを含むフィルムコーティング錠剤を得た。
実施例7
実施例6において分散液I調製時に三二酸化鉄(葵巳化成社製)0.02000gを分散させた。その他は実施例6と同様にして、表4に示す組成で、ラサギリンを含むフィルムコーティング錠剤を得た。
実施例8
実施例6において分散液I調製時に黄色三二酸化鉄(葵巳化成社製)0.04000gを分散させた。その他は実施例6と同様にして、表4に示す組成で、ラサギリンを含むフィルムコーティング錠剤を得た。
実施例9
分散液I調製時に酸化チタン0.9000gに替えてタルク(「タルカンハヤシ」林化成社製)0.3000gを分散させた以外は実施例8と同様にして、表4に示す組成で、ラサギリンを含むフィルムコーティング錠剤を得た。
実施例10
コーティングを行わないこと以外は実施例6と同様にして、表4に示す組成で、ラサギリンを含む素錠を得た。
Figure 2024037149000005
実施例6~8,10の錠剤の保存安定性を、試験例3と同様の条件で試験した。結果を図4に示す。
図4に示される結果の通り、錠剤にフィルムコーティングを行った場合であっても、フィルムコートを行っていない実施例10と同様に良好な保存安定性を示した。

Claims (10)

  1. 薬効成分としてラサギリンまたはその塩を含有する製剤の崩壊性を改善する方法であって、
    ラサギリンまたはその塩に加えて、フマル酸ステアリルナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムから選択される1以上の滑沢剤を配合することを特徴とする方法。
  2. 更にカルボン酸を配合する請求項1に記載の方法。
  3. 前記カルボン酸が、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、コハク酸および酒石酸から選択される1以上のカルボン酸である請求項2に記載の方法。
  4. 薬効成分であるラサギリンまたはその塩、並びにフマル酸ステアリルナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムから選択される1以上の滑沢剤を含有することを特徴とするラサギリン含有製剤。
  5. 0.5質量%以上、2質量%以下の前記滑沢剤を含有する請求項4に記載のラサギリン含有製剤。
  6. 更にカルボン酸を含有する請求項4に記載のラサギリン含有製剤。
  7. 0.5質量%以上、5質量%以下の前記カルボン酸を含有する請求項6に記載のラサギリン含有製剤。
  8. 前記カルボン酸が、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、コハク酸および酒石酸から選択される1以上のカルボン酸である請求項6に記載のラサギリン含有製剤。
  9. 前記ラサギリンまたはその塩を含む薬効成分顆粒、迅速崩壊性顆粒、及び前記滑沢剤を含有する請求項4に記載のラサギリン含有製剤。
  10. 薬効成分としてラサギリンまたはその塩を含有する製剤を製造するための方法であって、
    前記ラサギリンまたはその塩を含む粉末または造粒物に、フマル酸ステアリルナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムから選択される1以上の滑沢剤を添加して混合物を得る工程、及び、
    前記混合物を圧縮成形する工程を含むことを特徴とする方法。
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