JP2024036846A - 燃料電池システム - Google Patents

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勉 細井
Tsutomu Hosoi
正史 前田
Masashi Maeda
優 角川
Masaru Kadokawa
高弘 新田
Takahiro Nitta
純平 山本
Junpei Yamamoto
大五郎 森
Daigoro Mori
誠 覚知
Makoto Kakuchi
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Abstract

【課題】水素吸蔵合金及び発電単位要素を備える場合であっても小型化をすることが可能である燃料電池システムを提供する。【手段】燃料電池システムであって、水素と空気とにより発電する発電単位要素と、水素吸蔵合金を有する水素吸蔵要素とを備え、水素吸蔵要素は複数の発電単位要素の間に収容されており、発電単位要素と水素吸蔵要素とにより積層構造をなす。【選択図】図1

Description

本開示は燃料電池システムに関する。
特許文献1には、水素吸蔵合金タンクと燃料電池とを一体化して、小型化し、燃料電池の暖気が可能となる構成が開示されている。
特開2003-68335号公報
しかしながら、従来技術では別途断熱ケースや別体の熱交換器が必要であり、システム全体での小型化が不十分であった。
本開示では上記問題を鑑み、水素吸蔵合金及び発電単位要素を備える場合であっても小型化をすることが可能である燃料電池システムを提供することを課題とする。
本願は、燃料電池システムであって、水素と空気とにより発電する発電単位要素と、水素吸蔵合金を有する水素吸蔵要素とを備え、水素吸蔵要素は複数の発電単位要素の間に収容されており、発電単位要素と水素吸蔵要素とにより積層構造をなす、燃料電池システムを開示する。
本開示によれば、水素吸蔵合金及び発電単位要素を備える場合であっても燃料電池システムを小型化をすることが可能である。
図1は燃料電池システム10を説明する図である。 図2は燃料電池システム10の温度制御を説明する図である。 図3は燃料電池システム20を説明する図である。 図4は燃料電池システム30を説明する図である。 図5は燃料電池システム40を説明する図である。 図6は燃料電池システム50を説明する図である。 図7は水素残量と圧力との関係の例を表す図である。 図8は燃料電池システム50において圧力、温度制御の例を表す図である。 図9は燃料電池システム60を説明する図である。 図10は燃料電池システム60による作動の態様を説明する図である。 図11は燃料電池システム70を説明する図である。 図12は燃料電池システム70による作動の態様を説明する図である。 図13は燃料電池システム80を説明する図である。 図14は燃料電池システム80による作動の態様を説明する図である。
発明者は、鋭意検討の結果、燃料電池の発電特性、熱特性の実測、及び水素吸蔵合金の水素放出特性、熱特性の実測を先行して行い、水素吸蔵要素の温調器の小型化が効果的であることを見出した。これに対して、燃料電池の単位要素(発電単位要素)に平板状の水素吸蔵要素を挟み込む形で一体化することで、水素吸蔵要素を発電単位要素の廃熱で温調でき、ファンの送風量も低減可能とし、これによって、システムを小型化した。以下、具体例を示しつつ説明する。
図1は1つの形態例にかかる燃料電池システム10を説明する図である。(a)は平面図、(b)はA-A断面図、(c)はB-B断面図である。
図1からわかるように燃料電池システム10は送風機11及び燃料電池積層体12を備えている。送風機11は燃料電池積層体12に取り付けられ、燃料電池積層体11に空気を当てて冷却する機器である。
燃料電池積層体12は、複数の発電単位要素14と複数の水素吸蔵要素15とによる積層体である発電積層体13の積層方向両端のそれぞれに集電板16が配置され、この発電積層体13と集電板16とを2つの締結板17で挟み込み、2つの締結板17を渡すように設けられた締結具18で固定している。
発電単位要素14は、水素と酸素(空気)を供給することにより発電するための単位要素であり複数の層が積層されてなる。本形態の発電単位要素14を構成する各層の具体的態様は特に限定されることはなく公知の通りであり、電解質膜を挟んで一方がカソード(酸素供給側)、他方がアノード(水素供給側)となる。カソードは電解質膜側からカソード触媒層、カソードガス拡散層、及び、空気流路を具備するカソードセパレータがこの順に積層されている。一方アノードは、電解質膜側からアノード触媒層、アノードガス拡散層、及び、水素流路を有するアノードセパレータをこの順に備えている。なお、電解質膜、カソード触媒層、アノード触媒層による積層体を膜電極接合体(MEA)と呼ぶことがある。
水素吸蔵要素15は水素吸蔵合金を筐体内に収めた部材である。具備される水素吸蔵合金の種類は公知の通りであり特に限定されることはないが、Mg系合金を挙げることができる。
図1からわかるように、本形態で燃料電池積層体12では発電単位要素14及び水素吸蔵要素15がそれぞれ複数具備され、発電単位要素14と水素吸蔵要素15とが交互に配置されている。
また、発電単位要素14には図1からわかるように送風機11から供給される空気を流すことができる空気流路14aが設けられている。
また、燃料電池積層体12には、外部の水素供給源が水素を供給するため、各発電単位要素14のアノードセパレータに通じる水素供給流路12a、水素排出流路12bが形成されている。これにより外部の水素供給源から水素供給流路12aを介してアノードセパレータに水素が供給されるとともに、発電に用いられなかった水素が水素排出流路12bから排出される。
さらに、本形態の燃料電池積層体12には、外部の水素供給源から水素吸蔵要素15に水素を充填するとともに、水素吸蔵要素15から水素を外部に放出するための兼用流路である水素吸蔵要素用流路12cが形成されている。これにより水素吸蔵要素のための流路を燃料電池積層体12に内蔵することができ、外部配管が不要となるため、燃料電池システムが小型化できる。
このとき、水素吸蔵要素用流路12cは、水素供給流路12a又は水素排出流路12bよりも、発電領域であるMEAやガス拡散層から遠い位置に配置されていることが好ましい。これにより、発電単位要素14への水素供給が均一性を高めることができ、発電性能の低下を抑制することが可能である。
以上のように、本形態の燃料電池システム10では、発電単位要素14と発電単位要素14に水素を供給する水素吸蔵合金を有する水素吸蔵要素15とを備え、水素吸蔵要素15は、発電単位要素14との間で熱の授受を可能とするため、発電単位要素14の間に配置されており、発電単位要素14や水素吸蔵要素15を温度調整するための送風機11からの空気が流通する空気流路14aを備えている。
これによれば、水素放出時の水素吸蔵合金の吸熱で、発電単位要素14の冷却を補助することができ、送風機11も小型化でき、発電単位要素14及び水素吸蔵要素15の強度を高めるための強度部材も共用できるため、燃料電池システムを小型化することができる。
なお、上記形態で水素吸蔵要素15は燃料電池積層体12に少なくとも1つ配置されていればよいが、本形態のように複数の水素吸蔵要素15が配置されてもよく、その時には水素吸蔵要素15と発電単位要素14とが交互に配置されてもよい。
これにより、隣り合う発電単位要素14の間の導電性を高めることができるとともに熱抵抗の低減が可能となる。
また、複数の水素吸蔵要素15が配置された場合、端部に配置された水素吸蔵要素がその他に配置された水素吸蔵要素15よりも水素吸蔵合金充填量が少ないように構成してもよい。発電単位要素14は端部の温度が下がりやすいので端部に配置された水素吸蔵要素15に対して充填量を相対的に少なくすることにより吸熱量を少なくして積層方向の温度分布を低減することができる。同様の理由で、端部に配置された水素吸蔵要素15についてその他に配置された水素吸蔵要素15よりも吸熱量の小さい水素吸蔵合金種が充填されてもよい。
従来より燃料電池は端部に配置された発電単位要素の温度が中央部に配置された発電単位要素よりも相対的に低くなり、積層端部にダミーセルと呼ばれる発電に寄与しない要素を挟み放熱量を低減しているが大きさや重量が増加してしまうことがあった。これに対して上記のように構成することでダミーセルを用いることなく積層方向の温度分布の均一性を高めることができる。
上記のように燃料電池システム10は空気中の酸素と水素によって発電する空冷の発電単位要素14と、水素吸蔵要素15とを積層した構成である。水素吸蔵要素15には水素吸蔵合金が充填されており、温度や圧力に応じて水素を充填および放出可能である。発電領域の外側の領域に、発電単位要素14及び水素吸蔵要素15を積層方向に貫通し、発電単位要素14に水素を供給するための水素供給流路12aと、発電単位要素14から水素を排出するための水素排出流路12bと、水素吸蔵要素15に水素を充填・放出するための水素吸蔵要素用流路12cが備えてある。水素供給流路12a及び水素排出流路12bは発電単位要素14の水素流路と連通しており、水素吸蔵要素用流路12cは水素吸蔵要素15と連通しているが、外周部はガスケットや接着剤等で外部に水素が漏れないようにシールされている。水素吸蔵要素用流路12cの片端(水素吸蔵要素15と反対側)は、水素供給設備に通じる配管と、水素供給流路12aに通じる配管に接続されている。水素吸蔵要素用流路12cと水素供給設備との間には水素充填時に開く開閉弁(水素供給設備側が高圧時に開く逆止弁でも良い。)を備えている。水素供給時以外は、開閉弁の上流で水素供給設備とは切り離して使用する。水素吸蔵要素用流路12cと水素供給流路12aとの間には発電時に開く主止弁を備えている。水素排出流路12cは排気弁を介して外部と連通している。
燃料電池システム10によれば、水素吸蔵要素用流路12cを積層体13に内蔵することで外部配管が不要となるため、システムを小型化できる。水素供給流路12aが発電領域に近い位置に配置されているため、セル面内への水素供給が均一化でき、発電性能低下を抑制できる。その反面、水素吸蔵要素用流路12cは発電領域から遠い位置に配置されるため水素吸蔵要素15との出入口通路は水素供給流路12aを迂回する格好で絞りとなるが、発電単位要素14よりも水素吸蔵要素15の方が高圧のため、絞りの影響を受けにくい。
燃料電池システム10では例えば次のように温度制御を行うことができる。具体的には発電単位要素14の温度を検出する手段(温度センサ)と、水素吸蔵要素15の温度を検出する手段(温度センサ)と、を備え、これらの温度情報を元に、冷媒(空気)流量と水素流量を制御する。当該制御例S10を図2に示した。
図2に示した制御例S10では、初めに温度センサの測定結果から発電単位要素14(FC)の温度がある閾値よりも大きいかの判定を行う(S11)。S11でYesであれば温度センサの測定結果から水素吸蔵要素15(MH)の温度が閾値よりも大きいかの判定を行う(S12)。S12でYesであれば送風機出力を高めつつ水素流量も高める(S13)。S12でNoであれば送風機出力を高めつつ水素流量を低下させる(S14)。
一方、S11でNoであれば温度センサの測定結果から水素吸蔵要素15(MH)の温度が閾値よりも大きいかの判定を行う(S15)。S15でYesであれば送風機出力を低下させつつ水素流量を高める(S16)。S15でNoであれば送風機出力を低下させて水素流量も低下させる(S17)。
このような制御は制御器によって行われ、制御器はプロセッサーであり演算を行うCPU(Central Processing Unit、中央演算ユニット)、作業領域として機能するRAM(Random Access Memory)、記録媒体として機能するROM(Read-Only Memory)、有線、無線を問わず情報を制御器に受け入れるインターフェイスである受信部、及び、有線、無線を問わず情報を制御器から外部に送るインターフェイスである送信部を備える。そして、制御器には温度センサからの情報を処理して送風機11や水素供給源を操作するプログラムが保存されている。制御器では、ハードウェア資源としてのCPU、RAM、及びROMと、プログラムとが協働する。具体的には、CPUが、ROMに記録されたコンピュータプログラムを、作業領域として機能するRAMで実行することによって、送風機の出力や水素流量の制御を行う。
図3には、他の形態にかかる燃料電池システム20を説明する図を示した。図3に示した例では、水素吸蔵要素用流路12cと水素供給流路12aとの間に水素の圧力調整手段を有する。この例では主止弁と水素供給流路12aとの間に、圧力調整手段を備える。圧力調整手段として、(a)では下流の圧力を一定に保つレギュレータを備え、(b)では圧力計とインジェクタを備える。(b)の構成では、発電量や外気温等に応じて最適な圧力に制御することが可能である。
これらの圧力調整手段により、主止弁を開いた時(発電時)に発電単位要素14の水素極に高圧がかかることを抑制できるため、電解質膜を介してカソード側へのクロスリークを低減でき燃費が向上する。また、カソードとの差圧を低減できるため、電解質膜の破損が防止でき耐久性が向上する。
図4には、他の形態にかかる燃料電池システム30を説明する図を示した。図4に示した例では、発電単位要素14のアノードに水素を供給するための水素供給流路12aと、発電領域から水素を排出する水素排出流路12bと、水素吸蔵要素15に水素を充填するための水素充填流路12dと、水素吸蔵要素15から水素を放出するための水素放出流路12eとを備える。
水素充填流路12dは開閉弁を介して水素供給設備に、水素放出流路12eは主止弁を介して水素供給流路12aに接続されている。この構成により、何らかの不具合で水素吸蔵要素15に不純物が混入しても水素放出流路12e側から排出が可能となるため、水素吸蔵要素15の劣化を抑制できる。
図5には、他の形態にかかる燃料電池システム40を説明する図を示した。(a)は図1(c)のC-Cに沿った断面、(b)は図5(a)のD-Dに沿った断面である。図5に示した例では、水素吸蔵要素15であって、水素吸蔵要素15の内部に、発電単位要素14の積層方向に導電接続するためのリブ41を少なくとも一つ以上有している。(a)の例ではリブ41は円柱状である。
発電単位要素14の各層に平板状の水素吸蔵要素15を挟み込む形で一体化する構成では、水素吸蔵合金が粉体であること、また、水素放出時に水素吸蔵合金が収縮することにより、筐体と水素吸蔵合金との接触抵抗が大きく、平板状の水素吸蔵要素15の導電性が悪く、燃料電池の性能低下が問題となる場合がある。そこで発明者は、上記問題に対し、平板状の水素吸蔵要素の内部に導電接続用のリブ構造を設ける構成により抵抗を低減可能とした。これによって、発電単位要素14の各層に平板状の水素吸蔵要素15を挟み込む形で一体化する構成による発電性能低下を大幅に低減させることができる。
図5(c)は導電接続のためのリブ41の形状が六角柱(ハニカム形状)の例である。これによれば耐荷重ひずみが低減できるので軽量化につながる。また、水素吸蔵合金の充填率向上及び均等充填、剛性向上による膨張収縮ひずみの低減が可能となる。
図5(d)は導電接続のためのリブ41の設置密度(単位面積当たりの本数)が空気ガス流路の入口側から出口側に向かって徐変する例である。この例では空気出口側が入口側に比べて密となっている。これによれば、空気出口の温度が相対的に高くなる空冷において、水素吸蔵合金の膨張収縮が大きくなる空気出口側にリブを多く配置することで接触抵抗増加を抑制することができる。
図6には、他の形態にかかる燃料電池システム50を説明する図を示した。図6の例では、発電単位要素14の温度を検出する手段(温度センサ)と、水素吸蔵要素15の温度を検出する手段(温度センサ51)を少なくとも1つ備え、これらの温度情報を元に、冷媒流量(空気)と水素流量を制御する制御器52を具備し、水素吸蔵要素15の圧力を検出する手段(圧力センサ54)と、水素吸蔵要素用流路12cの流路を切換え、または遮断する手段(弁53)を有し、制御器52は水素吸蔵要素15の温度と、水素吸蔵要素15の圧力から、水素残量を演算し、制御器52の演算結果が閾値を超えた時に、水素吸蔵要素用流路12cの流路を切換え、または遮断を開き水素を供給する。
これによれば、水素吸蔵合金の一部を発電積層体13と弁53を介して分け、発電単位要素14と水素吸蔵要素15との連結部の水素圧力と水素吸蔵合金の温度を測定することで、温度と圧力から水素吸蔵合金の残量を計算予測し、残量が閾値を超えたら、弁53を開けて別体(予備)の水素吸蔵合金55から水素を供給して急な水素欠乏を防止して燃料電池システムの劣化を防止する。
水素吸蔵要素を複数積層した場合、積層方向の温度ばらつき等により、水素吸蔵合金の放出水素量に差が生じ、水素吸蔵合金ごとに水素残量に差が生じることがある。水素放出量は、水素吸蔵合金の温度によって変わり、水素吸蔵要素用流路12c等を介して積層方向に水素圧力が均質化される。そのため、予め水素吸蔵合金の圧力Pと水素吸蔵量Cと温度Tとの特性(PCT特性)を把握していれば、温度、圧力から水素吸蔵量が予測できる。燃料電池の発電によって生じた排熱を水素吸蔵合金に伝熱し、その熱によって水素吸蔵合金が温度上昇して水素を放出する。放出した水素によって水素吸蔵要素用流路12cの圧力が上昇し、圧力センサ54で検知することで水素吸蔵合金の残量に対して予め設定した閾値より高い場合は通常通り水素を供給し、閾値より低い場合は弁53を開き、予備の水素吸蔵合金55から水素を供給する。
具体的に図7で説明する。各温度において水素吸蔵合金のPCT特性が得られる。例えば温度が高いT1と温度が低いT2の水素吸蔵要素が積層されていた場合、配管圧力P0は、温度T1の水素吸蔵要素から放出される水素によって圧力が決まり、温度T1の水素吸蔵要素は水素放出によって水素残量が減っていく。水素吸蔵合金の特性として、残量が減ると一気に圧力が低下するため、配管圧力が予め温度T1の水素吸蔵要素で設定した圧力の閾値がP1を下回ったら、T1の水素吸蔵要素の水素残量はないと判断する。
また、同様に温度T2の水素吸蔵要素でも、配管圧力がPCT特性に対し高い場合は、残量が残っているが、配管圧力が閾値P2を下回ったら、温度T2の水素吸蔵要素の残量はないと判断する。ここで、水素残量が急激に減ると発電に必要な水素が減少し、水素欠となって燃料電池の劣化が起きてしまう。そこで、予め設定した水素残量と閾値に達したら、制御器より、予備の水素吸蔵合金から水素を供給するように弁を開く信号を送る。また、予備の水素吸蔵合金の容量は予め分かっているので発電継続可能時間を示すとともに、残量警告を発することで燃料電池の劣化を防ぎ、発電停止が可能となる。
図8には1つの例として制御器52で行われる制御例を示した。
また、水素供給のために別体で設置する水素吸蔵合金55と締結板16とを一体構造としてもよい。これにより部品低減、更なる小型化が可能となる。
図9には他の形態にかかる燃料電池システム60を説明する図を示した。図9に示した例では、水素吸蔵要素用流路12cと水素供給設備との間に水素充填時に開くことのできる開閉手段(開閉弁)と、水素供給設備と水素供給流路12aとの間にあって発電時に開くことのできる開閉手段(主止弁)と、水素吸蔵要素15が高温高圧時に水素吸蔵要素15内の水素を外部へ放出するための手段(リリーフ弁)を備える。
これにより、高温・高圧時に水素を放出して減圧・冷却できるため、水素吸蔵要素15からの水素漏れや発電単位要素14に高圧がかかって破損することを防止できる。
具体的には、水素吸蔵要素15が高温高圧時に水素吸蔵要素15内の水素を、水素充填時に開く開閉手段である開閉弁と水素供給設備との間の配管に放出可能なリリーフ弁を備えることができる。水素供給時には外部へは開口しないが、水素供給設備から切り離された状態で高温・高圧になると自動で外部へ水素を放出できるため、水素吸蔵要素15からの水素漏れや発電単位要素14に高圧がかかって膜が破損するのを防止できる。
燃料電池システム60では、水素供給設備に通じる配管は途中で2つに分岐後また1つに集結しており、分岐している所の一方には水素充填時に開く開閉弁(水素供給設備側が高圧時に開く逆止弁でも良い。)を、他方には水素吸蔵要素15が高温・高圧時に水素供給装置側に開くリリーフ弁を備える。水素吸蔵要素用流路12cと水素供給流路12aとの間には発電時に開く主止弁を備えている。水素排出流路12bは排気弁を介して外部と連通している。
燃料電池システム60によれば、図10に示したように、水素充填時には水素供給設備と接続し、開閉弁を開いて水素吸蔵要素15に水素を充填する。この時、一時的に水素圧が上昇してもリリーフ弁の開口先は水素供給設備との間の配管なので、外部に水素が漏れる事は無い。水素充填終了後は開閉弁の上流で水素供給設備と切り離す。水素吸蔵要素15の圧力が正常(リリーフ弁の開弁圧未満)の場合、発電停止時には全ての弁を閉じ、発電時には主止弁を開き、水素吸蔵要素15から発電単位要素14に水素を供給する。発電中に発電単位要素14の水素極側に余剰な窒素や水が溜まってきた時には、排気弁を開いて外部へ排出する。外気温上昇や急な負荷変動等によって水素吸蔵要素15の圧力が異常高圧になった場合、リリーフ弁が開口して水素を外部へ放出し、水素吸蔵要素15を減圧・冷却する。これにより、高温・高圧時に水素吸蔵要素15からの水素漏れや発電単位要素14に高圧がかかって電解質膜が破損するのを防止できる。
図11には他の形態にかかる燃料電池システム70を説明する図を示した。図11に示した例では、水素吸蔵要素15の圧力を検出する手段(圧力計)を備え、水素吸蔵要素が高温高圧時に水素吸蔵要素15内の水素を、水素充填時に開くことのできる開閉手段を開く事で外部へ放出するように構成されている。これによりリリーフ弁が不要で、高温・高圧時に水素供給設備側から外部へ水素を放出できるため、水素吸蔵要素15からの水素漏れや発電単位要素14に高圧がかかって膜が破損するのを防止できる。
燃料電池システム70では、上記燃料電池システム60に具備されたリリーフ弁のかわりに、水素吸蔵要素15の圧力を検出する手段(圧力計)を備える。また、水素供給設備との間の開閉弁はソレノイド等で外部から開閉できるものを備える。この場合、図12に示したように、水素吸蔵要素15の圧力が異常高圧の場合、開閉弁を開いて水素を外部へ放出する。これによればリリーフ弁を用いる事なく、高温・高圧時の水素吸蔵要素15からの水素漏れや発電単位要素14に高圧がかかって膜が破損するのを防止できる。
図13には他の形態にかかる燃料電池システム80を説明する図を示した。図13に示した例では、発電時に開く開閉弁と水素供給流路12aとの間にあって発電単位要素14に供給する水素の圧力を調整可能な圧力調整手段(レギュレータ)と、水素排出流路12bの下流にあって水素中の余剰な窒素や水を外部へ排出可能な排気弁を備え、水素吸蔵要素15が高温高圧時に水素吸蔵容器15内の水素を、発電時に開く開閉弁と排気弁を開くことで水素吸蔵要素15を通過して外部へ放出する。これによればリリーフ弁が不要で、高温・高圧時に発電単位要素14を通して外部へ水素を放出できるため、水素吸蔵要素15からの水素漏れや発電単位要素14に高圧がかかって膜が破損するのを防止できる。
燃料電池システム80では、リリーフ弁は無く、代わりに水素吸蔵要素15の圧力を検出する手段(圧力計)と、主止弁と水素供給流路12aとの間にレギュレータ等の圧力調整手段を備える。レギュレータは予め所定の圧力(一定値)に設定しておくか、あるいは負荷に応じて最適な圧力に制御しても良い。また、水素供給設備との間の開閉弁は逆止弁でも良い。図14に示したように、水素吸蔵要素15の圧力が異常高圧の場合、開閉弁と排気弁を開いて発電単位要素14を通して水素を外部へ放出する。放出時に発電単位要素14を通るがレギュレータがあるため、発電単位要素14に高圧がかかる事は無い。リリーフ弁を用いる事なく、高温・高圧時の水素吸蔵要素15からの水素漏れや発電単位要素14に高圧がかかって膜が破損するのを防止できる。
10…燃料電池システム、11…送風機、12…燃料電池積層体、12a…水素供給流路、12b…水素排出流路、12c…水素吸蔵要素用流路、12d…水素充填流路、12e…水素放出流路、13…発電積層体、14…発電単位要素、15…水素吸蔵要素

Claims (1)

  1. 燃料電池システムであって、
    水素と空気とにより発電する発電単位要素と、水素吸蔵合金を有する水素吸蔵要素とを備え、
    前記水素吸蔵要素は複数の発電単位要素の間に収容されており、
    前記発電単位要素と前記水素吸蔵要素とにより積層構造をなす、
    燃料電池システム。
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