JP2024035770A - 車両用駆動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】内燃機関及び回転電機の駆動力を車輪の駆動力源とし、これらの駆動力を分割する分配用差動歯車装置と変速機とを備えた車両用駆動装置をより小型に構成する。
【解決手段】車両用駆動装置100は、第1軸A1上に配置された入力軸X12と、第2軸A2上に配置されたロータ21と、第1軸A1上に配置されて、第1分配用回転要素SGが入力軸X12に駆動連結され、第3分配用回転要素RGがロータ21に駆動連結された分配用差動歯車機構10と、変速用係合装置C2,C3を備えた変速機34と、ロータ21と第3分配用回転要素RGとの間の動力伝達を行う伝動ギヤ列GTと、分配用差動歯車機構10の3つの回転要素のうちの2つの間の動力伝達を断接する第1係合装置C1と、を備える。第1係合装置C1及び変速用係合装置C2,C3が、軸方向Lにおける伝動ギヤ列GTの端部と回転電機2の端部との間に収まるように配置されている。
【選択図】図1
【解決手段】車両用駆動装置100は、第1軸A1上に配置された入力軸X12と、第2軸A2上に配置されたロータ21と、第1軸A1上に配置されて、第1分配用回転要素SGが入力軸X12に駆動連結され、第3分配用回転要素RGがロータ21に駆動連結された分配用差動歯車機構10と、変速用係合装置C2,C3を備えた変速機34と、ロータ21と第3分配用回転要素RGとの間の動力伝達を行う伝動ギヤ列GTと、分配用差動歯車機構10の3つの回転要素のうちの2つの間の動力伝達を断接する第1係合装置C1と、を備える。第1係合装置C1及び変速用係合装置C2,C3が、軸方向Lにおける伝動ギヤ列GTの端部と回転電機2の端部との間に収まるように配置されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、内燃機関の出力軸に駆動連結される入力軸と、回転電機と、入力軸及び回転電機のロータに駆動連結された分配用差動歯車機構と、変速機と、車輪に駆動力を分配する出力用差動歯車機構とを備えた車両用駆動装置に関する。
に関する。
に関する。
DE102020202655A1(特許文献1)には、車輪の駆動力源として内燃機関と回転電機とを備えると共に、分配用差動歯車機構を備えて、電気自動車(EV)モード、パラレルハイブリッド(HV)モード等により車両を走行させることができる車両用駆動装置が開示されている(以下、背景技術において括弧内の符号は参照する文献のもの。)。この文献のFig.1、Fig.2等に示されているように、この車両用駆動装置(4)では、内燃機関(5)と、回転電機(EM2)と、分配用差動歯車機構(9)と、変速機(10)とが第1軸(16)上に配置され、別軸であるカウンタ軸(30)に配置されたカウンタギヤを介して第2軸(3)上に配置された出力用差動歯車機構(7)に動力が伝達されている。
特許文献1の車両用駆動装置では、複数の変速段を構成するために必要な複数のギヤが、内燃機関及び回転電機が配置される第1軸上に広範囲に亘って配置されている。このため、車両用駆動装置の軸方向の長さが大きくなる傾向があり、車両用駆動装置の小型化に限界がある。
上記背景に鑑みて、内燃機関及び回転電機の駆動力を車輪の駆動力源とし、これらの駆動力を分割する分配用差動歯車装置と変速機とを備えた車両用駆動装置をより小型に構成することが望まれる。
上記に鑑みた、車両用駆動装置は、内燃機関の出力軸である内燃機関出力軸と同軸の第1軸上に配置され、前記内燃機関出力軸に駆動連結される入力軸と、前記第1軸とは異なる第2軸上に配置され、ロータを備えた回転電機と、前記第1軸上に配置され、第1分配用回転要素、第2分配用回転要素、及び第3分配用回転要素を備え、前記第1分配用回転要素が前記入力軸に駆動連結され、前記第3分配用回転要素が前記ロータに駆動連結された分配用差動歯車機構と、差動入力回転要素に入力される回転を一対の車輪に分配する出力用差動歯車機構と、前記第2軸とは異なる軸上に配置された変速用係合装置を備え、前記第1軸上に配置された何れかの回転要素の回転を変速して前記差動入力回転要素に伝達する変速機と、前記第1軸に平行な方向を軸方向とし、前記軸方向の一方側を軸方向第1側として、前記ロータに対して前記軸方向第1側に配置されて前記ロータと前記第3分配用回転要素との間の動力伝達を行う複数のギヤである伝動ギヤ列と、前記第1軸上に配置され、前記第1分配用回転要素、前記第2分配用回転要素、及び前記第3分配用回転要素の3つの回転要素のうちから選択される2つの間の動力伝達を断接する第1係合装置と、を備え、前記軸方向の他方側を軸方向第2側として、前記第1係合装置及び前記変速用係合装置が、前記軸方向における前記伝動ギヤ列の前記軸方向第1側の端部と前記回転電機の前記軸方向第2側の端部との間に収まるように配置されている。
この構成によれば、入力軸及び分配用差動歯車機構が配置された第1軸及び変速機が配置された軸とは異なる第2軸上に回転電機が配置されている。また、第1係合装置及び変速用係合装置が、軸方向における伝動ギヤ列の軸方向第1側の端部と回転電機の軸方向第2側の端部との間に収まるように配置されている。そのため、入力軸、回転電機、分配用差動歯車機構、及び変速機を備えた車両用駆動装置の軸方向寸法を小さく抑え易い。従って、内燃機関及び回転電機の駆動力を車輪の駆動力源とし、これらの駆動力を分割する分配用差動歯車装置と変速機とを備えた車両用駆動装置をより小型に構成することができる。
車両用駆動装置のさらなる特徴と利点は、図面を参照して説明する例示的且つ非限定的な実施形態についての以下の記載から明確となる。
〔第1実施形態〕
以下、車両用駆動装置の第1実施形態を図面に基づいて説明する。本明細書において「駆動連結」とは、2つの回転要素が駆動力を伝達可能に連結された状態を指し、当該2つの回転要素が一体的に回転するように連結された状態、或いは当該2つの回転要素が1つ又は2つ以上の伝動部材を介して駆動力を伝達可能に連結された状態を含む。このような伝動部材としては、回転を同速で又は変速して伝達する各種の部材、例えば、軸、歯車機構、ベルト、チェーン等が含まれる。尚、伝動部材として、回転及び駆動力を選択的に伝達する係合装置、例えば、摩擦係合装置、噛み合い式係合装置等が含まれていても良い。ただし、遊星歯車機構の各回転要素について「駆動連結」という場合には、遊星歯車機構における複数の回転要素が、互いに他の回転要素を介することなく連結されている状態を指すものとする。
以下、車両用駆動装置の第1実施形態を図面に基づいて説明する。本明細書において「駆動連結」とは、2つの回転要素が駆動力を伝達可能に連結された状態を指し、当該2つの回転要素が一体的に回転するように連結された状態、或いは当該2つの回転要素が1つ又は2つ以上の伝動部材を介して駆動力を伝達可能に連結された状態を含む。このような伝動部材としては、回転を同速で又は変速して伝達する各種の部材、例えば、軸、歯車機構、ベルト、チェーン等が含まれる。尚、伝動部材として、回転及び駆動力を選択的に伝達する係合装置、例えば、摩擦係合装置、噛み合い式係合装置等が含まれていても良い。ただし、遊星歯車機構の各回転要素について「駆動連結」という場合には、遊星歯車機構における複数の回転要素が、互いに他の回転要素を介することなく連結されている状態を指すものとする。
また、本明細書では、2つの部材の配置に関して、「特定方向視で重複する」とは、その視線方向に平行な仮想直線を当該仮想直線に直交する各方向に移動させた場合に、当該仮想直線が2つの部材の双方に交わる領域が少なくとも一部に存在することを意味する。また、本明細書では、2つの部材の配置に関して、「軸方向における配置領域が重複する」とは、一方の部材の軸方向における配置領域内に、他方の部材の軸方向における配置領域の少なくとも一部が含まれることを意味する。
車両用駆動装置100は、車輪Wの駆動力源としての内燃機関1及び回転電機2の駆動力を車輪Wに伝達するように構成されている。図1及び図2に示すように、車両用駆動装置100は、第1軸A1上に配置されて内燃機関1に駆動連結された入力軸X12(入力部材)と、第2軸A2上に配置されてロータ21を備えた回転電機2と、入力軸X12及びロータ21に駆動連結された分配用差動歯車機構10とを備えている。尚、第2軸A2は、第1軸A1に平行な別軸である。本実施形態の車両用駆動装置100は、後述するように、これらの他、第3軸A3、第4軸A4、第5軸A5、第6軸A6も備えているが、第1軸A1から第6軸A6の各軸は互いに平行な別軸である。
これら第1軸A1から第6軸A6に平行な方向を、車両用駆動装置100の「軸方向L」とする。また、図1及び図2に示すように、軸方向Lにおいて、内燃機関1に対して入力軸X12及び回転電機2が配置される側を「軸方向第1側L1」とし、その反対側を「軸方向第2側L2」とする。また、これら第1軸A1から第6軸A6のそれぞれに直交する方向を、各軸を基準とした「径方向」とする。尚、どの軸を基準とするかを区別する必要がない場合やどの軸を基準とするかが明らかである場合には、単に「径方向」と記す場合がある。また、車両用駆動装置100が車両に搭載され、車両が水平面上に位置している状態において鉛直方向に沿う方向を「上下方向V」とし、上下方向Vにおける上方を「上側V1」、下方を「下側V2」と称する。
詳細は後述するが、分配用差動歯車機構10は、第1軸A1上に配置されており、第1分配用回転要素、第2分配用回転要素、及び第3分配用回転要素を備えている。第1分配用回転要素は入力軸X12に駆動連結され、第3分配用回転要素はロータ21に駆動連結されている。また、車両用駆動装置100は、差動入力回転要素に入力される回転を一対の車輪Wに分配する出力用差動歯車機構50と、第1軸A1上に配置された何れかの回転要素の回転を変速して差動入力回転要素に伝達する変速機34とを備えている。本実施形態では、出力用差動歯車機構50は第5軸A5上に配置されている。変速機34の中核となる要素は、第1軸A1及び第2軸A2とは異なる軸上に配置されている。例えば、変速機34は、第1軸A1及び第2軸A2とは異なる軸上に配置された変速用係合装置(第2係合装置C2、第3係合装置C3、第4係合装置C4)を備えている。また、車両用駆動装置100は、第1軸A1上に配置され、第1分配用回転要素、第2分配用回転要素、及び第3分配用回転要素の3つの回転要素のうちから選択される2つの間の動力伝達を断接する第1係合装置C1を備えている。
図1及び図2に示すように、内燃機関1は、伝達されるトルクの変動を減衰するダンパ9を介して内燃機関出力軸X11に駆動連結されている。内燃機関出力軸X11と、入力軸X12とは、互いの間での動力伝達を断接する入力用係合装置K0を介して駆動連結されている。本実施形態では、入力用係合装置K0が噛み合い式係合装置である形態を例示しているが、この形態に限らず摩擦係合装置等、他の構造の係合装置であってもよい。内燃機関出力軸X11と、入力軸X12と、入力用係合装置K0とは、第1軸A1上に配置されている。また、第1軸A1上には、分配用差動歯車機構10も配置されており、入力用係合装置K0は、内燃機関出力軸X11と分配用差動歯車機構10の第1分配用回転要素との間の動力伝達を断接する。後述するように、本実施形態では、第1分配入力要素は、分配入力ギヤの1つであり、内燃機関1の側からの動力が入力される第1分配入力ギヤとして機能するサンギヤSGである。
また、入力軸X12には、内燃機関1からの動力を変速機34に伝達するための第1入力ギヤG12が、入力軸X12と一体的に回転するように形成されている。このため、入力用係合装置K0は、内燃機関出力軸X11と第1入力ギヤG12との間の動力伝達を断接するということもできる。
回転電機2は、車両用駆動装置100のケース90などの非回転部材に固定されたステータ22と、ステータ22に対して回転自在にケース90に支持されたロータ21とを備えている。本実施形態では、回転電機2はインナーロータ型であり、ステータ22の径方向内側にロータ21が配置されている。ステータ22は、ステータコア22cにステータコイル23が巻き回されて構成されている。ステータ22の軸方向Lにおける両側にはステータコア22cからステータコイル23が突出したコイルエンド部23eが形成されている。また、ロータ21の径方向内側には、ロータ21と一体回転するようにロータコア21cにロータ軸20が連結されている。ロータ21及びロータ軸20は、第2軸A2上に配置されている。
本実施形態では、ロータ軸20は、スプライン結合によって回転電機出力軸X2と一体的に回転するように連結されている。回転電機出力軸X2も第2軸A2上に配置されている。本実施形態では、ロータ軸20と回転電機出力軸X2とが別部材によって構成されている形態を例示しているが、ロータ軸20と回転電機出力軸X2とは同じ部材によって一体的に形成されていてもよい。また、ロータ軸20は、回転電機出力軸X2と別部材によって構成されている場合であっても、回転電機出力軸X2と同一部材によって一体的に構成されている場合であっても、回転電機出力軸X2と一体的に回転する。このため、ロータ軸20は、回転電機出力軸X2としても機能する。
また、回転電機出力軸X2には、分配用差動歯車機構10に回転電機2からの動力を伝達するための第2入力ギヤG21が、回転電機出力軸X2と一体的に回転するように形成されている。本実施形態では、第2軸A2に配置された第2入力ギヤG21と、第1軸に配置された分配用差動歯車機構10との間に、さらに第1軸A1及び第2軸A2とは異なる第6軸A6に配置されたアイドラギヤG61が備えられている。アイドラギヤG61は、分配用差動歯車機構10の第3分配用回転要素(後述するように本実施形態ではリングギヤRG)に動力を伝達する。つまり、本実施形態では、ロータ21から、ロータ軸20、回転電機出力軸X2、第2入力ギヤG21、アイドラギヤG61を介して、分配用差動歯車機構10の第3分配用回転要素であるリングギヤRGに回転電機2の動力が伝達される。
ここで、第2入力ギヤG21、アイドラギヤG61は、ロータ21と第3分配用回転要素であるリングギヤRGとの間の動力伝達を行う複数のギヤである伝動ギヤ列GTである。尚、後述するように、リングギヤRGは、分配用差動歯車機構10において、径方向内側で複数のピニオンギヤPGと噛み合うギヤである。従って、実際にアイドラギヤG61と噛み合うのは、リングギヤRGの径方向外側に形成され、リングギヤRGと一体的に回転する第2分配入力ギヤG13である。この第2分配入力ギヤG13も、第2入力ギヤG21及びアイドラギヤG61と共に、ロータ21と第3分配用回転要素(リングギヤRG)との間の動力伝達を行う複数のギヤである伝動ギヤ列GTに含まれる。
尚、アイドラギヤG61を備えることなく、第2入力ギヤG21と第2分配入力ギヤG13とが噛み合って動力が伝達される形態であってもよく、この場合には、第2入力ギヤG21と第2分配入力ギヤG13とが、複数のギヤにより構成された伝動ギヤ列GTとなる。詳細は後述するが、伝動ギヤ列GTは、回転電機2及び変速機34に対して軸方向第1側L1に配置されている。伝動ギヤ列GTの軸方向Lの配置領域が、変速機34の軸方向Lの配置領域とずれていることにより、図3に示すように、例えば変速機34の一部のギヤ(後述する第1カウンタギヤ機構3のギヤ(G31、G32))と、伝動ギヤ列GTの少なくとも一部のギヤ(アイドラギヤG61、第2分配入力ギヤG13)とを、軸方向視で重複するように配置することができる。第2分配入力ギヤG13については、変速機34の他の一部のギヤ(後述する第2カウンタギヤ機構4のギヤ(G41、G42、G43))とも軸方向視で重複する。従って、ロータ21と第3分配用回転要素(リングギヤRG)との間の動力伝達を行う伝動ギヤ列GTと、変速機34を構成するギヤとの干渉を避けつつ、これらを適切に配置することができる。
分配用差動歯車機構10は、回転速度の順に、第1分配回転要素、第2分配回転要素、第3分配回転要素を備えている。ここで、「回転速度の順」とは、各回転要素の回転状態における回転速度の順番のことである。本実施形態において、分配用差動歯車機構10は、サンギヤSGとキャリヤCAとリングギヤRGとを備えた遊星歯車機構である。具体的には、分配用差動歯車機構10は、ピニオンギヤPGを支持するキャリヤCAと、ピニオンギヤPGに噛み合うサンギヤSGと、サンギヤSGに対して径方向の外側に配置されてピニオンギヤPGに噛み合うリングギヤRGとを備えたシングルピニオン型の遊星歯車機構である。キャリヤCAはピニオンシャフトPSを支持しており、ピニオンギヤPGは、ピニオンシャフトPSに回転自在に支持されることによってキャリヤCAに支持されている。
本実施形態では、サンギヤSGが第1分配用回転要素であり、内燃機関1の側からの動力が入力される第1分配入力ギヤである。また、リングギヤRGは第3分配回転要素であり、リングギヤRGと一体的に回転するようにリングギヤRGの径方向外側に形成されたギヤは、回転電機2の側からの動力が入力される第2分配入力ギヤG13である。キャリヤCAは、第2分配用回転要素であり、キャリヤCAにはキャリヤCAと一体的に回転するように分配出力ギヤG11が連結されている。
尚、後述するように本実施形態の車両用駆動装置100は、いわゆる電気式のトルクコンバータモード(eTCモード)が実現可能に構成されている。即ち、第1分配用回転要素であるサンギヤSGは内燃機関1からの動力が伝達される入力回転要素であり、第3分配用回転要素であるリングギヤRGは回転電機2からの反力が伝達される入力回転要素であり、第2分配用回転要素であるキャリヤCAは、出力回転要素である。
第1軸A1に配置された第1係合装置C1は、分配出力ギヤG11と入力軸X12との間の動力伝達を断接することによって、第1分配用回転要素、第2分配用回転要素、及び第3分配用回転要素の3つの回転要素のうちから選択される2つの間の動力伝達を断接する。分配出力ギヤG11は第2分配用回転要素であるキャリヤCAと一体的に回転し、入力軸X12は第1分配用回転要素であるサンギヤSGと一体的に回転する。第1係合装置C1が係合状態となって、分配出力ギヤG11と入力軸X12とが一体的に回転するように連結されると、キャリヤCAとサンギヤSGとが一体回転するように連結される。つまり、分配用差動歯車機構10の3つの回転要素が互いに一体的に回転する状態となる。
変速機34は、第3軸A3上に配置された第1カウンタギヤ機構3と、第4軸A4上に配置された第2カウンタギヤ機構4とを含む。第1カウンタギヤ機構3は、第3軸A3上に配置された第1カウンタ軸X3と常時一体的に回転するように第1カウンタ軸X3に連結された第1カウンタドライブギヤG32と、第1カウンタ軸X3に係合装置を介して駆動連結されて第1カウンタ軸X3との間で動力を断接可能に配置された第1カウンタドリブンギヤG31とを備えている。第2カウンタギヤ機構4は、第4軸A4上に配置された第2カウンタ軸X4と常時一体的に回転するように第2カウンタ軸X4に連結された第2カウンタドライブギヤG42と、第2カウンタ軸X4に係合装置を介して駆動連結されて第2カウンタ軸X4との間で動力を断接可能に配置された第2カウンタドリブンギヤG41とを備えている。第1カウンタドライブギヤG32及び第2カウンタドライブギヤG42は、それぞれ出力用差動歯車機構50に対する差動入力回転要素である差動入力ギヤG51と噛み合っている。
上述したように、第1軸A1上には、第2分配用回転要素と一体的に回転する分配出力ギヤG11と、入力軸X12と一体的に回転する第1入力ギヤG12とが配置されており、これらのギヤも変速機34を構成している。分配出力ギヤG11は、第1カウンタドリブンギヤG31と噛み合っており、第1入力ギヤG12は、第2カウンタドリブンギヤG41と噛み合っている。
また、上述したように、変速機34は、第1軸A1及び第2軸A2とは異なる軸上に配置された変速用係合装置を備えている。本実施形態では、変速用係合装置として、少なくとも第2係合装置C2と第3係合装置C3とを備えている。第2係合装置C2は、第3軸A3上に配置され、第1カウンタギヤ機構3における動力の伝達を断接する。具体的には、第1カウンタドリブンギヤG31と第1カウンタ軸X3との間の動力伝達を断接することによって、第1カウンタドリブンギヤG31と第1カウンタドライブギヤG32との間の動力伝達を断接するように構成されている。第3係合装置C3は、第4軸A4上に配置され、第2カウンタギヤ機構4における動力の伝達を断接する。具体的には、第2カウンタドリブンギヤG41と第2カウンタ軸X4との間の動力伝達を断接することによって、第2カウンタドリブンギヤG41と第2カウンタドライブギヤG42との間の動力伝達を断接するように構成されている。
尚、第2カウンタギヤ機構4は、第4軸A4上に配置され、第1カウンタドリブンギヤG31に噛み合うリバースアイドラギヤG43をさらに備えている。また、変速機34は、変速用係合装置として、第2カウンタギヤ機構4における動力の伝達を断接する第4係合装置C4をさらに備えている。第4係合装置C4は、リバースアイドラギヤG43と第2カウンタ軸X4との間の動力伝達を断接することによって、リバースアイドラギヤG43と第2カウンタドライブギヤG42との間の動力伝達を断接するように構成されている。尚、第4係合装置C4と同様に第2カウンタ軸X4とギヤとの間の動力伝達を断接する第3係合装置C3と、第4係合装置C4とは、それぞれ排他的に第2カウンタ軸X4とギヤとの間で動力が伝達されるように係合状態となる。
第5軸A5上に配置された出力用差動歯車機構50は、本実施形態では、傘歯車型の差動歯車機構である。具体的には、出力用差動歯車機構50は、中空の差動ケース51と、差動ケース51と一体的に回転するように支持された差動ピニオンシャフト52と、差動ピニオンシャフト52に対して回転可能に支持された複数の差動ピニオンギヤ53と、差動ピニオンギヤ53に噛み合う一対のサイドギヤ55とを備えている。差動ケース51には、差動ピニオンシャフト52、差動ピニオンギヤ53、及びサイドギヤ55が収容されている。一対のサイドギヤ55のそれぞれは、ドライブシャフト等を介して一対の車輪Wに駆動連結されている。差動ケース51には、差動ケース51の径方向外側に突出するように、差動入力ギヤG51が連結されている。出力用差動歯車機構50は、差動入力回転要素としての差動入力ギヤG51に入力される回転を一対の車輪Wに分配する。差動入力ギヤG51は、出力部材ということができる。また、サイドギヤ55も出力部材ということができる。本実施形態では、出力用差動歯車機構50及び差動入力ギヤG51により、出力用差動歯車装置5が構成されている。
本実施形態では、入力用係合装置K0、第1係合装置C1、第2係合装置C2、第3係合装置C3、第4係合装置C4は、噛み合い式係合装置(ドグクラッチ)である。具体的には、図1に示すように、それぞれの係合装置は、ソレノイド、モータ、油圧シリンダ等のアクチュエータによって軸方向Lに移動可能な係合部材S(ドグスリーブ)と、被係合部T(ドグティース)とを備えている。係合部材Sがスライドして、被係合部Tと係合部材Sとが連結することによって、係合部材Sが連結された回転部材と被係合部Tが連結された回転部材との2つの回転部材が連結された状態となり、これら2つの回転部材が一体的に回転する。
排他的に係合状態となる第3係合装置C3と第4係合装置C4とは、係合部材Sが共通しており、第3係合装置C3の被係合部Tが係合部材Sと係合している場合は、第4係合装置C4の被係合部Tは係合部材Sとは係合せず第4係合装置C4は解放状態となる。反対に、第4係合装置C4の被係合部Tが係合部材Sと係合している場合は、第3係合装置C3の被係合部Tは係合部材Sとは係合せず第3係合装置C3は解放状態となる。当然ながら、係合部材Sは、第3係合装置C3の被係合部T及び第4係合装置C4の被係合部Tの双方と係合しない状態も取り得る。この場合には、第3係合装置C3及び第4係合装置C4の双方が解放状態となる。
車両用駆動装置100は、入力用係合装置K0、第1係合装置C1、第2係合装置C2、第3係合装置C3、第4係合装置C4により、動力伝達の状態を切り替えることによって、複数の動作モードを実現することができる。下記の表1は、車両用駆動装置100の各動作モードにおける係合装置の状態を示している。表1において、「ON」は対象の係合装置が係合状態であることを示し、「---」は対象の係合装置が解放状態であることを示している。
表1に示すように、本実施形態では、車両用駆動装置100は、動作モードとして、少なくとも、2つの電気自動車モード(EVモード)、2つのハイブリッドモード(HVモード)、電気式のトルクコンバータモード(eTCモード)、リバースモード(REVモード)、パーキングモード(Pモード)が可能である。上述したように、本実施形態の車両用駆動装置100は、変速機34を備えており、EVモード、HVモードのそれぞれにおいて2の変速段を形成可能である。このため、EVモードには、低速段であるEV第1モード(EV1)と、高速段であるEV第2モード(EV2)とが含まれる。また、HVモードには、低速段であるHV第1モード(HV1)と、高速段であるHV第2モード(HV2)とが含まれる。本実施形態の車両用駆動装置100は、内燃機関1及び回転電機2の駆動力により車輪Wを駆動するパラレルハイブリッドの構成を有している。このため、本実施形態において実現されるHV第1モードはパラレル第1モード、HV第2モードはパラレル第2モードと称することもできる。
EVモードでは、入力用係合装置K0が解放状態とされる。これにより、内燃機関1の駆動力は入力軸X12には伝達されず、内燃機関1が分配用差動歯車機構10から分離される。また、第1係合装置C1が係合状態とされることにより、分配用差動歯車機構10の3つの回転要素が互いに一体的に回転する状態となる。伝動ギヤ列GT(第2入力ギヤG21、アイドラギヤG61、第2分配入力ギヤG13)を介してロータ21から分配用差動歯車機構10に伝達された動力は、それぞれ分配出力ギヤG11及び第1入力ギヤG12を介して、第1カウンタギヤ機構3及び第2カウンタギヤ機構4に伝達される。
EV第1モードでは、第2係合装置C2が係合状態であり、第3係合装置C3が解放状態である。従って、分配出力ギヤG11と噛み合う第1カウンタドリブンギヤG31に伝達された動力が、第1カウンタ軸X3を介して第1カウンタドライブギヤG32に伝達され、第1カウンタドライブギヤG32と噛み合う差動入力ギヤG51に伝達される。分配出力ギヤG11と差動入力ギヤG51との間における、第1カウンタドリブンギヤG31、第2係合装置C2、第1カウンタ軸X3、第1カウンタドライブギヤG32を経由する動力伝達経路は、第1伝達経路である。
EV第2モードでは、第3係合装置C3が係合状態であり、第2係合装置C2が解放状態である。従って、第1入力ギヤG12と噛み合う第2カウンタドリブンギヤG41に伝達された動力が、第2カウンタ軸X4を介して第2カウンタドライブギヤG42に伝達され、第2カウンタドライブギヤG42と噛み合う差動入力ギヤG51に伝達される。入力軸X12に連結された第1入力ギヤG12と差動入力ギヤG51との間における、第2カウンタドリブンギヤG41、第3係合装置C3、第2カウンタ軸X4、第2カウンタドライブギヤG42を経由する動力伝達経路は、第2伝達経路である。
第1伝達経路の変速比と第2伝達経路の変速経路の変速比とは異なっており、第1伝達経路の変速比の方が、第2伝達経路の変速経路の変速比よりも高い。尚、変速段が形成される際の伝達経路は、EVモードとHVモードとで共通である。
HVモードでは、入力用係合装置K0が係合状態とされる。これにより、内燃機関1の駆動力が入力軸X12に伝達され、内燃機関1が回転電機2と共に分配用差動歯車機構10に駆動連結される。また、第1係合装置C1が係合状態とされることにより、分配用差動歯車機構10の3つの回転要素が互いに一体的に回転する状態となる。
HV第1モードでは、EV第1モードと同様に第2係合装置C2が係合状態であり、第3係合装置C3が解放状態である。従って、第1伝達経路を介して、出力部材としての差動入力ギヤG51に、内燃機関1及び回転電機2の動力が伝達される。
HV第2モードでは、EV第2モードと同様に第3係合装置C3が係合状態であり、第2係合装置C2が解放状態である。従って、第2伝達経路を介して、出力部材としての差動入力ギヤG51に、内燃機関1及び回転電機2の動力が伝達される。
eTCモードは、分配用差動歯車機構10により、回転電機2のトルクを反力として内燃機関1のトルクを増幅して出力部材の側に伝達し、車両を走行させるモードである。このモードは、車両の発進時等、車速が比較的低い場合に選択される。表1に示すように、eTCモードでは、入力用係合装置K0が係合状態であり、内燃機関1の動力が入力軸X12を介して分配用差動歯車機構10に伝達される。第1係合装置C1は、解放状態であるため、分配用差動歯車機構10の3つの回転要素は必ずしも一体的には回転しない。eTCモードは上述したように車速が比較的低い場合に選択される動作モードである。従って、低速側の変速段が形成される第1伝達経路を介して差動入力ギヤG51に動力が伝達されるように、第2係合装置C2が係合状態であり、第3係合装置C3が解放状態である。
REVモードでは、第1カウンタギヤ機構3及び第2カウンタギヤ機構4の双方を動力伝達経路として用いることによって、回転方向を逆転させている。第2係合装置C2を解放状態にすることにより、第1カウンタドリブンギヤG31に伝達された動力は第1カウンタ軸X3及び第1カウンタドライブギヤG32に伝達されない。第1カウンタドリブンギヤG31は、リバースアイドラギヤG43と噛み合っており、第1カウンタドリブンギヤG31に伝達された動力は、リバースアイドラギヤG43に伝達される。ここで、第4係合装置C4を係合状態とすることにより、リバースアイドラギヤG43に伝達された動力は第2カウンタ軸X4に伝達される。第2カウンタドリブンギヤG41と第2カウンタ軸X4とを連結する第3係合装置C3も解放状態であるため、第2カウンタ軸X4にはリバースアイドラギヤG43を介して伝達された動力のみが第2カウンタドライブギヤG42を介して差動入力ギヤG51に伝達される。第1カウンタドリブンギヤG31、リバースアイドラギヤG43、第2カウンタドライブギヤG42の3つのギヤを経由することによって、第1カウンタドリブンギヤG31及び第1カウンタドライブギヤG32の2つのギヤを経由する第1伝達経路とは逆方向の回転が差動入力ギヤG51に伝達される。
尚、表1には、入力用係合装置K0が係合状態であるHVモードにおけるREVモードを例示しているが、入力用係合装置K0が解放状態であるEVモードにおいても同様にREVモードを実現することができる。
また、第1係合装置C1と第3係合装置C3とを解放状態とし、第2係合装置C2と第4係合装置C4とを係合状態とすることにより、差動入力ギヤG51に噛み合う第1カウンタドライブギヤG32及び第2カウンタドライブギヤG42の回転方向を互いに逆方向として、差動入力ギヤG51の回転を止めることができる。例えば、車両を停車させている際に、第1係合装置C1、第2係合装置C2、第3係合装置C3、第4係合装置C4をこのような状態とすることで、ギヤによるパーキングブレーキを実現することができる。また、この際、入力用係合装置K0を係合状態とすることによって、内燃機関1の動力によって回転電機2のロータ21を回転させて、回転電機2に発電させることができる。表1には、入力用係合装置K0を係合状態として回転電機2に発電させる形態を例示している。
また、パーキングモードにおいてさらに第1係合装置C1を係合しておくことで、発進準備モードとすることもできる。パーキングモードから第4係合装置C4を解放状態にして、EV第1モード或いはHV第1モードにおいて、回転電機2のトルクを用いて発進を迅速に行うことができる。また、例えば、坂道等においてパーキングモードが形成された場合には、第2係合装置C2及び第4係合装置C4に車両の重量に相当するトルクが作用する。この状態において、第1係合装置C1を係合することで、当該トルクを回転電機2のトルクにより相殺させ、第2係合装置C2や第4係合装置C4の負荷を軽減させることもできる。
本実施形態の車両用駆動装置100は、このように多くの動作モードを実現することができる。複数の動作モードを実現するために必要な複数のギヤや係合装置が、1つの軸上に配置され、しかも広範囲に亘って分散して配置されていると、車両用駆動装置100の軸方向Lの長さが大きくなるが、本実施形態の車両用駆動装置100では、係合装置の軸方向Lの配置領域を制限することによって車両用駆動装置100の小型化を実現している。
図1に示すように、第1係合装置C1及び変速用係合装置(少なくとも第2係合装置C2、第3係合装置C3)は、軸方向Lにおける伝動ギヤ列GTの軸方向第1側L1の端部と回転電機2の軸方向第2側L2の端部との間に収まるように配置されている。本実施形態では、変速用係合装置としてさらにREVモードにおける後進段を形成するための第4係合装置C4も備えており、第4係合装置C4も、軸方向Lにおける伝動ギヤ列GTの軸方向第1側L1の端部と回転電機2の軸方向第2側L2の端部との間に収まるように配置されている。ここで、伝動ギヤ列GTの軸方向第1側L1の端部は、伝動ギヤ列GTを構成する第2入力ギヤG21、アイドラギヤG61、第2分配入力ギヤG13のそれぞれの歯面の軸方向第1側L1の端部のうち、最も軸方向第1側L1となる位置である。また、回転電機2の軸方向第2側L2の端部は、ステータ22における軸方向第2側L2のコイルエンド部23eの軸方向第2側L2の端部である。
このように、本実施形態の車両用駆動装置100は、
内燃機関1の出力軸である内燃機関出力軸X11と同軸の第1軸A1上に配置され、内燃機関出力軸X11に駆動連結される入力軸X12と、
第1軸A1とは異なる第2軸A2上に配置され、ロータ21を備えた回転電機2と、
第1軸A1上に配置され、第1分配用回転要素(サンギヤSG)、第2分配用回転要素(キャリヤCA)、及び第3分配用回転要素(リングギヤRG)を備え、第1分配用回転要素(サンギヤSG)が入力軸X12に駆動連結され、第3分配用回転要素(リングギヤRG)がロータ21に駆動連結された分配用差動歯車機構10と、
差動入力回転要素(差動入力ギヤG51)に入力される回転を一対の車輪Wに分配する出力用差動歯車機構50と、
第2軸A2とは異なる軸上に配置された変速用係合装置(少なくとも第2係合装置C2、第3係合装置C3)を備え、第1軸A1上に配置された何れかの回転要素(分配出力ギヤG11、第1入力ギヤG12)の回転を変速して差動入力回転要素(差動入力ギヤG51)に伝達する変速機34と、
第1軸A1に平行な方向を軸方向Lとし、軸方向Lの一方側を軸方向第1側L1として、ロータ21に対して軸方向第1側L1に配置されてロータ21と第3分配用回転要素(リングギヤRG)との間の動力伝達を行う複数のギヤである伝動ギヤ列GTと、
第1軸A1上に配置され、第1分配用回転要素(サンギヤSG)、第2分配用回転要素(キャリヤCA)、及び第3分配用回転要素(リングギヤRG)の3つの回転要素のうちから選択される2つの間の動力伝達を断接する第1係合装置C1と、を備え、
軸方向Lの他方側を軸方向第2側L2として、第1係合装置C1及び変速用係合装置(少なくとも第2係合装置C2、第3係合装置C3)が、軸方向Lにおける伝動ギヤ列GTの軸方向第1側L1の端部と回転電機2の軸方向第2側L2の端部との間に収まるように配置されている。
内燃機関1の出力軸である内燃機関出力軸X11と同軸の第1軸A1上に配置され、内燃機関出力軸X11に駆動連結される入力軸X12と、
第1軸A1とは異なる第2軸A2上に配置され、ロータ21を備えた回転電機2と、
第1軸A1上に配置され、第1分配用回転要素(サンギヤSG)、第2分配用回転要素(キャリヤCA)、及び第3分配用回転要素(リングギヤRG)を備え、第1分配用回転要素(サンギヤSG)が入力軸X12に駆動連結され、第3分配用回転要素(リングギヤRG)がロータ21に駆動連結された分配用差動歯車機構10と、
差動入力回転要素(差動入力ギヤG51)に入力される回転を一対の車輪Wに分配する出力用差動歯車機構50と、
第2軸A2とは異なる軸上に配置された変速用係合装置(少なくとも第2係合装置C2、第3係合装置C3)を備え、第1軸A1上に配置された何れかの回転要素(分配出力ギヤG11、第1入力ギヤG12)の回転を変速して差動入力回転要素(差動入力ギヤG51)に伝達する変速機34と、
第1軸A1に平行な方向を軸方向Lとし、軸方向Lの一方側を軸方向第1側L1として、ロータ21に対して軸方向第1側L1に配置されてロータ21と第3分配用回転要素(リングギヤRG)との間の動力伝達を行う複数のギヤである伝動ギヤ列GTと、
第1軸A1上に配置され、第1分配用回転要素(サンギヤSG)、第2分配用回転要素(キャリヤCA)、及び第3分配用回転要素(リングギヤRG)の3つの回転要素のうちから選択される2つの間の動力伝達を断接する第1係合装置C1と、を備え、
軸方向Lの他方側を軸方向第2側L2として、第1係合装置C1及び変速用係合装置(少なくとも第2係合装置C2、第3係合装置C3)が、軸方向Lにおける伝動ギヤ列GTの軸方向第1側L1の端部と回転電機2の軸方向第2側L2の端部との間に収まるように配置されている。
この構成によれば、入力軸X12及び分配用差動歯車機構10が配置された第1軸A1及び変速機34が配置された軸とは異なる第2軸A2上に回転電機2が配置されている。また、第1係合装置C1及び変速用係合装置(少なくとも第2係合装置C2、第3係合装置C3)が、軸方向Lにおける伝動ギヤ列GTの軸方向第1側L1の端部と回転電機2の軸方向第2側L2の端部との間に収まるように配置されている。そのため、入力軸X12、回転電機2、分配用差動歯車機構10、及び変速機34を備えた車両用駆動装置100の軸方向寸法を小さく抑え易い。従って、内燃機関1及び回転電機2の駆動力を車輪Wの駆動力源とし、これらの駆動力を分割する分配用差動歯車機構10と変速機34とを備えた車両用駆動装置100をより小型に構成することができる。
本実施形態では、第1係合装置C1及び変速用係合装置(少なくとも第2係合装置C2、第3係合装置C3)は、軸方向Lにおける伝動ギヤ列GTの軸方向第2側L2の端部と回転電機2の軸方向第2側L2の端部との間に収まるように配置されている。また、第1係合装置C1及び変速用係合装置に加え、入力用係合装置K0も、軸方向Lにおける伝動ギヤ列GTの軸方向第2側L2の端部と回転電機2の軸方向第2側L2の端部との間に収まるように配置されている。ここで、伝動ギヤ列GTの軸方向第2側L2の端部は、伝動ギヤ列GTを構成する第2入力ギヤG21、アイドラギヤG61、第2分配入力ギヤG13のそれぞれの歯面の軸方向第2側L2の端部のうち、最も軸方向第2側L2となる位置である。
さらに本実施形態では、第1係合装置C1及び変速用係合装置(少なくとも第2係合装置C2、第3係合装置C3)は、軸方向Lにおける伝動ギヤ列GTの軸方向第2側L2の端部と回転電機2のステータ22を構成するステータコア22cの軸方向第2側L2の端部との間に収まるように配置されている。これらの構成により、車両用駆動装置100のさらなる小型化を図っている。
本実施形態の車両用駆動装置100では、ギヤや係合装置の軸方向Lの配置領域を重複させることや、軸方向視においてギヤを重複させて配置することによって、車両用駆動装置100のさらなる小型化を図っている。
図1に示すように、第1係合装置C1及び変速用係合装置(少なくとも第2係合装置C2、第3係合装置C3)が、回転電機2の軸方向Lの配置領域内に収まるように配置されている。本実施形態では、変速用係合装置としてさらにREVモードにおける後進段を形成するための第4係合装置C4も備えており、第4係合装置C4も、回転電機2の軸方向Lの配置領域内に収まるように配置されている。ここで、回転電機2の軸方向Lの配置領域とは、ステータコイル23がステータコア22cから軸方向Lに突出したコイルエンド部23eの配置領域を含んでもよい。この場合、軸方向第1側L1のコイルエンド部23eの軸方向第1側L1の端部と軸方向第2側L2のコイルエンド部23eの軸方向第2側L2の端部との間の領域が、回転電機2の軸方向Lの配置領域である。しかし、第1係合装置C1及び変速用係合装置が、回転電機2のロータコア21c及びステータコア22cの軸方向Lの配置領域内に収まるように配置されているとより好適である。
本実施形態では、入力軸X12及び分配用差動歯車機構10が配置された第1軸A1及び変速機34が配置された軸(第3軸A3、第4軸A4)とは異なる第2軸A2上に回転電機2が配置されている。また、第1係合装置C1及び変速用係合装置(少なくとも第2係合装置C2及び第3係合装置C3)が回転電機2の軸方向Lの配置領域内に収まるように配置されている。
本実施形態では、図1に示すように、第1係合装置C1、第2係合装置C2、第3係合装置C3、第4係合装置C4の軸方向Lにおける配置位置がほぼ同じであり、軸方向Lの配置領域が互いに重複している。従って、第1係合装置C1及び変速用係合装置(第2係合装置C2、第3係合装置C3、第4係合装置C4)が回転電機2の軸方向Lの配置領域内に収まるように配置し易い。
このように、
第1係合装置C1及び変速用係合装置(少なくとも第2係合装置C2、第3係合装置C3)が、回転電機2の軸方向Lの配置領域内に収まるように配置されている。
第1係合装置C1及び変速用係合装置(少なくとも第2係合装置C2、第3係合装置C3)が、回転電機2の軸方向Lの配置領域内に収まるように配置されている。
この構成によれば、第1係合装置C1及び変速用係合装置(少なくとも第2係合装置C2、第3係合装置C3)を回転電機2の軸方向Lの配置領域内に収めて、車両用駆動装置100の軸方向Lの寸法をさらに小さく抑えることができる。よって、車両用駆動装置100をさらに小型に構成することができる。
ここで、上述した分配出力ギヤG11を第1ギヤとし、第1入力ギヤG12を第2ギヤとし、第1カウンタドリブンギヤG31を第3ギヤとし、第2カウンタドリブンギヤG41を第4ギヤとし、第1カウンタドライブギヤG32を第5ギヤとし、第2カウンタドライブギヤG42を第6ギヤとし、リバースアイドラギヤG43を第7ギヤとする。第2分配用回転要素(キャリヤCA)と出力部材(差動入力回転要素、差動入力ギヤG51)との間の動力伝達経路である第1伝達経路には、第1ギヤ、第3ギヤ、第5ギヤが含まれる。また、入力部材(入力軸X12)と出力部材との間の動力伝達経路である第2伝達経路には、第2ギヤ、第4ギヤ、第6ギヤが含まれる。また、後進段が形成される際の動力伝達経路を第3伝達経路とすると、第3伝達経路には、第1ギヤ、第3ギヤ、第7ギヤ、第6ギヤが含まれる。
そして、
変速機34は、
第1軸A1上に配置され、第2分配用回転要素(キャリヤCA)と一体的に回転する第1ギヤ(分配出力ギヤG11)と、
第1軸A1上に配置され、入力軸X12と一体的に回転する第2ギヤ(第1入力ギヤG12)と、
第1軸A1及び第2軸A2とは異なる第3軸A3上に配置され、第1ギヤ(分配出力ギヤG11)に噛み合う第3ギヤ(第1カウンタドリブンギヤG31)と、
第1軸A1、第2軸A2、及び第3軸A3とは異なる第4軸A4上に配置され、第2ギヤ(第1入力ギヤG12)に噛み合う第4ギヤ(第2カウンタドリブンギヤG41)と、
第3軸A3上に配置され、差動入力回転要素としての差動入力ギヤG51に噛み合う第5ギヤ(第1カウンタドライブギヤG32)と、
第4軸A4上に配置され、差動入力ギヤG51に噛み合う第6ギヤ(第2カウンタドライブギヤG42)と、を備えると共に、
変速用係合装置として、第2係合装置C2と第3係合装置C3とを備え、
第2係合装置C2は、第3軸A3上に配置され、第3ギヤ(第1カウンタドリブンギヤG31)と第5ギヤ(第1カウンタドライブギヤG32)との間の動力伝達を断接するように構成され、
第3係合装置C3は、第4軸A4上に配置され、第4ギヤ(第2カウンタドリブンギヤG41)と第6ギヤ(第2カウンタドライブギヤG42)との間の動力伝達を断接するように構成され、
第1係合装置C1と、第2係合装置C2と、第3係合装置C3との軸方向Lの配置領域は互いに重複している。
変速機34は、
第1軸A1上に配置され、第2分配用回転要素(キャリヤCA)と一体的に回転する第1ギヤ(分配出力ギヤG11)と、
第1軸A1上に配置され、入力軸X12と一体的に回転する第2ギヤ(第1入力ギヤG12)と、
第1軸A1及び第2軸A2とは異なる第3軸A3上に配置され、第1ギヤ(分配出力ギヤG11)に噛み合う第3ギヤ(第1カウンタドリブンギヤG31)と、
第1軸A1、第2軸A2、及び第3軸A3とは異なる第4軸A4上に配置され、第2ギヤ(第1入力ギヤG12)に噛み合う第4ギヤ(第2カウンタドリブンギヤG41)と、
第3軸A3上に配置され、差動入力回転要素としての差動入力ギヤG51に噛み合う第5ギヤ(第1カウンタドライブギヤG32)と、
第4軸A4上に配置され、差動入力ギヤG51に噛み合う第6ギヤ(第2カウンタドライブギヤG42)と、を備えると共に、
変速用係合装置として、第2係合装置C2と第3係合装置C3とを備え、
第2係合装置C2は、第3軸A3上に配置され、第3ギヤ(第1カウンタドリブンギヤG31)と第5ギヤ(第1カウンタドライブギヤG32)との間の動力伝達を断接するように構成され、
第3係合装置C3は、第4軸A4上に配置され、第4ギヤ(第2カウンタドリブンギヤG41)と第6ギヤ(第2カウンタドライブギヤG42)との間の動力伝達を断接するように構成され、
第1係合装置C1と、第2係合装置C2と、第3係合装置C3との軸方向Lの配置領域は互いに重複している。
本実施形態では、変速機34を構成する6つのギヤ及び2つの係合装置が、第1軸A1と第3軸A3と第4軸A4とに分かれて配置され、且つ第1係合装置C1と2つの変速用係合装置(第2係合装置C2、第3係合装置C3)との軸方向Lの配置領域が互いに重複しているため、車両用駆動装置100の軸方向Lの寸法を小さく抑え易い。
また、
第1軸A1上に配置され、内燃機関出力軸X11と第1分配用回転要素(サンギヤSG)との間の動力伝達を断接する入力用係合装置K0をさらに備え、
入力用係合装置K0の軸方向Lの配置領域と、第5ギヤ(第1カウンタドライブギヤG32)及び第6ギヤ(第2カウンタドライブギヤG42)の軸方向Lの配置領域とが重複している。
第1軸A1上に配置され、内燃機関出力軸X11と第1分配用回転要素(サンギヤSG)との間の動力伝達を断接する入力用係合装置K0をさらに備え、
入力用係合装置K0の軸方向Lの配置領域と、第5ギヤ(第1カウンタドライブギヤG32)及び第6ギヤ(第2カウンタドライブギヤG42)の軸方向Lの配置領域とが重複している。
このような構成により、入力用係合装置K0と第5ギヤ(第1カウンタドライブギヤG32)及び第6ギヤ(第2カウンタドライブギヤG42)との軸方向Lの配置領域が重複しない場合に比べて、車両用駆動装置100の軸方向Lの寸法を小さく抑え易い。
上述したように、
変速機34は、第4軸A4上に配置され、第3ギヤ(第1カウンタドリブンギヤG31)に噛み合う第7ギヤ(リバースアイドラギヤG43)をさらに備えると共に、変速用係合装置として第4係合装置C4をさらに備え、
第4係合装置C4は、第4軸A4上に配置され、第7ギヤ(リバースアイドラギヤG43)と第6ギヤ(第2カウンタドライブギヤG42)との間の動力伝達を断接するように構成されている。
変速機34は、第4軸A4上に配置され、第3ギヤ(第1カウンタドリブンギヤG31)に噛み合う第7ギヤ(リバースアイドラギヤG43)をさらに備えると共に、変速用係合装置として第4係合装置C4をさらに備え、
第4係合装置C4は、第4軸A4上に配置され、第7ギヤ(リバースアイドラギヤG43)と第6ギヤ(第2カウンタドライブギヤG42)との間の動力伝達を断接するように構成されている。
このような構成により、第1ギヤ(分配出力ギヤG11)、第3ギヤ(第1カウンタドリブンギヤG31)、第5ギヤ(第1カウンタドライブギヤG32)を介して動力が伝達される前進の変速段と、第2ギヤ(第1入力ギヤG12)、第4ギヤ(第2カウンタドリブンギヤG41)、第6ギヤ(第2カウンタドライブギヤG42)を介して動力が伝達される前進の他の変速段とに加えて、第1ギヤ(分配出力ギヤG11)、第3ギヤ(第1カウンタドリブンギヤG31)、第7ギヤ(リバースアイドラギヤG43)、第6ギヤ(第2カウンタドライブギヤG42)を介して動力が伝達される後進段を形成することができる。そして、第3ギヤ(第1カウンタドリブンギヤG31)を、前進段を形成するためのギヤと後進段を形成するためのギヤとに共用することができる。従って、変速機34を構成するギヤの数を少なく抑えることができ、車両用駆動装置100の小型化を図り易い。
また、上述したように、第2係合装置C2と第4係合装置C4とは噛み合い式係合装置である。第2係合装置C2と第4係合装置C4との双方を係合状態とすることにより、差動入力ギヤG51が回転しないようにロックすることができる。従って、別途パーキングロック機構を備える必要をなくすことができる。
また、
伝動ギヤ列GTは、変速機34に対して内燃機関1が配置された側(軸方向第2側L2)とは反対側に配置され、
伝動ギヤ列GTの少なくとも一部のギヤは、変速機34における、第1軸A1及び第2軸A2とは異なる軸(ここでは第3軸A3、第4軸A4)上に配置されたギヤと、軸方向Lに沿う軸方向視で重複するように配置されている。
伝動ギヤ列GTは、変速機34に対して内燃機関1が配置された側(軸方向第2側L2)とは反対側に配置され、
伝動ギヤ列GTの少なくとも一部のギヤは、変速機34における、第1軸A1及び第2軸A2とは異なる軸(ここでは第3軸A3、第4軸A4)上に配置されたギヤと、軸方向Lに沿う軸方向視で重複するように配置されている。
より具体的には、本実施形態の伝動ギヤ列GTは、第2入力ギヤG21、アイドラギヤG61、第2分配入力ギヤG13を含む。これらのうち、アイドラギヤG61は、第3軸A3上に配置された第1カウンタドリブンギヤG31及び第1カウンタドライブギヤG32と軸方向視で重複するように配置されている。また、第2分配入力ギヤG13は、第3軸A3上に配置された第1カウンタドリブンギヤG31及び第1カウンタドライブギヤG32、第4軸A4上に配置された第2カウンタドリブンギヤG41、第2カウンタドライブギヤG42及びリバースアイドラギヤG43と軸方向視で重複するように配置されている。
伝動ギヤ列GTの軸方向Lの配置領域が、変速機34の軸方向Lの配置領域とずれていることにより、伝動ギヤ列GTの少なくとも一部のギヤと変速機34の一部のギヤとを、軸方向視で重複するように配置することができる。従って、ロータ21と第3分配用回転要素(リングギヤRG)との間の動力伝達を行う伝動ギヤ列GTと、変速機34を構成するギヤとの干渉を避けつつ、これらを適切に配置することができる。よって、軸方向Lの寸法に留まらず、車両用駆動装置100の径方向寸法も小さく抑え易い。
〔第2実施形態〕
車両用駆動装置の第2実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、変速機34の具体的構成が第1実施形態のものとは異なっている。以下、本実施形態の車両用駆動装置100について、主に第1実施形態との相違点について説明する。なお、特に明記しない点に関しては、第1実施形態と同様であり、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
車両用駆動装置の第2実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、変速機34の具体的構成が第1実施形態のものとは異なっている。以下、本実施形態の車両用駆動装置100について、主に第1実施形態との相違点について説明する。なお、特に明記しない点に関しては、第1実施形態と同様であり、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
図4及び図5に示すように、車両用駆動装置100は、第1軸A1上に配置されて内燃機関1に駆動連結された入力軸X12(入力部材)と、第2軸A2上に配置されてロータ21を備えた回転電機2と、入力軸X12及びロータ21に駆動連結された分配用差動歯車機構10とを備えている。本実施形態の車両用駆動装置100は、第1軸A1及び第2軸A2の他、第3軸A3’、第4軸A4’、第5軸A5’も備えている。第1軸A1から第5軸A5’の各軸は互いに平行な別軸である。
本実施形態では、第1軸A1上に、入力用係合装置K0と分配用差動歯車機構10と第1係合装置C1と変速用係合装置(第2係合装置C2、第3係合装置C3、第4係合装置C4)とが配置されている。分配用差動歯車機構10、第1係合装置C1、第2係合装置C2、第3係合装置C3、第4係合装置C4、及び入力用係合装置K0は、軸方向第1側L1から軸方向第2側L2に向かって記載の順に配置されている。また、第3軸A3’上にカウンタギヤ機構30が配置され、第4軸A4’上に出力用差動歯車機構50が配置され、第5軸A5’上にアイドラギヤG61が配置されている。
本実施形態では、内燃機関1又は回転電機2からの動力を変速機34に伝達するための分配出力ギヤG11及び第1入力ギヤG12が、入力軸X12に対して相対回転可能に設けられている。分配出力ギヤG11は、軸方向Lにおける第2係合装置C2と第3係合装置C3との間に配置され、第1入力ギヤG12は、軸方向Lにおける第4係合装置C4と入力用係合装置K0との間に配置されている。
本実施形態の変速機34は、第1軸A1上に配置された変速用係合装置(第2係合装置C2、第3係合装置C3、第4係合装置C4)と、第3軸A3’上に配置されたカウンタギヤ機構30とを含む。
変速用係合装置を構成する第2係合装置C2は、本実施形態では、第2分配用回転要素であるキャリヤCAと分配出力ギヤG11との間の動力伝達を断接するように構成されている。第3係合装置C3は、本実施形態では、第1分配用回転要素であるサンギヤSG及びそれと一体的に回転する入力軸X12と分配出力ギヤG11との間の動力伝達を断接するように構成されている。第4係合装置C4は、本実施形態では、第1分配用回転要素であるサンギヤSG及びそれと一体的に回転する入力軸X12と第1入力ギヤG12との間の動力伝達を断接するように構成されている。
本実施形態でも、入力用係合装置K0、第1係合装置C1、第2係合装置C2、第3係合装置C3、第4係合装置C4は、噛み合い式係合装置(ドグクラッチ)である。具体的には、図4に示すように、それぞれの係合装置は、ソレノイド、モータ、油圧シリンダ等のアクチュエータによって軸方向Lに移動可能な係合部材S(ドグスリーブ)と、被係合部T(ドグティース)とを備えている。係合部材Sがスライドして、被係合部Tと係合部材Sとが連結することによって、係合部材Sが連結された回転部材と被係合部Tが連結された回転部材との2つの回転部材が連結された状態となり、これら2つの回転部材が係合状態となる。
尚、本実施形態では、第1係合装置C1と第2係合装置C2とは、互いに排他的に係合状態となる。第1係合装置C1と第2係合装置C2とは、係合部材Sが共通しており(第1係合部材S1)、第1係合装置C1の被係合部Tが第1係合部材S1と係合している場合は、第2係合装置C2の被係合部Tは第1係合部材S1とは係合せず第2係合装置C2は解放状態となる。反対に、第2係合装置C2の被係合部Tが第1係合部材S1と係合している場合は、第1係合装置C1の被係合部Tは第1係合部材S1とは係合せず第1係合装置C1は解放状態となる。当然ながら、第1係合部材S1は、第1係合装置C1の被係合部T及び第2係合装置C2の被係合部Tの双方と係合しない状態も取り得る。この場合には、第1係合装置C1及び第2係合装置C2の双方が解放状態となる。
同様に、第3係合装置C3と第4係合装置C4とは、互いに排他的に係合状態となる。第3係合装置C3と第4係合装置C4とは、係合部材Sが共通しており(第2係合部材S2)、第3係合装置C3の被係合部Tが第2係合部材S2と係合している場合は、第4係合装置C4の被係合部Tは第2係合部材S2とは係合せず第4係合装置C4は解放状態となる。反対に、第4係合装置C4の被係合部Tが第2係合部材S2と係合している場合は、第3係合装置C3の被係合部Tは第2係合部材S2とは係合せず第3係合装置C3は解放状態となる。当然ながら、第2係合部材S2は、第3係合装置C3の被係合部T及び第4係合装置C4の被係合部Tの双方と係合しない状態も取り得る。この場合には、第3係合装置C3及び第4係合装置C4の双方が解放状態となる。
本実施形態では、互いに排他的に係合状態となる第1係合装置C1と第2係合装置C2とにより、第1噛み合い式係合機構DG1が構成されている。また、互いに排他的に係合状態となる第3係合装置C3と第4係合装置C4とにより、第2噛み合い式係合機構DG2が構成されている。
カウンタギヤ機構30は、第3軸A3’上に配置されたカウンタ軸X30とそれぞれ常時一体的に回転するように第1カウンタ軸X3に連結された、第1カウンタドリブンギヤG36と第2カウンタドリブンギヤG37とカウンタドライブギヤG38とを備えている。本実施形態では、第2カウンタドリブンギヤG37は、第1カウンタドリブンギヤG36に対して軸方向第2側L2に配置されている。また、第2カウンタドリブンギヤG37は、第1カウンタドリブンギヤG36よりも小径に形成されている。
第1カウンタドリブンギヤG36は、分配出力ギヤG11と噛み合っている。第2カウンタドリブンギヤG37は、第1入力ギヤG12と噛み合っている。カウンタドライブギヤG38は、軸方向Lにおける第1カウンタドリブンギヤG36と第2カウンタドリブンギヤG37との間に配置され、第4軸A4’上に配置された差動入力ギヤG51と噛み合っている。
出力用差動歯車機構50の差動入力ギヤG51は、本実施形態では、カウンタドライブギヤG38だけに噛み合っている。
本実施形態では、伝動ギヤ列GTの一部を構成する第2分配入力ギヤG13は、第3軸A’3上に配置された第1カウンタドリブンギヤG36、第2カウンタドリブンギヤG37、及びカウンタドライブギヤG38と軸方向視で重複するように配置されている。
車両用駆動装置100は、入力用係合装置K0、第1噛み合い式係合機構DG1(第1係合装置C1及び第2係合装置C2)、第2噛み合い式係合機構DG2(第3係合装置C3及び第4係合装置C4)により、動力伝達の状態を切り替えることによって、複数の動作モードを実現することができる。下記の表2は、車両用駆動装置100の各動作モードにおける噛み合い式係合機構及び係合装置の状態を示している。
表2において、「ON」は対象の係合装置が係合状態であることを示している。また、「L」は、対象の噛み合い式係合装置が、それを構成する2つの係合装置のうち軸方向第1側L1(図4及び図5における左側)に位置する方が係合状態となることを示している。「R」は、対象の噛み合い式係合装置が、それを構成する2つの係合装置のうち軸方向第2側L2(図4及び図5における右側)に位置する方が係合状態となることを示している。また、「---」は、対象の噛み合い式係合装置又は係合装置が解放状態であることを示している。
表2に示すように、本実施形態でも、車両用駆動装置100は、動作モードとして、少なくとも、2つの電気自動車モード(EVモード)、2つのハイブリッドモード(HVモード)、電気式のトルクコンバータモード(eTCモード)、リバースモード(REVモード)が可能であり、本実施形態ではさらにパーキング充電モード(PCモード)が可能である。また、本実施形態でも、EVモード、HVモードのそれぞれにおいて2の変速段を形成可能であり、EVモードには、低速段であるEV第1モード(EV1)と、高速段であるEV第2モード(EV2)とが含まれる。また、HVモードには、低速段であるHV第1モード(HV1)と、高速段であるHV第2モード(HV2)とが含まれる。尚、本実施形態でも、HV第1モードはパラレル第1モードと称することができ、HV第2モードはパラレル第2モードと称することができる。
EVモードでは、入力用係合装置K0が解放状態とされる。これにより、内燃機関1の駆動力は入力軸X12には伝達されず、内燃機関1が分配用差動歯車機構10から分離される。回転電機2の駆動力は、伝動ギヤ列GT(第2入力ギヤG21、アイドラギヤG61、第2分配入力ギヤG13)を介して分配用差動歯車機構10に伝達される。
本実施形態では、EV第1モードでは第1係合装置C1が解放状態となるが、第2係合装置C2及び第3係合装置C3の双方が係合状態とされることにより、分配用差動歯車機構10の3つの回転要素が互いに一体的に回転する状態となる。また、第2係合装置C2及び第3係合装置C3が係合状態とされることにより、第2分配用回転要素であるキャリヤCA、第1分配用回転要素であるサンギヤSG及びそれと一体的に回転する入力軸X12、分配出力ギヤG11が互いに一体的に回転する状態となる。そして、回転電機2から分配用差動歯車機構10に伝達された駆動力は、分配出力ギヤG11、第1カウンタドリブンギヤG36、カウンタドライブギヤG38を介して出力用差動歯車機構50(差動入力ギヤG51)に伝達される。
EV第2モードでは、第1係合装置C1が係合状態とされることにより、分配用差動歯車機構10の3つの回転要素が互いに一体的に回転する状態となる。また、第4係合装置C4が係合状態とされることにより、第1分配用回転要素であるサンギヤSG及びそれと一体的に回転する入力軸X12と第1入力ギヤG12とが互いに一体的に回転する状態となる。そして、回転電機2から分配用差動歯車機構10に伝達された駆動力は、第1入力ギヤG12、第2カウンタドリブンギヤG37、カウンタドライブギヤG38を介して出力用差動歯車機構50(差動入力ギヤG51)に伝達される。
HVモードでは、入力用係合装置K0が係合状態とされることにより、内燃機関1の駆動力が入力軸X12を介して分配用差動歯車機構10に伝達される。また、回転電機2の駆動力は、第2入力ギヤG21、アイドラギヤG61、第2分配入力ギヤG13を介して分配用差動歯車機構10に伝達される。これにより、内燃機関1及び回転電機2の双方が、分配用差動歯車機構10に駆動連結される。
HV第1モードでは、EV第1モードと同様に第2係合装置C2及び第3係合装置C3が係合状態である。従って、内燃機関1及び回転電機2の駆動力は、分配出力ギヤG11、第1カウンタドリブンギヤG36、カウンタドライブギヤG38を介して出力用差動歯車機構50(差動入力ギヤG51)に伝達される。
HV第2モードでは、EV第2モードと同様に第1係合装置C1及び第4係合装置C4が係合状態である。従って、内燃機関1及び回転電機2の駆動力は、第1入力ギヤG12、第2カウンタドリブンギヤG37、カウンタドライブギヤG38を介して出力用差動歯車機構50(差動入力ギヤG51)に伝達される。
eTCモードでは、入力用係合装置K0が係合状態であり、内燃機関1の駆動力が入力軸X12を介して分配用差動歯車機構10に伝達される。第1係合装置C1は、解放状態であるため、分配用差動歯車機構10の3つの回転要素は必ずしも一体的には回転しない。eTCモードは、本実施形態でも車速が比較的低い場合に選択される動作モードとされ、低速側の変速段が形成される駆動伝達経路を介して差動入力ギヤG51に駆動力が伝達されるように、第2係合装置C2が係合状態とされ、第3係合装置C3及び第4係合装置C4は解放状態とされる。
REVモードでは、本実施形態では入力用係合装置K0が解放状態とされる。これにより、内燃機関1の駆動力は入力軸X12には伝達されず、内燃機関1が分配用差動歯車機構10から分離される。回転電機2の駆動力は、伝動ギヤ列GT(第2入力ギヤG21、アイドラギヤG61、第2分配入力ギヤG13)を介して分配用差動歯車機構10に伝達される。REVモードでは、第2係合装置C2が係合状態とされることにより、第2分配用回転要素であるキャリヤCAと分配出力ギヤG11とが一体的に回転する状態となる。また、第4係合装置C4が係合状態とされることにより、第1分配用回転要素であるサンギヤSG及びそれと一体的に回転する入力軸X12と第1入力ギヤG12とが互いに一体的に回転する状態となる。そして、回転電機2から分配用差動歯車機構10に伝達された駆動力は、当該分配用差動歯車機構10のギヤ比(リングギヤRGの歯数に対するサンギヤSGの歯数の比)に基づいて減速されて、分配出力ギヤG11から出力される。分配出力ギヤG11から出力される回転電機2の駆動力は、第1カウンタドリブンギヤG36及びカウンタドライブギヤG38を介してさらに減速されて出力用差動歯車機構50(差動入力ギヤG51)に伝達される。尚、REVモードでの減速比は、EV第1モードでの減速比よりも大きい。
PCモードでは、入力用係合装置K0が係合状態とされることにより、内燃機関1の駆動力が入力軸X12を介して分配用差動歯車機構10に伝達される。また、第1係合装置C1が係合状態とされることにより、分配用差動歯車機構10の3つの回転要素が互いに一体的に回転する状態となる。PCモードでは、第2係合装置C2、第3係合装置C3、第4係合装置C4が解放状態とされることにより、内燃機関1、回転電機2、分配用差動歯車機構10が出力部材としての差動入力ギヤG51から切り離される。そして、PCモードでは、伝動ギヤ列GT(第2分配入力ギヤG13、アイドラギヤG61、第2入力ギヤG21)を介して伝達される内燃機関1の駆動力により、回転電機2に発電を行わせる。
本実施形態の車両用駆動装置100も、このように多くの動作モードを実現することができ、かつ、係合装置の軸方向Lの配置領域を制限することによって小型化が実現されている。
図4に示すように、第1係合装置C1及び変速用係合装置(少なくとも第2係合装置C2、第3係合装置C3)は、軸方向Lにおける伝動ギヤ列GTの軸方向第1側L1の端部と回転電機2の軸方向第2側L2の端部との間に収まるように配置されている。本実施形態では、第4係合装置C4も、軸方向Lにおける伝動ギヤ列GTの軸方向第1側L1の端部と回転電機2の軸方向第2側L2の端部との間に収まるように配置されている。本実施形態では、第1係合装置C1及び変速用係合装置(少なくとも第2係合装置C2、第3係合装置C3)は、軸方向Lにおける伝動ギヤ列GTの軸方向第2側L2の端部と回転電機2の軸方向第2側L2の端部との間に収まるように配置されている。
尚、入力用係合装置K0は、回転電機2の軸方向Lの配置領域よりも軸方向第2側L2に配置されており、軸方向Lにおける伝動ギヤ列GTの軸方向第2側L2の端部と回転電機2の軸方向第2側L2の端部との間には収まっていない。
本実施形態では、変速用係合装置の少なくとも一部(本例では第3係合装置C3、第4係合装置C4)が、回転電機2の軸方向Lの配置領域内に収まるように配置されている。尚、第1係合装置C1及び第2係合装置C2は、回転電機2の軸方向Lの配置領域よりも軸方向第1側L1に配置されており、回転電機2の軸方向Lの配置領域内には収まっていない。
このように、本実施形態の車両用駆動装置100も、
軸方向Lの他方側を軸方向第2側L2として、第1係合装置C1及び変速用係合装置(少なくとも第2係合装置C2、第3係合装置C3)が、軸方向Lにおける伝動ギヤ列GTの軸方向第1側L1の端部と回転電機2の軸方向第2側L2の端部との間に収まるように配置されていることを特徴とする。
軸方向Lの他方側を軸方向第2側L2として、第1係合装置C1及び変速用係合装置(少なくとも第2係合装置C2、第3係合装置C3)が、軸方向Lにおける伝動ギヤ列GTの軸方向第1側L1の端部と回転電機2の軸方向第2側L2の端部との間に収まるように配置されていることを特徴とする。
この構成によれば、第1実施形態と同様に、内燃機関1及び回転電機2の駆動力を車輪Wの駆動力源とし、これらの駆動力を分割する分配用差動歯車機構10と変速機34とを備えた車両用駆動装置100をより小型に構成することができる。
本実施形態では、
第1係合装置C1及び変速用係合装置(少なくとも第2係合装置C2、第3係合装置C3)が、軸方向Lにおける伝動ギヤ列GTの軸方向第2側L2の端部と回転電機2の軸方向第2側L2の端部との間に収まるように配置されている。
第1係合装置C1及び変速用係合装置(少なくとも第2係合装置C2、第3係合装置C3)が、軸方向Lにおける伝動ギヤ列GTの軸方向第2側L2の端部と回転電機2の軸方向第2側L2の端部との間に収まるように配置されている。
この構成によれば、車両用駆動装置100の軸方向Lの寸法をさらに小さく抑え易い。よって、車両用駆動装置100をより小型に構成することができる。
ここで、上述した分配出力ギヤG11を第1ギヤとし、第1入力ギヤG12を第2ギヤとし、第1カウンタドリブンギヤG36を第3ギヤとし、第2カウンタドリブンギヤG37を第4ギヤとし、カウンタドライブギヤG38を第5ギヤとする。また、本実施形態でも、サンギヤSGが第1分配用回転要素であり、キャリヤCAが第2分配用回転要素であり、リングギヤRGが第3分配回転要素である。
そして、
変速機34は、
第1軸A1上に配置された第1ギヤ(分配出力ギヤG11)及び第2ギヤ(第1入力ギヤG12)と、
第1軸A1及び第2軸A2とは異なる第3軸A3’上に配置され、第1ギヤ(分配出力ギヤG11)に噛み合う第3ギヤ(第1カウンタドリブンギヤG36)と、
第3軸A3’上に配置され、第2ギヤ(第1入力ギヤG12)に噛み合う第4ギヤ(第2カウンタドリブンギヤG37)と、
第3軸A3’上に配置され、差動入力回転要素としての差動入力ギヤG51に噛み合う第5ギヤ(カウンタドライブギヤG38)と、
変速用係合装置として、第2係合装置C2と第3係合装置C3と第4係合装置C4とを備え、
第2係合装置C2は、第1ギヤ(分配出力ギヤG11)及び第3ギヤ(第1カウンタドリブンギヤG36)を介した第2分配用回転要素(キャリヤCA)と第5ギヤ(カウンタドライブギヤG38)との間の動力伝達を断接するように構成され、
第3係合装置C3は、第1ギヤ(分配出力ギヤG11)及び第3ギヤ(第1カウンタドリブンギヤG36)を介した第1分配用回転要素(サンギヤSG)と第5ギヤ(カウンタドライブギヤG38)との間の動力伝達を断接するように構成され、
第4係合装置C4は、第2ギヤ(第1入力ギヤG12)及び第4ギヤ(第2カウンタドリブンギヤG37)を介した第1分配用回転要素(サンギヤSG)と第5ギヤ(カウンタドライブギヤG38)との間の動力伝達を断接するように構成されている。
変速機34は、
第1軸A1上に配置された第1ギヤ(分配出力ギヤG11)及び第2ギヤ(第1入力ギヤG12)と、
第1軸A1及び第2軸A2とは異なる第3軸A3’上に配置され、第1ギヤ(分配出力ギヤG11)に噛み合う第3ギヤ(第1カウンタドリブンギヤG36)と、
第3軸A3’上に配置され、第2ギヤ(第1入力ギヤG12)に噛み合う第4ギヤ(第2カウンタドリブンギヤG37)と、
第3軸A3’上に配置され、差動入力回転要素としての差動入力ギヤG51に噛み合う第5ギヤ(カウンタドライブギヤG38)と、
変速用係合装置として、第2係合装置C2と第3係合装置C3と第4係合装置C4とを備え、
第2係合装置C2は、第1ギヤ(分配出力ギヤG11)及び第3ギヤ(第1カウンタドリブンギヤG36)を介した第2分配用回転要素(キャリヤCA)と第5ギヤ(カウンタドライブギヤG38)との間の動力伝達を断接するように構成され、
第3係合装置C3は、第1ギヤ(分配出力ギヤG11)及び第3ギヤ(第1カウンタドリブンギヤG36)を介した第1分配用回転要素(サンギヤSG)と第5ギヤ(カウンタドライブギヤG38)との間の動力伝達を断接するように構成され、
第4係合装置C4は、第2ギヤ(第1入力ギヤG12)及び第4ギヤ(第2カウンタドリブンギヤG37)を介した第1分配用回転要素(サンギヤSG)と第5ギヤ(カウンタドライブギヤG38)との間の動力伝達を断接するように構成されている。
この構成によれば、変速機34を、第1ギヤ(分配出力ギヤG11)及び第3ギヤ(第1カウンタドリブンギヤG36)が配置される第1軸A1と、第2ギヤ(第1入力ギヤG12)、第4ギヤ(第2カウンタドリブンギヤG37)、及び第5ギヤ(カウンタドライブギヤG38)が配置される第3軸A3’とからなる2軸構成とすることができる。よって、車両用駆動装置100の軸数を少なく抑えることができ、低コスト化を図ることができる。
ここで、
第2係合装置C2、第3係合装置C3、及び第4係合装置C4は、第1軸A1上に配置され、
第1係合装置C1と第2係合装置C2とは、軸方向Lに移動する第1係合部材S1の軸方向Lの位置に応じて、第1係合装置C1による動力伝達の断接の状態と第2係合装置C2による動力伝達の断接の状態とが切り替わるように構成され、
第3係合装置C3と第4係合装置C4とは、軸方向Lに移動する第2係合部材S2の軸方向Lの位置に応じて、第3係合装置C3による動力伝達の断接の状態と第4係合装置C4による動力伝達の断接の状態とが切り替わるように構成されている。
第2係合装置C2、第3係合装置C3、及び第4係合装置C4は、第1軸A1上に配置され、
第1係合装置C1と第2係合装置C2とは、軸方向Lに移動する第1係合部材S1の軸方向Lの位置に応じて、第1係合装置C1による動力伝達の断接の状態と第2係合装置C2による動力伝達の断接の状態とが切り替わるように構成され、
第3係合装置C3と第4係合装置C4とは、軸方向Lに移動する第2係合部材S2の軸方向Lの位置に応じて、第3係合装置C3による動力伝達の断接の状態と第4係合装置C4による動力伝達の断接の状態とが切り替わるように構成されている。
この構成によれば、第1係合装置C1と第2係合装置C2とで第1係合部材S1を共用するとともに、第3係合装置C3と第4係合装置C4とで第2係合部材S2を共用することで、これらの簡素化及び小型化を図ることができ、ひいては車両用駆動装置100の小型化を図ることができる。
また、
第1係合装置C1及び第2係合装置C2が、軸方向Lにおける分配用差動歯車機構10と第1ギヤ(分配出力ギヤG11)との間に配置され、
第3係合装置C3及び第4係合装置C4が、軸方向Lにおける第1ギヤ(分配出力ギヤG11)と第2ギヤ(第1入力ギヤG12)との間に配置されている。
第1係合装置C1及び第2係合装置C2が、軸方向Lにおける分配用差動歯車機構10と第1ギヤ(分配出力ギヤG11)との間に配置され、
第3係合装置C3及び第4係合装置C4が、軸方向Lにおける第1ギヤ(分配出力ギヤG11)と第2ギヤ(第1入力ギヤG12)との間に配置されている。
この構成によれば、第1係合装置C1と第2係合装置C2とで第1係合部材S1を共用するとともに、第3係合装置C3と第4係合装置C4とで第2係合部材S2を共用する構成を実現しやすい。
〔その他の実施形態〕
以下、その他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用されるものに限られず、矛盾が生じない限り、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
以下、その他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用されるものに限られず、矛盾が生じない限り、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
(1)上記の第1実施形態においては、変速用係合装置として、噛み合い式係合装置により構成された、第2係合装置C2、第3係合装置C3、第4係合装置C4を備える形態を例示した。しかし、例えば変速機34が後進段を備えず、変速用係合装置として、噛み合い式係合装置により構成された、第2係合装置C2、第3係合装置C3の2つのみを備える形態であってもよい。尚、上記においては、変速用係合装置が、回転電機2の軸方向Lの配置領域内に収まるように配置されている形態として、第2係合装置C2、第3係合装置C3、第4係合装置C4の全てが回転電機2の軸方向Lの配置領域内に収まるように配置されている形態を例示した。変速用係合装置として第2係合装置C2、第3係合装置C3の2つのみを備える場合も同様に、第2係合装置C2及び第3係合装置C3の双方が回転電機2の軸方向Lの配置領域内に収まるように配置される。
(2)上記の各実施形態においては、第1係合装置C1、第2係合装置C2、第3係合装置C3、第4係合装置C4の全てが噛み合い式係合装置である形態を例示したが、この形態に限らず、これらの一部又は全てが摩擦係合装置等、他の方式の係合装置であってもよい。
(3)上記の各実施形態においては、分配用差動歯車機構10として、回転速度の順に、サンギヤ(第1分配用回転要素)、キャリヤ(第2分配用回転要素)、リングギヤ(第3分配用回転要素)を備えたシングルピニオン型の遊星歯車機構を例示した。しかし、遊星歯車機構の構成はこの形態に限定されるものではない。例えば、分配用差動歯車機構10は、回転速度の順に、サンギヤ(第1分配用回転要素)、リングギヤ(第2分配用回転要素)、キャリヤ(第3分配用回転要素)を備えたダブルピニオン型の遊星歯車機構であってもよい。
上記の各実施形態において例示したシングルピニオン型の遊星歯車機構においては、内燃機関1からの動力が伝達される入力回転要素をサンギヤSG、反力が伝達される入力回転要素をリングギヤRG、出力回転要素をキャリヤCAとして、eTCモードが実現される。ダブルピニオン型の遊星歯車機構においては、内燃機関1からの動力が伝達される入力回転要素をサンギヤ又はキャリヤ、反力が伝達される入力回転要素をキャリヤ又はサンギヤ、出力回転要素をリングギヤとして、eTCモードを実現することができる。
また、分配用差動歯車機構10は、スプリット型であってもよい。例えば、スプリット型の分配用差動歯車機構10は、回転速度の順に、サンギヤ(第3分配用回転要素)、キャリヤ(第1分配用回転要素)、リングギヤ(第2分配用回転要素)を備えたシングルピニオン型の遊星歯車機構であってもよい。また、スプリット型の分配用差動歯車機構10は、回転速度の順に、サンギヤ(第3分配用回転要素)、リングギヤ(第1分配用回転要素)、キャリヤ(第2分配用回転要素)を備えたダブルピニオン型の遊星歯車機構であってもよい。
(4)上記の各実施形態においては、出力用差動歯車機構50が第5軸A5上又は第4軸A4’上に配置される形態を例示した。しかし、出力用差動歯車機構50は、変速機34を構成するギヤが配置される軸(第1軸A1、第3軸A3、第4軸A4/第1軸A1、第3軸A3’)以外の軸上に配置されていればよい。例えば、出力用差動歯車機構50は、第2軸A2と同軸上に配置されていてもよい。
(5)上記の第1実施形態においては、変速機34が、前進変速段として、互いに変速比の異なる2つの動力伝達経路を有する形態、即ち、第3軸A3上に配置されたギヤを経由する第1伝達経路と、第4軸A4上に配置されたギヤを経由する第2伝達経路とを有する形態を例示した。しかし、変速機34は、この形態に限らず、前進変速段として、第3軸A3及び第4軸A4とは異なる軸に配置されたギヤを経由する別の動力伝達経路を含み、3つ以上の動力伝達経路を有していてもよい。上記の第2実施形態においても同様であり、前進変速段として互いに変速比の異なる3つ以上の動力伝達経路を有する形態であっても良い。
(6)上記の各実施形態においては、車両用駆動装置100が入力用係合装置K0を備え、内燃機関出力軸X11とサンギヤSG(第1分配用回転要素)との間の動力伝達を切り離すことが可能に構成されている形態を例示した。しかし、入力用係合装置K0を備えることなく、内燃機関出力軸X11とサンギヤSGとの間で常に動力伝達されるように構成された車両用駆動装置100も、本明細書によって開示される。このような構成の車両用駆動装置100は、例えば動作モードとしてEVモードが必要ないような場合などに利用することができる。この場合において、当然ながら、入力用係合装置K0を備えることなく、内燃機関1を従動させることによってEVモードが実行可能であることを妨げるものではない。
(7)上記の第1実施形態においては、車両用駆動装置100が、内燃機関出力軸X11とサンギヤSG(第1分配用回転要素)との間の動力伝達を断接する入力用係合装置K0と、第1カウンタドライブギヤG32(第5ギヤ)及び第2カウンタドライブギヤG42(第6ギヤ)の軸方向Lの配置領域が重複している形態を例示した。しかし、入力用係合装置K0を備える場合であっても、入力用係合装置K0と、これらのギヤの軸方向Lの配置領域とが重複していない形態を妨げるものではない。
(8)上記の第1実施形態においては、第2カウンタギヤ機構4が、リバースアイドラギヤG43(第7ギヤ)及び第4係合装置C4を備える形態を例示した。しかし、後進段を形成するためのこのようなギヤや係合装置は、第2カウンタギヤ機構4とは別に(第2カウンタギヤ機構4が配置される第4軸A4とは別軸上に)配置されていてもよい。
(9)上記の第1実施形態においては、伝動ギヤ列GTの少なくとも一部のギヤが、第1カウンタギヤ機構3及び第2カウンタギヤ機構4と軸方向視で重複するように配置されている形態を例示した。しかし、伝動ギヤ列GTの全てのギヤが、第1カウンタギヤ機構3及び第2カウンタギヤ機構4と軸方向視で重複しない形態を妨げるものではない。上記の第2実施形態においても同様であり、伝動ギヤ列GTの全てのギヤが、カウンタギヤ機構30と軸方向視で重複しない形態を妨げるものではない。
1:内燃機関、2:回転電機、10:分配用差動歯車機構、21:ロータ、34:変速機、50:出力用差動歯車機構、100:車両用駆動装置、A1:第1軸、A2:第2軸、A3:第3軸、A3’:第3軸、A4:第4軸、C1:第1係合装置、C2:第2係合装置、C3:第3係合装置、C4:第4係合装置、CA:キャリヤ(第2分配用回転要素)、G11:分配出力ギヤ(第1ギヤ)、G12:第1入力ギヤ(第2ギヤ)、G13:第2分配入力ギヤ(伝動ギヤ列のギヤ)、G21:第2入力ギヤ(伝動ギヤ列のギヤ)、G31:第1カウンタドリブンギヤ(第3ギヤ)、G32:第1カウンタドライブギヤ(第5ギヤ)、G36:第1カウンタドリブンギヤ(第3ギヤ)、G37:第2カウンタドリブンギヤ(第4ギヤ)、G38:カウンタドライブギヤ(第5ギヤ)、G41:第2カウンタドリブンギヤ(第4ギヤ)、G42:第2カウンタドライブギヤ(第6ギヤ)、G43:リバースアイドラギヤ(第7ギヤ)、G51:差動入力ギヤ(差動入力回転要素)、G61:アイドラギヤ(伝動ギヤ列のギヤ)、GT:伝動ギヤ列、K0:入力用係合装置、L:軸方向、L1:軸方向第1側(変速機に対して内燃機関が配置された側と反対側)、RG:リングギヤ(第3分配用回転要素)、S1:第1係合部材、S2:第2係合部材、SG:サンギヤ(第1分配用回転要素)、W:車輪、X11:内燃機関出力軸、X12:入力軸
Claims (10)
- 内燃機関の出力軸である内燃機関出力軸と同軸の第1軸上に配置され、前記内燃機関出力軸に駆動連結される入力軸と、
前記第1軸とは異なる第2軸上に配置され、ロータを備えた回転電機と、
前記第1軸上に配置され、第1分配用回転要素、第2分配用回転要素、及び第3分配用回転要素を備え、前記第1分配用回転要素が前記入力軸に駆動連結され、前記第3分配用回転要素が前記ロータに駆動連結された分配用差動歯車機構と、
差動入力回転要素に入力される回転を一対の車輪に分配する出力用差動歯車機構と、
前記第2軸とは異なる軸上に配置された変速用係合装置を備え、前記第1軸上に配置された何れかの回転要素の回転を変速して前記差動入力回転要素に伝達する変速機と、
前記第1軸に平行な方向を軸方向とし、前記軸方向の一方側を軸方向第1側として、前記ロータに対して前記軸方向第1側に配置されて前記ロータと前記第3分配用回転要素との間の動力伝達を行う複数のギヤである伝動ギヤ列と、
前記第1軸上に配置され、前記第1分配用回転要素、前記第2分配用回転要素、及び前記第3分配用回転要素の3つの回転要素のうちから選択される2つの間の動力伝達を断接する第1係合装置と、を備え、
前記軸方向の他方側を軸方向第2側として、前記第1係合装置及び前記変速用係合装置が、前記軸方向における前記伝動ギヤ列の前記軸方向第1側の端部と前記回転電機の前記軸方向第2側の端部との間に収まるように配置されている、車両用駆動装置。 - 前記第1係合装置及び前記変速用係合装置が、前記回転電機の前記軸方向の配置領域内に収まるように配置されている、請求項1に記載の車両用駆動装置。
- 前記変速機は、
前記第1軸上に配置され、前記第2分配用回転要素と一体的に回転する第1ギヤと、
前記第1軸上に配置され、前記入力軸と一体的に回転する第2ギヤと、
前記第1軸及び前記第2軸とは異なる第3軸上に配置され、前記第1ギヤに噛み合う第3ギヤと、
前記第1軸、前記第2軸、及び前記第3軸とは異なる第4軸上に配置され、前記第2ギヤに噛み合う第4ギヤと、
前記第3軸上に配置され、前記差動入力回転要素としての差動入力ギヤに噛み合う第5ギヤと、
前記第4軸上に配置され、前記差動入力ギヤに噛み合う第6ギヤと、を備えると共に、
前記変速用係合装置として、第2係合装置と第3係合装置とを備え、
前記第2係合装置は、前記第3軸上に配置され、前記第3ギヤと前記第5ギヤとの間の動力伝達を断接するように構成され、
前記第3係合装置は、前記第4軸上に配置され、前記第4ギヤと前記第6ギヤとの間の動力伝達を断接するように構成され、
前記第1係合装置と、前記第2係合装置と、前記第3係合装置との前記軸方向の配置領域が互いに重複している、請求項1に記載の車両用駆動装置。 - 前記第1軸上に配置され、前記内燃機関出力軸と前記第1分配用回転要素との間の動力伝達を断接する入力用係合装置をさらに備え、
前記入力用係合装置の前記軸方向の配置領域と、前記第5ギヤ及び前記第6ギヤの前記軸方向の配置領域とが重複している、請求項3に記載の車両用駆動装置。 - 前記変速機は、前記第4軸上に配置され、前記第3ギヤに噛み合う第7ギヤをさらに備えると共に、前記変速用係合装置として第4係合装置をさらに備え、
前記第4係合装置は、前記第4軸上に配置され、前記第7ギヤと前記第6ギヤとの間の動力伝達を断接するように構成されている請求項3又は4に記載の車両用駆動装置。 - 前記伝動ギヤ列が、前記変速機に対して前記内燃機関が配置された側とは反対側に配置され、
前記伝動ギヤ列の少なくとも一部のギヤが、前記変速機における、前記第1軸及び前記第2軸とは異なる軸上に配置されたギヤと、前記軸方向に沿う軸方向視で重複するように配置されている、請求項1に記載の車両用駆動装置。 - 前記第1係合装置及び前記変速用係合装置が、前記軸方向における前記伝動ギヤ列の前記軸方向第2側の端部と前記回転電機の前記軸方向第2側の端部との間に収まるように配置されている、請求項1に記載の車両用駆動装置。
- 前記変速機は、
前記第1軸上に配置された第1ギヤ及び第2ギヤと、
前記第1軸及び前記第2軸とは異なる第3軸上に配置され、前記第1ギヤに噛み合う第3ギヤと、
前記第3軸上に配置され、前記第2ギヤに噛み合う第4ギヤと、
前記第3軸上に配置され、前記差動入力回転要素としての差動入力ギヤに噛み合う第5ギヤと、
前記変速用係合装置として、第2係合装置と第3係合装置と第4係合装置とを備え、
前記第2係合装置は、前記第1ギヤ及び前記第3ギヤを介した前記第2分配用回転要素と前記第5ギヤとの間の動力伝達を断接するように構成され、
前記第3係合装置は、前記第1ギヤ及び前記第3ギヤを介した前記第1分配用回転要素と前記第5ギヤとの間の動力伝達を断接するように構成され、
前記第4係合装置は、前記第2ギヤ及び前記第4ギヤを介した前記第1分配用回転要素と前記第5ギヤとの間の動力伝達を断接するように構成されている、請求項1又は7に記載の車両用駆動装置。 - 前記第2係合装置、前記第3係合装置、及び、前記第4係合装置は、前記第1軸上に配置され、
前記第1係合装置と前記第2係合装置とは、前記軸方向に移動する第1係合部材の前記軸方向の位置に応じて、前記第1係合装置による動力伝達の断接の状態と前記第2係合装置による動力伝達の断接の状態とが切り替わるように構成され、
前記第3係合装置と前記第4係合装置とは、前記軸方向に移動する第2係合部材の前記軸方向の位置に応じて、前記第3係合装置による動力伝達の断接の状態と前記第4係合装置による動力伝達の断接の状態とが切り替わるように構成されている、請求項8に記載の車両用駆動装置。 - 前記第1係合装置及び前記第2係合装置が、前記軸方向における前記分配用差動歯車機構と前記第1ギヤとの間に配置され、
前記第3係合装置及び前記第4係合装置が、前記軸方向における前記第1ギヤと前記第2ギヤとの間に配置されている、請求項9に記載の車両用駆動装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
PCT/JP2023/032058 WO2024048774A1 (ja) | 2022-09-02 | 2023-09-01 | 車両用駆動装置 |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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JP2022140163 | 2022-09-02 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2024035770A true JP2024035770A (ja) | 2024-03-14 |
Family
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Family Applications (1)
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JP2022198780A Pending JP2024035770A (ja) | 2022-09-02 | 2022-12-13 | 車両用駆動装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2024035770A (ja) |
-
2022
- 2022-12-13 JP JP2022198780A patent/JP2024035770A/ja active Pending
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