JP2024034573A - 車両制御装置、車両制御方法および車両制御システム - Google Patents
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Abstract
【課題】 車両停車の際のピッチング変動の抑制と、制動距離増大の抑制とを両立できる車両制御装置、車両制御方法および車両制御システムを提供する。【解決手段】 電動車両1を減速させる際に、リアモータ7によって駆動力を増加させ、停車時間が0になるときに、リアモータ7によって増加させた駆動力を減少させるための制御指令を出力する。【選択図】 図1
Description
本発明は、車両制御装置、車両制御方法および車両制御システムに関する。
特許文献1には、車両停車間際のピッチング変動の抑制を狙いとし、車両速度に関する物理量と、車両を減速させるために必要な要求制動力に関する物理量とを取得し、要求制動力に関する物理量に基づいて車両を減速させる際、摩擦制動力が発生している状態で、駆動装置によって駆動力を発生させる技術が開示されている。
しかしながら、上記従来の車両制御装置にあっては、駆動力を発生させた後に、車両速度が規定速度以下になった後、規定時間が経過すると停車判断をし、発生させた駆動力を低下させているため、実際に車両に発生している実制動力が推定した総制動力よりも小さい場合には、制動距離が増大するおそれがあった。
本発明の目的の一つは、車両停車の際のピッチング変動の抑制と、制動距離増大の抑制とを両立できる車両制御装置、車両制御方法および車両制御システムを提供することにある。
本発明の目的の一つは、車両停車の際のピッチング変動の抑制と、制動距離増大の抑制とを両立できる車両制御装置、車両制御方法および車両制御システムを提供することにある。
本発明の一実施形態における車両制御装置は、駆動装置によって駆動力を増加させ、停車目標に関する物理量が基準値になるときに、駆動装置によって増加させた駆動力を減少させるための制御指令を出力する。
よって、本発明にあっては、車両停止の際のピッチング変動の抑制と、制動距離増大の抑制とを両立できる。
〔実施形態1〕
図1は、実施形態1の車両制御システムを備えた電動車両1の概略図である。
電動車両1は、前輪2FL,2FRと後輪2RL,2RRと、各輪に設けられ車輪に摩擦制動力を発生させる摩擦ブレーキ(摩擦制動装置)3FL,3FR,3RL,3RR(以下、各輪の摩擦ブレーキを総称して摩擦ブレーキ3とも記載する。)を有する。
電動車両1は、後輪2RL,2RRにトルクを出力するリアモータ(駆動装置)7を有する。なお、後輪2RL,2RRを総称して駆動輪2とも記載する。リアモータ7および後輪2RL,2RR間の動力伝達は、減速機8、ディファレンシャル10およびリア車軸6RL,6RRを介して行われる。
図1は、実施形態1の車両制御システムを備えた電動車両1の概略図である。
電動車両1は、前輪2FL,2FRと後輪2RL,2RRと、各輪に設けられ車輪に摩擦制動力を発生させる摩擦ブレーキ(摩擦制動装置)3FL,3FR,3RL,3RR(以下、各輪の摩擦ブレーキを総称して摩擦ブレーキ3とも記載する。)を有する。
電動車両1は、後輪2RL,2RRにトルクを出力するリアモータ(駆動装置)7を有する。なお、後輪2RL,2RRを総称して駆動輪2とも記載する。リアモータ7および後輪2RL,2RR間の動力伝達は、減速機8、ディファレンシャル10およびリア車軸6RL,6RRを介して行われる。
各車輪2FL,2FR,2RL,2RRは、車輪速を検出する車輪速センサ11FR,11FL,11RL,11RRを有する。リアモータ7は、モータ速度(モータ回転数)を検出する後輪用レゾルバ13を有する。また、電動車両1は、車両の前後方向加速度(以下、単に加速度とも言う。)を検出するGセンサ5を有する。
摩擦ブレーキ3は、各輪と一体に回転するブレーキロータに対し、各輪の回転軸方向にブレーキパッドを押し付けて摩擦力により制動力を発生させる。実施形態1の摩擦ブレーキ3は、ブレーキ液圧により作動するホイルシリンダによってブレーキパッドを押し付ける構成について説明するが、電動モータにより駆動するボールねじ機構等を介してブレーキパッドを押し付ける構成としても良く、特に限定しない。
摩擦ブレーキ3は、各輪と一体に回転するブレーキロータに対し、各輪の回転軸方向にブレーキパッドを押し付けて摩擦力により制動力を発生させる。実施形態1の摩擦ブレーキ3は、ブレーキ液圧により作動するホイルシリンダによってブレーキパッドを押し付ける構成について説明するが、電動モータにより駆動するボールねじ機構等を介してブレーキパッドを押し付ける構成としても良く、特に限定しない。
電動車両1は、低電圧バッテリ14および高電圧バッテリ15を有する。低電圧バッテリ14は、例えば鉛蓄電池である。高電圧バッテリ15は、例えばリチウムイオン電池またはニッケル水素電池である。高電圧バッテリ15は、DC-DCコンバータ16により昇圧された電力により充電される。
電動車両1は、車両制御装置(コントロール部)17、ブレーキ制御装置18、リアモータ制御装置20およびバッテリ制御装置19を有する。各制御装置17,18,20は、CANバス21を介してお互いに情報を共有する。
電動車両1は、車両制御装置(コントロール部)17、ブレーキ制御装置18、リアモータ制御装置20およびバッテリ制御装置19を有する。各制御装置17,18,20は、CANバス21を介してお互いに情報を共有する。
車両制御装置17は、後輪用レゾルバ13、アクセル操作量を検出するアクセルペダルセンサ22、ブレーキ操作量を検出するブレーキセンサ23、ギヤ位置センサ24等の各種センサから情報を取得し、車両の統合制御を行う。車両制御装置17は、運転者のアクセル操作やブレーキ操作等に応じた要求トルクに対し、要求配分トルクに応じてリアモータ7が出力すべき運転者要求トルクを出力する。
ブレーキ制御装置18は、ブレーキセンサ23等の各種センサから情報を取得して車両の目標制動力のトルク換算値である目標制動トルクを設定し、目標制動トルクに応じて各輪に必要なブレーキ液圧を発生させ、油圧配管18aを通して摩擦ブレーキ3に出力する。
ブレーキ制御装置18は、ブレーキセンサ23等の各種センサから情報を取得して車両の目標制動力のトルク換算値である目標制動トルクを設定し、目標制動トルクに応じて各輪に必要なブレーキ液圧を発生させ、油圧配管18aを通して摩擦ブレーキ3に出力する。
バッテリ制御装置19は、高電圧バッテリ15の充放電状態および高電圧バッテリ15を構成する単電池セルを監視する。バッテリ制御装置19は、高電圧バッテリ15の充放電状態等に基づいて、バッテリ要求トルク制限値を算出する。バッテリ要求トルク制限値は、リアモータ7において許容する最大トルクである。例えば高電圧バッテリ15の充電量が低下しているときには、通常よりもバッテリ要求トルク制限値を小さな値に設定する。
リアモータ制御装置20は、リア要求トルクに基づいてリアモータ7に供給する電力を制御する。
リアモータ制御装置20は、リア要求トルクに基づいてリアモータ7に供給する電力を制御する。
実施形態1の電動車両1では、停車時の不快な車両の揺れを抑制し、乗員の疲労を軽減することを狙いとし、停車時に実際に車両に発生している制動トルクを推定した総制動トルク相当の駆動トルクをリアモータ7で出力するアンチジャーク制御を実施する。これにより、一定のブレーキ操作量での停車時に生じる前後ジャーク(加加速度)を、アンチジャーク制御無しの場合と比べて68%程度低減できる。つまり、巧みなブレーキ操作無しでも、滑らかな停車を実現できる。
図2は、実施形態1のリアモータ7の制御ブロック図である。
運転者要求トルク算出部31は、アクセル操作量と車両速度から運転者要求トルクを算出する。車輪速度は、各車輪速センサ11FR,11FL,11RL,11RRにより検出された各車輪速から適宜任意の方法で求めるが、低速では後輪用レゾルバ13により検出されたモータ速度を参照して求める。
勾配抵抗算出部32は、車両速度、Gセンサ値および車両重量に基づき、路面勾配によって車両に作用する抵抗である勾配抵抗を算出する。具体的には、車両速度の微分値とGセンサ値との偏差から勾配により発生した推定勾配加速度を求め、勾配により発生した推定勾配加速度と車両重量から勾配抵抗を算出する。
運転者要求トルク算出部31は、アクセル操作量と車両速度から運転者要求トルクを算出する。車輪速度は、各車輪速センサ11FR,11FL,11RL,11RRにより検出された各車輪速から適宜任意の方法で求めるが、低速では後輪用レゾルバ13により検出されたモータ速度を参照して求める。
勾配抵抗算出部32は、車両速度、Gセンサ値および車両重量に基づき、路面勾配によって車両に作用する抵抗である勾配抵抗を算出する。具体的には、車両速度の微分値とGセンサ値との偏差から勾配により発生した推定勾配加速度を求め、勾配により発生した推定勾配加速度と車両重量から勾配抵抗を算出する。
推定摩擦制動力補正ゲイン算出部33は、Gセンサ値、車両速度、推定摩擦制動力、走行抵抗、車両重量、モータトルクおよびブレーキパッド温度に基づき、パッドμ(摩擦係数)変化に伴う推定摩擦制動力の推定誤差を補正するための最終補正ゲインを算出する。温度変化や湿度変化等によりパッドμが変化すると、実際にブレーキにより車両へ発生する制動力に対し、推定摩擦制動力にずれが生じる。そこで、パッドμを推定し、パッドμのノミナル値に対する推定パッドμの誤差を打ち消すために推定摩擦制動力(のトルク換算値)を補正するゲインを算出する。
推定摩擦制動力は、各輪の推定摩擦制動力の総和として求める。各輪の推定摩擦制動力Biは、下記の式(1)を用いて算出する。
各輪の推定摩擦制動力Bi=ブレーキ液圧×シリンダ面積×ブレーキ有効半径×パッドμ(ノミナル値) …(1)
ここで、パッドμのノミナル値は、一度設定したら走行中は変更しない。ノミナル値は、ブレーキパッドの温度-μ特性を予めマップとして取得しておき、マップを参照して設定する。ノミナル値を算出する際のブレーキパッドの温度は、走行開始時の外気温度でもよいし、予め規定した温度(例えば、20℃)を用いてもよい。
走行抵抗は、予め車両重量や車両速度の変化に対する走行抵抗の変化を取得しそれを基に算出してもよいし、推定されてもよい。
推定摩擦制動力はブレーキ液圧からではなく運転者のブレーキペダルのストローク量から推定されてもよい。
推定摩擦制動力は、各輪の推定摩擦制動力の総和として求める。各輪の推定摩擦制動力Biは、下記の式(1)を用いて算出する。
各輪の推定摩擦制動力Bi=ブレーキ液圧×シリンダ面積×ブレーキ有効半径×パッドμ(ノミナル値) …(1)
ここで、パッドμのノミナル値は、一度設定したら走行中は変更しない。ノミナル値は、ブレーキパッドの温度-μ特性を予めマップとして取得しておき、マップを参照して設定する。ノミナル値を算出する際のブレーキパッドの温度は、走行開始時の外気温度でもよいし、予め規定した温度(例えば、20℃)を用いてもよい。
走行抵抗は、予め車両重量や車両速度の変化に対する走行抵抗の変化を取得しそれを基に算出してもよいし、推定されてもよい。
推定摩擦制動力はブレーキ液圧からではなく運転者のブレーキペダルのストローク量から推定されてもよい。
総制動トルク算出部34は、走行抵抗、推定摩擦制動力、勾配抵抗および最終補正ゲインに基づき、総制動トルクを算出する。図3は、実施形態1の総制動トルク算出部34の制御ブロック図である。制動力トルク変換部41は、推定摩擦制動力を推定摩擦制動トルクに変換する。乗算器42は、推定摩擦制動トルクに最終補正ゲインを乗じて、ブレーキパッドのμ変化に伴う推定誤差を補正した補正後推定摩擦制動トルクを算出する。第1加算器43および第2加算器44は、補正後推定摩擦制動トルクに勾配抵抗相当のトルクおよび走行抵抗相当のトルクを加算する。リミッタ45は、補正後推定摩擦制動トルクに勾配抵抗相当のトルクおよび走行抵抗相当のトルクを加算した値と、0とを比較し、値の大きな方を総制動トルクとして出力する。
制御ゲイン算出部35は、車両速度、総制動トルク、車両重量および推定摩擦制動力に基づき、制御ゲインを算出する。図4は、実施形態1の制御ゲイン算出部35の制御ブロック図である。加速度推定値算出部51は、車両速度を微分して加速度を算出する。加速度ベース制御ゲインマップ52は、加速度に応じた加速度ベース制御ゲインを設定する。加速度ベース制御ゲインマップ52では、絶対値として既定値x2(G)よりも小さな減速度の場合には、加速度ベース制御ゲインを1(100%)とする一方、絶対値として既定値x2(G)以上の減速度が生じる場合には、減速度の絶対値が大きいほど、加速度ベース制御ゲインを徐々に小さくする。加速度ベース制御ゲインの最小値は、0(0%)とする。これにより、急制動時にトルクが加算されることを回避できる。なお、急制動時には、ピッチング方向の振動を抑制することよりも制動力を確保することが望ましいのは言うまでもない。
速度ベース制御ゲインマップ53は、車両速度および総制動トルクに応じた3次元マップに基づき速度ベース制御ゲインを設定する。速度ベース制御ゲインは、総制動トルクが0付近の所定領域のみ総制動トルクが小さくなるに従って、線形的に小さくなり、所定領域を超える大部分の領域では、最大値1となる特性を有する。なお、最大値は1以外の正の値としてもよい。また、速度ベース制御ゲインは、車両速度が小さくなるに従って、線形的に大きくなるように設定されている。さらに、速度ベース制御ゲインは、総制動トルクが大きくなるに従って、値が0から立ち上がる車両速度(ゲイン増加開始速度)が大きくなるように設定されている。すなわち、速度ベース制御ゲインは、総制動トルクが大きくなるに従って、アンチジャーク制御指令を介入させる車両速度(アンチジャーク制御による駆動力の発生を開始する車両速度)が大きくなる特性を有する。
停車判断部54は、車両速度、総制動トルク、車両重量および推定摩擦制動力を入力し、停車時間が0以外の場合に停車判断フラグをクリア(=0)し、停車時間が0となった場合に停車判断フラグをセット(=1)する。停車判断部54の詳細については後述する。
制御ゲインレートリミット部55は、速度ベース制御ゲインの増加側と減少側の変化速度を制限する。また、停車判断フラグがセット(=1)された場合には、それまで使用していた減少側の変化速度制限値を変更する。制御ゲインレートリミット部55の詳細については後述する。
乗算器56は、加速度ベース制御ゲインに速度ベース制御ゲインを乗じた値を最終的な制御ゲインとして出力する。
制御ゲインレートリミット部55は、速度ベース制御ゲインの増加側と減少側の変化速度を制限する。また、停車判断フラグがセット(=1)された場合には、それまで使用していた減少側の変化速度制限値を変更する。制御ゲインレートリミット部55の詳細については後述する。
乗算器56は、加速度ベース制御ゲインに速度ベース制御ゲインを乗じた値を最終的な制御ゲインとして出力する。
図2に戻り、乗算器36は、制御ゲインを総制動トルクに乗じて、制御ゲイン乗算後総制動トルクを算出する。
加算トルク算出部37は、運転者要求トルクおよび制御ゲイン乗算後総制動トルクに基づき、アンチジャーク制御トルクとしての加算トルクを算出する。図5は、実施形態1の加算トルク算出部37の制御ブロック図である。リミッタ61は運転者要求トルクと0とを比較し、値の大きな方を出力する。比較器62は、制御ゲイン乗算後総制動トルクからリミッタ61の出力を減じる。リミッタ63は、比較器62の出力と、0とを比較し、値の大きな方を加算トルクとして出力する。
加算器38は、運転者要求トルクに加算トルクを加えた加算後トルクをリア要求トルクとする。
加算トルク算出部37は、運転者要求トルクおよび制御ゲイン乗算後総制動トルクに基づき、アンチジャーク制御トルクとしての加算トルクを算出する。図5は、実施形態1の加算トルク算出部37の制御ブロック図である。リミッタ61は運転者要求トルクと0とを比較し、値の大きな方を出力する。比較器62は、制御ゲイン乗算後総制動トルクからリミッタ61の出力を減じる。リミッタ63は、比較器62の出力と、0とを比較し、値の大きな方を加算トルクとして出力する。
加算器38は、運転者要求トルクに加算トルクを加えた加算後トルクをリア要求トルクとする。
図6は、実施形態1の停車判断部54の制御ブロック図である。
停車時間算出部71は、規定速度以下において、車両速度および総制動トルクに基づき、車両重量毎に予め準備された停車時間算出マップ(停車目標時間取得マップ)を参照して、各制御サイクルにおいて車両が停車するまでの時間である停車時間(停車目標時間)を算出する。ここで、実施形態1のアンチジャーク制御では、速度ベース制御ゲインマップ53により、車両速度と総制動トルクに対して制御ゲインを決定している。このため、車両速度および総制動トルクからその後の減速度変化を予測できる。よって、停車時間算出マップは、その後の加速度変化を加味した停車時間を設定したものである。
前回算出時間保持部72は、前回の制御サイクルで推定した停車時間を保持し、前回算出した停車時間が0以下となった後に車両速度が規定速度Z1以上になった場合や推定摩擦制動力が0となった場合に前回推定時間を忘却する。また、推定摩擦制動力が規定値以下となった場合や、規定値以上にブレーキを踏み戻された場合に忘却する構成としてもよい。
停車時間算出部71は、規定速度以下において、車両速度および総制動トルクに基づき、車両重量毎に予め準備された停車時間算出マップ(停車目標時間取得マップ)を参照して、各制御サイクルにおいて車両が停車するまでの時間である停車時間(停車目標時間)を算出する。ここで、実施形態1のアンチジャーク制御では、速度ベース制御ゲインマップ53により、車両速度と総制動トルクに対して制御ゲインを決定している。このため、車両速度および総制動トルクからその後の減速度変化を予測できる。よって、停車時間算出マップは、その後の加速度変化を加味した停車時間を設定したものである。
前回算出時間保持部72は、前回の制御サイクルで推定した停車時間を保持し、前回算出した停車時間が0以下となった後に車両速度が規定速度Z1以上になった場合や推定摩擦制動力が0となった場合に前回推定時間を忘却する。また、推定摩擦制動力が規定値以下となった場合や、規定値以上にブレーキを踏み戻された場合に忘却する構成としてもよい。
比較器73は、前回の制御サイクルで推定した停車時間から1制御実行サイクル時間を減じて、今回の制御サイクルにおける停車時間を算出する。
第1リミッタ74は、停車時間算出部71により算出された停車時間と、比較器73の出力である前回の制御サイクルで推定した停車時間から算出した停車時間と、を比較し、値の小さな方を出力する。
第2リミッタ75は、第1リミッタ74の出力と、0とを比較し、値の大きな方を最終的な停車時間として出力する。
停車フラグ設定部76は、最終的な停車時間が0以外の場合には停車判断フラグをクリア(=0)し、最終的な停車時間が0となった場合に停車判断フラグをセット(=1)する。
また、停車判断フラグのクリアとセットのタイミングは停車までの時間が0となったタイミングではなく、規定値以下でセットし、規定値以上でクリアするようにしてもよい。
第1リミッタ74は、停車時間算出部71により算出された停車時間と、比較器73の出力である前回の制御サイクルで推定した停車時間から算出した停車時間と、を比較し、値の小さな方を出力する。
第2リミッタ75は、第1リミッタ74の出力と、0とを比較し、値の大きな方を最終的な停車時間として出力する。
停車フラグ設定部76は、最終的な停車時間が0以外の場合には停車判断フラグをクリア(=0)し、最終的な停車時間が0となった場合に停車判断フラグをセット(=1)する。
また、停車判断フラグのクリアとセットのタイミングは停車までの時間が0となったタイミングではなく、規定値以下でセットし、規定値以上でクリアするようにしてもよい。
図7は、実施形態1の制御ゲインレートリミット部55の制御ブロック図である。
停車後規定時間経過判断部81は、停車判断グラグがセットされた後の経過時間を算出し、規定時間が経過していない場合には規定時間経過フラグをクリア(=0)し、規定時間を経過した場合には規定時間経過フラグをセット(=1)する。第1信号切り替え器82は、停車判断フラグがクリアされている場合には速度ベース制御ゲインマップ53の出力値を出力し、停車判断フラグがセットされている場合には0を出力する。比較器83は、第1信号切り替え器82の出力から前回の速度ベース制御ゲインを減じた値を出力する。第1リミッタ84は、規定のゲイン増加レートと比較器83の出力値とを比較し、値の小さな方を出力する。第2信号切り替え器85は、規定時間経過フラグがクリアされている場合には規定の第1停車判断中ゲイン減少レート(第1減少勾配)を出力し、規定時間経過フラグがセットされている場合には規定の第2停車判断中ゲイン減少レート(第2減少勾配)を出力する。第2停車判断中ゲイン減少レートは、第1停車判断中ゲイン減少レートよりも大きな値に設定されている。
停車後規定時間経過判断部81は、停車判断グラグがセットされた後の経過時間を算出し、規定時間が経過していない場合には規定時間経過フラグをクリア(=0)し、規定時間を経過した場合には規定時間経過フラグをセット(=1)する。第1信号切り替え器82は、停車判断フラグがクリアされている場合には速度ベース制御ゲインマップ53の出力値を出力し、停車判断フラグがセットされている場合には0を出力する。比較器83は、第1信号切り替え器82の出力から前回の速度ベース制御ゲインを減じた値を出力する。第1リミッタ84は、規定のゲイン増加レートと比較器83の出力値とを比較し、値の小さな方を出力する。第2信号切り替え器85は、規定時間経過フラグがクリアされている場合には規定の第1停車判断中ゲイン減少レート(第1減少勾配)を出力し、規定時間経過フラグがセットされている場合には規定の第2停車判断中ゲイン減少レート(第2減少勾配)を出力する。第2停車判断中ゲイン減少レートは、第1停車判断中ゲイン減少レートよりも大きな値に設定されている。
第3信号切り替え器86は、停車判断フラグがクリアされている場合にはゲイン減少レートを出力し、停車判断フラグがセットされている場合には第2信号切り替え器85の出力値(第1停車判断中ゲイン減少レートまたは第2停車判断中ゲイン減少レート)を出力する。第2リミッタ87は、第3信号切り替え器86の出力値と、第1リミッタ84の出力値とを比較し、値の大きい方を出力する。加算器88は、第2リミッタ87に前回の速度ベース制御ゲインを加えた値を出力する。第3リミッタ89は、加算器88の出力値と、0とを比較し、値の大きい方を速度ベース制御ゲインとして出力する。
ここで、停車後規定時間経過判断部81の規定時間、第1停車判断中ゲイン減少レートおよび第2停車判断中ゲイン減少レートは、規定値ではなく、例えば外気温やサスペンションの油温等により変化する構成としてもよい。これは、サスペンションのオイル温度によりサスペンションの応答特性が変化するためであり、これによりモータトルクを増加させたとしても制動により発生した車両のピッチ角の戻り時間が変化し停車までに車両のピッチ角を0にすることが間に合わず、停車時にショックが出るおそれがあるためである。そこで、ピッチ角が戻しにくい低温時等には規定経過時間を長くしたり、ゲイン減少レートを低下したりすることにより(第1停車判断中ゲイン減少レートを0とし、ゲインを規定時間保持してもよい)、モータトルクを長めに掛けられる。これにより、アンチスクウォート力が発生する時間が長くなることで、停車後にピッチ角が0に戻るまでの時間を長くし、ショックを抑制できる。
次に、実施形態1の作用効果を説明する。
図8は、実施形態1の比較例として、アンチジャーク制御により駆動力を発生させた後、車両速度が規定速度以下になると、規定時間経過後に停車判断をして、発生させた駆動力を低下させた場合、車両速度、制御ゲインおよびリアモータトルクのタイムチャートである。この比較例では、時刻t1でアンチジャーク制御によるリアモータトルクの増加(加算後トルク)を開始しているが、実制動力に釣り合うトルクが推定した総制動トルクよりも小さいため、車両速度が規定速度まで低下せず、制動距離が大幅に増大している。
図8は、実施形態1の比較例として、アンチジャーク制御により駆動力を発生させた後、車両速度が規定速度以下になると、規定時間経過後に停車判断をして、発生させた駆動力を低下させた場合、車両速度、制御ゲインおよびリアモータトルクのタイムチャートである。この比較例では、時刻t1でアンチジャーク制御によるリアモータトルクの増加(加算後トルク)を開始しているが、実制動力に釣り合うトルクが推定した総制動トルクよりも小さいため、車両速度が規定速度まで低下せず、制動距離が大幅に増大している。
図9は、実施形態1のアンチジャーク制御における車両速度、制御ゲインおよびリアモータトルクのタイムチャートである。
時刻t1では、車両速度がアンチジャーク制御介入速度まで低下したため、加算後トルクが立ち上がる。制御ゲインは、加速度ベース制御ゲインマップ52の出力値と速度ベース制御ゲインマップ53の出力値とを乗じた値となるが、速度ベース制御ゲインの増加レートおよび減少レートの上限は、規定のゲイン増加レートまたはゲイン減少レートに制限される。
時刻t2では、停車時間算出部71で算出された停車時間が0となったため、制御ゲインレートリミット部55において、速度ベース制御ゲインのレートは、減少レートから第1停車判断中ゲイン減少レートに切り替えられ、加算後トルクは減少を開始する。
時刻t3では、停車時間が0となってから規定時間が経過したため、制御ゲインレートリミット部55において、速度ベース制御ゲインのレートは、第1停車判断中ゲイン減少レートよりも大きな第2停車判断中ゲイン減少レートに切り替えられ、加算後トルクはより大きな勾配で減少する。
時刻t4では、アンチジャーク制御を終了する。
時刻t1では、車両速度がアンチジャーク制御介入速度まで低下したため、加算後トルクが立ち上がる。制御ゲインは、加速度ベース制御ゲインマップ52の出力値と速度ベース制御ゲインマップ53の出力値とを乗じた値となるが、速度ベース制御ゲインの増加レートおよび減少レートの上限は、規定のゲイン増加レートまたはゲイン減少レートに制限される。
時刻t2では、停車時間算出部71で算出された停車時間が0となったため、制御ゲインレートリミット部55において、速度ベース制御ゲインのレートは、減少レートから第1停車判断中ゲイン減少レートに切り替えられ、加算後トルクは減少を開始する。
時刻t3では、停車時間が0となってから規定時間が経過したため、制御ゲインレートリミット部55において、速度ベース制御ゲインのレートは、第1停車判断中ゲイン減少レートよりも大きな第2停車判断中ゲイン減少レートに切り替えられ、加算後トルクはより大きな勾配で減少する。
時刻t4では、アンチジャーク制御を終了する。
以上のように、実施形態1の車両制御装置17は、停車目標に関する物理量を監視し、アンチジャーク制御によるリアモータトルクの増加を開始後、停車目標に関する物理量が基準値になるときに、リアモータトルクを低下させる。これにより、実制動力が推定した総制動トルク相当の力よりも小さい場合や、勾配推定に誤差がある場合であっても、停車目標が基準値に達するとリアモータトルクが低下する。この結果、車両停止の際のピッチング変動を抑制しつつ、制動距離が大幅に増大するのを抑制できる。つまり、実施形態1の車両制御装置17にあっては、車両停車の際のピッチング変動の抑制と、制動距離増大の抑制とを両立できる。
実施形態1では、停車目標に関する物理量を、車両が停車するまでの停車時間としている。リアモータトルクを決める速度ベース制御ゲインは、車両速度および総制動トルクに応じて設定されるため、現在の車両速度および総制動トルクから車両の減速度変化を予測でき、予測した減速度変化から停車時間を推定可能である。
実施形態1では、停車目標に関する物理量を、車両が停車するまでの停車時間としている。リアモータトルクを決める速度ベース制御ゲインは、車両速度および総制動トルクに応じて設定されるため、現在の車両速度および総制動トルクから車両の減速度変化を予測でき、予測した減速度変化から停車時間を推定可能である。
ここで、停車前にリアモータトルクの低下を開始すると、ピッチング変動を効果的に抑制できないおそれがある。一方、リアモータトルクの低下開始タイミングが車両速度により決定される場合には、制動距離が増大するおそれがある。これに対し、実施形態1では、停車するまでにかかる時間を推定し、推定した停車までの時間が0となったタイミング(停車すると考えられるタイミング)でリアモータトルクが低下を開始することで、ピッチング変動の抑制と制動距離増大の抑制との両立を効果的に実現できる。
実施形態1では、車両速度および総制動トルクを入力とする、予め準備された停車時間算出マップに基づいて停車時間を取得する。車両速度および総制動トルクに応じた停車時間は実験等により予め実測可能であるから、マップ化しておくことで演算負荷の抑制および演算時間の短縮化を図れる。
停車時間算出マップは、車両重量に応じて予め複数準備されている。停車時間は車両重量に依存するため、各車両重量に応じた停車時間算出マップを準備することにより、車両重量に依らず停車時間をより正確に推定できる。
実施形態1では、車両速度および総制動トルクを入力とする、予め準備された停車時間算出マップに基づいて停車時間を取得する。車両速度および総制動トルクに応じた停車時間は実験等により予め実測可能であるから、マップ化しておくことで演算負荷の抑制および演算時間の短縮化を図れる。
停車時間算出マップは、車両重量に応じて予め複数準備されている。停車時間は車両重量に依存するため、各車両重量に応じた停車時間算出マップを準備することにより、車両重量に依らず停車時間をより正確に推定できる。
車両制御装置17は、リアモータトルクを減少させるときに、トルクの減少勾配が徐々に大きくなるように制御指令を出力する。具体的には、所定時間(規定時間)は第1停車判断中減少レートでリアモータトルクを減少させ、所定時間を超えたら第1停車判断中減少レートよりも大きい第2停車判断中減少レートでリアモータトルクを減少させる制御指令を出力する。ここで、実施形態1では、低速時に車両速度としてモータ速度を参照しているため、図10に示すように、想定した制動状態の場合、モータ速度と目標速度の停車タイミングは一致し、最適なタイミングでリアモータトルクの減少を開始できる。一方、図11のようにモータ振動がある場合に、モータ振動と実際の車両速度変化を判別するのは困難である。実施形態1では、モータ振動に起因して、実際の速度よりも高い車両速度に対応するモータ速度が検出された場合、制動距離の増大を抑制するために、前回算出した停車時間と今回算出した停車時間とのセレクトローにより停車時間を求めている。このため、実際の停車タイミングよりも早くトルクの減少が開始し、アンチジャーク制御の効果が低下するおそれがある。そこで、実施形態1では、算出した停車時間が0になると、所定時間はトルクの減少レートを小さくし、所定時間経過後に減少レートを大きくすることにより、実際の停車タイミングよりも早くトルクの減少を開始した場合であっても、アンチジャーク制御の効果が低下するのを抑制できる。
〔実施形態2〕
実施形態2の基本的な構成は実施形態1と同じであるため、実施形態1と相違する部分のみ説明する。
実施形態2の車両制御システムでは、停車時の不快な車両の揺れを抑制し、乗員の疲労を軽減することを狙いとし、基準となる摩擦制動力(基準摩擦制動力)から摩擦制動力を減少させるアンチジャーク制御を実施する。ここで、基準摩擦制動力はブレーキペダルのストローク量より推定した推定摩擦制動力である。
実施形態2の基本的な構成は実施形態1と同じであるため、実施形態1と相違する部分のみ説明する。
実施形態2の車両制御システムでは、停車時の不快な車両の揺れを抑制し、乗員の疲労を軽減することを狙いとし、基準となる摩擦制動力(基準摩擦制動力)から摩擦制動力を減少させるアンチジャーク制御を実施する。ここで、基準摩擦制動力はブレーキペダルのストローク量より推定した推定摩擦制動力である。
図12は、実施形態2の摩擦ブレーキ3の制御ブロック図である。
外乱推定部91は、勾配抵抗、運転者要求トルク、Gセンサ値、走行抵抗および車両重量に基づき、外乱を推定する。外乱は、基本的にはブレーキを使用していないときに下記の式(2)を用いて推定する。
外乱=Gセンサ値×車両重量-運転者要求トルク相当の制駆動力-勾配抵抗-走行抵抗 …(2)
なお、推定摩擦制動力が非常に小さい場合など、パッドμ変化の影響が小さい場合にも推定する構成としてもよい。
外乱推定部91は、勾配抵抗、運転者要求トルク、Gセンサ値、走行抵抗および車両重量に基づき、外乱を推定する。外乱は、基本的にはブレーキを使用していないときに下記の式(2)を用いて推定する。
外乱=Gセンサ値×車両重量-運転者要求トルク相当の制駆動力-勾配抵抗-走行抵抗 …(2)
なお、推定摩擦制動力が非常に小さい場合など、パッドμ変化の影響が小さい場合にも推定する構成としてもよい。
推定摩擦制動力補正ゲイン算出部92は、外乱、Gセンサ値、走行抵抗、車両速度、推定摩擦制動力(基準摩擦制動力)、車両重量、モータトルクおよびブレーキパッド温度に基づき、パッドμ(摩擦係数)変化に伴う推定摩擦制動力の推定誤差を補正するための最終補正ゲインを算出する。最終補正ゲインの算出方法は、実施形態1の推定摩擦制動力補正ゲイン算出部33と同様であるが、推定摩擦制動力補正ゲイン算出部92では、さらに外乱に伴う誤差も加味して推定摩擦制動力補正ゲインを算出する。
総制動トルク算出部93は、推定摩擦制動力、走行抵抗、勾配抵抗、外乱および最終補正ゲインに基づき、総制動トルクを算出する。図13は、実施形態2の総制動トルク算出部93の制御ブロック図である。第3加算器101は、補正後推定摩擦制動トルクに勾配抵抗相当のトルクおよび走行抵抗相当のトルクを加算した値に対し、外乱相当のトルクを加算する。
総制動トルク算出部93は、推定摩擦制動力、走行抵抗、勾配抵抗、外乱および最終補正ゲインに基づき、総制動トルクを算出する。図13は、実施形態2の総制動トルク算出部93の制御ブロック図である。第3加算器101は、補正後推定摩擦制動トルクに勾配抵抗相当のトルクおよび走行抵抗相当のトルクを加算した値に対し、外乱相当のトルクを加算する。
減算制動力算出部94は、推定摩擦制動力、外乱、運転者要求トルクおよび最終補正ゲインに基づき、減算制動力を算出する。図14は、実施形態4の減算制動力算出部94の制御ブロック図である。比較器111は、運転者要求トルク相当の制駆動力から勾配抵抗を減算し、勾配抵抗を加味した運転者要求トルク相当の制駆動力を算出する。絶対値算出部112では比較器111の出力の絶対値を算出する。乗算器113は、絶対値算出部112の出力を最終補正ゲインで除して、補正後運転者要求トルク相当の駆動力絶対値を算出する。比較器114は、推定摩擦制動力から補正後運転者要求トルク相当の駆動力絶対値を減算する。リミッタ115は、推定摩擦制動力から補正後運転者要求トルク相当の駆動力絶対値を減じた値と、0とを比較し、値の大きな方を減算制動力として出力する。
乗算器95は、制御ゲインを減算制動力に乗じて、制御ゲイン乗算後減算制動力を算出する。比較器96は、推定摩擦制動力から制御ゲイン乗算後減算制動力を減じて減算後摩擦制動力を算出する。ブレーキ制御装置18は、減算後摩擦制動力のトルク換算値である減算後摩擦制動トルクを目標摩擦制動トルクとする。
乗算器95は、制御ゲインを減算制動力に乗じて、制御ゲイン乗算後減算制動力を算出する。比較器96は、推定摩擦制動力から制御ゲイン乗算後減算制動力を減じて減算後摩擦制動力を算出する。ブレーキ制御装置18は、減算後摩擦制動力のトルク換算値である減算後摩擦制動トルクを目標摩擦制動トルクとする。
次に、実施形態2の作用効果を説明する。
図15は、実施形態2のアンチジャーク制御における車両速度、制御ゲインおよびリアモータトルクのタイムチャートである。
時刻t1では、車両速度がアンチジャーク制御介入速度まで低下したため、減算後制動トルクが減少を開始する。
時刻t2では、停車時間算出部71で算出された停車時間が0となったため、制御ゲインレートリミット部55において、速度ベース制御ゲインのレートは、減少レートから第1停車判断中減少レートに切り替えられ、減算後摩擦制動トルクは増加を開始する。
時刻t3では、停車時間が0となってから規定時間が経過したため、制御ゲインレートリミット部55において、速度ベース制御ゲインのレートは、第1停車判断中ゲイン減少レートよりも大きな第2停車判断中ゲイン減少レートに切り替えられ、減算後摩擦制動トルクはより大きな勾配で増加する。
図15は、実施形態2のアンチジャーク制御における車両速度、制御ゲインおよびリアモータトルクのタイムチャートである。
時刻t1では、車両速度がアンチジャーク制御介入速度まで低下したため、減算後制動トルクが減少を開始する。
時刻t2では、停車時間算出部71で算出された停車時間が0となったため、制御ゲインレートリミット部55において、速度ベース制御ゲインのレートは、減少レートから第1停車判断中減少レートに切り替えられ、減算後摩擦制動トルクは増加を開始する。
時刻t3では、停車時間が0となってから規定時間が経過したため、制御ゲインレートリミット部55において、速度ベース制御ゲインのレートは、第1停車判断中ゲイン減少レートよりも大きな第2停車判断中ゲイン減少レートに切り替えられ、減算後摩擦制動トルクはより大きな勾配で増加する。
時刻t4では、アンチジャーク制御を終了する。
以上のように、実施形態2の車両制御装置17は、停車時間を監視し、アンチジャーク制御による摩擦制動トルクの減少を開始後、停車時間が0になるときに、摩擦制動トルクを増加させる。このとき、所定時間(規定時間)は第1停車判断中減少レートで摩擦制動トルクを増加させ、所定時間を超えたら第1停車判断中減少レートよりも大きい第2停車判断中減少レートで摩擦制動トルクを増加させる制御指令を出力する。これにより、実施形態1と同様、車両停車の際のピッチング変動の抑制と、制動距離増大の抑制とを両立できる。
以上のように、実施形態2の車両制御装置17は、停車時間を監視し、アンチジャーク制御による摩擦制動トルクの減少を開始後、停車時間が0になるときに、摩擦制動トルクを増加させる。このとき、所定時間(規定時間)は第1停車判断中減少レートで摩擦制動トルクを増加させ、所定時間を超えたら第1停車判断中減少レートよりも大きい第2停車判断中減少レートで摩擦制動トルクを増加させる制御指令を出力する。これにより、実施形態1と同様、車両停車の際のピッチング変動の抑制と、制動距離増大の抑制とを両立できる。
〔他の実施形態〕
以上、本発明を実施するための実施形態を説明したが、本発明の具体的な構成は実施形態の構成に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
実施形態では、後輪駆動の電動車両に本発明を適用した例を示したが、前輪駆動の電動車両や四輪駆動の電動車両でもよい。また、電動車両に限らず、内燃機関であるエンジンを備えた車両や、エンジンとモータの両方を用いて走行可能なハイブリッド車両であってもよい。すなわち、摩擦ブレーキを用いた車両停止時に、車両が停止可能な範囲で、もしくは駆動輪と路面との間に制動力が働く範囲で、駆動源側からトルクを付与可能な構成、または摩擦ブレーキを低減可能な構成であればよい。
以上、本発明を実施するための実施形態を説明したが、本発明の具体的な構成は実施形態の構成に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
実施形態では、後輪駆動の電動車両に本発明を適用した例を示したが、前輪駆動の電動車両や四輪駆動の電動車両でもよい。また、電動車両に限らず、内燃機関であるエンジンを備えた車両や、エンジンとモータの両方を用いて走行可能なハイブリッド車両であってもよい。すなわち、摩擦ブレーキを用いた車両停止時に、車両が停止可能な範囲で、もしくは駆動輪と路面との間に制動力が働く範囲で、駆動源側からトルクを付与可能な構成、または摩擦ブレーキを低減可能な構成であればよい。
実施形態では推定摩擦制動力を入力としているが、制動力と制動トルクはタイヤの有効半径等の車両パラメータにより換算可能な値であるため、推定摩擦制動トルクが入力されても良く、このときタイヤの有効半径は規定値ではなく推定されてもよい。
また実施形態1では出力を駆動トルクとして出力しているが、制動力と制動トルクの関係と同様にタイヤ有効半径により換算可能な値である駆動力でもよいし、車両重量等の車両パラメータを用いて換算される前後加速度や、前後加加速度でもよい。
また、実施形態2において出力は摩擦制動力としているが、タイヤの有効半径等の車両パラメータにより換算可能な値であるため、摩擦制動トルクが出力されてもよいし、車両重量等の車両パラメータを用いて換算される前後加速度や、前後加加速度でもよい。
実施形態1-2において、速度ベース制御ゲインマップは車両重量毎に速度ベース制御ゲインマップを用意し、適切なマップを選択する構成としてもよい。
また実施形態1では出力を駆動トルクとして出力しているが、制動力と制動トルクの関係と同様にタイヤ有効半径により換算可能な値である駆動力でもよいし、車両重量等の車両パラメータを用いて換算される前後加速度や、前後加加速度でもよい。
また、実施形態2において出力は摩擦制動力としているが、タイヤの有効半径等の車両パラメータにより換算可能な値であるため、摩擦制動トルクが出力されてもよいし、車両重量等の車両パラメータを用いて換算される前後加速度や、前後加加速度でもよい。
実施形態1-2において、速度ベース制御ゲインマップは車両重量毎に速度ベース制御ゲインマップを用意し、適切なマップを選択する構成としてもよい。
停車目標に関する物理量は、車両が停車するまでの時間に限らず、距離や速度としてもよい。
車両重量は、サスペンションのハイトセンサのようなセンサで検出してもよいし、推定してもよい。
ブレーキパッド温度は、ブレーキパッドの温度をセンサにより取得してもよいし、時刻毎のパッド温度変化を推定してもよい。
実施形態2において、ステレオカメラ等から路面の荒れ具合を検出して、外乱を推定してもよい。また、ステレオカメラ等で路面の状態を検出し、路面により外乱が増加することが想定される場合には、本来の制動トルクで介入するよりも早く制動力を抜き始める構成としてもよい。
車両重量は、サスペンションのハイトセンサのようなセンサで検出してもよいし、推定してもよい。
ブレーキパッド温度は、ブレーキパッドの温度をセンサにより取得してもよいし、時刻毎のパッド温度変化を推定してもよい。
実施形態2において、ステレオカメラ等から路面の荒れ具合を検出して、外乱を推定してもよい。また、ステレオカメラ等で路面の状態を検出し、路面により外乱が増加することが想定される場合には、本来の制動トルクで介入するよりも早く制動力を抜き始める構成としてもよい。
1…電動車両(車両)、3…摩擦ブレーキ(摩擦制動装置)、7…リアモータ(駆動装置)、17…車両制御装置(コントロール部)
Claims (11)
- 車両に摩擦制動力を発生させる摩擦制動装置と、前記車両に駆動力を発生させる駆動装置と、を有する前記車両に備えられ、入力した情報に基づいて演算した結果を出力するコントロール部を備える車両制御装置であって、
前記コントロール部は、
前記車両の速度に関する物理量を取得し、
前記車両を減速させるための総制動力に関する物理量を取得し、
前記車両の速度に関する物理量と、前記総制動力に関する物理量と、に基づいて前記車両の停車目標に関する物理量を取得し、
前記総制動力に関する物理量に基づいて前記車両を減速させる際に、
前記駆動装置によって駆動力を増加させ、前記停車目標に関する物理量が基準値になるときに、前記駆動装置によって増加させた駆動力を減少させる、または、前記摩擦制動装置によって基準摩擦制動力から摩擦制動力を減少させ、前記停車目標に関する物理量が前記基準値になるときに、前記前記摩擦制動装置によって減少させた摩擦制動力を増加させる、ための制御指令を出力する、
車両制御装置。 - 請求項1に記載の車両制御装置であって、
前記コントロール部は、
前記総制動力に関する物理量に基づいて前記車両を減速させる際に、
前記駆動装置によって駆動力を増加させ、前記停車目標に関する物理量が前記基準値になるときに、前記駆動装置によって増加させた駆動力を減少させる、ための前記制御指令を出力する、
車両制御装置。 - 請求項1に記載の車両制御装置であって、
前記停車目標に関する物理量は、前記車両が停車するまでの停車目標時間である、
車両制御装置。 - 請求項3に記載の車両制御装置であって、
前記停車目標時間がゼロになるときを前記基準値とする、
車両制御装置。 - 請求項4に記載の車両制御装置であって、
前記停車目標時間は、
前記車両の速度に関する物理量および前記総制動力に関する物理量を入力とする、予め準備された停車目標時間取得マップに基づいて取得される、
車両制御装置。 - 請求項5に記載の車両制御装置であって、
前記停車目標時間取得マップは、前記車両の重量に応じて予め複数準備されている、
車両制御装置。 - 請求項1に記載の車両制御装置であって、
前記コントロール部は、
前記駆動装置によって増加させた駆動力を減少させるときに、駆動力の減少勾配が徐々に大きく、または、前記前記摩擦制動装置によって減少させた摩擦制動力を増加させるときに、摩擦制動力の増加勾配が徐々に大きく、なるように前記制御指令を出力する、
車両制御装置。 - 請求項7に記載の車両制御装置であって、
前記コントロール部は、
前記駆動装置によって増加させた駆動力を減少させるときに、所定時間は駆動力を第1減少勾配で減少させ、前記所定時間を超えたら前記第1減少勾配より大きい第2減少勾配で駆動力を減少させる、または、前記前記摩擦制動装置によって減少させた摩擦制動力を増加させるときに、前記所定時間は摩擦制動力を第1増加勾配で増加させ、前記所定時間を超えたら前記第1増加勾配より大きい第2増加勾配で摩擦制動力を増加させる、ように前記制御指令を出力する、
車両制御装置。 - 請求項1に記載の車両制御装置であって、
前記コントロール部は、
前記要求制動力に関する物理量に基づいて前記車両を減速させる際に、
前記摩擦制動装置によって基準摩擦制動力から摩擦制動力を減少させ、前記停車目標に関する物理量が前記基準値になるときに、前記前記摩擦制動装置によって減少させた摩擦制動力を増加させるための前記制御指令を出力する、
車両制御装置。 - 車両に摩擦制動力を発生させる摩擦制動装置と、前記車両に駆動力を発生させる駆動装置と、を備えた前記車両に搭載されたコントロールユニットが実行する車両制御方法であって、
前記コントロールユニットが、
前記車両の速度に関する物理量を取得し、
前記車両を減速させるための総制動力に関する物理量を取得し、
前記車両の速度に関する物理量と、前記総制動力に関する物理量と、に基づいて前記車両の停車目標に関する物理量を取得し、
前記総制動力に関する物理量に基づいて前記車両を減速させる際に、
前記駆動装置によって駆動力を増加させ、前記停車目標に関する物理量が基準値になるときに、前記駆動装置によって増加させた駆動力を減少させる、または、前記摩擦制動装置によって基準摩擦制動力から摩擦制動力を減少させ、前記停車目標に関する物理量が前記基準値になるときに、前記前記摩擦制動装置によって減少させた摩擦制動力を増加させる、ための制御指令を出力する、
車両制御方法。 - 車両に摩擦制動力を発生させる摩擦制動装置と、
前記車両に駆動力を発生させる駆動装置と、
入力した情報に基づいて演算した結果を出力する制御装置であって、
前記車両の速度に関する物理量を取得し、
前記車両を減速させるための総制動力に関する物理量を取得し、
前記車両の速度に関する物理量と、前記総制動力に関する物理量と、に基づいて前記車両の停車目標に関する物理量を取得し、
前記要求制動力に関する物理量に基づいて前記車両を減速させる際に、
前記駆動装置によって駆動力を増加させ、前記停車目標に関する物理量が基準値になるときに、前記駆動装置によって増加させた駆動力を減少させる、または、前記摩擦制動装置によって基準摩擦制動力から摩擦制動力を減少させ、前記停車目標に関する物理量が前記基準値になるときに、前記前記摩擦制動装置によって減少させた摩擦制動力を増加させる、ための制御指令を出力する、
制御装置と、
を備える車両制御システム。
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