JP2024033344A - 乳酸菌発酵物含有組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】アブラナ科野菜の乳酸菌発酵物による新規な効果及び用途の提供。【解決手段】アブラナ科野菜のラクチプランチバチルス プランタラム(Lactiplantibacillus plantarum)S25株(受託番号:NITE BP-03571)発酵物を含む、歯槽骨代謝改善用組成物。【選択図】なし

Description

本開示は、アブラナ科野菜の乳酸菌発酵物を含有する組成物及びその用途等に関する。より詳細には、アブラナ科野菜のラクチプランチバチルス プランタラム(Lactiplantibacillus plantarum)S25株発酵物を含有する組成物及びその用途等に関する。なお、本明細書に記載される全ての文献の内容は参照により本明細書に組み込まれる。
正常な骨組織では、骨芽細胞による骨形成と破骨細胞による骨吸収のバランスが保たれており、適切な骨強度・骨密度が維持される。一方、骨粗鬆症の状態では、ホルモンバランスの変化などにより破骨細胞分化が進行し、骨形成よりも骨吸収が優位となって骨強度・骨密度が低下する。したがって、破骨細胞分化を抑制することで、骨粗鬆症を予防・改善できると考えられている。この破骨細胞分化で活性化される細胞内情報伝達経路は、炎症時に活性化される経路と重なる部分が多く、抗炎症作用を有する食品成分が破骨細胞分化を抑制することも知られている。
また、糖尿病などの生活習慣病により産生される炎症性サイトカインは、破骨細胞を活性化し、骨吸収を促進するとの報告がある。
特に、口腔内では、全身での慢性炎症に先駆けて、炎症が生じると考えられており、口腔内で炎症性サイトカインが産生されると、破骨細胞を活性化し、骨吸収を促進することによって、歯の損失等が生じる懸念がある。
一方、乳酸菌発酵物により、種々の効果が奏されることが検討されてきている。例えば腸バリアが改善される(特許文献1)、あるいは肌が改善される(特許文献2)等の効果が奏されることが知られている。
特開第2019-011315号公報 特開第2019-011316号公報
本発明者らは、アブラナ科野菜の乳酸菌発酵物による新規な効果及び用途を探索した。
本発明者らは、アブラナ科野菜の乳酸菌(より具体的には、ラクチプランチバチルス プランタラム(Lactiplantibacillus plantarum)S25株発酵物が、破骨細胞への分化を抑制し得ることを見出し、さらに改良を重ねた。
本開示は、例えば以下の項に記載の主題を包含する。
項1.
アブラナ科野菜のラクチプランチバチルス プランタラム(Lactiplantibacillus plantarum)S25株(受託番号:NITE BP-03571)発酵物を含む、歯槽骨代謝改善用組成物。
項2.
歯槽骨の破骨細胞抑制用、及び/又は歯槽骨吸収抑制用である、項1に記載の組成物。
項3.
前記アブラナ科野菜が、ブロッコリーである、項1又は2に記載の組成物。
項4.
経口組成物である、項1~3いずれかに記載の組成物。
項5.
飲食品組成物又は医薬品組成物である、項1~4いずれかに記載の組成物。
アブラナ科野菜のラクチプランチバチルス プランタラム(Lactiplantibacillus plantarum)S25株発酵物を含む、歯槽骨代謝改善用組成物が提供される。
ブロッコリー抽出物を添加した場合のNF-κB活性の測定結果を示す。図中、エラーバーは標準誤差を示し、*は、p<0.05 versus LPS groupを示し、**はp<0.01 versus LPS groupを示す。 発酵ブロッコリー抽出物を添加した場合のNF-κB活性の測定結果を示す。図中、エラーバーは標準誤差を示し、**はp<0.01 versus LPS groupを示す。 ニンジン抽出物を添加した場合のNF-κB活性の測定結果を示す。図中、エラーバーは標準誤差を示し、**はp<0.01 versus LPS groupを示す。 発酵ニンジン抽出物を添加した場合のNF-κB活性の測定結果を示す。図中、エラーバーは標準誤差を示し、**はp<0.01 versus LPS groupを示す。 ブロッコリー抽出物、又は発酵ブロッコリー抽出物を添加した場合のTRAP染色結果を示す。 ブロッコリー抽出物を添加した場合の多核化細胞数の測定結果を示す。 発酵ブロッコリー抽出物を添加した場合の多核化細胞数の測定結果を示す。 発酵ブロッコリー抽出物を添加した場合のNFAT遺伝子の発現量を示す。図中、エラーバーは標準誤差を示し、**はp<0.01 versus RANKL groupを示す。 発酵ブロッコリー抽出物を添加した場合のTRAP遺伝子の発現量を示す。図中、エラーバーは標準誤差を示し、**はp<0.01 versus RANKL groupを示す。 発酵ブロッコリー抽出物を添加した場合のRANK遺伝子の発現量を示す。図中、エラーバーは標準誤差を示し、**はp<0.01 versus RANKL groupを示す。 発酵ブロッコリー抽出物を添加した場合のOSCAR遺伝子の発現量を示す。図中、エラーバーは標準誤差を示し、**はp<0.01 versus RANKL groupを示す。 発酵ブロッコリー抽出物を添加した場合のCtsk遺伝子の発現量を示す。図中、エラーバーは標準誤差を示し、**はp<0.01 versus RANKL groupを示す。 発酵ブロッコリー抽出物を添加した場合のOC-STAMP遺伝子の発現量を示す。図中、エラーバーは標準誤差を示し、**はp<0.01 versus RANKL groupを示す。 発酵ブロッコリー抽出物を添加した場合のDC-STAMP遺伝子の発現量を示す。図中、エラーバーは標準誤差を示し、**はp<0.01 versus RANKL groupを示す。
以下、本開示に包含される各実施形態について、さらに詳細に説明する。
本開示に包含される組成物は、アブラナ科野菜のラクチプランチバチルス プランタラム(Lactiplantibacillus plantarum)S25株発酵物を含有する組成物である。本明細書において、当該組成物を「本開示の組成物」と表記することがある。
本開示に用いられる乳酸菌は、ラクチプランチバチルス プランタラム(Lactiplantibacillus plantarum)S25株である。本明細書において、当該乳酸菌を「本開示の乳酸菌」と表記することがある。
ラクチプランチバチルス プランタラム(Lactiplantibacillus plantarum)S25株は、2021年12月15日付で、独立行政法人 製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8)に、受託番号:NITE BP-03571で受託されている。
ラクチプランチバチルス プランタラム(Lactiplantibacillus plantarum)S25株は、京漬物である、すぐきから分離された植物性乳酸菌である。
アブラナ科野菜としては、例えば、ブロッコリー、キャベツ、水菜、小松菜、カリフラワー、チンゲン菜、ハクサイ、ケール等のアブラナ属野菜が挙げられる。アブラナ科野菜は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、ブロッコリーが好ましい。
アブラナ科野菜の部位としては、特に限定されない。例えば、葉、茎、蕾(特に花蕾)等を用いることができる。アブラナ科野菜の部位は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
アブラナ科野菜のラクチプランチバチルス プランタラム(Lactiplantibacillus plantarum)S25株発酵物は、アブラナ科野菜をラクチプランチバチルス プランタラム(Lactiplantibacillus plantarum)S25株によって発酵させることにより得ることができる。本明細書において、当該発酵物を「本開示の発酵物」と表記することがある。
発酵に用いられるアブラナ科野菜は、粉砕処理が行われていてもよく、行われていなくてもよい。粉砕方法は、特に限定されず、公知の方法、条件を採用することができる。
発酵に用いられるアブラナ科野菜は、加熱処理が行われていてもよく、行われていなくてもよい。加熱方法は、特に限定されず、公知の方法、条件を採用することができる。
発酵に用いられるアブラナ科野菜の形状は、特に限定されない。例えば、液体状(例えば、溶液状、懸濁液状等)、ペースト状、ピューレ状、又は固体状(例えば、粉末状、顆粒状等)等であってもよい。
発酵に用いられる本開示の乳酸菌数は、特に限定されない。例えば、1×105~12個程度とすることができ、1×107~9個程度であってもよい。
また、本開示の乳酸菌の接種割合も特に限定されない。例えば、アブラナ科野菜を含む発酵原料に対して、本開示の乳酸菌を含む乳酸菌液の接種量は、2~10質量%程度とすることができ、3~8質量%程度であってもよい。
発酵温度は、特に制限されない。例えば、25~35℃程度とすることができ、28~32℃程度であってもよい。
発酵時間は、特に制限されない。例えば、15~30時間程度とすることができ、18~25時間程度であってもよい。
発酵方法は、特に限定されず、公知の方法、条件を採用することができる。例えば、静置で行われてもよく、必要に応じて、例えば、攪拌、振盪等を行うこともできる。
本開示の発酵物は、発酵後に、殺菌処理が行われていてもよく、行われていなくてもよい。殺菌方法は、特に限定されず、例えば、90℃、10分等、公知の方法、条件を採用することができる。
本開示の発酵物は、発酵後に、乾燥処理が行われていてもよく、行われていなくてもよい。乾燥方法は、特に限定されず、例えば、凍結乾燥、真空乾燥、噴霧乾燥、加熱乾燥等、公知の方法、条件を採用することができる。
本開示の発酵物は、発酵後に、精製処理が行われていてもよく、行われていなくてもよい。精製方法は、特に限定されず、公知の方法、条件を採用することができる。
本開示の発酵物は、ラクチプランチバチルス プランタラム(Lactiplantibacillus plantarum)S25株を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。
また、本開示の発酵物が、ラクチプランチバチルス プランタラム(Lactiplantibacillus plantarum)S25株を含む場合、ラクチプランチバチルス プランタラム(Lactiplantibacillus plantarum)S25株は生菌体であってもよく、死菌体であってもよく、これらの組合せであってもよい。
本開示の組成物におけるアブラナ科野菜のラクチプランチバチルス プランタラム(Lactiplantibacillus plantarum)S25株発酵物の含有量は、特に限定されない。例えば、0.1~100質量%程度とすることができ、1~99質量%程度、2~90質量%、又は5~50質量%程度であってもよい。
本開示の組成物は、本開示の発酵物を含み、さらに他の成分を含むことができる。当該他の成分としては、薬理学上又は食品衛生学上許容される基剤、担体、溶剤、分散剤、乳化剤、緩衝剤、安定剤、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、増粘剤、抗酸化剤、保存剤、コーティング剤、着色料等が例示される。これらの成分は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本開示の組成物の形状は、特に限定されない。例えば、液体状(例えば、溶液状、懸濁液状等)、ペースト状、ピューレ状、又は固体状(例えば、粉末状、顆粒状等)等であってもよい。
本発明の組成物は、特に限定されないが、例えば、経口組成物であってもよい。
本発明の組成物は、飲食品組成物又は医薬品組成物であってもよい。飲食品組成物である場合には、例えば、加工食品、飲料、健康食品(栄養機能食品、特定保健用食品等)、サプリメント、病者用食品(病院食、病人食又は介護食等)等であってもよい。
本開示の組成物は、上述した本開示の発酵物と、必要に応じて他の成分とを組み合わせて常法により調製することができる。
本開示の組成物は、口腔内において、歯槽骨代謝改善効果、歯槽骨の破骨細胞抑制効果、歯槽骨吸収抑制効果、歯槽骨の破骨細胞数低減効果、歯槽骨の破骨細胞分化または活性化のマーカー遺伝子(例えば、NFAT遺伝子(破骨細胞分化に必要な転写因子を活性化する転写調節因子;nuclear factor of activated T cells)、TRAP遺伝子(破骨細胞への分化マーカー;酒石酸抵抗性アルカリフォスファターゼ)、破骨前駆細胞に高発現するRANK遺伝子(receptor activator of NF-κB)、OSCAR遺伝子(Osteoclast-associated receptor)、Ctsk遺伝子(カテプシンK)、並びにOC-STAMP遺伝子(破骨細胞刺激性膜貫通タンパク質)及びDC-STAMP遺伝子(樹状細胞特異的膜貫通タンパク質)等)の発現抑制効果を奏し得る。このため、本開示の組成物は、歯槽骨代謝改善用、歯槽骨の破骨細胞抑制用、歯槽骨吸収抑制用、歯槽骨の破骨細胞数低減用、及び/又は歯槽骨の破骨細胞分化関連遺伝子の発現抑制用として、好ましく用いられる。
本明細書において、「歯槽骨代謝」とは、歯槽骨において、骨芽細胞による骨形成と、破骨細胞による骨吸収が繰り返される、歯槽骨のリモデリングを意味する。本明細書において、「歯槽骨代謝改善」とは、歯槽骨において、骨吸収に偏った骨代謝を、正常なバランスに改善することを意味する。本明細書において、「歯槽骨の破骨細胞抑制」とは、歯槽骨における破骨細胞への分化を抑制すること、又は歯槽骨における破骨細胞の増加を抑制することを意味する。
また、本開示の組成物は、抗炎症効果(より具体的には、代表的な炎症反応であるマクロファージの活性化において活性化される転写調節因子NF-κBの活性化抑制効果)を奏し得る。
破骨細胞の分化又は活性化経路の1つとして次の経路が挙げられる。TNF-α、IL-1、IL-6、IL-17等の炎症性サイトカインが線維芽細胞、骨芽細胞等を刺激し、刺激されたこれらの細胞が、破骨細胞分化因子であるRANKLを産生する。RANKLがマクロファージ上の受容体であるRANKに結合することで、マクロファージ内で転写因子NF-κBやNFATが活性化され、破骨細胞への分化、ならびに活性化が促進される。理論に拘束されることを望むものではないが、本開示の組成物が口腔内で破骨細胞への分化を抑制し得るメカニズムの1つとしては、口腔内においてNF-κBの活性化を抑制していることが考えられる。これによって本開示の組成物により、歯槽骨代謝改善、歯槽骨の破骨細胞抑制、歯槽骨吸収抑制、歯槽骨の破骨細胞数低減、又は歯槽骨の破骨細胞分化関連遺伝子の発現抑制効果等が奏される。
本開示の組成物の摂取対象としては、例えば、ヒト、ヒト以外の哺乳動物(例えば、ラット、マウス、ウサギ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ、ヒツジ、サル等)が挙げられる。
ヒトとしては、例えば、歯槽骨における骨吸収が亢進しているヒト、例えば加齢又は閉経等により歯槽骨における骨代謝が骨吸収に傾いている人;歯槽骨が減少しているヒト;歯肉が炎症を起こしている(例えば出血、発赤、歯肉の腫れ等)ヒト;歯肉が退縮し、歯周ポケットが出現しているヒト;歯肉炎を有するヒト;歯周炎を有するヒト;歯周病患者;歯ぎしり又は食いしばりをするヒト;一部の歯の喪失により周囲の歯への負荷がかかる状態にあるヒト;口腔内の菌叢がもたらす毒素、又は炎症のあるヒト;カルシウム又はビタミンDが不足しているヒト等が挙げられる。また、歯槽骨代謝に大きな異常は見られない場合であっても、正常な歯槽骨代謝の維持のために予防的に用いることもできる。
なお、本明細書において「含む」とは、「本質的にからなる」と、「からなる」をも包含する(The term "comprising" includes "consisting essentially of” and "consisting of.")。また、本開示は、本明細書に説明した構成要件の任意の組み合わせを全て包含する。
また、上述した本開示の各実施形態について説明した各種特性(性質、構造、機能等)は、本開示に包含される主題を特定するにあたり、どのように組み合わせられてもよい。すなわち、本開示には、本明細書に記載される組み合わせ可能な各特性のあらゆる組み合わせからなる主題が全て包含される。
本開示の内容を以下の実施例を用いて具体的に説明する。しかし、本開示はこれらに何ら限定されるものではない。下記において、特に言及する場合を除いて、実験は大気圧及び常温条件下で行っている。
発酵ブロッコリーの調製方法
ブロッコリーを破砕、加熱した後、裏ごししたブロッコリーピューレに1×107~9個程度のラクチプランチバチルス プランタラム(Lactiplantibacillus plantarum)S25株(受託番号:NITE BP-03571)を接種し、30℃で20時間程度静置し発酵させた。得られた発酵ブロッコリーを凍結乾燥し粉末とし、発酵ブロッコリーを得た。
ブロッコリーに代えて、ニンジンについても同様に、S25株により発酵し、発酵ニンジンを調製した。
抗炎症作用の評価
[材料]
細胞:マウスマクロファージ(RAW264.7)
培地:MEM Alpha(10v/v% FBS、v/v1% Penicillin-Streptomycin)、Gibco
免疫応答において、炎症シグナルにより核内への移行量が増加し、炎症性サイトカインの発現量を調節する転写調節因子としてNF-κBが知られている。NF-κB応答配列の下流にレポーター遺伝子であるルシフェラーゼを連結させたレポータープラスミドをマクロファージ培養細胞株RAW264.7細胞に安定導入したレポーター細胞を構築した。
培地に、各素材の抽出物を濃度調整して添加したものを試験液とした。レポーター細胞をプレートに播種し培養し、細胞の接着を確認後、培地を取り除き試験液に置換した。試験液で処理する群以外に、培地の交換のみを行う群(各素材抽出液の添加なし)、NF-κBの阻害剤であるBAY(終濃度15μM)添加培地で処理した群を設けた。24時間後、LPS(終濃度100ng/mL)を添加した試験液で処理した。この際、前日に試験液で処理せず培地の交換のみを行なった群は、LPSで処理する群(LPS群)と処理しない群(Control群)に分割した。BAYで処理した群は前日と同様の濃度でBAYを添加し、その上でLPSを添加した。LPS添加処理から3時間培養し、ルシフェラーゼアッセイキット (Promega社) を用いて培地に放出されたルシフェラーゼ活性を測定した。
被験物質としては、BAY(NF-κB活性化抑制剤)、ブロッコリー抽出物、発酵ブロッコリー抽出物、ニンジン抽出物、及び発酵ニンジン抽出物を用いた。
ブロッコリー抽出物は、S25株で発酵する前のブロッコリーピューレの凍結乾燥粉末を細胞培養に用いる培地で直接懸濁し、遠心分離により不溶物を除去した後、フィルター滅菌したものを指す。
発酵ブロッコリー抽出物は、S25株で発酵したブロッコリーの凍結乾燥粉末を細胞培養に用いる培地で直接懸濁し、遠心分離により不溶物を除去した後、フィルター滅菌したものを指す。
ニンジン抽出物は、S25株で発酵する前のニンジンピューレの凍結乾燥粉末を細胞培養に用いる培地で直接懸濁し、遠心分離により不溶物を除去した後、フィルター滅菌したものを指す。
発酵ニンジン抽出物は、S25株で発酵したニンジンの凍結乾燥粉末を細胞培養に用いた培地で直接懸濁し、遠心分離により不溶物を除去した後、フィルター滅菌したものを指す。
結果を図1に示す。
図1に示すとおり、発酵ブロッコリー抽出物によって、代表的な炎症反応であるマクロファージの活性化において活性化される転写調節因子NF-κBの活性化が抑制されることが確認された。一方、ブロッコリー抽出物、ニンジン抽出物、及び発酵ニンジン抽出物を用いた場合には、NF-κBの活性化抑制作用は確認されなかった。
破骨細胞の分化抑制作用の評価
RANKL添加による分化誘導処理を行いRAW264.7細胞を破骨細胞に分化させた。この分化誘導時にブロッコリー抽出物又は発酵ブロッコリー抽出物を共添加することで、破骨細胞分化に対する作用を評価した。
TRAP染色
RAW264.7細胞における破骨細胞分化促進の指標として、破骨細胞の分化マーカーである酒石酸耐性酸性フォスファターゼ(TRAP)活性を確認した。
上記MEM Alphaに記載の培地にブロッコリーあるいは発酵ブロッコリーの抽出物を各濃度(1.0μg/mL、1.5μg/mL、3.0μg/mL)となるように添加したものを試験液とした。RAW264.7細胞を1×10cells/0.5mL/wellとなるように培地で調整し24ウェルプレートにて培養した。翌日、試験液にRANKLを添加した培地に置換し37℃、5%CO条件下で4日間培養した。培養期間中は、培地の交換は行わなかった。培地に素材抽抽出物を添加しない群(Control群)及び培地にRANKLを添加した群(RANKL群)についても、同様に試験を行なった。
4日後、培地を取り除いた後にPBSを用いて細胞を2回洗浄した。細胞を洗浄後、Formalin in PBS(1:9)を0.3mL/wellで添加し、10分間静置した。10分後、ウェル内の溶液を除去し、EtOH Acetone Solutionを0.3mL/well添加し、1分間静置した。1分後、ウェル内の溶液を除去し、プレートの蓋を外して室温で細胞を乾燥させた。
乾燥させた細胞にTRAP染色液を0.3mL/wellずつ添加し、37℃で15分間静置した。15分後、滅菌水を用いて3回洗浄を行なった。洗浄後、細胞を室温で乾燥させ、光学顕微鏡下にて染色像を観察した。
結果を図2に示す。
図2に示すとおり、ブロッコリー抽出物を添加した場合と比較して、発酵ブロッコリー抽出物を添加することによって、破骨細胞への分化が抑制される(染色領域が低減する)ことが確認された。
多核細胞数の測定
上記方法に従ってTRAP染色をした細胞について、光学顕微鏡下で破骨細胞の数をカウントした。TRAP陽性細胞のうち、3核以上の細胞を破骨細胞と判定した。
結果を図3に示す。
図3に示すとおり、ブロッコリー抽出物を添加した場合と比較して、発酵ブロッコリー抽出物を添加した場合の方が、破骨細胞への分化が抑制される(染色領域が低減する)ことが確認された。
破骨細胞分化マーカー遺伝子の発現
発酵ブロッコリー抽出物を添加して分化誘導したRAW264.7細胞からRNAを抽出後、定量的PCR法により、破骨細胞分化に関連する遺伝子であるNFAT、TRAP、RANK、OSCAR、Ctsk、OC-STAMP、並びにDC-STAMPの発現を解析した。
結果を図4及び5に示す。
図4に示すとおり、発酵ブロッコリー抽出物を添加することによって、NFAT及びTRAP遺伝子の発現が抑制されることが確認された。また、発酵ブロッコリー抽出物を添加することによって、RANK遺伝子の発現が抑制されることが確認された。
また、図5に示すとおり、OSCAR及びCtsk、並びに分化過程で発現するOC-STAMP及びDC-STAMP遺伝子の発現が抑制されることが確認された。

Claims (6)

  1. アブラナ科野菜のラクチプランチバチルス プランタラム(Lactiplantibacillus plantarum)S25株(受託番号:NITE BP-03571)発酵物を含む、歯槽骨代謝改善用組成物。
  2. 歯槽骨の破骨細胞抑制用、及び/又は歯槽骨吸収抑制用である、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記アブラナ科野菜が、ブロッコリーである、請求項1又は2に記載の組成物。
  4. 経口組成物である、請求項1又は2に記載の組成物。
  5. 飲食品組成物又は医薬品組成物である、請求項1又は2に記載の組成物。
  6. 以下の(A)~(D)の少なくとも1種の特徴を有する、請求項1に記載の組成物。
    (A)歯槽骨の破骨細胞抑制用、及び/又は歯槽骨吸収抑制用である
    (B)アブラナ科野菜が、ブロッコリーである
    (C)経口組成物である
    (D)飲食品組成物又は医薬品組成物である
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