JP2024032521A - 浮体式基礎が搭載される架台の回収方法 - Google Patents

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孝志 倉門
Takashi Kurakado
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Seong-Kyu Lim
裕登 川邉
Hirotaka Kawabe
宇紀 川村
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Abstract

【課題】効率的な浮体式基礎の製作と安定的かつ効率的な台船への搬送を可能にする架台を、台船から回収することのできる、浮体式基礎が搭載される架台の回収方法を提供する。【解決手段】洋上風車80のタワー82を支持する、浮体式基礎が搭載される架台を回収する方法であって、浮体式基礎70を形成する複数のコンクリート製の分割体が、それぞれに固有の架台40の上で製作され、複数の分割体が複数の架台40の上で接続されて製作された浮体式基礎70が、複数の架台40とともに台船90に搭載された状態で台船90を潜水させ、浮体式基礎70を水上に浮上させ、浮体式基礎70から離れた位置で台船90を浮上させ、台船90を岸壁Pへ引き戻す引き戻し工程と、岸壁Pから台船90に複数の搬送手段30を移動させ、複数の架台40を複数の搬送手段30にて台船90から岸壁Pに回収する回収工程とを有する。【選択図】図17

Description

本発明は、浮体式基礎が搭載される架台の回収方法に関する。
温室効果ガスの排出量削減を目的として、再生可能エネルギーの需要が高まっている。再生可能エネルギーには、例えば、太陽光発電や風力発電、水力発電、地熱発電、バイオマス等がある。風力発電施設は、風車による騒音や振動が生活環境に影響を及ぼす場合があり、居住空間等への影響を十分に考慮する必要があることから、居住区域から離れた山間部などに設置されることが多い。
しかしながら、大型の風車を設置する用地を山間部に確保することは難しく、また、風力発電施設までの交通路の確保や、送電線等の設置等も困難であることから、風力発電施設を構成する洋上風車を海上(水上や湖上を含む)に設置するための技術開発が進められている。
海上に洋上風車を構築する場合、その基礎として浮体式基礎を採用する場合があり、この浮体式基礎には、セミサブマージブル型やスパー型、パージ型、TLP(Tension Leg Platform:緊張係留式プラットフォーム)型等が存在する。この中でも、セミサブマージブル型基礎(半潜水浮体式基礎)は、風車のタワー(支柱)を支持するセンターカラムと、センターカラムの周囲に間隔を置いて配設されている複数(3基もしくは4基)のサイドカラムと、センターカラムとサイドカラムとを連結するポンツーンとを有し、波浪や海風に対して優れた安定性を奏し得ることから、比較的実績の多い基礎である。
従来の浮体式基礎は、鋼材により製作されている形態が一般的であるため、製作コストの高騰が課題の一つとなっており、浮体式基礎の規模が大きくなるに従い、この課題は一層顕著になる。
そこで、コンクリート製の浮体式基礎をドックにて製作し、海上へ曳航して設置することにより、製作コストの低減を図ることができるものの、現状、コンクリート製の浮体式基礎の効率的なドックにおける架台を用いた製作と、架台と浮体式基礎の安定的かつ効率的な台船への搬送、及び、台船からの架台の回収方法が確立されていないことから、効率的な浮体式基礎の製作と安定的かつ効率的な台船への搬送を可能にする架台を、台船から回収する方法が望まれる。
ここで、特許文献1には、洋上風車のタワーを高さ方向に分割してできた複数のタワー部材を、地盤上に設置された台座を基礎として台座上に構築されたジャッキ付き架台にて組み立てる、タワー組立方法が提案されている。
一方、特許文献2には、洋上風車のタワーを高さ方向に分割してできた複数のタワー部材を洋上で組み立てて据え付ける、洋上風車の据付方法が提案されており、この据付方法は、洋上風車の基礎となるケーソンを洋上風車の設置位置に設置するケーソン設置工程と、ケーソンにて複数のタワー部材を組み立てる組立工程と、最上段のタワー部材に取り付けられたナセルに、ケーソンにてブレードを取り付けるブレード取付工程とを有する。
特開2021-80852号公報 特開2021-76043号公報
特許文献1,2には、効率的なタワーの組立方法に関する記載はあるものの、上記するように、効率的な浮体式基礎の製作と安定的かつ効率的な台船への搬送を可能にする、架台を台船から回収する方法に関する記載はない。
本発明は、効率的な浮体式基礎の製作と安定的かつ効率的な台船への搬送を可能にする架台を、台船から回収することのできる、浮体式基礎が搭載される架台の回収方法を提供することを目的としている。
前記目的を達成すべく、本発明による浮体式基礎が搭載される架台の回収方法の一態様は、
洋上風車のタワーを支持する、浮体式基礎が搭載される架台を回収する方法であって、
前記浮体式基礎を形成する複数のコンクリート製の分割体が、それぞれに固有の架台の上で製作され、複数の該分割体が複数の該架台の上で接続されて製作された該浮体式基礎が、複数の該架台とともに台船に搭載された状態で該台船を潜水させ、該浮体式基礎を水上に浮上させ、該浮体式基礎から離れた位置で該台船を浮上させ、該台船を岸壁へ引き戻す、引き戻し工程と、
前記岸壁から前記台船に複数の搬送手段を移動させ、複数の前記架台を複数の該搬送手段にて該台船から該岸壁に回収する、回収工程とを有することを特徴とする。
本態様によれば、複数のコンクリート製の分割体が製作され、分割体同士が接続されて浮体式基礎が製作される複数の架台の回収に際し、浮体式基礎を水上に浮上させた台船が岸壁へ引き戻された後、岸壁から台船に複数の搬送手段を移動させ、複数の架台を複数の搬送手段にて台船から岸壁に回収することにより、効率的かつ確実な架台の回収が可能になる。
また、浮体式基礎を形成する複数のコンクリート製の分割体を、それぞれに固有の製作ヤードにある架台の上で製作した後、複数の分割体を架台とともに搬送手段にて接続ヤードに搬送し、接続ヤードにて各分割体を架台の上で接続して浮体式基礎を製作することにより、ドックにおけるコンクリート製の浮体式基礎の効率的な製作も実現できる。
ここで、コンクリート製の分割体とは、鉄筋コンクリート(RC:Reinforced Concrete)製のセンターカラムやサイドカラム、ポンツーンのことを意味しており、より詳細には、センターカラムの構成要素やサイドカラムの構成要素、ポンツーンの構成要素のことを意味している。尚、RC構造を主たる構造形式とした上で、鋼材(S:Steel)が含まれるSRC(Steel Reinforced Concrete)構造も、本明細書では「コンクリート製」に含まれるものとする。
これらの分割体を固有の架台の上で製作することにより、製作された分割体を架台とともに搬送手段にて接続ヤードへ搬送する際の搬送性が良好になる。さらに、接続ヤードでは、各分割体がそれぞれに固有の架台の上に搭載された状態で、分割体同士の接続を行い、さらに複数の架台とともに浮体式基礎を台船へ搬送することから、接続ヤードにおける接続性と台船への搬送性がともに良好になり、各製作ヤードから製作ヤードへの良好な搬送性と、接続ヤードにおける良好な接続性、台船への良好な搬送性が相俟って、浮体式基礎の効率的な製作及び台船への搬送に繋がる。
接続ヤードでは、各分割体同士をPC(Prestressed Concrete)鋼棒やPC鋼線等の緊張材にて緊張することにより、浮体式基礎が製作される。すなわち、各製作ヤードにて、架台の上でコンクリート製の分割体がPCa(Precast Concrete)体として製作され、接続ヤードでは架台に搭載された各PCa体(分割体)が緊張材にて緊張されることにより、PCaPC(Precast Prestressed Concrete)製の浮体式基礎が製作される。
また、本発明による浮体式基礎が搭載される架台の回収方法の他の態様において、
前記回収工程では、前記台船に固定されている複数の前記架台の固定解除を行うことを特徴とする。
本態様によれば、複数の架台が台船に固定されていることにより、台船が潜水した際に、複数の架台が台船から離れて水中へ沈む等し、回収不能になることを防止でき、このように台船に固定されている複数の架台の固定解除を行った後に搬送手段による岸壁への架台の回収を行うことにより、架台の速やかな回収を実現できる。
また、本発明による浮体式基礎が搭載される架台の回収方法の他の態様において、
前記搬送手段が、前記架台を持ち上げて地切りする揚重機構を備えた、自走式台車である場合に、前記回収工程では、該搬送手段が複数の該架台を持ち上げた状態で前記台船から前記岸壁へ移動することを特徴とする。
本態様によれば、搬送手段が、架台を持ち上げて地切りする揚重機構を備えた自走式台車であることにより、架台の回収性がより一層良好になる。
また、本発明による浮体式基礎が搭載される架台の回収方法の他の態様において、
前記台船は、バラスト室を備えており、
前記台船の潜水は、前記バラスト室への注水により行い、
前記台船の浮上は、前記バラスト室からのバラスト水の排水により行うことを特徴とする。
本態様によれば、台船の潜水を台船の備えるバラスト室への注水により行い、台船の浮上をバラスト室からのバラスト水の排水により行うことで、特別な設備を台船に装備することなく、安定した台船の潜水と浮上を実現できる。
また、本発明による浮体式基礎が搭載される架台の回収方法の他の態様において、
前記台船は、昇降機構を備えた支持脚を有しており、
前記台船の潜水は、前記昇降機構の降下により行い、
前記台船の浮上は、前記昇降機構の上昇により行うことを特徴とする。
本態様によれば、台船が昇降機構を備えた支持脚を有し、台船の潜水を昇降機構の降下により行い、台船の浮上を昇降機構の上昇により行うことで、波浪等による影響を受けることなく、安定した台船の潜水と浮上を実現できる。
本発明の浮体式基礎が搭載される架台の回収方法によれば、効率的な浮体式基礎の製作と安定的かつ効率的な台船への搬送を可能にする架台を、台船から回収することができる。
実施形態に係る浮体式基礎の製作システムの一例の全体斜視図である。 実施形態に係る浮体式基礎の製作方法により製作される、浮体式基礎の一例の斜視図である。 実施形態に係る洋上風車の製作方法により製作される、洋上風車の一例の斜視図である。 第1実施形態に係る浮体式基礎の製作方法の一例の工程図である。 図4Aに続いて、第1実施形態に係る浮体式基礎の製作方法の一例の工程図である。 第2実施形態に係る浮体式基礎の製作方法の一例と、第3実施形態に係る浮体式基礎の製作方法の一例をともに示す図である。 多軸台車の一例の斜視図である。 浮体式基礎の第1搬送方法の際の多軸台車の配置形態を示す図であって、(a)はサイドカラムを搬送する複数の多軸台車の平面図であり、(b)はポンツーンを搬送する複数の多軸台車の平面図であり、(c)はセンターカラムを搬送する複数の多軸台車の平面図である。 複数の多軸台車により架台とともに浮体式基礎を搬送する第1搬送方法の一例を説明する図である。 浮体式基礎の第2搬送方法の際の多軸台車の配置形態を示す図であって、(a)、(b)、(c)はサイドカラムを搬送する複数の多軸台車の平面図であり、(d)、(e)、(f)はポンツーンを搬送する複数の多軸台車の平面図であり、(g)はセンターカラムを搬送する複数の多軸台車の平面図である。 複数の多軸台車により架台とともに浮体式基礎を搬送する第2搬送方法の一例を説明する図である。 実施形態に係る浮体式基礎の進水方法の一例の工程図である。 図9に続いて、実施形態に係る浮体式基礎の進水方法の一例の工程図である。 図10に続いて、実施形態に係る浮体式基礎の進水方法の一例の工程図である。 図11に続いて、実施形態に係る浮体式基礎の進水方法の一例の工程図である。 図12に続いて、実施形態に係る浮体式基礎の進水方法の一例の工程図であって、かつ、実施形態に係る浮体式基礎が搭載される架台の回収方法の一例の工程図である。 図13に続いて、実施形態に係る浮体式基礎が搭載される架台の回収方法の一例の工程図である。 図14に続いて、実施形態に係る浮体式基礎が搭載される架台の回収方法の一例の工程図である。 図15に続いて、実施形態に係る浮体式基礎が搭載される架台の回収方法の一例の工程図である。 図16に続いて、実施形態に係る浮体式基礎が搭載される架台の回収方法の一例の工程図である。 実施形態に係る洋上風車の製作曳航方法を説明する図である。
以下、実施形態に係る浮体式基礎の製作方法と浮体式基礎の製作システム、洋上風車の製作方法、浮体式基礎の進水方法、浮体式基礎が搭載される架台の回収方法、及び洋上風車の製作曳航方法について、添付の図面を参照しながら説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く場合がある。
[実施形態に係る浮体式基礎の製作システムと製作方法、及び洋上風車の製作方法]
はじめに、図1乃至図8を参照して、実施形態に係る浮体式基礎の製作方法と浮体式基礎の製作システム、及び洋上風車の製作方法の一例について説明する。
ここで、図1は、実施形態に係る浮体式基礎の製作システムの一例の全体斜視図であり、図2は、実施形態に係る浮体式基礎の製作方法により製作される、浮体式基礎の一例の斜視図であり、図3は、実施形態に係る洋上風車の製作方法により製作される、洋上風車の一例の斜視図である。また、図4Aと図4Bは順に、第1実施形態に係る浮体式基礎の製作方法の一例の工程図である。また、図5は、第2実施形態に係る浮体式基礎の製作方法の一例と、第3実施形態に係る浮体式基礎の製作方法の一例をともに示す図である。
尚、各図においては、浮体式基礎を構成するコンクリート製(鉄筋コンクリート製)の各構成要素を形成する鉄筋の図示や、各構成要素を形成(複数のエレメント同士を接続)したり、各構成要素同士を接続するための緊張材の図示は省略する。
図1に示す製作システム60は、ドックDに設けられて、浮体式基礎70を製作するためのシステムである。図示例の製作対象の浮体式基礎70はセミサブマージブル型基礎であるが、製作システム60にて製作される浮体式基礎は、それ以外のスパー型やパージ型、TLP型等の浮体式基礎であってもよい。
製作システム60は、セミサブマージブル型基礎70を構成する複数種の分割体を製作するための複数の製作ヤード10と、各製作ヤード10の間に設けられている搬送路50と、各製作ヤード10にて製作された分割体を搬送路50を介して搬送する搬送手段30と、搬送手段30にて搬送された各分割体同士を接続して浮体式基礎70を製作する、接続ヤード20とを有する。
ドックDのうち、接続ヤード20の岸壁Pの側方には、製作された浮体式基礎70が曳航されて設置される海上Sが展開しており、岸壁Pには、製作された浮体式基礎70を積載して、所定の設置位置まで曳航して設置するための台船90が係留されている。
図2に示すように、セミサブマージブル型基礎70は、コンクリート製のセンターカラム70Aと、センターカラム70Aを中心として3方向に平面視で120度の間隔を置いて配設されている、3基のコンクリート製のサイドカラム70Bと、中心にあるセンターカラム70Aと各サイドカラム70Bを繋ぐ3基のコンクリート製のポンツーン70Cとを有する。120度間隔の3方向は、ポンツーン70Cの長手方向であることからポンツーン軸方向とする。
また、センターカラム70Aは、センターカラム基礎71と、センターカラム基礎71から立ち上がるセンタータワー72とを備え、サイドカラム70Bは、サイドカラム基礎73と、サイドカラム基礎73から立ち上がるサイドタワー74とを備える。
センタータワー72は、複数のセンタータワーエレメント72aの積層体であり、サイドタワー74は、複数のサイドタワーエレメント74aの積層体であり、ポンツーン70Cは、複数のポンツーンエレメント75aの接続体である。
これらは、様々な態様で固有の製作ヤード10にて分割体として製作され、接続ヤード20に各分割体が搬送されて接続されることにより、浮体式基礎70が製作される。ここで、製作対象のセミサブマージブル型基礎70は3基のサイドカラム70Bを備えている形態であるが、その他、図示を省略するが、センターカラム70Aを中心に4つのポンツーン70Cが平面視で90度間隔に配設され、各ポンツーン70Cにサイドカラム70Bが接続される形態であってもよい。
図2に示すように、各分割体は固有の架台40の上に載置されている。各架台40は、載置版41と、載置版41の下方に突設する複数の脚42と、載置版41の下方にあって搬送手段30が進入する進入空間43を有している。
ここで、「分割体に固有の架台」とは、各分割体と各架台40の数が1:1で対応することの他にも、分割体の数に比べて架台40の数が少なく、各分割体の製作にタイムラグを設けながら各分割体を製作する場合には、1台の架台40が複数の分割体の製作から搬送に転用されることになる。
センターカラム70A、サイドカラム70B、及びポンツーン70Cはそれぞれ、固有の架台40A,40B,40Dの上に載置されている。
図1に戻り、各製作ヤード10は、固有の建屋18の内部に設けられている。製作ヤード10には、分割体を製作するための門型クレーン15が、複数本のレール13に沿ってX1方向に移動自在に設置されている。
製作ヤード10には、架台40が設置されており、架台40の上で分割体が製作されるようになっている。
ここで、分割体には、様々な形態が存在する。図2を参照して説明すると、センターカラム基礎71やサイドカラム基礎73が分割体に含まれる。また、センタータワー72はその全体が分割体に含まれる場合や、各センタータワーエレメント72aが分割体に含まれる場合、センタータワー72の一部(未完成な状態)が含まれる場合もある。そして、このことはサイドタワー74にも妥当する。
ポンツーン70Cに関しても、その全体が分割体に含まれる場合や、その一部(未完成な状態)が含まれる場合もある。ここで、図示例のポンツーン70Cは複数のポンツーンエレメント75aの接続体であるが、ポンツーンが単体のポンツーンエレメントにより形成される形態であってもよい。
製作ヤード10において製作される分割体は、架台40の上で製作された後、搬送手段30にて架台40とともに接続ヤード20に搬送され、接続ヤード20においては架台40の上で他の分割体と接続されるものであるため、製作ヤード10における架台40の上で、どの態様まで製作されるかによって、分割体の形態は様々に存在することになる。
例えば、センターカラム70Aの全体が分割体である場合は、製作ヤード10の架台40の上で、センターカラム70Aの全体が分割体として製作される。一方、センターカラム基礎71とセンタータワー72が固有の製作ヤード10における固有の架台40の上で製作される場合は、センターカラム基礎71とセンタータワー72がそれぞれ分割体として製作される。ここで、センタータワー72を構成する各センタータワーエレメント72aは架台40の上でなく、例えば建屋18の内部において個別に製作された後、架台40の上に複数のセンタータワーエレメント72aが載置され、複数の緊張材により緊張されてセンタータワー72が製作される場合もあり、この製作方法でも、センタータワー72は分割体となる。
いずれにせよ、搬送手段30にて架台40とともに接続ヤード20に搬送される状態で架台40に搭載されている対象を、本明細書では「分割体」と称しており、架台40の上で100%製作される(最初から最後まで製作される)ことの他に、架台以外の場所で製作された物同士が架台40の上で接続された物も、「分割体」に含まれるものとする。
各製作ヤード10では、コンクリート製の分割体がPCa体として製作され、接続ヤード20では、各PCa体である分割体が緊張材にて緊張されることにより、PCaPC製の浮体式基礎が製作されることになる。
図1に戻り、図示例では、センターカラム基礎71やサイドカラム基礎73,ポンツーン70Cは、それぞれ固有の製作ヤード10A、10B,10Dにおける固有の架台40A,40B,40Dの上で製作される。ポンツーン70Cに関しては、製作ヤード10Dにおける架台40D以外の場所で複数のポンツーンエレメント75aが製作された後、架台40Dの上で複数のポンツーンエレメント75aが複数の緊張材にて緊張されることにより、製作される。
また、センタータワーエレメント72aとサイドタワーエレメント74aは共通の製作ヤード10Cにて製作される。製作された複数のセンタータワーエレメント72aは、共通の架台40の上で相互に緊張材を介して接続され、同様に、複数のサイドタワーエレメント74aも、共通の架台40の上で相互に緊張材を介して接続され、架台40とともに接続ヤード20に搬送される。尚、既に記載したように、センタータワー72やサイドタワー74は、未完成の状態で分割体として架台40の上で製作され、接続ヤード20に搬送された後に、センターカラム基礎71やサイドカラム基礎73に対して順次積層されてもよい。
図1では、搬送手段30により、架台40Bに載置されているサイドカラム基礎73が、搬送路50を介して接続ヤード20へX2方向に搬送されている状態や、架台40Dに載置されているポンツーン70Cが搬送路50を介して接続ヤード20へX2方向に搬送されている状態も示している。
接続ヤード20では、重機55等を適宜利用しながら、複数の架台40の上で各分割体が緊張材を介して相互に接続されることにより、セミサブマージブル型基礎70が製作される。そして、図3に示すように、セミサブマージブル型基礎70を構成するセンターカラム70Aに対して風車84を備えたタワー82が接続されることにより、洋上風車80が製作される。ここで、図示例は、タワー82がセンターカラム70Aに接続される形態であるが、単数もしくは風車のタワーがサイドカラム70Bに接続される形態であってもよい。
ここで、セミサブマージブル型基礎70に対するタワー82の接続方法は、図1に示すように接続ヤード20において、重機55にてタワー82を揚重しながら接続する方法の他、海上(洋上)に設置されたセミサブマージブル型基礎70に対して、海洋にて揚重機を備えた台船を利用してタワー82を接続する方法や、岸壁Pに係留している台船90にセミサブマージブル型基礎70を搬送し、積載した後に、岸壁Pから重機を用いてタワー82を接続する方法がある。さらには、以下、図18を参照して説明するように、台船を利用することなく、岸壁Pの側方の水上にセミサブマージブル型基礎70を浮かせた状態で、岸壁Pから重機を用いてタワー82を接続する方法もある。
次に、図4Aと図4B、及び図2を参照して、第1実施形態に係る浮体式基礎の製作方法の一例について説明する。ここで、図4Aと図4B、及び図2は順に、第1実施形態に係る浮体式基礎の製作方法の一例の工程図である。
図示例の製作方法は、固有の製作ヤード10における架台40の上で、センターカラム基礎71と3基のサイドカラム基礎73がそれぞれ分割体として製作される(製作工程、分割体製作工程)。
次に、各分割体は固有の架台40とともに搬送手段30によって接続ヤード20に搬送され、接続ヤード20では、センターカラム基礎71と3基のサイドカラム基礎73をそれぞれを載置する架台40とともに位置決めし、センターカラム基礎71と各サイドカラム基礎73との間にポンツーン70Cが挿入されるためのポンツーン用隙間Gを設ける(搬送位置決め工程)。ここで、各製作ヤード10から架台40とともに分割体を搬送する工程は、分割体搬送工程と称することもできる。
すなわち、搬送位置決め工程では、以後の他の分割体の接続に当たり、センターカラム基礎71と各サイドカラム基礎73の移動を不要にした姿勢で位置決めするものである。
尚、センターカラム基礎71とサイドカラム基礎73、さらに各ポンツーン70Cはいずれも、上床版76と下床版77と左右の側壁78を備えており、内部にバラスト室を形成する中空79が設けられている。センターカラム基礎71とサイドカラム基礎73と各ポンツーン70Cのそれぞれの上床版76や下床版77、側壁78の対応位置には、相互に対応する不図示の複数のシース管が設けられており、各シース管に不図示の緊張材が挿通され、緊張されることにより、センターカラム基礎71とサイドカラム基礎73と各ポンツーン70Cの接続が図られるようになっている。
次に、図4Bに示すように、各ポンツーン用隙間Gに対して、架台40Dとともに製作ヤード10から搬送されてきたポンツーン70CをY1方向に挿入する(ポンツーン挿入工程)。
ここで、図4Aと図4Bに示すポンツーン用隙間Gの幅t1は、ポンツーン70Cの長手方向の長さt2と、製作誤差及び/又は接続誤差のための誤差長さを加えた長さに設定されている。このことにより、位置決めされたセンターカラム基礎71とサイドカラム基礎73の間のポンツーン用隙間Gに対して、ポンツーン70Cを確実に挿入することが可能になり、ポンツーン70Cが挿入できずに位置決めされているセンターカラム基礎71とサイドカラム基礎73の少なくとも一方を移動させる施工手間の発生を解消することができる。
次に、センターカラム基礎71及びサイドカラム基礎73とポンツーン70Cの間に、モルタル等を充填するウェットジョイントWJを施工し、これらを緊張材により緊張することにより、センターカラム基礎71及びサイドカラム基礎73とポンツーン70Cとを接続する(ポンツーン接続工程)。ここで、ウェットジョイントWJは、相互に隣接するポンツーンエレメント75a間や、センタータワーエレメント72a間、サイドタワーエレメント74a間にも施工されるのが止水性の観点から望ましい。
次に、センターカラム基礎71に対して、重機55等を用いてセンタータワー72を揚重しながら接続する(センタータワー接続工程)とともに、各サイドカラム基礎73に対して、同様に重機55等を用いてサイドタワー74を揚重しながら接続する(サイドタワー接続工程)ことにより、図2に示すセミサブマージブル型基礎70が製作される。ここで、搬送位置決め工程、ポンツーン挿入工程、ポンツーン接続工程、センタータワー接続工程、サイドタワー接続工程をまとめて、接続工程と称することもできる。
ここで、各緊張材の図示を省略するが、センターカラム基礎71とセンタータワー72は、複数の第1緊張材により緊張してセンターカラム70Aを製作し、サイドカラム基礎73とサイドタワー74は、複数の第2緊張材により緊張して各サイドカラム70Bを製作する。また、ポンツーン70Cは、固有の製作ヤード10Cにおいて、複数のポンツーンエレメント75aが複数の第3緊張材により緊張されることにより製作されている。そして、ポンツーン接続工程では、接続ヤード20において、センターカラム70Aとサイドカラム70Bに対して、ポンツーン70Cを複数の第4緊張材により緊張して接続する。尚、第1緊張材乃至第4緊張材には、PC鋼棒やPC鋼線等が適用される。
また、センターカラム70Aを中心に4つのポンツーン70Cが90度間隔に配設され、各ポンツーン70Cにサイドカラム70Bが接続される不図示のセミサブマージブル型基礎の製作においては、ポンツーン接続工程の際に、第3緊張材と第4緊張材を同一の緊張材として、センターカラム基礎71を中心に対向する2つのポンツーン70C同士を、センターカラム基礎71とともに共通の第3緊張材により緊張するのが好ましい。この緊張方法によれば、センターカラム基礎71を中心に対向する2つのポンツーン70C同士をセンターカラム基礎71とともに共通の第3緊張材により緊張することで、接続ヤード20におけるより一層効率的な接続を実現できる。
図示する第1実施形態に係る浮体式基礎の製作方法によれば、搬送位置決め工程により、以後の他の分割体の接続の際に、センターカラム基礎71と各サイドカラム基礎73の移動を不要にできることから、効率的な分割体同士の接続を実現できる。
さらに、図4Bに示すように、セミサブマージブル型基礎70のうちの下部構造体を先行して製作した後に、センタータワー72やサイドタワー74といった上部構造体の接続を行うことにより、安定姿勢の下部構造体に対して効率的かつ高い施工安全性の下で上部構造体を接続することができる。
次に、図5と図2を参照して、第2実施形態と第3実施形態に係る浮体式基礎の製作方法の一例について説明する。尚、第3実施形態に係る製作方法の説明では、図4Aを参照する。
第2実施形態に係る製作方法は、固有の製作ヤード10にて、架台40Aの上でセンターカラム70Aを製作し、架台40Bの上でサイドカラム70Bを製作した後、これらの分割体を架台40とともに接続ヤード20に搬送して位置決めし、各ポンツーン用隙間Gに対してポンツーン70Cを挿入して接続する方法である。
この製作方法によれば、接続ヤード20における接続工数が可及的に低減されることから、接続ヤード20における分割体同士の接続効率が格段に高くなる。
また、第3実施形態に係る製作方法は、図4Aに示す方法と同様に、接続ヤード20において、センターカラム基礎71と3基のサイドカラム基礎73をそれぞれを載置する架台40とともに位置決めした後、図5に示すように、各基礎に対してセンタータワー72とサイドタワー74を接続してセンターカラム70Aと各サイドカラム70Bを先行して製作し、最後に、各ポンツーン用隙間Gに対してポンツーン70Cを挿入して接続する方法である。
その他、図示を省略するが、接続ヤード20において、サイドカラム基礎73やサイドカラム70Bとポンツーン70Cを先行して接続し、3つの接続体を移動させてセンターカラム基礎71やセンターカラム70Aに接続する方法などもある。また、センターカラム基礎71とセンタータワー72の一部までが分割体として製作され、同様にサイドカラム基礎73とサイドタワー74の一部までが分割体として製作され、接続ヤード20に搬送されている場合は、これらに対してポンツーン70Cが接続されるとともに、センタータワー72の残りのセンタータワーエレメント72aやサイドタワー74の残りのサイドタワーエレメント74aが接続されることになる。
実施形態に係る洋上風車の製作方法は、第1実施形態乃至第3実施形態に係る浮体式基礎の製作方法や、上記するその他の形態に係る浮体式基礎の製作方法により製作されたセミサブマージブル型基礎70に対して、既に説明したように、接続ヤード20において、重機55にてタワー82を揚重しながら接続する方法となる。その他、製作されたセミサブマージブル型基礎70が海上(洋上)に曳航されて海上にて設置された後、海洋にて揚重機を備えた台船を利用してタワー82を接続する方法もある。さらには、岸壁Pに係留している台船90にセミサブマージブル型基礎70を搬送し、積載した後に、岸壁Pから重機を用いてタワー82を接続する方法がある。その他、以下、図18を参照して説明するように、台船を利用することなく、岸壁Pの側方の水上にセミサブマージブル型基礎70を浮かせた状態で、岸壁Pから重機を用いてタワー82を接続する方法もある。
次に、図6乃至図8を参照して、搬送手段の一例と、実施形態に係る浮体式基礎の製作方法における接続工程において、製作された浮体式基礎を搬送する方法の例について説明する。
ここで、図6は、多軸台車の一例の斜視図である。また、図7Aは、浮体式基礎の第1搬送方法の際の多軸台車の配置形態を示す図であって、(a)はサイドカラムを搬送する複数の多軸台車の平面図であり、(b)はポンツーンを搬送する複数の多軸台車の平面図であり、(c)はセンターカラムを搬送する複数の多軸台車の平面図である。また、図8Aは、浮体式基礎の第2搬送方法の際の多軸台車の配置形態を示す図であって、(a)、(b)、(c)はサイドカラムを搬送する複数の多軸台車の平面図であり、(d)、(e)、(f)はポンツーンを搬送する複数の多軸台車の平面図であり、(g)はセンターカラムを搬送する複数の多軸台車の平面図である。さらに、図7Bと図8Bはそれぞれ、複数の多軸台車により架台とともに浮体式基礎を搬送する第1搬送方法と第2搬送方法の一例を説明する図である。
図示する搬送手段30は、架台40を持ち上げて地切りする揚重機構を備えた、自走式台車の一例の多軸台車である。多軸台車30は、車体軸方向(L方向)に長尺の車体31に対して複数の車軸33が設けられ、各車軸33には左右一対の車輪35が車体軸方向に間隔を置いて複数対設けられており、全ての車輪35が対応する車軸33に対してY3方向に回動自在に装着され、車体31の上にある荷台32が不図示の揚重機構により昇降自在に装着されることにより、全体が構成されている。
多軸台車30は、図示例のように荷台32を下げた姿勢で、図2等に示す各架台40の進入空間43に進入し、分割体とともに架台40を搬送する際は、揚重機構によって荷台32を上昇させることにより、架台40の地切りを行うことができる。
ここで、図示を省略するが、搬送手段は、架台40がアクチュエータにて駆動する車輪を備えていて、この駆動する車輪が搬送手段であってもよい。また、架台40が車輪を備えていて、搬送手段が牽引式台車もしくは押し出し式台車であってもよい。さらに、搬送手段が、クレーン等の移動式揚重機であってもよい。
図7に示す浮体式基礎70の第1搬送方法は、接続ヤード20における接続工程において、各多軸台車30の車体軸方向(L方向)を、3方向のポンツーン軸方向の少なくともいずれか一つの方向に平行もしくは直交するようにして各多軸台車30を配設し、各分割体を接続してセミサブマージブル型基礎70を製作する。ここで、各多軸台車30の車体軸方向は、厳密にこれらの方向を向くことの他にも、数度程度ずれた方向を向いていてもよい。
次に、複数の多軸台車30にて複数の架台40とともにセミサブマージブル型基礎70をロードアウトして、岸壁Pに係留されている台船90に搬送するに当たり、全ての多軸台車の全ての車輪35を同一方向もしくは略同一方向に制御することにより、台船90に向かう搬送方向であるY5方向に全ての多軸台車30を移動させることができる。ここで、車輪35を略同一方向に制御するとは、ロードアウト方向であるY5方向に沿う基準の車輪角度に対して、例えば、±10度程度の角度誤差があることを意味している。
この搬送方法によれば、接続ヤード20において複数の架台40の上で分割体同士を接続してセミサブマージブル型基礎70を製作する際、もしくは、複数の架台40の上でセミサブマージブル型基礎70が製作された際(いずれも接続工程)に、全ての多軸台車30の全ての車輪35を同一方向もしくは略同一方向に制御することにより、各多軸台車30の車体軸方向(L方向)を一定の方向に規定することなく、スムーズに所望のロードアウト方向へ移動させることができ、架台40を含むセミサブマージブル型基礎70を安定的かつスムーズに搬送して台船90に積載することが可能になる。また、配置位置によって多軸台車30の荷台32の平面視形状を変化させる必要がないこと、言い換えれば、同一の平面視形状の荷台32を備えた多軸台車30を、配置位置に制約されることなく利用することができる。
一方、図8に示す浮体式基礎70の第2搬送方法は、接続ヤード20における接続工程において、各多軸台車30の車体軸方向(L方向)を、台船90に向かう搬送方向であるY5方向に向けた状態で各多軸台車30を位置決めし、各分割体を接続してセミサブマージブル型基礎70を製作する。
次に、複数の多軸台車30にて複数の架台40とともにセミサブマージブル型基礎70をロードアウトして、岸壁Pに係留されている台船90に搬送する際は、各多軸台車30を直進移動させることにより、台船90に向かう搬送方向であるY5方向に全ての多軸台車30を移動させることができる。
この搬送方法によれば、接続ヤード20において複数の架台40の上で分割体同士を接続してセミサブマージブル型基礎70を製作する際、もしくは、複数の架台40の上でセミサブマージブル型基礎70が製作された際(いずれも接続工程)に、各車輪35の角度を同一方向等に制御することなく、直進移動させることにより、スムーズに所望のロードアウト方向へ移動させることができ、架台40を含むセミサブマージブル型基礎70を安定的かつスムーズに搬送して台船90に積載することが可能になる。尚、全ての多軸台車30の車体軸方向を台船90に向かう搬送方向とするため、図示するように、各多軸台車30はその配置位置に応じて多様な平面視形状の荷台32を備えることを要し得る。
次に、図9乃至図17を参照して、実施形態に係る浮体式基礎の進水方法の一例と、浮体式基礎が搭載される架台の回収方法の一例について説明する。
ここで、図9乃至図13は順に、実施形態に係る浮体式基礎の進水方法の一例の工程図である。また、図13乃至図17は順に、実施形態に係る浮体式基礎が搭載される架台の回収方法の一例の工程図である。
実施形態に係る浮体式基礎の進水方法は、図9に示すように、ドックDの接続ヤード20の岸壁Pの側方の水上Sに台船90を係留させた上で、既に説明した通り、複数のコンクリート製の分割体を、それぞれに固有の架台40の上で製作し、複数の分割体を複数の架台40の上で接続することにより、セミサブマージブル型基礎70を製作する。
次に、図10に示すように、複数の多軸台車30により、複数の架台40とともにセミサブマージブル型基礎70を台船90へY7方向に搬送し、積載する。台船90の例えばデッキ上に搬送された各架台40を、デッキに対して固定する(以上、搬送工程)。
この搬送工程に続いて、岸壁Pから重機を用いてタワー82をセミサブマージブル型基礎70に接続し、洋上風車80を製作してもよいが、ここでは、タワー82の設置は洋上にて行うものとして以下説明する。
台船90に各架台40を固定した後、図11に示すように、全ての多軸台車30を接続ヤード20へY8方向に移動させた(退避させた)後、図12に示すように、複数の架台40とともにセミサブマージブル型基礎70を積載した台船90を、洋上における洋上風車設置位置へY9方向に移動させる(曳航する)。
次に、図13に示すように、台船90をY10方向へ潜水させ、セミサブマージブル型基礎70を水中に進水させる。ここで、台船90の潜水方法は、台船90の備えている不図示のバラスト室に注水する方向により行う。また、その他の潜水方法として、台船90が不図示の昇降機構を備えた支持脚を有している場合は、支持脚を降下させることにより潜水させることができる(以上、進水工程)。
図示例の浮体式基礎の進水方法によれば、セミサブマージブル型基礎70の台船90への効率的な搬送を実現でき、台船90への搬送後は、洋上の所定位置までセミサブマージブル型基礎70を曳航して水中に進水させることにより、セミサブマージブル型基礎70の安定的かつスムーズな進水を実現できる。
一方、実施形態に係る浮体式基礎が搭載される架台の回収方法は、図13に示すように、セミサブマージブル型基礎70の設置位置において、複数の架台40とともに台船90にセミサブマージブル型基礎70が搭載された状態で台船90をY10方向に潜水させ、セミサブマージブル型基礎70を水上に浮上させた(浮かせた)後、図14に示すように、セミサブマージブル型基礎70から離れた位置まで台船90をY11方向に移動させる。
ここで、台船90が不図示のバラスト室を備えている場合は、台船90の潜水方法は、バラスト室への注水により行い、台船90の浮上は、バラスト室からのバラスト水の排水により行うことができる。また、その他、台船90が、不図示の昇降機構を備えた支持脚を有している場合は、台船90の潜水は、昇降機構の降下により行い、台船90の浮上は、昇降機構の上昇により行うことができる。
次に、図15に示すように、台船90(の一部)を水上へY12方向に浮上させ、図16に示すように、複数の架台40を搭載した台船90を岸壁PへY13方向に引き戻す(引き戻し工程)。
引き戻された台船90を岸壁Pに係留した後、接続ヤード20に待機していた複数の多軸台車30を岸壁Pから台船90へY14方向に移動させる。
台船90のデッキに固定されている複数の架台40の固定解除を行い、複数の多軸台車30を対応する架台40の進入空間43に進入させ、荷台32を上昇させて架台40持ち上げて地切りした後、図17に示すように、各多軸台車30を台船90から岸壁PへY15方向に移動させることにより、複数の架台40を台船90から岸壁Pに回収する(以上、回収工程)。
図示例の浮体式基礎が搭載される架台の回収方法によれば、複数のコンクリート製の分割体が製作され、分割体同士が接続されてセミサブマージブル型基礎70が製作される複数の架台40の回収に際し、セミサブマージブル型基礎70を水上に浮上させた台船90が岸壁Pへ引き戻された後、岸壁Pから台船90に複数の多軸台車30を移動させ、複数の架台40を複数の多軸台車30にて台船90から岸壁Pに回収することにより、効率的かつ確実な架台40の回収が可能になる。
次に、図18を参照して、実施形態に係る洋上風車の製作曳航方法の一例について説明する。ここで、図18は、洋上風車の製作曳航方法のうち、主として洋上風車を製作する方法を説明する図である。
図示例の洋上風車の製作曳航方法における洋上風車の製作は、既に説明したように、接続ヤード20にてセミサブマージブル型基礎70に対してタワー82(図3参照)を接続する方法や、水上の台船90に搭載されているセミサブマージブル型基礎70に対して岸壁Pからタワー82を接続する方法と異なり、岸壁Pの側方の水上にセミサブマージブル型基礎70を浮上させた状態で、岸壁Pからタワー82を接続する方法である。
図18において、一点鎖線は、セミサブマージブル型基礎70の備えるバラスト室79Aに注水する前の海底Bと岸壁P、及び水深t5とセミサブマージブル型基礎70の吃水t6を示している。対して、実線は、バラスト室79Aに注水された後の海底Bと岸壁P、及び水深t7とセミサブマージブル型基礎70の吃水t8を示しており、注水前後の水深t5,t7は実質的に変わりはない。
岸壁Pからクレーン等の移動式揚重機56(重機)にて水上に吊り下ろされ、岸壁Pに係留されているセミサブマージブル型基礎70のバラスト室79Aに注水することにより、セミサブマージブル型基礎70の吃水t8を岸壁Pの水深t7よりも小さくしつつ、注水前のレベルよりもセミサブマージブル型基礎70のレベルを下げる調整を行う。このレベル調整により、重機56によるタワー82の吊り上げ高さを可及的に低くすることができ、浮体式基礎に対するタワーの接続性を良好にできる(準備工程)。
次に、水上に浮上させた状態のセミサブマージブル型基礎70に対して、重機56を用いてタワー82を揚重して接続することにより、洋上風車80(図3参照)を製作する。
ここで、セミサブマージブル型基礎70のレベルを下げる調整により、セミサブマージブル型基礎70を岸壁Pの側方の海底Bに着底させることもできる。
この方法によれば、タワー82の接続に際してセミサブマージブル型基礎70を不動姿勢で安定させることができ、このことによってセミサブマージブル型基礎70に対してタワー82を接続する際の歩掛かりを向上させることができる。
また、セミサブマージブル型基礎70に対するタワー82の接続方法は、移動式揚重機56を用いる方法の他にも、岸壁Pにある不図示の立て起こし装置によりタワー82を立て起こし、セミサブマージブル型基礎70に接続する方法であってもよい。また、その他、水上にある自己昇降式作業台船(SEP船)によりタワー82をセミサブマージブル型基礎70に接続する方法であってもよい(以上、洋上風車製作工程)。
次に、岸壁Pの側方にて洋上風車80が製作された後、セミサブマージブル型基礎70のバラスト室79Aからバラスト水を排水して吃水を曳航用の吃水に戻した後、洋上風車を洋上の所定位置まで曳航する(曳航工程)。
この曳航工程では、必要に応じてバラスト室79Aにバラスト水を注水して吃水を増加させることにより、セミサブマージブル型基礎70を安定姿勢で曳航することが可能になる。
図示例の洋上風車の製作曳航方法によれば、セミサブマージブル型基礎70のバラスト室79Aに注水してセミサブマージブル型基礎70の吃水を岸壁Pの水深よりも小さくしつつ、セミサブマージブル型基礎70のレベルを下げる調整を行った後に、水上に浮上させた状態のセミサブマージブル型基礎70に対してタワー82を接続して洋上風車80を製作することにより、セミサブマージブル型基礎70に対するタワー82の接続性を良好にできる。その上で、バラスト室79Aからバラスト水を排水して吃水を曳航用の吃水に戻した後に、洋上風車80を洋上の所定位置まで曳航することにより、洋上風車80を安全に洋上の所定位置まで曳航することが可能になる。
尚、上記実施形態に挙げた構成等に対し、その他の構成要素が組み合わされるなどした他の実施形態であってもよく、ここで示した構成に本発明が何等限定されるものではない。この点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
10,10A,10B,10C,10D:製作ヤード
13:レール
15:門型クレーン
18:建屋
20:接続ヤード
30:搬送手段(多軸台車)
31:車体
32:荷台
33:車軸
35:車輪
40,40A,40B,40C,40D:架台
41:載置版
42:脚
43:進入空間
50:搬送路
55:重機(クレーン)
56:移動式揚重機(クレーン、重機)
60:製作システム(浮体式基礎の製作システム)
70:浮体式基礎(セミサブマージブル型基礎)
70A:センターカラム(分割体)
70B:サイドカラム(分割体)
70C:ポンツーン(分割体)
71:センターカラム基礎(分割体)
72:センタータワー(分割体)
72a:センタータワーエレメント(分割体)
73:サイドカラム基礎(分割体)
74:サイドタワー(分割体)
74a:サイドタワーエレメント(分割体)
75a:ポンツーンエレメント(分割体)
76:上床版
77:下床版
78:側壁
79:中空
79A:バラスト室
80:洋上風車
82:タワー
84:風車
90:台船
D:ドック
P:岸壁
S:洋上(海上、水上)
G:ポンツーン用隙間
WJ:ウェットジョイント
B:海底

Claims (5)

  1. 洋上風車のタワーを支持する、浮体式基礎が搭載される架台を回収する方法であって、
    前記浮体式基礎を形成する複数のコンクリート製の分割体が、それぞれに固有の架台の上で製作され、複数の該分割体が複数の該架台の上で接続されて製作された該浮体式基礎が、複数の該架台とともに台船に搭載された状態で該台船を潜水させ、該浮体式基礎を水上に浮上させ、該浮体式基礎から離れた位置で該台船を浮上させ、該台船を岸壁へ引き戻す、引き戻し工程と、
    前記岸壁から前記台船に複数の搬送手段を移動させ、複数の前記架台を複数の該搬送手段にて該台船から該岸壁に回収する、回収工程とを有することを特徴とする、浮体式基礎が搭載される架台の回収方法。
  2. 前記回収工程では、前記台船に固定されている複数の前記架台の固定解除を行うことを特徴とする、請求項1に記載の浮体式基礎が搭載される架台の回収方法。
  3. 前記搬送手段が、前記架台を持ち上げて地切りする揚重機構を備えた、自走式台車である場合に、前記回収工程では、該搬送手段が複数の該架台を持ち上げた状態で前記台船から前記岸壁へ移動することを特徴とする、請求項2に記載の浮体式基礎が搭載される架台の回収方法。
  4. 前記台船は、バラスト室を備えており、
    前記台船の潜水は、前記バラスト室への注水により行い、
    前記台船の浮上は、前記バラスト室からのバラスト水の排水により行うことを特徴とする、請求項1に記載の浮体式基礎が搭載される架台の回収方法。
  5. 前記台船は、昇降機構を備えた支持脚を有しており、
    前記台船の潜水は、前記昇降機構の降下により行い、
    前記台船の浮上は、前記昇降機構の上昇により行うことを特徴とする、請求項1に記載の浮体式基礎が搭載される架台の回収方法。
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